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【科学小国家ジャパニア】廃都迎撃作戦!

#クロムキャバリア #市街地戦 #科学小国家ジャパニア #純戦闘シナリオ #コリファ人民共産国 #アッハイ

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 クロムキャバリアに存在する科学小国家ジャパニア。
 周囲三方を山岳地帯に囲われ、残りは海に面した天然の要害に存在する。
 しかし、例外があった。
 ジャパニア南方部ミナミカント地方……海に面した平地の一部はかつて、ジャパニアの首都トッキョーが存在していた。だが数年前に隣国のコリファ人民国によって海から侵略を受け、善戦虚しく首都機能が麻痺してしまった。そのため、暫定的に首都機能の一部を北方部のキタカント地方のネオグンマーに移転させ、国の政治を執り行っているのだ。
 そして、かつての首都は緩衝地帯として隣国との小競り合いが絶えない場所になっていたが、両国の政治的睨み合いによって、ここ1年は小規模な衝突が数回発生するに留まった。

 だが、その口火を切るかのごとく、緩衝地帯にコリファ人民軍のキャバリア大隊が侵略してきたのだ。
『人民軍諸君に告ぐ! 忌まわしきジャパニアを滅ぼせ! まずはミナミカント地方の制圧、そしてそのままプラントを保持するキタカント地方へ雪崩込む!』
『『ターフォウ! ターフォウ! ターフォウ!』』
 コリファ語で『頑張るぞ!』の掛け声がトッキョーに轟く。
『トッキョーはもはや緩衝地帯ではなく、我々、人民軍の占領地だ! 本作戦はこの儂、ソ・クンム少佐自らが指揮を執る! 光栄に思えッ!』
『『ターフォウ! ターフォウ! ターフォウ!』』
 ガンガンガンッとキャバリア用の大型盾へ物理突撃槍をけたたましく打ち鳴らす。
 人民軍少佐ソ・クンムは、操縦するサイキックキャバリア型オブリビオンマシンの全身を輝かせる。その光は奇跡の証。人民軍が駆るキャバリアはその光を浴びると、またたく間に全てオブリビオンマシンへと変貌してゆくのだった。

「……これが、今回の予知の内容だよ。急がないと、ジャパニアが隣国に攻め込まれちゃうから、みんなは首謀者のソ・クンム少佐が操縦するオブリビオンマシンを撃破してほしいなっ!」
 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)が、集まってくれた猟兵達へ任務内容を伝達する。
「今回の戦場は、ジャパニアかつての首都トッキョーだよっ! でも今は廃墟のビルが立ち並ぶゴーストタウンだね……。その分、建物の保全に気を使わずに戦闘に取り組めるよっ!」
 つまり、今回は『廃墟の市街地戦』である。
「遮蔽物が多いからそれを利用したり、むしろ力技で建物ごとキャバリアを薙ぎ倒したり、色々と出来ると思うよっ!」
 此方の弾除けが周囲に存在するが、それは人民軍も同様だ。
 敵機の性能を加味して、上手く主導権を猟兵側が握りたい。
「今回も、キャバリアを持っていない猟兵のみんなのために、もし必要ならば、ジャパニアの特別軍事科学研究機関『M.A.K.E』………通称『開発チーム』の主任ことジャック・カブラギおじ様から機体を借りられるよ! その後で買い取ってチューンナップもOKだよっ!」
 バックアップは万全だが、借り受けられるのは量産機のみであることを留意したい。
「そうそう、いくらジャパニアの敵対国とはいえ、襲ってくるキャバリアのパイロットは殺しちゃ駄目だよっ! 今回は第一波と第二波と攻撃が2段階で押し寄せてくるんだけど、第二波の部隊には、第一波の部隊の一兵卒の親友や恋人、家族などの強い絆を持った人達が沢山いるっぽい! だから、第一波のパイロットを殺してしまうと、第二波の部隊は怨嗟でオブリビオンマシンが強化されちゃうから、絶対に殺しちゃ駄目だからねっ?」
 レモンは念押しを済ませると、クロムキャバリアへの転送を開始する。
「大きな戦乱が起きる前に、みんなが侵略を食い止めてきてねっ! お願いっ!」
 レモンは祈るように猟兵達を送り出してゆくのだった。


七転 十五起
 科学小国家ジャパニアへ、隣国が攻め込んできました。
 オブリビオンマシン大隊の迎撃を願います。
 なぎてんはねおきです。

●概要
 第一章は、首謀者のオブリビオンマシンが放つ謎のユーベルコードによって『オブリビオンマシン化』した第一波の部隊との激突です。
 敵国パイロットは、マシンだけを破壊すると正気に返るので、第二波が来る前に安全な所にかくまってあげると、なお良いでしょう(兵士なので自分で身の安全は守れますが、助けてあげたならプレイングボーナスが発生します)。

 第二章は、人民軍の第二波が襲来します。第一波に血縁関係や親友、恋人など、強い絆で結ばれた相手を持つパイロットが多数在籍しています。第一章でパイロットごとマシンを破壊してしまうと、憎しみでオブリビオンマシンが強化されてしまいます。逆に、救出した上で相手へ説得するとプレイングボーナスが発生します。

 第三章は、この侵略の首謀者であるコリファ人民軍少佐ソ・クンムの乗り込んだオブリビオンマシンとの直接対決です。
 ソ・クンムはプラント基地に陣取っており、残弾やエネルギー切れを気にせず戦うことが出来ます。彼もまた、オブリビオンマシンによって思想を歪められ、狂気に陥った人物なので、殺さずにマシンだけを破壊してあげて下さい。プラント基地も破壊しないように!

●補足情報
 今回のシナリオの舞台は、廃墟の市街地です。
 全編、市街地戦を展開してゆきます。
 地形を利用したプレイングには、プレイングボーナスが発生します。
 頑張って下さい!

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 集団戦 『MCK04N-パラティヌス』

POW   :    RXキャバリアソード/EPキャバリアシールド
自身の【補助CPUを停止、搭乗者への制御負担】を代償に、【力量に応じ近接戦闘力を向上した状態の機体】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【砲火を潜り抜ける運動性と近接武装】で戦う。
SPD   :    RBXSランスライフル
レベル分の1秒で【近接突撃/射撃モードに切り替え】【ビーム】を発射できる。
WIZ   :    EPオプションバックユニットスラスター
【作戦に応じた追加兵装(通常はミサイル)】を向けた対象に、【射撃攻撃を行った後、追撃の突撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リューイン・ランサード
相手の数は多そうで怖いですけど仕方ない、頑張ろう<汗>。

UCで弩羅轟えもん召喚して戦闘に投入。
リューインは敵パイロット保護に動く。
(流れ弾で死ぬんじゃないよ、と弩羅轟えもん。)

遠距離では右手のダブルビームライフルによる2回攻撃・砲撃・貫通攻撃・スナイパーでコクピットを外して撃ち抜いて撃破。
中距離では額のハイパー・バスター・キャノンを威力弱めの拡散仕様にして、エネルギー充填・砲撃・範囲攻撃で殺さない様に撃破。
近距離戦では左手の流水剣の光の属性攻撃で斬る。
防御はビルを使いつつ、ビームシールド盾受けで防ぐ。

リューインは結界術・オーラ防御で守りつつ、空中戦能力でパイロットを素早く回収して避難させる。


ミフェット・マザーグース
量産型のキャバリアを借してもらうね
武器はいらないから、センサーとドローンカメラをたくさん積んで
それに廃墟の地形データ、敵国のキャバリアのデータを申請するよ

UC【情報分析機能】
ミフェットは戦えないから後方で敵のキャバリアを確認して
〈情報収集・メカニック・学習力〉で分析
受け取ったキャバリアのデータからコックピット位置、有効な無力化手段を推測、味方の通信チャンネルから猟兵みんなに伝えるよ
地形データも支援に使うね

攻撃を受けたら後退して、他の猟兵さんに助けを求めるよ
スキがあったら無力化されたオブリビオンマシンが戦闘に巻き込まれる前にパイロットさんを救助して、後方に……えっと、捕虜、に、してもらうね


シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK

戦争とは言え、兵士や一般人を操って戦うとは言語道断。
全員、怪我をさせることなく救出してさし上げますよ。

「シン・ドレッドノートは貴紅でいきます!」
専用キャバリア、貴紅に騎乗してスナイパーライフルを構えて出撃。

廃墟の影を活用して身を隠しつつ、【緋色の弾丸】を発動、敵部隊に照準を合わせます。
「ターゲット・ロック。狙い撃ちますよ!」

射程に入った敵キャバリアを狙撃、武装と手足を撃ちぬいていきます。
くれぐれもコクピットに当たらないように注意しましょう。

一機撃墜したら素早く身を隠しつつ移動。別の廃墟の影に移って狙撃を続けます。

襲撃が落ち着いたら、動きを止めた敵機から兵士を救出していきますね。


桐嶋・水之江
ジャパニアね
この世界にも所謂日本チックな国があるのね
そして共産党圏と仲が悪いと
私の出身?SSWのヒノモト船団よ?

イカルガで出撃するわ
戦場は廃虚立ち並ぶ幽霊都市…小回りが利く高機動な機体なら有利に戦えるわね
曲り角で待ち構えて水之江流機巧抜刀術・壱ノ型でバッサリよ
音速を超えた踏み込みを見せてあげる
ビーム?プロテクトフィールドで防げば大丈夫よ

パイロットの処遇だけれど、殺るなと言われると殺りたくなっちゃうのよねぇ
まあ、1割方冗談よ
生捕りにしておけば依頼主に報酬増額の交渉材料にもなるしね



 転送された猟兵達は、クロムキャバリアの小国のひとつ、科学小国家ジャパニアの廃都トッキョーへ降り立った。
 そこには既に先遣隊として特別軍事科学研究機関『M.A.K.E』………通称『開発チーム』の調査兵団が駐在しており、キャバリアの貸与や整備の準備を万全にしていた。
「戦況は?」
 純白のラインと黄金の縁取りが高貴な印象を与える、真紅のサイキックキャバリアに乗り込んだまま転送されてきたシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は、整備班の最終メンテナンスを受けながら、現場責任者から人民軍の動きを聞き出した。
「はっ! 現在、コリファ人民軍はプラント施設での補給中だと思われ、依然、緩衝地帯の外へ動こうとしておりません!」
「此方としては好都合ですね。燃料と弾薬の充填、ありがとうございます」
 操縦桿を握り、シンはゆっくりと機体を起き上がらせる。
『シン・ドレッドノート、貴紅<ノーブル・スカーレット>でいきます!』
 機体の脚部の側面が開くと、中からR/BSスナイパーライフルを引き抜いて構えた。
 これを皮切りに、次々と猟兵達のキャバリアが廃都へ出撃してゆく。
<ふうん、ジャパニアね。この世界にも所謂、日本チックな国があるのね。そして共産党圏と仲が悪いと>
 桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)は純白のキャバリア『イカルガ』を駆り、スラスター推力でヒビと砲弾痕だらけのアスファルト道路を突き進む。
<キョーサントーケン? このジャパニア以外にも、おんなじような悪い人たちがいるの? こわいの……?>
 借り受けた量産型キャバリアに乗り込んでいるミフェット・マザーグース(沼の歌声・f09867)が、無線で桐嶋へ尋ねた。
 すると、桐嶋は鬱陶しそうな声色で答えた。
<残念だけど、そのようなのよ、お嬢ちゃん。どの世界でも、資本主義と共産主義は対立するみたいね>
<もしかして、水之江さんって、このクロムキャバリアの出身なんですか? キャバリアもカッコイイですよね!>
 リューイン・ランサード(竜の雛・f13950)が無線会話に割り込んでくる。
<私の出身? スペースシップワールドのヒノモト船団よ? それと、このキャバリアは桐嶋技研の自信作なの>
<あ! ミフェットもね、スペースシップワールドの出身なんだよ! おんなじ!>
 親近感を寄せるミフェットの声が無線から送られる。
<僕はアルダワ世界出身です。このドラゴニアン型スーパーロボットは弩羅轟えもんって言います。自我もあって、会話もできるんですよ>
 リューインはユーベルコードで召喚した蒼いキャバリアの翼を広げてみせた。
<私はノーコメントで。妖狐は神秘的なくらいが丁度いいのですよ>
 そしてシンは思わせぶりな言葉で煙に撒いた。
<みんな、オープチャットでの楽しい歓談は此処までよ。前方に敵影を確認……予想していたよりも多いのね>
 桐嶋が同伴機達へ注意事項を促す。
<いい? 戦場は廃虚立ち並ぶ幽霊都市……小回りが利く高機動な機体なら有利に戦えるわね。遮蔽物を利用して、上手く立ち回って>
<心得ました。戦争とは言え、兵士や一般人を操って戦うとは言語道断ですね>
 シンは物腰柔らかだが、語気に怒りを孕んで決意を述べた。
<全員、怪我をさせることなく救出してさし上げますよ>
<で、でも、相手の数は多そうで怖いですけど、仕方ない……頑張ろう>
 対して、リューインは元来のヘタレで思わず怖気付いてしまう。
 だが、そんな彼に弩羅轟えもんが語り掛ける。
『まったく、君は仕方がない奴だなぁ?』
「弩羅轟えも~ん! なんとかして~! あんな大軍団、勝てないよ~!」
 恐怖で鳥肌が立ってしまったリューインが、コクピット内で泣き言を漏らす。
 すると、弩羅轟えもんが溜息混じりに答えた。
『わかったわかった、リューイン君。あとは僕がやるから、君は僕やみんなを援護しつつ、敵のパイロットを救助してよ』
「そ、それなら……できる、かも!」
『それじゃあ、別行動だね、リューイン君。流れ弾で死ぬんじゃないよ~?』
「別れ際に嫌なこと言わないで!?」
 リューインはコクピットから飛び降りると、背中の真紅の竜の翼を羽撃かせてホバリングを開始する。
 そんな彼の足元には、ミフェットのキャバリアが足を止め、戦場に無数のドローンを解き放っていた。
「君はミフェットちゃん、だっけ? 戦わないんですか?」
 リューインの質問に、ミフェットは外部スピーカー越しに言葉を返した。
『ミフェットは戦えないから、後方支援にてっするよ! 武器はいらないから、その代わり、センサーとドローンカメラをたくさん積んだの!』
 スペースシップワールド出身故か、幼くてもキータイピング速度が常人より素早い。
<開発チームのおじさん! 隣国のキャバリアの機体データってあるのかな? あと、このトッキョーの地形データも今すぐミフェットの機体へ送って!>
<わかった! 今から送るから、待っててくれ!>
 駐屯員から受け取ったデータを、同時進行でいくつも処理してゆく。
 そして敵機の識別コードと戦場の地図データ、その上に位置する敵機情報をマッピングして仲間のキャバリエへ一斉送信した。
<みんな、オブリビオンマシンはMCK04N-パラティヌスだよ! 胴体部がコクピットだから、無力化する場合は両腕と頭部を破壊して!>
<ありがとう、ミフェットちゃん。猟兵全機に通達よ。目標オブリビオンマシンの両腕と頭部の破壊を優先。パイロットは殺さないように>
<了解!>
 桐嶋の言葉に、猟兵達は一同に承諾の意を表した。
 直後、猟兵達の機体は廃ビルの影に隠れ、人民軍の動きを伺うのだった。

