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ドロー&ゴー!

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #忌火起・レッカ #堕悪苦TCG #ゴッドペインター

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●決闘! 闇の遊戯!!
 それはキマイラフューチャーのある地域に今、大旋風を巻き起こしている超絶人気トレーディングカードゲームが熱い。
 超・エキサイティングなゲームで友達に差をつけろ!
 そんな謳い文句が在るのかどうかは定かではないが、たしかにキマイラフューチャーのある地域ではトレーディングカードゲームが流行していた。
 キマイラフューチャーのキッズたちは皆こぞってトレーディングカードゲームのパックを買い求め、路地裏で、ビルの屋上で、はたまた公園のベンチでトレーディングカードゲームに勤しんでいるのだ。

 それはある意味で熱しやすく冷めやすいキマイラフューチャーの住人たちにとって、恒例のものであったのかもしれない。
 動画サイトにはデッキ解説や実際のゲーム大戦の様子を中継したりと今や、その地域はキマイラフューチャーで今最もホットな場所となっていたのである。
「ふん、やっぱりな。キマイラフューチャーの連中は流行に流されやすい。キング・ブレインの言う通りだったぜ!」
 猟書家『忌火起・レッカ』はキング・ブレインの目論む『アクの組織連合による世界征服』を実現すべく、キマイラフューチャーのある地域に『闇のTCG(トレーディングカードゲーム)』を流行させた張本人である。

 キマイラたちはいつだって娯楽に飢えている。
 であれば、彼等にトレーディングカードゲームなどと言う勝負しても良し、コレクションしてもよしな娯楽を与えればどうなるかなんて火を見るより明らかである。
 瞬く間に流行の最先端となったトレーディングカードゲームは、キマイラの間で知らぬものは居ないものとなっていた。
「此処までくればもうこっちのもんだよな。幸いにこの地域にはゴッドペインターたちが大勢いる。神絵師ってやつだ。そいつらに『究極のカード』を描かせるには……」
 そう、それこそが『忌火起・レッカ』の本当の目的。

 今、この地域は『トレーディングカードゲームで何でも決める空間』へと変異している。彼がカードを与えた怪人たちが次々とゴッドペインターたちに勝負を挑んでいる。
 怪人たちが敗けることは最早ありえない。
「なぜなら、このオレ様が構築した闇と火の虐殺デッキを与えているからな!」
 高笑いする『忌火起・レッカ』。
 そう闇と火。
 それは永遠の少年が抱く危険な香りのする響き。誰もが黒に憧れ、闇色に染まる。ファイアパターンの入った物を見れば心が高鳴るというもの。

「アハハハ! 笑いが止まらんぜ! この世は闇と火が支配するトレーディングカードゲーム世界! そうオレが作り変えてやるぜ! ゴッドペインターの描いた『究極のカード』でなぁ!!」

●切り札は常に猟兵の手に
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であったが、今の彼女は何故かおたおたとしていた。
 彼女にしては珍しい出迎え方である。
 そんな彼女の手にあるのは数枚の札であった。それは俗に言うトレーディングカードゲームというものであったが、猟兵たちの中にはそれを知る者もいれば、知らぬ者もいるだろう。
 そのカードは今、キマイラフューチャーのある地域で流行りに流行っているカードゲームのカードなのだ。
 美麗な絵柄のカードは見るものの心を惹きつけることだろう。
「あ! 皆さん、お集まり頂きありがとうございます。今回はキマイラフューチャーに現れた猟書家『忌火起・レッカ』による事件を解決していただきたいのです」
 ぱっとナイアルテは手札を隠した。
 何を隠す必要があったのか定かではないが、彼女の話を聞くとキマイラフューチャーではやっているトレーディングカードゲームが今回の事件の肝であるのだという。

「はい、今回のキマイラフューチャーにて台頭した悪の組織『堕悪苦(ダーク)TCG』の首領である猟書家『忌火起・レッカ』は配下を『カードゲーム怪人』に改造し、ゴッドペインターの皆さんを狙っているのです」
 彼の目的は『究極のカード』を描かせること。
 それが如何なることで世界征服に繋がるのかはナイアルテにはイマイチ理解できていないようだった。いんだよ、そういうホビーで世界征服を目論む人が居ても。

「私の予知したのは『全てをトレーディングカードゲームで決める空間』となった場所でゴッドペインターの皆さんがカードゲーム怪人にカードゲームで敗れ、連れ去られようとしている危機一髪の瞬間です。この空間に皆さんを送り込むことは即ち、カードゲーム怪人の土俵で戦わねばならぬということ」
 ナイアルテはその手にしたカードの札束を見せる。
 そう、今回の戦いは切った張ったではないのだ。『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』であるが故に、オブリビオンとの戦いも『カードゲームの勝敗』で決める。
 怪人たちのユーベルコードはカードの切り札。そして猟兵たちのユーベルコードもまたカードの切り札として扱われる。
 勿論、猟兵たちが持ち込んだ品物、装備品などもカードとして扱われる。

「皆さん自身の力、持ち物全てが皆さんのデッキなのです」
 なるほど、と一人の猟兵が得心いった顔で頷く。
 己たちの力をカードに見立て、それによってカードゲーム怪人を打ち倒せということなのだろう。
 そのとおりです、とナイアルテが微笑む。
 その表紙に彼女の手にしていた札束がオープンにされる。その手札の中にあったのは、土地の絵柄の乗ったカードばかりであった。
「……ち、違うのです」
 え、何が。
「こ、これは……何度引き直しても、土地の絵柄のカードばっかりくるんです! 私にもよくわからないのですが、こうなってしまうんです!」

 ナイアルテは顔を真赤にしながら猟兵たちを転移させていく。
 所謂事故というやつだろう。きっと彼女はこの手の遊戯には不向きなのだ。それを悟られたくなくて手札を隠していたのだろう。
 猟兵たちはそんな彼女に見送られて、キマイラフューチャーへと降り立つのだった。

「……私はもしかして、運が悪いのでしょうか……」
 はぁ、とため息を付いてナイアルテは綺麗な土地カードばかりを眺め、すごすごと転移の力を維持し続けるために集中するのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はキマイラフューチャーにおける猟書家との戦いになります。『堕悪苦TCG』で何でも決める空間となった街でカードゲーム怪人と猟書家『忌火起・レッカ』が狙うゴッドペインターを助け出すシナリオとなっております。

 ※このシナリオは二章構成のシナリオです。

●第一章
 集団戦です。
 基本的にバトルです。皆さんはゴッドペインターを打ち負かし、連れ去ろうとするカードゲーム怪人たちの前に立ちふさがるところから開始されます。
 皆さんのユーベルコードやアイテム等全てカードゲーム用の『カード』として扱われます。
 カードゲーム怪人たちのユーベルコードもまた同様です。
 そのユーベルコードはデッキにおけるキーカード、あるいは一発逆転の切り札とも言うべきものです。
 この叩かに勝利し、彼等を撃退しましょう。

 なお、ゴッドペインターはその場に留まり応援してくれます。逃げないです。なぜなら、猟兵の皆さんはキマイラフューチャーにおいて誰もが知るヒーローであるのです。
 活躍を間近に見るために逃げようとはしないのです。

●第二章
 ボス戦です。
 カードゲーム怪人を打倒した皆さんは、悪の組織『堕悪苦TCG』の本部である『謎のカーバトル空間』へとゴッドペインターたちと共に引き込まれてしまいます。
 第一章と同様に、この空間でも皆さんのユーベルコード、アイテムはカードと同様であり、同じ理屈で戦わねばなりません。

 ※プレイングボーナス(全章共通)……ゴッドペインターに応援される(猟兵のカードにすごい絵を描いて貰えれば、何故か強化されます。理屈は謎ですが、そういうものらしいです)

 それでは闇の遊戯である『堕悪苦TCG』を用いた戦いでの皆さんのデッキが火を吹くぜ! という物語の一片となれますようにいっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『押し込みクーリエズ』

POW   :    パック!
【味方に声掛けをしてタイミングを合わせて】から【一斉に突撃してダンボール箱やロープ】を放ち、【無理やり梱包すること】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ライド!
【味方の押す台車に乗る(※危険です)】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    デリバリー!
いま戦っている対象に有効な【グッズ(プレイングで指定可能)入りの箱】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。

イラスト:sio

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「フゥーハハハハ! 我々の勝ちだな! 約定通り、我々のために『究極のカード』を描いてもらおうか!」
 キマイラフューチャーのある地域、其処は今や『なんでもトレーディングカードゲームで決める』空間へと変貌を遂げていた。
 そこにあるのは悪の組織『堕悪苦TCG』から放たれたカードゲーム怪人たち。
 彼等の目的はゴッドペインターに『究極のカード』を描かせること。
 美麗なるレアカードが大量生産できれば、資金も何もかも思い通りである。それこそ世界征服だってなんだって可能なのだ。

「い、いやだ……! お前達のようにトレーディングカードゲームをただの道具、手段にしか見ていない奴等にそんなこと……!」
 この地域に住まうゴッドペインターたちは抵抗したのだ。
 だが、『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』においては、カードゲームの勝敗こそが絶対。
 カードゲーム怪人に敗けたゴッドペインターは従わざるを得ない。
「ええい、往生際が悪い! かくなる上はこの箱詰めにしてでも連れ帰るのみ! であえい! 皆のもの!」
 わらわらと何処からともなく集まってくるカードゲーム怪人『押し込みクーリエズ』 たち。
「貴様はこれから我ら専属の神絵師として、一生『究極のカード』の絵柄を書き続けるのだフゥーハハハハ!!!!」
 極悪なる所業。
 なんたる酷い仕打ち。
 二十四時間PCデスクの前に座らされ、ペンタブを操作し、ペンだこができても構わずイラストを書き続けるだけの生活……ある意味でゴッドペインターたちにとっては、それはそれでいいかもと思うものであったかもしれない。

 だが、そのイラストが、『究極のカード』が悪用されてしまうなんてそんなこと許されていいはずがない。
「だ、誰かー! 誰か助けてー!!」
 その助けを求める声は、世界の悲鳴として、どこかにいる……そう、超絶かっこいいヒーロー。
 即ち猟兵の耳へと届くのだった。

 そして今始まる。
 猟兵とオブリビオンたちによる熱きカードバトルの決戦が幕を開けるのだ――!
月夜・玲
やべーぞ!
このままじゃファラオの呪いでパワー9な先導者達の世界になっちまうぜー!
おっとどきなどきな、こっからは全部デュエルが支配する世界になるんだぜーっ!

そこの梱包野郎ども!
ま・ち・な★
そんな極悪環境での労働はさせないんだぜー!
ここは神絵師を賭けてデュエルだぜー!
語尾は気にするなだぜー!

あ、デッキ用意するからちょっと待って
ごめんゴッドペインターくん
今から即納でデッキのイラスト描いて!
世界の平和は君にかかってる!

待たせたんだぜー!
いざデュエル!
私は装備カードブブゼラを装備!
そして切り札、【Call[Unit01]】を発動だぜ!
そしておっさん達と連携してブブゼラを演奏

音波で敵の脳を破壊するんだぜ★



 キマイラフューチャーに激震走る!
『闇のTCG』――そう、闇の卵かけご飯! いや違う!
 トレーディングカードゲームの旋風が巻き起こり、今や街の一角は『何でもトレーディングカードゲームで決める空間』へと様変わりしていた。
「一般人はどいておけい! 今から此処は戦場になるんだからな!」
 カードゲーム怪人『押し込みクーリエズ』が四角いダンボールの頭をヘッドバンキングしながら通行人たちを威嚇する。

 すでに街のあちこちではゴッドペインターを狙って勝負を仕掛け、彼等を連れ去ろうとするカードゲーム怪人たちで溢れかえっていた。
 通行人たちは恐れおののき、これから一体全体どうなってしまうんだと悲嘆にくれた。
 だが、その悲嘆に応えるのが猟兵である。
「やべーぞ! このままじゃファラオの呪でパワー9な先導者たちの世界になっちまうぜー!」
 いつも以上におかしなテンションのまま転移してきたのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)であった。
 体のあちこちにシルバーのアクセを巻いたりした雰囲気の彼女。
 いや、違うのだ。
 いつもの彼女はこんなんじゃない。割とマジで美少女猟兵なのだ。でも今は違う。だいじょうぶ? もうひとりの僕とか目覚めたりしてない?
 そんな要らぬ心配をしてしまいそうな雰囲気であったが、そのノリはカードゲーム怪人と同じテンションであった。

「おっとどきなどきな、こっからは全部デュエルが支配する世界になるんだぜ! そこの梱包野郎ども! ま・ち・な★ そんな極悪環境での労働はさせないんだぜー!」
 ドンッ★
 今なんか擬音が見えなかった? 幻覚? いや、この『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』ではこれが常識!
「ぬぅ! 猟兵が嗅ぎつけてきたか! だが、ここは『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』! 如何な強力な猟兵と言えど、こちらの土俵に引きずり込めば!」
「そう! そのとーり! ここは神絵師を賭けてデュレルだぜー! 語尾は気にするなだぜー!」
 若干おかしなテンションだなって心配していたが、誰に言うでもなく玲はなぞのカメラ目線で決めポーズをとる。

「ならばデュエル・スタンバイ!」
 あーもーめちゃくちゃだよ。権利とかだいじょうぶかな。思いっきりデュエルとか言っちゃってるし。決闘と書いてデュエルって読むやつだし。
「あ、デッキ用意するからちょっとまって」
 今まさに熱き決闘が繰り広げられんとした瞬間、玲が素の顔で制止する。
 つんのめりそうになるカードゲーム怪人たち。こそこそと玲はゴッドペインターのキマイラに耳打ちする。
「ごめんゴッドペインターくん。今から即納でデッキイラスト描いて! 世界の平和は君にかかってる!」
 キラリと謎の効果が入りつつ、玲はとんでもないことをいう。
 納期:今。
 みたいなそんな案件ある?

