4
雪空の守り人

#UDCアース #お祭り2020 #クリスマス

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース
🔒
#お祭り2020
🔒
#クリスマス


0




●みんな集まれ、この町に
「みんなー! メリークリスマスだよー!」
 ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)を装備した幼女ボディの花園・ぺしぇが元気よく声を上げる。
「あのね、今日はクリスマスだからね、UDCアースでクリスマスのお祭りやってるの! だから皆でそこに行こうよ!」
 折しも今日はクリスマス。様々な世界でクリスマスパーティやイベントが行われており、多くのグリモア猟兵がそれらを紹介している。ミルケンもまたそれを紹介しようと言うのだろう。
 そしてどうやら彼女が紹介するのは、ミルケンの出身地とも目されるUDCアースでのことらしい。
「あのね、行って欲しいのはUDCアースのそこそこの大きさの町だよ。ここが元々お祭り好きなところで、町を上げてクリスマスのイベントをやってるんだって!」
 表向きはかなり平和な世界の部類に入るUDCアースだ、きっと何気兼ねなく楽しめる祭りだろう。だが一部の猟兵は妙に渋い顔をしている。ミルケンが紹介する、UDCアースのお祭り好きの町……それに妙な不安を感じる猟兵が若干名いるようだ。
「みんなどーしたの? あのね、この町では今色んなものをクリスマス風にアレンジするお祭りがやってて、十種の野菜と貝を入れたトナカイうどんとか、サンタさんみたいにマグロとイカを合わせ盛りしたクリスマ寿司とか、そーいうのがいっぱいあるの!」
 やっぱりあそこか……という感じのため息が一部猟兵から漏れる。だが今回は変なイベントこそやっていれど、戦いのある依頼ではない。その点においては安心してもいいだろう。
「もちろんケーキ屋さんとか洋食屋さんは普通にクリスマスっぽいメニューも置いてるよ! あとノリのいい人が多いから、クリスマスっぽい仮装をしてくとサービスしてくれるかも! 思い切った格好の方が受けがいいから、例えば、サンタっぽいビキニ水着とか!」
 やけに例が具体的なのはこの際気にしない方がいいだろう。ともあれ、ノリのいい町でちょっとふざけたクリスマスイベントを楽しむ、ただそれだけの休暇に近い依頼だ。変に構える必要はあるまい。
「静かに過ごしたい人にもちゃんとそう言うおたかいおみせ? ってのがあるらしいから、そっちでゆっくり過ごせたりもするよ! 夜には雪も降るらしいから、そう言うロマンチックなのは夜にやるといいんじゃないかな? でも積もるほどじゃないから雪遊びは出来ないよ! それじゃ、楽しんできてねー!」
 屈託ない笑顔でそう言って、ミルケンはグリモアを起動し猟兵たちを送り出した。


鳴声海矢
 メリークリスマス。鳴声海矢です。
 今回はUDCアースでちょっとはっちゃけ気味なクリスマスイベントを楽しんでいただきます。
 舞台は拙作『過ぎ去りしイベントを求めて』『少女と触手と快楽と金がないサキュバス』で舞台となった、やたらと変なイベントをやりたがる町です(読んでいなくても問題はありません)。
 各商店がクリスマスにこじつけた商品を数多く出していますので、それをお楽しみいただくのがメインとなります。かなり無理矢理な品も多数あると思いますので、『なんだこれは!?』とか『まさかこんなものはあるまい……』とか言うと大体そんなものが出てきます。お好きに捏造してください。
 他にも野外パーティ風のグルメイベントや参加型イベントなど色々行われています。町全体がノリのいい気質なので、恥ずかしがるより思い切った行動を取った方がサービスしてもらえるかもです(もちろん公序良俗に反しない範囲で、ですが)。
 派手なノリが苦手な方は、夜に高級レストランなどで大人のデートをお楽しみください。ちらつく程度にですが雪も降ります。こちらははっちゃけ成分控えめになります。

 なお、商店街の一角にあるテナントが入ったばかりの貸店舗にはなぜか入ることができません。入ろうとしても不思議な力で描写が消されます。でもそこから出てくる猟兵はいるかもしれません。なぜか。
 またお声かけ頂ければミルケンもご同行いたしますが、ボディはぺしぇと桃姫のみご指名いただけます。アカリはなぜか忙しくて参加できないようです。なぜか。

