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サンクス・ゴッド・イッツ……

#アポカリプスヘル #クークー・レディオ

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#アポカリプスヘル
#クークー・レディオ


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●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
「今回オヌシらに依頼したいのは、アポカリプスヘルでの"奪還者"支援任務である。
 というのも、ある奪還者の部隊が惨殺されてしまう予知を垣間見たものでな」
 ムルヘルベルは、手に持った大きな本の表面をなぞる。彼の癖だ。
「彼らはクリスマスを少しでも盛大に祝おうと、少々無理をしようとしておる。
 ……なにせ拠点には、親を喪った孤児がたくさん保護されているのだ。
 実はこの子どもたちは、以前ワガハイが依頼した件で保護された子らでな……」
 と、ムルヘルベルは、『ヴォーテックスシティ』にまつわる一件を語る。
 件の冒険で、猟兵たちは恐るべきピエロを倒し、多くの子どもたちを救助した。
 彼らは紆余曲折を経て、とある拠点に保護され……今に至る、というわけだ。
「奪還者たちは有志を募っておる。出発には間に合うゆえ、まずはそこに混ざってくれ。
 中にはオヌシらに何度となく救われた奪還者もおるからして、加入に問題はあるまい」
 その奪還者の名は、クークーというソーシャルディーヴァである。
 もともと猟兵は奪還者として歓迎されるが、彼女がいれば余計話は早いだろう。
 つまり、猟兵たちは、施設の探索とレイダーへの対処だけを考えればいい。

「探索予定ポイントは、放棄された大型ショッピングモールである。
 奪還者たちの見立てによれば、ほぼ手つかずの物資が残っているはず、だそうだ」
 それは喜ばしいことだ。……が、ムルヘルベルは訝しげな顔をした。
「ワガハイはそれがどうにも妙に思えてならん。いや、陰謀を感じるとかではなく、な。
 もしかすると、ショッピングモールそのものになんらかの秘密があるのかもしれぬ」
 ゆえに、探索は注意して行う必要があるだろう。
「ワガハイが垣間見た予知では、巨漢のレイダーどもが奪還者たちを惨殺していた。
 つまり、敵は現地に潜伏しておる。物資には手を付けずに……いささか妙であるな」
 ショッピングモールそのものが、レイダーの巧妙な罠なのかもしれない。
 いずれにせよ、撃破してしまえば同じことだ――と、ムルヘルベルは言った。
「無事に帰還したなら、あとはパーティの準備でも手伝ってやるのがよかろうよ。
 子どもたちが笑顔でその日を過ごせるように、どうかオヌシらの力を貸してくれ」
 そう言って、ムルヘルベルは持っていた本を閉じた。
 ぱたん、という音が、転移の合図となった。


唐揚げ
 モンブランです。クリスマスが近づいてきましたね!
 当日は特別なシナリオフレームも使えるようになるそうですが、
 今回は前夜祭的に、パーティの準備をお手伝いするシナリオです。

●各章の簡単なまとめ(章ごとに断章で詳しい内容をお伝えします)
 1章:奪還者部隊に同行し、大型ショッピングモールを探索する。
 2章:予知された『巨漢のレイダー集団』を撃破し、物資を確保する。
 3章:拠点にて、来たるクリスマスパーティの準備をお手伝いする。

●キーワードについて
『ヴォーテックスシティで保護された子どもたち』
 関連シナリオ:『エスケープ・フロム・ザ・ヴォーテックス・シティ』
( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=28390 )
『奪還者、クークー』
 ソーシャルディーヴァの少女。各地を旅し、レトロラジオ風の放送を続けている。
 関連シナリオ:タグ『 #クークー・レディオ』をご参照ください。

●プレイング受付について
 今回はちょっと締め切りを早めに取っていこうと思っています。
 このシナリオで準備したパーティを、24日開始予定のシナリオで楽しむ……とか、
 そんなことが出来たらいいなー、などと考えているからです!
(もっとも、前年のような方式なのかはわからないので予定は未定です)
 というわけで、各章ごとに事前に締め切りをざっくりと決めてみようと思います。
 天変地異やPC爆発、あるいは🔵の不足などによりスケジュールがずれる場合は、
 断章や当方のマスターページにてお知らせしますので、ご参照ください。

●各章ごとの受付期間(2章以降はあくまで目安です)
 1章:このOPが出てから、19(土)の23:59前後まで。
 2章:1章執筆完了から、21(月)の夜まで。
 3章:2章執筆完了から、23(水)の朝まで。
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第1章 冒険 『大型ショッピングモールの探索』

POW   :    奪還者を護衛したり、重い資源を運んだりして手伝う

SPD   :    ショッピングモール内をかけめぐって、必要そうな資源を集めるのを手伝う

WIZ   :    専門家では無い視点からの意見を出すなどして、奪還者の調査に協力する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アポカリプスヘル:旧ショッピングモールより2km地点
「あそこだ」
 無精髭を生やした男の奪還者が指差した先に、大きなシルエットがそびえていた。
 数十年は放置されていたのだろう、完全に老朽化したショッピングモールだ。
「このあたりの資源がありそうなエリアは、俺たちの間で共有されていてな。
 あそこはまだ誰も手をつけたことがない……つまり、そもそも報告がないんだ」
 裏を返せば、何か危険な存在が潜んでいるかもしれない、ということである。
「普段なら触らぬ神に祟りなし、だが……ほら、来週はクリスマスだろ?
 あんな憔悴したガキどもを見てると、どうにも居心地が悪くってねえ」
「まったく、ガラにもねえことするもんだよな、俺らも」
「言い出したのはテメェだろ!」
 男たちはゲラゲラと笑う。タフな奪還者たちのじゃれあいだ。

 当然、彼らは奪還者として十分な警戒と最悪の覚悟を決めている。
 しかし、予知では、彼らは一切の反抗すら出来ずに殺されてしまっていた。
 そう……一団に交じる、アルビノめいた白い肌の少女、クークーも。
「みんなが来てくれたなら、怖いものはないね」
 クークーは、猟兵たちに幾度となく窮地を救われた恩義がある。
 もしかすると、彼女の顔なじみの猟兵もいるかもしれない。
「一緒に、がんばろうね。みんなが笑顔でクリスマスを迎えられるように」
 はにかむ少女の微笑みは、失うにはあまりにも惜しい。
 拠点で待つ子どもたちも、ヴォーテックスシティで受けた恐怖から、いまだ立ち直れていない。
 猟兵たちの力添えなくば、笑顔が訪れることはないだろう……。

●プレイング上の備考
 第一章では、以下のような選択肢が採れます(これ以外のアドリブも歓迎です)
『A:ショッピングモール内を重点的に探索する』
 この選択肢の場合、食料品コーナーやブティック、おもちゃ売り場など、
 どんなお店やコーナーを調べるかもプレイングして頂けるとわかりやすいです。
『B:奪還者を護衛する』
 なんらかの襲撃や罠があった場合、護衛がいると被害が減るかもしれません。
 特に何もなければ、奪還者たちとコミュニケーションすることが出来ます。
『C:物資回収用のキャンプを設営する』
 探索は長時間に渡るため、野営を行うことになります。その設営です。
 なんらかの襲撃などでけが人が出た場合、役立つかもしれません。

 以上のどれかを選ぶ場合、【作戦:A】とか書いてもらえればOKです。
(なお、奪還者の中に裏切り者が! とかそういう展開はありません)

●プレイング受付期間
 19(土)の23:59前後まで。
 締め切り時点で🔵が足りなかったは足りるまでとなります。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

レイダーが物資に手を付けずに?
妙な予知もあったもんだね。
まさかそのレイダーって奴は店員……
いや、勝手な憶測は話がこじれるだけだね。
現場をしっかり見定めてからだろ、うん。

しかしまぁ、クークーさんが同行たぁ心強いね。
あれからきちんと、前を向いて生き延びて来れたと見える。
その歌声とネットワークには、今回も頼らせてもらうよ。
まずはこのモールの構造を『情報収集』さ。
案内板から非常口や通用口を含めた出入口を確認し、
避難経路……いや、資材の『運搬』ルートを組み立てる。
そしたらカブに資材を積めるだけ積んで、
さっさと帰還の準備だよ!
……本当は代金も払いたいけど、誰に払えばいいのやら。


ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

あーあのときの!
元気にやってるようだね!よかったよかった

あ、ところであのときの新人奪還者くんは元気かな!
偶然いたら面白そうだね!
やー大変だったね結局あの後あの街無くなっちゃってさ!
ドーンッ!ってさ
あのときのこといいキミは運がいいね!
悪運がだけど!

さて、ボクたちが何もしなけりゃここがキミ(奪還者くんたち)の死に場所になるらしいんだけど何か気付いたことはある?
あるんならさっさと逃げてる?アハハハッそうだね!
まあ来ちゃったものはしょうがないから頑張って物資を探そうよ

【第六感】を冴え渡らせるよ!
ボクが探すのは…キンキラギラギラの電飾!やっぱりクリスマスは煌びやかじゃないとね!


一郷・亞衿(サポート)
廃墟探索中に呪われ、その結果として力を得た猟兵です。独自開発した混沌魔術や呪詛を纏わせたカッターナイフ、金属バット、伸縮式の山刀(蛇腹剣)等を用いて戦います。
各種オカルト話を好みますが、オブリビオンに対しては基本的に容赦しません。
外見特徴として、マスクで常時顔を隠しています。

一人称は「あたし」。
年下~同年代にはくだけた感じの口調で話し、年上や偉い人には敬語(さん付け、ですます口調)を使います。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、寿命が減る系の物はタイミングを見計らい極力短時間の使用で済ませるようにしています。
軽口を叩いたりもしますが、戦闘時は真面目に役割を果たそうとするタイプです。



●奪還者たちの悲喜こもごも
「しかしまぁ、クークーさんが同行たぁ心強いねぇ」
 ショッピングモールへの行軍中、数宮・多喜が言った。
 彼女は、クークーとともに、ある拠点を防衛したことがあるのだ。
「それはむしろ、ワタシの台詞だよ。まさかあなたたちが来てくれるなんて」
「なあに、同じ奪還者のよしみ……ってことにしといておくれよ。なぁ?」
「うんうんそうそう! 持つべきものはー……あー、とにかくアレだよ、アレ!」
「といっても、あんまり頼りにされても逆にプレッシャー感じちゃいますけどね」
 多喜が振り返ると、ふたりの猟兵が口々に応えた。
 彼女の顔見知りであるロニ・グィーと、一郷・亞衿である。
 亞衿はいつも通りの、ぼんやりしているんだかいないんだかな曖昧な表情。
 一方のロニは、これまたいつも通りのハイテンションでまくしたてる。
「それにさぁ、ボクってば今日はカンドーに打ち震えちゃってるんだよー!」
「へぇ? もしかして、ロニさんの知り合いも居た……とかかい?」
「ご明察ー! ほら、彼だよ彼!」
 ロニはニコニコと笑いながら、通夜のような沈痛な面持ちの奪還者を引っ張ってきた。
 あきらかにうだつの上がらぬ顔をしている。元レイダーか何かだろう。
「……なんか、風邪ひきそうなぐらいテンションに差がありません?」
 亞衿ははてなと首を傾げる。さもありなん、奪還者の顔はとにかく暗い。
 わかりやすい表現をすると、ウザいOBに絡まれた現役の大学生みたいな感じだ。
「あれー? おかしいなぁ、ボクはこーんなに心がウキウキしてるのになー!
 もしかしてキミは、あんまり嬉しくないの? それは悲しいなあー!!」
 さっぱり悲しくなさそうな顔で、ロニはおいおいとわざとらしく泣いた。
「……クークーさん、あの奪還者、なんかあったのかい?」
 多喜がこっそりと耳打ちすると、クークーは困惑した様子でこう返す。
「ええと……あの人は、奪還者になったばかりで、まだ新人なんだって。
 例の子どもたちを拠点に連れてきたのも、あの人だ……って、聞いたよ」
「ふうん……なるほどねぇ」
 多喜は合点がいった様子で頷いた。
 ……実はこの新人奪還者、彼女が察した通り、もともとはレイダーである。
 しかも、悪名高いヴォーテックスシティで暴虐を働いていたド外道……だった。
 が、今回の発端である子どもたち……つまり元奴隷たちを猟兵が保護した折、
 やむを得ない流れから離反を余儀なくされ、そのまま奪還者に収まったのだ。
 そして「やむを得ない流れ」は、あのロニのせいで生まれたのである。
 早い話が、無理やりロニに奪還者にさせられた被害者、といったところか。
 もっとも元レイダーを、被害者と呼ぶのも妙な話ではあるのだが。

 というわけで、ロニのテンションは完全に新人奪還者いじめであった。
 亞衿もなんとなく雰囲気から気配を察し、いたたまれない表情になる。
「そのへんにしてあげたほうがいいんじゃない?」
「なにそれ! まるでボクがプレッシャーかけていじめてるみたいじゃん!」
「そこまで自分で具体的に言っておいて続けるの、さすが神様だよね」
 こりゃどうしようもなさそうだ。勘弁しろ元レイダー。亞衿は合掌した。
「あ、あのう……お、おれ、荷物運びがあるんで……」
「ってキミもつれないなー! せっかく再会したんだから喜び合おうよー!
 いやホント大変だったよねあの事件は! なんか街までなくなっちゃうし!」
「街がなくなる!?」
「うん。ドーンッ! って。全部吹っ飛んじゃったの」
 けろっとした顔で言うロニの言葉に、多喜は何が何やらわからず困惑した。
 猟兵の生み出した核爆弾で、街区がひとつまるごと吹き飛んだ……なんてのは、
 具体的に説明されねばわかるまい。そして、ロニは説明しないタイプだ。
「キミはほんとに運がいいね!」
「へ、へへ、どうも……」
「悪運がだけどね!」
「はい……」
 死にそうな顔度合いがさらに深まる元レイダーであった。

 とまあ、そんな一幕がありつつ。
 奪還者と猟兵ら一行は、無事にショッピングモール跡に侵入を果たした。
「見た感じは、完全に放棄された廃墟……って感じだねぇ」
「たしか、もう何十年も手つかずなんでしたっけ?」
「ああ。グリモアの予知でもそうだったってなると、間違いないだろうね」
 亞衿の言葉に、多喜が頷く。そして、錆びついたアーチ門を見上げた。
 客を歓迎する文言は、すでに風雨にさらされたせいで色あせて読み取れない。
 アポカリプスヘルではありふれた廃墟だ。だからこそ、妙に違和感がある。
「ムルヘルベルさんの話じゃ、罠があるかもって話だったけど……」
「調べてみないとわかんないんじゃない? それがボクらの仕事なんだし!」
「うーん……」
 亞衿はマスクの上から口元に手を当てて、試しに気配を探ってみる。
 奪還者らの話によれば、ここには誰も手を付けたことがないのだという。
 レイダーが住み着いているのであれば、付近の拠点に襲撃があって当然だ。
 しかし、それもない――だからここは手つかずだと彼らは判断した。
 たしかに廃墟には静けさが広がり、人や生物の気配は微塵も感じられない。
 それが、かえって嫌な感じを覚えさせる。亞衿は顔を顰めた。
「いい気分はしませんね、ここ。早いとこ物資を回収して引き上げるべきかと」
「アタシも同感だね。とりあえず中を調べつつ運搬役を務めるよ」
「じゃーねー、ボクはアレかな! キンキラギラギラの電飾を探そうかなあ!
 だってほら、クリスマスだし? きらびやかじゃないと気分が乗らないよね!」
 ロニだけが、相変わらず遠足に来た子どものように無邪気にはしゃいでいた。
「役割分担するのはいいんだけど、何か感じたりしないの?」
「え? うん。ビリビリきてるよー、ここにはなんか居るってね!」
「そっかー……って感じてるんかい!? じゃあ注意促そうよ!?」
 思わず、亞衿が慣れないノリツッコミをするレベルのあっけらかんさである。
 ロニは愉快そうにころころと笑い、そして言った。
「だからさ、そこも含めてボクらの仕事、でしょ?
 怪しい敵が出てきたら、バーンってやってドーン! すればいいんだって!」
「それじゃ警戒してる意味がないような……」
「まあ、ロニさんの言ってることも正しいとアタシは思うよ。結局は対応の問題さ」
 多喜は愛車の宇宙カブにエンジンを入れ、言った。
「勝手な憶測で話をこじれさせるよりは、おおらかに構えてたほうがいいさ。
 ……ちなみにアタシは、レイダーはここの店員じゃないかと思うんだけど」
「それもそれで完全にトンデモ入ってますよねぇ!?」
「アハハハ、それ面白い! 採用~!」
「いや採用じゃなくて!!」
 緊張感があるのかないのか、騒がしく準備をする猟兵たち。
 クークーは三人の様子を見やって、困ったような笑顔を浮かべた。
(あなたたちのそんな明るさが、ワタシたちの一番の助けになってるんだよ)
 少女は、あえて言葉にはしなかった。
 同じ仲間として全力で働くことが、感謝を示す方法だと知っていたからだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ロク・ザイオン
【龍宮の悪童】
※作戦A

(クリスマスはとても楽しいものだから)
それならリュウグウの仕事。
適任者を連れてきた。

(まずは探索
【野生の勘】で危険を避けながら食べ物を探そ…)
アシュ
そっち行くのか
アシュ!?
(アポヘルは海より余程厳しい地
ふわふわフラフラ掴みどころのない同僚が
怪我したり辛い目に遭ってはならな…)
アシュ
それはそう持たない
あぶな
アアアアア!!!
(探すより彼女を庇ってる方が多い
【早業】で爆発物を取り上げブン投げ)
…壁に穴開いた方が…
探しやすい…

そうだな。

(そういうことになった)
(見つけたものは「擁瑕」で仕舞ってしまおう)

…アシュには
クリスマス、サンタの本をあげるといいだろうか…


アシュアヴラ・ロウ
【龍宮の悪童】
A

ふふーん、まかせろ
宝探しは海賊の本業だ
行こう、ロク

(ふわふら飛んでたらなんか見つけた てってれー)
見て見てロ……あれ?置いてきちゃった
なんだろこれ。ここの皆がよく持ってる…銃?
あと果物に似てる…金属
ねえねえこれ知ってる?おもーい!
(がっしゃがっしゃ銃火器抱えて戻る)
(不発手榴弾がころんと落ちた)
あっ
(爆風で錐揉み回転で飛びそうだったけどロクにしがみついて事なきを得る。得てないけど)
(崩れた壁の向こうは別フロア)
(ぴこーん!これは探しやすくなったのでは?)

ロク。壁を壊そう。いっぱい。
それで、食糧もお金になりそうなものもぜーんぶ!いただいていこう
さんたさんって確かそういう人でしょ?



●リュウグウの悪童たち
 クリスマスは、とても楽しいもの。
 ……と、ロク・ザイオンは学んでいる。まあ、あながち間違いでもない。
 みんなが笑顔で食べて呑んで騒いで、スカッと出来る一日だ。
 子どもも、大人も、人間でも猟兵でも、別け隔てなく。
 だから、歓待船のメンバーとして、これは適任と思ったのだろう。
 それは正しい。去年、一昨年のロクから比べれば、ずっと慣れている。
 実際慣れてはいる、の、だが……。
「いいか、アシュ」
「うん」
「ここには、罠とかあるらしい」
「うん」
「だから、まずは危ないのを避けて、いっしょに探そう」
「うん」
 こくこく。アシュアヴラ・ロウは素直な子どもそのものの顔で頷いている。
 頷いているのだが……なんかさっそく、ふわふわ先に向かって飛んでいた。
「だから、アシュ、な」
「うん」
「前に出ると罠にかかって危ないかもだから、な」
「うん」
「まずは方向を……アシュ? 聞いてるか???」
「ふふん。大丈夫だ、まかせろ」
「質問のこたえになってないぞ???」
「宝探しは、海賊の本業だ。大丈夫」
「全然、大丈夫じゃなさそうだぞ???」
 という感じで、アシュアヴラはなんかもう危機感とかゼロの顔であった。
 ロクが尻尾と耳をピンと立てて、危ないものがないか感じようとしているのに、
 ずんずん……ではなく、ふわふわと先へ進んでしまうのである。

 ただ、先に出るだけならいい。
 アシュアヴラの「ふわふわ」は、「フラフラ」でもあり、つまり危ない。
 右へ右へ、かと思えば急に左へ。
 得体の知れない缶詰らしきもの……もしかしたら爆弾かもしれない……をひょいと気兼ねなく拾い上げたり、崩れかけた棚をガラガラと揺らしたり。
「アシュ。な、アシュ。そもそもそっちは、食べ物のあるとこじゃないぞ」
「うん」
「アシュ?」
「うん」
「アシュ! そっちじゃないからな、アシュ。……アシュ? アシュ!?」
 ふわふわ、フラフラ、ふよふよ……ていうか食糧コーナー離れてねえ!?
「アシューーーーーー!!」
 ロクは危険感知どころではなく、泡を食った様子ですっ飛んでいった。
 いつかの彼女を世話する相棒やらも、きっとこんな気分だったのだろう。
 ……なんてのは、はたしてロク自身は己を省みて気づくのやら。

 で、まあ、そんなことをしていると、アシュアヴラの土産は増えてくわけで。
「ふふーん。見て見てロク。いいものを見つ」
 くるり。アシュアヴラは振り返るが、そこにロクはいなかった。
 きょろきょろと周りを見渡す。あれ? そもそもどこだここ?
「おいてきちゃった」
 アシュアヴラは、やれやれ仕方ないなあ、みたいなおませな顔をした。
 いやお前が迷ってんだよ、という鋭いツッコミが来ない。現実は非情だ。
「この金属、果実に似てるな。ここを引っ張ると開くのかな」
「…………ァァァァ……」
「あ、ロクだ。おーい」
 アシュアヴラ、パイナップルみたいな何かの輪っかに指を引っ掛けた状態で、ぶんぶんと手を振る。
 ロクが急いで駆けてくる。というか、すっ飛んでくる。顔は青い。
「アアアアアアシューーーーーー!!」
「えっ」
 見たことない剣幕だったもんで、アシュアヴラは思わずびくっとした。
 すると、パイナップルみたいな何かが、わっかからすっぽ抜けてぽーんと跳んだ。
「アーーーーー!!」
 名前呼んでんのか、ピンチに悲鳴をあげたのか、わかりゃしねえ。
 ロクは慌ててアシュアヴラをかばい、その場でホップした金属を蹴り飛ばした。
 きょとんとするアシュアヴラKA-BOOOOOOOM!!
「あ、あぶない」
「びっくりした」
「アシュ」
「うん。……いや、はい」
 ぜえぜえ言ってるロクの剣幕に、アシュアヴラは思わず背筋を伸ばした。
「勝手に、拾うと、危ないから、な」
「はい」
「ここは、海よりも厳しい場所だ。ああいうのは、危ないぞ」
「はい。あ、でも」
「え」
 くるり。振り返ると、盛大な爆発でフロアの壁に穴が空いていた。
 どうやら奥にも、探索できそうなエリアが広がっていたようだ。
「……さがしやすくなった!」
「なったな」
「ふふーん」
「なったけど、な」
「ロク! 他にもたくさんあるから、これで壊そう! いっぱい」
「なあ。アシュ。なあ」
「探しやすいから!」
「…………うん」
 ロク、折れた。そういうことになってしまった。
 ごろごろとアシュアヴラが放り出す銃火器の山を見て、ロクは思った。
(アシュには、クリスマスに、サンタの本をあげるといいんだろうか……)
 何もかも勘違いしている。ロクは、そう思った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ディルクニア・エリスランサス
【作戦:A】
(探索先:酒店)
はァ~~
バカでっっっっけぇ建物。コレがほぼ全部「店」だったのかよ
異界人の考えるこたぁ良く分からんねぇ

……まぁ、そういうのはどうでも良いか
本来はガキ共用にプレゼントを探すためって話だが……こんだけデカけりゃ、酒だって大量にあるだろうしな
そろそろ手持ちが無くなりそうだったんだ。丁度良いから「幾らか」失敬させて貰おうかね




方針:
酒を探してモール内を探索
売り場の案内用表記等を見てもそれが何を意味するかは良く分からないが
勘で「多分此処なら酒が置いてあるだろう」とアタリを付けて向かう
先に他の奪還者が見つけたなら兎も角、自分が先に見つけた酒なら一切渡す気がない程度には執着する



●酒は天下の回りもの
「はァ~~~……」
 ぽかーんと阿呆のように口を開けて、ディルクニア・エリスランサスは彷徨う。
 ショッピングモール。初めて聞いた名前だ。だが驚くべきは、この広さ!
「バカでっっっっ……けぇ建物の中に、あっちもこっちもそっちも店、店、店!
 コレ全部が店……いや、商店、ってことなのかァ? 異界は不思議だねぇ……」
 現代の文化に馴染みがないディルクニアには、モールという形態そのものが異世界の概念として映っているようだ。
 驚き……というよりも、呆れに近いだろうか。
 なぜそんなことをするのか、さっぱり理解できない、といった様子である。
「……まぁ、そういうのはどうでもいいかァ」
 などと言いつつ、ディルクニアはふらふらと幽鬼めいた足取りで中を進む。
 時折すんすんと獣のように鼻を鳴らしては、また方向を変えてふらりふらり。
 一体何を探しているのか……なんてのは、言うまでもない。
「そろそろ手持ちがなくなりそうだったんだ、ちょうどいいや」
 へらり、と口元に笑みが浮かんだ。
 この女……酒をくすねるためにここまで来たのである!

 猟兵たちが多数加わったことで、奪還者たちにも楽勝ムードが漂っていた。
 だからといって油断するほど、彼らもニュービーなわけではない。
 なにせ、子どもたちを元気づけるために集まったお人好しな有志たちだ。
 手に手に銃を構え、一応は警戒しながら慎重に中を捜索していた。
「食糧コーナーはこっちか。まずは缶詰から集めていくとしよう」
「了解。それじゃああっちの……ん? いや待て」
 ぴたり。斥候役の男奪還者が、ハンドサインで停止を指示した。
「……どうした?」
「何か物音がしやがるぜ。しかも……見ろよ」
 小声でささやきあいつつ、戦闘の男がこつん、とつま先で何かを蹴った。
 それは、酒の空き瓶……! しかも、一本二本ではない。
 奪還者たちは顔を見合わせ、緊張した様子でうなずきあった。
 ネズミや野犬が、酒に手を出すことはほとんどない。つまり……!
「……やっぱり出やがったな」
「ああ、警戒しろよ。3、2、1……ゴウッ!」
 物音の発生源へとたどり着いた奪還者たちは、銃を構えトリガを――あれ?
「……あァ? なんだよ、やらねぇぞ」
「「「…………」」」
「やらねぇからな、そんな顔しても!」
 ……お酒の売り場で一人宴会を始めていたのは、ディルクニアであった。
 どうやら失敬するばかりか、我慢できずに呑み始めていたらしい。
「やらねぇぞ!!」
「「「お、おう……」」」
 てっきりレイダーでもいるかと思っていた奪還者たちは、ただただ困惑した。
 なんとも酒に関しては意地の悪い、困った女である……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルナスル・アミューレンス
【A】
うーん、あんなでかくて目立つのが手つかずねぇ……。
探されてると思われて捨て置かれたか、将又餌か。
まぁ、どちらにせよ、貰えるモノは貰っていきましょうかねぇ。

先ずは、先行して主要経路を駆け抜けて、見て回りましょうか。
罠があれば潰しながら、何処に何があるか、通路上にざっくり書いておきましょうか。
運ぶにしても得手不得手があるだろうし、手分けしやすいようにね。

そうやって目立って目を引けば、あっちが動く時間稼ぎになるかもだし。
見つかった時は、悉く『射撃(ウガツ)』としましょ。

さて。
探るならブティックかなぁ。
食は細くとも何とかなるだろうけど、衣服ばかりはどうにもね。
有りっ丈集めて、運搬するとしますか。



●不穏な気配
 こうしてショッピングモールの探索は、滞りなく進む……かに、見えた。
 しかし、少なからぬ奪還者たちと、そして猟兵たちの警戒は見事に的中した。
 有り体に言えば、明らかに対人を想定した罠が仕掛けられていたのである。
「ふうん、こりゃもともとモールに居た人たちの罠って感じはしないねぇ」
 アルナスル・アミューレンスは、解除したトラップの残骸を拾い上げた。
 軍用の対人地雷を改造した、殺傷力をあえて抑えられたものである。
 派手な音を出しつつ、人体の破壊は死なない程度でありながらえげつない。
 ……つまり、獲物を「足止め」するためだけの罠、ということだ。
 もしも引っかかれば、足の一本はまるごと吹き飛んでしまうだろう。
 それでいて、罠そのものの負傷で死ぬことはほとんどありえない。
 なんのためか? ……アルナスルは、この手の悪趣味な罠をよく知っている。
「獲物をいたぶるためのトラバサミ、ってとこかな? あーあ、やだやだ」
 レイダーの多くは、捕らえた獲物をいたぶることに楽しみを見出す。
 つまりこの罠は、単に侵入者を撃退することだけが目的なのではない。
 哀れな獲物を動けないようにし、苦痛を与え、じわじわと絶望させる……。
 嗜虐欲と狡猾さが合わさった、実に悪趣味で下劣な罠であった。

「でも、特に気配は感じないんだよなぁ……もっと奥に隠れているのかな?」
 アルナスルが探索していて感じた、もうひとつの違和感。
 それはこのショッピングモールには、隠された階層がある、ということだ。
 ブティックコーナーを一通り回ったアルナスルだが、このモールの構造には不審点が多い。
 見た感じの広さと、中の構造がいまいち噛み合っていないのである。
 彼はしばらく考え込んだあと、唐突に銃火器を抜き、壁めがけてぶちまけた。
 DOOOOM……内壁が吹き飛び、そして現れたのはコンクリ……では、なく。
「うんうん、やっぱりね」
 あきらかに表向きの構造とは異なる、地下階へと続く階段であった。
 おそらくこうした秘密の通路は、このコーナーだけには留まらないだろう。
 しかも外と違い、地下階段には埃が積もっていない。……人の出入りがある。
「とりあえず衣服のほうは他のみんなに任せて、調べてみるとしましょうか」
 アルナスルは大胆に、けれども警戒を怠ることなく闇の中に足を踏み入れた。
 レイダーの邪なる悪意は、どうやら知らずうちに網を張っていたようだ……!

