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終わりの色は黄昏に似て

#UDCアース

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#UDCアース


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●講演会場控室
「本日はありがとうございました、先生」
「いえいえ。こちらこそ講演の機会を戴き感謝しています」
 市民ホールの一室。大ホールの裏に備えられた控室にて、女性が二人。
 講演を終え、手に持ったペットボトルから水を呷るのは、祈谷・希と名乗る篤志家。
 カウンセラーとしての肩書を持った彼女は、聴衆に対して説いたのだ。
 死は避けられるものではないのだから、受け入れる事こそ重要なのだ、と。
 人は生まれた以上、必ず死ぬ。ある意味で真理を突いた彼女の発言は、ある程度の賛同を得られ、講演は盛況に終わった。
 ……表向きは。
 市民ホールの職員が控室を辞して数秒。
 祈谷・希の背後に音もなく白い影が現れる。
 全身を白い布で覆い、白い仮面を着けたその姿。

「希サマ。収容、完了致シマシタ」
「ご苦労。くれぐれも丁重にね。彼らは私たちの同志となるのだから」
 ガラスを釘で引っ掻いたような金切り声。
 常人であれば眉を顰めるどころか耳を塞いでしまいたくなる様な嫌悪感を齎すその声にも、希は眉一つ動かさず答える。
 その表情は、先ほどまで壇上で講演していたものとは似ても似つかぬほどに冷酷なもの。
 彼女の名は祈谷・希。それは事実。だが、カウンセラーでも、篤志家でもない。
 彼女こそ、要注意団体『黄昏秘密倶楽部』が信奉する邪神、『黄昏の救済』の眷属。
 それも有象無象の眷属とは異なる、眷属の中でも有数の存在だった。
 そんな彼女が講演などをしている理由はただ一つ。
 『黄昏秘密倶楽部』の信徒を増やす為に他ならない。
 彼女が行った講演は、常人ならば少々違和感を覚えるだろうが、筋の通った内容に聞こえただろう。
 しかし、その内容などは関係が無い。
 彼女の言葉を聞いた聴衆は、その正気を徐々に削られ、講演を聞き終えてしまった時にはすでに遅い。
 聴衆は彼女の言葉が心に深々と刺さった棘となり、狂気へと引き摺られていく。

「勿論デ御座イマス。丁重ニ、我々トナッテ戴キマショウ」
「そう。苦痛と絶望の果てに。救済を共に迎える為」
 そう呟いて微笑む彼女の表情は、間違いなく慈愛に溢れていた。
 だが、その慈愛の名を、人は狂気と呼んだ。

●グリモアベース
「これが、私の見た予知です」
 瞳から白い壁に投影した映像を消し、深々と下げた頭を上げ、猟兵達を見据えてスキエンティア・スフィアソフィア(電脳知性天体・f01158)はそう、口を開いた。

「皆様、ようこそおいでくださいました。皆様を召集する事態。即ち、オブリビオンによる事件。
 舞台はUDCアース。UDC、アンディファインド・クリーチャーと呼ばれる、太古から蘇った邪神とその眷属達に脅かされる世界です。
 邪神たちは完全なる復活を目論見、眷属に命じて様々な儀式を執り行わせています。
 今回私が予知したのは、邪神の眷属がその勢力の拡大の為、とある篤志家に扮して講演を行っているというもの。
 『黄昏秘密倶楽部』。皆様なら幾度かは聞いた事があるのではないのでしょうか。
 そう。苦痛と精神の死を救済と信じる狂信者たちの一派です。
 そして、その篤志家の名は祈谷・希……『黄昏の救済』の眷属です」
 スキエンティアは、そこで一度言葉を区切る。
 表情筋など存在しないのではないかと思わせる程にピクリともしない表情でありながら、強い怒りを宿した眼差しで猟兵達を見回して。

「ここまでお伝えすれば、聡明な皆様の事ですから何をすべきかは分かって戴けたものと思います。
 えぇ。オブリビオンをメッタメタのギタギタに叩きのめし、勢力の拡大を阻止する……のは最終目的。
 その為にもまず皆様には、この篤志家気取りの狂信者の尻尾を掴むための調査を行っていただきたいのです。
 とはいえ、この祈谷・希が眷属である事は既に確認済み。
 皆様にまずお願いしたいのは、その拠点を探し出す事です」
 表情は相変わらず変わりなく、ただ声音と視線にとても冗談とは思えないような真剣さを込めながらも、スキエンティアは続けた。

「この講演会場で仕掛ければ、一般人に無用な犠牲が出る可能性があります。
 その為、拠点を探り出し、乗り込んで、討伐する必要があります。
 探り出す手段は大きく分けて三つ。
 一つは単純ですね。講演を終え、拠点に戻ろうとする祈谷・希の後を付けること。
 または拠点の目星をつけて張り込む事ですが、これはあまりお勧め出来ませんね。
 一つは盗聴や潜入等で証拠を握ること。講演に現れた祈谷・希の控室で調査を行い、拠点の場所を探って戴きます。
 そして最後の一つは、聞き込みや記録調査等で拠点の場所を割り出すこと。
 講演を行っているという事は、その連絡があるという事です。
 講演会場で調査をすることで連絡先、延いてはその拠点の場所を探ることが可能だと思われます」

