●
物が投げつけられる音。
家具が打ち壊される音。
壁が砕かれる音。
一つ一つが身を竦ませるような轟音が、鳴り響き続ける。
その間……少年は唯々息をひそめ続ける。
――何故ならば、それが少年に与えられた指示だからだ。
――何故ならば、それだけが唯一少年に出来ることだからだ。
大切な人々が戦っているのであろう――鳴り響き続けた戦闘音は次第に鳴りを潜める。
しかしそこに無音が訪れようとも、少年は震え続けるのだ。
その瞳に――光が差し込むその瞬間まで。
●
「ジャスティスウォー、という戦いを知っているな?」
グリモアベースでそう猟兵たちに語り掛けるは、赤き巨漢のグリモア猟兵――テオ・イェラキ(雄々しき蛮族・f00426)だ。
テオによれば1999年に発生した善悪の二大決戦である「ジャスティス・ウォー」では多くの犠牲がヒーロー、ヴィラン共に発生したという。
そうした戦いにより心の傷――所謂トラウマを抱いた者は、ヒーロー、ヴィラン問わず多く存在する。
「敵は猟書家――カーネル・スコルピオ。奴はそうしたトラウマを再現した悪夢を見せつけ、スピリットヒーローの力を暴走させようとしているらしい」
予知によれば被害に合うのは大気を操り竜巻を以って戦うスピリットヒーロー――ヒーローネームはドラゴンロア。
彼はもはやベテランと呼ぶべきヒーローであるものの、猟書家により眠らされ、少年時代のジャスティスウォーのトラウマを呼び起こされているというのだ。
「にわかには信じがたいのだが……スピリットヒーローの力の暴走により現実と悪夢の世界は繋がるらしい。そうして悪夢に登場する存在が無敵の怪物「スナーク」として現実に具現化させる……というのが敵の狙いのようだ」
悪夢が現実になるというのは恐ろしい……だが逆に言えば現実と悪夢が繋がっている今だからこそ、悪夢に乗り込むという荒業もまた可能になるだろう。
猟兵たちには敵の能力を逆手に取り、悪夢へと乗り込みそのトラウマの原因を取り除くことで、力の暴走を防いで欲しいというのが今回の依頼の内容だ。
「だが悪夢に抗うというのは難しいもの……その戦いは一筋縄ではいかんだろうな」
予知によれば悪夢に出て来るオブリビオンはそのままでは倒すことは不可能――何故ならばそれはスピリットヒーロー――ドラゴンロアの悪夢にすぎないからだ。
それを打ち倒すには彼自身にトラウマと向き合ってもらうことは必須。
猟兵たちはドラゴンロアを励まし、勇気を与えながら悪夢に出て来るオブリビオンを倒す必要があるのだ。
「幼き日の無力であった己の記憶に打ちひしがれているヒーローを助けたならば、おそらく敵猟書家が現れるだろう……ならば後は打ち倒すのみ」
ドラゴンロアを救ったならば、敵猟書家は直接乗り込んでくることが予測される。
それを打ち倒して初めて、事件解決と言えるだろう。
「一筋縄ではいかん任務だが、皆宜しく頼む」
赤毛のグリモア猟兵はそう言いながら、猟兵たちを送り出すのであった。
きみはる
●
お世話になります、きみはるです。
まだまだ続きます猟書家の侵略、負けるわけにはいきませんね。
頑張っていきましょう。
●依頼について
一章は被害者であるスピリットヒーロー――ドラゴンロアを励まして下さい。
ドラゴンロアはゴリゴリのベテランヒーローではありますが、悪夢の中の彼は幼き日の無力であった少年の姿を取っています。
ただ隠れることしか出来ない中大切な人たちが死んでいった……そうしたトラウマに苛まれている彼をいかに励ますかが重要となります。
そうして彼に勇気を与えて初めて、敵オブリビオンにダメージを与えることが可能となります。
二章は敵猟書家が現れますので、倒しましょう。
●プレイング募集について
少し先となりますが、12月10日(木)8時31分~12日(土)昼までが一章プレイング募集期間となります。
まったりとご検討下さい。
二章も似たようなスケジュールになるとは思いますが、別途MSページにて募集期間をご連絡させて頂きます。
第1章 ボス戦
『ビッグパワー』
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POW : ビッグパワーナックル
単純で重い【渾身の力を籠めた拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : バリアブルマッスル
自身の肉体を【異常なまでに柔軟な筋肉】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : バイオレントフォース
全身を【筋肉を鋼の如く硬化させ、強化するオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【負傷と、傷つけられたプライド】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:かげよし
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
杼糸・絡新婦
こんにちは、ドラゴンロア、
【コミュ力】で話しつつ【勇気】付ける。
ここは夢、本当にあった過去は消せんけど、
夢は覚めるし、今は助けれる力がある、
あの時は指示を守ったんやろうけど、
今出来る事は違うやろ?
同じような過去を作り出さんためにも、
まずはこの悪夢を壊そうや。
ちなみに。このままやったら自分らもピンチなんよ、
こちらも戦うけど、助けてくれんかい、ヒーロー?
