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TOWER OF HELL−怒りのデスロード−

#デビルキングワールド #トンチキシナリオ #プレイング受付中

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「お前らァ!! レースがしたいか!!!」

「「「「「「Yeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!」」」」」」

 雷鳴轟く暗天の下、黒雲を貫き、天に伸びる巨大な建造物がそびえ立っている。
 歪な形状だ。
 だがそれは元からそうだったわけではなく、最早数えるのも面倒になる程の増築、改築を繰り返して来た結果であると言うことは、この場にいる誰しもが分かっている事だった。
 ボロ布を纏った血塗れの巨漢の群れを前に、一際巨大な悪魔が腕を振り上げ弁舌をふるう。
「よかろう、ならばレースだ!! だがその前に! ここは何処だ!」
「「「「「「ヘルズタワーマンション!!!!!!!!」」」」」」
「そォォう! 愛すべき我々の住処! ヘルズタワーマンションだ! 周りを見渡してみろ! 車を! バイクを走らせられる場所など何処にある!」
 悪魔の言に巨漢達は一斉におろおろと周囲を見渡す。
 確かに、この辺りはマンションの密集地帯。ヘルズタワーマンション程では無いにせよ大小様々なビルが立ち並んでいる。
 はっきり言って、狭苦しい。
「「「「「「オォォォォォ………」」」」」」
 がっくりと項垂れる巨漢達。
「だが!! 考えても見よ! レースは横に走らなければならないと誰が決めた!!! 横に走れぬのなら!! 上に走れば良いではないか!!!」

「「「「「「!!!!?????」」」」」」

「この日の為に、我は密かにヘルズタワーマンション全域にサーキットを作り上げた!! 勿論―――」

 溜めを作る悪魔に釣られるように一瞬、場に静寂が訪れる。

「無許可だ!!!!!!!」

「「「「「「Yeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」

「1等の子にはご褒美もあります!!!!!」

「「「「「「Yeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」

「さぁ車を出せ! バイクを駆れ!! これより第一回HTMグランプリを開催する!!!」

「「「「「「Yeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」


●って言うマンションがありましてね?

「うん、アタシは嫌いじゃないわ。この世界」
 ホログラムウインドウに流れる映像が終わると共に、ミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)は笑いを堪えながら猟兵達にそう切り出した。
 新たに発見された世界、デビルキングワールドは悪魔の世界だ。
 悪い事をするのが正義という「デビルキング法」の元、悪魔達が日夜悪事を働く事に精を出しているという。
「やっぱり欲望には正直にならないとね〜。まぁ世界全体がそんなんだから、オブリビオンもこの世界ではカリスマヒーローなワケ。だから吊られて手下になっちゃう現地住民(悪魔)にお仕置きをしつつ、オブリビオンも倒してもらうってことになるわね。……で、今回みんなに行ってもらうのはココ!」
 表示されるのはワイヤーフレームで形成された高層ビルの模型だ。
 否、ビルと言うか家屋をデタラメに積み上げた瓦礫の山と行ったほうがいいだろうか。
「ヘルズタワーマンションって言うらしいわ。まぁ読んで字の如く悪魔のお家よね。この世界のマンションって全部こんな感じみたい。違法改造はするわ家賃は滞納するわで、大家さんもギャングを雇って取り立てしてるんだって、ヤバくない?」
 どうも今回、このマンションにオブリビオンが住み着いてしまったらしい。
 ミアが新たなウインドウに一人の悪魔らしき写真を映し出した。
「まぁそれもヤバいけどコイツ、このデストロイキングって言うやつがこのマンションで公道レースをしようとしてるらしいの。……マンションの中でよ?」
 マンションのワイヤーブレームに何やら道路のような物が無数に巻き付いていく。既にサーキットコースも建設済みという事なのだろう。
 現地は大層な盛り上がりを見せているそうだが、やっている事は違法改造であり、不法占拠だ。
「コイツが来てから家賃の回収率も下がる一方でね。コイツをなんとかするのが目的なんだけど、幸いレースには本人も出るみたい。だからみんなにもレースに出場してもらって、クラッシュに見せかけてぶっ殺すって言う作戦よ」

 天球儀が回転を始める。

「この世界でオブリビオンに対抗するにはこっちもワルになる必要があるわ。反則とか気にしないで遠慮なく残虐ファイトしてきなさい!」


龍眼智
Yeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!
はい、完全に勢いで書きました。
龍眼智です。

雰囲気で何となく感じて頂けたと思いますが、久々のバカシナリオでございます。
頭を空っぽにしてご参加下さい。
尚、本シナリオは全編が高速走行シーンになります。
乗り物はキャバリアでも戦車でも車でもバイクでも何でもいいです。
各自でご用意をお願いします。
勿論、俺は生身で行くぜーー!!って言う強者の貴方も歓迎でございます。

では以下構成。

○第一章(冒険)
マンションの中を走り抜けるアスレチックコースです。
住民の家賃滞納悪魔が邪魔してきたり罠が仕掛けられていたりします。
アクロバットに乗り切るか破壊してください

○第二章(集団戦)
レースに出場している家賃滞納悪魔が襲いかかってきます。
ぶっころしましょう❤

○第三章(ボス戦)
トップを走るデストロイキングとデッドヒートを繰り広げます。
ぶっころしましょう❤


GET SET Ready
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第1章 冒険 『公道デンジャーチェイス』

POW   :    激しいドリフトや爆音のクラクションで相手を威嚇する

SPD   :    カリカリにチューンしたマシンでかっ飛ばし、一瞬で距離を詰める

WIZ   :    相手の逃走ルートを先読みし、ここぞのタイミングで回り込む

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ○12/31 ヘルズタワーマンションエントランス特設会場

 この日、マンションは異様な熱気に包まれていた。
 ベニヤ板とみかん箱で急増された実況席では、顔面ピアスだらけ痩身の悪魔がマイクを持ってがなり立てている。
 205号室在住のウズィー・ペック(家賃滞納歴30年)だ。
「レディィィィースアンドジェントルメェェーーーン!! ファックな今年も今日で終わりだが! そんな日に我らがデストロイキングがクゥレイズィーな祭りをブチ込んできやがったぜぇぇーー!! なぁんとなんと! このヘルズタワーマンション全てを使ったルール無用のレースデスマッチだぁ!! 勿論車種は不問! 妨害も有り! どんな手を使っても一番最初に屋上に辿り着いた奴が優勝って訳だ!」

「「「「「「Yeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」
WOW!WOW!!WOW!!!

コースに勢揃いした悪魔達が一斉にエンジンを噴かせ始める。
「ヒャッハー! ドイツもコイツもヤクでもキメたみてーなヤベェ面してやがるぜぇ!! OK、おあずけは終わりだ。カウントダウン!! READY!?」
WOW!WOW!!WOW!!!







GO!!
フカヒレ・フォルネウス
【Lv2】

「フッ、レースですか。建築物の上で走り回るというのは中々のワルですが、……は? 家賃滞納? ○す」

お金のトラブルは許さない、僕が被害に遭ってすごくつらい思いをしたからです! と八つ当たり私怨を交えてエントリー。
乗り物は当然、鮫です。

出でよ、定番のUC《シャーク・トルネード》!
1体に跨り、2体を僕の護衛に。3体を後続の妨害に回し、残りの4体で家賃滞納している住民共を片端から襲撃させます。
邪魔してくるなら好都合。罠など鮫の吻(頭の先端部分)で切り裂きましょう。逃げ隠れする者共を追い立てるのです!

とりあえず、ルール通りコースの走るのはアレなので、壁とか破壊して最短ルートで回り込みますね。



『さぁ各車一斉にスタァート! まず差し掛かるはゾーン1! エントランスホールをから繋がる吹き抜けコースだぁ!』
 爆音を上げて走り抜けていく様々な改造車達。
 四方を取り囲むようにそびえ立つ無数のバルコニーに沿うように建設された螺旋階段の様なコースだ。
「フッ、レースですか。建築物の上で走り回るというのは中々のワル。やりますねデストロイキングとやら」
 その中を一際異彩を放つ車両……いや、車魚?が走り抜けていく。
 鮫である。
 フカヒレ・フォルネウス(鮫の悪魔の四天王・f31596)が自らの使役する鮫部隊を率いて爆走しているのだ。
「ヒャッハー! ようこそヘルズタワーマンション!!」
「喰らえや鮫野郎ー!」
「なんの、おまえ達!」
 ベランダが開き住民達から大小様々な家具が雨あられと投げ込まれるが、フカヒレは自らの両脇に並走する回転ノコギリを生やした鮫に命じて、障害物を切り裂きながら進んでいく。
『おーっと、早速バカ共による妨害が始まったぞー! 尚、今回はテメェら観客サイドにもビックチャンスだ! デストロイキングの粋な計らいにより選手を一人ぶち殺すと家賃滞納歴がなんと半分! こいつぁ気が抜けねぇバトルになりそうだぁー!』
「「「「woooooooooooooooooooooooo!!!!」」」」
 思わぬサプライズに沸き立つ観客席。
 しかしその時、フカヒレの額には一気に青筋が走った。
「……は? 家賃滞納? ○す」
(フカヒレ脳内鮫会議)
(鮫1)議長議長、処す?処す?
(鮫2)しかし滞納って事はまだ払う可能性が無いわけでも
(鮫3)ふむ、積もり積もってるとはいえ額面としても退職金ほどではないですしね
(鮫4)いやいや金銭トラブルに貴賎なし!疑わしきは死刑ですぞ!
(鮫1234)議長!
(鮫議長)うーーーーーん………死刑
(鮫1234)よし! 死刑!
(フカヒレ脳内鮫会議ー完ー)
 赤い瞳が不気味に光る。
「そうですか……そういう事ならば遠慮は無用!!」
 フカヒレは騎乗している鮫の手綱を引き、群れの進行方向を一気に真上に転換!
 コースを無視して壁面走行を始めた!
「ヒィーッ! 鮫がーー!!」
「ぬぉおおお! こっちこんなああああ!?」
 フカヒレの後ろに控えていた回転ノコギリ鮫の4匹がコースから外れると、嬉々としてコースに物を投げ込んでいた悪魔達に次々と襲いかかっていく!
 降り注ぐ家財道具も、コースを支える支柱も、違法改造のウッドデッキも突き破り、鮫の大群は天へと登っていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

