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戦乱のケンドリックス:武装蜂起

#クロムキャバリア #戦乱のケンドリックス

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#クロムキャバリア
#戦乱のケンドリックス


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●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
「早速だが、今回の依頼について説明しよう」
 ムルヘルベルは大きな本を開き、書面を指でなぞる。予知を告げる時の彼の癖だ。
「目的地はクロムキャバリアにある、『ケンドリックス共和国』という小国家である。
 以前も予知したことがある国ゆえ、聞き覚えがある者も居るやもしれぬな」
 曰く、そこは比較的情勢が平和な共和制国家だという。
 かつてこの国では、青年将校によるプラント制圧事件が発生し、そして解決された。
「……今回はだな、逆にクーデターを鎮圧するのではなく、支援してほしいのだ」
 ムルヘルベルの表情は顰め面だ。それだけ、厄介な内容だということだろう。

 賢者の説明によれば。
「オブリビオンマシンに洗脳されてしまったのは、この国の軍部のトップだ。
 名は『ノイマン・ハーディ』。本来なら消極的平和を好む、穏健派の人物である。
 ……しかし彼は今、軍部の影響力を増大させ、さまざまな強権を発動させておるのだ」
 国内に戒厳令を発令し、国民の私財を不当に没収、さらに強制的な徴兵。
 果てはハト派の政治的有力者を獄に繋ぎ、武器密売に手を染めてすらいる。
 共和制に反した完全な独裁、そして無益な争いの加速――明らかな"不正義"である。
「当然、反発する者が少なくない。オヌシらにはその勢力とコンタクトを採ってほしい。
 そして彼らの武装蜂起を支援し、問題のオブリビオンマシンだけを排除するのだ。
 あちらも相応の戦力を駆り出すであろうが、オブリビオンマシンは一機のみである」
 撃破すべきはあくまでノイマン機のみであることを、ムルヘルベルは注意した。

「問題の武装勢力についてだが」
 ムルヘルベルは猟兵たちを見渡す。
「構成員は新兵ばかりでな、このままでは間違いなく蜂起に失敗するであろう。
 ……なにせ先に言及したプラント制圧事件で、実力のある兵士は任を解かれておる」
 どうやら、国内ではそういう形で決着したらしい。
「蜂起を成功させるには、元兵士らの協力を仰ぐのが最適であろう。
 先の事件の中心人物となっていたのは、『レイオン』という若者である」
 レイオンをはじめとした元兵士たちが何処に居るかは、ムルヘルベルにも不明だ。
 蜂起勢力とのコンタクトだけでなく、そちらの捜索も重要になるだろう。
 もちろん、蜂起に備えた裏工作なども大いに効果を発揮するはずだ。
「……仮に成功したとして、国情は揺れるであろうな」
 ムルヘルベルはぽつりと呟いた。
「しかし残念ながら、そこから先の共和国がどうなるかは当事者たちに委ねるほかない。
 色々思うところはあろうが、どうかオヌシらの力を貸してくれ。健闘を祈る」
 そう言って、ムルヘルベルは本を閉じた。
 それが、転移の合図となった。


唐揚げ
 シュトーレンです。今回はちょっとややこしいお話ですね。
 でもまあやることは敵をぶっ倒すだけです! 気楽にいきましょう!

●キーワード
『ケンドリックス共和国』
 専守防衛による消極的平和を国策とする、比較的安定した小国家。
 10月に生じたプラント占拠事件以後、軍部の発言力が増大し続けている。
 関連シナリオはタグ「#戦乱のケンドリックス」をご参照ください。
『ノイマン・ハーディ』
 共和国軍部のトップに君臨する、ベテランのキャバリア乗り。年齢58歳。
 周辺国家との終わりない戦乱を最前線で体験した結果、穏健派となった。
 いつ頃からオブリビオンマシンの影響を受けていたのかは不明。
『レイオン・リングス』
 先のプラント占拠事件で武装勢力を率いていた、元若手将校。21歳。
 事件に加わっていた兵士らは、その責を取って軍部を離れている。
 現在の行方は不明だが、他国に渡った可能性はほぼ皆無。

●プレイング受付期間
 12/10(木)12:59前後まで。
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第1章 冒険 『英雄を再起させよ』

POW   :    この軟弱者!

SPD   :    キャバリアを隠してると言ってくださいよ!

WIZ   :    エゴだよ、それは!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●1章でやれること
 OPの通り、失踪した元兵士の捜索や鼓舞が出来ます。
 他には武装蜂起を画策している新兵たちに接触して信用を勝ち得たり、
 蜂起の時に備えて共和国軍に潜入し、裏工作をするなんかもありでしょう。
 フラグメントで例示されている内容以外にも色々出来ますので自由にプレイングしてみてください。
黒川・闇慈
「しかしよくクーデターの起きる国ですねえ……UDCアースにもそういう国はありますから他人のことは言えませんが。クックック」

【行動】
wizで行動です。
さて、クーデターに必要なものは何か。武力や情報などはもちろんですが……一番大事なのは『民衆の支持』です。これを欠いたクーデターはまず上手くいきません。
故に国のトップであるノイマンの悪行・不正義の行状をネットへの書き込みや人が集まる場所への張り紙などで広く知らしめましょう。
民衆に反ノイマンの空気を醸成することでクーデターの際の支持を得やすくしておきましょうか。

「さて、どう転がるか拝見いたしましょうか。クックック」

【アドリブ歓迎】



●卑屈な奴隷か、さもなければ傲慢な主人か
 このクロムキャバリアにおいて、情報網は大きく退化している。
 最大の要因は、もちろんあらゆる飛翔体を灼く"災禍炎剣"の存在にある。
 しかし、原因はそれにとどまらない……たとえばこの世界の戦火もその一因だ。
 小国家同士が争うこの世界では、そもそも国同士が繋がることが極めて稀である。
 国内ですらインフラが分断されているケースさえ存在しているため、
 結果としてUDCアースやその他の近未来世界に比べると情報網が皆無なのだ。

 時としてそれは、僥倖になり得ることもある。
 黒川・闇慈の画策した情報工作は、まさにその好例と言えよう。
「なあ、今朝の広場に貼られてたあの張り紙見たか?」
「ああ……ノイマン元帥が不正な国外取引をしてるっていう告発文書な」
「それだけじゃないぜ。傭兵を極秘で集めて、私兵戦力を蓄えてるらしい」
「戒厳令を発令するために、議会に圧力をかけたって噂も……」
 人の口に戸は立てられないとはよく言ったもの。
 あるいは、火のないところに煙は立たないというべきか。
 暴走する軍部の圧制によってもともと不満を溜め込んでいた国民たちは、
 あっという間に噂を広め、やがてそれは事実めいて語られるようになった。
 闇慈の流した情報には、正しいものもあればあえて混ぜ込んだゴシップもある。
 嘘はほんの少しの真実によって、真実味を増すもの。
 警備の目をかいくぐった人々の会話は、すぐにその話題でもちきりとなった。

「……どうやら、いい具合に暖まっているようですね」
 旅人に扮して市井を偵察していた闇慈は、にやりと笑った。
「これで実際にクーデターが発生した時、民衆の支持を得やすくなったでしょう。
 武装蜂起の問題は、蜂起する前よりもむしろその後が面倒なものですからねぇ」
 猟兵の仕事は、あくまでオブリビオンマシンを狩ることだ。
 その後の国内情勢は、ケンドリックスの国民に任せるほかない。
 それでも最悪の事態を避けるために、いま出来ることはいくつもある。
 闇慈の策は、蜂起後の混乱を和らげるための大きな役に立つことだろう。
「さて、どう転がるか拝見いたしましょうか。クックック」
 一流の魔術師は、一流の策略家でもある、ということだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリア・ジェフティー
失踪した兵達って、以前に洗脳されて猟兵と交戦してたんですよね?
救助の際に顔が知れてるなら好都合
街の監視カメラ等のシステムにオウレットアイで遠隔侵入
電脳接続したセシャートの情報収集力で一気に走査しましょう

で、尻尾を掴んだ相手は…責任感が強かったんでしょう
随分と覇気を無くしてまぁ
護るべきものに銃口を向け、自分の居場所を追われ
防衛隊に所属してた身としては同情的にもなりますが…

貴方達の居場所を奪った奴の同類が、この国をまた蹂躙しようとしてます
もう一度、護るべきものを護ってみませんか

…ああもう
何故かイラッとくるんですよ
復讐する気概もなく塞ぎ込んでる人を見ると
立ちなさい
貴方のそれは責任じゃなくて逃げですよ



●バーンナウト・ソルジャー
「……ここですか」
 エミリア・ジェフティーが持ち前の情報力を発揮すれば、捜索は簡単だった。
 彼女が見つけ出した兵士は、うらぶれた路地裏の酒場にたむろしているらしい。
 ケンドリックス共和国は比較的平和な国とはいえ、あくまでこの世界の国家だ。
 後ろ暗い人間の出入りはあるし、当然そういう客向けの商売も捗っている。
 路地を一つ奥まったところに入れば、胡乱な違法パーツ店などが軒を連ねる。
 エミリアの見出した酒場は、そういう治安の悪い通りに存在していた。

 となれば、店に出入りしている人間も、相応の連中が集まるもの。
 キィ、とドアの軋みに反応した連中は、どいつもこいつも風采の上がらぬ男ども。
(軍部に招聘された傭兵も、この中に混じってそうですね)
 エミリアは因縁をつけられないよう顔を帽子で隠し、店内の様子を探る。
 すると、すぐに目星がついた――カウンターで酒を浴びるように飲む男である。
「……すみません。ちょっとよろしいですか?」
「あ? なんだ……酒でも奢ってくれんのか」
 その男は、落ち窪んだ目でエミリアのことを睨みつけた。
 口元には無精髭が広がり、頬はこけ、酒のせいか肌色は悪くなっている。
 しかしよく見れば、軍人らしい鍛え上げられた身体の名残があった。
「お話を聞いてくださるなら、一杯ぐらいは奢りますよ。私は呑めませんが」
 エミリアはカウンターのバーテンダーに、コインを弾いてやった。
 度数のきつい酒がグラスになみなみと注がれ、差し出される。
 男はひったくるようにそれを受け取ると、一息に飲み干してしまった。
「……で? 話ってのはなんだ」
「あなた、以前プラント制圧事件に参画していた人ですよね」
「…………」
 男の目つきが険を帯びるが、エミリアは気にしない。
「ああいえ、当局に突き出そうというわけではないですよ。
 そもそもあなたは、もうその罰を十分に受けている。そうでしょう?」
「……なら、どういう用件だ」
「あなたたちの居場所を奪った奴の同類が、この国をまた蹂躙しようとしています」
 エミリアの言葉に、ぴくりと男の肩が揺れた。
「そう言えば、何が起きているのかあなたにはお分かりいただけるはずです。
 あなたのことですから、この国の首脳部の様子がおかしいことも把握済みでは?」
「……さあね。だったとして、俺にはもう関係ない。俺は兵士じゃないんだ」
「それでも、あなたにはキャバリアを乗りこなす技術と知識、経験があります」
「…………」
「もう一度、守るべきものを守ってみませんか」
「…………」
 男は何も言わない。エミリアはとんとん、とカウンターを指で叩いた。
 しばらく沈黙が流れ……エミリアは、ぐいっと男の胸ぐらを掴む。
「お、おいお客さん、揉め事は」
「黙っててください」
 バーテンダーを威圧し黙らせると、エミリアは男に言った。
「……何故かわかりませんがイラッとくるんですよ、あなたみたいな人を見ると」
「どういう、意味だ……」
「復讐する気概もなく塞ぎ込みたいだけなら、自分の家にでも籠もっていればいい。
 あなたがこうして酒で誤魔化しているのは、燻るものがあるからでしょう」
「……!」
「なら、立ちなさい。――あなたのそれは、責任じゃない。ただの逃避です」
 エミリアは、男の落ち窪んだ目をまっすぐに睨んだ。
 男はしばし視線をさまよわせ……少女の手を払いのけると、静かに言った。
「……わかったよ。やりゃあいいんだろ、やりゃあ」
 男はバーテンダーにチェイサーを頼むと、まず一杯をおもいきり飲み干した。
 2杯目を頭からひっかぶり、ぴしゃぴしゃと頬を叩いて少女を睨み返す。
「そしてお前さんは、そのための「方法」を握ってる。だから会いに来たんだろ」
「――ええ、それでこそです。少しはマシな顔になりましたね」
 エミリアはようやく、不敵な笑みを浮かべてみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
※アドリブ歓迎

ケンドリックス共和国……またここを訪れることになるとはね
私はレイオンのいた戦場にはいなかったけれど
今度は革命の幇助だなんて、つくづく傭兵家業だわ

さぁて、元兵士たちへのコンタクトは私の美貌(!?)による色仕掛けで情報網を探るとしましょう
そういう手管には慣れているわ

問題は、彼らに接触した後の説得

オブリビオンマシンの影響とはいえ、レイオン氏の軍勢が、かの国を混乱に巻き込んだことは事実
起こした戦火の火傷は簡単に癒えはしないでしょう

けれど、それと、今この国の未来のために必要なことは別
兵士としての誇りが燻っているならば、今度は本当に成すべきことのために
キャバリアの鐙を蹴るべきではなくて?



●この国の空はとても小さくて
「――はあ」
 うらぶれた連中がたむろする、いわゆるスラム街にて。
 アイオライト・セプテンバーはふと上を見上げ、嘆息した。

 ……ケンドリックス共和国は、他の小国家に比べればかなり平和な国だ。
 プラントが供給できる物資には限りがあるゆえ、国民の生活は慎ましやかなもの。
 最近は軍部の増長により、倹約の強制がさらに度を増していた。
 まるで戦時中を思わせる物資の切り詰めは、国民に負担を強いている。
 嗜好品の類が制限されると、人はどうするか――法の裏を突くのである。
 そういう時に活発になるのは、決まってアウトローな連中だ。
 おかげでアイオライトが女のふりをして潜り込むのは、簡単なことだった。
 この国が出来て以来、スラム街がここまで繁盛したことは滅多にあるまい。
「……小さいわね。この国の空は」
 そびえ立つビルに切り取られた空は、まるで小さな天窓のようだった。
 アイオライトは息苦しさを感じ、顔を顰めた。これが、この国の現状なのか。
「……なんとかしなきゃね」
 誰に云うともなくひとりごちて、アイオライトは歩き出す。
 さきほどの店で、必要な情報は集めた。あとは、腹を割って話すのみ。

 アイオライトが探り当てた兵士は、浮浪者同然の生活をしていた。
 饐えたゴミの臭いが蔓延する路地裏の暗がりで、その男は丸まっていた。
「あなたね。兵役を解かれてからこのあたりに住み着いたっていうのは」
「……誰だ」
 男が顔を上げる。痣だらけだった。
「あなたを探している者よ。キャバリア乗りとしての技量を頼ってここへ来たの」
「そうか。なら帰れ。俺はもうあんなものには乗らない」
「正気を失って、尽くすべき国に仇なしてしまうのが恐ろしいから?」
「……!」
 男は顔を上げた。アイオライトは冷ややかに男を見下ろしている。
「残念だけど私は天使じゃないし、あなたに救いの手を差し伸べるわけでもない。
 私の目的は、あなたのその技量を利用すること。有り体に言えば兵士が欲しいの」
「……最近噂になってるぜ。きな臭い動きをしてる若い兵士どもが居るって」
「そこまで耳をそばだてているのに、こんなところで腐っているのね」
 アイオライトは否定も肯定もしなかった。男は顔を顰め、うつむく。
「……俺たちは、とんでもないことをしでかしちまった。この国を傷つけた。
 そんな連中は兵士の任を解かれて当然だ。これは、俺たちの罰なんだ」
「そうね。あなたたちがあんなことをしなければ、軍部も増長しなかった。
 少なくとも、ここまで急激に戒厳令が加速することはなかったでしょうね」
 軍部が急速に発言力を増したのは、例の事件を言い分に出来たからだ。
 ノイマンが洗脳されたとしても、事態はもう少し緩やかに進行しただろう。
 これもまた、彼らがこの国に与えてしまった戦火の傷跡なのである。

「けれどね」
 アイオライトは言った。
「それと、いまこの国の未来のために必要なことは別だと思うわ」
「……よそ者が、分かったことを云うじゃないか」
「よそ者だからこそ、よ」
 アイオライトは皮肉を軽く受け流し、言葉を続けた。
「あなたには兵士としての誇りが残っている。私にはそれがわかるわ。
 なら、今度こそ本当に為すべきことのために、騎兵の鐙を蹴るべきではなくて?」
「…………」
「……少なくとも私は、こんな狭苦しい空のもとで暮らしたくはないわ」
 アイオライトはまた空を見上げた。天窓のように、小さく切り取られた空を。
「あなたは、こんな哀しい空を見上げて、明日も明後日もここで生きていくの?」
「…………いいわけが、ないさ」
「なら」
 そこではじめて、アイオライトは手を差し伸べた。
「私はあなたたちと一緒に、戦ってあげるわ。同じ戦士としてね」
 ……長い沈黙があった。
 やがて男がその手を掴んだ時、アイオライトは微笑んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
いやぁ、いろいろ面倒なことになってるなぁ……

じゃ、俺は【メカニック】としての腕を
新兵達に売り込んでみよう

蜂起に使う装備やキャバリアの整備や修理、
お望みなら個人に合わせた調整もできるし
(【武器改造】【防具改造】)

それが無理でも、例えば彼らのアジトの空調や照明等の
生活環境を整え、蜂起までのストレスを緩和させるのもアリだろう

上手く彼らの信用を得られたら、俺以外にこれまで彼らに
接触してきた人に関して【情報収集】してみる

希望的観測ではあるけど、今回の件を察知して
既にレイオンさんを含む元兵士が接触している可能性も
無いとは言い切れない

もし情報が得られれば、彼らを捜索している
他の猟兵に伝える事も出来るしね



●新兵たちのアジトにて
「……こりゃあひどいな」
 月凪・ハルマは、蒸し暑いアジトの中を見渡して顔を顰めた。
 メカニックとしての腕を売り込む……というハルマの作戦はうまく行った。
 どこの誰ともわからないメカニックを即決で雇うほど、首が回ってないのだろう。
 なにせ相手は、ろくな実戦経験もない上、軍部で冷遇されている新兵たちだ。
 アジトとやらの設備も劣悪であろうことは、ハルマも覚悟していたのだが……。

 実際に連れてこられたそこは、武装勢力のアジトとはとても言い難かった。
 よくて虫籠、現状をオブラートに包まず言うならば拷問部屋も同然であろう。
 空調はろくに働いておらず、地下に敷設された部屋の中は蒸し風呂状態だった。
 当然、衣食に関しても劣悪だ。物資は何もかもが困窮しているのだから。
 一番厄介なのは、構成メンバーの4割近くがなんらかの負傷を抱えていることだった。
(まだ軍部と衝突は起きてないはずなのに……いや、そうか)
 ハルマは包帯を身体に巻いた兵士たちを見やり、得心がいった。
 おそらく彼らは、軍部を打倒するためになんらかの工作活動を行っていたのだ。
 あるいは自由を得るために軍務に叛き、その過程で背中を撃たれたか……。
 いずれにせよ、軍部はすでに彼らに牙を剥いていた、ということである。
「……手がつけるとこが多そうだ」
 ハルマは嘆息しつつ気を取り直し、新兵たちを見やった。
「怪我までは見れませんが、空調設備なんかについては出来るだけ手入れします。
 せめてもうもう寝苦しくないようにしますから、今は身体を休めていてください」
「ああ……助かるよ。しかし一体どうしてそこまでしてくれるんだ?」
 疲れ果てた様子の新兵の言葉に、ハルマは少しだけ考え込んだ。
「……目的を同じくする仲間だと思ってもらえたら」
 とだけ答え、反対に質問をする。
「ところで、もしかするとなんですが……このアジトって、例の事件の元兵士が用立ててくれた場所……とかだったりしませんか?」
「…………」
 新兵たちは顔を見合わせ、何事か囁き、そして頷いた。
 ここまで協力を約束してくれたハルマを、信用することにしたのだろう。
「ああ、そうだよ。レイオン様が、我々のために用意してくれたんだ」
「やっぱりですか……彼らがいま何処にいるかは?」
「いや……我々も探しているのだがね」
 ハルマは沈思黙考する。兵士たちの行方に繋がる手がかりは得られないようだ。
 しかし彼らのほうから新兵に支援を送っていたというのは重要な情報だろう。
 つまり彼らも、この現状に思うところがあり、なんとかしてほしいという期待を抱いている、ということなのだから。
(説得する時の材料にできそうだな。他のみんなにも知らせておかないと)
 ハルマは頭の片隅で考えつつ、早速空調設備のメンテナンスに取り掛かることにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ホワイト・キャスター
クーデターかいいねぇ下克上は大好物だ
おまけに正義は此方にあるときた。いいぜ、力貸してやるよ。

つっても説得は得意じゃないんでね。其処は他のやつに任せる
アタシが手を貸すのは戦力増強の方さ
人がやる気出したって力がなきゃ成し遂げられないこともあるからな
つまり、必要な力。敵のキャバリアに一泡付加せられるだけの何か

都合良いことに転がってんじゃねぇの
プラント争奪戦でぶっ壊されたジャンク達がさ
特にこのギムレウスは最高だ

アタシは量産機を弄るのに慣れている
メカニックの知識でこのジャンク達を兵士さま達が扱える残骸砲に作り替えてやんよ


ミレア・ソリティス
任務了解、ミレア・ソリティス、作戦行動開始します

UC【コール・レギオン:3α】、
隠密活動用、3型兵装の簡易ミレア部隊を生成、捜索他情報収集・敵偵察・破壊工作において他の方に人手が必要ならそちらに回し、
人手が十分であれば敵部隊への偵察並びに破壊工作に専念

工作時はこの国の今後も踏まえ、ペインレス・セイバーのシステムを流用したナノマシン侵食による機体・施設機能の機能不全や使用不能を狙います

どちらにしろ、私自身は簡易機部隊に対するデータ同期・共有の司令塔として行動し、出来るだけ他の方と各種情報を共有します。

※簡易型ミレアは「任務、了解シマシタ!」なロボ感増量な感じ。
※アドリブ他歓迎です


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎


あー、あの国かぁ…
あの事件の依頼に関わったものとしては、ちょぉっとほっとけないわねぇ…

説得とか人探しとか、正直そんなに得意なワケじゃないし。あたしは裏工作のほうに回ろうかしらねぇ。ラグ(幻影)と摩利支天印(陽炎)で〇迷彩かけて●扼殺で色々調べましょうか。
正面からわーっと行って成功できるんなら苦労ないわけだし。要地・動線・人員配置、調べることはいくらでもあるわねぇ。
派手に騒ぎ起こせば味方も動きやすくなるでしょうし、○情報収集と並行してデコイ・ダミー諸々込みで色々仕掛けときましょ。こういうのは事前準備が命だしねぇ。

…人生何が役に立つかわからないわねぇ、ホント。



●物資強奪作戦
 先のプラント制圧事件以降、この国のプラント施設の警備は厳重となった。
 軍部はさらなる厳重な警戒を口実に、裏取引をしてまで戦力を充実させる始末。
 つまりは、あの事件を体よく利用し、ひたすら勢力を拡大しているのである。
「お金持ちのやることって、どこの世界でもどこの国でも変わらないわねえ」
 ティオレンシア・シーディアは、多くの実例をその目で見てきたのだろう。
 嘆息しつつも気配を殺し、水も漏らさぬ警備を掻い潜って施設へと潜入する。
 彼女の任務は敵の中枢に入り込み、派手な騒ぎを起こして陽動することだ。
「本当ならもっと中枢に色々仕込んでおきたいところだけど、今はこれが限界ねぇ」
 ティオレンシアは銃弾やグレネードの在庫を確認し、ひとつ頷いた。
「……じゃ、始めるとしましょうか」
 直後、プラント施設のど真ん中で、派手な爆発が起きた!
『緊急警報。緊急警報。施設内に侵入者を確認しました。全兵士は至急警戒モードに入り、施設内の捜索を行ってください。繰り返します、施設内に侵入者を確認……』
「ちょっと火薬多すぎたかしらねぇ……ま、見つかったらその時かしらぁ」
 ティオレンシアは言いつつも、ユーベルコード"扼殺"を発動した。
 ルーンと摩利支天印のあわせ技で、その姿がステルス化し風景に溶け込む。
 生半可な目では、ティオレンシアの姿を発見することはできないだろう。
 そして彼女は再び気配を消し、レッドアラートの中へと飛び出した。
 陽動は、派手に大胆に動いてこそ最大の効果を発揮するもの。
 ティオレンシアにとっては、まさしく得意分野なのである。

『――プラント施設での爆発を確認。作戦行動を開始します』
 同時刻、プラント警備隊を見下ろす小高い丘の上。
 ミレア・ソリティスは自己複製した簡易量産部隊を引き連れ、行動を始めた。
 ウォーマシンである彼女は、意識そのものを他の自機と同期・共有できる。
 簡易量産機ゆえにオリジナルほどの高度な思考が出来るわけではないが、
 データ同期による一糸乱れぬ統率力は、並の部隊をかるがると凌駕するのだ。
 彼女自身が率いる部隊のほかに、すでに二部隊が現地に突入している。
 このプラント施設襲撃は、これから続く工作戦の始まりに過ぎない。
 彼女の目的は、出来る限りの数のキャバリアと警備施設を機能不全に陥れ、
 来る決戦における敵戦力を削ぎ、また敵の物資を強奪することである。
『α部隊、β部隊、両翼から警備隊を挟撃してください。その隙に突入します』
《コチラα部隊、任務了解シマシタ! 攻撃ヲ開始!》
《β部隊、交戦開始! 敵小隊ヲ引キ付ケ、ナノマシンヲ散布シマス》
 3式兵装"SS-03 ペインレス・セイバー"は、侵蝕型ナノマシンにより対象の機能を阻害する特殊な実体剣兵器である。
 この強襲作戦では、敵部隊との本格的な会戦は避けねばならない。
 そのためにミレアは、ナノマシンを改良し特殊な弾丸を生成していた。
 隠密部隊はこれらのナノマシン弾を施設に撃ち込み、システムをダウンさせる。
 施設内で陽動を務めるティオレンシアを支援し、脱出させるための裏工作だ。
『やることは以前の作戦と同じですが、立場はまるで違いますね』
 実はミレアは、先のプラント制圧事件に攻略部隊として参加していた。
 あの時は、レイオンをはじめとするオブリビオンマシン部隊が施設を占拠、
 これを撃破しプラントを奪取することが、猟兵たちの任務だったのである。
 今回も目的は同じだが、立場は真逆――なにせ相手はれっきとした国防軍である。
 彼らはオブリビオンマシンの悪影響を受けていない、正規の兵士だ。
 だからこそ、直接戦闘は避けねばならない。無益な消耗を避けるためにも。
『……施設内からのデータ通信をキャッチ、解析開始……』
 ミレアは淡々と任務に没入する。ウォーマシンならではの無心だった。
 ティオレンシアと潜入部隊が手に入れた、軍関係施設のデータを解析し、圧縮。
 来る戦いに備え、各猟兵のもとへとデータを共有する。
 そこかしこで銃声と爆音。警備部隊による本格的な反撃が始まったのだろう。
 タイムリミットは迫りつつある。もう一つの目的を果たすには、あとひとりの働きが重要だ。

 この作戦の、もう一つの目的。
 それは、困窮している物資――特に戦闘用の兵器を揃えることにあった。
 そのために名乗りを上げたのが、戦車乗りのホワイト・キャスターだ。
「おーおー、派手にやってんねぇ。ま、おかげでアタシは楽に仕事出来る」
 ホワイトは愛用のタバコをのんびりと吹かし、爆音と銃声に耳を澄ませた。
 ミレアやティオレンシアらの動きは、彼女が物資を調達するための陽動でもある。
 しかもホワイトは、ただの旧型キャバリア乗りなどではない。
 彼女はユーベルコードを使うことで、ジャンクを兵器に変えられるのだ!
「壊れたキャバリアの残骸もそのまんま、ねぇ。まったく行儀の悪いこった。
 ま、インフラを整備するより、この国を支配したくて仕方ないんだろうけどね」
 などと言いつつ、ホワイトは地面に転がるジャンクパーツを検分していく。
 プラント施設の周辺は、先の制圧事件からまったく整備されていない。
 まるで戦国時代の戦場跡めいて、いくつものキャバリアが野ざらしになっていた。
 プラント制圧部隊が使用した量産型キャバリア、『ギムレウス』の屍だ。
「いいね、最高だ。天下のオブリビオンマシンも壊れちまえばただの鉄屑、ってね。
 アンタたちが掲げた正義は間違っちゃいたが、今回ばかりは大義名分は此方にある。
 だから今度こそ、アンタたちが正しく戦えるようにアタシが手伝ってやる」
 ホワイトの愛機『ブルーフォッグ』が、アンカーでジャンクパーツを回収する。
 オフロードバイク『ウィーン』に無理やり接続されたコンテナは一瞬で満杯になっていった。
 あとはこれらをユーベルコードで改造し、特製の大砲をこしらえるだけだ。
「こちら回収班、ひとまずコンテナ一杯に回収したよ。ただまだまだ転がってる。
 何度か往復することになりそうだから、悪いがもう少し頑張っておくれ」
『了解しました。潜入班の支援を継続します』
『簡単に言ってくれるけどぉ、こっちも大変なのよぉ。手早く頼むわねぇ』
「なあに、そのぶん質のいい大砲を山ほど兵士どもに配ってやるさ」
 ホワイトの台詞は、遠からずして実証されることになるだろう。
 彼女の"残骸砲"は、キャバリアを素材にした時ほど精巧な兵器を作り出す。
 それは、来る決戦の時、必ず大きな力になってくれるはずだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

遠桜・星黎凪
偉い人が洗脳されてしまうなんて、厄介ですね
クーデターにはあまり良い印象を抱いていない(過去に何か経験したわけではなく、あくまで一般論として、ですよっ)のですけど、そういう事情があるなら仕方ありません
協力しましょう!

元兵士のかたと接触を試みてみます
今無職ということはどこかで黄昏ているかもしれません
酒場だとわたしの年齢的に難しいですけど…公園や広場ならばいけますかねぇ
そんな感じの人を見つけて話しかけてみます

内容としては
今の軍部の暴走は、先日のあなた達のようにやべーキャバリアの影響を受けているからかもしれない、とか
そんな彼らを救うため、止めるために力を貸してほしい、それも贖罪になるのでは?とか



●公園にて
 クーデター。
 ……と云う言葉を聞いて、いいイメージを抱く者のほうが少ないだろう。
 ましてや遠桜・星黎凪のような年若い少女になれば、なおさらのことだ。
 彼女もまたアンサーヒューマンとしてキャバリア乗りとして、
 この戦乱渦巻くクロムキャバリアで生まれ育った身の上ではある。
 だからといって、戦争という悲惨な現実に慣れてしまうほどスれてはいない。
 戦わずに問題が解決するならば、それに越したことはないのだから。

「……とはいえ、事情があるのなら仕方ないと、わたしは思うんです」
 ケンドリックス共和国中央公園にて。
 ベンチにうなだれるように腰掛けていた浮浪者を、星黎凪はちらりと伺うように見た。
 誰であろう、このうだつのあがらぬ汚らしい浮浪者こそが、
 例のオブリビオンマシンに洗脳された元兵士のひとりなのである。
 他の猟兵たちが掴んだ情報をもとに、星黎凪はここまで説得にやってきた。
「そもそもいまの軍部の暴走は、あなたたちのようにキャバリアの影響を受けているから……なの、かもしれません」
 星黎凪は確定的な言い方を避けた。
 下手に言い切れば、そこをつつかれる可能性がある。
 猟兵がどうのオブリビオンがどうの、詳しい説明が始まってしまえば、話は説得どころではなくなってしまうからだ。
 あくまでひとりの人間として、元兵士の男に言葉を投げかけていた。
「だからあなたなら、あの恐ろしいキャバリアに意思を剥奪されてしまうことの危険さを、よくご存知なのでないかと」
「……それで、俺に何をどうしろっていうんだ」
「一緒に戦ってほしいんです」
「…………」
 男の落ち窪んだ目が、じろりと星黎凪を睨んだ。
 星黎凪は気圧されることなく、まっすぐとその目を見返し、言った。
「あなたはきっと、自分がしでかしたことの重さに罪悪感を抱いているんでしょう。
 なら同じ境遇になってしまった人々を救うことは、贖罪になるんじゃないですか?」
「……そうかもしれないな」
「なら!」
「わかってるよ。お嬢ちゃんみたいな子どもに諭されたんじゃ、兵士以前に大人として立つ瀬がなくなっちまう」
 男は苦笑して立ち上がった。
「まずは髭を剃って、それらしい服を見繕わないとな。話はそれからだ」
「……! ありがとうございます!」
 星黎凪は元気よく立ち上がり、ぺこりとお辞儀した。
「過度な期待はしないでくれよ。もう前線は離れた身なんだ」
「いいえ。あなたのその心意気だけで十分すぎるくらいですよ」
 少女の天真爛漫な眼差しは、男を突き動かすには十分なものだったようだ。
 星黎凪は微笑む。だが同時に、少しだけ心が痛んだ。
 疲れ果てた兵士をまた戦場に駆り出させることへの、小さな罪悪感だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
侵攻と内乱の二重苦だったあの国ね……
プラント占拠事件の方はそういう決着なのね
……もう一つの方の決着はどうなったんだろう

軍備立て直しが急務なのは解るけど、慎重派がそこまでの負荷を国に掛ける決断を迫られる程状況が逼迫してるかも怪しい、
なにより国よりも軍の維持だけを目的にしてるみたいな行動……
ああもう……嫌な事を思い出すわ……

【POW】
新兵達に接触、協力を申し出る
立場は傭兵として……かな?
安心して。裏に別の国もいないし、あなた達の目指す先が何であれそれを邪魔する気もない
ただ、倒すべき奴が、向こうにいるし、
何より……「己の軍に食い殺される国」なんてもう見たくない、ただそれだけよ

※アドリブ他歓迎です



●去来する過去
 先のプラント制圧事件では、その裏でもうひとつの事件が動いていた。
 隣国、グロンデール公国による大規模殺戮を目標とした軍事行動である。
 アルカ・スィエラはこの公国部隊の迎撃に乗り出し、無事勝利した猟兵だ。
 彼女にとって気がかりだったのは、公国の動向だった。
 ゆえにアルカは、まず情報収集から始めたのだが……。

「私、此処に来るまで色々調べ物をしてきたの」
 新兵たちのアジトにて。
 アルカは険しい表情のままそう言って、重い溜息をついた。
「……連中は、公国軍の襲撃未遂も口実にして、軍備を増強していたのね。
 グロンデール公国は軍国主義が強い国家。対抗するには相応の準備が必要だと」
「そうです。ノイマンはふたつの事件を巧妙に利用し、軍部を急進させました。
 奴が最初に行ったのは、ハト派の一掃と中立的な議員の買収でしたからね」
「はあ……」
 すでに裏では、それなりの量の血が流れていた、ということである。
 公国側の狙いまではわからないが、この静観はむしろ不気味と言えよう。
 おそらくあちらも、共和国側の動きを警戒し軍備を強化しているはず。
 クーデターが起こらなければ、待っているのは両国の本格的な衝突、そして戦乱。
「……私は、そんな最悪の事態は見たくない。もちろん内乱ももってのほかよ。
 己の軍に食い殺される国なんて、もう見たくない。ただそれだけで此処に居る」
「あなたの志願理由はわかりました。傭兵として申し分ない腕前があることも」
「……他に、何か気になることがあるの?」
「我々の武装蜂起が成功したあと、あなたはどうするのかということです」
 新兵の真っ直ぐな眼差しに、アルカは顔を顰めた。
 彼女の脳裏に去来するのは、在りし日の自国の風景。裏切りの記憶。
「…………あなたたちの目指す先がなんであれ」
 しばらくの沈黙ののち、アルカは絞り出すように言った。
「私は、それを邪魔する気はない。ただ、そうね。願うなら……」
 アルカは一息置いてから、言葉を続けた。
「どうかあなたたちは、間違えないで。愚か者の同じ轍を踏むことだけはやめて。
 この国のなんの罪もない人たちが、今以上に苦しむようなことはしないでほしい」
「……わかりました。約束します、どんなことがあろうとも悲劇は繰り返さないと」
 新兵は目を見て言った。彼にとってはその言葉は心からのものなのだろう。
 アルカは識っている。戦争と貧困は、簡単に人の心を変えてしまうのだと。
「……信じているわ」
 アルカには、ただそう答えることしかできなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
◆コガラス(f18713)と


クーデターを成功させる、ね
まあ、やれって言われればなんでもやるのが傭兵だけど
ちなみにこういう仕事したことは?
ああ、そうだったんだ
俺もまあ、……似たようなもんか

軍部側の妨害工作を
向こうの兵器を機能不全にするのが目的だ
【無貌の輩】を歩かせて重要そうな施設の位置を把握
周囲で軽く騒ぎでも起こして、警備の薄くなった隙を衝くよ

滞在時間は短く済ませたい
内部での行動は迅速に
狙いはエネルギーインゴットの貯蔵場所
動力源を潰すだけなら最小限度の労力で済む
兵器自体の数を減らしすぎても
周辺国とのパワーバランスが崩れるだろうしな

……戦争がなきゃ立ち行かない世界か
どうにも、他人事の気がしないな


式島・コガラス
◆鳴宮さん(f01612)と

ふむ……またこの地で戦うことになるとは、少し奇妙な感覚がありますね。
しかしながら、クーデターというなら以前のものよりはいくらか得意な戦場です。私が兵士として戦っていたのは少人数側の陣営でしたから。ゲリラ戦なら得意ですよ

軍部側への妨害工作
我々のような世界だと、武器も多種多様です。武器庫が複数あったりで、兵器の破壊はなかなか難しいですが……この世界なら別です
敵の武器はほとんどキャバリア一択。その上巨大だから格納庫の位置も限られる
鳴宮さんに便乗して潜入
B.B.。マイクロブラックホールを形成する爆弾です……これでエネルギーインゴットをまとめて吹き飛ばしてしまいましょう



●"日常"の在り方
「……あそこがエネルギーインゴットの貯蔵施設か」
 厳重な警備で守られた貯蔵施設を、軍用双眼鏡越しに覗き込む鳴宮・匡。
 彼の"目"はそこらの光学機器が裸足で逃げ出す人外の知覚能力を持っているが、
 念には念を入れるのが戦場の鉄則。偵察において情報は死活問題である。
 複数の機器を使い、罠や敵の配置を執拗に調べてこそ生き延びる目が得られる。
 ゆえに、匡は自身の目だけで判断せず、入念に敵の配置や施設の構造を調べた。
 "問題がない"ということがわかるのも、実は重要な情報なのである。
「施設内部に潜入し、可能な限り最短でエネルギーインゴットをまとめて滅却。
 その後は可及的速やかに脱出し、作戦開始まで市街に潜伏……で、いいですよね」
 同じく軍用双眼鏡で様子を伺っていた式島・コガラスは、匡に言った。
「ああ。ここで本格的な戦闘を起こして、本懐に出てこれたら蜂起どころじゃない。
 滞在時間は短く済ませたいところだ。コガラスは、こういう仕事したことは?」
「以前のものよりはいくらか得意ですよ。ゲリラ戦のほうが慣れています」
「ああ、そうなんだ……まあ、俺も似たようなもんか」
 ふたりは他愛ない会話を交わしつつ、警戒網ギリギリまで近づいた。
 すでに後方には、警備の目を眩ませるための爆薬を設置済みである。
 遠隔で爆薬を起動し、敵が爆発で浮足立ったところを内部に潜入する手筈だ。
「我々のような世界だと、施設ひとつ吹き飛ばせばいいというわけでもないですからね。そういう意味では、この仕事はある程度楽と言えなくもないでしょうか」
「だからって手を抜いたりするなよ。そんなことはしないってわかってるけどな」
「もちろんですよ、鳴宮さん。……そろそろ始めましょうか」
 ふたりは頷きあい、コガラスが遠隔起爆スイッチを親指で押した。
 KA-BOOOM!! と、後方に設置した陽動用の爆弾が連鎖爆発する。
 あちらには、まるで敵キャバリアが砲撃を仕掛けてきたようにしか見えないだろう。
「て、敵襲! 敵襲ーッ!」
「じゃ、行くか」
「ええ」
 あっという間に、周囲は蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。
 警備キャバリアの目をくぐり抜け、ふたりは貯蔵施設の中へと滑り込む。

 事前の調査により、施設の内部構造はおおよそ把握済みだ。
 ふたりは最短距離を突っ走り、警備兵がいれば気絶させて無力化した。
 数多の戦場を渡り歩いたツーマンセルが相手では、軍部の精兵も形無しだ。
「こっちだ。警備はみんな出払ってる」
 匡は戻ってきた"影"を裡に取り込み、コガラスに言った。
 潜入と同時に"影"を放ち、最短ルートを偵察させていたのである。
「では、私はあちらを。匡さんにもこれをお渡ししておきます」
 コガラスが差し出したのは、明らかにオーバーテクノロジーの投擲兵器だ。
「……これは?」
「"B.B."。リアさんのお店で購入した、マイクロブラックホール爆弾です」
「あいつの商品か。なら、性能は問題なさそうだな」
 匡は頷き、扱いを間違えばとんでもないことになる危険物を受け取った。
 リアは彼の妹分である。そのリアがこしらえた品ならば信頼性は疑う余地もなし。
 ふたりは二手に分かれ、エネルギーインゴット貯蔵施設にB.B.を投げ込んだ。
 発生タイミングは最大3分まで調整可能、有効半径約10メートル強。
 生まれた黒い球体は、キャバリアの生命線を事象の彼方へと消し去った。
「あとはここで終わり……っと」
 匡が最後の貯蔵庫を破壊したところで、施設内が赤く警戒色に染まり上がる。
 どうやら敵が爆弾の正体を看破し、こちらの狙いに気付いたらしい。
 相手も素人ではないか。しかし、もちろんこの程度はふたりの想定内だ。
「コガラス、聞こえるか? こっちはCルートで脱出するぜ。そっちはどうだ」
『了解です。こちらもいま、作業が終わりました。合流地点はポイント11Dで』
「ああ。無理はするなよ」
『鳴宮さんこそ』
 通信を終え、匡は"影"を放ちルートの安全を確保しながら迅速に行動する。
 キャバリア相手でも敗ける気はないが、あくまで目的は施設の破壊にある。
 この仕事は、クーデターを成功裏に終わらせることが前提なのだから。
「……戦争がなきゃ立ち行かない世界、か」
 戦乱が新たな火種を生み、そして火種は多くの人々の思惑で広く燃え上がる。
 あまりにも慣れ親しんだ光景と、人の愚かさの輪廻。終わらぬ戦争というロンド。
「どうにも、他人事の気がしないな」
 それは彼にとって、あまり好ましいことではなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーザリア・シン
【POW】場末の酒場で歌い、元兵士等を鼓舞する
人の世は遷り変りやすい
昨日には鮮やかであっても、今日には枯れてしまう
それが浮世の定めならば嘆くまい
されど過去の歪みならば許すまい

ま、レイオンめも元兵士も、どこにおるかは検討もつかぬ
故に歌って問いかけ、発破をかけよう
それでいいのか、と

『昨日の意思は裏切られ、今日の失意に褪せて散る
 炎は去り、灰は冷え、闇が降りる
 しかし、かつて炎はそこにあった
 赤々と掲げられた、道標があった
 どこか、いつか炎はそこに現れる
 意思を継ぎ足して、再燃が現れる
 私は祈る 今日が明日に移る事を
 君は祈る 明日と今日が繋がる事を
 過ぎ去りし日々が
 そう願い続けていたように』



●場末の酒場にて
 軍部の急進と増大により、国内の治安は悪化の一途をたどっていた。
 戒厳令と兵士の進出のおかげで、傍目にはむしろ治安はよくなったように見える。
 だが、そもそも武器を持った兵士が大手を振って町中をうろつくこと自体、
 それだけ物騒な世の中になっています、と喧伝して回るようなものである。
 かつてのこの国なら、銃を手に見回りをする必要もほとんどなかったのだ。
 治安が悪くなれば人々の心は乱れる。
 嗜好品は規制され、娯楽は抑圧され、刺激と解放を求める人々は地下に潜る。
 そして需要に目をつけたならず者が、よからぬ商売で私腹を肥やそうとする。
 酒場は毎日繁盛していた。客層もすっかりうだつの上がらぬ連中ばかり。
 そんな場末の酒場にも、時には美しい白鳥が舞い降りることもある。

「――昨日の意思は裏切られ、今日の失意に褪せて散る」
 その日の酒場は、いつになくしんと静まり返っていた。
 ステージの上では、古びたレコードがノイズ混じりの音楽を垂れ流す。
 壊れかけたマイクスタンドの前に立つのは、気品ある妙齢の歌姫であった。
「炎は去り、灰は冷え、闇が降りる。
 しかし、かつて炎はそこにあった。
 あかあかと掲げられた、道標があった――」
 ユーザリア・シンの歌声は、不思議と店の隅々までよく通った。
 男たちは酒を飲みながら、囃し立てるでもなく静かに歌声に聞き入る。
「どこか、いつか炎はそこに現れる。
 意思を継ぎ足して、再燃が現れる。
 ……私は祈る。今日が明日に移ることを。
 君は祈る――明日と今日が繋がることを」
 流行りの歌とはまるで違う、誰も聞いたことのない異国の歌だった。
 歌声も、決して万雷の拍手を送るような天使のそれというわけではない。
 だが、なぜだろうか。
 男たちは静かに聞いていた。
 カネ目当てに国の外からやってきたならず者も、
 閉塞的な毎日に嫌気が差して、酒に逃げていた男も、
 大事な男を戦火に奪われ、生きる意味をなくしていた女も。
 みんなが耳を傾けていた。不思議と力を込み上げさせる、その歌に。

「……いい歌だ」
 からん、と。男の手の中で、グラスの氷が音を立てた。
 ついさっきまで、そいつの目は泥のように汚れ、そして煤けていた。
 国を守るという大義を失い、国そのものに叛いたとして職を追われた男。
 何もかもが灰色に染まった日々の中に、朝焼けめいて歌声が差してきた。
 ふつふつと、熱と力が湧いてくる。熾火のような心の力が。
「過ぎ去りし日々が、そう願い続けていたように――」
 ぷつん、とレコードが終わりを告げ、停止した。
 ぱちぱちとひそやかな拍手が響くなか、男はチップを置いて立ち上がった。
 ……ふと、ステージに立つ歌姫と、男の視線が交わったような気がした。
 だが言葉はない。そもそも、必要がない。
 送るべき言葉は旋律に乗せて送られて、
 男もまた、その言葉を心で受け止めていたのだから。
「どこか、いつか炎はそこに現れる――か」
 店を出た男を、冬の寒空が出迎えた。
 しかしちっとも寒くはなかった。
 男の胸の中には、闘志という名の炎が燃えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

……此処来るのァ二度目か
二度もドンパチに巻き込まれるたァ災難な国だな……ある意味この世界らしいのか?
――ま そンな台詞かますのァお前らしィや
いいぜ、付き合ってやらァ

お前は連中励ましてやりてェってトコだろ?
俺に構わず行って来いよ
俺ァ面見てェ奴がいるからそっち見てくる

"アリアドネ"辿って探し出す。――応 『レイオン』だな?

