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絶対に笑わせなければならないカクリヨファンタズム

#カクリヨファンタズム #参加したらネタ枠 #ネタ依頼 #爆発オチなんてサイテー #ネタぢからが足りない! #最終兵器激辛香辛料

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「皆様、お集まりいただきありがとうございます」
 猟兵達を呼び集めた大神・狼煙(コーヒー味・f06108)は遠い目をしながら、カクリヨファンタズムのとある地域を示した。
「オブリビオンが原因で、妖怪達が笑いを競い合い始めておりまして……放っておくと、なんやかんやで世界が滅びます」
 何がどうしてそうなった?猟兵達は誰もがそうツッコミしたかったのだが、当の狼煙の目が死んでいるのだ。予知の段階で相当酷いものがかかったのだろう。
「何にせよ、話を聞かない事には前に進めません。しかし、妖怪達はお笑いに夢中で、話しかけたところでまともな会話になりません。そのため、まずは妖怪達を黙らせる為に、思いっきり笑わせる必要があります」
 笑い過ぎて、一周回って冷静になるアレだよ、アレ。分からん?理解しようとするんじゃない、感じとるんだ……。
「皆さんのネタぢからが問われます。シリアスは跡形もなく粉砕されると思ってください。むしろ、とことんぶっ壊れていかないと、今回の黒幕との戦闘でワンサイドゲームになりますかりね?」
 カッコ良さを投げ捨てて、どこまでバカになれるかが勝利の鍵だぞ!むしろ真正面から行ったら相手にならないんじゃないかな……。
「それでは皆様ご武運を。ネタ堕ちしたお姿を楽しみにしてお待ちしておりますね」
 実に爽やかな笑顔を浮かべて胡散臭い眼鏡が送り出す。君達は無事ネタ堕ちして五体満足に帰ってきてもいいし、頑なにシリアスを通して無惨な末路を辿ってもいい。


久澄零太
ひゃっはー!ネタ堕ちシナリオだぁ!!

参加したが最期、あなたのシリアスは爆散します

構わん、キャラ崩壊させたまえ。という方のみ参加をご検討ください

初回執筆は18日の予定!17日の深夜までにプレくれると嬉しいな!!
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第1章 冒険 『目指せ大爆笑!?妖怪達のお笑いバトル!』

POW   :    向こうが笑わせようってんならこっちも笑わせるしかねぇ!とっておきのギャグをお見舞いするぞ!!

SPD   :    笑いを取りにくる相手に必要なものはただ一つ。天あれば地があるように、ボケあるが故のツッコミだ……!

WIZ   :    ここは楽しまなければ損。大音声で笑い、満足させたり周りの声を掻き消せばいいんじゃないかな!?

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
成程、難しい状況ですねぇ。
何とか頑張ってみましょうかぁ。

まず『衣装セット』から『ホルスタインビキニ』と『デフォルメされた乳牛の着ぐるみ』を取出し着用、『ビキニ姿で着ぐるみに入った状態』になりますねぇ。
勿論、全ての言葉は「もぉ」に変換されますぅ。

そして【豊饒宿霊】を使用、[パフォーマンス]を指定しコミュニケーション用の『プラカード』を持って歩き回りましょう。
後は『某球団マスコットの、ペンギンの様なつばめさん』の動きを参考にして色々と傍若無人に振舞い『外見とのギャップと動作』による笑いを狙いますぅ。
場合により『着ぐるみ』を脱ぎ『中とのギャップ』を利用しても?


ノイン・フィーバー
ここは私ガ本気をだすべきステージ……(キリッ)
判定的にはSPD

行動:正統派に漫才で攻める。ノインがボケでユーベルコードの『彼女』がツッコミ。

基本的にはノインがしょうもない手品ボケをします。
蜜柑が浮いたと思ったらよこから見たら指刺さってるよとか、耳が大きくなったりとか、そっち系です。

そこに『彼女』から「な゛ん゛て゛ゃ゛ね゛ぇ゛ん゛ッッッ!!」と全力の腰の入った攻撃のツッコミをして貰います。
ノインは割れて砕けてゴミのように転がるが、起き上がって「本気やないか!」とぺしっと軽く返して一区切り。

これを 繰 り 返 し ま す。

しっかり「ありがとうございました」で引っ込むまでが漫才。
その後、幕外で倒れる


セプテンバー・トリル
好き放題に工事をして良い依頼と聞いて参りましたわ!
…え?違う?がっかりー。

【WIZ】連携・アドリブ歓迎
笑わせるとか私にはよく分かりませんので、今回は皆さんのサポートに回りますわ。
要は誰かが爆笑させればいいのでしょう?
という訳でUC【下請け要請】で人手を集めて、特設ステージをあっという間に建造しましょう!

水やタライの落下装置はもちろんボッシュート穴も完備してますわ。
『爆発オチと屋台崩しはお笑いの華じゃ!』という義姉様のアドバイスに従って自爆装置もありますし。
ええ、どんな展開でも最後は爆発します。させます。
花火と燃料誘爆とテルミット反応の輝きで凄くド派手にいきますわよー。
ポチっとな♪


純・あやめ
あれ?お笑い大会の警備のつもりで来たんだけど…
『どうして私たちまで参加する流れになってるのかしら?ちょっと担当官!説明しなさいよ、説明!』
まぁまぁ、【カキツバタ】…こうなっちゃったのは仕方ないから、ちょっと実体化(真の姿参照)して皆を笑わせてきてよ
『ちょっと?!勝手にUCで実体化させないで!というか、あんたがやりなさいよ!』
えー、わたしはお巡りさんだから無理だって
【カキツバタ】ならなんだかお色気バニーさんっぽいから、芸人に見えなくもないしー
『悪魔をつかまえてバニー言うなぁ!このあっぱかぱー!』
…およ?もう笑ってる人たちがいるよー?
わたしたち何もしてないのに不思議だねー
『…もうかえりたい』


満月・双葉
纏めてネタ爆撃してやんよぉ!
おまかせプレ
好きにおでんにするがよろしい
キャラ崩壊?知らねぇのですオラァン

まずは餅を焼き
醤油をかけて大根おろしを添えてお客様にご提供
熱い?知らん
笑・即・食!
その後
大根を地面にポコポコ生やし
面白いのを草生えるって言うんでしょう?
様々な誤解を元に自然なボケをかましていく
カエルのマスコットさんがフリップで一生懸命突っ込むも過労死
他の猟兵にあとをたくし、カエルのマスコットさんは双葉のアホ毛に絡まっておくなどする
爆発オチなんてサイテー!


四季乃・瑠璃
緋瑪「わたし達みたいなシリアスキャラには厳しい依頼だね、瑠璃」
瑠璃「真面目キャラだからね、私達」
緋瑪「きっと創造者(メタ)も嘆いてるよ」

(地の文へのカンペ『シリアスとネタで温度差激しい両刀枠です』)

緋瑪「笑わせるってどうする?」
瑠璃「往年のお笑いみたいに大仕掛けのコントとか?この世界ってブームが去ったモノが流れ着くトコだし、一昔前のお笑いは良いんじゃない?」
緋瑪「爆発オチは鉄板だよね♪」
瑠璃「オチ担当は?」
緋瑪「【虐殺庭園】で地の文引っ張って来ようか?」
瑠璃「この手の依頼でアレ使うと大抵ロクな目に会わない気が…」
緋瑪「あ、逃げた!」(爆発物投げて追っかける愉快なサ○エさん状態)

イロイロお任せ


ルドルフ・エルランゲン
お笑いグランプリinカクリヨ!!
って事でね、始まってしまいました、お笑い決定戦!、進行は私ルドルフにてお送りさせていただきます!
ハイ、よろしくです。ありがとうございます、ありがとうございます。
あ、客席から今あめちゃんの差し入れをいただきました、ありがとうございます!、いやーこんなんなんぼあっても困りませんからねー

※そんな感じで司会進行役とか手が足らなかったらツッコミ役とかネタの膨らませ役とか好きに使って。

そうだ、これ録画しといてキマイラ行ったら動画流して視聴率稼ごっと


黒木・摩那
私は普通人枠で、どちらかというとツッコミだから、お色気担当でもボケでもないの。
妖怪たちを爆笑させるなんて、いったいどうすればいいの!
これはくすぐり攻撃でごまかすか?
でも、肉体は笑わせても、今回は心から笑わないと、また振り出しに戻ってやり直しになりそうだし。

ヨーヨーで犬の散歩できます。ほーら、犬が歩いてますよ……

こんなのではダメですね。


ここはメガネ芸でいきます。
必至に妖怪さんに話を聞いてもらおうとした拍子に、メガネを落として、メガネメガネと拾う。
でも、そのメガネはへんてこメガネで大目玉に。
さらにメガネが点滅してから、大爆発!
すべてを灰にすればいいのよ!


テティス・ウルカヌス
「お笑いですね!
ふっふっふー、それでしたら天才美少女アイドルのテティスちゃんにお任せくださいっ!
抱腹八倒の渾身のお笑いを見せてあげましょう!」

今の時代、アイドルもお笑いくらいできないといけません。
それに、アイドルのお仕事はファンの皆さんを笑顔にすることですからね!

「というわけで、今日は私のお笑いライブに集まってくれてありがとうございます!」

っていうか、なんか今日のお客さんは仮装してる人たちが多いですね?
やですねー、皆さんで『今日はハロウィンだー』っていうギャグですか?

「ということは、ここはアイドルとして、きちんと皆さんのボケにツッコミをいれないとですね!
ハロウィンはとっくに終わってますよ!」


涼風・穹
……妖怪達はもう箸が転がっても笑うような状態なら放っておいてもそのうちに笑い疲れるというか正気に戻るようにも思えるけど…
……それ以前にこんなにネタ力(ぢから)に溢れた方々が揃っているのに俺の出る幕があるとも思えないんだけど…

まあ仕方が無いので道具に頼ります
お面を装着して登場してお面を外してみると鼻メガネを着けていたという定番(?)をやってみます

取り合えず渾身のギャグをかまします
布団が吹っ飛んだ
猫が寝ころんだ
餅を持ち上げた
因みに心の師はダ・サイダーですが?

そしてまあやっぱりおっぱいダイブを敢行
成功するまで何度でも試します
俺のネタといえばこれだと前世から決まっているような気がしますが何か問題でも?



 ここはカクリヨファンタズム……悪い意味で笑いが絶えない空間と化したここへ、猟兵達が現れたその目的は……。
「好き放題に工事をして良い依頼と聞いて参りましたわ!」
 そうそう違法建築を乱立させるため……んなわけねーだろ!?セプテンバー・トリル(ゼネコンのお姫様・f16535)てめーどっから情報仕入れてきた!?絶対騙されてるぞ!?
「……え?違う?がっかりー」
 あからさまに肩を落とすな、部隊の士気に……いや、ここに来るような連中にそんなもん関係ないな。
「笑わせるとか私にはよく分かりませんので、今回は皆さんのサポートに回りますわ。要は誰かが爆笑させればいいのでしょう?」
 こいつ、仕事を放棄するつもりだぞ!?
「放棄ではありません……これは役割分担というものですわ!!」
 もっともらしい理由をつけて職務怠慢(ネタ堕ち拒否)を敢行するセプテンバー。彼女はどこまでネタに染まらずにいられるのか……手遅れ?それもそうねッ!!
「総員、集合!」
 ピーッ!ホイッスルを鳴らして作業員を召喚(魔術的なあれじゃなくて、本当に呼び集めるだけ)したセプテンバー。どこからともなくホワイトボードを引っ張りだした彼女は素早く設計図を描き。
「本日の業務は即席ステージの設置ですわ!他の猟兵の皆様をお待たせしないよう、速攻で片付けますわよ!!」
『うっわ、またブラックな……』
「なんなんですのその反応は!?」
 いやまぁ、冷静に考えてみて欲しいんだ。本来建築業務って数日がかりでやるやろ?それを猟兵の依頼現場でやるってなると、一時間もかけられないどころか、下手すりゃ十分以内に片付けなきゃならない。そりゃーUC作業員の皆さまだって、冷たい眼差しを向けたくなるというもの。
「つべこべ言わずにさっさと働く!楽しい設営のお時間ですわよ!!」
 というわけで待つこと八分四十七秒、本当に設営しやがったよこの建築馬鹿。
「お笑いグランプリinカクリヨ!!って事でね、始まってしまいました、お笑い決定戦!進行は私ルドルフにてお送りさせていただきます!」
 とまぁ、本人がノリノリなんで、ここから先はルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)の司会進行でお送りします。何かあっても俺は悪くない、奴のMC技能の問題なんだ!
「どこからともなく盛大な責任転嫁をされた気もしますが、細かい事は気にせずちゃきちゃき進めましょう!ハイ、よろしくです。ありがとうございます、ありがとうございます。あ、客席から今あめちゃんの差し入れをいただきました、ありがとうございます!いやーこんなんなんぼあっても困りませんからねー」
 などともらった黒糖の塊をバリムシャしつつ。
「待って、私のプレほとんど消費されたんだけど、この後どうなるの?」
 よーしグランプリ始めちゃうぞー。
「ちょっと!そこスルーしないでくださいよ!この手の依頼って大体このポジションに納まる奴ロクな目に遭わないんでしょう!?ねぇ!?」