錬成カミヤドリで鋼糸『絡新婦』をレベル分召喚。
蜘蛛の巣のように張り巡らせ、
相手の攻撃の威力を落とすように絡みつき相殺及び、
【見切り】によるカウンター攻撃を狙う。
未不二・蛟羽
それはきっと記憶の無い俺には分からないこと、っすね…
だから分かるよって、俺は言えないっす
ただ見ているしかできなかった悔しさも、その時のさむさも、分からない
だけど、考えることも、見ることもできるから
ドラゴンロアさんの『今』を教えて貰いたいっす!
好きなものは何っすか、必殺技は何っすか
ドラゴンロアさんはすっごいヒーローなんっすよ!
今は昔じゃなくて、今っす!
今、ドラゴンロアさんは誰と戦って誰を守りたいんっすか?
ドラゴンロアさんを温めるようにUCのきらきらぱわーを贈り
俺は速さとジャンプによる空中戦で敵を攪乱し、隙をみて【笹鉄】で拘束、斬りつけるっす!
さむい思いなんて敵と一緒に吹っ飛ばしちゃうっすよ!
●
物が砕ける音が、響き続ける。
目を瞑り身体を小さくする少年――幼き日のドラゴンロアは、硬質の物同士がぶつかり合うその音が響く度にその身体を竦める。
それは幼き日の記憶――今現実に起きているわけでは無い悪夢が故に、その音は決して鳴り止むこと無く無力に打ちひしがれる少年の心を苛み続けるのだ。
「それはきっと記憶の無い俺には分からないこと、っすね……」
その褐色の翼を広げながら、未不二・蛟羽(花散らで・f04322)は小さく呟く。
その言葉は決して少年の苦悩を突き放すような……理解を拒むような剣呑とした色は含んではいない。
「だから分かるよって、俺は言えないっす……ただ見ているしかできなかった悔しさも、その時のさむさも、分からない」
唯、己が過去を知らぬが故に寄り添い理解を示すことが出来ぬ自身の……不甲斐なさと孤独感で心が締め付けられるかのようで……どこか悲しみの色を含んでいた。
普段は己が過去の記憶など、関係無いとばかりに明るく振舞う蛟羽――しかしもしも自分に過去の記憶があったなら、と……考えても仕方の無い思考だと分かりながらも、この震える少年を見ればついそんな終わりの無い自問を繰り返してしまう。
「こんにちは、ドラゴンロア」
そんな俯く少年に対し、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)はそっと声をかける。
「ここは夢、本当にあった過去は消せんけど……」
絡新婦は少年を諭すように、宥めるように語り掛ける声は、彼らしいまったりとした優しい声。
強く怯える少年に対し、励ます為とは言え力強く語り掛けてはそれは余計な警戒を生む。
故に絡新婦は本当の少年に対し語り掛けるように、そっと気遣うのだ。
「夢は覚めるし、今は助けれる力がある……そうやろ?」
「助ける……力?」
絡新婦の声に、幼き姿のドラゴンロアはそっと顔をあげる。
その瞳は光を宿しておらず、未だ過去に囚われていた。
しかし少年は言葉に反応を返した……ならばきっと説得の余地はあると、絡新婦は言葉を重ねようと口を開く。
しかし敵もまた、唯々座して待つだけでは無いようだ。
「ここにいたのか、生き残りの糞餓鬼が」
鳴り響き続けていた轟音の原因――筋骨隆々の大柄なヴィラン、ビッグパワーはようやくといった様子で現れる。
それは決して背の低い方では無い絡新婦であっても見上げるほどの巨漢。
見るからに優れる膂力で振るわれるその拳を受ければ、鍛えられた者であってもただでは済まされないことは明白だ。
「鋼糸【絡新婦】いざ、参るてな」
振るわれる拳の威力を殺すように――その筋肉の塊を切り刻むように、鋼糸・絡新婦はその腕に絡みつく。
本来であれば絡新婦がその指で操ればどんなに鍛えられた肉体であれ容易に肉片へと変える切れ味を持つ鋼糸。
しかし悪夢そのものであるビッグパワーは、その糸で以って締め付けられても異常なほどに筋肉が柔軟に変形するばかりで堪えた様子は無い。
「ふんっ……猪口才な」
唯、身動きが取れないことに不快感を示すように鼻息を荒くするばかりだ。
ビッグパワーの怪力を往なすように鋼糸を操る絡新婦。
しかしそれはあくまで平衡を生み出しただけ――この悪夢を打ち倒す為には、ドラゴンロアに立ち上がって貰わればならないのだ。
「そう、今なら力がある……あの時は指示を守ったんやろうけど、今出来る事は違うやろ?」