 だが、それでもゴッドペインターは頷いた。
 だって猟兵はキマイラフューチャーのキッズたちにとっては憧れのヒーロー。そのヒーローが自分に描いてというのだ。
 これが燃え上がらぬわけがない。燃えるに決まってる。
 凄まじい速度で書き上げるゴッドペインター。玲はこれでなんか商売できないかなと思案顔をしている。いや、悪い顔してるな! ここだけ画風かわってるじゃん!と突っ込まれても否定できない。

 だってしょうがない。
 そういう世界になってるんだから!
「で、でひまひた……!」
 ゴッドペインターが息も絶え絶えにデッキケースを玲にわたす。それを見て玲はうんうんと満足げに頷いてから決め顔で言うのだ。
「待たせたんだぜー! いざデュエル! 私は装備カードブブゼラを装備! そして切り札! Call[Unit01](コール・ユニットゼロワン)を発動だぜ!」
 初手から切り札を切る玲。

 ちょっとまってあんまりな展開ではないだろうか。そんなことをカードゲーム怪人たちがのたまおうとするもう遅い!
 ワンターンキルはもう始まっているのだ。
「コール…何か変なやつ!」
 玲のフィールドに現れるブブゼラを吹くおじさんたち。え、まじでなんなのこのおじさんたち。え、だいじょうぶなやつ? ほんとに禁止カードとかじゃない?

「そんじゃ、い・く・ぜ★」
 ドンッ★
 一斉鳴り響くブブゼラの快音がキマイラフューチャーに鳴り響き、カードゲーム怪人のライフを一気に0にまで叩き込む。
「ブブゼラ音波で脳を破壊する無限コンボの前にワンターンキルなど造作もなし! なんだぜー!」
 ひどい。ひどすぎるワンターンキル。これは引退不可避。
 そんな玲のブブゼラデッキはこの後キマイラフューチャーに席巻するが、キーカードの尽くが禁止カードにされて幻のデッキとなるのはまた別の話である――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネミ・ミミーニーズ
いろいろおまかせ

ドロー&ゴーとかそんなお里が知れるようなお上品なプレイをしてよろしいのですか?

そんなこんなでカードしに来ました。え?救助?

とりあえず最初のターンに独楽だけ置いて相手ターンの妨害に徹しますね。
【ネミ先生のミラクル占い】で毎ターン山札操作しつつプレイ。

オシャレでお強そうな究極のカードではございませんか。『打ち消されない』って書き忘れていらっしゃるようですが。

相手のリソースが切れていい感じになったら山札から奇跡を起こしましょう。大丈夫、ちょっと人が死ぬ量の天使が駆けつけるだけです。
ネミさんくらい徳を積むと毎ターン欲しいカードが引けるようになるんですよ。(めっちゃ山札Lookしつつ)



 キマイラフューチャーに悲鳴が響き渡る。
 それはカードゲーム怪人『押し込みクーリエズ』が『なんでもトレーディングカードゲームで決まる空間』においてゴッドペインターに勝負を挑み、打倒した結果、彼等を段ボールボックスに梱包して攫おうとしていたからである。
 いくら『なんでもトレーディングカードゲームで決まる空間』と言えど、やってることは誘拐。犯罪である。犯罪、ダメ、絶対!
 だが、悪の組織である『堕悪苦TCG』にとって、法など破るためにあるのである。グレーゾーンとか、法の穴とか、抜け道をくぐるようなことはしない。
「そう! 正々堂々トレーディングカードゲームでの勝負に勝利してこそ! 我々の火と闇のデッキの前には何者も勝利などできようものか!」
 フゥーハハハハ!!!!!
 うるせぇ。
 そんな笑い声が木霊する。ゴッドペインターはこれから二十四時間、PCデスクの前に縛り付けられて『究極のカード』の絵柄をずっと描かされるのだ。
 眠眠打破とかエナジードリンクとか背中に翼が生える系のやつばっかり飲まされたり食べさせられたりして不眠不休でカードの絵柄ばっかり欠かされ、たまにちょっと趣味入った落書きとかしてすごさないといけないのだ!

「フゥーハハハハ!!! ドロー&ゴー! それ今日も山札からカードを捲る手がとまらぬわい!」
 だが、そんな無法を許さぬ者がいる。
 そう、猟兵である!
「ドロー&ゴーとかそんなお里が知れるようなお上品なプレイをしてよろしいのですか? 闇と火のデッキ使いがよくもまあ、そこまでお上品になれたものです」
「ぬぅ! 何者だ!」
 何処からともなく響き渡る声。
 カードゲーム怪人たちは訝しむように周囲を見回し、その声の主を探す。
 だが、ここは路地裏。
 高い雑居ビルの隙間だ。出入り口には誰も折らず、光が僅かに差し込むこの路地裏において、一体どこから――。

「此処ですよ。とぅ――!」
 雑居ビルの屋上から華麗に飛び降りてきたのは、ネミ・ミミーニーズ(蒸気打ちの妖精・f00595)であった。
 ヒーローがよくやる着地の仕方でさっそうと現れた彼女の手にはデッキケース。
 そう、此処は『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』。
 何事も為すにはトレーディングカードゲームのデッキがなければ始まらないのだ。
「そんなこんなでカードしに来ました」
 ばぁーん!
 決め顔で言っているが、救助忘れないでね。ゴッドペインターさんの。え、マジで忘れてる? ほんとにトレーディングカードゲームしにきただけ!?

 あれ!?
 ほんとに? なんかつつがなくゲームのスタンバイ進んでるんだけど!?
「とりあえず最初のターンに独楽だけ置いてターンエンドです」
 マジで進んでる! 地の文が追いつかない展開!
「ほう、妨害デッキというわけか。だが! 我らの闇と火のコンボデッキの前では! ドロー!」
 カードゲーム怪人もネミもまるでこちらの意を介していないようにトレーディングカードゲームが開始されている。
 まじかよ。

 だが、ふざけている場合ではない。ゴッドペインターさんもネミを応援してくれている。
「ちょっと独楽Lookしますね」
「ファッ!? なぁにー!? まさかこの『究極のカード』が打ち消されるだと!?」
「おしゃれで強そうな究極のカードではございませんか。ですが、『打ち消されない』って書き忘れていらっしゃるようですね?」
 そう、如何に『究極のカード』であっても、フレーバーにないことは効果を発揮しない。強力なカードであったとしても、打ち消せるのだ。
 そう、カウンタースペルならね!

「貴方の敗因は唯一つ。自身のリソースを活かす前に私に独楽LOOKさせたこと。このカードの効果は!」
 そう、カード名:ネミ先生のミラクル占い(ソノトキフシギナコトガオコッタ)。
 これは先生の占い独楽で未来を確認することができる。
 え、なにそれずっこくない?
 すでにネミの瞳にはカードゲーム怪人の手札の内容など透けて見えるが同然である。
 そう、彼女は毎ターン山札を操作しつつプレイしていたのだ! 勝てるわけがない!

「さあ、ここからです。あなたの山札はロックしていますし……私のリソースは増えるばかり! ネミさんくらい徳を積むと毎ターン欲しいカードが引けるように成るんですよ」
 いや、めっちゃ山札操作しておりました。
 だが、ネミのフィールドに展開された大量の天使たち。そう、戦いは結局の所物量である。
 ぶん殴ったら勝つのである。
 大量の天使たちの姿。それが、カードゲーム怪人たちの見た最期の光景であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
なるほど完全に理解しました。
…可愛いでもカッコいいでもいいので、カード絵、お願いします。

炎の方に乗っかかりましょう。【呉蜀同盟】にちょうどいい。
狙いの発動には十枚の人物カード、川の地形カード、船団カード、三枚の罠カード必要なんですよ。
あ、相手に船団カードが。さらにこちらの人物を一人、勧誘するカード出されて勧誘され…。

一個目の罠発動、連環の計。その人物を勧誘した時、勧誘した側に船団配備ならば発動する!
で、二個目と三個目の罠いきますね。東南の風+火計(風&火属性攻撃)です。レッツファイア。
(UC【呉蜀同盟】発動)
…つまりは赤壁デッキなんですよこれ。内心、複雑ですけど(※魏推し)



 キマイラフューチャーに降り立った猟兵、荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は張り切っていた。
 彼女がバトルゲーマーであることも起因していたのだろうけれど、キマイラフューチャーのある地域に『なんでもトレーディングカードゲームで決まる空間』があるというのがまた興味をそそるものであった。
 シャーマンゴーストである彼女の表情は、通常の者たちにとっては分かりづらいものであったのかもしれないが、それでも彼女の顔から溢れる楽しげな雰囲気は、殺伐とした勝負の世界に清涼たる風を送り込むのだ。
「なるほど完全に理解しました」

 そんな彼女が今直面しているのは、カードゲーム怪人『押し込みクーリエズ』に敗北したゴッドペインターが今まさに段ボールボックスに梱包されてどこかへ連れ去られようとしている場面であった。
「何奴! ……いや、本当に何奴!?」
 カードゲーム怪人たちはシャーマンゴーストを見慣れなかったのだろう。
 檬果を前にしてたじろいでいた。その一瞬の隙に彼等から段ボールボックスに梱包されかけていたゴッドペインターを奪還し、助け出すのだ。
「せっかくの楽しいカードゲームを世界征服の手段にしようとする悪者をやっつけるヒーローとでも名乗っておきましょう」
 今の所、現れた猟兵の中で一番ヒーローらしい雰囲気で檬果はゴッドペインターを開放し、下ろす。

「トレーディングカードゲームで何でも決まるのであれば、ここで貴方達を止めましょう……あ、かわいいでもかっこいいでもいいので、カード絵、お願いします」
 まさかのデッキ不所持。
 だが、ここにいるゴッドペインターをなめてもらっては困る。キマイラフューチャーにおいて猟兵とは超絶かっこいいヒーローである。
 そんな彼等にお願いされて、燃え上がらぬゴッドペインターはいない。コクコクと頷いたゴッドペインターの筆が尋常ならざる勢いでデッキカードの絵柄を構築していく。
 時折、檬果の趣味が入り混んだりなんやかんやあったが、滞りなくデッキが完成する。

 まさに戦隊モノの変身バンクシーンのように律儀に待っていてくれるカードゲーム怪人たちにも感謝だ!
「では、まいりましょう。あなたが闇と火のデッキを使うのなら、炎の方に乗っかりましょう。呉蜀同盟(アカクアカクモヤセ)デッキ!」
 檬果の手に輝くは赤と緑色のデッキ。
「罠デッキ……! 相手に取って不足なし!」
 カードゲーム怪人は手札を展開する。
 この勝負に乗った時点で檬果のペースに乗っけられているということを理解していないのだろう。

 カードゲーム怪人はその名に恥じぬゲーム展開をしていた。
 船団カードを繰り出し、さらに檬果の人物カードを勧誘し引き込むカードを繰り出す。
 一見、彼女が劣勢に見えるが檬果は慌てることなかった。
 冷静を装っているのか、それとも何かを狙っているのか。それがカードゲームの駆け引きというやつであろう。
「そのカードを引き込みましたね?」
 ふふ、と楽しそうに笑う檬果。そう、人物カードを引き込むカードが相手の手にあるのはわかっていた。
 略奪と破壊。
 それこそが闇と火のデッキの特徴。ならばこそ、それを逆手に取るのがカードゲームの醍醐味、闇と火のデッキにメタを張ったデッキ構成にするもまた楽しみの一つであろう。
 そう、戦術というやつである。

「一個目の罠発動。連環の計。その人物を勧誘した時、勧誘した側に船団配備ならば発動する!」
 それは発動条件がピーキーすぎて誰も遣わぬカードであった。
 だが、こと条件さえ揃えば、そのコンボは誰も防ぐことはできないのだ。
「ぬぅーにぃー!? だが、そのカードだけでは……!」
「ええ、ですから、二個目、三個目の罠といきますね。東南の風と火計……このカードの効果はもうご存ですね? レッツファイア」
 その切り札のカードがユーベルコードに輝く。
 それはただのエフェクトであったのかもしれない。だが、カードゲーム怪人たちの瞳にはしっかりと映っていた。

 消えぬ炎、勢いを増す炎が、己たちの船団を尽く焼き付くしていく光景を。
 もはやカードゲーム怪人たちの場に残ったカードは灰燼に帰し、檬果の人物カードから放たれる攻撃を防ぐ手立てはない。
 体制を崩されたカードゲーム怪人のライフはたちまちにゼロになるのだ!
「……まあ、つまりは赤壁デッキなんですよこれ。内心複雑ですけど」
 そういって勝利を納めた檬果は微妙な顔に成る。
 なぜなら、彼女は魏推しなのである。
 自分の推しがしてやられた出来事の名がつくデッキでの勝利。それはメタを張った結果であるけれど、その勝利は勝利である。
 ちょっと複雑な乙女心と秋の空なのである――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
…まあ、この世界なら頷けます
私も別のTCGで戦ったことがありましたし…

(切り替えて)
騎士としてこの世界の平穏護る為、山札を盾に、手札を剣に
いざ、尋常に!