【エントリーナンバー壱 中の人、外の人】

「ここは私ガ本気をだすべきステージ……」
 ピッカピカに磨かれて、角がキラッとするノイン・フィーバー(テレビ顔のメカ野郎・f03434)。ものすごくわかりにくいが、彼は旧式テレビのヤドリガミでもなければテレビウムでもない、ヒーローマスク。頭部パーツのテレビが本体なウォーマシンめいたサムシングなのである。なんでそんな奴がこんな芸名で来たかっていうと。
「普段はピンで活動する私ですガ、今回は相方を連れてきましタ」
 が、ステージ上にはノイン一人。何事か、と集まってきた妖怪達も周りを見回していると。
「あ、来ましタ」
 パッとノインの顔に井戸が映る。仄暗い森に佇む古井戸から、ヒタ……ヒタ……裸足で歩く音が響き始めて……。
「というわけで私の相方、中の人デス!」
 ステージの端っこから白いワンピースに身を包み、長すぎる黒髪で顔を隠した少女が……。
『って、普通に出てくるんかい!!』
 客席からの総ツッコミをもらいながらノインの画面がプツン。真っ黒になった画面に顔を浮かべて。
「ミスターフィーバーのコメディマジックショー!!」
 両手を挙げてアピールするノインの傍ら、小さく拍手をする少女。このテンションの違いに不穏な気配しかしないが不安はさておき。
「まずは分かりやすく、浮遊マジックカラ……」
 と、みかんを両手で包んでいたノインが空中で手を広げるが、みかんは滞空したまま。磁力で留められているように微動だにしない……。
「フフフ実はですネ……」
 関心を向けて固まっている妖怪達へ、ノインが手首を返すと。
「指が刺さってるだけなんですよネ」
「な゛ん゛て゛ゃ゛ね゛ぇ゛ん゛ッッッ!!」
 ドンガラガッシャン!!……お分かりいただけただろうか?ノインがタネを明かした瞬間、少女から凄まじい速度の裏拳が突き刺さり、ノインが吹き飛ばされたのだ。そしてステージの壁にぶち当たり画面に亀裂が入ったものの、衝撃は凄まじく、跳ね返った彼はそのまま客席へと叩き落されてしまった。
「本気の一撃やないか!?」
 地面で伸びたままツッコミ返したノインが起き上がり、自分の破片をささっと片付けてからステージに上がると。
「続きまして、巨大化マジック!」
 そっとテレビ側面に手を添えるノインが横を向き、客席に側頭部を見せると。
「耳が……大きくなりましタ!!」
 しかし、何も起こらなかった。
「まぁ、私に耳はないんですけどネ!!」
 ぱかっ、うぃいいいん。その代わりなのか、ノインの頭頂が開いて金属棒が生え、枝を広げて。
「アンテナが……大きくなっちゃ……」
「な゛ん゛て゛ゃ゛ね゛ぇ゛ん゛ッッッ!!」
 メゴォ!入ったー!!強烈な肘鉄がノインの胴体をへし折り撃沈させたー!!崩れ落ちたコメディアン、脇腹を押さえて動けないー!!
「み、ミス?ツッコミはセリフが終わってからお願いしますネ……?」
 こくこく、頷く少女に若干の違和感を覚えたノインだったが、ここはステージ上。芸人魂にかけてネタを止めるわけにはいかない。
「続きましテ、こちらのコインが……」
「な゛ん゛て゛ゃ゛ね゛ぇ゛ん゛ッッッ!!」
 決まったー!!まだ手品が始まってもいないタイミングでぶち込まれるアッパーカット!!完全な不意打ちに画面を粉砕されるにとどまらず、フレームがひしゃげたノインが吹き飛び、頭部から落下。回路がショートしているのか、ビグビグ、不規則に震えるノインの本体を、少女がつんつん。
「み、ミス……?」
 今なんで殴ったの?って破片(疑問符型)を浮かべるノインだったが、はっとした。髪から覗く色素の薄い肌に紅が差しており。
「ま、まさかステージに上がって、アガッてしまったのですカ……!?」
 こくこく、てれてれ。両手で頬を挟んでいた少女は、ぴょん。跳ねて脚からノインの画面に飛び込んで帰っていった……。
「照れ隠しにもほどがあると思うんですがネ!?」
 最後のツッコミをかますノインの画面(もはやほとんど残っていない)から、にゅっとプラカード。そこには……。

『どうも、ありがとうございました☆』

その文字を浮かべて数秒後、盛大な拍手に見送られる形で起き上がったノインが脇にはけていくと。
「強烈なツッコミでしタ……」
 ばたり、倒れた彼は軽トラの荷台へ。
「じゃあスクラップ集積場……間違えた、修理工場までお願いします」
 ルドルフが運転手に行き先を告げて、一旦幕が降りるのであった。


【エントリーナンバー弐 バニーなお巡りさん】

「あれ?お笑い大会の警備のつもりで来たんだけど……」
『どうして私たちまで参加する流れになってるのかしら?ちょっと担当官!説明しなさいよ、説明!』
 説明も何も、「怪しい仕掛けが盛りだくさん……これは事件の臭い!」っていつまでもステージ調べてたから、舞台上にいる間に幕が上がっちゃっただけでしょう?そっちの不手際の責任を押し付けるのはよくないなぁ……?
『こんの、腹立つ顔するわね……!』
「まぁまぁ、カキツバタ……こうなっちゃったのは仕方ないから、ちょっと実体化して皆を笑わせてきてよ」
 純・あやめ(砂塵の衛士・f26963)はどんな芸が飛び出すのだろうか?と期待の眼差しを向けてくる妖怪達を見下ろし、まさかの相方の方へ無茶振り。黒いクイーンの駒がポン、と弾けると、あやめの姉妹と見紛う瓜二つの女性が現れる……まぁ、見た目がアレなので間違えようがないのだが。
「アレってなによ!?どういう意味!?ていうか勝手にUCで実体化させないで!あんたがやりなさいよ!」
「えー、わたしはお巡りさんだから無理だって。カキツバタならなんだかお色気バニーさんっぽいから、芸人に見えなくもないしー」
 よーしせっかくだからカキツバタの外見説明でも入れておくか。
「いらないわよ!ちょ、近い近い!カメラ寄せすぎよ!!見るな迫るな書き残すなー!!」
 あやめと瓜二つな姿形でこそあるが、その瞳は赤くそまり、彼女のトレードマークでもあった兎調の髪留めをはじめ服装は黒一色。警察官の制服からバニースーツへと着替えた装いがカキツバタの特徴である。長い黒髪を一つに束ねていたあやめと髪型こそ同じだが、輝く金髪に染まった彼女は髪と共に小さな尻尾を揺らし、ハイヒールを鳴らす。ジャケットの胸元からは谷間を覗かせ、ハイカットのレオタードからは刑事として鍛えた太腿が眩しく、脚線美を惜しげもなく晒しだす姿は欲情を誘う享楽の兎そのもの……。
「ちょっと!悪意の混ざった記録の残し方してないかしら!?」
 いやほら、悪魔だし、悪っぽい書き方した方がいいかなって……。
「実際ほら、カキツバタはバニーだし……」
「悪魔をつかまえてバニー言うなぁ!このあっぱかぱー!」
 あやめにまで言われて、もはや半泣きで叫ぶカキツバタの必死過ぎる姿に、会場からはドッと笑いが零れる。その声にあやめは首を傾げて。
「……およ?もう笑ってる人たちがいるよー?私たち何もしてないのに不思議だねー」
『笑われてるのよ……もうかえりたい』
 周知と怒りで顔を覆って泣き始めたカキツバタの背中を押して、あやめはステージを後にするのだった。


【エントリーナンバー参 自称天才アイドル】

「自称ってどういうことですかー!!」
 開幕早々不満を漏らすテティス・ウルカヌス(天然系自称アイドル・聖なる歌姫・f12406)は頬を膨らませて拳を振り上げていたが、くるっと客席の方を向いて。
「お笑いですね!ふっふっふー、それでしたら天才美少女アイドルのテティスちゃんにお任せくださいっ!抱腹八倒の渾身のお笑いを見せてあげましょう!」
 あいつ大丈夫だろうか……言葉を間違えた(抱腹絶倒を七転八倒と混ぜてる)上に、自分で自分のハードル上げてるよ……いや待て逆に考えるんだ、これは笑えないフラグだと察してもらえれば傷は最小限に……。
「プロデューサー!うるさいですよ!!今の時代、アイドルもお笑いくらいできないといけません。それに、アイドルのお仕事はファンの皆さんを笑顔にすることですからね!」
 この場にいる連中はお前の事初見で、ファンでもなんでもねーけどな!
「というわけで、今日は私のお笑いライブに集まってくれてありがとうございます!」
 もーツッコまねぇぞ?他にも猟兵がいるから別にお前のステージじゃねぇなんてツッコまねぇぞ!?
「っていうか、なんか今日のお客さんは仮装してる人たちが多いですね?やですねー、皆さんで『今日はハロウィンだー』っていうギャグですか?」
 さてはおめー、今回の現場がカクリヨファンタズムだって確認してないな?現場にいるのは魑魅魍魎だって把握してないな!?
「ということは、ここはアイドルとして、きちんと皆さんのボケにツッコミをいれないとですね!」
 アイドルってなんだっけ……少なくともその発想は完全にお笑い芸人の領域だぞ……!
「ハロウィンはとっくに終わってますよ!」
 そんなこっちの哲学(意味浅)は一切気にせず、テティス渾身のツッコミ。まぁ、会場には真冬のような空気が漂い始めるよね……。
「今です、幕を下ろしなさい!」
 この事態を危機的状況と判断したルドルフの判断で作業員が幕を落とし、民衆の目からテティスの姿を隠してしまった。
「何するんですかー!テティスちゃんのステージイベントはこれからなんですよー!?」
「これ以上猟兵の恥を晒すわけにはいきませんからね……彼女(のプライド)は必要な犠牲でした……」
 と、仕事をやり切ったような顔をするルドルフだったが。
「こうなったらアンコールをもらうために、テティスちゃんのサプライズコンサートを始めるしかありませんね!!」
「いけません!総員対音響兵器陣形!何としても彼女を止めるのです!!」
 舞台の陰で繰り広げられる、見えざる戦いの幕が上がった……!


【エントリーナンバー肆 ブルーダイバー】

「……妖怪達はもう箸が転がっても笑うような状態なら放っておいてもそのうちに笑い疲れるというか正気に戻るようにも思えるけど……それ以前にこんなにネタぢからに溢れた方々が揃っているのに俺の出る幕があるとも思えないんだけど……」
 などと虚ろな目をする涼風・穹(人間の探索者・f02404)だが、現場に来てしまったからには壇上に上がってもらわなければならない。
「はいはいご紹介に預かりましたダイバーです。いやしかし暑いですねー」
 などと潜水ヘルメットで壇上に上がり、顔が見えない穹。手で首元を仰ぎながらヘルメットを外すと……。
「それでは早速、渾身ギャグシリーズ」
 ヘルメットの下から現れた鼻眼鏡による変顔で既に現場には大爆笑が起こっているが、せっかくなので最後までお付き合いください。
「布団が吹っ飛んだ」
 渾身……?
「猫が寝ころんだ」
 あ、この流れなんか察したぞ。
「餅を持ち上げた」
 野郎、もはや百万回は使われたであろう、一周回って笑いどころか微笑みも起こらないダジャレでこの場を乗り切ろうなどとは……やはりヘルメット下につけてた鼻眼鏡だけで笑いが取れると思ってる奴は駄目だな!
「うるせー!!」
 ぎやぁああああ!?サブマシンガンぶっ放しやがった!?
「我が心の師は言っていた。笑わない奴はハチの巣にしておけばみんな笑顔だと!!」
「はーい危険人物はしまっちゃいましょうねー」
 ルドルフがホイッスルを鳴らせば作業員たちが左右から穹を確保。そのままどこかへと運んでいく……。
「おい待て、何をする!?俺の持ちネタはまだ発表されていないぞ!!」
「あーあー、マイクテス。ステージで弾丸ばらまいた暴漢が発生したため、ステージ修復の為に休憩時間となります。今しばらくお待ちください……なんで私がアナウンス役なんですかね?」
 今回の犠牲者……もとい、活躍枠だからじゃないかな!
「今明らかに犠牲者って言いましたよね!?」


