9
バレンタイン限定!スイーツフェスタ2019!

#キマイラフューチャー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー


0





「もうすぐバレンタインだよね」

 カラフルに彩られたティーンズ雑誌を捲りながら、柊木・ましろ(ミューズの描く奇跡・f03701)が呟くと、猟兵たちはぞっとした。

「やだなぁ、そんな顔しないでよ。今回はちょっと真面目な話なんだから」

 前回までは真面目じゃなかったのかとか、そんな事を気にしてはいけない。ともあれ話を聞くことにしよう。

「キマイラフューチャーでバレンタイン限定のスイーツフェスタがあるんだけどね。普通この時期って、みんなソワソワしてたり、もう既にラブラブだったりで浮わついた空気になってるはずなんだけど」

 うーん、と唸ってみせると、開いていた雑誌を閉じる。

「原因が分からないからなんとも言えないんだけど、なんかよそよそしいっていうか、まるでみんな本当に――」

 他人同士みたい。そう言ったましろの顔は、とても寂しそうだった。しかし直ぐに切り替えると、顔を上げる。

「で、ここからが本番なんだけど。このスイーツフェスタを邪魔しようと、オブリビオンたちが現れるの。目的や理由があって邪魔をするのかは分からないけど、現れるのは間違いないの」

 たち、と言うからには集団で現れるのだろう。
 話によると、集団で現れるオブリビオンは、そこまで戦闘力が高いものではないらしい。特別な力を有しているわけでもない。他人の行動や感情をコントロールしたり、介入したりする力などもっての他だ。ということはつまり、集団とは別にオブリビオンが存在する可能性が高い。

「みんなの件がオブリビオンの仕業なら、きっと倒せば元に戻るはず。だからみんなで、このお祭りを守ってほしいの」

 ぐっと拳を握りしめるましろに、猟兵たちは息を呑む。こんな良い話で終わるわけが――。

「大切な人に想いを伝えられないのって、すごく、辛いもんね」

 彼女の言う大切な人は、想いを寄せる異性という意味ではなかったが、瞳にじわりと浮かんだ涙は、猟兵たちに気付かれる前に拭い去られた。

「もし無事に開催されるなら、終わった後は好きに楽しんできていいからね。だから――」

 だからどうか、お願いします。いつになく真剣に、ましろは頭を下げた。


朝霞
 こんにちは、新人マスターの朝霞です。
 今回のはネタではありません。普通のシナリオです。オープニングではあまり触れられませんでしたが、メインは3章になります。
 目的は以下の通りです。

 1 ザコをぶっ飛ばす。
 2 ノコノコ現れたボスをぶっ飛ばす。
 3 スイーツフェスタに参加。


 以下は注意点です。
 バレンタインのスイーツフェスタなので、第3章は間に合えば2月14日に公開したいと思います。第2章までが早めに終わった場合は、第3章のプレイングは12日頃にご提出くださると助かります。間に合わなかったときはすみません、忘れてください。
 恋人同士や恋する女の子男の子、勿論お一人でのご参加も大歓迎。リア充爆発しろも構いませんが、あまり過激なのは採用しかねる場合がありますのでご了承下さい。
 元々需要があるか分かりませんが、今回第3章にグリモア猟兵は参加いたしません。皆様のキャラクターをしっかり描写させていただくためのものであり、需要有りィィッ!!って思ってくれた方々はすみません。

 それでは皆様のプレイング、お待ちしております。
37




第1章 集団戦 『働き蜂戦闘員』

POW   :    御槍奉公
【槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    飛行モード
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    数で圧す
自身が戦闘で瀕死になると【さらなる増援】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 街は死んでいた。誰も彼もが他人に興味など示さず、ただ過ぎ去るだけ。いったいここで何が起こっているのだろうか。かろうじて正常な人々も、とてもイベントどころではない空気に困惑している。そこへ、低い羽音が鳴り響いた。
 黄色と黒を基調とした奇妙な出で立ち。蜂のような頭。ザコっぽい挙動。予知にあったオブリビオンの集団に違いない。彼らは低い羽音を口で演出しながら走り出した。
 迷っている暇はない。とにかく敵を倒すことが最優先だ――!
尾守・夜野
スイーツフェスタの邪魔は何人たりともさせやしねぇ!

ここで人の入りが悪ければ次の年も規模縮小しちまうだろ!?

バレンタインの次の日のチョコが湿気た物になっちまうじゃねぇか!

蜂だろうが槍だろうが知った事か!
俺は!甘味に!飢えてるんだよ!

今回は人格交換する必要なく大手を振ってフェスタに行けるんだ…!邪魔をするな!!!

相手が槍ならこちらも黒剣を補食形態に変化させ、伸ばして攻撃
スレイ(8本足の馬)に乗ってランスチャージをお見舞いしてやんよ!
出血のダメージその他は吸血と生命力吸収し維持


パトリシア・パープル
バレンタインねぇ…
私にはあまり関係ないけど、街に活気がなくなるのはよくないわね
そういうわけで、まずはサクッと露払いさせてもらうわ

ポーチから好物のマシュマロ鷲掴みにして取り出し、口に放り込んでパワーアップ
【野生の勘】も使って体術で敵を翻弄しながら引き付ける

敵が空中にいる場合は深追い厳禁
近付いてきた者を優先して叩きつつ、半径15m以内に味方のいない間合いを上手く図っておく

数の差から間違いなく囲まれると思われるので、射程内に味方がいないのを確認してから最臭地獄・第六天領域(ヘルズ・ヘクサゴン)で無差別攻撃
BMBガスの威力、思い知るがいいのよ!
「やっぱり虫には殺虫剤(自家製)よね♪


栗花落・澪
この妙な空気もオブリビオンの仕業なのかな…
だとしたら尚更放っておけないよね

本来は幸せな筈のイベントなのに
誰も楽しめないような結末は許さないよ

え、羽音って口で演出してんの?
ださっ(精神攻撃)

敵の動きにあわせ
飛行して来るなら大地に降り
走って来るなら上空に飛び
【歌唱、範囲攻撃】の力を乗せてUC を発動
歌声で操る無数の刃により一掃、または羽狙い

避けられたら避けられたでいいよ
地形一面に生み出される花畑
ここはもう僕の世界

歌唱に今度は【催眠】を乗せて敵を微睡みのなかへ
そこに★杖の【全力魔法】でおこした風に花畑の花弁を巻き込んでの花嵐で攻撃

痛みなんて感じる前に
幸せなままに、おやすみなさい(殲滅的意味で)




 活気のない街並み、そこへ突如現れたオブリビオンたち。そしてそれに対峙する猟兵。しかしやはりそんな状況にも関わらず人々は無関心を貫いていた。

「街に活気がなくなるのはよくないわね。まあバレンタインは私には関係ないんだけど……」
「本来は幸せな筈のイベントなのに、誰も楽しめないような結末は許さないよ」

 パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)と栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、互いに頷き合うと、低音の羽音(の真似)を発する蜂を模したオブリビオンの群れを見据える。話の通りであれば、奴らはこのスイーツフェスタを邪魔しに来たはずだ。しかし肝心の店舗には何も手を出さないようだ。そして無関心なキマイラたちにも。

「え、羽音って口で演出してんの? ださっ……」

 聞こえるか聞こえないか程度の声で呟いた澪の心無い一言に、たまたま聞いていた集団の内一人が崩れ落ちた。だがさすがにそれだけで止まることはない。
 オブリビオンたちが最初に足を向けたのは――。

「ひっ――!」

 この状況に困惑している、つまり正常な者だった。槍を構えて、突進する勢いで走り出す。しかしそれは、八本脚の軍馬によって阻まれた。動きを止めたオブリビオンが、異形と化した黒剣に弾き飛ばされる。

「怪我は無いな、ならさっさと行け。ここは危険だ」
「は、はいっ……!」

 キマイラの少女は、白馬の王子様を見つけたような表情で、後ろ髪引かれながら立ち去る。それを見届けてから、尾守・夜野(群れる死鬼・f05352)は拳を震わせた。

「させねぇ……スイーツフェスタの邪魔は何人たりともさせやしねぇ!」

 高らかに咆えた夜野は、さらに一体のオブリビオンを薙ぐと、集団の中へ突進していく。捕食形態の黒剣が喰らい、体当たりで負った傷を癒す。愛馬スレイプニールが翔け、突進の勢いで武器を叩きつけ、噛み砕く。そして一体、また一体と屠る姿は、かの神話に名高いオーディンを想起させた。まさに一騎当千である。

「今回は人格交換する必要なく大手を振ってフェスタに行けるんだ…!邪魔をするな!!!」

 甘味に飢えた鬼が荒れる。残っていたキマイラたちは微妙な顔をした。

「この妙な空気もオブリビオンの仕業なのかな……」

 半分はそうでもない気がしたが、まあ全般的に悪いのはオブリビオンで間違いない。澪はまた別のキマイラたちを狙ったオブリビオンへと向く。相手との距離はそう開いていないようだが、相手はやはりこちらには目もくれない。この世に蘇る過程で猟兵という存在そのものに敵愾心を抱くと言われているオブリビオンが、その猟兵に興味を示さないということは、意図して一般人を襲っているということになる。何の目的があるかは分からない、が。

「だとしたら尚更、放っておけないよね」

 ふわりと、翼で宙に舞う。相手との距離は縮まっていないが、多くの敵を巻き込んで攻撃するのならば、このくらいが妥当だろう。あまり近付きすぎると、今度は余計なものまで巻き込んでしまう可能性もある。澪は大きく息を吸った。

「――――」

 自然と、心地よく耳に届く優しい音。しかしそれはただの歌ではない。その声に操られた花弁が、舞いながら無数の刃のように襲い掛かる。足下から掬われたオブリビオンが数体、巻き込まれて切り刻まれていく。が、狙いはそこではない。逃げおおせた敵が安心する暇もなく、足下には、先ほどまで無かったはずの美しい花畑が現れていた。

「幸せのままに眠れ」

 微睡の歌とともに、清浄なる光を放った杖を一振り。優しい風が、やがて勢いを増し、嵐にも似た暴風が花畑の花弁を巻き上げる。先ほどよりも激しく舞った花刃に呑まれたオブリビオンたちは、眠りについたまま息絶えた。

「――おやすみなさい」

 それまで優しい歌を紡いでいた澪の、無慈悲な声が響いた。
 一方、パトリシアの元ではオブリビオンたちが他とは違う挙動を見せていた。おそらくこのまま猟兵たちを放置しても、目的が達成できないと感じたのだろう。一般人を狙うことを諦めたオブリビオンの集団が、パトリシアを囲むように迫っていた。

「ちょっとこっちだけ数多くない……?」

 とボヤいている場合ではない。元よりするつもりなど無かったが、あまり手加減出来る状況ではない。そこで彼女がポーチから取り出したのは、真っ白なマシュマロ。ひとつ、ではない。ひとつまみ、でもない。ひと掴み(鷲掴み)だ。思い切り口に詰め込むと、せわしなく咀嚼する。

「さ、かかってきなさい。サクッと露払いさせてもらうわ」

 全身の細胞が活性化するのを感じる。野生の勘が冴えるのがわかる。例えば右――。

「ほいっ」

 突き出された槍を躱して、その勢いのまま顔面へ肘を入れる。背後から襲う敵を尻尾で薙いで、体勢を崩したところに顎へ踵を叩き込んだ。しかしこうも数が多いと、個々で撃破するには限界があるだろう。少しの間思案しながら、相手の攻撃を躱し続ける。同時に繰り出される攻撃も、徐々に狙いが正確さを増していくようで、初めは躱しきれていたものが、いくらか掠めるようになってきた。

