#UDCアース
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●祝祭
♪らぁらぁ る りら♪
♪らぁらぁ る りら♪
砂浜に、うつ伏せに寝そべった人々が歌う。
老若男女が揃って、全く同じ節回しで歌う。
♪らぁらぁ る りら♪
♪らぁらぁ る りら♪
竹と紙で作られた尾鰭を、下半身に着けた人々。
彼らはその尾鰭を使い、一定のリズムで砂浜を叩きながら、海を見つめていた。
美しくも奇妙な歌を歌う彼らは、待っているのだ。彼らが信じる神の目覚めを。
♪らぁらぁ る りら♪
♪らぁらぁ る りら♪
●グリモアベースにて
「UDCアースの日本、海に面した小さな集落へ向かっていただきます。お祭りへの招待ですよ」
少しも笑わず、感情の乗っていない声音で、アウグスト・アルトナー(永久凍土・f23918)は告げる。その手には、村人が作成したと思われる、外部の人々を祭りに招くチラシが握られていた。
「とはいえ、残念ながら、単なるお祭りではありません。しばしばこの集落で行われるこの『祝祭』は、UDCに、外部の人や老いた人を生贄として捧げる儀式です。代わりに、超自然の庇護を受け続けていた、というわけですね」
チラシを握るアウグストの手に力がこもり、チラシはぐしゃりと握り潰された。
「皆さんはまず、この祝祭の参加者として集落に侵入してください。それから、祝祭の時のみ姿を現す、この極めて強く危険なUDCを倒していただきます。100年以上の間、信奉され続けてきたことが、このUDCを進化させているようです」
祝祭が始まるのは、夜だという。まずは昼に集落に向かい、信者たちが披露してくるであろう奇妙な宗教観に順応して、怪しまれずに過ごす必要がある、とアウグストは述べる。
「奇妙な宗教観について、少し具体的に説明しますね。彼らは、『海』や『魚』を神聖視しています。祝祭への参加者は、昼の間に、身を清めるため、ヒレ酒かヒレ水を飲むことが最善とされています」
『ヒレ水?』という声が、聞いていた猟兵から上がる。アウグストは、こう補足した。
「ヒレ酒の方は、干し魚のヒレを炙って熱燗に入れたものなんですが。ヒレ水は、濾過して真水にした海水に、生魚の尾鰭を漬けたものです。……無理に飲まなくてもいいですよ、あくまで『飲むのが最善とされている』というだけなので」
もちろん、20歳になっていない者がヒレ酒を飲んではならない。
「それと、竹と紙でできた尾鰭が、祝祭の参加者全員に配られます。参加者は、この尾鰭を人魚のように身に着けて、夜に砂浜で歌うようですね。昼に砂浜に行けば、その練習をしている信者たちがいると思います」
夜になれば、砂浜で『祝祭』が行われる。
「生贄を求めて、まずUDCの眷属たちが姿を現すでしょう。その後に、集落の宗教の主神である、強力なUDCが出現します。いずれも倒しきってください。……なお、信者たちについては、皆さんは何もしなくて構いません。UDC組織の職員が、法の裁きを受けさせるでしょうからね」
これまで何人も殺してきた罪深い一族には、しかるべき罰が下される、とアウグストは口にした。
羽根型のグリモアが光り輝き、猟兵たちの転送を開始する。
「相手は強敵です。どうか、ご武運を」
アウグストは胸で十字を切り、祈りと共に見送った。
地斬理々亜
地斬です。『祝祭』への招待です。
よろしくお願いします。
●第1章
『「祝祭」への参加』。
日常フラグメントですが、グリモア猟兵のアウグストはいません。
ヒレ酒やヒレ水が振る舞われる昼の集落で、怪しまれないようにしながら過ごしてください。
(未成年の飲酒プレイングは採用しませんので、どうかご了承ください)
●第2章、第3章
夜の砂浜で『祝祭』が行われ、現れるUDCと戦闘になります。
●プレイング受付
第1章は、断章投下~12月16日(水)の23:59まで受付とします。
それ以降については、自己紹介ページとツイッターでお知らせ致します。
●省略記号について(プレイング文字数を節約したい方向け)
アドリブ多め希望の方はプレイング冒頭に◎を、少なめ希望の方は×をお書きください。
いずれも書かれていない場合は、プレイング内容に応じて適宜アドリブを入れます。
それでは、良き戦いを。
第1章 日常
『「祝祭」への参加』
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POW : 奇妙な食事を食べたり、奇怪な祈りのポーズを鍛錬する等、積極的に順応する
SPD : 周囲の参加者の言動を注意して観察し、それを模倣する事で怪しまれずに過ごす
WIZ : 注意深く会話を重ねる事で、他の参加者と親交を深めると共に、情報収集をする
