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イーネ島はクリスマスも大騒ぎ!

#グリードオーシャン #お祭り2020 #クリスマス #イーネ島

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#クリスマス
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●イーネ島のクリスマス
 ここはイーネ島。グリードオーシャンの島の一つだ。
 キマイラフューチャーから落ちてきた、ジャングル風リゾート地の島で、キマイラたちが大勢住んでいる。
 彼らは、コンキスタドールによって、『楽しんだり笑ったりしたら殺される』という悪の掟の下で過ごしてきた。
 そのコンキスタドールは、猟兵に滅ぼされ、もういない。
 つまり……。
「今年のクリスマスは楽しみ放題じゃね?」
「今までできなかったこと、やりたい放題なんじゃね?」
「だよね」
「うん」
 キマイラたちは、言う。
「なら……思いっきりやるしかないよね! 最高のクリスマス!」
「『ターキー食べまくってみた!』『超巨大キャンプファイヤーしてみた!』『歌ってみた、踊ってみた、隠し芸してみた!』……そんな感じで、やりたいことやりまくろう!」
「「いいね!」」
「『恋人たちがしっとりとイチャつけるデートスポットを作ってみた』ってのは?」
「「いいねっ!!」」

●グリモアベースにて
「猟兵が以前コンキスタドールの圧政から救ってくれた島、イーネ島の島民たちから、クリスマスパーティーのお誘いがあったぜ」
 宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)は、にこやかに告げる。
「パーティー本番は、夜だな。島の広場で、超巨大キャンプファイヤーと、たまたま動いたコンコンコンで出てきた豪華な料理を準備してるから、ぜひ来てくれって。あとは、『歌ってみた』『踊ってみた』『隠し芸してみた』その他諸々をパーティーで披露しまくるらしいから、猟兵も『してみた』を披露すれば、島民のキマイラたちはきっととても喜んで、『いいね!』って言ってくれると思うぜ」
 それから、拓未はこう付け加える。
「それと、キマイラたちは、とっておきのデートスポットを用意してくれたんだ。丘の上にベンチがあって、イーネ島の夜景全体を二人きりで見渡せるそうだ。そのベンチに座って、手を繋いで、互いの名前を呼べば、幸せな未来が約束されるぜ」
 実際のところ、キマイラが一晩で考えた逸話だが、拓未がそんなことをわざわざ明言することはない。大事なのは、互いが互いを想うことだ。
「キマイラたちと一緒に騒ぐのも、恋人同士でしっとりと楽しむのも自由だ。イーネ島のクリスマス、全力で楽しいものにしようぜ!」
 拓未はにっこり笑って、親指を立てた。


地斬理々亜
 地斬です。メリークリスマス!
 よろしくお願いします。

●このシナリオについて
 1章で完結する、クリスマス特別シナリオです。

●イーネ島について
 グリードオーシャンの島の一つです。
 シナリオ『イーネ島に笑顔を取り戻せ!』の舞台となった島でもあります。
(該当リプレイをお読みにならなくても、ご参加に差し支えはありません)

●拓未について
 グリモア猟兵の拓未は、プレイングでお呼びいただいた時のみリプレイに登場します。

●プレイング受付について
 今回は断章投下なしで、OP公開と同時に受付開始します。
 受付は、25日(金)の23:59までです。
 延長の場合は、自己紹介ページとツイッターでお知らせします。

●省略記号について(プレイング文字数を節約したい方向け)
 アドリブ多め希望の方はプレイング冒頭に◎を、少なめ希望の方は×をお書きください。
 いずれも書かれていない場合は、プレイング内容に応じて適宜アドリブを入れます。

 それでは、良きクリスマスを!
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第1章 日常 『グリードオーシャンのクリスマス』

POW   :    巨大なキャンプファイヤーや、沢山の料理を準備してパーティーを楽しむ

SPD   :    歌や踊りや隠し芸などで、パーティーを盛り上げて、皆を楽しませる

WIZ   :    意中の人と示し合わせてパーティーを抜け出して、恋人たちのクリスマスを楽しむ

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟】で参加 ◎
「メリークリスマス! 今年も最後まで楽しく盛り上がって行くわよぉ!」

