迫る蒸気船、迎え撃つ蒸気島
●俺の海よ
「野郎ども、さっさと準備しやがれ!」
船の上で叫ぶ海賊。
「野郎ども、さっさと準備しやがれ!」
島の上で叫ぶ海賊。
「タラタラしてんじゃねぇぞ、使えねぇやつはぶっ殺す! この船に役立たずなんざいらねぇ!」
海賊が部下たちを威圧し、部下たちはそれに怯え作業のスピードを上げた。
「タラタラしてんじゃねぇぞ、自分にできることを最大限やれ! この団に役立たずなんざいねぇ!」
海賊が部下たちを鼓舞し、部下たちはそれに応え作業のスピードを上げた。
「あの島は俺のもんだからな!」
「この島は俺たちのもんだからな!」
海賊が、声高に島の領有権を主張した。
●俺たちの海よ
「あなたのメルでございます。皆様本日もお集まりいただきありがとうございます」
メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)はそう言って猟兵たちに海賊焼きと呼ばれる焼いた貝を配る。
「さて、グリードオーシャンにおいて、強大な海賊勢力である『七大海嘯』というのがいるのはご存知でしょうか。今までも彼らの領域にこちらから攻め込んでいたのですが、いくつもの支配地域を取られたこともあってか向こうも対策を本格化、強力な手下を放ってこちらの島を奪い取りに来たようです」
取られたものは取り返す、実に海賊的な発想だが、だからと言って看過できるものではない。
「今回襲われる島は座標S02W01、元アルダワ魔法学園のカリコシャ島という島です。何度かご紹介したこともありますので、行ったことのある方もいらっしゃるかと」
比較的初期に発見された島で七大海嘯の支配下だったことはないが、取り返すものが取られたものそのものとは限らない、という海賊理論のようなものだろう。
「現在海賊たちは既に島に迫り、形ばかりの降伏勧告を行った後攻めかかる準備をしています。島の方では常駐する海賊団『サバカン団』が主体となって迎撃準備を進めておりますので、まずはここで彼らと協力し、万全の迎撃態勢を整えてください」
『サバカン団』は既に猟兵とも顔見知りであり、全幅の信頼を寄せている。元より武闘派であり、団長をはじめとするメンバーの戦闘力は高い。またこの島近海での海戦という極めて局地的な情報においては敵や猟兵よりも遥かに詳しいだろう。彼らの船やこちらの鉄甲船『黍団号』を武装化したり、島に防壁を築くなどの戦闘準備、あるいは船員たちとの連帯感を強めるための決起集会や戦闘訓練を行うのもいいだろう。
「敵は七大海嘯の『桜花』配下で、長距離砲撃が可能な大砲を詰んだ蒸気船で攻めてきます。それに対抗できるような遠距離攻撃手段を装備したり、あるいは砲撃を掻い潜れるような移動手段を用意するなど、色々考えてみてください。こちらの団長さんも目下蒸気機関について勉強中だそうなので、手助けしてあげるのもよろしいかと」
そうして準備が整ったころ、敵は船団で攻めてくるという。
「敵船団との戦いでは、先に用意した準備を駆使して敵船団を沈めていってください。船自体を沈めてしまえば乗員のコンキスタドールを戦わずして撃破もできますし、近接戦が得意ならば接舷して乗り込み直接戦ってしまってもいいでしょう。船に乗っているのは『パールウォリアー』という阿古屋貝が人型に変化したコンキスタドールで、貝による防御と槍による攻撃の他、粘液を飛ばし相手を真珠の像に変えてしまう能力も持っています。これで作った真珠像をボスに献上して自分の立場を守っているようですね」
敵も決して弱くはないが、近接戦においても島の海賊たちは戦力になってくれる。彼らと協力すればより優位に戦いを進められるだろう。
「敵船団を沈めたら、一際大型の船に乗った船団長『豚房流斧術士『子豚・ジャクリーン』』の登場です。彼女は酒と宝とデカい男女が好きという分かりやすく欲深い性格で、気に入ったものは配下に誘い、断った者や気に入らない者はパールウォリアーに真珠にさせて売り飛ばしているそうで。敵戦に直接乗り込んで戦うことになりますが、彼女は七大海嘯から攻撃隊長を命じられるだけあってかなりの強敵であり、圧倒的な巨体と筋肉と爆乳で力任せに斧を振るって攻撃してきます。ですがここでも味方の海賊たちからの援護射撃や戦闘補助を受けることができますので、彼らにうまく指示を出しつつ協力して敵と戦ってください」
敵船は大きく巨人やキャバリアでも甲板上で平然と暴れまわることができる。さらに一発二発砲弾が当たった程度では沈まないので、猟兵も海賊も遠慮なく全力攻撃ができるし、またそうしなくては倒せないほどの強敵だ。
「もちろん皆様の勝利を信じてはいますが、万一ここで敗北してしまうと島は敵に占拠され、その支配下に落ちてしまいます。七大海嘯支配下の島の悲惨さは言うまでもありませんし、サムライエンパイアに続く大渦に近いこの島を取られれば後にどんな災いの種となるかわかったものではありません。どうか、守り抜いてくださいますよう」
折しもサムライエンパイアは猟書家の侵攻が進んでいる。そこに繋がる場所近くに別世界のオブリビオンの拠点ができたとなれば、何が起こってもおかしくはない。最早オブリビオンの跳梁は、一つの世界の話では収まらない時代なのだ。
「今回も現地では鉄甲船『黍団号』にてお送りします。今回はこれもそのまま兵器に改造して使ってくださいませ。自称船長にも許可は取っておきます。それでは皆様、よろしくお願いいたします」
そう言うとメルは一礼して、操舵室へと入っていった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。グリードオーシャンは冬でも容赦なく海に出ます。
今回の舞台となるのは拙作・魔改造の果てに及び夏の学園祭!の舞台となった『カリコシャ島』というアルダワ魔法学園から落ちてきた島です。島の詳細についてはタグ検索をお願いします(新しい機能使ってみたい勢)。
第一章では島の海賊『サバカン団』と協力し、海賊の迎撃準備を整えて頂きます。彼らは以前の事件で猟兵の協力者となっており、指示には従います。海賊船や鉄甲船の武装化に島の要塞化、団員たちへの戦闘訓練、周辺海域についての勉強など取りたい戦法に合わせて行ってください。士気高揚のための宴会などもできますが、戦いが控えているため楽しいお祭り騒ぎよりも荒々しい決起集会寄りになりますし、グリモア猟兵も呼べません。
第二章では敵船団とそれを駆る『阿古屋貝の戦闘員『パールウォリアー』』との戦いになります。
敵船は長距離砲で武装していますので、それに対する味方船への攻撃、回避指示や乗り込んでの直接戦闘での共闘など、第一章で強化した海賊や武装をうまく使ってください。プレイング内での船団戦と直接戦闘の比率はお任せします(どちらか片方特化でも可)。
第三章では敵の旗艦に乗り込み、ボスの『豚房流斧術士『子豚・ジャクリーン』』との決戦になります。体も武器も大きく力強い強敵ですが、ここでも海賊たちに支援を頼むことで戦いを有利に進められます。直接対峙させるのは厳しいですが、船からの援護射撃や船上での支援攻撃などで協力させてください。
以下戦力としての海賊及び島のデータ。
お頭ミズリー・マッカレル(女、ミレナリィドールの海賊×ガジェッティア、行動派)
側近キンメ・レッドスナッパー(男、ケットシーの鮫魔術士×マジックナイト、慎重派)
その他船員(種族、ジョブはグリードオーシャン及びアルダワ魔法学園のものが主体)
島は典型的南洋の島だが、各所にアルダワ文明の遺構あり。現在ミズリー主導でそれを発掘研究中。
作戦なしの単純戦力としては、
『ジャクリーン>パールウォリアー全軍>(越えられない壁)>ミズリー&キンメ>パールウォリアー単騎≧名無し海賊単騎>海賊以外の島民』
ですがもちろん猟兵の力次第でいくらでも覆ります。
それでは、迫る海嘯すら押し返すプレイングをお待ちしています。
第1章 日常
『七大海嘯迎撃準備』
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POW : 港や海岸に防衛陣地を築いたり、鉄甲船を強化したり、島の商船や漁船を戦闘に耐えうるように改造します。
SPD : 島の周辺の潮の流れや岩礁などの地形を把握したり、島民の戦闘訓練や避難訓練をを行って練度を上げます。
WIZ : 海戦前に演説で戦意を高揚させたり、酒を飲んだり、宴会を開くなどして島民と猟兵の連帯感を高めます。
👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「急げ、連中はもうそこまで来てるぞ!」
今までにない殺気立った空気に包まれるカリコシャ島。今までのような楽しいお祭り騒ぎでも、島一か所で済む戦いでもない。島の存亡をかけた戦いが目の前に迫っているのだ。
「蒸気マスケット砲を出すぞ! 撃つのは俺がやる!」
「お頭、それまだ試作品だとか言ってませんでしたか? あとマスケットだけで銃という意味があるので、マスケット砲だと何が何だかわからなくなります」
「こんな時まで細けぇんだよお前は! だから俺が撃つんだよ、それなら失敗しても吹っ飛ぶのは俺一人で済む!」
「戦時中に総大将が一番やっちゃいけないことですよそれ! それくらいなら俺が撃ちます!」
混乱の中、巨大砲の前で言い争うサバカン団お頭ミズリーとその側近キンメ。
非戦闘民は避難させ、戦える者は戦闘配置につき、あるだけの武器を出して島中に配備する。だが、どれだけやっても敵船団の威容からすれば十分とは思えず、焦りばかりが募っていく。
そこに下っぱ団員が、息を切らせて飛び込んできた。
「お頭! キンメさん! 大変です!」
「今度は何だ!?」
「み、港に……」
慌てる団員の言葉に、急ぎ港へと向かう二人。そこあったのは巨大な鉄張りの船。二人はその船に、よく見覚えがあった。
「お頭、こいつは……」
「ああ、間違いねぇ……やっぱり運は残ってたぜ。来てくれたんだな、兄弟!」
夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎
■行動
皆さん、お久しぶりですぅ。
急いで準備を始めましょうかぁ。
まずは【伎偶】を使用し『海戦』を想定した『女神の従者』を召喚しますねぇ。
基本的には、その『超技術』を用いて『船・武装・防衛施設の改造』をお願いする予定ですが、他に其方の分野に長けた方がいて手も足りているようであれば『防衛の配置』や『海上戦の訓練』等に切り替えていただきますぅ。
私自身は『FBS』を四肢に嵌め低空飛行し、『敵船団の来るであろう方向』及び『交戦地点付近の海域の地形』を把握しておきましょう。
『飛行して問題の無い範囲や高度』は『サバカン団』の皆さんの情報にあるか微妙ですし、確認したいですねぇ。
混迷極まるカリコシャ島の港に接岸した鉄甲船『黍団号』。まずそこから降りてきたのは、以前にもこの島に訪れたことのある夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)であった。
「来てくれたんだな、ありがとうよ!」
「いつもご迷惑をおかけします。正直今回ばかりは甘えさせていただきたくて……」
「皆さん、お久しぶりですぅ。急いで準備を始めましょうかぁ」
待ちかねた、とばかりに出迎えるミズリーとキンメ。その二人との再会の挨拶もそこそこに、るこるは海戦の準備を始める。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、大いなる技術を操りし女神の従者よ、私の元へ」
【豊乳女神の加護・伎偶】を使い、海戦に特化した技術を持った人形型の女神の従者を召喚、それをサバカン団へと化し与えた。
「この子は海戦についての知識を詰め込んであります。船や拠点の改造にお使いいただければぁ」
その人形を眺め、ミズリーはしばらく考えるような素振りを見せる。
「へぇ……こんなのもいるのか。よし、それじゃさっそく手伝ってもらうか!」
「お頭、それなら俺が案内します。物資の量ちゃんと把握してないでしょう?」
キンメが言うとミズリーは何か言いたげな表情を一瞬するが、結局黙ってキンメに道を譲った。
「戦闘訓練などもできますので、その時にお手伝いいただければ……」
「そ、そうだよな! で、他には何か手伝うことあるか?」
やはり自分も何かしたいのだろう、ミズリーはるこるへそう申し出る。
「そうですねぇ……それでは、このあたりの海について……とくに戦いになりそうな場所についてお教えいただけないでしょうかぁ」
「よっしゃ、任せとけ! それならこっちだ!」
るこるの言葉に、ミズリーは勇んで彼女を港の方へと案内するのであった。
「あいつらが来るのは西側からだ。他の方向に船を出してないのは確認してる。もし直接やり合うとなったら、西の海になるだろうな」
望遠鏡をのぞきながらミズリーが言う。カリコシャ島の西部には現在島が発見されていない。そこを一先ずの待機場所にしているのだろう。るこるが望遠鏡を借りて除くと、確かに蒸気を噴き上げるいくつもの船が僅かに見て取れた。
「こっちの海は結構深い。流れはそこそこあるが、慣れてる奴なら普通に動けるだろうな。連中は慣れちゃいないだろうが……船が強そうだ、この程度の波なら乗り越えてくるだろう」
やはり海についてはプロなのか、冷静に彼我の戦力を考えながら言うミズリー。それを聞きながらるこるは、浮遊戦輪『FBS』を四肢にはめ、ふわりと浮き上がった。
