冬に咲く、紅き桜(作者 鏡面反射
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#UDCアース 


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#UDCアース


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「お集まりいただき、ありがとうございます。UDCアースにて、邪神を祀る祝祭の情報を予知いたしましたのでご説明いたします」
 丁寧に一礼し、イリス・ノースウィンド(とある部隊の元副隊長・f21619)は依頼についての説明をはじめた。
「場所は日本。山奥にある、人口30人ほどの集落です。古くからある集落で、全員がある神を信仰しているのですが……この信仰対象というのが邪神、『昊(そら)』という名の悪しき神です。祝祭の最後に姿を現し、生贄と引き換えに1年間の豊穣をもたらすとされています。みなさんには祝祭の生贄として村を訪れ、この邪神を討伐頂きたいのです」
 祝祭自体を止めることは出来ません。とイリスは目を伏せる。邪神は祝祭の最後にのみ現れ、祝祭が終わると姿を消す。必然的に、祭りをある程度進行させる必要があるのだ。
「この邪神は血を好むため、集落内では生活の一部に『血を捧げる』行動が含まれることがあるようです。受け入れがたいと思われる方もいるかもしれませんが、無理に止めたりはしないでください」
 邪魔をする人間がいるとわかれば、祝祭が中止される可能性もある。そうなれば、少なくとも今回の予知では邪神を討伐することができなくなるだろう。
「作戦について、順を追って説明します。まず、皆さんには『リアル脱出ゲーム・長の家からの脱出』の参加者として村を訪れて頂きます。外部から生贄を呼ぶために集落の方が企画したイベントのようですね。幸いというべきか、今のところ参加者はいません。イベント自体は普通の人間でもクリアできるものですので、みなさんなら問題はないかと思います」
 イベント企画の企業が入っているわけでも無い。残念ながら出来はお察し、下手をすれば学生の文化祭企画の方がよほど面白い……そういった類のものだ。舞台もどうやら、本当に集落の長の家をそのまま開放しているらしい。
「仕掛けも一般的なものがほとんどですが、一部『血を捧げることで開く扉』があるようです。詳細は、到着後に集落の方から説明頂けるでしょう」
 ある程度の誤魔化しは入るだろうが、イベントと称して外部へ公開する程度には、日常になってしまっているのだろう。あるいは集まった全員を何としても帰さないつもりか。いずれにせよ、一線はとうに超えてしまっている。
「祝祭の時間ギリギリまで村長邸に留まるのも、早々にクリアして住人と交流するのも自由です。夕刻になれば祝祭が始まります。生贄の血を捧げるため邪神の眷属が現れますので、撃退してください。陽が落ち、祝祭が終わりに近づけば、邪神が姿を現します。こちらを討伐頂ければ、作戦は成功となります」
 祝祭が始まるまでは揉め事を起こさず、敵が現れたら倒す。シンプルに言えばそれだけのことではあった。
「それと、集落の方々のことですが……彼らは、自分達が崇めているものと、犠牲のことを、正しく理解しています。作戦が終わればUDC組織の方に引き渡す手筈となっていますので……しかるべき処置の後、法によって裁かれるでしょう」
 おそらくは、邪神が実在したという記憶だけを消されたのち警察へ引き渡されることになるのだろう。
「長年の信奉により、邪神は強大な力を得ています。一筋縄ではいかないかもしれませんが……どうか、よろしくお願いいたします」
 イリスが一礼し、グリモアが淡く輝いた。


鏡面反射
 はじめまして。こんにちは。こんばんは。鏡面反射(きょうめんはんしゃ)と申します。当シナリオへ興味を持っていただき、ありがとうございます。UDCアースにて、祝祭に現れる邪神を討伐しましょう。以下の構成にて進行致します。
 1章(日常) :リアル脱出ゲームに参加したり、集落の方々と交流します。
 2章(集団戦):邪神の眷属との戦闘です。
 3章(ボス戦):邪神『昊(そら)』との戦いです。
 では、みなさまのプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『「祝祭」への参加』

POW奇妙な食事を食べたり、奇怪な祈りのポーズを鍛錬する等、積極的に順応する
SPD周囲の参加者の言動を注意して観察し、それを模倣する事で怪しまれずに過ごす
WIZ注意深く会話を重ねる事で、他の参加者と親交を深めると共に、情報収集をする
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 目立たぬよう集落のはずれへと転送され、中心部へと向け歩を進める。その途中、異常な光景を見たかもしれない。地蔵へ手を合わせる老婆が懐から出したナイフで指先を切り、地蔵へその傷口を押し当てるのを。畑を手入れする人々が、腕を浅く切り裂きその血を畑へ振り撒くのを。あるいはたまたま、そういった光景には出会わなかったかもしれない。
 ほどなくして、桜の木の下へ辿り着く。冬の今は葉も花も無く。寒々とした、しかし立派な枝が天へ向かって伸びていた。
「あの、もしやイベントに参加される方でしょうか?」
 年の頃は16・7だろうか。少女が声をかける。黒地に桜の模様の和服。どこか緊張した面持ちへ向け肯定の意を返せば、安堵の笑みが咲く。
「ご案内いたします、こちらへどうぞ。あ、申し遅れました。私はこの集落の長の娘で、真由と申します」
 道すがら、少女が語る。代々続く祭りがあること、今夜、その催しがあること。是非参加してくださいと少女は微笑む。ひときわ大きな屋敷の入り口で目隠しをされ、やがて畳敷きの一室へと通された。
「では、ご説明いたします。この屋敷には人喰い鬼が封じられており、夜までに脱出しないとあなたは鬼に襲われてしまいます。それから……えっと……」
 言うべき説明を忘れたか、視線をさまよわせ、うつむきほほを染め……思い出したというように、ぽんと手を叩くと、近くの棚から水差しのような小瓶を取り出した。
「鬼を封じる結界は、あなたの行く手も阻みます。その水差しには、神の加護を受けた液体が入っています。桜の枝の刺さった花瓶へ、その水差しの中身を注げば道が開かれます」
 水差しからは、生臭い鉄錆の臭いが漂う。もし蓋をあけるならば、どろりとした赤黒い液体が見えることだろう。
「あとは……屋敷や設備への破壊行為は禁止です。もしどうしても脱出できない場合は、声を上げて頂ければ案内の者が参ります。時間切れの場合も同様に、出口までご案内いたしますのでご安心ください」
 では、ごゆっくりお楽しみください。と一礼し、真由は部屋から立ち去った。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

ふぅん、リアル脱出ゲーム?
そう装った「儀式」ねぇ……
ああいや、こっちの話だよ。
それじゃ早速、「脱出」に挑戦させてもらおうかねぇ?