シーネ・クガハラ
乗り物は何でもよし。OK、頑張れクロウロード!私は年末イベントの周回をしないといけないので背中にだけは乗ってやる!!(地上スレスレに飛んでコースには従う)

「酷いっす姉御!?」とか聞こえるが知らん。こういうスタンスの方がこの世界は受けがいいんだよ多分。後、年末は暇だろうからこんなもの用意したぜとか言って色々ミッション持ってくる運営各社を恨め。
コースの全容はデータ的にインストール済みだからわかるだろ。適当に壁壊して適当に対戦相手にブレス吐いてぶっ飛ばしてお前が進みたいように進めばよろしい!

使用スキル
属性攻撃(雷属性を使用)
騎乗
空中戦
マヒ攻撃
破壊工作
先制攻撃



 鮫がいるなら竜だっている。
 シーネ・クガハラ(ただいまB級テンペストプレイヤー・f01094)が選んだ乗り物は相棒の黒竜クロウロードだった。
 コース上の高度1m程を這うように飛行するクロウロードは自らに跨る褐色の少女を見上げつつ溜息をつく。
「全く…姉御が出たいっつうから出たっすけどね。なにが悲しくて大晦日にF1レースもどきをせにゃならんのか……」
「何言ってるの、大晦日だからやるんでしょ。テレビの特番みたいなもんよ」
「俺っちはおせちの用意とか色々あるんすよ! ってかさっきからなにやってるんすかそのピコピコ音!」
「えー?ほら、IWF(インフィニットワールドウォー)の年末イベント来てるからさ、周回しないといけないのよ…っあーくそまた被った! もうこのSレアいっぱいあるのにもー」
「運転中!? アンタ今運転中っすからね!?」
「ん、背中には乗ってやるからがんばれ」
「酷いっす姉御!?」
『さぁーて、何やら揉めてるトカゲ野郎がいるが第一ゾーンで気を付けるべきはバカ共も妨害だけじゃねぇ! うっかり引っかかると即お陀仏なブービートラップも盛り沢山だ!』
 その時、クロウロードの足の爪に何かが引っかかった。
「へ?」
 それが何かを知覚するより先に二人の頭上に巨大な影ができる。
 なんと鎖で釣り上げられたマンションの一室(503号室ママ・モーゼス宅/家賃滞納歴44年)が振り子鉄球めいて真横からコースに打ち込まれたのだ。
「ぎゃあああーーー!! 姉御前! 前ーーー!!」
「ぎゃあああああーーーー!! アレウチの家ザマスゥゥゥゥゥーーーー!!???」
「うるっさいなぁ、適当にぶっ壊しといてー」
「あぁぁぁーーーもぉぉぉーーー!!」
 最早それはクロウロードの悲鳴なのか、ブレスなのか、ともかく放たれた轟雷のブレスによってモーゼスさん家は木っ端微塵に砕け散った。
 頑張れクロウロード、先は長いぞクロウロード、きっとこれが今年最後の君の苦労道

 クロウロード(苦労道)だけにな?

成功 🔵​🔵​🔴​

エル・クーゴー
【Lv3】



L95を讃えよ
・『アルテミス』を【武器改造&メカニック】技能で四輪カート型に改造し出走!


それではこれより、アルテミス(ヘルズタワーレース仕様)のスペック解説を開始します


ヒルクライム――登坂地形の攻略を主眼に、搭載エンジンはトルク重視チューン(まともなことを言う)

一掃力に優れるガトリングは、ルート上の障害物の除去に有効です(障害物対処用の火器ね)

貫通力に優れるライフルは、出現前の家賃滞納悪魔に対し玄関ドアを貫いての先制攻撃を可能とします(積極的にボコりに行き始めた)

切断力に優れるブラスターは、自機後尾の足場を破断することにより後続車の一挙殲滅を可能とします(もはや殺意しかなくなった)



 一方此方は先頭集団。
 スタートダッシュに成功し、住民たちの熱烈な妨害が始まる前にトップスピードへ移行できた者たちだ。
 スパイクだらけの四駆車や重火器で武装したスポーツカーが激しいデッドヒートを繰り広げている。
『さぁ、先頭集団でもドンパチが始まってるようだ! おっと、今回はスゲェのがいるぞー!? あれはエントリー№95! エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)だぁー!」
 観客席に備え付けられた大型モニターに映るのはエルのキャバリア「アルテミス」……なのだが、今回は4輪カート型に改造されている。
 何と表現すべきだろうか……両手足を車輪に換装し、四つん這いの状態で爆走するアルテミスは、言うならば昭和の遊園地にあったパンダさんの乗り物!!
 元がキャバリアの為か、中々に奇怪な造形になってしまったが、長い四肢が功を奏したか、まるでアメンボのような軌道で次々と前方の車両を追い抜いていく。
『おっとゴボウ抜きだぁーー!! 一気に集団のトップに躍り出たーー! …ん?』
 唾を飛ばして絶叫するウズィーが何かに気付く。
 いつの間にか実況席の隣にでっぷりした体躯の羽の生えた猫が鎮座しているのだ。
 おなじみエルのドローン『マネギ』である。
「な、なんだこいつ!?」
 訝しむウズィーを尻目に、マネギは気の抜けた鳴き声を一つ。
 すると大型モニターの画面にエルの顔が大写しになる。
「客席モニターのジャックを完了。それではこれより、アルテミス(ヘルズタワーレース仕様)のスペック解説を開始します」
 
 ちゃら〜ら〜ら〜♪(某映画配給会社みたいなロゴで画面に流れる【L95】の文字と丸枠の中で鳴き声を上げるマネギ)
 ほら、ハリ○ッドでよく見るアレよアレ(CV:天の声)

 ( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)ポカーン ←観客席
 
「アルテミスは、昨年L-95seriesに追加された、高機動射撃戦用人型兵器です。本レースにおいては、様々なレースシーンに対応するべく、カスタムが施されています」
 淡々としたエルの声とともに、画面が再びコース上のアルテミスを映し出す。
 丁度集団が斜面に差し掛かったところだった。
「ヒルクライム――登坂地形の攻略を主眼に、搭載エンジンはトルク重視の設定となっています」
 勾配角度は中々急だが、アルテミスは難なく斜面を駆け上がっていく。
 
 ( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)お、おぅ…マトモやな

「一掃力に優れるガトリングは、ルート上の障害物の除去に有効です」
 そして坂を登りきった所でトラップが発動。
 コース横の壁の一部が突如突き出し、バリケードを形成するが、肩部に搭載されたガトリング砲が瞬時にバリケードを粉微塵に打ち砕く。

 ( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)まぁ、それぐらい普通だよね

「貫通力に優れるライフルは、出現前の家賃滞納悪魔に対し玄関ドアを貫いての先制攻撃を可能とします」

 (; ゚д゚)(; ゚д゚)(; ゚д゚)(; ゚д゚)(; ゚д゚)(; ゚д゚)(; ゚д゚)はい?

 バリケードをぶち破るように突破していく先頭集団。カーブに入った所で正面には悪魔達のバルコニーがぎっしりと並んでいる。
 アルテミスの背中に折りたたまれていた長大な砲身が展開すると、砲口に光が収束
 していく。
 一瞬の反動と強烈な閃光が画面を焼いた。
 容赦なくバルコニーにぶち込まれた光弾は、室内はおろか外壁までも安々と貫通し、ぽっかりと口を開けた銃痕から魔界の寒空が顔を覗かせている。

 (||| ゚д゚)(||| ゚д゚)(||| ゚д゚)(||| ゚д゚)(||| ゚д゚)(||| ゚д゚)(||| ゚д゚)…………

 いつの間にか水を打ったように静まり返っていた観客席に、エルは無慈悲な鉄槌を下す。
「切断力に優れるブラスターは、自機後尾の足場を破断することにより後続車の一挙殲滅を可能とします」

 (||| ゚д゚)(||| ゚д゚)(||| ゚д゚)(||| ゚д゚)(||| ゚д゚)(||| ゚д゚)(||| ゚д゚)キャアアアアアアアアアアアアアーーー!!!

