猟書家の侵攻~獅身人面のゴシップパワー
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「ぐっ……、この私を殺して……。この神獣で何をしようというのだ!」
「お前は……殺す」
ジャッカル頭の神の問いに答えず。猟書家『アズマ』はただただ己の拳を叩きつけ、その命を奪う。
「流石ですにゃアズマさま!」
アズマの後ろに控えていたにゃんこたちが、ぴょこぴょこ飛び出してくる。
「では早速この『不死の怪物』の力をみゃーたちに、って殺しちゃダメにゃ!?」
にゃんこたちは、神獣にまで突撃しようとしていたアズマを止める。
「あれをアズマさまの猟書家パワーでスナーク化させてみゃーたちの力にするにゃ!」
「あれは……殺さない……スナーク化」
「そうにゃ! 神の叡智と太陽の力でみゃーたちの新聞力(にゅーすぺーぱーぱわー)が上がってヒーローズアース全体にスナークの影が伸びるにゃ!」
「スナーク……ミストレス・バンダースナッチ……」
口数の少ない武闘家と騒がしい記者のやり取り。
その光景を見つめながら、獅身人面の神獣は虚構の怪物の気配へと溶けていった――。
●
「先日は満月だったわね! そんなこんなで引き続き猟書家事件継続よ!」
フェアリーのグリモア傭兵、ネミ・ミミーニーズ(f00595)が、新聞片手に大騒ぎしていた。
様々な世界に侵攻する『猟書家』たち。
ヒーローズアースにて、幹部の1人『アズマ』が事件を起こそうとしていた。
センターオブジアースに囚われていた『不死の怪物』。幹部はその番人である神を屠り、封じられていた怪物を『虚構の怪物スナーク』と化したのだ。
猟書家幹部『アズマ』は、一緒にいる『にゃんこ記者』にスナーク化させた神獣の力を与えた。
その異変に気付いた神の1人が現場に向かおうとしている。このままではこの神まで犠牲になってしまう。
「現場に向かってる神様はわんこ頭の男の子ね。未熟なりに神様のプライドがあるらしくって、わんこっていうと怒るけど」
とにかく、急いで現場に向かってほしい。
敵はスナークの力で強化された『にゃんこ記者』たち、及び猟書家『アズマ』。
「場所はセンターオブジアースの中にある遺跡で……。石が積んであったりとか壁画とか描いてあったりするらしいわ」
それなりの広さがあるので戦闘には支障がない。
今から向かうと、ちょうど犬頭の神と猟書家たちの戦闘が始めるところに駆けつけることになる。
「にゃんこ記者はスナーク化によって恐ろしいほどの新聞力に目覚めているわ! その力で虚構の怪物スナークの影響をばら撒いて世界を恐怖のどん底に――、え? 戦闘力?」
スナーク化、という意味では恐ろしい相手だが、ここで仕留めれば問題はない。
「幹部のアズマは……、殴れ!」
こちらもなんて事はない。正面勝負だ。
「そんな感じよ! ユーベルコードの力で神も超えるのよ!」
ネミは腕をぐるぐる回しながら、猟兵たちを送り出した。
背腹かえる
プレイングボーナス(全章共通)……神々と共に戦う(神は強いです)、もしくは猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る(敵がスナークの名の元に恐怖を集める企みを妨害します)。
●ご挨拶
背腹かえるです、よろしくお願いします。
これは幹部シナリオです。このシナリオは2フラグメントで完結し、「猟書家の侵略」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
ヒーローズアース猟書家戦。フラグメントは集団戦、ボス戦。
第1章、集団戦『にゃんこ記者』。
不死の怪物の力でスナーク化し、パワーアップしています。
具体的には古代エジプトっぽい装飾品を多数身に着けています。
第2章、ボス戦『アズマ』。
幹部猟書家の武闘家です。
こちらはスナーク化していません。正面勝負。
共に戦ってくれる神は、犬頭の男の子です。
頼めば噛みついたり包帯を巻いたり死体を操ったりしてくれます。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『にゃんこ記者』
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POW : 大スクープ!!猟兵●●の必殺技の弱点はこれにゃ
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【実証された弱点が1面の号外新聞】が出現してそれを180秒封じる。
SPD : 本日の特ダネスクープにゃ。
【ハプニングを激写された恥ずかしさ】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【特大現像写真を見た観客】から、高命中力の【さらに羞恥心をあおるひそひそ話】を飛ばす。
WIZ : スクープにゃ、スクープにゃ。
【これはスクープになる猟兵の失敗】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
イラスト:マノ居
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
石造りの遺跡。その中でランプの灯りに照らされながら。
黄金の装飾で着飾ったにゃんこたちが古臭いタイプライターを叩いていた。
「そこまでだ! これ以上神の領域で好き勝手させないぞ!」
ビシッと錫杖を突きつける犬頭の男の子。
「何にゃ子犬かにゃ。しっしっ」
編集作業に忙しいにゃんこたちは神様を軽くあしらう。
「ウゥゥ……!」
小さな犬歯を見せつけて威嚇するわんこ。
「ゃ、フーーッ!!」
にゃんこたちに睨み返されてすごすごと帰ってくるわんこ。
猟兵、早く来てくれ……!
