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#デビルキングワールド

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#デビルキングワールド


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●起きてたら罰金、起床税
「はぁ……私の中で、悪事ってものの概念が壊れそうだわ……」
 集まった猟兵たちを前に、トレイシー・ノックス(インドア狩人・f06024)はまずそう言って盛大にため息をついた。
 デビルキングワールドには小国がいくつもある。今回もそのうちの1つで暗躍するオブリビオンへの対応だということで猟兵たちは集められている。
「あーはいはい、仕事の説明ね。今回行ってもらうのはブギーモンスターたちの国よ。ただし、物凄い働き者のね」
 デビルキングワールドの住人たちは『デビルキング法』によって悪事をカッコいい、欲望は素晴らしいという価値観のもとで日常を送っている。
 この小国はその影響の結果「他人を奴隷のようにこき使うことこそ最高のイカした悪事だ!」と、国内の組織全てがブラック企業化してしまっているようだ。
 残業や休日出勤は当たり前。人によっては徹夜する日数が2桁に至ることすらあるという、いわば社畜の国といった有様だ。
「そんな国で、急に出てきた議員が『起床税』とかいう起きていた時間に応じて税金を支払うって法案を通そうとしてるの。しかも署名活動で結構な支持を集めちゃってるみたいでね……ここまで話せばなんとなく察するでしょ? その議員がオブリビオンなのよ」
 ロクに睡眠も取らずに働いている国民たちを休ませようとする優しい話のようにも思えるが、裏にいるのがオブリビオンとなっては放置するわけにもいかない。この法案が可決することは阻止しなければならないだろう。
「私が見た予知だとね、法案が可決すると、起きている連中からは税収で、寝ている連中からは盗みでD(デビル)が取り放題になる。オブリビオンはそうしてD(デビル)を集める算段よ」
 D(デビル)とはデビルキングワールドで流通している通貨だが、それには魔力がこもっており大規模な術式の触媒にもなるらしい。それが大量にオブリビオンの手に渡れば災厄となるのは、火を見るよりも明らかだ。
「というわけで、今回はまず『起床税』の可決を阻止。その後にオブリビオン本人をぶちのめすってのが依頼内容になるわ」
 依頼に至るまでの経緯を説明し終え、トレイシーはそのまま詳しい作戦の説明に入る。

 まず最初に、オブリビオン議員の信用を失墜させる。
 オブリビオンの邸宅に忍び込んで『起床税』法案可決に向けて集めた国民の署名入りの書類を盗み出すのだ。
 国民たちが信じて名を記した書類を紛失したとなれば、議員の信頼は確実に地に落ちるだろう。

 次に議事堂へと殴り込み、オブリビオンを支持している議員たちの説得。
 説得と言っても、ここは物理でいい。彼らはオブリビオンではなくこの世界に住むブギーモンスターたちだが、社畜をやれているだけあってかなり頑丈なのでそう簡単に死にはしない。
 彼らを全員黙らせることができれば、『起床税』はまず可決しないだろう。

 最後に、オブリビオン本人の討伐。
 法案が通らないことが確定すれば他の国へターゲットを変えるべく逃亡することが予想されるので、そこを待ち伏せて襲撃することになる。
 正体を現して抵抗してくるだろうが、ここは確実に仕留めなければならない。

「盗みに殴り込みに暗殺と、こっちはこっちで悪事のオンパレードよ。けどこの世界では悪事こそカッコいいとされてるんだから、気兼ねなく派手にやりなさい。……オブリビオンを倒したところで、この小国がとんでもない国だってのは変わらないんだけど、まぁそこに干渉するかどうかは任せるわ」
 トレイシーは眼鏡の位置を直しながら、そう締めくくる。
 説明は終わり、ここからは行動あるのみだ。
 オブリビオンの企みを阻止し、彼らにD(デビル)が流れないようにするために。


すぃんたろー
 はい、二回目まして、すぃんたろーです。
 ……なんかノリで考えてたらとんでもない小国が出来上がりました。ドウシテコウナッタ。

 1章で出てくる警備や2章で戦う集団敵はオブリビオンではありませんが、この世界の住人は頑丈なようなので手加減しなくてもそうそう死にません。そこは気にせずプレイングをかけてOKです。
 ただ、倒した後に明確にトドメまで刺すとかなるとちょっとこっちで描写を調整するかもしれませんので、そこはご了承を……。

 1章は冒険パート。オブリビオンの邸宅ですが、警備員が見回りをしている豪邸です。
 この小国自体がブギーモンスターの国なので、警備員も全員ブギーモンスターです。
 書類は複数個所に分散して保管されているので、手分けして探しましょう。
 一定数の書類を盗み出せれば2章に移行します。

 2章は集団戦。オブリビオンを支持する魔界議員たちですが、彼らは『ブラックローブ』というブギーモンスターです。
 体温が異常に低くローブの中の素顔は途方もない恐怖に襲われるということですが、多分ロクに睡眠も取らずに働いてるからそうなってしまったのでしょう。
 オープニングでは物理で黙らせることを推奨していますが、思うところがあれば説得などもプレイングに交えてくだされば可能な限り採用しようと思います。
 場合によっては彼らが猟兵の皆さんが提案した法案を支持し、可決してくれるかもしれません。
 ただし、どんな法案が可決してもシナリオそのものの成否やデビルキングワールド全体には影響せず、この小国のみのフレーバーとなることをご了承ください。
 彼らが全員降参するなり猟兵側に鞍替えするなりすれば3章に移行します。

 3章のボス戦は『夢魔エンプーサ』との戦いになります。
 夢魔だからこんな法案を出したんですね。なんて悪いやつだ。
 描写上は待ち伏せて襲撃としていますが、普通にボス戦なのでプレイングも通常のボス戦として書いていただければOKです。
 容赦なく全力でぶっとばしてやってください。

 説明は以上となります。
 今回でまだ2度目のシナリオであり拙い部分も多いかと思いますが、皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『お宝は正々堂々奪うもの』

POW   :    警備の悪魔をぶっ飛ばし、感激させて味方につける

SPD   :    警備の隙を華麗に突いて、気付かれることなく潜入する

WIZ   :    逃走ルートやすり替え用の偽のお宝を用意しておく

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィロメーラ・アステール
「怪盗フィロメーラ、参上!」
こんな法律にも従うんだ……!
マジメすぎて絶滅しかけたのも納得!