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●昼の集落
海辺の集落に着いた猟兵たちは、にこやかに行き交う人々の姿を目にする。
話しかけたなら、彼らはやはり笑顔で応じるだろう。
ヒレ酒やヒレ水が飲みたいと言ったなら、喜んで振る舞ってくれるはずだ。
砂浜の方向からは歌声が聞こえる。竹と紙の尾鰭を着けた人々が、祈りの歌を練習しているのだ。
怪しまれずに、過ごさなければならない。
回々・九流々々
「どこか懐かしい雰囲気ですね。何と言いますか。ない頭の中でぷかぷかする感じです。はい。まあ僕には鰭も鰓も生えないでしょうが。種族的に」
POWで行動しましょう
「美味しそうなヒレ水ですね。僕にもわけてください。なんたって今日は祝祭(おまつり)の昼。あ。その竹と紙のお飾りもお願いしたいのです」
存在感と優しさを声から滲ませて溶け込みましょうか。飲むふりはしません。たぶん「僕には効果がない気がします」
毒だとしてもきっと甘いものです。これは祈りですから
心のしるしをそっと抱いて信者さんとお話しましょう。出来る限り『最善』に――「あ。この目は気にしないでください。お魚みたいで綺麗だなんて褒めないでくださいよ」
●ヒレ水を飲む
「どこか懐かしい雰囲気ですね」
海風の香りを感じながら、回々・九流々々(くるくる・f21693)は、両腕を水平に広げてくるくる回っていた。
(「何と言いますか。ない頭の中でぷかぷかする感じです。はい」)
まるで、コーヒーカップに浮かべた、上下にたゆたう角砂糖。
「と、と。そちらの方」
回転のため足をふらつかせつつ、九流々々は村人の中年女性に声を掛ける。
「美味しそうなヒレ水ですね。僕にも分けてください」
それを聞いた女性はにんまり笑って頷き、カップに入れたヒレ水を九流々々に手渡した。
「ありがとうございます。なんたって今日は祝祭(おまつり)の昼。あ。その竹と紙のお飾りもお願いしたいのです」
「はいよ、お嬢ちゃん」
並べられた、大小様々な作り物の尾鰭。その中から、九流々々の小柄な体に合いそうな物を女性は選び取り、九流々々に渡そうとする。
両手を空けてから受け取ろうと、九流々々はヒレ水を一気に飲み干した。
……何も、起こらない。
九流々々は、自身の種族が愉快な仲間であるがゆえ、『鰭や鰓が生える』ような効果は無効化できると踏んでいたが、九流々々が飲んだヒレ水には、そのような力自体が感じられなかった。
毒もなさそうだ。ただ生臭いだけの、普通の水である。
「とても美味しいですね」
心のしるしをそっと胸に抱いた九流々々は、顔色一つ変えずに言う。優しさのにじむ柔らかな声音で、存在感を持って堂々と。
「これで、神様に祈るに相応しくなれたねぇ」
「嬉しいです。すごい神様ですからね」
「そうだね。おかげで私たちは、善き縁が結ばれる」
(「縁?」)
違和感。この集落の宗教の主神というのは、人の縁を結ぶような存在だとでも……。
じっと見つめてくる女性の視線に気づき、九流々々は言った。
「あ、この目は気にしないでください」
藍色でつぶらな、渦巻くお目々。――お魚みたいで綺麗だなんて、褒めないでくださいよ。
成功
🔵🔵🔴
紫紅・彩咲
【SPD】
……人魚がヒトになる話はあれど、ヒトが人魚の真似事をするなんてにゃあ……ガチの人魚から見ても奇妙な話にゃね(心の中で
とりあえず私はにゃあにゃあ言うのを封印して、敬語という名の【礼儀作法】を以て集落の人に話しかけに行くにゃあ。
そんでもって、やっぱり気になるのは浜辺かにゃあ。歌の練習に参加させて貰うことって出来るんかね。「参加するからにはちゃんと動きとかを覚えたいんです」って頼み込むとかしてにゃあ。
参加する中で歌の由来とか、尾ひれを付ける理由とかの【情報収集】がしたくてにゃあ。あ、尾ひれは自前の尾ひれにちゃあんと着けるにゃ。世界の加護あるから違和感は与えないっしょ多分。
●ネコザメ人魚の猫被り
(「……人魚がヒトになる話はあれど、ヒトが人魚の真似事をするなんてにゃあ……」)
集落の中で、わずかに浮遊しながら人魚が泳ぐ。ネコザメの下半身を持つ猟兵、紫紅・彩咲(深海人の悪霊・f29516)である。
(「ガチの人魚から見ても奇妙な話にゃね」)
茶色のくせっ毛を指先で軽くいじり、すいと宙を泳いで、彩咲は集落の人間がいる方に向かう。
「こんにちは。良いお天気ですね」
にゃあにゃあと言うのは一時封印。丁寧な言葉遣いで、彩咲は若い男性に話しかけた。
「こんにちは! そうだね、今夜のお祭りにはぴったりの天気だ。君は、外から来てくれた参加者だね? 歓迎するよ!」
