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その『腕』が欲しい

#UDCアース

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#UDCアース


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●とある焼肉屋
「こ、これが『神絵師』の腕の肉、ほ、本当に?」
「た、確かに知らない肉の味だ…でも、流石に人肉の筈は…」
「「……」」
 二人の男に沈黙が訪れる、カニバリズムなんて恐ろしい、そんな物が提供される筈はない…そうは思っていても怪しい店の雰囲気と、奇妙な味の肉が、不思議とそれが現実なのではと思わせた。

●弱った心に焼肉を…
「猟兵の皆、UDCアースにて邪神召喚の予知が出たのじゃ、このままじゃと『神絵師』の腕の肉を提供するという焼肉屋から邪神が現れ、大いなる災いとなるじゃろう」
 花子の説明を聞いた猟兵達が首をかしげる、『神絵師』の腕の肉?、何でそんな肉を食べるのか、それがどうして邪神召喚に繋がるのか、理解しがたい話だった。
「『神絵師』の腕の肉とはな、UDCアースのイラストレイター…所謂『絵師』と呼ばれる、絵で生計を立てている者達の間で囁かれている噂話での…医食同源に基づく『同食同治』の思想と、『神絵師』と呼ばれる人物は良く焼肉に行くから…と言う話がくっついた都市伝説でな、曰く、『神絵師』の利き腕を食べれば技術を得られる…と言う与太話じゃ」
 猟兵達の疑問に答えるように、花子は説明を加える…その口ぶりから余り信憑性を得られていない話の様だ…まぁ、その内容を考えて見れば、妥当な評価ではある。
「しかし、人は弱った時にこそ、この手の迷信にでも縋りたくなるものじゃ、絵師と呼ばれる者達も、これだけで生活を支えられる者はホンの一握り…狭き門ゆえに挫けそうになる者も多い、そういった者にはこんな噂でも試したくはなるんじゃろう…自身の犯罪とならぬのならば、尚更じゃ」
 人の弱みに付け込む手口は邪教と同じか…関係無い者には馬鹿げた話でも当事者にとっては切実なのだろう、悪質な手口である。
「焼肉屋の場所は不明じゃ…予知で見た光景では、窓がない怪しい雰囲気の店じゃったな…出すメニューから考えても普通の営業をしている店とは思えん、ジョークにしては悪質過ぎるしのぉ」
 人肉を提供など、UDCアースの常識から考えて有り得ない、仮に冗談だとしても、店の評判は悪くなるだけで営業としては不味いであろう。
「他の手掛かりはじゃが…この噂話が出始めたと同時に、有名なイラストレイターの失踪が相次いだのじゃよ…わしのお気に入りキャラの担当絵師さんも…くぅ、進化絵がまだ未実装なのに…とと、まぁ、私事は置いといて、これらの手掛かりから焼肉屋を探し出し、この悍ましい食事を阻止するのじゃ」


マカロニ男爵
 三作目です、焼肉は一人焼肉派です、あれは王者の食事なのです。とは言っても、人肉は流石に遠慮しておきたいですね。

 1章、2章は探索となっております、戦闘は3章だけなのでご注意を。
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第1章 冒険 『神絵師 利き腕 焼肉 食べたい』

POW   :    焼肉屋で直接現場を押さえる

SPD   :    噂の出所を探る

WIZ   :    神絵師と呼ばれる人物の情報を得る

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミーナ・ヴァンスタイン
アドリブやアレンジ歓迎よ。

街中を歩きながら、話を思い返して顔を顰めて
「まさに狂気の産物ね」
そのまま、人の気のない路地裏に入り込み【使い魔召喚】を使用し、呼び出した無数の黒猫たちに町中の怪しい場所や焼き肉屋を探させます。
「町中の疑わしい場所、ぜんぶ探して頂戴。任せたわ」

ミーナはそのまま神絵師の情報や噂の出どころなどを【礼儀作法】【コミュ力】で町の人たちに聞いて回ったり、パソコンを通してネットの情報を探したり色々あたります。
「ふぅん、なるほどね」

その間も使い魔たちとの視覚共有や念話を通して、状況を確認し怪しい場所を見つけたら現場に行き入店してみるわ。
「此処ね……さて、時間がないわ。行きましょう」



「正に狂気の産物ね」
 街中を歩きながら、ミーナ・ヴァンスタインは予知の話を思い返して眉を顰める…人肉食(カニバリズム)は様々な世界でも禁忌として扱われる。それは、彼女の出身地であるダークセイヴァーでも、このUDCアースの日本でも変わりはない。
 にも関わらず、それを求めてしまう心理…夢と現実のギャップ、焦燥、嫉妬…人間の弱い感情が煮詰まって生み出された狂気…それを助長し利用している存在がいるとすれば許されない事だ。

「さてと…」
 人気のない裏路地、ここでミーナはユーベルコード【使い魔召喚(サモンファミリア)】を発動し、使い魔である無数の黒猫達を召喚した。
「町中の疑わしい場所、ぜんぶ探して頂戴。任せたわ」
 ミーナの命令とともに黒猫達は走る、街の風景に溶け込み不自然なく街の中を探し回るだろう。
「私も動きましょうか」
 使い魔ばかりに任せてはいられない、ミーナ自身も先ずは街の人に聞き込みを行った…が。
「そんな薄気味悪い店は聞いた事ないねぇ…」
「そんな店があったら保健所が黙ってないわよ」
「知らん、流石にガセじゃろ」
 街の人は、そんな話は聞いた事もないと言う感じではあった、しかし、そんな中にも気になる話が一つだけ…
「最近、失踪事件が多いからって…って言っても流石にそれは…」
 失踪事件、そう言えば同時期に有名なイラストレーターが失踪するようになったという話であった。

「……ふぅん、なるほどね」
 その話が気になり、ネットで調べてみると…案の定、この辺りの失踪者はイラストレイターであった、この近辺だけで5人も…明らかに多い、失踪事件も、それなりにイラストレイター自体もだ。
 一方、ネットでもこの噂話はあまり見かけなかった、このイラストレーターばかりが失踪する、不自然な事件に関してこの噂話を言及する者は居たが、ネット全体で見れば話題になっていると言うレベルではない。

「犠牲者が出ているのなら時間は惜しい…けど、もう少し情報が必要の様ね」
 黒猫達の調査によって、看板を出している…街を歩いて普通に見つかるような焼肉屋には不審な点はなかった、街の怪しい場所に関しても、もう少し位置を特定しないと絞り込めない…流石に探す範囲が広すぎたようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリガー・シックス
「噂……」
この噂の出所、ネットを探ってみよう。
不特定多数の者に見せようとするなら、有力なツールとして使える。
絵師も見るようにSNSなどを使う、という手もありうる。
SNSで【情報収集】を行ってみる。
「まるで、ミイラは不老長寿の薬という昔の人と同じだな」
ありもしない効果に踊らされるのは、いつの時代も同じなのかもしれない。



「噂…ネット上でも反応が薄いようだが、確かに存在はしているようだな」
 仲間の調査の結果を受け、トリガー・シックスはネットを中心に調査を開始した…街では知られていない以上、ごく限られた界隈で囁かれている類の噂なのだろうと…
「噂の内容から考え、絵師が利用するソーシャルネットワーク辺りが怪しいか…」
 この情報に飛びつく人種は限られている、絵を描かない者がこんなは話を聞いたところで気持ち悪がるだけであろう…ソーシャルネットワークというグループ内に限られた噂ならば、この情報の伝播の低さも頷ける話だ。

「やはり…」
 多くの、駆け出し絵師が利用するソーシャルネットワークに入る事に成功したトリガーは、今までとは比べ物にならない程、その話題に付いてのやり取りを見る事に成功した。
「店の場所はこの界隈でも不明なのか…しかし、行ったと報告するもの居るが、場所は極秘だから教えられないと…ん?」
 店に行ったと言う話すら、ちょくちょくと存在したが肝心な場所は秘密となっていて明かされていない…しかし、その話を追いかけていくと、トリガーの予測とは違った情報が出て来た。

