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ただ信ずる者の為に

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #異端神官ウィルオーグ #パラディン

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●ただ信ずる者の為に
 異端の神官は、ただ微笑んだ。
 街の人々の信仰は、彼が興したそれではなく。
 醜悪なる肉塊に祈りを捧げていた。
 その信仰を拠り所として、あるいは依代、あるいは苗床として。
 今もまさにこの世に産まれ落ちようとしていた。

 されど、その悪に気づく者がいた。

 聖騎士は征く。
 赴くその先は、偽神の聖地。
 決して勝てる相手ではない。
 まず、間違いなく命を落とすであろう。
 されど、征かねばならない。
 彼の御方、光輝にして高貴なる御方。
 我らが信仰の始まり。
 嗚呼、始祖よ、始祖よ。
 決してこの身は御身には届かずとも。
 この信ずる心の為に御身をお救いせねばなりません。
 聖騎士は征く。
 その先に例え死が訪れようとも。

●信仰の果てに
「イエス、イェーガー。予知の時間です」
 周囲に光が灯り、各種機械がその機関に火を灯す。
 映し出された無数の投影ウィンドウ。
 そこにはただ一人で死地に赴こうと言う聖騎士がいた。
 彼の名はレオンハルト。
 今は最早廃れつつある信仰『知識の神エギュレ』を信ずる騎士。
 名誉も称賛もなく、清貧なままに世界をさすらう者。
 人知れず人を護る聖なる騎士。
 その騎士の赴く死地とは、異端神官ウィルオーグ。
 猟書家の幹部として骸の海より帰ってきたのだ。
「彼の神官とただ一人で戦わんとするエギュレの聖騎士、彼と共にウィルオーグを撃破する、それが今回のミッションです」
 しかし、何故レオンハルト卿は彼の神官の陰謀に気づいたのか。
 次に提示されたウィンドウがその答えを示していた。
「ウィルオーグとは、かつて知識の神エギュレを信ずる者であり、その信仰の開祖と言う情報があります」
 そう、始祖が汚濁と共に蘇った。
 故にこそ、その信仰からそれを止めねばならないと聖騎士は信心に誓ったのである。
「偽神と化した敵性存在は非常に強力です」
 ですが、レオンハルト卿のユーベルコード『無敵要塞』ならば、それを防いでくれる。
 彼の絶対の護りを起点として、偽神を駆逐し、ウィルオーグを撃破する。
 それが今回の戦い方であると、アリシエル・フィフスガーディ(五天の守護機・f09139)は語った。
「イェーガーたちはいつも通りに戦えば問題はないと当機の認識です」
 紫紺のマシンアイが猟兵たちを捉えると同時、転送門が展開される。
 その先に広がるのは、醜悪な肉塊に祈りを捧げる狂信者の街。
 ただそこに一人歩む清貧なる聖騎士。
「出撃の準備をどうぞ」


虎河豚天
 虎河豚の天ぷら、略して虎河豚天でございます。食べないで。
 猟書家シナリオですイェーガーッ!!
 聖騎士レオンハルト卿は無敵要塞をはります。
 第一章の敵は無敵要塞を必ずどつきます。
 絶対どつきます、盾として利用しましょう。
 ウィルオーグ相手はそうはいきません。
 しかし、無敵要塞は無敵です。便利です。
 利用しましょう。
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第1章 ボス戦 『不死獣・生命を叫ぶもの』

POW   :    不死者・生命を望むもの
【生き抜く為に理性、思考能力、魔術】に覚醒して【鎧状の甲殻や武器のような腕を持つ巨人】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    不死獣・姿なきもの
【全身に魔力の噴射器を生成する】事で【影も残さぬ超速形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    不死竜・終着点を越えるもの
対象の攻撃を軽減する【鱗や甲殻に覆われた巨大なドラゴン】に変身しつつ、【巨躯から放たれる重撃や破壊のブレスなど】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:猫背

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は浅倉・恵介です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カタリナ・エスペランサ
ふぅん…堕ちた先達の介錯ね。殊勝な事じゃないか
いや、我が身に置き換えて考えれば気持ちは察せる
何より騎士たる理想、その体現に会えて私も随分とテンションが――ごほん。事件解決の折には卿ご自身のサインでも頂きたいところだね

【天災輪舞】発動、まず卿の傍で《力溜め+魔力溜め+エネルギー充填》して万全を期す
卿の防御を見て敵の動きを《情報収集+学習力+戦闘知識》で《見切り》、《封印を解く+全力魔法+限界突破》して反撃に移るよ

至高の盾との共演、ならば私も最高の矛として応えるべきでしょう!
雷羽の弾幕で噴射器ごと敵の全身を焼き払い《早業+怪力》で《蹂躙》するわ
精々私と騎士様の連携を引き立てて散りなさい塵芥ッ!



●至高の盾、最高の矛
「ふぅん……堕ちた先達の介錯ね」
 殊勝な事じゃないか、とカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は笑う。
 それを我が身の事として置き換えて考えればその気持は察して余りあるからだ。
 何よりも騎士として理想像、その体現。
 清貧にして、数多の救い手たる騎士と言う理想。
「いやはや、私も随分とテンションが……げふん、ごふん」
 事件解決の折には卿自身のサインも欲しいところである。
 カタリナさん、ただのファンと化す。
 だが、そんなやり取りもそんなにしていられない。
 目の前の偽神は、目にも捉えられぬほどの超スピードで突進してきたからだ。
 その速度、質量、ただそれだけで破壊し、殺傷するに値する。
 しかし、エギュレの聖騎士はそれに対応した。
 無敵要塞を展開させ、前に出たのだ。
 恐ろしい重音を響かせ、その聖騎士の足が大地にめりこむ。
 しかし、無敵の要塞と化した聖騎士レオンハルトには傷一つ無い。
「至高の盾、名は伊達じゃないね、なら私も最高の矛となろうじゃないかッ!!」
 カタリナは蒼き雷を纏い、燃え盛る羽を散らす。
 そして、自らの手の蒼き雷に、ただひたすらに力をこめる。
 魔力が収縮し、エネルギーが凝縮し、それをさらに力によって物理的にも圧縮する。
 存在するだけで大気を焼き焦がすほどになったその蒼き雷と言う驚異。
 されど、その驚異に見向きもせず偽神は、無敵の盾たる聖騎士を殴打し続ける。
 甲高い音が響き、盾がきしむ。
 されど、それは揺らがない、屈しない、毀れない。
「さいっこうの盾、さいっこうの矛、さあ、精々私と騎士様の連携の引き立て役となって――――!!」
 雷羽が放たれ、偽神の全身を焼き穿つ。
 手にした蒼雷、それを肉薄と同時に――――。
「散りなさい、塵芥ッ!!」
 その雷が身を穿ち、内部から焦がす。
 人とも魔物とも思えぬ悍ましい絶叫が響く。
 甲殻が砕かれ、内部より焼かれて、偽神はその痛みにもがき苦しむ。
 しかし、数多の人の祈りを受けた偽神は、それでは殺しきれなかった。
 意味も読み取れぬ叫びをあげ、再び聖騎士とカタリナは偽神と相対するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋津洲・瑞穂
かに。