「はい。お祭り、楽しみにしています。……あの、浜辺では歌の練習をしているんですよね。わたしもその練習に参加させてもらっても良いでしょうか? お祭りに参加するからには、ちゃんと動きとかを覚えたいんです」
「もちろんだよ! みんな歓迎してくれるさ。これをどうぞ」
竹と紙の尾鰭を、男性は渡してくる。
早速、彩咲は、それを自前の尾鰭の上から装着した。男性が訝しむことはない。
(「便利だにゃあ、世界の加護」)
内心で思う彩咲である。
浜辺に移動すると、寝そべった人々が歌っていた。
その中に混ざった彩咲は、見様見真似で歌い、尾鰭でリズムをとる。
「なかなか筋が良いね」
「ありがとうございます」
休憩中、声を掛けてきた若い女性に、彩咲は演技で礼を言い、それから尋ねた。
「この歌、どういう由来があるんですか?」
「神様と、神様の使いがお歌いになる歌に似せてあるんだよ」
「なるほど……では、尾鰭を着ける理由は?」
「神様も神様の使いも、尾鰭のあるお姿だ。それを私たちが真似るお祭りなのさ」
「そうなんですね」
少しはぐらかされたような気もするが、これから戦うUDCについての情報が得られた。そんな手応えを感じながら、彩咲は歌の練習に戻ったのであった。
成功
🔵🔵🔴
茜谷・ひびき
◎
信仰自体は悪いものじゃない
ただ祈る神が悪かったんだ
ここまで強く信仰が根付いてるなら無理やり終わらせるしかないだろうが
……ああ、全部止めてやる
それが俺の仕事だ
ヒレ水を頂いて、集落に馴染めるように雑談でもしてようか
けど飲んだヒレ水は地獄の炎を使って体内で燃やす
例えこの水が無害だとしても身体の中に邪神由来のものは入れておきたくない
純粋に気持ち悪いんだよ……生臭いし
それから祈りの歌の練習でも見てようか
生け贄がメインのくせに歌や踊りまで捧げさせるのか
いや、そういう風にしておくから信仰も集めやすくなるのか?
邪神の考えてることは分かんねぇや
……どうせ全部潰すし
波と歌を聞きながら、今はぼんやりとしておく
●その全てを
様々な形で、人の暮らしに根付くもの。……『信仰』。
それ自体が、悪だというわけではない。
ただ、悪かったのは――。
(「祈る神だ」)
茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)は、表情を動かさぬまま、強く拳を握る。
この集落の人々が崇拝しているのは、UDC。邪神であり、怪物だ。その事実が、ひびきの心を憤怒の色に染める。
ここまで強く信仰が根付いているのだから、今できることは一つ。無理やり終わらせることだ。
「……ああ、全部止めてやる」
誰にも聞こえない小さな声で、けれど確固たる意志を持って、ひびきは呟く。
それが、自身の仕事なのだから。
「最近割と寒いし、砂浜にうつ伏せになるって大変じゃねぇの?」
「そうなのよねぇ、お腹が冷えちゃう。使い捨てカイロは欠かせないわ」
集落の女性と雑談をしながら、ひびきはヒレ水を口に含む。
(「……生臭い。気持ち悪い」)
飲み物というより、金魚が死んだ水槽の水のようだ。
無理やりに飲み込んだそのヒレ水を、ひびきの体内に待ち受ける地獄の炎が燃やす。
たとえ、害のあるものでないとしても。身体の中に邪神由来のものを入れておくことに、ひびきは嫌悪感を覚えたのだ。
水蒸気をゆっくりと口から出す。寒い外気のため、元より白い息であったがゆえ、気づかれることはなかった。
砂浜に近づいたひびきは、祈りの歌を練習する人々を、離れた位置から眺める。
(「生贄がメインのくせに、歌や踊りまで捧げさせるのか」)
それとも、そういう風にしておくから、信仰も集めやすくなるのだろうか。
(「邪神の考えてることは分かんねぇや」) ひびきは思考を打ち切り、包帯の巻かれた自分の右手を見つめる。
(「……どうせ全部潰すし」)
邪神も、この集落の信仰も。この手で潰すと、決めているのだ。
ひびきはぼんやりと、波音の混じる歌声に耳を傾けた。
……ふと、思う。
(「なんか……悲しい歌だ」)
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『腐屍海の百人姉妹』
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POW : 神歌:永劫の夢に微睡む貴方へ
【深海に眠る大海魔】の霊を召喚する。これは【無数の触手】や【神経系を破壊する怪光線】で攻撃する能力を持つ。
SPD : 召歌:黒骨のサーペント
自身の身長の2倍の【骸骨海竜】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 戦歌:インフェルノウォークライ
