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ロデオライド・ランブル!

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 ドーヴツォルワ牧場は、数多の軍馬を育て上げた由緒正しき牧場である。
 肥沃な高原に立地し、飼育する動物は馬の他にも、牛や鶏から、羊、豚、その他諸々。
 牧羊犬やら害獣駆除用の猫やらも広大な敷地にわんにゃんわんにゃん。
 代々の大らかな牧場主はいつの間にか迷い込んだ動物たちをも迎え、育て上げ。
 気づけば一体それを育てて何になるのかというような珍獣さえ牧場に巣食っていた。
 結果として物珍しさにより、各地から多くの人々が集い、牧場も賑わっていったのだが。
「……ああ、どうしてこんな事になっちまった……!」
 6代目牧場主、ヨーケ・ドーヴツォルワは、がらんどうになった厩で絶望していた。
 思えば、事の起こりは数日前のことだった。
 突如として牧場の動物たちの多くがパニックを起こし、逃げ出してしまったのだ。
 きっと今日訪れるこの危機を本能的に感知していたのだろう。
 もう、逃げ場などない。
 いや、あったとしても、代々受け継いできたこの牧場を捨てて逃げるなど出来ない。
 遠方から迫り来る巨大な魔物の群れを前に、全てを諦め、ヨーケは目を閉じた……。

●グリモアベース
「……というわけで、アックス&ウィザーズの牧場に危機が迫っているのだよ、諸君!」
 グリモア猟兵、エルフィ・ティントットが人差し指を立てながら講釈を始める。
 24cmほどの体躯の人差し指に視線を集中させるのはいささか大変かもしれないが。
「牧場がオブリビオンの襲撃を受けることになるのだけれどね。ちょうどその数日前に、牧場の動物たちがパニックを起こして脱走する事件が起きるんだ」
 おそらく、野生の勘で迫り来る危機を察知してしまったのだろう。
 牧場の従業員も、かつてない動物の怯えようを宥めることもできなかったらしい。
 鶏、牛、羊、馬……逃げ出したのは特にそういった家畜が主らしい。
 放っておいたら、野盗や狼に狙われてしまうのは想像に難くない。
「せっかく牧場を守っても、動物たちが戻ってこないんじゃあ後味が悪いだろう? なのでお前たちにはまず、動物たちを牧場に連れ戻すお手伝いをしてほしいんだ」
 ああ、お手伝い! ボクだってぜひお手伝いがしたかったさ!
 ……などという妖精の慨嘆はさておいて。
 中にはなぜ飼育しているのかもわからないような動物もいるらしい。
 具体的にはカピバラとか、なぜかダチョウとか。
「動物たちを派手に傷つけなきゃ、連れ戻し方は自由だよ。心を通わすもよし、野生の掟として力ずくで従わせるもよし、だ!」
 しゅっしゅとシャドーボクシングをしてみせるエルフィ。
 自身が現場へ赴けず空回りした気合の表れだろうか。
「で、数日後にはオブリビオンどもが牧場を襲ってくるんだけど……」
 ひとしきりシャドーボクシングを終えたエルフィが、口元に手を当てて思案顔。
 曰く、戦いの舞台になる牧場や高原はとにかくだだっ広い。
 しかも現れるオブリビオン達は巨大であると予知されている。
 駆けずり回るだけでも一苦労が予想される、とのことで。
「……助けた動物の力とか、借りてもいいかもしれないね?」
 なにしろ多くの軍馬を輩出してきた名牧場だ。
 馬術に長けた従業員もおり、数日がかりで乗馬技術を仕込んでもらうことも可能だろう。
 疾風の如く駆ける馬の背にまたがっての戦闘が適うかもしれない。
「でもボクじゃ馬とかおっきすぎるんだよなー。……ニワトリとか乗れないかな?」
 冗談なのか本気なのかわかりかねるエルフィであったが。
「……ま、それはともかく。今回も武運を祈っているぜ!」
 最後にウインク一つで、無理やり話をまとめるのであった。


鹿海
 どうも皆さん、鹿海(かのみ)です。
 今回のシナリオは「動物に乗って戦おうぜ!」というコンセプト。
 シリアスよりは「明るく楽しく」な路線となります。

 第1章では牧場から逃げ出した動物たちの連れ戻し。
 普段あまり使わないような技能が日の目を見るかもしれませんよ。
 やり方は皆さん次第です。
 1章の序文で詳細な指針をお伝えいたします。
 そういえば、動物と心を通わすのにうってつけな技能もあったような……?
 そして第2章からの戦闘では、1章で連れ戻した動物たちが力を貸してくれます!

●以下、2章以降について
 プレイングで指定すれば、お好みの動物の力を借りることができます。
 馬は当然います。
 その背に跨り、颯爽と戦場を駆けることができるでしょう。
 牛や鶏、豚、犬猫も余裕でいます。
 あえて馬以外に乗るのもいいでしょう。
 雄牛もいますし、なぜかダチョウとかもいます。
 大きすぎない動物であれば、いると言えば大体なんでもいます。
 ゾウやキリンなど巨大動物、幻獣の類は流石にいません。
 フェアリーとか小さめの種族だからこそ乗れる動物もいるはず。
 特定の手段があれば乗る以外の形でも力を借りられるかもしれません。
 例えばヒーローマスクのあなた。
 心を通わせた動物の体とか、借りられちゃうかもしれませんよ。

 こちらも大まかなプレイングの指針は2章序文でお伝えいたします。
 それでは皆さんの活躍、楽しみにしております!
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第1章 冒険 『動物たちを連れ戻せ!』

POW   :    騎乗して従わせたり、力ずくで動物たちを連れ戻す

SPD   :    速さを活かして追い込んだり、罠を仕掛けて動物たちを捕える

WIZ   :    動物たちと心を通わせたりして、穏やかに連れ戻す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 一面に広がる、青々とした草の絨毯。
 ドーヴツォルワ牧場が敷地を持つ高原地帯は、極めて豊かな牧草地である。
 牧場から逃げた動物たちも、そう遠くへは行っていない。
 高原や、近隣の木立などを探していれば発見は容易だろう。
 よって、力を注ぐべきは動物たちを連れ戻す手段だ。
 従わせるか、捕縛するか、心を通じ合わせるか……。
 ユーベルコードを用いるもよし、己が持つ技能を活用するもよし。
 君たちの力で、動物たちを導くのだ!


【補足】
動物自体は簡単に見つけられるので
プレイングで捜索についてを考える必要はありません。
連れ戻す動物は特定のものを指定して決め打ちでも構いませんし
大まかな方針だけ提示の上、遭遇する動物はお任せ……といった形でもOKです。
お任せだと鹿海が好き勝手やります。
ルフトゥ・カメリア
逃げ出した動物、ねぇ……大脱走されすぎだろ。
まあ良い、気性が荒そうな奴は先に捕まえた方が良いだろ。

Nova.をロープ状にし、【ロープワーク】で馬の首にかけて飛び乗る。ロデオの真似事でもしようじゃねぇか。こちとら、鐙やら鞍やらそんな上等なもんで訓練してねぇんでな。そう簡単に振り落とせると思うなよ。
【怪力】込みで自分の身体もNova.で固定し、馬の動きに【第六感】で対応しながら緩急合わせ、時に【フェイント、カウンター、だまし討ち】なんかで自分の土俵に持ち込んで、徐々に大人しくさせて行く。

ほらよ、落ち着け。
テメェも肉食獣共の餌になりたかねぇだろ。イイコにしてりゃあ、元の暮らしに戻れるさ。




「お、いたいた」
 牧場を発って程なくして、ルフトゥ・カメリア(Cry for the moon.・f12649)が木立の下で座り込む黒い影を見つける。
 緑ばかりの広がる大地にあっては、遠方からでも容易に視認できる色合いだ。
 ルフトゥの姿に気づいてか、黒い影たる馬が、鬣を震わせながらその体を起こす。
 確か逃げだした馬の中には、一等気性の荒い黒毛の暴れ馬がいたと聞く。
 名は、クロイーゼ。
「さあて、ちょっくらオハナシしようじゃねえか、クロイーゼ!」
 警戒心を露わにする暴れ馬を前にして一歩も臆さず、ルフトゥが武器を手に取る。
 一見すればただの短剣……されどその実は流動金属生物たる彼の使い魔。
 『Nova.』へと念じれば、その形状がたちまちロープ状に変化してゆく。
 風を切る音と共にそれを振るい、正確にクロイーゼの首へと巻きつける!
 即座の抵抗も構わず一気にロープを収縮し、急接近。
 すとんと地を蹴り、ルフトゥが見事その背へと跨ることに成功した。
「どう、どう! 肉食獣の餌になりたかねぇだろ!?」
 力任せに土を抉り、草を蹴り上げ、クロイーゼが激しく抵抗する。
 だが、ルフトゥとてその程度で力負けはしない。
 力比べとなれば得意分野、確と黒い体に掴まり、動きに合わせてロープを引く。
 時にはオラトリオの黒翼で風にも抗い、お互い全身を振り絞りながらの勝負だ。
「なるほど、肉食獣に負けない自信があるってか? いい度胸だ!」
 殊勝に相手の動きに合わせ続けてやるほど、ルフトゥも素直ではない。
 Nova.が生物であることを活かし、変幻自在に形状や力を掛ける方向を操る。
 まったく未体験、奇想天外な手綱の取り回し。
 いかな暴れ馬だろうと、荒事ならばルフトゥの土俵だ。
 やがて先に体力を奪われ、根負けしたのはクロイーゼであった。
「……ちっとは落ち着いたかよ」
 ルフトゥの言葉を理解してかせずか、ブルル、と低い唸り声が響く。
「イイコにしてりゃあ、元の暮らしに戻れるさ。お前の飼い主は、キチンと大事にしてくれるだろうからな」
 すらりと伸び、汗の滲んだ漆黒の首を数度掌で叩いてやれば。
 呼応するように、蹄の音を立て、ルフトゥを背に乗せたクロイーゼが歩き出す。
 従業員数人がかりでも止められなかった馬力を止めた、たった一人の男。
 ルフトゥを、乗り手として認めたのだ。
 柔らかな微風が、その凱旋を祝福しているようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

襲祢・八咫
ふむ、彼らも急に知らない者共が押し寄せて来ても不安だろう。きちんと対話した方が良さそうだな。
きみたちの身の安全はおれたちが保証すると約束しよう。何しろ、おれたちはその為に此処にいるのだからな。

【第六感】で動物の居場所を探し逃げられないように【忍び足】で【追跡】する。
見付けたら、きちんと対話をしよう。おれとて、いきなり知らぬ者共に無理矢理捕まえられたら反発する。
幸い、従業員は動物を大切に想って世話していたようだし、彼らに多少の仲間意識や恩を持つ者はいるのではないかな。【動物と話す、救助活動、誘惑、言いくるめ】

おれで叶えられる望みなら、多少は叶えてもやろう。
おまえを待つ人の子の元へお帰り。


フルール・トゥインクル
動物さんがたくさんいるのですね、牧場を護らないといけないのもわかるのですけどいろんな動物さんとお話しできるかと思うとわくわくしてしまうのです。

適当に動物さんを探して、見つけたらどうして逃げちゃったのかきちんとお話を聞いて落ち着いてもらうのです。
不安だったり怖いことはお話して共有すると落ち着くものだと思うのですよ。
なんだったら「私が怖いものからお守りするのです」って笑顔で伝えて安心してもらうのです。

