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燃えるドラゴンバーゲン

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #チーフメイド・アレキサンドライト #エルフ #援軍対応シナリオ(海鶴) #アイテム対応シナリオ(海鶴)

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●アアチュ・アナ
 エルフの存在はアックス&ウィザーズにおいて秘された存在ではない。
 世界の様々な場所で彼等の姿を見ることができるだろう。だが、それでも一定数のエルフたちが樹上のツリーハウス集落で暮らしている。
 彼等が住まう森は『エルフの森』と呼ばれ、多種族にとっては迷いの森として、集落を目指しても尽くが近づくことが出来ない。

 それは何故か。
『世界樹イルミンスール』――かの世界樹から株分けされた『聖なる木』の存在に寄って、魔術的に作り出された迷いの森なのだ。
 そして、その『聖なる木』は集落ごとに違う名で呼ばれているのだ。
「『アアチュ・アナ』の加護が今日も正しく我らをお守りしてくださいますように」
 エルフの一人が世界樹から株分けされた『聖なる木』に祈りを捧げる。
 彼等の生活は、かの『聖なる木』によって守られているのだ。ひっそりとであるが慎まやかに暮らすことに異議はない。
 知的好奇心旺盛なる若いエルフは刺激と己の求めるものに突き動かされて集落を後にするが、それもまたエルフの人生である。

 彼等がまた人生の節目に戻ってくることのできる故郷を護ることもまた大切な役割であると感じていた。
『迷いの森』の加護があれば、外敵の心配をする必要はなかったのだ。
 だが、その平穏すらも過去の化身、オブリビオンは害そうと迫るのだ。

●ラジカルファイア
 燃えている。燃えている。森が燃えている。
 煌々と燃え上がる炎は、森の上空を飛び炎を吹き出す竜の群れから放たれていた。それもアックス&ウィザーズには見られない武具……鉄の機械出できた絡繰の如き装備を備え付けられた無数の竜の群れが『エルフの森』を焼き討ちにしているのだ。
 その炎の猛威は言うまでもない。
「全てはお嬢の為に。すべて燃やし尽くしてしまいなさい。ええ、尽く燃やし尽くして差し上げましょう。鬱蒼と陰る雑草も除草剤なんてエレガントのかけらもないものではなく、こうして燃やし尽くすことこそが真なるエレガント。お嬢もよくわかってくださるでしょう」

 その深い青緑色から赤色に変化するアレキサンドライトの如き体を持つメイド服に身を包んだクリスタリアンの女性が声高々に言い放つ。
 彼女はメイド服を翻し、空に無数に飛び交う竜の群れに装備させた火炎放射器のアームドフォートの力に満足気に頷いた。
「スペースシップワールドからアックス&ウィザーズまでやってきた甲斐がありますわ。『エルフの森』、なんて『掃除』のし甲斐があるところなのでしょう」
 彼女の名は『チーフメイド・アレキサンドライト』。
 過去の化身であり、猟書家でもありスペースシップワールドにおいて、『帝国継承軍』として銀河皇帝を継承せんとする『プリンセス・エメラルド』に派遣された存在でも在る。

 彼女が見据えるのは神秘渦巻くエルフの森に存在する『世界樹イルミンスール』より株分けされた『聖なる木』。
 その『聖なる木』の一柱である『アアチュ・アナ』である。
 だが、上空から見てもエルフの森に存在する木々はどれも同じである。ならば、焼き払ってしまえばいい。
「ええ、『聖なる木』は燃えない。ならば、周囲全ての雑草を焼き払って『掃除』してしまえばよいのです。まさに私の得意分野。エルフの皆様方におかれましては、疾く焼死されますようにお願い申し上げますわ」
 そうすれば、彼らは優秀なオブリビオンとして蘇生されることもあるだろう。
『聖なる木』――『アアチュ・アナ』。そしてオブリビオンと化したエルフたち。これだけあれば、彼女の主である『プリンセス・エメラルド』もまた自身の仕事に満足してもらえることだろう。

「ドラゴンたち。じゃんじゃん燃やすといいですわ。ああ、それにしても壮観……というより……これではドラゴンのバーゲンセールでございますね。竜種というものも此処まで数がいるとありがたみに欠けますわね……?」

●エルフの森攻防戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はアックス&ウィザーズにおける事件です」
 彼女の瞳は憂いに満ちていた。
 それは過去の化身であるオブリビオン、猟書家がオブリビオン・フォーミュラ無き世界を再び戦禍に引きずり込もうとするが故である。
 今回標的になったのはアックス&ウィザーズにおける『エルフの森』である。
『エルフの森』とは『世界樹』より株分けされた『聖なる木』によって魔術的に『迷いの森』へと変貌したエルフたちの集落である。

「はい、そこに存在する『聖なる木』――『アアチュ・アナ』が猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の目的なのです。それを如何なることに使うのかまではわかりませんが、『聖なる木』は燃えないため、それ以外の全ての木々を燃やしつくそうとしているのです」
 そうなってしまえば『エルフの森』だけではなく、其処に住まうエルフたちもまた焼き殺されてしまうことだろう。
 そうすることで『チーフメイド・アレキサンドライト』は焼き殺したエルフたちをオブリビオンとして蘇生させ新たな手駒にしようとさえしているのだ。

「そのようなことは捨て置くことなどできません。エルフの方々は皆大半が世間から隔絶した暮らしをしていますが『神秘的な事柄への順能力』が高いため、皆さんが訪れてもすんなりと状況を理解し、迅速に協力してくれるでしょう」
 それは即ち、『エルフの森』の特性であるエルフ以外の者を惑わす力によって、上空を飛ぶオブリビオンの竜を大地に失墜させ、樹上から一方的に有利な戦いをすることができるということだ。

「どうかエルフの皆さんの住まう森を救い、猟書家の目論見を阻んでください。この戦いはきっと、後々に起こるであろう『聖なる木』の力が必要になる事態が起こった時、大切な役割を果たしてくれることでしょう」
 それは小さな一歩かもしれない。
 けれど、それでも善き行いはきっと善き未来に繋がっていくことであろうからと、ナイアルテは猟兵たちを再度頭を下げて見送るのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はアックス&ウィザーズにおける猟書家との戦いになります。猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』はエルフの樹上ツリーハウスが存在する『エルフの森』を焼き尽くし、燃えぬ『聖なる木』と死したエルフをオブリビオンとして蘇生させることを目的として『竜の群れ』を用いて焼き討ちを開始しています。
 この目論見を打破するためのシナリオとなっております。

 ※このシナリオは二章構成のシナリオです。

●第一章
 集団戦です。
 森を焼き討ちするオブリビオンである『竜の群れ』は火炎放射器の『アームドフォート』を装備し、本来であれば上空からの炎で持って猛威を振るいますが、『聖なる木』の魔術的な力によって空を飛ぶことができず、地上を進みながら火炎放射器で炎を吐き出し続けています。
 装備された『アームドフォート』の力は凄まじいですが、空を飛ぶことができず、またエルフたちの協力があればエルフたちの指示によって森の魔術的な力は皆さんに味方します。

 そうすることで皆さんは樹上の上から道に迷い、惑う敵を一方的に有利な状態で戦うことができるでしょう。

●第二章
 ボス戦です。
 猟書家幹部である『チーフメイド・アレキサンドライト』は言うまでもなく強敵です。
 彼女を倒せば皆さんの勝利となります。
 また今回の戦いの結果では、今後もし『聖なる木』の力が必要になるような事があれば、いつでもすぐに協力することをエルフたちは誓ってくれます。

 ※プレイングボーナス(全章共通)……エルフ達と協力し、共に戦う。

 それでは、エルフの森を焼き払わんとする『チーフメイド・アレキサンドライト』からエルフと『聖なる木』を守るための物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『竜の群れ』

POW   :    竜の爪
敵を【竜の爪】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
SPD   :    竜の尾
【竜の尾】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ   :    竜の吐息
【竜の吐息】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 竜の咆哮が『エルフの森』に響き渡る。
 それは本来であれば、この『聖なる木』――『アアチュ・アナ』の魔術的な力によってエルフ以外は決してたどり着くことの出来ないために何の心配もいらない些細なことであった。
 それこそ鳥のさえずりのようでもあったとも取れるだろう。

 だが、今日は違う。
「なんだ、あの炎の勢いは――!」
 エルフたちは見た。
『聖なる木』の齎す魔術的な力によって空を飛ぶことは叶わなくなっても、竜の群れの膨大なことを。そして、竜の背中に備え付けられた見慣れぬ鉄の武具。
 竜の口腔より放たれる炎のブレス以上の火力を常に噴出し続けるそれは、『エルフの森』の木々を尽くもやしていく。

「ガァァァァァ――ッ!!!!」
 咆哮が響く。
 それはあらゆるものを、木々を燃やし尽くそうとする純然たる悪意であった。
 噴出する炎が大地を舐めるように吹き荒れては、『エルフの森』の樹木を燃やしていく。
「こ、このままでは……!」
「だがどうする。相手は竜種だぞ。それも数があんなに……!」
 エルフたちは惑う。
 恐らく竜の群れを率いている者の目的はこの森のどこかに存在すると目星をつけられた『聖なる木』――『アアチュ・アナ』だ。
 しかし、自分たちにできることは殆どない。
 弓矢を放っても竜種のあの硬い龍鱗を貫くことはできない。炎の延焼を止めることもできない。

 絶望だけがエルフたちの心を染め上げていく。
 紅蓮の炎が何もかもを飲み込まんと、悪意のように膨れ上がっていくのをエルフたちは見つめるしかできなかったのである――。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私/私たち のほほん
対応武器:漆黒風

この猟書家とは何戦目ですかねー…。
誰かの故郷を、滅ぼさせてたまるか。

すみませんー。ちょっと案内を頼みたいのですがー。
あと、下から上をより見辛くしてほしいんですよー。
あ、防御のために結界術施しておきますねー。

森は、完全に私向きですからねー。こういうとき、四人で一人というのは便利ですねー。
呪詛+風属性攻撃の漆黒風を指定UCにて、眉間狙いの投擲。
念のため、一投一投場所を変えて行いましょう。
私自身の防御は、四天霊障での防御オーラでー。



 猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の目論見によって、『エルフの森』は今まさに紅蓮の炎によって焼き討ちにあっていた。
 あたりを見回せばどこもかしこもが炎の嵐である。
 本来空を飛ぶ竜種であっても、この『エルフの森』に一度足を踏み入れればそらとぶ力は喪われ、その足で持ってしか進む事は敵わない。
 それこそが『エルフの森』に張り巡らされた『世界樹』より株分けされし『聖なる木』――『アアチュ・アナ』の魔術的な力であった。

「グゥルァァァァ――!!」
 その咆哮はまさに空飛ぶ力を奪われた竜たちの憤怒の咆哮であったことだろう。
 背に負った機械――エルフたちは知るすべもなかったことだが、異世界であるスペースシップワールドにおいて『アームドフォート』と呼ばれる武具であり、その火炎放射器によって竜が放つ炎のブレス以上の火力で持って樹木を焼き尽くさんと迫るのだ。

「この猟書家とは何戦目ですかねー……」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はなんとなしに言う。
 過去の化身たるオブリビオンにとっては、これが一度目。過去よりにじむオブリビオンにとって、猟兵とは滅ぼすべき存在であり、まったくの同一存在であることはない。
 であれば、猟書家にとって猟兵と相対することは初めてであろう。
 ただ、何度も滲み出るオブリビオンの持つユーベルコードや戦術は似通っている。なればこそ、猟兵には利する所がある。

『疾き者』である四人で一人の複合型悪霊の一柱がのんびりとした口調であっても、その心に秘められし決意は揺るぐことはなかった。
「誰かの故郷を、滅ぼさせてたまるか」
 それは己と同じ思いを誰にもさせぬという誓いであり思いであった。
 だからこそ、今まさに炎にまかれんとするエルフたちを『疾き者』は抱えて炎を躱す。

「あ、あなたは……?」
 抱えられたエルフが己の窮地を救ってくれた『疾き者』を見上げる。それに細まった瞳をさらに細めて彼は笑う。
「あの炎を放つ竜を見かけましてね。これは一大事だと思い馳せ参じた次第です。すいませんが、ちょっと案内を頼みたいのですがー」
 その言葉にエルフは頷く。
 彼等は『神秘なるものに対する順応性』が高い。猟兵が如何なる存在であるかを理解していなくても、彼等が何を為そうとしているのかは即座に理解できるのだ

 エルフの若者をおろし、『疾き者』の言葉に彼は頷く。
「ええ、下から上をより見づらくしてほしいんですよー……あ、防御のために結界術を施しておきますねー」
「下から上を……木々の枝葉で覆えばいいのだろうか? 心得た」
 そのままエルフの案内にしたがって『疾き者』は森の中を駆け抜ける。
 本来であれば、彼にとって森とは己の庭のようなものだ。
 忍びの者であったが故に森とは鍛錬の場であり、また同時にどう動けば気配を消せるのかもまた理解できていた。

 複合型悪霊であることも幸いであったことだろう。
 状況に応じて秀でた者が対処する。それは戦場においては当然のことであったが、一人の身で全てをこなすことはできない。
 だからこそ、今の体になったことはある意味で僥倖であったのかも知れない。
 手にした黒塗りの棒手裏剣を竜の群れに放つ。
 彼等にとって森は焼き払うものであり、敵の姿を眩ませるものではなかった。そんなことを考えることもなかったのだろう。
「私の早業、受けてみますー?」
 そう、彼の姿を視認されなくするためにエルフたちに樹木の枝葉で上を覆ってもらったのだ。

 それは風のように(ハヤキコトカゼノゴトク)放たれた早業の棒手裏剣の一撃。
 たった一撃で竜たちの眉間に叩き込まれた棒手裏剣が、彼等オブリビオンを絶命せしめる。
「あーなるほど。これはこれは。確かに一方的ですねー。ここまで見事に決まるとは」
 これは面白い。
 念の為に一投ずつ投げつける場所を変えて入るが、一方的に攻撃を加えることができる。
 彼の忍びとしての業とエルフ達の操る魔術的な力による姿の隠蔽。
 これによって『疾き者』は今まで以上に効率的に、そしてなおかつ必殺の一撃を竜たちに見舞い続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
エルフ達は貴方呼び

俺があの龍を倒しますから協力してください
こんなバーゲンセールは嫌だな…
地を這うだけなら大型の蜥蜴でしかない、切り捨ててやる

SPDで判定
エルフ達と協力し戦う
彼らにの指示を聞きながら樹上から【不意打ち】を狙う
まずは敵を【視力】【暗視】【聞き耳】で【索敵】【情報収集】する
銀腕を【武器改造】で剣にして【怪力】【貫通攻撃】【鎧無視攻撃】【重量攻撃】で【地形を利用】し樹上から飛び降りた勢いを乗せながら【切断】
それからまた指示を受けて木の上から攻撃を繰り返す
必要なら逃げ遅れたエルフ達の【救助活動】をし、【落ち着か】せて安全な場所に逃がす



