春の記憶と絶望のアリス(作者 佐和
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#アリスラビリンス  #猟書家の侵攻  #猟書家  #ホワイトアルバム  #アリス適合者  #はるの物語 


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 夢喰いクラゲが見せた夢の中で、はるは失くした記憶を少しだけ思い出していた。
 優しく穏やかなおかあさんと、朗らかで楽しいおとうさんに、慈しまれて愛されて、共に過ごしていた幸せな時間を。
 それと同時に、理解していた。
 その記憶を見せてくれた夢の中に、ずっと居たいと思ったのは。
 はるにはもう、その幸せがないから。
(「もうおかあさんとおとうさんには会えない、から……」)
『どうしてかしらね?』
 くすくすと嗤い声が問いかける。
 心の奥底から響いてくる、聞き覚えのある声が。
 ざわざわと、はるの心を騒めかせる。
 思い出してはいけない。
 でも、思い出さなくてはいけない。
「あなたも自分の記憶を取り戻したいのね」
 そこに不意に、別の誰かの声が混じった。
「こんにちは、アリスさん」
 目の前に立っていたのは、はるとそう年の変わらなそうな1人の少女。
 長い髪を2つに分けた大きな三つ編みを揺らし。白いラインの入った青いリボンと真っ赤なバラの花を飾り。可愛らしい白と青の服を身に纏って。大きな本を手に持った。
 猟書家『ホワイトアルバム』。
「いいわ、わたしが教えてあげる」
 あっさりと告げたホワイトアルバムが、無邪気な笑顔を浮かべた、と思った瞬間。
 はるの視界に、真っ赤な光景が広がった。
 家具が壊され、荒らされた部屋。
 ぴくりとも動かずに倒れている、おかあさんとおとうさん。
 それを見て、にっこりと、残酷な笑みを浮かべていたのは。
(「……あたし?」)
『そう、アタシが殺したのよ』
 そして世界に、はるの絶望の悲鳴が響き渡った。

 りりん。

「アリスのはるが、元の世界の記憶を思い出したよ」
 猟兵達を前に九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)がまず告げたのは、喜ばしいとも考えられる情報だった。
 アリスラビリンスに召喚されてしまったアリスは、自分の扉を見つけることで、失くした記憶を取り戻して元の世界へ戻ることができる。
 つまり、思い出せたということは、自分の扉を見つけられて、故郷へ帰れるようになったことと同義のはずなのだが。
「自分の扉に辿り着く前に、忌まわしき記憶だけを解き放たれてしまったようでね」
 夏梅の表情は酷く苦いもので。
 本来のアリスの道行きとは違う展開になっているのだと説明する。
 そして、この異常事態には、アリスラビリンスに侵略してきた猟書家『ホワイトアルバム』の存在があるのだ、と。
「狂乱したはるは、生きながらオウガになってしまった。
 訪れていた不思議の国自体も変異させてしまっている状態だ」
 本来は、死して過去となり骸の海へ排出され、そこから滲出してオウガになるのだが。
 はるはその姿を変えつつも、まだ生きているのだという。
 ゆえに、強く励ましたり、心を通じさせることができたのなら。
 オウガとなったはるを倒すことで、元に戻すことができるかもしれない。
「例えはると面識がない者でも、猟兵であるならばきっと声は届くさ。
 何しろ、猟兵は何度もはるを助けているんだからね」
 希望を込めて、そして確信を持って、夏梅はそう言い切って。
 幾度と邂逅を重ねたアリスの少女を思い、目を細めた。
「どうか、はるを助けてやっとくれ」

 りりん。

 小麦色だった長い髪は、色が抜けていくかのように真っ白に染まり。
 焦茶色のおっとりした優し気な瞳が、感情を喪ったかのように冷たく赤く輝く。
 鈴鳴らす髪飾りは、白い花と黒い魔女の帽子へと変わり。
 幼い身体は、黒くタイトなドレスを纏った大人の女性へと成長した。
「あらあら。オウガになっちゃった。
 記憶を取り戻したことで、壊れちゃったのね」
 その変貌を見届けたホワイトアルバムは、変わらず無邪気に微笑む。
「自分の記憶なんて、そんなに大事なものじゃないのにね。
 こうやって壊れちゃうこともあるのに、何でアリスさんは取り戻したいのかしら?」
 心底不思議そうに首を傾げながら、とんっとんっと踊るようにその場を歩いて。
「わたしは自分がだれだか思い出せないし、この姿も本当じゃない。
 大切な御本だって……ほら、真っ白」
 手にした大きな本を一度開いて見せてから、くるりと回って閉じ、抱える。
 その間にも、不思議の国へと変化は広がっていて。
 美しく煌びやかなお城の中だったはずのその場所は、まるで地下に沈んだかのように暗くなり、殺風景で武骨な、牢屋を思わせる雰囲気になっていって。
 動く燭台やティーセットなどの、お城を彩っていた愉快な仲間達が、柱の陰から不安そうにこちらを覗き込んでいた。
 ホワイトアルバムはそれらを一瞥し、でもすぐに興味を失ったように視線を外すと。
「でも、何も困らないわ。自分の扉も自分の記憶も、要らないものなのにね」
 くるくるりとオウガへ……クチナシの魔女へと向き直る。
「あなたもそう思わない?」
 けれども、魔女の口元は黒い布に覆われていたし。
 視線が向けられているのは、両手で開いた血の滴る赤い本。
 お城を変質させ続けるばかりで、誰かと話そうとする気すらないようだったから。
 ホワイトアルバムは肩を竦めて、また愉しそうに嗤った。


佐和
 こんにちは。サワです。
 はるの記憶を巡る物語、その結末を。

 アリスの『はる』は、10歳程の少女で、歌声で癒すシンフォニック・キュアのようなユーベルコードが使えます。
 これまでの登場シナリオは、タグ #はるの物語 を参照してください。
 最低限の情報はOPに記載しましたので、未読でもいけるかと思います。

 場所は、大きくて絢爛豪華なお城の中……だったのですが、今は変異して、薄暗く不気味な地下迷宮か地下牢かといった様相となっています。
 燭台やらモップやらタペストリーやらといった、城の中にある備品の姿をした愉快な仲間達が、怯えながら遠巻きに様子を伺っています。

 第1章は『クチナシの魔女』とのボス戦です。
 はるがオウガとなった姿で、その能力も変わっています。
 戦い、倒すことで元に戻ることができますが、その際に命があるかどうかはそこまでの呼びかけ次第です。

 第2章は幹部猟書家『ホワイトアルバム』とのボス戦です。
 はるが無事であれば、癒しのユーベルコードで支援してくれます。
 ホワイトアルバムを倒せば、不思議の国も元に戻ります。

 それでは、絶望と希望とを、どうぞ。
110




第1章 ボス戦 『クチナシの魔女』

POW ●「ものがたりのはじまりはじまり」
【絵本から飛び出す建物や木々】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を描かれた物語に応じた形に変化させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD ●「すると、愉快な仲間達は言いました」
【愉快な仲間達が登場する物語】を披露した指定の全対象に【朗読された言葉通りに行動したいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ ●「まあ、なんということでしょう!」
無敵の【愉快な仲間達が合体したりして巨大化した姿】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠八津崎・くくりです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 自分で自分がどうにもならなくて。
 おかあさんを殺してしまった。
 おとうさんを殺してしまった。
 ダメだって。やめてって。心の奥底で叫んでいたけれども。
 私の手は止まらなくて。
 私の力は止まらなくて。
 私の大切な人を、みんなみんな殺してしまった。
『アナタの大切な人は、みんなみんな殺した』
 止めに入ってくれた人も殺して。
 助けに来てくれた人も傷つけて。
『だって、アナタが喜んだんだもの。アナタが嬉しいと思ったんだもの』
 もう1人の私が嗤う。
 たくさん殺した私が、嗤う。
『アナタはアタシ。アタシはアナタ。
 だからアナタにはアタシだけ。アタシにはアナタだけ』
 私が大切に思った人は、私に殺される。
 私が会えて喜んだ人は、私に殺される。
 私が一緒で嬉しい人は、私に殺される。
『解ったのでしょう? 思い出したのでしょう?
 知らなかった事実を知らされて、絶望して、この世界に来たことを』
 みんな殺してしまう私を大切に思う人なんて、誰もいない。
 みんな殺してしまう私に会えて喜ぶ人なんて、誰もいない。
 みんな殺してしまう私と一緒で嬉しい人なんて、誰も……
『そう、みんなアナタが嫌いなの。
 元の世界でアナタを待っている人なんていやしないの』
 私は、嗤う。
 私を心の奥底に沈め隠して、嬉しそうに。
 嗤い続ける。
 だから。
『だからアナタにはアタシだけ』
 もう誰も私のところに来ないで。
 もう誰も私に殺させないで。
 もう誰も私を……

 きらいにならないで。


 りりん。


「ものがたりのはじまりはじまり」
 くちなしの魔女は語る。
「あるところに1人の小さな女の子がいました。
 穏やかなお母さんの優しいご飯が大好きで。
 朗らかなお父さんと楽しく絵本を読むのが大好きで。
 家族揃って幸せに暮らしていました」
 両手で広げた赤い本を、ぱらりとめくりながら。
「でもある日、目覚めた女の子は1人きりでした。
 おかあさんはどうしたの?
 おとうさんはどうしたの?
 問いかけても周りの誰もその答えを知りません」
 赤い瞳を細めて、語り続ける。
「何も知らないまま、女の子はまた幸せに暮らしていました。
 助けてくれる親切な人。優しくしてくれる新しい友達。
 月日が過ぎていった先で、ある少年が女の子に聞きます。
 ……両親のこと、知りたい?」
 ぱらり、とめくった本の赤い表紙から、じわりと赤が滲みだす。
「まあ、なんということでしょう!
 誰も分からなかったそのことを、少年はずっとずっと調べてくれていたのです。
 そして。
 問われた少女は、迷った末に頷きました。
 しかし、頷き返した少年が語った真実に、女の子は……」
 赤黒い血が、ぽたりぽたりと垂れ落ちる。
「女の子の心は耐えきれず、壊れて、別の世界に堕ちていきました」
 くちなしの魔女は、赤い瞳を細めて嗤う。
「めでたしめでたし」
 本の中から聞こえてくる絶望の悲鳴を、愉しむように。
セシル・バーナード
心が壊れるほどの絶望の記憶か。何の準備も無しに対面したんじゃ、そりゃただじゃすまないよね。

ぼくは、そのはるって子に面識は無い。だから具体的な説得はみんなに任せるよ。
ぼくがするのは、下準備。
奏鳴楽団召喚。演目はビバルディの協奏曲『四季』から《春》。
「楽器演奏」と「歌唱」「存在感」「鼓舞」で、シンフォニック・キュア。
身体だけでなく心を癒やすことが出来れば。

はる! これまでのことを全部思い出したんなら、『そうなった』理由まで分かってるんだろう!?
それは全部君のせいなのか? よく考えてみるんだ。オウガに堕ちて逃げようなんて甘いよ! 最後までヒトとして、生きて死ね。
それが課せられた贖いじゃないのか!