「今出来る、こと……」
かける言葉を反芻するかのように、ドラゴンロアは呟きを零す。
無力に苛まれる少年の心の揺れを察し、これまで見守っていた蛟羽もまた畳み掛けるように言葉をかけるのだ。
「そうっす! ドラゴンロアさんの『今』を教えて貰いたいっす!」
過去の記憶の無い蛟羽には、その辛さも、悔しさにも寄り添うことは出来ない。
だが今を見ることも、これからを考えることも出来る。
だからその為には――ドラゴンロアに今を、ベテランヒーローと成った力を認識して貰わなければならない。
「好きなものは何っすか、必殺技は何っすか? ドラゴンロアさんはすっごいヒーローなんっすよ!」
「僕の……必殺技……?」
戸惑うドラゴンロアを励ますように、蛟羽はきらきらとした光を放つ。
それは大好きな皆に前を向いて貰う為の……大好きな皆がきらきらと輝く為の、優しい光。
きらきらぱわーはドラゴンロアを優しく包むと共に、敵を抑える絡新婦に力を与える。
そして共に抑えるように、蛟羽もまた【笹鉄】を操りビックパワーの剛腕をワイヤーで絡め抑えつけるのだ。
「今は昔じゃなくて、今っす! 今、ドラゴンロアさんは誰と戦って誰を守りたいんっすか?」
「ちなみに。このままやったら自分らもピンチなんよ……助けてくれんかい、ヒーロー?」
二人の励ましを受け、少年は立ち上がる。
その瞳には光が宿り、初めて己が過去に正面から向き合うのだ。
「同じような過去を作り出さんためにも、まずはこの悪夢を壊そうや」
「さむい思いなんて敵と一緒に吹っ飛ばしちゃうっすよ!」
優しい励ましの声に、背中を押されるように。
己が過去を……乗り越える為に。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
陽向・理玖
俺の生まれる前
知らない時代の話
だけど
もしかして
師匠にもこんな頃があったのかもしれないと思わせる話
それに
龍も
悪夢も
…無力な自分も
俺にはなじみ深い
放っておけるか
覚悟決め
夢だから
過去だからって割り切れたら苦労はねぇよな
けど
今のあんたは無力な子供じゃないだろ?
みんなが認めるヒーローだ
思い出せよ
あんたがしてきた事
それをバネに頑張ったんじゃないのか?
出て来いよ
立ち向かえ
見せてくれよ
俺に
ヒーローの端くれに
歴戦のヒーローの姿を
一緒に戦いたいんだ
龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
衝撃波放ち残像纏いダッシュで間合い詰めグラップル
凄ぇ力だが
見え見えだぜ
格闘なら負けねぇ
戦闘知識も用い攻撃見切りカウンター
UC
●
「俺の生まれる前。知らない時代の話、だけど……」
ヒーローズアース出身のヒーローである陽向・理玖(夏疾風・f22773)は、静かに立ち上がる少年――幼き日の姿をとるドラゴンロアを見つめる。
「もしかして……師匠にもこんな頃があったのかもしれない」
かつてヴィラン阻止時に拐われた理玖を救ってくれたのは彼の師匠であるヒーロー。
師匠と同じくベテランヒーローであるドラゴンロアのその幼き姿を見れば、己が師匠にもそんな時期があったのかと、ふと取り留めも無い思考を理玖は走らせる。
「それに、龍も、悪夢も……無力な自分も、俺にはなじみ深い」
一度師と共に過ごした懐かしき日に想いを馳せれば、ついつい想い出が溢れかえる。
かつての苦い思い出も、己が無力を悔いたあの日も。
その全てを理玖はドラゴンロアと重ねてしまう。
だからこそ……。
「……放っておけるか」
だからこそ、このような状況を放ってはおけないのだ。
「夢だから、過去だからって割り切れたら苦労はねぇよな」
共に挑む猟兵たちの活躍により、少しだけ前を向くことが出来たドラゴンロア。
だからといって、そう簡単に過去を忘れられるわけでは無いと、理玖は理解を示す。
「けど、今のあんたは無力な子供じゃないだろ? みんなが認めるヒーローだ……思い出せよ、あんたがしてきた事。それをバネに頑張ったんじゃないのか?」
「みんなの、ヒーロー……」
理解が出来るからこそ、きっとその後の人生もまた想像できる。
悔しかっただろう。
やるせなかっただろう。
だけど、それで終わったわけじゃないはずだ。