「ミイラは不老長寿の薬という昔の人と同じ、ありもしない効果に踊らされているのだと考えていたが……」
 行ったと言う報告者から、後に大きな仕事を貰えた、とあるゲームのキャラクターを担当しただの、成功した報告が相次いでいる…
「効果を目の当たりにした者がいるから、こんな胡散臭い噂でも信じる者が現れてしまうのか…」
 この界隈で成功を望む者にとっては、正に喉から手が出るほど欲しいご利益である…そう言えば、他の猟兵が調べた情報では、この辺りにそれなりに有名な絵師が多いと言うものもあったが…
「本当に効果があると言うのか?…画風は変わっている様には見えないが、何かこう、絵の魅力が増したと言うべきか……ん?、いや、まてこれは…」
 利き腕の肉を食べて、技術が手に入る…そんな馬鹿な事が起きるのかと、報告者の発言を追っていったトリガーであったが、それ以上に危険な情報に突き当たってしまう。
「失踪…している!?」
 その報告者の発言はある日から突然途切れ、彼が報告していた仕事先からも『○○のキャラクターの担当絵師が失踪しました』と報告があり、実装予定だったイラストの延期をお知らせされていた。
「これは…まさか!?」
 確認した結果、行ったと言う報告者は次々と失踪している…
「売れて、人気が出て『神絵師』になったから…今度は食われる側になった!?」
 これが、この辺りに売れている絵師も、失踪した絵師も多い理由なのか…こんな物にまで縋って得た成功の後に、待っていた結末がこれなんて…トリガーが絶句しながらソーシャルネットワーク内の情報を探っていると…

 新しいメッセージが届きました。
『俺も、例の焼肉屋行ってきたよ!、例によって場所は明かせないけど、これで俺も…あ、でも、味はイマイチだったよ~、肉が硬かった』

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィルトス・ユビキタス
人肉食はなあ。げんなりする話だな
とりあえず件の焼肉屋を探しに行くかあ。
一件一件食べていって探すぞ。
焼き肉を食べて調査だ。
ただ食べるだけではない。裏メニューに書いてないか調べるためにも全種類頼まなければなるまい。
領収書を切ってもらうぞ。宛名は所属してる猟兵商業組合だ。



(人肉食か…げんなりする話だなぁ…)
 ウィルトス・ユビキタスは今、焼肉屋に居た…そんな事を考えている割にジュウジュウと肉を焼いている、先ずは牛タンからだ!
「よし、焼肉を食べて調査だ!、裏メニューかも知れないし、先ずは全品頼んで食べてみよう」
 何と言う体当たり調査であろうか、しかしウィルトスは頑張る、先ずは焼けた牛たんを頬張りながら。
「うん、牛タンは片面だけ焼いて熱を通してジューシーにして食べる…のも旨いが、両面を焼いて少し焦がした香ばしさも捨てがたいな」
 二種類の焼き方で牛タンを楽しむ、コリっとした歯ごたえに豊かな肉汁が堪らない片面焼き、そして肉が焼けた香ばしさと、水分が飛んだ分歯応えが増した両面焼き。
「他のホルモン系は編みが汚れるからな、次は肉、ロースとカルビを焼くか!」
 こいつ…明らかに焼肉を堪能しているだけじゃ…いえいえ、そんな事はありません、その証拠に肉を焼きながらも、仲間からの情報をちゃんとチェックし始めた…

「え?、普通の焼肉店はシロ?……」
 そして、今、気がつく…既に自分が訪れている店は候補地からは完全に除外されいるという事実を。
「くそ、グルメサイトで一番高評価な店に来たのに、旨い焼肉しかないのかこの店は!」
 そもそも何故グルメサイトで調べたのか、やはり焼肉を食べたかっただけなのか?、因みに領収書は所属旅団『猟兵商業組合』で切っている…こう言う所だけはしっかりしているぞ。

「出遅れた、やはり情報はしっかり共有しておこう…うん、ロースがいい、赤身の確りした味、油じゃない肉の旨味だな…それでいて柔らかい、正に肉、これは良い肉だ」
 そして席を立たたずロースを頬張る…高評価の店は流石か、脂の少ないロースで判る肉の質…その味を堪能しながらじっくりとスマホを見て情報を読み始めた。
 確かに情報はしっかり把握しておかないと、無駄足になるから判断は正しい、しかし何故その正しい判断を最初に下さなかったのか…
「カルビ、口で溶ける脂の旨み…そしてタレを付けて…オンザライス!」
 カルビを口に含んでひと噛み、そして溢れ出る暴力的な脂の旨み、思わずガツガツと一枚を食べ、ご飯をかっ込み…二枚目、タレを多めに付けての反則技、【オンザライス】が発動、米にカルビの油が溶け込んだタレが染み付いて美味しそうに見える、実際は味がそこまで付かないが、心理的に五段階ぐらい美味になるのだ!
「ハム、ハム、ハフ…うん、ホルモンもいい感じ、これ具体の焼き加減がベストか…うん?」
 もう、開き直って完全に焼肉を楽しむ体制に入っていたウィルトスであったが、ふと気になる会話が耳に入る、後ろの席からだ。

「いや先輩、自分もとうとう、例の店に行けたっすよ」
「そうか、お前もあの店からメール来たのか、メール来ないとあの場所は解らんだろうしな」
「せ、先輩、店の情報は他言禁止っすよ」
「おっと、そうだった…なんか怖かったもんな、あの人達」
「そうっすね、しかし口直し出来て良かったっす、あの肉、なんか味が変でしたし」
「分かる、ああ言う話を聞いたからか、口に入れた時、少し吐きそうになったよ」
「先輩、ゴチになったっすよ…じゃあ、帰りましょうっす
「おうよ、お前も売れたら俺に奢れよ?」

(!!!?、まさかの大ヒット!?、いやいや、俺の第六感がこの店に何かあるってな…最初から分かっていたのさ)
 と、まさかの情報源をゲットしたウィルトスは心の中で得意げに呟いた、確かにウィルトスには第六感があるが、多分、単なる豪運であろう…本人も驚いていたし。

「君達、少しいいかな?」
「ひぃ、せ、先輩逃げて!!」
「お、おう!、逃げるぞ!!」
「え?、ええぇ?ちょ、ちょっと待ってくれ!」
 二人組が帰ってしまったので、ウィルトスも名残惜しいが焼肉を中断して二人を追いかけた…が、声をかけた瞬間、二人は一目散に逃げだしたのだ。

「いやいや、なんでイキナリ逃げるんだ、話を聞いてくれ」
「ち、違うっす、自分達は何も喋ってないっすよ、喋ってないっす!!」
 慌てて追いかけて後輩の方は捕まえたが、先輩の方は別方向に走っていったので逃げられてしまった。
「いや、俺はあの店のものじゃない…って、そんな恐ろしい場所だったのか?」
「え?、ええ?、じゃあアンタは?」 
 ウィルトスは後輩に事情を説明、この辺りで『神絵師』…売れているイラストレーターが相次いで失踪していると、そしてその操作上、例の店が怪しいと…それを聞いて後輩の顔が青ざめる。
「ひっ…じゃ、じゃあまさか、あの肉は本当に…」
「それを調べている、そうじゃないと良いんだがな…」
 自分から食べに行った…とは言え、やはり本当に人肉だとは信じたくないのであろう…ウィルトスもその辺を察して、そう応えるが…ここまで状況証拠が揃い、しかも邪神の予知まで出ているとなると…
「あの肉を食べたあと、成功した奴も失踪してるんだ…お前の身柄を保護させて欲しい」
「そ、そういう話なら願ったり叶ったりっすけど、自分、まだ成功は…成功…あああ!!」
「ど、どうした!?」
「先輩、先輩っすよ、先輩はもう幾つか大きい仕事を貰って、最近、巷じゃ『神絵師』って呼ばれ始めてるんっすよ!」
「なっ…お、おい、早くその先輩に電話を!!」
 もし狙われるのならば、危ないのはこの後輩よりも、既に成功した先輩…焼肉屋の話からして、彼も既に例の肉を食しているのであろう…ウィルトスは急いで電話をかけさせたが…
「つ、繋がらないっす…」
「さ、探すぞ!」
 ウィルトスは急いで先輩が逃げ去った方に走った、しかし…その姿は既になく、彼の家路の途中であろう道、人気のない場所で争った形跡だけが残されていた。
 後日、やはり先輩は家に戻っていない事が確認され、失踪届けが出された…そして、後輩から聞いた情報によると、例の店の場所は…

●メールによって知らされるが後輩と先輩は別の場所だった。
●指定された日以外は店は開いていない。
●他言するなと何度も言われた、店の人の目がマジヤバイ、凄く怖かった。

 とりあえず、先輩と後輩の二人が行った店の場所は分かった、共通しているのは廃ビルの地下にある事で、どちらも人通りは少ない…この街ではこの二箇所とあと一箇所、同じような条件の立地があるようだと調査の結果、判明した。