(入力、入力、入力、検索、検索、抽出、検索、分類、除外、解析、除外、解析、除外、一致、解析、解析、解析……あった!)
 ミフェットはガンガンと痛む頭を我慢しながら、ユーベルコードによって自身の情報分析機能を呼び覚ます。彼女は兵器として捕獲され、様々な調節を受けた。その過程であと付けされた機能だが、今は猟兵達の仲間を助けるためにミフェットは頑張るのだ。
<オブリビオンマシンが動き出したよ! 大きな部隊がひとつ、こっちへ向かってる! あと、小さい部隊が両脇からゆっくり進んできてるよ!>
<包囲されると厄介ですね。ここは先手を打ちましょうか>
 シンは廃墟の影を活用して身を隠しつつ、R/BSスナイパーライフルの照準をオブリビオンマシン部隊へ合わせる。
「ターゲット・ロック。狙い撃ちますよ!」
 この瞬間、シンのユーベルコード『緋色の弾丸(スカーレット・バレット)』の発動条件が揃う。
 敵よりも早く銃の照準を合わせた場合、発射した銃撃はほぼ必中となるのだ。
「必中……この弾丸は外れない!」
 引き金を絞る。廃都に一発の銃声が鳴り響けば、先頭で哨戒していたオブリビオンマシンの左脚部が吹っ飛んだ!
 オブリビオンマシンが前につんのめって転倒すれば、後ろから来た部隊が引っかかって将棋倒しに!
『敵の銃撃だ! って下がれ下がれ!』
 指揮官機が僚機に押し潰されて身動きが取れない!
『全軍、射撃体勢に移行! 目標はあの廃ビルの影のキャバリアだ!』
 それでもなんとか号令を下し、大部隊は手にしていた槍を銃へ変形させてビームを乱射してきた!
 猟兵達は廃ビルの影に身を潜め、ビームの弾幕をやり過ごす。
 凄まじい爆発と振動で廃ビルが揺らぐ。
 徐々にビーム弾幕が廃ビルの壁や柱を溶解させてゆき、猟兵達へ貫かんと勢いを増してゆく。
<私は移動しながら敵機を狙撃します。ミフェットさん、回り込めそうなルートを検索していただけますか?>
<うん、まかせて! 検索、検索、検証、反証、出力……これはどうかな?>
 ミフェットの機体から送信された迂回路を閲覧したシンは感嘆する。
<素晴らしいですね。ありがとうございます。引き続きサポートをお願い致します>
 早速、シンはルートに沿って移動を開始した。
<ねえ、弩羅轟えもんさん、だっけ? あなた、囮になってもらえないかしら? 私のイカルガ、近接戦が得意だから誘き寄せてほしいの>
 桐嶋の頼みに、自我を持つ弩羅轟えもんが無線で回答した。
<わかった、僕に任せてよ。リューイン君には僕の守りを固めてもらって、君のところへ敵を誘き寄せるよ>
<話が早くて助かるわね。お願いよ、弩羅轟えもん。あとで私が直々にメンテナンスしてあげるわ>
<きれいなお姉さんがメンテナンスしてくれるなら、頑張らなきゃだよね~!>
 自律駆動する弩羅轟えもんが張り切っている。
 そのままビルの物陰から飛び出すと、右手のダブルビームライフルによる2連射で目の前のオブリビオンマシンの右腕部を狙撃して撃ち抜いた。
『リューイン君、頼んだよー!』
「わ、わかった!」
 サムライエンパイアの骨董市で入手した、戦闘力を向上するお守りを握り締めるリューン。首に巻いた光絹のスカーフを媒介に、弩羅轟えもんへ結界障壁を展開する。
 フローティング・ビームシールドと併せ、弩羅轟えもんへのビーム弾幕が面白いように弾かれてゆく。
『拡散ハイパー・バスター・キャノーン!』
 弩羅轟えもんの額部分に設置された大型砲から、威力を弱めて放射状に発射される弾幕がオブリビオンマシン部隊を一気に薙ぎ倒していった。
 オブリビオンマシン部隊は装備している大盾で弾幕を防ぐが、射撃しようとすれば機体の半身が弾幕に晒されてしまう。
『やーい、亀みたいに縮こまって、かっこ悪いなぁ~?』
 弩羅轟えもんの挑発が人民軍のパイロット達を激昂させる。
『貴様……人民軍を愚弄するか!』
『指揮官、早く起き上がって下知を!』
『解ってる! 右翼、弾幕がやんだ瞬間に近接突撃を開始!』
『『ターフォウ! ターフォウ! ターフォウ!』』
 弩羅轟えもんの弾幕がやんだ次の瞬間、80分の1秒の瞬く間に右翼の部隊が槍を構えて突進した!
 敵部隊の突進に、弩羅轟えもんはすぐに廃ビルの影へ飛び込む。
 だがビルを打ち崩すほどの衝撃が弩羅轟えもんを襲う!
 このままでは倒壊する廃ビルの下敷きだ!
 慌てた弩羅轟えもんは輝く流水剣でビルごと敵部隊の一部を切断!
『リューインくーん!』
「う、うん!」
 剥き出しになったコクピットから、リューインは無理矢理に人民軍のパイロットを引きずり出して上空へ逃げ出してゆく。
「うわ、人を担ぎながら飛ぶのって重労働……! ミフェットちゃーん! 何処にこの人を運べば安全ですかー!?」
 リューインの叫び声に、ミフェットは高速タイミングで避難場所をはじき出した。
『ミフェットから7時の方向に2km! 開発チームの人達がジープで待機してるから頑張って! ミフェットも後で手伝うよ!』
「お願いしまーす! 僕ひとりじゃ無理ですからー!」
 泣き言を言いつつも、必死に人民軍をリューインは救助するべく、戦場と避難所を何度も往復して飛び交う。
 そうしている間にも、弩羅轟えもんは後退しながら右翼部隊を惹き付けてゆく。
 だが、流石に一点に攻撃を浴びすぎたせいか、シールドも結界障壁も限界が近い。
『敵機は弱っている! 今度こそ一気に押し寄せて蹂躙だ!』
『『ターフォウ! ターフォウ! ターフォウ!』』
 右翼部隊が再び突撃を開始!
 だが、廃ビルが立ち並ぶ交差点に差し掛かった瞬間――真っ白なサムライめいたキャバリアが、青く輝くプラズマブレードを振り抜いた!
「すっぱーん!」
 廃ビルの影からの奇襲! 電光石火の斬撃がオブリビオンマシンのカメラアイにも止まらぬ軌道を描く!
 その型はまごうことなき剣豪のそれであった。
 ユーベルコード『水之江流機巧抜刀術・壱ノ型」……神速の居合斬りから放たれた連続斬りは、オブリビオンマシン部隊の脚部や腕部を容易く刎ね飛ばし、たちまちダルマ状態のコクピットの山がヒビ割れたアスファルト舗装道路に転がるのだった。
「なにこれ、たのしーっ! もっと斬りたい! そーれ、すぱーんすぱーん!」
 あまりの無双ぶりに気分がハイになった桐嶋の精神年齢が8歳相当に退行してしまう。
 イカルガは近付いてきたオブリビオンマシンはもれなくダルマとなって地面に転がり、さらなる獲物を求めて、中央の部隊へスラスター推力で肉薄する!
『な、なんだ、あの白いキャバリアは!?』
『あれが噂に聞くジャパニア・サムライ・マシンなのか?』
『ええい、相手は近接戦特化だ! 中央部隊、射撃陣形に移行! 撃てーっ!』
 ビームの五月雨撃ちがイカルガに浴びせかけられる!
 だが、桐嶋は構わず突っ込んでくる!
「そんなビーム弾幕なんて効かないよー!」
 イカルガの機体全体を、限りなく実体に近い球体型のエネルギーバリアが包み込む。プロテクトフィールドがビーム弾幕を弾き返し、あっという間に中央部隊の懐へ潜り込んでゆく!
『きれいに斬れるかなー? それー!』
『全部隊、盾構え……!』
『だから無駄だよ! すぱーん!』
 イカルガは盾ごとオブリビオンマシンの上半身と下半身を断ち切ってしまった!
 ごろん、とイカルガの足元に転がった機体は、指揮官機だった。
『あれ、これ、もしかして指揮官機? ラッキー!』
 桐嶋はワクワクしながら、指揮官機のコクピットへプラズマブレードの切っ先をかざす。
『ところで、パイロットの処遇だけれど、私達は依頼主から殺るなと言われるんだけど、そう言われると殺りたくなっちゃうのよねぇ?』
『うぐっ……人質を取って投降を勧告する気か、卑怯者め!』
『そんなつもりじゃないって。まあ、1割方冗談よ』
『9割は本気じゃないか!』
『まぁまぁ。私、これからコクピットをほじくり出して指揮官を救出するだけなの。あなたたちはオブリビオンマシンに思考が歪められてるだけだし。それに、生捕りにしておけば依頼主に報酬増額の交渉材料にもなるしね』
 桐嶋の言葉に、人民軍は混乱しだす。
『本気でジャパニアの連中は我々を殺さない気なのか?』
『捕虜にして強制労働をさせる気では?』
『いや、祖国の情報を吐かせるために拷問にかけるつもりだ!』
 散々な言い分に、桐嶋はコクピット内で肩を竦めてしまう。
<だってさ。シンさん、ちゃっちゃと黙らせちゃって?>
<了解です。オブリビオンマシンの呪縛から解き放って差し上げましょう>
 左翼から連続発砲音!
 シンの操縦する貴紅のスナイパーライフルの魔弾が、次々とオブリビオンマシンを撃ち抜いて機能停止へ追い込んでゆく。
<左翼は他の猟兵達達が向かっています。私達は残存する機体を一掃するとしましょう>
 再び廃ビルの影に隠れ、敵機の弾幕を凌ぐ貴紅。
 前線で激しい銃撃戦と切り込みが発生する中、ミフェットとリューインは手分けして人民軍のパイロットをコクピットから脱出させては避難所へ運んでゆく。
『パイロットさんを救助して、後方に連れて行ったら……えっと、捕虜、に……なっちゃうのかな?』
 ミフェットは心苦しいと言わんばかりの声色を漏らす。
 だが、リューインは空を飛びながら首を横に振った。
「僕たちはこの人達を捕虜にするために救出しているわけじゃないですよ! すべてオブリビオンマシンの呪縛が原因ですから!」
『そ、そうだよね! 開発チームのみんな、いいひとたちばっかりだもんね!』
 ミフェットはリューインの言葉で罪悪感が晴れ、このあとも胸を張って人民軍のパイロットを救出してゆく。
 そのうち、人民軍を押し返した猟兵達は、前線を桐嶋と弩羅轟えもんに任せると、シンも救助に加わり、順調に人民軍を正気へ戻していったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ノインツィヒ・アリスズナンバー
そういえばこの国戦争状態で、首都取られてたんだっけ。
てことは、此処で争いを止めればジャパニアだけじゃなくて更に隣国にも顔を売れるチャンスじゃん☆
私ちゃんいっきまーす☆

まずは私ちゃんから攻撃することなく、イドラの身をもってみんなを庇いつつ、盾になるよ☆
へいへい攻撃するなら私ちゃんだけにしな☆
(挑発+激痛耐性+勇気+覚悟)
良い感じにダメージが溜まってきたら敵さんに最終通告。
これ以上戦闘するなら、死んでも良いってことだね?んじゃやれイドラ。
UC起動して、高速で切り込みんだら暴力と無差別攻撃。コクピットを引っこ抜いて安全な場所に置いとくね。だから言ったんだよ☆

アドリブ・絡み歓迎


ティー・アラベリア
今回は市街戦なのですね♪
ええ、ええ。もちろん対応可能ですとも。
むしろ得意分野でございます☆

市街地のような遮蔽の多い地形では、情報の精度が何より重要でございます
斥候妖精を放ち、魔導波探信儀と合わせて敵の情報を収集
同時に敵通信網にジャミングも行いましょう♪
遮蔽魔術発生機構を使用して熱光学迷彩を展開しながら、戦闘機動機構を使用してビル間を伝って縦横に都市を移動いたします
敵部隊を発見し次第92式の砲撃で建物を崩落させ、部隊を分断
ビルの屋上から急降下し、急襲する形で97式の散弾と零式による近接戦闘によって無力化致します♪
もし、敵に随伴歩兵が存在した場合は、対人同化妖精を放って甘噛みして差し上げましょう☆


箒星・仄々
お世話になったお国の危機を
見過ごせません

心を歪ませられた方々を
早く解放してあげたいです

機体は借りず生身で行きますよ~
風の魔力で空中機動です

廃墟に隠れたり
迷彩で姿を隠したり
残像で惑わしたりして
不意を打ち魔力の矢

操縦者さんを傷つけぬよう留意

廃墟を盾とし防御

敵が廃墟に隠れたら
外した魔力の矢で建物を倒壊させ
下敷きにしたり動きを封じて矢

或いは廃墟に当たった矢が風に還り
ソナー的に位置を捉え(お髭がぴく
狙いすました炎と水の矢

はたまた召喚したランさんを放ち
建物ごと貫きます

一段落したらパイロットさんを救出
安全地帯へ誘導します
お怪我はありませんか?

マシンさん方へ鎮魂の調べ
元へ戻して差し上げられず御免なさい
安らかに


リリウム・マーセナリー
※アドリブ・連携歓迎

戦乱に身を置く事で日々を過ごせる傭兵が言う事ではないですが……それでも、それで一つの国が滅びるというのなら、止めなければ。
「滅ぼさせはしません。――絶対に」
どんな人間でも、帰る場所がなくなるのは嫌な筈ですから。

愛機『ホワイトアウト』で出撃。廃墟を利用して隠れつつ、【ジャミング】。此方の位置を悟られないようにしつつ、右腕装備のレーザーライフルを用いて【選択UC】で狙撃(スナイパー)。友軍の【援護射撃】に専念します。

「こちらホワイトアウト。援護します」



 廃都トッキョーの中心部で、猟兵達のキャバリアが人民軍のオブリビオンマシンを抑え込んでいる間、別働隊として他の猟兵達が人民軍の左翼部隊の迎撃に向かっていた。

 ノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)は愛機であるイドラ・キャバリアを操縦しながら、ふと思いついたことを口に出してみる。
「そういえばこの国、ずっと戦争状態で、しかも首都を取られてたんだっけ……」
 散発的な武力衝突により、かつての首都は見る影もないほど荒廃してしまっていた。
 ここでライブをしても、お客さんは入らないだろうなぁとぼんやり考えていたノインツィヒに、とある天啓が降りてきた。
「あれ? お客さんは何も、このジャパニアの国の人達でなくてもよくね? てか、目の前にいるじゃ~ん、私ちゃんのファン候補☆」
 ノインツィヒはイドラのカメラアイに映し出された人民軍のオブリビオンマシン部隊に目を輝かせた。
「てことは、此処で争いを止めればジャパニアだけじゃなくて、更に隣国にも顔と名前を売るチャンスじゃん☆」
 ポジティブ!
 しかも、人民軍のパイロットを救出した美談も付いて、隣国でノインツィヒ・アリスズナンバーの顔と名前が知れ渡ること間違いなし!
「み な ぎ っ て き た ☆ 私ちゃん、いっきまーす☆」
 イドラは猟兵の機体の魁となって先行してゆく。
 銃撃をイドラの装甲で受け止め、後続の盾となる役割を果たしていく。
 その後続を追走するのは、魔導武装型大量破壊兵器系ミレナリィドールことティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)、そしてカッツェンランツェ――『ねこのやり』と称する、アーモンドアイがキュートな全長5mのメスのメカジキのランさんに跨って高速低空飛行する箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)の2名だ。
 ちなみにこの2名、キャバリアに乗らずに生身のままでの参戦だ。
「今回は市街戦なのですね♪ ええ、ええ。もちろん対応可能ですとも。むしろ得意分野でございます☆」
「それは心強いです。心を歪ませられた方々を、一刻も早く解放してあげたいです。私、お世話になったお国の危機を見過ごせませんので」
 市街戦に心を躍らせるティー(戦闘人格)に対して、ケットシーらしくジャパニアへの恩返しを果たすべく使命感に燃える箒星。
 対照的な2人の在り様だが、人民軍のパイロットをオブリビオンマシンから解放・救出するという目的は一致している。
「ところで、箒星様、でしたか? その、お魚はどういった原理で浮いているのでしょうか?」
 ティーは地上でピチピチ泳ぐメカジキに、思わず苦笑いしてしまう。
 箒星は翡翠のように煌めく猫の目をティーへ向けた。
「風の魔力でランさんを浮遊させて、水の魔力でランさんを包み込んで泳がせることで、地上でも高速遊泳が可能なのですよ~」
「……ええと、箒星様はそれを可能にしてしまうのですね……?」
 ティーは魔力を砲撃や、躯体頭部に搭載された魔導波探信儀へと回すことで機能を十全させている。
 片や、箒星の魔力はいわゆる魔法使いのそれだ。物理法則を無視し、奇跡を実現可能とする術式だ。
 両者は魔力という根源は同じであるが、性質は対極の在り方であった。
「と、とにかく、市街地のような遮蔽の多い地形では、情報の精度が何より重要でございます。お掃除にも、お料理にも、殺し合いにも、情報は必要ですよね!」
 ティーはすかさずユーベルコード『斥候型妖精召喚(サモン・スカウトフェアリー)』を行使。
 その効果で斥候妖精を解き放ち、ティーの第二の目として戦場を俯瞰させる。
 更に、髪飾りに模した92式魔導波探信儀を用いて、他の猟兵から送信された廃都の全体図に人民軍のオブリビオンマシンの位置をマッピングしてゆく。
「探信魔導波、感度良好。目標、前方の人民軍左翼部隊。その総数36機。直ちに敵通信網をジャミングします♪」
 ティーは人民軍の通信網を容易く遮断させると、遮蔽魔術発生機構を使用して熱光学迷彩を展開。
 姿を周囲の廃ビルに溶け込ませたティーは、廃墟の合間を99式戦闘機動機構のスラスター推力での高速軌道で駆け抜けてゆく。
「敵に随伴歩兵は存在なしですか。これはナメられたものですね☆」
 対キャバリア戦で、最も怖いのは超火力の兵器ではなく、随伴歩兵の存在だ。
 歩兵はキャバリアのレーダーで感知されにくく、機体のカメラアイの死角から忍び寄られて爆弾でも設置されれば、破壊工作をみすみす許してしまうからだ。
 だが、それを伴っていないということは、人民軍がジャパニアの戦力を軽視している証左といえよう。
 と、ここで先行していたノインツィヒが、外部スピーカーを介してティーへ呼びかけた。
『ティーちゃん! 私ちゃんが敵部隊を誘き寄せるから、あとは黒猫君と一緒にいい感じによろぴく☆』
「心得ました、ノインツィヒ様♪ ボクにお任せ下さいませ☆」
『え、今ので通じるんだ……? やば……怖……以心伝心じゃん……?』
 アバウト過ぎるノインツィヒのオーダーに、即承諾したティーの弾む声が恐ろしすぎる。
「では、私は魔法の矢の制圧射撃で、人民軍の皆様を足止めしますね?」
 箒星がランさんを天高く飛び跳ね上げさせると、一際高い廃ビルを飛び越え、人民軍のオブリビオンマシンの頭上目掛けて急降下!
 更に降下中、水の魔力と火の魔力を操作することで、光の屈折率をいじった箒星の周囲に、蜃気楼めいた虚像が浮かび上がる。
『て、敵襲! 撃て撃てーっ!』
『猫が魚に乗って襲ってきたぞ!?』
『俺達は悪夢でも見ているのか?』
 よもやキャバリア相手に巨大メカジキが突っ込んでくる戦闘を、一体誰が想像したであろうか?
 人民軍のオブリビオンマシンは、追加装備されたミサイルポッドから、白い煙を尾引かせながら小型ミサイルの弾幕を発射!
 途端、箒星が爆炎に包まれてしまう!
『そのまま突撃ィ!』
『『うおおおぉぉーッ!』』
 爆撃した対象へ向けて、キャバリアサイズの突撃槍を突き出す人民軍!
 しかし、彼らの手応えは全く伝わってこない。
 突き刺したはずの箒星の姿は虚像であり、突撃槍は廃ビルの窓ガラスを突き破って深々と刺さってしまった。
「そうなるとなかなか抜けませんよね~。ちょっと失礼しますよ?」
 箒星はユーベルコード『トリニティ・ブラスト』によって生成された炎・水・風の3属性それぞれ455本の魔法の矢を、廃ビル周囲に密集するオブリビオンマシンへ向けて発射!
 うまくコクピットを避け、敵機の四肢をアスファルト舗装の道路へ縫い付けていった。
 すぐさま箒星はランさんを急旋回させると、廃ビルの影へと滑り込ませる。
 時間差で発射されたミサイルが、廃ビルに砕かれて倒壊!
 箒星は逃げ隠れしつつ、散発的に魔法矢を敵部隊へ打ち込み続ける。
 そこへ、ノインツィヒが敵中へ飛び込んできた!
『へいへい、攻撃するなら私ちゃんだけにしな☆』
 操縦するイドラの鉄拳が、人民軍のオブリビオンマシン頭部のカメラアイを粉砕!
 視界を奪われたオブリビオンマシンは、明後日の方向へ走り出して廃ビルに激突してしまった。
 自身は廃ビルに隠れることなく、敢えて攻撃を一身に受け止めながらも、でかい一発はスウェーし続けて被弾を最小限に留めながら敵を惹き付け始めた。
『そんな豆鉄砲じゃイドラは倒れねーよ。行くぞ、イドラ。私ちゃん達のアイドル魂、見せてあげる☆』
 ノインツィヒはコクピット内に付属されたマイクへ向かって、己の美声を戦場に響かせ始めた。その歌声は、サウンドスピーカーユニットによって増幅され、音響兵器としてオブリビオンマシン部隊へ大打撃を与える。
『♪これがぁ~おんなのぉ~じぃんせぃ~!』
 ただし、まさかのド演歌だった。
 怒涛のコブシ回しで怯んだ敵機の手足を、クリエイトステージビットによるレーザー射撃で撃ち抜き、次々と無力化させていった。
 空中に浮かぶホログラムと伴奏のオマケ付きで、たちまち廃都トッキョーはノインツィヒのライブステージへ早変わりだ!
『ま、まさか、こいつ……『鋼鉄の歌姫(アイアン・ディーヴァ)』か!?』
『それって“ジャパニアの秘密兵器”と噂の、エースパイロットだとぉ!』
 人民軍が恐怖で震え上がる。
 恐らく、ジャパニア側のプロパガンダに、二つ名だけが独り歩きして使用されてしまったのだろう。
 ノインツィヒは内心、アイドルの知名度よりも妙な噂が隣国に先行して広まってることに遺憾の意を表明したくなった。
(終わったら絶ッッッ対に! カブラギのおっさんに詫びスシ奢らせる! 覚悟しておけ、時価の握りばっか食ってやる!)
 だが今は戦闘に集中だ。
『はいはーい、アイドルのライブに危険物の持ち込みは禁止だよ☆』
 突き出された突撃槍を、イドラの腕の回転で払い除ける。
 そのままイドラはオブリビオンマシンの腕をもぎ取ってしまった!
 だが、その背後へ忍び寄る、別のオブリビオンマシンが!
「させませんよ!」
 気付いたティーが魔杖の先から砲撃を行なおうとした、その時だった。
 数発の銃弾が廃都の空を斬り裂いたかと思えば、イドラの背後に忍び寄っていたオブリビオンマシンが“くの字”の姿勢で吹き飛んでいったではないか!
「おっと、これはもしかして?」
 ティーは銃弾の軌道の先に目を走らせる。
 そこには、純白のキャバリアのスナイパーライフルが、硝煙を燻らせていた。
『こちらホワイトアウト。搭乗者名はリリウム・マーセナリー(白百合の傭兵/ホワイトアウト・f29990)。遅くなりました、これより皆様を援護します』
『救援ありがとー☆ そのまま狙撃ングしまくりでよろよろー☆』
 ノインツィヒの言葉に、ホワイトアウトはすぐさま愛銃のマガジンを交換すると、別のビルの影に潜り込み、そこからオブリビオンマシンの足を寸分狂わずに撃ち抜いてゆく。
「――丸見えですね。当てさせて頂きますよ」
 コクピット内でつぶやいたリリウム。
 その言葉は自身に満ち溢れている。
 何故ならば、アンサーヒューマンが持つ生来の才能を、自身の努力で射撃技術をユーベルコードの域にまで高めた技だからだ。
「これこそが『精密狙撃による威圧効果(ストップ・オブ・スナイプ)』……。この弾丸は、たとえ当たらずとも敵に恐怖を与えるでしょう。……当てますけど」
 右腕装備のレーザーライフルが敵機にプレッシャーを与えることにより、ノインツィヒばかりに掛かりきりになることが出来ない人民軍。
 だが、このまま手をこまねくわけにもいかない。
『ぜ、全部隊、前方のキャバリアへ集中砲火、よーい!』
『おっと、流石にそれは厳しいから、私ちゃんは逃げるよ?』
 すかさずイドラを後方へ下げるノインツィヒ。
 それを追いかけ始める人民軍。
 この時、ティーと箒星の目が合った。
「箒星様、準備はよろしいでしょうか?」
「派手にやっちゃいましょうか。3、2、1……!」
「「どーん!!」」
 ティーは92式火力投射型魔杖を、箒星は余った魔法矢を、そびえ立つランドマーク的高層廃ビルの中腹へ向けて砲撃開始!
 凄まじい火力が廃ビルの真ん中を爆破!
 窓ガラスを粉砕し、鉄骨をへし折り、その頂点から下が崩れて地面へ倒壊する!
 降り注ぐ先は……人民軍のオブリビオンマシンの頭上だ!
『うわああぁっ!?』
『散開ッ! 散開ーィッ!』
 廃ビルの瓦礫の下敷きを避けるべく、人民軍が蜘蛛の子を散らすかの如く周囲へ広がってゆく。
 そして地面に激突する砕けた窓ガラスに鉄骨の数々が、アスファルトを穿ち、大轟音を響かせ、黄土色の砂煙と砂塵を高々と天へ撒き上げせた。
『し、しまった! 部隊が2つに分断されてしまった!』
 瓦礫の山に阻まれ、人民軍の左翼部隊は2つに分け隔てられてしまう。
 その後方部隊の頭上から、一気に急降下してくるティーの姿が!
「それでは、お掃除(スィーピング)と参りましょうか♪」
 垂直降下からの97式圧縮拡散型魔杖をオブリビオンマシンの部隊へ突きつければ、杖先から魔法散弾が高密度の壁となって浴びせかけられてゆく!
 光学迷彩で透明となったティーの弾幕に、オブリビオンマシンはてんやわんやで狼狽してしまう。
「おとなしくしていて下さいね♪」
 ダメ押しで79式近接防御妖精を放ち、大量の魔力誘導弾を乱射させてオブリビオンマシンの追加武装であるミサイルポッドを破壊してしまった。
 これに合わせ、リリウムも廃ビルと砂塵に紛れてスナイパーライフルで狙撃。
 更にリリウムは砂煙が収まる前に機体を走らせると、腰部にマウントしてるRX/02[NINJA]小型実剣を引き抜き、武装名の如く近接戦でオブリビオンマシンの腕部を削ぎ落としていった。
(戦乱に身を置く事で日々を過ごせる傭兵が言う事ではないですが……それでも、それで一つの国が滅びるというのなら、止めなければ……)
 それがオブリビオンマシンによってもたらされた戦乱であるならば、なおのことだ。
「滅ぼさせはしません。――絶対に。私の祖国は既に滅んだから、判るのです。どんな人間でも、帰る場所がなくなるのは嫌な筈ですから……」
 小型実剣でオブリビオンマシンのコクピット部分を抉り出し、そこからパイロットを引っ張り上げて救出してみせた。
『さあ、早く此処から離脱しなさい。我々はあなた達の命を保証します』
「お、俺は、一体、なにを……?」
「とにかく逃げよう! 俺達はまだ死ねないんだ!」
「僕たちは少佐に言われるがまま従軍しただけだ! 此処で死んでたまるか!」
 後方部隊の機体から、次々とパイロット達を引きずり出しては解放してゆくティーとリリウム。
『オブリビオンマシン……。操縦者の思想を歪ませ、狂気へ走らせるとは、何と恐ろしいのでしょうか……』
 周囲のオブリビオンマシンを全て機能停止させると、リリウムはコクピット内で唇を噛むのだった。
 一方で、前方部隊はノインツィヒと箒星様のコンビが対応していた。
『人民軍のみんな? これ以上戦闘するなら、死んでも良いってことだね?』
 ノインツィヒの最後通牒に、人民軍は無言を貫く。
『あっそ。いい感じにダメージも蓄積してるし……んじゃ、やれイドラ。見せてやれよ。お前の可能性を』
 途端、イドラのカメラアイが赤く発光!
 ユーベルコード『イドラ・リミットパージ』!
 被弾数が相手よりも多ければ多いほど、発動しやすくなるこのユーベルコード。その効果は、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる!
 イドラの姿が高速過ぎてカメラと肉眼で追いつけない人民軍。
 そのままノインツィヒの接近を許すと、オブリビオンマシンのオーバーパーツをべきべきべきっとひん剥かれてゆく!
『だから言ったんだよ☆ パイロット達は殺さないけど、オブリビオンマシンはぶっ殺す。慈悲はない☆』
 その光景は、人間でいったら胸元を素手でこじ開け、皮膚を裂き、中にある心臓を掴んでもぎ取るという強引な方法だ。
 あまりの暴力と胆力に、人民軍はたちまち震え上がってしまう。
 ノインツィヒの手近なオブリビオンマシンはすべて、オーバーフレームを剥ぎ取られた上でコクピット部分を引っこ抜かれてしまった。
 その人民軍は、さらなる恐怖のドン底へ突き落とされる。
「ランさん、Goですよ~!」
 箒星は、メカジキから飛び降りて竜巻の力で自身を空中へ浮かび上がらせた。
 放たれたメカジキは、オブリビオンマシンを4体も貫いたまま廃ビルへ突貫!
 そのまま瓦礫の中へ埋めてしまった!
 人民軍も最後の抵抗で砲撃を敢行するも、箒星のヒゲのセンサーが僅かな空気の振動を捉え、砲弾の軌道をいち早く精密に読み取ることで回避を実現させていた。勿論、廃ビルの遮蔽物も利用し、被弾を防いでゆく。
「これで最後です……!」
 残る炎と氷の魔法の矢が、残存するオブリビオンマシンの手足を削ぎ落とし、完全に無力化させてみせたのだった。