じゃ、そのマジメっぷりを利用しちゃうぞ!
まず堂々と姿を現して【存在感】を放ち、注目を集めるぜ!

警備員はもちろん捕まえにくるだろ?
【空中浮遊】で逃げ回り、小さな体の【スライディング】ですり抜けたり、閃光で【目潰し】したり大立ち回り!

そこで
「かかったな、このスキに仲間が署名入りの書類を頂いた!」
とか言えば、確認しに行っちゃうと思うよマジメだし!
そしたら【錬成されし対の双星】で、あたしの分身に追跡させる!

なーんだ、書類あるじゃん。
と安心してる横から【念動力】を使った【早業】で【盗み】、光学【迷彩】魔法でドロン!



●幸運は時に嘘もつく
 そこは、まさに豪邸と言うに相応しい場所だった。
 リゾートホテルか何かかと思いたくなるような巨大な建物を中心に、立派な生垣や噴水が配置された広い敷地。建物の屋上にはプールまである。
 そしてそんな豪邸の敷地内を巡回する警備たちは、休みなく動き続けて侵入者を警戒している。
 だが、そんなところに……、
「怪盗フィロメーラ、参上! この豪邸のお宝は頂いていくぞー!」
 小さな人影が、威勢よく叫んで飛び込んだ。フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)である。
「なんだなんだ!?」
「おい、不法侵入者だ! 捕まえろ!」
 ブギーモンスターである警備員たちは被った「知恵の布」で表情こそ読み取りにくいが、その声音から突然の事態に慌てているのが察せられた。
 フィロメーラはそれにニヤリと笑い、生垣の上を自在に飛び回りながら存在感を放って警備員たちを誘導していく。
 警備員たちが諦めて追跡をやめてしまわないように、時折低空を飛び、近づいてきた警備員の股下をスライディングですり抜け、複数に囲まれれば閃光を放っての目くらましをしたりと見事な大立ち回り。
 ひたすらに翻弄された警備員たちは、もともとあまりちゃんと休んでいないのもあるのだろう。そう時間もかからず、疲労の色を見せ始めた。

 十分な人数の警備員を引き付けたタイミングで、フィロメーラは再度笑って上空に飛び、警備員たちを見下ろした。
「かかったな、このスキに仲間が署名入りの書類を頂いた!」
「な……なんだってー!?」
「おい、ヤバいぞ! 早く戻れ! 書類を確認するんだ!」
 警備員たちはフィロメーラの言葉をあっさりと信じ、大慌てで豪邸の建物の方へと引き返していく。
 彼らも根本的には良い子なので、人の言うことはすぐに信じてしまうのである。疲れて冷静さを欠いているのなら猶更だ。
 そして、残されたフィロメーラは満足げな笑顔でユーベルコードを使用し、自らにそっくりの分身を作り出す。
「さあ、ここからが最高にラッキーな時間の始まりだぞー」

 引き返してきた警備員たちが向かったのは、邸内の書斎だった。その奥に頑丈そうな金庫があり、彼らの一人がそれを開ける。
「なんだ、ちゃんとあるじゃないか」
 中に国民の署名の入った書類の束が収められていることを確認し、一同安堵に胸を撫でおろす……が、
「あれ?」
 二度見したときには、その書類が消えていた。

「なるほどなるほど、この国の上級国民って感じの人たちのか。影響力の強い人の署名は別にして、特別厳重に保管してあったんだな」
 隠密能力の高い分身に警備員たちを尾行させ、金庫が空いた瞬間に念動力により一瞬で書類を手元に引き寄せたフィロメーラは、書類を確認しながら既に外を歩いていた。
 邸内では警備員たちが再び大騒ぎで走り回っている喧騒が聞こえるが、彼らは直前に見たフィロメーラの姿ばかりを探している。それでは、あえてここまで使わなかった光学迷彩で姿を消しているフィロメーラを見つけられるはずがないのだ。
「本当にマジメだなー。絶滅しかけたのもこれは納得!」
 他にも書類はあるだろうが、最も重要そうなものは確保し、警備を盛大に混乱させもした。
 十分すぎるほどの戦果を手に、フィロメーラは堂々と帰還するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒柳・朔良
新しい世界は悪い事がいい事とされてる世界か
言っていることがよくわからないが、悪さを見せつければいいのか?
合法的に悪いことが出来るというのはある種考えものだと思うのだが

しかしまあ、それはそれとしてだ
書類を盗み出すためには警備に気づかれないようにしないといけないか
複数に保管されているということだし、選択UCで手数を増やすぞ
影人形達は小さいから見つかりにくいだろう
書類を見つけ出して盗んできてくれ

それにしても社畜というのはUDCアースだけの文化ではなくどこにでもいるのだな
寝ずに働くのは確かに悪いことだが、どこかベクトルが違う気がするのは気のせいだろうか……



