デビデビマシン猛レース!~惡のヘルロード~(作者 ノーマッド
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#デビルキングワールド 


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#デビルキングワールド


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●魔界のワッキーレース
 デビルキングワールド。悪魔と思える種族が住む魔界とも呼ばれるこの世界だが、その実は悪魔を自称する「良い子すぎる種族」が住むファッションヤンキーな世界である。やる事なす事の悪事はイタズラ程度の彼らだったが、それが彼らを絶滅の危機に陥らせる事となった。悪い奴は模範的悪魔でどんな欲望も叶えるのは是という彼らなりに考えつくだけ考え尽くした『悪魔の道徳』をまとめた『デビルキング法』が制定された。それを経典として住民達は日夜悪事に勤しむのであるが、それも上述通りで悪魔と言うよりは小悪魔程度の悪事であるのが現状である。
 しかし、カリスマというのは何処の世界にも居るもので、この世界におけるカリスマは世界を破滅に導くオブリビオン。つまりは彼ら悪魔と姿形が変わらない者らを崇めて信奉し、自然な流れとしてオブリビオンに与しているのある。
 そして、今宵もデビルキングワールドの何処かで破滅への祭典が繰り広げられる。炎が燃え盛り骸骨がゴロゴロと転がる町から離れた僻地に、落雷を思わせる轟音を響かせながらおどろおどろしくも世紀末なクルマが集結していた。
 これはデビルキングワールドの人気スポーツであるカーレースで、その名も『ヘルズラリー』。ルールは単純明快で『どんな手段を使って』でもコースを完走してゴールするという物だ。なので、妨害行為として定番な体当たりは元より、爆弾を投げつける、自らの能力でライバルを蹴り落とす、マシンを破壊するなどなど、悪どい手段であればあるほど観客は熱狂する過激極まりない何でもありのレースである。
 そんな事でワルとしての箔を付けようと参加者は後を絶たず、ある者は如何にもワルそうな自らのマシンを誇示し、ある者はワルさを競う合ってお互い罵り合い、ある者はこっそりとライバルのクルマに爆薬仕掛けている。まさにアポカリプスめいたアトモスフィア漂うこの場所に一台のマシンがやってくると、この場に居た悪魔達が熱狂の喝采をそれに浴びせた。

「キングだ! キングが来たぞ!」
「ヒュー、今度もキングが走るぞ!」
「今度はどんな手を使って優勝するんだろうな!」
 キングと呼ばれる者が手を振れば、更に歓声は熱を帯びる。そのキングと呼ばれている者こそがオブリビオンなのであった。


●グリモアベースにて
「今回新たに発見された新世界の『デビルキングワールド』ですが、どうやらこの世界ではオブリビオンが住民達の支持を得て勢力を拡大させているようです」
 シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)はデビルキングワールドでのオブリビオン事情を猟兵たちに説明しながらも、このような世界があるとは驚きでしたと何時もの調子で語り続ける。

「悪魔であっても善良すぎるが故に滅亡の危機に瀕し、それを回避するべく生まれた悪徳を由とする文化とオブリビオンの凶悪性が見事に噛み合った、と言ったところでしょう。ですが、このまま放置しておけばオブリビオンの力が増していき、世界は破滅へと導かれてしまいます。ですので、今回貴方達にお願いしたいのは、この世界の住民達の人気娯楽であるカーレースで連勝を続けることで支持を得ているオブリビオンを退治して欲しいという依頼となります」
 聞けばどんな手段を問わずにゴールするのがルールという、危険極まりないレースとのこと。だがその白熱するバトル、あらゆる手段を使ってでも勝利の栄冠を得た勝者は『デビルキング法』で定められているワルとして、敬慕の念を寄せられるのだ。

「今回は常勝のキングと呼ばれ敬仰されるオブリビオンを倒し、レースを制すれば注目の的は貴方達へと変わるでしょう。それと今回の予知は早かったですから、レース当日よりも先に現地へ転送できます。日数は十分とありますので、自分のマシンが無いのであれば向こうでマシンを調達してもよろしいかと思います」
 ただしレースと言えども、マシンの性能ばかりでなく見かけの風貌も重要。住民の悪魔達にウケるものであればレース開催前に注目を浴び、今回のレースでの難所やライバルマシンがどのような妨害行為を仕掛けてくるか情報収集がしやすくなるだろうとシグルドは付け足した。
 そしてシグルドはゲートを展開させ、猟兵達を新たな世界『デビルキングワールド』へ猟兵達を転送させるのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 新しい世界はやはり魔界でしたが、ちょっと勝手が違う魔界でもありました。
 何方かと言えば、若干キマイラヒューチャー寄りなシナリオが楽しめれそうです。

●シナリオ解説
 第一章は【日常】フラグメントです。
 ヘルズラリー開催日よりも前に転送された猟兵達が現地調達したマシンで当日のレースにエントリーし、レース前のマシンにお披露目をして観客達の悪魔の注目を浴びる内容となります。
 この章でのプレイングボーナスは「とにかく悪そうで強そうなマシン」です。悪く強そうであればあるほど、悪魔たちは有望な賭け馬や新たな時代を作る悪と見てレースに有利な情報を提供してくれます。レースに勝たせる為なら、彼らもどんな手段を使ってでも勝たそうと躍起になるでしょう。

 第二章は【集団戦】フラグメントです。
 ついにレースは開催され、注目を浴びた猟兵達は格好な妨害の的となります。UCを駆使しながらマシンを走らせたり、妨害を防いだり、妨害したりしながら、危険なレースを爆走してください。
 また集団敵は、「魔界の一般住民」になります。オブリビオンのワルさに憧れて悪い外見ですが、その正体はただの悪魔です。ギャグの範疇を超えて惨たらしく殺害するなどのプレイング内容はマスタリング対象となりますので、ご了承下さい。

 第三章は【ボス戦】フラグメントです。
 ついにレースは終盤となり、オブリビオンとの雌雄を決するデッドヒートが繰り広げられます。レースから脱落する事無く、オブリビオンを倒してゴールしましょう!
 またこの章の最後に、今レースの順位が公開されます。
 順位分けはシナリオでの成功度とは異なるダイス判定となりますが、このレースの勝利を勝ち取るための秘策や奇策、マシンに隠されたビックリドッキリな特殊機能などで逆転しようとすればダイスの振り直しボーナスが発生します。余裕があれば狙ってみて下さい。

 2章と3章の相手がどんな相手なのかは、章が進展する毎の情報開示となりますので、ご了承下さい。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちします。
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第1章 日常 『悪魔的ファッションショー』

POWゴッテリ重厚で強そうなファッションを披露する
SPDバチバチに過激でスタイリッシュなファッションを披露する
WIZ変形機巧や魔法装置を仕込んだファッションを披露する
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


神代・凶津
新世界で何でもありのレースとは面白れえじゃねえか。
腕が鳴るってもんだぜッ!
「・・・あんまり無茶は駄目だよ?」
心配無用だぜ、相棒。
相手は魔界の住人だ、ちょっとやそっとじゃ死にゃしないだろ。

よし、レースにエントリーしてマシンの御披露目だぜッ!
と言うわけで相棒、頼んだぜ。
「・・・式、召喚【戦駆け劔武者】」
この機械仕掛けの式神でエントリーだぜッ!
レースのルールにマシンは人型じゃ駄目だなんてなかったしな。
黒い武者鎧に隙間から炎が噴出してるし見た目も中々いいだろ?
デモンストレーションで肩に乗ってコイツのスピードもアピールだ。

宣言してやるよ。このレース、勝つのは俺達だッ!


【技能・式神使い】
【アドリブ歓迎】


 集落より離れた郊外の賽の河原めいたスタート地点に、今回開かれるヘルズラリーに参加すべくありとあらゆるワルそうなマシンが続々と集結していた。

『ヒャッハー!』
『イェーイ! へい、彼女。ヘルズラリーの会場に行くのなら、俺達と乗ってくぅー?』
 リーゼント頭の悪魔がパラリラパラリラと、牛の角めいた形のホーンを甲高く鳴らしながら、暴走族の集会染みているこの場に不釣り合いとも言える長い黒髪な巫女装束の少女と並ぼうとスピードを落とした。仲間と思われる金色のリーゼントをした悪魔が箱乗りするように助手席から乗り出しながら同乗を誘ったたが、巫女装束の少女は黙ったまま。一向に誘っても反応がないと分かれば走り去っていくその様子を、彼女が大事そうに両手で抱えている白い歯を剥き出しにし、朱一色で塗られた鬼の仮面がケタケタと笑いながら見送った。

「新世界で何でもありのレースとは面白れえじゃねえか。腕が鳴るってもんだぜッ!」
「…あんまり無茶は駄目だよ?」
 鬼の仮面の正体こそはヒーローマスクであり猟兵の、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)。そして彼を手にするのは、幼い頃に実家である神社の蔵の奥で埃を被っている所を見付けて以来の相棒であり、共に長い年月を過ごしてきたからか今や実の兄妹さながらの関係を築いている「神代・桜(かみしろ・さくら)」である。どこか心配するように持ち上げた面を覗き込むと、凶津は口をより強く剥き出させながら応えた。

「心配無用だぜ、相棒。相手は魔界の住人だ、ちょっとやそっとじゃ死にゃしないだろ。よし、俺達もレースにエントリーしてマシンの御披露目だぜッ! と言うわけで相棒、頼んだぜ」
 分かった、と桜は静かに応え、手にした神楽鈴を地獄めいた風景の中、不浄を祓い場を清める清浄な鈴の音色をシャリンシャリンと鳴らした。

「・・・式、召喚『戦駆け劔武者』」
 面である凶津を被り人差し指で空を切りながら印を結べば、全身に霊力の炎を纏った体高5m程はあろう機動鎧武者の霊である式神が、頭を垂れ膝を付きながら彼と彼女の前に召喚された。

「よし、相棒。この機械仕掛けの式神でエントリーだぜッ!レースのルールにマシンは人型じゃ駄目だなんてなかったしな」
「クルマなら…タイヤの代わりに足が生えていてもおかしくないからね」
 何でもありのこのレース。相手を妨害する反則行為は兎も角、使う車についても特に規定はないものである。レース開催前日に転送されて色々と聞き込みをした結果、走れなくなっても車を引っ張ったり、逆に自らの足をタイヤ代わりにする等、過去のレースにあった逸話を元にこれを選んだという訳であった。勿論ルール的には何も問題ないであろう。

「黒い武者鎧に隙間から炎が噴出してるし見た目も中々いいだろ? デモンストレーションで肩に乗ってコイツのスピードもアピールだ」
「…何だかイケる気がする。ここは戦場…戦場を駆けて、劔武者」
 桜が肩に乗れば、機動鎧武者の式神が悠然と立ち上がり、先程の車を追い抜こうと駆け出す。骸骨のような物を踏み砕きながら、道があれば道を駆け、ショートカットできそうな所であれば跳躍してみせる。程なくしてリーゼント頭の悪魔達が乗った改造車が見えてくる。炎を噴出させながら迫りくる巨人に驚き、唖然と口を開けて見上げている彼らを見下ろすように振り向いて、凶津は桜の身体を通して親指で喉を掻っ切る仕草をした。

「宣言してやるよ。このレース、勝つのは俺達だッ!」
成功 🔵🔵🔴

リーゼロッテ・エアクラフト
ファッションショーねぇ…
まぁ何とかなるだろ。
といっても特に何かするわけではないのだが。
(※この時点でまず勘違いしてます)

え?マシンの?ああ…じゃあエンジニアチーム来させて【メカニック】【武器改造】【防具改造】させるわ。
どうせならもっと改造してやれってな

俺?マシン無いから他人のやつをエントリーさせとくぞ。今回はサポートに徹しておく。
後レースといえば華って奴…
(本心としてとりあえず一旦様子見ともいう)


プリ・ミョート
アドリブ歓迎

いんやあ、まさかこんな都会で常勝上等のキングさまにレース勝負挑むことになるとは、人生ってわからんべなあ! おっとお、おっかあ、見ててくんろー!
キングに叛逆なんて超悪だべ! 悪の――四天王だべ! ナハハハ!