 そこで言葉を区切り、スキエンティアは再度猟兵達を見回す。
「人はいつか死ぬもの。そこ自体は間違ってはいません。
 しかし、人らしく死ぬのではなく、オブリビオンの尖兵となる事に救いなどあるはずもありません。
 これ以上の犠牲者を出さない為にも、どうぞ、よろしくお願いいたします」
 そう告げて、スキエンティアは再度、深々と頭を下げた。


氷川 仁
 氷川 仁(ひかわ じん)です。
 舞台はUDCアース。世界観としては現代日本に限りなく近いですが、大きな違いが一つ。
 UDC、邪神と呼ばれる存在は自身の眷属に命じて儀式を執り行い、完全なる復活を目論んでいます。
 その為に、眷属を増やそうとしているのが今回のオブリビオン。
 残念ながら既に相当数の犠牲者が出ていますが、これ以上の犠牲を出さない為、皆様には首謀者たる祈谷・希を倒していただきます。
 皆様の多彩なプレイング、お待ちしております。

●講演会場について
 どこにでもある市民ホールです。
 祈谷・希の控室は事前に判明しているため、盗聴機材を仕込むことは可能ですが、工夫が無ければその機材を発見されてしまうかもしれません。
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第1章 冒険 『聖人の裏の顔』

POW   :    尾行や張り込み等で尻尾を掴む

SPD   :    盗聴や潜入等で証拠を握る

WIZ   :    聞き込みや記録調査等で正体を暴く

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

向坂・要
ま、確かに生まれた以上、死、終わりってやつは基本セットと相場が決まってますからねぇ

とはいえその道のりがどんなもんか、てのまでは他人が決めていいもんじゃねぇと思いますぜ

公演予定の市民ホールに可能であれば数週間前からスタッフとして勤務
市民ホールのスタッフ、もしくはホールに出入りする清掃員などに【変装】
公演に関するやりとり、段取りなどからも情報収集
また控え室含めいくつか盗聴器などを忍ばせ
(分体に潜ませ部屋の飾りとして置いておく、差し入れの花に忍ばせるなど一工夫
また事前に【掃除】しておくことで綺麗さアピール
警戒心をゆるめられりゃ御の字で


連携、アドリブ歓迎




「ご清聴、ありがとうございました」
 その日も、祈谷・希の講演は盛況に終わった。
 盛況と言っても、拍手が鳴り響いたわけではない。
 寧ろ、その逆。講演が終わったというのに、誰一人席を立たない。
 帰途に着こうとする者は誰一人居ない。
 聴衆は誰もが魂が抜かれたかのように、ぼうっと虚空を見上げ、椅子に座り込んだまま。
 その様を、スタッフの服装に扮した向坂・要(黄昏刻・f08973)は眉を顰めながら見つめていた。

「内容の是非は兎も角も。この有様はどうも気に食いやしませんね……」
 今この場で彼らを全員救ったとして、元凶たる祈谷・希は雲隠れして終わり。
 そうさせない為に、尻尾を掴む必要があるとはいえ、この現状に納得しているわけではない。
 人生の終わりは死、それは全くもってその通り。

「とはいえ。その道のりがどんなもんか、てのまでは他人が決めていいもんじゃねぇと思いますぜ」
 そうぼやく要の耳に、控室に仕込んだ盗聴器からの音声が飛び込む。
 自身の分体に仕込もうとしたが、ヴァイオレットスターサファイアとシトリンの嵌まった像は目立ちすぎる為、差し入れの花、その花瓶の中に仕込んだ盗聴器は、祈谷・希ともう一つの声、ガラスを釘で引っ掻いたような金切り声との会話を拾っていた。
 所々くぐもり、また、金切り声の聴き取りづらさから十全にとはいかなかったが、その内容の端々から、移動に車を使用する事、利用する道路等の拠点への移動についての会話が聞き取れた。

「ここまで、としやしょうか」
 祈谷・希が控室を出る気配を感じ、要自身も撤収の準備を開始する。
 数週間前から勤務していた市民ホールだが、要の本職はこちらではない。
 過去からの侵略者、オブリビオンを狩る猟兵こそが、要の真の職なのだから。

「とはいえ。挨拶くらいはした方が良いんでしょうかね」
 そう、言いつつも。追跡を行う猟兵たちの情報を待って、拠点に向かう準備を始める要だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