●闇に紛れ影人形は踊る
 邸内の警備員たちが侵入者を追って大騒ぎしている最中、別の猟兵もまた動いていた。
(書類は分散して保管しているという話だったな。なら、数に頼ることも必要、か。ここは影人形たちにも手伝ってもらうとしよう)
 物陰に身を潜め機会を伺っていた黒柳・朔良(「影の一族」の末裔・f27206)がそう考えて動き出すと、周囲の陰から小さな人影が多数出現する。その数、86体……彼女のユーベルコードで呼び出された影人形たちだ。
 朔良の意思に従うように、影人形たちは邸内へと散会していく。それぞれが目的の書類を探しに行ったのだ。

(しかし、悪い事がいい事とされてる世界、か。正直言っていることがよくわからないが、悪さを見せつける……合法的に悪いことが出来るというのはある種考えものだと思うのだが……)
 影人形たちの帰りを待ちながら、朔良は思案に耽る。新たに足を踏み入れたこの世界はどうにも不条理で、自身の持つ常識とはかけ離れているように思えた。
(それに、社畜というのはUDCアースだけの文化ではなくどこにでもいるのだな。寝ずに働くのは確かに悪いことだが、どこかベクトルが違う気がするのは気のせいだろうか……)
 物陰から警備員たちの様子を観察していたが、彼らはどうにもロクに休んでいないように見える。これもこの世界の『良い子が真面目に悪いことをしている』という特性の一つの形なのかもしれない。

 そうこうしているうちに影人形たちが戻ってきた。どうやら全員見つかることなく仕事を終えたようで、それなりの数の書類を集めてきてくれた。
(こんな法案を支持するようになるまで働くくらいなら、もっと早くに方針を改めればよかっただろうに……)
 集まった書類を見て複雑な思いを抱きながら、朔良はそれらを回収して脱出する。
 まだ警備員たちは他のことに気を取られて騒いでいる。物陰に潜みながら脱出すれば、見つかることもないだろう。
 影に潜み警備員たちに姿を見せることも無いまま、朔良は任務を終えて帰還した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニャコ・ネネコ
アドリブ合流歓迎/SPD

ふっふっふ
潜入とねこばばなら、
このまっくろで地味でちびなねこ・ニャコにまかせるにゃ!
…あれ?それってほめ言葉じゃないにゃ?
ま、こまかいことはきにしないにゃ!

それにしても、一日じゅう寝てられるなんて天国だにゃ…
しゃちくの国なんて、とってもおそろしすぎるにゃ
いっそ可決された方が…
はっ、いけないいけない
にゃあは誘惑には負けないかしこいねこにゃ!

足音を立てず、こがらな体をいかして
せまいところから潜入にゃ!
もちろん、紙束をくわえても出られるルートも
ちゃーんと事前チェックしとくにゃ!



●ねこばば黒猫に要注意
「これは……マズいですよ……」
 邸内の状況を確認し、警備員たちは顔を見合わせていた。
 重要書類が金庫から消失したのに加え、あちこちに分散して保管していたはずの書類も次々と紛失しているという事態。彼らからすれば失態もいいところである。
「こんなに鮮やかに盗むなんて、なんて悪いやつだ。かっこよすぎだろ」
「俺、これで仕事首になったら怪盗に転職しようかなぁ」
「おいおい、まだ仕事は終わってないぞ。せめて残った書類だけでも守りぬくんだ。幸いにも、執務室の机の書類はまだ手付かずみたいだしな」
「はぁ……今夜も徹夜かぁ……」

 そんな緊張感があるんだかないんだかな会話を、窓のすぐ外で聞いている1匹の猫がいた。
(これがしゃちくの国……おそろしすぎるにゃあ。寝ないで働きつづけるとか絶対に嫌にゃ。むしろニャコは一日じゅう寝てたいから、いっそ可決した方が……はっ、いけないいけない! にゃあは誘惑には負けないかしこいねこにゃ!)
 よぎった考えを振り払うように頭をぶるぶると振り、ニャコ・ネネコ(影色のストレガ・f31510)は窓の外から離れた。
 彼らの言っていた執務室らしき部屋は外から既に見つけているし、ここはその書類を盗んでしまえばいい。ならば、警備員が執務室に張り込みなどを始める前に動き出さなければ。

 足音を可能な限り殺し、猫の小柄な体を活かし、狭い隙間から邸内へと入る。
 外から位置を確認していたので、そこから執務室に辿り着くのは容易だった。問題は、目的の書類が部屋のどこにあるのかだ。
(にゃー、きれいに片付いてるにゃあ)
 机の上に出しっぱなしになっているようなことは無いし、床などに散乱しているわけもない。机の引き出しや書類棚を片っ端から開けるしかないが、警備員がいつ来るかもわからないのであまり悠長にはしていられない。
(けど、なやんでいてもしょうがないにゃ。とりあえず手当たり次第にそれっぽいものを持っていくにゃ)
 そうして、最初に書類棚を漁った。すると幸運なことに、そこに目的の書類らしきものがあるではないか。
(ラッキーだにゃ! これをこのまま持っていくにゃ)
 書類の束をくわえ、窓の鍵を内側から器用に開ける。そしてそのまま外に出るのと、警備員が扉を開けて執務室に入ってくるのはほぼ同時だった。
(ギリギリだったにゃ! 一発で見つかってなかったらアウトだったにゃ……)
 書類が無くなっていることに気付いた警備員の絶叫を背に、ニャコは慌てて逃げだした。

 こうして、国民たちが議員を信じて署名した書類は一夜にして失われた。
 それはそのまま、議員の信用を失墜させることに繋がるだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『ブラックローブ』

