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帰らずの先輩

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●かえりたい
 地下迷宮探索は、いつだって命掛けだ。
 時には不運にも帰らぬ人となってしまう者もいる。

 とあるフロアの奥地にて、何時のものともしれぬ朽ちた骸がひとつ。
『カえ、らナキャ』
 ふわりふわりと数多の亡霊に取り巻かれたそれは――すっと立ち上がって、何処かへふらふらと歩き始めた。

●かえれない
「地下迷宮で、強力な災魔が動き始めるのを予知したんだ」
 グリモア猟兵の影守・吾聞(f00374)が猟兵たちに伝える内容は、アルダワ魔法学園ではよくあること。おそらくはこの後、災魔――この世界のオブリビオンの討伐に向かって欲しい、と話が続くと予想された。実際その通りではあるのだが。
「どうもこの災魔、ね……迷宮探索中に亡くなった、アルダワの学生のひとりみたいなんだ」
 災魔はフロアボス級の力と生前の姿を得て、迷宮内を彷徨っていると吾聞は語る。
「学園と学生の為っていうのもあるけれど……今回は亡くなった先輩に安らかに眠ってもらう為にも。討伐、お願いできないかな」
 作戦内容は至ってシンプル。迷宮を進み、ボスと接触し討伐すればミッションコンプリート。猟兵たちのやること自体は変わらない。
「道中はね、先輩が亡くなる直前に通った環境が再現された構造になってるみたい。ガスを使ったトラップと……その奥にもうひとつ、詳細不明の他のギミックが存在してる」
 フロアの構造の変化は、力ある災魔――即ち、亡くなった先輩の影響によるものだろう。命を落とすまでの記憶が、骸や魂に鮮明に焼き付いてしまってでもいるのかもしれない。
「先輩の終わらない苦しみを断つためにも、どうかよろしくお願いするね」
 金の瞳に真剣な瞳を宿し、吾聞は仲間たちへぺこりと頭を下げた。


藤影有
 お世話になっております。藤影有です。
 学園と学生を守るべく、彷徨う魂に眠りを齎すべく。
 猟兵の皆様の力をお貸しいただけますと幸いです。

 第1章・第2章は【冒険パート】、第3章は【ボス戦】です。
 やや心情寄りの描写を予定しております。
 事件内容、災魔の境遇など。思うところあれば、存分にどうぞ。

●第1章補足
 毒ガスが充満したフロアです。
 まともに吸い込んでしまうと、強い痛みと麻痺の症状が現れます。
 フロアを無事に突破すれば、症状は収まります(第2章以降の行動で不利になることはありません)

 また、学生が現場に迷い込むことはありません。攻略に集中していただけますと幸いです。

 それでは、皆様のプレイング楽しみにお待ちしております。
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第1章 冒険 『ガスガス迷宮』

POW   :    薬効を体力や気合で耐えながら進む

SPD   :    ガスを吸わないように素早く突破する

WIZ   :    ガスを止める手段がないか調べる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヘンペル・トリックボックス
帰りたがっているのなら、還してあげるのが世の情け。トラップ迷宮なんのその、優雅に華麗にスマァトに!紳士が葬送へ参ります。

自分が潜入する前にシルエットで迷宮内部を探索させ、毒ガスを止める術を探してみます。首尾よく発見できたなら、木行符で気流を操作しながら毒ガスの噴射を止めに行くとしましょう。
同じく毒ガスを停止させる方向で動く猟兵がいるようなら、力を合わせて事にあたりたいと思います。


木目・一葉
仕事に取り掛ろう
なんとも痛ましいことだ
ただ帰りたいだけなのに、それを阻むしかないとは
「でも僕達は、任務を果たさねばならない」
他に方法があったらよいのに……

【WIZ】
まず【情報収集】
迷宮探索をしてたのだから、仲間が居た筈
その仲間が、経路とガスのこと、他の罠について記録を残してるかもしれない
またその災魔の生前の人となりを知ることで、戦闘が有利になるかもしれない
よって、その災魔の仲間と記録を【失せ物探し】で見つよう
仲間の方にとって酷な思い出だろうから、より丁寧な【礼儀作法】で接し、【コミュ力】で情報をもらおう

毒ガスフロアではそれらの情報を元に、ガスの停止手段を模索する
【毒耐性】が役立てばよいが……


天星・暁音
…彷徨える魂に安らぎを…か…なら行かなくちゃね。
俺にとっては大事なお仕事だ。
……まあお仕事じゃなくてもほうってはおけないよね。
キチンとあるべき姿に戻して…可能なら連れ帰ってあげなきゃ。
…可哀想だけど、それがしてあげられることだ…

世界知識、情報収集、医術や救助活動等で毒ガスを止める方法、または一時的に症状を無効化、または抑える方法がないかを探して見ます。
毒耐性もあるので自分だけならそこそこ耐えられかもしれません。
速やかに駆け抜け必要等があったときは戦闘力強化を用い手ダッシュしたりとかも可

