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星獣を支配する者、その名はジュエル・ドミネーター

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #クエーサービースト #ジュエル・ドミネーター #ブラスターガンナー

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「2時の方角、30万km先に超巨大生体反応を観測! クェーサービーストです!」

 まだ見ぬ新天地を求めて星の海を旅する、一隻の宇宙船。そのブリッジに警報が響く。
 モニターに映し出されるのは、剥き出しの肉塊の色をした、既知世界のいかなる動植物にも似通わない奇怪な生命体。そのスケールは距離からでも肉眼で観測可能なほど巨大。

「旧銀河帝国の資料から発掘されたデータベースより照合……識別種類名『フリシレアンMOS』であると推定されます」

 強大なる銀河帝国の侵略すらも阻んだ「未踏宙域」の支配者達、クェーサービースト。
 その生態や数は不明、意思疎通に成功した例も皆無。小惑星にも匹敵するこの巨怪は、居住可能惑星を求めて開拓を進める宇宙の人々にとって、大いなる障害となっていた。
 未知なる脅威との遭遇に、開拓船のクルー達の間にも動揺が走る。だが、彼らの予想に反して「フリシレアンMOS」は翅のような器官を動かして、ゆっくりと遠ざかっていく。

「攻撃してこない……こちらに気付いていないのか?」
「なら幸運だ。急いでこの宙域を離脱し、猟兵に報告を……」
「……待って。あいつの"中"に、何かいる」

 困惑と安堵が入り乱れる中、一人警戒の声を発したのは、1人の女性だった。
 腰には熱線銃(ブラスター)を収めたホルスター。まだ若いが、眼光は鋭く。
 その視線はモニターに映るクェーサービーストの一点をじっと見つめていた。

『―――宝石浸食ノ経過ハ順調。支配完了マデ、後少シ』

 その星獣の体内にて潜むのは、宝珠の姿に変形した一匹の怪異。
 全銀河を手中に収めんとする猟書家の悪意が今、未踏宙域にも及ぼうとしていた――。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「スペースシップワールドで新たに確認された猟書家『ジュエル・ドミネーター』が、未踏宙域でクェーサービーストの支配を企んでいます」
 かねてよりスペースシップワールドでは、居住可能惑星の発見を目指して既知宇宙の外側「未踏宙域」の探索が進められている。そこは小惑星級のサイズを誇る超巨大宇宙生物群「クェーサービースト」の生息地であり、これまでにも猟兵は何度もその脅威と戦ってきたのだが――どうやら猟書家はこの恐るべき星獣を戦力に収めようとしているらしい。

「先頃、未踏宙域を探索中の開拓船の一隻が、新たなクエーサービースト『フリシレアンMOS』の存在を確認しました。リムのグリモアが予知するところでは、このフリシレアンMOSは体内に侵入したジュエル・ドミネーターに支配されようとしています」
 クェーサービーストは全盛期の銀河帝国ですら手を焼かされ、最終的には侵略を断念することになった恐るべき脅威である。その力が猟書家「プリンセス・エメラルド」の下で新生した銀河帝国――帝国継承軍の手に渡れば厄介なことこの上ない。
「ジュエル・ドミネーターは自らがクェーサービーストの『制御宝珠』に変化することで支配を図っているようです。現状での支配率は8割といったところでしょうか……困ったことに敵はクェーサービーストの支配を完了するまでこちらと戦う気はないようです」
 規格外のスケールを誇るクェーサービーストに対して、現在の猟兵が持ちうる最大の対抗手段は、敵と同等のサイズを持つ超巨大兵器「惑星ロボ」である。しかしこの機体はあまりに大きすぎるため、交戦距離に近付く前に敵に察知され、クェーサービーストごと逃げられてしまう。かといって通常の宇宙船では、小惑星サイズの敵と戦うには力不足だ。

「状況を打開する手段として、感知されない超遠距離からの狙撃で、敵の制御宝珠を撃ち抜く作戦が考案されました。クェーサービーストにも有効な長距離武装として、惑星ロボ用に建造中だった『惑星破壊級ブラスター』が用意されています」
 制御宝珠にダメージを与えれば、制御が乱れたフリシレアンMOSは大きく弱体化する。その隙を突いて攻撃を仕掛ければ勝機が見えるだろう。ただし敵の体内にある、本体のスケールからすれば小さな制御宝珠を、数万キロの遠距離から狙撃するのは容易ではない。
「そこで今回は開拓船に乗っていたブラスターガンナーの方に協力を求めることになりました。お名前はリファナさんという女性の方で、ブラスターでの狙撃に精通しています」
 彼女に超遠距離狙撃のコツを教えてもらったり、観測手として協力してもらえば、狙撃の成功率も向上するだろう。リファナ本人の戦闘力はクェーサービーストと直接戦えるほどではないが、かつての銀河帝国打倒の立役者である猟兵には積極的に協力してくれる。

「一度撃てば敵に気付かれてしまうので、作戦は超遠距離から制御宝珠の狙撃を担当する者、近接戦闘で敵を足止めするか、弱体化した後の攻撃を担当する者に分かれてもらうことになります。ご自身の適性やスタイルと相談して、やりたいものを選んでください」
 作戦用に用意できた惑星破壊級ブラスターは一丁限りなので、狙撃班はこれを再チャージしながら使い回していくことになる。近接戦闘を挑む場合は宇宙船に乗って近付くか、宇宙空間でも生身と同じように活動できる特殊な宇宙服を着て戦うことになるだろう。

「狙撃が成功し、フリシレアンMOSを撃破できれば、体内に潜んでいたジュエル・ドミネーターが出てくるはずです。これを倒せば今回の作戦は成功となります」
 ジュエル・ドミネーターは猟書家「ドクトル・アメジスト」がクェーサービースト支配のために作り出した液体宝石生命体で、目標の体内に潜入、心臓部と同化し操作を行う他、戦闘時にはこれまでに現れたクェーサービーストの姿や能力を模倣する事もできる。
「単独の敵として見てもかなり強力な相手です。どうか最後まで油断しないで下さい」
 もしもジュエル・ドミネーターがフリシレアンMOSの支配に成功すれば、その脅威は未踏宙域の中だけに留まらなくなる。帝国継承軍の戦力としてクェーサービーストが既知宇宙に出現するという、最悪の事態だけは何としてでも避けなければならない。

「難しい作戦になりますが、皆さんなら成功させられると信じています」
 リミティアはそう言って説明を終えると、手のひらにグリモアを浮かべて未踏宙域への道を開く。クェーサービーストという戦力獲得を企む、猟書家の計画を阻止するために。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回の依頼はスペースシップワールドにて、クェーサービーストの支配を企む猟書家『ジュエル・ドミネーター』の計画を阻止するのが目的となります。

 一章は猟書家に支配された『フリシレアンMOS』との戦闘です。
 この戦いは惑星破壊級ブラスターによる超遠距離狙撃で、敵の体内にある制御宝珠を攻撃するのが肝になります。狙撃を成功させれば敵は大きく弱体化するので、その間に叩くのが得策でしょう。
 作戦は大きく分けて数万~数十万キロの彼方から敵を狙撃するか、近距離での足止め・とどめを担当するかになるので、どちらを行うかはプレイングで選択してください。

 フリシレアンMOSを撃破すれば、二章は『ジュエル・ドミネーター』との決戦です。
 支配対象がいなくなっても彼自身相当な強敵なので、最後まで油断せずに挑んでいただけると幸いです。

 本シナリオは二章構成となり、全章共通で下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……ブラスターガンナーと協力する/超遠距離狙撃のコツを聞く。

 宇宙船に乗っているブラスターガンナーのリファナは、ブラスターによる狙撃のエキスパートで、船内から狙撃のコツの教示やサポートを行ってくれます。近接戦闘を行う場合でも援護射撃で力になってくれるでしょう。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『クエーサービースト・フリシレアンMOS』

POW   :    MOSウインガル
【翅状の器官を震わせながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【体内の制御宝珠】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    MOSスピモルファ
【制御宝珠からの命令を受ける】事で【星間飛行形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    MOSブレステルデ
【制御宝珠がクエーサービーストへの命令】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。

イラスト:山庫

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

小鳥田・古都子
あんなのを操られたら大変。頑張って何とかしないと。

リファナさんにブラスターの使い方と宇宙空間での狙撃術を教わります。「補助脳」の【学習力】で高速学習です。風や自転の影響は無いんだよね。何に気を付ければいいのかな。

教えて貰ったら【スナイパー】技能で狙撃です。
【ピーキーブレイド】。全身を覆うフォースオーラが変形、ブラスターを包み自身と一体化した様に扱います。
【肉体改造】された体の内部機構を狙撃に最適な形に調整。狙撃に必要ない関節をロック、ギアやモーターの反応を鋭敏化。
移動力半減、射程を5倍化。
リファナさんからのサポートも貰って…撃ちます。

撃ち終わったら次の人に交代。
ドミネーターとの戦いに備えます。



「あんなのを操られたら大変。頑張って何とかしないと」
 遥か彼方に浮かぶ、翅を生やした肉塊のごとき異形――フリシレアンMOSを見据えて小鳥田・古都子(サイボーグのサイキッカー・f16363)は呟く。対象との距離はまだ数万キロ以上あるはずなのに、肉眼でもはっきりとそれを観測できるという事実が、小惑星に匹敵するクエーサービーストの規格外なスケールを物語っている。
「リファナさん、今回はよろしくお願いします」
「ええ、こちらこそ」
 作戦に協力する開拓船のクルーの1人、ブラスターガンナーのリファナに挨拶すると、その女性は真剣な表情でこくりと頷いた。彼女のサポートの下、惑星破壊級ブラスターで目標体内に存在する猟書家の「制御宝珠」を狙撃する――それが今回の作戦の要である。

「風や自転の影響は無いんだよね。何に気を付ければいいのかな」
「そうね……まず距離感、かしら。宇宙は広くて、比較対象になるものも少ないから」
 作戦開始までの少ない時間のうちに、古都子はリファナからブラスターの使い方と宇宙空間での狙撃術を教わる。大気や重力のある世界で生きてきた者と真空の宇宙を旅する者とでは射撃のセオリーも違う、認識の齟齬が無いように話し合い、注意点やコツを学ぶ。
「なるほどね。だいたい分かりました」
 古都子は悪の組織によって肉体のほとんどを機械に置き換えられたサイボーグである。小脳に内蔵された量子コンピュータの補助脳は、常人を遥かに超える学習速度でリファナの教えを理解し、短時間でそれを実践可能なレベルまで物にしてみせる。