【召喚した怪物の群れによる一斉攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
イラスト:華月拓
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒影・兵庫(サポート)
飲酒・喫煙・性的描写はNGでお願いします。
●兵庫
『○○さんは□□と仰ってましたねー。せんせー』
『強襲兵の皆さん!』
『アンタなんかに負けるかよ!』
●せんせー
『アタシは○○と思うけど黒影はどう思う?』
紹介画像のせんせーはUCで召喚した抜け殻なので基本、兵庫一人で行動します。
誰にでも礼儀正しい元気で素直な子です。
会話と賑やかな場所が好きです。
人を傷つける奴は見た目関係なく怒ります。
「自分か虫を囮に使い罠を仕掛けて攻撃する」戦法を得意とします。
精神攻撃はせんせーが脳を弄るので効きません。
誰かを犠牲することが不可避なら、せんせーが意識を乗っ取って行動します。
よく使うアイテムは「皇糸虫」です。
●歌声の浜
夜だ。『祝祭』の……生贄の儀式が始まる時が、来た。
♪らぁらぁ る りら♪
♪らぁらぁ る りら♪
ずらりと砂浜に並んだ、集落の人々……邪神の信者たちが、作り物の尾鰭で砂浜を叩きながら歌う。
♪――らぁらぁ る りら♪
海の方向から、応えるように、同じ節回しの歌声が聞こえた。
ぱしゃん、ぱしゃんと水音を立て、多数の何かが近づいてくる。
姿を現したのは、美しい人魚の姿をした怪物たち。邪神の眷属たるUDC、『腐屍海の百人姉妹』だ。
彼女らは歌いながら、生贄を求めて波打ち際まで寄ってくる。海の中からは、大きな骸骨海竜たちが出現し、彼女らを騎乗させた。
骸骨海竜は、無抵抗の信者の老人へと、ゆっくり首を伸ばす。その体を噛み砕こうと。
「――させるかよ!」
怒号が響いた。黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)の声だ。
「航空兵さん! 完封しちゃってください!」
百体近い蜻蛉が飛び、複眼から光を放つ。その光を受けた『姉妹』たちは、平衡感覚を失い、骸骨海竜の頭上から落下した。
さらに、翅から放たれた衝撃波が『姉妹』たちを襲い、感覚を奪い去る。
それから蜻蛉たちは、海上の空中で輪を描くように飛行した。軌跡は光の輪となり、『姉妹』たちから記憶と欲望を失わせ、同時にユーベルコードを封じた。骸骨海竜たちが崩れ去ってゆく。
(「アタシは、信者が死んだとしても自業自得かもしれないと思うけれど。黒影はどう思う?」)
兵庫の頭の中で、女性の声が響く。脳に埋め込まれた寄生虫、教導虫だ。
「誰であれ、人が傷つくなんて、見過ごせません! せんせー!」
(「上出来よ」)
兵庫の答えに、満足そうな教導虫の言葉が頭の中で返る。
UDCを見据えた兵庫は、長い糸を展開した。生きた糸、『皇糸虫』である。
念動力を用いて、その糸を『姉妹』たちの首に絡め、強く引いて、兵庫は怪物の命を奪ってゆく。
信者たちの歌は、まだ止まない。
戦いの火蓋は、切って落とされた。
成功
🔵🔵🔴
回々・九流々々
「あー……逆でしたか。上下が反対でしたね。はい。こう、イメージでは『カエル』っぽい感じでしたよ。人魚じゃなくて。まあ『化け物』に変わりはありませんし僕だってやれる事を教えてやりますよ」
召喚された怪物の一斉攻撃を『プログラムド・ジェノサイド』で迎え撃つ。何方かが壊れるかの衝突なのです
右にクランケヴァッフェ左にダゴンの鋭腕、おまけでプリンセスハートばら撒きながら勝負です。この高速回転、いかにオブリビオンでも止める事は難しいでしょう
高速連続攻撃の合間にメカニックで『自分を可能な限り直し』ましょうか。まあ三半規管はダメになりますけど仕方ないですよね
「さあ。かかってきなさい。僕のしるしはここですよ」
茜谷・ひびき
◎
事前に話は聞いてたが、信者まで食らおうとするなんて最悪だな
ここにいる人達は生きて罪を背負わなきゃいけないと俺は思うぜ
誰も殺させやしない
刻印を起動し両腕を捕食態へ
あんた達、今まで散々食ってきたんだろ
今度は俺の番だ
砂浜を駆け回りつつ捕まらないように注意して
次々敵を攻撃していこう
【怪力】も乗せた腕で殴って潰して食らう
ああ、あのヒレ水みたいな味がする
やっぱり気持ち悪い
でも今度は味まで覚えてやる
もし敵が仲間や信者を食らおうとするなら積極的に庇いに行く
多少の怪我は地獄の炎で補える
痛みは【激痛耐性】で耐えられる
それよりも……誰かが食われるのを見る方が嫌だ
この戦場の捕食者はお前らじゃない、俺だ
よく覚えておけ
●捕食者とコーヒーカップ