そう『コミュ力』で不信感を最初は抱かせないよう注意しつつ、
屋敷からの脱出ゲームに挑戦するよ。
屋敷の中をじっくりと目視で『情報収集』しながら、
それとなく【超感覚探知】のテレパスの網を広げていく。
そう、ここまでが仕込み。
細工は流々仕上げを御覧じろ、ってね。

桜の枝が刺さった花瓶へは、
ためらいなくアタシの指先を切って「アタシの血を流し込む」。
部屋の仕掛けが、監視している村人の「こころ」が。
アタシが見せたこの『覚悟』に、どう反応するか見ものだねぇ。


「ふぅん、リアル脱出ゲーム?そう装った『儀式』ねぇ……」
「何か?」
 数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)の零した言葉に、廊下から再び顔をのぞかせた真由が声をかける。
「ああいや、こっちの話だよ」
 ほんの少し警戒の混じった視線を向ける真由へと、多喜は笑顔でヒラヒラと手を振ってみせる。やがて真由は無言で一礼し、廊下の奥へと消えていった。
「それじゃ早速、『脱出』に挑戦させてもらおうかねぇ?」
 ニヤリと笑い、多喜は行動を開始した。

「正解です。ではあちらへどうぞ」
 女給姿の女性が笑顔で1つのふすまを示す。ゲームの一環としてクイズに答え、進むべきルートを聞いた後。
「ありがとさん、ついでにちょいと聞きたいことがあるんだけど、良いかい?」
「はい、何でしょうか?」
「この辺で観光名所とか見所とか、そういうのあるかい?」
「それなら何といってもご神木ですね!」
 誇らしげな笑顔を浮かべ、女給が答える。
「集落の中心にある桜の木には、昊(そら)様が宿っておられるんです。昊様のお力で、この集落は作物も良く取れますし、大きな災いからも護られているんですよ」
 実際にどの程度の恩恵なのかは、判別がつかない。ただ、その女給からは心酔に近い感情を感じることができた。
「へぇ、そりゃあ凄い。そういえば今日はお祭りがあるんだって?豪勢な『捧げもの』なんかもするんだろうね?」
 思わせぶりな笑みを浮かべれば、女給の瞼がピクリと震えた。
「え、えぇ……ぜひお越しください」
「そうさせてもらうよ、ありがとさん。さて、じゃあ脱出を目指すとするよ」
 女給に見送られ、多喜は正解のルートを進む。

「さて、これが例の花瓶ってやつだね」
 まずは意識を集中する。超感覚探知――屋敷を歩きながら広げたテレパスの網で、屋敷にいる人間の思考や感情を読み取り、状況を把握する。
(真由さんは屋敷の奥か。よし、アタシへの警戒も切ってないね。どうやらアタシのことを長とやらに報告してるようだねぇ。さて、仕上げを御覧じろ、ってね)
 ためらいなく手にしたナイフで指先を切り、流れた血を花瓶へと注ぐ。同時に探知網から伝わる感情を観察する。
(変わらない、か。隠蔽したって感じじゃあないねぇ。だとすると……)
 何の異能も持たない、普通の人たち。そう多喜は結論付ける。盗聴器や監視カメラすらないとは予想していなかったが。次はどうアプローチすべきか、と多喜が思案していると。探知網の端の端。チリッとした違和感を覚えた。方角は集落の中央。そしてその思考は――
(嗤ってる……随分と舐められたもんじゃないか)
 不敵に笑い、封印の解けた先へと多喜は歩を進めるのであった。
大成功 🔵🔵🔵

宮矢三・祇明(サポート)
 多重人格者の探索者×ゴッドペインター、33歳の女です。
 普段の口調は「他人行儀(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、あわてた時は「あたぷた(わたしぃ、おめぇ、言い捨て)」です。
ネコなどの動物が好きな陰鬱な引き篭もりです。
多重人格者の特性をいかし、都合のよい人格を作り探索します。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用しますがユーベルコードを使う必要性がなければプレイングだけでゴリ押します。多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


左衛門三郎・白雷(サポート)
 雷と戦を司る竜神の剣豪×神器遣い、25歳の男です。
数多の死線を潜り抜けた先に有る『何か』を求めて戦い続けている様な戦好きですが、性格は穏やかです。

戦闘では、竜の雷を操る他、居合術や投擲技術を駆使して戦います。

 普段の口調は「男性的(拙者、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)相棒には 友好的に(拙者、相棒、だ、だぜ、だな、だよな?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


 部屋から真由が立ち去ったのち、左衛門三郎・白雷(竜神の剣豪・f29303)は居合わせた宮矢三・祇明(多重人格者の探索者・f03726)へと声をかける。
「拙者、探索については少々不慣れゆえ。もしよろしければ協力願えまいか」
「ん……?あぁ、いいぞ」
 2人で屋敷の奥へと向かう。ここが長の家であるならば、何らかの情報が無いかという算段であった。いくつものふすまを開け、廊下を進み、また部屋に入り……
「そろそろ、いいか」
 何もない部屋で足を止めた祇明へ、一拍遅れて立ち止まった白雷が視線を向けた。
「少しだけ……時間をください」
「それは構いませぬが……」
 様子の変わった祇明を気遣うように白雷が見つめる。当の祇明は手持ちの紙にペンでサラサラと何かを描いていた。しばしの時が流れ、祇明が顔を上げる。
「待たせたね。あぁ、さっきのはちょっとした特技みたいなものでね。気遣いは無用さ」
 最初の時よりも柔和な雰囲気を纏わせ、祇明が笑みを浮かべる。白雷は腑に落ちぬまでも、追及することはせず紙へと視線を移した。
「して、その絵は?」
「屋敷の見取り図。って言っても半分以上空白だけどね。通った場所と、遠くから漏れ聞こえた情報と、足音の響きやら何やらで書いたものだから」
 言いつつ、その1点を指さす。
「怪しいのはこの辺。確証はないけど、闇雲に探すよりはマシでしょ?」
 頷き合わせ、2人は目的地を目指すのであった。

「書斎、だろうか」
 絞り込めたとはいえ、完全に場所を特定できたわけではない。いくつかの部屋を見て回り、次に足を踏み入れた場所は板張りの、書斎のような部屋であった。
「そうだね。でも本は思ったより新しいし市販本ばっかりだ。こりゃハズレかな」
 祇明は肩をすくめ、早々に別の場所を探そうと踵を返す。だが白雷は部屋の中をゆっくりと観察する。
「何か気になったかい?」
「どこか、気になるのだ。何か……うぅむ。これは、傷、か?」
 1つの書棚。その角に、目を凝らせばようやくわかる程度の微細な傷がいくつもついていた。
「ならばこちらの棚は……む、軽い」
 はたして、書棚の裏からは隠し部屋への入り口が顔をのぞかせたのであった。

「どうやら、当たりのようだぞ」
 積もった埃を払い、手記に目を通しながら白雷が呟く。手記には歴代の長の物と思われる、集落と『昊』に関する記録が書かれていた。曰く、天から降り桜に宿った神を、集落の人間が『昊』と呼びならわした。曰く、集落が飢饉に見舞われ、口減らしの子の復讐を恐れた住民が桜の前で子の首を切った。曰く、桜の前で斬首をすると赤い桜が咲き、翌年は豊作となった。曰く、祝祭の日に見知らぬ人々が現れ、住人が犠牲となった。曰く、見知らぬ人々は『昊』の使いであり、集落の人間を贄として『昊』に捧げている。曰く、集落外から人を攫い、結界に閉じ込め『昊』へ捧げることとした……その後に延々と、犠牲者の情報が羅列されている。
「なんとも……むごい」
 手記を閉じ、白雷は目頭を押さえる。だが手記は有力な証拠となるだろう。後々UDC組織へ引き渡そう、と懐にしまう。
「まったくだね。さぁ、そろそろ出ようか」
 祇明に促され、白雷も隠し部屋から外へでる。やがて2人が屋敷を脱したころ、陽は山間へと傾きつつあった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴


第2章 集団戦 『ヴィクティムトルーパー』

POW ●処刑
【相手の頸椎をへし折る事】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD ●邪神捕獲指令。支給弾薬装填。
いま戦っている対象に有効な【特殊弾】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ ●&jadjg&m?!gbjgltbnl!!
【精神支配する邪神の力を解放した異形】に変形し、自身の【人間の肉体と、武器を使用する程度の知性】を代償に、自身の【精神支配する邪神に応じた能力】を強化する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 黄昏時。案内に従い、猟兵は集落の中央へ足を運ぶ。すでに祝祭の準備は整っているのだろう。中央に近づくにつれ、人が増えていく。老いも、若きも。男も、女も。おそらくは集落の全員が、この場に集まっているのだろう。桜の木の周り、かなりの空間を開けて篝火が焚かれ周囲を照らしている。それは結界であった。桜の木を中心とし、中へ居るものを外へ出さない。だが、恐ろしく弱い結界だ。例えば鍛えた成人男性が全力でぶつかって、かろうじて持ちこたえる程度の。邪神であれば片手で吹き飛ばせる程度の結界が桜の木を囲んでいた。
 奇妙な静寂と高揚の中、人々は篝火より内には入らず、桜を拝むように眺めている。やがて、桜の木に小さな異常が現れた。蕾。大きさは一般的な桜の蕾、だがその先端だけが血のように赤く染まっている。真冬の桜に生まれたそれは膨らみ、開き、散ってまた蕾になった。少しずつその数を増しながら、ひらひらと舞う真っ赤な花弁。
「――御使いだ」
 男性の声。桜の木の周り、滲むように現れたのは、銃で武装した兵士のような存在であった。じわりじわりとその数を増やす度に、周囲からは、あぁ、という感極まった声や、ありがたや、と拝む声が聞こえてくる。兵士たちは銃器を構えようとする。血を、昊様へ、とヘルメットの奥からくぐもった声がした。もしここで猟兵の血を捧げれば、『昊』はより強い力を得て姿を現すだろう。あるいは邪神の眷属である兵士たちを倒せば、望みの叶わぬ『昊』は自らの力で猟兵を殺そうと現れるだろう。今ここに、戦いの火蓋が切られた。
曽我部・律(サポート)
『この力を得たことは後悔していない……』
『私以外の人間が不幸になるところを見過ごすことはできないんでね』
『こういうのには疎いんだが……ふむ、こんな感じか?』
とある事件で妻子を失い、その復讐の為にUDC研究を続けているUDCエージェントです。ですが、UDCを強引に肉体に融合させた副作用として徐々に生来の人格は失われつつあり、妻子の記憶も彼らの写真によって辛うじて繋ぎ止めています。
多重人格者としての別人格『絶』は凶悪なオブリビオンの存在を察知すると、律に代わって表に出てきて戦います。その際、口調は『おい律……うまそうな匂いがするじゃねぇか。代われよ』みたいな凶悪な感じになります。


グンヒルド・メリーン(サポート)
 クリスタリアンの闇医者 × 悪魔召喚士、20歳の女です。
普段の口調は大人(私、~君、~嬢、だ、だね、だろう、だよね?)
時々 女性的(私、~君、~嬢、ね、よ、なの、なの?)です。



人命が最優先。カナズチ。 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


「まさか銃器とはね」
 グンヒルド・メリーン(たけのこ医者・f12254)は銃を構えた御使い――ヴィクティムトルーパーを観察しながらぼやく。銃火器自体が特別苦手というわけではない。だが、状況はより悪化したと言える。グンヒルドの後ろには数人の住人がおり、思い思いにこちらへと視線を向けていた。
(ずいぶんと余裕だね。いざとなれば昊が護ってくれるとでも思っているのかな)
 戦いが激化すれば、場合によっては結界が壊れる可能性もある。とても安全地帯とはいえないが、おびえたり退避する様子は見られない。
「結界へのダメージは避けたいところだな」
 曽我部・律(UDC喰いの多重人格者・f11298)もまた、いかにして集落の人間を護るかと考えていた。
「良いのかい?私欲のために他人を犠牲にするような連中だよ?」
「確かに彼らは加害者だが、邪神の被害者でもあるだろう。護れるものなら護りたい。それに……私は、他人に罪を問えるほど立派な人間ではないよ」
 律はロケットを握りしめる。そこには大切だったはずの家族の写真が入っていた。ともすれば無くしてしまいそうな記憶と感情に、すがるように力を籠める。
「……防衛は私が何とかしよう。彼らの相手を頼めるかい」
「あぁ、頼む」
 律は敵陣へと駆け出しながら、手にした試験管を投げつける。中身は対UDCに特化させた神経毒。直接浴びたそれはガスマスクでも分解しきれず、ヴィクティムトルーパーが一時的に動きを止める。それをみて、律も立ち止まる。あまり動き回れば銃撃が広範囲に及び防ぎきれなくなる。なにより先ほどから、頭の奥が煩い。
(おい律、そろそろ代われよ)
 焦れたような声は徐々に大きくなる。これから起こることを思えば憂鬱だが、それでも望んだ力だ。覚悟を決め、身体の制御を引き渡す。
(やりすぎないでくれよ)
「ヤクソクはできねぇな」
 律の表情が凶悪な歓喜に歪む。律に代わりその身体を操るは絶という別人格。同時、その影から影法師と黒い獣が現れ、ヴィクティムトルーパーへと襲い掛かった。
「&jadjg&m?!gbjgltbnl!!」
 ヴィクティムトルーパーが理解不能な声を上げ、影へ向けて銃を乱射しはじめる。薄く紫色に染まった銃弾には何らかの毒があるのだろう。しかし獣は身を翻して軽快に躱し、影法師はするすると触手のような器官を伸ばして銃弾を叩き落とす。
「せいぜい楽しませてくれよ?はははははっ」
 高笑いを上げながら影を操る絶を横目に見ながら、グンヒルドは手早く薬品の調合を進める。先ほど律にはああ言ったものの、グンヒルド自身は護る価値など考えていない。医者であるグンヒルドの前ではいかなる患者も平等であり、それは『今まさに患者とならんとする者』も同様であった。
(だから、これは私なりの戦いだ)
 創った薬品のうち1つを、ゆっくりと結界に沿って撒いていった。そこから薄く煙が立ち上り、2mほどの高さまでを覆い留まる。
「さて、効果のほどは……お、丁度いいところに」
 絶の攻撃に追われるように、こちらへと駆けてくるヴィクティムトルーパーが見えた。グンヒルドに気づくのが遅れたのだろう、銃を構えるには近すぎる距離。首へと伸ばされた腕を、身体を引いて躱す。そのまま煙へと突っ込んだ腕が、まるで水を殴りつけたように阻まれる。驚いたヴィクティムトルーパーへと別の薬品をかければ、うめき声も上げずに倒れ伏す。
「直接攻撃は問題なし、だね」
 倒れた音で気づかれたか、別のヴィクティムトルーパーが銃弾を放つ。転がるように横へと躱し、手にした薬品を投げつければトリモチのように銃口を塞ぐ。暴発した銃によって上半身が吹き飛んだヴィクティムトルーパーが崩れ落ちた。
「銃弾も問題なし……あとは可能な限り範囲を広げようか」
 煙に阻まれ転がる銃弾を一瞥し、グンヒルドは薬品を撒く作業に戻るのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