今度ァ目ェ醒めてンだろ
機甲繰りから降りたらしいなテメェ
……面貸せや

(ガリバーでフェルトの鼓舞が聞こえる所まで行き)
……アイツらしい激励だな

――アイツが言うようによォ
お前も「最高の未来」って奴掴みてェんじゃねェのかよ

腕の良い機甲繰りァ一人でも多い方が良い
お前も手伝え


フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
そう、ケン様は一度来たことがあるのね。その時も、こんな……
……こんな災難が、日常であってなるものですか。だからお願い。力を貸して、ケン様。

ええ、こちらは任せて。
それじゃあわたしは新兵達の元へ。皆を【鼓舞】して想いを伝えるわ。

さあ、あなた達。『覚悟』は出来ているかしら!
……死んでも目的を成し遂げる覚悟じゃないわよ?
誰も死なずに、目的を完遂する。その無理難題を成し遂げる覚悟よ。
無茶なのはわかってる。でもね、あなた達に生きていて欲しい人がいるから。ええ、わたしにもね?
だったら、その無茶を突き通し、何一つ諦めない最高最善の未来を掴み取りましょう!
そのためなら、わたし達はいくらでも力を貸すわ。



●希望への第一歩
「……さあ、あなたたち! 覚悟はできているかしら!」
 集まった新兵たちを見渡し、フェルト・フィルファーデンは言った。
 兵士たちの中には、軍部による粛清を命からがら逃げ延びたけが人もいる。
 劣悪だった隠れ家の環境も、猟兵たちのおかげで大きく改善していた。
 そんな中忙しい兵士たちを、フェルトはあえて呼び集め演説を行っているのだ。
「も、もちろんです! たとえ死んでも――」
「いいえ、違うわ。死んでも目的を成し遂げる覚悟なんて、必要ないの」
「えっ?」
 気炎を上げかけた新兵は、フェルトの言葉に思いがけず呆然とした。
 フェルトはまぶたを伏せて頭を振る。そして、こう言った。
「必要なのは、その逆よ。……誰も死なずに目的を完遂するという覚悟なの」
「そんなの……いくらなんでも無理難題すぎる!」
「そうだそうだ。相手は軍部のトップなんですよ!?」
 さもありなん。フェルトの言っていることは、まさしく絵空事に他ならない。
 死にたくないのは誰しも同じ。新兵たちとて、出来るなら穏やかに生きていたのだ。
 だが今のこの共和国では、ただ穏やかに生きることすらままならないだろう。
 そして他人事と放っておけば、いずれ致命的な戦乱が国全体を包み込む。
 さもなければ、この国そのものが大きな戦火を巻き起こす渦中となってしまう。
 そう考えたからこそ、新兵たちは重い腰を上げてクーデターを選んだのだ。
 そのために生命を捨てる覚悟を、彼らはとうに決めていた。
 しかしフェルトは、そんなものは要らないのだという。むしろ逆なのだと。
「ええ、無理難題よ。"だからこそ、成し遂げるには覚悟が要る"でしょう?」
「そんなのは覚悟じゃありません、子どものわがままですよ!」
「……無茶なのは、わたしもわかっているのよ」
 フェルトはあくまでも譲らなかった。
「でもね、あなたたちにだって、生きていて欲しい人はいるのでしょう?
 だからこそこうして、戦いを戦いで終わらせる判断を下したのでしょう?
 ――なら、"あなたたちにこそ生きていてほしい人"だって、いるのではなくて?」
「「「…………」」」
 兵士たちは口をつぐんだ。それが答えだった。
「わたしにもいるわ。生きていて欲しい人も、生きていてくれと願ってくれる優しい人も。
 ……だったら、その無茶を貫き通し、何一つ諦めない最高最善の未来を掴み取りましょう?
 あなたたちがその覚悟を決めてくれるなら、わたしたちはいくらでも力を貸すわ!」
 ありえない絵空事、子どものわがままのようなどうしようもない無理難題。
 だからこそ挑む価値があるという。
 だからこそ挑まねばならぬのだという。
 フェルトの真っ直ぐな言葉は、新兵たちに確かに響いていた。

 そして。
「……アイツらしい激励だな」
 "GULLIVER"の機内で、ケンタッキー・マクドナルドはひとりごちた。
 機甲人形の手のひらには、男がひとり――レイオン・リングス。
 旧姓、レイオン・ガウアー。名門ガウアー家を追われた、哀れな元将校。
「なァ、お前にも聞こえるだろ。見えてンだろ、あいつらの顔がよ。
 ……聞いたぜ。あいつらのアジトを用意したのは、そもそもお前らしいな」
「……ああ、そうさ。それが、私に出来る精一杯のことだった。あの時はね」
 レイオンは、コクピット越しにケンタッキーを見返した。
「なら、いまはどうなんだ。いまも、他人任せで諦め続けるつもりか?
 機甲繰りから降りてよォ、せっかく目ェ醒めたってのに見物続けるのかよ」
「…………」
「お前も、"最高の未来"ってやつを掴みてェから、そうしたんじゃねェのか」
「……私に、いまさら何が出来るというんだ?」
「あるだろ? お前にだからこそ出来ることが」
 ケンタッキーはコクピットハッチを開け、レイオンを睨んだ。
「腕のいい機甲繰りァ、ひとりでも多いほうがいい。だからお前も手伝え」
「……私はもう兵士ではない。この国の未来に、責任を負うことが出来ない。
 いや、負ってはならないんだ。私は、取り返しのつかないことをしかけたのだから」
「関係ねェ。そういう御託は、全部終わってから並べるモンだ」
「……手厳しいな」
 レイオンは苦笑して、フェルトと新兵たちを見つめた。
「美しいお嬢さんだな、彼女は。表情だけではない、心が清らかで美しい……守るべき、素晴らしいひとだ」
「…………おう」
 長い沈黙があった。
 ……やがてレイオンは立ち上がり、何も言わずにひとつ、頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
ステルス【迷彩】を起動
センサーの類を【ハッキング】でやり過ごしつつ、兵士と入り込む
身を隠せる場所でBalor Eyeを使い、広域の偵察と情報収集を開始
軍部が乗るキャバリアの格納庫や、武器庫を見つけたい
見つけたらドローンたちの【ハッキング】で、キャバリアのシステムにウィルスをぶち込み、さらに装備品をロックしておく

同時並行で、俺はハト派のお偉いさんの救助へ
見張りの兵を気絶させ鍵を奪い、牢から出す
代わりに気絶した奴に服着せて、身代わりに牢へ

肝心の脱出ルートだが…
武器の密輸用車両を使おう
お偉いさんは荷台に放り込み、さっきの見張りの服を着た俺が何食わぬ顔で運転、脱出
新品の武器と後ろ盾を主役たちにお届けさ



●ランナーズ・ビズ
 一台の装甲車がやってくると、整列した兵士たちは一糸乱れぬ動作で敬礼した。
 装甲車のハッチが開き、還暦に入ろうかという年頃の男が降りてくる。
 穏やかな顔つきだが目つきは鋭く、体躯は明らかに鍛え上げた軍人のそれだ。
 胸元に輝くいくつもの勲章が、男の身分を物語っていた。
(まさか、お偉いさんの救助に来たら早くも本命にお目通り叶うとはな)
 敬礼する兵士たちのなかに、ヴィクティム・ウィンターミュートは潜んでいた。
 仕事をサボっていた不良兵士を気絶させ、装備をまるごと頂戴したのだ。
 生体認証の類は、ヴィクティムにとって開けっ放しのドアも同然である。
 肉眼を欺くために、実体ホロで巧妙に変装することもわすれていない。
(ノイマン・ハーディ……こいつがいまの軍部のトップってわけだ)
 護衛を引き連れた元帥……ノイマンは、じろりと兵士の列を睨みつけた。
 抜き打ちの視察に奴自らが出向くあたり、この施設はよほど重要なようだ。
「……そこの君」
「はっ!」
 しかもノイマンは、敬礼を続けるヴィクティムに声をかけてきた。
 カツコツと杖を鳴らし、ヴィクティムの前に立つ。緊張が張り詰めた。
(偽装がバレたか? いや、それはねぇな。相手はあくまで一般人だ)
 オブリビオンの中には、猟兵を目視した瞬間に看破する者も居るという。
 だが、ノイマンは違う。彼はあくまで、マシンの狂気に洗脳されているだけだ。
「見かけない顔だな。所属と軍属IDを答えろ」
「は。ジョン・スミシー二等兵、IDはXG-113758であります」
「…………」
 ノイマンはじっと黙って、ヴィクティムの顔を睨んでいる。
 静寂が流れる……ヴィクティムは決して動揺せずに敬礼を続けた。
「……そうか。なかなかいい敬礼の仕方だ。軍服もシワひとつなく清潔だな」
「はっ、光栄であります!」
「我が軍は君のような志ある兵士を多く求めている。励みたまえよ」
「はっ!」
 ノイマンはそれだけ言うと、もはや兵士たちには構うことなく歩き出した。
 気まぐれな高官が兵士を激励した……だけに、周囲からは見えるだろう。
 しかし、ヴィクティムは感じていた。奴の目の奥にある猜疑心を。
(誰も彼も信用しちゃいねえって目つきだ。まったくああいうベテランは勘が働くからな、やりづらくて仕方ねえ……)
 たっぷり5分、ノイマンが姿を消すまで兵士たちの敬礼は続く。
 やがて解散が命じられると、ヴィクティムは冷静に本来のミッションに移った。
「本当なら、ここで仕留めてビズはおしまい、なんだがね」
 ノイマンを暗殺すれば話は終わる。ヴィクティムにはそれが出来る。
 しかし、奴もまたオブリビオンマシンの被害者だ――いまのところは。
「猟兵ってのも楽じゃあない、か。まあ、それならそれで完璧にこなすだけさ」
 ヴィクティムはひとりごちて、さりげなく停車されたトラックに乗り込む。
 荷台には、あらかじめ救助した鎮静状態のVIPと、密輸された武器の山。
「バレる前にずらかるとしよう。影のように素早く、だ」
 トラックが走り出す。こうしてヴィクティムは完璧に仕事をこなした。
 ノイマンの怒りはさぞかし激烈だったろう。兵士の首が飛んだかもしれない。
 しかし、ヴィクティムは可哀想とは思わない。これはれっきとしたビズなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
このまま見過ごす訳にはいかないね

止めるべきは、ノイマンとそのマシンか
元々は、きっと終わりなき戦場を憂えていたのだろう
だけど、今は、その憂いすらも彼を暴走させるのだろうか

UC【無敵の交渉術】

事件関係者や元兵士の足取りを追い、
レイオンさんを探し、ボクも説得に加わろう
(情報収集、追跡、鼓舞、失せ物探し)

プラントが無くても、残念だけどヒトは争う
でも、その痛みや悲しみに目を向けようとするヒトも、いるんだ

軍部の暴走を止めるために力を貸して
今を生きる誰かの明日の為に



●狂気晴れて
「……そうか。あなたは、公国軍を迎撃してくれた傭兵のひとりだったのか」
 某日未明。
 軍事基地から強奪された物資が、クーデター軍のアジトに搬送されている。
 その光景を遠巻きに見ながら、レイオン・リングスは呟いた。
「うん。あなたたちが蜂起したタイミングを狙って、公国が動いていたんだ。
 それもノイマンが軍備を増強するための、体のいい口実に利用されているよ」
 リア・ファルの言葉に、レイオンは重い溜息をついた。
「本来であれば我々が身を盾にして防ぐべき、まさしく軍人の任務だというのに。
 あなたたちには二度手間をかけさせたばかりか、それすらも利用されているとは」
「……落胆する気持ちはわかるよ。でも、あなたはここに戻ってきた」
 リアはアジトを見やる。もともとクーデター軍にあてがわれたこの施設は、
 レイオンと元兵士らがなけなしの資金とコネを使い、彼らに用意したものらしい。
 だが、レイオンたちにはそれが限界だった。彼らは軍人ではないのだから。
「"誰一人犠牲にすることなき最高の未来を掴んでみせろ"と、叱咤されたよ。
 ……なあ、教えてくれ。私たちは、本当にそんな都合のいい結末を迎えられるのだろうか?」
「…………」
 もちろん、と、普段のリアならば即答したところだろう。
 彼女の行動原理であり、理想であり、そしてアイデンティティなのだから。
 だが、リアはこの世界の争いを見てきた。人と人の、終わりなき戦いを。
 オブリビオン相手の戦いとはわけが違う――それが、戦争なのだ。
「残念だけど、ボクには確約できない」
 リアはそう言って頭を振った。
「……プラントがなくなったとしても、残念だけどヒトは争い合うものだ。
 痛みや悲しみを感じても、血を流しても……いや、むしろ逆に争いは加速する」
 積み上げた屍と代償は、戦いをやめられない理由に変わってしまう。
 そうして戦火は広がっていく。誰もが戦いを拒んでいるというのに。
「でもね。その痛みや悲しみに目を向けようとするヒトたちも、いるんだ。
 彼らがそうさ。そしてボクらも、もう悲しみを繰り返したくないと思ってる。
 だから代わりに、約束するよ。ボクは、その祈りのために生命を賭けると」
「……なぜ、この国の民でもないあなたが、そこまでしてくれるんだ?」
 レイオンの言葉に、リアは微笑んだ。
「"今を生きる誰かの明日のために"。それが、ボクの合言葉だからね。
 ……満足できる答えだったなら、今度はボクが質問させてもらってもいいかい?」
 レイオンは頷いた。
「――軍部の暴走を止めるために、力を貸してほしい。
 あなたは、まだこちらが掴んでいない仲間の行方を識っているはずだ」
「…………」
「ひとりでも多くの手がほしい。だから、どうか……」
 レイオンは手を突き出し、リアの言葉を遮った。
「努力はしよう。応じてくれるかは、彼ら次第だ」
「それなら心配ないよ。ボクらはこの思いを、ただ伝えるだけだからね」
 リアの微笑みを見て、レイオンは敵わないとばかりに苦笑した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イーリス・ヴァイデンフェラー
【生徒会】
守ったことのある国ですから複雑ではありますけれど
まぁまぁ、これもお仕事ですからねぇ

デュちゃんと一緒に新兵の鼓舞を
元兵士の探索は顔を知ってる子たちの方がいいでしょう?
それにデュちゃんはこういうの得意ですからねぇ
頼りにしてますよぅ、よろしくお願いしますね

不安を聞き取って、解消していきましょう
あたしたちも蜂起は援護しますから、ね
大事な故郷なんでしょう?
……あなたたちは、ちゃぁんと守ってくださいねぇ

後はあんま借りは作りたくないんですけれどぉ……
後見人の企業に渡りをつけて武装の手配を依頼しておきましょ
練度が低くても成果を出しやすい遠距離装備やミサイルを中心に
実物を見せれば士気も上がりますかねぇ


デュ・エルオビーオ
【生徒会】
…………あー、お仕事かー、こーゆーの、面倒ー。こーゆーの、じゃなくても、面倒だけどー
…………クーデターとかー、絶対ー、苦しんでー、死んじゃうー、人がー、出るからー、嫌なんだけどにゃー

…………イーリスと一緒にー、新兵の鼓舞をー。まー、やるべきことはー、やるよー

…………あー、あたしはー、ESP特化のー、超能力使いだからー、猟兵やー、オブリビオンならともかくー、普通の兵士のー、心を読んでー、やる気をー、出させるのはー、かんたーん
…………新兵がー、危ないのはー、精神状態ー、だからねー、その辺りのー、ケアをー、しつつー
…………後はー、イーリスとかがー、入り込みやすいよーに、お手伝いー、するかー



●新兵たちの不安
「……デュちゃん、デュちゃん。起きてください」
「…………すー…………すー…………」
「デュちゃん! お仕事中ですよぉ」
「んー…………」
 イーリス・ヴァイデンフェラーは腰に手を当てて、呆れた顔で嘆息した。
 とうのデュ・エルオビーオはというと、寝ぼけ眼をのんびりこすっている。
「…………あー、ごめんー、ついー、寝ちゃってたー」
「それはいまに始まったことじゃないから、まあいいですけどぉ。
 あたしはよくても、相手の方は待ってくれないんですよねぇ……こっちですよ」
 ぼんやりした様子のデュの手を引いて、イーリスはアジトの廊下を歩く。
 やがて到着したのは、猟兵たちのメンテナンスで作られた急ごしらえの"救護室"だ。
 実際のところ、新兵らのカウンセリングのために使われているのだが。
「…………あー」
 デュは眼鏡を掛け直し、面倒そうな、呆れたような、そういう声を漏らした。
 白衣姿の衛生兵になだめられている兵士がひとり。頭を抱えて震えている。
「今朝方急に暴れだしたそうなんですよぉ、デュちゃんなら原因、わかりますよね」
「…………んー」
 デュはこめかみに手を当てて、読心能力を震える兵士に集中させた。
 パニック症状を起こしている患者の精神は、まるで夢のようにちぐはぐだ。
 より深く潜行するには、コツがいる……そして、危険性も高い。
「…………うんー、わかったー。その人ー、友達をー、亡くしたー、みたいー」
「……なるほどぉ」
 おおかた、訓練中に戦友の死に様がフラッシュバックしてしまったのだろう。
 イーリスはデュに感謝を告げ、いまだ震える兵士の前にしゃがみこんだ。
「気持ちはわかりますよぉ、いよいよ戦いの実感も高まってきてますもんねぇ。
 ……まずは、ゆっくり落ち着いて話してみてはどうですかぁ? お友達のことを」
 衛生兵は困惑している……同じ兵士でも、知らない過去はあるものだ。
 つまりそれだけ、震える兵士にとっては思い出しがたい記憶だったのだろう。
「……あいつは、俺より早く兵士になったんです……もう、3年も前の話だ……。
 俺は戦うのが嫌で、カレッジに進んだんですよ。でもあいつは士官学校に……」
 兵士は震えながら語る。青春をともに過ごした幼馴染の思い出を。
 平穏を求めた彼とは対極的に、幼馴染は国を守るために最短ルートを選んだのだ。
 そして国境線沿いの警備に駆り出された。平和なありふれた任務のはずだった。
「でも、あいつが配属された初日に、敵国が何十年ぶりかに戦闘を起こして……!」
「…………そうですかぁ」
 イーリスはデュを一瞥した。デュは、兵士の言葉が真実であることを首肯で示す。
「でもあなたは、同じ兵士としての道を選んだんですよねぇ?
 それはもしかして、あなたの幼馴染さんに報いるためではないんですか?」
「……そうだよ。あいつみたいに、俺も何かがしたかったんだ。
 でもこの国は、何もかも変わっちまった。俺は自分の中の正義に従ったからここにいる。だけど、いざ実感が強まってきたら、あいつの死に顔を思い出して……!」
「……あたしたちも、蜂起は援護しますから。あなたたちは、死なせませんよ」
 イーリスは震える兵士の肩に手を置き、出来るだけ優しい声音で言った。
「あなたの戦友さんたちも、誰も死なないようにするために来たんですよぉ。
 だからあなたは、その幼馴染さんのためにも、大事な故郷を守ってください」
「…………」
 徐々に兵士の震えが落ち着いていく。イーリスは衛生兵に目配せした。
 衛生兵がうなずくと、ふたりはあとを彼に任せて部屋をあとにする。

「……起こしちゃってごめんなさいねぇ。話もまともに聞けなかったのでぇ」
「…………いーよー。こーゆーの、起きるとー、思ったからー、来たんだしー」
 デュは欠伸をした。
「…………ほんとはー、クーデターとかー、絶対ー、嫌なんだけどにゃー」
「あたしだって、あんな慣れない台詞を吐くのは嫌ですよぉ」
「…………そーだねー。こーゆー仕事は、あんまりー、いい気分ー、しないにゃー」
「同感です。……でもあの人たちにも、あの人たちの正義がありますからねぇ」
 イーリスは中庭を窓越しに見やる。支給された武器のメンテナンスに勤しむ兵士たち。
 彼らは知らぬ。戦場の凄惨さ、生命を奪い合うということの本質を知らぬ。
 イーリスは自嘲した。誰も死なせないというなら、そもそも彼らを戦場に出さないようにすればいいだけの話だというのに。
「……とりあえず、次の仕事にかかりましょうかぁ」
「…………んー。イーリスー、考えすぎないー、ようにー」
「あはっ、それは心配ご無用ですよぉ。あたし、ドライな性格なのでぇ」
 デュはレンズ越しに薄目を開けて、同じ生徒会の仲間を見やった。
 イーリスはいつも通りの笑顔だった。……少なくとも、表向きは。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

儚・ソラ
※アドリブ歓迎
戦力的にはこちらが不利……なら少しでも利を得るために敵へ侵入して情報を集めましょう。
正面からの戦闘を任せる以上、僕もできることを精一杯やらないと。

決行は深夜。
ステルスシステムを展開し、闇夜に紛れて警備網を突破です。
ソムニウムの装備なら敵のあらゆる目を掻い潜れるでしょう。

ステルスを継続し、潜伏ポジションを確保。
システム・ソムニウムを機動、敵軍の因果律蒐集を開始。
敵の戦力はもちろん、息づかいの1つまであらゆる未来を可能な限り予測します。
予測情報は敵の暗号通信に欺瞞して送信……無事届けばいいのですが。
後は事が起きるまで、このまま調律を、続けましょう。



●夜に紛れて
 ――深夜2時。草木も眠る丑三つ時。
 不眠不休で警備を続ける兵士たちにも、人間である以上体の限界がある。
 どうやら軍部は下っ端をこき使っているとみえ、士気はあまり高くなかった。
「ったく、いつまで見張りなんかしてりゃいいんだよ……」
「ぼやくなよ。例のハト派の動きが怪しいことは朝礼でも言われてたろ」
「所詮軍部を追われた青二才どもの集まりだろ? 警戒する必要あんのかね」
「それで給料もらってんだからしょうがねえ。……ん?」
 見張り塔で退屈しのぎのカードゲームをしていた兵士が、何かに気付いた。
「どうした?」
「いや、いまセンサーに反応があったような……」
「誤作動だろ。ケチって年代物の機械使ってるからな、ここのは」
「……かねぇ? 念のためチェックしてみたが反応はゼロだ」
「やめとけやめとけ。それより、お前の負けだぜ。ストレートだ」
「あ!? マジかよ、イカサマしてんじゃないだろうな……」
 兵士たちはセンサーのことなどすっかり忘れ、テーブルの上に意識を戻した。
 ……実際のところ、正常なのは機械のほうである。
 一機のキャバリアが、夜闇に乗じて警戒網を静かに突破していたのだから。

「……おそらく、戦闘が発生するのはこのあたりですね」
 CSQN-404"ソムニウム"のコクピット、儚・ソラは計器類をチェックしている。
 様々な条件を鑑みた結果、最初に衝突が発生するのはこの付近で間違いない。
 敵もそれは見越した上で、施設の周りに厳重な警備を敷いている。
 ソムニウムはステルス性に優れるが、反面戦闘力に関してはお察し状態だ。
 破壊工作など到底向いていない。ならばソラの目的は何かと言うと……。
「因果律蒐集機構、起動……情報相席、開始」
 ソムニウムが不穏な唸り声をかすかに漏らした。
 ソムニウムに搭載されたArmo404-Z、またの名を"試作型因果調律機構(ソムニウム)"。
 機体と同じ名を関するこのオーバーテクノロジーは、文字通り様々な情報から因果律を導き出し、一種の未来予測を可能とする。
 戦闘において敵がどのように布陣し、どう動き、そしてどう戦うか。
 ディスプレイ上に演算された未来予測結果が3Dフレーム描画されていく。
「これが、戦力の不利を覆す材料になるといいんですが……」
 夜は更けていく。ソラは疲れひとつ見せず、因果律の調律に没頭した。
 不確定な未来を、勝利という二文字に収束させるために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロエ・ミディリィ
【新世界学園】
アドリブ歓迎

新兵の鼓舞に協力させてもらうわ
こういう状況では勝てるという希望が大事
それがどれだけ無根拠であったとしても

「まぁ、楽にしててよ。士気ってのを上げてみようと思うんだけど、私ったら生憎、引き金を引くしか能がなくてね。
引き金を引く。弾が出る。敵に当たる。でも、戦場じゃそれで十分でしょう?」

銃を抜き放ち、曲芸のような射撃を行うわ
跳弾させて的に当ててみせたり、何発も同じ箇所に着弾させてみたり

「キャバリアに乗ってたらもうちょっとましな芸を披露できるんだけど……敵を的にしてね」
「だから、安心して戦えばいいわ」

嘘ついてるみたいで気が引けるわね
後は口の上手いラストくんに任せましょう


ラスト・バレット
【新世界学園】
「俺達の選択肢は3つ、新規戦力の加入、敵の弱体化、既存戦力の底上げ」
新兵達を見回しながら
「ここは、3つ目で行くとしよう」

「二人とも、悪いが子守りを頼む」
クロエの鼓舞を聞いた新兵達の傍に寄り
肩を組みながら似合わない笑顔で新兵を励ましていく

「見ただろう?彼女は俺達、新世界学園委員会連合の仲間で
その中でも副委員長の地位にある」

「そして俺ともう一人。ほら、向こうで食事を配っているあの子も同じ副委員長なんだ」

「他にも沢山の猟兵がついてる、心配ないさ」

「それでもまだ不安なら、一つ妖精の呪いを教えてやろう」
「一緒に飯を食ったんだ、<俺達は家族だ>」
「さぁ、『復唱しろ』」

UCを発動し強化を行う


犬伏・あかり
【新世界学園】
アドリブ歓迎

新兵に接触、ね。了解。

…流石は、ベテラン。すごいね。
(…ラストのあれも、ある意味すごいけど。)
なんて、見てるだけじゃここに居る意味が無いから
私も自分に出来る事、しなくちゃね。

こういうときには、温かいものが良いから。
おむすびとお味噌汁。一緒に食べましょ。補給は大事。
それに、
…背中を押すからには、
あなた達のこと、ちゃんと知らないといけないでしょ。

…家族だなんて、さらっと言うね…。
ちょっと胡散臭いかもしれないけど、大丈夫。味方だから。
やってみて。ちゃんと効くよ、おまじない。



●妖精の祝福
 ――カカカカンッ!
「おお……!」
 空の鍋を叩いたような金属音が連続で響き、次いでターゲットが小さく揺れた。
 兵士たちはどよめく。なにせ銃手は"ターゲットを目視してすらいない"。
 いくつもの障害物が射線はおろか視線すらも遮っているためだ。
 にも関わらず、銃手は――クロエ・ミディリィは、ターゲットを射抜いてみせた。
 先の金属音は、クロエが撃った弾丸が障害物の隙間を跳ねていく音だ。
 もちろん、障害物はほぼ無傷。しかも命中箇所は、ターゲットの頭部である。
「すごいな……たったの一発でど真ん中を、しかも跳弾で撃ち抜くなんて」
「ああ。射撃補正システムもなしの抜き打ちだ、俺らには真似できないよ」
「残念だが少し間違っているな。よく見てみろ」
 新兵ふたりの間に割って入ったのは、ラスト・バレットである。
「"あれが、一発に見えるのは無理もない"がな」
「「……!!」」
 新兵たちは、ラストの言わんとしていることを理解し、戦慄した。
 きぃきぃと揺れるターゲットの真下に転がっている弾丸は、みっつ。
 クロエは、一瞬のうちに三発の弾丸を放ち、すべて同じ穴に通していたのだ!
「ワンホールショット、というやつだな。同級生ながら惚れ惚れする腕前だ」
「……さすがは、ベテラン。すごいね」
 ラストの後ろに立っていた犬伏・あかりも、皮肉抜きの賞賛を口にした。
「それほどでも……まあ、あるんだけど。どう? たいしたものでしょう?」
 クロエがウィンクしてみせると、新兵たちは心からの拍手を送った。
 彼女にとっては朝飯前のこととはいえ、称えられるのは気分がいいものだ。
 クロエはうんうんともったいぶったように頷きつつ、やがて言った。
「でもね、これは序の口。キャバリアに乗ってたらもう少しましな芸が出来る。
 まあその場合、的になるのは敵だから、見ている暇はないかもしれないけど」
 クロエは年頃にそぐわぬ落ち着いた眼差しで、兵士たちを見渡した。
「だから、安心して戦えばいいわ。あなたたちには、私たち新世界学園がついてる。
 私ったらあいにく、引き金を引くしか能がないけど、戦場じゃそれで十分でしょう?」
 兵士たちはすっかり鼓舞され、口々にクロエを称賛したり、これなら安心だと新兵同士で湧いていた。
(……嘘ついてるみたいで、やっぱり気がひけるわね)
 笑顔は絶やさないようにしつつ、クロエは心のなかで嘆息した。
 自分の腕前を謙遜するつもりはない。そこらの敵に敗けるつもりもない。
 ……だが強者がひとりふたりいるだけで片付くほど、戦場は甘くはないのだ。
 この数の新兵をカバーするなど、到底不可能。所詮は気休めである。
(けどまあ、ラストくんに任されてしまったものね――)
 3人の目的。それは、新兵たちの士気を向上させることである。
 そのためにクロエが"芸"を披露するよう、ラストが作戦を立案したのだ。

「見ただろう? 彼女は俺たち、新世界学園委員会連合の仲間だ。
 その中でも副委員長の地位にある……もちろん俺も、そしてあの子も」
 ラストは言葉巧みに新兵たちの視線を集め、あかりを指し示した。
「……あんな一目見てわかるようなすごい芸当は、私には無理だけど」
 あかりは嘆息しつつ、テーブルにひとつひとつ握り飯とスープを並べていく。
「キャバリアに乗ってなくても、こうやってご飯の用意ぐらいは出来るよ。
 お腹、空いてるんじゃない? せっかくだし、みんなで一緒に食べましょう」
「もちろん、是非に! あなたたちのことをもっとよく教えて下さい!」
「まるで士官学校を思い出すなあ。こんな楽しい食事は久方ぶりだ!」
 新兵たちはぱあっと表情を明るくして、ぞろぞろとテーブルに着席した。
 ラストは湧き上がる新兵たちの様子を満足気に見やり、あかりに耳打ちした。
「感謝する。連帯感を強めるのは、やはり食事が最効率だからな」
「……なんていうか、すごいね。普段からこのぐらいしっかりしたら?」
「ふっ、もちろんいつもちゃんとしているとも。食堂は俺のオアシスだ」
「ラーメンのメンはメンマのメンとか言い出す人間が言っても信憑性ゼロよ、ゼロ」
 クロエが後ろからツッコミを入れると、ラストは肩をすくめてみせた。
「まあ、この際俺の食生活の話はいい。とにかくふたりとも、ご苦労だった」
「あんまりいい気分は、しないけどね……」
「何を言う。新兵たちを勇気付けることの何処が悪いと?」
「そういうとこよ……とりあえず私たちも席に着きましょ」
 クロエとあかりは食事に混ざり、兵士たちからの質問攻めに終始した。
 もうすっかり、3人は心強い助っ人として認知されているようだ。
 ラストも咳払いして似合わぬ笑顔を浮かべると、その輪に混ざった。
 クロエとあかりは冷ややかな目を隠しきれなかったが、それは人徳というものだ。

 そして、食事後。
「さてみんな、俺たちは一緒に同じ釜の飯を食い、肩を並べて語り合った。
 俺たちのほかにも、たくさんの猟兵がついている。もう不安はないだろう?」
「そりゃあまあ、心強くはありますが……でも、不安は不安ですよ」
「……そうか。なら、みんなにとっておきのおまじないを教えてやる」
 年頃は同じかひとつふたつ上と思しき兵士に、ラストはにこりと微笑みかけた。
「"俺たちは、家族だ"」
 ……新兵たちは顔を見合わせた。
 いきなりさらっと家族なんて言われて、困惑しないほうが不思議だ。
「あー……ちょっと胡散臭いかもしれないけど、でも大丈夫。味方だから」
 あかりは周りの新兵たちに、そう言って回った。
「やってみて。ちゃんと効くよ、おまじない」
「そうだ。さぁ、復唱しろ。俺たちは、家族だ」
「お……俺たちは、家族……」
「そうだ。俺たちはひとりじゃない。ともに戦う仲間であり、家族だ」
 ラストはじっと兵士たちの目を見つめた。
「勝ちたいなら、生き残りたいなら、そう心に決めて戦い抜くんだ」
「……俺たちは、家族」
「ああ」
「俺たちは、家族だ」
「そうだ」
「俺たちは、家族だ!」
 つぶやきはやがてさざめきになり、さざめきはざわめきから輪唱に変わる。
 俺たちは家族だ。そう唱えるたびに心の底から力が湧き上がってくるようだった。
 ……実際のところ、それは誇張ではなくれっきとした術式なのだが……。
「……これでひとりでも死なせたから、あんまりいい気分はしないわね」
「そうさせないために我々は戦うんだろう。心配ないさ、オールドレディ」
「簡単に言ってくれちゃうわね、もう」
 クロエは嘆息しつつ、複雑な表情で銃をしまった。
 新兵たちの顔は晴れやかだった。それがなおさら彼女の心をざわつかせる。
 ……これから彼らは、あんな顔をして地獄へ突き進むのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

風祭・ヒュウガ
「…………大口叩いてたワリには、ずいぶんひっそりしてやがんだな、今は。」

かつて一戦交えた相手――レイオンを探す。
あん時ゃオブリビオンマシンの影響を強く受けていたらしい。
どんな奴かと興味はあったからな――元々はそれなりの地位にいたんだ、知ってるヤツぁ知ってんだろ。まぁ、すぐに見つかるはずだ

実際に会ってみりゃ……先の一戦でなんだかんだと吐いていた妄言からは想像もつかねぇくらいの。いわゆる"いいヤツ"だったんだから驚きもする。
……なるほどな、マシンに影響を受けるってのはこういうコトかよ。
明日は我が身……どころか、もしかするとおれも既にその影響にあるのかもしれねぇ、なんて思っちまうぜ、嫌でもな。



●再びの邂逅
「…………大口叩いてたワリには、ずいぶんひっそりしてやがるじゃねえか」
「! ……その声は」
 レイオンが振り返ると、少年……風祭・ヒュウガはこきりと首を鳴らした。
「ああ、そうだよ。ついこないだ、てめぇと殺し合いをした野郎さ」
 ヒュウガはことさら皮肉げに片眉を釣り上げ、不敵に笑ってみせた。
 レイオンはその野卑な表情に驚き……ふっと意地の悪い笑みを浮かべる。
「今日は、あの頭の切れる"上司"はいないようだな」
「あ? だからおれはあいつの部下なんかじゃ……チッ、まあそりゃいい」
 売り言葉に買い言葉、皮肉を返されたと気づいたヒュウガは舌打ちした。
「話はおおよそ聞いてるぜ。あの事件の責任はしっかり取らされたみたいだな」
「……ああ。いまの私は、部下どころか軍属ですらない。ただの穀潰しさ」
「へぇ……」
 ヒュウガはじろじろとレイオンの様子を観察した。
 あの戦場で、セラフィムリッパー越しに感じた高慢さと明確な殺意。
 なによりも、"あの男"のようにあらゆるものを見下す超然とした傲慢さ。
 そのどれもが、まるで別人のように消え去っていた――いや、事実そうなのだろう。
 あの時相対したレイオンという男は、同じようでほとんど別人なのだ。
 それが、オブリビオンマシンの狂気がもたらす、災厄なのだろう。
「……なるほどな。マシンに影響を受けるってのはこういうことかよ」
 ヒュウガはひとりごちて、そして言葉を続けた。
「なぁ、あんたよ。もうおれらの目的も、理由も、さんざ聞かされてんだろ?」
「……ああ。私にも戦ってほしいと、すでに何度か説得を受けているよ」
「ならどうして、そんなしょぼくれたツラしてやがる。工廠はあっちだぜ。
 おれがあんたなら、こんなとこで肩を落として景色なんざ見てる暇はねぇな」
「…………」
 レイオンは目線を落とした。ヒュウガでも、彼の感情はある程度読み取れた。
 恐怖……ではない。逡巡、そして罪悪感。己がしでかしたことへの強い自責の念。
 あれはほとんど別人の、狂気が駆り立てた仕方のない蛮行だったというのに、
 レイオンはそれを自らの咎として背負い、ゆえに迷っているのだ。
(絵に描いたような"いいヤツ"、ってとこかね)
 ヒュウガは改めて、オブリビオンマシンのもたらす狂気を実感した。
 だから彼は、消沈するレイオンに対してこう言ったのだ。
「おれもよ、あんたを狂わせたあのマシンと同じような機体に乗ってんだぜ。
 だからもしかすると、今度はおれのほうが、頭がおかしくなっちまうかもな」
「あの獰猛な機体か……なぜ、それとわかっていて乗り続ける?」
「あいつはおれにしか動かせねぇ。そして、おれには戦うための力ってのがある。
 ぶっとばしてぇ連中がいんなら、そりゃぶっ飛ばしに行くのが当然だろ?」
「……強いな、キミは」
 レイオンはまぶしげに目を細めた。
「怖くはないのか」
「……さあな。考えたことすらねえよ」
 ヒュウガは挑むようにレイオンを見返した。
「あんたはどうする。あんたにも、やりてぇことと、ぶっとばしてぇ相手がいる。
 そして、あんたを求めるヤツらもいる。それでもまだ、ぼけっとしてんのかい」
「…………そうだな……」
 レイオンは視線を逸らし、沈みゆく夕日を見やった。
「キミのその蛮勇に倣ってみるのも、ありかもしれないな」
 男たちの間に言葉はなかった。
 ただ、夕焼けが、彼らの影を色濃く伸ばしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御門・白
上の腐敗を憂う真面目な軍人なんでしょうね
そういう兵士は意気軒昂で。未熟者

少し話をしようかと

【落ち着】いてお茶でも振る舞いながら(奉仕)

皆さんがいい兵士になるために必要なこと、わかりますか?
戦闘技術? 軍略の才能?

あれば嬉しいけれど今、必要なことじゃない

必要なのは機を待つ忍耐
新兵の失敗というのは概ねそこから来るものです

この国は武装蜂起が成功してしまった事例がある
皆さんの動き、筒抜けでなくても監視はされている、と考えて動くべきです

あまりに緻密な計画を立ててもどうせ本番ではうまくいかない
なら、あれもこれもと欲張るよりも敵に尻尾を掴ませないことが大事

時を待つ
破軍星の加護があるでしょう(占星術)



●破軍星の加護
 新兵たちは猟兵らを受け入れ、着々と戦闘の準備を進めていた。
 しかし意気軒昂とて、彼らは所詮実戦経験に乏しいまっさらな若者たちだ。
 御門・白のような、新世界学園の経験豊富な生徒とはわけが違う。
 十分な訓練を積むには、時間も、物資も、人員も、何もかも足りていない。
 ほとんど死ににいくようなものだ。それでも彼らは戦うことを選んだ。
 ……白は知っている。その勇気の強さと、危うさを。

「皆さんがいい兵士になるために必要なこと、わかりますか」
 訓練中の兵士たちのもとへ、お茶を手にやってきた白は、ふと口を開いた。
 休憩時間を堪能していた兵士たちは、突然の質問に顔を見合わせる。
「ええと……戦闘技術、でしょうか」
「いいえ、違うわ」
「じゃあ……軍略の知識や、才能だとか」
「それも違う」
 白はふるふると首を横に振って、彼らの目をじっと見つめた。
「それらは、あれば嬉しいことはたしか。でも、いま必要なのはそうじゃない」
「……なら一体、我らはどうすれば」
「必要なのは――機を待つ忍耐。つまり、耐え忍ぶ強さです」
 白は静かに言葉を続ける。
「新兵の失敗というのは、焦りや恐怖、あるいは高揚から生まれるもの。
 熱狂はたしかに戦いに役立ちます。死の恐怖も、何もかも忘れられるから。
 ……でも、あなたたちは知っていますよね。それが起こした悲劇を」
「……プラント制圧事件……」
 白はこくりとうなずく。
「この国は、武装蜂起が成功してしまった事例が、もう存在している。
 だからこちらの動きも、ある程度は予測されていると考えて然るべき。
 あまりに緻密な計画を立てても、裏を掻かれて瓦解してしまうかもしれません」
「しかし、我々には皆さんのような腕の立つ方々の助けがあります!」
「……そうですね。でも私たちは、あくまであなたたちを手助けするだけです。
 戦いが終わったあと、この国を未来へと導いていくのはあなたたちの仕事。
 そこまでは、私たちも面倒を見きれない。それを、決して忘れないでください」
 白は言った。
「時を待ち、慎重に行動しましょう。決して、生命を散らしてはいけません。
 破軍星の加護が、あなたたちにあるでしょう――だからどうか、死してでも、なんてことは、考えないで」
 兵士たちは神妙な面持ちになり、たしかに白の言葉を心に留めた。
 時の運は、きっと彼らに味方してくれることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
気付かせず侵食する類のものは面倒だな

レイオンを追跡

占拠事件以降の軍に関する国の動きの資料を探り、そこを起点に
障害となり得る要素ならば動向を調べている可能性は高い筈
本人含む件の騒動で軍を離れた元軍人達の所在を探り、最近の動きから「既に動き出しているか」を推測
動いていそうなら中心であろうレイオンの居場所を推測し接触を図る
容易ではなかろうが永劫にて押し通す
『超克』にて供給すれば魔力は無問題

そうでなくば訪問し、行方を知らないか質問

調査中は『絶理』『無現』にて視覚聴覚含む自身の情報を周囲に伝播させず行動
手掛かりがなければ『天光』で情報を走査しれイオンの元へ

何れにせよ接触できたら協力を請う

※アドリブ歓迎



●集う希望
「これを見ろ」
 アルトリウス・セレスタイトは、レイオンに蒼い光の球体を差し出した。
 それは電脳魔術が生み出すAR映像めいて、遠い場所の風景を映し出す。
「! これは……」
「お前が捜索していた、お前の元部下のいま現在の映像だ」
 アルトリウスの原理魔術によって洗い出された情報が、リアルタイムに光の中に投影されているらしい。
 しかもそれは、狂気に陥ったかつてのレイオンが捨て石に利用した結果、行方知れずになった部下だった。
「……生きていてくれたのか。いや、あなたたちがパイロットを殺すようなことはしないと思っていたが」
「そうだ。そして奴は、奴なりに状況を把握して、打開のために動いているということだ」
 映像の中の元兵士は、怪我も治っていない身でありながら、様々なコネクションにコンタクトを採っているようだった。
 こと戦いとなれば、兵器にせよ兵糧にせよ、あらゆる物資が必要となる。
 いまですら何もかもが足りない状況だ……そして、最大の兵器。
 それはまさしく、キャバリア。元兵士は、それを手に入れようとしているのだ。
「…………」
 レイオンは安堵と後悔、そして自責の念が入り混じった表情を浮かべた。
 アルトリウスは無表情のまま、そんなレイオンの顔をじっと見つめる。
「お前が、自分のしでかしたことに罪悪感を覚えるのは当然のことだろう。
 俺は口が上手くないのでな、他の者のようにお前を労ることは出来ん」
「……ああ。必要な言葉は、もう受け取っているさ。あとは私次第だ」
「それが分かっているならば、もはや俺が言うことはないな」
 蒼い光はレイオンの手のひらの上で、元兵士の連絡アドレスを記したメモに変わった。
「行くがいい。お前が直接言葉をかけてやれば、奴も奮起するだろう」
「……感謝する。この恩は、戦いで報いよう」
 レイオンは頭を下げ、駆け出した。
 アルトリウスは、無表情のまま彼の背中を見送る。
 蒼い燐光を浮かべた双眸に揺らめくのは、憧憬、あるいは――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玉響・飛桜
ふむ……まずは反抗勢力を見つけ出して尻を叩きにいかねばならぬと。聞き込み調査なりなんなりで、そのレイオン・リングスや元兵士を見つけねばでござるな。
……元兵士がよくいる場所と云えば!そう!酒場!つまり調査費用で飯が頼めるでござる!(※申告内容に寄ります。また、ただのがきんちょが酒場に入れない可能性は考慮しないものとする。)
後は酒場でレイオン・リングスなり武装勢力なりの悪口言ったり現軍部の悪口言ったりして近寄ってくる奴らを芋づる式にして見つけ出すでござる!
あ、拙者生身だとそう強い訳でも無いので鉄火場になりそうならユベコで偽キャバリア作って乗って暴れて逃げるでござる!
※アドリブ歓迎



●酒場の一騒動
「あそこだ! ふてえガキめ!」
「ああもう、次から次へと鬱陶しいでござるなー!」
 スラム街の路地裏を、少年とうだつのあがらぬ男どもが追いかけっこしていた。
 少年……玉響・飛桜は、まるで忍者のように軽やかに路地を立体的に逃げ回る。
 男どもも体格はよく、そこそこには鍛えているようなのだが……。
「くそっ、なんだあのガキ!? 素早すぎるぞ!」
「回り込もうにも、うまいこと路地を選びやがる! 鼠かなんかかよ!」
「むむ! 拙者を鼠扱いとは失敬でござるな、拙者はニンジャ……のおっ!?」
 BLAMN!! 言い返そうとした飛桜の頬を銃弾がかすめ、後ろのパイプ管を貫いた。
「じゅ、銃とは卑怯でござる! こんな子ども相手に情けないでござるよ!」
「ガキが小賢しいこと言ってんじゃねえ!!」
 男たちは次々に銃を取り出し、容赦なく引き金を引いた!