「こうなったら、禁忌の技を使うしかないわね……!」

 出来れば使いたくなかった奥の手を、使う必要がありそうだ。これは周囲の味方も無差別に巻き込んでしまうため、パトリシアは攻撃をいなしながら、状況を確認した。幸い近くには味方も一般人もいない。ならば。

「ブチルメルカブタンガスの威力、思い知るがいいのよ!」

 その名前が聞こえた瞬間、戦闘中だった夜野と澪は全力で距離をとった。ブチルメルカブタン、またはメルカプタンともいうその成分は、まあ詳細は調べるのが早いだろうが、端的に言うとものすごく臭い。具体的に言うと腐ったタマネギのような臭いだ。手に入るかは別として遊びで嗅ごうなど考えるのは本気でやめた方がいい。いやマジで。
 どこからとは言わないが、発されたガスを至近距離で受けたオブリビオンたちは、痙攣しながら口から泡を吹いて倒れた。

「やっぱり虫には殺虫剤(自家製)よね♪」

 満足そうに額を拭うパトリシア。一応ユーベルコードなので、臭気が滞留したり細胞に吸着することはない。残ってしまえば終わった後もスイーツとか言ってる場合ではなくなってしまう。

「この辺は片付いたか?」

 愛馬から降りた夜野が辺りを見回すも、敵の姿は見当たらない。とはいえ会場は広く、見渡せる範囲だけに敵がいるというわけではなさそうだ。猟兵たちは警戒しながら掃討を再開した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

六道・紫音
相棒にして恋人のルビィ(f01944)と共闘

「スィーツフェスタ…これは参加したいな、ルビィ」
恋人とスィーツフェスタを楽しめるならこんなに楽しい事はない、俺達の力でオブリビオンなど微塵に砕いてやろう。

・戦法
「天地挟撃、我らからは決して逃れられん」
地上から敵集団を狙い、ルビィの攻めに高度を下げた所をすかさず【陸之太刀《絶佳》】でとらえ敵を一気に屠る。
「視えた…!」
絶佳は『鎧無視効果』で弱点を狙い『怪力』を用い『二回攻撃』で連続発動して敵集団を斬獲する。
「脆い、脆いぞオブリビオン!」
敵の攻撃は『第六感』と『見切り』で見極めて紙一重で回避し残心のまま即座に『カウンター』へ転じ絶佳を放つ。


ルビィ・リオネッタ
相棒にして恋人の紫音(f01807)と共闘

「シオン!スイーツフェスタだって!」
街の生死はそっちのけに恋人のシオンを誘うわ
一緒に戦えてその後甘い物なんて最高じゃない♪

・戦法
戦闘員を【空中戦】で空から見下ろす
空はアタシの舞台だもの

ダガーとレイピアに【毒使い】で毒を塗っておくわ
【マヒ攻撃】付きの針のような一撃を
黒い眼を狙う蜂よろしく【目潰し】も使う
雀蜂系の見た目だし【属性攻撃】で刀身を熱して攻撃してみるわ

【見切り・視力】で狙いを定め【先制攻撃・早業】の『辻風斬り』
【ダッシュ】も使って加速しながら仕留める

シオンと連携して、敵を地上に追いやるように攻撃してみるわね

「ふふ、働き蜂は女王蜂に勝てないのよ♪」




「シオン!スイーツフェスタだって!」

 灰色とも言える街に、明るい声が響いた。まるで周りの状況など目もくれないように瞳をキラキラさせながら、ルビィ・リオネッタ(小さな暗殺蝶・f01944)は隣の六道・紫音(剣聖・f01807)へ呼びかける。

「スィーツフェスタ……これは参加したいな、ルビィ」

 共にイベントに参加できる高揚をあまり表に出さないようにしながらも、紫音は小さな恋人であるルビィへ優しく微笑みかける。そんな中、あの羽音(の真似)が彼らの耳に届いた。

「その為にはまず、お邪魔虫を退治しないとね」
「そうだな。俺達の力でオブリビオンなど微塵に砕いてやろう」

 宝刀《皇月》をすらりと抜き構えると、合わせるようにルビィが空へと舞った。空中から見えたのは、話に聞いていた通りの蜂頭の怪人の群れ。もうやがて地上からも見える距離だろう。数にして約――と数えることに意味を見出せずやめた。どうせ数えてもきりがない、全部倒せばそれで終わりだ。そしてそんな彼らに嬉しい誤算もあった。この怪人は、跳べるが飛べない。空中でジャンプをすることは出来るが、空を自由に飛び回ることが出来ない。それを確認すると、ルビィは不敵に笑った。
 地上では紫音が既に攻撃の体勢を取っている。ならばやることはひとつだ。

「空はアタシの舞台だもの、ついてこられるかしら……!」

 レイピアに麻痺毒は塗ってあるが、果たして似たようなものを用いる相手に有効かどうかは分からない。ならばと彼女が選んだのは、炎、熱による攻撃だ。レイピアの刀身を赤熱させ、一気に敵集団へ急降下。狙い通り、地上からの攻撃を避けようと空中に蹴って出たオブリビオンが真正面に出てきた。

「残念、こっちは行き止まりなのよね」

 そのまま自分の半身ほどの大きさの黒い眼を、一突き。声にならない悲鳴を上げながら、跳んだオブリビオンがそのまま地上へと帰っていく。同じように空中へ逃れようとした者も、レイピアやダガーで再び地上へ送り返す。
 やがて地上では。

「視えた……!」

 集中を極限まで高めた紫音が、瞼を開く。正面から殺気を感じたオブリビオンたちは、上空に逃げるのを止め左右に散ろうとする。しかし今更それが間に合うはずもなく。

「天地挟撃、我らからは決して逃れられん……陸之太刀《絶佳》!」

 勢いよく横に一閃、切り返して追撃の二閃。衝撃波を纏うほどの攻撃は、ルビィの活躍で逃げることを許されなかったオブリビオンたちを正確に切り裂いていく。

「脆い、脆いぞオブリビオン!」

 猛る紫音の前には、もう無事な者はいなかった。紫音がそっと右手を差し出すと、役目を終えて合流した妖精がそこへちょこんと腰かける。

「ふふ、働き蜂は女王蜂に勝てないのよ♪」

 ルビィは終始ご機嫌だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

サラヴェス・ゴッディーヴァ
私、甘いものが大好きですの。
大切な人に想いを伝えるバレンタインもとても素敵で大好きですわ。
そんな大切な時期に、浮かない顔をさせるなんて非道いオブリビアンですわね。
フェスタの開催のために、私頑張りますわ。

■戦闘
手には剣。
「さぁ、かかってらして?」
穏やかな笑みと共に剣を振るい攻撃を。
敵の攻撃には【見切り】と【武器受け】で受けかわす。
ジャンプしてくる敵にはUC【ジャッジメント・クルセイド】で撃ち落とす
「私、はちみつを運ばない蜂さんには興味ありませんの」
優雅に、しかし容赦なく斬撃とユーベルコードで攻撃を。

※アドリブ、絡み大歓迎!


鈴木・志乃
この世界の敵はあたしの敵
貴方が倒れるまで攻撃はやめない

槍で攻撃しようと接近してきたところにUC発動
『槍での攻撃を禁止します』
そんなに難しいことじゃないでしょ?

あとは敵の攻撃が届かない距離を保ちながら一方的にシャウトで【衝撃波】攻撃するだけ
味方に被害が行かないように気をつけて敵を【誘惑】し誘導するよ
ふふ、武器を奪われてどんな気分? ねえどんな気分?
と敵に挑発を繰り返しさらに誘導
【見切り】【第六感】で攻撃をいなしつつ
避けきれない分は【オーラ防御】

それでも槍を使おうとするなら光の鎖で【武器受け】
あらかじめ鎖には手持ちの毒を塗っておく【毒使い】




「私、甘いものが大好きですの」
「は、はあ……」
「大切な人に想いを伝えるバレンタインも、とても素敵で大好きですわ」
「は、はあ……」

 なんとなくフワッとした語り口調で訥々と語るサラヴェス・ゴッディーヴァ(エルフのクレリック・f05987)に、どう反応したらいいか分からずなんとなく相槌をうつ鈴木・志乃(ブラック・f12101)。何かの呪文のようにも聞こえなくない、別の意味で恐怖を与えそうな羽音(の真似)が響く中、二人はそんなやり取りをしていた。しかし直後、サラヴェスの目がすっと細くなるのを見た志乃は理解した。

「そんな大切な時期に、浮かない顔をさせるなんて非道いオブリビアンですわね」
「……それは、同意しますね」

 彼女は本気だ。取り囲むように展開した敵を背中合わせにぐるりと見渡し、武器を構える。

「この世界の敵はあたしの敵――」
「フェスタの開催のために、私頑張りますわ」

 サラヴェスが剣を抜くのと、オブリビオンが襲い掛かってくるのはほぼ同時だった。矢印のようなお粗末な形の槍が、二人へ向かって突進する。

「これ以上の狼藉は許されません――」

 瞬間、志乃のアメジストが輝きを増し、淡い光が周囲を包み込んだ。突然のことに戸惑うオブリビオンだったが、何も異常がないことを確認すると、再び攻撃を再開する。そこで不敵に笑う志乃が口を開いた。

『――槍での攻撃を禁止します――』

 ぴしゃりと言い放った言霊が、向かってきたオブリビオンたちの魂を侵食する。それは神の言葉に等しい、絶対遵守の命令。敵は怪人といえど、言葉を理解しないわけではない。言い知れぬ不安に駆られた大多数が動きを止める中、それでも攻撃を止めない者が槍の切っ先を向けて振り下ろしてきた。

「……愚かですわね」

 サラヴェスのため息と、言葉では表せない鈍い音が重なる。全身の骨が砕けたオブリビオンが、軟体動物のように地面に崩れ落ちた。

「だから言ったじゃん。そんなに難しいことじゃないでしょ?」

 転がった蜂頭を蹴り飛ばすと、混乱する集団に向けて全力の叫び声を上げた。衝撃波を纏うほどの声が集団を薙ぎ倒す。その反対側では、槍を捨てたオブリビオンたちがサラヴェスの元へと素手で迫っていた。

「さぁ、かかってらして?」

 焦りなど微塵もない、余裕の表情で優雅に剣を構える。
 素手での集団戦というのは、何も数の多いほうが必ず有利というわけではない。長物の武器を持っているならまだしも、まず何よりリーチが短い。リーチが短ければ、それだけ相手に接近しなければならなくなる。一斉に攻撃するためには密集しなければならなない。つまり味方の攻撃にも当たりやすくなるということだ。そして背後には志乃。ドラマの演出ほどではないが、精々一度に2、3人程度が限界だろう。
 正面の敵を横薙ぎに斬り捨て、自ら集団へと突入。武器をなくした素手の攻撃を掻い潜り、すれ違いざまに一閃、反転しながら周囲の首筋を切裂き、伸ばされた拳を蹴りでいなし、頭を貫く。踊るような剣舞が周囲を圧倒した。

「ふふ、武器を奪われてどんな気分? ねえどんな気分?」

 敵との距離を一定に保ちつつ、挑発するような言動を取る志乃。可能な限り背後のサラヴェスへ意識が向かないようにしながらも、シャウトで着実に敵を減らしていく。そんな中、一瞬の隙を突いて跳躍した数体のオブリビオンが、攻撃の手が地上へと向いている志乃へ急降下の蹴りを繰り出した。正面を鎖でいなし、左右を聖者のオーラで受け止め、押し返そうとしたその時、彼女の目にもう一体のオブリビオンの姿が映った。
 しかし彼女が声を上げる前に背後から聞こえたのは、銃声を真似た可愛らしい声。次の瞬間には、志乃へ襲い掛かるはずだったオブリビオンは天からの光に焼かれて消えた。

