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荒ぶる魂、その行く末は

#カクリヨファンタズム #鎮魂の儀 #未・明の記憶探求録

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#鎮魂の儀
#未・明の記憶探求録


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 おぉぉぉん、と怨嗟が聞こえる。
 おぉぉぉん、と血を求める声が聞こえる。
 おぉぉぉん、と勝利を求める声が聞こえる。

 宿願を。未だ果たせぬ宿願を。それは滅びに気づかず、今なお命を求めている。


「言葉というものは面白いもので、似たような語感の言葉には思わぬ繋がりがあるものです。さて、『侍』と『侍ふ』。語感が似てますが、これには何かしらの関係性があるのでしょうか?」
 未・明(記憶求めの先導者・f28408)は開いていた本を閉じる。言葉に少しばかり熱が籠っているのは、先ほど呼んでいた語学の本が彼の興味を掻き立てたからからか。珍しくテンションが高い。
「さて、本題に入りましょう。此度の事件はカクリヨファンタズムで起きた事件です。敵オブリビオンの名は『妖喰らい・青江』。彼……彼? は鎮魂の儀を打ち破り、オブリビオンとして猛威を振るいます」
 鎮魂の儀。それはカクリヨファンタズムで行われる地球から幽世へやってくるのに失敗した妖怪たちの魂を鎮めるための儀式だ。この儀が行われれば骸魂たちは草木となって浄化されるが、しかし未・明が言うにはそれは失敗したらしい。
「彼の目的は自身の宿願を果たすこと。その宿願とは首塚の一族を皆殺しにすることです。かつてはUDCアースで『柴田勝家』を名乗り、島原を拠点に活動をしていました」
 柴田勝家といえば、すぐに思い出される戦国時代の武将であることだろう。ただ彼の所領は九州ではなかったはず。おそらくは偽称なのだろう。
「長く行方不明となっていましたが、現代にオブリビオン化して蘇ったようです。もう首塚一族も絶えているというのに」
 時は過ぎ、世界は大きく変わっていく。『妖喰らい・青江』とは世界の大きな変化に取り残された1人なのだった。最早、彼の願いは叶わず、旅路の終わりは失われた。妄念で目を盲いた彼はそのことには気づけない。哀れな旅人は朽ち果てることも忘れて、其処に立っている。
「皆さんには祭儀上で暴れる彼――彼で良いのでしょうか?――を鎮めていただきたいのです。そのためには乗り越えなければならない障害が2つあります」
 未・明曰く。
 1つ目の障害は骸魂童子。鎮魂の儀で集められていた骸魂が儀式に参加していた妖怪に憑くことでオブリビオンと化したものだそうだ。
 2つ目の障害は転移場所から祭儀上までの道程で現れる雪夜に起こる怪異。雪夜の怪異は踏み込んだ者にとって帰りたい場所、逢いたい人の面影の幻影を見せてくるという。その幻影に溺れてしまえば、神隠しに逢い、二度とは現世に帰れない。
 以上の2つの敵対者を乗り越えて、初めて妄念に取りつかれた『妖喰らい・青江』と対面できる。
 未・明は本を再び開き、猟兵たちから目を逸らして告げた。

「カクリヨファンタズムに着けば、其処は寒空の下でしょう。寒さで体が凍え、敵に遅れを取りませぬよう。何せ敵は既に死した亡霊。寒さなぞ、かつてに置き忘れてしまったのですから」
 
 敵は永き眠りから覚めた亡霊。既に叶わぬ宿願を胸に、歩みを止めない傑物だ。雪風荒ぶ道を行き、亡霊武者を討て。


MR2
 皆さん、こんにちは。MR2です。1月シナリオは原点回帰でカクリヨファンタズムからお送りいたします。本シナリオは分かりやすく言えば、VS亡霊武者(in 雪景色)といった感じでお送りいたします。

 なおオープニングでは寒さについて言及していますが、寒さでマイナス補正がかかるわけではありませんので、プレイングで解消法の提示は不要です。ご希望でしたら描写いたしますので、ご記入ください。

第1章 集団戦『骸魂童子』
 第1章は集団戦です。怪力と超常的な妖術を操る子供型オブリビオンとの戦闘です。戦闘時間は日没想定になります。特にプレイングボーナスは設けておりません。

第2章 冒険
 猟兵たちの前に懐かしさを感じさせるものが現れます。猟兵たちが懐かしいと感じる物とそれを猟兵たちがどう振り切るかの描写をプレイングでご記入ください。詳しいことは断章でご連絡いたします。

第3章 ボス戦『妖喰らい・青江』
 ボス戦です。特別なプレイングボーナスはない予定ですが、シナリオが進むにつれて発生する場合がございます。皆さんのプレイング次第です。詳しいことは断章でご連絡いたします。
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第1章 集団戦 『骸魂童子』

POW   :    怪力
レベル×1tまでの対象の【尻尾や足】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    霊障
見えない【念動力】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミコト・イザナギ
 宿願を果さんと邁進する姿、胸を打つものがあります。
然し、欲望に振り回されるのは、実にくだらないですね。
これも何かの縁、現実を叩きつけてやりましょう。
叶わないものは叶わないのです、とね。

骸魂童子についた妖怪はどうやって助けたものか。
とりあえず斬りますか、それ以外の手段をオレは持ち合わせませんので。
【UC:妖剣解放】で高速移動で接近しながら衝撃波を繰り出していきます。
遠距離が有利? 性に合いませんので接近一択。
【技能:殺気】も振り撒いてみましょうか。
他の駆け付けた猟兵達の囮として活用して貰えれば結構。

命を削るUCだから気をつけろ、と?
別段、今のオレの侭果てるなら命は惜しくないので常時使用します。



 肌を刺すような冷たさが体に染み入る。猟兵ミコト・イザナギ(語り音の天狗・f23042)は白い息を吐き出しながら言った。
「宿願を果さんと邁進する姿、胸を打つものがあります。然し、欲望に振り回されるのは、実にくだらないですね」
 彼の周囲には数十体の敵オブリビオン、骸魂童子。ミコトを捕捉した彼らの内の数体が一斉に手をかざす。
「――ッ」
 途端にミコトが立つ位置を交差の中心として、十字型に地面がかたどられる。それから象られた十字の地面が盛り上がると、ミコトを圧し潰さんと前後左右から迫り来る。
 刹那の空隙。ミコトは自らの刀に手を掛ける。ユーベルコード『妖剣解放』。自分が自分であることに重きを置く彼は、自身の命を削るその力を使うのに躊躇しない。
「ハ――」
 振りぬいた瞬間はまるで凪のような静けさだった。ぴん、と張り詰めた空気が切り裂かれると同時に四方向から迫る土の壁が全く同じ高さに入った切れ目で切断される。
 骸魂童子はどよめく。その隙を逃すミコトではない。
 一歩、踏み込む。深く、それから力強く前に体が行くように。
 二歩目が少し長く続く。三歩目はより長く続く。
 そして四歩目にして、その刃先が敵に届く。
「終わりだよ」
 上段から下段へ振り下ろされる刀。彼が振るった刀はやはり無音のままに、敵オブリビオンの首をまとめて落とす。
 そう、ごとり、と。

成功 🔵​🔵​🔴​

罹災・祥雲
不採用含め全て歓迎でござる。
骸魂を鎮めるはずが、といったところにござるか。ならば某、張り切ってニンニンするでござる!