「では行ってきますね」
「ええ。私も全力でサポートするわ」
 狙撃術の高速学習を完了すると、古都子は用意された惑星破壊級ブラスターを構える。
 本来は惑星ロボ用に開発された、人間が扱うにしては大きすぎる代物。彼女は冷たい金属の銃把に触れると、意識を集中させ超能力を発動する。
「……偏向、集中」
 全身を覆う不可視のフォースオーラが形を変え、巨大なブラスターを包みこむ。サイキックを通じて武装と接続した古都子は、それを自身と一体化した様に扱うことができる。
 今や惑星破壊級ブラスターは、改造された彼女の肉体の延長線。さらに躯体の内部機構を最適な形に調整することで、自らを狙撃に特化した形態に作り変えていく。

(狙撃に必要ない関節をロック、ギアやモーターの反応を鋭敏化……)
 銃を身体の一部とすると言うよりも、自分が銃の一部になるような感覚。鋲で打ち付けたように姿勢は微動だにせず、強化された感覚器と人工神経が、ターゲットを捕捉する。
 狙い撃つべき制御宝珠はクェーサービーストの体内に隠されており、視認することはできない。だが古都子の演算力とリファナの観測があれば、その程度問題にすらならない。
「……撃ちます」
 思考のトリガーを引いた瞬間、目も眩むほどの閃光がブラスターの銃口より放たれる。
 それは秒間30万キロの速度で宇宙空間を翔け抜けて――フリシレアンMOSの肉体中央、埋め込まれていた制御宝珠を見事に貫いた。

「……命中。目標、苦しんでいるわ」
 観測手を担当するリファナからの報告。事前に伝えられた通り、猟書家に操られたクェーサービーストは制御宝珠にダメージを受けると弱体化するという情報は事実のようだ。
 狙撃を成功させた古都子は【ピーキーブレイド】状態を解除すると、事更に喜びを表すこともなく、次に控えていた猟兵に狙撃役を交代する。
「後は任せました。こっちはドミネーターとの戦いに備えます」
 元凶が姿を表せばすぐに飛び出せるよう、躯体各部のチェックと武装の整備を怠らず。
 彼女の目線は既に次の目標――猟書家「ジュエル・ドミネーター」に向けられていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
相変わらずの大きさだけど…手はあるわ!

【ブラッディ・フォール】で「惑星ロボ開発計画!」の「クエーサービースト・ヴァキアスEAT」の力を使用(ヴァキアスEATの姿を完全再現し、外殻として纏った姿)。

【EATグラトニウム】で身体サイズと戦闘能力を増大。
巨大な咢で食らいつき、食いちぎった肉片を消化して【EATマテリライズ】を発動。
更に自身を強化し、食いついて抑え込む、またはバラバラに食い千切って「制御宝珠」(及び変化した敵)まで噛み砕いてあげるわ!
(足止めかその後かは臨機応変に対応)

クェーサービーストにはクェーサービーストを…最も単純で効果的よね!
ちょっと品が無いけど、これで喰らい尽してあげるわ!



『今ノ攻撃ハ何ダ……狙撃カ?』
 クエーサービースト・フリシレアンMOSの体内で、制御宝珠と化して星獣を操っていた「ジュエル・ドミネーター」は、知覚範囲外から飛んできた未知の攻撃に驚いていた。
 惑星破壊級ブラスターによる、超遠距離からの制御宝珠の狙撃。こんな芸当を成功させられるのは猟兵をおいて他にあるまい。彼は直ちに最大級の警戒態勢をもって対応する。
『攻撃ヲ受ケタ方角ヲ確認……』
 肉塊のごとき星獣の巨体が旋回し、翅状の器官を震わせ始める。宝珠を狙うスナイパーを捕捉して接近するために――だが、そうはさせじと1人の猟兵が前方に立ちはだかる。

「相変わらずの大きさだけど……手はあるわ!」
 近接距離から見上げれば視界を覆うほどの巨体を前に、しかしフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は臆さない。狙撃班が弱らせたフリシレアンMOSに追撃を行い、また狙撃班が攻撃を受けないように足止めを行うのが彼女の役割だ。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 規格外のスケールの敵に対抗すべく、彼女が発動するのは【ブラッディ・フォール】。小柄な娘の身体を包み込むように、真白い霧と漆黒の鱗が外殻を形成し、目の前の異形にも劣らない超巨大な怪獣の姿を取る。
『コレハ……!』
 ジュエル・ドミネーターが驚いたのも無理はない。フレミアが纏ったのはフリシレアンMOSとは別種のクエーサービースト「ヴァキアスEAT」の外殻。彼女のユーベルコードは過去に撃破したオブリビオンの力と姿を、我が身をもって再現することができるのだ。

「クエーサービーストにはクエーサービーストを……最も単純で効果的よね!」
 自らの手足の延長線を動かすような感覚で、フレミアは内部からヴァキアスEATの外殻を操る。その状態は奇しくも制御宝珠によってフリシレアンMOSを操るジュエル・ドミネーターの状態に近い。共にクエーサービーストを操るのであれば、戦力は五分と五分。
『想定外ノ事態ガ発生……最優先撃破目標二設定』
 ジュエル・ドミネーターは制御宝珠から命令を発し、【MOSブレステルデ】で一時的にクエーサービーストの全能力を増幅させる。対するフレミアは【EATグラトニウム】を発動、暴食の衝動により外殻のサイズと戦闘力をさらに増大させ、獲物に襲い掛かった。

『支配完了前二妨害ガ入ルトハ……』
 敵からしてみれば星獣の支配が完了するまで、このような戦闘は避けたかっただろう。撤退も視野に入れるべき状況だが、後方に狙撃手が控えている以上はそれもできない。
 かくなる上は全力で邪魔者を排除するまでと、操作されたフリシレアンMOSは翅状器官を羽ばたかせるが――ヴァキアスEATは蛇のような巨体をうねらせて敵の懐に潜り込み、巨大な咢で肉塊に食らいつく。
「ちょっと品が無いけど、これで喰らい尽してあげるわ!」
 暴食の異形が食い千切った肉片は体内で消化され、【EATマテリライズ】発動の代償となる。外殻が超振動を開始し、防御力・スピード・反射速度がさらに向上。口からは溶解液の涎を垂れ流すヴァキアスEATの外殻を、フレミアは飢餓感のままに暴れまわらせる。

『戦況、劣勢……』
 クエーサービースト同士による巨大決戦の行方は、明らかにヴァキアスEATが優勢だった。先程の狙撃で制御宝珠にダメージを受けたフリシレアンMOSには、ジュエル・ドミネーターからの命令が正常に伝わっておらず、戦闘能力をフルに発揮できていない。
 じりじりと追い詰められていく内に【MOSブレステルデ】の効果時間が切れ、翅持つ異形は昏睡状態に陥る。敵がピタリと動きを止めた好機を、フレミアが見逃すはずもない。
「制御宝珠まで噛み砕いてあげるわ!」
 牙持つ異形がぐわっと大口を開け、敵に食いついて抑え込みながら、その肉体をバラバラに食い千切っていく。千切れ飛んだ肉片が宇宙空間に散乱し、体内の奥にある大きな宝珠が露わとなり――溶解液に塗れた牙がそれに突き立てられる。

『―――!!!』
 制御宝珠とは変化したドミネーターそのもの。真空の宇宙に木霊するのは声なき悲鳴。
 フレミアの操る星獣が、フリシレアンMOSと猟書家に与えたダメージは甚大であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
クエーサービーストを支配下に置く。その手があったか!
感心してばかりでもいられないね。

リファナちゃんからリアルタイムで観測データを送ってもらって解析するよ。

狙撃の直後にユーベルコードを使って、足止めをしてる仲間の近くに颯爽と現れるよ。

幸福を届けに来たよ。支配からの解放という幸福をね。

解析データを基に弱点を重点的に攻撃していくよ。


メイスン・ドットハック
【SPD】
クエーサービーストまで持ち込まれたらさすがに不利になるけーのー
ここで何が何でも止めねばならぬじゃろーのー

目的:フリシレアンMOSの宇宙船接近および離脱
キャバリアKINOMORIに搭乗して参戦
星間飛行形態に移行する前にミサイル・榴弾、レーザー砲ユニットによる一斉射撃を制御宝珠に向けて行い、足止めする
さらにUC「薔薇の魔女よ、雷と共に去れ」で召喚した帝竜ワームと雷雲の海を配置し、雷と薔薇のブレスによる攻撃を敢行
敵が攻撃に転じて撃破を狙うことで足を止めたら、リファナにブラスターで超長距離射撃で宝珠を撃ち抜いて貰う

今なら撃ち放題じゃけーのー! こっちが釘付けにできる間にやってくれのー!



「クエーサービーストを支配下に置く。その手があったか!」
 未踏宙域を支配する恐るべき怪物達を、戦力として取り込もうという猟書家の計画に、アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)はなるほどと声を上げた。
 この計画が成功すれば、帝国継承軍にクエーサービーストが加わることになる。新たなオブリビオンを自然発生させれらない猟書家からすれば、戦力増強の妙手というわけだ。
「感心してばかりでもいられないね」
「クエーサービーストまで持ち込まれたらさすがに不利になるけーのー」
 気を引き締めなおすアリスの横で、うむと頷くのはメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。かつての銀河皇帝すら侵略を諦めたほどの怪物を既知宇宙に連れて来られてしまえば、どれほどの惨事になるか分かったものではない。

「ここで何が何でも止めねばならぬじゃろーのー」
 宇宙船に接近するフリシレアンMOSを足止めするために、メイスンは機動強襲用キャバリア「KIYOMORI」に搭乗して前線に出る。船に乗っているリファナと惑星破壊級ブラスターは今回の作戦の要、これを攻撃されることは絶対に防がなければならない。
『【MOSスピモルファ】ヲ発動セヨ……』
 制御宝珠からの命令を受けた星獣が星間飛行形態に移行しようとする間際、キャバリアから発射されたミサイル・榴弾、レーザー砲ユニットによる一斉射撃が襲い掛かる。
 それは味方の攻撃により露出した制御宝珠に命中し、命令を阻害してユーベルコードの発動を阻止する。目標のスケールを鑑みれば大したダメージとは言い難いだろうが、今はともかく敵の足を止めるのが最優先だ。

「リファナちゃん、観測データをこっちに送って」
「わかったわ。何に使うのかは任せる」
 メイスンとフリシレアンMOSが交戦している間、アリスはリファナがリアルタイムで観測したデータを受け取って、敵の弱点や狙撃に有利な配置とタイミングを解析していた。
 情報を操る妖精である彼女には、相手が未知のクエーサービーストだろうとこの程度の解析はお手の物。プログラムとも魔法ともつかない独特の技法によって情報を支配する。
「うん、だいたい分かったよ。狙撃はよろしくね、リファナちゃん」
「任せて。あなた達猟兵ほど上手くはいかないかもしれないけど」
 解析した情報を送り返されると、リファナは惑星破壊級ブラスターの狙撃準備に移る。
 彼女に猟兵達のような超常の力はない。だが宇宙での狙撃経験ではこの場にいる誰にも負けていない。観測装置を覗き込み、星の海を飛び回る超巨大生物に照準を合わせる。