ヤドカリの次はカニ。

よし、焼こう。

食べられるかは知らないけれど、とりあえず焼こう。
どうせならドラゴンなカニを焼こう。大きいし。
「おいでおいで、火の子たち」

焼けても食べないけど。絶対お腹壊すわ、これ。

てなわけで、レオさんの後ろにこそっと隠れて狐火カモン。
レオさんレオさん、痛くない?
トンネル掘り20で穴掘って、顔だけ出して狐火カモン。
レオさんレオさん、熱くない?
2回攻撃40/鎧無視攻撃40/串刺し20で狐火カモン。
レオさんレオさん、辛くない?
継戦能力10あるので無限にずーっと狐火カモン。

なお、他人を護るために働く人にはとても好意的ですよ。
嫌じゃと言うても手伝っちゃるので覚悟せい。


クリスティアーネ・アステローペ
強力な現地協力者がいるのはありがたい話ね
守りを一手に担ってくれるのならば。前座の偽神はこちらで祓ってやりましょうか

生き抜くため、に獣性を抑え込んで思考力を得て。その結果として鎧と武器を獲得するのは悪手でないかしら
敵を滅ぼすよりもそれが来ないところに逃げ回らないと。ほら、手遅れになっちゃう

《鎧砕き》を付与した杭でその脚を《串刺し》に
複数方向から貫くことで移動を、《呪詛》で魔術を阻害することで転移や治癒を阻むわ

暴れまわるでしょうからすぐに距離を取ってレオンハルト卿に守りを委ねながら杭を増やして
動きが鈍ったところで甲殻の隙間から《鎧無視攻撃》で首を《切断》してやりましょう
汝が魂に、永き救いと安寧を



●かに
「かに」
 秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は呟いた。
 かにとは。
「……かに?」
 クリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)は首を傾げた。
 目の前にいるのは偽神。
 確かにその手は巨大なハサミだ。
 そして、その身は甲殻に包まれている。
 甲殻色も赤い。
「ヤドカリの次はカニ」
「……ええ、ヤドカリの次だけれど」
 クリスティアーネは疑問そうに首をかしげ、瑞穂を見た。
 カニっぽくはある。偽神だが。
 だがカニっぽいからなんだと言うのか。
「よし、焼こうッ!!」
「食べられないと思うわよ?」
 絶対食べられない。お腹を壊す事間違いなし。
 だってこれはカニっぽいだけで偽神なのだから。
「おいでおいで、火の子たちッ!!」
 聖騎士レオンハルトの後ろに隠れながら、呼び出すは狐火たち。
 レオンハルトは絶対要塞を展開し、偽神の攻撃のその尽くを打ち返す。
「……瑞穂が何をどう思ったのかは知らないけれど、どちらにせよ滅ぼさねばならないのだから焼くのも一つの手よね」
 クリスティアーネはもう一度首を傾げてから。
 絶対の盾の背後から狐火を浴びせかける瑞穂を見て。
 その翼を広げ、天高く跳躍した。
「レオさん、レオさん、熱くない? 大丈夫?」
「問題はない。護りは私に任せよ」
 その絶対なる要塞に苦悶の表情はない。
 揺らがぬ、絶対の盾、それは偽神の攻撃を弾き返し続ける。
「よし、じゃあ継続するよッ」
 その狐火の数がさらに増して次々と偽神に降り注ぐ。
 弾幕が展開され、無数の炎がその甲殻を焼き焦がしていく。
 無敵の要塞に阻まれ、無数の炎の阻まれて。
 偽神は、その頭上の存在のことを忘却してしまっていた。
「――――頭の上、お留守よ?」
 その頭上、天より超高速で落下してくる影があった。
 クリスティアーナ、その慈悲を携えて。
 重力加速度、そして理外の力をのせた断罪の刃。
 膨大な熱量によって加熱され脆くなった甲殻にその一撃が食い込む。
 一撃で、それは偽神の首を刎ねて断罪する。
 くるくる、とその首が虚空に舞い飛ぶ。
 着地と同時、即座に飛びのき無敵の盾の隣に並び立つ。
「終わった?」
「いいえ、まだよ」
 そう、首を刎ねても、その偽の神は蠢いていた。
 地に墜ちた首をその手で持ち上げ、元の位置におけば、傷口がふさがっていく。
 意味のわからぬ声をあげ、偽の神はまたその甲殻ハサミを振り上げる。
「まだまだ続くみたいね」
「ええ、仮にも――――神だもの」
 二人の娘は剣を構え、聖騎士は盾を携える。
 戦いの決着はいまだつかず。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※アドリブ、連携歓迎