成功 🔵​🔵​🔴​

カーニンヒェン・ボーゲン
ふむ、欲しいのは腕そのものではなく技術でしょうに。
その場合、口からの摂取ではなく、目で盗むものであるとこのジジイなどは思うのですが…。狂言を信じるまでに追い込み、心掻き乱す者が居るとは、許しがたいですな。

噂の出所について、
「情報収集」しましょう。
絵師として食い積めた同類が、噂の力にすがろうと探している。
と思われるよう、聞き方や身なりを工夫します。想像図はくたびれた画家の成り様ですかな。
場所は画材売り場や画廊から始めて、安い飯処や飲み屋街、ネットカフェの周辺もあたってみます。
相手が複数や、人目を気にする様子でしたら、【UC:手足】を召喚して人型にトランスフォームさせて静かに後を追わせましょう。



(ふむ、欲しいのは腕そのものではなく技術でしょうに。)
 そして、技術とは口から摂取するものではなく、目で盗むもだ…そう考えながら、カーニンヒェン・ボーゲンは情報収集を続ける。
 仲間達の調査によって、例の店の場所はかなり絞れてきた…ならば自分はその噂の力に縋ろうとしている、くたびれた画家を模して、画材売り場や画廊を等を訪れて探りを入れるが…不発に終わる。
「ふむ、何かが違うようですな…」
 どうも、絵師とはカーニンヒェンが知る画家とは少し毛色の違う人種、絵を描くのは同じだが、どうやらそれはCG、コンピューターを使用して絵を描く職業で、絵に芸術性を求めるよりも、様々な要望に応えてキャラクターなどを描く者であるようだ。

「ならば、自身の言葉に従うとしますかな」
 それは目で盗むと言った自分の言葉、自身には馴染みのない世界ならば、その身なり、行動を学ぶとしよう、幸い、実際に例の肉を食した者もUDC組織によって保護されている。

「はい、協力するっす…先輩を助けて欲しいっすよ」
「うむ、そちらは任せておきなさい…さて、君達はこう言う時どう動くのでしょうか?、君はどう動いて、彼等と接触したのでしょうかね?」
「はい、自分達はネット上でやり取りをするっすよ、だからパソコンを介して色んな掲示板で聞いてみたりとか、検索しまくったりとかっすね…多分、そう言った情報をキャッチして向こうも接触してくるんっすよ」
 実際に彼等と接触した男の話によると、接触する場所は電脳世界の中にあるようだ…しかし、今からそういう行動を取って間に合うだろうか?、攫われた男の先輩の安否が気になる。
「うむ、次はネットカフェ周辺を探ろうと思ってましたが、今からでも君の様にパソコンを使用し接触を待った方が良いのでしょうか?、いささか時間が掛りすぎる気がいたします」
「うーん、そうっすね…確かに即座に接触とは行かないかもっす…あ、いや、待てよ…」
 なるべく早く、場所を突き止めたいと考えるカーニンヒェンだったが、その話を聞いて男はハッとした表情を浮かべる。
「お爺さんが言ってたネットカフェっすけど、自分も先輩も、一旦ネカフェで待ち合わせしてから、店に連れて行ってもらったっすよ」
「待ち合わせですか、なるほど、ネットカフェを貼っていればその現場を見つけられるかもですね…」
「それに、あの店の人達、パソコンは多分ネカフェの物を使用していると思うっすよ、店は何処も廃ビルっす、電気なんて通ってないっす、店はランプ替わりのロウソクと、火鉢の火だけが灯りだったからよく覚えているっすよ」
「では、ネットカフェに急行致しましょう、時間は成るべく掛けない方が良いでしょうね」
 カーニンヒェンはネットカフェに張り込み、客を調べ始めた…画家のイメージは一旦忘れ、先ほど見た後輩の男に似たイメージの者、そして後輩の男から聞いた店の者の特徴をイメージし、それに一致する者を探す。
「居ましたね…これは、明らかに怪しい人でしょう」
 血走った目で周囲をキョロキョロ見渡す不審者、ネットカフェと言う空間に置いて異質なほどの警戒心を顕わにした男は…店の者のイメージと一致した。
「…出て行きましたね、…汝ら我を救いたもうか」
 不審な男はパソコンを一頻り弄った後、ネットカフェを出て何処かへと向かっていった…その様子を確認したカーニンヒェンはユーベルトコード【手記『従順なる手足獲得の私的考察』】を発動し、呼び出した機体を人型に変形させて追跡を開始する。

 しばらくして、『手足』から、男は廃ビルの地下の一室に入ったとの情報がもたらされた…それは他の猟兵が調べた場所とも一致する、ここが例の焼肉屋だ、後は狂気の食事を止めるだけだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

ウィルトス・ユビキタス
ダイナミックエントリー!
「警察だ!両手を上げて跪け!」
UDC組織から警官服を借りて警官に扮し焼き肉屋に突入する。
突入する!



「よし分かった、現場の近くにいるから急行する」
 件の焼肉屋の場所は明かされた、偶然にも近くを調査中だったウィルトスはその報を聞き、即座に現場へ向かう事を決断した。
(…とは言え、俺一人では取り逃がす危険性もあるな…)
 先の先輩の方の男を逃がしてしまった後に、攫われてしまった事を思い出す、如何に猟兵とは言え体は一つ、何らかの魔術や道具、そしてユーベルコードでも使わない限り取り押さえられる人数には限界がある。
「すまん、UDC組織の人…警察の制服を用意できるか?」
 ならば、この世界の治安維持組織の権力を借りよう…とは言え、実際に警察に協力を要請するのは危険だ、UDCに対する知識が無い彼等をUDC案件に接触させるのは無駄な犠牲を生み出しかねない。
「先ずは俺が突入して状況を確認する、UDCの存在を確認したら俺が抑えるから、UDC組織の皆には、その間に一般人の保護をお願いしたい」
「了解しました、しかし…ウィルトス殿一人での戦闘は危険なのでは?」
「なに、仲間もじきに駆けつけるさ、それまで持ち堪えられればいい…今はそれ以上に攫われた者達の身が危ない」
 そう、拉致された者は、今すぐにでも、その腕を切り落とされてしまうのかも知れないのだ…或いはもう…その可能性があったとしても、今は迅速な行動が要求される。

「ここか…」
 報告にあった焼肉屋の場所…人気のない廃ビルの地下にある扉、その向こうからは微かに人の気配を感じる。
(…営業をしているのか?、まあいい…)
 ウィルトスは細かいことは気にせずに、ドアに対して『イクリプス・フリティラリア』を大鎌形態にして構え、そのまま大口径狙撃鎌を発砲、凄まじい銃声とその反動により加速したウィルトス自身が、ドアにシューーート!、そのまま店内に超エキサイティング!、不気味な焼肉屋の店内に脳筋がダイナミックエントリーを果たしたのだ。
「警察だ!両手を上げて跪け!」
「ひ、ひぃぃぃっ!?」
「さ、最近の警察ってここまで過激だったのか!?」
「違うんです、俺達は何もしてません!」
 電気も通らない、蝋燭の明かりだけの怪しい店内に、『神絵師』の腕…人肉を提供する言う曰くつきの店にビビってた客たちは、ウィルトスの豪快すぎる登場に完全にビビって素直に指示に従った。
「け、警察だと?、こ、こんな横暴が許されると…」
「許可をもらって営業してないだろ、この店は」
「う、うぐぬ…」
 店員も抗議をしようとしたが、ウィルトスの返しに言葉が詰まる…電気も通ってない廃ビルの地下なんかに許可が下りるはずもない。
「く、くそう…あと少しであったのに…かくなる上はこの場の者を皆殺しにして生贄にしろ!」
「よし、正体を現したな、分かりやすくて良い」
 最早これまで…と、開き直った店員達は各々刃物を持ち、客もウィルトスも殺して生贄にせんと襲いかかる…これで邪教徒なのは確定、そうなればやる事は分かり易いと、それを止めに入るウィルトス、後方のUDC職員も客達の保護を開始する…が。

「…弱い、何だお前たち『まだ』人間だったのか」
「な、強い…き、貴様等、何者だ!?、警察ではない…まさか、噂の組織の!?」
 やっている事は狂気のそれだが、戦闘力は只の人間であった…そうなると猟兵のウィルトスの相手ではない、戦闘とは呼べぬ一方的な戦いだ、正直、後方のUDC職員でも十分対処可能である。
「け、警察つえぇ…」
「に、日本の治安は流石だぜ…」
 そんな事情も知らない客達はウィルトスの強さに感動すら覚えた…が、次の瞬間、彼等は青ざめる事になる。