「ほれ、こっちを見んかのー」
 後方での狙撃準備が整う一方、前線の戦いも白熱していた。【薔薇の魔女よ、雷と共に去れ】と、メイスンが召喚したのは「帝竜ワーム」の培養体。かつて群竜大陸を支配した恐るべき魔竜の一角は、雷雲と共に現れ、フリシレアンMOSに雷と薔薇のブレスを放つ。
『何ダ此レハ……?』
「無限竜ワームの最速の雷、と言った所かのー」
 雷速の攻撃は敵に避ける暇を与えず、薔薇の香気は呪いとなって敵を蝕み、さらに帝竜出現と同時に配置された雲海は雷と呪いの力を蓄積する。超生物たるクエーサービーストも、流石にこれほど激烈な攻撃には脅威を覚えたようだった。

『先ズ排除スベキハ貴様カ』
 目前の敵に対する認識を改めたジュエル・ドミネーターは、改めてフリシレアンMOSに命令を送る。更新された脅威評価に基いて、傀儡の星獣がメイスンの機体に襲い掛かる。
 敵のスケールと比較すれば塵のような青いキャバリア。そのコックピットの中で少女は静かに微笑んだ。敵がこちらの撃破を狙ってきた時点で、彼女の目的は達成されている。
「今なら撃ち放題じゃけーのー! こっちが釘付けにできる間にやってくれのー!」
『了解』
 攻撃に転じたフリシレアンMOSの足が止まった瞬間、後方からブラスターの光が閃く。
 リファナが放った全力の超長距離射撃は、狙い過たず目標の制御宝珠を撃ち抜いた。

『―――!!』
 制御宝珠化しているジュエル・ドミネーターから苦悶の思念が漏れる。命令の途絶えたフリシレアンMOSの動きがガクリと鈍った瞬間、雷雲の海から白い花びらが舞い踊った。
「やあ、近くで見ると本当に大きいね」
 その中から颯爽と姿を現したのは、サイキックキャバリア「ブライダルベール」に搭乗したアリスだった。狙撃成功の直後、彼女は足止めを行っているメイスンを座標指定して【戦場の白い花】を発動、後方から前線まで一気にテレポートしてきたのだ。

「幸福を届けに来たよ。支配からの解放という幸福をね」
 大鎌と花びら型のビットで武装したアリスのキャバリアは、弱体化した星獣に容赦のない追撃を叩き込む。既にデータの解析を終えている彼女の攻撃はフリシレアンMOSの生物的・構造的な弱点を重点的に捉え、大きなダメージを与えた。
「そのデータ、こっちにもくれんかのー?」
「いいよ。じゃあ、一緒にやろうか」
 キャバリア同士の通信で解析データを受信したメイスンも、培養体ワームと共に連携攻撃を仕掛ける。帝竜の雷と重火器とレーザーの弾幕が、星獣の肉体を焼き焦がしていく。
 雷の雲海を駆け巡る、二機のキャバリアと無限竜。その波状攻撃は猟書家に支配されたクエーサービーストを着実に追い詰めていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

春乃・結希
MOLD WARS
【自称猟書家:カビパン(f24111)】

時は2XXX年。
故郷の星を滅した真の猟書家カビパンへの復讐を誓い、無限の宇宙を旅していた春乃
幾つもの戦いと出会いを経て、とうとう宿敵カビパンを見つけ出したのである

『もう、絶対逃さない!星の意思、人々の想い…私に、力を貸して!(焔の翼を生やす演出)』
迫真の演技。
決まった…!私女優になれるのでは〜?とご満悦
気を取り直して…
この厳しくも楽しかった旅路に終止符を打つために
旅の相棒であり、最愛の恋人でもある『with』をフルスイングし
カビパンをホームランする(カビパンワールドの力を信じる…!)

狙撃スコープで着弾を確認
『みんな、仇はとったよ…!』


カビパン・カピパン
MOLD WARS
【監督:あの伝説の戌MS 主演:結希(f24164)】

ラストエピソード

14時の方角、ハンバーガー4個分の値段の先に意味不明な生体反応を観測!急速に近づいています、接近中!この動きはギャグ世界の人間のようですが…あ り え な い !(プレイング的に)
猟書家カビパンです!

行け、結希!銀河に平和とシリアスを取り戻すために…

真の猟書家(自称)は自分だと言わんばかりに盛大な自己PRスペクタクル冒険活劇の始まり。クェーサービーストなんてアウトオブ眼中

結希に面白くやられて星のように吹っ飛ばされてた猟書家カビパンは、ギャグ的な意味でそれは超遠距離狙撃攻撃となりフリシレアンMOSに激突した。



「フリシレアンMOSの生命反応低下! 敵は確実に弱っています!」
「流石は猟兵だ! あのクエーサービーストを圧倒している……!」
 未踏宙域での戦いを観測する開拓船のクルー達は、巨大な敵相手に一歩も譲らない猟兵の戦いぶりに歓喜していた。流石は銀河帝国を打倒した立役者、この宇宙の英雄達だと。
「いけるぞ、これなら……」
「待ってください! 何、この反応は……?」
 だがその時、計器を操作していたオペレーターの1人が、緊張をはらんだ声を上げる。
 一難も去りやららぬうちから訪れた未知の反応。クエーサービーストと遭遇した開拓船の人々に、今度は【ハリセンで叩かずにはいられない女】の脅威(?)が迫っていた。

「14時の方角、ハンバーガー4個分の値段の先に意味不明な生体反応を観測! 急速に近づいています、接近中!」
 レーダーに現れた反応を読み上げるオペレーター。自分の発言におかしい点があることに気が付いていない時点で、彼女は既に「あの女」のギャグの世界に取り込まれていた。
「この動きはギャグ世界の人間のようですが……あ り え な い !」
「何なのだ! 何が近付いて来ていると言うのだ!」
 要領を得ない報告に、業を煮やしたように館長が叫ぶ。オペレーターはわなわなと震える手でコンソールを操作して、検知された生体反応の拡大画像をモニターに映し出した。

「猟書家カビパンです!」

 風もないのにばっさばっさと軍服のマントをなびかせて、ハリセン片手にふんぞり返るカビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)。宇宙空間の只中に現れた彼女はクエーサービーストも、それを操るジュエル・ドミネーターも眼中にない様子で叫ぶ。
「真の猟書家はこの私だ。全銀河の人類に不味いカレーうどんを喰わせてやる!」
「「な、なんだってー!!!?」」
 猟書家(自称)カビパンの恐るべき野望が明らかになったことで、開拓船の乗員は騒然となる。いや真面目に考えればおかしい事しか言っていないのだが、おかしい事がまかり通ってしまうのがユーベルコードの力なのだ。カビパンワールドと化した戦場では彼女のギャグに適応できない者から死んでいく。彼らはむしろ運が良かったほうである。

「待ちなさい、猟書家カビパン!」
「むう! 何奴!」
 カビパンがノリノリで悪役ムーブをかましていると、正面から新たな生体反応が近付いてくる。それは身の丈ほどもある漆黒の大剣を大事そうに抱えた、黒い髪の少女だった。
 彼女の名は春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)。カビパンが営んでいるカレー屋さんの従業員である。
「とうとう見つけた。あなたに滅ぼされた私の故郷、忘れたとは言わせない!」
 カビパンを睨みつける結希の表情は、まるで積年の宿敵と出会ったかのよう。一体どういう事かと問われると解説が難しいので、ここは彼女達が用意した台本(プレイング)から引用させてもらおうと思う。

 ――MOLD WARS ラストエピソード――
【監督:あの伝説の戌MS 主演:結希 自称猟書家:カビパン】

 時は2XXX年。
 故郷の星を滅した真の猟書家カビパンへの復讐を誓い、無限の宇宙を旅していた春乃。
 幾つもの戦いと出会いを経て、とうとう宿敵カビパンを見つけ出したのである。

「ふっふっふ……遂に追いついてきたか、結希よ」
 つまりこれはカビパンと結希による壮大なお芝居なのである。主演の結希を目立たせるついでに真の猟書家(自称)カビパンの名を轟かせる為の、盛大な自己PRスペクタクル冒険活劇。クエーサービーストなんてアウトオブ眼中で二人はノリノリで劇場を続ける。
「もう、絶対逃さない! 星の意思、人々の想い……私に、力を貸して!」
 迫真の演技と共に結希が剣を構えると、背中から【緋色の翼】が生える。暗黒の未踏宙域で燃え盛る焔の翼は、彼女のヒロイックさを引き立てる実に効果的な演出だった。

(決まった……! 私女優になれるのでは~?)
 キリッとした表情のまま、心の中ではご満悦の結希。首謀者はカビパンかと思いきや、彼女も彼女ですごくノリノリだった。わざわざ演出にユーベルコード使っちゃうくらい。
 だがいつまでも悦に浸っている場合ではない。ここからが劇のクライマックスである。
「気を取り直して……覚悟!」
 焔の翼を羽ばたかせ、猟書家カビパンに吶喊する結希。この厳しくも楽しかった旅路に終止符を打つために、旅の相棒であり、最愛の恋人でもある大剣『with』を振りかぶる。
『行け、結希! 銀河に平和とシリアスを取り戻すために……!』
 戦いを見守る開拓船クルーの興奮も最高潮。すっかり映画館にいる観客気分で食い入るようにスクリーンを見つめ、熱い声援をヒーローに送る。真空の宇宙に彼らの声は響きはしないが、まるで聞こえていたかのように、結希の焔翼はさらに激しく燃え上がり――。

「これがみんなの、希望の力……!」
「ば、バカなああああああっ!!?」

 渾身の『with』フルスイングを叩きつけられ、見事ホームランされる猟書家カビパン。
 並みの人間どころか猟兵やオブリビオンでも病院送りになるレベルの一撃だが、ここはギャグが支配するカビパンワールドなのでダメージもギャグ的に処理される。
「あ~~~れ~~~~」
 面白おかしくやられて星のように吹っ飛ばされた猟書家カビパンは、遥か数万キロの彼方で戦闘中だったフリシレアンMOSのほうに飛んでいく。これでもかと言うほどのギャグ補正が乗ったそれは、奇しくも本来の敵に対する超遠距離狙撃攻撃となったのである。

「ごふぅっ!!!」
『―――!!?!』
 吸い込まれるように制御宝珠に激突したカビパンと、予期せぬ被弾に驚愕する猟書家。こんな攻撃を予測できるとしたら、ガチの予知能力者か生粋の芸人かのどちらかである。
 今回の主犯――もとい主演の結希は狙撃スコープでカビパンの着弾を確認すると、キラキラとまたたく星々を見上げて、感極まったように呟く。
「みんな、仇はとったよ……!」
 心の中で流れるエンディング曲とエンドロール。こうして「MOLD WARS」は終結した。
 一体これで誰が得をしたのかと言えば、それは満足感に満ちた結希とカビパンで。逆に一番損をしたのは、関係ないのにとばっちりを食らったクエーサービーストであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
※ブラスターでの狙撃担当