 紅蓮の炎が巻き上がる『エルフの森』。
 そこにはエルフたちが今も樹上ツリーハウスの集落にて暮らしている。彼等の生活を支えるのは『世界樹』から株分けされた『聖なる木』――『アアチュ・アナ』の魔術的な力によって俗世から隔絶された文化を築いているからこそである。
 アックス&ウィザーズ世界においてエルフはそう珍しいものではない。
 世界のあちこちでその姿を見受けられる。だが、それでもこの森のように集落から出ずに生活を送る者たちもまた存在しているのだ。

 彼等が恩恵を受ける『世界樹』から株分けされた『聖なる木』。それを狙う猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』によって、この森は今竜と背い負ったアームドフォートの火炎放射器の力によって焼き討ちされているのだ。
「なんていうことだ……! 炎が……!」
 圧倒的な炎の勢いにエルフたちがたじろぐ。
『聖なる木』は燃えることはないが、それ以外の全ては燃えてしまう。
 決して『聖なる木』の所在をエルフたちは口に出さない。だからこそ、燃えないのならば、それ以外をすべて燃やしてしまえばいいと『チーフメイド・アレキサンドライト』は『掃除』と称してあらゆるものを燃やさんと配下のオブリビオン――竜の群れに命じたのだ。

「俺があの竜を倒しますから協力して下さい。貴方達の無理は俺達が必ず護ります」
 たじろぐエルフたちの前に現れたのは、ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)であった。
 彼の眼帯に隠されていない方の瞳が真摯にエルフたちに意志を伝える。
 己が敵ではないこと。
 そして竜を倒すために協力してほしいという願いが、エルフたちに伝わるのだ。彼等は『神秘なるものに対する順応性』が高い者たちだ。
 どれだけ己達の世界とは異なる出で立ちをルイスがしてたとしても、彼の想いに応えることができる。
「わかった……! 俺達は何をすればいい? エルフ以外の者がこの森に入り込むと道に迷ってしまう……その案内くらいならばできるのだが」
「ありがたい。俺があの竜たちを襲う……貴方たちは俺に指示を出してくれ」

 ルイスとエルフたちが樹上を駆け抜ける。
 紅蓮の炎を吐き出し続ける火炎放射器と口腔から放たれる炎ノブレスの勢いは凄まじい。これらを放ち続けるオブリビオンである竜の群れをどうにかしないことには『エルフの森』は焼き尽くされてしまう。
「こっちだ!」
 エルフたちがさっそうと樹上を飛ぶ。それをルイスは追いかけ、竜たちの姿を捉える。確かに彼等の案内のあるのとないのとでは雲泥の差であった。
 そのメガリスの義眼が輝く。
 どれだけ魔術的な力によって森が枝葉を覆い隠そうとも、ルイスの瞳には竜達の姿が見えている。

「捉えた……! メガリス・アクティブ!」
 その銀色の腕が輝く。
 それもまたルイスの持つメガリスであり、義手である。その銀腕が剣の形へと変わり、エルフたちの指示のもとにルイスが樹上から竜に飛びかかる。
 放たれた勢いの乗った斬撃は、竜の首を一撃の元に両断する。
 それは一方的な戦い方だった。どれだけあの炎の力が強大であっても不意を撃たれた竜たちに反撃の糸口はない。
 銀腕を伸ばし、樹上へと再び姿を消し、ルイスは駆け出す。
「こんなバーゲンセールは嫌だな……だが、地を這うだけなら大型の蜥蜴でしかない……」

 再びルイスが樹上より銀色の斬撃を竜たちに見舞う。
 それは過たず竜たちの首を切断し、その炎を止めるのだ。エルフたちの簡単の声も遠く。けれど、それでもルイスは未だバーゲンセールもかくやと言うほどに大量に『エルフの森』へと迫る竜の群れを前に戦いを続ける。
「これならば……全て切り捨ててやる」
 エルフとルイスは互いに連携し、お互いの情報をやり取りながら樹上からの強襲攻撃に寄って竜達の数を減らしていく。

 だが、それで未だ炎を焼き続ける竜の数は減らない。
 どれだけの数を用意したのだろうか。この配下の竜の群れを従える猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の『掃除』はこれで終わりを迎えぬことが末恐ろしい。
「かと言っても、へこたれている暇もない。こちらを消耗させるつもりだろうが――!」
 その狙いもあるのだろう。
 物量で圧する。それは有効な手立てだ。だからこそ、猟兵はそれを踏み越えなければならないのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK

んー、エルフの人たちに猟兵って言っても伝わらないかな?
まあ、とりあえずあーいうのを狩ってるって事だけ伝えればいいかな。

さて、相手は飛べないなら爪も牙も届かない頭上から射撃で攻撃するのが楽かなあ。
まずはエルフの人たちにドラゴンを狙いやすい位置まで案内してもらおう。

ドラゴンの頭上に辿り着いたら、
消火も兼ねて【万喰熱線】で周囲の炎を全部吸い上げて、
熱線でドラゴンたちをなぎ払おうか。

まったく、こんなに張り切って仕事しなくてもいいだろうにねえ。
おかげでこっちも働き詰めだよ。



 世界にとって猟兵とは、破滅の悲鳴を受けて現れる者である。
 それはどの世界に関しても変わらぬことであり、それ故に猟兵は如何なる姿をしていたとしても、その世界に住まう人々の瞳には奇異なる者には映らないのである。
 それが例え人外のような姿をしていたとしても、その瞳に映るのは無辜なる人々の救いを求める声に応じる世界に選ばれた戦士。
「んー、エルフの人達に猟兵って言っても伝わらないかな?」
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は、その言葉の裏に僅かに心配を抱いていた。
 彼女はキマイラである。
 アックス&ウィザーズ世界においては、たしかに小さきものであるフェアリーやエルフ、ドワーフと言った人間とは異なる容姿をした者が多い。

 だが、彼女のキマイラとしての姿は受け入れられることができるだろうかという不安を抱くのも無理なからぬことであったのかもしれない。
 業火の如き炎が地面をなめ、それらは『エルフの森』の樹木を燃やしていく。
 猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の目的は『世界樹』より株分けされた『聖なる木』――『アアチュ・アナ』である。
『聖なる木』は炎に燃えぬが故に、配下オブリビオンである竜たちは背に負った異世界の武具であるアームドフォートの火炎放射器によって『エルフの森』そのものを焼き払わんとしているのだ。
「まあ、とりあえずあーいうのを狩ってるってことさえ伝わればいいかな? おーい!」
 ペトニアロトゥシカは大きな声で炎から逃げるエルフたちに声を掛ける。

「――!? なんだ、貴方は……?」
「ああ、あたしは連中を狩ってる者なんだけど……」
「ありがたい! 私達だけでは竜を倒せなくて困り果てていたところだ。助力してくれるならば、私達の後を付いてきてくれ。迷いの森の力も、それならば貴方を害することはないだろう」
 そう言ってエルフたちはすんなりとペトニアロトゥシカを受け入れてくれる。
 存外あっさりであったと思うほどには拍子抜けであったが、話が速いのは助かる。ペトニアロトゥシカはエルフたちの後をたどるように樹木の枝を飛び、炎を吐き続ける竜たちの頭上へと至るのだ。

「相手は飛べないんだね……羽根のある竜だろうに」
「ああ、この森の魔術的な力で飛ぶことができないのだ。ここならば、頭上より一方的に攻撃できるはずだ」
 その言葉にペトニアロトゥシカは頷く。
 竜の最大のアドバンテージである翼が意味を成さないのであれば、爪も牙も届かない頭上よりの攻撃には為すすべもないだろう。
 実際、ペトニアロトゥシカもまたそうするつもりだったのだ。

「ありがとうねぇ。あとはあたしにまかせといてぇ!」
 ペトニアロトゥシカの瞳がユーベルコードに輝く。
 その光は全身に覆われていき、そのユーベルコードの力を開放する。周囲に燃え盛る炎をペトニアロトゥシカのユーベルコードの輝きがまるで吸い上げるようにして飲み込んでいく。
 その光景は如何な異世界の武具を使った炎であったとしても例外ではない。
 彼女の体に吸い込まれていく純粋なるエネルギーは彼女の身の内に溜め込まれていく。
「消化も兼ねて……! 全部まとめて、お返しだよ!」

 エルフたちがどよめく気配がする。
 それはペトニアロトゥシカの凄まじき力への感嘆の声であった。吸い込まれていきエネルギーの全てが彼女の体の中で凄まじき威力のエネルギーの本流となって渦巻く。
 一歩も動くことはできない。
 けれど、それはまったく問題のないことであった。全身から放たれる凄まじき熱線の攻撃は、竜たちの尽くを討ち滅ぼす。
 一瞬の明滅。
 その次の瞬間には、竜たちは霧散し骸の海へと消えていくのだ。

 その熱線の名を――万喰熱線(アブソーブ・ブラスト)。
 彼女のユーベルコードにして、あらゆる攻撃を変換し凄まじき熱線に変える攻防一体の業である。
「まったく、こんなに張り切って仕事しなくてもいいだろうにねえ。おかげでこっちも働き詰めだよ」
 ため息を付いてペトニアロトゥシカは熱線の余韻のように霧散する竜たちを見下ろす。
 その言葉が示すとおり、未だ猟書家配下の竜たちの姿は健在だ。
 まだまだペトニアロトゥシカの働きは期待されていることだろう。それに応えるべく、ペトニアロトゥシカはエルフたちと未だ健在なる竜たちを駆逐せんと樹上を走り抜けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
アヤメ、同族の森の危機よ。いつも以上に全力でね。
この森のエルフへの状況伝達もお願い。

それじゃあ、ドラゴンたちを相手にしましょうか。機械を装着してるといっても、あの帝竜たちに比べたら、何でもないわ。

あたしは方術『空遁の法』で相手の間近へ転移してから、「衝撃波」を伴う「なぎ払い」「串刺し」攻撃で片付けていくわ。
手持ち術式がほとんど範囲攻撃なのがきついわね。森を巻き込んじゃう。

アヤメ、戻った? あなたは好きなようにやりなさい。あたしは一頭ずつ討滅していくから。一応「式神使い」で能力の底上げはしておくわね。

『空遁の法』で転移を繰り返し、アヤメの援護を受けながら、敵の急所を狙って薙刀を振るう。



 アックス&ウィザーズ世界においてエルフの存在は既知の存在であるが、未だ俗世との関わりを持たず森の中に在る樹上ツリーハウスにて生活を送る者たちもまたある。
 彼等にとって森と俗世は関わりなくとも済むものであり、生まれ出るエルフによってもまた外への好奇心もまた大小があるのだろう。
 誰もがそうであれとは言わない。
 けれど、帰り着く故郷が残っているということは誰にとっても幸いなことであったことだろう。

 だが、今やその『エルフの森』は猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の配下オブリビオンである竜の群れによって焼き払われようとしていた。
 紅蓮の炎は異世界の武具『アームドフォート』の火炎放射器から放たれ続け、緑豊かであった『エルフの森』は今や炎の赤に染まりきっていた。
「アヤメ、同族の森の危機よ。いつも以上に全力でね」
 愛奴召喚(アイドショウカン)によって呼び出したエルフのクノイチの式神・アヤメに村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は呼びかける。
 同じエルフという種族であるから、思い入れもまたあるかもしれない。
「はい、これ以上は森を燃やさせてはなりません。『聖なる木』は燃えないでしょうが」
 それでも『チーフメイド・アレキサンドライト』の目的の一つであるがゆえに、捨て置くことはできないだろう。

「この森のエルフへの状況伝達もお願い」
 ゆかりは式神・アヤメにそう告げる。森を焼く炎に寄って、既にエルフの集落には大方の情報が集まっているだろうが、それでも協力を仰ぐことに無意味なことはないだろう。
「それじゃあ、ドラゴンたちを相手にしましょうか。機械を装着してるといっても、あの帝竜たちに比べたら、何でも無いわ」
 帝竜戦役を思い出す。
 そこにあった帝竜たちの姿、能力を見ても今この森を襲う竜たちの力は及ばないだろう。

 方術による空間手にによってゆかりは薙刀の奮った衝撃波から竜の群れを叩き伏せる。
 不意打ちによる攻撃は有効であったが、それでも硬い龍鱗を衝撃波が穿けない。やはり突きによる一点集中で貫かねばならないとゆかりは知るが、彼女の持つ術式の殆どが範囲攻撃であるところが、彼女をためらわせる。
「グアアアアア―――!!!」
 竜の咆哮が轟く。
 その背に負った『アームドフォート』の火炎放射器が炎を噴出させる。空間転移によって躱してはいるものの、範囲攻撃では森を巻き込んでしまうことを懸念していたゆかりにとって、この状況は膠着状態であった。

「おまたせしました!」
 そこへエルフの集落へと協力を乞いに言っていた式神・アヤメが飛び込んでくる。
「戻ったわね、アヤメ。あなたは好きなようにやりなさい。あたしは一頭ずつ討滅していくから」
 背中合わせに為る二人の周囲には式神・アヤメが連れてきたエルフたちの応援の矢が飛ぶ。
 その弓矢が竜たちに決定的な打撃を与えることはないが、それでも彼等の魔術的な力によって森の枝葉もまたゆかりたちに味方してくれることだろう。

「ならば、参ります!」
 式神・アヤメの動きはゆかりの式神使いとしての能力の底上げに寄っていつも以上の動きの冴えを見せていた。
 時にフォローし、時にフォローされながら二人は竜の群れを駆逐していく。
 放たれた薙刀の一撃が龍鱗を討ち貫き、血飛沫を上げる。
 霧散し、骸の海へと還っていく竜の群れ。だが、それでも数は膨大である。どこにこれだけの竜の群れとしてオブリビオンが存在していたのか。
 それほどまでに圧倒的な群れ。

 けれど、二人の心の中には恐れや不安はなかった。
 互いに合わせた背中から伝わる信頼が、それを物語るように大きくなっていくのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クリス・ヴァージナス
異世界から持ち込んだ道具で森を焼くですって?
なんたる不敬、なんたる異端!
このような狼藉を行った悪しき者は審問にかけ裁きを下すわ。
…だって、美しいエルフがいなくなったら私が困るもの♡

私は異端審問官の戦闘部隊長クリスよ、エルフの皆さん…助けに来たわ。

まずはエルフの皆さんに協力を要請、聖なる木の力を戦闘利用出来るようにお願いして、更には敵を惑わすようエルフの射手達には逃げながら散発的に敵へ射掛けるようお願いしておくわ。

さぁ裁きの時間よ、這いつくばるブタどもに審判を下してあげる!