「少し見てきても?」
「ああ……だがあまり出ると挑発に取られて動きだされるかもしれねぇ。出るのは遠くないところまでにしてくれ」
るこるはそれを聞き、距離に気を付けながら海上を飛び回った。地形としては暗礁のようなものはなく、船が航行するのに問題はなさそうだ。それだけに地形的な障害物として使うのは難しい。だが敵が長距離砲を備えていることを考えると、手早く突っ切れてしまう方が楽なのかもしれない。一方遮蔽物がないのは気にかかるが、海戦ならばそれらは作らない限りない方が普通である。その辺りはサバカン団たちも承知の上だろう。
さらにるこるは上に向かって飛行し、周囲の気象状況を確かめる。数十メートル程度では問題ないが、ある程度の所で少し風が強くなったように感じられた。過剰に上がって敵の目につくのを避けるこるはそこで地上へと戻り、ミズリーに声をかける。
「つかぬことをお聞きしますが、飛行して問題のない高さがどのくらいかご存知ではないですか?」
「飛行? さあ……普通に飛べる範囲なら大丈夫なんじゃねぇの? 雲の上とかまでは知らねえけどさ」
グリードオーシャンの科学技術は大航海時代レベル、例え元がスペースシップワールドなどでも飛行機などの技術はない。恐らく彼女の言う『普通』とは、徒歩や船の代わりに飛行能力を使うレベルの範囲で、とのことだろう。だが他の島にはかつての遺構として、ヒーローズアースやキマイラフューチャーの高層ビルなどが残っている。それを考えれば、百メートル程度なら上昇しても問題はないだろう。グリモア猟兵の力すら阻むグリードオーシャンの異常気象だ、巻き込まれないための距離の測定は慎重に行っておく必要があった。
「で、どうだ、行けそうか?」
「そうですねぇ……色々考えてみますぅ」
「そうか、他にも必要なものがあったら言ってくれ、海図とかも必要なら見せてやるからさ!」
地形を図るるこるにそう言うミズリー。るこるはそれを聞きながら、もうすぐ戦場となる海原を見つめるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、華澄、ミラーと行動
エルザ、ヨル、ジョウ、グリムを呼び出す。
地形の利用を生かす作戦を考える。
「敵は俺達でやる」
「まあ、そういうと思った」
兄弟だからこそ分かっていた。島民に戦わせないと。
「では島民は後方支援に」
ジョウ、ヨル、グリムとは別に攻め手を考える。
「向こうは長距離攻撃してくる可能性がある。だがそれ以上の超長距離攻撃が可能なら」
ベガに入れたクロビスの遺産の情報を開示。
『超長距離狙撃銃サンダーストライクがあります』
他に用意するのは樽と爆薬。空と爆薬入りを海に放流し、不安定さを引き起こす。
アドリブOK
ベアトリス・ミラー
※アリス、エルーゼ、華澄、ジェイクと行動
前回の件で色々書けたのですが、クロビス家の事はあまり進みませんでしたね。
奴隷だった人たちが戻れたのはいいのですが、明らかに千年前とは思えない進んだ技術はどうやって得たのか。
エルザさん達からも聞けませんでしたし……後にしましょう。
長距離攻撃となると、乗り込んでしまえばそこはなんとかなるとして、コインを使えば装備は何とかなるかと。
エルーゼちゃんとも相談して色々決めましょうか。
アドリブOK
エルーゼ・フーシェン
※アリス、ミラー、華澄、ジェイクと行動
攻めるとしたら、空からの奇襲による攪乱とか?
ベア姉さんと話し合って決めないといけないわね。
奇襲さえうまくいけば攪乱してその隙に攻撃してもらう、なんていうのもありね。
ジェイクたちとすり合わせしないと大変な事になるだろうし、あとで纏めないと。
アドリブOK
藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ミラー、ジェイクと行動
あまり時間もなさそうですし、できる事をしていかないと。
やれる事と言えば医療くらい。怪我人とか出たら適切な対処ができる様にしておけば安心でしょうか。
メカニックの技術も何かに役立てられれば。
エルザさんから譲ってもらった新しい銃も使い方を知っておかないと。
マルチツールなんかも勝手に持ってきたのに譲ってもらう形で。
「私なんかでいいなら」
活躍できるように頑張らないと。
アドリブOK
アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ミラー、ジェイクと行動
それぞれが行動するとなれば、私は地形を見てくるしか。
安全そうな場所の補強に医療品などを集めたりと。
あの二人にも、ミラーの説明をしなければ。
まあ、初めて会っていきなりやらかしたが、なんとかうまくやっていけているのが不思議というか、喜んでたな。
そこは伏せておいて、まあ物書きでエルーゼの知り合いと言っておくか。
アドリブOK
次に黍団号から降り立ったのは、五人連れの猟兵だ。その五人を、港に戻ったミズリーとキンメが出迎える。
「ありがてぇ、あんたたちも来てくれたのか!」
出迎えたミズリーにまず向き合ったのはジェイク・リー(影の護り手・f24231)。彼は挨拶もそこそこに、彼女に対し口を開く。
「敵は俺達でやる」
その言葉に、ミズリーは首を横に振った。
「あんたたちが強いのは分かってるよ。けど、ここは俺たちの島だ。何もしないで全部任せてちゃ俺たちの面子にも関わってくる。ここの島を守るのはあくまで俺たちだ」
彼女たちは海賊とは言うが、同時にこの島の顔役であり用心棒、武力と権力を持つ存在でもある。それが規格外の存在とは言え外部の者に頼り切りというのは、色々と問題があることは想像に難くない。そしてそれ以上に、彼女たちが全てを他人任せに出来る性質でないということも分かる。面子、というのは半分建前、半分本音と言ったところだろう。
「まあ、そういうと思った」
ジェイクもその答えは半ば予想していた。自分たちを兄弟と呼ぶ彼女たちが、他人に頼り切ったり逆に戦えないものまで前線に出すような存在ではないと。
そしてそうなれば、必要になってくるのは人出だ。
「では島民は後方支援に」
その声と共に現れた四人の人間。代表として女が声をかける。
「前も何か呼んでたけど……他にも出てくるのか。すげぇなあんた」
以前ジェイクの召喚術を見ていたミズリーは、突然の追加人員にも驚かない。
「あまり時間もなさそうですし、できる事をしていかないと。やれる事と言えば医療くらい。怪我人とか出たら適切な対処ができる様にしておけば安心でしょうか」
彼女に倣い、後方支援に名乗り出たのは藤宮・華澄(戦医師・f17614)。彼女の申し出にはキンメが嬉しそうにうなずく。
「ああ、あなたが後ろで見ててくれるなら安心ですな。うちの連中はお頭ほどじゃないが単純なのが多い。しっかり見張っててくだせぇ」
「お前なぁ……」
ミズリーがジト目でキンメを睨みつけるが、キンメに気にした様子はない。
「私なんかでいいなら」
華澄は手にした銃……以前とは違うそれをしっかりと持っていった。エルザから譲り受けたその銃や、勝手に持っていったのを正式に譲られたマルチツールなどの新武装。それを十全に活かし、この戦いを乗り切らねば。
そんな華澄とそれを見守るエルザを、キンメは島の後方、居住地へ案内すべくその場を離れていった。
「さて、それじゃああなたとは攻撃について話し合いましょうか」
エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)が残されたミズリーに声をかける。
「お、あんたはこっちに回ってくれるんだな。それと……お、また新しい奴もいるんだな」
その申し出に嬉し気に答えてから、さらに後ろに控える人影を認めるミズリー。
「ええ、初めまして」
ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)はそれににこやかに笑って答える。だがその隣のアリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)はどうにも微妙な表情だ。
「お、どうした?」
「あ、いや……」
ベアトリスの猟兵としての初仕事にはアリスも居合わせたのだが、そこで彼女はエルーゼや華澄共々色々と大変なことをやらかしていた。
(まあ、初めて会っていきなりやらかしたが、なんとかうまくやっていけているのが不思議というか、喜んでたな)
そう考え、言うのもはばかられる部分は伏せ、簡単に物書きでエルーゼの知り合いとだけ説明するアリス。
「へぇ、あんたも身内なのかい。よろしくな!」
「はい。前回の件で色々書けたのですが、クロビス家の事はあまり進みませんでしたね。奴隷だった人たちが戻れたのはいいのですが、明らかに千年前とは思えない進んだ技術はどうやって得たのか。エルザさん達からも聞けませんでしたし……」
アリスがせっかく伏せた部分を独り言風に口にするベアトリスをどうにか押しとどめつつ、エルーゼは作戦を考え始める。
「攻めるとしたら、空からの奇襲による攪乱とか?」
「長距離攻撃となると、乗り込んでしまえばそこはなんとかなるとして、コインを使えば装備は何とかなるかと」
空から攻めて、敵の長距離砲の使えない戦場での戦いに迅速に持ち込むという作戦を立てる二人。グリードオーシャン特有の異常気象のせいであまり高高度の飛行は出来ない。ならばある程度相手の狙いの中を飛ぶ必要があるが、その場合砲撃を躱し続けるか、撃ち合いをする必要がある。
「それなら……」
『超長距離狙撃銃サンダーストライクがあります』
ジェイクが考えがある、という風に呟くと、機械的な女性の声がそれを引き継いだ。その声の主はAIのベガ。彼女の中に記録された、ベアトリスも呟いたクロビスの遺産。その情報の一端を開示し、遠距離戦での打ち合いの可能性を示すジェイク。
「よくわかんねぇけど……こっちも敵と撃ち合いができるってことか? そりゃ頼もしいぜ!」
さらにそれに加え、海域に爆薬入りの樽を空のものと混ぜて浮かべ敵の進路を妨害するという戦法も提案するジェイク。こちらはグリードオーシャンの技術で十分再現可能で、地元民であるサバカン団にも物資の用意や配置もしやすい。世界に存在しない未知の技術と、地に根差した既存の技の混合で攻める形で海戦の方向はまとまった。
「だが闇雲に船と爆弾を混ぜて浮かべるわけにもいかないだろう。地形は把握せねば」
そう言うのはアリス。その言葉にミズリーも頷き、海図を取り出す。
「ああ、敵が攻めてくる方は分かってる。大体この辺で戦うことになるだろうな」
「なら実際その場を見せてもらってもいいだろうか。他にも緊急の隠れ場所や予備の弾薬置き場、それに防衛ラインをどう張るかも考えたいな」
実地を見ることで、その場の状況や現状補強が必要な場所、さらには敵に攻め込まれることも一応は予想しておき、下がれる場所やその際の物資をためておく場所なども選定したい。そうアリスが提案すると、ミズリーは彼女を連れてその海域の方へ向かって歩き出した。
「よし、じゃあちょっと案内してやるよ!」
「ああ、頼む」
そうして二人が離れていったところに、入れ違いに華澄とエルザが戻ってくる。
「医療器具の見立てと補充は終わりました」
「戦わなくても巻き込まれる可能性はあるから」
島民たちも戦えなくても何かはしたいと、後方での応急処置や食料、休憩所の用意などについてのレクチャーは積極的に聞きに来た。彼らを纏めることが今の役目と、華澄は後方支援の役を改めて己に課す。
「ええ、私とベア姉さんは空から……と言ってもそんなに高くは飛べないけど、攪乱して乗り込む形ね」
「その間の後ろはジェイク君ね」
航空部隊として動くエルーゼとベアトリス、そしてベガによる超長距離射撃の攻撃を受け持つジェイクと、各々役割を確認し合う。
「俺たちは遊撃か」
「海なら氷の材料はいくらでもある」
「あの蒸気船……如何な技術で動いているものか」
ジェイクの召喚した残りのメンバーのジョウ、ヨル、グリムニルの三人は、まずは各々の得意技を使い単純に暴れ敵の注目を引きつつダメージを与えることを役割とした。勿論状況によって別の場所へ回ったり、負傷者の搬送や一般海賊の防衛などの裏方へ回ることも考えられる。役割を明確化せずその場の判断で動く者、これもまた戦には必要な人材だ。
そしてそこから離れた場所、戦場になるであろう海域ではアリスがミズリーと船や物資の配置の打ち合わせをしている。
この島に理を持つサバカン団と、圧倒的戦力である猟兵。それぞれを利を最大限活かす戦い方は、徐々に組み上がっていくのであった。
大成功
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シノギ・リンダリンダリンダ
奪われたから奪い返す。なるほど理解できる行動です
ですが、それが七大海嘯と言うのなら話は別
いいですよ。何度でもそれを阻止してあげましょう
私も大海賊を自称する身。海戦には一家言あります
「航海術」の「戦闘知識」では負けていません
海賊達から近隣の海の流れや地形を聞き込み、迎え撃つのに良い場所を考案しましょう
死霊海賊を召喚して実際に調査もしましょうかね
ついでに「威厳」を以て「鼓舞」しておきましょう
相手は一度負けた相手です。そして我々猟兵もいる。勝てる戦いです
貴方がたにはこの大海賊、“強欲”のシノギが付いています
さぁ、海賊の時間です!