ここは妖刀・銀残月の出番でござろう。効果の程は知らぬが骸魂を祓えるよう徐霊致す。
動くと危ないでござるゆえ、UCを使うで候う。当たるかどうか…あ、飛ばした怨念はついでに斬り伏せるがよかろう!

鬼火は久留間武士五郎歯を地面に打ち込み、反復横飛びの要領で回避するでござる。避けきれないものは白須で武器受け、使い捨てにて問題無く。
当たっちゃったらしょーがないでござる。喋れないし、消して貰えるように土下座にて誠意をお見せ致す!

無事に救えれば書置きをしておくでござる。
安心だ、鎮魂の義に、猟兵を。



「トウッ!」
 罹災・祥雲(変幻自在の疾風、屍機甲忍者・f31621)は跳んだ。大地を蹴り、大きく跳躍したのだ。
 彼を捕捉した骸魂童子は空に手を掲げ、ユーベルコード『鬼火』を生成する。
(直撃は不味いでござる。ならば――ッ)
 銀閃が宙に奔った。その手に握るは妖刀・銀残月。罹災は人魂を絡ませた刀を横に切り裂き、空を断つ。
「…………。(これぞ必殺の刃にて候う、その身に収めるが良かろう!)」
 ユーベルコード『化身忍法怨念縛り』。それは斬撃と共に放った怨念で敵を金縛りにするユーベルコード。
 怨念を飛ばす先はもちろん眼下に群れる敵オブリビオン、骸魂童子。ふわりと浮かぶ怨念たちは、滑るように進むと骸魂童子に噛みついた。
「――――ッ?!」
 鬼火で迎撃しようとした骸魂童子の指先が不自然に動きを止める。金縛りがかかったのだ。
 罹災は地面に落ちる力を利用して、棒立ちの彼らの首を妖刀で叩き斬った。
「成敗でござる!」
 ぼとぼと、と首が落ちる音がした。だが、全てを殺しきったわけではない。
 『化身忍法怨念縛り』が食いそびれた骸魂童子の鬼火が迫る。
 だが罹災は、
「甘いでござるよ!」
 両膝に着けた久留間武士五郎歯を骸魂童子に噛みつかせ、そこを起点に明後日の方向へと跳躍した。
 鬼火は罹災を食いそびれ、あらぬ方向へ飛んでいく。それと同時に死した敵オブリビオンから骸魂が剥離し、飲み込まれていた妖怪がその姿を戻す。
 すると、そんな彼らの上にはらりと1つの紙片が落ちた。それにはこんなことが書かれてある。

『安心だ、鎮魂の義に、猟兵を』
 

成功 🔵​🔵​🔴​

紬雁・紅葉
まあまあ、士の魂が…
これこそ御鎮めせねばなりますまい

先ずはこれなるを押し通る…と
ぅふふ♪

羅刹紋を顕わに戦笑み
十握刃を顕現

ここは何処のほと道か?
天神様のほと道か?
そっと通してくだしゃんせ?

残像忍び足で正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第破魔風雷属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う

敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像などで躱し
さもなくば破魔衝撃波オーラ防御武器受け等で防ぐ
何れもカウンター破魔風雷属性衝撃波UCを以て範囲ごと薙ぎ払い吹き飛ばす

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

さあさあ童達?
逝きは宵々還るはこわい
逝くか下がるか

去り罷りませ♪


※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※



「ここは何処のほと道か? 天神様のほと道か? そっと通してくだしゃんせ?」
 夜の帳が降りる頃、軽やかに歌い上げる艶やかな女声があった。
 猟兵紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)。彼女は足音を立てず、滑るように正面から接敵する。
「――――ッ」
 紬雁の接近に気づいた4体の骸魂童子が静かに疾駆する。
 明確な交戦意志に応じ、紬雁は羅刹紋を顕わに戦笑み。その右手に顕現させた天羽々斬・十握刃を握りこむ。
 骸魂童子の一体が腕を振るう。その腕は細腕なれど、岩を軽く砕けるほどの力を持つ。
 爪を立てた骸魂童子の掌が右側面から肉薄する。狙いは顔面。顔を圧搾せんと骸魂童子は手を伸ばす。
 敵の撃は速い。さながら宙を飛ぶ燕が如く。だが、あまりにも単調過ぎた。燕が如き速さはあっても、燕が如き軽やかさが足りなかった。
 ふっ、と紬雁はただ顔を左に倒す。ただそれだけで敵オブリビオンの必殺の掌は行き場を失った。
 そして首を傾けると同時に紬雁は十握刃を持つ右手を振り上げる。
「ァァァァッ!」
 骸魂童子の腕が根元から吹き飛んだ。絶叫を上げた骸魂童子は大きく背後に跳躍し、後退する。
 そんな彼と入れ替わるように、迫っていた3体の骸魂童子が紬雁へと踏み込んだ。
 3方向からの襲撃。されど、紬雁は焦ることはなく、自らの力を振るう。 
「山を断ち川を流し雲を割り野を薙ぐ剣…以て斬り祓い奉る!!」
 ユーベルコード『九曜八剱・大蛇断』。それは十握刃により、目に映る敵全てを切り裂くユーベルコード。
「ふふ」
 紬雁は踊るように刃を振るった。ただそれだけで破魔の力と風雷の力を宿した斬撃が骸魂童子を切り裂いた。
 血しぶきが飛ぶ。紬雁に迫っていた3体だけでなく、先ほど逃げ出した1体も同様に。
「さあさあ童達? 逝きは宵々還るはこわい。逝くか下がるか」
 紬雁は艶やかに口の端を弓なりして、心底楽しそうに言う。

「去り罷りませ♪」

大成功 🔵​🔵​🔵​

花盛・乙女
宿願成し得ず、か。
良いだろう。勝利に飢え、果てを望むのであれば猟兵が、この羅刹女が前に立つ。

さて、その為には先ず露払いか。
【黒椿】と【乙女】を抜き、近接での斬撃による攻撃だ。
童子といえどその怪力は目を見張るものがあるな。だが私も膂力は負けてやれんさ。羅刹の矜持というものだ。