私は見えない翼で【空中浮遊】して上空から悠々と【ジャッジメント・クルセイド】を放ち敵を裁き滅ぼしていくわ。

アドリブ歓迎よ。



 その炎はアックス&ウィザーズにありて在りえぬほどの火力と勢いで持って『エルフの森』を蹂躙していた。
『世界樹』から株分けされた『聖なる木』――『アアチュ・アナ』はたしかに通常の炎では燃えない。
 だが、それ以外の『エルフの森』を構成する樹木は違う。
 今もなお、その背に異世界の鉄の武具『アームドフォート』の火炎放射器から炎を噴出しながら、猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の配下であるオブリビオンの竜の群れは煌々と炎に照らされながら進む。
 火の粉が風にのって舞い上げられていく。
 この森に住まうエルフたちは逃げ惑っていた。この森もまた魔術的な力によってエルフ以外の者たちは迷い、惑い、真っ直ぐに進むことすらできぬ困難な道であったが、迷路のごとく形成する樹木を燃やされてしまえば意味をなさない。

「異世界から持ち込んだ道具で森を焼くですって? なんたる不敬、なんたる異端! このような狼藉を行った悪しき者は審問にかけ裁きを下すわ」
 クリス・ヴァージナス(性食者・f31157)の言葉が炎が燃え盛る森の中に響き渡る。
 それは確かに怒りの声であったことだろう。
 エルフたちもまた同じ気持ちであった。クリスの言わんとしていることは世俗から切り離されて生活してきた彼等には理解の及ばぬ言葉も在ったが、それでもこの森を焼き討ちにしようとする者から守ろうとしてくれていることは理解できた。
「さあ、エルフの皆さん。共に戦いましょう。そのお力をお貸し下さい」
 クリスは恭しく一礼して、エルフたちに助力を乞う。
 その敬虔為る信徒の如き立ち振舞に信仰知らぬエルフたちであっても感銘を受けたことだろう。
 彼等はうなずき、クリスの指示の通りに散発的に竜たちへと弓矢を射掛ける。

 それは竜の注意をエルフたちに引き寄せ、クリスの前に龍たちの無防備なる姿をさらけ出させるためであった。
「こっちだ! もっと引きつけなければ――!」
 エルフたちの働きは甲斐甲斐しいものであった。
 彼等は己達の集落を護るために必死であった。その彼等の懸命なる想いにクリスは応える。
 敬虔為る信徒の表情の下に打算と己の欲望を第一優先とすることを秘めながら、彼等の働きに報いるために指先がユーベルコードに輝く。

「さぁ裁きの時間よ、這いつくばるブタどもに審判を下してあげる!」
 決して見えぬ翼を広げ、クリスは空中に浮游する。
 森の上空からゆうゆうと指先に輝くユーベルコードの光を持って、その裁きの力を振るうのだ。
 天からの光。
 それこそがクリスの手繰るユーベルコードにして、ジャッジメント・クルセイド。
 放たれた天の光の尽くが竜たちの頭蓋を叩き割り、その体を霧散させていく。骸の海へと還されていく竜たちを見下ろしながら、クリスはその表情の下に己の本性を直隠しにする。

 燃える森を見下ろし、クリスは己の本性が告げるままにつぶやく。
「ええ、必ずやこの所業の首魁を打倒致しましょう」
 その微笑みは聖女のようであったが、一皮むけば、そこにあるのは彼女の真なる姿の一端であろう。
 その瞳は蠱惑的に輝き、その瞳が見つめるのは見目麗しいエルフたちの姿であった。
 彼等は人に近しい姿をしているが、クリスにとっては美しいと呼ぶに相応しい者たちであった。

「……だって、美しいエルフがいなくなったら私が困るもの♡」
 その本音を聞く者は誰一人としていなかったことだろう。
 それが幸いか不幸か。
 その答えはまだ未来の中にあるのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
プリンセス・エメラルドは色々な世界に部下を送り込んでいるようすね……
銀河皇帝の目立った部下は白騎士と黒騎士の二人のみでしたし、層の厚さという意味では負けていませんね。

エルフの人たちに頼んで銃で敵を狙える場所……銃で通じるかは微妙なところですし、弓で狙える場所に案内してもらいます。

案内をしてもらったら少し私から離れてもらいましょう。冷えますので。
【大いなる冬】を使用、炎のブレスと火炎放射器を無力化し、森に燃え広がる炎を抑えます。

蜥蜴であれば寒さには弱いという話ですが、竜はどうでしょうか?
まぁいずれにせよ、地を這う竜などただの的です。
『スナイパー』の技術と氷の弾丸で竜の頭部を撃ち抜いていきます。



 スペースシップワールドという異世界が存在する。
 それは数多ある世界の一つであり、また同時にオブリビオン・フォーミュラ無き後の世界だ。
 そのスペースシップワールドにて『帝国継承軍』として猟書家『プリンセス・エメラルド』は侵攻を開始した。
 だが、彼女は様々な世界に部下を送り込んでいる。
「プリンセス・エメラルド……この世界にも部下を、『チーフメイド・アレキサンドライト』を送り込みましたか」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)の青色の瞳が紅蓮に燃える森を見下ろす。
 彼女はグリモアベースから転移し、今まさに猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』による『世界樹』から株分けされた『聖なる木』の簒奪を阻止せんと駆け出すのだ。

 思い出されるのは、オブリビオン・フォーミュラであった『銀河皇帝』との戦いである。
 あの戦いの折に目立った部下は白騎士と黒騎士の二人のみであった。
 その点においては『帝国継承軍』が擁するオブリビオン、配下の層の厚さは『プリンセス・エメラルド』もまた負けてはいないとセルマは考えていた。
 それは同時に厄介なことでもあった。
「ですが、それではいそうですかとは行かないのが私達の戦いです。援護します」
 セルマはエルフたちが必死に『チーフメイド・アレキサンドライト』の放った配下である竜たちの猛攻を食い止めようとしている樹木の枝の上に降り立つ。

「助かる……! 貴方達が如何なる存在であるかは理解できていないが、それでも我々と共に『聖なる木』を護ってくれるのならば、我らも喜んで助力しよう」
「ええ、こちらも。ここで徒に危険に身を置く必要はありません。貴方達の弓矢で敵を狙い撃てる場所まで案内を願えますか」
 セルマとエルフたちはそれだけで十分だった。
 彼女の狙いとエルフたちの為せる行動は一致していた。『神秘に対する順能力』。それこそがエルフたちの高い特性であり、セルマの意を組んで彼等はさっそうと樹木の枝の上を駆け抜けていく。

 そのスピードは言うまでもない。
 セルマもまた経験豊かな猟兵の一人である。練磨された技量はエルフたちであっても驚きを隠せないだろう。
「ありがとうございます。では、少し私から離れてもらいましょう」
「だ、だが……貴方一人では……」
 心配そうにするエルフたちを尻目にセルマは青い瞳をユーベルコードに輝かせる。
「……冷えますので」
 彼女の体をユーベルコードの輝きが包み込んでいく。
 彼女の体から溢れ出るは凍てつく冷気である。すでに彼女の体はユーベルコードに寄ってあらゆる炎や高熱を無力化する力を解き放っている。

「手短に済ませましょう」
 このユーベルコードには唯一のデメリットが存在する。
 それは一日に一分半以上は使用できないということだ。それ以上使用した場合セルマの生命はない。
 だからこそ、手短に終わらせる。その瞳が意志と共にユーベルコードの輝きを増し、凍てつかせる冷気を凄まじい勢いで噴出させる。
 その冷気は紅蓮の炎に包まれていた『エルフの森』を一斉に鎮火させ、燃え広がろうとする炎さえも抑え込むのだ。

 それはエルフたちの言葉をして、大いなる冬(フィンブルヴェト)と呼ぶに相応しき御業であったことだろう。
 その凍てつく冷気は竜たちですら凍えさせ、動きを鈍らせる。
「蜥蜴であれば寒さには弱いという話ですが……どうやら竜もそのようですね。地を這う竜などただの的です」
 構えるはマスケット銃『フィンブルヴェト』。
 奇しくもユーベルコードの名を関するマスケット銃である。そのスコープに映るのは最早、敵ですらない。

 獲物ですら無いのだ。
 そう、彼女の瞳に映るのはただの的。
 放たれる氷の弾丸が一瞬で竜たちの頭部を打ち抜き、一撃の下に竜たちを霧散させ、骸の海へと還していく。
「仕事は手早くしましょう。私の獲物は、貴方達ではないのですから」
 その冴え渡る銃撃の業は、次々と咆哮し露払いのごとく竜たちを打ち貫いていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

髪塚・鍬丸
加勢に来たぜ。
あいつらは俺達にとっても敵だ。ここで叩き潰す。

エルフ達に案内を受け敵の元へ。
奴等は確実に倒す。だが、森を焼き尽くされたらこの戦は負けだ。
火の勢いを削ぎつつ奴等を討つ。その間にエルフ達に延焼への対処を頼む。

「五行書」による忍術を使う。【五遁の術】が一つ、水遁の術。【属性攻撃】【結界術】【範囲攻撃】【火炎耐性】で広範囲の霧の結界を作成。敵の視界を遮りつつ、炎を【浄化】し消火。五行相剋。水行を以て火行を剋す。
霧に隠れ【目立たない】よう【忍び足】。【早業】で死角を取り【暗殺】。刀で急所を切り裂き仕留めて回る。
お前さん達が飛べてれば勝負は変わってたかもしれん。喧嘩を売った相手が悪かったな。



「くそ――ッ! 炎の勢いが増している……!」
『エルフの森』に住まうエルフたちは、突如として来襲した凄まじき数の竜達の姿に恐れを抱かずには居られなかった。
 そうでなくても、竜たちの放つ炎のブレスと背に負った鉄の武具『アームドフォート』の火炎放射器から放たれる炎の勢いはまさに業火と呼ぶに相応しいものであった。
 それらの凄まじき炎を前に恐怖を抱くのは生物的には正しい反応であったかのかも知れない。

 けれど、彼等は己達の故郷を、何よりも『聖なる木』である『アアチュ・アナ』を捨てて逃げることはできなかった。
 だが、このままでは竜達の放つ炎に撒かれて焼け死ぬだけである。
 彼等は覚悟を決めたのかも知れない。悪意ある炎に焼かれて死ぬことは不名誉なことであったが、それでも『聖なる木』を見捨てることはできなかった。
 そんな彼等のまえに降り立つのは、一つの影。
「加勢に来たぜ。あいつらは俺達にとっても敵だ。ここで叩き潰す」
 そう語気を強めて言うのは、髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)であった。
 彼は『エルフの森』に降り立ち、エルフたちをかばうようにして竜と対峙する。その勇姿は、その背中は、たしかにエルフたちに誠意として伝わってことだろう。

「奴等は確実に倒す。だが、森を焼き尽くされたらこの戦は負けだ」
 鍬丸はそれを正しく理解していた。
 猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の目的は、『世界樹』より株分けされた『聖なる木』――『アアチュ・アナ』の確保である。
 同時にエルフたちを焼き殺し、オブリビオンとして蘇生することによって手駒を増やそうとさえしている。
「だが、連中は二兎を追う者。ならば、一兎も得ることはできぬと教えてやろう――五行以て遁れ行く」
 鍬丸の指先が印を結び、ユーベルコードに輝く。

 それは五遁の術(ゴトンノジュツ)にして、そのうちが一つ。水遁の術によって生み出された広範囲に及ぶ霧の結界であった。
「き、霧が……!」
 エルフたちの感嘆なる声が響き渡る。彼等の魔術とは体系の異なるものであったが、鍬丸が何をしようとし、何をなそうとしているのかを彼等は高い『神秘への順能力』を持って理解したのだ。
「これで炎が鎮火できる……助力ありがたい……! こっちだ! ここから奴等の不意を突ける!」
 エルフたちが鍬丸を誘導する。
 霧の結界によって視界が塞がれ、さらに炎まで鎮火された竜達の咆哮が苛立たしげに響き渡るのを鍬丸は聞いたことだろう。

 だが、その怒りと苛立ち……そして、エルフたちの迷いの魔術を駆使した不意打ち、奇襲の策は鍬丸が思う以上の結果を生み出す。
「お前さん達が飛べてれば勝負は変わってたかもしれん」
 そう、魔術的な力によって空飛ぶ力を喪って大地を征くほかなかったことが竜たちの敗因そのものであり、エルフたちの魔術に影響されぬ道筋を見出す力こそが、彼等の運命を決定づけたのだ。

 鍬丸の刀の一閃が霧雨の中を輝く。
 その一刀のもとに竜の首が大地に地響きを立てて崩れ落ちる。同時に次々と竜たちの首が叩き落され、霧散し骸の海へと還っていく。
「喧嘩を売った相手が悪かったな――」
 振り払った刀から血を飛ばしながら鍬丸は霧雨の結界の中をさらに駆け出す。
 未だ竜達の数は健在。
 吹き荒れる炎と霧雨の中を彼は駆け抜ける。
 戦いはまだ終わっていない。この後に控える猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』こそが、敵の首魁。

 これを討ち取らねば、この戦いに勝利はない。
 戦場となった紅蓮と濃霧の如き白に明滅する『エルフの森』を鍬丸は一陣の風の如く駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

どうも、こんにちは。
お仕事と言われて来ました、とりあえず倒しに行くので協力して下さい。(お菓子もぐもぐ)

一応、効かなくてもいいので一緒に攻撃してもらえますか?

