びいどろ殺妖事件―おおつごもり篇―(作者 ツヅキ
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#カクリヨファンタズム 


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#カクリヨファンタズム


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 年の瀬の数日間のみ開かれる蚤の市がある。鄙びた寺から除夜の鐘が鳴り響く中で、妖怪たちはとっておきの掘り出し物を見つけるために真夜中の村を闊歩する。
「でも、今年は危ないよ。ほら、あれ、連続妖怪殺し! 昨夜もひとり殺られたらしいじゃないか。これでもう3人目だよ」
「だけど、次はまた1年待たなきゃならないぜ。今年はとっておきの店屋が来るっていうんで、村のやつらはずっと楽しみにしてたんだ」
「例のびいどろ屋だな?」
「そうだ。俺は切子の杯が欲しい」
「綺麗なビー玉はあるかな」
「あるさ。親玉からツブ玉まで選び放題だ」
「……行くか」
「行こう。殺妖者なんかくそくらえだ」
 ……おおつごもりの鐘が鳴る。おそらく今夜もまた犠牲者が出るだろう。それでも市に灯は点り、妖怪たちは目当ての掘り出し物を見つけるために夜を歩く。骸魂に憑りつかれた妖怪本人すらも、己が犯人と知らぬままに……。

「連続殺妖事件、ねぇ」
 麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)は件の蚤の市で配られている案内状を指先で吊り上げながら笑った。
「これは予知だから今晩これから起こり得ることだけれどね。死ぬよ、ひとり。骸魂に取り憑かれた事にすら気付いていない宿主の意識と記憶を奪い、殺す瞬間だけオブリビオンとしての姿を現して」
 犯人はまるで引き寄せられるかのように、『ある特徴』を持つ代物を購った対象を襲うらしい。
「かつて、まだ骸魂になる前の執着がそうさせるのかな。とにかくこのままでは、そのびいどろ屋で条件に該当する代物の購入者が襲われる。けど、それでも市は最終日の大晦日まで続くだろうね。それくらい妖怪たちは蚤の市を楽しみにしていたから、中止して逃げろと言っても聞きはしないよ。ならばいっそ、彼らに紛れて犯人を捜すのをお勧めするね」

 今晩の殺妖現場となるのは、数々のガラス細工を売りに出しているびいどろ屋。売れ筋は来年の干支である丑の置物だが、達磨や花、金魚なども人気のようだ。
「切子グラスにランプ、他にはガラスペンなんか綺麗だし使いやすくて嵐としてはお勧めできるけどね。大抵のものなら揃うようだから、いろいろと覗いてみたらどうかな。なにしろ、年に数日しか開かない蚤の市だ。この機会に、皆の好みに合ったよいものが見つかるといいね」


ツヅキ
 プレイング受付期間:公開時~12/31 23:59頃迄。

 リプレイは個別に判定・執筆します。共同プレイングをかけられる場合はお相手の呼び名とID・もしくは団体名をご記載ください。
 プレイングはできるだけ反映できるように善処しますが、リプレイの文字数が多く必要になる場合は文章描写上の省略をする場合があります。

●第1章 蚤の市【びいどろ屋】
 ガラス細工全般を扱う店屋です。ステンドグラス、風鈴、ランプ、ビーズ、蜻蛉玉、ガラスペン、干支などの置物等々……プレイングよりご自由にお求めください。
 殺妖事件の犯人はこの店である特徴を持つ品物を購入した者を狙っています。該当する商品を誰か買う前に犯人を特定する、店を見張って襲撃を阻止する、犯人が狙う品物の情報を集めて先にそれを買って囮になる等、殺妖事件の発生を阻止するためのプレイングをかけることができます。

●第2章 ボス戦
 第1章の結果によって、犠牲者の有無が決定します。どちらであってもボスとの戦闘が発生し、勝利すると第3章に進みます。

●第3章 集団戦
 ボスが死に際にばらまいた骸魂が周囲にいる妖怪に憑りつき、オブリビオン化します。倒された妖怪は元の姿に戻ることができます。

 第2章以降の受付は前章完結の翌日が目安です。雑記で案内しますのでご確認をいただけますと幸いです。
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第1章 日常 『骨董ガラクタ蚤の市』

POW値下げ交渉をしてみる。
SPD面白い物を探して歩く。
WIZ珍しい掘り出し物を探す。
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私/私たち のほほん

はてさて、穏やかではありませんねー。
でも、私たち猟兵は一人じゃありませんしー…。

未然に防ぐためにもー…そうですね、怪しまれない程度に見張りましょう。買う品に迷って風でも装いましょうか。
で、部屋に飾る用の干支の置物買っていきます。四人の好み反映って難しいんですよ…。

上からはUCの烏を利用しましょう。目標をびいどろ屋にしましてー。
…見ているのは私だけではなく、他の三人も見てますからね。四人で視点処理してるみたいなものですよー。


 ――……鐘の鳴る真夜中の幽空を闇と区別がつかぬほどに玄い烏が四羽、弧を描いて旋回している。
「店主、おすすめはどれですかねー。ああ、部屋に飾る用の干支の置物を見繕って欲しいのですが」
 のほほんと微笑む馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の前に幾つかの硝子細工が並べられた。
 どれも精巧で、かつ生き生きと瑞々しい。
 義透は「さて」と本格的に悩む風情で店の前にしゃがみ込み、手に取ったり眺めすがめつしたりして時間を過ごした。
 目的は見張りであるが故、時間を潰せるのであればそれに越したことはない。年の瀬に穏やかではない事件だが、幸いなことにこちらは数がいる。
(「それに、一人でないのは猟兵だけでなくて私たち自身もなのですよねー」)
 複合型悪霊たる義透を構成する四人の内、唯一の忍者である『疾き者』。その眼を誤魔化せる者などいない。加えて上空よりびいどろ屋を監視する複数の鳥の眼がある限りは、その本性を現したが最後だ。
 そう、眼は八つ。
 死角は――ない。
「……見ているのは私だけではなく、他の三人も見てますからね」
「ん? お客さん、何か言ったかい」
「いいえ、なんでもありませんよー。それじゃ、置物はこれにしましょうかね」
 趣味も好みも違う四人が納得する代物となると、どうしても無難な物になりがちである。ようやく決めた丑の番いを店主に渡し、会計を済ませた。
「持って帰るまで無事なように、丁寧に包んでやってもらえます? 私なら大丈夫なんですが、中にはがさつなやつもいましてね……ああいや、こちらの話ですよー」
大成功 🔵🔵🔵

リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さんf00145と

あ、うん、そう…かな?
ごめんちょっと自信ない
けど、とりあえずは蚤の市へ
役割分担する。お兄さんが見張りで俺は商品の情報を集める

買うのは割と、ついでで色々買う
他のお客さんや店主に割と気安く話しかけて、殺された妖怪が買っていったものに目星を付ける
もうちょっと絞り込め…
あ、お兄さん
うん、そろそろ飽きるころだと思った
じゃあ、交代ね
今度は俺が見張りをする番
怪しげな輩がいないか見ておくよ
得た情報はさりげなく、こういう感じのものを買っておいて、って伝える形で伝えておく
終わったら遊ぶ…?
遊びに来たわけじゃ…まあいいか
こんなの買ったよ、とか見せびらかしあいながらぶらぶらしようか
それじゃあ


夏目・晴夜
リュカさんf02586と

何やら奇妙な事件ですが
このハレルヤとリュカさんであれば犯人確保も余裕でしょう
了解しました。では見張ってますので調査をよろしくお願い致します


……
…リュカさん、リュカさん。ちょっと此方へ

見張り、えぐい程に暇です
リュカさんばかり随分と楽しそうですね
私だって店員さんやリュカさんと楽しく雑談したりしたいんですが
え、交代してくださるんです?優しい、ありがとうございます!
リュカさんはどんなのを買いました?何かオススメとかありますか?
成る程、そういう感じのものがオススメなんですね
では、それを買って参ります(そして囮へ)
買い物したら戻りますので、後は一緒に見張って遊びましょう
それでは!