共闘、アドリブ可



●追憶の途
「毒ガスが充満した通路……記録の通りだな」
 現場に転移する前に情報収集を試みていた木目・一葉(f04853)が、階段を降りた先に続く道を覗き込む。
 通路に満たされている白霧は、猟兵たちのところまでは届かない。どうやら空気よりも重い性質であるらしい。
「通路の上の方に空気の入り口、作れないかな?」
 天星・暁音(f02508)が口を開く。毒ガスについての情報に絞って調べていた少年は、可能な限り症状を抑えられる可能性を模索する。
「少々、通路の作りを調べてみましょうか――いってらっしゃい。あまり巫山戯すぎないように。」
 ヘンペル・トリックボックス(f00441)が召喚した影が、滑稽な動きをしながら毒霧の中へ消えていく。
「……帰りたがっているのなら、還してあげるのが世の情けでしょう」
 影を見送るヘンペルの呟きに、暁音は強く頷く。
「キチンとあるべき姿に戻して……可能なら連れ帰ってあげなきゃ。可哀想だけど、それがしてあげられることだ」
 少年の決意は固い。彷徨える魂に安らぎを齎す、暁音にとっては大事な仕事だ。もっとも仕事でなかろうと、放っておくことなど彼にはできなかっただろうが。
「同感だ。僕達は、任務を果たさねばならない」
 一葉も誓いを新たに、深くフードを被り直す。災魔の――先輩の行く手を阻むことになるのは、少々気が引ける。しかし、それが自分たちの成すべきこと。してやれることであれば。
 一葉が収集した情報はこの通路に絞ったものでなく、生前の災魔が辿った道筋に焦点を当てたものであった。学園で生きていた人物が元になった存在ならば、何らかの記録が残されているのではないかと。
 調査に使えた時間はけして多くはなかったが、成果はあった。通路に関する事柄以外に、判明した事実は二つ。
 一つは、災魔の元となったと思しき人物について。その銃士は毒ガス通路の先で発生した戦闘にて、命を落としたこと。
 もう一つは、仲間たちはみな銃士を失ったことを機に学園を去ってしまったこと。
(何とも痛ましいことだ……)
 死してなおも帰還を望む災魔。冒険を辞す程に思い詰めた仲間たち。一葉は目を伏せ、溜息ひとつ。

 しばしの後。ヘンペルの放った影が、再び白霧の中から姿を現した。
「ふむ。通路は真っ直ぐに伸びているようですね。また、毒ガスにも通路そのものにも、何やら魔術的な力が関わっている様子。道中に穴を開けたりといった、物理的な手段でどうにかするのは難しいやもしれません」
 気流の操作を試みる価値はありそうと、木行符を取り出しながらヘンペルが告げる。調査の結果を受けて、一葉は束の間思考する。
「毒の威力そのものを弱めたり、僕たちの力を底上げするのは有効そうだろうか?」
「それなら、進む前に――祈りを此処に、言の葉よ。立ち向かう者達に闇祓う光の加護を…我等に僅かなる勇気を!」
 共に進む猟兵たちに、暁音の祈りの加護が付与される。此処に集った者みんな、少年と想いは同じ。立ち向かう覚悟はできている。
「仕事に取り掛ろう」
「うん……行かなくちゃね」
「トラップ迷宮なんのその、優雅に華麗にスマァトに! 紳士が葬送へ参ります」
 いざ、取り残された魂の下へ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

トール・テスカコアトル
【POW】

「ひぃ!……ひぃい……げほ!げほ!……うえぇ」

怖い!怖いよ迷宮!
嫌だよ!帰りたい!
帰ったって苛められてばっかりだけど……死にはしないもん!

……でも

「先輩……ずっとこんな、暗くて怖いところにいるんだよね」

そう思ったら、負けてられない

頑張トール!勇気を出して!

「……怖くない!……怖くない!」

痛いのも!怖いのも!慣れてるもん!

我慢する!ずんずん進む!


コルチェ・ウーパニャン
先輩は一体どうやってこの罠を突破したんだろう……?
これを突破したもっと先で亡くなったんだよねえ……
うーっ、不安だなあ!! ちゃんと通れるかなあ……
怖いよう…暗いよう……もっと明るいところをお散歩したいよう……

でもでも、こういうときはシールトリックでペタっていくよ!
割引シールをダンジョンフロアのよさげなところに貼るの!
毒ガスの効果、割り引いてもらえないかなあ……
お願いしまーす!って拝んでおこう……(【祈り】)

何割か引いてもらったら、口と鼻をハンカチで抑えて【早業】で駆け抜けるね!
おうちに帰りたい気持ち、コルチェ、とってもよく分かるよ。
きっと地上に連れ帰ってあげるからね……怖いけど!!


プロメテ・アールステット
※POW

【】:ユベコ
『』:技能

生徒の一人が彷徨っているのならば、同じ学園に属する者として放ってはおけない
僅かではあるが私には『毒耐性』があるから、この環境下に耐えられるはずだ

進むのに難儀しているような者がいたら『怪力』で運ぶ
もしガスを止める手段を調べる者がいたら協力しよう
万が一障害、ないし敵が現れたら『怪力』や【ブレイズフレイム】で対抗する

朽ちても尚、帰りたいと願う者…か
帰りたいと願う場所があったのだろう
……少しだけ、羨ましくもあるな
そうまでして帰りたい場所がある事が

さあ、会いに行こうか
亡霊の口から零れ落ちるは心残りか、怨嗟の声か
全て受け取ろう
後輩として私ができる事は、それくらいしかないから


吹鳴管・五ツ音
かえる、ばしょーー?
(ぽつりと、零し
うつむき、考え、首を振る)
ーー帰るべき、場所、は。
もはや、こちら側では。

ええ。ですから
そう、なすべきは何も変わらないであります。
道行きを示し助けることこそ喇叭卒の役目。

いざ。往きましょう。

(フロア突入前に大きく息を吸って、止める)