(UC『制約:簒奪者』を使用。エルフさん達に案内してもらいながら一緒に竜の群れがいる樹上に移動して上からエルフさん達の攻撃と自分の杭を飛ばして戦います)

まぁ、貫けなくても私の杭が認識されにくくなれば回避されることもなくなりそうですし。(お菓子もぐもぐ)

(う~ん、やってみたいことが出来てしまいましたね。今回の猟書家の人・・・取り込めたり出来ないかな?出来れば。いろいろと有利そうだし。・・・まぁ。一番は面白そうなんだけど)



 火の粉が舞う『エルフの森』は樹木が燃える嫌な匂いに包まれていた。
 何処を見ても炎が上がり、黒煙が風にのって流れていく。その焼き討ちの匂いは、せっかくの甘味の風味すらも台無しにするものであった。
 そう、今まさに神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)は猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の目的のために焼き討ちを受けている『エルフの森』へとやってきていた。

 その手には甘味。
 彼女は一定時間甘いものを口にしないと禁断症状に陥り、何故か吸血行為に走っていしまうのだ。
 その原因は彼女本人をしても判明していないため、その手には持ち込んだ甘味があるのだ。
「どうも、こんにちは。お仕事と言われて来ました」
 礼儀正しくエルフたちに頭を下げる七十。
 その姿は『神秘に対する順能力』が高いと言われるエルフたちをしても、奇妙な光景であり律儀なる行為であったように見えたことだろう。
 だが、それでも彼女が『エルフの森』を救いに来た者であることは理解できたのだろう。
「とりあえず、倒しに行くので協力して下さいもぐもぐ」
 甘味を頬張る理由はわからずとも、それでもただならぬ雰囲気にエルフたちは頷く。彼等にとって今や猟兵こそが『エルフの森』を、そして『聖なる木』、アアチュ・アナを守るための希望なのだ。

「あ、ああ……竜たちはあっちにまだたくさんいるんだ……! こっちだ!」
 エルフたちの先導によって七十は森の樹木の枝の上を移動する。
 走り抜け、駆け出せばその瞳に映るのは『アームドフォート』を背に追い、火炎放射器のように炎を噴出しては森を焼き続ける竜の姿があった。
「Dornen, die Blut saugen」
 それはエルフたちにとって耳慣れぬ言語であったことだろう。
 七十の全身の皮膚から突き出すように特異なる杭が現れ、纏う。

 ――制約:簒奪者(セイヤクサンダツシャ)。
 それは寿命を代償として顕現する彼女のユーベルコード。それを皮切りに竜たちに放たれるはエルフたちの弓矢である。
 事前に七十はエルフたちに効果が見えなくても一緒に攻撃してほしいと願っていたのだ。
 彼等の弓矢は確かに竜の硬い龍鱗を貫くことはできなかった。硬い音を立てて弾かれる弓矢。
「ええ、ありがとうございます。例え穿けなくても――!」
 七十の放つ特異なる杭が認識されにくくなればいい。
 弓矢が雨のように放たれ、竜たちの降り注ぐ。それを鬱陶しいとばかりにかぶりをふった竜の喉元に紛れるようにして杭が放出され、鮮血を迸らせる。

 それは一撃であった。
 生命力を奪う紅い杭。その一撃が完璧なる不意を討ち、竜たちを一撃の下に屠りさるのだ。
「私の杭が認識されにくくなれば回避されることも無くなります。一撃で終わらせましょうもぐもぐ」
 甘味を頬張り続けていることを除けば、なんたる絶技であろうか。
 エルフたちはその戦いぶりを讃えるであろう。だが、なんとも釈然としない気持ちを抱えつつ、それでも森を護るために七十と共に竜たちを尽く骸の海へと還していく。

「う~ん」
 七十は戦いながら、紅い杭を竜に打ち込みながら考える。
 今回の事件の首魁である猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』。
 彼女をどうにかして取り込めないかと考えていたのだ。それがどのようにしてなされることであるのかはわからない。
 けれど、もしもそういうことができるのであれば、色々と有利そうだとも考えていた。
 それが現実的ではないことは理解している。

 だが、それでもそう思うのは七十の胸の内に湧き上がるものがあったから。
 そう。
「……まあ。一番は面白そうってことなんだけど」
 ただそれだけ。
 けれど、それだけで七十は戦うことができる。甘味を頬張り、彼女の杭の犠牲となる竜を求めて紅蓮燃える森の中に杭打ちの音が響き渡るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
えらく力押しというか、大雑把というか
割と脳筋よりの思考じゃない?
メイドとしてそれで良いんだろうか…

ともあれ効果はあるみたいだし
エルフの人達に竜を誘導して貰い
竜には竜って事で使い魔を突撃させるよ

あんな奴らには負けないのですよー

だいぶ大きな体を構築できるだけの
材料を供給できるようになったしね

体当たりや尻尾での薙ぎ払い
噛みつきとかで暴れて貰うよ
希少金属は融点が高いし
多少のブレスは弾けると思うよ

僕は神気で炎を固定して延焼を食い止めつつ
ガトリングガンで撃ち漏らしを倒していこう

…もう少しありがたみを持って使って欲しいですの

まあ、実際便利だと思うよ

…そういう意味じゃありませんの
仮にも神の権能の一部なのですの



 竜の放つ炎のブレスが弾丸のように放たれ、樹齢がどれほどかもわからぬ巨木が燃え盛る。
 背に負った異世界の鉄の武具である『アームドフォート』の火炎放射器から放たれる炎が舐めるようにして『エルフの森』を燃やしていく。
 オブリビオンである竜の群れは、その数の全容がわからぬほどの数でもって『エルフの森』を焼き尽くさんと迫っていた。
 未だ猟兵たちが駆けつけてもなお、その数は全てを打倒したとは言えない。
「えらく力押しと言うか、大雑把というか。割と脳筋よりの思考じゃない?」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の所業をそう評価した。

 猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』。
 彼女の目的は『世界樹』より株分けされた『聖なる木』――『アアチュ・アナ』の発見と強奪。
 同時に炎に寄って焼け死んだエルフたちをオブリビオンとして蘇生させ、手駒に加えるということである。
 確かに晶の言う通り、力押しであるように思えたが、こと今回に追いては効果的であると言わざるを得ないだろう。
「メイドとしてそれで良いんだろうか……」
 晶は未だ釈然としない思いを抱きつつも、エルフたちの元へと急行する。

「遅れてしまってごめん! 君たちを助けに来たよ。どうか手伝ってほしいんだ」
 炎に巻かれそうになっていたエルフたちを助けながら晶は助力を乞う。
 普通ならば、こんな状況においては見慣れぬ者たちを警戒することだろう。だが、エルフたちは『神秘に対する順能力』が高い者たちである。
 猟兵が如何なる存在であるかを理解できなくても、ただそれだけで晶が『エルフの森』を護るために戦ってくれる存在であることは理解できたのだ。
「わ、わかったわ……私達は何をすれば?」
 エルフの言葉に晶は頷く。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝き、式神白金竜複製模造体(ファミリア・プラチナコピー・レプリカ)が無数の金属柱を元に構成される超硬装甲と金属化能力を持つ使い魔を生み出す。

「ご褒美くれるなら頑張るのですよー!!」
「こいつらと一緒に竜を誘導して欲しいんだ。戦うのは、使い魔がする。だから、惹きつけるだけでいいんだ」
「あんな奴等には負けないですよー」
 せわしなくやる気を見せる使い魔たちと共に晶とエルフたちは森の中を駆ける。
 竜たちの炎の勢いは未だ衰えない。
 ここで炎の勢いを削がなければ遅かれ早かれ森は焼け落ちてしまう。

「行こう! だいぶ大きな体を構築できるだけの材料を供給できるようになったしね――さあ、大暴れだ!」
 晶の掛け声とともにエルフによって誘導されてきた竜たちに相対する、使い魔たち。
 その体を構成する金属は超硬装甲を身に纏い、竜たちの放つ炎のブレスなどまるで微風のように無効化しながら、巨大な尻尾で薙ぎ払う。
 ときには体当たりしながら竜たちを一撃の下に下していくのだ。
「……もう少しありがたみを持って使ってほしいですの」
 それは晶の体に融合した邪神のつぶやきであった。
 彼女にとって使い魔とは力の一端である。その力を存分に発揮できる機会があるというのは彼女にしてみれば喜ばしいことであるのかもしれない。

 だが、晶の態度がどうにもぞんざいなのだ。まるで便利道具みたいに扱うものだから、もっと感謝してほしいのだ。
「まあ実際便利だと思うよ」
 対する晶は淡々としたものだった。携行式ガトリングガンから銃弾を放ち、神気によって延焼を固定し食い止める。
 使い魔たちが撃ち漏らした竜たちを一方的に殲滅する晶の言葉に邪神は憤慨する。
「そういう意味じゃありませんの。仮にも神の権能の一部なのですの」
 その言葉に晶は笑うのだ。

「だったら、今僕と融合しているから、僕の力の一部でもある――」
 だから、便利でいいね、と晶はガトリングガンの銃声と共にその力を存分に振るうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
見境なしに燃やしやがって
何つーかこう…野蛮極まりないなおい

[SPD]
突然で悪いんだけど力を貸してくれないか?
樹上の視界を悪くしてくれれば後はなんとかするからさ(コミュ力

エルフ達の協力を得られたら竜の群れの所まで案内して貰い
現場に着いたら樹上まで飛んで仕掛けるぜ(空中浮遊、空中戦
UC発動後、BRTの【不意打ち、先制攻撃】で群れを【衝撃波で吹き飛ばして体勢を崩す】
次いで流星の【弾幕、乱れ打ち、マヒ攻撃】で行動を阻害しつつ
雷鳴で竜の群れを仕留めていく(力溜め、貫通攻撃

敵の反撃は【第六感、瞬間思考力】で冷静に避けて対処な

飛べない竜は唯の蜥蜴ってね
自然破壊をする害獣は残らず駆除させて貰うぜ!

アドリブ歓迎



『エルフの森』は今紅蓮の如き赤き炎に包まれていた。
 竜の群れが突如として飛来し、その背に負った異世界の鉄の武具『アームドフォート』の火炎放射器と口腔から放つ炎のブレスが森を炎に包み込む。
「炎が来るぞ! 急げ!」
 エルフたちは己たちの住まう集落であり、俗世に飛び出したエルフたちの故郷でもある樹上ツリーハウスを守らんと懸命に樹木の枝を跳ねるようにして駆ける。
 それはもはや、この『エルフの森』が焼き払われてしまう可能性すらも示唆していたのだ。

 だが、それでもエルフたちは懸命だった。
 己たちが生まれ育った森を守ろうと必死だったのだ。その姿を見て怒りを顕にする者もまた世界の悲鳴に応える者であった。
「見境なしに燃やしやがって。なんつーかこう……野蛮極まりないなおい」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)はその瞳に怒りを顕にする。その怒りは今まさに燃え盛る炎よりも激しく燃えるようであった。
 エルフたちの元に転移した彼は、エルフたちの持つ『神秘に対する順能力』を期待し、ざっくりとであるが助力を乞うのだ。
「突然で悪いんだけど力を貸してくれないか?」
 これが人間や他の種族であったのならば、祐一がどれだけコミュニケーション能力に長けたものであっても、難航したことであろう。

 だが、エルフとは即ち『神秘』。彼等を守る『聖なる木』――『アアチュ・アナ』の齎す力こそが、彼等にとっては必要なものである。
 だからこそ、突然現れた祐一に対してもまた、世界を守る戦士としての側面を見出したのだろう。
「わかった! 私達ができるのはあの竜たちの歩みを惑わせること……」
「オーケー、それでいい。後は樹上の視界を悪くしてくれれば後はなんとかするからさ」
 互いに頷く。
 それだけで互いが何をしたいのかを理解したのだ。エルフたちの後を祐一は追いかける。
 祐一が求めた樹上の視界の悪い場所。
 そこへエルフたちが誘導してくれているのだ。

「いた――!」
 その声が響いた時、祐一は確かに見た。
 樹上の枝葉の間から地上にある竜の群れを。その背にある『アームドフォート』はスペースシップワールド出身である彼には見覚えのあるものであったことだろう。
「ブラスターライフルで敵の体制を崩す!」
 ユーベルコードに輝く瞳が捉えた竜の群れ。
 その数は猟兵達の活躍に寄って減ってきてはいるものの、それでまだ数が存在してる。だからこそ、ここで押し止めなければならない。
 冬雷(トウライ)のユーベルコードの力によって増した大型ビーム砲の一撃が焼け焦げた大地ごと竜たちを吹き飛ばす。

 それはこの森の『聖なる木』によって飛ぶことのできなくなった竜たちにとって驚異的な一撃であったことだろう。
「飛べない竜は唯の蜥蜴ってね!」
 瞬時に持ち替えた自動連射式リボルバー熱線銃の照準を合わせ、弧を描き放たれた光弾が吹き飛ばされた竜たちの龍鱗を砕き、その身を焼く。
 それは一方的な攻撃であった。
 エルフたちの助力があってことそであるが、まさに祐一の言葉通り、かのオブリビオンたちは最早竜とは呼べぬ存在であった。

 地を這う蜥蜴でしかない竜の群れを容易く撃ち貫き、霧散させ骸の海へと還していく。
 その力はエルフたちにとってまさに得難き援軍であったことだろう。
「自然破壊をする害獣は残らず駆除させて貰うぜ!」
 祐一の言葉は力強く『エルフの森』に響き渡り、エルフたちを大いに勇気づけるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…邪魔な森があれば燃やしてしまえば良い、か…
…雑、と切り捨てるのは簡単だけど効果的だから困るね…

現地に着いたらまずはエルフ達に接触して協力体制を取ろう…
そして大きめの矢筒幾つかを貸して貰って【竜屠る英雄の詩】を発動…
…これで矢筒にある矢に竜殺しの力が付与されたから……後はこの矢で射かければ竜を倒すことが出来るだろう…
ただ、爪や尻尾は届かなくても炎は樹上に届くかも知れないから…そこは術式組紐【アリアドネ】を展開することでエルフ達に吹きかけられる炎を防いでしまおう…
…あとは時間との勝負だね…竜達にこれ以上森を燃やされないように皆で掃討してしまおう…



「……邪魔な森があれば燃やしてしまえば良い、か……」
『エルフの森』を襲った竜の群れ。
 それは猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の配下オブリビオンである。背に負った鉄の武具『アームドフォート』の火炎放射器から放たれる炎は、『エルフの森』を灰燼に還そうとするかのような激烈なる勢いであった。
 彼女の目的は『聖なる木』の簒奪とエルフたちを焼き殺して蘇生しオブリビオンとしての手駒に加えることであった。

「……雑、と切り捨てるのは簡単だけど効果的だから困るね……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は転移した『エルフの森』の惨状を電子型解析眼鏡である『アルゴスの眼』を通して分析していた。
 この『エルフの森』を包み込む魔術的な力。
 それは『世界樹』より株分けされた『聖なる木』――『アアチュ・アナ』によって齎されたものであろう。
 エルフ以外の者が入り込めば、その惑いの力によって侵入することさえ困難であり、『聖なる木』の区別もつかない。
 だが、『聖なる木』は燃えないというの出れば、それ以外全てを燃やしてしまえばいい。最後に残った一本こそが『聖なる木』であり、またエルフたちを焼き殺してオブリビオンとして蘇生してしまえば、戦力の拡充にもなるというわけだ。

「……本当に雑だけど効率的で効果的……」
 メンカルは即座に森へと降り立ち、エルフたちに接触を図る。それは簡単なことだった。
 エルフたちは吹き荒れる炎に抗うように竜の群れに立ち向かっているが、硬い龍鱗に阻まれてそれができない。
 そこへ現れたメンカルが猟兵であるということを彼等は理解できぬまでも、『神秘に対する高い順能力』を持つエルフたちにとってメンカルが敵意なき味方であると理解するのに時間は必要としなかった。
「協力してくれて助かる。我らに何ができるだろうか?」
「多い目の矢筒を幾つか貸して欲しい」
 メンカルの求めは端的なるものであった。訝しげな顔をしながらエルフたちは矢筒をメンカルに手渡す。