「何やら奇妙な事件ですが、このハレルヤとリュカさんであれば犯人確保も余裕でしょう。ね、リュカさん?」
「あ、うん、そう……かな?」
 夏目・晴夜(不夜狼・f00145)とリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)のふたり連れは白い息を吐きながらこれからのことを相談している。自信なさげなリュカと、己を無条件で信じられる自信家の晴夜はふたり揃うとちょうどよく中和されるのだった。
「役割分担しよう? 俺は店で聞き込むから、お兄さんは見張りをお願い」
 晴夜は一瞬だけ無表情を崩し、小さく敬礼して笑った。
「了解しました。では見張ってますので調査をよろしくお願い致します」
 びいどろ屋は盛況だった。
 押し合いへし合う妖怪たちに揉まれながら、リュカは惹かれた品物を色々と手に取っては買い求める。
「人気、ですね」
「有名な職人の手作りなのよ」
「でも、例の事件……怖くないの?」
「怖い。でも欲しい」
「そうだね、とても綺麗だもの」
「うん」
「殺された妖怪も、この店に来てたのかな」
 選んだ品物を店子に渡して会計を頼みながら、さりげなく話を誘導する。そうして常連客や店主から得られたのは、被害者である妖怪がビー玉を購入した後で襲われているという情報だった。
「ビー玉?」
「そう。死体の周りにいっぱい転がってた」
「――それは、」
「……リュカさん、リュカさん。ちょっと此方へ」
 何度話しかけても気づいてくれない相手の袖を掴み、晴夜はリュカの耳元に唇を近づけて囁いた。
「見張り、えぐい程に暇です」
 ちょっと拗ねたように聞こえるのは気のせいではないはずだ。実際、晴夜は少しだけ唇を尖らせてこう言った。
「リュカさんばかり随分と楽しそうですね。私だって店員さんやリュカさんと楽しく雑談したりしたいんですが」
 すると、リュカは瞳を和めてタッチ交代と軽く手を打ち合わせて互いの位置を入れ替わる。
「うん、そろそろ飽きるころだと思った。怪しげな輩がいないか、今度は俺が見ておくよ」
「ありがとうございます! あ、そうだ。リュカさんはどんなのを買いました? 何かオススメとかありますか?」
「……ビー玉」
 リュカの視線は吸い寄せられるように、瓶詰の硝子玉を見つめている。
「でも、まだそれしかわかってない。だから、できるだけ色々なものを買っておいて」
「成る程、ではそれを買って参ります。――あ! リュカさん」
 背を向けて店の外へ消えようとしていたリュカを、人混みの合間から突き出した白い手袋が左右に揺れながら呼び止めた。
「買い物したら戻りますので、後は一緒に見張って遊びましょう」
「え……でも、遊びに来たわけじゃ……」
 まあいいか、とリュカは思い直し、手を振り返した。
「こんなの買ったよ、とか見せびらかしあいながらぶらぶらしようか」
「了解です。それでは!」
 晴夜は満足そうに頷き、リュカの言っていたビー玉を興味津々な様子で物色する。どれも傷ひとつない見事なる球体だ。
「赤、蒼、黄……それに、緑色」
 摘み上げたそれを透かすように、リュカは灯りの前にかざした。
「店主、これをひと通り下さいな。えっ、おまけしてくれるんですか? 嬉しいです。ありがとうございます!」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

照宮・連火
連続妖怪殺しとは穏やかじゃねぇな
被害者は『ある特徴』を買った者だと言うが、大抵買ったモンは袋に入れて渡すだろ
つまり誰が買ったかは現場で見てたやつしか分からねぇってってことだ
店の周りにいるやつか、それとも店主か……

俺は店を張り込み、店を観察しているやつがいないか、店主が不審な行動を取っていないか見張るとするぜ
そして何かこっちを観察してんなーと思ったヤツがいたら跡を付けてみる

何も買わないでぼーっとつっ立ってる訳にもいかないし、ついでに弟と妹の誕生日が近いから土産でも買ってくか
弟はフルーツ牛乳が好きだから牛の置物があればそれと、妹は妖狐たから狐の置物だ
俺が狙われるなられはそれ
喧嘩なら受けて立つぜ


「はい、毎度」
 店子は硝子細工が割れないように、きちんと古紙に包んだ上で袋に入れた品物を客に渡している。
「……つーことは、だ」
 照宮・連火(楽園の赤れんが・f24537)は顎に指を当て、店の周囲に視線を巡らせた。相変わらずの人出だ。客足は絶えず、商品棚の前には常に人の垣根ができている。
(「この状態で誰が何を買ったかなんて、現場で見てたやつしか分からねぇってことだ。店の周りにいるやつか、それとも店主か……」)
 連火は腕を組み、物色するふりで忙しそうに立ち回る店主の様子を盗み見る。手が空いたのを見計らって、声を掛けてみることにした。
「なあ、この硝子細工は店主の手作りかい?」
「そうだよ。希望のもんがなけりゃ注文も受けるがね」
 店主の背後には硝子を溶かすための炉が置いてある。連火が頼んだ牛と狐の置物を器用に作って机の上に並べてみせた。
「へえ、手際がいいな」
 白と黒の可愛らしい牛の首には実際に音が鳴る鈴が揺れ、狐の方は毛並みの美しさが丹念な濃淡によって表現されている。
 これならフルーツ牛乳好きの弟と妖狐の妹も喜んでくれそうだ。
「幾らだい?」
 会計を済ませると、やはり店主は丁寧に包み始める。その時、連火は何者かの視線を感じた。
(「前から?」)
 視線の主が客の間に紛れているのなら、視線は後ろか横から注がれるはずである。だが、こちらを観察していると思しきそれは店を挟んだ向こう側の通りから感じられるのであった。
「――受けて立つぜ」
「え?」
 ぱちぱちと目を瞬く店主になんでもないと手を振り、連火は買ったばかりの硝子細工が入った袋を掲げて笑った。
「これ、ありがとな。んじゃ、野暮用ができたからもういくわ。物騒な事件が続いてるから、店主も気を付けろよな」
大成功 🔵🔵🔵

天帝峰・クーラカンリ
さて、硝子のものといっても色々あるのだな
装飾品の類いは今ので十分事足りているし
であれば仕事道具でも探すか
硝子ペンは何本あってもいいからな

(一直線にそういう出展先へ)
ふむ…あまり華美なものは好まぬ
故に、この簡素に美しく捻れ、透明から空色のグラデーションのかかったものにしよう
店主よ、幾らだ?
(気前よく払う)

さて、土産を買っていかないと拗ねるやつらがいるからそれらも買わねばな
市場を練り歩き品々を物色

おっ、このランプなど良いな
(色とりどりのステンドグラスで出来た球体に、蝋燭を入れる穴が空いている)
あとは…ああ、この丸い菓子入
れなんかもいいな
(お洒落な柄の入った丸壺)

割れないよう梱包はしっかりと頼む


「さて……」
 店の品揃えが豊富なことは一目でわかった。天帝峰・クーラカンリ(神の獄卒・f27935)はまず目に入った装飾品の類に首を振り、ちょうど傍にいた店子に仕事道具の棚まで案内を頼んだ。
 文鎮やインク用の瓶が並ぶ一角へと一直線に歩み寄ったクーラカンリは慎重に好みの品を選び始める。あまり華美なものよりは、むしろ――伸ばした指先に取ったのは、透明な硝子に空色の濃淡のみで彩りを添えた美しく簡素な硝子ペン。
 灯りに透かすと、精密に捻じれたペン先が冴え冴えと光を反射する。気に入った。クーラカンリは店主を呼び寄せ、気前よく尋ねる。
「店主よ、幾らだ?」
 それを聞いた周りの妖怪たちが俄かにざわめいた。
「あれを買うのか? 店主入魂の一点もの」
「他より桁がひとつ違うぞ……」
 だが、クーラカンリは驚きさざめく客らの反応すら心地よさそうに受け止め、あっさりと代金を払ったものである。
「他にはよろしいでしょうか?」
 その時、クーラカンリの脳裏に思い浮かんだのは土産を買っていかないと拗ねそうな奴らの顔だった。
「そうだな、せっかくだから色々と物色して回ってみるか。ひと通り見て来るから、その間に包んでおいてくれるか」
「かしこまりました」
 蚤の市は欲しい物が見つからない事など有り得ぬとでも誇るが如き盛況。なかでもクーラカンリの目を惹いたのが、ステンドグラスのランプと洒落た柄の入った丸壺であった。
「おっ、これなど喜びそうだな。ほう……これほど見事な球体のステンドグラスは稀少だろうに」
 手に取って回し見ると、蠟燭を入れる穴が空いている。色とりどりの有色硝子を手作業で張り合わせた逸品だ。丸壺の方は繊細な柄が描かれ、同色の蓋がセットになっている。菓子入れにするのに手ごろな形と大きさがよい。
「ああ、割れないよう梱包はしっかりと頼む」
 忘れずに念を押し、クーラカンリは幽夜の凍えるような寒さのなかでも平然と笑って呟いた。
「ふふ、よい買い物ができたな。満足だ」
大成功 🔵🔵🔵