怯えることがなくなったなら、一緒に牧場までお導きするのです!
余裕があったらいろんな動物さん探してみたいのですよ。




 牧場からそう遠く離れていない牧草地。
 襲祢・八咫(導烏・f09103)の勘も手伝って、逃げ出した白黒毛並みな雌牛の群れを見つけるのにこれといった苦労はなかった。
「私が導かれる立場になっちゃってるのです……!」
 八咫の後に続く小さなフェアリー、フルール・トゥインクル(導きの翠・f06876)が少しもどかしそうに漏らす。
 パニックは既に収まったのだろう。
 八咫とフルールが慎重に近づくものの、牛たちが警戒する様子はない。
 両者とも温厚に事を進めんとしていた心中が佇まいに表れていたおかげもあるだろう。
 ――みゃあん。
 ……と。牛の群れに歩み寄ったところで、二人を呼び止めるような鳴き声がある。
 見れば雌牛のうち一匹の上に、彼女らと同様に白黒の毛並みを持つ老猫が悠々と寝そべっているではないか。
「帰るつもりはない……って、どうしてなのですか?」
 動物と心を通わすに長けるフルールは、その鳴き声が言葉として理解できた。
 中空で猫と視線を合わせ、首をかしげる。ここは危険なのに、どうして、と。
 みゃーお。さらに続く返事。
「……おまえは、キャネコットというのか。彼女たちを守っているんだね?」
 八咫もまたフルール同様、動物の言葉を解する。
 いたって泰然とした声音で、キャネコットと名乗った老猫へ問いかける。
 ――なあお。
 ……キャネコットは、ネズミ捕りの名人として長く働いてきた古株。
 狩人としての勘が、訪れる災厄と、あの牧場の滅びを告げたのだという。
 だから、雌牛たちに付いて牧場を離れたのだとも。
「……みんな、怖いのですね。これから訪れる災いが」
 草を食みながらも、牛たちの瞳はその感情を雄弁に物語っていた。
 平和な暮らしを一瞬で打ち砕く、災いの予感。平常心でいられるはずもない。
 ――もおう。
 はじめに一頭が、心のうちの恐怖心を鳴き声とした。
「大丈夫ですよ。私たちが、不安を聞いてあげるのです」
 フェアリーの飛行能力を活かし、牛たち一頭一頭と目を合わせて。
 フルールから、温かな笑顔と声音が向けられる。
 ――もおう、もおう。
 恐れを、悲しみを込めた声がまた一つ、二つ。
 意思の疎通を図れる相手に、心に根付いた暗い感情を打ち明けられる。
 それだけで少し気持ちが楽になるのは、動物たちも同じことだった。
「……牧場の人は、君たちをとても心配していた。このまま戻らないと、彼らがとても悲しむのではないかな?」
 続く八咫の言に、キャネコットが反論することもない。
 二人の言葉と、純粋に動物たちとの会話を楽しみもする等身大の姿勢。
 そして何より、動物たちを、牧場を助けたいという疑いようのない意思。
 それらが、少なからず動物たちの心を動かしたようだ。
 いつも優しく語りかけながらブラシをかけてくれた従業員。
 牧場主の膝の上で、麗らかな日差しを浴びながら過ごした時間。
 彼らに、牧場の日々に対して湧く情や恩義がないはずもなく。
 ――みゃあお。
「……そう。そうだったのですね……」
 キャネコットが打ち明けた真実に、フルールがゆっくりと頷いた。
 動物たちが逃げ出した理由は、何も恐怖ばかりではない。
 あの牧場が、どれほど自分たちを大切に扱ってくれたか知っている。
 彼らなりに、迫り来る危機を牧場の人々に知らせようとしていたのだ。
 逃げ出した自分たちを負わせることで、災厄から遠ざけられはしないかと。
 ……だが、それならば。ならばこそと、八咫は彼らに問いかける。
「――逃げる以外の手段を、試したいとは思わないか?」
 キャネコットが、金色の目を細めた。
 狩人は、その言葉の裏に秘められた意味と……。
 それを裏打ちする八咫の揺るがぬ実力を、しかと見抜いたのだ。
「そうです。私が、私たちが怖いものからお守りするのです!」
 続けざまに眩い笑顔で紡がれる、フルールの真っ直ぐな言葉。
 心から楽しそうに話を交わしてくれる彼女によって、牛たちもすっかり心が和らいでいた。
 いつか牧場に遊びに来た町の子供も、こんな無邪気な態度で接してくれていたっけ。
 ――にゃあご。
 力を、貸してくれないか。
 キャネコットの申し出を、どうして二人に断る理由があったろう。
「その望み、おれ達が叶えると約束しよう。おまえを待つ人の子の元へお帰り」
「さあ、私たちが牧場までお導きするのです。こっちですよ!」
 帰りは自分の番だとばかりに、意気揚々とフルールがそよ風に乗って先導する。
 八咫は牛たちの後方へと回り、群れを守るように寄り添う。
 導きの烏と、導きの妖精の協奏曲。
 緩やかなれど軽やかな足取りで、白黒の群れが、二人に導かれていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クラウン・メリー
SPDで行動

脱走した動物達を連れ戻すぞ!!
怪我させたらごめんね……?
牧場主が待ってるからお家に帰ろ!

まずは気付かれないように「忍び足」で
動物達に近づいちゃうよ!

次にこのピエロの小道具「大玉」を
使って、俺がこの大玉に乗って
動物達を追いかけるよ!
良く、羊達を小屋に戻す時って
ワンちゃんが誘導して戻すって聞くし
これで動物達も戻ると思うんだ!

ちっちゃい動物達にも「忍び足」で
近づいて、大人しかったら
だっこして小屋に戻そっか!

モフモフしたいけど今は我慢だね!

アレンジ大歓迎だよ!


メア・ソゥムヌュクスス
なるほどー、なるほどー、逃げ出しちゃった動物を連れ戻せばいいのねー。

じゃあ、私は、【歌唱】【催眠術】【優しさ】【コミュ力】と、【ソゥムヌュクスス】【夢見の鐘】でー、動物さんの心を安らかにさせる歌を歌い、ちりんちりんと鐘を鳴らしながら誘導するよー。

大丈夫だよー、安心して良いんだよー。気分はハーメルンの笛吹かなー?

もし、大暴れしちゃう子やパニックで動けない子や怪我しちゃった子が居たらー、シンフォニックキュアも混ぜて、癒やしながら牧場に連れ帰ろー

※アドリブ、連携可




「な、なんかすごい警戒されてない……!?」
 木立の陰に隠れて様子を伺いながら、クラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)が困ったような声を漏らす。
 固まって行動する羊の群れを発見した、まではいいが。
 困ったことにひどく興奮した様子で、こっそりと近くこともままならない。
 笑顔の象徴たるピエロとして、怪我を負わせるような手荒な真似は避けたいが。
「なるほどー、なるほどー。あの子たち、どうりでー」
 ふわふわとした声でひょっこりその隣から顔を出すのは、メア・ソゥムヌュクスス(夢見の羊・f00334)。
 淡桃色の髪から漂う香りはどこか心安らぐ感覚をクラウンにももたらす。
 木陰から出て日差しを浴びれば眠たくなってきてしまいそうな程だ。
「何かわかったの?」
「ええー。どうやらー……」
 メアの見立てが正しければ、あの羊たちは……。
「そっか、だからあんなに……よ~し、わかった! ここは任せるよ!」
 彼女の言葉にぽんと手を叩き、道化は満面の笑顔でその背を見送る。
 即興の連携とて、同じ猟兵として、その実力と策を疑う余地はない。
 クラウンもまた、己が仕事を果たすべく動き始めるのだった。

「みんなー、こんにちはー。いい天気ねー?」
 ぽやぽや、ふわふわ。眠たげな表情を湛えたまま、メアが羊たちへと歩み寄る。
 羊たちの返事はといえば、ベエベエ、メエメエ、威嚇の大合唱。
 牧羊として角は削られているが、群れの突進など受ければ猟兵でも無傷とはいかない。
「――――♪」
 それでも恐れることなく、メアが手に持ったハンドベルを鳴らし、歌い始める。
 綿毛よりも柔らかで、やさしい、温かな揺り籠へ誘うような歌声。
 ――大丈夫だよ。安心していいんだよ。
 子守唄を思わせる穏和なメロディが、少しずつ羊たちの心に凪を取り戻させてゆく。
「いい子、いい子ー。……あなた達は本当に、仲間想いなのねー」
 円形を成していた群れの目と鼻の先にまでメアが歩み寄った頃。
 警戒心はすっかり解かれ、羊たちもまた、自ら彼女のために道を開けていった。
 群れの中心には、脚に傷を負った、年若い羊の姿がある。
 負傷した仲間を守るために、彼らはあれほどの興奮を見せていたのだ。
 それを見抜けばこそ、優しい彼らに報いるため、メアもまた優しい手段を選んだ。
「――♪」
 再び間近で歌声を披露すれば、羊たちもすっかり聴き入って。
 メアの力、『シンフォニック・キュア』は、その共感を癒しにも変える。
 みるみるうちに、怪我を負っていた羊の傷口が塞がっていったなら。
「さあ、クラウンさーん。あとは任せるわねー」
 手はず通り、群れの後方へと回り込んでいたクラウンへと手を振るのだった。

「さあ、俺の出番だよ! 観客の皆、拍手でお出迎えを……なんてね!」
 青草の広がる高原だというのに、高らかなラッパの音を迎えんばかりの眩い笑顔。
 両の足で乗ってみせますは、愉快で色彩豊かなピエロの大玉!
 ホップステップ、地面をゆくより軽やかな足取りで大玉回して大行進。
 いくら羊たちが大人しくなったからとて、悠長に構えている時間もない。
 脚も治ったのならハリーハリー、急いで牧場へと帰ってもらわねば!
 牧羊犬ならぬ牧羊道化に追い立てられて、羊たちがまとまって走り出す。
「おっと、そっちは段差があって危ないよ。ほらほら、こっちこっち!」
 群れから外れそうになる羊があれば器用に右へ左へ。
 玉乗りという芸当をこなしながら、それこそ牧羊犬も驚く手際で羊を追ってゆく。
 それでもなお横道に逸れようとする捻くれ者がいたとて、心配ご無用。
 ちりんちりん、鐘の音鳴らして導くは、小走りに後をついてゆくメア。
 愉快なピエロとハーメルンの笛吹き、生まれ出づるは小さなサーカス。
 程なくすれば、牧場敷地の囲いの向こうで手を振る従業員の姿が見えてくる。
「皆、フィナーレだよ! 綺麗に決めようか!」
 門が開かれるのに合わせて掛け声をあげたなら、群れは一斉に柵の中へ。
 最後には火の輪を潜る猛獣にも負けじと美しく、一糸乱れぬ動きが披露された。

「一丁上がり……って、おっと!」
 大玉の上で決めポーズなど取ってみせてから、華麗に着地……と思いきや。
 羊と入れ違いに脱走せんとする白兎を発見して、しっかり抱っこで捕縛。
「あら、可愛いー。幸運を届けに来たんでしょうかー」
「確かに、抱っこさせてもらえて嬉しいけどね……!」
 メアの言う幸運の象徴に逃げられてしまったのでは大変だ。
 モフモフしたい気持ちを抑え、クラウンがしっかりと兎を抱き直す。
 きっとこの子が、牧場を不幸から守ってくれるに違いない。
「何はともあれー」
「作戦大成功、だねっ!」
 それぞれ片手を掲げてみせたなら、ハイタッチで動物たちの無事を祝するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レムナント・ノア
【WIZ】

オホホホホ! 動物のことでしたら任せなさいな!
わたくしこう見えてビーストのマスターでしてよ!
はっいけませんわ、大声は禁物ですわね。

あ、あら……馬って意外と気難しそうですのね。
わ、わたくしは猫ちゃんを捕まえますわね!

動物と心を通わせるのに小細工は不用!
こうして地面に這いつくばり(身長190cm)
か細い声で猫に呼びかけます!!

チチチ……チチチチ…………ネコチャァン…………
オホホ、コワクアリマセンワヨ~…………ネコチャァン……
牧場に……カエルノデス……チチチチ~…………
匍匐前進でにじり寄り(身長190cm)、牧場方面へと追い込みます!

すばしっこい! 高速匍匐前進ですわー!(身長190cm)



●被害猫Aの証言
(※猫語を特別意訳の上でお送りしております)
 ええ、はい。あれは突然のことでした。
 ほら、牧場にいる僕たち猫って基本ネズミを狩るでしょう。
 強いんですね、狩人とか野生の本能が。
 だから危機を感知したし、僕なら外でも狩人として生きられると思ったんです。
 〝アレ〟と、出会うまでは……。

 もう、突然のことでした。
 木陰でくつろいでたら、身長190cmぐらいの人間……。
 人間……? の男がいきなり這い寄ってきたんです。
「チチチ……チチチチ…………ネコチャァン………… 」
 妙に甲高い声で奇妙な言葉を唱えながら、それはにじり寄ってきます。
 間違いありません。あれは、呪いの呪文です。
 僕を呪い殺そうとしてたんです。
 あとはもう、必死に逃げるばかりですよ。
「オホホ、コワクアリマセンワヨ~…………ネコチャァン……」
 おかしいでしょう。人間ってあんな身体能力してないでしょ?
 走って猫に追いつくのも大変なはずなのに、アレは匍匐前進で追ってきたんです。
「ネコチャン……スバシッコインデスノネ…………ネコチャン…………!」
 瞳をギラつかせながら高速で匍匐してくる恐ろしい怪物。
 ああ、外の世界には、こんなモノがいるんだ。
 だから牧場の人たちは、自分たちを外に出さないようにしてくれてたんだ……。
 狩人なんて自負の安っぽさを実感しましたね。
 もう二度と牧場の外に出たりなんてしませんよ……。

●被害猫Bの証言
 牧場の北東に、「おばけ枯れ木」って呼ばれてる木があってね。
 周りの木が葉を繁らせてもその木だけはずっと枯れていて。
 だから近づくと祟りを受けるなんて他の猫が話してるのを聞いたことがあるの。
 でもあたしはそんなの信じてなかったわ。
 だから牧場から逃げたついでに、おばけ枯れ木へ行ってみたの。
 そしたら……。
「ネコチャン……チチチチ……」
 あれは、風ひとつなく、何の前触れもなく現れたわ。
 枯れ木みたいに細くて長い手足……いっそ澄んでいると言いたくなる濁った黒い目。
 間違いないわ。あれは、おばけ枯れ木の精……!
「オホホホ……イイコイイコ…………チチチチチ…………」
 あたしは脇目も振らずに逃げた。
 人間みたいな体躯をして這ってるのに、おばけ枯れ木の精は猫のあたしより速いのよ!
 気づいたら前方に回り込まれ、フェイントをかけても滑るように直角に方向転換。
 おばけ枯れ木に近づいたのが間違いだったと、必死に祈りながら逃げ続けて。
「ボクジョウニ……カエルノデス……ネコチャァン……!」
 ……気づいたら、あたしは牧場の入り口にいて。
 馬のいななきが聞こえると同時に、枯れ木の精の気配も消えたわ。

 あたし、神様なんて信じてなかったけど。
 あの祟りから逃れるために、これからは信心深い人間と一緒に祈ることに決めたの。
 だから、あなたも気をつけたほうがいいわ。
 もしかしたら、ほら、すぐそこの窓にも……。

「チチチチチ…………ネコチャァン…………」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
◆SPD
動物お任せ、アドリブ歓迎

いったい何頭逃げ出したんだか…(遠い目)
…とにかく探して、手当たり次第捕まえるしかないな

しかしただ追いかけ回すのも骨が折れる、少し準備をしてから仕掛ける事にしよう
あらかじめ立ち木なども利用して囲いを作っておき(『地形の利用』)、そこに動物を追い込んで捕獲を試みる

動物を見つけたら狼の姿に変身
少し脅かして動物を追い立て『追跡』、囲いまで誘導する
誘導が完了したらすぐ人の姿に戻り動物を落ち着かせる
脅かして悪かった、お前達を傷付けるつもりは無い