成功 🔵​🔵​🔴​

カタリナ・エスペランサ
作戦B

よし、事情は分かった! 素敵な聖夜を迎えられるようにアタシも力になろう!
守るにはやっぱり近くに居るのが確実だ
【架空神権】発動、事象の《ハッキング》に特化した黒風を《範囲攻撃》の要領で広域に拡散させて《情報収集》のセンサー代わりにするよ
危険感知には《第六感》や《罠使い》の、物資捜索の補助には《宝探し》の技能が役立つんじゃないかな
危険や探索の障害を感知すれば黒風でそのまま侵蝕・分解しよう

《コミュ力+礼儀作法》での交流も大事だね
拠点で待ってるのがどういう子たちか、どんな品を持ち帰れば喜んでくれるか。
話しながら《目立たない》よう《情報収集》、奪還者の皆に向けた贈り物もこっそり分析・準備しておくよ



●クリスマスは誰のため?
「ふうん、隠された通路に存在しないはずの階層……か」
 カタリナ・エスペランサは顎に手を当て、なにやら思案している様子。
 先にモール内を偵察していた猟兵たちからあがった報告が、問題だった。
 それはこのショッピングモールには、表向き存在しないエリアがあるらしい、ということだった。
 そちらの探索には、危険に慣れた猟兵たちが当たることになったようだ。
 奪還者たちの目的は、あくまでパーティのための物資補給である。
 レイダーが潜伏している可能性が高くなった以上、危険は避けるに越したことはない。
「……でも、いいのかな。危ないことを任せてしまって」
「なあに、気にすることはないさ」
 不安げなクークーの言葉に、カタリナはふわりと微笑んでみせた。
「アタシたちがついてきたのも、すべてはそのため。むしろここからが本番だよ」
「……そうなの?」
「ああ。もちろん、子どもたちを喜ばせることだって大事だけれどね?」
 カタリナはチャーミングにウィンクしてみせる。
 こうしている間も、カタリナは罠を探して見えない黒風の網を張っていた。
 やはり見えないように巧妙に貼られた罠が、手ぐすねを引いて待っている。
(だからこそ、レイダーの企みは叩き潰さなければ、ね)
 じきに起こるであろう戦いを感じ、カタリナは心のなかでひとりごちた。

 とはいえ、肩肘を張っていてばかりでは、奪還者たちも疲弊してしまう。
 そこでカタリナは、休憩中に奪還者たちに会話を試みた。
「そういえば質問なのだけれど、子どもたちはどんな子たちなのかな?
 どんなプレゼントを持ち帰れば喜んでくれるか、アタシも考えたくてね」
「あー……そうだなあ。年頃はバラバラだぜ。一番小せえのは4、5歳ぐらいか」
 シケたタバコを銜えた男の奪還者が答えた。
「みんなレイダーに奴隷としてこき使われてたそうでな、明らかに憔悴してる。
 まあ身体のほうは、だいぶ消耗から回復したんだが……心のほうが、な」
「……だろうね。救助されたっていう話は聞いているよ」
 悪徳の都、ヴォーテックス・シティ。
 レイダーどもがこの世の王のように振る舞う、最悪の街。
 そこから連れ出された子どもたちは、仲間の死を見せつけられてきた。
 笑顔を忘れた子どもたちに何が出来るのか、カタリナはじっと考える。
「……けどさ。クリスマスって、子どもたちだけのものなのかな?」
「ん? そりゃどういうこった」
「そのままの意味だよ。まあ、楽しみにしているといいんじゃない?」
 せっかくならば――そんな彼らに手を差し伸べようとする奪還者たちにも、笑顔を。
 カタリナはそのためにも、決して手を抜けない……と、改めて心に強く思うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェルト・フィルファーデン
【A+B】
そうよね……あんな怖い目にあったら、そう簡単に立ち直れないわよね……
ええ、せっかくのクリスマスだもの。みんなが明るく笑えるように、頑張りましょうか。

「ここは二手に分かれましょう。わたしはクークー様達、奪還者の皆を守るわ。敵が来たら騎士人形に【オーラ防御を纏わせ【庇って守り【カウンターで蹴散らし絶対に護り抜く……!
何も無ければ、プレゼント用のお人形を縫って作っておくわね。」

『それじゃあワタシは食料品の調達へ。量があり保存の効く、出来れば豪華なものを優先してカートに乗せかき集めるわ。【第六感【野生の勘を働かせて敵の奇襲には常に警戒。もし敵に襲われたら騎士人形で迎撃して情報を伝えるわね?』



●心の痛みの癒やし方
 フェルト・フィルファーデンは、あの惨劇の街に赴いた猟兵のひとりだ。
 だから彼女は、子どもたちのことがずっと気にかかっていた。
 無事に保護されていたと聞いた時、フェルトはまず安堵を覚えた。
 ……そしてすぐに、当然の落胆と、理解と、自分への侮蔑を感じた。
(そうよ……助け出しておわりだなんて、そんなわけないじゃない)
 奴隷として人間以下の扱いを強制され、あまつさえ同胞の死を見せられる。
 いつ殺されてもおかしくない状況で、逃げ場もなく、虐げられる。
 どれほどの絶望と苦痛か、想像すら出来ない――ましてや、子どもなのだ。
 本当なら、父や母に甘えたい年頃だろうに。
 ……自分がそうだったからこそ、なおのこと彼らの気持ちがよくわかる。
 フェルトは、少しでも彼らの希望になってあげたいと、心から思った。
 せめていまからは、明るく、楽しく、悩みなんて吹き飛ばすぐらいに笑えるように――と。

「クークー様、みんな、下がって!」
 探索中の、突然のことであった。
 突如として床に亀裂が走ったかと思うと、レイダーが飛び出してきたのだ!
「ヒ、ヒヒヒ、ヒヒヒィーッ!」
 しかもレイダーは、明らかに正気を喪失し、ゾンビめいて狂っていた。
 このショッピングモールで、罠を構えていただけ……とは、どうも思えない。
 だが、推察するのはあとだ。フェルトは騎士人形たちを展開する!
「こんな数のレイダー、どこから……っ!」
 クークーや奪還者たちも、騎士人形の後ろから銃撃で応戦する。
 レイダーの戦力はさほどでもなく、戦闘そのものは一瞬で制圧された。
 フェルトがついていなければ、怪我人が出ていたのは間違いない。
「……"わたし"は、大丈夫かしら」
「え? どうしたの、フェルト?」
「あ、なんでもないのよクークー様。ふふっ、怪我はない?」
 フェルトの微笑みに、クークーは首を傾げつつ、こくりと頷いた。
 存在しないはずの区画と、あきらかに正気を失ったレイダーの群れ。
(このショッピングモールには、何があるというの……?)
 フェルトは、もうひとりのフェルトの報告を待つほかなかった。

 同時刻、ショッピングモールの地下階。
 他の猟兵が発見したルートは、地下駐車場のさらに地下に繋がっていた。
 そしてこちらでも、人形のフェルトは敵の襲撃を受けていたのだ。
『どうやら、"ワタシ"のほうでも、レイダーが現れたみたいね……』
 フェルトは倒したレイダーの身体を調べ、顔をしかめる。
『……薬物で強化された痕跡? レイダーならありふれたことだけれど……』
 ドーピングの量は、レイダーですら致死量に等しいほどである。
 連中が自分から進んで、こんなことをしたようには思えない。
『この先に、その答えが待っているようね』
 フェルトは気を引き締め、騎士人形たちとともに探索へ赴く。
 子どもたちの――いいや、この世界の人々の笑顔のために。
 そう思えば、どんな暗闇でも、恐ろしくはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
相変わらず危険しかない世界のようだ
では働くか

【作戦:B】
『天光』にて該当区域内と近傍の情報を走査
探すのはオブリビオンとそれに由来するもの
及びそれ以外でも「周囲を害する危険のあるもの」「外部の危険を誘引するもの」を探り護衛を行う情報を猟兵で共有

自身は直に護衛につかず潰しに動く
絢爛を起動
起点は目の前の空気
因果と静止の原理で該当区域の空間を支配
発見した危険要因を静止させ行動不能とする

機械的な罠の類、或いはオブリビオンなら『討滅』を乗せ打撃で始末
そうでないなら物理的に拘束し奪還者に引き渡す

何もなくば『天光』での哨戒を継続
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給する
※アドリブ歓迎



●隠された謎
「……?」
 アルトリウス・セレスタイトは、"天光"がもたらした調査結果を訝しんだ。
 オブリビオンに由来するもの――つまり反自然的なものを検出しようとした結果、
 このショッピングモールほぼ全隊が、それに近しい反応を示したのである。
(だが、この建物自体が危険をもたらすもの――というわけではない)
 アルトリウスは推理する。
 すでに猟兵たちの調査の結果、このショッピングモールの地下施設は見た目以上に広大であり、そこから狂ったレイダーが襲撃を仕掛けてきている。
 先遣の猟兵たちは、地下領域の探索を進めているようだ。
 もちろん、このショッピングモールの物資そのものの危険性も調査した。
 食料品や衣類、はたまた玩具……これらはみな、安全な、しかも状態のいいものばかりである。
 毒や何らかの爆発物といった、それ自体が罠というわけではない。
 だが、天光が誤作動を起こすことはない。となると、これは……?
(……察するに、"このショッピングモールは土地の本質を知らないまま建てられたもの"といったところか)
 アルトリウスの推察にはなるが。
 おそらく、まだ人類文明が健在だった頃、この土地には『オブリビオンに類する何か』と判断される、危険な施設が存在した。
 だがそれは放棄されたか忘れ去られ、土地そのものが別の人間の手に渡った。
 そうして日常的なショッピングモールが建造されたのだろう。
 であれば、この地下に眠るものは、ショッピングモールそのものよりも古く……かつ、危険ということになる。
「……だがそのぶん、手つかずの物資が得られる可能性は高いか」
 いかなる危険があったとて、それを排除するために猟兵たちはやってきた。
 奪還者を無事に帰す――それが仕事である以上、やることは変わらない。
 破壊された壁の亀裂の奥、先の見えない地下領域の暗黒は、くろぐろと猟兵を待ち構えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

新海・真琴
【炎桜】【作戦:B】
やあ、奪還者の皆さん。私は新海真琴、まあ、その…警官や軍人の卵みたいなものだよ。よろしく頼む
(桜學府中野校とか言ってもピンと来ないもんなぁ)
武装は屋内の不意打ちを考えて、キラーカシオペヤと脇差。それと桜の拳鍔

話せそうなら、奪還者の人に色々と聞いてみたいね
このあたり、レイダーの襲撃って多い方なの?……いや、どこも多いか

レイダー等の敵性存在に遭遇時、距離があるならキラーカシオペヤで呪殺弾を先制狙撃
急速に近付いて来るようなら、拳鍔で攻撃をいなしつつ脇差で首を狙う
ベルンハルト、後ろ任せた!

※普通は一人称が「私」で少し硬く少年的な口調、ベルンハルトとの会話では「ボク」でやや女っぽい


ベルンハルト・マッケンゼン
【炎桜】【作戦:B】

(サングラスにボディーアーマー姿で奪還者達の前に立つ)
……OK, Guys&Dolls! 戦争屋のベルンハルトだ。隣のパートナー、真琴と共に護衛の任に就く。きっちり護ってやるから、素敵なクリスマスプレゼント、探してきてくれよ。

一つだけ、重要事項がある。彼女は見目麗しいが、くれぐれも変な気を起こさないように、な。火傷じゃ、済まないぞ。忠告しておく、戦術的に…うっ
(ニヒルにウィンクしようとするも、彼女に一蹴りで失神させられた苦い思い出が甦った)

護衛時は周辺警戒、異変は彼女にハンドシグナルとアイコンタクトで伝達。
襲撃にはUCで対抗。「愛して……」と叫びかけて、慌てて口を押さえる。



●それを痴話喧嘩と人の言う
 ――BLATATATATATA!!
「おお……! すげえな、レイダーが穴だらけのチーズみてえだぜ」
 地下の亀裂から飛び出した狂ったレイダーは、ボロ肉以下のクズに変わった。
 奪還者たちも備えていたのだが……トリガーを引く暇すらない。
 ベルンハルト・マッケンゼンの早撃ちは、それほど速かったのである。
「ハハッ! こちとら戦争屋だ。このぐらいは出来なくっちゃあな」
「奪還者の方々が、素人だと謗るつもりはないけれど、ね」
 隣では、新海・真琴が光線銃でレイダーの上半身を消し飛ばしていた。
 見目麗しい乙女の、見た目にそぐわぬワイルドさに、奪還者たちは口笛を吹く。
「こりゃ大したもんだ! あんたみたいな美人で強いと来たら最高だね」
「……オイオイ、もう一度重要事項を確認したほうがいいか、ジェントルメン?」 軽口を叩いた奪還者の男に、ベルンハルトがにやりと笑った。
「真琴は私のパートナーだ。変な気を起こしたら、火傷じゃ済まないぞ?」
「おっと、勘違いしないでくれよ、戦争屋の旦那。いまのは純粋な賞賛だぜ」
「そうそう。俺らはあんたらほど腕はないが、生存本能って奴は強いのさ。
 手を出しちゃいけねえ獲物の区別ぐらいつくってもんよ。いや、この場合……」
「獲物ってよか、触らぬ神になんとやら……だな!」
「「「ハハハハハ!!」」」
 男たちはジョークをかわしあい、呵々大笑した。
「……褒められてると受け取ったほうがいいのかな、これは?」
「彼らなりの褒め言葉だろうさ、真琴」
 ベルンハルトは、腑に落ちない顔の真琴にウィンクしてみせた。
 が、彼は彼で、真琴に一撃でノされた苦い記憶が蘇り、いまいちキマらない。
「ベルンハルト? 何さ、そのプロテインを原液で飲んだような顔は」
「あー……いや、そうそう。他に敵がいないか、不安になったんだよ!」
「……ふうん」
 真琴はジト目を向けつつ、改めてレイダーの現れた亀裂を覗き込んだ。

 猟兵たちの調査により、このショッピングモールには広大な地下階が存在し、
 しかもそれらは表向き存在しないような隠蔽をされていたことがわかっている。
 おそらく、このショッピングモールが建造される以前に存在していたのだろう。
 そしてその地下階から、あのような狂ったレイダーが飛び出してくるのだ。
「奪還者の皆さんはどう思う? こういうケースはよくあるものなのかな?」
「いや、さすがに聞いたことねえな」
「そもそもこのモールの近くじゃ、レイダーはさっぱり見かけなかったんだよ」
「レイダーを見かけなかった? それはまた妙だな」
 ベルンハルトは銃のチェックをしつつ、奪還者の言葉に眉根を寄せた。
「此処が手つかずだって判断したのは、レイダーの襲撃がなかったからこそ、さ。
 ふつうレイダーがこういう施設に住み着いたら、間違いなく周囲の拠点を襲う。
 だがこのあたりは、遠征してきたレイダー以外には敵は早々いなかった」
「実際、モールの中の資源はほとんど荒らされていないよね」
「レイダーが仕掛けた罠もあるにはあるようだが……」
 真琴の言葉にうなずき、ベルンハルトはコンクリの柱に近寄った。
 そこには獲物を苦しませるために設置された、ワイヤートラップがあった。
 ただしそれは、ベルンハルトからするとひどく"ずさんな"ものである。
「……まるでこれは、そうだな……」
 ベルンハルトはワイヤーをカットしつつ、名探偵めかして顎に手を当てた。
「たとえるなら、レイダーが巣を作ろうとしてる真っ最中、といったところか」
「本格的に拠点として構築する前に、何かがあったってこと?」
「おそらくはな。つまりいましがた倒した連中も、"被害者"なんだろう」
 真琴はベルンハルトの言葉に、腕を組んで考え込んだ。
「……じゃあこの地下には、レイダーさえも脅かす何かがある、か。
 踏み込んだ人間が、奪還者もレイダーも餌食にされているんだとしたら、
 地上の資源がほとんど荒らされていない理由も、たしかに納得出来るね」
「そういうことだ、真琴。冴えてるじゃないか」
「ボクはベルンハルトの推理を後付しただけだよ?」
 などとやりとりしていたふたりは、はっと我に返った。
 周りの奪還者たちが、指笛を吹いたり、ニヤニヤしていたり。
 あきらかにからかわれていたのである。真琴は少し顔を赤らめた。
「こ、こほん。とにかくだ、油断しないで探索しよう。ね、ベルンハルト」
「オーケィ、だが難しい注文かもしれないな。キミを見ていると……」
「そういうのは、いいから! ……あと、こないだみたいなことを言ったら、怒るよ」
「……うっ」
 タレットへの愛を叫んだら、めちゃくちゃ怒られた記憶が蘇る。
 すっかり肩を落としたベルンハルトの様子に、真琴は仕方ないなと苦笑した。
 そんなふたりのやりとりを見て、奪還者は相変わらずニヤニヤしているのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メレディア・クラックロック
【作戦:B】
いいねぇ、クリスマスパーティー!
何にもない土地だけど、楽しいことがあれば明日を生きる力になるもんね。
お手伝いしたいところだけど、見ての通り非力で要領も分かってないからさ。
本職さん達の手際を拝見したいってワケ!
ヨロシク、奪還者サン達!

とはいえ荷物じゃないってトコは見せとかないと。
【Garnet】――周辺巡回Bot、いってらっしゃーい。
一撃で消滅するってことは、
消滅した地点に“何か”あるってコト!
ま、ちょっとした安全管理だね。

でも、何よりボクはキミ達の生き方が知りたいな!
こんだけ物質欲しいってことは、子供達かなり多いんでしょ?
キミ達には何の得もないのに…
どうして彼らを引き取ったのさ?



●トーキーズ・インタビュー
 狂ったレイダーの出現により、探索は慎重に時間をかけて行われることとなった。
 奪還者たちは無理をしないよう、猟兵たちを護衛につけた上で定期的に休憩する。
 そういうとき必要なのは、水や食糧よりも退屈を紛らわす会話のアイデアだ。
 その点において、メレディア・クラックロックは誰よりも秀でていた。
「ハロー! さっそくだけど、ちょっとインタビューさせてもらえるかな?」
「……ワタシ?」
「そう、キミさ。噂のディスクジョッキーさん?」
 回収した物資をチェックしていたクークーは、きょとんと目を瞬かせた。
 メレディアは記録用のマイクデバイスを取り出し、クークーに向ける。
「いや何、ボクはいろんな場所を旅して、インタビューをして回ってるんだ。
 "誰かの生き方は、他の誰かの生きる力になる"……それがボクの信条なのさ」
「……そう、なんだ。ごめんなさい、ワタシが聞くことはたくさんあるけど、
 こうやって聞かれる方に回ることはめったに無いから、驚いちゃった」
「お気になさらず。さて、まずはそうだね――キミは普段どんな生活を?」
 クークーはううん、と少し考えてから、答えた。
「いつもは、いろんな拠点を回って、ワタシのラジオのデバイスを配ってるの」
「ラジオ? つまりキミ"も"ソーシャルディーヴァってわけだ、いいね」
 ボクもなのさ、と自己紹介しつつ、メレディアはウィンクする。
 クークーははにかみつつ、メレディアにも放送用のデバイスを手渡した。
 さっそくチューニングしてみると、流れてきたのはオールディーズな音楽。
「へえ……ずいぶんレトロな趣味なんだね?」
「うん。この世界には、昔、いろんな文化や娯楽があった……らしいの。
 でもそれも、全部消えてしまった。だからワタシは、それを少しでも残したい。
 だって、音や言葉を楽しむことを忘れてしまったら、とっても退屈でしょう?」
「ン、同意見だよ。こんな世界じゃ、そうも言ってられないって意味でもね」
 文化を残そうとする――それはメレディアの信条にも合致する"生き様"だった。
 そういう人間を、メレディアは好ましく思う。だから応援したいと思うのだ。
「ああ、でも今日は、それ以上に気になることがあるかな」
「……? それは?」
「ほら、例の子どもたちのことさ」
 メレディアは少しだけ表情をシリアスなものにして言った。
「こんだけ物資欲しいってことは、子どもたちはかなり多いんでしょ?
 キミたちにはなんの得もないのに……どうして彼らを引き取ったのさ?」
「それは……」
「そりゃ聞くまでもねえやな!」
 と、そこに割り込んできたのは、リーダーを担当していた無精髭の男。
「そもそも"引き取らない理由"のほうがないだろ? だって、ガキどもなんだぜ。
 食い扶持が増えようがなんだろうが、ガキを見捨てたらいよいよ"おしまい"さ。
 てめえが生き延びるために、あんな暗い顔したガキを見捨てるってのは……」
「……うん。それは、イヤだね。そんな生き方は」
 クークーは無精髭の男の言葉に、微笑んで頷いた。
「……なるほど。それはそれは、素敵な生き方(スタイル)だね」
 メレディアもまた、微笑んだ。
 この世界には、何もかもが足りない――食糧も、水も、娯楽も、希望も。
 けれども彼らのような人間性こそが、レイダーと人とを分かつのだ。
「キミたちの生き様(スタイル)は、とっても素敵だ。……うん、素晴らしい」
 メレディアは、噛みしめるように、もう一度呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
【作戦:B】

あの町の依頼の関係者としては、ちょぉっとほっとけないわねぇ。
…なぁんか太文字ゴシックででかでかと「罠です」って書かれてそーな印象だけど。

ゴールドシーンにお願いしてアンサズ(情報)とラド(探索)をエオロー(結界)に乗せて展開、●要殺で周辺警戒するわぁ。セルとかユニットで動くんなら、あたしだけじゃなくて周りの奪還者さんたちも強化したほうが効率良いでしょ。
…ちょっとでも生存性上がるかもしれないし。

…あの子たち、どんな様子かしらぁ?
あたしあの依頼では陽動とか迎撃に回ってたから、直接あの子たちと顔合わせたわけじゃないけれど…
やっぱり、ちょっと気になるのよねぇ…



●傷跡はいまだ深く
「……そう、まあ当然よねぇ」
 ティオレンシア・シーディアは頬に手を当て、ふうと悩ましげに嘆息した。
 彼女が気にかけていたのは、例の保護された子どもたちの様子だ。
 拠点で世話をしていたという奪還者から、話を聞いてみたのだが……。
「ああ……最初はろくに喋ることが出来ないのもいてな、最近はマシになったよ。
 といっても、まだ大人を怖がる子なんかもいる。ほとんど寝付けない子どももな」
 奪還者の話では、子どもたちの信頼を勝ち得るのに一ヶ月はかかったという。
 現在も、子どもたち全員が拠点の大人たちに心を開いたわけではない。
 年長者をはじめとする「マシな」子どもたちが、大人たちとの窓口役となり、
 トラウマを引きずった子どもたちを世話している……という状況のようだ。
「アンタは例の街に行って帰ってきたんだろう? 大したもんだぜ、アンタ」
「あたしは大したことはしてないわよぉ。あの子たちと顔合わせてもいないし」
「そうなのかい? じゃあ、裏方として働いてたってわけか」
「ま、そうなるわねぇ……でもやっぱり、ちょっとは気になってたのよ」
 だから何が出来るのか……と言われれば、所詮自分はただの銃使いだ。
 子どもたちの心の痛みを取り除くことなど出来ないし、驕るつもりもない。
 いわばこれは、袖を擦り合わせた者なりの、一種の感傷のようなもの。
 ただ、こんな見え透いた罠に食らいついてまで彼らを笑顔にしようとする、奪還者たちの心意気には……少しばかり、思うところがあった。
「でもあなたたちも、大胆よねぇ。ここ、どう考えても怪しいでしょお?
 実際罠だの頭がイかれたレイダーだの、どんどん出てきてるわけだし……」
「まあな。だがアンタたちのおかげで、オレらはピンピンしてる。ありがたいぜ」
「そりゃあもちろん、怪我させるつもりなんてないけれどねぇ」
 ティオレンシアは常に聞き耳を立て、地下からの襲撃を警戒していた。
 すでに二度、発狂したレイダーと遭遇し、間髪入れつ抹殺している。
 彼女がいなければ、少なからぬ犠牲者が出ていただろう。
「こんな手間をかけさせられたんだもの、ちゃんとリターンはもらわないとねぇ。
 持ってけるものは、全部持っていきましょう? 今後のためにも、あとは……」
 子どもたちのためにも、だなんて言葉を言いかけて、ティオレンシアはやめた。
 そんな殊勝なことを言い出すのは、なんだからしくない気がしたからだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

陸郷・める
☆:める。戦車操縦担当。
★:7号。戦車搭載兵器の生体部品にされた元モヒカンレイダーでヒャッハー。

【POW】
★あの時のガキ共の……まあこっちもそろそろ物資が欲しいとこだったしな。便乗させてもらうとすっか
☆……どうするの?
★ヒャッハー!!【プランB】だァ-!!……スイマセン言ってみたかっただけです
☆えと、7号は置いておいて、戦車でみんなのごえいをするよ
★まあ戦車だしな。できるのはせいぜいドリルで【トンネル堀り/地形の破壊】ぐらいか……場合によっちゃあこの後に備えてUC使って武術の心得を奪還者共に付けとくのも手かもな
☆……どんな(トンデモ)ぶじゅつ?
★そりゃ相手の得意技次第だな

※アドリブ他歓迎です



●あ、あの武術は……!!
 メキ、メリメリメリ……バキバキバキバキ!!
 と、盛大な破砕音を立てて、分厚い隔壁に穴が穿たれていく。
 ここはショッピングモール――の、地下に存在していた広大な空間だ。
 猟兵たちの探索の結果、どうやらここは一種の研究所らしいことがわかった。
 そして、明らかに重要な何かを隠す隔壁が、彼らの行く手を阻んでいた……の、だが。
「すっげえなあ! こんなタフな戦車、見たことないぜ!」
『ヒヒヒ! そりゃあ当然だろう、しかしてめぇらはついてきてよかったのか?』
 と、ドリルで隔壁をぶちぬきながら、"7号"が言った。
 そのタフな仕事ぶりに感嘆していた奪還者たちは、ヘルメットを上げて答える。
「こんな誰も知らない地下空間があったんなら、それだけ物資も眠ってるだろ?」
「……でも、あぶないよ?」
 陸郷・めるの心配はもっともだ。
 事実、この地下空間には、大量の狂ったレイダーが潜んでいた。
 隠れていた……というよりも、閉じ込められていた、というべきか。
 つまり連中も、この地下区画に踏み込み……虜囚となったのであろう。
「危険を避けてちゃ奪還者はやってらんねえ、ってな!」
『ヒャハハハ! 言うじゃねえか、だが……そうだな、それもたしかだ。
 ガキどもにプレゼントするってんなら、たんまりいただいてかねえとなぁ!?』
 メキメキメキ……バゴンッ!!
『よぉし! ようやく穴が空いたぜ。ずいぶん頑丈な隔壁だなオイ』
「それだけの何かが、かくされてるってことかな……?」
『ああ、多分な。となると……おい奪還者ども!!』
「「「?」」」
 ガションガション。戦車が器用に振り返り、なにやら妙なことを言い出した。
『お前らの特技はなんだ? どんな些細なことでもいいぜ』
「特技ねえ……あー、仲間内じゃ一番ブーメランを遠くに飛ばせるぜ!」
『何……? 聞いたことがあるぜ、ブーメランと武術を組み合わせたまったく新しい』
「7号、それよくわかんないけど、なんかまずいとおもう」
 めるはなんとなーく嫌な予感がしたので、7号に待ったをかけた。
『なんだよ!? こいつらに武術の心得を教えてやろうとだなぁ』
「……いちおう聞いておくけど、そのぶじゅつの名前、なに?」
『そりゃお前風雲』
「つぎのかべ、こわしにいこうね」
『おい待てめる! なんでだよ!? 俺様の出番……おいィー!?』
 完全スルーで無理やり先へ進むめるであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジュリア・レネゲード
作戦C
ごきげんよう、クークー
今度はデリバリーでも始めるの?
冗談よ。あの子達の為なら、私も手伝うわ
ユニバースを拠点として提供
キッチンカー代わりに使って
帰る時は荷物をしこたま載せればいいわ

自身はコクピットでグリュプスに――戦闘端末群に指示
探索部隊の支援用に端末を飛ばさせて
各員の連絡・連携を密にする通信中継機能を付加して
何なら歌ってもいいわよ、クークー
長丁場になるなら、あなたの声で元気にしてよ……なんてね
最悪、盾代わりにもなるから安心して

私自身は端末越しに得た情報を精査し
問題の――敵が潜んでそうな場所を調べる
嫌な予感ってのは大体当たるのよねこういう時……
物陰、マネキン、玩具売り場
怪しそうな所を特にね