【休憩】

「もぉ~」
 ステージの幕を降ろして修繕処理をしている間に、ガラゴロガラゴロ……モノクロマーブルな牛が二足歩行で屋台を引っ張ってきた……!?
「もぉもぉ!」
 おいでおいで、とアピールする牛だが、屋台には牛丼の幟……え、大丈夫?これ大丈夫!?
「はっは!牛が牛丼売ってやがる!!肉になる前にお前を直に食ってやろうか!?」
 などと牛鬼という牛の頭に蜘蛛の体を持つ妖怪が爪を突きつけて冗談をかますと。
「もぉ?」スチャッ☆
 ててーん!乳牛は対戦車ロケット砲を装備した!
「ぎゃーす!?待て待て待て冗談だって!そんな物騒なもんしまって……」
 謝罪空しく引金がカチッ!飛び出す砲弾が牛鬼の眉間をダイレクトアタック!!これは痛い!!
「大丈夫かそこの牛鬼!?」
 近くの妖怪が様子を見ると、牛丼の丼が顔面を直撃して気絶していた。
「丼……だと?」
「もぉもぉ」
 バズーカを降ろした牛がプラカードを掲げると。
『きゅうけいちゅうのめしをくれてやる。かんしゃしてくえよようかいども』
「わーいただ飯だー……いや待って、なんで牛丼!?」
 ツッコミを入れてしまった妖怪へ、バズーカの銃口が向けられる。そしてプラカードには。
『せかいにうしはにしゅるいもいらない。にくぎゅうをくいつくし、にゅうぎゅうのじだいをつくるのだ!!』
「この牛テロリストか怪しい宗教家なん……」
 その妖怪の言葉は、牛丼によって塞がれてしまった。
「せ、せめて手渡しで……」
『め し あ が れ』
「うわぁああ!牛丼が……牛丼がぁあああ!!」
 何と言うことでしょう、会場はバズーカによって高速で飛来する牛丼が降り注ぐ危険な戦場と化してしまいました。
「まったく、牛丼を撃ってくる牛丼屋だなんて危ないな……」
 この阿鼻叫喚の中、満月・双葉(時に紡がれた人喰星・f01681)は七輪でお餅を焼いていた。膨らんだら醤油をかけて、大根おろしと合わせてご提供。
「お餅はいかがですかー焼きたてですよー」
「あ、じゃあ一つ……」
 少なくとも、さっきから牛丼を乱射する後ろの乳牛よりは安全だろうと、一つ目の妖怪が手を出した瞬間。
「はい、どう……」
「え、なんで振りかぶるん……」
「ぞっ!」
 ベチャッ、熱々のお餅を単眼妖怪の目玉にシューッ!超!クリティカル!!
「あっぢゃぁああああ!?しょ、醤油が目に染みるぅうううう!?」
 焼きたて熱々のお餅に悶絶する同胞を前に、妖怪達が硬直。目の前のガキも危険だと察したのだ……しかし、脅威というものは神と異なり、触らなくても迫ってくるもので。
「ほら、まだまだ焼きたてですよ……?」
 今まさに、焼けて膨れ上がった餅を押し付けようとしてくる双葉から逃げ惑う妖怪達。もはや危険人物と化した双葉にカエルマスコットさんから『拷問じゃねぇか!』のツッコミフリップが入るものの。
「笑・即・食!食べる事は笑うことに繋がるんだよ。それにほら、プロの芸人さんは餅ネタで悶え苦しみながら笑いを取るっていうし……」
『それ素人がやっちゃダメなやつ!!』
 おでんやお餅の芸は本当に危ないから、よい子はマネしないでね!!
「私は普通人枠で、どちらかというとツッコミだから、お色気担当でもボケでもないの。妖怪たちを爆笑させるなんて、いったいどうすればいいの!」
 さて、お餅と牛丼が飛び交う激戦地の中心、焼けた餅には辛味噌を塗り、牛丼には七味を大量投入という激辛調味しながらモグモグする黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。頭抱えて苦しんでるとこ悪いけど、お前は絶対にネタ枠だ。
「違いますもん!ちょっと辛い物が好きなだけの女の子ですもん!!」
 夢はお布団の中で見てもらおうか?
「くっ、こんな奴に目を付けられないようにもっと上手く立ち回れていれば……いえ、今はどうだっていいの。そんなことより……」
 笑いすぎて情報収集が困難だった現場は、更なる笑い声の中に悲鳴が入り混じる地獄絵図。あの中に飛び込まなくては何も始まらない……。
「これはくすぐり攻撃でごまかすか?でも、肉体は笑わせても、今回は心から笑わないと、また振り出しに戻ってやり直しになりそうだし」
 意を決した摩那は逃げ惑う妖怪たちの前に回り込んで、ヨーヨーを転がし、その姿にこいつは何をしでかすのだろうか、と視線を釘付けにされて。
「ヨーヨーで犬の散歩できます。ほーら、犬が歩いてますよ……」
 地面スレスレを、ヨーヨーがコロコロ……勢いが落ちてきたところで巻き戻って手元へパシッ。もっかい飛ばしてコロコロ……。
『地味!!』
「うぅ……こんなのではダメですね……」
 観客から一斉に同じ言葉を叩きつけられて、摩那が縮こまっていると、隠し持っていた眼鏡に手を伸ばし。
「やはりここはメガネ芸でいくしかありませんね」
 なお、面白眼鏡は既に穹がやっている。
「……えっ」
 隠し持っていた希望を打ち砕かれたような顔をする摩那だが、眼鏡ネタは眼鏡をかけていない奴が既に使用済みなんですよね。
「き、きっと大丈夫、眼鏡は全てを解決してくれます……!」
 なんだろう、ナイス眼鏡教的な狂気を感じる……さて、摩那が頑張ってる間に他所の子見てくるかな。
「わたし達みたいなシリアスキャラには厳しい依頼だね、瑠璃」
「真面目キャラだからね、私達」
「きっと創造者も嘆いてるよ」
 うわぁ……。
「ちょっと地の文?その顔は何かな?」
「私達にネタ要素なんてないんだからね!」
 などと不満を漏らす四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と四季乃・緋瑪("1人で2人"の殺人姫・f09675)だが、本日は四季乃原石さんという方からお手紙を頂いております。
「四季乃?あれ、うちの人?」
「でも姉妹に原石なんていないよね?」
 顔を見合わせる二人だが、これ封筒の中身がたった一言だけなんだよね。はいこれ。
「「えーと、なになに?『シリアスとネタで温度差激しい両刀枠です』……これ絶対姉妹の誰かがふざけて送ったやつ!!」」
 実は他三名の人格を内包する瑠璃と緋瑪。さーて誰が送ってきたんだろうねぇ……息ぴったりに読み上げた二人はわなわなと震え始めて。
「これは私達への挑戦状だよ……残念なネタキャラじゃないなら、計算されたネタで笑いを取って見せなさいって馬鹿にされてるんだよ……!」
「でも、笑わせるってどうする?」
 緋瑪の直球クエスチョンに瑠璃も空を見上げる。この二人、言動がネタ臭いだけであって、別に狙ってネタネタしているわけではない。故に意図的に笑いを取りに行くとなるとお手上げなのだが。
「往年のお笑いみたいに大仕掛けのコントとか?この世界ってブームが去ったモノが流れ着くトコだし、一昔前のお笑いは良いんじゃない?」
「爆発オチは鉄板だよね♪」
 なんでそこ行っちゃうかなぁ!?あ、爆弾魔だからむしろそこに行くしかないのか!?
「オチ担当は?」
「UCで地の文引っ張って来ようか?」
「この手の依頼でアレ使うと大抵ロクな目に会わない気が……」
 そりゃあねぇ?ルールの外側から攻めようってんならそれ相応の対応ってものがあるからねぇ?
「あ、でも向こう側に行かなければいいんだよね?」
「今まで爆破自体はできてたもんね」
 おっと、不穏な気配が漂い始めたぞ……?今のうちにカメラを切り替えて離脱!
「あ、逃げた!」
「次はどこ!?どこに湧いたの!?」
 なんか遠くで手榴弾構えた姉妹が走り回っているが、目の前の描写に集中しようか……はい、というわけで摩那ちゃんの眼鏡劇場です。
「何ですかその奇妙なシリーズものみたいな扱い!?」
 ノリ?
「あなたがそれやっちゃダメでしょう……!」
 こほん、このままではキリがなくなると判断した摩那が咳払い。
「すみません、お尋ねしたいのですが……」
「あっはははは後にしてくれ!もうこの惨状すら笑えて来たぜ!!」
 摩那が声をかけたものの、妖怪たちは笑いすぎて涙と鼻水を垂れ流して飛来する牛丼と焼餅を回避し続けている。これもう、お笑いとか別にして話を聞ける状況じゃない気がするの俺だけ?
「お願いします、少しだけでも……あっ」
 何かに躓き、転びこそしなかったが眼鏡を落としてしまった摩那。眼鏡眼鏡……と、見えていないのか地面を探り、拾ったものをすちゃ。
「ぶっふー!?」
 それを見た途端に妖怪が盛大に噴き出した!何故か?摩那の眼鏡はレンズが特殊で、周りから見ると目玉が超ドアップのギョロ目になるから。
「皆さん色々持ち出しましたね……面白いのを草生えるって言うんでしょう?僕も大根を生やして笑いを収穫しに行きますね」
 何故かここで摩那に対抗して(?)周囲に大根を生やす双葉。だがしかし、彼女が増殖させる大根が普通の大根のわけがない。大根畑と化した周囲を見回し、何かを諦めたカエルマスコットは双葉のアホ毛にくるまり、お昼寝タイム。
「……暑いですぅ」
 おっと、カエルさんが全てを投げだしたところで、牛丼バズーカを乱射していた牛がその首を取る。着ぐるみから現れたのは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)……いやなんで水着なの!?
「着ぐるみは熱がこもるものですからぁ……」
 着ぐるみの呪詛「加護ですぅ」呪詛みてぇなもんだろアレェ!?何にせよ、言語が牛語しか話せなかったるこるが素顔を晒し、妖怪たちが一斉に彼女を見た。その理由は……。
『でかい(確信)』
 まぁ、うん。目が行くだろうね……牛柄のビキニで包むっていうより、支えるってサイズの胸が、手で顔を扇ぐ度に上下に揺らぐんだもの。その視線を感じたるこるが胸を隠すように腕を回して。
「……もぉ」
 牛みたいな囁きをした瞬間、ブチィ!何かが切れた!!
「結局は胸ってオチですかぁあああ!!」
「大根だって牛丼なんかより美味しいんだもんうわぁああああん!!」
 貧乳コンビが泣き出した!?
「この悲しみ、嘆きを拭うには全てを消し去るしかありません……」
 チカチカ……摩那の眼鏡が点滅し始めたんだが……?
「全てを灰にすればいいのよ!」
「爆発オチなんてサイテー!!」
 カッ……!その時、戦場は光に包まれた。何も見えない、聞こえない、どこまでも引き延ばされた刹那の中で、熱と風が全てを洗い流していく……具体的には、摩那が眼鏡爆弾を起爆したせいで双葉の大根(爆発物)に引火。戦場全体に生えていたがために、全てを消し去る大爆発を巻き起こしてしまったのだ……!
「な、なんだったんだ!?」
 ステージ裏で反省文を書かされていた穹が戻ってくると、戦場には巨大なクレーターと大いなる谷間(るこる)。そして妖怪の大半と一部の猟兵が吹き飛んだ跡……ここで成すべきことは一つ。
「ひゃっはー!おっぱいダイブの時間だぁ!!」
「ひっ!?」
「天誅ですわ!!」
 るこる目掛けて大ジャンプした穹だったが、飛び出す前にセプテンバーがスイッチをぽちっ。落下する金盥が穹を撃墜!更にその顔面に牛丼がシューッ!!穹は力尽きた……。
「油断も隙もありませんわね……」
「敵は内部にいたのでしょうかぁ……」
 あきれ返った様子のセプテンバーと、身の危険を覚えたるこるなのだった。あ、ついさっき知ったんだけど、るこるはカンストおめでとう。
「経験値が来ませんからぁ、代わりの報酬をいただけませんかぁ?」
 無茶言うなや!?
「今の盛大な花火の音……これはテティスちゃんを迎え入れるための準備ですね!?」
 何がどうしてそうなったのか分からないが、テティスがステージオン!
「もー、仕方ありませんねー。特別にゲリラライブして上げちゃいます!」
「緊急回避ですわ!!」
 ダンッ!セプテンバーが壁にあったスイッチを叩き込んだ瞬間、テティスの足元がパカッ。
「何するんですかぁあああぁぁぁ……」
 ドッポーン!!
「落とし穴の下はプールになっている安心設計ですの」
 ふぅ、と一先ずの脅威が去った事に額を拭うセプテンバーだが、このステージまさか……。
「えぇ、コント用のからくりステージですわよ?じゃなきゃ設営にうちの作業員から『ブラックだー』なんて不満なんか出るはずがありませんわ!」
 ハードスケジュールって自覚はあったんやな?
「そろそろクライマックスかな?」
「爆発オチしないとね!」
 瑠璃と緋瑪は何を言っているのか分からないが、ルドルフ。
「そうだ、これ録画しといてキマイラ行ったら動画流して視聴率稼ごっと……って、呼びました?」
 カメラの確認してるとこ悪いんだが、はいこれ。
「何ですかこのバッジ……地の文?」
「お前が観測者になるんだよぉ!!」
 しまった!?この流れ、絶対ロクな目に遭わない典型パターン……!
「あ、なんか地の文が普通の人っぽくなってる」
「今なら爆破できる気がするし、笑いを取るためだからいいよね!!」
 謀ったな、オリジナル地の文!!
「悪いな、策士はお前ひとりではないのだよ……てか、怪しげなバッジを受け取ったお前が悪いんじゃない?」
 いやまぁ、そこは確かに……待って、私を樽に詰め込んでどうするつもりですか!?
「安心しろ、お前のカメラが全てを記録して、さぞや素晴らしい視聴率を産んでくれるだろう」
「お任せくだサイ、綺麗に撮ってますからネ!」
 うわー私のカメラが動いて喋ってる……って、それ頭がビデオカメラになったノインさんじゃないですか?映像が呪われたりしませんか!?
「点火準備よーし!」
「起爆スイッチ確認!!」
 あぁあぁツッコミしてるうちに姉妹が離れていく……このままではまずい、私もお星さまの仲間入りしてしまう……!
「「三」」
 く、あのカウントダウンが終わる前に脱出を……!
「「二」」
 ちょ、これ、詰めすぎじゃない!?腕が抜けな……。
「「い……」」
 チュドーン!!
「カウントが終わる前に爆発するなんてサイテー!!」キラン☆
 ルドルフはお星さまになったのだ……で、セプテンバー、その押し込んでるレバーは何?
「ステージの自爆装置ですわ!『爆発オチと屋台崩しはお笑いの華じゃ!』という義姉様のアドバイスに従って、なおかつ『お笑いとは予想外な事態から生まれるのですよ』という義兄様の助言のもと、タイミングを外して爆破しましたわ。いかがです?テルミットと花火の合わせ技で綺麗でしょう?」
 セプテンバーが期待の眼差しでキラキラしながら称賛の言葉を待つが、目の前には天を衝く光と炎の柱が上がり、上空では華々しく爆散する極彩色の火花。そして……。
「お前ら覚えてろよ……!」
 復讐を誓う策士眼鏡の星座が輝いていた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『朧化け蜘蛛・カスミン』

POW   :    我がお洒落に策など不要ッ!
いま戦っている対象に有効な【服装のカスミン】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD   :    一番、カスミン! 歌います!
戦闘力のない【審査員風カスミン複数】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【審査員のシャレオツ評価】によって武器や防具がパワーアップする。
WIZ   :    僕が服になろう。こんな装いはどうだい?
非戦闘行為に没頭している間、自身の【オシャンティーなセンス】が【激しく光り】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 様々なものが犠牲になった気がするが、とりあえず事態を解決した猟兵達の前に蜘蛛が現れた!
「……あのぅ、情報収集の必要性はぁ……」
 うるせーな敵が湧いたんだからいいだろうがよッ!
「てっきさっんはー♪」
「ばーくーはー♪」
「ちょちょちょ待ちなさいよ!?」
 爆弾魔の姉妹を前に、蜘蛛っぽい敵は前足を挙げて。
「私はおしゃれ妖怪カスミン……私を納得させるおしゃれを披露してくれたらここを通してあげなくもないわ!!」
「よし、爆破しましょう」
「その方が手っ取り早いですしね」
 猟兵が大根と眼鏡を構える!
「い、いいのかしら!?私達にそんなもの効かなヒギィ!?」
 ドカーン!!派手な爆発!吹き抜ける爆風!!立ち込める粉塵の先……。
「無傷、だと?」
 頭に牛丼乗っけた猟兵が驚愕、敵には一切ダメージが入っていない!!
「え?あ、よかった、ちゃんと効果あった……こほん、私はおしゃれバトルでしか倒せないわよ!!」
「つまり服装の美学を語ればよいのですわね!?」
「あ、作業服と普段着は認めないわ」
「そんなっ!?」
 カスミンは大量の服がかかったカートをガラゴロ。
「ふふふ、お笑い能力はあるみたいだけど、おしゃれ能力は如何程か、見せてもらおうじゃない!あ、恐怖による強引な説得は認めないからね、爆発オチなんて許さないからね!?」
 さっきのを見てたのであろうカスミンが震えるが、猟兵は自分の胸を叩き。
「まっかせてください!ふっふっふ、この天才アイドルの実力、お見せしましょう……!」
「これは再召喚の流れ……?」
『もう晒し者はいやー!?』
「面白スタイルはOKですカ?」
「んーまぁ、綺麗にまとまってたら認めましょう。おしゃれぢからがないとだめよ?」
 アイドル、コメディアン、そして猟兵……様々な思いが交錯する中、第二戦が始まる……!
「あの、私はいつ地上に帰れるんです……?」
 服を着替えたらじゃないかな?


