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一番客は招かれざる魔法少女

#アルダワ魔法学園 #猟書家の侵攻 #猟書家 #ドクター・パラケルスス #ミレナリィドール #六彩の魔法少女奇譚 #マイ宿敵

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●木を隠すなら森の中、つまり
 今日は待ちに待った一日だった。
 各産地から持ち寄られた宝石、そしてそれらを加工した宝飾品。
 それらが一挙に露店に並ぶ宝石市。
 商人達は各々、自慢の商品を並べ準備を整える。
 そこへふらりと現れた一人の少女。まだどの露店も開店準備中だというのにざっと品定めして、その手のひらと同じくらいのブローチに目をつけて。
「あっ、お嬢ちゃん――」
 店主の制止も聞かず、はめ込まれた宝石に指先で災魔の卵を押し込んだ。
「宝石を隠すなら宝石の中……ですね」
 不敵な笑みは、あっという間に催眠ガスの中に消える。
 そして街に静寂が満ちていく――。

●アルダワ魔法学園・2ndラウンド
「大変です! 大変です!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)はぴょんぴょんアピールしながら叫んでいた。二度叫ぶのは、つまりそれだけ大事なことということだ。
「『アルダワ魔法学園』で宝石に災魔の卵を埋め込んで街の人を眠らせる事件の悪夢を見てしまいました!」
 事件が起こる予知――ならば、止めるために動くのがグリモア猟兵の役目。
 ロザリアは他の猟兵達へ概要を伝える。
「現場は宝石商の露店が並ぶ市場ですが、この街の一大イベントのようでかなり広範囲に渡っています。入り組んだ道なりに露店がずらっと続いているため先を見通すのが難しく、実際に移動してみないと催眠ガスの出所を見つけるのは大変かもしれません」
 一つの街を呑み込むほどに放出された催眠ガスは濃く、できれば何か対策があるといいのかもしれない。
「催眠ガスの出所を見つけるためには、とにかく走って探してみるのもいいのですが……催眠ガスの影響を受けていないミレナリィドールの商人がもしかしたら、近くに隠れているかもしれません。その方々はきっと催眠ガスが出てきた方向なんかを見ているはずですから、頼ることができれば発見までの時間を短縮することができそうです」
 そして、ロザリアが予知で視た犯人は。
「催眠ガスの出所には、宝石に災魔の卵を埋め込んだ元凶……『アクリア・ウォーターリリィ』というオブリビオンがいるはずです。アクリアを倒しさえすれば催眠ガスは全て消え元の街に戻りますので、アクリアの討伐を最優先するようにしてください」
 催眠ガスに巻かれて眠る街の住民は――眠るだけなら問題ではない。しかしアクリアは何を思ったか、住民の機械化手術を企んでいる。アクリアを止めなければ住民の命が危ないのだ。
「街の人を助けたいんです! 宜しくお願いします!」
 戦う力は、猟兵を導くその手にもある。そう信じて、ロザリアは事件に真正面から向き合うのだ。


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 リアルでは満月を見るのが少し楽しくなりました。依頼は大変ですけど。

●フラグメント詳細
 第1章:冒険『ガス対策』
 催眠ガスを発している宝石の在処を探します。しかし催眠ガスは催眠ガスで厄介なのでどうにか対応して探しましょう。
 露店はなんだかぐにゃぐにゃして枝分かれの多い小道に並んでます。分かれ道の総当たりとかやると相当体力食う気がするんで気を付けてください。
 ミレナリィドールの商人は隠れているのでぱっと見ではわからないと思います。商人全体に対する割合も多くないので……うまいこと見つけ出す作戦みたいなものがあればいいんですけど。

 その辺で寝ている人はとりあえずアクリアの魔の手が及んでないので放置で構いません。

 第2章:ボス戦『アクリア・ウォーターリリィ』
 水の力を操る魔法少女です。
 催眠ガスを発する宝石の傍で機械化手術とかいう物騒なことをやろうとしていますのでやっつけましょう。
 前章の出来がよければ犠牲はなくて済みそうですかね。

●MSのキャパシティ
 合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
 ゆったりペースで進行予定です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『ガス対策』

POW   :    武器や技、または自分の力を信じ耐えながら進む

SPD   :    ガスを防ぐ道具などを準備して進む

WIZ   :    魔法的な防御を施して進む

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

薬袋・水音
うーん、失せモノ探しも人探しも、まぁ戦闘も苦手だけど、やるっきゃないよなーっていうね。ま、入り組んでるから壁もいっぱいあってキャンバスには困らないのは良いよね。

えーっと、黒の塗料は、これだったな。うん、数を増やして一気に行こうか。UCを起動しよう。僕は苦手だけど、この子はそうでもないよ。
さ、行っておいで!



