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ジャンクフード・プロセッサー

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●最高の食事を求めて、いざ脱出
「 不健康だと分かっていても、怪しい噂が流れていても、つい手を伸ばしてしまう。まぁ仕方ないよね。美味しいって言うんだから」
 アルファ・ユニ(愛染のレコーディングエンジニア・f07535)は予知の内容を説明する為に集めた猟兵達を前にそう零す。まだ前置きも何も無くその言葉があったので、猟兵達は戸惑った。その様子を見てか自分のペースか、彼女は次の言葉を紡ぎ始める。
「今、キマイラフューチャーでジャンクフード大っ好きな怪人がネット上で人気なんだ。カロリー増し増しの食べ物を最高に美味しく食べる組み合わせ、その紹介動画とかでね」
 ユニは自身のPCにその動画のスクリーンショットを表示する。そこに写っていたのは頭部がハンバーガーの怪人。高カロリーなものばかり食べているせいか体には余分な贅肉がたっぷりとついていた。
 本当は健康被害的にもその怪人の行動自体止めなくてはならないのだが、今回の目的はそこじゃない。と彼女は言う。
「この怪人が、ハンバーガーが景品のゲームに視聴者達を招待したんだ」
 ユニの説明に合わせて画面は別のスクリーンショットに切り替わる。視聴者チャンス!!という文字と動画説明欄に記載された地図のリンク。その下には怪人が作り出したという"史上最強に美味しいハンバーガー"を無料で…!!と記載されていた。きっとこれもまた高カロリーなのだろう。うぇ、と嘔吐いた猟兵がいるのも無理はない…その様子を気遣いユニは慌てて話を進めた。
「皆は脱出ゲームとか、好きかな?」
 どこか意味ありげなオブジェクトなどが配置された密室の部屋から手がかりを探し、その情報と己の知識、予測を組み合わせ、そこからの脱出を目指す。謎解き好きにはたまらないゲームだ。
「この地図の場所に行くと大きな屋敷があるんだけど…到着すると謎の力でその屋敷の一部屋に吸い込まれる。そこが脱出ゲームの会場になってるんだ。その部屋からの脱出を見事クリアしたらハンバーガー…という事だね」
 景品と、脱出ゲームという楽しそうなエンターテイメントに釣られたキマイラ達は次々とその屋敷に向かい、吸い込まれていったのだが。
「…帰ってこない。そうやって犠牲になっていく沢山のキマイラ達を、予知で見た」
 森の奥で猟師が迷い込む某レストランみたいに逆に調理されて喰われてるんじゃないか?なんて考えた猟兵も中にはいなかったろうか。
 既に挑戦しに中に入った者もいる。これから挑もうと計画を立てているキマイラ達もいる。屋敷の開場からまだそんなに時間は経っていないが早くその流れを止め、助けなくてはならない。
「皆もこの屋敷に入って、彼らの脱出の手助けと…帰ってこないキマイラ達を救出してほしい」
 最初に飛ばされる部屋から出る方法は力ずくとか色々あると思うが、正攻法でルールにのっとり脱出するなら2種類の方法があると彼女は言う。
 部屋にあるドアは2つ、別々の方法で開けることが出来てどちらから出てもクリアにはなるらしい。1つは単純に部屋の中に隠された鍵を探しそれを使用して開けるドア。もう1つは。
「ドアの横にパネルが設置されていて、暗号の打ち込みが必要みたいなんだ。で、その暗号なんだけど……今までの怪人の動画の中にあった出来事が関係してるみたいなんだよね」
 よくある"視聴者だからわかる問題"というやつだ。ただ1から動画を普通に見るのはやはり時間がかかる。
「一緒に脱出しようとしてるキマイラに協力してもらうのもいいかもね」
 ただ、彼らもハンバーガーの為に必死。ハンバーガー1番乗り、最初の攻略を目指す参加者はそう簡単に協力してはくれないだろうから何かしらの作戦は必要だろう。
「で、部屋から脱出した後なんだけど…脱出賞品はそこで手渡しらしいから、動画の怪人も屋敷の中にいると思うんだ。これ以上被害を増やさない為にも、探し出して出会ったら討伐してね。」
 さてと、と概要を全て伝え終えたユニは猟兵達を送り出す準備を始める。それを見た猟兵達も各々の準備を始めた辺りでふと、彼女は気付く。
「…あぁ、忘れてた!皆の旅が、時間が。有意義なものになりますように!いってらっしゃい!」


知野侑李
 初めまして。今回からMSを務めることになりました。知野侑李と申します。
 記念すべき第1作目はハンバーガーと共に歩むことになりました。第1幕では屋敷の一部屋から脱出していただきます。部屋にはソファ、テレビ、テーブルやタンスなどがある小さなリビングのようなものを想像していただければと思います。単純に鍵探しをしてもよし、暗号を突き止めてもよし。物を壊しても構いませんが壁は結構硬いので工夫するか相当な力でぶち抜いてください。第2幕は集団戦、第3幕でボス戦という構成になっています。
 それでは皆さん、高カロリーオブリビオンの討伐よろしくお願いします。リアルでも食べ過ぎに気を付けてくださいね。
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第1章 冒険 『人食い屋敷からの脱出』

POW   :    扉を蹴破る、屋敷に「喰われた」人を救助する

SPD   :    屋敷の中を調べてヒントを探す、既に暗号を解いた人に答えを聞く

WIZ   :    ヒントをもとに暗号を解く、暗号が解けない人を励ます。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミルフィ・リンドブラッド
……キマイラ達は怪人の『史上最強に美味しいハンバーガー"を無料で…!!』というキャッチコピーに踊らされてやがる、です…?そもそも食べ物を食べるのに脱出ゲームとか胡散臭いと思うぞ…です。
フィーも美味しい食べ物に釣られることはあるので気持ちはわからなくもねぇですが…。

POW
怪人の用意した脱出ゲームとやらに付き合うのは癪です…。
なのでフィーは「クルルん」を腕に(装着)つけて『怪力』を込めた拳で【ただの右ストレート】(フレーバーでの使用)と【天穿つ神殺しの拳】をドアの横の壁に連続で放ち、ぶち抜いてやるぞ、です。
「ふぅ…ただの壁なんてフィーの前では豆腐と同じです」

屋敷に食われた人が居たら担いで救助をする


カイム・クローバー
カロリー増し増しの食いモンを最高に美味しく食べる組み合わせだと!?ハンバーガーって値段の割に確かに旨いけど、個人的に結構直ぐ飽きが来ちまってよ…。5~6個食いたくても3個ぐれーが限界なんだ。そのハンバーガーデブの言う最高に美味しい組み合わせっての是非、試してみてぇな!
SPD判定。これは盗賊である俺への挑戦と見た。屋敷の中をUC使って探して鍵を見つけるぜ。どーすっかな…普通に考えりゃ、テレビの裏とかテーブルやタンスか?【コミユ力】使ってキマイラと仲良くなって一緒に室内を探索するぜ。どーしても見つからなきゃ自前のピッキングツールで扉の【鍵開け】を。一応ルールには乗っ取るからこいつは最終手段だな。



●目的は一致、手段は平行線
 意識がはっきりとして最初にそれぞれの体が受け取った情報は、暗闇。それが自分の瞼によるものだと本能的に理解するタイミングと同時に、彼らは視界を広げた。少しの間眠っていたかのような軽い倦怠感。眠った覚えのない自身の記憶を辿ってゆけば、グリモアベースから屋敷前に転送…その直後屋敷に吸い込まれ、そこから意識を失ったようだ。
「ここがゲームの会場か」
「だと思う、です」
 言葉を交わすのはカイム・クローバー((自称)凄腕イケメン盗賊・f08018)とミルフィ・リンドブラッド(ちみっこい力持ち・f07740)。転送された時には他にも猟兵がいたはずだが…先に入場していたのであろう、既に謎解きをしているキマイラはいるものの辺りに2人以外の猟兵の姿は見えない。時間差入場か?もしくは脱出ゲームの部屋はここだけではなく、違う部屋に飛ばされた…というのもあるかもしれない。

「さて、捜し物は頭数があった方が効率いいよな」
 そう言ってその場に立ち上がったカイムは自身のユーベルコードで自分の分身を召喚する。盗賊としての血が騒ぐのか、彼は正攻法で脱出ゲームに挑もうとノリノリなようだ。
「鍵を探すつもり、です?…フィーは壁をぶち抜いた方が早いと思う、です」
 その様子を見てミルフィは怪訝な表情を浮かべる。逆に彼女はあまりゲームに乗り気ではなさそうだ。たださえ胡散臭い、怪人が作った脱出ゲームに付き合うのは癪だ。
「まぁまぁ、折角のエンターテイメントだし楽しむのもいいんじゃねーか?それに、鍵くらい俺が簡単に見つけるぜ」
 その言葉を放ったのはカイムか分身か、言葉と共に2人は部屋中の捜索を始めた。テレビの裏、テーブル下、タンスの中…手馴れたように隠せそうな場所をピンポイントで洗っていく。その様はまさに盗賊といったようで、ミルフィは絶対部屋に入られたくはないな、と思いながらそれを眺めていた。

「これか?」
 少しの時間捜索すると、片方のカイムがタンスの引き出しの裏から小さな鍵を発見した。すかさず彼は鍵穴のあるドアに向かい、差し込み、回す。あまりにも呆気なく見つかった為ダミーの心配も少なからずしていたが、鍵はしっかりハマりカチャリと音を立てて開くのであった。カイムは不敵な笑みを浮かべてドアノブを回す。

 ──ドアの先に広がっていたのは、今居る部屋とは配置や家具が少し違うものの…扉が2つある、同じような、リビングルームだった。

…これは、脱出できていないということか?カイムは今使った鍵を次の部屋のドアに使用しようとしたが、先程のようにハマることは無かった。別の鍵が、必要らしい。
「だから言ったです…クルルん、いくですよ」
 ミルフィのその声に側にいた小さなドラゴン─クルルんがぎゃお、と反応する。ミルフィが拳を構えると同時にクルルんはその姿を変えていき、彼女の腕を覆うガントレットとなった。