菱川・彌三八
ん~…俺ァ考えるなァ苦手でヨ
屹度其の買った何かに潜んでやがる…迄は分かる…筈…
店の奴が噛んでやがんのかね
…前も似た様な事あったな
ちいと天狗の銅判も握っておこう
使うは人心掌握之術

店を覗けば、ははぁ此奴ァ…何を選ぶか、フリでもなく迷っちまうな
此奴ァ灯りを灯せるのかい?洋灯、なら知ってるゼ
其奴をくれねェな

先ずは品を
話進めんなァ其れからだ

帝都の筆の様な物や置物を見るフリで、店主に他の勧める物もちいと尋ねてみるか
売れたが戻って来た物がありゃあ夫れだろうが、さて
容れ物なのか、まあるい玉か、世にも珍しい物か
"未だ"三人
てェと未だ三つだ、そんねェに出る物でもなかろ
夫れは一体ェ、何れだ
既に買われてなら追わねェと


「ん~……」
 菱川・彌三八(彌栄・f12195)は腕を組み、思案顔で首を傾げる。傍から見れば、どれを買おうか迷っている風情である。
(「屹度其の買った何かに潜んでやがる……迄は分かる……筈……店の奴が噛んでやがんのかね」)
 前にも似た様な事があったことを思い出し、袖の下から取り出した銅判には立派な鼻の天狗が目を光らせていた。
 先ずは、品を。店主に接触する機会を得るには品物を買い求めるのが手っ取り早い――然し、あまりにも豊富な品揃えの前に彌三八はつい感嘆の溜息を零した。なにしろ、種類が多い。簪や首飾りといった装飾品から筆記具や容器などの実用品まで幅広く取り揃えてある。
「何かお探しかい?」
 フリでもなく迷いかけた彌三八へと、都合のよいことに店主の方から話しかけて来た。
「此奴ァ灯りを灯せるのかい?」
 洋灯なら知っている。手頃な値段のものを指差すと、店主は「ああ」と頷いて上下を分解してみせた。
「こいつに油を入れて使う。何色が好みだい?」
 彌三八が選んだものを渡す際に、銅判をそっと肘の裏に貼り付ける。ぴくりと店主が反応して顔を上げた。
「他にも何か?」
「ああ、御薦めはあるかい」
 軽く眺めただけでも、幾つかの品が目に留まる。帝都の筆の様な物、干支の置物……それらを見るフリをしながら、店主の説明を聞き流す。
「そういや、売れたが戻って来た物なんかあるのかねェ……いや、ここの客が辻斬りに遭ったと小耳に挟んでヨ」
「ああ、ビー玉がね」
 店主はぶるっと体を震わせる。
「死んだ妖怪の周りに割れたビー玉が散乱してひどい有り様さ。傷がないのは拾って戻したが……」
「夫れは一体ェ、何れだ」
 ずい、と彌三八は身を乗り出した。
「ええと、ああ。さっき売れちまったみたいだな。たくさん買っていったのがいてね」
「何だって。すぐに追わねェと」
「同じ物ならまだあるよ、ほら、持ってけ」
 踵を返そうとする彌三八を呼び止めた店主が押し付けたのは、ビー玉の詰まった小瓶であった。
「はァ?」
 目をぱちぱちさせて、彌三八は首を捻る。
「こいつが同じ物……? てェと、買っていった奴が全て襲われるわけじゃねェてことか……あ~、俺ァ考えるなァ苦手でヨ。詰まる所、如何言うこった――!?」
大成功 🔵🔵🔵

呉羽・伊織
【盃】
被害者が好んだ品等を聞いたり
第六感で妙に感じる存在や品がないか偵察したり
然り気無く情報収集を
何か解ればその品を購入し囮に

その傍らで折角だし硝子も楽しみ
――ふと気になった切子に手を伸ばせば

(同時に伸びた手
もとい狐野郎に心底うげって顔を向け)
っっアンタと合っても嬉しかねーわ!
つかそもそも会いたくもなかったわ!
誰が乾杯なんかするか、一人酒してろ


(腹立つ――が、示された牛の置物のつぶらな瞳と思わず見つめ合ってしまい)
違っ…く、仕方ないな
お供(雛や亀)達へのお年玉代わりに、オレはコレとビー玉にする

…は?
一応、礼は言う
が、こりゃ明日は大雪かな!

――反発しつつも仕事は別
命を守る為ならば、協力し警戒を


佳月・清宵
【盃】
聞き耳立て周囲の噂探り偵察
連日店覗く客か店主こそか
双方警戒し情報収集
被害者購入品の特徴から
第六感が引っ掛かる代物がありゃ購入し囮に

其とは別に
趣味で切子酒器に手を伸ばせば

(心底愉快げな笑み浮かべ返し)
よう、気が合うな?
然してめぇが独り自棄酒に使うにゃ勿体無い逸品だぜ、こりゃ
――ああ、仕方ねぇから年末年始の酒盛に特別招待してやろうか

ま、此は俺が買うんで、てめぇは其でも枕元に飾っときな
(妙に可愛い牛の置物を示し――明らかに可愛さに負けた様子に笑い)
てめぇの趣味にぴったりだろ?

――で、此(切子)は“4日”に呉れてやろう
ああ雪見酒も良いなぁ?

毛嫌いされようがどこ吹く風
仕事は仕事
抜かりなく連携し警戒


「なるほどね、ビー玉を」
「うん」
「3人とも全員?」
「いや、ひとりは皿だよ。葉っぱの形をしたこういうやつ」
 呉羽・伊織(翳・f03578)は店子から受け取った皿を目の高さに持ち上げ、頷いた。別段変わったところは感じられない。
「これ自体に仕掛けがあるというわけじゃないのか……それにしても、ビー玉と皿? なにか共通点でもあるのか?」
 小首を傾げつつ、件の皿を確保完了。
「さて、用は済んだから自分用のも見ていくか!」
 粋を凝らした硝子細工を眺めていると、自然に心が華やぐ。あれもこれもと目移りするなかで――ふと気になった切子の酒器に手を伸ばした時であった。
「ん?」
 反対側からそれを取ろうとしていた佳月・清宵(霞・f14015)は、指先のぶつかった相手の顔を確かめた途端に心底から愉快そうに笑った。
「よう、気が合うな?」
 よもや、こんなところで伊織と顔を合わせるとは思わなかった。事件の犯人の噂を探り、偵察していた矢先の出来事である。
(「連日店覗く客か店主こそか……いまのところは双方引っ掛かるところはなし、と」)
 息抜きに目を惹く酒器があったので、ついでに購っていこうかと思ったらまぁ奇遇なこと。
「き、狐野郎……なんでこんなところに……」
「そりゃこっちの台詞。にしても、どうしてそんな油虫でも見たような顔してやがるんだ。どうせなら喜べよ」
「っっアンタと会っても嬉しかねーわ! つかそもそも会いたくもなかったわ!」
 だが、清宵は聞こえないフリで酒器を手に取ると、感心したような素振りでそれを眺め眇めつし始めた。
「然してめぇが独り自棄酒に使うにゃ勿体無い逸品だぜ、こりゃ。――ああ、仕方ねぇから年末年始の酒盛に特別招待してやろうか」
「誰が乾杯なんかするか、一人酒してろ」
「ま、此は俺が買うんで、てめぇは其でも枕元に飾っときな」
 眉を顰め、長い指先の示す先を見た伊織の目に飛び込んで来たのは妙に可愛い牛の置物で。
 見た目の年などそれほど変わらない癖に、この男は行動の端々で伊織を子供扱いしているような節がある。それが非常に腹立たしい。にも関わらず、牛の置物を見た伊織はそのつぶらな瞳に魅入られたかのようにじっと見つめ返してしまった。隣で小さく吹き出すような気配があって、我に返る。
「てめぇの趣味にぴったりだろ?」
「違っ……く、仕方ないな。お供達へのお年玉代わりに、オレはコレとビー玉にする」
「ビー玉?」
 ふと、清宵が目を瞬いた。
「何だ」
「いや、別に。被害者もよく買っていたと聞いてな」
「それは俺も聞いた。あとはこの葉っぽい形の皿もな。ビー玉と皿、両方に共通する特徴といったら――」
 ふたりは同時に動きを止め、それから互いの顔を見合わせる。
「……そういうことか」
「だろうな。気付いた褒美に、此は呉れてやろう。ただし“4日”にな」
「……は? 呉れるってんなら貰うが……」
 ありがとう、と伊織は一応礼を言うがどこか胡散臭そうな表情を隠せない。
「こりゃ明日は大雪かな!」
「ああ雪見酒も良いなぁ?」
 毛嫌いされようが、清宵はどこ吹く風で代金を支払っている。私情はどうあれ、仕事は仕事。犠牲者の命を守る為にふたりは力を合わせて警戒を続けることにした。
「アンタは右、俺は左な」
「はいよ」
「……やけに素直だな」
「おや、憎まれ口をご所望かい?」
「要らんわ、そんなもん!」
「はいはい。弄り甲斐のある奴だねぇ、全く」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第2章 ボス戦 『金・宵栄』