《全てはわが策略の内》で髑髏柱を作って、それを崩してデコるんだべ。悪魔的ー! な見た目、昔雑誌とかテレビで見て憧れたからなんとなくわかるべ! ギラギラ、ギンギンな感じだな!
あとは……ごそごそ、おらー! おいらの中身をちょっと披露だべ! 一瞬な!

ふー……緊張と理性蒸発で頭がクラクラするべ! たまらん……ふふー


 突如現れた鎧の隙間から炎を噴き出す機械仕掛けの二足歩行型マシンがエントリーした事で会場内が騒然と沸き立ち、その中にはデビルキングワールドの片田舎から上京したてなブギーモンスターのプリ・ミョート(怪物着取り・f31555)が人混みに揉まれながら、背伸びするようにしてそれを眺めた。その姿をまざまざと目の当たりにした彼女は故郷では名の知れたおしゃれっ子で都会事情にはある程度精通していたものの、いざ上京してみれば雑誌やテレビで得られる情報とは違うライブの臨場感に圧巻された。流石は都会だけあって、自分が育ったのどか(?)な片田舎とはとはまったく違うワルというワルが集まるで所であると、白く至る所が継ぎ接ぎだらけな知恵の布の下で目を輝かせていたのであった。

「ふぅー、やっと人混みを抜け出せれたべ。いんやあ、まさかこんな都会で常勝上等のキングさまにレース勝負挑むことになるとは、人生ってわからんべなあ! おっとお、おっかあ、見ててくんろー!」
 恐らくこのレース中継をテレビで観るだろう父と母が、こっそり秘密で出場した自分の姿を見つけたら、どんなに驚くであろうか。そしてキングの名声はデビルキングワールドの住民であるプリも知っており、どんな手を使ってでも勝利を掴み取るその姿と悪たる勇姿は、正に憧れの的であった。しかし、それがオブリビオンであれば話は別。猟兵として目覚めた彼女にとって、この生まれ故郷の世界を救うべく倒さねばならぬ不倶戴天の敵。そして憧れの存在をワルらしく下剋上し、今度は自らが次なるキング…このヘルズラリーの王たる称号を奪い取る野望に燃えている。

「キングに叛逆なんて超悪だべ! 悪の――四天王だべ! ナハハハ!」
 武器を満載した自らのラリーカーの元へ戻ると、プリはキングとタメを張るにはまだまだデコり具合が足りないと判断してか、UCで髑髏柱を会場内に打ち立てる。そして、ワルらしくワイルドに手にしたガトリングガンを唸らせながら、それを撃ち崩し始めた。

「ファッションショーねぇ…まぁ何とかなるだろ。といっても特に何かするわけではないのだが」
 先行していた猟兵達に遅れ、リーゼロッテ・エアクラフト(混ざりものの『アリス』・f30314)が、モヒカンやパンクファッションなどの悪魔が行き交い世紀末感が溢れる会場内へと転送される。レースのファッションショーと聞き、彼女はこう解釈した。レースの華…即ちレースクイーンの美しさを競う物だと。確かにレースクイーンめいた姿の悪魔もちらほら見かけるが、殆どが自ら乗ってきたワルそうなマシンを自慢しあっており、レースを楽しみに来たのか邪魔しに来たのか分からない観客達も盗撮上等のカメラ小僧達もレースクイーンそっちのけでそちらに夢中となっている。

「さて、着飾った俺を必要としているマシンは何処だ?」
 ゴシックパンクなレースクイーン衣装と傘の骨を本物の骨さながらに仕立てた日傘を指しながら会場内を練り歩くと、感動に打ち震えているプリの姿を見つける。彼女は自分のラリーカーをデコりにデコらせている途中であった。一体何があったのかリーゼロッテが問いただすと、震える声でピコは喋り出す。

「ほ、本物の……キングさまを生で見れたべ。おら、思わずすんげー感動しちまっただ……ッ」
 リーゼロッテが放心しかかっているプリの視線の先を見ると、異様な人集りができているのがすぐ見て分かった。どうやらあそこにこのレースの覇者であり、悪魔らの人気を集め支持を得ているオブリビオンが居るようである。とは言え、この分厚い壁のような人垣である。こうなればキングの元へ近づく手立ては無きに等しい。

「あー…そうか。美しさでなく順位を競うレースだったのか。ところで、マシンの改造をやっていたそうだが、見た所まだ途中なようだな。どれ、万全を期するよう、呼び出した整備班に手伝わせてやろう。どうせならもっと改造してやれってな」
 リーゼロッテが自らのUCで『後方支援部隊応援要請』を行うと、呼び出された整備班がピット要員さながらな手際の良さでプリのマシンを改造していく。タイヤホイールの中心部からは相手のタイヤを斬り裂く為の槍状な穂先が取り付けられ、マフラーも身体の奥底まで震わせる地獄からの唸り声さながらな重低音の音が鳴り響くように大口径の物へと取り替えられる。最後に骸骨柱から取り崩したドクロを光沢あるシルバーで塗装して、シャシーの随所随所に取り付けデコれば完成である。

「おおー! 昔雑誌とかテレビで見て憧れた、ギラギラでギンギンな感じの見た目だべ! 悪魔的ー!」
 銀のドクロが反射する光に誘われたか、悪魔たちがぽつりぽつりと改造されたマシンの元に集まってくる。プリは興奮気味にルーフへと登り、リーゼロッテはレースクイーンとしてクルマの華となる。

「ひゃあ! こんなに人が集まるだなんて、ふー……緊張と理性蒸発で頭がクラクラするべ! あとは……ごそごそ、おらー! おいらの中身をちょっと披露だべ! 一瞬な!」
 プリは場の熱気に当てられたか羞恥心をかなぐり捨て、自らの身体を包み隠す知恵の布を捲くりあげると、その中に隠された自らの花も恥じらう姿を周囲に一瞬だけ見せた。勢いに乗った若さ故であるが、流石に脱ぎ去るのは躊躇ったものの、このパフォーマンスは周囲にウケてアンコールが送られる。

「もう、しょうがねぇべなー。もう一度だけだべ? たまらん……ふふー」
 乗せられ煽てられ、プリは自分を応援してくれる友だちに再び姿を一瞬だけチラ見せさせる。彼らの声援こそが彼女の原動力であり、そしてその友だちを容赦なく『四天王力』で軍としてまとめ上げる悪のカリスマ性こそが彼女の真骨頂だ。かくしてプリが士気高揚と支持拡大を図る中、リーゼロッテはレースクイーンの演技をしつつ周囲の悪魔から今回走るコースについて情報を聞き出していた。

「なるほど。落ちれば炎上間違いなしの火の川橋渡り、つるつる滑る解けることのない氷の湖、吸えば気絶間違い無しのガスが吹き出る温泉が有名の地獄谷、原住民の私有地もといテリトリーを犯して迫撃から逃れるチェックポイント…ホントに地獄巡りも良いところね」
 誰かにお姉ちゃんもこのクルマに乗ってレースに出るのかと尋ねられたが、リーゼロッテは身体全体を使ったオーバーなリアクションと共に首を横に振る。

「私? お生憎様ですけど、マシンは無いからエントリーした方達の応援よ」
 半分真実で半分は嘘。彼女はコースにどんな物でどんな危険があるかで、まだ出場を決めあぐねていた。とは言え、まだまだレースのエントリーには時間がある。一旦様子見を続け、出場せぬともレースを中継する大型モニターを眺めながらサポートをするのも良いだろうとリーゼロッテは思案を巡らせるのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

ティオレンシア・シーディア
あー、うん。確かにこのみょーに軽いノリはキマフュー世界系だわねぇ…

…で。えーと、「ワル」っぽいマシンだっけ?要は「見た目でハッタリかませ」ってことよねぇ。
それじゃ、とにかく武装ガン積みしてみましょうか。あたしのミッドナイトレース、武装の類一切積んでないからスペースはいっぱいあるのよねぇ。
ミサイルポッドとかグレネードランチャーとか、爆裂系を中心にどんどんポン付けしちゃいましょ。
…それと、イタズラ対策に魔術文字を装飾に紛れさせておきましょうか。

あとは○情報収集ねぇ。コースの地形とか聞けないかしらぁ?
○地形の利用するにしろ襲撃を警戒するにしろ、情報があるに越したことはないものねぇ。


「あー、うん。確かにこのみょーに軽いノリはキマフュー世界系だわねぇ…」
 ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は、初めて来たはずの世界『デビルキングワールド』に漂う空気と一見するとふざけているようにも見える住民達のノリに既視感を覚えたが、その正体は住民達が面白おかしく毎日を楽しむキマイラフューチャーに近い物であると感得した。悪魔と言えども邪悪なる存在ではなく基本的には良い子であるが故、純粋に悪事を楽しむと言うよりはお互いにワルさを自慢しているのがBar『黒曜宮』のマスターにしてバーテンダーであり、その日にあった出来事を自慢してくる客に本質としては近い。ならば、彼らの趣向はおのずと見えてくる。

「…で。えーと、『ワル』っぽいマシンだっけ? 要は『見た目でハッタリかませ』ってことよねぇ」
 ティオレンシアは顎先に人差し指の腹を当てながら、イメージを膨らませる。そしてレース当日、完成してお披露目されたのは…。

『ヒャアっ! 見ろよ、あのマシン。まるでウニか栗のイガイガ見てぇに武器を突っ張らせてるぜぇ~!』
『追い越そうとするマシンと追い抜こうとするマシンを纏めて狙い撃ちしようって、これは相当ワルい、ワルいぜぇ~!』
『それにタイヤも無いのにふよふよ浮いてるぞ。どうやって浮かんでるんだよアレ!?』
 悪魔達がどよめき立つのも無理はない。かつてヒーローズアース全土を巻き込んだ大戦『アースクライシス』の際に地球侵略用としてオブリビオンが持ち込んだ物を奪い、その後の処遇は各々の猟兵達に委ねれられたのでティオレンシアが乗り回している『ミッドナイトレース』と名付けたバイク型UFOは、彼らにとって知り得ない物であった。武装の類は一切積んでいなかったが、逆に言えばスペースはいっぱいと自由そのものであったのでやれミサイルポッドやグレネードランチャー、閃光・破片・焼夷などの各種グレネードを放ち出すピッチングマシンモドキな装備など爆裂系統の武器でポン付けするように固められてた。そして彼らの注目を更に浴びせさせたのは、至る所に書かれた魔術文字の羅列であった。その殆どが見た目でハッタリをかませるよう、所謂『何だかよく分からないけど格好いい記号マーク』として組み合わせた無意味な物であるが、暗号文のようにイタズラ対策として紛れさせた言葉もあった。彼女以外の者が不用意に触れようとしようものならば、様々なセキュリティ魔術が発動するであろう。

「そろそろレースの情報収集する頃合いかしらねぇ? はぁい、こんにちはぁ。ごめんなさいねぇ、ちょっとお話聴かせてもらってもいいかしらぁ?」
 口コミが徐々に広がり、そんな奇抜なマシンをひと目見ようと悪魔達が集まってきた頃合いを見て、ミッドナイトレースを中に浮かばせながら降りる。このマシンはどうやって浮かんでいるのかと質問攻めさせるが、盗んだマシンだからよく分からないと嘘偽りのないエピソードに若干の誇張を散りばめながらワルさをアピールしつつ聞き出していく。