「あらあら、油断はいけませんのよ?」

 優雅さを残したまま、いたずらっぽく笑うと硝煙を吹く真似をするサラヴェス。余裕を見せるその背後に見えた敵を、志乃は容赦なく殴りつけた。

「油断しちゃダメなんですよ?」

 志乃もまたいたずらに笑い返し、再び敵へ向き直る。
 周囲で聞こえていた戦闘音らしきものは止んでいた。おそらく片がついたのだろう。となると後はこのエリアだけ。二人はラストスパートとばかりに気合を入れ直した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジニア・ドグダラ
【音海・心結さんと連携希望】

相手の数は多い、ですね……確かに音海さんのおっしゃる通り、各個撃破より纏めての方が、良さそうですね。

【秘術・人格分離】を発動し、出血しながらも服薬による【医療】【激痛耐性】で耐えつつ、【目立たない】よう行動します。
建物の陰から死霊銃での銃撃による【呪詛】での【範囲攻撃】を行い、集団を音海さんまで誘い出しましょう。相手が追って来たら【クライミング】の経験を生かして建物にワイヤーフックを引っ掛け、【逃げ足】を駆使しましょう。
相手が空を飛んでも【空中戦】の心得は此方にもあります、羽根や重心部分に鎖での攻撃を加えてバランスを崩させ、音海さんの攻撃に合わせて誘い出します。


音海・心結
ジニアと連携するのですよ

もう
神聖なバレンタインになんてことをしてくれるのですかっ
こいつらはみゆ達で成敗するのです
ジニア、よろしくお願いしますよ

みゆは【誘惑】【おびき寄せ】を使って、
オブリビオンを引き寄せるのです
みゆは一人じゃないので、きっとだいじょうぶ
ジニアを信頼して、一匹でも多く撃破するのですよ

引き寄せたら【フェイント】【先制攻撃】からの、
UC『Storm of cherry tree』を使うのです
ひるんだのを確認したら、
【ダッシュ】【2回攻撃】で直に殴りに行きますよ
みゆの攻撃が痛いのですか?
でも貴方たちはもっとひどいことをしたのですよ
その罪は拭うことは出来ないのですっ!

アレンジ可能なのです




 開戦時と比べて半分ほどに減っていたオブリビオンの集団の元に、更なる脅威が現れた。
 とても戦場には似つかわしくない、華奢で可憐な少女。金色の瞳は敵集団へと向けられている。

「もう、神聖なバレンタインになんてことをしてくれるのですかっ」

 プンプンと言葉に出してしまいそうなほどに怒った様子の音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)の横で、冷静に戦況を分析していたジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)は静かに呟いた。

「相手の数は多い、ですね……個撃破より纏めての方が、良さそうです」
「よーし、こいつらはみゆ達で成敗するのです!」

 やるぞー、と言わんばかりに一歩前に出て両腕を突き上げ気合を入れる心結は、やがて後ろをを振り向くと、ふわりと微笑んだ。

「ジニア、よろしくお願いしますよ」
「はい、音海さん」

 優しく微笑み返し、それを合図に物陰に隠れるジニア。同時に心結が敵の群れへと駆け出した。
 どこかで他の猟兵が戦っているのか、視認できない以上確かなことは分からないが、オブリビオンたちは一点へ向かっているようだ。それを後ろから追いかける形で走ると、自分をアピールするようにぴょんぴょんと跳ねる。

「鬼さんこちらー、なのです!」

 薄いベージュの長髪が、跳躍に合わせてふわふわと舞う。声が届いたのか、はたまたそれが彼女の潜在的な力なのか、集団のちょうど半分くらいの勢力が心結を振り返った。行進を止めて、引き返すように心結へ向かうオブリビオンたち。想像していたよりも数の多い敵に、心結は焦りを覚えた。

「や、やっぱりだめなのですっ!こっち来ないでくださーい!」

 慌てて引き返した心結を見たオブリビオンたちは、更に気をよくして追い立てる。体格の差もあってか徐々に距離を詰められ、やがて跳躍を駆使して彼女を飛び越え進行方向を塞ぐ。立ち止まった心結はあっという間に敵に囲まれてしまった。
 小さく震える彼女は。

「なんちゃって、なのですよ――」

 あくまで歳相応の少女の、明るい笑みを見せた。
 ふと広がった甘い香り。知らず知らずの内に、辺り一面に桜の花弁が舞っていた。

「桜は好きですか?いっぱい見とれて下さいね♪」

 その言葉を皮切りに、桜の花弁が意志を持ったかのように舞い踊る。激しく、嵐のように舞う花弁が周囲一帯のオブリビオンを容赦なく切りつけていく。その様子を物陰から見ていたジニアは、力の反動で激しく痛む頭を抱えながらも攻撃の準備を始めた。

「頭が、割れそうですが、今はこれしか……」

 見ただけで正気を持っていかれそうな程に呪詛に塗れたおぞましき銃を握る。背中に負っている棺桶が少しだけ開いた。

「〈さて、それでは始めましょう〉」

 銃に、棺桶に眠る死霊の魂を込める。

「《すべて騙し切ってみましょう》」

 込められた魂が、弾丸へと形成される。

「[敵対存在を殲滅しましょう]」

 煩く頭の中で響く声。いや、もしかしたら自分が口に出して言っているのかもしれない。そんな自分ではない幾つもの自分の声を、どこか遠くに聞きながら引き金を引く。命中したのは、別のもう一方へ向かっていた集団の一人。その周囲に、死霊の怨念を撒き散らしながら倒れていく。後方から攻撃を受けたことで、先程心結に気付かなかった一団が存在を認知する。ジニアの狙い通り、また一部の敵の誘導に成功した。
 一発、また一発と誘い出すように、正確無比な射撃を続けるジニア。彼女の力を引き出しているのは、邪悪なる第三、第四、第五の人格だった。無論何の代償も無しにと言うわけにはいかない。内臓、もしくは食道をやったのか、咳き込むと同時に血があふれ出した。激しい頭痛と体中を蝕む病のような人格たちを抑えるため、鎮痛剤を噛み砕く。視認できる位置の敵は、心結の手によってほぼほぼ殲滅したといってもいい。残っているのは、離れた位置に二体、いや三体か。
 花嵐が止むと、心結は残った目の前の敵へ駆けた。そして。

「やあっ!」

 あくまでもか細い腕で、かろうじて立っていたオブリビオンの顔面を思い切り殴った。首が曲がってはいけない方向へ曲がっているが、可愛いは正義なので何の問題もない。

「みゆの攻撃が痛いのですか?」

 オブリビオンは応えない。応えられない、の間違いかもしれないが、可愛いは正義なので何の問題もない。

「でも貴方たちはもっとひどいことをしたのですよ……その罪は拭うことは出来ないのですっ!」

 追撃の右フック。既に相手は意識がなかったが、可愛いは正義なので何の問題もない。
 両手をはたきながら一息つく心結。しかし戦闘はまだ終わっていない。残った二体の怪人が、心結めがけて同時に襲い掛かった。

「ジニア」

 心結がその場を動くことは無い。その敵が攻撃を当てることが出来ないと知っていたから。彼方からの銃弾に倒れることを、知っていたから。

「えへへ、信じていたのですよ♪」

 その声が届いたか否かは本人にしか分からないが、ようやく全てのオブリビオンを殲滅しきったことを確認したジニアは、再び自分から分離させた人格のダメージを相方に悟られないよう、血で汚れた口許を手の甲で拭った。そして遠くでぴょんぴょん飛び跳ねる心結へ。

「まったく、無茶をしてはいけませんよ……」

 微笑みかけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『キリ』

POW   :    縁切断(物理)
【手刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    縁消去(物理)
【何らかプラス】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【狛犬のような自動砲台】から、高命中力の【その感情を抱いた時の記憶を消す光線】を飛ばす。
WIZ   :    ただの八つ当たり
【なんかムカついた】から【強烈なビンタ】を放ち、【あまりの理不尽さからくる動揺】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カスミ・アナスタシアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「ボクはね、お前たちみたいな、幸せそうな奴らを見ていると反吐が出るんだ」

 猟兵たちの感知していなかった方向から聞こえた、一般人と思わしき悲鳴。急いで駆けつけるも、既に遅かったようだ。いや、一概にそうとは判断できない。何故なら居合わせた一般人は、傷ひとつ負っていないのだから。
 ただ――。

「あれ……あなた、誰ですか……?」
「え、いや、えっと……」

 男女の二人組み。彼らは自分がどうしてこの場に、そして知らない人と居るのか理解できていない様子で、二人別々の方向へそそくさと立ち去った。

「やあ、思ったより早かったね。でも無駄だよ。現状は見ての通りさ」

 戦闘が落ち着いたところで、再び街が静寂に包まれていたことを思い出す。

「ボクは縁切りの神、キリ。彼らを救うのなら、ボクを倒さなくちゃいけないんだ」

 どういうつもりなのか、丁寧に説明をしてくれる縁切りの神様。

「まあ、それが出来れば……の話だけどね!」

 険しい表情で戦闘態勢を取るキリ。面倒臭そうな相手ではあるが、話は単純である。
 元凶となるオブリビオンを倒し、平和な日常を取り戻すのだ――!
栗花落・澪
なるほど…理由はまだよくわからないけど
つまりキリさんが縁切りしてる結果のこの惨状なわけだね
納得

まぁ敵さんはとってもやる気みたいだし
受けて立ちますかぁ

耳とか手足の感じ的にも獣っぽいし
なんかすばしっこそうだし…
動きは封じておきたいよね

味方に攻撃主体の猟兵さんがいたらお任せ
僕は敵の聴覚の良さを利用し【催眠】を乗せた【歌唱】で動きを鈍らせ
効果があれば、その隙に飛行で背後に回って
氷の【全力魔法】で大きな尻尾を地面に固定しちゃおう

今だよ、皆畳み掛けて!

ビンタは食らいたくないので
そもそもこっちに近付こうとしてるのが見えた時点で空に逃げまーす

それから僕もUCを使って遠距離追撃
お願いされてない縁切りは駄目だぞ


鈴木・志乃
――あんたの心、見せてくれる?

【戦闘】
【UC発動】
出せばいいじゃん、反吐
沢山吐けばいい
気持ち悪い物見て
気持ち悪いことして
沢山沢山不幸になろう

ほら
そこら辺に沢山転がってるよ
あんたの嫌いな【生物】がね
あんたに愛を伝える為にやってくる

自分は【歌唱】の【衝撃波】で攻撃を試みるよ
この世界で流行ってる男性ボーカルの切ない恋愛バラード
【パフォーマンス】で精神も攻撃

敵の動きを良く見て【見切り】、【第六感】と【武器受け】でいなす
当然【オーラ防御】も使うよ

私にビンタする理由しかないね
まあ、ビンタする余裕があるなら、だけど

ごめんね、蜂さん達
ほんとに、ごめんね……


サラヴェス・ゴッディーヴァ
…あら。
今の方々も、もしかしたらまた出会って
恋に落ちる喜びを感じられるのでしょうかしら。
二度も恋に落ちることが出来るなんて素敵ですわね。
…なぁんて、ロマンチックな感情に浸ってる場合ではありませんわね。
貴女を倒して切れた縁、再び紡いでみせますわ(にっこり)

■戦闘
武器をメイスに持ち替え、近距離での打撃攻撃を
「勝手に人の幸福を妬ましく思って悪さをするなんて…もっての他ですわ」
【見切り】を使用しつつ敵に近づき、敵の攻撃は【武器受け】
至近距離からUC使用し連続攻撃を

ビンタされたら
「お父様にもぶたれたことありませんのに…っ!」
笑顔で怒りつ、メイスで容赦なく打撃【気絶攻撃】を

※アドリブ、絡み大歓迎です!