 アルテミスのバイザーが青い光を発したかと思うと、その場で360度のターンをキメる。
 そして頭部から照射された高出力プラズマレーザーが地面を走った直後―――
 根刮ぎ破断したコースが大きく下にズレた。
 何故かスローモーションになる画面。
 教会の聖歌隊の様な賛美歌をBGMに、玉突きクラッシュした後続車の残骸がバラバラと遥か下のエントランスホールに落ちていく。
『アーーーシャッシャッシャッシャッ!! コースが!! コースがパカって! ダッシャッシャッシャッ!!』
 因みに実況席では、ウズィーが涎を垂らして爆笑していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エインセル・ティアシュピス
【アドリブ連携大歓迎】
にゃーん、おやちんはちゃんとはらわないとだめだよね。
おやちんはらってもらえてないのにレースでぐちゃぐちゃにしたらたいへんだよう。

なかをちゃんとはしらないとだめなのかにゃ?
グリモアいぇーがーさんははんそくきにしちゃめー!っていってたから、おそとからいっきにごーるにはいっちゃうのありかな?
【指定UC】でにゃんげいざーにおねがいしておそとからおくじょうにつれてってもらおう!
わるいあくまさんがなにかしてきたら【結界術】でこうげきからまもって【レーザー射撃】でおかえしするにゃーん!
ぬのやりさん(「生命を守護せし霊布の聖槍」)にも【鎧無視攻撃】でじゃましちゃめーってしてもらうよ!


ハニーレモン・メルティキッス
「ご機嫌よう! ハニーレモンの恋愛トークショウの時間よッ!!」

乱入するやメガホン構え、レース場の全員に聞かせてやるわ。

「これは以前レーサーと付き合ってたコからの恋愛相談の話なんだけど——」

唐突に始める恋愛トーク。
クレイジーなアンタら、楽しんでる?
あ、無視?
興味ない?
なら結構。

……恋バナもできない連中は置いてかれるだけよッ!!

UCによりあら不思議、たちまち皆さん速度が1/5。
ところで乗り物なくて困ってたの。
トロくなった一人を蹴落として車を奪取。

あとは恋バナしながら悠々自適。
こちとら四六時中恋愛のコト考えて生きてる恋愛の悪魔、運転しながらでも余裕よ。
1/5の速度の連中に、最早負ける道理もないわッ!


カーバンクル・スカルン
【LV2】
違法改造してる部分を全部ぶっ壊すのは骨が折れるしなぁ……まあ相手をクラッシュさせて激突させて合理的にぶっ壊させる方向でいくかね。

【断罪変形】でカタリナの車輪とボディ・サスペンションと合体してコーナリング良くマンション内を走っていくかね。

で、相手のマシンをトゲトゲの体で衝突してぶっ壊したり、ボディ・サスペンションを投じて捕縛して他のマシンにぶつけるなりコースアウトさせるなり妨害しまくり。

私は私でボディ・サスペンション使ってショートカット、1位を狙わせていただく!

ご褒美は何かなぁ。……もし何でも言うこと聞く権利だったらこのマンションの建て直しと家賃納入を言いつけるとしましょうかねぇ



 当たり前の事ではあるが、レースという物は決められたコース内を如何に早く駆け抜けられるかを競う物である。
 その概念は、デビルキングワールドにおいても何ら変わるものではない。
 だが、エインセル・ティアシュピス(生命育む白羽の猫・f29333)は考えた。
(なかをちゃんとはしらないとだめなのかにゃ?)
 常識的に考えたら勿論NOだ。だが、出発前グリモア猟兵の彼女は言っていなかっただろうか。
 反則を気にしたら負けだと。
 レースのスタート前、実況席の何か怖そうな人は言っていなかっただろうか。
 どんな手を使っても一番最初に屋上に着いた奴が勝ちだと。
 ならば行けるはずだ。
(おやちんはらってもらえてないのにレースでぐちゃぐちゃにしたらたいへんだよう)
 うん、まぁ…そっちは既に大分手遅れかもしれないが……兎に角方針は決まった。
「にゃんげいざー!」
 エインセルの求めに応じ、虚空より巨大な人型が姿を現す。
 鋼鉄猫帝ニャンゲイザー。古代魔法帝国時代の技術により式神化されたエインセルの乗機である。
「おそとのカベからおくじょうまでいくにゃ!」
 身軽な動きでニャンゲイザーの掌に飛び乗ったエインセルは、そのままコースを離れ、屋外に出ると、一気に天へと飛び立った。
【コースアウト警告! 至急、通常ルートへ復帰して下さい】
【コースアウト警告! 至急、通常ルートへ復帰して下さい】
 エインセルの狙いを感知したか、早速羽が生えた目玉の様なドローンがニャンゲイザーに纏わり付いてくるが気にしてはいられない。
「にゃー! じゃましちゃめーっ!」
 ニャンゲイザーのレーザーにより次々と湧いてくる目玉ドローンを撃ち落としながら天を目指すエインセル。
 弾丸めいて下へと流れていくマンションの外壁が、視界の奥底で遂に途切れる。
 彼処が屋上に違いない。
「これでぼくのゆうしょうにゃーん!」
 雲を突き抜け、遂に彼はヘルズタワーマンションの屋上に降り立つ。

 だが―――そこには信じられない光景が広がっていた。

「…………………ゴールって……どれだにゃ?」

 そう、そこは確かに屋上だった。
 しかし、その屋上から、まるでブロッコリーか何かの様に、無数の尖塔が軒を連ねているのだ。
『クックックック……絶対やる奴ぁいると思ってたぜ』
「だ、だれ!?」
 突如響いた声に振り返ると、いつの間にかウズィーが実況席ごと空に浮かんでいるではないか!?
 おまえどうやってここまで来たとかツッコんだらあかん(CV:天の声)
『なぁるほど、確かに俺は言った!【どんな手を使おうともんな手を使っても一番最初に屋上に辿り着いた奴が優勝】だと。だが……【屋上の何処に着けばゴール】とは一言も言ってないぜぇ?』
「ず、ずるいにゃ! ひっかけだにゃ!」
『そりゃそうだ! 言やぁ坊主みたいに外壁よじ登る奴が続出するのは目に見えてたからな! この中のどれがゴールなのかは、ゾーン1とゾーン2のチェックポイントを通過することで解るって寸法よ!』
 ゲスい笑みを満面に浮かべるウズィーに、涙目で頬を膨らませるエインセル。
『ざぁ〜んねぇ〜んでぇ〜したぁ〜! と言うわけでスタートからd』
「うぅぅぅ……にゃーー!!」
「ドウモゲラァアアアアアアアアーーー!!!」
 ニャンゲイザーの怒りのパンチによってウズィーは言い終わる間もなく星と化したのであった。

(なるほど、流石にその辺は対策されてたって事ね…)
 ―――所変わってゾーン1コース。
 カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)は棘付きの巨大車輪【カタリナの車輪】を駆り、コースを爆走していた。
 屋上の一幕は恐らく客席のスクリーンでは流れていたのだろう。
 此方から確認することは出来ないが、ウズィーのダミ声は会場全体に響いている為概要は把握している。
「ま、結局レースには勝つしか無いって事ね!」
 言うやカーバンクルは巨大なフック付きチェーンを投擲し、前方を走る武装ジープに引っ掛けた。
 そのまま身体を大きく左右に揺らして反動を付けると、並走する装甲車にタックルを浴びせる。
「ヌォォッ!? なんだ!?」
 バーストしたタイヤに足を取られ、派手に横転した装甲車がコース上を勢いよくバウンドしながら後方へと転がっていく。
「テメェー! やりやがったな!」
 とばっちりを食らった軽戦車が機銃掃射を浴びせてくるが、カーバンクルはピンボールの様な不規則な軌道で狙いを絞らせない。
 そして仕上げとばかりに前方の武装ジープのタイヤにチェーンを絡ませ、退避。
 派手にスリップを起こしたジープが後続車とクラッシュを起こし、大爆発が起こった。
「うっし、一丁あがりっと」
 その時だった。
 前方に視線を戻した彼女の視界に―――人影が飛び込んできたのは。

「ご機嫌よう! ハニーレモンの恋愛トークショウの時間よッ!!」

「ッ!!?」
 時間にしてゼロコンマ数秒の世界。
 轢かなかったのは奇跡だろう。
 顔すらよく判別出来なかったが、何やら小柄な色白の悪魔がメガホンで何かをまくし立てているのは解った。
「これは以前レーサーと付き合ってたコからの恋愛相談の話なんだけど——そのコ実は遠距離恋愛中の彼氏がいたらしいのね。でも、偶々近くのバーで知り合ったレーサーの彼に悩みを聞いて貰ってる内にレーサーの彼も好きになっちゃってetcetc(以下、三角関係の愛憎劇エピソードをひたすら垂れ流す)」
 コースのど真ん中、時速にして3桁を余裕で超える速度の鉄の塊が大挙して向かってくる中で、ハニーレモン・メルティキッス(炎にして毒、病にして蜜・f31585)はうっとりした表情で【恋愛】について語る。
 しかし、当然ながら聞くものは誰もいない。
「あ、無視? 興味ない? ふーん…なら結構」
 
 ―――恋バナもできない連中は置いてかれるだけよッ!!