「えい…です。」
 轟音。彼女は"ただの"右ストレートで壁を殴った。通常よりも硬く頑丈に作られた壁に亀裂が入った。…ただの、と銘打ってはいるがその破壊力は異常なものだ。普通に身体にくらえば相当なダメージが入るのであろう。しかし一撃では壊しきれず彼女は続けてもう一発を。

「耐えられるなら耐えてみろ、です」
 一瞬の溜め動作の後に渾身の力で繰り出されたのは【天穿つ神殺しの拳】。先程の一撃とはまた違う、それよりも強力な一撃が衝撃波と共に放たれた。…壁は亀裂が広がる様も見せずに粉々に砕け散り、その様子を見てフィーは満足気に軽く息をつく。
「ただの壁なんてフィーの前では豆腐と同じです」

 ぶち抜かれた壁の先、そこにはカイムが開けたドアの向こうと同じように別の脱出ゲーム部屋が広がっていた。それを見た2人は同時にそれぞれの考えを口から零した。

「片っ端から鍵を開けてくしかねーな」
「片っ端から壁をぶち抜くしかねぇ、です」

噛み合わない。

「他にも大量に部屋を攻略するなら…もう少し、人手が欲しいところだな」
 カイムは視界の端に入ったキマイラによう、と気さくに声をかける。鍵探しに集中していたキマイラと持ち前のコミュニケーション能力でどんどん会話を進展させ、気付いた頃にはハンバーガーの良さを語り合いながら場所の分担をして鍵の捜索を行っていた。

「いいよな!ハンバーガー!!」
「…あいつ、ハンバーガーに魅了されてねぇです…?」
 ミルフィもまた作業をしながら…部屋と部屋を遮る壁を殴りながら、2人のその様子を冷ややかな目で見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

禍神塚・鏡吾
SPD

「この怪人には、是非とも鏡を見て頂きたい。そのためにも速やかに脱出いたしましょう。さてまずは……」

鍵を探して脱出を試みます。
「掃除」技能を応用して、壁と家具の隙間、家具の下、抽斗の中、本棚があれば本の中身、等部屋中を調べます。
ついでに、ビスで止められた箇所や、クッションの不自然な盛り上がり、扉とは別に鍵や暗号が必要そうな場所、等を把握しておきましょう。

探索の途中で見つけた物……TVのリモコンや工具、鍵などは、それ自体にヒントがないか良く観察し、また、それを使って開けそうな所を片っ端から開いてみます。
「第六感」で気付く事も調べます。

得られた情報は、他の猟兵に開示して役立ててもらいます。


ジャック・ソウル
【心情】
"史上最強に美味しいハンバーガー"ねぇ…これはキマイラフューチャーの住人が食いつかないわけがないね。

ここが噂のミステリーハウスだね。こんにちは!

技能【コミュ力】を使って警戒心を解く

ユー達は"史上最強に美味しいハンバーガー"を探しに来たのかい?え、怪しいって、チッチッチッ、ミーはヒーローマスクのジャック・ソウルだよ。よろしく。ユー達に出会えたことに感謝して飴ちゃんをあげるよ。ところで、ユー達の中で謎を解いた人はいるかい?もしまだなミーがヘルプしてあげるよ。人数が多い方が何か解るかもしれないしね。

UC【Help me Doll ghost】を使い屋敷の中を調べてヒントを探す。


レイ・キャスケット
ボクもハンバーガーは好きだけどモノには限度ってものがさぁ…
超ド級の見た目のハンバーガーと糖尿病待ったなしの見た目の怪人
体も悪そうだけど目にも毒だよね、これ
ほっといても幸せそうだけど被害が出てれば見逃すわけには、ね

【SPD】
【世界知識】【情報収集】【学習力】を総動員して!
とりあえずすまほの脱出ゲームアプリで予習かな(タップタップ)

絵の裏に暗号があったりとか発見したナイフでソファーの中から鍵がとか?

一般参加者が謎解きで迷ってるようなら横からお邪魔して一緒に解いてあげる
ボク閃き系の問題結構好きなんだよね
【優しい】笑顔で【コミュ力】を発揮し体の距離近くちょっと【誘惑】気味に

アドリブ大歓迎です



●謎解きの部屋と閃き捜査線
「いつの間に気を失っていたのでしょう…ここがゲーム会場ですか。」
 禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)は上半身を起こし状況把握の為に辺りを見回す。物が散らかったりなどはしていない綺麗なワンルーム。覚醒してすぐではあるが彼は脱出ゲームであることを認識している為にどこに物が隠せそうか、無意識に分析を始めていた。
「ここが噂のミステリーハウスだね。こんにちは!」
 もう1人。ジャック・ソウル(パンプキンヘッド・f02764)は覚醒後丁寧に密室の部屋に挨拶をしていた。どうやら彼も脱出ゲームという状況を少し楽しんでいるようだ。
「さ、皆起きたなら早速行動開始しないとね。ハンバーガー怪人を早く懲らしめないと」
 健康被害が出るであろう高カロリー運動も糖尿病待ったナシの外見も害悪でしかないオブリビオンはさっさと討伐しなくては。彼らと同じくこの部屋に転送されたレイ・キャスケット(目指せパーフェクトオールラウンダー・f09183)がそう声をかける。…その言葉で転送前に見せられた怪人の画像が猟兵達の脳裏を過ぎる。
「…あの怪人には、是非とも鏡を見て頂きたい」
 西洋鏡に宿る鏡吾はそう呟く。本体の鏡をもって1度自己を見つめ直していただきたい。
 そのためにも速やかに脱出いたしましょう。と彼は捜索に動くのであった。

「さて、まずは…」
 部屋の家具、怪しい箇所を順番に捜索し始める。ざっと部屋を見渡すと大きな家具は二人がけ程の大きさのソファ、長方形のテーブル、シングルベッドに木製の4段のタンス、本がぎっしり詰まった本棚…といったところか。テーブルやベッドの下、タンスの中身に家具と壁の間。しまってあった小物からも何かヒントがないか、くまなく探していく。その細かい観察力は相当なものだった。埃ひとつ逃さない姑…とまで言ってしまうのはどうかと思うが、それだけの集中力があった。

 その裏でレイとジャックは、先に謎解きをしていたキマイラとの交流を試みた。
「ユー達は"史上最強に美味しいハンバーガー"を探しに来たのかい?ミーはヒーローマスクのジャック・ソウルだよ。よろしく。」
 フレンドリーにキマイラに話しかけ、出会いに感謝、と飴を渡すジャック。美味しいものを求めこのゲームに挑んだだけあって食べ物には目がないのか、キマイラ達は喜んで飴を受け取りジャックに懐いた。
「ところで、ユー達の中で謎を解いた人はいるかい?もしまだならミーがヘルプしてあげるよ。」
「ジャックくんだけじゃないよ、ボクもお手伝いしてあげる。任せてよ、脱出ゲームは予習ばっちりなんだから」
 ここに来るまでにスマートフォンの脱出ゲームアプリをクリアしてきたレイはリアル脱出ゲームにも自信満々だった。彼女はキマイラ達に優しく笑いかけ、その距離を縮める。その行動により美人の部類に入るであろう外見を持つ彼女はキマイラ達には魅力的に写る。
 この時実は彼らの心境が惚れた腫れたの大騒ぎになっていたことは、彼女は知るまでもないことだが。

 彼らに絆されたキマイラの1人が手に持っていたものを2人に差し出した。先に部屋を探索していた彼らが見つけていたものらしいが、開けられずに苦しんでいたらしい。これ以外に怪しそうなものとかはなかった?とレイが尋ねるが、これ以外はまだ何も発見していないという。
「それじゃあまずは鏡吾さんと一緒に手がかり探しだね。カモーン!ミーの可愛いドールゴースト達!」
 ジャックは小型のドールゴーストを大量に召喚し、それぞれを捜索に当てた。ゴースト達は鏡吾が捜索を担当していないゾーンを部屋の隅から隅までを動き回り、手がかりがないかと様々な場所を調べていく。…ふと、その内の一体がこちらにアピールしてきた。何かを発見したらしい。
 ジャックがその一体の方へ向かってみると、ドールゴーストが拾っていたのは"はこ あんごう"と書かれたいかにもヒントといったメモのようなものだった。おそらくキマイラの持っていた箱のものだろう、中身を確認してみる。

 "本当は、君の事好きだな"と書かれたメモ。裏面には□が4つ並んでいるのと□4=""-11=□2+〇+□2という謎の数式が書かれていた。
「どれどれ…この数式を、本文に当てはめるんじゃないかな」
 メモを覗き込むレイが反応する。パッと見複雑そうな式ではあるが…閃きの早い彼女の脳がいとも簡単に、即座に答えを導いていった。

「□4つを求めろってことだと思うんだ。""は問題の文だと思う。そこから11文字引くんじゃないかな…この文平仮名に直すと16文字あるでしょ?そこから11文字引くと、丁度4文字。最後の式に出てくる〇がその11文字だと仮定すると…文頭文末2文字ずつを取り出せばいい。それでちゃんと言葉になるから…きっとこれで正解」

 つまり、本棚。

「こちらのことですかね?」
 偶然か彼の勘の良さか、丁度その時本棚を捜索していた鏡吾が手に持っている本から1枚の紙を取り出す。紙いっぱいにでかでかと書かれていたのは、4桁の番号。その番号を見たレイが迷わずその数字にナンバーロックを合わせる。右端の番号を合わせた瞬間、少しの反動があったと思うとロックは真っ二つに割れた。その場にいる全員が注目する中、その中身を守るものがなくなった箱の蓋を開けると。
「ナイフだね」
 鍵は、入っていなかった。代わりにそこにあったのは、刃渡り10センチ程の果物ナイフ。取り出してまじまじと見つめるジャックにまたレイが口を挟む。
「あ、ボク知ってるこういうの、怪しいところとかをこれで切るんだよ。ほらソファの布とか…」
 プレイしていた脱出ゲームにそんな仕掛けがあった、と言うレイ。するとその言葉に何か思い当たる節があったのか、鏡吾はソファの方へと向かっていった。先程調べた時には然程気にならなかったのだが…そう考えてみると、もしかしたら。
 ソファの背もたれ。パッと見特に変わったところはないようだが、寄りかかったり力を加えてみると、右側に比べて左側が少し固めに感じた。明らかに出っ張っているとか異物感があるという訳では無いので気の所為かもしれないが…
「レイさん、貸してください」
 え、待って、正解?とソファの方に興味を示しながらレイは鏡吾にナイフを渡す。それを使い彼は怪しい部分の布地を大きめに切り裂いた。まず出てきたのは綿。ソファの質感を保つ為にカモフラージュとして埋められていたであろうそれをかき分けていくと、何やら黒い缶箱が出てきたのだ。3人は息を呑む。
 取り出して蓋を開け、中身を確認すると…そこには小さな鍵が入っていた。3人は顔を見合わせ、その鍵を持ってドアへ向かう。鍵はハマる。回し、小さな音立てたことを確認してドアノブを回すと…そこは。