※次回執筆は二十三日の予定!二十二日の深夜までにプレくれると嬉しいな!!
ノイン・フィーバー
カメラヘッドを一度外して、UC発動して『彼女』を呼び出した後によいしょと再度カメラヘッドを装着して皆さんを撮影。

心情:お洒落勝負! ワタシの場合は普段着になってしまっているのデここはアナタにお任せしますヨー。

『彼女』に白いシーツをかけ、ワンツースリーであら不思議。綺麗に着飾った『彼女』が現れる。

白のワンピースが細かい刺繍の入ったものへ
その上から彼女の黒い髪が溶けるような漆黒のカーディガン
髪飾りに血のように赤い呪い印の櫛

まるで深窓の令嬢のよう。しかしそれでいて、どこか背筋を震わせるナニカを感じさせる。
いつもと比べ少しだけ前髪を開いた彼女は、蒼い顔を少し赤くしているかもしれない。

きゅーと。


セプテンバー・トリル
作業着の素晴らしさを語れないなんて、私は一体どうしたら…
まぁ、まずは更衣室を用意しませんとね(ガイドロッドを振ってプレハブを二棟召喚)

【WIZ】連携・アドリブ歓迎
更にUC【緊急支援要請】で監視役の重機獣を召喚しますわ。
女子更衣室を覗こうとする者がいたら排除なさい。容赦は要りませんわ。
私は更衣室の中で女性陣の着替えを観察…じゃなくて、警護してます。

さて、私自身は…やっぱりフォーマルなドレスにしましょうか。貴族ですしね。
今回は緑色を基調に橙色の意匠にして…一人だと着るのが面倒ですわねぇ。
たぶん、登場は遅くなってしまいますけど…このプレハブは爆破オチにも耐える頑丈さですから大丈夫でしょう。


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
オシャレ、ですかぁ。
最大の問題は『入る服の有無』なのですが(遠い目)。

ルールによりますと『着ぐるみ』は大丈夫なのですねぇ?
でしたら、先程に継続して『乳牛の着ぐるみ』を着用、今回は少しアレンジして、その上から『エプロン』を着用しますぅ。
そして『鞄』から道具と材料を取出し『焼肉』を始めますねぇ。
『動作の方針』はそのまま継続、この『状況』を含めてファッション、ということで。
否定的なことを言ってきましたら、カスミンさんの目に【遍界招】で召喚した『爆発する素焼きの皿』を投げますぅ。
中の『私』も、先程の『水着』の上に『エプロン』を着用しておりますが、見方によっては結構危ないような?


メルティール・ヒサメ
故郷でのんびりしていたら聞こえた爆発音
何だと思ってやって来てみたら…
ステージっぽい残骸、人の声が聞こえる穴、妖怪達の笑い転げてる姿。
蜘蛛っぽいのが服を吟味してるとか……
うん、なぁにこれー?

え? ファッションショー?
ならこの残骸は……そのための?

まあ着替える前に救助しとこ、そこら辺に転がってる奴らを
(妖怪・猟兵問わず)
UCで外傷『は』治しとくよ
心の傷は知らぬ

んで、何着ようかだけど……
ここはシンプルに白のサマードレスで夏の装いにしよう
時期が違う? 別に良くない? 寒くもないんだし

まあとにかく
デコルテの所と背中の所を大胆に晒して
スカートの部分には深いスリットと
可愛いの中にセクシーさを見せてみよう


純・あやめ
じゃあ【カキツバタ】に…『今度はあんたがやんなさいよ?!』…いえす、まむ

でもお洒落とかどうしよう?わたしはよく分かんないしなー
『無理に別の服を着なくてもいいわよ
【シャボンソウ】、UCでこの子の服と身体をピカピカに洗浄しなさい!』
あぶぶぶ?!なにすんのー?!
『ネクタイして、上着の前を閉じて、リボンを外して髪を纏めて、白手袋して、士官帽と士官用の白コートを羽織れば…
ほら、どこに出しても恥ずかしくない竜士総長(警視総監相当)の出来上がりよ』
えー?!これって式典とかで着せられる格好じゃない!やだー!(でも背筋は伸び、キビキビ動くようになる)
『これぞちょい足しお洒落術よ』


黒木・摩那
オブリビオンの中には全く謎の意図で動いているものがいるけれど、
今回のはとびきり変なオブリビオンですね。

しかし、おしゃれバトルでしか倒せないと言うならば、受けて立ちましょう。
でも、いろいろな服があってテンション上がるわ。

ここは自分の勝負服でいきます。
赤いチャイナドレス。詰め襟なカラーと胸元がちょっと開いてるのがポイントです。
そして、下は斜めに大きくカットされた形状で、ショートパンツと合わせると動きやすさ抜群です。

で、これだけでオブリビオンがおとなしくしてるとも思えないので、
ケチをつけてきた時のために、UC【トリニティ・エンハンス】の【炎の魔力】で焼き払える準備はしときましょう。


四季乃・瑠璃
緋瑪「お洒落なら丁度最近作ってもらったコートがあるんだ♪」
瑠璃「この上質な絹の様な手触りの光を吸収して白く輝く毛並み」
緋瑪「磨き上げ、宝石の様に輝く角や爪を加工した装飾と宝珠!」
瑠璃「ふさふさのファーに鮮やかに変化する緑の翼の飾り」
緋瑪「とってもゴージャスだよね♪」
瑠璃「え?何のコートかって?」
緋瑪「最近別の世界(デビルキングワールド)の依頼で、死闘(解体)の末倒した光と闇のドラゴン(オブリビオン)の素材で作って貰ったコートだけど。確かマスター(狼煙さん)さんもいたね」
瑠璃「ホラ、動物の毛皮でコート作るのと一緒だよ。だから仕方ないね!」
緋瑪「学生服にもぴったりでこれでクリア間違いなしだね!」


テティス・ウルカヌス
管理官さん、聞こえますか……?
私は綺麗なテティスの心の声……。
いけません、私の本体の前にSPDが歌の敵を出すなんて……!

「ふっふっふー、私と歌で勝負ですねっ!
天才美少女アイドルのテティスちゃんの美声を聞かせてあげましょうっ!」

ほらーっ、本体、【天使の歌】を歌い始めちゃったじゃないですかっ!
もう何がどうなっても責任取れませんよっ!?

「さあ、審査員風になった芸人さん。そして味方の皆さん!
私の歌はいかがですかっ!」

本体、周囲一帯を破壊しておいて、このドヤ顔ですよ!?
ていうか、私、管理官さんのお仕事にしか行ってないのに、レベル上がり過ぎじゃありません!?
レベルm半径……って、73mもありますよっ!


涼風・穹
ビシッとしたタキシード姿でいきます
トップハットやステッキも装備
胸のポケットチーフは忘れずに
革靴も直前にしっかり磨いたりと細かい所まで手は抜きませんぜ

そして次は敢えてユニクロ的な量産品を着崩したカジュアルな感じでギャップ狙い

……次はカスミンのおしゃれぢからを見せて貰おうか…
散々好き放題言ってくれたんだしさぞかし凄いものを見させてくれるんだよな…?
判定、蜘蛛っぽいからマイナス一億点
やっぱり外観をどう取り繕おうと蜘蛛そのものが嫌だから減点一兆点
どうしようもない?
見た目についてどんな感想を持つかは相手次第に決まっているだろう
人様のセンスにケチを付けたなら自分の姿をどういわれようが文句を言うのは筋違いだ


アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
狂言回し。便利な火消し役。イマジンウィッチで執筆者クズミンの願望を叶えてしまいましょう♪

ファッションチェックだと?普段着(不思議の国のアリスコスプレ)も作業服(バニーガール)も封じられたら一体どうすれば……
「ところで、カスミンなら私をどうコーディネートする?」
その質問と同時に早業の高速詠唱読心術でイメージを読み取り、瞬間思考力と第六感でピンと来たものを願望器として生み出し、妄想結界術で変身バンク演出入れながら早着替えするわ……今思い出したけど、私黒ロリ(眼帯付き、UC設定画参照)持っていたわね。これダメだったらアレに変身しましょ。



「作業着の素晴らしさを語れないなんて、私は一体どうしたら……まぁ、まずは更衣室を用意しませんとね」
 始まる前に半ば絶望しているセプテンバーが赤色灯を振り、呼び出された作業員がトンテンカンすること約五分、二棟のプレハブが完成。
「女子更衣室を覗こうとする者がいたら排除なさい。容赦は要りませんわ」
「何故俺を見る!?」
 穹にジト目を向けながらセプテンバーが指示を下せば、番犬めいた機械獣が一声吠えて。
「私は更衣室の中で女性陣の着替えを観察……じゃなくて、警護してます」
「「……」」
 その一言を聞いた途端、二匹の番犬は顔を見合わせて軽く顎を振る。それを合図にゴリラっぽい機械獣がセプテンバーの左右から彼女を持ち上げて。
「え、ちょ、何するんですの!?私は不埒者ではありませんわよー!?」
「更衣室の中も危険なようですネ……」
 ふぅむ、顎を揉むノインは一旦カメラヘッドを外して画面から白服の少女をデロンとさせると、カメラヘッドをすちゃ……なんで戻した?
「ワタシの場合は普段着になってしまっているのデ、ここはアナタにお任せしますヨー」
 レンズを調整してからノインが取り出したのは白いシーツ。これを例(霊かもしれない)の少女にかぶせてワン、ツー、スリッ!
「はい、お着換え完了デス」
 何と言うことでしょう。一瞬でシンプル過ぎたワンピースにはクチナシの花が刺繍され、肩には漆黒のカーディガン。彼女の艶やかな髪と混ざり合い、夜闇のように身を包む。そして伸ばしっぱなしに等しかった髪を束ねるのは、血を思わせる深紅の髪飾り。なんか見ちゃいけなさそうな文様が刻まれているが、気にしたら負け、そんな気がする。
「……なんでかしら、寒気がしてきたわ」
 ブルッ、カスミンは前脚で体をさすさす……少女は深窓の令嬢という表現が似合う、シックな装い。髪をまとめたことで姿を見せた表情はやや唇を尖らせながら、血の気を失っていた頬には微かに赤みが戻り、じっと上目遣いにカスミンを見つめている……ただそれだけなのに、深い水底に引きずり込まれているような言い知れない恐怖が背筋から離れない。
「いかがですカ?きゅーとデショウ?」
「そうね……さっきから離れない悪寒はさておき、おしゃれぢからは十分ね」
 ノインのレンズに『合格』のスタンプを押したカスミンが次に見たものが。
「もう?」
「牛ぃいいい!?」
 ホルスタインスタイル(という名の着ぐるみ)にエプロン。いやまぁ、ここまではほら、そういうお子様向けスタイルなのかなって……。
「おしゃれの欠片もないじゃない!!」
 駄目でした。
「ていうかあんた、なんで焼肉してるのよ!?」
「もぉ?」
 じうぅうう……るこるはバーベキューグリルで牛カルビ肉が焼きあがると、それをカスミンの顔面目掛けてシューッ!!
「アッヅ!?あっっづ!?」
 焼きたて熱々のお肉が直撃!ダメージがなくても熱いものは熱いらしく、殺虫剤でも食らったかのようにひっくり返ってジタジタ……焼き肉を地面にビターン!したカスミンが起き上がるなり前脚を振りかざして。
「ちょっとあんた何すんのよ!?人をなめ腐るのも大概に……」
 などと怒鳴りつけようとしたのも束の間。カスミンを出迎えたのは無数の浮遊する素焼きの小皿。
「もぉ!」
 るこるが前脚(おてて)を突き出せばお皿がカスミン目掛けて殺到!これは痛い……と、思いきや。

 チュドドドドドーン!!