(「事前に話は聞いてたが」)
信者まで食らおうとするなんて、最悪なことをする怪物だ、と、ひびきは考えた。
「誰も殺させやしない」
はっきりと言い切る。ここにいる信者たちは、生きて罪を背負わなければならないと思うがゆえに。
彼は、胸元の刻印(ドライバー)を起動する。両腕が、捕食態へと変じた。
「あー……逆でしたか」
「逆?」
声が聞こえて、ひびきがそちらを見れば、そこには九流々々の姿があった。
「いえ。僕はミナゴロシの方が良いという意味ではないのですよ。はい。僕のイメージでは『カエル』っぽい感じでしたので。人魚じゃなくて」
自分が予想していたUDCの姿と、上下が反対だったのだと、九流々々は言った。
下半身ではなく、上半身が魚に近い形。目玉がぎょろりとしていて、肌にはぬめぬめした鱗があって、鰓をぱくぱくさせているような。おそらくは、そういう眷属が現れることを九流々々は思い描いていたのだろう。
「そうか」
ひびきは深呼吸して、敵の群れを見据える。張り詰めていた気持ちが、良い意味でほぐれた気がした。
「あんたたち、今まで散々食ってきたんだろ。今度は俺の番だ」
UDCの『姉妹』たちへ向けて言い放ち、ひびきは駆け出す。
「まあ『化け物』に変わりはありませんし。僕だってやれることを教えてやりますよ」
九流々々は、その場で回転を開始した。
砂浜を走るひびきは、敵が召喚した骸骨海竜の牙をかいくぐり、捕食態になった両腕を敵に叩きつけていく。
人間離れした怪力で、殴打し、潰し……UDCを食らう。
(「……ああ、あのヒレ水みたいな味がする。やっぱり気持ち悪い」)
でも、今度は味まで覚えてやる――ごりごりと、ひびきは怪物の血肉を咀嚼する。
続く彼の『姉妹』への攻撃は、より一層強い力で叩き込まれた。相手の血肉の味を覚え、攻撃の威力を増す……ユーベルコード『食い散らかし』の効果である。
ひびきの両腕に潰され、食らわれた『姉妹』たちが、次々と海に沈んでゆく。
一方、九流々々は砂浜で回っていた。
ただの回転ではない。ユーベルコード『プログラムド・ジェノサイド』による、超高速の回転である。
右手にはクランケヴァッフェ、左手には災悪兵器『ダゴンの鋭腕』。おまけに、脈動するハートを空中にばら撒きながら、九流々々は回る。
「さあ。かかってきなさい。僕のしるしはここですよ」
言い放った九流々々へ、骸骨海竜たちは牙や尾で攻撃を仕掛け――その巨体は回転に引き込まれる。
回る。回る。コーヒーカップが回る。皆と夢を乗せて、くるくる、くるくる。
骸骨海竜は、たちまち切り刻まれ、単なる骨片と化す。乗り手の『姉妹』は、仲良くミンチに変わった。
オブリビオンである『姉妹』たちのユーベルコードをもってしても、九流々々の超高速回転を止めることはできなかったのである。
超高速連続攻撃の合間に、九流々々は自分を直す。『道具』は修理するものだ。自分の体のことは、自分が一番よく分かっている。
そう、回転で三半規管がダメになることも……分かっていたことだ。超高速回転を終えた九流々々は、ふらふら、ぱたりとその場に倒れる。
そこを狙って、まだ無事であった骸骨海竜が、大きく口を開け――。
割り込むように、ひらりと飛び込んできたひびきが、自らの体をつっかい棒として、閉じられようとする骸骨海竜の顎を支えた。
捕食態の両手に牙が食い込んだが、地獄の炎で補う。痛みは、耐えられる。
それよりも、ひびきにとって耐えがたいのは、誰かが怪物の犠牲になるのを目の当たりにすることだ。
「この戦場の捕食者はお前らじゃない、俺だ」
骸骨海竜の顎を力任せに破壊し、滑り落ちた『姉妹』を腕で殴り潰して食らう。
「よく覚えておけ」
♪――らぁら、ぁ、る……りら……♪
砂浜に響き続けていた信者たちの歌声に、動揺の色が混じり始めた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紫紅・彩咲
にゃはは、同族モドキが大漁大漁にゃあ。
倒しがいのありそうな大きなやつまでいるし、テンション上がってきたにゃあ。まあまだこれで終わらなそうだからほどほどにするけど〜。
回避するのは私じゃ難しそうにゃけど……高速で動くんなら動きにくくすりゃ良い訳で。キセルから出した煙での【マヒ攻撃】を広げて怪物の群れと人魚達にぶつけるにゃあ。(【範囲攻撃】併用)
それで敵さんが弱るか動きが鈍ったかしたら後は私のお仲間の出番。【追撃する咬魚】たちをけしかけるにゃ。信者食ってる暇なんか与えずに、1匹残らず喰らい尽くすつもりで行くにゃあ。
●ネコとサカナ
「にゃはは」
彩咲は、UDCの群れを前に、笑う。
「同族モドキが大漁大漁にゃあ」
姿が似ていても、この人魚たちは同族の深海人ではなく、怪物なのだと、彼女は知っている。