桑崎・恭介
POW


(市民ホールの近くのカフェやコンビニ等の一般人が休憩してても不思議じゃなさそうなところで待機)
さて…ここなら出てきた時に見えるやろ
言っとるその内容自体は、多少なりとも理解できなくは無いんやけどな
…まぁ、内容には意味が無いんやったか
話聞かせて信徒増やすっつー力は厄介やな…
これ以上の被害出させんためにも、ここで食い止めるで

っと出てきたみたいやな。追え、影の追跡者
俺自身は建物挟んだり直接見えん所から追うで
…なんやろ…微妙に罪悪感沸いてくるなこれ…
…女性をストーキングしとる視界見とるとこっちが悪い事しとるみたいな気分に…
(無駄な一般人的良心の葛藤)

(適宜、他の猟兵と連絡を取りつつ情報共有する)


ロク・ザイオン
※ロカロカ(f00198)と

(邪神。ひとを蝕む病が現れるなら、森番は焼く)
……?
(けれどスキエンティアの映像からは。
美しい祝福の歌声しか、聞こえなかった)


(この世界のことは、ロカロカが詳しい。
この建物が何なのか、女が何をしているのか、あの正直よく解っていないので)
…おれはキミに従おう。ロカロカ。


(ロカロカが得てくれた情報に沿って【忍び足】で【追跡】。
接触するなら、頭を「羨囮」で変えて相手の知った顔を作れる。相手の仲間に交じることも出来る)
…喋るのは。声がみにくいから。
ロカロカ、まかせた。


ロカロカ・ペルペンテュッティ
※ロクさん(f01377)とご一緒

無辜の人々に非道をなす『黄昏の救済』の眷属
一刻も早く居場所を突き止め駆除しなくては

……狂気をもたらす声
猟兵に軽々に効くものではありませんが

■WIZ
彼らの居場所に目星をつけましょう
(地図を広げ、UDCをベースに作られた『ペンデュラム』の先端を落とす)
表向きの情報をいかに隠蔽しようと
『隣人』たちを完全に欺くことなどできません
彼らの声を聞き敵の足跡をたどります
(技能:地形の利用、第六感により精霊に呼びかけダウジングを行う)

目星が付けられれば
ロクさん、よろしくお願いいたします

ボクもUCでボクと感覚を共有し、
姿を消せる《追跡者》を呼んで追跡に協力します




「………………動いた」
 UDCを加工して生み出されたクランケヴァッフェ、加工体番号049《グレイプニル・ペンデュラム》の先端を地図上に付け、瞑目しているのはロカロカ・ペルペンテュッティ(《標本集》・f00198)。
 先行して潜伏していた要から、目標の使うルートを聞き、そのルート上にある場所を探っていたロカロカ。
 その手にしたグレイプニル・ペンデュラムの先端が、市民ホールを指したかと思えば、その先端は道路へ沿ってゆっくりと動き出す。
 独りでに動くそれは、ロカロカが精霊の声を聴いた結果を示す指標。
 事前に聞いていたルートをなぞるその先端に、情報は確実だったと確信を深めるロカロカは、手元に置いていたUDCスマートフォンで連絡を飛ばす。

「……」
 その連絡した先は、市民ホールの近くにあるカフェで待機していたロク・ザイオン(疾走する閃光・f01377)。
 森番として生きて来たロクにとって、土ではなくコンクリート、木ではなくビルの聳えるこの街には不慣れ。
 そもそもこの場所がなんなのかすら解ってはいなかった。

「お、連絡来たんか。ほな行こうや」
 そんなロクがカフェなどに居た理由。同じく追跡を買って出た桑崎・恭介(浮草・f00793)が、目立たないために一般人も利用するこの場所で待機する事を提案したからだった。
 席を立った恭介の足元の影から、するり、と近場の影へ移るもの。
 恭介と感覚を共有する影の追跡者は、市民ホールを出て移動を開始した祈谷・希の乗る車の追跡を開始した。

「いやしかし何やな。言ってる事は理解できんでもないけど。
 無理やり話聞かせて信徒増やすっつー力は厄介やな……」
「……」
 影の追跡者が見る光景を元に、建物を挟んだり意図的に遠ざかりながら、祈谷の車を追う最中。
 見た目が女性である祈谷を追う事に若干の罪悪感を覚えた恭介は、隣を並走するロクへと話題を振る。
 が。ロクは恭介の方を一瞥。何事かを言おうとしたのか、一度口を開くも、そのままだんまりを決め込み。

「えぇ……」
 無視されたんかな……と軽く速度の落ちる恭介。
 と、そんな恭介にロクは先ほどロカロカから連絡の入った端末を押し付け。

「すみません。彼女、自分の声が嫌いでして」
「あ、あぁ。そう言う。そらしょうがないわ」
 端末からした声はロカロカのもの。その内容に、恭介も自身が何かをしたわけではないのだと胸を撫で下ろし。
 そんな恭介を見つつ、ロクも問われた事を思い返していた。
 そもそも、ロクにとっては祈谷のしている事がなんなのか、あの美しい祝福の歌声は、本当にひとを蝕む病なのか。焼くべき病なのか。
 それら一切が正直良く分かってはいなかった。この土ではない土と、木ではない木に覆われた森の理は分からない。
 だから、ロカロカに従うと決めていただけ。