 箒星の蒸気機関式竪琴『カッツェンリート』の弦の音色が響く。
「お怪我はありませんか? 皆様は操られていたのですよ」
 穏やかな声で、人民兵達へ状況を説明する箒星。
「ご安心下さい。皆様は捕虜にはしません。戦闘終了後、速やかに祖国へ送還するそうです」
 リリウムも『開発チーム』から聞いた説明を、一言一句そのまま人民兵達へ伝達した。
「あれ? ねぇねぇ、あれって敗残兵かな?」
 ノインツィヒはイドラで遠方を指差す。
 そこには、プラント施設へ向かって疾走してゆくオブリビオンマシン数機の背が見えた。
「うーん、下手に砲撃すると、プラント施設まで吹き飛ばしそうですね?」
 ティーは追撃を諦めざるを得なかった。万が一、かわされたら、その先のプラント施設が爆撃に晒されてしまう。
「これぞ窮鼠猫を噛む、ですね~? でも、他にも猟兵さんがいらっしゃいますし、なんとかなるでしょうね?」
 箒星はそのまま、破壊してしまったオブリビオンマシンへの手向けの葬送曲を爪弾いてみせる。
「元は普通のキャバリアでしたのに、無理矢理に変化させられて。もとに戻せずに、申し訳ありません……」
 演奏をしながら黙祷を捧げる箒星に習い、ノインツィヒ、ティー、リリウムらも、黙祷に加わったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

カシム・ディーン
~♪(ご機嫌そうに謎の洞窟で発見したキャバリアを動かす盗賊

やはり僕の日頃の行いの賜物ですね
ちゃんと動きますし

後はこいつをジャパニアに販売…

「それは無理じゃないかなー」(突如現れる雄鶏の立体映像

!誰だお前!?

「私?君が今動かしてるメルクリウスだよ。メルキーと呼んでね♪実はね、君の生体データ登録したから君以外は動かせないよ」

はぁ!?何してくれてんのお前!?
「まぁまぁ…ほら、敵が来てるよ、頑張って♪」
くそがぁぁっ
【戦闘知識・視力・情報収集】
敵陣形と位置を把握

【属性攻撃・迷彩】
光属性を機体に付与して光学迷彩と熱源も隠蔽

わたぬき発動
武装と共にエンジンや搭乗者を強奪
無力化を図る
【盗み・盗み攻撃】で精度強化



 猟兵達が廃都トッキョーで人民軍を迎撃している最中、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はクロムキャバリアに転送されてから戦地ヘ向かわず、廃都郊外の山中を分け入っていた。
「任務? そんなことよりお宝探しでしょう?」
 カシムは任務を放棄し、ジャパニアの『開発チーム』へ売り飛ばすための戦利品を探していた。
 山中を駆け巡っていると、森の中にポッカリと口を開く洞窟を発見した。
「いかにもって感じですね。失礼しますよっと……」
 洞窟の中はトラップが仕掛けられれいたが、歴戦の自称天才魔術盗賊であるカシムにとっては子供騙しのレベルの難易度であった。
「これはいよいよって予感……。って、ここは?」
 注連縄と紙垂で厳重に封印された石扉がカシムの目の前を阻む。
 凄まじい圧と凄みがカシムのニューロンをヒリヒリと痺れさせる。
「間違いない……。ここにお宝が眠ってますね!」
 ソードブレイカー・カシムカスタムにルーンを刻み、扉に張られた結界の破壊を試みるカシム。
「ウル(突撃)、ハガル(破壊)、ウルド(白紙)、シゲル(勝利)……結界に『突撃』して『破壊』し、契約を『白紙』に戻して『勝利』を得ん!」
 ルーン魔力がみなぎったソードブレイカーを紙垂で飾られた注連縄に振り下ろす。
 刃がないソードブレイカーだが、不思議と太い注連縄がきれいに断ち切られると、自然と石扉が開き始めたではないか!
 恐る恐るカシムは扉をくぐる。
「ここは……まるで玄室ですね」
 平たく言えば、棺が横たわる墓であった。
 だが、棺の代わりに横たわるのは、巨大な水銀のようなスライムであった。
「うわ……なんだこれ? モンスターですか?」
 カシムが巨大な水銀スライムを手で触れた途端、巨大な物体はたちまち波打ち、次第に人型サイキックキャバリアを象る。
 一瞬で変形した眼の前の物体に、カシムの目は輝いた。
「すごいぞ! これは高く売れますよ! どれどれ、まだ動きますかね?」
 コクピットの扉をオープンし、カシムは中に乗り込んだ。
 すると、自然と防護扉が閉まり、コクピット内の照明が点灯し、一斉に搭載OSが起動し始めた。
「自動起動!? やはり僕の日頃の行いの賜物ですね。ちゃんと動きますし」
 操縦桿を動かすと、機体の上体が起き上がり、そのまま立ち上がった。
 すると突然、機体全体が七色に輝き、カシムごと機体が洞窟内から消失してしまった……!

 カシムは七色の光に視界を遮られ、わけも分からぬまま為す術もなくカメラアイからの映像を眺めていた。
「おいおい、いつの間にか外に出ちゃいましたけど、瞬間移動機能もついてるとか、これは本当に大当たりなのでは? 早速、ジャパニアの軍上層部に掛け合って……」
『それは無理じゃないかなー』
「ッ! 誰だっ!? 何処から喋ってるっ?」
 唐突に聞こえた知らない声。
『ここだよ、ここ! 鶏だけに! コッコー♪』
 カシムの操縦桿辺りから、ひょっこり飛び出す雄鶏の立体映像!
『私は界導神機『メルクリウス』! 盗賊の庇護者にして原初の両性具有存在、すなわち完全存在である『賢者の石』……それが君が今動かしてるサイキックキャバリアだよ』
「はぁっ?」
 カシムは雄鶏のホログラムに目が点になってしまう。
『これからよろしくね! 私のことはメルキーと呼んでね♪』
「ああ、これはご丁寧に……。どうも、僕はカシム・ディーンです……じゃねぇよ! いきなりなんですか、これから売り飛ばすのに!」
『ああ、実はそのことなんだけどさ……』
 メルクリウスは無邪気に、そして残酷にカシムへ、ある事実を伝えた。
『君が一番最初に私に触れた時、君の生体データ登録したから』
「それってつまり……?」
『うん、私はもう、君以外は動かせないよ。これで私は晴れて、君だけのモノだよ!』
「はあぁぁぁぁぁッ!? ちょ、何してくれてんのお前!? それじゃ売り払えないんですけどッ? 最悪だ……!」
『不束者ですが、これから末永くよろしくお願いしますね、ご主人サマ♥』
「くそがぁぁっ!」
『好き好き好き好き好き好き好き好き好き超愛してる♥』
「キャバリアに愛されてもちっとも嬉しくねぇ!」
『というかご主人サマ? あの……初対面で私のあんな箇所を素手で触るなんて……もうバカバカバカ! 思い出したら恥ずかしいよぉ! ご主人サマ、責任とってよねっ!?』
「あんな丸い体、何処触っても一緒でしょうが! てか雄鶏じゃねーかお前! 責任ってなんだよ!」
 ブチギレるカシムは雄鶏ホログラムを何度も殴るが、実体がないので全て空振りしてしまう。
『ほら、さっき言ったでしょ? 私はメルクリウス、原初の両性具有存在の『賢者の石』だって。つまり、姿は雄鶏でも……心は“オ・ト・メ”なの♪ キャッ♪ どうぞ私を幸せにしてね♥ 結婚式はワイハーで挙げる?』
「何だこのガラクタァ! 今すぐ降りてスクラップにしてやる! って、降ろしてくださいよ、この鉄クズ! ビチグソメカビッチ!」
 激昂するカシムの抗議に、何故かメルクリウスは応じようとしない。
『え、戦場のど真ん中で私から降りようとするなんてとんでもないよ、ご主人サマ?』
「……は?」
 カシムは目の前に映し出される外界の映像に目を疑う。
 立ち並ぶ廃墟とボロボロの高層ビル群。
 響く爆発音と銃声。伝わる爆発と倒壊の振動。
 どう考えても、ここは廃都トッキョーであった。
「どういうことだ、このポンコツ? 思いっきり戦場じゃないですか!」
『うん、戦場だよ。私は界導神機『メルクリウス』。世界が乱れる時、完全無欠なるチカラによって秩序をもたらす機械仕掛けの神だから。戦うことこそ私の使命!』
「おろせー! 僕は戦いたくない! キャバリアを発掘して売り捌くだけの簡単なお仕事の出稼ぎに来ただーけーでーすー!」
 コクピット内で暴れるカシムを、メルクリウスは狂気に満ちた愛で拘束して放そうとしない。
『といっても、ほら、敵が来てるよ、頑張って♪ ご主人サマ♥』
「え?」
 カシムがモニタをあちこち眺めていると、遠方から砂煙を上げて此方へ突っ込んでくるオブリビオン3機を発見!
「こんの……クソがぁぁあああーっ!! おい、武装を出せ! こうなったらやけくそだ!」
『了解だよ、ご主人サマ♥ いでよー! BX鎌剣『ハルペー』! じゃっきーん!』
 キャバリアサイズの鎌剣が虚空から出現すると、右手に自然と装着される。
 驚いたのは遭遇した人民軍だ。
『前方に未確認機体を発見。武装しているぞ!』
『敵は1機だ! あまりやりたくはないが、ここはリミッター解除だ!』
『アレをやるのか? 確かに、アレなら3機だけでも猟兵を圧倒できるはずだが……負担が凄まじいぞ?』
『構わん! 指揮官機がジャパニア側に落とされた今、指揮権は俺にある! やるぞ、トリプルストームだ!』
『『了解!』』
 3機のオブリビオンマシンは一列に並ぶと、補助CPUを停止させ、搭乗者へ制御を負担させる。
 操縦に凄まじい技量と肉体負担が重くのしかかるが、その分、パイロットの技量が素直に反映されるため、結果として機体の正常は最大限引き出されるユーベルコードだ。
『戦闘が盾で攻撃を受け止め、後続の2機が左右からキャバリアソードで挟撃だ!』
『行くぞ! しくじるなよ!』
『そっちこそ!』
 オブリビオンマシン3機は、躊躇せずにメルクリウス目掛けて突っ込んできた!
 だが、メルクリウスは突如、その姿が周囲の景色に溶け込んでしまう!
『なにィ! 光学迷彩だと!』
『慌てるな! 熱源感知レーダーを使え!』
『了解! ……居たぞ、3時の方向、そのビルの後ろだ!』
『待て! 熱源も消えたぞ! どういう事だ?』
 人民軍はたちまち混乱し、廃ビルの立ち並ぶ交差点で立ち往生してしまう。
 その3機をカシムはゆっくりと背後に回り込みながら様子を窺っていた。
(……ルーンでコイツの身体を『隠匿』しました。姿だけじゃなく、『水』のルーンを使えば熱源も掻き消せます)
 つまり、今、メルクリウスの存在は人民軍に感知できないのだ。
 そして、人民軍の背後へ回り込んだカシムは、アスファルトを神機の巨脚で蹴って前へ飛び出した。
「万物の根源よ。我が手に全てを奪う力を示せ」
 鎌剣を大きく横薙ぎに振るう。
 すると、オブリビオンマシンの腰元を刃がすり抜け、機体内のコクピット外壁とエンジン部を抜き出すように機体外へ押し出したではないか!
 これぞカシムのシーフの技量が生み出したユーベルコード『わたぬき』である。
 一瞬で沈黙したオブリビオンマシンは倒壊し、飛び出したエンジンは爆発炎上!
 そしてコクピット外壁が破損したため、正気に戻った人民兵達が困惑しながら這い出してきた。
 人民軍はメルクリウスを見上げると、怯えながら大声あげて何処かへ逃げてしまった。
「さて、なんだかなぁ? これからどうしましょうか…?」
 思わぬお荷物を拾ってしまったカシムは、廃都のど真ん中で悲嘆に暮れる。
 当然、人民軍に目を付けられているだろう。
 此処で逃げ出すわけにはいかなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『修復型マグゥルMk10』

POW   :    増殖スル脅威
【同型機】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[同型機]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    進化スル憎悪
【同型機と合体し自ら】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    放タレタ殺意
レベル×5本の【無】属性の【ビーム】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 プラント施設を占拠する人民軍に、前線の戦況が伝わってきた。
「なんだと、全滅ぅ?」
 人民軍少佐ソ・クンムはプラント施設から生成されたジャパニア銘菓ヨーカンを齧りながら眉をひそめた。
「そんなバカな? 第一波の機体は最新型だぞ? 200機近い部隊が1時間足らずで壊滅などするものか」
「で、ですが、第二波の斥候の情報は角度が高いものだと思われますが……!」
 報告に来た軍曹の顔が強張る。
 どうやら虚偽ではないようだ。
 ソは祖国の烏龍茶を飲み干すと、低く唸った。
「……分かった。第二波に通達。すぐに出撃準備を。第一波には彼らの肉親や友人、恋人など縁のあるものも多いと聞く。これは、弔い合戦だ……!」
「ハッ!」
 最敬礼後、踵を返して駆け出す軍曹。
 その背を、ソは奥歯を噛み締めながら、右手に持っていたヨーカンの棒を勢いよく握り潰した。

「嘘だろ……! 親父が、死んだのか?」
「お前、絶対に帰ってくるって言ったじゃないか!」
「嘘つき……お姉ちゃんの嘘つき……!」
 第二波のオブリビオンマシン部隊が涙と嗚咽に包まれる。
 軍曹は通達する。
「鬼畜ジャパニアは猟兵と呼ばれる傭兵を派遣し、自らの手を汚さずに我等の同胞を屠った! この報いは我等の手で受けさせなければならない! そうだろう!?」
「「ターフォウ! ターフォウ! ターフォウ!」」
 人民軍のシュプレヒコールが廃都の空に響き渡る。
「我等の機体は旧型だが、密集すればするほど、真の性能を発揮するジャイアントキャバリアだ! 憎悪せよ! 憤怒せよ! その激情が我等のジャイアントキャバリアの駆動エネルギーだ! ジャパニアと猟兵に正義の鉄槌を!」
「「ターフォウ! ターフォウ! ターフォウ!」」
 隊員は一斉にキャバリアへ乗り込み始めた
 錆緑色のジャイアントキャバリア部隊が、ゆっくりと廃都の中心へ進み征く。

