ボムファイア!~怒りのチャーチ・イン・フレイム~
●略奪都市の聖女
君たちも一度は耳にしたことがあろう、悪徳の都“ヴォーテックス・シティ”の名を。
そこはアポカリプスヘルのあらゆる悪の頂点に君臨する狂気のレイダー、ヴォ―テックス一族が支配する超巨大都市。夜も電飾や篝火で昼のように明るいこの街には、暴虐と快楽に耽るレイダー共の哄笑と、奴隷たちの悲鳴が途切れることなく響き続けているという。
世界各地で暴虐の限りを続ける恐ろしいレイダー・キング達も、結局はヴォ―テックス一族に頭を垂れ、奴隷を主とする貢物を献上する事で略奪行為の赦しを得ているに過ぎない。
そして今日もまた、ヴォーテックス一族の意を叶えるべく、あるレイダー・キング率いる人間狩り部隊がシティから発進しようとしていた…。
モヒカン頭にスパイクアーマー、終末世界の標準的略奪者装備に身を固めた無数のレイダー共が、厳粛な雰囲気の巨大教会で膝をつき、祈りを捧げている。
…そう、教会である!慈しみの心とも信仰心とも無縁なはずのレイダー共が、一体なぜ、何に対して祈りを捧げるというのか!?
その答えは、彼らが崇める主にあった。
今、修道女のような白いローブを纏った儚げな美女がレイダー共の前に姿を現した。ここが教会であることを考えれば、女の出で立ちはこの場に相応しいものであるように思える。だが、ここが悪逆の都ヴォーテックス・シティであり、彼女に傅いているのが無数のならず者であるという事実を踏まえると、明らかに異常な状況であった。
「おお、ヨーエルシア様…」
「ヨーエルシア様…なんとお美しい姿なんだ…」
「ヨーエルシア様!ご下知を!」
「聖なるお言葉を賜りたく!どうか…!」
レイダー共が、ヨーエルシアと呼ばれた女を崇め奉る。まさかこの女が、聖女然とした神聖なオーラを纏うこの美女が、彼らの仕えるキングだというのか…!?
「子らよ、顔を上げなさい。我らが主、志尊なるヴォーテックスの血族よりお言葉を賜りました」
ヨーエルシアはレイダー共を見回し、厳かに告げた。
「我らはこれより、哀れな者たちを救済する聖なる旅へ出立します。西へ、東へ。いと慈悲深きヴォ―テックスの血族の光を、この大地のあまねく人々に。一人でも多くの迷える子らを、ヴォーテックス・シティへと迎え入れるのです」
「おお…救済!」「救済!」「救済!」歓呼の声を挙げるレイダー共。
欺瞞!救済の旅などと聞こえの良い言葉で繕ってはいるが、これは結局レイダー・キングによる人間狩りの事を言っているに過ぎない!
―“潔癖のヨーエルシア”。表向きは聖なる力で人々を導く聖女、しかしてその実態は狂信者を意のままに操り暴虐の限りを尽くす略奪者。聖女とは真反対の存在である。
「さあ子らよ、我らの家…“強襲機動揚陸教会ゴスペル”発進の準備を整えなさい。ヴォ―テックスのご加護を」
「「「「「「お”お”お”お”お”お”ッ…‼‼‼」」」」」
レイダー共の歓呼の声が響き渡る。
狂信者たちの熱気に包まれた教会で、ヨーエルシアの持つ杖の先端部に嵌められたクリスタルが妖しい輝きを放っていた。
●グリモアベースにて
「諸君!爆発だ!悪徳の都ヴォ―テックス・シティで、派手な爆発を起こしてくれ…!」
グリモアベースの一角で、キャプテン・ハマーヘッジ(宇宙紳士・f28272)は集まった猟兵達に告げた。
ヴォーテックス・シティは、アポカリプスヘルのレイダー・キング達の頂点に君臨するヴォ―テックス一族の造り上げた巨大都市だ。
ヴォ―テックス一族に忠誠を誓うレイダー・キング、“潔癖のヨーエルシア”が、移動要塞に乗り込んで大規模な人間狩りを始めようとしているらしい。
現在、移動要塞はヴォ―テックスシティで補給を行っている。そこでシティに潜入し、移動人狩り要塞を破壊。更にヨーエルシアを倒してシティから脱出することが今回のミッションだ。
「だが無数のレイダー達がひしめくヴォーテックス・シティ内で、真正面からヨーエルシアと移動要塞に戦いを挑むのはあまりに無謀だ…!という訳で、君たちには破壊工作をやってもらいたい!そのための手段がこれだ…!」
キャプテンは背後にずらりと並べた特製爆弾を指さした。
ヴォーテックス・シティに潜入し、移動要塞にこれらの爆弾を仕掛けて一斉に爆破。要塞が発進する前に完全破壊するのだ。
「移動要塞の破壊に成功したら、すぐにヨーエルシアを叩くんだ!爆発の混乱が収まったら、四方八方から敵が押し寄せてくるぞ!スピードとの勝負になるだろう!正に電撃作戦だな…!」
いかに猟兵達でも、ヴォーテックス・シティの全戦力に真っ向から太刀打ちすることはできない。混乱冷めやらぬ間に退散することが肝要だ。
勿論、キングを討たれたレイダー達は報復のためにわらわらと追ってくるだろう。だが幸いにして、ヴォーテックス・シティには乗り物がいくらでもある。脱出の足の確保に苦労することはあるまい。勿論、自前の乗り物を使っても良い。
「レイダー達の根城に乗り込み、派手に吹き飛ばし、最後は皆で無事に脱出する。これこそが今回のミッションの全容だ…!頼むぞ皆、人々の安寧のために、レイダー達の狂った野望を挫いてくれ…!」
UOK
こんにちは、UOKです。シナリオ第二弾はアポカリプスヘルが舞台のマッド&ヒャッハーです。
●一章:ヴォーテックス・シティに停泊している移動要塞“強襲機動揚陸教会ゴスペル”に爆弾を仕掛けましょう。「レイダーに扮して話を合わせる」「ゴスペルの弱点に爆弾を仕掛ける」などのプレイングを行うことでボーナスが発生します。なお、弱点になりそうな箇所は適当にでっち上げて頂いて構いません。ゴスペルがどのような建造物かは幕間で描写します。
●二章:一章での工作の結果が成功に終われば、二章の始めに爆弾が派手に爆発します。瓦礫が降り注ぐ中でヨーエルシアに短期決戦を仕掛けましょう。ヨーエルシアは直接戦闘は避け、配下の狂信者レイダー達を操って戦います。
●三章:ヨーエルシア打倒に成功すれば、後はヴォーテックス・シティから全力で脱出するだけです。殺人マシンに乗り込んだレイダー達と派手なカーチェイスを演じましょう。シティからはレイダーが無限沸きするので全滅させることはできません。
プレイング受付は12/11(金)の12時からとさせて頂きます。ご参加をお待ちしております。
第1章 冒険
『人狩りマシンに爆弾を』
|
POW : 喧嘩騒ぎを起こすなどして注意をそらしている隙に、他の誰かに爆弾を仕掛けてもらう
SPD : レイダー達に見つからないように隠密行動を行い、秘密裏に爆弾を仕掛ける
WIZ : 怪しまれないように他のレイダー達から情報を得て、効率的に爆弾を仕掛ける
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
レイダー・キング“潔癖のヨーエルシア”の居城、“強襲機動揚陸教会ゴスペル”とは何か?
それはキャタピラの上に教会が乗っているとしか言いようがない姿の移動建造物であった。
教会ごと敵地に強襲を仕掛け、乗り込んでいた信者たちが布教活動を行い敵を強制的に改宗させるという電撃的信仰を可能とする、極めて合理的な武装宗教施設である。
シェルターに閉じこもり心の壁を閉ざす哀れな子羊たちの心を解き放つための“強制開門徹甲弾”、捕獲した人々に信仰の素晴らしさを説くために使用する“72時間連続稼働回転磔刑装置”などの無数の恐怖仕掛けが、その真価を発揮する時を今か今かと待ちわびている。
猟兵達の使命は、これらのおぞましき装置の数々により罪なき人々が犠牲になるのを防ぐこと。
猟兵達のある限りこの世に悪は栄えない。狂った信仰を砕くため、急げ!猟兵達よ、急げ!
神代・凶津
移動要塞をぶっ壊すのが今回の仕事って訳か。
「・・・こんなもの発進させるわけにはいきません。」
おうよ、相棒ッ!
爆弾を仕掛けるならエンジンだろ。
レイダーのフリをしてエンジンの場所を情報収集するぜ。
「上手くいくかな?」
心配するなよ相棒。
俺を被って自分東洋風のレイダーですって雰囲気だしてりゃ『あれ?レイダーかな?レイダーかも?』ってなるさッ!
こういうのは堂々としてりゃ案外バレないもんよ。
よう、そこの兄弟ッ!
今度の『救済』の為にエンジンの最終整備しに行かないといけないんだが、ここに入って日が浅くてな。
エンジンって何処か教えてくれね?