POW ●壊魂の紅
【“己の宿願を叶える”という執念 】を籠めた【紅鞭】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【魂】のみを攻撃する。
SPD ●「お前の宝は何だ」
対象への質問と共に、【自身の満たされない心】から【月のような金色毛並みの猫(人間大)】を召喚する。満足な答えを得るまで、月のような金色毛並みの猫(人間大)は対象を【鋭い牙や爪、金色のオーラ】で攻撃する。
WIZ ●月禍の夢
【瞳と声、紅鞭での攻撃のいずれか又は全て】から【記憶・精神を侵す強烈な催眠術】を放ち、【“最も大切なものが奪われた”と思わせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠汪・皓湛です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「はい、毎度あり」
「わーい!」
 目当てのビー玉を購った妖怪が嬉しそうに帰ってゆく。本来ならその子が犠牲になるはずだったが、そうはならなかった。
「…………」
 息を呑むほどに美しい、透き通る翠玉のような緑色。
 なぜその色に惹かれるのかすら忘れてしまった。遥か昔に恋い焦がれ、何としても手に入れようとした財宝――否、誰かの瞳。
 あの色を見ると我を忘れて欲しくなる。それを持っている他人を殺して奪い、己だけのものにしたくなる。
 かつて、金華猫と呼ばれた男はその本性を現しながらびいどろ屋へと近付いた。金色の髪は腰より伸び、美しい毛並みの耳と尾からは膨大な量の妖気が陽炎のように揺らいでいる。
 彼の目にはもはや、本来襲うはずであった妖怪は目に入っていなかった。だが、問題もあった。ほとんど同時にその代物を購っていった人物が複数いたからである。
 ――誰を殺すか。
 僅かな迷いが隙を作った。
 店を見張っていた猟兵が複数飛び出し、金花猫の男を取り囲む。空で烏が鳴いた。待ち伏せをされていたことにようやく気が付いたが、既に逃げ場はない。剣呑な気配を察した周囲の客は自ずから離れ、蚤の市の喧騒の中、犯人と猟兵の周囲にだけぽっかりと空白の場所ができあがった。
「……そうか、罠だったのか」
 よく通る声が微かな屈辱を孕み、幽夜に響く。
「俺は、あの色を見ると自分を見失ってしまう……そういう意味では、正気に戻してくれたことには礼を言おう。だが、それとこれとは別問題だ。俺を罠にかけ、退治せんとするお前らの思い通りになどなってやるものか」
馬県・義透
引き続き『疾き者』
使用武器:灰遠雷

またまあ、大きな猫がかかりまして。
これ以上の被害を出さないためにもねー。せっかくの蚤の市なんですし。

UC+呪詛+風属性攻撃にて避けられない矢を与えましょう。私だけ忍びといえど、弓の修練もしてましたしー。

私の宝ですかー。内部にいる三人と、双子の妹とそれに宿る鬼ですよー。ここにいない甥と姪孫(ともに死亡済み)もですけど。
まあ、つまりは家族です。これで満足できますー?
四天霊障による防御オーラで、ある程度は軽減させましょうかねー。

※この『疾き者』、『皆が幸せであればいい』で『皆』に自分を含めない人です。あと、『疾き者』だけ家の都合で独身です。


「おやおや、またまあ……大きな猫がかかりまして」
 烏舞う幽闇の下より出でし射手――馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の構える弓矢がまるで闇に溶けるかの如く色を無くしてゆく。
「呪詛、か」
「ご明察」
 金華猫こと金宵栄の振るう紅鞭が放たれる矢を叩き落しにかかるが、敢え無く空を切った。
「!」
「無理ですよー、その矢から逃れることはできません」
 義透の言葉通り、分裂して鞭を躱した矢は複雑な軌道を描いて宵栄を貫く。まるで風を読んだかのようにしなやかなる動きであった。
「……存外、やるな」
 猟兵側の有利と見て、傍で観戦していた妖怪の間から歓声が沸き上がる。だが、すぐにそれは悲鳴に変わった。
 宵栄の胸元から不気味な鳴き声がしたかと思った途端、金毛の猫が現れたからである。
「ほう、綺麗な猫又ですねー」
「答えろ、お前の宝はなんだ?」
「宝? また唐突に聞くのですね」
 くすりと微笑み、義透は指折り数え始める。
「内部にいる三人と、双子の妹とそれに宿る鬼ですよー。ここにいない甥と姪孫もですけど。幾人か既に亡くなってますけど、別に構いはしませんよね?」
 あまりにもあっさりと答えたおかげで飛びかかる機会を得損ねたらしく、猫は漫然と爪を研ぐばかりだ。
「家族、か」
「まあ、そういうことです。普通過ぎてがっかりしましたかー?」
「……いや、感心した」
 宵栄は本心からのように呟く。
「宝はいつも身近にある……あった、という感覚だけはいまも微かな記憶の欠片となって覚えている」
「あなたの宝とは一体何なのでしょうね? いつかわかるといいですよねー」
 義透の判断は素早かった。飄々とした素振りとは裏腹に、その一撃は雷の如く鋭く迸って金毛の猫を追い祓う。
 ――皆が幸せであればいいと、義透は――『疾き者』は思っている。そこに己は含まれず、独り身のままにて宝を守り続ける。
 死して悪霊となりつつも、守るべき人が死した後であったとしても。変わらずに愛しく思い続けている。
「さて、お話は終わりにしてそろそろ本気でいきましょうかー。ああ、そんなに威嚇しても無駄ですよ。この霊障は防御にも使えるんです。私に傷を付けたくば、もっと近くにおいでなさい。まあ、近寄れたらの話ですけどねー」
大成功 🔵🔵🔵

夏目・晴夜
リュカさんf02586と

見事に犯人をおびき出せたようですよ
我々の素晴らしき策略から生まれた当然の成果ですね
ええ、きっちりと殺しましょう

召喚された猫の攻撃は妖刀で受けとめるか、
カウンターで串刺しにして此方へ引きつけておきます
リュカさんなら私に当たらぬよう敵へ強烈なダメージを与えて下さる筈
もし接敵できる隙があれば、銃創へ妖刀を捻じ込みます

宝ですか?答え切れるほど少なくないんですよねえ
あ、リュカさんとの友情も宝ですよ、言うまでもなく!
……(どや顔のままガン見
そうですよね、我々の友情は宝。よし、あともう一声
ええ、ハレルヤは世界の宝。リュカさんがそう仰るなら間違いない
私も大事にしますから喜んで下さいね!


リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さんf00145と

…あ、うん
素晴らしい策略かどうかは置いておいて
このまま逃がさず、殺しきろう

お兄さんが抑えてくれてる間に、何とかしよう
後ろから灯り木で銃弾を撃ち込む
なるべく即座に急所を狙って制圧したいところだけれども、
難しそうなら、召喚された猫なんかにも対処して、長期戦に切り替えたい
何かの折に隙が必要なら、買ってきたビードロを敵へとぶん投げる

宝に関しては
(ぱっと思いつかない
好きなものは兎も角
大事に収集して仕舞い込むような宝の類は…
…(そんなどや顔でこっち見られても
あ、うん
……
お、お兄さんの友情は俺にとっても宝だよ?
わかったわかった。お兄さんは世界の宝、宝
わかった。間違いない。大事にする