まず礼節をもって聖騎士に助力を願う。
「人々の安寧のため、どうかお力をお貸し頂きたく」

呼吸を整え、無駄な力を抜き、敵を『観』る。
敵の体格・得物・構え・視線・殺気から間合いと攻めるタイミングを量る。

狙うは『後の先』
UCは攻撃重視
防御は聖騎士任せ、自身は攻撃に専念。

聖騎士の後方に待機し、攻撃を防いだ瞬間を狙って敵の左右から脚部外骨格の接合部を攻めて、相手の意識を下側に向けさせる。

「『背中』を借ります」
こちらの動きに対応してくるタイミングで、左右から飛び出すと見せかけて、騎士の背を跳び箱にするような要領で跳躍。

跳躍の勢いと体のバネを最大限に用いて、渾身の一撃を相手の脳天に叩き込む。



●安寧の為、明日の為
「――――」
 上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は拳を手で包み、深く頭を下げた。
 今もなお、偽神の前に立ち、その盾で偽神の攻撃を受け続ける姿。
 清貧なる理想の騎士、その体現。
 その姿への敬意をこめて。
「人々の安寧のため、どうかお力をお貸し頂きたく」
 礼節と言葉をもって、紡げば、聖騎士の視線と修介の視線が絡む。
 一瞬の間、ただそれだけで二人の間にはそれ以上はいらなかった。
 聖騎士レオンハルトが無敵要塞を張り巡らせ、修介の盾となる。
 怒涛の攻撃が聖騎士に降り注ぎ、盾が一撃ごとにきしむ音をあげる。
 修介は、その様を"観"る。
 呼気を整え、正して。
 無駄な力は抜いて、自然体に。
 されど、必要な力は全てをこめて。
 聖騎士がまた一撃を受け止める。
 その刹那に、即座に足元に滑り込み、拳を膝関節に打ち込む。
 甲殻が砕け、髄が砕ける音が響く。
 がくん、と偽神の膝が落ちる。
 同時、自身への痛撃を与えた存在がいる事に気づいた偽神は、その大ハサミを振り上げる。
 しかし、すでに修介はそこにはいない。
 聖騎士の背後にすでに飛び退いていたのだから。
 大ハサミが大地に打ち付けられ、そこが大きく砕け散る。
「背中を借ります」
「存分に踏み台にするがいい」
 聖騎士レオンハルト、その背を踏み修介は高く飛び上がる。
 跳躍の勢い、身体のバネ、正した呼気、こめる力は必要分。
 その身が宙を返り、振り下ろした踵。
 渾身の一撃がその頭蓋に叩きこまれへしゃげ、砕ける。
 砕いた勢いを利用してさらに跳躍し、大地にその足をつけると同時。
 無防備になったその背、脊髄目掛け。
「力は溜めず」
 大地を踏み抜く。
 震脚は文字通り、大地を震わせ、そこを砕き踏み抜いた。
「息は止めず」
 呼気は正したまま、その全身全霊の一撃の為に。
 息を止めず、吸って、吐いて。
「意地は……貫くッ!!」
 放った拳が、甲殻もろともその髄を砕いた。
 意味があるのか、あるいは、ないのか。
 意味の読み取れぬ苦痛の叫びを偽神があげた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リミティア・スカイクラッド
堕ちた開祖を止めるための信仰の道、リムもお供しましょう
守りはお任せします。かわりにあの醜悪な偽神もどきは、塵一つ残さず「焼却」するとお約束しましょう

敵は無敵城塞中のレオンハルト卿を必ず狙うとはいえ
あの巨躯の攻撃やブレスには巻き込まれる恐れもありますね
ここは風神の靴を使った「空中戦」を
ドラゴンの頭よりも高く飛んで攻撃範囲から逃れます

卿が耐えておられるうちに敵の「情報収集」を
鱗や甲羅に覆われているとはいえ、どこかに隙間はあるはずです
それを見つけたら魔女の刻印の「リミッター解除」
火葬杖から【魔女の火葬】を放ちます

これはオブリビオンだけを焼き滅ぼす葬送の炎
偽りの崇拝と共に、骸の海に還ってもらいましょう



●骸に捧げる炎
「堕ちた開祖を止めるための信仰の道……」
 ただ信仰の為に歩む清貧の騎士。
 リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は無敵の盾となりながら戦う聖騎士を見る。
「なれば、その絶対の盾の代わりの最強の矛となり、醜悪なる偽神もどきは塵一つ残さず焼却するとお約束しましょう」
 その言葉に聖騎士レオンハルトは一瞥のみ返した。
 言葉はいらない、ただそれだけで全ては理解しあえた。
 リミティアの風神の靴が地を叩く。
 同時、その身が浮かび上がり、空に舞い上がる。
 怒涛の連撃が聖騎士レオンハルトに打ち込まれる。
 されど、信仰なる聖騎士の盾は決して倒れない。
 彼ならば耐えられる、耐えきってくれる。
 その信頼から、リミティアはじっくりと偽神を見やる。
 鱗と甲殻に覆われた絶対防御。
 しかし、如何に装甲を厚くしようとも、それが稼働するものであるならば、脆い部分があるのは必然。
「――――見つけました」
 なれば、そこさえ見つければ後は容易い。
 針のような隙間を縫うような精密狙撃が必要となるほどのそこ。
 されど、レオンハルトが完全に敵を押さえつけている今だからこそ。
 じっくりと狙いを定め、術式を構築できた。
「骸には火を、墓には花を」
 葬送の炎、埋葬の花。
 勿忘草色の炎がその杖より放たれ、正確無比にその甲殻の隙間を撃ち抜いた。
 その隙間より侵入した炎が、甲殻の下、鱗の下を駆け巡る。
 炎が内側よりその身を燃やし尽くしていく。
 苦悶の声か、怒りの声か。
 それとも意味すらないのか。
 わけの分からぬ、否、言葉にもなっていない偽神の咆哮が空に響く。
 燃え続けるそれは決して偽神を逃さない。
 されど、炎に焼かれる速度と、その再生速度はほぼ等速。
「なかなかしぶといですね」
 しかし、葬送の炎は埋葬する為に。
 花びらのように火の粉を散らしながら、その再生能力を殺していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリシ・エイトゥム
……助太刀します。レオンハルト卿をここで殉教させる訳にはいきません。

レオンハルト卿が耐えてくれている後ろから爆炎を放って鎧……殻を砕きます。
狙うは武器の様になった腕か怯む顔。レオンハルト卿の負担が減る様に手数を減らさせます。
隙を見つけて【陽熱断】で腕かあわよくば首を刎ねます。

……願わくば高潔な、貴方の様な人に私は使われたかっ……いえ、何でもありません……
──ッ、炉心起動<イグニッション>!偽神を討ちます!貴方と共に始祖の元へ向かう為に!