 周囲にはもう、一般人の姿は無かった。おそらく帰っていったのか、周囲の建物に避難しているのだろう。言い方は悪いかもしれないが、これで足を引っ張るものの心配をしなくて済む。

「……あら。今の方々も、もしかしたらまた出会って、恋に落ちる喜びを感じられるのでしょうかしら。二度も恋に落ちることが出来るなんて素敵ですわね」

 なぁんて、と気持ちを切り替えながら、きっと恋人同士だったのだろう去っていく二人の後ろ姿を見つめながら、サラヴェス・ゴッディーヴァ(エルフのクレリック・f05987)は少しだけ寂しそうに笑う。

「なるほど……」

 なぜこんなことが起こっているのか、なぜ、縁切りの神と名乗るオブリビオンがこのように暴れているのか。事情はよく分からないが、とにかくこの惨状がオブリビオンの明らかな害意によるものだということは確かだ。栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はたった一人残った敵を見据えた。
 見るからにふわふわしていそうな耳。星空のような美しい色をした髪は、毛先がカールするほど強いウェーブがかかっており、そこから覗く金の瞳は、まるで世界そのものを忌み嫌うかのような憎悪に燃えていた。

「こんなことで、貴女が幸せになれると本当にお思いですの?」

 ほんの少し、ほんの僅かだけ、話を聞いてくれるかもしれないと、サラヴェスがその瞳を見つめた。きっと本人も分かっているのだろう。それとも。

「ボクは幸せになりたくて縁を切るわけじゃない。幸せなんてクソくらえだ。いいねだとかシェアだとか再生数だとかフレンドだとか、どいつもこいつも反吐が出る!全部断ち切って、みんな不幸になればいい!!」

 そもそも幸せになることが、射幸心を満たすことが目的ではない、とか。
 興奮したように大きな尻尾を地面に叩きつけると、小さくつむじ風が起こった。

「まぁ向こうはとってもやる気みたいだし……」
「貴女を倒して切れた縁、再び紡いでみせますわ」

 あくまで優雅に、サラヴェスは微笑む。その横で、今までずっと黙っていた鈴木・志乃(ブラック・f12101)が、ようやく口を開いた。

「――あんたの心、見せてくれる?」

 刺すようにじっと見つめる視線が、真っすぐにキリを捉える。吸い込まれそうな瞳は、黙っていても何かを訴えているようだった。

「出せばいいじゃん、反吐――」

 ぎりり、とキリが噛みしめる。

「沢山吐けばいい――気持ち悪い物見て――気持ち悪いことして――沢山沢山不幸になろう」

 キリは、彼女は気付かない。こうしている間に、倒れ伏した蜂頭のオブリビオンたちが僅かに蠢き始めていることを。徐々に姿を変えていることを。

「うるさい、黙れ!」

 体を支えていた大きな尻尾が、脚とともに地面を蹴って巨大な推進力を得る。元々そこまで開いていたわけではないが、そうでなくとも一瞬で詰まった距離に、志乃は言葉を止める。しかしそれも一瞬だけ。間に入ったサラヴェスが、振り上げられていた腕を受け止めていたから。掴まれた腕を振り払おうとするも、冷静さを欠いたキリにそれは適わない。挑発らしい挑発は無かったにも関わらず、すっかり頭に血が上った彼女はおそらく元より感情の振れやすい性格だったのだろう。

「ほら――そこら辺に沢山転がってるよ。あんたの嫌いな     がね――あんたに愛を伝える為にやってくる」

 ずるりと立ち上がる、蜂だったはずの集団。表情は暗くてよく見えない。が、その姿はキリにそっくりだった。桃色の毛、橙色の瞳、神社の巫女を模したような服。大きな肉球を持った動物のような足に、髪と同じ桃色のおおきな尻尾。

「……んだよっ……! なんなんだよ!!」

 強引にサラヴェスを押しのけて、猟兵たちに目もくれず、キリは迷いなくそれを腕で貫いた。死んでいたはずの立ち上がったそれは、今度こそ動かなくなる。

「嫌いだ……お前も、お前たちも……!」
「勝手に人の幸福を妬ましく思って悪さをするなんて……もっての他ですわ」
「お前たちに何が分かる! 自分たちが必要だって勝手に造ったくせに、今度は邪魔だ悪だって言って何もかも奪いやがって!!」

 言葉に耳を傾けながらも、志乃は静かにバラードを奏でる。少しでも心を揺さぶれるように。そして、死して尚利用する怪人たちへ、手向けるように。

「だからって、お願いされてない縁切りは駄目だぞ」

 被害が及ばないようにあらかじめ上空に退避していた澪が、あまり興味無さそうに呟きながらキリを指さす。そう、どんな言い分があろうとそれは過去の話。結局はただの逆恨み、八つ当たりなのだ。キリが気付いて上空を睨みつけた時には、すでに異変は始まっていた。周囲を取り囲むように舞う花弁の嵐。志乃のバラードに重なって聞こえてくる、眠気を誘うようなもう一つの歌声。

「このくらい……で……!」

 ふらりと体が揺らいだその隙を突いて、澪は急降下、背後に降りる。氷結の魔法を用いて、地面に尻尾を張り付けた。

「今だよ、畳み掛けて!」

 その言葉を合図に、サラヴェスが動く。

「お仕置き……ですわ!」

 自由の利かなくなった相手に、重いメイスでの連撃を叩き込む。オブリビオンの身体の構造がどうなっているのかはよく分からないが、想像していたよりも見た目にダメージは無い。無い、が、攻撃が効いていることは間違いなさそうだ。
 猟兵たちは息の荒くなったキリから一旦距離を取り、反撃に備える。ちらりと見えた彼女の表情は、どこか泣いているようにも見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パトリシア・パープル
他人の幸せ壊しても、自分が幸せになれるわけじゃないのに
そんなに縁を切りたいなら、キミの『宿縁』をわたし達で断ち切ってあげるわよ!

とはいえ、精神攻撃や搦め手主体の敵は基本的に苦手
隙あらば好物のマシュマロを食べつつ、身体能力を上げて回避や防御に専念
積み技で能力アップは基本よね!

敵に攻撃されてダメージを負ったら【ガチキマイラ】で反撃
まだまだ調整中の技だけど、好き嫌いなんて言ってられないので
お菓子だけ食べてると思った?怒ったキマイラは凶暴なのよ!

切り札の【最臭奥義・一斉放射(ファイナル・ヘップバーン)】は、相手が追い込まれている時を狙って使用
リスクも高いので相手が精神的にタフなようなら使用を見合わせる




「他人の幸せ壊しても、自分が幸せになれるわけじゃないのに」

 パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は、僅かながらに憐れみを覚えていたかもしれない。それがたとえ射幸心を満たすためのものじゃなくとも、自身が幸せになれないということに変わりはない。

「関係ない、全ての縁が無くなればみんな平等だ!」

 あくまで止めるつもりはない、とキリが咆える。その姿はまるで、自分だけが不幸だと言わんばかりの子供のようだった。可哀そうだと思うのは断じて違う。恨みも妬みも、度を超して許されることなど何一つ無いのだ。

「そんなに縁を切りたいなら、キミの『宿縁』をわたし達で断ち切ってあげるわよ!」

 パトリシアはポーチからマシュマロを掴み、口に放り込む。咀嚼するほどの余裕があればよかったのだが、生憎相手もそれを待つほど親切ではない。ほぼそのままの形で嚥下すると、迫るキリの手刀を、体を捻って躱した。強化された身体能力を駆使し、躱し、受け流し、そして隙を見てマシュマロを飲み込む。その繰り返しが、彼女を更に強化していく。

「ちょこまか鬱陶しいんだよ!」

 キリの怒りに応えるように、二つの狛犬の像のようなものが召喚され、重々しく口を開く。しかしその程度の動きでは、避けることは容易い。パトリシアは背後に回ろうと上に跳んだ。

「捕まえたぞ!!」
「……!」

 それが陽動だと気付いたのは、目の前にキリが現れてからだった。直接の攻撃は防いだものの、そのまま地面へ叩きつけられる勢いで落下した。土煙の上がる中、砲台が光線を発射したのだろう光を見届けたキリは、余裕そうに地面へ降りる。そして土煙が晴れるころには――。

「まっず……サイアク」
「なっ……!」

 ライオンの頭部のように変形した片腕が、砲台を噛み砕いていた。がりがりと咀嚼しようとして、何の足しにもならないと吐き出される。

「お菓子だけ食べてると思った?怒ったキマイラは凶暴なのよ!」

 優位だと思っていた状況を覆されたことで動揺するキリへ襲い掛かるパトリシア。右腕に噛みついた鋭い歯が、鮮血を受けて赤に染まる。無理やり引き抜いた腕は、もはや使い物にならないように見えた。
 しかしどういうことか次の瞬間、何事も無かったかのように、高速で傷が修復されていく。息が上がっている様子を見ると、ダメージが回復しているわけではなさそうだ。なるほどおそらく、自分の体力か何かを代償に、表面だけを修復しているのだろう。見た目にこだわりでもあるのだろうか。
 ともあれ攻撃は通用している。倒しきるまでそう時間はかからないだろう。パトリシアは攻撃を再開した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジニア・ドグダラ
【音海・心結さんと連携希望です】

縁切り、ですか……個人的には、その縁を辿っている者として、貴女の所業は、許せませんが、ここは音海さんに任せましょうか。

相手は接近戦が得意そうなことを【第六感】で感じ取り、音海さんの後方に位置し直接攻撃を受けないようにします。【目立たない】よう口を閉じたままでの【高速詠唱】と棺桶の【封印を解く】ことにより黒い霧状の死霊を召喚します。
召喚した死霊には、【目立たない】ことを生かして相手の背後や足元からの【だまし討ち】や、行動を阻害するため呪縛狙いの【呪詛】の囁き、警戒させたところで【フェイント】を仕掛けることで音海さんの攻撃を援護するような行動を行っていきましょう。


音海・心結
ジニアと連携するのです

縁を大事にしてるみゆとしては聞き捨てならないのです
これからお仕置きしちゃいますから、覚悟してくださいねぇ

ジニアがターゲットになる前に
【ダッシュ】【先制攻撃】を使って殴りにゆくのです
ジニアを攻撃するなら、みゆを倒してからなのですよ?
【挑発】【殺気】を使って相手の気をみゆに向けながら、
もしジニアに攻撃が行くなら【第六感】を駆使して防ぐのです

うまくみゆに気が向いたらUCの『血統覚醒』を発動
ここからは遠慮なしなのですよ♪
【スナイパー】と【傷口をえぐる】を使って、
相手の傷をより深く刻んでゆくのです

敵がバカにした縁
その力がいかにすごいか見せてやるのです

アレンジ可能なのです




 思い通りに事が進まないという焦りから、キリの苛立ちは更に募っていた。

「邪魔すんなっ……邪魔すんなよっ!」

 もはや既にただのヒステリーだ。しかしそうであったとしても、二人が彼女の所業を許すはずがなかった。

「縁を大事にしてるみゆとしては、いろいろと聞き捨てならないのです」
「……そうですね」

 並んだ音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)とジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)が、荒れるオブリビオンと向かい合った。

「これからお仕置きしちゃいますから、覚悟してくださいねぇ」

 暴れるキリとは正反対に、静かに奥底で燻るような怒りを胸に、心結はじっとりと睨む。対してジニアは何も言わず、全て心結に任せることに決めた。

「なんだよ、ボクが悪いみたいにっ! みんなが望んだからボクが生まれたんだ、切って何が悪いんだよ!」

 聞き分けの悪い子供のように喚くキリ。初めは何かと同情――するべきではないが――してしまうような言動だったが、今はただ自分を正当化しようとしているだけに思えてしまう。彼女にとっては、元より正当なのかもしれないが。