蹂躙と、略奪の時間です!!
挑発の意味も込めて空砲を撃たせましょうか
カリコシャ島西部に広がる海。その向こうにいるであろう敵船の方向を見据え、シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)は思う。
「奪われたから奪い返す。なるほど理解できる行動です。ですが、それが七大海嘯と言うのなら話は別。いいですよ。何度でもそれを阻止してあげましょう」
海賊とは所詮は『賊』。取って取られては常の稼業だ。しかし、それが全てを奪い、圧するオブリビオン勢力七大海嘯が相手というなら許容は出来ない。取ったものも、元から持っていなかったものも、一つとして渡すことなどできない。
大海賊を名乗る身として、その知識と力を持って敵を打ち払ってくれようと、シノギはこの島へと上陸していた。
「まずは地形を把握しましょう。敵を迎え撃つのはこのあたりでいいのですね?」
シノギはサバカン団に戦場となるであろう海域について質問する。今までも他の猟兵に同じことは聞かれたが、同業者であるシノギの視点は他のものとは一味違った。
「ふむ、潮はこう流れて……あまり早くはないと。大きな障害はなく、動きやすいが利用できるものも少ない。ですが既に島の有志たちで要塞化が進んでおり、人工的な障害物も作れると」
海賊たる彼女は海戦には一家言ある。だがそれだからこそ、戦に絶対はないし想定外はいくらでも起こり得ることを分かっていた。
「大体の絵図はもう書けているようですね。ですが、実際に動いてみないと分からないこともあるでしょう。少し演習を行いますか」
シノギのその提案に、ミズリーは渋い顔をした。
「そりゃ時間があるならそうしたいが、敵はもうそろそろ攻めてくるだろう。不安はあるけどぶっつけ本番で行くしか……」
「ご心配なく」
シノギは王冠を掲げ外套を翻し、そこから次々と海賊の死霊を呼び出す。海賊たちは海の上をすべるように浮き、そのまま敵味方を模したような配置について向かい合った。
そのまま死霊たちは疑似的な戦いをはじめ、実際に想定していた動きができそうかを確かめていく。安定して攻撃ができるのか、敵の超射程攻撃を躱していけるのか、万一抜かれた場合次の防衛ラインまで速やかに下がれるか。
優勢や劣勢を切り替え、様々な戦況を想定して実際にその戦術が使用能うものか、シノギは死霊たちを動かして確かめていった。
「すげえな……こんなことまで出来ちまうのか」
「感心している場合ではありません。あなた達にはこれから実際にこれをやっていただくのですから」
そう言ってシノギはミズリー、そしていよいよ時間が近いと集まってきたサバカン団団員たちに向き直る。
「相手は一度負けた相手です。そして我々猟兵もいる。勝てる戦いです。貴方がたにはこの大海賊、“強欲”のシノギが付いています」
一同に向かい、より声を大きくして語り掛けるシノギ。その声は海賊たちの耳に、そして心に響き、その内にある闘争心を湧き立たせていく。
「さぁ、海賊の時間です! 蹂躙と、略奪の時間です!!」
世界中の宝は全て自分のもの、その傲慢、強欲こそが力と、シノギは声高に語り掛ける。狂人と呼ばば呼べ。七大海嘯ごときにくれてやる宝も土地も一片とてないと、むしろ攻めてきたならば今残る船も命も奪い尽くしてやろうと、大海賊の威厳に満ちたその宣言は海賊たちを鼓舞し、大きな波となって彼らを奮い立たせた。
「お頭、動きました!」
その時、キンメが望遠鏡を覗き声を張り上げる。ミズリーがそれを奪い取って自らの目に当てると、彼女の表情が一層引き締まった。
「ついに来やがった……どでかい大砲がこっち向いてやがるぜ」
七大海嘯『桜花』が配下に与えたという超長距離砲。それが島に向いていると聞き、シノギは先に撃たれるのも面白くないと考える。
「たしかバカでかい大砲ならあなたも持っているのですよね?」
シノギはそう言って、ミズリーに蒸気砲の場所を聞き、彼女を伴いそれに近づいた。
「敵をお迎えしてあげましょう。一発、歓迎の花火を上げて差し上げなさい」
「よっしゃ!」
シノギの指示に、ミズリーが蒸気砲を操作する。火薬の代わりに蒸気エネルギーが充填され、砲弾を込めない方から発射された。
海に響き渡る轟音が、海賊同士の戦いの始まりを高らかに告げた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『阿古屋貝の戦闘員『パールウォリアー』』
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POW : アコヤガイシールド
【肩の巨大貝殻を前面へかざしての防御モード】に変形し、自身の【移動速度】を代償に、自身の【高い防御力】を強化する。
SPD : トライデントスロウ
【手に持つトライデントを投擲】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : スタチューパールズ
【肩の巨大貝殻の内側】から【真珠色の粘液】を放ち、【真珠化】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:小鬼田平子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
海に轟く轟音と共に、カリコシャ島西海での戦いは始まった。
まず領海内に入ってくるのは、何隻もの蒸気船。とりわけ目立つのはその船体に取り付けられた巨大な砲塔で、それなりな大きさのあるその船をしてアンバランスにも見える程の長さを持っている。
「先ほどの射撃は敵対行為とみなすとキャプテンが言いました! これより攻撃を開始します!」
船の乗員がそう叫び、その長い砲が発射される。それは通常の大砲の飛距離を遥かに超え、本来ならまだ射程外であるはずの島ギリギリの場所へと着弾した。
だが、弾が遠くから飛んでくるのは想定の上。既に海と島には、猟兵の協力のもと築かれた防衛線と、サバカン団の船が戦闘配置についている。
「先に喧嘩売ってきたのはてめぇらだろうが……お前ら! あの磯くせぇ奴らを一歩たりとこの島に入れるんじゃねぇぞ! サバカン団、発進だ!」
ミズリーの号令と共に、サバカン団所有の船が海へと出発した。
「むむむ、やっぱり来ますか……何か余り見たことのない人も乗ってますが、船はまとめて沈めて、こっちに来た人は真珠にしてキャプテンに献上しましょう! 機嫌を取らないと私たちが酒のつまみにされてしまいます!」
肩についている大きな二枚貝から粘液を滴らせてそう言う、ビキニ姿の少女達。彼女たちこそがカリコシャ島攻撃部隊の尖兵、『阿古屋貝の戦闘員『パールウォリアー』』だ。彼女たちは阿古屋貝がメガリスの力でコンキスタドール化し、人型に変じたものだという。
船諸共沈めるもよし、乗り込んで白兵戦で仕留めるもよし。島に乗り込んできた無法者を海の底に返してやれ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
さて、来ましたかぁ。
始めさせていただきますねぇ。
『FBS』を四肢に嵌め飛行、先程確認した『問題の無い高度』まで飛行しましょう。
そして【崇卓】を使用、『戦場全体』の海に『大渦潮』と『水竜巻』を形成、これ等を用いた[範囲攻撃]を行い敵方の船を『渦』に巻込みますねぇ。
そのまま『沈没』させられれば良し、防ぐ為に相手が『操船』に専念しても『FCS』で炸裂弾に換装した『FRS』『FSS』の[爆撃]や、サバカン団の皆さんの『遠距離からの[砲撃]』の良い的ですぅ。
相手の『島/サバカン団への攻撃』は『水竜巻』で防護し撃墜、場合により『現象』に『大津波』を追加し、確実に叩いて参りましょう。
ついに始まったカリコシャ島防衛戦。距離を置いて向かう合う双方の船のその間に、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は浮遊戦輪『FBS』を四肢にはめて浮き上がった。
「さて、来ましたかぁ。始めさせていただきますねぇ」
るこるは敵の方が自分もろともサバカン団の船を狙っているのを見て、一機に高度を上げる。上昇するにつれて少しずつ風が強くなっていくが、それでもるこるは上昇をやめない。そして気流が動きを阻害するほどになるほんの数メートル下、先の事前調査で確かめた上昇できるギリギリの位置でるこるは止まり、眼下に広がる大海原とそこに犇めく敵味方の船を視界に収めた。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その祭壇の理をここに」
その眼下の戦場全体に向けてるこるは【豊乳女神の加護・崇卓】を発動した。それによって巻き起こされるのは、るこるの意のままに操縦できる大渦と水を巻き上げる竜巻。
「ななな、なんですか急に、この辺りの海は大人しいんじゃなかったんですか!?」
「へ、いきなりでかいのが来やがったな……お前ら、このくらいで倒れたりしねぇよな!? 敵から狙いを逸らすんじゃねぇぞ!」
事前情報にない突然の大渦に慌てて船にしがみつくパールウォリアーと、動じることなく操舵を命じるミズリーの号令にて企画に従うサバカン団。これは地の利や海鮮の経験以上に、自分たちの仲間が起こした渦なのだから最終的に自分たちを悪いようにしないだろうという信頼から来るものだろう。
それに応えるべく、るこるは渦を操縦し、範囲を敵の船が密集する海域のみへと移動させて敵船をまとめて渦の中へと叩き込んだ。
「あわわわわ、急いで面舵いっぱい……あれ、取り舵? と、とにかく立て直してくださーい!」
操舵担当に滅茶苦茶な指示を出し、とにかくその場を立て直そうとするパールウォリアーたち。だがそれを許さず、るこるは射撃能力を持つ兵装『FRS』と『FSS』に、換装した炸裂弾での爆撃を命じた。その弾は敵の船体にあたると次々に爆発を起こし船をより一層揺らがせ、さらにはパールウォリアー自身も爆炎で炙っていく。
「あ、あつっ、なんですか、敵も私たちを磯焼きにして食べる気ですか!? そうはいきません、アコヤガイシールド発動!」
その爆発から自身を守るべく、パールウォリアーたちは肩の貝殻を前面に移動、防御形態をとることでそれをやり過ごそうとした。だが、それは自身に鉄壁の守りを得る代わりに敏捷性を犠牲にする守り特化の構え。
「皆さん、狙ってください!」
「おう、撃てぇ!」
るこるの精一杯の大声の号令に答え、ミズリーは自身の船に搭載した蒸気砲を敵船目掛け放った。先に撃った空砲ではなく、今度は明確な破壊力を持って放たれた実弾は敵船に直撃し、その横っ腹に大穴を開ける。その船はそのまま衝撃で横倒しになり、渦に巻き込まれて穴から砕け散って海の藻屑と消えた。
さらにそれに続き他の団員たちの船も搭載した砲を次々と放つ。敵の装備する超長距離砲には及ばずとも、巨大な砲は一撃当たればそれだけで船に致命的な損傷を与え、戦闘を不可能にしていった。
「だ、だめです、急いで舵とって、それから撃ち返してください!」
