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猟書家討伐ミッション[グリューン樹海防衛作戦]

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #チーフメイド・アレキサンドライト #エルフ

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●グリューン樹海近傍にて
「アルファ-1よりCP。小隊各員、配置についた」
「CP了解。作戦を開始。決して油断しないでください」
「アルファ、コピー」
「ブラボー、コピー」
「チャーリー、コピー」
「デルタ、コピー」

 アックス&ウィザーズ北方、街道から少し離れた場所に広がる樹海で、不穏な動きをする一団があった。

 東西南北、四方から森へと侵入する妖精たち。その手に握られているのは銃だ。剣と魔法の世界ではあまりにも場違いな得物を手に、妖精たちは森の中へと分け入る。

 やがて、ある程度進んだ所で彼らは止まる。

「アルファ、ポイントに到達」
「ブラボー到達。"紅葉"の調整完了」
「チャーリー到達。目立った敵襲なし」
「デルタ到達。時刻マイナス6」

 森のどこかで指示を出す猟書家は微笑んだ。

「CPより各員へ。"紅葉狩り"を始めましょう」

 猟書家がマイクに向かって宣言すると同時に。

 森の四方から、火の手が上がった。

●"紅葉狩り"狩り作戦
「アックス&ウィザーズで緊急事態が発生しました」

 慌ただしく集まった猟兵たちを前に、ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵・f29697)はいつも通りプロジェクターに資料を映し出した。

「北方の街道沿いに広がるグリューン樹海の四方で同時に火災が発生。その数時間前に、奇妙な装備をつけた集団の目撃情報が近隣を通りかかった冒険者から報告されています。グリモアの予知ではスペースシップワールドの猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』がアックス&ウィザーズへ侵攻を開始していたことから、彼女が起こした事態であることは疑いようがありません」

 ガトリング砲などの装備に身を包むクリスタリアンの画像が映し出される。彼女こそが猟書家、「チーフメイド・アレキサンドライト」だ。

「グリューン樹海には、エルフの集落が点在しています。彼らは世界樹イルミンスールから株分けされた大樹『メリエス』を護っていますが、猟書家はどうやらこの大樹を狙っているようです。というのも、この大樹メリエスはグリューン樹海の生命力の源であり、大樹からもたらされた生命力が木々を急成長させ、樹海を形成するに至った……とされています」

 つまり、如何に樹海の木を伐採しようとも、大樹がある限り樹海は不滅である。そして、その大樹メリエスは耐久力も高い。

「大樹メリエス本体は世界樹イルミンスールから株分けされただけあって、生命力だけでなく耐久力・魔力も凄まじいものを秘めています。火に耐性があるらしく、仮に樹海全てを火の海にしても大樹メリエスだけは燃え残るようです。現地に伝わる伝承によれば、その昔火の精が放った大火を無傷で耐え抜き、樹海もわずか1週間で元の姿を取り戻したとか」

 さらに、大樹メリエスは外部からの侵入者から自身を守るべく、樹海全体を迷宮化している。これは大樹メリエスの魔力によってもたらされたもので、人間は方向感覚を失い、方位磁針は狂い、現在位置を探知する魔術や科学技術の全てを無効化するというのだ。

「唯一この魔力の影響を受けない存在が、樹海に住まうエルフです。彼らは大樹メリエスを守護する代わりに、大樹メリエスから加護を受けており、迷宮化した樹海で迷うことなく行動可能です。また、魔力もそれなりに持っているのですが……猟書家は彼らを配下に加えるべく、皆殺しとした上でオブリビオンとして蘇らせようとしています」

 とは言え、これは副次目標に過ぎません、とジェイミィは続ける。

「最大の目標こそ、大樹メリエスそのものです。以前確認された予兆での猟書家、そしてアックス&ウィザーズ侵攻を企図していた書架の王が狙う『天上界』への鍵を握るのが、大樹メリエスをはじめとした世界樹から株分けされた各地の大樹だと言うのです。猟書家が天上界に至ることで何を為そうとするのかは不明ですが、確実に猟兵や現在のアックス&ウィザーズにとって良からぬ影響が及ぼされることは間違いないでしょう」

 大樹メリエスの死守は今回のミッション達成の最低条件です、と続ける。

「なお、樹海に住むエルフたちは猟兵に対して協力的です。何でも神秘的な事柄に対する順応力が高いんだとか。さらに、彼らは森で生活する上で独自の魔法を編み出しており、遠くの人と会話する魔法や周囲の位置関係を把握する魔法で支援ができるようです。この魔法は大樹メリエスの魔力の影響を受けません。そして、森には侵入者を阻むための無数のトラップも用意されています。落とし穴、鳴子、仕掛けボウガン、丸太落とし……種類も豊富です」

 そこで、今回のミッションはエルフとの協同作戦となる。エルフが索敵やトラップの位置について情報提供を行う他、遠隔地にいる猟兵たちの通信をエルフが魔法で仲介する。猟兵たちはエルフからの情報を逐次生かしてゲリラ戦術を仕掛けるというものだ。

「ちなみに、大樹メリエスの魔力はキャバリアにも及びます。正確な位置情報の把握が困難になる他、計器類の誤作動が発生する恐れがあるため、今回のミッションではキャバリアは持ち込めません。ウォーマシンには影響が及ばないんですが、装備しているレーダー類はほぼ効かないと思ってください」