●空のアクアリウム
 コツ、コツ、コツ――。薬袋・水音(空と大地を繋ぐ水・f30607)は一段一段、確かな足取りで石造りの階段を昇る。
「うーん、失せモノ探しも人探しも、まぁ戦闘も苦手だけど、やるっきゃないよなーっていうね」
 他の世界へと旅立つ経験はこれが初めてになる。無機質な造りのグリモアベースとは異なり、見る物、触れる物には人々の確かな息遣いが感じられる。
 しかし今は何とも殺風景だ。ガスのせいで景色が霞み、人々は眠りについている。立ち止まって景色を切り取れば、それはもう風景画の域だった。
 今回の目的はこのガスの元を断つこと。そのために水音に必要なのは、とにかく広いキャンバスだ。幸い、どこもかしこも石壁に挟まれた細道だらけ。キャンバスに困ることはない。
「えーっと、黒の塗料は、これだったな」
 塗料の容器を摘み取り、蓋を外す。そこへ筆をつけてたっぷり塗料を吸い込ませると、ベタ、ベタ、シュッシュと壁へ走らせ魚を描いた。
「うん、数を増やして一気に行こうか」
 凝ったデザインはいらない。目とヒレさえあればそれで十分。縦に一列描ききると一歩横にずれてまた一列びっしりと。とにかく魚を描きまくった。
『水清ければ魚棲まず。暗い水の輩を友として、耳目傾け語らおう』
 描いた魚に手を触れ、命を吹き込むように呪文を唱える。すると、ぺろんとめくれるように壁から魚が起き上がり、宙を優雅に漂い始めた。
「うん、上出来。君達なら僕と違って探し物が得意そうだし……さ、行っておいで!」
 水音が送り出すと、魚達は群れを成して泳いでいった。分かれ道で二手に分かれ、また分かれ道で二手に分かれ……と、物量に任せて道と言う道全てに入っていく。
 水音は魚を描き続け増援を送り出していた。そうして数分経ったところで先発隊が帰ってきた。
「おかえり、どうだった?」
 尋ねると、魚の群れは空で泳いで丸印を作り、さらに階段の下に向かって矢印を作る。
「あぁ、下なんだね。どこかの分かれ道を別の方向に進む感じかな……案内してよ」
 魚達はどうやら目的の場所を発見したようだ。水音は筆と塗料を荷物にしまいこむと、魚達の案内に従い街を下っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノエル・フィッシャー(サポート)
『例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない』

・経験値が欲しいから、雑な扱いでもいいので採用してくれると嬉しいな。
・【コミュ力】を有効活用出来そうな状況ならば、それを使うよ。なくても目的達成のために最善を尽くすよ。
・ユーベルコードは所持してるものからいい感じのを使うよ。
・他の猟兵との絡みも歓迎だよ。共闘するのなら、ボクは補助に回して構わないよ。彼が技能を使用するのなら、ボクも同じ技能でサポートするよ。
・もし男なのか女なのか問われたら「見ての通り」と答えるよ。モニターの前のキミにも、だよ。
・他の猟兵に迷惑をかける行為、公序良俗に反する行動はしないよ。