「ちょっと静かにするのですよ」

 窮迫した心結が、容赦なく顎に拳の一撃を加える。人に似た姿をしているならば、弱点もおそらく一緒だろう。
 背後では、ジニアが追撃の準備に入っていた。口を開いた様子は無いが、既に詠唱は完了している。鎖が弾け、背中に負った棺桶が鈍い音を立てて開く。溢れ出したのは、黒い霧のようなもの。この世の怨念を全て凝縮したようなおぞましい霧は、溶けるようにすっと消えた。

「お前、何を――!」
「喋って良いなんて言ってないのです!」

 鼻っ柱を殴られたキリは悶絶していた。これまでで一番痛そうだ。

「さあて、ここからは遠慮なしなのですよ♪」

 じわり、と金の瞳が滲むように真紅へと変わっていく。それまでに無かった、圧倒的な威圧感が周囲を包み込んだ。それはまるで、ヴァンパイアのよう。だが何よりキリが恐怖を感じたのは、それまで容赦は無かったが遠慮はされていたという事実だった。
 滲み出す殺気に、キリは初めて恐怖を覚えた。初めて、今逃げ出すことを考えた。しかしそれはもう遅い。足下から這い出る影が、彼女の足を掴んで放さない。

「散々バカにした縁の力、とくと見せてやるのです」

 鋭い爪が、逃れようと暴れるキリの背を切り裂く。しかし逃れられない。また傷口を正確に突く。しかし逃げられない。諦めて反撃に出ようとするも、今度は足下の死霊が爪を立てる。振りほどこうとすると、また傷口をやられる。

「なんで……なんでなんでなんでなんでっ!!」

 ただでさえ冷静さを欠いた状態だったというのに、更に心に植え付けられた恐怖が理性を奪っていく。

「貴女のしてきた事は許されない、ただそれだけです」

 吐き捨てるように言ったジニアは、恐怖と絶望に歪む表情を、ただじっと見つめていた。
 きっともう、決着の時は近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

六道・紫音
相棒にして恋人のルビィ(f01944)と共闘

これが神か、ならばその強さは俺の剣を高める糧になるだろう…それに
「人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて煉獄に落ちろ!」

・戦術
ルビィと連携して戦う、まずは彼女を狙う自動砲台の排除に『残像』を伴いながら『ダッシュ』で一足飛びに駆ける《縮地》にて向かい、一刀両断にしてゆく
「ルビィの想い、消させはしない!」
そのままキリに接近し、手刀を『第六感』と『見切り』で見極め【肆之太刀《死閃》】で防ぎ、即座に『怪力』を用いて振るう『鎧無視効果』の『カウンター』で返し刃を放つ。
「人の縁は運命の鎖、容易く断てるものではない!」


ルビィ・リオネッタ
相棒、そして恋人の六道紫音(f01807)と一緒に戦うわ

「勘違いしないで。大切な人を想うのって幸せばかりじゃないの」

種族の違いに過去の違い…
幸せ、嬉しい気持ちもあれば、大切に想うから辛い、悲しい時もあるわ

・戦術
キリに『辻風斬り』を仕掛けるわ
敵の動きを【見切り】、【早業・2回攻撃】で斬りつけるわ
【マヒ攻撃】で相手の動きを鈍らせ、相棒の攻撃を入れ易くする

【暗殺】者として気持ちは動かなさいようにするけど
砲台の攻撃は【空中戦・逃げ足・ダッシュ・残像】で避ける
大丈夫、シオンが守ってくれる

見た目も考え方もまだ幼いのかもしれないわね
倒したらダメ元でキリに聞いてみる
「一緒にスイーツフェスタ、参加してみない?」




 憔悴しきったキリは、それでも諦めなかった。何が彼女を突き動かしているのか。定かなことは多くなかったが、彼女が望んでいるのは、この世の全てが幸せでなくなることなのだろう。

「切ってやる……消してやる……幸せなんて……ボクが……」

 表面上の傷は、再び修復されていた。しかしもう虫の息である彼女に後は無い。それを悟った六道・紫音(剣聖・f01807)とルビィ・リオネッタ(小さな暗殺蝶・f01944)は、小さく震えるキリを見下ろし。

「勘違いしないで。大切な人を想うのって幸せばかりじゃないの」

 俯くばかりで攻撃の意思がないキリに、ルビィはぴしゃりと言い放った。様々な経験を重ねた彼女の言葉は重みが違う。種族や生まれ、環境や考え方が違うのが人というものだ。全く同じ者など存在しない。

「幸せ、嬉しい気持ちもあれば、大切に想うから辛い、悲しい時もあるわ……」

 これまでのいろんな出来事を思い返しながら、それでも結ばれたパートナーを見つめる。紫音はそれに応えようとして――。

「――まだだ!」

 ほぼ反射と言っていい速度で、一瞬のうちに紫音が距離を詰めたのは、先ほど破壊されずに残っていた、もう一台の砲台。既に発射態勢の整っていた砲台は、ルビィを向いていた。

「ルビィの想い、消させはしない!」

 真ん中から縦に一刀両断された砲台は、光を放つこともなく地面に崩れ落ちた。

「なんで……上手くいかないんだよっ!」

 地団駄を踏むように、悔しがりながらキリが泣き叫ぶ。その姿を見ながら、ルビィはある疑問を抱いていた。しかしそれをはっきりした形にするためには、多少時間と余裕が足りない。現に今こうして、戦意のないふりをしつつフェイントを仕掛けてきたのだ。喉まで出かかった言葉を飲み込んで、腰に提げたレイピアを抜く。

「これも仕事なの。悪いわね」

 相手が再び攻撃態勢に入る前に、ルビィは神経を狙ってレイピアを突き出す。それがどこに繋がるものかは分からなかったが、相手の動きを鈍らせることが出来れば上出来だ。反撃をもらう前に、反対側にもう一度。

「な、何を……」

 キリは自分でも何処に不調があるのか分からなかった。ただ漠然と、体の自由が利かない事だけは理解している。それだけに何をどう対処していいのか、対処できるのか分からない。
 すっかり混乱しきった頭で物事を考えることなど不可能だった。キリは最期の抵抗とばかりに喚きながら、ルビィに襲い掛かる。

「人の縁は運命の鎖、容易く断てるものではない!」

 少し離れた位置に居たはずの紫音が、そこには立ち塞がっていた。気付いた時には既に手遅れ。キリは自分の攻撃がいなされ、倍以上になって返されるその瞬間を、スローモーションのように見ていた。

「ここがお前の死線だ――人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて煉獄に落ちろ!」

 衝撃波を纏った斬撃が、キリを確かに捉える。ダメージを癒す手段のない彼女は、もう立ち上がることは出来なかった。



 倒れ伏したキリに、ルビィは武器を仕舞って近付いた。危害を加えるためではない。話をするためだ。最後の力を振り絞って傷を修復したキリは、仰向けに転がっていた。

「一緒にスイーツフェスタ、参加してみない?」

 きっと首を縦に振ることは無いだろうと、分かっていた。
 これからたくさんのことを経験すれば、きっと立派な大人になれるだろう。経験、出来れば。オブリビオンは過去の残滓、未来に往くことは許されない。きっとキリ本人がそれを理解していたのだろう。

「みんなアイツのことばっかり必要として……ボクのことなんて……」

 消え入りそうな声で、訥々と言葉を紡ぐ。彼女の言うアイツが何を指しているのかは分からないが、あのキリにそっくりだった存在のことだろう。

「ボクはただ……必要とされたかった……生まれてきた意味が……欲しかった……」

 一筋の涙がこぼれる。

「ボクのチカラで……誰かを……本当は、幸せにしたかった……」

 形を保てなくなった残滓が徐々に消えていく。

「どこで……間違ったんだろう……」
「アンタはまだ子供だっただけよ」

 小さな手が、消えかけた頬に優しく触れた。

「きっとボクはまた全て忘れて……この世界に戻ってくるんだ……だから、その時はもう一度――」

 ボクを還して。その言葉は声にならず、骸の海へと還っていく光と共に、風に吹かれて消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『あまい甘い休日』

POW   :    ひたすらスイーツを食べまくる

SPD   :    シェフの代わりにスイーツを作る

WIZ   :    豊かな語彙力で食レポする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 束の間の静寂の後。
 まるで厚い雲に覆われていたよな灰色の街に光が射した。無関心を貫いていた人々は、次々に正気に戻っていく。どうやらオブリビオンに襲われていた間の記憶は残っていないようで、自分たちが今まで何をしていたのか覚えていないようだ。
 彼らからすればいつの間にかはぐれていたパートナーを探して、せわしなく動き回る。放置していたお店の開店準備を始める。お祭り好きなキマイラたちの、活気のある姿がようやく、この街に戻ってきた。
 そこへ。

「あ、あの、さっきはありがとうございました!」
「皆さんが助けてくださらなければ、このスイーツフェスタも無事に開催できませんでしたよ」
「お、俺も見てました! カッコよかったっス!」
「おにーちゃん、おねーちゃん、ありがとー!」

 襲われる前に助けた人々は一連のことを覚えていたのだろう。次々に感謝の言葉を述べられる。そうして猟兵たちの周りに大きな人だかりが出来たころ。

 パンッ! パンパンッ!

 甘い香りと共にワクワクするような爆竹の音が鳴り、広場の中央に設けられたステージに上った司会者から、待ちに待った言葉が発せられた。

「それでは、バレンタイン限定!スイーツフェスタ2019!今年も開催です!!」

 今年はきっと、ワクワクする年になりそうな予感がした。
柊・弥生
【星脈】のメンバーと参加します。

んと、たっくさんのお菓子食べたいからガウガウさん(ライオン)と皆と開場を食べ歩きしてみようかな。
それでね、なるべくはぐれない様にするつもりだけど美味しそうなもの見たら、一目散に駆けて行っちゃうかも......
美味しいものは皆で食べたいから、皆を呼ぶ様にするね♪
皆が呼んでくれたら、そっちにも飛んでいくよ♪

「わぁ、チョコレートいっぱいっ!」(物珍しそうにキョロキョロする)


ホト・ネザーランド
【星脈】の皆と参加、じゃよ。

甘味は、好み、じゃ……楽しみ、じゃの。
しかし、弥生が先走って迷子にならぬよう、注意、せねば。
「あまり、先に、飛んでは、ならぬ、ぞ……」
しかし、わしの方が、人に流されそう、じゃわい。
気をつけねば、ならぬ、の。

わしも、甘味を楽しもう……
嘴に入る、サイズの、ものを、探すとしよう。
チョコレートプリンなども、あると良いが。
キャラメル、などの嘴にくっついてしまう、甘味には
気をつけねば、ならぬな……何か良い案は、ないか、の。

ヴィゼア殿が探してくれた生チョコ……
感謝、しつつ、啄ばむと、しよう。
「うむ……実に、美味、也」
皆で行く、祭は、楽しい、ものじゃ……
皆の笑顔が、実に、美しい……


エスタシュ・ロックドア
【星脈】の連中とフェスタに参戦だ
俺ぁあちこちフラフラいろんなチョコに手を出して食べ歩いてるぜ
タッパはあるから皆が流されねぇように人ごみかき分けてやろうかぁね
へいへいちょっと失礼するぜ
甘いもんは嫌いじゃねぇが、どっちかっつーとビター系が好きでな
あと酒が入ってる系
ルキー、なんか良いもんあったかー?
珍しい変り種なんかも好奇心で躊躇なく吶喊
で、たまに痛い目を見るのは御愛嬌だが、なんだこの味

おいやめろよヴィゼア
そんなん言われたら食えなくなるだろ……!