行動中、野盗や野生の獣に動物が襲われるなら最優先で助ける
間に割って入って守り、ユーベルコードで遠距離から威嚇射撃を行い追い払う




 日暮れも近づいてきた頃。
 高原地帯にて、ベエベエと鳴き声をあげながら逃げ惑うヤギの群れがあった。
 後を追うのは、鋭い瞳と牙持つ大自然の狩人……狼。
 俊敏な動きでヤギ達を纏めて追い立て、吠え立て、群れから外れる個体をも纏め上げ。
 そしてまた、決して、一足で喉笛に喰らいつける距離まで近づかない。
 目的は狩りでもなければ、また、過剰な恐怖を与えることでもないからだ。
 數十分ほど、追走劇が続いたろうか。
 最後には、ヤギ達が立ち木を利用して作られた囲いへと誘い込まれてゆく。
 牧羊犬が行うような……否、それよりも遥かに丁寧な追い込み。
 それもそのはず。ヤギ達を追いかけていた狼はされど、狼ではなく。
「……脅かして悪かった。お前達を傷つけるつもりは無い」
 たちどころに二足歩行の人間……否、人狼へと狼の姿が変じてゆく。
 囲いの作成も、狼の姿でそこへの追い込みを行うのも、全てシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)による作戦だ。
「あとは牧場の連中に連絡を……おい、どうした?」
 ところがどうしたことか、ヤギ達はなおも警戒した様子で身を固めてゆく。
 眼前で変身を果たしたシキへの警戒心か?
 疑念を胸に周囲一帯へと目を配れば、すぐにその原因は理解できた。
「……俺は、お前達の〝仲間〟じゃないんだがな」
 囲いからいささかばかり距離を置いた、小高い丘の上に、それらはいた。
 ――狼だ。
 人狼ならぬ、本物の野生の狼たちもまた、ヤギの群れに目をつけていたのだ。
「…………」
 言葉もなく、迷いもなく、即座にシキが銃を抜き放つ。
 両手で構え、狙いを定め……息を止めて、数発。
 目にも留まらぬ早撃ちは硝煙の香りすら置き去りに、狼たちの足元を掠めてゆく。
「次は当てるぞ。行け」
 シキの言葉が狼に届いたわけでも、通じたわけでもないだろう。
 だが狼たちとて、厳しい自然を生き抜いてきた獣。
 銃声や威嚇射撃以前に、彼らを睨みつける、シキのその眸にこそ怯む様子を見せた。
 あれは……あの男は、自分たちをも上回る獰猛さを内に秘めた、〝狩人〟なのだと。
 本能で敗北を悟り、唸り声も残さず、一目散に逃げ去ってゆく。
 ……だが、本来夜行性のはずの狼が、夜を前にして姿を現すとは。
 あり得ない話ではないが、あるいは……。
「あいつらも、何かを感じているのか……?」
 災厄の予感に怯え、気が立っているのは牧場の動物だけではないのかもしれない。
 などと思考を片隅に秘めて、ヤギ達を振り返ってみたならば。
「…………悪かった。これ以上脅かすつもりはないから、落ち着け……」
 銃声に驚いて騒ぎ出したヤギ達を鎮めるのに、一苦労したシキであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

フィリップ・スカイ
キーラ(f05497)と参加。

バイクは置いてきた、この戦いにはついていけそうもない。
つーか動物さんたちがエンジン音でびっくりしちまいそうですからねえ。しょうがねえ。
ま、今回は馬に乗れそうですし?
本物のスターライダーはなんでも乗りこなせるってところを見せてやりますよ。

つっても流石に馬に走って追いつくのは無理ですねえ。
罠……ってほどでも無いが、頭使って行きますか。
相棒に適当な馬を追い込んでもらって、タイミングを合わせて飛び乗る!
後はすばやく手綱をつけて、俺のスーパーテクで乗りこなすって完璧な作戦ですよ。

俺の馬が確保できたらキーラの手伝いでもしてやるか。
犬が欲しいとか言ってたな。


冬晴・キーラ
フィリップの野郎(f05496)と合わせ希望。

やったー! わくわく動物キングダムだー☆ 無闇矢鱈にしこたま捕まえたるぜ!

取り敢えず馬かな。
『ぬいぐるみさんチーム』に『マジカルメガホン』で命令していい感じに逃げ道のない閉所に誘導するぜ☆
後はフィリップに任せて応援したりするー。
頑張ってはたらけ☆


大型犬もほしーなー。
ゴールデンレトリバーとかハスキーとかいねーかなー☆
『ぬいぐるみさんチーム』に歌って踊って賑やかにパフォーマンスってもらい、近寄ってきた動物さんと仲良くなるー☆ そのままどんどこ群れの規模を拡大してくぜ! 無意味に!




 牧場周辺を我が物顔で行くのは、何も動物ばかりではない。
 ぽっきゅん、ぽっきゅん、ファンシーな足音を響かせて。
 ついでに星やら何やらファンシーなエフェクトなども飛び散らせて。
 ぬいぐるみの群れが、黄昏に染まる高原を行進してゆく。
 愛らしい一方、異様とも言える光景から一頭の馬が逃げ惑うのも無理からぬ話。
「面舵いっぱい、取舵いっぱーい、キリキリはたらけー☆」
 ポップで可愛らしいメガホン片手にぬいぐるみ達へ指示を下すのは、冬晴・キーラ(星空アジタート・f05497)。
 見かけも年齢も小さな幼女だが、ぬいぐるみを操る手管は超一流だ。
 ぬいぐるみ包囲網により、栗毛色の馬が小さな崖下にまで追いやられる。
 大柄な馬が、カラフルなぬいぐるみ達に追い詰められる様子は若干シュールだが。
 手はずは、整った。
「とうッ!」
 予め崖の上に待機していたのは、フィリップ・スカイ(キャプテンスカイ・f05496)。
 腰布をはためかせながら跳躍、そのまま見事に馬の背に飛び乗ってみせる。
「本物のスターライダーのロデオってやつ、披露しますかね!」
 完全なる不意打ちに馬がいななき、激しい蹄の音と共に暴れ出す。
 されど、これに振り回されるフィリップではない。
「おっと、結構な乗り心地ですねえ……っと!」
「がんばれがんばれー☆」
 乗馬訓練中にでも逃げ出したのか、馬の背には鞍がついたままだった。
 ならばいっそうコントロールはしやすいというもの。
 だが……何より、彼は宇宙を股に駆けるスターライダーにして、キャプテン。
 より手のつけられない〝暴れ馬〟など、いくらでも相手にしてきたのだ!
 ……合間合間に響くキーラとぬいぐるみ達の応援が、絵面を少し脱力させるが。
「そおら、大人しくしろ! そしたら一緒にいい夢、見せてやりますよ!」
「がんばれがんばれー☆」
 隙を見出して最低限の動きで手綱を噛ませ、正確無比にこれを引く。
 馬の方も、誰かに乗られること自体には慣れていたのだろう。
 フィリップの……騎手の腕が一流であることを思い知ったのならば。
 それ自体が、次第に馬の興奮を収め、落ち着きを取り戻させていった。
「よーし、お利口さんだ。キーラ、こっちは済んだぞ!」
「オッケー。それじゃあしこたま捕まえてくぞー」
 バイクの音で動物たちを驚かせては捕獲どころではない。
 まずは馬を捕らえ、機動力を確保してから他の動物たちを……。
 というのが、二人の計画であった。

 程なくして。
 自然あふれるのどかな高原にあるまじき、愉快な行進曲が響き渡ってゆく。
 栗毛色の馬を先頭に征くのは、カラフルなぬいぐるみ達のパレード。
「結局騒音になってるけど大丈夫なのかねえ……」
「いーんだよ、音楽とパレードが揃えば動物と仲良くなれるのがお約束なんだから☆」
 それは夢の国の映画とかの話ではないのか、というフィリップのツッコミを他所に。
 キーラはぬいぐるみ達の中心でメガホンを掲げ、楽団を指揮してゆく。
 そしてやがて、どういうわけなのだろうか。
 キーラの目論見通り、次々に動物たちが音楽に誘われパレードに加わってゆくのだ。
 はじめにやって来たのは、遊ぶのが大好きな牧場の犬たち。
 ぬいぐるみのダンスに合わせてステップを踏むゴールデン。
 高らかに吠えて歌うハスキー犬などなど。
 全身を埋められるようなサイズの犬と仲良くなってキーラもご満悦だ。
「フィリップー、こいつらの名前何がいいかなー☆」
「言っとくけど牧場に連れて帰るんですからね!?」
 ぬいぐるみとフィリップの手を借りて、キーラも颯爽と馬上へ。
 フィリップと並んで腰掛け、馬上からメガホンでぬいぐるみ達にパレードを踊らせる。
「ひゃっほーい、お前ら夜まで踊り明かせー☆」
 愉快なパレードの仲間はまだまだ増える。
 コケコケコッコウ、大合唱で楽団を盛り上げる鶏たち。
 パレードのテンションに釣られてきたダチョウ。
 どこからか知らん間に紛れ込んできた猿軍団。
 皆が一丸となって、夢の国の映画が如くリズムに乗って行進し続ける。
「なんか牧場と関係ない動物まで増えてませんかねえ!?」
 などというフィリップのツッコミを他所に進行してこそのミュージカルフィーバー。
 やがて彼らを出迎えた牧場の人々が、そのトンデモな光景に目をひん剥いたそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『荒ぶる山神』

POW   :    握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 動物たちも無事に連れ戻され、ドーヴツォルワ牧場はひとときの平穏を取り戻す。
 だが、のんびりと羽を伸ばしている時間もない。
 動物たちが暴走した原因である、数日後に迫る魔物の襲来。
 恩人である猟兵たちの説明を、今さら疑う牧場の人々でもない。
「私たちが力になれることは、ないでしょうか」
 そう申し出てきたのは牧場主のヨーケだ。
 彼が言うには、牧場の動物たちは驚くほど猟兵たちに心を開いているらしい。
 信頼に値する戦士の出現に、彼らも育った牧場を守る決意を固めたのだろう。
 動物たちの目を見るだけで、その確かな覚悟が伝わってくる……はずだ。
「ここいらが戦場になるなら、馬が一頭いるだけでも随分違うはずです」
 乗馬の心得がなくとも、数日の時間があれば最低限の技術は仕込める。
 あるいは猟兵たちが望むならば、馬以外の動物でも乗りこなせるだろうと。
 自信に満ちたヨーケの言により、猟兵たちに数日の訓練、あるいは動物たちとコミュニケーションを交わす時間が設けられた。

 そして、襲撃の当日。
 地平線の彼方から、それらは現れた。
 さながら森ひとつが蠢いているかのような、巨木の群れ。
 踏みしめる一歩一歩が、広大なる大地を揺らす。
 ――荒ぶる山神が、群れをなして襲来してきたのだ!
 本来は森や山に出現するあれらが、なぜこれほど拓けた高原に?
 疑問は浮かべど、考えている暇はない。
 確かなのは、あれらを放置すれば、進行ルート上の牧場が破壊し尽くされることだけ。
 猟兵たちも、そして動物たちも、立ち向かう気合いは十二分。
 戦場となる高原地帯はあまりにも広大だ。
 動物たちの背に跨り、颯爽と駆ければ、いっそう有利に戦えるだろう。
 彼らに乗るばかりでなく、君たちが望めば共に攻撃を仕掛けてもくれるはずだ。
 さあ猟兵たちよ、この戦場を見事に乗りこなしてみせよ!

【補足】
いよいよ動物たちの力を借りての戦闘です。この戦いにおいては、
「動物の力を借りれば、無条件で成功率に補正を得られます」。
ていうか借りてください。じゃないと寂しいです。

馬でも牛でもダチョウでも、好きな動物に乗って戦場を駆けることができます。
もちろんライオンライド等、自分のユーベルコードを使うのもアリです。
乗りたい動物が思いつかなければ、「お任せ」も可。
(特定の動物が指定されていない場合、お任せと受け取ります)

何らかの手段で動物たちに指示を下せるなら、乗る以外の方法でも力を借りられます。
牧場を守ろうという決意が宿っているので、動物たちが臆することもありません。
もちろん1章未参加でも、動物たちとは問題なく心が通ってるものとして扱います。

危険な状況になったら、動物たちは各々で判断して牧場へ逃げ帰ります。
シナリオが失敗しない限り動物たちが死ぬことはないので
遠慮なく力を貸してもらいましょう。
クラウン・メリー
次は敵だね!
皆、力を貸してくれたら嬉しいな!

『さぁ、楽しいショーの始まりだっ!』
動物達と一緒に芸をして気を引き付けちゃうよ!

でも、怪我はさせたくないから
皆を【オーラ防御】で守るよ!

山神ならこの『こわぁい火の輪』
で【火属性】の攻撃をするよ!

そして、ダチョウさんの
背中に乗りながら、
大玉を黒剣に変え、的当てしちゃうよ!
【鎧も砕いちゃう】程、痛いから
当たったら大変だね!

でも百発百中当てちゃうけどね?
俺、命中率は良い方なんだ!

アレンジ大歓迎!