あとはお任せ。好きに使ってね。



●光があるから影がある
 ノエル・フィッシャー(呪いの名は『王子様』・f19578)は空へ飛び出した煙突の屋根に立っていた。一望する景色はまるで山頂のような雲海――ならぬガス海だった。
 わざわざこんな高いところに立っているのは、街を見下ろしガスの出所を探すため――ではない。
 そもそもガスに阻まれ、また街の構造も入り組み地上の様子など見れたものではなかった。
 では何故か。それは、ガスをスクリーンとして伸びる影にある。
『溢れ出る光には――こういう使い方もあるんだよ』
 ノエルの影がもにょもにょと動き始めた。ガスが流れているわけではない。影からはまさしく影の小さな王子が生み出され、街中に散っていく。
 戦闘用故俊敏だ。小さな影がガスの中に動き回るのは薄ら透けて見て取れた。
 各方位に放たれた影達を観察していると、ある方角へ向かっていた影が慌ただしくその場で動き出した。
 発見のサイン。ノエルはガスの中に飛び込み、その影の元へと向かう。
「やあ、こんなところに隠れていたんだね」
「うおぁっ!」
 布をかけられ整えられた露店の商品棚。そこに身を乗り出して下を覗くと、背を丸めて蹲るミレナリィドールの店主と目が合った。
「心配しなくていいよ。ボクはキミ達……そしてこの街を救いに来たんだ」
 白い歯をキラリと口元から覗かせてのプリンススマイル。磨き上げられたコミュ力が遺憾なく発揮され店主の心の扉を開いていく。
「あんた……助けてくれるのか!?」
「あぁ、そうだよ。だから、よければ教えてくれないかい? このガスがどこから来たのかを」
「……このガスは街の下のほうから来たんだ……。そこには街の中心を流れるライム川がある。ここから行くなら露店を辿って下っていって、分かれ道は右、左、右の順だ」
「なるほど、ありがとう。あとはボクに任せてくれ」
 ノエルは慇懃に礼を述べると、露店を辿り街を下る。店主が言うように分かれ道を選んで進んでいくと、やがて波立つ水音が耳に響いてくるようになった。
 もうすぐだ――ノエルは心なしか足早に街を抜けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイオライト・セプテンバー(サポート)
ハイカラさんのストームブレイド×クロムキャバリア、16歳
女装している男の娘
口調は女言葉
「私、貴方、○○ね、○○だわ」という感じの口調
男の娘ですが、オカマバーのママのような性格
肝っ玉が強く、自分の美学に忠実なタイプ
基本的に善意で動きます

新世界学園というキャバリアパイロットの学園に所属
美化委員長なので綺麗好き、可愛い物好きです

機動性に優れたクロムキャバリア「ブルーテイル」を使用
【推力機動】を活かし、敵の攻撃を避けつつライフルやミサイルで攻撃し、懐に飛び込んだら「スラッシュ」という名のビームダガーで格闘
というパターン

倫理的に正しい行動>民間人の安全>敵パイロットの安全>自分の生存

という原理で動きます



●真実は一つ
「ちょっとヤダヤダ~お肌が荒れちゃう~」
 自分の顔にかかってくるガスをブンブン手で払いのけながらアイオライト・セプテンバー(〝ブルーテイル〟・f29954)はひた走る。
 ダイスをあしらった髪留めで作られたポニーテールを揺らして走る姿は、朝、食パンを加えて走る女子高生のような趣があったが――その実態は男の娘であり、その性格はオカマバーのママに似ていた。
 ガスに塗れて走るなどゴメンだが、それで人々を苦しめるのはもっとゴメンだ。善のためなら奮闘するのが、また肝っ玉なママ気質だった。
 さて、闇雲に走っていても、ガスはどこからかやってきて充満するばかり。この出所を探らねばならないが、手掛かりになりそうな街の人々は、見てきた限り全員眠っているようだった。
 ガスの影響を受けることのないミレナリィドールもどこかにはいるようだが、それを単身で探すのも骨が折れる。
 ならば頭を使うべし――ぱっと閃く思考能力。そこに全てを賭けるのだ。
 アイオライトはゾーンに入る。思考はより鮮明に、ここに辿り着くまでに見た、聞いた、感じた全ての情報を頭の中で整理し、繋ぎ合わせていく。
「……このガス、変だわ」
 催眠ガス。何が変かと言われれば、色か、匂いか――いや、そうではなくて。
「こんなに高低差のある街に、しっかりと充満してるのよね~……」
 ガスは当然ながら気体――つまり流体だ。街の形状に沿って流れるのであれば、どこかにガスの溜まらないスポットがあってもおかしくない。それが隙間なく街を満たしているのなら。
 ガスの出所は必然。
「もしかして、下から湧き上がってる? それなら、ずーっと下りていけばいいじゃな~い♪」
 下方からガスが発生し、空気を押し上げて上へ上へと向かっていくなら、街をすっぽり満たしているガスに説明がつく。
 アイオライトはステップ軽く街を下る。
 やがて川沿い。その先がアイオライトの、そして猟兵達のゴールだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『アクリア・ウォーターリリィ』