勘づかれそうになったら
「幻朧桜花、眠っていてください。」
【アドリブ歓迎】
カーバンクル・スカルン
レイダーと話合わせるなんてめんどくせぇわ、さっさと済ませてパパーっと帰っちゃいましょ。
【クリスタライズ】で爆弾ごと姿を隠して突貫。警備のお仕事おっつかれ様でーす。
爆弾はとりあえずキャタピラの駆動部へはマストとしてあとどっしよーなー……ってなんだこの教会めいた場所は。
明らかに重要めいた施設だしとりあえず多めに……あと私の手から離れた瞬間に爆弾は露わになっちゃうから、ちゃんと隠しとくかつ取りにくい場所へ……っと。
よし、手持ち分は捌けたから遠目で汚い花火の見学と洒落込みますかねー。あ、巡回警備もお疲れ様でーす
●潜入!マスク巫女
恐るべき人狩り要塞“強襲機動揚陸教会ゴスペル”では、潔癖のヨーエルシアに忠誠と信仰を捧げるレイダー達が血気に逸っていた。
もうすぐゴスペルの発進準備は整う。敬虔なる信徒たる自分たちは、ヨーエルシアの手足となって世に信仰の光を広めるという崇高な使命を果たすのだ。それが人々にどれほどの苦しみをもたらすかなど、彼らの想像の及ぶところではない。
そんなレイダー達の中に、一人異様な風体の者が混じっていた。
鬼面に巫女装束!このアポカリプスヘルではなかなか目にかからないような服装だ。周囲のレイダー達も「なんだ、あいつは…」「あんな奴いたか?」と不審げな表情を浮かべていた。
だが、特にそれ以上追及するレイダーはなぜか現れなかった。その者が極めて堂々とした雰囲気を纏っていたこと、そして顔に被った鬼面がレイダーの美的感覚からすると…こう、かなり“イカす”デザインだったことが理由だ。
そんな訳で、レイダー達は「あんな奴いたっけな…いたかも…」「なんかいたような気がする…」「ヴォーテックス・シティだからな…」「てゆーかあのマスクよぉ、マジやばくね?」と囁きつつも、特に誰何することはなかった。
一方、注目の的になっている当人は気が気ではなかった。
「大丈夫かな?上手くいくかな?」
『心配するなよ、相棒。俺を被って「自分、東洋風のレイダーですがなにか?」って雰囲気出してりゃどうにかなるさ。実際、誰からも見咎められてねえだろ?』
「注目はされてるみたいだけど」
独り言ではない。巫女服の女性の名は神代・桜。勿論レイダーではなく、本職の巫女にして退魔師。
そして彼女が被っているのはただの鬼面ではない。神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)。マスクの姿をした生命体ヒーローマスクであり、桜と長年行動を共にする相棒。ゴスペルを破壊すべく潜入した、二人で一人の猟兵である。
侵入者であることが露呈するのを心配する桜に、凶津は「心配ご無用」と語りかける。
『こういうのは堂々としてりゃ案外バレないもんよ。という訳で…よう、そこの兄弟ッ!』
「!ちょっと、凶津…!?」
凶津はいきなり、近くを歩いていた凶悪な風体のレイダーに対し、フレンドリーに声を掛けた。
『今日の“救済”の為にエンジンの最終整備しに行かないといけないんだが、ここに入って日が浅くてな。エンジンって何処か教えてくれね?』
「ああん?俺たちの家であるこの“強襲機動揚陸教会ゴスペル”のエンジンの場所が分からねえだと…!?」
レイダーが凄みを効かせる。早くも、レイダーではないことがばれてしまったのか…!?
「ばっきゃろうてっめえこの野郎!そんなんで“救済”できると思ってんのかオラァ!?ちょっっっとイカすマスク着けてるからってイキってんじゃねえぞ!ナリばっかり飾り立てたところでよぉ、ちゃんと中身伴ってねえとホントの“救済”できる訳ねえだろ!エンジンルームはこう行って…こう行って…こうだ!分かったのかオイ!?ヨーエルシア様の顔に泥塗るような情けねえ真似だけはすんじゃねえぞ!?あと神聖なエンジンルームに入るときはちゃんと礼拝忘れんな!オラ、“救済”‼」
『…“救済”‼』
凶津はとっさに挨拶を返した。
『あー…ほらな、心配することはなかっただろ?奴さんがご親切に“神聖な”エンジンルームへの行き方を教えてくれたおかげでミッション第一段階は問題なく完了だ』
「なんだか凄かったね。他のレイダー達も皆あんな感じなのかな」
親切に道順を教えてくれたレイダー。しかし、その言動は明らかに狂信者のそれだった。他のレイダー達も同様だろう。
もし潜入がばれれば、武装した危険な狂信者の集団に包囲されることになる。
「…先に潜入したカーバンクルさんは大丈夫かしら」
●ステルスミッション
「レイダーと話合わせるなんてめんどくせぇわ、さっさと済ませてパパーっと帰っちゃいましょ。じゃ、私はキャタピラとかの駆動部に仕掛けてくるから」
桜と凶津にそう言い残して、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)は一足先に潜入を果たしていた。
一切偽装する事なく堂々とレイダー達の中を進んでいくカーバンクル。しかしレイダー達は彼女を止めない。そもそも、カーバンクルの存在に気づいてさえいないのだ。
―クリスタライズ。身体の光の透過率と屈折率を操り透明状態になる、鉱石生命体クリスタリアン特有の能力。
カーバンクルは自分自身や身に着けている物だけでなく、握っている物まで透明にすることができた。この能力により、彼女は見つかることなく多くの爆弾を持ち運べる。まさに今回のミッションに打って付けの人材と言えよう。
キャタピラ駆動部への爆弾設置は拍子抜けするほどあっさり完了した。巨大な教会を支え、移動させるに足るだけの頑丈さを誇るキャタピラ。しかし、構造を見極めて爆破箇所を選べば破壊は決して難しくない。ミッション第一段階はコンプリートだ。
(爆弾が余ったなあ。無駄にするのも勿体ないし…おっ、あそこの開いてるとこから入れるんじゃない?)
体力を消耗するクリスタライズだが、まだ余裕はある。カーバンクルはゴスペルを完膚なきまでに破壊すべく、内部へと潜入した。
「…って、なんだこの教会めいた場所は」
いや、教会そのものか。透明化能力を活かして潜入したゴスペル内部、そこはまさしく外見通りの教会。残虐なレイダー達が、ここで祈りを捧げるのだろうか。
「全然想像がつかない…。まあいいや、さっさと爆弾仕掛けて退散しよっと。…あれは?」
内部を探索していたカーバンクルの目に留まったもの、それは十字架型の謎めいた装置群だ。
いや、彼女にはそれらの装置の用途だけなら一目で分かる。金属製の物々しい手枷足枷、磔にした人間の頭部に嵌めると思しき洗脳装置めいたメカ、各部に付着した血痕…。
そう、拷問装置である!
カーバンクルには知る由もないが、これは“72時間連続稼働回転磔刑装置”!捉えた人間を拘束して三日三晩回転させ続けて肉体的苦痛を与え、おまけに頭部に嵌めた装置から聖女ヨーエルシアのありがたい聖言をぶっ通しで聞かせ続けることにより、どんな屈強な人間でもやがては屈服・改宗させてしまう恐るべき信仰強制装置である!過去に一体どれ程の人間がこの装置の犠牲になったのであろうか!?
「ふざけた物作ってるな…」
カーバンクルの内心に沸き上がる感情は怒りか、苛立ちか。彼女の得物もまた拷問器具であった。しかし、それを罪なき人々に用いる事はない。彼女が拷問器具の餌食とするのは、悪党共とオブリビオンだけだ。
「気に入らない。念入りに壊すか」
ターゲットはコイツだ。カーバンクルは全ての磔刑装置に爆弾をありったけ設置した。…その時!
「な…なんだ!?何もない所から爆弾が!?誰かそこにいやがるのか!?」
運悪く、見回りに来ていた一人のレイダーが爆弾を目撃した。その目には、虚空から突然爆弾が出現したように見えていただろう。
迂闊!彼女の手から離れた物体は透明化の恩恵を受けられず、その姿を露わにする。だからこそ目立たぬように設置したつもりだが、怒り故に警戒が疎かになってしまったのか!?
「ふざけやがって…!何かいやがるな!?出てきやがれ!」
このままではすぐに増援を呼ばれてしまうだろう。
(仕方ない、やるか…?)
カーバンクルが決意を固めた…正にその時である!
突然、神秘的な桜の花吹雪が吹き荒れた。桜吹雪に覆われたレイダーは驚く暇も、美しい光景に目を奪われる暇もなく昏倒し、倒れる。
一体何が起こったのか?