「リュカさん、リュカさん。やりましたね、作戦成功です!」
 はしゃぐ夏目・晴夜(不夜狼・f00145)の耳が嬉しそうに外を向いたり内を向いたりして、目まぐるしく動き回った。
「我々の素晴らしき策略から生まれた当然の成果ですね」
「……あ、うん」
 リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)はこんな時でも表情ひとつ変えず、突っ込みを入れることも忘れない。
「素晴らしい策略かどうかは置いておいて。このまま逃がさず、殺しきろう」
「ええ、きっちりと殺しましょう」
 帽子を深くかぶり直す晴夜の表情が引き締まり、唇の端が笑みの形に釣り上がる。――敵の使役は金毛の巨大猫。なるほど、毛並みの色だけは天上の月色めいて珍しやかな美しさだ。
 伸ばした手の先に白柴のからくり人形が一振りの刀を握らせる。一目散に飛びかかる鋭い爪を弾き、そのまま滑らせるように突き出した刃先で串刺した。
「――」
 リュカは愛用の自動小銃を構え、その間に本体に狙いをつける。晴夜を避けて速射。反動を殺し、もう一度。
「ち……ッ」
 急所のみを狙う正確無比な射撃技術に舌を巻き、宵栄は咄嗟に近くの木陰へと飛びずさった。
「逃がしませんよ!」
 だが、俊敏さでは晴夜に分がある。
 接敵できる隙を見逃さず、滑り込み、リュカの弾丸が貫いた銃創を抉るように妖刀を捻じ込んだ。
「ぐ、ぁ―――」
 宵栄の呻き、晴夜の笑み、迸る血潮、妖しき刃のきらめき。全ては一瞬の出来事に過ぎない。
「覚えましたよ。もう、あなたはこの妖刀から逃れられません」
「ふ……ならば、答えろ。お前の宝はなんだ? 満足いかぬ答えであれば、そこの猫が牙を剥くぞ……!」
「宝ですか?」
 即座、晴夜の脳裏を過ぎったのは全部言っていたらきりがないほどにたくさんの答えであった。
「あ、リュカさんとの友情も宝ですよ、言うまでもなく!」
「え? あ、うん」
 リュカが顔を上げた。好きなものなら兎も角、宝――? 大事に収集して仕舞い込むような類のもの……ぱっとは思いつかず、生真面目に考え込んでいた矢先のことである。
「……」
 どや顔でこっちを見ている晴夜。
「……」
 当惑するリュカ。
 そして、
「……お、お兄さんの友情は俺にとっても宝だよ?」
 空気を読んだ。
「そうですよね、我々の友情は宝」
 晴夜はうんうんと頷くが、視線は未だにリュカを見つめたままである。よし、あともう一声なんて台詞が聞こえてきそうだ。
「わかったわかった。お兄さんは世界の宝、宝」
 リュカは降参と言わんばかりに繰り返した。声を和らげ、微笑して続ける。仕方ないなとでも言いたげに。
「わかった。間違いない。大事にする」
「ええ、ハレルヤは世界の宝」
 屈託なく、彼は笑った。
 それこそ極上の宝物を手に入れたかのように自分の胸に手を当て、さっき聞いたばかりの言葉を反芻する。
 ――ハレルヤは、世界の宝。
「リュカさんがそう仰るなら間違いない。私も大事にしますから喜んで下さいね!」
 金毛の猫はいつの間にか消え失せていた。
 晴夜は妖刀を手に、残された宵栄と対峙する。
「さて、答えが出揃ったところで本体を叩くとしましょうか」
「うん」
 リュカは頷き、銃を構えかけてふと思い出したように“それ”を取り出した。
「それは――」
 宵栄の反応は上々。
「ほら、あげるよ」
 放り出したのはさっき買ったびいどろだった。地面に落ちて割れる――金栄はとっさに手を伸ばしてそれを掬い取った。
 致命的な隙。
「言いましたよね? この妖刀からは逃れられませんよって」
 銃声が響き渡る。
 引き抜かれた妖刀の先から血雫が滴り落ち、地面に涙の痕のような染みが出来上がった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

菱川・彌三八
其の色を求めんのと殺すのだってェ別の話だろうが
そんねェに嫌だってんならてめえでびいどろ全部買えってんだ
夫れとも、此奴をくれてやろうか

さて、暴れる訳にもいくめェ…てえと千鳥だな
辻風が如く幾重にも千鳥の群れを重ねて取り囲む
目と鞭が防げりゃ上々
然し、何にかかったところで如何と云う程でもねえや
何が大切かなんて俺にゃわからねえからよ
甲乙なんざつけた試しがねえや

其れに動きが暫し止まったとて、千鳥が総て止まる訳じゃねえのさ
先の嵐が如き群れは囮
気づかれぬ様地に潜ませた一群は、俺が止まった時にのみ動き出す
さあさ、俺が動いた時にゃ如何なるか分かるな
辻風がお前ェを飲み込んじまうぜ


 ――ュン、と何かが通りを吹き抜けた。一瞬、風かと思ったそれは確かに羽搏く翼を持っている。辻風が如く、幾重にも紡がれた千鳥の群れが瞬く間に宵栄を取り囲んで絢爛たる浮世絵の檻の中へと閉じ込めてしまう。
「浮世絵師、か」
「おうよ、号は師弥、萬作、海棠庵。冥途の土産に覚えつくんな」
 ゆらりと進み出た菱川・彌三八(彌栄・f12195)は片方の眉だけを動かし、彼の手にある硝子玉――先ほど、とある猟兵が囮として投げつけたそれ――を顎で示した。
「其の色を求めんのと殺すのだってェ別の話だろうが。そんねェに嫌だってんならてめえでびいどろ全部買えってんだ」
 剣呑な台詞と共に、千鳥が激しさを増して渦を巻いた。抜け出そうと試みる宵栄の抵抗も空しく、檻は壁となって月禍の夢を招く眼差しと鞭による攻撃を阻んだのである。
「そうか。目的はそれか」
「今ごろ気付いたかい? 遅ェわな」
 更に勢いを増した千鳥の羽搏きは荒れ狂う竜巻となって市の一角を呑み込んだ。
「す、すげえ……!!」
 見物人の妖怪たちの間から驚きの声が迸る。
「危ねェから下がんな。そら、急げよ」
 彼らを追い払う彌三八の耳に宵栄の喉を鳴らすような笑い声が届いたのはちょうどその時のこと。
「目と鞭を封じようと、まだこの声があるぞ?」
「――あァ、判ってるさ」
 然し、彌三八は動じなかった。
(「何が大切かなんて俺にゃわからねえからよ」)
 若しも一等飛び抜けて大切なものが奪われたならば、慟哭は深く激しく彌三八の心を侵したのだろう。だが、何れも甲乙つけずに愛しんでいたならば? 哀しみはきっと他のものが十分に埋め合わせてくれるはず。
「俺ァな、博愛主義者なのヨ」
 軽口で惚ける彌三八へと、紅の鞭が迫った。千鳥は止まっている。そう、敵を閉じ込めていた“囮”の千鳥は。
「本命は此方よ、」
「な――」
 気づかれぬように地へと潜ませておいた一群が宵栄の足元から突き上がった。それをきっかけに月禍の夢は醒め、再び最初の千鳥が命を吹き返す。
「足元がお留守だったな」
 凄まじい風圧によって、宵栄の手にあった硝子玉に皹が入った。
「――!!」
 大切な宝が割れる。
 さきほど己が与えようとした苦痛が、皮肉なことに宵栄自身へと還ってゆく。
 彌三八は容赦なく筆先を動かして、
「さあさ、今度こそ辻風がお前ェを飲み込んじまうぜ。恋い焦がれたっつう其の色と一緒に砕けちまいな」
大成功 🔵🔵🔵

照宮・連火
あんたの目当てはこのビー玉……いや、この色か
あんたにとってこの色は忘れられない宝物を思い出す色なんだな

俺の宝が何かだって?
聞きたいなら教えてやる
俺の宝は『家族』だ
古くて壊れたものに愛情をかけてくれた父さんと母さんがいて、家族として慕ってくれる兄弟姉妹も出来た
家族であるのに血の繋がりなんて関係ないぜ

あんたにも大切な宝物のような人がいたんだろ?
だったら忘れるなよ! 思い出せよ! 

【錬成カミヤドリ】で本体の煉瓦を複製したらばらばらに飛ばしてでっかい猫を足止め
ついでにビー玉も一個、野郎に向けて飛ばし、気を引いたところで『炎上都市』で炎のオーラを纏い、怪力で一発ぶん殴る

いい加減目を覚ましやがれ!