自分が守れても船を沈められては意味がない。パールウォリアーたちは防御の構えを解き、それぞれの船の持ち場へ戻り操船と砲撃を開始する。七大海嘯『桜花』配下たる証の超長距離砲が、サバカン団目がけた放たれた。
「当てさせませんよぉ」
その動きを上空から観察していたるこるが、水竜巻を砲撃しようとする船の前に移動させ盾にする。竜巻に直撃した砲弾はそれに飲み込まれ方向を逸らされたり、あるいは威力を減衰されてその持ち味である射程距離を大幅に縮められたりと、その持ち味を殺され有効打を与えられないまま海へと落ちていった。
さらに防御を解いた操舵手は、るこるの浮遊兵装の的となり舵輪諸共吹き飛ばされ海に落ちる。
「さあ、確実に叩いて参りましょうかぁ」
そうして戦力を失った船にるこるは大津波を追加、岸から離れるように膨れ上がるという常識外れの津波が敵船に覆いかぶさり、その船を巻き上げ渦の内部へと押し込んだ。いかにもとが水生生物と言えど、これだけの激流と水圧に飲み込まれればその体は引き裂かれ、自慢の貝も簡単に砕かれる。
第一陣が海に沈められることで、島を守る海賊たちの反撃の狼煙が上がったのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW
久しぶりね、サバカン団。
あっちの方角は私に任せて頂戴
『欲望解放』で超強化して
最大9300km/hの速度で【空中戦】
広範囲の敵船を【結界術】に閉じ込め
防御モードになった子を背後から【吸血・生命力吸収】
その魂を憑依【ドーピング】して彼女達と同じ体質になり
粘液による真珠化を防ぐ
これで気兼ねなく愛し合えるわ。
貴女達のアコヤ貝に
私のミル貝を御馳走してアゲル♥
【化術】で肉棒を生やし
フェロモン【誘惑・催眠術・全力魔法】を
結界内に充満させて魅了効果を高め
粘液をローション代わりに
お尻を撫で、胸を擦り合わせつつ【串刺し・慰め・乱れ撃ち】
うふふ、急かさないの。
そっちの船にもすぐイクから待っててね♥
第一陣の船は乗員諸共沈められたが、それでも敵船の数はまだまだ多い。次なる船たちは広く横並びになって砲を並べ、面を攻める構えを取って戦場を一気に制圧する姿勢を見せた。
「ち、横に広がりやがったか……」
並べて撃つ、単純ながら強力な戦法を取ってきた相手に、ミズリーは歯噛みする。こちらも同じように展開しても射程の差で撃ち負けるのは明白、ならば縦に並んで砲の雨を突っ切るしかない。勿論、前の方にいる者は確実に沈められるだろう。
ミズリーがその役回りを自ら引き受け、そしてキンメはそれを行うだろう頭を止めようと考えたその時、二人の後ろから声がかかった。
「久しぶりね、サバカン団。あっちの方角は私に任せて頂戴」
その声に振り向いた二人は、一瞬驚き、そして喜びの表情を浮かべる。
「ああ、あんたは……来てくれたのか、あんたも!」
そこにいたのはドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。かつてミズリーの犯した失態を責め、そして覚悟を問うた者。その経緯があったから、彼女がここに来てくれた、という事実は強くミズリーの心を揺さぶった。
そんな彼女と過剰に言葉を交わすことはなく、ドゥルールは自らの服に手をかける。
「ありのままの私を見せてあげる!」
そのまま服を脱ぎ捨ててその代わりに月下香の花弁を纏い、ドゥルールは消えるような速さで敵船団へと飛翔した。
最大時速9,300Kmという速さはさしもの長距離砲も捕らえることは出来ず、ドゥルールはそのまま空と水を切るような速度で敵船の周囲を飛翔、その後に輝く結界の壁を作り出し、一部の船を船上から切り離した。
「これくらいなら自分でできるでしょ?」
「ありがとうよ、まかせとけ!」
距離と速度故互いの声こそ聞こえないが、意を察したミズリーは結界外の船団に向けて進みながら自分たちの砲を敵船へ向けた。そのミズリーの乗る船が一瞬紫の光に包まれたように見えたのは、ドゥルールの見間違いかどうかはわからなかった。
「な、なんなのですかこれは!? 撃ってください!」
一方結界に閉じ込められた船の上のパールウォリアーたちは困惑しながらもその光に砲を叩きこむ。轟音と共に壁に爆炎が上がるが、それが晴れた後は光に目に見えた変化は見られなかった。
「ま、まだです、皆で一点を狙えば……」
「何言ってるの、せっかく外から見えなくしてあげたのに」
その船のリーダー役らしきパールウォリアーに、頭上から声がかかる。見上げたそこにいたのは、花びらを纏った裸の女。
「ひっ……だれですかあなた!」
「あなたたちと愛し合いに来たのよ。まずは一緒になりましょ」
反射的に前面を殻で覆った彼女の耳に、次に声が聞こえたのは真後ろから。その高速でドゥルールは一瞬にして彼女の真後ろに回り、殻のない背後を抱きしめてその首にはを突き立てた。
そこから生命と共に力を吸い上げ自分のものとし、即席ながら垂らす粘液への耐性を身に着けるドゥルール。やがてそのパールウォリアーが消滅すると、次は砲撃手の方へと向き直る。
「これで気兼ねなく愛し合えるわ。貴女達のアコヤ貝に私のミル貝を御馳走してアゲル♥」
「ひっ……ひゃああああ!?」
今度は殻を閉じさせる間もなくその体を抱きすくめ、その尻を撫で胸をすり合わせ、粘液をローションのように使って体をこすりあわせる。そしてその宣言通り、ドゥルールの股間には化術で作り出した『ミル貝』の姿が。
「あ、ひゃ、あぁぁぁぁぁぁん!」
その『ミル貝』を突きこまれ、あっという間に串刺しにされ果てるパールウォリアー。そしてその二人の体からは、大蛤が蜃気楼を吐く、という伝承でも再現するかのように強烈なフェロモンが立ち上り結界内を満たしていく。
「あ、あっちの船、やられちゃってるみたいですよぉ!?」
「……仕方ありません、船ごと撃っちゃいましょう! 全滅するよりマシです!」
隣の船ではその光景を望遠鏡で確認した別のパールウォリアーが、堕とされた船もろとも敵を沈めるため船首を回し砲を向けようとする。
だが、その望遠鏡のレンズの中、ドゥルールの顔がはっきりと観測手の方を向いた。
「うふふ、急かさないの。そっちの船にもすぐイクから待っててね♥」
攻撃行動を取る……それは捕食者に対して目立つ行動を取ってしまったも同然。さらに固さを増した『ミル貝』が9,300Kmの速さで飛んでくるのを、船はただ迎え入れるしかなかった。
成功
🔵🔵🔴
アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイク、ミラーと行動
進路妨害がどこまで有効か分からないが、近づけなく可能性はある。
エルーゼが攪乱に動く間に大砲を封じれれば有利になれる。
乗り込んで制圧、大砲は使えそうなら使うか。
見切りで回避、そこからカウンターで返す。
相手の攻撃を誘い込み、回避からの一撃も狙えそうなら狙う。
制圧すれば船同士をぶつけて邪魔をするのもありだろう。
絡み・アドリブOK
エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ジェイク、ミラーと行動
空中を飛行して引きつけないと。
空中浮遊と滑空、ダッシュで動き回りながら誘い込んで気を逸らせる。
「えーと、使いたい武器をイメージ」
夢幻、新しい武器だけど早めに慣れないと。取り返せなかったのは辛いわ。
形成できたのは、光刃を形成できる一組の柄。まあこれよね。
属性攻撃の応用とか前と同じで行けるわね。
挟撃さえ決めれば大きな打撃にはなるかも。
アドリブOK
ベアトリス・ミラー
※アリス、エルーゼ、華澄、ジェイクと行動
さて、こちらも乗り込むとして……視線が来ますね。
ふふ、終わればお相手してもらってもいいですよ。なので生きて帰る事をお忘れなく。
ステイシス、暗黒の力であり極低温の冷気の魔術。使えるかは分かりませんが、今まで見てきたものを模倣してみるのも。
ヨルさんは複数の刃を持つ槍状の杖、エルザさんは二本の鎌を投擲して追尾する結晶交じりの竜巻を創り出す。
まあ模倣故に能力的には劣りますが、蒸気機関にダメージくらいは。
絡み・アドリブOK
藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイク、ミラーと行動
灰色交じりの青紫色の肌に青く光る虹彩、エルザさんを見る目は確かにあれですけど、良い人なのは間違いないです。
子供達も懐いていましたけど……どうしてあんなに悲しそうな笑みを受かべるのかまでは。
今は集中しないと。有終の刻を持ち、有事に備えて負傷者の手当てを。
ラヴェンツァにも手伝ってもらって安全圏を作って対処しないと。
絡み・アドリブOK
ジェイク・リー
魔狼の戦闘服姿にバンダナキャップを装着して戦場に出る。
グリムとヨルの要望で船を一隻拿捕する事に。
遠距離攻撃にはサンダーストライクではなくウルフに変更。操縦はベガに。
「着弾地点に落雷を起こすとなると」
感電の危険性がある為に変更。遊撃による補佐をメインに動く。
ダッシュで移動、見切りで回避しつつカウンター。
衝撃波による範囲攻撃を繰り出す。
地形の利用で使えそうなものは使う。
絡み・アドリブOK
船ごと、あるいは乗り込まれて乗員を、次々と撃破されていくパールウォリアーの軍団。だがその最大の武器は、高性能の船をいくつも持っていること。攻めるもの、後ろに控えるもの、いくつもの役割を分担できることこそが、大集団の最大の強みであった。
「空中を飛行して引きつけないと」
その集団の狙いを逸らさせるべく、まずはエルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)が飛行能力を使い、海面へと滑り出た。
「またなんか来てます、あれを撃ち落としましょう!」
その姿を認めたパールウォリアーたちは、敵の接近を止めるべく超長距離砲をどかどかと撃ち始める。エルーゼは空中を素早く滑空しその砲弾を躱し、外れた砲弾は着水して高い水柱をいくつもあげた。
その水の間を潜り抜けながらエルーゼは敵船へと迫り、手にはめたガントレット『夢幻』を見る。
「えーと、使いたい武器をイメージ」
エルーゼのイメージに答え、夢幻は柄の形を取る。それは彼女が愛用する光刃を出す武器の形。
「……やっぱこれよね」
エルーゼはその形を見ながら一隻の船の砲塔に一撃を加え、そのまま離脱していった。
「あ、逃げました!」
「逃げたのはしょうがないです、それなら前に……」
さすがに大船の旋回速度ではエルーゼをすぐに追うことは出来ず、本来の目標である前方へ意識を戻す船団。だが、そこには。
「よし、乗り込むぞ」
砲撃が全てエルーゼを狙っている間に近づいていたサバカン団所有の小舟。その舳先で、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)が敵船を睨みつけていた。
「進路妨害がどこまで有効か分からないが、近づけなくなる可能性はある。エルーゼが攪乱に動く間に大砲を封じれれば有利になれる」