「ウィルトス殿、拉致されたと思われる者達が厨房で発見されましたが…」
「そうか…ここは命だけでも無事で良かったと考えるしかないな」
 先輩と呼ばれていた男は生きてはいたが…その右腕は既に失われていた、更にその後も運び出される、利き腕を失った死体…その光景に客達の顔が青ざめる。
「あ、あれは…『ドキドキ花乙女』のペンペングサちゃんの担当絵師…ど、同人即売会であった事あるぞ…」
「あ、あの人は、『艦隊レボリューション』の…し、死んでる!?」
 狭い界隈、そして同人活動などが活発なこの業界では、そういった場所で有名な絵師と直接会う機会もある、売れない絵師にとってその人達は嫉妬の対象でもあるが、それ以上に憧れの存在でもある…それが、こんな無惨な姿になっているのだ。

「うわああああああああぁぁぁ、そ、そんな、お、俺は…まさか、そんな!」
「も、もうペンペングサちゃんの進化絵が実装されることは…う、嘘だこんな、俺達はそんなつもりじゃ…」
「あああああああああああああああああああああああ」
 まさか実際には…と思っていた現実を、狂気を目の当たりにした客達は発狂に至る。事態を収集すべく、ウィルトスとUDC職員は記憶処理を行うべく行動を開始した…しかし、狂気の世界はまだ終わらない。

「…え?」
 ウィルトスは気がついた、この騒動で焼いたまま放置されていた肉…もはや誰も食べようなどとは思わないであろうそれが、膨らんでいるのだ。
「え?、人肉って膨らむのか?」
 そんなわけはない、それはわかっている、だがしかし、目の前の肉は黒焦げがボコボコと膨らみ…炎上?、いや、黒焦げと炎の中間のような…物体かエネルギー体か曖昧な存在、鼠ほどサイズまで膨らんだそれは蠢き始めて…
「あ、ちょ、ちょっと待って」
 逃げた、厨房の方へ、そしてそのまま排水口へと…本物のネズミ顔負けの速度で走り出し、あっと言う間に姿を消したのだ。
「な、何だったんだよ、今の…」
 突然に産まれて、そして逃げ出した奇妙な存在、早く追いかけたいが下水に潜られてはそれも困難だし、何よりも…
「うひああああああああ、な、何だよ今のはぁ!!?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんごめんごめんごめん…」
 今の光景を見た客達が恐怖に怯え、更に発狂をしてしまったのだ…重傷者も居る、先ずはこの現場を処理してからではないと、ウィルトスは動くことができなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『迷子の迷子の…。』

POW   :    捜査とは足!とにかく捜索する

SPD   :    聞き込みなどで出現範囲を絞る

WIZ   :    同様の物体を仲間に見立てて誘きだす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 その後、事態は鎮圧…客達の記憶処理も終わり、そして焼肉店から押収した資料によって逃げ出した存在についてある程度の情報が手に入った。

 焼肉屋の店員、否、邪教徒達が行っていた儀式は『神貶(かみおとし)』と呼ばれる儀式…八百万の神々と呼ばれるほど、様々なモノを『神』と呼び、崇拝、或いは畏敬を払う…そんなこの国の宗教観を利用した忌まわしき儀式。
 『神』と呼ばれる、人間の願いの集合体…人々の願いから産まれた故に人を愛するそれに『人肉』を贄として与え狂わせる、特にその願いを潰える様な部位ほど、その効果が高い。
 そして狂った神に願い縋る信者を集め、その信者の願いを潰し、その部位を贄として与える…それを繰り返す、繰り返し続ける事で神は、人々の願いが咎され、蹂躙されて成り果てたものは、やがて彼等が信奉する邪神へと成り果てる。

 逃げ出した黒いナニカは貶められた『神』が成れ果てかけている姿であろう…あれが成り果ててしまう前に見つけ出し、そして悪夢を終わらせてあげよう。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携歓迎】
【SPD】

ちっ、不定形の脱走者とか探すにも癖がありすぎる!
そのまま駆け回るだけじゃダメだね。
見た目にも癖があるんだから、目撃情報をSNSとかを活用した
【情報収集】で逃走先を絞り込むよ。
その先で無差別に【超感覚探知】を使用する。
危険ではあるけど、人ならざる意識に接触できれば
そいつだと当たりを付けられないかねぇ?


トリガー・シックス
エルーゼと合流して捜索を行う。
排水溝から逃げ出したというのであれば、人目に付くのは難しい可能性もあるから人から聞きだすのは難しいかもしれない。
「動物から聞き出す?」
エルーゼの提案に考えて、試してみる。

「焼肉とは……こんな状況でか」
うまくいけば焼肉に連れて行けと言い出した。
「……考えておく」

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


エルーゼ・フーシェン
これまでの事情を聴き、考え込む。
「なんていうか、売れたいから飛びついちゃうのってダメだと思うの」
死んだ者は還ってこない。代償は高くついてしまった。
人から聞くのは難しいと考え、人が入れないような場所に精通した存在に目を向ければ、と動物から聞き出すと提案する。
【動物と話す】で猫から、【野生の勘】でネズミのいそうな場所に向かい、聞いてみる。

「これ終わったら焼肉いきたい!」
急に呼び出されたのだから、それくらいはしてもらわないと。
考えると返事をもらって喜ぶが、約束ではなく考えるなのではぐらかされる可能性が高いが気づいていなかった。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


ミーナ・ヴァンスタイン
アドリブやアレンジ歓迎よ。

真の姿である真紅の魔眼と漆黒の翼をもつ吸血鬼の姿になり【使い魔召喚】でより多くの黒猫たちを呼び出して、路地裏や人通りの少ない場所、下水道など身を隠せそうな場所を探索させます。
「みんな、よろしくね」

人の姿に戻った後、ミーナは町の人たちに【コミュ力】を使って、逃走した物体の特徴を説明し聞き込みするわ。
「あの、聞きたいことがあるのだけれど?」
その間も感覚共有で怪しいものを使い魔たちが見かけていないか、確認する。
まだ見つかっていないなら集めた情報も合わせて自分の【第六感】に従い、敵の位置を推理や推測します。
「……わたしの勘があっているのなら、たぶん」


カーニンヒェン・ボーゲン
敬い、慕う思いを歪め、供物にするとは許しがたい。
その罪の重きを骨身に刻んでやりたいところですが、
今優先すべきは腕だったモノの行方です。

この儀式は、まるで蟲毒のようだと感じました。
既に術者の手を離れても自ら贄を求める段階であるなら、
今以上の悲劇と狂気を振りまくのは必至。急務です。

馴染みの薄い界隈での身の振り方、活用しましょう。
世界が違えば指すものが違うとは実に興味深い。
【アイテム:覗吏】を使って「情報収集」を。
ネット上の投稿の閲覧と聞き込みですね。絞り込む材料として、
・位置情報が近辺と分かる情報
・速度から考えられる行動範囲
・下水道の出口と成り得る場所の特定
を同時に扱い、照らし合わせて精査します。



「さて、どうするか…」
 現場の近隣にある、UDC組織管轄下の病院に猟兵達は集まっていた…腕を失った先輩絵師や狂乱状態に陥った客達の治療、死体の検死などの処理を終え、これから例の鼠のような何かを探し出そうと、その作戦会議が始まった。

●作戦会議
「ちっ、不定形の脱走者とか探すにも癖がありすぎる!そのまま駆け回るだけじゃダメだね。」
 数宮・多喜のその言葉に一同は頷く、何しろ、素早く走り回るネズミ大の不定形だ…どんな隙間に入り込んでも不思議ではない、闇雲に探しても、そう簡単には見つかるとは思えなかった。
「排水溝から逃げ出したというのであれば、人目に付くのは難しい、目撃情報を聞きだすのは難しいだろう……いや、待てよ」
 逃げた下水道という場所も厄介だ、人の出入りが殆どないのだ、唯でさえ見つけにくい存在な上に目撃情報も期待できない…と、考えていたトリガーであったが、ふと、知人の特技を思い出す。
「俺の知り合いに動物と話せる奴がいる、そいつを呼んで情報を探ってみようと思う」
「すごい知り合いが居るのね、なるほど動物…それなら私は…」
 動物というワードから、ミーナは自分のやるべき事を定める、真の姿…真紅の魔眼と漆黒の翼を持つ吸血鬼…その姿になる事で自身のユーベルコード【使い魔召喚(サモンファミリア)】を強化して発動させる。会議室として使わせてもらっている待合室の床を埋めるほどの大量の黒猫達が召喚された。
「私はこの子達を使ってとにかく探し回るわ、他の皆は情報を集めたら私に渡して…」
「なるほど、ではジイめもそれに倣いましょう」
 ミーナに続き、カーニンヒェンもユーベルコード【手記『従順なる手足獲得の私的考察』】を発動させ、22体の戦闘用バイクを召喚する。
「ミーナ殿の使い魔に比べれば数も少なく、大型ですが…追い立てたりなどは出来ましょう、使える状況が察知されましたらお報せくだされ」
 すばしっこく、狭い隙間も容易に入り込める相手だから、追い立てて逃げ場のない場所へ誘導をする事も必要であろう…これで搜索に使う足は揃った。