 最後に、このシナリオはクリスマスに合わせたものということで、オープニングの公開期間が短くプレイング受付も短めになると思われます。ご参加の方はお早目のプレイングをお勧めいたします。

 それでは、よろしくお願いいたします。
138




第1章 日常 『UDCアースのクリスマス』

POW   :    美味しいパーティー料理を楽しむ

SPD   :    クリスマスイベントに参加したり、観光を楽しむ

WIZ   :    恋人や友人との時間を大切に過ごす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 クリスマスの日。その町は冬だというのに異様な熱気に包まれていた。
『クリスマス限定商品、ターキーレッグ弁当680円!』
『クリスマスケーキだと思った? 残念、イチゴを乗せた入荷したての鏡餅でした!』
『モミの木にちなんで本日はもみほぐしコース60分2800円』
 強引すぎる売り文句が町のあちこちに並び、客たちも楽しそうにそれを見ている。さらに店員のみならず、一般客すらサンタやトナカイの格好をして歩き回り、誰がスタッフで誰が参加者なのかすらも遠目には判然としない状態だ。
 踊る阿呆に見る阿呆というが、見ながら踊るのがこの町の流儀なのだろう。せっかくここに来たのだから、ここは巻き込まれてしまうのが礼儀と言えるかもしれない。
 さあ、ここからは楽しんだもの勝ちだ、クリスマスを遊び倒せ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
此方の町は時折来ている気がしますが。
これはまた、楽しそうですねぇ。

桃姫さんをお誘いし、一緒に回りましょう。
『グルメイベント』が有るみたいですから、其方で食べ歩きが良さそうですねぇ。
保存のきく珍しい品、特に量が多めの品が有りましたら、お土産に買って帰りますぅ。

そして、どうやら『クリスマスに因んだ食べ物』を使った『大食い大会』が開かれているみたいですねぇ。
ペア参加の部が有るとのことですし、折角ですから参加させていただきましょうかぁ。
桃姫さんは無理のない範囲で食べていただければ大丈夫ですよぉ?
【豊饒現界】で[大食い]を強化すれば、殆ど食べられると思いますので。