階層に入ったら一度、長音(ロングトーン)を吹鳴するであります。
音の反響具合で道の開けた方向を推定し、同行の皆さんが速やかに階層を抜けられるよう、道を示します。

道行きを示し助けるのが喇叭卒の役目、でありますから。

息継ぎをすれば瓦斯の痛みがあるかもしれませんけれど、そこはぐっとこらえて足を止めることがないように。

我らは、前に、進むのです




 毒ガス通路を突破した先で、命を落とした者がいる。
 その事実は明確に、死の可能性を匂わせるもの。
 たとえ足が竦んでしまおうとも、けして恥じることではない。

(うーっ、不安だなあ!! ちゃんと通れるかなあ……)
 コルチェ・ウーパニャン(f00698)の魔法光ファイバー製の髪は、彼女の心に応じた暗い色に染まっている。
(怖いよう……暗いよう……もっと明るいところをお散歩したいよう……)
 死の気配に満ち満ちているこのフロアは、生者が長居するに適した環境ではありえない。
(怖い! 怖いよ迷宮! 嫌だよ! 帰りたい!)
 トール・テスカコアトル(f13707)もまた、怯えた表情を隠すことができない。
 そもそもトールは心優しく、暴力を好まぬ気質。この先で待っているであろう戦いも、彼女の望むところではないのだ。
((それでも……))
 コルチェもトールも、自分の意志で此処にいる。
「先輩……ずっとこんな、暗くて怖いところにいるんだよね」
「うん。おうちに帰りたい気持ち、コルチェ、とってもよく分かるよ。地上に連れ帰ってあげたい……怖いけど!!」
 そっとトールの手を取って、コルチェは迷宮の壁にぺたりと祈りを込めたシールを貼る。トールも顔を上げ、コルチェに頷いて通路を見つめる。
 ――先を閉ざしていた白い毒霧が僅かながらゆらぎ、薄らいだ。
「朽ちても尚、帰りたいと願う者……か。それだけ帰りたいと願う場所があったのだろう――さあ、会いに行こうか」
 表情ひとつ崩さず進む先を見据えるプロメテ・アールステット(f12927)の号令とともに。
「いざ。往きましょう」
 吹鳴管・五ツ音(f06593)の吹き鳴らすロングトーンが通路に響く。
 猟兵たちが進むべきは、真っ直ぐ前へ。

 大きく息を吸いこんでから、白い霧の中へ。通路は長く、どうしても息継ぎ無しではいられない。
(――帰るべき、場所、は。もはや、こちら側では)
 四肢を苛む痛みと痺れに苦悶の表情を浮かべつつも、仲間たちを先導する五ツ音の思考は止まらない。
 それは彼女が常に、死の程近くに身を置いているゆえであろうか。この先にいるであろう災魔が“かえれない”存在であることを、五ツ音はどうしても思わずにはいられなかった。
(ええ。ですから……そう、成すべきは何も変わらないであります)
 道行きを示し助けることこそ、喇叭卒の役目。そう信じて、五ツ音はけして歩みを止めない。
「げほ! げほ!……うえぇ」
 口と鼻をハンカチで抑えたコルチェに手を引かれ、トールも共に早足で進む。
(頑張トール! 勇気を出して!)
 ひとり寂しく取り残された先輩を思えば、立ち止まることはできない。ガスに咽返ろうとも、痛くとも、怖くとも――その身体が、突如ふわりと軽くなる。
 持ち前の怪力を発揮し、プロメテが後ろからトールの身体を支える。行け、と視線のみの合図をするプロメテ。それを受け、コルチェとトールは頷いて五ツ音の後を追う。
 僅かながら金の瞳を和らげて、プロメテもまた思考する。
(……少しだけ、羨ましくもあるな)
 死してなお“かえりたい”場所がある災魔。その口から零れるとしたら、心残りか。それとも、怨嗟の声だろうか。
(もっとも……成すべきは何も変わらないな)
 全て受け止める。それこそ同じ学園に属する者――後輩たる自身にできること。そう信じて、プロメテは前へと進み続ける。

 白い毒霧を抜けると、そこには清浄な空気が満ちていた。
 辺りを見回すと、通路を隔てた先とそう変わらぬ暗い通路であることが伺える。それでも今の猟兵たちにとっては、心置きなく息を吸えることがありがたく感じるくらいだろう。
 予知で齎された情報を思い返せば、毒ガス通路の先にも何かしらのギミックがあるはずだが――今のところ、これといって変わった点は見られない。
 十分に呼吸を整えて、猟兵たちは慎重に先へ進んでいく。
 きっともうすぐ、先輩に会えるはず。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『ループに勝利せよ』

POW   :    体力と気力でなんとかする

SPD   :    速さと技でなんとかする

WIZ   :    魔法と知識でなんとかする

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●無間の獄
 仲間たちと真っ直ぐに歩を進めていた、はず。
 なのに、ふと気がつくと……いつの間にかあなたは、ひとり横たわっている。

 身体が少しずつ冷えていくのがわかる。
 視界が暗くなっていき、目の前にいる敵の姿がぼやけていく。
 そう。自分はここで、ひとりで死んでいくのだ。
 痛みすら薄らいできた――おかしい。十分に息を整えて、ガスの痛みは取り払ったはずなのに。

 ふと気がつくと、いつの間にかあなたは、他の猟兵たちと共に通路に立っていた。
 どうやら幻覚を見ていたらしい。猟兵たち、皆おなじ情景を見たようだ。
 転移前、グリモア猟兵は言っていた。
「先輩が亡くなる直前に通った環境が再現された構造になってるみたい」
 おそらくはこの情景も、災魔の――先輩の影響によるものだろう。
 過去の同じ情景を幾度も幾度も思い返し、それに囚われるままに彷徨い続けている。

 もうすぐ先輩に会えるはず。
 この終わりなき地獄の向こうにいるはず。
 声を掛けるか、光を見せるか、想いを届けるか。
 迎えに来たと、帰ろうと伝えれば、姿を見せてくれるかもしれない。
木目・一葉
あれが今災魔となった彼の最期の光景か
「たしかに寂しい最期だ」
知らぬ場所で、気がつけば傍にいた仲間が見えず、ただ一人でいる
「帰りたいと思うのも無理はない」
それに彼の仲間だった人は皆、彼の死をきっかけに去ったのだ
彼らの絆は、それほどに強く結びついていたに違いない