 ……さて、何故こんなことになったのかをまず説明しよう。
 飛桜は元兵士たちを探すため、スラム街にある酒場に向かった。
 猟兵は、見た目で違和感を与えることがない……とはいえ、ここは彼の故郷。
 そして12歳の子どもが、酒場に入れるわけもなかった。
 門前払いを喰らった飛桜。そこで彼は、こんなようなことを言ったのだ。
「あーあ! シケた店でござるなー、それもこれも軍部が好き勝手してるからでござる! おかげで拙者のような子どもが遊ぶにも一苦労でござるよー!」
 ……わざとらしく、そしてこれでもかとばかりの大声であった。
 普通の店であれば、客や店員はむしろ苦笑して同意を誤魔化しただろう。
 なにせ飛桜の言っていることは確かで、誰もが軍部の独断専行に迷惑している。
 そう、普通の店ならば――ただしここは、傭兵御用達の酒場だった。
 しかもたむろしていたのは、ノイマンに金で雇われた傭兵どもだったのだ!

 そして、現在。
「こうなったら、トランペッターを呼び出すしかないでござるな……!」
 飛桜としても、こんな路地裏でユーベルコードは使いたくなかった。
 しかし身軽な飛桜といえど、生身であんな連中を相手にできるほど強くはない。
 もはや背に腹はかえられぬか。飛桜は術式を使おうと印を結ぶが――。
「なんだてめ……ぶげぇっ!?」
「こ、こいつら……ぐえっ!?」
「お?」
 なにやら男どものうめき声、そして格闘する物音と人が倒れる音。
 飛桜は恐る恐る路地の向こうを覗き込むと、男どもは完全にKOされていた。
 そして傭兵どもをノックアウトしたのは、これまた浮浪者じみた男たちだ。
 しかし見るものが見れば、彼らは鍛え上げられた元軍人とわかるだろう。
「まったく、こんな騒がしいんじゃ怪しい者ですと叫んでるようなもんだ」
「誰も逆らわないと思ってるんだろ。ノイマンの犬どもめ」
「ああ、君。大丈夫かい? 助けは要らなかったかもしれないが……」
「……ひょっとして、例の事件で軍を追われた方々でござるか!?」
 飛桜の言葉に、浮浪者じみた男たちは顔を見合わせ、苦笑した。
「まあ、そういうことになるな。君の声は俺らのねぐらまで聞こえてきたよ」
「その様子からすると、俺らを探してるんだろう?」
「いかにもその通りでござる。いやーこれは瓢箪から駒でござるなー!」
 どうやら元兵士たちが騒ぎを聞きつけ、ここに駆けつけてくれたらしい。
 飛桜は敵兵を取り除きつつ、目的の兵士たちも見つけ出せた、というわけだ。
「しかし腹が減ったでござる、拙者のご飯……」
「それなら、いい店がある。……金があるなら、だが」
「おお、かたじけない! お金は経費で落とせるから大丈夫でござるよ!」
 飛桜はニコニコと現金な笑顔を浮かべて、あっけらかんと言った。
 調査費用と言い張って食費を申請した飛桜が、学園の経理部からこっぴどく叱られるのは、また別の話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

牙・虎鉄
(目を瞑ったまま歩く。視覚を封じようと気配で何が何処にあるかはわかる。【索敵×野生の勘】)

《――またそうして目を閉ざすのか 未熟者め》

――煩い、黙れ"シャンユエ"。

《……まぁ良い 今は敵もおらぬ。儂は戦が始まるまで影の中で寛いでおる あとはお前が好きにやれ小僧》

……言われずともそうする。
"叢"を借りるぞ。

(影を踏んでは"叢"の中の異空間に潜り、近くの別の影の在処へ移動。
壁などの遮蔽物を無視しつつ屋内や、地下なども探れる。
隠し部屋などはあるだろうか?

……敵護衛兵でもいれば尚良い。
腕が鈍っていた所だ。
攻撃してくる様なら適度に去なし寸頸の一つでも見舞ってやる。
【見切り×受け流し×グラップル】)



●荒野を征く
「…………」
 ざり、ざり、ざり、ざり……。
 キャバリアの残骸が野ざらしになった荒野を、ひとりの少年が征く。
 相貌は若さをたたえているが、背丈と体つきは成人男性にも引けを取らない。
 引き締まった体躯は、まるで磨き上げられた宝石のように完璧であった。
 ただならぬ武の気配を纏った少年――それが、牙・虎鉄という男だった。
「おい、そこのお前! 止まれ!」
 ざり、ざり、ざり、ざり……ざす。
 虎鉄に銃口を向けた兵士たちが、10名。あっという間に彼を取り囲む。
「ここは一般人立入禁止エリアだ。ここで何をしている?」
「…………」
「おい、聞いているのか? このまま反逆罪で逮捕しても――」
「……煩い」
「は?」
 虎鉄がぽつりと呟いたその瞬間、彼の姿がまるで幻のように消えていた。
 兵士は完全に虎鉄を包囲していた。にもかかわらず忽然と姿を消したのだ!
「なんだ、消え――」
「お、おい! 後ろだ!」
「え!?」
 振り返ろうとした兵士は、腹部に強烈な衝撃を受けてふわりと跳んだ。
 地面と平行に吹っ飛び、そのまま対面に居た兵士を巻き込んで地面に転がる。
「な……!?」
「黙れ、"シャンユエ"」
 虎鉄は兵士たちではない、別の何かにたいして言っているようだった。
 そもそも彼は目を開けていない。そしていましがたの衝撃は、拳によるもの。
 密着した拳から気を流し込む絶招――すなわち、寸勁である。
「こ、こいつ! 何者だ!?」
 兵士たちは引き金を引いた。だが、虎鉄はまたしても姿を消した。
 現れたのは、背後だ。ひとつ、ふたつ、みっつ――打撃音とともに兵士が跳ぶ。
 ものの5秒もかからぬうちに、兵士どもは無様に地面に転がり気絶していた。

《……なんとも暇なものよな、小僧。戯れで気は紛れたか?》
「…………黙れ」
 虎鉄の脳裏に響く声……"シャンユエ"は、ぐるぐると喉を鳴らし、哂った。
《そのような雑魚をいくら斃そうと、なんら足しにはなるまい》
「腕が鈍っていたところだ。肩慣らしにはちょうどいい」
《くだらぬ。わざわざ"叢"を借りねば、このような雑魚も倒せぬ未熟者がよ》
「小言はいい」
《ふん……まぁいい。いまは"敵"は居らぬ。儂は影の中で寛いでおるぞ》
「好きにしろ。俺もそうする」
 長く伸びる影法師がゆらめき、濃くなっていた色がわずかに色あせた。
 声の主は、虎鉄の影にヤドリし"魔神拳機"なのである。
 虎鉄は彼方を見やる――兵士たちが守っていた軍事施設がそこにあった。
「この程度では準備運動にもならん。もうしばらく、暴れるとするか」
 虎鉄の姿が再び影へと消えた。
 施設に配備されていた兵士のことごとくが、たったひとりの生身の人間に制圧されるまで、10分もかからなかったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『MCK04N-パラティヌス』

POW   :    RXキャバリアソード/EPキャバリアシールド
自身の【補助CPUを停止、搭乗者への制御負担】を代償に、【力量に応じ近接戦闘力を向上した状態の機体】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【砲火を潜り抜ける運動性と近接武装】で戦う。
SPD   :    RBXSランスライフル
レベル分の1秒で【近接突撃/射撃モードに切り替え】【ビーム】を発射できる。
WIZ   :    EPオプションバックユニットスラスター
【作戦に応じた追加兵装(通常はミサイル)】を向けた対象に、【射撃攻撃を行った後、追撃の突撃】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:イプシロン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●戦端
「……我々は、一度は間違えた。本来なら償いようのない大きな過ちを犯した」
 クーデター軍のアジトにて、レイオン・リングスは言った。
「だが運命は、我々に雪辱を晴らし、罪を贖う千載一遇の機会をもたらした。
 ……それは、我々と違い、正しい形でこの国をよくしようとする者たちと……」
 レイオンは猟兵たちを一瞥し、頷いた。
「……我々に手を差し伸べてくれた、彼らがいたからこそだ」
 そしてレイオンは、並び立つ元兵士――つまり自分の元部下たちを見渡す。
 狂気に侵されたレイオンは、彼らを道具のように使い捨て石にすらした。
 けれども彼らはみな、もう一度レイオンのもとで戦うことを選んだのである。
 もはや国土を守る軍人ではなくとも、確固たる信念と正義が彼らの中にはあった。
 この国の窮状を見過ごしてはならぬという、青臭い信念が。
「これは命がけの戦いだ。だが我々は、決して死に場所を求めてはならない。
 我々の期待に応えてくれた若き兵士たちのためにも、彼らのためにも……」
 レイオンは拳を握りしめた。
「今度こそ、この国の未来のために戦おう。――ともに、私も征くぞ!」
 元兵士たち、そして新兵たちが、銃を掲げて歓声を上げた。
 レイオンは彼らの様子を見渡してうなずくと、猟兵たちに言った。
「おかげで我々は……そして新兵諸君も、少しはマシな戦いができそうだ。
 彼らを代表して、約束する。我々は誰も、自己満足に生命を投げ出したりはしないと」
 レイオンの眼差しは、狂気に濁らぬまっすぐとしたものだった。
「どうかあなたたちの力を、もうしばらく貸してくれ。この国のために」
 そしてついに――戦いの時がやってきたのである。

 某日早朝、ケンドリックス共和国セントラルエリアにて。
「ほ、報告します!」
 慌てて駆け込んできた通信兵が、ノイマンの睨みに慄きつつ、敬礼した。
「さ、さきほど、我が軍の第7基地が、武装勢力による襲撃を受けました!
 賊の目的は、元帥閣下を捕縛し、政権を奪取するつもりだと思われます!」
「ようやく動いたか」
「……は?」
「こちらの話だ。……全部隊に通達、あらゆる戦力を集中させて敵を撃滅せよ」
「あ……あらゆる戦力、でありますか。基地に駐屯している部隊だけでなく」
「そうだ。国境線に展開している部隊もすべて呼び戻せ。私の遊撃部隊も出す。
 まずは敵を基地から誘い出せ。市街地に誘い込めば連中も身動きはとれまい」
「か、閣下! お言葉ですが、市街戦を進んで行うなどありえな……」
「……私に意見するつもりかね? 一兵卒に過ぎない君が?」
「……!!」
 ノイマンの凝視を受け、通信兵は震え上がった。
 ぎらつく双眸の奥底に宿る狂気が、通信兵を萎縮させたのだ。
「君は命令を遂行したまえ。……以上だ」
「……は、はっ!」
 通信兵は青ざめた顔で敬礼し、脱兎のように部屋を飛び出す。
 ノイマンはつまらないものを見るような顔でそれを見送ると、受話器を取った。
「私だ。……ああ、そうだ。傭兵諸君に連絡したまえ。全兵力を出撃させる。
 そうさな、多少は市街地で破壊活動でもしてもらっても構うまい。
 最終的に、連中がしでかしたことにすれば、むしろこちらの利になるだろう」
 なんたることか。国土を守るべき軍人が、市街地を焼くとまで言うとは!
 もしもレイオンや新兵たちだけでは、誘導作戦に引っかかり、市街地を舞台に破壊活動を行った悪逆な反逆者として、汚名を着せられていただろう。
 しかし猟兵たちは、これまでの情報収集と裏工作により、敵の動きを察知し先んじることが出来る。
 展開されたキャバリア他の勢力を叩くだけではなく、
 市街地に潜伏したノイマンの私兵を排除することも可能なのだ。
 敵は、オブリビオンマシンに囚われた狂人ではない。
 しかしそのほとんどが、ノイマンが軍部の金を横領して雇った悪辣な傭兵どもである。
 敵の主力キャバリアは、傑作量産機『MCK04N-パラティヌス』。
 その他にも砲撃用の機体をはじめとして、多彩な機体が部隊を構成している。
 対するこちらの兵力は、ほとんどが歩兵だ。キャバリアはごく少数。
 猟兵の手助けがなければ、人的な消耗は避けられないだろう。

 この国が戦火に呑まれる前に、被害を最小限に抑えて敵陣を突破せよ。
 ノイマンを倒さぬ限り、この戦いに終わりはない!

●プレイングする際のちょっとした特殊ルール
 本章では、ケンドリックス共和国のあちこちを舞台に大規模な戦闘が始まります。
 最終目標は『ノイマンが居る中央基地に攻め込む』ことですが、
 以下のような選択肢も採れます。

 A:『市街地に潜伏したゲリラ兵力を取り除く(生身での戦闘を推奨)』
 B:『クーデター軍を援護し、消耗を最小限に抑える(キャバリア推奨)』
 C:『敵基地内や前線の内部に潜入し、裏工作で撹乱する(生身を推奨)』
 D:『最前線で防衛網を叩き、基地中枢への突破口を拓く(キャバリア推奨)』

 と、こんな感じです。
 もちろん他のプランを思いつけば、自由にプレイング出来ます!
 ユーベルコードによっては、複数の戦場を並行して戦うことも出来るでしょう。
 以下のサンプルを使ってプレイングする場合、【戦場:A】とかそんな感じで書いていただければ、それに則って判定を行います。
 誰もクーデター軍を援護しなかったからって死人が出るってこともありません。
(もちろん、呑気していると大変なことになるかもですが……)

●プレイング受付期間
 12/18(金)08:30前後まで。
アルトリウス・セレスタイト
【戦場:A】
では後顧の憂いを絶つ

目標の位置と戦況は『天光』で常時把握
必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給

絢爛を起動
起点は目の前の空気
因果と静止の原理を以て戦域の空間を支配
『天光』で捉えた首魁の私兵のみを対象に静止の原理を行使
何もさせずに停止させる

一応非オブリビオンのようなので生命活動「だけ」は維持できるように調整
何かの巻き添えを食ったら諦めろ

止めたら他の猟兵含む味方へ連絡し位置を共有
その後の捕縛なりは任せる

手が空くようならノイマン側の戦力であるキャバリア他にも効果を拡大
「双方の」被害が軽くなるよう選んで適当に止めていく

※アドリブ歓迎


月凪・ハルマ
【戦場:A】

◆SPD
まずは【瞬身】を使用
この章では以降も発動し続ける

正直かなりキツいけど、ゲリラ兵発見に時間を掛けると
それだけ被害が出る可能性が高くなるからな、がんばろ

次に【迷彩】で姿を隠し、【忍び足】で戦場を移動しながら
ゲリラ兵を捜索(【失せ物探し】)する

市民への過剰な威嚇や攻撃をしていたり、あるいは
市街地にのみ被害が及ぶような破壊工作をしてたりするか?
いずれにせよ、発見するために必要な情報を得ることは
難しくはない筈だ

発見次第、【目立たない】様に接近して
旋棍の一撃で気絶させた後、捕縛

……この戦いが終わったら、今回の件について
しかるべき場所できっちり証言してもらうからな

※アドリブ・連携歓迎


ミレア・ソリティス
【戦場:A、可能なら+B】

広域大規模戦闘ならば……UC【コール・レギオン:α】を発令します。

指揮官機として「通常型ミレア」8機を転送、僚機として「簡易型ミレア」410機を生成し、全機のデータ中継に専念する為交戦できない「私」を後方に残し、幾つかの部隊に分割し支援に向かわせます

各部隊は指揮機を中心に集団で行動、対ゲリラならば閃光属性ランチャーでの目潰しで無力化を、対機械戦力ならば電磁属性のランチャーでの一斉攻撃を軸に戦闘。援護・支援射撃も積極的に行います。
加え同行する友軍に対し積極的に《かばい》、被害を抑えます。

また、必要ならば伝令役として使って下さっても構いません。

※アドリブ他歓迎です。


儚・ソラ
※アドリブ歓迎
【戦場:A】
取りうる敵の行動は……市街地戦!?
それじゃあ被害がどれだけ出るかわかったものじゃない。
それに彼が正気に戻った時、きっと耐えられない……何としてでも止めないと。
稼働し続けだけど、少し僕の負荷を上げるよ。ソムニウム。

こちらリベリー21、リベリー21。解析した敵兵の行動パターンへの対応を送ります。
2ブロック直進、13秒後に角から敵兵が現れます。
その部屋の人質はフェイク、全員敵兵です。
窓から花瓶を落としてください。
数が多い……でも、まだやれます。
(細かい計算に頭痛を感じつつも、使命感から支援を続けます)



●激動たる市街地戦
 クーデター軍の進撃に乗じ、あろうことか市街地でゲリラ的な白色テロを行う。
 まさしく狂気の作戦……まともな精神の持ち主では逆に見抜けない蛮行だ。
 だが、猟兵のなかには、因果律レベルで未来を予知し、演算する者も居る。
「取りうる敵の行動は――……市街地戦!?」
 敵の懐に潜伏し、ひたすら演算を続けていた儚・ソラが、そのひとりである。
 彼のような優れた斥候役が居なくば、この動きは見抜けなかっただろう。
「……こちらリベリー21、リベリー21。解析した敵兵の行動パターンを送ります。
 市街地付近に居る猟兵は、この対応データを使って、敵を排除してください!」
 ソラは敵の暗号回線に相乗りする形で、友軍にデータを送り込んだ。
 敵が何を考え、選択し、どう動き――そして、どう対応すればいいか。
 それは、邪智暴虐なるノイマンの作戦を打破する、銀の弾丸である!

『……こちらミレア・ソリティス。データの受信と解析を完了しました。
 リベリー21、あなたの尽力に敬意を表します。ナビゲート、中継開始』
 最初にデータを受け取ったのは、ウォーマシンのミレアだった。
 同型機とリアルタイムのデータ同期を行い、一糸乱れぬ統率を可能とするミレアが市街地に残っていたことは、猟兵にとっての僥倖である。
『コード・レギオン:α、発令。全機、市街地に散開し友軍の援護を』
 データ中継に専念するミレア本体から、合計418機の"ミレア"へ指令が下る。
 全8部隊、合わせて42機編成。まさしくユーベルコードが起こす奇跡の軍勢だ!
『こちらα部隊、市街地C-3ブロックにて敵兵を発見。交戦に入ります』
『Ε部隊は市民の避難誘導と建物の保護を最優先に行動します。移動開始』
『デルタから各部隊へ。敵は大型ロケット砲および榴弾砲を装備している模様』
 コンマ秒単位で報告と指示が飛び交い、状況が間断なく変化していく。
 ケンドリックス共和国は小国家とはいえ、れっきとしたひとつの『国』である。
 一切の被害を抑え敵を打破するには、一秒の遅れとて許されない。
「……民間人を犠牲にしてまでも、支配を盤石にしようとするか。度し難いな」
 あちこちで爆音と銃声、そして市民の悲鳴が響き渡るビル群を飛翔する影。
 アルトリウス・セレスタイトもまた、ミレアが中継したデータを受け取っていた。
 アルトリウスの得意とする原理魔術は、広域の戦況把握を可能とする。
 彼の目には、まるでARマップめいて敵の位置がたしかに見えていたのだ。
 ミレア部隊と交戦した敵兵を、"絢爛"の術式により空間ごと支配、静止させる。
 放たれた銃弾は空中で不可思議に停止し、敵兵は身動きも出来なくなってしまう。
「生命活動は維持出来るように手加減してある。捕縛は任せるぞ」
『了解しました。援護が必要であれば、私の部隊を回します』
「問題ない。自衛は心得ている」
 アルトリウスは魔術によりミレア本体との通信を続けながら、都市を駆ける。
 市民の避難したビルを爆破しようとする敵兵がいれば、これを停止させ、
 追撃してくる連中をミレア部隊が挟撃できるよう、連携して袋小路に誘う。
《2ブロック直進、13秒後に角から敵兵が現れます。警戒を!》
「わかった。こちらで対処しよう」
 ミレアを介したソラの通信が、アルトリウスの遊撃戦をうまく手助けした。
 不意打ちを狙った敵小隊は、ロケット砲を構えたままぴたりと停止してしまう。
「な、なんだ? 動けねえっ!」
「殺しはせん。お前たちを裁くべきは、この国の民と法だ」
 アルトリウスは、ミレア部隊に拘束される敵兵を冷たく一瞥した。
 連中はオブリビオンではない……だが、金や権力に目が眩んだゲスどもである。
 アルトリウスは正義漢ではないし、青臭い理想に燃えるタチでもない。
 だがそう簡単に息の根を止めてやるほど、慈悲深くもなかった。
 連中には、相応の裁きがあるべきだ。そしてそれは、この国の問題である。

 一方、別ブロックを影から影へと隠密疾走するのは、月凪・ハルマだ。
(味方の通信のおかげで、敵が何処に居るのか手にとるようにわかる。有難いな)
 捜索の手間が省けたぶん、ハルマはより身軽に行動できていた。
 アルトリウスや他のミレア部隊と別行動を取っているのもそのためだ。
 この戦いは、機動力が重要だ。その点、ハルマの"瞬身"はうってつけと言えた。
 ユーベルコードの力により、ハルマは残像すら生み出す速度で街を駆ける。
 ゲリラ兵が設置した罠があれば一瞬で解除し、囚われた市民を即座に救助する。
 敵は、ハルマが近づいたことも、存在すらも感知できないまま倒れていく。
 それでも、一秒一秒がもどかしくて仕方ない。響き渡る阿鼻叫喚が彼を急かす。
「た、助けて! 誰か……っ!」
(……!)
 その時、悲痛な叫び声がハルマの足を止めさせた。
 市民が人質に囚われているのか? 声がしたのはあの高層ビルの中からだ!
《――そのビルの人質はフェイクです。中には敵兵が待機しています!》
 もしもソラがデータ解析による予測を立てていなかったならば、
 ハルマは敵の術中にハマり、窮地に陥っていたかもしれない。
 生き延びたとしても、敵兵の対処に手間取り余計なタイムロスをしていただろう。
「……ありがとう。まったく、えげつない手を使う連中だ」
 警告を受けた瞬間、ハルマは旋風のような速度で裏口に回っていた。
 開けられた窓から軟体動物めいて室内に滑り込み、敵兵を強襲する!
「な、何!? 後ろからだと……!?」
「見破られないと思ってたなら、甘すぎる。報いを受けてもらうぞ!」
 ハルマは怒りのままに旋棍を振るい、わずか3秒で敵兵を完全に無力化した。
 ビル正面口には対人地雷が複数。なんとも姑息な手を使う連中だ。
「こちらA-5ブロック、敵を倒した。捕縛は任せるよ」
『β部隊を向かわせます。付近の敵兵にも注意してください』
 ミレアからの応答を聞き、ハルマは頷くと、悶え苦しむ敵兵を見下ろす。
「……この戦いが終わったら、今回の件について洗いざらい喋ってもらうからな」
 ハルマの刃のように鋭い眼光を浴びて、敵兵は震え上がり、意識を手放した。
 あとはミレア部隊に任せればいいだろう。ハルマは地雷を解除しビルを脱出。
 市街地外縁では、立て続けの爆音とバーニアの噴射音が響いている。
 クーデター軍と敵防衛戦力が、いよいよ会敵したのだろう。
 本音を言えば、あちらの支援にも回りたい。だが、今は。
『あちらの戦場もリアルタイムで支援を続けています。ご安心を』
 ミレア本体からの通信が、ハルマの緊張した心をいくらか和らげさせた。
 ならば、己は己の為すべきことを為す。彼はそう決意して、影に沈んだ。

「はぁ、はぁ……」
 実働部隊と同じように、演算を続けるソラも大きく消耗していた。
 因果律調律機構"ソムニウム"は、あくまでソラの計算によって成り立つ機構だ。
 一秒単位で変化する戦況を把握し、演算し、そして最適なデータを弾き出す。
 強化人間であるソラをしても、脳にかかる負荷は無視できない。
 データを中継し支援してくれるミレアがいなければ、どうなっていたか。
「まだまだ敵の数が増えている……でも、まだやれる。ううん、やらなきゃ」
 ソラは痛むこめかみを抑えながら、自らを鼓舞するようにひとりごちた。
 戦いは続く。そしてこれは、まだこの動乱の幕開けでしかない――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

牙・虎鉄
【戦場:D】
(瞑目した侭戦場に赴く。)

《カカ、潜入の方がお前には合っていように!此方でいいのか小僧!!》

莫迦を言え。
唯の人を倒した処で何の修行にもなりはしない。
《カカ よう言うた。
……あれ程度に全身はいらぬよなァ。"叢"は無し 腕と脚は一度に一本でやれ。》

構わん 従ってやる。
征くぞ。

【POW】
普段通りだ
生身で駆け征く。
向こうも近接を仕掛ける気。結構。

そして――愚か也。
【虎影】。
シャンユエの脚を片足に具象、跳躍。
直ぐ様脚を生身に戻し
敵機の膝を足場とし
左腕に機甲装着。

――"破山"一閃。
その機体、撃ち抜かせて貰う。
【グラップル×鎧砕き】

《及第点だ小僧 そら、さっさと次に行け》
煩い
言われずとも征く。



●その影、山さえも砕きて
 キャバリアが入り乱れる戦場に、ただの生身で飛び込む。
 ……などという蛮行は、猟兵でもなければやろうとしない。
 この世界においてもっともありふれた兵器は、もっとも優れた兵器である。
 生命の祝福者にして埒外たる猟兵でもなくば、その摂理は覆し得ない。

 ――とはいえ。
「おい……本気か? あのガキ、生身で来るぞ!」
 牙・虎鉄の足取りは、それを前提としてもなお決断的であった。
 己の五体に、鍛え上げた技に、なによりも巌の如きその精神に。
 すべてに信を置き、絶大なる自信を持たねば、こうまで軽やかには走れまい。
「最近噂の傭兵どもか。構うこたあねえ、叩き潰しちまえ!」
 金に目が眩んだ傭兵どもとはいえ、キャバリア乗りとしての技量は一流だ。
 RXキャバリアソードを構えた敵機は、実際驚くべき速度で大地を駆ける。
 重装型キャバリアの装甲と、軽装型キャバリアの運動性。そして、破壊力。
 技術者が苦悩するこの矛盾を、"パラティヌス"はあるひとつの代償で達成する。
「ぐ、おおおお……!」
 搭乗者への負担である。これを耐えられるだけでも、敵兵はエリートと言えた。
 5メートル。人から見れば三倍近いフォルムは、あまりに巨躯に過ぎる。
 それが猛然たる速度で真正面から来るとなれば、もはや巨人の闊歩の如し。

 されど虎鉄は瞑目したまま、物怖じすらせず、風を肌で感じていた。
《カカ! 潜入のほうがお前には合っていように。此方でいいのか、小僧!》
「莫迦を言え」
 裡なる影の声に、虎鉄は静かに言った。風の中、その声は彼にしか聞こえない。
「唯人を倒したところで、なんの修行にもなりはしない。せいぜい肩慣らしだ」
《――カカ、よう云うた。ふうむ、とはいえ……あれも、所詮は雑魚か》
 虎鉄は何も言わぬ……無言の肯定である。
《あれに"全身"は要らぬよなァ? "叢"は無し。腕と脚は一度に一本のみとせよ》
「構わん、従ってやる」
 師弟とは思えぬやりとり。影は呵呵と愉快げに喉を鳴らすのみ。
 それでよい。虎鉄にとって影――シャンユエは、いずれ打ち倒すべき目標。
 いまは、その力を借りよう。あの、愚昧なる騎士崩れを砕くために。
「もらったァ!!」
 パラティヌスの実体剣が、地面ごと虎鉄を薙ぎ払った――かに、見えた。
 だが敵兵は虫の知らせを感じ、とっさに空を見上げ……そして、唖然とした。
「う、上だとォ!?」
 然り。
 虎鉄は一瞬にして、キャバリアをも見下ろすほどの高度に到達していた。
 何をした。報告にあった、短距離転移能力を使ったとでもいうのか?
 敵兵の脳内でアドレナリンが溢れ、主観時間が極限まで鈍化する。
 抉れた地面……だがそれは、剣で薙いだにしては妙な窪みが生まれていた。
(跳んだ? 生身の脚で?)
 然り、されど否。
 虎鉄は一瞬だけ"影"の脚を具象し、その勢いで高く高く跳んだのだ。
 わずかに一瞬。それでよい。あくまでなすべきは己の力であるべきなのだから。
 パラティヌスの運動性は目を見張るものがある。落ちてくる虎鉄へ二撃目。
「遅い」
 虎鉄は剣を足場に跳躍し、パラティヌスの膝上に無事着地していた。
「"破山"――一閃」
 機甲装着、左腕。虎の影は鋼となりて、虎鉄の肩から先をいびつに覆う。
 呪われたる魔神機の力が、パラティヌスの胴体を貫いた。
 動力部とコクピットの間を、まっすぐに。奇跡的なまでの業前である。

 パラティヌスは真っ二つにへし折れて、衝撃が四肢さえも瓦解させた。
 恐るべきことに、なんの爆発も生じさせず、乗り手には傷ひとつない。
 機体のみを打ち砕く。これぞまさしく、"破山"の一撃であった。
《及第点だ、小僧》
「煩い」
 虎鉄は振り返ることもなく、次へ向かう。
 戦場を駆け抜ける速度たるや、深山に住まいし猛虎の如くであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヨルゲン・エリクソン
【戦場:D】で出撃だ。
本当なら後方で支援でもしたいところだが、ここが突破できなきゃどうしようもないだろうしな。
「要は突破口を切り開ければ良いんだろう? 突撃はするがゴールまで行くんじゃなく、障害物を出来るだけ防衛網から切り離すのも手ってわけだ」
ということで、出来るだけ敵のパラティヌスだったかを、牽制の砲撃で目を引いて、こっちに敵が寄ってくる様に誘導したいところだ。こっちは継戦能力はそこそこあるし、いざとなったらユーベルコードで回避に専念したりもしようじゃないか。
勿論、近接戦闘にでもなれば、キャバリアに持たせた斧が火を吹くぜ!

※他のキャラや新世界学園所属のキャラとの絡みやアレンジ歓迎です


玉響・飛桜
【新世界学園キャラとの絡み歓迎 戦場D】
うーんヨルゲン大先輩…敵さんはそこそこ数居るっぽいでござるなー。
では拙者ちょっと奴らの背後に分身作って挟撃するのでその間守ってほしいでござる!
ではユーベルコード:空蝉の術・多重式により…トランペッター、行進曲(マーチ)演奏開始!
2番機軒猿《イーヴスモンキー》
3番機三ツ者《サードマン》
5番機奪口《マウススティール》
6番機細作《スリムメイク》
この4機を分散して戦わせて戦場をぐちゃぐちゃにするでござるトランペッター!
分身が幾らやられても痛くもないでござる!!いやー愉快爽快。
え、ヨルゲン大先輩?やだー、拙者自身は被弾したくないー!盾にしないでー!
※アドリブ大歓迎



●放送委員どもの騒がしい戦場
 新世界学園の生徒=国民にとって、戦場は学び舎の次に慣れ親しんだ場所だ。
 彼らの目的は恒久的な平和の実現であり、国家間闘争に果敢に介入する。
 "校内"でさえ積極的な模擬戦が推奨されるとなると、いよいよ傭兵顔負けである。
 つまるところ、学園の生徒たちは誰しもが年齢にそぐわぬセンスを持っていた。

 ……というのは、まあさておいて。
「ヨルゲン大先輩! なんで拙者のこと守ってくれないんでござる!?」
「いちいち俺に頼るな! おだてて盾にしようったってそうはいかないぞぉ!」
 こんなやりとりを交わしているふたりは、少々緊張感が欠けているかもしれない。

 ヨルゲン・エリクソンと玉響・飛桜は、同じ放送委員会に属する生徒だ。
 日頃から、飛桜は何かにつけて大先輩、大先輩とヨルゲンについて回っている。
 まあ、それはいい。人間、誰かに敬われると悪い気はしない生き物だ。
 先輩と呼ばれるのは存外にいいものである。そう、それは、いいのだ。
「だいたいだな、玉響! お前さんは毎回毎回俺をいいように使おうとするだろ!
 飯を奢れだの金をよこせだの! それは先輩を敬う態度とは言えないぞ!!」
「まーだ先週の話してるんでござるかこのケチ野郎は!」
「いまケチ野郎っつったな!?」
「は? 大先輩のことをそんな呼び方するわけないでござるよ~勘違いでござる~」
「いま『は?』っつったろだからよ!!」
 ……パラティヌスのビーム砲撃を躱しながら、なにやら言い合うふたり。
 とてもではないが、先輩を敬う後輩とのやりとりには見えない。
 実際のところ、飛桜に敬意とか尊敬とか、そういう態度はまったくなかった。
 なもんで、日頃からヨルゲンは飛桜のことを割とテキトーに扱っている。
 そして、学園の生徒は戦場に慣れ親しんでいる――つまり、これがいつも通りだ。
「くそっ、アイツらさっぱりあたらねえ! どういう機動性をしてやがる!?」
「しかもありゃ『グロービョルン』じゃねえか! 骨董品だぞ!」
「あっちの妙なサイキックキャバリアも、ちょこまかしやがる……!」
 こんなやりとりをしていながら、ふたりの操縦技術はいささかもブレなかった。
 ヨルゲンは型落ち機……もとい、往年の名機に相応しい乗りこなしを発揮し、
 対する飛桜のほうも、"トランペッター"で生身もかくやに大立ち回りを見せる。
「別に拙者、逃げたりしないでござるよ? むしろその逆でござるからして!
 さすがの拙者とトランペッターも、回避しながら術を使うのは難しいでござる!」
「まったく、仕方ないな……とはいえ、突破口を拓くのが任務だからな」
 ヨルゲンはいつも通りの声音で言いつつ、急旋回して敵の前に出た。
 そして右肩部に装備したショルダーキャノン"ガーナード"をぶっ放す!
「反撃してきやがった! 時代遅れのポンコツの分際でぇ!」
「パラティヌスとの性能差を見せてやれ! まずはあいつを叩く!」
「「応!!」」
 敵小隊はヨルゲン機に狙いを定め、巧妙に包囲網を形成していく。
「さっすがヨルゲン大先輩! 大先輩の奮闘は末代まで語り継ぐでござる!」
「勝手に殺すな殺すな。いいか、その代わりきちんと働けよ!」
「もちのろんでござるよー!」
 ヨルゲンはまったく、と嘆息しつつも、ビーム砲撃をたくみに回避する。
 敵は白兵戦に秀でた機体だ。三対一ではさしものヨルゲンも分が悪い。
 しかし攻撃を回避し、斧で牽制するだけなら、むしろ彼の得意分野である。
 いかにグロービョルンが型落ちの機体とはいえ、"朽木裂き"の威力は凶悪だ。
 敵もそれを知っているがゆえに、迂闊には近づけない。一進一退の状況!

「トランペッター、行進曲(マーチ)演奏開始!」
 そしてこの瞬間、飛桜がユーベルコードを発動するだけの隙が生まれた。
 いかにもそれらしい印を組んでみせると、劇画の忍者めいて機体が分身する!
 これぞ、奥の手の一。空蝉の術・多重式(マルチプル)である!
「軒猿(イーヴスモンキー)! 三ツ者(サードマン)!
 奪口(マウススティール)! 細作(スリムメイク)!
 さあ、散っていった大先輩のぶんも、戦場をぐちゃぐちゃにするでござる!」
 勝手に殺すな、という通信越しのヨルゲンの文句はスルーしつつ、
 四体の分身は大殺陣さながらに戦場を縦横無尽に跳び回る。
 ヨルゲン機に釘付けになっていた敵小隊は、いつのまにか完全に包囲されていた!
「なんだと!? あの一瞬でこれだけの数の機体を……!?」
「くそっ、迎撃が間に合わねえ! どっちから倒す!」
「おい待て、狙いをそら――」
 敵兵のひとりが、トランペッターの分身に照準を定めた、その瞬間。
 グロービョルンが一気にバーニアを噴射し、肉薄。"朽木裂き"を叩きつけた!
 KRAAAAAASH!! その名のごとく、パラティヌスの上半身を両断せしめる大斧!
「俺を前にしてよそ見とは、ずいぶん呑気だな!」
「さっすが大先輩! お見事でござる! もひとついいとこ見てみたい!」
「おい玉響! 分身体がやられてもいいからって見物してるんじゃないぞ!」
「あ、ちょ、大先輩? こっちに敵は引き付けないでほしいでござる! あー! あー!!」
 破壊された機体からほうぼうの体で脱出した敵兵は、二機を唖然と見上げた。
 練度とかそういうレベルではない、根本的な違いを痛感せざるを得なかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

開条・セサミ
・心情
さーて、学園のみんなが先に色々動いてるみたいっすね
まぁ、色々と状況が複雑みたいっすが……とにかく、やれるだけやるっすか
それじゃあ……カプセライズ、ヘッドオン!
カプセライザーGP-CC -001 『ドン・キホーテC3』、これより『友軍』の援護に入る!

・戦闘
【戦場:B】で作戦行動を行う
【盾受け】でクーデター軍や味方猟兵への攻撃を受け止めつつ、ユーベルコード『ウェポンズ・トランスポート』で現在の状況に最適な武装を召喚して戦う
頼んだぜ『ジュークボックス』!!!

・その他
アドリブや共闘は大歓迎だ!


九嶺・ユノハ
【戦場:B】
貨物の固定チェックよし。 さて、購買委員会の業務、「物資の補給・調達」を開始しましょう。
わたしが主にするのは、孤立した部隊への武器弾薬と食糧の補給です。
コンテナをウインチで懸下して、陣中に突っ込みます。 そういうのは得意です。
コンテナに傷がつくと困るので、ジャミングかましつつ最速で行きましょう。
幸い、相手はミサイルをたくさん積んでいるようですから、わたしの武器は現地調達(はっきんぐ)できそうです。
窃盗ではありません、相手が手放したものを有効活用しているだけです。


ナイナイナ・スヴェルノスキー
気に入りませんわね。討つべき者を討つ為とはいえ、付け火するような真似をすることになるだなんて
これが我が愛すべき世界のありのままだと言うのなら
おほほ!せめて己の責任は果たして見せましょう


“唯ひとつの王冠” 起動
出陣しますわよ“スラーヴァ”


機動は最低限。高度は高く。
戦場Bの先頭に立ち“王冠”の輝きとわたくしからの広域通信により、友軍からの注目を集めましょう


【君命:奮起せよ我が同胞】

注目!傾聴!
今この場において、我々は一人の人間ではありません
未来に流れる涙を流す大波となって進むのです
理不尽を焼き払う業火となって進むのです

恐れは我々が拭い去りましょう!
夜明けに向けて踏み出しなさい!大いなる一歩を!今!


アイオライト・セプテンバー
【戦場:B】

高速戦闘型キャバリア【ブルーテイル・ダッシュ】で出撃
クーデター軍の援護に回ります

ユーべルコードで強化した【瞬間思考力】で常に戦場を把握
敵機の行動を【見切り】、クーデター軍が劣勢な地点へは機動性を活かして急行
敵機武装や駆動系を狙って、プラズマブレードとライフルで攻撃

ちょっとパフォーマンスじみているけど、【操縦】技量をとことん生かして、可能な限りスマートに戦って、クーデター軍の士気を上げましょう
加速のGがキツくても、神経の疲労が激しくても、どんな時でも涼しい顔で
「大丈夫、私がついてるぞ」ってね

未来を勝ち取るのは彼らの役目
背中を押すのが、ゲストの役目

焚きつけたのだもの、責任は取らないとね



●天高くを仰ぎ見よ
『――注目! 傾聴!!』
 最前線。
 猟兵とクーデター軍の全機体に、突如として割り込んできた広域通信。
「これは――」
 貨物コンテナの固定チェックを行っていた九嶺・ユノハは、彼方を見上げた。
 ファルステロよりもなお高く。己の存在を誇示するように高度を上げた機体。
 ユノハはそれを知っている。あの声の主を、型破りな少女を知っている。
 オブリビオンマシン、“スラーヴァ”。それを駆るのは――。

『いまこの場において、我々はひとりの人間ではありません――』
「なんだなんだ? ずいぶん派手な演説が始まったもんだな!」
 カプセライザーGP-CC-001『ドン・キホーテC3』、あるいは開条・セサミ。
 機体と一体化(ヘッドオン)した彼もまた、頭上を見上げた。
 声が聞こえる。輝く光輪は、まるで天使が戴く神の祝福を思わせた。
 クーデター軍の多くも、半ば困惑した様子でその機体を見上げていた。
 こんな最前線で、悠々と演説をするなど、普通に考えれば正気の沙汰ではない。
「っと、無作法な邪魔者はご退場願うかね……っと!」
 セサミは我に返ると、襲いかかるパラティヌスに自ら真っ向戦いを挑んだ。
 ビーム砲撃をガントレットシールドで弾き、ストレイクグレイヴを投擲。
 投擲と同時に瞬間的なバーニア噴射で一気に間合いを詰め、敵機を蹴り飛ばす。
 地面に突き刺さったグレイヴを軸にぐるりと回転し、パラティヌスを吹き飛ばした!
「学園(うち)のモンが演説中なんだ、どうせならおとなしく聞いてけよ!」
 セサミは孤軍奮闘ではない。丁度いいタイミングでライフル弾が飛来してきた。
 あまりにスピードが早すぎて捉えきれないが、友軍機が援護してくれている。
 敵もどうやら、その友軍機のスピードに翻弄されているようだ。
 乱れた足並みをセサミが叩き、そのすぐ上を青い友軍機が通過していく。
 ERT-D021〝ブルーテイル・ダッシュ〟搭乗者名、アイオライト・セプテンバー。
「もともとパーフォマンスでもするつもりだったけれど、あれは目立ちすぎでしょ……!」
 アイオライトは、演説を続ける"スラーヴァ"の機影を口惜しげに見上げた。
 いつだったか、ちょっとした小言を言われた記憶が脳裏に去来する。
 何が『手綱を握っておけ』だ、本人の言う通り完全に自分に返っているではないか。
 ……ナイナイナ・スヴェルノスキー。それがあの"スラーヴァ"の搭乗者の名だ。
 とてつもなく目立ちたがり屋で、被弾を厭わぬ超・楽天的なお嬢様である。
 敵の目はスラーヴァに向いていた。それがアイオライトやセサミにとっては僥倖であり、おかげで倍くらい忙しくなってもいたのだが。
『我々という存在は、未来に流れる涙を流す大波となって進むのです』
 眼下での級友たちの奮戦を知ってか知らずか、ナイナイナは友軍に語りかける。
『理不尽を焼き払う業火となって、この戦場を平和という未来へ進むのです』
 二対の腕と四つの腕。光輪をいただく異形のオブリビオンマシン。
 その禍々しさと裏腹に、機体から流れるナイナイナの声は朗々としていた。
 彼女は希望を謳う。この戦いがもたらす、明るい未来への希望を。
 彼女は絶望を払う。この戦いがもたらす、死という終幕への恐怖を。
『恐れがありましょう。生命を賭けることは、尊く、けれども大変なこと。
 痛みがありましょう。戦うことは、苦しく、当然のように哀しいこと』
「……ファルステロ、発進。購買委員会の業務を開始します」
 ナイナイナの存在が、敵味方を問わずあらゆる目を惹いていた。
 そこに間隙が生まれ、アイオライトとセサミが縦横無尽に遊撃していく。
 そして、ユノハ――ファルステロもまた、矢のようにまっすぐに突き進んだ。
 ジャミングが敵の目をごまかし、陣中をおもいきり突っ込む。
 追いかけるミサイルは即座にハッキングされ、敵機のほうへ帰っていく。
『ですが! あなたがたは決めたのです! 戦えぬ人々の恐怖を背負うのだと!
 ならばあなたがたの恐れは、我々が拭い去りましょう。そしてともに戦います!』
 ナイナイナの声は熱狂の色を帯びて、通信越しでも肌を震わせた。
 ユノハは自分の意識のなかに、普段なら感じない情動が生まれるのを感じる。
(ユーベルコードを介した演説による、友軍の士気高揚と戦闘力増強――)
『さあ、夜明けに向けて踏み出しなさい! 大いなる一歩を、いま! その足で!
 誰がなんと言おうと、わたくしはハッピーエンドしか認めませんわ!
 ならば我々の手で勝ち取るのです、この国の平和という最高の大団円を!!』
 きっとコクピットで、ナイナイナはぐっと拳を握りしめているのだろう。
 セサミも、アイオライトも、いつになく視界が啓けて意識が軽くなった気がした。
 いわんや、クーデター軍の兵士をや――返ってきたのは怒涛のような鬨の声!
「「「ウオオオオオオ――!!」」」
『素晴らしいですわ! さあ、いまこそ進軍するのです!!』
 かくして光輪いただく王冠の姫のもと、軍勢は一体となって敵陣に突入する!