「……んん?」
 そう、思っていたロクの耳に、戸惑うような恭介の声が飛び込んで来る。
 どうかしたのか、と問う視線を向ければ、そこには首を傾げる恭介の姿があった。

「えぇと、ペルペンテュッティさんやっけ。こっちで追ってるの、合ってる?」
「………………成程。いえ、撹乱されているようです。此方で見ているものと、精霊の声が異なります。私の方で見ているのは、恐らくそちらと同じものでしょう」
「やっぱか。こっち、街中行くもんな」
 どういう事か、と視線で問うロク。それに気づいた恭介は、手元の端末を操作して地図を出して。

「ここ、此処が今俺らの居るとこ。そんで、元々聞いてたルートがこっち。
 な? ズレてるの分かるやろ。どうもおかしいな、思てたらこれや」
「五感を騙されては追跡者も騙されるわけですね……精霊の声に従いましょう。
 こちらで指示しますので、ルートの修正を」
 ロクには何が起こっているのかはよく分からなかった。
 しかし、ロクはロカロカに従うと決めている。その指示に従って移動を開始するにつれ、懐かしい様な感覚が近づいてくる。
 コンクリートは徐々に土に。ビルは徐々に木に。
 慣れ親しんだ森ではないけれど、その場所は山の中に建っていた。
 そここそが『黄昏秘密倶楽部』の拠点の一つ。
 後続の猟兵たちを待つため、ロカロカと恭介は息を潜め、その建物の監視を開始した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『黄昏の信徒』

POW   :    堕ちる星の一撃
単純で重い【モーニングスター】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    神による救済の歌声
自身に【邪神の寵愛による耳障りな歌声】をまとい、高速移動と【聞いた者の精神を掻き毟る甲高い悲鳴】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    黄昏への導き
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自身と全く同じ『黄昏の信徒』】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『黄昏秘密倶楽部』拠点内部
 それは、宴だった。
 歓声と、嬌声と、悲鳴と、慟哭と。
 悲喜交々の数多の声が混ざり合った饗宴。それを瞑目し、うっとりとした表情で聞くのは、祈谷・希。
 講演で見せた篤志家としての表情など何処へやら。
 陶酔極まったその姿を見て篤志家だ、と思うものなど一人も居ない。
 と、そんな祈谷の元へと、白い影が近寄る。

「希サマ。侵入者デス。数ハ不明デスガ、強襲サレマシタ。包囲サレテイマス」
「………………それで?」
 陶酔した表情から一転。気だるげな顔となった祈谷は、続きを促すように、白い影へと視線を向け。

「ハ、我々デ対処致シマス故、少々オ待チヲ」
「えぇ。待っているわ」
 それきり、祈谷はその事への興味を失ったように、視線を饗宴へと向ける。
 その横顔を眺めていた白い影は、一礼してその場を離れた。
 そして、向かうのは建物の外。拠点を囲む侵入者たちへと、手にしたモーニングスターを振り回し、躍りかかった。

「受ケヨ! 我ラガ神ノ鉄槌ヲ!!!」
ロカロカ・ペルペンテュッティ
※ロクさん(f01377)とご一緒

黄昏の信徒、何度か駆除したことがありますが、死者や気絶者を自身と同質のものへ変異させ、そうでなくとも、仲間同士で絶えず蘇生させ合うことも出来る厄介な相手です

敵首魁も控えている状況……あまり時間をかけてはいられません
ここは《火蜂》の力を借りましょう
UCで《火蜂》の群れを呼び出し、祭礼呪具と杖を介して呪力を高め(属性攻撃)、最大限の火力でもって焼き清めるとしましょう
死体ではなく灰の山となれば、軽々に蘇生はできないでしょう?

ロクさんと連携するため、第六感と地形の利用を介して常に戦場を俯瞰する様に努めます
火蜂の何匹かをロクさんの支援に回し、死角をカバーさせます


ロク・ザイオン
※ロカロカ(f00198)と

うたを、うたうのか。
(その《悲鳴》は、森で聞いていた、美しい祝福の歌に似ている気がして)
なら。
おれは、お前を、土にしてやろう。
(それはととさまに。森に捧げる歌だろう。
そうなのだろう?)