「歌や踊りや隠し芸などで、パーティーを盛り上げて、皆を楽しませる(SPD)」に挑戦します。
メインボーカルは千秋さん。自分はバックコーラス。
間奏部分でギターソロを入れて、火炎放射器付きギターから派手に炎を出す。

UC「無線誘導攻撃型浮遊ドローン・修羅雪姫カスタム」を使い、ドローンをスピーカーモードにして全島に歌声を届けます。
ただし、物陰に消えたカップルの邪魔はしないように注意。
「うーん、私って気づかいのできる女よねぇ」
サブナさんの屋台で美味しいものを食べ、十代最後の聖夜を満喫します。


草野・千秋
【全世界サイボーグ連盟】◎

いやー皆さん熱くなってますねぇ
熱いといってもバズがいいですね炎上ではなく
ほら、そこに美男美女のカップルもいるではないですか

UCで音楽隊を呼び
歌唱、楽器演奏、パフォーマンスで歌を披露

♪歌詞
聖夜に人が寄り添いたがるって誰が言い出したのかな
僕らは何度も旗の誓いの元何度も集い戦った
これからも世界を超えて戦い続けるだろう

冷たいはずの鋼の指も繋げば今は暖かい
君を抱きしめたのはぬくもりが欲しかっただけじゃない
愛していると伝えたいから
I wish you a Merry Xmas
君の人生に絶えない幸せがありますように
これからもずっと

歌い終わったらサブナさんの美味しいものをもぐもぐ


サブナ・ダディ
【全世界サイボーグ連盟】で参加◎//「やっぱり平和が一番だな、飯と聞いちゃぁやるしかねぇよな」//食堂車「膳茶簾」を展開し、お好み焼き等の粉物や、おでんに焼き鳥等の酒の肴、クレープ等のスイーツ、酒やジュース等の飲料を販売//【阿形、吽形像】を招来し、序盤は膳茶簾の手伝い修羅雪姫、千秋が歌い始めたら二人の頭上に「ZENSAREN」の横断幕をもたせる//「カップルの二人の為に特別メニューでも用意しとくかねぇ」と言いつつ姫達の打ち上げに参加


伊高・鷹介
・WIZ

・◎アドリブ歓迎

【全世界サイボーグ連盟】

・ドロレス(ルビーレッド・f12180)にもらったマフラーを巻き、彼女と丘の上のベンチで待ち合わせ。彼女のことは愛称で「ディー」と呼ぶ。

・冬の澄んだ空気に映える景色を見ながら今年の思い出……彼女に告白したことや夏のデート、様々な戦場を共に駆け抜けて、かけがえのない人になったことを話し合う。

・ドロレスが寒風に震えたところで肩を抱き、マフラーをかけてぴったりと密着。辺りに気配がないのを(何の?)を確認してから彼女にキスをする。「これで、温かくなった、か?」と。

・ドロレスのメリークリスマスの声に応えて、こちらも「メリークリスマス、ディー」と笑顔で返す。


クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加


「この火力は……」

【POW】

「『超巨大キャンプファイヤーしてみた!』がこの程度の火力で良いのだろうか、いや良くない」
炎に必要なのは圧倒的な火力と規模、バズるには更に燃料を足さねば…… 自前のクロムキャバリアに搭乗し、UCを発動。移動力を半分に、火力(攻撃力)を5倍に。
火炎弾を込めた火器をキャンプファイヤーに叩き込みます。

「よし、もっと燃やさねば」
歌声が聞こえるのでリズムに合わせて火炎弾を発射、火力でパーティーを盛り上げます。


ドロレス・コスタクルタ
◎【全世界サイボーグ連盟】で参加

鷹介さん(ディフェクティブ・f23926)と丘の上のベンチで待ち合わせ(彼のことは愛称のシェロと呼ぶ)。ベンチに身を寄せ合って座り、一年間の大きなイベントも勿論のこと、日々他愛無い話をするのがとても楽しいことを話す。