 鍵さえ開けば脱出できると思いこんでいたこともあり、想像もしなかった光景に一瞬全員が理解に追いつかなくなる。先に声を発したのは、ジャック。

「…おや?また同じような部屋だね?」

 …勿論、今使った鍵では次の部屋のドアは開かない。第2ステージか…と引き続きゲーム脳で思考するレイに、ふぅ、と小さくため息とついた後早速部屋に踏み入り再び捜索を始める鏡吾。あくまで彼らは正攻法で次々現れる密室の部屋を攻略していくのだった。

「…近くで何かすごい音がしましたね…」
 別の部屋では壁を突き破って脱出を目指す者がいたことなど、つゆ知らず。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アムネリカ・ヴァレンシュタイン
こんなのにつられてやってきたキマイラ達はあのだらしない体をみて何も思わないのかしら?
少しは見た目に気を使いなさいよ、全く…だいたいねぇ(以下延々と続く小言である)

実際参加したらこの一般参加者共、想像以上にヤバイ、何がヤバイってそりゃもうヤバイ
一刻もこの空間から出たいわ…!
引き攣る顔をなんとかごまかしながらアイドルスマイルで接触
とにかくおだてて暗号を解いてもらうわ、あたしは動画見てないもの、分かるわけないわ
頑張りなさいアムネリカ、人間誰だってどこかしら褒める部分は探せばあるはずよ…!

【WIZ】アドリブ歓迎


高野・エドワード
最高のハンバーガーに脱出ゲーム。この世界の人じゃなくても思わず飛びついてしまいそうな程、魅力的なエンターテイメントだね。
OK、無事脱出して犯人を懲らしめてあげよう!

ふむ、手っ取り早いのは他のキマイラに協力して貰う…だけど。取り敢えず試してみようか。
君は暗号が解けたかい?と軽いノリで話しかけるよ。僕はハンバーガーじゃなくて主催者に用があるんだ…って事情を説明して。
スマホで動画を検索して、特にこの動画面白いよね!と適当な雑談を交えて警戒心を解きたいな。

どうしても答えを得るのが難しいなら…。ユーベルコードでその答えを知っていそうなキマイラを小鳥ちゃんに追跡して貰ってカンニングだ。

アドリブその他OK♪



●肥満でも愛して
 一方、こちらもまた別の部屋にて、別の脱出ゲームを繰り広げていた。
「…有り得ない」
 部屋に転送されたアムネリカ・ヴァレンシュタイン(永遠の14歳・f12106)はポツリと心の声を漏らす。一緒に転送されたはずの猟兵がいなくて心細くなったか?否。ハンバーガー怪人の脱出ゲームに付き合わされたことか?…否。
 彼女の視界に入るキマイラ…先にゲームに挑んでいた、ハンバーガー怪人の動画視聴者。その姿に、彼女は絶句していた。体にぴっちりと張り付く服。着ているTシャツからはみ出る贅肉。ゲーム中にも関わらず、片手間に持ち込んだ食料を食べ続ける…さぞ幸せな生活を過ごしてきたのだろう…ぽっちゃりキマイラが、自分の中では有り得ない存在だった。
(少しは見た目に気を使いなさいよ、全く…だいたいねぇ…)
 第一印象とか、スタイルって大事なのよ。と延々と続く小言を彼女は心の中で吐き続けていた。
「…難しい顔してるねアムネリカちゃん。ゲームが不安かい?大丈夫、僕がついてるからね」
 そんな彼女と同じ部屋に転送されたのは高野・エドワード(愛のガチ勢・f00193)。ここに到着し覚醒してすぐ彼女はこんな調子なので、緊張しているのかと心配そうに声をかけフォローする。
「一刻も早くこの空間から出たいわ…」
 しかしその声は彼女には届かず、彼女の体はぽっちゃりキマイラと同じ部屋にいることに拒絶反応を示していた。その言葉を聞いたエドワードはまたその様子を気遣い、軽く彼女の背中を優しく叩いた後、脱出へと動き始めた。

 部屋に入ってまず気になったもの。おそらく出口となるのであろう、2つのドア…片方は鍵穴のあるもの。この部屋のどこかに鍵があるのであろう、ドアノブをひねっても当然開かなかった。もう片方は、入力パネルがドア横に設置されているもの。暗号…4桁の数字を入力するパネルだ。試しに思いつくものを適当に入力してみる。今日の日付、スマートフォンで検索をかけて見つけた怪人の最初の動画投稿日、投稿時間…しかし、どれを入力しエンターキーを押しても何も反応がなかった。やはり、暗号は一筋縄ではいかないらしい。
「…それ、無闇に入力しても大丈夫なの?」
 行動を始めたエドワードを見てやっと思考を取り戻したのか、アムネリカがその様子を心配そうに見つめていた。間違ったパスワードを入れたらペナルティ、なんていうのはよく聞く話だ。
「あぁ、うん何ともなかったよ。ただ暗号はさっぱりわからなかったから…突き止める為にも、ここのキマイラ達と仲良くならなきゃね」
 怪人の動画の中に暗号のヒントがあるというのなら、やはり視聴者であるキマイラから情報を聞き出すしかない。その為にはコミュニケーションが必要なのだが…
「え、えぇ…そうね…」
(仲良く!?おだてるの!?この怪人に毒され堕落しきった生活を送っているであろうキマイラを…?)
 自分の体型など全く気にせずに際限なく好きなものを貪り食うぽっちゃりキマイラ。割と緩い志ではあるが一応アイドルとして身を置いているアムネリカには、その行動は一切理解できなかった。理解したくなかった。
 そしてアムネリカがまたそうやって悩む内にエドワードは先に行動していた。彼なりの気遣いなのか、行動力か。彼はスマートフォンで調べた動画を検索し、その感想をキマイラと共有して警戒心を解いてゆく。
(…いえ、頑張りなさいアムネリカ、人間誰だってどこかしら褒める部分は探せばあるはずよ…!)
 ここで引き下がっては一生脱出できやしない。それにエドワードに任せきりで自分は何もしない…などというのも何だか癪だ。お荷物だなんて、自分のプライドが許さなかった。

 アムネリカは引き攣る顔を懸命に修正し──仕事用の、アイドルの仮面を、被る。

「そこのキマイラくんっ!とっても素敵なTシャツ着てるね!おっしゃれ~!アムネリカちゃん、キュンキュンきちゃった~☆」
 正直、サイズ合わせろって思う。
「お顔もまん丸で、優しそうな顔してるんだね☆タイプかもしれないにゃんっ」
 いや正直ほっぺの贅肉を落として。あと顔が脂ぎってるから清潔にして??心の中の声まで聞くと裏と表が入り乱れ大変なことになっているのだが、流石はアイドル、使い分けは完璧なようで…単純なキマイラはデレ始め、どんどん恋に落ちていった。
 先程とは雰囲気の違うアムネリカを見てエドワードがどう思ったかは、その本人の心の内に。
「そんな素敵なキマイラくんにお願いがあるんだけど~…アムネリカちゃん、暗号わからなくて…」
 …本題だ。うまく自然に質問に入れたおかげか、思惑通りアピールを受けたキマイラはペラペラと喋り始める。自分は暗号に辿りついて、間もなくドアを開けに行くところだったこと。
 そして暗号は…怪人の誕生日だということ。
「…!誕生日、ね。それって…」
 アムネリカがそう問答していたとき、別の─こちらもまたぽっちゃりとした体型のキマイラが、暗号扉に向かっていくのをエドワードが発見した。これから暗号を、入力するのかもしれない。

「…おいで、僕の可愛い小鳥ちゃん」

 誰にも気付かれないような小さく甘い声で呼びかける。その呼び声に応じ、小柄で美しいマメルリハインコが静かに現れる。エドワードがドアに向かったキマイラの方へ行くように指示すると、その鳥は存在感なくキマイラの後ろについた。…眺めるは、パネルに伸ばされたその指元。その視界は共有され、その情報は…エドワードのものに。

「「1129」」

 2人の声が重なる。その答えが正しいかどうかは、先程ドア前にいたはずのキマイラがいなくなっていることが証明していた。2人はドアへ急ぎ、パネルに数字を入力する。ドアは音を立てて開いていく。

 出たのは、側面に扉が沢山ある…屋敷の廊下だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『マグロ怪人ツーナー』

POW   :    止められない止まれない
【食べられるという恐怖心から無限のスタミナ】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD   :    そんなことより助けて欲しい
レベル分の1秒で【腕を振り払うことで自らに噛み付いてる猫】を発射できる。
WIZ   :    水を得たお魚
【水鉄砲】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を水浸しにし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●道連れ怪人
 暗号を入力して部屋を脱出した2人は長い廊下を進む。道中、他の扉から脱出した猟兵(1組は壁から出てきた)とも合流していった。それぞれが部屋で出会ったキマイラと共に脱出してきた為、そこそこ大所帯での移動で廊下は混雑していた。
 少し進むと、豪華な両開きの扉の前に行き着く。扉には"おめでとう!商品はコチラ"と書かれた看板がぶら下がっていた。それを見た1部のキマイラは、我先にと猟兵達を除け扉の中へと入っていった…が。