「次は情報ですな、トリガー殿はお知り合いと動物に聞くとの事ですが皆様は?、ジイめはこれでネット上から情報を集めようと思います」
 カーニンヒェンは『覗吏(しり)』と呼ばれる特注の情報端末を持ち出しながら不敵に笑う、馴染みの薄い界隈、世界が違えば指し示す物も変わると理解した彼は、彼等の身の振り方…ネット上でのやり取りの中に情報があると睨んだのだ。
「あたしもネットだな、この一件はソーシャルワーク内と言う閉じた世界で起きたことだしねぇ、それに爺さん一人じゃ調べるのは大変な量だろう」
「おお、数宮殿、かたじけのぉございます…しかし、閉じた世界ですか…まるで『蠱毒』の様でございますな」
 そして、その『蠱毒』が術者の手を離れ、自らが贄を欲するようになる前に止めねばと…心の中でカーニンヒェンは決意をする。
「トリガーさんとお知り合いさんが動物から、カーニンヒェンさんと数宮さんがネットからとなると…私は人からかしらね?」
 人からの目撃情報はあまり期待はできないが、見落としがあっても困る…使い魔と街を捜索するついでにミーナは人からの聞き込みを行う事にした。

●動物から聞いてみる
「これ終わったら焼肉いきたい!」
「……え?」
 動物と話せる知人…エルーゼを呼び出しての探索を始めようとしたトリガーは困惑した…エルーゼは急に呼び出したんだから、それぐらいはしてほしい、との事だが。
(…焼肉とは……こんな状況でか?)
 そう、焼肉屋を偽装して人肉を食わせる悍ましい儀式、そして、その果に人肉からUDCと思わしき異形が産み出された…そんな話をした後の第一声がこれなのだ、エルーゼの肝は更に太くなったようだ。
「か、考えておく」
「やったー、焼肉だぁ!」
 考えておく、即ち保留、窺った見方をすれば日本人的断り方…だったのだが、エルーゼはOKだと思い込んで大喜びだ。
(俺は…今、焼肉はちょっと…)
 ああも、素直に喜ばれると断りにくい…しかし、例え血生臭い人生を歩んできたトリガーであっても、この事件の後に焼肉は出来れば勘弁して欲しいと思うのだ。

「其処の猫さんちょっと聞きたいんだけど…」
『ん?、俺達と喋れるなんて珍しい嬢ちゃんだ、どうしたんだい?』
 エルーゼと猫との会話が始まった、猫は自分と話せる人間に驚きはした者の、逃げる気配もなくエルーゼに受け答える。
「……っていう、鼠?、それぐらいの黒いモヤモヤを探してるんだけど…」
『…正気か?、嬢ちゃん、俺ら猫はその手の類にゃ敏感な方だから言うけどな…アレはヤバイ、一度だけ見かけたが…あれは人の手も猫の手も及ばない存在だ』
「ええっ!?、見たの!?、どこ、どこで!?」
「な、なんだと!?、場所を聞き出してくれ、エルーゼ!」
『えっと、君達、俺の話聞いてた?』
 まさかの一発ツモに興奮する二人、忠告しようとしていた猫は困惑しながらも渋々情報を伝える。
『…が見た場所なんだが、他の仲間が言うには別の場所でもだな…』
「ふむふむ、目撃したのは住宅街なんだね…へー、お仲間さんは住居の中で見たんだ、で…直ぐに排水口に帰っちゃったと」
「家の中でだと…それは、不味いんじゃないか?」
 ターゲットは住宅街、或いは住居の中で姿を見せたという…カニバリズムを行う儀式から産まれた者が人の住処に侵入している…不穏な事この上ない。
「お仲間のネズミからも聞いたほうがいいかな?、猫さん、ネズミが居そうなところ知らない?」
『…悪いが、俺は飼い猫だ…しかも、ネズミはおろかカリカリだって滅多に食べない美食家として通っていてな』
「そっかー、じゃあ自分で探してみるねー」
 そんな、飼い主としてはちょっと困った食性を持つ飼い猫と別れ、エルーゼは直感で探そうとし始めたが…
「なぁ、エルーゼ…ミーナが街中を使い魔で探り続けているから、ネズミの居場所ぐらいはすぐ分かるぞ、どの道、さっきの情報を渡さなければだしな」
「おおっ、持つべきは仲間だね!、早速情報を交換しよう」
 二人はミーナと情報を交換し、鼠の生息地まで趣いた…が、猫と違って人に慣れてない野生の鼠は、例え言葉が通じても人の姿を見ると逃げてしまう。
「え~ん、話を聞いてよぉ~」
「そりゃ、逃げるよな…仕方がない、強硬手段と行こう」
 常人なら諦めるしかない状況だが、猟兵の反射速度と運動能力を持ってすれば、野生の鼠を捉えることは容易い、実際の所、意外と難しく3回ほどリトライしたが容易いのだ。
「お願い話を聞いて~」
『た、食べないでください!!』
「食べないよ!、焼肉が待ってるからお腹は空かしておかないと~」
(まだ、諦めてなかったのか…)
 あれから、下水道に入り込んで…酷い悪臭の中で鼠取りをしていたのに、エルーゼの食欲には何ら影響が無いようである。
『た、食べないの?、と言うか人間って僕達と話せたっけ?』
「私は話せるタイプなの、それでね…」
 捉えた鼠からの情報によると、鼠達はアレを仲間とは認識していない、正直怖い、と考えているようで、アレと一緒に行動してたりはしていない…そして…
「凄くお腹が空いてそう?」
『うん、時々何かを口にしては吐いてる…多分、空腹で食べられない物でも口に入れてるんだと思う、僕達ほど色々食べれないみたい』
「空腹か…いよいよヤバイな…」
 アレは腹を空かしている、しかし普通の食糧は受け付けない、アレが受け付ける…アレが食す事が出来る物…想定するにそれは恐らく……

●ネットで調べる
「これは…思ったよりも目撃情報があるな、しかもトリガー達が言ってた通り、住居の中ばっかりだよ」
 ネット上でアレに関しての目撃情報が無いかを調べていた数宮とカーニンヒェンだが、目撃情報はあっさりと見つかった…既に複数人が排水口から湧き上がる黒いモヤを見たと発言している…そして…。
「やっぱりと言うか、何というか…爺さんの言ってた『蠱毒』だっけ?、いよいよソレっぽくなって来たってもんだよ」
「このソーシャルネットワーク自体が蠱毒の壺…なのでしょうかね?、いやはや、噂と同様、発見者までこのネットワーク内に限られるとは」
 二人が目をつけたのは事件の発端であるネット世界、その中の絵師が集まる、限られたネットワーク…噂も、儀式も、そしてアレの目撃証言すらも、この中だけで起きているのだ…このネットワークこそが今回の事件の中核となるものであろう。