『襲撃を警戒するねぇ…ここだけの話だぞ? このレースには決められた道なんて無いんだ。あるのはチェックポイントを通過するだけ。つまり安全で走りやすいコースは遠回りしてしまうから、そこを離れて近道かけようが違反にはならねぇんだぜ』
『そうそう。だから土地勘があって走り慣れている奴だと、ワザと危険な道に入り込んで抜こうと追いかけてくる奴を引っかけようとするんだ。どうだ、すげーワルいだろ?』
「なるほどねぇ。悪魔の能力をフルに活用して、自分の走りやすい場所を行く感じなのねぇ。じゃあ、近道できるけどアブない道を教えてもらえるかしらぁ?」
 ティオレンシアは自分のマシンをそっちのけで情報収集に勤しんでいたが、そこへ何者かの叫び声が響いた。一同がその先を振り向くと、ミッドナイトレースの横で焦げた悪魔が倒れている。どうやらこのマシンにイタズラをしようとしたか盗もうとしたかで不用意に触れ、警備用の魔術が発動しこのような姿となったのだった。悪魔だけあって頑丈そのもので、黒焦げになりながらもよろよろと立ち上がるのを目の当たりにした悪魔が怯え出し始める。それも情報を引き出すための交渉材料として活用しようと、ティオレンシアは『脳が溶ける』と称される極甘ロリボイスで静かにぽえぽえと耳打ちさせた。

「ああなりたくなけれぇば…嘘は付かないようにねぇ。付けばぁ…分かるわよねぇ?」
『は、はひぃ~~!?』
 かくして彼女はカツアゲさながら甘美に恫喝し、残さずありったけ搾り取るように詳細な情報を聞き出していくのであった。
大成功 🔵🔵🔵

マヤ・ウェストウッド
「ヒーハー! オマエたちとは気が合いそうだねェ!!」
・自前の宇宙バイク《巡洋重型二輪エマニュエル・ハイドラ》は、かの銀河帝国を蹂躙し、そのボディとホイールで屍山血河を築き上げてきた鋼鉄のシリアルキラーだ
・今回のレースの為に高排気量かつ大騒音型エンジンに換装したので、環境にも"ワルい"。有害ガスを垂れ流し、魔獣じみたエキゾーストノートを会場に轟かす
・バイクが変形すれば、より空気抵抗の低いシンプルなフォルムになるが、ワルい奴ならそれが極限までに研ぎ澄まされた肉切り包丁のように見えることだろう
・ついでにオーディエンスの悪魔たちを轢きまわし、戦闘力の高さを誇示
「オラオラァ、ライダーも"不良"だぞォ!」


 ブォン! オォン! アォン! フゥン! ホォン! ホォン!
 レース開催の刻限まであと僅かという時に、魔獣とも野獣ともつかない重くて汚い慟哭じみたエキゾーストノートが会場内に轟いた。地の底も揺るがす重低音サウンドに誰もが振り向く中、今回のレースの為に高排気量かつ大騒音型エンジンに換装した宇宙バイクを唸らせながら、環境にも"ワルい"有害ガスを垂れ流しつつマヤ・ウェストウッド(フューリアス・ヒーラー・f03710)がエントリーする。

「ヒーハー! オマエたちとは気が合いそうだねェ!!」
 彼女の愛車である宇宙バイク《巡洋重型二輪エマニュエル・ハイドラ》は、かのスペースシップワールドを支配しようとしていた銀河帝国を蹂躙し、そのボディとホイールで屍山血河を築き上げてきた鋼鉄のシリアルキラーだ。そんなモンスターマシンに跨り、ケルト模様が編み込まれたストールマフラーを魔界の風でたなびかせる眼帯姿ライダーが突如現れれば、会場は熱狂の渦に包まれた。すべてを呑み飲んでのたうちまわる海のような排気音に甲高い叫びが混ざり合う中、マヤは不敵に笑いながら会場を蹂躙し続ける。

「オラオラァ、ライダーも"不良"だぞォ!」
 レース前のパフォーマンスとしてマヤはエマニュエル・ハイドラを走らせながら、より空気抵抗の低いシンプルなフォルムへと変形させる。流れるようにボディが細まる姿は誰もが息を呑んだ。だが、ワルい奴ならそれが極限までに研ぎ澄まされた肉切り包丁のように見えたことであろう。何故ならば、前輪を浮かせてウィリーさせながらオーディエンスとして密集している悪魔達目掛けて、アクセルスロットを全開させたのだから。

『こ、こっちに突っ込んでくるぞォ!?』
『ヒャアー!? 何だこいつ、なんてワルなんだ!! こんなダークホースは初めてだぁ!!?』
「ヒィィィヤッハー! オラオラァ、邪魔だ邪魔だ!! コイツは簡単に止まらねぇぜェ!」
 阿鼻叫喚と逃げ惑う悪魔達を轢くわ、はね飛ばすわのショートカットで、マヤは風のようにやって来て吹き抜ける嵐のようにスタート地点まで走り去っていった。悪魔を殺しても平気なのと、禍々しく恐ろしい悪鬼ですら思わず涙ぐんで問いたくなるパフォーマンスであったが、只の人間では死んでしまうダメージも頑丈な悪魔であれば打ち身程度で済むのは事前の調査で織り込み済みである。
 悪魔の記憶おろか遺伝子にまで刻み込むパフォーマンスを披露したマヤは、エンジンを温めながらレース開始を今や今やと待つ車列へ、エマニュエル・ハイドラを横滑りさせながら割り込んだ。

『おい! アブねぇじゃあねぇか!?』
「ああン? 中途半端に間を開けて止めてたから、そこを通らせて貰っただけさ」
『はっ。遅刻しておいて、たいしたアマだ。泣きっ面かかせてやるからな!』
「面白いじゃねェか。後で吠え面をかくんなよォ?」
 お互いに挑発と罵り合いをしている中、マヤは最後に中指を立たせると同時に、レース開催を告げる華々しくもメタルな音楽が流れた。それが終わりを告げると、スタートシグナルのカウントダウンが始まり、左端の赤ランプが灯る。それに合わせて出場マシンが一斉にマフラーを唸らせると、同じくして二番目の赤ランプが点灯する。
 最後にスタート示す青ランプが軽快な音と共に灯ると、ワイルドハントと思わせる鋼の獣の群れがヘルズラリーの道なきコースへと解き放たれたのであった。
成功 🔵🔵🔴


第2章 集団戦 『フランケンシュタイン』

POW ●マッドネスサンダー
自身の【知性】を代償に、【電撃】を籠めた一撃を放つ。自分にとって知性を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD ●フランケンナックル
【強靭な拳】で攻撃する。[強靭な拳]に施された【電撃発生装置】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ ●ファイナルフランケン
【体内を流れる電流】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 さぁ、始まりました。もう第何回かも忘れるぐらいやっているヘルズラリー! 今日も魔界中から命知らずで見るからにワルそーなレーサーとマシンが揃った。今回のレースで勝利の栄冠を手にするのは誰かなー?
 優勝者にはこの物凄くワルそーなカップは勿論、素晴らしい豪華賞品が待っている。常勝無敗のヘルズラリー一番の悪知恵の王者、キングは王者たる風格でゼッケン00番ウロボロス号が最後尾に陣取っている。レース前のインタビューでは、今日も汚い手を使うと宣言していたぞぉ。
 さぁ、いよいよスタートだ。各車一斉にスタートラインに向かい、合図と共に発車したぁ! ヘルズラリーの始まりだぁ!

 おおっと! 早速先頭が押し合いへし合いでマシンをぶつけ合って…ああーっと! 何方もクラッシュして吹き飛ばされたぁー! さっそくリタイア発生だぁ!!
 そして後方からキングのウロボロス号が追い上げてきて…おや、何かを撃ち出したぞ。飛翔体は先頭を通り越して着弾すると…こ、これは信号機だ!? キングの伝家の宝刀『偽信号機』がいの一番で使われた!!
 点灯する赤信号に反応して思わず急ブレーキを踏む先頭車。だが、ブレーキが間に合わずに後続車が次々と玉突きクラッシュするのを横目に、キングは悠然と横を通過していく。毎度毎度だが、なんて、なんて悪い奴なんだキング!! だが、そこに皆がシビれる! 憧れるぞ!!
 (※良い子の皆さんはちゃんと赤信号には止まり、なっても通過しないように)

 ここで大多数がクラッシュした所で、今回のレースの説明だ。文字通り山あり谷あり、難局続きの100キロ。このコースを制する者が、ヘルズラリーの王者となる訳だ。コースは道なりに進むもよし、道なき道を走りショートカットしてチェックポイントを通過するのもOKだ。キングは早速コースから外れて姿を消し、道にはさっきの妨害をくぐり抜けたレーサー達がトップを飾る。
 あれは、今回ヘルズラリー初参戦となる猟兵と呼ばれるワルのルーキー達か? それと並走するように、フランケンシュタイン達で構成された地元暴走族チーム『狂い咲きサンダーローダーズ』が追い上げてくる。単車に箱車、チームの誰かが優勝すれば良いと勝負を仕掛けてきたぁ!! 姿を消したキング同様に何が待ち構えているかわからないコースの外に逸れるか、それとも見通しが良く対処しやすいコースを走るか。両者ともに決断の時が迫られるぞ!!
神代・凶津
(機動鎧武者の式神の肩に乗る鬼面の巫女)
「・・・もうすぐスタートだよ。」
おう、相棒。
構えろ、【戦駆け劔武者】ッ!
勝利の栄冠は俺達が貰うぜッ!

(スタートシグナルが青ランプを灯すと同時に周辺にいるマシンを神速居合術で叩き斬ってスタートする)
悪いな、隙だらけだったもんでねッ!
このまま劔武者の高速移動でぶっちぎるぜッ!
他のマシンが追い上げてきたら後ろの方に『結界霊符』をばら蒔いてコースに結界を複数張って妨害するぜ。

キング同様、コース外を越えるぜ。
劔武者なら飛翔して地形の影響をほぼ受けず、他の障害は結界霊符での防御や破魔弓で迎撃してガンガン進むぜッ!