丘の上を吹き抜ける冷たい風に思わず身を震わせると鷹介さんに抱き寄せてもらって密着。マフラーを自分にかけてくれた鷹介さんの手を握り自分の上着のポケットに入れる。

そのまま肩に頭をコテンと乗せて「この島の言い伝えで、手を握っていると幸せな未来が約束されるそうです。わたくし欲張りですから! 幸せはいっぱい欲しいです! メリークリスマス!」と笑顔で告げる。



●膳茶簾の男
 コンキスタドールの存在しない、明るく賑やかなクリスマスを迎えたイーネ島。ウキウキと楽しそうな島民たちの様子を眺めながら、サブナ・ダディ(サイボーグの破戒僧・f21228)は口の端を持ち上げた。
「やっぱり、平和が一番だな」
 人々がオブリビオンに脅かされることのない日々というのは、かけがえのないものであると、サブナは改めて感じる。
 今日はパーティーだ。パーティーと言えば、ごちそうだろう。島民はコンコンコンで出てきた料理を準備していると聞いたが、もてなしを受けるだけでは、サブナにとっては物足りない。
「飯と聞いちゃぁ、やるしかねぇよな」
 彼は、炊事車【膳茶簾】を展開。折り畳み式の机と椅子を並べる。
 簡易な食堂の出来上がりだ。
「さて。ここからが忙しくなりそうだな」
 法力で召喚した二体一組のサイキックキャバリア、『阿形、吽形像』に荷運びなどを手伝わせつつ、サブナは飲食物提供の準備を進めていく。
 お好み焼きにたこ焼きといった粉物に始まり、おでんや焼き鳥にイカの丸焼きのような酒の肴も忘れない。クレープにチョコバナナなどのスイーツや、酒にジュースなどの飲み物まで、幅広く。
 旅団【全世界サイボーグ連盟】、通称、全サ連。その全サ連特製の炊事車の性能と、サブナの料理の腕前が、今、存分に発揮されようとしていた。

●大炎上(良い意味で)
「この火力は……」
 その頃、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は、島民のキマイラたちが用意したキャンプファイヤーの前にいた。
 彼は眼鏡のブリッジを指で押し上げ、位置を直す。
「『超巨大キャンプファイヤーしてみた!』がこの程度の火力で良いのだろうか、いや良くない」
 眼前の炎は、一般的なキャンプファイヤーと比べれば、確かに大きい方だ。だが、『超巨大』の名を冠するにはまだまだ足りないと、クネウスはそう感じた。
(「炎に必要なのは、圧倒的な火力と規模。バズるにはさらに燃料を足さねば……」)
 クネウスは、クロムキャバリア『アルゲス』のコックピットにその身を滑り込ませる。
 それから彼は、ユーベルコードを使用した。
「GEAR:ARMED FORTRESS。脚部パイル打ち込み、肩部アームドフォート展開完了」
 移動力を捨てて、火力を増す――変形により、クロムキャバリアを固定砲台と化す。
「ファイア!」
 掛け声と共に、火器から火炎弾を放つ。目標は無論、キャンプファイヤーだ。
 ――結果として、キャンプファイヤーはめちゃくちゃ燃えた。
 迫力満点、スリルも満点の超巨大な火炎となって、燃え上がった。
「うおー! すっげー!」
「いいね! この燃えっぷり、超いいね!」
 島民も、かなり盛り上がっている。
「よし、もっと燃やさねば」
 さらに火炎弾を撃ち込むべく、クネウスは再び固定砲台の発射準備に移った。