 第一波の人民軍は全員生存して保護されていることを、彼らは知らない。
 だから彼らは怒り、嘆き、悲しみ、目の前の存在を破壊せんと狂うのだ……!
シン・ドレッドノート
引き続き、専用キャバリア・貴紅に乗って戦闘です。

ジャパニアには、先ほど救出した兵士の皆さんに対し、手厚い待遇をしていただくようお願いしておきますね。

フレキシブル・ブースターの高速移動でビームを回避、避けきれないものは閃光の魔盾で防ぎつつ、もっとも目立つビルの上に立ち、【白銀の万華鏡】を発動。
ビルの四方を巨大な鏡に変え、救出された兵士たちの現在の姿を投影してみせましょう。

「彼らは無事に意識を操る悪しきマシンより救出済みです…さて、貴方たちの戦う理由は何ですか?」

それでも戦うと言うのであれば、スナイパーライフルで敵機の手足の関節を狙い撃ち。
動きを止めたところでコクピットから救出していきますね。



 シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は、専用機『貴紅<ノーブル・スカーレット>』を操縦して戦場に留まっていた。
<……ということです。先程救出した人民軍の兵達は、どうか手厚い待遇をお願い致します>
 シンは、ジャパニアの特別軍事科学研究機関『M.A.K.E』………通称『開発チーム』に、保護した兵士達の処遇の内容を具申していた。
 これに応答する『開発チーム』の現場責任者。
<解りました。彼らは十分な食料と滞在スペースを用意しましょう>
 無線の回答内容に、シンはほっと胸を撫で下ろす。
「これで準備は万端ですね。では、彼らを出迎えるとしましょうか」
 シンは貴紅のフレキシブル・ブースター・バインダーを最大出力で稼働させ、地面スレスレを高速で滑空していった。
 廃ビルの合間を縫って進むと、地平線から此方へ、錆緑色のジャイアントキャバリア部隊がゆっくりと進軍してきているのを確認した。
『前方、敵機発見! 数1……?』
『たった1機で何が出来るっていうんだ?』
『こっちは集まろうと思えば約200機だぞ!』
『総員、ビーム砲、よーいっ! 撃てーッ!』
 指揮官機の号令が、貴紅へ数多の無属性ビームを浴びせてゆく!
「なんて凄まじい弾幕でしょうか……!」
 シンは閃光の魔盾<アトラント>――十字の星を重ねた形状の腕輪から、8方向に光のフィールドを形成するビームシールドでビーム弾幕を遮りつつ、スラスラー推力で射線から素早く逃れる。更に廃ビルを遮蔽物として利用し、巧みに人民軍の攻撃の手をかわしてゆく。
 廃ビルは人民軍のビーム弾幕で溶解、貴紅へ向かって倒壊してくる!
「なんですって……!?」
 いきなりのトラブル!
 点から降り注ぐ瓦礫を回避しながら、一目散で廃ビルの下敷きにならないように逃走するシン。
 次の瞬間、瓦礫と土埃を巻き上げながら、ズウゥゥン……と体の芯に響く振動音とともに廃ビル上層階が地面に落下してきた。
 これにより、一時的に戦場の視界が両者とも遮られた。
「今が好機です……!」
 この土煙に乗じて、シンは廃ビルの瓦礫から瓦礫へ飛び移って、次第に高層廃ビルの最上階にの登り詰める。
 視界が徐々にクリアになるにつれ、人民軍は奇妙な光景をシンによって見せ付けられた。
「Not here,someday,somewhere……」
 シンはユーベルコード『白銀の万華鏡(シルバー・カレイドスコープ)』を発動させると、四方の廃ビルを次々と巨大な鏡へ変換し始めた。そこに映し出されたのは、先程救助された人民軍の兵士達が『開発チーム』の手厚い待遇を受けて笑顔を咲かせている様子であった。
『父さん! 生きていたのか!』
『お前、なんでジャパニアの奴らなんかと一緒に……?』
『兄さんはどこにいるの!?』
 映像を見せ付けられた人民軍はたちまち混乱。
 これにシンがビルの上から呼び掛けた。
『彼らは無事に意識を操る悪しきマシンより救出済みです……』
 この言葉に、人民軍は困惑の声が上がる。
 無理もないだろう、自身が乗っているキャバリアが、実はオブリビオンマシンだとは知らないのだから。
『さて、貴方たちの戦う理由は何ですか?』
『こんな映像、捏造に決まってる!』
『そ、そうだ! 人民軍とジャパニアは敵! 仲良く出来るわけがない!』
『こんな映像で籠絡できると思ったか!』
 故に、目の前の真実を自ら曲解して目を背けてしまった。
 シンはコクピット内で思わず肩を竦めてしまう。
(思っていたよりも、オブリビオンマシンの呪縛が強力でしたか。怒りや憎しみが原動力のオブリビオンマシン……厄介ですね)
 シンのキャバリアは、高所に留まったままスナイパーライフルを構える。
『あくまで戦いますか。言っておきますが、これは捏造でも幻影でもありません。れっきとした現実ですよ』
『ほざけ、ジャパニアの狗が! くたばれ!』
 指揮官機と僚機が、再度ビーム弾幕を展開!
 貴紅の足元が揺らぐ!
『やむを得ません。これは正当防衛ですので』
 ゆっくり傾く高層廃ビルの上で、スナイパーライフルを連射するシン。
 その弾丸は、人民軍前衛部隊の四肢を撃ち抜き、たちどころに行動不能へ陥らせた。
『後で救助しますので、そこでおとなしくしていて下さい』
 このシンの狙撃が、第二波との激突の合図になった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
神機
どうやら第二陣…そういえば第一陣の敵討ちに燃えてるんでしたっけ

おいポンコツ!お前さっきみたいな転移できますか?
「勿論だよご主人サマ♪でも戦線離脱は勧めないよ?」
今更しねーですよ
【情報収集・視力・戦闘知識】
一章で正気に戻った人民軍の回収
事情説明して可能なら一緒に来てもらい
或いはメッセージ動画を撮

よし、それじゃ前線に転移です(UC発動、テラの戦場に

無事な人民軍の姿を見せて

「あ、ヘカテちゃんだ。あの子も乗り手を見つけたんだね」

彼女からのメッセージに

お前何が心が乙女だ!?唯の助平野郎じゃねーか!

「てへ☆」

人民軍を安全な場所に退避

【迷彩】で隠れながら
ハルペーで【二回攻撃・盗み】
機体を無力化に努め


テラ・ウィンディア
神機
どうしたヘカテー?
此処が気になるのか?(飛来する機神

敵陣を見据え
【戦闘知識】で陣形と動きを分析
特に地形も把握してどうやって分断すればいいかを解析


対カシム

ん?(突如現れた機神に気づき
ヘカテー…あれもお前の知り合い?(何故か頭を抱える気配

おや?(メルクリウスに接近

ヘカテイア
(メルクリウスの回線利用でテラに聞こえないようとカシムに
「ええと…テラには話せませんので…その人…恐ろしい程の節操無しなので気を付けて…男女関係ないですから(頭痛を堪える気配)この私も…」

話は終わったか?じゃぁいくぞ(UC発動

【見切り・第六感・残像・空中戦】で飛び回り敵陣を分断

【二回攻撃】で斬り
不殺徹底
きちんと保護だ!



 その頃、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、大挙して押し寄せてきた人民軍の第二波を前にして、界導神機『メルクリウス』のコクピットの内部で考え込んでいた。
「そういえばこの第二陣って、第一陣の敵討ちに燃えてるんでしたっけ……」
『みたいだね、ご主人サマ? 全然聞く耳持たなかったけど?』
 メルクリウスことメルキーは、雄鶏のホログラムをコクピット内部に投影させてカシムと意思疎通を行っている。
『さっきの赤と金色の派手なキャバリアの人の言うことが本当なら、あっちの第一陣のパイロットは全員無事ってことだけど……そんな事って可能なの?』
 メルクリウスがカシムに尋ねると、彼は自信たっぷりに答えた。
「今までも猟兵は、キャバリア乗りの命を奪った試しはねーですよ。勿論、僕もですけど。ん、待てよ? だとしたら、上手く説得できるかもしれない……!」
 カシムは極力戦闘を避けようと必死に頭を働かせる。
 そして、ひとつの考えに行き着いた。
「おいポンコツ! お前、さっきみたいな転移できますか?」
『勿論だよご主人サマ♪ でも戦線離脱は勧めないよ?』
「今更しねーですよ。あ、さっき交戦した人民軍のパイロット、どこへ逃げたから探知できますか?」
『チョット待ってて! えーと、はい出ました♪ 此処にいるよ!』
 メルキーはARマップに赤い点をマッピングさせた。
 カシムはすぐに操縦桿を握り直すと、その赤い点の付近へ瞬間移動した。

 廃都トッキョーの空に時空の歪が生じる。
 その中から、1機の神秘的なスーパーロボット……三界神機『ヘカテイア』が出現した。
 人民軍は突如出現した謎のキャバリアに騒然となる。
『新手の猟兵か!』
『空間から飛び出してきたぞ!』
『あんなキャバリア、見たことない……!』
 周囲の同様など知らぬ神機の操縦者ことテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は、廃都トッキョーの光景を見て首を傾げていた。
「どうしたヘカテー? 此処が気になるのか?」
『は、はい……。なんだか、懐かしい感覚が伝わってきたので……」
 ヘカテーと呼ばれた神機が返答した。
 いきなり交戦状態の戦地に乱入してしまたテラ。
 重力制御でゆっくりと機体を地上へ下ろしながら、優位の地形データとオブリビオンマシンの情報を取得して分析を急ピッチに進めていた。
「弱ったな。これは戦わざるを得ないか……」
 テラは星刃剣『グランディア』をキャバリアサイズへと巨大化させ、人民軍のオブリビオンマシンと対峙する。
『お前達、じっとしていればすぐに済む。その思想を捻じ曲げる機体から今、助けてやる』
『何が助けてやるだ? 剣を向けられて、信じられると思うか!』
 人民軍兵士の言葉に、テラは心のどこかで納得していた。
(まぁ、少なくとも救出する側もされる側も武装を解除していない時点で、信じろというのが無理というものだな)
 テラの行動を警戒し、オブリビオンマシンが一同に集結し始めている。
 こうすることで、人民軍側の機体性能が徐々に向上してゆくユーベルコードだ。
(これ以上集まられると厄介だ。早いとこ片付けるか)
 ヘカティアが人民軍へ踏み込もうとした、まさにその時だった。
 再び、廃都の空が歪み、中からメルクリウスに乗ったカシムが登場!
『あ、ヘカテちゃんだ。久しぶりー! 君も乗り手を見つけたんだね♪』
『げぇ……! そのボイスチェンジャーで無理矢理に高音へ変換したようなバ美肉おじさんボイス……。まさか、メルクリウス……!?』
『イエス、アイアム♥ えへへー、ヘカテちゃんも元気そうで何よりだよー♪』
『ええ、あなたに会うまでは確かに元気でしたよ……』
 ヘカティアの語気が途端に地の底へ落ちていった。
 乗り手のテラには、まるで相棒が頭を抱えているかのような幻視まで見えた。
『というか、あなた、封印されていたはずですよね?』
『さっき起きたばっかり! 運命の赤い糸が、私をご主人サマと引き合わせてくれたんだ♥』
『あ、どうも。僕は哀れな被害者ことシーフのカシムさんです。たすけて』
 コクピット内部から、カシムの無気力な声が会話に混じった。
 ヘカティアはカシムに短い黙祷を捧げた後、メルクリウスへ告げた。
『本当に覚醒したのですか……。そして相変わらず思考回路が意味不明ですね……。地獄へ落ちればいいのに……』
『でたー! 冥府神ジョーク! それ、すっごい久々! 懐かしいー!』
『……こっちは毎回、本気で言ってるんですけどね……』
 ヘカティアは思わず廃都の空を眺める……ような幻視を見せるほど、テラに強烈な嫌悪感を伝えてきた。
「知り合いか? ヘカテー?」
『え、ええ……。でもテラはあまり関わらないほうがいいです。教育上、よくないので……』
「……?? そうか?」
 まだ12歳のテラにとって、存在そのものがジャパニア条例違反のメルクリウスはヘカティアが一番遠ざけておきたい存在だ。
 やむなく、ヘカティアはプライベート回線でメルクリウスと接続。
 テラに内緒でカシムへ言葉を贈る。
<ええと……私のパートナーであるテラには話せませんので……。その馬鹿……恐ろしい程の節操無しなので気を付けてください……。ホント、男女関係ないですから……この私も……大昔に毒牙に遭って、苦労したので……>
 カシムもまた、ヘカテーが頭を抱える幻視が見えてしまった。
<あ、ただ、その馬鹿、無駄にやたらとテクニシャンなので……下手に許すと、取り返しのつかないことになりますよ? それでは……ご愁傷さまです……>
 回線切断。
 カシムは大きく深呼吸。
 そして怒鳴った。
「おいこらァてんめー! ぬぁにが『心はオ・ト・メ♥』だクソがぁッ! 唯の助平野郎じゃねーか! 僕、ご愁傷さまとか言われたんですが!?」
『やだなー、ご主人サマ♥ そこは“人たらしの床上手”って言ってー♪ テヘペロ☆』
「仮に1億歩譲っててめーが人たらしだとしても、機械が床上手とかあるか!」
『あれー? 私、賢者の石だから、大きさや形状をご主人サマの思い通りに変えられるんだよ? 思い出して? 私は液体金属だったでしょ? だから、頑張れば人間サイズの美少女姿にもなれちゃうかもよ?』
「……マジですか?」
 ゴクリと喉を鳴らすカシム。
『マジですよマジ。我ながらイイ仕事するよ、ご主人サマ?』
 悪い顔を浮かべるホログラム雄鶏。
『あ、でも、機能性重視っていうなら、形状はちくわでも……』
「それ以上は止せ! ヘカテーさんとやらが言ってた意味がようやく解った! てかほら、さっさと始めますよ!」
『もーご主人サマってシャイなんだから♪』
 カシムは人民軍を説得する“材料”を此処へ連れてきていた。
 ……忘れてはいけない。
 今まで、人民軍は機神とカシム達の漫談を、呆然と聞き入っているのだ。

((あいつら、一体何を言ってんだ……?))

 人民軍は虚無感に襲われ、戦闘行為すらすっかり忘れてしまっていた。
 だからこそ、カシムの次なる一手は不意打ち効果が絶大だった。
『人民軍のみなさ~ん! お仲間は無事です! ほら、ここにいますよ!』
 メルクリウスは先程からずっと、両手を重ねてドーム状を保っていた。
 その両手を開けると、中から第一波で交戦したパイロット達が手を振っているではないか!
「みんな! 目を醒ましてくれ! その機体は呪われているぞ!」
「俺達はソ・クンムに騙されてたんだ! これ以上の戦闘は無意味だ!」
「ジャパニアは俺達の身柄を保護してくれるそうだぞ!」
 映像ではなく、本人達の言葉に人民軍は心が揺らぐ。
『おいおい……お前、生きてたのか!』
『本物だ、本物の俺の弟だ……!』
『父さん……無事だったんだね!』
 どうやら、この3人に縁のある者が少なからず前衛部隊に配属されていたようだ。
 そして、カシムの思惑通り、人民軍から離反しようと動き出す者が現れた。
『さっきの映像、やっぱり本当だったのでは?』
『一度、少佐に報告すべきじゃないのか?』
『おい、騙されるな! あの3人は脅されてる可能性だってあるぞ!』
『罠だろ! それに寝返るならお前らを粛清しなければならなくなる!』
 徐々に人民軍の間で不和が広がってゆく。
 そして、信じられない行動へと人民軍は乗り出した。
『指揮官命令だ! これより、裏切り者の機体を強制合体させる! 貴様ら、最後まで人民軍として働いてもらうぞ! 光栄に思え!』
『嫌だ! 俺はみんなのところへ行くんだ!』
『やめてくれ! やっぱりこんなの間違ってるだろうが!』
『ぎゃあああーッ! 頭がおかしくなるぅッ!』
 呪縛が離反者達の精神を蝕む。
 その離反者の機体を周囲の人民軍が無理矢理合体することで、彼らはパイロットごと接収してしまったのだ。
 これにカシムはおろか、テラも怒りを顕わにした。
「ヘカテー、もう話は済んだか?」
『ええ。ですが、これは……酷すぎます……』
「そうだな! 兵士の命や絆を何だと思ってるんだ!」
 テラはヘカティアの全身を超重力フィールドで覆い、自身の闘争心を燃やすことで音速を超えた速度での飛行能力と戦闘力強化を獲得する。
 ユーベルコード『モード・グランディア』!
『全ての存在がもつ原初の力よ。我が身に宿り力と成せ……! その者たちを家族や友人の元へ返してもらうか!』
 立ち並ぶ廃ビル群の隙間を、ヘカティアが駆け抜けてゆく。
 超重力フィールドが周囲の建物や地形を歪ませ、薙ぎ倒しながら敵軍へ数秒足らずで肉薄すると、星刃剣『グランディア』をW字に振るってみせた。
 密集するオブリビオンの手脚が一瞬で断ち切られ、その胴体部だけが周囲に転がった。
『今だ! あのデカブツをやれ!』
『合点ですよ!』
 カシムはメルクリウスの転移能力……ユーベルコードである戦術転移機構『旅人の神』を用いてヘカティアの横へ瞬時に並び立つと、BX鎌剣『ハルペー』を下段に構えた。
 目の前から、巨大化した合体オブリビオンマシンの3連続攻撃がメルクリウスに迫る!
「メルシー! やってやりましょう!」
『絶対に助け出そうね、ご主人サマ!』
 人機一体の斬撃が巨大オブリビオンマシンを逆袈裟に切り裂き、振り下ろされた腕をそのまま勢いよく刎ね飛ばした!
 だがもう片方の腕がメルクリウスのコクピットを潰さんと突き出される。
「「うおおおおぉぉーッ!!」」
 それにカシムはメルクリウスを半身捩って回避してみせ、カウンターの袈裟斬り!
『そこでおとなしく寝てやがれです!』
 放たれた一撃は巨大オブリビオンマシンの首を刎ねてメインカメラを破壊!
 ジャイアントキャバリアの体液が噴水のように飛び散ると、ようやく敵機は沈黙した。
『こっちもこれで……終わりだ!』
 街並みを活用したテラは、前衛部隊を袋小路へ追い詰め、超重力フィールドでオブリビオンマシンを抑え込んでいた。
 2人の活躍によって、多くの人民軍の兵士達がオブリビオンマシンから脱出し、呪縛から解けた者たちはようやく猟兵達の伝えた事実が本当だったことを理解したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
ふう、私とした事が年甲斐もなくはしゃぎ過ぎちゃったわ
気を取り直して二回戦目行ってみましょう

今回もイカルガで出発よ
持ち前のスピードでビームの洗礼をヒラリと避けて直接組み付いちゃいましょう
もしもし、聞こえますか?今直接回線で語りかけています…
殺る気満々のところ悪いんだけれど第一陣の面々は殆ど生きてるわよ?
信じる信じないはご自由に
でもあなた達の指揮官も酷いわよね
第一陣は兄弟家族や恋人ばっかりだったんでしょう?
むしろ人質を取ってたのはそっちの人事担当の方なんじゃない?
そうこう言ってる間に機巧感染でOSを破壊してブルスクさせるわ
悪い事は言わないから投降なさい
その方がお互い手間が省けるでしょう?