アドリブ、連携歓迎



●炉心起動
 猟兵たちの攻撃になおも耐え続ける偽神。
 多くの信仰を束ねたそれは未だなお健在。
 そのハサミの一撃が再びレオンハルトに振り下ろされる。
 無敵の要塞の間隙をついた一撃。
 防ぐ事は無理と思われたそれ、甲高い音をあげ、剣が受け止めた。
「助太刀します……ッ!!」
 マリシ・エイトゥム(地上の太陽・f30951)がレオンハルトの前に割り込み、その一撃を受け止めたのだ。
 ぎりぎり、ときしむ音、大地に縫い付けられる足。
 質量の重さだけで、マリシの身体がじょじょに押し付けられていく。
 しかし、その一瞬の隙がレオンハルトとマリシを助けた。
「かたじけない……ッ!!」
 その均衡が破れようとした瞬間に再びレオンハルトが割り込み、無敵要塞を発動させる。
 そうなれば、最早信仰の聖騎士は揺らがずの要塞となる。
 入れ替わるように飛び退いたマリシは、その剣、神の炎を讃えた灼熱の刃『エイトゥム』を構える。
 爆炎が放たれ、その巨大なハサミを、顔面を打ち据え焼き焦がしていく。
 その一撃が鬱陶しいのか、あるいは痛むのか。
 狂乱するようにその腕を、足をレオンハルトに打ち付けていく。
 だが、無敵の盾、そして、その信仰を胸に宿した聖騎士は屈さない。
 その姿を見ながら、マリシは顔を歪めた。
「……願わくば、高潔な……貴方のような人に私は使われたかった……」
 それは思わずこぼれ落ちた感傷。
 地上にある太陽のような炎の剣。
 数多の伝説を築き上げた神話の炎剣。
 されど、伝説に彩られるはずの神なる炎の剣に与えられた名は魔剣。
 魔剣エイトゥム、数多の欲と憎悪と悲壮に彩られた悲劇をもたらす剣。
 善なる者とて確かにいたのだろう。
 だが、それよりもよっぽど悪なる者が、その力に魅入られた者が多かった。
 振るい手が、担い手が悪であっただけなのに、剣が悪とされた悲劇の剣。
 己の内の魂により、神話の剣のその内面は、ただ助けたかった、ただ救いたかった、ただそれだけの娘だった。
「……いえ、これは感傷ですね……」
 今はそれは捨て置く。
 この悪なる偽神を討ち滅ぼし、世界に救いを、世界に光を、理不尽なる悪を払いのける炎となる為に。
 マリシは、その軛を解き放つ。
「炉心、起動(イグニッション)ッ!!」
 その身が太陽のごとき光輝に包まれる。
 燃え盛る炎の斬撃がそのハサミのような腕を切り払い、焼却する。
 偽りの拠り所としてただ利用されただけの哀れな駒の一つ。
 それを討ち滅ぼし、高潔にして清貧なる聖騎士と共に、堕ちた始祖を討つ為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

死之宮・謡
アドリブ歓迎

へぇ…また信仰の話か…この大陸には理解出来ん連中が多いな…
やれやれ…それにしても、信仰を穢された開祖とは…憐れで、無様なモノよなぁ…
ふむ、話からすると今回の現地人はそれなりに使えるようだな?一々護ってやらねばならんのは怠いからなぁ…楯にできるというのは楽で良い

【gladius】で呼び出した旗魚達を突撃させ、聖騎士君の後ろで能力低下・衰弱の呪術(呪詛)を展開してしばらく様子見
適当なところでレ・フィドラを持って突撃
呪詛を纏わせて一穿、ニ穿、なぎ払いから叩きつけてフィニッシュ



●カジキ
「信仰ねぇ……」
 死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)は絶対強者である。
 それ故に弱いものがすがる信仰と言うものに理解が及ばない。
 故に今回のも至極どうでもいい事である。
 だが、依頼とならば戦わねばならない。
 それに、相手は偽神と言う強力なオブリビオン。
 ならば愉しませてくれるやもしれない。
「にしても……信仰を穢された……否、穢した開祖か……」
 憐れで、そして、無様。
 笑い話にもならない。
 弱いものがすがりついて生まれたものを弱いものが堕とすのだから。
「まぁ……今回はそれなりに楽ができそうだな」
 嘲るように謡は笑う。
 絶対の盾となった聖騎士を見ながら。
 いちいち守ってやらねばならないのは面倒だから。
「お前も憐れだな」
 甲殻をまとった肉塊、『偽神』を見て嘲る。
 弱いものにすがられ、形をなした結果がこれなのだから。
 ならば、せめてもの情けだ、と背後に無数の魔法陣が展開する。
 その吻に絶対切断の魔剣を持つ無数のカジキがそこから弾丸のように射出される。
 次々と甲殻を砕き、そのカジキたちが突き刺さる。
 ハリネズミ、否、ハリカジキのような有様になる偽神。
 びちびち、と尾がしなる度に甲殻がばきばき、と内側から壊されていく。
 そして、ついにその無敵の甲殻鱗が剥がれ落ちた。
 その肉塊の奥、蠢く心臓が晒される。
 一瞬でしかない間隙。
 されど、その一瞬で十二分。
 崩壊と壊死する呪詛をまとった魔槍の穂先が貫いた。
 偽神が動きを止め、そしてゆっくりと崩れ落ちて腐り果てていく。
 ここに遂に偽りの神は潰えた。
「あとは――――」
 ――――堕ちた開祖のみ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『異端神官ウィルオーグ』

POW   :    第一実験・信仰に反する行動の規制
【論文】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    第二実験・神罰の具現化
【自身や偽神に敵意】を向けた対象に、【天から降る雷】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    第三実験・反教存在の社会的排除
【名前を奪う呪詛】を籠めた【蝶の形をした黒い精霊】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【縁の品や周囲からの記憶など、存在痕跡】のみを攻撃する。