寒空の下にあっても我が総身、指の先、角の先まで熱いとも。
無念に吠える武士がいるのだ。戦国の世を知る兵がいるのだ。
なれば剣の道にある者として、滾らぬ理由はない。

瞑目し深く息を吐き、集中。
次にこの目に捉えたのなら全てが私の剣舞の間合い。
羅刹女の鬼吹雪、冥土の土産に拝んでいくがいい。

■アドリブ共闘歓迎です。



 黒橙色の空が西に広がっている。夜を運ぶ寒風が草原を走り始めた。ざわめく緑の間には幽鬼が並ぶ。
 オブリビオン、骸魂童子。鎮魂の儀の失敗により、彼らは世界に放たれた。
 対する者の1人は右の額から角を生やす羅刹の女。猟兵花盛・乙女(羅刹女・f00399)はその手に極悪刀【黒椿】と小太刀【乙女】を握り締める。
 夜の帳が降りつつある空には重たい雲が流れ始めていた。
 雪が降るのだ。冷たい空気を連れ立って。
「寒空の下にあっても我が総身、指の先、角の先まで熱いとも」
 だが、花盛の体に震えはない。むしろむせ返るような熱い闘気を纏い、唸る草原に立つ。
「無念に吠える武士がいるのだ。戦国の世を知る兵がいるのだ」
 瞑目し深く息を吐き、集中。視界を失った体が聴覚を鋭敏にする。耳に届くのは、小柄な少年が草をかき分け、疾駆する音。骸魂童子は視界に収めた自らの敵を殺さんと爪を立てるのだ。
「なれば剣の道にある者として、滾らぬ理由はない」
 応じるように花盛が前に出た。一歩踏み込み、土塊を蹴り上げながら疾駆する。
 この戦いはいわば、本命に至るまでの露払い。故に、目をかっぴらき、
「雑魚に用はない!鬼の吹雪で乱れ散れ!」
 ユーベルコード『花盛流剣技【鬼吹雪】』。握る異なる長さの刀を構え、彼女は目視不可能な領域の速度へ到達する。
「羅刹女の鬼吹雪、冥土の土産に拝んでいくがいい」
 冷たい言葉は冷気に溶けた。
 瞬きの時間の後、骸魂童子たちの体から血華が咲き誇る。
 この場に花盛と同じ世界を見られる者がいたならば、こう言っただろう。

「それはまるで、舞のような剣閃だった」、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミネルバ・レストー
いるのよね、戦って果てることしか頭にない連中って
わたしも、かつてはそうだったから、わかるわよ

それにしても、なんて心地いい寒空なのかしら
氷の魔女にはうってつけの舞台だわ
任せておきなさいな、ちゃんと仕事はしてみせるから

【逃れ得ぬ氷結世界】発動、こおりのペンを宙に走らせ高速詠唱
生まれた氷柱を童子に躊躇なくぶつけましょ
だってあなた、鬼火で相殺したりするつもりでしょ?
溶かされちゃうようなら多重詠唱で威力を増したり
わざと氷柱を外した先に移動して攻撃力を上げるわね
根比べよ、継戦能力なら負けないけど

骸魂から解放してあげたいけど、無理なら還すまでよ
一度戦場に立ったからには、勝つか負けるかしかないの
わかるわよね?



「なんて心地いい寒空なのかしら」
 猟兵ミネルバ・レストー(桜隠し・f23814)はイイ空気を吸っていた。
「氷の魔女にはうってつけの舞台だわ」
 ミネルバが不敵に微笑むのは、骸魂童子たちが立つ乾いた草原。冷気が満ち始めた世界で彼女はこおりのペンを走らせる。
「避けてもいいけど、そのあとどうせ、あなた死ぬわよ」
 ユーベルコード『逃れ得ぬ氷結世界(アイシクル・キリングフィールド)』。それは生み出した氷柱により、氷の世界を作り上げるユーベルコード。
 ミネルバは宙に言葉を記す。つらつらと刻まれるそれらは1つ1つが氷の柱を生み出す呪文である。
「おいきなさい」
 呪文が起動する。5本の氷柱が骸魂童子たちへと射出された。
 骸魂童子たちは応じるように鬼火を展開した。鬼火は氷柱を溶かし尽くさんと、強く強く燃え上がる。
 だけど、
「甘いわね」
 ミネルバは間髪入れずにペンを走らせ、氷柱の第2陣を展開する。
 その数、14本。およそ3倍の氷柱を立て続けに彼女は顕現させた。
 鬼火は間に合わない。先の5本を溶かすことで減衰していた炎は、立て続けの氷柱を防ぐことは出来ず、骸魂童子は押しつぶされることとなる。
 そして氷の柱は骸魂童子に向かうだけでなく、敢えて外され、草原に彼女の領域――氷の世界を作り出した。
 ミネルバは形成された自身の領域へと跳ぶ。其処では彼女の力が底上げされるが故だった。
 こおりのペンを構え、ミネルバは不敵に笑う。
「さぁ、これからが本番よ」
 呪文が宙に刻まれる。先程よりも速く、多く。
 彼女の背後で夕闇が迫っていた。骸魂童子殲滅まで、あと少しだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『揺らぐ風花の向こうには』

POW   :    気迫で幻を退けて調査する

SPD   :    理性を保って幻を説き伏せて調査する

WIZ   :    幻を受け入れ折り合いをつけて調査する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 重たい雲が空を覆っていた。
 夜空よりも暗い空を見上げれば、ぽつぽつと地上に舞い降りてくる白に気が付く。
 雪だ。雪が渇いた草原へと降り始めたのだ。
 やがて吹雪き始めた世界に雪は積もり、辺り一面が雪原へと様変わる。
 吐く息が白い。視線の先は数m先すら判然としない。踏みしめる一歩は重く、ずしりと体が軋み始める。
 それでも進まねばならない。世界の危機を救うために。
 そう決意した、その時だった。ゆらり、と前方が揺らいだかと思うと温かな光と共に幻が現れる。
 思わず息を呑んだ。幻はあまりにも見知ったものだったから。
 それはかつての影、心の底に眠る郷愁。以前と変わらぬその姿で、過去は現在の前に立ち塞がる。

(本シナリオでは皆さまの猟兵の郷愁の幻を出現させ、猟兵を妨害します。そのため幻の内容と猟兵が幻に対してどのような思いを抱くのか、幻をどのように振り切るのかをプレイングに記載して頂きます)
(シナリオ内容は幻とのやり取りのみ取り扱わせていただきます)
(シナリオの特性上、サポートでのプレイング提出はリプレイの執筆が困難だと判断し、お断りさせていただきます)
 
ミネルバ・レストー
わたしが懐かしいと感じるものがあるとすれば
それはきっと「あなた」だろうと思ってた
バーチャルキャラクターたるわたしを
9時間27分8秒かけてキャラメイクしたプレイヤー