 ハニーレモンの声色に妙な響きが混じったかと思った瞬間、カーバンクルは自身の速度が急激に落ちたのを感じた。
 機体の不調ではない。これはもっと根源的な何かだ。
 その証拠に周囲を走る他の車両も一斉にスピードを落としている。
「あら不思議、恋のイロハも分からない朴念仁さん達は、たちまち速度が1/5」
 そんな中、一人だけ速度が落ちていないハニーレモンは、丁度傍らを通りがかった武装スポーツカーのドアを開けると、中の悪魔を引きずり出して乗り込んだ。
「じゃあ次はね…幼馴染の遅すぎた告白! これはタイミングが大事って言う話なんだけどね」
 ボンネットの上にマウントされた拡声器を通じてのろけ話から悲恋のエピソードまで、様々な恋バナが延々と垂れ流される。
「フフ…良い感じに調子が出てきたわ。こちとら四六時中恋愛のコト考えて生きてる恋愛の悪魔、運転しながらでも余裕よ。1/5の速度の連中に、最早負ける道理もないわッ!」
 謎の重圧に支配されたコースをハニーレモンのスポーツカーが悠々と走っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ブギーブッチャー』

POW   :    美味しそうだね、少し分けてよ!
【肉切り包丁】が命中した対象を切断する。
SPD   :    クレイジーブッチャー
【知恵の布(謎の皮革)】を脱ぎ、【屠殺鬼】に変身する。武器「【巨大化した肉切り包丁】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
WIZ   :    屍食会
【美味しい謎の肉と元気が出る赤い液体】を給仕している間、戦場にいる美味しい謎の肉と元気が出る赤い液体を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ゾーン1のチェックポイントを続々と通過していく集団。
 サキュバスのレースクィーンがフラッグを振り、スクリーンにここまでの各選手のラップタイムランキングが表示されて行く。
 何事も無かったかのように実況席に戻ってきているウズィーがマイクを振り上げた。
『さぁバカ共へのボーナスタイムもこれにて終了!
 ゾーン1のチェックポイントを通過する奴がちらほら出てきたところで、そろそろゾーン2のコース紹介と行こうか! ゾーン2は外壁を駆け上がるクライミングコース! その勾配角度はゾーン1とは比べもんにならねぇ! 一度転げ落ちたら地面まで真っ逆様のデスゾーンだ! イキって車高を盛っちまった野郎は精々バランス崩さない様に気を付けなぁ!』
 螺旋状のコースが直線に変わり、そのまま屋外へと伸びている。
 その先に広がるのはヘルズタワーマンションを支柱に縦横無尽に宙を走る立体コースだ。
 最早サーキットと言うよりジェットコースターのコースと言った方が良いだろう。
 急角度のアップダウン、ヘアピンカーブが続くだけでなく、錐揉み回転や宙返りループまである。
 此処を駆け抜けるには巧みなハンドル捌きは元より、絶対に速度を落とさない事が求められるだろう。
 地上までは凡そ100m弱と言ったところだろうか。
 コースアウトしたが最後、地表まで遮るものは何もない。
「グブ…グブブ、この時を待ってたんだなぁ!」
 そして勿論、出場選手同士のガチンコは引き続き発生する。
 装甲をパージし、身軽なゴーカート形態になったブギーモンスターの一群が勝負を掛けてきた!
エル・クーゴー
【Lv3】



・引き続き、カート型『アルテミス』を【操縦】しゾーン2へ
・高速度は【推力移動】で叩き出す!

・【万象改竄:電脳天球儀】発動
・建造自体に【ハッキング】を実行、ゾーン2のコース概要をぶっこ抜く

・ぶっこ抜いた情報を秒で処理(情報収集+瞬間思考力)し、コース上の各関門をマシンスペックに照応、アクセル/ブレーキ/ハンドリング、全てをプログラミングしてオートパイロット化しちゃう

・けどオートパイロット化した場合、他選手の動向という不確定要素の処理は……?


これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します(宣言)
(>>>運転席にハコ乗りキメてアームドフォートを能動的にガンガン射掛ける<<<)



 ブギーブッチャー達が頭に被ったボロ頭巾を剥ぎ取る様に脱ぎ捨てコースに放り捨てる。
 その下から現れたのはどす黒く変色した肌のアンデッド系のモンスターだ。
 亀裂の様な巨大な口からダダ漏れの涎が風圧で宙に散り、小さいながらも強烈な眼光を放つ両目は正に屠殺場の鬼と呼ぶに相応しい。
「ブブブ! じじじじゃあ早速、おおお肉を貰っちゃおうかなぁ!」
 震える手で血糊がべったりとこびり付いた肉切り包丁を振り上げると、それは瞬く間に3mもの巨大包丁へと変異した。
「ヒッ!?」
 並走していた武装ジープが大上段から振り下ろされた一撃により中央から真っ二つに叩き割られる。
 燃え盛る破片を撒き散らしながら猛スピードで転がっていくジープの残骸は、そのまま後方を走っていたエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)へ襲いかかった。
 車輪から激しく火花を散らしながらも、エルは瞬時にアルテミスの車高を変更。
 吹っ飛んでくる鉄塊の下を潜り抜ける!
「飛来物の回避を確認。機体損傷はありません」
 ブッチャー達の機体は一人乗りのゴーカートだ。
 マシンスペックでは此方が上回っているはず。直線コースで突っ切れば抜けない事はないが、小癪にも彼らは陣形を組みながら巨大包丁を振り回している。
 キャバリアサイズのアルテミスではすり抜けるのは難しいだろう。
 瞬時にそう結論付けたエルはアルテミスの頭部カメラとザミエルシステムをリンク。
 計器情報や周囲の地形データがリアルタイムで流れていく中、新たに幾つものコマンドラインウインドウを立ち上げる。
 そこに表示されるのはヘルズタワーマンションの全景や見取り図、そしてゾーン2のコース概要だ。
「事象改変率、ユーベルコード認証ラインをマーク。L95式キャバリア【アルテミス】のヘルズタワーマンション・ゾーン2コースへ最適化を行います」
 超高速で背後へ流れていく路面と激しいGの中、静寂の電子の海へと潜っていく。
 秒を何十にも何百にも刻んだ刹那の世界。
 ゾーン2コースのスタートからゴールまで、何処で加速するか、減速するか、どのタイミングでハンドルを切るか、その全てを、細かく組み上げていく。

 ―――SET UP All READY―――
 switch to autonomous driving? Y/N

「自動運転開始。システムリソースプライオリティを、機体制御から、前方集団の排除へと切り替えます」
 時速200km辺りでふらついていたスピードメーターが時速230kmで固定される。
 宙返りループを抜け、一気に速度を上げたアルテミスは、ブッチャー集団の数台を弾き飛ばしながら集団の中央へ躍り出た。
「ブヒョォー! 刻み甲斐のあああありそうなのが来たたたんだな!」
 たちまち歓喜の声を上げたブッチャー達が涎の尾を引きながら包丁を横薙ぎに奮ってくる。
 ダブルラリアットめいた前後からの挟撃。最早防ぐ手段はない!
「ガンマウント、ホールド完了。Fire」
 だが、必殺の瞬間は突如放射状に炸裂したマズルフラッシュに弾き返された。
 コックピットから立ち上がったエルが両手に構えているのはL95式機関砲――ガトリングガンである。
「りょ、りょ両手は卑怯なんだなぁーーー!!」
 至近距離で銃弾の嵐を食らったブギーブッチャーがカートから転げ落ち、湿った水音を立てながらコース外へと吹き飛んでいった。
 エルは群がるブッチャー達を次々と血祭りに上げながらコースを爆走していく。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハニーレモン・メルティキッス
あらあら、妨害してくるデカブツが大勢……まったく。

「——アナタ、本当に変わってないのね。そうやってすぐ肉切り包丁に頼るところも!」

UCを発動し、今アタシは元カノ(概念)となる——!
相手の攻撃の癖も読めるし、相手が抱えた悩みに遠慮なく【切り込み】だって出来るわ。なぜなら元カノだから。

「でもアナタがそんなんだから、アタシはッ……!」
「……いいえ、忘れて頂戴」

【不意打ち】気味に脈が残ってるのちらつかせて隙を生むのも元カノの特権よ。

クフフフッ……コースは複雑。けれどアタシは大丈夫。
そう、元カノは退場するとしても物語終盤。
つまりレース中盤の今、元カノ(概念)であり続ける限り落ちることはあり得ないわッ!



『さぁー! 早速ゾーン2でも奴らがおっ始めやがったぁ! 肉の目利きは確かだが
何の肉かは聞いちゃいけねぇ! 人呼んでヘルズタワーマンションの死体処理請負人! 精肉屋ブギーブッチャー!! 次に血祭りに上げられるのはドイツだぁー!』
 ブッチャー達が次に目をつけたのはスタイリッシュな武装スポーツカー。
 武装しているとは言え、空気抵抗を重視したその形状は先程のデカブツに比べれば脆そうに見える。その上、中に乗っているのは豪奢な装いの小柄な女悪魔だ。
「ブブブ! や柔らかくて、お、おおお美味しそうなんだな!」
 行ける。そう思ったか、ヘアピンカーブに差し掛かった所でブッチャー達がドリフト走行で一気に幅寄せにかかる。
「あらあら、妨害してくるデカブツが大勢……まったく」
 光を反射するフロントガラスの向こう、女の艶っぽい唇が微笑んだ気がした。
 羽撃くように一瞬跳ね上がったガルウイングドアから顔を覗かせたのはハニーレモン・メルティキッス(炎にして毒、病にして蜜・f31585)。
 射抜くような眼光が、包丁を振り上げたブッチャー達に突き刺さる。
「——アナタ、本当に変わってないのね。そうやってすぐ肉切り包丁に頼るところも!」

「お、お前………ハニ美!?(奥様昼ドラ劇場に出てくる間男俳優みたいな顔)」

 ……………………………いや、誰!?(CV:天の声)

「そうよ、まさかこんな所で会うとは思わなかったけどね……」
 
 あ、あの、もしもし?