イラスト:山本 流

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠クシナ・イリオムです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●堕ちた開祖
「嗚呼、なんと言う事をしたのか」
 異端審問官ウィルオーグは嘆いた。
 我らが"神"を殺した異端者たちに。
「何故お前たちに神の愛は届かないのか?」
 それこそが正しい信仰だと思っているからこそ、その嘆きは深かった。
 心底、神を信ずる者として、異端者たちを嘆いていた。
「真に正しき信仰、真に正しき神の愛を知らぬ憐れで愚かな異端者たちよ」
 ウィルオーグはその両手を大きく広げて笑った。
 かつての開祖は最早ここにはいない。
 そこに存在するのは、嗚呼、そうだ。
「我が神の愛を、我が神の真の正しきを知らしめる為に殉教してくれたまえ」
 堕ちた開祖、ウィルオーグ。
 異端審問のウィルオーグがそこにいただけだ。
「――――だからこそ、私はここまで来たのだ、開祖よ」
 清貧なる聖騎士レオンハルトはその盾と剣を構える。
 彼一人ではウィルオーグは決して倒せはしないだろう。
 だが、その信仰からなる無敵の盾、そして猟兵と言う剣があるのならば。
 ――――堕ちた開祖をも打ち破れようか?
上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
己が得物は近接格闘
故に「近づくな」と宣告されるのが最も効果的だ。

騎士を背後に隠すように立ち、持てる最速で懐に飛び込む構えを取る。

「遣られる前に、叩き伏せる」
前に踏み込む。と見せかけて真後ろに跳躍。

「すみません。盾を借ります」
騎士の盾を蹴って低空ロケットダッシュ。

相手の視線、体幹の動き等から攻撃軌道を予測し、地面への打撃による急旋回・急制動で回避。
こちらの動き対応できないならそのまま突っ込む勢いを加算して殴り貫く。

宣告を受けたらその場で停止。
苛立たし気に地面を殴って飛礫で攻撃。

その『苦し紛れ』に隠してロープを付けたTCペンを投擲。
相手に絡めてぶん回し、騎士の盾に叩き付ける。



●最速最短で
「……」
 上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は理解した。
 "これ"には最早言葉などいらない。
 言葉を交わす余地などは存在しない。
 前に立ったまま、いつも通りに全体を観る。
 呼気を整え、正して。
 身体に適切な力のみを残す。
 何をするか、などと言うまでもない。
 元来より、修介に、上野・修介に、"己"に出来る事などたかが一つ。
 ただ一つ。
 体を前に倒し、疾駆する構え。
「――――殺られる前に、叩き伏せる」
 その発言、宣告。
 ウィルオーグは、その言葉に悲しそうに顔を歪めた。
「嗚呼、憐れな異端者よ。我が宣告を聞くがいい」
 それは理外の宣告。
 受ければ破る事を許されぬ誓約の言葉。
 前に駆け出そうとしていた修介に放たれるそれは『近づく事能わず』。
 接近戦を、徒手空拳を用いる修介にとっては致命の誓約。
 されど、そんなものは"予測できて当然"である。
 もとより、彼にはそれしかない。
 故の短所も知り尽くしている。
 放たれた宣告は――――大地に叩きつけられた。
 懐に飛び込む構えなど、ただのフェイント。
 実際の体重は後ろに飛ぶ為に預けられていた。
「すいません、盾を借ります」
「承知した」
 その言葉と共に、聖騎士は無敵の要塞となる。
 大盾に修介の足がつく。
 呼気一つと共に、そこを蹴り出す。
 大地をも踏み砕く脚力を蹴り足として、修介が"発射"された。
 ミサイルのような勢いで一気に接敵する。
「嗚呼。憐れな異端者よ、足掻き、藻掻き続けると言うのか――――」
 再びの宣告の論文が放たれる。
 同時、大地へ拳を叩きつける。
 地が陥没し、打ち上がった砂が、岩が、瓦礫が放たれた論文を巻き込む。
 砂塵が、視界を覆った。
「おお……?」
「――――力は溜めず」
 一瞬の煙幕、目隠しとなったそれを突き抜ける影があった。
 修介は、その一瞬をものにした。
 肉薄、至近距離。そこは――――。
「息は止めず――――」
 "己"の距離である。
 踏み込んだ足が、大地を砕く。
 震脚は文字通り大地を震わせる。
 呼気は止めず。
「――――意地は、貫くッ!!」
 放たれた拳、それはウィルオーグの腹部を撃ち抜く。
 その顔が苦悶に歪み、めきり、と言うきしむ音。
 同時、炸裂音が響き、ウィルオーグの身体がその威力に負けて吹き飛び、瓦礫に叩きつけられた。
「……立て。まだ終わりじゃないだろう」
 この程度で終わるはずがない。
 この程度で終わるわけがない。
 確信をこめた言葉と共に修介は拳を構える。
 ――――予想通りに、瓦礫の砂塵の中、異端のウィルオーグは立っていた。
 狂的な笑みと共に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリシ・エイトゥム
辛い。ですね……信仰していた開祖が違うモノとなる。志を、信じるものを共にした間柄なのに。
これは敵意じゃありません……堕ちてしまったあなたへの救済です。あなたの行いを私が正します。レオンハルト卿と共に!

【7-X】を発動。少し限界を超えさせてもらいます。
全てを燃やし、爆撃し、切ります。
敵意は無いつもりですが私も心を整えるにはまだ未熟。走り回ったり幻影の魔法による残像で攻撃を避けるつもりですがそれでも避けきれない時はレオンハルト卿……お手伝いをお願いします。

今回はあなたを救うために戦います。これ以上あなたが信じた神とあなたの名を穢させないために!