その苦い思い出に負けぬよう、己を磨いてきたはずだ。
だって、ベテランヒーローとして立派に成功しているのだから。
そしてその道が決して平坦であったはずは無かっただろうに。
「見せてくれよ……俺に。ヒーローの端くれに歴戦のヒーローの姿を。一緒に戦いたいんだ……」
「一緒に……戦わなきゃ」
ノイズが走るかのように、悪夢に苛まれていた少年の姿がぼやける。
ちらり、ちらりと重なるようにうっすらと見えるヒーロー本来の姿に、そう……やれるはずだと理玖は小さく笑みを浮かべる。
「変身ッ!」
さぁ、ここからはヒーローの時間だ。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
「悪夢の滴」たる私の前で悪夢を弄ぶ愚かな猟書家
すぐに引き裂いてあげますから待っていなさい
ドラゴンロア──
そう呼ばれて気づくのならば、あなたは紛れもないヒーロー
そしてヒーローであるのならば
弱きものを護るために脅威を撃ち砕くのが使命
そう、弱きものを……「過去のあなた」を護るために
ヒーローたる「今のあなた」が立ち向かうのです
弱かった過去を受け止め、そして
だからこそ強くなれた今があることを思い出してください
真なる強さとは己の恐怖を乗り越えることなのですから
ふふ、筋肉が柔軟であろうと関係ありません
我が鎖は敵の体を内部から引き裂くもの
動きの止まった敵に、さあ、あなたがとどめを
この悪夢を終わらせるのです
●
「全く……「悪夢の滴」たる私の前で悪夢を弄ぶ愚かな猟書家、すぐに引き裂いてあげますから待っていなさい」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)はその艶やかな唇を歪めながら怒りを示す。
悪夢……というものは魅夜にとって特別な意味を含む言葉。
それを操るオブリビオンと聞いて、捨て置くことは出来ないのだ。
「ドラゴンロア──」
とはいえ、まずは目先の問題を解決せねばなるまいと、魅夜はドラゴンロアへと声をかける。
立ち直りつつある少年は、現在のドラゴンロアには及ばないものの青年の姿を取る――そのコスチュームに身を包んだ彼は魅夜の言葉にゆっくりと振り返るのだ。
「そう呼ばれて気づくのならば、あなたは紛れもないヒーロー……そしてヒーローであるのならば、弱きものを護るために脅威を撃ち砕くのが使命」
思い出したはずだ。
忘れられないはずだ。
何故なら貴方は……ヒーローなのだから。
「そう、弱きものを……「過去のあなた」を護るためにヒーローたる「今のあなた」が立ち向かうのです。弱かった過去を受け止め、そして……」
「餓鬼が少し力を得たからといって!」
立ち直る時間は与えんと――巨漢のオブリビオンは拳を振るう。
岩をも砕きかねないその一撃は……振るわれる大木とも見紛う太さの腕は、しかしドラゴンロアへと届くことは無かった。
「だからこそ強くなれた今があることを思い出してください。真なる強さとは己の恐怖を乗り越えることなのですから」
何故ならば魅夜が纏う鮮血の濃霧が鎖へと変化し、その巨漢の腕を貫き地面へと縫い付けたのだから。
そうして敵の動きを封じながら魅夜は言葉を紡ぎ続ける。
もう大丈夫なはずだ……あと、一歩を踏み出すだけなのだと。
「ふふ、筋肉が柔軟であろうと関係ありません……我が鎖は敵の体を内部から引き裂くもの。動きの止まった敵に、さあ、あなたがとどめを。この悪夢を終わらせるのです」
少女はそっと青年の手を引く。
悪夢を纏いし希望の魔性が――悪夢に囚われし少年を、希望の未来へと進ませる為に。
大成功
🔵🔵🔵
ルパート・ブラックスミス
UC【炎抱きて白熱せし鋼肢】起動。
敵の攻撃を【見切り】回避しながらドラゴンロアを背に格闘戦。
護るというより戦士の背中を見せることで【鼓舞】を。
後は彼が奮起し攻撃が通じるようになるまで延々と格闘戦を続ける。
面を上げろ、ドラゴンロア。今、目の前にあるのは過去だ。
何度砕いても消えぬお前の心の闇だ。
何故消えない?
お前が無力だからか?逆だ。お前が力を得たからだ。
お前の強さは、この悪夢を踏み台に栄光を掴んだものだからだ!
面を上げろ、ドラゴンロア!今、目の前にあるのは過去だ!
その名は、この悪夢の先に差し込む光を、過去の先に在る未来を知っているはずだ!