桜吹雪が収まると、倒れたレイダーの後ろに立つ鬼面の女性が現れた。掲げた右手から、花吹雪の残滓がひらりと舞い落ちる。
「“幻朧桜花”。眠っていてください。」
そこにいたのは桜と凶津である。
“幻朧桜花”、それは桜の霊力によって生み出した桜吹雪で相手を眠りへ誘う技だ。神聖なるエンジンルームに爆弾を仕掛け終わった桜と凶津は、早々に退散しようとした所でこの場面に遭遇したのだ。
『いよう、奇遇だなカーバンクル。助けは必要か?』
「いや…もう十分だよ。目的は果たした、さっさとこんな所からはおさらばしよう」
これ以上の長居は必要ない。二人…いや三人は昏倒したレイダーを隠すと、その場からそそくさと離れた。
================
内部から離脱した三人は、離れたところからゴスペルを窺う。
「手持ちの分は全部捌けたから、後は遠目で汚い花火の見学と洒落込みますかねー」
「しかしゴスペルを破壊しても、そこで終わりではありません。混乱の隙を衝いてレイダー・キングを倒し…」
『その後は皆でトンズラだ。帰るまでが遠足ってな』
「勿論分かってるって。…あ、巡回警備もお疲れ様でーす」
カーバンクルは通りかかったレイダーに声を掛けた。
「おうよ…“救済”!」
レイダーの掛け声に、三人はすかさず「「『“救済”』」」と返す。これがこの場における標準的なアイサツであると三人は学習していた。
起爆までのタイムリミットはそう長くない。一斉爆破と共に、猟兵達が一斉に行動を開始する手筈となっている。
桜、凶津、カーバンクルの三人は、やがて訪れる“その時”を待つのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ケイティ・ネクスト
スニーキングミッションなら猫にお任せにゃ。爆発物は趣味じゃないけど、C4の使い方位は常識だにゃー。猫の場合ただの猫に見せかける方が楽だし警戒もされないにゃ。
……え、C4は何処に持ってるんだって? そりゃ、ちょっとここでは言えないにゃ。にゅふ。あ、今のC4は毒物でもあるから舐めたりしちゃ駄目にゃんよ。
まー、仮に見つかっても猫しか通れないような狭い所に逃げ込めば全く問題無いし、面倒ならヤっちまえば済む話だにゃ。別にノーキルノーアラートとか目指して無いし。
仕掛ける場所は、綺麗に建物が倒壊する場所を割り出してあるにゃんよ。建物自体の自重も使うのがポイント。上手くいくかは後のお楽しみだにゃ。
●猫の仕事
カーバンクル、桜、凶津が強襲機動揚陸教会ゴスペルの内部に侵入していたのと同じ頃。一つの小さな影が物陰を、張り巡らされたパイプの上を、そして大胆不敵にもレイダーの足元を、風のように駆け抜けていった。
小さな体と優れた敏捷性を活かし、易々とレイダーの拠点へと潜入して見せた彼女の名はケイティ・ネクスト(蠱惑の仔猫・f26817)。一見すると幼い猫妖精だが、その実は熟練の暗殺者(そして成猫)。潜入工作はお手の物である。
(スニーキングミッションなら猫にお任せにゃ。猫の柔らかさを甘く見るにゃよ?)
有言実行、ケイティはシリコンの如く柔軟な体を活かしてほんの僅かな隙間に滑り込み、奥へ奥へと侵入していく。自由に伸び縮みする伸縮性を備えたその身体はまるで液体のよう。―これまでに様々な世界で囁かれ続けてきた「猫液体説」。ケイティこそが、その論争に終止符を打つ存在となるのであろうか?
(爆発物は趣味じゃないけど、C4の使い方位は常識だにゃー。それに、綺麗に建物が倒壊する場所を割り出してあるにゃんよ)
移動要塞の要であるキャタピラ駆動部とエンジンルームには、既に仲間が爆弾を仕掛けている頃合だ。自分は爆破解体工事の要領で、ゴスペルそのものの自重を活かして破壊できるように爆弾をセットするのが仕事。
…だが待って欲しい、ケイティは殆ど猫そのものの小さな体。一体どこに爆弾を隠し、どうやって持ち歩いているのか?
「そりゃ、ちょっとここでは言えないにゃ。にゅふ」
ならば深くは掘り下げまい。
ゴスペルに潜入し、構造上の弱点へと的確に爆弾を仕掛けていく。用意された爆弾の数はぎりぎり足りるかどうかといったところだが、ケイティは焦らない。
内部では無数の人間たちの血を吸ったと思われる拷問器具や恐怖仕掛けを目にしたが、心を乱されることはない。暗殺者として数々の修羅場を潜り抜けてきた彼女にとっては、特に珍しくもなんともない代物だ。
(さてと、こんなものかにゃ)
手持ちの爆弾を使い切り、退散しようとしたその時。
「なんだぁ?こんな所に…こりゃもしかして、ネコじゃねえのか?」
一人のレイダーがケイティの姿を発見した。
「このご時世、生きてるネコたぁとんだレア物だ!とっ捕まえてヨーエルシア様への献上品にしてやらぁ!」
じりじりと迫りくるレイダー。外見が幸いして、ケイティの事はただの猫としか思っていない。だがもし、捕まってヨーエルシアへの貢物にされてしまったら?オブリビオンの目を欺くのは絶望的だ。果たしてケイティはこの窮地をどうやって脱出…
ざしゅっ。
風を切るような微かな音が鳴ったかと思うと、レイダーの眉間に猫の手を象ったような刃物が刺さっていた。
ネコスリケン。ケイティのネコカラテによって生成された特殊な手裏剣である。
ケイティは騒ぎを起こさずに逃走するのは困難であると瞬時に判断し、決断的にスリケンを投擲、レイダーの命を断ったのだ。その選択には些かの迷いもなかった。
「面倒ならヤっちまえば済む話だにゃ。別にノーキル・ノーアラートとか目指して無いし。」
冷酷ではあるが、任務を果たすためには敵に情けなど一切無用。
ケイティはレイダーの死体が発見されることのないように淡々と処理すると、音を殺してその場を後にする。
―さて、上手くいくかは後のお楽しみだにゃ。
成功
🔵🔵🔴
カイム・クローバー
聖女ねぇ。話に聞くに存外、美女らしい。
中身はこの世界に相応しいぐらいの悪党だって話だが。
爆弾は俺一人で複数個、貰っていっても良いよな?
UC使って【鍵開け】で潜入。レイダーに扮するなんざ無理、無理。イケメンな俺にモヒカン頭は似合わねぇしよ。【忍び足】で足音立てずに歩き、ゴスペルを歩き回るぜ。片側のキャタピラに二個。ゴスペル内に一個。ついでに補給してる補給物資にも一個備え付けてやるか。ガソリンとかあったら派手に燃えるだろうぜ。
ラスト一個はとっておきだ。使わず持っておくぜ。
後はレイダー共に演説してる聖女の顔でも覗いていくか。噂通りの美人かどうか興味あるしな?
ああ、それと──必要のない殺しは避けるぜ。
● 便利屋危機一髪!全ては閃光の中へ…
銀髪をはためかせ、一人のイケメンが音もなく駆ける。
彼の名はカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)。猟兵業と便利屋『Black Jack』の二足の草鞋を履く青年。強襲機動揚陸教会ゴスペルを破壊すべく潜入した猟兵の一人だ。
(ナリだけは御大層な建物だが、俺にかかればザルもいいとこだぜ)
鍵開けで厳重なロックをあっさり破り、忍び足で誰にも気取られることなくゴスペル内部を駆けるカイム。レイダーの死角を突いて移動し、殺しは一切しない。盗賊の極意とも呼ぶべき彼のスキルが、いかんなく発揮されていた。
「それにしても、世紀末らしくガソリンは大層ため込んでるな。こいつは派手に燃えるだろうぜ」
持ってきた爆弾は4個。カイムは燃料を始めとする補給物資に手際よく3個の爆弾を仕掛ける。
キャタピラやエンジン部には既に他の仲間が爆弾を仕掛け終わっているはずだ。
「…1個余ったな、ついでに聖女の顔でも覗いていくか。噂通りの美人かどうか興味あるしな?」
婚約者に聞かれていたら怒られそうな発言だが、敵のボスを偵察しておくというのは戦術的に間違いではない筈。カイムはゴスペルをさらに奥へ奥へと進む。
(へえ、噂に違わぬ美人じゃないか。中身はこの世界に相応しいぐらいの悪党だって話だが)
カイムは礼拝堂で膝をつき祈りを捧げる女性を発見する。あれがレイダー・キングにしてオブリビオン、“潔癖のヨーエルシア”か。
見た限りではそれ程の悪女にも、強大な力を持っているようにも見えないが。
(…人は見た目だけじゃねえしな。さて、どうする?)
聖女の顔を拝んだだけで満足して帰るか。それとも、更に敵の秘密を探っていくか…。
だがその時!