此度は宜しくお願いいたします、リファナ様
超遠距離狙撃の経験(●スナイパー)は専門家に及びません
専門知識面での補佐を願う事になるかと

難度が上がる二射目以降…確実に成功させましょう

制御機構とワイヤーでの有線●ハッキングで直結
ブラスターと機能的に合一
弾速、減衰率、距離、地形情報等
送られる観測情報や敵機動性能を●情報収集能力と瞬間思考力で解析
UC精度向上

竜の逆鱗を貫く宝剣…というには無骨ですね
心情は兎も角、『馴染む』のは確かですが

ですが授けられた力を十全に活かし、災い討ってこその騎士
その企て、撃ち砕いて差し上げましょう

……発射(ファイア)

移動先に砲撃を『置く』狙撃で制御宝珠貫き



「度は宜しくお願いいたします、リファナ様」
「こちらこそ」
 開拓船に乗るブラスターガンナーの女性と言葉を交わしながら、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は惑星破壊級ブラスターの発射態勢に入る。ウォーマシンである彼にはスナイパーの技能もインプットされているが、それでも此れほどの距離からクエーサービーストを狙い撃つ機会となると、そうそう経験できるものではない。
「超遠距離狙撃の経験は専門家に及びません。専門知識面での補佐を願う事になるかと」
「私の経験や知識が役に立てるなら、喜んでサポートするわ」
 研鑽を重ねた人間の知識や技術は、時に機械のそれさえ上回ることを彼は知っている。
 "生"の経験により培われた長距離狙撃のアドバイスを受けながら、機械仕掛けの騎士は現在も足止め役の猟兵達と交戦中の「フリシレアンMOS」に照準を合わせる。

「難度が上がる二射目以降……確実に成功させましょう」
 トリテレイア以前にこの戦闘で狙撃を行った者は二人。後続のデメリットは目標の敵視を受けやすいことで、メリットは先行組の結果を元にして狙撃精度を高められることだ。
 弾速、減衰率、距離、地形情報――集まったデータを有効活用するのは機械の得意分野と言えるだろう。送られる観測情報や敵機動性能を高速解析し、軌道計算を最適化する。
「コード入力【ディアブロ】! 演算機能リミット解除……帝国最強ウォーマシンの再現を今ここに!」
 限界を超えて極まったトリテレイアの情報収集能力と瞬間思考力は【紛い物の白騎士】による未来予測演算能力の精度向上という結果に現れる。僅かに10秒足らずの時間のみ、彼はかつて銀河帝国の双璧を担った白騎士のように、戦場のあらゆる未来を掌握する。

「竜の逆鱗を貫く宝剣……というには無骨ですね。心情は兎も角、『馴染む』のは確かですが」
 ハッキング用のジャックを兼ねたワイヤーアンカーによる有線接続で、制御機構と直結したトリテレイアは惑星破壊級ブラスターと機能的に合一する。本来は惑星ロボ用に開発された兵器でも、多少の規格の齟齬は問題にならず、四肢の延長線のように運用可能だ。御伽話の騎士のようなあり方を志す彼にとっては、些かこの巨大装備は無骨に過ぎたが。
「ですが授けられた力を十全に活かし、災い討ってこその騎士」
 形振りよりも優先されるべきは信念と結果。かのクエーサービーストが猟書家の手中に堕ちれば、その脅威は未踏宙域を超えて既知宇宙にまで及ぶ。銀河の民を蹂躙する星獣という最悪の"未来"をここで阻止するために、機械騎士は演算回路をフル回転させ――。

「その企て、撃ち砕いて差し上げましょう……発射(ファイア)」

 現在位置の目標に『当てる』のではなく、未来の目標が移動する先に砲撃を『置く』。
 かの白騎士ディアブロの再来と呼ぶべき超予測と経験則に基いた超遠距離狙撃は、数万キロの距離を越えてフリシレアンMOSの「制御宝珠」を的確に貫いた。
『―――!!!?』
 眩い熱線の直撃を受け、制御宝珠化していたジュエル・ドミネーターが驚愕に揺れる。
 命令伝達が阻害されたことでフリシレアンMOSの活動も弱体化。それは前線で戦う猟兵にとって、星獣を打倒するための大きな好機となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
猟書家に好き勝手はさせない…!

目覚めよ、厄災の神…魔剣の媛が汝を解き放つ…
解放、ディザスター・ゼロ…!
(空間を割り、呪力を撒き散らし呪装機神を召喚)

機体に乗り【真力解放】発動…。
スラスターを全開に高速機動しつつ、掌から呪力の弾丸【呪殺弾、呪詛、誘導弾】を放ち攻撃し、敵を【呪詛】で侵食・弱体化…。

更に呪力の縛鎖で動きを拘束し、敵に凶太刀の刃を突き立て、呪力を直接流し込んで更に弱体…。
宝珠に変化してる敵も同時に侵食・攻撃し、敵の支配力や支配速度を低下させるよ…。

敵が狙撃で弱体化したら、リファナさんに確認して制御核の位置を確認…。
バルムンクに全【呪詛】を込めて、【ultimate】で両断するよ…!


家綿・衣更着
アドリブ連携歓迎

気づかれたら逃げられる…宝珠破壊できるまで足止めしないとっすね

リファナさんには状況を教えてもらったり援護射撃を頼むっす
特殊宇宙服を着こみ、自身や宇宙船を【化術】で【迷彩】して気づかれにくいよう近づいて宇宙船は収納鏡(フレーバー)に格納、狙撃されにくい場所に取り付くっす

「…でかい。そしてグロい。でも足止めはさせてもらうっす」
【化術】全開で【おどろかす】!幻影や幻覚を見せて混乱させたり、逃走する方向を誤認、誘導する事で可能な限り逃がさず狙撃できるよう足止めっす

リファナさんから見て可能なら、他の猟兵の狙撃等でできた穴から『必殺武装召喚』で用意した必殺爆弾を制御宝珠に【投擲】し離脱っす



「気づかれたら逃げられる……宝珠破壊できるまで足止めしないとっすね」
 遠方からでもはっきりと確認できるクエーサービーストの巨体を見やりながら、家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)は宇宙の闇に潜む。敵の警戒をかいくぐって気付かれないよう接近するのは忍びの者の得意分野。例え宇宙空間でも彼の化術の迷彩は完璧だった。
「この辺りでいいっすかね」
 ある程度の距離まで近付いたところで、乗っていた宇宙船を【収納鏡】の中に格納し、特殊宇宙服を着込んで宇宙に飛び出す。彼が配置に付いたのとタイミングを同じくして、違う方角からはまた別の猟兵が、クエーサービーストに急速接近していた。

「目覚めよ、厄災の神……魔剣の媛が汝を解き放つ……解放、ディザスター・ゼロ……!」
 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)の呼びかけに応えて空間が割れる。虚無の向こう側より呪力を撒き散らしながら現れるのは、呪装機神「ディザスター・ゼロ」。封印されし異端のキャバリアは唯一主と認めた少女を乗せ、暗黒の宇宙を流星のごとく飛翔する。
「猟書家に好き勝手はさせない……!」
 星獣の力を手中に収め、銀河を支配せんとする猟書家の野望――それを阻止せんとする璃奈の意思に、機神の魂も呼応する。【呪法・真力解放】により機体性能を超強化された機神はスラスターを全開にして一気に敵に接近すると、掌から呪力の弾丸を撃ち放った。

『猟兵……ヤハリ貴様達ガ我等ノ計画ニオケル最大ノ障害カ』
 フリシレアンMOSの体内で制御宝珠化しているジュエル・ドミネーターは、無機質な調子で呟きながら命令を発信する。それを受けた星獣は直ちに星間飛行形態に移行すると、翅状の器官を震わせながら近付いてくるキャバリアに襲い掛かった。
「負けない……!」
 小惑星にも匹敵する規格外のサイズにも関わらず、敵は驚くべき航行速度を誇る。だが璃奈の操るディザスター・ゼロも、超高速機動での戦闘に長けた機体。呪力のオーラを翼のように噴き出しながら、ギリギリの距離で敵の突進を躱しながらその表面に張り付く。
 激突スレスレの距離から放たれる呪力弾は雨が土に染み込むように、フリシレアンMOSの肉体を徐々に侵食していく。高濃度の呪詛を大量に浴びせられれば、いかにクエーサービーストであっても弱体化は免れ得まい。

『フリシレアンMOSノバイタル不安定……ココハ退クベキカ……』
 ジュエル・ドミネーターは体内より星獣の状態をモニタリングすると、形成不利とみて撤退を判断する。彼の目的は猟兵の撃破ではなくクエーサービーストの支配確立であり、折角支配下においた戦力をここで無為に使い潰す理由はないのだから――しかしそれは、彼の計画を阻止するためにやって来た猟兵達からも予想できた事である。
「……でかい。そしてグロい。でも足止めはさせてもらうっす」
 生々しい肉の巨塊が宇宙を飛び回る様に、若干気後れしたものの。待機していた衣更着は敵が逃走の動きを見せたのに気付くと、化術をフルに使って相手を驚かせにかかった。
 星の海にモクモクと立ち上る妖怪煙。その中から現れるのはクエーサービーストに迫るほど巨大化した妖怪「打綿狸」の幻影。前触れなく突如出てきた新手に退路を塞がれれば、フリシレアンMOSとジュエル・ドミネーターの思考も混乱する。

「この先には通さないっすよ!」
 化術による幻影と幻覚を操って、がおーっと敵を威嚇する衣更着。まんまと化かされたフリシレアンMOSは急旋回して進路を変更しようとするが、その先は開拓船で待機している狙撃班にとっては格好の狙撃ポイントだ。
『こちらの準備はできてるわ。できれば、あと少しだけ目標を追い込んでほしい』
「やってみるっす!」
 観測手を担当するリファナから状況を教えてもらいつつ、獲物を死地へと逃げ込ませる――それが衣更着の目的。これだけ大きな獲物になると、ポイントに誘導した後で逃さず足止めするのも一苦労だが、幸いにして今ここにいる猟兵は彼だけではない。

「少し大人しくしてもらうよ……」
 狙撃地点に誘い込まれたフリシレアンMOSに、再び急速接近する璃奈のディザスター・ゼロ。その手に具現化された妖刀「九尾乃凶太刀」の刃が肉の塊に突き立てられ、同時に呪力で編まれた縛鎖が巨体を縛り上げる。
『コレハ……不味い……!』
 これまでに弾丸として撃ち込まれた分に加え、妖刀を通じて直接呪力を流し込まれたことで、フリシレアンMOSの活動は急激に弱体化。その侵食は体内にいるジュエル・ドミネーターの制御宝珠にまで及び、クエーサービーストに対する彼の支配力を低下させた。