 血の滴り落ちる赤い本を開き、物語を語るクチナシの魔女を眺めて、セシル・バーナード(セイレーン・f01207)はふっと呟いた。
「心が壊れるほどの絶望の記憶か。
 何の準備も無しに対面したんじゃ、そりゃただじゃすまないよね」
 本が傷を負っているような。
 本が泣いているような。
 ぽたりぽたりと止まらぬ血に、セシルは緑色の瞳を細めて思う。
 セシルは、はるとの面識がない。
 冷たく、怖い程に静かに本を見つめる赤い瞳が、元はどんな色だったのか知らない。
 長く揺れる白い髪が、元はどんな色で、どんな長さだったのか知らない。
 魅力的な身体のラインを浮かび上がらせる、タイトなデザインの黒い魔女服が、元々着ていたものなのか、オウガとなってからのものなのかすら知らない。
 はるが、どんなふうに笑う子なのかも。
 アリスラビリンスでどんな時間を過ごしてきたのかも。
 セシルは、知らない。
 だから思う。
(「きっと、ぼくよりも届く言葉を持っている人がいる」)
 はるを知っている誰かが。
 はると共感できる誰かが。
 はるが大切に思う誰かが。
 はるを助けてくれるはずだから。
(「ぼくがするのは、下準備」)
 セシルは、バイオリンを取り出すと、慣れた様子で構えて。
 すうっと大きく息を吸った息を一度止めてから、弓を引いた。
 流れるように奏でられる、美しい旋律。
 そこにセシルは癒しの歌を重ねた。
 少女と見紛う程の容姿に似合った、変声前の美しい高音が響く。
 それは艶やかで、そして優しく。
 クチナシの魔女を包み込むように紡がれていく。
 敵であるオウガへの癒し。
 しかし、戦いは始まったばかりで、オウガも誰も、まだ傷1つ負っていない。
 ゆえにセシルが望んだのは。
 オウガの……はるの心の傷を癒すこと。そして。
 はるを知っている誰かの声が。
 はると共感できる誰かの声が。
 はるが大切に思う誰かの声が。
 はるへと届くように、その道筋を作ること。
 そのためのきっかけを作ろうと、セシルは叫ぶ。
「はる! これまでのことを全部思い出したんなら、『そうなった』理由まで分かってるんだろう!?」
 歌の間で、セシルは声を張り上げる。
「それは全部君のせいなのか? よく考えてみるんだ」
 絶望だけに目を向けないでと。
 哀しみに目を曇らせないでと。
「オウガに堕ちて逃げようなんて甘いよ!
 最後までヒトとして、生きて死ね。
 それが課せられた贖いじゃないのか!」
 キツいことを言っていると思いながら。
 それでも、この厳しさではるの目が覚めてくれることを願いながら。
 セシルは叫び、そして、妙なる歌声を紡ぎ続けた。
大成功 🔵🔵🔵

ヘザー・デストリュクシオン
はるちゃん。わたしね、大好きな妹を殺したと思ってたの。
お父さんから守りたくてつきとばしたら、川に落ちて流されて帰ってこなかったの。
運よく生きててまた会えたけど、あの子わたしのせいで死にかけたのに言ってくれたの。
大好きって。

あなたはお父さんとお母さんや友だちが好きなのよね?
その本にみんなの気持ちは書かれてるの?
きらわれたって思いこむのはバカよ。
わたしも妹にきらわれたって思ってたもん。
みんなの本当の気持ちはあなたの心の中にあるんじゃないの?
苦しんだ人はその分幸せにならないとダメなんだって。
だからあなたも幸せになるのよ!

相手の攻撃はダッシュやジャンプ、スライディングで避けて本と地形をUCで壊すの。


木霊・ウタ
心情
二重人格なのか
力の暴走なのか
その過去さえも猟書家の誑かしなのか
それは判らない

確かなのは過去は変えられないけど
未来はこれから創っていけるってコト
過去で未来を諦めてほしくないぜ

はる
失くしたい過去は
今を精一杯生きて未来を紡いでいくことでしか
清算されないぜ

親の願いは
子が笑顔で生を謳歌することなんだからな

死の真相を皆が隠してたんなら
あんたを傷つけたくなかった、
つまり愛されてるってコトだ
今もきっと帰りを待ってる

戦闘
獄炎纏う焔摩天で
飛び出してきたものや変化した地形を薙ぎ払い
砕き焼き尽くす
そのまま炎は魔女をも喰らい灰に帰す

事後
目覚めを迎える静かな旋律を爪弾く
お早うさん

さてと猟書家退治だ
力を貸してくれるか?


 紡がれる物語に、アリスの過去を知る。
 クチナシの魔女が読むそれは、どこか絵本じみていて、不鮮明な部分があるけれども。
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)にも分かる、確かなことは。
「過去は変えられないけど、未来はこれから創っていけるってコト」
 両親を殺してしまったと、思い出した過去を嘆くアリス。
 両親を殺してあげたのだと、思い出した過去を嗤うアリス。
 二重人格なのか。
 力の暴走なのか。
 その過去さえも、猟書家の誑かしなのか。
 クチナシの魔女の物語からは判然としないけれども。
「過去で未来を諦めてほしくないぜ」
 それが例え望まぬ過去であっても。
 それが例え望んだ過去であっても。
 過去に囚われ、浸食されて、先へ進むことを止めてほしくないから。
「うん。そうだね」
 ウタの隣に飛び込んで来るように、ぴょんっとヘザー・デストリュクシオン(白猫兎の破壊者・f16748)が並んだ。
 頷いたその動きに合わせて、兎の耳もぴょこんと揺れる。
 にっと細めた金色の猫の目は、優しく魔女を映して。
「はるちゃん」
 知ったばかりのアリスの名を呼びかけた。
「はるちゃん。わたしね、大好きな妹を殺したと思ってたの」
 語るのは、ヘザー自身の過去。
 家族を殺してしまったと嘆くはると同じ。
「お父さんから守りたくてつきとばしたら、川に落ちて流されて帰ってこなかったの」
 ヘザーが囚われていた罪の意識。
「でもね、妹は生きていてくれた。
 運よく生きてて、また会うことができた」
 その罪からヘザーが解放されたのは、ヘザーが過去に留まらず、未来へと進んだから。
 辛くとも先へと歩き続けたから。
「それだけじゃなくてね。
 あの子、わたしのせいで死にかけたのに、言ってくれたの」
 だからこそ、ヘザーは得ることができた。
 囚われていたヘザーを完全に解き放つ、たった一言を。
「大好きって」
 微笑むヘザーに、クチナシの魔女の赤い瞳が向く。
「あなたは、お父さんとお母さんや、友だちが好きなのよね?
 その本にみんなの気持ちは書かれてるの?」
 ヘザーが指差した赤い本からは、涙のように血がぽたりぽたりと滴り落ちて。
 絶望だけを紡いでページがめくられる。
「きらわれたって思いこむのはバカよ。
 わたしも妹にきらわれたって思ってたもん」
 きっと本の中に『ほんとう』はない。
 後悔して、自分を責めて、目を反らして、閉じこもっていたら分からない。
 前を向いて。周りを見て。
 お父さんの。お母さんの。友達の。
 全てをきちんと見つめて、思い出せたなら。
「みんなの本当の気持ちはあなたの心の中にあるんじゃないの?」
 きっとはるだって出会えると思うから。
 ヘザーも得た、大切な一言に。
「はる」
 だからウタも、呼びかける。
 はるが見ていない『ほんとう』に気付けるように。
「親の死の真相を皆が隠してたんなら、その理由は、あんたを傷つけたくなかったから。
 親の死の真相を教えようとしたなら、その理由は、あんたが心から望んでいたから。
 どっちもきっと、あんたを想ってのことで。
 つまり、愛されてるってコトだ」
 安心させるように、力強く笑いかけながら。
「そんな奴らなら、今もきっと、帰りを待ってる」
 間違いないとウタは言い切る。
「はるは嫌われてなんかない」
 バイオリンの音色が響く中で、真っ直ぐにクチナシの魔女を見つめて。
 そんなウタとヘザーから、クチナシの魔女は視線を反らし。
 ぱたんと閉じた赤い本を再び開くと、そのページに赤い瞳を向けた。
「ものがたりのはじまりはじまり」
 紡がれた定型句と共に、開いた本から家や木々が飛び出した。
 それは絵本の挿絵のような、柔らかいタッチで形作られたものだったけれども。
 咄嗟にジャンプして避けたヘザーの足元で、木は石造りの床にめり込む。
 刃に焔摩天の梵字を刻んだ巨大剣『焔摩天』を振るい、家を真っ二つに斬り割ったウタも、左右に分かれたそれが勢いのままに床に大きなヒビを刻むのを肩越しに見た。
 優しい見た目とは裏腹にかなりの威力を持つ攻撃に、ヘザーとウタは視線を交わし。
「とどいているよね」
「ああ、俺達の声は、はるに届いてる」
 語りかけた声に反応して攻撃が飛んできた。
 その事実から、感じ取って。
 ウタは大きく頷くと、焔摩天で自分の腕を切りつける。
 傷口から流れ出るのは赤い血と、そしてブレイズキャリバーの地獄の炎。
 その獄炎を刀身に纏わせて。
 さらに飛び来た絵本の小屋を迎え撃った。
「失くしたい過去は、今を精一杯生きて未来を紡いでいくことでしか清算されないぜ」
 薪の積まれた小屋を斬り壊し、炎で燃やしながら。
 続くもこもこした生垣へと、燃える焔摩天を振るう。
「親の願いは、子が笑顔で生を謳歌することなんだからな」
 捕えようとする過去を断ち切るように。
 浸食してくる過去を燃やし尽くすように。
 獄炎の剣を、伝えたい想いを、ウタは振り続ける。
 ヘザーもぴょんぴょんと攻撃を躱し。
 しかし、避けた木々が、花が、案山子が、突き刺さった床を、冷たい石造りのそれから柔らかな優しい絵本のような草原に変えていくのを見て。
「苦しんだ人はその分幸せにならないとダメなんだって」
 広がり行く偽りの草原を食い止めるように、頑丈なロングブーツに覆われた足を思いっきり振り下ろす。
 単純なその一撃は、単純故に重く、床を蹴り砕いて。
「だからあなたも幸せになるのよ!」
 地形の変貌を食い止めながら。
 願いを乗せた声を、ヘザーははるへと向け続けた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ラフィ・シザー
アドリブ連携歓迎

『はる』は知ってる。あいつとサヨナラする時にいたアリスだ。
『ホワイトアルバム』も知ってる。アリス達を傷付ける猟書家の一人だ。
行く理由はそれで十分。

はる。はる。聞こえてるかい?
俺はアリスの…はるの『トモダチ』だ。
たとえはるが自分を嫌いになったとしても俺ははるの『トモダチ』だ。
俺はいろんなアリスに会ってきたんだ。
俺はどんなアリスだって受け入れるから…はる、戻ってきて?