…ふぅん、大学生くらいの青年ってところかしら
あなた、そんな見た目だったのね
わたしはあなたのアバターだったから、こうして向かい合うのは初めてよ

あなたには感謝してる、わたしの親も同然だもの
誰よりも強くしてくれて、たくさんの栄誉をくれた
あのゲーム内での日々はとても楽しかったし、帰りたくもなる

今のわたしには、もう別の帰る場所ができたの
大切なひともできたし、あなたはもう過去のひと
白金の拳銃を構えて、躊躇なく撃ちましょう
それが、幻とのお別れの合図



 ミネルバ・レストー(桜隠し・f23814)には彼女が彼女であるが故、切っても切れない人物がいる。

「わたしが懐かしいと感じるものがあるとすれば、それはきっと『あなた』だろうと思ってた。バーチャルキャラクターたるわたしを、9時間27分8秒かけてキャラメイクしたプレイヤー」

 荒吹雪の中、不自然な影があった。それは大学生くらいの青年だった。
 雪夜の怪異。ミネルバの郷愁が幻となって、現れたのだ。

「……ふぅん、あなた、そんな見た目だったのね。わたしはあなたのアバターだったから、こうして向かい合うのは初めてよ」

 ミネルバは薄く微笑む。その表情は嬉しそうで、寂しげで、一言では言い表せない思いが詰まっていた。

「あなたには感謝してる、わたしの親も同然だもの。誰よりも強くしてくれて、たくさんの栄誉をくれた。あのゲーム内での日々はとても楽しかったし、帰りたくもなる」

 数々の思い出が泡のように浮かんでは消える。幸福な時代。確かにあの時代はそう言っても差し支えない日々だった。
 けれども、彼女の今が終わった過去より不幸であるわけじゃない。
 ミネルバは確かな手つきで白金の拳銃を思い出に突きつける。

「今のわたしにはもう別の帰る場所ができたの大切なひとも出来た。あなたはもう過去のひと」

 だから――

「――だから、さよなら」

大成功 🔵​🔵​🔵​

花盛・乙女
郷愁…と呼べるかわからんが、忘れられぬ者か。
今はオブリビオンと成りし里の精鋭、四華衆の姉様方。

野太刀を使い礼節正しく、礼節を教えてくれた曼茶羅華姉様。
大鉞を使い男嫌いで、男への危険を教えてくれた曼珠沙華姉様。
刃手甲を使い豪胆で勇ましく、戦の心構えを教えてくれた摩訶曼茶羅姉様。
大鋏を使う四華衆の筆頭、口汚く粗暴だが美しく、不思議な魅力に惹かれた摩訶曼珠姉様。

童だった頃、姉様たちと過ごした日々は…本当に楽しかった。
戦場から訃報を聞いた時は堪らなく悲しく…悔しかった。
私は幼く、未熟だったから。

…だが、今は違う。
オブリビオンと成った姉様も、過去の姉様にも、負けない。
この幻も斬り、進む。過去を越えるぞ。



 荒吹雪に立つ女武者。吹きすさぶ雪風が良く似合う猟兵花盛・乙女(羅刹女・f00399)は刀の柄に手を掛ける。
 理由は単純だった。
 雪夜の怪異。その現象。花盛の前に4人の過去が立ちふさがる。
「お姉様方……」
 4つの影の名は、それぞれ曼茶羅華、曼珠沙華、摩訶曼茶羅、摩訶曼珠。いずれも花盛がかつてお世話になった人々だった。
「童だった頃、姉様たちと過ごした日々は……本当に楽しかった」
 絞りだすような声に色はない。刺し貫くような思いだけが其処にあった。
「戦場から訃報を聞いた時は堪らなく悲しく…悔しかった。私は幼く、未熟だったから」
 かつて花盛には何もできなかった。4人の終わりを見過ごすことしかできなかった。
 だが、今は違う。
「オブリビオンと成った姉様も、過去の姉様にも、負けない。この幻も斬り、進む。過去を越えるぞ」
 吹雪の中で影が動くのを花盛は認めた。
 来る。かつて追いかけていた背中の持ち主たちが。
 羅刹の女は静かに鯉口を切る。

「――剣刃一閃」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミコト・イザナギ
◆郷愁の幻
育ての親兼師匠の、自分より大柄で高齢な天狗(男)
熊のように大きく、のっそりとした動きと喋りが特徴
「どうした、坊(ボン)」
「カッ、カッ、カッ!」
「しかたない、しょうがない」

◆抱く感情
オレは記憶障害を持っている
ひとつ
記憶の大半を失っている事
ふたつ
思い出した記憶を自分のものと認識できない事

要するに、他人の記憶が頭の中にあって
到底受け入れられない症状を持っている

だが、こんな様でも、この天狗の事が好きなのだ
天狗面を被ってしまうほどに
そのありように憧れ、敬い
その最後を――誇らしいと思う

「はじめましてだね、お師さん」
仮面を外し、どうか聞いておくれよと語る
語り尽くせぬとて、さらばお師さん、オレは往く



 猟兵ミコト・イザナギ(語り音の天狗・f23042)には記憶障害がある。
 1つは記憶の大半を失っていること。2つは思い出した記憶を自分のものと認識できないことだ。
 つまり、彼にとって記憶とは何処までも他人事であり、現実感のない虚構なのだ。そんなものは到底受け入れられる症状ではない。記憶について、ミコトはいつも苦しめられている。
 でも、それでも大切な記憶が彼にはあるのだ。
「カッ、カッ、カッ! どうした、坊(ボン)」
 ミコトの前に立つ熊のような影。雪夜の怪異が見せる郷愁の幻、育ての親兼師匠の高齢な天狗がミコトの前に立っていた。
 ミコトには重い記憶障害がある。だが、そんな様でも、この天狗の事が好きなのだ。彼を思って天狗面を被ってしまうほどに。そのありように憧れ、敬い、その最後を――誇らしいと思う。
「はじめましてだね、お師さん」
 ミコトは天狗の面を外し、どうか聞いておくれよと語る。
 こんな行為はただの自己満足。所詮は幻、過去の残滓。それにいくら語ったところで、真実に届くわけではない。
 けれども、意味と価値はあった。
「――じゃあな、お師さん。オレはもう往く」
 語り尽くせぬことはあれど、ミコトは脚を止めることはない。
 いざ、さらば。
 幻を真正面から突っ切って、ミコトは仮面を被りなおす。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紬雁・紅葉
【光景】
山間の社…家に懐かしい人が
父が 母が そして
七人の姉が