●キャンプでのひととき
「ごきげんよう、クークー」
「……ジュリア!」
 仮設キャンプまで戻ってきたクークーは、ぱあっと笑みをほころばせた。
 ジュリア・レネゲードはそんな彼女の笑顔を見て、肩をすくめて苦笑する。
「今度はデリバリーでも始めるの? ずいぶんなマルチタレントね?」
「ふふ……それも、面白いかも。そのときはジュリアが一緒に旅してくれる?」
「あら、楽しそうね。でも残念、いまのは冗談よ」
 ふたりはこつんとフィストバンプし、くすくすおかしそうに笑った。
 奪還者として、そして二度も肩を並べて戦った者としての、信頼と友情だ。
「あの子たちのためなら、私も手伝わなきゃね」
「……もしかして、ジュリアはあの恐ろしい街に行ったの?」
「ええ。何を隠そう、あの子たちの救出作戦に私も参加していたのよ」
 クークーは目をぱちぱちと瞬かせ、「やっぱりジュリアはすごいね」と笑う。
 そして、キッチンカー代わりに待機する"ユニバース"を見上げた。
「ワタシには、あんな場所に行って生きて帰ってくるような強さはないもの」
「そうかもしれないわね。でも私だって、あなたみたいにラジオは出来ないわ」
 ジュリアは"グリュプス"を呼び出すと、こんこん、とそいつを小突いた。
「もう探索部隊の支援用に、端末を飛ばしてあるわ。それと通信の中継用にも。
 あなたのラジオも届けられるわ。探索ばかりじゃ、あなたも疲れるんじゃない?」
「……うん。中ではずっと気を張ってなきゃいけないから。ありがとう」
 クークーは近くのチェアに腰掛けると、体内の端末を調律した。
「マイク、マイクチェック、ワン・ツー。ガガ、クークー、ガガ、クークー。
 ……ハロー、ワールド。クークー・レディオの時間です」
 ノイズ混じりの音声は、グリュプスやユニバースを経由してモール一体に届く。
 奪還者たちの中にも、彼女の密かなファンは数多くいるようだ。
「それじゃ、私は集まったデータでも調べるとしましょうか……って、どうしたの?」
 コクピットに乗り込んだジュリアは、クークーの脂腺に気づいた。
 ひょこっと窓から顔を覗き込むクークーが、にこりと笑う。
「せっかくだし、ジュリアも何か話してみない? ワタシのラジオで」
「……ガラじゃないわ。私は裏方仕事をしてるのが一番似合ってるのよ」
 他愛ないジョークに手をひらひら振って、ジュリアは目線を画面に映す。
(万が一のことが起こらないためにも、きちんと注意しておかなきゃね)
 端末をなぞる指先が、無意識にレディオのBGMに合わせてリズムを刻んでいた。
 外から聞こえてくる奪還者たちの語らいも、ジュリアにとっては心地よい。
 この世界は厳しく、苦しい。だからこそ、こんなひとときは尊いものなのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

戎崎・蒼
【作戦:A】
成程、ショッピングモール自体に何らかの仕組みが組み込まれてる場合があるのか……
なら、彼等を助けた猟兵の内ではないけれど、依頼に参加したのも何かの縁
少しでも彼等の一助となるようにしたい所だ

かなり寂れた風体ではあるといえ、ショッピングモールという大型施設
物資を探す傍ら、おもちゃ売り場にでも行ってみようかな
もしかしたら孤児の子供たちが喜ぶようなものがあるかもしれないしね
僕も両親は居ないから、寂しかったりする気持ちは分かっているつもりだよ
………良いものが見つかればいいのだけど

時間が余れば、戦場傭兵としての知識を応用して敵が襲撃し易い場所、穴となりかねない所も把握しておこうか



●子どもたちへのプレゼント
「……さすがに、新品同様とまではいかないな」
 ショッピングモール内、玩具コーナー。
 うず高く積もった埃を指でなぞり、戎崎・蒼はひとりごちた。
 物資は手つかずとはいえ、経年劣化は避けがたいものだ。
 売り場のおもちゃは、長い時間の経過により、半分以上が色あせていた。
 電子機器……たとえばテレビゲームなどは、とてもではないが遊べなさそうだ。
「子どもと一言に言っても、年齢には幅があるだろうしな……どれがいいだろうか」
 聞くところによれば、孤児たちは一番小さなこどもで4、5歳ほどだという。
 一番多いのは10歳前後……となると、もう少し洒落た玩具がいいだろう。
 などと考えながら、蒼は、誰もいなくなったおもちゃ売り場をひとり歩く。
 ……ここもかつては、多くの家族連れで賑わっていたのだろうか。
「いけないな。僕まで妙な寂寥感に包まれていては、気が抜けてしまいそうだ」
 孤児として生まれ育った身として、子どもたちの気持ちは痛いほどにわかる。
 頼れる両親が存在しないというのは、子どもにとって大きなストレスだ。
 ましてや、この世界では、明日を生きていけるかどうかも危ういもの。
 レイダーどもの奴隷として虐げられていたとあっては、なおさらだろう。
 プレゼントひとつで癒えるほど、心の傷は浅くはないはずだ。

 ……だとしても。
「寂しい気持ちが晴れるわけでは、ないものな……」
 蒼は自らの幼少期を重ね、思わず呟いていた。
 こんなことをしても、意味はないかもしれない。
 けれども何もしなければ、結局子どもたちは孤独で苦しみを抱えたままだ。
 癒えぬ傷を抱いて苦しむ子どもを見過ごせるほど、蒼は冷血漢ではない。
「……おや。これは」
 そんな彼の思いが、運命に届いたのだろうか。
 蒼が見つけたのは、ガラスケースに密閉された様々なぬいぐるみたち。
 当時のスタッフはきちんと戸締まりをしていたようで、中は清潔に保たれている。
 外気と遮られていたおかげで、保管されていたぬいぐるみは真新しい状態だ。
「……喜んでくれると、いいのだけれどね」
 蒼は、ほんの少しだけ、笑みめいたものを浮かべていた。
 次に考えるべきは、このぬいぐるみたちをどうやって綺麗なまま取り出すか。
 子どもたちの辛さや苦しさを思うよりは、ずっと心穏やかでいられる気がした。

成功 🔵​🔵​🔴​

レパイア・グラスボトル
物資が豊富なら多少(レイダー視点)は報酬に貰ってもいいだろう。
そんな事を考え家族共と参加。

【SPD】作戦:C
今は良い子でいろよ?ホームのガキ共に土産は持って帰りたいしな。

医療設備兼キャンプ設営する。
かすり傷から致命傷手前まで。安楽死付き。
レパイアは医療については本能として真摯。

家族の一部は設営から探索まで力仕事に回す。
奪還者ではないが探索作業も稼業ではある。
レパイアはキャンプで治療から環境改善を行う。
集める場所が分かっていれば、後で回収も楽になる事を考慮。
無茶を使用する怪我人は家族と共に力ずくでも安静にさせる。
他一般医療者等と知識の交換・教授をする。

きっと奪還者達には裏切り者はいないだろう。



●ヒャッハー系闇医者の力ずくオペ
「おい、怪我人だ! 通してくれ!」
 探索中に罠にかかったのか、数人の奪還者たちがキャンプに運ばれてきた。
 それぞれ手足にダメージを受けており、痛みに顔をしかめている。
「クソっ、ヘマこいたぜ……まあいい、鎮痛剤をくれ、それがあれば……」
「ダメだ」
「えっ」
 ぬうん、と奥から現れたのは、なんだか不気味な雰囲気を纏う金髪の女だ。
 レパイア・グラスボトルは、呆気にとられる怪我人に改めて言った。
「鎮痛剤で誤魔化して探索に戻るつもりだな? それは、ダメだ」
「えっ、いやしかし人手が……」
「安心しろ。ウチの家族を派遣してある」
「……もしかしてあのどう見てもレイダーなモヒカンあんたの家族なのか!?」
「そうだが?」
(マジかよちょっと撃ちそうになったぞ)
(めちゃめちゃヒャッハーしてたよな……)
 怪我人を運んできた奪還者たちがヒソヒソと話すのは、完全に聞き流している。
 レパイアは見た目にそぐわぬ力強さで、怪我人を無理やり診察台に寝かせた!
「グワーッ!?」
「いいからおとなしくしていろ。大丈夫だ、ワタシは見ての通り医者なのでな」
(((見ての通り……??)))
 いやにケミカルな汚れのついた白衣、病的に白い肌、やけに病んだ目。
 誰がどう見ても、シリアルなタイプのキラーである。コワイ!
「お、おい。治療なんていらねえよ! このぐらいツバつけとけば」
「そうか。安静にしていろ(ドスッ)」
「グワーッ!?」
 ばたり。明らかに秘孔的な何かを突かれた怪我人は仰向けに倒れた1
「だ、大丈夫なのか今の!?」
「問題ない、数時間ばかり意識を失うツボを突いただけだ」
「それがヤバいんじゃないか!?」
「麻酔を使ったほうがよかったか?」
 毒々しい色合いの注射器を白衣から取り出すレパイア。奪還者は震えた。
「まったく、怪我人の分際で無茶をするなど言語道断だ。まずは治療してからだ。
 ……おい、アンタらは怪我をしていないだろうな? 隠すとためにならんぞ」
(((なんで脅し文句みたいなこと言われてるんだ……!?)))
 謎の"圧"に、ビビり散らす奪還者たちであった。
 それはそれとして、レパイアの治療は実際的確であったという。

成功 🔵​🔵​🔴​

セツナ・フィアネーヴ
あー、その、久しぶり……だな、クークー。
以前貰った端末……あれを壊してしまわないように、前は完全に諦めていたガジェット……機械の扱いの事を勉強を始めたんだ
(※買ったのは新入生向けの初心者用テキスト。しかも技能を得るレベルまでは理解が進んでない)
あれが、師の事以外の学業とかにも目を向ける切欠になった
……その、ありがとう。

探索等は向こうの方が技量は上だろうから奪還者の護衛兼力仕事要因として動く。
相手が罠や獣の類ならアリシアの力も借りてランスや魔法で粉砕し、狼藉者の類なら、そうだな……【舌禍の笛槌】を使用、待ち伏せかどうか尋ねつつ、知っている事を洗いざらい「失言」してもらおうか

※アドリブ他歓迎です



●再会と、報告と、戦いと
 ショッピングモールの謎はさておき、物資そのものは期待以上だった。
 あまりにも多すぎるせいで、中身をチェックするだけでも一仕事必要なほどだ。
 そんなわけでクークーは、休憩がてらモール外の仮設キャンプに居たのだが……。
「おい、野獣の群れが近づいてきてるぞ!」
「……!」
 見張りについていた奪還者の声に、クークーはライフルを取り出した。
 報告通り、荒野を突き進む獣の群れ……ざっと20匹以上は居るだろう。
 危険要因は、何もモールの中だけに限った話ではないのである。
 しかも野獣どもは、一匹一匹が人を軽く丸呑みできるほどの巨大さだ……!
「本隊は? まだ戻ってないのか!」
「地下の領域が広すぎて、そっちの探索で手一杯なんだよ!」
「……とにかく、ワタシたちで対応しなきゃ。みんな、気をつけ――」
 陣頭指揮を執ろうと前に出たクークーに、群れのリーダー個体が飛びかかる!
「危ない、クークー!」
 奪還者の叫びも間に合わず、その牙が彼女の白い肌を切り裂こうとした……その時!

「――邪魔をするな、獣よ!!」
 横合いから突き出されたランスが、アルファ個体の胴体を串刺しにした。
 割って入った何者かは、串刺しにした獣の死体をぶんと思いきり放り投げ、
 後続の群れに叩きつける。そしてランスの石突で地面を叩き、睨みを利かせた!
「こちらは色々やることが山積みなんだ。お前たちにかかずらっている暇はない。
 それでもやるというのなら、相手になろう。ただし、私ひとりがだがな!」
 朗々たる声をあげ、セツナ・フィアネーヴは獣どもを睨みつけた。
 群れのリーダーを殺され、しかもこれほどまでの威圧をかけられたとあっては、
 獣どもは怯えざるを得ない。群れは瓦解し、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
「まったく、油断ならんなこの世界は……クークー、大丈夫か?」
「あ、ありがとう、セツナ……」
 尻餅をついてしまったクークーは、セツナに助け起こされると微笑んだ。
「危なかったけど、助けてくれたから大丈夫。……また会えてよかった」
「……あー、その……そうだな。久しぶり、だ」
 改めて面と向かって感謝をされると、セツナは照れくさそうに頬をかく。
『さっきまでの立派な態度はどうしたんですか? セツナ』
「う、うるさいぞアリシア。それはそれ、これはこれだ」
 精霊のからかいに唇を尖らせつつ、セツナはこほん、と咳払いをする。
「実を言うと、君にひとつ……私も感謝したいことがあって、な」
「……感謝? ワタシに」
「ああ……以前もらった、あのガジェット……いや、機械、か」
 セツナが懐から大事そうに取り出したのは、クークーが渡した端末である。
「壊してしまわないように、機械の扱いのことを勉強しはじめたんだ。
 いままでの私では、使い方はおろか持ち歩くのも難しかったから、な……」
「……そっか。大切にしてくれたんだね」
 セツナはこくりと頷く。
 まだまだ初歩も初歩のレベルだが、セツナにとっては大きな一歩だ。
「……おかげで、師のこと以外の学業とかにも、目を向けるきっかけになった。
 ……だから、一言礼を言いたくて……な。その……ありがとう、クークー」
 ぎこちなく礼を言うセツナの顔を見つめて、クークーは笑った。
「ふふっ。なんだかお互いに感謝しあうなんて、おかしいね」
「……そうだろうか? いや、そうかもしれないな」
 少女たちはなんだか急におかしくなって、ふたりして楽しそうに笑っていた。
 この世界は危険だ。だが危険があれば、心が触れ合う瞬間もあるのだ――。

成功 🔵​🔵​🔴​

宮前・紅
【作戦:B】
成程
俺は他の事で役に立てそうに無いから、彼ら(奪還者)を護ろうかな?
襲撃に遭えば、背後を取って敵を各個撃破(暗殺+貫通攻撃)
堅いヤツにはコンツェシュで突き刺して対処(鎧無視攻撃)
罠は人形たちに対処して貰おう♪

クリスマスかあ……子供たちにとっては素敵な催しだよね
彼らが子供たちの為に躍起になる気持ちは分からなくもないなぁ

でも
子供たちからしても彼らのこと心配になると思うな
俺に親は……いたけど
俺にも彼らみたいな優しい人がいてさ、その人も無理して死んじゃったから、心配なんだよね

出来るだけ彼らを傷付けないよう目指すよ
俺が襲撃の攻撃を引き受ける(激痛耐性)
これで無事に終わると良いんだけど……ね



●地下の闇へと
 ショッピングモールの地下に存在する、謎の広大な空間。
 その正体は、ショッピングモールよりも前に建造されたと思しき研究所だった。
「うーん、きな臭さしか感じないねぇ? さっきから敵ばっかだし♪」
 宮前・紅はにたりと笑い、襲い来るレイダーの群れを突き刺し、殺す。
 おそらく連中も、この地下空間に迷い込んで狂い果てた被害者なのだろう。
 この研究所はどうやら、危険な薬物を取り扱うタイプの場所だったようだ。
 システムの一部が生きており、レイダーどもはそれによって強化されている。
 ……とはいえ、奪還者たちならいざしらず、紅は歴戦の猟兵。
 ひとりで矢面に立ったとて、遅れを取るほどの相手ではなかった。
「あ、あんたすげえな……あの数のレイダーを皆殺しなんてよ」
「んふふー、まあねぇ♪ 敵のことは任せてくれていいよ?」
 あっけにとられた様子の奪還者に対し、紅はにこりと微笑んだ。
 その笑みがどこか落ち着かないものだから、奪還者は困った顔をする。
「そう固くならないでさあ、別に俺はレイダーじゃないんだし? あははは!」
 ……と言われても、その笑みを見て緊張するなというほうが難しいだろう。
 紅もわかったうえでやっている。そういう意地の悪さが、この男にはあった。

 ――その一方で。
「クリスマスってさあ」
「え?」
「いやさ、子どもたちにとっては素敵な催しだよねえー、ってさ」
 世間話のつもりなのか、紅は細剣の血を払いながら、他愛なく呟いた。
 よもや子どもの話を始めると思っていなかった奪還者は、またしてもきょとんとする。
「君たちが躍起になる気持ち、俺もわかんなくはないよ? 大事な催しだもん」
「そっか……なんか、悪いな。あんたのこと誤解してたよ」
「あはは、それも間違いではないけどねぇ♪」
 いまいち本音の読めない笑顔を見せながら、紅はふと奪還者たちを見た。
「たださ。子どもたちのことを思うなら、自分の身を守らないと駄目じゃない?」
「ん? 俺らの身を、か?」
 奪還者たちは、顔を見合わせた。
「一体どうして。別に俺らは、あの子らの家族とかじゃないぜ」
「そうそう。拠点で世話したことあるっつっても、まああの子らはまだまだ心に負担がかかってるからなあ」
「大人はまだ怖いのか、話しかけようとすると怯えた顔されることもあるし」
「ん~……」
 彼らの物言いに、紅は顎に手を当てて何やら考え込んだ。
「そりゃ血の繋がりはないだろうけど、みんな子どもたちのためにここへ来たんでしょ? それって、ちゃんと子どもたちにも伝わってるものだよ?」
「……そういうもの、なのかね。いまいちわかんねえな」
「そういうものだよ。俺も似たような気持ちは、味わったことがあるからね」
 紅の言葉はどこか含みがあった。
「ただまあ、俺の場合は、その人は無理して死んじゃったからさぁ。
 子どもたちもだけど、正直みんなのことも心配だなぁ。死ぬのはよくないよ?」
「「「……」」」
 奪還者たちはまた顔を見合わせ、なにやら頷いた。
「……そうだな。あの子らが俺らのことを待ってくれてるかはわからないが」
「せっかくサンタのつもりで飛び出して、死体で帰ったんじゃ情けねえや」
「あんたのおかげで、気が引き締まったよ。ありがとうな」
 紅はそんな言葉を受けて、にこーっと満面の笑みを浮かべた。
「いえいえ♪ じゃ、楽しい地下探索の続きといこうか?」
 紅は残酷な男だ。戦うことを愉しみ、痛みをもすら愉しむふしがある。
 けれども奪還者たちは、この男の優しさのようなものをかすかに感じていた。
 あとに続く彼らの足取りには、紅に対する信頼がたしかに宿っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴァレーリヤ・アルテミエヴァ
【作戦A】
(アドリブ・連携歓迎)
確かに妙ですわね…罠、と考えるのが自然ですけど…
「それでお嬢様自ら施設の探索ですか。死なずの体ならば問題なかろう、と」
小言を聞くために貴方を呼んだのではなくてよ『エメーリャ』?
探索であれば軽率に戦車を出す訳にはいきませんもの。
周囲の<索敵>と銃の用意を忘れないようにしておきなさい?

さて…聖夜といえばやはり贈り物。玩具売り場を探索してみますわ!
クークーさんはソーシャルディーヴァという話でしたわね。エメーリャ、通信網を使って奪還者達に尋ねることはできまして?
拠点の子供の好きな玩具を聞いてみたいですわ。
だって…欲しいと願い、与えられる奇跡が起きるのが聖夜でしょう?



●聖夜の前夜祭
「もしもし? 聞こえますかしら、クークーさん」
『うん、聞こえるよ。そっちの調子は順調……?』
「ええまあ。地上階の危険はおおよそ排除されたようですしね」
 ヴァレーリヤ・アルテミエヴァは、カツコツと音を鳴らし玩具売り場を歩く。
 幼児向けの玩具から、ティーンエイジが喜びそうな本格派のおもちゃまで、
 多種多様なアイテムが揃う此処は、さぞかし子どもに愛されていたのだろう。
 ヴァレーリヤは、ホコリが溜まったそこに、かつての人々の姿を垣間見た。
(時間というのは本当に残酷なもの。何もかも消え去ってしまったあととは……)
 彼女もまた、時間に置き去りにされたもの――デッドマンである。
 過去を思う時、ヴァレーリヤはセンチメントを抱かずにはいられない。
 一体どんな人々が、このモールで働いていたのだろうか。
 どんな客層が、何を求めてここへやってきたのだろうか。
 幸せな家族連れも居ただろう、
 じっとおもちゃを眺める子どもも居たかもしれない。
 けれどももう、誰も居ない。すべては嵐が滅ぼし、持ち去ってしまったのだから。
『……る? 聞こえる?』
「……ああ、ごめんなさい。ちょっと物思いにふけっていましたわ」
 クークーの声で我に返ったヴァレーリヤは、改めて周りを見渡した。
「それで、子どもたちの好きなおもちゃを聞いてみたいのですけれど……」
『うん。いまみんなに確認したところ。やっぱりぬいぐるみとかお人形とか、
 どちらかというとかわいいタイプのおもちゃが人気そう、だって』
「そう……つまり子どもたちは、女の子のほうが多いのかしら」
 聞けば件の子どもたちは、悪名高き『ヴォーテックス・シティ』で、殺人サーカスの生贄として殺される寸前だったという。
 保護された子どもに女子が多いということは、つまりレイダーどもが、より甚振って楽しめそうな子どもを見繕っていた、ということだ。
 まったく反吐の出るような連中だ。街ごと滅んだそうだが、せいせいする。
「ならひとつ、綺麗な人形を探して持ち帰ってあげるといたしましょう。
 このわたくしの審美眼にかかれば、子どもが喜ぶおもちゃの選定など朝飯前ですわ!」
『お言葉ですがお嬢様、まず状態のいい人形を探すところからでは?』
「そんな小言を聞くためにあなたを呼んだのではなくてよ、エメーリャ?」
 ドローンのツッコミにふん、と唇を尖らせるヴァレーリヤ。
「通信はこのまま維持しておきますわ、クークーさん。
 わたくしよりも、あなたたちのほうが子どもに詳しいでしょうから」
『うん、わかった。どうせなら、欲しいものをあげたいよね』
「そうですわね……」
 ヴァレーリヤはもう一度、忘れ去られた玩具売場を振り返った。
 かつてのクリスマスの頃も、ここは賑わっていたのだろうか。
「ほしいと願い、与えられる奇跡。それが起きるのが、聖夜というもの。
 ……罠だろうがなんだろうが、踏み潰して生きて帰るまでがクリスマス、ですわ」
 お嬢様の口元に浮かぶのは、センチメントに浸る悲しい微笑みではない。
 どんな敵だろうと蹴散らして進む、不適でタフな戦車乗りの笑みだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

霑国・永一
【作戦:A】
このような世界でもクリスマスを考える心の余裕があるのは素晴らしい事だねぇ。
ま、俺は彼らの為という気持ちは微塵も無いわけだけど。いつものようにただの好奇心と、罠にかけようという連中に対する嫌がらせだけさぁ。

とりあえずは探索かなぁ。盗人的には此方のが幾分か慣れてるし。
ということで《俺達》も手伝うように
『『『また戦いじゃなく雑用かよ!!』』』
分身たちにも手分けして動ける範囲内で探索を
食料品がいいかなぁ。食べられるもの探しだ
『おい!味見いいだろっ!』
駄目だよ
『ひゃっひゃっひゃ!我慢できねー!食う!……おえっ!腐ってやがる!』
毒味とは見上げた根性だ。自爆するほどダメージは無かったようだけど



●闇を歩く
 広大な地下空間に横たわるのは、百年以上前の秘密研究所だった。
 このショッピングモールは、罠であり罠でなかった、というべきだろう。
 罠にしようと住み着いたレイダーたちは、確かに存在していたのだ。
 しかし連中ですら、この禁じられた領域に踏み込み、システムに殺された。
 地下から這い出してきた狂ったレイダーの正体は、そいつらだったのである。
「哀れだねぇ。他人を罠にかけようとしたら、自分が罠にかかっちゃったわけか。
 ま、別に念仏を唱えたり、悼んでやるつもりはないけどねぇ。ただ、残念だな」
 霑国・永一は、血に塗れたナイフを振り払いながら、ぶつぶつと呟く。
「どうせなら、高みの見物を決めてる連中を絶望させたかったんだがねぇ。
 ……"俺たち"もそう思うだろう? 狂った連中を相手にしてもつまらないって」
『同意見だぜ。ただしお前の命令を聞くのもつまらねぇがな!!』
『どうせなら俺らにも戦わせろや! お前ばっかりずるいぞ!!』
『食料品を調べた次は、自分から罠にかかれとか命令しやがってよ!!』
 と、永一の別人格"ども"が喚き立てる。
「いやぁ、"俺"にせっかくの愉しみを分けてやる理由はないだろう?
 いくら狂ってるって言ったって、襲いかかってくるんなら殺せるんだからねぇ」
『ケッ、本当に腐った性根してやがるなお前は!』
「同じ"俺"のくせによく言うよ。自分にブーメランしてるってわかってるかい?」
『だから言ってんだよ、ひゃっひゃっひゃ!!』
 狂った永一"同士"の会話は、噛み合っているようで噛み合っていない。
 発狂したレイダーを殺戮するのもまた、狂気に塗れた男。
 まるで無間地獄のような、どこまでも救いようのない闇がそこにある。
 ある意味では、この地下を探索するにはうってつけの人材と言えた。
「ま、こんな雑魚どもだけじゃ物足りないからねぇ、少しは歯ごたえのある連中が出てきてくれると愉しいんだが……」
『おい見ろよ、この地下にも食糧があったぜ!』
『マジかよ! 味見しようぜ!』
「駄目だよ。それは持ち帰るための」
『うるせえ! 我慢できねーから喰っちまおう!! ……おえっ!』
 得体の知れない固形物を口にした"永一"は、ばたりと倒れて痙攣を始めた。
「おやおや、毒味とは見上げた根性だ。おかげで助かったかな?」
 永一は助け起こしてやりもせず、薄く笑みを浮かべて見下していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネグル・ギュネス
【作戦:B】
随分と縁があるな、レイディオのお嬢
今回は護衛だ、付かず離れずの距離でいろ
…怖けりゃ、他の人の後ろにいりゃいいから

奇襲や罠がある?ならば逆手に取れば良い
電霊領域:不壊の鋼を稼働、神経を研ぎ澄ませ、如何なる違和感空気気配全ての領域を支配(ジャック)──敵、罠は抜剣によりねじ伏せてやる
皆が怪我しないよう危害は全て俺が引き受ける

荒廃した世界、強大な敵
其れに立ち向かうには、恐怖を乗り越えねば未来はない

にも、関わらず?この先死ぬ未来が待ち受ける?
巫山戯るな、巫山戯るなよ、糞が

世界の危機より、何よりも、俺の目の前で悲劇も絶望もいらねぇ

さあ来いクソッタレども
貴様らを地獄に叩き込む戦鬼は此処にいるぞ


ヴィクティム・ウィンターミュート
手は貸してやる……まぁ、コッソリとな
大々的に護衛だの何だの、目立つことはしたくない
俺は他人を救うことも、幸せにすることもできない
ただそれを邪魔するカスを排除することだけが、俺に出来ることだ
……忘れないようにしよう

【忍び足】で先に隠れて侵入し、怪しい痕跡が無いか探る
見つけたら【追跡】で追いかけつつ、【罠使い】の眼でトラップの類が無いかどうか注意を払う
見つけたらしっかり解除しておこう

【ハッキング】で何らかのシステムが生きてないかも確認だ
待ち伏せてる野郎をカメラで捉えられるかもしれねぇ
もし発見できたら、【暗殺】で手早く処理しておこう

人知れず道を舗装する
俺の仕事はこれだけだ
いつだって、そうだったろ?