UC【アリスの悪夢】

はるにこの悪夢の一部になってほしくない…。
どうかまた君の優しい歌声を聴かせて?
(攻撃を受けても【激痛耐性】で耐え話しかけ続ける)


フリル・インレアン
ふええ、あのハルさんにそんな過去が・・・って当然ですよね。
私達アリスは過去の苦しみから逃れるようにこの世界に来ているのですからひとつやふたつ信じられない過去があって当然なんですよね。
そして、私にも・・・。

元の世界にはハルさんの暴走を止められる人がいなかったみたいですけど、この世界には私達猟兵がいます。
この世界にいる間はずっと私達がハルさんのことを好きでいてあげますし、殺されたりなんかしませんよ。

私がお菓子の魔法で朗読のスピードを遅くしている間にアヒルさんはハルさんの目を覚まさせてあげてください。

元の世界に戻るまでにハルさんは自分の中のもう一人のハルさんと向き合わないといけませんね。


「ふええ、あのはるさんにそんな過去が……」
 紡がれた絶望の物語に、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は被っていた大きな帽子の広いつばをぎゅっと引き寄せた。
 聞いているだけのフリルにとっても辛い出来事は、当事者であるはるにはどれほどの衝撃だったのだろうかと思う。
 でも、その一方で。
(「……って、当然ですよね」)
 納得しているフリルも、いる。
(「私達アリスは、過去の苦しみから逃れるようにこの世界に来ているのですから。
 ひとつやふたつ信じられない過去があって、当然なんですよね」)
 それは、同じアリス適合者として思うこと。
 1人1人抱える過去は違っても。
 その辛さを、重さを、苦しさを忘れて、アリスラビリンスに召喚される。
 だから、アリスである以上、はるには逃げたくなるような過去があって。
(「そして、私にも……」)
 アリスである以上、フリル自身にもきっと、逃げたくなるような過去が、ある。
 まだフリルはそれを思い出せてはいないけれども。
 胸に抱いたアヒルちゃん型のガジェットが、この世界で目覚めた時、どうして自分の傍に転がっていたのか、それすら分からないままだけれども。
 きっといつか、思い出す時が来る。
 フリルは、ぎゅっとガジェットを強く抱きしめて。
 帽子の陰からちらりと、クチナシの魔女の姿となったはるを見て、思う。
「そうだね。はるは、アリスだから」
 不意に隣から聞こえた声に、ふええ、とフリルが振り向くと。
 そこにはいたのは、見覚えのある時計ウサギ。
 長く後ろに伸びた黒い燕尾服と、短い丈の黒色のズボン。白く細い脚に履くのは、黒いガーターつきの黒い靴下と黒い革靴。
 静かに揺れるウサギ耳も、短く整えられた髪も黒く。
 執事を思わせる以前と同じ服装で、黒ウサギが……ラフィ・シザー(【鋏ウサギ】・f19461)が佇んでいた。
「あいつとサヨナラする時にいたアリスだ」
 少しだけ細められた銀色の瞳に映るのは、クチナシの魔女だけれども。
 以前、はるを助けたときに相対した、灰色ウサギのオウガの姿がラフィの記憶を過る。
 ラフィを一番に思うあまりに。時計ウサギでありながら、ラフィが大切に案内するアリスを邪魔だと感じ。ラフィの唯一になるためだけに、オウガになってまでアリスを殺し続けていた……トモダチ。
 その別れの時に歌を歌ってくれたアリスがはるだから。
「だから今度は、あんたを止めなきゃね」
 ラフィはじっと、赤い本をめくる魔女を見た。
 それに、ラフィは、はるを変貌させたホワイトアルバムも知っている。
 アリス達を傷つける猟書家の1人。
 アリスを案内する時計ウサギとして、許容できない相手。
 これだけ揃えば、ラフィがこの場に立つ理由は十分すぎたから。
「ものがたりのはじまりはじまり」
 クチナシの魔女が紡いだ定型句に、ラフィは身構えた。
 赤い本から血がしたたり落ち、そして開いたページから、絵本の挿絵のような様々な建造物が飛び出してくる。
 煙突の付いた家が。薪を積み重ねた小屋が。背の高い木が。まあるい生垣が。
 次々とラフィへも向かってきた。
「あ、あの。よかったら、おひとつどうぞ」
 そこに後ろからおずおずとかけられた声に、ちらりと振り向くと。
 差し出されていたのは手作りらしきお菓子。
 恐る恐るこちらを見上げるフリルの赤い瞳に、ラフィは目を瞬かせて。
 短く鳴いたガジェットの声に、何となく察してお菓子を受け取った。
 ありがとう、と礼を言ってぱくりと口に放り込むと。
 広がるのは、優しい甘さと、フリルのユーベルコード。
 迫り来る建造物の速度が急に遅くなったのを感じながら、ラフィは小さく笑うと。
「さぁ、アリス。今、君の無念を晴らしておくれ」
 両腕を大きく開いて見せながら、死んだアリス達の霊を召喚した。
 少年が。少女が。子供が。大人が。
 様々な姿形のアリス達が、家を小屋を木を生垣を、受け止め防いでいく。
「はる」
 その最中に、ラフィはその名を呼んだ。
「はる。聞こえてるかい?」
 優しく穏やかに、語りかける。
 赤い本に視線を落としたまま、振り返りもしないクチナシの魔女へ。
 淡々と物語を読み上げるだけのオウガの、その中で聞いているはずのはるへ。
「俺はアリスの……はるの『トモダチ』だ。
 たとえはるが自分を嫌いになったとしても、俺ははるの『トモダチ』だ」
 迎え入れるように手を差し伸べて、ラフィは告げる。
「この世界にいる間は……
 いえ、元の世界に戻った後も、ずっとわたし達ははるさんのことを好きです」
 フリルもお菓子を並べながら、はにかむように微笑んだ。
「それに、わたし達は猟兵ですから。殺されたりなんかしませんよ」
 そうですよね、と話しかければ。並べたお菓子を食べ散らかしていたガジェットが、ぴたっと動きを止めて、しっかりと一声鳴いてみせる。
「元の世界には止められる人がいなかったみたいですけど……
 はるさんの暴走も、わたし達猟兵が止めてみせます」
 フリルも精一杯、ぎゅっと両手を握りしめながら。
 大きな赤い瞳で真っ直ぐに、クチナシの魔女を……その中のはるを見据えた。
「まあ、なんということでしょう!」
 そこに、自ら動く巨大な箒が現れて。
 フリルを履き捨てようと、さっさと動きながら迫ってくる。
 でも、フリルのお菓子を楽しむどころか片付けてしまう箒の動きは、ユーベルコードにより遅くなっていたから。
「親を殺した? 友人を殺した?
 大丈夫。俺はいろんなアリスに会ってきたんだ」
 ラフィが喚び出したアリス達が素早く群がる。
 少年の手が、硝子の破片となって箒を切り裂き。
 子供の口が、怨嗟の叫びを上げて箒を包み込む。
 重ねられる悪夢のような攻撃。
 でもそれすらも、ラフィが喚んだ、受け入れたものだから。
「俺はどんなアリスだって受け入れるから……」
 はるにはこの悪夢の一部になって欲しくはないけれど。
 例えどんな悪夢となっても、アリスに寄り添う覚悟はあると示しながら。
「だから、はる。戻ってきて?」
 ラフィは、手を伸ばし続ける。
「どうかまた、君の優しい歌声を聴かせて?」
 こんな酷い朗読ではなく。
 あの穏やかで温かな、ラフィのトモダチに贈ってくれた歌声を。
 悪夢になってしまったら聴けないあの旋律を。
 心の底から望んで。
 手を、伸ばし続ける。
 フリルはそんな時計ウサギの真摯な姿を見て。
 伸ばされた手の先で、ゆっくりと本からこちらへ視線を向けた魔女を見て。
「止めてみせます」
 胸元に引き寄せたガジェットをぎゅっと抱きしめた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

はる。
姿が変わっても、過去に何があっても、わたしは、わたしの知ってるはるを信じる

はる、その姿は以前仮装した魔女の姿?
だって、三角帽子
はるとお話した事、全部憶えてる
何故って?そんなの当たり前
友達だもの

お父さんとお母さんの事が大好きなはる
殺した?ありえない
例えそうでも、はるの本意ではない
思い出して?はるの記憶は、過去は、はるだけのもの

何よりも、わたしははるが大好き

どんな巨大な想像物でもわたしを傷付ける事は出来ない
だって、はるの本意ではないから
それにわたしは強い
はるやまつりん、大切な人達が傍にいるから
…物理的にも強い
怪力で攻撃を跳ね返し、そのまま【華灯りの舞】


木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と。

はるちゃん?
はるちゃんだよね?

おいらとアンちゃん、わかる?
アンちゃん、ずっとはるちゃんを気にしてたよ?

はるちゃん、悪い子になろうとしてる。
おいらははるちゃんの友達だから、やめなさいって言うよ。
大好きなお友達を傷付けちゃダメ!

だって、はるちゃんアンちゃん好きでしょ?
海莉姉ちゃんも愉快な仲間たちも、大好きでしょ?

みんな、はるちゃんの友達だから。
はるちゃんと一緒だと、ずっと幸せ。

だから、壊れないで。
ホントの気持ち思い出して。我慢して!

だいじょぶ。
おいらたちは強いから、いつでも傍にいるよ。
友達なんだから、当然じゃーん?(にぱ)

無理しなくていいから。戻っておいで!(愛の拳)