●
「我が鉛鋼の輝きは暗く……されど今は眩く!」
ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)はその身に纏う――否、自身の身体そのものである黒き鎧から炎を燃え上がらせる。
それは白熱化した四肢から繰り出す一撃――巨漢のオブリビオンにその拳が突き刺さったのならば、爆ぜるように青き劫火が噴出する。
それは直撃したならばいかな巨漢、いかに強靭な者であろうとも無事ではすまない必殺の一撃。
しかしその爆発を受けて尚膝を着くことの無い眼前の男を見れば、悪夢に苛まれている存在――ドラゴンロアが未だ心の整理を付け切れていないことを意味する。
前を向いた。
過去を受け止めた。
度重なる猟兵たちの後押しにより、俯いていた少年は一端のヒーローへとその身を変えていた。
しかしそれは現在のベテランヒーローと成ったドラゴンロアには一歩及ばない。
それも無理も無いことだと、ルパートは思う。
簡単に割り切れるなら、それはトラウマと呼ぶに値しないのだから。
だがそのままでは困るのだ……故に彼には、この悪夢を――忌むべき過去を完全に乗り越えてもらわねばならない。
「面を上げろ、ドラゴンロア。今、目の前にあるのは過去だ……何度砕いても消えぬお前の心の闇だ」
力の一部を取り戻して尚、最後の一歩が踏み出すことが出来ないドラゴンロア。
そんな彼に、言葉を重ねるだけではだめだと、ルパートは己が背中で示そうと――奮起させねばと、戦い続ける。
「何故消えない? お前が無力だからか? 逆だ。お前が力を得たからだ。お前の強さは、この悪夢を踏み台に栄光を掴んだものだからだ!」
戦うほどにルパートの傷は増え――だが、敵は決して膝を折ることは無い。
それは絶望的な戦い……だがそれでも、引くわけにはいかないのだ。
この奮戦こそ、この身で示す生き様こそ、彼への励みとなるのだから。
「面を上げろ! 今、目の前にあるのは過去だ!」
拳と拳がぶつかり合う。
爆発したはずの敵の拳に傷は無く――白熱化した鎧は小さく拉げる。
それでもルパートは、一歩も引くこと無く戦い続ける。
「その名は、この悪夢の先に差し込む光を、過去の先に在る未来を知っているはずだ! ドラゴンロア!」
ルパートの叫びに応えるように、雄叫びと共にドラゴンロアの姿が竜巻に包まれる。
その中から現れるは一際精悍な男――今も尚最前線でベテランヒーローとして戦う男の真の姿だ。
荒れ狂う風がルパートの放つ青き劫火を煌々と燃え上がらせる。
一際強まる業火は無敵のオブリビオンを焼き、無敵の男はついぞ膝を折り灰へと消える。
そこに残りのは――過去の悪夢を乗り越え、未来を見据える男の姿であった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『カーネル・スコルピオ』
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POW : パニッシャー・ヴァーリィ
【二挺拳銃から炎を纏った弾丸の一斉掃射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 侵略蔵書「スコルピオインフェルノ」
【自身の侵略蔵書から放たれた蒼い炎】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を炎上させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : スコルピオン・ブレイズ
【二挺拳銃から放たれた弾丸】が命中した対象を燃やす。放たれた【蒼い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
イラスト:亜積譲
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠シャオロン・リー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「スナーク復活まであと一歩であったというのに……」
闇の晴れた悪夢の中に、聞き慣れぬ声が響く。
猟兵たちが振り向けば、そこには中性的な美しい顔を憤怒によって歪めた男――猟書家カーネル・スコルピオの姿があった。
敵の策は防いだ。
ならば後はこの敵を討ち、夢から覚めるのみ。
今……決着の時は来た。
ルパート・ブラックスミス
(拉げた籠手を見て)
これでは剣はまともに振り回せんか。
なに、どうということはない。往くぞ、ドラゴンロア。
敵UCからドラゴンロアを【かばう】為にも正面特攻だ。
自身は鎧の【火炎耐性】で凌ぎつつ【ダッシュ】、接敵次第ラリアットの形で【グラップル】。
さらに【怪力】任せに地面に叩きつけた状態でUC【異界駆け往く鉛背】起動!
ドラゴンロア!先程の竜巻、今一度我が背に!
この不埒者に見せてやれ…貴殿は、もう無力ではないことを!
外的要因すなわちドラゴンロアからの協力を得て威力を倍増させ、敵を圧殺にかかる!
(【鼓舞】【限界突破】【地形の利用】【衝撃波】)
竜は目覚める。悪夢には貴様独りで沈んでいろ、猟書家!
●
「これでは剣はまともに振り回せんか」
先の戦いにより拉げた己が手甲を見つめ、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は呟く。
それはドラゴンロアを庇いながら戦ったが故の負傷。
彼を励ます為に、あえて正面からぶつかり合ったが故の名誉の負傷だ。
その傷を見て、己が庇われたが故に負った傷だと理解しているドラゴンロアは、気まずそうに口を開こうとする。