【WIZ】
僕は【第六感】で彼の気配を探しながら、通路をすすむ
彼はあの情景を幾度となく思い出してるという
では僅かな変化を加えてみよう
彼の気配を感じ取れる状況で、あの情景と同じな場所に差し掛かれば、そこで声をかけよう
姿を現すかもしれない
「貴方を迎えにきました
皆と一緒にいきましょう
もうこんなところに置いていかない
だから僕達の前にでてきて」


プロメテ・アールステット
※POW

冷たくなる体、闇に沈んでいく世界……
これが、死という感覚なのか
心の中にある感情は寂しさだろうか?人形である私にはよく分からない

――あの人も、こんな風だったのだろうか
いや、違うな…あの人には『彼』がいた
どちらかというと、これは私の終わる瞬間に近い
きっとこんな風にいつか私も終わるのだろう

…けれど、今はまだその時ではない
私には成さねばならない事がある
それまで何を傷付けても奪っても進むと、そう決めて歩んできた
ここで立ち止まる訳にはいかない

先輩、聞こえているだろうか
私の名はプロメテ。貴方の後輩にあたる
貴方の地獄に終止符を打ちに来た
貴方の魂をここから解放したい
姿を見せて、声を聞かせてはくれないか?




「……たしかに寂しい最期だ」
 ぽつり、一葉が呟く。
 銃士の最期を直接調べ、探り当てた彼女だからこそ。その光景は真に迫って見えた。
「帰りたいと思うのも、無理はない」
 知らぬ場所で、傍にいた仲間が見えず、ただ一人。そして銃士の死を機に、学園を去ってしまった仲間たち。
 その絆の強さを想い、一葉は強く拳を握る。
「冷たくなる体、闇に沈んでいく世界……これが、死という感覚なのか」
 プロメテは呆然とするばかり。
 戦闘人形の心の内に、渦巻き続ける奇妙な感覚――これは、一葉のいうところの“寂しさ”なのだろうか。今は亡き“あの人”も、最期はこんな風だったのだろうか。
 そこまで考えて、プロメテは首を振る。この光景は、傍に在る者がいた“あの人”でなく。きっといつか、自分が終わる時に近いのだろうと。そして今はまだ、その時を迎えるわけにはいかないのだ。
「……ここで立ち止まる訳にはいかない」
 プロメテの言葉に、一葉も頷いて。二人は進む先を真っ直ぐに見据え、一歩を踏み出す――広がるはただ、一面の闇。

 一歩、また一歩。猟兵たちは進んでいく。
 先輩はこの先にいると、一葉の第六感が告げている。姿は見えずとも、確かに何者かの気配を感じ取ることもできる。
 しかし。周囲は絶望を現したかのような闇に、真っ黒に塗りつぶされたまま。ここに僅かでも変化を加えることができれば、或いは。
「先輩、聞こえているだろうか」
 後輩たるプロメテが、静かに名乗りを上げる。
「貴方を迎えにきました。皆と一緒にいきましょう」
 一葉が言葉を重ねる。闇の中に二人の声が溶け込んでいく。
「貴方の地獄に終止符を打ちに来た。貴方の魂をここから解放したい。姿を見せて、声を聞かせてはくれないか?」
「もうこんなところに置いていかない。だから……僕達の前にでてきて」

『……どこ』
 闇の中から返って来た声に、一葉とプロメテは顔を見合わせる。
『……どこに、いるの』
 男とも女とも付かぬ、何者か。その声に篭められるは、敵意でも殺気でもなく。
『わたし、は……ここ』
 己の存在を知らせる意志――二人の声は、確かに届いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トール・テスカコアトル
「あんまりだよ……」

あれが先輩の記憶なら、ずっとあんな思いを繰り返しているんなら……

「っ……うぅぅ~~っ」

涙が、涙が止まらないよ
辛い、暗い、苦しい
垣間見た記憶から、先輩を包む闇が移ったみたい

……怖い……怖い……けど!

「うわあぁあーーーー!!」

負けないように、叫ぶよ

負けないもん!トールは……【勇気】は怖い気持ちになんて負けないんだよ!

先輩が闇に囚われてるんなら!
ここに!トールの中に燃えてる勇気の炎で照らしてやるんだ!

「せんぱーい!助けに来たよ!トール達が、助けに来たよ!」

気持ちがこもるように強く、気持ちが届くように大きく叫びながら、進む!

「どこにいるの!?返事しておーい!せんぱーい!」

助けるよ!


コルチェ・ウーパニャン
呼べば声が、届くのかな。
じゃあコルチェ、「生まれながらの光」で髪を光らせる!
これが目印になるかなあ?