「はるちゃん? はるちゃんだよね?」
 様変わりしたその姿に、しかし野生の勘でその気配を感じ取ってか、木元・祭莉(まつりんではない別の何か・f16554)はその名を呼びかけた。
「おいらとアンちゃん、わかる?
 アンちゃん、ずっとはるちゃんを気にしてたよ?」
 指し示すのは自身と、双子の妹である木元・杏(きゅぴん。・f16565)。
 心配そうに不安そうに金色の瞳を揺らす杏は、クチナシの魔女が紡ぐ物語を聴きながらぎゅっと胸元で両手を握りしめる。
 はるが両親を大好きなのは知っていた。
 夢喰いクラゲの夢の中で、杏は見たのだから。
 おかあさんのご飯を食べながら嬉しそうに笑っていたはるを。
 おとうさんに絵本を読んでもらいながら幸せそうに笑っていたはるを。
 杏と同じ、家族と過ごした時間を宝物のように思っていたことを。
 はるの『幸せな夢』に見たのだから。
 だからこそ。
(「殺した? ありえない」)
 クチナシの魔女の物語に、杏は首を横に振る。
(「例えそうでも、はるの本意ではない」)
 はるは、家族と過ごす夢に溺れかけていたのだから。
 家族との時間を幸せに感じて、囚われかけていたのだから。
 その幸せを、望んで壊したとは思えない。
 それに、きっと。
「思い出して? はるの記憶は、過去は、はるだけのもの」
 はるの中にあるのは、絶望だけではないはずだから。
 ずっと見ていたいと願う程に幸せだった、両親との記憶。
 きっと他にも、元の世界で楽しかった記憶はあるはず。
 それに、このアリスラビリンスでも。
「はる、その姿は以前仮装した魔女の姿?」
 クチナシの魔女の三角帽子を指差して、杏は微笑む。
 喋って飛ぶ帽子な仲間たちとお茶会をした国で、魔女の仮装をしたことがある、と話していた、はる。その頭の上にふわりと乗った三角帽子に、杏と笑い合って……
「はるとお話した事、全部憶えてる」
 杏は、当たり前のように告げた。
「友達だもの」
 優しく微笑みながら、迷いなく真っ直ぐに。
 思い出してと伝える。
「わたしははるが大好き」
「おいらも!」
 そんな杏に並んで、祭莉もはいはいっと手を上げ笑う。
「おいらもはるちゃんの友達だから。
 だから、やめなさいって言うよ。
 はるちゃん、悪い子になろうとしてる。
 大好きなお友達を傷付けちゃダメ!」
 ぷんぷんと怒って見せながら、祭莉が指し示したのは、クチナシの魔女の周囲を飛び交う様々な建造物。
 柔らかな絵本を思わせる見た目とは裏腹に、家が木が小屋が草花が、猟兵達へと襲いかかり、そして激突した床にめり込み、ひび割れ壊していく。
 まるで世界の全てに絶望して、足元から崩れていくかのように。
 そんな光景を指し示して、祭莉は、これじゃダメだよ、と言葉を重ねた。
「だってはるちゃん、アンちゃん好きでしょ?
 海莉姉ちゃんもリンデンも愉快な仲間たちも、大好きでしょ?」
 はると一緒に喋る帽子を被って、笑い合っていた杏を思い出して。
 はると一緒に紅茶を楽しみ、相棒のもふもふを分かち合っていた友人を思い出して。
 祭莉は両手を広げると、お日様笑顔でにぱっと笑う。
「みんな、はるちゃんの友達だから。
 アンちゃんも海莉姉ちゃんもリンデンも……おいらも!
 はるちゃんと一緒だと、ずっと幸せ」
 きっとはるもそうだったと思うから。
 皆で過ごした時間を大切に思ってくれてると信じてるから。
「だから、壊れないで。ホントの気持ち思い出して。我慢して!」
 祭莉も願うように言葉を重ねていく。
 双子の声に。その思いに。
 手元の赤い本ばかりを見ていたクチナシの魔女の赤い瞳がちらりと向いて。
 しかしすぐに視線を本に戻すと、ぺらりと絶望のページを捲った。
「まあ、なんということでしょう!」
 定型句と共に現れたのは、巨大なモップ。
 愉快な仲間だったのだろうか、見上げる程に大きくなったモップは、祭莉を、杏を、その場から片付けてしまおうとするかのように迫ってきたけれども。
「どんな巨大な想像物でもわたしを傷付ける事は出来ない」
 ふわりと舞うように、杏は、その突撃を躱す。
「だって、はるの本意ではないから」
「うん。それに……」
 祭莉も、くるりと方向を変えてまた向かってくるモップに、笑顔のまま向き直って。
 その全身が輝ける白炎に覆われる。
 笑顔だけでなく全てがおひさまになったかのように輝いた祭莉は、今度はモップを避けずに、カウンター気味にその拳を叩きつけた。
「だいじょぶ。
 おいらたちは強いから、いつでも傍にいるよ」
 ほらね、と見せるように、モップを殴り倒した手を掲げて。
 また祭莉は、にぱっと笑った。
「わたしは強い。はるやまつりん、大切な人達が傍にいるから」
 ふらりと揺れたモップに、追撃するように杏がその怪力を振るい。
 そしてそのまま、すっと指先を向けた。
「射て」
 舞い散る桜の花弁を思わせる白銀の光がモップを貫く。
 物理的にも強いところを見せながら、杏はクチナシの魔女へと迫って。
「はる」
 その中にいる友人へと語りかける。
「姿が変わっても、過去に何があっても、わたしは……」
 真っ直ぐに、金色の瞳に今は見えないその姿を思い描いて。
「わたしの知ってるはるを信じる」
 そして再び、華灯の舞が輝いた。
「友達なんだから、傍にいるのは当然じゃーん?」
 祭莉もぴょこんと飛び込むように杏に続いて。
 ぐっと握るのは、愛の拳。
「無理しなくていいから。そのままのはるでいいんだから。
 だから、みんなの傍に戻っておいで!」
 放たれた一撃は、願いと共に、クチナシの魔女へと向かっていった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

斬断・彩萌
なぁにが「めでたしめでたし」よ
ちっとも面白くないわ
物語のお終いは、ハッピーエンドじゃなきゃいけないのよ

さて、口で言っても中々伝わらなさそうね
一応最低限声掛けくらいはしてみましょうか
「誰もが貴女を嫌いになるだなんて、嘘」
「本当は貴女自身が、自分を認めたくないだけ」
言葉のナイフを突き付けるようで悪いけど
これもはるの為だと思いながら凛と宣言する

近寄られないように常に二挺拳銃で牽制しつつ戦う
都合良くサイコキネシスで操る建物や樹々は
あちらから用意してくれるみたいだし、存分に利用させて貰いましょう
オラッ、自分の武器を投げ返される気分はどう?

ねぇ、はる
絶望に囚われないで
貴女の本当の気持ちと向き合って


「なぁにが『めでたしめでたし』よ。ちっとも面白くないわ」
 クチナシの魔女が読み上げた物語に、斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は不満気に口を尖らせた。
 心を壊した女の子が、アリスラビリンスに堕ちてきて、終わり。
 そんなところで終わらせてなるものかと。
 まだその続きがあるはずだと。
 彩萌は、手元の赤い本に視線を落したまま、他を見もしないクチナシの魔女に怒りの声を上げる。
「物語のお終いは、ハッピーエンドじゃなきゃいけないのよ」
 その手に現れたのは、ExecutionerとTraitor。
 処刑人、そして、叛逆者の名を冠した二挺拳銃。
 手に馴染みすぎるほど馴染んだ愛用の武器を、無造作にも見える動作で掲げると、ピタリと正確にクチナシの魔女へ照準を合わせた。
 口で言っても伝わらなそうな相手なら、伝える手段を変えるまで。
 そして、銃弾を撃ち込もうと指へ力を込めかけた、その時。
 クチナシの魔女が、ゆるりと顔を上げる。
 赤い瞳が向いた先には、白いウサギ耳を揺らす猫目の少女と、大きな剣を携えた快活そうな少年がいて。
 しかしすぐにまた手元へと視線を落とした魔女は、その赤い表紙を一度パタンと閉じてから、ゆるりとページを開きながら定型句を呟いた。
「ものがたりのはじまりはじまり」
 途端、絵本の挿絵が具現化したかのような、柔らかなタッチの建造物が飛び出す。
 煙突が可愛い、穏やかな毎日を過ごせそうな家が。
 積み上げた薪に小動物が潜り込んで遊びそうな小屋が。
 こんなに形が揃うわけがない、全く同じ形に葉を茂らせた木々が。
 どちらかというとクッションのように柔らかそうな丸い生垣が。
 赤い本の中から次々と、猟兵達へ向かって飛んでくる。
 彩萌の元へも、大きな家が飛来した。
 小さな拳銃では太刀打ちできない大きさに、しかし彩萌は慌てることなく家を見据え。
 その動きが、彩萌の目前で止まった。
 サイコキネシスの効果を確かめた彩萌は、続いて飛んできた木々も空中で止めて。
「折角用意してくれたなら、存分に利用させて貰いましょう」
 にっと少し悪戯っぽく微笑むと、銃を握ったままの腕を振る。
 その動きに合わせて、空中で制止していた家が木々が、クチナシの魔女へとお返しとばかりに飛んで行った。
「オラッ、自分の武器を投げ返される気分はどう?」
 ふふん、と胸を張る彩萌だけれども。
 クチナシの魔女は赤い本に視線を落したまま。
 また新たに本から飛び出た家が、木々が、彩萌の投げ返したそれらとぶつかり、クチナシの魔女に届かぬまま、共に落ちていった。
 その落ちた床に、ヒビが入り、亀裂が走り。
 牢屋を思わせる程に殺風景な石造りの暗い場所が、さらに壊され寂れていく。
 落ち込み囚われた気持ちを表すかのような光景に、彩萌はまた不満気に眉を寄せ。
 淡々と物語を読み進めているクチナシの魔女を睨みやる。
 また本を見ていると思った魔女は、今度は黒いウサギ耳を揺らす執事服の少年と、大きな帽子をぎゅっと引き寄せ被った少女へと、視線を流してから。
 ぺらり、とページを捲った。
「まあ、なんということでしょう!」
 現れたのは、巨大な箒とモップ、ハタキ、そしてバケツ。
 元々愉快な仲間達だったのだろう。箒もモップもそれぞれに動き出し、猟兵達を掃除しようとするように襲い掛かっていく。
 そして彩萌の方にはバケツが飛んできていて。
 ……その動きを見切りながら、彩萌は気付いていた。
 ただ手元の本を捲り、読んでいるだけのようなクチナシの魔女だけれども。
 そこに投げかけられた、アリスへの……はるという女の子への言葉に反応するかのように攻撃を繰り出していることに。
 だから彩萌も、声を紡いだ。
「誰もが貴女を嫌いになるだなんて、嘘」
 はるに寄り添う優しい言葉をかける双子を横目に。
「本当は貴女自身が、自分を認めたくないだけ」
 言葉のナイフを突きつけるかのように。
 その心に斬り込んでいくかのように。
 きっとはるが気付いていない、はるの心を抉り出す。
 それは多分、今のはるには辛い事。
 でも、自分を見つめなおさなければ、はるは前に進めないから。
 目を覚ますことができないから。
 この厳しさがはるの為だと信じて、彩萌は凛と宣言する。
 向かってくるバケツの動きを押し止めるように、二挺拳銃を撃ち込んで。
 水が溜められないくらいに幾つもの穴を開けていきながら。
 彩萌は、自身に向けられた魔女の赤い瞳を真っ直ぐに見つめ返すと。
「ねぇ、はる」
 ふわりと微笑んで見せた。
「絶望に囚われないで。
 貴女の本当の気持ちと向き合って」
大成功 🔵🔵🔵

 おかあさんもおとうさんも。
 止めに入ってくれた人も、助けに来てくれた人も。
 みんなみんな、殺してしまった。
 たくさんたくさん、傷つけてしまった。
『だからみんなアナタが嫌いなの。
 アナタにはアタシだけしかいないの』
 嗤う私に、囚われるように抱きしめられて。
 私は、心の奥底に沈んでいく。
 目を瞑って。耳を塞いで。口を閉ざして。
『そう、それでいいのよ』
 そうすれば、もう誰も私のところに来ない。
 私のところに来なければ、もう誰も殺されない。
 もう誰も私を……