「あなたも共に祈りを捧げていきませんか?迷いが晴れ、邪心が取り除かれますよ」
「…ばれてたのか」
ここにはカイムとヨーエルシアの二人しかいない。ヨーエルシアは完璧に気配を殺していたはずのカイムの存在を看破したのだ。
―こうなったら肚を括るか。
カイムは背を向けたままのヨーエルシアを見据えて仁王立ちする。
「あんたが聖女さんかい。見た目に似合わず、中身は相当なケダモノって聞いてるぜ」
「私はヴォ―テックスの一族の威光を遍く世界に広げたいだけです。真の信仰を理解できぬ哀れな子らが私の事をどう言おうが構いません」
「その手段が人狩りか?」
「人狩りとは人聞きの悪い。―“救済”です」
「話にならねえな…」
カイムは溜息をつき、武器を構える。神殺しの魔剣を。
「―どうやら、あんたとは根本的に相容れないようだ」
ヨーエルシアは立ち上がり、初めてカイムの方を向いた。
「一人で抵抗するおつもりですか?あなたは今、我々の家の中にいるのだということをお忘れのようですね」
ヨーエルシアの杖に装着された宝石が妖しく輝く。すると、目を赤く光らせたレイダー達が群れを成して礼拝堂に押し寄せて来たではないか。
「ヨーエルシア様に危害を加えようとは…」「改宗の余地なし」「「「「“救済”‼‼」」」」
あっという間に包囲されるカイム!万事休すか!
だが、カイムはあくまでも涼しい顔だ。
「…もうそろそろだな」
「何を言っているのですか?」
カイムの呟きに、ヨーエルシアは怪訝な顔を浮かべる。
「ここに来てるのは俺だけじゃないってことだ。実はな―そろそろ“頃合”なんだよ。おっと忘れるところだった、勿体ないからこいつも使っておくか」
カイムは懐から爆弾を取り出した。最後の一発を。そして―そのカウントはゼロへと近付いている!
「まさか…!?」
カイムが何をしようとしているか、そして彼の仲間が何をしでかしたかを悟り、ヨーエルシアは杖を振るう。その動きに呼応するかのように、レイダー達がヨーエルシアの前に立ちふさがり肉の盾となる。
一方、カイムは爆弾を高々と放り投げる!
「さあ、派手な花火を上げようぜ…‼」
その瞬間、ゴスペルの各部に仕掛けられた爆弾が一斉に起爆し、全ては閃光に包まれた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『潔癖のヨーエルシア』
|
POW : 「聖徒」
【洗脳され武装した信者の軍勢】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD : 「聖域」
【洗脳された信者】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[洗脳された信者]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ : 「聖戦」
自身の【持っている聖なる杖のクリスタル】が輝く間、【洗脳され武装した信者の軍勢】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
イラスト:つばさ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ピオネルスカヤ・リャザノフ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●開幕
その時、強襲機動揚陸教会ゴスペルに仕掛けられた爆弾が一斉に起爆した。
「始まったか…!」
爆炎を確認し、カーバンクルが叫ぶ。
「久々の爆破工作、結果はまあ悪くないにゃあ」
ケイティの計画通り、ゴスペルは内部から派手に崩壊していく。
降り注ぐ破片。誘爆に次ぐ誘爆。混乱をきたし喚き散らすレイダー共。
状況は混迷を極めていた。猟兵達にとっては好都合だ。
「カイムさんの姿が見えない。もしかしてまだ中に…!」
心配する桜に凶津が応える。
『あいつなら大丈夫だ、そんな簡単にくたばる奴じゃあない。俺たちにはやる事があるだろ…お前ら、準備はできてんだろうな!?』
凶津の声に、猟兵達が頷きを返す。
勝負は爆破の混乱が収束までのわずか数分間。それまでにレイダー・キング“潔癖のヨーエルシア”を打倒し、脱出しなければならない。
猟兵達は爆炎に包まれるゴスペルへ向かい駆ける。
運命の短期決戦が幕を開けた。
※第2章リプレイ受付開始は12/17(木)からとさせて頂きます。
神代・凶津
(礼拝堂のステンドグラスをぶち破って登場)
オラァッ!救済の時間だッ!
見つけたぜ、潔癖のヨーエルシアッ!
ぶっ倒しててめえからアポカリプスヘルを救済してやるよッ!
いくぜ、相棒ッ!
「・・・転身ッ!」
雷神霊装で速攻だッ!
これが本当の電撃作戦ってなッ!
妖刀に収束させた雷を纏わせた斬撃の放射で信者共々なぎ払ってやる。
信者が多いなら俺の集団戦術の知識から敵集団の脆い所を見切って斬撃放射を叩き込む。
敵集団に隙間が開いたらすかさず高速移動で突破して、ヨーエルシアに至近距離から雷撃を纏った斬撃放射をぶちこんでやるぜッ!
「・・・貴女の救済はここで終わりです。」
【技能・なぎ払い、集団戦術、見切り】
【アドリブ歓迎】
カイム・クローバー
信者ってのはオブリビオンかい?違うってんなら、殺しは無しだ。俺は人間相手の殺しは極力避けたい。
甘い?ハハッ、言われ慣れてるよ、んな事。
なぁ、聖女サマ。質問しても良いかい?
洗脳されてる信者はアンタの為なら命も投げ出すだろう。さっき立ちふさがったのがその証拠だ。それに対してアンタはどんな言葉を掛けてやるんだい?
オーケー!期待通りの反応だ。アンタみたいな悪党は好きだぜ。遠慮なく叩き潰せる。
魔剣を用いてUC。狙うのは信者の持つ武装と聖女サマだ。聖女サマを叩き潰せば洗脳も解けるかもだろ?
信者は無視して聖女サマ狙い。
祈りを共にってのは遠慮しとくぜ。何せ俺はクソッタレのヴォーテックス一族ってのが大嫌いでね。
●紫電一閃/黒炎無双
忠実なる信徒たちを盾とすることで爆風から己の身を守ったレイダー・キング、“潔癖のヨーエルシア”。
身を挺して彼女を守った者達のことなど一切歯牙にもかけず、更に呼び寄せた信徒達に襲撃者抹殺の指令を下さんとする。
だが、襲撃者たちはヨーエルシアに猶予を与えようとはしない。
『オラァッ!救済の時間だッ!』
礼拝堂のステンドグラスを豪快にぶち破りながら飛び込んでくる一つの影!巫女装束に身を包んだ神代 桜。そして彼女と行動を共にする意思持つ鬼面、凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)。二人で一人の退魔師猟兵のエントリーだ!
『見つけたぜ、潔癖のヨーエルシアッ!ぶっ倒しててめえからアポカリプスヘルを救済してやるよッ!いくぜ、相棒ッ!』
「…転身ッ!」
凶津を顔に装着した桜の巫女服、紫電を帯びて光り輝く。
桜と凶津、二人の力が一つとなって顕現する霊装…それが“雷神礼装”!生命力と引き換えに桜の速度を極限まで向上させる大技。しかし、代償の殆どは凶津が背負っている。彼にとってそれは当然であり、今更気に留めるようなことではない。
収束させた雷を纏わせた妖刀を振るい、押し寄せる信徒たちを次々に薙ぎ払う桜&凶津。雷に打たれ、敵群は刀が触れるまでもなく吹き飛ばされていく。まさに雷電の中で舞うが如き巫女の姿がそこにあった。
『これが本当の電撃作戦ってなッ!』
妖刀からの斬撃放射が敵集団の一部を切り崩し、敵陣に“穴”を作る!
そして、即座にそこへ飛び込む新たなる影!
「―道を作ってくれてありがとよ、二人とも」
すれ違いざまに桜&凶津に語りかけ、残像のみを残して駆け抜けたのは銀髪の青年だ。
―カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)。そう、爆発に巻き込まれたはずのカイムである!教会のど真ん中、ヨーエルシアの目の前で爆弾を起爆させて電撃作戦開始の狼煙を上げた彼は、超人的な見切りによって爆風と瓦礫から辛うじて身を守ったのだ。
(カイムさん…やはり無事だったのですね)
安堵する桜だが、しかし口に出さないのは相手を信頼しているからこそ。今はただ、それぞれのやるべき事に注力するのみ。無事を喜びあうのは後でいくらでもできるのだ。
信徒達は無視して、ヨーエルシアに挑みかかるカイム。人間を手にかける理由はない。いくら甘いと言われようが、それが彼の流儀。
しかし、オブリビオンが相手ならその限りではない。カイムは神殺しの魔剣を抜き放ち切りかかる。
ヨーエルシアは杖を掲げてカイムの斬撃をガードした。
「なぁ、聖女サマ。質問しても良いかい?」
鍔迫り合いながらカイムがヨーエルシアに語りかけた。
「洗脳されてる信者はアンタの為なら命も投げ出すだろう。さっきあんたを守るために盾になったのがその証拠だ。それに対してアンタはどんな言葉を掛けてやるんだい?」
「信仰に身を捧げ、ヴォ―テックスの血族のために挺身したことで、彼らは真に“救済”されました。既に救済された魂に、これ以上掛ける言葉はありません」
「オーケー!期待通りの反応だ。アンタみたいな悪党は好きだぜ…!遠慮なく叩き潰せるからな!」
突如として、カイムの魔剣が黒い炎を纏い燃え始める。
「…この力は!?」
目を瞠るヨーエルシア!