鳴宮・匡
【作戦:B】


探索の補助に【無貌の輩】を向かわせる
都合96体、一人一人につけてやってもまだ釣りがくる数だから
余ったやつはモール内各地に単独で派遣するよ
向かわせたやつからの情報が途切れた場合は
それはそれで「何かがいる」って情報にはなるしな

俺自身は奪還者に帯同するよ
目と耳を周囲の索敵に割いて
襲撃があってもいち早く察知できるように備えておく

……よ、クークー
なんだかんだで縁があるな

…………
あの街の子供たちを保護した、って聞いたけど
どういう感じ?
いや、気にしてるとかじゃ――ってのは苦しい言い訳か
ちょっとまあ、関わりがあってさ

だから、ってわけじゃないけど
今回は――いや
今回も、頼りにしてくれていいぜ



●影と、影と、影
 クークーは、三人の男を知っている。
 ネグル・ギュネス。
 鳴宮・匡。
 そしてもうひとり――ヴィクティム・ウィンターミュート。

 けれども彼女の前に現れたのは、匡とネグルのふたりだけだった。
 彼らはクークーと、奪還者たちを護衛するために名乗りを上げたのである。
 目的地は、ショッピングモールの地下。
 このモールが建造される前から存在していたと思しき、過去の研究所跡だ。
 どうやらここは、人体実験を行うような凄惨な施設であったらしい。
 すでに探索の間に、研究所の罠にかかったレイダーの成れの果てが、襲撃を仕掛けてきている。
 つまりこのモールそのものが、レイダーの罠だったのではなく……『レイダー"も"罠にかかっていた』というべきなのだろう。
 ショッピングモールそのものが建造された時点で、人々は地下の存在を知らなかったはずだ。
 この文明荒廃が、眠れる獅子を呼び覚ましてしまった……というところか。

 いずれにせよ、長い間放棄されていた地下区画には大量の物資が眠っている。
 そう結論づけた奪還者たちは、調達のために地下区画の探索を決めた。
 危険ではある。しかし、物資はいくらあっても足りないくらいなのだ。
 ましてや拠点では、多くの子どもたちが最低限の物資で日々を過ごしている。
 クリスマスの先も、彼らの人生という物語は続くのである。
 明日を、明後日を、その先を安心して過ごせる――それこそ、一番の贈り物ではないだろうか。
 ……ここで引き返す選択肢は、誰にもなかったのだ。

「……つまりここが、ムルヘルベルの見た予知の現場――ってわけか」
「だろうな。俺らが居なけりゃ、そもそもここに辿り着けてたかも微妙だけど」
 匡とネグルは周囲を警戒しながら、ひそやかに言葉を交わした。
 この地下に降りてから三度、発狂したレイダーの襲撃が彼らの行く手を阻んだ。
 しかし、所詮はレイダーの成れの果て――ふたりが組めば物の数ではない。
 奪還者たちが手を出すまでもなく、戦いは快勝で進んでいた。
 といっても、快勝の理由はもうひとつ存在するのだが……。
「やっぱりふたりは、強いね」
 あとに続く奪還者たちを代表して、クークーがふたりに礼を述べた。
 クークーの瞼の裏にはいまも、あの湖の拠点での戦いが焼き付いている。
 だからふたりに向けられる眼差しには、信頼と感服の色があった。
「強いかどうかはわからないけど、仕事はきちんとこなすのが俺の流儀だからさ」
「そこは謙遜しなくてもいいんじゃないか、相棒。お嬢とはなんだかんだ腐れ縁だ」
「まあな……でも、強いかどうかって自称するようなことじゃないだろ」
 なんていうコンビのやりとりも、クークーはなんだか安心してしまう。
 くすくすと笑っている少女のほうを見て、匡はばつが悪そうに首をさすった。
「ところでさ、こんなところで世間話ってのもなんだけど……」
 そこで匡はふと、クークーに問いかけた。
「……あの街の子どもたちを保護した、って聞いたけど。どういう感じ?」
「子どもたちの様子、っていうことかな……?」
「ああ、うん。別に気にしてるとかじゃ――」
 言いかけて、匡はネグルの視線に気づいた。
 意味ありげな微笑を浮かべる相棒の顔にため息をついて、匡は頭を振る。
 苦しい言い訳はやめておけ、とでも言いそうな表情だったからだ。
「……ちょっと、関わりがあってさ。だから、知りたかったんだ」
「そっか。……うん、みんな元気だよ。少なくとも、身体の方は」
「珍しく持って回った言い方をするじゃないか?」
「まあ……けっこう、その子によってケースが違うから、なんともっていうか」
 クークーはどう説明したものか、言葉を探す。
「ほとんど何も気にしないぐらいに立ち直った子も、いることにはいるの。
 ただ、やっぱりいまでも大人を怖がってたり、喋れないような子もいて」
「……それも当然だろう。おおまかな話は聞いてるつもりだ」
 ネグルは、あの"最悪の中の最悪"と渾名された街に足を踏み入れていない。
 しかし話を伝え聞くだけでも、彼の全身を憤怒の血流が巡り、燃え上がった。
 ヴォーテックスシティ。悪徳の都。レイダーの楽園。命が無価値となる場所。
 狂気と絶望とが支配する地獄から、子どもたちは命からがら逃げ帰ったのだ。
 他でもない相棒をはじめとした、勇気ある猟兵たちの手によって。

 ……とはいえ、クークーの言う通り。
 救助されたからと言って、心の傷が癒えてなくなるわけではない。
「最初は、もっとひどかったの。ろくに眠れない子ばかりで……」
 いまでもすべての子どもが、奪還者や拠点の大人に心を開いたわけではない。
 言葉を喋れなくなってしまった子や、不意のフラッシュバックに悩まされる子。
 目の前で殺された仲間や家族の幻影に苦しめられる子もいると、彼女は語る。
「……あそこは、ろくな場所じゃなかったよ」
 匡は、ただそれだけ言った。他に語る必要はないと思ったからだ。
 事実、相棒のその言葉だけで、ネグルにとっては十分だった。
「少しでも多くの物を持ち帰りたい……って気持ちは、わからなくもないかな」
「ああ。どんなクソッタレな野郎が出てきたとしても、俺たちが倒すだけさ」
「うん、信じてる。――でも、あの人は今日は来ていないの?」
 "あの人"。
 クークーが指す人物が誰か、名前を言われなくてもふたりにはわかった。
 ネグルと匡は顔を見合わせる。彼女にどう説明したものか、と考えたのだ。
 彼らがレイダー相手に快勝出来ている、もうひとつの理由。
 それは、彼らの進む道が、"すでに調えられているから"である。
 誰がやったのか? ……それを考えれば、おのずと"あいつ"の居場所はわかる。
「必要になったら出てくるんじゃないか? あいつのことだし」
「……そうだな。心配はいらないさ」
 男たちの言葉には、信頼と、友情と、ほんの少しの呆れがあった。
 クークーは怪訝に思ったものの、自分が問うことではないと言葉を飲み込んだ。
 きっと彼も、ここに来ているのだろう。ならば、心配は要らないと。
 彼女は知っている。ヴィクティムという男の強さを。

 ――ただし、クークーは知らない。
 ヴィクティムの……いや、ネグルと匡の心に伸びる、長い影法師を。
 知らなくても当然だ。彼らは、それを滅多に見せようとはしない。
 未来を阻む者どもへ向ける、戦鬼じみた怒りであれ、
 いかなる敵をも滅殺せしめる、死神のごとき眼であれ、
 戦う姿は見せたとて、己の中の影を彼らが垣間見せることは、ごくごく稀だ。
 その中でもヴィクティムは、特に己を曝け出すことを好まない。
 誰に対しても――それこそ、己自身に対してすら。
「この施設、100年以上も自律稼働していやがったのか……? いや、違うな」
 ネグルや匡らのはるか先、倒れ伏すレイダーどもの血の海の上に佇む男。
 単独で施設の奥深くへ潜入していたヴィクティムは、研究所のデータを片っ端から洗っていた。
 迷い込んだレイダーどもを捕らえたのは、稼働していた研究所の防衛システムだ。
 見たところそれは、オブリビオンストームの影響で暴走している。
 ……訂正しよう、暴走して『いた』と言うべきだ。
 それらはすべて、ヴィクティムの電脳魔術によって殺されてしまったゆえに。
「薬物による身体強化、精神破壊、調律、生物兵器の製造……ね。
 ハッ、この世界にもまともじゃねえ人類はたくさんいたわけだ。シンパシーが湧くね」
 皮肉げな笑みを浮かべつつ、ヴィクティムはさらに奥深くへ没入する。
 狂ったレイダーどもが待ち伏せているならば、さらに裏に回ってこれを殺す。
 暴走したシステムは電脳魔術によって滅ぼし、丸裸にしてしまう。
 いかなる犠牲も赦さない。犠牲とはすなわち彼にとっての敗北ゆえに。
 義務感? 義侠心? ……どちらも否。これは執着――そう、妄執だ。
 勝たねばならないのだ。その結果が大団円と言うだけの話。
 己に、誰かを救ったり、幸福にするような力はないのだから。
 ただそれを邪魔する輩を、片っ端から消す。それだけが、彼に出来ること。
 ……ヴィクティムは、己をそのように定義していた。
「……忘れるな、ヴィクティム・ウィンターミュート。決して忘れるな」
 手を休めずに、ヴィクティムは己に言い聞かせた。
「俺に、誰かに手を差し伸べることなんて出来やしねえ。俺はあいつらとは違う。
 影から影へ。誰にも知られず道を舗装し、最適な筋書きを立てればそれでいい。
 俺の仕事は、それだけだ。俺に出来ることは、これだけだ――そうだろう?」
 こんな台詞をあいつらが聞いたら、またお人好しなことを言うのだろう。
 だからヴィクティムは、己の影を他人には晒さない。
 嫌いだからではない。むしろ逆に、俺は――。
「…………忘れるな」
 コンソールを殴りつける。ヴィクティムは刻みつけるように言った。
「俺が居るべきは、影(ここ)であるべきなんだ」
 何度でも己に言い聞かせる。
 そうしなければ、光につられて惹かれてしまいそうだったから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『レイダー・アンド・カーバンクル』

POW   :    破壊
単純で重い【拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    破砕
【裂帛の叫びから繰り出される衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    破竹
自身の【連れている不思議な生命体】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[連れている不思議な生命体]から何度でも発動できる。

イラスト:コンドル中村

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ショッピングモール地下:?階・研究所跡
 モール地下に広がっていた、巨大な研究所の最深部。
 そこに住み着いていたのは、研究所の防衛システムによって拘束されたレイダーの成れの果てだった。
 もはやこの地下研究所が、なんのための施設だったのかはわからない。
 なんらかの生物兵器を開発しようとしていたことは間違いないだろう。
 薬物その他の力で異常な巨体に膨れ上がったレイダーの姿が、その証拠だ。
『はじめまして! カーバンクルランドへヨーコソ!』
 場違いなファンシーボイスが響き、あちこちに奇矯な電子生命体が現れる。
 どうやら、地上階に存在していた遊戯施設の一部が、この区画まで崩落していたらしい。
 おそらく本来は、子どもたちを楽しませる電子的なアトラクションのマスコットか何かなのだろう。
 そのシステムはオブリビオンストームの影響で暴走し、発狂したレイダーと奇妙な一体化を遂げていた。
『ここはみんなの楽しい遊び場! いつまでだって遊べちゃうヨ!
 さあ、悪いモンスターをやっつけて、ご褒美をいーっぱいゲットしちゃおう!』
 ……"悪いモンスター"というのは、つまりこの筋肉だるまのことだろうか?
 こうなってくると、電子生命体の声援はただの耳障りなノイズである。
「ウゥルォオオオオッ!!」
 マスクの下から雄叫びをあげ、発狂したレイダーが襲いかかる!
 壊れたシステムの電子遊戯に、真っ正直に付き合ってやる必要はない。
 さっさとレイダーどもを全滅させ、戴けるものを戴いて地上へ戻るとしよう!

●プレイング上の備考
 皆さんのプレイングの結果、奪還者は全員無事なまま最深部へ到達出来ました。
 彼らは安全な後方から、皆さんの戦闘を援護します。
 この章では、参加者全員が自動的にプレイングボーナスを得ます。
 舞台となるのは、ショッピングモールの地下に存在する研究所跡です。
 一部は地上階から電子遊園地のアトラクションが崩落して混ざっており、
 壊れたメリーゴーランドや迷路の中で、レイダーと戦うことになるでしょう。

●プレイング受付期間
 12/23(水)23:59前後まで。
アルトリウス・セレスタイト
本来の目的は拠点に戻って後の事
速やかに終えるべきだな

天楼で捕獲
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める

見えず触れ得ずとも虜囚
抜けるのなら自壊しながら進む以外の術は無い
破壊も良いがその手段も自壊対象
何れにせよ急がねば消え失せるのみ

内より外へは干渉不能、逆は自由で制限はない
故に味方への気兼ねも不要
損害回避と殲滅を兼ね最大規模で
迷宮は『再帰』で無限循環させ無数に重ねて強度と自壊速度を最大化
出口は自身へ設定
辿り着くなら『討滅』を乗せ打撃で対処

自身への攻撃は『絶理』『刻真』で即時終わらせ回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給

※アドリブ歓迎



●最速最善
「ウゥルォオオオオッ!!」
 薬物と拷問じみた実験によって自我を破壊されたレイダーの雄叫び!
 それ自体が、並の奪還者であれば心折れて戦意喪失するほどのものだ。
 猟兵たちが駆けつけなければ、彼らはさぞ無残に殺されていただろう。
「あいにくだが、お前たちは前座ですらない。さっさと消えろ」
 アルトリウス・セレスタイトは原理の魔術によって敵の逃走を封じ、一瞬にして間合いを詰めた。
 レイダーも動きが遅いわけではない……なにせ全身筋肉である。
 デカブツだからといって動きが遅い、などというのはフィクションの話。
 巨体であれば相応のスピードを発揮できる――が、それよりもなお彼は疾い!
「ウゥ……!?」
「終わりだ」
 アルトリウスの繰り出した拳が青い燐光を纏い、腹部に叩き込まれる。
 すると周囲に展開された見えざる術式と魔力が反応しあい――炸裂!
「グォウッ!?」
 KRA-TOOOM!! 筋肉だるまは臓物を撒き散らし、それすらも消滅した!
「ミイラ取りがミイラになっただけの連中を、哀れんでやるつもりもない。
 お前たちの存在はただ邪魔なだけの障害物だ。消えるならば速やかに消えろ」
 慈悲も躊躇もなく、アルトリウスは自爆魔術で敵を消し飛ばしていく。
 世界の外から魔力を汲み上げて発動する原理の魔術は、喰らいモノとすることさえもできない。
『スゴイね! 高得点だヨ! 高得点だヨ! 高得ててててててて』
 KA-BOOM!! 致命的バグを起こした電子生命体が破砕消滅!
 次から次へと敵を消し飛ばしながら、アルトリウスは拳を振るう。
 最速の一撃で消滅をもたらす――それこそが最善の戦術なのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

カタリナ・エスペランサ
この後は聖夜のお祝いが待ってるんだ
大盤振る舞いと行こうじゃないか。とっておきの一つ、特別に披露してあげるよ!

《高速詠唱+先制攻撃》、【異聞降臨】で召喚するのはかつて聖域を守護した大蜘蛛さ
この化身の得手は《罠使い・破壊工作・拠点防御・結界術・地形の利用》、戦場を《早業》で悪しきを屠る狩場に作り替えよう
《第六感+戦闘知識》に張り巡らせた糸での《情報収集》を合わせ戦局を《見切り》常に先読みして動く
蜘蛛の巣を操り味方の動きを援護、敵の攻撃はUC含め《目立たない+迷彩》を施した蜘蛛糸の《体勢を崩す+破魔+属性攻撃》で手足・喉元を縛り封じ込めるよ
《捕縛》した敵はそのまま《焼却+切断》して仕留めるとしようか



●これよりは悪を屠る狩りの刻
 雄叫びが反響・連鎖し、音叉のように共鳴して多重破壊をもたらす。
 分厚い鋼鉄の痛すらも、振動によってバラバラに砕けるほどの衝撃波だ。
「迂闊に近づくのは危険……か。なら、大盤振る舞いといこうじゃないか!」
 カタリナ・エスペランサは不敵な笑みを浮かべ、大きく翼を広げた。
「我は汝、汝は我――交わらざるイフの時空より、来たりて聖暁の威を示せ!!」
 翼から舞い散った羽根が黒い風にさらわれ、ごうごうと竜巻に変わる。
 黒を孕みし2時の旋風は徐々に細まり。やがて化身の姿を形作った。
 ……蜘蛛である。レイダーをも丸呑みにできそうなほどの、巨大な蜘蛛だ!
『AAAAARRGH!!』
 大蜘蛛の人ならざる雄叫びが、レイダーどもの衝撃波を相殺せしめた。
 それだけではない。狭角から吐き出された糸は、あっという間に戦場を包む。
 これこそ、かつて聖域を守護した大蜘蛛の持つ権能……すなわち、狩猟の領域。
 獲物の逃げ場を奪い、悪しきモノを屠り滅殺する魔神の庭なのだ!
「ウゥウウウ……オォオオオオオッ!!」
「その耳障りな咆哮は、これまでだよ。潔く散るがいいさ!」
 レイダーの巨体に、大蜘蛛の吐き出した糸がしゅるしゅると絡まる。
 喉元を縛られたレイダーは、もはや雄叫びをあげることが出来ない。
 カタリナは糸を足場にすることでレイダーの攻撃回避しながら肉薄する。
 そして軽業師めいて、頭上を逆さに通り過ぎた瞬間ダガーの一閃!
 喉元に巻き付いた白い糸がばっさりと両断され、赤い鮮血がほとばしった!
「グォ……!!」
「このあとは聖夜のお祝いが待ってるんだ。聞きたいのは雄叫びなんかじゃない。
 孤独を癒やされた子どもたちの、喜びと楽しさに溢れた笑い声だけなんだよ」
 カタリナは手首のスナップで、ダガーの血を払う。
 倒れ込んだレイダーは神の焔に焼かれ、その炎が蜘蛛糸を伝った。
 拘束されたままのレイダーどもは、生きながらにして炎に焼かれ果てるのだ。
「聖夜の灯火――なんてうそぶくには、ちょっぴりグロテスクすぎるなあ。
 この戦いの舞台が子どもたちの前でなくて、本当によかった。さあ、続きだ!」
 聖夜を邪魔立てする外道どもにくれてやるのは、プレゼントではない。
 神をも滅ぼす炎と刃による、まったき死のみ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霑国・永一
おやおや、探索ばかりで気が滅入らないように遊べるようになってるとは、有難いことだなぁ。
色んな施設もあるけど、一番遊べるものはアレだろう、《俺》?
『ハハハハッ!決まってんだろうがァッ!あのデカ物以外何があるってんだッ!やっっっと!愉しめるぜ!』

全ての肉体主導権を戦闘狂人格に移した真の姿の上で狂気の戦鬼を発動
戦場を縦横無尽に飛び回り、片っ端から衝撃波を放ちながら撃破していく。
相手の衝撃波にも衝撃波をぶつけて相殺もする
『探索はもう良いっつってんだろ!(迷路の壁ぶち破りながら敵が居れば諸共吹き飛ばす)』
『ハッハァー!遊びはこうでなくっちゃなァ!てかうっせーよ!(アナウンス機械に衝撃波ぶつける)』



●暇を持て余した狂人の、遊び
 戦闘の余波で瓦礫が崩れると、なにやらアトラクションが鳴動を始めた。
 おそらく振動か何かで、まだ生きていたギミックが誤作動を起こしたのだろう。
 場に不釣り合いなファンシーなBGMが流れ、きらびやかな電飾があたりを照らす。
「おやおや、探索ばかりで気が滅入らないように遊ばれるようになってるとは。
 まったくありがたいことだなあ……一番遊べそうなモノもあるし、ねぇ?」
 霑国・永一は薄い笑みを浮かべ、楽しそうな"おもちゃ"を睨む。
 もちろんそれは……ほかならぬ発狂したレイダーの群れであった。
「ウゥルォオオオッ!!」
「あっはっは、どうやらあっちも遊んでほしくて仕方ないようだよ、"俺"?」
 ユーベルコードで分離・増殖していた別人格の最後の一体を見やる。
 永一と同じ見た目をした別人格は、ことさら楽しそうな笑みを浮かべた。
『ハハハハハッ! だったらたっぷり遊んでやらねェとなァ!?』
 永一の身体に別人格が溶け込むと、その表情が野卑なものに豹変した。
「さぁて、やっとだ。やっっっと! 愉しめるぜッ!!」
 人格を交代した永一は、目にも留まらぬスピードで戦場を縦横無尽に跳び回る。
 生身でありながら、そのスピードは衝撃波さえも発生させるほどだ。
 寿命を削る代償など、考慮しさえしない。いまが愉しければそれでいい。
 永一も、彼の別人格も、どこまでも破滅的で刹那的な狂人だった。
「ハハハハハハッ!! どうしたどうした、捕まえてみろオラオラオラァ!!」
 永一がレイダーの周囲をピンボールめいて跳ねると、血飛沫が舞い踊る。
 衝撃波とダガーの斬撃のあわせ技が、鋼鉄じみた筋肉の鎧を斬り裂いているのだ。
「ウゥォオオァアアッ!!」
「ハ! やかましく叫ぶだけがお前の芸か? つまらねェなァ、死ねッ!!」
 雄叫びによる衝撃波をものともせず、永一は敵に飛びついた。
 そして柱のように太い頸にダガーを突き刺し、傷口を抉って押し広げる!
「ォオオオオオッ!?」
「あァたまらねえなァ、クク、ハハハハハハッ!!」
 熱血が溢れ永一を汚す。狂人はそれさえも心地よさそうに吐息を漏らした。
 傷口に指を突き刺すと、筋繊維をぶちぶちと引きちぎり、頸をもぎ取る!
「そォら! サッカーでもしようぜェ!! ハハハハ!!」
 生首を別のレイダーの群れに蹴り飛ばし、怯んだ隙にさらなる攻撃!
 まさしく悪童の如き、けれども悪魔じみた暴虐が発狂したレイダーを襲う。
 この世は弱肉強食――外道を狩るのは、より凶悪な外道である。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネグル・ギュネス
迷路の最中に接敵
奪還者達を下がらせ、ファイティングポーズ
体格差何倍以上だってんだ、俺は巨大化なんで出来ねぇが

逃げ場は無いし、パワー差もヤバいが、まあ、やってやれない事も無い

強烈な拳は、避ければ周りに被害が行く
だから、真っ向から受け止めて、抑え込む
無謀で無茶で馬鹿げたやり方だろうけど、これが最善だと思えば躊躇い無く己を賭け金にする

そう、痛かろう苦しかろうが、ま だ だ ッ!
軋ませ火花を散らしひび割れながらも、まだだ!まだだ!押し返せる!

見せてやる、俺の、本当の姿
『降臨昇華・陽光黒鉄』

迷路の壁に押し返し、しこたま打ちかます!

…ハ、やっぱり仲間みたいなスマートでカッコいいヒーローにゃ、なれやしねぇや



●譲れぬもの、変われぬもの
「お、俺たちも援護を……!」
 銃を構えようとした奪還者を、ネグル・ギュネスは腕を伸ばして遮る。
「下がっててくれ。こいつらは、私が相手をする」
「で、でも……アンタ、あの数をひとりで倒すつもりか!?」
 ここは巨大迷路の只中である。通路の幅は2メートルあるかどうか。
 レイダーの巨体では、突き進むにはネグルを倒すしかない。
 ……そしてネグルも、奴らを倒さねば、前に進むことは出来ない。
「……まあ、やってやれないこともないさ」
 ネグルはそう言うと、おもむろにファイティングポーズを取った。
 いくら彼が数多の強敵を倒してきたとはいえ、ネグルのスタイルはスピードを重視した翻弄するタイプの戦いである。
 これほどのパワーを有する相手と正面から殴り合うのは、明らかに不利。
 しかも敵の数は多く、ネグルはひとり。持久戦においても分が悪い。
「なあ、やっぱり……あ、おいっ!」
 ネグルは何も言わず、無造作に前に出た。
「ウゥルォオオオオッ!!」
 レイダーは雄叫びを上げ、鋼鉄をも粉砕する拳を振り上げ――下ろす!

 ……KRAAAAAAASH!!
「……!!」
 思わず頭を抑えて丸まっていた奪還者たちは、顔を上げて驚いた。
 もうもうと立ち込める土煙が晴れると、そこには仁王立ちするネグルの背中。
 クロスガードで拳を受け止め、全身から血を流しつつも立っている!
「……どうした。この程度で俺を倒せると思ったのか?」
 ネグルは刃のように鋭い目で、拳越しにレイダーを睨みつけた。
 そして両腕でレイダーの拳を弾き飛ばし、握りしめた両拳を叩きつける!
「グォオオッ!?」
「どれだけ痛めつけられようと、俺は退かん。退くもんかッ!!」
 SMASH!! SMASH!!! ……KRAAAAAAASH!!
 殴る、殴る、殴る殴る殴る殴る殴る!!
 レイダーは吹き飛ばされ次のレイダーが襲いかかり、拳が撃ち合う。
 衝撃が足元を伝い壁を床を、その身をひび割れさせてもネグルは止まらない。
「まだだ――ま・だ・だッ!!」
 血でまだらに染まる白い髪は、力の解放に引っ張られるように黒に染まる。
 火花を散らしひび割れながらも、ネグルは退かず、止まらず、ただ戦い続ける。
 下がれば彼らが危険になってしまう。
 ならば戦おう。誰かの代わりに、自分自身が痛みと苦しみを背負おう。
 この身を、魂を、命さえも燃やし尽くしてでも!
「どうして、そんなに命を賭けて戦うの――?」
 クークーさえも、銃を構えることを忘れて呆然と背中を見つめていた。
 五体、六体、七体……レイダーを叩き潰す。……叩き潰す!!
「――ハ」
 ボロボロの有様で、ネグルは自重の笑みを浮かべた。
 何処かの誰かのような、スマートでクールなヒーローにはなれやしない。
 だが、それでいい……これが俺の、変わらぬ礎、譲れぬ誓いなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

一郷・亞衿
……まあ、うん、広義的にはレイダーが店員だったと言えなくも無いですね!遊戯施設のモンスター役やってる訳だし!

駄話はさておき、『人生狂騒曲』を使用。
割とゴチャついてるから人海戦術キメたい、&、ショッピングモールと言えばゾンビだよねという(※偏見)。
まあ呼ぶのは人でもゾンビでも無くて幽霊なんだけど。似たようなモンだ。

謎生命体に古竜骨装備食べさせたら無力化出来ないかな……最悪英霊本体も食われるかもだけど、数体程度ならやられても大丈夫!多分!
あたし自身は変形機構付きの山刀振るって不意打ち狙おう。

ところであのバグったマスコット、どんな感じで捕食するんだろう……クリオネみたくガバッと頭開いたりするのかな?


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

まったく、悪趣味な具合に歪んで混ざっちまって……
アイツじゃないんだし、チャチャっと片付けて……って
噂をしたら来やがった!?
ああもう、仕方ねぇ!
使ってどうとなるもんじゃないし、この際好都合だ!
魔法少女にでも何でもなってやらぁ!

……啖呵を切ったはいいもののさぁ、
これ大丈夫なのかねぇ?
なるべく周囲の施設を壊さないよう気を付けながら、
ロッド(戦車砲)をぶん回して『衝撃波』を飛ばし、
レイダー共をぶちのめすよ。
あのマスコット?に当たったらどうなるかはあんまり考えたくないけどさ。

しかしこれじゃあ、出来の悪いヒロインショーみたいになってねぇかこれ?
配信は勘弁しとくれよ、クークー!


ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

アハハハハハッ!
ショッピングモールの地下に巨大研究所かあ!
どっちが先だったんだろうね?それとも最初からセットで?
どっちにしてもショッピングモールの地下にモンスターハウスだなんて上出来だね!
スラップスティックかB級映画か、それともそれこそ遊園地のアトラクションか

やーやー奪還者くんも楽しんでるー!
ボクたちが来なきゃキミもあの子たちにブチブチーッ!ってされちゃってたみたいだねえ
フーッ!(と息を吹きかけて)
どう、死神にうなじをくすぐられる感触は?そろそろ癖になってきたんじゃない?
アハハハハハッ!楽しもう!回るメリーゴーランドには乗らなきゃ損だよ!

UC真っ向勝負でドーンッ!!


ヴァレーリヤ・アルテミエヴァ
(アドリブ・連携歓迎)
地下にこんなものが隠されていたなんて、まったく悪い冗談ですわね…
ま、わたくしがやることは変わりませんわね。
すなわち、欲しい物は奪う。立ちふさがるなら倒して奪う…ですわ!

悪いモンスターをやっつけろ、でしたっけ?
それって勝利しろってことでして?勝利への衝動で動くこのわたくしに!
ならば存分にこの場ごと<蹂躙>してさしあげますわ!
【冥き海の多頭竜】!高さと広さ…それさえあれば、
『ヴァロータ』による『ミーシャ』の召喚と駆動に支障はありませんわね。
探索では控えましたけれど、戦闘となれば抑える必要ありませんもの。
<制圧射撃>でまとめて蹴散らしますわ!