「……こうまで見事に士気を上げられると、私も退いてられないわね!」
「危なっかしくて仕方ねえけどな! まあ、そこを守るのが俺らの仕事さ!」
 セサミが大地を走り、アイオライトのブルーテイルが頭上を低空飛行する。
 迎え撃つは無数のビーム砲撃、そして矢のごとく吶喊する敵機の群れとミサイル!
「さすがにこの数のミサイルは――って、あら?」
 アイオライトは、明後日の方に飛んでいくミサイルの姿に首を傾げた。
 猛スピードで接近する友軍機の信号をキャッチすると、口元に不敵な笑み。
「なあんだ、ユノハだったのね! 購買委員会は盗みの腕も一人前かしら?」
『nei.窃盗ではありません。相手が手放したものを有効活用しているだけです』
「そうこなくっちゃね!」
 ファルステロはウィンチで懸下してきたコンテナを、部隊のど真ん中に降ろした。
『武器弾薬と食糧を補給しに来ました。これより友軍機の援護に入ります』
「感謝する! 我々の物資はあまりにも心もとないのでな……!」
 快哉たるレイオンの声に続き、クーデター軍の兵士らの歓声が聞こえてきた。
 高揚した精神のせいか、ユノハの口元には笑みらしきものがゆるく浮かぶ。
「油断はしないで、敵増援が来るわ! まずは私が敵の目を惹きつける!」
「Jes.」
「こっちも援護するぜ、白兵戦なら俺のほうが向いてるからな!」
 ブルーテイルが猛スピードで加速、嚆矢となって敵陣へと飛び込んだ。
 予想以上の速度での接敵に敵が混乱し、ミサイルなどの実弾兵器をばらまく。
 ユノハがこれをハッキング、同時にジャミングにより敵の連携を妨害。
 白兵戦に切り替えたところで、そのタイムラグを狙いドンキホーテC3が機を穿つ!
 パラティヌスがまた一騎、駆動系を破壊されて崩れ落ち、機能停止した。
『お知らせいたしますわ! 敵後方より第三波、機体数は30!
 さらにその500m後方に敵砲撃部隊展開! 波状攻撃のつもりですわね!』
「ナビゲートは嬉しいけど、それがわかってるなら降りてきなさいよ!?」
『おほほのほ! ぜぇ~ったいに嫌ですわ! だってわたくし、全世界お嬢様ですもの!』
「意味がよくわかりません」
 ユノハのナイナイナに対するツッコミはひどくドライであった。
 だがナイナイナは気にしない。むしろ、狙えとばかりにさらに輝いてみせる!
『さあ、わたくしはここですわ! 落とせるものなら落としてごらんなさい!』
「やらせるな! 俺たちだって戦えるところを見せてやるんだ!!」
 兵士たちはその無謀な姿に鼓舞され、歩兵もキャバリアも一気呵成に攻め込む。
 危うい戦況である。だが、進軍速度は高まり趨勢は徐々に傾きつつあった!
(……まいったわね、これは)
 コンマ秒のスピードの世界のなか、アイオライトはこころの中で苦笑した。
 どんなに辛くとも、苦しくとも、涼しい顔で立ち回るつもりだった。
 彼らを焚き付けた者の責任として、未来を切り開く来訪者(ゲスト)として。
 "大丈夫、私たちがついてるぞ"と――彼らを、勇気付けるつもりでいた。

 けれどもそれは、自分ひとりの思い上がりだったと認めざるを得まい。
 同志がいて、頼りになる仲間がいて、呆れるほど自信家のお姫様がいる。
 誰一人とて役立たずなどいない。学園の仲間も、兵士たちも、誰も彼も。
 そうだ、これはまさしく我らひとつの大波。絶望を焼き払う業火の軍勢。
「いいわ、なら私とブルーテイルが、せめてその道先を導いてあげる!」
 蒼き鳥は空を舞う。暴君よ、我らを災禍と認め灼けるなら灼いてみるがいい。
 ああ、なんて広い空! 鉄火が拓いた空に自由を感じるとはなんたる皮肉。
 ――けれどもここには仲間がいる。鉄の盾持つ鋼の兵と、同じ志の仲間が。
「いろいろ状況は複雑だけどな、戦いになったらやることはシンプルだ!
 ――ドン・キホーテC3より"友軍機"へ、俺たちが全力で支援するぜ!」
 セサミの声が、兵士たちをさらに勇気付ける。
『そうです。我々も、己の責任を果たしてみせましょう!』
「――猟兵として、新世界学園の生徒として。任務を遂行します」
 若者たちは明日を目指して戦場を駆け抜ける。炎のように力強く、そして疾く!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

エミリア・ジェフティー
もう、容赦なく砲撃してくれますね!
民間施設への被害もお構いなしですし、無策で突入したら大惨事ですよ全く
…全く、いけ好かない
人が苦しむ様を手を変え趣向を変え愉しもうって事ですか
上等、その愉しみを台無しにしてこその復讐です
速攻で終わらせてオブリビオンの鼻っ面をへし折ってやりましょう

スクリーマーを広域展開
敵部隊へのジャミングと友軍への迷彩の付与を開始
視界の効かない地形で、センサー類を封じた上にステルスです
相手は五里霧中でしょう
そして敵の配置はオウルアイの情報収集力でお見通し
各機へ情報連携、めくら撃ちされる前に砲撃機を優先して撃破して下さい
私はダメ押しに電子戦機や観測機を片っ端から無力化してきます


黒川・闇慈
「さて、暗躍の時間は終わりですか。そろそろ私も参じるといたしましょう。クックック」

【行動】【戦場D】
wizで対抗です。
アヴィケブロンに搭乗し前線を叩きましょう。
布陣しているパラティヌスのバックパックは火力と機動力の要のようです。これを無力化すれば大きく戦力を削げるでしょう。
属性攻撃、高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃の技能を活用し炎獄砲軍を使用します。バックパックを狙いやすくするために、炎は一度上空に打ち上げます。そこからバックパックに向けて急速降下させましょう。トップアタックというやつですね。

「推進剤やミサイルの詰まった場所に火を放てばどうなるか、お分かりでしょう?クックック」


【アドリブ歓迎】



●霧の中を駆け抜けろ
「こちら砲撃部隊、全機展開完了。これより前線の支援を行う」
 パラティヌスを前衛として、約500メートル後方に合計25機の敵部隊が展開された。
 機体名はCCQ-108『ダヴィデ』。超長距離砲撃を得意とする重装キャバリア!
 機体と直結された680mmカノン砲は、敵が近づく前にたやすく鏖殺せしめる!
「――全機、砲撃開始。連中を消し炭にしてやれ!」
 そして巨人殺しの砲撃が、進軍するクーデター軍を襲う……!

 ……だが!
「……!?」
 弾着観測手は、ゴーグル越しの光景に我が目を疑った。
 のこのこまっすぐ近づいてくるはずの敵軍が、霞のように消えている!?
『どうした! 砲撃結果を知らせろ!』
「そ、それが……敵軍、喪失(ロスト)! 存在を確認できません!」
『なんだと? たしかに砲撃範囲に捉えたはず……』
 部隊長はセンサー類をチェックし、そして息を呑んだ。
 でたらめな計測値。自分はいったい何をチェックしていたというのか?
 そもそも砲撃予測地点には、何もいなかったのだ。しかし、この目でたしかに!
『た、隊長! 敵部隊、距離600! 第一次防衛線を突破していきます!』
「莫迦な……!」
 外した? いや違う、幻でも見せられていたというのか?
 通信越しの部下の報告は悲鳴に代わり、爆音とともに通信はロストした。
 敵が、近づいている。部隊長は背筋が凍りつくのを感じ、叫んだ。
「ぜ、全機、第二次砲撃を開始! センサー類は信用するな、肉眼で捉えろ!」
 ダヴィデ部隊が砲塔を構える――しかし、もう遅かった。

「……残念。いまさら目視に切り替えたところで、もう遅いですよ」
 そもそも、なぜダヴィデ部隊の砲撃はてんで見当違いな場所を叩いたのか?
 それは、会心の笑みを浮かべるエミリア・ジェフティーが原因であった。
 彼女のEP-F/NM"スクリーマー"、通称"ノイズメーカー"によるジャミングだ!
「そして部隊の配置は把握済み! このまま一網打尽にさせてもらいます!
 "セシャート"より友軍各機へ、まずは敵砲撃機部隊を無力化してください!」
 情報収集演算装置"オウルアイ"にかかれば、いかなる迷彩も無力化される。
 ダヴィデ部隊は潜伏地点を暴かれ、一気呵成の反撃を受けて総崩れとなった。
 さらに後方より、友軍の窮状を察知したパラティヌス部隊が飛び出してくる。
 しかしそれも、エミリアは予測済みだ。そしてこれに対処するは!
「こちらアヴィケブロン、騎士のお相手を務めるといたしましょう……クックック」
 禍々しき黒金のサイキックキャバリアが、ゆらめく影めいて出現した。
 あれこそは『アヴィケブロン』、黒川・闇慈の駆る魔導ゴーレム機だ!
「なっ!? こんな近くに潜伏していただと……!?」
「いや違う、テレポートだ! 全機、白兵戦用意! 迎撃開始ーッ!」
 パラティヌス部隊は実体剣に換装しアヴィケブロンを叩こうとする。
 だがそこに降り注いだのは、魔導機から放たれた爆発性の炎の雨……!
 あえて上空に一度打ち上げられた炎は、触れれば燃える火薬のあられと化す。
 バックパックや牽制用のミサイルに引火し、敵部隊は炎に包まれた!
「「「う、うわああああああっ!?」」」
「推進剤やミサイルの詰まった場所に火を放てばどうなるか、お分かりでしょう?
 ああ、もちろん脱出する程度の時間はありますからねぇ。クックック……」
 アヴィケブロンは、闇慈の黒魔術をさらに拡大・強化し戦場を蹂躙せしめる。
 炎獄砲軍(インフェルノ・アーティラリ)によるトップアタックは、まさに灼炎の王威と呼ぶべき、一方的蹂躙によって敵部隊を殲滅せしめた。
 センサー類を無効化されたダヴィデ部隊も、この飽和攻撃には為すすべ無し!
「……まずはこれでよし。ああもう、本当に油断のならない連中ですねえ!
 あのままバカスカ砲撃されていたら、民間施設への被害が甚大でしたよ」
『ご苦労さまです。あなたが目を潰してくれたおかげでやりやすかったですよ、クックック……』
「派手さと被害範囲ではあなたの兵器も大概ですけれどね」
 エミリアは、通信越しに闇慈とアヴィケブロンの破壊力に呆れた。
「……とはいえ、市街地への被害を考慮し術式を制御するテクニックはお見事。
 おそらくこの先にも砲撃部隊が展開されているでしょうし、私が先行します」
『では、そちらがあちらの目を潰したところで、私が露払いをいたしましょうか』
「お願いしますね。……無策で突入したら大惨事ですよ、まったく……」
 ああ、まったく――いけ好かない。なんとも胸糞の悪い連中だ。
 エミリアは怒りを覚える。これが、オブリビオンマシンのもたらす狂気。
 人が苦しむさまを手を変え趣向を変え愉しもうなど、看過出来ることではない。
 ならばその目を、耳を、あらゆる手段を叩き潰し、徹底的に蹂躙するのみ。
 これは進撃ではない――邪悪どもに対する、正当なる復讐なのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

風祭・ヒュウガ
【戦場D】

おれ達向きの戦場はどこかって?
ハ、最前線に――決まってるよなァ!!

応えるようにフーガが駆動音を嘶かせ、全身にフォトンの輝きを纏う

かつて戦った男と、言葉を交わした
ソイツが仲間を鼓舞する言葉を、聞いた

やってやるよ――他の誰でもねぇ、お前たちのために!

レイオンお望みの、頭の切れるなんちゃらも腰を上げたことだしな
相変わらず尊大な野郎だぜあの眼鏡、まァた部下だのなんだの言われそうだ

全身に力場を纏って、混線の中へ
敵機へ突撃を繰り返し、1機でも多く戦闘不能に追い込む

オラびびったかよ!!
なら、さっさとキャバリアを乗り捨てて逃げな!
蒸発したく……なければな!!

そら……"メガデス"が来るぞ!
退避だ!!


ベリーム・ジャストロ
【新世界学園】【戦場:D】

ハッ!ようやく機体の調整が終わったわ!
コードネーム"ラビット"、ここからはあたしも混ぜてもらうわよ!

ふーん、概ね状況は分かったわ
ならあたしがやることは敵をぶっ潰すってことね!
どーやら相手はつまんないことする加減の要らない連中みたいだしぃ?
先陣切って派手に暴れまわってやるわ!

……ま、とはいえいつもよりは冷静に行っときますか
そうすりゃ連携にも援護にも合わせられるしね
なによりウチのやつらがいるなら巻き込まれないようにしないとだし、何にとは言わないけど

さぁて、美化活動の始まりよ"エイプリル"!
殴って蹴ってぶっ壊してぇ、風穴開けてやんぜぇ!!

※連携・アドリブ歓迎


ユウ・キリヤマ
【戦場D】
※アドリブ言動、他PCさんとの絡み歓迎です!

「ポイントD-4、支援する。行け」
「正面から打ち倒すなぞ、勝敗の一因に過ぎん」

流動的な戦場において、求められる役割は多い。

格闘機の突撃を助ける牽制射撃、
砲撃機の準備時間を稼ぐ防御支援、
時に自ら最前線で陽動を、
時に友軍機を囮に横合いから一撃。
駆け、耐え、攻め、引き、絶え間なく思考し、要請に応え、指示を下す。

では
万能に近い性能の一機と、卓越した判断力と技量を併せ持つ個人が戦場に居た場合、何を行うだろうか。

答えは単純。
可能な限り、不足している全てをだ。

己の優秀性を確信するが故、戦果を誇る必要すらなく。
ただ淡々と、合理的に、勝利のみを志向して戦う。


美聖・らふる
【戦場D】
新世界学園、武力介入を開始します。

……クーデター後のことを考えれば、“メガデス”のぶっぱはよくありません、たーいへんよくありません。

……なので。

出力30%、コード:“ユースアネイジア”。
砲撃を、空に向けて放ち、雲を吹き飛ばし――天候を変えます。

もし放送委員が現地にいれば、拡散をお願いします。

『これより10分後に降伏の意思を見せない場合、新世界学園、美化委員会副会長、ミゼラブルによる“メガデス”の掃射を行います』
『機体を捨てて、逃げるものは――止めません』

警告。
敵の兵士達が逃げられる環境は、きっと仲間が作ってくれているはずです。
ミーゼはそれを信じて、威嚇に徹します。


ユーディット・ウォーカー
【戦場D】にて蹂躙しようぞ

奮い立ったレジスタンスたち、その内に燃える信念と正義を聞いてついついニコニコ笑顔になってしまいながら戦場へ乱入しよう。

素晴らしき哉、人の想いっ

支援は味方に任せて
我は最前線にて防衛網を食い破ろう

レジスタンス側には満足したので、
金で雇われた傭兵たちの想いの程を試してゆこう。
なに、我は善悪とかとゆー主観では差別はせぬぞ?

我を満足させてみよ、と恐怖を与えつつ戦場を楽しく征こう。

骨のあるやつがいれば嬉しくてテンションが上ってしまうやもしれぬ。
いなければがっかりしながら蹂躙じゃ。
じゃが希望は捨てぬ、絶体絶命の状況からの魂の輝き。
それは誰にだってきっとあるものじゃ。ふぁいとじゃ!



●若き戦士たちの死闘、あるいは学生たちの大騒ぎ
 このケンドリックス共和国が、長い間消極的平和を維持できた理由。
 それは、他でもない共和国軍の高い練度と士気、そして秀でた戦術にこそある。
 本来であれば、この国の軍隊は攻勢よりも守勢に秀でているのだ。
 そしてその戦術を考案した者こそ、他ならぬノイマン元帥その人であった。
 オブリビオンマシンの狂気がもたらした僥倖があるとすれば、それはただひとつ。
 水も漏らさぬノイマンの防御戦術が、狂気によって乱されたことだろう。
 ――もっともそれは、猟兵とクーデター軍の快勝を約束するものではないが。

 最前線に並ぶ"パラティヌス"の戦列は、緒戦のそれから一変していた。
 敵軍は猟兵ら攻撃側を真っ向から止めようとするのではなく、徐々に後退し、
 反撃によって攻撃側の消耗を誘いながら、じりじりと進軍速度を制御する。
 現代の戦術論で言うところの、縦深あるいは深層防御と呼ばれるそれだ。
 パラティヌス部隊は多層的に前・中・後衛を編成し、後退しながら反撃を行う。
 もしも攻撃側が突出しすぎれば、たちまち奥の戦列に包囲され叩き潰される。
 必然、攻撃側は各層を叩きながら進むことを余儀なくされるのである。
 ここは共和国軍にとってのホームであり、だからこそこの戦術を発揮出来る。
 そして物資の不足は、クーデター軍にとってのアキレス腱も同然……!
「小賢しい真似をする。だが、伊達に古強者ではないということか」
 画面上に投影された大まかな戦局図を睨み、ユウ・キリヤマはひとりごちた。
 これが尋常の戦闘であれば、クーデター軍は疲弊し退却を強いられたろう。
 練度と物資、そして物量。これらは覆しようのない絶対的な趨勢である。

 ……覆しうるのは、猟兵という『個』にして『多』たる特記戦力の連携次第。
「こちら"黒騎士"、遅れたがクーデター軍の援護に入る。学園生徒は応答しろ」
 生徒会副会長の高圧的な物言いに、いくつかの反応があった。

『ハッ、ずいぶんな重役出勤じゃねーか、えぇ!? 副会長サマよォ!』
 風祭・ヒュウガ。キャバリアネーム、オブリビオンマシン"フーガ"。

『なんだよ、音頭取りでもするつもり? まだるっこしくてしょうがねぇな!!』
 美化委員会所属、ベリーム・ジャストロ。キャバリアネーム、"エイプリル"。

『……"ミゼラブル"、同じく戦線に武力介入を開始します』
 美化委員会副委員長、美聖・らふる。キャバリアネーム、"ミゼラブル"。

『体育委員会も参戦じゃ! いいのう、人のまっすぐな想いとは!!』
 同委員会委員長、ユーディット・ウォーカー。キャバリアネーム、"アンコール"。

 わずか5名。だがいずれも、新世界学園が誇る錚々たる強者たちだ。
 ユウはレンズの奥の瞳を鋭く細め、刹那の沈思黙考で戦術を構築していく。
 幸い、らふる以外の三人は、機体も搭乗者も突破力に優れた面子だ。
 そして"ミゼラブル"の特性は、学園のキャバリア乗りならば言わずもがな。
『ミーゼは威嚇に徹します』
 ユウの言わんとしたことを察してか、らふるが先んじて言った。
『あぁ!? "メガデス"で吹き飛ばしちまえばいいだろ!』
『ドーカンね。ま、その場合殴って蹴り壊すモノがなくなるけどさ』
 ヒュウガとベリームはそれぞれに騒ぎ立てるが、ユウは無言で一蹴した。
「たしかにそれが妥当だろう。これはあくまで、クーデター軍の支援でしかない。
 国内であれほどの殲滅兵器を用いれば、被害はなくとも市民感情は最悪になる」
 ユウに異論はなかった。事実、"メガデス"は威圧としても十二分な兵器だ。
『……はい。ぶっぱはよくありません。たーいへん、よくありません』
『ふうむ、すると我も、あんまり派手にやっちゃダメな感じかのう……』
「いや――"アンコール"はいつもどおりにやれ。むしろそうあるべきだろう。
 この中では、敵兵に直接恐怖を与えるのに最適なのは、間違いなくそちらだ」
『おおっ、なら我は好き放題に蹂躙するぞっ! これは希望の戦いじゃからなっ!』
『希望とかいう言葉と一緒に使わねぇだろ、"蹂躙"ってのはよ……』
 明らかにノリノリのユーディットの声に、ヒュウガが呆れた。
「まとめるぞ。まずは"ミゼラブル"が威嚇射撃を行い、敵軍に通達を行う」
『……放送委員会のメンバーが、近くにいるようです。拡散を要請します』
「結構。ただし降伏勧告の猶予は1分としろ。相手は縦深防御を固めた精鋭だ。
 10分では悠長に過ぎる。そこの猪武者どもが、痺れを切らせてしまうかもしれん」
『……了解しました』
 らふるは静かに応じた。
『ってオイ誰が猪武者だコラ!』
『ハッ! 言われてやんの』
『お前も含まれてんだよ!?』
『えっ』
 ……という、ヒュウガとベリームのやりとりはさておき。
「とにかく威嚇に応じなければ、我々が攻撃を行う。撹乱は私が担当するぞ」
『我らはどうすればよい?』
 ユーディットの言葉に、ユウは間をおいて言った。
「――徹底的に暴れろ。あとは私がお膳立てを整える」
 ユーディット、ヒュウガ、ベリームが、獰猛な笑みを浮かべたのがわかる。
 彼らは敵に容赦しない。それが、新世界学園の戦士の鉄則である。

 数分後。
「敵部隊視認……いや、なんだあれは?」
 防御態勢を整えたパラティヌス部隊のリーダーは、光景を訝しんだ。
 目視距離に出てきたのは、一機のみ――つまり、"ミゼラブル"だけである。
「どうします? 迎撃しますか?」
「いや、隊列を維持しろ。あれ以上近づいてきたら砲撃で仕留めるまでだ」
 ミゼラブルは、敵部隊の砲撃可能距離ギリギリに立っていた。
 縦深防御はあくまで積極的なカウンターを決める布陣のため、手を出せない。
 それを見越した上での限界点である――そして。
「出力30%――コード:"ユースアネイジア"」
 らふるは、殲滅砲塔"メガデス"の砲撃を空に向けて放った!
 天を切り裂く光の刃は、まるで空に君臨する"殲禍炎剣"のようである。
「「「……!!」」」
 パラティヌス部隊を構成する兵士たちは、その出力に戦慄した。
 しかも全力でないことは、キャバリアの様子からして一目瞭然。
 すべてを薙ぎ払うミゼラブルの噂は、戦場にも広まっているゆえに。
『これより1分後に、降伏の意思を見せない場合』
 そして前線に先着していたヨルゲンらの手により、音声が拡散される。
『新世界学園、美化委員会副会長、"ミゼラブル"による掃射を行います』
 らふるの声は平坦だった。それが、かえって本気であることを知らせる。
『機体を捨てて、逃げるものは――止めません』
 だが、もしも敵対するならば。
 その先を知らせるかのように、がこんと"メガデス"が敵部隊に向けられた。
「た、隊長……!」
「……くだらん。我々の任務を忘れたか!」
 完全に怯えきった兵士からの通信に、隊長は一喝で応じた。
「防衛体勢を維持! こちらは市街地を掌握しているのだ、あれは虚仮威しだ。
 なんとしても敵軍の進軍を此処で阻止しろ。これが軍人としての誉れである!」
 ……兵士たちの中にも、その命令に疑問を抱く者は少なからず居た。
 しかし、敵前逃亡は最悪銃殺刑である。どのみち生命を落とすのである。
「…………はあ」
 らふるはその様をモニタ越しに見て、静かに嘆息した。
 こうなれば、あとは仲間たちを信じるほかない。だが、彼らならきっと――。

 そして、1分後。
 メガデスによって空が切り裂かれ、にわか雨がざあざあと戦場を濡らしていた。
 パラティヌス部隊は、不動。ユウは時計から目を戻し、言った。
「――各機、行動開始。奴らに身の程を教えてやるぞ」
『よしきたァ!!』
『さぁて、美化活動の始まりよ"エイプリル"!』
『くふふふ……テンション上がってきたのう!』
 恐るべきマシンが飛び出し、"黒騎士"がそれに先んじた。
 パラティヌス部隊は冷静に迎え撃つ。まずはミサイルの雨が幕を張った!
「こんなもんでおれとフーガを! 止められると思ってんのかッ!!」
 "フーガ"の全身を力場が覆い、ミサイルをものともせずに敵陣に飛び込む。
 突撃形態となった"フーガ"は、全身をまとう力場そのものが盾であり矛となる。
 亜音速に近い速度で突撃し、盾ごとパラティヌスを叩き潰した!
『は……疾い! なんだこのマシンは!?』
「ハ、そりゃ違うな――てめぇらが、遅すぎるのさ!」
 規則的な戦列は、一瞬にして近世ヨーロッパの戦場めいた混戦模様と化す。
 ジグザグに敵陣をかき乱すフーガを飛び越えるのは、"エイプリル"の機影!
「こちら"ラビット"、お先に失礼するぜ!!」
 ベリームは高笑いしながら弓なりに跳躍し、敵兵の真上に着地する。
 まさしく狂戦士そのもの。ともすればオブリビオンマシンのようである。
 コードネームに相応しい兎じみた跳躍で、敵の射線をあざ笑う!
「くそっ、こいつらなんて機動力――うわあああああっ!?」
 しかし二機に釘付けになっているようでは、兵士たちに未来はない。
 見よ。ユーディットと同体せしめた"アンコール"が放つ、無数の機械剣。
 800本もの暗黒剣は幾何学模様を描き、幽鬼の軍勢めいて敵機を蹂躙する。
「なんじゃなんじゃ、どいつもこいつも悲鳴をあげおって、残念じゃのう!
 あのクーデター軍の兵士たちを見習って、もう少し気炎を上げてみんか!」
 ユーディットは明らかに落胆した様子で、恐怖をもたらす剣で機体をバラす。
 もちろん、兵士の生命までは奪っていない。それはフーガもエイプリルも同じ。
「後退だ、後退しろ! 後列と合流し、奴らを地雷原におびき出せ!」
 隊長機が指示を飛ばすと、パラティヌス部隊はじりじりと下がっていく。
「オラ、びびったかよ! なら、さっさと機体を乗り捨てて逃げやがれ!
 蒸発したくねえならなァ! さもなきゃ――"メガデス"が来るぞ、オラァ!!」
 ヒュウガの叫びを肯定するように、らふるはすでに発射体勢に入っている。
 しかし、防衛網が解かれる様子はなし。むしろ突出したフーガを包囲し――!
「よし、側面を取った……な、なにぃ!?」
 快哉をあげかけた兵士は、レッドアラートに染まったコクピットで驚愕した。
 意識外からの一撃により、パラティヌスは行動不能に陥っていたのだ!
 一体、誰が? ――答えは、フーガの影から現れた"黒騎士"にある。
「! てめぇ、おれのことを囮にしやがったな!?」
『喚くな。貴様のような猪武者はこのように使ってこそだ』
「いちいちムカつく野郎だな相変わらずよ……!」
 ヒュウガは苛立ちつつも、レイオンの言葉を思い出していた。
 忌々しいことに、フーガと"黒騎士"の連携はやはり随一である。
 "黒騎士"は戦場を駆け、時に耐え、時に攻め、時に退く。
 行動のすべては、フーガやエイプリルの動きに完全に同調している。
 冷静な指示も、腹は立つが的確だ。だからこそなおさら認めがたい。
「おれは、てめぇの部下じゃねえからなッ!!」
『関係のない話をするな。思考の邪魔だ』
『アッハハハ、仲良きことはなんとやら、ってやつ?』
 ベリームはふたりの口喧嘩を揶揄しながら、また一騎敵をストンプ破壊する。
 アンコールが射出する機械剣を足場にすれば、予測不可能の三次元機動で襲いかかる兎の怪物の出来上がりだ。
「そうら、まだまだ行くぞ。我を満足させてみよ、傭兵どもよ!
 あいにく我は善悪とかゆー主観では差別せぬ。重要なのは魂の強さじゃ!」
『戦う気がねぇならさっさと退きな! 殺しはしねーからよぉ!!』
 もはや戦列は総崩れとなり、敵陣逃亡を厭わぬ者も居た。
 部隊長は震えていた。なんなんだこいつらは、この化け物どもは!?
「くそっ、我が軍の精鋭をこうまで手玉に取るなど……!」
 これが、新世界学園とやらの力なのか!
「隊長、もうこれ以上は保ちません! 我々は撤退します!」
「おい待て、敵前逃亡は銃殺刑――ええい、どいつもこいつも!!」
 部隊長はコンソールを殴りつける。その瞬間、機体の頭部が粉砕された。
 亀裂から覗き込む"黒騎士"のシルエットを見て、彼すらも震え上がった。
「……くそっ!」
 部隊長はベイルアウトし、脱出。直後、機体はエイプリルに踏み潰された。
「――来るぞ。全機散開しろ。露払いをしてくれるようだ」
 ユウの指示に応じ、三機は素早く両翼に飛び離れ、射線を拓いた。
 脱出した兵士たちは見た。まっすぐと地平線を狙う、"メガデス"の砲身を。
「……警告はしました。これより、"美化活動"を行います」
 らふるの声は、ある種の死刑宣告であった。
 四機の働きにより、もはや射程内に兵士はひとりも残っていない。
 もはや気兼ねなし――殲滅砲塔が、再び光の破滅を振りまいた……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

南・七七三
【B】 ※アドリブ、絡み(特に新世界学園)歓迎

ブラダー・チェリーは、元々工作戦用の機体
ステルス性能を生かして敵陣に侵入、水源を汚染しちゃうって機体コンセプトなわけだけど(【偵察】【ジャミング】)
ま、使う機能が同じでも。破壊工作よりこの方が、気分良いってもんだよね

キャバリアライフルでの援護射撃に使える地形を調べ、予めトラップを仕込み
皆の工作中に、準備する時間は十分
ワイヤー射出装置も生かして神出鬼没に移動しつつ、やーらしく、泥臭く援護して回るよ

クーデター軍はもちろん僚機を援護したり、逆にそっちに誘導して倒してもらうのも良いね
こー見えても図書委員ですから
戦場においては情報収集等を担当します、ってね


嗣條・マリア
【戦場:B】
……士気は悪くないにしても流石に正規軍とは力量差がありますね
それに物量差も

勢いはいいですが、追い込まれるのも時間の問題

私たちの本分は武力介入。事が起きてから動くもの
だって、私がクーデターを焚き付けたら完全に死の商人じゃありませんか


そろそろです。偽装ネット、切り離し確認
出ますよ、タイラント――――これより“委員会活動”を開始
敵陣へ切り込み、嵐のように蹂躙します

ただ見ていただけではありません
この突撃は、敵の最も脆い部分
そこに楔を打ち込み、傷口を広げ、戦場全体を押し上げます

敵機は戦闘不能にするだけで構いません
さあ、ついてこられる者のみついてきなさい



※アレンジ、他の方との連携はお任せ



●石のように、嵐のように
 地平線の彼方まで貫く破滅の光が、最前線を横薙ぎに払った。
 光が衰滅すると、遅れて無数の爆発が地表を洗う――誘爆したキャバリアの華だ。
「うーわ、相変わらずエグいな~"メガデス"は……っと」
 援護射撃に向いた高所で待機していたブラダー・チェリーが立ち上がる。
 足止めを食らわされていたクーデター軍は、この好機を逃すまいと一気に怒涛の進軍を開始した。
 必然、敵の妨害も激しくなるだろう……つまり、ここからが南・七七三の出番だ。
「トラップの仕込みはOK、みんなが工作してくれたおかげで装備もよし、っと!
 マリア、聞こえる? こっちは準備OKだけど、そっちはダイジョブ~?」
『――もちろんです。このあたりが頃合いでしょう』
 別の潜伏ポイント。木々が生い茂る小さな林の中で巨躯が身動ぎした。
 偽装ネットを切り離し、嗣條・マリアの駆る"タイラント"がずしんと踏み出す。
「美化委員会のおかげで露払いは出来たようですが、むしろこれからが本番です。
 国中から兵力を蒐めている、という話ですから、おそらく側面から来るでしょう」
『だろうね。ブラダー・チェリーの性能的にも、こっちのほうが向いてるし』
 七七三の駆るブラダー・チェリーは、もともと工作戦に秀でた機体だ。
 ステルス機能で敵の目をくらまし、水源を汚染し、物資を破壊する。
 ……といったような、搦手で敵を疲弊させるタイプの玄人向けのマシンなのだ。
 もっとも、七七三がその真価のすべてを引き出せているかは疑問が残る。
 七七三自身も、そのことは承知の上。それで諦めるほど彼女は物分りがよくない。
 使えるものはトラップだろうが、味方だろうがなんでも利用し、敵の裏をかく。
 彼女の気楽なスタイルとは裏腹の、実に泥臭く、地味な裏方仕事である。
『だからマリアみたいに派手に暴れてくれる仲間がいると、実際ありがたいかな』
「…………」
 などと言っておいて前に出るくせに、と、マリアは内心で嘆息した。
 いちいち言葉にしてやるほど、マリアもマリアで素直な少女ではない。
 ……七七三自身が、それを望んでいないこともわかっていたから。
「そうですね。"暴君"で敵陣をかき乱します。側面の対処はお任せしますよ」
『はいはい、りょーかい。じゃ、そろそろ始めましょうか!』
「ええ。――これより、"委員会活動"を開始します」
 二機は離れた場所でカメラアイを輝かせ、のしりと立ち上がった。
 彼女らの予期した通り、敵の増援がクーデター軍を両翼から取り囲む……!

「こちら第三部隊、敵軍を視認しました。このまま砲撃を……っ!?」
 だが、パラティヌス部隊の思惑は、埋没した地雷によって妨害された。
 迂闊にも対キャバリア地雷を踏んだ斥候機が、片足を失って崩れ落ちる。
 そこへ追い打ちの狙撃! 頭部を撃ち抜かれた機体はそのまま機能停止した!
「す、スナイパーだと!?」
「……あそこだ! 全機、砲撃開始!!」
 小高い丘を狙い、残るパラティヌス機が一斉にビーム砲撃を放った。
 さらに散開。機動力に秀でたパラティヌスの特性を生かした遊撃戦術である。
 集中砲火を受けた丘は爆発に呑まれ、なだらかな丘はアイスめいて抉れた。
 が――その直後、二機目が被弾! しかも、弾丸は別の角度から!?
「移動したのか、あの一瞬で……!」
「センサーを広域探知モードに切り替えろ! 死角をなくすように円陣を組め!
 みたところライフルの威力自体は盾で防げるレベルだ。駆動部を守れ!」
『『『了解!』』』
 とはいえ、伊達に最新鋭機を拝領したエリート兵士ではないということか。
 部隊長の指示のもと、兵士たちは隙間なく互いをカバーし、狙撃に備える。
 迂闊に機動力で翻弄しようとすれば、おそらくトラップにひっかかる。
「なかなか考えたものだ、我々がこのルートを採ることを予測しているとはな。
 狙撃後すぐに移動する判断能力も大したもの。しかし、いつまで粘れるかな?」
 パラティヌスの真価は、遠近を一瞬で切り替えられる汎用性と機動力にある。
 お互いに死角を潰せば、スナイプされた瞬間に狙撃地点を撃つことも出来よう。
 事実、スナイプは途絶えていた。あちらも手をこまねいて撤退したか――。

 ……と、考えていた時点で、連中は七七三の思惑にハマっていたのだ。
『マリア、あとよろしく!』
「請け負いました」
 猛然たる速度で飛び出すタイラント! パラティヌス部隊は散開しようとする!
 だが、遅い。直線の加速力においてタイラントに比肩しうる機体はほぼ皆無!
「木を見て森を見ず、とはこのことですね。――遅いですよ!」
 KRAAAAASH!! タイラントの突撃が、パラティヌス部隊を吹き飛ばす!
 さながらボウリングでストライクを決めたような勢いだ。七七三は口笛を吹いた。
『やーるぅ! さて、それじゃあ次のポイントへ急ぎましょっか!』
「ええ。本隊の血路を開くのも重要な仕事です。露払いはおまかせします」
『はいはい、図書委員らしく地道にやらせてもらいますよ、っと』
 ブラダー・チェリーはワイヤー機動で飛びながら、爆破スイッチを押した。
 じわじわと本隊を包囲しつつあった敵機は、埋没地雷に吹き飛ばされる。
 反転したタイラントは、本隊正面に展開した防衛線を斜め下から突く形で吶喊。
 敵が体勢を整える前に戦列を蹂躙し、援護射撃を受けながら前線を押し上げる!
「さあ、ついてこられる者のみついてきなさい」
 マリアの通信を受けた兵士たちは、もはや構うことなく波濤と化した。
 敵味方が入り混じり、パラティヌスの本領である機動力を発揮出来なくしてしまう。
「……やっぱり、華々しい前衛が居ると、仕事のハリが違うなぁ」
 スコープ越しにタイラントの奮戦を眺めながら、七七三はほくそえんだ。
 さあ、連中に教えてやろう。ブラダー・チェリーとアタシの戦い方を。
 嵐に隠れた石のように、奴らの足元を蹴躓かせて驚かせてやれ。
 けして誇れるような戦いではない――だがこれこそ、七七三のスタイルなのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ラスト・バレット
小隊名【ベビーシッター】戦場B

「こちら『ベビーシッター』新兵(ガキ)の護衛(お守り)は請け負った」
士気低下を防ぐため
前章で新兵達の機体に施したティンカーベルシステムによる強制介入を行い
発狂した敵兵の叫び声などを強制カットさせる

「もう少し上品に叫べ、教育に悪い」

ティンカーベルシステムを植え付けた全ての機体からデータを吸い上げ
一時的な強化を行い、敵兵へと斬り込む

「おっと、俺としたことが」
単独で傭兵国家へ反逆した過去を思い出し

「傭兵相手だとつい雑になる」
あかりの静止を耳にして、コックピットから狙いを外す

「随分優しい死神だが――子供向け(ピーターパン)ならこんなものか」
ある機体を脳裏に浮かべ独り言ちる


クロエ・ミディリィ
【ベビーシッター】戦場B

あかりちゃん、いい仕事ぶりね
久しぶりの愛機は頭が割れそう
容赦なく接続された神経に情報を流し込んでくる
いつまで戦ってられるかなんて分かんないけどやるしかないのよね

高速機動しつつ動きの鈍った敵機を銃撃
回避を邪魔をするように、
当たってほしくない脆い箇所を狙うように、
攻撃を阻害するように、
とにかく敵の嫌がる箇所や場所にねちっこく

攻撃をかわせるかもしれない
攻撃が当たるかもしれない
そうした希望を丁寧に摘み取り士気を下げようとするわ
勇ましく戦って死んだと思われては士気は上がってしまうもの

後は仕上げにはったりを重ねて
「聞け傭兵ども!“死神”がそちらに向かうぞ!死にたくなくば、退け!」


犬伏・あかり
【ベビーシッター】戦場B
引き続き新兵の支援・護衛

背中を押しは、したけど…
目標は元凶の一機なんだから、人とは戦わなくて済むようにしたいね
敵の数を減らす方法は色々あるもの。
…これは、良い方法とまでは言えないでしょうけど、
まあ…向こうも行儀のいい人達じゃないみたいだし。
それじゃあ…クロエ、ラスト、よろしくね。

…ぁぁ、思い出したくないなあ…

…カンオケ…あとはもう邪魔しないように脅かしてあげて
キャバリアだけなら好きなだけ壊していいから。キャバリアだけよ。
……怖い?もっと怖いのが、そっちに行くよ。

ラスト。……そこは、駄目。
…ありがと。



●阿鼻叫喚の子守唄
『う、うわああああああっっ!!!?』
「もう少し上品に叫べ。教育に悪い」
 通信越しの悲鳴を、ラスト・バレットは表情ひとつ変えずに切って捨てた。
 この悲鳴は味方のものではない……犬伏・あかりの幻覚を見た敵兵のものだ。
 そして、士気高揚した味方の兵士には、そもそも届いてすらいない。
 ラストの施したティンカーベルシステムにより、カットされているためだ。
「…………ぁぁ、思い出したくないなあ……」
 敵兵どもが強制的に見せられているのは、あかりという人間が死亡した瞬間。
 あかりの魂に、そして"カンオケ"に刻まれた記憶そのものを直視させる。
 それが、彼女のユーベルコード。端的に言えば、恐怖で精神を破壊する術式だ。
 いわば精神的自傷行為である。あかりの表情は陰鬱に沈み、心は翳った。
 まだしも救いなのは、これは誰も殺さず殺させることもない、ということ。
 もちろん、精神に深い傷跡は残るだろう。キャバリア乗りとしては再起不能だ。
 相手が国土の防衛に燃える真っ当な連中であれば、もっと心は痛んだか。
 金と権力に目が眩んだ傭兵どもに見せるには、ちょうどいい"現実"だろう。
 ……だからといって、あかりの苦しみが晴れるようなことはなかったが。

「敵部隊が立ち往生している……?」
 新世界学園の生徒らに護衛される、クーデター軍の本隊。
 その先頭をゆくレイオンは、ただならぬ気配を察して訝しんだ。
 いまさら、生命を預けるとまで言った猟兵たちのやり方に口は出すまい。
 だが、オブリビオンマシンの狂気に直に晒されたせいか、彼はうっすら感じた。
 あれは、真っ当な戦闘ではない。もっとおぞましい何かが起きていると。
「…………っ」
 レイオンは思考を打ち切った。今の彼は、若き兵士らの生命を引き受けた身だ。
 戦場において、指揮官が部下を萎縮させることほど愚かなことはない。
 ならば、どうする――そうだ、言うべき台詞は、こうだろう。
「総員、全速前進! 敵は我らの士気に慄いている、いまが好機だっ!!」
 言いながら、レイオンは己の吐いた嘘と厚顔無恥さに自嘲を覚えた。
 それを客観視出来るだけ、かつての自分よりはマシになっているかもしれない。

 レイオンの号令のもと、クーデター軍本隊は一気に進軍速度を早める。
 同じ新世界学園の生徒らにより、最前線には風穴が空き、側面は守られていた。
 "ベビーシッター"の三機の仕事は、なおも立ちふさがる敵を退けることだ。
「あかりちゃん、いい仕事ぶりね。あとは私たちで請け負うわ」
 クロエ・ミディリィは、割れそうなほどの頭痛をこらえながら言った。
 "オールドレディ"は、搭乗者の脳と機体そのものを直結させる非人道的システムによって、化け物じみたクロエの射撃能力をキャバリアの次元に拡張する。
 クロエは10年以上に渡ってこの拷問を受け入れ、ついに脳を変容させさえした。
 だが、それは決して、直結接続がもたらす苦痛を緩和する理由にはならない。
 久方ぶりの愛機の狂おしいまでの"抱擁"に、クロエの口元が笑みめいてひきつる。
(いつまで戦ってられるかなんて、わからない。けど、やるしかないわね)
『――さあ、新兵(ガキ)の護衛(おもり)を始めるとしよう』
 ラストの平坦な声が、物思いに耽っていたクロエの意識を引き戻す。
 棒立ちの敵機はラストに処理を任せ、まだ抵抗する敵をクロエが叩く。
 あの幻覚を見せられてまだ戦う意志を維持できるのは、たいしたものだ。
 いや、あまり褒められたことではないか――なにせ自分がこれから、さらに追い打ちをかけてしこたま恐怖させてやるのだから。
『迎撃だ、迎撃しろ! 奴らの数を減らしちまえばどうとでもなるっ!!』
「そうでしょうね、私でもそうする。だから、それはさせないわ」
 実体槍を構え吶喊してきたパラティヌス機を回避しながら、横っ面に弾丸を浴びせる。
 敵機、急旋回しながらのビーム砲撃。"ナナホシテントウ"が受け止めた。
『おのれちょこまかと……! だが、パラティヌスのスピードならば!』
「…………」
 クロエの意識は、徐々に研ぎ澄まされ、敵機だけが暗闇に浮かび上がった。
 トリガを引く。弾丸は弾かれる。弾かれるが、防御を強制し続ける。
 雨だれが石を穿つように、同じ場所へ。
 あるいは、機動力を削ぐ関節部への精密なスナイプ。
 パラティヌスの最大の武器は、あらゆる状況に対応可能な汎用性と機動力だ。
 クロエの――オールドレディの弾丸は、それを"凍結(FREEZE)"させる!
『機動力低下、だと……! この速度で関節部に命中させたというのか!?』
「怖いでしょう? なら、退いたほうがいい。次はコクピットに当てるよ」
『……!!』
 敵兵が、怯んだ。通信越しに、息を呑む気配をたしかに感じる。
 もちろん、実際にはコクピットを狙いはしない。殺す理由がないのだ。
 一瞬気圧された隙に、両脚を破壊。オールドレディは次の敵を照準に定めた。

「さすがはクロエだ、惚れ惚れする腕前だな」
 ラストはオールドレディの戦いぶりを横目に見つつ、淡々と敵機を処理する。
 率先して敵キャバリアを無力化することで、"お手本"を見せてやるのだ。
 "子どもたち"の覚えはよく、ラストのやり方をぐんぐんと吸収していった。
 それでいい、とひとりごちる。手柄を立てればそれだけ士気も上がる。
 きっと彼らは、あの"おまじない"を口々に唱えて、連帯感を高めているだろう。
(まあ、どうでもいいことだが)
 ラストは醒めた頭でそうひとりごち、次の敵機を狙い定めた。
 ……するとどうやら、敵兵は照準をあてがわれたことで奮起したのか、
 身動きひとつなかったパラティヌスが実体剣を構え、ラストの機体に襲いかかる。
「ほう。少しは骨のあるやつもいるか。ならば――」
 ラストはキャバリアの頭部に向けていた照準を、コクピットに定めた。
 トリガーにかけた指に力をこめる。そこで、あかりの声が響いた。
『ラスト。……そこは、駄目』
「――……おっと、俺としたことが。傭兵相手だと、つい雑になる」
 ラストは言いながら、PDWの照準をわずかに上にずらし、敵機の肩部を破壊。
 勢い余って前のめりに転倒した機体をかわし、すれ違いざまにさらに一撃。
「……ありがと」
「いや、こちらこそだ。子守りに専念しすぎて仕事の内容を忘れていたらしい」
「ううん、これは私の自己満足みたいなものだから」
 学園生徒となる前のラストであれば、そもそも呼びかけなど一蹴したろう。
 兵士としては、甘い。"子守り"などとうそぶく自分が途端におかしくなった。
(まあ、長生きしてくれればそれでいい。データの収集にも繋がる)
 ラストは傭兵上がりならではの、シビアなものの考え方で思考を打ち消した。
 仲間を尊ぶことと、あの青臭い連中を世話してやることは矛盾しない。
 仮にこの場でクーデター軍が全滅したとて、ラストは眉ひとつ動かすまい。
 あるとすれば、そんなことをしでかした敵への「よくもやってくれたな」という苛立ちで……と、いったところか。
 あかりはどうだろうか。彼女は感傷的で……そう、"優しすぎる"と彼は思う。
 彼女が敵兵の殺害を止めたのは、単に「そういう任務ではないから」ではあるまい。
 ……それも、どうでもいいことだ。むしろ踏み込むべきでない領域の話か。
「ねえ、あなたたち。怖い? 怖いなら、いますぐに機体を捨てて逃げていいよ」
 "カンオケ"を通じ、あかりは敵部隊に呼びかける。
「さもないと、もっと怖いのが、そっちに行くよ。ほら――すぐそこに」
「そら、傭兵ども! "死神"に狩られたくなきゃ、そこを退け!!」
 クロエの怒号と、あかりの降伏勧告を聞いたラストは、ふっと鼻で笑った。
「随分優しい死神だが――子供向け(ピーターパン)なら、こんなものか」
 子らの列は戦場を征く。あとには叫喚の子守唄だけがこだましていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ティオレンシア・シーディア
【戦場:C】

あらあら、後方からも兵力を引っこ抜くなんて――「基地襲撃犯を捕らえられてもいない」のに、随分と不用心ねぇ。
…○破壊工作のしがいがあるじゃないの。

ある程度の指揮権は前線指揮官に移譲されてるでしょうけど。相手は軍だもの、情報を集積・分析して的確に戦力を振り分けるためにCPくらいはあるわよねぇ。そこ、機能停止させちゃいましょうか。アンサズとハガルによる情報汚染・ラドとソーンによる伝達封鎖・帝釈天印の雷…できることはいくらでもあるわねぇ。

この世界の基本技術体系は科学、例外はサイキックキャバリアとスーパーロボットくらい。…つまり、「人間大の相手が使う魔術とか呪術」は基本素通しなのよねぇ。



●フィクサーの戦場
 共和国軍の司令部は、蜂の巣をつついたような大騒ぎになっていた。
「クーデター軍、なおも北上! このままでは1時間後には本部に到達の模様……」
「味方の損害率が40%を突破しました! 敵強襲部隊、止められません!」
「索敵システムに異常発生! 外部からの電子的妨害と思われます!」
 オペレーターたちの怒号じみた報告が飛び交い、空気をひりつかせる。
 指揮官席に深く腰掛けたノイマンは、ただ憮然と戦況図を睨みつけていた。
「国境防衛部隊の前線到着は」
「あと10分ほどと思われます。し、しかし、本当によろしいので……?」
「君まで私の判断に意見するのかね? 結構、のちほど討議といこうか」
「し、失礼いたしましたァッ!!」
 口答えしたオペレーターは震え上がった。明日の日の目は見られまい。
 もっともそれも、ノイマンの座がこのままでいられるならば、だが。
(大雑把な戦力差は、ざっと10倍以上。どうあがいても覆せない戦力差だ)
 ノイマンは杖を指で叩きながら、沈思黙考した。
(ふん……なるほど。あちこちの国家を騒がしている"猟兵"とやらの仕業か)
 その名を頭の中で唱えた時、言いようのしれない敵意がこみ上げた。
 ノイマンは自覚していないが、それはオブリビオンマシンのもたらす敵愾心だ。
 オブリビオンと猟兵は、けして相容れぬ天敵同士。不倶戴天の仇敵にして大敵。
 ゆえに、いまだ地下で眠る"それ"は知っている。奴らの力を。強さを。
「ほ……報告いたします!」
「どうした」
 そしてそれを、この瞬間、ノイマンも思い知ることとなった。

 同時刻、共和国軍第4情報基地。
 国内に展開した部隊の現在地や状況を把握し、指揮系統を補佐する拠点だ。
 いわば電子的な要のひとつであり、大部隊を支える動脈といったところ。
 ……いまこの基地は、司令部以上の阿鼻叫喚の大騒ぎにひっくり返っていた。
「システムダウンだと!? 防壁を展開しろ! 外部からのアクセスを遮断だ!」
「い、いえ……駄目です! 情報汚染止まりません、伝達ルート70%が沈黙!」
「東部方面との通信が途絶しました! こ、このままでは……!」
 基地本部長は、赤く染まった電子システムを見上げて呆然とした。
「ありえん……電子的にも鉄壁たる我が国の防衛網が、完全に汚染されただと。
 こんなものは、もはやハッキングや破壊工作などではない。ま、魔術だ……!」
 迷信的恐怖が本部長を襲う。それほどまでの異常事態であった。
 各地を防衛する部隊との連絡ルートが潰され、裸の王同然にされているのだ。
 当然通信を叩き潰された部隊は、戦場のど真ん中で孤立したようなもの。
 無情にも、友軍機の撃墜報告だけは、スピーディに運ばれてきていた。

 はたして一体誰が、こんな歴史的なシステムダウンをやってのけたのか。
 その当人――ティオレンシア・シーディアは、とっくに基地を脱出していた。
「基地襲撃犯を捉えられてもいないのに、随分不用心ねぇ。
 まあ、これに懲りたら、もう少し後ろの扉は閉めておくといいわぁ」
 ティオレンシアに、魔術の才能はない。
 だが、魔術的な道具であれば、いくらでも利用できる。
 他の国家ならばいざしらず、ケンドリックス共和国は近代的な国家だ。
 彼女の用いた情報汚染手段――すなわち、ルーンと帝釈天印による電子的攻撃を防ぐすべは、存在しなかったのである。
「キャバリア以外にだって、戦う方法も武器も、いくらだってあるのよぉ?」
 ティオレンシアは涼しげにひとりごちて、風に紛れるように姿を消した。
 遠くから響く砲音は、役目を奪われた基地への弔いの号砲にも思えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

本城・アサヒ
【戦場B】
「さて・・・可能であれば損耗0で基地まで突破したいところだな」
戦術目標はクーデター軍の援護のための敵政府軍の指揮系統の破壊とする

今回、友軍との協調のためオブリビオンマシンとの同調率は抑える

クーデター軍より先行し、技能を活かしナザイベルの自己改造により、政府軍の戦闘車両などに擬態させ政府軍を攻撃する

通信をハッキングし『政府軍を攻撃する政府軍所属の存在』の情報を広める

「証明してみせよう。我等(わたし)とて暴れるだけが能でなく、作戦行動のための協調も可能であるとな!」

学園の先輩方もこの戦場に居るとすれば。…これはもしや味方からの攻撃に巻き込まれないようにする方が難儀では?