 ……きらいにならないで……


 りりん。


 塞いだはずの耳に、澄んだ音が響く。
 それに導かれるように、声が、沁み込んできた。
「はるちゃん。わたしね、大好きな妹を殺したと思ってたの」
 ああ、私と同じ人がいる。
 大切な人を傷つけてしまった人が。
「わたしのせいで死にかけたのに、言ってくれたの」
 私のせいで傷ついて。
 私のことを嫌いに……
「大好きって」
 ……嫌われなかった人が、いる。
 耳を塞ぐ手が緩む。
「はるは嫌われてなんかない」
 重ねられていく声に、俯いていた顔が上がっていく。
「俺はアリスの……はるの『トモダチ』だ。
 たとえはるが自分を嫌いになったとしても、俺ははるの『トモダチ』だ」
「わたしははるが大好き」
「おいらも!」
「この世界にいる間は……
 いえ、元の世界に戻った後も、ずっとわたし達ははるさんのことを好きです」
 優しく温かな慈雨のように。
 声が、想いが、降り注いでくる。
『でも、またアナタは殺すのよ。
 大好きと言ってくれる人は全て、アタシが殺してあげる』
 それを遮るように、冷たい嗤い声がまた響く。
 上げた顔をまた俯かせるように。
 緩んだ手の上から、重ねて耳を塞ぐように。
 冷たい手が伸びてきて、私を包む。
『だからみんなアナタを嫌いになるの』
「誰もが貴女を嫌いになるだなんて、嘘」
 でもそこに、鋭い刃が振り下ろされる。
 私を包む手よりも冷たい、それなのに優しい刃が。
「本当は貴女自身が、自分を認めたくないだけ」
 嗤い声を切り裂いて、私の中へと刺さっていく。
 見たくない、私の心。
 それを暴き出すかのように。
 私を閉じ込める全てを、斬り断っていく。
「みんな、はるちゃんの友達だから。
 はるちゃんと一緒だと、ずっと幸せ」
 そして幾つもの手が、何度も何度も伸ばされる。
「貴女の中に悪魔が居たとしても。
 それと共に生きる宿命だとしても。
 何度だって貴女を助けに行く!」
 傷つけてしまう私に、伸ばされる手。
 ゆっくりと、耳を塞いでいた手が緩み、俯いていた顔が上がる。
『それなら、見ればいいわ』
 くすくすと嗤い声が響いて。
 私の目がゆっくりと開かれる。
 そこに映ったのは、また助けに来てくれた人を傷つける私の姿。
 いつかと同じように赤い本を開いて、大切な人を殺そうとする、私。
『また殺してしまえばいいわ』
 私なのに、止められない。
 また殺してしまう。
 また失ってしまう。
 また嫌われて、しまう……
「はるさんの暴走も、わたし達猟兵が止めてみせます」
 でも、私に向けられる瞳はどれも優しくて。
「だいじょぶ。
 おいらたちは強いから、いつでも傍にいるよ」
 私に向けられる顔はどれも笑顔のままで。
「姿が変わっても、過去に何があっても、わたしは……
 わたしの知ってるはるを信じる」
 私に向けられる思いは、温かなままだったから。
「親の願いは、子が笑顔で生を謳歌することなんだからな」
『殺された親が子を恨まないはずないじゃない』
「だからあなたも幸せになるのよ!」
『人を殺しておいて幸せを願うなんて酷いじゃない』
 くすくすと嗤い声は響き続けるけれども。
 それ以上に染み入ってくるものがあって。
「はる。戻ってきて?
 どうかまた、君の優しい歌声を聴かせて?」
 いつしか、嗤い声は消えていた。
「絶望に囚われないで。
 貴女の本当の気持ちと向き合って」
 罪は消えないけれども。
 哀しみは残るけれども。
 私は……
『君は立ち止まるな』
 ふと、記憶の端からこちらを見つめる少年の姿が浮かび上がった。
 誰、と問う間もなく、少年は、とんっ、と軽く私を……あたしを後押しして。
『歩き続ける先にハッピーエンドがある』
 嬉しそうにも泣き出しそうにも見える優しく寂しい微笑みを浮かべて、告げる。
 だから、あたしは願った。
「あたしは、みなさんと一緒にいたいです」
 それがどんなに酷い事でも。
 それがどんなに辛い事でも。
 それがあたしの本当の気持ち。
 口にするのは許されないと思っていた。
 でも、それでいいのだと言ってもらえたから。
「みなさんと一緒に……幸せになりたいです」
 あたしは、願った。
 この世界で会った人達を。
 そして、元の世界であたしを好きになってくれた人達も。

 ……好きになりたい……


 りりん。
南雲・海莉
ずっと昔、我儘を通すって決めたの
『誰も傷つけたくない』って己を殺し続ける相手を連れ戻すと!

躊躇わず踏み込む
UCで飛び出すものを燃やし、風と水で押し流す
間に合わないものは見切り・第六感で武器受け、上げた防御力で凌ぐ

恐れは金属の魔力に属する感情、尅するは大地の魔力!

変化した地形に剣で大地のルーンを刻み属性を上書き、
そのまま大地の魔力を魔女へと逆流させ力を削ぎ
感情に干渉し本当のはるさんの恐れを削ぐ

悪魔が貴女の中に居たって
それと共に生きる宿命だとしても
何度だって貴女を助けに行く!

…義兄さんならこう言うわ
『君は立ち止まるな』
(思い浮かぶ義兄の表情と言葉を演じなぞる)
『歩き続ける先にハッピーエンドがある


 語られた絶望の物語に。
 変貌しクチナシの魔女となったその姿に。
 躊躇うことなく、南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)は踏み込んでいた。
「言ったでしょう?
 どんな世界もどんな時も、『友達』がいるならすぐに助けに行くって」
 交わした約束を守るために。
 そして、今もまだはるは友達なのだと伝えるために。
 背中に小さな翼を持つレトリーバー種のような大型犬と共に、駆け進む。
「それに私、ずっと昔に、我儘を通すって決めたの」
 そんな海莉の口元に浮かぶのは、覚悟の笑み。
 はるとの約束よりも前から。
 はると出会うよりも前から。
 心に誓っていた、海莉が戦い、進み続ける理由。
「『誰も傷つけたくない』って己を殺し続ける相手を連れ戻すと!」
(「義兄さん……」)
 はるの姿に、その背中が重なる。
 行き場を失った幼い海莉を受け入れて、共に暮らしてくれていた恩人の姿が。
 はるのように周囲を傷つけることを恐れ、希死念慮を抱えて姿を消した白黒の面影が。
 血の滴る赤い本を冷たく見下ろすクチナシの魔女に、重なる。
「ものがたりのはじまりはじまり」
 布で覆われた魔女の口元から、淡々と紡がれる絶望の続き。
 その響きに応じるように、本のページから、柔らかな筆致の可愛らしい挿絵が具現化して飛び出してきた。
 煙突のついた家が。薪を重ねた小屋が。立ち並ぶ木々が。こんもりした生け垣が。
 見た目とは裏腹に、ものすごいスピードで猟兵達へと飛び行き、石造りの床を壊す勢いと質量とで激突していく。
 海莉は緋色のマン・ゴーシュの刀身に刻まれたルーンを呼び起こすと。
 飛来した木を斬り、炎の魔力で燃やし。
 小屋を水の魔力で流し、家を風の魔力で押し返した。
 そして、落ちて床にひびを刻み、その場所をさらに暗く、さらに寂れた、罪人を閉じ込める地下牢を思わせる光景に変えていく生垣に、漆黒の瞳を細めると。
 海莉は、刀身に輝く大地のルーンをそこに刻むように、マン・ゴーシュを振るい。
「恐れは金属の魔力に属する感情、尅するは大地の魔力!」
 地形を変える魔力を押し返して逆流させる。
 こんな牢獄に閉じこめられることはないのだと。
 こんな牢獄に閉じこもることはないのだと。
「貴女の中に悪魔が居たとしても。
 それと共に生きる宿命だとしても」
 傷つけたくないと。嫌われたくないと。
 恐れることはないのだと。
「何度だって貴女を助けに行く!」
 海莉は真っ直ぐに、はるへとその思いを向けた。
 そしてその気持ちのままに、止めることなく足を進める。
 バイオリンと共に響く調べを背に受けて。
 はる自身が閉じこもろうとしているかのような牢獄を、燃やし尽くし、蹴り砕こうとする動きと共に道を切り開きながら。
 紡ぎ続ける絶望の物語ではるを捕えるクチナシの魔女へと迫っていく。
「まあ、なんということでしょう!」
 そこに立ちはだかる、巨大な掃除道具達。
 猟兵を掃き退けようとする箒に、アリスの霊が押し寄せ。
 片付けようとするモップに、輝く拳が突き刺さる。
 バケツには、もう水が汲めないくらい無数に穴が開けられて。
 そしてハタキが海莉を払おうと迫り来るけれども。
 一気にスピードを上げたレトリーバーが、その勢いのままに飛び掛かった。
「リンデン!」
 その名を呼べば、応えるように一吠、迷いない鳴き声が返ってきて。
 ハタキを踏み潰し、抑えるその後ろ姿で尻尾がふぁさりと揺れる。
「行くよ、海莉姉ちゃん!」
 そこに人狼の少年が、にぱっと笑って声をかけた。
 白炎に覆われた少年は、海莉を導くかのようにクチナシの魔女へと飛び込んで、固く握った拳を叩きつける。
 その動きに並走するように、桜の花弁を思わせる白銀の光も放たれて。
 連撃に、ぐらり、と揺れたその姿が、地獄の炎に包まれる。
 黒いウサギ耳の少年が、アリスの悪夢で魔女の動きを捕え押さえたところに。
 牽制の銃弾が雨霰と降り注ぎ。
 白いウサギ耳の少女が、その手から赤い本を蹴り落とした。
 皆の攻撃と、皆の想い。
 それを感じながら、海莉はマン・ゴーシュをさらに力強く握りしめる。
 空になった手を見下ろしていたクチナシの魔女が、ゆるりとその顔を上げ、赤い瞳を細めたのを見据えながら。
 布に口元を隠されたその顔が、嬉しそうにも泣き出しそうにも見えて……
(「……義兄さんなら、こう言うわ」)
 優しく寂しいその微笑みを思い浮かべながら、海莉は言葉をなぞる。
「『君は立ち止まるな』」
 義兄を演じるかのように。
 真っ直ぐにはるを見つめながら。
「『歩き続ける先にハッピーエンドがある』」
 振るった緋色の一閃は、クチナシの魔女を断ち切った。

 めでたしめでたし。
大成功 🔵🔵🔵


第2章 ボス戦 『ホワイトアルバム』

POW ●デリシャス・アリス
戦闘中に食べた【少女の肉】の量と質に応じて【自身の侵略蔵書の記述が増え】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD ●イマジナリィ・アリス
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【虚像のアリス】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ ●イミテイション・アリス
戦闘力が増加する【「アリス」】、飛翔力が増加する【「アリス」】、驚かせ力が増加する【「アリス」】のいずれかに変身する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ライカ・リコリスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 爪弾かれる静かな旋律と、中性的な歌声に包まれて。
 はるはゆっくりと焦茶色の瞳を開いた。
「お早うさん」
「お目覚めだね、可愛いアリス」
 黒髪の少年が快活に、狐耳の少年が妖艶に、覗き込むようにして笑いかければ。
 黒いウサギ耳の少年が、そっとはるに手を差し出した。
「おかえり。僕のトモダチ」
「ん、友達」
「ともだちー!」
 金瞳の妹が頷き、銀瞳の兄がにぱっと笑う中で。
 白いウサギ耳の少女も手を差し伸べ、握った2つの手がゆっくりと起こしてくれると。
 小麦色の長い髪が、さらりと肩口を流れていく。
「ほらね、バカだったでしょ?」
 くすくすと嬉しそうに笑う白いウサギ耳の向こうから、大きな帽子を被った少女が赤い瞳をおずおずと覗かせるけれども、すぐに、ふええ、と引っ込んでいった。
 穏やかで温かな、迎え入れてくれる場所。
 はるはどこか泣き出しそうにも見える笑顔を綻ばせるけれども。
「これでめでたしめでたし……にはまだならないのね」
 左右の巻き髪を揺らして振り返った少女が、少し不機嫌な声を零す。
 その視線を追うように、それぞれの色の瞳が向いた先では。
「うふふ。戻ってきたのね、アリスさん。
 幸せな記憶があったのかしら。絶望はもうなくなったのかしら」
 薄い笑みを浮かべる幹部猟書家『ホワイトアルバム』がいた。
「わたしと同じ、楽しい毎日を過ごせるようになったのかしら。
 それは素敵なことだけれど……あなたの真実はそれで全部かしら?」
 張り付いたような、違和感のある笑みを浮かべ。
 楽しいと言いながらも、暗い瞳を歪めて。
 ホワイトアルバムはその姿を変える。
 2つに分けた大きな三つ編みを解くと小麦色へと染めて。歪んだ瞳を焦茶色に変えて。
 真っ白だった大きな本を、血のように赤く赤く、写したなら。
「……あたし?」
「そうよ。アタシはアナタ。アナタはアタシ」
 はると同じ顔で、ホワイトアルバムは嘲るように笑った。
「アタシが全部、殺してあげる。アナタの大好きなものを、全部」
 何も書かれていなかった侵略蔵書のページも赤黒く染まり、ぺらりと捲るその動きに、歪んだ筆致の記述がじわりと浮かび上がってくる。
 不安と恐怖、そして再びの絶望に、はるは思わず一歩下がりかけて。
 その目の前に、長く艶やかな黒髪が立った。
 ホワイトアルバムからはるを守るように立ちはだかる背中を見つめると、その傍らから犬の鳴き声が一吠え、力強く響いて。
 それを合図にしたかのように、黒髪の少女に続くように、猟兵達も進み出る。
「さて、と。猟書家退治だ。力を貸してくれるか?」
 黒髪の少年の声に、はっとしたはるは、もう一度猟兵達を、そして自分と同じ姿で歪に嗤うホワイトアルバムを見て。
 ぐっと表情を引き締めると、しっかり頷いた。
ヘザー・デストリュクシオン
わたしの妹ね、アリスっていう名前なの。
あの子もはるちゃんと同じで歌がうまいのよ。
きっと気があうだろうから今度紹介するの!
だから、さっさと終わらせるの。
壊しあうのは好きだけど、アリスって名前のものは壊させないの!