POW   :    ダブルブラックローブ
自身の身長の2倍の【巨大ブラックローブ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    コールドハンド
【冷たい手による引っ掻き】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【知恵の布】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
WIZ   :    ブラックアウト
【冷たい手で触れることで驚き】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【黒い知恵の布】から、高命中力の【意識を奪うような冷気】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●議員たちの憂鬱
「なんということでしょう」
 議事堂の中、『起床税』法案に賛同していた議員たちが集まっていた。
 彼らは既に署名入りの書類が大量に紛失したことを知らせで聞いており、皆一様に青ざめた表情をしている。
 ……いや、青ざめているのは元からかもしれない。彼らは『ブラックローブ』というブギーモンスターの一種であり、低い体温と見たものも恐怖を与える素顔が特徴という話だが、この国の様子だと働き過ぎでそうなってしまったようにも思える。
「この法案が通れば休めると思ったのに……」
「そもそも、この国で休もうなんていうのが無理があったのか」
「休んじゃいけない国で休もうなんて、凄いワルが来たと思ったのに……」
「いや、まだだ。信用は失墜しても、我々が支持して議会の過半数を占めることさえできれば可決はできる。世論を納得させるのに苦労はするだろうが、まだ希望は捨ててはいけない」
「そうだ! なんとしてでも可決して、ぐうたらな明日を勝ち取るんだ!」

 なんとか奮い立ってはいるが、彼らは知らなかった。
 集まった議事堂のすぐ外まで、自分たちを『説得』しに来た猟兵たちが迫っていることを……。

 そして、猟兵たちは議事堂へと踏み込んだ。
ニャコ・ネネコ
アドリブ連携歓迎/WIZ

みんな丈夫で、だけど疲れてるにゃ?
そんなみんなをだまらせるには…
にゃ、ひらめいたにゃ!やっぱりこれにゃ!

そう、ぶつりでせっとく!

いや、これってぶつりって言うにゃ?
でも、力のないにゃあがうまくあのひとたちを黙らせるには
やっぱりこの手がいちばんにゃ

みんなー!おいでにゃ!
【ねこのおうこく】で配下のにゃんこやわんこたちを呼び出して
みんなをもふもふのうずに巻き込むにゃ!
そのあと【ねこのもふもふ】の癒しオーラで
ねむらせてあげられればこっちのものにゃ!
のぞむとおり、たっぷり眠らせてあげるにゃ!
ひさびさのきゅうそく、あじわってほしいにゃ。
ゆっくりおやすみにゃ。


フィロメーラ・アステール
「起床税は問題を抱えている!」
一言でいうと!
無自覚なワルが大量発生する!

ワルをする時、ワルやるぞー!って思ってやるだろ?
例えば、うっかり他人にぶつかるのは、迷惑かもしれないけど全然ワルじゃない!
ぶつかってやるぞー!ってぶつかるのがワル!

起床税は起きていると税金を頂く!
でもその把握や回収は大変だ!
大量の未納者が自覚なく生まれてしまう!
そんなの全然ワルくない!

逆に『睡眠税』を導入したら?
「これから寝る! もちろん税金は払わない!」
タダでさえワルな休みがさらにワル!
勇気がいる行い……でも勇気があれば、誰でもワルになれる。
いいと思ったら行動で示そう!

【此方に誘う夜空の存星】で寝たヤツを賛成扱いにする!



●最大の問題点
「起床税は問題を抱えている!」
 議事堂の扉を勢いよく開いて現れたフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は大声で宣言し、議員たちの注目を集めた。
「なんだなんだ!?」
「問題だと!? 一体何が問題だと言うんだ!」
「休みを勝ち取るための我々の法案を妨害するつもりか!」
 口々にそう言ってくる議員たちを見まわし、フィロメーラは語り始める。
「一言でいうと、無自覚なワルが大量発生する! ワルをする時、『ワルやるぞー!』って思ってやるだろ? 例えば、うっかり他人にぶつかるのは、迷惑かもしれないけど全然ワルじゃない! 『ぶつかってやるぞー!』ってぶつかるのがワル!」
 議員たちが、その主張を聞いて顔を見合わせる。
 そう、『起床税』は起きていた時間に応じて税を徴収する法案だ。
 しかし、誰がどれだけの時間起きて活動していたかを把握して回収するのは困難なことで、どうしても把握しきれない者が出てしまうだろう。
 税金を払わない、いわゆる脱税もまた悪事ではある。しかし、そうして把握から漏れ、無自覚のまま行う脱税を悪事と言えるかと問われれば……そうとは言えない気がする。
「けど、だからと言ってこのまま働き続けるのは……」
「だから逆に、『睡眠税』を導入したら?」
 フィロメーラの提案に、議員たちはまたも顔を見合わせる。眠ることに税がかかったりしたら、もっと休むことが困難になるのでは? と。
「これから寝る! もちろん税金は払わない! みんなが働いてるなかで休むっていうワルが、もっと悪いことになる!」
「ああ、確かに! それは凄く悪いことだ!」
 最初から破ることを前提の法案。悪事がイカしている、カッコいいとされるデビルキングワールドならではの提案に、議員たちの一部の心が揺れる。
「けど、それで仕事が回らなくなったら……」
 いかにも社畜らしい反論である。控え目ではあるが、この言葉に同意する議員もこの場には多くいた。
 しかし、フィロメーラは臆さずに主張を続ける。
「うん、それは勇気がいる行い……でも勇気があれば、誰でもワルになれる。いいと思ったら行動で示そう!」
 宣言すると同時に、フィロメーラを中心に闇が展開される。
「な、なんだこれは!? うっ……眠気が……」
 闇に包まれた議員が一人倒れた。やがて安らかな寝息が聞こえはじめ、この闇に包まれたことで心身ともに癒されていることが見てうかがえる。
 それを魅力的と考え迷い立ち止まる議員と、危険と考え距離をとる議員。議事堂内の議員たちの心は割れようとしていた。