POW   :    ロイヤルコード『ウォーターリリィ』
自身の装備武器を無数の【睡蓮】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    マジカルコード『サミダレクナイシュート』
レベル×5本の【水】属性の【魔力で作り出したクナイ】を放つ。
WIZ   :    エクストラコード『トランス・リヴァリエラ』
対象の攻撃を軽減する【半透明の水の体】に変身しつつ、【水泡を飛ばす杖】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:川上らいと

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はロザリア・ムーンドロップです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●水を得たアクリア
 ライム川にかかる大きな橋。そこにも露店がずらりと並び、店主達は眠りについている。
 そして橋の真ん中が、アクリア・ウォーターリリィの作業スペースとなっていた。
 傍らの宝石は売り物だったが災魔の卵を埋め込まれ、今も催眠ガスを出し続けている。
「あら……もう来てしまったのですね」
 アクリアは杖に籠めた魔力で水泡を作り、機械化手術のために寝かせていた店主を包み込んで脇へ寄せる。
「邪魔をしに……来たのでしょう? ですが、水ある場所で私に勝てると思わないほうがいいですよ」
 途端に川がざぱあっと持ち上がり、橋の上に水のアーチを作る。力の誇示――敵に利あるこの地で、猟兵達は戦わねばならぬのだ。
薬袋・水音
奇遇だね、僕の気質もどうやら水であるらしい。まぁ今の僕にはあんまり関係ないんだけど…。一応は僕の塗料は油性だから、水に流して終わりと思わないことだね、なんて。

行くよ、ホムラミズチ。どうしようもない劣化コピーでもやれることはあるはずさ。炎の化身でありそして荒れる川の象徴、所詮は塗料の塊でも、たかがキミくらいならどうにでもしてやれるよ。

とりあえず僕自身にそれほど攻撃力があるわけじゃないから、この後戦う猟兵に少しでも有利になるように立ち回るとしようかな。



●正対する力の共演
 水音はゆっくりと橋を渡りアクリアの前に出る。
「奇遇だね、僕の気質もどうやら水であるらしい」
「あら、そうですか」
「まぁ、今の僕にはあんまり関係ないんだけどね」
 小話を挟みながら、水音は筆を取った。手にした塗料、今度は赤だ。
「一応は僕の塗料は油性だから、水に流して終わりと思わないことだね、なんて」
 今度のキャンバスはこの橋だ。目の前に大きく手早く龍を描く。
『龍は水神であり川の象徴。蛟はその途上にあり、そして赫と竜は火の象徴。火であり水である、私の象徴』
 描かれた龍は火山のように盛り上がり空へ昇った。ガスを吹き飛ばすように一度咆えると、長い体を螺旋状に巻きながら降りてくる。
「行くよ、ホムラミズチ。どうしようもない劣化コピーでもやれることはあるはずさ」
 水音の声掛けにまた一度咆えた。今度はアクリアへ向けて――敵と定めた証だ。
「ミズチ……ですか。面白いことをしますね」
 川の上にて川の象徴。そして水を相手に炎の化身。この場でアクリアを相手に最も相応しい力ではないかと思えるほどに、いくつもの条件が揃っていた。
「では、この力でお相手致しましょう。エクストラコード――『トランス・リヴァリエラ』」
 アクリアが持つ杖の先端、青い宝玉が光を放つ。アクリアの体は半透明な水へと変わっていった。
「所詮は塗料の塊でも、たかがキミくらいならどうにでもしてやれるよ。だから……頼んだよ」
 ホムラミズチ――龍は首をもたげた後、全身を波打たせながらアクリアへと突進した。
 水と炎、世間の創作物では水に軍配が上がることも多いが、この場はそんな簡単な属性勝負ではない。
 その一撃に賭ける思いが勝利を呼び込むのだ。
 力は大してあるわけではないと自覚する水音。しかしそれを悲観するのではなく、力が無くともできることを、できる限りのことを為す。それが水音の、猟兵としての矜持。
 水となり橋の欄干を飛び回るアクリアを龍は追う。水泡を放ち牽制するが、龍は真正面から食らってなお勢い衰えずアクリアへと頭から突っ込んだ。
 細い体を下から突き上げ宙へ飛ばす。
「う……っくぅっ」
 水の体はそれだけで攻撃の威力を軽減する――が、龍の衝撃は軽減されてもまだ体の芯に突き刺さるような力を残していた。跳ね上げられ宙で一回転したアクリアはそのまま背中から橋の真ん中に叩きつけられる。
 水の力が解け、元の体に戻るアクリア。険しい表情を見せながら杖を支えに立ち上がる。
 そして龍はまた水音の元へ舞い戻り、橋へ飛び込むと赤い塗料へ戻って染めた。
「忌々しい……色、ですね……」
「そうかな? 僕は綺麗だと思うけどね」
 足元の色は呼応するように輝きを放つ。生み出された龍の力はまだ消えていない。
 そこに立つ水音へ力を与え、願いを叶えるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
「相手は水属性ですか。では、こちらは氷属性の攻撃で攻めてみましょうか。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【コキュートス・ブリザード】で、『アクリア・ウォーターリリィ』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