(張り切る)
(【地形利用】【ダッシュ】で肉薄。【2回攻撃】「烙禍」で【傷口を抉り】、躯ごと確実に焼き潰す。灰にし土に還す。
ロカロカは特に庇いながら。
【殺気】でこちらに気を引き付けながら立ち回ろう。
誰も動けなくならないのが、一番いい。
病葉が増えても、自分には、その区別がつけられないから)

ほら。
うれしそうに、うたうじゃないか。


向坂・要
おや、あちらさんからお出迎えとは。
ただちっとボリューム落としてくれねぇと近所迷惑になりますぜ?
耳障りな歌声に、ひでぇ音痴だと眉顰め
分体による撹乱を兼ねたヒットアンドアウェイな攻撃で的を絞らせず
toguz tailsによるなぎ払いや2回攻撃
動きが鈍くなってきたんじゃありませんかぃ?
ユル(イチイのルーン)による毒の属性攻撃に分体の攻撃に込められて蓄積されていく生命力吸収のダメージ

連携、アドリブ歓迎


桑崎・恭介
っと、気付かれたか…!
くそッ、これだけの人間が既に犠牲に…!
これが…祈谷の言う救済の形やって言うんか…?
こんな姿になり果てる事の、どこが救済やって言うんや…!

ッ!今はそんなこと考えとる場合やないな
アンタらにゃ悪いが、無理やりにでもここを通らせて貰うで!

これ以上の犠牲を出さないためにも…穿て、魔弾。数には数や
…なるべく苦しくないようやったるからなッ!
恨んでくれてもええ、間に合わなかった俺たちを…!

ここまでやで…祈谷!
信徒はもうおらん。残るはアンタ一人や
あんまり抵抗はせん方がええで!
投降すりゃ悪いようにはせんからな!

(敵の変身シーン前に勝利確信してイキる挙動良いですよね、みたいな)




 時は僅かに遡り。
 移動する祈谷・希の追跡によって掴んだ拠点。
 その内部を窺っていた桑崎・恭介(浮草・f00793)は、その有様に眉を顰めていた。
 既に幾度か行われた講演によって拠点へと連れ去れた人々、その『加工』過程は筆舌に尽くしがたい有様。
 苦痛と精神の死を救済と捉える教義を持つ『黄昏秘密倶楽部』。
 その信者の眷属化の方法は、肉体と精神の苦痛を受けて死亡した信者や生贄に、儀式を経た布を被せる事。

「こんな姿になり果てる事の、どこが救済やって言うんや……!」
 事前にブリーフィングで聞いてはいた。しかし、聞いていただけと、実際に目の当たりにするとでは大きな差がある。
 つい口を突いたぼやきに合わさるように、俄かに騒がしくなる拠点内部。
 猟兵の接近を察知した眷属たちが迎撃へと向かう為、出入り口へと殺到する。

「……お前らも元は人間なんかも知らん」
 恭介の姿を目にし、手にしたモーニングスターを振りかぶって飛び掛かって来る信者たち。
 しかし、その体が額を起点に弾かれたかのように、後方へと吹き飛んだ。
 眉間に残るのは、一つの穴。恭介の手にした拳銃から放たれたUDC-Q-O-107『魔弾』が、一度に二十体の眷属を仕留めた成果。
 しかし、恭介の顔に喜色は無く。むしろ苦虫を噛み潰したような表情で、倒れ伏した眷属たちを見つめ。

「これ以上の犠牲を出さないためや。なるべく苦しくないようやったるわ。
 恨んでくれてもええ、間に合わなかった俺たちを……」
 そして、再度放たれる二十発の魔弾。
 しかし、同胞が何をされたのか理解した信者たちは、邪神の寵愛による耳障りな歌声を纏い、その弾丸を躱す。
 自在に操作される魔弾と言えど、その操作は恭介によるもの。
 精神を掻き毟る甲高い悲鳴を浴びせられながらでは、その集中も精彩を欠き。

「ひでぇ音痴だ。ちっとボリューム落としてくれねぇと近所迷惑になりますぜ?」
 そう、飛び回る信者たちの耳に声が届いた瞬間。その体が鋭い音を立てて鞭打たれる。
 それを為したのは、向坂・要(黄昏刻・f08973)のウィップ、toguz tails。
 幾重にも分裂したかのような軌道を描くtoguz tailsは、一度に振るわれたようでいて、数体の信者たちを薙ぎ払うように鞭打ち。
 そして、toguz tailsに仕込まれたルーン、ユルによる毒で動きの鈍った端から、恭介の魔弾が撃ち抜いていく。

「……キキキ……」
 次々と信者たちを倒していく恭介と要を遠めに見つつ、一体の信者が既に倒された信者へと近寄っていく。
 その手に持つのは白い布。儀式によって呪力を刻まれたそれを、死した同胞へと被せ。

「させません」
 その瞬間。その白布が紅に染まり。生じた熱に炙られて、信者は一歩を後退る。
 生じたのは炎。白布を食いつくしたそれが次に襲い掛かったのは、倒れ伏す信者の死体。

「知っていますよ。
 死者や気絶者を自身と同質のものへ変異させ、仲間同士で絶えず蘇生させ合うことも出来る事は。
 貴方たちを相手にするのはこれが初めてではありませんので」
 そう告げたロカロカ・ペルペンテュッティ(《標本集》・f00198)は、以前にも『黄昏秘密倶楽部』の信者たちとの交戦経験があった。
 その際に行った対処法を、ここでも行うのみ。