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK
新聞記者さんどーもこんにちわ。
秘密結社スナークから刺客がやって来たよ。
フェイクニュースを流す悪いメディアにはここで消えてもらおうねえ。
さて、相手の能力はユーベルコードの弱点を指摘して封じるねえ。
……思いっきり殴る事の弱点ってなんだろう。
まあ考えるのあたしじゃないし、思いついたら言ってね。
犬頭の神様には、逃げそうな猫の記者を包帯なり噛みつきなりで捕まえてもらおうか。
ここから逃げ出されるとちょっと面倒くさいことになりそうだしね。
ペンは剣よりも強しとは言うけれど、先に神様を殺したのはそっちだしねえ。
暴力には暴力で相手するのが道理だろうさ。
「新聞記者さんどーもこんにちわ。秘密結社スナークから刺客がやって来たよ」
気さくな挨拶と共に、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)が新聞社にやってきた。
「どういうことにゃ!?」
「スナークはまだみゃーたちくらいしかいないはずなのに!?」
「まさか地上は既に猟兵たちの手でスナーク化されて!?」
ペトニアロトゥシカの言葉を聞いて狼狽えるにゃんこたち。自分たちがスナークの力を手に入れたところに、不思議な姿をした猟兵がやってきたのだ。それはそれは盛大に大騒ぎする。
「スナークなんて嘘にゃ! そんなのいないにゃ!」
「いるよ?」
自分を指さしながら答えるペトニアロトゥシカ。
「嘘にゃ! 出鱈目にゃ!」
「全米の皆さん! この人嘘つきました! スクープにゃ!」
にゃんこたちはやや落ち着きを取り戻し、ペンを手に反撃に出ようとする。話し込むとあまりいい流れにはならないようだ。ここは一気に片を付けよう。
「フェイクニュースを流す悪いメディアにはここで消えてもらおうねえ」
その拳に【泰山爆砕】の力を宿し。ペトニアロトゥシカは、目の前のにゃんこを力任せに思いっきり殴り飛ばす。にゃんこが飛んでいった先には、犬頭の男の子がいる。
「神様」
「まかせて!」
飛んできたにゃんこは、包帯でグルグル巻きにされる。こうして包んでおくことで、奪われた神獣の力を元に戻せるのだという。
後方を神様に任せ、ペトニアロトゥシカがにゃんこの群れに突撃する。
「相手がスナークでもみゃーたちもスナークにゃ!」
「落ち着いて相手の弱点を!」
にゃんこたちもペンを掲げ、不思議な新聞力を纏う。
「……弱点?」
ペトニアロトゥシカは中空に現れた新聞ごと、にゃんこを殴り倒す。思いっきり殴ることの弱点ってなんだろう。
「ただ殴ってくるだけにゃ、当たらなけれ――」
ベキッ!
「当たった」
何か言いかけたにゃんこがまた、拳で沈む。にゃんこたちはそれっぽい弱点を考ええるが、残念なことにそれを実践する実力が伴っていない。
「弱点……。まあ考えるのはあたしじゃないし、思いついたら言ってね」
ペトニアロトゥシカの宣告。それは、拳を止められないにゃんこたちへの死刑宣告のようなもの。
「みゃーたちのお仕事は頭脳労働にゃけど!?」
「しょ、正面勝負はムリにゃー!?」
「ペンは剣よりも強しとは言うけれど、先に神様を殺したのはそっちだしねえ。暴力には暴力で相手するのが道理だろうさ」
ペトニアロトゥシカがのんびりとした口調で言う。その顔に、にゃんこたちは震え上がる。
古い遺跡に、にゃんこたちの悲鳴が木霊した――。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
その勝負、ちょっと待ったーーー
遺跡の高いところから登場。
ヒーローは高いところから現れるものなのです
神様に奉仕させていただきます。
神様、プライド高いから、助太刀するとかいうよりも奉仕する、という方が好きでしょ?
さて、にゃんこ記者。
人のプライベートを暴く、そのスケベ心。叩き直してあげます。
魔法剣『緋月絢爛』で戦います。
【ダッシュ】で相手の懐に飛び込んで、【敵を盾にする】しながら戦います。
そして、相手が特ダネを獲ろうと密になって来たところで、UC【風舞雷花】を発動。まとめて、退治します。
「その勝負、ちょっと待ったーーー」
どこからとなく響く声。
「だ、誰にゃ!?」
きょろきょろするにゃんこ。
地底世界に聳え立つピラミッドの頂上で、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)が眼鏡を輝かせていた。
「とうッ!」
ダイナミックなジャンプ。そして三点着地。
高いところから現れて華麗に決める。ヒーローには重要なことだ。
派手なアクションで登場した摩那。そのままにゃんこ討伐――、には行かず。まずは犬頭の神様へとご挨拶に向かう。摩那は神の前でうやうやしく頭を垂れる。
「この摩那めが神様に奉仕させていただきます」
猟兵がこっちに来たことで慌てる神様。ちょっと驚いたけど折角なので偉そうにする。
「うむ、苦しゅうないぞ。面を上げい」
「はい」
神様に付き合ってあげる摩那。頼もしい助っ人の出現に、ドヤ顔で鼻を鳴らす神様。今、シャッターの音がした気がする。
「では摩那よ。我の代わりにあの不埒な猫に神罰を下すのじゃ」
「仰せのままに」
神様への挨拶を済ませ、魔法剣を構える摩那。
「さて、にゃんこ記者。人のプライベートを暴く、そのスケベ心。叩き直してあげます」
「すすすスケベ違うにゃ!?」
「悪いのは美女に言い寄られて鼻の下伸ばしてるあの犬にゃ!?」
にゃんこたちは摩那と神様の先ほどのやり取りの写真を掲げる。
「そ、それは!?」
神様が動揺する。神様は動揺するけども、摩那の刃が鈍ることはない。摩那は神速の踏み込みでにゃんこたちの懐に入り込み、手にした写真を斬り捨てる。
「にゃ!? スクープ写真が!?」
「こうなったらおみゃーのスクープ写真を撮ってやるにゃ!」
「さっきスケベとか言ってたしとびっきりスケベな奴を撮ってやるにゃ!」
にゃんこたちは集まってフォーメーションを組む。摩那の周囲を取り囲み、あらゆる角度から撮影することが可能な無敵の構えだ! ――その間合いが、摩那のユーベルコードの間合いでなければ。
【風舞雷花】。魔法剣『緋月絢爛』が高圧の電流を帯びる。摩那が軽く剣を振ると、その刀身は無数の花びらとなり宙を舞う。
「みゃー!?」
電気を浴びて全身の毛が膨らんだにゃんこたちが、花吹雪で吹き飛ばされる。
「新聞記者はただでは死なないにゃ! おねーさん! 視線くださ――」
決死のスケベ心を見せようとしたにゃんこの顔面に、魔法剣の柄を叩きつける。
「取材はお断りです」
「そんにゃーー!?」
にゃんこたちの断末魔が、嵐の中に消えていった――。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
スナーク所属、夢ヶ枝・るこると申しますぅ。
宜しくお願い致しますぅ(礼)。
さて、まずは神様にご挨拶した上で「もふもふさせてほしい」とお願いしてみますねぇ。
いえ、一応作戦ですので。
そして『F●S』3種を展開するとともに【愛柔園】を発動、『熊』や『パンダ』等の、沢山の『肉食獣』を召喚し、記者さんのところへ差し向けましょう。
『FRS』は[砲撃]、『FSS』は動物さん達の護衛と[援護射撃]、『FBS』は逃がさない様回り込ませつつ斬撃を。
この子達の弱点です?