コルチェ、一生懸命、心を落ち着けて、白く明るく光るよ。
「こっちだよ、コルチェ達皆で迎えにきたんだよ」

手をつないで歩いてるうち、もう怖くなくなったから。
…ううん、やっぱり怖いんだけど
一緒にこの暗い道を通る仲間がいるから。


…自分の中に、閉じ込められているんだね。
頭もよく働かないなくて、身体もうまく動けないで、このままずーっと、こうなのかなって思う怖さ、
コルチェ、とってもよく分かるよ。

でも、助けは来たんだよ。
そして今、あなたにも、来たんだよ。
もう、辛い思いをしなくて良いんだよ。




「う……うわあぁあーーーー!!」
 闇の中を進む間もずっと流していた涙を拭って、トールは力の限り叫ぶ。
(……怖い……怖い……けど!)
 銃士の最期の幻影は、優しき竜人の娘の心を蝕むようであった。辛く、苦しく、暗く――まるで、自身も塗りつぶされてしまいそうな。
 だからこそ、それを振り払うように。けして負けないように。己の心の内に確かに灯る炎で、ずっと繰り返し続ける先輩の記憶の闇を照らせるように。
 心の炎は――勇気は、恐怖になど負けない。そうトールは信じているから。
「せんぱーい! 助けに来たよ! トール達が、助けに来たよ!」
 助けてみせる。強い想いを込めて、竜人の娘は大きく叫びながら歩み続ける。

(呼べば声が、届くのかな。なら……これも目印になるかなあ?)
 大きく深呼吸してコルチェが心を鎮めると――彼女の髪が生まれながらの光を宿して、白く明るく優しく輝きはじめる。 
「こっちだよ、コルチェ達皆で迎えにきたんだよ」
 迷宮を進むのは、やっぱり怖い。それでも、手を取って進む仲間が傍にいるから。だからコルチェは、頑張れる。
 頭も身体もうまく働かず、ずっと何も変わらない。その恐怖を痛いほど知っているからこそ、聖なる光を宿す少女は闇の中へと手を伸ばす。今度は自身が、誰かの手を取って救い出せるように。
「助けは来たんだよ。今、あなたにも、来たんだよ。もう、辛い思いをしなくて良いんだよ」

『そこに、いるの?』
 闇の中から、再び声が聴こえる。
「どこにいるの!? 返事しておーい! せんぱーい!」
 トールが今いちど叫ぶ。
『ねえ、どこなの……暗いよ、怖いよ』
 こちらに届く声はよりはっきりと。猟兵たちの呼び掛けにも気付いているようで。しかし姿は未だ見えず、こちらの姿も向こうには見えていないようで。
「……自分の中に、閉じ込められているんだね」
 コルチェが瞳を伏せ、呟く。昔の自分と同じように先輩もまた、闇から自身だけでは抜け出せないのだ。

 ――ならば、多少強引にでも。闇を打ち破ってやるしかあるまい。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天星・暁音
……気の毒に…死の間際の記憶の中を、1人彷徨うなんて…貴方の痛みも悲しみもちゃんと受け止めるから…だから帰ろう。貴方の帰りたい場所に、俺達が連れて帰るから貴方の魂が安らげるように精一杯の祈りを贈るから…でもそのままじゃ駄目何だ。君の大切だったものを君の手で壊してしまうから…だから帰る為に少しだけ、頑張ってくれないかな?

共苦により。先輩さんの痛みや悲しみ苦しみに寄り添いながら祈りを込めて話かけます。
破魔の力で少しでも声が届くようにと幻覚を弱められないか試したり世界知識で先輩さんの帰りたい場所について話したりして誘惑やおびき寄せで誘ってみます。
コードはただ祈りを込めてです。


ヘンペル・トリックボックス
過去に囚われてはいけない──なんて言葉をオブリビオンにかけるのは、本来ナンセンスかもしれません。けれど『望郷』という感情は、志半ばで死した者ほど強いもの。まして薄暗い穴倉の底であれば尚更のことでしょう。暗い死の記憶が、貴方を縛り付けているのなら──一肌脱ぎますとも、えぇ。紳士ですので。

手持ちの五行の符を組み合わせて、通路の天井に疑似的な青空を再現します。場所の条件事態は良くありませんから、よく見ればチャチなものでしょうが…光溢れる青空と、頬を撫でる暖かな風、そんな地上の理の一端を、思い出してほしいのです。暗く閉じた螺旋に、罅を入れたいのです。

「──まずは思い出して。貴方が何処へ帰りたいのかを」


吹鳴管・五ツ音
これが、独りで逝くということ
共に逝く者がないということ
ーー己の死が、仲間を生かした、ということ

それは誇らしいこと、ではなかったのでしょうか
或いは、それでも否定せねばならない理由が、あるのでしょうか

或いは。
迷うから、答えが出ないから、繰り返すのでしょうか
それならーー

(軍帽を、引き下げて)

自分が答えを示しましょう
その答えを押しつけましょう
貴方はただ、私を仇と呪ってくれたらいいんです
大丈夫、慣れてますから

…望んだ場所に、望んだ形で帰ること叶わないなら。
恨む相手は、必要でしょう?

(貴方を災魔のままにはしておきません、と、口の中だけで呟いて)

さぁ、起床の時間であります
夢の終わりでありますよ

起床呼集、吹鳴




(これが、独りで逝くということ。共に逝く者がないということ)
 五ツ音は自問する。銃士は死後ずっと、闇に囚われ続けている。己の死をもって仲間を生かした事実は、誇らしいことではないのだろうか。それを否定せねばならない理由があるのだろうか。それとも。
(迷うから、答えが出ないから、繰り返すのでしょうか)
 行軍喇叭の化身は、静かに軍帽を引き下げる。答えを示してやれば――たとえ、押し付ける形になってでも。そうすれば。

「過去に囚われてはいけない──なんて言葉をオブリビオンにかけるのは、本来ナンセンスかもしれません。けれどね」
 ヘンペルは肩を竦める。『望郷』という感情は、志半ばで死した者ほど強いもの。ましてや、こんな薄暗い穴倉の底で果てたのだ。尚更のことであろう――なら、銃士のために、自分にできることは何か。死した者の笑顔のために、できることは何か。
「暗い死の記憶が、貴方を縛り付けているのなら──一肌脱ぎますとも、えぇ」
 紳士ですので、とヘンペルは笑う。いつもの慇懃な態度を崩さぬように。