「ち、ちち違うんだな。お、おおでは只、ハニ美に良いお肉を食べてもらおうと」
 しどろもどろで言い訳を始めるブッチャーだが、しっかり包丁はぶち込みます。
 こ、コイツ言ってる事とやってる事ぐちゃぐちゃだぞ!?
 だが、明らかな直撃コースで振るわれた筈の巨大包丁は、何故かハニーレモンを捉えることが出来ない。
 距離感を狂わされているのか、蜃気楼の様に、尽く刃がすり抜けてしまうのだ。
 
 それはまるで、しっかりと握っていた筈の彼女の手が、いつの間にか砂の様に手から零れ落ちてしまっていた、あの夏の日の様に…(※妄想です)

「あなたはいつもそうだった! 花火大会に行ったときも! 付き合って一周年の記念日も! Xmasも! ずっと、ずっとお肉を切る事に夢中! アナタがそんなんだから、アタシはッ……!」
 髪に隠れた横顔を一筋の光が伝う。
「は、ハニ美……お、おおおでは」
「……いいえ、忘れて頂戴」
 思わず包丁を振るのも忘れ沈黙するブッチャー。
 その虚を突き、ハニーレモンは一気にアクセルを全開!
「は、ハニ美ィィィィィィーーーーー!!!」
 周囲を取り囲むブッチャー達を置き去りにする勢いで前に出た!

「クフフフッ……上手く行ったわ。コースは複雑。けれどアタシは大丈夫」
 爆走するスポーツカーの運転席で彼女は艶かしく舌なめずり。
「何故なら今のアタシは元カノ(概念)だから―――!!」

 そう、ご存知だろうか。
 恋愛モノドラマのセオリーとして、元カノ役が退場するのは物語終盤が多い。
 つまり―――レース中盤の今、元カノ(概念)であり続ける限り、彼女がコースアウトする事は有り得ないのだ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

カーバンクル・スカルン
【LV2】
……はー!? 機体には一切問題ないのに何が起きてんの!? このままだと先頭に追いつけんぞ!?

でもここにいても永遠にゴールは出来ないし、最悪のコンディションで走るしかねぇのか……がーっ!

あちらさんも布投げ捨てて本気でくるようだし……こちらも本気の【高速組立】で複製したカタリナの車輪を投げつけて捕縛しつつ逆走させて距離を取る!

その間に私はボディ・サスペンションを壁に投げつけてロープワークで壁際にピッタリくっついてコツコツと登っていくとしましょう。追いかけてくる悪魔どもに追加の車輪をプレゼントしつつな!



「……はー!?  機体には一切問題ないのに何が起きてんの!?  このままだと先頭に追いつけんぞ!?」
 一方、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)は自らを襲った謎の速度低下現象に歯噛みをしていた。
 マシントラブルではない。視界に投影された計器類に異常が出ていない事からもそれは明らかだ。
 だと言うのに、まるで見えない重しでも背負わされているかの様に、一向にスピードが上がらないのだ。
 とは言え、止まると言う選択肢は有り得ない。
 ゴールに到達出来ないし、そもそも止まったが最後、地面に向かって真っ逆様である。
「その割には何故か勢いが足りなくて落ちるって事は無いみたいだけど……どっちにしろ最悪のコンディションで走るしかねぇのか……がーっ!」
 苛立ちから一吼えしたその時。
「ブッヒョオォー! 隙有りなんだなぁー!」
 背後から猛追してきたブッチャーの包丁がカーバンクルの延髄目掛けて叩き込まれる。
「チッ! 来やがったか!」
 重心を落としたスライディングめいたドリフトで包丁を躱すカーバンクル。
 同時に片手で路面を抉り取ると、目にも留まらぬ速さで組み立てたカタリナの車輪を投げ返す!
「なっ!? なんなんだァァァァァァァあーーー!!」
『おぉっとこれはキメェーー!? ゾーン1でも多数の悪魔を仕留めたカーバンクル選手のトゲトゲ車輪攻撃ー! 磔にされたブッチャーがまるで腐ったボンレスハムだぁーー!!』
 人間巨大手裏剣と化したブッチャー車輪が宙返りループを回りきれず落下、ループの開始地点へと落ちていった。
(……ん? 待てよ…)
 その時、カーバンクルの脳裏で二つの映像が結びついた。
 ゾーン1で見た、外壁を登ってショートカットしようとした少年。
 そして今のブッチャー。
(そうか! スピードが上がらねぇならショートカットすれば良いんだ!)
 カーバンクルは何を思ったか、ヘアピンカーブの先端でコースの縁に飛び乗ると、そのまま宙に身を投げる。そして空中でボディサスペンションを投擲。ヘルズタワーマンションの外壁に取り付く事に成功した。
「へっ、アバよお前達。私は此処からコツコツ登らせてもらうよ」
 ボディサスペンションをザイルの様に使い、カーバンクルは壁をよじ登っていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

フカヒレ・フォルネウス
【Lv2】

急勾配ですか。僕が乗ってるのは鮫なので問題ないですね。
おや、ブギーブッチャー? ……その怪しげな、いえ良さそうな謎肉と赤汁を楽しめと……?
なんて親切な悪魔なのでしょう……!

ですが僕はワルなのでそのもてなしに応じる訳にはいきません。
なので、UC《鮫喰場》を発動して、僕の代わりに飲み食いすることに対応させた鮫を呼び出します。
ついでに、周辺地域一帯で他の連中に給仕されたソレらも横取りなさい。

これで僕もそいつらもUCの影響を受ける訳ですが、給仕を満喫してお腹一杯になった鮫の背に乗り移ってレースに戻りましょう。
ありがとうブギーブッチャー、鮫にエサを与えてくれて、あなたはとても良い悪魔ですねぇ!


シーネ・クガハラ
【Lv3】

さて、ガチャは爆死したので少し真面目にやろう。
世廻(真の姿で持っているカンテラ付きの杖)をルプスさん(真の姿の名前)から借りてきまして、クロウロードをブギー何某の横につけてそのバケツの中の赤い元気が出る謎の液体に世廻の下の方を突っ込んで吸血で楽しませてもらおうじゃないか。
何?直接牙で吸わないのかって?うちのルプスさん吸血鬼っぽい行為がほんとに死ぬほど大嫌いなんでこうやって吸ってるんだよ仕方ないね。
それはそれとしてこっちを見るんだブギー何某。
「百万ドルの、微笑みダゾ☆」
これでバジリスクの魔眼で目を合わせたブギー何某は石化するって寸法よ。下の悲鳴はキニシナーイ。多分生きてる生きてる。



「グブブ、こ、こここらでで秘密兵器のととと登場なんだな…」
「ま、ままってたんだなぁ!」
「ブブブ、きょ、きょ今日のはははとととびきり新鮮なんだな!」
 一人のブッチャーが足元から取り出したバケツを掲げると、周りのブッチャー達が色めき立つ。
 バケツに入っているのは……何か明らかにやべー色をした、半分液状化したナニカである(※モザイク処理を施しています)…
 何かバケツの縁に悪魔の指みたいなのが見えて気がするけど多分気の所為である。
 うん、気の所為ということにしておこう。
『さぁーいよいよ始まったぞ! 精肉屋ブギーブッチャーの本領発揮! その辺で取ってきた謎の美味しいお肉と滴る血液の試食会だぁー! って言うかコイツらどーやって喰わせるつもりなんだァーー!?」
 そんなウズィーの疑念に、ブッチャー達は即座に解答を披露した。
「さぁめめめ召し上がれなんんだなぁ!」
 無造作にバケツに手を突っ込むと鷲掴みにした生肉を周囲の選手目掛けて投げ付けてきたのだ!
「ゲェ―ッ!? な、なんじゃこりゃあーー!!」
 おお、何ということか…モザイク肉が背後を走っていた悪魔の顔面にクリーンヒット!
 前が見えない悪魔はたちまちスピードを落とし、遥か後方へと見えなくなっていく。
「む……なんですかこれは」
 謎の肉は鮫達を率いてコースを爆走しているフカヒレ・フォルネウス(鮫の悪魔の四天王・f31596)の元にも飛んでくる。
 フカヒレの傍らを走る一匹の鮫が顎を突き上げ、見事謎肉を空中キャッチ。
 ビシャリと自らに降りかかる血飛沫を手で拭い取るフカヒレ。
「何かの血の様ですが……はて、あれは」
 前方に視線を移せばブッチャー達が生肉ぶっかけ祭りを絶賛開催中である。
 クワッと目を見開いたフカヒレの脳裏をよぎったのは―――
(なるほど、おやつタイムと言う訳ですか! 運転中に物を食べるとはなんたるワル! しかもそれを周りに振る舞うまでするとは……なんて親切な悪魔なのでしょう……!)