椚・みどろ(サポート)
エロ系依頼には使わないで欲しいです

怪奇人間の悪魔召喚士×シャーマン、16歳の娘さん
元奴隷なので身体の発育は悪い

口調は
普段は素(あたし、呼び捨て、か、だろ、かよ、~か?)で
依頼中、他人と関わる時は仕事なので頑張って(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、なの?)です
焦ったりすると素が出ます

自分を助けてくれた師匠(今は失踪)の存在が大きく、大抵の行動は師匠の言いつけ通りにやっています
(「師匠が言ってたんだけど~」と引用したり、思い出したり)

ユベコは基本アスモデウス召喚を使います
この契約も師匠譲りです


「御使いが――」「何だ?何が起きている!?」
 ざわざわと、住民たちの間に動揺が広がる。そんな住民たちを背にし、椚・みどろ(一願懸命・f24873)は数体のヴィクティムトルーパーを睨みつけた。今のところ、ヴィクティムトルーパーが住民を襲う様子はない。だが、猟兵が生贄にならないとなれば住民を代わりにする可能性は十分に考えられた。
(正直、あんまり庇う気は起きないんだけど)
 自分の利益のために他人を犠牲にする。それは許されない行為ではないか。もちろん、長い年月の間には飢饉や災害があり、住民側も命がけという時代もあっただろう。でも、この現代においてまで続けて良いわけがない。そんなことを考えながらも、ヴィクティムトルーパーと住民の間に立ち続ける。
(直接話したわけじゃない。全員が悪人とは限らない。それに……目の前で死なれるのも、嫌だし)
 助けられるなら、助けよう。悪事に対する裁きはしかるべき人たちがやってくれるはずだ。何より、師匠ならきっとそうするだろう。そう思い、ダイモンデバイスを起動する。
「アスモデウス……力を、貸して」
 師匠から譲り受けた契約に従い、悪魔アスモデウスが現れる。その身に桜の花びらが触れれば、たちまちの内に燃え上がる。紅き花弁を紅い炎が駆逐していく。
「&jadjg&m?!gbjgltbnl!!」
 ヴィクティムトルーパーが理解不能な声を上げ、薄紫色に光る弾丸を乱射しはじめる。だがアスモデウスは意に介さないように進んでいく。アスモデウスの周囲に到達した銃弾は一瞬にして蒸発し、込められた毒ごと消滅する。そのままヴィクティムトルーパーに迫り掴み上げれば、悪魔の熱によって燃え上がり塵と消えた。
「次は向こう!」
 みどろの指示に従い、アスモデウスはヴィクティムトルーパーを次々と屠っていく。後にはただ、白い灰だけが残されていた。
成功 🔵🔵🔴

回々・九流々々(サポート)
『僕だってやれば出来ます。はい』
 愉快な仲間のオブリビオンマシン × 四天王、7歳の女です。
 普段の口調は「コーヒーカップ(僕、~様、です、ます、でしょう、ですか?)」、酔った時は「くるくる(僕、~様、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


「すごく大きな桜ですね。はい」
 回々・九流々々(くるくる・f21693)は桜を見上げる。いつの間にか、花は五分咲き。枝から離れた紅い花弁はくるくると舞う。九流々々は嬉しそうに笑うと、手を広げ踊るようにくるくると回り始める。
「な、なんだコイツは!?」
 ファンシーなピンク色の服。パステルカラーの髪の毛はツインテールにまとめられ、虹のグラデーションを見せている。見た目は幼い少女のそれだが、もし見た目通りの存在なら銃を構えた男たちを前にくるくる回ったりはしないだろう。恐怖で狂った様子もない。ただ根本からズレているような気持ち悪さがある。その瞳はくるくると渦を巻き、ヴィクティムトルーパーを見ているようにも、見ていないようにも見える。耐えられなくなったヴィクティムトルーパーが銃を放つが、くるくると――もはやその表現では生ぬるいスピードで回り始めた九流々々に弾かれ、その身を傷つけることは出来ない。何よりヴィクティムトルーパーのユーベルコードは戦っている対象に有効な特殊弾を撃ち出すものであり、理解の及ばぬ存在に対して有効弾を生み出すことができない。
「銃弾もくるくるしていますが、乗れないくるくるより乗れるくるくるですよね。はい。一緒にくるくるいたしましょう」
 回る九流々々はいつの間にか大きなコーヒーカップになる。それは食器としてのアレではなく、遊具としてのコレである。カップの内から生えた7色の触手がヴィクティムトルーパーを掴み上げ、強制的にコーヒーカップに座らせる。くるくると桜の周りを回る。くるくるとヴィクティムトルーパーの目も回る。とっかえひっかえ、くるくるくる。どれほどの時間が経ったのか。やがて回転が止まり、死屍累々と倒れ伏すヴィクティムトルーパーと……同じように目を回して倒れ伏す、どこか満足気な笑顔の九流々々が居たのだった。
成功 🔵🔵🔴

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

おーおー、おっかねぇ。
御使いって言うから神々しい感じかと思ったら、
やたらと俗っぽいじゃないのさ。
……ま、そのメットの下に隠してるモンは
ヤバいんだろうけれどね。
村の中に思念は回した、お次は……こいつだッ!

銃の暴発を誘発させるように電撃の
『属性攻撃』を放ち、一気に『範囲攻撃』のようにせん滅する。
村人や屋敷への誤射はしないように気を付けながらね。
そして周囲に静電を満たせば、
もはやここはアタシの【超感覚領域】の真っ只中さ。
アンタらの精神がどうあっても『狂気耐性』で堪え、
その敵意へ向けて分け隔てなく電撃を落とそうじゃないのさ!


一郷・亞衿(サポート)
廃墟探索中に呪われ、その結果として力を得た猟兵です。独自開発した混沌魔術や呪詛を纏わせたカッターナイフ、金属バット、伸縮式の山刀(蛇腹剣)等を用いて戦います。
各種オカルト話を好みますが、オブリビオンに対しては基本的に容赦しません。
外見特徴として、マスクで常時顔を隠しています。

一人称は「あたし」。
年下~同年代にはくだけた感じの口調で話し、年上や偉い人には敬語(さん付け、ですます口調)を使います。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、寿命が減る系の物はタイミングを見計らい極力短時間の使用で済ませるようにしています。
軽口を叩いたりもしますが、戦闘時は真面目に役割を果たそうとするタイプです。


「亞衿さん!ちょうどイイところに。悪いけど少し手伝ってくれないかい?」
 知った相手を見つけ、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)へ声をかけた。
「多喜さん!良いですよ!何をしましょう?」
 亞衿も笑顔で応じる。蒐集したオカルトを力に変え、多くの技術を得てきた。ある程度の無茶振りでも耐えられるという自負もある。
「助かるよ!ちょっと広範囲な技を使おうと思ってさ。準備する間、時間を稼いで欲しいんだ。もちろん、危なくなったら逃げてくれて構わないから」
「任せて下さい。ちゃんとやり遂げますよ!それに、この結界じゃどのみち逃げられないっしょ?」
 多喜へと軽くウィンクし、亞衿はヴィクティムトルーパーの前へ進みでる。時間稼ぎということは、つまり自分に注目を集めなくてはいけない。覚悟を決め、口を開く。
「神木に宿る神。桜の下にある死体。生贄を捧げる村。オカルトとしてはありがちですね」
 崇拝する昊を馬鹿にされたヴィクティムトルーパーと集落の住民が色めき立つ。一斉に亞衿へと銃を構えた瞬間を狙い、一番距離の近い1体へダッシュで近づく。その勢いのまま金属バットを振りかぶり、思い切り叩きつけた。たまらず崩れ落ちるヴィクティムトルーパーを一顧だにせず敵陣へと飛び込んでいく。
(乱戦なら、味方に当たるのを嫌って攻撃が弱まったりは……しないよね、やっぱり)
 射線上の味方を意に介さず、ヴィクティムトルーパーは亞衿を狙い撃とうとする。幸い周辺の相手は銃では近すぎると判断し、肉弾戦を仕掛けてきている。群がるヴィクティムトルーパーが盾となり、多くの銃弾は留められていた。亞衿は自身と多喜へ届きそうな銃弾を両手に持った金属バットと山刀で弾きつつ、その時を待つ。