砲の狙いがエルーゼに向いている間それに紛れて単身近づいていたアリスは、戦場で跳躍し手近な船へと飛び乗った。
「え、えぇぇっ、いつの間に敵が!?」
突如戦場へ現れた敵に、パールウォリアーは本能的に殻を閉じて守りの構えに入る。
「惨劇に踊れ!」
だがそれに構わず、アリスは【罪なる災害】をその殻に叩き込んだ。守りに入った相手に初撃を当てるのは容易く、武器による連撃が固い殻に何度も叩きつけられた。
「えーと……こっちです!」
だが、その一体にかまけている間に別のパールウォリアーが後ろから忍び寄り、武器による一撃をアリスへと放つ。
「まあ、来ると思っていた」
アリスはその動きすら見切り、攻撃を中止し即座にカウンター、攻撃してきた方のパールウォリアーを一撃で仕留めた。さらにそこから防御したまま動けない最初のパールウォリアーを放置し、残る攻撃にかかろうとしていた者にも攻めかかる。
「守りを固めるなら好きにすればいい、それでは勝てんだろうがな」
アリスが戦場の敵を倒し、船を使い物にならなくする。その間に他の船はというと。
「着弾地点に落雷を起こすとなると」
ジェイク・リー(影の護り手・f24231)が遠くから敵船を見つめている。その姿は魔狼の戦闘服姿にバンダナキャップと、どこか水夫や海賊を思わせる姿でもある。その傍らには、AI『ベガ』により操作される『ウルフ』の姿が。
「さて、こちらも乗り込むとして……視線が来ますね」
ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)もまた、敵船を見つめ攻撃の算段を整える。彼女が気にする視線は誰のものか。ともあれ、二人はエルーゼとアリスの先陣により乱された敵陣に本格的に打ちこむべく、その用意をしていた。
「私のファイアチームをみせてあげましょう」
「来い!」
ベアトリスの【クイーン・フォース】によって呼び出された女兵士たち、それにジェイクの【守護者召現】で召喚されたエルザとヨル。元はたった二人ながら即席の小隊を作り上げた彼らは海へと漕ぎ出し、混乱する敵船団へと近づいていった。
「ま、また前から何か来ます!」
混乱の中でもその姿を発見したパールウォリアー。その敵を迎撃戦と武器を構えるが、それに応戦するように船の先頭に二人の人影が立つ。
「これでやってみましょう」
「なるべく傷つけたくはないな」
エルザとヨル、その二人はそれぞれに武器を構え、魔力を放つ。いくつもの刃を持つ槍上の杖から放たれた氷と、投げつけられた鎌が核となって起こる結晶竜巻。それかがこの南洋には似つかわしくない氷嵐となり、敵船を包み込んだ。
「わ、ちょ、わー!?」
慣れぬ冷たい風に操舵を迷うパールウォリアー。そこに遠方から放たれた砲弾が着弾、その船に大穴を開けた。
『敵船の沈黙を確認』
その砲弾を放ったのはウルフと、それを操縦するベガ。
「模倣故に能力的には劣りますが、蒸気機関にダメージくらいは……と思ったけど沈んじゃいましたか」
その様子を見たベアトリスがのんびり呟く。
「……船が欲しいといったのだが」
「最初に撃ったのは貴方でしょう」
その圧倒的な威力にぼやくヨルに、エルザが冷静に返す。それに構わず、ジェイクは女兵士たちを伴い沈みゆくその船を足場に跳躍、近くの別の船へと乗り込んだ。
「別にどれでもいいだろう。こいつを制圧するぞ」
ジェイクはヨルとまた別人格のグリムニルの要望に応え、船を拿捕戦と乗組員たちを撃破していく。女兵士たちも彼の指揮の下的確に一斉攻撃を行い、瞬く間にその船を手中に収めるのであった。
「灰色交じりの青紫色の肌に青く光る虹彩、エルザさんを見る目は確かにあれですけど、良い人なのは間違いないです」
そのころ、陸地で藤宮・華澄(戦医師・f17614)が誰かの事を思いそう呟いていた。彼女は前線での戦闘には加わらず、後方で負傷者の救護に専念していた。
「子供達も懐いていましたけど……どうしてあんなに悲しそうな笑みを受かべるのかまでは」
華澄は治療の傍らそんなことを考えてしまうが、彼女の召喚した存在であるラヴェンツァがそんな彼女を小突く。
「いけない、今は集中しないと」
それに華澄は今自分のすべきことを思い出し、治療の終わった負傷者を奥へと向かわせ、次の患者の救護に当たる。
たとえ猟兵の戦力が圧倒的であろうと、全てを相手しきれるわけではない。勿論手の回らない相手はサバカン団が相手をしているが、そちらは同格以上の相手に当たる決死の戦い、無傷で済むはずがない。言い含めておいたこともあって負傷した者は無理に戦わず予め築かれた防衛線まで下がっていくが、それだけに負傷して戻ってくる者の数は多い。
そして戦えない負傷者を多く抱えるということは、その場所はそのまま泣き所となるということ。それを守るため、華澄はライフル『有終の刻』を手放さなかった。
「ここは守り抜きましょう、ラヴェンツァ」
例え流れ弾一発とてここには届かせない、その決意の下、華澄は的確に負傷者を治療していった。
「挟撃さえ決めれば大きな打撃にはなるかも」
「そうだな、やってみる価値はあるだろう」
海のほとんどを制した時、船上でアリスとエルーゼがそう会話する。
「使えそうなものは使うか」
「ちょうどこのあたりは爆薬と拠点で動きが制限されますね」
同時に別の船の上、ジェイクとベアトリスもそう言葉を交わす。
まるで息を合わせたかのように二つの船が旋回し、その砲頭を島とは逆側に向けた。その先には、後続にいたこの陣最後の船数隻。
「え、こ、こっち向いてます。まさか……」
威力はよく知っている砲が自分たちを向いている。その状況にパールウォリアーたちは青ざめるがもう遅い。両側から挟むように狙われている上にこのあたりは浮かべられた爆発物が多く動き辛いのだ。
そして激しい轟音が響き、船を纏めて吹き飛ばした。その爆音と巨大な水柱は島からも観測でき、華澄に、そして島民にもまた一つ島の防衛が成功したことを知らせるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
シノギ・リンダリンダリンダ
右腕をMidās Lichに換装。自前の船は出さない。演習もした海賊団達を信じましょう
うまい事長距離砲を掻い潜りながら敵船に接近したら飛び乗ります
さて。せっかくの海戦です。略奪もしておきましょう
あぁ安心してください。船にお宝を積んでいなくても大丈夫です。目の前に沢山います
さ、ブッ黄金(コロ)しますね?
【宝冠の竜血弾】を起動
黄金の呪いの弾丸を四肢目掛けてスナイピング。徐々に黄金と化す恐怖を与えつつ弾幕を張りながら戦場の敵を黄金像へと変えていく
大海賊です。船上戦はお手のもの。コイツら程度を前に遅れは取りません
船の敵を全部黄金像に変えたら満足して眺めましょう
ふむ。もう一隻二隻蹂躙しても良さそうですね
「残る雑魚はあいつらだけだ、一気にぶっ潰すぞ!」
ここまでの戦いでパールウォリアーの乗る船はその大部分が沈められた。島の領海に入りこんできた最後の一団を撃破すべく、ミズリーののるサバカン団旗艦は仲間の船を従え敵に迫っていく。
そしてその船の上には、あえて自らの船を持ち込まなかった海賊シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)の姿もあった。
「演習もしたあなた達を信じましょう」
そう言いながら、シノギは右腕を『Midās Lich』に換装する。元より荒々しい世界で体を欠損するものも多く、さらには頭であるミズリーもまた彼女と同じミレナリィドールなのだ、その行為に驚くものは周囲にはいない。
「へへ、さっき見たとおりに撃ってきやがるぜ!」
「あの姐さんのご慧眼のお陰ですな!」
シノギは演習において、敵の動きを可能な限り想定しそれを死霊に行わせた。もちろん敵の最大の武器である超長距離砲もだ。強い武器があればそれに頼るという、ある種当り前な行動の予想はぴたりとあたり、演習通りの動きをこなすだけでサバカン団たちは砲に当たることもなく、ついにこちらが数を上回った敵船を包囲した。
そのまま強引に船を横付けし、シノギとミズリーたちは次々と敵船に乗り込んでいく。
「一応聞くが、黙って帰りゃ深追いはしねぇぜ」
「こ、このまま帰ったらキャプテンにぶっ殺されます!」
引きつった顔で降伏を拒否するパールウォリアー。ここまで追い詰められてなお、船団長が恐ろしいのだろう。武器を構えつつ粘液を撒き散らし、徹底抗戦の構えを見せる。
「まあ、そう言うと思いました。さて。せっかくの海戦です。略奪もしておきましょう」
その粘液を難なく躱し、シノギは冷たくパールウォリアーたちを見つめた。
「こ、この船に宝なんて……」
「あぁ安心してください。船にお宝を積んでいなくても大丈夫です。目の前に沢山います」
その言葉と共にぎらりと光る黄金の右腕。宝が目の前にいる。その言葉の意味は誰あろうパールウォリアー自身が何より心当たりのある表現だ。
「さ、ブッ黄金(コロ)しますね?」
Midās Lichがうなり、【宝冠の竜血弾】の黄金の銃弾がばらまかれた。その銃弾はガトリングガンのように乱射されるものでありながら、的確にパールウォリアーの四肢を撃ちぬいていく。
「あぎゃっ!?」
武器を取り落としうずくまるパールウォリアー。だがその傷から流れるのは血でも、真珠化の粘液でもない。それは出る端からさらさらと零れる砂金であった。そして傷口もまた金色に代わり、さらには傷のない肌までと徐々に黄金の範囲は広がっていく。
「ひ、こ、これ……」
「これがどれほど恐ろしいかはあなた達が誰より知っているでしょう」
パールウォリアーの得意とする、敵を宝に変えてしまう戦法。それを丸ごとやり返されたのだ、その恐怖は如何程か。
そのまま弾をばらまきながら前進制圧を続けるシノギ。前方にいるパールウォリアーたちは次々黄金に変えられていくが、一部のパールウォリアーが殻を盾にその弾幕を突破、そのまま粘液まみれの体でシノギに掴みかかった。
「とりゃあっ……」
「船の上でそんなに飛び跳ねるものじゃありません」
慌てることなく冷静に、そのパールウォリアーの足を払うシノギ。勢いに任せ突っ込んでいたパールウォリアーはあっさりと転倒し、そのまま黄金の弾丸を浴びせられることとなった。
大海賊のシノギにとって船上戦はお手の物。この程度の相手に遅れをとることなどありえない。
ぶっ殺される恐怖に怯え闇雲に襲い掛かるパールウォリアーたちは、なすすべなくシノギにブッ黄金(コロ)されたのであった。
黄金像になって転がるパールウォリアーたちをシノギはしばらく満足げに見つめていたが、辺りにまだ戦いの続く船があることをみると表情を変える。
「ふむ。もう一隻二隻蹂躙しても良さそうですね」
そう言いながら別の船へと飛び移るシノギ。
強欲な大海賊たる彼女に永劫の満足などありえない。その場に得られるものがあればそれは全て己のもの。