「それと、さっきのお誘いへの答えだがな…祈りを共にってのは遠慮しとくぜ。何せ俺はクソッタレのヴォーテックス一族ってのが大嫌いでね」
黒炎を纏ったカイムの魔剣が繰り出す無慈悲なる衝撃が、ヨーエルシアを弾き飛ばす!
体勢を整えつつも杖を振るうヨーエルシア。しかし、彼女が意のままに操れるはずの信徒たちの動きは鈍い。ヨーエルシアにより人形のように操られていた狂信者の軍団は、なぜか糸が切れたように動きが覚束なくなっていた。
「まさか…この炎!?」
そう、カイムの放った黒き炎が、未だに彼女の杖を蝕んでいたのだ。洗脳した人間に肉体の限界を超えた行動を強制させる能力を持った、杖型の古代遺物を!
当然、その隙を見逃す猟兵ではない。
『誰か忘れてねえか…!?そう、俺だよ俺‼』
桜&凶津だ!糸の切れた信徒たちをすり抜けながら跳躍、神速の勢いでヨーエルシアに飛び掛かる!
ヨーエルシアはとっさに杖を掲げてガード。しかし!
「甘いッ…!!」
裂帛の勢いで振りされた桜の刀は、黒炎に蝕まれたヨーエルシアの杖を一刀両断にした。
「…貴女の救済はここで終わりです」
桜がヨーエルシアに刀の切っ先を突き付けながら冷たく言い放つ。
『年貢の納め時ってやつだぜ』
ヨーエルシアの額から一筋の血が流れ落ちる。杖を叩き切った桜の斬撃によって付けられた傷だ。
「この私に、傷を…」
彼女の顔が怒りで歪み、その口から叫び声が放たれた。
「下郎の分際で、私に楯突くかぁぁぁぁぁッッッ‼‼」
己が身を血で汚され、怒りのままに叫ぶ偽りの聖女。その目が不気味に輝き始めた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ケイティ・ネクスト
爆破の瞬間はヨーエルシアの近くにいるにゃ。計算上押し潰されない位置……仲間の爆弾が計算に入ってないという難点はあるけど、ヨシ!
なんでそんな所に居るかってそりゃ一発アンブッシュを仕掛けるからだにゃ。【猫の忍び狩り】で首狩りを狙うにゃ。
「ドーモ、ケイティです」
挨拶前のアンブッシュは一度だけなのは常識。
「暗殺者が堂々と現れるってどういう状況だと思うにゃ? 相手を殺せる絶対的な自信があるか、殺さずに脅すだけか……ま、それは無いけど」
その答え、本命は【猫のお友達】を事前に周囲に仕掛けて拘束する事だにゃ。エロい感じに縛るにゃ。
「正解は、自身を囮に使う時でしたー」
一撃で殺せない相手は搦手に限る。
カーバンクル・スカルン
この程度で死ぬなら間近で爆発なんてさせないだろーよ、こっちはこっちで頑張ってやりましょうかねー。
とりあえず混乱を加速させるために死なない程度にレイダー達を辻斬りしつつ【集団懲罰】で痛みと恐怖を色濃く伝染させて、足を止めさせるとしますかねー。教祖サマにも伝染すれば二重丸だけど……多分無理やろ。
で、混乱の中を縫って教祖サマより高い場所についたらボディ・サスペンションを持っている手にぶつけて杖を落とさせて、そのまま拘束して宙に吊り上げる。杖を拾い上げさせない、っていうのと斃れる様を見せつける意味でね。
教義に殉ずる者ってかーなーり口とか意思が固いんだけど、あんたらはどこまで耐えられるかな?
バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』
年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?
下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も
アドリブ、連携歓迎
●恐怖!地獄の拷問殺法トリオ
「何を呆けている…立て!異端者はお前たちの目の前にいる!異端者を殺戮し、この世に“救済”をもたらすことがお前たちの使命であろう!」
雷に打たれ、糸の切れた操り人形と化していた信徒たちが、ヨーエルシアの叫びを聞いて体をピクリと跳ねさせる。
「そ、そうだ…“救済”を!」「ヨーエルシア様に刃向かう不信心者たちに救済を!」「「「「「「救済‼‼」」」」」
再び統率を取り戻した信徒たちがヨーエルシアの盾となり、矛となって猟兵達に殺到する!
杖型デバイスを失ったにも関わらず、なぜ信徒たちを操ることができるのか?
―レイダー達が、そしてヨーエルシアが幾度となく繰り返す“救済”という言葉。それこそが、ヨーエルシアが信徒たちの脳裏に刻み込んだ滅私の忠誠心を起動するための合言葉。繰り返し唱えるごとに強固になっていく楔だ。そう、杖を失ったことで配下の能力増強こそ不可能になったが、洗脳そのものは道具に依らぬヨーエルシア自身の能力だったのだ。
「私の体に傷をつけた罪…有罪(ギルティ)!私に刃向かった罪…有罪!私の視界に存在する罪…有罪!有罪、有罪、有罪有罪有罪有罪‼」
斧、チェーンソー、銃器、レーザー。あらゆる攻撃が猟兵達へ向かう。ヨーエルシア自身の狂気が乗り移ったかのように、自身が傷つくことも厭わず特攻めいた攻撃を繰り出す信徒達。
その時、狂騒に駆られた信徒たちを覆うように突如として紫色の霧が立ち込める!
(ウッこれは…ガスなのか!?)
ヨーエルシアは咄嗟に口を覆う。
そう、霧の正体は毒ガスであった。杖による肉体強化を失った信徒たちは抵抗できず、痺れたように動きを止めていく。
「毒を盛って毒で制す。たっぷり味わいなさい」
毒霧の中から現れたのは、蛇の下半身を持った妖艶な美女。ラミアのUDCエージェント、バジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)だ。その身にバジリスクタイプのUDCを宿す彼女は、体内で毒物を自在に調合することができる。その能力により人体の動きを奪う神経毒を調合し、ガスとして散布したのだ。
「このチャンス、利用させてもらいますかね…!」
直後、赤い髪の女性が動きを止めた信徒の群れに飛び込む!
カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)であった。
「これより、刑を執行します!」
カーバンクルは動けない信徒たちの間を縫うように駆け抜け、巨大な拷問器具“カタリナの車輪”で切り裂いていく。その姿、まさに大回転殺戮人間兵器!辺りは一面、血の海に…ならない!
(殺したら拷問にならないでしょ…!)
そう、カーバンクルは信徒たちの命を奪いはしていない。致命傷を避けつつも、最大限の苦痛を与えるよう的確に傷を与えていく。それこそがカーバンクルの狙い。動けない状態で体を切り裂かれる恐怖は如何ばかりか。信徒たちの間で、恐怖の感情がたやすく伝染していく。
更に、そこへバジルの生み出した猛毒によってもたらされる苦痛が加わり、痛みと恐怖はさらに増大する!
「「「「「ア、アバーッ‼????」」」」」
絶叫を上げる信徒たち。互いが互いの苦痛を共有し、際限なく膨れ上がる。
「顔に似合わず恐ろしい技をお持ちなのね…」
「いやあ、お姉さんの毒も大概でしょ」
ラミアとクリスタリアンのタッグにより、信徒たちは今度こそ完全に無力化された。
「よ、よくも…‼」
カーバンクルの集団懲罰執行により生じた恐怖と苦痛は、ヨーエルシアにも伝播した。しかしその影響は僅か、動きを止めるには到底足りない。流石はレイダー・キングの、いやオブリビオンの精神力と言うべきか。
だが、僅かに隙を生じさせるだけで“彼女”には充分!
死角から跳躍した小柄な影が、ヨーエルシアの首を狙う!
「―ッ!」
辛うじて飛び退り首狩りの一撃を回避するヨーエルシア。
「ドーモ、ケイティです」
アンブッシュをかわされたケイティ・ネクスト(蠱惑の仔猫・f26817)はすかさずアイサツを決めた。
読者諸氏の中には、戦場で敵に挨拶するという不合理な行為について疑問に思われる向きもあるだろう。だが、例え仇敵であっても戦いの前にはアイサツを交わさねばならないのは一部の世界においては常識。礼儀に則った行為である(一度だけならアイサツ前のアンブッシュが許されるのもまた然り)。
しかしそれが逆にヨーエルシアの逆鱗に触れた!
「蛇女に石女、挙句の果てには猫娘か…異形の者共が、揃いも揃って楯突くか!闇討ちを狙っていたなら、そうやって姿を晒すことこそ既に敗北も同然だと知るがいい!」
「なら聞くけど、暗殺者が堂々と現れるってどういう状況だと思うにゃ? 相手を殺せる絶対的な自信があるか、殺さずに脅すだけか…ま、それは無いけど」
ヨーエルシアの内心に微かに疑問が生じる。
「正解は、自身を囮に使う時でしたー」
ケイティに乗せられていたヨーエルシアは、今になって彼女の狙いに気付く。だが…!