「今だよ……」
「今っす!」
 前線で戦う二人の猟兵の声が重なった瞬間、戦場の彼方から星々の輝きすらも霞ませるほどの凄まじい閃光が走った。味方の猟兵による惑星破壊級ブラスターでの超遠距離狙撃が、数万キロの空間を越えてフリシレアンMOSの制御宝珠を撃ち抜いたのだ。
『―――!!!?』
 熱線の直撃を受けた巨体には大穴が空き、肉塊の中に埋もれていた制御宝珠が露わとなる。星獣への命令伝達が停止し弱点が無防備に露出した好機を、二人が見逃す訳がない。
「リファナさん、制御核の位置を……」
『もう送ったわ。仕留めて!』
 璃奈の乗るコックピットのモニターに、露出した制御宝珠の位置が表示される。同様の情報は衣更着の着る宇宙服にも送られ、それを確認した二人はすぐさま攻撃を仕掛けた。

「武装召喚! この装備でお前を倒すっす!」
 衣更着は【必殺武装召喚】で用意した爆弾を収納鏡の中から取り出すと、両手で大きく振りかぶって、狙撃でできた穴目掛けて勢いよく投げ込む。クエーサービーストにも有効なレベルまで威力を強化されたそれは、彼が離脱した直後に穴の中で大爆発を起こした。
『グオオオオオ―――!!!』
 宝珠化したジュエル・ドミネーターの悲鳴と、苦しげに翅を震わすフリシレアンMOS。そして爆炎も収まりきらぬ内に、魔剣を構えたキャバリアが猛烈なスピードで接近する。
「これで終わり……!」
 性能を極限まで引き出されたディザスター・ゼロが振るうは、屠竜の魔剣バルムンク。璃奈と機神の呪力を全て込めたその一撃は、傷ついた宝珠に致命的な破壊をもたらした。

『――――!!!!』

 真空の宇宙で音もなく制御宝珠が割れ、フリシレアンMOSの巨体がびくりと痙攣する。
 猟書家の支配下にあったクエーサービーストは、断末魔のように翅を震わせ、それきり二度と動き出すことはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ジュエル・ドミネーター』

POW   :    ジュエル・キエリビウムJOX
【宝石浸食化したキエリビウムJOX】に変身し、武器「【物質分解光線を放つ頭部の水晶体】」の威力増強と、【高速回転しながら、物質分解波動の連射】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    ジュエル・マインドミナBVA
対象の攻撃を軽減する【宝石浸食化したマインドミナBVA】に変身しつつ、【無限に変化する外殻が変形した殺戮兵器】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ジュエル・ヴァギアスEAT
【存在を喰らうという暴食の感情を爆発させる】事で【宝石浸食化したヴァギアスEAT】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エィミー・ロストリンクです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 惑星破壊級ブラスターを用いた猟兵達の作戦により撃破された「フリシレアンMOS」。
 クエーサービーストを戦力として支配下に収めるという、猟書家の計画はこれで頓挫したことになる。動かなくなった肉塊の上で、真っ二つに割れた「制御宝珠」が宙を漂う。

『――ヤッテクレタナ、猟兵ヨ』

 ふいに、無機質な声が聞こえたかと思うと、破壊されたはずの制御宝珠の破片が蠢く。
 それは個体としての形状を失いながら一箇所に集まると、どろりと濁った液状のボディを持つ異形に姿を変える。仮面に覆われた頭部の奥で、妖しい視線が猟兵達を射抜いた。

『今回ノ計画ハ我々ノ失敗ダ。ダガ、此レハ我々ノ敗北ヲ意味シナイ』

 それが制御宝珠化していた猟書家「ジュエル・ドミネーター」の本当の姿なのだろう。
 超科学者ドクトル・アメジストに開発されたこの液体宝石生命体は、一度の失敗で己が生み出された目的を諦めはしないだろう。いずれまた新たなクエーサービーストを見つけて支配を企む筈だ。「宝石侵食」という危険な能力を持つこの敵を野放しにはできない。
 臨戦態勢を解かない猟兵達に対し、ジュエル・ドミネーターもこのまま逃げられるとは思っていないのだろう。液状の身体を変化させ、巨大化し、新たな星獣の肉体を形作る。

『銀河支配ノ障害トナル貴様達ヲ、此処デ排除スル。全テハ帝国継承軍ノ為ニ』

 相手はクエーサービーストを支配するばかりか、その姿を模倣することもできる驚異のオブリビオン。だが彼には制御宝珠化していた間に受けたダメージが残っているはずだ。
 何より彼が模倣するのは、いずれも猟兵が過去に遭遇したクエーサービーストばかり。決して撃破できない相手ではないことは、これまでの戦歴が証明している。

 恐るべき星獣の力を、銀河を我が物にせんとする帝国継承軍に利用させてはならない。
 猟書家の計画を完全に挫くため、クエーサービーストの屍の上で猟兵達は決戦に挑む。
小鳥田・古都子
何とか阻止は出来たけど、あいつを倒さないとまた同じ事をされるのね。ここで仕止めておかないと。

宇宙服のヘルメットが邪魔なの。脱ぎ去ります。全身【肉体改造】されたサイボーグなので真空でもある程度【環境耐性】出来ます。
UC【電探装置】起動。纏めてた髪の毛をほどいて伸ばしアンテナ化、レーダーシステムにして空間を【情報収集】し、高速の敵の動きを把握。
相手の挙動を【瞬間思考力】で読み取り、強化された【早業】で回避。
宇宙空間での測距や狙撃のコツはリファナさんに教わって実践したばかりなの。【学習力】を活かして【スナイパー】射撃。
拡散させてたレーダー波を一点集束。光速の電磁ビームにして敵を撃ち抜きます。



「何とか阻止は出来たけど、あいつを倒さないとまた同じ事をされるのね」
 支配予定であった「フリシレアンMOS」を撃破されたことで姿を現した液状宝石生命体「ジュエル・ドミネーター」。クエーサービーストを支配する力を持った元凶に対して、すでに戦闘準備を整えていた古都子の行動は迅速だった。
「ここで仕止めておかないと」
 邪魔な宇宙服のヘルメットを脱ぎ去り、身一つで宇宙空間に飛び出す。全身を肉体改造されたサイボーグの彼女は、真空の環境下であってもある程度は生命活動を維持可能だ。

『宝石侵食化――ジュエル・ヴァギアスEAT』
 古都子達猟兵の目の前で、ジュエル・ドミネーターが巨大化する。液状のボディは漆黒の鱗と牙となり、何もかもを呑み込むブラックホールのような大口を開いて。どうやら支配のみならずクエーサービーストの模倣をも得意とするのが、この猟書家の特性らしい。
「……」
 暴食の星獣を前にして、古都子は纏めていた髪をほどいて伸ばす。無重力に広がる焦げ茶の髪は【電探装置】のアンテナとなり、周囲を探査するレーダーシステムが起動する。
 恐れることはない。敵がどれだけ巨大で、そして素早く動こうとも、探知できないものでは無い。揺らめく髪に紫電が走り、紫の双眸が漆黒の星獣を捉える。
『オオオオオオオッ!!!!』
 捕食衝動のままに猛スピードで突っ込んできたジュエル・ヴァキアスEATの挙動を瞬間思考で読み取った古都子は、強化改造された肉体の瞬発力をもって暴食の牙を回避した。

「宇宙空間での測距や狙撃のコツはリファナさんに教わって実践したばかりなの」
 フリシレアンMOSの狙撃にも使われた最新の学習データを、ここでも生かさない手はあるまい。敵の攻撃を躱した直後、古都子のボディは紫電を帯びてバチバチと雷光を放つ。
 地形や敵の情報を把握するためのレーダー波の"目"は、集束させることで敵を討つための"矢"にもなる。そのエネルギーの源は古都子自身のサイキックエナジー――すなわち、彼女の心が折れない限り、出力に限界はない。
「今は前よりも近い。外しようがないよ」
 照準器のようにピンと片腕を伸ばし、補助脳の演算補助により動きを予測しながら目標をロックオン。擬態した奴にも制御宝珠があるかはわからないが、狙うべき箇所は明白。

「……発射」
 一点集束された光速の電磁ビームが、真空の闇を切り裂いてジュエル・ヴァキアスEATを撃ち抜く。それはあんぐりと開いた大口から体内に命中し、高電圧で臓腑を焼いた。
『グオオオオォォォォォ―――ッ!!!!?』
 蛇のような巨体を大きくのたうち回らせて、暴食のクエーサービーストが苦悶に喘ぐ。
 二度に渡り星獣の狙撃を成功させた古都子は、やはりそれを誇るでもなく冷静に効果のほどを確認すると、ヘルメットを被りなおしてその場から後退していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

春乃・結希
宇宙の果てまで届かせるつもりに声を張り上げて演技に臨みます【大声】

『MOLD WORS RETURNS』
消滅したかに思われたカビパンだったが、彼女は残された胞子から復活したのである
宇宙を賭けた戦いが再び始まるーー

ーーあの!監督!全然指示が聞こえないんですけどっ!?
もっと腹から声だしてくれないと!よろしくお願いします!!

監督!ツッコミの指導をお願いします!まずは私のツッコミを確認してください!
(大きく息を吸い込み)なんで!!!やねん!!!!!(全力の裏拳)【怪力】
ふぅ…どうですか監督!これなら復活したカビパンも倒せますよねっ?

カビパンさん、監督、ありがとうございました
受賞間違いなしですっ


カビパン・カピパン
ジュエル・ドミネーターの妖しい視線がカビパン達を射抜いた瞬間、二人の体に稲妻が走った。
!?あなたは…あの期待の新人監督!