私が『もふもふの素晴らしさ』を疑えば弱体化しますが、『神様』という素晴らしいもふもふを堪能している状態で、疑う可能性が有ると?
「スナーク所属、夢ヶ枝・るこると申しますぅ。宜しくお願い致しますぅ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の間延びした挨拶。
この緩い感じは本当にスナークなのだろうか? きっと、この緩くて掴みどころのない雰囲気こそが虚構の怪物らしさなのだろう。
「またスナークが来たにゃ!?」
「地上はもうスナークに制圧されていて地下世界にまで!?」
にゃんこたちはまた大騒ぎし始める。自分たちがやっとの思いでスナーク化したのに、こうも簡単にスナークが出てくるのはただ事ではない。
驚いているにゃんこはひとまず置いておいて。るこるは神様へとご挨拶する。
「もふもふさせてほしい」
直球だった。
「え? 今なんと?」
「もふもふさせていただいてもよろしいでしょうか?」
言い方が少し丁寧になった。そういう問題ではないので神様は一応首を横に振る。
「いえ、一応作戦ですので」
作戦なら仕方ない、のか?
「神様をもふもふさせていただくことで私のユーベルコード【豊乳女神の加護・愛柔園】が無敵の力を……」
説明しつつまずは耳を、と手を伸ばすと。耳を畳んで逃げようとする神様。逃がさぬよう逆の手で下から顎をさする。逃げられなくなった神様が鼻で息をする。
もふもふもふ……。
るこると神様のもふもふの裏で。もふもふパワーを充填した熊やパンダの群れが、浮遊する兵装と共に進撃する。
「逃がさない様回り込んで――」
るこるの指が神様の顎を包んでくすぐる。にゃんこの方もものすごい勢いでビームの刃に追い込まれる。
「みゃー!? 何とか弱点をー!?」
にゃんこたちは何とか反撃の糸口を掴もうとする。一方、るこるのもふもふも更に加速する。
「私が『もふもふの素晴らしさ』を疑えば弱体化しますが、『神様』という素晴らしいもふもふを堪能している状態で、疑う可能性が有ると?」
「もふもふなら猫のみゃーたちにも!」
アピールしようとしたにゃんこが熊パンチで飛んでいく。壁に当たってよく弾んで、確かにもふもふかもしれない。
「でもその必死さは真のもふもふには程遠いですよ?」
「誰のせいで必死に――ッ!? 焦げた!? ビームでみゃーのもふもふが!?」
「ささ、神様。うるさいのは放っておいてもっともふもふいたしましょう」
神様がるこるから解放される頃には、神様もにゃんこたちもすごくぐったりしていたという。
大成功
🔵🔵🔵
ゴッド・ゴッダー
一口に「神」と言うが、神の中にもピンからキリまであるのを知っているか!?
そう!ワシこそがピン中のピン、全宇宙を統べる究極至高の絶対神よ!
偉大なる神力の一端ではあるが、その体に叩きこんでくれよう!
まずはその新聞とかいう紙屑を神の轟雷で灰にしてくれる!
弱点を指摘?実証?面白い、やってみるが良い!
この神の操る術に、弱点など存在せぬわ!
その様な嘘を並べる愚者は舌を引き千切られるのが相場!
口の中に神の杖を突っ込み、再び神の轟雷じゃ!
神をも畏れぬ愚か者よ!灰燼に帰すが良い!!