 いやそうはならんやろ!?(; ・`д・´)(CV:天の声)

「フッ、せっかくの施しですが、それに乗る僕では有りません……代わりに彼らが美味しく頂きましょう! この場はすでに僕の領域。鮫に食われよ!」
 たちまち路面から生えてくる無数の鮫が、文字通り餌に群がる様にブッチャー達に襲いかかった。
「ブヒョッ! ブヒョヒョヒョッ! きょきょ今日は喰い付きがいい良いんだnッ!?」
 群がる鮫に大喜びで生肉を撒き散らしていたブッチャーが、背後から飛びかかった鮫に上半身をゴッソリ持っていかれた。
 激しくバウンドしながら転がるバケツも、瞬く間に鮫の群れの中に消えていく。
 そこでフカヒレは、即座に肉の喰い付きが悪くなった鮫を見極める乗騎をチェンジ。
 鮫の群れに嬉々として生肉をぶち撒け続けるブッチャー達を尻目に、悠々と先へ進む事に成功した。
(ありがとうブギーブッチャー、鮫にエサを与えてくれて、あなたはとても良い悪魔ですねぇ!)

「だだだ大盛況なんだな! おかかかわりりりがいいるんだな!」
 別のブッチャーが新たなバケツを取り出すが、その背後には黒い影。
 シーネ・クガハラ(ただいまB級テンペストプレイヤー・f01094)の駆る黒竜クロウロードが迫っていた。
「んー…アイツでいいや。クロウロード、出来るだけカートの横に近付けて」
「おっ、姉御やっとやる気っすね?」
「まぁ、ガチャも爆死したしねぇ……」
 シーネが取り出したのは真紅の光を放つカンテラを先端に取り付けた禍々しい形状の杖だ。
「さーて、じゃあ私もご相伴に預からないとねー」
 コース上を滑るような軌道でブッチャーのカートに横付けすると、シーネは杖の石突きをバケツに突っ込む。
 するとどうした事か。ストローで吸うように見る見るバケツの中の血液が減っていくではないか。
「ブブッ? あああわてなくくてももも、い、いっぱいあああるんだな?」
 振り返ったブッチャーがシーネに気付くと、ニチャァ……と涎が糸を引いた微笑みを浮かべる。
 目が合った。
「やぁ、ブギー某。百万ドルの、微笑みダゾ☆」
 シーネの右目の瞳孔が、一瞬爬虫類の様に縦長に閉じる。
 召喚式【バジリスクアイズ】―――右目に宿したバジリスクの魔眼によって対象を石化させる事が出来るのだ。
 瞬時に石像と化したブッチャーが破片を撒き散らしながらカーブに激突!
 そのまま大きくコースアウトしながら吹き飛んでいった。
「あぁーあ……ありゃ即死コースっすな…」
「大丈夫大丈夫、生きてる生きてる」
 宙を舞うブッチャーを目で追うクロウロードの言に、シーネは杖を担ぎ直した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『デストロイキング』

POW   :    デストロイキング軍
レベル×1体の【ビューティスパイダー】を召喚する。[ビューティスパイダー]は【女郎蜘蛛】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    デストロイ光線
レベル分の1秒で【背中の魔力角から破壊光線】を発射できる。
WIZ   :    デストロイウェポン
【腹部の巨大な口に取り込んだ物体】から、対象の【全てを破壊したい】という願いを叶える【破壊兵器】を創造する。[破壊兵器]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 空中回廊宛らのゾーン2を通り過ぎるとコースは遂に屋上へ到達する。
 通常、マンションの屋上と言えば、殺風景なコンクリートの打ちっ放しを予想する所だが、ここヘルズタワーマンションではそんな常識はゴミにも等しい。
 屋上を不法占拠して住み着いた悪魔達のスクラップ・アンド・ビルドによって、まるでブロッコリーの様におびただしい数の尖塔が林立しているのだ。
『さぁーいよいよ最終ゾーンが迫ってきたぞー! ゾーン2チェックポイントを通過して最初にゴールへの地図を手にするのは一体誰なのかァー!! いや?そう言ってる間にトップバッターが見えてきたぞ! おぉぉっとアレは―――出たぁァァアアーーー!!! ここで遂に我らがデストロイキングがトップに返り咲きだぁぁぁぁーーー!!!!』
 ゾーン2のフラッグを駆け抜けたのは、無骨なリベット打ちの板金で装甲を施したオープンカーだ。
 ラップタイムと共に画面に移ったスクリーンショットには青肌の巨漢がドヤ顔でサムズアップする様子が捉えられていた。
『さぁ先頭集団も次々とチェックポイントを通過していくぅーー!! ゾーン3はまたの名を【尖塔の森】! 直径10mの塔の隙間を如何に早く駆け抜けてゴールまで到達できるかがカギだぁ! どういうルートを通るのか! 何処を封鎖して邪魔するか! 頭のキレる奴が玉座を握るってぇわけだ!」

 時は満ちた。
 さぁ猟兵達よ、見事デストロイキングを下し、栄光の勝利を掴むのだ!

―――CAUTION―――

○ゾーン3補足
 杉林の様な光景をイメージするとよいでしょう。只、その一本一本の樹がめちゃくちゃデカイです。その中のどれか一つがゴールと言うことになります。
 どの塔がゴールなのかは、ゾーン2チェックポイントを通過した事によって判明しましたので、プレイングで「ゴールを探す」と言う事は書く必要はありません。
 しかし、当然デストロイキングは猟兵達がゴールに辿り着けない様邪魔してきますので、上手く裏をかく必要はあるでしょう。

○順位について
 リプレイの最後に総合順位を発表したいと思います。
 龍眼の方で算出した値を以下の計算式に当て嵌め、数値の高い順からゴールした事になります。 

 計算式=D100+【各自がこれまで取得してきた🔵の数】
         ※連携リプレイの場合は一人分を加算

【プレイング受付開始:1/21 AM9:00】
 
フカヒレ・フォルネウス
【Lv2】

「フッ。ゴールの場所は把握済み。あとはトップを抜き、辿り着くのみ」

僕の鮫のセンサーを駆使すれば、障害物の尖塔を避けることなど造作もないこと。
問題はキングの攻撃への対処です。不必要に回避行動を取らされてはタイムロスですからね。
(それに、まともに殴り合ったら負けそうですし)

故に、導き出した最適解がこのUC《巡航鮫隊》!
数多くの大型鮫から射出された小型鮫でキングを攻撃します。
断続的な攻撃へ対応されている間に、僕は悠々と鮫に乗ったままゴールを目指すといたしましょう。

純粋な暴力ではない、数の暴力を味わっていただきましょうか!



 爆音を上げながらオープンカーをカッ飛ばすデストロイキングは、バックミラーに写る鮫の編隊に凶悪な笑みを浮かべる。
「来やがったな……だがこのゾーン3は今までとは少し違うぜ」
 最終ゾーンであるゾーン3は、これまでのゾーン1、ゾーン2と比べるとコースが短い。
 その意図するところは何か。
 レース要素よりも選手同士のガチンコに重きが置かれているゾーンと言うことだ。
(ウズィにはそう言えと言ったがな…実のところ早くゴールする事は重要じゃねぇ。単純に我より後ろにいる者、我を抜き去ろうとする者を全員大破させれば我の優勝よ!)
「フッ。ゴールの場所は把握済み。あとはトップを抜き、辿り着くのみ」
 そんなデストロイキングの思惑を知ってか知らでか、フカヒレ・フォルネウス(鮫の悪魔の四天王・f31596)は鮫達の嗅覚に細心の注意を払いながら尖塔の間を駆け抜けいてく。
 既に前方に捉えているデストロイキングが、このまま何も仕掛けてこないと言う事はあり得ないだろう。必ず何かしらの妨害行為を仕掛けてくるはず。
 無駄な回避はその分タイムロスにもなるし、下手すると順位を落としかねない。
(それに、まともに殴り合ったら負けそうですしね……さぁ、どうきますか?)
 そんな思考が頭をよぎった矢先、デストロイキングが尖塔の影に姿を消した。
 どうやら運営から送られてきた最短ルートとは真逆の方向に曲がっていった様だ。
 別に辿り着けないわけではないが明らかな遠回りルート。
(道を間違えた?……いや、そんな馬鹿な)
 何かある。そんなフカヒレの直感は、直後に眼前を焼き尽くした壁のような熱線が証明してくれた。
「ガァッハッハッハ!! まずは貴様からだ鮫野郎!!」
 巨大なバズーカ砲を担いたデストロイキングが、尖塔を一つ隔てた隣のルートからビームを打ち込んできたのだ。
 勿論、見渡す限り鮫に乗っている者など他にいない。
 自分を狙っている事は明白だろう。
 しかし、此方とて何も手を打っていない訳ではない。
「フッ、ではお見せしましょう。鮫の力を!」
 コンクリートが水面の様に波打ち、水柱が連鎖する。
 実に68匹もの巨大な鮫が尖塔を縫うように泳ぎ回り、デストロイキングに襲いかかる。
「ハァッ! 焼き魚にしてくれるわ!」
 大口を開けて齧り付こうとする鮫の口内を極太のビームが貫き、風船の様に爆ぜる。
 だがそれで終わりではない。
「ぬっ!?」
 煙を上げて墜落する鮫の巨体から滲み出る様に、無数の小さな鮫が姿を現しデストロイキングに襲いかかる。
 ビームが乱射され基礎が吹き飛んだ尖塔が崩れ落ちていく。
 だが鮫の数は減るどころか増える一方だ。
 何しろ一匹辺りに収容されている小型鮫は340匹。
 それが後、67匹もいる。
「ぬぅぅぅぅーーッ!! ま、前が見えぬぅぅぅぅッ!!」
 吹雪によって視界が妨げられる現象をホワイトアウトと言うが、差し詰めこれはシャークアウトであろうか。 
「フッ、如何ですか。鮫は死しても蘇るモノ。冥途の土産に覚えていきなさい!」
 スピードを上げたフカヒレは一気にデストロイキングとの距離を開けに掛かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハニーレモン・メルティキッス
怖い怖い。
並走するデストロイキングが破壊兵器なんて出してきてるじゃない。