 皿が爆ぜたー!?
「ほぎゃ!?ちょっ、待っ、ぴぎゃぁあああ!?」
 連鎖する爆発にお手玉されるようにして、カスミンは空高く昇っていった……その姿を見送って、るこるは牛頭を外すと虚ろ目に。
「オシャレ、ですかぁ。最大の問題は『入る服の有無』なのですが……」
 お着換え系のネタが来るたびに死んだ目をするるこる。その理由はほら、彼女の体を見てみろよ、とても人智では封印できない魔物(という名の巨乳)が憑りついてるだろう?
「っぁぁぁあああ!?」
 あ、カスミンが帰ってきた。
「げぶっ!?」
 薄汚い悲鳴と共に地面に蜘蛛っぽい穴を残して埋まっていったカスミンが這い上がってくると、るこるを見るなり激怒。
「何なのよその恰好はー!?」
「着ぐるみではいけないようでしたからぁ、脱いだだけですがぁ?」
 そこにはなんと、裸エプロンのるこるが……。
「ちゃんと来てますよぅ!?」
 クルっと振り返れば、さっき来てた水着……肌面積の関係で、正面から見ると危ないだけでちゃんと健全です……健全ってなんだっけ?
「よし、カキツバタ。ここはお巡りさんの一味としてカキツバタが正しい健全な姿というものを……」
『今度はあんたがやんなさいよ!?現職の警官擬きでしょ!?』
「……いぇす、まむ」
 カキツバタの凄まじい覇気(もう恥ずかしい恰好したくないオーラともいう)に押し負けて、あやめが大人しくなると、今度は唸り始めた。
「でもお洒落とかどうしよう?私はよく分かんないしなー」
『無理に別の服を着なくてもいいわよ。シャボンソウ、この子の服と身体をピカピカに洗浄しなさい!』
「あぶぶぶ!?なにすんのー!?」
 突如現れた泡っぽい悪魔があやめを飲み込んだかと思ったら、全方位からの泡射撃。洗濯機にぶち込まれた状態のあやめは全身を服ごと洗浄されるが、不思議と濡れることはない。
『汚れ落とし専用の魔法だもの。細かいことはご都合主義で片付くのよ』
 自慢げなカキツバタだが、この能力は彼女の物ではない事を忘れてはいけない。
『ちょ、細かい事はいいじゃない!それよりほら、しゃんとして!』
「うぇえ……」
 カキツバタは実体化すると、既に半ばぐったりしているあやめの背中を叩いて背筋を伸ばさせ、テキパキと彼女の装いを整えていく。
「ネクタイして「ぐぇ」、上着の前を閉じて「ふぎゅ」、リボンを外して髪を纏めて「うっ」、白手袋して「えぇ……」、士官帽と士官用の白コートを羽織れば……」
 完成したあやめをカスミンの前に突き飛ばして、ドヤッ。
「ほら、どこに出しても恥ずかしくない竜士総長の出来上がりよ」
「これって式典とかで着せられる格好じゃない!やだー!」
 ちなみに、竜士総長ってのは警視総監のことらしいよ。たぶん、昔は竜騎兵って軍人が警察の真似事してたからその辺の関係じゃないかなーとは思う……詳しく知りたい人は調べてみてね!
「これぞちょい足しお洒落術よ」
「おしゃれ……?」
 やり切った顔でサムズアップするカキツバタに対して、見た目こそピシッとしているものの、そういった生真面目な雰囲気が肌に合わないらしいあやめは制服を脱ぎ捨てたそうに口元を歪ませている。そんな二人を前にカスミン(複数)は頭を突き合わせて緊急会議。
「あれ、お仕着せよね?」
「なんか役職みたいなもの言ってたものね……」
「お仕事の服なら、作業着かしら?」
「式典がどうとか言ってたし、どちらかというと制服とか礼服かしら……」
 ぽくぽくぽく、ちーん。
「「「「よし、採点は後回しね!!」」」」
 というわけで次行くよー。
「オブリビオンの中には全く謎の意図で動いているものがいるけれど、今回のはとびきり変なオブリビオンですね」
 そりゃー、ネタ依頼だもの。
「しかし、おしゃれバトルでしか倒せないと言うならば、受けて立ちましょう」
 気合を入れなおしてファッションカートの前に臨む摩那。ざっと見回しただけでも服の種類は豊富。全て着合わせていては日付が変わる。
「でも、いろいろな服があってテンション上がるわ……よし、ここは自分の勝負服でいきます」
 多すぎる選択肢から変に選び抜こうとせず、いつもの恰好を選んだ摩那。じゃあそれが彼女の普段着かっていうと、そうではないらしい。
「詰め襟なカラーと胸元がちょっと開いてるのがポイントです。そして、下は斜めに大きくカットされた形状で、ショートパンツと合わせると動きやすさ抜群です」
 ボディラインが出やすい真っ赤なチャイナドレスを愛用する摩那だが、どうやらこれは彼女の勝負服だったらしい。高さのある襟で首元を隠しつつも喉元の留め紐の下からわずかに肌を覗かせて、生地の赤との対比により彼女の肌の色を際立たせる。
 通常はスリットが入るであろう部分は大胆に斜めカットが入り、ショートパンツとそこから伸びる脚を見せる仕様。元は騎馬民族が着る服として、動きやすさを重視して作られた衣装であるためか、実に自然なアレンジとなった服装。
「さぁ、いかがでしょう?」
「ふむふむ、オリエンタルに纏まっていいんじゃないかしら?」
 ぐるぐるかさかさ……摩那の周りを動き回って彼女にファッションチェックするカスミンだが、すっと立った摩那の指先に炎が灯る。
「ちなみに、合格点が出なかった場合は合格するまで火炙りにしますね?」
「なんでっ!?」
 猟兵は時に理不尽なナマモノなのである……ちなみに、この次の奴らは違う意味でヤバい。
「ちょっとそれどういうことかな?」
「私達ファッションには敏感なお年頃なんですけどー!?」
 不満を漏らす瑠璃と緋瑪はいつもの学生服……に、上着を合わせての参戦。
「お洒落なら丁度最近作ってもらったコートがあるんだ♪」
「この上質な絹の様な手触りの光を吸収して白く輝く毛並み」
 ぶいっ!とサインしてコートの両端を持って開き、内側まで見せる緋瑪に対して、瑠璃は表面を撫でる。カスミンもこの頃はシャレオツファーコートかなって思ってたんだって。
「磨き上げ、宝石の様に輝く角や爪を加工した装飾と宝珠!」
「ふさふさのファーに鮮やかに変化する緑の翼の飾り」
「……ん?」
 ファーコートったって、別に全部が全部モフモフしてるわけではない。オレンジがかったライトブラウンな表面は馬や鹿みたいな、短毛な毛並みを持つ動物の毛皮だって言われればなるほどって納得できる。角や爪ってのも、表面を削って滑らかにしたものをボタン細工にするのはよくあること。実際、二人のコートの前留めに使われてるし、襟元のやつだけ真ん丸に磨かれてファッションボタンになってるし。だが、内側に張られているなめし皮っぽい生地と、襟元を飾る緑っぽい装飾はなんだろうか?
 革細工なら緑って時点でかなり希少なんだろうなー、で片付く。だが、それが黄色から緑の間を、光の当たり方で変化するとはどういうことか。なめし加工に失敗して油脂でも出ているのではないだろうかとも思ったが、それにしては変色が美しい。
「とってもゴージャスだよね♪」
「え?何のコートかって?」
 緋瑪がパタパタとコートを揺らして遊んでいると、瑠璃がカスミンの視線に気が付いて決めポーズ。緋瑪が鏡映しにポージングしてコートをアピールしながら、衝撃告白……!
「最近別の世界の依頼で、死闘の末倒した光と闇のドラゴンの素材で作って貰ったコートだけど。確かマスターさんもいたね」
「ホラ、動物の毛皮でコート作るのと一緒だよ。だから仕方ないね!」
 などと姉妹が供述しているが、そのマスターこと本日のグリモア猟兵曰く、「壮絶な戦いの戦利品みたいに言ってるけど、実際には一方的にぶちのめした挙句、敵を素材に解体するヤベー二人組だった」というコメントが寄せられている……これだから瑠璃緋瑪姉妹は!!
「あばばばばば……」
 正体を知ってしまったカスミンがガクブルする前で、緋瑪はきゃっきゃと跳ねて。
「学生服にもぴったりでこれでクリア間違いなしだね!」
「あ、そういえば……」
 瑠璃が口元に指を添えて、もの欲しそうにカスミンを見た。
「蜘蛛の糸って、より集めて紡いだら、伸縮性抜群で保温性ばっちりのセーターが編めるって聞いたような……」
「じゃあお腹を切り開いて糸を持って帰ったらこの冬も乗り切れちゃうね!」
 ヴィイイイイン……緋瑪が爽やかな笑顔でホラー映画御用達の電動鋸のエンジンをかけたところでカスミンが脱兎。
「次!次行くわよ!!この二人と関わってたら糸を一滴残らず搾り取られちゃう!!」
(管理官さん、聞こえますか……?)
「え、なに、今度は何!?」
 あーっと、これカスミンにも聞こえてるな……。
(私は綺麗なテティスの心の声……いけません、私の本体の前に歌のUCを持つ敵を出すなんて……!)
「ふっふっふー、私と歌で勝負ですねっ!天才美少女アイドルのテティスちゃんの美声を聞かせてあげましょうっ!」
 カスミンは空を見上げるが、誰もおらず。声の主っぽい少女は、目の前でマイクを構えて。
「え、何なのあの子?声が二重に聞こえるんだけど……」
 あれこそは一度降臨すれば全てを破壊する惨劇の化身……汚いテティスだ。
「汚いって何ですかー!?テティスちゃんは今日もウルトラハイパー美少女なんですからね!!」
「何かしら、会話が噛み合ってないような……ていうか、私はファッションのおしゃれぢからで戦いを……」
「それでは聞いてください……」
(ほらーっ、本体が歌い始めちゃったじゃないですかっ!もう何がどうなっても責任取れませんよっ!?)