ダッシュやジャンプ、スライディングで敵の攻撃を素早く避けつつ近づいて攻撃力重視のUCで攻撃するの!
わたしも他の人も食べられないように、ヒットアンドアウェイでなるべく回避しつつ攻撃。
避けられない攻撃はオーラ防御で防ぐの。
敵が弱ったら力溜めして回避を考えない捨て身の一撃を食らわせるの!

しあわせも絶望も、ぜんぶはるちゃんが自分で見つけるの。
あなたは一人じゃないから、もうだいじょうぶよね?


木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と!

へへ。はるちゃん帰ってきた。
よかったね!(へへへ)

よっし、後はニセモノを倒したら終わり!
ニセモノ……でも。
同じ顔、なんだよね。うーん。

あ、アンちゃんが先に。
そっか、オペラツィオン・マカブルに似たゆべこだから。
脱力させなきゃいいんだ!

よっし!
うさみんの後ろから、コケコッコーメダルをぺたり。
たまこは殺意を注げー!
メカたまこは嘴と後足で攻撃!!

なあんだ。
やっぱりオブリビオンだったんだ。
だって、笑顔が違うもんね。
楽しくて笑ってるんじゃないの、わかっちゃった。
全然似てない!(顔面に正拳)

はるちゃん。
もっぺん、ちゃんと思い出したらいいよ。
おいらたちはここにいるから、大丈夫!


木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と、海莉も

はる、癒しの支援よろしく
はるが癒してくれるから、わたし達は壊れない
大丈夫

まつりん?
はると同じ顔。…殴るの躊躇するね
ん、任せて
灯る陽光は懐刀にして

もう1人のはる
貴女の持つ本は真っ白
過去は、何も無い
でも今は幸せ?本当にそう?
その幸せは本物?

例えそれが辛い過去でも、苦しいものでも、それは自分を形成する糧
何も無い貴女は、貴女ですらない
貴女は誰?

うさみん☆、脱力したホワイトアルバムに接近、頬をビンタして?

我に返れば、懐刀を投げ胸を一突き
貴女も、貴女の過去を見つけて

はる
何処に居てもわたし達は友達
過去と確り向き合えた時には
貴女の未来に歩き出そう


セシル・バーナード
姿形を同じにしてみても、いやそれだからこそ、心の醜さが目につくね、猟書家『ホワイトアルバム』。
その顔を見れば、誤認なんてあり得ない。

さて、実戦初投入のユーベルコードを使ってみよう。
「全力魔法」「範囲攻撃」「全力魔法」「貫通攻撃」で雷球乱舞。
無数の雷霆珠から逃げられるかな。

既にイミテイション・アリスは使用済みとみた。ならば、このまま蜂の巣にするだけ。
約半数の雷霆珠を攻撃に。残りをぼくやはるの防御に割いて、『ホワイトアルバム』がはるを襲ってきた時の対処に用いる。
『ホワイトアルバム』の本命がはるなのは分かってるからね。
雷霆珠の全方位攻撃、どこまで捌ける?

はつかねずみがやってきた。はなしは、おしまい。


フリル・インレアン
ふええ、はるさんが二人になってしまいました。
ですが、私にはわかります。
あちらの本を持っているはるさんがホワイトアルバムさんです。
ふええ、アヒルさん、痛いですよ。
こんな時にふざけるなって、私は真面目なのに。

とりあえず、あの侵略蔵書を元の白い本に戻せば強化効果もなくなりますよね。
属性攻撃:漂白のお洗濯の魔法で赤黒くシミの付いた侵略蔵書を真っ白に戻しましょう。

はるさん、ホワイトアルバムさんも言っていましたが思い出させられた記憶だけでは真実は全部じゃないと思います。
まだこれからも大変な旅が続くかと思いますが、お互い頑張りましょうね。


南雲・海莉
リンデン
(心得たようにはるさんの横で守りに入る相棒に頷き
刀に氷の魔力を纏わせて命中率上げつつ前に)

絶対に近づけさせない
攻撃を見切り、カウンターで攻撃そのものを凍てつかせて不発にさせるわ

観客の心を喰らう騙りは物語じゃない
本当の物語は人の心を芯から振るわせるの
この歌声のように

私達は壊れない
(はるさんや祭莉くんや杏さんを見渡し)
友達みんなと歩いて行くのだもの!
これからもたくさんの幸せを紡ぐのだから!

いつか本当の最後に
先に逝った『皆』へお土産話を持って行くの
ありがとうもごめんなさいも一緒にね
笑顔でハッピーエンドだって胸を張るために
ビターが混じったとしても
今は幸せ集め、頑張りましょ(笑顔ではるさんに)


木霊・ウタ
心情
はるの未来を応援したいぜ
守り抜き
ホワイトを海へ還してやろう

ホワイト
アタシはアナタ、か
あんたの事情は知らないけど
過去から逃げ
絶望からオウガに堕ちたってコトか
可哀そうに

アナタはアタシ
あんたも手を差し伸べてもらって
幸せになっていいって許してもらいたかったよな
間に合わず悪ぃ
だからせめて海へ還すぜ

戦闘
迦楼羅を炎翼として顕現
爆炎の翼で瞬時に間合いを詰め
その速さも乗せて
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払い
紅蓮の斬閃で肉も頁も焼却

理不尽=ホワイトが救われぬ未来を灰に

事後
ホワイトとこれまでの犠牲者へ鎮魂曲を爪弾き
安らかな眠りを祈る

はる
心のまま感じて楽んで
望む未来を掴んでくれよな
きっとまたいつの日か会えるぜ
元気でな(ぐっ


ラフィ・シザー
アドリブ連携歓迎

はるを俺たちのトモダチを傷付けた猟書家はキチンと退治しないとな。
アリス達の過去は様々だそれを順番を変えて思い出させるのは優しさでもなんでもない。
いや、お前は優しくしようなんて思っちゃいないか…。

はるはいつもみたいに歌ってくれればいい。
それだけで俺たちは強くなれる♪

【ダンス】をする様に軽やかに近付き【挑発】で【おびき寄せ】たらUC【cutting murder】
この戦場にお前に食べさせる少女の肉なんてないんでね!(少女はみんな【かばう】)


斬断・彩萌
はる、あんたの踏ん張りどころよ
あんな奴に私達は誰も殺させれない……殺させない
だからはる、私の背中はあなたに預けるから
しっかり後方支援頼んだわよッ!って、この優しさ伝わる?

念動力で【光楼】を強化し、破魔属性を乗せて撃ち込む!
こっちは誘導弾、必ず『当てたい敵』敵に当たるはずよ
脱力してようと関係ない、こっちは2回行動できる
1発目で化けの皮が剥がれたなら、2発目で射抜くだけ
ほらほら、あまりの眩しさに眩暈がするんじゃない?
なんて、居るなら後続の猟兵へデバフを継ぐように
居なければ生まれた隙に更に二回攻撃を重ねていく