●スラップスティック・ヒーローショー
「「「ウゥルォオオオオッ!!」」」
 レイダーの群れが獣じみた雄叫びをあげると、それは共鳴し衝撃波と化す。
 壁が、床が、瓦礫が――天井がひび割れ、見えない波が猟兵たちを襲う!
「うっわ、見た目にそぐわぬ音波攻撃! 本能なんですかねあれ!」
「なんて言ってる場合じゃないよ、食らったらひとたまりもなさそうだっ!」
 一郷・亞衿と数宮・多喜は左右に跳び、巨大な瓦礫を盾にして音波を回避。
 衝撃波にさらされた瓦礫はクモの巣状にひび割れ、そして砕け散った。
「あー、これは長期戦は不利ってやつですねぇ……」
「なら先手必勝で叩きのめすまでですわ! わたくしがやることはひとつ!
 欲しいものは奪う、立ちふさがるならそいつをぶっ倒して奪う、ですもの!」
「アハハハ、いーねぇー! 奪還者たるものそーじゃなきゃさぁ!」
 ヴァレーリヤ・アルテミエヴァの思いきりのいい言葉に、ロニ・グィーはけたけたおかしそうに笑い、ぱちぱち拍手した。
 いまいち緊張感に欠ける四人を、さらなるレイダーの追撃が襲う!
「グゥウウオオオッ!!」
「おおっと、パンチで勝負? いいよ、相手したーげるっ!!」
 SMAAAAASH!! レイダーの拳とロニのパンチがぶつかり合う!
 大地を陥没させるほどの衝突……競り勝ったのはロニのほうだ!
『ワーオ! すごいパンチ力だネ! 豪華賞品をプレゼントしちゃうヨ!』
「パンチングマシーンのプログラムか何かがバグってんのかねぇ?」
 場違いなファンシーボイスを垂れ流す電子生命体に、多喜は呆れた。
「商品って何かなあ、もしかして敵のおわかりとか? わーたのしそー!」
「そういうこと言うと本当に来ますわよ!?」
「……うん、なんかぞろぞろ出てくるね穴の下から」
 ヴァレーリヤと亞衿は顔を見合わせ、言霊の恐ろしさに心底ため息をついた。
 ロニだけが楽しそうにはしゃいでいる。この神、いささかフリーダムすぎる。
「「「ウゥルォオオオオッ!!」」」
「ああもう、やかましいですわ! 起きなさい、『ミーシャ』!」
 ヴァレーリヤは掌サイズの兵器を巨大化させ、さらに虚空からキャバリアサイズの二足歩行戦車『ミーシャ』を召喚した。
 ロニの拳が起こした衝撃で、あたりはホールめいた巨大空間と化している。
 レイダーの巨体でも跳梁跋扈出来る広さだ。機動兵器を扱うには十分!
「そうだねぇ、チャチャッと片付け――いや待てよ」
「え? どうしたんです多喜さん」
「いや、この流れ……どーにも嫌な予感が」
『待たせたね、多喜ちゃんっ! さあ、いまこそ変身だよ!』
「だろうと思ったよ!!!」
 多喜の前にきゃるるん☆と現れたのは、いかにも魔女っ子の相棒っぽいマスコットであった。
 亞衿がぽかんとしている間に、多喜はぎゃーぎゃー騒ぎつつめちゃめちゃ開き直った顔で変身ポーズを取った。すると……!
 キラキラと星とかハートとかファンシーな記号の光が多喜の身体を包み込み、魔法少女に変身だ!
「ええー……」
「いやこれアタシの趣味じゃないからね!? こいつが強制するんだよ!」
 と、多喜は必死で弁明するが、亞衿は生暖かい目で多喜を見ていた。
『そんなことより多喜ちゃん、いまこそらじかる☆ハートロッドを使うんだ!』
「ってこれどう見ても大砲じゃないか!?」
「しかも戦車砲の大砲ですわね」
「でっかーい! いいねーぶっ放しちゃおーぜー!」
「しないよ!? なんでアタシ以外の面子は状況に適応してんのさ!?」
 誰がどう見てもアハトアハトなロッドを手にツッコミに終始する多喜。
「グゥウオオオオ!!」
「ああもう、やかましいんだよアンタらもさぁーっ!!」
「グオオオオーッ!?」
 SMAAAAAAAAASH!!  らじかる☆ハートロッドのフルスイングが炸裂だ!
「こうかは ばつぐんだ! って感じですねー」
 天井をぶち抜いて飛んでいったレイダーをぼんやり見送る亞衿。
「これは負けていられませんわ、さあ行きますわよミーシャ!」
「イエーイ! 派手派手にやってこー!」
 対抗意識を燃やすヴァレーリヤにはやしたてるロニ、地獄絵図であった。

 かくして、状況はまさしく混戦模様と相成った。
 個々の戦力は当然猟兵が凌駕しているものの、こちらには物資や奪還者たちという守るべき存在がある。
 加えてレイダーの数は無尽蔵に思えるほどであり、戦闘力も軽視は出来ない。
 さらにここは閉所……持久戦はあまりよい傾向とは言えなかった。
「よし、ここは人海戦術キメましょう! ショッピングモールと言えばゾンビ!」
「おいおい縁起でもねえこと言わないでくれよ、奪還者(おれら)にとっちゃ最悪のジンクスだぜそりゃあ!」
「あ、やっぱそうなんです? まあ本場(?)ですもんねー」
 うんざり顔の奪還者に、亞衿はいやー若干申し訳ないと頭を下げた。
「まあとにかく、数には数ですよ! さあ呼びましょう我が兵隊!」
 そしてユーベルコード"人生狂騒曲"を発動した亞衿……すると!
「……ってゾンビでも人でもなくて、幽霊じゃないかこれーっ!?」
 最前線で大砲をぶん回していた多喜が、思わずツッコミを入れた。
 なにせ召喚されたのは、バーバリアンめいて龍の骨で武装した戦士の霊である!
「世界観もクソもないねこれ! まあボクらぶっ壊す側の存在だけどね!」
 とか言いつつ、テンションはアゲアゲのロニであった。
「……その骨、もしかして噂に聞く"小竜の骨"ですの?」
 ミーシャに前衛を任せていたヴァレーリヤは、ふと霊体の装備に気づいた。
 彼女は直接参戦したわけではないが、あの帝竜戦役の戦いのことは伝え聞いている。
 ユーベルコードを無効化するという、滅びた古龍の骨に宿った力のことも。
「はいご明察! そしてこれを、あの謎の生命体に食べさせるとー……」
 霊体がレイダーに戦いを挑むと、周りを飛ぶマスコット状生命体が反応した。
 可愛らしい見た目をしたそれは、突然バッカルコーン触手めいてぱふぁっと裂ける!
「えっ食べ方あんなのなんだ!? 怖っ!!」
「なんか寄生する獣っぽいねありゃあ……」
 ドン引きするロニと多喜をよそに、古龍の骨は謎生命体に食われてしまった。
 しかし謎生命体は突如悶え苦しみ、01のノイズと化して消滅していく!
「ビンゴ! やっぱり無力化出来ましたね!」
「こりゃあいい、ユーベルコードを奪われる心配はないってわけだ!」
 多喜はにやりと笑い、さらなる果敢な攻めで敵を押し返していく。
「よーし、それじゃあ奪還者のみんなもガーンガン援護射撃よろしくぅ!
 ……キミもちゃんと助けてくれるよねー、奪還者(元レイダー)くん!」
「ひいっ!? も、ももももちろんでさぁ! うおおおこなくそーっ!!」
 BRATATATATA! BRATATATATATATA!! 奪還者たちの鉛玉が追い風となった。
「そうですわ、勝利への衝動こそがこのわたくしを、わたくしたちを突き動かす!
 けして退かず、前に進みなさい! この世界で生き抜くならばそれが不可欠!
 わたくしたちの名前を思い出すのですわ。奪還者の名は伊達ではないのでしょう!?」
「「「うおおおおおーっ!!」」」
 ヴァレーリヤの演説、そしてユーベルコードによる強化が奪還者たちを鼓舞した!
「さて、じゃああたしはその間に後ろから失礼しましてぇーっと」
 すっかり混迷の度合いを増した戦場のなか、亞衿は的確に不意打ちで敵の数を減らす。
「アハハハハ! 楽しいねぇ、やっぱり元気に生きる人間って最高だよぉ!
 ねえ、キミもそう思うでしょ? ほらほら頑張らないと死神に魂刈られちゃうよ~?」
(アンタが死神にしか見えねえって言いたいけど絶対言えねえ!!!)
 ロニに無理やり奪還者にさせられた元レイダーは、半泣きであった。
「みんな、すごい……! この調子で、全員やっつけちゃおう!」
「おうともさ! ああ、ただクークー、配信だけは勘弁しとくれよ!?」
「え? でもその服、かわいいのに……」
「かわいいから駄目なんだよ!?」
「難しいお年頃ですわねぇ」
「なんでアタシが子どもみたいな扱いされてんのさーっ!?」
 多喜の悲鳴は、悲喜こもごもの戦場の中でもなぜかよーく響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルナスル・アミューレンス
あぁー……。
罠を張って「狩り」をしようとしてたら、狩られたクチかな?

まぁいいや。
他の奪還者や待ってる子達の為にも、何もかも奪わせて貰うよ。
さあ行くよ、『鏖殺(オキテ)』。

TrustEdgeを媒体に、『鏖殺(起きて)』もらって、大剣の様な近接用偽神兵器に変化させるよ。
狭い所で遠距離火器バカスカ撃つより、こっちの方が楽そうだしね。

――さぁ、蹂躙を始めようか。

戦闘知識と第六感で敵の動きを見切り、怪力で片っ端から叩き斬っていくよー。
「残骸」が邪魔になったら、捕食しちゃえばいいか。
瓦礫だらけだろうけど、この程度の悪路走破するのはなんてことないね。
ついでに、何か使えそうな物でも探せたらいいかなぁ。


陸郷・める
☆める
★7号

★(ノコノコ押し入った馬鹿どもがイカレた研究の餌食ってか。……嫌なもん思い出させやがる)
☆……7号?
★何でもねぇ。……やれんのか?
☆うん。がんばる

★こちとら保護外殻機能付きで、多少なら化学物質も影響はねェ。
積極的に前に出るぞ。ついでに多少のモノなら“消毒”もできるしな

へっ、図体のせいで派手に動き回るのは無理だが、向こうもボコボコ壊すってんなら今更一つ二つ穴が増えようが構わねぇよなァ!
ドリルアームで床を掘削、ヤロウ共を穴に落としたところに汚物も敵も丸ごと消毒するUCで“最期”をプレゼントだァ!

(……あばよ馬鹿ども。次があんならこんな最期を迎えねェマトモな人生送るんだな)
※アドリブ歓迎


ジュリア・レネゲード
うわぁ……
『引かないで下さい。仕事の時間です』
そうだけど、ねえ
グリュプスを見やり思案する
本体はアレだがお付きはあっちの方が可愛いかも
『あなたも十分筋肉オップs』
何か言ったかしら? さあお仕事始めましょ!
パワーローダーに変形したグリュプスに搭乗
拡張した全武装を用いて攻撃開始!

援護射撃しつつ焼夷榴弾で弾幕を張って逃げ道を塞ぎ
炎の範囲攻撃で火炙りにしてやるわ
そうすれば衝撃波で吹き飛ばしに来るでしょ
それが狙い――ガラ空きなら目潰しも気絶攻撃も当てられる
スラッグ弾で脳天揺らしてやるわ
そこのガタガタ喧しい緑色は飾りかい?
挑発しつつ裏でハッキング――こいつらの無力化が目的よ
これで少しは大人しくなるかしらね!


レパイア・グラスボトル
ワタシの家族も大概バカだけどな。自分の意思でバカな健康体なわけでな。
頭の中が自分じゃないならただの病人さ。
アンタらはどっちだい?
どちらにしろ餌場でワタシらの様な者が出会ったらやる事は同じだけどな。

【SPD】
荒事は他の猟兵に任せるとして、ワタシは支援とさせてもらおうか。

戦場を走り回って怪我人の治療し続ける。
ついでに近くにいた敵にUCによるデバフを与える。
怪我をしても即治療すればよいという考えの元、
他者を平気で盾にする。

裂帛の叫びなんか上げたら体が悲鳴をあげるぞ?
そんな気分にもなれないか?

練習台には困らないようだしな。
見様見真似だけど、
運が良けりゃ、気持ち良く爆散できるさ。

アドアレ絡歓迎



●奪還者と、ヒャッハーと
 BRATATATATA! BRATATATATATATA!!
「くそっ、次から次へと湧いて出てきやがるぞ、こいつら!」
「そもそも筋肉が分厚すぎて、俺らの装備じゃまともに弾が通らねえ!」
 物資を護りつつ後方から猟兵を援護する、果敢な奪還者たち。
 彼らの装備もオーバーテクノロジーで現代のそれより強化されているとはいえ、
 相手もまたオーバーテクノロジーによって自我を破壊されたレイダーの群れだ。
 弾丸は皮膚を貫くにとどまり、鋼鉄じみた筋肉の鎧によって阻まれてしまう。
「前に出すぎないで。あいつらは私たちが――」
「うおおおおおおっ!!」
「ってちょっと!?」
 指揮を執ろうとするジュリア・レネゲードの真ん前を飛び出すひとりの奪還者!
 しかも何を持っているかと思えば、銃どころか刃物ですらない。ブーメラン!?
「あー、もしかして状況がアレすぎてフリークアウトしちゃったとか」
「なんて言ってる場合じゃないでしょう!? 止めないと!」
 あーあ、みたいな声を出すアルナスル・アミューレンスにツッコミを入れつつ、
 ジュリアは咄嗟に銃を構え、奪還者の無謀な突撃をかばおうとした。
 しかし、そこで一台の多脚戦車が前に出ると、なにやら電子音声が言うのだ。
『いいや、邪魔しちゃいけねえ! あいつは男を見せようとしてんだぜ!』
「えっ何!? 何言ってるのよ一体!」
「……きになるのはわかるけど、多分だいじょうぶ」
 と、電子音声の言葉を次ぐように、戦車を操縦する陸郷・めるが言った。
 ンなアホな、とジュリアは抗議しかけたが……戦車越しに見た光景に唖然とした!
「な、なによあれ――!?」
 その光景とは……!

 ……レイダーが、ブーメランを食らってのけぞっていた。
「うおおおおおおおーーーっ!!」
 なぜかブーメランを投擲した勢いでジャンプした奪還者の、回し蹴りが頭部に命中。
 するとレイダーはさらに吹っ飛び……ずずん! と地面を転がったのだ!
『ヒャッハー! やっぱりなぁ!』
「「ええ……?」」
 さすがのアルナスルもジュリアも、あっけに取られるばかりであった。
「あれが、7号のユーベルコードなの。とんでも"ぶじゅつ"をおぼえさせるんだよ」
 と、めるが"7号"……つまり、戦車に搭載された電子音声のユーベルコードについて付け加える。
「ええと……じゃああれは、あなたの相棒のユーベルコードのおかげってこと?」
「うん、そう」
『ブーメランと空手を組み合わせたまったく新しい武術! その名も風雲』
「なんだかわからんがそれ以上は言ってはいかん気がするな、医者の勘だ」
 スッ、と素知らぬ顔で割り込んできたレパイア・グラスボトルが言葉を遮った。
『なんで誰も言わせてくれねぇんだよ!?』
「まあそれはさておき……なるほど、あれは実際医学的にも正しい効果だな」
「正しい効果なの!?」
「そうだ。人間の筋力は、自分を傷つけないように脳がリミッターをかけている。
 あれはユーベルコードの力で、一時的にリミッターを外されているようだ」
 と、レパイアは医学的知識に基づいた極めて現実的な分析を行った。
「ユーベルコードって、そういう科学的な傍証とか関係ないものじゃないっけ?」
「だが実際医学的にも間違いないのだから仕方ないだろう。ああ、ただし……」
 レパイアが言いかけたその時、ブーメラン奪還者(?)が転げ回った。
「あ、足痛ぇーっ!!!」
「リミッターが解除されているわけだから、当然ダメージは自分にも来るな」
「やっぱり駄目じゃないの!?!?」
 ジュリアのツッコミはごもっともであった。

 ……という、いまいち締まらない一幕がありつつ。
 慌ててブーメラン奪還者を回収した一行は、あらためて迎撃の構えを取る。
「怪我人のことは任せておけ、なんならアンタらが怪我をしても治療してやる」
「……怪我をしないように善処するわ」
 ジュリアはちらりとレパイアを見た。あきらかに闇医者という感じの女だ。
 というか、奪還者としての彼女の勘が、もっとヤバい気配を感じていた。
(なんとなくだけどレイダーっぽさがビンビンするのよね……大丈夫かしら)
 っぽさもなにもレパイアはレイダーに育てられたレイダーチャイルドなのだが、
 そこはそれ、一応は猟兵なので問題はないはずである。……多分。
『ヒャッハー!! ここからはドリルアームでバラバラにしてやるぜェー!!』
(あっちの"7号"っていうのもレイダー感バリバリだし……)
 そういやあの多脚戦車、あのヴォーテックスシティ戦にいなかったか?
 とか考えているジュリアだが、こっちもこっちで大正解だった。
 多脚戦車に積まれているのは、元レイダーの生体脳なのである。
 とはいえこちらもこちらで、猟兵であるめると協力しているので大丈夫だ。
『いまさら穴が増えても構わねえよなァ? 死にてえのはどいつだァ!?』
 ……多分、大丈夫である。
「まぁいいや。さあ、それじゃあ何もかも"奪わせて"もらおうか」
 一方アルナスルは、相変わらず表情の見えないガスマスクの下で静かに言った。
 すると周りの瓦礫を取り込む形で、両腕がメキメキと異形化していく。
 さながら対艦刀とでもいうべき、異形の大剣が二振り出来上がった。
「……気を取り直して、私たちも行くわよグリュプス!」
『ええ、仕事の時間です。最終安全装置、リリース。変形開始』
 相棒であるドローン、グリュプスが巨大なパワーローダーに変形、彼女は搭乗!
「「「ウゥルォオオオオッ!!」」」
 そこへレイダーどもの共鳴衝撃波攻撃! だが三人ともびくともしない!
『ノコノコ押し入った莫迦どもが、イカれた研究の餌食ってかァ?
 ったく、莫迦どもが! テメェらまでイカれてどうすんだ、あア!?』
「……7号……?」
 戦車の操縦を担当しながら、めるは"7号"の苛立ちを感じ、訝しんだ。
 実のところ元レイダーである"7号"が、敵のレイダーどもに感情移入していた。
 己もまた似たような形で今の身体になったがためであろう。
 レイダーに人権はない。生きるためどころか、愉しみのために奪う者だ。
 いまさらそれをうそぶくつもりも、養護してやるつもりも、"7号"にはない。
 だが、ならばこそ、せめて同胞たちには、死という最期を送りたい。
 その心が、知らずうちに、苛立ちめいた言葉になって溢れていた。
「すげえ戦いぶりだ、俺らも死なない程度に手伝うぞ!」
「安心しろ、死んだとしても生き返らせてやる。このワタシがな」
「「ひい!?」」
 意気込む奪還者たちの後ろに立ち、にやりと笑うレパイア(21歳子持ち)
 かすり傷でも負おうものなら最後、徹底的な治療を受ける羽目になる。
 ……医療行為を「羽目になる」と表現するのは何かおかしい気もする。
「ウゥルォオオオオ!!」
「げっ、そんなこと言ってたらこっちに」
「おいアンタ、盾になれ」
「でぇえええええ!? 医者じゃねーのかよっ!?」
 そしてレパイアは、いきなり奪還者を掴んで盾にしようとしたではないか!
「もちろんそうだ」
「じゃあなんで盾にするんだよ!?」
「怪我をしても治すから問題ない」
「問題しかねーーーーーーーよ!?」
 後ろは後ろでワチャワチャの大騒ぎであった。
「ええい、そこまで云うならばいい、奴らを黙らせればいいのだろうが!」
「グォオオオッ!!」
「弱点はすでに見切っているぞッ!」
 レパイアはパンチをいなし、身体を蹴るとレイダーの首筋に指を突き刺した!
「グ、ウォオオオ……!?」
 するとレイダーは悶え苦しみながら後ずさる。そして痙攣した!
「い、一体何を……!」
「医学的な処置だ。もっと簡単に言うと出産の1000倍の苦痛を味わうツボを突いた」
「「ええ……?」」
 奪還者たちは、絶対に怪我をすまいと固く誓った。
 おかげでというかなんというか、この戦場の負傷者は激減したという。

 と、そんな後方はさておき、前線は激闘が続いていた。
『ヒャッハァー!!』
 ZZZZZZTTTTT……ギャギャギャギャッ!!
「ウゴォオオオッ!!」
 "7号"のドリルアームが筋肉の鎧ごとレイダーを穿孔刺突し、
「焼夷榴弾、叩き込むわよ! 炎に巻き込まれないように気をつけなさい!」
 ジュリアの援護射撃が炎の道を切り開き、そこにアルナスルが飛び込む。
「さあ、蹂躙を続けるよ。君たち全員、鏖殺だからね」
 アルナスルの異形の大剣が、レイダーどもをスパスパと切り裂く。
 飛び散る臓物と骨肉! ゴアムービーも裸足で逃げ出す阿鼻叫喚の有様!
『さあみんなでアトラクションをクリアし し シシシシシシシ』
「うるさいマスコットね、黙ってなさい!」
 ジュリアのハッキングが電子生命体を無効化し、さらなる攻勢を生む。
 こと戦いの場において、同じ猟兵であるならばレイダーも奪還者もない。
 ただ死力を尽くし、生き延びる。そうしなければ死ぬのはこちらなのだ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

戎崎・蒼
奪還者が無事なまま最深部に到達出来たようで何より
けれど…物資の確保には先ずこの面倒事を片付けないとね

【POW】
壊れたメリーゴーランド等の遮蔽物は、スナイパーにとって有利だ
その遮蔽物を壊されないようにUCで記憶媒体を攻撃して、システムの動きを少しだけ遅らせられないか試してみよう
もしその隙が出来たのなら、Syan-bulletでレイダーを撃ち抜けるかやってみるよ(暗殺+スナイパー)

残念だけど君達のゲームに付き合っている暇は無い
報酬はここに有る物資で十分
僕は僕のやり方で、誰にも気付かれないよう……出来る限りの支援をさせて貰う
※アドリブ連携大歓迎


宮前・紅
【WIZ】
ふうん………"悪いモンスター"か
まあいいや
過去の残骸も今となっては"悪いモノ"に他ならない、さっさと殺ろ

敵を誘導し集中させる──地の利を得る為(と楽させてもらう為)に改変させて貰おうかな♪
それに敵がある地点に密集してれば、他の猟兵や奪還者だって狙いやすくなる
但し捕食されないように注意

UCを発動
出口を一つに絞れば敵を集中させる事は可能だと思うけど、どうかな……
相手の動きが見えない以上リスクが高くなるのはこっちも一緒だ
出口に向かってきたタイミングを見計らって、攻撃(フェイント+暗殺)

身体が死なないのなら大丈夫、どうにかなる(激痛耐性)

死ぬまでのギリッギリの戦いも楽しそうだよね、あははは♪



●死の国にて
「これは――……」
 突如として戦場を包み込んだ白亜の迷路に、戎崎・蒼は覚えがあった。
 "死の国の考古学"。あの男――宮前・紅が発動する術式のひとつ。
 神話になぞらえたこのユーベルコードが築くのは、死の国のごとき迷宮。
 脱出はただひとつの出口でのみ可能なのだ――黄泉路に横たわる黒き川のように。
「ウゥルォオオオッ!!」
 迷宮に囚われたレイダーは、力任せに白亜の壁を破壊しようとした。
 だが殴ろうと叫ぼうと、白亜の壁はびくともしない。
 定められた方法以外に、死の国を脱出する方法などないのである。
 発狂したレイダーにはそれがわからぬ。だからああして無益に足掻くのだ。
『迷路の中に迷路を作るのはルール違反だヨ! お仕置きが必要だネ!』
 するとレイダーの周りにファンシーなマスコットをあしらった電子生命体が現れ……可愛らしいその見た目が、クリオネめいてばくりと裂けた。
 ユーベルコードをも捕食するその牙で、迷宮そのものを喰らおうというのか!
「ち……!」
 蒼は咄嗟に硝子製の弾丸を装填し、マスケット銃を抜き打ちした。
 不意の射撃を受けた電子生命体はぱかん、と爆ぜ砕け、再び収束する。
「グルルルル……」
「……見つかったか。けど、悪いな。君たちのゲームに付き合うつもりはない」
 蒼は次の弾丸を装填しながら、にじり寄るレイダーを相手に身構える。
 だが気配はひとつではない。ふたつ、みっつ――囲まれている、か?
 その間に再び生まれた電子生命体は、今度こそ迷宮を食い破ろうとしていた。

 蒼に襲いかかろうとしたレイダーの巨体が、ぐらりと傾いだ。
 何が起きたのか……その理由は、レイダーの足元にある。
 飛びかかろうと体重をかけた瞬間、アキレス腱をばっくりと斬られたのだ。
 バランスを崩したレイダーは無様に転がり、そしてのたうち回った。
「グォオオオオッ!!」
「……! 紅!」
「俺のことはいーからさぁ、さっさとトドメ刺しちゃってよ?」
 平然と云う紅の言葉にむっとしつつ、蒼は二発目の弾丸でレイダーの頭を撃つ。
 硝子の弾丸は今度こそマスクごとレイダーの頭部を貫き、絶命せしめた。
 先の足元への斬撃は、隠れ潜んでいた紅の不意打ちによるものだ。
「……今回は素直に感謝しておく。少しダメージをもらうところだった」
「あははは♪ 蒼くんにしては珍しいねえ? ま、いいか」
 しかし、脅威は消えたわけではない。まずはあの電子生命体への対処が必要か。
「この迷宮の構造は、俺のほうが把握してる。出口までのルートもばっちりさ」
「……そして、障害物を動かすのは僕のほうが得意、か」
「逃げながら撃つのだって得意分野でしょ? あいつら、出口まで誘導してくれない?」
「……わかったよ」
 紅はにへらと笑い、電子生命体を真っ二つにしつつ姿を消した。
 蒼は紅が切り開いたルートを辿り、追ってくるレイダーを引き付ける。
(出口に集中したところで一網打尽、ってすれば、面倒もないでしょ?)
 一瞬すれ違ったとき、紅は耳元でそう囁いた。
("悪いモンスター"をやっつけるんなら、効率的にいかないとね♪)
 という皮肉げな物言いの裏に隠された感情(もの)を、蒼はうっすら感じていた。
「……こんな遊びは、さっさと終わらせるべきだろ、紅」
 蒼は追ってくるレイダーを振り返りながら、顰め面で言った。

 ――悪いモノ。
 過去に滅んだ残骸は、在るだけで世界を脅かすマイナスの存在である。
 だから滅ぼさねばならない。そこに、異論を挟む余地はない。
 だがこうして少しでも暇が生まれると、紅はらしくもない考えを巡らせてしまう。
(むしろあいつらも被害者だろうに、それでも"悪いモンスター"、ね)
 発狂したコンピューターの物言いは、いかにも二元的だった。
 善か、悪か――そんな単純な二元論は、退屈で、平凡で、そしてつまらない。
 無理やり正義のヒーローに落とし込まれたようで、紅は気分を害していた。
(あーあ、やだやだ。さっさと殺って片付けちゃお)
 胸のむかつきを和らげてくれるのは、ああ、やはり彼だ――蒼。我が相棒。
「素直じゃないようで素直で、反抗的なようで協力的で……あっはは♪
 蒼くんはやっぱり面白いなあ? 退屈じゃないし、平凡でもないからね♪」
 細剣の刃を指でなぞりながら、紅はひとりごちた。
 そこへ願い焦がれた男が、息をわずかに切らせてやってきた。
 足止めのため、迷宮に取り込まれたメリーゴーランドに弾丸を撃ち込む。
 すると壊れていた遊戯物は、記憶媒体を励起され、つかの間蘇ったのだ。
 きらびやかなライトアップがあたりを照らし、錆びた白馬がぐるぐると回る。
 見たことのない音と動きに、レイダーの注意が逸れた――好機。
「紅! 片付けろ!」
 そもそも蒼のスタイルからして、こんな役回りは願い下げだったのである。
 誰にも気づかれず、ただ静かに、為すべきことを為せばそれでいい。
 そうすれば、紅のように余計な感傷や懊悩を抱くこともないのだから。
 ……そんな彼の足掻きも、紅にとっては好ましく思えた。
「りょーかい♪」
 紅は蒼とすれ違う形で風のように走り抜け、レイダーの頸を刈る。
 もはや、レイダーが蒼に意識を向けることはなかった。
 そうする前に頭部が空を舞っていたし、硝子の弾丸が心臓を貫いている。
 勝負は一瞬で終わった。ふたりの連携は、それだけ卓越していた。
「いやーありがとねえ蒼くん、おかげで楽に――……っと、あれぇ」
 振り返った紅は、蒼がすでに姿を消していることに気づいて、肩をすくめた。
「つれないなあ蒼くんは、あははは♪」
 白亜の迷宮は消えて失せる。死の国に赴くには、紅も彼も、まだ早いゆえに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
あーあー、ありゃオーバードーズかましちまってるなぁ
こっちのやることを簡単に増やしやがってよォ
静かなビズは品切れか?そりゃ残念
んじゃまぁ、静かにさせてやるまでだ

別に俺が前に出て切った張ったする必要、無いだろ?
だからこそこそ、前言通りにやるよ

セット、『Disarmament』
その叫び声、この舞台じゃノイズだ
『攻撃禁止』
マナー違反は逃がさない
『逃走禁止』
後に残るのは処罰を待つ愚か者だけ
執行官の皆様方、どうぞ遠慮なく

ま、俺も手伝うけどね
生体脳【ハッキング】でニューロンを焼いて殺す
簡単な仕事さ
影から影を動いてる間に、もう片がついてるってわけ
賞賛を浴びるのは、スポットライトが当たってる奴だけに許される


鳴宮・匡
崩落した入り組んだ戦場なら
瓦礫の隙間、柱の陰、死角なんていくらでもあるだろう
相手に視認されないよう闇に紛れて狙撃するよ
こっちを見てない相手に当てるほど、簡単なことはない

狙いは頭部
生きた人間の成れの果てなんだ、頭を狙えば死ぬよな

――人の命の重さ、とか、尊さ、とか
もう、そういうものを感じられない

今まではそれを、何もしない言い訳にしてた
その重さも感じられないくせに今更だって
どうしてそうするかもわからないものに意味はないって

でも、今はそうは思わない
種のないところから芽が出ないのだとしたら
“したい”と思ったそれはきっと、俺の“こころ”のあかしなんだって
……そう思ってもいいんだと、思えたから


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

あのちっちゃいの、バーチャルキャラクターのなりそこないかなんかなのかしらぁ?
そんなこと言ったら本物には「一緒にするな」って怒られそうだけど。

見るからにパワータイプだし、まともに正面から相手するだけ損ねぇ。
遅延のルーン三種に煙幕に閃光弾etc、〇捕縛の手段ならいくらでもあるわぁ。わざわざ近づけさせる必要なんてないもの、●圧殺で〇足止めしてる間に他の奪還者と協力して遠間から釣瓶撃ちで蜂の巣にしちゃいましょうか。
…ハメ殺すって、素敵よねぇ?

どうもこれ、ゲームはゲームでもレイドのシューティングゲームだったらしいわねぇ。ご期待に沿えなくてごめんなさいねぇ?



●銃弾のセレナーデ
 BLAMBLAM!! BLAMBLAMBLAMBLAM!!
 ティオレンシア・シーディアのファニングにより、レイダーはぐらりとよろめいた。
 ……が、当のティオレンシア自身は、手応えのなさにわずかに顔をしかめる。
「ウ……ウゥルォオオオオッ!!」
 そして彼女の感じた通り、レイダーはあれだけの弾丸を浴びて健在!
 遅延のルーンを刻み込まれた魔弾の効果により、その動きはぎこちない。
 さらに煙幕と閃光弾を叩き込まれたとあっては、見えない壁があるようなものだ。
「ほんっと、シンプルにタフな敵って面倒でイヤねぇ」
「それは同感。まあ、死ぬまで殺し続けるだけだけどな」
 鳴宮・匡はトリガーを引きながら、ティオレンシアの言葉に同意した。
 匡の狙いはもともと精密だが、レイダーの動きは完全にスロー状態である。
 となれば頭部を狙って弾丸を叩き込むことなど、彼にとっては造作もない。
 問題は、彼が期待しているより敵の減少速度がはるかに遅いことだが。
「撃て撃て撃て! ありったけの鉛玉を叩き込んでやれーっ!!」
 奪還者たちも果敢に援護射撃を行うが、効果は芳しくない。
 匡とティオレンシアは視線を交わし、アイコンタクトで意思疎通をする。
 互いに弾薬は十分……特に匡は影の力で魔弾を生成できるので問題はない。
 しかし、奪還者はどうだろうか。レイダーの数もどんどん増え続けている。
(どうにか状況をリセットしないと、ジリ貧になるか)
 戦場を切り替える……悪手だ。あの中に飛び込むのはどう考えてもまずい。
 ティオレンシアはちらりと壁を破壊するためのグレネードを見せるが、匡は黙って首を振った。
(この状況じゃ、下手に瓦礫をふっ飛ばせば崩落が起きる可能性がある)
(全員無事でも物資が駄目になったら元の木阿弥だものねぇ……)
 彼らを揶揄するつもりはないが、やはり奪還者らの存在が足枷になっていた。
 近づけずに殺すことは出来る――ただしそれよりも敵の増殖速度が速い。
 あの音波攻撃も厄介だ。どうやらあれは同族同士で共鳴・強化出来るらしい。
 このまま数が増えて、一気に衝撃波攻撃をされたら……それこそ崩落が起きる。
 あるいは、奴らもそれが狙いか。発狂したレイダーにそんな知能が?
「さて、どうしたものかしらねぇ。何か状況を変える手がほしいところだけどぉ」
「……そうだな。一瞬でも連中の動きが止まるか、逸れてくれればいい。
 そしたら俺が影から急所を狙撃する。二方向から攻めれば確実だろう」
 匡は言いかけ――奴らが雄叫びを上げる予兆を察し、顔を顰めた。
 攻撃は避けられる。だが崩落が起きたとしたら、奪還者たちをどうする……!?