彩咲が遠くを見やれば、別の猟兵に破壊された骸骨海竜が崩れてゆく光景が見えた。
「あんな相手と、私も戦ってみたいにゃ。テンション上がってきたにゃあ」
暗緑色の着物を翻し、彩咲は戦闘態勢に移る。
その目の前で、UDCたちは歌い、怪物の群れを召喚した。大小様々な、海の生き物を思わせる姿をした怪物たちが現れ、一斉攻撃を彩咲へ仕掛けようとする。
怪物たちが超高速連続攻撃を開始するその直前、彩咲が動いた。
手にしたキセルパイプを水平に動かし、煙を広げる。マヒをもたらす薬効を持つその煙は、怪物の群れとUDCたちに向かって広がっていった。
体が痺れた怪物の群れの攻撃速度は落ち、彩咲は余裕を持ってその攻撃を避けていく。見れば、UDCたちも歌声を紡げず、苦しそうにしていた。
――絶対、逃がさない。
そんな執着を、彩咲はこのUDCに対して抱いた。猫が獲物をいたぶり、食べてしまうのと同じように。
「あとは私のお仲間の出番にゃね。みーんなで追い詰めてガジガジするのにゃあ」
ユーベルコード、『追撃する咬魚』。彼女の執着に応じる形で召喚されたのは、浮遊するネコザメの群れだ。
本来ネコザメは大人しい生き物だが、その目は凶暴な光を帯びて、UDCたちを見つめている。
「さあ、みんな行くにゃ。信者食ってる暇なんか、あげないにゃ」
空中を泳いだネコザメが、その硬い歯でUDCの体を噛み砕き、喰らい尽くしてゆく。
一匹たりとも残らず、UDCたちはネコザメのお腹に収まり、怪物の群れも消え失せた。
「……まだ、これで終わりじゃないにゃあ」
彩咲は油断なく身構える。すぐに何かが来ると、野生の勘が告げていた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『禍罪・擬結』
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POW : 藍
【悲痛な叫びと共に大量の水】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 愛
【血のように赤い糸】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 哀
【悲哀に満ちた歌】を披露した指定の全対象に【戦意を喪失する程の寂しさや悲しみの】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:匙鱈栞
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「榛・琴莉」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●アイの怪物
「……神様の使いが、皆殺しに」
「こんな……こんな馬鹿なことが……」
「う、うわあああ!!」
「いやあああああ!!」
パニック状態に陥った信者たちが、金切り声を上げる。
立ち上がって逃げ出そうとする者もいたが、作り物の尾鰭に包まれた彼らの両脚はもつれた。
『らぁらぁ るり ら』
不意に、女性の声が響き、砂浜は静寂に包まれる。
砂浜の、信者たちの中心に、いつの間にか『それ』は存在していた。
魚の下半身――ただし、肉がない――を持つ、女性の姿をした神。
……邪神にして、怪物。
『どこ、どこなの。愛しい、貴方。どこ。貴方。どこ、どこ』
ここにいない何者かを求める言葉を呟き続けながら、その怪物……『禍罪・擬結』は、ゆっくりと猟兵たちへと近寄り始めた。
茜谷・ひびき
信者達は放っておいても良さそうか?
とにかく邪神本体をぶっ飛ばさないとな
刻印を再起動し臨戦態勢へ
装甲を5倍、射程を半分に
あんたの叫びも大量の水も全部受け止めてやる
その分全力でぶん殴らせてもらうがな
砂を踏みしめ一歩ずつ着実に前へ
鉄塊剣も支えにして敵に近づく
身体を打ち据える水も叫びも【激痛耐性】で堪えるぜ
あんたの探し人はここにはいない
ここにいるのはあんたを殺しに来た猟兵と哀れな信者だけだ
きっと何年待ったってあんたの探し人はここに来ないだろうよ
来るとしても生贄としてだろう
……あんたはそれでもいいのか?
俺には分からねぇ
だから全部壊すよ
刻印を起動し両腕に力を
相手に接近しきったら【暴力】で全部終わらせる
紫紅・彩咲
◎
いやーどこって言われてもにゃあ。あたしあんたの探し人どころかあんたのこと知らにゃあし……知らない……はずにゃんだけど……
なんでかにゃ……似たような光景を知ってる気が……うんん……?
……にゃーんてしてたら危ないよねえ! 【消えない人魚】を使って全身泡にして避けるにゃあ!