機械馬ロシナンテⅡ召喚
遠隔操縦による速攻です!
やはり梱包されましたか…!

ですが、それを待っていました
『梱包』でそちらにコントロールが移る前の機械馬を対象に『戦闘用物資収納スペース』を既に発動していたのですから

※発動はちゃんと宣言しましょう

効果は手榴弾を選択
さらにUCで攻撃力5倍、射程は半分…そちらのライフのみ

コントロール転移からのバーンでライフを削り取らせて頂きます
起爆!

許せ…ロシナンテⅡ…

カードなので戦闘後に使い減りしないのはやはり便利ですね



『なんでもトレーディングカードゲームで決まる空間』。
 その言葉だけで一体何が起こっているのかを把握できるものは少ないだろう。いや、誰だって当惑するはずだ。
 どゆこと?
 そんな風に考えてしまう者たちはいても、いざ目の前に楽しそうな娯楽が転がっていたら飛びつかざるを得ないのがキマイラフューチャーの人々である。
 いつだって刺激的な娯楽が在れば、例えそれが危険なことでもやってしまう。キマイラとは得てしてそういう生命であるのかも知れない。
 だからこそ、ゴッドペインターたちはカードゲーム怪人『押し込みクーリエズ』たちから挑まれた勝負を断れない。
「これで我らの勝ちだ! 滅びのなんちゃらかちゃらストリーム!」
 権利のたぐいのことをしっかり考えてくれるカードゲーム怪人のはなった闇と火のデッキの力が火を吹くようにゴッドペインターのライフを削り取る。

「さあ、ゴッドペインターよ。我らとともに『究極のカード』の絵柄を二十四時間体制で描いてもらおうか!」
 そんなわけのわからないやり取りをトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、まあこの世界なら頷けると納得していた。マジか。
「私も別のTCGで戦ったことがありましたし……」
 それ本当にトレーディングカードゲーム? 卵かけご飯じゃなく? そんな疑問もほどほどにしておかないとゴッドペインターが拐かされてしまう。

 ウォーマシンらしい切り替えの速さでトリテレイアはゴッドペインターとカードゲーム怪人の間に降り立つ。
「ここが『なんでもトレーディングカードゲームで決まる空間』であるというのならば、その狼藉、私を倒してからにして頂きましょうか」
 颯爽と降り立つ白の騎士。
 それはゴッドペインターにとって救世主そのものであった。此処キマイラフューチャーにおいって猟兵とは超絶かっこいいヒーローなのである。
「ぬぅ! いいところで邪魔を! 我ら『堕悪苦TCG』の野望を邪魔するか、猟兵! だが、この『なんでもトレーディングカードゲームで決まる空間』において我らの持つ闇と火のデッキは最強! 貴様など鉄屑にしてくれるわ!」
「その意気や良し、です。騎士としてこの世界の平穏を護るため、山札を盾に、手札を剣に。いざ、尋常に!」

『――勝負!』

 互いの言葉が重なり、トリテレイアとカードゲーム怪人の決闘が始まる。
 共に手札を広げ、雷雲蠢く戦場にありてゴッドペインターが状況も忘れてはしゃいでいるのは戦いに挑む騎士であるトリテレイアを高速スケッチで応援しているからである。
「機械馬ロシナンテⅡ、召喚。遠隔操縦に寄る速攻です!」
 場に召喚された『機械馬ロシナンテⅡ』が嘶くようにして戦場を駆け抜け、カードゲーム怪人にダイレクトアタック!
 よろめくカードゲーム怪人であったが、にやりと笑う。
 次の瞬間、『機械馬ロシナンテⅡ』が段ボールボックスに梱包され、瞬時にカードゲーム怪人の手元に飛ぶ。

 それはトラップカードである。
 インスタントに発動できる罠によってトリテレイアの戦力が奪われてしまったのだ。
「やはり梱包されましたか……!」
「ふん! 我らのデッキは闇と火! 相手の場をかき乱すことこそ本領よ! 貴様の戦力はこちらが頂いて――」
「ですが、それを待っていました」
 なにぃ!?
 トリテレイアにとってそれは不利なる状況であった。
 だが、彼は一つも慌てていなかった。今だ切り札は彼の手札の中にある。そう、それこそがキーカード、電子と鋼の武芸百般・設定変更運用(システム・マルチウェポンマスタリー・イレギュラー)である。

「『梱包』でそちらにコントロールが移る前の機械馬を対象に『戦闘用物資収納スペース』を既に発動していたのです」
 まさかのどんでん返し。
 いや、まじで宣言した? え? した? ならしょうがないなぁ。
 なぞのジャッジマンが現れてタスク処理してくれる。便利なだな、『なんでもトレーディングカードゲームで決まる空間』。一家に一台欲しい……!
 本当に発動はちゃんと宣言しましょう。
 リアルファイトという名の喧嘩になってしまうからね! みんなは仲良くカードゲームしようね! トリテレイアさんとの約束だ!

「ばかな! それでは、この梱包されたのは……!」
「ええ、効果は手榴弾を選択。さらにキーカードによって攻撃力を5倍。射程は半分……そう、こうすれば私のフィールドには被害は及びません。そちらのライフのみに打撃が入るという寸法です」
 そう、それこそがトリテレイアの戦術であった。
 コントロールを奪われることを織り込んだ戦術。転移した瞬間に効果を発動させ、その爆発に寄って相手のライフを削り取る一撃必殺のコンボなのだ!

「許せ……ロシナンテⅡ……」
 その自爆攻撃じみた爆風に寄ってカードゲーム怪人のライフは0に。
 騎士道とは離れたトリッキーな戦い方をするデッキであったが、トリテレイアは逆に便利だなと感じていた。
 なぜなら、カードであるがゆえに戦闘後に使い減りしないのがいいと判断していた。合理主義……此処に極めり! である――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
カードゲームとは腕が鳴るじゃねえかッ!
「目的を忘れないでね。ゴッドペインターの人を助けに来たんだよ?」
分かってるぜ、相棒。
何せ俺の『式神デッキ』のイラストを描いて貰わないといけねえからなッ!
と言う訳でいっちょ格好いいヤツを頼むぜゴッドペインターッ!

俺のターン、ドローッ!
手札から『式神使い』を発動ッ!
手札かデッキから式神が付くカードを特殊召喚するぜ。

俺は『式神【戦駆け劔武者】』を召喚。
こいつの特殊効果、高速移動で相手の場のカードの数だけ攻撃可能ッ!
更に装備カード『霊鋼の薙刀』を付けて破魔の効果で闇カード相手に攻撃力アップッ!
闇を斬り裂け、戦駆け劔武者ッ!
「・・・ノリノリだね。」

【アドリブ歓迎】



 キマイラフューチャーに悪の組織『堕悪苦TCG』の魔の手が迫る。
 彼等は『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』を悪用して、ゴッドペインターに勝負を挑み彼等に勝利することで『究極のカード』を二十四時間体制で描かせ続け、量産された『究極のカード』を用いたデッキでキマイラフューチャーの世界を征服しようと目論んでいたのだ!

 その恐ろしき計画を知った神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)はノリノリであった。
 もうそれはびっくりするくらいのテンションの高さで、依代である神代・桜をして目的を忘れてしまうのではないかと危惧するほどであった。
「カードゲームとは腕が鳴るじゃねえかッ!」
 凶津は此処ぞとばかりに呵呵と笑う。テンションがうなぎ登りである。そう、コレクターである少年の心を持つ男性であれば、皆そんな気分にもなろうものであろう。
 それをたしなめる桜は、女性である。
 彼に対して理解はあれど、若干だいじょうぶかと訝しんでさえいた。
「目的を忘れないでね。ゴッドペインターの人を助けに来たんだよ?」
 そんな桜であったが、まあ、彼女もちょっと凶津のテンションに引っ張られているのだろう。

 公園のベンチでゴッドペインターを下したカードゲーム怪人『押し込みクーリエズ』たちの目の前で桜はこんこんと凶津に今回の目的を差としていた。
「わかってるぜ、相棒。何せ俺の『式神デッキ』のイラストを描いてもらわないといけねぇからなッ!」
「猟兵か! 我らの邪魔ばかりを! だが、貴様のデッキは完成しない! なぜなら、ゴッドペインターは我々が梱包……ってあれ――!?」
 名乗り口上の途中で桜がゴッドペインターを救出していたのだ。
 なんたることでしょう。
 カードゲーム怪人たちは不意を突かれたこともそうであるが、桜の早業の如き救出劇に舌を巻いた。
「やるな……! だが此処は『なんでもトレーディングカードゲームで決まる空間! 我らが貴様らに勝利し、ゴッドペインターを取り返せば済む話! 我らの闇と火のデッキは最強なのだ!」

「――いえ、その。単純に隙だらけだったものだから」
 桜はたじろぐ。普通に救出できてしまったのだけれど。なんだろう、微妙に調子の狂う空間である。
 そんな桜の戸惑いをよそに凶津は勝手にゴッドペインターと交渉を介ししている。
「という訳で、いっちょかっこいいヤツを頼むぜゴッドペインターッ!」
「は、はい! 猟兵さんのためにがんばります!」
 そう、ゴッドペインター……此処、キマイラフューチャーにおいて猟兵とは世界を救った超絶かっこいいヒーローなのだ。
 そんなヒーローを題材にカードの絵柄を描けるのは光栄なことなのだろう。

 超絶為る速度で書き上げられたカードデッキが、すぐさま凶津と桜の手の内に納められていた。
「またせたなッ!! 行くぜ、カードゲーム怪人ッ!!」
「ならば、勝負!!」
 カードゲーム怪人と凶津。
 二人のテンションに桜は若干ついていけないが、しっかりと凶津の代わりに手札をめくる。
 よくわからない。
 ほんと細かいルールが多すぎて桜は目が回りそうになっていた。だが、心を通わせたヒーローマスクと依り代である。
 凶津の意図は以心伝心でつたわる。
「俺のターン、ドローッ! 手札から『式神使い』を発動ッ! 手札かデッキから式神付くカードを特殊召喚するぜ!」

 凶津の宣言がバトルフィールドに木霊する。
 まだ大型のカードが場に出せぬ序盤である。だが、彼の持っていた『式神使い』は変則的であるが序盤に存在するはずのない大型のカードを場に召喚することが出来る。
 いや、まじでずるない? ここはカウンタースペルするっきゃない……が、悲しいかな。カードゲーム怪人たちのデッキは闇と火である。
 破壊と撹乱は得意であっても除去や打ち消しのカードは皆無なのである。更に序盤であるがゆえに大型カードを除去するすべがないのだ!

「ま、まさか……貴様、そのカードは――!」
 そう、そのまさかである。
『究極のカード』に近いカードをもつ強力なるカード。
 すでに凶津の手札には切り札が来ていたのだ。
「速攻! いくぜっ、相棒ッ!!」
「・・・式、召喚。『戦駆け劔武者』」
 桜の言葉によりバトルフィールドに降り立つは、式神【戦駆け劔武者】(シキガミ・イクサガケツルギムシャ)。
 召喚されてしまえば、相手の攻撃は殆ど通らず、除去しようとしても打ち消す効果を持つ。

 それだけでも破格の性能。ぶっ壊れ性能ってやつです
「さらに装備カード『霊鋼の薙刀』をつけて破魔の効果で闇カード相手に攻撃力アップだッ!」
 まさにメタカード!
 闇と火にメタを張りまくった式神デッキ! その中核をなすカードの全てが凶津の初手の手札に存在していた。
 もう其処からは腐ってもカードゲーム怪人である。サレンダーするところをしっかりと最後までバトルをする。
 そこだけはなんか好感が持てたが、此処は勝負の世界である。

「闇を切り裂け、戦駆け劔武者ッ!」
 凶津の声が響き、薙刀の一撃がカードゲーム怪人のライフを散々に切り裂き、勝利を掴み取ったのだ。
「……ノリノリだね」
 桜の僅かに若干引いたような、呆れたような、そんな声色だけが凶津を現実に引き戻すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロア・メギドレクス
高速戦闘……即ち速攻か
よかろう。序盤はくれてやる

余は手札から贄竜を召喚
続く手番でマジック「連鎖する咆哮」を使用。山札から更に2体贄竜を呼ぶ
盤面形成を優先し、ライフダメージは死なない限り素通しだ

整った。では余の手番だ
余は手札より獄竜タルタロス・レックスを召喚
このユニットはアタック時にこのユニット以下のパワーをもつユニット一体を破壊することで[未行動]になる。
アタックだ。汝のユニットを破壊しアンタップ。そして再攻撃。盤面を食い荒らす
もう全滅したか。ではここからは直接攻撃だ
攻撃時、余は自分の場の贄竜を破壊しTレックスをアンタップ
うむ。死ぬまで攻撃を受けよ