「さあ、楽しいショーの始まりだっ!」
 動物たちを連れ立って、玉乗りと共に戦場へ現れたのはクラウン・メリーだ。
 火の輪をくぐれや獣衆、歌い歌えや鳥の衆!
 大玉転がしながら火の輪を構えれば、兎や牧羊犬が次々にそれを潜る。
 音楽と歓声の代わりに鶏が鳴き、あちらこちらの鳥がピイチクパアチクのコーラス。
 この数日間での仕込みと、クラウンが盛り上げた場の空気が為せる技だ。
 クラウンによるオーラの守りのおかげで、火の輪の熱が動物たちを傷つけることもない。
 ……山神に、視力が存在するかどうかは定かではないものの。
 その珍奇とも言える光景に一瞬動きを止めていた巨体が、大きく拳を振り上げる。
「おっと、踊り子に手を触れるのは厳禁さ!」
 だが、それをさせないのがクラウンの役割だ。
 手に持っていた火の輪を輪投げのように放り投げ、綺麗に山神の指先に収める。
 植物の身が、猟兵の力を宿した炎でたやすく燃え上がらぬはずもない。
 指先から延焼してゆく炎を厭い、山神が我武者羅に暴れ始めてゆく。
「さあ、ここからは瞬き一つも無しだよっ!」
 クライマックスを告げたなら、乗っていた大玉を蹴り上げると同時の後方宙返り。
 この出番を待ちわびていたとばかりに駆け寄ってくるのは、一羽のダチョウ。
 離れ業でもってダチョウの背へと着地したなら、決めポーズとばかりに両手を掲げ。
 中空へ蹴り上げられた大玉が太陽の光を浴びたかと思えば、その影が形を変えてゆく。
 本来の姿……黒剣へと変じた大玉が、狙いすましたように、クラウンの手の中へ。
「百発百中の芸をご覧に入れちゃおうか!」
 クラウンが指を鳴らしたのを合図と受け取ったか、ダチョウが一気に駆け出す。
 この世界固有なのか大柄な種というのもあり、人ひとり乗せても健脚は衰えない。
 巨大な拳が大地を打てども、道化に負けじの跳躍がそれを置き去りにする。
「どれどれ、よーく狙って……」
 そう……体は十分に、温まったのだ。
 『道化師遊戯』……クラウンの披露した芸は、決して単なる遊びではない。
「おーっとっと!」
 黒剣を構えながら、わざとらしくお道化て転びかけるような仕草。
 戦闘に無関係なパフォーマンスを行えば行うほど、彼の身体能力は向上してゆく。
 なればこそ、その動体視力、集中力はもはや正鵠のそのまた真芯を射るが如し。
「当たったら大変だけど、許してよね!」
 暴れる山神の激しい動きをものともせず、放り投げた黒剣が巨体に突き刺さる。
 貫き通せしは、僅かに朽ち始めていた巨体のヒビ割れ。
 鋼鉄の鎧をも穿つ一撃はにより、裂け目が山神の全身へと広がってゆき……。
「さあ……ご喝采!」
 動物たちへ向けたクラウンの一礼と同時に、その巨体が轟音を立てて崩れ落ちていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アマラ・ミュー
歩く森、か。
縄張りを追われた獣みたいによく動くものだね。迷惑この上ないな。

で、だ。自分の脚で走るのは御免こーむる。
毛並みのいい綺麗な馬がいたな。乗馬の経験は無いけど、あの子に力を貸してもらおう。
毛並みの良さは健康の証ってね。私もあやかりたい。

あー、それで。奴らの間を掻い潜るように駆け回ってもらう。
層の薄いところを狙っていきたいね。あまり無茶も無理も、怪我もさせたくないから。
接近し次第、掌いっぱいに掴んだ弾丸をばら撒いて【果実を落とす】。
撃ち出す必要も無い。範囲内の奴らを纏めて貫いてやるとしよう。
最悪でも足止めにはなるでしょ。たくさん持ってきといてよかった。

私がついてるからね。
さ、風になろうか。


ルフトゥ・カメリア
力を借りる?
ふぅん。……そりゃ、テメェしか居ねぇだろ。なぁ、クロイーゼ。行けるな?
当然のように、行けるだろうとその首を撫で叩く。自分に抗って見せた馬だ、自分の炎にもそう簡単に怯えやしないだろう。

普段は飛んじまうからな。この目線はなかなか新鮮だ。
それに、さっきの裸馬よりは馬具を身に付けた今の方が余程乗りやすい。

古傷掻っ捌いて、地獄の炎をバスターソードに伝わせ【鎧砕き、怪力、2回攻撃】を叩き込み、時に【フェイント、だまし討ち】。バスターソードが馬上も可能な武器でラッキーだったな。

馬が狙われた場合は、【武器受け、かばう、オーラ防御、カウンター】。自分がいる限りは決して傷付けさせない。
傲慢な守護天使。




 牧場でもひときわ美しいと評判の栗毛色の毛並みを揺らし、ひた走る馬がある。
 その背に乗って情熱的な赤色の髪をなびかせるのは、アマラ・ミュー(天のカミサマを射るように・f03823)だ。
 あちこちに点在する山神たちの間を駆け抜けながら、まずはその動きを学習する。
「さて、どいつを狙ったものかね……」
 手綱と一緒に握った〝切り札〟にちらと目をやる。
 チャンスは一度きり……あの図体ゆえ、山神もなかなか密集はしないが。
 それでも、一体でも多くまとめて倒せるならそれが一番だ。
 不安点は、決定打となり得るか否か。
 足止めになるなら良いが、そこへの追撃は……。
 ……などと考えているうち。
 晴天の下を疾駆する、漆黒の稲妻が目に映った。
 山神とすれ違い様、轟くような音を立てて一撃。
 次なる一瞬には、数里先へも辿り着けようかと錯覚する速度。
「チッ、浅かったか……」
 アマラの程近くで速度を緩めたのは、牧場いちの暴れ馬、クロイーゼを相棒に駆けるルフトゥ・カメリアであった。
 大柄な黒馬の上で、バスタードソードを構える猛き戦士。
 先の速度、勢いを見ても、パワーは十人分。
 なるほど、これならば決定打には決して事欠くまい。
「……動きを止める! トドメお願い!」
「おう!」
 アマラからルフトゥへ目配せ一つ、すれ違い様の短いやり取り。
 戦場に立つ戦士同士あればこそ、最低限の言葉で、目線で、意思が通じ合う。
 拳を構える山神の脚の間を駆け抜けざま、アマラが握り拳を振り抜く。
 振り抜き様にばら撒かれたのは、無数の弾丸。
 銃弾に込められずとも、一発一発が正確に山神を狙い据えている。
 『果実を落とす』よりも簡単に、全てを刺し貫く秘技。
 陽の光を浴びた弾丸たちから山神たちへ、瞬く間に槍状の触手が伸びてゆく。
 無数の触手が絡み合いながら巨体の幹を削り取り、同時に刺し穿つ。
 中空で束ねられた触手はやがて、二体の山神を貫き、繋ぎ留める楔となった。
「頼んだ!」
 振り返ることもなく叫んだアマラの言葉を、聞き届けるまでもなく。
 ルフトゥが、傷を伝って地獄の炎を纏わせた抜き身の刃を構える。
「行くぜ、クロイーゼ」
 アマラの触手によって繫ぎ留められ、バランスを崩しながらも山神は抵抗を止めない。
 踏みしめた重々しい一歩が転がっていた岩を踏み砕き、破片がクロイーゼを襲う。
 当然、これを易々と許すルフトゥではない。
 大剣の一振りによってこれを打ち返し、また、クロイーゼに纏わせたオーラが捌き切れなかった石片を弾く。
 ルフトゥの信頼どおり、クロイーゼは決して臆さない。
 彼の振るう炎にも、そしてまた山神が振るう拳に対しても。
 自身の乗り手であるこの男は、絶対に、自分の走りの全てを引き出してくれる。
 その確かな信頼を燃やして、クロイーゼはいささかも速度を落とさずひた走る。
「花開け……」
 ――転瞬。
「地獄は、此処だ!!」
 漆黒の稲妻が走り抜けた後に、ネモフィラ色の軌跡が残されてゆく。
 すれ違い様に二体の山神へと見舞われるのは、豪然たる二撃必殺。
 『瑠璃唐草の熾火』が、咲き乱れる。
 横薙ぎに叩きつけられた斬撃を、地獄の炎を、鎮火する手段などあろうはずもない。
 見上げる巨躯はみるみるうちに炎に包まれ、乾いた音を立てながら焼け落ちてゆく。
 その音も影も、数秒を数える間に、ルフトゥとクロイーゼの背中の、遥か向こう。
 ルフトゥも、普段であれば背中の翼で空を飛ぶところだが。
 地上で風を切る感覚も、存外に悪くないと感じられた。
 暴れ馬を直接乗りこなした身、いかなる速度も、馬具がある今は快適な乗り心地。
「いい脚してるじゃねえか、なあ?」
 不敵に鼻で笑ってみせるルフトゥに、クロイーゼが荒々しい鼻息で返す。
 ――お前の方こそ、悪くないパワーだ。
 背に跨る戦友を、素直ならざる言葉で讃えるかのように。

「凄まじいね、ありゃ」
 艶めく栗毛色を撫でながら、追撃を見届けたアマラが呟く。
 だが、それにしても。
 森の出たるアマラにとって、この地に出現する山神は、やはりどこか奇妙だ。
「まるで、縄張りを追われた獣みたいじゃないか」
 予感のままに空を見やるアマラの視界に、異なものが映る。
 彼方、青空の中を蠢く、黒点。
「…………?」
 見間違いかと目を擦れども、それが消えることはない。
 だが正体を推し測ろうにも、ここはまだ戦場。
 残る山神たちを倒しきるまで、のんびりと考えている暇はない。
「……今は目の前の敵だね。さ、風になろうか」
 一抹の予感を胸に手綱を握り直し、再び、一時の相棒と共に駆け出していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

襲祢・八咫
おや、力を貸してくれるのか。
どの子でも構わんよ、おれと共に戦場へ来てくれると言うのなら、おまえのことはおれが守ろう。

ちりぃん、と鈴の音鳴らせば現れる赤鳥居の魔法陣。
溢れるように現れる、ひとつ目烏の群れ。それらに【属性攻撃、破魔】で日輪の炎による浄化を付与する。
所詮は神を名乗る木だからな、燃やしてしまえば良いさ。
さあ、お往き。

……ああ、折角だし牧場用の薪も作るか。獣も人の子も、寒いと大変だろう。
【誘惑】で敵を集め、【2回攻撃、なぎ払い、衝撃波】で広範囲を露払いと行こう。
おれたちへの攻撃は【第六感、目立たない、オーラ防御】で緩和する。
おれはともかく、おれと共に来た者を傷付ける訳にはいかんのでな。




 草を散らしながら、地響きとどろく戦場を駆ける白い影がある。
 純白の毛並みを持つトナカイと、その背を借りる襲祢・八咫だ。
 気高く人を近寄らせない性分のトナカイだったが、先の探索において出会った老猫キャネコットの紹介もあり。
 そしてまた、八咫の鳴らす鈴の澄んだ音に惹かれて、彼に力を貸すことを決意した。
「大丈夫。おれと共に戦うのなら、おまえのことはおれが守ろう」
 迫る巨大な敵を前に低く唸る白い相棒の毛並みを、八咫の指先がそっと撫する。
「さあ、体を温めるとしようか」
 動物との会話を心得る八咫なれば、その一声でトナカイも地を蹴り、駆け出す。
 ちりぃん、ちりぃん。
 透き通る鈴の音に惹かれるのは、動物ばかりではない。
 牧場へ向かって直進していた山神がゆっくりと八咫の方へと振り返る。
 山神に眼があらば、たちまちのうちにその視界が覆われたことだろう。
 すなわち、これも鈴の音……『招き鈴』によって現れたひとつ目烏の群れによって。
「神を名乗ろうとも、木だ。……日輪の熱を知るといい」
 日輪。サムライエンパイアにおいては、まさしく神と同一視さえされよう存在。
 それが力を纏ったひとつ目烏たちが山神に突貫してゆけば、効果は覿面だ。
 燃え移る炎を厭い、両の腕を振り回しながら山神が激しい抵抗を見せる。
「好機だ。行こうか」
 烏たちに気を取られている隙に、トナカイがひと飛びに山神の後方へと回る。
 鹿の仲間に特有の跳躍力は、八咫を背に乗せてもまったく衰えない。
「……折角だ。寒い冬のために、備えも作っておくとしよう」
 ちりぃん。
 鈴の音ひとつで烏たちに指示を出しつつ、また、言葉なくして一時の相棒と通じ合う。
 澄んだ音を合図に跳躍したトナカイが、山神の体の上へ飛び移る。
 直角にも近い傾斜をものともせず駆け上りゆく中。
 その風圧をもまたものともせず、八咫が清廉なる太刀『天國烏』を抜き放つ。
 振るう刃が、硬質な山神の体をものともせず、流水のように潜り込んでゆく。
「次は、あちらだ」
 ちりぃん。
 跳びのき様に振り抜かれた刃が、山神の左腕をすらりと斬り落とす。
 反対側の肩へ飛び移りざま、返す刀が、ひゅう、と風を切る音。
 数秒遅れて、山神の右腕もが崩れ落ちてゆく。
 頭へ、胴へ、肩へ……雪にも似た色が跳ねる度に山神の体が薙ぎ払われ。
 やがて後に残るのは、越冬の助けともなろう薪の山。
「存分に駆けられて、おまえも楽しいかい」
 誇らしげに首をふるわす純白の相棒に、八咫が薄い笑みを浮かべた。
 お互い、疲れなどまだ少しもないようだ。
 なら、ああ。薪は、多いに越したことはないだろう。
 ちりぃん、ちりぃん。
 次なる個体を見据えたならば、八咫と共に、再び、純白が跳ぶ。