(おーおー、おっかねぇ。御使いって言うから神々しい感じかと思ったら、やたらと俗っぽいじゃないのさ)
 亞衿へ殺到するヴィクティムトルーパーを目で追いながら、多喜は胸中で独りごちる。不安も無いわけではないが、今は亞衿の自信を信じることにした。意識を集中し、結界の外と内を区分けする。事前に集落内へ撒いておいた思念……超感覚探知を網のように辿り、結界やその外を巻き込まないよう細心の注意を払って範囲を決めた。結界の内を満たすように、新たに思念を流し込んでいく。
「亞衿さん!」
 名を呼ばれ、亞衿は多喜の方へと駆け寄る。その首へ伸ばされた手を、黒い靄のようなものが塞いだ。
「幽霊の頸椎、折れるものなら折ってみなよ!」
 亞衿の言葉と共に、次々と黒い靄が姿を現す。ここで犠牲になった人々の霊が、恨みを晴らさんとヴィクティムトルーパーへ群がっていく。その隙に、亞衿は多喜の元へとたどり着いた。
「これでも食らいな!」
 空間に雷が放たれる。目が眩むような閃光とバチバチという音があたりを満たし、ヴィクティムトルーパーの持つ銃が暴発する。ある者は爆発により頭を吹き飛ばされ、ある者は吹き飛んだ部品に心臓を貫かれ次々と倒れ伏す。だが、それだけでは終わらない。閃光と音が止んだ後も。ピリピリと、空気が泡立つように震えている。チリチリと、肌の上を撫でる感覚がある。暴発を免れたヴィクティムトルーパーが多喜へ銃口を向けようとした刹那。閃光と、何かを叩きつけるような音があたりを包む。遅れてゴロゴロと、まるで雷が落ちた後のような音が響いた。閃光が止めば、黒焦げのヴィクティムトルーパーが倒れ伏している。それだけの威力を放っても、結界には何の被害も無いようであった。
『譛帙殺繧貞掌縺贄k縺ィ縺滅驍ェ痺蜉帙奪ス輔害縺励殺繧よ焔縺ォ蜈昊繧』
 ヴィクティムトルーパーの思念が多喜へと流れ込む。
(予想通り、ヤバいもんが隠れてるね……でもこの程度なら、何度も耐えてきたさ!)
 自身と亞衿へ向けられた敵意をたどり、空間に満たした超感覚を雷として解放する。敵意は時に思考の切れ端となり、狂気として多喜を襲った。だが、多くのUDCを相手取ってきた多喜にとって、それは耐えきれないものでは無い。そしてその思考の断片をつなぎ合わせ、ヴィクティムトルーパーが何なのかも予想することができた。
(昊の力を奪うためにやってきた軍隊、か。返り討ちにあって取り込まれてちゃあ世話ないねぇ。装備が近代的なのは、住民の知識や生贄の記憶が供物として反映されているんだね。個々の事情は同情の余地もあるかもだけど……悪いけど、あんたたちは既にUDCなんだ。救えないくらい壊れちまってるし、救えるヤツが居るとしてもそれはアタシじゃない)
 だから、今はただ敵として殺す。多喜の意志を象るように、次々と電撃がヴィクティムトルーパーを撃ち倒していくのだった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴


第3章 ボス戦 『昊』

POW ●あかく染まる狂い咲きを見せてくれよ。
自身に【身体強化の魔法】をまとい、高速移動と【斧槍による斬撃で全方位に及ぶ衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD ●さあ餌の時間だ。存分に喰らってこい!
自身の【魔力】または【贄となる他者の生命力】を代償に、【活動するものを喰らう複数匹の狼】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【猛毒の牙】と【鋭い爪】で戦う。
WIZ ●其は驟雨となりて降り注がん。
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル✕10本の【紫色の桜で形作った神経毒を宿す魔剣】で包囲攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は荻原・志桜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 いつの間にか陽が完全に落ち、篝火だけが周囲を照らす。次々と倒れる御使い――ヴィクティムトルーパー達を目にし、集落の住民たちは茫然としている。桜は所々が焦げているが、その枝には花が満開に咲いていた。赤黒い花びらがひらひらと舞い、戦いの跡も生々しい地面を赤に染めている。ふいに、風を裂く音がした。桜の横で応戦していた最後のヴィクティムトルーパーの首が飛び、地面へ転がる。
「随分面白いことになってんじゃねーか」
 声と共に、桜の木から滲むように人影が現れた。薄紫の髪に現代風の装い、どこにでもいる高校生のような外見だが、手にした斧槍だけが異質な存在感を放っている。
「昊様……」「お助けを」「どうか……お慈悲を」
 救いを求める人々を一顧だにせず、昊は真っ直ぐに猟兵を見据える。
「てめーらの血も、咲かせてやる」
 放たれる殺気。震える空気。猟兵と邪神『昊』の戦いが幕を開けた。
純・ハイト(サポート)
勝つ事を考えて、自身を含めて全てを駒として考えて手段を択ばずに、使える物全て使って任務に参加して戦う。
エレメンタル・ファンタジアはトラウマはあるが、トラウマよりも敵は全て殲滅と考えているために問題無しに使える。
主にユーベルコードの力で軍隊を操り戦闘を指揮して戦うが、他のユーベルコードが有利に動くならそっちを優先して使う。