でもこういう時こそ余裕が大事よ。
恋愛小説でも音読しながら運転しようかしら。
恋愛のために鍛えた【瞬間思考力】を以てすれば運転との並列なんて余裕よ!

「火がついた二人の愛はもはやデッドヒートだった」
「ジョンのハンドルはもはや制御不能となりメアリの潤んだ唇に——」

あら、なんか爆発音聞こえたわね。
物騒。アタシはちょっとカゲキな恋愛小説……
『声に出して読みたい恋物語』を、読み上げてるだけなのにね。
向こうが勝手に爆発する以上、コッチが集中すべきは恋愛小説と運転のみ!
そしてこの爆発は遮蔽物だって無意味!
このまま振り返らずブッちぎるわよッ!


エル・クーゴー
【Lv3】
●POW


ライバル車を目視で捕捉しました
これより、対象をぶっちぎるまで――ワイルドハントを開始します


・カート型『アルテミス』を【操縦】し最終局面へ突入!
・ゾーン1ゾーン2をカッ飛ばして来た経験から運転技術をブラッシュアップ(学習力+瞬間思考力)、狭隘なコース攻略は真面目にドラテク一本勝負!

・敵の能力は女郎蜘蛛の軍勢か……
・尖塔だらけの地形からして、それらへ蜘蛛の巣を巧みに張り渡す等の仕掛けが懸念されるか……
・よし、建造物ぶっ壊そう

・ミサイルをお空へ射出
・たっぷり滞空旋回させ、目一杯プレッシャー掛けてから、敵には不利で己には有利なコース形成を見込み対地着弾させる(爆撃+範囲攻撃+蹂躙)



「ぬぉおおおお鬱陶しいわ!!」
 デストロイキングの怒号と共に熱線がコースを薙ぎ払い、群がっていたおびただしい数の鮫の霊が焼き尽くされた。
「キャッ!」
 それは横からデストロイキングを抜きに掛かろうとしていたハニーレモン・メルティキッス(炎にして毒、病にして蜜・f31585)の頭上スレスレを掠めていく。
 車体天板に備え付けられたガトリングガンが根刮ぎ吹き飛び、何とも風通しが良くなってしまったスポーツカーを走らせながら、彼女は風に靡く白い髪を掻き上げる。
「ふぅー、危ない危ない。とんでもない物持ち出してきたわね」
 しかしこういう時こそ余裕が大事。
 良いオンナはこんな事で取り乱したりはしないのだ。
 ほら、女は度胸とかそういうアレだきっと。知らんけど。
「こういう時は……そうね、コレかしら」
 なんとハニーレモンは徐に一冊の本を取り出すと、ハンドルを片手にページを捲り始めた!
 
 ※専門家の監修の元、安全に配慮して行っております。絶対に真似しないで下さい。

 勿論危険極まりない行為だ。ましてや此処は一般道ではなくサーキットコース。
 更には障害物が立ち並ぶ中を時速100kmを超える速度で走行中だ。
 しかしそこは百戦錬磨の恋の悪魔。日々恋愛の駆け引きで鍛え上げられた瞬間思考力を持ってすれば恋愛小説を読みながら車を運転するなど造作もない事!
 
 ※専門家の監修の元、安全に配慮して行っております。絶対に真似しないで下さい。
 ※大事なことなので二度言いました。

「火がついた二人の愛はもはやデッドヒートだった」
「ジョンのハンドルはもはや制御不能となりメアリの潤んだ唇に迸る熱情の滾りを流し込む」

「ぬぅぅおおおおおおおおお!!!?」
 次の瞬間、二つの音が響いた。
 一つは連鎖する盛大な爆発音。
 もう一つは、濃厚なラブシーンには余り出て来て欲しくない、野太い怒号が響き渡った。
「あら、なんか爆発音が聞こえたわね」
 恋愛小説に夢中なハニーレモンは外の様子など気にも留めないが、今、彼女の周囲では小規模な爆発が弾幕の様に連鎖している。
 タイヤの真横で爆発が起きたデストロイキングが堪らずスリップし大きくスピードを落とした。
 因みに何が爆発しているのかと言うと―――

「巌の如きジョンの手が遂にメアリのシフトレバーをトップに上げる」
「ジョン……嗚呼、ジョン……もっとちょうだい」
「メアリ……そんなに蕩けた顔をして……いけない子だ…」

 ―――ラブである。
 ―――もっと言うとリア充爆発しろである。
 
 ハニーレモンの音読する小説のラブシーンが濃厚であれば濃厚であるほど爆発が酷くなるのである!

 ……そんな阿呆な(; ・`д・´)(CV:天の声)

 ―――そしてこの時、地雷原の如き爆烈の弾幕を物ともせず、巧みなドリフトテクニックで一気に両者を抜き去った者がいる。
 エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)の駆るL95式カート型キャバリア【アルテミス】である。
「ゾーン1ゾーン2の走行データを解析中……完了しました。ドライビングポジションの最適化を実行します」
 地を這うように滑るアルテミスの軌道は宛らスピードスケートの選手の様だ。
 高速で後ろにかっ飛んでいくエルの視界の片隅では、これまでのコースのドライビングレコーダー映像が流れており、映像ウインドウがワイヤフレームで構築されたアルテミスに取り込まれ、機動が最適化されていく。
「おのれ貴様らァ! 只では済まさんぞォォォ!!」
 しかしデストロイキングもやられっぱなしでは終わらない。
 天にかざした掌に魔法陣が浮かび上がると、何十と言う光の帯が一斉に射出される。
 ホーミングレーザーかと思われたそれは、空中で球体を形作ると周囲の尖塔に貼り付き、やがて上半身が女性、下半身が蜘蛛の悪魔へと姿を変えた。
「包囲陣形!!」
 デストロイキングの号令と共に一斉に宙へと身を投げる女郎蜘蛛達。
 生成した蜘蛛の糸の尾を引きながら、縦横無尽に尖塔から尖塔へと飛び移り、蜘蛛糸の壁を構築していく。
【Root A Error】
【Root B Error】
【Root C Error】
【Root D Error】
 エルの視界に表示されるナビゲーションルートが閉鎖され、次々と迂回ルートが上書きされていく。
 だが多勢に無勢か、それよりも女郎蜘蛛達が進路を潰していく速度の方が早い。
 遂には猛追してきたデストロイキングに追いつかれ、逆転されてしまう。
 蜘蛛糸の壁の向こうへと消えていく武装オープンカーのテールランプを見送ったエルは、上空へと視線を移した。
 アルテミスの背中が展開し、ミサイルポッドが姿を表す。
 同時、バイザーに表示されるのは現在地点からゴールまでのコースマップ。
 デストロイキングの顔マークがゴールへ向かって動く中、進路上にターゲットサイトが幾つも重ねられていく。
「ゾーン3コースより、新規Root E を制定します。座標測定――LOCK ON」

 『これより、対象をぶっちぎるまで――ワイルドハントを開始します』

 白煙を噴き上げ、射出されたミサイルの群れが天に向かって登っていく。
「グハハハハハハハハハ!! 最初からこうすれば良かったわ!! これで奴らも追ってはこれまい!!」
 
 ―――キィィィィィィィィィィィィィィィ…

「ん?」
 高笑いをしながらトップをひた走るデストロイキングは、聞こえてくる謎の高音に、思わず上を見上げた。
 目が、点になった。
 空から彼目掛けて迫ってくるのはおびただしい数のミサイルの雨だ。
 最早ミサイルで出来た吊り天井と言っても過言ではないその密度が意図するところは一つ。
 尖塔諸共に焼き払うと言うことだ。
「え? ちょっと、アイツらガチか?」
 思わずちょっと素が出たか。
 皿のように目を見開いたデストロイキングの顔が閃光に照らされ―――キノコ雲が上がった。
 ドミノ倒しかと見紛う勢いで倒れる尖塔を駆け上がり、爆炎を突き破ってアルテミスが、次いでハニーレモンが姿を表す。

 コースには、ペチャンコになったデストロイキング(黒焦げ)だけが残された。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カーバンクル・スカルン
【LV3】
「我らがデストロイキング」……あれが恐らく首領か。何でもいいから邪魔はせんとな。

とりあえずあの先頭集団の周りに【置酒高会】を展開。私からの質問は「デビルキング法の全文を一言一句間違わずに諳んじろ」! ここの住民で王を目指しているなら答えられない訳があるまいて?