 ――しかし。
 匡とティオレンシアが警戒した音波攻撃は、放たれることがなかった。
 それどころか、そもそもレイダーどもの雄叫びさえ、掠れ声さえ聞こえない。
「「「……!?」」」
 自分たちの声が1デシベルも発されていないことに、レイダー自身も驚いていた。
 匡もティオレンシアも、この手の芸当を得意とする男を知っている。
 ゆえにアイコンタクトさえ必要とせず、ふたりはそれぞれの持場についた。
 匡は闇の中へ、ティオレンシアは爆発物を用意し――投擲する!

 ……KA-BOOOOM!!
「みんな、あたしに合わせて狙いを定めるのよぉ? ――3、2、1!」
「「「……了解!」」」
 奪還者たちは、ティオレンシアの有無を言わさぬ声に慌てて銃を構えた。
 BLAMBLAM!! BLAMBLAMBLAMBLAM!! BRATATATATATATATATATATAT!!
 そしてファニング! マズルフラッシュが爆炎を切り裂きレイダーを襲う!
 敵はいよいよ業を煮やしたか、筋肉の鎧で弾丸を防いで突撃の構えだ。
「それは、俺の盤面じゃ許可できねえな」
 と、男の声がした――ただしそれを聞いたのは、レイダーだけである。
 誰の声で、何処に居るのか。……意識を向けたところで、見つけることは出来ない。
 そいつは匡と同じように完膚なきなまでに影の中に潜んでいたし、
 そもそも気づいた瞬間には、レイダーのニューロンは焼ききれていたからだ。
 超近距離からの生体脳ハッキング。神業じみたニューロンアタック。
 半分のレイダーは眼・耳・鼻に当たる穴からごぼりと動脈血を噴き出し、
 残る半分は、意識の外から狙いを定めた匡の弾丸で脳髄をぶちまけ死んだ。

 静寂が訪れる。冬のような静寂が。
「お見事だな、ヴィクティム。そろそろだとは思ってたけどさ」
 ヴィクティム・ウィンターミュートは、匡のほうを振り返らずに手を振った。
「俺としちゃ、こうして存在を気取られた時点で個人的敗北なんだ、及第点だぜ。
 本当ならもっと静かに、スマートに仕事をこなしたかったんだが……仕方ない」
「贅沢を言っても仕方ないだろ、戦ってるのは俺らだけじゃないしな」
「……ま、な」
 爆煙が、ちょうどいい具合にヴィクティムの姿を隠していた。
 奪還者たちは、影から状況を俯瞰していた男の存在に気づいていない。
 ただひとりティオレンシアだけが、軽く手を振って感謝の意を告げる。
「俺は別のポイントに向かう。お前は?」
「あたりを哨戒したら同じようにするよ。……無茶するなよな」
「誰に言ってるんだよ、ったく」
 ヴィクティムは皮肉めいた笑みを浮かべて消えた。匡は嘆息する。
「奪還者たちは、あたしのほうで護衛しておくわぁ」
「装備的にもそれが一番だな、頼むよ」
 ティオレンシアに軽く感謝を述べ、匡もまた影に溶け込むように消えた。
 装備だけではない。匡がティオレンシアに任せた理由はもうひとつある。
(俺の"こころ"じゃ、人の命の重さとか、尊さとか、そんなものは感じられない)
 だから相棒のように、熱くたぎる血潮を燃やして戦うことは出来ない。
 合理的な考え方は、どこかで10を生かすための1を選んでしまうかもしれない。
 ……匡自身が、そんな生き方を厭い、言い訳にすることをやめたとしても。
(あいつの眼――)
 ヴィクティムの去り際の眼。いつもどおり無茶をするつもりなんだろう。
 あいつのことは言えない。自分もそうなのだから。
(……こんなふうに思うことは、きっと間違ってないはずだ)
 たとえいまは、こころという土壌に何も咲いていないとしても。
 いつかこの種が、大切な何かを芽吹かせてくれるはずだと信じて。

 ……男たちの背中を見送ったティオレンシアは、短く嘆息した。
「悩んで困って苦しんで、不器用なのって大変ねぇ」
 彼女は男たちの事情を知っているわけではない。
 ただ、わかるのだ――同じ闇の世界に生きるものの嗅覚ゆえか。
 彼らの背中にある懊悩、虚無、苦しみ……その片鱗に似たものを己も持つがゆえか。
「……まあ、アタシも人のこと言えたもんじゃないわね」
 ティオレンシアはそれだけ言って、いつもの表情に戻った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン
この遊園地が元のまま残っていたら、あの子達を楽しませるには充分だったでしょうに……なんて、流石にこうも壊れて狂ってしまっては難しいかしらね。
念のため、使えそうなものが無いか後で探すとして……ええ、そういうわけで悪いけれどアナタと遊んでいる暇は無いの。今ここで、終わらせてあげる。

まずは敵を突き飛ばし、奪還者の皆様から距離を取るわ。
【先制攻撃x早業xシールドバッシュ】
そしてUC発動。
【オーラ防御で守りを固めつつ敵の叫びの持続時間を高速演算で計測。
叫ぶ行動を取る以上持続時間はそう長くはないはずよ。
だからその叫びの切れ目を縫い、一撃で仕留める……!

悪いわね。今生きる者達の笑顔のために、ここで消えて。



●いまを生きる者の笑顔のために
 もしあの遊園地の残骸が、崩落せずに保たれていたのなら。
 このショッピングモールを制圧したあと、第二の拠点に出来たかもしれない。
 電源の確保など課題はあるだろうが、子どもたちが喜ぶのは間違いないだろう。
 フェルト・フィルファーデンは得も言われぬ感傷に襲われ、頭を振った。
「ねえクークー様、あのレイダーを蹴散らしたら、このエリアを調べてみない?」
「……使えそうな機械がないか、探してみるってこと?」
 クークーの言葉に、フェルトはこくりと微笑んだ。
「ふふっ。どうやらわたしとクークー様、同じことを考えていたみたいね?」
「うん。……そのためにも、あいつらを排除しなきゃね」
「ええ!」
 フェルトは少しだけ気持ちが晴れた面持ちで、騎士人形たちを並べる。
 周囲には、じりじりと間合いを詰める発狂レイダーが五体。
 一体一体のタフネスは脅威的だ。援護射撃だけでは足止めが精一杯だろう。
「「「ウゥルォオオオオッ!!」」」
 さらに厄介なのが、この音波攻撃!
「騎士人形たちよ、わたしたちを守って!」
 咄嗟に騎士人形たちが盾を構え、円陣を組んでフェルトと奪還者を守る。
 精巧な盾をして、連鎖・共鳴した音波の嵐には耐えきれずひび割れた。
 修復はあとで考えればいい。まずは奴らを排除し、活路を拓く!
(電脳魔術展開、空間接続――わたしの眼よ、奴らの隙を見出して)
 フェルトの主観時間が、頭脳領域の拡大により極端に引き伸ばされた。
 雄叫びでは埒が明かないと見たレイダーの群れは、アメフト選手めいたショルダータックルで騎士人形を押しつぶそうとする。
 ならば、まずはそれに乗る。ぎりぎりまで敵を引き付けるのだ。
 そして盾と筋肉が触れ合う瞬間……フェルトはカッと目を見開いた!
「今よ!!」
 騎士人形たちは一糸乱れぬ動きで、シールドバッシュを繰り出す。
 同時に内側から外側へ爆発的な魔力が溢れ出し、レイダーを吹き飛ばした!
「皆様、ありったけの弾薬を叩き込んでっ!」「
「わかった!」
 クークーが力強く応え、トリガーを引いてフルバーストする。
 コンマ5秒ほどの間隙――騎士人形たちが一斉に武器を持ち替える!
「この一撃で……仕留めるっ!!」
 人形たちはフェルトが演算した弱点めがけ、剣・槍・弓・斧を突き刺した。
 一瞬の静寂――レイダーの群れは、うめき声残さずどさりと倒れる。
「……ふう」
「すごい、フェルト! かっこよかった……!」
 緊張の糸が切れたフェルトは、少しだけはしゃぐクークーに微笑みかけた。
 今を生きる者たちの笑顔。それは、フェルト自身だってそのひとりなのだ……。

成功 🔵​🔵​🔴​

ディルクニア・エリスランサス
飲みまくったお陰で、マトモに頭が回るようになってきた
……んだが、別の意味で頭痛くなりそうだな

元がどんな遊戯かはわかんねぇけど、どの道今は「真っ当」じゃねぇんだろ?
だったら全部ぶっ壊すまでだ
脅威を全部潰せば、後ろのアイツラを守りながらなんて面倒な事しなくても良いしな



方針:
気がついたら迷路で迷子に
壁なぞ殴り壊して進めば良いだろ、の精神で「直進」
ただし酒瓶は手放さない

レイダー相手には持ち前の怪力と頑丈さで、真っ向から白兵戦での殴り合い
狙えそうならストレートに頭

ダメならサッサと戦術変更
爪先や膝、金的など動きが鈍る部位を殴る等のダーティーファイトに移行
魔力砲撃は出来るだけ温存



聖女様の戦い方じゃない(



●迷路のなかで
 ディルクニア・エリスランサスは頭を振り、靄がかった意識を明朗にさせた。
 といっても彼女の場合、酒気を振り払おうとしているわけではない。
 むしろ逆で、彼女は酔えば酔うほどまともになっていくタイプの奇人だ。
 頭を振ったのは、少しでも酔いが頭全体に回るように、というものだった。
「……あー、どこだここァ?」
 そして気づく。どうやら、迷路の中に迷い込んでいたらしい。
 酒瓶がたんまり入った袋(奪還者が見かねて譲ってくれた)をサンタよろしく抱えながら、おもむろに壁に歩み寄り……KRAAAAASH!!
「グオゥッ!?」
「あ? なんだテメェは。邪魔だ!」
 よもや壁をぶち抜いて猟兵が出てくるとは思っていなかった元レイダー。
 その顔面にディルクニアの拳が突き刺さり、向こうの壁ごと吹っ飛ばす!
 KRAAAAASH!! 土煙あがる瓦礫を踏み越えて、ディルクニアはふんと鼻を鳴らした。
「よくわからねえ場所によくわからんオブリビオン。まァ戦闘中ってとこか。
 だったら全部叩き潰してやるよ。ほらどうした、アタシを叩き潰してみろよ?」
 じりじりと間合いを測るレイダーどもに、ディルクニアは手招きしてみせた。
 三方から同時に巨体が襲いかかる――酒瓶入の袋を空中へ放り投げた!
「遅いんだよッ!!」
 ド、ド、ドウッ!!
 局所的なソニックブームが、立ち込める噴煙をぶわりと吹き飛ばす。
 一瞬にして三度のカウンターを決めたディルクニアは、落ちてきた袋をキャッチ。
 するとまったく同時の打撃を受けたように、レイダーが放射状に吹っ飛ぶ!
「おい、こっちから物音……うおおおおっ!?」
 様子を伺いに来た奪還者が慌ててしゃがむと、頭上をレイダーの巨体が通過!
 恐る恐る頭を上げれば、ダーティファイト真っ最中のディルクニアがそこに!
「あ、あんた何やってんだぁ!?」
「何って、見りゃわかるだろ。散歩だよ」
「わかんねぇよ!?」
 ディルクニアはレイダーの股間を容赦なくサッカーボールキック!
 さらに巨体を蹴り上げ、ナイフじみた鋭い貫手を肋骨の間に突き刺す。
「せ、聖女様の戦い方じゃねえ……!」
 奪還者は、ただただ呆然とそうつぶやくほかになかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セツナ・フィアネーヴ
世界が違っても、地下というのは碌なモノが居ないんだろうか……
いや触手とかが生えてないだけまし……か?

あまり時間もないし、不用意に壁や床を破壊されても面倒だ
敵は倒したが財宝は迷宮と共に地の底に…なんてなっても困るし、
さっさと片付けるぞ……!!

私が前に出て囮となりつつ、あのへんな生き物も纏めてアリシアの雷による《全力魔法/マヒ攻撃/目潰し》を浴びせ、動きそのものを妨害してもらう。

それにより大きな隙が出来たら光の拘束を、そして……【黙示録の閃光】で穿ち貫きトドメ、だ

力に溺れた……いや、溺れさせられた、か
どのみち、力を振り回すだけのそんな相手に、負けてなどいられないからな

※アドリブ他歓迎です



●来たれ、黙示録の閃光よ
 いよいよレイダーも、その数を減らしつつあった。
 敵は無限ではない――当然のことだが、その事実が奪還者たちを安堵させる。
「まだだ、安心するにはまだ速い! 敵は最大の攻勢を仕掛けてくるぞ!」
 セツナ・フィアネーヴの激が、緩みかけた緊張を再び引き締めさせる。
 そして彼女の言う通り、レイダーの攻撃はこれまでで最大のものとなった!
「「「ウゥルォオオオッ!!」」」
 獣じみた雄叫びをあげ、レイダーは鋼をも砕く拳撃を嵐のように繰り出す。
 セツナほどの頑強な猟兵でなければ、一撃で血のシミに変わっていただろう!
「セツナ……! 大丈夫!?」
「問題ない――アリシア!」
『はい!』
 敵の猛攻をクロスガードで耐え抜いたセツナ、その時閃光がほとばしった。
 アリシアが起こした雷が、さながらスタングレネードめいて敵の眼を焼いたのだ。
「よし、ここだ……! クークー、みんな! 私に合わせてくれ!」
『少しでも攻撃が届くように、皆さんの弾丸に精霊魔法の加護をかけます!』
 アリシアの加護が奪還者たちの銃に付与され、セツナは"封竜槍アドウェルス"を構える。
「うおおおおお――ッ!!」
 裂帛の気合とともに雷の光が強まり、それは槍の穂先へと収束した。
 さらに、奪還者たちの援護射撃! 精霊の加護を得たマズルフラッシュだ。
 その光すらも穂先に還元され……まばゆい光が、戒めとなってレイダーを縛る!
「……!」
 戦いの最中だというのに、クークーはあまりの美しさに呆然とした。
 まるで死闘をくぐり抜けた果てに見た朝焼けのような、神々しい光だった。
「力に溺れた……いや、溺れさせられた、か。敵ではあるが哀れなものだ。
 しかし、私たちはここでは負けない。負けてなどいられないのだ……っ!」
 やるべきことと、帰るべき場所と、届けるべき贈り物がそこにある。
 そしてなによりも、守るべき命が背中にあるなら――セツナは、無敵だ。
「行くぞ、アリシア!」
『ええ、これが、私たちの――!』
「本気の……一撃、だッ!!」
 光を解き放った槍は炎と冷気のマーブルを纏い、セツナは竜巻と化した。
 荒れ狂う力の奔流を受けたレイダーは、断末魔さえなく消え去っていく!
「……すごい……」
 まさしくそれは、黙示録の――いや、黙示録の地獄を終わらせる暁光。
 クークーの眦を、知らずうちに一筋の涙が流れていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アシュアヴラ・ロウ
【龍宮の悪童】

あや。ここが遊園地っていうやつ?暗いね
このおうまさん動かない…ざんねん
そっか、本当はもうちょっと、違うのか

こんなどんよりなところにいたら、そりゃあね
レイダーさんも気分悪くなるよね。わかるわかる

海は見たことある?ないかー
じゃあお水あげるね
尾鰭を解いて水の網に。ロクと自分をくるんと包むようにして防護壁にしよう
相手の攻撃を吸収しながら、隙を見て口に水を投げ込む
はい、ごっくん
吸い込んだ攻撃の反射は、その臓腑の奥底で
そうそう、さっきのばくだん飲み込んだみたいに
おいしい?おいしくないよね、わかるわかる
ここから空が見えたらなあ……あ、天井ぶち抜いた
ロクすごーい

うん、いい天気
真っ直ぐ帰れるね。


ロク・ザイオン
【龍宮の悪童】
怪物退治でお宝を奪う。
…海賊らしくなってきた。
(これはこれで、己たちの得意分野なのだった)

遊園地…本当はもっと明るくて賑やかで
子供がたくさん、いる。
アシュも、きっと楽しいよ。

森は見たことあるか
…それも、ないだろうな、この世界には
(小さな獣が齧りついて来るならばそちらを引き受ける
アシュの水で守られながら
【地形利用、ジャンプ、ダッシュ】で躱し引きつけ【早業】「栄灰」
刃の触れた先から灰に還そう
積もれば積もるほど此処はおれの森になる)

届いてみるか、空まで!

(地下から地上へ巨木を伸ばし
レイダーの巨体を梢で貫き空へ跳ね上げよう)

……帰りやすくなった。
だろ?



●地を割り、闇を裂き、空まで届け
 壊れたメリーゴーランドが、場違いなファンシーBGMを垂れ流している。
 あちこちでバチバチとエレクトリカルな電飾が火花を散らし、明滅していた。
 それは人類文明の残滓、オブリビオンストームに引き裂かれた平穏そのもの。
 人が失い、渇望し、そしていずれは取り戻さねばならぬ"日常"そのものである。
「……遊園地って、本当はもっと明るくて、にぎやかで、子どもがたくさんいる。
 だから、アシュも本当の遊園地に行ったら、きっと……絶対、楽しいと思う」
 ロク・ザイオンはその文明の残滓の瞬きを見つめ、アシュアヴラ・ロウに言った。
「ゆうえんち。ここは暗いけれど、ほんものじゃないんだね」
「ああ。ほんとうはもっと、ぴかぴか、きらきらなんだ」
「ぴかぴか、きらきら……ざんねん。だけど、楽しみだな」
 アシュアヴラは、ふっと緩やかに微笑んだ。
「いつか一緒に、ロクやみんなと「ほんもの」をみれるだろうから」
 ロクはその目を見返し、同じようにくすりと笑った。
「うん。だからこそ――」
「ああ。こんなどんよりなところ、ぬけだしちゃおう」
 ふたりは身構える。そこへ波濤じみて襲いかかるレイダーの群れ!
「「「ウゥルォオオオオオッ!!」」」
「どんよりなところにいたから、気分悪いのかな? うん、わかるわかる。
 ところであなたたちは、海は見たことある? うみ。うーみー。わかるか?」
「「「グルゥウウオオオ!!」」」
 容赦ない拳! ロクが前に出て、燃える刃を振るい拳を弾いた。
 激甚たる威力が両脚をしびれさせ、ざりざりと地を焦がしながら後退する。
「……ないだろうな。おまえたちは、森も見たことがないだろう」
「「「グルゥウウアアアア……!!」」」
「――そうか」
 これはもはや、病ですらない……そう、穢され壊された残骸である。
 ならばロクがなすべきは、使命でも役目でもなく、己の意思で焼くだけだ。

 アシュアヴラは尾鰭を"ほどき"、ふよふよと揺らめく水の網を作った。
 それですっぽりと自分たちを覆うと、直後共鳴した音波攻撃があたりを襲う。
「「「AAAARRRGH!!」」」
 音叉めいて共鳴した衝撃波は、鋼鉄の隔壁をもひび割れさせ、砕いた。
 だが水は音を吸収し、ほとんど無害なレベルにまで減衰してしまうのである!
「――はい、ごっくん」
 さらにアシュアヴラは、"音"を反響させた水の玉を敵めがけてなげうった。
 水の檻に閉じ込められたレイダーを、奴らの放った衝撃波の残滓が襲うのだ!
「「「グ、オオオオッ!?」」」
「おいしい? おいしくないよね、わかるわかる」
「アシュ、よくやった。ここに水があって、灰になるべきものがいるならば」
 ロクはだっ、と駆け出し、烙印の刃に己の持つ生命力を注ぎ込む。
 刃は赤熱して燃え上がる……水をも焦がし、鉄をも融かし。過去さえ滅ぼすほどに!
「――すべて、灰に還してやる。そして、森になるがいい」
 斬撃、一閃。剣閃が水を切り裂き、蒸発させ、レイダーを真一文字に斬った。
「――あとはおひさまが、あればなあ」
「なら」
 アシュのつぶやきに、ロクはにやりと笑った。
「届かせてみよう、空まで!」
 返しにして還しの刃が、レイダーの命脈を完全に断つ。
 ……その身は烙印の炎に焼かれ、骨も肉ももろともに灰に変わる。
 すると蒸発した水が小さな雨雲となり、ざあざあと水のしずくを降らせた。
 灰は水に濡れると、急速に新たないのちを芽吹かせる――撚り合わさる蔓たち。
「あ」
 みるみるうちに蔓は木となり枝を伸ばし、そして根を張り『樹』となった。
 めきめき生長する樹は、ついに天井をぶち抜き、さらにさらに天へ伸びる!
「おー。ぼくの水が、森をうんだ。ロク、すごーい」
「……これで、おひさまも見える。かえりやすくもなった、だろ?」
 振り返る微笑むロクの顔を、亀裂から差し込む朝日が照らした。
 アシュアヴラは朝露のように目をきらきらさせて、こくんと笑顔で頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メレディア・クラックロック
カットカットカット!
つまりキミ達が余計なコトしてなければ遊園地的な施設が生きてたかもってこと!?
このアポへで子供達が安全に遊べる場所がどんだけ貴重か分かってる!?

…………

ま、マトモな答えが返るわけないよねぇ。
【Prehnite】――インタビューにも答えてくれないキミ達に興味はないんだ。
その狂気と反復ごと砕いてあげるから大人しくなってくれる?

ねぇねぇ奪還者の皆さんや。
ここ、子供達へのクリスマスプレゼントに出来ないかな?
モノだと無くなっちゃうし、配り方も考えなきゃだけど。
こーいう場所なら無くならないし分け合えるでしょ?
人の受け売りだけどさ。
子どもはいっぱい走り回って、笑顔にならないと、でしょ?



●かくて、過去の扉は閉じられた
「ウウ、ウウウウ……」
 息も絶え絶えのレイダーが、じりじりと研究所の奥へ向かう。
 そこに遺されていたのは、無数のシリンダーが並ぶ不気味な空間だ。
 見ればシリンダーの中には、同じように拘束されたレイダーが浮かんでいる。
 つまりはここが、地下研究所の中心――あるいは、巣なのだろう。
「なぁるほど。キミたちはここに踏み込んでしまったわけだねえ。パンドラの箱だ」
「!!」
 レイダーは振り返る。メレディア・クラックロックがにやりと笑った。
「トリック・オア・トリート。……いや、これはナシ(カット)だなー。
 そういうのはボクの流儀(スタイル)じゃない。もっと明るくやらないと」
 メレディアは大きく手を広げる。丸腰だ。
 レイダーはめきめきと筋肉を隆起させ、拳を砕けるほどに握りしめた。
「おや? おいおいキミ、まさかまだ暴れるつもり? それはイケてないなあ。
 キミたちが余計なことをしなければ、子どもたちの遊園地が手に入ったのに。
 この世界で、子どもたちが安全に遊べる場所がどんだけ貴重かわかってる?」
「……グ、ルルル……」
「――なあんて、サイバーサイコに言ってもしょうがない、か」
 メレディアはため息をついて、頭を振った。
「ま、マトモな答えが返ってくるとも思ってないし、インタビューはナシだ。
 ボクが知りたいのは事実じゃなく真実。ただしキミたちのじゃあない」
 メレディアがパチン、と指を鳴らすと、レイダーは頭を抱えて悶え苦しんだ。
 同時にシステムがレッドアラートを鳴らし、シリンダーがゴボゴボと泡立つ。
「せめて痛みだけは感じないで逝くといい。ナイティ・ナイト(おやすみ)」
 精神を破壊するウィルスプログラムは、神の御言葉のようにしてすべてを壊した。
 バツン――とシステムがダウンする。これでもう、パンドラの箱は開かれない。

 ……しばらくあと。
「ハロー! ちょっといいかな?」
「あなたは、インタビュアーの……?」
 物資の回収作業をしていたクークーは、メレディアに振り返った。
 メレディアはにこりと微笑んで頷くと、崩落した瓦礫の山を見やる。
「奪還者の皆さんも聞いてくれるかなー! ボク、アイデアがあるんだ!」
「アイデアぁ?」
「なんだなんだ、藪から棒に」
 奪還者たちがざわざわとしつつ、メレディアのもとへやってきた。
「此処はもう安全、だけどこんな宝の山を放っていくのはもったいなくない?
 次のレイダーが住み着いちゃったら、周りの拠点も危なくなるわけで、さ」
「つっても……まさかこの瓦礫を持ち帰れってのか? そいつは」
「カット(待った)。それはさすがにボクだって無理だとわかってるよ」
 だから、とメレディアは言った。
「ここをもうひとつの拠点にしてさ、時間をかけて直すってのはどう?
 ……もちろん簡単じゃない、人手はいるし物資だってたくさんかかる。
 けれどここはかつて、きっと平和な子どもたちの笑顔を生み出す場所だったんだ」
 メレディアは、動かなくなった遊園地の残滓を振り返った。
「ならそいつを復活させれば、子どもたちへの最高のクリスマスプレゼントになる!
 ……と、思うんだけど、どうかなー? あ、もちろんボクも手伝うよ? ね?」
「…………面白えな」
 無精髭の奪還者が言った。
「時間はかかるだろうが、やってみる価値はありそうだ」
「最近はあちこちで道路が出来たとかで、荷運びも楽になってきてるしな!」
「となると他の拠点からも、人を呼んでこねえとな!」
 人々は思い思いに語らい、未来への希望に瞳を輝かせた。
 うんうんと頷くメレディアに、クークーが云う。
「すごいね。ワタシのラジオなんかより、よっぽど人の心を動かしてる」
「ん? そんなことないよ。ボクはただ――」
 メレディアは、天へと届くほどに長く伸びた大樹を見上げた。
「忘れ去られていた真実を、ちょっとばかし"暴露"しただけだし、ね?」
 差し込む朝日は、これからの未来を祝福するように清らかだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『ささやかな休息』

POW   :    家具専門店に行き、置かれてる大きなベッドで寝よう

SPD   :    ゲームセンターに行き、遊べそうな遊具で遊ぼう

WIZ   :    本屋に行き、面白そうな本を探そう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●拠点にて
 物資の輸送、怪我人の治療、分前の算段、人々の呼び込み……。
 めくるめくうちに数日が過ぎて、いよいよクリスマスの日がやってきた。
「……ねえ、今日はなにか特別な日なの?」
 大人たちがせわしなく動き回るさまを、子どもたちは恐る恐る見つめている。
 そんな中、ひとりの年長者の少女が、クークーにおずおずと問いかけた。
「きょうはね、クリスマスっていう日なの」
「……くりすます?」
「そうだよ。みんなが幸せになって、たくさん笑って、気軽に騒げる日。
 みんなを喜ばせたくて、ワタシたちはサンタさんに会いに行ってたんだ」
「サンタさん……」
 子どもたちが知らぬのも無理はない。
 クークーはしゃがんだ状態から立ち上がると、子どもたちを見渡す。
「だから今日は、食べ物も、飲み物も、いくらでも食べたっていいんだよ。
 みんなのためにサンタさんがくれたプレゼントも、ちゃーんとあるからね」
 子どもたちは顔を見合わせ……半分の子どもは笑顔になった。
 けれども残る半分の子どもは、まだよくわかっていないらしい。
 あるいは大人たちへの猜疑心を捨てきれず、警戒しているのか。
「おーい、ライトアップするぞー!」
 無精髭の男がそう言ってスイッチを入れると、ぱっ、と拠点が光り輝いた。
 ショッピングモールから持ってきた、イルミネーションによる飾りだ。
「わああ……!」
 怪訝そうにしていた子どもたちも、これには思わず目を瞬かせる。
 クークーは何も言わずにほほえんだ。それでいいのだ、と頷くだけに留める。
 そして端末をチューニングすると、穏やかな語り口で放送を始めた。
「ガガ、クークー。ガガ、クークー――ハロー・ワールド」
 奪還者にとっては聞き慣れた、けれども今日は特別な放送だ。
「こんばんは、クークー・レディオ……クリスマスバージョンを、お届けします」
 そしてクークーは猟兵たちを振り返り、輝くようにはにかんだ。
 他の世界の豪華絢爛なそれからすれば、いかにもささやかで地味である。
 けれども今日はクリスマス――誰もが笑顔になれる、幸せな一日。
 こうしてパーティが、始まった。

●プレイング上のあれこれ
 というわけでマスコメでの計画を変更し、3章は「パーティの準備と本番」を同時にやります。
 子どもたちを喜ばせるための裏方仕事をしたい! という方は【裏方】と、
 普通にパーティを楽しみ人々と交流したい! という方は【祝宴】と、
 それぞれプレイングの冒頭かそこらへんに書いておいてください。
 前者の場合は「パーティ前もしくは最中の裏方仕事の様子」を描写し、
 後者の場合は普通の日常パート通り、パーティの模様を描きます。
(もちろん裏方仕事をしつつこっそりパーティを楽しむ、とかでもOKです)

 ショッピングモールにありそうなものはだいたい根こそぎ回収しているので、
 モールで拾ったことにしてプレゼントを贈りたい方は、自由にプレイングを。
 他世界からの持ち込みの場合、オブリビオンストームが発生しかねないので、
 拠点にいる全員を賄う量の食糧とか、そういうのは避けてください。
(もしあったとしてもストームが発生しない範囲にマスタリングします)

 ささやかですがパーティらしい食事もありますので、それを楽しんでもよし。
 ゲームなり出し物なり、宴会らしい盛り上げ役に回ってもいいでしょう。
 この章のみのご参加も大歓迎です。同行の方がいる場合はわかるようにご記入ください。
(ちなみにクークーや奪還者の他に、さりげなく当方のNPCであるムルヘルベル・アーキロギアも様子を見にやってきています。基本、プレイングで希望があった場合にのみ顔を出します)

●プレイング受付期間
 12/26(土)23:59前後まで。
●補足
 2章の舞台になった「崩落した遊園地」は、参加者様のプレイングにより、
 今後奪還者や有志らの手で復興を目指すことが決まりました。
 【裏方】を選んだ方は、拠点ではなくそちらの復興作業に参加することも出来ます。
鳴宮・匡
【裏方】
遊園地の復興、の為の下見を
要修理箇所をチェック
必要物品をメモしておく

誰かを踏み台にしなければ、明日の自分は息をしていないかもしれない
そんなのが俺の世界の常識で
生きることは、戦って殺すことと同じだった
だから、人の命の重さなんてもう感じられない

――でも、そういう世界で生きてきたからこそ
明日の食事があって
温かい場所で眠れて
隣に、誰かがいる
当たり前に続く日々が奇跡のようで
何よりかけがえないものだってことを
そこに射した希望が
苦しいくらい綺麗だと、知っている

希望になりたいとか、大それたことは言わないよ
でも、せめて、それを守り支えるものでありたいんだ

たとえ、壊れた心だとしても
そう、思っても、いいよな



●泥の底から見る景色
 この世界に初めてやってきた時、奇妙な懐かしさを覚えた。
 それはおそらく、この世界があまりにも『馴染む』からなのだろう。

 荒廃した世界。
 生きるためならばどんな手段も容認される場所。
 生きることと戦うことが、イコールで結ばれる荒野。
 誰かを踏み台にしなければ、明日を掴むことさえ出来なかった鳴宮・匡にとって、この世界はまさしく第二の故郷とでもいうべき感じがあった。

 だが、匡はもう、あの頃とは違う。
 誰かを殺すことを、
 何かを奪うことを、
 淡々とこなすことは出来ない。
 そうするうちに己が押し殺し、海の底に沈めてきたものを知っている。
 凪の海の蒼の、さらにその先にある暗黒を。
 ――たとえ、今でも生命の重さを本当の意味では感じられないとしても。

 だからこそ。
 明日の食事が、
 安心して眠れる暖かな寝床が、
 そして隣に居てくれる誰かが。
 "平凡な日々"では当たり前とされる何かが、存在することの喜び。
 奇跡のような日常こそが、かけがえのないものだということを。
 泥のような、冷たささえ感じない海の底に居るからこそ。
 匡は、知っている。

 ……あいにくと、そこに何も感じず混ざれるほど、匡は人間的ではなかった。
 だから彼は、楽しそうな騒ぎから離れ、ひとり地の底で働いている。
 単純作業は心地よい。何も考えず、目標に向かって作業をすればいいのだから。
 匡にとって、チェックリストを埋めることと、ヒトを殺すことはイコールだ。
 どちらも、何も考えずに、当然のように、こなすことができる――できてしまう。
「……こんなもんかな」
 作業を一段落させて、匡は空を見上げた。
 ロクのユーベルコードが穿った天井の亀裂から、夕日が差し込んでいる。
 匡の優れた聴覚は、地上で荷運びをする奪還者たちの声を聞いた。
 子どもたちのためにと立ち上がった、勇気ある人々の声を。
(――……希望になりたいだなんて、そんな大それたことは思わないな)
 そんなまっすぐな思いは抱けない。言葉にしたとしても"こころ"を込められない。
 ましてや、血塗られた自分に、そんなことができるわけもない。

 ――ただ。
(それでも俺は、せめて……影からでも、守って支えることだけはしたい)
 誰かを殺すことしか出来ないこの弾丸で、誰かを守る。
 人殺しには過ぎた願いだとしても。願うことは、間違いではないはずだ。
「……守れれば、俺はそれでいいんだ」
 そこに自分の姿がなくてもいい。
 匡にとっては、それで十分だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メレディア・クラックロック
【裏方】

そりゃまあボクが言い出しっぺですし?
「ボクも手伝う」って豪語しましたし?
絶対いいインタビューが取れるパーティーのことも置いといて遊園地の作業に回るのは当然ですけど?