せめて光に包まれて逝きなさい
さようなら、もう二度と会いたくないわね


 長い小麦色の髪がさらりと揺れる。
 微笑みを湛えた焦茶色の瞳は、琥珀を思わせる煌めきを魅せて。
 開いた本を赤く染め、その赤黒いページをぱらりと捲りながら。
「アタシが全部、殺してあげる。アナタの大好きなものを、全部」
 猟書家『ホワイトアルバム』は、歪に嗤った。
 その姿と、全く同じ容姿を持つはるとを、フリル・インレアン(f19557)はおろおろしながら交互に見やる。
「ふええ、はるさんが2人になってしまいました」
「はるちゃん帰ってきて、よかったねって思ったのにね」
 木元・祭莉(f16554)も、鏡に映したような2つの姿にぷんすかと怒って見せた。
 もちろん、怒っているのはその背に庇うはるにではない。
 隣に並ぶ双子の妹、木元・杏(f16565)が可愛らしくもキッと頑張って睨み据えるホワイトアルバムに、だ。
「これはホワイトアルバムのユーベルコードかな?
 本当にそっくりだけど……」
 ふむ、と考えるような仕草を見せるセシル・バーナード(f01207)だけれども、その声も感心も軽く、どこか気楽なもの。
 だって、確かにその外見は『アリスの姿を奪った』かのようだったけれども。
 どちらが本物かは誰だって一目で分かるからで……
「はい、私にはわかります。
 あちらの本を持っているはるさんがホワイトアルバムさんです」
 ゆえに、珍しく自信満々に答えたフリルへと、その手に持たれたアヒルちゃん型のガジェットが突撃していった。
「ふええ、アヒルさん、痛いですよ。
 こんな時にふざけるなって、私は真面目なのに」
 フリルは困ったような悲鳴を上げて、つんつん突いてくる黄色いくちばしから逃げるように辺りをおろおろ走り回り。
 祭莉が面白そうに、杏が驚いたようにそれを眺める。
 セシルも、そんな様子にくすりと微笑んでから。
「姿形を同じにしてみても……いやそれだからこそ、心の醜さが目につくね」
 改めてホワイトアルバムを、はると同じ姿で浮かべられた歪な笑みを見据えた。
「その顔を見れば、誤認なんてあり得ない」
 手にした大きな本よりも何よりも。
 その心の在り様こそが違うのだとセシルは笑い。
 ラフィ・シザー(f19461)も迷いなく、ホワイトアルバムにその手の鋏を向ける。
「はるを……俺たちのトモダチを傷付けた猟書家はキチンと退治しないとな」
「はるの未来を応援するためにも、守り抜いて……
 そして、ホワイトアルバムを海へ還してやろう」
 巨大剣を構え、木霊・ウタ(f03893)は不敵に笑った。
「はる、ここがあんたの踏ん張りどころよ。
 あんな奴に私達は誰も殺させれない……殺させない」
 肩越しに振り向いた斬断・彩萌(f03307)は、力強く頷いて見せて。
「だからはる、私の背中はあなたに預けるわよッ!」
 言うと、ホワイトアルバムを睨み据え、二挺拳銃を手に走り出す。
 もう振り向くことのないその背中から優しい信頼を感じ取ったはるの瞳が見開かれ。
「歌って。はる」
 そこに杏がそっと声をかけた。
「大丈夫。はるが癒してくれるから、わたし達は壊れない」
 真っ直ぐに迷いなく、そして優しくはるを見つめる大きな金色の瞳。
「はるはいつもみたいに歌ってくれればいい。
 それだけで俺たちは強くなれる♪」
 にこっと笑いかけるラフィも、はるを安心させようとしてくれているようで。
 大丈夫、と繰り返す杏を。
 見守るように微笑むラフィを。
 はるはじっと見つめる。
「リンデン」
 そこに、南雲・海莉(f00345)の短い声が響き。
 見下ろすと、はるの足元に、小さな翼をつけた褐色のレトリーバーが寄り添っていた。
 はるの視線に気付いてか、見上げてきた大型犬は、そのままはるを誘導するかのようにふいっと顔を前に戻す。
 その動きを追いかけてはるが顔を動かすと。
 レトリーバーに向けて頷いていた海莉が、気付いてはるにふわりと笑いかけてくれた。
「よっし、後はニセモノを倒したら終わり!」
「ん。まつりん、海莉、行こう」
 こちらも頷き合った祭莉と杏が駆け出して。
 踵を返した海莉も加わり、ホワイトアルバムへと向かって行く。
 仲良く並んで行く双子の背中を。
 長く艶やかな髪を翻す海莉の背中を。
 左右の巻き髪を揺らす彩萌の背中を。
 はるはじっと見つめた。
 そこにラフィとウタのものも加わっていって。
「はるちゃん、あのね」
 目の前に、ヘザー・デストリュクシオン(f16748)がひょこんと横から顔を出した。
 驚くはるに、ヘザーはにこにこと笑いかけ。
「わたしの妹ね、アリスっていう名前なの。
 あの子もはるちゃんと同じで歌がうまいのよ。
 きっと気が合うだろうから、今度紹介するの!」
 金色の猫目を嬉しそうに細め、白いウサギ耳を楽しそうに揺らす。
 そしてくるくるりとその場で回り、はるに背を向けて止まると。
「だから、さっさと終わらせるの。
 壊し合うのは好きだけど、アリスって名前のものは壊させないの!」
 そのまま一気に駆け出した。
 ヘザーが、そして他の皆が迫る中で、ホワイトアルバムは歪な笑みを浮かべたまま、赤黒いページをぺらりと捲る。
 すると、本から染み出たように、おどろおどろしい何かが湧き出てきて。
 怨念に満ちた手を伸ばすかのように、猟兵達を迎え撃った。
 それを見たヘザーは、野原を飛び跳ねる兎のように、しなやかに走る猫のように、次々と無数の手を避け。ラフィも軽やかに踊っているかのような動きで躱していく。
「はるさんには絶対に近づけさせない」
 マン・ゴーシュを掲げた海莉は、その刀身に刻まれた氷のルーンを輝かせ。
「汝、冬を司りしもの、刃に宿れ」
 氷の魔力を宿すと、縋り来る手を凍りつかせた。
 そして、ウタの巨大剣が怨みを断ち斬り、彩萌の銃弾が執着を撃ち抜く。
 怨念の手ははるに届くことなく、その前に立ちはだかるリンデンも睨みをきかせるだけで動くことはなかったけれども。
「さあ、早くアタシに殺されて。アナタの大好きなもの達。
 アタシだけがアナタの傍に残るように。
 アタシだけがアナタの物語になるように」
 はると同じ姿で嗤うホワイトアルバムの赤い本からは、途切れることのない物語のように、黒い感情を凝縮したような不気味な何かが次々と生み出されていたから。
 防いだ傍から休むことなく攻撃が重ねられていく。
(「ああ、あの時もそうだった……」)
 その光景に、はるは蘇ったばかりの記憶を重ねていた。
 ……おかあさんとおとうさんを殺してしまった後。
 気付けば私は石造りの建物の中にいた。
 古びた、とは表現できない程旧く荒れ果てた、廃墟のような場所。
 薄暗く淀んだ空気は、地下深くを思わせて。
 丸みを帯びた天井は、部屋というより穴を掘り進んだ坑道に見える。
『大丈夫。アナタにはアタシがいるわ。ずっとずっと、アタシだけが』
 犯してしまった過ちに暗く沈んでいた私に、嗤いかける私の声。
 そこに私を助けに来てくれた人達が、いた。
『無駄よ。アナタは誰にも渡さない。
 だって、アタシだけがアナタの物語なんだから』
 あの優しい人達にも、私が開いた赤い本から黒い何かが湧き出て襲い掛かって。
 その怨念を執着を、手のように伸ばして捕え殺そうとして……
(「あの時と、同じ……」)
 傷つけたくないのに、傷つけてしまう。
 殺したくないのに、殺してしまう。
 それを私は見ているだけしかできない。
 嫌われたくないのに、嫌われて、しまう……
「さて、雷球乱舞のお披露目だ」
 そんな薄暗く陰気な光景に光を差すかのように。
 はるの隣に立っていたセシルの周囲に、電撃を帯びて輝く金属球が浮かび上がった。
 それは、1つ1つは指先程の大きさの、小さな珠だったけれども。
 数えきれないほど多くの珠が集まり、辺りを煌々と照らし出す。
「無数の雷霆珠から逃げられるかな」
 満足そうに珠を見回したセシルは、その不敵な微笑みをホワイトアルバムへと向け。
「雷の爪牙、我が敵を穿て」
 凛と響いた声に応じて、護りに半数を残しつつも雷霆珠が一斉に飛翔した。
 その軌跡は複雑な幾何学模様を描き、輝きで湧き出す黒い手を散らし進む。
「オッケー、合わせるわ」
 そこに彩萌が銃弾を重ねた。
 オーラを纏わせ強化した弾丸・光楼を、雷霆珠の隙間を塞ぐように撃ち込んで。
 開かれた道を、巨大剣を携え、ウタが走る。
 ラフィも鋏を閃かせ、ヘザーが跳び込んでいき。
 新たに現れた、でも格段に数を減らした黒い手を、斬り断ち切り裂き蹴り散らして。
 ホワイトアルバムにその攻撃を届かせ始める。
 赤い本を持ち開く、はると同じ姿の歪んだ笑みに立ち向かっていく。
(「あの時と、同じ……」)
 私が止められない私に抗ってくれる人達。
 傷つけるばかりの私に手を伸ばしてくれる人達。
 過去と現実の光景が重なる。
(「あたしは……」)
 また、見ている、だけ……?
 その時、ふと、さらりとした肩までの黒髪が振り向いた。
 ちらりとはるを見た杏の、金色の瞳が心配そうに揺れる。
『歌って。はる』
 同時に、先ほどかけられた声がはるの中に蘇った。
 大丈夫、と繰り返す優しい声が。
『それだけで俺たちは強くなれる♪』
 見守るように微笑む銀色の瞳が。
 思い出される中で、迷いなく振るわれる鋏が煌めく。
 そうだ。
 あたしにも、できる事がある。
『はる、ここがあんたの踏ん張りどころよ』
 力強く頷いてくれた茶色の瞳。
 エールを送り続けるように連続して響く銃声。
 その前から。
 幾つもの言葉を貰ったのだから。
 幾つもの優しさに背中を支えて貰えたのだから。
『君は立ち止まるな』
(「あたしも、戦わなくちゃいけない」)
 雷霆珠の輝きに照らし出されたはるの顔に、決意が満ちた。
 リンデンが見上げる気配を感じながら、にっこりと妖艶な笑みで見守るセシルの視線を受けながら、すうっと大きく息を吸い込んで。
 旋律が、生まれる。
 癒しの力を込めた声が響き渡る中で、海莉は少しだけ瞳を伏せて。
 力強く、懸命に、紡がれる歌にふっと柔らかな笑みを浮かべると。
「観客の心を喰らう騙りは物語じゃない。
 本当の物語は、人の心を芯から振るわせるの」
 改めて見開いた黒瞳で、ホワイトアルバムを睨み据えた。
「この歌声のように」
 まだ全ての迷いが晴れたわけではないだろう。
 まだ全ての不安が消えたわけではないだろう。
 それでも、歩き出そうとしてくれた。
 はるのその1歩を嬉しく思いながら。
 前へと進むその姿に海莉自身のそれも重ねながら。
「私達は壊れない。友達みんなと歩いて行くのだもの!」
 攻撃を捌いていたマン・ゴーシュの氷の魔力を、右手で抜いた野太刀・紋朱に移すと、刃文に朱だけでなく冷気も差して振り抜く。
 大きな刀を振るその動きは回転するようなものになったから。
 流れる視界の片隅に映る、はるの、そして祭莉や杏、皆の姿にまた微笑んで。
「これからもたくさんの幸せを紡ぐのだから!」
 海莉は、咄嗟に下がったホワイトアルバムのスカートを深く斬り裂いた。
 その後ろから、続いてラフィが躍り出る。
「アリス達の過去は様々だ。
 それを順番を変えて思い出させるのは優しさでもなんでもない」
 海莉の一閃に繋げるように、鋏を手に切りかかり。
「いや、お前は優しくしようなんて思っちゃいないか……」
 ふっと笑い、肩を竦めて見せると、軽やかに床を蹴り少し間を空ける。
 そこに赤い本から黒い手が伸びたけれども。
「さぁ、刈り取ろうか」
 誘いに乗ったその手と共に舞うようにラフィはステップを踏みながら、鋭く鋏を躍らせて、黒い怨念を無数に切り裂き打ち消した。
「あ、はい。今ですね、アヒルさん」
 そしてその隙へと、離れていたフリルが走り込む。
 不意をついたその動きを、雷霆珠が光楼が支援して。
「じっとしていてくださいね」
 一気にホワイトアルバムの目前まで迫ったフリルは、その繊手を伸ばすと。
 ぽんぽんぽんっ、と。
 開かれていた赤い本を軽く叩いた。