「なに、どうということはない」
しかしルパートはその言葉を遮る。
今は敵前――語り合いならば、打ち倒した後にゆっくりとすれば良いのだ。
「往くぞ、ドラゴンロア」
黒騎士の鎧であるルパートは騎士道精神に背くこと無く、正面から敵猟書家――カーネル・スコルピオへと突撃する。
迎え撃つは白と黒の二丁拳銃から放たれる炎の弾丸。
燃え上がる炎のカーテンを生み出す一斉掃射は避けることなど不可能。
だがルパートは、あえて最初からさけること無く受け止める――なぜならば背中に立つ男をその猛威に晒させぬ為。
灼熱の弾丸をその身に受けて尚、正面から敵へと接敵するのだ。
「ドラゴンロア! 先程の竜巻、今一度我が背に!」
鎧のヤドリガミであるルパートのその中身は空洞――故に弾丸を弾いて尚肉体を焼き尽くす熱風すら、ルパートにとっては脅威と成り得ない。
そのドラゴンロアの後押しを受け、己が全身を煌々と燃え上がる炎弾と化し――敵への懐へと突撃するのだ。
「この不埒者に見せてやれ……貴殿は、もう無力ではないことを!」
「応よ!」
ルパートの期待に応えるように。
ルパートの戟に応えるように。
己が背を押す風の強さがより一層猛々しく強まる感触に、ルパートはバイザーの中の青き炎をゆらりと揺らめかせる。
「竜は目覚める……」
怪力で以って突き出す腕はその拉げた形状を意に介さず、敵のその喉元へと突き立てられる。
風を切り裂き、猛々しく燃え上がり……その勢いを以て大地へと叩きつけるのだ。
「悪夢には貴様独りで沈んでいろ、猟書家!」
辺りに、気高き騎士の声が木霊した。
大成功
🔵🔵🔵
杼糸・絡新婦
ヒーロー・ドラゴンロアと連携し行動。
悪夢を弄った代償高くつくで。
鋼糸を張り巡らせるようにし絡みつくようにして【罠使い】
敵の行動を阻害させスキを作るよう試み、
味方への攻撃が届くようにしつつ、
【フェイント】を入れ攻撃していく。
敵への攻撃を【見切り】でタイミングを図り脱力して受け止める、
または味方への攻撃を【かばう】ことで
オペラツィオン・マカブルを発動、
排し、返せサイギョウ。
●
「悪夢を弄った代償高くつくで」
くすりと笑みを浮かべ、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)はその指を操る。
その動きに呼応するように辺りに張り巡らされるは、彼と同じ名をし、ヤドリガミである彼自身でもある鋼糸――絡新婦。
その全てはその名の通り獲物を待つ蜘蛛糸のように待ち構え、一度触れたならばその首を落とすであろう。
しかし敵もまた事件の黒幕である敵猟書家――カーネル・スコルピオ。
宙に張り巡らされきらりと光るその刃を目にすれば、無策に突撃することなくその腕を振るうのだ。
「罠などと!」
己が侵略蔵書のページをはためかせ、カーネル・スコルピオは蒼き炎を噴き上げる。
それは鋼すら溶かしつくさんとする猛火。
しかしその炎はカーネル・スコルピオの意思に反し大きく逸れていく――何故ならばそこには絡新婦をサポートするかのように、背後から大気を操り竜巻を放つドラゴンロアの姿があったからだ。
「さすがや、ヒーロー!」
渦巻く暴風は張り巡らせた罠を隠し、焼き尽くさんとする炎を逸らし、そして敵の体勢を崩していく。
そしてその風に乗るかのように揺らめく鋼糸が単体では成し得ないほどの複雑な軌道を見せ、カーネル・スコルピオの肌を切り裂いていくのだ。
「ちぃ、ならば!」
全身を焼き尽くす為に広げられた炎が吹き飛ばされるのならば、飛ばされぬよう炎を集め、より強力な炎弾として放つのみ。
圧縮され見るからに勢いを強めていく蒼き焔の煌きに、しかし絡新婦は焦らず指を走らせる。
面の攻撃が点と化すならば、それはむしろ好都合。
カーネル・スコルピオの動きを阻害するように、追い立てるように鋼糸を操るその様は、正しく傀儡子。
直接糸で繋がれているわけでは無い敵すらも誘導し、己が掌の上で転がし操るのだ。
「燃え尽きるがいい!」
距離があってすら肌を焦がしかねないほどの熱が、その圧倒的な威力を感じさせる。
しかし絡新婦はドラゴンロアをその背に庇い、避けるどころかその身体から力を抜くのだ。
「排し、返せ……」
それは完全な脱力時にのみ敵の攻撃を反射することが可能なUC――オペラツィオン・マカブル。
完全な脱力時では当然移動による調整など出来ない。
故に絡新婦は、己と背後のドラゴンロア……どちらが狙われてもその攻撃を受け止められるよう、敵を導き操ったのだ。
「サイギョウ!」
絡繰り仕掛けの狐人がその手を開けば、虚空へと消えた蒼き焔が燃え上がる。
辺りを――熱風と閃光が覆った。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
せめて己自身がスナークに化すくらいの気概を見せばよいものを
この程度で動揺し焦燥する、しょせんつまらぬ道化でしたね、猟書家
では真なる悪夢の恐ろしさをその身に刻んで滅びなさい
我が鎖を舞わせ「早業」「範囲攻撃」で周囲を破壊し
岩盤の飛礫を叩きつけます
あなたの炎を迎撃するためのもの
ええ、あなたの炎は「何かに命中しそれにダメージを与えた」時点で
効果を喪うくだらぬ技
石つぶてに当たった炎はそこで力を失い
私を傷つけることもあなたを強化することもできません
そして巻き起こした石つぶては目くらましにもなります
「闇に紛れ」るようにその間隙を縫って間合いを詰め
UCを発動しとどめ
私こそは悪夢の滴
真なる恐怖をもたらすものです
●
「せめて己自身がスナークに化すくらいの気概を見せばよいものを……この程度で動揺し焦燥する、しょせんつまらぬ道化でしたね」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は取り乱す敵猟書家――カーネル・スコルピオに対し冷ややかな視線を投げる。