(エ、新人ノ監督ダッタッケ?)
実は私達は『カビマッハ(f24164)猟書家』という劇団でして。
銀河中にカレーうどんとwith愛をお届けする舞台俳優なんですよ。
しかし肝心の舞台監督がいなくて是非ジュエル監督にお願いしたく。

ここはもうカビパンワールドの舞台。
新人監督には、困惑の感情しかない。

結希とカビパンはスパルタで監督に厳しかった、血反吐も吐かせ死ぬ気でギャグセンスを鍛えた。
しかし新しい監督の指導の下で演劇をやり切ったのである。
一体感のある感動と達成感が、確かに存在したのだ。





『ヴァキアスEATノ暴食衝動ニヨル攻撃ハ失敗――』
 ダメージを負ったジュエル・ドミネーターは、黒い星獣から元の液状宝石の姿に戻る。
 まるで機械のように淡々と現状を確認する彼の挙動から動揺は読み取れず、仮面の奥の瞳は相変わらず冷徹な輝きで猟兵達を見つめている。
「「ハッ……!?」」
 その妖しい視線がカビパンと結希を射抜いた瞬間、二人の体に稲妻が走った。心が震え、鼓動が高鳴る。まさかジュエル・ドミネーターにはクエーサービーストだけでなく猟兵すらも操る力が――ということはもちろんまったく無く、単なる彼女達の勘違いである。

「あなたは……あの期待の新人監督!」

 びしり、とカビパンから指を突きつけられたジュエル・ドミネーターは、液状宝石のボディをぐんにゃりと曲げて、全身で困惑を露わにする。まあ当然の反応と言えるだろう。
(エ、新人ノ監督ダッタッケ?)
 生まれてこの方そのような役職についた覚えはなく、創造主ドクトル・アメジストより与えられた目的は「クエーサービーストの支配」だけのはず。が、初対面のはずの二人はやけに馴れ馴れしい態度でジュエル・ドミネーターのことを映画監督扱いしてくる。
「実は私達は『カビマッハ猟書家』という劇団でして。銀河中にカレーうどんとwith愛をお届けする舞台俳優なんですよ」
『何ダ其ノ怪シイ劇団ハ?』
 敵の冷静なツッコミもよそに【ハリセンで叩かずにはいられない女】カビパンは話を続ける。ようはさっきフリシレアンMOS戦で披露した演劇をまたやりたいという事らしい。

「しかし肝心の舞台監督がいなくて是非ジュエル監督にお願いしたく」
「どうかよろしくお願いします、ジュエル監督!」
 カビパンに合わせて結希も真剣な様子で頭を下げる。相手が敵だろうがオブリビオンだろうが関係ない、今の二人にあるのは良い舞台を作りたいという純粋な情熱だけである。
 ここはもうギャグと理不尽が支配するカビパンワールドの舞台。有無を言わさぬ勢いで新人監督に指名されてしまったジュエル・ドミネーターには、困惑の感情しかなかった。
『我ニ監督ノ経験ナド無イノダガ――』
「では早速稽古を始めましょう!」
「私、なんだか燃えてきました!」
『話ヲ聞ケ』
 自分が監督であるかのような強引さで場を支配するカビパンと、自分の焔で物理的に燃えている結希。そしてノリについて行けないジュエル・ドミネーターの三人体勢でお送りする新作舞台の内容は、以下のような感じである。

 ――MOLD WORS RETURNS――
 消滅したかに思われたカビパンだったが、彼女は残された胞子から復活したのである。
 宇宙を賭けた戦いが再び始まる。

 前作ラストエピソードで大団円を迎えたかに思われた『MOLD WARS』にまさかの続編。
 人気が出過ぎたせいでやめ時を失った大作がずるずるとシリーズ化していくのはよくある話である。しかしもちろん演者達はそれを「惰性で作った駄作」と言わせる気はない。
「うおおーーーーーっ!!!」
 宇宙の果てまで届かせるつもりに声を張り上げて演技に挑む結希。復活した宿敵カビパンの打倒を掲げて再び剣を取った彼女の立ち居振る舞いは勇ましく、給料ゼロでまかないは水とカレーうどんのみの待遇にしては、ものすごく熱のこもった演じっぷりであった。

「――あの! 監督! 全然指示が聞こえないんですけどっ!?」
『指示? ハテ?』
 だが情熱的な女優結希と、雇われ監督ジュエル・ドミネーターの温度差は大きかった。
 向こうからすればそもそも監督就任を承諾した覚えもないし、さっきから一体何を見せられているのかも理解できない。困惑以外にすることが無いのに指示とか求められても。
「もっと腹から声だしてくれないと! よろしくお願いします!!」
「ウ、ウム……?」
 ギャグが支配する演劇空間にすっかり巻き込まれてしまった敵は、状況に適応できずに為す術なく翻弄されていく。監督の心を置き去りにしつつ、それでも舞台は続いていく。

「監督、今の演技どうでしたか?」
「監督、ここはこうすべきかと!」
「監督、もっとちゃんと指示を!」
「監督、カレーうどんどうぞ!」

 それからも結希とカビパンはスパルタ方式で厳しく当たり、血反吐を吐かせて死ぬ気で監督のギャグセンスを鍛え上げようとする。息吐く間もなく演者達から飛んでくる意見と不満と提案の数々に、ジュエル・ドミネーターのメンタルはガリガリと削られていく。
「監督! ツッコミの指導をお願いします! まずは私のツッコミを確認してください!」
『マ……待テ……少シ休マセ……』
 へとへとの新人監督の負担など欠片も気にせずに、結希はさらなる演技指導を求める。
 ツッコミの形に整えた手を振りかぶり、すうっと大きく息を吸い込み。内なる情熱の炎をマジな焔に変えて、渾身全力のツッコミを放つ――。

「なんで!!! やねん!!!!!」
『ゴフウッ!!!!!』

 それはもうツッコミの威力ではなかった。焔を纏った全力の裏拳を叩きつけられたジュエル・ドミネーターは、ボディを構成する液体を血反吐のように撒き散らして吹っ飛ぶ。
「ふぅ……どうですか監督! これなら復活したカビパンも倒せますよねっ?」
 結希は清々しい笑顔でそう言うが、相手はそれに答えるどころではなく宇宙空間をピクピクしながら漂っている。その様子を見た彼女は「きっと声も出ないほど素晴らしかったんだ!」とポジティブに受け取ることにして、さらにツッコミのキレを磨き上げていく。

「フフフ、無駄だ結希よ。この世にカビある限り、猟書家カビパンは何度でも蘇る!」
 主演の結希がめきめきと腕を上げるのに、悪役であるカビパンも負けてはいられない。
 前作よりさらにクオリティアップした真の猟書家(?)っぷりを披露すべく、斬新かつ画期的なアイデアを求める。それらは概ね期待の新人監督への無茶振りとなるのだが。
「ラストシーンはジュエル監督にも参加してもらいましょう。適当なやられ役っぽい怪獣に変身してもらって」
『我ノ宝石浸食化ハ特撮用ノ着グルミデハ無イ……!!』
 どんなにジュエル・ドミネーターが猛抗議しても悲しいかな、雇われの発言力とは乏しいもの。この舞台の真の支配者(ドミネーター)であるカビパンに逆らうことはできず、ラスボスの前座としてぼっこぼこに叩きのめされるのであった。

「これにて公演終了です。お疲れ様でした!」
「お疲れ様でした!」
 そんなすったもんたを経て、カビパンと結希は新監督の指導(?)の下で演劇をやり切った。控えめに言ってもだいぶドタバタ感がある内容だったが、役者達の心には一体感のある感動と達成感が、確かに存在した。
「カビパンさん、監督、ありがとうございました。受賞間違いなしですっ」
 いったい何の賞を取れるつもりなのかは分からないが、結希はやりきった満面の笑顔。
 それを受けてカビパンもにっこりと笑顔を返し――その隙に、精神的にボロ雑巾のようになったジュエル・ドミネーターは、ひっそりと彼女らの元から逃げ出したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

家綿・衣更着
星獣の力は凄まじいっす。だからこそあんたはここで倒すっす!

「来い!おいらのキャバリア、テングリーフ!」
『収納鏡』(フレーバー)から取り出し搭乗してスラスター加速
あらかじめ抜いて妖力を注いどいた自分の毛を【化術】で【残像】に変化させ、一気に数が増えたと化かしてかく乱っす
さらに【化術】での【迷彩】やスラスターでの【ジャミング】も交え、敵に捕捉されにくくするっす

【第六感】で宝石の弱い所を【見切り】、【推力移動】を生かした【ランスチャージ】でたたき割る…少なくともヒビ入れてやるっす

とどめは『必殺武装召喚』で巨大な砲身を持つ必殺ブラスターを召喚
リファナさんに聞いた超遠距離狙撃のコツを基に叩き込むっす!



「星獣の力は凄まじいっす。だからこそあんたはここで倒すっす!」
 猟書家ジュエル・ドミネーターにびしりと指を突きつけ、力強く宣言するのは衣更着。
 今回の戦いでも実感した、恐るべきクエーサービーストの力。それが既知宇宙に持ち込まれた際の被害は計り知れない。この世界の人々を守る為にも、計画の芽は完全に摘む。
『我ハ計画ノ障害ヲ排除スル――宝石侵食化、ジュエル・マインドミナBVA』
 星獣を支配するために創造された液状宝石生命体は、今度は黄金の外殻に包まれた異形に姿を変える。その外殻は惑星ロボの開発にも利用された、無限に変化する性質を持つ。これもまた驚異的な能力ではあるが、彼にとっては既知の相手だ。

「来い! おいらのキャバリア、テングリーフ!」
 収納鏡の中から衣更着が取り出したのは、トンビのように尖った鼻先を持つキャバリア「テングリーフ・ホワイト」。開放されたコックピットに颯爽と乗り込むと、スラスターを全開にして宇宙を翔ける。
『外殻変化――超殺戮形態』
 ジュエル・マインドミナBVAは外殻を様々な殺戮兵器に変形させて標的を撃墜しようとするが、その寸前に白いキャバリアはドロンと煙を上げて、何十体もの分身を生み出す。
 正確にはキャバリアに搭乗した衣更着が、あらかじめ抜いて妖力を注いでおいた自分の毛を化術で変化させたのだ。妖術式デコイとでも言うべき無数の残像を初見で見破ることは容易ではなく、妖怪を知らないジュエル・ドミネーターにもそれは同様だった。

『マタ奇妙ナ能力ヲ……』
 困惑しながらも殺戮兵器で残像を破壊していくジュエル・マインドミナBVA。だが衣更着の乗ったテングリーフ本体は化術迷彩で姿を隠し、さらにスラスターからジャミング効果を持つ粒子を放出することで、徹底して敵に捕捉されないようにしている。
「あいつの宝石の弱い所は……」
 気付かれることなく巨大な目標に近付き、外殻の脆そうな部分を探す。まずは目視で、最終的には第六感でピンときた場所に狙い定めると、巨大突撃槍「ハイノーズランス」を構えて吶喊。流星の尾のようにスラスターから粒子の軌跡を引いて、全速力で突撃する。

「これでたたき割る……少なくともヒビ入れてやるっす」
 傲慢の象徴たる天狗鼻の概念から形成した槍は、操者の心折れぬ限り決して折れない。
 その一撃はマインドミナBVAの固い外殻をも突き穿ち、脆弱な本体部分を露出させた。
「手応えあり。続いてこの装備でとどめっす!」
 間髪入れず【必殺武装召喚】を発動、召喚するのは巨大な砲身を持つ必殺ブラスター。
 宇宙空間での狙撃のコツはリファナから教わっている。狙いを定め、彼我の距離と相対速度を計算。コックピットの中ですうと深呼吸して、意識を集中し――トリガーを引く。