一口に「神」と言うが、神の中にもピンからキリまであるのを知っているか!? 下は綺麗に転がるサイコロに人気の絵描きに。上は不死の怪物の討伐者に、そこの犬頭に。その中でも特に、そう――。
地下世界に雷が走る。閃光が俗世の騒音をうち払い、石造りの遺跡に静寂が訪れる。その中心に、ゴッド・ゴッダー(ゴッデスト・f20871)が降臨する。
「そう! ワシこそがピン中のピン、全宇宙を統べる究極至高の絶対神よ!」
「変なおじーちゃんが来たにゃ!?」
その猟兵の姿は、まさに神であった。昔絵本で見た神様のご本尊そのものである。だが、ゴッドから漂う神の力は森羅万象を司るほどの威圧は感じない。
「偉そうなこと言ってるけど普通の猟兵と変わらなそうにゃ! みゃーたちでも勝てるにゃ!」
相手の真の実力を計れないにゃんこたちが、果敢に立ち向かう。
やはり、低俗な獣風情に神の言葉は通じぬか。ならば、神の意志を力に変えその身に叩き込むより他あるまい。
「偉大なる神力の一端ではあるが、その体に叩きこんでくれよう! まずはその新聞とかいう紙屑を神の轟雷で灰にしてくれる!」
「あの頭の上に浮いてるピカピカが弱点に違いないにゃ!」
にゃんこが高らかと新聞を掲げる。その一面には、デフォルメされたゴッドの味にある絵が載って――いたのだが。インクの染みた紙切れを手にしたにゃんこごと、ゴッドの雷が消し炭に変える。
「弱点を指摘? 実証? 面白い、やってみるが良い!」
「よ、読まずに焼いたにゃ!? 報道規制にゃ!?」
「新聞に都合の悪いことが書いてあったってことにゃ! 一気に畳みかけるにゃ!」
にゃんこたちは更に大量の新聞を発行する。しかし、真なる神を前に三流のゴシップ記事など何の意味があるというのか。
「この神の操る術に、弱点など存在せぬわ!」
「そんなはずないにゃ! こんだけの電気にゃ! 環境に悪――」
抗議のために大きく開いたにゃんこの口に、神の杖を突っ込み、黙らせる。
「その様な嘘を並べる愚者は舌を引き千切られるのが相場!」
全知全能なる者のユーベルコード【神の轟雷】。にゃんこの口の中、零距離よりも近いこの間合いで、神は言われた。
「神をも畏れぬ愚か者よ! 灰燼に帰すが良い!!」
にゃんこは思った。これゼッタイ助からないやつにゃ。放送倫理とか、大丈夫かにゃぁ――。
古き神の遺跡を凄まじい轟音と閃光が駆け抜け。
聖域から神以外の姿が消える――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし/わしら 豪快古風
使用武器:黒燭炎、四天霊障
わしはスナーク所属の猟兵ぞ。
神様には、死体を操ってもらおうかの。あやつらを、極力一ヶ所に集めたい。
最初は【それは火のように】を黒燭炎で発動させる。
さて、これの弱点の…当たらなければそもそも話にならぬ。
だがの、これ、指定が『武器』としかしておらぬのよ。
うん、すまん。四天霊障でも発動可能だの。見える黒燭炎と見えぬ四天霊障の攻撃、同時にかわせられるか?
しかも、最初ので地形破壊され、足場は悪いのだぞ?
わしらは悪霊ぞ。地形も利用するに決まっておる。
古き神が住まう地球の中心に、神をも恐れぬかのような豪快な声が響く。
「わしはスナーク所属の猟兵ぞ」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、そう言い放った。
新たな秘密結社スナークの刺客。流石のにゃんこ脳でもそろそろ慣れてきた頃合い。
「さっきからスナークが多すぎにゃ! みゃーたちもそろそろ嘘ついてるってわかるにゃ!」
「わしが嘘をついておると? どこに証拠があってそのようなことを」
義透はにゃんこの相手をしつつ、その裏で犬頭の神様に合図を送る。神様は静かに頷いて、姿を消す。
「証拠とか言い出しにゃ! スナークは正体不明だから証拠なんてあるはずにゃいのに!」
にゃんこはずびしっ、とペンを突きつける。その様子に、義透は肩を竦める。スナーク化した者とスナークを名乗る者がいくら言い争おうと、互いの正体など永遠に掴めない。
そんな不毛な口論の最中、埃を被った石畳をひっくり返し、包帯を巻いた死者たちが目を覚ます。
「新たなスナークチャレンジャーにゃ!? いやこれは通りすがりの死んでる人にゃ!」
にゃんこは吠えた。今まで使っていなかったけど神獣を取り込んでスナーク化していたのだ。戦えばそれなりに強い。わらわらと集まってくる死者を投げ捨て、その主である犬頭の神様を狙う。
突進するにゃんこの死角から、炎を纏う黒い槍が走る。
「甘いにゃ!」
にゃんこは跳ぶ。義透のユーベルコードの一閃は、虚しく古代の遺跡を抉るに留まる。
「さて、これの弱点の……」
「当たらなければどーということはないにゃ! みゃーを本気にさせたことをあの偽スナークに後悔させるにゃ!」
神様と義透の連携攻撃を躱して、強気のにゃんこ。この隙だらけの嘘つきスナークに猫パンチを!