【技能・式神使い、結界術、破魔】
【アドリブ歓迎】


 場面は少し戻り、レースのスタート前。各出場マシンが粗々しくエンジンを吹かし、まるで威嚇しているかのように唸らせ合わせる中、その巨体故に一際目立つ機動鎧武者の式神の肩に鬼面のヒーローマスク凶津を被った神代・桜が乗っていた。低く野太いビッグバンエンジン音と甲高い叫びのようなスクリーマーエンジン音らが織りなす協奏曲が、どこか罵詈雑言を叫び合っているかのうにも思いながらも、二人はそれらで掻き消されるかのようなレース開催を告げるチャイム音を聞き逃すことはなかった。

「・・・もうすぐスタートだよ」
「おう、相棒。構えろ、戦駆け劔武者ッ! 勝利の栄冠は俺達が貰うぜッ!」
 各所の節々から炎を吹き出させながら、機動鎧武者が身体を歪めてスターティングポーズを取る。

『フララララ! そんなウドの大木見てぇな人形、すぐ追い抜かれるのがオチだぜ!』
 周辺に陣取ったチーム出場している『狂い咲きサンダーローダーズ』所属のフランシュタインがヤジを飛ばし、凶津が思わず噛みつこうとしたが「意識を集中して」と桜の小言を受けると舌打ちをしながら点灯し始めたスタートシグナルに目を向ける。
 空回りするタイヤ音、強く吹き上がって目を刺激させる排ガスの臭い。思わず鼻をしかめそうになる刺激臭だったが、凶津で防ぐ形としながら桜は焦らすかのように次へと切り替わるシグナルを見逃すまいとした。

 ポーン。
 軽快な音と共に各車は一斉にスタートし、機動鎧武者の足元を次々とマシンが追い抜いていく。先程のフランケンシュタインも発車前から体内を流れる電流を増幅させ、どういう原理かは分からないがそれをマシンに流すことでロケットスタートを決めたようだ。やはり二足歩行はタイヤのマシン相手には不利なのか…スタート直後の観客たちの反応は正にそれだったが、それを裏切るかのように機動鎧武者周辺のマシンが一斉に吹き飛んだ。
「悪いな、隙だらけだったもんでねッ!」
 機動鎧武者のスターティングポーズは俗に言う居合の姿勢でもあった。つまりは、スタート同時に神速居合術による抜刀をかまし、その大太刀が周囲のマシンらを薙ぎ払うかのように叩き斬る形で続々とレース続行不能なリタイヤを発生させた訳である。その余波で吹き飛ばされた悪魔とマシンの残骸が前方と後続にも及び、ひいては先程のフランケンシュタインもその犠牲者のひとりとなったのだった。

『フラァ!?』
「俺達をウドの大木とか抜かしたな? なら、テメェは木偶の坊だぜ。そこでおねんねしてな!」
「…出遅れたけど、その分を巻き返すよ」
 コースという名の戦場を駆ける鎧武者が先程のキングによる偽信号機の卑劣な罠により速度を落として団子状に固まったマシンを一気に飛び越えるとそのまま飛翔させ、順位は一気に逆転してトップ争いを繰り広げる所にまで上り詰めた。だが、障害を超えてきたマシンも次々と追い上げてくる。

「来やがったな? おい、相棒。マキビシでも撒こうぜ」
「…マキビシなんて物はない。けれど、似たようなものならこれで」
 桜が結界霊符を取り出すと、それを後方に投げ捨てた。霊符はひらひらと風に乗って舞い散り、彼女が印を刻むと札は見えない壁の結界を作り出す。運良くそれをくぐり抜けたマシンが居れば、突如出来た透明な壁に遮られて正面衝突するのも居る。勘が良いものは札によるものだと気づくも、それを躱すように注意深く走らせれば速度が遅くなる。

「この隙にキング同様に近道かけようぜ、相棒!」
「分かった……こっち、かな?」
 レース事前に覚えた地図を脳裏に浮かばせながら、機動武者は正規コースから越える。鎧武者は炎を上げながら尾を引くロケットの如く順調に進んだ、かのように思えた。そこはその地に住まう地元悪魔の住処、即ち私有地だった。侵入者を迎撃するかのように放たれる魔法、炎、礫、雷などなどが雨霰のように凶津と桜に襲いかかる。

「コイツぁとんだ歓迎じゃねぇか。面白れえ…相棒、思う存分不法侵入してワルさをアピールしようぜ!」
「はいはい…でも、これがレースだというのを忘れないでね?」
 次から次へと襲いかかるアクシデントに、思いの外愉しんでいるようにも見える凶津を桜がため息交じりに窘めつつも、降りかかる火の粉を払うかのように結界霊符をばら撒いた。霊符による結界の守り、引き絞る破魔弓による迎撃と共に、彼らは道なき道を驀進するのであった。
成功 🔵🔵🔴

プリ・ミョート
おら、思うんだべ
このデビルガトリングは生を終わらせる魔弾を放つ四天王の武器
こんなの魔界の方々にぶっぱしたらシャレにならねぇべ、おらできねえだ。見逃してくんろー

と、油断を誘って普通に撃つ! 撃つ!! 撃ーつ!!
ぎゃははは! おらが終わらせるのは選手生命だべ! ライバルレーサーの腕や、タイヤを狙う分には、ぜんぜんお構いなしだべ
騙し打ち上等、むしろこれこそワルっぽいべ! ギャーッハッハッハうふふひひひッェゲホゲホッ……むせたべ、走りに集中するべさ


『第一のチェックポイントを通過して、ヘルズラリーも次のコースに入ったぞぉ。次に待ち構えるのは、地面から巨大な針がにょきにょきと生えてくる針千本ヶ原だ! この難関をどれだけのレーサーがくぐり抜けるか、それともマシン共々串刺しにされるか、どっちだぁ!?』
 最初のスタートから現在に至るまで多くのマシンが次々と走行不能に陥ってリタイアをし、今残っているのはその半数程度だろうか。とは言えこれまでは前座に過ぎず、ヘルズラリーはここからが本番となってくる。これまでのリタイアは半ば『ふるい分け』に過ぎず、粒ぞろいの強者達が互いに妨害しあう何でもありバーリトゥードなレースはここからが真骨頂となるのだ。
 要はこれは勝てば良かろうな生存競争なのだ。自然界に生きる生物は様々な生存戦略を取るのと同様に、騙し騙されの弱肉強食な世界。お人好しは到底生き残れない過酷なレース自体が悪魔の道徳に則るもので、勝つためには卑劣な手段も辞さない姿に悪魔達は心酔し、悪ぶっていても根が良い子な者ほど自己体験したかのように熱狂するのだ。

『フラフラフラァ! 前をちんたら走ってるんじゃねぇぞ、フラァ!!』
「どひぇー! 都会の暴走族はおっかねぇべぇ!? 雷様にへそを持っていかれるだぁ! くわばらくわばら…」
 強さを誇張するかのように剥き出しの変圧器がバチバチを火花を上げさせるフランケンシュタインが乗っている改造バギーに、前を走るプリ・ミョートとは煽られていた。にょきにょきと不規則にせり出してくる柱のような針をデビルガトリングで薙ぎ払いながら進む彼女の後を追う形で、安全圏を得たフランケンシュタインは追走してくる。だが、隙あらばフラを引きずり落としてリタイアさせる気が満々らしく、改造バギーにも帯電させているのが分かるまでにスパークさせている。これで体当たりを食らったら、接触で伝わる激しい電流によりマシントラブルでエンジン停止はおろか自分の心臓が止まってしまうだろう。そうはさせまいと、針が生えないもう一門あるデビルガトリングをフランケンシュタインに向けさせる。先手必勝、やらなければ自らがやられる。照準を合わせ、後は引き金を引くだけ…なのだが、震える手先がそれを躊躇ってしまう。

「このデビルガトリングは生を終わらせる魔弾を放つ四天王の武器だべ……。こんなの魔界の方々にぶっぱしたらシャレにならねぇべ、おらできねえだ。そんな事をしたら、おっとうとおっかぁに素顔を合わせれねぇだぁ。見逃してくんろー」
『フーララララ! とんだ腰抜けじゃねぇか。それなら今までの道案内に免じて、特別に見逃してやるぜ。このまま田舎にでも帰って、お父ちゃんとお母ちゃんの前でベソをかいてな!』
『おーっと、プリ・ミョート選手。ここに至るまで散々煽られ続け、ついに精神が屈してしまったかぁ!? 生かさず殺さず煽り運転し続けてきたフランケンシュタイン、なんてワルい奴だ! しかし、ワルでも相手を見逃す度量があるとは格好いいぞ、こんちくしょう!』
 徐々にスピードを緩め、抵抗の意思が無いことを表すように体全体を被っている知恵の布の裾で白旗を振るようにすれば、一気にフランケンシュタインが前へ躍り出る。丁度針山ヶ原の終わりに差し掛かり、そこを抜けた先には目の前にはチェックポイントの門が大口を開けながら通過者を待ち構えている。

『フラララ! この調子でキングに追いてタイマンだ、フラァ!』
 弱者を屈服させて勝ち誇るフランケンシュタイン。だが、彼は気づかなかった。知恵の布の下で、プリの口角が計画通りと言わんばかりに上がったのを。

「ぐ、ぐふふふふっ、ギャーッハッハッハ! まんまと引っかかったべぇ。油断を誘ったら、笑いで腹が捩れるぐらいに引っかかったべぇ!」
『おやぁ、戦意喪失して白旗を振ったプリ・ミョート選手が笑い声を上げている…あー! なんと、プリ・ミョート選手。無防備同然のフランケンシュタイン選手の背後にデビルガトリングをぶっ放したぁ!! 白旗を振っておきながら騙し打ちとは、とんでもねー卑怯な手を使うワルだぞ。このブギーモンスター!!』
「ぎゃははは! おらが終わらせるのはレースでなく、おめぇさんの選手生命だべ! ライバルレーサーの腕や、タイヤを狙う分には、ぜんぜんお構いなしだべ」
 デビルガトリングの砲火の前に、フランケンシュタインの改造バギーはあっという間に蜂の巣となってしまう。これでは当然操縦している悪魔も死んでしまう…とは問屋は下ろさない。ゴミ袋を薙ぎ払うが如く大破した穴だらけのシャシーから、ボロボロの革ジャン姿だが五体満足の姿でよろよろと脱出して地面に倒れ込む。流石は頑丈さには定評ある悪魔というべきか、マシンよりも丈夫な身体であるがこそ、この過激極まりないレースは成り立つのだ。

「むほほほー、卑怯もラッキョウもあるかだべ。騙し打ち上等、むしろこれこそワルっぽいべ! ギャーッハッハッハうふふひひひッェゲホゲホッ……むせたべ、走りに集中するべさ」
 プリは込み上がる笑いに思わずむせてハンドルが取られてしまったが、無事にチェックポイントを通過してタイムレコードを更新させる。その後を追って後続のマシンが続々と通過すると、この先に待ち構える新たな地獄へと向かうのであった。
成功 🔵🔵🔴

リーゼロッテ・エアクラフト
…いやこれ何でもありなら別に【参加してない奴が乱入して攻撃仕掛けても別に問題ないよな】…?


まぁキングとかレース参加者とかはいったん置いといて猟兵の仕事をするだけなんでな。
そもそも車でエントリーしてないから俺が障害になってレースに割り込んでもそれはルールの範囲内だよな?先に進みたかったら全力で止めてみな

86発の炎の雨あられをよ!!
もっとも避けたところではいそうですかって進ませる気もねぇけど。
事前にルールとコース聞いといたからそのうえで細工も当然やっておく。

真の悪ってのはレースでワルやるんじゃねぇ…仕込みしたうえで掌握してしまう事だ


『リタイアに次ぐリタイアで半分以上減ってしまったが、選りすぐりのワル達はついに今回のヘルズラリー第三関門である炎の川渡りに差し掛かった。地には絶えず噴火活動をしている火山から流れ出すマグマ、上空から無数の火山弾が降り注ぐ難関だ。一体どれほどのワル達がこの難関をくぐり抜けれるかー!?』
 レース実況者の捲し立てるようなコース説明と大画面による実況中継映像を前に、観客達は一斉に湧き立つ。そんな中、ゴシックなレースクイーン姿のままでリーゼロッテ・エアクラフトも雑踏の中から、仲間の猟兵達の奮戦を固唾を呑んで見守っていた。
 色々と考えあぐねいた結果、出場せずともこの観戦場でレースの全貌を確認できるとして「…いやこれ何でもありなら別に『参加してない奴が乱入して攻撃仕掛けても別に問題ない』よな…?」と至り、状況さえ把握できればUCによる支援ができると判断したのだ。

「まぁキングとかレース参加者とかはいったん置いといて、猟兵の仕事をするだけなんでな。そもそも車でエントリーしてないから、俺が障害になってレースに割り込んでもそれはルールの範囲内だよな?」
 当然『何でもあり』なので、遠隔からの妨害も反則行為と咎められないのがこのヘルズラリーである。ただ、前例としてコース上に設置したリモコン爆弾による妨害もあったようだが、実際にはこうしてモニター越しからの操作となるのでそんなに有効打とならなかった模様だった。それなら直接相手マシンに時限爆弾を仕掛けた方が確実で、現在ではこちらが主流となっている。