「こういうことなら、にゃあも得意だにゃ!」
 そんなタイミングで議事堂に新たに飛び込んできたのは、猫の群れを引き連れたニャコ・ネネコ(影色のストレガ・f31510)だ。
「な、なんだ!? 猫!?」
「ゆっくりおやすみ、にゃ!」
 ニャコ自身も含めた猫たちは混乱した議員たちに飛びつき、もふもふオーラ全開で彼らを虜にしていく。
 議員たちは冷え切った手で抵抗を試みるも、猫たちのもふもふな温もりを覆すことはできない。
「あ、ダメ……」
「にゃんこ……もふもふ……すやぁ……」
 猫に群がられた議員たちが崩れ落ち、実に幸せそうな様子の寝息をたてはじめる。
「疲れてるときはねむるのがいちばんにゃ! これぞ、ぶつりでせっとく!」
 微妙に物理とは違うような……というツッコミを入れる気力も、議員たちにはもう残っていなかった。
 単純な殴り合いならば、ブラック労働で鍛えたタフさで乗り越えることもできたかもしれない。
 だが、疲れ切って休みを求めていた彼らは、その欲求こそが弱点となっていた。
 抗いようのない癒しオーラと眠気に、次第に意識を手放していく。

「寝たヤツは賛成扱いにする! さあ、ゆっくりお休み」
「ひさびさのきゅうそく、たっぷりあじわってほしいにゃ!」
 二人がそう宣言する中、議員たちは次々と眠りに落ちていった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒柳・朔良
休み=寝るという発想がもう、働きすぎて頭が回っていない証拠のような気がするが、私の思い違いだろうか
確かに睡眠は大切だし、休みのときにはぐっすりと寝たいという気持ちもわからなくはないのだが

話し合いで解決……は無理そうだな
選択UCで影人形達をブラックローブ達にけしかけることにするか
確かこの国の悪魔たちはオブリビオン並みの力を持っているんだったな
それに多少荒っぽくしても平気だとも聞いたから、問題はないだろう

それにしても、『起きてはいけない』という法律を作ってしまったら逆に起きて仕事をする者が出てこないだろうか
悪いことを率先してやろうとするならば、法律違反なんてその最たるものだと思うぞ



●『影』は語らず
 眠りの誘惑に負ける議員が続出する中、頑なにそれを拒む議員も存在していた。
「一度支持した法案を撤回するなどできるものか!」
「そうだ! 我々の全員がそんな誘惑に屈すると思うな!」
 自身の身長の2倍ほどもある巨大な分身を召喚して、彼らは臨戦態勢を整える。
 ……この頑固さ故に、彼らはより一層過労の道へと突き進んでしまったのだろう。彼らは冷静に状況を分析することも、自分たちの言動を見つめなおすこともできず、ただひたすらに突き進むことを良しとしてしまっているようだった。
(働き過ぎで既に頭が回らず思考停止してるな……こいつらに関しては、話し合いでの解決は無理そうだ)
 議事堂内の物陰に身を潜めて様子を伺っていた黒柳・朔良(「影の一族」の末裔・f27206)は、そんな彼らを冷ややかに見ていた。
 彼らはきっと、法案が可決したところで働き続けるだろう。朔良の目には、彼らは文句を言い休みたいと言いながら、法を破ってまで働き続けることを美徳としているようにさえ見えた。
(悪いことを率先してやろうとするならば、法律違反なんてその最たるものだからな)
 あくまで自分の主観であり思い違いかもしれないが、そう間違ってもいないだろうと思えるだけのものが彼らにはあった。
 この国の住人はオブリビオン並みの力を持つというし、荒っぽくしても問題ないとも聞いている。話し合いでの解決が望めない以上は……、
「さあ、狩りの時間だ」
 静かに、誰かに聞かせるでもなくそう呟く。それが合図となって、『影』は動き出した。
「我々は絶対に屈しないぞ! たとえ最後のっ……!」
 声高に主張していた議員の一人が、唐突にその主張を途切れさせて倒れた。そして倒れた議員の背後には影が……影の一族が扱う影人形が立っていた。
 そして、影は1体だけではない。机や椅子、柱、そして作り出された分身たちの影から次々と沸き、議員たちへと襲い掛かる。
 主である朔良の能力に伴った暗殺の技術を持つ影人形たちに、巨大であっても主の議員が思考停止してしまっている分身は大した意味をなさず、逆に視界を遮る障害物になっているような有様だ。

(せいぜいゆっくりと休め。目が覚める頃には、もう終わっているだろうからな)
 意識を奪うのを優先し、殺害を目的とした攻撃ではない。話に聞いた通りのタフさならば致命傷にはならないだろう。
 朔良はただ冷ややかに、頑なな議員たちに強制的な『休み』を与えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイトメア・ブラックローズ
毎日がお休みっていうのはロマンあるよね
うんうん、ボクもよくわかるよ
でも、みんなが働いてる中で自分だけぐーたら寝てるのがさいっこーに悪いわけで、みんなで同じことやったら悪いことにはならないんじゃないかな
え、そういうことじゃない?違うの?