「うん、すまん」
「いまさら謝っても許してやらないにゃ!」
「いや――」
外して弱点を晒したのは、『黒燭炎』にて放った【それは火のように】であって。義透は変わらぬ表情のまま、見えぬ『四天霊障』を構え、ユーベルコード【それは火のように】を放つ。
「み、視えない感じにゃ!? スナークにゃ!?」
急いで飛び退こうとしたにゃんこの脚が、飛び散った石の破片を蹴飛ばす。
「みゃ!?」
「わしらは悪霊ぞ。地形も利用するに決まっておる」
逃げ損ねたにゃんこを、見えざる何かが飲み込む。大声で叫ぼうとしたにゃんこの口に怨念が流れ込み、暗い闇の底へ消えてゆく――。
騒がしかった要因は綺麗に消え失せ。
遺跡にしばしの静寂が訪れる――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『アズマ』』
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POW : 決別拳
【拳】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 瞬断脚
【神速の蹴り】が命中した対象を切断する。
WIZ : 捨身投
【自身に近接攻撃】を向けた対象に、【投げ技によるカウンター】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:箱ノ山かすむ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ナイアルテ・ブーゾヴァ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟書家『アズマ』は、思案する。
仮初のスナークは、偽りのスナークに敗れた。
ミストレス・バンダースナッチが用意した、スナークの元は消えた。
これ以上、ここに留まる理由はない。
だがすでに、退く先はない。
ならば、やることは――。
深く息を吸い、座禅を崩す。
静かに、立ち上がる。
消えていたソレに、存在感が宿る。
いつから、そこにいたのか。
愚問でしょう。最初からずっと、そこにいたのです。
『いる』かどうかなど些細な問題でしかありません。
『認識』されるがゆえに、『いる』ことになり得るのです。
私は今、確かにここにいます。
「……殺す」
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
やはり、凄まじい強さを感じますねぇ。
とは言え、神様の援護で「もふもふ」を堪能出来た以上気力は十分、お相手致しますぅ。
『FBS』を四肢に嵌め飛行、射程内で可能な限り高度を取りますねぇ。
『FRS』は私より上、『FSS』は『私の前面ギリギリ』に配置、足場に使われない様注意しつつ[砲撃]しますぅ。
極めて危険な相手ですが、飛行能力はない以上『跳躍』等で接近してきても[空中戦]の経験で位置を大きく動けば回避は可能でしょう。
そして【処檻】を発動、広域を覆う『波動』から『重力の檻』、更に『対象自身の強さ』に比例する『体内の棘』に『FRS』『FSS』による追撃も加え、確実に削りますねぇ。
「やはり、凄まじい強さを感じますねぇ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、のんびりとした口調でそう言った。
余裕があるのか緊張感がないのか、あるいは切迫してもこの口調のままなだけか。
「とは言え、神様の援護で『もふもふ』を堪能出来た以上気力は十分、お相手致しますぅ」
るこるは神様を念入りにもふって、解放する。
このもふもふ本当に必要だったんですか、と神様の顔に書いてある。振り返らないるこる。その後ろ姿に危険を悟り、神様はすぐさま離脱する。
余裕を見せつけるかのような態度の猟兵にも、アズマは顔色1つ変えない。ただ静かに、歩を進める。
アズマの動きを察し、るこるは『FBS』を纏って飛ぶ。
相手には飛び道具も飛行能力もない。安全な間合いから砲撃で仕掛ける。『FRS』と『FSS』を敵に利用されにくい位置に展開し、回避しにくい弾幕を張る。飛翔して間合いの外に逃げたるこるにも、迫りくる攻撃にも、アズマは動きを見せなかった。
それが攻撃を受ける直前に、目覚めた。『FSS』の斉射が当たる直前になって、それを腕で受け止め――。
「……殺ッ!」
吠えた。
――と、るこるが認識したときには、真下にいた。咄嗟に『FBS』を捨て、後方に飛び退く。
間一髪。るこるのいた場所を、拳を振り上げたアズマが突き抜けた。
「すごい動きですねぇ」
一瞬でも判断が遅れていればやられていただろう。だが躱した。こちらの番だ。敵が空中で留まっている今なら、やれる。
「大いなる豊饒の女神の名に於いて、仇なす者達に厳格なる裁きを」
【豊乳女神の加護・処檻】の力を解放する。るこるの身体から『女神の波動』が放たれる。空中で構え直し、蹴りを放とうとしたアズマが、『超重力空間』へと引きずり戻される。
流石の武闘家も内側からの攻撃は防げない。ユーベルコードに囚われたアズマの肌が破れ、無数の棘が生える。あとは――。
「相手が強いほど威力は上がるのですが、念のため追撃しておきますねぇ」
『FRS』と『FSS』が、布陣の内側に砲を向ける。先程まで主人がいた場所に、一斉攻撃が放たれる。
「……殺す」
砲撃と超重力の中で。
アズマの気配が跡形もなく――、消えた。
大成功
🔵🔵🔵
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK
ああ、分かりやすくていいね。
秘密結社スナークの一人、混沌獣。
あたしもアンタを殺しに来たんだ。
さて、一応打撃対策に神様に包帯を巻いてもらっておこう。
クッション替わりなってくれれば少しはマシかな。
包帯を巻き終わったら、まっすぐ行って殴りかかるとしようか。
相手がカウンターの投げ技を仕掛けに触れた瞬間【纏雷縛把】を発動。
流石に完全に動きを封じられはしないだろうけど、
動きを鈍らせることくらいは出来るんじゃないかな。
格闘しかしないなら全身に電撃を纏っていれば感電せずに攻撃するのは難しいし、
後は体力任せにお互い殴り合うだけだね。
「ああ、分かりやすくていいね」
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は、ぽつりと、そう言った。
目の前の相手は上から下まで、武闘家そのもの。それ以上でもそれ以下でもない。
「秘密結社スナークの一人、混沌獣。あたしもアンタを殺しに来たんだ」
丁重にご挨拶する不可思議な形状の獣。それにただ無言で礼の構えを取る武闘家。
そのときは何も思わなかったが。とても奇妙な光景を見た、と犬頭の少年は振り返った。
挨拶してから戦い始めるのも不思議だが。そのスナークは敵に背を向け、こちらにやってきた。
「拳の保護のために包帯を巻いてほしいんだけど――。そういう風に巻いたことはない? 強く硬めに――、そうそう」
初めての作業に手間取っている間。敵は攻撃するでもなくこちらを見るでもなく、じっと、佇んでいた。
「クッション替わりなってくれれば少しはマシかな」
準備が整ったところでようやく。ペトニアロトゥシカは飛び出した。
まず、中距離から拳を叩きつけ。様子見は軽く弾かれ、間合いを取られる。
牽制ではどうにかなる相手ではない。やるなら、こちらもそれなりの覚悟を決めなければなるまい。
ペトニアロトゥシカは拳に力を入れる。真っ直ぐ全力、2度目の踏み込みが石畳を砕いた。
正面から飛び掛かるスナークの怪物に、アズマは踏み込み、肘を合わせる。正面の拳を止められたところで、すかさず脇から攻めた2撃目――、がアズマの反撃に吸い込まれる。
ここだ。
ユーベルコード【纏雷縛把】。敵の投げ技に合わせて、全身から電流を放つ。掴んだ腕から、背負った背面から、アズマの全身に電流が駆け巡る。
「こッ――」
それでも、アズマの投げ技は止まらなかった。石畳に叩きつけられた背中に、衝撃が走る。
マズい――。
追撃を覚悟したペトニアロトゥシカだったが。目の前のアズマは投げ終わった姿勢のまま、胴着の上に電気を走らせたのみで、動くことはなかった。
動きのぎこちないアズマを蹴り飛ばし、体勢を立て直す。
改めて叩きつけた拳は、難なく防がれる。それでも接触した部分からペトニアロトゥシカの攻撃は通り、アズマの動きを鈍らせる。
「……殺す」
ユーベルコードの影響を受けても、アズマの闘志は衰えない。感電するとわかっていても、武闘家の戦いはあくまで接近戦。ならばこちらも――。
「体力任せにお互い殴り合うだけだね」
包帯に護られた異形の拳が、まっすぐな拳の咆哮とぶつかり合う!