「あ……、ああッ……!!」
 砕けてゆく。
 美しい翡翠のような彩りを吹き込まれた繊細なる硝子細工。猟兵の攻撃を砕け散るそれを指先にかき集め、呻く男の背に照宮・連火(楽園の赤れんが・f24537)が語りかけた。
「あんたの目当てはこのビー玉……いや、この色か。あんたにとってこの色は忘れられない宝物を思い出す色なんだな」
 連火の指先で小さな硝子玉が光る。
 絶望に酔いしれていた男がぼんやりとした様子で振り返った。まるで夢遊病者のようにふらつきながら、ただその色を求めて指を伸ばす。
「返せ、それは俺のものだ……!」
「――馬鹿野郎がッ」
 連火は悔しげに叫んだ。
 同時に不気味なる猫の鳴き声。今にも飛び掛かろうとする足元めがけ、複製した煉瓦の欠片が一斉に降り注いだ。
「にぃ!」
 猫は威嚇するように嘶き、逆毛を立てて攻撃の機会を窺っている。
「お前の宝はなんだ」
 虚ろな眼差しで問う男を連火は真っ直ぐに見つめ返した。そんなに聞きたいのならば教えてやる。
「俺の宝は、『家族』だ」
 彼らの笑顔。優しく自分の名を呼んでくれる声。古くて壊れたものに愛情をかけてくれた、父さんと母さん。血のつながった家族のように慕ってくれる兄弟姉妹たち。感謝している、愛している。大切な――宝物。
「ウゥ……」
 じりじりと、金毛の猫が後退る。
 もはやそれは連火の敵ではなかった。宝を持つ者が纏う矜持が化け猫を退け、戦意を喪失させてゆく。
「あんたにも大切な宝物のような人がいたんだろ? だったら忘れるなよ! 思い出せよ!」
 拳を握り締める連火に紅蓮の炎が宿る。
 だが、男は別の物に気を取られていた。それは連火の持つ硝子玉。だから、それを投げつけてやった時に勝機は生まれたのだ。
「ッ――!」
 襲い来る煉瓦の欠片に紛れ、飛来する緑色の――もはや男にはそれしか目に入らなかった。
「いい加減目を覚ましやがれ!」
 無防備な横顔に叩き込んでやる、義侠心の炎纏いし男の拳を。
「が……ッ」
 渾身の怪力で殴り飛ばされた男は軽く数メートルは吹っ飛び、向かいにあった店の中へ突っ込んでようやく止まった。
大成功 🔵🔵🔵

天帝峰・クーラカンリ
思い通りになどならずとも結構
こちらこそ正気に戻ったお前と存分に戦えることこそ望み
狂れたままの相手など取るに足らぬ故

――これは……なんだ?
私の大切なものが侵されていくようだ
山で奉じられていた記憶、閻魔に直に褒められた記憶、そして友と呼べる存在が出来た記憶――

奪わせたりなどせぬ
あの頃のことをひとつひとつ思い出す
苦労もあった、しかし同時に、確かな楽しみと達成感があったのだ
その記憶を失わない限り……お前に負ける道理など無い!

UCで強化したアイスピックを心の臓に突き立てる
お前が欲しがったもの、それが何なのか私には分からぬ
だが、それ欲しさに他者の命を奪う行為を見逃せはしない
骸の海で悔いることだ


 幽夜に真白の衣を翻し、冴え冴えとした零下の息吹を身に纏った天帝峰・クーラカンリ(神の獄卒・f27935)は睥睨するかの如き眼差しを此度の犯人へと投げかける。
「な――……」
 ただ見つめられているだけだというのに、宵栄は動けない。格が違うのだ。一朝一夕に妖怪の身体を乗っ取ったに過ぎない骸魂とはあらゆる意味での年季が異なる。視線のみで相手の戦意を挫いた上で、クーラカンリは低く囁くように言った。
「思い通りになどならずとも結構。こちらこそ、正気に戻ったお前と存分に戦えることこそ望み」
「……ああ、その通りだ。すっかり冷えて夢など醒めてしまった」
「それはいい。狂れたままの相手など取るに足らぬ故」
 もはや、戦う前に趨勢は決していた。にも拘わらず宵栄が悪足掻きをしたのには訳がある。
 ――死なば諸共、この場にいる妖怪共を巻き込んで阿鼻叫喚の宴と成してやろう!
 秘めた策略を胸に宵栄は破れかぶれの一撃を繰り出した。クーラカンリにとって躱すことは何でもない、が――掠めた鞭先から染み渡る不快感に眉をひそめる。
「――これは……なんだ?」
 まるで、大切なものが侵されていくような。
 ――奪われる。
 気高き霊峰に奉じられていた記憶も、閻魔に直に褒められた記憶も。そして、友と呼べる存在が出来た記憶すら。
 クーラカンリは歯軋りをして首を振る。奪わせてなるものかと、薄れゆく思い出をひとつひとつ手繰り寄せるように甦らせる。
「なに?」
 宵栄の唇から驚愕の言葉が漏れた。動けぬはずのクーラカンリが一歩、また一歩と歩み寄ってくるではないか。
「何故動けるのだ? 月禍の夢に囚われたものは動きを封じられてしまうはず――」
「最も大切な宝が何だったのかすら忘れてしまったお前には分からんだろうな。苦労もあった、しかし同時に、確かな楽しみと達成感があったのだ。その記憶を失わない限り……お前に負ける道理など無い!」
 握り締めたアイスピックの切っ先を、敵の心の蔵目がけて突き立てる。鋭い刃はするりと呑み込まれ、根本までがすっかりと埋まった。
「あ、あ……!!」
 宵栄がどれだけ手を伸ばしても、求めるものには届かず。
 あるのは、冷たき青の瞳だけ。
「骸の海で悔いることだ」
 罪を許さず、罰を与えし獄卒の。
 かつて金華猫と呼ばれた男は遂に息絶え、月光めいた煌めきを放ちながら滅していった。恋い焦がれし宝欲しさに他者の命を奪い続けた男の、それが最期の姿であった。
大成功 🔵🔵🔵


第3章 集団戦 『狐魅命婦』

POW ●神隠しの天気雨
【にわか雨】を降らせる事で、戦場全体が【視覚を惑わせるあかやしの森】と同じ環境に変化する。[視覚を惑わせるあかやしの森]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD ●フォックスファイアフィーバー
対象の攻撃を軽減する【九本の尾を持つ黒狐】に変身しつつ、【無数の青い炎の弾幕】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ ●天狐覚醒
【神のごとき神通力】に覚醒して【九本の尾を持つ白狐】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「やっつけたぞ! 連続殺妖事件の犯人をやっつけてくれたんだ!」
「これで安心して出歩けるな」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
 不安と恐怖から解放された妖怪たちの喜びようは、まるで宴の幕が開けたようでもあった。
「ん……?」
 だが、いずれ誰かが気付く。
 倒されたはずの金華猫が消えた場所に鬼火のような光が幾つか漂っている。何だろうかと手を伸ばした妖怪が悲鳴を上げ、逃げ惑った。
「骸魂だ! 逃げろ、憑りつかれるぞ!」
 金華猫の置き土産である多数の骸魂は逃げ遅れた妖怪に憑りつき、可愛らしい妖狐の姿となってふっさりとした尾をくゆらせる。
「夜、市?」
「妖怪、たくさん」
「殺そ、殺そ」
 数十にも及ぶ、オブリビオン化した妖怪らの目が金色に輝いた。だが、猟兵の存在に気が付いた途端、さっと表情が変わる。
「敵!」
「逃げよ、逃げよ!」
 ――にわか雨が降る。
 幻惑の雨に紛れ、妖狐は妖怪たちに紛れてこの場から離れようとしている。もし見逃せば、逃れた先で幾人もの妖怪を殺すだろう。故に逃がすわけにはいかない。一匹たりとも、だ。
 蚤の市は大通り沿いに長く、長く店を連ねている。騒ぎを知らぬ方面にまで逃げ込まれたら終わりだ。

 この場で、狩る。
 一匹でも逃せば、こちらの負けだ。
馬県・義透
引き続き『疾き者』

今度は狐ですかー。まあ、逃がしませんけどー。

幻惑しようとも、内部にいる唯一の破魔の使い手『静かなる者』が、四天霊障に破魔混ぜて援護してくれますのでねー。
こうなれば、忍びが逃すわけないでしょう?