リリウム・マーセナリー
※アドリブ・連携歓迎

「……成程、大型機ですか」
確かに大きな機体は装甲を厚くしやすく、火力を高め易い。威圧効果もあり、戦場に於いては脅威となります。ですが――。

「――その分、足回りは脆弱ですね」
地の利を得る(選択UC)べく、【目立たない】場所を幾つか見繕い、敵機の足を狙いレーザーライフルで狙撃(スナイパー)します。少なからず、友軍の【援護射撃】となる筈。

「全機、コックピットは外してあります。第一波も含めて、です」

言葉を聞き入れるかはわかりませんが、呼びかけつつコックピット以外を狙い続けます。


リューイン・ランサード
今度は密集隊形ですか。
それだと弩羅轟えもんに乗り込んで操縦する方が良いですね。

相手に向かって「貴方達の仲間は全員無事です。なので、これ以上の侵攻は止めて投降して下さい。問題解決したら全員解放しますので。」と説得して戦意を削ぐ。

戦いにはなるだろうから、空中戦・推力移動(殲禍炎剣の攻撃を受けない高度・スピード)で移動し、ビル群を身を隠す盾に利用して行動。
相手のビームは第六感・見切りで躱したり、ビームシールド盾受けで防ぐ。

ダブルビームライフルの砲撃・2回攻撃・貫通攻撃・スナイパーでパイロットに当てない様に密集隊形を端から削っていく。
完全に集まった状態になればUC使ってピンポイントで機体のみ破壊する。



 桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)は純白のキャバリア『イカルガ』のコクピットで深呼吸をした。
「ふう、私とした事が年甲斐もなくはしゃぎ過ぎちゃったわ。気を取り直して二回戦目、行ってみましょう」
 オブリビオンマシンの前衛部隊は壊滅した。
 だがまだまだ人民軍は密集陣形で押し寄せてくる。
「今度は密集隊形ですか。それだと弩羅轟えもんに乗り込んで操縦する方が良いですね」
 リューイン・ランサード(竜の雛・f13950)は竜の翼を羽撃かせ、相棒であるドラゴニアン型スーパーロボット『弩羅轟えもん』のコックピットへ乗り込んだ。
『おかえり、リューイン君。さあ、一緒に頑張ろう!』
 弩羅轟えもんがリューインを激励すると、自身の体を浮かせて飛翔を開始。ちょうど他のキャバリアの頭一つ分くらいの高度を保ちながら、ゆっくりとホバリングする。あまり高度と速度を上げると、暴走衛星の攻撃対象に認識されてしまうため、最新の注意をはらいながらの空中戦だ。
「ジャイアントキャバリア……大型機、ですか?」
 リリウム・マーセナリー(白百合の傭兵/ホワイトアウト・f29990)は白と灰色のカラーリングのキャバリア『ホワイトアウト』のカメラアイから、人民軍のオブリビオンマシン『修復型マグゥルMk10』を視認して首を傾げた。
「その割には特段大きいわけではありませんね……?」
 ジャイアントキャバリアは、プラントから異常産出された『脳髄のない巨人』に装甲を纏わせて人為的に稼働させるキャバリアの総称。リリウムは世間知らずのためか、少しジャイアントキャバリアという存在を誤認しているようだ。
「とはいえ確かに、集団陣形は軍全体の装甲を厚くしやすく、火力を高め易い。威圧効果もあり、戦場に於いては脅威となります。ですが――」
 リリウムは至って冷静にRS-LRL/L-067[W]ロングレンジレーザーライフルを担いで身構える。
「――その分、足回りは脆弱ですね」
 リリウムはすぐさま廃ビルの影へ機体を滑り込ませた。
 空中を漂う弩羅轟えもんもそれに習って廃ビルを盾にすれば、桐嶋のイカルガもまた十字路を左折して建物の影に機体を屈めた。
 途端、高密度のビーム弾幕が、街に立ち並ぶ廃ビル群を次々と撃ち抜き、倒壊させてゆく!
 爆炎とガラス破片と瓦礫が廃都の空に舞い上がり、もうもうと土煙が充満して視界を遮る。
(この状況……好機!)
 まず動いたのはリリウムだった。敵より戦術的に有利な地形にいる今、彼女の行動はユーベルコード『アドバンテージ・アンサー』によって、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
(EP-RU-067[W]/J背部換装型レーダーユニットで、この視界の悪さでも敵機の位置を把握……)
 そのまま狙撃手の勘を働かせ、ホワイトアウトは土煙の中へレーザー弾を発射!
 一条の光線が戦場を穿けば、オブリビオン数機の脚部関節を見事に撃ち抜いてみせた。
(これで敵機の動きは鈍りました。あとは移動して、狙撃を繰り返しましょう)
 狙撃位置を変えるため、EP-SMB-063[W]隠密型高出力ブースタ――騒音や光を抑えた独自設計の高出力ブースタを駆動させ、素早く戦場を駆け抜けてゆくホワイトアウト。
「今の銃撃に合わせますよ!」
 弩羅轟えもんを操縦するリューインもまた、敵陣に空から突っ込んでゆく。
 空中機動やフローティング・ビームシールドによって被弾を抑え、上空からダブルビームライフルで密集陣形の端から削り落としてゆく。
「まずは集まりきれていない機体から無力化します……」
 リリウム同様、オブリビオンマシンの脚部を狙い、その場に釘付けにする作戦だ。
 だが、それでも大部分が一箇所に密集し、人民軍の戦闘力が向上していってしまう。
<私が出るわ。イカルガの持ち前のスピード性能、見せてあげる>
 土煙が収まり、両陣営の視界が晴れた。
 途端、矢の如き勢いで急接近してくるイカルガ!
 機体をプロテクトフィールドで身を包みながらも、ビーム弾幕の軌道を読み切って回避行動をするあたり、桐嶋技研の技術力の高さがイカルガに現れていると言えよう。
 そのままイカルガはビームソードを振り上げ、敵機のビーム砲であるオブリビオンマシンの両腕を切り捨ててゆく。
 ある程度の数を斬り刻むと、無力化したオブリビオンマシンへ組み付くイカルガ。
 桐嶋は目の前のオブリビオンマシンの通信周波数をたちまり特定すると、いきなり回線に割り込んできた。
<もしもし、聞こえますか? 今、私は直接、貴方達の回線で語りかけています……>
<猟兵が我々の通信網に侵入してきただと?>
<機体のファイアウォールはどうしたッ? すぐさま遮断しろ!>
<駄目です、遮断できません!>
 人民軍は突然の事に右往左往するばかり。
 だが桐嶋は気にせずに目的を果たすべく行動を進める。
<殺る気満々のところ悪いんだけれど第一陣の面々は殆ど生きてるわよ? 信じる信じないはご自由に>
<……私もいいでしょうか?>
 リリウムもジャミング技能を応用し、人民軍の通信網へ侵入してきた。
<全機、コックピットは外してあります。第一波も含めて、です。故に、パイロット達は誰一人、死傷者はいません。これは事実です……>
<貴方達の仲間は全員無事です。なので、これ以上の侵攻は止めて投降して下さい。問題解決したら全員解放しますので……>
 リューインもハッキングで人民軍の回線に割り込んできた。
 猟兵達の言葉に、人民軍は攻撃を止め、困惑した様子でオブリビオンマシンの動きを止めた。
<本当に……皆、無事なのか?>
<お前たちは誰も殺していない、そう言うのか?>
<ええ。信じる信じないはご自由に>
 桐嶋がはっきりと断言した。
 そのまま人民軍へ憐憫の言葉を投げ掛ける。
<でもあなた達の指揮官も酷いわよね。第一陣は兄弟家族や恋人ばっかりだったんでしょう? それって作為的な編成な気がするんだけども? むしろ人質を取ってたのはそっちの人事担当の方なんじゃない?>
 桐嶋の言葉に、前衛部隊同様、自ら投降する人民軍兵士が出現し始めた。
<俺はあんたを信じてみる。身柄の保護を頼む>
<おい、馬鹿! こんなの、敵の奸計に決まってる!>
<妹が行きてるかもしれないと分かった今、ここで俺が戦う理由はなくなった!>
 ホワイトアウトに脚部を損傷させられたため、投降した兵士達はその場でオブリビオンマシンの活動を完全停止させた。
 残る人民軍は、裏切り者を粛清すべく、猟兵もろともビームを発射せんと身構えた。
 だが、途端に機体OSにエラーが発生!
 アラートが鳴り響く人民軍のコクピット内部はパニック続出だ!
<これに感染したら最後、生かすも殺すも私次第よ>
 桐嶋はユーベルコード『蝕む機巧感染』によってオブリビオンマシンに浸透させたナノマシンを使って、人民軍の通信網を介してブラウザクラッシュを密かに進めていたのだ。
<気付いたときにはブルースクリーンよ。もうその巨人達は暴走も起動もしないわよ……って、通信網もダウンしたわね>
 急激に感染拡大してゆくユーベルコードの効果を前に、人民軍は為す術なくシステムダウンさせられてゆく。
 だがかろうじてまだ動ける部隊が、リューイン目掛けて突貫してきた!
『地対空ビームで撃ち落せ!』
『『ターフォウ! ターフォウ! ターフォウ!』』
 空中を舞う弩羅轟えもんがビーム弾幕を避けながら、機体の両手に魔力を込めるリューイン。
「――全てを斬り裂け」
 ぼそっと小声で詠唱をつぶやいた瞬間、機体の手刀が振り抜いた場所に次元の断裂が発生!
 その断裂に巻き込まれたオブリビオンマシンは、オーバーフレームとアンダーフレームを二分割にされて沈黙していった。
 当然、コクピットは外して攻撃しているので人民軍のパイロット達は誰一人として死傷者は出なかった。
 人民軍は本当に無傷で機体の無力化を成功させた猟兵達の技量を素直に称賛し、オブリビオンマシンの呪縛の怖さを思い知ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミフェット・マザーグース
保護しているコリファの兵士のヒトたちに面会をお願いするよ
お願いするのは、彼らの無事を伝えるメッセージ
事情を説明してそれを通信チャンネルで流すと説明するね

ミフェットは、あなたたちの戦争のことは分からない
けど、オブリビオンマシンのことは知ってる
あなた達も知ったはず
今それに乗せられているのは、あなた達が守るはずだったヒトたち
そのヒトたちを止める、手伝いをして欲しい

戦場では後方で通信機能の維持に務めるよ
同じ目的の猟兵さんがいたら、邪魔をしないように協力!

UC【情報分析機能】
捕虜のヒトたちから〈コミュ力・情報収集〉、敵の残骸から〈ハッキング〉
敵の通信チャンネルを多く把握して受け取ったメッセージを流すね


ノインツィヒ・アリスズナンバー
うわなんかすっげえヤバいことになってる。
殺意がガンギマリじゃん。まずはみんな一旦冷静になろ?
なりませんよね知ってた。

まあまずはお話しのテーブルに着くために、頭を冷やしてもらおうかな。
武装を放棄してまずはこちら側に攻撃する意思はない事をアピール。
んでも意思を捻じ曲げられてるなら来るだろうし、攻撃のカウンターでUCを発動して敵意と兵器を封じて冷静になってもらおう。
そして保護した人たちの元に案内するよ。ほら、みんな無事ですよ。

ホントにヤダねえオブリビオンマシンは。
何時までたっても戦乱が終わらない訳だわ。
ま、安心して。敵将の首はとらんしマシンを壊すだけだから。


箒星・仄々
大事な方々を失う怒りや悲しみを
利用されているとはお可哀そうに
お助けしましょう

説得
開発チームの方々へ依頼
敵機の周波数に割り込んで
或いはマシンのスピーカーから
第一波の方々から呼びかけてもらいましょう

敵機モニターに姿を映せると
更にいいですね

生きていた大切な方々からの呼びかけは
激情を弱めたり
敵機支配を減じて隙を生むはず
そこに畳みかけましょう

予め自分とランさんをぺろ

ランさんに騎乗
摩擦抵抗減じて
宙を高速で泳ぎ突撃

つるっと受け流して防御
掴めませんよ?

ランさん突貫の隙に飛び降り
取りついた敵機をペロして合体解除
更に内部機構も部品にバラして
パイロットさん救出

もう大丈夫ですよ

終幕
マシンさん方へ鎮魂の調べ


ティー・アラベリア
おやおや、早とちりはいけませんね♪
せっかく色々と……えぇ、とても色々と我慢して助けて差し上げたのに、それが伝わっていないのは嘆かわしいことです

という訳で捕虜の皆様の無事を伝えて差し上げましょう☆
いつもの通り熱光学迷彩を展開して姿を隠し、探信犧で索敵した敵を細い路地で待ち伏せる事に致します
通りかかったタイミングで敵の機体に取り付き、指揮通信機構を使用して強引に敵の回線を乗っ取りましょう
回線を拝借したタイミングで味方に合図し、捕虜の皆様の声を通信に乗せていただき、指揮通信機構を使用しその音声を敵通信網に中継致します
それでもなお暴れたい方には……ちょっとぐらい、お仕置きしてもよろしいですよね☆



 猟兵達の働きかけにより、人民軍の戦力は徐々に無力化されていった。
 それでも、後詰の戦力は、その知らせに強く憤る。
『きっとジャパニア側に脅迫されてるんだ!』
『誇り高き人民軍が簡単に投降するものか!』
 憤怒と怨恨の念がオブリビオンマシン同士で増幅され、人民軍はドス黒いオーラで包まれ始めていた。
 それを眺めるノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)は、押し寄せてくる負の感情に眉をひそめてしまった。
『うわなんかすっげえヤバいことになってる。殺意がガンギマリじゃん』
 専用機イドラのコクピット内部へも伝わる圧倒的な憎悪。
 ノインツィヒは外部スピーカーから人民軍へ呼び掛けた。
『おーい、みんなー! まずはみんな一旦冷静になろ? 私ちゃんからと~っても大事なお知らせが……』
『ノイン、あぶない!』
 その時、後方でバックアップに控えていたミフェット・マザーグース(沼の歌声・f09867)の量産機キャバリアから警告が発せられた。
 イドラは殺到するビーム弾幕の軌道から慌てて左へ横っ飛びで回避!
 間一髪であった!
『ですよねー、なりませんよね知ってた。ミフェットちゃん、ありがと☆』
『ううん、ミフェットは戦えないけど、これくらいなら……! まにあってよかったよ!』
「ミフェットさんが戻ってきたということは、保護された人民軍の皆さんと接触出来たのですね?」
『うん! みんな元気でよかったよ!』
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は空中を遊泳する雌のメカジキのランさんに跨りながら、ミフェットの量産機を振り返った。
 その言葉通り、ミフェットは後方のベースキャンプに移送された人民軍の兵士達と面会してきていたのだ。
「それはそれは、何よりでございます♪ ボクと箒星様が頼んだ『お仕事』も、無事に済みましたか?」
 ティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)はメイド服の裾をスラスター噴射の勢いになびかせながら、箒星の横でホバリングしていた。
 これにミフェットは明るい声を返した。
『バッチリだったよ! みんな、喜んで協力してくれるって!』
「それは重畳重畳♪ あとは、あちらの方々に分からせなければなりませんね?」
 錆緑色のジャイアントキャバリアの軍勢を見据え、ティーは浮遊する各種魔杖を一箇所に集めた。すると、なんとゆっくりと地面へ置いてみせたではないか。
「お初にお目にかかります、皆様? ボクはこの通り、奉仕人形のメイドでございます♪ 今、こうやって武器を手放したのは他ならぬ意図がございます。ボク達は人民軍を決して殺傷したりしません」
 ホバリングしながらカーテシーするティーの顔が若干引きつっている。
 内心、敵軍のド真ん中に爆縮魔法弾をぶち込みたい衝動に突き動かされているわけだが、それを喉元でぐっと飲み込んで、背いっぱいの笑顔を人民軍へ向けているのだ。
『こういうこった。今まで押し寄せてきた人民軍のみんなは、ジャパニアのベースキャンプで保護されてるから安心しな』
 ノインツィヒもイドラの武装を解除し、ゆっくりと地面においた。イドラの両腕を上げさせ、敵意はないとジェスチャーで示す。
「大事な方々を失う怒りや悲しみを利用されているとは、お可哀そうに。私達が皆様をお助けしましょう」
 箒星も、腰元の細剣を地面に投げ捨て、ランさんの上で両手を掲げた。
『ミフェットは、あなたたちの戦争のことは分からない。けど、オブリビオンマシンのことは知ってる。その怒りや悲しみは、本当に貴方のものなの?』
 皆に習って量産機の両腕を掲げるミフェット。彼女の機体にはもともと武装はなく、レーダーやドローン用のアンテナが載積されていた。
 猟兵達の行動に、人民軍にどよめきが広がる。
『なんだ、こいつら? 何が目的だ?』
『総員、その場で待機! 攻撃態勢のまま休め!』
『ジャパニアの狗め、私達を馬鹿にするつもりか!』
 人民軍の散々な言い様に、ティーは凝り固まった笑顔のまま言葉を漏らす。
「おやおや、早とちりはいけませんね♪ せっかく色々と……えぇ、とても色々と我慢して助けて差し上げたのに、それが伝わっていないのは嘆かわしいことです」
『本当に、みんな無事だよ! ミフェットたちのおはなしをきいて!』
 ミフェットの訴えも、オブリビオンマシンの呪詛に囚われた人民軍の心へはなかなか響かない。
 遂に、埒が明かないと判断したノインツィヒが動いた。
『まあまずはお話しのテーブルに着くために、頭を冷やしてもらおうかな。みんな、私が84秒だけ時間を稼ぐから、その間にアレ頼むわ』
 ノインツィヒはコクピット内で深呼吸をすると、自身の歌声を廃墟の都へ響かせ始めた。

 ♪すれ違う心 解り合えない感情
 ♪でもそれが全て 偽物だとしたら
 ♪お願い 私の言葉を聞いて
 ♪そのビームで撃ち抜いたって
 ♪何も解決できやしないよ
 ♪だからこの歌を この場の平和の為に捧げます――!