(死の間際の記憶の中を、1人彷徨うなんて……)
 あまりにも気の毒と、暁音は目を伏せ俯く。銃士の痛みや悲しみ、苦しみは、多感な少年にはまるで己のことのようにも思えた。
 ゆえに、暁音はすべてを受け止めると誓って。
「帰ろう。貴方の帰りたい場所に、俺達が連れて帰るから」
 静かに語りかける。銃士の闇を破れるように。
「でもそのままじゃ駄目なんだ。君の大切だったものを君の手で壊してしまうから……だから」
 銃士自身が闇を破れるように。
「帰る為に少しだけ、頑張ってくれないかな?」
 その魂が安らげるように。
「祈りを此処に、妙なる光よ。命の新星を持ちて、立ち向かう者達に闇祓う祝福の抱擁を…傷ついた翼に再び力を!」
 ただ強く、祈りを込めて。

『かえりたい……ばしょ』
 祈りに応じた声は、僅かに震えるように。
『かえりたい、よ……』
 涙を流すように。

「──思い出して。貴方が何処へ帰りたいのかを」
 五行の符を組み合わせヘンペルが創りだした青空が、闇を塗り固めていく。
 光溢れる青空、頬を撫でる暖かな風。完全な再現とは行かぬものの、それは確かに地上の理の一端。閉ざされた穴倉の中で、決して触れることのできぬ温もり――暗く閉じた螺旋に、罅が入る。

『かえりたい。みんなのところへ、かえりたい。またあいたい』

 それは、完全には叶わぬ願い。望んだ場所に、望んだ形で帰ることは叶わない。ならば……自身が仇と呪われようとも。
(恨む相手は、必要でしょう?――貴方を災魔のままにはしておきません)
 心の内で呟いて、五ツ音は行軍喇叭を吹き鳴らす。
 起床呼集の音が響き渡ると、ぐらりと空間が歪んで――猟兵たちは何処までも続く通路ではなく、石造りの広間に立っていた。

 広間の中には何もない。否、目の前に“何か”がいる。
 幻想の青空を仰ぐように立ち尽くす影が、ひとつ。

 それは、長過ぎる悪夢の終わり――短い邂逅と、戦いのはじまり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『無限回廊の亡霊』

POW   :    ……あナ……タ、も…………
【怨念を宿した弾】が命中した対象を爆破し、更に互いを【引きずり込む亡霊の腕】で繋ぐ。
SPD   :    …………た、ス……け………
いま戦っている対象に有効な【ジョブの、冒険者の亡霊】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    ……ア、ああアアあアあああアアアアアアアア
対象の攻撃を軽減する【おぞましい亡霊の姿】に変身しつつ、【断末魔の金切り声】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はバルディート・ラーガです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●かえろう
 その瞳に光はなく。肌の色も闇に熔けそうな脚も、生者のものではありえない。
 折れた角とぼろぼろの翼は、最期の戦いの名残であろうか。

『カえ、る』

 危うい発音。だがその声は確かに“それ”が先輩であることを示している。

『カエり、たい、ノ』

 猟兵たちに伸ばされたのは、銃を握っていない方の手。
 銃士と猟兵との間にふわりと人魂が割り込む――その手を取るためには。
天星・暁音
うん、帰ろう。
一緒に…帰ろう。
その為にここに来たんだから…
あるべきものを、あるべき姿へ返した後だけど…ちゃんと連れて帰ってあげる。
だから一緒に頑張ろう。
貴方の魂に安らぎがありますように、この祈りを込めて…

勇気、覚悟、優しさで先輩をあるべき姿へ戻す為に立ち向かいます。
基本的に味方を鼓舞し癒やすことを重視しますが破魔と祈りの力を込めた鈴の音で先輩への祈りを込めて浄化を促したりもします。

可能なら先輩を連れ帰った後に先輩の為に鎮魂とその魂が永久に還るのを見送る為の舞を捧げたいです。

アドリブ、共闘可


吹鳴管・五ツ音
貴方が帰りたい場所は”今”ではないのでしょう?
貴方が帰りたい場所はきっと、”かつての”地上
仲間が共にあった、過去

だから。
(伸ばされた手に、ふるりと首を横に振り)
自分にできることは、手を取り、手を引くことではなく、我が五音にて道を示すことだけであります

過去の在処、骸の海へ向かう、道を

即ち、繰り返すまやかしではない、確かな、死を。

小隊、構え
撃ち方、始め

…貴方の敵は、自分であります
貴方の望みを阻むのは、私なんです

だから
貴方を救わんと手を伸ばす皆さんの想いを、どうか、疑わないでください

かばえる限りの攻撃はかばい、その痛みと呪いは我が覚悟をもって堪えます

咎の足枷を増やさぬよう
仇を、見誤ることがないように


ヘンペル・トリックボックス
そんな、ボロボロの姿で。そんな、今にも摺り切れそうな精神を引き摺って──それでも尚、光溢れる空を目指す貴方を、
私は笑いますまい。
例え、救い用のない過去の残り香なのだとしても。世界を滅ぼす怪物なのだとしても。絶望の底で手を伸ばすのなら、私はその手を取りましょう。えぇ、紳士ですので......!