うーん、とりあえずみんな頭回ってないみたいだから一回ちゃんと寝ないとね!
選択UCで幸せな夢の中へごあんなーい♪
眠りに抗おうなんて思わずに眠っちゃいなよ
幸せな悪夢の中でゆっくりとおやすみなさい

起床税が本当に必要かどうかはみんなが起きてからまた考えればいいんじゃないかな?
睡眠が足りてないと効率も悪くなるって聞くし、今の状態で話し合うより全然いいと思うんだ



●過剰労働者に安らかな眠りを
 議事堂内の大勢は決しつつあった。
 既に議員たちの大半は倒れており、残る者たちも最初ほどの戦意は――最初から半ばヤケクソだったので戦意と言えるのか怪しいが――失われつつある。
 それは猟兵たちの多くが彼らを「倒す」のではなく「眠らせる」という選択をした結果でもあった。直接的に傷つけるような手段であれば、過剰労働で鍛えた精神力でもっと粘ることもできただろう。しかしそれによって極限とも言える精神状態であったが故い眠りへの誘いには抗いがたく、こうして大半が床に転がることとなっていた。
 そして、ナイトメア・ブラックローズ(黒薔薇の悪夢・f31437)も彼らを眠りへと誘おうとする猟兵の一人だった。
「ほらほら、残っているみんなも無理しないで寝ちゃいなよ。夢の世界へごあんなーい♪ ってね」
 彼の言葉と共に白い花吹雪が舞い、未だ抗っている議員たちを眠りへと誘う。
「まだ……だ。我々は、起床税を可決させねば……ならんのだ……!」
 しかしそれを受けてなお、何人かの議員は立っている。そのことに、ナイトメアは驚いた。
「もう頭も回ってないでしょ? そんなんなら眠りに抗おうなんて思わずに眠っちゃえばいいのに」
「我々にも意地があるのだ。一度支持した法案を、そう簡単にあきらめるなどできるものか!」
 叫び、満身創痍ながらもナイトメアに掴みかかる議員。その手が掠めた際に冷たさを感じると同時に、彼のローブから冷気が放たれる。
「おっと! ……やれやれ、起床税が本当に必要かどうかはみんなが起きてからまた考えればいいんじゃないかな? 睡眠が足りてないと効率も悪くなるって聞くし、今の状態で話し合うより全然いいと思うんだ」
 僅かに宙に浮きながら距離を取ることでそれを回避し、ナイトメアは更に花吹雪の量を増やす。
 それが、議員の限界だったのだろう。彼も他の者たちと同じように倒れ、安らかな寝息を立て始めた。
「毎日がお休みっていうのはロマンあるよね。うんうん、ボクもよくわかるよ。でも、みんなが働いてる中で自分だけぐーたら寝てるのがさいっこーに悪いわけで、みんなで同じことやったら悪いことにはならないんじゃないかな」
 既に聞こえてはいないだろう議員に、ナイトメアは語りかける。まるで子守唄でも歌うかのように。
「本当にイカした悪いことをするってどういうことなのか……それも起きてからよく考えるといいよ。だから今は幸せな悪夢の中で、ゆっくりとおやすみなさい」

 こうして、『起床税』を支持する議員たちはその全員が眠りへと落ちた。
 これで法案が可決することはなくなり、オブリビオンの企みは挫かれただろう。
 ……あとは、最後の仕上げを残すのみだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『夢魔エンプーサ』

POW   :    妖艶なる拷問具
【夢魔の魔力】を籠めた【拷問具】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【魂】のみを攻撃する。
SPD   :    秘めたる欲望の問いかけ
質問と共に【対象を拘束する拷問具】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ   :    覚めない夢への誘い
【夢魔の魔力】から、対象の【現実を忘れたい】という願いを叶える【拷問具】を創造する。[拷問具]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●許されざる逃亡
「くそ、くそっ、くそっ! 何なのよ! 一体どうなっているっていうの!?」
 国外へと続く道を走るローブ姿の人影。口から悪態を漏らしながら、それは逃げていた。
 この国で施行されるはずだった『起床税』は否決された。それどころか『睡眠税』などというものが可決され、挙句の果てに思考停止していたはずの議員たちが自分たちで悪事とは何たるかを考えるようになり、法を破る者も増えてきている。
 こうなっては自分にとって都合がいいように管理するのは困難だろう。『起床税』法案を推し進めたオブリビオンであるそれはこの国に対し見切りをつけ、新たに都合のいい国を探すべく国外逃亡を図っていた。

 ……しかし、その前に立ちふさがる者たちがいる。それに気づき、逃亡者も足を止めた。
「……逃がさないってわけね。ああ、そう。あんたたちが、私の計画を滅茶苦茶にしてくれたってわけ」
 その声音に含まれるは恐れでも、絶望でもなく……怒りだった。
「はは……上等じゃない! この国から逃げる前に、邪魔をしてくれたあんたたちを血祭りにあげてやるわ!」
 羽織っていたローブを脱ぎ捨て、逃亡者――オブリビオン『夢魔エンプーサ』はその姿を猟兵たちへと晒し吠えた。

 それに対し、待ち伏せに参加していた猟兵たちもそれぞれ戦闘態勢を取って相対する。
 このオブリビオンを仕留め、騒動に終止符を打つために……。
フィロメーラ・アステール
「この国の未来は、この国のみんなが決めればいい」
あたし達はきっかけを作っただけ!
なーんて、全てはこの戦いのための前フリ!

国がどうなろうと後はお任せよ!
なんと無責任なワル……(でも今後にちょっと配慮の優しさ)

この国を悪夢から覚ますため、真の悪党にはおやすみしてもらう!
【おわりを印す天の客星】を発動!
終焉の星の光によって、強化されるもの・作られたものを無力化!
つまり夢魔の魔力で創造される拷問具に対抗したり、手持ちの拷問具に魔力が籠められるのを妨害したりしよう!
完全阻止できずとも弱められる予定!

【オーラ防御】バリアも併せ、自分を守ったり仲間を支援する!
現実を忘れたい? って既にあたし記憶がなかった!