「気付いた時にはもう遅い…!」
ヨーエルシアの体に鎖が何重にも巻き付き拘束、そのまま上に引っ張られ宙吊り状態となる!
カーバンクルの拷問具の一つ、ボディ・サスペンションだ!彼女はヨーエルシアの注意がケイティに向いている隙に高所にポジショニングし、鎖で瞬時に拘束して見せたのだ!
もがくヨーエルシア。その目に映るのは叫び声を上げるだけの烏合の衆と化した配下たち、爆破され瓦礫の山と化しつつある強襲機動揚陸教会ゴスペル。ヨーエルシアが築き上げてきた力の象徴が崩壊していく様が、ありありと浮かび上がった。
(負ける…?この私が?)
ヨーエルシアはその考えを振り払おうとする。だが三人の猟兵達は彼女に考えに耽るような時間は与えぬ。
「ケイティ!バジルさん!あれをやるよ!」
「ええ、よくってよ」
「任せるにゃ!(あれってなんだにゃ…?)」
疑問を感じるケイティだが、その身体は本能に従って動いていた。
「答えはきっとこれだにゃ!」
崩壊した教会のあちこちから、突如として植物の蔓が伸びてヨーエルシアの身体をより一層強く締め付ける!
“猫のお友達”。ケイティが自身に寄生させている攻性植物である。戦闘の序盤においてケイティが姿を見せなかったのは、このトラップを事前に仕掛けておくためだったのだ!
「ンアーッッッ‼‼」
鎖と蔓、二重の束縛に身を捩じらせるヨーエルシア!
「「「「「ウ、ウオーッ‼‼‼‼」」」」」
苦痛の叫びを上げるだけの機械と化していたはずの信徒たちが、主の痴態を目にして思わず歓声を上げる!神経毒と拷問殺法により死の恐怖を味わう中で、本能がヨーエルシアへの忠誠心を凌駕したのだ!
「私からは、これをあげるわね」
バジルが手をかざし、毒々しい色をした無数の槍を頭上に出現させる。一本一本が猛毒を含有した魔法の槍ポイズン・スピアだ!
「薬も過ぎれば毒となる。元々毒だけど、せめてたっぷりと味わいなさい」
射出されたスピアが次々にヨーエルシアの身体に突き刺さり、猛毒を注入!
「ヌ、ヌウーッ‼⁇」
地獄の苦しみに晒されるヨーエルシア。しかし、これまでにヨーエルシアとその一党が罪なき人々に与えてきた苦痛と比べれば、この程度ではまるで足りぬ!
「トドメはこいつだ!」
カーバンクルが飛び掛かる!その手に構えるのは“カタリナの車輪”。先程は信徒たちに苦痛を与えるだけで済ませたが…。
「今度はそうはいかない!」
「ま…待て!」
「待たない!」
大きく振りかぶるカーバンクル!
「さっき有罪がどうとかって叫んでましたよねー。それを言うなら!あんたは!」
高速回転する車輪が、ヨーエルシアの体に叩き込まれる!
「存在!そのものが!有罪(ギルティ)ィィィィィッッッッ‼‼‼‼」
その一撃は誰の目にも疑いようがない程の、完全なトドメの一撃‼
「こ、この私が…こんな下郎どもに…ぐ、ぐあああああ‼‼‼‼」
遂に、信仰の名のもとに数えきれない程の苦しみを振りまいてきた暴虐のオブリビオン“潔癖のヨーエルシア”は爆発四散、消滅したのであった。その虚栄の信仰の忌まわしき象徴、強襲機動揚陸教会ゴスペルと共に…!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 集団戦
『キルドーザーズ』
|
POW : キルドーザーズ鉄の掟『遅ェ奴はクソ!』
【敵に向けてチキンレースのような集団突進】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD : キルドーザーズ鉄の掟『雑魚は死ね!』
自身の【モヒカン】が輝く間、【同士討ちを全く厭わぬ突進】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : キルドーザーズ鉄の掟『敵は轢き殺せ!』
【ドーザーブレードを振り回しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【雄叫びを上げながら無秩序に走り回る仲間】の協力があれば威力が倍増する。
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●宴の後
オブリビオン“潔癖のヨーエルシア”、遂に斃れる!
その牙城である強襲機動揚陸教会ゴスペルもまた、猟兵達の破壊工作によりその真価を発揮することなく完全破壊された。
だが、ミッションはこれで終わりではない。
電撃作戦によってヨーエルシアを打倒することはできたが、未だここは敵地。アポカリプスヘルの全ての悪を煮詰めた恐るべきヴォーテックス・シティなのだ。ヴォーテックス一族の面子を汚すことは決して許されない。すぐにでも脱出しなければ、あっという間に血に飢えたレイダー達に包囲されてしまうだろう。
幸いここはレイダー達の人狩り拠点。バイク、トラック、ロードローラー…脱出の足ならいくらでもある。中には自前の乗り物を事前に用意しておいた猟兵もいるだろう。
無事に帰還するまでがミッション。恐るべき悪の巣窟から生還するため、急げ!猟兵達よ、急げ!
カイム・クローバー
さっさとこんな場所からは出ていくとしようか。
──どうせなら派手に出て行ってやる。(ニヤリ)
洗脳されてた連中にも一声掛けておく。アンタらもさっさと逃げた方が良いってな。
バイクを一台、拝借。エンジンを全開にして、聖女が祈っていた場所にあるデカいステンドグラスの割れてねぇ方をバイクの【運転】と【操縦】で突き破って脱出する。派手に音を立てて【挑発】してやるんだ。精々、俺に引き寄せられてくれよ?
レイダー共とカーチェイス。遅ェ奴はクソ?良いねぇ、気が合うようで嬉しいぜ!
UCでタイヤ、オブリビオンなら本体狙いでも構わねぇ。数台潰せば後続も邪魔になって速度を上げられねぇだろ。
あばよ、ノロマ共!また会おうぜ!
●激突!‐カーチェイス‐
ゴスペル爆破により状況はカオスを極めていた。
「一体何がどうなってる!?」「爆弾だ!敵の破壊工作だ!」「ヨーエルシア様が討たれたと…」「そ、そんな馬鹿なことがあるか!」
主を失い、右往左往するレイダー達。
その時、ゴスペルの構成物の中で辛うじて残っていたステンドグラス(凶津&桜による破壊を免れた最後の一枚だ)が派手な音を立てて粉々に砕け散った。
ステンドグラスを豪快に突き破って現れたのは、どさくさに紛れて拝借したレイダーのバイクに跨るカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)!
彼は呆然とするレイダー達の横を猛スピードで通過しながら、「アンタらもさっさと逃げた方が良いぜ」と言い残して走り抜けた。
「ふ…ふざけやがって!よくも俺たちをコケにしやがったな!」
「生きて帰れると思ってんのかオラァン‼⁇」
「キル・ドーザーを出せいッッッ」
血に飢えたレイダー達は追跡に移るべく、各々の殺戮マシンに乗り込んでいく。主の報復のためというよりも、むしろ自分達の顔に泥を塗った連中への怒りが彼らを衝き動かす。これは曲がりなりにもヨーエルシアの洗脳が解けた証なのか。
カイムの挑発に乗せられ、レイダー達は群れを成して発進していった。
しかし、そんな中にあって動こうとしない者たちもいた。
「お、俺は…今まで一体何を…?」
カイムの言葉を聞いた者の中に、理性を取り戻した者がいたか。彼らは瓦礫の山の中、呆然とした様子で取り残されているのだった。
「死ねやおらぁぁぁぁッ‼‼」「轢け!轢き殺せ‼」「SMAAAAAAASH!」
雄たけびを上げながら猛追するキルドーザーズ!改造殺人ブルドーザーに乗り込み、人も畑も家も轢き潰して更地にする危険な連中だ。その中でもヨーエルシア傘下のキルドーザー部隊は、逃走する相手を延々と追跡し改宗か死かを選ばせるのが役目。マッド&デンジャラスな恐るべきチェイサー部隊なのである。
(おーおー、団子みたいにぞろぞろ付いてくるな。派手にパフォーマンスした甲斐があったぜ)
カイムはほくそ笑む。自分が目立てば目立つほど、他の猟兵の脱出が容易くなる。彼は危険な囮の役目を自ら買って出たのだ。
徹底的にカスタムされたキルドーザーは着実にカイムが駆るバイクとの距離を詰めてくる。
「ハッハァー!もうすぐ追いついちまうぜぇ~!」「どんな風に轢き潰されるか決めたかオラァ!」「てめえら、キルドーザーズ鉄の掟、この世の真理を教えてやれ!」
せーの。
『『『『『遅ェ奴はクソ!』』』』』
殺戮機械軍団が猛スピードでカイムに突撃してくる!キルドーザーズ必殺、怖れ知らずの集団チャージだ!カイムのバイクでは振り切るにはスピードが足りない。万事休すか!?
「遅ェ奴はクソ?良いねぇ、気が合うようで嬉しいぜ!」
カイムは不敵に微笑むと、即座にホルスターから二丁の拳銃を抜き、振り向きもせずに背後のキルドーザーズに向けた!