 位置情報は現地のエルフの方々が頼りです、と繰り返し念を押す。

「説明は以上です。大樹メリエスとエルフの皆さんを守るためにも、このミッション、成功させましょう」

 よろしくお願いします、とジェイミィは頭を下げ、グリモアでポータルを開く。すでにポータルの向こう側から、パチパチと木が爆ぜる音が聞こえている。

「……急いでください! すでに敵は森を燃やしています!」

 顔色を変えた猟兵たちは続々とポータルに飛び込み始めた。


バートレット
 皆さんどうも、バートレットです。

 いよいよ年の瀬ですがまだまだ続く猟書家の侵略、今回はアックス&ウィザーズで大樹を守る戦いとなります。
 まず始めに、オープニングのブリーフィングの説明にもあった通り、今回のシナリオではキャバリアが使用不能となります。キャバリアをお持ちの方はご注意ください。キャバリアを使用したプレイングは一律で不採用となります。

 第1章では、森を狙う妖精の兵士をゲリラ戦術で撃退します。エルフの協力を得て、先回りしながら奇襲を仕掛けたり、罠に誘い込んで一網打尽にしましょう。プレイングボーナスは「用意された罠を使う」「奇襲する」「エルフの協力を得る」「敵に気づかれることなく無力化する」です。複数満たせばその分だけボーナスが上乗せされます。

 第2章では、幹部猟書家「チーフメイド・アレキサンドライト」との戦闘となります。しかし、幹部猟書家は猟兵の位置に気づいていません。引き続き隠密行動を行いながら幹部猟書家を倒しましょう。「不意討ちを行う」「エルフたちを守る」「罠を使う」などの行動でプレイングボーナスが得られます。第1章同様、複数の条件達成でプレイングボーナスが上乗せされます。

 断章執筆後に第1章はプレイングの受付を開始します。なお、今回のシナリオでは試験的に「シナリオクリア確定時点で締め切り」とします。状況次第では早期にプレイングが締め切られる可能性もあるため、なるべく早めのプレイング投稿をおすすめします。

 それでは、皆様のアツいプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『謎の精兵』

POW   :    防衛陣形
対象のユーベルコードに対し【防衛の陣形になって銃弾 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD   :    弾幕攻撃
レベル分の1秒で【初期型の銃 】を発射できる。
WIZ   :    妖精の怒り
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:ロミナ毅流

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●大樹の守り手
「森が燃え始めた!」
「怪しい奴らが森に侵入している!」
「鎮火を急いでください! 戦えない者は絶対に外に出ないように、危険です!」

 エルフたちは木々の間を慌ただしく動き回っている。自衛のためにボウガンを持って決死の斥候を行うもの、罠の様子をチェックするもの、大樹メリエスの無事を確認するもの、ツリーハウスの中で家族を守るものと、彼らが取る行動は様々だった。

 そんな中、突如開いたポータル。

「異界の穴……! まさか、伝承にあった『大樹の守り手』か!?」
「婆様が昔言っていたんだ、かつて火の精がこの森を焼いた時にその火の精を鎮めた者が異界から現れた……本当に存在したのか」

 伝承に伝わる大樹の守り手、即ち猟兵。かつて森を救った異界の戦士たちが、今再び森の危機を救おうとしている事実に、エルフたちは歓喜する。

「かくなる上は、彼らの力を借りよう。何としてでも森を守るぞ!」

 突如降って湧いたエルフたちの希望。彼らの期待を背負い、猟兵たちは鬱蒼と茂る森の中へと降り立った。
シル・ウィンディア
森を燃やすなんて、そんなこと許せないっ!
そんなこと止めてみせるよっ!

地の利はエルフさん達がもっているから、それを有効に活用しないとね
エルフさん達に索敵を中心にしてもらって
位置関係を把握してから…

敵が通り過ぎるまでフード付きマントでカモフラージュしつつ隠れて…
行きすぎたら腰部の精霊電磁砲の【誘導弾】で攻撃だね

撃ったら即座に移動して…
違う方向を向いていたら後ろから【二回攻撃】で
光刃剣と精霊剣の二刀流で切り裂いて行くよ

敵UCは…
樹木の影に隠れてやり過ごして…
その間にこっちも詠唱してっと

詠唱完了したら
敵陣の真ん中に突入してから
エレメンタル・シューターで一気に薙ぎ払うよっ!