※閲覧可能記録の一部が封印指定と判断されたため、記録の一部が欠損しています。詳細な情報が必要な場合は、現場に居合わせた猟兵から聞き取り調査を願います。


「さあ、審査員風になった芸人さん。そして味方の皆さん!私の歌はいかがですかっ!」
(本体、周囲一帯を破壊しておいて、このドヤ顔ですよ!?)
 酷い有様である……近隣には何もなかったからよかったものの、あまりにも酷い歌声に大地はひび割れ一部が水分を失い、平原に突如現れた流砂と化している。その砂壺の先がどうなっているかなど、誰にも分からない。
(あのー……私が聞くのもアレなんですが、大丈夫ですか?)
「大丈夫に見えるかしら……?」
 汚いテティスの音響兵器っぷりを知らなかったカスミンは至近距離でその歌声に晒されてしまい、口から泡を吹きながら脚を伸ばしきって痙攣し、よくぞ生き残ったと称賛に値する死にぞこないである。
(それ褒めてるんですか!?)
 一応?
「というか、UCでダメージを受けないはずの私達に致命傷を刺すって、どういう声してるのよあの子……?」
「おやおやぁ?アンコールですか?それならもう一曲……」
「ノーセンキュー!!引っ込みなさいこのトンチキ娘ッ!!総員、一斉発射!!」
「何するんですかー!?」
 ああっとここでカスミンが一斉に水鉄砲!口から噴き出す高圧水流が汚いテティスを洗浄ついでに流砂の中へと叩き落した!!
「ふぅ、これで安心ね……」
 そーね、五分くらいは世界に平和が訪れたんじゃないかな……。
「これで五分しか持たないの!?」
 オブリビオンもびっくりの生命力……それが汚いテティス最大の脅威かもしれない。
(今思えば、本体の私って何度も死にかけてますものね……)
 綺麗なテティスすら虚ろ目になる奴の恐ろしさは、もはや言葉にならない……さーて次行くぞい。
「おしゃれ……それは見た目の美しさと同時に、その隅々に隠された心遣いが光るものだ」
 どうした穹!?テティスの歌でついに頭がいかれたのか!?
「ノンノン、真のおしゃれとは、紳士心にあり!」
 とかいうから、セクハラし始めるのかと思ったらガチ紳士でした。具体的にはタキシードにはしわ一つなく、シルクハットは艶やかに、ステッキに身を預けて磨き抜かれた革靴の爪先を鳴らす……誰だお前?
「今名前呼んでただろ!?」
 いやだってもう、別人やん?
「だったら今度は……あれ?」
 もうワンセット用意してた穹が着替えようとすると。
「たしけてー……」
 プレハブが瓦礫の山にジョブチェンジしており、中で着替えてたセプテンバーが生き埋めに!
「仕方ない、物陰で着替えるか……」
「スルーですの!?」
 そりゃー近くに警備っぽいワンコ機械獣がスタンバってるし……誰だってスルーしてくと思う。
「これならどうだ?」
 で、仕上がってきた穹がこちら。ジーンズにスニーカー、これに合わせてグレーのパーカー。下は固めの生地でシュッとしつつ、上はダボッとして全身に緩急をつけるスタイル。
「量販店商品でも簡単にできる、いわば痛々しくならない工夫ね……」
 カサカサ動き回って穹を観察するカスミンに対して、穹は虫けらを見る眼差しを向けて。
「……次はカスミンのおしゃれぢからを見せて貰おうか……散々好き放題言ってくれたんだしさぞかし凄いものを見させてくれるんだよな……?」
「好き放題?」
 カスミンの脳裏によぎるのは、爆発物投げてくる牛とか音響兵器とか、ダーティーJK、グレーゾーンのお巡りさん……ロクな奴いないね?困惑するカスミンに穹が告げた評価は!
「判定、蜘蛛っぽいからマイナス一億点、やっぱり外観をどう取り繕おうと蜘蛛そのものが嫌だから減点一兆点」
「はぁ!?」
 あまりにも理不尽な評価!これにはカスミンも大激怒!!
「どうしようもないってか?見た目についてどんな感想を持つかは相手次第に決まっているだろう。人様のセンスにケチを付けたなら自分の姿をどういわれようが文句を言うのは筋違いだ」
「筋違いはあんたよこの屑……!」
「ッ!?」
 ぞわり、カスミンの……オブリビオンの気配が変わる。
「服に関して言うならまだいいわ。蜘蛛であることそのものにケチをつけるのなら、それはあんたたち人類において、人種差別に相当する侮辱よ」
 されど、手はあげない。突き刺すような視線だけ残し。
「覚悟しなさい。今のまま進むなら、あんたは生きては帰れないわよ」
「うん、なぁにこれー?」
 ゴゴゴゴゴ……重苦しい空気が漂う中、通りすがりっぽい雰囲気のメルティール・ヒサメ(プリンセスナイト・f31837)が遠い目。
「故郷でのんびりしていたら聞こえた爆発音、何だと思ってやって来てみたら……ステージっぽい残骸、人の声が聞こえる穴、妖怪達の笑い転げてる姿。蜘蛛っぽいのが服を吟味してるとか……」
 そりゃー半眼虚ろ目にもなりますわな……ざっくり説明しよう。ファッションショーで敵を突破するんだってよ!
「え?ファッションショー?ならこの残骸は……そのための?」
 あ、それは違うね。
「これは私が用意した更衣室だった瓦礫ですわー……」
「欠陥住宅かな……?」
 機械獣が瓦礫を撤去するまで身動きが取れず、ちたぱたしているセプテンバーをほっといて、メルティールが物陰で着てきたのは……。
「夏服じゃないの!!」
「時期が違うくらい、別によくない?」
 なーんでサマードレスなんか着てきちゃったかなー……。
「よくないわよ!見てるこっちが寒いわよ!!ていうか私そんなの用意してた!?」
「えー?まぁとにかく」
 クルっと回って見せるメルティール。背中はバックリ割って編紐でつなぎ、肌を大きく見せつつそこから繋がる肩、首、胸元まで露出。それだけには飽き足らず、スカートにも深いスリットが入り、太腿はおろか腰もとまで見え……あ、これ詳細描写したら危なそうだからこの辺でやめておくか。
「や、やっと出られましたわ……」
 おっと、ようやく登場のセプテンバー……誰!?
「へ?私ですわよ?」
 エメラルドグリーンのドレスはドレープも美しく、オレンジのフリルがその谷間を強調するデザイン。胸元を大きく露出するカットが施されたそれは、首から提げた安全十字の金ネックレスが輝かしい。白いハイヒールを鳴らして歩く彼女は、ストレートのブロンドを毛先でのみまとめてふっくらと束ね、その緑十字の髪留めがセプテンバーの面影を残すのみ……。
「顔!顔は何も変わってませんわよ?おしゃれ対決って聞いたからノーメイクですわよ!?」
 ほら、お前のアイデンティティのほとんどはドリルヘアーに収束するから……。
「解せませんわー!!」
 納得いかない雰囲気の建築嬢の傍ら、表情は何も変わらないのに青ざめてしまっているのがアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)。いつもぶっ飛んだ言動で問題点を斜め上に緊急回避していくアリスが固まってしまった、その理由が……。
「ファッションチェックだと?」
 え、そこ?
「普段着(不思議の国のアリスコスプレ)も作業服(バニーガール)も封じられたら一体どうすれば……」
 待って、お前のその服コスプレだったの?そういう趣味の私服じゃなかったの!?
「はっ!そうだわ」
 こっちのツッコミをスルーして、アリスはカスミンの肩(脚の付け根とも言う)をガッ!
「カスミンなら私をどうコーディネートする?」
「え、それ私に聞く!?」
 正直本末転倒になってしまっている気もするが、聞かれてしまうと考えてしまうのが妖怪の性。
「そうねぇ……」
(もらったわ!)
 カスミンが思案した瞬間にその思考を読み取ったアリスは漆黒の光に包みこまれて黒水晶の虜となる。花開くように割れた水晶から現れたアリスはカーキカーゴパンツに黒のタンクトップ、ジージャンを羽織ってライトブラウンのキャスケット帽を被った姿に!
「……えっ」
 想定外の姿になってアリスが一瞬固まるとカスミンはうんうん頷きながら。
「体系がスレンダータイプだもの。ボーイッシュな服装だって綺麗に納まるわね。あぁでも……」
「あら、お着換えかしら」
 再びの黒い光に包まれたアリスは今度は黒のタイトスカートにブラウス、ジャケット。更にハイヒールに眼鏡をかけて。
「ふむ、スーツ姿だとこうなるから……」
「ちょ、これ試しに着せただけなの……?」
 困惑するアリスが黒い光に飲まれて吐かれて、ジーンズ生地のロングスカートにフリルのブラウス、そこにピンクのカーディガンを羽織った姿に。
「やっぱりフリルね、これがあるとしっくりくるから……」
「あーれー」
 黒い光でアリスは椿柄に雪の衣装が盛り込まれた着物姿に。
「フリルは!?」
「一回和装も試してみたくなって……」
 黒い光に(以下略)。
「みなさまー、今のうちに撤収しますわよー」
 アリスが着せ替え人形にされている隙に、セプテンバーは元のドリルに戻ろうとする髪をどうしたものか迷いつつ、機械獣にプレハブの瓦礫を撤去させてしまう。その傍ら、ノインが照れ隠しに画面に戻ろうとする少女に追いかけまわされながら撮影記録のチェック。
「ふむ、皆さん綺麗に撮れていますネ」
「もぉもぉ……」
 るこるはなんでまた着ぐるみを着なおしてるのさ!?牛語じゃ何言ってるか分かんないって言ってるでしょ!?
「脱いじゃったら水着エプロンっていう際どい恰好になっちゃうからじゃないかな?」
「そういうあんたはさりげなく制服を着崩すんじゃないわよ!」
「うぇー……だってー……」
「だってもなんでもなし!」
 完全にママンとダウターなやり取りしてるあやめコンビは置いといて。
「このまま勝負服で次に挑むべきでしょうか……」
 着替えたのか着替えてないのか分からないのが、こちらの摩那さんです。
「普段と変わらないなら、動きに支障が出ないからそのままでいいんじゃないかな?」
「変わらないというか、いつも通りなんですよね。単におろしたてって言うだけで……」
 メルティールの助言を受けても悩む摩那だが、そういうメルティールは防御力が足りないと思う、そんな肌面積……。
「スパイダーセーターって、べたべたするのかな……」
「緋瑪、そもそも粘着糸のままだったら加工できないと思うよ?」
 そこの瑠璃緋瑪姉妹!蜘蛛さんの糸を素材にしようとするんじゃない!この辺のオブリビオンはお前らが素材にしちゃった某ドラゴンさんとはわけが違うんだから!!
(管理官さん聞こえますか……)
 綺麗なテティス……生きていたのか!
(死んでませんよ!?とりあえず本体の私はどうしたら……)
 生き埋めにしといていいんじゃないかな、あいつなら勝手に這い出してきて、呼んでないのに追いかけてくるだけのバイタリティがあるし。
(何故でしょう……自分の本体のはずなのに、雑な扱いが適当に感じてしまう私がいます……)
 綺麗な方にも承認してもらったし、テティスは放置で。
「よーし、みんな準備はいいな?」
 荷物をまとめた穹が点呼をとって、猟兵達は先に進む……アリスという、尊いようなそうでもないような犠牲を残して……。
「ちょ、待って……放置はさすがに……!」
 アリスが何故か死にかけている!?どうした、UCの使い過ぎによる疲労か!?
「さっきからネタ服が一回も来ないんだもの……体が拒否反応を起こしてるのよ……!セクハラ服でもギャグ衣装でもいいから、ネタ服を……!」
「駄目よ、素材はいいんだからしっかりコーディネートしないともったいないわ!」
 カスミンによる、黒ピカッ!
「いやぁああああああ!?」
 ネタに生きネタに死す……そう掲げていた少女はネタぢからが足りずに朽ち果てるのであった……。
「次の章は絶対にネタネタしてやるわ……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『原初の古代機械兵器』

POW   :    ここから先には通さんよ……
単純で重い【UC、異能、装備効果を無効にする機体から】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    もう、誰も亡くしたくないの!
【UC、異能、装備効果を無力化する重火器】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    キサマラハ、マタワタシカラウバウノカ?
【UC、異能、装備効果を反射する脚部の龍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠大神・狼煙です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「必要な犠牲だったな……」
「まだ死んでないわよ!?」
 夜空に向かって敬礼する猟兵に、追い付いてきた猟兵がツッコミを入れる。随分と歩いてきた彼らだったが、ふと立ち止まった。
「「「笑え、笑え、笑え……」」」
「敵さん、でしょうかぁ……」
「一体どこに……く、声が反響して方向が……」
「あ、上だね」
 接敵に気づいた猟兵達が見上げた先、星空を覆い隠して余りある機械の巨人が、そこにあった。
「全ては笑顔の為に」
「全ては幸福の為に」
「全ては平和の為に」
「「「邪魔者は排除する」」」
 猟兵達を敵と認識したらしいそれが、拳を握る。ただ振り下ろされるだけで肉体が吹き飛びかねない威力を誇るが、先ほどの敵に付与した特性の持ち主であるならば。
「もしかしてこいつ……」
「UCが効かなかったりしちゃう?」
「そんなのどうやって戦うの!?」
『落ち着きなさい、対処法がないなら、そもそもグリモア猟兵が説明してくれるはずでしょう?』
 戸惑う猟兵達、その後ろから……。
「皆さん置いていくなんてひどいですよー!!あれ?何ですかこれ?ははーん、さては私のライブ用の大型ステージですね!」
 何がどうしてそうなったのか分からないが、とりあえず耳をふさいだ方がいいって事だけは察した猟兵達。その数分後……。
「いやー全力で歌うと気持ちいいですね!!」
「歌……酷い……」
「惨劇の火種……」
「人々を不幸にする……」
「「「よって貴様は排除する……!」」」
 巨人めいたサムシングが一回ぶっ倒れた挙句、ヘイトマックスになるくらいには有効だったことが判明。つーまーり。
「UCや装備、技能に頼らズ、ネタネタして戦えば倒せるということでしょうカ?」
「それ違う意味で強敵じゃありませんことー!?」
 何はともあれ、決戦デス☆


※お察しの通り、UC、装備、技能なんかの類で強引に突破しようとすると勝ち目がない敵だよ!どこまでネタネタ出来るかが勝負だよッ!!

なお、次回執筆は二十六日の予定!二十五日の深夜までにプレくれると嬉しいな!!
純・あやめ
(リフレクターコインを空中に展開)
ふーん、ネタで戦うねぇ…でも悪いけど、わたしは普段はネタでもバトルはガチでやる主義なんだー
という訳で、立体乱反射戦闘を開始するよ!
『【ワルナスビ】、幻惑迷彩を発動なさい!』…へ?なんでそんなUCを使うの?
うにゃああぁぁっ?!姿が見えないせいで、味方の攻撃に巻き込まれるー?!
『悪いけど、私は倒す為に必要な手段はちゃんとこなす主義なのよ』
は、謀ったね、【カキツバタ】?!
『最初に私を人身御供にしたツケよ。ほぅら、想定外の乱反射で敵と正面衝突するといいわ』
【カキツバタ】の鬼!悪魔!泥水コーヒー!カレーうどんの悪霊!
『最後の二つは私じゃないでしょ!』


黒木・摩那
ここまでの試練は、このオブリビオンを倒すためだったのですか。
さすがはグリモア。すべてお見通しですね……って、そんなのありか!

装備もUCも無い状態でネタネタして戦うなんて、一体どうしたらよいのでしょう。
しかし、このままではオブリビオンよりも先にソロコンサートで死屍累々になりそうだし。
やるしかないですね。

まずはヨーヨー『エクリプス』で戦うとして。
ここは大切な唐辛子を使いましょう。
味が良くてピリ辛だけど、肌に付くと大変なのよね。
熊も逃げ出すって描いてあるけど、オブリビオンにも効くのかな。

ヨーヨーだけで無く牛丼セットや大根にも使えそう。
これでより味を引き立てて、おいしく味わってもらいましょう。


メルティール・ヒサメ
あひゃひゃひゃ……
壊れてる、だって?
液状化起こすような歌声、耳塞いだだけで防げるわけないでしょーがっ
(地の文をつつつつつん)

ん? エロ同人みたいなことしそうなわきわき手のそこの、なんだって?
あぁ、エロ同人ってのはこんなのね
お母さんの衣装棚に隠されていたわ(なお、百合物)

ジロジロ見てきたら、こう言うね
乱暴する気でしょう!
エロ同人みたいにっ!エロ同人みたいにっ!!って

歌声にやられて防御力の薄い恰好がさらに崩れて危ない事になってるしねぇ
私、半分雪女で寒い恰好しても問題ないし、もう半分は
夢魔だから、自然と男性を誘う格好を選んじゃうのよね……
ともかく、『お巡りさん、こいつです』で骸魂を震わせてやろう


アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

え、UCはともかく技能とアイテムも無効化されたらいつものギャグ補正も使えない?
え、どうするの?これどうするの?その状態だと私遊び人LV1なんだけど、この状態で一体誰があの音響兵器を封印できるというの?あ、歌がきこえ(ぷつ

幼児退行して幼児特有のやらかし黒歴史量産。
遊びへの集中でフロー体験に潜り無駄な頑丈さと一般人達人(鬼滅の柱ぐらい?)レベルの動きで脚部の龍にきゃっきゃと遊ばれる。
だが、精神幼児なのでおもらしでガン泣き、ティティスレベルの音響兵器化す。怖がらせると強化されるので育児の能力が問われるぞ。泣く子をあやすのって相当体力消耗するよね?
泣疲れすやー


ノイン・フィーバー
連携とかお任せ!

心情:ワタシのネタ力って攻撃力ないんですよねェ……。

とりあえず敵に近づいてる味方が居ることを期待して、そこにUCで瞬間移動。
無理なら頑張って人間大砲とかで近づく。

敵に近づいたら1面にてこっそり収穫しておいた大根を齧ります。
「ジョージ、マイケル、ステファニー。今行きますヨ……」
と言いながらTVが爆発して爆風とガラスで攻撃。

なお、呼んだ3人は誰だろう。知らない人。

爆発からゴミのように転がり、その後むくりと起き上がるノインの頭は当然のようにアフロヘアー。


涼風・穹
銀誓館学園…ではないけど一介の学生として、これ以上の犠牲者を出させる訳にはいかないな
その決意の言葉と共に穹が懐から取り出した『イグニッションカード』を翻せばそこに描かれるのは武装した穹の姿
そして紡がれるその言葉は死と隣り合わせの青春を過ごす者達にとっては日常から非日常へと切り替わる瞬間、或いは戦闘開始を告げる合図
《起動(イグニッション)》
その言葉と共に穹は手にしていなかった、しかしカードに描かれた穹は手にしていた『風牙』をカードから取り出すとカードに描かれた姿のように『風牙』を構えるのであった

……二番煎じ?
これは俺のアイテムとユーベルコードを使用したれっきとしたバトルシーンですが何か問題でも?