さて、指定UC発動。鬼蓮の花弁はいかがですかねー?
指定は骸魂の妖狐。…対抗するにしても、長くはもたないでしょう?
一応、防御用の結界術も張ってありますし…今、四天霊障は『静かなる者』が制御してますし…。不意は打てないと思いなさいなー。


静かなる者「こちらはお任せを。あなたは妖狐たちを追いかけてください」
霊力使いの武士であり、破魔の使い手。
疾き者より八歳年下。


「今度は狐ですかー。まあ、逃がしませんけどー」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の判断は早かった。たとえ幻惑しようとも、こちらには唯一の破魔の使い手たる『静かなる者』がいる。
「あ、あれ? 俺たち何をしてたんだろ」
 正気に戻った妖怪が首をひねった。
「この音は……霊障――?」
 頷いたのは義透のうちのひとりである。彼は霊力使いの武士らしく落ち着いた低い声で囁いた。
「こちらはお任せを。あなたは妖狐たちを追いかけてください」
 その頃、妖狐たちも異変に気付いていた。
「なに? なに? ぴりぴりした!」
「霊障! 霊障!」
 彼女たちは群れでひとつの生き物のように情報を共有する。破魔の属性を持った霊障――そんなものが存在するなど知らなかったに違いない。
「こうなれば、忍びが逃がすわけないでしょう? さあ、鬼蓮の花弁はいかがですかねー?」
 傍にどれだけ妖怪がいようと構いはしない。
 なぜならば、この花弁は――鬼蓮の薄紅は。
「指定した者のみを攻撃する。骸魂の妖狐よ、覚悟はよろしいですよねー?」
 まさに一瞬の出来事であった。
 けぶる雨に紛れて逃亡しようとしていた妖狐を斬り裂く花嵐。逃げる? どこに? できるものならやってみよ、と義透は薄く微笑んだ。
 実際、彼を傷つけることは容易ではなかった。破れかぶれに飛びかかった妖狐は結界に阻まれ、寿命と引き換えにした神通力をもってしても不意をつくことさえ罷り通らない。
「……さて、いつまで持ちますかねー?」
 腕を組み、『疾き者』はくすくすと笑った。
 幽世の夜闇を乱舞する花弁越しに見える横顔に隙は無い。遭遇した相手が悪かったのだ。何も為すことなく現世を追われた妖狐の嘶きが耳を掠め、やがて空しく消えていった。
大成功 🔵🔵🔵

リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さんf00145と
ん、狩りは得意だ
背中を見せる敵なんて、敵じゃな…
…あっ
(銃弾が一発お兄さんの頬をかすめて跳んでった
ごめん、ほら、尻尾だったから(言い訳になってない言いわけを真顔で


視界は惑わされても、直前までの景色は覚えているから
戦闘知識と地形の利用でだいたいどの辺に動いたか計算しながら撃つ。あとはだいたい第六感で何とかなる
後、お兄さんの声がするところはお兄さんが足止めしてくれるんだろうからそこは優先的に集中攻撃して倒せたら
大丈夫、今度は間違わないよ
それに、さっきのはわざとだし
…あ、うん。気のせい気のせい
お兄さん頑張って

…我々の友情並みのお宝
安物かな?
冗談だって、いいのがあるといいね


夏目・晴夜
リュカさんf02586と
では、このハレルヤが敵を食い止めてきますので
リュカさんは盛大にぶち抜いて…いや私じゃなくて敵を!
尻尾?違和感が掠めていったのは頬なのに…?
その言い訳、もしやクソ適当――

おっと、今は敵ですね!
視覚が惑わされても私の第六感は健在ですので
敵の前方へ高速移動で回り込み、身を低くしたまま妖刀の斬撃から衝撃波を放って足を切り裂きます
リュカさん、止まった奴も撃っていいですよ
ハレルヤは撃たないで下さいよ
わざと?今わざとって言いました?気の所為ですか?ならオッケー

蚤の市、後であっちの方も行ってみましょう
我々の友情並みのお宝があるかも知れません
いやいやいや、安物どころか世界遺産でしょうが!


 幻惑の雨と幽玄なる夜闇に紛れ、蜘蛛の子を散らしたかの如くに逃げ出す妖狐が獲物であるならば。
 リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)は素早く銃に弾を込め、夏目・晴夜(不夜狼・f00145)は既に駆け出している。
 狩りなら得意だ。
 照準器を覗き込み、逃げる敵に狙いをつけるリュカの視界に入り込んだ白い毛並み――得意げに片目を閉じて、肩越しにこちらを振り返る。
「いいですか? まずはこのハレルヤが敵を食い止めてきますから、リュカさんは盛大にぶち抜いて……――」
「あっ」
 晴夜の頬を弾丸が掠めていったのと、リュカのうっかりしたと言わんばかりの呟きとが同時。
「……いや私じゃなくて敵を!」
「ごめん、ほら、尻尾だったから。似てたんだよ、色が」
「尻尾? 違和感が掠めていったのは頬なのに……? その言い訳、もしやクソ適当――」
 こんな時でも真顔のリュカにうっかり釣られてしまいかけた晴夜であったが、すぐに状況を思い出してぴんと尾を張った。
「おっと、今は敵ですね!」
 例え視覚が惑わされようとも、晴夜の勘が冴え渡る。
「え?」
 突如として前方に回り込まれた妖狐が驚いて急ブレーキをかけるが、晴夜の妖刀の方が早かった。
「――戴きました!」
 低い姿勢から薙ぎ払った衝撃波の狙いは足だ。とにかく足止めることを目的に晴夜は縦横無尽に戦場を駆けまわって鎌鼬を乱れ撃つ。
 一方のリュカはその場を動かず、敵の動きを先読みしながら1体ずつ仕留めていった。
「何故? 何故?」
「場所、知られてる」
「こっち、駄目!」
 妖狐たちはどうしてこんなにも簡単に撃たれてしまうのか不思議なようだった。
「……記憶力には自信があるんだ」
 リュカの脳裏には、雨が降り出す前の景色がはっきりと焼き付いている。幻はあくまで幻であって、現実に逃走するには周囲の地形を無視することはできない。あとは、自らの知識や体験と照らし合わせて敵――そもそも背中を見せて逃げる敵なんて、敵じゃない――の動きを計算しながら撃てば、大体は当てられる。
「リュカさん、止まった奴も撃っていいですよ。あ、でもハレルヤは撃たないで下さいよ。ついうっかりが事故の元ですからね。聞いてます? 私の声届いてますか?」
 聞こえてるよ、とリュカは心の中で言い返した。
「大丈夫、今度は間違わないよ。それに、さっきのはわざとだし」
「わざと? 今わざとって言いました?」
 幻惑の雨を超え、導いてくれる友の声。
 足をやられて動きの鈍った妖狐が次々と弾丸に倒れていった。晴夜の声がする方を狙えばよいのでわかりやすい。
「……あ、うん。気のせい気のせい」
 音もなく弾倉を再充填しつつ、リュカはさらりと晴夜の追及を躱した。
「気の所為ですか? ならオッケー」
「うん。お兄さん頑張って」
 リュカの応援につい張り切った晴夜の妖刀が戦場のそこかしこで閃いた。ここより先は通さぬと剣を構える晴夜の背後には、こちらの騒ぎをよそに賑わう蚤の市の灯と人出。
「全部倒せたら、後であっちの方も行ってみましょう」
 晴夜は自信たっぷりにリュカを誘った。
「我々の友情並みのお宝があるかも知れません。いえ、きっとありますとも」
「……我々の友情並みのお宝」
 ぽつりとリュカが言った。
「安物かな?」
「いやいやいや、安物どころか世界遺産でしょうが!」
 そう言う晴夜は本気だ、たぶん。
 リュカは小さく吹き出して、「ごめん」と肩を竦めて謝った。
「冗談だって、いいのがあるといいね。早く片付けて、ゆっくりと見て回ろう」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

照宮・連火
やっと成仏したか
あとは親父とお袋に土産でも買って……と思ったらあの野郎、置き土産を残して行きやがったな?
まあいい、また俺がぶん殴って正気に戻してやる

おっと、尻尾が増えたな
九尾の狐になって戦闘力を強化してきやかったか
それならこっちも本気出していくぜ!