救出?
まあ、どうとでもなろう。それよりバトルだ



 トレーディングカードゲームとは即ち、他唯一人では遊ぶことの出来ぬ遊戯である。
 だからこそ、人は集まり互いの構築したデッキでもって勝敗を争う。
 時にそれはリアルファイトへと発展することもあろうが、それもまた一つの文化であろう。

 ――いや、喧嘩はだめでしょ。

 だが、今やキマイラフューチャーのある地域は違う。
 そう、此処は『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』へと悪の組織『堕悪苦TCG』によって変貌を遂げた戦場なのだ。
 通行人は引っ込んでな! とカードゲーム怪人 『押し込みクーリエズ』の四角い段ボールボックスの頭がゆらゆらと威嚇するように一般人たちを睨めつける。いや、目どこにあるんだ。わからん……。
 そんなこんなで唐突に始まってしまった『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』。
「フゥーハハハハ!!! 我らが闇と火のデッキに敵なし! 今日も元気だ引きが強い!」
 高笑いをするカードゲーム怪人の前に膝をつくのはキマイラのゴッドペインターである。

 彼は悪の組織『堕悪苦TCG』との勝負に敗北し、これから『究極のカード』の絵柄を描くために連行されようとしていた。
 だが、其処に現れたのは性根の姿をしながらもどこか王としての風格備えた少年であった。
「ふむ……汝らのデッキは高速戦闘……即ち速攻か」
「何者だ――!」
 カードゲーム怪人たちがたじろぐ。
 捉えられたゴッドペインターには目もくれず、ロアは言う。ここが『トレーディングカードゲームで全てを決める空間』であるのならば、全ては互いの血統を持って決めるべし、と。

「名乗ろう。余はロア・メギドレクス(獄竜暴君・f00398)。お前達の尽くを食い破ってみせよう」
 彼の瞳は決闘にだけむいていた。
 本来の目的であるゴッドペインターの救出に関しては二の次であった。どうとでもなると考えていたし、此処が『なんでもトレーディングカードゲームによって決める空間』だ。
 ならば、ゴッドペインターを人質に取られたとしても、勝てばいい。そう、何より優先されるのはバトルなのだ。
「ならば、勝負! 我らが闇と火のデッキの速攻に敵うわけもない! ドロー!!」
 勢いよく展開してくカードゲーム怪人たちのカード達。
 次々と高速戦闘モードの効果を発動し、場のカードが縦横無尽にロアのライフを削っていく。

 トレーディングカードゲームにおいてどちらかのライフが0になったときが勝敗を決する時だ。
 ならば、1でも残っていれば負けではない。素通ししながら、ロアは手札から連鎖する咆哮を使用し、山札からも贄竜を呼び込んでいく。
「盤面形成が優先……そら、どうした。ご自慢の速攻は。その程度では余のライフは削りきれぬぞ」
 余裕の笑みを浮かべるロア。
 それは少年と呼ぶにはあまりにも獰猛なる笑顔であったことだろう。

 カードゲーム怪人はその笑みに底しれぬ恐怖を感じたかも知れない。あの少年の場を形成させては一気に食い破られるのは己であると感じたのかも知れない。
「――整った。では余の手番だ。獄竜タルタロス・レックスを召喚」
 場に出された獄竜タルタロス・レックスが咆哮を上げる。
 このユニットはアタック時にこのユニット如何のパワーを持つユニット一体を破壊することで未行動状態になる。

 それはデメリットが大きいようにも思えたかも知れない。
 攻撃にも防御にも使用できるユニットカードを一枚失うのだ。守りも攻めも削ってしまう。
 だが、そのデメリットを補って有り余るのが未行動状態へと戻すユニークなるフレーバー。
「まさか……!」
「ああ、盤面を食い荒らすのみよ――!」
 贄竜たちが次々と破壊され、その都度止められぬほどのパワーを持つ獄竜タルタロス・レックスの猛威がカードゲーム怪人のユニットを食い破っていく。

 それは蹂躙と呼ぶに相応しい戦いぶりであった。
 盤面は既に形成されている。贄竜のストックは十分。そして、カードゲーム怪人の場にはそれを止めることのできるユニットもいなければ、手札に除去できるカードもない。
 ならば、それはもはや蹂躙ではなく、殺戮そのものであったことだろう。
「もう全滅したか――では、ここからは直接攻撃だ」
 場に残った贄竜の数はカードゲーム怪人のライフを削るには十分すぎるほどの数であっった。

「や、やめ――」
「うむ。死ぬまで攻撃を受けよ」
 無慈悲なる宣言が響き渡り、タルタロス・レックスの顎がカードゲーム怪人のライフを完全に削りきるまで途絶えることはなかったのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…おたおたナイアルテさん可愛すぎません?(思い出して萌え死ぬ

はっ!? いけません!(がばっ
萌え死ぬためにキマフューに来たのではないのでした!

そう、教えてあげましょう!
切り札はいつも自分自身なのだと!
そんなわけでクノイチカードゲーマー、サージェ参戦です!

なるほど、そっちの攻撃は台車ライドアタックですか!
確かに危険です!(乗ってる人が)

私はこのカードで『ファントムシリカ』召喚!
『BXS-Sルベライトビット』を装備させて攻撃!
いっけー!【百花繚乱】!

しかしこれ、台車ライドアタックとPシリカがぶつかったらどうなるんでしょうね?(首かしげ

※アドリブ連携OK



 世界が変わっても変わらぬものがある。
 それは世に悪の栄えた試しなどないということである。そう、悪在るところにクノイチ在り。
 闇に紛れ悪を討ち、世の平和を護るのもまたクノイチの務め。
 別に夕方にやっている時代劇に感化されたとかそういうんじゃなく。いや、割とそういうところあるからなぁ……という微妙な雰囲気のままであるが、キマイラフューチャーに降り立ったのは、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)であった。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……」
 いつもの前口上が始まる。
 そう、彼女が転移したのは、悪の組織『堕悪苦TCG』から放たれたカードゲーム怪人『押し込みクーリエズ』 がゴッドペインターを拐かそうとしていたまさにその時であった。

 もはやキマイラフューチャーのある地域は『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』へと変わっていた。
 この街ではトレーディングカードゲームが強いことこそが価値のあることだった。
 それ以外は何も必要ない。
 意味など無い。トレーディングカードゲームの強者こそが絶対。パワーこそ力。力こそパワーなのである。え、どういうこと?
「クノイチだと! だが、ここではトレーディングカードゲームこそが絶対! 大方ゴッドペインターを取り返しに来たのだろうが、返り討ちにしてくれる!」
 カードゲーム怪人が息巻くが、肝心のサージェはなんだか始まる前からトリップしていた。

「……おたおたしてたの可愛すぎません?」
 カードゲーム怪人はなんのこっちゃと首を傾げる。
 そう、サージェは転移してくれたグリモア猟兵の普段見慣れぬ姿に萌え死んでいたのだ。きっと聞いたら顔を真赤にして抗議するだろうが、今は転移を維持するの集中しているので幸いであった。
「はっ!? いけません!」
 がばりんことサージェは意識を取り戻す。そう、萌え死ぬためにキマイラフューチャー、略してキマフューに来たわけではないのだ!

「ええ、いいでしょう。いいでしょうとも! 教えてあげましょう! 切り札はいつも自分自身なのだと! そんなわけでクノイチカードゲーマー、サージェ参戦です!」
 びしぃ! と派手な効果音が響くほどに決まった決めポーズと共に決闘が開始される。決闘と描いてデュエルって読むよ!
「望むところ! では、ドロー! 我らのターン! 開幕台車ライドアタック! いきなりライフにドーン! である!」
 速攻である。もう前置きとか何とかそんなのどうでもいい勝てばよかろうなのだと言わんばかりの速攻攻撃である。
 それこそが闇と火のデッキの力。
 破壊と撹乱。
 そうやって相手の場を整えさせないのが、カードゲーム怪人のデッキのコンセプトなのだろう。

「なるほど、そっちの攻撃は台車ライドアタックですか! 速攻攻撃の嵐……確かに危険です!」
 乗ってる人が! とサージェが突っ込む。
 いや、イメージなので細かいことは気にするな! ということではあるのだが、此処は娯楽に飢え、娯楽に極まった世界である。
 イメージでも鮮明に脳裏に浮かべば、それは肉体にも影響を及ぼそう。
 だからこそ、サージェは己の手札を広げる。
 ここで敗けるは猟兵としての敗北と同じである。だからこそ、負けられない。

「私はこのカードで――『ファントムシリカ』召喚!」
 サージェのカードが宙を舞い、キャバリア……つまるところメカのカードが顕現する。さらに『ファントムシリカ』の左肩から射出された真紅のスフィア型ビットが展開される。
「さらに装備カード! 『BXS-Sルベライトビット』を装備させます! この装備に死角はありませんよ! いっつも実践ではキャバリアを壊しちゃいますけど!」
 だが、今はカードゲームだ。
 どれだけ『ファントムシリカ』のカードが除去されようとも、本来の『ファントムシリカ』には影響はない。
 ああ、怒られないって素晴らしい。いつもこうだったらいいのに、とサージェは一人ほろりと涙する。

「だが、これだけのカードがこちらにはある! 貴様のカードはこちらへと攻撃を届かせることは……!」
「いいえ、出来ますとも! この切り札! 百花繚乱(アサルトアサシン)があれば!」
 それはサージェのデッキにあるキーカードにしてコンボカードの最後の一枚。
 装備カード『BXS-Sルベライトビット』の効果を二乗し、さらにユニットの行動を再行動状態にするのだ。
「馬鹿な! そんなカードが……ハッ―――!?」
 そう、サージェが名乗り口上を上げている間に段ボールボックスの梱包から抜け出したゴッドペインターがサージェのデッキに『究極のカード』の絵柄を描いて手渡していたのだ。

 故に、サージェのデッキには今、闇と火のデッキに対する『究極のカード』の一枚……そう、『百花繚乱』が入っているのだ!
「そうです! 常に切り札は私自身の中にある! 例え、『究極のカード』が一枚デッキに入っていたとしても、それを引き当てるのは私自身の力!」
 故に! とサージェの瞳がユーベルコードという名の運命力を引き出す。
「いっけー! あさるとこんびねーしょんっ!!」
 解き放たれたカードの効果がほとばしり、扇状となっったフィールドを駆け巡るキャバリア『ファントムシリカ』。

 その猛威振るうカードの効果は凄まじく戦局を一変させ、カードゲーム怪人のライフを一気に0まで削り切るのだった。
「しかしこれ、台車ライドアタックとファントムシリカがぶつかったらどうなるんでしょうって思ってましたが……そうですよね、イメージですもね……」
 ちょっぴり見たかったとは口が裂けても言えない。
 装甲に傷が入るだけでもシリカはおこなのだ。これは胸の内にそっと秘めておくべきもの……そう思うサージェの背後に白猫又の姿があったとかなかったとか、キマフューに響くサージェの悲鳴がすべてを物語るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…ふむふむ、そう言うルールか…言い回しが独特な部分があるね…パーミッションが肌に合うかな…
(他の猟兵達の勝負を見ながらゴッドペインターにUCのカードの絵柄を書いて貰うついでにルールを解説して貰いつつ)
…大体判った…さて。一勝負と行こうか…
あれが相手のキーカードだから……罠カード【崩壊せし邪悪なる符号】を発動…そのカードの効果を打ち消して、同名のカードを全てデッキ・手札・場から捨て札に移動するよ…
…あ、リカバリー手段?じゃあ二枚目…そのカードも全部墓地いきね…
…そのクリーチャーは闇属性だね、浄化復元術式【ハラエド】で破壊するよ…
…コンボを崩したら後は魔法・罠で妨害しつつ順当に本体殴って勝ちだな…



 カードゲームに馴染みのある者もいれば、馴染みのないものもいる。
 それが数多もの世界を行き来する猟兵であれば尚更であったことだろう。
 故に、ルールの把握という意味では情報収集は非常に有効なものである。いや、ことトレーディングカードゲームにおいては環境を読み解くことこそが本分であったのかもしれない。
 そういった意味であれば、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は得意とするものであった。
「……ふむふむ、そういうルールか……言い回しが独特な部分があるね……」
 彼女は颯爽とゴッドペインターを助けた後、彼等から悪の組織『堕悪苦TCG』がキマイラフューチャーに流行させたトレーディングカードゲームのルールを解説してもらっていた。

 ついでに他の猟兵たちのバトルを見ながらあれやこれやと解説をしてもらっているのだ。
 カードゲーム怪人である『押し込みクーリエズ』は、そんなメンカルのルール把握を律儀に待ってくれている。
 まだかなーとぼんやりしている様子は本当にオブリビオンであるのかと疑いたく為るものであったが、それは別に温情で待ちぼうけを喰っているわけではないのだ。
「……パーミッションが肌に合うかな……」
 ゴッドペインターに彼女のユーベルコードの絵柄のカードを描いてもらうついでに自身のデッキを構築していく。
 ルールはメンカルの頭の中に入っている。
 言い回しが彼女の育った文化や世界とは多少ズレがあるものの、なるほどこういうことかと理解できる。

 むしろ、彼女向きのカードゲームであったのかもしれない。
「……大体判った……さて。一勝負と行こうか……」
「待ちくたびれたぞ、猟兵! だが、ついさっきまでルールを知らなかったズブの素人に敗ける我らではないわ! 覚悟!」
 闇と火のデッキを掲げ、『なんでもトレーディングカードゲームで決まる空間』にいい感じのイメージが飛び交う。
 どういう理屈なの? とメンカルは訝しむが、今回は省く。だいたい勢いでいいのだ、このノリは!