 ノインツィヒのユーベルコード『命を賭けた平和の歌(レクイエム)』……彼女の命懸けの歌声は、この戦場に存在する全ての敵意と攻撃行動を無力化する。
 猟兵たちの攻撃も無効化させてしまうが、はじめから猟兵達は人民軍を攻撃するつもりなんてなかった。
 ノインツィヒの実力では、84秒間が生死の境目となる。
 故に、箒星が、ミフェットが、ティーが、人民軍へ思いを届けるべく行動を開始する。
『入力、入力、入力、検索、検索、抽出、検索、分類、除外、解析、除外、解析、除外、一致、解析、解析、解析、検出、介入、維持、接続……みんな、いつでもだいじょうぶ!』
 ミフェットはカナズチで殴られるような頭痛に耐えながら、ユーベルコードによって高次元の情報処理を行うことでオブリビオンマシンの通信回線を一時的に完全掌握してみせた。
(他の猟兵のみんなが破壊した、あのジャイアントキャバリアの残骸があったから、解析はスムーズに行けたよ……!)
 まずはミフェットが作戦の下地を整えた。
 次に、ティーが熱光学迷彩を展開して姿を隠し、廃ビルの迷路に隠れて人民軍を惑わす。
 その間に箒星がランさんの身体を丁寧に舐め回し、自身の体も舐め回し始めた。
「ではランさん、参りましょう。このアンテナを指揮官機に突き刺すのですよ」
 箒星がピチピチと跳ねるランさんを上手く乗りこなしつつ、ジャイアントキャバリアの機体の海を泳いでみせる。
 ユーベルコード『猫の毛づくろい』によって摩擦抵抗が極限までなくなったメカジキボディは空気抵抗も減らし、オブリビオンマシンの装甲の上をツルッと滑って更に加速してゆく。
 そのままアンテナを指揮官機の機体の頭にグサッと突き刺して通過してゆく!
 これは攻撃でないので、ノインツィヒのユーベルコードには引っ掛からない!
 更に、廃ビルの物陰からティーが各種探信犧を駆使して電波を傍受。
 それを指揮官機のアンテナへ送り込むべく、後ろからティーが忍び寄った。
「ミフェットさんがいると、ボクが楽できていいですね♪ では、お願いします!」
『うん、いっくよー!』
 ミフェットがARキーボードを高速タイピングすれば、残存するオブリビオンマシンのモニターへ、一斉にとある場所が映し出された。
 その光景に、人民軍が目を疑ってしまう。
『お、おい! 曹長じゃないか、あれ?』
『兄さん!? 笑って飯食ってる場合じゃないだろ!』
『そいつはジャパニアの兵士じゃないか! なんで馴れ合ってんだ?』
 突如、回線に割り込んできた映像は、ジャパニアのベースキャンプに保護されている人民軍兵士達がくつろぐ様子であった。
『あ、おい! 繋がったぞ!』
 ひとりの人民軍の兵士が、カメラを指差して叫んだ。
 どうやらライブ配信のようだ。
『聞こえるか? 見えてるか? 俺達は無事だ!』
『いいか、落ち着いて聞いてくれ! この戦いは仕組まれたものだったんだ!』
『全ては少佐の乗るオブリビオンマシンが元凶だったのよ。私達のキャバリアまでオブリビオンマシンに変えられて、私達の精神は歪められてしまっていたの』
『この戦いにもう意味はない! 猟兵達はマシンだけを破壊して、俺達を助けてくれたんだ!』
『此処には十分な水と食料がある。罠ではない。ジャパニアの者たちは、我等を受け入れてくれた……』
『お願い、猟兵の皆さんを信じてあげて下さい。私、小さな女の子の猟兵さんに言われたの。……オブリビオンマシンが恐ろしいものだって、あなた達も知ったはず。今それに乗せられているのは、あなた達が守るはずだったヒトたち。そのヒトたちを止める、手伝いをしてほしい……って』
 それは、ミフェットがベースキャンプに戻った際、面会した人民軍の女性兵に告げた言葉であった。
 ミフェットは開発チームの面々に頼み、人民軍の面々と戦場をライブ配信できる設備を整えてもらっていたのだ。
 これはノインツィヒ、箒星、そしてティーも似たような事を考えていた。
 だから、歌でノインツィヒは一時的に戦闘を封鎖し、その隙に箒星とティーが戦場側の配信設備を(通信設備が一番整ってると思しき)指揮官機へ設置し、仕上げに未フェットがその通信回線を完全掌握して実現させたのだ。
 もはやこれは奇跡と言うべき所業。
 猟兵たちの不殺の想いが結実した結果と言えよう。
 これによって人民軍の兵士達は、オブリビオンマシンの呪縛を、自らの感情で跳ね除け始めた。
『俺は降りる! 戦う理由はもうないからな!』
『私も止めたわ! 猟兵達は信用できるもの!』
『僕も……もう戦いたくない……』
『アタシも!』
『オラもだ!』
 次々と自らコクピットを降り、ジャパニアへ投降してゆく人民軍の兵士達。
 だが、ここでノインツィヒが限界を迎えてしまった。
『――っぶねぇ! あと1秒で死ぬとこだった!』
『ノイン、だいじょうぶ!?』
『……あ、ああ。ミフェットちゃん、心配してくれてありがとな?』
『声が辛そう……。あとでミフェットユーベルコードで治してあげるから! 無理しないで!』
『はは……そいつは助かるわ。でも、ちょっと分からず屋をぶん殴ってからにしてもらえるか?』
 イドラのカメラアイが、指揮官機を見据えていた。
『……フザケルナ! ワタシハ! サイゴマデ タタカウ!』
 部隊の指揮官だけは、オブリビオンマシンの狂気に飲まれかかって、投降を拒否したのだ。
「アハハ! 指揮官様ったら、呪詛と狂気に飲まれて自我が崩壊しかけてますね?」
 ティーは待ってましたと言わんばかりに凶悪な笑みを、その顔に浮かび上がらせる。
 地面においてあった魔杖が、まるで意思を持ったかの如く、ティーに向かって飛来してきた。
「指揮官さんの救助は私に任せ下さい。ノインさん、いけますか?」
『あたりめーだっつーの……! この無敵最強カワイイ私ちゃんが負けるわけないじゃん?』
 箒星の呼び掛けに、ノインツィヒが即答。
 そして彼女は指揮官へ問い掛けた。
『なあ、指揮官さんよぉ……。みんな、無事だったんだからいいじゃねえか。そんなにあんたはジャパニアが嫌いかい?」
『ジャパニア ハ ソコク ノ テキ ダ!!!』
『はぁ……ホントにヤダねえオブリビオンマシンは。これじゃ何時まで経っても戦乱が終わらない訳だわ』
 イドラが廃墟を駆け抜ける。
 指揮官機が浴びせるビームを廃ビルを盾にしながらジグザグに突き進み、あっという間にイドラが肉薄してくる。
『ま、安心して。敵将(あんた)の首はとらんし、私ちゃんはマシンを壊すだけだか……らッ!』
 指揮官機の長い腕をイドラが掴むと、そのまま跳腰で投げ飛ばす!
『背負投えぇぇぇえーッ!』
 投げ飛ばされたオブリビオンマシンは、廃都の中心にそびえる巨大なスゴイタカイスカイタワーの根本に激突して頭から突き刺さった!
「今です、ランさん!」
 箒星がメカジキを突っ込ませ、その口吻の突起がオブリビオンマシンのオーバーフレームを引っ掛けて剥ぎ取ってしまった。
「では、参りますよ~!」
 箒星は顔を前に突き出したかと思えば、オブリビオンマシンの全体をくまなくペロペロ舐め始めたのだ。
 途端、オブリビオンマシンの接合部……ネジやジョイント部分といった“摩擦で止められている箇所”がポロポロと剥がれ落ちてゆく!
 ユーベルコードで摩擦が零に近くなったため、締められていたネジや結合部分がすっぽ抜けてゆく!
 すると、コクピットが剥き出しになり、そこも丁寧に舐め取れば、あっという間にオブリビオンマシンが半壊した状態で指揮官を引っ張り上げる。
「う、うぅ……。本官は、いったい、なにを……?」
「おはようございます、指揮官さん。此処は危険ですので、ランさんの尻尾に捕まってくださいね?」
 箒星の申し出に、指揮官が虚無の表情になった。
「ナンデ? メカジキ、ナンデ、ソラトブ?」
「いいから、行きますよ~」
 ばびゅーんっと指揮官を連れてその場から離脱する箒星と指揮官。
「さてさて☆ 残るは元凶のオブリビオンマシンのみですね? ちょっと威嚇ついでに、あの指揮官機をお掃除しましょう♪」
 ティーが握ったのは90式爆縮破砕型魔杖。
 その杖先に膨大な魔力を圧縮・充填してゆけば、核融合による強烈な熱と輝きが火球となって一点に凝縮されてゆく……!
「ええと、ソ・クンム少佐でしたっけ? 貴方も操られているのでしょうけど、それにしてもこれは流石に看過できません☆」
 ティーの目の前に真っ赤な紋様で描かれた魔法陣が出現する!
「ですので、貴方様は死なない程度にボクが痛めつけてあげますので、覚悟していてくださいね♪ では、わーっとやって、ぎゅーってカンジですね! 大体わかりました☆」
 魔杖の先から、限界まで凝縮された魔法弾と共にオブリビオンマシンのビームを模した光線が、半壊したオブリビオンマシンへ発射された。
「即席相殺魔術(インスタント・カウンターマジック)と爆縮魔弾の合せ技です☆ あ、皆様、全力で退避してくださいませ! 巻き添え注意でございます!」
 猟兵達が慌てて逃げてゆく背後に……この世の終わりかと見紛うほどの光の洪水が爆心地から解き放たれ、一瞬で数千度まで熱せられた空気は字強烈な上昇気流を発生させ、そびえる巨大なスゴイタカイスカイタワーはオブリビオンマシンもろとも爆縮の衝撃と超高温によって一瞬で粉砕蒸発し、廃都トッキョーの空には真っ白なキノコ雲が立ち昇ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『復元型バルムングMk11』

POW   :    其ノ名ハ救世主
【理を超越した救世主形態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    黄昏狼ノ咆哮
【強烈な格闘攻撃と一定回数復活する自爆攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    勇敢ナル騎士達
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【人型無人戦闘機と強化した自身の武装】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ユーノ・ディエールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 廃都トッキョーの空1万mに立ち上る巨大なキノコ雲。
 それはコリファ人民軍少佐のソ・クンムも、プラント施設から確認していた。

「……ジャパニアめ。あのような兵器を隠し持っていたとは!」

 ソ少佐は怒りに震えながら、復元型バルムングMk11に乗り込んだ。

「だが、ここなら私は無限の補給を受けることが出来る! ジャパニアもプラント施設を破壊することなど出来まい!」

 プラント施設は遺失技術の産物だ。
 もう二度と再建できないため、各国は破壊できないのだ。

「もはや私一人だけでも十分だ! さあ、来い! ジャパニアの飼い犬の猟兵とやら! この発掘された古代魔術王国産の“救世主願望成就機体”があれば、私は真の英雄になれるのだから、負けるはずがない!!!!」

 復元型バルムングMk11は、登場者の救世主願望をエネルギーとして稼働する機体のようだ。だが、行き過ぎた願望は呪詛と同義だ。その願望は人間の常軌を逸し、オブリビオンへと落としてしまう。
 ソ少佐もまた、このオブリビオンマシンの猛毒に冒された被害者であった。

 猟兵達よ、救世主を名乗るオブリビオンマシンを撃破し、今こそジャパニアの首都トッキョーを取り戻す契機を掴み取るのだ!
数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。


ユノフェリア・ソーダライツ(サポート)
・おまかせ/アドリブ大歓迎

『そう、了解。
Initiating the operation.』

名:ユノフェリア・ソーダライツ(愛称:ユノ) 
種族:アンサーヒューマン
年齢:6歳 
髪:裏が水色
オブリビオンマシン×クロムキャバリア

黒蒼色のオブリビオンマシン:フェンリル
真白のクロムキャバリア:フリーン

口調「淡々と/女性的(私、~殿、言い捨て)」

戦闘中「ほぼ無口/男性的(自分、お前、呼び捨て、言い捨て)」

自身は主に銃と素早さ重視の体術を使用。

頭が良すぎる為にしばしば秒単位で思考し自己完結のち色々とすっ飛ばし行動する。

怪我は厭わず積極的かつ戦略的に行動。
他猟兵に迷惑をかける行為は不要ならしない。

※お色気NG



 カスタマイズドキャバリア“JD-Overed”……赤と黒のカラーリングが映える重厚なサイキックキャバリアがプラント施設に転送されてきた。
<何やらキナ臭い状況だって聞いて駆け付けてみれば、なるほどねぇ? プラント施設を独り占めってわけかい?>
 操縦者の数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)はOveredのカメラアイから、オブリビオンマシン『復元型バルムングMk11』を視認した。
 同時に転送されてきた若干6歳のユノフェリア・ソーダライツ(アンサーヒューマンのオブリビオンマシン・f30068)もまた、アンサーヒューマンの瞬間思考能力をもって瞬時に戦況を把握した。
<敵機はプラント施設を背後に、此方の重火器重火器の制限を強いてくる。近接戦闘が推奨される>
 操縦する黒蒼色のオブリビオンマシンのフェンリルは、人形態から狼形態へ姿を変えた。
<これで敵機より敏捷性が向上し、戦術的有利を獲得。ユーベルコードの発動条件を満たした>
<つまり、考えるより先に動けってね! いいね、そういうのアタシは嫌いじゃないよ!>
 数宮のOveredのローラーダッシュ機構がアスファルトの摩擦音を立てながら駆動を開始。
 巨体をフォーミュラーカーめいた高速で疾走させ、ソ少佐の機体へ突撃してゆく!
 左腕部に取り付けられた手甲型アタッチメント『RX-JDサイオニッククロー』の爪に、数宮のサイキックエナジーが宿る。
『少佐さんよ、アンタはこのジャパニアを侵略して何を成し遂げたかったんだい? 自国の兵士達にも愛想を尽かされて、隣国に迷惑をかけて、それでも求めるものは何なのさ!』
 外部スピーカーでソ少佐へ呼びかける数宮。
 これに少佐が即答した。
『祖国の繁栄だ! プラント奪取が叶えば、祖国10億人の食糧難が少しでも改善されるはずだ!』
 少佐にも愛国心があった。それを数宮は知れただけで十分だった。
『つまりアンタは、やっぱりオブリビオンマシンにそそのかされただけのオッサンってことか』
『何を抜かすか、小娘の分際で! 私は祖国の救世主になるのだ!』
 ソ少佐の機体が数宮のOveredの懐へ肉薄すると、突如、閃光を放って自爆した!
『うおォッ!?』
 間一髪!
 Overedの腕をユノフェリアの狼形態のオブリビオンマシンが加えて引っ張っていったおかげで、自爆に巻き込まれずに済んだ。
<助かった! ありがとさん! なかなか良い機体だねぇ?>
<ありがとう。でもほら、敵機はまだ沈黙してない>
 コクピット内で青色のインナカラーが映える紫色のボブカットヘアを揺らしながら、ユノフェリアは桃と藍の両目で敵を見据える。
『ははははは! この機体は自爆しても瞬時に復活する!』
 すぐさまOveredを狙って少尉の機体が突っ込んできた!
<自爆のタイミングはなんとなく分かった! だったらこっちは中の少佐を止めるかねぇ?>
<出来るの?>
 ユノフェリアの問に数宮は答えた。
<そいつを可能にするのが猟兵で、騎兵団〈渡り禽〉さね!>
『RX-JDサイオニッククロー』に生体電流が流れる。
 そのまま正面から少佐と激突する!
『目を醒ましやがれ! アンタのお国事情が深刻なんだろうけど、お隣さんの物を奪っていい理屈にはならないよ!』
『黙れ黙れ黙れ! 盗んででも奪ってでも! 民を飢え殺すわけにはいかないのだ!』
『そうかい! ならそこで痺れてな!』
 ソ少佐の機体のパンチにクロスカウンターで突き出すサイオニッククロー!
 そこからは放たれた生体電流がオブリビオンマシンを駆け巡り、コクピット内のソ少佐の全身を麻痺させる!
「ぐわッ……! し、痺れて、自爆が……!」
<足止め、感謝。ここからは自分にお任せを>
 ユノフェリアは狼形態のまま少佐の機体を突き飛ばした!
『アドバンテージ・アンサー。今のフェンリルの命中率・回避率・ダメージは3倍。この俊敏性と操縦者の麻痺により、自分の戦術的有利は明らか』
『くぅ……ッ! まだだ、まだ終わらない!』
 ソ少佐はプラント施設から人型無人戦闘機を飛ばし、更に自身の武装――対キャバリアビームショットガンの出力向上を図る。
 人型無人戦闘機の数は900機に届く勢いまで増え続け、ビームショットガンと合わせて凄まじい面制圧力を発揮してくる。
 だが、それでもユノフェリアは冷静だ。
(密集陣形……防御力と火力は優れても、素早い攻撃には対応できないはず)
 故に、戦術的有利は揺るがない!
<敵の攻撃は恐らく無差別。退避を推奨する>
<お、おう? 分かった。そっちも気をつけておくれよ?>
<了解>
 数宮が退避してゆく。
 それを追撃しようと、幾何学模様を描きながら襲ってくる人型無人戦闘機部隊。
 だが、これをフェンリルが横から凄まじいスピードでインターセプト!
 向かってくる人型無人戦闘機を次から次へとはたき落とし、戦場を縦横無尽に駆け巡ることで、密集陣形にプレッシャーを掛け続ける。
(今だ)
 ソ少佐の機体の側面から飛び掛かったフェンリル。
 しかし、ショットガンの銃口が向けられている!
 花火のような閃光の弾幕が一斉に前方へ飛び出し、フェンリルに浴びせかけられる!
 ……かと思いきや、目の前のフェンリルの姿が虚像だと気が付いたソ少尉は周囲をカメラアイで見渡す。
「何処行った……!」
 その時、背後から途轍もない衝撃が走り、オブリビオンマシンは無様に前のめりのまま転がっていった。
『ジャミングでカメラアイの映像をいじっておいた』
『おのれ……!』
 ソ少佐のオブリビオンマシンが立ち上がる。
 まずは猟兵側が先制攻撃をかましてみせた。
 続くサポート猟兵がこれに続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニノン・トラゲット(サポート)
『容赦なんてしませんから!』
『アレ、試してみちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!



 ソ少佐は目の前のキャバリアの姿に目を細めていた。
『なんで、猫なのだ……?』
 外部スピーカーに心の声を吐露してしまう。
 サポート猟兵に駆け付けたニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)の乗る量産機キャバリア……本当に量産機か疑わしいソレは、何故か猫耳が付いた猫っぽいキャバリアだった。
『カワイイ機体を見つけたので借りてきちゃいました! これで少佐さんをやっつけちゃいますよ!』
 白猫ケットシーのニノンはテンション爆アゲ。
 初めてのキャバリア操縦だが、シュッシュッとシャドーボクシングをキャバリアで披露できるほど順応していた。
 ソ少佐はひとりだけ修学旅行気分の猟兵相手に困惑するばかり。
『ええい! 戦争にガキがしゃしゃり出てくるな! これでも喰らえ!』
 ソ少佐はユーベルコードで人型無人戦闘機を800機出現させ、上空を覆い尽くしてしまう。
 更に腰元のビームショットガンの出力が向上し、その威力も跳ね上がる。
 キャバリア初体験のニノン、このままでは機体ごと蜂の巣になって穴の空いたチーズめいた無残な姿に変わり果ててしまう!
 しかし、ニノンはアルダワ魔法学園のいち学生、すなわち戦闘経験はそこそこあるわけで。
「この状況……敵を撃ち放題ですね! それでは七面鳥撃ち、開始です!」
 ポジティヴ!
 脳筋気味のニノンは、キャバリアの指先を上空へ指し示す。
 すると、天から降り注ぐ裁きの光が、人型無人戦闘機部隊に直撃したではないか!
「ジャッジメント・クルセイド、やっちゃいます! まとめてぶっ飛ばせば大抵はどうにかなりますよね! 困った時は範囲攻撃です!」
 ポジティヴ!
 実際、ソ少佐に召喚された人型無人戦闘機部隊は裁きの光を浴びせまくられて次々と撃墜されてゆくし、ソ少佐も直撃して攻撃どころではなくなっている。
「あががががっ!? おのれ!」
 ショットガンの銃口をニノンの猫型キャバリアへ向ける少佐機。
 だが、ニノンは精霊術を行使して旋風を巻き起こした。
「風の精霊さん! 気分をアゲていっちゃいましょう!」
「やめろー! 目が回るぅ……!」
 旋風に機体をシェイクされたソ少佐機がフラフラと足元を揺るがせる。
「キャバリア、面白いですね! また乗ってみたいです!」
 相手を圧倒し続けたニノンは終始ゴキゲンであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リリウム・マーセナリー
※アドリブ・連携歓迎

「あれが指揮官機ですか」

第一波、第二波と凌いで最後の山。このまま切り抜けたい所です。
隠密ブースト(推力移動)で【目立たない】ように狙撃ポイントに移動、レーダーで敵機を確認(索敵)しつつ【ジャミング】でより此方の位置を悟られないようにします。

その上で、レーザーライフル(レーザー射撃)を構えて狙撃(スナイパー,選択UC)を実行しますが、決め手には欠けるでしょうから、あくまでも【援護射撃】になるかとは思いますが――それでも。

「――隙があれば、話は別ですね」

友軍が隙を作ったのなら、それを活かす。
そうでなければ、此方が隙を作る。


桐嶋・水之江
プラントを背にして高火力の殲滅兵器を使わせないつもりね
結構よ
ならビームソード一本で勝負を付けてあげる
こういうのジャパニアではなんて言うのかしら?チャンバラ?