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
侵す者「属性的には…すまん、兄者頼む」
※人格交代※
第四『不動なる者』盾&まとめ役武士
一人称:わし/我ら 質実剛健
使用武器:灰遠雷、四天霊障
話し方的には、気取られぬ気はするが。
やはりスナークの一員としては負けられぬよ。
UCを重力属性攻撃つきで行う。この矢からは逃げられぬ。
相手からの攻撃は、戦闘知識と第六感で回避するに限るが…念のため、四天霊障での防御オーラに厚みをもたせておこう。
認識されるが故に、我らとて一人として存在するのだ。
※兄者と呼んでますが、血の繋がりはなく、慕ってそう呼んでます。
「属性的には……すまん、兄者頼む」
猟書家『アズマ』と相対し、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の雰囲気が変わる。
『侵す者』より主導権を渡された、『不動なる者』が武闘家と対峙する。
アズマの表情を窺う。話し方的には、気取られぬ気はするが――。
アズマは、警戒している。
敵は、切り替わった。
『目の前の猟兵』を討つだけならば、拳1つでいい。
だが、この気配。
『目の前の猟兵以外』も、となると。
如何に、殺すべきか――。
「警戒して飛び込んでは来ぬか。ならばこちらから仕掛けよう」
アズマからは、動かない。だが恐らく、義透が弓を射るのに十分なこの間合いも、敵の拳の間合いとみて間違いない。
纏わりつく殺気に見守られ。構えた強弓に、呪詛の矢が形成する。その、矢を番えてからの攻撃までの僅かな間に、アズマが動いた。
神速の拳が、先に展開していた四天霊障を撃つ。何もない空間で、ガラスの割れるような音が響く。
ただの一撃で、守りは破られた。だが、ほんの僅かとはいえ、敵の足は止まった。
【四天境地・雷】。『灰遠雷』から闇が放たれる。呪詛の矢から黒が広がり、戦場全体を包み込む。
「……殺す」
アズマの殺気が呪詛を押し返す。分裂した無数の矢を、2つの拳が迎え撃つ。
「全て、撃ち落とすつもりか。やはりスナークの一員としては負けられぬよ」
義透は二の矢を継ぐ。このまま射ても凌がれるだけ。だが、義透にはもう1つの武器がある。
怒涛の連撃で灰遠雷を撃ち落とすアズマに、得体の知れぬ無念のオーラが流れ込む。先に砕かれた『四天霊障』が、義透の制御を外れ、自らを攻撃したアズマに襲い掛かる。
想定外の攻撃に、アズマが身を引こうとする。一瞬見えた隙。その瞬間を、不動なる者は見逃さない。
「悪霊から、我らからは逃げられない」
最大まで溜めた義透の矢が、不気味に唄う。咄嗟のガードの上から、呪詛の塊がアズマの身体を貫く。滾る闘志が綻び、紅い血飛沫が舞う。
「……こ――ッ!」
紅い胴着を纏うアズマがぐらつく。それでも、持ち直す。隙を晒した自分に、追撃がくる。視界を覆う黒い呪詛の嵐を、死にきれぬ悪霊共を、殺す!