『フーラフラ! この程度の天然障害なんざ、屁でもねぇぜフラ!』
『おおっと、狂い咲きサンダーローダーズ所属のフランケンシュタイン選手。巧みなハンドル裁きで振り降りてくる火山弾を軽やかに躱している。地元出身者だけあって、この土地を熟知しているならではの快進撃になるかぁ!?』
「ハッ、そいつはどうかな? 先に進みたかったら全力で止めてみな…炎の雨あられをよ!!」
 バチバチと身体から放電させてマシン全体ごと帯電しながら走るフランケンシュタインのマシンが大型モニターにクローズアップされると、リーゼロッテは妨害対象をそれにターゲットを絞った。

「心火を燃やし燃え盛れ、灯火。揺らぎ、焦がし、焼き尽くし、広がり、喰らい尽くせ、小さき炎よ」
 UC、燃え盛る心火(フレイムハーツ・インフェルノ)。リーゼロッテのハートは、既にこのレースの観戦で心が昂ぶっている。火力は文字通り心の昂ぶり次第であるUCも、まるでそこに居るかのような、走っているかのようなLIVE中継が、更に心を燃え盛らせる。UCに呼応するかのように一段と大きな噴火が起こると、上空に舞い上げられたリーゼロッテが作り出した火山弾がフランケンシュタイン目掛けて襲いかかる。だが敵ながらあっぱれと言うべきか、身に纏う電気の放電をセンサー代わりにして火山弾の直撃を次々と躱していく。その光景が実況されると、観客もやれ当たれだのやれ躱して行けだのと様々な声が入り交じる。勿論、その中にはリーゼロッテも含まれていた。

「随分やるじゃねぇか。じゃあ、コイツはどうだ?」
 相手の健闘を讃えながらニヤリと笑うと、フランケンシュタインが躱そうとした火山弾が上空で突如弾けた。散弾とも言える無数の炎がフランケンシュタインのマシンを襲い、穴だらけとなればそこから一気に炎が吹き出して炎上する。そして、仲間に襲いかかったトラブルに注意を奪われた別のフランケンシュタインにも、炎が牙を向いた。地面から噴き出す炎がマシンを直撃させ、こちらも走りながら炎上させる。幸いにも命からがら脱出したフランケンシュタインらは焦げただけで済んだようだが、マシンがこうなればリタイアは余儀なくされる。
 
「真の悪ってのはレースでワルやるんじゃねぇ…仕込みしたうえで掌握してしまう事だ」
 チェックポイントを通過する仲間の猟兵達の無事を祈りながら、後続の驚異となる悪魔レーサーを狙いを変えて更なる妨害を繰り広げるのであった。
成功 🔵🔵🔴

マヤ・ウェストウッド
「"道"ってのは、アタシが走った痕跡のことさ。アタシの前に"道"は無いッ」
・チェックポイントを《直線》で結び、そこをストロングにショートカット。幾多の魔改造を経た宇宙バイクは[悪路走破]をものともしない
・UCにより自走機雷を召喚。ただでさえヘンテコな兵器が空を飛び、触手で阻もうものならばライバルへの威圧効果も充分(かも)
・装備のXキャリバーにバナナの皮を装填し弱点を[メカニック]知識で分析して狙撃を試みる
・道に敷かれているであろう障害物は[野生の勘]と[運転]テクでカバー。また、白衣には[電撃耐性]がしこまれている
「亡き友よ、アタシから目を離さず走る事をせよ。このヤバい道程のため……!!」


『熱い溶岩地帯を抜けるとそこは氷原だった。ヘルズラリー第四関門は、火照った身体とアツいエンジンも冷めてしまう冷獄の氷河「コキュートス・グレイシャー」だ! 道標となるものはポールだけの何もない、恨みつらみの言葉さえ固まる零下の世界。ここには高い塀もなければ、深い堀も無い。あるのは澄み切った大気と、汚れなき氷のみだぁ! だが、こんな世界でも悪魔は生きていける! 縄張り意識の高い現住悪魔と遭遇すれば、命は幾つあってもたりねぇぜ!』
 今までは道という道があったが、ここには道という物が一切ない。あったとしても、それは氷河の上っ面を削るだけで、それもすぐさま凍りつく極寒のキリングフィールド。吐く息はおろか内蔵まで凍りつく寒さに、マヤ・ウェストウッドは五臓六腑を焼き尽くす熱い紅茶が入ったスキットルを懐から取り出して呷る。巡洋重型二輪エマニュエル・ハイドラの運転を片手に飲み干したそれの蓋を締める手間を惜しんでポイ捨てすれば、その姿に観客らは思わずワルいいねと口を揃えて賛美するだろう。だが、彼女にはその声は届かない。耳をも指をもしばれるこの寒さから一刻も離れたい一心で、道なき道を走るのだ。

「"道"ってのは、アタシが走った痕跡のことさ。アタシの前に"道"は無いッ」
 安全地帯の正規コースから逸れれば待ち構えるのは、獲物が落ちるのを今や今やと待ち構え、氷河自体が大口を開けている無数のクレバス帯。チェックポイントを直線で結べばここを通るしかなく、既に先人が作り出した道は先行しているキングの物だろうか。幾多の魔改造を経た宇宙バイクはその障害を物ともせず、クレバスを道としてストロングにショートカットして行く。

「アイツはキング……いや、違う。スタートでイチャモンを付けて来た野郎か。おもしれぇ、ここに至ってまで因果ある野郎だとはな」
 見た所フランケンシュタインだが、今までリタイアし続けてきた『狂い咲きサンダーローダーズ』のサンシタ共とは違う雰囲気を醸し出している。恐らくアイツが族チームのヘッドであろう。一気にスロットルを全開にさせ、一気に詰め寄れば相手は先程のお返しと言わんばかりに中指を立てさせながら彼女を歓迎した。

『とうにリタイアしてると思いやぁ生きてやがったか、アバズレ! テメェとはサシで決着を付けねぇとならねぇみてぇだな!?』
「ソイツぁこっちのセリフさ。いいぜ! 来いよ! お互いケリをつけようぜ!」
 オオンアオンとお互いに鉄の野獣を唸らせ、氷原を縦横無尽に削っていく。この冷獄も二人の決闘を煽るかのように、吹雪を吹き荒ぶらせ視界が白い闇に覆われてた。こうなれば頼りになるのは、己の耳と野生の感による直感のみ。Xキャリバーに装填したバナナの皮は、この寒さによって中身があれば釘も打てるまでに固まっている。例え相手マシンの弱点を狙い撃ったとしても、ガラス細工のようにバリバリと音を立てながら割れてしまうのが関の山だろう。

『オラオラァ! 何もしてこねぇならこっちから仕掛けるぜ!』
 バチバチと放電音が風切り音と共に鳴った直後、吹雪とぶつかり合う事で青白い火花が迸るチェーンがマシンを掠める。これがどれ程の長さがある鎖かどうが分からなければ、こちらは迂闊に接近する事はままならない。マヤは舌打ちをしながら、どうせ視界が悪けりゃ当たるも八卦当たらぬも八卦と腹をくくり、UCを発動させて反撃に転じた。

「運命の歯車は廻りだす……翔けろ、輪入道(パンジャンドラムス)!」
 敵味方識別機能を搭載して、脅威でないと認めた対象は攻撃しない紳士精神回路を実装した安全安心なフライングパンジャンドラムドローンが召喚されると、滑り止め用のスパイクを突き刺しながらホーミングミサイルさながらの軌道を描いて氷原を、宙を疾走る。例え視界が遮られようとも、熱源センサーは的確に相手のマシンを捉えていた。そして車軸から触手を伸ばしてフランケンシュタインの身体やマシンの取っ手になりそうな部分を掴めば、引き寄せるのではなく逆にこっちが向かうことで数個のパンジャンドラム型ドローンがぶつかり合って大爆発を起こした。

『ぬぉおおおおっ!?』
 その衝撃でフランケンシュタインのマシンはバランスを崩して、身体は氷原に叩き落された。だが、マシンはまだ無事な上に悪魔は頑丈だ。よろよろと立ち上がると、マヤへの復讐心を滾らせながら横転したマシンの元へ向かう…が、その前に何者かが立ちはだかった。

『ウホっ?』
 それはこの地に住まうモップのような野太い毛に覆われたゴリラのような現住悪魔だ。この騒動を聞きつけたか一体だけではない。見慣れないマシンに興味を示しており、触ろうとすればフランケンシュタインは愛車に手を出すなとばかりに怒りを現した。

『うす汚ねぇ手で触るんじゃねぇ!!』
 帯電させたチェーンで相手の身体を叩くものの、相手は巨体なのもあるがこの地に適応すべく進化した剛毛が衝撃を緩和させてしまう。

『ウホ!? ウホホッ、ウホ!!』
 だがちょっと様子がおかしい。叩かれた現住悪魔は何やら驚きながら喜んでいる様子。ビシバシと叩かれながらもフランケンシュタインに近づくと、その攻撃を意に返さず一気に抱きしめた。

『ウホー! ウホホウホホ、ウホー!!』
 この様子だと、どうやらフランケンシュタインの体内から流れる電流がいい刺激になっているようで、インドゾウも気絶させる電流は彼らにとっては健康器具のような物なのだろうか。仲間の様子に興味を持った個体もフランケンシュタインを取り囲んでいく。

『ザッケンじゃねぇ、コラ! 離しやがれってんだ! ……アァーッ!!?』
 その後の彼はどうなったか、マヤには知る由がない。タイマンに勝ってエマニュエル・ハイドラを走らせ、エンジン音と風切り音がフランケンシュタインの悲痛な叫びを掻き消した。こうなればマシンは無事でもリタイア同然で、もはや死亡確認物だろう。

「アンタは良いダチになれそうな奴だったが、惜しい奴を失くしたよ…。亡き友よ、アタシから目を離さず走る事をせよ。このヤバい道程のため……!!」
 マヤは亡き親友エマが遺したエマニュエル・ハイドラに語りかけながら、先程のある意味悪夢とも言える惨劇に目を背けながら走らせ、吹雪が止めばすぐそこにチェックポイントが見える。こうして各車はコキュートス・グレイシャーを通過していくのであった。
大成功 🔵🔵🔵

ティオレンシア・シーディア
さぁて、いよいよレース本番なワケだけど。
チェックポイントさえ通ればいいって話だし、あたしは見通しいいとこ走ろうかしらねぇ。
…ええ、全天周360度見通せる、地形も何も関係ないところを、ね?

エオロー(結界)と帝釈天印(雷)で○電撃耐性のオーラ防御を展開、ラド(車輪)と韋駄天印で機動性を向上、●轢殺を起動してテイクオフ。武装はたんまり積み込んだもの、撃ち切ったのをパージしつつ見つけ次第高高度から○爆撃の雨を降らせちゃいましょ。
相手の射程外から一方的に撃ちまくるって、素敵よねぇ?

この子、こんな見た目でもUFOだもの、そりゃ空くらい飛べるわよぉ。
「空を飛んではいけない」なんて、ルールになかったわよねぇ?