音速の太刀筋を見せてあげるわ
水之江流機巧抜刀術・壱ノ型…相手の格闘攻撃を誘って即バック
連続格闘を外して自爆攻撃を終えた後に踏み込み
すぱーんと一閃し返す刀でもう一閃
そしてすかさず間合いを取る
一回で達磨に出来なくても慌てない焦らない
孤立無援の状態じゃどうせプラントの前から離れられない…獲物が逃げる事はないんだもの
勿論補給なんてしようものならそんなボーナスタイム見逃さないわよ
素直にごめんなさいするまでじわじわ削り取っていきましょう


リューイン・ランサード
(ソに)変な宗教に惑わされないで下さい!
まったく傍迷惑です。

相手はボスなので恐怖は感じるけれど、オブリビオンに振り回される茶番を早く終わらせてしまいたいとの思いが強いので、引き続き弩羅轟えもんを操縦して戦う。

弩羅轟えもんにエネルギー充填と魔力溜めをさせつつ、相手のUCを確認したらすぐに自分のUCで相殺して無効化。
UC以外の攻撃は、結界術によるバリアとビームシールド盾受けで防ぐ。

無効化された相手が立ち直る前に、高速詠唱にて光の属性攻撃・全力魔法を追加でチャージしたハイパー・バスター・キャノンによる、砲撃・貫通攻撃・スナイパーで、(殺さない様に)オーバーフレームのみを吹き飛ばして倒します。


ミフェット・マザーグース
今ならできる
上手くいかない、かも
でも、えらぶ権利は、この世界のヒトたちにあるべき

回線が繋がっている、保護されたコリファのヒトたちに呼びかけるよ
あのヒトも、あなたたちと同じ
オブリビオンマシンにとり憑かれて、悪い夢を見ている
もし、あなたたちが助けたいと、そう願ってくれるなら、力を貸して欲しい

廃ビルを盾に〈ハッキング・メカニック・操縦〉の技術をフルに使ってドローンを敵の機体に取り付かせて、機体の命令信号に横槍を入れるよ

UC【小さな奇跡】
コリファのヒト達の願いを力に変えて、オブリビオンマシンの呪縛を一時的に弱めるよ。できるのか、どれくらい弱められるかは分からないけど
自分で選ぶ、チャンスをあげられるはず


シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK

「人道を無視したその悪行もそこまでです…さぁ、自分の罪を数えなさい!」
貴紅に騎乗したままスナイパーライフルで狙撃しつつ、相手を挑発。
爆発の後に残ったビルの上に立ち、銃口を少佐のキャバリエに向けて宣言します。

格闘も自爆も接近しなければ効果が出ない以上、向こうから接近してくるところがカウンターの攻撃ポイント!

「舞え、紺青の剣劇!」
高速で接近してくる敵前方に大量のビットを展開。
ライフルビットの一斉射撃で弾幕を張り、目をくらませたところで、相対速度によって貫通力を増したソードビットで串刺しにします!

コクピットに当たらないよう注意。
先ほど救出した兵士達へ謝罪してもらわないといけませんし。



 サポート猟兵達の先制攻撃が一段落した矢先、補給を終えた本隊の猟兵達がプラント施設に到着する。
 そこに陣取るソ少佐の青く輝く“救世主願望成就機体”を謳うオブリビオンマシンを各自目視した。
「あれが指揮官機ですか」
 リリウム・マーセナリー(白百合の傭兵/ホワイトアウト・f29990)が愛機にて専用機『ホワイトアウト』のコクピット内で呟く。
「第一波、第二波と凌いで最後の山。このまま切り抜けたい所です」
 そう告げると、完全に接敵する前に本隊から離脱。
 ジャミングによって少佐機が猟兵機をレーダー捕捉出来ないように妨害すると、ホワイトアウトは崩れかけたビルの影に機体を潜めて狙撃の機会を伺う。
 僚機の動きを察した桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)の操縦するキャバリア『イカルガ』は、自身に少佐の目を向かせるようにわざと大きな身振りをキャバリアにさせた。
『プラントを背にして高火力の殲滅兵器を使わせないつもりね』
 イカルガは青白く輝くビームソードの切っ先をソ少佐の機体へ突き付けた。
『結構よ。なら此方はビームソード一本で勝負を付けてあげる』
『ふん、救世主に白兵戦を挑んでくるとはいい度胸だ』
 ソ少佐の声色は明らかに桐嶋をみくびるそれであった。
 その会話にリューイン・ランサード(竜の雛・f13950)が割って入った
『変な宗教に惑わされないで下さい! まったく傍迷惑です!』
 リューインは考えていた。
(大体、救世主願望とか、そんな自己顕示欲を持ってるからオブリビオンマシンに漬け込まれるんですよ。ああ、怖い、怖いけど、こんな茶番はとっとと終わりにしたいです……)
 本当ならば戦いたくないリューインだが、ここにいる誰よりも戦闘を早く終わらせたいと考えていた。
「弩羅轟えもん、こんなくだらない事をさせるオブリビオンマシンをやっつけよう!」
『リューイン君、よく言った!』
 キャバリアの激励にリューインの恐怖心が若干和らいだ。
 シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)も引き続き愛機《貴紅(ノーブル・スカーレット)》を操縦して此処まで来た。
『人道を無視したその悪行もそこまでです……さぁ、自分の罪を数えなさい!』
 R/BSスナイパーライフルを構えて威嚇する貴紅。
 貴紅は爆発の後に残ったビルの上に立ち、銃口を少佐のキャバリアに向けながらそう宣告していた。
 一歩間違えば銃撃は後方のプラント施設への流れ弾に成りかねない。
 故に、リリウムもシンも、射撃のタイミングをジリジリと狙いすましていた。
 そんな中、ひとり、後方で戦況を見守るキャバリアが存在した。
 武装をせず、レーダー機器を載積しまくったセミカスタム機体を操縦するのはミフェット・マザーグース(沼の歌声・f09867)だ。
(今ならできるはず。上手くいかない、かも。でも、えらぶ権利は、この世界のヒトたちにあるべき)
 ミフェットは先程の戦闘で、コリファ人民軍の通信回線を掌握している。
 更に、ジャパニアのベースキャンプで保護された人民軍の兵士達とリアルタイムでオンライン通信が可能な状況だ。
(だから、ミフェットはミフェットのできることをするよ!)
 戦闘に巻き込まれないように最新の注意を払いつつ、ミフェットはジャパニアのベースキャンプへ通信を始めた。

 戦闘は激しさを増してゆく。
<背後のプラント施設が邪魔ですね>
<迂闊に狙撃したら、破壊しかねないですね……!>
 リリウムとシンは、ソ少佐の機体がプラント施設に張り付きっぱなしの状況に頭を悩ませていた。
 理を超越した救世主形態へと変形したオブリビオンマシンは、その場から全く動こうとしない。
『フハハハハ! 我が救世主の力は銃弾を弾き返す!』
『なら切り崩してあげるわ』
 桐嶋の操るイカルガが一気に踏み込む。
 上段からビームソードを振り下ろし、目にも留まらぬ太刀筋を浴びせた。
『音速の太刀筋を見せてあげるわ。すぱーんってね?』
 水之江流機巧抜刀術・壱ノ型……マッハ8前後の超高速の連続斬りがオブリビオンマシンの蒼い装甲を斬り裂く。
 すぐさまイカルガはバックステップで退避。
 瞬間、無敵状態を破られた少佐機が格闘攻撃の連続技を放ってきた。
『おっと、危ない。みえみえよ? その距離じゃ、自爆も出来ないでしょう? 孤立無援の状態じゃどうせプラントの前から離れられないし……獲物が逃げる事はないんだもの』
『ぐぬ……っ! しまった、確かにプラント施設が近すぎる! だが、この攻撃は一度発動したらもう止まらないぞ!』
 少佐のオブリビオンマシンの鉄拳の弾幕がイカルガに迫る!
 しかし、そこへインターセプトしてくる光線弾幕!
「――舞え、『紺青の剣劇(ダンス・オブ・ブルーサファイア)』!」
 高速連続攻撃を仕掛ける敵前方に大量のビットを展開するシン。
 ライフルビットの一斉射撃で弾幕を張り、その光量でソ少佐の視界を奪う。
『うおォッ! 眩しい!』
 被弾しつつも思わずオブリビオンマシンの腕でカメラアイを覆ってしまう少佐。
 その瞬間、決定的な隙が生まれる。
『――隙があれば、話は別ですね』
 リリウムの乗るホワイトアウトの狙撃が、オブリビオンマシンの脚部を撃ち抜く。
 途端、機体のバランスが崩れて動きが乱れた。
『補給時以外にもボーナスタイム発生なんて、ツイてるわ』
 桐嶋がオブリビオンマシンの硬い装甲を何度も切り刻んで削ぎ落としてしまう。
『素直にごめんなさいするまでじわじわ削り取っていきましょうか』
『此方も参ります! 少佐には先ほど救出した兵士達へ謝罪してもらわないといけませんので!』
 オブリビオンマシンが慣性の法則でシンの乗る貴紅へ突っ込んでくる。
 その相対速度によって貫通力を増したソードビットで串刺しに処した!
 93個のソードビットはオブリビオンマシンの関節部を破壊し、その機動力を低下させた。
 これに少佐は数で対抗する。
「勇敢なる騎士達! 猟兵達を蹂躙せよ!」
 800体以上もの人型無人戦闘機部隊を呼び寄せ、猟兵達を襲撃させる少佐。
 少佐自身もビームショットガンを乱射して、猟兵達を近寄らせない。
「おとなしくして下さい……!」
 リリウムが狙撃ポイントを変えつつ、少佐の銃撃を妨害するべく狙撃を続ける。
 撃つたびにオブリビオンマシンの動作が鈍るも、無敵状態になってしまうと手が出せずにいた。
 そこへリューインと弩羅轟えもんが動く。
「世界に遍在するマナよ、時の流れを遡り穏やかなる過去を再現せよ。アドヴェントパスト……!」
 その時、不思議なことが起こった……!
 時間が巻き戻り、少佐が人型無人戦闘機部隊を呼び寄せる直前の状態へ遡及したのだ。
 今まで魔力とエネルギーをこのユーベルコードのために充填していたのだ。
『勇敢なる騎士達! 猟兵達を蹂躙せよ! って、ハッ!?』
 時が遡ったことに気が付いた少佐に動揺が走る。
『何が起きた!?」
「知らなくていいことですよ! 弩羅轟えもん!』
 弩羅轟えもんは圧縮・高速化した詠唱で光属性魔法の弾丸をハイパー・バスター・キャノンで発射!
 命中した光弾は、オーバーフレームに亀裂を走らせた。
『うわ、硬すぎでしょう!?』
『く、くくく……! 私の救世主願望でこの機体は成長するのだ! この程度では私の心も機体も折れるものか!』
 勝ち誇る少佐。
 そこへ、ミフェットが回線に乱入してきた。

『♪すべての人には、それぞれぞれの
 ♪なにものにもかえられない、物語
 ♪その終わりに記す文字を、ただ一度だけ書き換えて』

 その歌声は、一人の少女の救済の願いだった。
 無人機の砲撃を廃ビルを盾にして防いできたミフェットは、自機のドローンで敵の無人機を乗っ取って機体の命令信号に横槍を入れたのだ。
 こうすることにより、よりオブリビオンマシンと少佐へユーベルコードの歌声の効果を浸透させやすくする事ができる。

『♪へいしのみんな、願いをささげた
 ♪オブリビオンマシンにとり憑かれて、悪い夢を見ている
 ♪かわいそうなひと、少佐さん
 ♪みんなはぶじだよ、いきている
 ♪えいゆうになってならなくていい
 ♪けんかはやめて、目をさまして!』

 ミフェットはベースキャンプに滞在する人民軍の兵士達へ『ソ少佐の救出』の協力を願った。
『もし、あなたたちが助けたいと、そう願ってくれるなら、力を貸して欲しい』
 その声に、半数は賛同しなかった。
 彼らは洗脳されていたり、一時の感情に流されて此処まで来ただけだと言い張った。
 だが、残る半数は少佐を慕う兵士達だった。
 少佐を悪しきマシンの呪縛から解き放ってほしい。
 そう願う気持ちは本物だった。
(全員からは賛同してもらえなかったけど……それでも、少佐さんをまってる人たちはたくさんいるよ!)
 ミフェットの必死の歌声が、やがて少佐の声に正気を取り戻させた。
『……そう、か。本当に、兵達は生きているのか。だとしたら、私は、この戦いは……うぐッ!』
『少佐さん、負けちゃだめだよ!』
 ミフェットの呼び掛けに少佐が苦悶しながら答えた。
『お嬢ちゃん……私は、弱い……。祖国を、民を救済したかった気持ちを、利用されてしまった……私は、もう、此処で死ぬべきだ……』
『だめ! かえりをまつ人がたくさんいるんだよ!』
『すま……ない……。責任は、私が……すべ、て……ぐゥッ!』
 呪縛が完全に少佐を飲み込んでしまう。
 少佐はそれ以降、生体電池同様となって気を失ってしまった。
 だが、それはオブリビオンマシンにとっても想定外のことだ。
 操縦者なしの自律稼働はエネルギーの浪費が激しい。
 加えてミフェットの歌声によって出力の低下が著しい。
 猟兵達は各々の仕事は果たした。
 それは最善といえる働きだったのは事実だ。
 だが、まだ数歩、少佐の命を救うには手が届かなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
神機

結局ここまで来ちゃいましたね…くそが

おいガラクタ
お前もあのヘカテーさんみたいな必殺技ないのかよ

「勿論あるよ♪でもご主人サマ使いこなせるかな?」
馬鹿にするな
天才に不可能はない

「おっけー♥」

UC発動
ぬあああ!?(速さに驚愕

【視力・情報収集・戦闘知識】
超高速状態のまま敵の状態と動きと癖の把握
【属性攻撃・迷彩】
光属性付与と迷彩で存在を更に隠し
可能な限り被弾を避ける

【二回攻撃・盗み攻撃・盗み・継続ダメージ】
ハルペーで連続斬撃攻撃
更に敵の武装の強奪も狙う

発動後

ぐぇええ…(吐きそうになるのを堪

「ご主人サマ凄いー♥これ大抵の人は倒れるんだけどねー」
なんつー機能だこの三流キャバリアがぁぁぁ!!??


テラ・ウィンディア
神機
そういえばヘカテとこうしてはっきり声が分かるの初かも
「ああ…メルクリウスの権能が効いてるのでしょう。彼奴は神機の伝令も司ってますから…常に発動できるかはわかりませんけどね」

後はあんただけだな
英雄ってのはなろうとしてなるものなのかな

【戦闘知識】
事前に少佐の性格と戦歴等調べておく
その上で観察し癖や敵機の性質も分析
【属性攻撃】
炎を神機と武装に付与
【見切り・第六感・残像・空中戦・盾受け】で飛び回りながら敵の猛攻も可能な限り回避
【レーザー射撃・遊撃】
ガンドライドで牽制射撃を続けるぞ
UC発動!
【二回攻撃・早業・串刺し】
槍で突き刺して剣による高速斬撃
【重量攻撃・砲撃】
止めはブラックホールキャノンで砲撃!



「結局ここまで来ちゃいましたね……くそが」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は界導神機『メルクリウス』のコクピット内で悪態をついていた。元はと言えば、まともに戦闘する気はゼロだったのだから、メルクリウスのせいで戦闘に巻き込まれたカシムはいい迷惑である。
 そのメルクリウスの隣に同行する三界神機『ヘカテイア』を操縦するのはテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)。
 テラはふと疑問が浮かんでいた。
「そういえばヘカテとこうしてはっきり声が分かるの初かも」
 これにヘカティアが返答する。
『ああ……メルクリウスの権能が効いてるのでしょう。彼奴は神機の伝令も司ってますから……。常に発動できるかはわかりませんけどね』
「そういうものか。だが今は都合がいい」
 テラはヘカティアのカメラアイ越しに、ソ少佐の乗る蒼いオブリビオンマシンを目視した。
『後はあんただけだな。英雄ってのはなろうとしてなるものなのかな?』
 だが、少佐は返事をしない。
 先程の戦闘で、少佐の意識は途絶えてしまったのだ。
「やれやれ、どうやら自らの英雄願望に飲まれたようだ。ヘカテ、少佐の性格と戦歴はわかったか?」
『申し訳ありません……。データが少なすぎて、深くは探れませんでした……』
 そう前置きをした上で、ヘカティアは少佐の情報をテラに伝えた。
 曰く、階級は少佐こそあれ、平時は文官らしい。
 故に戦闘経験は殆どないのだという。
 人一倍愛国心が強く、民の貧困が社会問題になってるコリファ人民共産国の現状を変えたいと軍部へ働きかけていた。
 だが、一向に動こうとしない軍部にしびれを切らし、乗り込んだ機体がオブリビオンマシンだと知らずに暴走を開始した、という経緯らしい。
「つまり、隣国はオブリビオンマシンを平然と隠し持っているのか……。やばすぎるだろ、それ。よく国が滅ばないな……」
 テラは呆れて閉口してしまう。
 その時、オブリビオンマシンがゆらり、と幽鬼のように揺らめいた。
 途端、凄まじいスピードで拳の弾幕を放ってきた!
「ヘカテ!」
『任せて下さい……!』
 ヘカティアは炎を自身の機体と武装に纏わせ、熱による陽炎を利用した残像で敵の攻撃を惑わせ、推進力を利用した高速移動でギリギリを回避し続ける。
<おい、ぼうっとしてないで援護してくれ!>
 テラの叱責にカシムは思わず眉間にシワを寄せた。
<分かってますって! ちょっと作戦タイム中!>
 回線を切断したカシムは、メルクリウスに問うた。
「おいガラクタ。お前もあのヘカテーさんみたいな必殺技ないのかよ。ほら、ズバーッでスパーンでヒャッハーな感じのやつ」
『勿論あるよ♪ でもご主人サマ使いこなせるかな?』
 メルクリウスのコミュニケーションAIらしき雄鶏のホログラムがくくくと嗤う。
 カシムはこれに腹を立ててムキになってしまう。
「馬鹿にするな! カシムさんは天才だぞ? 天才に不可能はない!」
『ほほう~? その言葉、二言はな~い?』
「もちろんだ!」
『おっけー♥』
 メルクリウスがそう告げると、機体が光に包まれてその姿が周囲の景色に溶け込んでゆく。
『それじゃ、メルシー、いっきまーす♥』
 途端、カシムの全身に途轍もないGが押しかかった。
「ぬあああ!?」
 まるでジェットコースターの極悪版に乗ったかのように、左右へ揺られるわ全身がシートに押し付けられるわで身動きが取れない!
『これが私のユーベルコード! 名付けて『神速戦闘機構『速足で駆ける者(ブーツオブヘルメース)』だよ~♥ ご主人サマは今、風になる~♪』
「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!」
 もはや操縦どころではないカシム。思考も放棄した!
 だがメルクリウスは自律思考ができるため、カシムを振り回したまま戦闘を継続してしまう。
『ヘカテちゃーん! 久々に連携アタックしよー♪』
『え……あ、はい。じゃあ、私が一撃派手に撃つので、追撃はよろしくお願いしますね』
『お願いされました~♪ よーし、メルシー、張り切っちゃうぞ☆』
「おねがい……はりきらないで……カシムさん、マットになっちゃう……」
 カシムは顔面の筋肉が衝撃波で押し伸ばされて、まるでハムスターみたいになっていた。
 一方、ヘカティアはRS-F『ガンドライド』で炎属性が付与された小型浮遊自走砲台群で牽制射撃を行いつつ、ユーベルコード発動の機会を伺う。
「ヘカテ、いけるか?」
『まだちょっと……せめて攻撃が彼奴に向けば……』
 割と酷いことを口走るヘカティア。
 だが連続攻撃をかわし続けるのも、そろそろ限界が近い。
 その様子にメルクリウスが気付く。
『任せてヘカテちゃん! こらー! かわいいヘカテちゃんをいじめるなー!』
 メルクリウスはBX鎌剣『ハルペー』を振り抜き、素早くオブリビオンマシンの左腕を切断してみせた!
『いっえーい! これで左側はがら空きだよ!』
 メルクリウスの活躍に、ヘカティアが呪詛めいた低い声を漏らした。
『ふざけてるけど有能なのが癪ですよね……死ねばいいのに』
「ともあれチャンスだ! ゆくぞ、ヘカテ!」
 テラは敵機の左側へ回り込むと、紅龍槍『廣利王』と星刃剣『グランディア』を突き刺して動きを鈍らせる。
 その刹那、最大の一撃……ユーベルコード『冥界の炎『ギガスブレイカー』(キョジンヲウチヤブルモノ)』を発射!
「リミッター解除……グラビティリアクターフルドライブ……! ブラックホールキャノン……起動……!」
 漆黒の光が渦を巻き、BSブラックホールキャノン『プルートーの炎』から放たれる必殺の一撃!
「とっておきだ! たっぷり味わえー!」
 重力波を浴びたオブリビオンマシンは、全身を軋ませながらプラント施設から遠くへ吹っ飛ばされていった。
 そこへメルクリウスが更に加速して突撃!
『只今の速度はマッハ9! そして更に3倍に加速! 超高速機動攻撃でト・ツ・ゲ・キ♥ 行こうぜ、ピリオドのその先へ!』
「やめろぉぉぉぉーッ!」
 もはや人間の踏み込む領域を超えた速度でメルクリウスがオブリビオンマシンへ突貫! 気が付けば光の軌跡だけを残し、オブリビオンマシンの左上半身が粉々に吹っ飛んでいってしまった!
『はい、終~わり! ご主人サマ、生きてる~?』
「ウン、イキテル。イキシテル。イキテルッテ、スバラシイナァ」
 恐怖のあまり子鹿のように震えるカシム。
 これにメルクリウスは感嘆の声を上げた。
『ご主人サマ凄いー♥ これ、大抵の人は倒れるか吐くんだけどねー?』
「なんつー機能だこの三流キャバリアがぁぁぁーッ!? って、ぐぇええ……」
『あ、ご主人サマ、吐く? 吐いちゃう? ギブ? ギブアップ? いいよ! こいよ♥(王者の風格)』
「ぜってー吐かねーです……! っぷ……!」
 吐いたら自分の自尊心が消失すると悟ったカシムは、込み上げてくる胃の内容物を必至に押し戻すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノインツィヒ・アリスズナンバー
英雄、ね。
今のアンタを見て祖国の英雄だの思う人、いるのかね。
完全に狂ったただの人間だよ。少佐殿。