嗚呼、嗚呼
温かき家が
懐かしき人達が
ここに、ここに確かに息づいている
その場で涙ぐむ紅葉を皆が囲んで気遣ってくれる


【覚醒】
ずく
羅刹紋が、都牟刈が疼く
目を上げると、姉たちの頭上に紅く輝く十六の目が

ええ、ええ
分かっています
みんな みんな喰われました
羅刹紋から全身帯電
ええ、ええ
この気持ち、大切なものが奪われた痛み
忘れた事などありません

UC発動

顕現した都牟刈を執り破魔雷を纏った薙ぎ祓い一振り
幻の故郷が霧散
クシナダが顕現せし十握刃が十六の眼光を薙ぎ祓い
消滅する幻光

『斬り祓い給う討ち清め給う』
畏み畏み 言申し賜う

幽か笑み


※アドリブ大歓迎です※



 猟兵紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)は太陽がさんさんと差す小さな村の中に立っていた。
「嗚呼、嗚呼……っ」
 頽れた紬雁を心配そうに取り囲むのは彼女の父と母、そして7人の姉。今ではもう失われてしまった人たちだ。
 温かき家が、懐かしき人達が確かにここに息づいている。その場で涙ぐむ紅葉を皆が囲んで気遣ってくれる。
(ええ、ええ。分かっています。みんな みんな喰われました)
 羅刹紋が疼く。視線を上げると、姉たちの頭上に紅く輝く十六の目があった。
(ええ、ええ。この気持ち、大切なものが奪われた痛みを忘れた事などありません)
 都牟刈を顕現させ、紬雁は破魔雷を宿らせる。
 そして、言った。
「言霊は要らぬ。唯唯願い呼べ…吾、汝が魂なり!」
 ユーベルコード『魂振・稲田姫命(タマフリ・イナダヒメノミコト)』。【紅葉の神格『クシナダ』】が現出し、十握刃が十六の眼光を薙ぎ祓う。
 そして、同時に紬雁は破魔雷奔る都牟刈を横薙ぎに――目の前の優しく、温かな世界へ振るう。
 雷光が、大地を迸った。
「斬り祓い給う討ち清め給う。畏み畏み、言申し賜う」
 幻が霧散する。幻光が吹雪に消えていく。
 紬雁は温かな過去を薙ぎ払った都牟刈を握りこんで、幽か笑む。
 頬の涙を振り切るように、紬雁はその場から駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『妖喰らい・青江』

POW   :    曼殊沙華
【妖刀本体】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    妖刀の性
戦闘中に食べた【血】の量と質に応じて【本体の切れ味が増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    非情なる打ち駒
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【足軽隊という名の捨て駒】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は高宮・朝燈です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


(断章を1月22日中に投稿いたしますので、それまでにプレイングの提出はお控えください。サポートのプレイングでしたら、断章の内容に左右されないため受け付けております。)
 ――おぉぉぉん、おぉぉぉん、と武者が吼える声がする。


 雪夜の怪異を越えた果て。雪を踏みしめ進んだ先に、鎮魂の儀の祭儀場があった。
 祭儀上は大きな焚火を中心に円を描いて展開されており、其処には妖怪たちが倒れ伏している。
 倒れ伏す妖怪には共通して深い裂傷があった。
 その傷をつけたのは、炎を背に立つ1人の男。
 敵オブリビオン『妖喰らい・青江』。その正体は戦武者、ではない。戦武者が握るその刀だ。
 けれども、例え刀が本体であっても、その武技に一切の曇りなし。戦国の世を怨念と共に生き抜いた刀の冴えに間違いはない。
 さぁ、得物を握れ。覚悟を決めろ。
 自らの力の全てで以て、彷徨える妖刀を破壊せよ。
 
 
(第3章では敵オブリビオンとの戦闘が軸になります。プレイングボーナスは「敵オブリビオンに掛ける言葉」。怨念に囚われた敵オブリビオンに対して、猟兵たちがどのような思いを抱くのか、どのような言葉を伝えるのかをプレイングにご記入いただければ、プレイングボーナスをお付けします)
(敵オブリビオンの武装は、イラスト通り本体である刀と通常武装の十字槍となります。一刀一槍を巧みに使い分けて攻撃をしかけてきます)
シホ・イオア(サポート)
『前へ進む、痛みと祈りがシホの背中を押してくれるから』
怖くなって緊張すると 口調が硬くなる
背中の聖痕で相手の悩みや痛みを感じ取ってしまうため
敵でも癒したい・終わらせてあげたいという方向で動く
罠や防衛戦では建造物を作り豪快に解決することが多い
自衛手段を持たないものがいる場合は救助を優先
ユーベルコードは遠距離戦に強いものが多いが
残像を纏い剣と光輪を使って接近戦も行ける
輝いているため隠れるのは苦手
連携アドリブ歓迎


フルム・サーブル(サポート)
余裕があるときや敵に憐れみを感じる場合は基本通りの穏やかな口調
余裕がなかったり、敵がえげつなくて怒りを感じるような場合は
「敵には」の口調です

でもあまりキャラぶれは気にしないので
公序良俗に反しない限りは好きに扱ってください

技能は【力溜め】【怪力】【グラップル】【シールドバッシュ】【カウンター】など
セットされているもの(サバイバル等の事情でばらつきがあります)
を活用し、小さい体で戦場を飛び回りながら
優雅(自称)な戦いをします
どうみてもそのスタイルは脳筋です

武器は鍵(バトルアックス)や杖(バールのようなもの)をメインに使いますが
選択されたユーベルコードによっては拳一つでの戦いも可能です



 吹雪く世界の中で、揺らめく炎を背に立つ荒武者、妖喰らい・青江。
 妄念に取りつかれた敵オブリビオンの前に2人のフェアリーが現れる。
「さて、それじゃあ、準備はいいかい?」
「まだ脚の震えは止まらないけど……私、頑張るよ!」
 猟兵フルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)及び猟兵シホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)。彼と彼女は、土壇場で手を組んだ。
 まず初めにフルム・サーブルが真正面から肉薄する。
「唐竹のように割れるがいい!」
 ユーベルコード『妖精さんチョップ(フェアリーチョップ)』。それは手刀打ちが命中した対象を切断する。単純にして強力なユーベルコード。
 当たれば必死のその一撃を、しかし青江は背後へ一歩動いて打点をずらすことで対応した。
「――ッ?!」
 直前で打点をずらされ、振りぬいた手刀が空を切る。
 大振りの一撃からフルムが体勢を整えるより先に青江は自らの刀を振り上げた。
 すかさずシホが動く。
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、優雅に舞い踊れ!」
 ユーベルコード『ハート・ロンド』。都合94個の【愛】の炎塊が青江に牙を剥く。
 青江は目標を変更。シホの意志で自在に動く炎塊に一刀一槍を向けた。
「いっくよーっ!」
 意気込むシホに呼応して、炎塊が生きているように動き回る。
 まず初めに10の炎塊が青江の上方から迫った。
 青江は軽くそれらを一刀一槍で薙ぎ払う。
「僕を忘れてもらっては困るね」
 青江の剣捌き。その一瞬の隙をついて、フルムが再度肉薄する。
 狙うのは刀を振りぬいた右側面から。絶対の手刀をわき腹に食らわせんと、一歩深く踏み込んだ。
 瞬間、青江の妖気が増大する。
「曼殊沙華」
 ざらざらとした声色で青江が呟くと、彼の持つ刀――すなわち本体が巨大化した。
「これは、いけませんねっ」
 ぐわん、と大きく振るわれる刀をフルムは紙一重で避けた。そして、そのまま大きく後方へと撤退する。
 しかし青江は逃さない。巨大化した刀を横薙ぎに振るい、フルムの腰部を狙い撃つ。
「フルムさん!」
 シホは残りの炎塊を下から刀へぶつけ、斬撃の軌跡を逸らした。刀の刃はフルムの頭上すれすれを抜けていく。
 そのまま刀に追われるようにして2人は撤退した。万策が尽きた。彼と彼女にこれ以上、青江を追い詰める手段はない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イヴリン・ランバート(サポート)
「今は行動する時です。さあ、行きましょう!」