偽りの青空を維持しつつ、【全力魔法】を込めた七星七縛符で『亡霊』のUCを封じにかかります。代償は相応に重たいですが──貴方の存在が摺り切れるのが先か、私の炉心が溶け落ちるのが先か。いずれにせよ、貴方を怪物の姿で葬送させはしません。
──帰りましょう、果てしない大空の身許へ。




 伸ばされた手を取ろうとはせず、五ツ音はふるりと首を横に振る。
(貴方が帰りたい場所は”今”ではないのでしょう? 貴方が帰りたい場所はきっと、”かつての”地上。仲間が共にあった、過去)
 ヘンペルの創り出した偽りの青空を仰ぎつつ、行軍喇叭の化身は自身の本体を手に取り想う。
 自分にできることは、手を取り、手を引くことではなく。五音にて道を示すことだけ。
 過去の在処、骸の海へ向かう道――繰り返すまやかしではない、確かな死への道。
「小隊、構え。撃ち方、始め」

 ――行軍喇叭の音が響く。

『……ア、ああアアあアあああアアアアアアアア!!!』
 “災魔”からの答えは、断末魔の金切り声。不協和音に乗って仲間へ迫る怨念を、五ツ音が一身に庇い受ける。
(……貴方の敵は、自分であります。貴方の望みを阻むのは、私なんです。だから)
 仲間たちが伸ばす救いの手を、想いを、どうか、疑わないで欲しい。そう心の内で願って。
(咎の足枷を増やさぬよう、仇を、見誤ることがない、よう、に) 
 行軍喇叭の化身は、痛みと呪いを覚悟を持って耐え抜いて――膝を突いた。
『ア、ああア……イヤ、イッショに、カエる、ノ』
 意味を持たなかった絶叫に、僅かながら理性が混じる。それは紛れなく“災魔”ではなく、“先輩”の気配。
 攻撃の手が止まった隙に、暁音が素早く傷ついた五ツ音へと駆け寄った。
「祈りを此処に、妙なる光よ。命の新星を持ちて、立ち向かう者達に闇祓う祝福の抱擁を…傷ついた翼に再び力を!」
 神聖なる光をもって仲間の傷の治療を行いつつ、少年は“先輩”を見やる。
(あるべきものを、あるべき姿へ返した後じゃないと……ちゃんと連れて帰ってはあげられないね)
 銃口を向けようとする手を、空いた手で抑え込もうとしている災魔――その姿は確かに“先輩”が災魔に抗っていることを示していた。
「うん、帰ろう。一緒に……帰ろう。その為にここに来たんだから……だから一緒に頑張ろう」
 暁音は全ての想いを込めて立ち向かい、祈り続けると誓いを新たにする。
 あるべき姿へ戻す為に。その魂が安らぎ、永久に還れるように。

(そんな、ボロボロの姿で。そんな、今にも摺り切れそうな精神を引き摺って)
 災魔に抗う銃士の様を目の当たりにするヘンペルの顔に、いつもの笑みは浮かんでいない。
 光溢れる空を目指す者を、絶望の底で手を伸ばす者を。
(私は、笑いますまい)
 たとえ、目の前のそれが救いようのない過去の残り香なのだとしても。世界を滅ぼす怪物なのだとしても。
「私はその手を取りましょう。えぇ、紳士ですので……!」
 偽りの青空を維持しつつ、ヘンペルは護符を投げつける。銃を握った災魔の左腕を封じるは、七星七縛符――捕縛の代償など、承知の上。
(貴方の存在が摺り切れるのが先か、私の炉心が溶け落ちるのが先か)
 それでも、彼の意志は揺るがない。
(──帰りましょう、果てしない大空の身許へ)
 銃士を決して、怪物の姿のままで葬送させなどしない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

木目・一葉
「帰りましょう」
その為に周囲をとりまく人魂と、銃の無力化が必要だ
「その為に必要なことをします」

・戦闘
真の姿を解放
中衛で『妖刀解放』の衝撃波で人魂と怨念を宿した弾を迎撃する
また【地形の利用】で周囲の障害物も盾代わりにしよう
更に味方の攻撃等でこちらに目が向いてない隙に『影の追跡者の召喚』を行い、それを接触させる
あとはおぞましい亡霊の姿に変身する瞬間を狙い、影の追跡者からUC封印効果のある『影人の縫い針』と、銃を縛り上げて動きを封じる為の『影人の罪過』を連続で仕掛ける

・戦闘で銃士が倒れた場合
「貴方を帰す約束、果たします」
『操り糸の影』により意思を残した影の姿で実体化させ、出来る限りの範囲まで連れ帰る


コルチェ・ウーパニャン
割り込んできたのは、もしかして…?
嬉しい! コルチェ達、今の先輩をお迎えに来れたんだね!
飛び上がるくらい、涙が出るくらい嬉しいよ。

『早業』でピカリブラスターを構えて【クイックドロウ】で攻撃する!
キュンキュン撃って、隙を作るよ。

……でもさっき、あんなに帰りたがってたのに、そのための戦いを前にして、人魂が割り込んだのはどうして?
これ以上自分に、痛い事しないでって意味?
それとも、後輩のコルチェ達を守ってくれてたのかな…?
コルチェ、お人形だから難しいココロ、よく分からないや。
お話が聞きたいなあ。
人魂さんと『手をつなぐ』ことが出来るかなあ?
学園へ…地上に帰ろう。後輩たち皆が待ってるよ。