「認識されるが故に、我らとて一人として存在するのだ」
敵を見据えたまま、矢を番える義透の言葉。
その言葉は、誰が発したものであったのか――。
大成功
🔵🔵🔵
火土金水・明
「どこまでが相手の間合いか判断がつきませんが、私も前の方を見習って空中から攻撃を仕掛けましょうか。」
魔法の箒に跨って【空中戦】の技能を使用します。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にし、『『アズマ』』が何処に移動しても巻き込めるようにして【2回攻撃】をします。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
「どこまでが相手の間合いか判断がつきませんが、私も前の方を見習って空中から攻撃を仕掛けましょうか」
魔法の箒に跨って、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)が戦場に飛び込む。
敵の武器は拳のみ。とはいえ一呼吸で飛び込めるアズマの間合いは、広い。横は、この遺跡全て。上は多少余裕があると見えるが、油断はならない。
「まずは――」
【コキュートス・ブリザード】を広い範囲に展開する。アズマがどこへ逃れようとも攻撃出来るよう、二重三重に包囲する。そこから一斉に、仕掛ける。
アズマは逃げない。どれだけ広げようと、どれだけ数を増やそうと。アズマにとって、飛んでくる矢は1つずつに他ならない。
アズマは前に出た。接触する氷の矢を確実に叩き潰し、術者の元に。冷気を受けて勢いを落とすどころか、一撃毎に闘志を輝かせ、加速する。
半端な攻撃は無意味どころか敵の利になりかねない。
明がそう思った時には、アズマの速度は明の認識を超えていた。
蒼く輝く対空の拳が、明の急所に突き刺さり――。その身体が氷の破片となって、砕け散る。
「残念、それは残像です」
凍った霧の中から、明が現れる。至近距離から、2度目の【コキュートス・ブリザード】。ここからなら、外さない。
――、はずだった。2度目の攻撃に対しても、アズマは前に出ることを選んだ。明が無防備な相手を狙える間合いであれば、それはアズマにとっても同じ。
アズマの対空からの連撃。超音速の回し蹴りが、明の本体を捉えた。
「くっ……」
無傷とはいかないが、ぎりぎり致命傷は避ける。相手の纏っていたオーラの流れが途切れるのがわかる。やられたままではいられない。こちらも渾身の一撃を。
「我、求めるは、冷たき力」
必殺の技を放った無防備な男に、氷獄の矢が突き刺さる――。
大成功
🔵🔵🔵
ゴッド・ゴッダー
ほほうカラテか!
確か人間の作った格闘技術の一種だったな!
全知全能の神は何でも知って居る!
所詮はヨーイドンで始まる競技格闘に過ぎぬという事もな!
この様に挑発するだけしておいて、徐に読書を開始するぞ!
お主が猟書家ならば、ワシは読書家なのだ!
このヒーローズアースのコミックは中々に興味深いぞ!
攻撃?好きにするが良い!
ワシはこの通り、寝転がって書を読んでいるだけ!防御も抵抗もせぬ!
もっとも、何発受けても蚊に刺された程にも感じぬがな…
一冊を読み終えた所で、反撃開始といこうかの!
疲れ切ったその体で、星をも砕くワシの鉄拳を受け切れるかな?
「ほほうカラテか!」
アズマの戦いぶりを見て、ゴッド・ゴッダー(ゴッデスト・f20871)は叫んだ。
「確か人間の作った格闘技術の一種だったな! 全知全能の神は何でも知って居る! 所詮はヨーイドンで始まる競技格闘に過ぎぬという事もな!」
怒涛のゴッドトークで畳みかける。
ここが観客に溢れ審判の見守る競技場であれば、アズマに分があったかもしれない。だがここは古き神殿、神の御前である。
「お主が猟書家ならば、ワシは読書家なのだ!」
宣言と共に、ヒーローズアースで話題の最新コミックを取り出す。ゴッドは石畳の上に寝そべり、おもむろにコミックを広げる。ここが競技規定と審判の目があれば、この不届き者は瞬く間にたたき出されていたはず。だがここは古き神殿。神を行いを咎められる者がいるであろうか。
「戸惑ってようだな。わかるぞ、お主はずっとここにおったからな。先日ちょうど完結編が発売したこの物語の中身を知る由もない!」
ゴッドの指摘は間違っていない。しかし、アズマが戸惑っているのはここで痛烈なネタバレを喰らうとかそういうことではない! 神技【神の休息】に踏み込む無礼を冒せずにいるのだ!
「このヒーローズアースのコミックは中々に興味深いぞ! 攻撃? 好きにするが良い!」
神は無防備に寝ている。この状態で攻撃を躊躇う理由などない、――敬虔な信徒でもなければ。
だが、アズマは攻撃を選ばなかった。当然だ。男は真面目だった。カラテの流儀には逆らえない。くつろぐ神に手を合わせ、舞踏を捧げることを選んだのだった。
「何じゃ? 羽虫が飛んでおるようじゃのォ。今は静かなシーンじゃ、じっとしておれ」
神の意志に従い。アズマは舞踏を中断し、座して待つ。
「…………」
「ここで最終決戦か。……よし、盛り上げろ。舞え!」
神の許しを得て、アズマが激しく舞う。だが神はそんな男に関心を示さない。コミックに集中しておられたのだ。
「ふむ……。現世の地上ではこのようなモノが受け入れられておるのか。現世の出来事は知り尽くして退屈しておったが、たまに見る寓話はいい刺激になるな」
コミックを最後まで読み終えたゴッドが、満足気に立ち上がる。
「――で、何をしに来たんじゃったか」
最後に思い出したように、神の鉄拳が炸裂したという。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
ドラマ化もされた某ヤンキー漫画に思いっきり影響されて拳で語る勝負に臨むわ。
腕にバンテージ巻いた特攻服姿の魔法少女に変身していざ尋常に勝負。
「猟兵組織「秘密結社スナーク」大幹部アリス・セカンドカラー……参る」
ケイオスマジック(結界術)で漫画キャラの格闘能力をSampling(借用)して問題なく拳語り(決闘)はできるわよ。
受け身投げ、だが甘い!自ら投げられる方向に飛ぶことでその衝撃を殺し、投げをすかして体勢を崩させたとこにこちらもカウンターで殴りましょ。
拳にありったけの魂(情熱)を籠めて!
何度倒されようと限界突破した継戦能力でしつこく食い下がるわよ。
歴史を感じさせる遺跡に、軽快な音楽が鳴り響く。
こんなことをしでかすような空気の読めないにゃんこは全滅したはず。
誰だ!?