「厄討つ譚歌よ、応じよ、宿れ。汝は鏖殺、汝は屠龍。魔女が望むは災厄断ち切る英傑の業」
 それは、竜屠る英雄の詩(ドラゴンスレイヤーズ・バラッド)。
 メンカルのユーベルコードにして竜にまつわるものを殺す竜殺しの概念術式を搭載する凄まじき力である。
 彼女の手にあった幾つもの矢筒は、今この瞬間より『竜殺し』の武具である。
 それは言うは易く行うは難しであったが、その術式を組み上げ付与する力においてメンカルのユーベルコードは凄まじい。
「これで矢筒にある矢に竜殺しの力が付与されたから……後はこの矢でいかければ竜を倒すことが出来る……時間との勝負だからね」
 矢筒をエルフたちに手渡し、樹上より竜殺しの概念を付与された弓矢が竜の群れに飛来する。

 それはメンカル一人が一騎当千たる猛者である必要はなく、彼女の力によって竜殺しを増やせば良いという発想であった。
 時間との勝負とメンカルは言った。
 そう、『エルフの森』を燃やし尽くす速度と猟兵一人が竜を打倒する時間を考えれば、到底間に合わぬ数が展開している。
 なればこそ、数あるエルフたちに協力を仰ぎ、一人ひとりを『竜殺し』にしてしまえばいい。
「竜達にこれ以上森を燃やされないように皆で掃討してしまおう……」
 それは奇しくも『チーフメイド・アレキサンドライト』と真っ向から対立する戦術であった。

 数で圧しようとするならば、こちらも数で圧する。しかも、手にするは竜たちにとって致命の武具である『竜殺し』の概念。
 質と量を兼ね備えたメンカルとエルフたちの攻勢に竜たちはその炎の息吹を吹き上げることなく、次々と絶命していくのだ。
「……エルフたちに炎が吹き付けられやしないかと思ったけど、必要なかったね……流石、森の民」
 竜たちから放たれる炎のブレスからエルフたちを守らんとメンカルは術式組紐『アリアドネ』による結界を張り巡らせていたが、樹上より弓矢を放っては即座に枝葉を跳ねて駆けるエルフたちの姿を見て、考えを変えたのだ。

 数と質。
 それらを兼ね備えたエルフたちとメンカルにとって、もはや竜は脅威ではなく排除すべき的にしかなりはしないことを知らしめるように次々とその数を驚異的な速度で減らしていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!(お約束

森はクノイチ的には相性バッチリなので
登場もそれっぽくなるのではないでしょうか!

さて、空を飛ばないなら好都合
炎には水
というわけでお馴染みの
【VR忍術】水遁・濁流の術です!
敵を押し流しつつ消化するという作戦ですね!

え?森は大丈夫かって?
意外と木って強いですから
大地と聖なる木の力で濁流程度なら耐えてくれるはずです

それでも倒しきれない竜は
ハリケーンスラッシュカタールで接近戦
爪を掻い潜って斬り倒していきましょう!

※アドリブ連携OK



 猟兵、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)の心は幾分軽いものであった。
 勿論、転移した先の『エルフの森』の被害は計り知れないものであった。
 異世界の鉄の武具である『アームドフォート』の火炎放射器が放つ炎の勢いは凄まじく、次々と『エルフの森』を焼き討ちにしていく。
 それは猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』が放った配下オブリビオンである竜の群れによる圧倒的な物量作戦であったが、その効果たるや言わずとも知れることであった。

 だが、次々と転移してきた猟兵達の戦いによって今やその趨勢は覆されている。
 それにサージェはクノイチである。
 忍者の概念が電子の海にて集まり、結晶化した存在だ。だからこそ、『エルフの森』というシチュエーションはクノイチにとって相性バッチリなのだ。
 故に火の粉が吹き荒れる森の中に転移したサージェの名乗り口上は気合の入ったものであった。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!」
 たゆんっとサージェが着地してお約束のように叫ぶ声にエルフたちは僅かに動きを止める。
 確かに潜めてない。うん。そういうようにエルフたちの一部が頷くのは、危機的な状況にあっても忘れぬユーモアに感服する他なかったかもしれない。

「さて、空を飛ばない竜なら好都合です。炎にはt水。というわけでおなじみの――メモリセット! チェックOK! 参ります!」
 くるりと専用メモリからコンソールにインストールされるは、VR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)である。
 それは様々現象を再現するバーチャル忍術である。
「VR忍術! 水遁・濁流の術です!」
 どっせい! と気合い充分にサージェのユーベルコードが輝き、凄まじき水の激流が炎に包まれた森の中を竜ごと押し流していく。
 それは消火と鎮圧の一挙両得なる攻撃であり、サージェが思い描くかっこいい私を忠実に再現したものであった。

「あ! おい! この水の流れ……!」
 大洪水の如き濁流にエルフたちが樹上から慌てふためく。
 こんな光景を彼等は目にしたことはないであろうし、如何に『神秘に対する高い順能力』があったとしても、看過できるものではなかった。
「大丈夫ですよ。意外と木って強いですから。大地と『聖なる木』の力で濁流程度なら耐えてくれるはずです」
 慌てふためくエルフたちの姿に一瞬だけサージェも不安がよぎったが、まあ大丈夫大丈夫の精神で頷く。
「だ、大丈夫ですよね? ほんとに……あ、大丈夫そう。うんうん!」

 うん、きっと多分メイビー大丈夫のはず。
「さ、さあ! これで竜たちも……数を減らしましたし!」
 後は掃討するだけである。
 倒しきれなかった竜たちを追い、サージェが樹上の枝葉を駆け抜ける。
 それは森に慣れ親しんだエルフでさえ、目に終えぬほどのスピードでサージェの早業が閃く。
 一瞬の隙を付いたカタールの一撃が爪をかいくぐり、その一撃で持って竜たちを斬撃の露と消すのだ。

「これで最後です――!」
 振るわれた斬撃によって竜たちは尽くが霧散し、骸の海へと還っていく。
 最後の一体をサージェが倒しきった時、猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の目論見は完全に猟兵達によって潰えたことを意味するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『チーフメイド・アレキサンドライト』

POW   :    カラーチェンジ
対象の攻撃を軽減する【赤紫色のボディ】に変身しつつ、【100発/秒で弾丸を発射するガトリング砲】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    メイドの嗜み
【カラーチェンジした腕】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、カラーチェンジした腕から何度でも発動できる。
WIZ   :    掃除の時間
【ガトリングからサイキックエナジーの弾丸】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:サカサヅキミチル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠月夜・玲です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「流石にバーゲンセールすぎましたね。これでは竜の尊厳もあったものではありません。十分な数を用意しても、この程度とは」
 やはり最後に頼れるのは己の身に宿った『掃除』力であると猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』はたおやかに微笑んだ。
 その微笑みとは裏腹なる戦闘力の凄まじさは相対する猟兵たちに語るまでもない。

 そのクリスタリアンとしての宝石の如き輝きは、重圧となって猟兵たちを襲う。 
 エルフたちの助力が在ったと言えど、竜を倒しきった猟兵たちをしてもなお、『チーフメイド・アレキサンドライト』の放つ重圧は圧倒的であった。
「しかたありません。全てはお嬢様のため。私自らでもって猟兵たちを打倒し、『聖なる木』を持ち帰りましょう」
 構えたガトリングガンの銃口が鈍く輝く。
 
「――『掃除』を開始いたします。それでは皆様ごきげんよう」
セルマ・エンフィールド
プリンセス・エメラルドはクリスタリアンの最長老という話ですが、お嬢様……?
……藪蛇になってもいけませんし、そっとしておきましょうか。

森の木を盾にするようにして隠れながら敵に接近します。
せっかく火を消し止めたのにガトリング砲で森がボロボロになってもいけませんし、なるべく早く倒す必要がありますね。

敵の近くまで近づけたなら【ニヴルヘイム】を使用、半径90mを覆う冷気で敵やガトリング砲を凍てつかせ、隙が出来たところに木の陰から飛び出し懐まで接近、敵の腕で防がれないように「フィンブルヴェト」の銃剣で『串刺し』から絶対零度の弾丸の『零距離射撃』を撃ち込みます。



「全てはお嬢様のために。ああ、私はそのために存在してるのです。それこそがメイドの嗜み」
 猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』はそのクリスタリアンとしての体を青緑に輝かせ微笑む。
 そこにあったのは奉仕の心であった。
 彼女の支える『プリンセス・エメラルド』はスペースシップワールドにて、世界の侵攻を開始した。
 骸の月が覆うその時まで彼女の欲望は尽きることはないだろう。
 だからこそ、『チーフメイド・アレキサンドライト』はたおやかに微笑みながら、己の主の妨げと為る猟兵を前にしても些かの怯みもなく歩みをすすめる。
 構えるガトリングガンの銃口が猟兵たちを捉え、その凄まじき連射能力を披露するように弾丸を放つ。

 その弾丸の威力は一発一発が『エルフの森』の樹木を幹からへし折るほどであり、凄まじいと言わざるを得ないものであった。
「プリンセス・エメラルドはクリスタリアンの最長老という話ですが、お嬢様……?」
 エルフたちに受け入れられたことにより、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は戦場となった森の中に木霊する銃声を響かせながら駆け巡る。
 あの弾丸の威力は言うまでもないが、せっかく火を消し止めたというのに森がボロボロになってしまってもいけない。
 早期決着こそがセルマの望むものであった。
「ああ、なんということを。プリンセスはいつまで経ってもプリンセスなのです。あの方の輝き、あの方のなそうとしていること、それら全てを持ってしてプリンセスと呼ぶのです」
『チーフメイド・アレキサンドライト』は心酔するような微笑みで持ってセルマの言葉に応える。

「……」
 セルマは僅かに一瞬、最長老であるのでプリンセスという齢かという言葉を飲み込んだ。
 やぶ蛇になってもいけない。
 いらぬところをつついて相手を挑発するのは在る種の手段としては有効であったが、セルマにとってそれはいらぬ敵を増やすだけに過ぎない。
 故に押し黙り、そっとしておいたのだ。
「なんとか言ったらどうなのです、猟兵!」
 その沈黙が気に入らなかったのか、『チーフメイド・アレキサンドライト』がガトリングガンの銃口から放たれる弾丸でもってセルマを撃滅戦と迫る。

 その鬼気迫る表情は、己の主人を愚弄したこと思い込んでいるのだろう。
 あながち間違いでもない言葉の表現であったため、セルマは諦めた。
「私が限界を迎えるのが先か、あなたが斃れるのが先か……勝負といきましょうか」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 それは1分39秒という僅かな時間ではあるものの、身体能力が増強するユーベルコード。

 名をニヴルヘイム。
 セルマの周囲に絶対零度の冷気が覆い、飛来する弾丸すらも凍結させて失墜させる。
「絶対零度――! ですが、宇宙空間が広がるスペースシップワールドから来た私にその程度の備えがないとでも!」
『チーフメイド・アレキサンドライト』が笑う。
 それは宇宙空間においてもまた活動する必要のあるスペースシップワールドの住人にとっては保護スーツの一皮向こうにある存在であったことだろう。
「ええ、そのとおりです。ですが――」
 互いに疾駆するは森の中。
 こと、この『エルフの森』においてセルマはエルフたちに受け入れられ、その魔術的な力を味方につけている。

『チーフメイド・アレキサンドライト』が枝葉に視界を遮られた瞬間、セルマが増強された身体能力のままに懐に飛び込む。
 伸ばされた手がガトリングガンの銃口を凍てつかせる絶対零度の冷気を放つ。
 即座に相手は立ち直ってくるだろう。
 だが、その一瞬の隙でセルマは十分だった。

 彼女の戦いは常に一瞬の隙を最大の好機へと変える戦いである。
「その程度の目論見、メイドに看破できぬわけではありませんよ!」
『チーフメイド・アレキサンドライト』の手がセルマへと伸ばされる。その青緑色から赤色に変色した手に掴まれてしまえば、セルマの持つユーベルコードをコピーされてしまう。
 それは一瞬で敗北へとセルマ自身が転落する幻視であった。
 だが、それすらもセルマは読み切る。

「そうくると――思っていました」
 伸ばされた手を銃剣『アルマス』が貫く。触れることがユーベルコードのトリガーであるというのならば、触れさせなければいい。
 マスケット銃の銃身に装着された銃剣が貫き、その腕を固定する。
「くっ――……お待ちなさっ」
「待ちません」
 ゼロ距離に突きつけたマスケット銃『フィンブルヴェト』の銃口が『チーフメイド・アレキサンドライト』を狙い、回避不能なら絶対零度の氷の弾丸が、その青緑色の宝石で構成された顔面に打ち込まれ、ひび割らせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
引き続き『疾き者』

エルフの方には、続けて結界術を施しましてー。
私が近接攻撃を仕掛けたら、援護射撃をお願いしますー。

さて、UCで呪詛+風属性攻撃をしましてー。狙いはわざと腕に。
コピーされてもいいんですよー。だってそれ、すでに無意味になってますからー。ね?
私はすぐさま、漆黒風を近接武器として使用。戦闘知識と第六感にて潜り込み、なぎ払いを。
それ(ガトリング砲)、鈍器として使えそうですしー。一応、四天霊障でのオーラ防御しておきますねー。
…攻撃してみなさいな。他の三人だって黙っちゃいないんですよ。

私たちが依頼を受けるのは、四人総意なんですから。



 絶対零度の氷の弾丸が猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の顔面をゼロ距離で穿つ。
 そのクリスタリアンとしての肉体、宝石そのものな美しき青緑色の顔面は今大きくひび割れる。
 未だ圧倒的な力と重圧を放つ『チーフメイド・アレキサンドライト』であったが、その一撃は想定外なるものであったのだろう。
 悲鳴が『エルフの森』に響き渡る。
「あああっ!! 私の! 私の顔が! お嬢様のメイドたる私が!」
 傷つけられた。
 それは彼女のプライドを痛く傷つけることであったことだろう。どうしようもないほどの怒りが彼女の腕を赤く変色させていく。
 ユーベルコードをコピーするユーベルコード。
 そのトリガーたる両腕の輝きが赤色に染まる。その重圧は、扇状となった場所から遠く放たれた場所にあったエルフたちもまた感じるほどに凄まじい。

「――っ! な、なぁ……あの人達大丈夫かな? 危ないから下がれと言われたが……」
 エルフたちは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)によって施された結界術の中に在りて、彼等猟兵の身を案じていた。 
 ここで待機しているのは、義透が合図をしたら弓矢に寄る援護をして欲しいとこわれたからだ。
 だが、あの『チーフメイド・アレキサンドライト』の重圧は凄まじい。
 如何に義透が頼もしい援軍であったとしても、危ないのではないかと思うほどに強烈であったのだ。