「死体ではなく。灰としてしまえば軽々に蘇生は出来ないでしょう?
 ……おいで、踊り猛り、燃え盛り、刺して尽きるモノ達」
 そう謡うように言葉を紡ぐロカロカに合わせて、信者の死体を薪とした炎から、次々と揺らめくように火の粉が舞う。
 否、火の粉ではない。それは一つ一つが蜂の姿をした炎。
 ロカロカの身に封じられたUDCの一体の力。標本番号008《踊る焔の針刺し》。
 着用者の呪力を増幅する祭礼呪具と、UDCが形を成した祭礼の呪杖によって高められた火力は、瞬く間に信者の死体を灰と変え。

「……貴様ッ!」
 目論見を妨害された信者は、その手にしたモーニングスターを構え、邪神の寵愛による耳障りな歌声を纏いロカロカへと襲い掛かり。
 そのモーニングスターを振り下ろさんとした瞬間。横合いから振るわれた烙印刀に打ちのめされ、地を転がる事となる。
 それを為したのはロク・ザイオン(疾走する閃光・f01377)。
 自身の声を厭うロクは、口には出さないが、信者の纏う《悲鳴》に、懐かしさを覚えていた。
 それは、父なる森へと捧げる、祝福の歌に似ている気がして。
 だから、と。手にした烙印刀を握り直す。
 信者へと一歩を近づき、振りかぶった烙印刀を打ち付け。
 烙印刀が纏った炎が、信者を焼き潰していく。響く悲鳴は、やはり祝福の歌に似ている気がした。

 恭介と要が倒した信者を、再度黄昏の信徒にされないようにロカロカとロクが焼き。
 いつ終わるとも知れなかった信者たちの猛攻は、夜明けを待たずして途絶えた。
 焼き潰し損ねた最後の一体を、ロクの烙印刀が炭としたと同時。
 拠点の中から、白い布を被った一人の女が現れる。

「……よくも。やってくれたわね」
 灰となった信者たちを睥睨し、その視線を猟兵たちへと注ぐその女こそ、『黄昏の救済』の眷属。
 『黄昏色の信心』、祈谷・希。

「ここまでやで…祈谷!
 信徒はもうおらん。残るはアンタ一人や。
 あんまり抵抗はせん方がええで!
 投降すりゃ悪いようにはせんからな!」
 その姿を認めた恭介は、一方的に終わった戦闘から余裕を漂わせながら祈谷へと勧告する。
 と、それを聞いた祈谷は顔を伏せ。俯いたまま、その肩を震わせ声を漏らし始めた。

「本当に……本当に酷い人たち。彼らはようやく救われたのに。
 肉体を捨て……精神を捨てて……厭わしきこの世から解放され……後は『黄昏の救済』を待つだけだったというのに……」
 響くのは嗚咽。心の底から灰となった信者たちの死を嘆くその様に、不快感を覚える猟兵も居た。

「良くも言ったもんでさぁ。無理やり眷属にしておいて、救ってやっただのと。
 何が救済。結局は人殺しでしょうがよ」
 そう、突き放したように言ったのは要。
 その言葉に、祈谷は嗚咽をぴたりと止め。ゆっくりとその顔を上げた。

「……えぇ。貴方たちに理解してもらおうなんて思わない。
 私も貴方達の事を理解しようなんて思わないもの。だって」
 その顔から、猟兵たちは目が離せない。
 遠近感が狂ったように、その顔が肥大化していくように見え。
 否、実際に肥大化していた。被っていた白布から覗くのは、能面めいた顔。
 先ほどまでそこに有ったはずの手足が広がった布に包まれ、その跡形もなく消え。
 その代わり、布を留めるように現れたのは、脈打つように震える肉の輪。

「貴方たちは、ここで救われるのだから」
 それこそが、信仰の果てに神格化を果たした祈谷・希の真の姿。
 『黄昏色の信心』の姿だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『黄昏色の啓蒙』祈谷・希』

POW   :    苦痛を受けよ、精神を死へと返せ。救済の日は近い
自身が装備する【『黄昏の救済』への信仰を喚起させる肉輪 】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
SPD   :    黄昏を讃えよ、救済を待ち侘びよ
【紡ぐ言葉全てが、聴衆に狂気を齎す状態 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    痛みと苦しみが、やがて来る救済の贄となる
【瞳から物体を切断する夕日色の怪光線 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は火奈本・火花です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

向坂・要
救いの押し売りはご遠慮いたしますぜ

こちらも生み出した分体を素早く動かさせ陽動、囮とし
自身は極力ゆったりと動きつつ
Farbeで攻撃
宿すルーンはイチイの「ユル」の毒【毒使い】や【ウル】による【鎧無視攻撃】などの【属性攻撃】
【フェイント】や【スナイパー】を活かした精密射撃や【援護射撃】などで味方とも連携して攻撃しますぜ