 飛び上がるくらい、涙が出るくらい。
 今の先輩を迎えに来れて――髪の輝きを抑えられないくらい、嬉しかった。
 だから。
「……あんなに帰りたがってたのに」
 苦しげに災魔に抗う先輩の姿は、コルチェはひどく哀しく映る。
(……でも、帰るための戦いを前にして、人魂が割り込んだのはどうして? これ以上自分に、痛い事しないでって意味? それとも)
 愛銃・ピカリブラスターで攻撃を加えつつ、白い少女は自問する。彼女には人魂も、災魔ではなく“先輩”の一部に感じたのだ。
『カエる……あ、ア……た、ス……け……』
 ふわり、ふわり。左腕を封じられた本体を庇うように、人魂が再び割り込んでくる。
「ええ、帰りましょう。その為に」
 銃は仲間により無力化されている。あとは人魂をどうにかする必要がありそうか。一葉は冷静に思考を巡らせて。
「必要なことをします」
 真の姿を解き放つ――身体には炎を吹き出したかのような文様、額には焦げたような色の角。影を色濃く宿した姿に化身し、一葉は人魂へ向け衝撃破を放つ。
 すると――人魂が合わさって、剣と盾を装備した戦士の亡霊へと変化する。盾を構えて衝撃破から本体を守り抜き。亡霊戦士はそのまま、静かにこちらを見据えている。
「新手……迎撃しましょう」
 先ほどの金切り声の対策も必要かと、思考を組み立てる一葉に。
「待って。コルチェ、お話が聞きたいなあ」
 穏やかな声が掛けられる。
「……危ない!」
 無邪気な微笑みで一葉を制し、コルチェはつかつかと動かぬ亡霊戦士へと寄って行く。白い少女に顔を覗きこまれても、亡霊は剣を振り下ろすことはない。
「後輩のコルチェ達を、守ってくれてたのかな……?」
 亡霊は何も答えない。
「お迎えに来たよ。学園へ……地上に帰ろう。後輩たち皆が待ってるよ」
 何も答えず――再び人魂へと化身して、再び本体の周りをふわり、ふわりと漂い始めた。
 敵の一部にまで手を差し伸べ、心を通わせたコルチェ。その様に、目を見開く一葉だが――すぐにコルチェの手を引いて、態勢を整える。
 災魔の左腕を封じていた符が、破られたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トール・テスカコアトル
お化けって怖いよね
暗いところ佇む
先輩の姿は、まるでお化け……だけど

「怖くないよ」

全然、怖くないよ
だって、トールは知ってるもん
せんぱいが、どんな気持ちでここに居たか、どんなに帰りたいか

「輝け!ニギ=アラ!……変身!!」

「一つの石」に【勇気】を誓う……トールに、せんぱいを助ける力を!

怨念、弾丸、亡霊、金切り声
……一切、絶対、怖がらないし、避けもしない

トールの心は!勇気は!いま最高に燃えてるよ!
どんな攻撃も恐怖寄せ付けない!

「さあ、せんぱい!この手をとって!」

出来る限りの笑顔を浮かべて
なるたけ優しく手をとって

せんぱいの魂まで暖かくなるように、じんわり力を送るよ

「帰ろう、せんぱい……悪夢は終わり」


プロメテ・アールステット
【】:ユベコ
『』:技能

他の方と協力する

先輩、私達が貴方を連れて帰る
その為には…貴方に纏わりつく亡霊たちを払わなければ
熱いかもしれないが、暫し我慢して欲しい

――さあ、先輩を返してもらうぞ
『属性攻撃』、『2回攻撃』、『鎧砕き』、『戦闘知識』を駆使して【断罪の炎火】を発動する
人魂が攻撃可能ならば、炎を個別に操作して人魂を狙う

我が名はプロメテ、神より与えられし炎の一片
無念を抱いた骸に取り憑き悪戯に弄ぶ亡霊共よ
その罪、全焼をもって贖うがいい

敵からの攻撃は『地形の利用』と『武器受け』で対応する


さあ帰ろう先輩、貴方の望む場所へ、望む人のところへ
伸ばされた手に手を伸ばす
この人形の手でも、貴方を導けるだろうか




『……ア、ああ……アアあアあああアアアアアアアア!!』
 その表情は、よりおぞましく。恐怖と絶望に染め上げられて。
『アアア……あナ……タ、も…………!!!』
 災魔は金切り声を上げながら、銃口より怨念の塊を放つ。

「……怖くないよ」
 闇に呑み込まんとする攻撃をも、トールは一切避けようとしない。
「全然、怖くないよ。だって、トールは知ってるもん」
 一つの石に勇気を誓った優しき竜人の娘は、己の限界を超えた戦士としてそこに在った。
「せんぱいが、どんな気持ちでここに居たか、どんなに帰りたいか」
 絶望へと引きずり込まんとする亡霊の腕に囚われようとも、トールが臆することはない。
 勇気は恐怖には負けない、そう信じているから。そして。
「罪人よ 過ちを恐れぬ者よ 炎に身を焦がし その魂を以て贖え」
 傍には共に戦う仲間がいるから――プロメテの繰り出した金色の炎が、絶望を祓い、災魔を取り巻く。
「無念を抱いた骸に取り憑き悪戯に弄ぶ亡霊共よ。その罪、全焼をもって贖うがいい」
 その炎はまるで、二人の勇気を具現したかのように。
「――さあ、先輩を返してもらうぞ」

『ア、ああ……わ、タシ、は……』
 その表情は、静かに穏やかに。幻想の青空を見上げていた時のままに。

「先輩、私達が貴方を連れて帰る。さあ帰ろう。貴方の望む場所へ、望む人のところへ」
 プロメテが瞳を和らげ、手を伸ばす。
「さあ、せんぱい! この手をとって! 帰ろう……悪夢は終わり」
 トールもまた。とびきりの笑顔を浮かべ、手を伸ばす。
『わ、タシ……うん、イっしょに。かえる』
 金色の光の中、ふらふらと先輩は歩を進め――二人の腕の中へと崩れ落ち、目を閉じた。

『……ただいま』

●おかえり
 何時のものともしれぬ骸と愛銃は、猟兵たちに連れられて学園へと帰還した。
 鎮魂を祈る者、銃士の仲間たちへと想いを馳せる者。心の内は様々であろうが。
 あるべき者はあるべき姿へ、望んだ場所へと帰り付き。守るべきものは守られた――それが、猟兵の手繰り寄せた結末だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月07日


挿絵イラスト