「さて、私の早業、受けてみますー?」
 複合型悪霊である彼等の中に一柱である『疾き者』が戦場となった森を駆ける。
 枝葉が『チーフメイド・アレキサンドライト』の邪魔をしてくれているのが、己の得意分野であるフィールドでの不意打ちをさらなる完成度へと導く。
 放たれる棒手裏剣が『チーフメイド・アレキサンドライト』の放つ弾丸と相殺しては明滅する。
 その度に放たれる棒手裏剣が影に紛れて彼女を襲うのだ。
「忌々しい! 暗器の類……これが世に聞く忍びというやつですか。勉強になりますが!」
 赤い腕が棒手裏剣を掴み取る。
 これで義透のユーベルコードはコピーできる。だが、そのコピーしたユーベルコードは即座に効果を失う。

 そう、自分に気がついていない敵をして初めて効果の発揮されるユーベルコード。それ故に彼我の認識が終わってしまっている間にあるのは不意打ちではなく、己が狙われているという事実のみ。
「さらにーエルフの皆さん!」
 義透の合図と共に『チーフメイド・アレキサンドライト』の頭上より降り注ぐのは弓矢の雨。
 エルフたちが放つ弓矢は、彼女に致命傷は与えない。だが、それでも僅かに隙を生み出すのだ。

「それ、鈍器として使えそうですしー」
「ええ、そのとおりでございます」
 接近した義透に答えるようにガトリングガンを振り回してまるで斧か槌のように『チーフメイド・アレキサンドライト』は振るうのだ。
 その一撃はオーラの防壁に寄って防がれるが、その単純にも重たい一撃はオーラの力をひび割らせて振り抜かれる。
 凄まじい膂力。
 メイド、女性としての姿をとってはいるものの、彼女が凄まじき力を宿すオブリビオンであることを義透は再認識させる。

「他の三人だって黙っちゃいないんですよ」
 再び振るわれたガトリングガンの打撃を四重にも重ねられたオーラの力が今度こそ完璧に防ぎ切る。
「先程のオーラとは違いますね……! これが猟兵!」
 しのぎを削るような攻防。
 互いに譲れぬものがある。義透たちは四つの悪霊に寄って成り立つ存在である。こと、オブリビオンの事件が起こる時、彼等は一つとして行動する。
 それは即ち、四人の総意である。

 だからこそ、敗ける道理はない。
 一人と四人。
 見た目には一対一かもしれない。だが、それでもそれ以上の世界を救わんとする、故郷を奪わせぬという絶対の意志が義透たちを突き動かすのだ。
 四重のオーラを叩き割った『チーフメイド・アレキサンドライト』がほくそ笑む。勝利を確信した顔であった。

 だが、それは時期尚早であった。
「オーラは囮ですよー」
 ぐるりと『チーフメイド・アレキサンドライト』の背面に回り込んだ義透の棒手裏剣の一撃が彼女の背を貫き、さらにヒビ割らせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
竜の群さえいなくなればどうにでも出来る。
行こう、アヤメ!

「式神使い」で偶神兵装『鎧装豪腕』を顕現させ、「盾受け」でガトリング砲の弾丸を弾かせる。くぐり抜けてきたものは「オーラ防御」で防ぐわ。
面で制圧してくるのは厄介ね。
「全力魔法」雷の「属性攻撃」「破魔」の九天応元雷声普化天尊玉秘宝経を叩き込む。どうせこの辺りは焼き払われているものね。
アヤメはクノイチらしく「目立たない」ようにしながら、「地形の利用」を考えて、物陰や樹上から不意打ち攻撃頑張って。

あたしはいわば派手な囮。痛撃を加えるのはアヤメの仕事。
といっても、あたしから気を逸らしたら、構わず雷撃を叩き落とすから覚悟なさい。

アヤメ、おつかれさま!



『エルフの森』を脅かしてた炎を噴出される竜の群れは猟兵たちによって取り除かれていた。
 彼等の働きなくば、この森はきっと灰燼に帰していたことだろう。
 そして、それは同時にこの『エルフの森』を襲っていた猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の目論見を全て打破した証でもあった。
「竜の群れさえいなくなればどうにもでも出来る。行こう、アヤメ!」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は召喚した式神・アヤメと共に戦場を駆け抜ける。

 すでに猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』と猟兵の戦いは始まっていた。
 彼女の宝石のような顔面は打ち込まれた弾丸によって大きくひび割れ、その背にも棒手裏剣が突き立てられていた。
「猟兵……お嬢様の道を塞ぐ者たち。いいでしょう。主人のために力を振るうのまたメイドとしての務め。お嬢様の道を阻むのならば、それでこそと言うものです」
 その身体が赤色に染め上がっていく。
 手にしたガトリングガンが嫌な音を立てて回転を開始する。それはこれまで牽制のようにはなってきたガトリングガンの銃弾をさらなる速度で放つための予備動作でもあった。

 ゆかりはその音を聞き、一瞬で判断した。
 あの弾丸はこれまでの比ではないほどの量を放つと確信できたのだ。それは一瞬の間に明暗を分ける。
「鎧装豪腕!!」
 式神使いとしての技量に寄って顕現させた偶神兵装を盾の代わりにゆかりと式神・アヤメの前面に押し出す。
 打ち込まれる弾丸の音が響き渡り、その威力の凄まじさを物語る。
 どれだけ頑強さを誇っていたとしても毎秒100発以上の速度で放たれる弾丸を躱すすべはない。
「面で制圧してくるのは厄介ね……」
 偶神兵装もどこまで持つかわからない。それほどまでに『チーフメイド・アレキサンドライト』の攻撃は苛烈を極めていた。

 装甲が削れていく音が響き渡る。
 悠長に考えている時間はない。ゆかりはアヤメの瞳を見つめる。
「わかりました。エルフの魔術的な力はまだ途切れていませんから」
 ゆかりは偶神兵装を盾にしながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「九天応元雷声普化天尊! 疾っ!」
 その紫に輝くユーベルコードは、九天応元雷声普化天尊玉秘宝経(キュウテンオウゲンライセイフカテンソン)。
 視界を阻害するほどの激烈なる落雷が周辺を巻き込んで一気に『チーフメイド・アレキサンドライト』へと打ち込まれる。

 その一撃は広範囲に渡り、打ち込まれ続ける弾丸すらも撃ち落として一瞬の空白を生み出す。
「なかなかの威力ですが、エレガントさが足りませんね。ただ明滅させるだけでは」
 微笑む赤き輝きに満ちる『チーフメイド・アレキサンドライト』。
 単純で重たい雷撃であったが、彼女は今攻撃を軽減させる赤き輝きに包まれている。如何な凄まじき雷撃の一撃であっても、それに耐えることはできるのだ。
「ええ、あたしはいわば派手な囮!」
 一気にゆかりは駆け出していた。
 顕現させた偶神兵装はもはや銃弾を防ぐことはできない。だが、たんなる質量兵器のように『チーフメイド・アレキサンドライト』へと叩きつける。

 それは攻撃にすらなっていなかった。
「これが囮ですか? ――ッ!?」
 だが、本命はそれではない。
『チーフメイド・アレキサンドライト』の背に打ち込まれた棒手裏剣。
 それは先行した猟兵が撃ち込んだ一撃であり、未だ彼女の背に突き刺さったままの楔でもあった。
 そこに式神・アヤメが背後より強襲し、さらなる楔を撃ち込んだのだ。
「ガッ――……! ですが!」
 更に其処に襲うは雷撃の一撃。
「あたしから気をそらしたら、ダメでしょう!」
 背面と前面。
 互いに時間差を意識するように放たれた痛撃の一撃は、『チーフメイド・アレキサンドライト』を強かに撃つ。

 二人のコンビネーションがあればこそである。
 二人は手を取り合って樹上へと逃れていく。今の彼女たちでは、ここが限界であろう。『チーフメイド・アレキサンドライト』は誰かのために戦う者であるが、共に戦う者のいないものである。
「そんなのにあたしたちが敗けるわけ無いわよね。アヤメ、お疲れ様!」
 そう言ってゆかりは主従以上の感情を持ってアヤメをねぎらうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クリス・ヴァージナス
あれが不信心者ね、あんな武器を神聖なる森へ持ち込むなんて…彼女は審問すら待たずに断罪する事を我らの神もお許しになるでしょう。
さぁ、裁きの時よ。

私はUC【異端審問官部隊《エンシェント・ルミナス》】を行使、部下達を呼び出して53名を敵に突撃させる。
彼らは剣と神聖魔法の達人、聖なる防御魔法と攻撃魔法の【多重詠唱】で巧みな攻防を展開するでしょう。

私はその間にエルフの皆さんに力を借りるわ。
エルフの皆さんに私の近くに寄って貰い、淫魔らしく【生命力吸収】して【エネルギー充填】を完了、高めた魔力を用いて強力な聖守護結界【オーラ防御】を纏い部下10名と共に突撃、聖剣を胸に突き立て【神罰】を下すわ。

アドリブ歓迎よ



 猟兵達の攻撃が猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』を追い詰めていく。
 クリスタリアンとしての輝かしい宝石の如き肌は今、無数のヒビに覆われている。顔面に氷の弾丸による弾痕。
 背には棒手裏剣と雷撃の痕が残ってはいるが、それでも猟書家という強大なオブリビオンとしての矜持であろうか、倒れること無くその重圧を放ち続けている。
 焦土と化した『エルフの森』の一端。
 そこが猟兵と『チーフメイド・アレキサンドライト』との戦いの場であった。
「やはり、お嬢様をあそこまで追い詰めた猟兵という存在は看過できません。個としての力は私達以下。だというのにこうも群がってくるとは……」

 確かに彼女の言葉は正しいのだろう。
 オブリビオンの個としての力は時として猟兵を凌駕するものである。だが、それでも猟兵たちは幾度となく強大な敵に打ち勝ってきたのだ。
「あれが不信心者ね。あんな武器を神聖なる森へ持ち込むなんて……彼女は審問すらまたずに断罪することを我らの神もお許しになるでしょう」
 焼け焦げた大地に立つのは、バトルシスターであるクリス・ヴァージナス(性食者・f31157)だった。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「いいえ。例え貴方の奉ずる神が許そうとも、私が滅ぶことはお嬢様がお許しにならないでしょう。私の全てはお嬢様のために。ええ、そのためにはエルフの生命も、『聖なる木』も必要なのです」

 相対する『チーフメイド・アレキサンドライト』の瞳が輝く。
 それはサイキックエナジーが彼女の身体へと集まってきている証拠であった。
「私に楯突くとどうなるか、身体に教えてあげるわ――さあ、お行きなさい。かの不信心者へと裁きを与えるのです」
 クリスの号令によって召喚されし、異端審問官部隊《エンシェント・ルミナス》(エンシェント・ルミナス)、総勢53名が剣と神聖魔法でもって展開する。
 だが、彼等が如何に巧みな攻防を展開するのだとしても、対するは猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』である。
 彼女のユーベルコードに寄って生み出されるサイキックエナジーの弾丸は、呼び出された異端審問官たちを尽く打ち払っていく。

 ガトリングガンの斉射と合わさり、防護の魔法を尽く打ち貫いていくのだ。
 その斉射は圧倒的であった。
 人の形をしたものが尽く破壊されていく。
「さあ、『掃除』の時間です。お嬢様の行く手を阻む者たちに洗礼を与えてさしあげましょう」
 微笑む姿は嫋やかななるメイド。
 しかして、放たれる弾丸の勢いは苛烈そのもの。

 異端審問官たちと『チーフメイド・アレキサンドライト』との攻防の間にクリスは美しきエルフたちのもとに舞い降りる。
「それでは皆さんの力をお借りいたしますね」
 蠱惑的な瞳を細めながら、クリスが近くに寄らせたエルフたちから、彼女の本来の姿でもあるサキュバスとしての力を使い、生命力を吸収し、エネルギーを溜め込んでいく。
 彼女の周りには異端審問官の精鋭が壁のように立ち、バトルシスターの力が蓄えられるまでガードするのだ。
「ん、ごちそうさまでした……いいえ、なんでもないわ」
 エルフたちから程々に集めたエネルギーを胸にクリスは、一瞬で強力な聖守護結界を纏い、残された異端審問官の精鋭たちとともに『チーフメイド・アレキサンドライト』へと突撃する。

 異端審問官たちの部隊もまた『チーフメイド・アレキサンドライト』の放つサイキックの奔流の如きガトリングガンの斉射によく耐えたと言えることだろう。
 最後の人が倒れた時、クリスが強力な守護結界を纏えたことは幸運であった。
「特大の蝿がいらっしゃる様子。いやですね、私としたことが」
 微笑む『チーフメイド・アレキサンドライト』がガトリングガンの銃口を向け、サイキックの弾丸を乱れ撃つ。
 それを真っ向から受け止めながらクリスは戦場を駆け抜ける。
 また一人と脱落していく異端審問官たちを尻目に、クリスは一気に距離を詰め、その手にした聖なる剣、聖剣ルミナリエを振るう。

「神罰を与えてあげましょう」
 放たれた斬撃はしかして、『チーフメイド・アレキサンドライト』の持つガトリングガンの銃身に防がれてしまう。
「いいえ、私に罰を与えられるのはお嬢様だけです。驕りましたね、猟兵――」
 だが、そこへ残った異端審問官たちが一斉に群がる。
 それは一瞬で振りほどかれてしまうほどの脆弱なる力であったが、クリスに絶対なる忠誠を誓う精鋭たち。
 彼等の生み出した隙をクリスは見逃さなかった。

「驕ったのはどちらだったかしらね? さぁ、裁きの時よ」
 その言葉と共にクリスの手にした聖剣の一撃が深々と『チーフメイド・アレキサンドライト』の胸へと突き立てられるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

髪塚・鍬丸
その主君への忠義、皮肉抜きで立派だと思うぜ。俺には出来なかった生き様だ。
俺は俺自身の意思と信念で、お前さんの邪魔をさせて貰う。

接近戦を挑む。
エルフには援護射撃を頼む。俺の事は気にせず射て。かわす。
【求蓋の外法】。老齢となった自身の幻影が現れ己に重なり一体化する。
修行を積み達人となる未来の可能性を召還し、その技を借りるユーベルコード。例え複写されても、未来を持たないお前さんには何の意味もない。

【聞き耳】【情報収集】でエルフの矢音を聞き取り、敵味方の攻撃に当たらない様に達人の【見切り】で立ち回りつつ「双身斬刀」による【早業】の攻撃。高周波の鍔鳴りが鉱物の肌を粉砕する【鎧無視攻撃】【貫通攻撃】だ。