●氷点の戦い
「相手は水属性ですか。では、こちらは氷属性の攻撃で攻めてみましょうか」
「凍らせるおつもりですか? ……どうぞ、ご自由に」
 アクリアの体は再び水のような半透明に。水泡を浮かび上がらせ攻撃態勢に入った。
 対し火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)の周りの空気もピキピキと音を立てて凍り始める。互いに魔術砲台と化し、撃ち合うつもりだ。
 スリングショットの弾のように水泡が力を溜めた後に放たれた。明へ集中するところ――氷属性の魔法の矢が水泡を次々と撃ち抜いていく。
 力の衝突点には氷塊ができあがり、積み上がり崩れて溢れていく。火花ならぬ氷花が弾けて散っていた。
「やりますね……」
 水泡を撃ち出す杖を支える手に力を込めるアクリア。力は互角か――。
「……では、二の矢といきましょう」
 魔法の矢を放ちながら、明は氷原へと駆け出していた。ぐしゃりと踏みつけた大小様々の氷片が明の足元に巻き上がる。
「……させません!」
 明の移動に反応してアクリアは水泡の狙撃地点を移動させた。殺到する水泡に一瞬、魔法の矢が途切れて明は無防備になるが。
 氷に映し出された虚像のように。軽やかに氷を踏み鳴らしながら水泡の弾幕を抜ける。
「残念、それは残像です」
「……っ!」
 矢が冷たくアクリアを見下ろしていた。機銃掃射のようにアクリアの周囲一帯を射抜き、水の加護を貫いた。
「あ……っくぅ……」
 腕に麻痺が走る。水へと変じた体が凍り付こうとしているのを見て慌てて魔術を解除するが、露出した腕の表面には矢によって作り出された氷が厚く貼りついていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リッパー・アインツェルカンプ(サポート)
 ウォーマシンのシーフ×剣豪、17歳の男です。
普段は楽天家で明るいムードメーカー的な言動ですが、ベルセルクトリガー使用時には冷徹な殺戮マシンのような言動になります。目標を殺害するまでは止まりません。
 普段の口調は「チャラい(オレ、キミ、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの?)」、ベルセルクトリガー使用時には「機械的(自分の名前、呼び捨て、言い捨て)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


アルタ・ユーザック(サポート)
ダンピールの16歳女性です。
ユーベルコードを使える場面では、指定したユーベルコードを使用し、直接攻撃系か精神攻撃系で敵を攻撃します。
一人称は「わたし」(ひらがな)です。口調は「~だわ」や「~だな」の様なものではなく、「○○…。」の様に…で終わり語尾に何もつけない口数少な目のクールタイプの話し方です。
服装・体型・容姿・持ち物などは、ステータスシートの参照お願いします。

上記内容以外は全てNGなど無しでアドリブ・連携などもOKです。
よろしくお願いします。


杉崎・まなみ(サポート)
まなみは正当派後衛職のヒロインタイプです
聖職者教育を受講中の学生ですが、特に依頼に縛りは無く、どのような依頼も受けられます
但し人並みに気持ち悪いモノ、怖いもの等は苦手で遭遇した際は多少なりとも嫌がる仕草が欲しいです
甘いモノ、可愛いモノが好きで少し天然な所があります
初対面の人でもあまり物怖じせず、状況を理解して連携を取る動きが出来ます
シリアス2~3:ギャグ7~8割くらいのノリが好みです
ただシリアスもやれますよー