アドリブ連携歓迎



●その救済の剣を
 狂ったような笑みを浮かべ、猟兵と、そして、信徒であり、信仰を共にしたはずの同志であり、仲間であったはずの聖騎士と戦う開祖たる存在。
 どこで彼は道を違えてしまったのか。
 マリシ・エイトゥム(地上の太陽・f30951)は思う。
「……辛い、ですね」
 聖騎士レオンハルト、彼の心境は如何なものか。
 けれど、彼は決して戦い、そして抗う事をやめぬのだろう。
 清貧なる騎士、彼はその信仰の為に盾を取ったのだから。
 誰かを救う為に。
 そう、今もそれは変わらない。
 ただ、それが堕ちた開祖であった、それだけの話だ。
 だからこそ、マリシは己の中の枷を一つ解き放つと決めた。
「――――この湧き上がる想いは、貴方を憎むものでも、貴方を恨むものでも、貴方に仇なすものでもありません」
「ほう……? 憐れなる異端者よ、我らが神にひれ伏して殉教する覚悟をしたか?」
「――――いいえ」
 マリシの中の"炉心"が燃えて、輝く。
 かつて魔剣と呼ばれしもの、されどその本質は。
 輝ける炎、恐るべき熱量。
 炎の柱とも見て取れる程のほむらをまとった剣を掲げる。
「これは祈り、これは願い、これは想い、誰かを救うと言う貴い光の炎」
 堕ちてしまった者へ送る葬送の炎。
 その過ちを、その罪科を正す為に。
「そう、レオンハルト卿と共に、その祈りを、正しますッ!!」
「……小娘が、我が神への祈りを過ちと断じたかぁッ!?」
 天雷が降り注ぐ。
 しかし、それはてんでデタラメな場所ばかりに落ちる。
 害意ではない、敵意ではない。
 それは救いたいと言う純真にして切なる願いと祈り。
 故に、敵意と害意と悪意に反応する裁きの天雷はマリシを捉える事は出来ない。
 されど、降り注ぐ余波の衝撃、飛び散る瓦礫の礫までは防ぎきれない。
「――――任せよ」
 だが、それらは全て聖騎士レオンハルトが防いでくれた。
 ならば、マリシのする事は最早わかりきっている事だ。
「今回は、救済のための戦い。あなたを救う為に戦います……ッ!!」
 枷は解き放たれ、炎の柱は光輝を帯びた光の柱と化す。
 一筋の閃光のごとき炎、神炎剣エイトゥム。
「これ以上あなたが信じた神と、あなたの名を穢させない為にッ!!」
 剣の炎が振り下ろされ、ウィルオーグを燃やす。
 その身体が燃え上がり、全身を焼けただれさせていく。
 狂ったように笑いながら神炎に焼かれていくウィルオーグ。
「嗚呼、嗚呼、我らが神よ、これもまた試練ッ!! 異端者たちを改宗させ、すぐに殉教させようぞ……ッ!!」
 願いと祈りの炎に焼かれながらも、ウィルオーグは狂ったように笑っていた。
 その信仰心か、あるいは狂気か。
 それはまだ、ウィルオーグの闘争を終わらせることを許さなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋津洲・瑞穂
異教の徒が殉教できるわけがないでしょう。
しかも私は神意を顕す神使であって、信徒ですらない。
神と神との戦いに異端審問官の出る幕はないわよ?

さて、隠れてばかりでは剣豪の名折れというもの。
レオさんと並んで前に立つ。きつねを舐めてはいけません。
カウンター20/なぎ払い20/浄化20/呪詛耐性20の技をして
神獣刀で迎え撃てば、呪詛の精霊など近寄りもさせない。

こちらからは鎧無視攻撃40/串刺し20の2回攻撃40、
184の狐火による貫通突撃でお応えしましょう。
大きく広がって取り囲んでからの一斉攻撃となれば、
避けることも受けることも難しいわよ。

「堕落せし者よ、異邦より訪れし神鳴る力を見るがいい」



●異邦より訪れた神鳴り
「異教の徒が殉教できるわけないでしょうが」
 秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は呆れ果てた。
 その全身を願いと祈りの炎に焼かれながらも狂うように笑い続けるそれを見て吐き捨てるように言う。
「否、否、否否否否否、お前たちはここでくじけ、頭を垂れ、我らが神を信じるのだ……そして、その信仰を改める……ッ!!」
 そして、命を捧げるのだ、と。
 そうだ、まさしく"殉教"ではないか、と。
 血走った眼でうわ言のようにつぶやき続ける。
「根本的に間違ってるわよ」
 瑞穂は大太刀を払う。
 その一太刀で、蝶のような形をしていた黒い精霊は切り祓われた。
「私は神意を顕す神使であって、信徒ですらないわ」
 次々と飛び交う漆黒の精霊は、シャン、と言う澄んだ音と共に祓われる。
 異邦の地より訪れたる神使の清浄なる剣が呪詛精霊を切り、祓うのだ。
 もとより、巫女であり、神使である瑞穂にとって浄化とは息をするよりも楽な作業。
 呪詛を帯びた精霊なんて格好のカモでしかない。
 ましてや、振るう刀そのものが神鳴る剣である。
「教えてあげるわ、神と神との戦いにあなたの出る幕などないと」
 無数の灯火が灯る。
 その数184個。
「嗚呼、嗚呼、憐れな異端者、そのような妄想を背負う必要もじきになくなる……!!」
「あなたにわたしの存在を断じられる必要性はないわよ」
 つい、と神獣刀の切っ先を向ければ、浮かび上がった184の狐火が大きく広がる。
 それは異端のウィルオーグを取り囲み、めらめらと、否――――。
 煌々と光り輝く。
 神なる炎、神聖なる炎、穢れを祓い、清めたもう清浄なる浄火。
「堕落せし者よ――――異邦より訪れし神鳴る力を見るがいい」
 宣告。
 異邦の地より訪れた神の意思を顕現する使者。
 豊穣の使い、稲荷の神使。
 神が使わせし獣はその炎を解き放つ。
 神鳴る浄火がウィルオーグに降り注ぎ、その身を祓い、清める。
 燃え盛る熱量がウィルオーグを焼き払い、傷つけていく。
「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉ……!?!?」
 だが、その清めの炎ですら。
 ウィルオーグの狂気を未だにおることは能わず。
「そうだ、神の試練だ……神は乗り越えられる試練しか与えぬ……ッ!! 待っていてくだされ、すぐにこの者らを改宗させてみせよう……ッ!!」
 狂気は揺るがない。
 血走った眼が、燃え盛る身体のままにぎょろり、と瑞穂を見据えた。
 神使は、溜息を漏らした。
「まだ足りないって言うんなら追加オーダーよ」
 184の狐火は、終わりなく。
 けれど、狂気の信仰も、終わりなく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リミティア・スカイクラッド
生前のあなたはきっと、真に高徳の聖職者だったのでしょう
魔女であるリムに祈る神はありませんが
正しき信仰の光を守るため、今はこの力を奮いましょう