弥生に呼ばれたらそっち行くわ
どーした弥生
ほーん? こりゃぁなかなか、お目が高ぇな

……おい要、お前そんなとこで何してんだ?
お、おう、貰えるんなら貰うわ


向坂・要
【星脈】の人達と参加しますぜ。こりゃまたいろんな種類がありますねぇ。お誘いに感謝しかねぇや。ありがとうございます。おっと、こりゃたいした造形で…。製作者の技術になるほど、そうして…ほぅ。と作り手として興味深げに観察。迷子になりそうな人がいりゃ手なり分体なりでフォローしますぜ。お前さん、こっちにもおもしろそうなもんがありますぜ。嘴なりサイズなりで苦戦してる人には提案を。ふむ…それならこんな感じに工夫するのもありなんじゃねぇですかね。と気がつけば作り手サイドに……。ツッコまれればおや、と苦笑し。いやぁつい、ね。どうせならお前さんも食べますかぃ?なんて面々の似顔絵を描いた星形チョコレートを皿に並べ。


ヴィゼア・パズル
【星脈】のメンバー皆と参加。良い依頼を紹介してくれた礀に感謝だな
チョコフォンデュのタワーや本物と見紛うばかりの海賊船やピアノ、華が飾られている
チョコレートである事も忘れてしまいそうだ
このバイクチョコ、造形が見事だな…エスタ。シンディーに似ていないか?
動物を模した形の数々に弥生が飛んで行きそうだが… 保護者も多い。心配は無さそうだな
動物用ケーキも幾つか見ていこう弥生、ガウガウさんや動物達にこの辺りはどうだ?
なんて油断していたらいつの間にか要が作り手サイドに馴染みすぎて違和感が仕事をしていないぞ?
嘴で食べられるチョコなら生チョコが多いか
ホトへ提案する体験コーナーへ共に混ざってみようかね
ほう、見事だ


ルキ・アグノエル
【星脈】
最初、葎が行きてェって言うからな。
俺は別に、と言いてェ所だがいい匂いするもんだな
ま、食べますか。
おい、葎。
はしゃぐの分かるが落ち着けよ
人にぶつかるぞ?
あァ届かないなら取るから言え。
このチョコはビター、オレンジピール入り…ボンボンか。
いいもんだな、悪かねェ
…いや違うな、こういうのは「楽しい」って表現するもんだな
お、エスタシュ。
こいつァどうだ?
サムライエンパイアの日本酒入りだとよ。面白いんでねェ?
誰かしらチョコでも付けてるやつ居たら、
……チョコ、口元についてるぜ?
笑いながら指摘。
皆の笑顔が見れて良かったンじゃね?
サンキューな


硲・葎
【P】
星脈のみんなと!
わあ、すごいすごい!いっぱいスイーツあるよ!!
情報収集とコミュ力と第6感で欲しいスイーツを探すよ。
「弥生ちゃん、こっちにフルーツ入ったチョコあるよ!こういうのは好き?……ん、届かない……」
手を伸ばして取ろうとするけど、ルキくんに取って貰っちゃった。ありがとう。
弥生ちゃんが食べやすいように小さくして
渡してあげよう。
私はチェリーを入れてあるフルーツチョコにしよ。
わあ、チェリーのリキュールと生クリーム入り?すっごいおいしー!
思わず夢中で食べちゃうよ。チョコ、美味しいな。
はうっ!?口ついてた!?ご、ごめんね、ルキくん。
今日は付き合ってくれて、ありがとうね?と笑顔でお礼しよ!




 これまでの戦いが嘘のように、街中が華やいでいた。道行くカップル、家族、友人たち、遍く人々を祝福するように甘い香りが包む。そんな街道を、ライオンが爆走していた。

「わあ、チョコレートいっぱい!」

 走り回るライオン、ガウガウさんの頭の上でキョロキョロしながら柊・弥生(獣婚師・f01110)は、目指していた露店の前に辿り着くと急ブレーキをかけた。

「みっけ!」

 ノスタルジア、と名前のつけられた露店には、まるで雑貨屋のように、様々な商品が並べられていた。

「すごいすごい!いっぱいスイーツあるよ!!」

 瞳をキラキラと輝かせる硲・葎(流星の旋律・f01013)は、連れ添ったルキ・アグノエル(トマジューとヤニと酒で出来てる・f12191)に先立って弥生と並ぶ。様々なチョコレートや甘いお菓子、たまに変わり種で訳の分からないものも置いてあるようだが、こんな時にわざわざ目を向ける必要はないだろう。

「おい、葎。はしゃぐの分かるが落ち着けよ、人にぶつかるぞ?」

 仕方なくついて来た、といった様子だったが、彼は彼でこの状況を楽しめそうな気がしていた。

「弥生ちゃん、こっちにフルーツが入ったチョコあるよ! こういうのは好き? ……ん、届かない……」

 屋台の少し奥まったところ、フルーツの絵が貼られた籠に入っているチョコを手に取ろうと、必死に手を伸ばす。しかし手前の商品が邪魔になって、なかなか奥に手が届かない。接客中だった店主へ声を掛けようとするも、ルキが手を伸ばす方が早かった。

「ほら」

 籠ごと取ってみせた手のひら大のチョコレートの包み。中身が何かは、包装の絵柄で分かるようになっているのだろう。ありがとう、と快活に笑ってみせて、葎はチェリー柄のチョコレートを手に取った。他にあれこれと会計を済ませている間に、ルキはとあるものを見つけた。

「お、エスタシュ。こいつァどうだ」

 そう振り返った彼の後ろには、長身であるルキを更に超える大男が立っていた。褐色の肌に筋骨隆々の体つき。頭の双角は羅刹の特徴だ。エスタシュ・ロックドア(ブレイジングオービット・f01818)は、ルキの手元を覗き込むと首をかしげる。

「お、なんか良いもんあったか?」
「エドの日本酒入りだとよ。エドってェと、サムライエンパイアみてェな時代だから、この世界だと年代物どころか太古の酒だな。大丈夫な代物か知らんが、面白いんでねェ?」

 世界を渡り歩くことが出来る猟兵たちと違って、一般人が扱っているということは、おそらくこの世界にあったものなのだろう。そんな大昔から残っていた貴重なものが何故このような使い方をされているのかは謎だが、当然ながら金額はチョコ一粒にしてはべらぼうに高かった。もちろん買った。
 続々と仲間たちが集まる中、ヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)はまた違う場所を眺めていた。白黒のケットシーの目の前には、チョコフォンデュタワーをはじめ、まるで本物のようなピアノやバイク、動物や、巨大な海賊船など、圧巻のチョコレート造形が立ち並んでいる。

「ほう、見事だ……エスタ。シンディーに似ていないか?」
「おいやめろよ、そんなん言われたら食えなくなるだろ……!」

 エスタシュの愛車シンディーちゃんを彷彿とさせる、バイクを象ったチョコレート。もちろん買ったが、その精巧さに魅入られたのは二人だけではなかった。

「こりゃたいした造形で……」

 向坂・要(黄昏刻・f08973)は更にその向こう側、様々な形を生み出す職人の手つきを眺めながら、まるで今すぐにでもその技術を盗み出してやろうとでも言わんばかりに目を細める。制作過程を見ることが出来る、という触れ込みではあったが、射貫くような視線には流石に職人もやりづらそうにしていた。

「ねえ、ほらほら、トリュフだよ!」
「動物用のケーキも置いてある!」

 買ったチョコレートを分け合いながら、弥生とガウガウさん、そして葎があっちこっちと歩き回る後を、白髪の皺枯れたシャーマンズゴースト、ホト・ネザーランド(不惜身命・f07503)がゆっくりと追っていく。

「あまり、先に、飛んでは、ならぬ、ぞ……」

 歩くスピードと同じくらいゆっくりとした口調でホトが咎めるも、すっかり舞い上がった彼女らが聞いていたかどうかは定かではない。人ごみに紛れると、むしろ自分の方が気を付けなければならなくなってしまう。あまりに多すぎる人波に、ホトは一人うなりを上げた。甘いもの、所謂甘味は好きだったが、これでは楽しむどころではない。

「へいへい、ちょっと失礼するぜ」

 そんな人混みをかき分け、エスタシュはホトの下へ。190を超える大男ならば、この程度の雑踏などどうということはない。先頭に立ち、大海を割るモーセのごとく道を作っていく。

「わあっ、すごいすごーい! ねえみんな、これ見てよ!」
「どーした弥生」

 その足で真っすぐ弥生と葎に追いついたエスタシュ。後ろからそっとホトが覗き込むと、ほう、と感嘆の息をついた。ケーキという小さなキャンバスに描かれた、似顔絵や絵画、キャラクターなどがカラフルに彩るショーケース。露店ではなく元々この街にある製菓店のようだが、並ぶ商品はまるで美術品のようだった。

「ほーん? こりゃぁなかなかお目が高ぇな」

 先ほどの造形とはまた違った芸術性を持つ製菓の数々。その内のひとつ、生チョコに目を付けたヴィゼアが思い出したようにつぶやく。

「嘴で食べられるものなら生チョコがいいか……」

 キャラメルなどでも柔らかければ張り付くことは少ないだろうが、やはりせっかくなのでチョコレートがいいだろう。並んだ商品の内いくつかを見繕ってホトへ。そうしてそれぞれが自分の選んだものを持ち寄り、テラス席へ移動した。

「うむ……実に、美味、也……」
「それはなにより」

 気に入ったのだろうか、表情からは分かりにくいが、ホトもヴィゼアのチョイスをどうやら喜んでいるようだ。

「こっちはチェリーリキュールと生クリーム! すっごいおいしー!」
「甘すぎないのがまた良いねェ。こりゃァオレンジピールか……ん、チョコ、口元についてるぜ?」
「はうっ!? うそ、口ついてた!? ご、ごめんねルキくん」

 笑いながら指をさすルキと、必死にごしごしと擦る葎。

「テラスでよかったね、ガウガウさん♪」

 自分の体長ほどもあるチョコケーキと、ガウガウさん用のケーキを並べ、ご満悦の様子の弥生。
 そして要は――

「……おい要、お前そんなとこで何してんだ」

 エスタシュの視線の先には、いつの間にかフードユニフォームへ着替えた要の姿。本格的なわりに違和感がないのが何とも言えない。まるでそこに居ることが当然のように商品を並べていた要は、エスタシュに気付くと苦く笑った。

「いやぁつい、ね」

 並べられたのは星形のチョコレート。おそらく今しがた作られたのだろう。その中からいくつか浚い、テラスへと戻ってくる。

「どうせならお前さんたちも食べますかぃ?」

 すっとみんなの前に差し出されたチョコレートには、もはやアートレベルの、それぞれの似顔絵が彫られていた。それを見て、また弥生がすごいすごいと声を上げる。

「皆の笑顔が見れて、良かったんじゃねェ?」
「うん……今日は付き合ってくれて、ありがとうね」

 時間はまだまだあるけれど、と笑う葎。そんな心から楽しそうな笑顔と声が、今日という特別な日を彩っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
POW判定

っ!
待ちに待ったこの時間!
スイーツを堪能する!

あっちのはガナッシュか?あっちにはザッハトルテ?
まずはぐるっとどんなスイートが出ているのかをチェックだ

その中から外したくねぇのだけチョイスして、オルタナティブダブルを駆使して二ヶ所同時に並んでゲット
効率的に動く
後、製菓用のチョコとかもゲットするぜ
皆に作りてぇ
この日には作らんがな
今日の主役は俺らじゃねぇし

あん?…ってあんたは…あの時の…(蜂の時の女の子)

…いいぜ?一緒に回るか
だが回る内に始まる前に終わるんじゃね?
最終的には友達か何かになって別れる

回っている間に分身が男と歩いてるの見てたりしてダメージを受けたりで俺には何が起きたかわからんぞ


ジニア・ドグダラ
音海・心結さんと連携希望

さて、今回は音海さんと、チョコレートケーキを作るのですが……私自身、あまり料理の方は、得意とは……しかし、佐藤家の皆様にお渡しするので、しっかり頑張りましょう。

もう一人のワタシを召喚し、そちらには【医療】【毒使い】の知識を用いて下ごしらえや片づけを行っていただき、私は音海さんとケーキ作成のため、頑張りましょう……!っと、クリームが頬についてしまいましたか……あ、あの、音海さん?