腕に巻いたバンテージ。風になびく特攻服。カラフルなスモークとライトでその登場を彩るのは――。
「猟兵組織『秘密結社スナーク』大幹部アリス・セカンドカラー……参る」
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)、その人である。
「さあ、この大幹部アリス様が直々に相手してあげるわ。どこからでもかかってきなさい!」
ビシッとポーズを決めるアリスの横に。表情をアップにしたコマ割りやらごつい感じのフォントで出来た名前やらがある気がする。
「……」
猟書家アズマは、先程の神が残していったコミックを広げてみる。
アズマは猟書家である。武術ばかりでなく、学問の心得もある。ポンと渡された初見のコミックであっても、3日もあれば、作中に散りばめられた伏線の美しさに涙しシリーズの考察を述べるまでに成長することは間違いない。
「……」
アズマは何も言わずに、コミックを閉じた。元々無口な男に、この状況でコメントを求めるのも酷であろう。
『殺す』が口癖のこの男でも、殺意を抱きつつ何も言わないこともある。そう、『黙殺』である。
「……猟書家『アズマ』」
男は名乗る。これで筋は通した。
アズマは音もなく、踏み込む。その姿は歪んで消え――。次に現れた時には背後からアリスの身体を投げ飛ばしていた。
「だが甘い!」
神速の移動からの流水の如き投げ。しかし、アリスはわざと大きく飛ぶことでその威力を殺す。大きく派手に吹き飛んで、壁に着地するアリス。
「心がこもっていない! そんな拳でいくら語っても、わたしの信念には届かない!」
熱い叫びと共に、アリスが跳ぶ。
「拳にありったけの魂を籠めて!」
アリスの情熱を込めた一撃でアズマが吹き飛び、地面が割れる。
アズマの身体は、そのまま割れた大地の中に飲み込まれていった――。
絶対死んだ感じの状況だが、奴はまだ確実に生きている……!
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
格闘の専門家ですか。
己の体のみを武器としているだけに、遠距離からの攻撃は対策がありそうです。
かと言って、相手の間合いに飛び込むのは避けたいところ。
難しい相手です。
ここは肉を切らせて骨を断つ、で行きます。
UC【暗黒球雷】を使って、エネルギー吸収球を発動します。
これを魔法剣『緋月絢爛』にまとわて、生命吸収力を付与します。
これでアズマに対して、【ダッシュ】や【ジャンプ】を使いつつ、剣を斬りこんでいきます。
ですが、このままではじり貧ですから、機を見て、吸収球を剣から体に移動させます。
そこでアズマの攻撃を受けることで、相手の隙を誘い、同時に攻撃で得たエネルギーを剣に乗せて【衝撃波】として叩きこみます。
「格闘の専門家ですか」
黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)が猟書家『アズマ』と戦い始めたのは今より少し前。
既に、摩那とアズマは何度も撃ち合っている。
ヨーヨーによる中距離攻撃も、ブーストを絡めての急接近でも、有効打は得られなかった。
現時点でアズマが武器として使用してきたのは己の拳がほとんど。稀に蹴りなど仕掛けてくるが、己の身体以外のものを利用する様子はない。
技の直後にいくらかの硬直が見える。しかし、小技の撃ち合い程度では相手を仕留める程の隙は見いだせない。
決めるならやはり、肉を切らせて骨を断つ、でいく必要があろう。
摩那は改めて、魔法剣『緋月絢爛』を握る。魔法剣に、ユーベルコード【暗黒球雷】の力を宿らせる。愛用の武器にユーベルコードを合わせても、狙える隙はほんの一瞬。
呼吸を整え、再び挑む。
「ハッ!」
最初の一振りは、ギリギリの間合い。剣先を掠らせる程度の斬り上げ。この距離の場合、アズマは一旦距離を取る。
そこに踏み込んで、剣を返して振り下ろす。摩那の最速でも、余裕を持ってガードされる。吸収球を込めた刃でさえ、オーラで固めた腕に僅かなかすり傷を付けるだけ。
でも――、そう。ここまで踏み込むとアズマは逃げない。逆サイドから反発力を高めた蹴りを叩き込む。
捕らえた、と思ったその瞬間。アズマの身体が反転し。摩那の視界が浮いた。蹴りの勢いも乗せ、摩那を掴んで跳ぶアズマ。空中での回転で勢いを増し、摩那の身体は石畳に叩きつけ、――られたはずだった!
かなりの勢いで叩きつけられたはずの摩那の背は、僅かな砂ぼこりをあげて静かに落ちるのみであった。仮面をつけた無表情の男も、この時ばかりは驚いていることがはっきりわかった。
アズマ自身が放った超必殺の投げの反動。石を割り背骨を砕くはずだった衝撃は、摩那の中に吸収され――。
「変換良し……」
摩那は倒れたまま、魔法剣をアズマに突きつける。
「散開!」
吸収した衝撃で『緋月絢爛』を撃ち出す。零距離から射出された刃に身体の中心を貫かれ、アズマは垂直に打ち上げられる!
アズマの身体が石の天井に消える。
それから僅かに遅れて、遺跡全体に轟音が響きたる。
空間を支配していた殺気が、霧散してゆく。
緊張が解け、摩那は深く息を吸って、吐く。
「倒した……?」
摩那はゆっくり身体を起こす。吸収しきれなかった衝撃で、体中が痛む。
視界の端で、犬頭の神様が叫びながらわたわたとジェスチャーを繰り返している。
「遺跡? 崩れる? 神獣? 封印? なるほど」
それでは、出口まで走るとしよう!
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年12月14日
宿敵
『『アズマ』』
を撃破!
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