ホワイト・キャスター
【戦場B】アドリブ&絡みOK
流石権力を振りかざす将軍さま、揃えてる機体もピッカピカの最新鋭か
新兵が相手するには厳しいな……しゃーない、アタシがエスコートしてやるか

市街地戦なら地形を利用、キャバリアのサイズなら並べても2機くらいが限界だろ
ブルーフォッグを操縦してビームを避けガトリングの弾幕で接近を牽制
後退するようにポイントに誘い込み
誘い込んだ奴らを待ち伏せさせていた新兵たちのキャバリアと事前に作っといた残骸砲の砲撃で撃破する
先輩からの丁寧なエスコートだ新兵共しくじるなよ?
ま、やり損ねた機体は実体剣で止め刺してやるよ

…戦場の空気に慣れて生き残ればクーデター後に国を護れるだけの兵士にはなれるだろ


御門・白
【戦場B】 アドリブ歓迎
「生き残れ」と言ったのは私
白したことの責任は、果たさないと

不可視の霊的な探査網を伸ばして、戦況の推移を確認しながら

誘いに乗らないで。持ち場を離れずに、応戦して。
……当てようと思って撃たなくて構いません
こちらが反撃していれば向こうも自由には動けない
そう、そうやって。敵の動きを拘束しておいて
……その間に。私が片づけて来ます

遮蔽を出て【切り込み】、白兵戦の【暴力】に沈める
味方の射撃を抜けてくる敵の位置も的確に見極めての【遊撃】戦で数を減らしていきましょう

……私を捉えましたか。いい腕ですね。……でも、半端な呪いは陰陽師には通じない
……あなたが狙った「私たち」は……どれですか?


遠桜・星黎凪
【戦場:B】
むー、どの戦場も気になりますが…
無理言って引っ張り出しちゃった責任、みたいなものがありますので
クーデター軍…特に元兵士の方々を援護しますよ
皆さんはわたしが守ります!

愛機「夜桜」に乗って
武装は「天桜剣」と「閃桜」
そしてUC「桜爛漫」を発動
(どんな戦況だって、どんな事情だって…
キャバリアを動かせるのは楽しい事!
相手もこちらも誰も死ななければ楽しくなくなることはありませんし!)

敵の射撃は躱し、あるいは閃桜で撃ち落として
近接攻撃は躱したり受け流します

できれば無力化を狙って敵機の腕部、脚部、武装などを切断します

クーデター軍の方々のことは全力で守ります
あとうまく敵を捕虜に出来たら任せますね!



●砲火を潜りてただ進め
 BLATATATATATA……BLATATATATATATAT!!
「くそっ、全然減った気がしねえ! ノイマンに雇われたゲスどもめ!」
「前には進めてる……前には進めてるんだ! 足を止めるな!」
「レイオン隊長の背中を見失うな! はぐれたらあの世行きだぞ!!」
 新兵たちは半ば恐慌状態に陥りながらも、銃だけは手放さずに居た。
 ホワイト・キャスターが手配したハンドキャノンは、大いに役立っている。
 歩兵戦力である彼らがパラティヌスを少なからず撃破出来ているのは、
 このハンドキャノンの威力があらばこそ――もちろん、猟兵の奮戦も込みでだ。
「さすがは権力を振りかざす将軍さま、最新鋭の機体をよくもまあ。
 この金も、一体どうやって蓄えたんだか。考えると目が回りそうだね」
 量産型キャバリア"ブルーフォッグ"のコクピットで、ホワイトはひとりごちる。
 新兵どもはよくやっている。彼らをエスコートする元兵士たちも見事なもの。
 それでもやはり、10倍……いや、それよりもある戦力差は覆しがたい。
 後方の砲撃部隊が容赦なく火の雨を降らせ、全方位をパラティヌスが取り囲む。
 市街地戦に持ち込まれてしまっていたら、消耗は不可避であったろう。
 それもこれも、ゲリラ部隊を取り除く別働隊の働きがあらばこそ、か。
「しゃーない、アタシも本格的に世話してやるか。オラ、かかってきなッ!」
 三方向からの同時ビーム砲撃を躱し、ブルーフォッグが敵の懐に飛び込んだ。
 実弾式機関砲"RSGC-改"を敵の装甲に押し付け……BRRRRRRTTTTT!!
 秒間150発の死の弾丸が、磨き上げられた装甲をスイスチーズめいて穴だらけにせしめ、たたらを踏んだパラティヌスはそのまま機能停止した。
 ホワイトはワイヤーアンカーを射出、後続機の不意打ちを回避しながら後退。
「狙いをつける必要がなくってありがたいよ、忌々しいくらいにね!」
 石を投げればなんとやら、増援部隊が次々に現れて波状攻撃を仕掛ける。
 空中のブルーフォッグを狙い、横列から放たれたミサイルが空中を奔る……!

 しかして弾頭は、横合いから割り込んだ機影によって瞬断された。
 KBAM!! 切断爆発したミサイルの爆炎が、遠桜・星黎凪の愛機を引き立てる!
(どんな戦況だって、どんな事情だって……キャバリアを動かすのは、楽しいっ!)
 星黎凪は愛機「夜桜」の背部バーニアを噴射し、敵部隊の突撃を迎え撃つ。
 敵の突撃槍と『天桜剣』ががっきと交錯し、火花を散らして弾かれあった。
「ピンクのキャバリアだとぉ? ガキのおもちゃみてぇな色しやがって!」
 傭兵は口汚く罵倒を吐き散らし、パラティヌスの姿勢を制御しようとする。
 コンマ秒のわずかな間隙。そこを突くのは、一瞬疾く立て直した夜桜のほうだ!
「殺しはしません、ですが無力化はさせてもらいますっ!!」
 闇雲に振るわれた実体槍をもう一振りの"閃桜"で押さえつけ、天桜剣を一閃。
 胴体の結合部を両断されたパラティヌスは、小爆発を起こして機能停止した。
 コクピットはギリギリで外している。傭兵には忘れられない体験となったろう。
「次……!」
 星黎凪は焦れていた。いまこの瞬間にも、別戦場のことが気になって仕方ない。
 背中に回したクーデター軍の兵士たちの安否も、彼女の心をざわめかせる。
(無理を言って引っ張り出しちゃった以上、責任だってあるんだから……!)
 なんとしてでも守る。誰一人として、敵に殺させはしない。
 11歳という若さでありながら、一騎当千の強さを誇るアンサーヒューマン。
 いくらキャバリアを駆ることを楽しむ生まれついての戦士とはいえ、
 人の命が関わるとなれば――ましてや守るべき相手と少なからず交流したとあればなおさらに――その重みが双肩にのしかかる。
 ただ、キャバリアを動かすことが、楽しくなくなるのは嫌だった。
 もしも誰かの生命を見過ごしたら、きっとそうなるだろうという実感がある。

 同じ頃、別方角にて。
「敵部隊が退いたぞ! こうなったら一気に攻め込んで……!」
『――誘いに乗らないで。持ち場を離れずに、落ち着いて応戦して』
 突出しかけた兵士の脳内に、御門・白の冷静な声が響いた。
『あれはこちらをおびき出す作戦です。突っ込んだところを包囲するつもり』
「そ、そうは言ったって、いくら撃っても効きやしないんじゃあ……!」
『……当てようと思って討たなくて構いません。とにかく反撃を続けてください。
 向こうの思惑を潰せば、それが結果的にこちらにとってのプラスになります』
 白は"ツクヨミ"を通じて、緊張した兵士の精神に働きかける。
『敵の動きを拘束しさえしてくれれば、あとはこちらで片付けますから』
「……り、了解……」
 ツクヨミのコクピットで、白はか細く安堵の吐息を漏らした。
 彼女もまた、兵士たちに「生きろ」と命じた者として責任を感じている。
 兵士にあるまじきセンチメントと、敵方の傭兵はあざ笑うかもしれない。
 ……それでもいい。言葉にしたことの責任は、きちんと果たさねばならぬ。
 オブリビオンマシンのもたらす狂気が、常にそばにあるからこそ。
 この身は人ならざるモノであるがゆえに――なおのこと、忘れてはならぬのだ。
 生命の重み。戦うことの重み。守ることの意味と、傷つけることの重さを。
「敵の増援が来たぞ! 撃て、撃てーッ!」
「――行こう、ツクヨミ」
 友軍の弾幕を追い風に、白とツクヨミは颯爽たる速度で敵増援に突っ込んだ。
 遮蔽を利用してミサイルを躱し、暴威とも形容すべき白兵戦で蹂躙する。
 秒単位で変化する敵味方の位置を把握し、射線を意識し、そして遮り、潰す。
 敵意や殺意の類を機敏に感じ取る、白とツクヨミだからこそ出来る芸当だ。
「敵は単独だ、深追いせずに包囲しろ! 味方の誤射にさえ注意すればいい!
 見たところサイキックキャバリアか何かのようだ、術の類にも警戒しておけ!」
 しかし、敵も木偶の坊ではないらしい。特に部隊指揮官はなかなか冴えるようだ。
 外見的特徴とツクヨミの戦闘方法から、大まかながらその特性を割り出し、
 己の部下たちを手足のように巧みに操って、ツクヨミを袋叩きにしようとする。
 勝てない相手ではない――が、問題はここで釘付けにされることだろう。
 つまりそのぶん、味方の護りが薄くなる。そして、兵士たちが攻撃に晒される。
(攻撃が来たならば、私の呪詛で反撃すればいい。とはいえ――)
 後続部隊による弾幕を防ぐことまでは、出来るか? ……不安があった。

『両翼から圧し潰せ、このまま釘付けに――おい、俺の命令が聞こえんのか!』
「……?」
 しかし、その時である。
 これまでひとつの生き物めいて連携していた敵部隊の足並みが、突然乱れた。
 どうやら、敵部隊間の通信に、強力なジャミングがかかっているらしい。
 何が起きたのか――敵も味方も訝しんだ瞬間、指揮官機が不意打ちされた!
「な、何をする、貴様ぁっ!?」
 あろうことかそれは、同じパラティヌスによる……つまり部下からの攻撃!
 まさか、戦闘で恐慌状態に陥った兵士が、突発的な反逆行為に出たのか?
 敵はそう捉えたかもしれない。だが白だけは、正確に状況を把握していた。
 彼女には、見えるのだ。パラティヌスに擬態した、キャバリアの正体が!
「……本城さん」
『やあ御門先輩! 横から失礼、お株を奪ってしまいました!』
 声の主は、白の後輩――すなわち、本城・アサヒのものであった。
 パラティヌスの姿は、擬態である。つまり、アサヒのマシン"ナザイベル"の。
「どうして、そんな真似を……?」
『そこはいまからお見せしましょう。お膳立ては済みましたから』
 パラティヌスに擬態した"ナザイベル"の各部から、めきめきと触手が生えた。
 それは放棄された指揮官機の残骸に絡みつき、通信網を侵食せしめる。
『緊急連絡! たったいま、友軍機からの攻撃を受けた。スパイが居たんだ!
 どうやら他にも伏兵は潜んでいるらしい、お互いに警戒しろ。寝首をかかれるぞ!』
 ほうぼうの体で逃げ出した指揮官の声を、そっくりそのままマシンが真似る。
 通信網を駆け抜けたこの虚偽は、たちまち毒のように敵軍の内部にはびこった。
「スパイだと……? おい、お前ら、近づくな!」
「待て、戦列を乱すと奴らに……うわあああああっ!?」
 疑心暗鬼から敵部隊の防衛線は足並みが乱れ、そこにクーデター軍が雪崩込む。
「隙ありです! 手足をもがせてもらいますよーっ!!」
 星黎凪の夜桜が猛然たる速度で敵を無力化し、ブルーフォッグが敵を誘い込むのだ!
「新兵ども、先輩からの丁寧なエスコートだ。しくじるなよ!」
 ホワイトの号令に合わせ……BLATATATATATATA……KA-BOOOOM!!
 誘い込まれた敵機は四方から残骸砲を浴びせられ、機能停止!
 たしかな手応えと戦果を上げた達成感に、新兵たちは快哉をあげる!
「ずいぶんと敵の動きが胡乱になってきたじゃないか。誰かうまくやったかね?」
 ホワイトはくわえタバコを噛み締めながら、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

 そう、これがアサヒのもたらした戦果……すなわち、敵指揮系統の破壊。
 ナザイベルの自作自演と裏工作は、防衛線を内側から瓦解させたのである。
「これは証明です。我等(わたし)とて暴れるだけが能ではないということの。
 作戦行動のための協調も可能とあらば――さて、御門先輩。どうですか?」
 アサヒはモニター越しに、ふっと強気な笑みを浮かべてみせた。
 洞調律を抑えているとはいえ、常日頃の敬意を払った様子からはややそぐわぬ目の光の強さである。
 そのせいか、それとも頼りになる後輩の存在を実感したからか、白はきょとんとした。
「このまま我々(わたしとあなた)で、敵陣を駆け抜けるというのは!」
『……ええ、そうですね。打って出なければ、前に進むことは出来ません』
 白は相変わらずの無表情で、けれどもどこか嬉しそうに、頷いた。
 守ることは、決して己の身を盾のように押し出して身代わりになるだけではない。
 仲間とともに肩を並べ、戦場を駆け抜ける。それもまた、立派な戦いだ。
「――行こう、ツクヨミ。そして本城さん。ここからは、私たちの反撃」
『上等です! 連中に思い知らせてやりましょう!』
「アタシたちも、もっと前に出るとしようか」
「もちろんそのつもりですよ! もっともっと、楽しみたいですからねっ!」
 一気呵成の勢いを得た猟兵たちが、怒涛のごとき反撃を開始する!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
【戦場:B】

人命を盾にするなんて、卑劣な真似を……!
……そうね、動揺している場合ではないわよね……ありがとう、ケン様。
ええ、他の猟兵の方々を信じて今は彼らを手伝いましょうか。

こちらの戦力不足が気がかりね……だったらここは、敵を利用しましょう。
先行して敵に近づきUC発動。キャバリアと操縦者を眠らせ操るわ。
自爆装置の類いがあれば【ハッキングで解除し無効化。オブリビオンマシンであればその場で破壊。
乗っていた傭兵達は情報を聞き出し下ろして拘束。
キャバリアのみを操り前線で戦わせるわ。
もし操縦経験のある方が希望するなら鹵獲したそれを渡しましょう。生身より多少は安全でしょうし……でも、慎重にね?


ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと
【戦場:B】

成る程 つまンねェ真似ぶちこいてくれンじゃねェか。
……落ち着けフェルト 変に考えるよかやれる事する方がマシだ。俺らァ俺らの出来る事すンぞ

――さて、手ェ貸せつっといてそのまま連中任せて訳にもいかねェわな。
フェルトもやってっし俺も手伝うか……人形捕りだ。
【アダム】使用。
不可視の繰り糸を出してはキャバリアどもをふん縛る。近接仕掛けてくれンならやり易いわな。
機械の関節だの絡ませるように狙えば動きは止め易いし何ならコクピット直接侵入して操作権丸々乗っ取ったってイイんだ。

――オラ 今ァこれがお前らの人形だ。手前らの腕見せてみろよ。



●神は己を模した、ならば
 奇跡的なことに、クーデター軍の損耗はいまだほぼゼロに近かった。
 もちろん、市街地の被害も同様だ。これは完全に、理想的な戦果といってもいい。
(これなら――……いいえ、まだ安心しては駄目よ、わたし)
 フェルト・フィルファーデンは心が浮つくのを感じ、けれども己を戒めた。
 まだ、戦いは終わっていない。本丸に到達できてすらいないのだ。
 そして丘陵地帯には、これ以上の進軍を阻むため配備された無数の敵機!
「こ、これ以上は、歩兵戦力では……!」
 ハンドキャノンを担いだ兵士が、敵の総数を見て震え上がった。
 キャバリアと人間の戦力者は、たとえるならばノミと人間にも等しい。
 生身の猟兵がこれを覆しうるのは、彼らにユーベルコードがあらばこそ。
(彼らに前線を突破してもらってきたが、ここからはそうもいかないか)
 レイオンは歯噛みした。やはり物量差がある以上、どうしようもないのか?
「……なら、その物量差とやらを、俺らが覆してやりゃあイイんだろうが」
「! その声は……!」
 コクピットのモニターにウィンドウが表示され、ケンタッキー・マクドナルドの不敵な表情が映し出される。
「お前らの使うべき人形は、あそこにあンだ。なら、それを調達してきてやる」
「……キャバリアを、奪うというのか? 出来るのか、そんなことが」
「俺を誰だと思ってやがる? ――"神の手"、だぜ」
 ケンタッキーは皮肉げな笑みを浮かべ、通信を終えた。
 今はもう、彼らに託すほかない。レイオンは己の力不足を恥じた。
 だが、やってくれるはずだ。あの言葉を投げかけてくれた彼らなら……!

「……さて。行くぜフェルト、テメェの電脳魔術も借りてェところだ」
「ええ、もちろんよケン様。ここで戦わなかったら、責任を果たせないもの」
 フェルトは毅然とした表情で頷く。ケンタッキーはふっと目を細めた。
(戦えねェ人間どもが窮地に立たされてンだ、張り詰めてると思ってたが――)
 フェルトは気高い妖精だ。だがそれだけに、精神的な脆さが露呈しがちである。
 もしも彼女が気もそぞろであるようなら、一喝してやるつもりだったが、
 戦況が有利に傾いているせいか、それとも彼女も精神的に成長したのか……。
 そんなお節介を焼いてやる必要は、ないらしい。ケンタッキーは好ましく感じる。
「テメェはそうやって、いつでも前向いてりゃいいのさ」
「え?」
「……なンでもねェ。さァ、行くぜ!」
 ケンタッキーはぽつりと呟いた言葉を誤魔化すように、声を張った。
 ふたりはGULLIVERに乗り込み、本隊から先行して敵陣へと飛び込む。
 目的は、パラティヌス……つまり、敵の機体を鹵獲することだ。
「全隊ィイーッ、砲撃開始ィ!!」
 DOOOOOM……! 無数のミサイルがGULLIVERの周辺地形を燃やし、抉る。
 神の手によって築き上げられた機械の巨人は、砲火の中を縫うように飛翔する。
「弾幕が激しくてうざってェな、アレ止められっか!」
「任せて、ケン様! さあ、眠りに堕ちてしまいなさい……!」
 フェルトは見えない電脳ウィルスを放ち、敵機のシステムを掌握した。
 パイロットたちは強烈な眠気に抗えず、かくんと意識を落としてしまう。
 これで無力化成功……と、いうわけにはいかないだろう。範囲には限界がある。
 100メートル以上後方の敵部隊は、容赦なく砲撃を継続してきた!
「チッ、遠くからちまちまと! だが、前の敵を黙らせられたンなら――」
 GULLIVERが手を突き出すと、後方の敵部隊がびくりと痙攣し、動きを止めた。
 痙攣? ……いや、違う。機体そのものが、何かに縛り付けられているのだ。
「な、なんだこれは? ハッキング? いや違う、ワイヤーか何かか!?」
 パラティヌスに乗った兵士は、動けぬ自機を動かそうと操縦桿をガチャガチャと乱暴に揺らす……が、パラティヌスはぎこちなく軋むばかりで言うことを聞かない。
 これは、ケンタッキーがユーベルコードによって編み上げた、目に見えないほど補足そして頑丈な操り糸によるものだ。
 前衛の動きが止まったいまならば、糸の放出と制御に専念できる。
「死にたくねェならさっさと降りろ、つーか降りてもらうぞコラ!」
「うおおおお……ッ!?」
 パラティヌスはケンタッキーの意思によって、強引にパイロットを排出させた。
 外に放り出されたパイロットたちが、呆然と自機を見上げる。
 操り手がいないはずの兵器たちは、のしのしと無造作に歩き出した。
 それはまるで、天におわす神の啓示に従う、殉教者たちのように。
「ケン様、システムのハッキングが終わったわ! この機体は、どれもオブリビオンではないみたいよ!」
「ヘッ、さすがにこンだけの数のオブリビオンマシンは用意できなかったっつゥことか。なら上等だァ!」
 操り糸と電脳ウィルスによって制御を奪われたパラティヌスたちが、がくん、と片膝をつき、跪いた。
「兵士ども! お前らの人形を用意してやった。その腕を見せてみろよ」
「生身よりは安全でしょう? けど、決して焦らず、慎重にね!」
 ふたりの活躍によって、クーデター軍は多数のキャバリアを鹵獲した。
 これにより、絶望的だった物量差は、大きく覆されることとなる!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
【戦場:A】
◆コガラス(f18713)と

ゲリラ戦……ねえ
まあ、好都合か
お互い十全に動けるってことだ

市街地の制圧に力を貸すよ
同業者相手のやり方ならいやというほど知ってる

広い街中だ、通信機か何かで連絡を取り合ってるだろう
聴覚機能を増強して、一番手近な敵の位置を探る
コガラスと協力して制圧し、通信端末を奪取
あとは通信内容を傍受しつつ位置を割り出して次々に制圧していくよ
よほどのことがない限り殺害は避ける

うん? ……ああ
別に、同情とか正義感じゃないぜ
この国の行く末も、こいつらの処遇も
決めるのは俺たちじゃないってだけ

……昔はそういうの、ちゃんと考えなかったからさ
今は、考えるようにしてるんだ
それだけの話、かな


式島・コガラス
【戦場:A】
◆鳴宮さん(f01612)と

……敵もゲリラ戦を展開するとは思いませんでした
とはいえ……ええ、問題はありません。これは我々の領分ですからね

市街地のゲリラ戦なら、敵兵配置の定石はある程度把握しています
最初の索敵はとりあえず鳴宮さんに任せ、徒手で制圧します
奪った通信機で通信内容を傍受しつつ、おおよその敵の位置を予測し次の目標に向かいます

やはりというか、鳴宮さんも慣れていますね
しかし……別に殺したいわけではありませんが、参考までに彼らを殺さない理由を伺っても構いませんか
……なるほど。確かに、我々は部外者です
どんな形であれ、人口を減らす資格はありません
考えてみれば、それもいつもの事ですね



●殺せるとも、殺さず
 BRATATATATA! BRATATATATATATATA!!
「くそっ、どうして連中の足は止まらない! 応援部隊はどうした!?」
「通信網が遮断されており、状況がまったく掴めず……!」
「あいつら、ハッキングまで出来るのか! 俺らは孤立無援じゃねえか!」
 平和な市街地のど真ん中で、無数の銃声と罵声が飛び交う。
 電子的・物理的に孤立させられたゲリラ部隊は、もはや張子の虎だった。
 破壊工作の責任を連中に押し付け、邪魔な国民もろとも一網打尽にする。
 ノイマン元帥の作戦は、完膚なきなまでに叩き潰されたのである。

 だが傭兵どもは、なおも悪足掻きを続け、猟兵たちに対抗していた。
 所詮は、金と権力欲に目がくらんで、この行いに手を貸した外道どもだ。
 必要となれば国民の命を人質に取ることなど、連中はなんとも思っていない。
 生きている価値をこれっぽっちも感じられない、掛け値なしのクズども。

 ――それでも、鳴宮・匡と式島・コガラスは、決して殺さなかった。
 ゲリラ兵としても、それ以前に戦士として傭兵として、一枚二枚上手でも。
 密かに設置された爆弾や罠を無力化し、たったふたりで敵部隊を殲滅し、
 ビルからビルへ、街から街へ駆け抜け、一部隊、また一部隊と叩き潰す。
 そもそもの場数が違う。そして敵は、完全に連携を損なっている。
 皮肉にもゲリラ戦という特殊な状況が、猟兵に味方していたのである。

「ひ、ひい……! た、助けてくれっ」
 匡に銃口を突きつけられた傭兵は、震え上がりながら命乞いをした。
「言われなくても、殺しやしないよ」
 匡は無表情で呆れたように言うと、持っていた拳銃を手首のスナップで回転する。
 そしてバレルを掴むと、銃把でかするようにして敵兵の下顎を叩いた。
「かッ」
 脳を揺らされた傭兵は、よだれを垂らした間抜け面で昏倒する。
 素早くうつ伏せにさせると、匡は結束バンドで親指を結び、兵士を拘束した。
「コガラス、こっちは片付いたぜ」
『タイミングがいいですね、鳴宮さん。こちらもいましがた終わったところです』
 通信を受けたコガラスの足元には、五人の敵兵がノびていた。
 壁や窓に刻まれた銃痕は、すべて敵兵が乱射した銃弾によるものだ。
 そもそも、コガラスは武装していない。徒手空拳で成し遂げたのである。
「鳴宮さんの耳のおかげで、最初の索敵はうまくいきましたからね。
 あとは通信内容を傍受しながら、常套手段に照らし合わせただけです」
『慣れたお前がコンビ相手でよかったよ。……とりあえずこいつらは放置だな』
「そうですか。その、これは大した意味のある質問ではないのですが」
『ん?』
「……鳴宮さんは、なぜ彼らを殺さないのです?」

 通信機を手にしたまま、匡は一瞬だけ押し黙った。
 その沈黙を非難と受け取ったコガラスは、遅れて付け加える。
「いえ、別に殺したいわけではありません。疑問というか、そうですね……。
 今後の参考までに、といったところでしょうか。これが最後ではありませんし」
『……ああ、そうだな』
 コガラスは、悪趣味なジョークを言うようなタイプではない。
 匡が黙っていたのは、彼なりに自分の気持ちを推察しようとしていたからだ。
 これがまともな人間あらば、即答できたのだろうか――と、彼は思う。
「別に、同情とか正義感じゃないんだ」
 匡は割れた窓の外を見やる。市街地の向こう、丘陵地帯からは煙が上がる。
 クーデター軍は、万全の体勢で進軍を続けているのだろう。
「この国の行く末も、こいつらの処遇も、決めるのは俺たちじゃない。
 この国にはこの国の法律があるだろうし、余計な責任は負いたくないからな」
『……なるほど。たしかに、我々は部外者ですね』
 猟兵は世界を超える。それゆえに、どんな世界でも旅人として扱われる。
 ましてやこのクロムキャバリアは、無数の国家が林立する戦乱の世界。
 この戦い自体、猟兵はあくまで外様として手を貸しているに過ぎない。
『私も同意見です。無益にこの世界の人口を減らす必要も、資格もありません。
 それに、考えてみればいつものことですね。状況のせいか妙なことを訊きました』
「いや、いいさ。……いまは、そういうことをちゃんと考えることにしてるから」
『考える、ですか?』
「ああ」
 匡は拳銃のスライドを引いた。
「だから、何かが変わるわけじゃないとしても。考えることに意味がある。
 ……俺は、そう信じてるんだ。だから、俺にとっては、それだけの話だよ」
 ゆりかごのように慣れ親しんだ戦場。血と硝煙と阿鼻叫喚のにおい。
 何も考えずにいた頃と違って、そのすべてが匡の目・耳・華をえぐる。
 だからこそ、彼は――少しは人間らしく、生きていられるような気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

デュ・エルオビーオ
【プレデター】
【戦場:B】射程が許せばDも

そうだねー、寂しいや。みんな、だらだらお昼寝するぐらいできたらいいのにね
はーい。イーリス。お仕事だから。やるよ

キャバリア……ヴェドヴァと繋がれば目は覚める。頭も舌も良く回るー

視覚にもセンサーにも頼らない超能力による感知から逃れるすべは無いから
イーリスとも精神感応で情報を共有して、と
イーリスとお揃いのミサイルを、あたしはちょっと改造して、思念で誘導。逃さないし、逃げられないよ
火力も物量もイーリスには及ばないから、あたしの役目は支援と追撃ってとこかな

クーデターも、未来を守る決意も。興味なんてないけど
がんばる人を手伝うぐらいはするよ
死ぬのは苦しいだろうしねえ


イーリス・ヴァイデンフェラー
【プレデター】
【戦場:B】射程が許せばDも

向こうも国を守るのに傭兵ですか
あたしたちがいうのもあれですけれど、寂しいですねぇ
さてさて、デュちゃん
お仕事頑張りましょうねぇ

デュちゃんからの情報をもとに待ち伏せしている敵や増援の敵キャバリアを長距離から仕留めます
ふふ、デュちゃんもお揃いの装備でちょっと嬉しいですねぇ
御謙遜を、そちらの精度と違ってあたしはばら撒いてるだけですから
国境で共闘した子たちならこれを覚えてますかねぇ
でも、よほどの危機でなければ、クーデター軍が接敵した相手は撃ちません
だって、これは彼らの戦い
自分たちの手で未来を守るという決意を尊重したいんです
ええ、きっと死ぬのは苦しいでしょうから



●未来を守る
 クーデターだとか、未来を守る決意だとか……よりよい将来だとか。
 そういう理想論や熱血的な言葉は、デュ・エルオビーオには届かない。
 そもそも、言葉なんてものはふたしかだ。虚偽と欲望に塗れている。
 綺麗事を吐く奴ほど、心の中は真反対に薄汚れて歪んでいた。
 心が読めない猟兵も、今までの経験を鑑みればだいたい予想がつく。
 人の心なんて、いいものじゃない。
 人の頭なんて、別に優れたものじゃない。
 そこらの動物と、そう変わりはしない。だから、興味もないし、どうでもいい。
 どうせ変わらないなら、植物のように、ただ眠っていればいいのに。
 そうすれば、飢えることもない。
 そうすれば、求めることもない。
 争うこともなく、
 苦しむこともなく、
 憎むことも嫌うことも死ぬこともない。
 失うこともない。
 なんと気楽で、平和で、誰もが幸せになれる素晴らしいアイデアだろう。
 なのに人は、目を開けて心を醒まして、今日もこうして争っている。
 ――馬鹿らしい。
 だからデュは、キャバリアに起こされるのが好きではなかった。

 はっきり言って、彼女が何を考えているのかはさっぱりわからない。
 そもそも朝も昼も夕も寝こけてばかりだし、コミュニケーションも最低限だ。
 ただ、放っておけないのだ――何を考えているのかわからないからこそ。
 彼女のコミュニケーション不全は、他者への無興味からだろう。
 有り体に言えば、突き放している。それか、本当に興味がないのか。
 イーリス・ヴァイデンフェラーとしては、それは面白くなかった。
 いつものように寝ていると思っていたら、そのまま目を覚まさないような。
 そんな、形がないふわふわとした綿毛のような、漠然とした不安が、ある。
 デュは、そういう子だ。一瞬目を離したらどこかへ消えてしまいそう。
 眠ってばかりで出歩くことなどまれなのに、なぜだかそう感じる。
 だから、ほうっておけない。何かにつけて、あれこれとつっついてしまう。
 そのたびに彼女は、面倒そうに、寝ぼけた顔で、はいはい、と言う。
 悪しざまに思われてはいないのだろう――おそらくは、だが。
 多分だが、ウマの合う仲間とか、そんなふうに思われているのではないだろうか。
 まあ、否定はすまい。自分だって、面倒事は嫌いだし、出費はもっと嫌いだ。
 どこかの誰かさんのように、戦いを好き好んでいるようなタチでもない。
 戦わずに済むなら、それでいい。儲けられるなら、なおそれがいい。
 戦いは、浪費の究極かつ最悪の形態である。
 一秒ごとに金が減り、命が減り、世界の余裕が失われていく。
 誰も得などしない。だからよくない。戦いなんて、ないほうがいい。
 ……戦いなんて、馬鹿らしい。
 だからイーリスは、戦いそのものを楽しむようなことは滅多になかった。

 ふたりの力を合わせた砲火が、超・長距離から敵兵を蹂躙する。
 まるでそれは、大いなる雷神が擲った雷霆のように、無慈悲で一方的だ。
 アウトレンジからの砲撃に、パラティヌスは打つ手がない。
 近づければ、まだ可能性はある――だが接近さえも捕食者は赦さない。
 罪の裁きじみた、一方的で、自動的で、そして徹底的な殲滅砲撃であった。
 殺すのは簡単だ。殺さないようにするのはとても難しい。
 だが、彼女らはそうした。簡単でも、殺すのは"面倒"だったから。
『はあー。気持ち悪いなあ』
 通信越しの、デュの何度目かの嘆息。キャバリアに乗ると彼女はいつもそうだ。
 ヴェドヴァに接続されている間、デュの意識は強制的に明晰となる。
 流れ込む情報と感知した精神波に押し潰されるほど、彼女はやわではない。
 しかし、それが心地よいかどうかは別の話――むしろ、悪い。
「大変そうですねぇ。あたしはお揃いの装備がとyっと嬉しいんですけどぉ」
『うーん、イーリスとおそろいなのは、まあ嫌いじゃないけどー』
「それにこういうときは、デュちゃんはいつもよりはっきりしてますしねぇ」
『……それって、いいこと? イーリスにとっては』
「そうですよぉ」
『……そっかー』
 気のない声だった。イーリスはくすりと笑う。
 目の前で繰り広げられる蹂躙砲撃とは、まるで対極的な平和な会話だった。
「死ぬのは苦しいでしょうに、敵も味方も頑張ってますねぇ」
『そうだね。だからー、殺さないようにしないとねー』
「ええ。どうせあたしたちには、それしか出来ませんから」
 途切れぬ爆炎は、どこか花火のようでキレイに思えた。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
【電子の海から各戦場の連携や作戦支援を行う】

いずれの作戦も、ボクなりの作戦遂行は可能だ
でもまあ、各々プロの猟兵がいるんだ、彼らに任せよう

部隊連携、補給路の確保や索敵、情報連携、敵攪乱を全力で支援だ
(ハッキング、情報収集、偵察、学習力、破壊工作、拠点防御、ジャミング、集団戦術)

戦場のキャバリアから市街地のカメラ、各センサーもボクの耳目となる

ゲリラの潜伏するビルでは、生きていた警報器が急に鳴り響く
クーデター軍への撤退路や補給路は常に更新され続ける
敵基地内には欺瞞情報が飛び交う
最前線で破棄されたキャバリアの火器は、敵機に向けて発射される

確約できなくても
誰かの明日を、諦める理由にはならないのさ


ヴィクティム・ウィンターミュート
少し前に連中の基地に潜入した時、【ハッキング】して突破した生体認証システム…それに残ったバックドアを使う
システムからネットワークを辿り、連中の通信システムに手を伸ばす
狙うのはキャバリアへの通信回線だ
そこに制御を乗っ取るウィルスを仕込み、制御権を奪う
パイロットを強制排出すれば、後は遠隔操作で纏めて操作だ
クーデター軍を護りつつ、混乱を利用して前線を掻き乱しまくる
行動不能キャバリアも奪っちまうぜ

さて、フリーの本体はっと
【地形の利用】で身を隠しつつ、ゲリラ兵の【暗殺】だ
奪ったキャバリアや火器を遠隔操作しながらそんなことできるかって?
『出来る』から『やる』
射程は9km以上…マエストロの手は遠くまで届くさ


アルカ・スィエラ
【戦場:D】
オブリビオンマシンさえ止めれば、この戦いは終息に向かわせられるはず
……私にできるのは、このぐらいよ

プロトミレスで出撃後ドラグレクスと合体し、アルカレクスでいく
回避は捨て、Eフィールドで対応
隙を見てフィールドでの拘束に切り替え……【カエルム・インフェルヌス】!
コクピットを狙うように左腕ドリルで突撃し一撃、追加で右腕のドリルも叩き込んで、そのまま爆散させる!
次に死にたいのは誰?



……実際には事前にバリアで乗員を防護し、左腕での一撃時に相手を引きずり出してから「機体のみを攻撃」してるんだけど。
命惜しさに何人か逃げ出せば上々かな

後、回収した敵パイロットは味方に引き渡すわ。
※アドリブ他歓迎です



●兵器に善悪はなく
 市街地、最前線、制圧された基地、後方。
 戦場のあらゆる場面を、リア・ファルは知覚し、演算し、そして予測する。
 常人であれば、意識を接続しただけで脳が焼ききれるレベルの情報量だ。
 生粋の戦術AIであるリアならば、耐えられる――むしろ、最適な戦場だった。
「市街地のゲリラ部隊は、おおまか制圧完了。匡にーさんたちのおかげだね。
 クーデター軍の損耗率は実質ゼロ%! そして敵本拠地まであと2キロだよ!」
『オーケィ、上々だ。なら、ここからはラストスパートと行くか』
 電脳越しの通信を受けたヴィクティム・ウィンターミュートは、不敵に笑う。
『事前準備のおかげで、連中のシステムネットワークにバックドアを仕掛けてある。
 幸い、前衛で暴れてくれるヤツもいるみたいだ。こっちは好きに動けるぜ』
 ヴィクティムの狙いは、パラティヌスそのものを掌握、鹵獲することだ。
 すでに他の猟兵によって、少なからぬ数の機体が鹵獲・流用されている。
 ヴィクティムともうひとり……彼の言う"暴れてくれるヤツ"であるところのキャバリア乗り、アルカ・スィエラ……の奮戦があれば、物量さはさらに覆る。
 戦いはここからが本番だ。オブリビオンマシン相手の戦いは死闘となろう。
 それこそが猟兵たちの本領発揮とはいえ、兵士たちにも自衛手段があるに越したことはない。
 敵の物量を減らし、味方の物量を増やす。一挙両得の作戦である。
「Eフィールド、展開……! アルカレクス、吶喊するわ!」
 そしてアルカは、融合機体アルカレクスで敵陣のど真ん中へ飛び込む。
 なんとしてもクーデター軍をいかせまいとする敵は、結集した戦力で強固な防御陣形を構築し、足止めの構えに入っていた。
 ここまで前線が押し上がると、敵兵はノイマンの私兵だけにとどまらない。
 理不尽な命令を受け、各々様々な思いを抱きながらも、あえて兵士としての本懐――つまり、国土を守らんとする兵士たちも、混ざってくるのだ。
 接近するアルカレクスに対し、パラティヌス指揮官機が実体槍を突き出した。
 実体剣"ルーナグラディウス"と、突撃用ランスがぶつかり、火花を散らす!
「退きなさい! もう共和国軍に勝ち目はないわ、このままだと犬死よ!」
 アルカは接触回線越しに、敵兵に投降を促す。
 金や権力に目が眩んだ傭兵ならばいざしらず、相手はれっきとした兵士である。
 こんなふざけた命令に、唯々諾々と従っているわけがない。
 キャバリア乗りの勘とでもいうべきか、戦っていてわかることがあるのだ。
 だから、アルカは叫んだ。けれども指揮官は、こう応える。
『……ふざけたことを。たとえどんな命令であれ、上官に従うのが兵士の役目だ』
「自分たちの国土を焼き払えだなんて、そんなことを命令する上官にまで!?
 だったらあなたは、兵士の役目とやらを履き違えているわ! それは違う!」
『黙れッ!! 国土を土足で踏みにじるよそ者が、何を言うかッ!!』
 猟兵とクーデター軍を阻む兵士たちは、まったくの正気である。
 これがオブリビオンマシンの狂気によるものであれば、まだ話は速い。
 アルカは歯噛みした。回線越しの声から、たしかな苦渋と懊悩を感じたからだ。
(わかっていて、逃げ出さない。その精神は見上げたものよ。けれど――!)
 彼女の脳裏に、焼かれた国土の無残な光景がフラッシュバックする。
「……私は、あなたたちを認めない。あなたたちのやることを認めないッ!
 Eフィールド位相反転、機体拘束……! コクピットを破壊するわ、システムの掌握を!」
『了解! 敵兵さえ放り出されば、こっちのものだよ!』
 リアからの応答にうなずき、アルカは左腕のドリルをコクピットに叩き込んだ。
 はたから見れば、指揮官を無残に鏖殺する、残虐な一撃でしかない。
 もちろんアルカは、正気の兵士を殺すほど落ちぶれてはいなかった。
 フィールドで敵兵を保護し、コクピットだけを破壊し、引きずり出す。
 これは、敵兵を威圧するための、いわば偽りの処刑打撃である。
「……さあ、次に死にたいのは誰? 退かないならこうなるわよ!」
 アルカレクスは、コクピットが破砕したパラティヌスを放り捨てた。
 リアの遠隔ハッキングにより、機体は掌握され、そして再利用される。
 そこに相乗りするのが、ヴィクティムの仕事だ。彼の本隊はいま市街地にある。
 遠隔操作による起動。まるで、屍が蘇るような。
(さて、せいぜい連中をビビらせてやろうじゃねえか)
 遠く市街地で、ヴィクティムは皮肉げに笑う。
 兵士たちの恐慌は、すぐに訪れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『機動殲龍『煉獄』』

POW   :    殲機滅煌機構『赫煌』
自身に【UCを防ぎ、敵の装備を根源から焼く灼煌翼】をまとい、高速移動と【共に近づく物を焼き切る。また太陽フレア】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    殲界浄熾機構『灼熾』
【体に業火を纏い戦場を焼く巨砲とミサイル群】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を根源から燃やす消えぬ炎で満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    殲業鎮燻機構『煉獄』
全身を【敵の知性体の殺害数に比例した量の癒しの炎】で覆い、自身が敵から受けた【際に敵の殺害数に比例して炎量を増し、総量】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:ぽにカス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ケンドリックス共和国北部:共和国軍中央基地
 大地が、割れた。

 ノイマンを狂気で染め上げたオブリビオンマシンは、地下で眠っていた。
 より正しく言えば、存在を隠され改造と増築を続けていたのである。
 亀裂の下から現れたのは、キャバリアの常識を超えた巨躯――獣の巨躯である。
『もういい』
 ノイマンの、苛立った声が拡がった。
『邪魔な国民を貴様らもろとも排除すればマシになるかと思ったが、"やめ"だ。
 こんな国は維持する必要もない。すべて真っ平らにして、最初からやり直す』
 なるほど、ゲリラ戦を行使してまで国土を焼こうとするわけである。
 そもそもこの機体自体が、共和国を灰燼に帰する破滅の巨獣なのだから!
『役立たずな兵士とは、どうしてこうも手間と面倒ばかり増やしてくれるのか!
 猟兵諸君。我が不出来な部下どもと愚民ども諸共、消え去ってくれたまえ!!』
 赤き獣が異形の咆哮をあげる。溢れ出すのは世界をも焦がす破滅の灼炎!
 いまここでヤツを叩き潰さねば、被害はこの国では収まるまい。
「なんて化け物だ……全機、決して深入りするな! 支援に徹しろ!
 あれは……あれは、"同じ"だ。私たちを魅入らせたものと同じだ……!」
 レイオンは新兵らと元兵士たちに、後退を命令した。
 一度はオブリビオンマシンに魅入られたがゆえか、彼にはわかるのだ。
 あれを滅ぼしえる存在は、猟兵をおいて他にないのだと……!