こほん、ひと悶着ありましたが、ケーキの方は完成ですね。佐藤家の皆さんが喜ぶかは分かりませんが、音海さんの笑顔を見れたので、よしですね。
またこうして、音海さんと依頼に出かけてみたい、ですね。


音海・心結
ジニアと参加ですよ

ジニア、ジニア♪
次はチョコ作りなのですっ
みんなで佐藤家(旅団名)の人たちのために
チョコケーキを作りたいのですが……
付き合ってくれますか?

みゆはお料理をあまりしたことがないのですが、
説明書を見れば何とかなりますよねぇ
【学習力】を使って【祈る】ように作るのです
下準備や後片付けはジニアの分身に任せて、
みゆとジニアはデコレーションに専念しましょう

……ぁ。ジニア
そこにチョコクリームがついてるのですよ?
ふふ。舐めてもよいですか?
佐藤家のみんなは喜んでくれるのでしょうか
とってもドキドキなのです
ジニアとも仲良くなれたみたいでとっても嬉しいのですよ♪

アレンジ可能ですよ


パトリシア・パープル
さて、街の平和も取り戻せたし、スイーツフェスタを楽しまないとね!

好物のマシュマロを使ったスイーツを作って皆にふるまう
豆乳とマシュマロを溶かして混ぜたものに、ビターチョコを入れて固めればチョコプリン
牛乳で代用すればチョコムース
後は、チョコレートを焼いたマシュマロとクッキーで挟んでみたり

本場のパティシエみたいにはいかないけど、カフェとか屋台のメニューとしては十分でしょ♪
ついでに、レシピブックも作って、来てくれた人に渡しておくわ

マシュマロって、単品だとバレンタインでは嫌われ者なのよね(「あなたが嫌いです」という意味合い)
でも、チョコと混ぜたり包んだりすると、「純白の愛で包む」って意味になるのよ


栗花落・澪
スイーツといえば幸せな笑顔
やっぱりこうでなくっちゃね♪

僕も作る側を手伝いましょう
【料理】なら任せて
特にスイーツは得意分野だよ

友達同士はクッキーキャラメルマドレーヌ
恋人さんにはキャンディカップケーキバームクーヘン
見た目の美しさや可愛さにも拘り
ハレンにも手伝ってもらいつつ
アレンジを交えて提供します

結婚の予定がある?
わぁ、おめでとうございます!
それならそうだなぁ…
マロングラッセか、チョコマシュマロはどう?

マロングラッセは永遠の愛
誓いのお菓子にはピッタリだよ
マシュマロの意味は嫌い…だけど
こうして中にチョコを入れると変わるんだ
『純白の愛で包み込む』
素敵な一日を

ひと段落ついたら僕も食べる側にまわろーっと




 いろんなお菓子が並べられている店舗や屋台、カフェなどとはまた違った楽しみ方が出来る場所があった。それは小さな製菓工房。この場所では、お菓子作り体験が行われているようだ。

「ふふ、みゆは楽しみなのです♪」

 何に使うのかいまいち分かっていない様子で、プラスチックのボウルとホイッパーをせわしなく動かす音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)。ちなみに中には何も入っていない。ジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)もどうやら料理の経験は少ないようで、少し不安そうにその姿を眺めていた。当然だが衛生上の問題で背中の棺桶は外し、花柄の可愛らしい貸し出しエプロンを揃って着用していた。

「ジニア、ジニア、佐藤家にチョコケーキを作って帰りたいのですが……付き合ってくれますか?」

 上目遣いで問う心結。当然ジニアが断れるはずも――いや、断るはずもなく、二人は作業を開始する。

「みゆはお料理をあんまりしたことがないのですが――」

 話の途中でジニアから「えっ」と予想外のパンチをもらったような声が漏れたが、気付かなかった心結は話を続ける。

「――説明書を見ればなんとかなりますよねぇ」
「そ、そうですね……」

 こうして前人未到のチョコレートクッキングが始まった。
 ジニアはオルタナティブダブルで手数を増やそうと考えたが、よくよく考えると、料理の知識がない人間を増やしたところで役に立つかは分からない。

「医療と毒使いの知識があればなんとか……」
「ジニア……ケーキは毒じゃないのですよ……?」

 そんなこんなでオルタナジニアがトッピング用のチョコレートを刻んでいく中、二人はケーキ作りの醍醐味とも言えるホイップクリーム作りに挑戦。チョコレートケーキなので、チョコホイップだ。
 ハンドミキサーは流石に使えるものの、仕上げのホイッパーでの微調整に四苦八苦。吸収の早い心結は次第にコツを掴んできたようだが、対するジニアはそもそもホイッパーを使う理由が分からずうんうんと唸るばかり。まあ正直そこまで拘らないのであれば、最後までハンドミキサーでも支障はない。

「で、できました……」

 ふう、と一息ついて額を拭うジニア。心結はその間にクリームを袋に詰めて口金を取り付ける。ようやく待ちに待ったデコレーションだ。ジニアからどうぞ、と心結はクリームを手渡す。搾り器を手に、佐藤家のみんなのためにとトッピングに挑戦する彼女の表情は真剣そのもの。心結はそんなジニアの横顔を眺めながら――。

「……ぁ、ジニア。ほっぺたにクリームがついてるのですよ?」

 と、それに気付き拭う前に。

「っ……あ、あの、音海さん?」
「えへへ、もう取れたのです」

 戸惑うジニアに、クリームを掬った小さな舌を可愛らしくちろりと見せる。驚いてクリームを大量に搾り出したのはまあ、ご愛嬌としておこう。

「みなさん、喜んでくれるでしょうか」
「ドキドキですね……でもみゆは、ジニアと仲良くなれただけでも嬉しいのですよ」

 不意を突かれたジニアは、やがて優しく微笑むと、そうですねと一言だけ返した。きっと他に言葉など必要無い。
 色々あったケーキ作りも終わり、二人は並んで通りを歩いていた。カラフルな装飾が、ところ狭しと並んでいるのを見ると、不思議と気分が高揚してしまいそうだ。
 そんな二人の目を引いたのは、精霊の飛び交うとある屋台だった。

「結婚の予定がある? わぁ、おめでとうございます!」

 せわしなく飛び回る黄、オレンジ、ピンクなどカラフルな精霊たちの元でふわりと笑顔を見せた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、二人にピッタリなお菓子を見繕うため、ショーケースとにらめっこ。クッキー、キャラメル、マドレーヌは、お友達。特別な絆を表すカップケーキ、バームクーヘン、キャンディは恋人用に。そして――。

「マロングラッセは永遠の愛。誓いのお菓子にはピッタリだよ♪」

 取り出されたのは、栗のような、いや、栗を砂糖漬けにしたヨーロッパ圏のお菓子、マロングラッセ。ちなみにこれは男性から女性へ、永遠の愛の証として贈られる習慣があるという。他にもいくつか見繕うと、二人は満足そうな笑顔で帰っていった。

「せっかくのスイーツフェスタだからね。うんうん、やっぱり――あ、いらっしゃいませ!」

 訪れた心結とジニアに、澪は笑顔で対応する。料理スキルの皆無だった自分と比べて恨めしそうに見つめるジニアと対照的に、心結はさっそくショーケースを覗いていた。大きなチョコケーキを持っているとはいえ、これはお土産用なので食べることは出来ない。

「チョコは無いのですか?」

 言われてジニアも覗くが、確かにチョコレートらしきものは見当たらない。

「ちゃんとありますよ、ここに」

 そう言って澪が取り出したのは、真っ白なマシュマロ。チョコレートと言われてマシュマロを取り出したのだから、怪訝な顔をされるのは当然のことだろうが、心結がそんな表情になったのにはまた別の理由があった。バレンタインに贈られるマシュマロ、それは「あなたが嫌い」という意味を持つ。

「これは、チョコレートを包んであるんですよ」

 にこにこしながら説明を始める澪。ちなみにその可憐な容姿や天使のような雰囲気、うかがい知れる女子力の高さに飛び交う精霊たちも相まって、キマイラたちから「バレンタインの妖精」と呼ばれていたのはまた別の話。

「マシュマロでチョコレートを包むと、あなたが嫌い、っていう意味が全く変わるんです」

 それは――。



「その意味は、純白の愛で包み込む」

 訪れたお客さんに、説明がてら販売を続けるパトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)。小さな屋台で、得意のマシュマロスイーツを披露していた。

「ま、本場のパティシエみたいにはいかないけどねー」

 とはいえ十分すぎる腕前に、客足が途絶える様子は無い。溶かしたマシュマロに豆乳を混ぜて、甘さ控えめなビターチョコを入れて固めたチョコプリン。豆乳を牛乳で代用すればチョコムース。焼きマシュマロとチョコレートのクッキーサンド。バレンタインでは嫌われものなマシュマロが、様々な姿に変身していく。

「あ、そうだ、ついでにこれもどうぞー」

 準備のいいことに、今回作られたスイーツや、その他マシュマロを使った料理などのレシピブックまで作っていたようだ。出来うる限りの人の手に渡るよう、商品と一緒に渡していく。
 食べ歩くことも楽しみ方の一つであるが、たくさんの人の笑顔を見るには、作るのが一番だ。パトリシアは普段この日に日の目を見ることがない自分の好物で喜んでもらえて上機嫌だった。

「お、あれって確か……」

 屋台から、客列の後ろに見えたせわしなく走り回る人物に視線が向く。何かを探しているようだ。

「あっちのはガナッシュか? あっちはザッハトルテ? この時を待ちわびてたんだ、思う存分堪能させてもらうぜ!」

 尾守・夜野(群れる死鬼・f05352)は、あれだこれだとひとりでに指を折りながら、目当てのスイーツを絞り込んでいく。あれは北だ、あれは南だ、西だ東だ、欲しいものに限って離れているのはよくあること。諦めるか、売り切れ覚悟で並ぶか、しかし彼は気合の入り方が違った。猟兵のチカラ、ここに極まる。オルタナティブダブルで二人に増えた夜野が、目当てのものを手に入れる為に別方向へ走り出した。流石に530メートル圏内であれば、ある程度自由に動き回ることが出来るだろう。事のついでに製菓用のチョコレートも調達しながら、夜野はあれこれと買いあさっていく。
 そんな夜野の元に、一人の少女が現れた。

「あ、あの……さっきはありがとうございましたっ」
「あん? ……ってあんたは……あの時の……」

 蜂頭のオブリビオンに襲われていたキマイラの少女。どうやら彼女もこの場所へ戻ってきたようだ。紙袋いっぱいにお菓子を詰め込んだ夜野に、彼女は頬を赤らめながら声をかけた。

「えと、もしお暇でしたら……その……ご、ご一緒してもいいですかっ!」
「ああ、まあ別に暇じゃねぇが……いいぜ、一緒に回るか?」

 それを聞いた少女は、ぱっと花が咲いたような笑顔を見せると、元気に返事をした。

「アレはゲットしたから、次はこれで……ああ、帰ったらこれ皆にも作ってやるか」
「スイーツ、好きなんですか?」
「当然だ、今日はそのために来たんだからな」

 パンフレットに目を落とし、またあれこれと呟き始める夜野。少女は一瞬だけ寂しそうな表情を見せると、またすぐに元気に笑う。

「じゃああの、これなんてどうですか?」
「お、こんなところがあったのか! あでも、こっちなんてどうだ?」

 二人してパンフレットを覗き込み、色々な店舗を探す。この後特に進展がなかったというのは、離れたところでニヤニヤしながら見ていたパトリシア談。ついでにもう一人の夜野はガチムチ系のお兄さんと歩いていたとかいないとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