 斬撃の一撃が猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の胸を貫く。
 その一撃は宝石の如き身体を貫いたが、砕くには至らない。青緑色の身体がひび割れてはいるが、それでも尽きぬサイキックエナジーによって身体をつなぎとめている。
 強大なオブリビオンである『チーフメイド・アレキサンドライト』の重圧は未だ潰えることはない。
 どれだけ猟兵たちが群がろうとも、その『プリンセス・エメラルド』への忠誠心は揺らぐことはない。
 ただ奉仕する。
 その一念においてのみ『チーフメイド・アレキサンドライト』はその体をこの場へとつなぎとめているのだ。
「全てはお嬢様のために。私は『聖なる木』を持ち帰らなければなりません。そして、猟兵の皆様方がお嬢様の道を塞ぐというのならば――」
 重圧が増す。あれだけの攻撃を受けてなお、『チーフメイド・アレキサンドライト』の力は強大になっていく。
 赤く変色した宝石の腕がユーベルコードに輝く。その腕にふれられてしまえば、受け止めたユーベルコードはコピーされ猟兵へと返ってくることだろう。

 だが、そんな事実を前にしても髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)は立ち止まることをしなかった。
 彼が目の前にするのは確かにオブリビオンであれど忠義の徒であった。
「その主君への忠義、皮肉抜きで立派だと思うぜ。俺には出来なかった生き様だ」
 彼は己の生き方を選んだことを後悔はしていない。
 出身世界であるサムライエンパイアにおいて、彼は忍びの者である。
 里からは追手を放たれ、それらから逃げ隠れしながら生きている。何故そうしなければならなかったのかを語ることはしない。
 けれど、この生き方を否定もしない。ただ、忠義の徒として己の主君に尽くす『チーフメイド・アレキサンドライト』の姿はオブリビオンであっても、目映いと感じるものであったのだろう。

「ですが、わかるでしょう。猟兵。私と貴方は違う生き物であると。それは種族であるとか、性差では言い表すことのできぬもの」
「ああ。俺は俺自身の意志と信念でお前さんの邪魔をさせてもらう」
 互いに譲れぬものがある。
 己の未知の前に互いが壁として存在するのであれば、それを打ち破るか『掃除』するかの違いでしかない。
 だからこそ、鍬丸は戦場を駆ける。エルフたちの援護射撃を頼んでいたおかげが、彼が『チーフメイド・アレキサンドライト』に迫る瞬間に弓矢が飛んでくる。
 それらをガトリングガンの銃身で事も無げに振り張らながら、その赤く変色した腕を鍬丸に伸ばす。

 猟兵の攻撃の起点がユーベルコードであるのならば、発動した瞬間に赤き腕でふれてコピーし、相殺しようというのだ。
「臨む兵 闘う者 皆 陣列べて前を行く」
 鍬丸のユーベルコードが輝く。
 それは自身が修業を重ねてたどり着く未来の可能性を召喚する、求蓋の外法(グガイノゲホウ)。
 可能性の前借りのようなユーベルコード。
 だが、それに『チーフメイド・アレキサンドライト』は触れることはできない。

 触れ得ぬ者がいる。
 それほどまでに洗練された速さを持つのが鍬丸の未来の可能性の一つである。
 老齢となった己の姿と重なり、一体化することによって得られ、その業を借りることによって敵を打ち砕くユーベルコード。
 例え、『チーフメイド・アレキサンドライト』がユーベルコードをコピーしたとしても、彼女には扱えぬものであったことだろう。
「これは未来を持たぬお前さんには何の意味もないユーベルコードだ」
 過去の化身たるオブリビオンは未来を食いつぶす者。
 だからこそ、その可能性はすでに終わってしまっているのだ。

「いいえ、私達はこれから始まるのです。未来を食いつぶした先にあるものこそ、私の主の求めるもの!」
 伸ばされた赤い腕はこれまで以上に遅く見えた。
 あらゆる業の極地に至るが故に知ることの出来る視界。
 それらを見切り、僅かな体捌きで持って躱す。何も大げさな動きをする必要などないのだ。
 僅かに身体を傾ければいい、そらせばいい。ただそれだけのことだ。
 その手にした櫛状の刃を持つ科学忍者刀を振るう。鍔に仕込まれた高周波切断装置が耳慣れぬ音を響かせ、迫る『チーフメイド・アレキサンドライト』の赤き腕を粉砕する。

「お前さんたちはすでに終わったもの。過去が見せる残影にして幻影。残滓でしかない。だからこそ、未来を食いつぶさせはしない。世界は滅ぼさせない。それが俺自身の意志と信念だ――!」
 砕かれた『チーフメイド・アレキサンドライト』の片腕の破片が飛び散る最中、鍬丸は見たであろう。
 己の至る極地の一つを。
 そこに至るか至らぬかはまだ決まっていない。
 それこそ至ることもなく終わるかも知れない。だが、それでも鍬丸は戦う。そうすると己が決めたから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK


掃除ってこんな物騒なものだったかなあ。
まあ、それはそれとして倒すとしようか。

さて、相手の武器が飛び道具なら樹の上に居る意味も薄いし、
エルフさんたちは上に残ってもらって地面に降りようか。

地面に降りたらエルフさんたちに一発か二発矢で射かけてもらおう。
ほんの少し上に注意を向けさせるだけでいいから、身の安全を第一にね。

相手の注意が上に向いたら一気に走って接近、
銃口がこっちに向いたらスライディングで銃弾を回避しながら足元まで行って、
下からガトリング砲を蹴り上げて体勢を崩したら、
【牙砕甲破】で思いっきりぶん殴るよ。



 ひび割れた顔を歪めながら、変色した赤き腕を砕かれ、猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』は驚愕する。
 まさか猟兵がここまで己に抵抗できるとは思っていなかったのだろう。
 それは計算違いというはではなかった。
 猟兵達の力は徐々に増している。それは迷宮災厄戦において猟書家『プリンセス・エメラルド』を退けた時にわかっていたことだった。
 だが、それでも己の主人のために『チーフメイド・アレキサンドライト』は負けられない。
 その身を赤紫色のボディへと変える。
 手にしたガトリングガンが銃身を回転させる。それこそが彼女のユーベルコード。凄まじい勢いで銃弾を撃ち放つだけではなく、その体に与えられるダメージすらも軽減する力だ。
「ええ、私はメイド。お嬢様のためにできることを為すのみ。『掃除』を開始しましょう。全て『掃除』してしまいましょう」
 砕かれた片方の腕は使えない。
 けれど、ガトリングガンを放つのは片腕で十分だった。

「掃除ってこんな物騒なものだったかなあ……まあ、それはそれとして倒すとしようか」
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は前を見据える。彼女は樹上より舞い降りた。
 エルフたちは樹上に待機してもらっているが、ペトニアロトゥシカは樹上にいるメリットを感じられなかった。相手の武器が射撃武器である以上樹上にいてはエルフたちをも巻き込んでしまう可能性があったからだ。
 だが同時に彼女が飛び降りた瞬間を狙われぬようにと、エルフたちに弓矢を放ってもらっていた。

 それは一瞬にもみたぬ刹那の意識を逸らすものでしかなかった。
「ありがとう、逃げて!」
 その言葉が最後だった。
 走る。走る。ペトニアロトゥシカの瞳にあるのは猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』だけであった。
 一気に距離を詰める。
 あのガトリングガンの放つ銃弾の速度は言うまでもない。あれだけの制圧能力を持っているが故に、エルフたちもまた危険に晒されてしまうかもしれない。
 だからこそ、一気に懐に入り込む。
 弾丸が多少放たれても気にはしない。滑り込むようにスライディングで大地を滑り、ペトニアロトゥシカは『チーフメイド・アレキサンドライト』へと肉薄する。

「私の懐に入りますか! 猟兵!」
「そうしないとエルフの人達が危ないからねえ」
 彼女にとって他者とはどんな存在だろうか。
 彼女のキマイラとしての容姿、風貌は知らぬ者たちからすれば恐ろしいものであったかもしれない。
 確かに猟兵として存在しているが故に今の彼女は他者に違和感を抱かせぬ者であった。
 けれど、それでも過去は消えない。

 己の姿を魔物と勘違いする者は大勢いた。
 人里に近づけずに魔物と戦いながら自然の中で暮らしていた日々を思い出す。けれど、今は違う。
 あのエルフたちもそうだ。
 助けた。お礼を言ってくれた。そして今もまた彼女の助けになろうと、逃げてと言ったにも関わらず弓矢を射掛けてくれている。
 己の窮地を救おうとしてくれている。

 それがどんなに危険なことかをペトニアロトゥシカは知っている。
 だからこそ、それに応えたいのだ。どれだけ見た目が恐ろしくとも、その心根は善良そのもの。
「ただの弓矢など、私には無意味! 猟兵、悪あがきを――」
 振り下ろしたガトリングガンの銃口がペトニアロトゥシカを狙い突ける。だが、その銃身を蹴り飛ばし、跳ね上げさせる。
 それは『チーフメイド・アレキサンドライト』の体制を崩すためのものであったが、僅かにしか崩せなかった。
 だが、それでいい。

「――脆い」
 放たれるは牙砕甲破(ファング・ブレイカー)。
 その一撃はあらゆるものを破壊する。スライディングからの蹴り上げ。さらに流れるように反動を利用して飛び上がりながらの拳の一撃は確かに『チーフメイド・アレキサンドライト』を捉えた。

 体制を崩しながらも、ペトニアロトゥシカの拳をガードするは喪った片腕。その残った二の腕をカバーするように身体を傾けたのは見事であると言う他無い。
 だが、それでもペトニアロトゥシカの拳は叩きつけられ、残った肩口をごっそりと根こそぎ粉砕する。
 護るために戦う。
 それが今、彼女に課せられた使命。打ち込まれた拳の一撃を持って、ペトニアロトゥシカはエルフたちの決死の想いに報いるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
主の為に戦うという事自体は悪い事じゃないんだけどね
その目的が相容れない以上全力で止めさせて貰うよ

それはそれとしてあの侍女服は誰の趣味なんだろう…

女神降臨を使用し応戦するよ
…なんかドレスがメイド服みたいんなんだけど

融合しているという事は私の体でもあるのですから
好きに着飾らせて貰いますの
そうそう、文句を言う前に早く避けた方が良いと思いますの

ああ、もう、こうなりゃヤケだ
ワイヤーガンを利用して回避しつつ
ガトリングガンで攻撃するよ
回避しきれない分は神気で防御

エルフ達にはガトリングガンの射程外から
惑わしの術を使って貰いそれに紛れて射撃
砂岩から創った使い魔に石化させて動揺を誘おう

動きを停めた所で一気に削るよ



 完全に砕かれた片腕が赤い宝石の如き破片となって飛び散っていく。
 だが、それでも猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』は悲鳴一つあげなかった。
 悲鳴をあげるということはエレガントではないと言わんばかりに、痛みをこらえながらも微笑みを絶やさない。
 未だ諦めていなかった。
 主人のために為すべきことを為す。ただそれだけのために彼女という存在が在るのだと言わんばかりの視線を持って猟兵たちと対峙している。
「負けはしません。私の全てはお嬢様のために。ええ、例え、この身砕けようとも」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 周囲に渦巻くサイキックエナジーの奔流が未だ彼女が健在であることを告げている。
 敗けることはないと言った彼女の瞳には、その意志が未だ残っていた。

「主のために戦うということ自体は悪い事じゃないんだけどね」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は、その意志、矜持に一定の理解を示した。  それが奉仕する者としての務めなのだとしても、それでもオブリビオンと猟兵である。対峙した以上互いに滅ぼし合わなければならない。
 同時にオブリビオンはどうしようもなく歪んだ存在である。
 過去に歪められた高潔なる精神であっても、それ自体が世界を破壊するのだ。
「その目的が相容れない以上全力で止めさせて貰うよ」
 互いに持つ獲物は同一。
 ガトリングガン。晶と『チーフメイド・アレキサンドライト』の戦い方はよく似ていたのかもしれない。

「それはそうとして、その侍女服は誰の趣味なんだろう」
 素朴な疑問であった。
『チーフメイド・アレキサンドライト』にとっては応える義務などないものであったが、それでもエレガントにというモットーを持つ彼女は律儀に応える。
「私の趣味でございます。唯一与えられたものでありますれば」
 その言葉共に放たれるのはサイキックエナジーの弾丸の掃射である。
 凄まじい勢いで放たれた弾丸は晶を襲う。

「小っ恥ずかしいけど、我慢我慢――って、なんかドレスがメイド服みたいなんだけど!?」
 宵闇の衣を生成し可憐なるドレス姿に変身し、戦闘力を上げるユーベルコード、女神降臨(ドレスアップ・ガッデス)。
 いつまならばフリフリしたデザインで大いに戸惑うのだが、今回のそれはいつもと様相が違う。
 そう、今の晶はメイド服に身を包んでいるのだ。
 サイキックエナジーの弾丸を躱しながら、魔力の翼に寄って空を舞う。

「融合しているということは私の身体でも在るのですから、好きに着飾らせてもらいますの」
「なっ―――!」
 何を馬鹿なことを、と晶が叫びそうになった瞬間、彼女の頬をかすめるサイキックエナジーの弾丸。
 油断ならぬ敵と相対しているというのに、内なる邪神が余計なことをするものだからすっかり同様してしまったのだ。
「そうそう、文句を言う前に早く避けた方が良いと思いますの」
 それは正論であったが、なんとも癪に障る物言いでもあると晶は感じていた。

「同じ武器に同じメイド服。ええ、猟兵ながらエレガントでございましょう。ですが、逃しは致しません」
 放たれるサイキックエナジーの弾丸の掃射は凄まじい弾幕となって魔力の翼でもって空を舞い飛ぶ晶を追い詰めていく。
「ああ、もうこうなりゃヤケだ!」
 叫びながら晶はワイヤーガンを用いて、樹木を支えにサイキックエナジーの弾丸を躱していく。
 ガトリングガンで応戦し、回避しきれぬものは神気によって固定する。

「エルフの皆!」
 お願い、と晶が叫んだ瞬間『チーフメイド・アレキサンドライト』を覆うのは惑わしの術。 
 エルフたちと『聖なる木』の魔術的な力を借りて、彼女の視界を惑わすのだ。
 その一瞬の隙に砂岩から創った使い魔が飛び出し、『チーフメイド・アレキサンドライト』を石化させようと目論むが、凄まじい弾幕の前にたどり着くことはできない。
 だが、それでも動揺は誘えたのだ。

 一瞬の隙。
 だが、互いの獲物は同じ。ガトリングガンだ。その一瞬の隙であっても叩き込む事のできる弾丸は他の武装とは比べ物にならない。
 晶のガトリングガンが火を噴き、足を止めた『チーフメイド・アレキサンドライト』へと弾丸の全てが集約するように打ち込まれていく。
「一気に削らせて貰う!」
 晶のガトリングガンの弾丸は凄まじい勢いで火を噴き、『チーフメイド・アレキサンドライト』のその体を削っていく。

 ひらりと晶のメイド服の裾が風に舞い、邪神は心の内側で大満足したように微笑むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
あんたが今回の騒動の主導者かい?
森を好き勝手焼き払ったツケを払って貰おうか!