「人を唆し、生贄を捧げさせるとは。とことんゲスだな。反吐が出る」
 純・ハイト(数の召喚と大魔法を使うフェアリー・f05649)は昊を睨みつける。その視線には明確な憎悪が宿り、もはや狂気と呼んでも差し支えない様相だ。殺気をみなぎらせるハイトへ向け、昊は肩をすくめると薄っすらとした笑みを浮かべる。
「唆すだなんて人聞きの悪い。俺はただ礼をしただけだ。ギブ・アンド・テイクは人の世の基本だろ?」
「お前ごときが、人を語るな」
 刀を抜き、一直線に切りかかる。対する昊が斧槍をくるりと回せば、中空にいくつもの魔剣が現れた。フェアリーであるハイトにとって、殺到する剣は1つ1つが自分自身より大きなものだ。時に躱し、時に手にした妖刀で弾きながら突き進むが、意図した軌道からは僅かにそれてしまう。桜の大木の側面に足を付け、反動で再度飛び出そうとする刹那、小さな違和感があった。
(……?)
 一瞬の疑問は頭の片隅へ押しやり、刀を振るって昊への道を切り開く。複雑な軌道で死角から飛び来る魔剣を直感的に躱し、さらに先へ。少しでもかすれば致命傷に至るであろう刃を避け切り払い、ようやくにして――至る。
「……ふっ」
 吐き出す呼気と共に振るわれた一刀が昊の左腕をわずかに薙ぐ。僅かに聞こえたうめき声を捨て置き、ハイトは全力で昊から距離を取る。十分に離れてから振り返れば、昊の左腕からはぽたぽたと、頭上を覆う桜の花びらのように赤黒い血が滴っていた。浅いわりに止まる様子の無い出血を見て、昊は不思議そうに首を傾げている。
(呪詛を纏った妖刀で斬ったんだ、そう簡単には止まらない。流石にもう一度あの剣の間を飛び回るのは厳しい。そもそも俺は支援型だ、無理して再度突っ込むよりは味方への支援へ力を使うべきだろう)
 可能だと判断した初撃は想定通り成功した。状況を元に、次の最善手を考える。戦場である以上、自分もまた戦局を動かすための駒なのだから。
(そういえばさっきの違和感……桜の木の所で、攻撃の手が緩んでいたな)
 見れば先ほども今も、昊は桜の木の傍へ佇んでいる。関係があるのは、間違いないだろう。ハイトは気配を殺し、移動を開始する。次の一手――味方への支援と、情報の共有を成すために。
成功 🔵🔵🔴

クリミネル・ルプス(サポート)
関西弁の元気な肉体武闘派人狼。
人狼の身体能力と鍛えた格闘技で戦う。
痛み等の耐性用いての潰し合い上等。
体内に蓄積させた糖原物質を使用した搦め手も使う。
周囲(空間、物質)の匂いからの状況把握推察も可能。

基本は『生き残る事』だが、オブリビオンは許さない姿勢。
特に命や尊厳を踏み躙る系統には本性(真の姿など)が出る。
【ネタ、絡み、合わせなど歓迎です】
【肌の露出やエッチな事には羞恥心はあまり無い。彼氏持ちで一線は超えさせない】

・真の姿時
身体能力の向上と体の変化。
戦闘思考が先立ち、やや、残忍(確実にトドメ刺す)


「どぉぉぉりゃぁぁああ!」
 気合一閃。クリミネル・ルプス(人狼のバーバリアン・f02572)が昊へと殴り掛かる。その腕から先は無骨な金属鎧に覆われていた。『巨人の腕』という名の、変形型パワードアーム。周囲の花びらを巻き上げながら突き進む拳を、昊は斧槍の柄で正面から受け止めた。
「なんやひょろっこいかと思ったら、ウチの拳を止めれるんやね。こんなら……楽しめそうやわ」
「血の気が多いなぁ。ま、嫌いじゃないぜ?」
 好戦的な笑みを浮かべるクリミネルに対し、昊もまた余裕の笑みを返す。その全身と斧槍を、淡い光がヴェールのように包んでいた。押し返される力のまま後方に飛んだクリミネルを、斧槍の斬撃が襲う。2歩、3歩と後ろへ下がれば斬撃は紫の光輝を纏いながら飛び、クリミネルへと肉薄する。クリミネルは一度大きく拳を振りかぶると、目の前の空気をその怪力で殴りつけた。大気を伝わる衝撃波によって、飛び来る斬撃はことごとく撃ち落とされた。
「斬撃飛ばすとか結構器用やんなぁ、次は何してくれるん?」
「オイオイ……力づくで強化魔法ごと斬撃を消し飛ばすとか、どんな膂力してるんだっての」
 軽口をたたきながらも、昊の表情には若干の焦りが見える。強化魔法の源は邪神の生命力。続けるべきか他の手を考えるべきかと昊が迷った刹那。
「喰らっとき!!」
 クリミネルの拳が大地を穿つ。まるで地面の下が爆発したかのように土が巻き上がり、石礫が昊へと襲い掛かった。衝撃は大木をミシミシと揺らし、結界の内は土煙に覆われる。
「ぐ……く、そ」
 土煙が晴れた後、そこにはまるで散弾銃の銃撃を受けたかのように血を流す昊と、所々枝が折れ樹皮のはがれた桜が佇むのみであった。
成功 🔵🔵🔴

フィロメーラ・アステール
「たった1年の豊穣なんてケチくさい!」
いやあ昔はそれしか頼れなかったのかな?
でもその不運もここまでだぜ!

なんせ夜はいつか明けるものだからね!
【日輪の帷帳】を使うぞ!
【破魔】の聖なる炎の結界で、敵の攻撃を防ぐ!
ケチでも邪神だし油断は禁物!
【気合い】を入れて【オーラ防御】展開だ!
これで自分や仲間、あるいは村人も守るぜ!

敵はたくさん魔剣を出すけど、その狙う先は限られている!
つまり護りを固めた後でも炎には余りが出るはず!
それを使って攻撃できないかな?
桜の木を【焼却】しちゃうとか?
効いてそうなら【全力魔法】を込めて出力アップ!

もうこんなヤツに頼る時代じゃないさ。
あたしが一足早い明けの明星になってやるぞ!


「たった1年の豊穣なんてケチくさい!」
 フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は昊を目にするなり、ビシリと指を突き付け叫んだ。小さなフェアリーの体躯ではあるが、キラキラとした光に包まれ強い存在感を放っている。
「ケチ、ねぇ……飢えて死ぬしかない奴らに、生きる術を与えてやったんだぜ?嫌なら頼るのをやめりゃーいい。継続を選択し続けたのはそいつらだ。文句言われる筋合いはねーよ」
 昊の言葉に、フィロメーラは首を振る。
「あたしは詳しい事情を知らないし、当事者でも無いけどさ。それでも、あんたみたいなのに頼るしかなかったのなら、それは不運だって思う」
 親が子を殺す状況も。生きるために他人を犠牲にする選択も。生きるために邪神に頼らなければならなかった過去も、その生活から抜け出せていない現在も。
「ならどうする?てめーが代わりに贄になるか?」
 笑みを浮かべる昊の周りに、いくつもの魔剣が浮かぶ。フィロメーラの身長よりも大きな魔剣は、よくよく見れば妖しい紫色に染まった桜の花びらで出来ていた。
「生贄にはならないし、他の人も生贄にはさせない。この集落の不運はここで終わらせる!なんせ夜はいつか明けるものだからね!」
 堂々と宣言するフィロメーラへと、複雑な軌道を描く魔剣が殺到する。上下から、そして背後から迫りくる魔剣はしかし、フィロメーラのオーラに阻まれて動きを止め、黄金色の炎にて焼き払われた。
「啖呵切ったわりにゃあ、てめーの身は可愛い、ってか。ならこれはどうする」
 大量の魔剣が結界――その先の村人へと向かう。
「させるもんか!」
 フィロメーラの炎が行く手へと回り込み、魔剣は黄金色の火の粉をまき散らしながら燃え尽きる。どれだけ複雑な軌道を描いて飛ぼうとも、狙いが分かっているなら先回りして護ることが出来る。次々と繰り出される魔剣を燃やしながら、フィロメーラは更に炎を操る。狙いが昊に気づかれないよう、ゆっくりと。炎に割ける余力の全てを回し、桜の大木へと火をつける。魔剣の数本が明滅して消えた。残った魔剣も、紫色が薄くなっているものがある。
「魔力が!?てめー……桜を……」
(効いてる!なら全力でっ!)
 桜の周りの炎へと、ありったけの魔力を込める。枝の端々からパチパチと音が上がり、散る花びらは黄金色へと染まって宙へ散った。
「チッ……」
 若干ふらつきながら、昊は斧槍を振るう。炎に包まれた枝が次々に切り落とされ、地に落ちて燃え尽きる。衝撃によって散る花びらはまるで血しぶきのように赤く、宙に散っては燃え消えていく。やがて炎が収まった時、そこには見るも無残な桜が残されていた。
大成功 🔵🔵🔵