一つの策が潰れた程度で取り乱すなど、二流。
ならばどちらが悪夢の名を冠するにふさわしいか、分からせるまで。
「では真なる悪夢の恐ろしさをその身に刻んで滅びなさい」
魅夜が操るは、愛用の鉤付きの鎖。
蛇を連想させるほどに自由自在な軌道を描くその鎖に対し、カーネル・スコルピオもまた己が侵略蔵書から炎を放ち応戦する。
それは蒼き炎により攻撃すると共に戦場を己が有利な環境へと書き換える煉獄の炎――スコルピオインフェルノ。
しかし魅夜はその特性を理解した上で、最善手を打つ。
自在に振るわれる鎖は周囲を破壊し、飛礫で迎え撃つのだ。
「あなたの炎などくだらぬ技……私を傷つけることもあなたを強化することもできません」
放たれた飛礫は蒼き炎を貫くと共に燃え上がる。
被弾した者を焼き尽くし、外れたとてその場を己が有利な戦況へと書き換える攻防一体のはずのその技は、しかし飛礫の雨とぶつかり合うことで魅夜に攻撃することも、その地形に影響を及ぼすことも出来ないでいた。
「くっ……」
明らかに戦況をコントロールされているその感触に、カーネル・スコルピオは憎々し気に歯噛みする。
相手の攻撃は単なる飛礫――UCですらないその小技にも関わらず、こうも翻弄されるものかと苛立ちを覚える。
そしてその苛立ちと視界で次々と花咲くかのように燃え上がる炎は、彼の視界を一際狭くしていくのだ。
「愚か者の骸を糧に咲き誇れ鋼の血華」
「なっ!」
カーネル・スコルピオが気付いたのは拳を振るえば当たるほどの至近距離まで肉薄した魅夜の姿。
咲き誇る蒼き炎の花の影に紛れ接敵した彼女は、大量の鎖を放ち敵へ突き立てる。
飛び散る血飛沫にて彩られるそれは正しく鋼の血華。
美しき花はその身に纏う荒々しい棘で、触れる者を傷つけるのだ。
「私こそは悪夢の滴……真なる恐怖をもたらすものです」
そう言い放つ彼女は――美しかった。
大成功
🔵🔵🔵
未不二・蛟羽
うん、やっぱりドラゴンロアさんはカッコいいヒーローっすね!
でも俺だって、ヒーローになりたいっすから
俺も負けてられないっすよ!
ドラゴンロアさんの竜巻に合わせるようにUCで突風を巻き起こし空中戦に
炎は野生の勘で回避しつつ、風圧の弾丸を落とし地上への炎上も妨害するっす
基本は速さで攪乱しつつ笹鉄を繰りヒット&アウェイの攻撃
怒った敵が隙を見せたら【No.40≒chiot】を飢餓の狼に改造して突風で撃ち出し喰いつかせるっす
…俺にはきっと、全部は解らないけど
過去が今を侵していいことなんてある訳ないっす
俺達は、今を生きて、未来にいくものっす
だから!
悪い夢も、悪い敵も、全部全部もぐもぐっす!
連携・アドリブ歓迎
●
「うん、やっぱりドラゴンロアさんはカッコいいヒーローっすね!」
己がトラウマと向き合い立ち直ったヒーロー・ドラゴンロアを見つめ、未不二・蛟羽(花散らで・f04322)は嬉しそうにはにかむ。
記憶の無い自分には分からない……過去に向き合うという行為がどれだけ大変かことなのかが。
だがそれはきっと、容易では無いはずだ。
だからこそ蛟羽はドラゴンロアを心の底から尊敬することが出来た。
「でも俺だって、ヒーローになりたいっすから……俺も負けてられないっすよ!」
でも憧れているだけで終わるつもりは無い。
己もまた胸を張ってヒーローと名乗れる存在になりたいから……蛟羽もまた戦うのだ。
「燃え尽きろ!」
苛立たし気に声を張り上げるは敵猟書家――カーネル・スコルピオ。
己が侵略蔵書から蒼き炎――スコルピオインフェルノを放ち辺りを火の海へ変えていくのだ。
「させんっ!」
「合わせるっすよ!」
対し、その炎を吹き飛ばすようにドラゴンロアは竜巻を放つ――そしてその竜巻に合わせるように蛟羽は己が翼に風の加護を纏い、宙を舞う。
本来であれば巻き込まれる者を薙ぎ払うその暴風を、蛟羽は自在に乗りこなす。
羽を巧みに操り暴風の風をその羽で受け止めることで加速するのだ。
「余所見してると、見失うっすよ!」
苛立たし気に己が炎を阻害する暴風を放ち続けるドラゴンロアを睨みつけるカーネル・スコルピオに対し、蛟羽は声を投げかける。
嵐の如き暴風を背に受け加速する蛟羽の動きは素早く、視界を塞ぐ暴風も相まってその動きを捉えることは困難。
四方八方から投げつけられる鉤爪によりその身を紅に染めるカーネル・スコルピオは苛立たし気に歯噛みする。
「俺にはきっと、全部は解らないけど……過去が今を侵していいことなんてある訳ないっす」
カーネル・スコルピオの怒りと共に猛々しく燃え上がる炎も、二人が引き起こす風を吹き飛ばすことは出来ない。
そうして生まれた隙だらけの背に対し、蛟羽は知性ある外套――ダークネスクロークであるパーカー――餓狼へと姿を変えたNo.40≒chiotを放つのだ。
「俺達は、今を生きて、未来にいくものっす。だから! 悪い夢も、悪い敵も、全部全部もぐもぐっす!」
青年は戦う。
未来へと進む為に。
憧れ目指す、理想の自分へと至る道を進む為に。
大成功
🔵🔵🔵
陽向・理玖
そう簡単にヒーローがあんたの思い通りになると思うなよ
ましてや…俺たちがいるんだ
好きにはさせねぇ
変身状態維持しUC起動
衝撃波飛ばし一気に距離詰めグラップル
拳で殴る
残像纏いスピード上げ
一所に留まらぬようにし炎避ける
動いてりゃ狙いにくいだろうし
仮に地形を燃やしても
飛んでりゃ俺には関係ねぇし
あんたもその場に留めさせやしねぇよ
絶えず衝撃波で炎消すようにしつつも
攻撃に吹き飛ばしや足払いでのなぎ払いし
同じ場所に居させぬ様
とはいえ
悪ぃ
竜巻で炎吹き飛ばせる?