そのまま流されたと見せかけて敵さんの放った水かそこらの海水に紛れて【水中機動】【忍び足】でこっそり敵さんに接近するにゃあ。泡だから足なんてないけどにゃあ。
不意打ちできる距離に近づいたら祟り縄で締め上げて【呪詛】でじわじわ攻撃にゃね。
事情は知らんけどやることは変わんないのにゃ。
●探し人来たらず
「いやー、どこって言われてもにゃあ」
邪神、禍罪・擬結の前で、彩咲は口を開く。
その間に、ひびきは周辺を一瞥した。砂浜を這って猟兵たちから離れていく信者たちは、放っておいても戦闘に巻き込まれることはなさそうだ。
刻印を再起動し、いつでも戦えるように身構えたひびきの横で、彩咲は続ける。
「あたし、あんたの探し人どころか、あんたのこと知らにゃあし……」
言葉を紡ぐ彩咲の金色の瞳が、ふと揺らいだ。
「知らない……はずにゃんだけど……」
夜の砂浜。ゆっくりと近づいてくる、下半身が魚の姿。
なぜか彩咲は、これに似たような光景を、知っているような気がした。
「うんん……?」
彩咲は、自分の側頭部を人差し指でトントンと叩く。悪霊である彼女の生前の記憶は失われているが、何かが引っかかる。
「――おいっ!」
「分かってるにゃあ! 危ないよねえ!」
ひびきの警告とほぼ同時に、彩咲は全身を泡に変えた。ユーベルコード、『消えない人魚』である。
『あああぁぁ――!!』
悲痛な叫びを上げる邪神。ひびきと、泡となった彩咲へ向けて、大量の水が放たれた。
彩咲は押し流されたと見せかけて、泡の姿のまま、水の中に潜む。
ひびきは砂を踏みしめ、耐えた。冷たい水は、凍てつく痛みをひびきの肌へ絶え間なく与え、水圧はひびきの骨を軋ませる。
強力なUDCである禍罪・擬結の一撃を、こうしてひびきが耐えることができているのは、ひびきが『殺す者』だからだ。ユーベルコードによって、殺戮に特化した身体となった今のひびきは、射程を犠牲にした代わりに、強靭な防御能力を得ている。
放たれる水に抗う形で、ひびきは、一歩、また一歩と前進する。鉄塊剣を杖代わりに、砂浜に突き立てて支えにしながら。
泡になった彩咲もまた、砂浜にできた水溜まりの中を、敵へ向かって接近していく。気づかれぬよう、抜き足差し足忍び足……。
(「にゃーんて。泡だから足なんてないけどにゃあ」)
そんな風に、心に浮かべる。
やがて、泡はUDCの至近距離まで近づいた。そこで彩咲は、再び人魚の姿に戻ると同時に、太縄をUDC目がけて放つ。
ぐるぐると邪神の体に巻き付いたその縄は、呪いの籠もった祟り縄だ。ぎりぎりと締め上げながら、祟り縄は邪神を呪詛で侵していく。
ひびきに向かって放たれ続けていた水の勢いが弱まった。ひびきは、口を開く。
言葉を向ける相手は、禍罪・擬結だ。
「あんたの探し人はここにはいない。ここにいるのは、あんたを殺しに来た猟兵と、哀れな信者だけだ」
禍罪・擬結の、顔を覆う布越しの視線を感じながら、ひびきは言う。
「きっと何年待ったってあんたの探し人はここに来ないだろうよ」
『あああ! ああああ!! 貴方、貴方……!』
祟り縄に縛られたままの禍罪・擬結は、激しく首を横に振って暴れた。
「来るとしても生贄としてだろう。……あんたはそれでもいいのか?」
『貴方貴方貴方貴方……!!』
ひびきの言葉は多少通じているかもしれないが、意味のある会話は、この怪物にはできないようだ。
「……俺にはあんたの考えは分からねぇ」
「私も事情は知らんのにゃ。でも、やることは変わんないのにゃ」
彩咲が言葉を挟み、それに対してひびきは頷いた。
「そうだ。全部、壊すよ」
ひびきは刻印を起動して、両腕に力を宿らせる。
暴れる禍罪・擬結の眼前に立ったひびきは、その怪物の顔を両手で挟むように持ち、力任せに頭部を押し潰した。
「……やったにゃ?」
彩咲の言葉は、疑問形だ。
「いや。まだだ」
臨戦態勢を解かずに、ひびきは敵を見据える。
『……らぁ……らぁ……る……りら……』
未だ立ち続ける怪物の、頭部のあった位置から、かすれた声が響く。
「まだ、終わってない」
頭部を失った怪物を前に、ひびきは呟いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。
基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。
武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。
クロムキャバリアでも生身で戦います。
不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。
●彼女の主張と重戦斧
「この集落の宗教の神様ってのは、あんた?」
緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は、頭部を失った禍罪・擬結の姿を見据える。
「とっても強そうだね! 戦えることは、すっごく嬉しいよ」
冬の海辺には似つかわしくない、露出の多い服装の透乃。彼女が手にする大斧に付いた、鈴の飾りがちりんと鳴った。
「でもね、一つ、どうしても納得いかないことがあるんだ」
透乃が視線を向けたのは、離れた位置まで逃げた、集落の人々。
「……ヒレ酒はともかく、ヒレ水って、どう考えてもおいしくないよねっ! せっかくなら、お刺身なり、焼魚なり、煮魚なりにして、おいしく食べようよ!」
正しく料理すれば、おいしく、楽しく、気持ち良く食べることができるのに。わざわざ、気持ちの悪い方法をとるだなんて――。
「……ま、あんたは邪神って話だしね! 仕方ないよね!」
禍罪・擬結へと透乃は向き直り、言った。信者はパニック状態で話を聞いてくれそうにないし、まずは邪神を倒すことが先決だと判断したのだ。