成功 🔵​🔵​🔴​

シキ・ジルモント
◆SPD
ヤギ…に乗るのは体格的に無理があるだろう、馬を借りて騎乗する
乗馬の経験はあまりないが、バイクの『騎乗』技術で流用できる部分は活かす

動物への銃声の影響を考慮し、銃には特注サプレッサーを装着
…先のヤギ達には悪い事をしたな
詫び替わりと言ってはなんだが、あいつらの居場所は守ってみせるさ

脚部を破壊し足止めを試みる
デカイ図体も支える根を失えば流石に止まるはずだ

障害物は飛び越え最短距離を進み敵に接近しユーベルコード発動
脚部の同じ場所へ銃弾を集中させて削り(『スナイパー』)、脆くする事で自重での崩壊を狙う
馬の機動力で一撃離脱を繰り返しダメージを重ねる

踏み潰しは着弾位置を『見切り』その場を大きく離れ回避




 重々しい足音と共に牧場へ向かう山神たちを睨み、シキ・ジルモントが駆ける。
 手綱を握り跨るのは、すらりとしたしなやかな体躯を誇る月毛色の馬。
 速度においては、他の猟兵たちが選んだ馬と比べて一歩劣る部分もある。
 だが牧場主によれば、他のどの馬より安定した走りを見せるとの評。
 馬上で銃を用いる必要のあるシキからすれば、うってつけの条件だ。
 ――あいつらの居場所は、守ってやるさ。
 そこまでやって、ようやく仕事は〝完了〟するのだ。
 銃声によりヤギを驚かせてしまったことへの、本人なりの罪滅ぼしと共に。
 また、請け負った仕事を完遂させんというプロフェッショナルの意識。
 近づいてくる山神の巨躯を前に、それらがシキの集中力をいっそう高める。
 ホルスターに収めた銃のグリップを握り、馬上で銃を抜く感覚を確かめ直す。
「さんざん踏み荒らしてくれやがる……」
 山神たちの行軍によって、高原のあちこちが踏み荒らされ、悪路となっている。
 凹凸の激しい地面、転がる石片……気を抜いたら振り落とされかねない。
 だがシキの乗る月毛は、的確に走行を阻害する障害物を飛び越え。
 またバイクでの走行経験が、悪路においてもシキに確とバランスを確立させる。
「……この距離なら、十分だ」
 山神に接近すると同時に、シキが銃を構え、発砲。
 一発、二発、三発、四発……弾倉に込められた弾全てが正確に樹木の太脚を貫く。
 『フルバースト・ショット』。
 サプレッサーにより音もなく降り注ぐ弾丸の嵐に、なおも山神は倒れない。
「まあ、この程度は予測の範囲内だ」
 敵意を露わに力任せの地団駄を踏み始める山神の動きを予測し、即座に方向転換。
 機動力に任せて距離を取れば、いかに巨体の攻撃といえでも恐るるに足らない。
 馬上で弾を込め直したなら、Uターンでもって再び荒ぶる山神へと接近する。
 踏み砕かれた地形を前にして、月毛色の馬が力強く地を蹴り、跳ぶ。
 馬上、中空にあってなお、シキの狙いは寸分として狂わない。
 1ミリのズレもなく、その牙である銃弾が弾倉の限り山神の脚に叩き込まれる。
「その図体は脅威だとも」
 重さとは、大きさとは強さ。それが大自然の摂理だ。
 巨大な体であればこそ、小さな弾丸の一つ二つで動きは止まり得ない。
「だが、それがお前の敗因だ」
 故にこそ、シキは正確に、その脚の……ただ一点だけに、射撃を重ねたのだ。
 雨垂れが岩をも穿つというならば。
 シキが放つ弾丸の雨は、神の名を冠するモノをも、穿ち抜いてみせる。
 一点放火によって山神の脚はひび割れ、やがて全身が自重により崩壊してゆく。
 文字通り、あとは野となれ、山となれ。
「次だ。行くぞ」
 狙いは定めた。命中も、それがもたらす結果も、当然。
 崩れゆく山神には一瞥もくれず、シキが月毛の背を叩いた。
 硝煙の香りだけを後に残し、次なる獲物へ駆ける。
 仕事はまだ、終わってはいないのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィリップ・スカイ
キーラ(f05497)と参加。

じゃあ俺はせっかく捕まえたし、馬に乗って行くとしますかね。
元気があっていい馬だぜ。
キーラも乗るか。まあ、こいつちっこいし2人で乗っても大丈夫だろ。

馬で戦場を駆けながら、ガジェットショータイムで攻撃だ。
今回のこれは、多分良い感じに射撃するガジェットだと思うんですよ。
ほら、弾が出た。

敵さんの攻撃は全部躱して見せますよ。
地形が変わっても何のそのってね。
障害レースみてえなもんでしょうが。

キーラが攻撃しやすいように、声掛けながら連携も必要ですねえ。
あいつもあいつでなんかやるつもりだろうしな。


冬晴・キーラ
フィリップの野郎(f05496)と合わせ希望。

やったー、わくわくアニマルバトルだー☆
フィリップの操縦するお馬さんに乗せてもらって一緒に戦うぜー☆
あいつ乗り物ならなんでもアリなのかな……?
フィリップが戦ってる後ろで進路や方向性を指示して、荒ぶる山神共を崖方向に追い込んで落下させられるように頑張るー☆
キーラちゃんが舌噛んだりしねーように優しく丁重に操縦しろよな★

今回はぬいぐるみチームじゃなくて、動物さん達に手伝ってもらう☆
マジカルメガホンに合わせて派手に騒いだり歌ったり鳴いたり吠えたりビビらせて追い込みのお手伝いだ☆
もちろん、怪我しない程度でいーけどな☆

ついでに動画配信しとくぜ☆ きらきらっ🌠




「よい動物さんたちのみんな、あっつまれー☆」
 馬上、フィリップ・スカイの膝上にすっぽり収まりながらカラフルなメガホンを構える幼女は、ご存知、冬晴・キーラである。
 マジカルメガホンは魔法のメガホン。
 これに呼びかければ動物さんたちが集まってくるのは至極当然である。なのである。
 牧場への連れ戻しに際してパレードに参加したアニマル全員集合。
 レトリバーやハスキーが山神に対して一歩も退かず吼えたてる。
 ニワトリたちが羽を散らして飛び回り、山神の身体を突き回る。
 牧場メンバーでもないはずの猿軍団が山神の身体に登り、翻弄する!
 容易に踏み潰せる大きさの動物のはずだが、山神たちは怯む様子を見せていた。
 彼らから見れば小さな猟兵に他の山神が次々に倒されていたことへの警戒に加え。
 マジカルメガホンのマジカルパワーが動物たちの威圧感を強めてもいるのだろう。
「攻め手は多いに越したことはないでしょ。ガジェットショータイムといきますか!」
 続けてフィリップが指を鳴らせば、頭上の空間が裂けて召喚されるガジェット。
 ミニチュア宇宙戦艦のような形状に、いくつもの砲門を備えつけている。
 複数備えつけられた砲口から山神に向けて放たれるのはショック砲。
 風と雷の魔力を搭載し、敵を大きくノックバックさせるのに長けた兵装だ。
 アルダワ魔法学園の技術を取り入れた、まったく新しい宇宙船。
 それが、ミニカジノ宇宙戦艦エルドラドである!
「カジノ要素なくね?」
「細けぇことはいいんですよ、倒せるなら!」
 近づいてくる異なる個体へと狙いを定め、絶え間なくショック砲を浴びせる。
 小型のガジェットなれど、未来の技術は山神の巨体をよろめかせるに十分だ。
 無論、これらに対して無抵抗のままでいる山神でもない。
 激しく両腕を振り回し、地団駄を踏み、動物たちを振り払わんとする。
 哀れにも一羽のニワトリが拳の直撃を受け、羽を撒き散らして吹き飛ぶ。
「ちょっ、大丈夫かあれ!?」
 フィリップが思わず声を上げる……が。
 地面に落ちたニワトリが、ゆっくりとその身体を起こしたかと思えば。
「負けるなニワトリさーん。反撃かいしー☆」
 マジカルメガホンを通して、キーラより送られる声援を合図に。
 ――コケコッコーーーーーー!!!!
 朝を告げるにも似た高らかな叫び声が、高原に響き渡る。
 刹那、どこからともなく現れたニワトリの増援が山神を襲う、襲う、襲う!
 ただの啄ばみが、不思議な力と激しい怒りによって山神の身体を削り取るほどの驚異的な威力を帯びる!
 これにはたまらず、暴れていた山神たちも後退を余儀なくされてゆく。
「あいつら俺のガジェット並の火力出してませんかね……?」
「ニワトリいじめたら痛い目みるのは定番だよなー☆」
 牧場やら馬やら牛やらが揃っていればなおのことである。

 そんな調子で二体の山神を追い立ててゆけども、決定打らしい決定打は見舞えない。
 進軍方向こそ牧場から逸れてゆくが、流石のタフネスか、倒れる気配は皆無。
 だが、それでいい。
 フィリップとキーラの真の狙いは、自然地形の利用。
 この高原にはところどころ小高い丘となった地形や、崖が存在する。
 馬を捕獲する際にカッコよく飛び降りたフィリップが、身を以て知った事実。
 両者の連携によって山神たちが崖を背にするまでに、そう時間はかからなかった。
 あとは、最後の一押し!
「動物さーん、カモーン☆」
 キーラがマジカルメガホンを構えると同時に、猛々しい足音と共にすっ飛んでくる影。
 ドーヴツォルワ牧場に住まう動物の一匹……突進においては右に出るものなし。
 サイさんである!
「俺はもうツッ込みませんからね!」
 戦力になるならもう何でもいい。
 山神の足元に強烈なタックルを見舞うサイに合わせ、ガジェットを操作。
 エネルギー充填完了、全砲門展開、出力全開……それ即ち、男のロマン。
 この指令を下すのは、キャプテンの仕事と相場が決まっている!
「ショック砲、全弾撃てぇ!!」
 はじめに崖下へ落下していったのは、サイさんのタックルを食らった個体。
 続けざま、全砲門からの発射を束ねた極太のビームにより、もう一体も落下。
 落下の時点で甚大なダメージであったが、さらに山神の質量が重なり合えば。
 その衝撃と重量により、双方が土煙をあげて動かなくなるのが、摂理であった。
「見ろよフィリップ、めっちゃいいねついてるー」
「いつの間に動画なんて撮影してたんだ……」
 見れば上空では、事前にキーラが飛ばしていたドローンがカメラを構えていた。
 ドローンが撮影した生放送を映すキーラのスマホ画面には、絶え間なく流れるコメント欄に賞賛の言葉やら投げ銭やらが映る。
 『グッドナイス・ブレイヴァー』……なるほど、この効果が、ニワトリたちの激怒をはじめとする動物たちのパワーアップに貢献を果たしていたのだろう。
 これは今日の帰りは、投げ銭でちょっとおいしいものを食べられるかもしれない。
 期待に胸を膨らませ、ついでにドローンで記念撮影を行ってゆく一行であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フルール・トゥインクル
この木達が動物さんたちを驚かせた元凶なのですね
悪い木さんには申し訳ないですけど、メッさせてもらいますですよ!

ライオンライドならぬ、ウシさんにライドさせてもらって敵のところまで一直線なのです
でも突っ込むのではなくて、敵の周りをぐるぐる回ってもらいますです
そうやって回ってもらっている間に持ってるハープを花びらに変えて、茉莉花の夢で攻撃なのです

ぐるぐる周辺を回ってもらっているおかげで花びらは散ってたくさんの敵に攻撃しやすいはずなのです
攻撃されそうだと勘が囁いたら、ウシさんに危ないから合図にあわせてジャンプするようにお願いするのです

どうしても危なかったら逃げてもらって、私はライオンさんを呼ぶですよ


小此木・くどら
余に任せておけ!
動物たちと話す才があってな!
じゃあなんて言ってるか?
………わからん!!!

おぉおぉ待て待てそなたら
余は一人しかいないからそなたらの内から選ぶ他ないが……むむむ
出来ればそう……速いのが良い!

ベル(獣奏器)を携えて、いざやいざ!参ろうか!!
行くぞ皆の衆!余に遅れを取るんじゃあないぞお!!!
そなたは右!余は左!
やることは一つ!

大木は倒れるものだ!!!!