海賊の入り乱れる海上で、大海賊の底なしの欲望が何よりも眩く輝いていた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『豚房流斧術士『子豚・ジャクリーン』』
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POW : 豚房流斧術・ブレスト・オア・ブラスト
単純で重い【三つの斧それぞれ】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 豚房流斧術・バスト・オア・バースト
【爆乳とそこに着けた斧、さらに全身の筋肉】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ : 豚房流斧術・パイ・オア・パイレーツ
自身が【奴を仕留めた野郎に褒美をやるかという感情】を感じると、レベル×1体の【無理矢理または自発的に従っている野郎ども】が召喚される。無理矢理または自発的に従っている野郎どもは奴を仕留めた野郎に褒美をやるかという感情を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠子豚・オーロラ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちの活躍により壊滅に追いやられた蒸気船団。ほとんどの船は破壊されたが、一隻だけ致命的な破壊を免れたものがあった。
「に、逃げましょう、どこか遠い所へ……」
その船でただ一人生き残っていたパールウォリアーが船をあらぬ方向へ動かそうとする。だが次の瞬間、島まで揺るがすほどの轟音と雨でも降らしそうなほどの巨大な水柱と共に、その船は木っ端微塵に砕け散った。
「役立たずはいらねぇから思わず撃っちまったが、早まったな。ヒモでも引っ張り出してつまみにすりゃよかったぜ」
その砲撃の発射元である巨大船。その甲板の上で一人の女が海を眺めていた。2メートルを超す長身とその全身を覆う分厚い筋肉。そこだけに脂肪を凝縮したような巨大な乳房に、そこに取り付けられた巨大な斧刃。
彼女こそこの船団の長、『豚房流斧術士『子豚・ジャクリーン』』だ。
「あの野郎、自分の仲間を……!」
その行為に、ミズリーが声を震わせる。内部粛清やメガリスの試練など、グリードオーシャンにおいて海賊が仲間の命を奪うのは決して珍しいことではない。だがそのメガリスの試練で大きなしくじりをしたことのある彼女だからこそ、この行為は決して許せるものではなかった。
巨大蒸気船に向かっていくサバカン団の船を、ジャクリーンはあえて迎撃せず待ちうける。
「あんな細いのとちっこいのがシメてる島じゃ期待はできそうにねぇな。まぁ、売れそうなモン売りゃ酒代ぐらいにはなるだろ」
先頭に立つミズリーとキンメの姿を見て、ジャクリーンは馬鹿にしたように言いながら酒瓶をあおった。やがて二人は巨大蒸気船に乗り込み、ジャクリーンとミズリーが睨み合う。
「出ていきな、テメェに残してやるもんなんざあの島には何一つねぇ!」
「出ていきな、テメェにくれてやるもんなんざこの島には何一つねぇ!」
口調以外は何もかもが真逆な二人の海賊。
さあ猟兵よ、カリコシャ島が一体誰のものなのか、その力を持って示すのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
この方が船団長ですかぁ。
振舞いを見る限り『長』の資質は無さそうですぅ。
容赦無用ですねぇ。
『F●S』3種を展開し、船団長さんを包囲する様に配置しますねぇ。
そして【燦華】を使用し、全身を『光』に変換しますぅ。
この状態であれば、彼女の『斧』はほぼ無効化出来るでしょうが、『非実体を捉える能力』を持つ可能性も有る以上『回避』を優先、『刀』のみを実体化させた『光速のヒット&アウェイ』を中心に仕掛けましょう。
これに逃げ場を塞ぐ様に行う『FRS』『FSS』による[砲撃]、『足の腱』等の[部位破壊]を狙う『胸の下の死角」を利用した『FBS』による斬撃を加え、確実に追い詰めて参りますねぇ。
死絡・送
スーパーロボット、ジガンソーレに乗って空を飛んで駆けつける。
他の猟兵達と力を合わせて敵の撃破を目指す。
敵の遠距離攻撃は念動力を使い砲撃を反らすなどして回避を試みながら接近。
敵と味方の動きを見て流れを考えながら移動し
サバカン団の船が危なそうなら沈められないようにオーラ防御でバリヤーを貼りながらカバーリングに入る。
被弾しても「ジガンソーレなら頑張れる!」
と根性で耐え戦闘を継続。
動く盾としてサバカン団を守りながらこちらもアームドフォートで一斉射撃やユーベルコードの光子魚雷一万発発射!!
で反撃や味方の援護射撃を行い奮闘する
船の上で睨み合う二人の海賊。その一人は仲間など不要とばかりに一人巨躯を聳えさせ、もう一人は何人もの仲間に囲まれていた。
その仲間のうち一人が進み出て、一人の海賊に相対する。
「この方が船団長ですかぁ。振舞いを見る限り『長』の資質は無さそうですぅ。容赦無用ですねぇ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は己の欲望の為に仲間を恐怖で従え、必要なくなれば平然と切り捨てる敵海賊、ジャクリーンの姿勢をそう否定した。
「デカくて強い、他に何かいるものがあるのか? お前も相当デカいし、俺に従えば殺さないで使ってやるよ」
力で圧することが長の役目とでも言わんばかりのその言葉に、るこるはそれ以上答えず浮遊兵装を展開して戦いに入る。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
るこるは【豊乳女神の加護・燦華】を使い、自らも光と化しながら兵装たちと共にジャクリーンへ攻勢をかけた。
「しゃらくせぇっ!」
ジャクリーンは手に持った斧を振り回し、自身に浴びせられる砲撃を纏めてなぎ払う。次々と斧に爆炎が上がるが、彼女はその衝撃を巨大な腕の筋肉で強引に抑え込んだ。
「こちらもっ!」
るこるは光の中から自らの持つ刀だけを実体化し、続けざまに攻撃する。だがジャクリーンは真正面からそれに立ちふさがり、両乳の斧でその斬撃を受け止め、逸らした。
「シビれるじゃねぇか……だが使えねぇ仲間がいるってのは面倒だよなぁ!?」
ジャクリーンはそのまま手の斧を引き戻し叩きつける。その狙いは、るこるが飛び去ったことで露になったミズリーの方だ。彼女の体より大きな斧がその細い体を粉砕する……
「させん!」
その瞬間、斧よりさらに大きい巨体がその刃を弾き飛ばした。太陽を模した頭部を持つ、5メートルはあろうかという金属の巨人。その姿はこの場の誰にも見覚えのないものであったが、それは首を軽く巡らせてミズリーの方を向く。
「久しぶりだな」
その声に、ミズリーはしばし考えた後思い当たったように声を上げた。
「あぁ……あんたか! 随分デカくなったな!」
「いや、普通に考えて中に乗ってるんでしょう。お久しぶりです! 蝙蝠から太陽にイメチェンですかい!」
その巨人の正体は死絡・送(ノーブルバット・f00528)の駆るスーパーロボット『ジガンソーレ』。彼もまたかつてサバカン団と共に戦った経験のある者であったが、その際纏っていた蝙蝠のパワードスーツとはある種真逆の印象を持つそのロボットの姿にキンメは感謝の言葉と共にそう軽口を言った。
「こいつも相当デカいじゃねぇか。売るか使うか……まあどっちにしろ中身はいらねぇ。とっとと降りて消えな!」
その巨体を我が物にすべく、ジャクリーンは斧をジガンソーレの胴部に叩きつける。いかに長身の彼女とは言えスーパーロボット相手ではその半分もない大きさ故狙えるのはそこが限界だが、その凄まじい腕力は安定した胴に当ててなおジガンソーレの巨体を揺るがせた。
「ぬぅんっ!」
送はコックピット内で踏ん張り期待を全力で制御、その衝撃に耐え、後ろにいるサバカン団たちを守り抜く。如何な力によるものか、ジガンソーレは送が放つオーラ防御を増幅、機体の全身に纏うことで防御力を上げ、圧倒的な防壁となってその場に踏みとどまった。
「ジガンソーレなら頑張れる!」
根性だけで勝てる程戦いは甘くない。だが、スーパーロボットの機甲は時にどんな理屈や作戦よりも精神論を力とする。仲間を守ろうとする送の決意が、ジガンソーレを動く壁として戦場に輝かせていた。
「じゃあせいぜいそこで突っ立ってろ! 衝撃と乳、好きな方を欲しいだけくれてやるからよ!」
その壁に、ジャクリーンは両乳を振り回しその刃をぶち当てた。ともすれば自身の乗る船すら沈めてしまいそうなほどの重い衝撃が、二度機体に叩きつけられる。
「今言うのも何だが……俺はおっぱいが好きでな、そっちを貰おうか!」
「言ったな! じゃあこれでくたばりな!」
送のその言葉に、ジャクリーンは再度胸の斧を、今度は乳肉すら機体にめり込ませんばかりに叩きつけた。さしものジガンソーレもその攻撃には大きく揺らぎ、足を崩す。
「じゃあこのまま死ぬまで俺の乳を味わってな!」
「それはありがたい……ずっとここにいて貰おうか!」
ジガンソーレがその巨大な腕でジャクリーンを抱きすくめる。そしてその瞬間、何発もの爆炎が無防備となったジャクリーンの背中を襲った。
「こちらですよぉ!」
それはるこるが放った、浮遊兵装たちの砲撃。より巨大なものに目を奪われその存在を失念していたジャクリーンはその攻撃をもろに背に受け、大きく背を反らし悶える。
「てめぇ……」
「おっと、もっとその乳を味わわせてくれよ」
そちらの迎撃に向かおうとするが、ジガンソーレは決して戒めを緩めない。そして今度こそ、刀を構えたるこるの光の突進がジャクリーンを切り裂いた。
そしてその斬撃は一度ではない。切っては離れ、また戻っては切る。動けない相手を連続で光の斬撃が切り刻み、鮮血を噴きあがらせた。
「ぐおぉぉおっ!?」
その痛みに絶叫し、力尽くで自身の戒めを解いたジャクリーン。そのまま斧を手に、るこるへ向き直り彼女を叩き割ろうとするが。
「全てを光に変えて消す!!光子魚雷、射て~~~~~~~っ!!」
それはつまり今まで自分を捕らえていた者に背を向けるということ。その無防備な背中に、送の【光子魚雷一万発発射!!】が容赦なく叩き込まれた。
「ち、ちくしょう……」
背に何度も攻撃を受け、ついにその巨大な膝をつくジャクリーン。
「背を守りも守られもしない……やはり長の資質はないようですねぇ」
攻めと守りをそれぞれ分けた猟兵の前に膝を折ったジャクリーンを、るこるの柔和な、しかし冷たい言葉が打ち据えていた。
大成功
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シノギ・リンダリンダリンダ
けっこう黄金像量産できましたね。満足です
…あぁ、まだボスがいたんでしたね。忘れてました
船を飛び出して相手の船に乗り込む
島の解放に手を貸してはいませんが、短くても共に戦った同胞の島。ならばそれはこの大海賊の実質支配下です
誰のシマに手を出そうとしているのか分かっていますか?