 クリスマスでにぎわうUDCアースの町。その町を二人連れの少女が歩いていた。
「此方の町は時折来ている気がしますが。これはまた、楽しそうですねぇ」
 そのうちの一人、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は町を見回しながらそう言う。その通り、るこるは何度かこの町に来たことがあるのだが、ゆっくりお祭り騒ぎ中の町を見て回るのはだいぶ久しぶりの事である。
「るこるさん、お誘いいただきありがとうございます」
 その隣で、彼女に誘われて来たグリモア猟兵ミルケン・ピーチのボディの一人花園・桃姫が軽く頭を下げた。事件のない平時ということもあり彼女も普段の奇抜な衣装ではなく、普通の格好である。最もそれでも、一部はるこる共々服を突き破らんばかりに自己主張しているのだが。
 そんな二人は主に食べ物関係の店を回り、ジンジャークッキー、ブレデル、クラビエデスと言ったクッキー類や、シュトーレンやパネトーネのようなパン類、ヨウルトルットゥというパイなど、ある程度日持ちしそうなものをお土産として買い込んでいく。特にその中でもお徳用袋に詰め込まれていたり、イベント内で目立つための集客用の意味も込めた大盛セットなどの量のある品を中心に選んでいるため、二人の荷物は結構な量となっていた。
 そうして年頃の少女二人には一見多すぎる……実の所そうでもない量の食べ物を買いながら、二人はやがて町中の大きな公園を使って行われているグルメイベント会場へと辿り着いた。
「やっぱり、こういうのはやっていましたねぇ」
 以前訪れた際のイベントでも大食い大会をやっていたのでもしや、と思ったるこるの予想は大当たり。どうやらペア部門もあるようなので、桃姫と二人でそちらにエントリーするるこる。
 しばらくして二人の出番がやってきて、二人は壇上へ上がりテーブルへと付いた。二人が着席すると、一斉に会場からどよめきが起こる。
「すげぇ、何だあの量は……」
「特盛が4つも乗ってやがる……」
 あまりの盛りの凄さに、会場の視線は二人に釘付けである。なお料理はまだ運ばれてきてはいないが、きっとこれからでる料理の盛りを予想しての言葉なのだろう。
 そして程なく、料理が運ばれてくる。その料理はなんとサンタとトナカイ……の形をした、各種料理の盛り合わせ、というか組み合わせである。
 サンタの赤い服部分はトマトやパプリカのサラダ部分にイチゴやサクランボのデザート部分。赤みの刺身の盛り合わせと部位ごとにメニューが違う。白い髭は綿菓子で、肌は蕩けるピーナッツクリームが塗られて色を出している。乗っているソリはチョコレートを大きな板状に成形して張り合わせたもの。トナカイの茶色い毛皮はカット前のシュラスコの外側部分で、角は極太に焼かれたプレッツェル。顔の先端に真っ赤なお鼻のスモモが一個ついているのが憎らしい。
 その食べられるサンタオブジェを前に、るこるはそっと手を合わせる。
「大いなる豊饒の女神、《楽園の地》の豊かなる恵みと力をお貸しくださいませ」
 それは食事前のお祈り……などではなく、【豊乳女神の加護・豊饒現界】の発動。ただでさえも高い大食い能力をさらに強化したるこるは、平然とサンタにかぶりついた。
「ん~、やっぱり美味しいですねぇ。ここの町の方は本気で遊ぶということを分かっておられるようで。あ、桃姫さんは無理のない範囲で食べていただければ大丈夫ですよぉ?」
 そう言ってサンタを平らげながら、桃姫に目を向けるるこる。桃姫はそれを聞いてしばらくは端っこを少し切っては齧る、という遠慮がちな食べ方をしていたが、やはり料理の味がいいのか少しずつスピードが上がり始める。
「る、るこるさんにだけ苦労させられないので!」
 まるで自分に言い訳するような言葉と共に、トナカイの脚部になっている肉一本をまるまる切りだしかぶりつく桃姫。その顔は罪悪感と引き換えに得た幸福で蕩けそうな笑顔となっていた。
 その美少女二人の規格外大食いシーンに会場からも歓声が飛ぶ。
「いいぞいいぞー!」
「今日のサンタとトナカイはあんたたちだ!」
「あれくらい食べれば私もあの大きさに……!」
「おねーさん、スタジオ楽しかったよ! ありがとー!」
 何か所々違う声援が混じっている気もするが、お祭り中のこの町に冷静にツッコむほうが野暮というものだろう。
 いずれ胸をはじめとする各部位への肉のプレゼントとなる巨大かつ大量の料理を、歓声の中ぶるんぶるんと……もといばくんばくんと二人は食べ続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

死絡・送
アドリブ絡みOK
ロボは降りて生身で行動、素顔にジーンズとライダースジャケット姿
でのんびりぶらつく。
「クリスマスか、まあ今年も独りかな」
ダークヒーローは孤独なのさと内心強がる。
「クリスマスと寿司のつながりが気になるな」
と寿司屋に入る。
「大将、お任せ一人前」
これでどんな寿司が出て来るか期待して出て来た物に
驚きつつもちゃっかり店の人と一緒に携帯で写真撮影してから
しっかり完食して代金を支払って帰る。
後は銭湯があれば行って湯に浸かって、湯上りはコーヒー牛乳飲んだり
と遊んで回る。