『骨にまで染みる寒さを越えれば、地獄から天国に真っ逆さま! 第五の関門は、先程の火山地帯の恵みで温泉の源泉が無数に湧き上がる「ヘル・バレー」だ!! 濃厚な硫黄が過酷なレースで疲れた身体を誘惑してくるぅ! ここでリタイアすればゆっくり温泉を楽しむのも良いが、有毒ガス溜まりに突っ込めば、悪魔とてヘブンにノックダウンする危険地帯でもあるぞぉ! 一体どれ程のレーサーがこの誘惑を振り切り、勝利の勝ち取れるのか!!?』
 先程の氷に覆われた残酷なまでに清浄な世界から一転し、地表から噴出する蒸気が冷え切った身体を程よく温めていく。走れば走るほどに卵が腐ったような臭気が強くなる硫黄臭の効果もあるだろうが、どこか身体がだるくなり意識がまどろんでくる。様々なミネラルを含有した間欠泉が吹き上がるたびに、絶えず湿度が高い空気に温泉成分が供給されていく。心地よさが逆に今までの疲労が徐々に浮かび上がらせ、大地がもたらす悪魔の誘惑へ抗っているかのように各車がペースダウンする中、ティオレンシア・シーディアはバイク型UFO『ミッドナイトレース』で温泉成分が薄い上空を飛びながら、このヘル・バレーの絶景を一望しながら進んでいた。

「さぁて、いよいよレース本番なワケだけど。チェックポイントさえ通ればいいって話だし、あたしは見通しいいとこ走ろうかしらねぇ」
 今までも説明したとおり、何でもありなこのレース。上空を飛ぼうが地面を掘り進もうが違反行為にはならない。ここの区間は走りやすい場所ほど、温泉の臭気が濃厚となっている。よって、上空を飛ぶのは有効的であり、彼女は温泉の臭いに当てられもせずに快適な道のりを通っているのだ。

「本当なら温泉を楽しみたい気もあるけどぉ…ここ、悪魔基準の熱さみたいだし、遠慮するわねぇ」
 何も前触れもなく天高くまで吹き上がる間欠泉を躱すが、その雫は触れることなくとも熱を帯びているのが分かるほどで、それに当たった武装がみるみると腐食している。源泉というだけあって、頑丈な悪魔ならまだしもただの人間にとっては猛毒に等しく、入浴基準に満たないものなのだろう。

「さてと。ここまで腐食しちゃったら使い物にならないしぃ、丁度ミッドナイトレースの下をライバルマシンが走っているようだからぁ…。撃ち切ったのや使い物にならないものをパージしつつ、高高度から爆撃の雨を降らせちゃいましょ」
 誘惑に抗いながらモンスターマシンを走らせるフランケンシュタインの姿を、細目を薄っすら開かせながら確認する。そして操縦桿の周りにたくさんあるボタンの一つをポチッと押せば、ポン付けされている撃ちきった武器がパージされ、ひゅーっという音と共に地表に落下して…モンスターマシンの天井を突き破った。だが、それが決定打とはならずにエンジンを唸らせながら走り続けているようだ。

「あらあら、悪魔もだけどマシンも丈夫なのねぇ…。じゃあ、今度は確実にクラッシュさせるから、大人しくしててねぇ?」
 ミッドナイトレースを傾けさせ、武装した武器との射線を地表と合わせて撃つ。放たれたミサイルは落下速度も相まってどんどんと加速していき、一発目はモンスターマシン後方だったが、二発目は前方に着弾してスピードを緩めさせた。そして三発目は先ほど開けた穴の中に入るように命中すると、燃料に引火したのか上空からでもよく分かるほどまで盛大に爆破四散したのだった。

「相手の射程外から一方的に撃ちまくるって、素敵よねぇ?」
『なんて一方的な虐殺だぁ! だが、ルールでは違反行為でもなんでもない。ティオレンシアの悪魔的な笑みが、何とも言えないワルさを滲ませている。いや待てよ、これはご褒美ではないのか? 彼女の手によって温泉を堪能できるとは…もはや悪魔な女神ではないのだろうか?!』
 吹き飛ばされたフランケンシュタインが温泉溜まりにドボンと着水する様が観戦モニターにクローズアップされたが、ここまで来てリタイアしたはずなのに何処か満更でもない顔である。そしてチェックポイントに辿り着くまでの間、これを繰り返してミッドナイトレースを軽量化しつつも、多数の参加者をリタイアしていくのであった。こうして最後のチェックポイントを通過すると、ついにレースは最終局面へ突入した。
大成功 🔵🔵🔵


第3章 ボス戦 『セラフィムブラスター』

POW ●銃撃の使徒
自身の【翼】を代償に、【空飛ぶデビルガトリング】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【魔力弾の銃撃】で戦う。
SPD ●セラフィムブースト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【デビルガトリング】から【銃弾の雨】を放つ。
WIZ ●スマイルガトリング
自身が【微笑んでいる】いる間、レベルm半径内の対象全てに【デビルガトリングの掃射】によるダメージか【セラフィムの加護】による治癒を与え続ける。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 数々の地獄を巡礼し終えたワルのワル達が最後のチェックポイントを抜け、一路ゴールへ近づいてきた! ここから先はカーブもショートカットも障害もない、地獄まで果てまで只々ひたすら続いているような一本道『ヘルロード』だ。果たして最初にゴールするのはどのマシンか!?
 トップは雄建な魔獣が引く牛車『オープンブルワーゲン』、それをスーパーチャージャーを角のようにボンネット上から剥き出しにさせたマッスルカー『クレイジーV8』が追い抜く。それを更にサンダーローダーズの生き残りでチームの期待を一身に背負ったフランケンシュタインが抜いたぁ!
 おおっと! キングのウロボロス号の周囲を浮遊するデビルガトリングが火を噴き、三車を蜂の巣にしてクラッシュさせたぁ!! 敢えて順位を譲る事で一気にライバルを蹴落とすとは、流石キング! ワルいぞ!! これでトップはキングに移り変わった…と思ったら、今度は初出場のダークホース『猟兵』が追い上げてきたぞ!! これには麗しきキングも、苦虫を噛み潰したかのようなワルい顔をしている。本来はクイーンを名乗るべきだったが、敢えてキングの称号を名乗る事で男装の麗人として振る舞うことがワルいという美学の元、老若男女の悪魔達を虜にしてきた。女だてらにと、ナメて侮った屈強なワル共を屈服させ続けてきた。しかし、これで華々しい常勝無敗伝説が幕を閉じ、ヘルズラリーのあらたな王者交代劇が起きるのか!? それともキングは彼らを制し、新たな栄光ある勝利の一ページとしてしまうのか!?
 ゴールまでは何マイルだ? この最終区間も残り僅かだが、この勝負は瞬き一つもできない伝説となる予感がしてならない。各車、更に追い上げる! ヘルロード、いや惡の花道を走り抜けるのは、一体どいつだぁ!?
神代・凶津
(鬼面の巫女を肩に乗せて爆走する機動鎧武者)
見つけたぜ、キングッ!優勝は俺達が貰うぜッ!
「・・・私達の目的はオブリビオンを倒す事だって忘れてない?」
・・・わ、忘れてないさ、相棒ッ!

劔武者を高速飛翔モードに変えて戦闘開始だ。
小細工無用、敵のガトリングの掃射を見切って劔武者の特殊金属の太刀で迎撃しながら近付いて斬撃を叩き込み続けてやる。
そして敵が弱ったら必殺の神速居合術でとどめだッ!

後、レース優勝の為の策も忘れないぜ。
ゴールが見えてきたら式神【ヤタ】に結界霊符を持たして飛ばし他の走者の前に結界を貼り妨害する。
その隙に一気に駆け抜けるぜッ!


【技能・式神使い、空中戦、見切り、結界術】
【アドリブ歓迎】


「見つけたぜ、キングッ!」
 レースと言う名の戦場を駆ける漆黒の劔武者。闘気の現れを示すかのように、鎧甲の節々から噴出させる炎がより一層激しさを増している。凶津はキングをレース序盤から隈なく探していたが、お互いにチェックポイントを通過するまでは縦横無尽にコース外を走っていたことで今まで相まみえることは無かった。だがしかし、最終区間『ヘルロード』は一直線の道のみで、コースアウトするショートカットもこの道では意味を成さない。鬼面の巫女を肩に乗せて爆走する機動鎧武者は何時しか大地に降り、路面をその巨躯で走れば整えられているとは言え不整地の道を足型に耕していく。舞い上げられる砂礫に小さなクレーターが無数に作り出されれば、後続のマシンはスピードを落とさざるを得ない。

「優勝は俺達が貰うぜッ!」
「…私達の目的はオブリビオンを倒す事だって忘れてない?」
 地平線の彼方に待っている栄光に頭一色だった凶津に依代である桜が釘を刺すと、今まで口角を釣り上げらせながら勝ち誇っていた表情が一転してぎくりとさせる。仮面の裏側から感じる彼女の冷ややかな視線と何処か怒りが込められた言葉が、目的と手段を履き違えようとさせている凶津に釘を刺したのだ。

「…わ、忘れてないさ、相棒ッ! 道を耕すのはここまでだッ! 翔べ、劔武者ァ!!」
 バツが悪そうに取り直すと、禍津は今までのは助走を付けていたと言うように、再び機械仕掛けの式神を飛翔させた。

『くっ…ちょこまかと煩いカトンボめ』
 キング、いやオブリビオン『セラフィムブラスター』が走らせるウロボロス号にも熾天使の羽を彷彿させる六翼の翼が取り付けられている。デビルガトリングと連結されたこれにより、どんなマシンであろうとも彼女が乗るマシンにはあらゆる障害を乗り越える力が与えられた。走っているように見えてその実は翔んでいるというのがウロボロス号の仕掛けであり、悪路による抵抗も衝撃もなく揺らされることなく優雅に走る訳なのだ。だが、彼女と同じく翔ぶ凶津と桜を乗せた劔武者にスタートから距離を離して付き纏われていたのもあり、ここで今までの因縁を確実に落とすべくガトリングの砲口を彼らに向けた。トップは依然として自分である自負心からか、不敵な笑みを浮かべながら多門砲が悪魔のような唸り声の駆動音を鳴らしながら火を吹いた。

『これで穴だらけになりなさい!』
「ハッ! 見え透いた手だぜッ!」
 セラフィムブラスターのデビルガトリングが向けられた時には、既に桜が式神が封じられた霊符を撒いていた。そして印を刻もうとするのを防ごうとばかりに魔の銃弾が放たれば、凶津が自らUCで操る劔武者に命を下す。多数の銃身が束ねられたガトリングガンと言えども、放たれる砲口は一つのみ。幾分かバラけるだろうが、ヒーローマスクとして本体である凶津と依代となって身体となる桜に狙いを定めるのは火を見るよりも明らかだ。であれば、御しやすいもの。それに内部の機構が機械仕掛けのからくり人形とは言え、その実はUCが作り出した霊体に近い式神である劔武者はダメージを負っても、このまま翔び続けてゴールインするにはさして影響が少ない。禍々しく曳光される銃弾から身を翻し、射線から反れてバラけた弾は折れず曲がらずの特殊金属で構成された太刀の鎬で受け逸し、文字通りに鎬を削りながら凶津と桜を護る。

「…時間は稼げた。結界展開」
 僅かな時間であったが禍津により刹那の攻防を制し、桜が印を切り終えると霊符が互いに結びつきながら防壁結界を作り出した。これにより多少の被弾はこの結界により防げ、禍津は攻勢に転じる。劔武者を加速させセラフィックブラスターと並ぶと、取り回しが効かないデビルガトリングを翻弄しつつ、大太刀による斬撃を叩き込んだ。

「思ったとおりだぜ、相棒ッ! こう近づけば奴は下手に撃ってこれねぇぜ!」
 十分に距離が取れていれば兎も角、こうも近づけば例えデビルガトリングを彼女とマシンとの連結を外して独立駆動させても、劔武者のヒトガタならではの柔軟な機動性には追いつけない。先程の笑み消えて再び苦々しくなったセラフィックブラスターに突如衝撃が走った。

「…こっちも思ったとおり。注意がこっちに向けば、前の注意がお留守になる」
 何かに衝突したかのように、ウロボロス号の前方が大きく凹んでいた。障害という障害は何ひとつもないヘルロードに、まるで大岩があったかのような衝撃であった。ハンドルが取られながらもセラフィックブラスターは背後に目をやりその正体を確認した。それは1枚の霊符であった。桜が先程ばら撒いた結界霊符の中に、八咫烏の式神『ヤタ』を封じた霊符も混じらせていたのだ。結界を張るに時間がかかったのもヤタを起動させるのも含まれ、彼らは結界霊符と共に先行しコースの先々に目に見えない壁という障害を作り出していたのだ。

「テメェの始末をしなければならねぇが、優勝するのは俺らだと言っただろ? このまま一気に駆け抜けるぜッ!」
「……はぁ。もう凶津の好きにして」
 もはやどの勝負も勝ったも同然と勝ち誇る凶津に対し、桜はどこか呆れ顔のまま目的を忘れなければ彼の好きにさせようと思いつつ、更に式神を展開させるのであった。
大成功 🔵🔵🔵

プリ・ミョート
レースが終盤になってこそおらの本領発揮! コースに仕掛けが施されてないと、決めつけねぇでくんろ!
この展開は《全てはわが策略の内》だべ! 黒幕らしかろ? ひひひ!