●プレイング受付期間
 12/24(木)13:59前後まで。
 
●プレイング上の備考
 本章では、ボスがクーデター軍および市街地を積極的に攻撃しようとします。
 猟兵の攻撃によって妨害や挑発をしない限り、甚大な被害が出るでしょう。
(具体的に言うと、🔴が発生するごとに、市街地もしくはクーデター軍に相応の被害が出るものとします)

 しかし前章での皆様の奮戦により、友軍の消耗は限りなくゼロに抑えられました。
 これを鑑み本章では、全参加者様が多少のプレイングボーナスを得ています。
 プレイングの際は『防衛』『攻撃』『妨害』のどれを重視するか明記いただけると、さらなるボーナスを得やすくなります。
(もちろん例にもよって、防衛しつつ攻撃とかも全然アリです。あくまで一例です)
牙・虎鉄
【攻撃】

(瞑目した侭敵を目指す。)
《カカカ!!おう 見ろ小僧
よう狂っておる!!》

騒ぐな"シャンユエ"。

《無理を云う、血が猛りよるわ!!儂も出るぞ!!》

勝手にしろ
俺も好きにする。

(駆足で踏み締めた地面から巨影が出ずる。
虎頭
漆黒の五体
腕に紫電纏う魔神機"シャンユエ"が喧しく吼える。)
《――カカカ、得物頼りは関心せんなア同胞!!》

(魔機の両腕が弾頭を薙ぐ。
其の儘燃える腕も厭わず接敵し
決闘を挑む傍ら)

――陽動には丁度良い。
(敵機体を駆け"破山"の一撃を敵頭へ【グラップル×鎧砕き】。揺らす位は出来よう。)

腕を貸せ。
《カカ、度胸を買うてやる青二才!》
(生身での一撃を布石に
影甲纏った拳打を本命として放つ。)



●災禍の中心へ
 牙・虎鉄は瞼を決して開かぬまま、太陽の如き灼熱の中心へと赴いた。
 天よりその小さき姿を見下ろせば、足取りは矢のように見えたことだろう。
 それほどまでに決断的で、臆することも躊躇することもない勇猛さであった。
 ……あるいは蛮勇と呼ぶべきか。それは、余人が下せる沙汰ではない。
『生身で来るか――いや、その気配。なるほど、面白い!』
 オブリビオンマシンと半ば一体化したノイマンは、"影"の気配を察した。
 そして"影"――シャンユエもまた、同族の敵意を感知し、哂った。
《カカカ!! おう、見ろ小僧。よう狂っておる。血が滾りよるわ!!》
「騒ぐな、"シャンユエ"。暴れたいのならば好きにしろ」
《言われるまでもなし! 儂も出るぞ、小僧!》
「そうか。ならば俺も好きにするまで」
 巨獣は咆哮す――めきめきと炎の中より生まれしは無数の砲塔!
 それらは虎鉄ただひとりを狙い、殲滅の火砲と弾頭を同時に解き放った!
《――カカカ、得物頼りは感心せんなア、同胞ッ!!》
 影より現れたるは虎頭に漆黒の五体、バチバチと紫電を纏う、"魔"にして"神"。
 畏れよ、これこそ魔神機"シャンユエ"。意思持つ狂気にして無双の猛虎なり!

 飛来する弾頭の尽くを、紫電ほとばしる虎の双爪が薙ぎ払った。
 遅れて剣風じみた暴威が吹き荒れ、周囲のビルや基地の外壁を切り裂く。
 ただ爪を振るうだけでこれほどの波濤。伊達にオブリビオンマシンではない!
『小賢しいッ!!』
 火砲集中――喰らえば生身はもとよりキャバリアとて蒸発は必至。
《カカカァ!!》
 シャンユエは紫電を収束させ、鏡めいた円形の障壁を構築しこれを止めた。
 一瞬の拮抗――虎鉄は瞼を閉じたまま、一歩ごとに迅雷じみた速度で進む。
 火砲追撃! 紫電の障壁がバチバチと解け、虎の両腕を焼く。哄笑!
《ぬるい、ぬるいぞ同胞よ! この程度で我らは滅ぼせぬわいなァ!!》
「……陽動にはちょうどいい」
 魔神と巨獣が骨肉相食むなか、虎鉄はジグザグを描きながら巨躯を駆け上がる。
『見えていないとでも思ったかね? 虫めが!』
 巨獣の大口が虎鉄を迎え撃つ。牙は鋼はおろか地盤さえも噛み砕くだろう。
「――見えていないと、俺が思っていたとでも?」
 がちん! と地獄の門じみて閉じられた大口を、虎鉄は避けている!
 次いで噴き出した灼熱……気息を調え一蹴。肌を焼かれてなお生存!
「腕を貸せ」
《度胸を買うてやるわ青二才、叩き込んでやれぃ!!》
「――承知」
 虎鉄は炎の熱気を蹴るという絶技を見せ、まず襲撃にて敵の頭部を撃った。
 巨躯さえも揺らぐほどの剛力。そして肩から先を影の巨腕が覆う!
『ぬううう……!!』
「身の小ささで侮ったな。お前のようなものを木偶と云う」
 影甲越しの寸勁が、巨躯の心央を突いた――轟音、そして吹き飛ぶ巨獣!
『人間、ごときが……! なぜ狂気の中で自由でいられる!?』
「答える義務はない」
 瞼を閉じていてなお、虎鉄の闘気は刃めいて鋭い。
 獣を屠るは人の役目。全身から満ち満ちる内功は、翳るどころかなお燃える!

大成功 🔵​🔵​🔵​

儚・ソラ
※アドリブ歓迎
【攻撃】
あはは、予知で見たけどやっぱり大きいですね。
(冗談めかして、頭の痛みをごまかし自分を鼓舞する)

調律を全てカット……しばらく負荷の高い処理は無理か。
でもまだ動ける。皆に繋げるよ、ソムニウム。
(気を引くためステルス無しで巨躯に向かって機体を晒す)

収縮筋最大駆動。チャフ、スモーク展開。
敵のミサイルはジャマーでかく乱されるけど、こっちの無誘導ロケット弾なら関係ない。
(射出機から様々な弾を発射。敵のミサイルも利用して煙幕を張る)

……!
(煙幕を利用して一撃を与える)

くっ、後は任せます!
(敵の反撃を受けて、自分の一撃に意味があったことを祈りつつ撤退する)


黒川・闇慈
「さて、クーデターの総仕上げと参りましょうか。クックック」

【行動】【攻撃】
wizで対抗です。
相手のオブリビオンマシンは癒やしの炎で体を覆い、再生能力を持つようです。こうした手合いはちまちまと削っても仕方ありませんね。大火力をぶつけて一気に叩きましょう。
属性攻撃、全力魔法、多重詠唱の技能を用いて八獄総軍を使用します。ハイメギドカノンで可能な限りエネルギーの収束を行って攻撃範囲を狭めれば市街地への余波も軽減できるでしょう。

「クーデターにおいて玉を取り逃がすと面倒なことになりますのでね……確実に仕留めさせていただきますよ。クックック」

【連携・アドリブ歓迎】


エミリア・ジェフティー
◎妨害
何もかもを焼き尽くす圧倒的な破壊
それに生体キャバリア
…あの手のものはどうにも好きになれません
何か…嫌な事を思い出しそうになるんですよね

いえ、悠長に耽ってる暇はないですね
武装を破壊して都市攻撃の妨害を行いましょう
まずはそのご立派な砲をへし折る!

UCを最大加速で使用
触れる炎も置き去りにする速さで、行き掛けの駄賃にミサイルを【ハッキング】して自爆させながら巨砲正面へ突っ込みます
既に発射体制に入っていようと、私の前では止まってるも同然
プロミネンスリッパーを【投擲】し、砲身内の砲弾の信管を叩いて作動させ、内部から巨砲を破壊です

…と、さすがに負荷が大きい
UCの再使用可能までミサイル迎撃に回りましょう


アルトリウス・セレスタイト
演説は仕舞いか
では退場しろ

攻撃重視

戦況は『天光』で常時把握
必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給
受ける攻撃も外へ「捨て」て影響を回避

破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

高速詠唱を幾重にも重ね『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、展開
『解放』で全力の魔力を注ぎ干渉力を最大化し全方向へ斉射
更に射出の瞬間を『再帰』で無限循環、間断なく継続
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

反撃も回避も余地を残さぬ面制圧飽和攻撃
纏う炎、放つ火砲
諸共に尽く呑んで消し飛ばすまで
火力と物量で全て圧殺する

※アドリブ歓迎



●一撃を届かせろ
 機動殲龍、『煉獄』。
 それがこの赫き災厄の銘であり、つまりは狂気の化身であった。
 キャバリアでありながら半ば生体存在たるその身は、常に成長を続ける。
 生半可な攻撃は、生命を糧に燃え上がる紅焔で修復されてしまう。
 厄介なことに癒やしの炎は攻撃をするほどに強まっていってしまうのだ。
 持久戦は最悪手。
 さりとて功を焦れば、要塞兵器もかくやの火砲弾幕が愚か者を撃墜するだろう。
 ノイマンは、追い詰められてこれを覚醒させたのではない。
 奴にとってこれまでの作戦は、すべて「よりよい国のため」の準備だった。
 戦争に反対する兵士や国民を戦いの中でもろともに消し去り、
 ただ闘争を続けるためだけにこの共和国を最適化していき、
 より純粋に、そして欲望のためだけに戦火を求める人材を揃える。
 ……それが猟兵の手で叩き潰された以上、ノイマンのやることはただひとつ。

 何もかもを灰燼に帰す。ただ、それだけであった。

「予知で見たけど……あはは、とてつもない大きさ、ですね」
 因果律の演算調律を続けていた儚・ソラは、さすがに機能を全カットした。
 多数が入り交じる戦場においてならばともかく、強大な個相手に調理は後手。
 ああした形を得た災厄は、因果律さえもその力で捻じ曲げてしまう。
 つまりここからは、キャバリア乗りとしての技量が試される。
「皆に繋げるよ、ソムニウム……まだ動けるうちにっ!」
 ソラは自機"ソムニウム"のステルス機構を解除し、あろうことか巨獣の前に出た。
 飢えた獣の目の前に、血が滴る生肉をぶら下げてやるようなものだ!
『囮のつもりかね? 結構。その浅知恵もろとも消し飛びたまえ!!』
 煉獄は無数の砲塔をその場で生成し、燃えるミサイルを立て続けに放った。
 回避余地空間――なし。国土を誇張抜きに焼き滅ぼせるであろう殲滅熱量!
「収縮筋最大駆動。チャフ、スモーク展開……っ!」
 ソムニウムはばらまけるだけの目くらましをばらまき、全力で回避機動を取る。
 だが、そもそもの数が多い。濁流を溺れずに渡れる蟻など存在しないのだ。
 徐々にミサイルの爆炎が逃げ道を塞ぎ、そしてついに弾頭がソムニウムを――!

 ……捕らえると見えた、だが弾頭は直前で誘爆、無数の火花と化した。
『新手か!』
 然り。ノイマンが捉えた機影はふたつ――正確には、一体とひとり。
 かたや、魔導ゴーレムキャバリア『アヴィケブロン』を駆る黒川・闇慈。
 そしてもう一方は、蒼き燐光の原理魔術を用いて空間を支配せしアルトリウス・セレスタイト。
 ふたりの超・魔術師が、その魔弾と複合魔力砲撃で弾頭を迎撃したのだ!
「さて、クーデターの総仕上げと参りましょうか。クックック」
「演説は仕舞いのようだな、ノイマン・ハーディ。ならば退場するがいい」
 蒼の魔弾は必滅の原理を込めた、触れたものを消し去る絶対の原理。
 それは星の如くに天光を覆い、巨躯さえも飲み込まんほどに降り注いだ。
 同時に闇慈のアヴィケブロンは、多重魔力砲撃を複合発動し、一斉放射。
 ひとつの呪文を同時に詠唱するという極めて高度な魔術行為により、
 炎・氷・風・岩・雷・樹・光・闇の8属性を宿した魔力が嵐じみて吹き荒れる!
『その程度の攻撃で、このボディを傷つけられるものか!!』
 ノイマンの言葉は虚勢や驕慢ではない。被弾するはしに燃え上がる癒やしの炎!
 それはいまだ血を呑まぬ現時点でさえ、魔弾と魔力砲撃のダメージを修復していく。
 もしもノイマンの狙い通り、国土が、民が、兵士が殺されてしまったなら……!
「なるほど、自信満々にうそぶくだけはある。だが拮抗が精一杯のようだな」
「お望みの市街地に手出しするほどの余裕はないでしょうねぇ、クックック」
 そしてふたりの言葉もまた真実――敵はこの超・砲撃を相殺するのが限度!
 仮に煉獄に余裕があるならば、火砲はすでに国民を焼き尽くしているはずだ。
 状況はかろうじて拮抗している。しかし、いつまで保つのか……!?
『蝿どもめ! どこまで私の邪魔をするか!』
「ハエとはずいぶんなご挨拶ですね。ならば撃ち落としてみたらどうです!?」
 ソラ=ソムニウムは、煉獄の視界を縦横無尽に飛び回り撹乱する。
 ありったけの妨害兵器をバラまき、火砲の狙いを逸らさせ、敵を挑発する。
 すべては味方が万全たる攻撃を叩き込むため。そして――。

「何もかもを灼き尽くす、圧倒的な破壊……それに、生体キャバリア」
 高速で戦域に飛来する、一条の光芒。災禍炎剣の裁きさえ恐れぬ高速駆動。
 エミリア・ジェフティーは亜音速の風の中で、引き伸ばされた思索にふける。
 "ヴァーディクト・アンサー"。重大な過負荷を代償として発動する、極限の思考・感覚・行動強化術式。
 いまやエミリアにとっては、刹那の一瞬でさえも無限のように思えた。
 燃え上がる炎のゆらめきも、大気の揺らぎも、まるで止まって見えている。
 加速した主観時間の世界は、誰も並ぶもののない孤独な世界でもあった。
(――……やっぱりあの手のものは、どうにも好きになれない)
 脳髄を万力で締め上げるような痛みもまた、引き伸ばされてやってくる。
 研ぎ澄ませた思考力のブーストが終われば、地獄の苦痛が出迎えるだろう。
 知ったことではない。なんとしてでもあの狂獣を落とさねばならないのだ。
 国を焼かれる前に。民が殺される前に。……あのときのように。
(――あのとき?)
 ふと脳裏によぎった言葉の違和感に、エミリアは奇妙な感覚を得た。
 あのとき。それを思い出そうとしても、エミリアの記憶は定かならない。
 まるで水面に映る月をつかもうとしているような、曖昧模糊とした感覚。
 何かを、忘れている? 自分が? ……それはとても"嫌なこと"だ。
 脳髄の裏が痛む。これは、戦闘には不要だ。今は切り捨てなければならない。
《Warning,Significant health hazards to the user can be expected.》
「識ったことか……! 最大加速、あの火砲を叩き折るッ!!」
 警告メッセージをコンソールを殴りつけて黙らせると、エミリアはブースターを展開!
 乗機がついに音の壁を超え、空気をプラズマ化させながら巨躯へと"突き刺さった"!
『何――!?』
「遅いんですよ。私の前ではね……!」
 すれ違いざまの一瞬、プロミネンスリッパーが砲身にまっすぐ投げ込まれた。
 セシャート、減速――主観時間が現実と折り合いを付け、感覚が戻る。
 激甚たる苦痛とともに爆ぜたのは、他ならぬ巨獣が誇る火砲の砲身であった!
「……ぐ……! さすがに、負荷が大きい……けれど!」
 いまこの瞬間、国土を焼き払うための火砲はない。復帰には時間がかかろう。
 すなわち、好機。アルトリウスと闇慈の攻撃が、拮抗ではなく追撃のために加速した!
『ぜ、脆弱な生身の人間に! 得体の知れぬ魔導兵器が我が煉獄を圧倒するだと!?
 ありえん、ありえてはならん! なぜ私の野望をそこまで邪魔しようとする!?』
「答える価値の感じられない疑問だが、あえて答えてやろう」
 次々に蒼の魔弾を生み出しながら、アルトリウスが言った。
「そもそも、お前の野望とやらを承服してやる理由がない。それだけだ」
「それが我々の使命であり、任務ですからねぇ。クックック!」
 魔弾と呼応した八色の砲撃が、ついにミサイル砲塔を飲み込み爆砕せしめた!
「クーデターにおいて玉を取り逃すと面倒なことになりますのでねぇ。
 確実に仕留めさせていただきますよ、もちろんその機体のことですが……!」
 砲撃、爆砕、砲撃、爆砕、砲撃、爆砕――虹めいた爆炎が巨躯を包む!
『この、ゴミどもが……!?』
 そしてノイマンは見た。
 ハエと侮った少年――ソラ=ソムニウムが、懐に潜り込んでいるのを。
 猟兵たちの猛攻と、それがもたらす混乱が、奴から意識を逸らさせてしまった。
 だが、こんな脆弱なキャバリアに。よもや、遅れを取るとでも……!?
「――!」
 ソムニウムの単分子重斬刀が、修復を開始していた火砲の連結部分を切削する。
 爆炎が噴き出し、火砲の再生を遅らせた。これは小さな、だが大きい一撃だ!
『どこまでも、私の邪魔をするかァアアアアッ!!』
 炎纏いし獣の爪がソムニウムを吹き飛ばす!
「く……! あとは、任せます……!」
 はたしてソムニウムの刻みつけた一撃は、巨岩を穿つ乾坤一擲の亀裂となるか。
 それは演算調律したとて定められぬ未来の領域の話。
 だがソラは信じている――猟兵(なかま)ならば、それを必ず成し遂げると。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

式島・コガラス
◆鳴宮さん(f01612)と
『防衛』重視

……とてつもない炎です
機体も、キャバリアというよりはむしろ生物に近い
しかし、あくまでその武装は意志を持たない代物
この国の人口を減らさないと言いましたからね。易々と焼かせはしません

【地の底より】。周囲の破壊痕などを元に水を精製します
この水は意志を持たない物ならば何であれ引きずり込む。底のないどこかへと
人々への攻撃はこれで吸収して防御します
火は水には敵わぬもの。静まりなさい

……とはいえ、この能力も万能ではない。視認できない攻撃には対応できないので、その点は鳴宮さんにご助力いただければと
それにしても、オブリビオン含め一人も殺さない仕事とは。案外骨が折れますね


鳴宮・匡
『防衛』重視
◆コガラス(f18713)と

――視るに、あの火が相手の力の源ってところだな
そういうことなら、話は早い
あれを防げば相手の力も削げるってことだ

コガラスの死角をカバーするように立ち回るよ
炎の勢いがどれだけ苛烈だろうが
それはUCで生み出された産物だ
【虚の黒星】――命も力も殺す魔弾で打ち消せる
水でのカバーが間に合わないものを中心に対処していくよ

……そうだな、殺さないってのは、殺すより骨が折れるよ
それに、殺さないってのはさ
殺されるかもしれない可能性を見逃すってことでもある

――だからってわけじゃないけど
これからはもっと、強くならなきゃと思うよ
どんな可能性でも漏らさず、この手で拓けるように



●奪うよりも、失うほうが
 火砲を破壊されたことで、"煉獄"は直接攻撃による殲滅を余儀なくされた。
 厄介なのは、いまなお生長する巨体で高速移動まで可能にするという点だ。
『砲火で焼滅していたほうが、きっと彼らも苦しまなかっただろうにね』
 ノイマンは心から悼ましげな嘆息を漏らし、そして……哄笑する。
『煉獄よ! その翼を広げ、全てを灼け! この国を地獄に変えろ!!』
 見よ……巨躯の背中がめきめきと変貌していくのを。
 全身を包み修復を進める炎が、突発的な機体の変形さえも可能とする。
 やがて生まれたのは炎の翼……広げられたそれはおそらく全長50メートルを超える。
 それ自体が燃え上がる炎で構成された、触れたものを燼滅せしめる破滅の羽根!
 巨躯が羽ばたきとともに浮かび上がる。殲禍炎剣の裁きなど気にすまい。
 むしろこの国が空の暴君に焼かれることを、ノイマンは喜びすらしよう。
 そして市街地めがけ、巨躯は大地を滑るように高速飛翔する……!

「……とてつもない炎です。しかも、サイズが巨大化を続けている」
 混乱に乗じて敵兵の軍用車を奪取した、式島・コガラスと鳴宮・匡。
 キャバリアを調達している暇はなく、ふたりはこのほうが"やりやすい"。
 匡が運転を担当し、飛翔する煉獄をフルスロットルで追跡していた。
「あれはもはや、オブリビオンマシンというよりも……ほとんど生物ですね。
 それでいて、武装は意思を持たない代物。プランはありますか、鳴宮さん?」
「ああ。あれはどれだけ巨大でも、あくまでユーベルコードで生まれたものだ」
 匡はハンドルを切り、行く手を阻む敵兵に牽制射撃をばらまいた。
 この期に及んで、金に目が眩んだ傭兵どもは猟兵たちを遮ろうとする。
 よく慣れ親しんだ戦場の光景、いまさら匡の心は動きはしない。ただ呆れがある。
「なら、俺の魔弾で打ち消せる。問題は、あの機体そのものの質量だな」
「そして全身を覆う炎、ですか。闇雲に撃っても、それこそ焼け石に水です」
「むしろ火に油、かな。それさえコガラスがどうにかできるなら――」
 コガラスは匡の顔を見つめた。そして頷く。
「出来ます」
「……よし、ならあとは仕掛けるポイントだ」
 匡の"虚の黒星(アナイアレイト)"は、命中すれば超常を否定し無効化する。
 それはたしかに強力で、あの破滅の飛翔を遮る一手となるだろう。
 だが2つ目の問題点……それは、煉獄という巨大兵器の質量そのものである。
 たとえばいま、煉獄の翼を剥奪したとしよう。
 巨体は大地を転がり、奴はありったけの火砲をばらまくはずだ。
 そうすればコガラスの"地の底より(パイプダウン)"によるカバーが出来ない。
 原始の淡水によるプールを作り、敵が回避する前にそこに魔弾を叩き込む。
 ふたりのコンビネーションが問われる、失敗の出来ない一度きりの仕事だ。
 仮に失敗してもふたりは死なない――代わりに、多くの人々が死ぬ。
「……鳴宮さん。私は思いました」
「ん?」
 スピードで髪を煽られながら、コガラスは言った。
「オブリビオン含めひとりも殺さない仕事とは、案外骨が折れますね」
「……そうだな。殺すのは簡単だけど、殺さないってのは余計に難しい」
 匡はアクセルを踏む。
「それは手段の問題じゃなくて、可能性の話だ」
「――可能性?」
「殺さないってことは、"殺されるかもしれない可能性を見逃す"ってことだろ」
「…………」
 人はそれを信頼と呼ぶ。己にはないものだ。
 仲間に向けるものでさえ、長い苦労の果てに自覚したものだと云うのに。
「だからさ」
 匡は銃を構えた。
「これからはもっと、強くならなきゃって思うよ。
 どんな可能性でも漏らさず、この手で拓けるように――すべてを、掴めるように」
 コガラスは匡の横顔を見つめた。一瞬だけ、ふたりは言葉を失った。
「……ならまずは、あのキャバリアを止めます。宣言しましたからね。
 この国の人口は減らさない。口にしたことを守ってこその傭兵です」
「ああ。そろそろ狙撃ポイントだ。……撃つときはハンドル頼むぜ」
「はい」
 ごうごうとスピードが頬を叩く。撃ち込むポイントは相談するまでもない。
 市街地のブロックを跨いだ先――先の進軍で崩落した基地跡である。
 3秒。脳裏に兵士たちの姿がよぎる。
 2秒。悲鳴を上げていた国民の顔が。
 1秒。命乞いをする兵士の面影――心は動かない。

 刻が来た。
「行きます! どこまでも、沈んでゆけ……!」
 半壊した基地跡の瓦礫が、とぷん――と原始の淡水のプールに変化した。
 それは揺らめく水の触手を伸ばし、煉獄の巨体に絡みつく!
『何!? これは!!』
「鳴宮さん!」
「――殺すぜ、その力。お前に灼かせるわけには、いかないんだ」
 魔弾はすでに放たれた。
 匡とコガラスの優れた動体視力は、飛翔する弾丸の軌跡を捉えていた。
 魔弾は吸い込まれるように巨躯の背中に飛び――翼を穿ち、霧散させる!
『ユーベルコードを奪い取ったのか!? わ、私の煉獄の炎を!』
 ズズン――ッ!!
 巨躯は垂直落下し、淡水に呑まれ逃れようと悶え苦しんだ。
 再生の炎と原始の水とが、まるでウロボロスめいて消失し出現しを繰り返す。
「火は水には敵わぬもの。静まりなさい」
「飛べるものなら飛んでみろよ。俺は、その翼を認めないぜ」
 人の身とて、そこに揺るがぬ意思があるならば。
 神も魔も殺せることを、ふたりは識っている。

 けれども人の生命の、なんともろく儚いことか。
 どれだけこの手を血に濡らしても、失うことは一瞬であり、容易い。
 だからこそ。ふたりは力を振るい、戦うのだ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
『援護・妨害』

いつかのファイアディザスターや
Fortressのような……いや、

あれらより更に純粋に「殲滅」に特化した機体か!
ったく、こんな場所でなんてもんを出してくるかな!

◆WIZ

常に忍び足で【目立たない】ように敵機体の死角へ移動しつつ
そこから【武器改造】で爆破機能を付与した手裏剣を【投擲】
直接のダメージより、各関節部や武装を破壊することで戦闘力を
削ぐことを優先

同時に【ハッキング】で戦場の全猟兵、及び
クーデター軍の機体に通信を行う

およそ1分30秒、敵の攻撃を無効化するUCがある事を伝え
モニターにその時間を表示した後、機をみて【天星陣】を発動
その後は制限時間ギリギリまですべての味方と共に一斉攻撃


遠桜・星黎凪
役立たずなあなたの役に立ってあげる必要がありませんね
この国の民は殺させませんよ!

ですがわたしは優しいので、役立たずで不出来で愚かなあなたのことも消し去るまではしませんとも

まぁ、ちょっと痛い目には合わせますが!

夜桜に搭乗
防衛重視で動きます
相手の射撃攻撃はすべて、UCを使って迎撃しますよ
演算に優れた機体とはつまり、未来予知に等しい先読みが出来るという事!
巨砲は「閃桜」のレーザーで、ミサイルは「輝桜」や「撃桜」で撃ち落とします

余裕があれば閃桜で敵機体を狙撃!
武装や四肢のいずれか優先で撃ち抜きます!


ミレア・ソリティス
メイン:【防衛】
部隊を下がらせ、3型兵装に換装、
敵本体へジャミングミサイル及び部位破壊狙撃を行い攻撃阻害を狙います
例え単機であろうとも、させは……

“――自己進化プログラム起動、AZOTHノ機能拡張ヲ実行、蓄積データノ解析ヲ開始”
え、これは「現実改変UC」の解析データ…?
“解析結果を電脳システムへ反映”
いえ、これ、は……
“新規コード構築……成功”
……新たな、UC……?

“【コード・モルフェウス】起動シマス”

(UCで戦闘領域への現実侵食・電脳領域化を行い、その後地形・大気をハッキング改変しての「防壁」化と、敵攻撃の改竄による無害化を図り、以降戦場を随時改変しサポートに徹します)

※アドリブ他歓迎です


アルカ・スィエラ
乗り手の口を借りて、随分好き放題言ってくれるわね……
でも、消え去るのはあなただけよ「オブリビオン」……!!!

アルカレクスのまま、敵の攻撃はEフィールドの防御で自分以外の分もできる限り弾くわ
業を煮やして敵がUCによる大規模破壊を狙ってきたら……
そのUC、命中時にダメージを与え、外しても「当たった地形」を燃やすのよね?
だったらこっちもUC【虹剣ドラグキャリバー】を使用
これが薙ぎ払うのは一定範囲の「視認している対象」
だったらその攻撃全て、この虹剣で薙ぎ払ってみせる……!!

あいつの攻撃を薙ぎ払い撃墜したらそのまま剣を集束縮小化、
敵コクピット部は外しつつ敵本体に切り込み、切断する!!

※アドリブ他歓迎です



●世界すらも書き換えて
 動く山、吼える要塞、炎に包まれた城郭。
 巨大化を続ける"煉獄"の威容は、もはや個の戦略兵器から逸脱していた。
 常に再生と進化を繰り返し破滅だけをばらまくさまは、まさにマイナスの化身。
 ただ在るだけで世界を滅ぼす――オブリビオンという存在の極地だ。
『消えろ、消えろ、消えろ! 私に従わぬ民も、国も、何もかも不要だ!!
 無価値な兵は焼くしかあるまい。私の意思を執行できんゴミはすべて消えろ!』
 ノイマンは怒りと狂気に歪んだ声で怒鳴り散らす。
 "煉獄"はその意を受け――あるいは"煉獄"の意思にノイマンが汚染されて――吠え猛り、新たな砲塔を生み出し、ミサイルと灼熱の火砲をばらまくのである。
「乗り手の口を借りて、随分好き放題騒いでくれるわね……っ!」
 融合機体アルカレクスを駆るアルカ・スィエラは、回避に苦戦していた。
 機体全体を包み込むEフィールドをして、あの殲滅力の直撃は分が悪い。
 敵が市街地に進出しないよう、攻撃を引き付けるのが精一杯である。
「祖国を灼いてまて、あなたは何を求めるの? 何のための戦争だというの!
 富や名声を求めて戦うというなら、度し難いけれどまだ理解できるのに……!」
『ハ! くだらぬことを云う。戦いに理由など必要ない。目的が逆なのだよ!』
 アルカの言葉を、ノイマンは嘲笑った。
『私は求める! 終わることのない戦火、尽きぬ争い、犠牲と報復の輪廻を!
 淘汰こそが、より清廉にして完全なる世界を創るのだ。虚無こそが理想だ!』
「……っ!!」
 わかってはいた。オブリビオンマシンのもたらす狂気は無益かつ理不尽。
 それが行き着く先は究極的な破滅――世界そのものの消滅なのだと。
 アルカは感じる。融合した鋼の龍の――己のマシンの厳然たる残骸への敵意を。
 あれは、存在していてはならぬモノ。世界を脅かす過去の残骸なのだと!
『ゆえに消え去れ、猟兵よ!!』
「いいえ、消え去るのはあなただけよ、"オブリビオン"ッ!!」
 アルカレクスが急加速! 弾幕を潜り抜け吶喊しようというのか!?
 危険だ。砲塔はさらに再生・増殖し、アルカレクスを撃ち落とそうとする!

 だがアルカレクスを狙うミサイルは、その尽くがぐんと四方八方に逸れた。
 まるで見えない磁力でも働いているかのように、Eフィールドにさえ触れず。
『これは……ジャミングか! 小賢しい真似をするな!!』
 尾による薙ぎ払いが、戦闘の余波で積み重なった瓦礫を吹き飛ばした。
 土煙の中から飛び出したのは、あちこちに被弾したミレア・ソリティスだ。
「機体損傷率、45%を突破……ジャミングミサイル、全弾射出します」
 ドウドウドウ……ありったけの妨害弾頭が"煉獄"の巨体に命中、爆発する。
 いましがたミサイルの軌道を逸らしたのは、不意打ちによる妨害がためだ。
 "煉獄"は身体に張り付いた虫を振り払うかのように、煩わしげに身じろぎした。
 3つの頸の目がミレアとアルカをそれぞれに睨む。帝王は、虫を認識した。
『身を隠し、煉獄を妨害したその手管は評価してあげよう。だが、無駄だ。
 このマシンは私を支配者として選んだ! お前たちは被支配者でしかない!!』
「否定します。我々はいかなる支配も受け入れず、またこの国の住人も同様です。
 いたずらに破壊と破滅を振りまき、秩序を瓦解させるあなたに統治者の資格はありません」
『戯言をォッ!!』
 KRAAAAAAASH!! 尾と燃え上がる爪、そして踏みつけが地形ごとミレアを襲う!
 ミレアは咄嗟に連続攻撃を回避するが、質量攻撃はジャミングでは妨害出来ない。
 舞い上がる瓦礫に吹き飛ばされ、ミレアのボディは6割以上が破壊されていた。
『あなた、大丈夫!?』
「……たとえ、単騎であろうとも、させは……」
 アルカはミレアの安否を気遣った……が、今の彼女には手が出せない。
 アルカレクスもまた接近を阻まれ、質量攻撃を回避するので手一杯だからだ。
 ドラグキャリバーでの攻撃は、敵の攻撃が途絶えた瞬間でなければいけない。
 ユーベルコードによって質量を増す虹剣ですら、この巨獣との正面対決は無謀。
 つまり、起死回生の一手が足りない。もどかしさが募った。
『まとめてスクラップに変えてくれる……!!』
「――そんなこと、させるかよ」
「この国の民も、同じ猟兵も! 殺させたりはしませんっ!!」
 そこへ、状況を伺っていた月凪・ハルマと遠桜・星黎凪が参戦した。
 爆破手裏剣によってミサイルごといくつかの砲塔が爆砕する。
 さらに星黎凪のキャバリア"夜桜"のレーザー攻撃が、発射されたミサイルを撃墜!
『ええい、次から次へと! どこまで私をコケにすれば気が済むか!』
「あなたを倒すまで、何度だって怒らせてあげます。役立たずなノイマンさん!」
『何ぃ……!?』
 星黎凪はノイマンを挑発する。
「何の目的も利益もなく、誰も楽しくならない不幸をばらまくあなたこそ、いまのこの国で一番役立たずで、一番不要な人間ですからね!」
『小娘ごときが! この私を愚弄するとは!!』
 直撃すればキャバリアでさえ一撃爆散必至の砲火を、"夜桜"はすいすいと躱す。
 まるで攻撃が何処に来るか、すべてわかっているかのような回避機動だ。
「まあそれも、あなたがそのマシンの狂気に囚われているからだと思いましょう。
 ですから、そのマシンを破壊します。ちょっとは痛い目を見てもらいますよ!」
『出来るものか! 貴様らごときに!!』
「させるかよ、って言っただろ。お前の意思なんて関係ない」
 ハルマは巧妙にあちこちの障害物に身を隠し、執拗な質量攻撃を回避する。
 だが、これも長く続けば後がない。時間がかかればかかるほど、
 "煉獄"はダメージを修復させ、さらに秒単位で戦闘力を増加させるからだ。
 星黎凪やアルカの攻撃が敵の進撃を抑えているものの、それもいつまで保つか。
『猟兵のみんな、それにクーデター軍の兵士たち。俺の聞こえが聞こえるか?』
 こうなれば、ハルマの奥の手を使うほかない。
『……こちらミレア、聞こえています』
『同じくアルカレクス、届いてるわよ! 何か手があるの?』
「……およそ90秒だけ、敵の攻撃を無効化するユーベルコードがある。
 ただし、1秒たりともオーバーは出来ない。そしたら俺が……死ぬからな」
『『『!』』』
 ユーベルコードの一部は、寿命を削ったり制限時間が存在する。
 ハルマの奥の手――あらゆる敵の攻撃を無効化せしめる"天星陣"は、まさにそれ。
 いまのハルマが耐えられるのは、1分30秒。コンマ1秒でも過ぎれば、彼は死ぬ。
 制限時間を回復させるには、日を置かねばならない。一度限りの切り札だ。
『それは……危険ではないのか?』
 と、レイオンが言った。
「危険は承知の上です。いまの状況じゃ、埒が明かないですからね。
 ……俺は攻撃の無効化に集中する。だからその間に本体への攻撃を頼む」
『そういうことならおまかせください、夜桜の本領を見せてあげます!』
『ええ、あのいけ好かないボディをぶった切ってやるわ!』
 星黎凪とアルカは、ハルマの頼みに力強く応じた。
 だがミレアだけは……わずかな沈黙を挟み、苦しげに言った。
『申し訳ありません、現在の私の装備では、総攻撃は難しいのです。
 皆さんをサポートするにも、機体の損傷が激しくこれ以上は……』
 国ひとつの存亡を賭けた決戦で、何も出来ないもどかしさに歯噛みする。
 ここで自分が抜けることで、作戦に穴が出来てしまうかもしれない。
 そうすれば、無辜の民の命が、平和な国土が灼かれてしまうかもしれないのだ。
 ミレアは苦悩した。あと少しだけ、この身に力があれば――!

《――自己進化プログラム、起動》
「えっ?」
 その時、ミレアの脳内に響いたのは、自分であるはずの電子音声だった。
《"AZOTH"ノ機能拡張ヲ実行、蓄積データノ解析ヲ開始》
「これは……現実改変ユーベルコードの解析データ……?」
『どうしたの? まさかダメージのせいで、何か不調が?』
「いえ、これは……」
 気遣わしげなアルカに、ミレアは困惑しつつも応えた。
 自分の中で、自分でない何かが電子データを解析する感覚があった。
 身体はここにあるのに、認識だけが世界に広がっていくような奇妙な違和感。
《新規コード構築……成功。コード・モルフェウス、起動シマス》
「……私のなかに。新たなユーベルコードが根付いている……!?」
 奇跡の力、ユーベルコード。
 猟兵が操るこの力に到達する方法は、個々によって様々だ。
 無窮の鍛錬によって秘剣に開眼する者もいれば、
 古代の禁忌を解き明かし、禁呪を会得する者もいる。
 既存の術式の応用を新たな技に昇華する者も、
 天賦の才によって閃く者も居よう。
 ミレアが会得したそれは、そのどれとも違う――たとえるなら、寵物だ。
 己の中にある無意識の領域、あるいは認識せざる何かからの贈り物。
 空恐ろしさがある。だが、このコードさえあれば……!
『……訂正します。私も作戦に参加します、全力で支援を』
「よし。なら決まりだ。準備はいいよな……!」
『わたしのほうはいつでもおっけーです!』
『この剣にかけて――チャンスは逃さない!』
 力強い言葉に頷き、ハルマは自らの本体……宝珠を掲げた。
「神域、解放――天星陣を展開するッ!」
 宝珠は太陽のようにまばゆく輝き、膨大な魔力を放出した。
 ドーム状に広がる魔力の波は、ハルマを、そしてすべての味方を包み込む。
 するとどうだ。ミサイルも砲撃も、ビルさえ薙ぎ払う質量攻撃すらも!
 "煉獄"が繰り出す攻撃のことごとくが、魔力の障壁に弾かれ無力化された!
『な、何ィッ!?』
「みんな、いまだッ!」
 ハルマの声を号令として、星黎凪たちは一気に反撃に転じた!

「まずは我々が、奴の動きを抑える! あなたたちはその間に!
 ……全機、射撃開始! 我々も戦えるのだということを証明しろ!」
 レイオンの指揮のもと、クーデター軍が一斉射撃を煉獄に叩き込んだ。
 ありったけの弾薬をぶちこまれ、"煉獄"の巨体がぐらりとよろめく。
『ええい、この程度の豆鉄砲で、煉獄の装甲を貫けるものか!!』
 攻撃を無力化されたとはいえ、再生の炎と防御はいまだ健在である。
 ノイマンはその力で、強引に一斉射撃を弾き返そうとした。
 だが見よ……機体を包む再生の炎は、0と1のデジタル文字に変わり衰滅していく!
『こ、これは!? 煉獄に、ハッキング……いや、違う!!』
 ノイマンは慌てた。システムへの電子的な侵入痕跡はなし。
 では、何が起きている。答えは、ミレアが会得した新たなコードにある!
「半電脳領域構築……完了。領域内への事象干渉・改変を継続します」
 コード・モルフェウス――それは、電子情報の杭を現実に撃ち込むことで、
 敵そのものではなく戦場を……いわば世界を書き換える電脳魔術である。
 データと物理法則の狭間にある"揺らぎ"を加えることで、現実性を希釈、低下。
 半電脳領域とでも呼ぶべき、一種の異界へとシフトさせる術式なのだ!
 ゆえに、煉獄そのもののシステムをハッキングしたのではない。
 煉獄が纏う再生の炎そのものを、世界の側からノイズに変換している!
「敵機体装甲の概念強度を弱体化させました。いまならば攻撃が通ります」
『お見事です! さあ、いきますよ――これがあなたの、終わりですっ!!」
 夜桜に装備されたレーザー砲台"輝桜"と、ミサイルポット"撃桜"が火を吹く。
 星黎凪の機体は巨獣の周りを衛星めいて回転飛翔し、全身に砲撃を着弾!
 エネルギーチャージにより倍加された威力が、弱体化した装甲を破壊した!
『う、うおおおおッ!?』
 ついに巨獣が大きく傾く。ダメージは火を見るより明らかだ。
「……応えて、アルカレクス。この剣で、破滅の獣を討つためにっ!!」
 アルカレクスの掲げた虹剣が、巨獣をも超えるほどに伸張・巨大化した。
「あなたが撒き散らした破滅の炎も、狂気も、そしてその悪意も薙ぎ払う!
 これが、私とアルカレクスの――いいえ、私たち"猟兵"の底力よ!!」
 ドラグキャリバーが、地平線まで届くかのような横薙ぎの斬撃を放った。
 邪念さえも切り裂く虹の剣は、大地でのたうつ破滅の炎を両断、滅却。
 斬撃は巨獣の装甲をバターめいてスライスし……砲塔を誘爆させ、振り抜けた!
『わ、私の煉獄が! 野望の象徴が……こんな、こんな奴らに圧されるだとォ!?』
 無数の小爆発を起こし、巨獣は吹き飛ばされ大地を転がる。
 ただひとりの犠牲さえも赦さない、苛烈なる猟兵の決意が狂気を上回ったのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ホワイト・キャスター
【攻め担当】アドリブ絡み歓迎

大将さまのご登場か。まるで燃えた山みてぇな奴だな…
煙草の種火にゃでかすぎるが…まぁいい、一服の時間といこうぜ相棒。

アタシゃ地を這い回る死に損ないさ。綺麗な場所じゃ生きられねぇ
戦の死地こそアタシの居所

第二のリアクターであるペアにエネルギーインゴットを装填、第一リアクターとのツインドライブで出力を倍増させる
倍増した出力を駆動系に回し縦横無尽に駆け回りガトリングを掃射。ヒット&アウェイに実態剣で巨躯を支える脚をぶん殴る。

巨砲もミサイルも自身の真下には撃てまい。火炎もブルーフォッグの装甲なら少しは持つだろう。
元より時間を掛ければ焼け野原、狙うは短期決戦だ。


ティオレンシア・シーディア
『攻撃』

…後の事は微塵も顧みず、殺光し焼光し滅尽滅相するためのいっそ理不尽なまでのバ火力…
ホント、まんまドラゴンそのものねえ。…ブッ壊(コロ)し甲斐があるじゃないの。

さぁて、それじゃあ初陣ねぇ。新戦力のお披露目といきましょうか。――スノーフレーク、エンゲージ!