セシル・ローズキャット(サポート)
『神様なんていないわ』
『あなたみたいな人、嫌いよ。だからここで終わらせるの』

 ヴァンパイアの父と修道女の母に大切に育てられた、ダンピールの少女です。
 母が同じ人間に迫害されてきたため神を信じず人間嫌いな性格ですが、猟兵としての仕事には真剣に臨みます。
 普段の口調はやや大人びた感じですが、親しみを覚えた仲間に対しては「ね、よ、なの、なの?」といった子供らしい口調で話します。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、依頼の成功を目指して積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはマスターさんにおまかせします!


 紅き花弁を纏った桜はブスブスと煙を上げ、傍らに立つ昊もどこか苦し気に息を吐く。想定していなかった事態に集落の住民は静まり返り、青ざめた表情で事の成り行きを見守っていた。
「あなたは神様ではないわ。神様なんていないもの」
 金糸の髪に透き通ったガラスのような青い瞳。人形のような少女、セシル・ローズキャット(ダンピールの人形遣い・f09510)は、感情を伺わせない声でぽつりと呟いた。結界の外、茫然としていた集落の住民から怒りの声が上がる。
「昊様は俺たちを救ってくださってるんだ!罰当たりな!」
「そうよ!あなたのような子供になにがわかるの!」
 声の上がった方へとセシルが視線を向ければ、ヒッという小さな悲鳴を最後に怒声が止み、再び静寂が訪れる。
「あなたたちも、嫌いよ。平気でひとを傷つけて、それをぜんぶ神様のせいにして。目のまえの人が泣いて助けをもとめても知らんぷりをするのに、自分は笑いながら神様に慈悲をもとめるんだわ」
 平坦に言葉を紡ぐセシルを恐れてか、あるいはほんのひと欠片なりと感じることがあったのか。住民たちは押し黙り、静けさの中をひらひらと赤い花弁が舞い落ちる。
「『神』だなんざ、名乗った覚えもねーよ。そいつらが勝手に呼んでるだけだ」
「だから許してほしい、とでもいうのかしら?」
「んなわけねーだろ。てめーの血もオレの養分にしてやるよ!」
 斧槍の穂先がセシルに向けられる。昊の周りに、薄紫の魔力で象られた狼の群れが姿を現した。グルグルとうなり声をあげながら睨みつける狼たちを前に、セシルは猫のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。
(大丈夫……だいじょうぶ……)
 ゆっくり、自分を落ち着かせるように息を吐く。これより怖い想いなどいくらでもしてきた。それに今は、失敗しても傷つくのは自分だけ。人々の罵倒も獣の爪も、大切な両親には届かない。そう思うだけで随分と気が楽になった。迫りくる獣を見据える。爪が、牙が、その陶磁のように白い肌を引き裂かんとしたとき、セシルは目を閉じ力を抜いた。気を失ったかのように倒れ込むセシルへ牙を突き立てようとした獣の身体が、ほろほろと崩れ猫のぬいぐるみへと吸われていく。吸われた魔力はセシルの目の前で、セシルを護るかのように渦を巻く。渦の中からは薄紫色の――昊が作り出したものと全く同じオオカミが現れた。狼とオオカミ。鏡写しのように爪を振るい、牙を突き立て、同時に消滅する。
「な、何で狼がそっちから出やがる!?」
 驚愕するも、狼の群れは止まらない。喰らいあい、殺し合い。セシルに何の損傷を与えることもなく、群れの狼は全て消滅したのであった。
成功 🔵🔵🔴

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

ようやくお出ましかい、
引きこもりはもう飽きたのかよ?
こらえ性の無い奴だねぇ、
そんなだから情けないザマを見せるのさ。
ま、アタシら猟兵が来た以上は早晩そうなってただろうけどね。
乙女の秘密をのぞき見するようなチンピラ崩れは、
趣味じゃねーんだよ!
『コミュ力』全開でそう『挑発』し、
合間で聖句を紡ぎ出す。

ヴィクティムトルーパーとの戦いもあったし、
周囲にゃ電荷がマシマシだろ。
躾のなってない野良犬どもには
『衝撃波』と電撃の『属性攻撃』の『範囲攻撃』でオシオキさ。
そうして更にサイキックを練り上げて、
まっすぐ昊を見据えるよ。

聖句が成れば、アンタの還る時間だよ。
【黄泉送る檻】に呑まれな!


クレア・フォースフェンサー
生贄と引き換えに1年間の豊穣をもたらす――か。
単に血が好きなのか、はたまた、人が道を踏み外すのを見るのが好きなのか。
いずれなのかは知らぬが、その所業、今日で仕舞とさせてもらうぞ。

敵の動きを見切り、光剣で衝撃波を切り裂きつつ接近。
斧槍を弾いた後、四肢を斬り落とそう
血をがそれほどまでに好きなのならば、自分自身の血が流れるを存分に見るがよい。

その斧槍を見るに異国の者かの?
人の国で随分と好き勝手をしてくれたものじゃ。
本来ならば故国に熨斗を付けて返してやりたいところじゃが、あいにくわしは骸の海に還してやることしかできぬでな。
覚悟せよ。


一郷・亞衿
さっきも言ったけどさ……自分らが崇めてる神様を馬鹿にされてキレる村民とか、当の崇められてる神様めいた奴がただの悪霊の類でしか無いモノだとか、オカルトとしては本っ当にありがちだよね。
……だからこそ、そんな代物が現実に存在してちゃいけないんだよ。

『ナイトクローラー』を使用。
カメラのフラッシュを浴びせて空飛ぶ魔剣を消していこう。本数は多いけど、ある程度纏めて無効化出来るし何とかなるはず。
他の人が近くに居ればフラッシュに巻き込まないように注意しつつ、あたしは陽動に徹して敵へのトドメはそっちに任せるつもり。誰も居なかったらカッターに<呪詛>纏わせて喉元掻っ切りに行くけどね。

(※アドリブ・改変等ご自由に)