 クリスマスに湧く街を歩く死絡・送(ノーブルバット・f00528)のその姿は、愛用のスーパーロボットは勿論のヒーロースーツも脱いだ、素顔にジーンズとライダースジャケットというごく普通の姿。その辺の普通の若者と全く変わらない姿で、なぜか入れないと言われていた店の方から彼は歩いてきた。
「クリスマスか、まあ今年も独りかな」
 誰に聞かせるでもなく送は呟く。ダークヒーローは孤独なのさ。決して周囲にいるカップルが羨ましいとかちょっと前に某所で見た巨大なおっぱいが頭から離れないなんてそんなことはない。あくまでクールに、送は町を一人楽しむのだ。
 そんな彼の前に現れたのは、一軒の寿司屋。店構えはなんてこともない、どこにでもあるような普通の寿司屋だ。ただ、店の扉に『クリスマス限定メニューあります』と書かれた張り紙がしてあり、今回のイベントに参加している店だということが見て取れる。
「クリスマスと寿司のつながりが気になるな」
 あまり縁のなさそうな二つをどう組み合わせているのかが気になり、送は店に入ることにする。
「らっしゃい!」
 声をかけたのは、これまたいかにも寿司屋、という感じの強面の中年職人。その姿に安心感と不安を同時に感じつつ、送はカウンターの席へと付いた。
「大将、お任せ一人前」
「あいよ!」
 カウンターにも貼ってあった限定メニューのお知らせを見ながらの送の言葉に大将が威勢よく答え、忙しく手を動かし始めた。
 何が出てくるか見てのお楽しみとするため、あえてその動きを見ないようにしつつ待つことしばし。送の前に出てきたのは。
「おお、これは……!」
 マグロを体に、タイの顔にヒラメの髭を蓄えたサンタ。その背には茶巾ずしの袋が背負われ、歩く雪原はイカの部分とシャリが露出した部分で地面と空を書き分けている。傍らにはハマチにカンパチの雪だるま。その目はイクラで、首には干瓢のマフラーを巻いている。聳えるモミの木は幹はウニで、葉の部分は海藻だ。
 そしてエビ、カニ棒肉、光もの等の色とりどりのネタを組み合わせて書かれた「メリークリスマス」の文字。
 送が張り紙を気にしていたのを見て作られたのだろうその限定寿司は、作成者の厳つい顔からは想像もつかないほど可愛らしく華やかなものであった。
 早速食べたいところだが、その前に送は形態を取り出す。
「大将、良ければ一枚」
 ちゃっかり一緒に一枚とってから、送はその寿司に箸をつける。その味は本職が真面目に作っただけあり、まさに絶品。遊びで仕事をするのではなく、仕事に遊び心を取り入れるとはこういうことかと感心しながら完食し、送は代金を払い店を出た。
 外に出たところで噴きつけた風が送の体を震わせる。季節は冬、今夜は雪という予報だ。もう少しこの町を見て回りたいが、体が冷えては楽しめない。
「少しあったまっていくか」
 送は近くに銭湯を見つけ、そこで一風呂浴びることにする。風呂上りにはコーヒー牛乳も飲めば完璧だろう。これであとは湯上り美人のおっぱいが大きい彼女でもいれば……などと考えつつ、送は一人男湯の暖簾をくぐるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

在原・チェルノ
(SPD)
蜜香ちゃん(f20221)と一緒にクリスマスを楽しむ!

サービス目当てで二人でミニスカサンタ姿
洋食屋さんやケーキ屋さんでサービスしてもらう
でも蜜香ちゃん、サービスされすぎじゃない?
(目の前に並ぶ大量の料理やスイーツと、それをぱくぱく平らげる蜜香ちゃんにダブルでびっくり)

食べ終わったらあちこち見て回って(&ツッコミ入れて)からもみほぐしコースに
ところでこれってどんなサービスが受けられるの?
なんかさっきから【第六感】が警告発してるんだけど…?

※NGなし・アドリブOKです


美波・蜜香
チェルノさん(f06863)とクリスマス

サービスしてくれるっていうので二人でサンタガールの格好で参加
でも…この服、ちょっと丈短くない?
胸とお尻の辺りが何かキツいし…

恥ずかしい思いの元を取るようにケーキ屋さんや洋食屋さんめぐり
美味しそうなメニューや珍しいメニューがあったら片っ端から頼むね
うーん、おいしー♪

あ、チェルノさんこのエステのお店もサービス受けられるみたいだよ?
せっかくだからサービスしてもらっちゃお?

※アドリブOK・NGなし



 クリスマスイベント真っ最中のこの町は、それに合わせた恰好をした者がそこら中に溢れている。もてなす側の各店舗スタッフはもちろん、客側も簡単なものではサンタ帽子やパーティハット、凝ったものは付け髭や衣装もそろえるなどしてクリスマスの空気に合わせた仮装をしていた。そして店の方も、そう言った客にはちょっとしたサービスの追加などを行い、客たちの参加意欲をより盛り上げていた。
 そしてそのサービスにあやかるべく、やはりサンタ風の衣装を纏った美女がここにも二人いた。
「さあ蜜香ちゃん、クリスマスを楽しむよ!」
 在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)が元気よく叫ぶ。だがその隣で、名前を呼ばれた美波・蜜香(ブルーメンリッター・f20221)は服のあちこちを抑えてもじもじしていた。
「サービスしてくれるっていうからこの格好で来たけど……」
 チェルノと蜜香、二人の今の格好はサンタ衣装を大胆にアレンジしたサンタガールスタイルだ。二人の豊満な胸を半分ほどはみ出させ、丈もギリギリ中が見えない程度の超ミニスカ。おしゃれは我慢! と言わんばかりの高露出コスチュームに、まだ何もしないうちから周囲の視線は釘付けだ。
「でも……この服、ちょっと丈短くない? 胸とお尻の辺りが何かキツいし……」
「だいじょぶだいじょぶ! さあ、いっくよー!」
 ノリノリなチェルノに連れられ、蜜香は服の裾を抑えたまま、飲食店が多くある通りへと引っ張られて行くのであった。