●響く音楽
「いやー、皆さん熱くなってますねぇ」
 草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は、島民のキマイラたちを眺めながら口にする。彼らは広場で、競い合うようにして、様々な『してみた』を繰り広げていた。
「熱いといってもバズがいいですね、炎上ではなく」
 ここで千秋が言う『炎上』は、もちろん、クネウスが現在進行形で行っているキャンプファイヤー大炎上のことではない。あれは、バズである。
「そこに美男美女のカップルも……あれ?」
 同じ全サ連の仲間である、伊高・鷹介(ディフェクティブ・f23926)と、ドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)が一緒に来ていたはずだが、いつの間にやら姿が見えない。
「どちらに行かれたのでしょう?」
「そうねぇ。どこに行っちゃったのかしらぁ」
 千秋の問いに答える、河原崎・修羅雪姫(プリンセス・スノーブラッド・f00298)は、意味ありげに微笑んでいた。
 修羅雪姫は、鷹介とドロレスが、デートスポットである丘の上に向かうのをバッチリ目撃していたのである。
(「そういうことですか」)
 修羅雪姫の表情を見て、千秋も察した。
「さぁて。それじゃ千秋さん、メインボーカルは任せたわよぉ」
「はい、承りました、姫さん。バックコーラス、よろしくお願いしますね」
 薄茶色に染めた髪をさらりと揺らし、千秋はにこりと笑う。それから彼は、ユーベルコードを発動した。
 かわいいこびとの、ロックバンド風の音楽隊がずらりと現れる。『Sunday Circus Song』――日曜日のサーカスの、始まりだ。
「メリークリスマス! 今年も最後まで楽しく盛り上がっていくわよぉ!」
 修羅雪姫が声を張り上げれば、わぁっ、と島民たちの歓声が返る。
 同時に、修羅雪姫のユーベルコードにより、無数のドローンが空中に召喚され、スピーカーモードを起動して島中に散らばっていった。ただし、丘の上のベンチ周辺に向かうドローンは、音量控えめの設定だ。
「それでは皆さん、聴いてください」
 苛烈にオブリビオンと戦うヒーローとしての顔も持つ千秋は、今は、もう一つの顔……歌い手『radu(ラドゥ)』としての自分を意識しながら、静かに息を吸い込んだ。
 千秋と修羅雪姫の頭上に、『ZENSAREN』と書かれた横断幕が張られる。左右の端を持っているのは、サブナの、『阿形、吽形像』であった。
 音楽隊の伴奏に合わせ、千秋は歌い出す。

「♪――聖夜に人が寄り添いたがるって誰が言い出したのかな――♪」
 千秋の、透明感のある高い歌声が響き渡る。
「♪――僕らは何度も旗の誓いの元何度も集い戦った――♪
 ♪――これからも世界を超えて戦い続けるだろう――♪」

 間奏に入り、修羅雪姫がギターソロを挟んだ。
 千秋の歌のテンポに合わせてゆっくりとヘッドバンギングをしながら弾けば、その火炎放射器付きエレキギターからは、赤い炎が噴き出した。
 なお、クネウスはこの音楽のリズムに合わせて、キャンプファイヤーへ火炎弾を連射している。
 修羅雪姫は、ギターを回転させて空中に赤い軌跡を残すと共に、ギターソロを終えた。

「♪――冷たいはずの鋼の指も繋げば今は暖かい――♪」
 宙に指を伸ばし、誰かと繋ぐような仕草をして、千秋は微笑む。
「♪――君を抱きしめたのはぬくもりが欲しかっただけじゃない――♪」
 スピーカーモードのドローンを通して、千秋の澄んだ歌声が島中に響く。
 修羅雪姫のバックコーラスが、それにさりげなく華を添える。
「♪――愛していると伝えたいから――♪」
 曲の盛り上がりは、最高潮へ至る。
 これは千秋の作った、人の心に寄り添う歌。
「♪――I wish you a Merry Xmas――♪
 ♪――君の人生に絶えない幸せがありますように――♪
 ♪――これからもずっと――♪」
 聖夜を祝う言葉、幸福の祈りを歌詞に乗せて、届ける。
 後奏が終わると共に、島民たちは盛大な拍手喝采を贈った。
 島中の人々が、『いいね!』と感じたのである。

「お疲れ様でした、姫さん」
「千秋さんもお疲れ様よぉ」
 それから二人は、サブナの『膳茶簾』に移動した。千秋はチョコバナナ、修羅雪姫はクレープをそれぞれ頬張る。
「カップルの二人のために特別メニューでも用意しとくかねぇ」
 サブナが、お好み焼きをつつきながら言った。鷹介とドロレスのことだ。
「うーん、私って気づかいのできる女よねぇ」
 スピーカーモードのドローンが鷹介とドロレスを邪魔しないようにしておいたことを思い浮かべつつ、修羅雪姫がにっこり笑う。
 修羅雪姫にとって、この日は十代最後の聖夜。いちごとホイップクリームの乗ったサブナ特製ショートケーキ風クレープを味わいながら、修羅雪姫はこの夜を満喫するのだった。