親から授かったこの名、奪わせるわけにはいきませんね
砂獄槍による「地形破壊」で足場を砂に変え、風神の靴の「封印を解く」
突風で砂嵐を巻き起こし、砂の魔力で敵のユーベルコードを阻害します
吹き荒ぶ砂塵は「目潰し」にもなるでしょう

こちらからも敵を視認しづらくなりますが
進むべき道はリムが【旅のランタン】で照らします
レオンハルト卿、この光が導く先に進んで下さい
『真実』の信仰をあなたの剣で、堕ちた開祖に突きつけて下さい

過去を「焼却」する焔を聖騎士の剣に
あとはお任せしました



●過去を燃やす焔
「何故……何故真の信仰を否定するのだ?」
 心底わからない。
 猟兵たちの猛攻を受けながらウィルオーグは疑念を顔に浮かべたまま呟いた。
「……生前のあなたはきっと、真に高徳な聖職者だったのでしょう」
 魔女たるリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)には祈る神はない。
 故に信仰のあれそれはわからない。
 けれど。
「正しき信仰の光、あなたが撒いた種が芽生え、花を咲かせました」
 その為に堕ちた開祖を一命をとして打倒しにきた者がいた。
 彼の定めた信仰、それを体現した聖騎士がいた。
「その花を散らさぬ為、正しき信仰の光を護る為に」
 ――――異端なる魔女の力、今ここで奮いましょう。
 リミティアの周囲の足場が崩れ落ち、砂と化していく。
 同時、高らかな音をあげ、リミティアの履いた靴の踵が合わせ打たれた。
 風が巻き上がる。
 封印のくびきを解き放たれた風神の靴、その中にこめられた膨大な風の魔素が暴れ狂う。
 砂嵐と言うより、それは最早砂の竜巻となり、周囲は霧に覆われていく。
 無論、それは砂であり、霧ではない。
 だが、その視認性の悪さは深い霧に等しく、そして、狙いを絞らせない。
 ――――だが、それは味方も同じ事。
 けれど、嗚呼、けれど。
 カーン、と言う音が響いた。
 リミティアの手に掲げられたのは古ぼけたランタン。
 されど、その光は砂の嵐の中でも煌々と煌めき、輝いていた。
 光の指し示す先、それは聖騎士レオンハルトにははっきりと見えた。
 狂乱し、異端なる魔女を探し求めるかつての開祖。
 聖騎士の剣に焔が宿る。
「さあ、聖騎士レオンハルト――――」
 それは、過去を燃やし尽くす滅却の剣。
 清貧なる信仰の聖騎士。
 祈る神無き異端の魔女。
 決して交わらない二つの道は、交わらないはずなのに今、この場では重なり合っていた。
「あなたの剣で今こそ、真の信仰を示す時です」
 その言葉で聖騎士は踏み出した。
 砂嵐の中、何も見えぬ砂の中、けれど、ランタンの光ははっきりとウィルオーグを示していた。
 過去を燃やす炎の光剣。
 それがウィルオーグを貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

死之宮・謡
アドリブ歓迎

おっと…やれやれだ、何方かと言うと君の方が異端者じゃぁないかい?
ま、私が異端であることに関しては異論の余地がないがね?
しかし、しかしだ…君には此処で果てて貰おう、神の愛も届かぬならば所詮はその程度でしかないということだよ…


相変わらず聖騎士君を楯にしながら減衰の呪術(呪詛)による結界(占星術)を展開して一応援護
その後、聖騎士君の後ろからクレイアスターによる攻撃でウィルオーグを削っていき
隙を見て前に出てレ・フィドラを構え【覇神滅槍】を叩き込む



●異端なるもの
「おのれ……異端者どもめ……」
 聖騎士の剣に貫かれ、滅却の炎に晒されながらもウィルオーグは蠢いていた。
 最早、そこにヒトたる様子は見えず、傷口からは醜悪な肉塊が生々しい音をあげておぞましく蠢いている。
「やれやれだ……何方かと言うと君の方が異端者じゃあないか?」
 堕ちた開祖。
 彼の興した信仰、なるほど、それを捨て去っているのならば、確かに異端者はウィルオーグその人本人だ。
「我が信仰を愚弄したかぁッ!?」
「嗚呼、そうだとも。私が異端である事は議論の余地なぞない。が……堕ちた君が異端者である事もまた明白だ」
 ウィルオーグは謡に向かって魔法を放つ。
 しかし、無敵の盾、信仰の徒、聖騎士レオンハルトを"盾"にしている謡には届かない。
 便利使いされている。まさに肉の盾である。
「君には此処で果てて貰う……嗚呼、案ずるな。神の愛が届くのならば、助かる術もあるだろう」
 届かねば――――君の信仰もその程度でしかない、と言う事だ。
 それを言外に告げながら、聖騎士に護りの結界を付与しながら、黒弓の一矢を放つ。
 ウィルオーグの醜悪な肉の傷口にそれが突き立てば、そこから黒い炎が燃え上がる。
 幾度となく、放たれる焼却の炎、黒き闇がウィルオーグの血肉を還していく。
「我が信仰を……我が信仰をぉッ!?」
「届かねば意味はあるまいよ」
 狂乱するウィルオーグ。
 その一瞬の隙、肉薄した謡は手にした大槍を振るう。
「死ぬが良い」
 致命の呪い、致死の闇。
 穂先に宿った漆黒がウィルオーグの信仰と命を削る。
 それは死ではない。
 ――――それは致命である。
 ウィルオーグの中で何かが砕けていく。
 謡が穂先に宿した闇は、命だけを奪うものではない。
 その根幹から打ち砕き、侵食し、腐らせていくもの。
「さあ、どこまで神の愛が……救ってくれるかな」
 心を砕いて、肉を裂いて。
 狂乱する異端者に謡は、黒く笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クリスティアーネ・アステローペ
さて、と。どうするのが面白いかしら