『どこ……なの。貴方……どこ――!』
禍罪・擬結は、頭部のない状態でも、悲痛な叫びを上げた。同時に、大量の水が透乃に襲いかかる。
「どこって……どうでもいいよ!!」
透乃は自分の目の前に、大斧、『重戦斧【緋月】』を構えた。
柄の先端は砂浜に突き立て、刃先は横に向けて、手を添え、支える。
非常に重く、頑丈なその大斧は、透乃を押し寄せる水から守る盾となり、同時に、押し流す圧力に抗うための杖となった。
透乃は、大斧越しに、真正面から水を受け止める。全身が悲鳴を上げたが、気合いで耐えた。
「今度はこっちの番! お返しいるよねっ!」
水の勢いが弱まると同時に、透乃は駆けた。大斧を、大きく振りかぶる。
「被刃滅墜衝!!」
ユーベルコードとして、反撃の一撃が振るわれる。重戦斧は、邪神の胸元を深々と断ち割った。
猟兵たちの勝利の時が、迫っている。
成功
🔵🔵🔴
回々・九流々々
「あっ……目が回っ……これ動けな……出そう。女の子が出したらいけないの出そ……」
これ以上ないほどの代償を支払いつつユーベルコード発動。悲痛な叫びも気分の悪さに塗り潰されて精神に来ない
大量の水を掻き分けるようにして、召喚されたコーヒーカップが回る回る。それはもう何だって撹拌できる勢い
七色の触手であのオブリビオンにも同じ目にあってもらいます。めまいだけに
これが奇怪に作られた愉快な仲間の呪詛なのです
その後は隅っこの方で倒れてますね。あ。この色は決して汚いものではありません。乙女心です。はい
スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●めまいと狙撃手
半身を起こしかけた九流々々が、ユーベルコード発動と同時に、またぐったりと倒れた。
見上げた夜空。きらきら、綺麗に輝く星辰が……回る。回る。
「あっ……目が回っ……これ動けな……」
彼女の三半規管を代償とする、ユーベルコード『くるくるくるるく』。これ以上ないほど、代償は支払われた。
『どこなの、どこ――!!』
「……出そう。女の子が出したらいけないもの出そ……」
首なしの禍罪・擬結の悲痛な叫びも、精神には響かない。気分が悪くて、それどころではないのだ。
一方、スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)は、禍罪・擬結の後方の、離れた位置……信者たちの中に紛れて、木製の弓『フォレストスナイパー』を構えていた。恐慌をきたしている信者たちがその行為を止めることは、ない。
(「彼女のことは心配ですが……信じるしかありません」)
スピネルは、倒れている九流々々を視界の隅に入れるが、何か策があるのだろうと考え、今は戦いに集中することにした。
(「……平和的解決はできそうにありませんね」)
例えば、禍罪・擬結がさきほどから口にしている、『貴方』とやらを連れてくれば、全て円満に解決するのだろうか、とも一度は考えた。
けれど、その『貴方』というのが、どこの誰なのか、人間なのかオブリビオンなのかすらも分からない以上、諦めざるを得ない。
それに、相手は何人もの生贄を捧げさせてきた邪神だ。
(「せめて、速やかに終わらせましょう」)
スピネルは弓を引き絞る。この強力な邪神へ果敢に挑む勇気と、その邪神さえも思いやる心優しさをもって。
禍罪・擬結は、九流々々に向かって大量の水を放つ。後方のスピネルには、まだ気づいていないようだ。
その水をかき分けるように、超高速回転しながら、何かが現れた。
九流々々のユーベルコードによって召喚された、大きなコーヒーカップである。
何であっても、撹拌できそうな勢いで、コーヒーカップは激しく回る。現在、回転性のめまいに襲われている九流々々の視界のように。
コーヒーカップの中から、不意に何かが飛び出した。七色の、モザイク触手である。それは邪神の腰に巻き付き、コーヒーカップの内部へと引き込んだ。
(「僕と同じ目に遭ってもらいます。めまいだけに」)
くるくる、くるくる……邪神を乗せたコーヒーカップが、一切の容赦がない速度で回転する。
『――!!』
禍罪・擬結は、声にならない悲鳴を上げた。
奇怪に作られた愉快な仲間の、呪詛。それをたっぷりと邪神に味わわせてから、やがて、コーヒーカップは止まった。
『ウ……ゥ……』
うめき声を上げながら、ふらりと砂浜に倒れる禍罪・擬結。九流々々の攻撃が効いている。
『ウ――』
そこでスピネルの姿に邪神は気づいたが、もう遅い。
悲哀に満ちた歌でスピネルの心を揺さぶろうにも、めまいのせいで歌える状況ではない。
「密やかに射貫いてあげますよ」
ユーベルコード、『ハイドスナイプ』。スピネルが、木製の弓より矢を放つ。
敵よりもスピネルが目立っていない場合に、勢いや精度を増す矢。それは、邪神の心臓へと真っ直ぐに突き進んだ。
矢は、邪神の胸に突き刺さる……どころか、上半身を完全に吹き飛ばした。
残った、魚の骨の下半身も、すぐに消滅する。邪神は、滅ぼされたのだ。
呆然と立ち尽くす信者たちは、後ほど来るであろうUDC職員に任せることにして、スピネルは、倒れている九流々々に駆け寄ろうとする。
「ご無事ですか?」
「外傷があるかないかで言うならば。無事と言えるのかもしれません。あ。この色は決して汚いものではありません」
「う……」
九流々々の周囲の惨状を見たスピネルは、思わず足を止めた。
「乙女心です。はい」
「……そうですか」
邪悪な奇祭は、こうして、猟兵たちの手により終わりを告げた。
信者たちにも、罰は正しく下されることだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