その隙に突っ込む
ドラゴンロアと連携
大体猟書家って奴は何だ
本なかったら何も出来ねぇの?
そんな炎熱くねぇよ
炎当たっても
火炎耐性と激痛耐性で耐え
本ごと拳の乱れ撃ち
●
「そう簡単にヒーローがあんたの思い通りになると思うなよ」
蒼き装甲をきらりと光らせ、陽向・理玖(夏疾風・f22773)は敵猟書家――カーネル・スコルピオへと言い放つ。
正義は勝つ――ヒーローを易々と御せると思うなと、理玖は義憤に燃えるのだ。
「ましてや……俺たちがいるんだ。好きにはさせねぇ」
そして何より、この場にはヒーローたるドラゴンロアだけで無く、共に戦う猟兵が……そして何より猟兵にして正義のヒーローたる自分がいるのだと。
決して思い通りにはさせないと、言い放つのだ。
「ヒーロー、がぁ!」
怒りと共に、カーネル・スコルピオは己が侵略蔵書から蒼き焔を放つ。
その姿は正しく満身創痍――度重なる猟兵たちとの戦闘により傷を負うカーネル・スコルピオは息を荒上げる。
しかし手負いの獣こそ脅威――守るべき者を守る為、ヒーローは油断すること無く己が全力を以って敵を討つ。
「Start Up Elimination――」
己が肉体を強化し超高速の移動を可能にするそのUC――閃光烈破(アクセラレート・エリミネーター)により加速する。
残像纏い大地を蹴り。
空気を切り裂き宙を舞う。
獲物を狙う蛇のように鎌首をもたげる炎も、決して追い縋ることは出来ない。
追随を許さぬ圧倒的速度で戦場を駆ける理玖を捉える者は、誰一人としていなかった。
「悪ぃ……竜巻で炎吹き飛ばせる?」
「任せろ……」
敵を翻弄する理玖はドラゴンロアの傍へと降り立てば小さく呟く。
その問いに対しドラゴンロアは安心しろとばかりに己が胸を叩くのだ。
その様子にマスクの下で小さく微笑んだ理玖は再び表情を引き締め、頷けば再び駆け出すのであった。
「ちぃ!」
荒れ狂う炎の壁が二つに割れたならば、カーネル・スコルピオを襲うのば嵐のような暴風。
この戦いの中で幾度となく己が侵略蔵書の力を阻害してきたドラゴンロアの力に対し憎々し気に口をゆがめれば、ならば先に撃ち殺してくれようと己が両手に握るその双銃を構えるのだ。
しかしその引き金を引くような時間など彼には与えられない――何故ならばそこには、この戦いに決着をつけるべく接敵したヒーローの姿があったからだ。
「そんな炎熱くねぇよ……」
咄嗟に放たれる炎の弾丸がその身を貫こうとも、理玖はその顔を歪むことすらしない。
歴戦のヒーローである彼にとって、この程度の肉体的な痛みに耐えることなど造作も無いことなのだから。
いつまでも消えぬ棘が心に刺さる辛さを知っているが故に――心の傷の痛みを知っているが故に。
掌に乗せた優しい人達の世界を守る為に――その拳を握るのだ。
暴風と共に――嵐のような激しい拳が降り注ぐ。
その嵐が過ぎ去った後――その場に残るのは……地に伏した男と、粉々に砕け散った紙切れだけであった。
「じゃあな……猟書家」
悪夢は終わる――男たちは突如降り注ぐ日差しに目を細め……そっと一面の青空を見上げるのであった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2020年12月21日
宿敵
『カーネル・スコルピオ』
を撃破!
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