「何かわかったっすか?」
「お前達が参加してたネットワーク内にのみ目撃情報が出てきてたよ、んで、例の先輩の腕はどうだった?」
 腕を失った先輩絵師の後輩が二人に尋ねる、二人はネットでの調べ物故に移動の必要がなく、まだ先輩絵師が入院している病院にいた。
「手術は一応成功、先輩の腕は切り離されただけで損傷がなく、皆さんが手早く助けてくれたおかげで腐敗は進んでなかったおかげっす…だけど、やっぱりまだ動かないみたいっす…」
「神経は繋がっているのです、リハビリを続けていけば何時かは…まだ、希望は捨てるべきではないでしょう」
 緊急手術により、切り離された腕は繋がった、だが、彼の腕は麻痺したまま動かない…ちゃんと治るかどうか、UDCアースの医療技術では五分五分と言った所であろう。
「あのっすね、自分…皆さんが言ってるアレ…それの元になった『神』って奴…心当たりがあるんっすよ」
「なんと、という事は崇拝する対象が居たという事なのでしょうか?」
「えっと、何というか説明が難しいっすけど…」
 後輩絵師の話によると、その『神』とは…ソーシャルネットワーク内で流行った『ふでマウス』と言うキャラクター。パソコンのマウスにネズミの耳と顔つけたキャラクターで、尻尾のケーブルの先が筆になっている、そんなデザインのキャラクター。
「こいつは『ペンタブが故障した』って発言をした人に、慰めと応援の為に、とある絵師が即興で描いたキャラなんっすよ、で…これを描いた絵師さんも、描いて貰った奴もその後に成功して…」
 その結果、大きなコンクールに作品を出すときなど、このご利益にあやかろうと『奉納』と言う発言と共にこのキャラクターが描かれる…件の噂が流行る前のネットワーク内で流行っていた願掛けであり、調べれば過去の発言にはそのキャラクターが幾度も描かれていた。
「へぇ、『奉納』ねぇ、如何にもだな…このクソみたいな儀式の的にするにはもってこいの素材だ…ん?」
「数宮殿、どうなさいました?」
「いや…これは、まさか…やっぱりだ、この絵、この『ふでマウス』を最近…あいつが産まれた後にこれを描いた者、そいつらだけが目撃情報を発言しているんだよ!」
「『ふでマウス』を描くと呼び寄せられる…と、言うことでしょうか?」
 鰯の頭も信心から、余所から見れば不出来で安易なキャラクターであったとしても、それは願いを受け止めた『神』の写し絵であったのだろう、アレがまだ『神』の性質を残しているのならば…『神』への祈りには応えるのかも知れない。

●ふでマウス捕獲作戦
「ああ、もうっ!」
 ミーナは苦戦していた、情報からターゲットの位置を絞込み、本人の感も働き見事に探し当てた…までは良かったが、不定形どころか、実体すら曖昧なそれは有り得ないほど狭い隙間…ミーナや、その使い魔ですら入れないところに逃げ込んでしまう。
 見つけては逃げられのイタチごっこ、普通に追いかけてはダメだ…隙間のない場所、或いは結界内にでも誘い込まないと逃げられてしまう…そう考えていたミーナにネット組からの情報が届く。

「なるほどね、じゃあ『ふでマウス』を描いて貰って誘き出しましょう」
「では、ジイめはアレが他の家に行かぬように別ルートを『手足』達に塞がせましょう」
「取り敢えず、そこの排水口以外の隙間は塞いだぞ」
「念のためサイキックで結界も張っておいたよ、これでアイツが来た時に排水口を塞げば出口はないね」
「……ねぇ、焼肉は?」
 猟兵達は集まり、隙間がない場所で『ふでマウス』を描き『奉納』する事でアレを誘き寄せる作戦を開始した、皆がそれぞれの特技で準備を進める中、ふくれっ面のエルーゼが呟く、まだ諦めてないらしい。
「エルーゼ殿、機嫌を直してはいただけないでしょうか?」
「や、焼肉!?、これまでの経緯を考えると、私はちょっと…」
「いや、焼肉に罪は無いよ、あたしはこう言う時こそ逆に焼肉に行ってウサを晴らすべきだと思うね!」
「何にせよ、全て終わってからにしてくれ…」
 焼肉に関しては賛否両論だが、取り敢えず終わってからにして欲しいとトリガーは頭を抱える…何が彼女をそこまで駆り立てるのか、あ、焼肉か。

「そ、それじゃあ、投稿するっすよ?」
「ああ、頼む…奴が現れたら、お前はあたし達の後ろに隠れな」
「ご安心を、ジイめらが必ずや守りますゆえ」
 後輩絵師が『ふでマウス』を描き上げ、『奉納』の発言と共に投稿する準備に入る…一般人の彼をここに置くのは危険だが、しかし、例のネットワークの中…カーニンヒェン的に言うのならば『蠱毒』の中に居た彼が描かないと効果がないかも知れない、本人の希望もあって、誘き寄せる可能性が高そうな彼が『ふでマウス』を書く役目となった。
「…何て言うか、やっぱり悔しいっすね…」
「ん?」
「この子は…『ふでマウス』は最初だけそうだっただけで、別に凄いご利益はなかったっすけど、それでも皆に愛されてたし、…こうやって『ふでマウス』を通して皆でワイワイやるだけ…ちょっとだけど、救われてたんっすよ、俺達は…なのに…」
「左様でございますな…敬い、慕う思いを歪め、供物にするとは許しがたい…故に止めなくては成りませぬ、この惨劇を」
「……はい」
 後輩絵師は覚悟を決め、『投稿』のボタンをクリックする、程なくして『奉納』の発言と共に『ふでマウス』の絵が投稿される…『先輩の怪我が治りますように』との願いを添えて…

 ――それから数分後。ミーナの使い魔がアレの動きを補足し追跡を開始する、カーニヒェンの『手足』もアレがここに来るように、他に行かぬ様に配置される。
「まっすぐこっちに来てるわ、もうすぐよ…」
「狙い通りですな、危険を承知で彼に描かせた甲斐がありました」
「……出たぞ」
 排水口から、黒いもやが、ふつふつと湧き上がる…鼠大のそれが排水口から這い出た所で数宮がオーラ防御で作った結界を閉じ、この部屋は密室と化す。
「ふ、『ふでマウス』…何っすか?」
 特に攻撃してこない、逃げ道も失ったそれに後輩絵師は近寄ろうとして…
「馬鹿、下がれ!!」
 数宮が、叫ぶと共に後輩絵師を後方へ引っ張り投げる、瞬間、黒い何かが後輩絵師の眼前を通過する…それは急激に膨らんだソレから伸びていた。
「う…うわ…あああ…」
「もう、あれは『神』なんかじゃない…」
 数宮はユーベルコード【超感覚探知(テレパシーリンク)】にて、それとリンクしていたから、いち早く変化に気が付けた…ソレの中に内包された…いや、寄生し、巣食っていた悍ましい気配が爆発的に膨れ上がっていくのを感じる事が出来たのだ。
「あれは『邪神』だ…」
 猟兵達の目の前のそれはもう鼠大のサイズではない、部屋の天井まで届かんと膨張し、巨大化した『邪神』は明確な敵意を猟兵達に向けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『灰霞の剣』ヴォル・ヴァ・ドーズ』

POW   :    焔を焚く者
真の姿を更に強化する。真の姿が、🔴の取得数に比例した大きさの【灰色の焔 】で覆われる。
SPD   :    灰霞の剣
【灰霞の剣 】が命中した対象を燃やす。放たれた【霧とも霞とも見える灰塵の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    焔・灰・剣(BLAZE ASH BLADE)
【焔か灰か剣】が命中した対象を切断する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 『ふでマウス』は空腹からか理性を完全に失い、邪神へと成り果ててしまった。
 しかし、『ふでマウス』は生み出されていてからは、一度も贄を食べてはいない…現段階での顕現は不完全なものであろう。

 最後まで空腹に耐え、狂い果てるまで人間を襲わなかった『ふでマウス』…穢され、貶められた『神』を救うためにも、この凶行を止めるのだ。
ミーナ・ヴァンスタイン
アドリブやアレンジ歓迎よ。

眼鏡を外し、真紅の魔眼と漆黒の翼を持つ吸血鬼の姿へ変化。
「その苦しみから救済しましょう」

二丁拳銃で【2回攻撃】を行う。
「行くわよ?」
【破魔】の弾丸は【毒】であり【マヒ攻撃】
「アナタを浄化するわ」

敵の攻撃は【視力】【聞き耳】【第六感】で【見切り】【ダッシュ】で回避。
「流石に当たると危ないわね」
避け切れないなら【残像】を囮に【ジャンプ】で後方に回避。
「今のは危なかったわ」

味方が危ない時は【援護射撃】でこちらへ【おびき寄せ】る。
「あら、余所見をしちゃダメよ?」

一度見た攻撃は【怪力】【グラップル】【カウンター】【断罪撃】で打ち消し【恐怖を与える】
「その技はもう効かないわよ?」


トリガー・シックス
「屋外ならよかったが」
『アヴァランチ』を構えながら邪神と相対する。ミサイルや爆発物は自爆の危険性があるので使えない。
銃撃による【援護射撃】をメインに、近接戦闘も視野に入れて動く。
『幽幻なる狩人』を発動させ、隙を突いて斬撃を繰りし、『黒死蝶』にて毒の矢を放つ。
【見切り】と【残像】で空振りを誘発させて、『太極刃【昂陰】』の双刃で【二回攻撃】から後退しつつ【早業】による『ジョーカー5s』に切り替えての【クイックドロウ】での銃撃を行う。

「焼肉?約束した覚えはないぞ、考えるとは言ったが、誰も断言していない」
実際、約束するとは一言も言っていない。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


エルーゼ・フーシェン
なにが突き動かすのか、双刀『花鳥風月』による猛撃からの『雨月』による【力溜め】と【怪力】による【なぎ払い】を繰り出す。
邪神の攻撃には【野生の勘】と【見切り】で回避し、『トリニティ・エンハンス』で攻撃力を上げて【カウンター】を行う。

なにがなんでも焼肉に行きたいらしく、「働いた報酬!踏み倒すな!」と騒ぐ。
暴れる数秒前という空気が……

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携歓迎】

ちっ、アンタが生み出された経緯も同情はできる、
そしてアンタ自身の行いまぁまぁ立派さ。けどねぇ。
だからこそアンタを滅さないといけない……
分かってくれるよなぁ!