アドリブ、絡み歓迎しますぜ


ロク・ザイオン
※ロカロカ(f00198)と

……わかった。ロカロカ。
(あの歪んだかたちは、オブリビオン。病だ。
ロカロカの言うように病葉を撒き散らす病ならば。
森番は、焼かなければならない)

……声が病か。
それなら、
(【ダッシュ】【先制】【早業】で「咎力封じ」
喉に縄を。口に轡を。かけてしまえば、病の音は出せなくなるだろう。
封じ絡めて動きを止めて)

ロカロカ。
頼む。


ロカロカ・ペルペンテュッティ
※ロクさん(f01377)とご一緒

ロクさん、あれは黄昏色の啓蒙
人を狂気に誘う声を持つ恐ろしい邪神の眷属です。
アレをのさばらせてはまた新たな『黄昏の使徒』を作り出し、
新たな被害を広げます
今この場で確実に仕留めなくてはなりません。

引き続きUCで《火蜂》の力を借ります
《火蜂》の数体は相手の抑えに回ってくれるロクさんの守りへ

ロクさんに抑えてもらっている間に残りの《火蜂》を合体
複合型連鎖刻印と封鎖紋によるUDC因子の封印をギリギリまで解除し呪力を生み出し(捨て身の一撃)
それらを祭礼呪具と祭礼の杖でさらに増幅して《火蜂》に捧げて(属性攻撃)
最大威力の焔の一刺しで敵を焼き尽くします



●『黄昏色の啓蒙』
「はっ。救われる。救われる、ねぇ」
 託宣の様に告げられる、祈谷・希の声にそう向坂・要(黄昏刻・f08973)は返し、がしがしと頭を掻きながら、溜息を溢す。

「その救いってのは、お前さんにとっての救いでしょう?
 俺たちや、中の人たちにとっての救いじゃありやせん。
 救いの押し売りはご遠慮いたしますぜ」
「……憐れね。救いの何たるかを、貴方たちはまだ知らない。
 いいえ、それは罪ではありません。
 もし罪があるとすれば、それは私に。
 貴方たちの蒙を啓く事こそ、我が神から与えられた私の使命なのだから」
 突き放すような要の言葉にも、折谷はまるで応えていない。
 濁り切ったその眼は、処置なしとFarbeを構える要の姿を見据え。

「さぁ。貴方たちにも教えてあげましょう。
 我が神の素晴らしさを。黄昏を讃えよ! 救済を待ち侘びよ!」
 そして、折谷の口上を合図に、戦闘の幕が切って落とされた。
 折谷は人に溶け込むために残していた僅かな理性さえも捨て去り、真の意味で『黄昏色の啓蒙』と変じ、要に向かって瞳から怪光線を照射する。
 一直線に黄昏色の啓蒙へと向かっていた要の本体、ヴァイオレットスターサファイヤとシトリンがそれぞれ目に嵌った像は、その怪光線に貫かれると同時、跡形もなく消え。
 勿論、それは要そのものではなく、複製された要の本体。
 要本人は、念力で素早く動かした複製の本体によって、黄昏色の啓蒙の攻撃対象をずらし、ゆったりと近づきながら狙いを定めていた。

「ロクさん、あれは黄昏色の啓蒙。
 人を狂気に誘う声を持つ、恐ろしい邪神の眷属です。
 アレをのさばらせては、また新たな『黄昏の使徒』を作り出し、
新たな被害を広げます。
 今、この場で確実に仕留めなくてはなりません」
「……」
 そう、隙を窺いながらロク・ザイオン(疾走する閃光・f01377)へと告げたのは、ロカロカ・ペルペンテュッティ(《標本集》・f00198)。
 その説明を受け、ロクは黄昏色の啓蒙を病巣と理解した。
 病葉を撒き散らす病ならば、森番である自分は、それを焼かなければならない。
 そして、その元も理解した。声が病を広げる元であると。
 しかし、走り寄れば、今なお撃ち落とされる要の複製体と同じ末路を辿るだろう。
 そう考えたロクは、取り出した手枷を己の前へと翳し、駆け出す。
 と同時。要の複製体からロクへと視線を移した黄昏色の啓蒙の瞳から放たれた怪光線が、ロクの翳した手枷を撃つ。
 ユーベルコードを封じる力を持つ手枷は、貫通こそされなかったものの、その用途を果たせない程度には破壊されてしまい。