UCは状況に応じて、MS様が好きなのを使ってください

その他、細かい部分はMS様にお任せします



●チーム17
「ハッハハ、キミ、なかなかクールでイカしてるじゃん」
 場に水を大量生成し、制圧する――その攻撃方法は落ち着いた外見とは裏腹に派手な立ち回り。リッパー・アインツェルカンプ(ウォーマシンのシーフ・f27049)は軽口を叩くように笑う。
「そのようなことを、言っている場合では……」
「おぅ、そうだったぜ」
 アルタ・ユーザック(クール系隠密魔刀士・f26092)にちくりと言われ、リッパーはぽりぽりと頭をかく。ウォーマシンでありながら、仕草は何とも人間味があった。
「お喋りとは……いい御身分ですね……」
 貼りついた氷をべりべりと剥がしながら、アクリアは恨めしそうな眼差しを向けている。
「そうです、相手が弱っている今が好機……一気に決めてしまいましょう」
 杉崎・まなみ(村娘・f00136)は場を引き締めるようにリッパーとアルタの間に入った。
 戦いはいよいよ、佳境を迎える。
「んじゃ、いっちょ刀でも抜いちまうかぁ! お二人さん、援護は任せたぜ! それと……周りをチョロチョロされるとうっかり斬っちまうからそこんとこ、気を付けてくれよな!」
「わかった……」
「はい! 後方はお任せを!」
「……相談は終わりましたか? では……いきますよ? ロイヤルコード『ウォーターリリィ』」
 アクリアの杖が水平に浮かび上がると、淡い青色の輝きを放ち無数の睡蓮の花びらへと変わった。渦潮のようにアクリアの周囲を舞い始める。
「ベルセルクトリガー、起動」
 それまで陽気な調子だったリッパーが突如、冷たい声を響かせた。刀を抜き最終武装モードへ変化すると、花びらを纏うアクリアを敵とみなして橋の中央へ突進を始めた。
 辺りに撒き散らされていた氷を荒々しく跳ね飛ばす。その姿はまさに暴走と言うに相応しい。
『最期のお花見、楽しんで?』
 奇しくも、アルタの力は別の猟兵が使ったものと同じ、氷だった。刀身にルーン文字が刻まれた魔法刀「氷桜丸」が先端から氷の花びらへと変化する。空高く吹きすさんだ氷の嵐。
 二つの円が勢力争いをするかのようにぶつかった。一点での衝突はやがて橋全体に広がる面でのぶつかり合いとなる。
 睡蓮が凍てつき、散っていた。その分、猟兵達の被害が抑えられている。
「邪魔……ですね……!」
 アクリアは新たに水泡を作り出す。睡蓮舞う一帯の中にぽこ、ぽこと泡が出来上がり始めていた。
 しかし二つの力を同時に使っているためか、その発動はこれまでより若干遅く感じられた。
 そこをまなみは見逃さない。
『地神よ……我が祈りに応え光を放て……ホーリーフラッシュ!』
 掲げた杖の先端にとりつけられた宝石がまばゆい光を放つ。それはガス煙の中なお無限の広がりを見せるように戦場全体へ行き渡った。
 そして、その影響を最も受けたのは。
「う……っく」
 対峙するアクリアだった。最後方のまなみに背を向ける格好のアルタは軽く目を伏せるだけで逃れ、リッパーはお構いなしに突進している。
 アクリアは一瞬標的を見失っていた。再び視界を取り戻す時には新たに全ての攻撃位置を定めねばならず――そこに力の隙が生まれる。
 氷が一気に睡蓮を押し返した。そして一直線に切り込んで、花びらのバリアの中にアクリアまでの道を作る。
 猛進するのはリッパーだ。
「……っ、エクストラコード――」
「標的、斬破」
 ぎゅん、と半月を描いた刀がまさに水を断つように。
 一閃。雅な衣が断片となり、はらりと散った。睡蓮の花びらは掻き消え、手に戻ってきた杖がからんと地面に落ちる。
「水の上に、立つ……私が、負け……」
 失われる瞳の光。現実を受け入れられぬまま、アクリアはそのままべしゃりと物言わぬ水となった。
「……! ガスが、晴れていきます……!」
 周囲の変化に気づき、まなみは空を仰ぐ。
 久方ぶりに降り注ぐ光は、猟兵達の勝利を祝福するかのように三人を包み込んでいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年12月11日


挿絵イラスト