その笑顔が引き攣るくらいの呪詛を垂れ流して走行妨害と防御を同時に行うべ! 受けた損害分髑髏塔を生やしてやらー!
故郷に錦を飾るべ! おらが伝説になってやるんだべ! シャンパンシャワーとかやってみてえしな! うひひへへへ!


 仲間の猟兵が一気にトップを独走していたセラフィムブラスターに追いついて食い込むと、続々と他の猟兵達も順位を追い上げつつ距離を詰めてくる。

「レースが終盤になってこそおらの本領発揮! 最後のヘルロードになーんも仕掛けもねぇって言ってるけんど、コースに仕掛けが施されてないと決めつけねぇでくんろ!」
 魔界の原野にただただ一本道が縦断して続くだけのヘルロードには、確かに種も仕掛けもない。しかし、裏を返せば自らのワルさを最後にまでアピールする場でもある。ここに来るまでの区間では、特色溢れるフィールドによる自然条件を味方につけれてたが、最後はまさに何もないと言わんばかりの一本道。そこにあるのは己の力量のみで、如何に己の得意分野でライバルを妨害するかが重要となる局面だ。
 ひたすら伸びる道であるなら単純に加速すれば良いだけだが、一度妨害されれば失速してしまい、それでお互いがクラッシュしよう物ならば遅れを取ったマシンが漁夫の利を得てトップに躍り出るという下剋上ドリーム。ワルがのし上がるには腕っぷしだけが全てではない。時には機を伺い、相手の力を利用する知略も重要だ。だが、基本的に良い子の悪魔はそれを行うには躊躇いが生じるのだが、ワルは人がやらないことをやる物だ。威風堂々とする様に、悪魔は痺れて憧れる。今がまさに、そのアピールをするには絶好のチャンスなのだ。

「この展開は『全てはわが策略の内』だべ! 黒幕らしかろ? ひひひ!」
 知恵の布を風ではためかせながら、その下で邪悪な笑いを上げるプリ。そう全ては彼女の策略の内であった。ヘルズラリーには初参加であったが、既にレース前にマシンのアピールで信者らを会得し、道中も騙し討ちという華麗なワルい手段を駆使してきた。きっと会場内ではおらを応援してくれる一団が出来ていることは間違い無しで、そこからキングたるセラフィムブラスターを蹴落としてトップに踊りでればどうなることやら。キングを応援していた層もおらにひれ伏すのは間違いないだべさ。と、彼女の頭の中ではカップを手にしながらヘルズラリーの新たなキングとなった情景が完成しきっている。

「あんなべっぴんなキングを追い抜いて、ゴールを決めたら…そうだべ。チラ見だけで済ませたおいらの中身を、おっぴろげにして披露してやんべ! 叛逆しておいて臣民であった信者を奪い取るのをキングに見せつけてやるのもいいかもすんねぇ! ヒィーハー!」
 脳内でとめどなく広がる勝利の妄想に酔いしれながら、プリはアクセルを全開にして徐々に距離を詰めていく。

「まんずはそんの笑顔が引き攣るくらいの呪詛を垂れ流すて、走行妨害と防御を同時に行うべ! こんのレースの全部のマシンが受けた損害分の髑髏塔を、たっぷり恨み辛みを込めながら生やしてやらー!」
 幾ばくかの損傷を受けたとは言え、まだ笑みを浮かべる余裕があるセラフィムブラスターを妨害すべく、プリは自らのマシンを飾るドクロを怪しく輝かせた。そこにはこのレースで様々な障害を前にリタイアし、道半ば断念した者達の呪詛が集められていた。それらを触媒にし、セラフィムブラスターが走らせるウロボロス号を前に次々と髑髏柱群を乱立させる。

『小賢しい真似をッ!』
 デビルガトリングが火を噴き、髑髏柱を次々と粉砕していく。しかし、その呪詛…つまりは、キングを負かせたかったという怨念と言うべきか。四散した髑髏がウロボロス号に纏わり付くよう次々と噛み付いてくる。一つの重さはそれほどなくとも、地理も積もればなんとやら。無視できないほどのデッドウェイトとなり、空気抵抗も馬鹿にはならない。それらを振り払おうと蛇行させる中、その姿を嘲るように高笑いを上げながらプリはセラフィムブラスターと並走した。

「故郷に錦を飾るべ! おらが伝説になってやるんだべ! シャンパンシャワーとかやってみてえしな! うひひへへへ!」
 遂にトップ争いが数台規模となったことで、スタート地点でゴールでもある会場内は波乱に満ちたこのレースの行く末にどよめきを隠せず湧き立った。キングへの声援も徐々に猟兵へと向けられるが、まだ勝敗は決したとは言い難い。
 手に汗握るデッドヒートは、まだ幕開けしたばかりだ。
大成功 🔵🔵🔵

マヤ・ウェストウッド
「お初にお目にかかります、"陛下"」
・真の姿を解放。全身の筋肉が隆起し、えぐい走行に能く耐える。その形相、さながら地獄の番犬!
・UCにより、バイクを空気抵抗の少ないシンプルなフォルムに変形させる
・熟練の[運転]技術で弾幕の回避を試みる。弾道についてはいつもどおり[野生の勘]で予測。多少のかすり傷は[オーラ防御]でしのいでみせる
・敵が羽虫のように飛び回ろうならば、手持ちの魔鍵と呪瘡包帯を組み合わせて虫取り網の要領で機動の妨害を試みる
・Xキャリバーには榴散弾の装填を命令し、素早い敵に対抗する
・エマニュエルは紅茶を動力とする。重力茶を充填して最後まで[ダッシュ]だ
「王手(チェックメイト)……!!」


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

さあ、いよいよ大詰めねぇ。
…ディテールはともかく戦術自体はわりかしガチなのよねぇ…

引き続きラド(車輪)と韋駄天印で機動力を向上、エオロー(結界)で○オーラ防御の傾斜装甲を展開。●轢殺・適応を起動して攻撃力を半減・装甲を強化、一気に○騎乗突撃かけるわぁ。
武装は全部パージしちゃったし、0は半減しても0。実質ノーリスクなのよねぇ。
マシンに乗ってるんだもの、翼は大して大きな代償にはならないわよねぇ?
強行突破しつつタイヤに遅延のルーン三種流鏑馬で撃ちこんで〇足止めしちゃいましょ。

ラストは移動力を強化してのガチンコフルスロットル。
最高速勝負のドラッグレースなら得意分野なのよぉ?


 セラフィムブラスターはウロボロス号に纏わり付いていた骸骨をなんとか振り払い、態勢を整えさせたがトップとの差は予想以上に開いてしまっている。目の前でケタケタと嗤う最後の骸骨を車外に投げ捨てると、再びアクセルを強く踏み込ませてマシンを加速させる。

『思った以上に離されたけど、勝負はまだまだよ』
 そう、まだ逆転のチャンスは残っている。ルール御無用のヘルズラリーはこの一本道が正念場だ。遮る物も身を隠す物も何もないフィールドこそ、己のデビルガトリングこそが輝くのだ。そうなれば悪くも優美に勝つ美学を捨て、このレースに勝つ事だけを優先させねば。マシンと連結されたデビルガトリングは、熾天使の羽を思わせる翼と連結されウロボロス号を飾る一部となっている。四門ある内の二門を自身のUCでパージすると、後方よりを追い上げてくる猟兵に向けて放ち、残す二門とはと言うと…。

「お初にお目にかかります、"陛下"」
 この追い上げてきた奇妙なバイクを、眼帯のレーサーを惨めに脱落させる為にだ。前方を走る者達の始末はこの後からでも遅くはない。
 
『ええ、御機嫌よう。そして、さようなら』
 ヘルズラリー王者たる風格で並走しながら挨拶をしたエマに視線を送ると、ガトリングの砲口を彼女に向けこちらも砲火と共に返答をした。

「さあ、いよいよ大詰めねぇ」
 その後方から追い上げるティオレンシアが駆るミッドナイトレース。スタートした時点でハリネズミのように取り付けていた武装は撃ち切るたびにパージし続け、今はもう何も積んでいない状態だ。UFO型バイク本来の姿では非武装であるが、この加速が物を言う直線勝負のドラッグレースならば分は十分とある。ただ、問題なのは障害となるセラフィムブラスターと目の前に迫りくる羽の生えたガトリングをどうするかだ。弾幕をくぐり抜けたとしても、後方からの追い撃ちするのは火を見るより明らかである。

「…ディテールはともかく戦術自体はわりかしガチなのよねぇ…。こっちは武装は全部パージしちゃったし、0は半減しても0。実質ノーリスクよぉ。ノーリスク、ハイリターン。うーん、い・い・言葉、よねぇ?」
 この状況を前にしてぽえぽえとした口調のままは余裕の現れか。その自信を砕くように羽付きデビルガトリングが彼女に向け放たれたが、ティオレンシアは避けることなく更にミッドナイトレースのアクセルを回した。唸るエンジンと水を流すホースのようにとめどなく撃たれる銃弾が重なり合い激突する。だが、ミッドナイトレーサーは無傷のままだ。それもそのはずで、UC『轢殺・適応』により目に見えない傾斜装甲結界のルーン、エオローを展開させていたのだ。

「思ったよりちかちかするわねぇ。早くここから抜けましょぉ。ラド・ライゾ・ライドー……ええっとぉ、おん・いだていた・もこていた・そわか…だったかしらぁ?」
 ミッドナイトレースの流線系ボディに添わせた楔形の防護壁でデビルガトリングの弾丸を尽く弾くが、ぶつかる際に舞い起こる火花がチカチカとするのが予想外であったが、鉄の嵐を乗り越えれば済むもの。細めた視線から経路を確認しながら、車輪を意味するラドのルーン、韋駄天の梵字印である真言を読み上げる。すると、それらの加護を得たミッドナイトレーサーが速度メーターを振り切らせながら更に加速し、その速さで弾幕の追撃を抜けて振り切る。

「この子の限界はまだまだこんなもんじゃないのよぉ? ……ないかなーとは思ってたけど、ホントにあるとは思わなかったわねぇ…。まぁいいわぁ。ガチンコフルスロットルで最高速勝負のドラッグレースなら得意分野なのよぉ?」
 本来であれば一つを使うものだが、今回は二つの言霊を使っての相乗強化がここまでとは。やった本人すら驚きを隠せないが、先程のデビルガトリングよりも速ければ問題はないのだ。