【黄金の夕暮れ】を発動して呪いをかける
たたでさえ寿命が削られているところに死霊の攻撃だ……いつまで持ち堪えられるかな?
俺は『咸臨丸』の上に乗って空中に浮かびつつ、接近しては『炎上都市』で拳に炎を纏わせて殴る
さらに遠くから念動力で『開拓使赤煉瓦』をぶつけるぞ

取り憑かれて血迷った連中の目が覚めたら戦闘で荒らされた市の片付けを手伝って帰るとするか


 黄金の夕暮れはいつか訪れる終わりの景色。
 かつて滅亡した黄金都市があった。
 隆盛の記憶とともに滅び、跡形もなく消え去った遺物の欠片。煉瓦、れんが、連火。照宮・連火(楽園の赤れんが・f24537)の呪いは死霊を呼び寄せ、逃げ惑う妖狐の精神を破壊する。
「やれやれ、あとは親父とお袋に土産でも買って帰ろうと思ってたってのに……――」
 実際にその一欠けらは炎上する都市を見た。存在を根底から既定する滅びの瞬間に燃え盛っていた炎と寸分違わぬそれを身に纏い、連火は容赦なく敵を追い込む。
「わ! わ!」
「熱いよ」
「燃えちゃう……ッ」
 軽く口笛を吹き、着地すると同時に背後にいた相手に足払いをかましつつ。土産は土産でもこんな置き土産はいらねぇんだよとぶん殴る。
「その尻尾、増えるといいことあるのかい? ま、どんだけ強化されたところでこっちも本気出していくだけだけどな!」
 ぞっとした顔で妖狐が目をみはる。
 ただでさえ、寿命を削っての――命を張っての変化だ。そこへこんな死霊たちの呪詛をまともに受けたらどうなってしまうのだろう。
「やだ!」
 逃げよう。
 逃がすかよ。
 一瞬の交錯は連火に軍配が上がった。
「来い、咸臨丸!」
 ふわりと連火の身体が浮き上がる。足元には吸い付くような成臨丸の感触。どれだけ派手に動こうと決してそこから離れない。
 嵐を乗りこなし、困難へ挑む益荒男の心意気を見よ。
 妖狐の妖しく輝く金色の瞳が負けを悟って愕然と見開かれた。炎を纏った打撃は確実に急所を仕留め、骸魂をその身から追い出してゆく。
「う、うーん……お、俺ってばいったい……?」
「伏せろ!」
 慌てて妖怪が這いつくばった頭上を無数の赤煉瓦が飛んで行った。当然、狙いは残りの妖狐たち。
「正気に戻ったんならなによりだ。戦いが終わるまで動かずに待ってな、市を荒らしちまった分の片付けは手伝うからさ。なに、そんなに時間はかからねぇよ」
大成功 🔵🔵🔵

天帝峰・クーラカンリ
まだこんなにオブリビオンが……
一体何処に隠れていたのだか
どちらにせよ一匹たりとも逃さん

市場か通路の分岐点に先回り陣取って戦う
此処から逃れたくば必ずこの道を通るだろう
効率よく戦えるはずだ

ほう、まるで神のような力を使うのだな
だが本物の神に勝てるか……試してみるか?
UC発動、お前たちに武器など必要ない
私自らお相手しよう

空中浮遊を活かした体術で戦う
組伏せ、鳩尾に拳を叩き込む
飛び付いて回し蹴りも忘れない
一匹ずつ確実に処理することを優先するが
もし一匹に時間がかかって他の個体が通ろうとしたら
逃がさないようそちらの個体をひっつかむ
「此処は通さん、逃げ仰せたくば……私を倒して行くが良い」
常に臨戦態勢を忘れずに


 神とて思わず呆れてしまうほどの――悪足掻き。これほどの骸魂をいったいどこに隠していたのだろうか? 
 愚かなことだと天帝峰・クーラカンリ(神の獄卒・f27935)は知っている。何故ならば、貴様らは一匹たりとも逃れられることなくこの拳の前に倒れるとわかりきっているからだ。
「え?」
 最初、妖狐は信じられなかった。
「なんで、前に」
「だって、さっきまで――」
 後ろにいたはずのクーラカンリが、今は目の前にいる。そこは市場か通路の分岐点。先回りして陣取ったのだ。言葉にすれば簡単なことだが、行うのは難い。それを涼しい顔でやってのけた男は威風堂々と仁王立ち、軽く片方の眉だけを上げて言った。
「ほう、まるで神のような力を使うのだな」
 いまや妖狐の尾は九つに増え、瞳は金色を超えて七色に輝いている。神の如き神通力に覚醒せし、純白の狐。
 クーラカンリは吐き捨てるように笑った。
 “神の如き”?
 それは所詮、“神”とは違う。
「本物の神に勝てるか……試してみるか?」
 漂うのは極上の冷気。触れれば切られるとばかりに賢い妖怪たちは戦いの余波が届かぬ場所にまで姿を消した。
「う……」
 逃げられない。
 此処から逃げたければ、どうしてもこの道を通らなければならない。破れかぶれに突っ込んでくるのをクーラカンリはただ迎え撃つだけでいい。
 ふわりと足元が浮き上がり、重力を感じさせない動きで拳を叩き込む。半ば獣と化した鋭い爪を紙一重で躱し、組み伏せて鳩尾を一発。武器すらいらなかった。この身一つで事足りる。
「は、うッ」
 頽れた体を踏み越え、回し蹴りで次を仕留めた。
「どうした? 次はどいつだ」
 返事を待たずに飛び付き、肘を絡めて首を絞め落とす。一匹ずつ確実に。仲間を見捨てて脇を過ぎようとした個体を横目で捉え、腕を伸ばす。
「あ!」
「此処は通さん、逃げ仰せたくば……私を倒して行くが良い」
 掴んだ手首が砕けるほどの力だ。
「――ッ」
 言葉が出てこない。
 ああ、と妖狐は思った。
 私はここで死ぬのだと。
 この、冷たく気高き神を名乗る男に殺されるのだと。青い瞳はどこまでも冷たく戦いの臨気に彩られ、そして、それが最期に見た色となった。
大成功 🔵🔵🔵

菱川・彌三八
まァた面倒臭ェ置き土産を…ほんに暮れの時期に太え野郎だ
いやさ纏めてのしちまやあ善いんだろ
すんなら任せな
おっと、買ったモンは大事に抱えときな
マ、念の為っち云うやつヨ

雨に一閃、木々を飲み込む大浪を呼ぶ
俺が見えずとも構わねェ、この波ァ俺が消してェ奴だけを攫っちまうんだからヨ
そら声がする
其方か?彼方か?
市は長く真っ直ぐだったか、すんなら話ァ早えやな
おっと、序でに炎も水の壁で防いでやら

波は寄せて、亦返す
逃げおおせようとする奴ァ引いた波で呼び戻す
祭りの途中で帰っちまうなんざ興ざめだろう
さあさ妖怪共の体、返ぇしてもらうぜ


 暮れのおおつごもりに、幽夜を墨へと変えてゆらめく筆先が一。誰かが声を上げた。いま、雨の中に波が見えなかったか? 確かに見えたんだ。雨に一閃、白波の飛沫が。
「波?」
 愕然と、妖狐たちの足が止まった。
 ほんとだ、波だ。
 まごうこと無き波濤。
 居合わせた妖怪たちも騒ぎ始める。逃げろ、とか。どこに、とか。けれど菱川・彌三八(彌栄・f12195)だけが落ち着いている。
「焦るこたァねェさ。この波ァ、俺が消してェ奴だけを攫っちまうんだからヨ。ただし、買ったモンは大事に抱えときな」
 マ、念の為っち云うやつヨ。
 そら、と字句通りに水を向け、
「面倒臭ェ置き土産だけを洗いざらい流しちまいな」
 真夜中の蚤の市。さまざまの店が連なる大通りに向かって大津波が押し寄せてくる。南無阿弥陀仏を拝んでしゃがみ込んだ妖怪を素通りし、美しいびいどろを並べた店先には何の被害も与えることなく。
 ただ、妖狐だけがその餌食。
「其方か? 彼方か?」
 彌三八は声を頼りに、ひい、ふう、みい……おっと、序でに炎も水の壁で防いでやら。
「あ、っぷ!」
 波間から突き出した手の周りに浮かぶ狐火は呆気なくかき消され、妖狐もろとも沈んでいった。
「ひ、ひええ……!」
 代わりに頭を現したのは憑依されていた妖怪本人だ。すぐにこの波が自分には影響を及ぼさぬことに気付いて神業を見たような顔になる。
「くわばらくわばら」
 波は寄せて、亦返す。
「祭りの途中で帰っちまうなんざ興ざめだろう。さあさ妖怪共の体、返ぇしてもらうぜ」
 逃げおおせようとする者はさらに引波で捕らえ、呆気なく元の場所まで呼び戻して候。波に溺れて助けを求める妖狐に正気を取り戻して逃げ惑う妖怪たち。怒り猛った水神が罪ある者だけを纏めてのしてしまおうと暴れ狂う風刺画の如き光景であった。
 やがて妖狐の全てを呑み込んだ波は自ずから引いてゆく。
「暮れの時期に騒ぎを起こすたァ太え野郎だったが、マ、終わり良けりゃ全てよし。去年のこた水に流して、新しい年を迎えるとするかね」
 自分も買い物の入った袋を抱え直し、彌三八はようやく筆を止めた。これにて一件落着。
 蚤の市は最終日まで、たくさんの妖怪たちを喜ばせることだろう。
 鐘が鳴る。
 ひとつの年が終わり、新しい年が生まれるための前夜祭はまだ始まったばかりであった。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年01月17日
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