 小さな身体を振り落とされぬよう、雄牛の首元に掴まりながら、フルール・トゥインクルもまた戦いへと赴く。
 わずか24cm程度のフェアリーの視点から見上げた山神の、何と極大なることか。
 神の名を冠する、大樹の魔物。
 森の中で生き、自然と交流してきたフルールにとって思うところがないではない。
「……でも、動物さんたちを怖がらせたなら、メッさせてもらいます!」
 だがそれ以上に、心を通わせた動物たちのために燃える義憤がある。
 ただ人間がその背に乗るばかりであれば、猪突猛進なる暴れ牛の制御は難しい。
 なれど動物の言葉を介するフルールであれば、話は違う。
 雄牛の耳元までよじ登り、小さな身体を活かして、しかとその耳元に作戦を伝える。
「頼んだのですよ!」
 ちらりと後ろに送られた、雄牛による「任せろ」の目配せ。
 直進軌道上に一撃を落とさんと山神が振り上げた拳は、地だけを震わした。
 地面を抉り取りながら滑るかのような雄牛の急カーブ!
 山神の動きそのものは鈍重かつ単調なれば、直線的な軌道を避ければ翻弄には十分。
 ジグザグ軌道を織り交ぜながら、大きく円を描くようにして山神の周囲を駆ける。
 フルールもまた翅を必死に羽ばたかせ、風圧と地響きに耐え抜き。
 そして、桜の木で作られた特注のハープを構える。
「さあ……心地よい香りに包まれて、どうぞおやすみなさい、なのですっ」
 戦場に不釣り合いなほど、柔和にして優美な旋律が奏でられたなら。
 たちまちハープは無数のジャスミンの花びらに姿を変える。
 牧場を守らんとする意思と、背に乗せた妖精の加護。
 山神の周囲をゆく雄牛の猛然たる走行は、今や一帯につむじ風さえ巻き起こし、フルールが作り出した花びらを巻き上げてゆく!
 『茉莉花の夢』は、肉体持つ森が如き神をも微睡みへと誘う。
「あと一押し、なのですよっ……!」
 花びらの魔力に苛まれ、ゆっくりと歩みを、動きを止めてゆく山神であったが。
 ……どうしてか、地鳴りの止む気配がない。
 まさか別の個体が接近を?
 警戒と共に雄牛を急停止させ、周囲を確認したフルールの目に。
 大地を揺るがしながら猛進してくる、狂戦士の軍団が映った。
 
「いやいや、まさか羊がこれほどの速度を出すとはな!」
 狂戦士の軍団、またの名を、〝羊の群れ〟と言う。
 先頭をゆく大柄な黒羊の背に跨るのは、小此木・くどら(Hey,Chari・f00728)。
 リンゴンリンゴン、チリンチリン。
 獣奏器のベルを鳴らしながら、後に続く白の群れを先導してゆく。
「駿馬の一匹でも借り受けようかと思ったが……ああも熱い視線を受けてはな!」
 牧場で相棒を選ぶ際に、彼らがかけてきた言葉を思い返すくどらである。
 その言葉に応えるかのように、興奮した羊の群れが雄叫びをあげる。
「メエエエェェェ!!」
「うんうん……」
「ベエエェェェェェッ!!」
「なるほど……」
「メエエエアアアァァァァッ!!!!」
「さっぱりわからん!!」
 ……羊たちが牧場でかけてきた言葉はメエメエとかベエベエであり。
 決してくどらがそれを理解していたわけではないことは、付け加えておく。
 意思疎通が取れてるんだか取れていないんだかのマイペース。
「そなたらは右、そなたらは左! 大木めを倒してやれい!」
 とはいえ獣奏器を鳴らせば、羊たちの群れは割れ、たちまち方向転換。
 くどらの望みどおり、二つに分かれた群の突撃が山神の各脚へ突進してゆく。
 獣奏器によって昂ぶった動物たちの想いが結束し、その破壊力は幾倍にも……否。
 辺りを包むジャスミンの濃厚な甘い香りが、そうはさせない。
 幾倍、では留まらないのだ。
 ジャスミンの香りはリラックスばかりでなく、興奮作用をも持つと言われる。
 羊たちの気力は相乗効果によって幾十倍にも跳ね上がり、彼らを獅子の群れに変える!
 ただの突進……されどあらゆる効果の下に束ね上げられた怒涛が、山神に直撃し。
 信じ難いことに。
 山神の巨体を、宙に、撥ね飛ばした。
「ベヘヘヘヘエエエエエエエェェェェッ!!!!」
「……うはははは! 大木を倒すどころか……吹っ飛ばしおったか、おぬしら!」
 愉快痛快なる光景に、これにはくどらも大笑い。
 どうせなら勢いに乗って、地平線の彼方まで!
 ……行く前には流石に戻ってきたろうが、怒涛はしばらく収まる気配を見せず。
 地に叩きつけられる山神の轟音を背に、地鳴りを残して、どこまでも駆け抜けてゆくのだった……。

「あ……嵐のようだったのです……」
 勢いに乗って高原の彼方まで突っ走ってゆく羊の群れを見送るフルール。
 どうやら今しがた吹っ飛ばされ、地に叩きつけられた山神で最後だったらしい。
 これにて一件落着、牧場に迫る危機も去ったというわけだ。
「よかったのです! さあ、牧場に戻……どうしたのですか?」
 雄牛の気の昂りを、そして言葉を理解すればこそ、フルールは戸惑う。
 先の羊たちにあてられて興奮しているにしては、様子がおかしい。
 怒っているでなく、まるで、何かに怯えてもいるかのような……。
「……まだ、終わってないというのですね」
 どうやら、一息をつくには早いらしい。
 ――何かが、来る。
 雄牛の気勢に共鳴してか、フルールにもそれがハッキリと感じ取れた。
 導き手として、戦場に残る他の猟兵たちにも、次の戦いへの備えを知らせねば。
「大丈夫。……絶対に、私達が最後まで守ってあげるのですよ」
 熱を帯びた雄牛の首元をゆっくりと撫でれば、興奮が収まってゆくのが感じ取れる。
 牧場の命運をかけた戦いが、佳境に突入せんとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『災厄の浮島』

POW   :    竜の巣穴
【「炎」「氷」「雷」属性のドラゴンの群れ】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    空を照らす光
【触覚から放たれる閃光】が命中した対象に対し、高威力高命中の【体当たり】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    雲隠れ
【口】から【雲状の吐息】を放ち、【視界を遮ること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 青く晴れ渡っていた高原の空が、突如として曇ってゆく。
 ……天候が変わったのではない。
 災厄が、飛来したのだ。
 山神さえ赤子に見えるであろう、牧場の敷地をも影で飲み込まんばかりの、巨体。
 それは、空を飛ぶ、島であった。
 文献において、それは『災厄の浮島』と謳われる。
 極大のチョウチンアンコウにも似たその生物の背に住まうは、無数の竜。
 ただ飛来するだけで、通過した土地に甚大な被害を与える、生きた災害。
 猟兵たちは、瞬時に理解する。
 山神は、〝あれ〟から逃げてきたのだ。
 災厄の名を冠する生物を前にして、動物たちの何とちっぽけな……。

 ……否。
 否……災厄を前にしてなお、動物たちは、猟兵と共に奮い立っていた。
 今さら何が相手になろうと、退く理由があるものか。
 自分たちも知らなかった力を、引き出してくれた戦士たちがいる。
 生まれた土地を守ることの誇らしさを、教えてくれた戦士たちがいる。
 そして何より、その戦士たちは……猟兵たちは。
 共に戦場を駆けた、誇るべき、友なのだ。
 ――友を前にして、どうしておめおめと、背を向けて逃げ出すことができる!

 奥底に眠る生存本能さえねじ伏せて、動物たちの心に闘争心が灯る。
 嘶きが、囀りが、咆哮が折り重なり、空気を震わす。
 災厄風情が、牧場で飼いならされた家畜と侮ってくれるな。
 牙を。角を。爪を。蹄を。嘴を。
 この身が持つ全てを、突き立ててやる。
 さあ征こうか、我らが友よ。

 ――狩られるばかりの、我らと思うな!!


【補足】
敵は2章にも増して超巨大。
小さな島一つ分程もある巨大さの敵なので、機動力は依然として大事。
引き続きお好みの動物の力を借りて、戦場を駆け巡りましょう。
種族によっては、鳥の背に乗って飛ぶなんてこともできるかも……?
例によって、動物の力を借りればボーナスがつきます
前の章とは別の動物や、動物お任せも可、3章のみの参加も遠慮なくどうぞ。

※重要※
都合により2月12日(火)よりの執筆開始を予定しておりますので
プレイングの送信日にはくれぐれもご注意ください。
フィリップ・スカイ
キーラ(f05497)と参加。

え、キーラあれ欲しいの?置くとこねえだろ。
あんだけでかいとこっちの攻撃が通るかも怪しいですねえ。
ええ?何?口の中に突っ込んで攻撃するって?
俺の相棒はとんでもねえこと考えやがるぜ。
だが面白え。体の中は外側より弱いだろうしやってみる価値はあるか。

しかしどうやって飛び込むんだ、っと、キーラ、なにか考えがあるのか。
よし、任せたぜ相棒!俺は中に入ってからの攻撃に集中するぜ。

ここでもガジェットショータイム!
デカブツにも効くようなド派手なビームをお見舞いしてやりますよ。
周りは全部的だ、めくらめっぽう打ちまくって、穴だらけにしてやる。

適当なところで切り上げてさようなら、ってな。


冬晴・キーラ
フィリップの野郎(f05496)と合わせ希望。

うわ、でっか。
いいなー、キーラちゃんあれほしいなー★

でっけー生き物でも内面は弱い気がすっから、内側から攻撃しようぜ☆
そのためにはまず、あの空飛ぶアンコウの口の中に飛び込まねえとなー。
動物さんとぬいぐるみさんチームに手伝ってもらって、キーラ様とフィリップ揃って空まで放り投げてもらうぜー。
猿軍団さんにハシゴしてもらったり、お馬さんやサイさんにふっ飛ばしてもらったり、鶏さんに風で飛ばしてもらったり、ぬいぐるみを足場にしたりするー☆

中まで入れたら、マジカルメガホンで★をてきとーに飛ばしまくったるぜ★

着地は知らん。フィリップなんとかして☆




 立ち込める災厄の暗雲の下にあってなお、輝きを失わぬものがある。
 それは、宇宙を駆ける一等星たるキャプテン、フィリップ・スカイであったり。
 また、夢に溢れる星の輝きをその身に宿す少女、冬晴・キーラであったりするのだ。
「うわ、でっか。いいなー、キーラちゃんあれほしいなー★」
「いや置くとこねえだろ。しかしまあ、あんだけでかいとこっちの攻撃が通るかも怪しいですねえ……」
「でっけー生き物は体に入り込んで倒すのがお約束ー。内側から攻撃しようぜ☆」
 内側。つまりは、あの災厄の浮島の口の中に直接飛び込むということか。
 悠然と飛んでいるだけでも空気をひりつかせる巨大さ。
 確かに外皮をちまちまと攻め立てているだけで攻撃が通るかは怪しいところだ。
「つってもあの高さですよ? 何か策は?」
「そりゃもちろん、動物さんたちに手伝ってもらうのさ☆」
「……面白え。その賭け、乗るぜ」
 フィリップにキーラ……カジノ船を率いる二人が、どうして安牌を取ろう。
 狙うなら一点賭け、最高倍率のジャックポット。
 馬の機動力に任せて災厄の浮島から距離を取り、正面へと布陣。
 キーラがマジカルメガホンで動物を呼び寄せて。
 それからフィリップにしっかりお姫様抱っこしてもらったなら、準備は完了だ。
「……なあ。まさかとは思うんだが」
「しっかり衝撃に備えておけよー☆」
 フィリップが冷や汗を流すのも無理からぬ話である。
 なにしろ、キーラが呼び寄せ、今まさに助走と共に二人の背中に迫っている動物は。
 山神さえ吹っ飛ばした、あのサイさんなのだから――。
「うおおおおおおおおおッ!?」
 マジカルメガホンのマジカルパワーによる強化も手伝ってのことだろうか。
 サイさんの強烈な突進により、キーラを抱き抱えたフィリップが空高く舞い上がる。
 ちょっとやそっとのダメージをものともしない猟兵のバイタルに任せた強行策だ。
「軌道調整と突入は任せたぞー☆」
「無茶言ってくれますねえホント! ……ガジェットショータイムだ!」
 とはいえ、その無茶に応えるのがキャプテンの、そして相棒の仕事。
 掛け声と共にフィリップの背中に装着されたのは、小型のジェットパック。
 この高度での飛行に耐えうる代物ではない。だが……。
 災厄の浮島は、突然自分と同じ高さに舞い上がってきた二人の猟兵に対応する間もなく、ぽかんと大口を開けている。
 数瞬、あれに突っ込むための推進力さえ得られれば、十分!
「振り落とされるなよっと!」
「なかなか似合ってるぞ、フィリップー☆」
 フィリップ本人には見えなかっただろうが。
 背中に取り付けられたジェットパックは、ひどくファンシーなデザインで。
 マジカルメガホンよろしく、カラフルな星を噴射しながら、災厄の浮島の口内へと突っ込んでゆくのであった。

「持っててよかった極薄宇宙服!」
 口内、つまり生ぬるい温度を放つ災厄の浮島が舌に立つフィリップとキーラ。
 銀河帝国との決戦に備え猟兵たちがおのおの入手していた極薄宇宙服を身にまとっていなければ、たちまち唾液粘液まみれで嫌な思いをしていたに違いない。
 そしてここまで到達したならば、もはや二人を阻むものはない。
「よっしゃー、口の中にもお星様をたーんとくらえー★」
 瞳にもチョウチンにも星のような形状を宿していた災厄の浮島であるが。
 さて、体の内側からこれを撒き散らされては如何か。
 キーラが「はっしゃー☆」とメガホンに呼びかければ、魔法の星が、☆が、★が、次から次へと飛ばされて、災厄の中に可愛らしい流星群を踊らせる。
 もっとも、物理的にも尖ったマジカルな星の威力は決して可愛くはない。
「それじゃあ、撃って撃って、撃ちまくるとしますか!」
 指を鳴らして再びガジェットを呼び出すのはフィリップ。
 たちまち二丁の光線銃が現れ、フィリップの両手に握られる。
 ……なぜかやっぱり、キーラの得物に似たマジカルなデザインであったが。
 引き金を引くたびに放たれる虹色の光線は、災厄を焼き切るに十分な火力。
 加えて今や四方八方、天の光もすべて的、外せという方が無理な注文だ。
「めくらめっぽう下手な鉄砲、何を撃っても当たるってのは気分がいいな!」
「キーラ様を食べたらお腹壊しちゃうんだぞー★」
 ひたすら口内で大暴れを繰り広げるうちに、激しい振動が二人を襲う。
 災厄の浮島が痛みに悶え、その巨体を捩らせているのだろう。
 かの身を苛むダメージが如実に伝わってくると同時に。
「……やべえ、口が閉じる!」
 薄暗くなってゆく口内、その異変に真っ先に気づいたのはフィリップだ。
 開ききっていた災厄の浮島の大口が……二人の脱出口が、閉じようとしている。
 それと同時に襲い来る激しい風圧……二人まとめて呑み込もうという腹らしい。
「ところがどっこい、こんなこともあろうかとー☆」
 メガホンを構えてキーラが呼びかけると同時に、甲高い鳴き声が二人の耳に届く。
 マジカルメガホンの呼びかけにより、浮島に飛び移ってきた動物さん一行。
 すなわちあの猿軍団が、力を合わせ、閉じる寸前の口を支えているのだ!
「……これは後でバナナぐらい奢ってやるべきですかね。キーラ!」
「あいよー」
 再びしっかりキーラがフィリップの腕へと収まったなら。
 突入時と同様にジェットパックを点火、フルスロットルで生温い口内を脱する!
 清涼な空気が二人を包むと同時に、猿軍団も次々自由落下の姿勢へ。
 キーラの指示によって待機していたニワトリたちが、白い羽を撒き散らしながら猿たちをキャッチしては、パラシュート降下のようにゆっくり地上へと運んでゆく。
 口内をズタズタに打ちのめされた災厄の浮島は痛みに喘ぎ、周囲一帯に響き渡るほどの低い苦悶の声を轟かすばかり。
「さようならってな、デカブツ! 」
「なーなー、フィリップー」
「はいはい、何ですかね?」
「着地のこと考えてなかったー☆」
「最後の最後でカッコつかないとか勘弁してくれませんかねええええぇぇぇ!?」
 やがて落下のGを身に受けながら、浮島の悲鳴をも切り裂くフィリップの絶叫。
 腕の中のキーラはといえば、アトラクションでも楽しむかのようにきゃっきゃと一興。
 落下地点で待機してくれていたぬいぐるみさんチームがクッションとなり、何とか地面への直撃だけは免れた両名であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シキ・ジルモント
◆SPD
引き続き月毛の馬に騎乗する
悪路をものともしない走りは見事、今回も頼りにしているぞ相棒