森を傷つけた報いだよ


緋翠・華乃音
こういう戦場には慣れている。
取り敢えずの目標は敵部隊の速やかな制圧だな。

先ずエルフに協力を要請しよう。
樹海の中で確たる位置情報を得られるのは願ってもないことだ。

樹海では木々の生い茂る枝葉や蔦を足場に移動を行う。
気配を消すこと、身体駆動で移動の物音を消すことを徹底。

狩人は此方だ。
敵を探索しつつ罠に掛かった際の音と動揺の気配を敏く把握。

使用する武装は拳銃のみ。
“霧隠の狩人”は木々のような遮蔽物を透過し、有効射程距離の概念も存在しない。

銃口を向け、意識の範囲内に敵を収めてトリガーを引く。
後はこれの繰り返しだ。

霧に隠れたように姿の見えない相手と戦闘する。
……理不尽だろう? その気持ちはよく分かるよ。



●救援、来たる
「森を燃やすなんて、そんなこと許せないっ!」

 ポータルから飛び出したシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は樹海に火を放つという暴挙に対して怒りを覚えた。彼女もエルフだ。森を傷つける相手は誰であろうと許すわけには行かない。

「エルフさん、大丈夫!?」

 早速森に住むエルフを見つけたシルは声をかける。

「あぁ、大樹の守り手が来てくれたか……助かる。今は見ての通りだ、森は燃やされかけている。なんとか被害を最小限に留めたい。侵入者の位置はわかっている、今、君を含めた大樹の守り手たちに我々が使っている『声の魔法』と『方位の魔法』をかける。これで私達がどこにいても居場所を把握できるはずだ」
「ありがとう、敵を見つけたら教えて。私達がなんとかするよ」
「頼もしいな、よろしく頼む」

 エルフが魔法をかけると、シルの耳にエルフたちの声が届き始める。

『火の手はまだ大樹には届いていない、今のうちに侵入者を探し出せ!』
『まだ樹海の入り口からそう遠くまでは行っていない、燃えている場所の近くを探すんだ!』

 エルフの声を頼りに、シルは森の中を目を凝らして探す。4つの方角のうち、シルは南側に向かっていった。

 一方、東側へと向かったのは緋翠・華乃音(終奏の蝶・f03169)だ。

「こういう戦場には慣れている。取り敢えずの目標は敵部隊の速やかな制圧だな」

 人並み外れた精神と知覚を持つ彼にとって、非正規戦は慣れたものである。現状の把握もスムーズに行い、樹海での移動も慣れたものだった。木々の生い茂る枝葉や蔦を足場にして、気配を消しつつ移動の物音は一切立てない身体の動かし方を徹底する。

「あれか……っと、すまない、エルフ諸君聞こえるか」
『む、華乃音殿、どうなされたか』
「他の者とはこれで直接コミュニケーションが取れるのか?」
『あぁ、相手の顔と名前を念じてくだされ。一致すればその相手と直接話すことができましょう』
「助かる……シル、そちらの状況は」

 同時に森へと飛び込んだシルに向けて念話を送る。

「華乃音さん? ……あぁ、南側は火の手からそう遠くないところにいたよ。森の魔力にやられたみたいで、同じところをぐるぐる回ってるみたい」

 シルは、森をかき分けて進む奇妙な装備を着用した妖精の集団を発見した。しかし、どうやら同じところを繰り返し進んでいるらしく、また本人たちもその事に気づいていないようだ。

 シルはフード付きマントを被って身を潜め、彼らが通過するのを待つ。此処から先はスピード勝負になるだろう。

「ねぇ華乃音さん、ここは同時に仕掛けない? 一気に2箇所で敵の気配が消えたら流石に猟書家も慌てると思うの」
「名案だ、タイミングはそっちに任せる」

 華乃音はその提案に乗った。ちょうど華乃音の近くに罠があることをエルフから教えてもらっていた。これを利用しようと考え、身を潜めて敵が来るのを待つ。

「3……2……1……今だよっ」

 シルの合図で二人は動き出した。シルは腰の電磁砲から音もなく撃ち出した誘導弾で、華乃音は意識の範囲内に敵を収めて発砲と同時に着弾する魔弾を放つユーベルコード「霧隠の狩人」で、それぞれ最後尾の敵を狙い撃った。森の中で断末魔もなく、同時に別々の場所で2人の妖精兵が斃れる。

 そこからの展開は対象的だった。シルは隠れていた場所から飛び出し、密かに魔法を詠唱しながら光刃剣と精霊剣の二刀を構え、次々に敵を後ろからひとり、またひとりと斬り捨てていく。人数が減っていたことに気づいた敵が狼狽して辺りを見回し始めた直後、シルは敵の眼前へと躍り出ていた。

 一方、華乃音は逆に、最初の狙撃後わざと音を立てて敵を誘い込んだ。こちらは逆に位置を移動し、敵集団の背後に回る。すると、敵が2人蔦で作られたネットに絡め取られてしまう。ここぞとばかりにその2人を狙撃。トラップにかかったと思った次の瞬間絶命した仲間の姿に、敵は狼狽する。その狼狽した敵を1人ずつ、ポイントを変えながら次々と狙撃で撃破していく。

「……理不尽だろう? その気持ちはよく分かるよ」

 わけもわからず斃れていく敵に対して、華乃音は呟いていた。

 そして、敵集団の前に現れたシルに視点を移せば、敵の目と鼻の先で火水風土の4つの複合属性の魔力弾を大量に作り出し、突然のことにフリーズした相手に向かって一気に薙ぎ払っていた。

 敵襲を報告する間もなく、魔力弾の奔流の前に散っていく妖精兵を前にして、シルは冷ややかにこう告げるのだった。

「森を傷つけた報いだよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エルヴィン・シュミット
エルフの森を焼くとは、典型的にして野蛮な連中だ。

唐突ではあるが、時間がないのも事実。
手の空いてる奴らにはどんな手を使ってでも敵の気を引き付けて貰いたい。
その隙に俺が【迷彩】【目立たない】【地形の利用】で奴らの死角に回り込んでから…
【殺気】を込めた【大声】で【恫喝】しながら襲いかかって【暴力】を振るい、【霊刀「菖蒲橋」】とUCで片端から仕留める!
少しカワイソーだが…ちょっとばかし派手にバラさせて貰うぜ。
逃げたい奴は逃げても良いが…背中から斬られても文句はナシだぜ!

『俺の姿が見えたやつは…みんなバラバラになっちまうぜぇ!』


フランチェスカ・アルヴヘルミ
心情:メイドの猟書家ですか。
これはいけない、メイドという職業が風評被害を被る前に手を打たねば。

戦闘:POW
せっかくですし、メイドの立場を利用しましょう。
まずはエルフの皆さんと待ち伏せの打ち合わせです。
撃ち下しが可能な袋小路と転倒の罠がある場所をキルゾーンに設定。
そして接敵と同時にメイドの【礼儀作法+言いくるめ】で、そうですね「エージェントメイド・フランチェスカ」とでも名乗りましょうか。
作戦遂行上の優先指令とでも言ってキルポイントに誘導し、一網打尽を狙います。

上からはエルフ達、背後からは軽機関銃を仕込んだトランクと突撃銃を持つ私。
一匹たりとも逃がすつもりはございませんよ?(UC発動と同時に蹂躙)



●伏兵、そして騙し討ち
「エルフの森を焼くとは、典型的にして野蛮な連中だ」
「……メイドという職業が風評被害を被る前に手を打たねば」
「いやメイドは本来そんな野蛮な職業じゃねぇってのはわかってるんだがな?」

 そんな会話を交わすのはエルヴィン・シュミット(竜の聖騎士・f25530)とフランチェスカ・アルヴヘルミ(恋情疾走デッドメイド・f30817)。

「で、どうするんだ」
「私にひとつ案があります。エルフの皆様にもご協力いただきたいのですが」
『ふむ……我々にできることであれば』

 フランチェスカの案を聞いたエルヴィンは極めて怪訝な表情をしてみせる。

「……え、それ大丈夫なのか」
「相手はメイドの猟書家ですから」
『いや、しかし面白そうですな。では我々も一口乗りましょうか』
「いいのかなぁ……」

 一方エルフたちは乗り気だ。エルヴィンは彼らの意思を尊重して、フランチェスカの案に乗ることにする。

「……まぁ、上手くやれよ」
「万事このメイドにお任せを」

 フランチェスカはそう言うと、スタスタと敵の近くまでにじり寄る。一方、エルフとエルヴィンは所定の位置で息を殺して待ち伏せた。

『む……そこのメイド、止まれ。見ないやつだな、名を名乗れ』

 敵がメイドに気がついた。誰何の声を上げる。

「私はエージェントメイド・フランチェスカ。チーフメイド・アレキサンドライト様の命で、極秘裏に調査を進めておりました」
『そんな話、上から聞いていないが』
「命令系統が異なっていますから。それよりも、大樹の特定が出来ました。最優先で回収せよとの命令です」
『……特定が出来た? 了解だ、案内を頼む』

 不審に思いながらも了承する妖精兵たちを引き連れて、フランチェスカは移動を開始した。やがて、あるポイントで立ち止まる。

「これです。『伐採をお願いします』」

 その言葉は、妖精兵に向けられたと思わせて、実は猟兵とエルフたちへの合図だった。これが問題の大樹か、と伐採の準備をするよりも速く、後方でエルヴィンが霊刀「菖蒲橋」で文字通り妖精兵の1人をを「伐採」する。

「かかったな!」
『しまった、これは罠──っ!?』

 さらに悪いことに、一部の敵が落とし穴にはまってしまう。そこにボウガンを構えたエルフの集団が一斉に射撃を浴びせ、骸の海へと送り返してしまった。

『エージェントメイドとやら、貴様……図ったな……!?』
「残念ながら私、猟兵側に仕える身でして」

 いつの間にか軽機関銃を仕込んだトランクと突撃銃を取り出したフランチェスカは、逃げようとする敵に向けて容赦なく発砲し、ハチの巣にしてしまう。

「さぁ、選んでください。上からはボウガンを撃つエルフ達、前方からは軽機関銃を仕込んだトランクと突撃銃を持つ私、背後からは霊剣を持つ聖騎士エルヴィン様。お好きな死に方をどうぞ。あぁ、もちろん逃げ場はございません」
「俺の姿が見えたやつは…みんなバラバラになっちまうぜぇ!」

 妖精兵たちは次々と斬られ、射られ、そして撃たれていく。文字通りのキルゾーンを前に、東側の敵はなすすべなく全滅した。

「メイドの風評被害をばらまいた報いを受けていただきましょう」
「……いやその、メイドってそもそも機関銃ぶっ放す職業なのかという点でまずツッコミ入れたいんだが。そこのエルフが致命的な勘違いをだな」
『メイドとは使用人であり強力な戦士の代名詞でもあったのだな……! 敵にすれば恐ろしいが味方になるとここまで頼もしいとは!』
「ほらぁ言わんこっちゃない!!」

 フランチェスカが「何か問題でも?」とキョトンとした表情をするのを見て、エルヴィンは頭を抱えた。この森に変な言い伝えが残らないと良いのだが、というエルヴィンの思い虚しく、後にグリューン樹海に住むエルフたちの間で「恐ろしき戦士・メイド」なる伝説が語り継がれることになるのはまた別の話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

位置関係が分からなくなるほどの森ですか・・・
エルフさん達とはぐれたら迷子になりやすい私とか一生出てこれませんね。
と言う訳でお願いですから置いてけぼりとかにしないでくださいね。


UC『制約:簒奪者』を使用。エルフさん達にに協力してもらい、敵を少数ごとにエルフさん達の攻撃と出した杭で他に気付かれる前に無力化して、確実に数と被害範囲を減らしていきます。


奇襲しやすいのは、結構楽ですが、敵を見てるとどんどん迷子になったときが怖くなってきましたね。

まぁ、この条件を猟書家の人の時でも行けるなら、やり方は結構ありますね。
(うまく取り込めれば、やけに影響範囲を広げてる理由も分かりそうですし)



●迷いの森の迷子
 神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)は今回の依頼を受けるにあたって気がかりがひとつあった。自身の方向音痴である。

「エルフさん達とはぐれたら迷子になりやすい私とか一生出てこれませんね……」

 と、いうわけで自分が方向音痴であることをエルフたちに打ち明けると、エルフ側も苦笑を浮かべながら共に行動することを快諾する。

「お願いですから置いてけぼりとかにしないでくださいね……」
『心配しなさんな、ちゃんと違う方向行きそうになったら引き止めるから』

 北側の敵はそれなりにバラけてしまっていた。相手は迷っている分気づかれにくいのは良いことだが、如何せん予想会敵範囲が広がってしまっているせいで無力化し損ねてしまった敵が現れると厄介だ。

『よし、ローラー作戦だ。斥候を増やして見つけたら知らせる。そこに七十殿を向かわせればいいだろう』
「少しずつ無力化していきましょうか」

 エルフの斥候が敵を見つけると、七十と付き添いのエルフがその場へ急行し、エルフの射撃で足止めをして七十が身体から放つ杭で確実に撃破する。杭の威力は絶大で、貫かれた妖精兵はたちまち骸の海へと還っていくほどだった。

「それにしても……敵を見てるとどんどん迷子になったときが怖くなってきましたね」

 樹海の魔力で方向感覚を失い彷徨うばかりの妖精兵を見て、七十は背筋に寒気を覚える。エルフの付き添いがなければ自分もこうなってしまうのは想像に難くない。

「……そろそろ敵の親玉が登場する頃合いです。引き続きお願いできますか?」
『わかった。親玉がどんな力を持っているのかはわからんが、この森は例外なく方向感覚を失わせる。妖精兵どもと同じ目に合わせてやろう』

 エルフに付き添われる形で、七十はなんとか迷子になることなく北側の敵の掃討に成功。この結果をもって、樹海の四方を固めていた妖精兵たちを全て無力化できたことが認められたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『チーフメイド・アレキサンドライト』

POW   :    カラーチェンジ
対象の攻撃を軽減する【赤紫色のボディ】に変身しつつ、【100発/秒で弾丸を発射するガトリング砲】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    メイドの嗜み
【カラーチェンジした腕】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、カラーチェンジした腕から何度でも発動できる。
WIZ   :    掃除の時間
【ガトリングからサイキックエナジーの弾丸】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:サカサヅキミチル

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠月夜・玲です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●迷いの森のメイド
「……厄介ですね、状況が掴めないとは」

 グリューン樹海の四方から火の手が上がってから幾ばくかの時が経過した。しかし、それ以上樹海が延焼する様子はない。猟書家、チーフメイド・アレキサンドライトはその状況を不審に思っていた。おそらく、猟兵による迎撃を受けたのだろうが、しかしそれにしては手際が良すぎる。まるでこの樹海で迷わず行動できているかのようだ。

「条件は対等、そう思ったのですが」

 かくなる上は自分が直接手を下す必要があるか、そう考えてアレキサンドライトは森へと侵入する。まずは猟兵の排除だ。状況の見通しが悪いが、見つけ次第排除するしか無い。

 しかし、アレキサンドライトは理解していなかった。猟兵はすでに地の利を得ており、状況は対等でも何でもなかったことに。

「いたぞ! 宝石の肌を持つ使用人……間違いなく守り手殿から聞いた人相だ! 森を焼いた首謀者を見つけたぞ!」

 斥候のエルフがその姿を確認し、位置を猟兵や他のエルフに知らせる。彼女の武装は強力であり、エルフでは歯がたたないだろう。しかし、猟書家は猟兵の位置を特定できていない。騙し討ちや罠を駆使すれば、猟書家の討伐は決して困難ではないだろう。

 猟兵たちはアレキサンドライトが目撃された地点へと急行する。それぞれの策を胸に秘めて。
エルヴィン・シュミット
目標を確認、まだ気づかれていないな…。

それなら次は少しばかり悪戯させて貰おうか。
もう一度【迷彩】【目立たない】、【地形の利用】で死角から可能な限り近づいて、【変装】を使って相手そっくりに成りすまして…
『失礼致します…その首、頂きに参りました』
声を掛けると同時にUCで右手をドラゴンの頭に変えて頭を狙って喰らいつく!
防がれたならそのまま至近距離を保持して【見切り】【怪力】【グラップル】での殴り合いに持ち込む!
至近距離での殴り合いに持ち込めばガトリング砲は使えないはず!
幹部衆が相手だ、八つ裂きにする覚悟で挑ませて貰う!

『その命、頂戴致します…なんてなぁ!』


フランチェスカ・アルヴヘルミ
心情:随分立派な重火器を持ち込まれていますが、取り回しが悪く思えますね。
…そこを突いてみますか。

戦闘:POW
装備:ワイルドホース、キャラハン・マグナム
物陰から忍び足で近づきワイルドホースの銃剣で奇襲。
「挨拶前の不意打ちも一度はセーフ」らしいのでそのまま挨拶です。

「ドーモ、アレキサンドライト=サン、フランチェスカです。大人しく投降すれば苦痛なく逝かせますがお答えは?」(礼儀作法)
これだけ堂々と名乗ればエルフに注意がいく事はないでしょう。

ガトリングを撃たせないよう間合いはダッシュで詰め、銃撃と刺突で壁際まで追い詰めます。
キャラハン・マグナムに持ち替え重量攻撃で動きを止め、恋情発勁を打ち込み終いです



●アンブッシュ
 チーフメイド・アレキサンドライトが迷いの森へと足を踏み入れ、辺りを見回す中でひっそりと近づく2つの影がある。エルヴィンとフランチェスカだ。

「目標を確認、まだ気づかれていないな」
「ふむ、下手に物陰から攻撃するとエルフの皆さんに流れ弾があたってしまうかもしれません。不意討ちをしたら姿を現して注意を引くべきでしょう」
「なるほどね……確かにエルフに被害が出るのはマズいな。それでいこう」

 フランチェスカの提案に頷くと、エルヴィンはその身に纏う外套「ECLIPSE」の力を発揮する。次の瞬間、彼の姿はアレキサンドライトそっくりの姿に変わっていた。

「ほう、見事な変装ですね」
「そっくりだろ」
「では、ダブルメイドのアンブッシュと参りましょうか」

 エルヴィンとフランチェスカは隠密行動を行いながらアレキサンドライトの側へと接近する。森の地形を利用しながらできる限り物音を立てず、気配を殺してアレキサンドライトのすぐそばへとやってきた。襲撃ポイントを決めると、二手に分かれる。フランチェスカは前から、エルヴィンは後ろから。フランチェスカの目配せに、エルヴィンは頷く。

 先に仕掛けたのはフランチェスカだ。茂みから飛び出すと、突撃銃「ワイルドホース」の先端に取り付けられた銃剣で刺突しようとする。

 突然の奇襲に驚愕したアレキサンドライトはこれを手持ちのガトリングを横向きに構えることで防ぐ。初撃を防がれたフランチェスカは飛び退いた。

「ドーモ、アレキサンドライト=サン、フランチェスカです。大人しく投降すれば苦痛なく逝かせますがお答えは?」

 以前読んだペーパーバック小説の主人公の名乗りを真似して挨拶する。その小説いわく「挨拶前の不意打ちも一度はセーフ」とのことだった。

「く……ご丁寧な挨拶痛み入ります、フランチェスカさん。そしてその答えにはノーと言わせていただきましょうか。のこのこと1人で現れたことを後悔なさい」

 接近戦を仕掛けてくると判断し、身体の組成を組み替える。その体色は赤紫色に変じ、物理的な衝撃に対する耐性を得た。ガトリングを構えて接近戦に持ち込ませまいとするが、その時。

「失礼致します…その首、頂きに参りました」

 アレキサンドライトの死角から聞こえるもう一つの声。まるで自分そっくりの声にアレキサンドライトは虚を突かれる。次の瞬間、振り向いたアレキサンドライトが見たものは、自分と瓜二つの姿をしたものが右腕を竜の頭に変じて襲いかかる姿だった。

「ぐ……!」

 この不意討ちには流石のアレキサンドライトも対応がしきれない。竜の顎がアレキサンドライトの肩口に食らいつく。物理的な衝撃を軽減するとは言え、掴まれてしまい身動きを封じられてはガトリングも使えそうにない。

「状況判断が足りていませんね。2人です」
「挟撃……!」

 アレキサンドライトは、ぎりっ、と奥歯を噛む。このままでは徐々に不利。2人が仕掛ける接近戦をなんとか捌きながら、徐々に木を背にした状態に追い込まれる。

「その命、頂戴します……なんてなぁ!」
「似姿如きが!」

 自らの似姿が仕掛ける猛攻に追い詰められながらも、闘志は失わないアレキサンドライト。だが、エルヴィンは攻撃の手を緩めない。少しでも隙を見せればガトリング砲が火を吹くのは必至。ならば、その隙を徹底的に与えないだけだ。

 そして、それはフランチェスカの猛攻を許す決定的な好機となる。ストッピングパワーに優れた大口径の自動拳銃「キャラハン・マグナム」が火を吹き、エルヴィンの攻撃で損傷した肩口に銃弾を食い込ませる。

「これで……」
「トドメだ……!」

 フランチェスカの奥義である「恋情発勁」、そしてエルヴィンの右腕の竜頭が同時に襲いかかり、アレキサンドライトは木の幹に叩きつけられた。

「ぐっ、がぁぁぁっ……」

 不意討ちからの痛撃に、アレキサンドライトは大ダメージを負ってしまう。頭の片隅で、どうやって猟兵たちが地の利を得たのかを考えようとするが、その答えは出ないままだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

しっかり私達を認識できててないならアレで、やりたいこともできるかも

(エルフさん達には、アレキサンドライトをUCで罠を張った方に追い立ててもらうだけにして、地面にも下りない様にしてもらう)

(UC『万花変生』を使用。地面に周りを霧で包む事ともう一つの能力を持ったマンイーターの植物を生やしかかるのを待つ)

この霧の中で、私の姿が分からないのなら・・・
銃声と悲鳴が聞こえたし、かかったかな?

(人に擬態する力もあるマンイーターに近づいて、毒で動けなくする罠にかかり弱っているアレキサンドライトを見つけて)

うん、いけそうかな?

(動けないところに隷属させる植物を植え付けて、隷属させようとする)



●ブレインジャック
「……ぐ、う……奴らは行きましたか」

 突然の不意討ちによって痛撃を受けたアレキサンドライト。想定以上のダメージを受けた彼女はいわゆる「死んだふり」を余儀なくされる屈辱を味わっていた。前後からの挟み撃ちで逃げることも叶わず、アレキサンドライトは、戦闘不能を装うしかなかったのだ。

「おのれ猟兵……しかし地の利を得たのはどういうことなのでしょう」

 ことここに及んで、未だに猟兵がエルフを味方につけているという実情を理解できていないアレキサンドライト。猟兵は単独で襲ってくるもの──そういった固定観念を拭い去ることが、彼女にはできなかった。

 一方、そんなエルフたちを味方につける恩恵を最大限に味わっているのは七十だ。

「しっかり私達を認識できててないならアレで、やりたいこともできるかも」

 遠目が効く案内役のエルフや、腕利きのボウガン使いのエルフと共にアレキサンドライトのいる位置へとやってきた七十は、ふむ、とここからの動きを思案する。

「なぁ、守り手さん。どうにかして奴が森を燃やした動機を聞き出せないかね」
「それと、まだ生き残ってる奴の情報を握っている可能性もあるしな。できることなら捕らえて尋問したいが」
「尋問ですか……あ、それならちょうど良い手がありますし、やっちゃいましょうか」

 七十は意を決して作戦を組み立て、エルフに献策する。

「なるほど、そういう力があるのなら確かに効果的だ」
「わかった、では手筈通りによろしく頼むよ、守り手さん」
「はい、くれぐれも気をつけてくださいね」

 エルフたちと七十は作戦を簡単に打ち合わせると、すぐに散開した。七十は道案内のエルフたちと共に取り決めたポイントに向かい、斥候役のエルフたちはアレキサンドライトに接近して木の上からボウガンで矢を撃ち込む。

「く……敵襲!?」

 アレキサンドライトはこれをやりすごし、ガトリング砲で反撃を試みるが手応えはない。どうやら移動しながら矢を放ってきたようだ。アレキサンドライトは舌打ちしながら矢を射かけられた方へと移動する。すると移動した先でまた矢が飛んでくる。姿を見せない射手たちを追って、アレキサンドライトは森の奥へと分け入っていく。

 それが七十たちの策であった。指定したポイントには七十がユーベルコード「万花変生」で生やした人喰い植物・マンイーターが待ち構えている。マンイーターも植物であるためか、大樹からの魔力を受けて異常成長を遂げていた。
 さらに、アレキサンドライトが斥候役のエルフたちに釣り出される格好でそのポイントに足を踏み入れた瞬間、辺りが霧に包まれる。アレキサンドライトは視界を霧で奪われる中、現れたマンイーターはエルフの射手たちに擬態し、ボウガンを構えていた。

「……ようやく降りてきましたか。ですが火力はこちらが上!」

 ガトリング砲の射撃でエルフの射手をなぎ倒そうとするも、何故か彼らはガトリング砲を受け付けない。それもそのはず、擬態したマンイーターは異常成長によって、ガトリングの銃弾に耐えうるだけの耐久力を身につけていたのだ。逆に霧に混じって放たれた毒気にやられ、急速に体力を消耗してしまうアレキサンドライト。

「ぐ……何故、何故倒れないのです……く、う……」

 ついに毒がアレキサンドライトの身体を蝕み始め、前後不覚に陥る。全身も麻痺してしまうところで、七十は茂みから飛び出した。

「うん、これならいけそうかな?」

 七十は地面に手をあてると、アレキサンドライトのいる地点に精神を隷属させる植物を放つ。

「さぁ、いくつか聞きたいことがあるので従ってもらいましょうか」
「……はい」

 アレキサンドライトの精神は植物が放つ精神隷属の力によって、七十の前で頭を垂れた。

「今回の襲撃の目的は大樹で間違いないんですよね?」
「はい。大樹メリエスを奪い、天上界への手掛かりを得る。それが目的です」

 聞かれるままに答えるアレキサンドライト。その答えを聞いて、グリモア猟兵の情報通りだ、と七十は頷く。

「現在の残存戦力は?」
「ほぼ壊滅状態と判断しています。四方に放った兵力の進軍が停止したため、彼らの生存を絶望視しています」

 七十はその答えを聞いて考え込む。他の斥候からの報告も、現在入ってくるのは敵の遺体くらいのものだ。生存している敵が見つかったという状況もない。最初の猟兵の攻撃で樹海からは駆逐できたのだろう。

「ならば最後に命じます。 ──貴方は自らをガトリング砲で撃ちなさい」
「はい、ご主人さま」

 アレキサンドライトは生気のない瞳で頷くと、ガトリングの銃口を自らの腹に向け、引き金を引く。クリスタリアンである彼女の身体は銃弾が食い込むに留まったが、毒によって体力が奪われている状況であるために、蓄積したダメージはそのまま彼女の意識を奪い去ってしまった。

「おぉ、さすが守り手さん。凄いな、完全に言うことを聞かせてしまうとは!」
「この植物もよく頑張ったなぁ」

 全てが終わると、エルフたちが木の上から続々と降りてくる。マンイーターや毒を持つ植物たちは、予め猟兵やエルフに対しては特に危害を加えないようにしつけてあった。

「なんとか上手くいきましたね。ところでこの植物、どうしましょう」
「それなんだが、大樹の守りを固めるために植え替えをしたいんだが」
「またいつ不埒な輩が現れるかわからないからな、今後はこのマンイーターたちにも力になってもらいたいんだ」

 エルフたちはマンイーターを頼もしく見上げる。こうして、今回の勝利の立役者となったマンイーターたちは、グリューン樹海の新たな住人として迎え入れられることになったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋翠・華乃音
確かに君はそれなりに強いのだろうな。
だがそれだけで戦況を覆せると思わない方が良い。

優れた単騎のみで打開出来るほど戦場は甘くないことを教えようか。
況してや地の利の有無は戦場レベルでも決定的だ。


戦法は単純なヒット&アウェイ。
絶えず木々を渡るように跳躍し、かと思えば一所で息を潜める。
緩急自在。神出鬼没。

銃弾は精密に急所を穿つ。
外しはしない。その必中は約束されたようなもの。
例え一手は軽くとも、雨垂れが軈て岩を砕くように何度も重ねて。

天の時、地の利、人の和。
――敗因は言うに及ばないだろう。



●天地人を味方につけたもの
「なんと……なんと恐ろしい力を持っているのですか……ッ、猟兵……!」

 アレキサンドライトはまだ生きていた。ふらふらと立ち上がり、己を傷つけたガトリングを再び構え直す。

「確かに君はそれなりに強いのだろうな。だがそれだけで戦況を覆せると思わない方が良い」

 その時、どこからともなく声が聞こえる。

「何奴──」

 アレキサンドライトは辺りを見回すが、姿が見えない。

「優れた単騎のみで打開出来るほど戦場は甘くないことを教えようか。況してや地の利の有無は戦場レベルでも決定的だ」

 声はなおも告げる。

「馬鹿な……猟兵がすでに地の利を得ていたと……!?」
「それを証明しよう」

 次の瞬間、死角から一発の銃声が響き、アレキサンドライトの肩口を貫く。

「ぐっ……!? そこですか!」

 ガトリングが火を吹き、木を薙ぐ。しかしそれ以外の手応えがない。

「どこを見ている」

 また銃声。今度の銃弾は太腿を貫いた。

 声と銃声の正体は華乃音だった。木々の間を跳躍しながら死角から急所を狙う一撃離脱戦法だ。弾丸が切れると、予備のマガジンを予め持たされて待機していたエルフが素早くマガジンを渡し、再装填をスムーズに行う。

「守り手さん、奴は弱っている。トドメを」
「了解だ」

 雨だれが石を穿つがごとく、銃弾による死角からの一撃の繰り返しはついに猟書家チーフメイド・アレキサンドライトを葬り去る寸前まで追い込む。

「天の時、地の利、人の和。――敗因は言うに及ばないだろう?」
「どうやら……その通りのようですね……。此度の作戦を猟兵に察知され……エルフが猟兵を味方に引き入れた……そして、迷いの森を踏破するに耐えうる地の利までも猟兵が握っていた……! 負けるべくして、負けたんですね、私は」

 ふっ、と諦めたように笑みを浮かべるアレキサンドライト。

「どうやらチェックメイトのようですね……投了です。もはや言い残すことはありません」
「そうか……では、お別れだ」

 樹海の中で、最後の一発の銃声が響き渡る。
 それは、猟書家チーフメイド・アレキサンドライトの弔砲も兼ねていた。

 こうして、グリューン樹海をめぐる戦いは猟兵たちの勝利に終わった。猟兵が素早く駆けつけることで襲撃に間一髪間に合い、エルフたちの中に死傷者は出ていない。焼失したエリアの木々も、猟兵たちが植林を手伝い、近いうちに復興を遂げるだろう。

 エルフとともに樹海を救った守り手──猟兵たちの伝説は、グリューン樹海の歴史の新たな1ページを紡ぎ出し、エルフたちの間で後世まで語り継がれていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月23日
宿敵 『チーフメイド・アレキサンドライト』 を撃破!


挿絵イラスト