 次の瞬間、扉の奥からキマイラ達の悲鳴が聞こえてきた。

 猟兵達は扉を開け部屋の中に入る。そこは広い大広間で、景品のハンバーガーはどこにも見えない。代わりに広間奥に居たのは、頭部がマグロの…猫に噛みつかれまくってる怪人と、捕まったキマイラ達。
「フィッシュバーガーよりもお前らキマイラの肉をバンズに挟んだ方がうまいだろ!!お前らが足りないせいで!!何で俺が!!理不尽だ!!あのハンバーガー野郎!!」
 猫に追われながら謎の怒りをぶちまけるマグロの怪人。
「猟兵のでも、キマイラのでも!ハンバーガーに合う別の肉があれば俺は用済みなんだ!!俺の身代わりになりやがれぇええ!!!」
 …ハンバーガー怪人は、バンズに挟む肉を求めている?それが、失踪の真相なのだろうか。とりあえず、今は。話を聞く限りこの怪人は被害者のようで少し心が痛むが
 ──キマイラ達も、自分の身も…守らなくては。
ミルフィ・リンドブラッド
…オブリビオンにも上下関係みたいなのがありやがるです?怪人は好き勝手にキマイラフューチャーライフを満喫しているものばかりと思ってた、です。まぁ…でもオブリビオンなので…倒してやるです。

マグロ怪人。安心しろです。フィーがフィッシュバーガーじゃなくてマグロのたたきにしてやるです。バーガーはヘルシーじゃねぇです。もっと健康に気を使うならマグロ単品で何かを作ってやるべき、です。(こくこく)

POW
暴れるのはフィー、結構得意です。
「天竜砕き」を持ってマグロ怪人の群れに突撃。手当たり次第に武器で殴りつけ『挑発』して敵意を集めるです。囲まれたら【血滴る悪夢の槍】で周りの敵を『串刺し』にしてフィニッシュです。


アムネリカ・ヴァレンシュタイン
あれ(巨漢キマイラ)やあれ(筋肉マグロ怪人)を食用にって…
とんだ悪食ね、想像しただけで気分が悪くなるわ
今度は何?筋肉達磨?もう暑苦しいのは勘弁してほしいのだけれど
汗臭そうだし生臭そうだし……いやっ、来ないでっ!ホント近寄らないで!?

バトルパートでは【サウンド・オブ・パワー】でアムネリカちゃんオンステージ、開幕だよっ☆
ほら、さっきのキマイラ達、応援なさい。

水鉄砲を受けたら服が薄く透けたりだとか、水浸しの床に転んじゃったりだとか、そういうハプニングは「パフォーマンス」じゃないんだからね!

あぁ、でもこの後本命の贅肉の化身が待ってるのよねって思うと既にSAN値ピンチだわ…



●マグロ調理もグラビア活動も出血大サービス、です
 ジャンクフードの食べ過ぎでまんまる太ったキマイラに、筋肉隆々の大型マグロ怪人。
「…どっちも、食用なんてお断りよ。あの贅肉の化身、とんだ悪食ね」
 そう呟くのは、アムネリカ。先程折角巨漢キマイラ達に囲まれたどこか脂っぽく汗臭い部屋を脱出してきたというのに、次に現れたのはこれまた汗臭…生臭いマッチョだ。しかもこれから贅肉たっぷりのハンバーガー怪人にも会いに行くというのだ。SAN値はとっくにピンチだった。
「俺の、身代わりに…調理されやがれぇええ!!!」
 しかし彼も彼なりに必死なのである。フィッシュバーガーになどにはなりたくなかった。自分の命を守るため、アムネリカ達に向かってものすごいスピードの水鉄砲を発射する。それを見て反射でその身を竦めるアムネリカ。しかしその水は攻撃に素早く反応したミルフィの大きなハンマーによって阻まれ、音を立てて周囲に飛散した。
「マグロ怪人。安心しろです。フィーがフィッシュバーガーじゃなくてマグロのたたきにしてやるです。」
 もっと健康に気を使うならマグロ単品で何かを作ってやるべきです、と1人で頷きながらミルフィは言った。…その言葉を聞いてアムネリカの脳にマグロ怪人の海鮮フルコースが過っていく。もうやめて…と小さく彼女は嘔吐くのだった。
「だから、食われるのはてめぇらだって言ってんだろうがぁああああ!!」
 鬼気迫る表情をして、陸上選手もびっくりな綺っっ麗なフォームで。こちらに走ってくる褌一丁のマグロマッチョ。汗なのかマグロとしての身体に纏った水滴なのかよくわからないものを撒き散らしながら突進してくるその絵は中々見苦しいものだった。…特に、アムネリカには。先程の巨漢キマイラ同様、いやそれ以上か、彼女の体は拒絶反応を起こしていた。
「いやっ、こないで!ほんと近寄らないでっ!?」
「大丈夫、落ち着きやがれ、です。」
 そんなアムネリカやまだ捕まっていないキマイラ達の盾になるようにミルフィが前に出る。

「暴れるのはフィー、結構得意です。」

 そう言って彼女は大きなハンマー…"天竜砕き"を構え、マグロ怪人の方へ走り迎え撃つ。すかさずマグロ怪人が拳を構えミルフィを殴ろうとするが、彼はそれよりも先に彼女が振り抜いた武器の餌食となった。重いハンマーの一撃は彼の顔面に直撃しそこを力点に巨体が横に吹っ飛ばされる。飛ばされた先には別のマグロ怪人がおり、その巨体が巨体をドミノのようになぎ倒して行った。
 睨みつけるマグロ怪人の群れにミルフィは臆することなく突進していく。マグロの頭部を殴り、別のマグロと衝突させ、また別のマグロの身体を殴り、殴り、殴る。返り血を纏ってその艷めく銀色のツインテールを振り乱し…小さな身体に見合わぬ大きな武器で戦う姿は、美しくもどこか狂気的だった。目を奪われるような猛攻に、光景に。マグロ怪人達はそのヘイトを集め、それぞれが彼女の方へ襲いかかっていった。

 一方、また置いていかれたアムネリカ。彼女の中でまた少々の葛藤があったことは語るまでもないが。ミルフィの突撃から少しのタイムラグがあった後、彼女はアイドルとしての本領を発揮する。
「アムネリカちゃんオンステージ、開幕だよっ☆キマイラのみんな、応援してね~!」
 キマイラ達に向けて、己を可愛く魅せる為に計算され尽くした最高のスマイル。その腹に何を抱えているかは、彼女にしか分からないが。それを見て先程行動を共にしたキマイラが熱狂する。アムネリカちゃ~ん!と声援を送る姿はもう既にちゃんとした1ファンのようだった。…彼の体型はやはり救えないな、と心で毒づきながらも彼女は歌い出した。
 サウンド・オブ・パワー。この歌に共感したものの戦闘力を強化する。ミルフィのような攻撃的な猟兵にはアップビートの激しい曲だと共感しやすいだろうか、と盛り上がれるようなアイドルソングを選曲し彼女は他の猟兵達に声を届けた。
 …しかし戦闘の最後方のここからでは少し効果が薄いか。もっと声を届けなくては。その思いでアムネリカはある程度ミルフィが掃討した辺り、戦闘後で水浸しではあるが安全圏ギリギリの位置へと駆け出した、のだが。
 足元の水によって靴が滑り…転倒する。
 その時彼女の……短いスカートに隠れた絶対領域が……一瞬、絶妙な程度に、大衆の目に晒される。べしゃ、と水たまりに倒れ込んだ彼女はいったぁ…と可愛らしく痛がりながらすぐさま体勢を立て直すが、
 水たまりによって濡れた衣服が──微かにその内部のシルエットを映し出していた。

 この時アムネリカ親衛隊が誕生したという。

 意図せずのハプニングではあったが、この一件からキマイラ達の声援が大きくなる。彼らの熱い視線は彼女の胸元にあったりしたものの、止まらないアムネリカコール。応援しているキマイラの数も増えている。みんなの応援でアムネリカちゃんはパワーアップ──することは別にないが。
 自分にどんな形であれ注目してもらえているという事実と、好意のこもった圧が強い応援は…少なからずアイドルである彼女の自信に繋がり、心の支えとなったのだろう。声量が上がる。ほんの少しだけ歌声もどこか楽しそうなものになった気がした。
 声は、前線のミルフィにも届き共感を誘う。
「支援なんかなくてもフィーは強いですけど…ありがてぇ、です。倍マグロをたたけるです」
 …その叩くが攻撃の名称なのか調理の名称なのか、はたまたどちらの意味も持っているのか。自身のパワーアップを感じた彼女はペースを上げ次々と怪人のマッスルボディに重い一撃を食らわせていく。軽快で迫力のある動きが戦況をどんどん有利なものにしていく。
 マグロ怪人達は単体では適わないと学習したのか連携しミルフィを取り囲む。ミルフィの周囲にはマグロ、マグロ、マグロ……ちょっとアムネリカにときめいて気になっているマグロと巨漢キマイラの激しい声援、魅力的なアムネリカの歌に、怪人が吐き出した鮮血。

 ──ミルフィの口元が微笑んだのを見た個体は、果たしてあったのか。

「血よ、我に迫る敵を貫け」
 血滴る悪夢の槍──刹那、ミルフィの周囲の返り血が宙に浮きその形を変える。その血液はそれぞれが鋭く伸びる槍となり…ミルフィを取り囲んだ怪人達に襲いかかった。予想外の物が凶器となり急に襲いかかったことによりマグロ怪人達には対策ができず
 赤黒い大量の槍はマグロ怪人の身体を穿ちその周辺をもその色1色に染めていく。断末魔があがる。倒れていくマグロ怪人達。…切り身やたたきにはならずに骸の海に帰ってゆくことになった彼らはもしかしたら……幸せだったのかもしれない。
 ただ消えゆく直前、近くにいた猫にがじがじ齧られたのはもはや宿命か。

「調子いい、です。どんどん行くです」
想定通りかそれ以上の力を発揮できたミルフィは上機嫌でアムネリカに顔を向け、そう伝えると別のマグロをたたきにまた戦線に戻っていく。その背中を笑顔で見送るアムネリカ。その支援と鳴り止まないキマイラ達の猛烈なアンコールに続けて歌う準備をする…彼女は思う。

 ──うん、いや、あたしはもう、帰りたい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
【ペンドラゴン】で行動。
肝心の商品のハンバーガーが無くて、居るのは喰われかかっているツナ野郎だと?おい、これ詐欺じゃねぇか!?くっそ…盗賊の俺が詐欺被害に遭うなんざ、笑えねぇぜ…。
この怒りは存分にツナ野郎にぶつけさせて貰うぜ!
POW判定。前衛でペンドラゴンの面々に攻撃が行かねぇように接近戦をやるぜ。【挑発】でこっちに注意を向けさせつつ、【見切り】で回避、攻撃には二丁銃を使って【二回攻撃】【鎧砕き】【零距離射撃】【なぎ払い】で隙を見てUCをぶつけるぜ。銃弾は【早業】でリロードだ。
…見たトコ、猫が何匹か巻き付いてんのな。上手く他の皆が猫を引きはがしてくれりゃいーが。一応、そこは気を使っとくぜ。


レイ・キャスケット
チーム【ペンドラゴン】で行動

なんか怪人さんには怪人さんの深い事情があるんだね…
まぁ猟兵に出会ったのが運の尽きってことで美味しく頂かれてください(合掌)

戦闘が始まったら氷【属性攻撃】の≪アイス・バレット≫で氷漬けに
あれ、なんかすっごいいいポーズで凍ったね?あー、いいこと思いついちゃった!
シャッターチャンスを逃さないように【高速詠唱】で一発で止めれるよう【全力魔法】でツーナーの氷像を作るよ
躍動感のある全力投球フォームの氷像がボクの一番のお気に入り!肉体美!