ゴールドシーンにお願いして〇火炎耐性のオーラ防御を展開するわぁ。描くのはラグ(水)にエオロー(結界)、それに日天印。
日天は文字通りの太陽神。太陽フレアが太陽自身を焼くわけないでしょぉ?
あとは○環境・地形耐性任せに全力〇ダッシュで騎乗突撃。シゲルの二乗・ベオーク・ウル・カノ・ハガル…武装の使い捨て覚悟で最大収束火力の●重殺を叩き込むわよぉ。


ヴィクティム・ウィンターミュート
【妨害】
オイオイ、なんだよありゃ
あんなもん隠してるとは…食えねえ野郎だぜ
まぁいいさ、何が相手だろうと変わりはしない
不要な被害は全力で拒絶する
たとえそれが──人の世にあってはならない力を行使することになっても

やーどうも、ノイマン殿
『お邪魔』した時ぶりだな?
なぁに、ちょいとばかし楽しませてやろうと思ってね
Void Link Start
オブリビオンマシンと同じ系列の力さ
さぁ、歪め歪め──望まぬ過去よ、歪んで消え去れ
砲弾の雨も、戦場を焼く炎も…俺が消す
おっと、避けるなよ…それも歪める

呑まれるなよ、ノイマン
俺を見ろよ…こうなっちまうぜ
いつか人の世から放逐されるか、自分で消えるしかない
ここで手放しておけよ


リア・ファル
●防衛
愚民だ何だと見下して……!
マシンの狂気で目も耳も塞がれているようだね

ならボク達が見せてあげるよ、ヒトの持つ可能性の光ってヤツを!


クーデター軍や市街地を守るように、立ちはだかり、ただ祈る
(優しさ、鼓舞、祈り)
UC【三界の加護・導きの星光】

己の為に戦うもの
誰かの為に戦うもの
戦う理由はそれぞれだ、だけど

理不尽に泣くヒトは、一人でも少ない方が良い

我が祈りよ、そのヒトの魂の輝きをマシンに宿らせて
猟兵もクーデター軍も、各々の魂の輝きで戦場を包もう

キミだって目指した明日があっただろう
オブビリオンマシンの声なんて聞くな! さあ思い出して!



●永遠と刹那の狭間
 強力な斬撃を受けた"煉獄"が、ずずん……と大地に膝を突いた。
『私の……私が育て上げたマシンが、この程度で滅びてたまるものか……!
 そうだ、まだ終わりではない。終わってなるものか、断じてッ!!』
 何かを求め焦がれるがゆえに執念を抱くならば、それは普通のことだろう。
 目指す先が正義であろうと私欲であろうと、行為そのものはヒトとして当然だ。
 欲望があるからこそ、生命は進化し、目的を達成しようと努力する。
 ――では、その先に、何の益も理もないのだとすれば?
 完全なる虚無を目指す行為は、その欲求は――何の意味も持たない。
 何かを生み出すことも、築き上げることも、影響させることもないだろう。
 それが、オブリビオンのもたらす"滅び"なのである。

 "煉獄"の背中に、一度は消失した灼熱の翼が再び出現した。
 太陽のごとき超高熱が放射され、周囲に積み上がる瓦礫を溶解させてしまう。
 異変はもうひとつ――猟兵たちに捕縛された、あの傭兵らに起きた。
『この通信が聞こえる猟兵のみんなへ! 緊急事態だよ!』
 戦場に集まった猟兵たちのもとへ、リア・ファルの切迫した声が届いた。
「リアか? どうした、まさか伏兵でも居たのか?」
 顔馴染みのヴィクティム・ウィンターミュートは、彼女の慌てぶりを訝しむ。
『ううん、違う……捕縛された兵士の様子がおかしいんだ!』
『兵士の様子がおかしい? あいつらは正気のままで敵対してたんだろう?』
 と、ホワイト・キャスターが通信に口を挟む。
『オブリビオンマシンのせいで、正気に戻ったってんならわからなくもないがね。
 敵対したキャバリアは一通り破壊して、全員生きたまま捕まえたんじゃないのか』
『その捕まえた傭兵たちが、急に弱り始めたんだ……!』
『……弱り始めた、ねぇ』
 ティオレンシア・シーディアは、"煉獄"のボディを包む炎に着目した。
 ……一度は弱まった再生の炎が、再び火力を強めている?
『もしかするとなんだけど、あのマシンが生命力を吸収してるんじゃなぁい?
 あらかじめノイマンと接触してたなら、何かしら細工はされてたかもだしねぇ』
『……なるほどな。謂わば連中は、デカブツの外付け電池、ってとこか』
 ヴィクティムが同意する。ユーベルコードの特性を考えればありえる話だ。
 殲業鎮燻機構『煉獄』――それが、あの癒やしの炎の術式名である。
 敵対した知性体の命を喰らうことで、癒やしの炎は強まり戦闘力すら増す。
 そして増大した戦闘力に比例して、"煉獄"は生命力吸収能力を獲得する。
 生命力吸収――それは何も、直接攻撃した対象に留まるとは限らない。
『じゃあ何か? 仮に市街地に踏み込ませなかったとしても、アレか。
 このまま持久戦を決め込まれたら、どのみち敵兵がミイラになるってかい』
『……それはまずいよ。いま以上に強化されたら手が付けられなくなる!』
 ホワイトの推測に、リアは呻くように言った。
『となれば、徹底的に本体を攻撃して、少しでも体力を削るしかねぇか。
 魔術なり科学なり、生命力が送られてるなら何かのパスが繋がってるはずだろ』
 ヴィクティムの推理は正しい。これはある種の電脳魔術の応用である。
 つまり本体を消耗させて回復を遅れさせつつ、その"繋がり"を切断すれば……。
『あたしたちが今から後衛に戻るわけにもいかないわねぇ』
 ティオレンシアは思案する。ここは、役割分担が必要なようだ。
『なら、ボクがなんとか出来ないか試してみる。アイデアがひとつ浮かんだよ』
『決まりだな。どのみちあの羽根で飛んでかれたら抑えるどこじゃねぇ』
 ホワイトは新しいタバコに火を点けると、乗機のリアクターを起動した。
「一服の時間といこうぜ、相棒。戦の死地こそ、アタシらの居所だ!」
 エネルギーインゴットを装填されたリアクターが、相乗効果を生み出す。
 ホワイトの機体"ブルーフォッグ"は、量産型とは思えない速度で発進した!

「……あとのことは微塵も顧みず、殺光し、焼光し、滅尽滅相し続ける。
 いっそ理不尽なまでのパワー……ああ、まったくドラゴンそのものねぇ」
 ティオレンシアは新たな機体"スノーフレーク"に乗り込み、にたりと笑った。
 ドラゴンへの憎悪。あの赤をこの世界から消し去りたいという怒りがこみ上げる。
「――ブッ壊(コロ)し甲斐があるじゃないの」
 ティオレンシアは、破滅を撒き散らすドラゴンの存在を許容しない。
 炎を阻むオーラバリアを展開し、スノーフレークが巨躯を目指す!

「……さて、なら俺も、端役らしくやることをやるとするか」
 二機の発進を見送ったヴィクティムの身体を、漆黒の虚無が包み込む。
 人間性を削り取る諸刃の剣。ある意味ではオブリビオンよりも危険である。
 ヴィクティムはためらわない。勝利するためならば、己をいくらでも犠牲にする。
 影に沈む男の口元には、自重めいた笑みが浮かんでいた。

 三人のやるべきことはただひとつ――攻撃を続け再生を阻むこと。
 敵の戦闘力の増大スピードを超えるほどの火力で、炎を払うのである!


 この世界のキャバリアは、すべて共通のサイズに収まるように出来ている。
 あらゆるパーツを流用できる汎用性と、状況に応じた適応性。
 このふたつが秀でているゆえに、キャバリアは主力兵器足り得るのだ。
 それを鑑みると、生長を続ける"煉獄"はキャバリアの軛からすら離れていた。
 あれは、獣だ。黙示録の龍であり、破滅の化身であり、兵器ですらなきモノ。
 生命力吸収によって力を増した龍が、滅殺の雄叫びをあげる!
『またも私に歯向かうか、愚か者どもめ! さあ、消し炭と化せィ!!』
 灼熱翼が白熱し、肉眼で直視すれば失明必至の輝光を背負った。
 熱波そのものがもはや一種の兵器であり、そこに無数のミサイルと砲撃!
 この弾幕を突破出来るかどうかで、すでに一流とそれ以外の線引が出来るだろう。
「甘いな――アタシの相棒は、その程度じゃ追いつけないぜ!!」
 ホワイトのブルーフォッグはさらに加速、ソニックブームを生じさせた。
 無数のミサイルの雨を単純なスピードで突破し、ガトリングを斉射。
 常人では耐えきれぬ殺人的Gを浴びながら、無人機もかくやの鋭角機動を刻む。
 撃墜された弾頭が連鎖爆発を起こし、さながら華のように空を照らした。
『ハエのようにちょこまかと!!』
「残念ねぇ、ご自慢のマシンじゃハエも落とせないのかしらぁ?」
 一方のティオレンシア――"スノーフレーク"は、オーラバリアで砲火を凌ぐ。
 障壁に刻まれたラグ・エオローのルーン、そして日天の印が強く輝いた。
 日天とは太陽神、この宇宙でもっとも強く燃え上がる炎の化身である。
 太陽フレアじみた熱波を減衰し、水と結界の加護がミサイルを弾くのだ。
『ええい! なぜだ、なぜ煉獄の火力で落とすことが出来んのだ!?』
「性能差だけが、キャバリアの強さを決める指標じゃないってことさ」
「前線から退きすぎたんじゃなぁい?」
『ぐ、ぐぐぐぐ……!!』
 ノイマンはコンソールを怒りのままに殴りつけ、叫んだ。
『ならば――吹きとばせ、煉獄!! 愚民どもを皆殺しにするのはあとだ!』
 業を煮やしたノイマンは、弾幕を張りつつ直接攻撃で打って出た。
 たしかに質量による物理攻撃ならば、障壁もガトリングも関係はない!
「そいつを待ってたぜ……!」
「動きが見え見えなのよぉ、図体がでかいから!」
 ブルーフォッグとスノーフレークは、左右に分かれる形で尾の叩きつけを回避。
 ホワイトは敵の懐に飛び込み、ティオレンシアは直角軌道で頭上を取る。
 機動力で勝る量産型キャバリアだからこそ取れる戦術であった。
 サイズ差ではるかに勝るはずの煉獄が、必死に翼や尾、爪を振り回すさまは、
 英雄に翻弄される神話の巨人のようでもある。
『力が足りん……もっとだ煉獄、あのゴミどもの命をもっと吸い上げろ!』
『おっと、それならもう看板だよ! 特別セールは中止になったからね!』
『!?』
 ノイマンは弾かれたように、新たな敵性反応にズームした。
 多次元戦闘機イルダーナに騎乗するリアが、勇ましく腕を組んでいる!
「キミが仕掛けていたトラップは、ボクのほうで解除させてもらったよ。
 これでもボクはAIだからね、キャバリア経由の仕掛けならわけないのさ!」
『き、貴様……!!』
「……自分のもとについた部下さえも、キミは愚民だと見下すんだね」
 リアは敵意と怒りを込めた鋭い表情で、画面越しにノイマンを睨んだ。
「オブリビオンマシンの狂気で、その目も耳も塞がれてしまっているようだ。
 だからボクらが見せてあげよう。ヒトの持つ、可能性の光というものを――!」
 市街地を守るように浮かぶリアの身体が、淡い黄金の光に包まれた。
 発光現象は彼女だけに留まらない。スノーフレーク、ブルーフォッグも!
『なんだ、相棒のスピードがぐんぐん増してるぞ? アンタのユーベルコードか!』
『これなら、わざわざ攻撃を避けてやる必要もなさそうねぇ』
 ホワイトの機体は蒼く、ティオレンシアのマシンは白の輝きに包まれた。
 その輝きは、あらゆる攻撃を弾き、さらにキャバリアの力を引き出す。
 そして――リアの後ろに降り立ったのは、クーデター軍のキャバリアたち!
『何!?』
「己のために戦うもの、誰かのために戦うもの……戦う理由は、それぞれだ」
 リアは言った。
「だけど、理不尽に泣くヒトは、ひとりでも少ないほうがいい。
 ボクは祈る。すべてのヒトが、どうか幸福と希望を感じれるようにと。
 この輝きは、魂の輝き、ヒトの祈りの輝きだ。残骸になんて負けるものか!」
 "導きの星光"が、クーデター軍を優しく包み込む。
 無理矢理に市街地を突破しようとしていた煉獄が、大きく圧された!
『こんな、こんなくだらない輝きに、私の力が否定されているというのか……!?』
「――気持ちはわかるぜ、ノイマン殿」
『! き、貴様は!』
 巨獣のボディにしがみつく形で、ヴィクティムがモニタを覗き込んだ。
 ホワイトとティオレンシアが敵の攻撃を引き付けている間に、
 ヴィクティムは虚無によって熱波を無効化し、ボディに取り付いていたのだ。
 手に持つナイフに、何の色にも染まることなき漆黒の虚無が収束する。
「希望だ、幸せだ、未来だ――ああ、あの光ってやつはどうにも眩しすぎる。
 俺みたいなクズには、それこそ目が灼けちまいそうなほどに明るく見えるんだ」
 ヴィクティムを、祈りの光が包むことはない。
 虚無がそれを否定する――否定してしまう。悪童は冷笑を浮かべた。
「だがな、俺はこうも思うんだ。……光ってのは影を産むもんだろ?
 だから俺が影(そこ)に居りゃあ、逆にあの輝きを肯定できるんだ、ってな」
 巨獣は炎を纏い、ヴィクティムを虚無ごと焼灼しようとした。
 漆黒のナイフが突き立つと、癒やしの炎はぼぼ、ぼ……と衰滅していく。
 過去を否定し改竄する権能。一切の反抗を赦さぬ無慈悲なる虚無の力である。
「だから、俺はこれでいい。こうやって影に沈んで道筋を整えるのさ」
『や、やめろ……!』
「おいおい、お邪魔した時ぶりなのに、挨拶もなしかい?」
 ヴィクティムはモニタ越しにノイマンを凝視した。
「呑まれるなよ、ノイマン。俺を見ろ。呑まれれば、こうなるぜ」
「――……!!」
 虚無の権能は過去を否定する。オブリビオンマシンの狂気すらも。
「わ、私、は……?」
 一瞬だけ。ノイマンは狂気の軛を逃れ、正気の片鱗を取り戻した。
 そして見た。永遠なる魂の輝き。刹那に揺らめく漆黒の虚無、それぞれを。
「お前は俺とは違う。俺は、あの輝きのなかにいるこた出来ねえんだ」
 がら空きの"煉獄"に、ブルーフォッグとスノーフレークが肉薄する。
「短期決戦で、決めさせてもらう!!」
「さあ、ブッ壊(コロ)してあげるわ」
 加速を乗せた実体剣の一撃が、吸血鬼の心臓を貫く杭めいて叩き込まれた。
 さらに、魔弾の六連射。最大収束火力が装甲を貫き、機体内部で爆砕!
『う、うおおおおおおおッ!?』
 "煉獄"は全身で小爆発を起こし、崩折れる!
「ノイマン・ハーディ! キミにだって、目指した明日があっただろう!
 オブリビオンマシンの声なんて聞くな! 心を強く持って、思い出すんだ!」
『――わ、わたし、は……!』
 永遠と刹那の狭間、ノイマン・ハーディは己の残滓を掴もうとした。
 その魂は、まだ堕ちていない。帰ることが出来る。
 ――たとえ、その先に、罪業の道があったとしても。
(だからあんたは、俺とは違うのさ)
 虚無に包まれた暗黒のなか、ヴィクティムは静かにひとりごちた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

九嶺・ユノハ
【攻撃】
対象のミサイルは潤沢。 後ろからは良い風が吹いています。
たまには、打って出ましょう。

邪魔な手足をパージ、飛翔機形態に移行。
高速機動で負ける気はしません。 それに、焼き切るのも、わたしは意外と得意です。
敵の脚部装甲をすれ違いざまに溶断し、内部構造を露出させます。
ついでに、ミサイルを頂いて、傷口に詰め込んでおきます。

そんなに大きな身体では、小回りが利き辛いでしょう。
もっと推力を上手く利用しないと、いけませんよ。
時には動力を落とし、風に乗ることも大切です……これは、翼のない子には無理でした。


イーリス・ヴァイデンフェラー
【プレデター】
『妨害』アドリブ絡み歓迎
うわ、防衛には程遠い機体ですねぇ
ねぇ、デュちゃん
あたしね、炎は嫌いなんですよぅ
守れないことはもっと嫌い
つまるところまぁ、目の前の相手が大嫌いってことなんですけど
というわけで、お手伝いお願いしますね

デュちゃんの先読みで次に攻撃してくる砲台やミサイルに
『ミステル』で攻撃
敵が炎を纏っているなら好都合
ジョイントや砲身、ランチャーを植物に置き換え、自分の炎で焼かせて自壊させます
……あたしも熱くて痛いですけど、これが一番採算がとれるますからねぇ
デュちゃんの攻撃に合わせて実弾も混ぜながら攻撃していきますよぅ

隙があれば脚も置き換えてへし折りましょう
その場に釘付けにしましょ


デュ・エルオビーオ
【プレデター】
『妨害』
※アドリブ、絡み歓迎※

やっぱり気が合うね、イーリス
焼けるのは苦しいよねえ。誰だってさ
まー、ここまで手伝ってきたしね
だから、最後までしっかりとやろうか

オブリビオン相手にどこまで出来るかわからないけど、動きを、先を読んで行くよ
読心で得た情報はある程度周りと共有して、と

あたしの思念で不規則に動いて炸裂、中から大量の弾をぶちまけるドローン
これと、八脚特有の縦横無尽の足回りにライフルの射撃で相手の機先を制して動きを止めていこうか

いくらヴェドヴァの脚が温度に強くても、炎を出すやつと組み合うのは自殺行為だからね
邪魔して、囲んで、追い込んで、最終的に食らいつくす。これがあたしたちの戦い方


アイオライト・セプテンバー
『防衛』

仲間を頼らず、征服も求めず、手を伸ばすのは破壊のみ
人は戦争を繰り返す。けれど、あいつの暴走はもはや戦争ですらないわ

この国を、炎で汚させはしない
『美化委員会活動』を開始します

動力システム【エアドライブ】を【真の姿】へ
ブルーテイルの胸部ハッチを一部開き、コックピットから本来の銃型【偽神兵器】として砲塔を展開
異界の嵐、オブリビオン・ストームで、都市部に被害を出さぬよう奴の炎だけを吹き消す

隙は大きい……敵機へ直接ダメージを与える運用でもない
けれど、依然問題は無いわね
奴と違って、私は一人ではないのだから

さあ、人を狂わすオブリビオンマシン
人の意思が操るオブリビオンストーム
力比べといきましょうか!



●地を飛べ、空を奔れ
 BRATATATA! BRATATATATATATA!!
「くそっ、あれだけの攻撃を受けてまだ動くのか……!?」
 恐慌した新兵の悲痛な叫びが、キャバリアのコクピットに響き渡る。
 殲滅兵器"煉獄"は、破壊されたはしから再生を続け、市街地へ迫り続けていた。
 クーデター軍も一転して迎撃を続けているが、焼け石に水だ。
 もしも国民に被害が出ていたら、この程度では済んでいなかっただろう。
『闇雲に攻撃しても逆効果ですよぅ、ミサイルの迎撃に集中してくださいね』
 イーリス・ヴァイデンフェラーのマシンが割って入り、砲台を破壊する。
 デュ・エルオビーオの精神感応によって、"次にどこから攻撃が来るか"を予知・共有し、クーデター軍に被害が行かないようにしているのだ。
 ハーヴェスターのミサイルと敵の弾頭が空中で激突し、爆炎が狂い咲く。
『灼けるのは苦しいだろうからねえ、死にたくないなら下がってて』
「りょ、了解……!」
 新兵らは、おとなしく後退し、援護射撃で猟兵たちを支援する。
 デュとイーリスのコンビネーションは、驚くほどに息が合っていた。
 精神感応によるタイムラグなしの意思疎通も、大いに効果を発揮している。
 だが、それだけではない……これはいわば、『ウマが合う』のだ。
『やーですねぇ、こんなところで気が合うのを実感するだなんてぇ』
「……そうだね。戦いながら仲良くなるくらいなら、一緒に昼寝でもしたいし」
 デュもイーリスも、戦争を、殺し合いを愉しみ好むわけではない。
 こんな戦いは、起きないほうがいい。そういう点でもふたりは『合って』いる。
 その抜群の連携が、砲火をギリギリのところで押し留めていた。

 一方で、その頭上。
 もう一組のベストコンビが、空から"煉獄"に攻撃を仕掛けていた。
 大空の自由を追い求めるもの――九嶺・ユノハとアイオライト・セプテンバー。
 加速と減速を小刻みに繰り返すことで、空の暴君の目を巧妙に欺く。
 いっそ災禍炎剣であれごと灼かせてしまえば効果はあるかもしれないが、
 それでは国土をまるごと吹き飛ばそうとする敵と、やることは何も変わらない。
 いまはこれでいい。すべてを振り切る一瞬は、必ずやってくるはずだ。
「仲間を頼らず、征服も求めず、民も国も、部下さえも利用し破壊するだなんて。
 あいつは……あの機体は、もう兵器ですらないわ。これはただの自殺行為よ」
『Jes.だからこそ、いまここで止めなければなりません』
「当然よ。この国を、炎で汚させやしないわ……!」
 地上で戦うふたりと連携する形で、ブルーテイルとファルステロは舞う。
 八の字を描いて敵の太陽フレア攻撃を惹きつけ、砲撃の間隙を縫うように翔ぶ。
 敵の攻撃はもちろん、空からの鉄槌にも気を配らなければならない。
 この世界において、高速飛行戦はあまりにもハイリスクな戦いだ。
 国土を防衛するというミションならば、なおさらのこと。
 一瞬の気の緩みが死に繋がる。両機が激突・墜落することもあり得る。
 ふたりのような"同志"でなければ、このコンビネーションは不可能だ。

『こちら"エアダスター"、タイミングさえ指示してくれれば合わせるわよ!』
『同じく、"U-8"。吶喊攻撃を仕掛ける準備は出来ています』
「……だ、そうですよデュちゃん。これはあたしたち、責任重大ですねぇ」
『そうだね……""キオッチョラ""、了解』
「"アルラウネ"、右に同じ~」
 現状で最適な攻撃方法――それは一点突破の超火力による攻撃収束だ。
 ハーヴェスターとヴェドヴァでは、残念ながらそこまでの火力集中は出来ない。
 どちらも点ではなく面で攻撃を行い、多数の敵を釘付けにするタイプの機体。
 しかも敵は、攻撃を受けるごとに戦闘力を増大させてしまう。
 最小限の消耗と強化で、最大のダメージを与えるとなれば、答えはひとつ。
 ……つまり、"ブルーテイル"と"ファルステロ"の二機での同時攻撃。
 地上組の仕事は、煉獄の攻撃を一瞬でも止め、そして移動を阻害することだ。
「……クーデターとか、やっぱり好きじゃないんだけどなぁ」
『なら、ここで切り上げますかぁ? 少なくともコストは抑えられますねぇ』
 というイーリスのからかうような声に、デュはため息をついた。
「ううん、やるよ。ここまで手伝ってきたし、乗りかかった船ってやつだから。
 ……正直、オブリビオン相手にどこまで出来るのか、あたしわかんないけど」
 ビアンカ・ヴェドヴァの臀部に装備されたコンテナが、パージされた。
 それは空中でバラバラに爆砕し、中から無数のドローンが出現する。
 "ウォーヴァ"――デュの思念によって、機体とは別に駆動する多目的兵器だ。
 ドローンは熱線砲を八方向に散開して回避し、"煉獄"を包囲する!
『そんなガラクタで、この私の煉獄を止められると思っているのかね!』
「そうだね。単純な砲台の数と、火力だけなら、こいつは効果がない」
『――けれど、あたしがいるのを忘れちゃいけませんよぉ!』
 ガシャン!! とハーヴェスターが大地に脚部を撃ち込み、動きを固定する。
 そして装備している全残存武装を展開……ありったけの弾薬を放出した!
「これはとっておきなんですからねぇ、追加料金はたっぷり、個人付で請求させてもらいますからねぇ~!!」
 VOWVOWVOWOVOWVOW!! ミサイル・ライフル・ガトリング・レーザー・ビーム!
 光学・実体・熱線……あらゆる火器が、一条の破滅となって空をつんざいた。
『フン! キャバリア一機の火力で、なんとかなると思ったならば……何ッ!?』
 盲撃ち? 否、ハーヴェスターのフルファイアはその実精密に計算されている。
 デュが極限の集中で読み取った敵の――この場合はノイマンではなく、オブリビオンマシンそのものの――思考から、すべての砲台の攻撃順と狙いを計算。
 巨大なドミノ倒しのように、魔法じみた軌道で敵の弾幕を"相殺"するのだ!
『バカな! いまの煉獄の砲塔は10や20ではきかぬ! それを、すべて!?』
「うふふ、それだけじゃないですよぉ? 驚くのはここからです」
 さらに……見よ! 爆砕した砲塔からめきめきと萌え出る植物の蔦を。
 それは煉獄の巨体に絡みつき、縛り付け、そして炎が引火して燃え上がる。
 爆砕と燃焼による二重の小爆発が、朽ちゆく星の光めいて煉獄を包み込んだ!
『ぐ、おおお……!! こ、この程度、熱波で焼き切ってしまえば!!』
 煉獄は植物の拘束に悶え苦しみ、咆哮し、背中に巨大な灼熱翼を生み出した。
 炎翼から放たれる超高熱で、植物の戒めを焼き払おうというのだろう。
「そう来るってことも、それを許したら飛んでいくつもりなのも、お見通し」
 ここで、デュが展開していたドローンの出番がやってくる。
 翼が完成しようとした瞬間、一瞬疾くドローンが背部ユニットに吶喊、炸裂。
 内蔵された無数の火薬が誘爆し、翼の根本を破壊したのである!
『なッ!?』
「あなたが何を考えているのか、あたしには全部わかってる」
 集中による負荷と、オブリビオンの精神にアクセスしたことによるバックファイアが、デュに血の涙を流させた。
 親指で赤い雫を拭い、デュは操縦桿を強く握りしめる。
「ここで、足止めする。それがあたしたちの戦い方だから……!!」
 ヴェドヴァ本体のフルファイア! 狙いは脚部だ!
 関節部がひときわ巨大な爆発を起こし、煉獄の巨体ががくんと傾いた!

『――というわけで、お膳立てはしましたよぉ』
『あとは、よろしく。ここからはあなたたちの戦い方で、ね』
「任せておきなさい!」
「"U^8"、高速突撃モードに移行します」
 そして、空!
 アイオライトのブルーテイル・ダッシュの胸部が、ばちんと爆ぜた。
 コクピットハッチががら空きになり、アイオライトの姿が表に晒される。
「エアドライブ、臨界出力……! こいつの真の姿を見せてあげるわ!!」
 真なるカタチを取り戻した偽神兵器が、めきめきと砲塔を伸ばした。
 砲塔に渦巻くは異界の嵐――文明を喰らうもの、オブリビオン・ストーム!
「これが、私たちの『美化委員会活動』よッ!」

 ――DOOOOOOOM!!

 砲口から溢れ出した虹色の竜巻が、煉獄の巨体を飲み込み、洗い流した。
 アイオライトの狙いは、オブリビオン・ストームによる直接攻撃ではない。
 攻撃を阻害する最大の障害――すなわち、再生の炎を相殺・滅却すること!
『さ、再生が停止しただと!? ユーベルコードを無効化したというのか!?
 それもこの煉獄の、機体全体を、たった一度の砲撃で……あ、ありえん!!』
 ノイマンは煉獄の再生能力を、さらに高めようとする。
 オブリビオン・ストームは放射され続ける。砲身が悲鳴を上げた。
「人を狂わす機械と、人の意思が操る嵐、力比べといきましょうか……!」
 アイオライトは、破滅的な威力がもたらすフィードバックに耐えた。
 単騎では、この攻撃に意味はない。せいぜいが敵の攻撃を防ぐ程度。
 だが彼は識っている――自分は、ひとりではないのだと!
「"U-8"――いいえ、ユノハ!」
『Jes.』
 ドウッ!! と、音の壁を突破した証が大気を吹き飛ばした。
 手足をパージしたファルステロが、一瞬で超音速へと到達したのである。
 災禍炎剣でさえ、その速度には反応さえ出来なかった。
 空から地へと斜めに滑空し、ファルステロが煉獄と――交錯する!
「――」
 色のついた帯となって流れゆく景色を、ユノハはちらりと振り返った。
 演算能力が限界を超えたせいか、あるいは主観時間が誤作動を起こしたのか。
 一瞬を超えた刹那に過ぎ去るはずの景色が、よく見える。
 こちらを見上げるハーヴェスター、そしてヴェドヴァの姿も。
 ……健闘を祈り、サムズアップする名もなきクーデター軍のキャバリアも。
(やっぱり、わたしは――空から見下ろす景色が、一番……)

 主観時間が現実に追いつく。
 ユノハは地表衝突すれすれのところで機体を制御、強引に不時着した。
 その背後……煉獄の装甲に袈裟懸けに刻まれる、赤く溶解した斬撃痕。
 すれ違いざまのビームカッターによる溶断が生み出した亀裂!
「空を飛ぼうと思うなら、もっと水力を上手く利用し、風に乗りましょう。
 ……もっともあなたには、翼はもうないようですが。それが少し、残念です」
 ――KRA-TOOOOM!!
 煉獄は内部回路から派手な爆炎を吹き出し、仰向けに倒れた!
 まるでそれは、竜を屠る英雄の一撃のように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

【防衛】
クソえげつねェ性能してやがんなァオイ 広域殲滅型の機体ってか!

――暴れたらなンて余計な事ァ考えンな
"暴れさせやしねェ"よ
その為に俺らァ来たんだろ
――此処が正念場だ、行くぞフェルト いいな!!

――踊るぞ「刑天」!!

味方連中に飛ぶフレアなんざ一つも通してやらねぇ
レーザーアクスで全部斬り伏せ押し通す!!!【武器受け×シールドバッシュ】
翼ァフェルトの蝶で一度受けさせて
隙できた処をぶっ叩斬る!!
斧二本あるうち一本無くす程度なら安ィもんだ
――そいつにァ疵一つだってつけさせやしねェぞ糞ったれ

おらフェルト 俺の分までイイの一発ぶち込め!!
「最高最善の未来」掴んで来いや!!


フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
【防衛】
何よアレ……あんなのが暴れたら、何一つ残らないじゃない――
――もう、心配症ねケン様?
わかってる。絶対に、護り切るわよ。


もちろんよケン様!
UCを発動し突撃。
機動力を活かし騎士人形に【オーラ防御を纏わせ刑天の対応範囲外をカバー。
翼の炎は障壁蝶で受け勢いを殺し、刑天への被害を最小限に。
ケン様の大切な人形を、無闇に傷つけさせはしない!


一歩たりともこの場を引かない。
何一つ諦めない、最高最善の未来を掴むと言ったの。
わたしの言葉に応えてくれた皆の覚悟を無駄にはさせない!
わたし達が、皆の覚悟に応えてみせる!!

ええ、任されたわ!
狙うは配管。その機動力の源、翼へのエネルギー供給を、断ち切る……!



●その手を――
 まばゆい光そのもので形作られた無数の蝶が、狂ったように乱舞する。
 踊るものはひうひとつ。ケンタッキー・マクドナルドの操る"刑天"だ。
 首なしの怪物はレーザーアクスを振り回し、跳梁跋扈し、砲火を切り裂く。
 射出される弾頭を撃ち落とし、
 熱線砲の砲身を唐竹割りで叩き斬り、
 灼熱の翼が生み出す太陽フレアを待機ごと切り裂く!
『虫め……! 脆弱で、矮小で、愚昧なる虫が! 私の前で跳ね回るな!!』
 ノイマンはあまりの妨害に怒り狂い、下劣な罵詈雑言を撒き散らした。
「ハ! ずいぶんトサカに来てるじゃねえか! 繰り手まで爬虫類になったか!
 そンなに悔しいならテメェの力で落としてみろ! その"矮小なもの"をよ!!」
『小癪なァ……!!』
 煉獄はよだれの代わりに溶岩じみた灼鉄を撒き散らし、3つの首で噛み付いた。
 鋼鉄の牙はきわめて鋭く、キャバリアでさえ紙くずのように噛みちぎるだろう。
 刑天はレーザーアクスで牙を叩き壊し、顎を蹴って咬合から逃れる!
「フェルトォ! そっちは大丈夫だろうな!?」
「もちろんよ、ケン様! わたしも、あなたも、あなたの人形も……。
 そしてこの国の人々も、この国の土地も! これ以上傷つけさせないッ!」
 フェルト・フィルファーデンは騎士人形と光の蝶に守られていた。
 ふたりの妖精とその人形がまとわりつくさまは、なるほど虫のようである。
 しかし、それはサイズの話。誰が彼ら彼女らを小癪な虫などと罵れようか。
 最高最善の未来を信じ、巨大にして邪悪なるものに敢然と立ち向かう。
 その姿は、どんな勇者よりも雄々しく、どんな巨人よりも偉大だった。
「全隊、砲撃開始! 我々も、ただ助けられるだけではないことを示すのだ!
 彼らの思いに報いるためにも……! この国は、我らが守るべき国なのだから!」
『『『了解!!』』』
 レイオンの号令のもと、クーデター軍が弾薬をつぎ込みふたりを支援する。
 煉獄本体をいたずらに攻撃するのではなく、弾幕と熱波を相殺するのだ。
 ふたりが、反撃のチャンスを掴めるように、命を惜しまず前に出る。
 贖罪のための捨て鉢な死ではない。
 彼らもまた、この国の最高最善の未来を信じているがゆえに!

 ――一歩たりとも、この場を退かない。
 なにひとつ、誰ひとり、諦めたりしない。
 傲慢で、強欲で、いっそ呆れ果てるような、子どもじみたわがまま。
 誰も泣かず、傷つかず、みんなが笑顔で幸せにいられる理想的な世界。
 そんなものは『ありえない』。わかっている。これは、夢ですらない絵空事。
 それでも、諦めない。
 諦めたくない。
 それでいいのだと、彼らは言ってくれたのだから!
『理解できん。理解できんぞ猟兵ども! なぜ、この国にそこまで肩入れする!
 此処は貴様らの故郷か? 否! 貴様らにとっての理想郷か? 否、否、否!!』
 ノイマンはがなり立てた。
『この国の民が死に絶えようと、戦乱が起きようと、異界の貴様らに関係はなし!
 だのにわざわざ己の身を傷つけ、血反吐を振り絞ってまで何故抗おうとする!?』
「……ノイマン様……いいえ、オブリビオンマシン」
 骨さえも炭さえ残さず消し去るであろう灼熱の翼を前に、フェルトは言った。
「人の言葉を借りて囀るものよ、愚かで小さく、そして弱いのはアナタの方よ。
 この国がわたしたちの故郷でないとしても、そんなことは"理由にならない"!
 わたしは決めた。そして、彼らが応えてくれた――だからわたしは応えるの!」
「ってワケだ、残念だったなァ木偶!」
 ケンタッキーはせせら笑った。
「こいつは度し難いほどお人好しで、呆れちまうほどの楽観主義者なのさ!
 ああ、そうだ、まったく呆れちまうくらいに前を向いて理想を吐く女だ。
 ……そンな奴がそばにいるのに、斜に構えて現実に屈してられっかよォ!!」
 ――ZANK!!
 刑天はレーザーアクスを犠牲にし、雄々しく広がる灼熱翼を裁断した!
『ウオオオオオッ!!』
「こいつに! こいつが望むすべてのものに! 傷なんざつけさせねェぞ!」
「ケン様……!」
「おらフェルト、俺の分までイイの一発ぶちこんでこい!」
 ケンタッキーは叫んだ。
「最高最善の未来――掴んでこいや!!」
「……ええ、任されたわっ!」
 光の蝶と騎士人形を伴として、愚直なまでに理想を謳う姫が舞う。
 民は、戦士たちは、この国に住まうすべての人々は、見た。
「――星が、空へと飛んでいく」
 破滅の炎を切り裂き、退け、滅ぼしながら輝く一筋の流星を。
 希望という名の光を。諦めてはならぬという心に刻まれる叫びを。
 その光がいま、破滅の獣に不可逆の一撃を――叩き込む!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

開条・セサミ
・心情
ちっ、なんてはた迷惑な奴だ……めんどくせぇにも程がある!
けどよぉ、ここで折れる訳にもいかねぇだろ!!!

・戦闘
『防衛』を選択するぜ
【盾受け】と【限界突破】で奴のミサイルを防ぐ!
それでも足りなけりゃ……後は、ユーベルコード『ウェポンズ・トランスポート』で奴の攻撃に有効な武装が来るのを祈るしかねぇ!
頼んだぜ『ジュークボックス』!その【戦闘知識】からの分析で奴の攻撃への対抗策を!

・その他
アドリブ等は大歓迎だぜ!


ベリーム・ジャストロ
【新世界学園】

よーやく親玉のお出ましってわけね。
当然あたしは闘りに行くわよ、防衛も妨害も他のやつらに任せたわ

殴る蹴るが得意なあたしにゃ正味ちょっとばかし相性悪い相手だけどー……
いいじゃん、その方が燃えてくんじゃん!
丁度よくアイツらが散らかしてくれやがったゴミもたんまり転がってることだし
ゴミはゴミ同士纏めて処分ってことで、遠慮なく使わしてもらうわよ、その辺の残骸や鉄骨さん
焼けるほど熱いんならコイツらでぶん殴りまくって、
ミサイルが来てもゴミぶん投げて撃ち落としてやるわ!

それでも足りないってんなら……やっぱり直接ぶん殴る!!
むかつくのよああいう他人を役立たずとか言うやつは!!

※連携・アドリブ歓迎


イドール・シアンス
・キャラ視点
さて、そろそろ私も動くとしようか。
面倒な状況だが、何よりも敵機体を撃破しなければ只管にアレは周りを破壊しつくすだろう……いくら私たちが猟兵だとしても守り切るには限度がある

勿論あの機体を私単機で制圧しようなど愚かなことを考えはしない。
だが、私の“グラバー”ならば少しばかりの『時間稼ぎ』を出来るだろう……文字通りの意味だが
後は他の味方に任せるとするさ


・行動
制限付きの『時間制御』を行える機体“グラバー”による【妨害】

どこか、相手が味方に対する致命打を打つ際にUCを使ってそれを挫く様な動きです
他の時間停止UCを用いた妨害等でも構いません

行動合わせはありませんが『新世界学園』所属になります


ヨルゲン・エリクソン
あー、こりゃ凄いのが現れたな。正面からぶつかるのは他に任せて、『防衛』に回ろうとするか。
と言っても、やる事と言えば市街地に被害が行かないようにする事くらいか?
そういえばさっき戦ったパラティヌスとかいうキャバリアが使ってたシールドがあったから、それをユーベルコードで拝借して、敵の砲火が飛んで来たらそれで防いでみよう。
沢山いたし、盾も数を用意できるかもしれねぇ。
無理ならまあ、頭を掻いて謝るとするか。グロービョルンが盾になりますとか言いつつさ。
ま、俺のグロービョルンは市街より余程しぶといぜ! 多分な!

※他のキャラや新世界学園所属のキャラとの絡み歓迎です。アレンジ描写についても一向に構いません。


ナイナイナ・スヴェルノスキー
重点的に『妨害』行動を行いますわ
おほほ! 首魁として随分と好き放題したようですけれど……この戦場で普段のような横行闊歩が罷り通るなどと思わないように
年貢の納め時、ですわ


【君命:他を見るな】

“唯ひとつの王冠” 起動継続
僚機の攻撃行動に乗じ、王冠より針状の光線を放射。制圧射撃を行いますわ
命中し次第、それをアンテナに敵機との接続を確立
わたくしの君命によって目を塞いで差し上げましょう

おほほほ! わたくしに注目し続けられるなんて幸福ですわね!
穴が開くほど見つめなさいな。あなたが最期に見る光景は
この国の夜明けではなく
滅びた国の地平線でもなく

勝利するわたくしの姿ですわ



●盾を掲げよ、鋼を砕け
 オオオオオオン――!!
 三ツ首の竜は雄叫びを上げる。
 苦痛。
 屈辱。
 怒り。
 これまでの猟兵とクーデター軍の奮戦に対する、決然たる打倒と滅殺の表明。
 オブリビオンと猟兵の間に、和解などありえない。
 なぜなら彼奴らは、利益や欲求のために世界を滅ぼすのではないからだ。

 "そうである"から、"そうする"。
 原子が振動し、電子がランダムに動き、太陽が輝くように。
 オブリビオンは、オブリビオンであるゆえに、世界を破壊させる。
 ……この世界の住人として戦う新世界学園の生徒たちも、それを理解する。
 あれは、国家の主義主張を越えて、けして見逃してならぬモノなのだと。
 もっとも中には、他ならぬオブリビオンマシンを駆る者も居るのだが。

「おほほ! この戦場で、普段のような横行闊歩が罷り通ると思っていましたの?
 であれば滑稽ですわね! このわたくしどもが居るのにそれは不可能ですわ!」
 ナイナイナ・スヴェルノスキーは、己が駆る電子戦機"スラーヴァ"を浮遊させる。
 まるで狙い撃ちしてくれとでも言わんばかりの、敵対的誇示であった。
 そしてそれは比喩ではない……なにせナイナイナは『目立ちたがり』である。
 平時においても戦闘においても、彼女は衆目を集め自ら輝こうとする。
 まさしく"王"のように――王冠を背負う者に相応しき、傲岸不遜。
「さあ、年貢の納め時ですわ! 天にわたくしあり。地に我が学友あり!
 "唯ひとつの王冠"よ、起動を継続なさい! 真に君臨する者の光を浴びせよ!」
 光輪めいた輝きから生まれたのは、針のような無数の光線である。
 さながら太陽の煌光のように放射された光線が、無数の弾頭を撃墜する。
 三ツ首の竜は吠えた。溶鉄をよだれじみて撒き散らし、灼熱の翼を広げる!
「おほほほ! 欲しがりなけだものね。ここまでおいでなさい!」
『よくもそこまでほざく。ならば望み通りに噛み砕いてくれる……煉獄ッ!!』
 ノイマンの怒声に呼応し、翼は天使のように六枚の羽根となった。
 そして大気を灼き、飛び散った残骸を融解させながら天に飛翔せんとする。
 図体の大きさゆえに、それはあまりにも隙だらけの行動――ゆえに!
『ハ! 戦いの最中にお空を眺めて散歩かよ、悠長にもほどがあらァな!!』
『飛び立つなら黙って空の彼方に消えやがれ! 地上に被害を撒き散らすな!』
 太陽フレアを斬り裂いて迫る二機のキャバリア。
 ベリーム・ジャストロのBC-04F"エイプリル"と、
 開条・セサミが一体化したCGP-CC-001"ドン・キホーテC3"!
 二機のキャバリアは斜めに跳躍し、飛翔せんとする煉獄の装甲を砕いた。
 KRAAAASH!! 滅裂した機体の裂け目から、鮮血じみた再生の炎が噴き出す!
『クソッ、ストライクグレイヴで傷をつけてもすぐに回復されちまう!』
『ぶん殴って、当たってんのに殴れてる気がしねェ!! ムカつく!!』
 二機は反撃のミサイルや熱線砲を回避し、ヒット・アンド・アウェイを続ける。
 しかし叩けど殴れど穿けど、破壊した装甲は再生の炎で修復されてしまう。
 さらに面倒なのは、そのたびに煉獄は"成長"し戦闘力を増しているということ。
 もはやその巨体は、キャバリアですら小人と巨人じみた差が生まれていた。
 兵器の枠組みすら超えた巨竜――自立し咆哮する山とすら言えるかもしれない。
 これほどの質量を持ってすら、オブリビオンは何も生み出せないのだ!
『邪魔を……するなッ!!』
『『!!』』
 ベリームとセサミは、ノイマンの激烈な殺意がこちらを向いた瞬間、死んだ。
 ……より正確に言えば、撃墜された自分の機体を幻視した。危機感が齎す錯覚。
 主観時間に現実が追いつく――倍近い数のミサイルが歪曲し二機を襲った!