エルフの(新米)魔法騎士です。
元気があって努力と特訓が好きな真面目な性格をしています。
口調はですます調の敬語です。 

強敵を相手にした場合は紅の槍や青の斧。集団相手なら翠の剣。という風にユーベルコードは指定されたものを状況に応じて使い分けます。

冒険では力仕事や魔法を使った作業が得意です。
戦闘ではユーベルコードの他に魔法による攻撃や装備した鋼の杖を使った近接攻撃で戦います。
戦闘中は負傷も覚悟の上で積極的に戦います。

基本的に依頼成功のために動きますが、公序良俗に反することはしません。
後はおまかせします。よろしくおねがいします。


天星・零(サポート)
※一言欄も参照願います

零、夕夜二つの人格を持つ少年
零は常に微笑んで話す



口調
零…僕、-さん、です、ですよね?
夕夜…俺、お前or呼び捨て、-だ、だぜ、だよな?

UC口調は秘密の設定

装備

十の死
虚鏡霊術
死神の瞳

夕夜
Punishment Blaster

共通

Enigma
オーバーライト
約束の四葉
違法契約者の刻印
Ø
グレイヴ・ロウ
Determination -決意の魂-

常に【戦闘知識+世界知識+情報収集+追跡+第六感】を働かせ、普段の情報収集や戦闘での戦況や弱点や死角を把握警戒

enigmaを使い両人格で行動または召喚系UCと行動
メインは指定UCを使う方



真の姿禁止
ネタ禁
人格毎に使うucが違う為、秘密の設定参照



「ふぅぅぅぅ」
 猟兵イヴリン・ランバート(エルフの魔法騎士・f29406)は熱い息を吐く。その手に握るは『魔法刃・無垢なる灰』を顕現させた『騎士の鋼杖』。構えた刃の先には妄念に囚われた荒武者がいる。
 息を荒げるイヴリンは彼に対して、こう評価を下していた。
(――強い)
 一刀一槍の戦闘術。長短異なる得物を振るう荒武者の武技に隙はない。1つ1つが確実にイヴリンの命を刈り取るための一手となって、彼女に牙を突き立てた。
 あまりにもある力量差。それを実感する。
 自然と鋼杖を持つ手に力が入る。そんな彼女の背中を支える1人の少年がいた。
「そんなに体を硬くしてちゃ、勝てる勝負にも勝てないぜ?」
 猟兵天星・夕夜(零と夢幻、真実と虚構・f02413)。銀の髪を持つ熟練の猟兵は若輩者の手を取った。
「後方支援はまかせろ。イヴリンは真っ直ぐアイツを討つことだけ考えれば良い」
「は、はい! わかりましたっ。頑張ります!」
 未熟な猟兵は息を吸う。全身に酸素が行き渡り、指先にまで熱が宿るのを知覚した。
 そして、行く。
「トリニティ・エンハンス!」
 ユーベルコード『トリニティ・エンハンス』。それはイヴリンが持つ【炎の魔力】【水の魔力】【風の魔力】で自らの力を底上げするユーベルコード。
 強化された脚力でイヴリンは疾駆する。
 迎え撃つ荒武者は自らの本体を巨大化させた。長大な刀を片手で悠々と振るい、繰り出されるは横薙ぎの断撃。
「――!」
「躊躇わなくて良い、そのまま行け!」
 銀の少年はイヴリンへ檄を飛ばす。瞬間、銀の少年が金の少年へと塗り替わる。
 天星・夕夜は2つの人格を持つ多重人格者。金髪に金と葡萄酒色の瞳を持つオッドアイの彼の名は天星・零という。
 零は2本の指で打ち抜くように荒武者を指さした。
「過去も現在も未来も無に還す。悲しむ人もいないまま、倒れたのかも知らぬまま……」
 ユーベルコード『虚刻の瞳』。それは視認した敵を停止させる呪術。
 視界の先、ぴたりと荒武者が動きを止める。横薙ぎの刃も不自然にその動きを停止した。
「――ずつ。流石に抑えるのには力がいるね」
「大丈夫ですか?!」
「僕のことはいいですから、行ってください!」
 イヴリンの躊躇いを自ら断って、零は彼女の背中を押した。
 言葉を受けたイヴリンはもう振り返らない。灰色の刃を大きく引き、イヴリンは力強く一歩踏み込んだ。
 踏み込んだ一歩に全体重を集中させ、心臓へと一直線へと刃を突き出す。刃が届く。だが、その瞬間、
「――ずぁっ」
 ユーベルコードが破られる。
 妄念に取りつかれた荒武者が零の縛りを破砕する。
 長大な刀は一瞬にして元の大きさへ戻り、荒武者の手に収まった。
 結果として生まれたのは、首が落とされんとするイヴリンだ。
(死ん―?!)
 イヴリンの脳がスパークした。直面する生命の危機。それに彼女の本能が過剰反応する。
 刹那の時間。瞬きの間にイヴリンは空白の隙を生んだ。首に迫る凶刃を前に、ただただ彼女は硬直する。
「――ッ。『虚刻の瞳』っ!」
 すかさず零は再びユーベルコードを起動した。
 僅かに硬直する荒武者。すかさず零はイヴリンに指示を下す。
「撤退しますよ!」
 先達の言葉にイヴリンは意識を取り戻した。すかさず強化された脚力で後方へと跳ぶ。
 入れ違うように振り落とされた荒武者の刀は、正しく彼女の首があった宙を切り裂いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミネルバ・レストー
勝利条件がおじゃんになった?
そう、よくある話ね
なら、条件を変更すればいいだけの話よ
…遊んであげるわ、妖喰らい
氷の魔女が直々に相手してあげるわ、有難く思いなさい