『ガッ―――!!!!』
 放たれた熱線は狙い過たず、天狗槍が突き穿った外殻の隙間から敵本体を撃ち抜いた。
 太い神経に針を刺されたように、ジュエル・ドミネーターの身体が痙攣する。表情にこそ現れないものの、衣更着の必殺武装が相当のダメージを与えたのは確かなようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(機械馬に騎乗した上にUCを装着した状態で戦場に到着)
何度装着しても騎士と言うより機動兵器という印象を拭えませんね…

ですがこの先の戦いに役立つならば、使いこなしてみせますとも

馬上槍の機関砲の乱れ撃ちの消失やマルチセンサーでの計測で●情報収集
波動範囲を●見切り、UCの慣性・重力制御活かした緩急自在、縦横無尽の三次元●推力移動で波動と光線回避

継承軍に我が身を捧ぐその姿勢には騎士として敬意を表しますが…
3種の獣と交戦した以上、模倣体に手こずる訳には行かないのです

●瞬間思考力のスナイパー狙撃技能で照準レーザーを頭部水晶体に照射し座標指定、即座に重力波を設置し解放
四方八方から押し潰し一気に圧縮破砕



「【戦機猟兵用重力制御兵装装備型強化ユニット】起動」
 機械仕掛けの白馬「ロシナンテⅡ」に搭乗し、手には機関砲付き馬上槍を、頭部にはレーザー照準装備を、背部には大型スラスターと二門のキャノン型グラビティガンを装着。星獣に変身する猟書家を討つために、トリテレイアは十全な重武装をもって挑む。
「何度装着しても騎士と言うより機動兵器という印象を拭えませんね……」
 騎士とて時には弓矢を扱うことはあろうが、彼が搭載するのはもはや『砲』でもない。武芸の域を超えた起動性能と攻撃力の追求は、えてして理想の姿から彼を遠ざけていく。

「ですがこの先の戦いに役立つならば、使いこなしてみせますとも」
 トリテレイアは騎馬と背部のスラスターで宇宙を駆け、馬上槍に搭載した機関砲を乱れ撃つ。通常なら十分有効打になるはずの弾幕は、しかし【ジュエル・キエリビウムJOX】に変身した猟書家の付近に迫ると、まるで弾自体が風化してしまったように消失する。
『無駄ダ』
 くるくると独楽のように回転しながら、蛸や海月に似た異形から放射される謎の波動。機械騎士のセンサーはそれがクエーサービーストの『小さな尖兵』、キエリビウムJOXの物質分解波動であると計測した。

「やはり使用する能力も、過去戦ったクエーサービーストと同様ですね」
 弾丸が消失する距離とマルチセンサーによる計測で、物質分解波動の範囲は見切った。機体を分解されないようトリテレイアが距離を取ると、敵は逃すまいとするように頭部の水晶体から物質分解光線を放ってきた。
『帝国継承軍ニ仇ナス者ヨ――散華セヨ』
 あの光の前では装甲の物理的強度は意味を成さない。当たれば致死となりうる攻撃を、騎士は三次元の常識を超えた動きで回避する。追加装備に搭載された重力・慣性制御機構は、最新式の宇宙バイクにも困難な緩急自在・縦横無尽の機動性能を彼に与えていた。

「継承軍に我が身を捧ぐその姿勢には騎士として敬意を表しますが……3種の獣と交戦した以上、模倣体に手こずる訳には行かないのです」
 旧銀河帝国の壊滅後、未踏宙域の開拓に多く関わってきたトリテレイアにとって、クエーサービーストとの戦闘はもはや慣れたもの。降り注ぐ波動と光線を危なげなく回避しつつ、高機動戦に対応した思考で瞬時に狙いを定め、照準用レーザーを目標に照射する。
「座標指定、完了」
『ムゥ……?!』
 人の可視域から外れた細い光の線が、キエリビウムJOXの頭部水晶体を捕捉した直後。二門のキャノン型グラビティガンが起動し、強力な重力波が指定座標に「設置」された。

「貴方の計画は、ここで宇宙の藻屑となって頂きます」
 トリテレイアのグラビティガンは重力波を「発射」するのではなく指定したポイントに「置く」タイプの兵装だ。ゆえに照準捕捉された対象が後から回避する事は非常に困難。
『グ、オオオオオオオオッ!!?!』
 光すらも歪める暗黒の重力波は、四方八方から敵の水晶体を押し潰し、一気に圧縮破砕せしめる。たまらず悲鳴を上げたジュエル・ドミネーターは、変身を解くことでサイズと総質量を縮め、辛くも重力井戸の檻から逃れるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイスン・ドットハック
【SPD】
今回の計画は失敗を認めるわけじゃのー
ならその生命もここに置いて逝ってもらおうかのー

搭乗したKIYOMORIをオブリビオンマシン形態「清盛」に変形させて参戦
機動力重視で飛翔して、外殻の殺戮兵器の回避を試みる
AIドクトルやAIアメジストちゃんの分析・解析で、だいたいの弱点部分を予測する
その部分にUC「汝は元素、その鎖を断ち切ろう」の敵の解析した元素・遺伝子を破壊する無色毒ガス周囲に纏って、その部分に突撃して展開
崩落した外殻にリファナの惑星破壊級ブラスターを撃ち込むように指示を送る

これに侵食されたらもう防御はできんけーのー。それじゃ特大のブラスターをとくと味わってくれのー!

アドリブ絡みOK



「今回の計画は失敗を認めるわけじゃのー。ならその生命もここに置いて逝ってもらおうかのー」
 星獣を帝国継承軍の支配下に置くという計画の実行者、猟書家ジュエル・ドミネーターの息の根を止める為、メイスンは「KIYOMORI」に隠されたもう一つの形態を起動する。
「往くぞ『清盛』」
 機体に搭載した帝竜ワームの因子を一時覚醒させることで、彼女のキャバリアは青い雷を纏った機械の竜とでも言うべき姿に変形する。これぞO-Ⅹ型機動強襲雷竜型オブリビオンマシン「清盛」――メイスンが搭乗する事でのみ制御される、魔のキャバリアである。

『目標カラオブリビオンノ反応ヲ検知……?』
 蒼雷の軌跡を描きながら飛翔する相手の機体から、ジュエル・ドミネーターは自分達と同じ存在感を感じて困惑する。オブリビオンそのものと化したマシンを猟兵が動かしていれば、初見では驚きもするだろう――だが、彼にとっては与えられた使命こそが最優先。
『帝国継承軍ノ脅威トナルノナラバ、何物ダロウト排除スル』
 液状宝石のボディを変形させて構築した【ジュエル・マインドミナBVA】の外殻を、さらにミサイルやレーザー砲台といった無数の殺戮兵器に変形させ、目標を撃墜せんと攻撃を開始する。その威力と破壊規模は、模倣元のオリジナルと比較しても遜色はない。

「ドクトル、アメジストちゃん、敵の分析・解析を頼むのー」
 メイスンは「清盛」の機動力を活かして殺戮兵器の猛攻を回避しながら、二体のホログラムAI「ドクトル」「アメジストちゃん」に指示を出す。最適行動の解析に長けた前者と行動予測・予知に長けた後者は、二体揃うことで最高のアナライズ性能を発揮する。
『解析完了』
 開始から2秒と待たずにコックピットのモニターには、観測情報や過去の交戦記録から導き出された目標のだいたいの弱点部分の予測が表示されていた。いい仕事じゃのー、とメイスンは微笑むと、機首を敵に向けて【汝は元素、その鎖を断ち切ろう】を発動する。

「万物を解析できることは、万物を壊せるということじゃけーのー」
 ジュエル・マインドミナBVAを構成する元素・遺伝子に対応した毒ガスが「清盛」の周囲に放出される。メイスンはそれを機体に纏わせたまま、小惑星にも匹敵するクエーサービーストの巨体にまっすぐ突撃していく。
『未知ノ気体ノ成分反応ヲ検出……不味イ!』
 彼女の狙いを悟った敵は全ての殺戮兵器による集中砲火を浴びせるが、それらはガスの範囲内に入った瞬間にボロボロと崩れ落ちていく。どれだけ変形しようと本体の元素解析が済んでいる以上、外殻から形成された兵器はもはや彼女に意味をなさない。

「これに侵食されたらもう防御はできんけーのー」
 メイスンは一直線に目標ポイントまで到達すると、纏っていたガスを一気に展開。マインドミナBVA最大の武器にして鎧でもある外殻が、恐ろしいほどの速度で崩壊していく。
「それじゃ特大のブラスターをとくと味わってくれのー!」
 弱点部位の装甲がすっかり剥がれ落ち、無防備な本体が露出したところで、「清盛」は雷光の残像を残して急速離脱。その直後、メイスンからの指示を受け取った開拓船より、リファナによる惑星破壊級ブラスターの狙撃が撃ち込まれる。
『ガ――――ッ!!!!!』
 露出した弱点部に熱線の直撃を受けたジュエル・ドミネーターは絶叫し、苦しげに身を捩りながら元の姿に戻る。制御宝珠化していない状態で味わうブラスターの威力は、また格別のものだったようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
マインドミナBVAか。たしかに強敵だったけど。
でも、復活怪人は弱いってのが常識だよ。

外殻の特性は前回、持ち帰った時に解析してるから、性質はわかってるよ。

ブライダルベールで鮮やかに攻撃の死角をとおりながらあざやかにすりぬけていくよ。

そして弱点の神経中枢、脳はここだよ。大鎌で切り取るように刈り取っていくよ。(アリスは前回、マインドミナBVAの脳も食材として持ち帰りました)



『グ……ググ……マダダ』
 猟兵達の攻勢により着実に追い詰められつつも、ジュエル・ドミネーターは屈しない。
 帝国継承軍の脅威となる者を排除せんと、実行される幾度目かの宝石浸食化。再び宇宙空間に顕現した黄金の外殻を纏うクエーサービーストには、アリスにも見覚えがあった。
「マインドミナBVAか。たしかに強敵だったけど。でも、復活怪人は弱いってのが常識だよ」
 無限に変化する外殻を武器に鎧にと利用し、時にはオブリビオンの配下さえ作り上げてみせた、かの星獣の能力は確かに脅威。しかしそれは情報妖精である彼女にとって、すでに目新しい「お話」ではなくなっていた。

「外殻の特性は前回、持ち帰った時に解析してるから、性質はわかってるよ」
 ブライダルベールに乗って宇宙を翔けるアリスは、【ジュエル・マインドミナBVA】の外殻が変形した殺戮兵器を鮮やかに避ける。「無限に」と言ってはいても、実際に外殻が変形するパターンとプロセスには限りがある。オリジナルのマインドミナBVAを解体・解析した際に得た情報を元にすれば、どういった攻撃が飛んでくるかは予測がついた。
「鬼さんこちら、なんてね」
 そしてスケール差のありすぎる敵の攻撃には必ず死角がある。彼女はそこを通って攻撃と攻撃の間をすりぬけていく。その様はまるで星空の海で妖精が踊っているかのようだ。