「いやー、やっぱりこの格好して着て良かったね、色々サービスして貰えて」
 町を見回りながら洋食店やスイーツ店を巡っていた二人。やはり事前に聞いていた通り、どの店でも二人は一品追加されたり記念撮影と引き換えに大盛無料になったりと、仮装している者への追加サービスを受けられていた。
 そしてそれは今いるスイーツレストランでも同様、なのだが。
「でも蜜香ちゃん、サービスされすぎじゃない?」
 目の前には大量の料理やスイーツ。それを平然と、凄まじい勢いで蜜香はぱくぱくと平らげていた。
「うーん、おいしー♪」
 最初はこんな思いをしたのだから元を取らなければ! という半ばヤケ気味での食べ歩きだったが、各店でサービスを受け美味しい料理を食べるうち、その機嫌はすっかり直っていた。
 チェルノの方にも実は結構なサービスがされているのだが、いくらサービスとは言え食べきれない量を貰っても仕方がない。だが蜜香はその限界がないかのように、出されたものは全て食べ、それでいてなお勢いは全く衰えない。
 その食べっぷりに店側も気を良くしてはさらにサービスを受け、その量と色々とんでもない方向に発想力を爆発させたメニューにチェルノがツッコミを入れ……とすっかり行く先々の店で二人はその場の主役をかっさらっていた。
 歩きはじめとは逆に、ノリノリの蜜香とちょっと疲れ気味のチェルノ。そんな様子で辺りを見て回る二人の前に現れたのは、『もみほぐしコース2800円』と書かれた店。
「あ、チェルノさんこのエステのお店もサービス受けられるみたいだよ? せっかくだからサービスしてもらっちゃお?」
 すっかりサービスになれた蜜香がチェルノの手を引き入店を促す。だが、当のチェルノはなぜか渋い表情だ。
「ところでこれってどんなサービスが受けられるの? なんかさっきから【第六感】が警告発してるんだけど……?」
 普通に考えれば割引か時間延長だろう。だが決してそれでは済まなくなる予感がチェルノの中で膨らんでいた。
 それでもここまでで大分疲れていたこともあり、結局は中へと入ってしまう。
「あらいらっしゃい! そんな格好してるってことは、こっちのサービスをご希望ね? それじゃ早速脱いで!」
 出迎えたのは女性の店員。女性なら大丈夫だろう……と、言われるがままに服を脱ぐ二人。そして誘われるがままベッドに横たわり……
「あひゃ、あっ、そ、そこぉっ! もみもみしちゃだめっ、気持ちよくなっちゃうぅぅ!!」
「ぬるぬるっ、気持ちいいのぉっ、むねっ、ぐにゅぐにゅって、そんな、おく、までぇっ!!」
 何が起こっているのかは定かではないが、二人の嬌声が施術室の外まで届く。余談だが、エステやマッサージという言葉はそのままの意味の他、様々な隠語として用いられることもある。そしてUDCアースのそれなりの大きさの町ということは、表に出ない暗い側面もそれなりには持ち合わせているということ。陽気であるからと言って、必ずしも単純とは限らないのだ。
 もちろんそれと今の二人の声が関係あるかは分からない。
「「ひぐぅぅぅぅぅぅぅぅっ❤❤❤」」
 何しろ意味をなさない、ただ甘いだけの声しかもう聞こえないのだから。

 暮れ行く町に雪がちらつき始める。
 楽しいもおいしいも気持ちいいも。
 一人も二人も大勢も。
 寒いも暖かいもみんなみんな包み込んで。

 メリークリスマス。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月31日


挿絵イラスト