 ……だが。
『なんだ……? ミサイルが"止まった"ぞ!?』
『ジャミング? いや違うわ、これは――!』
 セサミとベリームは、見た。地上にありて尊大に手を伸ばす一騎のマシンを。
 オブリビオンマシン、"グラバー"。コードネーム、ブラックガード。
 新世界学園生徒会が所有する特記戦力のひとつであり、その性能は……!
『面倒な状況だ。自分で建てた基地やらを破壊するだけならばいざしらず、
 私たちまで巻き込まれては……そう、面倒なんだ。それは勘弁願いたい』
 "グラバー"の掲げた片手の掌から、青い炎が燃え上がる。
 それは物質ではなく、空間――いやさ、時空そのものに干渉する超常の炎。
 "時神制圧(クロノス・オーバーライド)"。
 限定的な時空間制御という、極めて特異な事象を可能とするユーベルコード。
 それが、声の主――生徒会庶務、イドール・シアンスの駆るマシンの力だ。
『これ以上、手間を取らせないでもらえるだろうか。"時間"の無駄だ』
『こ、これは……!! 空間そのものを掌握しているのかッ!?』
 煉獄は巨体を動かそうとした。だが出来るのは、もがくような動きだけだ。
 まるで水槽一杯に詰まった、粘度の高いゼリーめいた液体に包まれたような。
 あるいは蟻地獄に堕ちた、哀れな蟻が逃れようとする様を見るような。
 イドールは気だるげに嘆息し、眉根を寄せ、空間支配にさらなる力を注いだ。
 この術式は、強力であるがゆえに長時間の維持が出来ない。
 限界は1日に1分もない。それ以上継続しようとすればイドールが死ぬ。
 いかに彼が"グラバー"を制御しているとは言え、それはオブリビオンマシン。
 彼らが破壊しようとしている煉獄と同じ、本質的に制御不能の化け物である。
(私の"グラバー"の拘束をすら逃れかねないか……だが)
 二体のオブリビオンマシンの力のぶつかり合いが、空間を歪ませる。
 まるで世界そのものがあげた悲鳴のような、金切り声じみた高音。
 さらにピシピシという破砕音が響き、空間に白い歪みのようなものが生まれた。
(これは所詮、"時間稼ぎ"だ。私は、ひとりで戦っているわけではない――)
 セサミ、ベリーム。そして何やら敵機との接続を試みているナイナイナ。
 さらに――もうひとり。ショルダーキャノンの砲撃が敵装甲を破壊した!
『こりゃあすごい。正面からぶつかるのは、出たがりさんたちに任せるぜ!』
 市街地のビル屋上! ヨルゲン・エリクソンの駆る"グロービョルン"あり!
『盾ならそこらへんのキャバリアから調達出来る。おもいっきり叩き込め!』
『……そうと決まれば、身動きできないうちにやらせてもらうぜ!』
『ゴミ拾いでリサイクルか、それいいわね! 真似させてもらおうじゃねェの!』
 セサミは巨大なドリル型兵装を転送・装着。装甲を穿孔・破砕!
 対するベリームはエイプリルの力で、破壊されたビル残骸などを集積。
 それをユーベルコードの力でいびつに融合させ、インスタントウェポンを生み出した!
『他人を役立たずとか云うやつは、むかつくのよォッ!!』
 SMAAAAAAAASH!! 凝縮された質量兵器が煉獄の砲塔もろとも装甲を破壊!
 噴き出すのは再生の炎ではなく、内部回路の誘爆による爆炎だ。
 なぜなら炎による再生そのものも、"グラバー"にとって『足止め』されている!

『お、おのれが……!! ゴミのように小さき虫が、この煉獄をよくも!』
 ノイマンは怒りのあまりこめかみから血を吹き出し、奥歯を砕きかけた。
『煉獄よ! お前の力はこの程度ではない! お前は世界を滅ぼすものなのだ!
 見せてやれ――この国もろともすべてを、あのダニどもを吹き飛ばす力を!!』
 煉獄の破砕した装甲面から、めりめりと樹木じみて砲塔が生えた。
 それは熱線を垂れ流し、ミサイルをぶちまけ、"虫"どもを振り払おうとする。
『足掻くねぇ、けど悪いな――おたくの用意した兵器(モン)を使わせてもらう!』
 ヨルゲン=グロービョルンは、破壊されたパラティヌスの残骸に手を伸ばした。
 するとひしゃげたシールドがふわりと浮かび上がり、装着される。
 そしてシールドバッシュめいて盾を投げると、それはミサイルに吸着した。
 ベリームのエイプリルと、時空間制御を続けるグラバーめがけた弾頭と相殺!
『何ッ!? ええい、ならば!』
 砲塔がグロービョルンを狙う。熱線の放射――ZAAAAAAP!!
『おっと! さすがにこいつは盾の数が足りるかぁ……?』
 グロービョルンは、型落ちのキャバリアとは思えぬ機動性で跳び回る。
 そしてあちこちに落ちている盾や残骸を拝借し、それを身代わりに熱線を防御。
 質量的にも、性能的にも、グロービョルンと煉獄の差は天と地ほどあるはずだ。
 なのに、なぜだ。どうしてこんなロートル機一騎が破壊できない!?
『悪いな! 俺のグロービョルンは、しぶとさだけなら一流なのさ!』
『おぉのれがァアアアアアッ!!』
 火砲生成! だが生み出されたそれらはセサミとエイプリルが裁断破壊!
 放たれたミサイルも、空間そのものを掌握したグラバーに"止め"られる!
『苛立たしいか? それはこちらも同じだ。私はさっさと仕事を終わらせたい。
 この国に思い入れも未練もないが、暴れられては色々と手間がかかるのでな』
『貴様ァ……!! 同じような機体(モノ)を駆りながら、なぜそちらに立つ!』
『愚問だな。機体に呑まれ体よく踊らされているそちらと一緒にするな』
 煉獄は咆哮した。空間の歪がミシミシと広がり、グラバーにバックファイアが襲いかかる。
 掲げた腕から肩口までの関節部が火を吹き出し、炎が血のように溢れた。
『おい生徒会のお偉いさんよ! 大丈夫なのかよ!』
『問題ない。"時間稼ぎ"はまだ出来る。それに――』
 セサミの通信に対し、イドールはいつも通りの調子で答えた。
『どうやらそれも、もう必要なさそうだ』
『あ? そりゃどういう――』
 彼がそう言い、ベリームが訝しんだ瞬間。
 狂ったように放たれていた砲火が、てんでばらばらの方向に飛び散った。
 ミサイルは見当外れの地面に着弾し、熱線砲は誰も居ない空の彼方を灼く。
『これは……止まったとかじゃないな。そもそも俺たちを狙えてないのか!』
 ヨルゲンは気付いた。――そして、空の"王冠"を仰ぎ見る!

「――おほほほほ!」
 と、気が抜けるほど陽気であっけらかんとした笑い声が溢れた。
 ナイナイナ・スヴェルノスキー。機体名、"スラーヴァ"。
 それは、エイプリルのようなパワフルさは持たない。
 ドンキホーテC3のような、多目的に戦場に対応する汎用さもない。
 グラバーのように時空間を支配することも出来ないし、
 グロービョルンのような、型落ちとは思えぬタフネスもない。
 装甲は強靭ではあるものの、特筆するほどではない。
 オブリビオンマシン由来の再生能力も、煉獄のような劇的なものではない。
 火力も同様。機動力は言わずもがな。概して平凡な機体と言える。

 だが、ただひとつだけ。
 スラーヴァが可能とする、他には不可能な芸当がある。
 ……それはすなわち、"奇跡"の実現。
 1/100000よりも先、数学的にはありえないとされる現象を"起こす"。
 見よ。針めいた光線は、王冠と赤き竜をついに繋いだ。
 かくして君命は下された――ナイナイナの命じるところは、ひとつ。
「わたくし以外を見ることなど赦されませんわ。その目は何のためにありますの?」
 "他を見るな"。
「それは当然ッ! この! わたくしを!! 見つめるためですわッ!!!」
 自身への注目を強制する能力。戦場ではあまりにも非合理的である。

 だが。
 煉獄ほどの殲滅力を持つ機体が、『他のすべて』を認識出来なくなったなら?
 国ひとつを焼き払うだけの砲火も、牙も、尾も、再生の炎すらも。
 時空間制御にさえ抗うその戦闘力も、装甲も、何もかも。
 ただひとつの王冠の輝き以外を、認識出来なくなったとしたら。
「穴が空くほど見つめなさいな。あなたが最期に見る光景は、ただひとつ――」
 ナイナイナは微笑んだ。ノイマンにはその微笑みが見えた。
 ……王者の笑みを。
「この国の夜明けでもなく」
 己を見下すものの笑みを。
「滅びた国の地平線でもなく」
 傲慢なる女王の嘲笑を。
「勝利する、わたくし"たち"の姿ですわ」

『……今度こそ、キツいのを叩き込んでやるぜ! 行くぞ"ジュークボックス"!』
『ゴミだの虫だの、見下したヤツからのお返しを思い知りなァ!!』
『どうやら、新世界学園(われわれ)をナメすぎたようだな』
『よし、レーザー砲接続完了――行くぜ! これが俺の最大火力だ!』
 ドンキホーテC3のドリルが赤い装甲を貫く。
 エイプリルの生み出した鉄の塊が炎ごと関節を破壊する。
 グラバーが反撃を、悪足掻きを"止め"、グロービョルンの一斉発射が巨体をあますところなく包み込む!
 これが、戦場に青春を捧げた戦士たちの、底力と意地なのだ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

櫻羽・蛍
『妨害』を主にした行動をとります


手が震える
体が震える
あんな化物が相手だなんて、【学園】生徒としての初陣は大変に気が重い

けれども、此方の陣営とて化物揃い
…せめて爪先くらいは引っ掛けてやろうじゃあないですか

興奮剤で恐怖心を無理矢理抑え付けて
「跳びますよ、ホタルビ――兄様!」

狙いは馬鹿でかい砲塔、そんなもの撃たせてたまるもんですか
機体のリミッターを外した高速機動で一太刀、足りなければ二太刀
それでも駄目なら幾らでも…!
傷がつくのなら、壊れるまで叩けば良いんです

あ、今、五月蠅い小蝿と思ってらっしゃいます? 小者のセリフですよ、それ


※アドリブ・共闘歓迎


御門・白
・防衛、アドリブ歓迎

平穏を憎み、荒野を駆け、戦を求め戦を作る
あれは檮杌
狩るべき獣
……対呪術戦へ移行

戦場周囲へ接続、
巻き込まれうる市民やクーデター軍
市街地の建造物や道路なども
別に。インフラは打算です。戦後処理を考えれば守る方が都合がいいだけ
故に、可能ならば敵に取り込まれているノイマンにも接続を試行

学園の僚機は…必要ならば
死相が見ないから

自分へ降る無尽の焔は地雲薙剣で斬り伏せ

敵の最大の呪詛に合わせ術式を起動

攻撃と、その根源の動きを打ち消す
永くは、止められない
でもこれを止めれば、充分

泰山府君は万物の生き死にを掌る
あなたの誇る殺戮は、ひと足先に骸の海へ還ったのでしょう

さぁ、過去は過去へ
急急如律令


イオリ・カクトゥス
攻撃を重視しよう。
皆が被害を押さえてくれるとはいえ、早く倒さないと厄介だろうし。

ちょっと街から電気を拝借するね。
料金はアレを倒すことでチャラでお願い。

街から得た電力で機体を強化。
特に主砲の荷電粒子砲『タケミカヅチ』は充電すればするほど威力が上がるからね。
それなりに時間がかかるのが欠点だけど……その時間は周りがカバーしてくれると信じよう。

周りに被害が出ないように収束して発射。
ミサイル群ごと敵機を貫くよ。


本城・アサヒ
これではこちらを掃討できたとして何も残らんだろうに
この基地は再建するしかあるまい
ならば残骸は廃品回収業者(スカベンジャー)として再利用させて貰おう

敵機『煉獄』を迂回して背面方向の
中央基地跡へ乗り込む

設備の残骸を捕食し同化
自己改造により発電機能とレーダー機能を主軸に基地そのものを取り込む

基地の残り燃料と設備を使い潰した全出力でUCを使用
『煉獄』を市街地から引きはがす

BS-H『エイペクス・プレデター』リミッター解除
実戦投入は初めてだがいよいよ使いどころだな

まあ素直に帰るつもりもないだろう
無茶な改造故に投射と同時に自壊が始まるだろうが
その間、奴を釘付けにして表面の炎と幾つかの武装を剥がせれば十分だ



●限界を超えた先に
 ……奇妙な現象が起きていた。
 煉獄がマグマめいて撒き散らしたミサイル・火砲・太陽フレアの尽く。
 大地を凸凹に刳り、ビルというビルを融解させ、人々を殺しめるはずの滅び。
 ……それらが、まるで大気圏で燃え尽きる隕石のように衰滅した。
『なんだ、これは!?』
 ノイマンは驚愕した。無理もない。
 なんらかの砲撃が斬撃で、弾頭を撃ち落とされたと云うならまだわかる。
 ハッキングやジャミングで、狙いを逸らされた、というのも理解は出来よう。
 それを単純な数と勢いで圧倒するのが煉獄のスタイルであるがゆえに。
 だが、ミサイルが『空中で分解して塵となる』など、ありえない話だ。
 迎撃やハッキングのレベルの話ではない。これはもはや……魔法。いや。
『……対呪術戦、継続』
 はらはらと雪のように、塵となった炎の残滓が降り注ぐ。
 その中にひっそりと、だがたしかに屹立するは、一騎のオブリビオンマシン。
『《禄名簿》展開、維持……あなたの振りまく死は、許されるものじゃない』
 全身ブラックボックスの塊、呪術特化不明機体『ツクヨミ』。
 それを駆る少女、御門・白は、命を削る声でノイマンに告げた。
『ゆえに、私とツクヨミはそれを認めない。すべてを賭けてその因果を祓う。
 泰山府君は万物の生死を掌る。あなたの誇る殺戮は、既に骸の海へ還りました』
 "因果干渉・泰山府君祭"。
 器物、人物、はては概念とすらも呪術的に接続し、呪によって「死」という因果そのものを祓い、断ち切る不可視・不可触の超術式。
 攻撃によって降りかかる火の粉を払うのではなく、そもそも"火の粉そのものを無力化してしまう"という、まさしく奇跡の力。
『だから私は、誰も「死」なせない』
 白の命を代償にしかねないこの術式が、不可解な現象の正体であった。

 しかして。
『認めんッ!!』
 ノイマンは怒り狂い、その怒りに呼応して煉獄が炎の涎を撒き散らす。
『私の殺戮を還しただと? 生死を操り、死そのものを祓ってみせただと?
 いいだろう、ならばその小賢しい呪もろとも、貴様の存在を叩き潰す!!
 貴様らが私の野望を、滅亡を否定するならば、それさえも滅ぼすまでだ!!』
『……ッ』
 どくん、と見えない負荷がツクヨミを襲い、白は片目から血を流した。
 煉獄は攻撃を……正確には万物を滅ぼそうとする行動の因果そのものを断ち切られながら、術式による無力化を超える速度と勢いで攻撃を始めたのだ。
『いいえ……この国も、そこに住まう人々も、まだ死ぬときではない……っ!』
 ぶちまけられた砲撃と弾幕が衰滅し、舞い散る塵を吹き飛ばして次が放たれる。
 うず高く積み上がった塵さえも燃え上がり、滅亡の竜は歓喜の雄叫びを上げた。
「永くは、止められない……けど、市街地への被害は、絶対に抑えてみせる。
 だからお願い、あの根源そのものを……"煉獄"を叩いて、滅びを止めて……!」
『請け負った! そういうシンプルな破壊ならば、"我ら"の出番だ!』
『同じく、手伝おう。少し時間はかかるけれど、ね』
 そこへ馳せ参じたのは、二機の新たなキャバリアであった。
 新世界学園の精鋭、本城・アサヒとイオリ・カクトゥスだ!
「わ、私も……私も、戦いますっ!」
 二機に遅れて参戦したのは、櫻羽・蛍が駆るCB-001C"ホタルビ"である。
 戦い慣れたイオリとアサヒに対して、蛍の声は震え、弱々しい。
 実際のところ、コクピットに座る彼女の手は、ぶるぶると震えていた。
 総身が震える――武者奮い? 否、蛍はそこまで行き果ててはいない。
 恐怖、そして緊張。あんな兵器の域を超えた化け物を相手にすることへの恐れ。
 気が重い。なにせ蛍にとっては、これが事実上の初陣である。
(……けれど、相手が化け物なら、こちらだって化け物揃いです)
 アサヒと一体化した異形のキャバリア、ナザイベル。
 それは崩壊した基地やビルの残骸を、ブラックホールめいて吸収していた。
 周囲の瓦礫の質量そのものを破壊力に乗せ、一撃を放つつもりなのだろう。
 目には目を、歯には歯を、そして破壊には破壊といったところか。
 同様にイオリの"D-Ogre"も、市街地からありったけの電力を『喰らって』いる。
 荷電粒子主砲『タケミカヅチ』に、膨大な熱量が集まり、大気に陽炎を起こす。
 並のキャバリアならば、撃墜どころか機体ごとパイロットが蒸発するだろう。
 それほどの破壊力の一撃を、前後から同時に放射。馬鹿げた作戦だ。
 白の呪術式による攻撃無効化が限界を迎えれば、イオリもアサヒも死ぬ。
 それをわかったうえで、彼らはこうしている――信じているからだろう。
 自分たちの、仲間の力を。新世界学園という国家に属する"同級生"の力を。
(……なら、私だって!)
 蛍はぐっと奥歯を噛み締め、恐怖と緊張を覚悟で洗い流した。
「ホタルビは直接攻撃を行います! 今なら砲塔を切り落とすのも簡単なはず。
 可能であればそのまま装甲を切断し、おふたりの攻撃が届きやすくします!」
 そう言って、蛍は機体のリミッターを解除した。
『ああ、任せた。そのぶん特大の一撃をくれてやろう』
『充電時間はあればあるほどいい。白さんも楽になるはずだ』
「……はい! 跳びますよホタルビ――兄様っ!!」
 ドオウッ!! と大気を吹き飛ばし、ホタルビは亜音速に到達した。
 衰滅されながらも、徐々に弾幕はその勢いで術式を圧しつつある。
 たとえるなら、透明なドームを内側から少しずつ押し広げているような光景だ。
 飛び込めばそのぶん、熱波と炎がホタルビを襲う。しかし……!

『仲間が踏ん張っているというのに、わざわざ近づいてくるのかね? 愚かな!』
 ノイマンは、自分からインファイトを挑むホタルビをあざ笑った。
 近づいてくるならば、直接撃ち落とすのみ。巨大な尾が蛍の機体を襲う!
「そんなもの、当たってたまるものですか!」
 蛍は殺人的な加速Gに血を吐きながら、曲芸的な回避機動で尾を避ける。
 すれ違いざまに赤い装甲を裁断! 業火の中から鮮血じみて内部爆発の爆炎!
『ぬうっ! ええい、ちょこまかと……!』
 ミサイル射出。ホタルビはジグザグの稲妻じみた機動で弾頭を誘爆させる。
 熱線放射――白の術式で衰滅させられたそれは、ホタルビに届かない。
 そして"愚かなハエ"を落とそうとすればするほど、煉獄がドツボに嵌る。
 お返しの斬撃が炎に包まれた全身を斬り捨て、生成された砲塔を両断するのだ。
 一撃で足りなければ二撃。
 それでも足りなければ五度、十回、百に至るまで、斬る斬る斬る斬る!
『な、なぜだッ!? 惰弱なキャバリア一体が、なぜ煉獄をここまで!!』
「私のことを、五月蝿い小蝿と思っていらっしゃいますでしょう?」
 蛍は己を強いて、コクピットで侮蔑の笑みを浮かべてみせた。
 身体は震えている。やせ我慢といわば言え。こんな奴に見下されてやるものか。
「それ、小物のセリフですよ――あなたにはお似合いですね!」
『貴様ァアアアアアッ!!』
 怒り狂った煉獄は、鋼鉄の牙でホタルビを噛み潰そうとした。
「――もらった!」
 ホタルビは逆に敵の口中へ加速……口蓋部の装甲をバツ字に斬り裂いて飛び出す!
 AAAAARGH……!! と、鋼鉄の化け物は苦悶と屈辱の雄叫びを上げた。
 ついに悪足掻きの全力砲火が途切れる。脂汗を流した白が、叫んだ。
『……いまなら、行ける。泰山府君祭の呪力を、防御ではなく妨害へ……!
 "あれ"のあらゆる防御と反撃を無力化します。その間に……攻撃を』
『時間稼ぎはしてもらったからね! それでは新武装のお披露目と行こうか!』
 ナザイベルが下半身部を構成する触手と、両腕を、地面にがちんと打ち込んだ。
 そして頭部ユニットが展開し、いかなる光をも逃さぬ黒点が揺らめく。
 疑似ブラックホール生成機能が完全解放され、あらゆる物質と大気を吸引する!
『BS-H"エイペクス・プレデター"、リミッター解除……さあ、我らの一撃を此処に。
 言っておくが、この一撃でナザイベルは壊れる! だが見ていたまえ!』
 ナザイベルの全身が小爆発を起こし、血のように循環液を撒き散らした。
 極小ブラックホールはさらに増大を続ける。大地が抉れクレーターが生まれる!
『"世界を喰らえ(All-In-One)"』
 メートル級に膨れ上がった黒点が――グン、と豆粒ほどに収束した。
『――"一掃(Establish)!!"』
『ウオオオオオオオッ!?』
 直後、煉獄の巨体すらも引き剥がすほどの超引力が発生。
 身にまとう炎も、なおも垂れ流される熱線もフレアも弾頭さえも無効化。
 事象の地平線への正体を力づくで拒んだ煉獄は、狂い踊る宮廷道化師めいて無様に捻じくれ、全身の装甲にヒビを起こし、めきめきと手足をもがれていく!
『ハハハハハハ! そうら、足掻こうとすれば足掻こうとするほど苦しむぞ!』
 光さえも逃さぬ暗黒は、この世界を破滅させる存在を許しはしない。
 同じオブリビオンマシンだからこそ、その力は同種の残骸を誘引する。
 ナザイベルは過負荷による自壊を起こしながらも、黒点を維持し続けた!
「……それじゃあ、仕上げといこう」
 いまや"D-Orge"の全身は白いプラズマに覆われ、眩く発光していた。
 都市機能をダウンさせるほどの電力。それがタケミカヅチの砲身に集中する。
「たっぷり腹いっぱい食わせてやったんだ。そのぶんしっかり働いてもらうよ。
 ……なんとしてでも、アレを吹き飛ばす。僕らは負けるわけにはいかないんだ」
 キャバリアを……いや、今の出力はもはや戦略兵器級に達しているだろう。
 小規模な国家の軍隊であれば、根こそぎ滅ぼして余りあるほどの超・砲撃。
 煉獄に防ぐすべはない。
 身を鎧う炎は剥ぎ取られ、装甲という装甲は斬裂して火を噴いていた。
 イオリを妨害しようとしても、それらはすべて白の呪術式が無力化してしまう。
『や、やめろ……! 私の野望を、邪魔するな……!!』
「――それは、聞けない相談だな」
 D-Orgeの全身を循環するプラズマ光が、砲身に集中!
「これが雷電の力だ。……その機体、灼き滅ぼす……!!」

 その瞬間、地上から空を貫くように、カッ、と白い光芒がつんざいた。
 電光の槍は空と言わず、成層圏を抜けて宇宙空間にまで届いたかもしれない。
 あらゆる存在を平等に滅ぼす熱量が、赤き滅びの竜を貫く。
 巨体を円く抉るクレーターじみた破壊、そして大爆発が敵機を飲み込んだ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

風祭・ヒュウガ
なんだあの機械トカゲは……!?
あれが別世界のオブリビオン、ってヤツか!?

……いや、違うな。あれもキャバリア……オブリビオンマシンか!
だったら……いつも通りだよ!!


『攻撃』だ!とにかくヤツを……破壊する!!
おれとコイツの本分は、やっぱ敵をぶっ倒すことだからな。
結果的に、それが敵を挑発し、目を惹くことにも繋がる……やるぞ!

ったく味方にイラついてんのはレイオンの時と同じかよ。……芸がねェなぁ!!

ヤツの放つ灼熱に、フォトンを全身に纏って対抗し、抑えにいってやる!
それでもフーガの各部が焼きついて、アラートがクソほど鳴ってやがる……知るか!!
自己修復できるコイツならその上で動ける……一撃、貰うぞ!!


犬伏・あかり
【ベビーシッター】
※敵の妨害

ごめんね、クロエ…お願いね。
でも絶対に無茶はしないで。
…なんて、そんなの無理だって、わかってるけど。それでも。

組み付いた後、ラストがパイロットの人を助ける間
敵がラスト達を攻撃できないよう
コックピット付近に重なる部分の装甲をとにかく厚く。
しがみ付いた箇所はそのままに
武器なんて出さなくていいから、回せる分全部装甲に回して、そいつから離れないで。
二機分で庇ってれば多少は持つ…といいんだけど。
…ていうか、持たせなさい。カンオケ。
あなた、こいつよりも弱いオブリビオンなの?
違うなら、ちゃんと役に立って。

……悪いけど、ラストを置いて退く気はないから
ヤバくなる前によろしくね。


クロエ・ミディリィ
【ベビーシッター】
※敵の妨害
※連携、絡み歓迎
パイロットを救うにはラストくんを敵の元まで送り届けなきゃいけない
それには敵の攻撃を抑える必要があるわね
手強い敵だから私の全力を出す必要があるわ
でも今の体調だと、もって60秒だから
慎重に機を見極めて

こちらオールドレディ、ピーターパン一行のエスコートを開始するわ
60秒は旅路の安全を保証してあげる。いける?

過剰投与された薬剤により研ぎ澄まされた射撃が、
ミサイルを撃ち落とし、
砲弾を弾き、
炎を穿ち、
ラストくんたちが通る道を作るわ

64秒、死ぬ寸前まできっちり仕事して

無理をしたのは可愛い後輩に夢を見せてあげたかったから
こんな殺しの道具でも人は救えるって夢を


嗣條・マリア
総力を以てまずは市街地に被害が及ばない場所まで押し返すのがセオリーですが――
それは、他の方で十二分でしょう。私は私と“タイラント”にしかできない仕事をこなします

ヴォイドバンカー、アクティベート
どれほど堅牢な装甲、外皮であっても、これならば貫くことができます

問題は当たるかどうかですが――大丈夫
敵の動きは“聞こえてきます”から
“ライトブリンガー”による射撃でまずは翼、或いは脚を潰し体勢を崩す
高速移動中に高速飛翔物による攻撃を受ければ必ず態勢は崩れるはずです
当たらずとも、高速での飛翔中に無理やり態勢を変えようとすれば、必ず隙は産まれます

頭、複数あるのならそこに搭乗席はありませんよね
その首、貰いますよ


玉響・飛桜
【他キャラ、特に新世界学園との絡み歓迎】
【妨害】
うーわー…わっかりやすく暴れておるでござるなーオブリビオンマシン…
とりあえず戦果たっぷり!論功行賞ばっちり!を狙うでござる!
トランペッター!倍音(ハーモニクス)!「100」倍音!!警告無視で実行!
忍者刀を地面から50本生やして足元から敵機を刺して拘束!次いで敵機上空に50本形成でサンドイッチでござる!
その合間にトランペッター本体で奴の足回りやブースターなどをこうげ……
―――!!!!!!!!(一度に許容範囲を大幅に超えた量の武器を作成した反動で吐き気、目と口からの流血に気合で耐える)
…黙ってろトランペッター!オレとお前の強さを今!証明すんだよ!


ラスト・バレット
【ベビーシッター】
※パイロットの救助

「進んで俺達の敵に回ったクズ共はどうでもいいが」
「洗脳されたまま死ぬのは少々気の毒だ」

「あかり、カンオケ”一緒に”行こう」

ピーターパンがカンオケと融合
ティンカーベルは狂気を孕んだ冒涜的な歓声を上げ
己が壊れる瞬間まで演算を続ける

「道はクロエが開いてくれる」
融合で増えた様々な武装を駆使し
機体が燃える事も厭わず敵に組み付く

「カンオケ、ヤバくなったら捨てていいぞ」
そう言い残して機体のコックピットを開き

「後は俺がやる」
燃え盛る敵機体へ飛びつき

そのままコックピットをこじ開け

「随分シワの寄ったウェンディだが、問題ない」
「必ず家へ送り届ける」

ノイマンを掻っ攫い離脱を試みる


美聖・らふる
【攻撃】
※アドリブ、連携歓迎

……焼かせない。殺させない。
どんな形でも。
どんな国でも。
人がいて、暮らしがあって、生活があるはずだから。

……最終目標、敵機確認。
“清掃活動”を開始します。

……メガデス、では。
守るべき国を戦場に、しかねない
失敗は許されない
だから……範囲を絞ります
その分、上がった出力で……敵機のユーベルコードごと、叩き切る。

チャージの時間と、敵機の隙は。
きっと、味方が作ってくれる。
それを信じて、最後の瞬間まで。
どれだけ攻撃されても……守りきってみせる

“メガデス”
出力、最大超過。
コード。
この戦場を……エンドゲーム


ユーディット・ウォーカー
【攻撃】じゃ。
防衛と妨害には信頼できる仲間が回っておる。心置きなく攻撃に回れるの。

くふ、やはり最後にはそう来るわけじゃな。
人材は貴重なもの。大事にせねばならぬものであるのに、無為に自ら妁こうとするは笑止千万じゃ。
我のように、人材(感情)(リソース)は大事に…じゃが大胆に使うべきじゃろう?

友軍の消耗(リソース)は少なくとも、敵軍からは掴み取りキャンペーン真っ最中じゃよ。
『さあ、君の終わりを始めよう』と、アンコールもご機嫌のようじゃ。


ユウ・キリヤマ
「無能を鍛え凡百に仕立て、愚図共を率い価値を産む」
「それも統率者の仕事だ、面倒極まりないがな」

先を見据えた上で価値のある存在
一番はレイオン
傑物であり、公国に必要な人材

故に、狙われる
士気を考えれば、退かせるわけにもいかない

レイオンと彼率いる隊の護衛を目的に
敵機を牽制し、妨害し、注意を引き、攻撃を逸らし、いざとなれば直接防ぐ

友情や親愛、に基づいた物では当然ない
この戦乱の世界、友好的な国家は貴重であり
ましてや十分な恩を売り、力を示した相手であれば、国力を保たせる方が得だという冷徹な打算の結果だった

二番はノイマン
余裕がなければ迷わず殺せ、と常日頃言ってはいるが
それを素直に守る奴等であれば、苦労もしない



●戦いの終わり、戦いの始まり
「怯むな! ここから一歩でも下がれば、無辜の市民が命を落とすと思え!!」
 砲撃の雨嵐の中、レイオンは叫ぶ。兵士たちの声は恐怖と怒りが綯い交ぜだった。
 半壊したはずの煉獄により、死物狂いの猛攻がクーデター軍を襲っていた。
 戦いはとっくのとうに、襲撃戦から防衛戦に変わっていたのである。
『死ね! 死ね、死ね、死ね、死ねッ!! 消え去れ、ゴミクズどもめが!!』
 狂気に歪んだノイマンの罵声が、戦場にこだまする。
 ググググ……と煉獄の片腕が再生し、炎を纏う刀爪を振り下ろした!
『醜いものだな。それが仮にも、軍部の頂点に到達した者の振る舞いか』
『もはやキャバリアじゃねえぞ、こいつは……ッ!!』
 "黒騎士"ユウ・キリヤマ、"フーガ"風祭・ヒュウガの二機が攻撃を受け止める。
 KRAAAAAASH!! 衝撃に耐えきれず地面がひび割れ、二機は膝まで陥没した。
『"タイラント"で押し返します。もう少し耐えてください』
 嗣條・マリアが三ツ首の顎を蹴り飛ばし、尋常ならざる巨体を吹き飛ばした。
 レーザー攻撃で円く削り取られた部位を炎によって再生させる煉獄。
 それはいまだ生長を続け、もはや全長はキャバリアとは思えないほどである。
『わかりやすく暴れておるでござるなー、これだからオブリビオンマシンは。
 ……とかいうと、味方のオブリビオンマシンまでdisっているようでござるが! トランペッター! 倍音(ハーモニクス)! 「100」倍音を警告無視で実行!』
 さらに"トランペッター"玉響・飛桜が、地中から50本の忍者刀を生成する。
 それにとって、体勢を崩した煉獄の脚部を串刺しにし、拘束しようというわけだ。
 機体のバランスを崩された煉獄は、まるで生き物のように悶え苦しみ咆哮した。
『まだまだでござる、さらに50……!』
『邪魔を、するなァアアアアアッ!!』
 ノイマンの怒号! 三ツ首の口蓋部から巨大なキャノン砲が出現した!
 空からの攻撃を食らう前に、トランペッターを消し飛ばそうというわけか!
『それは、見過ごせないわね』
 陽炎揺らめかせる熱量が迸ろうとしたその瞬間、砲口に吸い込まれた弾薬。
 最大限まで高まった熱量が焼夷弾によって誘爆し、三ツ首は自壊した。
 刹那のタイミングを狙いすました射撃は、"オールドレディ"クロエ・ミディリィによるものだ。
『こちらオールドレディ……小隊名"ベビーシッター"よ。
 これからウチの"ピーターパン"が、ノイマン・ハーディの救出を行うわ』
『救出だと?』
 "黒騎士"からユウの声がした。
『あの砲撃と業火の中を突破するというのか? 機体を吹き飛ばすのではなく?』
『そう決めたみたいだから、私は手伝うだけ。無茶は承知でしょうね』
『…………』
 ユウは考える。
 オブリビオンマシンのパイロットに、罪はない――少なくとも心情的には。
 ノイマン・ハーディという人間を生かしておくことは、戦後のためにも必要だ。
 罪人として裁かれるにせよ、元のポジションに復権するにせよ。
 命を救うことで、ひとつの『貸し』を作ってやるのも大いに意味がある。

 しかし。
 新世界学園の仲間の命と天秤にかけたならば、それは問うまでもない。
 国家の重要人物であろうと、ユウにとっては『外様』に過ぎないからだ。
 無理に危険を犯して救助するぐらいならば、自分の命を最優先しろ。
 それが、冷徹なる生徒会副会長としての心情ではある……。
『……了解した。"黒騎士"、および"フーガ"が支援に回る』
『っておい!? 勝手に決めてんじゃねえよ! いやそのつもりだったがよ!』
 ヒュウガは相変わらずの調子のユウに食って掛かる。
『ああ、とにかくだ。パイロットが居たんじゃ、あのデカブツもぶっ壊せねぇ!
 こっちもやれるこたやる、だから失敗すんじゃねえぞ! 聞こえてるかラスト!』
『――聞こえている。了解した』
 "ピーターパン"……ラスト・バレットが、ヒュウガの声に応じた。
『進んで俺たちの敵に回ったクズどもはどうでもいい。だが彼は別ケースだ。
 洗脳されたまま死ぬなんてのは……少々、気の毒なものでな。迷惑をかける』
『いまさらな話だろ、反対ってやつぁ他にいねえだろうな!?』
『反対する理由がありません。どのみちやることは一緒ですから』
『偉い人を助ければ戦果たっぷり、論功行賞ばっちりでござるしな!』
『いえ、そういう観点から言っているわけではありません』
『がーん……!』
 マリアの冷静なツッコミに、飛桜は大げさにがっくりと落胆する。
『でも拙者はめげないでござる! こがいわゆる大一番、でござるからな!
 さあ、今度こそ倍音実行――増幅式、展開でござる! 空より降れ刃よ!』
 煉獄の頭上に50の忍者刀が複製・出現し、まっすぐに落下した。
 忍者刀を牙に見立てれば、空を喰らう巨大な鮫が噛み付いたようだ。
『れ、煉獄! 動け、我が野望のために……!!』
 巨体を余さず串刺しにされた煉獄は、血のような炎を吹き出し悶え苦しむ!
 そして背中から灼熱の翼を生やし、拘束を無理矢理に逃れようと暴れ狂った。
 撒き散らされる炎の刃と太陽フレア、そして生成される砲塔による弾幕!
『"タイラント"、"オールドレディ"の援護に入ります。無理はなさらないように』
『……善処はするわ。正直もう、無茶はし通しなのよ』
 マリアの気遣いに、クロエは疲れた声で苦笑する。
『さあ行くわよ、ラストくん、それにあかりちゃん。私の今の全力はざっと60秒。
 マリアちゃんやみんなの支援があっても、それ以上は難しいわね……行ける?』
『……ごめんね、クロエ。お願い』
 "カンオケ"犬伏・あかりは、絞り出すようにそう言った。
 無茶はしないでほしい。
 無理だとわかっていても。
 本当は、彼女に言いたいことが山ほどあるのだ。
 無理を強いている自分たちが、そんな言葉を言える筋合いではないのはわかっている。
 それでもあかりは、万感の思いを込めて、一言だけ言った。
『――生きてね』
 もう死んでしまった少女からの、精一杯のねがいである。
『行こう、ラスト。らふるも準備を始めているみたいだから』
『ああ。"メガデス"を全力で撃たせるためにも、失敗は出来ないな』
 あかりとラストの視線は、市街地の高層ビル屋上に佇む機影に注がれていた。
 "ミゼラブル"美聖・らふる。殲滅砲塔メガデスによる全力砲撃。
 敵機体一点に収束させた砲撃は、間違いなく彼女の命を奪うだろう。
 つまり、二射目はない。そして、パイロットを防御する微調整も不可能。
 誰かが先んじてパイロットを救出しなければ、この作戦は成り立たない。
「……灼かせない、殺させない」
 "メガリスドライブ"、最大駆動開始。
 循環する熱量がらふるの神経を灼き、血管を燃やし、臓器を内側から焦がす。
 血の涙を流しながら、らふるは徐々に破滅への螺旋階段を駆け上っていく。
 仲間たちならば、やってくれる。
 犠牲者を救い、すべての人を守り、そして一撃のための間隙をこじ開ける。
 同じ学園の仲間たちならば、それができると信じている。
 ゆえにらふるは棒立ちで、すべての意識と能力を射撃に集中させる。
「どんな形でも」
 目が見えない。視神経が灼ききれている。
「どんな国でも――」
 指先が動かない。爪からはしとどに鮮血が溢れていた。
「人がいて、暮らしがあって、生活があるはずだから。……だから――」
 呼吸するたびに肺胞が爆ぜた。口の端からも血があふれる。
 少女の命を代価とした破滅の刃が、徐々に、徐々に熱量を高めていく。

「くふ、くふふふ! やはり、物事の終わりはこうでなければのう!」
 フォトンリアクターを展開した"フーガ"が、敵の質量攻撃を受け止める。
 "黒騎士"が敵の目を惹きつけ、クーデター軍とともに射撃で牽制を続ける。
 "トランペッター"のコクピットでは、飛桜が血の涙を流し耐えていた。
 煉獄が翼を広げようとすれば、"タイラント"と"オールドレディ"がそれを撃つ。
 そしてラストとあかりの機体――"カンオケ"と"ピーターパン"が、融合した。
 寄生形態への変形と、それによる融合、および被寄生機体の出力上昇。
 "オールドレディ"が拓いたわずかな射線を、融合機体が駆け抜けていく。
 すべてがひとつに収束している。数多の思いを束ね、大河のように。
「わかるか、オブリビオンマシンよ。これがおぬしの焼こうとしたものじゃ」
 ユーディット・ウォーカーは、狂える"同類"に語りかけた。
「人材は貴重なもの。なにせ感情という最高最大のリソースを生むのじゃから。
 絶望、恐怖、悲哀、怨嗟! そんなものは、希望と勇気には勝てぬものよ!
 感じていよう、我らの同類よ。織り成す思いがおぬしを追い詰めているのを!」
 この国の人々の、同じ学び舎の仲間たちの、同じ猟兵たちの思い。
 覚悟、意地、信念、憤怒、殺意、欲望、愉悦、哀愍、慈愛、矜持――。
 ユーディットはそれを愛する。
 感情という、生きとし生けるものが生み出す"リソース"を。
「希望を過去に。絶望を未来に――さあ、君(おぬし)の終わりを始めよう。
 我らは望む、大団円の終幕を! そのために今こそ滅びよ、オブリビオン!」
 呪縛を浴びて血を流しながら、"アンコール"が無数の剣を生成した。
 それらは光り輝きながら雨のように殺到し、弾頭という弾頭を切り落とす。
 飛桜の生成した忍者刀と同じようにして、数多の刃は煉獄を地面に縫い止めた。
 さらに刃は狂おしいほどに輝き、狂気の業火をも飲み込んで赤き竜を灼く!
『こ、これは……! 煉獄の放つ熱量を、エネルギーに変換しているのか!?』
『感情の掴み取りキャンペーンじゃ! さあ、おぬしの狂気はどこまで保つ?
 この希望と勇気の濁流に、どこまで足掻ける! 見せてみぃ、その底力を!』
『――!!』
 ノイマンは恐怖した。いや、この恐怖は"どちら"のものだろうか?
 己のものか。
 あるいは、己を操るオブリビオンマシンのものなのか。
 心と身体を覆い尽くしていた狂気が、呪いの光に洗い流される心地がした。
 そこへ、融合機体を駆るラスト/あかりが、視界を覆った。
『……! 近づくな、私に何をするッ!!』
 煉獄はいびつな爪を生成し、取り付いた融合機体を引き剥がそうとする。
 その駆動部に、トランペッター・タイラント・オールドレディの集中攻撃!
『おとなしくその人を返しなさい、じゃれるのはここまでよ』
 クロエは言った。そして咳込み血を吐いた。口元には笑み。
 キャバリアなんて所詮――自分のは特に――殺しの道具でしかない。
 撃って壊すしか能のないポンコツだ。だが、それでも。
『あの子たちには証明してあげたいのよ……それでも人は救えるってことを。
 可愛い後輩たちに、夢を見せてあげたいの。だから、悪足掻きは、やめなさい!』
 BRATATATATATATA!! ライフルの弾丸が関節部に吸い込まれ、爆発!
 片腕が脱落し、もう片腕の付け根に"タイラント"が迫る!
『ヴォイドバンカー、アクティベート――あなたの動きは"聞こえて"います』
 マリアは、平行世界、可能性の残滓に消えた己の声に耳を傾けた。
 敵が何を考え、どのように足掻くのか。"マリア"がそれを教えてくれる。
 暴君の右腕に生まれた虚無の鉄杭が、肩部に突き刺さり――炸裂(インパクト)!
 強烈な質量攻撃を受け、煉獄のもう片方の腕は爆裂しながら吹き飛んだ!
『まだです。その首、戴きます』
『させるかァッ!!』
 三ツ首が吼える! 口蓋内に砲塔を生成――いや!
『それはこっちのセリフなんだよ、クソマシンがッ!!』
 フーガのインタラプト! 敵機右頭部をアッパーカットで粉砕する!
『てめぇには何もさせねえ! この国の連中も、おれの仲間も殺させねぇ!!』
 業火がまとわりつく。フーガのフォトンバリアはそれを拒絶した。
『いい加減に壊れやがれ、ポンコツ野郎が! 鬱陶しいんだよッ!!』
 破砕した頭部を両断するチョップが、めきめきとボディ内部に突き刺さる。
 全身からの小爆発。トランペッターによるさらなる追撃だ!
「……まだいけるでござる! 拙者とて、学園の一員ゆえに!」
 眦から溢れる血を拭い、アラートを鳴らすコンソールを殴りつける飛桜。
「だから、黙って従えトランペッター! ここが正念場なんだぞ!
 オレとお前の強さを、いま、ここで! 証明してやるんだよッ!!」
 RXS投擲用大型手裏剣、分離――倍音複製、生成数20!
「でぇえええりゃああああああッ!!」
 巨大手裏剣が煉獄の全身に突き刺さる! そして砲塔を切り落とす!
 そして、敵の攻撃が止んだ――ラストはその隙を逃さない!
「"カンオケ"、ヤバくなったら捨てていいぞ」
『なら、ヤバくなる前に終わらせて。ラストを置いていく気はないから』
「……そうか」
 あかりの言葉にラストはふっと笑い、コクピットをこじ開けた。
 炎が機体を包み、苛む。カンオケが無理やりな再生で耐える。
「随分のシワの寄ったウェンディだが、問題ない――必ず、家に送り届ける」
 ラストは気絶したノイマンの襟首をつかみ、強引に引きずり出した。
 そして融合機体が炎の地獄と化した機体から離脱する。狂おしく吼える竜!
 奪われたパイロットを取り戻そうと、オブリビオンマシンが死物狂いで暴れる!
「マシンは搭乗者がいて、はじめて意味を為すものだ。貴様はただの鉄屑だ。
 ……全隊、私に砲撃を合わせろ。あの木偶の坊に引導をくれてやる。行くぞ」
『了解した――全隊、一斉射撃! 奴を足止めしろ!!』
 黒騎士とクーデター軍の全力砲撃が、オブリビオンマシンを食い止める。
 ピーターパン&カンオケをつかもうと伸ばされた手が、爆裂し、燃えた。
 巨躯はウィッカーマンじみて燃えている。搭乗者を失いなおも機体は動く。
「残念、ここまでじゃな」
 ユーディットが言った。"アンコール"の背後――燃える破滅の刃が聳え立つ。
『"メガリス・ドライブ"、出力1280%……エネルギー、圧縮完了』
 ごぼごぼと血の泡で濁る声が、戦場に響いた。
『"メガデス"、出力最大超過。コード――この戦場を、"エンドゲーム"!』
 直線状に収束された"メガデス"の熱量が、唐竹割りに振り下ろされる!
『こいつが、おれと"フーガ"の怒りの証だッ!!』
 フォトンリアクター最大熱量、凝縮されたフォトンの拳が炸裂!
『トランペッター! とどめまで、持ちこたえるでござるよ……!!』
 機体を縫い止めていた忍者刀が一本の巨体な刃に集合し、巨体を貫く!
「…………無理したかいは、あったかな」
 生まれた光を遠くに見やり、あかりは疲れたように笑った。

 そしてついに、機動殲龍『煉獄』はその活動を停止した。
 全熱量と破壊力を一点に注がれた巨躯は、無数の爆発を起こし、臨界。
 巨体はひび割れ、燃え、天に届くほどの火柱となって、爆ぜた。
 ……オブリビオンマシン、超過ダメージにより自壊、爆散。
 搭乗者ノイマン・ハーディ、一時的な昏睡状態に陥るも、生還。
 指揮官レイオン・リングスならびにクーデター軍、全兵員生存。
 市街地の建築物・土地への被害率、およそ28%。
 ――死傷者、なし。

 戦いは、最高最善の形で決着した。
 そしてこの国の、新たな戦いが始まるのである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月28日


挿絵イラスト