『グヌヌ……!』
 ジュエル・マインドミナBVAは手を変え品を変えて様々な殺戮兵器でアリスを攻撃するが、【戦場の白い花】を散らすことはできない。ひらりと巨大な目標の頭部――と、辛うじてそう見える部分に降り立った機体の手には、物騒な大鎌が握られている。
「そして弱点の神経中枢、脳はここだよ」
 なぜ、そんな事まで知っているのか。アリスは前回のマインドミナBVAとの交戦時に、兵器の素材としても有用だった外殻の他に、その脳まで回収していたのだ。なんでも食材として食べられそうな所を探してほしいとの要請だったとか――果たして本当に食べられるモノだったのかはさておき、その際に得た解体の知識がこの状況で役立つのは確かだ。

「それじゃ、また調理だね」
 さっと振るわれた大鎌は外殻の隙間を斬り裂き、まるで甲殻類の殻を剥ぐように中身を暴き出していく。どこにどう神経が通っているのか、どれくらい切り刻めば該当箇所に届くのか、アリスは全部知っている。
『ヤ、止メロ……ッ!!』
 慌てたジュエル・ドミネーターの抵抗は、ブライダルベールを守る花びら型のビットに封殺され。ついに露出した神経中枢を、アリスは大鎌で切り取るように刈り取っていく。
 生きたまま解体され、脳を摘出されるという想像だにしない苦痛。模倣体と言えどこれには流石に堪えたのか、敵は悲鳴を上げながら変身を解除するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
限定的だけど、わたしと似た様な力が使えるわけね…。
もう一度クェーサービーストの力を使っても良いけど…。

こちらでもう一度、怪物同士で決戦といきましょうか♪
ただ…こちらは先程より遥かに凶悪だけどね

【ブラッディ・フォール】で「世界樹イルミンスールの決戦」の「帝竜ヴァルギリオス」の姿(魔力で帝竜の姿を再現構築し、外殻として纏った姿)へ変化。
敵がヴァギアスに変身して暴食のまま食らいついて来るのを見計らい、自身に【スペクトラル・ウォール】を三重展開。防御しつつ、各バリアの効果と属性でカウンターを行い、全力の【ヴァルギリオス・ブレス】で敵を粉砕・撃滅するわ

本物のフォーミュラの力、甘く見ない方が良いわよ!



「限定的だけど、わたしと似た様な力が使えるわけね……」
 先刻、クエーサービーストにクエーサービーストの力で対抗していたフレミアは、宝石浸食化によって星獣の能力の姿を模倣するジュエル・ドミネーターを見上げながら呟く。
「もう一度クェーサービーストの力を使っても良いけど……」
 彼女は少し考える素振りを見せてから、同じ攻略法では芸がないと考えたのだろうか。
 ふと口元に楽しそうな微笑みを浮かべると、その身から8色の魔力が周囲に溢れ出す。

「こちらでもう一度、怪物同士で決戦といきましょうか♪ ただ……こちらは先程より遥かに凶悪だけどね」
 使用するユーベルコードは前回と同じ【ブラッディ・フォール】。だが今回フレミアが呼び起こすのはクエーサービーストではなく、かつてアックス&ウィザーズを震撼させたオブリビオン・フォーミュラ――群竜大陸の覇者「帝竜ヴァルギリオス」の力であった。
 炎水土氷雷光闇毒の8つの首を持つドラゴンの姿を魔力で再現構築し、星獣の時と同様に外殻として纏う。単純なサイズでこそ及ばないものの、凡百のオブリビオンを圧倒するその存在感に、ジュエル・ドミネーターも驚愕する。
『此レガ……真ノ、フォーミュラ……!』
 骸の月を用いた儀式魔術【Q】で、猟書家は新たなオブリビオン・フォーミュラに進化しようとしているが、今はまだ仮初の侵略者に過ぎぬ彼らに、そこまでの力はなかった。

『否……既ニ猟兵ニ敗北シタフォーミュラニ、我ラガ敗北スル訳ニハ……!』
 畏怖を振り払うように【ジュエル・ヴァキアスEAT】に変身し、焦燥を暴食の感情で塗り替えて牙を剥くジュエル・ドミネーター。大蛇の如き巨怪が八つ首の竜に食らいつこうとした時――タイミングを見計らってフレミアは【スペクトラル・ウォール】を展開。
「本物のフォーミュラの力、甘く見ない方が良いわよ!」
 八属性の力を帯びた三重のバリアが敵の攻撃を反射し、さらに毒と凍結と炎のダメージを与える。防御とカウンターを両立させる、かつてのヴァルギリオスも使用した能力で、ジュエル・ヴァキアスEATは手痛いダメージを受ける羽目になった。
『グ、ガアッ……!!!』
 悲鳴を上げてのけぞるヴァキアスEATの鱗の一部は焼け焦げ、あるいは凍りつき、さらには毒の浸食によって腐ったように変色している。これが群竜大陸にて全てのドラゴンの頂点に立った帝竜の力――しかし、これはまだその一部に過ぎない。

「まだ終わりじゃないわよ。全力の【ヴァルギリオス・ブレス】を受けてみなさい!」
 八つの首それぞれに炎水土氷雷光闇毒の全エネルギーが集束され、本体であるフレミアの意志の下で一斉に解き放たれる。その壮絶なる力の奔流は恒星のフレアを思わせるほどであり、敵に回避や防御の余地すらも与えない。
『コレ、ガ、本当ノ、フォーミュラノ力――グアアアアアアアアアッ!!!!?!』
 絶対的な帝王のブレスによってヴァキアスEATの巨体は粉砕・撃滅され、その残骸から傷ついたジュエル・ドミネーター本体がヨロヨロと姿を現す。何度も星獣の姿を借りて猟兵達の前に立ちはだかって来たたかの猟書家にも、いよいよ限界の時が迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
貴方は平和を妨げる者…こちらも貴方を逃がすつもりは無いよ…。
ここで倒す…!

引き続きゼロに乗り【真力解放】…。
1章と同様、スラスターによる高速機動で敵を翻弄しつつ、掌から呪力弾【呪殺弾、呪詛、誘導弾】や黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い、早業】で呪力を放出して、攻撃と同時に呪力で侵食…。

呪力の縛鎖は液状化で逃げられる可能性があるので、呪力の結界【呪詛、高速詠唱、結界術、全力魔法】で敵を一定の範囲内に捕縛し、内部を呪詛で侵食させつつ、探知術式【呪詛、情報収集、高速詠唱】で液状化した肉体を制御する核の部分を探知…。
同時にリファナさんにも遠距離から探して貰い、見つけた核を全力の一撃で切り裂くよ…。



「貴方は平和を妨げる者……こちらも貴方を逃がすつもりは無いよ……」
 一度は平和になった宇宙を再び侵略せんとする猟書家に、静かな声音で璃奈は告げる。
 その眼光は、手にした刃の煌めきにも劣らぬほどに鋭く。クエーサービーストの支配という大胆な計画を企てたジュエル・ドミネーターでさえも、思わずたじろぐほどだった。
「ここで倒す……!」
 確固たる決意に応えるように「ディザスター・ゼロ」は咆哮の如く呪力の波動を放つ。【呪法・真力解放】の効果は今だ継続中――人機一体となった魔剣の巫女と呪装機神は、漆黒の流星となって宇宙を翔ける。

『ココデ倒サレル訳ニハ……!』
 焦るジュエル・ドミネーターが最後の力を振り絞って変身したのは、猟兵が初めて遭遇したクエーサービースト・キエリビウムJOX。「小さな尖兵」と呼ばれる通り、多種と比較すれば小型ではあるが、それでも既知の生命体を上回る巨体と物資分解能力を持つ。
「迂闊には近付けないね……」
 悪あがきのように波動と光線を撒き散らす敵に対し、璃奈は今回もディザスター・ゼロの機動力を活かす戦法に出た。スラスターによる高速機動で狙いを付けられないよう翻弄しつつ、掌からは物質分解の対象とならない呪力弾を放って攻撃する。

「呪力解放……咲き誇れ、黒桜……」
 さらに璃奈が呪槍・黒桜を振ると、その矛先から黒い呪力が桜吹雪のように放出され、敵に襲い掛かる。宇宙をより暗く染めるほどの大量の呪いは、先程のフリシレアンMOSと同様に、今度は【ジュエル・キエリビウムJOX】の身体を侵食していく。
『呪詛エネルギーノ侵食ヲ確認……戦闘力低下……已ムヲ得ナイ、撤退ヲ……!』
 度重なるダメージの蓄積もあって、これ以上の戦闘継続は不可能と判断したジュエル・ドミネーターは、キエリビウムJOXの身体を高速回転させて逃走を図る。しかし最初からそれを見越していた璃奈が、何の対策も講じていないはずが無かった。

(呪力の縛鎖は液状化で逃げられる可能性があるから……)
 可変性の高い敵のボディの特性を考慮し、璃奈は戦闘宙域周辺に呪力の結界を張った。
 高速回転する「小さな尖兵」の巨体がドロリと溶け、大量の飛沫が撒き散らされる――恐らくこれで目眩ましをしつつ本体を逃すつもりだったのだろうが、そうはいかない。
『グゥッ……バリア、ダト!?』
 ジュエル・ドミネーターがどう形を変えても、結界の範囲内から出ることはできない。その内部は機神との共鳴で強化された璃奈の呪力で満たされ、侵食をさらに加速させる。
 いささかスケールは大きいものの、これでもう敵は袋のネズミ同然。このまま確実に敵本体を仕留めるために、璃奈は後方にいる開拓船との通信を繋いだ。

「敵には液状化した肉体を制御する核の部分があるはず……それを探して貰える……?」
「了解。手伝うわ」
 ブラスターガンナーのリファナ以下、開拓船にいる全スタッフの総力をあげて、最後の索敵が開始される。各種観測装置を用いて得られた情報はリアルタイムでディザスター・ゼロに送られ、それを参考にして璃奈は呪術による探知術式を展開。
「見つけた……!」
 科学と呪力の網に引っ掛かったのは、黒い液状宝石の中に半ば沈み込んでいた白い仮面だった。それこそがジュエル・ドミネーターの核だとみなした少女は、スラスターを全開にして目標に急接近――抜き放った魔剣に、ありったけの呪力と速度を乗せて一閃する。

「これで終わり……!」
「―――――!!!!!!!!!」

 璃奈の全力の一撃が仮面を真っ二つに切り裂いた瞬間、音なき振動が空間を震わせた。
 それはジュエル・ドミネーターが放った断末魔の叫び。核を破壊された液状体は完全にクエーサービーストの原型を失い、宇宙の闇に溶けるように跡形もなく消え去っていく。

 かくして、星獣の支配を企んだ猟書家は討たれ、銀河に生きる人々の平和は守られた。
 この世界を守る「解放軍」たる猟兵達の英雄譚に、また新たな1ページを加えながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月20日


挿絵イラスト