そういえばUDCアースにあるサッポロっていう(〇ミーウォー〇ーっていう会社のある)都市では雪で作った像を展示するお祭りがあるらしいよ


高野・エドワード
チーム【ペンドラゴン】で参加。
マグロ怪人ツーナー…どうして君はそう不憫な役回りばかり…。
以前遭遇した別のマグロ怪人を思い出して少し、いやかなり同情しつつ戦闘態勢へ。

そういえばフィッシュバーガーって意外と食べたことないかも。
やっぱりお肉とチーズが一番だと思うんだよねぇ。

まぁ…キマイラたちを犠牲にするわけにも、犠牲になってあげるわけにもいかないんだ。
君に恨みはないしむしろ哀れみしか感じてないけど…悪いね。

戦闘では【瑠璃花弁の嵐】を使用。
攻撃は【見切り】でなるべく躱したいな。無理そうなら【オーラ防御】で軽減を。

折角一緒の依頼に参加してるんだ。皆の動きをよく見て僕も動きたいね♪

その他アドリブ等OK


ジャック・ソウル
【心情】
魚頭さんの言うことが本当なら"史上最強に美味しいハンバーガー"て…オェー

【ペンドラゴン】で行動する。
キマイラ達をバンズに挟むだなんて、アハハハハハ、魚頭さん寝言は寝てから言ってよ!
アンビリバボー!ミー達はパティ具ってこと!?ミーはバーガーの具になるのはノーサンキューだよ。
ミー達もキマイラ達も具にするわけにはいかないから、魚頭さんには悪いけど倒させてもらうよ。

ポジションは前衛、技能【だまし討ち】【時間稼ぎ】
前衛の味方のサポートをしつつ後衛の味方の攻撃の準備の時間を稼ぐ。
UBはブレイズフレイムを使用。



●マグロの芸術
 景品が受け渡される会場のはずだったこの場所にハンバーガーは無く、代わりに居たのはフィッシュバーガーの具材…になりかけていたマグロ怪人。そしてその怪人は自分の代わりにキマイラや猟兵達を生贄にしてやると言う。
 この状況に、ホテル・ペンドラゴンに身を置く猟兵達は各々の思いを漏らしていた。
「おい、これ詐欺じゃねぇか!?くっそ…盗賊の俺が詐欺被害に遭うなんざ、笑えねぇぜ…。」
 景品のハンバーガーに興味を持ち、それ目当てでしっかりフェアに数多くの密室を脱出してきたカイムは憤りを口にする。
「アンビリバボー!ミー達はパティ具ってこと!?ミーはバーガーの具になるのはノーサンキューだよ。」
 そう発言するジャックも正攻法で部屋を脱出してきた1人であったが、史上最強に美味しいハンバーガーの真相に驚きを隠せないでいた。
「マグロ怪人ツーナー…どうして君はそう不憫な役回りばかり…あ、僕はハンバーガーはお肉とチーズ派かな…」
 哀れむものもいた。過去にこの個体とは違うものの、別のマグロ怪人と交戦経験があったエドワードは知っている。この怪人、基本登場から報われない。
「まぁ猟兵に出会ったのが運の尽きってことで美味しく頂かれてください。」
 マグロ怪人に向かって合掌し、そう告げるレイ。同意するように怪人を狙っている猫がなぁ、と鳴いたような気がした。美味しく頂いてください。

 さて、とレイは戦闘モードに気持ちを切り替え、冷気を纏った指先をマグロ怪人に向ける。
「霜焼け注意!ちょっとそこで止まっててね♪」
 アイスバレッド。レイの指先から迸る冷気から生み出されたのは、氷の弾丸。マグロ怪人へと放たれたそれは、命中直後その身体を徐々に蝕み、凍らせていく。…数秒後にはマグロ怪人は完全に凍りつき、動かぬものとなった。次々と仲間が凍らされていくその状況を打開しようとマグロ怪人達はレイをマークする。
 しかしその時どこかで発砲音がしたと思うと同時に、レイに気を取られた彼らの頭部には高威力の弾丸が命中していた。当たりどころが悪かったマグロ怪人はバタバタと倒れる。掠ったか、すんでの所で回避したマグロ怪人達が振り向いた先には、カイム。
「こっちだ、ツナ野郎。詐欺の恨みは晴らさせて貰わなきゃな?」
 騙した張本人はマグロ怪人ではない。それは勿論カイムも知っているが、目の前の敵に今の怒りを。行き場のない、怒りを。彼はぶつける。例えマグロ怪人が1被害者だとしても。攻撃受けたマグロ怪人が反撃に高速の水鉄砲を乱射してきたがカイムはそれを見切り、軽くいなしていく…苛々が募ったマグロ怪人は、四肢それぞれを大きく振りぬき…その身体に巻き付き齧り付く猫達を、カイムの方に吹っ飛ばしてきた。
 先程より質量のあるそれも、カイムは華麗に見切り、躱していく。少しその猫が飛んで行った先を心配する素振りも見せたが、威力が若干落ちた後方で同じように攻撃を見切り、落下地点を予測してエドワードが怪我のないようキャッチしているのが視界に入った。それを見て安心すると同時に、マグロ怪人にへばりついていた罪のない猫達がいなくなったことに好機を見出す。
「…雑魚は退場の時間だ。舞台裏に引っ込んでな!」
 銃弾の嵐。カイムはイーグルとラプター、性質の違う二丁拳銃からマグロ怪人の群れへ向かって高威力の一斉射撃を放った。周囲にいたマグロ怪人は次々に撃ち抜かれる。その威力に一撃で倒れる者も、急所を外すも続く銃撃に追い討ちをかけられ後を追って倒れる者も…その嵐は、マグロ怪人達に恐ろしい破滅をもたらしていった。
 どうにかカイムの攻撃範囲から脱出しようと逃げ惑うマグロ怪人達は…僅かな攻撃の隙間を見つけた。銃撃の届かない、狭き脱出経路。彼らは走る。生き残る術を、光を求めて…

「残念だったね。騙されちゃったかな?ここにはミーがいるんだ。」

 光。それはマグロ怪人の助けとなるものではなく。そのパンプキンヘッドから禍々しい炎を吹き出すジャックが─そこには居た。カイムとの連携によって、1人で倒しきれない分のマグロ怪人はジャックの方へと誘導されていたのだ。
「ミー達もキマイラ達も具にするわけにはいかないから、魚頭さんには悪いけど倒させてもらうよ」
 ハロウィンの夜のように爛々と輝くジャック・オ・ランタン。その頭部から漏れ出す地獄の…紅蓮の炎は大きくなり、銃撃の嵐から逃れたマグロ怪人達を残さず飲み込む。焼かれ、苦しむマグロ怪人達…
 しかし、マグロ怪人の数は多く、まだまだ残っていた。その場にいた敵を撃ち尽くし焼き尽くしたかと思うと、待機していたのか出遅れたのか、別の部屋からまた新しくマグロ怪人が出てくるのだ。倒しても倒してもマグロ、マグロ、マグロ…この戦いに参加したらマグロが嫌いになるんじゃないかって程には、マグロがいた。

「あー、いいこと思いついちゃった!」
 カイムとジャックが連携しマグロ怪人の注目をそちらに集めていた頃。
 自分が凍らせたマグロ怪人を眺めおもむろにそう叫んだレイ。彼女は周囲の…カイム達をマークしているマグロ怪人達を観察し始める。その攻撃、その行動。一挙手一投足を逃さず観察をし、その法則をざっくり予測し…あるタイミングを、彼女は狙う。その瞬間を逃さぬように得意の高速詠唱でアイスバレッドを指先に装填し、一匹のマグロ怪人に向かってそれを放った。
 完全にノーマークだったレイからの素早い攻撃にはマグロ怪人は気付くことすら出来ず、何もわからないままに攻撃を仕掛ける直前のポーズのまま凍りついた。…さながら、そのポーズは。
「見て見て、どうこれ!肉体美!」
 その声の方へ視線を向けてみると、マグロ怪人の…しなやかな筋肉が目立つ、躍動感のある全力投球フォームの氷像が完成されていた。題名はプロ野球投手…といったところか。うん、これは傑作だ。面白い。レイは1人で頷き…その行動は留まるところを知らなかった。

「クソ、まだ出てきやがるな…どんだけいるんだ、こいつら」
「でも終わりはあるよね。このまま続けよう」
 部屋にいたマグロ怪人は掃討したものの、次々と湧き出てきた敵。カイムとジャックは動揺しながらも攻撃を続けていた。
 ふと、ジャックが燃やしたマグロ怪人の一匹にレイが反応する。
「あ、ジャックさんそのままそのまま」
 こんがり焼け倒れたマグロに向けて指先を構える。既に意識無き骸ではあるのだが…その綺麗に真っ直ぐ倒れた姿を氷像にせずには、いられず。