「デリバリー! 貴様の土地カードは全て破壊される!」
「はい、崩壊せし邪悪なる符号(ユーベルコード・ディスインテグレイト)」
 即座に相手カードを罠カードによって打ち消すメンカル。
 カウンターずるい。
 だいたい何でも打ち消せる。膝から崩れ落ちるカードゲーム怪人。それはそうだろう。渾身の、それも意気揚々と、それこそドヤ顔で宣言した端からメンカルのカードによって打ち消された上に、同名カードを全てデッキ、手札、場から捨札させるのだ。
 何だそのチートカード! とカードゲーム怪人が叫びそうに為る。
 だが、それでも諦めないのがカードゲーマーというもの。

「ならば! これならどうだ!」
「はい、崩壊せし邪悪なる符号(ユーベルコード・ディスインテグレイト)」
「あ―――ッ!!!」
 リカバリー手段も尽くがカウンターされる。
 うぅ、何故か古傷が痛む。あまりにもカウンターされるものだから、そのうちカードゲーム怪人も……。

「メンカルさん、これ通しでいいスかね……へへ」
 とへりくだった姿勢でカードの宣言をするようになるのだ。
 もはやこの場はメンカルの支配下である。それ故に『パーミッション』――『許可』の名を関するデッキなのだ! うう、青色のカードはもう見たくないよぉ。
「うーん、あ、そのクリーチャーは闇属性だね。『浄化復元術式【ハラエド】』で破壊するよ」
 容赦ないメンカル女史。
 カードゲーム怪人の宣言の尽くを遮ってゲームを展開していく。
 相手のコンボを崩し、妨害し、まるでこうなることがわかっていたかのように彼女は頷く。

「……順当だったね。本体殴ってこれで勝ちだな……」
 どしゃぁ! と膝をついて倒れるカードゲーム怪人。
 その段ボールボックスに覆われた顔は涙で湿ってびしゃびしゃになっていた。
 トラウマものである。
 あのカウンタースペルが憎い。憎い。憎すぎる。
 何をするにもお伺いを立てねばならぬゲーム展開。一方的に生殺与奪権を握られている気分。
 さらには抵抗もできずに殴られる痛み。それらの全てがカードゲーム怪人の心をずたずたにして、メンカルはえげつないほどのパーミッションデッキを完成へと導くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
[SPD]
TCG歴0年の見る専だったけど何とかしてみるわ!

待て!いきなりだがデュエルを挑むぜ!
差し当たって神絵師にイラストを描いて貰うけどいいかな?
だってこのカード全部絵がなくて白紙なんだよ(コミュ力

先行は俺が貰う
まずは流星の熱線銃士を召喚!
熱線銃士がいる事でEinsを効果で召喚!
Esの効果で雷鳴の熱線銃士を召喚!
そして熱線銃士二体を素材にこのEXなデッキから
双熱線銃士を召喚してカードを伏せてエンド!
お前のターンだ!おっとそのあからさまな始動札に伏せカード発動!
【カウンター】UC春雷により破壊!何もなければ俺のターン!
双熱線銃士の【力溜め、2回攻撃】でお前のLP0にして俺の勝ちだ!

アドリブ歓迎



 トレーディングカードゲームとはつまるところ、コレクションとしての側面もあるだろう。
 別に勝負をしてゲームを楽しむだけがトレーディングカードゲームの醍醐味でもないということだ。
 世には様々なコレクターが居る。
 それは他者よりも珍しいものを多く溜め込みたいという人としての性であったのかもしれない。
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)にコレクター気質があったのかどうかは定かではないが、彼にとってトレーディングカードゲームの歴史はとても浅いものであった。
「TCG歴0年の見る専だったけどなんとかしてみるわ!」
 そう高らかに宣言するの祐一の言葉は偽らざるものであったのだろう。

 彼にとってカードとは眺めるものであったのかもしれない。
 キマイラフューチャーのある地域ではい今『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』が広がっている。
 この空間の中にあって、人の力の善悪は関係がない。強弱を関係ない。
 あるのはトレーディングカードゲームが強いか弱いか。
 ただそれだけなのである!
「フゥーハハハハ!!! 我らの闇と火のデッキは最強! むふふ! これでゴッドペインターに二十四時間労働で『究極のカード』を描かせつづけられる!」
 カードゲーム怪人『押し込みクーリエズ』の段ボールボックスヘッドがガタガタ揺れる。笑っているのだ。笑いが止まらないのだ。
 だって、そうだろう。

『究極のカード』と言えば、押しも押されもせぬ超絶レアカード。
 それを量産できれば勝負に負けなし。売ってよし、勝ってよしである。もう笑いが止まらぬ。だが、その笑いを遮るように祐一が戦場となった街中に降り立つ。
「待て! いきなりだがデュエルを挑むぜ! さしあたって神絵師にイラストを描いてもらうけどいいかな?」
 え、いきなり唐突すぎてカードゲーム怪人はきょどった。
 いや、だって知らない人にいきなり声かけられたから……。あ、はい、どうぞ、と承諾してしまう程度には彼等もまたカードゲーマーなのだ!

 そのまま怒涛のコミュ力で祐一はゴッドペインターにイラストを描いてもらう。
 律儀にカードゲーム怪人たちが待ってくれているのは、律儀というか単純に『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』故であろう。
「このカード全部絵がなくて白紙だったんで助かったよ。これでトレーディングカードゲームビギナーの俺もデビューだぜ!」
「ならば、勝負!! 我らが勝てばゴッドペインターは連れて行く! ついでに貴様も地下でなんのために推しているのわからない木の棒をぐるぐる回すあれの刑に処してやろう!」

 今さらっととんでもないこと言われた気がするが祐一は気にしなかった。
 だって勝てばいいんだし。
「とにかく先行は俺が貰う。まずは流星の熱線銃士を召喚! 熱線銃士が居ることで『Eins』を効果で召喚! 『Es』の効果で雷鳴の熱線銃士を召喚! そして熱線銃士2体を素材にこのEXなデッキから双熱線銃士を召喚してカードを伏せてターンエンド!」
 一気にまくしたてる祐一に、カードゲーム怪人は慌てる。
 え、ちょまっ。
「ちょ、ちょっとまってください!? 何だそのカードの効果は!? え、何、こわい。ほんとに? え、テキスト確認させて下さい!」
 何故か敬語に為るカードゲーム怪人。
 あまりの怒涛なる連続召喚に驚いたのだ。そんなカードある!? そして彼等は生唾を飲み込んだ。

「ほんとに書いてある――!?」
「な? 書いてある。だから、なんの不正もないし。これが正しいルール」
 祐一はウンウンと頷く。
 ゴッドペインターにイラストを書いてもらっている際に、そのカードが『究極のカード』へと変化していたのだ。
 なんていうご都合主義。だが、それが『究極のカード』の齎す力なのだ! なにそれずっこい! いいなぁ! いいなぁ!!

「お前のターンだ!」
「ぬ、ぬぅ……! だが、こちらとて闇と火のデッキを預かる身! 負ける訳には――」
「おっとそのあからさまな始動札に伏せカード発動! カウンターカード、春雷(シュンライ)で破壊! 何もなければ俺のターン!」
 タコ殴りである。
 もう昭和的表現とかそんなこと言っていられないほどにタコ殴りである。リアルファイトであれば、ボコスカやっているところであるし、友情破壊されている類の展開である。

 その後、祐一の双熱線銃士の連続攻撃でカードゲーム怪人のライフはゼロに。
 あっという間の瞬殺であった。
 相手にやりたいことをやらせないとかそんなんじゃない。俺のやりたいとをやるんだとばかりのデッキ攻勢に、カードゲーム怪人は膝をついたのだ。
 確実に引退レベルの勝負内容。
 だが、これでいいのだ。
 相手はオブリビオン、世界征服を目論む、悪の組織『堕悪苦TCG』なのだから――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『忌火起・レッカ』

POW   :    来たぜ……オレの切り札がァッ!
無敵の【時と場合に応じた特殊効果付きのモンスター】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    テメェ自身が放った呪文で自滅しなァ!
対象のユーベルコードに対し【その効果対象を別のものに変更する速攻魔法】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ   :    時間を稼ぎやがれ、《爆弾人形(マネボム)》共ッ!
戦闘力のない、レベル×1体の【召喚者自身への攻撃を捨て身で守る爆弾人形】を召喚する。応援や助言、技能「【かばう】、【時間稼ぎ】、【捨て身の一撃】」を使った支援をしてくれる。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠惑草・挧々槞です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちがカードゲーム怪人を『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』にて下し、ゴッドペインターたちを助け出した瞬間、彼等ごと謎の光が飲み込む。
 まばゆい光が晴れた次の瞬間、そこは謎のカードバトル空間が広がる光景を猟兵たちは見ただろう。

 どこまでも広がる荒野。
 暗澹たる空。
 それは寂寥たる空間であり、そここそが悪の組織『堕悪苦TCG』の本部であった。
 謎の木の棒をずっとぐるぐる推してるだけの囚人たちや、ペンタブの前に座らされてペンを走らせるゴッドペインター。
 冷えピタやエナジードリンク付にされたゴッドペインターなど、悪逆非道の限りをつくしているのだ。
「よくぞ、オレ様の配下を倒したな! だが、そうじゃあなくっちゃ、張り合いがねぇってもんだぜ!」
 高笑いとともに現れるのは、猟書家『忌火起・レッカ』 であった。

 なんか心做しかそわそわしているのはなんでなんだぜ? と猟兵の誰もが思ったかも知れない。
 そう! 彼の手には真なる闇と火のデッキが握られ、これから始まるガードゲームバトルにそわそわどぎどぎしていたのだ。
「問答無用! 此処こそが『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』の源! さあ、オレとバトルだ!」
 オブリビオンでなければ、なんだか朝の8時とか9時位からやってる番組の主人公みたいな言い回しである。
 熱血主人公系かな?

 だが、そんなことを憂慮している暇はない!
 彼こそが悪の組織『堕悪苦TCG』の首魁! 彼をカードバトルで打倒しなければ、キマイラフューチャーはトレーディングカードゲームが全てを支配する世界になってしまう。
 そんなこと……あ、ちょっといいかなと思った者もいるかもしれないが、そこはそれである!
 なんでもかんでも生命賭ければいいってものじゃないのだ!

 さあ、猟兵たちよ。
 ホビーで世界征服を目論む系猟書家を打倒し、キマフューの平和を守るのだ――!
荒珠・檬果
あ、版上げでカード背面模様が違うので、公平のために背面に色ついたスリーブ使いますね。(ちらと見えたカードは全部赤)

さて、全部赤いんですけど。これ、呉デッキじゃないんです。
知ってるか。版上げで、呉と魏の色(赤と青)が入れ替わった。

あ、その軍団マーカー乗ってる武将を捕虜として引き込みましたね?
罠発動。その武将を捕虜とした場合、したプレイヤーは常に軍団マーカー分、コスト(兵糧)を払わなければいけない。
時間稼ぎしてくるでしょうが、こちらは常に常に手数で補えるんですよ。
しかも、水優勢のフィールドですから、湿気ってますよ。

樊城デッキ。
そして私に精神的ダメージ(※最推し失墜出来事再現のため。正史好き)



 そこは劣悪たる労働環境と言わざるを得なかった。
 凡そ労働といは言えぬ無意味な棒を押す作業。エナジードリンクに漬けこまれたゴッドペインターたち。
 ただイラストを仕上げ『究極のカード』のみを生産するだけの世界。
 それが『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』である。
 そこには楽しいホビーも和気あいあいとゲームを楽しむ雰囲気もなかった。何処まで行ってもトレーディングカードゲームバトルだけ。
 猟書家『忌火起・レッカ』 もまた過去に歪められた存在であろう。
 だが、それでも捨て置くことは出来ない。
「さあ、どいつからだ! オレ様と勝負するのは! どいつからでもいいぜっ!」
『忌火起・レッカ』 にとってバトルだけが存在理由である。
 悪の組織に寄る世界征服など正直どうでもいいのだ。

 このカードバトルだけしていればいいというガードゲームバトルジャンキーたる彼にとって、それだけが心を癒やす手段。
 だからこそ、世界をトレーディングカードゲーム一色に染めようというのだ。
「それじゃ、私から。あ、版上げでカード背面模様違うので、公平のために背面に色ついたスリーブを使いますね」
 荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)が元気よくスリーブにカードを入れて保護していく。
 背面が違うことによってカードリーディングや様々なイカサマができてしまうことを危惧してのことだろう。

 ちらと見えた赤いカード。
 それは三国志的に言えば呉のカードなのだろう。レッカの視線に檬果は笑う。
 今は確かに敵同士であるが、これからやるのはカードゲームである。どうせなら楽しみたい。同好の士というのはいつだって些細なことで仲良くなれるものだ。
 だが、それでも猟兵とオブリビオンの間柄であれば、それも叶わない。
「さて、全部赤いんですけど、これ、呉デッキじゃないんです。知ってるか。版上げで、呉と魏の色が入れ替わった」
 赤と青のカードが入れ替わったのはなにゆえか。
「細かいことはいいぜっ! 早速やろうぜ! バトルスタートだ!」