【超感覚探知】は可能な限り継続するが、無理なら即解除。
アタシはあくまでも迎撃と防戦に努めて
アタッカーのお膳立てを整える。

後輩君よォ、すまねぇな。
多分この部屋の電気製品、全部ダメになるぜ?
一言詫びを入れてから、迎撃に【サイキックブラスト】を使用。

状況が膠着したかこちらに傾いたら、
隙を見逃さずに【黄泉送る檻】を発動。
迎撃に使っていた分も合わせて、拘束力はかなりのはず!
皆、後は任せたよ!


ユキ・スノーバー
カーニンヒェン(f05393)さんと協力

助けたい人が居るって聞いて、ぼくで良ければがんばるよー!
(敵を見て)…ネズミ?
ネズミって(手を横にぱたぱた)ぼくより小さい筈なのに、大きくなっちゃったんだ…
危ないから、やっつけれるようサポートするよ!

回復専念だから、他の猟兵さんの怪我具合を気にしつつ
敵の炎がついた人に、地面に押し付けるよう声をかけるか
直接手で触れ、窒息効果で消火を試みるよ。
切断を受けた人には生まれながらの光を施すよ

無事退治出来たら、入院してる先輩さんの所に出向いて
警戒させないよう挨拶してから
生まれながらの光で、回復を試みるよ。
痛いの辛いの、とんでけーだよ!
早く治るといいな…

アドリブ等歓迎


カーニンヒェン・ボーゲン
ユキどの(f06201)に来て頂きました。
戦闘後、病院にご案内します。
知らず邪法に手を染めたとはいえ、彼らは身を晒してジジイめらに助力してくださった。
時をかけて積み上げてきた、彼らの技術と希望を潰えさせたくはなかったのです。

対『ふでマウス』戦では、本を手に【アザゼル】を呼びます。
後輩どのとユキどのは、攻撃から全て庇う。
無様は見せられません。炎はアザゼルの風で巻き上げるか、「生命力吸収」で取り込んで対処。

苦しくとも狂気に呑まれず、猛る思いを発露する。
マウスどのは正しく神ではなく、人の心の化身なのだと思います。
そうですね。敵意は我々に向けていてください。
あなたを倒すことでしか解放できない、我々に。



「その苦しみから救済しましょう…っ!?」
 ミーナはメガネを外し、真紅の魔眼、漆黒の翼を持つ真の姿を解放する…その刹那、床から灰色に霞みがかった刀剣がミーナを貫いた…かのように見えた、貫かれたのはミーナの残像、残像が消えると同時に、床から霧にも霞にも見える灰塵の炎が吹き荒れる。
「イキナリとはね、今のは危なかったわ」
「■■■ーー。」
 不定形な身体を揺らしながら、奇っ怪な鳴き声を上げる邪神…既に壊れてしまったが故に、感情も行動の起こりも読む事はできない、直感で攻撃を感じ取れなければ今の一撃は当たっていたであろう。

「ちっ、アンタを滅さないといけない……分かってくれるよなぁ!」
 数宮は未だに【超感覚探知】を継続している、邪神の精神との同調は危険を伴うが、先の動きを見て、可能な限り動きを感知せねば危険だと判断したためだ。
 生み出された経緯も同情はできる、行いもまぁまぁ立派さ…だけど、だからこそ倒さねばならない、そんな数宮の気持ちも…それと同調している邪神は意に介さない、その精神は狂気に染め上げられ、目に付く生き物を全て殺そうとする化物に成り果てていた。
「後輩君よォ、すまねぇな、多分この部屋の電気製品、全部ダメになるぜ?」
 邪神の狂気に触れながらも、数宮は【サイキックブラスト】を放つ、感知できる数宮が電撃で邪神を牽制せねば、先の様な攻撃が常に猟兵達を脅かすであろう。

「あわわ、パソコンが、レンジが…って、言うか僕の家、全焼確定っすよね!?」
「屋外なら良かったんだがな…まぁ、後で組織が弁償してくれるだろう」
「トリガーさん、私は右から行くわ、左は任せるわよ」
「了解だ、行くぞ化物!」
 ミーナは『イレイザー』と『バニッシャー』の二丁拳銃を構え、トリガーは『アヴァランチ』を構えながら左右に散る、二人は共に残像で敵の攻撃を空振りさせながら、隙を付き、互の獲物で邪神を撃ち続ける。
「参ったわ、正に焼け石に水ね…」
 弾丸に破魔の魔力を込めて邪神に撃ち込み続けているが、効果がない…いや、効いていない訳ではないのだが、撃ち込んだ後から灰色の焔が吹き上がり、効果を焼き尽くしてしまうのだ。
「くそ、迂闊に近寄れんな…」
 トリガーも『アヴァランチ』と『ジョーカー5s』を巧みに使い分け、何とか接近戦を試みたが上手くいかない、邪神の攻撃は数宮の牽制を含めても回避するのがやっとなぐらい鋭く、激しい…そして、より厄介なのは炎上、灰塵の炎が攻撃の度に燃え上がり、邪神を囲むように燃え盛る。
 あの炎、どう見ても普通には見えない、迂闊に飛び込むのは危険だろう…とトリガーが顔をしかめた時、聞き覚えのある声が元気に邪神に向かっていった。

「てりゃあああああ~~!!」
 誰もが接近に苦戦する中、エルーゼは果敢にも邪神に肉迫する…邪魔をする灰塵の剣を『雨月』で叩きおり、『花鳥風月』の双剣の剣圧で炎を弾く、その勇猛果敢な姿、一体、何を思い彼女はここまでの力を振るうのか。
「や・き・に・くぅ~~~~~~!!」
 焼肉だった。
「ここで頑張れば焼肉なの、貢献しただけ食べ放題なの、覚悟して!」
「……行け、エルーゼ!!」
 何か貢献度だけ食べていい見たいな謎ルールまで追加しているエルーゼ。そもそも約束してないのだが…と、トリガーは思ったが、ここでやる気に水を差すのは戦術的にまずいからと…約束とはならない言い方で、エルーゼを奮い立たせた。
「URRROOOOOOOOぉぉ…!!!」
 そして、エルーゼの『花鳥風月』が、ついに邪神に届いた、傷口から灰色の焔が吹き出るのは同じだが、明らかにダメージを受けている呻き声を発した…が。
「え…きゃああっ!!?」
 エルーゼの身体から突如、血が噴き出す…多少の熱いのを我慢して邪神に肉薄した代償…その焔、灰…そして勿論、剣に触れたものは、それだけで切り裂かれてしまうのだ。
「わわわ、エルーゼさんが大変だよ!!」
 負傷したエルーゼにユキ・スノーバーが慌てて【生まれながらの光】を当てる、光に包まれたエルーゼの傷はみるみる塞がっていく、が…
「ありがと…って!!?」
 その隙を邪神は与えない、灰塵の剣が傷が癒え、体制を整える前にエルーゼを貫かんと、床から突き出される。
「「「させるか!」」」
トリガーとミーナの援護射撃、そして数宮のサイキックブラストが灰塵の剣を砕く、しかし剣から発せられる炎は、それでは消せない。
「アザゼル、哀しき霊よ…あの炎を吹き飛ばしなさい!」
 カーニンヒェンのユーベルコード【魔導書『素体たる悪魔の利用】により、呼び出されたオブリビオン・アザゼルが巻き起こす風が灰塵の炎を吹き飛ばし、エルーゼは危機を脱する。