セプテンバー・トリル
空を覆うほどの…金属の塊?……へぇ?(ニヤリ)

【POW】連携・アドリブ歓迎
いいですわねぇ!【ディビジョンズ】総員召喚!
全力で…目の前の敵を解体、物質変換して素材にしますわよ!

都合よく荒廃した大地に、この建築資材にしてくださいと言わんばかりに現れた敵!
これを逃しては土木作業員の沽券に関わります!
メルト義兄様も言ってました。『素材は剥ぎ取るものだ』と!(「竜限定の話だ、それは」)

うふふふふー!やっぱり好き放題に工事しまくっていい依頼でしたわー!
タワーマンション!ショッピングモール!4車線道路!作り放題ですわー!

あ、スケールが120分の1くらいにはなりますけど、殺しはしませんから安心なさってね?


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
ネタ力、ですかぁ。
結構な難題ですねぇ。

【沃貌】を使用、『着ぐるみ』を着用したまま『巨人の姿』になりますねぇ。
『女神様の加護』の性質上『衣服』は一緒に巨大化出来ますから、これで『巨人サイズの乳牛の着ぐるみを着た姿』になりますぅ。

その上で『某球団マスコットの、ペンギンの様なつばめさん』が『他のマスコットの方々』にやる様に、いきなり相手を蹴飛ばしたり等の乱闘をしつつ『プラカード』で会話しましょうかぁ。

尚、この状況で『着ぐるみ』を脱ぎますと、『反動』の影響で『比率上、更に胸が巨大になった状態』だったりしますねぇ。
某『胸で空き缶を潰す人』の様に、胸で敵方(+何か)を押し潰しても?


四季乃・瑠璃
瑠璃「アイツが自分で言ってた様に、みんなを笑顔にして幸せにすれば勝てるよ!」
緋瑪「笑顔に?」
瑠璃「うん。そして、みんなを笑顔に幸福にするには美味しいもの。美味しいものと言えばこのザ・○ース」
(緋瑪は逃げ出した)
瑠璃「あれ?緋瑪ー?」

緋瑪「1、2章でるこるさんが牛の着ぐるみ着てたし、コレ着てればきっとバレないバレない…」(どっかから調達してきた牛の着ぐるみ着て身を隠す)

瑠璃「仕方ないなぁ…【虐殺庭園】(辛味)発動!」

緋瑪「辛味爆撃の雨が!殲滅(辛味)空間が(第四の壁の向こう側含め)広がって、もうこの辺りはダメかもしれない…」(領域の外ヘ脱兎)

瑠璃「全ての人々(オブリビオン含)に辛味の幸福を…」


テティス・ウルカヌス
そんなっ、綺麗な本体の歌、異能無効に効果があるなんて……
私、UCや異能ではなく、普通に音痴なだけだったというのですか……!?(心の中で崩れ落ちる綺麗なテティス)

「よーし、なんかよくわかりませんが、CGで私の舞台を演出してくれてますね!
ここは天才美少女アイドルのテティスちゃんらしく、歌を通して化け物と和解する、感動的シーンの撮影に入りましょうっ!」

ああっ、私の本体のばかーっ!
無防備にオブリビオンに近づいていくなんて……

「ふふ、怖がらなくても大丈夫ですよ。
私の歌が聞こえていれば、私の天使のように優しい心も伝わるはずっ!」

天使のように心が優しい人は、そんなこと言ったりしませんー!


十八女・五郎八
遊ばれているので実質戦闘ではないと思いこむことで主人格の意識を維持。

……バイト先の先輩のアドバイスに従って耳を塞ぎましたがそれでも頭がまだぐわんぐわんしています……(断章中に転送されて巻き込まれてました)
スタントパーソンのバイト先で噂の破壊の歌姫がまさか猟兵だったなんて。
と、ともかく私もUDCエージェントのはしくれがんばりま……え、UCも技能も武装も無力化されるんですか!そしたら私一般的な大学生なんですけど!
副人格『そうね、あんた逸般的DAIGAKUSEIだわねー』
きゃぁぁ!重火器とか無理ですぅ!

はぁはぁ、バイト経験が活きました。
と、投石はダビデがゴリアテを倒した由緒正しき兵器、ま、参ります!



「空を覆うほどの……金属の塊?……へぇ?」
 にやり、勝利を確信した……いやこれどっちかというと食欲に憑りつかれたっぽい顔だな。そんな感じで欲望駄々洩れな顔になったセプテンバー。
「いいですわねぇ!ディビジョンズ総員召喚!全力で……目の前の敵を解体、物質変換して素材にしますわよ!」
 ……おやぁ?
「都合よく荒廃した大地に、この建築資材にしてくださいと言わんばかりに現れた敵!これを逃しては土木作業員の沽券に関わります!メルト義兄様も言ってました。『素材は剥ぎ取るものだ』と!」
 夜空の彼方、赤い服を着た兄貴が言っている……「竜限定の話だ、それは」と。
「うふふふふー!やっぱり好き放題に工事しまくっていい依頼でしたわー!タワーマンション!ショッピングモール!四車線道路!作り放題ですわー!」
 後ろの作業員の皆さんが何かを察した顔でお湯を沸かし始めたかと思ったら、カップ麺に注いでキャンプを始めている……毎度毎度お疲れ様です。
「あ、スケールが百二十分の一くらいにはなりますけど、殺しはしませんから安心なさってね?」
 などと煌びやかな笑顔で螺旋剣を構えたセプテンバー。目の前の敵はあまりにも巨大だが、それは同時に的が馬鹿でかいと言うことでもある。
「ビルディングタイムですわぁああああ!!」
 ヘヴン状態の建築嬢が踏み込み、機械兵器の装甲に刃を突き立てる……!
「……あら?」
 しかし何も起こらなかった!!
「お、おかしいで……」
 ぷちっ。指先で潰されて、二次元と化したセプテンバーを作業員の皆さんが回収。口に空気ポンプを差し込んで、みんなでしゅこしゅこ……空気を入れて膨らませる傍ら、ちゃんと敵の事を観察していた猟兵達は生唾を飲む。
「ここまでの試練は、このオブリビオンを倒すためだったのですか。さすがはグリモア。すべてお見通しですね……って、そんなのありか!」
 摩那が驚愕とツッコミを同時に放ちつつ、セプテンバーが実践してくれた敵の能力を解説してくれちゃうぞ!
「え、なんでそこで私に振るんですか?」
 そこにお前がいたから。
「酷い!?」
 こほん、咳払いして摩那が言うことには。
「あの機体はUCはおろか、装備ですらまともに歯が立たない様子……もしかすると、私達が持ってる異能の類も効かないかもしれませんね……」
「え、UCはともかく技能とアイテムも無効化されたらいつものギャグ補正も使えない?え、どうするの?これどうするの?その状態だと私【遊び人LV1】なんだけど、この状態で一体誰があの音響兵器を封印できるというの?」
 摩那の解説を聞いて、何があろうと意味深な微笑みを浮かべていたアリスですら困惑。まぁそうね、猟兵が持ってるものは大体通じないからね。
「装備もUCも無い状態でネタネタして戦うなんて、一体どうしたらよいのでしょう。しかし、このままではオブリビオンよりも先にソロコンサートで死屍累々になりそうだし。やるしかないですね」
 そう、猟兵達には後がない。主に、後ろから迫ってくる時限爆弾めいた存在のせいで。
(そんなっ、本体の歌、異能無効に効果があるなんて……私、UCや異能ではなく、普通に音痴なだけだったというのですか……!?)
 あ、違うわ、こっちは内なる綺麗なテティスだ。精神世界で絶望に沈んでるけど、そんな綺麗な意志とは別に勝手に動くのが肉体というもので。
「よーし、なんかよくわかりませんが、CGで私の舞台を演出してくれてますね!ここは天才美少女アイドルのテティスちゃんらしく、歌を通して化け物と和解する、感動的シーンの撮影に入りましょうっ!」
(ああっ、私の本体のばかーっ!無防備にオブリビオンに近づいていくなんて……)
「「「ォオオオオオ……!」」」
 先の一件でテティスを最大の脅威と認識している機械兵器は拳を握り、姿勢を落とすと背面装甲から無数の砲門が展開。白煙を残して一斉に飛び立った弾頭が猟兵(主にテティス)を焼き払おうと迫る!
(いけません!このまま火薬の雨に降られたりしたら、いくら私の本体でも真っ黒に……!)
 などと猟兵側に危機が迫っている一方で、一部には違うピンチも迫っていた。
「アイツが自分で言ってた様に、みんなを笑顔にして幸せにすれば勝てるよ!」
「笑顔に?」
 はい、いつもの(瑠璃&緋瑪)です。
「うん。そして、みんなを笑顔に幸福にするには美味しいもの。美味しいものと言えばこのザ・ ース」

 ▼緋瑪 は 逃げ出した!

「あれ?緋瑪ー?」
「一、二章でるこるさんが牛の着ぐるみ着てたし、コレ着てればきっとバレないバレない……」
 などとホルスタイン緋瑪が完成する傍ら、瑠璃は真っ赤な液体を手にドドドド……!
「緋瑪ー?大丈夫だよー、ちゃんと甘めに作ってあるからー!」
「ひぃ!?」
 何と言うことでしょう、瑠璃の手には瘴気(激辛)を放つエビチリが……!
「あれ絶対ダメなやつだよ、エビの中に唐辛子詰め込んで激辛ソースに三日三晩漬け込んでから火を通して水分飛ばして、辛味を濃縮したくらいダメなやつだよ……!」
 姉妹のやらかす事であるためか、妙に具体的に怯える緋瑪。おおっとそんなところにミサイルが降ってきた!!
「これはいけませんねぇ……!」
 装備やUCが機能しないとあっては、実質ガード不可。このままでは全滅してしまうと判断したるこるは牛乳瓶を取り出すと、ぐいーっと一気飲み。
「もぉ、もぉ!もぉー!!」
 巨大化したー!?何故かるこるが機械兵器と並ぶ巨人……いや、牛ぐるみ来てるから、巨獣?になった!!
「もぉ……!」
 かーらーの、プラカードをフルスウィング!打ったー!降り注ぐミサイルの雨を今!まとめて空の彼方へシューッ!!なんか後で帰ってきそうな気もするけど細かいことは気にしない!!
「うはー……もはや何でもありだねぇ」
 などと、巨大化したるこるが「でかぶつはにっしょうけんのもんだいにひっかかるからおかえりください」のフリップで機械兵器を殴打する様を眺めていた緋瑪の肩を、ぽむん。
「緋瑪、ご飯の時間だよ?」
「ひぃっ!ワタシヒメナンカジャナイヨー」
 見た目は別人だからごまかせるはず……!と声を作る緋瑪だったが、本物のるこるが巨大化してる以上、牛は偽物であることは明白。
「ほら、食べよう?私達が食べて無害なアピールをしないと……」
「やーだー!!」
 あぁ!緋瑪が服を脱ぎ捨てて瑠璃の手から逃れるなんて!
「誤解招く表現しないで!?着ぐるみを変わり身にしただけだってば!!」
 とまぁ、こんな感じで爆撃が回避されたせいで、テティスは健在。
「ふふ、怖がらなくても大丈夫ですよ。私の歌が聞こえていれば、私の天使のように優しい心も伝わるはずっ!」
(天使のように心が優しい人は、そんなこと言ったりしませんー!)
 セリフが若干敵キャラみたいになってるもんな……。
「しまった!音響兵器がノーマークに……!」
 アリスが気づけど、わずかに対応が間に合わず。
「それでは二曲目、いっちゃいますよー!!」
「あ、歌が……」