七大海嘯の呼び寄せるためにも、きっちりしっかり蹂躙させてもらいますね
古い分厚い禍々しい書、【海賊蔵書】を開く
代償は先ほど作り出した黄金像達
私が作り出した私の財宝
黄金像が一体一体指を鳴らす度に破壊され、その度に大海賊の一撃を与える
傷口をえぐり、串刺し、鎧を砕き、乱れ撃ち、蹂躙する
子豚。払った代償分、しっかり略奪させてくださいね?
船団長子豚・ジャクリーンと猟兵たちとの戦いが始まったその時、隣の船ではまた別の海賊が黄金の像を眺めていた。
「けっこう黄金像量産できましたね。満足です」
そこに並ぶのは、いずれも恐怖や絶望の表情で固まった黄金の少女像。満足げにそれを愛でるのは、その持ち主であり作り主であるシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)。先の戦いでパールウォリアーたちを黄金に変え自らの財宝とした彼女は、戦利品として己のものとなったそれを、これもまたやはり奪い取った船で眺めるという勝利の時を過ごしていた。
だが、その時間に隣の巨大船から聞こえる轟音が水を差す。その船の上では、巨体の海賊が斧を持って大暴れしていた。
「……あぁ、まだボスがいたんでしたね。忘れてました」
その言葉は本心か否か、ともあれシノギは次なる狙いをその船の上へと定め、乗り移った。
「なんだ、また別のが来やがったのか。お前も関係ねぇのに首突っ込みたがる暇な奴か?」
新たに現れたシノギに、ジャクリーンは馬鹿にしたようにそう言って斧を担ぐ。彼女は知らぬことではあるが、確かにシノギは最初にこの島で起こった事件に関わってはいない。そう言う意味では縁は薄いとも言える。だが、そのような些細なことはシノギには関係なかった。
「島の解放に手を貸してはいませんが、短くても共に戦った同胞の島。ならばそれはこの大海賊の実質支配下です。誰のシマに手を出そうとしているのか分かっていますか?」
最初の準備段階から、サバカン団たちは彼女の指揮と訓練の下戦ってきた。つまりは彼女の指揮下にあったということ。それならば既に自身の支配下にあるも同じ。それは余りにも傲慢な暴論だが、それ故に欲深く横暴な海賊たるジャクリーンにはかえって理解できる話であった。
「なるほどそうかい。じゃあお前をぶっ殺してそいつを貰ってくとするか!」
そして理解したが故、こちらも海賊の理屈で答えるとばかりにジャクリーンは三つの斧を振りかざし、シノギへと迫った。一撃、二撃と重い斧が甲板を叩き壊し、惨劇目がついにシノギの足元に炸裂、シノギは大きくバランスを崩し、甲板に膝をつく。
「ざまぁねぇな、それじゃそのままくたばりな!」
さらに振り回される斧を、シノギは転がって避ける。一見すると逃げ回るだけの劣勢だが、シノギの目はあくまで敵と、その向こうにあるこれから自分のものになる何かを見据えていた。
「七大海嘯の呼び寄せるためにも、きっちりしっかり蹂躙させてもらいますね」
彼らの領地を奪い続けることで今こうしてより強力な配下を釣りだすことができた。ならばそれも倒せば次はより本隊に近いものが出てくるだろう。彼らが如何な宝を持つかは分からない……あるいは想像もつかないが、それは今持つ宝より大きく、そしてそれを投げうつ覚悟がなければ手に入らないだろうことは分かる。
その覚悟が為、シノギは手にした分厚い書物を開いた。
「私に財宝を手放させるんです。半端な仕事じゃ承知しませんからね」
その言葉と共にシノギが指を鳴らすと、どこか近いところで金属が砕ける音がした。そしてそれと同時に現れる、半透明の姿をした海賊の男。男は生気のない顔と、それに見合わぬ鋭い動きでジャクリーンに襲い掛かった。
「どっかで見たツラ……いや、気のせいか? とにかくお呼びじゃねぇんだよ!」
豪快に降り抜いた斧が男の体を薙ぐが、男はその斧を素早くくぐり、刺突剣での一撃を見舞った。
そしてその一撃が決まると同時にシノギがまた指を鳴らし、そしてやはりどこかで何かが壊れる音がする。そして次に現れるのは、無数のナイフを体に括りつけた小柄な男。男は高く跳躍してジャクリーンの後ろに回り込み、先の先頭で深く傷ついたその背中にナイフを高速で投げつける。
「ぎっ……てめぇ、何モンだ……」
「まだまだ」
続けざまにシノギは指を鳴らし、その都度何かが壊れ、様々な海賊が召喚される。海賊たちはそれぞれの得物を用い、ジャクリーンを刺し、抉り、砕き、撃ち、蹂躙の限りを尽くした。
「ああ、クソ……思い出したぜ……こいつ、確か俺がぶっ殺した……」
「それは奇遇ですね。別に狙ったわけではないのですが」
この海賊たちは【海賊蔵書「ロスト・ビンゴブック」】によって、シノギが己の財宝と引き換えに呼び出した大海賊たちの亡霊。そして代償に捧げた財宝とは、ついさっき手に入れたばかりのパールウォリアーの黄金像たち。等身大の美少女型黄金像だ、その金銭的価値は相当なものだろう。それをただの豆粒程度の欠片に変えてしまうのだ、失われる財と、それに対応する海賊の強さは推して知るべしだ。この世界に数多眠る海賊の中でも選りすぐりの亡霊たちが、ジャクリーンを蹂躙していった。
「子豚。払った代償分、しっかり略奪させてくださいね?」
差し当たっては欲深いというこいつが溜め込んだ何かを貰おうか……あるいは、この船そのものでも。シノギはそれを思いながら、さらにまた一つ像を破壊し、大海賊すら束ねる大海賊の力と欲の強さを見せつけるのであった。
成功
🔵🔵🔴
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
SPD
部下を殺した上
つまみにすれば良かったですって?
愛の欠片も無い屑ね。私が戦うまでもないわ
UCで召喚した霊の内
パールウォリアーの霊に残り93人を憑依【ドーピング】
私の94倍の強さに
パール:有難う御座います、ルル様。
まずは無理やり従わされている者達を【誘惑・催眠術】で説得し
キャプテンと1対1の形に。
豚房流の【戦闘知識・化術】で爆乳化し
殻と【オーラ防御・怪力】で斧を跳ね返し
【呪詛・属性攻撃】の黒雷を纏わせた槍で【2回攻撃】
執拗に両乳を刺激し、失禁させます
まだよ。【武器落とし】で乳を露出させ【生命力吸収】しつつ
前後からミル貝で【串刺し・乱れ撃ち】
プライドを砕いて反省させながら救済するの
次にジャクリーンの前に立ったのはドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。オブリビオンの救済を掲げ、それを愛する彼女だが、今その表情は冷たく険しい。
「部下を殺した上つまみにすれば良かったですって? 愛の欠片も無い屑ね。私が戦うまでもないわ」
吐き捨てるようにそう言って、戦前ジャクリーンが行ったことを糾弾するドゥルール。その怒り様はかつて不用意に船を犠牲にしオブリビオンを生み出したミズリーに向けたそれと同様……否、それ以上のものだ。
「そりゃそんなもんはねぇよ。食えも売れもしねぇんだ、持ってたって意味ねぇだろうが!」
馬鹿にしたようにいうジャクリーンに、ドゥルールの怒りはさらに燃え上がった。だが、この愛を知らぬ輩を制裁するのは己ではない。
「死霊術とは不変不朽の美。その真髄は永遠の愛!!」
ドゥルールは【私達の楽園】で己に宿るオブリビオンの守護霊を召喚した。それに応え現れるのは、両肩に大きな買いを付けて粘液を滴らせるビキニの少女の群れ。つい先刻猟兵と戦い、最後の一人はジャクリーンの手でとどめを刺された彼女の配下、パールウォリアーの軍団であった。
「へぇ、くたばったと思ったもう鞍替えかい。とんでもねぇアバズレだな」
嘲笑う彼女の前で、ドゥルールはさらにパールウォリアーに力を与える。94人いる中の一人を残して実体のない力に変え、それを残った一人に全て注ぎ込む。ドゥルールと同じレベルまで強化されたパールウォリアーたちの力を一つにまとめた、集団型の枠を超えたパールウォリアーがそこに誕生した。
「有難う御座います、ルル様」
すでにジャクリーン旗下を離れたパールウォリアーは恭しくそう言ってミツマタの槍を構える。
「お前なんざいなくなっても手下はまだいるぜ。おい野郎ども! 奴を仕留めたら褒美をやるぜ!」
ジャクリーンのその声に、甲板下に通じる扉が開きそこから何人もの海賊が姿を現した。彼らは性別も、また縦横も違うがいずれも巨大な『体』を持っており、ジャクリーンが自らの好みに従って集めた配下であろうことが伺える。
「奴らを殺せ。できなきゃ、分かってるな?」
その言葉に顔を引きつらせ、海賊たちは一斉にパールウォリアーとドゥルールへと襲い掛かった。だがドゥルールは一瞬哀れむような視線を彼らに向けた後、自らの服をずらしながら声高に言う。
「私は恐怖で縛って仕えさせたりはしない。お金が欲しければあげるし何処かへ行きたければ追わない。もし私を求めるというなら……」
服の間から黄金をちらつかせて男海賊に見せ、女海賊にはその奥の肢体を見せつける。純粋な欲と、より大きな自由という媒体でかける誘惑と催眠術は、所詮恐怖で縛られているだけの海賊たちの動きを鈍らせた。
「さあ、これで1対1よ」
ドゥルールの言葉に、パールウォリアーは一度頷いてから槍を突きこんだ。その動きは敵であった頃よりはるかに鋭く、ジャクリーンの斧を揺るがせる。
「くたばり損ないが……!」
いらついたようにジャクリーンが斧を振るうが、それは前面に回された殻と、そこからにじみ出る真珠色のオーラによって受け止められた。さらにその殻を大きく前に弾き体を露出させるパールウォリアー。その胸部は、元々豊かだったものが巨体のジャクリーンさえかくや、というほどまで膨れ上がっていた。
「な……!?」
筋肉以上に乳房に対し絶対の自信を持つジャクリーンはその姿に一瞬動きを鈍らせる。その隙にさらにもう一度つきこまれた槍は、今度は黒い雷を纏い、それを斧を通してジャクリーンの全身へと駆け巡らせた。
「ぐぎっ……!」
体を侵す呪いの黒雷。もちろんこれはパールウォリアーの能力ではない。彼女にあたえられた、ドゥルールが持っている力だ。全身の力を抜いて膝をつくジャクリーンの足元が濡れているのは、果たして打ち付ける荒波が甲板を濡らしてものだけか。
「まだよ。あなたが救済されるのは、その歪んだプライドを捨ててから」
動けぬジャクリーンに、ドゥルールはゆっくりと近づいていく。力のほとんどをパールウォリアーに貸し与えた故今の力は大きく下がっているが、だからこそこの傲慢な心を砕くにちょうどいい。
力任せに胸の斧を叩き落とし、そこに口をつけて生命を吸い上げる。
そのまま細腕で巨体をゆっくりと押し倒し、己の『ミル貝』をジャクリーンにずぶりとねじ込んだ。
「ぐ、あぁぁっ!?」
痺れの残る体に大好物のはずの巨大な『モノ』を捻じ込まれ、ジャクリーンが絶叫する。そのままドゥルールはあえてやや乱暴に彼女を貫き、その水管から激しい乱れ打ちを放った。
「反省するまで、何度でもしてあげる」
かつて同じように愛を知らず、部下を省みぬ長身の『王』をこうして屈服させたように、この女も愛の入る場所を邪魔するプライドを破壊できれば。その思いと共に、ドゥルールの『制裁』は続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ベアトリス・ミラー
※エルーゼ、アリス、華澄、ジェイクと行動
向こうは任せて、私は合図を送って砲撃を行わせます。
狙いをつけるより、不規則に撃たせろとジェイク君から言われたのでそれも伝えましょうか。
向こうに通じるか分かりませんが、動きの抑制くらいはできるかも。
伝えたら船に乗り込み、援護を。
アドリブOK
ジェイク・リー
日本刀を持ち、黒いロングコートとジャケット、スラックスに指貫グローブ姿の人物は名乗る。
「俺の名はアラス。ドゥームと呼ばれていた」
ジヴァ・アラスの魔力によって名や姿を変化させたと語る。
魔力を剣に形成、それを飛ばしたり持って二刀流で振ったりする。
ダッシュ、残像、フェイントを織り交ぜ攪乱させつつフェンやグリム、エルザ、ヨル、ジョウによる波状攻撃を繰り出す。
見切りで隙を生じさせ、そこにアラスの攻撃を叩き込む。
属性攻撃による凍結も行い援護する。
アドリブOK
アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイク、ミラーと行動
なにが起きたのかと言われれば分からないと。
グリムもフェンもドゥームの事は出れるようになったら一緒に居ただけで何なのか分からないと。
(別人格でも英霊でもないのか?)