そんなわけで自分を英雄と思い込んでる少佐殿にはこの歌をプレゼント☆
動きののパターンを見切って、パフォーマンスとダンスのステップを応用して避けつつUCを起動して、プラントに当てないように迎撃しちゃうよ☆
更に無人戦闘機に怪力と足場習熟を利用して乗っちゃって、投擲で射出のカウンターをお見舞いしちゃおう☆

全部が終わったら、とりあえず少佐殿にはやってもらわないといけない事があるな。
私ちゃんのCDをプレゼント☆祖国に帰ったら布教してね☆しろ。


箒星・仄々
少佐をマシンの軛から解放して差し上げたいです
そしてマシンさんを海へお還ししましょう

ランさんに騎乗

人民軍の方々を思い浮かべながら
弦を爪弾き
彼らの声を風
未来への輝く希望を炎
仲間や家族への慈しみを水
~の魔力へと変換し練り上げ
魔力の矢

無人機や武器を撃ち落としすり抜けながら
敵機を槍衾に

更に破魔の旋律でマシンの呪縛を弱めます

祖国や世界を救いたいとの思いは
とても崇高です

そして貴方が守るべき方々の事を
今一度思い出して下さい

貴方を思い心配する彼らの声やエールが
聞こえませんか?

人と人の繋がりが生む力が
紡ぐ希望が未来を照らす
私はそう信じます

どうかお心を確かに
今、お助けします

終幕
マシンさんの静かな微睡を願い鎮魂の調べ


ティー・アラベリア
救世主願望をエネルギーに変換するとは面白い兵器ですね☆
搭乗者はさぞ正義感溢れる軍人さんなのでしょう。
とっても戦い甲斐がありそうで、わくわくしてしまいます♪

建物の影や屋上を利用しながら、都市内に存在する放棄された機体に同化妖精を凝着させ、制御系と駆動系をボクの魔力で同化することで再起動させます
敵からの攻撃は探信犧で検知し、95式と近接防御妖精で捌きつつ、指揮通信機構で情報を共有し、操った機体も使用して迎撃致します☆
敵の攻撃をしのいだ後は、操った機体を使用して四方から攻撃させ、ボク自身も92式で砲撃することで敵の動きを制圧し、最後は90式の射撃でその英雄願望ごと敵の四肢を打ち砕いてさしあげます♪



 度重なる猟兵達の猛攻によって、ソ少佐の乗るオブリビオンマシンは満身創痍。
 その左上半身は肩から下、そして脇腹が抉られており、武装も破壊された。
 他の部位の装甲にも、蓄積されたダメージを物語るように亀裂が生じていた。
「救世主願望をエネルギーに変換するとは面白い兵器ですね☆」
 ティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)は99式戦闘機動機構で廃ビルの屋上へ降り立ち、眼下にオブリビオンマシンを見据える。
 プラント施設から引き剥がされたオブリビオンマシンに補給手段はなくなった。
 叩くなら今、一気呵成に攻め立てる好機だ。
「しかし、搭乗者はさぞ正義感溢れる軍人さんなのでしょうとおもいきや、よもや文官出身の方でしたか。軍人が文官の暴走を止められないとは、よほどお隣の国政は混迷極めているのでしょうね? ですが、此処まで戦えるのなら話は別です」
 ティーは各種魔杖と戦闘妖精達を周囲に漂わせ、ニッコリと冷たく微笑んだ。
「とっても戦い甲斐がありそうで、わくわくしてしまいます♪」
 その目は獰猛な肉食獣のそれだった。
 一方、少佐の機体を挟み撃ちする形で位置取る猟兵が2人。
 ノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)は相棒であるキャバリア『イドラ』を操り、オブリビオンマシンの目の前に立ちはだかる。
『英雄、ね。故郷の民衆のために立ち上がろうとした、その志はご立派なもんだ』
 ノインツィヒは棘のある言い方でソ少佐へ語りかける。
『今のアンタを見て祖国の英雄だの思う人、いるのかね。完全に狂ったただの人間だよ。少佐殿……』
 オブリビオンマシンからの返事はない。
 今やオブリビオンマシンは少佐の生命を搾り取って自律稼働する呪われた機体に成り果てた。
 だからこそ、ノインツィヒは静かに怒りを発露した。
『でも、狂ってるとはいえ、人間を養分にしてまで動くてめえは何様だ、オブリビオンマシン……! ぜってーブッ壊す!』
 イドラの双方の鉄拳を掲げて身構える。
 手負いのオブリビオンマシンは、なおも人型無人戦闘機の大軍を召喚して徹底抗戦の構えを見せた。
 オブリビオンマシンの背後で、浮遊するメカジキのランさんに跨る箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)もまた、使命感を燃やしてこの局面に望む。
「少佐をマシンの軛から解放して差し上げたいです。そしてマシンさんを骸の海へお還ししましょう」
 懐中時計から瞬時に蒸気機構によって竪琴へと変形させると、弦を爪弾きメロディーを奏で始めた。
「祖国や世界を救いたいとの想いはとても崇高です。そして貴方が守るべき方々の事を、今一度思い出して下さい。貴方を想い、心配する彼らの声やエールが聞こえませんか? オブリビオンマシンに意識を呑み込まれないで下さい!」
 ユーベルコード『トリニティ・ブラスト』……火・水・風それぞれ460本ずつの魔法矢が周囲に展開されてゆくと、戦場に声と光が満ち溢れ始めた。
 風の魔力が、ベースキャンプで保護された人民軍の兵士の声を届け、火と水の魔力は彼らの希望そして仲間への慈しみの念から生み出されてゆく。
「人と人の繋がりが生む力が紡ぐ希望が未来を照らす。私はそう信じます」
 メロディーは次第に激しさを増してゆく。
 そのメロディーに合わせ、ノインツィヒはアレンジバーションで『覚悟と怒りの歌』を此処で披露した。
『そんなわけで自分を英雄と思い込んでる少佐殿を取り込もうとするオブリビオンマシンには、この歌をプレゼント☆ 聞いて下さい……。“Welcome to the Black Parade(地獄へようこそ)”!』
 ノインツィヒがコクピット内でアイドル魂と呼ぶべきマイクを手に取ると、連動してイドラの背後にサウンドスピーカーユニットが召喚される。
 光を帯びるサウンドスピーカーユニットは、それ自体が音響兵器そのものだ。
 ユーベルコードにまで昇華したノインツィヒの歌声を敵機へ浴びせることで、無人機の大群を圧倒し始める。

 ♪あんたは言った お前がおおきくなったら
 ♪この世界で苦しみ、傷つき、悲しむ人達を救ってやってくれないか?
 ♪人間に巣食う悪意や、神を信じない愚かな悪人たちを懲らしめてくれないか?
 ♪私は先に此世を去るだろう
 ♪そしてお前はあの夏の惨劇に立ち向かうだろう
 ♪復讐という名の地獄へ足を踏み入れるために

「良い歌詞ですね。私も乗ってきましたよ」
 箒星は歌唱に合わせ、アドリブを織り交ぜながら演奏を続け、魔法矢を射出し続ける。
 無人機の大軍は、蝗害めいて周囲を飛び交い、容赦なくノインツィヒの機体と箒星の乗るランさんへ砲火を放つ。
 だが、ノインツィヒは戦場を駆け抜ける『鋼鉄の歌姫(アイアン・ディーヴァ)』だ。
 弾幕の隙間をダンスのステップの要領で飛び跳ねて潜り抜け、なおも歌声を届け続ける。
 すると、歌声と旋律が魔法剣となって戦場の上空に具現化されてゆく。
 その数、420本!

 ♪でも私達は人間だ 人形でも英雄でもない
 ♪恥ずかしくても一生懸命 この歌を歌うただの少女だ
 ♪私達は人間で 人形でも英雄でもないから
 ♪もう、どうだって構わない!

 その手に握るはヴォーパル(超常)を殺せし剣。
 悪しき埒外の理を浄化する“英雄殺し”だ。
 取り囲む無人機を歌声で操る魔法剣で撃墜してゆくノインツィヒ。
 その歌声に合わせて高速アルペジオを披露する箒星もまた、残弾を気にせず次々と無人機を居抜き、メカジキがその合間を縫って肉薄してゆく。
 そこへ、オブリビオンマシンの側面から高密度の弾幕が浴びせかけられ、無人機ごと面制圧で敵機を圧倒するティーが到着!
「おまたせしました☆ これより始まりますは無情悲惨の傀儡劇。騎士(エインヘリアル)たちの活躍に祝福あれ☆」
 浮游するティーの背後には、放棄されたはずの元オブリビオンマシンであるキャバリアの軍勢が勢揃いしていた。
 それらの重火器が一斉に飛び回る無人機の群れを機械的に撃ち落とし始めたではないか!
「人工妖精、放棄された機体との凝着を完了。全機体の制御系と駆動系をボクの魔力と連動確認、完了。全機、再起動を確認。これより24時間、彼らはボクの人工妖精を介した傀儡人形です☆ これぞ戦場の喜劇! 『浸食同化妖精展開(サモン・アシミレーションフェアリー)』です☆」
 ノインツィヒと箒星がオブリビオンマシンへの対応をしている間、ティーは砲火をビルの壁や屋上を渡り歩いて回避し続けながら、今までの戦闘で放棄された元オブリビオンマシンのキャバリアを回収して回っていたのだ。
 その数、およそ90機!
 中隊レベルの規模の機体数を回収し、満を持して面制圧の火力でオブリビオンマシンを封じ込め始めた。
「全機に通達。これより四方へ散開し、目標を完全に封殺する。並びに92式魔導波探信儀による無人機の配置データを送信、これらを撃墜する。行動開始までカウント、3、2、1、展開☆」
 スラスター推力の噴出音が一斉に戦場に轟くと、キャバリア達はあっという間にオブリビオンマシンを包囲するように整列してみせた。
 90機にも及ぶキャバリアが一糸乱れぬ動きで素早く陣形を組む動作は実に鮮やかであり、傀儡人形であるがゆえの精密さと冷酷さを物語っていた。
「お二人とも、時間を稼いでいただき誠に感謝します☆ ここからはボクも微力ながらご奉仕させていただきますね♪」
 浮遊しながらカテーシーで一礼したティーは、目を爛々と輝かせながら92式火力投射型魔杖から戦車砲撃めいた援護火力を容赦なく撃ち込み始めた。
「アハ♪ ボクはメイドですので、お寝坊さんを叩き起こすのは朝飯前ですよ☆」
 97式圧縮拡散型魔杖を至近距離からぶっ放せば、オーバーフレームに深く亀裂が走る!
 その凄まじい衝撃はコクピット内へ伝播し、昏倒していたソ少佐を覚醒させるに至った。
『うッ……! これは、一体、どうなって……いるのだ!?』
 その声は愕然と狼狽するものだった。
 オブリビオンマシンのカメラアイを介して映し出される映像には、唄いながら無人機を足場にして魔法剣に飛び乗り、サーフィンの要領で宙を舞いながら無人機を撃破してゆくイドラの姿や、四方から重火器による斉射を行うキャバリアの大軍とティーの割とえげつない魔法弾のコンビネーション、そして空飛ぶメカジキに跨る黒猫が竪琴を演奏する光景だった。
『カオスだ……』
 正気に戻ったソ少佐には、今までの戦闘の記憶が薄っすらと残っている。
『なんてことを……!! 私は、取り返しのつかないことを……!』
『まだやり直せるよ☆ 目が醒めてよかった☆』
 ノインツィヒが如何にも純情可憐そうなアイドルボイスで少佐へ言葉を送る。
『その機体は呪われてるよ? 今、私ちゃん達が助けてあげる☆』
「すみません、あの方、先程のキャラと今とでは全然違うみたいですけど……?」
 ティーはノインツィヒの地声とアイドルボイスの落差に困惑していた。
 それの箒星が叫んでみせる。
「アイドルモードと素のヤンキーの落差、それがノインツィヒさんの人気の秘訣らしいですよ~」
(仄々ちゃん、それドコ情報かな!? かな!?)
 唄いながら内心でツッコミを入れるノインツィヒは、ライドオンする魔法剣ごとオブリビオンマシンへ突貫!

 ♪覚悟は完了した もうあんたには屈しない
 ♪世界が邪魔しても この意思は絶対に揺るがない
 ♪何も怖くない 私達は無敵だ
 ♪私達は人間で 人形でも英雄でもない

 超常殺しの魔法剣が、オブリビオンマシンを剣山めいた姿へと変えてゆく。
 剣はコクピット以外の関節部を貫き、敵機は完全に手脚の曲げ伸ばしができなくなってしまった。
 そこへメカジキのランさんが口吻の突起を突き立てながら突進を敢行!
「破魔の旋律でオブリビオンマシンの呪詛を弱めた今なら、ランさんの突起で槍衾にしてみせましょう!」
 姿はメカジキだが、その突起の鋭さは『カッツェンランツェ(ねこのやり)』と箒星が称するほどの鋭利さを誇る。
 メカジキの突進でオブリビオンマシンの右半身がそのまま易々と貫かれると、コクピット部のコアが遂に剥き出しになった。
「少佐様? 目が醒めたのならさっさとベイルアウトしてくだいませんか? オブリビオンマシンとはいえ、それくらいはありますよね?」
 ティーの最後通牒に、ソ少佐は慌てて機体から射出されて離脱していった。
 完全に遠ざかったことを確認したティーは、未だに僅かながら稼働するオブリビオンマシンに声を漏らした。
「おやおや? 少佐の救世主願望の絞りカスだけで未だに動けますか☆ いいでしょう。でしたら、此世に一切の欠片も塵も残さず、貴方は焼き砕いて差し上げましょう☆」
 ティーは必殺の90式爆縮破砕型魔杖を掲げ、その先に小型太陽めいた核融合された魔力を圧縮・凝固してゆく。
 もはやそれ自体がユーベルコードの疑いもあるほどの超破壊力は、先刻の戦闘で実証済みだ。
「ではでは☆ これにておさらば、ごきげんよう☆ 汚い花火になぁ~れ☆」
 真紅の光球を杖先から発射、そのまま光球は半壊したオブリビオンマシンに着弾する。
 途端、周囲は凄まじい光量によって白と黒に塗り潰され、突風は天へと吸い込まれ、常軌を逸した熱波が大地をえぐり、融かし、吹き飛ばし、上昇気流で発生した内圧にと数千度にまで熱せられた大気によって、オブリビオンマシンは一瞬で粉砕・蒸発して消失してゆけば、廃都トッキョーに本日2回目のキノコ雲が立ち昇ったのだった。
「たーまやーですね~」
 箒星の鎮魂曲も、今回ばかりは激しい選曲でオブリビオンマシンを見送ったのだった。

 身柄を拘束されたソ少佐は、数時間後、ベースキャンプにてジャパニアの職員達によって傷の手当を受けていた。
 オブリビオンマシンによって生命力を吸い付くされる寸前だったため、衰弱が激しいゆえに数日は事情聴取を兼ねてジャパニアで入院する運びとなった。
「ま、なんにせよ、これでトッキョー奪還は事実上達成したと思っていいだろう」
 特別軍事科学研究機関『M.A.K.E』の主任ことジャック・カブラギは、ベースキャンプにて猟兵たちにそう告げた。
 事態を収拾するために自ら前線に赴き、コリファ人民共産国との講和への交渉を行っているのだ。
「隣国の文官による暴走、それを止められなかった軍部の責任、更にオブリビオンマシンを違法に保有していた容疑で、コリファは今や周辺の小国家から槍玉に挙げられているよ。これでウチも和平へ持ち込みたいところだがね?」
 猟兵達の活躍で、今後、ジャパニア周辺の国家情勢は大きく変わるはずだ。
 だが、猟兵達はそこへ立ち入るべきではない。
 あとはカブラギ主任たちのような自国の政治屋が上手く取り持ってくれるだろう。
「ところで、ノイノイはどこへ行ったのかね?」
「ノイノイ……? ああ、ノインツィヒさんですね?」
 箒星も何度かジャパニアへ来ているためか『開発チーム』のノインツィヒ推しを心得ている。
「遂に推しにニックネームが……素はヤンキーですけど……?」
 素朴な疑問をティーは口にするも、カブラギは即答した。
「それが国民に受けてるんだよ」
「そういうものですか☆」
 ティーは自身のメイドという立ち位置と残虐ファイトの落差も、このジャパニアの国民の嗜好に合致するのでは、と薄っすら勘ぐってしまった。
 ……その頃、ノインツィヒはソ少佐に段ボール箱を押し付けていた。
「はい☆ とりあえず~、少佐殿には~ジャパニアに迷惑をかけた詫びに、やってもらわないといけないんだけど~☆ これ、私ちゃんのCDをプレゼント☆ 500枚あるよ☆ 残りはコリファの軍部に送っておくね☆ 着払いで」
「は?」
 ソ少佐の顔が青ざめる。
「私ちゃん、ジャパニアでそこそこ人気が出ててね? コリファでも少佐が私のファン一号になってくれるとうれしいなぁ~って!」
「あの、着払いとかやめてくれないか。急にファンになれって言われもヤンキー相手は……」
「つか、なれよファンに」
「アッハイ」
 圧がスゴイ。
「ジャパニアとコリファが友好条約を結んだ証には、私ちゃんが国交正常化記念ライブを開催しちゃうゾ☆ だから~祖国に帰ったら私ちゃんのCDを布教してね☆」
「いや、それとこれとは話が別では……?」
「(布教)しろ。いいか?」
「アッハイ」
 こうして、影の和平条約が着々と進んでいたのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月20日


挿絵イラスト