●聖夜の恋人たち
 少し時間をさかのぼる。広場でパーティーが盛り上がっていた、その頃。
 丘の上のベンチで、先に待っていたのはドロレスだった。
 鷹介の到着を今か今かと待ちわびながら、ドロレスは、冷えた自分の手を息で温める。その左手の薬指には、赤い貴石をあしらった指輪がはめられていた。
 足音が聞こえて、ドロレスはぱっと顔を上げる。その先に、待ち人の姿があった。
 彼の首には、ドロレスが贈ったニットマフラー。左の薬指には、ドロレスのものと対になる指輪。
「よ。待たせちまったか? ディー」
「いえ。たった今来たところです、シェロ」
 互いに愛称で呼び合って、笑顔を交わし合う。それから、身を寄せ合うようにして、並んでベンチに座った。
 冬の澄んだ空気は冷たいが、それすらも、寄り添う口実になるようで愛おしく感じられる。眼下には、イーネ島の夜景が広がる。大きく真っ赤な光が見えるのは、キャンプファイヤーだろうか。
「今年は、色んなことがあったな」
「はい」
「俺がディーに告白したのも、今年か」
「そうですね。あの時は本当に驚きましたが……シェロが勇気を出してくれたから、今のわたくしたちがあるんですね」
「ああ」
 ドロレスの言葉に鷹介は頷き、続ける。
「夏には、デートもしたな」
「ええ。あの時は、さん付けで呼ぶのも緊張してしまっていました。今や、懐かしいです」
 二人は自分の指輪に視線を落とす。あの夏の日に交換した、決意の証だ。
「そうした大きなイベントも勿論ですが、日々他愛ない話をするのがとても楽しいです」
「俺もだ。ディーとなんでもない会話をする毎日が、楽しい。……それに、色んな戦場を一緒に駆け抜けてきたよな。ディーは――俺のかけがえのない人になったんだ」
「シェロ……」
 胸が高鳴る。見つめ合ったその時、冷たい風が吹き抜けた。ドロレスは、思わず身を震わせる。
 鷹介は彼女の肩を抱き寄せ、ニットマフラーを少し外してドロレスの首にもかける。二人は、ぴったりと密着した。
 鷹介はまず、周囲に気配がないのを確認した。それから、改めてドロレスを見つめる。
 彼女の青い瞳には、鷹介自身の顔が映っていた。
 ドロレスは、鷹介だけを見つめている。鷹介に、心を開いている。
 だからこそ、彼女の唇を奪うのは、はばかられた。それゆえに鷹介は、ドロレスのおでこにそっと口づける。
 それだけでドロレスの顔は、耳まで真っ赤に染まった。
「これで、温かくなった、か?」
「……むしろ、熱いです」
 お返しとばかりにドロレスは鷹介の手を握ると、自身の上着のポケットへと導いた。
 そのままドロレスは、鷹介の肩に、コテンと自分の頭を乗せる。
「この島の言い伝えで、手を握っていると幸せな未来が約束されるそうです」
「おいおい。今だって幸せだろ?」
「はい、とても。ですが、わたくし欲張りですから! 幸せはいっぱい欲しいです!」
 ポケットの中の、繋いだ手が温かい。
「メリークリスマス、シェロ!」
 満面の笑顔で、ドロレスは告げる。
 鷹介も、笑顔を浮かべた。
「メリークリスマス、ディー」

 微かに、歌声が聞こえる。
 それは、この時、島の広場で千秋たちが歌っていた歌だ。
 修羅雪姫のはからいにより、二人を邪魔しない程度のごく小さな音量で。ドローンのスピーカーを通して、歌声が届く。
 
 ♪――I wish you a Merry Xmas――♪
 ♪――君の人生に絶えない幸せがありますように――♪
 ♪――これからもずっと――♪

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月04日


挿絵イラスト