 汚れを払い落すかのようなその仕草に、ユーベルコードが発動し。
 赤い表紙も、赤黒いページも、本のすべてが白色に戻る。
「侵略蔵書が……」
「はい、これで大丈夫です」
 身嗜みを整えるお洗濯の魔法、その効果に満足そうにフリルは頷いた。
 白紙に戻った本からは、もう黒い何かが湧き出てくることはなく。
 迫り来る猟兵達を迎え撃つ手は全て、打ち消されてしまっていたから。
「それならまたアリスを食べるだけよ」
 ホワイトアルバムは、フリルを喰らおうと自身の手を伸ばす。
「ふえええ!?」
「させないよ」
 けれどもその手が届く寸前、鋏の切っ先を向けたラフィが割り込んで。
「この戦場にお前に食べさせる少女の肉なんてないんでね!」
 閃く刃でホワイトアルバムを牽制しながら、フリルを庇いつつ下がった。
 追い縋ろうとするホワイトアルバムの目の前を、雷霆珠が飛び交い。
「光よ貫け!」
 彩萌はすぐさま狙いを定め、光楼を撃ち込む。
 オーラで強化された弾丸はホワイトアルバムの胸を撃ち抜いたけれども。
 力が抜けたようにふらりと傾いだホワイトアルバムが、にやりと笑う。
 その傍らに現れるのは虚像のアリス。
 どこか薄ぼんやりしたアリスは、胸を真っ赤に染めて。
 虚ろな瞳のまま倒れて、消えた。
 その代わりというかのように、ホワイトアルバムの胸には傷どころか汚れ1つなく。
 彩萌のユーベルコードによる攻撃を完全無効化して、嗤う。
 むっとした表情を見せた彩萌が、今度こそとばかりにまた光楼を放てば。
 虚像のアリスがまた倒れ、悔し気な彩萌をホワイトアルバムがまた嗤う。
 何度繰り返しても一緒だと言うかのように。
 けれども彩萌の拳銃からは連続して光楼が放たれていたから。
 完全な脱力状態から、嘲笑う、その微かな力が動いたホワイトアルバムを、その刹那の油断を2回目の銃弾が射抜いた。
「……っ!」
「1発目で化けの皮が剥がれるなら、2発目で射抜くだけよ」
 動揺し苦々しく顔を歪めたホワイトアルバムに、悔しがる演技をやめた彩萌が、にっと得意げに笑って見せる。
「ほらほら、どんどん行くわよ!」
 誘導弾はその大半を無効化されながらも、それにより生み出された隙を着実に狙い、次々とホワイトアルバムを捉えていった。
「うーん」
 そんな攻防を前に、悩まし気に眉を寄せたのは、祭莉。
「まつりん?」
「ニセモノ……でも。同じ顔、なんだよね」
 首を傾げた杏は、零れ出た言葉に理解する。
 ホワイトアルバムがはるの偽物であるということは分かっているし。
 同じ姿をしていても、どちらがどちらかは明白だけれども。
 それでも、ホワイトアルバムははると同じ顔をしていたから。
 友達と同じ顔は、分かっていても、殴るのを躊躇ってしまうもの。
 どうしても割り切れない。
 そんな双子の兄の優しさにふっと微笑んだ杏は。
「ん、任せて」
 懐刀とした灯る陽光を握りしめ、ホワイトアルバムへと向き直る。
「うさみん☆」
 その名を呼びながら糸を繰り、うさ耳付きメイドさん人形をひらりと舞わせ。
 降り注ぐ銃撃の間を縫って接近させると、ビンタを喰らわせた。
 小さな人形の手からは想像できない程の強い力は、しかしユーベルコードではなく、人形遣いゆえの武器。
 虚像のアリスを生み出せぬまま一撃をまともに受けたホワイトアルバムは、なおも迫るうさ耳メイド人形から逃げるように動き。
 そこを狙って銃弾が、そして杏の意図を察した海莉が追いすがる。
 物理とユーベルコードの連携を、調整し作り上げながら。
「もう1人のはる」
 杏は、その声をホワイトアルバムへと向けた。
「貴女の持つ本は真っ白。
 過去は、何も無い。でも今は幸せ」
「ええ、その通りよ。
 わたしは自分がだれだか思い出せないし、この姿も、さっきまでの姿も本当じゃない。
 でも、何も困らないわ。毎日が楽しいわ。
 自分の扉も自分の記憶も、要らないものなのよ」
「……本当にそう? その幸せは本物?」
「え……?」
 歪んだ笑みを浮かべて首肯していたホワイトアルバムは、杏の問いかけに眉を寄せる。
「例えそれが辛い過去でも、苦しいものでも、それは自分を形成する糧。
 何も無い貴女は、貴女ですらない」
 罪を背負い苦しむはるを想い。
 それでも前へと顔を向けたはるを誇り。
 杏は、真っ直ぐにホワイトアルバムを見据えた。
「貴女は誰?」
 問いに合わせるように、うさ耳メイド人形がまたビンタを放ち。
 戸惑う気配に、海莉の野太刀が振り抜かれる。
「あ、そっか」
 そんなやりとりを見た祭莉は、ぱあっと表情を晴らした。
「そうだよね。はると笑顔が違うもんね。
 楽しいって言ってたけど、楽しくて笑ってるんじゃなかった」
 写したのは所詮外側だけで。
 痛みも苦しみも、はるが抱くものとは全然違う。
 だから、苦痛の表情も。傷つくその姿も。
 もう祭莉には、はると同じに見えなかったから。
「よっし!」
 うさ耳メイド人形を追いかけるようにして飛び出した祭莉は、そのビンタを避けたホワイトアルバムの動きを回り込み、その背にコケコッコーメダルをぺたりとつけた。
 するとメダルに向けて、木元家の守り鶏であるたまこの殺意が注がれ。
 その殺意に導かれるかのように、たまこを象った機械・メカタマコの集団が、本物に負けず劣らず鋭い嘴と強靭な後足とで攻撃を繰り出す。
 攻撃を引き付けるコケコッコーメダルはユーベルコードだけれども、その効果はホワイトアルバムに向いたものではないから無効化されることはなく。
 嘴と後足とはユーベルコードではない物理攻撃。
 ゆえに、うさ耳メイド人形と同じく、メカタマコはホワイトアルバムが脱力状態になることを阻害して。そのユーベルコードの発動条件を邪魔し続けるから。
「同じだけど、全然似てない!」
 再び突っ込んでいった祭莉の迷いのない拳が、ホワイトアルバムの顔面を捉えた。
 その後ろに、炎の翼が広がる。
「あんたの事情は知らないけど……
 過去から逃げ、絶望からオウガに堕ちたってコトか?」
 地獄の炎からその翼だけを顕現させた金翅鳥・迦楼羅を背に、爆炎の勢いも速さに変えて瞬時に間合いを詰めたウタは。
 可哀そうに、とその瞳に憂いを宿しながらも、手にした巨大剣に獄炎を纏い。
「あんたも手を差し伸べてもらって、幸せになっていいって許してもらいたかったよな」
 ホワイトアルバムもかつてはアリス適合者だったならば。
 はるにとってのウタ達と同じように。
 優しい手を伸ばして。
 大丈夫だと許して。
 一緒に歩いてくれる誰かがいたならば。
 失ってしまった過去と向き合い、乗り越えることができていたならば。
 今が違うものになっていたのかもしれない、と思う。
 でも、ホワイトアルバムはオウガとしてウタの前に在り。
 アリスを喰らおうと、そしてアリスラビリンスを侵略しようとしているから。
「間に合わず悪ぃ。
 だからせめて、海へ還すぜ」
 ウタが理不尽と思う未来を、ホワイトアルバムが救われない結末だけを、灰にするように獄炎纏う焔摩天を振り抜いた。
 肉体を焼かぬ炎に包まれたホワイトアルバムに、ラフィの鋏が閃く。
「えーいっ!」
 もはや回避も防御も考えずに跳び込んだヘザーの、兎脚の蹴撃が叩き込まれて。
 ユーベルコードのためではなく、力なくふらりと揺れたホワイトアルバムを、海莉の氷の魔法が凍らせ固定する。
「知ってる? 物語の終わりを告げる定型句」
 にっこり微笑んだセシルは、防御に回していた雷霆珠も全て攻撃に回して。
「『はつかねずみがやってきた。はなしは、おしまい』」
 美しい幾何学模様をホワイトアルバムの周囲に描き出すと。
「今度はもっと楽しい話がいいな」
 祭莉もにぱっと笑いながら、正拳を突き出す。
 杏は、懐刀をぎゅっと握りしめてから、ホワイトアルバムを見据えて。
「貴女も、貴女の過去を見つけて」
 祈るように投げ放ち、その胸を貫いた。
 そして彩萌が、二挺拳銃の銃口を揃えて向ける。
「せめて光に包まれて逝きなさい」
 放たれるのは、オーラに包まれた弾丸。
 その軌跡は光そのものであるかのように眩く輝いて。
 光の中で、はるの姿が歪み。
 見たことのない少女の姿に変わったホワイトアルバムは、変わらぬ張り付いたような笑みを浮かべ。
 その口が動き、声にならないまま別れの言葉を告げたから。
「さようなら。もう二度と会いたくないわね」
 銃を下ろした彩萌は、ふいっと顔を反らしながら応えた。
 救われなかった少女の救われない結末。
 それを何度も見たくはないと。
 そして、もうそんな結末が訪れないようにと。
 消えたホワイトアルバムへ向けて、ウタは鎮魂曲を爪弾き始めた。
 オウガとなってしまった少女も。
 そのオウガの犠牲となっただろう者達も。
 いつか、安らかな眠りを得られるようにと祈りながら。
 奏でられる音にその場を譲るように、はるは歌を終える。
 周囲を見回すと、地下の坑道を思わせる薄暗い石造りの部屋だったその場所は、元の明るく煌びやかな、絵本の中のお城のような内装に変わっていって。
 隅で隠れていた愉快な仲間達がおずおずと顔を見せてくる。
 その変化に、そして無事だった猟兵達の姿に。
 はるは安堵の微笑みを浮かべて、息を吐いた。
「はるさん」
 そこに呼びかけられた声に振り向くと、フリルが帽子の下で、珍しく顔を隠すことなく真っ直ぐにはるを見つめていて。
「思い出させられた記憶だけでは真実は全部じゃないと思います」
「そだね。もっぺん、ちゃんと思い出したらいいよ。はるちゃん」
 たたたっと駆け戻ってきた祭莉も、うんうんと頷くと。
「おいらたちはここにいるから、大丈夫!」
 任せといて、と胸を張り、それを手でどんっと叩いて見せる。
「はる」
 そして杏も。兄に続いて笑いかけ。
「何処に居てもわたし達は友達。
 過去と確り向き合えた時には、貴女の未来に歩き出そう」
 そっとはるの両手を取り、優しく握りしめると。 
 うさ耳メイド人形も、ふわっとした手を乗せた。
 ぴょんっと跳ねるように近づいたヘザーは、はるの後ろからその肩に両手を置き。
「しあわせも絶望も、ぜんぶはるちゃんが自分で見つけるの。
 あなたは1人じゃないから、もうだいじょうぶよね?」
 背中を押すように笑いかけて。
「心のまま感じて楽んで、望む未来を掴んでくれよな」
 演奏を続けながら、ウタがエールを送り。
「いつか本当の最後に、先に逝った『皆』へお土産話を持って行くの。
 ありがとうもごめんなさいも一緒にね」
 杏の手の上から海莉も手を重ね。
「笑顔でハッピーエンドだって胸を張るために、例えビターが混じったとしても……
 今は幸せ集め、頑張りましょ」
 はるに笑いかければ、足元からリンデンが応援するように一声吠える。
「まだこれからも大変な旅が続くかと思いますが、お互い頑張りましょうね」
 同じアリスとしてフリルも声を重ねて。
 その手の中のアヒルちゃん型ガジェットも、があ、と鳴いて。
 幾つもの言葉に。
 幾つもの想いに。
 はるは涙で潤んだ瞳で改めて周囲を見回す。
 絵本の中にいるかのような、明るく綺麗なお城の景色。
 手を繋いだ杏と海莉。
 はるを囲む祭莉とフリル、ヘザーとウタ。
 その外側で見守るように優しい瞳を向けてくれている彩萌とラフィとセシル。
 まだ思い出せていないことはあるけれども。
 犯してしまった罪は消えないけれども。
 それでも、今、これだけの想いが共にある。
 素敵な人達がこんなに優しく寄り添ってくれる。
『さようなら、アタシ。さようなら……未春』
 どこからか聞こえたそんな声に、はるは一度目を伏せて。
「はいっ。頑張りますです」
 でもすぐに晴れやかな笑顔で皆に応えると、にっとウタが笑った。

「きっとまたいつの日か会えるぜ。元気でな」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年01月24日
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