 展開されるのはレッカのカード。
 次々と爆弾を仕込んだ人形ユニットが場に展開していく。中にはダミーも含まれていて、攻撃すれば自爆しユニットにダメージを与える。
 攻防ともにフレキシブルに戦うことのできる彼のデッキは、これまで闇と火のデッキを使ってきた彼の配下とは違う柔軟な戦法を見せていた。
「やりますね……あ、その軍団マーカーの乗ってる武将を捕虜として引き込みましたね?」
「……なるほど、そういうことかっ!」
「ええ、罠発動。その武将を捕虜とした場合、したプレイヤーは常に軍団マーカー分、コストを払わなければいけない」

 レッカの盤面は場を整えるために常にコストが逼迫していた。
 事故を起こしているわけではないのだが、それでも綺麗なコストのカーブを描いていたが故の逼迫。
 そこにさらにコストを支払えと言われれば、思い描いていたカーブに乱れが生まれる。
「即ち、遅延。あなたが時間稼ぎをしようとしている以上に、こちらは常に手数で補えるんですよ」
 にこりと微笑み、檬果は最後の切り札カードを切る。

「最推したちの集合が見たい。ただその一念で汲み上げた私のデッキ……! その力を見ていただきましょう!」
 魏呉同盟(ヤガテオワルカタチ)。
 それこそが彼女のデッキ――樊城デッキのキーカードである。
 山札から呼び込まれるのは、五子良将と四大都督である。様々な特殊効果を持ったユニットたちが次々と正史をなぞるようにゲームを展開していく。

 それは一種の美しさすらあったのかもしれない。
 物語と見るか。それとも現実と見るかは、それを見下ろす俯瞰者だけの特権であったのかもしれない。
「それに、水優勢フィールドに変更。どれだけあなたの自爆人形が強力な効果を持っていようとも、湿気ていては効果を発揮できません」
「馬鹿な……! こんなコンボがあったなんて!」
 レッカの表情が驚愕に歪む。
 連綿と紡がれてきた計略。
 それは嘗て在りし彼女の最推し失墜の出来事であるが故に、情熱とともに汲み上げられたデッキ。

 そこに『究極のカード』というワイルドカードばかりで汲み上げられた実利だけのデッキが熱量で勝てるわけがないのだ。
「これでターンエンド。私の勝利です!」
 だが、彼女の表情は晴れない。
 いくらゲーム上のこととはいえ、精神的ダメージは否めない。言ってしまえば、痛み分けである。
 だが、それでも勝利の価値は変わらず、そして、彼女の最推しもまた失墜すれど彼女の心をときめかせ続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
世界征服なんてお前にはやらせない、何故ならするなら私がするからだぜー!!
私はその謎の木の棒をグルグル回す指揮を取りたかったんだぜー!
あ、そこの徹夜ペインターくん!
この追加カードのイラスト作っといて、即納で!!


先行貰うぜー
まずは私の能力『ハッキング』で手札を操作!
いらないカードをリリースして指定のカードを手札に入れるぜー
《RE》Incarnation、Blue Bird、空の記憶、Key of Chaosを手札に入れるぜー
これ等を私に装備!そしてリリースする事でデッキから【決戦兵装:武御雷神】を私に装備!
そして攻撃だぜー
これぞ私を基点にしたソリティアデッキだぜー!
別名壁とやってろコンボだぜー!



 悪の組織が目論むのは世界征服である。
 じゃあ、なんで子ども用ホビーで世界征服なんかを……と冷静に考えてはならない。ならないったらならないのだ!
 どれだけ冷静になっても、ツッコんでみても、それは覆らない。それが少年ホビーのあるべき姿である!
 いいじゃん。少年のハートを失わないことも大切なことだよきっとたぶんめいびー。
「世界征服なんてお前にはやらせない!」
 そう高らかに宣言するのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)であった。
 いつもとキャラ違くない? いや、いつもどおりです通して下さい。そんなやりとりがグリモアベースであったかどうかは定かではない。

 そ、そんな……語尾まで変わってる……!
「何故ならするなら私がするからだぜー!!」
「まさか、第二の悪の組織……! いいだろう! 受けて立つ!」
 猟書言え『忌火起・レッカ』が熱く吠える。それは彼の心に燃える名の通りの烈火の如き情熱があるからだろう。
 もっと別なことに、その情熱を向けたらいいんじゃないと口さがない大人が言うだろう。
 だが、ここは『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』。
 大人だろうがなんだろうが、関係ないのである!

「このオレ様の切り札があれば、お前達なんて――!」
「あ、いや、私はその謎の木の棒をぐるぐる回す指揮を取りたかったんだぜー!」
 謎の本音がでる玲。
 あの木の棒をぐるぐる回すだけの謎の労働。一体何を生み出しているのか、指揮している本人も労働している囚人たちもよくわかってない謎の木の棒をぐるぐるしてるやつ!
「あ、そこ徹夜ペインターくん! この追加カードのイラストを作っといて、即納で!」
 えげつねぇなぁ!
 レッカをして、大人って皆こんななの? と引くほどの無茶振りを玲は徹夜ゴッペに言うのだ。

 いくら猟兵が超絶格好いいヒーローだからって――……。
「で、できましたぁ……ガクッ」
 できるんかい! ひゅー! と玲はほこほこ顔でオリジナル追加カードを納品してもらってごきげんである。お礼のエナジードリンクも欠かさない。これが大人ちからってやつだ。
「準備はできてるようだな……! なら、バトルスタートだぜ!」
「おっけー! 先行貰うぜー!」
 バンッ★
 バトルスタートってこんな感じだったかなぁ、と思いつつも玲とレッカのカードバトルが始まる。

 先行は玲。
 その手に在るのは、『ハッキング』。カード効果によって手札を操作し、いらないカードをリリースして指定のカードを手札に入れる。
 いや、強すぎでない? だいじょうぶ? 禁止カードじゃない?
 そんな疑問を挟む予知すらなく玲はカードを展開していく。
「手札に《RE》Incarnation、Blue Bird、空の記憶、Key of Chaosの四枚を手札に入れるぜー!」
「切り札カードか! ならこっちだってあるんだぜ!」
 リリースするまでの猶予の間にレッカは玲のライフを削るか、アイテムカードを除去しなければならない。

 だが、彼の切り札カードは重たいのだ。
 そのための盤面形成であり、時間稼ぎのコストカーブを描いている。それを上回る速度を可能としているのが、あのキーカード『ハッキング』だ。
 確かに玲のカードはどれも強力であるが手札になければ場に出すことはできない。
 それを常時可能にするあのカードさえ除去できれば……。
「あっまーい! 私を起点としたソリティアデッキだぜー!」
 延々と続く玲のターン!
 確かにレッカの切り札カードは強力だ。展開されてしまえば、玲とて吹き飛ぶ。
 だが、それを點せぬのがソリティアデッキ。
 壁打ちかよってなるほどに延々と玲の宣言が続くのだ。

「装備したカードをリリース! デッキから『決戦兵装:建御雷神(ケッセンヘイソウ・タケミカヅチ)』を私に装備! 今日は大盤振る舞い!模造神器4振り全部持ってけ!」
 無限に循環していくエネルギーはパワーとなって玲の攻撃力を高めていく。
 コンボが始まってしまえば、もう玲のターンしかない。レッカに手番は回ることなく、この一撃に寄って彼のライフを消し飛ばすことだろう。
「別名壁とやってろコンボだぜー!」
 それを自分で言ってしまう所が玲たる所以であろう。
 別人かと疑ってごめんなさいしなければならない。放たれたライフを三、四回ほどふっとばしても有り余る一撃によって、レッカのライフは0になってしまう。

 勝負を決した玲が手を伸ばす。
 それは勝者が敗者へと手向ける友情の証――などではなかった。
「あの謎の木の棒をぐるぐる回す指揮ちょうだい」
「あんた鬼か――!」
 そんな悲痛な叫びが『なんでもトレーディングカードゲーム』で決める空間に鳴り響くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネミ・ミミーニーズ
いろいろおまかせ

あ、諸事情で自前の悪魔王デッキ持ち込んでるのでゴッドペインターさん休んでてください。

『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』で強気になっているようですが、弱点がある。
『カードはルールに勝つ』のだ!

ゲームが始まったら悪魔王にライフ捧げまくってカード引きまくって銀色のあのカードを引き込もう。
そのカードに書いてあるのはもちろん……。
『カードは書かれている通りにプレイする。すべての訂正を無視する』
そんなカードあるのかって? あるよ。
ふふふ、意味がわかるかね!
みんなが頑張って書いたカードはみんな元に戻る!
その最強デッキインクの染みがたくさんついていらっしゃるようですわね!



 まさかの連戦連敗に猟書家『忌火起・レッカ』は心身共に疲弊していた。
 これまでトレーディングカードゲームでの負け無しであった彼にとって、この敗北は手痛いものであったことだろう。
 どんな時も己の切り札カードとともに戦ってきた彼にとって、一切の常識が通じぬ猟兵たちのデッキは彼を尽く打ち負かしていた。
 精神的なダメージは、そのままオブリビオンである彼の心を削っていく。
 そうしていれば、そのうち消滅して骸の海へと還ることだろう。だが、それでも彼は消えない。

 何故なら、彼はホビーアニメの主人公の如き熱き心をオブリビオンであったとしても宿している。
 だからこそ、彼の心は折れないのだ!
「――まだ、だ! まだオレ様はやれる! やれるんだ!」
「貴方は致命的なミスを犯していますよ……そう『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』で強気になっているようですが……弱点が在る」
 ネミ・ミミーニーズ(蒸気打ちの妖精・f00595)は、その小さなフェアリーの体を悪の組織『堕悪苦TCG』の本部である空間に浮かべながら、言い放つ。
「なにぃ――!?」
「そう、『カードはルールに勝つ』のだ!」

 バァーン!!

 そう。カードのフレーバーがルールより優先される。
 書いてるテキストが正義。絶対正義なのだ。横暴と呼ぶことなかれ。これは真理である。ルールとは改定されていく。
 長く続くトレーディングカードゲームであれば尚更のことである。連綿と紡がれてきた禁止カード、制限カードには暇がない。
 だからこそ、カードがルールを形作ってく。
 もはや世界に数人しか完全にルールをジャッジ出来るものがいなくても、それでも人の生み出したトレーディングカードゲームのルールは常に変わっていくのだ。
「さあ、バトル開始ですよ!」
「望むところだ! って、なんだそのカードは!?」
 レッカが驚愕する。

 開始早々にネミがしたのは己のライフを悪魔王に捧げまくってカードを引きまくるというドロー&ドロー、さらに倍増しでドローというドローしまくりの展開であった。
 次々と手札に持ちきれぬほどのカードが溜まっていく。
 え、だいじょうぶ? その小さな手でカード持てる? と要らぬ心配をしてしまいそうに為るが、そこはネミの握力をなめないでいただこうか!
「この銀色のカードを引くのをまっていたんです! ミミーニーズと4体の悪魔王(スーパーデオチデーモン)!」
 そのカードの効果は言うまでもない。

 それこそが『カードは描かれている通りにプレイする。全ての訂正を無視する』効果。
 それは即ち、どれだけレッカが『究極のカード』でデッキを構成していたとしても、元の効果に変わるということだ。
「そんなカードがあるわけが――!」
「あるよ。ふふふ、意味がわかるかね! みんなが頑張ってか描いたカードはみんな元に戻る! どれだけ『究極のカード』を創っても、元のカードに戻っちゃうんだよ!」
 それこそが『カードはルールに勝つ』だ。
 上書きして『究極のカード』を作り上げたのなら、その土台から引っこ抜けばいいのだ。

 あまりのどんでん返し。父ちゃんでもこんなちゃぶ台返ししないわ! そうレッカに言わしめるほどの盤面返しにネミは笑う。
「その最強デッキ、インクのシミがたくさんついていらっしゃるようですわね!」
 そのメッキたる『究極のカード』は全て無効化される。
 ならば、彼が思い描いたコストカーブや戦術は全て無に帰す。
「こ、こんなやり方で……! こんなデタラメが通るわけが――!」
 それがレッカの断末魔であった。
 彼のデッキは骨抜きにされたも同然。
 そこにネミの召喚した四体の悪魔たちが契約に則って、彼のライフをごっそり根こそぎ奪っていく。

「言ったでしょう。『カードはルールに勝つ』! 書いてることが正しいのよ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
「・・・貴方を野望はここで止めます。」
おうよ、いくぜ相棒ッ!

先ずは俺のターンッ!
・・・手札が事故ってる!?
ま、まだ慌てる時間じゃねぇ。
ここは『結界霊符』の結界術で耐えるぜ。
後、『神楽鈴』をセットして神楽舞カウンターを1つ置く。

再び俺のターンッ!
諦めて降参しろ?
それはどうかなッ!ドローッ!
来たぜ切り札、儀式カード【妖刀解放】ッ!
『無銘の妖刀』を手札から捨てて『百鬼夜行龍【空亡】』を召喚ッ!
神楽舞カウンターを1つ消費して効果発動ッ!
天変地異で相手の場と手札のカードを全て破壊するッ!
底知れぬ絶望の淵に沈めぇッ!