「は?」「え?」「ほ?」「ヒョッ?」
双頭の魔犬の名を冠する二丁拳銃、双魔銃オルトロスだ!
彼は逃げるのに必死だった訳ではない。必中の距離に敵が近づいてくるのを待っていたのである。
「雑魚は退場の時間だ。舞台裏に引っ込んでな!」
オルトロスから紫雷を纏った銀の弾丸が放たれる!広範囲の殲滅に特化した電光の銃撃が、殺到するキルドーザーズの先頭集団に全弾命中!
「「「「「ウ、ウォア~ッッッッ‼⁇⁇」」」」」
派手に土煙を上げながら転倒するキルドーザーズ。
血気に逸る余り連なった団子状態になっていた後続車輛はそれを回避できない!後方集団が転倒車輛に派手に突っ込み、あっという間にクラッシュしてしまうのは当然の帰結であった。
「―確かに、『遅ェ奴はクソ!』だよな」
カイムはそれだけ言い残すと、動けないキルドーザーズを尻目に悠々と走り去っていった。
「お…俺たちがスピードで負けた?俺たちが…モア・スロウリィ?」
スピード勝負に負けたという事実が、キルドーザーズのプライドを粉々に打ち砕いた。
「チックショォォォォォ‼‼」
荒野に負け犬どもの遠吠えが空しく響いていった…。
ヴォーテックス・シティから遠ざかる中で、カイムは街から離れていく別の車両の存在に気付いた。
仲間の猟兵か?いや違う。それは改造バギーに乗ったレイダー達のようであった。
カイム追跡に参加せず立ち尽くしていたレイダー…いや、“元”レイダー達である。
ゴスペル爆破の混乱に乗じてか、猟兵追跡部隊と見なされたか、バギーは阻まれることもなく走り去っていく。
…彼らは今後、どのような人生を送るのだろうか?
故郷に戻る?逃亡生活を続ける?それとも…ヨーエルシアの配下として犯してしまった罪を償う?
(好きにすれば良いさ。あんた達の人生だ…!)
カイムは振り向かず、疾風のように駆け抜けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
おっし、さっさとここからとんずらだ。
と、やたら気合い入ったカスタムのバイクがあるな。
せっかくだからコイツを拝借するか。
何かやたら騒いでるレイダーがいるな。どうやらこのバイクの持ち主みたいだな。
「・・・あれ、エンジンルームの道を教えてくれた人じゃない?」
あ、本当だ。悪いな兄弟ッ!このバイクちょっと借りてくぜぇッ!
って、キルドーザーで追いかけて来やがったーーーーッ!?!
敵の攻撃を見切って避けながら街の出口まで突っ走るぜ。
ちっ、見た目の割に速いな。
相棒、雷神霊装・二ノ型だッ!
「・・・転身ッ!」
これでスピードと反応速度を強化して壁とか走りながら振り切るぜッ!
【技能・見切り、限界突破】
【アドリブ歓迎】
カーバンクル・スカルン
こんだけ派手に崩れ落ちたら外回り組だけじゃなくて通りすがりのレイダーも集まってくるよねぇ! ヒャッハー、にーげるんだよー! ってなー!
【断罪変形】でカタリナの車輪とボディ・サスペンションと合体して、高速で走り回りつつ、ロープワークで飛び上がりながらレイダーの上半身にダイブして脱出といきましょう! あっちから向かって来てくれてるもん、当てるの楽でいいわー。
はっはーどけどけー! 猟兵様のお通りじゃーい!
●盗んだバイクで走り出す
『やたら気合い入ったカスタムのバイクがあるな。せっかくだからコイツを拝借するか』
カイムが派手な脱出劇を演じてレイダー達の目を引き付けている隙に、凶津と桜のコンビ(謎の仮面と旅する巫女・f11808)はたまたま目に留まったバイオレントなデザインの大型バイクを強奪した。
『おっし、さっさとここからとんずらだ!』
鬼面の巫女はエンジンをふかし、全速力でその場を後にする。その時!
「―!――!―ッ!」
後ろから何者かの叫び声が聞こえた。
『何かやたら騒いでるレイダーがいるな。どうやらこのバイクの持ち主らしいが…放っとけ放っとけ!』
「…あれ、エンジンルームの道を教えてくれた人じゃない?」
『あ、本当だ』
桜の言う通り、叫び声の主は、潜入中の凶津と桜に強襲機動揚陸教会ゴスペルのエンジンルームへの行き方を丁寧に教えてくれた親切なレイダーだったのだ。
「―い!―れの!―――んだオラァッッッ‼」
バイク走行中の二人の耳には、親切レイダーの声が途切れ途切れにしか聞こえない。
『何言ってんのか分かんねえ…悪いな兄弟ッ!このバイクちょっと借りてくぜぇッ!』
そのまま盗んだバイクでその場を後にする二人。
「…なんだか叫び声が近づいてきていない?」
最初に気付いたのは桜の方だった。
「おいコラァー!てめぇらー!待てやオラァーッッ!」
確かに、はるか後方に置き去りにしたはずの親切レイダー氏の声がだんだんと近くなっている。
『一体何なん…ゲッ!?』
振り返った凶津は驚愕!
『キルドーザーで追いかけて来やがったーーーーッ!?!』
そう、親切レイダー氏が乗っているのは異形の改造車輛、全てをぺんぺん草の一本も生えぬ更地に変えてしまう恐るべき爆走殺人改造車キルドーザーだ。しかも、その背後には更に大量のキルドーザー軍団が続いている!
「オラァーッ!テメェ俺らの同志じゃなかったんかよ!?一緒に“救済”すんじゃねえのか!ヨーエルシア様を…俺を裏切るのか!」
『…男には、果たさなきゃなんねえ使命があんのよ。恨んでくれるな、兄弟…!』
「それがオメェの返事かよ!だったら…俺がオメェを討つ!手加減はナシだ!」
『やってみろ、兄弟!追いつけるもんならな!』
揺ぎ無い信念が、二人の男を避けられぬ戦いに導く。
(何を言ってるんだろう、この二人は…)桜は訝しんだ。
ヴォーテックス・シティ内壁を沿うよう走りながら出口を目指す凶津と桜。
徹底的にカスタマイズされたキルドーザーは、見た目に反して優れたスピードを有する。凶津と桜のバイクは懸命に逃げるのがやっとだ。
『やべえ!正面からもレイダー共が!?』
このままでは挟み撃ちだ!背後から迫るキルドーザー軍団と正面から迫る新たなレイダー集団、二つの殺人軍団に挟撃されては流石の二人もただでは済まぬ!
だがその時、桜は正面から迫るレイダー共の先頭に見知った人影を見つけた。
「…あれはカーバンクルさんでは?」
●続・激突! ~クロスアタック~
「どけどけーい!」
ヨーエルシアを討ち果たしたカーバンクル(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)は、高速回転するカタリナの車輪の上に器用に乗りながらヴォーテックス・シティ内を爆走していた。
「何だぁ!?サーカスのつもりか!?」「ふざけた真似しやがって…!」
ヴォ―テックスシティ中から追手がかかる。ヨーエルシア配下だけでなく通りすがりのレイダーまで巻き込み、追跡集団は際限なく膨れ上がる。
一方のカーバンクルは余裕の表情だ。
「ヒャッハー、にーげるんだよー!」
内壁を時計回りに逃走する凶津&桜と、反時計回りに激走するカーバンクル。結果として、両者はある一点で合流する事となる。
「桜と凶津さんじゃん!何やってんのー?」
カーバンクルは、前方からバイクで走ってくる凶津&桜に叫んだ。
『こっちのセリフだ!』「カーバンクルさん!大丈夫なんですかー!?」
凶津は、カーバンクルもまた大量のレイダー達に追跡されていることを見て取った。このまま行くと、両者は各々の追っ手を引き連れたままで合流する事となる。
カーバンクルは状況判断により、この場で取るべき戦術を選択した。
『カーバンクル!止まるな!そのまま行け!』
「…分かった!“そっち”は任せて!」
カーバンクルもまた、凶津の意図を瞬時に読み取った。
バイクを駆る退魔師コンビと、車輪に乗ったスクラップビルダー。二つのシルエットが交錯する。
すれ違うその瞬間、両者は光に包まれた―!
『ぶちかますぜッ!!』「転身ッ!!」
桜は紫電を身に纏い、雷神霊装・二ノ型へと変身!
「Code:Execution,approved―!」
カーバンクルの姿がカタリナの車輪、そしてボディ・サスペンションと溶け合うように融合する!
周囲の無機物と合体することでロボのような強化形態へと変形する技、【断罪変形】だ!
変身を遂げた両者は跳躍!カーバンクルは凶津&桜を猛追するキルドーザーズへ、そして凶津&桜はカーバンクルを追っていたレイダー達へ!そう、彼らは減速せず、正面から迫る敵集団へと飛び込むことを選んだのだ!レイダー達は予期せぬ猟兵の動きに、即座に対応できない!