「ハーッハッハ、流石は陛下! ご挨拶もワルいこった!!」
 むしゃくしゃしている所に小粋なジョークな挨拶をすれば予想通りにご立腹だったのを呵呵と笑いながら、マヤはエマニュエル・ハイドラのギアを一段下げることのエンジンブレーキによりガトリングの返礼を既の所で避けた。

『ふん、道化め』
 不遜なマヤの姿にセラフィムブラスターは相手のペースに乗れば手球に取られると判断し、彼女の度重なる挑発を無視する。ならば、イニシアティブをこちらが取るまでだ。速度を落としたマヤが再び加速しようとした時、ウロボロス号も急に速度を落として彼女の背後を取る。そしてその制動力でマシンを浮かばせ、飛翔したのだ。本来であれば更に高度を上げられるが、今現在二門のデビルガトリングを切り離している都合で万全とは言えない。とは言え、戦闘するには支障はなく、上空より砲火が放たれれば弾丸の雨霰がマヤに襲いかかった。

「ははッ、大人げないねぇ。そんじゃ、アタシも本気を出させてもらうよ。エマ、モードチェンジ」
 熟練の運転技術と野生の勘でセラフィムブラスターの攻撃を躱しながら、エマニュエル・ハイドラの音声コントローラーに指示を送る。マヤの声に答え、エマニュエル・ハイドラが空気抵抗の少ないシンプルなフォルムに変形させる中、それに反するように彼女の全身の筋肉がみるみると隆起していく。真の姿となったマヤの形相は、さながら地獄の番犬。その力を持ってよりピーキーになったエマニュエル・ハイドラを操作し、周囲に漂う硝煙と排ガスの残滓がより鋭敏となった鼻腔をくすぐる。それに思考が取られそうになったが、より大きくなった耳が反射的に動くとハンドルを切ると、彼女が走っていた場所に銃弾の降り注いだ。

「ところで、お前は天使かい? 魔界だから堕天使かい? それとも…羽虫か?」
 再び挑発の言葉をセラフィムブラスターに送ると、変形したことで内部から姿を見せた謂わばニトロめいた重力茶タンクのコックを捻り、エマニュエル・ハイドラの燃料タンクに流入させる。高重力製法で抽出された怪しげな紅茶と残り少ない一般的な紅茶が混ざり合うことでブレンドされあい、ほぼグラビティーの紅茶がエンジンに噴射されれば爆発的な加速力を生み出した。マヤはあたかも無き友のエマが紅茶をキメたかのような錯覚を覚えながらも、上空を飛び交うウロボロス号の前に出た。

『…それなら貴方は、さしずめバッタかしら?』
 姿を変えたマヤとそのマシンの機動性を目の当たりにし、侮辱混じりの褒め言葉を返しながらもエマニュエル・ハイドラを追撃する。だが、マヤの野性的な感がセラフィムブラスターが向ける殺気を察知し、弾丸のシャワーを縫うように尽く抜けた。そして目の前の獲物に執着する中、後方より何かが近づいてくるのに彼女は気づかない。そう、ティオレンシアのミッドナイトレースだ。

「ようやく追いついたわぁ。さっきのお礼にお土産をおいていくからぁ……お先に失礼ねぇ」
 彼女の存在にセラフィムブラスターが気づいた時には既に手遅れだった。両マシンが並ぶと同時に、ティオレンシアはルーンを籠めた呪紋を流鏑馬の如く放ち、そのまま通過していく。衝撃は特になく、セラフィムブラスターは舌打ちをしながら戻ってきた羽付きデビルガトリングをウロボロス号に戻して照準を二人に向ける…が、その時マシンに異常が発生する。

『マシントラブルか…いや、これは!?』
 その正体は『目の前に立ちはだかる』を意味するソーン、『身動きが取れない、束縛』を意味するニイド、『氷、停滞』を意味するイス。所謂三種の遅延のルーンの呪いがウロボロス号を蝕んでいた。速度を落とすウロボロス号にマヤはXキャリバーを抜くと、別れ際の挨拶がてら榴散弾を放ち、爆ぜるとボディにタイヤに翼に損壊を与える。

「王手(チェックメイト)……!!」
 これならばもはや追い上げれまい。失速していくセラフィムブラスターを尻目に、エマは重力茶タンクのコックをより捻らせる。ありったけのグラビティーを注いだエマニュエル・ハイドラを再び加速させ、それに比例するように強まる魔界の風圧でハンドル操作を誤り身体を振り落とされんと踏ん張り続けていると、トップ層をその目で捉えた。

「ゴールは目の前だ。共に栄冠を掴み取ろう、エマ」
 亡き友が遺したマシンに語りかけながら、マヤは更にアクセルを強めた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

リーゼロッテ・エアクラフト
キングを名乗るのがワルねぇ…まぁレースの方は参加猟兵に任せて
俺は最後の仕事をするだけってね。

…とはいえだ。最後の最後だからこそのトラップをな。仕込みに行きますよっと

UCを使いまして人員を追加…使う本は試合中に買った本を適当に
…ってこれ馬…いや馬かこれは?世紀末にいそうな武装に身を包んだ馬っぽい何かか?

まぁいいやとりあえず86体・・いや86馬をけしかけてしまえ
コースから逆走させておけばいやでもぶつかるだろ
ついでにコースに小細工も仕込めれば一石二鳥だが…

いやあれ呼び出しといてなんだけどホントなんだろ


「キングを名乗るのがワルねぇ…まぁレースの方は参加猟兵に任せて、俺は最後の仕事をするだけってね」
 セラフィムブラスターが猟兵達に次々と追い抜かれて観客達のどよめきと歓声が沸き立つ中、リーゼロッテは走馬灯のように場面がハイライトとして切り替わる大型モニターから視線を外してゴール地点傍の向かった。まだ先頭は見えてこないが、レースには出場せずにここから絶えず支援を行ってきたレースクイーンとして勝利者を出迎えるべく、最後の仕上げとしてオブリビオンの始末をするべく地平線の先を望む。

「…とはいえだ。キングはまだ健在でリタイアもしていない。最後の最後だからこそのトラップをな。仕込みに行きますよっと」
 どっこいしょと荷物入れから取り出したのは、随分と古びた革張りの本であった。レース始まる前に会場内を練り歩いていると、フリーマーケットの出店が開かれていたので興味本位にお買い上げした書物である。軽く目を通して入るが、内容はデビルキング法が施行された後の物らしく、人を殺めるような極悪なことの無いずる賢くユーモアを備えた子悪党が主人公の、謂わば悪漢小説であるピカレスクロマンである。書を開き、適当なページを捲りながらレースに似合う者、つまりは乗り物に乗った登場人物らが荒々しく活躍する節を追いながら、書物の人物が物語通りに戦いを再演させるUC『禁忌の世界詩篇(ワールドエピック)』を発動させる。

「伝承、神話、御伽噺。紡ぎ広がる無限の世界。…かの地にて生まれ本に封じられしその世界を今ここに紐解かん」
 リーゼロッテの詠唱と共に書の一節一節が青白く光り、UCにより仮初の生を授けられた者共が今コースに放たれた。

『ウロボロス号は随分と派手にやられてしましたけど…私の翼とデビルガトリングはまだ健在よ、イェーガー共ッ!』
 マシンが大きく破損してやっと走れる状態となってしまったウロボロス号から、セラフィムブラスターは見えない先頭を走る猟兵に向けてキッと睨む。マシンが健在ならば勝負はまだ終わっていない。例え可能性が低くとも、先を走る者達がリタイアしてしまえばまだ自身が勝つ勝算があるのだ。己の命、名誉、数々の栄光、まさに全てを賭けた逆転劇を実現すべく、デビルガトリングを最大速度で再び放つと壊れたように彼女は笑った。

『アハハハッ! 止めを刺すなら、しっかりと刺さないとねぇ? 勝利を目前にしながら足元を掬われなさい!!』
 自身の記憶では多くの出場者がリタイアをして、今残っているのは自身と先を走る猟兵達だけ。おまけにここは、現住悪魔も滅多に歩かない区間でもある。即ち前後には彼女の敵となる者が存在しない。なので、彼女の武器であり身を守る為の物でもあるデビルガトリングを全て放った。後はリベンジャーとして返り咲けば、自らのワルとして悪魔達から崇められる箔が更に付く。はずだった。

『……なんだ、あれは?』
 気づくと突如目の前に砂埃が舞い上がっていた。それは徐々に近づいていき、伝わる地響きでマシンも揺れる。そしてそれは姿を見せる…それは漆黒の巨馬であった。その蹄は象の足程もあり、道を妨げる者があればひと踏みで圧死させてしまう程の悪魔馬だ。それも一頭だけではない。五頭、十頭、二十頭…ざっと五十頭以上は居るスタンピードだ。

『や、野生の悪魔馬ですって!? そんな物など、ここには棲息していない筈なのに…』
 確かにこの地には実在していない。これらはリーゼロッテが今手にしている書の中に綴られた物語の再演なのだ。主人公を追う荒くれ者を振り切るべく、機転を利かせてその土地に住む野生の悪魔馬をけしかける場面だ。当然荒くれ者達がどうなったかというと…。

『…は、ははは。アハハハッ! まさかデビルガトリングを全て使った事が裏目に出るだなんてね! アハハハ、アハハハハハッ!!』
 既にウロボロス号はこの群れを避ける程の状態ではない。ならそれを乗り捨てれば、という考えもマシンを喪えばその時点でリタイアである。彼女のプライドはそれを赦さず、結果としては数々の栄冠と栄光を共に勝ち取った相棒と運命を共にし、黒き嵐と思わせる悪魔馬の群れが過ぎた跡には姿形もなく、ただ塵が一陣の風と共に舞い上がっていた。

「これで仕事は完遂だ。しかし、呼び出しといてなんだけどホントなんだろな。あの馬っぽい物どもは」
 リーゼロッテが書物を閉じると、アナウンサーがキングが消えてしまったと驚きの色を隠さず場内に伝え、若干の間を開けて彼女のリタイア判定を下すと、観客達のどよめきは更に強まり、熱心なファンだろうか悲観する者も居た。しかしそれも、地平線の彼方からトップ争いを繰り広げる一団が姿を見せると、新たな勝利者を歓迎する声援に掻き消されていく。如何なる栄光であれど、敗者は過去となるものか。リーゼロッテは度重なる困難をくぐり抜けた仲間達を出迎えてやるかと書を仕舞うと、ゴシック調のパラソルを開いて彼らが到着する瞬間を今か今かと待ち望んだ。

『まさかキングが行方不明になるという番狂わせが起きましたが、更に番狂わせでヘルズラリー初出場のダークホース達が帰ってきたぁ!! 抜き抜かされの激しいトップ争いを繰り広げる黒馬達。新たなキングになるのはどのレーサーか……ゴール!! 一着はマヤ・ウェストウッド選手、その僅かな僅差で二着となったのは神代選手。続いて三着はティオレンシア・シーディア選手、最後の四着はプリ・ミョート選手! ヘルズラリーの新たなキングは、マヤ・ウェストウッド選手だぁぁああああッ!!』
 新たなキングの誕生に万雷の拍手と歓声が一斉に送られる。果たして前キングだったセラフィムブラスターは何処へ去ったのか。それは彼女がオブリビオンである猟兵のみぞ知るもので、彼ら悪魔達に知るすべはない。
 しかし、時たま思い出すだろう。彼女が築いた華々しい過去を。だが、所詮過去の栄冠は過去の物である。今を生きる者達、未来に進む者達の王者は新たな勝利者なのだから。


【ヘルズラリー】
優勝:マヤ・ウェストウッド
2位:神代・凶津&神代・桜
3位:ティオレンシア・シーディア
4位:プリ・ミョート
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年01月16日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