「題名:れいとうまぐろ」

「彼に人権はないのかい!?」
 いや人ではないが。元々オブリビオンである怪人には人権もなにもあったものじゃないが。違うマグロと言えど今までに散々酷い扱いをされていた彼の仲間達を知っているエドワードには、後方で共に戦っていたレイの氷像作りにもう何度目かもわからない突っ込みかましたエドワードには。もう恨みを通り越して哀れみしかなかった。可哀想に…ハンバーガー怪人に利用(?)されただけなのに…こんな…氷漬けにされて…
「なんだそれレイ!!…ちょっと面白そうじゃねぇか…俺も作る!!合図したら凍らせてくれ」
 ノリ気になったカイムはそう言って一体のマグロ怪人の、ある1点に2丁の銃を向ける。その引き金を引き弾丸が命中した所で、今だと声をかける。すかさずレイがアイスバレッドを放ち、また新しい氷像ができるのであった。

「題名:膝カックン」

「もうやめてあげて!?」
 段々悪ふざけになってきたペンドラゴンの面々の行動にマグロ怪人は怒りを露わにしながらもこの遊びに夢中になっていることに乗じてこっそりと標的をキマイラ達に戻す。再び己の代わりの生贄を求め、彼等を捕えようと動き始める。しかし、この騒動のなか1人冷静に突っ込み入れ続けていたエドワードがそれを見逃すことはなかった。
 例えどんな不当な扱いを受けていようとも、攻撃がキマイラ達の方に向くならば彼も応戦する。キマイラ達を犠牲にすることも、自分達が犠牲になることもあってはならない。エドワードは自らのシンボルとも言っていいブルースターの花びらを大量に生み出し、マグロ怪人の方へと向け、放つ。
「青き愛の洗礼をその身に刻め」
 瑠璃花弁の嵐がマグロ怪人を切り裂き、襲う──

 …その花びらが舞うことによって、レイ達によって作られた氷像に劇的な演出がかけられ中々シュールな事になっていたことは、きっと気にしたら負けだ。
 レイが最初に作成した野球投手の氷像の掌に…青く、可憐な、1枚の花びらが乗った…

 かくして、マグロ怪人達は着々と叩かれ、撃ち抜かれ、燃やされ、花びらに巻き込まれ…凍らされ、その数を着々と減らしてゆき。猟兵達によりその群れは骸の海に還っていった。

 そういえばUDCアースにある"札幌"という都市では雪で作った像を展示するお祭りがあるらしいとレイは言う。…ただ、ここにあるようなマグロ怪人達のカオスな像が、そこで見られることはきっとないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ミスター・ドムドム』

POW   :    フライ・ド・プレス
単純で重い【フライングボディプレス 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ハイドロ・コーク
【ストロー付きの入れ物 】から【コーラ】を放ち、【強炭酸】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    抗えないジャンクの魅力
戦闘中に食べた【バーガーセット 】の量と質に応じて【体脂肪が増加し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エルデラント・ズィーマです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●不健康な生活にさよならを
 マグロ怪人はたたきマグロや冷凍マグロとなり、悲惨な姿になりながらも骸の海へと還っていく。大量のマグロ達との長い戦いが終わり、安堵した猟兵達はしかし休みがない。
 大きな地響きがしたかと思うと、先程マグロ怪人が無限に湧き出てきたその扉から…画像で見た、ハンバーガーが扉を蹴散らし飛び出してきた。
「…よくも…オデの食料達を」
 動画で見た姿よりも少し贅肉が多くついているように感じる。ここへ辿り着く間にも肉を、炭水化物を貪り食い、太ったのだろうか。
「支持を集めて、視聴者から肉を集めて、史上最強のハンバーガーを作って食いまくるオデの計画」
 ここに来るまでにいいだけ脂っこく、汗臭いものを見た。猟兵達もヘルシーな生活を送りたくなった頃だろう。
「お前らの肉で、償え」
 ──これが、最後の決戦だ。
禍神塚・鏡吾
「貴方は、自分の姿を顧みるべきです」

真の姿を解放しつつ、美しい物が霞み、醜い物を誇張する「悪魔の鏡」を出現させます。
これに映った、贅肉を誇張した姿を見せつけて「言いくるめ」を駆使して怪人を挑発します。

そして、悪魔の鏡が誇張する醜さは、外見だけではありません。
ユーベルコードの弱点も映し出すのです。

フライ・ド・プレスの弱点は…
①跳ぶ前に気が散ると、目標を誤る
「だまし討ち」予め購入していたハンバーガーセットを床に広げ、そっとそこから離れます。

②着地点の地形を破壊すると、自分自身も動けなくなる
「傷口をえぐる」要領で破壊された床を追撃し、怪人を完全に床に埋めてやりましょう。

「体重が多すぎたようですね」


ミルフィ・リンドブラッド
…はぁ、このハンバーガー怪人はどうやら気が付いてねぇ見たいです。すでに至高のハンバーガーが完成しているのに…です。そこにある、です。ハンバーガー怪人の頭です。
「今まで色々な高カロリーで脂っこいバーガーを食べてきたお前は自分でも気が付かない程うめぇバーガーに仕上がってる、です。さぁ…自分の頭を食うです。(てきとう)」
えっ…フィーは食いたくねぇですけど…

POW
【終焉の悪魔】を使って悪魔を呼び出すです。悪魔を先行させて、フィーは敵の後ろにまわって挟み撃ちを狙ってやるです。ひたすら「天竜砕き」で悪魔と一緒に『怪力』を込めた連打連打のボコボコ攻撃です。敵の攻撃は『武器受け+オーラ防御』で受けてやるです。


アムネリカ・ヴァレンシュタイン
今までは独り言だったり心の中の声だったりしたけど、もう無理
はぁ?あたし達の肉で贖え?黙りなさいこの贅肉の化身、その無駄な体脂肪ごと躯の海に叩き返してあげるわよ
ワガママオフモード全開で塩対応するわ

そんなに食べたきゃこれでも食べてなさいと、カーテシーよろしく摘まみ上げ【夢の国の大行進】の機械ネズミ達をスカートの中から召喚
フィンガースナップの合図で爆破
数は多いけど自分のUCだもの、制御は完璧…あら、ちょっと数が足りない気もするわね
スカートの中に残ってたり尻尾に齧り付くサボってる子達はバーガーセットを食べている怪人の口に向かって直接投げるわ

ネズミ―17号と56号、さぼってないであんた達も行くのよ!



●食らえ食らえ、それは己を滅ぼす体脂肪
「はぁ?あたし達の肉で贖え?黙りなさいこの贅肉の化身、その無駄な体脂肪ごと躯の海に叩き返してあげるわよ」
 現れた黒幕…贅肉の化身。その存在に、その存在が発した言葉に。猟兵達はそれぞれの思いや批判を口にする。これまでに散々SAN値に甚大な被害が及ぶ者を見、それと共に嫌々ながらも時間を過ごしてきたアムネリカには限界が訪れていた。先程迄は仲間達や敵に対してアイドルスマイルで対応していたものの、不満を漏らす口はその面影も見せない。本心からの、拒絶だった。
「ともあれ…貴方と対峙できるこの時を待っていました」
 事件の情報を提示され、己の欲に忠実に暮らし肥え太った外見を気にもとめないドムドムの姿を見たその時から。自らの鏡をもってその醜い姿を見つめ直してもらおうとずっと思っていた。その為に、鏡吾はここに来た。
「貴方は、自分の姿を顧みるべきです。美しい所は小さくちいさく、醜い所は大きくおおきく。弱みしか映さぬ悪魔の鏡よ、」
 ───異能の綻びを暴き出せ。
 こちらへ大きな音を立てて迫り来るドムドムの前に1枚の鏡が出現する。それは、鏡吾が真の姿を解放しそのユーベルコードによって呼び出された【悪魔の鏡】。
 ドムドムは突然目の前に現れた鏡に驚き、その足を止め、狼狽える。視界に入るは自らの姿。だがしかし、ドムドムのその目に正しい像は写っていない。
 鏡が映していたのはドムドムの数倍以上の…贅肉怪人。誰かの言葉をそのまま借りると正に贅肉の化身といった風貌だった。弛んだその肉で四肢の関節は埋まり、胸や腹は内蔵脂肪ではち切れそうになっていて、かなり重さがありそうだ。
 このヴィジョンは悪魔の鏡によるドムドムが持つ醜さの誇張された結果なのだが…本当にこの姿なら、1人では満足には動けなさそうだ。介護が必要なレベルだろう。
「それが貴方の今の姿です。醜いでしょう、みっともないでしょう」
 何あれ、もうただの肉の塊じゃない。とアムネリカは嫌悪感丸出しに呟いていた。
「そんな醜い姿を貴方は今まで大衆に晒してきたのですか?世間の皆様は一体どう思っているのでしょうね」
 聞こえてくる言葉に、批判に、羞恥に。ドムドムは耐えられずに鏡を除けようと暴れ出す。そんなドムドムを尻目に、悪魔の鏡を冷静に見つめる鏡吾。鏡が写すのは、醜悪な姿と、もう1つ。
「…なるほど。見えました」
 立証を手伝って頂けますか?と鏡吾は2人に声をかけるのであった。

「今まで色々な高カロリーで脂っこいバーガーを食べてきたお前は自分でも気が付かない程うめぇバーガーに仕上がってる、です。さぁ…自分の頭を食うです。」
 ミルフィにとってこの文言がそうだったのか普通の助言だったのか、それは彼女にしかわからないことではあるのだが。この発言にドムドムが抱いた感情は、苛立ちだ。言葉のチョイスが適当であれ意図的であれ、傍から聞くと立派な挑発であることに間違いなかった。
 しかしその怒りをぶつける為にドムドムが動くより先に、ミルフィは行動を始めていた。
「命を食らい常闇を統べる悪魔よ、契約に従い目前の敵を蹂躙せよ。」
 召喚するは、巨大な黒い悪魔───【終焉の悪魔】がミルフィを隠すように前に立ちはだかる。破滅を呼ぶその荘厳な存在は見たものに畏怖を与えるようなオーラを発していて。ミルフィの天竜砕きに似た巨大なハンマーを構え悪魔は迷わずドムドムの方へ突撃していく。物凄いスピードで詰まる距離。残り3歩分、というあたりで悪魔は大きな武器を振りかぶる。
 悪魔の攻撃に耐えようと受け身をとるドムドムだった、が。その背中に重い一撃が入る。回り込んでいたミルフィだ。悪魔に気を取られていたドムドムは後ろにいた彼女の存在に気が付かず無抵抗の的となっていた。クリーンヒットはしているはずだが、多量の贅肉によって内臓が守られ効果が薄いのだろうか。ダメージは入ったものの、まだ弱った感じはない。
 …効かないなら、効くまで。ミルフィの攻撃後、休む間もなく悪魔の巨大ハンマーの打撃がドムドムを襲う。そちらに受け身をとると次は後ろから。食らったら次はまた前面から…一撃一撃に殺意のこもった怪力で繰り出され、恐ろしい打撃の嵐となる。
 天竜砕きによる猛攻。血から生まれた武器は血を求め、血を吐かせる。怒涛の連撃が贅肉を襲った。
 その殴打ラッシュから逃れるように、ドムドムは贅肉まみれの太い足で地を強く踏みしめ、その重い身体を宙に浮かす。繰り出されるのはフライ・ド・プレスによる踏み潰し───