……ええと。
その、だね。
聞いてもいいかな?

こんなジェットコースターどう組み立てるの?
回転木馬の適切な速さってどのくらい?
てゆか子供達が安全に遊べるのに丁度いいセーフティって何?

ぶっちゃけそういう物理設計とか、新規プログラム作成とか、シミュと現実の擦り合わせは苦手なのー!
ボクそういうスタイルじゃないし!
腕のいい設計士とか電脳魔術師とか、あとさっき案内やってたカーバンクルでもいいから!
誰か助けてーーーーーー!!!!



●うつくしい日々、のその裏で
「あーーーーもーーーー、わかんないよーーーーー!!」
 メレディア・クラックロックはコンソールをガンガン叩いた。
「おいおいお嬢ちゃん、あんな自信満々に言ってたくせにもうギブアップかよ?」
 と、作業に従事していた奪還者が、メレディアに苦笑する。
「それはそれ、これはこれだよ! 苦手なんだよーこういう実作業はさあ……」
「つってもなあ、さすがに俺らだって、システムのこたさっぱりだからよ」
「そうそう。姉ちゃんみたいな腕のいいエンジニアが居ねえとな!」
「「「ワハハハハ!」」」
 しかも男所帯である。このクリスマスのタイミングになんとむさ苦しい。
 メレディアのような乙女が混ざるには、少々、いやだいぶアレだ。
 ……が、あんな提案をした手前、メレディアとしても義理がある。
 作業を手伝うことは、なんら問題ない。問題ない、のだが……。
「ジェットコースターの組み立てとか、回転木馬の適切な速さとか、さっぱりだよ……ねえ、誰か遊園地に詳しい人とかいないの?」
「居るわきゃねえな!」
「そもそも行ったことすらねえよ」
「爺さんの思い出話で聞いたことある程度だなぁ」
「うん、まあそうだよね! いやーこれは予想してなかったなー!!」
 メレディアはあっはっはと渇いた笑みを浮かべ、そして大きくため息をついた。
「あの妙なマスコットをどうにかデータ再生したら助けてくれないかなあ」
「おいおい、それ大丈夫なのか? また襲いかかってきたりよぉ……」
「うーん、多分あの個体は、オブリビオンストームのせいで変化してた思うんだ」
 不安げな奪還者に対し、メレディアは、コンソールをいじりながら説明する。
「けど、エラーを起こしたデータは、みんなが倒したことで消去されたはず。
 だから生き残ってるデータベースにアクセスして、電脳魔術で修復すれば……」
 すると、パッ、とAR映像が投影され、空中にあのカーバンクルが出現する。
 奪還者たちは緊張した面持ちで銃を構える……が、マスコットはくるんと回り、
『やあみんな! 楽しい楽しい遊園地へ、ヨーコソ!』
「うん、思った通り! あとはこいつの情報を調べればー……」
「っておい、なんかメリーゴーランドがすごい速さで動き出したぞ!?」
「うおお、コーヒーカップがとんでもねえスピードでー!!」
「え、え!? ちょっと、カーバンクル! どうなってるの!?」
『命知らずのみんなには、遊園地ルナティックモードを楽しんでもらうヨ!』
「えっこれデフォなの!? ちょ、ちょっと! 止まって……とまれぇー!?」
 阿鼻叫喚の地獄絵図である。一応システムに悪気はないらしい。
「もお~、次から次へとなんなのさ! 誰か助けてーーーーーー!!」
 ……という悲鳴が、地下にこだまするのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネグル・ギュネス
【裏方】
傷だらけ、薬品臭い人間がパーティてのもな
だから今回は──も、か?まあ裏方に徹しよう

パーティ最中は念の為の警護をしながら、義手カメラで風景を撮影
子供だけでなく、大人達にも記念を残そう
ほら、笑ってこっちみて

思い出は大事だ、楽しい思い出は、生きていく上で糧となる
また、をする為に、今を生きる事が出来る

…何故そこまで、と言ったか、クークー
今この時の為だ。皆様々な希望の繋ぎ方がある中で、俺はあれしか出来ない、暗い野郎なんだ
だから、どんな敵でも、どんな目にあっても──ちょ、引っ張るな、俺は写真とかいいから、撮るなら他のヒーロー達に…

ああ、もう好きにしろ!

…何かあったら、また呼べよ

(笑顔ではいチーズ)



●切り取ったものの名
 ――ぱしゃり。
「ん? 今の音は……シャッターか?」
「ああ、悪い。いい顔をしていたから、撮らせてもらった」
 パーティのさなか。
 ネグル・ギュネスは義手に内蔵されたカメラを見せ、にこりと微笑んだ。
「なんだよ、カメラマンかい? あんたもパーティを楽しめばいいだろうに」
 無精髭を生やした奪還者の男は、ネグルの紳士ぶりに苦笑した。
「あんたがたのサポートがなきゃ、こんな大収穫はまず見込めなかった。
 それに、そもそも俺たちが生き残れたのも、あんたらがいたからこそで……」
「よしてくれ、いまはパーティの最中、だろう? それよりも、ほら」
 ネグルが顎でしゃくると、男の後ろには子どもたちが三人立っていた。
 子どもたちは男が「どうした」と目線を合わせると、なにやら視線を交わす。
 そしてひそひそ話をしたと思うと……ぺこりと、頭を下げた。
「「「おじさん、たのしいぱーちーありがとう!」」」
「…………ははっ。そりゃ光栄だ! さあ、ご馳走はたんまりあるぞぅ!」
 破顔した男と楽しそうな子どもたちを、ネグルはまたぱしゃり、と撮影する。
 そして新しい料理を、別のテーブルへと運ぶのだった。

「……ねえ、ネグル」
「うん?」
 そんなネグルに声をかけたのは、ステンレスのコップを持ったクークーだ。
 片方のコップを差し出すと、ネグルは辞去しようとし……観念して受け取った。
「みんな不思議がってるよ。どうして裏方なんてしてるんだろう、って」
「こっちのほうが向いてるのさ。なにせほら、傷だらけだし薬品臭いだろう」
 ネグルは、無残にも斬られたサイバネ部分の傷を見せた。
 クークーはその痛ましさにつらそうな顔をしつつ、ネグルの顔を見つめる。
「それは、そうかもだけど。でも、それだけじゃない気がする」
「…………」
 ネグルは避けるように、目線をパーティへと移す。楽しそうな人々に。
「あのとき――"なぜそこまで"と言ったな、クークー」
「……? うん」
「それはな、今この時のためだよ」
 ネグルは手を広げた。
「みんな様々な希望のつなぎ方があるなかで、俺には"あれ"しか出来ない。
 それでも俺は、この景色が見たかった。だから、ああした……それだけさ」
「…………」
「所詮俺は、華々しいヒーローになんてなれやしない、暗い野郎なのさ。
 だから、どんな敵でも、どんな目に遭っても、俺はただ……って、いだだだ!?」
 ネグルの服の裾を……というか生身の腕をつかみ、引きずるクークー。
「ちょ、待てクークー! 傷があるってさっき言っただろ!?」
「いいから。こっちに来て」
 そうして連れてこられたのは、どうやら記念写真の会場だったらしい。
 奪還者たちがネグルの功績を称えると、子どもたちはぱあっと笑顔になった。
「ありゃまさしくヒーロー、だな! はっはっは!」
「おいおい、私はそんなタマじゃ……」
「ヒーローのおにいさん!」
「かっこいー!」
「…………やれやれ」
 子どもたちにそんな眩しい笑顔を向けられては、立つ瀬がない。
 ネグルは苦笑し、ハメやがったな、とでもいいたげにクークーを見た。
 クークーはにこり、と、年頃の少女らしく意地悪そうにはにかんだ。
「またきっと、あなたの力を借りることになる。だから、あなたもワタシたちの大事な仲間。あなたが、ワタシたちをそう認めてくれるなら、逆も同じだよ」
「…………わかったよ。好きにしろ」
 ネグルは観念した様子で、記念写真の輪に混ざった。
「何かあったら、また呼べよ。私は――俺は、いつだって駆けつけるから、さ」
 そう言って、肩を並べて笑顔でピース。
 ――ぱしゃり。

 切り取られたのは、ありふれた一枚の写真。
 けれどそれを呼ぶなら、過去だとか、記録などと言うべきではない。

 それは、思い出だ。
 辛く苦しい今日を生きるための、大切な思い出というお守りであるべきだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【裏方】
終わったか
さて、これで帰っちまってもイイんだが
クークーが頑張ってるみたいだし、一応最後まで見ておくかな
誰にも見つからず、一部始終が見える場所に陣取ろう
食い物も適当に見繕ってさ

……クソみてえな理不尽と、悪徳
それに晒されて生きていくのは、どの世界でだってキツイもんだ
……それを助けるのが英雄で
気に入らないから、同じ穴の狢を殺すのが……影走りなのさ

さ、今日の演目に少し花を添えるか
ここのシステム粗方洗ったし、後はスパイスを少しだけ
ホログラムを使ったパフォーマンスで、ちょいと楽しんでもらおうか

上等な飯、とは言い難いが
どういうわけかねぇ
意外と悪くねぇなって思えるのさ
これも一種の郷愁か?いや、まさかな



●誰も気付かぬ影の中で
 喧騒は遠く、けれどもかすかに風に乗って聞こえてくる。
 拠点は明るく彩られ、周りからすると格好のいい的だった。
 けれども今日ばかりは、彼らを不用心と謗ることは出来ないだろう。
 なにせ今日は、クリスマス。誰もが幸せで、笑顔でいられる日。
 もしも近づくレイダーが居たとしたら、そいつらは2秒でおしまいだ。
 ヴィクティム・ウィンターミュートが、静かに彼らを見守っているのだから。

「……このまま帰ったっていいはずなんだがなあ」
 ヴィクティムのサイバネアイが、クークーの笑顔を映し出す。
 彼女は猟兵や奪還者、子どもたちや拠点の人々と、ひっきりなしに歩いて回る。
 人気者……というよりは、クークーがそういう性分なのだろう。
 彼女の旅も、けして自分のような後ろ向きなものではないはずだ。
「こんなクソみてえな世界で、よくもまあタフに生きてるもんだ」
 オブリビオンストーム。
 レイダー。
 暴走した生物兵器や、いびつな魔獣。
 荒野にはあらゆる罠と脅威が待ち受けて、向こうから襲いかかってくる。
 この世界は、猟兵が知る世界の中でも特に過酷だろう。
 支配が確立されたダークセイヴァーと、ある意味では並ぶレベルだ。
 明日の食糧にさえ事欠く世界は、決して楽しいものではあるまい。
 それでも彼らは笑っている――いいや、"だからこそ"、だろうか。
「……俺は、英雄じゃない」
 ヴィクティムは、己に言い聞かせるように言った。
 英雄は、そんな彼らの在り方に、怒りを、信念を燃やして立ち上がれる者だ。
 自分は違う。彼らに対して、思うところがない――とは言うまい。
 ただヴィクティムは、それ以上に敵(オブリビオン)が気に入らない。
 我らこそこの世の王とふんぞり返り、悪逆を働くクソどもがムカつくのだ。
 ……そしてなにより、ヴィクティムは奴らと"同じ穴のムジナ"だった。
 目的を達成するためには手段を選ばず、他者を踏み躙ることを躊躇なく行う。
 似た者同士。だからこそ気に食わない、相容れない。
 ……だから自分がいる場所は、この影の中でいいのだと、彼は思う。

 きっと、仲間たちは「それは違う」というのだろう。
 同じなんかじゃない、お前は我らにとって大切な仲間なのだと。
「……ふっ」
 自嘲とも、呆れとも、喜びとも、悲哀ともつかぬ笑み。
 ヴィクティムはパチンと指を鳴らし、手慰みにホログラムを起動した。
 あの電子マスコットをコピーしたものが、楽しげにパーティ会場で踊り回る。
 盛大な電子のパレードが、意気消沈する子どもたちを楽しませた。
「……どういうわけだろうな、飯としちゃ上等じゃあないはずなんだが」
 ありふれた固形食を口にして、ヴィクティムはひとりごちた。
 食糧そのものの味は、けっして特筆できるようなものではない。
 数多の世界で、こんなものよりもっと上等な飯を味わってきたものだ。
 けれども。なんだかぽっかりと削れた胸の穴に、暖かなものを感じる。
 自分には不釣り合いなもの。
 けれども、恋焦がれて仕方ないもの。
「……郷愁ってやつかね。いや、まさかな」
 あの笑顔を、まばゆさを見ていると、妙に胸が暖かくなる。
 己のらしくなさを鼻で笑い、ヴィクティムは影に溶け込むように姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戎崎・蒼
【裏方】
無事帰還出来た事だし、後は彼等の為の時間
孤児共々この一瞬の暇を楽しんで貰いたいだなんて、少し…押し付けがましいか
言われずとも彼等にとっては特別な時間になる筈だ
…ただの勘だけれどね

とりあえず探索時に見つけたガラスケースにあったぬいぐるみを孤児に手渡したりしよう
喜んで貰えたら何よりだけれど
後は……そうだな、銃弾を撃ち込んでしまったメリーゴーランドのことが気がかりではあるから、そっちの復興作業に参加しようかな

孤児達の笑顔が戻るのがまだ先だとしても、今日くらい幸せを感じてくれたなら……それだけでいいんだ
僕はそれだけで、救われた気持ちになる
…それに煌びやかな場所は苦手だしね


宮前・紅
【裏方】
事なきを得て良かったね〜うん………ふふ、楽しんでくれると良いけど
会場の飾り付けを手伝おう♪
さあ、皆──未来あるこの子たちの為、守ろうと奮起して行動した彼らの為にも、とびっきりのクリスマスにしようか!
人形にも手伝って貰ってね

その後は遊園地の復興作業に参加しようかな?
随分ぶっ壊しちゃったからなあ……遊園地なんてあんまり身近に無かったから分かんないけど
あの子たちや奪還者が楽しめるような場所になるといいな、うん♪

復興作業が終わっても、パーティには参加しないで、パーティの音が聞こえる場所でゆっくりと一人で晩酌でもしようかなあ

パーティってのは何かこう合わないんだよね……だからこういう方が気楽かな



●いまは、それだけしか出来なくても
「……おい」
「ん~? あれ、蒼くんじゃん」
 戎崎・蒼は、晩酌をしていた宮前・紅を見つけるとむっとする。
 紅はそんな蒼の顔を見て、いつものようにけらけらと楽しそうに笑った。
「いきなりどうしたのさ、その顔。俺、まだ何もしてないよねぇ?」
「前科が多すぎる……って、そんな話をしに来たわけじゃない」
 蒼は珍しく、紅の隣に腰掛けた。
 そしてなにやら、つたなく折られたカードらしきものを差し出す。
「? なあに、これ。俺へのラブレターとか!?」
「違う。孤児たちから、紅にって渡されたものだ」
「…………あー」
 紅は笑顔なのか無表情なのか曖昧な顔で、つい、と彼方を見た。
 目線の先……拠点からは、パーティの楽しそうな声がかすかに届いてくる。
「俺はいいや。蒼くん、預かっておいてよ」
「そういうわけにもいかない。「かっこいい人形のお兄さん」というのが紅のことだってのは、僕的にも心外ではあるけれど」
 蒼がついっとカードを差し出すと、紅は横目にそれを見て、ふうと嘆息した。
「別に、こんなのが欲しくてやったんじゃないけどなあ」
「僕だってそうだ。けれど彼らが用意してくれたなら、受け取るべきだろう?」
 と、蒼も似たようなカードをちらつかせる。
「あー、そりゃまあ蒼くんはねぇ? あんなぬいぐるみプレゼントしてたし。
 ていうかあれ、いつの間に選んでたの? 実はひそかに持ってきたとか?」
「そんなわけないだろう、オブリビオンストームが起きたら大変じゃないか。
 ショッピングモールで、ほとんど手つかずだったものを見つけて回収したんだ」
「ふーん、相変わらずそういうところ几帳面だよねぇ、蒼くんはさ」
 くすくすと笑う紅。蒼は呆れた様子で嘆息した。
「……紅だって、ずいぶんはりきって人形を操っていたじゃないか。
 そのカードを渡すときも、人形のお兄さんが、ってずっと騒がしかったよ」
「…………ふーん」
 地平線に沈みつつある夕焼けのせいで、紅の顔色は判然としない。
 けれど多分、いつもよりは少しだけ赤らんでいるだろう、と蒼は思った。
「……蒼くんさ、いま俺のことを見ていかがわしいこと考えてない?」
「なっ……だ、誰がそんなこと考えるか! やめろ、気色悪い!」
「ぷっ、あははははっ! おもしろ~い♪」
 が、少し油断するとこうだ。本当に手を焼かされる男だ、と嘆息する。

 ……紅は、何も言わずにコップをもうひとつ用意した。
 蒼も何も言わず、注がれる酒を受け取り、そして嚥下する。
「なんかこう、合わないんだよねぇ。パーティとかそういうのってさ」
「そこは僕も同感だ。きらびやかな場所は、どうにも苦手だよ」
 気が合うようで癪だけどな、とわざわざ付け加える蒼。
 相変わらずだなあ、と苦笑する紅に対して、蒼は続けた。
「けれどこれで、あの子たちの笑顔が少しでも早く戻ってくれるなら、それでいい。
 ……そうでなくとも、今日くらいは幸せを感じてくれたら、それで十分だと思う」
「…………」
「少なくとも僕はそれだけで、救われた気持ちになる。勝手かもしれないが」
「いいんじゃない? 自分勝手上等、だって所詮は他人なんだし」
 紅の言葉は、一見ドライなようではあったが……。
「だから俺たちが何をするのも自由で、あの子たちが気にする必要もない。
 ……って言っても、こーゆーの渡されたりするから困るんだけどなぁ~」
「まんざらでもなさそうだけどな」
「蒼くんこそ」
「「…………ふふっ」」
 らしくもなく、ふたり揃って同じような笑いが漏れた。
 コップの中の酒を飲み干す。ほんのりと、心地よい酩酊感があった。
「さて、要件はもう一つあるぞ紅」
「んぇ? 何?」
「あの遊園地の復興作業だ。手が足らないらしくてな」
「え~!? なにかと思ったら、そのために俺のこと探してたのぉ?」
「当たり前だろ。僕もあのメリーゴーランドのことが気になってるんだよ」
「うへ~……まあいいけどさあ、ぶっ壊しちゃったのは俺も同じだし」
 紅はうんざりした顔を作りつつ、コップをしまった。
「正直、遊園地なんてあんまり身近になかったから、よくわかんないんだよね」
「それは誰でも同じだよ。僕も、な」
「……はいはい」
 立ち上がろうとした紅に、蒼の手が差し伸べられる。
 紅はきょとんとしたあと、ひょいっとひとりで軽やかに立ち上がった。
 またむっとした蒼が手を引っ込めようとすると、その手に拳をこつんとぶつける。
「これでいいでしょ。俺たちにはさ」
「……そうだな」
 蒼は少しだけ笑ったような顔をして、拳を作り、それに応じた。
 夕日の中に、控えめなこつんという音が、もう一度だけ響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アシュアヴラ・ロウ
【龍宮の悪童】
裏方

ふふーん、ごはんなら任せて
船の厨房番だからね!

使うのはこの世界の食材だけ
…でも調味料ちょっとくらいは、いいかな?いい?
せっかくだから、いつかこんなおいしい料理も作れるようになるよって
さんたさんからの贈り物

…地下からぶち抜いた穴?
大丈夫だって、あれ本物のゆうえんちにするんでしょ
明るい方がよくない?

んー、大人向けにスパイス効いたのと
子供向けに甘いものがあると、喜んでくれるかな?
保存食は少し柔らかくして…
ロク、味見してあじみ

働いておなかがすいたから
作りながら僕も食べちゃおう
ええっと、ええと
めりーくすすます?
ロク、ロク、今度ゆうえんちに行こう。一緒に
遊び方、おしえて?


ロク・ザイオン
【龍宮の悪童】
※裏方
(大樹で派手に遊園地の天井をブチ抜いてしまった
電気を使うものが雨ざらしは良くない
森番は相棒のお陰で機械チョトワカルがゆえ)
……そうだな。明るいのはいいことだし
……クリスマスには
樹を飾るから
いい…んじゃ…ないかな…
(誰かいい感じにしてくれることを祈ろう!ヨシ!)

(アシュの助手として調理の手伝いをしよう)
味見していいのか
…(辛いものはちょっと苦手)(涙目)
…!!!(甘いのは好物)

…あ
しゃむ、なんか歌って
クークーのやつがいい
(黒猫スピーカーが受信するラジオをBGMに
厨房で、ほんの少しパーティーを先取りする)
めりー、くりすます、な
…いいよ
今度、一緒に遊園地に行こう。な。



●大きな樹の下で
「どっこいせぇー、っとぉ!!」
 奪還者たちが大きな樹を運び終えると、子どもも大人もどよめいた。
「ずいぶん立派な樹だな! そもそもこんなの、どこに生えてたんだ?」
「あー、まあ……こう、色々とな!」
 拠点の住人の質問に対し、運んできた奪還者たちは曖昧に答えた。
 そこにいる女たちが剣を振ったりなんだりしたらいきなり生えてきた、
 などとは言っても仕方ない。奪還者たちですら驚愕していたのである。

 ……そう、あの天井をぶち抜いた大木は、大仕事で伐り出された。
 地上に露出していた部分は、ツリー代わりに持ち帰ってきたらしい。
 地下階に根を張っていた部分は、木材として有効活用される。
「あんたたちのおかげで、料理のための燃料が山ほど手に入ったよ!」
「……そっか、よかった」
 ロク・ザイオンははにかむ。
 冷静になった当初は「あれ? これやばくね? 漏電とか」的に懸念していたが、
 この世界の住人は、ロクが思っていたよりずっとタフだったようだ。
 森は生命の源――そして、ヒトに寄り添い生きる、文明の灯火だ。
 この世界の灰から芽生えた森が、巡り巡って人々の役に立つならば、それでいい。
 様々な出来事を経て、ひとつの答えを得たロクだからこその笑顔だった。
「あんたたちは料理をしてくれるんだろう? 炭を用意したから使ってくれよ」
「ふふーん、ごはんなら任せて。なにせ船の厨房番だから、ね」
 豊満な胸を張り、ふんすと得意げにするアシュアヴラ・ロウ。
 美味いものはいくらあってもいい。特に手料理は、この世界では貴重だ。
 味気ない固形食も、ひと手間加えてやればご馳走に早変わりである。
「ロク、助手になって。味見とかしてくれるとうれしい」
「味見していいのか。どれから食べるんだ? これか」
「まだ出来てない。ていうか、手をつけてない」
「それともこれか」
「ロク。まだ手つけてないから」
 どうやら森番も、お腹はぺこぺこだったらしい。

 オブリビオンストームの影響を避けるため、他世界からの物資持込は制限される。
 とはいえアシュアヴラが、ちょっと隠し味に調味料を使う程度ならば問題なし。
「いつかこんな料理も作れるようになるって、贈り物」
「さんたみたいだな」
「うん。ぼくらは、さんただ」
 ロクとアシュアヴラは楽しそうにくすくすと笑った。
「……ところで、味見はしていいのか」
「あ、うん。これ、食べてみて」
 ロクの前に差し出されたのは、野獣の肉をくたくたに煮込んだものだ。
 かなり辛めの味付けがされている。現代で言えばつまみにいい品である。
「こ、これか」
「……? どうしたの、ロク。食べていいよ」
「……」
 きょとんとして首を傾げるアシュアヴラの眼差しに、ロクは負けた。
 味見役を(ノリノリで)買って出ておいて、辛いものは苦手ですとは言えない。
 ええい、ままよ。ロクは小皿によそわれた肉を、ぱくりと一口で食べた。
「あ。一口にほおばったりしたら……」
「……」
「……からい、よ? ロク」
「…………(こくこくこくこく)」
 ロク、水を飲みたいが我慢する。水は貴重ゆえに。
「ロクはからいの、苦手だったかー。じゃあ、こっちはどうかな」
 と、アシュアヴラは焼きたてのプティングを差し出した。
 ロクは若干恐る恐るといった様子で食べ……ぱっと目を輝かせる。
「おいしい?」
「おいしい」
(ロクはわかりやすいなあ)
 なんだか餌付けしているような気分になるアシュアヴラだった。

 やがて料理に覚えのある人々も参加し、キッチンもそこそこに騒がしくなる。
 ロクもアシュアヴラも、お肉やらなんやらをつまみつつ調理に励んだ。
「……しゃむ、なんか歌って。クークーのやつがいい」
 とロクがいうと、電子猫は可愛らしい歌声で、ノイズ混じりの詩を口ずさむ。
 オールディーズナンバーともいわれる、現代から見ても古い一曲だ。

 ……愛しいひとよ、友よ。僕らは涙を流してきた。
 辛いことも苦しいこともあった、そんな一年だった。
 だけど、今日はクリスマス――そう、今日はクリスマスなんだ。
 だから今日だけは、神様に感謝しよう。今日だけは……。

「……さんくす、いっと、くりすます」
 古めかしいナンバーを口ずさむロク。
 歌声は神への感謝を謳うが、それは崇敬や畏敬のそれではない。
 もっと曖昧模糊とした、「嬉しいときに願う誰か」への歌だった。
「めりー、くりすます?」
「うん。めりー、くりすます」
 クリスマスが誰のお祝いかなんて、そんなのはどうでもいい話だ。
 だって今日はクリスマス。誰にとっても幸せで、楽しい一日。
  "かみさま"なんて、結局はそのぐらいの距離感でいいのだろう。
「……ねえロク」
 物思いにふけるロクに、アシュアヴラは言った。
「今度、ゆうえんちにいこう。一緒に」
「ゆうえんちか」
「うん。――遊び方、教えて?」
 上目遣いに覗き込む少女に、神と決別した乙女は微笑んだ。
「うん。一緒に行こう。あしたでも、あさってでも、その先でも、いつでも――」

 神は此処にはいない。心のなかにも。
 けれどもクリスマスはやってくる。
 だってそこには、信仰も加護も、何も関係ない。
 欲張りでいい。今日ぐらいは、誰もが幸せでいいじゃないか。

 それが、クリスマスという日なんだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジュリア・レネゲード
ムルヘルベル氏希望
【裏方】
パーティーもいいけど作業はまだ終わって無いわ
さて……ここを復旧出来れば拠点にもなるだろうし
子供達も安心して遊べるわよね、賢者さん?

――一体何だんだろ。あんな化け物を生み出して
施設そのものが人攫いの罠だったとしたら
ちょっと物持ちが良すぎよね
だってこの世界、全てが破壊されたんでしょ
意図してこういうの作ったり
或いは戻したりした奴がいるのかしら?