「はっはーどけどけー! 猟兵様のお通りじゃーい!」
巨大な車輪を備えたロボへと姿を変えたカーバンクルは、キルドーザーズの頭上にダイブするとそのまま高速で走り回る!
「ゲッ!?」「ブグッ!?」「ウゴァッ!?」「お、俺のモヒカン‼」
顔面を轢かれたキルドーザーズの情けない悲鳴があちこちから上がる。
「敵さんの方から向かって来てくれてるもん、当てるの楽でいいわー」
容赦ない轢き逃げアタック!キルドーザーズは完全にお株を奪われた形だ。
「待てやぁぁぁ!まだ俺との決着がついて…グヘァー!?」
親切レイダー氏もまたカーバンクルの大車輪に顔面を轢かれて沈んだ。
『相手できなくて悪かったな兄弟…。お前の事、別に嫌いじゃなかったぜ』
「言うほど友情築いてる暇なんて無かったでしょ…」
桜のの纏う紫電がバイクを覆っていく。スピードと反応速度を強化する雷神礼装、その力は乗騎までをも対象とするのか!
『くぅ…振り切るぜッ!』
猛烈な加速を得る桜&凶津。正面から迫るレイダー達を遥か高く飛び越え、壁に着地!
「「「「「かっ…壁を走ってやがる‼⁇」」」」」
驚愕するレイダー達には目もくれず、雷神礼装バイクは垂直の壁をものともせず走り抜けていく!
「チクショォォ!逃げられっぞオイ!」「いや、待て!前!前ェェェ!?」
全速力で猟兵達を追っていた二組のレイダー集団だったが、追い詰めたはずの敵はあっさり追跡の手から逃れてしまった。
しかし、一度走りだした改造マシン軍団は急には止まれない!その結果、両集団は一切減速することなく正面衝突する―!
そして…爆発!
ゴスペルを完全破壊した爆発にも劣らぬ二つ目の花火が、ヴォーテックス・シティを照らした。
混乱に乗じて悠々と脱出する凶津&桜、そしてカーバンクル。
後は仲間と合流し、グリモアベースに帰還するだけだ。最後に一度だけ街を振り返ったカーバンクルは、そこで奇妙なものを目撃した。
「うわ、なんだアレ…」
巨大な触手の塊が、レイダー達を叩き潰している光景であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブで可
※サポートプレイング
ケイティ・ネクスト
別に、全部倒してしまっても良いのだにゃ? 他ならぬお前らの教祖様から頂いた快楽もあるし、ここは力押しで行くにゃ。
「蹂躙しろ、アスモデウスマキナ」
オブリビオンにはオブリビオンをぶつけるんだにゃ。触手の塊を轢き殺せる物なら轢き殺してみろって話。【猫と触手とびったんびったん】で掴んで強制的に同士討ちさせるとか。
アスモデウスは一見デカいけど、実は中身は結構スカスカだから廃墟とかだと案外狭い所に隠れて奇襲とかもできる暗殺キャバリア。レイダーを掴んで頭からバリバリっと行くにゃ。どちらかと言うとスペースパニックホラーなアレ。
なお、猫は普通に逃げるにゃ。別に近くにいる必要無いし。
●二つの降臨者
状況はいよいよケイオスを極めていた。
凶津&桜とカーバンクルのもたらした混乱も冷めやらぬ中、突如として出現した巨大な触手の怪物がレイダー達を蹂躙し始めたのだ!
「な、何だああああコイツゥゥゥ!?」「い、一体どこから現れやがったんだ!」「地中から現れたぞ!?ヴォーテックス・シティの果てなき拡大が、封じられし魔物を解き放っちまったっていうのか!」「何てインモラルな姿…!邪神だ、憎悪の空より来たりし古の邪神の類に違いねえ!」
ゴスペル爆破、ヨーエルシアの消滅、キルドーザーズ集団クラッシュ、そして降って湧いたような邪神降臨。立て続けに起こるショッキングな出来事に、レイダー達の精神は限界に近付きつつある。
「蹂躙しろ、アスモデウスマキナ」
この淫靡な触手邪神の名は“触装蹂躙機アスモデウスマキナ”。ケイティ・ネクスト(蠱惑の仔猫・f26817)が操る異形のキャバリアである!巨大な外見に反して空っぽな体を持つこの機体は潜伏・隠蔽も容易い。奇怪な触手の化け物が突然膨張して瓦礫の中から出現する様は、血も涙もないレイダー達でさえ正気度を削られるような光景であった。
「もう潜入工作とかいらないし。別に、全部倒してしまっても良いのだにゃ?」
触手により払い飛ばされ、潰され、締め上げられるレイダー達。中には触手で拘束され、凄惨な同士討ちを演じさせられる者達もいた。
殺人改造車輛キルドーザーが果敢に挑むが、虚ろな触手塊を轢き殺せるはずもなし。逆にアスモデウスマキナが無造作にキルドーザーを掴み、搭乗していたレイダーを引きずり出すと…おお、これ以上はここでは書けない!
いかに残虐なレイダー達と言えど、ここまでされる謂れはない!(?)
神も仏もないのか…!?
その時!
触手邪神に蹂躙される戦場に、突如として眩い光が差し込む!
その中心には一つの影。逆光で姿は定かでないが、人のカタチをしていることは確か。
「神…?」「ヨーエルシア様の復活…?」「ヴォーテックス一族が救いの手を遣わされた…?」
現れたのは邪神討滅のためにやって来た救い主なのか。レイダー達は助けを求めて手を伸ばす。
しかし!
「ふはははははー、私さんじょーう!」
光の中から現れたのはスチームパンク的19世紀風衣装を身に纏った少年!その背後で発生した虹色の爆発が、救い主にすがるレイダー共を容赦なく吹きとばした!
彼の名は赤星・緋色(f03675)。レイダーの救世主にはあらず猟兵なり!多種多様なガジェットと魔法めいた軽業を操る電子の精霊だ。緋色はその能力によってケイティの側まで転移し、その際に生じた爆発によって触手に蹂躙されるレイダー共を攻撃したのだ。泣きっ面に蜂とは正にこの事である!
「一体今までどこにいたにゃ?」
「私?いないよー?」
「どうにも掴みどころの無い子だにゃ…まあ良いにゃ。連中は今の爆発で目をやられてる。今のうちにさっさと脱出だにゃ」
「あの大きい子は放っておいていいの?」
「アスモデウスマキナは遠隔操作できるにゃ。猫がこれ以上この場に留まる必要は皆無だにゃ」
「ふーん。でも折角だから…」
緋色はどこからともなくスチームパンク的デザインの銃器を取り出して構えた。
魔導蒸気式銃“ミニさん”だ!炎、雷、氷…様々な属性を付与された銃弾がばら撒かれる!
「持ってけドロボー!」
触手邪神の暴威と七色の銃弾の嵐が吹き荒れ、既に意気を挫かれたレイダー共にさらに降り注ぐ。
面白いように吹っ飛ぶレイダー!声にならぬ悲鳴!
「さあ、今のうちに脱出脱出!」
「うにゃあ…最近の若い子は怖いにゃ…」
どの口が言うのか。
ともかく、二人は混迷を深める戦場から難なく脱出した。
●次なる戦いへ
脱出を果たした猟兵達は、未だ煙の立ち上るヴォーテックス・シティを遠く離れた場所から望んでいた。
この日、彼らはアポカリプスヘル最大の悪であるヴォーテックス一族に宣戦布告をした事となる。
「猫たちは、ヴォーテックス一族に仕えてるレイダー・キングを一人倒しただけだにゃ。これだけじゃあ連中の勢いを止めるにはまだまだ足りないにゃ」
冷静に事実を伝えるケイティ。
「だが、俺たちは一族のお膝元でこれだけの騒ぎを起こした。あの街の天辺でふんぞり返ってる連中も、今頃は怒り心頭だろうよ」
「ヴォ―テックス・シティが難攻不落の無敵要塞なんかじゃないって事が、世間に知らしめられちゃった訳だしねー」
カイムとカーバンクルの言う事もまた事実。人狩り移動要塞の喪失、電撃作戦によるレイダー・キング討死、そして侵入者が全員ヴォ―テックス・シティを五体満足で脱出。これらの事実は、“神”であるヴォーテックス一族の支配体制に傷をつけた。小さくとも決して無視できない傷を。
「まだ悪党が沢山いるんでしょ?助けがいるならいつでも呼んでよ。まだみんなに見せてないガジェットが沢山あるんだ」
「あの街にはお医者さんが必要よね。色々な意味で…」
緋色、そしてバジルもまた、戦意を露わにする。
そして、桜と凶津は強い意志を携えてシティを見据えた。
「…いつか必ず、あの街を開放します」
『俺たちの戦いはこれからだ、ってな…‼』
ヴォーテックス一族打倒までの道のりは長く、険しい。猟兵達はいずれ来る決戦の時に備え、決意を新たにするのだった。
『ボムファイア!~怒りのチャーチ・イン・フレイム~』 完
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