「それズルすぎないッ!?」
まだ公式で禁止されてないからセーフだぜ、相棒ッ!


【アドリブ歓迎】



「クソォ! なんで敗けるんだ……! オレ様のデッキは最強のはずだ……!」
 猟書家『忌火起・レッカ』は悔しさを滲ませた表情を浮かべ、猟兵達とのカードバトル勝負を受け続けていた。
 これまで負けたことのなかったカードバトル。
 それこそが彼の野望そのもの。
 負けない。決して敗けることのないカードバトル。勝つことよりも負けないことを優先するようになったのは何時からであったことだろう。
 だからこそ、破壊と除去、そして撹乱することに特化した闇と火のデッキに手を染めたのだ。
 過去に歪んだ存在であればこそであろう。
 あの頃のトレーディングカードゲームが楽しくて仕方なかったという感情は何処か遠くへ消え失せている。

 それが悲しいことであるとは思うが、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)と依代の桜は彼の前に立ちはだかる。
「……貴方の野望はここで止めます」
 それはきっぱりとした宣言であった。そう、ここ『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』において、オブリビオンである猟書家と猟兵の戦いはカードバトルで決着をつけなければならない。
「おうよ、いくぜ相棒ッ!」
 だからこそ、二人は心を一つにして一つのデッキを掲げる。
「くッ――! 勝負!」
 今度こそ勝つ。
 勝って自身を取り戻したい。ただその一念でレッカは己のデッキを展開する。

 カードゲームとは時として運が絡むものである。
 どれだけ完璧に構築されたデッキであったとしても、初手の手札が揃わなければ、そして引きが弱ければあっさりと負けてしまうものなのだ。
「先ずは俺のターンッ!」
 勢いよく凶津が手札を引く。
 だが、その赤いヒーローマスクの色が若干青ざめたような気がしたのは気の所為ではなかった。
 そう、手札事故である!
 引き直しもできるのがルールであるが、その分手札が少なくなってしまう。手札とは即ち、こちらの手段だ。それを減らす行為はレッカを前にしてはリスキーすぎる。
「……だいじょうぶ?」
「ま、まだ慌てる時間じゃねぇ……仕方ねぇッ! ここは『結界霊符』の結界術で耐えるぜ!」
 凶津は僅かな初動の遅れをリカバーするべく、『結界霊符』の効果を発動させて、『神楽鈴』をセットする。
 神楽舞カウンターをおいて、持久戦に持ち込むのだ。

「時間稼ぎか! だが、持久戦にこっちを引き込むのは浅はかだと言う他ねぇぜ!」
 レッカもまた場を形成するために時間を稼ぐ戦術を取る。
『自爆人形』が次々とレッカの盤面に置かれ、盤石の体制を整えていく。
 本来であれば、この自爆人形を置かせぬこと、そしてレッカに時間を与えぬことが彼のデッキに対する有効戦術であったことだろう。
 だが、凶津はあえて、その領分に踏み込んだのだ。
「再び俺のターンッ!」
「無駄だぜ! 俺の体制は万全! ここからのコストカーブはターンを重ねるごとに加速していく。さっさとサレンダーしちまいな!」
「いいや、それはないぜッ! ドローッ! ……ほらな、やっぱりそうだ。来たぜ、切り札ッ!」

 依代である桜の手にあるのは一枚のカード。
 それこそが凶津の求めたキーカードにしてコンボカードの一枚。
「儀式カード『妖刀解放』ッ!」
 その手札から棄てられるのは『無名の妖刀』。そうすることによって召喚される『百鬼夜行龍【空亡】』が空より舞い降りる。
 それはユニットの召喚であったが、それ自体がこの状況を打破することはできない。
 フィニッシャーユニットとしては些か足りないのだ。

 だが、本来の用途はそれではない。
「まさか――!」
「ああ、そのまさかよ! 神楽舞カウンターを一つ消費して効果発動!」
 カウンターが砕け散って、消費される。
 神楽鈴の上からカウンターが砕けた粒子が『百鬼夜行龍【空亡】』へと集まり、その口腔を満たしていく。
 それはまさに天変地異を引き起こす破滅の光。
「効果、天変地異で相手の場と手札のカードを全て破壊するッ! 底しれぬ絶望の淵に沈めぇッ!」
 規格外たる効果。
 ほぼノーリスクで放たれる手札と場にあるカードを全て破壊する効果。

「それズルすぎないッ?!」
 思わず桜がツッコむ。それほどまでに凄まじい効果なのだ。確実に禁止カードになっていてもおかしくない。
 だが、それはゴッドペインターによって描かれた『究極のカード』である。
 ある意味今回だけ。
 まだ公式で禁止されていないからセーフという凶津の理論によって桜はそういうものかと首を傾げる。
 こういう時に詳しくないとどう言っていいかわからなくなるのも無理なからぬことだろう。

「ばかな……こんなっ、一発で形成が逆転するなんて……!」
「それもまたカードゲームの醍醐味ってやつだ! 『究極のカード』なんてものに頼ってばかりじゃあ、そんな楽しみもわからねェだろうッ! 吹っ飛べ!」
 たじろぐレッカの動揺は相当なものであったことだろう。
 その流れのままに凶津はライフを削りきり、薄氷の勝利を納めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(前回とは別のデッキで苦戦中)
…爆弾人形が厄介だな…ライフを削られそうになると庇って無効化、更に誘爆でこちらにダメージか…
…ライフがじりじり削られてもう一桁…このターンが最後のチャンスか…この一枚に賭ける……!
(何故か光るカード、どこかから流れる主題歌(?))……よし。
…術式組紐【アリアドネ】、このターン誘爆ダメージを無効化…
…そして今引いた【連鎖する戒めの雷】を発動、爆弾人形を指定…それと同属性カードを全て破壊…
…そして術式装填銃【アヌエヌエ】の効果を発動、このターンに使用したマナの数だけ相手のライフにダメージ…
…最後に黎明剣【アウローラ】…マナを全て取り除いてその分ダメージ、削りきるよ…



 猟書家 『忌火起・レッカ』にとって、悪の組織『堕悪苦TCG』の本部に始まった戦いは苦汁をなめるような思いであった。
 対決する猟兵に尽く負け越しているのだ。
 それはただ肉体的なダメージを与えられるよりも、レッカの精神的な部分……即ち、トレーディングカードゲームでの揺らがぬ勝利という心の柱を折られることへのダメージの方が大きかった。

 止めればいい。やめればいい。だが、ここは『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』である。
 ある意味で理想郷。
 しかし、それは彼が勝ち続けていればの話である。
 勝てないのならば意味などない。むしろ、足かせですらあったのだ。
「……爆弾人形が厄介だな……ライフを削られそうに成ると庇って無効化、さらに誘爆でこちらにダメージか」
 だが、今回は勝てる。
 相手は別のデッキを使っているが、それでもこちらの盤面は盤石へと近づいている。
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が新たなデッキを携えてレッカとのカードバトルに挑んでからゲームの進行はつつがなく行われている。

 彼女にとって相性の悪いデッキとの戦いであったのだろう。
 カードゲーム怪人と戦ったと時のデッキとは別のデッキを使用したのもまた悪かったのかも知れない。
「爆弾人形をセット! このまま圧殺してやるぜ!」
 レッカは勝利を確信していた。
 この盤面から覆ることはない。それはデッキのコストカーブを汲み上げた彼自身が一番良く知っていることだ。
 何度も試した。何度も考えた。朝も、夜も、寝ているときですらカードバトルのことに心血を注いだのだ。
 それが猟兵たちのデッキに敗けるはずがない! そう、敗けるはずがないのだ!

「……ライフがじりじり削られてもう一桁……」
 メンカルの頬を一筋の汗が流れる。
 それは冷や汗というものであったのかもしれない。ジリジリと追い詰められる焦燥感もあったのかもしれない。
 少なくともレッカにはそう見えた。
 だが、オブリビオンとなる前の彼ならばわかっていたことかもしれない。
 追い詰められ、もうダメだと思った時、いつだって自分はどうであったのかと。諦めのか。諦めてしまうのか。

 答えは否。

 それはメンカルも同じであった。
「このターンが最後のチャンスか……!」
「さっさと諦めてしまいな! サレンダーするなら、痛みは少ないぜ! 仕方なかった。事故った。運が悪かった。そういいわけができる!」
 だが、その言葉にメンカルは首を振った。
 そうじゃないと。結局の所、自分を信じなければならない。最後の最後まで、負けてしまうかも知れないけれど、諦めることはしない。
 それは嘗てレッカが宿していた光であったのかもしれない。
「この一枚に賭ける……!」
 ドロー!
 その手札を引き当てた時、何故かカードが光ったのだ。そして、何処からともなく流れる主題歌。

 ……。
 ……主題歌!?
 え、なにそれ。勝ち確のやつじゃん。流れ変わったな。いや、そういう問題ではなく。
「な、なんだと……!? だが、オレの自爆人形が一体でも誘爆ダメージを入れればお前の――」
「術式組紐『アリアドネ』、発動。このターン誘爆ダメージを無効化」
 張り巡らされるアリアドネの組紐の結界がメンカルのライフを守る。さらに光り輝くカードが、今、その名を明かす。
 それこそがメンカルの切り札。
 最後に諦めぬ者にこそ引き当てることのできる運命のカード!

「そして、今引いた『連鎖する戒めの雷(ライトニング・チェイン)』……発動」
 それは周囲に展開する無数の魔法陣。同じ性質の存在にでんぱする雷の鎖。
 効果の対象は勿論、爆弾人形だ。
 全く同属性、同じユニット名。
 彼女のカードは確かに使い勝手がいいわけではなかった。けれど、ことこの状況に関して、それ以上に最適解のカードはなかった。
 運命は常に彼女の手の中にある!

「ば、馬鹿な! そんな局所にしか使えないカードが入っているなんて……! しかも、この局面でッ、引き当てるだと!?」
 レッカの顔が歪む。
 勝利を確信した瞬間に足元から瓦解するもの。
 それらを見透かすようにメンカルの手札からカードが一枚展開される。
「そして、術式装填銃『アヌエヌエ』の効果を発動、このターンに使用したコストの分だけ相手のライフにダメージ……そして」
 掲げるはフィニッシュカード。
「黎明剣『アウローラ』。コストを全て取り除いて……」
 か輝きを増していくカード。
 それは戦局が長引いたからこそ、有り余るコストが場に存在しており、それら全てを取り除いた時に加算される数字は、レッカのライフを削り取るには十分な数であった。

「や、やめ――」
「削り切る……!」
 放たれた『アウローラ』の一撃がレッカのライフを削りきり、荘厳なオープニングテーマと共にメンカルの勝利を祝うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
あんたがボスか!このTCG歴1日の俺が相手だ!
…あ、ちょいとそこの神絵師様
この新たに出来た絵のないカードにイラストを描いてくれませんかね?
大丈夫、完成度は気にしないからさ、ね?

デュエルだ先行は俺が貰う!
以下略で双熱線銃士とEsの盤面を作ったら
装備魔法テスタロッサカスタムを銃士に装備!
カードを伏せてお前のターンだ

おっと攻撃宣言の瞬間に伏せカード発動!
フィールドジッパーにより銃士はこのターン戦闘で破壊されない!
ちなみに銃士はTCの効果で戦闘以外じゃ破壊できないぞ

俺のターン!
UC冬雷を発動!これで銃士はお前のモンスター全てに攻撃可能!
纏めて消し飛ばした後残りLPをEsで削って俺の勝ちだ!

アドリブ歓迎



「ぐぅぅ……クソッ! また敗けただと……!」
 がっくりと膝をつく猟書家『忌火起・レッカ』 。彼の瞳の端には涙が僅かに滲んでいた。
 これまで敗け知らずだったのだ。
 だが、それはすでに過去のこと。猟兵たちとゴッドペインターたちが生み出したトレーディングカードゲームを愛する気持ちの前に、悪しき心によって扱うデッキは尽く敗北を喫したのだ。
 それはある意味で当然であったのかも知れない。
 かつてのレッカであれば、即座に立ち直ったかも知れない。けれど、今のレッカは違う。過去の化身。オブリビオン。
 変えられぬ過去のように、今に滲み出たとしても歪んだ彼の心は己が汲み上げたデッキへと怒りをぶつけるのだ。
「クソッ! なんでデッキが回らねぇんだ! オレ様が組んだデッキだってのに!」

 そんな子供じみた八つ当たりをするレッカの前に新たなる挑戦者が現れる。
「あんたがボスか! このTCG歴一日の俺が相手だ!」
「次から次へと! ナメんなよ! 猟兵風情が!」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)はあえてなのかはわからないが、挑発に次ぐ挑発をぶつける。
 トレーディングカードゲームはある意味で冷静な思考が求められる。
 勢いだけではどうにもならないこともあるのだ。だからこそ、レッカに冷静な思考を与えない。
「あ、ちょいとそこの神絵師様。この新たに出来た絵の無いカードにイラストを描いてくれませんかね? だいじょうぶ、完成度は気にしないからさ、ね?」
 ぐったりとしているゴッドペインター。略してゴッペさんがエナジードリンクを片手にゲボ吐きそうに成りながらカードの絵柄を描いている間、祐一はデッキの確認をする。

 基本的な動きはカードゲーム怪人と対決した時と変わらない。
 盤面作成を優先するのはレッカも同じであろう。似たスタイルのデッキ構成であるが、相手にしたいことをさせないのではなく、させた上で封殺する。
 そのスタイルは互いの意地と意地の張り合いだ。
「というわけでデュエルだ! 先行は俺が貰う! そして以下略!」
 以下略!?
 え!?
 どゆこと!? と大抵の人はそう思っただろう。流れは大体前回と同じなのである。
 それでいいのかと問われたらあんまり良くはないと思うのだが、バンクシーンだと思って頂けたらいいだろう。早送り機能というかなんていいますか。そのぉ!