※閲覧には精神崩壊の危険性が伴うことが発覚したため、当記録は一部が削除されています。何らかの理由で全文が必要な場合は、該当猟兵に接触を試みてください。

「あだー、ぷー……」
 アリスが幼稚化したぁああああ!?テティスの歌があまりにも酷く、人格を維持できなかったアリスは肉体はそのままに記憶の全てを失い、精神が赤子同然に!!
(あの、私の本体の歌、猟兵側への被害の方が大きくありませんか!?)
 何言ってんだテティス(綺麗な方)、今更だろう。
(否定してくださいよ!?)
「うー?」
 って、ほっといたらアリスがハイハイで機械兵器に猛ダッシュしてるんだが!?ちなみにあれは四つん這いではなく六つん這いって言うらしいぞ。
(小ネタを披露してる場合ですか!?)
 などとツッコミをもらっている間にアリスが機械兵器に到達。脚部を形成する龍に吹き飛ばされて無惨な……。
「きゃっきゃっ♪」
 お手玉にされて遊んでるぅううう!?あ、小さい子を高く持ち上げてあやすことがあるけど、アレは成長に悪いらしいから気を付けよう。
「ワタシのネタ力って攻撃力ないんですよねェ……」
 ノインよ、そこで何故大根を構える。
「生えてたから頂いてきましタ」
 スマイリーサムズアップしてんじゃねぇよそれ大根じゃなくて大根にみせかけた何かじゃねぇか!?
「敵さんに接近した猟兵さんが現れた今、ワタシが成すべきことは一つデス……そーれピョンっと」
 ここでノインがジャンプすると、パッと画面が変わってお手玉されるアリスの頭上、機械兵器の肩に出現。
「ジョージ、マイケル、ステファニー。今行きますヨ……」
 ガリッ、チュドーン!!大根を自分の画面に突っ込んだ瞬間、大爆発!!吹き飛んだガラス片が機械兵器の顔面にペチペチあたり、爆風で地面に叩き落されたノインはシルエット型に穴を開けて地の底へ。ところで信じられるか?ノインが使ったUCはテレポートであって、自爆UCじゃないんだぜ……。
「ところでさっきの三人組、どちら様ですカネ?」
 ぬーっ、穴から這い上がってきたノインは真っ黒こげのアフロヘッド!って、お前がそれ聞くんかい!?
「爆発の際にはそれっぽい名前を言うものだとフリップが……」
 んなもんどこにあんだよオラ、言ってみろよ?
「もぉ!」
 お前かるこる!プラカードには「そこでだれかのなまえをいいながらじばくしなさい」……味方を自爆させるんじゃねぇ!?
「あ、自爆ネタは私の持ちネタですネ」
 持 ち ネ タ !?
「びやぁあああああ!!」
 ああほら煩くするからアリスが泣き出したじゃないか。
「もぉ?」
 何そのプラカード?「いちばんうるさいのはおまえだ」?誰のせいだと思ってんだゴラァ!?
(あのー、物凄く言いづらいんですが……)
 どした綺麗だったテティス?
(過去形にしないでください!?)
 それは置いといて、そこはかとない異臭、アリスの脚を伝う液体……まさか!?
「びやぁあああああ!!」
 お母さま!お客様の中にお母さまはいらっしゃいませんか!?もしくはベビーシッターとかそっち系でも可!!
「……」
 この状況を打開できる猟兵を探してたら、機械兵器がアリスをひん剥いたかと思ったら、どこからともなく取り出した除菌シートで丁寧に体を拭き、清潔なタオルでくるんでゆっくりと揺らし始める……。
「ていうかあのサイズで器用すぎませんこと!?」
 セプテンバー、そこツッコむ……!?
「ツッコミますわよ!?というか、何故機械が育児の真似事してるんですの!?」
 そもそも機械じゃないからじゃないかな……?
「……はい?」
 今回盛大にやらかしやがった建築お嬢に、お前はなにを言ってるんだ?って目を向けられてしまった……。
「要は骸魂か、核の妖怪か、そのどっちかは子育ての経験があるってことだろう」
 穹がまともなこと言ってるぅうううう!?
「この世界は忘れられた者共の集う世界……目の前のアレも、機械の形をとっているだけで正体は妖怪か、もしくは残留思念の類なんだろうな……」
 どうした穹!?テティスの歌で頭でもおかしくなったのか!?
「銀誓館学園……ではないけど一介の学生として、これ以上の犠牲者を出させる訳にはいかないな」
 その決意の言葉と共に穹が懐から取り出した『イグニッションカード』を翻せばそこに描かれるのは武装した穹の姿。そして紡がれるその言葉は死と隣り合わせの青春を過ごす者達にとっては日常から非日常へと切り替わる瞬間、或いは戦闘開始を告げる合図。
「起動【イグニッション】」
 その言葉と共に穹は手にしていなかった、しかしカードに描かれた穹は手にしていた『風牙』をカードから取り出すとカードに描かれた姿のように『風牙』を構えるのであった。
「今ここ全部コピペしましたわね!?」
 いやなんかめっちゃ気合入れて書いてるから、これはそのまま採用するしかないかなって?
「後悔、憎悪、執着……その感情は分からないが、思念に囚われて彷徨い続けるゴーストに、安寧と救済の鉄槌を……」
 愛刀を構え、穹が地面を踏みしめる。
「行くぞ……!」
 わずかな砂煙を残し、その身が消える。素早い踏み込みと共に複雑に絡み合う龍を足場にして、機体を駆け上がり……。
「あの、一つ確認していいかしら?」
 どしたセプテンバー?
「あの方、刀でアレに挑むつもりですわよね?」
 そやな。
「解体に特化した私の螺旋剣で傷一つつかない装甲ですわよね?」
 そうね。
「……オチが見えていませんこと?」
 仕方ないよ、ネタ依頼だもの。
「ぐぁー!?」
 案の定、デコピンで吹っ飛ばされて帰ってきた穹がずざーっ。まぁ、そうなるな。
「しかしあれ、機械ではありませんのね……名前が機械なのに。名前が機械なのに!」
 セプテンバーが悔し気にぐぬぬってるが、ここはカクリヨファンタズム。敵は大体妖怪か骸魂の思念の類である。それ以前にUC以外で挑めって言ってんのにUCオンリーで挑んだ結果だからね、仕方ないね!!
「うわーん建築作業がしたいですわぁああああ!!」
 駄々こねるガキはさておき、次いくぞー。
「あひゃひゃひゃひゃ……」
 メルティールが壊れたー!?
「壊れてる、だって?液状化起こすような歌声、耳塞いだだけで防げるわけないでしょーがっ」
 ちょ、やめ、執拗に眉間をつつくのはやめて!?
「ん?エロ同人みたいなことしそうなわきわき手のそこの、なんだって?」
「理解不能」
「意図不明」
「解せぬ!!」
 三番目の反応が今おかしかったな……それはさておき、機械兵器の方に意味が伝わってない事を察して、メルティールが懐をごそごそ。
「あぁ、エロ同人ってのはこんなのね。お母さんの衣装棚に隠されていたわ」
「女性同士?」
「同性愛?」
「……えっち」
 だから三人目ェ!!複合人格の中に混ぜちゃいけない奴が混ざってるだろコイツ!?
「乱暴する気でしょう!エロ同人みたいにっ!エロ同人みたいにっ!!」
 唐突に自分を抱きしめて悲痛な声を上げるメルティール。せっかくなので(?)彼女の現在の状況を記録しておこう。
 某音響兵器のせいで着衣が乱れているのだが、何故か背中に大きく入った切込みを繋いでいた編紐の一部が切れており、より大胆に肌を見せる形に。その影響で広めにとられていたデコルテ部分が開きすぎて肩からずり落ち、服を着ているというより、引っ掛けているという方が正確な状態。これによって肩から胸元にかけて、なだらかな丘陵地帯が半分ほど顔を覗かせてしまっているがギリギリ見えてないからセーフ、そんな気が……いや駄目だわコレ。下に至ってはスカートのスリットから破れてしまって、腰骨の辺りまで露出しちゃってるもの。なお、追加で見えるようになった布地に関しては一切触れてはならない。マジでマジで。
「くっ、スカートだけは死守しなきゃ……!」
 などと破れてしまったスリット部分を押さえるメルティールだが、破れた布を重ねるのではなく、はためかないように押さえつけているものだから、むしろ視線は服の傷口から覗く彼女の太腿に誘導されてしまい、より煽情的に……。
「お巡りさん、こいつです」
 こいつって機械兵器だよね?俺じゃないよね?ねぇ!?
「おっけー、現行犯で豚箱だー!!」
 いやぁああああああ!?オマワリ=サンことあやめが動き始めたぁああああ!!
「ふーん、ネタで戦うねぇ……でも悪いけど、わたしは普段はネタでもバトルはガチでやる主義なんだー」
 ここまでの流れを見てきたにも関わらず、ガチバトルの為にばらまいたのは特殊なコイン。空中にちりばめられたそれは重力と反発して、機械兵器を取り囲む檻のように展開。
「どれだけ大きいんだとしても、足場さえあれば眉間とか心臓とか、急所に届くはず……という訳で、立体乱反射戦闘を開始するよ!」
 と、あやめが地面を蹴って、一番手近なコインを足場に上空へと舞い上がった直後である。
『ワルナスビ、幻惑迷彩を発動なさい!』
「……へ?なんでそんなUCを使うの?」
 何故かカキツバタが勝手に他の悪魔の異能を展開。フッ、あやめの姿は何人にも見えなくなった。これで死角から攻め込むのかなーって思ったのが一瞬。カメラを地上に返しますねー?
「……バイト先の先輩のアドバイスに従って耳を塞ぎましたがそれでも頭がまだぐわんぐわんしています……」
 おいコイツどう見ても一般パーソンなんだが?えっと履歴書は……十八女・五郎八(逸般的DAIGAKUSEI・f30812)……ごろはち?
「いろはです!!」
 よく間違えられるのか、必死に否定するごろはち「いろはですってば!!」五郎八は長い溜息をつきながら、何も終わってないのに達成感に浸ってキャンプ椅子に座り、水を飲んでいるテティスを眺めて。
「スタントパーソンのバイト先で噂の破壊の歌姫がまさか猟兵だったなんて。と、ともかく私もUDCエージェントのはしくれがんばりま……」
 あ、コイツUCとか装備とか、猟兵として使えるものは通じないからそこんとこよろしく。
「え、UCも技能も武装も無力化されるんですか!そしたら私一般的な大学生なんですけど!」
『そうね、あんた逸般的DAIGAKUSEIだわねー』
 中の人(青紫の悪魔っぽ奴)が遠い目をしている……こいつ何やらかして来たんだ……?とりあえず敵って認識した機械兵器が、背中の砲門をガチャコン。
「きゃぁぁ!重火器とか無理ですぅ!」
 ばらまかれるガトリングの弾幕から必死に逃げる五郎八。果たして彼女の運命やいかに!
「はっ!あれは!!」
 さっき建築嬢が建てたんだけどぶっ壊されたプレハブの瓦礫ですね。つーかあれ、もって来てたんか。
「後で立て直すことになるかもしれないと思いまして……むむぅ、あの敵さんが建材になれば、更なる都市開発ができましたのに……」
「ここで、こう!」
 むくれたセプテンバーを他所に、砕けた建材の比較的平面な部分に片手をついて華麗に跳び越えたごろはち「いろはですってば!いい加減覚えてください!!」だったが、「呼称の修正いれてくださいよ!?」だまらっしゃい!!とりあえず瓦礫の陰に身を潜めたんですって。
「はぁはぁ、バイト経験が活きました。と、投石はダビデがゴリアテを倒した由緒正しき兵器、ま、参ります!」
 と、石ころっていうかその辺に転がってた瓦礫の中から手頃なのを掴んだわけですが、カメラを上空に戻すとね?
「うにゃああぁぁっ!?姿が見えないせいで、味方の攻撃に巻き込まれるー!?」
 飛来する瓦礫の雨の中、あやめがギリギリで避けながら跳び回ってた。
『悪いけど、私は倒す為に必要な手段はちゃんとこなす主義なのよ』
「は、謀ったね、カキツバタ!?」
 鼻先を瓦礫が掠めていき、サッと青ざめて目じりに涙まで浮かべるあやめだが、逆襲のお母さんは厳しかった。
『誰がお母さんよ!?これは娘へのお仕置きなんかじゃなく、最初に私を人身御供にしたツケよ。ほぅら、想定外の乱反射で敵と正面衝突するといいわ』
「カキツバタの鬼!悪魔!泥水コーヒー!カレーうどんの悪霊!」
『最後の二つは私じゃないでしょ!』
 悪霊のカレーうどん……そんなものがあるのか……今度探しに行ってみよう。
「そんな先のこと考えてないで助けて!?」
「仕方ないなぁ……」
 助けを求める声に応えたのは、地上。ただし……。
「こんな時は環境改変系のUCしかない!!」
 瑠璃である。こういう時大体余計な事をやらかす瑠璃が応えてしまったのである。
「地の文助けて!このままじゃ戦場全体が……地の文?」
 悪いな緋瑪……ここは……手遅れ……だ(ばたり)。
「地の文がキムチになってるぅううう!?」
 次元の狭間めいたどこかへ逃げこもうとした私を待ち構えていたのは、唐辛子漬けになっちゃった観測者だったの!……って、あれ?私が地の文にされてる!?
「と、とにかく逃げなきゃ……」
 でも、振り向いたら空は真っ赤な雲に覆われていて、まだ何も起こってないのに、肌がピリピリしてきた……これは、まさか!?
「辛味爆撃の雨が!殲滅(辛味)空間が広がって、もうこの辺りはダメかもしれない……」
「全ての人々に辛味の幸福を……」
 瑠璃が黒幕みたいなこと言いだしたんだけど!?誰か止めてー!?
「悲劇の気配」
「辛味の激痛」
「対象の排除を優先……」
 うそ、機械兵器が私達を助けようと……。
「もぉ!」
 なんでるこるさんが体当たりして止めちゃうのー!?あ、でもUCが強制解除されて、巨大な牛から元の人型に……なってない!?なんか胸だけおっきなままなんだけど!?
「あーれー……」
 そのまま落下して、機械兵器の龍の鼻先にぶつかって……あっ。
「「「ッ~~~!?」」」
 ……なんだろう、タンスの角に小指ぶつけた時みたいな顔してる?
「そうか、UCや装備、異能力に頼ることなく、物理的に猟兵としての実力で挑めばいいんですね……!」
 摩那ちゃん(緋瑪は摩那ちゃんが年下だって知ってるよ!瑠璃はお姉さまとか言ってたけど……)が何かに気づいたみたい?
「まずはヨーヨー『エクリプス』で戦うとして。ここは大切な唐辛子を使いましょう」
 なんで唐辛子なの!?辛党ってみんな同じ事考えるの!?
「味が良くてピリ辛だけど、肌に付くと大変なのよね。熊も逃げ出すって描いてあるけど、オブリビオンにも効くのかな」
 なんでそんなの持ってるの!?瑠璃もそうだけど辛党の人って危険物持ち歩かないと気が済まないのかな!?
「うにゃぁあああ辛いぃいいいい!!」
 あ、お巡りさんみたいな人が唐辛子の雨に打たれて落ちてきた!しばらく暴れまわってたけど、びくっ、びくって痙攣して……動かなくなっちゃった……打ち上げられたお魚みたいな最期だったなぁ……。
「今です!」
 何が!?って思って振り返ったら、激辛雨に打たれて機械兵器ものたうち回ってる!?低くなった頭目掛けて、摩那ちゃんがヨーヨーを投擲!!上手に飛んだヨーヨーが口のあたりに当たったんだけど、やっぱり弾かれて……あれ?機体が赤くなっていく?
「「「辛い!辛すぎる!!」」」

 カッ……ドゴオオオオオン!!

 爆発したー!?
「戦いは終わったんだね……でも、人々に幸福を配る道は始まったばかり」
「あれ?瑠璃?なんで私の肩を掴むの?」
「唐辛子って、そのまま使うだけじゃなくて、今日はほら大根おろしと牛丼で、おろし牛丼にしても合いますし」
「待って摩那ちゃん、唐辛子が真っ赤過ぎてお肉みえないんだけど?しかもその大根って爆発しなかった!?」
「ふふ、素晴らしい大爆発に期待してますネ」
 アフロヘッドのテレビ頭がポーズしてる……。
「ノインさん助け……」
「「はい、あーん?」」
 私の口に、おろし牛丼という名の真っ赤な劇物が運ばれてくるところで、私こと緋瑪は意識を手放しちゃった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月26日


挿絵イラスト