分らん事が多いが、強いのは確かだな。あそこに飛び込むのは難しいだろう。
逃げ出して来たら華鳥封月で相手をする。
見切りで回避してカウンターだな。
不意を突く形でステイシス・ポールによる突きを繰り出すのも。
アドリブOK
エルーゼ・フーシェン
※ミラー、アリス、華澄、ジェイクと行動
なんかすごいことになったとしか。
あのアラスの斬撃、空間すら斬ってるような。
不用意に近づいたら危ないわね。
抜け出して来たらアリスと一緒に対処するわ。
柄を形成したら光刃を創り出して攻撃に回るわ。
空中浮遊で少し浮かんで属性攻撃による元素の刃で二回攻撃、見切りで避けながら隙を突いて攻めるわね。
ダッシュと残像、フェイントで空振りを誘うのもありかな。
アドリブOK
藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイク、ミラーと行動
ここからじゃよく分かりませんけど、あと少しでしょうか。
有終の刻に狙撃用スコープ付けて覗いてみればなんとか。
マルチツールで狙撃銃に武器改造してなにかあれば援護射撃なんかも。
気を引きつけるくらいならできそうですし。
まかせるしかないですね。
アドリブOK
役立たずは不要と豪語しては連携の前に膝を折り、前言を翻して呼んだ手下はあっさりと払われ、ジャクリーンは自身の船の上で本当に孤立状態に陥っていた。
その彼女の前に立つのは、日本刀を持ち、黒いロングコートとジャケット、スラックスに指貫グローブ姿の人物。
「……さっき見た連中の中にゃいなかったと思うがな」
助ける気はなくともパールウォリアーたちの戦いを見てはいたのだろう、その場にはいなかったその男の姿にジャクリーンはそう問いかける。
「俺の名はアラス。ドゥームと呼ばれていた」
その男は、ジャクリーンと言うより他の仲間たちに答えるように、自らの名をそう名乗った。
ドゥーム、その名はこの場にいるものには心当たりがある。ジェイク・リー(嵐を齎す者・f24231)が召喚するものの一人で、一言も言葉を発しない凄腕のガンナーだ。
そのドゥームがジヴァ・アラスの魔力によって名や姿を変化させたとの自己紹介に、仲間たちの嗜好はついていけない。
「……どういう、ことだ?」
アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)はグリムニルやジョウと言った、他のジェイクが呼び出した者たちに問うが、彼らもまた首を横に振るだけであった。
「出れるようになったら一緒に居ただけ」
その答えに落胆と、どこか納得できるような感情を持ちつつ、アリスは改めてジャクリーンと睨み合うアラスを見た。
「自己紹介はいらねぇよ。死ぬ奴のことなんで覚えてもしょうがねぇからな!」
ジャクリーンが両乳と全身の筋肉を膨れ上がらせ、暴風のように全身を振り回してアラスへと切りかかった。
アラスは最初の斬撃を手に持った刀で受け流し、続いて襲う胸の刃は魔力で作った剣で受け止める。そのまま三の刃を身躱しし、返す刀で斬撃を見舞う。
「なんかすごいことになったとしか」
エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)はその戦いの凄まじさに、割って入ることもできずただ離れた場所で見つめることしかできないでいた。空間を切っているかのようにすら見えるその斬撃は、不用意に入れば簡単に巻き込まれてしまいそうにも見える。
(別人格でも英霊でもないのか?)
アリスもまた彼の正体を測り兼ねているが、その圧倒的な強さだけは分かった。
だが、対するジャクリーンもまた七大海嘯から遠征部隊を任されるほどの実力者である。その力に対抗して切り結びながらも、いつでも横を抜けエルーゼたちやサバカン団へ襲い掛かるチャンスを窺っていた。
「さ、向こうは任せて、こちらはこちらでやりましょ」
その緊迫した空気を意に介さず、ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)は明るく言った。彼女はさっさと後ろに下がり、この巨大蒸気船を取り囲むサバカン団の船を見渡せる場所へ移動する。
「狙いをつけるより、不規則に撃たせろとジェイク君から言われたので、そんな感じでやってください!」
ベアトリスの合図と共に、船たちはどかどかとあえてずらしたタイミングで砲撃を開始した。その砲弾は巨大な蒸気船の横腹に当たり、穴こそあけられないもののその船体を大きく揺らす。
「な……人の船に何しやがんだテメェ!」
大きく揺らぎ、バランスを崩したジャクリーン。だがその蹴ったアラスと若干距離を取ることができ、その巨体に見合わぬ瞬発力で一気に横を駆け抜けベアトリスの砲へと迫った。
「だめよ、あなたはそこにいて」
だが、その横を抜けるという行動を警戒していたエルーゼが即座にそれに反応、『夢幻』で再び柄を作り、そこから光刃を出してジャクリーンを押しとどめた。
「その体で走り回られてはうるさいからな」
動きの鈍ったジャクリーンを、アリスはさらに『ステイシス・ポール』の長柄で一突きする。絶対零度の結晶が周囲を凍り付かせ、ジャクリーンをその場に縫い留めた。
「じゃまくせぇっ!」
その氷を、筋肉を膨らませ力任せに砕き割り、再び動き出すジャクリーン。さらにエルーゼとアリスは追撃をかけるが、刃が肉に食い込むのも構わずジャクリーンは猛然と進んでいく。
「テメェが死にゃあ……戦う意味もなくなるだろうよ!」
そう言って振り上げた斧が狙うのは、この戦いの核であり泣き所、猟兵たちより力は遥かに劣るミズリー。
しかし、その巨大な刃は細い体を叩き潰す前に、連続で当たった弾丸で軌道を逸らされ甲板に大穴を開けるにとどまった。
「今度は誰だ!?」
そう言ってジャクリーンは当たりを見回すが、銃を構え自分を狙っているようなものは船上にも、また取り囲む船にも見当たらなかい。
そのはずである。その弾を撃ったのは、はるか遠く、カリコシャ島の沿岸にいる藤宮・華澄(戦医師・f17614)だったのだ。
「ここからじゃよく分かりませんけど、あと少しでしょうか」
華澄は後方支援役として島に残り、負傷者の救護に当たっていた。だが船団戦が終わり、負傷して戻ってくる一般海賊たちはいなくなった。彼らの力でジャクリーンの前に立つことは出来ないし、前で戦っている仲間たちがそれを刺せないだろう。
だから、華澄は『有終の刻』をマルチツールで即席に改造し、狙撃スコープを覗くことでその遠方の状況を何とか把握、マルチツールによる高度な改造で、この超長距離でも援護射撃が可能な銃を作り出して味方の支援を行っていたのであった。
華澄は続けて最も大きな的、つまりジャクリーンが胸につける斧を狙って撃ち、その衝撃で相手のバランスを崩させる。
「ぐお、くぅぅっ……!」
本人も頑丈で、かつ威力の減衰する超長距離からの射撃とは言え、直に胸についている部分を銃で撃たれるのだ、その衝撃は大きく、肉に来る痺れも半端ではない。
さらにそれをアリスが華鳥封月とステイシス・ポールで足止めの攻撃をし、反撃しようとも素早く動くエルーゼの攪乱がその狙いを妨げる。
そうして徹底的に妨害されたジャクリーンをいくつもの人間が取り囲む。
「俺とも遊んでくれるよなぁ?」
「船はいいが……お前に興味はない」
フェンリアがその大力で攻撃し、グリムニルの魔術が動きを止め。
「海はいいな、いくら凍らせても水が減らない」
その体をヨルが作った氷柱が覆い。
「その品のない体にはこれがお似合いだ」
「あなたみたいな人は好きじゃないの」
ジョウとエルザの爆発を伴う射撃が氷諸共その肉体に尋常ではないダメージを与えていく。
「さあ、最後の一発は貴方が派手に撃ってください」
「任せろ!」
そしてベアトリスの号令で、自分の船に下がったミズリーが蒸気砲を思い切りぶっ放した。今日一番の轟音と共に放たれたその砲弾は、他の船の砲とはけた違いの威力で敵船を揺らがせ、その頑丈な船体に対に穴をあけた。
「あの野郎、俺の船を……!」
自分のものを対に壊され、怒りに震えるジャクリーン。だが、その勝手な怒りをそれ以上滾らせることはこの男が許さない。
「人のものを最初に取りに来たのはお前だ……降伏の選択肢は与えん、報いを受けろ」
アラスの振るった魔力と実体の二つの刃が、そこの空間諸共ジャクリーンを切り裂いた。
「ちく、しょう……俺の……!」
分厚い斧がまるで玩具の様に切り裂かれ、それと共にジャクリーンの体も一瞬十字に分かれた後、船の外まで切れ飛んでそのまま海の中へと消えていった。
「……皆さん、終わりました!」
その様子をスコープ越しに見守っていた華澄がそう声を上げた瞬間、島に残った板すべての者の大歓声がカリコシャ島を揺るがした。
「ありがとうな。あんたたちにはまた世話になった」
「感謝の言葉もありません」
島に戻り、ミズリーとキンメが猟兵たちに礼を言う。
カリコシャ島に迫る危機は去った。だがこれで、七大海嘯の猟兵への恨みもまた一層深いものとなるだろう。この戦いはどちらかが滅びるまできっと終わるまい。
「蒸気マスケット砲はさっきの一発で壊れちまったが、なぁに、もっとデカいもんが手に入ったしな」
そう言ってミズリーが見る先には、沈んだ敵船を引っ張り上げるサバカン団の姿が。戦って倒した相手のものは自分のもの。そう、彼女たちもまたグリードオーシャンの海賊なのだ。
「どうも俺たちが思っている以上に、世界ってやつはヤバい状態みたいだな。もしあんたたちがこれからも戦うってんなら、俺たちも一緒だ。この島……この世界は、俺たちと、あんたたちのものだからな!」
どこまでも欲深く、それでいて清々しい所有宣言が強欲の海に響き渡った。
大成功
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