まずは《結界術》でレオンハルトと自分へ《破魔》の力と《呪詛耐性》を与えておくわ
肉体へのダメージでないあの術が防げない可能性、は減らしておきましょう

ウィルオーグの攻撃を凌ぐ合間に【月の鍵】で虚空にかつて、あるいは本来信仰した知識の神エギュレの姿を見せてあげましょうか
彼の記憶から像を作る都合、該当なしとでもならない限り無反応ではいられないでしょう

幻視する神への祈りか罵声か…まあどっちにしても終わるまで待つ必要もなし、ね
マルツェラの《高速詠唱》で起こした《衝撃波》で邪魔な蝶を薙ぎ払って距離を詰めて、その首を《切断》。
さあ、エヴェリーナ。彼の科人に永久の生を



●エヴェリーナ、その慈悲は
「随分と面白い事になっているけれど」
 過去を燃やす炎に、心を砕く闇。
 それに覆われ狂乱するウィルオーグ。
 されど、その命脈は保たれ、過去の遺物はそこに確固として存在する。
 クリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)は結界を張り巡らせ、聖騎士レオンハルトと自身の護りを強化する。
 破魔の力が呪詛への力を防ぎ、概念的な防御を付加する。
「さて……それじゃあさらに面白くしていきましょうか」
 クリスティアーネの瞳が真紅に輝く。
 力は此処に――――私の瞳は悪夢を綴る。
 そこに具現するのは知識神エギュレ。
 それは真実ではない、ただの幻で、幻覚で、幻惑で、悪夢だ。
 だがしかし、それは開祖たるソレには毒であった。
「おのれ、おのれおのれおのれ、我が信仰に偽りを植え付けた邪神めが……ッ?! 今ここに降臨するとは、今こそ我が真なる信仰によって消滅させてくれるッ!!」
「そう――――そこまで狂っていたのね」
 ウィルオーグは幻視する知識の神へ罵詈雑言をわめきながら無意味な攻撃を放ち続ける。
 マルツェラを構え、引き金を引けば暴風が巻き起こり、道を阻む者を打ち散らす。
 最早阻む者はない。
 一歩踏み込み、疾駆。弾丸の如き走り。
 ウィルオーグが気づいた時には最早手遅れであった。
「さあ、エヴェリーナ――――彼の科人に永久の生を」
 跳躍、宙でその身が翻り、ウィルオーグの背を取った。
 同時、横に薙がれたのは真に慈悲深きエヴェリーナ。
 その首とともに永遠の安息を与え、約束する者。
 切っ先なき刃がその首を刎ねる。
 斬撃の音とともに、ウィルオーグの首は飛んだ。
 ソレで終わりだ。
 ――――普通ならば。
 飛んだ首の下より生えたるは醜悪な肉塊。
 蠢く肉の触手が生々しい水音をあげて暴れ狂う。
 ウィルオーグは死んだ。
 残ったのは暴れ狂う醜悪な肉塊。
 ウィルオーグだったものは未だ蠢き暴れ続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
オブリビオン、生前との変容も個体差が大きいものだけれど……今回はまた随分と歪んだようね
正しい神も信仰も知らない、えぇ本当にお気の毒。その憐憫が全て自分に跳ね返っている事も理解できないのかしら
いいわ、騎士様に免じて貴方の事も“救って”あげるとしましょうか!

操られたような被害者に向ける敵意もそう無いけれど《念動力+情報収集》の力場を展開、《第六感+戦闘知識+見切り》の先読みを補強して相手の攻撃に対応するわ

攻め手は【神狩りし簒奪者】による三重の《属性攻撃》
逃げ場を与えない黒炎の嵐に包み、影鎖で捕え、白雷槍の《弾幕+制圧射撃》で《串刺し》
その堕落した紛いの信仰、骸の海へ還す前に奪い去ってやりましょう



●神の簒奪者
 ぶじゅる、ぶじゅる、と醜悪な音を響かせ歩くもの。
 最早開祖と言う姿はなく、ただの醜悪な肉塊がそこにあるだけで。
 カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は皮肉げに笑った。
「正しい神も正しい信仰も知らない……お気の毒な有様ね」
 最早しゃべる為の口すらも失われたそれは蠢き続けるだけ。
 憐憫することも、祈る事も、嘆く事も出来ないただの過去の遺物。
 清貧たる騎士に一瞥を送る。
「いいわ、騎士様に免じて貴方のことも救ってあげよう」
 念動力場が展開され、その足が封じられ、その手足が封じられる。
 無理に動こうとすれば、その力場が締め上げていく。
 圧力がその肉を潰し、引きちぎれる音をあげる。
 カタリナはその手に握った白き雷槍を構える。
 縛り付ける力場、その巨躯から落ちた影より鎖が現れた。
 影の鎖はその肉塊を貫き、絡みつき、それを拘束する。
 締め上げる影鎖と力場によって、ウィルオーグだったものは大地にひれ伏す。
 それはまるで、神に懺悔するような形だったのは、何を意味するのか。
 あるいは、何の意味もないのか。
 白き雷槍を突きつければ、黒き炎が巻き起こる。
 それはやがて嵐となり、ウィルオーグの肉体を燃やし、焼き焦がしていく。
「その堕落した信仰、骸の海には還さない」
 ――――その尽くを奪い去り、吸い尽くす。
 構えた白き雷槍は放たれた。
 それは光となり、ウィルオーグ、その肉体の核。
 心臓であるそこを貫き、圧倒的な暴威を撒き散らす。
 異なる世界の神であったもの、魔に連なる神であったもの。
 魔神の権能が、その肉体を完全に砕き、その身を骸の海へと葬り還す。
 残ったのはただの静謐。
 そこに開祖がいたと言う証は最早記憶の中でしかない。
 清貧なる騎士は、自らの傷を癒やす事もなく立ち上がれば、踵を返した。
 聖騎士レオンハルト、彼はまた信仰のままに、己の為す事を為すのだろう。
 その背に向かってカタリナは一言呼びかける。
 何事か、と聖騎士はその歩みを止め、肩越しに異界の理を宿す娘を見た。
「サインちょうだい☆」
 そういえば約束してましたね、はい。
 清貧なる聖騎士は苦笑した。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月18日


挿絵イラスト