(何としても倒したい相手がもういないなんて、やりきれないわよね)

巨大化した妖刀は「アブソリュート・ウィッチ」に
「オーラ防御」の力を通して盾や足場に変えて
「空中戦」の要領で回避しましょう

(わかるわ、でもそれを口にはできないの)

【六花奏填・氷槍六連】で、その行き場のない執着だけを打ち砕く
強い人は好きよ、戦っていて昔を思い出すようで
でも、あんまりやると旦那さまに怒られちゃうから

あなたもこの辺にしましょう?
暴れれば暴れるだけ、虚しくなるだけよ



(何としても倒したい相手がもういないなんて、やりきれないわよね。わかるわ、でもそれを口にはできないの)
 猟兵ミネルバ・レストー(桜隠し・f23814)は敵オブリビオン『妖喰らい・青江』を気の毒に思う。とはいっても、同情はしないが。
 青江にとっての勝利条件はおじゃんになった。けれども、そんなことはよくある話。条件を変更すれば良いだけだ。
「……遊んであげるわ、妖喰らい。氷の魔女が直々に相手してあげる。有難く思いなさい」
 ミネルバの挑発。応じるように青江は自らの本体たる刀を長大化させた。
 ユーベルコード『曼殊沙華』。横殴りの断絶がミネルバに迫り来る。
 ミネルバの答えはこうだった。
「――アブソリュート・ウィッチ」
 無数の雪の結晶がミネルバの周囲に現れる。それらは1つ1つが意志を持った彼女の武器だ。
「私を、上げて」
 ミネルバの号令。それに従い、アブソリュート・ウィッチは彼女の足元に集まり、そして彼女を跳ね上げた。
「――?!」
 青江の刃はミネルバを食いそびれた。舞うように宙を飛ぶ彼女はただ静かに術を展開する。
「少し頭を冷やしなさいな、おバカさん」
 ユーベルコード『六花奏填・氷槍六連』。それは敵の激情を貫く6つの氷槍。
(強い人は好きよ、戦っていて昔を思い出すようで。でも、あんまりやると旦那さまに怒られちゃうから)
 だから、

「あなたもこの辺にしましょう? 暴れれば暴れるだけ、虚しくなるだけよ」

 天に舞う氷の魔女、その指先から6つの槍が放たれた。
 青江は一刀一槍を構えるが、しかしそれは無意味。迎撃しようと振るった得物が宙を切る。
 氷槍は実体を持たぬ精神の槍。ただの暴力が打ち砕ける道理はない。
 青江の撃をすり抜けた6つの氷槍は青江の行き場のない執着だけを打ち砕いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花盛・乙女
武士ではなく、刀。
戦乱の世を潜った経験は私には無い。
なれば習おう。言葉は不要、その剣閃に聞こう。
羅刹女、花盛乙女。いざ尋常に。

【黒椿】と【乙女】、二刀にて槍と刀に剣戟を。
払い、薙ぎ。突き、斬る。
戦場知らずの未通の身、全身全霊で挑ませていただく。
刀が大きくなる、それはつまらん。
私が人なれば脅威だろう。しかし、我が身の血潮は鬼の赤。
「怪力」を以ってして、既にて叩き落としてくれる。

大道芸を見せたくて、貴様は未練を残したのか?
戦乱の世に我ここにあり!と見せる為、未練を残したのか?
違うだろう。
戦場で育った刀、未踏の無念に燃えているのだろう。
なれば燃やせ、その御霊を。
鬼の剣に、その全てをぶつけてこい。



「やれ、ようやっと目が覚めた。して、彼奴等は何処だ。忌まわしき首塚の一族は」
 先の戦いにて妄念を砕かれたはずの青江は此処に来て、初めて言葉を発した。
 猟兵花盛・乙女(羅刹女・f00399)は震える。
(強い。ついさっきまでよりもずっと!)
 気配が違うのだ。憑き物が落ちたというべきか、先程より今の方がずっと洗練された武者としての強さを感じる。
(戦乱の世を潜った経験は私には無い。なれば習おう。言葉は不要、その剣閃に聞こう)
 花盛は黒椿と乙女に手を掛けた。
「羅刹女、花盛乙女。いざ尋常に」
 そして、疾駆する。目の前の強者を相手に出し惜しみは無しだ。初手の初手から全力で行く。
 目測30㎝。有効距離に敵を捕らえた。
 花盛は二刀の鯉口を切る。
「我流実戦術【雨燕】」
 黒椿と乙女を瞬きよりも速く引き抜いた。
 居合抜刀。雷が如き速さで切り裂く絶死の一撃。
 けれども、その速さを青江はいとも容易く超克した。
「足りん。首塚の女武者は光すら超えたぞ」
 受け止められる。槍の柄、ただそれだけで。
「――っ」
「だが、これを壊したことは称えよう。この槍も鎮魂の儀なるものに使われていた業物だ」
 槍が不可解にも粉微塵となった。これで青江は武器を1つ失った形になったが、しかし花盛は深追いしない。すぐさま反転し、距離をとる。
「良い判断だ。相手が俺でなければ、の話だが」
 残された彼の本体――妖喰らいの刀が背後から迫り来る。
 振り返りざま花盛はまず小太刀の乙女で刀を受け止めた。斜め下から刀を受け止めた乙女で力を逆方向へ逃がすと、続けざまに黒椿を下段から振り上げて青江の刀を上方へ跳ね上げる。
「ほう?」
 胴体ががら空きとなった。その隙を花盛・乙女は見逃さない。
 一転攻勢。振り上げた黒椿の刃を下へと握り直し、花盛は首を獲る。
 視線と視線が交差する。その時、青江の口元が弓形に歪んだのを花盛は見逃さなかった。
「曼殊沙華」
 上方へと弾けた刀が巨大化した。質量の増加。荷重が増えた刀は速度を上げて、振り落とされる。
「――――ッ」
 上から落ちてくる刃の冷たさを肌で感じた。花盛は振り下ろす黒椿に対してかけていた力を強引に退き戻し、その力を反発させ、常識外れな刀を受け止める。
 肉体が軋む。腕が、腰が、脚が、花盛を支える全てが悲鳴を上げている。
 けれども、高揚感から凄絶に笑う。
「大道芸だな」
「何?」
「大道芸を見せたくて、貴様は未練を残したのか? 戦乱の世に我ここにあり!と見せる為、未練を残したのか? 違うだろう。戦場で育った刀、未踏の無念に燃えているのだろう。なれば燃やせ、その御霊を」
 だから、
「鬼の剣に、その全てをぶつけてこい!」
 吼える。咆哮する。
 対する青江は嗤った。