「どっちを見てるんで?」
 しかし、視線を逸らしたという事は。
 黄昏色の啓蒙の視界の外へと移動した要の放ったFarbeから放たれたレーザーが、黄昏色の啓蒙の首下、胴と言っても良い部位に命中する。
 そして、次の瞬間。黄昏色の啓蒙は自身の身を襲った激痛に身悶えする事となる。
 レーザーに付与されたユルのルーンの毒は、黄昏色の啓蒙の身を蝕み。
 そして、それは格好の援護射撃となった。
 駆けるロクは、用済みとなった手枷を打ち捨て、猿轡と拘束ロープを手に携え、黄昏色の啓蒙へと投擲する。
 目にも止まらぬ早業で、踊るように黄昏色の啓蒙に絡みついたそれらは、拘束ロープは喉を。猿轡は口を塞ぎ。
 手枷を嵌める事は出来なかったが故に、黄昏色の啓蒙のユーベルコードを完全に封じる事は出来なかったが、その言葉を封じた事で、超攻撃力と超耐久力を失わせた。

「おいで、踊り猛り、燃え盛り、刺して尽きるモノ達」
 そして、消えた黄昏色の啓蒙の言葉に代わって、ロカロカの声が響く。
 その体を覆う封鎖紋は、ロカロカの血液を糧とし脈動する複合型連鎖刻印と連動して、ロカロカの体に封じられたUDC因子の封印を限界まで解放し。
 その捨て身の一撃によって生み出された呪力を、祭礼呪具と祭礼の杖がさらに増幅させ、その結果が遂に現れる。
 それは、蜂。生み出された膨大な呪力によって顕現したのは、炎によって構成された蜂だった。
 しかし、それは先の信者たちとの戦いで現れた炎の蜂ではあるが、その大きさが全く異なっていた。
 全ての蜂が集ったそれが孕む熱量は比べ物にならず。
 放たれた蜂は、その針を黄昏色の啓蒙へと突き立てる。
 耐久力を失い、毒に喘ぐ黄昏色の啓蒙は、その蜂の接近にさえ気付けず、注ぎ込まれた熱量を身に受けて、目から、鼻から、耳から。
 猿轡によって塞がれた、口以外のありとあらゆる穴から炎を噴き出し。
 しかし、それでもなお。
 黄昏色の啓蒙は起き上がる。それは信心か、それとも維持か。
 しかし、既に死に体に近い。後一手。後一手あれば、黄昏色の啓蒙の妄執は絶たれる事となるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アレクシス・アルトマイア
こんばんは。
ごめんなさい、遅れてしまって……
黄昏時はもう過ぎて、そろそろ夜のお時間ですね。

遅れてそうっと現れて、美味しいところを頂いていきましょう。
皆さんもう、おねむの時間ですからね。
手早く、的確に、抜かりなく。急所をついて終わらせましょう。
暗殺は結構得意な方なのですよ、

肉輪とかでの攻撃があるようならば、はダガーや二丁拳銃で撃ち落としていきましょう

これで貴女の言う、いまわしきこのよ?とやらから貴女を開放して差し上げました。
感謝をしてくれても、良いんですよっ

…むぅ、残念ですね

でもとりあえずは…今日のところは、おしまいです。

さあさあ、明日も早くからお仕事ですよ
帰ってぐっすり眠ることにいたしましょう



●そして夜の帳が降りて
「お休みなさい、良い夢を」
 そして、最後の一手が打たれる。
 全身を熱傷に見舞われた黄昏色の啓蒙の延髄へと、すっと音もなく。
 アレクシス・アルトマイア(夜天煌路・f02039)の尖角、慈悲の一差しは、その名の通り。
 痛みさえも感じさせずに黄昏色の啓蒙の首の様な胴体から下の機能を麻痺させる。

「これで貴女の言う、いまわしきこのよ?とやらから貴女を開放して差し上げました。
 感謝をしてくれても、良いんですよっ」
「愚かな……真の救済無しに黄昏を迎える事など……」
 にこやかに、そう言い放つアレクシスへと、黄昏色の啓蒙は視線だけを向け、最後に肺に残った空気を吐き出すように、言い返し。

「……むぅ、残念ですね。でもとりあえずは……今日のところは、おしまいです。
 黄昏時はもう過ぎて、そろそろ夜のお時間。
 皆さんもう、おねむの時間ですからね。帰ってぐっすり眠ることにいたしましょう。
 さあさあ、明日も早くからお仕事ですよ」
 黄昏色の啓蒙へ、ぷくっと頬を膨らませるアレクシスだったが、数秒後には手をぱんっと打ち鳴らし。
 黄昏色の啓蒙へはもう視線をやりもしない。
 それはアレクシスだけではなく、アレクシスの台詞に嫌な現実を思い出した、と言わんばかりの猟兵たちの顔もまた。
 黄昏色の啓蒙の事など、見もしていなかった。
 いずれ来る救済などよりも、大事な事は今日は終わり、明日が来るという事。
 曖昧な黄昏の救済よりも宵闇と夜明けのサイクルこそが、世の理なのだから。
 黄昏色の啓蒙の。折谷・希の過ちは、その事に気付けなかった事。
 そして、また黄昏は過ぎ、辺りは夜に包まれた。
 黄昏を夢見た残骸を遺して。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月27日


挿絵イラスト