まあ、全部ブッ壊しちゃうけど。グリュプス
『はい。全機爆薬の設置完了。ハッキングも滞りなく』
了解。二度とあんなのを生み出さない様にね
ああ、キュートな妖精さんは残してよ

さて、そろそろクークーのレディオも始まるかしら?
レーション片手に一休み



●ラジオに耳を傾けて
「ふう……」
 瓦礫の山の上、ジュリア・レネゲードは肩を回して一休みすることにした。
 ショッピングモールの禍は取り除かれた。ここはもう、自由な場所だ。
 どこぞのレイダーが住み着くよりも、新たな拠点に作り変えたほうがいい。
 そう考えた奪還者は、ジュリアだけではない。
 中には、パーティのきらびやかな空気が苦手な者も居るのだろう。
「それにしても、あなたまで参加することはないと思うけれど――賢者さん?」
 と言われれば、ムルヘルベルは肩をすくめてみせた。
「何を言う、ワガハイがこうしてともに働けるのはめったに無いことである。
 いつもは送り出し、迎えるのが関の山。少しは猟兵らしいこともしたいものさ」
「まあ実際、ガジェッティアの知識は役に立つけれど」
 ジュリアは苦笑しつつ、ムルヘルベルと向かい合うように瓦礫に腰掛けた。
 顛末はすでに、簡素なレポートという形でムルヘルベルに提出している。
「……一体なんだったのかしらね、あんな化け物を生み出したものって」
「この地下の研究所そのものが、レイダーを捕らえていたのであろう?」
「ええ。けれどアレ自体が、人さらいの罠だとしたら……物持ちがよすぎる」
 ジュリアは沈思黙考した。
「……なるほど。たしかにこの世界は、すべての文明が破壊された。
 地下にあったとはいえ、これほどまでに機能が生きているのは珍しい。
 ――……となれば、可能性はひとつ。つまり"オブリビオンだった"ということだ」
「ええ? それって、この研究所が、ということ?」
「正確にはそのシステムが……で、あろうな」
 似たようなケースを知っている、とムルヘルベルは語る。
「スペースシップを統括するシステムそのものが、オブリビオンだったという。
 ワガハイが直接関わった案件ではないが、そやつもヒトを犠牲にしていたそうでな……無論、すでに完全に破壊されたあとであるが」
「そういうこともありえるのね……」
 オブリビオンストームが持つ悪辣さに、ジュリアは嘆息した。
「ま、全部ブッ壊しちゃえば同じでしょう。……グリュプス!」
『はい。全爆薬、設置完了しました。システム痕跡の破壊も滞りなく』
「働き者であるな。まあそろそろ崩落した部材の運び出しも終わるところだ」
 ムルヘルベルとジュリアは頷き、地下を見下ろした。
 崩落した遊園地の残骸は、再利用できそうなものが地上に搬出されている。
 ショッピングモールと合わせて、本格的な復旧作業は地上で行われる見込みだ。
 ユーベルコードの力があらばこそ、これほどの工期短縮ができたのである。
「……けどもう少し、文明の残り香ってやつを感じておきたいわね」
「どのようなものであれ、過去の人類が生み出したものが遺されていた。
 それは、この世界もいずれ、元のように平和な文明を取り戻せる証左であろう」
「ええ、そうであってほしいと思うわ――」
 ジュリアは微笑み、ラジオ型の端末を操作した。
 ザリ、ザリザリザリ……。

 ――ハローワールド。クークー・レディオの時間です。

「ああ、始まった。……あなたも食べる?」
「頂こうか。実は少しばかりスイーツも持ってきたのだ」
「あら、ストームがどうこう言っておいて、現金なものね?」
「役得というものであろう。少しばかりなら問題あるまい」
 そう言って、ふたりはこつんとタンブラーで乾杯をした。
 夕日の差す瓦礫の山に、粉っぽい風とオールディーズナンバーが流れる。
 古めかしいクリスマスソングが、聖夜の気分を少しだけ高めてくれた――……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レパイア・グラスボトル
【祝宴】
パーティに浮かれた人々を裏目に。
主役を邪魔しない程度の人数の子供達をお手伝いに呼び出す。

他所のガキとの交流も良い経験だな。
こっちにとってもガキ同士の方が気安いだろうしな。

家族のパーティはお手伝いが終わってお家に帰ったら。
子供達は戸惑っている子供達に絡んでゆく。
度が過ぎた場合は、尻を蹴飛ばして叱る。
ケンカくらいはいいさ、どうせ、ワタシ達のガキが治すだろうし。

崩壊前、聖職者だったレイダーに聞いた。
神様の誕生日。
煌びやかな過去の残骸。
今の子供達はそれを知らない。
なら、大人がそれを見せてやろう。
それがこの終わった世界においてどれだけ愚かな事であっても。

だからレパイアと家族達は笑うのだ。


カタリナ・エスペランサ
【祝宴】

ふー、皆お疲れ様だね!
【衛生兵特急資格】の《拠点防御》技術を活かし(勿論、他のクリスマス準備のお手伝いにも存分に発揮するけど!)ステージを設営。
クークー・レディオに合わせて《ダンス+歌唱+楽器演奏》、心の傷を慰め未来に向け鼓舞する《パフォーマンス》を披露するよ
生きてさえいれば今日みたいに素敵な未来にまた巡り合える。誰かを助ける事が、幸せを分かち合う事が出来る。そんなメッセージが届くように歌おう

ステージが一段落したら回収物から用意したプレゼントを一人一人に手渡していくよ
子供たちには勿論、ショッピングモールに行った奪還者の皆にもね
キミたちの未来に祝福を。
――Merry Christmas!


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
【裏方】

ふー、何とかなったねぇ……
しっかし、あのアトラクション類を直すってのもスゲェ話だね。
まだテクノロジーが残ってるおかげなのかな?
アタシも『ハッキング』や『メカニック』の知識を駆使して、
ここの施設の修理を手伝うかな。
レイダーと妙な感じで混じっちまってたマスコット……でいいんだよな?
アイツをうまく分離できれば子供たちのいい遊び相手になるだろ。
だからほらまだ帰るんじゃないよ珍獣!
いつも変身にばかり使ってるその因果律改変で、
成功率くらいは上げられるだろ?

……え?
代わりにパーティでショーをしろ?
ぐっ、足元見やがって……
イイよやりゃあいいんだろやりゃあ!?


陸郷・める
【祝宴】

める:7号が行けと言うので普通にパーティ参加。なにもかもはじめてのクリスマスを普通に楽しむ。
7号:めるに参加を勧めるが変な男に絡まれたらという心配と、保護された子供達の前に元レイダーな自分が出て大丈夫かという思考の板挟みの末、一定の距離を取って見張……見守るという結論に至る
なお7号は兵器コア部が変形した「おでかけモード」の、メカ鶏の姿

「ガキ共」相手には例えバレバレだろうが頑張って素性を隠し鶏の振りをする(但し鳴き声すらよく知らない)
めるが安全そうなら離れたところで普通に喋りつつ奪還者と駄弁る
めるに危険が迫れば即座に割り込む

※戦車は多分必要ないので拠点の傍に停めています
※アドリブ歓迎です


フェルト・フィルファーデン
【祝宴】
ふふっ、無事何とかなってよかったわ!
でもここからが本番よ!

サンタの格好をして子供達にプレゼントを配りにいくわ!
手に入れた品を一通り電脳空間に仕舞って持っていき、直接子供達に聞きましょう!
メリークリスマス!さあ、あなたの欲しいものはなあに?
食べ物でもお洋服でもおもちゃでも、なんでもあるわよ!

でも、欲しいと願っても手に入らないものもあるわ。
思い出の品、かつての故郷、大切な人……なんて、これは私情かしらね。
ええ、だからその代わり……代わりにはならないけれど、素敵な思い出をプレゼント。
楽しい人形劇や心躍る物語を見せて話すわ。
少しでも笑えるように。クリスマスは楽しかったと、心から思えるようにね。


セツナ・フィアネーヴ
【祝宴】
……とはいうものの。
どうしようアリシア。やれる出し物なんてないぞ
『いや別に何かやらなきゃいけないわけじゃ……セツナ?
な に を す る き で す か ?』
え?いや、【舌禍の笛槌】で何かできるかな、と……(ピコハンを手に)
『それUCですよね!?災禍の武器の一つですよね!?』
う、し、しかし、これ以外にできる事は……
『なんで何かやる前提なんですか……普通に料理とか誰かとお話とか楽しめばいいんじゃ?』
ほ、本当にそれだけでいいのか……?
『どうしても何かしなきゃって言うなら、わたしが光の魔法で何かきらきら~っとかします。……偶にはわたしの方からも何かさせてください、セツナ』

※アドリブ歓迎です


ヴァレーリヤ・アルテミエヴァ
【祝宴】
(アドリブ・連携歓迎)
「いつにも増してご機嫌ですなあ」
ふふっ、当然ですわ『エメーリャ』!
敵は蹴散らし、物資も奪い取れた…まさしく大勝利ですもの!
子供たちもさぞ楽しんで…訝しげにしてる子供もいますわね?
「ストームによって文明が崩壊した世ですからね…
お嬢様は文明崩壊前の世をご存じですが、そもそもクリスマスという概念自体、知らない子供もいるかと」
…そう…エメーリャ、モールで得た玩具を子供たちの方に。
人形、ぬいぐるみ…気に入ったものはあって?
ええ、好きな子を取ってよろしくてよ?
知らないのなら語りましょう。贈りましょう。
今日がどんな日であるのか…お茶でも飲みながらゆっくりと。


ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

【祝宴】
ヒャッホォオーーー!パーティだぁーーーー!
ぇーなになに?もっと盛り上がってこうよ!
クリスマスがなんであるかをボクなりに彼らに説明したりしながらパーティを楽しむよ!
ほらほら、奪還者くん!
サンタの格好してプレゼントするんでしょ!
自由に生きて、自由に奪って、自由に与えればいいとは言うけれど
与えるのもなかなか楽しいでしょ?

★もう一味
完璧だと思う
足りないものはあってもそれも含めて完成している
そう思うのだけれど
そこに一筆加えたくなるのが悪い癖ってものなのかな?
というわけで!
UCを発動!曇り一つない満点の星空と降りしきる雪というダブルプレゼント!
メリーークリスマーーッス!!



●それぞれの時間、それぞれのクリスマス
 奪還者たちは、最悪の可能性を危惧していた。
 最悪の可能性とはつまり――子どもたちが宴を拒絶する可能性だ。
 レイダーの襲撃だのは、最悪ですらない。そんなものは銃を取ればいい。
 けれどももし、このパーティを楽しむべき子どもたちが拒絶したのならば。
 泣き叫んでプレゼントを投げ捨て、何の意味もないと言われたら。
 ……それは最悪の、けれども十分ありえる可能性だった。
 なにせこれは、言ってしまえば大人たちのエゴでしかない。
 子どもたちが一番欲しいものは、こんな子供だましの宴ではないだろう。

 家族。
 友達。
 仲間――。

 失われてしまったもの。
 奪われてしまったもの。
 日常という象徴、平和という理想。
 ……それをあげられるならば、心臓と引き換えにしてもくれてやりたい。
 だが現実は非情だ。どれだけ希ったとしても、この世界は変わりはしない。
 大人たちは自らを呪った。その不甲斐なさを悔やんだ。
 だから子どもたちがそう叫んだとしても、粛々と受け入れるつもりだった。

 ――"だった"。
 結論から言えば、大人たちの覚悟と懊悩は杞憂だったと言わざるを得ない。
 あるいは猟兵という人々の助けとその思いが、子どもたちに届いたのか。
 言葉を失っていた子どもは明るく笑い、
 傷跡に涙さえ忘れた女の子は涙ぐんで感謝を述べた。
 幼い子も、
 出来た子も。
 そして大人たちも……みんなが、この瞬間を楽しんでいたのだ。

 けれどもそれは何も、この世界の人々だけではない。
『いつにも増してご機嫌ですなあ』
「ふふっ、当然ですわ『エメーリャ』!」
 AIつきドローンが差し出した紅茶を受け取りつつ、ヴァレーリヤ・アルテミエヴァは誇らしげに笑った。
「敵は蹴散らし、物資の奪還も上場。そしてなにより――」
 ヴァレーリヤは胸を張って、誰もが笑顔で歌い踊る風景を眺めた。
 これこそが、皆で勝ち得た最大の報酬……平和で、幸せなひととき。
 この世界では、食糧よりも水よりも、雨風を凌げる家よりも貴重なもの。
 それを見ているだけで、ヴァレーリヤは胸が一杯になるようだった。
「まさしく大勝利、ですわ。これを喜ばずして何を喜ぶというのでして?」
『さもありなん。いやまったく、これほどの大成功を勝ち得るとは』
「機械では測りきれない事象も存在しますわ。猟兵とはその極北でしょう。
 彼らの笑顔を望んだのは、死して生き返ったわたくしだけではないということですわ」
 ヴァレーリヤは穏やかに微笑み、プレゼントを喜ぶ子どもたちを見つめる。
 そんな子どもたちにプレゼントを配るのは、サンタの仮装をした妖精の少女。
 フェルト・フィルファーデンは、騎士人形たちも使って、盛大に贈り物を配る。
「メリークリスマス! さあ、あなたの欲しいものはなあに?
 食べ物でもお洋服でもおもちゃでも、なんでもあるわよ。さあ、教えて?」
「え、えと……」
 フェルトに微笑みかけられた子どもは、おずおずと答えた。
「ぼ、ぼく……クリスマスっていうのがなんだか、知らなくて……」
「あら、そう……そうよね。楽しい行事も、途絶えてしまっていたわよね」
 フェルトは悩ましげにため息をついた。そこへ、ヴァレーリヤが助け舟を出す。
「なら語って聞かせてあげましょうか? この世界の大昔のクリスマスを」
「え、ほんと!?」
「おねえちゃん、そんなこと知ってるの!?」
「ええ、もちろんですわ。わたくし、"長生き"ですもの」
 そう言って、ヴァレーリヤはフェルトにウィンクをしてみせた。
 彼女の言外の意味――つまりヴァレーリヤがデッドマンであること――を汲み取ったフェルトは、こくんとうなずいて花咲くように微笑む。
「それは素晴らしいわ! なら、あなたたちへのプレゼントはこうしましょう。
 いろんな思い出、昔の記憶を、わたしの騎士人形たちが演じてあげるわ。
 楽しい楽しい人形劇の始まりよ。さあみんな、お菓子を持って集まって!」
「「「わー!」」」
 子どもたちは小さなステージにわっと集まった。
 その中には、目をきらきらさせた陸郷・めるも混ざっている。
「ねえねえ、人形劇だって! たのしそうだね、"7号"……って、あれ?」
 めるは振り返るが、そこに"7号"――彼女の相棒である、元レイダーの多脚戦車――はいない。
 さすがに、パーティ会場に多脚戦車では入れなかったのである。
 なので"7号"は、こんなときのための「おでかけモード」に扮しているのだが……。
「ねーねー、こんなところになんかいるよー?」
「お? なんだこの生き物ー」
「…………コ、コケ」
 子どもたちに物珍しそうに取り囲まれる、一匹の……鶏。
 しかもよくよく見ると、生身の鶏ではなくメカで出来た鶏である。
 実はこれこそ、めるを遠くから見守る"7号"の「おでかけモード」だった。
(く、くそっ。まさかガキどもに取り囲まれるとは……!!)
「これ、なんだろー? 見たことないねー」
「しってる! これ、にわとりっていうんだよ!」
「にわとり?」
「うん。えっとねー……ほら、これ! これがにわとりだったんだよー!」
 と、ものしりな男の子が手に取ったのは……そう、チキン!
「コ、コケッ!?」
「「「おー」」」
「にわとりって、このおいしいおにくになるの?」
「うん、父ちゃんが言ってた!」
「じゃあこのにわとりも……」
 じぃー。こどもたちがメカ鶏を見つめる。すごくお腹がすいた眼差しで。
「コ……コ、コケッ、コケェーッ!!」
「「「あ、にげた!」」」
 別に子どもたちも取って食おうとしていたわけではない。
 が、あまりの"圧"に、7号は慌てて逃げ出したのである!
「あ、7号あんなとこにいたー! ってなんだか、たのしそう!」
 めるからすると、メカ鶏は子どもたちと追いかけっ子してるようにしかみえない。
 なんだかうずうずしてきためるは、子どもたちに混ざってメカ鶏を追う。
「ねえ、めるもいっしょにおいかけっこ、してもいいっ?」
「うん、いーよー!」
「あのにわとりをつかまえるぞー!」
「「「おー!」」」
「コケェーッ!?(なんでこんなことになってんだよォー!?)」
 なんだか妙なことになった。人垣の中をかき分けきゃっきゃと遊ぶ子どもたち。
 ……まあ楽しそうだからいい、の……だろう、か?

 子どもというのは不思議なもので、騒いでいると集まってくる。
 レパイア・グラスボトルの手伝いをしていた子どもたちも、なんだか楽しそうな様子を見てうずうずうきうきしているようだった。
「ねえねえレパイア、アタシたちも混ざってきていいー?」
「手伝い飽きたよー、遊ばせろよー」
「ってバカ、そんなこと言ったらケツ蹴っ飛ばされっぞ!」
 たしかにいつもなら、レパイアはキツいお灸をすえることだろう。
 しかし医療器具の整理やら、簡単な検診やらをしていたレパイアは、ちらりと子どもたちを見下ろした。
「……そうだな。たまにはよそのガキと交流するのもいいだろう。行って来い」
「「「えっ、いいの!?」」」
「お前たちが言い出したんだろう。ただしケンカのやりすぎは厳禁だぞ」
「ケンカなんて、しないよー」
「そーそー! 遊ぶだけだもんな!」
「怪我したって治せばいーし!」
「わかった、わかった。さあ、行ってこい」
「「「わーい!」」」
 子どもたちは無邪気に駆け出し、めるや拠点の子どもたちの輪に混ざる。
「……あの鶏、なんかおかしいが……まあ害はないだろう」
 と必死に逃げるメカ鶏を適当に見つつ、レパイアは人々の喧騒を眺めた。
 誰もが笑顔で、楽しそうに――そして幸せに、このひとときを楽しんでいる。
 レパイアの脳裏によぎるのは、在りし日のレイダーから教わった記憶だ。
 ……レイダーといっても、全員が全員オブリビオンなわけではない。
 なかにはやむにやまれず、そうならざるを得なかった者もいる。
 だからこそこの世界は過酷なのだ。彼女が教えを受けたのは元聖職者だった。
『クリスマスは、神様の誕生日なのですよ』
 ……それは、何も知らない子どもに向けた簡単な説明だったのだろう。
 けれども在りし日の文明――つまり、人類社会の残滓とも呼ぶべきもの。
 子どもたちは、そんな成り立ちを知るまい。教えても覚えているかどうか。
 なにせ誰それの誕生日だなんて、この世界では腹を満たしやしない。
 ましてや自分たちを救ってくれない神のことなど、覚えていてどうなる?
「………それでも、ワタシたちは覚えている」
 この世界には、神も悪魔もない。ただ滅びと、嵐と、飢えと、乾きがある。
 ならばどうすればいい。大人は、親は、未来の可能性たちに何をしてやれる?
「……ふっ」
 らしからぬ物思いにふけっていたことに、レパイアは我ながら自嘲した。
 やることなど変わらない。
 癒やすべき怪我を癒やし、治すべき病を治す。
 失われるべきでない命をつなぎ、明日を、その先を迎えさせるのだ。
 たとえそれが、パンひとつほども腹を膨らませない愚行だとしても。
「……ガキども、転ぶなよ! 今日ばかりは怪我をしないようにしろ」
 と、レパイアは我が子らに叫んだ。
 子どもたちの気もそぞろな返事に、レパイアは苦笑して肩をすくめるのだった。
「さて、そういえばステージとやらをやるのだったか?
 混雑で怪我人が出るといかんな、そちらも見に行くか」
 と言って、レパイアは小さなステージに向かうことにした。

 ……さて、設営されたばかりの小さな舞台。
 そこではヴァレーリヤの語りをもとに、フェルトの人形劇が始まるはず、だったのだが……。
「人形劇もいいけど、ステージを前にして踊り子がじっとはしていられないね!
 というわけで飛び入り参加させてもらうよ! パフォーマンスなら任せてくれ!」
 と、カタリナ・エスペランサが乱入したのである。
「ええっ? それ、役柄とかシナリオは大丈夫なのかしら……?」
「もともと即興の劇ですし、あってないようなものですわ。いいのではなくて?」
 フェルトとヴァレーリヤはそのように納得した。
 なおステージ上には、端末からクークー・レディオが流れている。
 クリスマスソングはゴキゲンなオールディーズナンバーへと早変わり。
 それをBGMに、カタリナは舞い踊る妖精騎士の人形たちとダンスをした。
「それにしても素晴らしい人形たちだね、まるで生きているようじゃないか!
 これは旅芸人のはしくれとしても、負けるわけにはいかないよ。BGMのテンポ、アゲアゲでいってみよう!」
「…………」
『……セツナ、ちょっとまってください』
 そんなステージを見上げていたのは、セツナ・フィアネーヴである。
 しかし彼女の相棒である精霊・アリシアは、セツナが手に持つ「あるもの」を見咎めた。
「え? なんだアリシア、何か気になることでも?」
『大アリです! あなた、その"災禍の武器"で何をするつもりですかっ!?』
 セツナが手に持っていたのは……恐るべき災いの竜の力の一部。
 彼女がユーベルコードの媒介として召喚・使用する、れっきとした兵器だ。
 なお、見た目はピコピコハンマーである。……えっ、なんで?
「いやしかしだな、私にできる出し物と言うとこれしか……」
『なんで何かやる前提なんですか、というかそれで何する気ですか!?』
「こう、風を起こしたり地震を起こしたりで、ステージを演出してだな」
『そういうの、破壊行為っていうんですよ!? ああもう、見ていてくださいっ』
 アリシアは光の魔法を使い、ステージ上で踊るカタリナと騎士人形を照らした。
 ちょうどかつての文明社会における、クリスマスの成り立ちを上演していたところだ。
 きらびやかな光は、さながらイルミネーションめいて踊り手たちを照らす!
「わあ、きれい……!」
 と、めるが目をキラキラさせて言った。
 なおその後ろで、メカ鶏はコケコケと子どもたちとじゃれている(捕まっているとも言う)
「おお……! さすがアリシア! やっぱり君はすごいな!」
『あなたがとんでもないことをしでかすよりはこっちのほうが――』
「! いや待て、何か来るぞ!」
 セツナの緊迫した声に、ステージ上のカタリナやフェルトも顔を上げた。
 空から降りてきたのは……レイダー? いや、あるいは魔獣か何かか!?

 ……身構える猟兵たちは、次の瞬間にはきょとんとしていた。
 きらきらとした光の魔法に照らされ降りてきたのは、ファンシーな魔法少女姿をした女性である。
 そう、女性。格好は魔法少女だが、着ているのはバリバリの成人女性だった。
「……ってぇ、なんでアタシがこんな主役みたいな扱いさせられてんのさぁ!?」
『多喜ちゃん、恋する女の子はいつだって人生というショーの主役なんだよ!』
「そのセリフは聞こえがいいけど、アタシゃ23だよもう!!」
 と、いかにもファンシーなマスコットと言い争う数宮・多喜。
 そう、この格好はけして、多喜がやりたくてやっているものではない。
 先のレイダーども相手の戦闘中、やむを得ずこの姿になった多喜。
 彼女は拠点のあちこちにある施設の修理を手伝っていたのだが……。

『多喜ちゃん、子どもたちが呼んでるよ! さあいまこそ駆けつけよう!』
「え、いや待て待て。まさか変身しろってんじゃ」
『さあ行こう多喜ちゃん! みんなに夢を与えるんだ!』
「話を聞いておくれよこのバカ珍獣ーーーーーーっ!?」

 ……と云う具合に、無理やり空から降ってこさせられたのである。
「なにあれ、かわいー!」
「すげー! もしかしてあれがサンタ?」
 と、子どもたちには好評(?)であった。
「コケ……(おいおい、年甲斐もねえぞありゃ)」
「7号! める、あれ着てみたい!」
「コケェ!?(お前マジか!?)」
 そして妙なところに需要が生まれていた。
「……あー、その、ステージの邪魔して悪かったね、あは、あはは……」
 顔を真っ赤にしつつ、そそくさとステージを降りようとする多喜。
「おっと、待っていたよ変身少女リルティライト!」
「えっちょっと待っとくれそれアタシのことかい!?」
「どうやらアタシたちブラックナイト団の陰謀を嗅ぎつけたようだね!」
「なんだいその雑なヒールターン! さっきまでダンスしてたよね!?」
「しかもナイト団って、ま、まさかわたしの騎士人形たちも巻き込まれているの!?」
 カタリナのあまりの雑なブッキングに、フェルトも多喜も仰天であった。
「むっ、ヒーローショーか……アリシア、これならば武器の使い所が」
『あーりーまーせーん! あ、ちょっと! 舞台に上がったらダメですよー!』
 ノリノリでステージインするセツナ! なんかもうわやくちゃだよ!
「……おかしいですわ、わたくしこんなクリスマス知らない……」
『おそらくどの世界でもどの歴史でも、こんなカオスはないでしょうな』
 額に手を当てて呆れ返るヴァレーリヤに、エメ―リャが冷静にツッコんだ。
「我々ブラックナイト団の目的はひとつ! サンタのプレゼントを独占することさ!」
「……あ、あの、わたしどちらかというと正義側のほうが……」
 ノリノリのカタリナにひそひそとささやくフェルト。こだわりがあった。
「あ、じゃあ鞍替えしてもいいよ。アタシこないだキマイラフューチャーで似たような敵を相手にして学習してきたからさ、悪役っぽい演技」
「それは教科書代わりにしてはダメな気がするわ!?」
 いやでも逆にアリなんじゃねえか? フェルトは悩んだ。
「大丈夫大丈夫、いい感じにやられてみんなでプレゼントを配る流れにするんだ」
「あ、なるほど……? それはいいかもしれないわ……?」
「その過程でちょっと派手にバトルしても、まあ問題ないよね!」
「大問題でしかないですわそれ!?」
 体を動かしくて仕方ないらしいカタリナに突っ込むヴァレーリヤである。
「いや、問題ない! 怪我をしてもワタシとガキどもが治してやるからな!」
「医者まで乗り込んできてお墨付きあたえるんじゃないよ!?」
 ふふーん、とドヤ顔で胸を張るレパイアが全力で話をめんどくさくしていく!
 そもそも多喜は別にヒーローをやるつもりなどない。頭が痛かった。
「すごーい! サンタって、よいこのために戦うヒーローなんだね!」
「その学習の仕方は問題しかありませんわ! これはレアケースですわよ!?」
 別の意味ではしゃぐめるに、思わず口を挟むヴァレーリヤ。
 なんだかしっちゃかめっちゃかになりつつ、なんやかやイベントは楽しく騒がしく過ぎていったという……。

 ……そして。
「うーん、あとひと味足りないなあ……」
 宴もたけなわ、楽しげな風景を眺めつつ。ロニ・グィーがつぶやいた。
 しっちゃかめっちゃかのクリスマス……ヒーロー……クリスマスヒーローショー(?)を経て、猟兵も奪還者も、子どもたちも大人たちも打ち解けていた。
 いまはちょうど、猟兵たちによるプレゼント配布タイムの真っ最中だ。
 子どもたちも、サプライズプレゼントを受け取る大人たちも、みんな笑顔。
 それは素晴らしい。素晴らしいけれど、まだ足りない。
 ロニはそう思っていた。うーん、うーん、と首を傾げて考え込む。
「あの、旦那……おれ、なんのために呼ばれたんで?」
「あ、キミはサンタ役だよ! みんなにプレゼントを渡してこないとね!」
「ええ……?」
 ロニに無理やり奪還者にさせられた(旧ヴォーテックスシティでの事件の話だ)元レイダーの強面は、サンタの仮装状態でうんざりした顔をした。
「なあに? 嫌なの? キミはあの景色に何も思わない?」
「…………いや、まあ」
「自由に生きて、自由に奪って、自由に与えればいいとはいうけどさ」
 ロニはくすりと笑う。
「与えるのだって、なかなか楽しいでしょ?」
「………………はあ」
 レイダーは口答えしないあたり、まんざらでもないらしい。
 困ったように彼は空を見る……はてな、空?
「それだー!!」
「え?」
「みんなー! ちゅうもーく!!」
 と、ロニは大きな声を出して、その場に居た皆の視線を自分に集めた。
 そしてロニはぴーんと人差し指を天に掲げてみせる。
「いまからみんなに、僕からとーーーーーっても素晴らしいプレゼントをあげよう!
 クリスマスという行事は、やっぱり「これ」があってこそ――だから、ね!」
 ぱちん、とフィンガースナップひとつ。
 すると空が……宵の口に入りつつあった空が、ふわりと晴れ渡った。
「わああ……!」
 めるは、この世界で生きてきて、初めてそんな景色を見た。
 ――雲ひとつない、満天の星空。
 そして降りしきる粉雪。
 体の温度を奪う、無慈悲な寒波ではない。
 冷たいけれどどこか温かい、心暖まるような、素敵な白い贈り物。
 それは広場の中心に設置された大樹に積み重なり、あっという間に白い化粧を施した。
「……ホワイトクリスマス、ですわね」
「なるほど。悪くないじゃあないか」
 ヴァレーリヤもレパイアも、ふっと微笑んだ。
「イエーーーーーイ! メリーーーーークリスマーーーーッス!!」
「「「めりー、くりすまーす!!」」」
 プレゼントを渡されたこどもたちは、にこやかな笑顔で合掌した。
 サンタの仮装をしたカタリナやフェルトは、顔を見合わせて微笑む。
 セツナも、7号も、多喜も……みんなが、空を見上げた。

 今日だけは、誰もが幸せで笑顔で居ていい日。
 だって今日は――楽しい楽しい、クリスマスなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月30日


挿絵イラスト