どれだけ中で暴れようと答えられない限りこの壁は崩れないし、機械仕掛けのワニは嬉々として閉じ込めた者に食らいついていくからねー。振り回されたり痺れさせられたりしてろ。

さて、私は塔を着々登っていこうか。中に階段でもあったらそれを使って、トップは無理でもリタイアせずに完走するとします。でも、今夜の修理は確実に徹夜だな……



 ミサイル爆撃によって崩れ落ちた尖塔の間をデストロイキングのオープンカーが黒煙を噴き上げながら駆け抜けていく。
 車体の方は装甲を施していたお陰か何とかまだ走れるが、自身のダメージもさる事ながらレースの順位的にもかなりの痛手だ。
 ゴールまではもう目と鼻の先だと言うのに、その最短ルートは崩落で埋まっており通行は不可能だ。
 此処からゴールに向かうには外周沿いを回り込んで行かなければならない。
「グヌゥゥゥゥ! おのれ奴らめ、めちゃくちゃしおって! 大分遅れを取ってしまったではないか!!」
 しかし、残念ながら次の災難はすぐそこまで迫っていた。 
 爆撃の範囲を逃れた無傷の尖塔の角を曲がった瞬間、突如眼前に現れたのは鉄格子の壁。
「なぁっ!!?」
 咄嗟にハンドルを切るが、何とその先にも壁がある。
 否、これは壁ではない。檻だ。
 どうやら車ごと入れる様な巨大な檻にまんまと突っ込んでしまったらしい。
 背後で重厚な金属がかち合う音が響き、次いで聞こえたのは少女の声。
「ふーん、お前が首領か」
「何奴!?」
 身軽な動きで檻の上に着地したカーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)が、デストロイキングを見下ろす様に檻の中を覗き込んでいる。
「私が何者かなんてどうだって良いだろ。今知りたいのは……どうやったらそこから出れるか、じゃない?」
「生憎問答をしている暇はないのでな。檻など破壊すれば良いdッヌゥ!?」
 デストロイキングの背中の角が眩い光を発するが、それだけだった。
 いつの間にか檻の中には機械仕掛けのワニが五匹這い回っている。その内の一匹が、デストロイキングの角に齧り付いたのだ。
「無駄無駄。私の質問に答えられない限りソイツらは攻撃をやめないし、この檻が壊れることもないからねー。じゃあ質問いってみよう」

 Q:デビルキング法の全文を一言一句間違わずに諳んじろ

「………は?」
 デストロイキングの目が、再び点になった。
 わかる。わかるぞ……これはバカの顔だ!
「……え、え〜〜と…確かデビルキングワールド国民は、正当不当を問わずに国会に辿り着いた代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民を日々焼き討ちに処し……」
「はい残念でしたー」
「グワァァァァーーー!!」
 頭から機械仕掛けのワニさんにガジガジされるデストロイキングさん。
「わ、わかった! デビルキングワールド国民は、定期的に行われる「この悪事がすごい!コンテスト」で優秀な成績を収めた者に国会の運営を丸投げし……」
「はい、ダメー」
「グワァァァァーーー!!」
 両腕を機械仕掛けのワニさんにガジガジされるデストロイキングさん。
「ま、そこでゆっくり考えてなよ。私は先に行かせてもらうけど」 
 カーバンクルはボディサスペンションを展開すると、ワニと死闘を繰り広げるデストロイキングを尻目に倒れた尖塔を超え、ゴールを目指すのであった。
(あーあ……今夜の修理は確実に徹夜だな……)

成功 🔵​🔵​🔴​

城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。…脳筋じゃナイデスヨ?
暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握していない。
逆恨みで怒ってる?…気のせいデスヨ。UCの逆恨みじゃアルマイシ。

戦闘は、範囲系ユーベルコードなら集中砲火、単体攻撃なら可能な限りの連続使用。
必要に応じて、カウンターでタイミングをずらしたり、鎧破壊で次の人を有利にしておく。

……防御?なんかこう、勘で!(第六感)
耐性……は、なんか色々!(覚えてない)


三条・姿見(サポート)
招集を受けた援軍だ。…俺も力を貸そう。
指示があるならば、そのように。猟兵として務めは果たす。

**
『ある刀を探している。取り戻さなければならないものだ』
ヤドリガミの剣豪 × 化身忍者
年齢 27歳 男
外見 178cm 黒い瞳 黒髪 普通の肌
特徴 短髪 口数が少ない ストイック 天涯孤独の身 実は読書好き
口調 生真面目に淡々と(俺、お前、だ、だな、だろう、なのか?)
偉い人には 作法に倣って(俺、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)
**

主武装は刀と手裏剣。…相手の数に応じて使い分ける。
薬液が効く相手なら、毒や麻痺薬も使用する。

賑やかな場所はどうにもな…だが鍛錬となれば話は別だ。
励むとしよう



 デストロイキングは、歩いていた。
 その身は既に満身創痍と言って良いが、足取りには力が満ち、全身から立ち上る魔力のオーラは魔王として君臨した嘗ての威厳を彷彿とさせる。
 車は、既に無い。
 先程檻に突っ込んだ際に大破し、エンジンがうんともすんとも言わないばかりか、タイヤのシャフトも破断し、押して歩くことすら出来ない。
 他の選手から車を奪おうにも、檻を破ろうと藻掻いている間に順位は最下位に転落。これ以上自分を追い越す者は、既に誰もいない。
 ―――詰みだ。 
 最早この状況から何をどうしようとも、自分がレースに復帰することは出来ないし、ましてや優勝など……。
 だが、それでもゴールを目指すことは止めない。
「ふざけるな……こんな事があってたまる物か……最早レースなどどうでもいい。ゴール地点にいる奴を全員殺せば俺の勝ちだ……」

「さぁー最終コーナーを回って遂に最後の直線コースー! いよいよトップの勇姿が見えてきたぜぇぇー!! おぉぉーーっとアレは!! 何と!! 我らがデストロイキングーーーーではないぃィィィィーーー!!!! コイツはとんでもない大番狂わせだぁ! 果たしてこの一回HTMグランプリを制するのはドイツだぁぁーー!!」
 キャバリア、スーパーカー、騎乗動物、それら全てが渾然一体となり、ギリギリのデッドヒートを繰り広げながら、ゴールテープの張られた一対の塔の間に雪崩込んでいく。
 
 デストロイキングの目に、ゴール地点から盛大に花火が打ち上げられるのが見えた。
 誰かが、ゴールしたのだ。
 ギリ……と、噛み締めた顎が鳴る。
 時間の問題であったとは言え、これで自らの敗北は決まった。

 その時だった。
 自分の進行方向上に、一人の男が立ち塞がっている事に気付いたのは。
「……誰だ?」

 文字通り般若の如き形相で、眼前に立ち塞がる男に視線を向ける。
「誰…か。さして意味のある問いとも思えんが、強いて言うなら招集を受けた援軍だ。お前をこれ以上、先に進ませるわけにはいかない」
 日本刀を構えた黒髪の男、三条・姿見(鏡面仕上げ・f07852)が応じる。
「……出場選手ではないな。だが、そうだな。確かに意味のある問いではなかった…邪魔立てすると言うなら誰であろうと滅するのみぞ!! お前達!!」
 デストロイキングの腹部の口が雄叫びを放つと、再び女郎蜘蛛の悪魔の群れを召喚しようとする。
「ざーんねん、そうは行かないんだなこれが」
 だが、それよりも早く、上から二つのものが降り注いだ。
 一つは少女の声。もう一つは無数の投げナイフだ。
 いや、よく見ると鉤爪とか手斧とか金槌とか肉球グローブとか雑多な凶器も混じっているが―――これは全て、城田・紗希(人間の探索者・f01927)の全身に隠されている暗器だ。
 故にこの時、彼は気付かなかった。
 降り注ぐ凶器の中に、姿見が放った、起爆術式の込められた呪符が結ばれた物が混じっている事に。
「えぇい! ふざけるな!! この期に及んでこんな子供騙しをしよって!」
 全身に刺さったナイフを物ともせず、姿見に向かって一直線に突撃するデストロイキング。
 鋭利な爪を備えた丸太の様な巨腕が、姿見の精悍な顔を握り潰さんと振り下ろされる。
「それは失礼。だが効果的なのでな。特にお前の様な輩には―――爆ぜろ劫火!」
「ッ!!!?」
 姿見の爆炎起動の号と共に、本日何度目か解らないキノコ雲が上がった。
 
 こうして、表彰台の歓声の裏―――エキシビジョンマッチは静かに終わりを告げた。
 
―――総合順位―――
1位:カーバンクル・スカルン 
2位:ハニーレモン・メルティキッス
3位:フカヒレ・フォルネウス
4位:エル・クーゴー
5位:シーネ・クガハラ
6位:エインセル・ティアシュピス

※サポート除く

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月17日


挿絵イラスト