「飛んだ、です」
 あわよくば、自分でトドメをさせたら…と思っていたので少し残念だったが、想定通り。
「ご協力、ありがとうございます。あちらの方に回避を」

 ミルフィ目掛けて落下する筈だったドムドムだが…着地したのは、別の場所。
「オデの……ハンバーガー!!」

『いいですか、あの怪人のユーベルコード…フライ・ド・プレス。あれには弱点があります』
 悪魔の鏡に映し出されたもう1つの情報…それは、敵の攻撃の弱点。
『まず、跳ぶ前に気が散ると目標を誤ります』

 ミルフィの連撃中、鏡吾は持ち込んだハンバーガーセットをそこから離れた床に置いていた。ジューシーな肉とそれに合う濃厚なソース、そしてフライドポテトの香ばしい香り。お腹を空かせる魅惑の香りに、ジャンクフードが大好きなドムドムが反応しないわけがない。殴られながらも、ずっと気になっていた。そして我慢できず───
──飛びついた。周辺地形を破壊する大威力の着地。そのまま戦闘中にも関わらずバーガーセットを拾いあげ、遠慮なしに食らいつく。
 ふと、ドムドムがフライドポテトを1本紙袋から取り出そうとすると、その手の先にいた小さな生き物に気付く。そこにいたのは、フライドポテトを咥えた一匹のネズミ。その存在を認識したと同時にその体が光り輝き──爆発した。
「どう、爆弾の味は?」
 そう聞くのは、アムネリカ。クリティカルに爆撃をくらったドムドムが声の方へと向くと、彼女は貴族のように礼儀正しく、カーテシーと呼ばれる挨拶でその視線を出迎える。持ち上げられたスカートの両裾。そこから大量の同じ型のネズミが落ちてくる。
「そんなに食べたきゃこれでも食べてなさい」
 スカートから排出されたネズミがドムドムへと向かう。ネズミが爆発することを学習し、身の危険を感じたドムドムはその場所から離脱しようとするが…足が、地面にめり込んで、抜けない。
「2つ目の弱点。着地点の地形を破壊すると、自分自身も動けなくなる…体重が多すぎたようですね」
 その場所は、鏡吾の細工済みだった。そしてその言葉と共に鏡から悪魔が出現し、ドムドムの巨体を強力な力で縛り付ける。弱点立証による、ペナルティだ。
 動けないドムドムに、続けて【夢の国の大行進】によって排出された機械ネズミ達も個々の意志を持ちながら突撃していく。ドムドムにたどり着いたネズミ達は彼女の指が鳴る合図で一斉に爆発していった。
 次々とドムドムの周りで爆破されている中で…アムネリカは思う。あら?なんか数足りなくない?軽く周囲を見渡していると…尻尾になにかがくっついているような違和感を感じた。その違和感の部分に手を伸ばすと、2匹のネズミがくっついてニートしていたことが発覚した。
「…ネズミ―17号と56号、さぼってないであんた達も行くのよ!」
 尻尾から引き剥がし、そのまま投擲。仕事を怠けたことにより暴君な姫君に投げ飛ばされた2匹はドムドムが食らうハンバーガーセットに紛れ、その口部に招き入れられた。
 物凄い勢いで咀嚼するドムドムの口元からガチ、という音が聞こえた…と同時に。そのハンバーガーヘッドから大きな爆発が起こる。その爆風を見ていい働きするじゃない、と絶賛するアムネリカだったが、17号と56号は何を思って爆発していったのだろうか。
 ドムドムはその口から、かつてネズミだったのであろう鉄くずと黒い煙を吐き出していた。
「…フィー、どんなうめぇバーガーに仕上がっててもあれは食べたくねぇ、です」
 黒焦げバーガーなんて、誰得だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

カイム・クローバー
【ペンドラゴン】で行動

噂のハンバーガーデブの登場だな。おいおい、折角ここまで来たんだ。史上最高に美味しいハンバーガーとやらは……(オデの食料、の部分を聞いて)は!?お前が食うのかよ!?情報通り俺達が餌で、あのメタボを増幅させる為だけに集められたってのか…(ガックリ)

SPD判定。前衛での立ち回り。【挑発】を使って注意をこちらに向けさせ、【二回攻撃】【鎧砕き】【串刺し】【なぎ払い】【早業】とUCでメタボ野郎の隙を付くぜ。攻撃に足しては【見切り】と【武器受け】で対処。 コーラをUCで潰す事が出来りゃ、SPD判定で更に戦い易くなるな。 さて、覚悟は良いか?メタボ野郎?


ルーヴェニア・サンテチエンヌ
【ペンドラゴン】で行動させていただきますわね。
援護しにきましたわ!……って…え?(怪人や巨漢キマイラを見ながら)…人体って、こんなに大きくなるんですの⁉こんなに太っている方は初めて見ました…
怪人には「結果にコミット」していただきましょう。【楽器演奏】!(サウンドウェポンで例の音楽スタート)
怪人には共感されない音楽だと思いますので、UC「サウンド・オブ・パワー」扱いで味方のみ強化できると思いますの。
そして技能【パフォーマンス】、UC「ジャッジメント・クルセイド」で怪人をライトアップしながらぜい肉を焼きますわ。はい、焼きますわ。

(他の方との共闘やアドリブも歓迎しますわ)


ジャック・ソウル
【心情】
魚頭さんの言ってたことは本当だったんだね…(ショボン)

【ペンドラゴン】で行動 ミー達を食べるために集められたなんて…苦労してここまで来たのに… 楽しみにしてたのに…段々腹が立ってきたよ!よく見たらすごく燃えそうな 体つきだよね?ミーの業火でこんがり焼いてあげるよ!アーユーレディ?

ポジションは前衛 技能【2回攻撃】【一斉発射】【鎧無視攻撃】を使って絶えず攻撃する。 アイテムのエンジョイスピナーとUCのブレイズフレイムで追い詰める。 バーガー怪人の攻撃は技能【逃げ足】で回避する。


高野・エドワード
チーム【ペンドラゴン】で参加
うわぁ…生で見るとまた迫力が違うね…。ま、まぁあれも1つの幸せの形なんだろうけど…。
他人に迷惑を掛けて、身勝手に生きるその姿はあまり美しいとは言えないね。

君こそ、まずはその無駄な贅肉を落としてこのマグロ怪人たちに償うべきなんじゃないかい?
…倒した手前あんまり強くは言えないけど。

さて、僕は先程から変わらず、距離を保ちながら【瑠璃花弁の嵐】で前衛を援護するよ。
マグロ怪人たちとは違って同情も何もないからね!全力・全速で発動しよう。
前衛の動きを妨げないよう、花弁の舞わせ方には注意しないと。

攻撃は見切り・オーラ防御で対処を。

…さっぱりしたサラダが食べたいな…。

アドリブ等OK


レイ・キャスケット
チーム【ペンドラゴン】で参加
単純戦闘ならいつも通り妨害行動だね!
威力より手数重視のバチバチ雷魔法とあっちち炎魔法で…って効いてるのあれ?
体脂肪バリア厚すぎない?

ファンシーな敵だからちょっと油断しちゃってるかも
ボディプレスが飛んできても反応が遅れちゃうかも…!
とっさに【高速詠唱】で≪付与の羽衣≫とブランクソードに風魔法を付与。
風【属性攻撃】をのせた【全力魔法】を武器に込めて
ふにゅにゅにゅにゅ~…!ってなんとか踏ん張って【吹き飛ば】せる?重すぎ?がんばる!

動いたらおなか減ったー。終わったらペンドラゴンのみんなでハンバーガー食べにいこ?
ユニも誘ってさ



●結果にコミットする
 ハンバーガーヘッドのあちこちから黒い煙を吐くドムドム。醜い姿を強調され、弱点を暴かれ、ボコボコに殴られ、しまいには大好物に爆弾を仕込まれ…その心には大きなダメージが入ったものの、倒れる気配は未だ無く。
 のそりと動く巨大な影。その動きは鈍重ながらも床から埋まった足を抜き、猟兵達への怒りの咆哮を広間中に響かせる。ビリビリと鼓膜に届く篭った重低音。
 しかし、広間にはそんな不快な音波ともう1つ…別の、スタイリッシュなBGMが。何処かからその音に混ざって聞こえてくる。
 音の発生源には、先程の3人とは別の…5人の猟兵の姿があった。

 かつてマグロの氷像展を作り上げた芸術家達──もとい、ホテル・ペンドラゴンの猟兵達もまた、ドムドムと対峙していた。かの怪人の言葉に、彼らも多種多様の反応を返す。
「魚頭さんの言ってたことは本当だったんだね…」
「情報通り俺達が餌で、あのメタボを増幅させる為だけに集められたってのか…」
 もう忘れている者もいるだろうか。事の発端、この戦いはドムドムの用意した脱出ゲームから始まった。わざわざフェアに部屋を脱出するなどして少なからず景品を…"史上最強に美味しいハンバーガー"を、楽しみにしていたカイムとジャックは落胆していた。カイムに至ってはドムドムの最初の言葉に、は!?と素っ頓狂な声をあげていた。
 そしてそのハンバーガーの損失を自分達の肉で償えというのだ。理不尽ったらありゃしない。
「君こそ、まずはその無駄な贅肉を落としてこのマグロ怪人たちに償うべきなんじゃないかい?」
 あの戦いの後果たして人の事を言えるのか、謎なところではあるのだが。
 …レイの頭の片隅には、最高傑作の野球投手氷像が未だにチラついていた。