「あ、ありがと~、焼肉に行く前に焼肉になっちゃうところだったよ」
「エルーゼ殿、無事でなによりです」
「あの炎危ないね、あ、そうだ身体を地面に押し付けたり、手で覆って消化したり出来ないかな?」
「…ユキ殿、それは恐らく危険でございましょう」
「さっきみたいに、触ったらいきなり斬られちゃうみたい…本当に厄介な炎ね」
「傷から吹き出る灰色の焔も厄介です、生半可な毒などは焼かれてしまうみたいですし、あれが噴き出るたびにあの邪神は巨大化していきます」
 ダメージは与えている、しかし邪神の攻撃は吹き出る『灰色の焔』と共に巨大化し、攻撃が更に激しさを増す、更に剣から燃え盛る『灰塵の炎』及び、それから吹き出る灰は触れた者を切断する…この二つの炎を攻略せねば邪神の撃破は難しいであろう。

「エルーゼ、もう一度、アイツにぶちかませるかい?…あんたの一撃を受けたときあいつは一度怯んで動きを止めた…止まってくれればあいつの『灰色の炎』は封じ込める」
「え、ええー!?、数宮さんが、それを出来るならやりたいけど、『灰塵の炎』はどうしよう?、さっきよりも火勢が上がってて、次、あれを食らっちゃったら即死かも」
「『灰塵の炎』、そしてそれに伴う灰は、ジイめがどうにか致しましょう…アザゼルの風ならば触れずに吹き飛ばせます」
「なら、剣は俺とミーナが対処する」
「そうね、一度見せてもらったし…もう十分対処可能よ」
「…よし、じゃあ焼肉の為にも頑張るよ!…よーし【トリニティ・エンハンス】!!」
 エルーゼは邪神に【トリニティ・エンハンス】で攻撃力を高め、炎の邪神に効果がありそうな水の魔力で『雨月』を覆う、動きを止める為の大きな一撃…それを生み出すために『雨月』を斧形態に変形させる。
「露祓いはジイめが致しましょう、アザゼルよ風を!!」
 邪神を守るように燃え盛る『灰塵の炎』をアザゼルの風が吹き飛ばす、一本の道のように炎が消され、その直線をエルーゼは駆け抜ける。
「■■■ッ!!!」
「させんよっ!」
 エルーゼを刺し貫こうと灰塵の剣が迫り来るが、エルーゼはそれに怯まず突き進む…仲間の援護への信頼、それに答えるかのようにトリガーの銃弾が迫り来る剣撃を穿ち、呼び出された【幽幻なる狩人】がひび割れた灰塵の剣を、その短刀で砕いた。
(この感じ、このタイミング…来る!)
 後一歩、強力な一撃を繰り出す為に、エルーゼが最後の一歩を全力で踏み抜く…その瞬間を狙い、床から剣が突き出てエルーゼ身体をつら…ぬかない、その刹那、ミーナのユーベルコード【断罪擊】が、剣を完膚なきまでに粉々に砕いたのだ。
「その技はもう効かないわよ?」
 穏やかな口調とは裏腹な、凄まじい威圧感と共に真紅の瞳に睨まれた邪神は、自身の攻撃を完全に砕かれたからか、一瞬、動きが鈍る…そこに――。
「や・き・に・くスラーーーーーッシュ!!!」
 気の抜ける掛け声とは真逆の、地を揺るがすほどの重い一撃が、邪神の身体を引き裂き、その全身を歪ませる。
「GUROOOOOAAAAぁぁぁ!!!!」
 不定形の中身が露出するほどに、邪神の体は裂け、その動きを止める…切り口から『灰色の炎』が燃え始めるが、それは間に合わない…この瞬間を数宮が待っていたからだ。
「ashes to ashes,dust to dust,past to past...収束せよ、サイキネティック・プリズン!」
 数宮のユーベルコード【黄泉送る檻(サイキネティック・プリズン)】の発動と同時に、今まで放ったサイキックブラスト、その帯電が、電磁の光球となり邪神へと収束していく。
「今まで撃ったサイキックブラスト全部を込めた拘束だ、その厄介な炎を止めさせてもらうぜぇ!!」
 光球は集まり、電磁の…サイキックブラストの檻となり邪神を縛り付ける、『灰色の焔』も燃え広がるのを押え付けられ傷口で燻ったままでいる。
「今だ、みんな、ぶちかませぇぇぇ!!」
 数宮の【黄泉送る檻】にて塞ぐ事が出来なくなった裂け目に、猟兵達の総攻撃が叩き込まれる、その凄まじい威力の前に邪神の身体は弾けるように、数度、膨張と破裂を繰り返し…スゥ…と、小さな光が飛び出すとともに消滅した。

●後日
「ねえ、焼肉は?、や・き・に・く!!」
「知らんな、そんな約束はしていない」
「働いた報酬!踏み倒すな!」
 そう、トリガーは『連れて行く』とは言っていない、エルーゼが勝手に盛り上がってやる気を出していただけだ…とは、彼の言い分だが、当然、エルーゼは納得していない、もう、このまま暴れだしそうである…時々、ガルルルルと唸ってるし。

「焼肉っすか、良いっすよ行きましょう!、先輩と僕が奢るっすよ、皆さんにはお世話になりましたし!」
 そんなトリガーとエルーゼに救いの主が現れる、その目の下に涙の跡が残る後輩絵師が、嬉しそうに、そう宣言したのだ。
「やった、焼肉だぁ!!」
「良いのか?、お前の家、結局は全焼だったし…生活とか苦しいのでは?」
「あ、何か入った覚えのない火災保険が降りたっす、良くわからないっすけど『組織』でしたっけ?、多分、其処のはからいだって、お爺さんが言ってたっすよ」
「カーニンヒェンが?」
「はい、ユキさんと一緒に来て、先輩の治療をしたいからって…そうしたらユキさんが出す不思議な光で先輩の腕が動くように…ううう、良かったっすよ」
「へぇ、じゃあ先輩さんの快復祝いでもあるんだね、それじゃあ、レッツゴー焼肉だよ!」
「はい、皆さん既に集まってます!」
 画して、邪神撃破と腕が動くようになったお祝いとして、猟兵達は焼肉屋に再度集う事になったのだ。

「邪神撃破と快復を祝して…」
「「「かんぱーい!」」」
 乾杯とともに、焼肉パーティーが始まった…前の焼肉屋と同じ、グルメサイトで高評価だったあの焼肉屋だ…美味しそうなお肉達が鉄板でじゅうじゅう焼かれていく。
「……あんな事件の後なのに食べられちゃうものなのね」
「そうだな、あんな事件の後だが、旨い…」
「だから言ったろ?、焼肉に罪はないってよ!」
 カニバリズムに絡んだ儀式、焼かれた人肉から生まれた邪神を相手にしたのに…いざ、焼肉を目の前に出されると、食べれてしまうミーナとトリガー、それどころか、実際に食べてしまった絵師の二人も食べている…美味しい焼肉には罪はないのだ。
「いや、ユキちゃんだっけ?、ありがとうな、腕、動くようになったよ…すごい力を持ってるね」
「流石はユキ殿です、ジイめも声をかけた甲斐が…おや、どうなされました?」
 先輩絵師とカーニンヒェンは治療をしてくれたユキに感謝し、謝辞と労いの言葉をかけるが、ユキは少し黙ったあと、首を横に振った。
「ぼくの【生まれながらの光】だけじゃなかったの、ぼくの力だけだと、中々上手くいかなかったの、そしたらね、ぼくが出してた光の中からね、ねずみさんがあらわれたの、ねずみさんが腕の中にスーって入ったら、ずっと回復しやすくなったの」
 ユキの言葉に一瞬訪れる沈黙、気まずさはない…皆が『ああ…』と納得しているようであった。
「そういえば自分、呼び出すときに『先輩の怪我が治りますように』って書いたっすね…」
 『ふでマウス』に本来はそんな力は無いであろう、邪神を倒したときに飛び出した光、邪神の力を使い最後に起こした奇跡だったのかもしれない。
「色々あったが、これで一件落着だな」
 と、トリガーは言う、その横でエリーゼはニコニコしながら…
「うん、焼肉も美味しいし大満足だったよ、しかも、後でもう一回トリガーに奢って貰えるんだから最高よ」
「え?、何言ってるんだ、来ただろう、焼肉!」
「これはお祝い、それは報酬、別口だよ、ノーカン、ノーカン!」
「そ、そもそも約束してないんだぞ、俺は!」
 こちらの戦いは落着してないんだねと、トリガーとエルーゼを除く一同は笑った
 …トリガーとエルーぜ攻防は続くが、こうして『神絵師の腕焼肉事件』は猟兵達の手によって解決したのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月07日


挿絵イラスト