銃弾が通りそうな部分は頭…顔だろうか
前面を狙えるように敵の前を走らせ、攻撃の際は自分が振り返る
閃光は敵の動作を観察、妙な動きを見せたら『見切り』、前を向いて敵に背を向ける事で回避する

閃光後、敵が近づく体当たりは『カウンター』攻撃のチャンス
ユーベルコードを発動、『2回攻撃』でさらに追撃
触覚の先端部分をピンポイントで狙う(『スナイパー』)

攻撃の瞬間、悪路を『地形の利用』でジャンプ台のように使い、『騎乗』技術をフルに使い高く跳躍させる
できるだけ敵に近づく事で命中率を上げ、跳躍で稼いだ距離で体当たりを回避したい


クラウン・メリー
うわぁ、すっごく大きいボスだね!
他の猟兵さん達がきっと浮島を攻撃すると思うから俺は竜達を倒すぞ!!

空が飛べる鳥さん達と
地上にいる角を持ってる動物さん達に力を借りようかな?
勿論、皆には【オーラ防御】をするよ!

まずは、俺のマジックを見てもらうよ!
沢山のフリチラリアで竜達を目眩ましさせて、なんとそこから大きな大玉が出てくるよ!

しかも空中に浮いてるよ!きっと竜達も驚くよね!

【鎧も砕く】大玉を自由自在に操って竜に攻撃するよ!

その隙に鳥さん達も嘴で攻撃だ!

もし、竜達が地上に落ちたら
この火の輪で【属性攻撃】するよ!

角を持ってる動物さん達にも
体当たりをしてもらおう!

皆で力を合わせたら最強だね!

アレンジ大歓迎!




「次から次へと……!」
 災厄の浮島と並走しながら、月毛を持つ馬の背にまたがったシキ・ジルモントが眉間に皺を寄せる。
 浮島本体へ攻撃を仕掛けようにも、上空から飛来するドラゴンがそれを許さない。
 撃ち落とした先から新たなドラゴンが飛来し、襲撃を仕掛けてくるのだ。
 オブリビオンとして既に生命の範疇を外れたか、物量の底に限りはないと見える。
 どうにかして、奴らを振り切れはしまいか。
 思考を巡らすうち、ふと、シキの鼻孔をかすめる花の香りがある。
 たちまち吹き荒ぶのは、フリチラリアが花弁の嵐。
 花びらに纏わり付かれたドラゴンが次々に金切り声をあげて、翼をばたつかせる。
 やがて鱗持つ翼の間を縫うようにして、月面宙返りと共に現れる影一つ。

「……ご注目あれ! 本日最終演目の幕開けだよっ!」
 華麗な着地でもって戦場に降り立ったのは、道化……クラウン・メリー。
 舞い散る花びらの中、彼もまた踊るように、挑発するようにホップ、ステップ。
 フリチラリアによる妨害がクラウンの仕業と気づけば、ドラゴンたちの矛先も変じる。
 それこそまさに、クラウンの狙い通り。
 言葉の代わりに、馬上のシキに向けてウインクを飛ばしてみせたならば。
 意図を察したシキもまた、自身が跨る月毛の背を叩き、竜の追撃から逃れてゆく。
 ドラゴン達の気を引きつけ、浮島を孤立させる目論見はこの時点で成功だ。
 だが……無論、クラウンとて、黙って奴らの餌食になるつもりは毛頭ない。
 唸り声と共にまさに急降下せんとするドラゴンを前にしても、動じることはなく。
「まあまあ。まずは俺のマジックを見ていってよ!」
 クラウンが指を鳴らしてみせれば、それがショーの本格開演の合図。
 宙を舞っていた花びらが一箇所へ寄り集まった、かと思えば。
 瞬く間もなく、花びらの群れがクラウン愛用の大玉へと変る!
 種も仕掛けもありはしない。
 言うなれば、フリチラリアの花弁たちが真の姿を現しただけ。
 無数の花弁は、端からクラウンの『道化師手品』で姿を変えた大玉だったのだ。
「びっくりしたかな? でも、まだまだこれから!」
 クラウンが両手で指揮をしてみせれば、物理法則さえ蹴飛ばして大玉が暴れ回る。
 右へ左へ宙を舞い、襲い来るドラゴンを次から次へと叩き落としてゆく!
「さあおいで、ショーは賑やかじゃなくっちゃ!」
 さらにクラウンが勢いよく片手を振り上げれば、ステージ上には新たな演者たち。
 ニワトリ達に牧場周辺に住まうカラスをはじめとする鳥が一斉に羽ばたく!
 災厄を打ち砕き、住処を守らんとするため、中空に残るドラゴンへ果敢な突撃。
 かろうじて大玉を避けた個体も、物量で攻めてくる翼の戦士団に怯みを見せる。
 オーラの守りをクラウンに与えられた鳥たちは、多少の反撃をものともしない。
 他方、地に叩き落とされたドラゴン達が再び舞い上がらんとしたならば。
「そうれ! みんな、練習通りにやれば大丈夫!」
 クラウンが放り投げた火の輪が跳ね回っては、それらを許さない。
 のみならず。
 真っ赤にゆらめく火の輪を目印に突撃してくるのは、剛き角持つ雄牛たち!
 猟兵たちの、クラウンたちの戦いによる鼓舞……そして故郷を守らんとする意思。
 心のうちに武器を携えた雄牛たちにとって、地に落ちた飛竜など物の数ではない!
 次々にドラゴンが鈍い音を立てて撥ね飛ばされ、三回転半のち地に叩きつけられた。
 力尽きた肉体が炭化し、骸の海へと還ってゆく。
「最高だよ、みんな!」
 朽ちた先から、ドラゴンたちは絶え間なく浮島より飛来する。
 だが、それを前にしたとて、クラウンの笑顔は決して絶えない。
 『人を喜ばせる』ために研鑽を重ねられた妙技。
 なれどもクラウンの手にかかれば、それは骸の海より蘇りし過去を討つ刃ともなる。
「さあ……このままフィナーレに導こうか!」
 もはやクラウン・メリーの舞台に、成功以外の結末はあり得はしない!
 
 ドラゴンの襲来から逃れたシキを追撃せんと動き出したのは、災厄の浮島本体だ。
 触覚がゆっくりとしなるような動きと共に、その先端に眩い光が収束させてゆく。
(何かが、来る――!)
 その予備動作を、異変を見逃すシキではない。
 戦場で培ってきた観察力は、秒を数える間も無く方向転換を決断させる。
 転瞬、触覚から放たれた周囲一帯を包み込むほどの激しい閃光。
 ……だが、シキが操る月毛の動きは、一瞬たりとも止まらない!
 あの災厄が何を為さんとしているかなど、外貌でおおよそ察しがつこうもの。
 光によって視界を奪わんとするならば、ただそれに背を向ければいいだけのこと。
 単純極まる対策は、しかしこれ以上ない効果を発揮する。
 災厄の浮島も破れかぶれ、ゆっくりと降下を行い、体重に任せた体当たりを狙うが。
「的の方から近づいてくれるとは、親切なことだ」
 みすみす射程範囲に入ってきた獲物を、シキが逃そうはずもない。
 振り返りざまの連続射撃は正確に浮島の触覚を捉え、弩級の肉体が痛みに悶える。
「一気に行くぞ、相棒」
 遥か上空をゆく浮島が高度を落とした今こそ、まさに好機。
 先の戦闘で踏み荒らされた地形をものともせず、シキの意を汲んで月毛が疾駆する。
 方向転換でもって災厄の浮島へと向き直ったならば、残る狙いは一つ。
 跳躍に適した、高台の確保だ。
 幸いにして、探すまでもなく、絶好の〝高台〟はそこら中に転がっている。
 他の馬であればいざ知らず。
 悪路走破に長けた月毛であればこそ、それらを跳躍台へと変えることができる。
 それは高原が戦場へと姿を変えてこそ、初めて姿を現した地形。
 ……即ち、山神の骸!
 横たわる巨体へ飛び移り、枝葉を踏み砕き、荒々しい幹の上を月毛が走る。
 浮島を指し示すように突き上げられた幹の腕は、或いはかの災厄に追い立てられた山神が残した執念、最後の一矢か。
 直角と見まごうその急勾配を前にしたとて、月毛は速度を落とさない。
 ――己を相棒と呼んだ男の前で、無茶を通さずして何とする!
 山神の腕を一息に駆け上がり、また騎手であるシキの技術に任せ、先端ギリギリでの跳躍。
 澄み渡る空の下、日差しを受け、月毛が……そして、シキの構えた銀の銃身が煌めいた。
 狙いは一つ。いかに、あの災厄が強固な外皮に覆われていたとしても。
「〝そこ〟だけは、守れねえだろ」
 見据え、視線を交わす。
 撃ち抜くべきは、大きく見開かれた、その瞳。
 着地までの刹那の間に、引き金が引かれること、二度。
 『コンセントレイト・ラピット』……目に留めようもない早業。
 かの災厄からすれば、矮小な蟻ほどの大きさしか持たぬ弾丸であれど。
 正確無比、同箇所より瞳孔を貫き通さば、命をも脅かす必殺の魔弾となる。
 苦痛に苛まれ、空をゆく災厄の叫びがこだまする。
 雷鼓をも想起させる恐るべき大音声は、しかし、猟兵が勝利への一手を詰めた証。
 牧場の命運をかけた戦いが、決着の時を迎えようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レムナント・ノア
動物達と触れ合おうと試みること数日間――馬の乗馬拒否にはじまり
羊も鳥も猫ちゃんも皆わたくしから逃げて行きましたわ!
唯一、馬の後ろに立ってはいけないと言う学びを得ただけ……。

良いですもんわたくしにはタマちゃん(ライオンライド)がいますから!
ねータマちゃん……ってイヤアアア!! 空に大きなアンコウモドキ!!
目が合う前に真下に潜り込んで死角に入ります!

周りを飛んでるドラゴンが他の猟兵に向かったところを狙って
【だまし討ち】で横槍ならぬ横猫パンチですわー!
複数相手なら【敵を盾にする】よう動き回りますわね。

さあさ、どうぞ本体へ向かってくださいな。
わたくしにあの高さまで届く攻撃手段を期待しても無駄ですわよ!


ルフトゥ・カメリア
……またなんか面倒くさそうなもんが。
飛んでも良いんだが、……って、あー分かった分かった騎馬戦続投な。怒んなよ。

……つってもな、でけぇしどうしたもんか。
折角だ、背中に乗り込んでライドしながら背中の森燃やし尽くしてやろうぜ。
テメェはただひたすら走り回れれよ、あとは俺がやる。
背に飛び乗ってからUCを使用して森に放火しながら駆け抜ける、頼りにしてんぞクロイーゼ。
走るのに邪魔な枝はバスターソードで打ち払い、ドラゴンにもこの馬は傷付けさせる気は毛頭ない【2回攻撃、怪力、鎧砕き、かばう、オーラ防御、カウンター、武器受け】
【第六感】が導く通りに走り抜けるさ、背中が火の海なら下を気にしてる余裕も減るだろ!


フルール・トゥインクル
お、大きいのです!私なんて何てすごくちっぽけな……って驚いてる場合ではないですね。何とかしないとです!

空を飛べる鳥さんたちに頼んで、背中に乗せてもらって、さらに群れて敵に向かってもらうのです
私はエレメンタル・ファンタジアで光属性の竜巻を生み出すのですよ
竜巻なら敵が視界を遮ろうとしても吹き飛ばせるはずなのです
もちろん、鳥さんたちを巻き込まないように細心の注意を払うのですよ

切り抜けたら鳥さんには突撃、私はそのまま口の中目掛けて竜巻を投げつけるのです!
小さい私たちでもまとまって立ち向かえば脅威になるのですよ!