[SPD]
エルフ達に後方支援をEsに【情報収集】を頼んで
俺はEKを手に【ダッシュからの切り込み】を仕掛ける
これに対してガトリングを盾にしたら【焼却による切断】で無力化を狙い
腕で受け止めたら踏ん張りつつ熱による【継続ダメージ】を与える(怪力

収集を終えたEsのアドバイスを受けたら(戦闘知識
UCで強化した流星で【マヒ攻撃の乱れ打ち】
当然色を変えた腕で受けようとするが【誘導弾】で腕以外に当たるって寸法さ
敵が【体勢を崩し】たら雷鳴で頭を射抜くぞ(貫通攻撃、スナイパー

やる事なす事全部雑すぎだぜ見習いからやり直してきな!

アドリブ歓迎



 強大なるオブリビオン、猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』。
 彼女の体は宝石でできていた。それがクリスタリアンであればこそ、青緑色と深い赤色に変わる。
 その神秘的な体に秘めたるは『奉仕』の一念のみ。
 彼女が仕える『プリンセス・エメラルド』は、彼女の体を突き動かす原動力だ。
「全てはお嬢様のために。そのためならば、私の生命など惜しくはないのです。私が恐れるのは、お嬢様の期待に答えられないということだけ」
 その表情は未だ崩れない。
 微笑みを湛える顔面は無数のひび割れが走っている。先行した猟兵達の攻撃の苛烈さを物語るには十分であった。
 半身はすでに砕かれ、片腕になってもなお振るうガトリングガンの猛威は未だ驚異的な力を持っていたことだろう。

「あんたが今回の騒動の主導者かい?」
 相対するは、星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)だった。それは問うまでもないことであったが、祐一にとってそれは時間を稼ぐための手段であったのかも知れない。
 その瞳の奥に燃える怒りを滲ませながら一歩を踏み出す。
「森を好き勝手焼き払ったツケを払ってもらおうか!」
「お嬢様のためでございますから。鬱蒼と茂る森は『掃除』せねばなりません。そこにある『聖なる木』こそがお嬢様のご所望の品とあれば、メイドとして全力を尽くすのが筋では?」
 互いに噛み合わない。
 他者を虐げることと、誰かのために何かをすることがイコールで結ばれているのであればこそ、其処に最早問答の意義はない。

 手にしたガトリングガンの銃口が祐一を狙う。
 エルフたちの後方支援があるとは言っても油断はできない。何せ、あのガトリングガンの斉射能力は尋常ではない。
「Es、頼んだ!」
 戦闘支援ユニットであるサポートドローンに情報収集を任せて、己は小型実体剣を手に駆け出す。
 踏み込んだ祐一の手が振るう。
 柄より伝えられたエネルギーが刀身を震わせ、ガトリングガンを切断しようとするが、躱される。

 猟書家と呼ばれる強大なオブリビオン所以であろう。
 こちらの目論見はお見通しというわけである。だが、それでも祐一は引くことはしない。
「これもまたメイドの嗜みですから」
 片腕を喪ってもなお、猟兵である祐一を翻弄する『チーフメイド・アレキサンドライト』。
 その動きに精彩を欠くということはないのか。
 腕を赤く変色させる。その腕が祐一のユーベルコードを受け止めようとすることは戦闘支援ユニットであるEsからすでに伝わっていたことだった。

「させるものかよ! それがお前のユーベルコードだっていうことは!」
 実体剣で『チーフメイド・アレキサンドライト』の腕を祓いながら、振り返りざまに手にした自動連射式リボルバー型熱線銃の銃口が輝く。
 それはユーベルコードの輝き。
 冬雷(トウライ)と呼ばれるユーベルコードによって溜め込まれた力が乱れ撃たれる。

 当然、『チーフメイド・アレキサンドライト』はユーベルコードによって変色した赤い腕で受け止めようとするだろう。
 それもまた当然であった。
 防御し、コピーしこちらの利点を潰す。
 そういう戦術なのだ。これまでもそうしてきたのだろう。己が敵を圧倒する必要はない。僅かに上回ればいいのだから。
「この一撃雷で終わりにしようぜ…!」
 しかし、その放った弾丸は誘導弾。
 直線的な狙いではなく、腕以外の何処かを狙えばいい。

 放った誘導弾の全てが『チーフメイド・アレキサンドライト』の体へと吸い込まれていく。
 弾丸に寄る衝撃が、さらに彼女の体をヒビ割らせていく。
「くっ――! ですが――!」
 だが、そんな彼女の瞳に映ったのは己の眉間に迫る青白い光弾の一撃であった。
 貫通力を上げられている。
 それは一瞬の判断。体を後方に飛び跳ねさせ、盛大に吹き飛ばされる『チーフメイド・アレキサンドライト』の体。

 それは頭部を貫くことはできないまでも、彼女の力を大きく削ぐことには変わりなかった。
「やることなす事全部雑すぎだぜ、見習いからやり直してきな――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
アレキサンドライト…
見る角度と光の当て方で色が変わるという
変幻自在さが売りなんでしょうけど
サージェ的にはあまり好きじゃない(ただの好み)石なので!
バッチリ倒させてもらいます!

珍しく搦め手ですよ
【くちよせの術】でまずは煙玉を取り出して足元にていっ!
視界を遮ったら移動しつつ
さらに【くちよせのの術】
手裏剣とか小柄とか投擲武器を
いっぱい取り出して全投擲して攻撃
受け止めるのはただの武器なのでコピーできませんよね?
さらに煙幕の中で取り出した丸太を使って変わり身!

本物はこっち!(背後に回りながら)
ハリケーンスラッシュカタールでダブルアタックです!

少しクノイチらしかったんじゃないでしょうか!

※アドリブ連携OK



 猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の体は満身創痍とも言える状態であったのかも知れない。
 だが、それでも倒れない。
 その胸に秘めているのは『プリンセス・エメラルド』への忠誠心のみである。
 奉仕する者、メイドである彼女にとって『プリンセス・エメラルド』こそが全てである。
「私は負けない。負けられない。お嬢様のために。全てはお嬢様のために」
 そのために『聖なる木』を手に入れなければならない。
 エルフたちも焼き殺し、オブリビオンとして手駒に加えなければならない。『プリンセス・エメラルド』はスペースシップワールドを己のものとしようとしている。
 ならば、己はそれに応えなければならない。

 片腕を喪ったひび割れた顔に微笑みを浮かべながら、『チーフメイド・アレキサンドライト』は未だ倒れなかった。
 その片腕は赤く変色している。
 それこそが彼女のユーベルコードである。
「アレキサンドライト……見る角度と光の当て方で色が変わるという変幻自在さが売りなんでしょうけど」
 だが、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)的にはあまり好きじゃないのだ。
 どれだけ綺羅びやかに光を放つものであったとしても、サージェにとってそれは石でしかない。

「バッチリ倒させてもらいます!」
 戦場となった燃え尽きたエルフの森の一部にサージェが駆け抜ける。
 手にするのは、くちよせの術(ナンデモデテクルベンリスキル)によって呼び出した手裏剣や小柄などの投擲武器である。
 その手には欲張り過ぎなのではないだろうかと思うほどに握りしめられ、一斉に『チーフメイド・アレキサンドライト』へと投げつけられる。
「このような搦手など!」
 対するはガトリングガン。
 彼女の持つガトリングガンの斉射能力は言うまでもない。投げつけられた投擲武器の全てを弾丸が打ち貫く。

「受け止めるのはただの武器なのでコピーはできませんよね?」
 砕け散っていく投擲武器の破片の中をサージェは駆け抜ける。その手にあるのは煙玉である。
 さらなる撹乱を狙って投げつけられた煙玉が煙を巻き上げ、サージェは煙に紛れて駆ける。
「言ったはずです。搦手は効かないと――!」
 飛び出す人影に向かって放たれるガトリングガンの弾丸。
 それが人影をバラバラに打ち砕き、『チーフメイド・アレキサンドライト』は微笑む。
「これでお嬢様を妨げる障害は――」

 だが、勝利にほくそ笑むの速い。
 サージェはクノイチである。そして、今回珍しく搦手で戦法を立てていた。そう、ガトリングガンによって打ち砕かれていたのはサージェではなく、変わり身の丸太であった。
 それに気がついたときは最早遅い。
「本物はこっち!」
 背後に回ったサージェの持つ両の短剣の一撃が『チーフメイド・アレキサンドライト』の背を切り裂き、その体を盛大に吹き飛ばす。

「少しクノイチらしかったんじゃないでしょうか!」
 ふんふーんと鼻歌でも謳うようにサージェは得意満面の笑みを浮かべる。
 くるりとその場で一回転し、ポーズを決める姿は確かにクノイチらしかったが、それはあくまでゲーム世界野でのクノイチのイメージであったことだろう。

 けれど、そんな事はいいのだ。細かいことである。
 重要なのはサージェが嘗て思い描かれたクノイチという概念を元に生まれた存在であるということ。
 人の思いが結実した存在である彼女が、そのように振る舞うことこそ、世界のための戦いになるのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
そういえば「お嬢様」は1度倒したな…ま、企みは阻止させて貰おうか…
…確かこの森にはエルフ以外に対して惑いの力が働くのだったね…
…通信機を渡しておくからこれで合図したらほんの数秒だけ惑いの力を強めることは出来るかな…?

…地形を利用して銃弾を防ぎつつ…森の奥へと引き込みながら術式装填銃【アヌエヌエ】で応射しよう…
…砕けた木々や土煙で視界が悪くなり始めたらエルフ達に合図…惑いの力を一時的に強めて貰って…敵がこちらを見失うそのタイミングで心理隠密術式【シュレディンガー】を起動…
…こちらの位置を把握できない間に【慈悲深き死神の手】で急所…または腕を抉り取ろう…防御出来なければそのUCの意味も無いからね…



 猟書家『プリンセス・エメラルド』の目論見は世界を跨いで侵攻しているのだろう。
 それはアックス&ウィザーズ世界においても見受けられる。
『チーフメイド・アレキサンドライト』。
 彼女が派遣されたのは『聖なる木』――『アアチュ・アナ』の簒奪と、エルフたちを焼き殺して蘇生することによるオブリビオンの軍勢を手に入れることである。
 その役目を半ばまで達成しておきながら、『聖なる木』は未だ手中に非ず、そしてエルフたちの犠牲もまたない。
 それは彼女にとって、己の忠誠心と奉仕の心をいたく傷つけるものであったことだろう。
「全てはお嬢様のために……!」
 数多の猟兵達の攻撃を受けて、その体は満身創痍である。
 すでに片腕は肩口からごっそりと砕かれ、顔面に入ったひび割れは痛々しいものであったのかもしれない。

 だが、彼女はオブリビオンである。今までも、これからも妥当せねばならぬ敵なのだ。
「そういえば『お嬢様』は一度倒したな……ま、企みは阻止させて貰おうか……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は冷静に瞳を細める。
 彼女にとってオブリビオンとは倒す敵である。
 迷宮災厄戦において現れた猟書家『プリンセス・エメラルド』は一度撃退している。
 オブリビオンとは一度倒しても、再び過去より滲み出る者たちである。
 メンカルが倒した記憶のある『プリンセス・エメラルド』であるが、同時に新たに滲み出た『プリンセス・エメラルド』はまた別物である。
 記憶の引き継ぎのない異質なる者。
 世界を滅ぼすものでしか無いのだ。
「これ、通信機。これで合図したら、手はず通りに」
 メンカルはエルフたちに通信機を手渡す。機械を使うことになれていないエルフたちであっても、合図はわかるだろう。
 それに神秘、不可解なものへの順応力が高いのがエルフたちである。メンカルの申し出に彼等は頷く。

 メンカルは一人『チーフメイド・アレキサンドライト』へと対峙する。
 すでに『エルフの森』の一部は焦土の如き惨状になっている。開けた場所よりも、樹木茂る場所のほうがメンカルにとっては都合がいい。
「猟兵……! 貴方達がお嬢様の前に立ちふさがるというのなら!」
『掃除』しなければならない。
 そのために『チーフメイド』がいるのだから。彼女は駆ける、メンカルを排除せんと駆けるのだ。
 その瞳は未だ猟兵を打倒することを諦めていない。何一つ諦めていない。
 だからこそ、その執着を利用するのだ。

「……今」
 短くメンカルがエルフたちに合図を送る。
 瞬間、森の魔術の力が強まり、迷い、惑わせる幻惑の力が『チーフメイド・アレキサンドライト』を襲う。
 だが、彼女にとってそれは一蹴する程度のものでしかなかった。それでもメンカルにとって、その一蹴する間すら貴重であった。
 心理隠密術式『シュレディンガー』によってメンカルはいながらにして、その存在を隠匿する。

 そこに存在しているという認識をずらし、『チーフメイド・アレキサンドライト』の視界から消え失せたのだ。
 それこそがエルフたちに助力を乞うて二重に張り巡らせた罠である。
「空なる孔よ、開け、閉じよ。汝は切削、汝は虚現。魔女が望むは世界切り取る虚空の手」
 その詠唱は、『チーフメイド・アレキサンドライト』の敗北への一手にして、慈悲深き死神の手(クー・デ・グラース)である。
 メンカルの存在を認識できぬ『チーフメイド・アレキサンドライト』へと放たれた空間術式。

 そのユーベルコードは小さく輝く。
『チーフメイド・アレキサンドライト』の胸に穿たれたのは穴であった。
 それは彼女を彼女足らしめている核。
 忠誠心も奉仕の心も、肉体無くば成立しない。どれだけ魂という概念に力が宿っていたのだとしても、その核を削り取られては『チーフメイド・アレキサンドライト』に待つ未来は敗北しかない。

「その赤い腕。こちらのユーベルコードをコピーするものだね。けれど、防御できない物に意味はない……痛みは一瞬にもみたない。さあ、骸の海へお還り」
 一瞬にもみたない刹那の攻防。
 その一手を持ってメンカルは『チーフメイド・アレキサンドライト』の砕け散っていく宝石の如き体を見送る。

 霧散し消えていく体。
 アレキサンドライト。その二面性は唯一人のために捧げられたのだろう。
 その想いは尊ぶべきものであったのかも知れない。けれど、それでも過去の化身が今を食いつぶす理由にはなっていないのだ。
 メンカルは、見送る。その高貴なる思いが、正しく世界に次こそは受け入れられることを願いながら――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月15日
宿敵 『チーフメイド・アレキサンドライト』 を撃破!


挿絵イラスト