●始まりのための終わり
「この国の未来は、この国のみんなが決めればいい! その為に、悪夢をばら撒く真の悪党にはおやすみしてもらう!」
 夢魔エンプーサの気迫に怯むことなく、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)はそう宣言した。
 自分たちはきっかけを作っただけ。あとのことは国に生きる人々に丸投げすればいい。
 この無責任さもワルの形の一つであり、しかしながらそこには今後のことへ配慮する優しさも含まれていた。
 この戦いはその集大成。全てはこの戦いのための前フリだったとも言えるだろう。
 だからこそ、負けるわけにはいかない。ここで確実に、黒幕であるオブリビオンを討たなければいけないのだ。

「はっ! おやすみするのはあんたの方よ!」
 そんなフィロメーラを鼻で笑い、夢魔エンプーサは己の魔力で拷問具を創造する。
「あんただって、現実を忘れたくなることがあるでしょう? 生きていれば、辛いことなんていくらでもあるものね」
「ざーんねん! あたしは既に記憶喪失よ!」
 夢魔の能力に嵌めようとして放たれた言葉を、フィロメーラはあっさりと否定する。それと同時に、反撃とばかりに終焉を告げる星の霊を召喚。その閃光にて夢魔エンプーサを照らした。
「なっ……! 私の拷問具が!?」
「ふふん♪ お前の拷問具もおやすみしたかったみたいだね」
 夢魔エンプーサの拷問具が、力を失って崩れ落ちる。星の告げる沈静――自然と訪れる終焉の力の前に、役目を終えたかのように朽ち果ててしまったのだ。
 それに対し夢魔エンプーサは忌々し気に舌打ちをすると、閃光から逃れるべく距離をとる。
 この閃光の中では拷問具を召喚しても無力化されてしまう。その上、フィロメーラはオーラ防御を展開しているのだ。このまま戦えば一方的に消耗するだけだろうことを察し、夢魔エンプーサは攻撃の手を止めるしかなかった。

 開幕と同時に吠えたオブリビオンは、初手からその勢いを挫かれる形となった。
 この調子で追い詰めれば、間もなく悪夢に終止符が打たれるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イチカ・アルバート
ワル……ワルか。正直あまり良く分からないんだよな。
ワルが良く分からないのにワルぶるのもワル、ということでいいか?
正直そんなんでいいのか分からんが……
ともかく敵は拷問具を使ってくるようだから、
それが当たらないよう距離を取って戦おう。



●砲で示すワル
(ワル……か。正直あまりよくわからないんだよな)
 猟兵たちから距離をとろうとする夢魔エンプーサを遠くに眺め、イチカ・アルバート(甦りのメガリスボーグ・f26290)は静かに思案していた。
 この世界のワルには様々な形があるようだ。ならば、ワルのなんたるかをわかっていない自分がワルぶることもワルだと、そういう形もありなのか。
 哲学じみた思考をしながら、イチカはふうと溜息を一つついて腕を上げる。
 そして、思考と状況を切り離し、冷静に確実に、ビームキャノンの銃口を夢魔エンプーサへと向けた。
(あの拷問具は厄介そうだからな。“ワルい”がこのまま、この距離からやらせてもらう!)

 その光芒は、まずは夢魔エンプーサの逃げようとした先の地面を抉った。
「っ!? 狙撃!? いったいどこから!」
 急ぎ周囲を見回し射手を探そうとする夢魔エンプーサだが、そんな余裕は与えないとばかりに次の攻撃が来る。
 地面を転げまわるようにして何とか逃げるが、誘導弾となったビームは確実に獲物を追い詰める。
「くっそ! 一体どれだけ遠くから撃ってるっていうのよ!」
 夢魔エンプーサからは、その姿は確認できない。重武装モードとなることで射程と攻撃力を強化したイチカの砲撃は、それだけの距離から一方的に攻撃するに十分な性能があった。
 自慢の拷問具も、相手を視認すらできない状態では使えない。ただ、攻撃から身を守る盾代わりに使うのが精一杯な有様だ。
(案外粘るが、焦ることはない。このまま消耗させれば、いずれ終わるだろう)
 イチカはただ静かに、ひたすらに砲撃にて語る。
 これが、自分なりのワルであると……。

成功 🔵​🔵​🔴​

城田・紗希
眠り続けるなんて体に悪いことを強要するなんて!
…間違えた、仮眠を強要してその隙に盗むなんて!なんて悪いことを!

とりあえず飛んでくる拘束具?拷問具?は、未来予知してホームラン並みに弾き飛ばすよ!
最悪拘束されても、正直に答えるよ!
「悪いことは悪いよ!」
「私は悪魔じゃないから悪いことに惹かれないよ!」
「カンニングはダメだよ、やったら補修が増えるし!!」
「テストは…平均点は取れてマスヨ?」



●問答以前の問題
 次第に追い込まれていく夢魔エンプーサに、更に新たな猟兵が襲い掛かる。
「眠り続けるなんて体に悪いことを強要するなんて! ……間違えた、仮眠を強要してその隙に盗むなんて! なんて悪いことを!」
「……それ、言い直す必要あった?」
「と、とにかく! 悪いことは悪いよ!」
 夢魔エンプーサが思わず沸いた疑問を口にしたことで、問われた城田・紗希(人間の探索者・f01927)は少し慌てながら答える。
「ふぅん? けど、あなただって昼間から寝ていたいこともあるでしょう? 授業中に眠くなったことは? 朝、もうあと10分寝ていたいと思ったことは?」
 夢魔エンプーサはそう問いながら、拷問具を召喚して紗季へと飛ばす。それは捉えた相手に質問への回答を強要するモノだったが……
「そんなの、当たり前でしょ! だから何よ!」
 答えながら、紗季は10秒先の未来を見据えたかのように拷問具の軌道を的確にとらえ、刀の鞘で弾き飛ばす。
 ホームランのように遠くへ飛ばすつもりで振りぬいたのだが、当たる位置が微妙にズレたのか……飛ばされた拷問具はピッチャー返しのように夢魔エンプーサへと戻っていき……
「へ? ちょ……」
 ガシャン……と音がして、夢魔エンプーサは自ら放った拷問具に全身を囚われることとなった。
「嘘ぉ!? ちょ……これは、マズいっ……」
 慌てる夢魔エンプーサ。まさか自分が問いに答えなければいけなくなるとは思っておらず、咄嗟に答えを返すことができない。
 答えられないことで、拷問具はキリキリと夢魔エンプーサの全身を締め付ける。やがてその体に拷問具が食い込み、音はギチギチという肉を引き千切るような音へと変わっていく。
「あ……が……あぁぁぁぁーーーーーー!!!!!」
 後から答えようと思っても、痛みによる絶叫で忙しくて答えるどころではない。
 自らが答えられもしない問いを他者に問いかけた、その結果がこれである。
 その様子を見た紗季も「捕まってたら私もああなってたんだ。怖っ……」とドン引きしている有様だ。