 頭上を覆う影は、もはや立ち込める暗雲そのものと呼ぶべき代物であり。
「お、大きいのです!」
 当然の認識でさえ、改めて口にしなければならぬ衝撃。
 フェアリーの身であればこそ、自身の体躯の小ささを再実感させられ、フルール・トゥインクルは驚きに目を見開いていた。
「……驚いてる場合ではないですね。皆さん、お願いするのです!」
 桜のハープをかき鳴らし、フルールが集まった鳥たちに語りかける。
 災厄の浮島の飛来によって住処を脅かされるのは、もはや牧場の動物ばかりではない。
 高原に住まう鳥たちもまた猟兵の意思に感化され、いっとき力を合わさんとしている。
 ニワトリ、カラスに鳩、さらに飛来するは、高原の空を征く王者。
 〝彼〟は、飛来せし災厄、暴君がこの豊かな地を荒らすことを是としない。
 一羽の大鷹がフルールの側に降り立ち、「乗れ」とひと鳴き。
「ありがとうございます。さあ皆さん、私が導きます。一緒に飛ぶのですよ!」
 フルールが背に掴まり、大鷹が飛び立つのを合図に他の鳥も一斉に羽ばたく。
 目指すは災厄の浮島が眼前。
 制空権を握らせまいと飛びはだかるは、浮島より放たれたドラゴンの群れ。
 事ここに迫り、ドラゴンの群れはいっそう物量を増す。
 炎、氷、雷、多様な属性のブレスを前に、鳥の群れなどまさしく烏合の衆。
 ……などとは当然、フルールがさせるはずもない。
「誰も傷つけさせはしないのです……絶対に!」
 ハープをかき鳴らしながら発生させるのは、光の竜巻。
 炎を払い、氷を砕き、雷を飲み込んで、道を塞ぐ竜さえ吹き飛ばす!
 獣奏器たるハープによる指示で鳥たちも散開し、竜巻を綺麗に避けてゆく。
「うう、それにしても数が多いのです……ああっ、危ない!?」
 敵も必死、それでもなお食らいつかんと追いすがる竜は数知れない。
 一頭の牙がまさに大鷹の尾を掠めんとした、その瞬間。
 されどその身に牙を突き立てられたのは、ドラゴンの側であった。

「オホホホ、ナイスですわタマちゃん!」
 フルールを襲わんとしたドラゴンを地に組み伏せ、タマちゃんこと金色の獅子がその首を掻っ切る。
 背に跨るレムナント・ノアの高笑いに、上空のドラゴン達も地を振り返る。
 ……レムナントと獅子だけではない。
 牧場の動物たちも次から次へ戦場に飛び出し、ドラゴン相手の大立ち回り。
 怪我を負えば牧場へと退避し、次手に繋ぐことで死者をも出さない。
 その手際は牧場の人々による的確な支援、そして何より猟兵の加護あればこそ。
「地上の動物ちゃん達は任せて。妖精ちゃんはどうぞ本体に向かってくださいな!」
 どのみち空高くをゆく浮島を攻撃する手段など持ち合わせていない。
 ならば己の領分で力を発揮し切るのが最善。
 時に奇怪な振る舞いを見せながらも、レムナントの判断は極めてクレバーであった。
「ありがとうなのです、お兄……ええっと、お姉さん!」
 レムナントの振る舞いにほんの僅かばかり戸惑いを覚えたフルールであったが。
 頼れる味方であることだけは、間違いない。
 笑顔を返礼として、鳥の群れたちが空ゆく災厄めがけて飛翔してゆく。
「……これであのアンコウモドキとも目が合わずに済みますわね!」
 まあそれはそれとして、超巨大チョウチンアンコウが怖くもあったレムナント。
 浮島の真下という死角であれば、安心してドラゴンの相手を務められるというもの。
「それじゃあどこからでもかかっていらっしゃ……イヤアアア!?」
 華麗に名乗りでも上げようとしたというのに、ドラゴンはその隙を逃さない。
 レムナントの背後から奇襲を仕掛けんとした、が。
 フルールを救うべくレムナントがそうしたように、彼……否、彼女と呼ぶべきか。
 彼女を襲う影をもまた、振り払わんとする、小さく果敢な獅子たちがいたのだ。
「……ネコチャン!?」
 そう。ドラゴンたちに飛び掛かったのは、レムナントが牧場へ追い込んだ猫たち。
 小さな爪など、強靭な鱗を前にして本来ならば歯が立つはずもない。
 だがレムナントもまた、獣奏器を持つビーストマスター。
 彼女の周囲に集まる動物たちは埒外の力を与えられる。
 結果、猫たちによる連携攻撃は、見事レムナントを襲わんとしたドラゴンの翼を切り裂いた!
「ネコチャン!!」
 感涙にむせぶレムナントの声に、猫たちが一瞬竦みあがる。
 だがそれはそれとして、この浮島の襲来により、猫たちも理解したのだ。
 曲がりなりにも、レムナントが自分たちの命を救おうとした恩人であると。
 そしてまた、猫たちは幻想の王とも呼ばわるべき存在を……ドラゴンを、恐れない。
 理由は至極単純。
 先だって、とある恐ろしい存在に追い回された猫たちにとって。
 もはやドラゴン程度、恐怖の対象ではないのだ!
「わたくしもいいとこ見せなくちゃ! 横槍パンチ! 横猫パンチ!!」
 九死に一生を得た猫たちが即座に散開、素早く動き回ってドラゴンを翻弄。
 これにより隙が生まれたなら、レムナントが駆る獅子が猛く突進し、鱗に包まれた肉体を吹っ飛ばす。
「一ついいこと教えてあげますわ」
 ドラゴンが吹き飛ばされて転がった先は、戦場で暴れまわる動物の背後。
 より正確に言えば、一頭の大柄な馬、その足元。
「……馬の後ろには、立ってはいけませんのよ!」
 勢いよく振り上げられた馬の後ろ足は、美しいほど正確に、ドラゴンの顎を捉えた。
「オホホホホ! あれマジで痛いんですのよ!」
 獣奏器をかき鳴らしながら、誇らしいんだか悲しいんだか不明な経験則を叫ぶ。
 百獣の王とその主に率いられ、地上の動物たちが力強く吼えるのだった。

「……届いたのです!」
 レムナントの支援により、フルール達も見事に災厄の浮島の頭上を取った。
 大鷹に率いられた鳥の群れを、浮島の巨大な瞳が睨めつける。
 小さな生物どもであったとて、もはや捨て置くことはならぬと理解しているのだ。
 大きく開かれた口から雲状の濃霧が吐き出し、フルール達の視界を塞がんとする。
「させはしないのです……光は、みんなを勝利に導くのですよ!」
 ハープをかき鳴らせば再び光の竜巻が巻き起こり、たちまち濃霧を吹き飛ばす。
 霧を晴らす風と光、フルールがこの技を選んだのは、皆を導く最善の一手を考えてこそ。
「突撃なのですっ!」
 いざ指令が降れば、白黒茶色、混じり混じった鳥の群れは一斉に浮島へ突っ込む!
 外皮にまとわりつかれ、瞳を突かれ、激しく身体を震わして抵抗するも。
 反撃あらば鳥たちも素早く転回、次なる一群が間髪を入れずに浮島を襲う。
「小さい私たちでも、まとまって立ち向かえば脅威になるのですよ!」
 力を合わせれば、どんな大きな敵だって打ち倒せる。
 小さなフェアリーに生まれついたフルールであればこそ、誰よりそれを理解していた。
 大鷹が風を切って急降下、一挙に浮島へと接近したならば。
「これでも食べて、大人しくなるのですっ!」
 一等巨大な竜巻を生み出し、霧を吐き出すべく開かれていた大口へと放り込む!
 内側からの攻撃が有効であるのは、先だって他の猟兵たちが証明していた。
 体内を暴れまわる竜巻がもたらす衝撃に苦しみ、災厄の浮島が、大きく高度を落とす。
 空を征服せし災厄が、今、地に墜つ。
 すわ勝利の時かと、こみ上げる歓喜に皆が打ち震えんとした。
「――っ!? みんな、危ないのです!」
 だが、フルールが危機を察知し、大声で叫ぶ。
 災厄はまだ、終わっていない。
 触覚に収束してゆく光は、戦場すべてを包み込む閃光の前触れ。
 あれを真正面から受けては、目が眩むばかりでは済まないだろう。
 空をゆく鳥たちはすべて地に叩きつけられ、命を落としかねない――!
「みんな、急いで……」
 鳥たちを避難させんと、フルールがハープを鳴らす。
 間に合えと祈れども、容赦なく触覚の先端は輝きを増してゆき。

 そして浮島が力を振り絞り、閃光を撒き散らさんとした、その瞬刻。
 ――漆黒の稲妻が、空を翔た。
 閃光の衝撃に身構えた猟兵たちも、そして当の災厄さえも、呆気に取られる。
 灼熱の温度が残した軌跡は蜃気楼のようにゆらめけど。
 焼き斬られ、眼下へ落下してゆく触覚が、刹那の一閃を現実であると知らしめる。
「思い通りにさせるとでも思ったかよ?」
 晴天の下に鳴りはためく黒き雷……すなわち、ルフトゥ・カメリアと、彼を背に乗せし牧場屈指の暴れ馬にして駿馬、クロイーゼ。
 風をも置き去りにせん速度と、岩をも砕かんばかりの轟然たる疾走。
 為したことそのものは、至って単純。
 助走からの、跳躍だ。
 ……ただその速度と跳躍力が、いささか桁外れであったが。
 他の猟兵たちの活躍によって浮島が高度を落としたお陰で、彼らが、届いた。
 空を飛ぶことなけれど、遙か地を置き去りに跳んだ両者の姿は、今や浮島の上にある。
 黒き翼と漆黒の馬身は、災厄を穿つ黒点。
 ルフトゥの翼であれば、或いは自ら飛翔して災厄の浮島へと肉薄することも適ったろう。
 だが、生まれ育った牧場の危機を前にしての意思。
 そして何より、最後までルフトゥと戦い抜かんとする意地。
 暴れ馬クロイーゼの……相棒の意を汲み、ルフトゥはその背を頼ることに決めた。
「――駆け抜けるぞ、クロイーゼッ!」
 ルフトゥがバスタードソードを構え直して叫ぶと同時に、クロイーゼが嘶く。
 跳躍の勢いを残したままに、加速は急駛へと至る。
 その背を走路として駆ける力強き一歩一歩さえ、災厄の浮島には仇となる。
 クロイーゼに、悪路を丁寧に走り分けるような器用さはない。
 浮島の背には無数の木々に岩山、真っ直ぐ走り抜けるのは困難を極めるだろう。
 ……もっとも、それもまた、クロイーゼ一匹であれば、の話だ。
「傷一つつけられるもんなら、やってみろ……まとめて焼き尽くしてやらぁ!!」
 荒々しくも、共に戦う動物たちを倒れさせまいとする意思はルフトゥもまた同じ。
 駆け抜けるは直感と相棒に任せ、そしてまたその速度に任せ、振り抜かれる大剣。
 ルフトゥの怪力にクロイーゼの疾さが掛け合わさり、生まれるのは無双の破壊力。
 地獄の炎を纏う刃が力任せに振るわれる度、背上の森は雨露より容易く払われる。
 浮島の危機を察知し、地上で戦っていたドラゴンが飛来したとて。
「邪魔だ!!」
 その結末は〝一刀両断〟の四字で全て物語れよう。
「トドメといくか、クロイーゼ!」
 数十秒の間に浮島を端から端まで走り切る脚力は、今やその尾びれを眼前に捉える。
「……まさかこの程度が最高速とは言わねぇよな?」
 ルフトゥの不敵な笑みに、クロイーゼもまた唸って返す。
 ――知れたことを言うな!
 加速のままに、双つの漆黒は疾風をも突き抜ける。
 ルフトゥが姿勢を傾け、バスタードソードを浮島の肉体へ突き立てたなら。
 振り落とされそうなほどの速度のまま、刃が黄なる巨体を灼き斬り、引き裂いてゆく!
「燃え……堕ちやがれッ!」
 際よりクロイーゼが跳び立つと同時に、振り抜かれた炎の刃が弧を描き。
 山と見紛う尾びれを真っ二つに両断する一撃が、災厄の浮島に、最期を見舞う。
 地獄の炎に包まれ、見上げる巨体は煙を立ててたちまち黒く炭化し、焼け落ちてゆく。
 時を同じくして、地上の動物たちが相手取っていたドラゴン達も、同様。
 骸の海より共に出でた存在、主たる浮島を失えば、あれらも消える道理なのだろう。

 一つの牧場の、そして高原に住まう命を脅かす災厄は、今ここに潰えた。
 高らかなるは、鳥たちの歌。
 勇ましきは、地をゆく獣たちの嘶き、咆哮。
 そして勝利を祝する、猟兵たちの大歓声。
 あらゆる生命が、取り戻された平和を祝福し、空の向こうにまで届かせていた。



 牧場で開かれた宴にて、戦いを共にした動物たちを労い、また別れを告げて。
 猟兵たちはそれぞれの世界へ、日常へと戻ってゆく。
 ドーヴツォルワ牧場に住まう動物たちもまた、彼らの在るべき日々へ。
 望めばきっと、いつでもまた牧場の人々は猟兵を歓迎するだろう。
 動物たちもまた、君たちとの別れを惜しみ、また共に駆ける日を望む。

 そしてこれは、ほんの余談だが。
 ドーヴルツォルワ牧場には以後、ひとつの風評が流れることになる。
 曰く、とある地方のその牧場には、野盗をも狼をも恐れぬ動物たちがいるのだとか。
 勇士と共に災厄を退けた、その動物たちは……。
 羊や馬、ニワトリでさえ、牧場を脅かすものに立ち向かい。
 あまつさえ勝利を収め、追い返してしまうのだとか。
 さてはて、酒場に流れる馬鹿話と、エールの一杯と共に飲み干されるばかりだが。
 真偽のほどは、語るまでもあるまい。
 戦友たる君たちだけは、それを、よく知っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト