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嘘塗れの虚飾

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 ―どうしてこんなことになったのだろう。どこから可笑しくなってしまったのか。
「おいおい、新規くっせぇ顔してんなよ、大事な大事なお客さんの前に出るんだぜ?」
 誰かが誰かに話しかける声。いや、私に話かけられてるんだ。それなのに、他人事のように思えてしまっていることに、自分で自分を嘲笑えてきそう……だって、今からのことを思うと心が此処に居られそうにない。
「いま……行きますから……」
 今すぐ、逃げだしたい。けれど、それは叶わない。本当に何処で間違えてしまったのか。
 考えた所で今更だ。過去を変えることなんて出来ないのだから。
 どうすることもできないと諦めるしかないよね、なんて自分の心に嘘をつく。
 このまま、呼ばれるままに行けば……私の身体は穢されてしまうのだろう。

 グリモアベースの一画で、九十九・つくみは何やらタブレットとにらめっこ中。
「う~ん、この子……」
 どうやら、テレビ視聴をしていたらしい。いやここって電波届くのか? あんまり、考えないことにしたほうがよさそうだが。ともかく、つくみには何やら懸念がある様子だ。
 一体、何があったのだろう?
「あぁ、ちょっとこの子のことなんだけど…」なんて、前置きしつつもタブレットの画像を見せられると、アイドルのような出で立ちの子が映っていた。
「いやね? この子、理解の無い両親や幼馴染である男の子の心無い言葉に耐えつつもって事柄を売りにして最近出て来た子なんだけどねー?」
 ふむ、まあ、今置かれている自分の環境に耐えつつも、自らの道を行くというのはありえる話ではあるだろう。よくある……かは分らんが、それだけでは懸念の材料にはならないのでは……。
「いや、その話ね? ぜーんぶ嘘だそうだよ。まー、話題を作ろうとしたってことなんだろうね~。ただ、その辺りが問題なの」
 話題性を上げるために嘘のストーリーを作ったなんてサクッとばらすつくみだが、しかし、そのことが問題だと。
 曰く、真実味を帯びさせるために事務所側が自分達にとって都合のいい真実を映像付きで作り上げているそうなのだ。そのために、わざわざ両親や幼馴染に対して追いこみまでしているらしく、そのことをわざと彼女自身に教えて自分のせいで迷惑かけてる、なんて思いこませている始末だそうだ。
「あ、ちなみに幼馴染の男の子とは、ま、両片思い? みたいな間柄みたい」
 ……それだけでなく、誰かに助けを呼ばせないようにするために四六時中監視の下に置いているらしく、彼女にとっては休まる一時なんて無いに等しい。
「どう考えても、精神的に日々疲弊させられそうな話なんだけれど、そんな時に枕営業の話が持ち上がってきたそうだよ。……それが引き金になってしまうんだけどね…」
 凍てついてしまった心はオブリビオン……UDCの呼び声に応えてしまうのだ。
「そんなわけで、皆にはUDCになった直後のこの子を説得して人間に戻して欲しいんだ。あぁ、取り巻きはいるけど、事務所の……んー、いわゆる汚れ仕事を請け負う奴らも影響を受けてUDC化しちゃうみたいだけど……こっちは万能感?に酔って受け入れちゃってるから、戻すのも無理っぽいし片付けちゃっていいよ」
 どうせ、世の中に迷惑かけるしかしない奴らだし、なんてばっさり切り捨てる宣言しちゃうつくみであった。
「それとね、枕営業を持ちかけて人もいるんだけれど、この人は組織の人だから、危険になったらさっさと逃げちゃうから気にしなくていいよ」
 ついでにしてはいけ無さそうなことをついでの事のように宣う。てか何で組織の人が、なんて思うことだろう。そこまで難しいことでもないが。
「そりゃー、人間がUDC化する事件なんて、組織としても放っておくわけないでしょう う? その可能性がありえそうな人達を探してたりしてたみたいだよ」
 まあ、当然といえば当然のことですね。
「今回、接触しようにも四六時中の監視でそれも難しいってことで、接触できそうな話を持ち込んだ、ってことなんだよ」
 組織と一括りに言ってもその顔は十人十色。芸能事務所を隠れ蓑にしているのもあることだろう。接触して嘘塗れの内容を盾に引き抜くつもりであったのだが、それがUDC化の要因の最後の一押しになってしまうのは皮肉なことだ。
「既に水面下で話自体は進んでるようでね~、真実を表に出さないことを契約の条件に引き抜くって話になるみたい。で、それを表に出してもいいから、制裁しましょうねーて事なのですよー」
 契約の話はどーなった。
「何言ってるのー? その契約は芸能事務所同士の話で組織自体は関係ないよね?」
 まさにいけしゃあしゃあである。ついでに言うが猟兵の立場も組織の協力者という立ち位置である。契約の制約なんてあるはずもなかった。
「向こうも向こうで、今回のことを自分達の都合よく真実を捻じ曲げるだろうし、もう、徹底的に潰しちゃって☆」
 末恐ろしいことをとても良い笑顔で紡ぐつくみであった。


にゃんさん。
 にゃんさん。なのですー。
 UDCアース世界より、屑に制裁をするシナリオでございますよ。
 その前に、UDC化した人を説得して元に戻す必要がありますけれど。
 説得について、一つ注意!
 特定の行動をしてしまうと、説得するどころでは無くなってしまうですよ? 一応、冒頭の女の子の心情から、その行動は何かっては判ると思いますが。
 取り巻きも人からUDC化した奴らですが、まあ、こっちは説得する必要もなく、さくっととっちめてしまいましょう。なりたてだからそこまでの強さにするつもりはないので。

 制裁内容はご自由にどうぞー。
 証拠とか、よほど変でなければプレイングで生えますので。
 ただ単純に暴れるだけでも、いいよっ!
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第1章 集団戦 『欲望に飲み込まれた者たち』

POW   :    たっぷり遊んでやるぜ
レベル×1tまでの対象の【身体を抵抗できなくなるまでいたぶり、体を】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    一緒にいじめてやろうぜ
自身が【加虐心】を感じると、レベル×1体の【不良仲間たち】が召喚される。不良仲間たちは加虐心を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ   :    謝るのなら今のうちだぜ
対象への質問と共に、【相手の後ろ】から【ナイフ使いの仲間】を召喚する。満足な答えを得るまで、ナイフ使いの仲間は対象を【相手が最も嫌悪する嬲り方】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベルカ・スノードロップ
アドリブ◎

枕を仕掛けた組織の人(が、逃げる前)に
「娘さん2人。確か今年小学校入学でしたよね?」
と話しかけ笑顔を向けます

UDC化した少女を元に戻すUCはありますが
枕営業でする本番をして救済するUCなので
今回の彼女には適さない
説得役は、他の方にお任せしましょう

そんなこんなで《選択UC》で『もう戻れない連中』を駆逐します
召喚される武器が、どんなものであれ
【投擲】【スナイパー】で嗾けて、敵を【蹂躙】する
やることはシンプルに、ただそれだけです

救助対象がいるので、あまりに残虐なのは控えましょうか

ぐつぐつと燻ったモノは残りますが
この燻燻りの解消手段は、つくみちゃんが用意して貰えますね。きっと



 一般人が超常に出会って生き残るには、早々に立ち去るべきなのだろうか。
「組織の人、早足に立ち去っていきましたね……。有意義なお話、とまではなりませんでした」
 ちょっと残念そうにしてベルカ・スノードロップ(少女を救済せし夜の王【中将】・f10622)はそう呟く。
「ですが後で改めてお話の場を設けてくれるそうですし、そのためにも仕事をこなしましょうか」
 僅かな間ではあったけれど、改めてお話を聞いてくれると約束してくれたのだしと、気を持ち直した。

 ベルカは仕事…UDCと化した少女の説得であるのだが、それに適したUCはあるけれど、しかしその為には対象を抱く必要があるものだ。
 経緯を考えると、そうすることは憚られてしまう。最悪、ここまで追い詰めてくれた事務所を同じ穴の狢なんて思いを抱かれかねない。
「さすがに今回の彼女には適してないですし、説得は他の方々にお任せしましょうか」
 幸いなんていえないけれど、他にするべきこともあるのだしと、少女とは違ってもう戻れそうにないチンピラ達を見やる。
「今はとにかく、妨害してくれそうな奴らを片付ける、ですね」
 柔和そうな表情は変わらないけれど、纏う雰囲気が変わったのはあからさまだった。

 ベルカの纏う空気が変わったのだけれど、UDCの力に酔っているチンピラどもは気づいてる様子はなく。
「なんだ、なんだぁ? きれーな顔したにーちゃんだなぁ?」
「こっからは危険だぞー? 見れない顔になっちまう前ににげたらどーだい?」
「いやいや、怖くて固まってるでし、無理なんじゃねー」
 思い思いに囀りながら、ケラケラ、ゲラゲラ笑っているけれど、ベルカにとってはその様は小物のようにか見えない。
 そもそも、実際の命のやり取りなんて鉄火場に立ち会った回数に雲泥の差があるのだ、UDCと力を得たとはいえ場慣れしていないチンピラなど、物の数にもならないからだ。
 ついでに言え、教育の悪そうな言葉を黙って聞いてやる義理も必要もない。
「むしろあなた方に永遠のご退場をしてもらいますね? 迷惑なので」
 そうなるのが絶対であると断言しながら、手元に呼び出したナイフを投擲するために腕をふるう。
「あがっ?」
 ふるわれた腕から放たれたそれは、笑っていたチンピラの数人の頭に突き刺さり、浮かべていた笑みを張り付けさせたままに意識を永遠の闇に落としてやる。
「てめぇっ!? やりやがべっ!?」
 仲間がやられて、ようやくベルカが敵だと判断したようだが、その判断は遅きに逸したとしか言えないだろう。
 最後まで言葉を紡がせずに黙らせた。

 たったの数秒、ただそれだけの時間で数人のチンピラ達が動かなくなっている。
「一人だけで、ようもここまでやってくれたな…」
 脅威としてしか映らなくなったのだろうか、残るチンピラ達は動こうとせずに遠巻きにしてきた。
 UDCの、人外の力を得てもそれを上回る力で鼻っ柱が圧し折れたのだろう。
 力の差を見せつけてやったのだから、これで大人しくなるかもしれない……普通であったのならば。
 不意に、ベルカがナイフで後ろを薙いだ。
「注意を引いてる内にってつもりだったようですが……バレバレですよ?」
 薙いだナイフは背後から急襲してやろうと背後に忍び寄っていたチンピラの瞳を斬り裂いた。
 先ほども述べたが、場数の数が違い過ぎるのだ、視線やらで何を狙っているのかなんて解り易いものだ。

 状況を変える手であったのだろうが、それも不発に終われば、後はもう一方的な展開にしかならない。
 かなりの手軽さで、チンピラ達を片付けて行くベルカ、ナイフを急所に一発なのはせめてもの慈悲……なんて優しいものではなく、ただ単に少女がいるからと見た目を気遣ってやってのこと。
 チンピラ達も対しての優しさなんて、これっぽっちもなかった。

 そうこうしている内に、ベルカの近くにはもうチンピラ達の姿はない。
 全員倒したわけではないが、敵いっこないとベルカの傍から逃げだしたのである。
 やることはやったって言えるんだけど、何やらベルカは物足りなさそう。
 救済したくてもその手段が取れないから、だろう。
「なんだか不完全燃焼ですねぇ、この燻る思い、つくみちゃんが発散させてくる何かを用意してもらえますかねー?」
 その物足りなさは、今回の事件を予知したグリモア猟兵に向けられるようだが、はてさて、ベルカはつくみに何をしてもらおうとしているのやら?

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

なるほどコワモテの兄さん方だ、
迫力が違うねぇ。
…正直な、アンタらも救えるなら救いたい。
けれども反省の色がなさそうだし、
社会的にも物理的にもオサラバしてもらおうかねぇ?

カレシの話はおくびにも出さないように、
「仲の良かった女友達の友達」と言った風で
遊び好きだと思わせる服装に『変装』して
「最近ずっと付き合い悪いんだけど何か知らない?」
と『コミュ力』で油断させながら接触するよ。

……事前にallianceの極秘『撮影』機能を起動しておいて、
【ヌwitter】に裏垢でリアルタイム配信ながらだけどねぇ。

手を出して来たら電撃の『マヒ攻撃』で痺れさせて
『グラップル』で仕留めるよ。



 UDCと化した少女を救いたい。
 そのことは当然として、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は同じようにUDCと化したチンピラ達も救いたいとは思っていた。
 ……そう思っていても、反省の色もなく、逆にUDCのその力に積極的に染まって行く以上は助けようもなかったが。
 このまま超常を力で好き勝手に暴れられるのも困るのだから、社会的に消えてもらうしかない。物理的にでもだ。

 このまま顔を出せば怪しまれるだろうと、多喜は変装して接近を試みる。
 妙に男が好きそうなというか……要するに、遊び好きって言われそうな姿になった多喜は、その姿のままでチンピラ達の下へ。
「あぁー? 誰だよお前」
 姿を隠すこともせず、むしろ堂々としたままなのだから見つかるのは当たり前で、何者だと誰何されるのも当然のこと。
 元から見つかることは前提だったのだから、慌てるようなこともなく、事前に用意していたことを言っておく。
「最近、仲のいい子に付合いの悪い子がいるらしくてねぇ? どうもあんたらみたいなのとつるんからって話だし、何があったのか聞きたくてね。悪いんだけど何か知らない?」
 少女の友人……のそのまた友人をいった、近いような遠いような立ち位置を装いながらの近況を聞き出そうと話を振った。
「あー、仕事だよ、しーごーと。 付き合いが悪いのはそっちが忙しくなったからだろうな~」
 チンピラ達はただの友人だろうと騙されたようで、聞かれたからとあっさりと白状する。とはいえ、答えられた内容はパンチの効いたものではない。
「うん? 仕事って何の仕事だよ?」
 質問に答えてもらったけれど、それで新しく疑問がでた風を装いつつもさらに情報を引き出してやろうと話を続けていく多喜。
「何って、芸能活動ってやつな~。今は名前を売るための営業中ってやつよ」
 多喜の変装した遊び人風な出で立ちもあってか、自分達に近いと思っているのかチンピラは饒舌に語る。
「芸能って、えー、じゃあその営業って、もしかしなくても枕って付いちゃったりするー?」
 上機嫌みたいだしと、さらに突っ込んで聞くが、それは聞かずとも確信しているもの。それを自分達の口から語らせようとした。
 多喜のその目論見は果たされるようで、チンピラは口も軽く語り出す。
「そーそ、その枕営業ってやつよー」
 わざとそうなるように誘導してやったとはいえ、空気よりも軽そうなチンピラの口であった。
 その軽さを発揮するかのように、知られたら叩かれること間違い無しなことを吐きだし続ける。
「そういや、気になってるって男がいたらしいけどよ、まあ初めてがそいつじゃなくて残念だろうなー。可哀想な奴よなぁ?」
 口では残念とは言いつつも、態度は笑っているので口だけであるのは明白。そうなるように仕向けたんだけどな、なんて言うほどなのだから。
「ま、一発ヤられたら後は何人でも一緒だろうしなぁ、このまま、お楽しみさせてもらうかと思っていたけれどよ……」
 もはや多喜が聞かなくても、下衆な事を言い続けるチンピラであったが、ふと言い淀み、多喜を見据えてきた。
「どうせなら、あんたも一緒に……どうよ?」
 都合がいいと好き勝手に語らせていたことと、多喜の変装が妙な効果を発揮してしまったらしく、妙な気になってしまったようだった。

 チンピラからしてみれば、遊び好きそうな今の多喜の恰好は都合がいいとでも思ったのだろう。
 無造作に手を伸ばしてきて、腕を掴もうとしてきた。
 向こうはその気でも、こちらはそんな気なんてさらさら無い。
 喋らせていたのは自分達の罪を自分達の口で大衆に言わせるためでしかなかったのだ。
 掴まれそうな瞬間、多喜は足を踏みつける。
 ただの踏みつけでない、踏んだ瞬間に底にある金属端子を介して電撃を流しこんで痺れさせる踏みつけだ。
「がっ!?」
 足元からの痛みと同時に全身に流された電流はチンピラの身体を硬直させるには十分。
 固まったのを好機とみて、手早く首に腕を回して絞めつける。
 首を絞められて苦しそうになっていくチンピラであったが、痺れた身体は拘束を解くような力を発揮することもできそうもなく……そのまま、意識を落とした。

 気絶させてやっても、まだ首を絞めるのは解かない。
「おっとと、このまま首をへし折るのを撮るのはまずい」
 チンピラの首を絞めたまま、器用に耳を飾りぺリドットのイヤリングを弄ると録画を終了させた。
 何も映らなくなったと確信すると、色々饒舌に語ってくれたチンピラはもう用済みとばかりにをへし折る。
 ……こんな瞬間を映していたら、衝撃映像で間違いなかっただろう。

 さて、何故多喜はわざわざ話をしたのか?
 種明かしをすれば、いままので会話は全てとある場所にリアルタイムで配信されていたのだ。
 色々と明かされた内容は当然の如く大炎上を引き起こす。
 社会的な抹殺は成ったといえるだろう。
「自分から証言してくれて助かった。ま、もう聞こえちゃいないだろうけどな」
 炎上していることを確認しながら数々の情報提供に感謝を伝える多喜だけれど、それが伝わる事は永遠にないのは確かだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

備傘・剱
過ぎた欲望は身を亡ぼすって、教わらなかったのかね?
まぁ、力が欲しいってのは解るがな

と言うわけで、相手してやるよ
オーラ防御で攻撃を防ぎつつ、ダッシュで接近、フォトンガントレットで敵の攻撃をさばきつつ、二回攻撃に鎧砕きと鎧無視攻撃で確実にダメージを与えていくぞ

どうせ、一人じゃ何もできない奴らだからな
複数かかってくるのなら、結界術で動きを封じ、式神でかく乱して、有象無象を一体づつ確実に仕留めていく
巨大で頑丈な奴には、麒麟閃を叩き込んでやる

力を手に入れても、その力の意味や使い方を知らなきゃ、ただ、持ってるだけなんだぜ?
死線を潜り抜けた奴は、獲物を前に舌なめずりなんてしないもんだ

アドリブ、好きにしてくれ



「力が欲しいってはの解るがよ、過ぎたものは身を亡ぼすって教わらなかったのかね?」
 あっさりと人を止めたチンピラ達を呆れたように眺めながら備傘・剱(絶路・f01759)は教養の無さを指摘するが、相手方の性質は教えられたところで安易に流される方であろう。
 超常の力を誇示する様を見れば、あながち間違いとも言い切れなさそうだ。
「あ~? 何わけわからねーこと言ってんだ?」
 剱の呆れを、馬鹿にされたと曲解したようで、チンピラ達は凄みみがら睨みつけてくる。
 人数が多いのと力を得た事で気が大きくなっているのだろうが、剱にはどこ吹く風でしかない。
「と言うわけてで、相手してやるよ」
 向こうの言葉や態度を完全に無視しながら、先に自分が言った言葉に繋いで宣告。……身を亡ぼすを、実体験させるために。

 言うが早いか駆けだした剱の突然の行動に、面食らって一瞬の硬直なんてしてしまうチンピラ達。
 その対応の拙さは命のやり取りをする場数を踏んでいないことの証明でしかない。
 対応できる者が居ないということを、それが何をもたらすのかと教えるように、剱は一人のチンピラの懐まで潜り込むと、駆けた勢いを乗せたままで腹部にガントレットが装着された拳でもって打ち込み、身体をくの字に曲げてやった。
「ほぐっ!?」
 隙だらけのままで、打ち込まれた拳は肺に溜められた空気を搾り出させたようで、口から漏れる息と共に奇妙な声も漏らさせた。
 息も苦しいのだろうけれど、だがそれもすぐに楽になることだろう。もはや意識は永遠の闇なのだから。
 一人、片付けた劔は残りのチンピラ達に向き直る。
 顔を向けられたチンピラ達は、剱の顔に浮かんだ獰猛そうな笑みに怯んだようで、僅かに腰を引いたようだ。
 それを悟った者は恥だと斬り捨てたようで、周囲を鼓舞するように叫ぶ。
「ちぃっ!? おいっ!皆でアイツを叩くぞっ!」
 戦意を湧かせるという点においては良かったのであろうが、相手との力量を図れないのでは、それも無意味……いや無謀でしかないのだが。
 獰猛な笑みを浮かべて手招きして挑発する剱のその態度を皮切りに、チンピラ達は一斉に襲いかかってくる。
「どうせ、一人じゃ何も出来ない奴らだからなぁ」
 チンピラ達が一斉に襲いかかってくるのは多勢に無勢の様相であるが、剱はやはり余裕を持ったまま。
 再三言うが、場数が違うのだ。その分だけ多種多様な敵を相手にしてきているのだから、相手が多勢であってもそれに対する手段を持っていないはずもない。
 軽く、何でもないような緩慢さで腕を薙ぐと、途端にチンピラ達の動きが止まる。中には浮いたままの奴もいることから、まるで空間そのものに固定されたかのようだ。
 身動きが取れなくなっているのを確認した剱は、ゆっくりと近寄っては、動けないのをいいことに最大限にまで引き絞った強烈な一発を叩きこんでは、静めていく。
 一人、また一人を数を減らされていくのを、ただ黙って見せつけられていくのは、さぞかし恐怖を煽ることだろう。
 散々他者を貶め、嬲ってきたことを鑑みてみれば、可哀想なんて思いは決して抱かないが。

 確実に仕留めて数を減らしていくと、最後に残るは体格のいい輩だった。
 最初の強気な態度は、もはやどこにもなく、ただただ恐怖の表情を浮かべたままで剱を見てくる。
「どうだ? 力で好き勝手しようとしたらより強い力で逆に蹂躙された気分は?」
 力は力で抑え込まれる。それを教えるかのように語りかけるが、今更、それを正しく理解できるかは謎。
「力は手に入れても、その地からの意味や使い方を知らなきゃ、ただ、持っているだけなんだぜ?」
 ただまあ、理解するかどうかは、もはや関係ない。
 このまま最期を突きつけてやるのだから、声をかけてやるのは選択を間違ったと教えるためでしかなかった。
 軸となる足を地に着けたままで回転。遠心力を働かせながら軸足をとは反対の足を突き出して、空気との摩擦を起こして電流を引き起こすと突き出した足に纏わせる。
 一回転する一瞬の間のことで事象を引き起こしままに後ろ回し蹴りを巨体なチンピラに叩きこむ。
 流れた電流か、それとも蹴りの威力か、どちらにせよその生は刈り取られた。
「死線を潜り抜けた奴は、獲物を前に舌なめずりなんてしないもんだ」
 地面に倒れゆく巨体を、蹴りを放った体勢のまま見届けた劔は最後にそう教えてやるが、それが相手の耳に届くことはまずないだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

リジューム・レコーズ
実質監禁状態にまでして挙句身体を売らせるとは…
結果として本来生まれる筈の無かったUDCを生み出すなんて、やってる事はオブリビオンフォーミュラと変わらないじゃないですか
抹殺するに足る条件は整っていますね
許可は降っていますし依頼内容通りに処理しましょう

こいつらが話しにあった汚れ仕事を請け負っていたという連中でしょうか?
単刀直入に始めます
あなた達を処分しに来ました
どうしました?今までしていたように嬲り殺してみたらどうです?
それとも女子1人殺せない腑抜けとでも?
暫く暴行を受けた後ゆっくりと立ち上がり「この程度ですか」
パワーアシストギア、マキシマイズ
今度はこちらの番です
他者に与えた痛みをその身で受けろ!



「実質監禁状態にまでして挙句、身体を売らせるとは…」
 あまりにもあんまりな所業に頭を抱えればいいのかそれとも激昂すればいいのか、リジューム・レコーズ(RS02・f23631)はどちらと判ずればいいのかと迷う
 一つ、解っていることはその所業が行われたことで起こされたのはその結果は、UDCことオブリビオンとなってしまったということ。
 その部分だけで十分過ぎるほどにまずいことである。
「これ、やってることはオブリビオンフォーミュラと変わらないじゃないですか」
 人とは相容れることのない存在を生み出す。リジュームとしてはそれだけで抹殺するに足ると判断した。
 それに……まず抹殺そのものの許可はとっくに下りている。ならばその通りに行動するだけだ。

 邪魔されないようにたむろっているチンピラ達に近づいていくと、一瞥する程度に顔ぶれを見回す。
「こいつらが話にあった汚れ仕事を請け負っていたという連中でしょうか?」
 見回したと言っても品定めなんてものではなく、情報通りならばこいつらがそうなのだろうとただ確認する程度に見ただけだが。
 チンピラ達も奇妙な乱入者に困惑しているようだ。
 それもそうだろう、決して人好きするような出で立ちではない恰好の奴らが数人で固まっているのだから、普通の人ならばまずお近づきになろうとはしない。
 向こうもその辺りは辛うじて理解はしてるようで、何も気負うことなく近寄ってくるリジュームに戸惑っている様子だった。……この後すぐに更なる困惑をもたらされることになるのだが。

 互いの顔も良く見えるほどに近づいて、リジュームが口を開く。
「あなた達を処分しに来ました」
「……は?」
 まるで、要らなくなった物を捨てるなんて物言いに、チンピラ達も一瞬、呆ける。
 一般的な女性にしか見えないリジュームが一人だけでやって来てからの口を利いた内容がそれなのだから、当然のことなのだろう。
 冗談だったのかもと、言われたことを各々で理解しようと噛み砕いているようだった。まあ、冗談ではないのだが。
「どうしました? 今までしていたように嬲り殺してみたらどうです?」
「あぁっ!?」
 相手方が動かない様子に、リジュームは畳み掛けるように神経を逆なでするように挑発する。
 最初に言われたことを理解するのは無理でも、バカにされたことはすぐに理解したらしい。それだけ頭が単純なのか。
「それとも……女子1人殺せない腰抜けとでも?」
 頭が単純であろとなかろうと、仕事の内容な変わりは無く。
 こき下ろすように挑発を繰り返してはチンピラ達を怒らせていった。

 徹底的なまでのバカにしたことで、もはやチンピラ達の誰もかれもが冷静さをかなぐり捨てて怒りに染まっている。
「そんなに言うなら、望み通りにぶっ殺してやらぁッ!!?」
 ある意味テンプレな台詞を吐きながら、数に物を言わせてリジュームを襲っていく。
 リジュームは避けることもなくあえてそのすべてを受けていく。
 身体を強かに殴られたり、ナイフで斬り付けられたりされるものの、それでも反撃することもなかった。
 好き放題にされて、やがてはボロ雑巾を放り捨てるかのように地に転がされた。
「…はっ、大層なこと言ってた割には、何にもでき「この程度ですか」…!?」
 一方的にやれたことで、気が大きくなっていたチンピラ達だが、悪態をつこうとしところで顔が驚愕に染まる。
 散々に痛めつけたと思っていたリジュームが何事なく、どころか身体に付いた汚れを鬱陶しそうに払うような仕草をしながら立ち上がったからだ。
 その態度は、今までのことが一切堪えてなかったと知らせるようだった。
「…パワーアシストギア、マキシライズ」
 絶対と信じた力が通らないことに、動揺するチンピラ達だが、リジュームはその隙を見逃すはずもない。
 力の行使を小さく宣言すると、ちょうど近くにいたから、それだけの理由で一人のチンピラの頭を掴み、持ち上げる。
「な、なん…!? 放せ…っ」
 華奢な見た目とは裏腹に、片腕で持ち上げられたことに戸惑いつつも、足をばたつかせながら逃れようとするようだけれど、無理なことだ。
「今度はこちらの番です。他者に与えた痛みをその身で受けろ!」
 掴んで腕の中で暴れられることを意に介さずに、掴んだチンピラを武器に振り回す。
 人で人をぶちのめす。とんでもな行為ではあるが、相手が相手だ。だからどうしたである。
「やめ…ッ」
 静止を呼びかけられるけど、止まってやる道理なんてなかった。
 なにか口を開きかけたな、なんて軽く思う程度で、今もまた掴んでいる奴で別のチンピラの誰かを弾き飛ばしては珍妙なオブジェに変えていく。
 リジュームが最初の宣言した通りに、汚れ仕事を請け負うチンピラ達は処分されていくことだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユメ・ウツロギ
事務所の言う事を受け入れてデビューしてしまったあの子にも責任が全く無いとは言いませんが…それでも、彼女を徹底的に追い込み利用する貴方達が一番悪い事に変わりはないです。
無限の書、【蒐集行使】します。

UCの効果で「夢魔エンプーサ」の【秘めたる欲望の問いかけ】を使用。
纏めて全員拷問具で拘束し、この人達や事務所がやった行い、罪を(今回の件のみならず)悉く死のギリギリまで追い詰めて自白させるです。
後の制裁の為、勿論、無限の書に録音、録画データ、文章で全て蒐集しておくです。

貴方達が屑で無ければ最後にイイ目を見せてあげたりとかもしたかもしれませんけどね…。
残念ですが、貴方達に慈悲は無いです。
サヨウナラ、です



 芸能活動をするということは、責任の一旦を担う事とも言えるかもしれない。
 その点だけを言えば、事務所の言うことを受け入れてデビューしてしまった方にも責任が無いとは言い切れないかも。
 ユメ・ウツロギ(蒐集の魔女・f30526)はそう考えることも出来なくはないと思ったようだけれど、それでも徹底的に追い込み利用しようとしている方が一番の悪で変わりないでしょうね、なんて結論を付けた。
「無限の書、起動」
 解り易過ぎるほどの悪ならば、手心もなにも必要なないと、ユメは無限の書に集めた秘蹟を解放した。
 夢の持つ無限の書から解き放たれた秘蹟が、チンピラ達の身体を全て椅子に固定する。
「な、なんだよ、これぇっ!?」
 突然に椅子に拘束された事に、慌てふためくチンピラ達はうるさく騒ぎだしていく。
 自分の身体が身動き取れなくされたこともあるのだろうが、その椅子がどう見ても拷問に使うような代物なのだ。騒がしくなるのも致し方なことかもしれない。 
 ユメは困惑と恐怖に彩られた煩い喧騒に構うことなく姿を見せた。
「な、なんだよお前…!? もしかして、こいつはお前の仕業か? こいつを外しやがれっ!!」
 自分達が拘束されている中で、一人無事な少女を姿を見たことで、今のこの状況はこいつの仕業なのかと勘繰ったようで、怒鳴る様にして解放しろと叫んでくる。
 解放なんて、そうするつもりなんてさらさらないユメは当然のように無視。
「これから、幾つか聞きますよ? 貴方達はただ聞かれた質問に答えなさい」
 余計なことを聞いている暇なんて無いとばかりに、ただこちらの質問に答えればいいというように自分が上と言うかのように言い聞かせる。
「何言ってやがる! いいからかいほっ!?」
 ユメの意図を理解しないまま、反発したチンピラの一人であったが、拷問椅子から流れた電流によって痺れさせられたことで、それ以上言えなくなった。
「頭の悪い人ですね。もう一度言います、貴方達は、私の質問に、ただ、答えればいいのですよ?」
 よりわかりやすくするために、一句一句わざわざ区切ってまで言い聞かせるユメ。
 それでも反抗的な態度は潜めそうになく、ならば生殺与奪の権利は誰が握っているのかを知らしめる必要があるだろと、先程黙らせた奴を贄にすることに。
「答えなければ、答えないでいいですけどね、ただその場合は……こうなりますが」
「まっ! や…」
 椅子に強く電流が流される。固定されたままのチンピラに身体に流れたことで、肉が焦げるような匂いが辺りに漂いだす。
「あ、がが」
 完全に息の根を止める前に止めたことで、一命をとりとめたさせたが、それだけだ。
 処刑が目の前で行われたことで、静寂が辺りを包む。誰かが息を飲む音がやけにはっきり聞こえるようだった。
 生殺与奪、それが誰の手に握られているのか、その為の道具が自分達の身体に密着している。それを、はっきり知らしめられたチンピラ達は心が折れたようで、従順な態度になった。
 それでも反抗的な態度を止めないのなら、一度あの世の縁にまで運んでやるまでだ。
 そこから、ユメが聞いたことはすぐに答えが返ってくる。
 自分達が、事務所がどんな非道を行っているのかを聞いてみれば、それすらもはっきりと答えるほどだ。
 まず事務所の方では、搾るだけ搾ったら後は用済みとばかりに何処かに売り飛ばそうと計画を立てていたらしいこと。 
 チンピラ達は事務所の裏を暴こうとした奴を処理……要は物理的に何も言えなくさせたりと、正直愉快と言えるような内容ではなかったが。
 白状されたそれらを、ユメはただ記録していく。この後の制裁の材料として使えそうだからと。

 証拠も自白なのだから、これでも十分だろう。
「これなら、もういいでしょう」
 呟くユメ。その言葉を聞いて、やっと解放されると安堵するチンピラ達。
「さて、貴方達の処遇ですが……屑で亡ければ最後にイイ目を見せてあげたりとかもしたかもしれませんけどね…」
 残念そうにするユメに、話が違うっ! なんてまた騒ぎ出す。
 質問にちゃんと答えたら、解放するなんて約束はしてないのだが、自分達の都合よく解釈でもしていたのか。
 そもそも、UDCと化してから人に戻れない以上はこのまま解放する訳にもいかない。
「残念ですが、貴方達に慈悲はないです。……サヨウナラ、です」
 だから、ユメは断罪するために、全ての拷問椅子に電気を流す。今度はまったく加減もなくだ。
 周囲には人が焼けたときのような酷い匂いが充満されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日月・獏ノ進
(♡なアドリブも改変可)
全てがアレな方向に噛み合い切った気がしますねー。
説得とかできるか分かりませんが行ける所までやってみますか。

そして万能感に酔って堕ちた連中ですか…なら万能感を無くせば良い訳で。まず【改造消火器】で【目潰し】をして、【姿変えの計】で何人かを女子に変えていく。

後は「そんじゃ逃げてくださいお嬢さん」と言う事で、目潰しされて前後不覚な奴が女子になった仲間を捕まえて弄びだす…と。
更に弄んでるのも女子に変えて弄ばせ、最後に残ったのは変えたら僕が【誘惑】と【催眠術】で女子に堕としてやりますか。万能感潰せば終わるでしょ、多分。

ただ普通に倒すのもつまんないなーと思うのが僕の悪い癖ですかね。



 精神的・肉体的に追い詰めようとしてきた事務所と汚れ仕事を請け負うチンピラ達。
 接触しようにも壁が厚くなかなか出来なかったことで出会える機会を得るために話を持ち込んだ組織。
「全てがアレな方向に噛み合い切った気がしますねー」
 絡み合った結果で、少女のUDC化を招いてしまうなんてと、日月・獏ノ進(陽気な奇策士・f00422)はやるせない気分になってしまっていた。
「説得……はできるかは分かりませんが、行ける所までやってみますか」
 取り返しが付かないことはされていないのだから、まだ戻せるならばその手段を取らない道理はない。
 そのためには余波で同じくUDCと化して、それを受け入れてしまっている者達の排除する必要があるだろう。
 そうすることで自分達がチンピラ達とは違うということを少女に教えることになりそうでもある。

 チンピラ達と相対する。
 一般からは逸脱した力を得たからか、気を大きくしているようで、ニタニタと相手を侮蔑するような笑みを浮かべていた。
「理外の力、その力の万能感に酔って堕ちた連中……まさにですね」
 不愉快極まりない視線が四方から飛んでくるものの、それも力に裏打ちされた自信の表れなのだろう。
 所詮は自分達が磨き上げてきた力ではないのだが……。
 獏ノ進は、そのメッキを剥がしてやろうと、悪戯を思い付いたようだ。
「それじゃ、感じているその万能感を無くしてみましょうか」
 そう言って、消火器を取り出した。

「おぼぁっ!!?」
 消火器の中身を吹きつけられて、チンピラ共はピンボールを弾いた時のように盛大に吹っ飛んで行く。
 なにせ、高圧洗浄機なみの圧力がかかる様に改造された一品なのだ。
 変質者か暴漢への防犯グッズの催涙スプレーの如く目潰しのつもりだったが、改造によってとんでも威力を発揮してしまったようだ。
「ふぐぉおぉぉ…っ。目があぁぁ!!」
 数人、目と首を抑えながらのた打ち回っている。
 目を潰したことで獏ノ進を見ている者は居ない。今なら、何をしても反撃なんてこないだろう。やりたい放題できそう。
 隙だらけになった奴らを、獏ノ進は個別に片付ける……なんてことはせず、どうするつもりなの女子の姿に変えてやった。
 ある程度の人数を女性の姿に変えた所で、ようやく目が見えて来たらしい。
 また開く様になった目で、チンピラ達(女体化済み)が獏ノ進を睨みつけてきた。

「てめぇっ! よくも……あれ?」
 激昂するに任せて怒鳴り散らそうとしたところで、違和感に気づたようだ。
 自分の声、こんなだっけ? 違うよな? どっちかってーと女の声に近いような……?
 違和感を感じているようで、頭の上に?マークを浮かべっ放しなようだ。
 このまましばらくすればその違和感の正体に気づくだろうけど、その前に現実を教えてやることにする獏ノ進。
 その現実とは「そんじゃ逃げてくださいお嬢さん」である。
「は…? 何言って…?」
 思わず聞き返してきたようだけれど、肩に置かれた手で止まった。
「いきなり何しやがると思ったが、献上品の準備だったのかい?」
 言い捨てられた言葉から、女性の姿に変えられた者を欲望のはけ口にしてやろうというのだろう。
 別に献上品とか、そんなつもりなんて獏ノ進には無い。というか元から向こうの仲間だ。どのように扱おうと知らぬ存ぜぬでしかない。
「どうぞ? 僕には関係ない人なので、お好きなように?」
 助けるなんて義理すらも無かった。

 そこかしこで、欲望がぶつかりあう音が鳴り響く。
 本能の欲求を優先しているようで、もはや獏ノ進を気にしている者は一人も居ない。
(こっちを気にしないのは都合がいいですね)
 それを良い事に、獏ノ進は暗躍する。
 暗躍と言っても、見た目だけで言えば男女の営み中のところを、女女に変えてやったりしただけであるが。
 少しづつ、この場の男女の比率が変わって行く。
 男性の数が減り、女性の数が増えて行っていて、ついには獏ノ進以外では男性は一人という有り様に。
「さあ、男の人はもう貴方だけですよ? 他の皆さんは新しい境地に行ったようですし、仲間なら貴方も一緒に行きましょう?」
 最後の男はスッキリし過ぎているようで、思考に霞でも罹っているのか妙に従順だ。単に考えることが億劫なだけかもしれないが。
 それならそれで、そのまま仲間達と同じ道に堕としてやるだけである。

 チンピラ達の姿は獏ノ進の周りにはもう無く……。
 代わりに、色々と汚れた身体を横たえさせた女性達がいるだけだった。
「これならもう万能感なんて感じないでしょう。しかし、ただ普通に倒すのもつまんないなーなんて思うのが僕の悪い癖、ですかね」
 UDCと化して、その力を存在であることを肯定して受け入れていたチンピラ達であったが、獏ノ進の悪戯によって感じていた万能感は消し飛んだことだろう。
 新しい自分をこじ開けられたことで、そちらの方向に目覚めてしまったのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

高千穂・ましろ
「アイドルの女の子を利用しようなんて悪い人たちは、魔法少女の私が許しませんっ!
マジカル☆ドレスアップ!」

魔法少女に変身して、悪い男の人たちの前で決めポーズです!
こんな人たち、魔法で一気に……

『って、待つにゃ、ましろ。
UDC化してるけど相手は元人間だにゃ』
「ええっ、けど私の魔法だと手加減できないですよっ!?」

ためらっているうちに、背後から忍び寄っていた敵にナイフを突きつけられて!?

「きゃああっ!?」
『おおっ、ましろの魔法少女服がナイフで切り刻まれて……
抵抗できないまま男たちに肉棒を突き立てられて欲望を吐き出されているにゃ!
これは撮影しておかないとにゃ!』
「って、ノワールっ!
見てないで助けてーっ」



 自分達の欲望を満たす、ただそれだけのために他者を貶める。
 そのような悪意を、高千穂・ましろ(黒猫ノワールと契約した魔法少女・f29622)は見逃せない。
「アイドルの女の子を利用しようなんて悪い人達は、魔法少女の私が許しませんっ!」
 前口上を述べながら、断罪を執行すると宣言して……それを為すための力を自らの身に宿す。
「マジカル☆ドレスアップ!」
 光に包まれて、その光も消えて行けば、ましろが着ていた学生服ではなく、魔法少女の衣装に身を包んでいた。
 着替えたついでに、ビシッとチンピラ達の前でポーズを取る。
「あ、あー……魔法少女だかなんだか知らねーけど、邪魔するつもりなら怪我じゃあ、すまなことになるぜー?」
 出会って即の変身に虚を突かれたようだけれど、変身前のましろが言ってたこともあってか、チンピラ達はましろを邪魔者と判じた様子で凄んで睨みつけてくる。
「そんな余裕も今の内だけですっ! こんな人達、魔法で一気に……」
 睨まれたましろであるが、それでも余裕は崩さない。どうせこのまま一気呵成に決めてやるのだからと杖を握り締めた。
『って、待つにゃ、ましろ』
 いざ魔法の行使と行くところで、そこで黒猫のノワールがましろを止める。
「ノワール? なにかあるの?」
 出鼻を挫かれたみたいになったけれど、それでも何かに気づいたのかなと、聞き返すましろ。
『こいつら、UDC化してるけど元は人間だにゃ』
「ええっ! 私の魔法だと手加減できないですよっ!?」
 ただ、ぶちのめせばいいと思っていたが、UDCなチンピラ達は元々は人間であったと知らされて、最初の決意が揺らいでしまう。
 まあ、そこのところは気にしないで潰してもいいよと、送り出した子はそう言ってたりはしてたのだけれど。
 それでも、元は人間というところが引っ掛かるのか、ましろは魔法と使うのをためらってしまう。
 それが、相手に付け入らせる隙となってしまっていた。

 忍び寄ってきていたナイフ使いに気づかぬままに、どうすればいいのかと悩むましろ。
 背後を取られて、ナイフを突きつけられて、ようやく今の自分の状況に覚る。
「魔法少女っていうならよぉ? 困ってる人を助けるんだよなー? なら俺達をお前の身体で助けてくれても、いいよなぁ?」
 突きつけられていたナイフが、数度、振られた。その軌道に添うようにしてましろの着ている服が布切れとなってはらはらと舞い落ちて行く。
「きゃああっ!?」
『おおっ、ましろの魔法少女服がナイフで切り刻まれてしまったにゃ……』
 唐突に肌を晒すことになって、羞恥で叫んでしまう。そして相変わらずノワールは状況の実況をするだけ。客観的に視点のせいでましろとしては羞恥が増えるだけなのだが。
 下着以外に身を護る物が無くなってしまい、咄嗟に腕で身体を隠すようにするけれど、それを許してくれるはすもなく。
 腕を取られて、身体を開かされてしまうと、最後の砦であった下着もナイフの餌食にされてしまう。
 もう、何も隠す物もなく、腕も抑えられている状態で、ましろの裸身はチンピラ達の眼前に晒されてしまった。
 ましろを見つめる男達の瞳は、けだもののようだった。

「や、めっ、あぅ…ひぐっ」
『抵抗できないままに男たちに肉棒を尽き立てられてくにゃー! 欲望を吐きだされてるにゃ!』
 ノワールが言うように、ましろはチンピラ達に責めたてられていた。
 誰かが欲を吐きだせば、交替して別の誰かが欲を突き入れられる。
 休ませるつもりは毛頭ないようで、ましろは自分の身体を蹂躙されていった。
『これは撮影しておかないとにゃ!』
「あ、ぐぅ…ノ、ワール…っ! 見てない、でっ、助け、ってぇ!」
 こちらも、助けるつもりはないのは相変わらずで、ましろの艶姿コレクションなのかこれまたいつも通りに撮影を開始してしまう。
 ましろが解放されたのは数刻後のことで、その頃にはましろは全身をくまなく白く汚されてしまっていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

リーリア・ブラッドスノー
どうも、事務所の人に一緒にここへいけと言われたアイドル候補生です。
偉い人たちに「ご挨拶」と言われまして。
クール系美少女として売ろうということみたいですよ、あ、美少女に見えますか?

見えますよね?

表ではアイドルをしつつあっちの子よりVIPなお客様に「いろいろな」サービスを提供するパイプがあると、そっちを繋いでこいと。

芸能界の裏ですね?

行方不明になっている子がいる、まぁ末路は…この世にいないんでしょう?
人を殺してみたいとか芸能界は歪んでますね。

死ににくいあたしはうってつけなんでしょう。
ナイフ使いにあたしの嫌悪する麻酔なし解剖で腹を…

臓物を引きずりだされてもホントに死なない驚いてますね。

喰らいなさい。



「あん? なんだぁ?」
「どうも、事務所の人に一緒にここにいけと言われたアイドル候補生です」
 予知された現場に赴いたリーリア・ブラッドスノー(うつろなる幻想・f27329)はすぐには攻勢に出ないで、あえて事務所の餌食になっているのを装い、チンピラ達の懐に飛び込む。
「偉い人達に「ご挨拶」と言われまして……」
「あ、あぁ……そうなのか?」
 そんな話を聞いてないと困惑していしまっているが。
 まだ半信半疑なようだが、リーリアは疑いを持たれる前に言葉を重ねて思考の邪魔をする。
「ええと、クール系美少女として売ろうということみたいですよ? あ。美少女に見えますか?」
 判断を付けられないままなのを良い事に、うやむやにするためにも質問も重ねて念の入れようだ。
「……見えますよね?」
 まあ、聞いた事への答えも少なくない期待があるようだけれども。

 リーリアがチンピラ達から全身をくまなく見つめれられていく。
 先に聞いた美少女に見えるかって質問をしたのだから、ついそうしてしまったのだろう。
「あー、まあ美少女じゃあねぇかな…」
 思考が纏まらないままに考えることを重ねられてしまったからか、思ったことが口に出てしまっている。
 だからか、気になっていることも聞いてしまうようだが。
「ってかよ、その「偉い人」ってのは誰のことだよ?」
「VIPなお客様らしくて……「いろいろな」サービスを提供するパイプがあると、そっちに繋いでこいと」
 聞かれたことは、リーリアが予測していた質問だったようで、詰まることもなく、スラスラと答えを返す。
「……芸能界の裏でしょうね?」
 ついでに、その人物は暗に闇が深い人物だと含みながら。
「……もしかして、あの人のことか…?」
 その演技は功を奏したらしく、勝手に納得したようだ。というか本当にそんな人が居るかのような振る舞いなのが気になる所だが。
 チンピラ達にはその人物に心当たりがあるようで、リーリアを放って仲間内で話しこみ始めた。
 突然蚊帳の外に置かれてしまったけれど、情報を集めるには好都合だ。

 漏れ聞こえてくる話に耳を傾けていると、どうも接触させてから行方の分からない子がいると聞こえてくる。
「まぁ行方が分らないその子の末路は…この世にはいないんでしょうね……」
 聞こえた内容から、ぽつりと零してしまうけれど、それは話し込んでいたチンピラ達に明瞭に聞こえてしまったようだ。
「あ、やべっ…」
 ようやくリーリアをそのままにしていたことを思い出して、チンピラ達は罰が悪そうな顔を浮かべていた。
 これからリーリアが会いにいこうとしてる人物が他人を傷つけるのが趣味だなんてバラしてしまったと思ってるのかもしれない。
 リーリは聞こえてしまったことを聞こえなかったと否定するつもりもない。
「人を殺してみたいとか、芸能界は歪んでいますね。だからあたしが紹介されたのね? 死ににくいからとうってつけだと」
「いや死ににくいって、そんなことあんのか?」
 そんなことはありえない、あるはずないだろうと高を括って笑い話にするつもりらしいチンピラ達。だがリーリアが体験した過去は決して笑い話になんてならない。
「そうですよ? あたしのお腹、何度も開かれては中身を抉り出されたりしましたけど。そんなことがあっても今こうして立ってますし」
 リーリアの口から語られる、常軌を逸した行為。それを受け続けていたとの告白。
 話を聞かされたチンピラ達は今ここは現実であって非現実のように感じていることだろう。そうすることで、リーリアの話を否定しようとしているのかも?
「信じられない? じゃあね? 同じような目にあってみたら?」
 信じないなら、信じさせるまで。リーリアは自分が体験したことをチンピラ達の……丁度、ナイフを持っている奴に同じ思いをさせることにしたのだった。

「ひっ!? い、ぎいぃぃぃっ!!?」
 突然絶叫を上げるナイフを持つ男。当然だろう、肌を切り開くにはよさそうな解剖用のメスを見せられてからいきなり腹が裂けたからだ。
「お、おい! お前、腹が…!?」
 他に者達にもお腹が切り開かれて行く様はみえているらしい。だけど、誰もが動けなくなっていた。あまりにも凄惨な光景が続くから。
「あ、が、ごほっ!」
 ぐちゃぐちゃと生温かい液体をかき混ぜるような音が裂かれた腹の中から響く。
「が、ふっ! お、俺の中身……」
「どう? 自分の身体の中身を鷲掴みにされる気分は?」
 一体、どんな感触を受けているのか、それが分るのは同じ体験をしたと言ったリーリアだけだろう。
 …スルリ、そんな音が聞こえそうなほどにあっさりと、臓物が引きずり出されて、地面に落とされる
 お腹が裂けた男は、もはや立っていられずに、膝から崩れ落ちた。
 地面にへたり込んだ衝撃なのか、お腹の中身が掻き出さる様にぼとぼとと零れ落ちていく。
 失っていく己の中身、地面に散らばった臓物を、元に戻そうと必死にかき集める
 掴んだ臓器は、赤い液体の生温かさを感じさせられることだろう。
 引きずり出されたとはいえ、身体から切り離された訳でもないのだ。まだそれぞれの役割を果たそうと蠢いたままだ。
 それはつまり、こんな目にあっていながらも生命活動が止まっていないということの証明でもある。
「い……ひ、ひひひ…っ」
 腹を裂かれ、中身を無理矢理に引きずり出される。 目の前が暗闇に落ちてしまいそうな激痛。
 それを受けてもない、狂わない。狂えない。図らずも人はそう簡単には壊れない。そこに気づいてしまったことで、壊れてしまったらしい。
「どうです? お腹の中身を引きずり出されても、そう簡単には死なないの分ったわよね?」 
 自分の体験を、幻だとはいえ、追体験させたことで、自分が語っていたのを強制的に分らせたリーリア。
 周りにいるチンピラ達を睥睨するけれど、一様にしてリーリアから視線を外してしまうチンピラ達なのであった。 

成功 🔵​🔵​🔴​

黒沼・藍亜
んー、組織的には避けられた犠牲者かもしれないけど、
既に猟兵案件且つ個人的には「両片思いの幼馴染との仲を邪魔した」時点で有罪なので……まあ仕方ないっすね

スカート内から体内の黒い粘液状UDC『昏く暗い黒い沼』を滴らせ足元に沼を広げて準備完了。
気付かず踏み込めばそのまま沈んでもらうし、
そうでなくても沼から粘液濡れの触腕を伸ばさせ捕まえ締め上げ生命力を奪い最後には粘液の沼(生命吸収付き)の中へと引き摺り込む。

数任せで来ようが訓練された軍隊って訳でもなし。UCでしれっと紛れ込ませた「味方と認識される幻影」から不意打ちさせ、不信と混乱を植え付けて烏合の衆と化したところを個別に処理っすよ

※アドリブ◎っすよ



 組織が強引に事を進めようとしていならば。
 もしそうしていたならば、今回の事は避けられたかもしれない。だがそれはもう過ぎた事、たらればを考えた所でもはや詮無い事でしかなかった。
 まあ、「両片思いの幼馴染との仲を邪魔をした」という部分で、黒沼・藍亜(人間のUDCエージェント・f26067)にとっては十二分に断罪するに足りるのだが。

 断罪をするため、チンピラ達の前に進み出る。
「なんだなんだぁ? 何か用かぁ?」
 なんというか……だらしない恰好な藍亞がの姿を見て、場違い感を感じたようで、訝しんで誰何してくるけれど、藍亞はそれに応えずにだんまりを決め込む。
「おいおい、何か言えよオラァァッ!!」
 何も語らない藍亞に痺れを切らしたようで、威嚇するように大声を張り上げた。
 その構図は、オタクっぽい子がチンピラ達に囲まれて恐怖に慄いていると見えなくもなく、見る人によってはいじめの現場に見えそうではあるが、実際にはそんなことは無く。
 穿いているスカートの中から、藍亞の体内を塒とする黒い沼のような液体が滴り落ちて行く。
 恐怖に慄いてる喋れない……なんてことはなく、この準備を整うために気が行っていただけだった。

 自分の足元に広がった黒い沼を確認した藍亞だが、その間無視されたチンピラ達はもう待てないようで暴発してしまう。
 怒りの感情を隠すことなく、チンピラ達は藍亞に迫る。自分達の視野がその怒りの分、狭まっていることに理解することなく。
「おい、聞いて……」
 藍亞に掴みかかろうと輩が、足元の黒い沼に踏み入れた瞬間に、ドプンと沈む。
「な、なんだなんだぁ!?」
 その様を間近で見た他の奴らが、何が起きたと動揺したようだけれど、それもまた隙だらけ。
「驚いてないで早く沈んでくれっすよ」
 まだ地に足を付けているチンピラ達に、ようやく声をかけた藍亞だが、そこには嫌悪が隠されることもなく滲む。
 その嫌悪を感じたから? 単に贄と認識して、黒い沼から伸びた触腕が沼に足をかけない者達に掴みかかる。
 異常に続く異常に、咄嗟の判断も出来ないところは、まだまだ経験不足を否めない。けれど、その経験を次に活かせる日を迎えさせる必要もない。
 触腕によって締めあげて、逃がさないままに、沼の中に引きずり込んだ。

 ここまでされて、チンピラ達はやっと藍亞の足元に黒い沼が広がっていることに気づく。
 藍亞を脅威を見做して警戒したようだけれど……。
「今更警戒したところでもう遅いっす」
 藍亞本人は何もせず、されてもいない間に準備を終わっているのだ。だから、警戒していたチンピラの内の一人が後ろから押されたかのように沼に倒れこむ。
 目の前にいる藍亞ではなく、それどころか後ろからなのだから、裏切り者がいるかのように見えたことだろう。
 実際は藍亞がしれっと混ぜた味方と誤認してしまう幻影の仕業なのだが、チンピラ達にはその可能性にすら頭を働かせずに、自分達の中に裏切者がいると勘違いして、互いが互いを罵り出す。
 訓練された群体ではなく、ただ群れているだけの奴らである。元から烏合の衆であったのが、疑心暗鬼に陥ったことで誰の話も耳に貸さなくなっていた。
 後はもう、作業のような物でしかない。
「はいはい、じゃあ、さっさと処理しちゃうっすよ」
 最初カラ脆い仲間の絆があっさりと崩し去って、手足を出す乱闘騒ぎになってきた所で、藍亞は沼の中へと二度と戻れぬようにと招待していく。
 この乱闘騒ぎが終わったのは、チンピラ達の姿が一人も居なくなってからだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『氷結幽鬼少女『ルリ』』

POW   :    オトモダチと私の邪魔をしないで!
【全身を更に氷で覆った姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    キライキライみんな大っ嫌い!
【慟哭と共に雹の嵐】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    貴方は…私のオトモダチだよね…?
【問い掛けに靡く親愛】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【凍り付いた髪の後ろに居るナニか】から、高命中力の【凍て付いていく白い光線】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサフィ・ヴェルクです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 UDCに堕ちたチンピラ達を全て片付け、もう邪魔は入らない。次なる仕事はUDCになりかけている少女を助けること。

「かわいそう、かわいそう……私がちゃぁんと助けてあげるからね?」
 少女の下に辿り着くと、幼く見える患者衣を身に着けた幽鬼の少女が、なにやら氷の塊に身を預けているのを目撃する。……良く見れば、その氷の塊の中には女の子が閉じ込められているようだった。
 この氷漬けの少女こそが、助けるべき子なのだろう。
「なに…? 貴方達は…」
 のそり、緩慢に動いて氷漬けの少女から離れていく幽鬼の少女。
「もしかして……私のお友達を奪いに来たの……?」
 身の纏っていた雰囲気が、悍ましいものに変わって行くのが感じられる。
「そんなこと、許さない……許さないッ!」
 着衣も髪も、乱れることも厭わずに乱していく。あまりの激昂にこの幽鬼の少女には声が届きそうない……。だが、よくよく見て見れば、幽鬼の少女は氷漬けの少女を核として存在していることに気づけるだろう。
 幽鬼の少女には声は届かなくとも、氷漬けの少女には届くかもしれない。
 彼女に、嘘の真実でははなく、正しい真実を知っている事。今は助けの手が差し伸べられていることを心の底から信じさせられれば、氷の中から抜け出てくれるかもしれない。そうなれば、幽鬼の少女はその存在を維持できなくなるだろう。
 その為にも、幽鬼の少女からの攻撃を掻い潜りながら、正しい真実を知っていると声を届かせるべきだ。
リジューム・レコーズ
重度の錯乱状態にあるようですね
これまでの事を考えればUDC化に関わらず無理もありませんが…

迂闊な発言による事態悪化は避けたいので、事実のみを淡々と伝えます
その間の攻撃はクイック・スペリオルによる機動戦術で全て回避しましょう

わたしはある機関より特命を受けてあなたを救出しに来ました
事情の大まかな概要は既に確認しています
あなたへ危害を加えていた中心人物達には先ほど然るべき処分を下しました
今後干渉する事は物理的に不可能です
暴論かつ短絡的に言ってしまえば報復を代行した…という形になります
もうあなたは不当に監視される事も、両親や友人に追い込みを掛けられる事も、尊厳を傷付けられる事もありません


日月・獏ノ進
ふむ、色々事前に聞いてましたがUDCになるのはこのパターンもあるんですね。逆に言うと相手を殴りながら説得するというややこしさは薄いという利点はありそうですね。

さて、雹の嵐の中に入って説得しても聞こえなさそうですね。
という訳で【龍姫転生】で火竜姫になって火炎を吐きまくって雹を溶かして進みますか。姫姿の方が氷の中の子への精神的威圧感は薄そうですしね。
幽鬼の子がきたら炎ハグをお見舞いしてあげますかね、寒そうですし。

説得は…正直、考えてませんでしたが。少なくとも助けには来たので「監視の人間は何とかしました、早く逃げませんか?話せる内に大事な人に話さないと後悔しますよ、僕みたいに。本当に、本当に」。



 氷漬けになっている少女はともかく、それを護るように立ちはだかる幽鬼少女ことルリ。
 その顔は憎悪に染まっており、叫ぶ声もただただ猟兵達を拒絶する言葉だかりだ。
「重度の錯乱状態にあるようですね。これまでの事を考えればUDC化に関わらず無理もありませんが…」
 まともに会話することも出来ないルリの様子に、リジュームが受けた仕打ちを鑑みればと致し方ないと頭を振る。
「ですが別れている分、逆に言うと相手を殴りながら説得するというややこしさは薄いとう利点はありそうですよ」
 拒絶の声を叫ぶルリに声を届きそうにないが、しかし、獏ノ進はかえってやりやすいかもしれないと自分の考えを述べた。
 核となった少女と、こちらを離そうとしてくるとで2つに分れていることで、それぞれの対処に専念できそうだと思ったからだ。

 真実を伝えるため、ルリを越えて声を届かせなければならないのだが……。
「あ゛あ゛あ゛あ゛! 私から奪わないでっ! 皆みんな大っ嫌い!!」
 感情が爆発したのか、ルリが凍り付くような慟哭の声を上げると、その声に応えるようにして雹が辺りに吹き荒れだしたことで近づくことも難しく。
「……これでは、説得しようにも声が聞こえそうになさそうですね…」
 近づく必要があったけれど、これでは……と、出端を挫かれてしまった。
 だからといって、このまま治まるのを待つといった選択肢はない。
「仕方ないですが……こちらの姿を使うしかないでしょうねっ!」
 獏ノ進が何かの意を決して、自分の身体に力を籠めると、元のとはまったく別の―なにより性別が―違う姿に変身した。
 火竜姫と呼ばれる女性の姿に変身した獏ノ進は、炎を吐いて吹き荒れる雹をその熱で溶かしだして、道を作り出す。
「なんで…? どうして…? 私達を放っておいてよっ!」
 雹の嵐でもって拒絶の意志を見せたルリだったけれど、雹を溶かされ、氷漬けの少女と自分を引きずり出されたことでさらに激昂。
 炎を吐きながら近づいてくる獏ノ進を追い返そうと、周囲の雹を束ねて一点にして吹き出してくる。
 対する獏ノ進は、どれも炎を吐いて溶かそうとすることで防ぐ。

 攻防が続くなかで、ルリが対処に追われているのを好機と見たリジュームが少女が閉じこもっている氷の塊に向かって飛び出した。
「あっ! や、やめて…」
 核となる少女に近づかれたことで恐怖に染まったのかルリの身体が小刻みに震える。……絶望に堕ちた少女の気持ちがそのまま通じてそうなったのかもしれない。
 そのつもりは毛頭もないけれど、そんな反応をされたことで、やはり下手に迂闊なことは言えないと再認識する。ならば、ただ事実のみを伝えるだけだ。
「わたしはある機関より特命を受けてあなたを救出に来ました」
 氷の塊に、声が届くところにまで近づいたリジュームが語りかけて行く。
「事情の大まかな概要は既に確認しています。あなたへ危害を加えていた中心人物達は先ほど然るべき処分を下しました。今後干渉する事は物理的に不可能です」
 耳を傾けてもらうため、その為にも自分は味方だと知ってもらうことが先だと、少女の自由を奪っていたチンピラ達を残らず片付けたことを伝える。
「つまりは、暴論かつ短絡的に逝ってしまえば報復を代行した…という形になります」
 リジュームのその言葉に、氷の中の少女がその気持ちをルリを通して発露した形になったのか、ルリの動きが止まった。
 手応えを感じながら、それで声を届けるのを止めずに言葉を重ねて行き、もっとも伝えるべきことを言葉にする。
「もうあなたは不当に監視される事も、両親や友人に追い込みを掛けられることも……尊厳を傷付けられる事もありません」
 少女が一番に懸念していると思われたことを、伝えるべきことを伝えた。

 ルリは動かず、氷の中の少女からの反応もない。奇妙な静寂が辺りを包み込む。
「―うるさい」
 静寂を破るようにして、ルリが口を開く。
「うるさい!うるさいっ! そんな都合のいい事を言って、どうせ全部嘘なんでしょう!」
 伝えた言葉を否定するかのように喚き叫びだす。
 目を逸らそうと頭を振り乱しながら身を捩っているルリであったが、ふと、落ち着いたかのようにピタリと止まった。
「ああ―そうだ、もう全部…」
 何やら、思いつたようであるが、どうにも不穏な響きが多分に含まれているのを感じさせられてしまう。
「もう、あなたも皆も、わたしのお友達になればいいの…。そうすれば、誰も私達を傷つけないんだから…。ねぇ? もう私とオトモダチ、だよね?」
 憎悪に染まっていた顔を、狂気に変えてリジュームと獏ノ進を見つめながら、問いかけてきた。
 その問いかけには、本能からして答えてはいけないと警鐘が鳴ってくるおかげで2人は返事はしないが。
「どうして何も言ってくれないの? ねぇ、ねぇ!?」
 自分の問いかけに返事を返してくれないことに痺れを切らしたようで、ルリは近くにいたリジュームにへと手を伸ばそうとしてきた。
 見るからに、ひやりとしているその手。リジュームはその冷えた手に掴まれるのをまずいと避ける。そして避けたリジュームと入れ替わる様にして獏ノ進が割り込んだ。
 入れ替わった獏ノ進は、冷たい手に対してついさっきまで雹にしていたように炎を吐いて、手だけでなくルリの全身を炎に包みこんだ。
「すみませんが、お友達になりたいのはあなたではなく、そちらの氷の中の人なのでね? しばらくの間、大人しくしてもらえませんか」
 吐いた炎にルリを抱かせながら、だんまりを決めた先の問いに返事するようにはっきり拒絶の意志を示しながら、けれど、そうなりたいのは別にいると告げる。

 身体に付いた火でこちらに気を向けられなくなっているルリを置いて、獏ノ進は氷の前に立つ。
 リジュームに続いて説得しようとするつもりであるらしいのだが。
「説得は…正直、考えてませんでしたね……」
 ルリの対処に気が向いていたあまりに、こう言おうとしていたことも用意してなかったらしい。
 それならそれ。ないならないで、ありのままを伝えればいいかと、すぐに方針を決めたけれど。
「監視の人間は何とかしました、早く逃げません?」
 君を縛りつけるものは遠くに追いやったと、教えていく。だから、心を凍てつかせて閉じこもる必要なんてないんだと。
「話せる内に大事な人に話さないと後悔しますよ、僕みたいに。本当に、本当に…」
 このまま、何もしないままよりも、伝えたいことがあるのならその気持ちを伝えるべきと獏ノ進は自分はそうできなかたと後悔を滲ませながら励ます。

 2人が真実を知っていることを伝え、その上で嘘に染まらないように対処したと氷の中の少女に伝えることができた。
 言葉がまだ足りないのか氷の中から出てきてはくれなかったけれど、氷の塊からは滴が滴りだしてはきている。
 氷が融けだしているその様子は確かに少女へ声が伝わっているからだろう。このまま声を届かせていければ心を救いだせると、道筋が見え始めた証でもあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユメ・ウツロギ
UDC化、というよりもUDCの媒介の媒介になってしまったに近いですかね。
無限の書、蒐集開始【情報収集】です。

無限の書を介して魔力で【ハッキング】を行い、氷の中にいる少女と交信。
自分達が警察的な機関で貴女が違法な状況で働かされている事を知っており、引き抜きに見せかけた救出計画がある事や先程チンピラ相手に集めた証言、証拠画像等のデータを送る事で信じて貰うです。

一方で敵本体は【ブラスター】の詠唱を【多重詠唱】で平行で進め、炎の魔術攻撃魔術【属性攻撃、高速詠唱、全力魔法、誘導弾、一斉斉射】で攻撃。
限界まで溜めた【ブラスター】を叩き込むです

私が友達になりたいのでは貴女ではなくあの子です。消えるです



 こちらを拒絶しようとする者と、その核になってしまった者。
「UDC化、というよりUDCの媒介の媒介になってしまったに近いですかね。……無限の書、蒐集開始です」
 二手に分かれたかのような状態に、ユメはそのように感じとる。
 どうあれ、やることは決まっているのだからと無限の書を開いた。

 書を開く行為、ただそうしただけなのに、それを見たルリは過剰に反応する。
「また、私のお友達の妙な写真で辱めるつもりでしょうっ! 」
 ……あのチンピラ達は直接手は出さずとも精神的には辱めていたのか、ルリを通して少女の羞恥の感情を露わにしてきた。
 言われたユメだが、彼女には少女を辱める気はさらさらないのだが……。
「そんなつもりはありませんよ。……この書にはあなたが違法な行為を強要されていたという証拠があるだけです」
 相手の想い込みを否定して、むしろ助けになれることを告げる。だけれど、ただ言うだけでは信じてくれそうもない。
「嘘、そんなの信じられるわけないでしょう!」
 一方的に否定してくる辺り、心から助けたいと思いの乗せて声を届けるかなにかしなければいけないだろう。だが、ユメはその性格上、淡々としてしまう方だ。これでは上手く伝えられるか分らない。
 どうすればいいのか? なんて思えてしまうけれど、やりようは幾らでもある。

 今までのやりとりを目くらましとしながら、間に挟むルリを越えて、無限の書を通して直接氷の中にいる少女に繋ぐ。
 こうして繋ぐことで、いっそのこと直接書に蓄えた証拠を提示して信じて貰おうというのだ。けれど、繋いだことで、ルリにもそれが伝わったようなだ。
「やめて、やめて……私から奪わないでっ!!」
 そのことを嫌がるかのように、ルリが頭を抱え出した。
 少女はルリとも繋がっているようなものだ。ルリには離れようとする心を感じ取ってしまったのだろう。
「奪うつもりなら……もうあなたが私のトモダチになって…」
 抱えていた頭を振り上げてユメを見つめるルリのその顔は狂っているかのようだった。
「お友達? 私が友達になりたいのは貴女ではなくあの子です」
 ルリの求めに、ユメは拒絶する意志を示す。
 言葉だけでなく、態度でもそう示すように、少女に伝えていながらも詠唱していた魔術をルリに向けて解き放った。
「消えるです」
 ユメの視界が白く染まり、ルリを飲み込んでいく。

 白い炎に飲み込んでやったことで、倒してしまったように思えるが、少女を閉じ込めている氷はそのまま。
 核として存在する限りは、まだ安心出来そうにない。だが時間が出来たのは確かだ。
 その稼いだ時間を使い、ユメは書で繋いだパスを通して、まずは自分達は警察的な機関で少女が違法な状況で働かされている事を知っていると伝える。
 裏付けるようにチンピラ相手に集めた証言などを見せて、証拠はこちらが握っていると伝える。
 そこから脱却させるために、引き抜きと見せかけた救出計画が画策されて、今回の営業はその一環であったこと。
 ユメは、集められた伝えるべきことを伝えていった。

 通したパスを通じて、少女から感じていた拒絶の意志が僅かずつ薄れていくのを感じる……。
 想いはちゃんと伝わったのか、氷の塊が少しだけ小さくなっているような気がして、それだけでなく、細かな罅も入りだしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルカ・スノードロップ
幽鬼の少女が、救出対象の少女。核とするのであれば。
《選択UC》を形成する技能を駆使しつつ、口から奏で紡ぐ甘言は真実を知る者としての言の葉です
幽鬼の少女を通して、届ける相手は救助対象の少女本人です

今まで売り出されていた境遇が偽りであること
それらを事務所が強要していたこと
を知っている、と

そして、それらが白日の下に晒されたことも
言の葉に乗せていきます

今回の枕営業がダミーだったとも付け加えておきます

抱いた上で記憶消去もあり得た気もしますが、それは伝えませんけど

攻撃のかいくぐりは【氷結耐性】【環境耐性】【オーラ防御】を駆使します
攻撃せず耐え忍ぶ、これも信頼を得るため
【救助活動】には必要です



 幽鬼の少女であるルリが、氷漬けの少女を大切にしようとしている。
 自分の存在を固定する核としてもあるのだから、そうしようというのも解るもの。だが見方を変えれば幽鬼少女と氷の中の少女は繋がっていると考えられそうだ。
「なら、この幽鬼の少女には無理でも、通すことであちらの少女に声が届かせられるはず」
 その仮定が正しいのならば意味はあるはずとベルカはルリの方に顔を向ける。
「……ねぇ? 私と…遊ぼう?」
 見られたことでルリは一番最初に見せた激昂のなりを潜めて儚げな、何かを求めようとする空気を纏いだす。
 今の今まで、自分を自分たらしめる核の少女を失わされようとしているせいか、自分を受け入れてくれる者を求め出しているのか。
 そんな感情が見え透いてくるけれど、残念ながらその気持ちを受け取るわけにもいかないのだが……。
 ベルカはあえて、振り払うのは容易なルリの冷たい手を取った。
(さすがに、冷えますね…っ)
 握った手から伝わってくる、底冷えしそうなほどの冷たさ。
 あまりの冷たさに痛みとなって襲ってくるけれど、それでもベルカは顔には出さずに耐える。
 全ては、絶望の縁に沈みこんでしまった少女を救い上げるために。

 手を握ったことで、ルリが纏っていた儚げな空気が霧散していくようだった。
(すみませんけど、私が救いたいのはあちらの少女本人なのですよ)
 察するベルカだが、そも助け出したい対象は別ですしと、若干の罪悪感を感じつつも、ルリを通じて少女にも聞こえるだろうと、優しく語りかけだしていく。
「あなたとお友達もいいですけど、そちらのお友達も助けなければいけないでしょう?」
 自分の傍にいながら、違う人を見ているような発言に、ルリは身体を強張らせた。けど、核としての少女はあれだけの暴力性を見せたにも拘わらずに受け入るような態度を示したことで話を聞く気になったのか、それ以上にルリが動きそうな気配は感じなかった。
「聞こえているのなら、このまま続けちゃいますね」
 自分は敵ではないと諭すように優しく言の葉を紡いでいく。
「あなたが今まで売りに出されたいた境遇は嘘で塗り固められているのでしょう? それらを、事務所が強要していることも知ってますよ」
 それらが、白日の下に晒されたことも併せて。

 少女に伝えながらルリの様子を窺う。
 ベルカの優し気な口調のおかげか少女は話を聞いてくれているようで、それが伝わっているのかルリは暴れることもなく大人しいままだ。
「それと……枕営業の件ですけどね? あれって監視が厳し過ぎるからって、あなたと接触したいがためのダミーだったんですよ」
 暴れそうにないからと、ベルカは眉尻を僅かに下げながら、困ったように枕営業の真実も伝えた。
 伝えた内容に驚愕したのか、ルリ(を通した少女)の顔が上を見上げる。
 上げたことでベルカと視線が交差して……ベルカは何も言わず、先程のことを肯定するように首を縦に振るだけ。

 ルリは顔を赤くして、パッとベルカの手を払って距離を取ってしまう。
 勘気に触れてしまったかと思えたが、どうやら違うようで……。
 どうも、本当の事を知って戸惑いや困惑の感情に囚われているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

備傘・剱
何事もやりすぎは、よくねぇってのは、考えなかったのかね?
逃げるって選択肢もあったろうに、よ

まずは、邪魔なこの氷人形を黙らせる
誘導弾と衝撃波で弾幕を張り、接近しつつ、ワイヤーワークス投擲して、ロープワークで、絡ませ、動きを制限する
その後、オーラ防御全開で接近し、結界術で動きを封じたら、女の子に対して八咫導、発動!

まぁ、落ち着け、で、よく考えてみな?
そんなに嫌なら、辞めちまえよ
これは、逃げるとか、そういう話じゃないぞ
自分の人生にとって、どっちがいい選択しかって問題だからな?
追い詰められて、考えが狭まってるだけだから、ゆっくり、考えてみなよ
それ以外の選択肢は、絶対にあるからな

アドリブ、好きにしてくれ



「何事も、やりすぎはよくねぇってのは考えなかったのかね?」
 自分を押し殺しながら我慢か重ねに重ねてしまい、ついにはUDCへと変貌してしまうほどに追い詰められてしまった事に、剱がどうしてそこまでと考えてしまう。
 こんなことになるくらいなら、逃げるって選択肢もあっただろうにと、そうした選択を選ばなかったのかと。

 これまでの説得が功を奏したようで、ルリは最初の時とは違い、随分と大人しくなっているようだが……。 
「さて、まずは氷人形に邪魔されないようにするか」
 大人しそうとはいえ、説得しようと声を掛けるのを妨害してくる可能性はなくなったわけでもないからと、邪魔されないようにすることに。
「ッ!? 何をするつもりなの!?」
 何かしらを感じ取ったようで、ルリは唐突に自分に氷を張りつけて身を護りだして……つまりは脅威を排除しようと動き出した。
 攻撃に晒されることになってしまった剱だが、易々と片付けられる気も、この場から立ち去る気もない。

 氷で覆った事でルリは剱に向かって一直線に突っ込んでくる。その様は先ほどまでの大人しさは感じない。
 考えのない突撃だが、逆に軌道も読みやすいとブレスレットに収納されているワイヤーをルリの進んでいき先に置く様にして投げると、狙い通りに絡ませて突撃を止めた。
「悪いな、しばらくはジッとしててくれ」
 動きが止まったのを確認した剱はワイヤーでの拘束に止まらず、重ねるようにして空気の枷を乗せて完全に動けなくさせてしまう。
「さてと……」
 ルリを物理的にも大人しくさせた後で、今度は氷の中に閉じこもっている少女に振り向く。
 向こうからしてみれば、一連の剱の行動は酷い目に合わせようとしてるように映ったのか、なんとなく慄いているような気がしてくる。
「まぁ、落ち着けよ、で、よく考えてみな?」
 どうするのか、それは声を届けるつもりなだけだ、慄かれても困ると落ち着く様に、そして考えるようにと諭すように声をかけていく。
 落ち着けというのは判る、けど考えるって、何を?
 掛けられた声にそんな風に困惑しているだろうと、思考に方向性を持たせるために声を重ねていく。
「そんなに嫌なら、辞めちまえよ。これは逃げるとか、そういう話じゃないぞ?」
 逃げたいなら、逃げていい。わざわざ辛いことを続けていく必要はないと伝える。
「自分の人生にとって、どっちがいい選択かって問題だからな?」
 責任を感じていた所で、どのように考えてもそれは少女の責任ではないだろう。
 その責任を負うべきはここまで追い詰めてしまった輩が取るべきことだ。
「追い詰められて考えが狭まっているだけだから、ゆっくり、考えてみなよ」
 だから、そう感じさせられているだけだと、今一度、よくよく考えてみるべきだと諭していった。
「ま、俺が言いたいのはそれ以外の選択肢は、絶対にあるからってことだ」
 結局のところ、少女には追い詰められるくらいなら、いっそ逃げてもいいと、伝えたいことを伝えた劔は、ルリの拘束を解いた。
 拘束が解かれたことで自由になったルリだけれど、起き上がる様子はない。
 選択肢を増やしたことで、少女の思考の渦に頭を混乱させられているようで、それだけ氷の中の少女は気が楽になったということだろう。

 剱が伝えた言の葉で、少女は盲目となって閉ざしていた道を開けたようである。
 氷に入っていた罅も目に見えるほどに広がりだしてきていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒沼・藍亜
さて、説得は苦手なんすけど……あの感じじゃそう言ってる場合じゃないか

足元に広げた「沼」は……触腕で直接捕縛なんてほぼ一発アウトだろうし、触腕で攻撃への対応に徹させるっす
それとUCでその「沼」と繋がる異界から落とし子「もえみちゃん」を呼び出し、生命力活性化での回復支援で他の人なり自身が説得する時間を稼ぐっす

さて。監視してたチンピラは片付けたし、今なら逃げる邪魔はないっすよ?

……迷惑をかけて合わせる顔がないだなんて思ってるなら
まだ会えるんだから、尚更ちゃんと会いに行った方がいいっすよ
会わなきゃ「迷惑かけてごめんなさい」も言えないし、
実は悪い想像が膨らんで独りで勝手に気落ちしてる事もあるっすから



 ここまで続けた氷漬けの少女への猟兵達の語り掛けに、次第に前を向き出してきているかもしれない。
 そう思えてくるのは憎悪に染まり切っていた幽鬼少女のルリが今では大人しいそうになっているからだろう。
 とにかくも、このまま希望を持てるようにこちらの声を伝えなければいけないのだけれど。
「説得は苦手なんですけど……」
 そういったことは苦手と藍亞は言ってしまう。なぜなら自分の足元に広がっている黒い沼を見れば、まず向いてないって確信してしまうからだ。
 この沼の中に潜む触腕で直接捕縛してしまうのは、ほぼ一発アウトにしか見えないだろう。
「何々、なんなの? その腕はっ!?」
 沼の触腕を見たルリもどうも引いてしまっているようだし。
(見ようによっちゃ、見事にマイナス方面に合致しちゃってるっすからねー)
 有象無象な敵を始末するのには向いている触腕だけれど、特に今回の相手に関してはアレな方向に連想して引くのは当然であった。
 その様を見て、触腕はもういっそルリからの攻撃に徹させるほうがまだマシ……? これなら触腕を使う事への見た目や使い方の問題は解決かな、なんて。

 触腕の事はそれでいいとして、結局は自分の声を届かせてあげなければいけない。
 説得のために、そうするべきなのだけれど……ルリの方を盗み見れば。
「さすがに……その変な腕とはオトモダチには……」
 多分、最初の時とは違う意味で否定してくるルリからの拒絶を越えながらしなければいけなさそうなのだけど。
 攻撃に晒されるのは正直、不安が残る。ならもう一つ、保険をかけてしまおう。
「沼の落とし子に協力してもらうしかないっすね」
 藍亞の声に反応するかのように、黒い沼から少女の霊が這いだしてくる。
 髪が蔓状であることから、ただの少女ではないのだろう。
「もえみちゃん、「いのち」の怖さを教えてあげて欲しいっす」
 何をして欲しいのとか、全てを言わないけれど、それでももえみと呼ばれた少女はして欲しいことが分かっているかのように、力強く頷いた。

 これで準備は整った。後はもう声を届けるだけ。
「さてと、監視していたチンピラ達はもう片付け済みっす。今なら逃げる邪魔も入らないっすよ?」
 開口一番で藍亞が伝えたことは“逃げる事、逃げてもいい事”だった。
 氷の中の少女が藍亞を薄く開かれた瞳で見つめてくる。声が無くとも、その瞳はそうしてもいいの? こんなに誰かに迷惑を掛けた自分が、と問いかけてくるようだ。
「……迷惑をかけたって思ってるなら、なおさらっすよ? 合わせる顔が無いだなんて思ってるなら、それは間違いっす」
 瞳が雄弁に物語る意を汲んだ藍亞は、それを肯定してあげてる。
「会えなきゃ「迷惑かけてごめんなさい」も言えないし、実は悪い想像が膨らんで独りで勝手に気落ちしてる事もあるっすから」
 もう少女を縛る鎖はないのだから、後は自分自身を縛っている思いを解放してしまえばいい。
 悩むくらいなら、もう当たっていっちゃえばいいんだ。結構、その悩みは実際に動いてしまえば簡単なんだよと伝えていく。

 藍亞からの励ましに、少女は勇気づけられたかのようで瞳が開いた。
 しっかりと前を見つめる心構えが出来たのだろう。後はそこから一歩を踏み出させれば、UDCへの変貌を止められる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーリア・ブラッドスノー
まったく、拍子抜けな男どもでしたね。
ちょっと腹の中身を見せてやったら壊れてしまいました、これでは芸能界の荒波を乗り越えられないで正解かもしれません。

さて…
あの娘ですか、まったく。
あなたはアイドルなのでしょう?
騙すなら最後まで自分をも騙すくらいしたたかでないとだめです。
まぁ
そういうわけでいろいろ知ってますよ。
あの悪い人たちは壊れちゃったのでもう大丈夫です。

それより…

アイドルの修行?をしましょうか。
図太く生きる、食われる前に食え、弱肉強食です。
アイドルは偶像とも言います、本当でなくてもいいんですよ?

売れたもの勝ち、使えるものはなんでも使いなさい。
夢を見せてあげればいいんです。

演じきりなさいな。


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

変異……というよりも、
似た波長のUDCを引き寄せてしまったのか…?
引き寄せられた気持ちも、その原因になった気持ちも分かる。
だからこそ、その手に縋らせる訳にゃいかねぇんだよ!

雹の嵐の中を、『衝撃波』で勢いを相殺しながら
『オーラ防御』を展開してゆっくり進む。
ちょっとやそっとの傷は、『激痛耐性』で堪えるよ。

そして彼女に、思念の助けの手を伸ばす。
核の中に閉じこもろうとしてる心に、
『優しさ』を持って語り掛けるよ。
過去は変えられないかもしれない、でも未来は変えられる。
そしてアタシ達は真の真実を携えてここに来た。
周りから応援されて頑張るアイドルとして
再デビューしようじゃないのさ!



 UDCと化してしまう、とは聞いていたけれど……。
「さて……あの娘ですか、まったく」
 かなり溶けて罅が無数に入ってはいるけれど、まだ氷の中に閉じこもっている少女をリーリア見据える。
 若干の呆れが含まれているのは気のせいだろうか……?
「これは変異……というよりも、似た波長のUDCを引き寄せてしまったのか…?」
 UDC化案件とは、違う状況に、多喜はこういうこともありえるのかと思ってしまう。
 どうあれ、普通の人間である少女が核としてだがUDCの存在になり果ててしまう状況だ。
 幽鬼の少女が引き寄せられ、それに応えてしまったその気持ちは解る。けれど、だからこそ。
「その手に縋らせるワケにゃいかねぇんだよ!」
 救いでもなんでもない、その手を握らせるわけにはいかなかった。

 多喜のその叫んだ声に、ルリの身体がピクリと極々小さく震える。
 どうにもルリの様子がおかしいと訝しむと「うるさい…」と小さな声が発せられたのが聞こえて来た。
「うるさい!うるさい!うるさい!!」
 突然の慟哭の声を張り上げる。
 ルリの姿をよくよく見れば、どうも輪郭がぼやけ、揺らぎだしてきていた。
 これまでの説得が功を奏し続けた結果で、核の少女が前を向き出そうとしてるからか、自分の存在が脅かされ出したからなのだろう。
 もはや少女とルリには繋がりは断ち切られ、あるのは核としての存在と、それを頼りに存在している、ただそれだけの縁のみ。
 自分が消えてしまう。それを嫌がったゆえの慟哭の絶叫のようだった。

 ルリの哀しみの慟哭が、冷え切った嵐となって吹き荒れる。
 あまりの冷え込み様に、嵐の中で空気中の水分が固められて、氷の粒―雹となって身体を打ち据えてきた。
「大人しくなってたんなら、ずっとそうしてろっての…!」
 多喜が吹き荒れる雹の嵐の中に飲まれたていくが、自分の身を護りながらもゆっくりと、しかししっかりと足を前に進ませていく。
 そんな多喜に、リーリアも護られるようにしながらも、嵐の中を突き進んでいった。

 嵐のただ中を突き進み、そうしてようやく少女が中に閉じこもっている氷の下に辿り着く。
 核の少女を傷つけることを恐れているのか、周囲が吹き荒んでいるにも係らず、ここだけは静かだった。
 うるさい音が無いのなら、好都合。声も届かせやすい。
「あなたはアイドルなのでしょう? 騙すなら、最後まで自分をも騙すくらい強かではないとダメです」
 リーリアの叱咤のような言葉、だけれど、そこに含むのはそれだけでない。
 どうせ本当でないのなら、その嘘を突き通すような図太さを見せてみればいいと諭す。
「そうだぜ、まあ、事務所の嘘偽りを貫き通すのはともかくとしてだけどよ」
 多喜は中に入っている少女に手を伸ばすイメージをしながら、氷に手を触れながら、続ける。
「過ぎた過去はもう変えられないけど、これからの未来は幾らでも変えられるんだぜ?」
 過ぎ去った時間はもう取り戻せないけれど、それでもこの先は自分が望んでもいい道があると示し、そのためにもふてぶてしくなってもいいと。

 差し伸べた手に伝わってくるのは、逡巡。
 売り出すためにと、事務所が作り固めた嘘で、本当の自分を隠されてしまったことが枷になっているようだった。
 だけど、その枷は壊せる。ここに来たのは真実を知っている者達ばかりだ。
「アタシ達は真の真実を携えてここに来たぞ? 事務所が押し付けたほうじゃなく」
「まぁ、そういうわけで色々知ってますよ?」
 今まで、そのことは散々に言い聞かせてきているのだから。
 もう、この言葉を少女が否定するような要素はない、はずなのだが、どうにも最初の一歩を踏み出す踏ん切りがつかないようだ。
「あぁ、あなたを監視していた悪い人達は壊れちゃったのでもう大丈夫ですよ」
 リーリアは、その一歩を邪魔しているのは多分、さっき潰れたり、壊してやったチンピラ達だろうと当たりを付けて、そっちももう悩む必要はないと何でもないように言ってのける。
「何、ちょっとお腹の中身を見せただけですよ。それだけなのに簡単に壊れちゃったんですよね」
 あんなのじゃあ、芸能界の荒波なんて乗り切れないのが正解ですね~。なんて軽そうにするリーリアだった。
 軽そうに言ってはいるが、実際の所はお腹を掻っ捌かれて中身をなんて、凄惨な追体験であったのだ。あのチンピラ達が耐えられる道理なんて無かったが。
 ちょっと怪しいけれど、詳しいことは言ってないのだから、引っ掛かりは感じてはいても、監視の者達はもう居ないということは理解したようだ。
「いっそ、アイドルとして再出発するのはどうだ? 今回の事も糧にしてさ、周りから応援されるアイドルとして再デビューしてよ!」
「そうですよ、芸能界で生きるのなら、図太く、喰われる前に喰え、弱肉強食です。あなたに強要した事務所には意趣返しで利用しちゃいましょう。使える物は使ってしまえばいいんです」
 もう、少女を悩ませるのは無いのだから、これからは自分の好きに生きていいと伝え、このままアイドルとして残るつもりなら、やり直すのはどうだと提案していく。
 そうするつもりならば、手助けをしてくれる人達は必ずいるからとも添えながら。
「夢を、見せてあげればいいんです」
 リーリアが締めくくるように紡いだその言葉に、少女は氷の中から手を伸ばしてきた。
 まだ腕だけであるけれど、それは自由を掴もうとしているようで、もう氷の中から抜けだせるのも幾ばくもないのだろう。

 少女がそなってくれば、存在を保っていられないのがルリだ。  
「なんでなんでなんで、奪うな奪うな奪うなっ」
 存在が揺らぎ、希薄になっていっている。
 薄れているとはいえ、この幽鬼少女が存在している以上は未だ少女の心の何処かにしこりがあるということ。なら、少女とルリの縁も断ち切ってしまえばいいのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高千穂・ましろ
「氷漬けの女の子に真実の言葉を届けてみせます!
マジカル☆プリンセス☆パワー!バーニング・アップ!!」

【フレイム・フォーム・チェンジ】で炎の魔法少女に二段階変身!
全能力を向上させます!

「この姿なら、あなたの炎は効きません!」

炎で形成された魔法少女服から吹き出す炎で敵の冷気の攻撃を防ぎましょう!
この姿でいられるのには制限時間があるので、一気に勝負を決めますっ!
炎魔法を受けてくださいっ!

「よし、時間稼ぎは済みましたね。ノワール、あとは任せましたよ……」(昏倒して変身解除されて全裸で倒れる
『了解にゃ。氷の中の君、すべての真実は明らかになったにゃ。君を騙していた悪人は捕まったから安心するにゃ』



 遅れながらも、ようやくやってこれたましろ。なんだけど……。
「はぁ、はぁ…」
 最初から、疲労困憊状態だった。
 そりゃあ、チンピラ達に嬲られ続けてたんだから、疲れも溜まっている。そのせいで身体が言うことを聞いてくれそうにない。
「氷漬けの少女に真実の言葉を届けるまではっ!」
 言うこと聞かないけれど、気力だけで無理矢理動かす。
 氷の中の少女に真実を知っている言の葉を伝え、もう一度、世界に目を向けさせるためにも。
「マジカル☆プリンセス☆パワー! バーニング・アップ!!」
 纏うのはそれをするための魔法の言葉だ。
『それじゃ、いっくわよぉぉん♪』
 仮ではあるものの、契約者であるましろの声に応えて、顕現するのは……筋肉の塊! 大胸筋を脈動させ、上腕二頭筋を唸らながら。
 あれ? 魔法少女だよね? 一応、手乗りサイズみたいだから妖精みたいだけれど……。
 その上、喋っていた台詞を女性言葉。このマッチョ妖精はどう見ても女性のようには見えないから……つまりはオネェのようである。
 ちょっと、呼び出された存在が異様な程の個性を発揮しているけれど、ましろは至極まじめに魔法少女へと変身していく。
「この姿なら、あなたの氷は効きません!」
 炎が服の形を取りながら、ましろの肌を覆っている。
 高熱を発しているのか、炎の魔法少女服からは時折火柱が立ち昇る。これならルリの氷を相手にするに相性がいい。
「アハハハッ! 大切で大事なオトモダチ。みーんな、私から奪っていくのね……」
 狂ったように笑い声を上げ始めたルリ。まるで、自分自身を嘲笑っているかのように見えて……。
 核とした少女の気持ちが自分と離れてしまったことで自棄になっているようにも見えた。
 どうにも、この場で一番に謎なまでに存在感を放つマッチョオネェ妖精のことすらも見えてない。
「ア、はは……奪われるくらいなら、私が奪う……。皆、オトモダチになってくれるよねぇぇっ!!」
 狂気的―あるいは病的な―壊れた笑みを浮かべながら、ルリの後ろ髪からましろに向けて、あらゆる物を凍り付かせる波動を放ってきた。
「あなたのお友達にはなれません! ですが、その想いはちゃんと受け取ってあげますっ!」
 凍てつかせていく波動に晒されたましろは、逃げずに真向から立ち向かう。
『ましろちゃん! その服は時間制限あるのを忘れちゃいけないわ!』
 マッチョオネェ妖精の忠告もあり、下手に時間は掛けられないと判断したからだ。

 ましろと、凍える波動とがぶつかり合う。その途端、辺りが白く染まって行く。
 炎の魔法少女服が、ルリの放った凍てつく波動が急激に熱されたために引き起こされたのだ。
 自分の魔法か、それとも服を授けてくれた存在の暑苦しそうな見た目なのか、どちらでもいいが信じて耐え抜いて行く。
 耐えて……やがてはルリの放った波動も治まってくる。
「……っ! 今度は、こちらの番ですっ!」
 攻撃が終わったのを察したましろは、お返しとばかりに、炎を魔法をルリに放つ。
 放たれたそれは、全力全霊をかけたからか服を構成している炎すらも喰い尽してしまいそうなほど。
 当然、魔法少女服の炎が減っていけば、ましろの肌色の面積も増えていってしまう。
 このままでは裸になってしまうのは避けられそうになく、そうなれば後は無い、まさに背水の陣で臨んでいた。
「あ、あ――」
 ましろのその覚悟でルリを炎の中へと飲み込んで、その身を焦がしていく……。

 放たれていた炎も落ち着いてくると、後には炎で身体を焼かれて倒れ伏してルリと、全てを出し切ったことで服を維持できなくなって裸になってしまったましろだけが残る。
「…よし、時間稼ぎは済みましたね……。ノワール…あとは任せましたよ……」
 立っていたのはましろだが、そのましろももはや立つのも辛いと膝を着いた。
 一糸纏わぬ姿のまま、少女の説得は黒猫のノワールに任せながら倒れ込んでしまう。
『了解にゃ! 氷の中の君、すべての真実は明らかになったにゃ。君を騙していた悪人は捕まったから安心する…にゃーっ!?』
 ましろの頼みを引き受けて、さっそく説得を開始したノワールだけれど、少女が氷を突き破って飛び出したことで氷の破片が降り注がれてきて、説得どころではなくなった。

 氷の中から飛び出した少女は、ましろの傍に駆け寄って様子を窺ってくる。
 攻撃を受けたりしてて、その後で倒れ込んだりしたのだから、そりゃあ、心配するというもの。思わず、氷の中から飛び出してしまったようだ。
『大丈夫よ。色々あって疲れただけで、ただ眠っているだけ』
 マッチョオネェ妖精が少女が倒れ込んだましろを心配しているのだと察して、怪我はないと安心させるように声を掛けた。
 言われたことを確認するようにましろを覗けば、スース―と寝息を立てていて、その様子に少女がホッと一息つく。
『それよも……あなた、ちゃぁん自分の足で立ててるじゃないの』
 指摘されて、今の自分の姿にハッとした少女は眠るましろを優し気に見つめる妖精を見る。
『いい? 間違いは誰にだってあるわ。けど、それで後悔したままじゃあ、何も出来なくなっちゃうでしょう? そうして何も出来ないままでもっと後悔しちゃうかもしれない。そんなのは嫌でしょ?』
 少女の視線に、妖精は悩む若人を導く様に、諭していく。
『いつまでも一人で抱えてちゃ、解決なんてしないんだから。あなたを束縛していた物はもう無いんだから、会いたい人に会いに行きなさいな♪』
 妖精の語りに、少女は瞳にしっかりとした自分の意志が宿って行く。ここまでの意志を宿したのだ。ただ他者の利益のために使われることも、それで思い悩むこともないだろう。
 幽鬼少女は消えてもう居ない。
 少女がしっかりと前を向く。そこには迷惑をかけられたから拒絶されるかもしれないと恐怖を抱いていた面影はもうない。
 最後まで心に内に掛けられていた枷を妖精が外したのだった。
『ボクの役割ーっ!!』
 ただそのことで、黒猫が悲痛な叫びを木霊させた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『人間の屑に制裁を』

POW   :    殺さない範囲で、ボコボコに殴って、心を折る

SPD   :    証拠を集めて警察に逮捕させるなど、社会的な制裁を受けさせる

WIZ   :    事件の被害者と同じ苦痛を味合わせる事で、被害者の痛みを理解させ、再犯を防ぐ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「さーて、じゃあ、どんな悪評をばら撒くかなー」
 とある事務所の、会議室内で中々に良い椅子に適当に腰掛けている男達の内の一人が、後頭部に両手を回しながら、なんとも下衆なことを明るく宣っていた。
 どう聞いても、誰かを陥れようしてるようにしか聞こえない。常人であるなら、眉を顰めることは間違いないだろう。
「そうだな、ウチのアイドルが無理矢理奪われたってことにしちまうか。約定があるから、向こうは何もいえないだろーしよ。なあ、どうだ?」
 男は一人では無かったらしく、同席していた部下達に話を振る。
「いいかもしれないっすねー。どうせなら、今後何も言えないように潰れるくらいのの流しちゃいましょうよ」
 部下達も自分達のトップと同調。人ととして、道を外していることの自覚もなく、この後の事を考えてゲラゲラと笑い出した。
「けど、こっちの知られちゃまずいやつはどうします? 流されたら終わりっすよ?」
 嘲りの笑い声の中に、冷静な声が上がるけれど、どう考えても自分達を諫めるものではなく、保身に走るようなものでしかない。
「ああ、それな。ま、そんなのはあいつらを使えば幾らでも消せるだろ」
「あぁ、あいつらねー。……そういえば、あの子が抱かれたら、あいつらもってなりそうじゃないですか?」
 こいつらが言っているのはおそらく、チンピラ達の事だろう。
「いーんだよ。こっちからご褒美ってな。Vも撮るように言ってるし」
「うわー。鬼畜ー」
 正気を疑うような言葉が交わされて行く。それを止めるような者は誰もいない。
「しかしよ、あいつらからの連絡、まだつかないのか?」
 話で思い出したかのように連絡は来ないのかと、上司が聞いてくるが、その者達は猟兵達の手によって既に始末されている。
 ここに居る者達は、まだそれを知らず、水面下で自分達の足元が崩されていってることに気づいていない。
 犯した悪行は既に周知となっているのに、それを知らないままに騒ぐ姿は実に滑稽に見える。
 知らないままだから、自分達の栄華を一切疑うことなく楽し気にしているようなので……少女が受け続けた絶望、それを身を持って体験してもらおうじゃないか!
高千穂・ましろ
「さあ、あとは悪人にお仕置きするだけですね!」
『待つにゃ、ましろ!
まだ証拠不十分だから動かぬ証拠を掴むのにゃ。
ボクにいい考えがあるにゃ』

ノワールの言葉に従い、真の姿である男の子に戻しましょう。
そして事務所に突撃です。

『よう、なんでも事務所のトップアイドルが抜けたらしいじゃねえか。
代わりのアイドル……紹介するぜ?』
「なっ、ノワール、どういうこと!?」
『ほら、このましろがアイドル候補だ。
さあ、オーディションといこうか。
枕営業の腕前の確認という、な』
「いやああっ」

生配信されながら襲われ……

『許せ、ましろ。
この映像を世間に流せば、こいつらも一巻の終わりだろ?』
「私も一巻の終わりじゃないですかぁっ!」



 少女は助けられた。
「さあ、あとは悪人にお仕置きするだけですね!」
 残る仕事は事務所の連中を地獄に叩き落とすのみ。
 チンピラ共も片付けた今では、自分達を護らせることもできないのだろうから。
 一眠りしたことで、気力も充実したましろが意気軒高と事務所に向かう……としたところで。
『待つにゃ。ましろ!』
 黒猫ノワールが待ったをかけてきた。
『まだ証拠不十分だから動かぬ証拠を掴むのにゃ』
「証拠、ですか? でもどうやって?」
 出鼻を挫かれたましろだけれど、ノワールの言うことも一理あるかなって思い直す。だけど、証拠を掴む、なんて言われてもどうすればいいのかと唸るだけ。
『ボクにいい考えがあるにゃ~。まずはボクを人の姿に戻してほしいにゃ』
 ましろがどうすればと悩んでるのをよそに、ノワールは何やら企んでいるようだった。

 場所も移して、件の事務所の前。
「それで、ノワール、良い考えがあるって言ってましたけれど、どうするんですか?」
『それは全部ボクがやっておく、ましろはただ身を任せるだけでいいから』
 やってきたのは良いけれど、まだノワールの企みそのものは聞かされてないましろはこの後どうするつもりなのかと聞いてみるけれど、聞かれた当のノワールはのらりくらりと躱してしまう。
「いや、それじゃ……」
 そんな言い方で納得、なんて出来るはずもなく、言い募ろうとしたましろだったけれど、それよりも速く、ノワールは勝手知ったるとばかりに事務所の扉を開いてしまう。

 扉を開いた事で、闖入者であるノワールとましろに一斉に注がれる視線。
 誰だ、お前ら。注がれる視線は如実にそう語っていた。
『よう、なんでも事務所のトップアイドルが抜けたらしいじゃねぇか』
 ノワールは臆さずに話しかけると、そこに至る経緯もあるから、あまり触れて欲しくなさそうに事務所の連中には渋面が浮かぶ。
 そんな様子を確認したノワールは、用意した企みが半ば成功するだろう確信をもって、代替案を提案する。
『代わりのアイドル……紹介するぜ?』
「あれ? ノワール、代わりの人なんて誰か居るんですか? ていうかいいんですか、それ?」
 悪徳な事務所であることを知ってるはずなのに、なんで紹介しようとするのか、てかそんな人材、居ましたっけ……?
 何を言ってるのか、まだ理解の及ばないましろは混乱しきり。
 ノワールは、そんなましろをずいっと、前に押し出す。
『ほら、このましろがアイドル候補だ』
 何故、前面に出したかってのは……すなわち、ましろをどうぞ。である。
「な!? ノワール! どういうこと!?」
 話なんて一切聞かされてないましろとしては、突然何を言ってるんだ状態だ。だけど、悲しいことに本人そっちのけで話が進んでしまう。
『そんなわけだから、さあ、オーディションと行こうか。枕営業の腕前の確認という、な』
 ノワールを筆頭に、複数の男性にましろは取り押さえようとしてくる。
 今は変身もしていない、普通の少女でしかないましろはそれらを撥ね退けられるはずもなく、すぐに捕まってしまう。
「いやああっ」
 そのまま、引き摺られていってしまえば、その先で衣服を剥ぎ取られてしまうのだった。

 全裸の姿を撮影されながら、男達数人がかりで裸体を弄られていくましろ。
 抑えつけられたままでは抵抗らしいことも出来ず、為すがままに恥ずかしい所まで余すことなく撮られていってしまう。
 感度がいいね。慣れているんだ。初めてじゃないんだな。そんな声が聞こえてくるけれど、羞恥に悶えているましろには届かない。
 いや、届かなくてもよかっただろう。
 慣れてる方が好きな人もいるから、そっちに売ればいい。なんて人格を無視して物のように扱うっているような発言もあったのだから。
 ましろがオーディションとは名ばかりの、無理矢理な行為をさせられている中で、そうなるように仕向けたノワールはというと……。
『許せ、ましろ。この映像を世間に流せば、こいつらも一巻の終わりだろ?』
 まるで辛そうな顔を浮かべていた。……口元はにやけていたけれど。
 そも、ましろが裸にされて色々されているのを、助けもせずに動画に撮りながら生配信してるんだから、良い性格である。
 当然なのか最初からするつもりもないのか、モザイクとかプライバシーの保護処理とか一切してない。
 要するに、動画の女優であるましろの顔が隠されていないということ。
「私も一巻の終わりじゃないですかぁっ!」
 自分の裸を複数の男達に弄られている様を顔出しで配信されている状況は、ましろにも違う意味で破滅が近づいているということである。
 やっぱり、この黒猫は一度と言わず何度も痛い目を見るべきではないのだろうか? そう思わずにはいられない所業であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

備傘・剱
ほほぅ…
あれだけの事をしておいて、まだ、自分は安全圏にいると思ってる訳か
危機感ってのがあれば、また、違った結果が待っていただろうな

守護者召喚
これだけの悪事を働いた奴だ、調べれば、過去の悪事がどんどん出てくるだろうな
ちゃんとまとめた物は、警察へ、そして、よりセンセーショナルな情報はあらゆるメディア、SNSへ
実名、住所、所属事務所の悪事に、個人でやらかした悪事も、本人達の知らない所で全部、暴露しておいてやろう
…正直、こいつらを社会的に、物理的に地獄に落としても、落とされちまった人達が報われるわけじゃねぇがな

後は、被害者達のあまりにもひどい情報は全部、消去しておく
世の中に出ていいもんじゃ、無いからな



 事務所内から聞こえてくる、自分達はこれからも、なんて話。
「ほほぅ…、あれだけの事をしておいて、まだ自分は安全圏にいると思っている訳か」
 話が聞こえてしまった剱は、しでかした事を思えばと呆れ果てる。それも無理はないだろう。どれだけの悪事を働いたのか分らないのだから。
「遊戯の中に封じられた守護者と、俺に力を貸してくれ」
 その分、過去の悪事なんてものも膨大に積みあがっているだろうと、そちらを調べることにした剱だった。

 調べだしたら、出るわ出るわのオンパレード。
 枕営業といった芸能関係のみならず、人身販売や行方不明になった。なんて事柄すらも出てくる始末だった。
「あるかと思ってたけれど、こいつはあり過ぎだろ……」
 もうヤバイ集団ではないのか。そうとしか思えなくなってしまう。あながち間違いではないが。
 とにかくも、出て来た情報を纏めだす。被害者の情報はぼかすなりした配慮を施した上で。
 そうして纏め上げた資料は、司法である警察へ。より危ない情報は世界に発信させようとメディアはSNSに乗せて誰の目にも止まるようにしておく。
「後は……勝手に拡散されていくだろ」
 とんでもない情報なのだ。目に付いた者達は義憤やら面白がったりで広めていくことだろう。
 剱が着々と足元の土台を壊しにかかっている間も、事務所の連中は何食わぬ顔で過ごしている。
 そこにこれっぽっちも自分達が破滅を迎えることなんて思ってすらもいない。
 剱からしてみれば、危機感ってのがあれば、まだ違った結果がまっていたかもな、なんて思わされてしまう。
 それは……もう、もしかしてや、たらればな部類でしかなくなっていることだけれど。

 さて、暴露した悪事であるが、少しの時間しか経っていないにも係わらず、広範囲に拡散されていた。
 もはや誰が元なのかと辿ることさえ、容易ではないだろう。
 完全に、炎上騒ぎである。事務所の連中がこの炎上騒ぎに気づいて慌てて火消しに回ろうととも、何の効果も無いのは明白。
「ついでだ、名前も住所も全部暴露してやろうか」
 炎上騒ぎついでに、さらなら燃料投下とばかりに個人情報を掲載。それだけでなく、過去にあった悪事すらばら撒く。
 本人達が預かりしらぬ所で、何もかもを暴露してく剱であった。
 ここまでしたのだ。事務所連中の先は社会的な地獄に落ちるのは確定だ。余りの拡散っぷりに物理的にも地獄に落とされるかもしれないが……。
「……ま、正直、こんなことしても被害に遭っちまった人達が報われるわけじゃねぇがな……」
 足元を破壊しつくしてやった剱だったが、それでも犠牲になった人達のことを思えば素直には喜べない。
 出来るのは仇を討つ手伝いか、恨みを晴らしてやること。
 被害者側が炎上騒ぎに巻き込まれないように被害者の情報を徹底して消去・秘匿をしてあげることだろう。
 それらは、世の中に出て良い情報ではないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

……どうやら、保護は無事終わったみたいだね。
それじゃあ最後の後始末。
芋づる式に、全敵発と行こうじゃないのさ。
実際は最初にもう仕込んであるし、ね。

今回取引を持ち掛けたUDC組織側の芸能事務所代理人として、
「謝罪しなければならない事項が発生した」とかなんとか告げて乗り込むよ。
切り出す内容は、枕を仕掛けた重役が内部告発で懲戒を受けた事。
(ま、でっち上げだけどね)
そしてアイドルを貶めようとした事を謝罪しつつ、
チンピラ共と話した時の配信内容の録画を見せ
「もう一つ懸念事項が」と奴らの余裕に生じた小さな『傷口をえぐる』。

きっちり『法律学』に則った告訴、裁判所に届いてる頃かねぇ?



「……どうやら、保護は無事に終わったみたいだね」
 近場にいたらしき組織の人達によって少女の身柄を保護されたのを確認した。
 少女のこの後のことは組織の人達に任せて、多喜は最後の後始末に赴く。
「じゃ、芋づる式に、全摘発といこうじゃないのさ」
 仕込みは既に済んでいる。後は結果をご覧あれだ。

 スーツ姿に身を包む。
 自分の事を組織側の芸能事務所関係者と偽り、相手の事務所を訪ねた。
 真実に触れないようにと約束したはずなのに、こうして接触すればそれがバレてしまう危険性が高まると多喜の事を訝しんでくる。
「謝罪しなければならない事項が発生した」
 多喜は多喜で、神妙は態度のままで口を開く。
 申し訳なさそうな態度で語り出した内容は、枕を仕掛けた重役が内部告発で懲戒された事を告げる。
 それに伴い、こちらの事務所が枕に乗ったことも知られてしまうだろうと。事務所の下衆連中を青褪めさせるには十分な内容だった。
(ま、でっち上げだけどね)
 申し訳なさそうに、神妙な面持ちのままな多喜であったけれど、その内心は舌の伸ばしているのだけれど。

 事務所の連中は、もたらされた情報に一部が慌てだしかけるも、繋がりは裏だけで完結したのだからと慌て出した者達を落ち着かせる。
 思ったよりもダメージにならなかったことに多喜は心の内で残念と思いつつも、それなら次だと移る。
 そも、先のは元から嘘だ。不発に終わっても問題はない。本命は次の手なのだから。
「もう一つ、懸念事項が」
 神妙な態度を崩さぬまま、チンピラ達を相手に色々とお話をしている動画を見せる多喜。
 その動画は、どのように見てもチンピラ達が自分達と繋がっていると判るもので、さらに悪事を重ねていることすらも暴露してたりと、動かぬ証拠映像そのものだった。
「見ての通り、この映像が世に出回れば……」
 言葉が詰まったかのように全てを言わない、言わずとも後は何を言いたいのか、これで察せられないほどの馬鹿でもないだろうし。
 ここに来て、ようやく事務所連中の皆が慌て出し始めた。もう遅いのだけれども。
(映像やら証言の証拠付の告訴、裁判所に届いてる頃かねぇ?)
 態度を崩さぬままな多喜だけれど、実際の所は証拠となる映像も含めたきっちりとした書類を作成してて、それを裁判所に提出済みである。
 逮捕状が出されるのが、時間の問題なのは確かだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルカ・スノードロップ
アドリブ歓迎
他猟兵との絡み・連携歓迎

つくみちゃんを抱きにいけないのは残念ですが
まぁ、粛清は淡々としていきましょうか

部屋に突入して《選択UC》を全員に発動
悪夢を見てもらいますよ

実際の時間は1分間
1分あれば【ロープワーク】と【早業】で【捕縛】できますので
縛って転がしておきますね

夢って、妙に数時間経った気がする事ありますからね
目が覚めたら全然時間がたっていないとかいう現象

悪夢の導入は、どこから夢か判りません
本人達にとっての日常が続くと思いきや……
彼らの大切な女性(妻、恋人、あるいは愛娘)が
手下と思っていたチンピラ共に穢され、心を壊されていく様な内容

現実では何もありませんが

「いい悪夢は見れましたか?」


ユメ・ウツロギ
成程…遠慮は無用、というわけですね。

薬草から調合した痺れ薬で動けなくして、1章と同様、UCの効果で「夢魔エンプーサ」の【妖艶なる拷問具】を使用。
拷問具で魂を引き抜くです。
殺しはしませんよ?魂抜かれる苦しみは死ぬ程辛くしますが、それ以上の地獄を味わわせますので。
引き抜いた魂に無限の書から【ハッキング】し、「自殺及び殺害依頼の禁止」「暴力・その他犯罪行為禁止」「発狂禁止」「生涯虚偽・偽証禁止」を魂に入力し戻すです。
これで嘘で逃れられないですし、辛くても死や現実逃避もできないです。

その上でチンピラに自白させた証言や証拠を見せて終わりだと教えてあげて(少女に配慮した上で)警察や出版社、ネットに送るです



 何やら事務所の中が騒がしい。
 自分達の特大の火が点いていることにやっと気づけたのか。
 おそらくだが、ネットの方の炎上騒ぎにも気づいたのかもしれない。
 漏れ出てくる声は、どうにかならないかと慌てている声ばかりだ。
 そんな中で、なにやら組織側の芸能事務所に罪を擦り付けようなんて企みが聞こえてくる。
「成程…遠慮は無用、というわけですね」
「制圧は速やかに、ですね」 
 そんな企みを聞いたベルカとユメは、もやはり慈悲の一欠けらも必要ない、やるなら徹底的にしようと決めていたことを再認識した。

「おっと、そろそろ帰るか……」
「やっぱり、連絡が来ませんでしたねー」
「ま、よろしくやってて、忘れてんだろ」
 事務所の中でひとしきり騒ぐだけ騒いで、時間を確認すればもういい時間だと帰り支度を始めだす。
 その間に喋る内容も、少女が好き勝手にされてるんだろうと決めつける物で、心配するような素振りは一切が無い。
 どころか「違ぇねぇやっ!」なんて、笑い飛ばしてすらいた。
 誰も、先に騒ぎ立てことなど無かったかのように振る舞う異常を見せながら。

「んじゃ、おつかれなー」
「おつっしたー」
 一人、一人と帰路に着いて行く。だが。内の一人が何処かに立ち寄るつもりなのか家路から外れだす。
「色々と下なこと話し込んじまったしな~、ちょっと発散させてもらおうか」
 どうやら、これから恋人にでも会いに行くらしい。
 これからのお楽しみに妄想と期待に胸と……なにより股間を大きくしていた。

 待ち合わせの場所らしき、夜の公園。
 辿り着いたことで、気が逸るようで足を速めていく。どう見ても気がそぞろである。
 もし、そうでなかったのなら、夜とはいえ、人の気配の一切がない公園の異常に気づけたかもしれないのに……。
 そのことに気づかぬままに、人の喧噪が男の耳に入り込んできた。
 待ち合わせた女性の物だろうか? 何かあったのだろうと耳を澄ませば、どうにも聞こえる声には艶が含まれているような気がしてくる。
 何が…。心臓が早鐘を打つ。……見えて来たのは、子飼いのチンピラ達に襲われている自分の恋人の姿だった。
「お、おい! お前ら! こんな所で何をやっている!?」
 考えられた最悪の状況に、咎めるように声を張り上げる。
「あ~、ようやく来たか……んで、何してるって~? そんなん見りゃ解るだろ。この女を調教してんのよ」
 チンピラ共が悪びれもせずに言い放つ。
「ちょう…!? お前ら、なんでっ!」
 チンピラの態度と、自分の恋人が自分以外の男に貫かれて、喘ぐ姿を見せつけられたせいで、声が震えるのかまともに句が告げない。
 その様子に、チンピラ共はたちまちのうちに笑いだす。
「なんでってな~? どうせこの女も他の女共と同じようにスケベ爺共に渡すんだろ~? だから俺達がその手助けをってな~?」
 自分が仕出かしている悪事。恋人には知られなくないことを暴露されてしまい、慌てる男。
 すぐに、違和感に気づく。その話に恋人が無反応なことに。
「……う…」
「あ、はぁぁっ! 貴方も、私の中に沢山白いの出してっ」
 もしかしての最悪に最悪が重なっているのかと様子を窺い……、そして自分の恋人は、自ら、多数の男を求めるようにと、変えられていた。
「うあああああっ!!」
 慟哭を上げる。男には、自分の大事な人が壊されていくのをただ見つめ続けることしか出来なかった……。

「ちょうど1分です。いい悪夢【ゆめ】は見れましたか?」
 不意に、自分でもチンピラ達でもない声が男の耳を打つ。
 途端、男は今までいた公園ではなく事務所で目を覚ました。
「ここは……事務所? なら、いままのでは夢か…? いつから……?」
 確か……どうすればいいと騒いでいたら、扉が開いて……。じゃあ、そこから? もしかして、その前のも夢か?、
 今までの光景が現実の出来事で無かったことに安堵の息を吐く。夢と現実の境界が曖昧なことになっていることもまだ分かってない。
 とにかく立ち上がろろうとして、身体が動かせないことにようやく気づく。
 悪夢を見ている間に、異常な事になっていることに焦って辺りを見回して、それで他の事務所の面子も同じような状況であることに知った。
「なんだよ……一体、どうなって!?」
 知っている者達皆が同じ状態にパニックを引き起こす。
 その中で、一人困惑も混乱もしていない、どころか拘束すらもされてない男性が、声をかけた。

「どうです? あなた方が今までしていた行為を自分達がされる側になったのは?」
 声をかけた男性とはベルカのことだった。
 この惨状を引き起こした当の本人であるベルカが、やられる側の気分の立場はどうであったかと問いかける。
「お前が、こんなことしやがったのか!? 解けよっ!」
 下衆達は、ベルカの質問に答えることもなく、ギャーギャーと騒がしくするだけ。
「まったく、反省の色がありませんね……。しょうがありません、ユメさん。後は頼みます」
 処置なしとばかりに首を振りながら、ベルカが身を引くと、交替するようにユメが下衆達の前に出る。
 2M近い身長で男性であるベルカに代わり、小柄で、その上で女性であるユメに、強気なれるのか罵倒しだす。
 もっとも、ユメはその罵倒は柳に風とばかりに流しているが。

 下衆の声を放置して、ユメが呼び出したのは、見た目的にも禍々しき拷問道具。
 取り出した途端に、揃って息を詰まらせる音が聞こえた。
「これから、これをあなた達に対して使います」
 幼げな子が拷問道具片手に感情の起伏も少なく使いませす宣言。意図はせずとも恐怖を煽るには十分であろう。
「……殺しはしませんよ? ただこの世のものとは思えない、死ぬほど辛いく、それ以上の地獄を味わわせますので」
 使いますけど、死ぬことはないから安心……、かと思わせて続く言葉は奈落に叩き落とすようなものだった。

 ユメが拷問道具を男の身体に当てる。
「あ、ががっが……」
 ガクガクと身体が震え出す。目も白眼をむいて、口からは泡が吹き出してきた。
 むわりと、男の足元から、アンモニア臭が漂いだす。
 魂を無理矢理引きずりだされることへの、あまりの痛みに漏らしてしまったようだ。

 ビクッ、ビクッっと痙攣する男の身体。
「情けないですね。これからが本番なのに」
 冷めた目で見下ろしながら、ユメを無理に引き剥がした男の魂を見る。
 瞳に映るのは単なる魂……のはずだけれど、今までの悪事が悪事である、どうにも汚れているようにも見えてしまう。

 ずっと触れていたいとも思えない。さっさと処置を済ませてしまおうとユメはその魂に制約を刻み込みだす。
 ……あんまり長いこと肉体から引き剥がしたままだと本当に逝きそうなのもあるけれど。
「さて、この魂ですけど、刻むのは……ええと「自殺及び殺害依頼の禁止」「暴力・その他犯罪行為禁止」は当然として……そうでした。こんな状態なのですから「発狂禁止」は必須ですね」
 今後、悪事が出来ないようにと制約を魂に刻み込んでいく。
 直接、刻まれる魂に感じる痛みはどれほどのものか、想像すら出来ないだろう。
「そうですね……「生涯虚偽・偽証禁止」も刻んで、言い逃れできないようにしておきましょう」
 これなら、嘘の発言とかで罪から逃げられるなんてことも出来ないでしょうと、やることはやったと満足したユメは肉体に魂を戻した。
 魂を戻された男はというと、ゴトリと床に倒れ込む。意識が無いのは明白だった。
「次はあなたの番ですよ?」
「ひく……っ」
 倒れてしまった男を意に介さず、次の番ですよ、なんて言いながら、激しい痛みを与えたと思われる道具を振りかざすユメ。
 次に番に選ばれた男は、情けない悲鳴を短く発するが、その程度の恐怖で許されるはずもなかった。
 次の男も魂を引き剥がされ、直接刻まれる。この世の物とは思えぬほどのその痛みに、人間の尊厳を打ち壊されて行く。
 先に壊されるのはまだ幸せであっただろう。一人、また一人と、壊れていく様を見せられていく。下衆な男達は、恐怖からは逃げられない。

 全員分の処置を終えた。
 おかげで、嘘を付けず、どんなに辛くとも安易に死や現実逃避も出来ないようにさせることが出来た。
 そのせいで男達が床に白眼・泡吹きで転がっているのだが……どう見ても死屍累々といっていい有り様である。
「それとですね。私達が集めたこれら、司法にも世間にも公表させてもらいます。あなた方はこれでもう終わりです」
 ユメは、その上で最後の仕上げとばかりに、これまで集めた証拠を暴露したあげく、被害者に配慮した編集を入れて、その容を司法・マスコミ・ネットにも流すのだった。
 まぁ、下衆達の今の状態では、ユメが何を言って何をしたのかは解ってないと思うが。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

日月・獏ノ進
ここからがある意味本番ですか。
この時点で勘の利く奴は一人だけで逃げようとするのもよくある話。そういうのを何とかしますか。

そういうのを見つけたら「有体に言うとお金さえ貰えば逃がして差し上げますよ」と【誘惑】。乗ってきたら向かうのは「廃病院の噂に惑う」の時に旅館で出会ったご婦人とメイドの所に売り飛ばしますか。本物の大物を小悪党が出し抜けるとは思わない方がいいですよ。良かったですね、法だけからは逃げきれて。

後はまぁソイツも【催眠術】で誘導して【呪の活用の計】を使って三人を全盛期の肉体にして楽しみますか「夢の続きを楽しみましょうか」。あの時は一人で死にかけましたが今回は二人、ならなんとかなりますかね?


黒沼・藍亜
まずは組織がちゃんと仕事し彼女が無事帰れたか確認っすよ
……幼馴染との関係が気になる、とか
必要ならこっそり後押ししよう、とかじゃないっすよ?ホントダヨ?
……うまくいくこと、祈ってるっすよ

で、反省が足りない奴がいたら制裁の方へ
目立たないように後をつけ、
改造銃からの拘束用ワイヤーで捕まえ足元の「沼」から触腕を出し、
「必要なら触腕がお尻の開通式+凌辱でもしてあげるっすけど?いる?」
と、散々脅し恐怖を与えて最後にUC。

精神汚染し思想信条・行動原理、全部歪め改竄し、
二度とこんな事思いつけない様「矯正」してあげる

……これでもかなり抑えてるんすよ?
死体でも廃人でもない末路なんだから

※アドリブ歓迎です



 少女が無事に保護された。
「……幼馴染との関係、気になるっすね……上手くいくこと、祈ってるっすよ」
 現場から遠ざかっていくのを見つめながら、藍亞がぽつりと零す。
「何か言いましたか?」
「あっと、な、何でもないっすよ? 必要なら後押ししようとか、思ってないっす!」
 零した言葉がどうやら獏ノ進に聞こえそうになっていたようで、何を言ったのかと聞かれた藍亞だけれど、咄嗟なことに誤魔化してしまう。
 ……まあ、言い訳みたいな弁自体が何を考えていたのかを物語っていることに気づいてないようだが。
「……上手くいくんじゃないですか? とにかく、こちらはこれからが本番ですよ」
 聞こえなかったフリしておきながら実はしっかり聞こえてたって返すのは獏ノ進が悪乗りする性質だからか。
 藍亞の顔を赤くさせつつも、空気を変えて気を引き締め直す。

 事務所の下衆連中はすでに社会的はもとより、肉体・精神も苛烈に責めたてられている。
 もう、誅を下すともよさそうにも見えるけれど、悪運が強い者は少なからずいるもの。
「なんだよ……あれは何をされてたんだ!?」
「俺がわかるわけねーだろ!」
 買い物か何かの所要で、偶然にも事務所の中に居なかった男の2人が青白く、切羽詰まったような表情で言い争いながら早足に歩いていた。
 向かう先なんてどこでもいい、ただとにかく事務所から離れたい。そう物語っているような姿だ。
「なんか、ショックな事でも見たんすかね? それで反省してるといいすけどねー」
「無理じゃないですか?」
 この手の輩が反省なんてするわけないとバッサリと切り捨てる獏ノ進。
 やっぱり、そうっすかねー、なんて藍亞が内心で溜め息を吐いていると、言い争う男達2人は説明のつかない自体にお互いの不満が爆発したらしく、喧嘩別れのように別々に別れていった。
「じゃあ、ボクはあっちの方を追いかけるっす」
「なら、僕はあちらの方ですね」
 別れたのなら、自分流の仕置きを施しやすいとこれ幸いと藍亞と獏ノ進も2手に別れて男の後を追いかける。

 藍亞が追いかける男は、どうしてか人気のない方に行こうとしていた。
 目撃したことから身を隠そうとでもしてるのだろう。藍亞にとっては都合がいいが。
 周囲に人の影どころか、気配すら感じない。仕掛けるのはこことリペインターを取り出すと、拘束モードのワイヤーを射出する。
「うわっ!?」
 視認も困難なほどの微細なワイヤーは気づかれることもなく男の足に絡みつき、両足を固定させたたことでバランスを崩したようで倒れ込んだ。
「どこに行くつもりっすか?」
「……ひっ!」
 倒れ込んだ男の下に、姿を見せる藍亞。
 手には銃。足元には暗い時間であるにも係わらず、それでもなお黒と解る沼が広がっている。その上、その沼からは黒い手が湧きだしていた。
 男の眼には、藍亞の姿はこの世のものには見えてないだろう。
「もう一度聞くっすよ? どこに行くつもりっすか?」
 青褪めた顔で歯をカチカチ鳴らす男に、もう一度、同じことを聞く藍亞。
 男の様子からして、まともに返事なんて返ってきそうにない。
「必要なら、この触腕でお尻の開通式+凌辱でもしてあげるっすけど? いる?」
 これからするのは制裁であるのだから、返事なんて聞くつもりもなかったが。

 藍亞の言葉が辛うじて届いたのだろう。
 男は触腕に視線をよこし……ついで、自分のお尻を抑える。
 触腕は腕というからにはそれなりの太さを持っている、そんなもので貫かれたらと恐怖したようだ。
 散々、自分達に都合よく女性を辱めたというのに。
「新しい世界が見えるかもしれないっす。遠慮はいらないっすよ?」
「や、やめてくれ…っ!」
 藍亞は煽るようにお尻を触腕で撫でつけていく。そうと思えてしまえるように、ズボンに触腕をかけてみる芸も見せて。
 もはや恐怖をピークだろう。
「……ところで、一緒に逃げてた人は一人だけ助かるつもりかもしれないっす」
 いきなりの話題転換。突然ではあるが、今襲ってくる恐怖から逃れられるならと、男は耳を傾けてくる。
「そ、そんなことは……」 
 自分と同じ光景を見たのだ。ないと反論……したいのだろう。けど、確証もない。藍亞はそこを突くだけだ。
「本当に? 本当にそうと信じられるっすか? ほんとうに、ホントウニ?」
 信じていいのか。本当にそれでいいのか。
 今、こんな目にあっているのも、売られたからじゃないのか。
 考える暇さえも与えないで、精神に自らの言葉を浸透させていく。
「う、あ……」
 言の葉で男の思考や身体を縛りつけてしまえば、後はもう藍亞のなすがまま。
「これから、二度と同しようなことを思い付けない様「矯正」してあげるっすよ」
 木偶人形のようになった男に、藍亞は人格ごと、作り変えていく……。
「でも、これでもかなり抑えてるんすよ?」
 男の「これまで」を完全に否定するように消し去り、変えながら小さく呟かれる。
 死体でも廃人でもない末路なんだから……と、小さく漏れた言葉は、すぐに空気に溶けて消えていった。

 藍亞が追ったとは別の、獏ノ進が追いかけているほうでは。
「有体に言うと、お金さえ貰えば逃がして差し上げますよ」
 逃走の手助けを申し出ていた。
 獏ノ進の提案はどうにかして、とにかく遠くに逃げたい男にとってはとても魅力的な言葉だ。
 一も二もなく、「幾らでもいい! とにかく俺を遠くに逃がしてくれ!」と恥も外聞もなく獏ノ進に縋りついてくる。
「えぇ、ちょうど、その伝手もありますので、ご連絡させていただきますね」
 慇懃とも思えそうなほど、丁寧な口調で優しそうに語りかけながら、獏ノ進が何処かに連絡をいれた。
「は、はやく…」
「すぐに来ますから。……ほら」
 連絡を入れる、人を待つ時間ですら、落ち着けない男を宥めていると、程なくして一台の―高級そうな車がやって来た。
 車が近くに止まり、後部のドアが開く。
「この中の方があなたを匿ってくれますよ」
 獏ノ進は、開いたドアの中に入るようにと催促。
 地獄に仏、蜘蛛の糸。そう感じているのだろう、男は誘われるままに喜々として車の中に入って行く。
 その中に入ってしまえば、自由を失うと知らぬままに。

「お久しぶりですね」
「久しぶりに連絡貰っちゃったから、急いできちゃったわ」
 車の中で、獏ノ進と夫人が和やかに話こむ。
 その様子に、獏ノ進の申告通りにかなりの伝手があったことに、これで助かったと安堵の息を吐く男。
 そんな彼だが、夫人と……側付きのメイドによって吟味されていた。
「それで……この子が言ってた子?」
「どうぞ、ご自由にしてくれて構いませんよ。この方は世間にはもう居場所もありませんし」
 人間、安心すると余裕が出てくるが、その余裕も時と場所を選ぶべきだろう。男は安心したことでどうにも不穏な会話を聞き取ってしまう。
 不穏と感じたのは聞こえた会話がどのように解釈しようとも、自分を好き勝手にするとしか、思えない話なのだからだ。
「お。お前! 騙したな!?」
「いえいえ、私は騙してなんかいませんよ? ちゃんと法だけからは逃げられたじゃないですか。良かったですね」
 話が違うと怒り出す男に対して、飄々と受け流す獏ノ進。
 実際、夫人達の下に身を寄せれば、世間からは隔離されるのは確かなのだから、逃げられたとも解釈できる。 
「お、降ろせ!」
 このままでは、何をされるか分ったものではない。男はこの後の事に嫌な想像をしたらしく、ドアを開けて逃げだそうとするが……。
 車は走っているのだから、そこから逃げだせるわけもなく……。彼は車に乗り込んだ時点でとっくに蜘蛛の巣に囚われていたのだ。

 逃がすこともさせずに、車が夫人の家に到着する。
「じゃあ、これから楽しんでみましょうね。 この間のアレ、頼めるかしら?」
「ええ、いいですよ。ではその時をお楽しみにしててくださいね?」
 夫人が車から降りる前に、獏ノ進に頼み事をしてくる。
 やってほしいのは、前に施した肉体を全盛期にするアレのことだろうと獏ノ進が何をして欲しいのかを察して了承した。
 男も下ろしながら、耳元で囁く。
「あなたにも施しますからね? なに、楽しめばいいんですよ」
 楽しめばいいと伝えるけれど、車ごと建物の中に入ったことで逃げられる状況でもなく、それで何をされるのかも分らないと、身を強張らせるだけだった。

 とある一室に通される。その部屋は大きなベッドしかなかい、質素な部屋だった。
 なぜ、このような部屋に、獏ノ進に抑えられたままの男はベッド他には何も無い部屋を疑問に思う。
「……今まで、女性に無理に夢を売らせてたでしょう? あなたも同じように夢を売って楽しみましょうか?」
 答えは、獏ノ進からもたらされた。ここに至り、男はようやく獏ノ進によって夫人に売られたのだと理解する。
「前は一人だったから死にかけましたけどね、今度は2人……、なんとかなりますかね?」
 この間のことを獏ノ進が懐かしみながら、これからのお楽しみのために、夫人とメイド、そして男に呪いを振りかざして、かつての若い身体にしていった。

 とある邸宅の奥。閉鎖された空間の中で苦しそうな声が響く。
 だけど、誰も助けになんてこない。来るはずもない。なぜならその声は艶を含むものであったから。
 いや、そもそも声なんてその部屋の中以外にはどこにも届いてないのだけれども。

 とある事務所が働いていた悪事が明るみにされて、たちまちのうちに世間のニュースを一色に染め上げた。
 少なくない人数の女性達が被害を受けたとされる事件。その上、一部は行方不明とまでなっている。口封じや都合が悪くなったからと憶測が飛び交うほどだ。
 加害者である事務所の職員達は、罪を償わされることになったけれど、事が事である。たとえ塀の向こうから戻って来てもそう簡単には居場所を得ることも出来ないだろう。
 事務所の職員の中にも行方が知れない者が居るが、そいつもまた消されたのではと、噂が飛び交っていた。
 
 なお、被害女性達の事であるが、彼女達の暮らしもあるからと、ニュースで触れられないのはとある組織の手が回ったというのは猟兵達だけが知る事である。
 そして……今回の事が明るみにでるきっかけとなった少女であるが、家族とは受け止められ、幼馴染とは一時離れたことで互いに気持ちを再確認したようで、周りをやきもきさせる関係になっているらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月27日


挿絵イラスト