 激痛の中でもなんとか答えを出して解放される頃には、夢魔エンプーサはかなりのダメージを負っていた。
 ちなみに、このオブリビオンも議会中にちょくちょく居眠りをしていたらしい。
 皆が寝ずに働いている国で議員が議会中に居眠りをするという大問題を露呈させられ、心身ともにズタボロとなった夢魔エンプーサであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイトメア・ブラックローズ
起床税だなんて、すっごく「悪い」こと考えるよねー?
悪魔もずっと寝ていられないから、自然と徴税できちゃうんだもん
でもこれって誰がいつ起きてるかわからないんじゃ意味ないんじゃないかな

って、キミも夢を操るんだってね?
じゃあキミの「夢」とボクの「悪夢」、どっちが強いか試してみようよ♪

(選択UC使用、真の姿へ)
肉体を傷つけずに魂だけを攻撃するって、なかなかいい技だね
でもキミのその攻撃は私に通用するかな?
魂が傷つけられたとしても、負傷には変わりない
何度も再生と変身を繰り返して、「悪夢」を開放していこうか
同族に近い夢魔にコレを使うのは初めてだね
さあ、キミはどんな甘美な「悪夢」を私に魅せてくれるのかな?



●そして夢魔は悪夢に消えた
「起床税だなんて、すっごく『悪い』ことを考えるよねー? 悪魔もずっと寝ていられないから、自然と徴税できちゃうんだもん」
 そう問いかける飄々とした声に、夢魔エンプーサは振り返った。
 そこにいたのは少女と見紛うような容姿の少年――ナイトメア・ブラックローズ(黒薔薇の悪夢・f31437)だ。彼は笑みを浮かべたまま、言葉を続ける。
「でもこれって誰がいつ起きてるかわからないんじゃ意味ないんじゃないかな。その辺もちゃんと考えてあったりするの?」
「……ええ。だって、私ならそんなものは把握できるもの」
「ああ、キミも夢を操るんだってね? なるほど、それなら起きているか眠っているかの判断は簡単にできちゃうか」
「キミ『も』? もしかして、あなた……」
 相対する夢魔エンプーサに、ナイトメアは笑みを好戦的なモノへと変える。
「ねえ、キミの『夢』とボクの『悪夢』、どっちが強いか試してみようよ♪」
 そして、彼は真の姿へと変貌していく。可愛らしい少年の姿から、端麗な容姿を持つ美青年――かつて『黒薔薇の悪夢』と呼ばれた、強大な魔女の姿へ。
「我が名はナイトメア・ブラックローズ。黒薔薇の悪夢と呼ばれし魔女なり」
 名乗り上げ、圧倒的な魔力を開放するナイトメア。夢魔エンプーサはその威圧感に気圧され後ずさりながらも、拷問具を構える。
「くっ……どれだけ魔力が強くても、これなら!」
 夢魔エンプーサの拷問具による一撃が、ナイトメアを襲う。しかしナイトメアはこれを避けようとすらせず、平然と受け入れた。そのことに、夢魔エンプーサは驚愕する。
「なっ……」
「はは、肉体を傷つけずに魂だけを攻撃するなんて良い技じゃないか。けど、それでも私には通用しないよ」
 確かにダメージを与えたはず。夢魔エンプーサにはその手ごたえがあった。
 しかしどういうことだろうか? 目の前の男はそんなダメージなど無いかのように平然としているではないか。
「くそっ! くそ、くそっ、くそっ!」
 自身が感じた手ごたえが夢であったかのような感覚に怖気を覚え、夢魔エンプーサはがむしゃらに攻撃を続けた。しかし、ナイトメアは何度攻撃を受けようと平然としている。
 どんな攻撃も通用しない、終わりの見えない悪夢。そして気がつけば、拷問具を持つ手に力が入らなくなっていた。
「ああ、もう終わりかい? 同族に近い夢魔にこれを使うのは初めてだったけど、意外とあっけなかったね」
「あ……」
 夢魔エンプーサは、もう答えることもできない。
 悪夢の中で生命力を吸われており、立つこともままならなくなっていく。
「もう少し甘美な『悪夢』を魅せてくれるかと思ったけど、まぁこんなものか。ごちそうさま」
 やがて消滅を始めた夢魔エンプーサに興味を失くし、ナイトメアは戦場から立ち去った。

 眠りによってこの国を蝕もうとしたオブリビオンは悪夢へ消え、猟兵たちの仕事は終了した。
 彼らが与えた影響が今後この国をどう動かすのか……それはまた、別の話となる。
 今はただ、邪悪なオブリビオンの野望が潰えたことを喜ぼう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月26日


挿絵イラスト