「自分で自分の技にやられるなんて、無様だねぇ」
 数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は小馬鹿にしたように笑う。
「桜の木ん中に引き籠って、乙女の秘密を覗き見て。そのまま籠ってりゃいいものを、勇んで出てくりゃ今度はズタボロ。こらえ性もありゃしない」
「覗き?」
 黙って聞いていた昊がぽつりと疑問を口にする。その表情に怒りこそないものの、斧槍がわずかに震えているのは疲労のせいだけではないだろう。
「すっとぼけるのかい?昼間はあんなに熱い思念を送ってくれたってのにさ」
 実際には思念を伸ばしたのは多喜の方からであり、読み取った感情は嘲笑に近いものであったが。
「てめー昼のやつか。覗いたのはてめーの方じゃねぇか」
「アタシはノックしただけさ、見せびらかしたのはあんたじゃないか。自分の露出狂を他人のせいにするんじゃないよ。だいたい、ノックを防ぐ力もないってんじゃ邪神が聞いて呆れるよ」
 昊の目が鋭く細められる。振り上げられる斧槍。吸い込まれるように、多喜へ向けて振るわれ。
 キイイィィィン――
 横合いから伸びた光剣が、斧槍を弾く。
「なっ……」
 斧槍を引き飛び退る昊の前に、光刃を構えたクレア・フォースフェンサー(UDCエージェント・f09175)が立ちはだかった。
「やれやれ、こらえ性が無いと言われたばかりじゃろう。そこまで激昂するとは、言われたことは図星と見えるのう」
 クレアは肩越しに多喜へ視線を送る。多喜の口が小さく動いていることに気づき、思惑を察する。
(せっかくじゃ、乗らせてもらうぞ。では、時間を稼ぐとするかの)
「邪魔をするなっ!」
 横なぎに振るわれた斧槍に対し、側転のように飛びながらギリギリで回避する。すれ違う瞬間、真上からほんの少しだけ拳で押せば、ズガンと鈍い音を立てて斧の刃が大地を穿った。跳ね上げつつ再び振るわれた刃を状態をそらして躱す。風圧を感じるほど近く、しかし髪の1本すら切り落とすことは出来ない。
「生贄と引き換えに1年間の豊穣をもたらす――か」
 ぽつりとつぶやく。僅かな疑問のままに、敢えて悪意のある言葉を選ぶ。
「血を好むとは、おぬしは蚊か蛭の仲間なのかの。それとも人が道を踏み外すのを見るのが好きなただのゲスかのう」
 ギリ、と音が聞こえそうなほど昊の顔が歪む。斧槍の攻撃は勢いを増し、魔力によって描かれた軌跡は斬撃となってクレアへと飛ぶ。だがそのすべてを余裕のある動きで躱し、クレアは思考を巡らせる。
(安い挑発に引っかかるとは。ずいぶん短気だと思うたが、余裕のなさも一因か)
 ちらりと傷ついた桜の大樹へ目を向ける。それだけで、攻撃は一層苛烈になる。
「く、ぬ、あぁぁあああ!!!」
 血を吐くような昊の叫び。クレアの周囲へ、紫色に染まった魔剣が何重も取り巻くように現れる。
(むう……これは、ちと面倒だの)
 これから起きることを考え、内心クレアはゲンナリする。まるで壁のように見える魔剣だが、そのすべてに対応し包囲を抜ける道は既に見えていた。昊の力量、癖、心境。自身の身体がどう動き、どの魔剣を打ち払えば良いか。それは見切りの技術――研ぎ澄まされたクレアのそれは、ユーベルコードの域まで達している。しかし、魔剣が動き始める直前。
 パシャリ、とどこか気の抜けた機械音がする。一瞬、激しい光が周囲を包んだ。
「なっ……」
 昊が唖然とした声を上げる。クレアを取り囲んでいた魔剣の一角が、ごっそり消滅していた。
「さっきも言ったけどさ……」
 レトロなフィルムカメラを片手に、一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)が姿を現す。常より少し低い声は苛立ちか、呆れか、あるいは別の感情か。ファインダーを覗き、クレアを写さないよう気を付けながらシャッターを切る。そのカメラは『あるべき姿を写す』カメラ。その力は目の前で起きている現象にも及び、再び大量の魔剣が一瞬で消えた。
「自分らが崇めてる神様を馬鹿にされてキレる村民とか、当の崇められてる神様めいた奴がただの悪霊の類でしか無いモノだとか、オカルトとしては本っ当にありがちだよね」
 結界の外の人々へと視線を投げかける。ほとんどの住民は既に茫然自失としており、亞衿の言葉に反応もしない。それでも口を開きかけた住民へと視線を投げれば、ビクリと竦んで押し黙った。
「オカルトってさ。怪談だの都市伝説だのデマだのって、好奇の対象みたいに扱われるけど」
 亞衿自身、オカルト好きだという自覚もある。オカルト系の動画配信者をしていた経験もあるのだ。そういった扱いに文句があるわけではない。ただ、だからこそ思うことはある。
「見えないし、触れないんだよ。だから神秘学なんて言うの。理解できない不思議があって、見えない何かの仕業かもしれない、って本気で考えるのがオカルトなんだよ」
 それが好奇か、信仰か、それ以外の何かか……それは人によるのだろうけど。
「……だからこそ、そんな代物が現実に存在してちゃいけないんだよ」
 オブリビオンも。ユーベルコードも。そして、猟兵も。だからこそ、『ありえてはいけない』力を使うため亞衿は三度ファインダーを覗く。ようやく反応した昊がレンズの方向から外れつつ、亞衿へ向けて魔剣を放つ。しかし、フラッシュと共にすべて消え失せた。
「おかげで助かったぞ」
 昊の正面、魔剣の消えた場所へクレアが飛び込む。斧槍の衝撃波を光刃で相殺し、接近戦へと持ち込んだ。数合の打ち合い。
「その斧槍を見るに異国の者かの?」
「さぁ、な。だったら何だってんだ」
 集落にあった手記によれば、昊は『天から降りた』とされている。だがその前、人として在ったのかどうかはわからなかった。あるいは昊自身にすら、それはわからないのかもしれない。
「本来ならば故国に熨斗を付けて返してやりたいところじゃが、あいにくわしは骸の海に還してやることしかできぬでな。覚悟せよ」
 唐竹割に振られた斧槍の一撃を、半身になって避ける。無防備になった昊の四肢を、光刃が切断した。どさりと音がし、昊の胴が地に落ちる。傷口から流れ出た液体は篝火の弱い光の下でもわかるほど赤黒く、大地に流れていることが見て取れた。
「血がそれほどまでに好きなのならば、自分自身の血が流れるを存分に見るがよい」
 見下ろすクレアの目が、昊と視線を交わす。その眼にはいまだ戦意が残っていた。
「……ま、だ」
 昊の周りで魔力が実体化する。薄紫の魔力は、かろうじて数匹の獣の形を取った。
「しぶといの。その根性は賞賛すべきかもしれぬが、もう終わりじゃよ」
 クレアは後方へと下がる。そこからは多喜の背と、多喜を護るように周辺を警戒する亞衿の姿が見えた。
「ashes to ashes」
 多喜の口から聖句が紡がれる。周囲の空気が電気を帯びた。先の戦闘で、多喜自身が放った雷の残りも注ぎ込む。
「dust to dust」
 雷に打たれ、獣は一瞬にして消滅する。
「past to past……」
 昊と目が合う。自らの敗北を悟ってなお、その目は渇望と嘲笑に満ちていた。
「収束せよ、サイキネティック・プリズン!」
 空間に、紫電が満ちる。倒れた昊も、落ちた四肢も、大きな桜も、赤い花びらも。檻の如く全てを捕らえ、包み、塵へと返していった。

 翌日、集落の中心。そこには焦げ跡の生々しい地面が広がっている。邪神の痕跡も、桜も既に跡形もない。UDC組織の手によって村人は全員連行され、無人の廃墟となっていた。この後この集落がどうなっていくのか、それは猟兵にもわからない。もしも再び人が暮らすなら、願わくば生きるに足りる豊穣を。次こそは、人の手によって。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年01月17日
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