「そう簡単に壊れるなよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・雨幻(サポート)
真正面から、と言うよりは掠め手で相手を惑わせて
攪乱しながらのらりくらりと追い詰める戦い方を好むよ。
ただし共闘者がいて危ない時は飛び出して守りに行くかな。

使う武器は【黒雲】【黒霧【対】】の二刀流での戦闘が主。
使うUC次第では連結してダブルセイバーにしたり、
そもそも剣を【武器受け】用として使い、影を操る攻撃で戦ったりするよ。

基本的に相手の攻撃を【見切り】、【早業】で【武器受け】をしながら動きを観察し、隙を見つけて【切り込み】もしくは【カウンター】を決めて離れる飄々とした動きのヒット&アウェイスタイル。
戦闘中も仲間やボスにも冗談を交えて話しかけたりする。
ただしあまりにも非道な相手の場合は別だがね。





「さて、そろろオジサンの出番かね」


「ふ――」
 青江は深く息を吐く。
 負傷は少なくはない数だ。肉の体の切り傷は絶えず、鎧には深い切込みがある。彼の本体たる刀にも少しボロが来ていた。
「くはっ、まぁ、楽しめたから良しとしようか」
 凄絶に笑う。仇敵には及ばないが、良い敵だった。あの強さは悪くない。
 この余韻に浸りたい青江だったが、それを状況が許さない。

「おい、そこの。いい加減に出てきたらどうだ?」


「いやぁ、全く恐ろしいねぇ」
 ゆらり、とその男は現れた。猟兵叢雲・雨幻(色褪せた根無し草・f29537)。飄々とした雰囲気の男は立つ。
 青江は嫌悪を隠さず言った。
「一番嫌いな類の男だ」
「奇遇だね。俺もお前は苦手だ」
 奇遇にも2人が動き出したのは同時だった。
 青江は刀を、叢雲は黒雲と黒霧【対】を手に取り、ただ敵の首に目掛けて振りぬいた。
 カッキィィィン、と金属音が高鳴る。
 青江と叢雲の刀が交差し、痺れたのだ。
「貴様は軟弱なのだ。力ではなく、意志がっ」
「真っ直ぐで、力強い。あぁ、まったく。敵としては本当に相手にしたくない」
 言葉を交わす2人の刀は同時に互いを弾いた。
「貴様は殺すぞ」
「お生憎様、オジサンはそんなに弱くないんだ」
 刹那、青江はいつの間にか叢雲が居合の体勢に入っているのに気づく。
 不味い、いつからだ。そんな逡巡すら叢雲は許さなかった。
「――雷雲撫で」
 ごぷ、と至近で液体が弾ける音がした。それは青江自身の喉から発せられた音だった。
 理由は単純。叢雲の居合が彼の胸を袈裟切りにしたからだ。
 噴き出す血しぶきを前に叢雲はニヒルに笑う。

「悪いね」

成功 🔵​🔵​🔴​

紬雁・紅葉
羅刹紋を顕わに戦笑み
御託宣です

先制UC発動

哀れなり
堕ちたるか青江
古太刀銘刀の名が泣く…

吾が分かるか妖刀!?
この上は是非も無し
"剣神"布都主が斬り祓って進ぜよう

天羽々斬を鞘祓い十握刃を顕現

残像忍び足で正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第破魔雷属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う

敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像などで躱し
さもなくば破魔衝撃波オーラ防御武器受けUC等で防ぐ
何れもカウンター破魔雷属性衝撃波UCを以て範囲を薙ぎ払う

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

渾身の力を溜めとどめ

喰らいに堕した刀に明日は無し
青江の過去よ!去り罷りませ!

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※



● 
 
 青江の本体たる刀に亀裂が入る。憑りついた肉体もガタが来ている。
 自身が限界にあることを青江は自覚していた。
 それでもなお立つのは、自らの妄念がためか。
 否、最早そうではなく――


 青江は目前に立つ剣士を認めると笑った。
「此度はどうにも羅刹の女と縁があるな」
 羅刹紋を顕わに戦笑みする猟兵紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)。どんな奇運か。刀の妄念の前に最後に立ち塞がったのは剣神を奉る社の巫女だった。
「哀れなり、堕ちたるか青江。古太刀銘刀の名が泣く……」
 紬雁は天羽々斬を鞘祓い、十握刃を顕現させると神気を増大させた。
「掛けまくも畏き布都主の遍く剣とす御力お越し畏み畏み申し賜う……!」
 ユーベルコード『巫覡載霊の舞・八威刃』。それは紬雁を"剣神"布都主の神霊体に変ずるユーベルコード。
「はっ、こいつは良い。ただの羅刹女より愉しめそうだッ」
 凄絶に笑い、青江は紬雁に刀を振るう。
「喰らいてヒカれ――曼殊沙華」
 青江の本体が伸長した。ユーベルコード『妖刀の性』及びユーベルコード『曼殊沙華』。なけなしの力を振り絞り、青江は剣の神へ挑む。
 紬雁は応じるように吼えた。
「吾が分かるか妖刀!? この上は是非も無し。"剣神"布都主が斬り祓って進ぜよう!」
 そして、行く。十握刃を握りしめ、破魔の雷撃と共に物静かに近づいていく。
 時間は掛けない。ただの一交差で終わることを互いが知っていた。
「あをによし。散りと知りせば、わするまじ。カかれ、青江ェェェェッ!」
「喰らいに堕した刀に明日は無し。青江の過去よ!去り罷りませ!」
 青の軌跡と雷光が炸裂した。
 ぶつかり合う邪刀と神刃は刹那の均衡を得る。
「づ、つぅぅぅっ」
「お、ぁぁぁぁぁぁッ」
 手の皮膚がこそぎ取られる。そんな痛みを感じながら、紬雁はそれでも決して刃を離さない。
(このまま、押し切る――ッ!)
 再び刃を握りしめて、紬雁は十握刃を振りぬいた。
 ズバチィッ、と雷光が世界を焼く。神の気を纏う雷は物質ではなく、世界の霊性さえも射貫いた。直に触れ合っていた長大な刀は――『妖喰らい・青江』は意識ごと粉微塵に弾け飛ぶ。
 死が自らに追いつくその前に、青江は晴れやかな気持ちで思う。
 首塚の一族とは相対することは出来なかった。当然だ。彼の一族は既に滅び、遥か過去となったのだから。この身が抱く妄念は果たされるはずがなく、ただ無意味な妄執だ。
 無念だ。無念でしかない。あの忌々しき首塚を縊り殺せぬのは満足いかん。けれども満足の代わりはあった。武者として力を振るうべき達人たちがいた。悪くはない、と素直にそう思う。
 だから、意識が途切れるその寸前に青江は静かに独り言ちた。

『まぁ、悪くはなかったな』

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月30日
宿敵 『妖喰らい・青江』 を撃破!


挿絵イラスト