「装備魔法『テスタロッサカスタム』を銃士に装備! カードを伏せてお前のターンだ!」
 祐一が宣言する。
 何事もなかったかったかのように以下略! したことを忘れるようなゲーム進行である。ちょっと心配になってきたが、そこはご都合主義というやつである。
「へっ! その程度のユニットでオレ様の闇と火のデッキのユニットが止められると思うなよ――!」 
 対するレッカの場に展開されたのは自爆人形たち。
 誘爆と自爆を繰り返すことで敵のライフを削り取ることのできるユニットたちが無数に展開されている。
「行け! 自爆人形たち! 相手のユニットを爆殺してやれ!」

「おっと! 攻撃宣言の前にスタック割り込みで伏せカード発動!『フィールドジッパー』により銃士はこのターン戦闘で破壊されない! ちなみに銃士はテスタロッサカスタムの効果で戦闘以外じゃ破壊できないぞ!」
 二重三重に張り巡らせた銃士を守るカードたち。
 これでは誘爆ダメージで除去することも出来ない。ここに来て膠着状態に陥るとは思っていなかったのだろう。レッカは歯噛みする。
「だが、それもこのターンだけの話だ! 次のターンがお前のライフの最後だぜ!」
「いいや……それはお前の方だ! 俺のターン! この神絵師さんが描いてくれた『究極のカード』で――!」

 光り輝くカード。
 それは『冬雷(トウライ)』。
「これで銃士はお前のモンスター全てに攻撃可能! 纏めて消し飛ばして――!」
 吹き荒れる弾丸と爆風。
 それは場に居たユニットたちを巻き込んで全てを除去する嵐のような攻防であった。さらに誘爆ダメージが互いのライフを削る。
 確かにレッカを祐一は追い詰めた。
「だが、次のオレ様のターンになれば――何!?」
「ユニット『Eins』をセット! 速攻だ!」
 呼び出されたユニットが戦場を駆け抜け、ダメ押しの一撃をレッカに加える。それはライフのやり取り。
 たった一手遅れたことが勝敗を決する。

 それこそがトレーディングカードゲームであり、戦術の幅。カードの数だけ可能性があるのだ。
 何も『究極のカード』に頼りきりでなくてもいい。己の信じた戦術こそが勝利への道を切り開くのだから――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
ふっ、勝利を得てさらに新しいカードを描いてもらいました!
これでかなり優位に戦えるハズ!
しかしクノイチ要素が少なくて私しょぼん

気を取り直してデュエルです!
私の先攻ドロー!
ふっ、この『天敵』は今一番怖いものを召喚する
精神にダイレクトアタックするカード!
…あれ?なんでシリカ(猫)が召喚?
しかも何故私の方を?
シリカ!アタック向こう!向こう!!
ふぅ、危ないところでした…!

ついでに『ファントムシリカ』召喚!
さらに神カードドロー!
【疾風怒濤】で
シリカ(猫)と一緒にぶっ飛ばしちゃってくださーい!
無敵のモンスターとか敵になりませんね!(ドヤ顔)

※アドリブ連携OK



「ふっ、勝利を得てさらに新しいカードを描いてもらいました!」
 えへへ! と嬉しそうに笑っているのは、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)であった。
 彼女の手には助けたゴッドペインターから手渡された新しい絵柄のカード。
 それは『天敵』と名の突いたカードである。
「これでかなり優位に戦えるハズ! しかしクノイチ要素が少なくて私しょぼん……」
 そう、トレーディングカードゲームの絵柄にはクノイチのキャラクターも少なくはないのだが、サージェのデッキにはあまり入っていないのだ。
 もう少し自分のキャラクターに在ったデッキがあればよかったのに、とサージェはがっかりしつつ、それでも、むん! と胸を張って戦いに挑むのだ。

 対する猟書家『忌火起・レッカ』は、そんな彼女とは違い追い込まれていた。
 数多の猟兵たちがカードバトルを挑んできた。
 それら全てを返り討ちにすべくレッカは戦ったのだが、そのどれもが敗北で終わっていたのだ。
「クソッ! オレが、オレ様がこんなところで敗けるわけには……!」
 その瞳は最早、どこにも余裕がないことを物語っていた。焦燥感だけが震える手に伝わる。
 自信も、勝利への飽くなき執念も、彼の体を支えることはなかった。
 それはもう過去に置いてきたものであるのだから。

「気を取り直してデュエルです! 私の先行ドロー!」
 そんなレッカの様相とは真逆にサージェの顔は明るかった。
 それはレッカが過去に置き去りにしてきたものであっただろう。カードバトルを楽しむ気持ち。
 勝つだけではない、楽しむこと。
 トレーディングカードゲームは一人では遊べない。
 対戦相手があってのカードバトルだ。そこに確かに勝敗はあれど、楽しむ気持ちを忘れてしまっては何の意味もない。
 結局の所、カードゲームは娯楽なのだ。楽しんだもの勝ちなのだ。

「ふっ、この『天敵』カードは今一番怖いものを召喚する精神にダイレクトアタックするカード!」
 きらりと輝くカード。
 精神……。闇のゲームか何かかな? と見紛うほどの効果であるが、そんな爽やかな顔でそんな怖いことをサラッと言うのは、彼女も『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』に毒され……いや、馴染んできた証拠であろう。
「……クッ!」
「……あれ?」
 ぽふんと、カードの効果が現れ、そこに在ったのは白猫又であった。そう、サージェにとっては見慣れた存在。

 しかも、何故かサージェの方を見ている。
「シリカ! アタック向こう! 向こう!! あ―――ッ!?」
 何がどうなっているのかわらない昭和的な表現の土煙がバトルフィールドを覆う。レッカにしてみればマジで何が怒っているのかわからない光景だ。
「な、なんだ……なんのカード効果なんだ!?」
 割とマジでわからん。
 何がどうなってあんなことになっているのかTCG歴の長いレッカですらわからないのだ。

「ふぅ、危ないところでした……!」
 土煙の中から現れるサージェと『ファントムシリカ』。
 え!?
 あの『天敵』カードの効果はなんだったのかとレッカ共々困惑しているところにサージェの神ドローが連発する。
 それは『疾風怒濤(クリティカルアサシン)』。
 
 これよりレッカを襲うは理不尽の嵐。
 神引きも神引き。
 やることなすことすべてを無効化され、理不尽在るアタックコストを支払わされ、無敵のユニットすらも除去されてしまう。
 そう、それこそが『天敵』カードの効果!
 使用者の『天敵』を呼び出す効果であるが、それは即ちお尻を叩かれるのと同義。サージェの運命力は爪の引っかき傷の分だけ高まり、彼女のドローは常に最適解のカード運びとなるのだ!
「無敵のモンスターとか相手になりませんね!」
 ドヤァ!
 効果音が書き文字になってサージェの背後に浮かびそうなほどサージェはドヤ顔のまま手札を切る。

「さ、シリカと一緒にぶっ飛ばしちゃってくださーい!」
 放たれるは『ファントムシリカ』と猫の『シリカ』のダブルツープラトン攻撃!
「そんな、理不尽な展開があってなるものかよ――!?」
 レッカの悲鳴を背にサージェは勝利のVサインをシリカに向ける。
 勿論、カード効果であるから本物ではないのだが、それでもお尻を叩かれた結果だけは残せたことを誇らしげに彼女は笑うのだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
ゴッドペインターの皆様への非道、騎士として看過できません
いざ、尋常に!

エースを出して来ましたか
剣、盾…その無敵モンスターの突破は難しいですね

では、このカードを使わせて頂きます
本来、相手の行動を制限、誘導し任意の行動をさせ効果的に反撃するものですが…
モンスターではなく貴方…プレイヤーを対象に効果発動
『対象はモンスターのコントロールを相手に移す』
如何に無敵の耐性持とうとプレイヤーは無防備なのです

(攻撃して回避行動取らせ落ちたカード奪取。相手の切り札に騎乗し突撃)

如何に愛着持とうとカードは時に主に牙剥く物なのですよ

…言動が悪役に過ぎますね

…悪事働く者にカードは微笑みません!

※後で相手に返却しました



 もはや猟書家『忌火起・レッカ』の心は散々にへし折られていた。
 猟兵達とのカードバトルの勝敗は言うまでもなく彼の負け越しである。何処まで行っても勝てない。
 勝てないどころか、理不尽なる一手で盤面を覆される。
 それは最早運命と呼ぶしかない光景であった。あらゆる不幸が、不運が、レッカを襲っているとしか思えない状況であった。
「バカな……! オレ様が、ここまで追い込まれるだと……! こんなことがあっていいはずがない……!」
 歯噛みするレッカの前に騎士甲冑の猟兵――トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が立ちふさがる。

「ゴッドペインターの皆様への非道、騎士として看過できません。いざ、尋常に!」
 トリテレイアの宣言がほとばしる。
 手にしたデッキケースは荘厳なる白。騎士鎧をもしたデッキケースを掲げられては『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』にある以上、勝負は避けられない。
 どれだけ心をへし折られようと、勝負を挑まれた以上カードバトルをしなければならないのだ。
「ナメくさりやがって――! オレ様の! 戦いは、これからだぁ――!」
 やけくそである。
 これまで尋常ならざる神引きや盤面をひっくり返されたり、知らないカード効果やらなんやらで敗北を喫してきたレッカにとって、トリテレイアが機械騎士であるとかそんなことは最早驚くには値しないのだ。

 兎に角ぶっ倒す!
 それだけであった。だからこそ、彼は冷静さを欠いていた。その手に切り札カードが来た事により、勝利を確信したことも早計であった。
「来たぜェェェェ! オレ様の切り札がァァァァ!!!」
 もうびっくりするくらいのテンションの上がり方である。これまでどんな敗北をしてきたのか、トリテレイアは僅かに同情しかけた。いや、同情の余地などないのだが、ここまでボコボコにされていると、それはそれは憐れさえ誘う。
「では、このカードを使わせて頂きます」
「――は?」
「そちらのエース……無敵モンスターの突破は難しいでしょう。私のデッキの中にあるカードでは太刀打ちできない。そう、たしかに無敵モンスターなのでしょう」
 トリテレイアは、その手にしたカードを指し示す。

「『機械騎士の傀儡舞(マシンナイツ・パペットダンス)』。本来、相手の行動を制限、誘導し任意の行動をさせ効果的に反撃するためのカードではありますが……」
 カードテキストを読み込めば、本来とは違った動きの出来るカードなのだ。
 つまるところ、コントロールの奪取。
「ま、まさか、お前……!」
「ええ、その通りです。『対象はモンスターのコントロールを相手に移す』。如何に無敵の耐性を持とうとプレイヤーは無防備なのです」
 くるくるとフィールドから無敵モンスターのカードがトリテレイアの場に映る。
 それは悪夢であった。

 名実ともにレッカの切り札である無敵モンスターのカードは、この場において除去もできなければモンスターユニットによって排除もできないほど協力である。
「であればこそ。如何に愛着持とうとカードは時に主に牙むく者なのですよ」
 そのカメラアイがきらめく。
 ゴゴゴゴ。
 なんか書き文字がトリテレイアの背後に浮かんでいる。画風が違う! というか作風が違う!
 なんか劇画調になっとる! え、間違えてません? これ第六猟兵ってゲームなんですけどぉ! そんなツッコミは何処からともなく……聞こえてこない。
 だってここ『なんでもトレーディングカードゲームで決める空間』ですから。野暮なツッコミなど利かぬ!

「……言動が悪役に過ぎますね。ですが!」
「あ、ぁぁ――! そんな! こんなことが! オレ様が! 敗ける!? 敗ける……!?」
「……悪事働く者にカードは微笑みません!」
 無敵モンスターの一撃がレッカのライフを一気に削り取る。
 それは本来であれば、トリテレイアが受けていたダメージであったことだろう。だが、この一手で覆る。
 それがトレーディングカードゲームというものだ。
 最強のカードは確かにある。

 されど、それはカードバトルを楽しむ者それぞれが胸に抱いたカードながそうなのだ。誰もが認め、誰もがひれ伏す『究極のカード』なんて必要ない。
 カードに対する愛着、愛情、そしてなによりも。
「トレーディングカードゲームは皆で仲良く! ですよ……せめて、過去の貴方がカードバトルを楽しむ御仁であったことを祈るほかありません」
 さらさらと白化し、これ以上ない敗北を刻まれたレッカが霧散し、消えていく。
 その光景にトリテレイアはコントロールを奪ったレッカの切り札カードを添える。せめて、この切り札……彼の執着の一枚が敗北を慰めてくれるようにと祈りながら――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月21日
宿敵 『忌火起・レッカ』 を撃破!


挿絵イラスト