「援護しにきましたわ!…え?」
 その4人に遅れて合流したのはルーヴェニア・サンテチエンヌ(人と狼の狭間が産む讃美歌・f13108)。しかし合流して早々に、彼女の目は異常を捉える。
 怪人に唆されジャンクフードを食べまくったぽっちゃりキマイラに、今回の元凶、贅肉の化身。どこもかしこも、どこかみっともない巨体にまみれていた。
「…人体って、こんなに大きくなるんですの⁉こんなに太っている方は初めて見ました…」
 少しの間彼らを眺め逡巡を見せた後、すかさずルーヴェニアはある曲を流そうと持っているサウンドウェポンに手を伸ばす。様々な曲に触れ、歌を届けるルーヴェニアの音楽レパートリーは豊富で…この状況に、彼らに最適な音もすぐ彼女の頭に浮かんだ。
「結果にコミットしていただきましょう。わたくしから皆様にこの曲をプレゼントしますわ」
 
 ブー、チブー…ブー、チブー…テーレーテレッテテーレーテレッテ──

 …知る人ぞ知る。正にこの場にぴったりな…余分な贅肉脂肪との戦闘サウンドが流れ出す。ユーベルコード【サウンド・オブ・パワー】が込められたこの音楽は猟兵達の共感を誘い、初めて聞きそのEDMチックな音楽に魅了されたものも、曲の正体に気付きここでか、と笑いを堪えるものにも。耳から心地よく身体を駆け巡る感覚があり、それが熱量に変化する。共感は猟兵を加護する力となり、その曲想によりこの戦いの目的を改めて認識させ、その思いをひとつにした。
 ───脂肪は、燃焼しなければ。そんな軽快なBGMで、戦いは彩られた。

「さて、覚悟はいいか?メタボ野郎」
 ハンバーガーで釣り、盗賊である彼を騙した罪は重い。マグロ怪人との戦い同様に前衛として突撃していくカイムのアメジストの目は、ギラギラと鋭い輝きを放っていた。
 先程の二丁拳銃による銃撃スタイルとは打って変わり、剣の鍔に狼の装飾が施された黒い大剣を携えてドムドムとの戦いに挑む。
 その素早い脚により物凄い勢いで距離を詰めていくカイムに目を眩ませながらもドムドムの標的はメタボと貶したカイムであり、憤慨しながらもそれを迎撃する。手に持ったジュースの容器を軽く握ると、そのストローからコーラのような液体が噴射された。命中せず障害物にかかった液体は強い酸性を持っているのか、触れた部分をジュウ、と音を立て溶かしていった。カイムはスピード感のある華麗な動きでそれを躱していくが、その妨害によりスムーズに懐に入り込めない。
「援護するよ」
 その状況を見てカイムと共に前に出ていたジャックがガトリングガン、エンジョイスピナーによる銃撃を浴びせ、ドムドムの行動を阻害する。しかしその攻撃は中々ぶよぶよの贅肉には通らず、カイムの進撃の補助にはなるものの、いまいち決定打にはなり得ない。
 その援護を…また援護するかのように、後方からも攻撃が入る。カイムの接近を阻害しジャックの攻撃をいなすドムドムの背中に激しい雷撃が撃ち込まれる。
 例に習って傷こそは負わないもののその方向へ意識を向けたかと思うと、視界の端に青い花弁が映る。それに気付くと同時に多量の花弁がドムドムを襲った。
 最後方のルーヴェニアもBGMの出力を上げ攻撃威力の上昇を図っていた。ダイエット、運動が嫌いなドムドムがこの音楽に共感することはないが、猟兵達の攻撃力は確実に強化されていく──
 不快なBGM、銃撃、雷撃、花弁の舞。流石に煩わしく思ったか、連携の隙を見てドムドムはジャックや後方支援組の方にも液体を無差別に乱噴射する。
 その回避は彼らには容易いものだったが、回避行動により援護が上手く行えない。
 ただ、マークが一瞬外れたことによりカイムは携える大剣の刃がに届く位置までドムドムに接近することが出来た。
 ──あのコーラ、邪魔だな。カイムは大剣を突きの形に構え…ドムドムが手に持つコーラの容器に向かって連続攻撃を繰り出した。
 ユーベルコード、【瞬剣の残閃】。その高速の突きは一撃一撃に威力があり、次々に命中していくことによって…剣が打ち付ける度に硬い音を発していた、おそらく頑丈であっただろうコーラの容器に穴を開けた。
 こぼれ出す強炭酸は、真下の床を焼いてゆき…数秒後には漏れ出す液体が完全になくなった。
「飲み物を粗末に扱うんじゃねぇ、その技は没収だ」
 自分の行動を阻害していた敵の武器を1つ壊したことによってやってやった、という顔で告げるカイム。唯一の飛び道具が失われ慌てたような素振りを見せるドムドム。
 カイムの剣戟から逃げるように走り出す。そして逃げた先は、再び空中。

──フライ・ド・プレスだ。

「レイっ!そっちに行ったぞ!!」
 かけられた声に気付き空を見上げるレイ。
(え!?やば…油断してた)
 他の依頼でもよく使う攻撃、ルーヴェニアに強化され威力もあがっていただろう雷撃が分厚い体脂肪によって防がれたことにより、その対策を思案していたレイはドムドムの行動に気付けなかった。ファンシーな見た目だからと油断していたところも祟ったのだろう。
 避ける時間は、ない…咄嗟に彼女は風魔法の詠唱を初める。荒れ狂うような暴風で、あの巨体を吹き飛ばせれば───
 思い返すのは、目も開けられないような突風。屋根や大きなオブジェクトが吹き飛ばされ、異常気象だと騒がれていた日の…こっちの都合なんかお構い無しに吹き付けた、あの風に助けを求める。【付与の羽衣】で記憶から引っ張り出した風を纏い、ブランクソードにもありったけの魔力を込め強力な風の刃を生成。
 その刃と、魔力で──落下する巨体を、受け止めた。
「…っ、あの時もっと強かったでしょ、もっと!!!」
 あと少し、パワーが足りない。ドムドムを宙に浮かすまではいったが、吹き飛ばすまでには至らない。この状態をずっと続けることなどは勿論できない。いずれ限界が──

「青き愛の洗礼をその身に刻め」

 駆け付けたエドワードがレイの隣に立ち、その風の手助けをするように大量のブルースターの花弁を荒れ狂う暴風に乗せる。【瑠璃花弁の嵐】の元々の勢いも重なり、その力は大きなものとなる。あとは、魔力で押せば──!
「ふにゅにゅにゅにゅ………いっ、けぇえ!!」

 美しき青い花弁を纏った暴風はドムドムを遠くへ打ち上げ、プレスは別の床へと叩き込まれた。飛ばされている間に空でバランスを崩したのか頭から着地したドムドム。
 フライ・ド・プレスの威力は相変わらず凄まじく、床はズタズタになったが…本人は目を回し、動けないようだ。

 その好機を逃さない、猟兵の足音が迫る。
「ユーは切断だったり、打撃は効かなかったけど…爆発は効いてたよね?」
 今までの全ての戦いを見て気付いたジャックの考察。それを聞いたルーヴェニアもその後ろについてゆきドムドムを強い眼差しで見据える。
 魔力を消耗しフラフラなレイも、その言葉を聞きエドワードやカイムに介抱されながらドムドムの方へと歩みを進める。
「それじゃあ、やることは決まってますわね」
「ボクも手伝うよ」
「ミーの業火で、こんがり焼いてあげるよ!」
 レイの炎魔法、ルーヴェニアの【ジャッジメント・クルセイド】、ジャックの【ブレイズ・フレイム】による、

 ───火葬が行われた。

●平穏と、お別れと、カロリーと。
 かくして、猟兵達の活躍により高カロリー怪人による企みは消滅した。
 しかし、猟兵達の仕事はまだ終わっていない。捕らわれていた巨漢キマイラ達を屋敷の外に誘導し、送り届ける作業が残っていた。
 …短い時間ではあったが、そのキマイラ達と仲良くなったものもいて。
 帰路、カイムは同室で脱出ゲームに取り組んだキマイラと熱くジャンクフードについて語り合った。ミルフィは呆れながらも微笑ましそうにその光景を見ていた。
 レイ、ジャック、鏡吾と共に脱出を試みたキマイラも3人と帰路の会話に花を咲かせていた。
 脱出ゲームが大好きなキマイラの一体は優れた観察能力を持っていた鏡吾に弟子入りを申し入れていて。謙遜する鏡吾にレイも紛れて褒めちぎる。
 隣でレイを見つめボーッとしているキマイラがいて、一緒に歩いていたルーヴェニアは不思議そうにその顔を見つめていた。5人でジャックが渡した飴を口に含んで歩いた。
 この戦いで結成したアムネリカ親衛隊は疲れ切った彼女にサインを貰いに行き、強い口調で断られた。しかしその目には歓喜の涙を浮かべ、初対面だった他の親衛隊化したキマイラ達と喜びを語り合い再会を誓っていた。
 後ろで気味悪がるアムネリカにエドワードは優しくフォローを入れていた。

「動いたらおなか減ったー。終わったらペンドラゴンのみんなでハンバーガー食べにいこ?ユニも誘ってさ」
 彼らをここに派遣した彼女が今回の事件を経て…ハンバーガーをどう思っているのかはわからないが、祝杯代わりの食事会に誘われればきっと喜ぶことだろう。
「おう!ペンドラゴンの仲間だけじゃなくて、アムネリカや鏡吾、ミルフィも、な」
「フィーはもうハンバーガーはしばらく見たくない、です」
「ご一緒して良いのなら。ですが、カロリーは考えたいですね」
「そうですわ、みんなあんな巨漢になってしまったら…」
「やめて。耐えられない。嫌よ二度と贅肉の化身には会いたくないわ」
「みんな否定的だね?ミーはいいと思うよ?ハンバーガー」
「…さっぱりしたサラダが食べたいな…。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト