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深山に棲む竜

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「だから、見たんだっていってるだろ! 村の近くで、霧の中を飛んでるでっけえ竜を見たんだよ!」
「どうせ何か見間違えたんだろ。この近辺に竜がいるなんて聞いたことがねえ。今日は珍しく霧も深いしな……」
 寒い寒いと手をこすり合わせながら、家の前に立つ髭の男は中へと戻りたそうにしていた。それを引き止めて、若い男は上方の空を指し示す。
 普段なら村の傍まで迫った山際の、雪に覆われて真っ白な風景が見えるはずだが、今日はそれすらも霧に閉ざされてよく見えない。
 その霧中を、悠然と飛ぶ竜の姿が垣間見えた。霧の中から時たま姿を現しては、すぐに霧の中へと消えゆく。現れるたびにその姿は近づいているように見えた。
「ほらほら、だからあんな感じにさ!」
「なるほど、あんな感じにか。――クソ、マジかよ。走れ! 早く皆を避難させるんだよ! 手分けするぞ」
「あ、ああ!」

 ――かの竜は霧とともに現れる。自らが生んだ霧の中を自在に飛び回り、飛来するのだという。故に名を、霧中の暴君『グラドラゴ』といった。
 毒霧に覆われて、村が滅んだのはそれから数刻ほど先の事である。


 枦山・涼香(烈華なる黒狐・f01881)は、集った猟兵たちを微笑んで迎え入れた。そして時間が惜しいと、すぐに状況を説明し始める。
「雪深い北国で、竜に村が滅ぼされる事態を予知しました。あまり猶予はありません」
 村を襲う竜は、村の傍にある山から配下のオブリビオンを引き連れて現れる。竜は霧を発生させてその中を移動するから、移動中を捕捉するのはかなり難事であるという。かといって、村を襲うまで待って討伐するというのは、村の被害が避けられない。
「ですので、竜が配下と合流するところを討伐するのが良いと考えました。こうすれば、予め配下のオブリビオンを倒しておき、そこへ現れた竜を狙うことができます」
 ただし、竜と配下のオブリビオンが合流するのが、村の傍にある山の山頂付近だという難点はある。
 季節柄、山は雪で覆われている。山頂にたどり着くためには、当然雪中行軍をして進む必要があるのだ。
「あまり派手に進んでは相手に気づかれることにもなるでしょうから、その辺りに気をつけて頂く必要もあります。……いえ、隠れながら火を使う程度のことは問題ないでしょうが、大々的に機械を使うとか、雪を吹き飛ばすとか豪快すぎると難があるという話です」
 そうやって山頂付近にたどり着けば、巨木のオブリビオンたちがボスである竜の訪れを待ち受けているだろう。
 うまくいけば、竜が姿を見せる前に巨木のオブリビオンたちを排除することが出来るはずだ。
「今回の依頼は時間との勝負です。とはいえ、無理に急ぐのではなく、如何に体力を温存するかということも重要でしょう。我々が狩らなければならない相手は、竜なのですから。――雪山はそれ自体が恐ろしいものです。くれぐれも慎重に。
 どうか皆さま、雪山という障害を乗り越えて、竜の討伐をお願いいたします」


Oh-No
 こんにちは、Oh-Noです。

●目的
 村に襲いかかってくる竜を、山頂で待ち伏せして倒す。

●シナリオの流れ
 1章:雪山の山頂を目指す
 2章:巨木のオブリビオンたちの排除
 3章:竜を倒してドラゴンスレイヤーになる

●竜について
 普段はさらに奥深い深山の峡谷に住んでおり、飛来する途中で村に近い山の山頂に立ち寄ります。

●雪山について
 雪山にわざわざ踏み入る死にたがりはそうそう居ないので、雪が踏み固められていたりすることはありません。まっさらな新雪が積もった山に分け入り、適宜休息を取りつつ、山頂を目指すことになります。
 山頂付近は比較的平坦で、木なども生えていません。ですので巨木のオブリビオンは目立つでしょう。
 あえて崖を登ることでショートカットを行い時間短縮を狙う、先行して有効な経路を探す……なども考えられるでしょう。

 開始時点では穏やかな天候ですが、山の天気は変わりやすいので吹雪く可能性もあります。どんな天気になる、どんな地形がある等といったことは、プレイングで指定して頂いて構いません。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『雪山行軍』

POW   :    体力勝負で突き進もう。筋肉は裏切らない!

SPD   :    持ち前の技量を生かして、効率的に進んでいこう。

WIZ   :    創意工夫で自然の驚異に打ち勝とう。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》

ゆーきのしーん……なんだったか……まぁ良いかッ!

『POW』に頼ろうッ!ユーベルコードを使用し高らかに叫び……叫んだら危ないな、うん、小声で防御力重視の蒸気機関車系ヒーローに変身ッ!そして【防具改造】ッ!必要以上にズボォッ!っとならないように足部分をかんじき状にしたり【氷結耐性】を発揮出来るようなモコモコアーマーになったり明細効果を発揮出来るように白くなったり……なんかビックフットっぽくなってしまった……がまぁ良いかッ!【属性攻撃】の熱属性で雪を溶かしつつ登っていくぞッ!地図はゴーグルに投影するが迷わないかは運次第だッ!

「冬の山は魔物……すなわちオブリビオンッ!」



「ゆーきのしーん……なんだったか……」
 まっさらな雪を前に、四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)は首をひねった。
「……まぁ良いかッ!」
 忘れてしまったということは、きっとそんなに大事なことではないのだ。
 さて、問題は如何に進むべきか。ここは体力に物を言わせるべきだろう。
「ならば気合だッ! 声高に技名を叫べば、それだけ気合も入る……が、叫んだら危ないな、うん」
 大きな音が雪崩を引き起こすというのは迷信だとは言うものの、オブリビオンに気づかれたり、飢えた肉食獣を呼び寄せる羽目にはなるかも知れない。
「……来たれマイボディっ」
 ささやくような声で、綴は蒸気機関車系ヒーロー、『勇蒸連結ジョウキング』へと変身を遂げた。
 いや、それだけでは終わらない。さらに変身は続く。
 ブーツの周囲が大きく広がって、底面積を増した。
 ――これで荷重が集中して雪中に埋まる心配はない!
 装甲が膨らんで、その内に空気層をたっぷりと取り込めば防寒対策はバッチリだ。
 ――これで低温で蒸気圧が下がることを恐れることはない!
 最後に全体の雰囲気が白を基調とした迷彩柄になった。
 ――これでこの一面の雪景色の中、簡単に見つかることはない!
「……しかし、これではビッグフットのようだな」
 脳裏に思い浮かんだUMAの姿と今の自分が相似形な気もするが、性能を追求した結果だ。綴は割り切って、さっそく登山に挑むこととする。
 ゴーグル内に投影された地図は参考程度に、迷うかどうかは結局運次第だと豪快に笑った。
「冬の山は魔物……すなわちオブリビオンッ!」
 プシューッ!
 マフラーから蒸気を吹き上げて、綴は雪の中へと駆け出してゆく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜・吹雪
村を襲うのは必ず防がねばなりませんわね
雪中行軍は経験がございませんが…ない、はずですけれど?(雪景色をみながら既視感に首をかしげ
急ぎで参りましょう

探索者として周囲の地形の観察は厳に行いますわ
雪深く歩きづらい箇所は、SPDユベコにて仮の足場を創りましょう
樹木がある場合は、鋼糸で枝の上に登り、枝伝いに移動してショートカットを試みますわ
崖や岩場がある場合は、鋼糸で同様に引っかけられる箇所を探し、時短を目指しましょう
雪中行軍ですので音はあまり気にならないかもしれませんが、【忍び足】で敵から発見されないよう行動を試みますわ
他の猟兵のかたの為、樹木等に矢印を刻んで参ります
皆様ご無事だと宜しいのですが



 ただ白く覆われた世界を前にして。
 桜・吹雪(主を求めて三千世界・f09844)は、白い息を吐き出した。
「寒い……ですわね」
 雪に埋め尽くされた中を進むような経験はないはずだ。ない、はずなのだが……。
「どうしてでしょう、はじめてな気がいたしませんわ」
 視界いっぱいに映る、雪に覆われた森林。記憶の片隅に朧気に転がっている何かと重なり合う気がしたけれど、焦点は合わず曖昧なままだ。
「いえ、いまは急ぎませんと!」
 なんだかすっきりしない気持ちを抱えてはいるが、時間は限られている。吹雪はまっさらな雪の中へと踏み出した。
 立派な枝へと鋼糸を絡ませて、振り子のように樹上へと自らを投げ上げる。枝にもたっぷりと雪は積もっているが、地上を進むよりは幾分マシだろう。しなやかな枝をしならせてバネに使い、多少離れた枝にも飛び移って進む。
 ところどころで枝を折り、十字にするなど人の手を加えて目印を作った。いまは晴れているから問題はないだろうが、吹雪いたときに後をくる猟兵たちの役に立つ……かもしれない。
 崖や岩場も鋼糸を器用に使って登っていく吹雪が残す道が、どうしたって高難易度になるのは否定し難いことであった。
「……皆さまがご無事だと宜しいのですが」
 枝の上に立った吹雪が幹を掴んで背後を振り返っても、視界は白いばかりで猟兵たちの姿は見えない。
 皆がうまく雪山を踏破することを祈り、吹雪は山頂を目指す。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペネトレータ・ピアース
できれば他の猟兵さんと協力したいですわ

竜なんて本でしか見たことありませんの
槍のお稽古よりずっと面白そうって思ったけどさすがに寒いですわね
防寒にマントをつけてきて正解でした

山頂まで距離がありそうですし強風が吹けば体力が奪われますから横穴で休憩するのがいいでしょう
でもブリザードが吹いて横穴がない時は危険ですわ
UCアースジャイアント召喚
巨人と【怪力】の【トンネル掘り】で素早く横穴を掘ります

穴掘りは体力を消耗するでしょうから横穴で十分休んでから登山を再開します
掘った横穴はこれからここを通る方の休憩所にもなるでしょう

皆で命がけの楽しい遠足なんて素敵
お菓子でも食べてじっくり計画しつつ進軍ね

アドリブ歓迎


シエル・マリアージュ
雪山登山の経験はほとんどないので、他の猟兵と協力して山頂を目指します。
寒さ対策に厚手の衣服に防水の外套などで防寒はしっかりと、新雪に足をとられないようにかんじきを履いてストックで足元を確認しながら進んでいく、【第六感】で嫌な感覚を感じたら足を止めて【視力】【聞き耳】で周囲に危険がないか状況を確認してより慎重に進むようにします。
体力に自信はあるけど、余裕をもって行動するのと他の猟兵を気遣って定期的に休憩、出来るだけ風が避けられる場所を見つけて、保温水筒に入れた暖かいお茶とチョコやドライフルーツをドラゴンランスの小竜キルシュや他の猟兵と分け合いながら休憩します。
「さて、もうひと頑張りだね」


ポノ・エトランゼ
わあ、まっさらな雪なのね
陽光に反射してキラキラしてる様に目を奪われそうだけれど、気を引き締めていかなきゃ

【用意する物】
服・靴は確りと雪山装備
アイゼン、ワカン、ピッケルなど
事前に山の地図を村で手に入れておきたいわね
狩猟小屋とかの大体の位置把握のために、ね

SPD行動
晴れているうちに『小鳥型サーチドローン』で周囲を探査してみるわ
敵に見つからないよう【目立たない】を使って【情報収集】
吹雪いた時に避難できる岩場、狩猟小屋などが分かると良いわね
良い経路が見つかるかも。ルート選定は皆さんに任せたいわね

って、やっぱり吹雪いてきた…!
【オーラ防御】で寒さが凌げるかしら…うう、顔がつべたい…

連携・アドリブ歓迎


火狸・さつま
【POW】
雪山登り…


しっかり雪山トレッキングの装備を整えた恰好で
スノーシュー装着
場所によってはアイゼンに切り替える
ピッケルも装備

登り始めは汗冷えを考え厚着し過ぎず
寒くなってきた時用の防寒具はリュックへ
状況に合わせてこまめに脱ぎ着
手袋や靴下の予備も忘れなく
バラクラバとウィンターゲイター、ゴーグルで凍傷・雪目対策

ジャケットの内ポケットやリュックへカロリー高めの行動食
休憩出来る場所があればとしっかり食事の一式もリュックに
水は凍結しないよう山専用ボトル
予備の登山用ウォーターキャリーはリュックの中へ
低体温症対策も万全に

他の仲間達を見掛れば助け合う
状況により臨機応変に対応



最終手段:雪山に強い冬毛狐姿に変化



「わあ、まっさらな雪なのね。おひさまに照り映えた雪が、キラキラと輝いて素敵ね」
 誰も足を踏み入れていない雪原を前にして、ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)は感嘆のため息を漏らした。
 陽光の下で輝く景色に目を奪われているけれど、その準備に抜かりはない。服も靴も雪山向けだし、必要な登山用具もバッチリと揃えてきている。
 それはポノだけではない。火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)や、シエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)も同様だ。
 さつまはやや軽装に見えたが、背負ったリュックサックの中に追加の防寒具を収め、寒くなってこようとも対策済み。いまの服装は陽光が照っていることを考えて、汗冷えしないためのチョイスだった。上背もあるから、日焼けした肌と大きな荷物が相まって、まさに山男といった姿で様になっている。
「雪山登り……」
 ぼんやりとした視線で山頂を見つめ、気負いなく歩き出そうとしたさつまに、シエルが声を掛けた。
「わたし、雪山登山の経験はほとんどないの。よかったら、協力して山頂を目指さない?」
「……ああ」
 シエルからの提案に対し、さつまは曖昧に頷く。
「なら、私もついて行っていいかしら。ほら、狩猟小屋の位置も調べてきたからきっと役に立つし。あ、あなたも一緒に行きましょう?」
「ええ、ぜひわたしもご一緒させてほしいですわ」
 ポノが近くに居た小さなドワーフの少女、ペネトレータ・ピアース(ノーブルホーン・f14233)を誘って合流し、4人組となった猟兵たちは雪山へと足を踏み入れた。

 いまは穏やかに晴れているが、いつ天候が悪化するかわからない。ドローンを飛ばすなら今のうちだと、ポノは青い小鳥型のサーチドローンを先へと進ませる。
「……」
 その間も、黙々と歩みを進めるさつまを先頭にして一列になり、一行は雪深い斜面を行く。
 ペネトレータは、前を歩くシエルが肩に乗せている小竜キルシュを見て、この雪中行軍に参加した目的を思い出した。キルシュは竜騎士の槍に変身する小型のドラゴンだが、山頂で待ち構えるオブリビオン、『グラドラゴ』は立派な体躯の竜だという。
「大きな竜だなんて、本でしか見たことありませんの。槍のお稽古より、竜と戦うほうがずっと面白そうって思いまして来たのですが」
「うん、何かあった?」
 シエルはストックで足元を確かめつつ慎重に歩みを進めながら、合いの手を入れる。
「当たり前なのですけれど、雪山は流石に寒いですわね。防寒に暖かいマントをつけてきて正解でした」
「そうだね。天気が悪くなったら、もっと寒くなるよ。今のうちにできるだけ進みたいところだけど」
「残念だけど、悪いニュースだわ。少し風が出てきたみたいで、荒れそうよ」
 偵察に出していたドローンからの情報を受けて、ポノは肩をすくめた。
「そう、この付近に休めそうな場所はある?」
「小屋はないけれど、少し進んだ先に岩場があるわね。そこでやり過ごせる場所を探すのが良さそうよ」
 シエルとポノが相談して、即座に対応を決めていると、いつの間にか先頭に居たさつまが振り返って、女性陣を見下ろしていた。
「……行動食を取っておいたほうがいい。持ってる?」
 内ポケットから取り出した高カロリーの食料を手に、皆へ尋ねる。
「お菓子ならありますわ」
「防寒具も今のうちに準備。終わったら、行こう」
 訥々とかたるさつまの言葉にうなずいて、猟兵たちは悪天候に備えた。

「って、やっぱり吹雪いてきた……! うう、顔がつべたい……」
 雪を運ぶ冷たい風が容赦なく、ポノの身体を舐めていく。
「みんな、大丈夫? ……岩場には着いたけど、いい感じの穴とかないかな?」
 シエルは皆をいたわりながら、周囲の様子を探っていた。できれば、皆が風から身を守れるだけの場所があれば良いのだが……。
「……ここなら?」
 さつまが示した場所は、浅い横穴だった。小柄なメンバーならともかく、さつまにはどう見ても狭そうである。
 そんなさつまの横に、腰ほどまでの身長しかないペネトレータが並び立った。
「ここはわたしに任せてくださいませ」
 そう言って、ペネトレータがユーベルコードで呼び出したのは、大地の巨人だ。巨人といっても、さつまより少し高い程度の身長ではあったが、怪力を発揮する小さな主と共に、猛烈な勢いで穴を広げ始めた。
 まさにドワーフたるペネトレータの面目躍如といったところか、トンネルを掘る確かな技術を以て、あっという間に穴が広がっていく。
「……こんなものでしょうか?」
 ペネトレータは汗を拭い、巨人を外に出して土塊に返した。
「これなら十分に吹雪を避けられそうね!」
 早速ポノが奥壁に身を預けて、広さを確かめるように腕を広げた。
「……助かる。なら次は、食事」
 さつまも身をかがめて穴に入り、リュックサックからしっかりと食いでのある食事や、水を入れたボトルを取り出している。
「吹雪が収まるまで、ゆっくり休みましょう。わたしも体力を消耗いたしましたし」
「ペネトレータさん、ありがとう。これ飲んで、温まってね。よかったら他のみんなも」
 小さな器にキルシュ用の食事を取り分け終えたシエルは、片隅に腰を下ろしたペネトレータに温かなお茶を勧めた。
「どういたしまして。皆で命がけの楽しい遠足なんて素敵ですもの。今も楽しんでますわ」
 マグを受け取ったペネトレータは気高く微笑む。
 山頂までは、あと少し。猟兵たちは吹雪を避けて、もうひと頑張りするための英気を養うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゼット・ドラグ
「雪山か。義肢の接合部が凍らないようにしないとな」
寒冷地仕様の義肢と特製の不凍液をスプレーして準備万端の戦闘狂。
【ネージュ・ローラン】と一緒に参加。
ワンダレイ機械化歩兵部隊でロボット軍団を召喚し、俺とネージュを囲んで雪避けに使う。
登山のルートはネージュに任せ、進む方向の雪をギガンティックハンドでかき分けながら進む。
崖を上る際は、右手は少し危ないので左手を出す。
休息をとる場合、もう一度義足の接合部を不凍液でスプレーする。
「腹減った」


ネージュ・ローラン
ゼットさん(f03370)と参加します。
今回はスピード勝負、崖から一気に攻めますよ。

丈夫な長いロープを沢山用意しておきます。
崖下に着いたら、まずはわたしが【スカイステッパー】で先行し、崖の窪みを探してルートを見つけましょう。
そこからロープを使用し、ゼットさんが登りやすいようにします。
上がってきたら【手を繋いで】引き上げます。

これを繰り返して登っていきますが、特に深い窪みがあったなら、精霊魔法で火を起こして少し身体を休めましょうか。
天候は悪化していますが頑張りましょう!
【鼓舞】しながら山頂を目指します。

あ、クッキー要ります?



「ゼットさん、準備は大丈夫ですか?」
「任せてくれ。義肢もきっちり寒冷地仕様で用意してきたし、接合部の凍結対策もバッチリだ」
 心配そうに話しかけてきた、ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)へ、ゼット・ドラグ(竜殺し・f03370)は右手の親指を立てて返す。
「こちらもロープの準備はしっかりしてきました。今回は、スピード勝負。最短コースで崖から一気に攻めますよ」
「ああ、崖まではきっちり送ってやるから、その後は任せるぜ。――さあ、お前ら出撃だ!」
 ゼットの呼びかけに応え、大柄なロボットで構成された、ワンダレイ機械化歩兵部隊が姿を現した。
 ロボットたちは、ゼットとネージュを取り囲むように三角形の陣形を取り、雪をラッセルして進んでいく。
「ネージュ、目的地はどっちだ?」
「ちょっと待ってくださいね……、あっちのほうですね!」
 時々ネージュがスカイステッパーで空に駆け上がり、遠くを見渡して進むべき方向を見定めながら、そそり立つ崖へと距離を詰めていく。
 やがて崖下まで到達すれば、ロボットたちの役目は終わりだ。ワンダレイへと部隊を返し、崖の登攀に備えた。
 ――此処から先は、ゼットとネージュのコンビネーションがものを言う。
「じゃあ、行ってきますね!」
「気をつけろよ」
 肩に巻いたロープを掛けて、ネージュはスカイステッパーを使い崖を登っていく。空を飛ぶことは出来なくても、一時身体を預ける場所さえあれば、どこまでも登っていける。……とはいえ、ロープの長さに制約はあるから、ほどほどの高さで身を置ける場所を探した。
 ちょうどよく生えていた木の幹から雪を払い、ロープを結わえ付ける。
「ゼットさーん、ロープを下ろしますね!」
「ああ、いいぜ。頼んだ!」

 ロープを頼りに登ってきたゼットは、最後にネージュへと左手を差し出した。ネージュはその手を掴み、窪みへと引き上げる。これをすでに数度繰り返し、2人は崖の中腹へと至っていた。
 体力的にはまだ進めそうだが、天気も少々悪くなってきているし、この窪みはスペースもある。
「少し休憩していきませんか?」
「そうだな……、そうするか」
 余裕のある内に休むことにして、ネージュは精霊魔法で火を起こした。
 ゼットは火の傍らで、念の為、義肢の接合部へと不凍液を再度スプレーしている。
「あー、腹減った」
「あ、これ食べます?」
 ぼやいたゼットには、ネージュが差し出したクッキーがありがたい。クッキーを分け合って、暖を取りながらしばし身体を休める2人だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミケーレ・カローネル
【POW】
雪山の山頂を目指すらしい。
細かいことは苦手だからな、真っ直ぐ進ませてもらうとしよう。

進んだ先に障害物があれば、それは乗り越える。
崖があるってんなら、登攀してやろう。
剣をピッケル代わりに、回り道するよりは早いだろうからな。

吹雪が強くなってきたようだ。
これ以上酷くなる前に、近くの岩壁なんかの遮蔽物を利用して、火を焚いて休憩がてらやり過ごそう。
一応、無理と無謀の違いが分かる程度の分別はついている。
自然を侮っちゃ、痛い目を見るのは己だからな。

大体、何で雪山なんかに集まったんだ。
もう少しばかり環境のいいところに行けってんだ。
寒いのは、苦……いや、これも鍛錬だと思えば。



 目指すべきは山の山頂。そこへ至る道はきっと様々あるだろうが……。
「真っ直ぐ進めば、いずれは着くさ」
 細かいことが苦手だと自覚するミケーレ・カローネル(人間のバーバリアン・f11191)は、とてつもない潔さで雪中へ足を踏み入れた。

 眼前に崖が現れたなら、否応なくただ登る。逆手に握った剣がピッケル代わりだ。岩の隙間に剣を差し入れて、腕力に物を言わせて己の身体を引き上げた。
 どうにか崖上に到達して、岩に手をつき深く息を吐いた。登っている間は必死で気づかなかったけれど、すこし吹雪いてきたようだ。
 ――登攀中を吹雪にさらされなかったのは幸運というべきか。この幸運を無駄にしないために、吹雪をやり過ごす場所を探さなければ。
(「……一応、無理と無謀の違いが分かる程度の分別はあるつもりだ」)
 自然を侮れば、後悔するまでもなく、自分の身へと直接的に苦難が降り掛かってくる。森を故郷とするミケーレは、そのことをよく知っていた。
 自分一人には十分な大きさの岩穴に身を隠し、火を起こす。
 火に当たりながら荒れる外を見ていると、余裕が生まれたのか、ふつふつと愚痴が湧いてきた。
(「大体、よりにもよって何で雪山に集まるんだ。もう少し環境の良いところに集まるとか、いっそ雪解けまで待つとかしろってんだ」)
 益体もないことはわかりきっていても、考えずにはいられない。そもそも、だ。
(「寒いのは、苦……」)
 待て、言葉にしたら負けな気がする。
(「いや、これも鍛錬だと思えば」)
 悶々としながら吹雪をやり過ごし、ミケーレは岩穴を出た。

 再び、山頂を目指して直進を続け、折を見て休憩を取ること数度。
 その繰り返しの果てに、ミケーレは視界が開けた場所へと出た。そこでは何体かの巨木が方々で蠢いている……。探すまでもないと聞いていたとおりに。
 あれが巨木のオブリビオンなのだろう。周囲には、すでにたどり着いていた猟兵たちの気配も感じた。
 ミケーレは、腰の剣へと手を伸ばす。
 ――さあ、狩りの始まりだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『荒ぶる山神』

POW   :    握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シエル・マリアージュ
「巨木が相手なら、これで」
淡々と呟き、背負った聖硝剣アーシュラを構える。硝子のような刃に【属性攻撃】で炎を纏わせ、その刃から【衝撃波】を放って邪魔な枝葉を【なぎ払い】ながら巨木に攻撃を仕掛ける作戦、そこに更なる一手。
「影なるものよ、我に仕えよ」
影から実体化させ遠隔操作する2本目のアーシュラと【2回攻撃】で手数を増やし、荒ぶる山神に挑みます。
もちろん防御のことも考え【残像】や【フェイント】で敵を惑わせながら立ち回り【戦闘知識】で敵の攻撃を【見切り】ながら戦いますが、雪で動きが悪いようなら剣の衝撃波で勢いをつけた【ジャンプ】や遠隔操作したアーシェラを足場にするなどして敵の攻撃を避けるようにします。


火狸・さつま
【POW】
立ち位置や戦況により臨機応変に対応
他の仲間達とも声を掛け合い連携をとり立ち向かう


【先制攻撃】狙う
『ちょいと遊ぼうか』
トンッと足踏み鳴らせば
足元より出でて飛び掛かる炎の仔狐
【燐火】にて【範囲攻撃】


敵からの攻撃は【見切り】にて避けるか【オーラ防御】にて防ぐ
受けたダメージは【激痛耐性】にて凌ぎ
燐火と雷火にて【範囲攻撃】


窮地に陥り、味方共々危ない場合【捨て身の一撃】を繰り出す


ペネトレータ・ピアース
他の猟兵さんと協力します

やっと実戦ですのね
血が滾りますわ、じゃなくて皆様気をつけて戦いましょ

【pow】で推して参ります
手袋の力で重槍ジャベリン、戦斧トマホーク、大剣パトリオット召喚
接近される前に【怪力】の【投擲】で粉砕してあげましょう

「握り潰す」のがお得意なようですわね
わたしや近くの味方へ掌が接近したらタイミングを合わせて砲弾トライデントを召喚
代わりに握って頂きましょう
火薬が炸裂する【衝撃波】で体勢が崩れたところを【怪力】で突き飛ばします
ここがチャンスですわ
【槍投げ】のUC、「ペネトレーター」で射線上の敵をまとめてお相手しましょう

射線を開けなさい、脳天貫いてやる…差し上げますわ!

アドリブ大歓迎


ポノ・エトランゼ
竜が訪れる前に、倒してしまいましょう!

主な立ち回りは仲間の援護
声掛けも意識して、助力に努めるわね

SPD活用
矢が突き刺さっても平然としていそうな敵ね…
エレメンタルロッドを持って魔法で【援護射撃】をしていくわ
扱うのは「氷」の【属性攻撃】
【地形の利用】を使い、巨木の脚と地面をくっつけるような凍る魔法攻撃をしてみるわ
敵の動きを阻害して、皆さんの攻撃を援護するの
敵の「踏み潰す」攻撃にも対応できたらいいな、と思っているわ
敵攻撃は頑張って見切って回避!

千里眼射ちをする機があれば、地団駄する直前を、弓矢で狙ってみるわね
上手く転んでくれないかしら

適宜、敵に氷の塊をぶつけて攻撃もしていくわよ

連携・アドリブ歓迎



「竜が訪れる前に、倒してしまいましょう!」
 声を潜めて、ポノは仲間たちに告げた。まだ竜が現れていない今が最大のチャンスである。……竜が現れるまでに巨木のオブリビオンたちを倒せなかったら、なんてことは想像したくもない。
「やっと実戦ですのね。血が滾りますわ……ではなく、皆様気をつけて戦いましょ?」
 ペネトレータは勢い込んで本音が漏れそうになったが、すんでのところで己の高揚を隠して皆に呼びかけた。
「ああ。――ちょいと遊ぼうか」
 さつまは足を踏み降ろし、雪原を軽く叩く。すると、可愛らしい子狐の姿をした蒼炎が現れた。
 蒼炎の子狐は触れる雪を蒸気へと変えて、さながらジェット噴流のように振りまきながらながら、大地を走る。巨木のオブリビオンたちに近づいたところで、子狐としての姿が揺らぎ、弾けて飛んだ身体が蒼炎の火種となって周囲のオブリビオンたちを燃やす。
「――!」
 攻撃を仕掛けられた巨木たちは、こちらの存在に気づいた。巨木たちは振り向き、その太い足を雪原に叩きつけ、猟兵たちへと距離を詰める。
 巨木たちの動きは緩慢だが、一歩が大きく、移動速度自体はけっして侮れるものではない。
(「ちょっと矢が突き刺さったくらいじゃ、平然としていそうな敵ね……」)
 そう考えたポノは、エレメンタルロッドを握りしめた。敵の姿を睨みつけ、ロッドに魔力を通すと、魔力が凍結の魔法となってロッドの先から迸る。
 狙いは、雪原を踏みしめる巨木の足元だ。炸裂した魔法は、ただでさえ寒い大気の温度をさらに低下させ、足元の雪を一塊に凍結させた。
 ――ボゴッッ。
 だから持ち上げた足に、塊となった大量の雪が付き纏い、巨木はかなり動きにくそうにしている。
「いい的になりましたわね」
 ペネトレータが右手に嵌めた手袋の人差し指が輝き、いかにも重々しい大型の槍が召喚されて宙に現れる。そのまま落ちる槍を右手で逆手に掴み取ったペネトレータは、腰を捻り、小さな身体をいっぱいに使って槍を投げ放つ!
 続けざまに戦斧、大剣と投げ続け、巨木が寄ってくる間にその幹を傷だらけにし、白い生木をさらけ出させた。
 さつまもまた、その身に刻んだ刻印を発動させる。すると、暗い色をした尻尾全体に紋様が広がり、時折弾ける黒い雷光を纏う。
「――燃えろ」
 雷光が弾ける間隔が急速に短くなり、膨れ上がった雷光は、一筋の黒い稲妻として雪原を奔った。一体の巨木が撃ち抜かれ、焦げ臭い臭いが漂う。

 接近する間に散々攻撃を浴びた巨木たちだが、見た目通りのタフさぶりを発揮して、脱落者はまだいない。
 目前まで迫った巨木を前に、シエルは聖硝剣アーシュラを構えた。透き通った刃が、炎の魔力を帯びて真紅に染まっている。
「巨木が相手なら、これで」
 感情を乗せずつぶやき、直接は刃が届かぬ間合いであることを承知で聖硝剣を振り下ろす。生み出された衝撃波が巨木を撫ぜて、その枝葉を散らした。
 続けざまに、力ある言葉を唱える。
「影なるものよ、我に仕えよ」
 すると聖硝剣が雪原に落とす影から、もう一本の黒き聖硝剣が現れいでた。空を飛び、回転して斬りつける黒き聖硝剣とともに、シエルは巨木に接近戦を挑む。
 雪に足を取られるのを避けて、雪原へ向けて斬撃を放つ。飛び散った雪を目隠しに、生まれた衝撃波を推進力として飛び上がり、勢いをつけたシエルは聖硝剣の斬撃で枝の一本を斬り落とす。
 敵はこちらの位置を掴めていない。その隙に太い枝を、自らが振るう聖硝剣と黒き聖硝剣で挟み撃ちにし、両側から食い込んだ斬撃で斬り飛ばした。今度は相手の幹自体を足場にし、宙へ飛んで反撃から逃れる。
「――別の敵の掌が迫っておりますわ!」
 ペネトレータは手袋の小指を輝かせながら叫んだ。一体の巨木とやりあっている間に、接近されてしまっていたようだ。
 宙に浮かんだままのシエルには逃れるすべがないと思われたが――、自立して動く黒き聖硝剣を足元に寄せる。その刀身を足場にして跳ぶことで、反動で二方向に別れて回避した。
「いいですわね、代わりにこれを差し上げますわ!」
 ペネトレータは召喚に応じ現れた砲弾を、てのひら目掛けて投げつけた。シエルを握りつぶそうとした掌は、代わりにペネトレータが投げた砲弾を握りつぶし……、爆炎が視界を赤く染める。
(「ここがチャンスですわ」)
 爆炎の中に突入したペネトレータは、小さな腕を巨木の幹へと叩きつける。身の丈からは想像できない怪力で、巨木は傾いだ。
 すぐさまペネトレータは重槍を召喚する。
「射線を開けなさい、脳天貫いてやる……差し上げますわ!」
 全力で放り投げられた槍は巨木へと突き刺さり、大穴を開けて突き抜けて、さらに後方へと突き進んでいく。
 巨木が弾けて消えた後にはただ、雪原上に一筋の長く続く痕が残っていた。

 他方では、さつまが間合いを詰めてきた巨木と向き合っている。
「……ぐっ」
 振り下ろされた枝を交差させた腕で受け、さつまは声を漏らした。体重を載せた重い一撃だったが、腕に纏ったオーラで衝撃を分散させて凌ぐ。
 けれど、雪原に打ち込まれた形になって、雪に突き刺さった足が抜きにくい――。
 動きが鈍ったさつまを踏み潰そうと、巨木が重心を傾けた。
「させないわよ!」
 すかさずポノが凍結の魔法を放った。再び巨木の足へと雪が纏わりつき、容易には足を上げさせない……!
 僅かな間に雪中から抜け出したさつまは、蒼炎の子狐を呼び出して反撃に転じた。蒼炎の子狐が飛び跳ねた枝が燃え上がり、巨木が炎に包まれる。
 炎に視界を閉ざされた巨木は、枝を伸ばしてひとしきり乱雑に振り回した。
「――危ないわね」
 ポノは大きな風切り音を立てて迫る枝を見切り、ロッドを振るった。今度放ったのは凍結の魔法ではなく、魔力で生み出した巨大な氷塊だ。
 氷塊はその重さと勢いで、燃えて脆くなった枝を叩き折る。

 ここまで共に雪山を登ってきたことで息があっていたか、巨木を引きつけた4人は順調に攻撃を積み重ね、巨木の数を減らしていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミケーレ・カローネル
木には神や精霊が宿るってのに、こいつらは何がどうなってこうなってしまったのか。
流石においたが過ぎる、ということで退場してもらうとしよう。

俺も1体でも多く倒せるように尽力しよう。
相手が間合いに踏み込むまでは【力溜め】で本格的な衝突に備える。
射程圏内に巨木が入れば斧で思い切り薙ぎ払ってやろう。
倒れるぞー、とは良く言ったものだ。

相手が【握り潰し】を行った場合、避けるのは難しいだろうか。
掴まってしまった際は致し方ない、【怪力】で抵抗、若しくは脱出を試みる。

相手が複数体近付いてきた場合は【グラウンドクラッシャー】を使用し、足場を乱し、体勢が崩れたところを攻撃していこう。
雪崩が起きたら……済まない。


ミカエラ・チャーチ
寒いのは得意じゃないけど、
戦の空気に体が凍りつくほど
腑抜けなわけでもないからね
巨木の化け物なんてお誂え向き
きっちり倒して薪にしてやるわ

まずブラッド・ガイストで武器を強化
あたしの血を飲んで高揚するなんて可愛い鶴嘴ちゃんだこと
飲んだ分はしっかり働いて貰うからね
敵の動きを観察して出来るだけ有効打を喰らわないように
上手に躱しつつ接近してひたすら鶴嘴を叩きつけ続けるわ
シンプルなやり方が一番あたしに合ってるの
それに、十分効果的でしょ?

雪に足を取られないように気をつけて
他の猟兵の人とも叶う限り協力するわ
寒いけど頑張ろって励まし合ったり危ないよって敵の動きに注意喚起したり、いろいろね


*アドリブや連携大歓迎!


四軒屋・綴
《アドリブ改変絡み歓迎》

ウォオオUMA舐めんなァッ!

場所的に考えてアイツは氷、そして草、的なタイプッ!すなわち炎四倍ッ!(UMA程度のIQ)

蒸気機関車型装備を両腕に装着して【一斉発射】ッ!味方がいれば【吹き飛ばし】で敵の手足を弾いて味方への【援護射撃】としつつ【属性攻撃】の熱属性で燃やすッ!どうだ暖かくなっただろうッ!

敵の攻撃を【スライディング】で回避、もしくは攻撃の隙を狙って【ダッシュ】ッ!その図体では回避も出来まいッ!ユーベルコードで伐採するッ!



「いたわね。まったく見つけやすい図体だこと」
 雪山を進み、ここまでたどり着いたミカエラ・チャーチ(幻灯窟の獣・f14223)は、寒さで血色の引いた唇の端を釣り上げる。
 巨木のオブリビオンたちは、枝を揺らし蠢いていた。山神だとは言うが、不気味な存在である。
「年経た樹木には、神や精霊が宿るもんだろ。だってのに、何がどうなったらこうなるってんだ」
 ミケーレはその姿を見てぼやく。
「挙げ句人里を襲うってんじゃ、流石にオイタが過ぎる。退場してもらうしかないな」
「そうね、ちょうど暖を取る薪も欲しかったし、真っ二つに叩き割ってやろうかしら」
「そりゃあいい。自然を無駄にしないってのは大事だ」
 益体もないことを言い合って、ミケーレとミカエラは笑った。
 そのとき、ちょうど別の方向から猟兵たちが仕掛けたようだ。何かが爆ぜるような音とともに、巨木たちに緊張が走った。
 ここが仕掛けるチャンスだろう。頷き合い、武器を構えた二人だったが、その前を蒸気をたなびかせ爆走していく姿が通り過ぎた。
「ウォオオ、UMA舐めんなァッ!」
 雪に溶け込む迷彩に(これだけ派手に動いていればあまり効果はないが)、膨らんだ身体。雪山に最適化した、綴その人であった。
「こんな場所にいることから考えてアイツは氷、そして風貌からして草、的なタイプッ! すなわち炎四倍ッ!」
 両腕に装備した、巨大なガジェット。見る人が見れば、それが蒸気機関車を模したものだとわかっただろう。
 その二両が揃って綴の腕から飛び出した。煙突から景気よく蒸気を吐き出し、オーバーヒートしているかのように赤熱に車体を染めた二両は、宙を疾走して巨木の幹へとぶち当たり、その重い身体を吹き飛ばすと同時に、高熱で巨木を炙る。
「どうだ、暖かくなっただろうッ!」
 指を突きつけて吠える綴を横目に、ミカエラは鶴嘴を肩に担いで飛びかかる。
「まったく、派手に仕掛けたものね。こっちもいくわよ、鶴嘴ちゃん」
 ミカエラの掌からこぼれ落ちる血で柄を赤く濡らした漆黒の鶴嘴は、血を受けて封印を解放し、もっとよこせとばかりにミカエラの手へと蝕手を絡みつかせた。
「あたしの血で高揚するなんて、ほんと可愛いわ。飲んだ分だけ、しっかり働いてもらうからね!」
 どくんどくん、と蝕手を鼓動させる鶴嘴を遠心力を乗せて水平に振り回し、鋭い鉄の切先を巨木の幹へと叩き込む。振るわれる枝をかい潜り、突き刺した切先を抜いた勢いで逆回転、そのまま今度は逆の切先を幹へと叩き込んだ。
「地味かもしれないけど、シンプルなやり方が一番あたしにあってるの」
 突き刺した切先を軸に回転して、相手の裏へと抜ける。今度は真上から鶴嘴を振り下ろし、樹皮を縦に深く斬り裂いた。
「それに、十分効果的でしょ?」
 黒い鶴嘴を斜めに構え、ミカエラは妖艶に微笑んだ。

 綴とミカエラを脅威と認識したのだろう、周囲の巨木たちが2人を取り囲むように動く。
「一度、散らすぞ。……雪崩が起きたら、すまない」
 その動きに応じて、ミケーレが2人に入れ替わって前へ出た。手に握られているのは、無骨な戦斧だ。その重い刃に膂力を乗せ、這い寄る巨木共の眼前へと振り下ろした。当たらなくてもいい、相手の姿勢を崩せれば十分だ……!
 振るわれた枝を裁ち落としながら、雪原へと突き刺さった戦斧は、文字通りに大地を割る。降り積もった雪を跳ね飛ばし、さらには黒々とした土までもが吹き飛んだ。
 打突地点を中心としてすり鉢状の穴が開き、周囲の白い雪の上には葉と土が点々と散っている。巨木たちは足元を崩されて、傾いでいた。そのうちの一体が倒れる込む中で掌を広げ、ミケーレへと掴みかかろうと動く。
(「……避けるのは難しいか」)
 元より素早さに自信があるわけでもない。ならば、真っ向から力で対抗するのみ。
「――セイッ!」
 気迫を込めて、戦斧を敵の掌へと打ち込み左腕で支え、握りつぶそうと閉じられる大きく太い親指を右腕で押さえつけた。纏った防寒具の上からもわかるほどに、ミケーレの筋肉が大きく膨らむ。
 握りつぶそうとする巨木と、跳ね返そうとするミケーレの力が拮抗し、一瞬の膠着状態となった。今にも倒れそうな巨木が、ミケーレを掴んで姿勢を保っているのだ。
「俺に任せろッ!」
 綴が加勢するべく、すり鉢状の土手をスライディングで滑り降りてきた。手には、装備が変形合体してできた剣の柄らしきものが握られている。
「その体勢では避けられまい! 捨・礼・列・車ッ!」
 そう高らかに叫べば、長大な光刃が柄から伸びて眩しい光を撒き散らす。その光刃で横殴りに太い幹を斬り裂いた。
 巨木はたまらず手を広げ、雪原へと倒れ込む。開放されたミケーレは、深く息を吸い込んだ。戦斧の柄を両手で握り、しなやかに全身の撥条を捻る。
 タイミングはまさに今。手をついて起き上がる巨木の、先ほど綴が深く穿った傷をなぞるように戦斧の切先を叩き込んだ。
 突き刺さった戦斧は幹についた傷を押し広げ、巨木を叩き折る。今度は足は直立したまま、幹より上だけが雪原へと倒れ込んでいった。
「さて、次だな」
「オウッ!」
 とはいえ、まだ一体を倒しただけだ。
 倒した巨木には目もくれず、次の敵へと狙いを定め、猟兵たちは雪原を駆ける――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『霧中の暴君『グラドラゴ』』

POW   :    死の竜霧
自身に【触れるだけで出血毒と麻痺毒に犯される霧】をまとい、高速移動と【毒霧と身体が裂けるような咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    ミストリフレクト
【相手の姿をしている霧製】の霊を召喚する。これは【霧の中で強化され、真似た相手の武器】や【同じユーベルコード】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    霧中に潜むもの
戦闘用の、自身と同じ強さの【霧で作られた自身と同じ姿の無数の竜】と【霧に隠れた本体を守る巨竜】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 それからしばらくして。
 猟兵たちの働きによって、巨木のオブリビオンたちは一掃された。けれど、息を休める暇もなく、次の脅威が迫ってきていた。
 ――霧が濃くなってきたのだ。山の天気が変わりやすいとはいえ、あまりにも前触れがなさすぎる。霧中の暴君『グラドラゴ』が呼び起こす霧に違いない。
「……役に立たない山神どもめ。まあいい。まずは貴様らから血祭りにあげてやるわ」
 立ち込めた霧に隠されて姿が見えない中、風切り音と、腹に響くような低音の声が聞こえた。
 ――そして、霧の中から無数の竜が湧き出てきたのである。
ラムダ・ツァオ
敵が数で押してくるのなら、こちらも数で押しましょ。

さて、千刃で増やした白刃を舞わせ、浅くてもいいから手傷を負わせて本体を炙り出すのが狙いね。
距離を取りつつ見極めるまでは守りに専念、
全部を避け切れるとは思わないけれど危険は承知の上よ。
攻撃してこない個体、過剰に守られている個体がいないか見極めるわ。
見つかれば幸い、偶然にも手傷を追わせられれば最高だけど、そうはうまくいかないわよね。
発見次第、切り込んで黒刃で一撃を加えたいわね。
他にも誰かいれば声をかけて報せるわ。
尻尾か翼、狙いやすいのはどちらかかしら。
霧を操るなら風を起こせる翼を先に片づけたいんだけど。


四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》

ふーむ……もしかしてさほど本体は大きくないのか……?

ともあれこの霧では折角の景色が台無しだッ!ユーベルコードを発動ッ!人差し指と中指で安全確認風に『炎の竜巻』を喚び出して風と熱による上昇気流で霧を【吹き飛ばし】てやるッ!露払い、もとい霧払いだなッ!

敵の攻撃に対しては【一斉発射】しながら【ダッシュ】する事で対抗ッ!敵の攻撃を振り切りながら手当たり次第に一発当てるッ!特にデカイ奴の周辺には重点的に撃ち込むぞッ!

「さしずめ『裸の王様』か?ずいぶんと洒落た『お召し物』だなッ!」

「百発一中ッ!それで充分だッ!」


ポノ・エトランゼ
毒霧は払うわ!
UCを、風属性で暴風か竜巻を起こし、毒霧と咆哮が猟兵を傷つけるのを緩和させたいわね
濃い霧自体は払えないだろうけれど…

今回も立ち回りは援護
エルフボウでも援護射撃ね
翼を射て敵の飛行軌道をぶれさせて隙作り、加速しているようなら【スナイパー】【力溜め】で強く射放ったり、と
仲間が攻撃を当てやすいように行動するわ
声掛けも怠らず、皆さんと力を合わせて倒すわね!

WIZ活用
敵UCの「霧中に潜むもの」にもエレメンタル~を
暴走をしないよう【操縦】しつつ【全力魔法】で風系を
強いのいくわよ、気を付けて!
ちょっと吹雪くかもしれないけれど、仲間はなるべく巻き込みたくないわね

アドリブ歓迎



 急に遠くが見通せなくなった雪原を、全て同じ外見をした竜が群れとなって跋扈する。
「この霧では折角の雄大な景色が台無しだッ!」
 綴は目前を覆った霧に対して憤怒する。
「風景はともかくとしても……、このままにはしておけないわね。霧全てを払うことは難しいかもしれないけれど、せめて毒霧は散らさなきゃ」
 竜どもが纏う霧は、触れた猟兵たちを傷つける毒の霧だ。このまま放っておけば、状況はより悪化するだろう。
「綴さん、暴風は起こせるかしら? 風で押し流してしまいましょう」
「応ッ! 露払い、もとい霧払いだなッ!」
 ポノの言葉に、綴は任せろと力強く頷き、2人は似た効果を持つユーベルコードを起動した。。
 その間にも迫りくる竜どもの前に、ラムダ・ツァオ(影・f00001)が立ちはだかった。
「数を頼りにしてくる敵は任せて」
 抜き放った脇差からいくつもの刃の影を生み出し、宙に浮かせた白い刃で竜どもを迎撃する。綴とポノに寄せ付けないように、寄ってくる竜を斬りつけて牽制しながら、その瞳は敵の隙を伺っていた。
 ポノや綴が起動したユーベルコードは大規模な現象を起こせる代わりに、制御の難しいものだ。ラムダが展開した白刃で守っている後背で制御に成功した2人は、いよいよその効果を世界へと投影する。
「混・然・列・車ッ! 炎の竜巻で行くッ!」
 ピシリと伸ばした二本指を大きな身振りで前方へと突きつけて、綴が竜巻を放てば、
「こちらも炎の竜巻を重ねるわ!」
 ポノもまた、気合を込めた竜巻を霧の中心部へと向けて放った。生み出された2つの竜巻は、火の粉を撒き散らす熱風で周囲の霧を巻き上げて、上空へと運んでいく。さらには熱せられた空気が上昇気流となって、竜巻が過ぎた後も風を巻き起こす。
 やがて2つの竜巻は雪原を清浄化し、過ぎ去った。幾分霧も晴れて、先ほどよりは見通しが良くなっている――。
 その中に、群れなす竜に比して、一層巨大な竜の姿があった。
「あれに隠れてるのかしらね」
「ならば、行かねばなッ」
 目ざとく発見したラムダは、周囲に浮かべた白刃とともに、前方へと駆け出した。綴も雪と蒸気を吹き上げてダッシュ、ラムダに続く。
 そんな2人の目前には、巨竜の元へ行かせまいとする竜どもが数多いて咆哮を上げ、再び雪原を毒霧で覆おうとしていた。
 それら邪魔な竜どもを排除するためにポノは再度、ユーベルコードを発動させる。ただでさえ制御が難しいのに魔力を全力で込めたせいで、ともすれば暴走しそうになるユーベルコードを必死で制御して、今度は純粋に荒れ狂う、風の属性を乗せた暴風を生み出した。
「もう一回、強いのいくわよ。気をつけて!」
 駆ける2人を避けて、竜の群れに向かって斜めに奔った突風は、雪原から雪を舞い上げて地吹雪となり、竜の翼へと吹きつける。こんな暴風の中では、竜もまともに飛べはせず、吹き飛ばされて間隙が開く。
 その只中をラムダと綴は走り抜け、巨竜に迫った。
 綴は両腕に蒸気機関車風ユニットを装備し、前に突き出した。
「さしずめ『裸の王様』か? ずいぶんと洒落た『お召し物』だなッ!」
 そして巨竜に隠れているだろう本体を嘲りながら、変形させたユニットから巨竜目掛けて石炭弾を乱射する。
 巨竜の周囲をなめるように大きく回り込みながらも、乱射は止めない。もとより本体にクリーンヒットさせることなど望んでいない。
「百発一中ッ! それで充分だッ!」
 ラムダは綴とは逆方向に回り込みながら黒い刃のダガーを逆手に構え、荒れ狂う弾丸の雨にさらされている巨竜の周囲を注意深く見ていた。
 何処かに、本体がいるはず。自分が見つけるのが早いか、綴の弾丸が当たるのが早いか、それはどちらでもいい。グラドラゴの姿さえ逃さなければ、それでいい。
 ――どうやら弾丸が掠るほうが先立ったようだ。巨竜が薄れ消えゆく瞬間、ラムダは消えない竜の姿を見た。
「見つけたわ!」
 仲間への合図を送り、一直線にグラドラゴ本体へと目掛けて跳躍する。彼方からポノが放った矢が、ラムダの横を通り抜けて竜の翼へと突き立った。その突き立った矢を目標にして、ラムダが振るった黒刃が竜の翼を深く切り裂く。
「この程度の傷など……!」
 グラドラゴは身を切り裂く咆哮を上げて猟兵たちを牽制し、霧の中へと飛び去ろうとする。だが、その速度は妙にゆっくりで――。
(「誘われている、のでしょうね」)
 ラムダは無理に仕掛けることを避け、警戒を強めた。竜は誘いに乗らないラムダを一瞥し、直後に速度を上げて霧の中に飛び去っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゼット・ドラグ
「おいおい、何だあの数の竜は。キリがねえぞ。霧だらけだけど」
ネージュと共に参戦。
ネージュに霧をどうにかしてもらうまで、見に回る。
どうにか出来なくても、霧が晴れる場所と霧が晴れない場所等、怪しい箇所を発見したらヴァリアブル・ウェポンで攻撃を開始する。
とにかくまずは一撃入れる事を考え、左肘からガトリングガンを出し、回数を重視した攻撃を霧に向けて発射する。
攻撃が当たったら相手の毒霧を警戒して、すぐにネージュにこちらを援護するように合図を出す。
援護が来たら本格的に攻撃。敵に触れないように攻撃力重視の右手首から小型ミサイルを発射したり、命中重視の右手の火炎放射機で攻撃を仕掛ける。


ネージュ・ローラン
引き続きゼットさん(f03370)と参加します。
「おそらく本体は一体で残りは霧によって作られたものではないでしょうか。わたしが道を切り開きます。」

まずは霧をどうにかしないといけません。
風の【属性攻撃】と雪崩を組み合わせた【エレメンタル・ファンタジア】を使用。
霧を纏めて吹き飛ばしてしまえるよう【全力魔法】の【範囲攻撃】です。
ついでに積もった雪も巻き上げて攻撃します。
巻き込まれないように気をつけてくださいね。

ゼットさんが攻撃を開始したらわたしも前に出て援護しましょう。
【オーラ防御】と風精霊の魔力を乗せたエレメンタルヴェールで敵の攻撃を受け流そうとします。



「おいおい、何だあの数の竜は。一度消えたと思ったが、また湧いてきやがった。相手にしてたらキリがねえぞ」
「一度消えましたし、どこかにいる本体以外はおそらく霧によって作られた虚像なのでしょう。わたしが道を切り開きます」
「ああ、任せるぜ」
 襲い来る竜どもの相手に辟易したゼットが漏らした愚痴を、ネージュは理知的な洞察を披露すると共に宥めた。そして手にした宝杖に高めた魔力を集中させ、自然現象を巻き起こす力へと変える。
「行きますよ。巻き込まれないように気をつけてくださいね」
「そんなに鈍くさくはねえぜ。気にしないでやってくれ」
 ネージュが呼んだのは雪崩だ。それに風の力を組み合わせ、まるで雪の大津波のように雪原を走らせる。
 新雪を巻き上げてうねる波は、2人の周囲を囲うように殺到する竜を飲み込んで広がっていった。しかし、倒せてはいないだろう。一体一体が強力な力を持つ竜どもは、きっとすぐに起き上がってくるはずだ。
 多少晴れた霧の中、大津波のあとを追うようにゼットは雪原を駆けた。表層の雪が排除され、先ほどまでよりいくらか走りやすい。
 より霧の深い方へ向け、舵を取る。雪の下に埋もれた竜たちが出てくるまでに本体を見つけないと状況は厳しくなるだろう。焦燥感を感じながら、左肘から繰り出したガトリングガンを正面に向けて連射する。
 ……当たった?
 早くも命中したことに、ゼットは違和感を感じた。これは待ち構えられていたか……?
 右手を大きく振って合図を出すとともに、真横に向けて身を投げた直後。耳をつんざく咆哮が鳴り響き、先ほどまで立っていた場所が散々に切り裂かれて雪が舞い上がる。
「大丈夫ですか? 援護します!」
 ネージュはオーラを纏わせたヴェールを手に、前へ出た。咆哮に続き吹きかけられた毒霧をヴェールで払い、ゼットを守る。
 その僅かな時間に、ゼットは左肘のガトリングガンを収納し、右手の武装主体へと切り替えていた。右前腕を左手で掴み、腰を落として体勢を安定させる。右手が跳ね上がると、手首の中に黒々とした穴が覗く。
「コイツを喰らいな!」
 穴から放たれたのは小型ミサイルだ。点火され、噴煙を上げて右手首から飛び出したミサイルは、一直線にグラドラゴへと向かい、肩部に当たって派手な爆発を上げる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミカエラ・チャーチ
毒を纏う竜だなんて、迷惑で厄介で倒し甲斐があるわね
雪に血の花咲かせてあげる

接敵するまでにブラッド・ガイストを使用して愛用の鶴嘴を強化しておくわ
今度の相手は怪木どもの比じゃないもの
欲しいだけお飲み、頼りにしてるわよ相棒

召喚された竜や霊は人狼咆哮で蹴散らして
暴君の玉座までの道を開けさせるわ
それでも邪魔立てする奴には鶴嘴の一撃を喰らわせてやる
暴君と対する時は挙動を観察しながら戦う
僅かでも隙が見えたら臆さず怯まず力一杯叩き込んであげるの
竜の爪牙にも負けないくらい、あたしの鶴嘴は鋭いんだからね!

他の猟兵との連携は出来るだけ心掛ける
全部終わったら、暖かい場所で温かいもの食べたいよね

*アドリブ、連携大歓迎!


ミケーレ・カローネル
気まぐれな山神たちが己の役に立つと真面目に考えていたのなら、余程おめでたい考えだと見える。
霧のトカゲらしく頭の中もスカスカらしいな、と挑発を交えながら対峙。

上手く引き付けられてくれたのならば、【無敵城塞】で相手の攻撃を真正面から防御。
いかに毒が強かろうが早かろうが、打ち崩せないものがあるということを知るといい。
ま、俺も動けないんだが。

グラドラゴが仲間を攻撃しようとした場合は、斧を利用した【武器受け】で割り込み、【かばう】ことで引き受けよう。
多少のダメージは覚悟の上だが、毒というのは好かん。
俺が倒せずとも、他の猟兵たちが上手くやってくれるさ。
次に会う機会があればドラゴンステーキにでもしてやる。



「気まぐれな山神たちが己の役に立つと本気で考えていたのなら、余程おめでたい思考をしていると見える。霧のトカゲらしく、頭の中までスカスカなようだな」
 再び姿を現したグラドラゴ。
 今度こそ簡単には逃すまいと、ミケーレは挑発の言葉を口にする。
「……人間風情が何をほざく。その大口、後悔させてやろう」
(「簡単なものだ。これで乗ってくるとはな」)
 グラドラゴは、生意気な人間を罰するべく、一際高く咆哮を上げた。口腔から毒霧が噴き出し、同時にすべてをバラバラにするほどの衝撃波がミケーレの頭上から降り注ぐ。
 対するミケーレは、戦斧を構えた体勢のまま、一歩も動かない。
 ついに衝撃波はミケーレへと到達し、その足元の雪原に大孔を開け、舞い上がる雪にミケーレの姿が隠れる。
 だが、吹き荒ぶ風が雪を振り払ったあとにも、ミケーレは無傷で立っていた。鋭い眼光でグラドラゴの瞳を見返して、淡々と告げる。
「どうした、その程度か? ……いかに毒が強かろうが早かろうが、打ち崩せないものがあるとことを知るがいい」
「思い上がるな、人間。打ち崩せないならば雪原深くに杭のごとく撃ち込んでやろう」
(「……そいつは堪らんな」)
 振り上がる竜の脚。迫る危険にも表情は変えず、ミケーレは動き出すタイミングを図った。それにもう、十分役目は果たしている……!

(「ほんと迷惑で厄介で――倒しがいのある相手。血の花を咲かせてあげるわ。さぞかし雪に映えるでしょうよ」)
 ミカエラは鶴嘴を手に、ミケーレに引きつけられた竜の背後から距離を詰めた。鶴嘴から伸びた貪欲な蝕手が腕に絡みつき、どくんどくんと鼓動する。――ミカエラの血を吸い上げているのだ。
(「この相手は怪木どもの比じゃないもの、欲しいだけお飲み。頼りにしてるわよ、相棒」)
 漆黒の戦鶴嘴が震えた。武者震いか、それとも嗤ったか。ミカエラは凶悪な佇まいを見せる鶴嘴を手に、グラドラゴから己の背中が見えそうなほど身を捩り、雪原に深い足跡を刻んで飛び上がる。
 狙いは翼の付け根だ。翼を支える骨ごと砕いてやろうと、体重、魔力、瞬発力、載せられるものは全て載せ、力の限り叩きつけた。
「あたしの鶴嘴は、竜の爪牙にも負けないくらい鋭いんだからね! その身で思い知ったでしょ」
「き、貴様ッ! まずは貴様からだッ」
 グラドラゴはミカエラに叩きつけられた衝撃でよろけ、振り上げていた脚を下ろして身体を支えた。太い首をひねって振り返り、見下ろしたミカエラに向け咆哮を上げる。
「俺のほうにはまだ用があるんだが」
 無骨な戦斧を掲げ、ミカエラが一撃お見舞いする間に動き出していたミケーレが割り込んだ。だが、自らのユーベルコードの発動は間に合わない。今回の咆哮は、戦斧を盾にしているとはいえ、生身で受けることになる。
 ――至近距離で受けた衝撃は強烈だった。防御を固めていた先ほどとは比べ物にならぬ衝撃が、身体を突き抜けていく。
 それでも、ミケーレは表情を変えない。まったく何でもないように、龍の瞳を見返して再び告げた。
「で、その程度か?」
「――クッ」
 決してグラドラゴが不利なはずではないのに、気圧される。むしろそのことに恥辱を覚え、固まるグラドラゴに再度の衝撃が落ちてきた。
「おかわりが欲しいのね? あげるわ!」
 ミカエラの鶴嘴による一撃だ。負傷を負った竜は、ほうほうの体で霧の中へと逃げ込んでいく。
 ……ミケーレには、さすがにそれを追うだけの体力は残されていなかった。
「君、大丈夫?」
「なに、問題はない。……アイツも、他の猟兵たちがうまくやってくれるさ」
 気遣うミカエラにミケーレは、やはり淡々と返した。
「そうね、きっと間もなく終わるわ。終わったら、暖かい場所で温かいもの食べたいよね」
「そうだな。どうせなら、アイツをドラゴンステーキにして振る舞ってやりたいところだが」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ペネトレータ・ピアース
他の猟兵さんに協力しますわ

あれが竜ですのね!文献で見た通りの大きいトカゲですわ
一度あれと戦ってみたかったんですの、講義をサボって来た甲斐がありますわね!!

まず偽物の群れの迎撃をしますわ【wiz】
できるだけたくさん重槍ジャベリンを召喚してUCピアースレインで偽竜の群れを撃ち落とします
【槍投げ】のお稽古は毎日欠かしませんの、偽物はこの槍で消し去りますわ

本体の姿が見えましたらすぐに砲弾トライデント召喚
【怪力】の【投擲】で翼を【スナイパー】の如く攻撃します

追撃のチャンスがあれば戦斧トマホークで鱗を叩き壊しますわ

興奮しすぎて汚い言葉が出てしまった気がしますわ
聞かなかったことにして下さいまし

アドリブ大歓迎


シエル・マリアージュ
手強い敵なので他の猟兵と協力、【残像】【見切り】で敵の攻撃を受けないように立ち回り、霧や無数の竜の攻撃も警戒して【第六感】で危険を感じたら回避を優先。
「敵を囲む、230の点で結ばれた球体を表示」
【Oracle Vision】に視界内の敵を囲む球体の3D映像を表示させ、球体上の230の点に重ねるように【2回攻撃】で発動した【蒼焔の殲剣】の剣を配置、【残像】で剣の数を増やした【フェイント】で敵を惑わし、全ての剣を球体の中心に向けて一斉に放つ。
無数の竜と巨竜の妨害に対抗するべく【先制攻撃】で敵の先手を取り【鎧無視攻撃】【串刺し】で貫通力を強化して、剣が一本でも多くグラドラゴ本体に到達することを狙う。



「あれが竜ですのね! 文献で見た通りの大きいトカゲですわ。……あんなに群れているとは知りませんでしたけれど」
 最初にグラドラゴを見た時、ペネトレータは感嘆の声を漏らしたものである。内容をグラドラゴが聞いたら、憤慨しそうなものだったけれど。
 ペネトレータは三度湧き出した竜どもの群れに次々と重槍を投げつけて撃ち落とし、雪原へと縫い止めていく。
「槍投げのお稽古は毎日欠かしませんの。どれだけ偽物が襲ってこようと、全て撃墜してみせますわ」
 そうペネトレータは上品に微笑むが、一度に数十本の重槍を投げ放つ荒業がお稽古の範疇にあるとはとても思えない。
 それでも湧き出る竜どもは尽きなかった。むしろ、これまでよりもさらに多いようにさえ思えた。――グラドラゴが時間を稼ぎたがっているのかも知れない。
 ペネトレータが傍に寄ってくる竜どもを撃ち落としている最中、シエルはグラドラゴに一撃を入れようと、画策していた。
「敵を囲む、230の点で結ばれた球体を表示」
 シエルの視界内に、情報端末を内蔵したコンタクトレンズを通して無機質な表示が浮かび上がる。首をひねって周囲を見渡すと自動的に表示が更新されていく。それらの点は、この山頂付近を覆うように設定されていた。具体的な位置を示す点が、シエルの中に確固たる配置イメージを築き上げる。
「聖櫃より来たれ蒼焔の剣、煉獄の焔で悪しきものを滅せよ」
 そしてそのイメージは、発動させたユーベルコードとリンクし、各々の点に一つずつの『蒼焔の剣』を生み出した。全周囲から中心に向け、放たれる剣。そしてその剣は、オブリビオン以外を傷つけない。
 これこそが、シエルがグラドラゴを狩り出すために見つけ出した解であった。
「――放て!」
 一斉に撃ち出された剣は、その剣身を揺らがせて生まれた残像の中に埋没し、ただひたすら球の中心を目指した。無数の竜を貫き、巨竜が自身の身体を使った盾さえも、剣の貫通力と、そもそもの数の多さで打ち破る。
 ――最低でも一撃。叶うなら、一本でも多くの剣がグラドラゴへ到達することを願い、シエルは残る全ての力を蒼焔の殲剣に投じた。
 無数にいた竜どもが消えたことで、この作戦が功を奏した事をシエルは知る。
 そして薄れゆく霧の中、グラドラゴの姿が垣間見え――。
「あとはよろしくね」
「ええ、任せてくださいませ。竜の断末魔が聞けるだなんて、講義をサボって来た甲斐がありますわね!」
 シエルはペネトレータに最後を託す。
 快諾したペネトレータは、右手袋の小指を光らせて巨大な砲弾を呼び出した。砲弾を打ち出すのは、自分自身の右腕だ。砲弾の胴を掴み、傷ついたグラドラゴへ向け、その身に似合わぬ怪力で放り投げる。
 砲弾は翼に当たって爆砕し、先ほどから散々に傷つけられていた竜の翼はついに使い物にならなくなった。もう、霧の中へ逃げることは出来ない。
「まだ終わりませんわよ!」
 そんな哀れな竜の頭部へ、ペネトレータが続けざまに投げ放った巨大な戦斧が弧を描いて迫る。硬い装甲をも粉砕するという魔力を宿す戦斧は、その頭部へと突き刺さり、最後に残された命の灯火を絶つ。
「脳天吹き飛ばして差し上げましたわ!」
 己の成果に快哉を叫んでからしばらくして、少女は居住まいを正した。
「……今、わたし、なにか言いまして? 興奮しすぎて汚い言葉が出てしまった気がしますわ。聞かなかったことにして下さいまし」

 こうして霧中の暴君『グラドラゴ』は、猟兵たちの活躍により討ち取られたのである。遠く麓の村では、自分たちの村に危機が迫っていたことなど知る由もない。
 雪に閉ざされたこの山と、霧が晴れて姿を見せたお日様だけが、いかに猟兵たちが戦ったかを知っている――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月23日


挿絵イラスト