六道・紫音
相棒にして恋人のルビィ(f01944)とフェスタに参加

先ほどのオブリビオンに思うところあるようなルビィを肩に乗せ、会場を歩く
「好きな物を食べていいんだぞ?」
それでもどこか晴れないルビィに、自分の考えを話して。
「命は望んで生まれて来るものではない。
だがどういう経緯で生まれたにせよ、存在しているのならその意味は自分自身で見つけるしかないのだ」

ルビィが選んだものを分け合いながら食べて
「ルビィ…君は優しいな、そんな君といたから俺は生きる意味を見つけられたのかも知れない」

その意味そのものに問われれば、微笑んで返し
「ルビィと共に未来を紡ぎたい…剣を極めるだけが意義だった俺が見つけた自分の生きる意味だよ」


ルビィ・リオネッタ
相棒にして恋人の六道紫音とデート

アタシの力不足ね…もっとキリの事考えられた筈
…いけない、心配かけないよう明るい顔でいかないと

「わぁ、お菓子が一杯ね。シオン」

恋人の肩で周りを見回すわ
チョコレートスフレを選んで席へ
アタシには多いからシオンといつも通り分け合うわ

「そうね、自分しか納得できる意味と理由なんて見つけられないもの。それでも、もう少しだけ…受け止められれば良かったなって」

迷っててもシオンの声を聞くと落ち着くわ

「知ってるつもりだけど、どんな意味を見つけたの?」

シオンのいつもの甘い言葉に微笑んで、同じくらい甘いスフレをスプーンでひとすくい。シオンの口へ
これ以上は照れちゃうからスフレで口を塞ぐわ


サラヴェス・ゴッディーヴァ
うふふ、すーーーっかり、沢山チョコレートを買ってしまいましたわ、ふふ!(ご機嫌で紙袋を沢山持ちつつ)
せっかくですわ、自分用のチョコレート…あら、あのチョコレートアイスクリーム美味しそうですわね♪
ちょっといただきながら一休みいたしましょう

(チョコを味わい)
あぁ、美味しい…!(うっとり)
運動した後でもありますし、格別ですわね。
さてと…(買い物袋を広げ)
これはお父様用で、これはお兄様…
これは友人用で、これは執事達に、でしょう。

…そして、これは…
(美味しそうな一粒のチョコを取り出し。キリさんが消えた場所へ)
次は、皆で食べましょうね、キリさん。
ハッピー、バレンタインを共に…

※アドリブ大歓迎です!


鈴木・志乃
【POW】

……はー
ああいうの見ると、本当。
オブリビオンって
(もっしゃもっしゃ)
(※【礼儀作法】でそこそこ上品に食べてます)

本当はどうにかしたげたいんだけど
無理なもんは無理だし(むしゃあ)

やるせないんだよなー(やけ食いむしゃむしゃ)

ねえ、ほんと…
(いつもの調子で誰かに呼び掛けようとして振り替える。誰もいない)
……
…………
はー。

知り合いに何か持って帰ろっかな(もぐもぐごくん)
すみませーん! ここのオススメってどれですかー?【コミュ力】
全部買って全部食べて、一番美味しかったやつにしよう(むしゃあ)
そんなに入るかって?
デザートは別腹という言葉を知らんのかね、君(ぺろり)

大切なお土産だ
ガチで選ばないと!




 賑やかな会場から少し離れた、混み合うほどの客足が向かないとある店舗。イートインコーナーでケーキを切り崩しながら、鈴木・志乃(ブラック・f12101)は独り、溜息を吐いた。思い返すのは、先ほど戦っていたオブリビオン、キリの姿。別に暗い気持ちになりたいわけではなかったし、何よりどうしようもないことだと割り切っていた志乃だったが、どうしてか頭に浮かんでしまうようだった。

「なんていうか、やるせないんだよなー」

 ケーキの後に紅茶を一口。甘いものを食べているので、砂糖は入れていなかった。苦く感じるのは、きっとそのせいだ。

「ねえ、ほんと――」

 何気なく、いつもの調子で誰かに呼びかけようと振り返る。そこには誰もいない。正確には、人は居た。誰もかれもが家族や恋人と楽しそうに笑い、写真や動画に思い出を残している。だけれどそんな空間に独り取り残されたようで。志乃はまたひとつ溜息を吐いた。

「さって……!」

 いつまでもこんな気持ちのままじゃ、美味しいものも満足に堪能できない。気持ちを切り替えるように声を出す。

「知り合いに何か持って帰ろうかなっと」

 残っていたケーキを飲み下すと、近くを通った店員を呼び止めた。若い女性のキマイラだ。

「ここのオススメってどれですか?」

 一応メニューを返して見せるが、女性店員は頭に入っているのか、呪文のような商品を解説を添えて紹介してくれた。しかしどれも聞けば聞くほどおいしそうに感じてしまう。迷いに迷った挙句、志乃が選んだのは。

「全部食べて美味しかったやつにしよう」
「こう言っては何ですが、正気でしょうか」

 冗談(?)を交えながらも、笑顔で対応してくれた店員は注文通り片っ端からいろんなスイーツを運んでくる。

「デザートは別腹という言葉を知らんのかね、君」

 なんて返しつつ、真剣にお土産を吟味し始めた志乃がその店を離れたのは、日が傾くころだった。



「うふふ、すーーーっかり沢山チョコレートを買ってしまいましたわ、ふふっ!」

 どうやっているのか分からないレベルでたくさんの紙袋を抱えたサラヴェス・ゴッディーヴァ(エルフのクレリック・f05987)は、いつにも増して上機嫌な様子で街道を歩いていた。すれ違う人々は皆笑っている。もしオブリビオンの襲撃を防ぐことが出来なければ、今頃こうして楽しそうな姿を目にすることは無かっただろう。
 お土産用のチョコレートを買い込んだサラヴェスだったが、ふと自分用のものを買っていないことに気付き、辺りを見渡した。

「あら、美味しそうですわね♪」

 視線の先には、チョコレートアイスの屋台。幸い今はそこまで並んでいないようで、時間も掛けずに買うことが出来るだろう。そんな予想の通りすぐに手に入れることが出来たサラヴェスは、近くのベンチに紙袋を下ろすと、自らもその横に座り込んだ。

「あぁ、美味しい……!」

 バニラとチョコレート、ではなくブラックとホワイトの珍しいマーブルアイスをうっとりと舌で掬う。戦闘した後に更にこうして歩き回った体に、甘いものが染みていくのを感じた。気付くともう既にアイスは無くなっている。もう一つ、と立ち上がろうとして、なんとか自制したサラヴェスは、横に下ろしていた紙袋に視線を移した。中身はそれぞれの好みに合わせて多岐にわたる。

「これはお父様用で、これはお兄様……」

 袋の中身を広げつつ、今日の戦利品をだらしなく緩んだ顔で確認していく。

「これは友人用で、これは執事たちに、でしょう……」

 最後に残ったのは、ラッピングされた他のものと違って、たった一粒の、けれどキラキラと輝く宝石のような包みのチョコレート。

「そしてこれは――」



 ルビィ・リオネッタ(小さな暗殺蝶・f01944)は、六道・紫音(剣聖・f01807)の肩の上で物思いにふけっていた。先ほどの、キリの言葉が頭から離れない。誰もかれもが初めから悪事に手を染めているわけじゃない。もっと相手のことを考えていられたら、何かが変わったのかもしれない。そう考えてしまうのはエゴだろうか。

「……好きなものを食べていいんだぞ」

 そう言われて、初めて紫音の視線に気付いたルビィは、慌てて笑顔を作った。

「わぁ、お菓子がいっぱいね、シオン」

 賑わう会場に並んだ屋台を、紫音の肩から見渡したルビィ。あれがいいわ、と指をさしたのは、チョコレートスフレだった。普通のカップケーキサイズよりも少し大きめのスフレは、フェアリーであるルビィには大きすぎる。二人はひとつのスフレを分け合って食べることにした。
 フードコートは、例に漏れず多くの人が溢れていた。空いている席を見つけるのも苦労したが、この賑わいが自分たちの守ったものだと考えると、不思議と不快には感じなかった。紫音は椅子に、ルビィはテーブルに置いた椅子代わりの小さなキューブに腰かける。顔が下を向いた一瞬、またルビィの表情が暗くなっているのを、紫音は見逃さなかった。

「命は、望んで生まれて来るものではない」

 ふと口を開いた紫音。

「だがどういう経緯で生まれたにせよ、存在しているのならその意味は自分自身で見つけるしかないのだ」

 生まれてきた意味が欲しかった。そう言ったキリの涙を思い出す。だが紫音の言った通り、自分の生きている意味など、誰かが用意してくれるわけではない。

「そうね、自分しか納得できる意味と理由なんて見つけられないもの」

 それでも、とルビィは続ける。

「もう少しだけ……受け止められれば良かったなって……」

 後悔とはまた違う、少しだけもやもやとした気持ち。誤魔化すようにスフレをちぎって口に運ぶも、パウダーシュガーのかかっていない部分はほろ苦く、気分が晴れそうにはとても思えなかった。

「ルビィ……君は優しいな」

 だけどその声が、何よりも大事なその人の声が、夜を彷徨うような心を救ってくれる。

「そんな君といたから俺は生きる意味を見つけられたのかも知れない」

 迷っても、間違っても、それを正してくれそうな声。安心できる声。徐々に日が射すように、晴れていく心。

「知ってるつもりだけど、どんな意味を見つけたの?」

 そこでルビィは、フードコートに着いて初めて紫音の顔を見た。その瞳もまた、ルビィを向いていた。

「ルビィと共に未来を紡ぎたい……剣を極めるだけが意義だった俺が見つけた自分の生きる意味だよ」

 優しく微笑んだ紫音の口に、ルビィは何を言う代わりにスフレをスプーン一杯詰め込んだ。そうしないと、嬉しさと恥ずかしさで死んでしまいそうだったから。



「……ん」
「あ……」
「おっ……?」
「あら……」

 夕暮れの街角。先の戦闘で一部崩れたその場所は、会場から切り離されるように立ち入り禁止となっていた。そんな誰も寄らないその場所で、四人は偶然にも出くわした。

「お散歩ですか?」

 そうでないことくらい、サラヴェスも分かっていた。それでもつい聞いてしまう。なんとなく、自分だけがそう考えているのではないかと不安になってしまったから。
 そこは、キリが涙を流しながら消えていった場所だった。

「……ああ」
「……まあね」
「私は別に……」

 歯切れ悪く言いながらも、三人はサラヴェスと同じ場所を見ていた。何か思うところがあるのはきっと全員同じなのだろう。ただサラヴェスが心配していたよりもルビィが沈んだ表情をしていないのは、きっと――と、そこで野暮なことを考えるのは止めにした。
 ふと静まったのを合図とするように、もう一度あの場所を振り返る。そして宝石のように輝くチョコレートの包みを取り出し。

「次は、皆で食べましょうね、キリさん」

 キマイラフューチャー。ここは人類が滅亡した後の世界。それでも変わらず地球は回るように、この星に住む生き物たちが姿を変えても、明日は必ずやってくる。
 悲しいこともある。つらいことも、苦しいこともある。だけど朝日が昇るのなら、夜が明けるのなら、きっといつか未来は輝くのだ。
 今日という一日が、沢山の人々に笑顔を与えたように。来年も、再来年も、その先もずっと。

 ハッピー、バレンタインを共に。
 いつか、分かり合える日が来ると、信じて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト