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もう真冬だけどこの世の服という服を水着にしてやろうぜ!

#UDCアース #水着結界シリーズ

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#UDCアース
#水着結界シリーズ


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 UDCアース世界。極東の島国、日本。
 年の終わりが近づくと、この国の商業地域はとあるイベント一色に染まる。
 そのイベントの名は、『クリスマス』。イルミネーションに彩られた街は家族友人恋人で賑わい、商店はクリスマスセールに大忙しとなるイベントである。
 ……本来は、とある宗教の聖人の誕生を祝う日であるのだが。まぁお祭り大好きな日本人からすれば、些末な事である。

「ふふっ……出来た、遂に出来た!」

 そんな陽性の活気に染まる街とは正反対の、どこか陰気な声が部屋に響く。
 声の主は、女だった。長い黒髪を後ろで束ね、オーバーオールを着込んだ豊満な肢体に白衣を纏った女である。
 ここは、とある邪神の研究拠点。日夜、世を混沌へと導く為の様々な研究が繰り広げられている……そんな、悪の巣窟である。

「『彼ら』の働きは、実に大きなヒントになったわ」

 先に逝った同輩に祈りを捧ぐ様に瞑目する女。
 晩夏のある日、とある地方都市で殉教を果たした邪教徒達。
 邪神の力で世を導く為にと。己の身を文字通り捧げたその献身は、彼女の研究に大きなヒントを与えていた。
 彼らが献身の果てに得たのは、世を混沌に導くに相応しい力であった。
 そう、この力があれば……クリスマスに浮かれる人々を、恐怖と混乱と絶望のどん底に落とす事など造作も無いはず。

「──そう! この『水着結界』の力があれば!」

 ……ん? んんん???
 この場に余人がいれば、『コイツ何言ってんの?』的な困惑を覚える事だろう。
 だが幸いな事に(或いは不幸な事に)この場には女以外に人は居らず、ツッコミが入る事も無い。

「世界が混乱に満ちる日が楽しみだわ! はーっはっはっは!!」

 随分とテンションが上がっているのか、高笑いを……あ、むせた。
 独り大騒ぎをする女。そんな彼女の目の前には、防護カバーに覆われたボタンが付いた謎の装置が存在感を主張するのだった。



「お集まり頂きまして、ありがとうございます」

 グリモアベースに集まる猟兵達を、揺れて輝く銀糸の長髪が迎え入れる。
 ヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)の表情に浮かぶのは、常と変わらぬ穏やかな微笑み。
 だが、良く見れば。その笑みの端にはどこか、困惑の色が見えるような気がする。
 ……ヴィクトリアのそんな表情には、何となく既視感があるような気がする者もいるかもしれない。

「今回皆さんに赴いて頂きますのは、UDCアース世界。日本国の、とある地方都市です」

 暦は冬。日が経つにつれ寒気が少しずつ増していく季節である。
 そんな季節に街を賑わせるのが、年末に控える大型イベント。クリスマスである。
 その当日に向けて街は輝きに彩られ、人々は楽しげに街へと繰り出すのだが……。

「どうやらその陽性の活気を疎ましく思ったのか、とある邪神が暗躍を企てているようなのです」

 今回皆さんには、その邪神の討伐をお願いしたいのです、とヴィクトリアが語る。
 ヴィクトリア曰く、敵が動き出すのはクリスマス当日であるらしい。つまり現時点では、特に被害の類は出ていないという事である。
 だが、しかしだ。世界を混乱に陥れようとする邪神の動きを知れた以上、放置する理由は無い。
 被害を未然に防ぐのも、猟兵の大切な務めであるのだから。

「敵の潜伏先は判明していますので、皆さんには現地に直接乗り込んで頂く形になります」

 余計な調査や捜索などをする必要は無い。まっすぐ行って、邪神を討ち果たす。実にシンプルな依頼である。
 とは言え、敵も何の備えもしていない訳が無いだろう。何か情報が無いかと猟兵が尋ねれば……。

「……申し訳有りません。邪神についての詳細は不明です。ただ……」

 申し訳無さそうに。いやそれ以上に困惑したように、ヴィクトリアが頭を下げる。
 そんなグリモア猟兵の様子に、既視感を感じていた何人かの猟兵は、気がつくだろう。
 彼女のその表情は、およそ三ヶ月前くらいに浮かべていた表情と同じモノだと言うことに。

「その……敵が、『水着結界』の力を手中に修め、何やら細工を施している様子は垣間視る事が出来ました」

 そしてその予感は、正しいモノであった。
 『水着結界』。数ヶ月前に猟兵達がとある高級ホテルで体験した、非常に厄介な結界である。
 その効果はずばり、『踏み入った者を強制的に水着に着替えさせる』という物。その効力は強力無比で、性別や種族などお構いなしに効果を発揮する結界である。
 この結界の恐ろしい所は、『着替えさせられる水着がランダムである』という点にある。装着者に良く似合った逸品から奇を衒ったネタ水着、本当に水着が疑わしい物まで、多種多彩である。
 対策は、無い。最初から水着を着込んでいようが、お構いなしに別の水着に着替えさせられてしまう。発動したら最後、水着姿を晒すのを受け入れるしか無いのだ。
 ……一体どこの誰がこんな結界を考え、編み出したのか。深く考えると頭が痛くなりそうである。

「とは言え、過日の事件の様に踏み込んで即水着、という事は無いようです」

 どうやら敵もまだ、完全にその力を掴めていないのか。それともその『細工』とやらが不完全なのか。その事実の程は判然としないが。
 一つだけ言えるのは。今回の依頼は、とにかくスピード勝負であるという事だろう。
 実に厄介な案件だ。万一水着結界に身を晒されれば、恥ずかしい姿を晒すだけでなく、邪神の狂気にも触れる事になるだろう。
 ……まぁ、猟兵ならばこれくらいの事で狂気に呑まれる事など無いとは思うが。

「もし、不安が在る方は……戦闘後に近くの施設でストレスを発散する事をお勧めしますね?」

 幸い、戦場近くには大型ショッピングモールがある。
 クリスマス時期という事で多くの商品が並んでいるはず。買い物に精を出すのも良いし、見て回るだけでも楽しめるだろう。運が良ければ何らかのイベントが行われているかもしれない。
 出費に関しては、現地組織が報酬という形で出してくれるから心配はいらない。思う存分、ストレスを発散すると良いだろう。

「……猟書家の侵略に各世界が揺れる中ですが、今を生きる人々の日常を護る事も猟兵の務め」

 皆様の御力を、お貸し下さい。
 そう告げ、丁寧に頭を下げて。ヴィクトリアは猟兵を現地に送り出すのだった。


月城祐一
 じんぐるべーじんぐるべー。
 どうも、月城祐一です。もう街はこんな季節かよ。今年ホント何もしてないゾ(唖然)

 今回はUDCアース。緩い空気なちょびっとお色気コメディ系依頼。
 真冬だけど、皆さんには水着になって頂きます(壮絶なネタバレ)。

 参考までに、以前の『水着結界』関連の依頼は ↓ こちら ↓ になります。
( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=28085 )
 読まずにご参加頂いても問題はありませんが、宜しければ是非ご一読下さい。
 以下、補足となります。

 第一章は集団戦。
 現地に転送された猟兵達を迎え撃つ、研究所の警備システムが解き放った『暴れまわるティラノサウルス』が相手となります。

 サイズに関しては個体差があるそうですが、今回相手をする事になるのは成人男性より一回り大きい程度の大きさです。
 戦闘力に関してはそれほどでも無い感じですが、とにかく至る所から唐突に出現します。またその数も大量です。
 その辺りを頭に置いて立ち回ると良いかもしれません。

 第二章はボス戦。
 ティラノサウルスを薙ぎ倒し、研究所の最奥に進む事で相対する事となります。

 ボスの詳細についてはOPで触れられている情報以外は不明です。
 章が進展次第、詳細については開示されますのでご了承下さい。

 ……一つだけ。敵は『水着結界』の力を手中に修めています。
 対峙する際は、徳を積み上げた状態でご参加下さい。
 全てはダイス神の御心のままに。

 見事ボスを撃破出来れば、第三章はショッピングモールでのお楽しみが待っています。
 クリスマス時期の賑やかなショッピングモール。買い物するも良し、ウィンドウショッピングも良し。費用に付いては心配いらないので、お好きな様にお楽しみ下さい。

 人々が心待ちにする聖夜を狙う、邪神の悪意。
 猟兵達はその悪意を討ち果たし、人々の日常を守れるだろうか。
 皆様の熱いプレイング、お待ちしております!
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第1章 集団戦 『暴れまわるティラノサウルス』

POW   :    がぶがぶ
【噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    びたーん
【尻尾】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    がおー
【大きな鳴き声】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 グリモア猟兵の手引により猟兵達が降り立った地は、無機質な白い壁で覆われた通路だった。
 周囲を見渡しても、気配を読み取ろうとも。人の気配は、感じられない。
 ……どうやら無事に、邪神の研究拠点の只中へと降り立つ事が出来たらしい。

 ──ビィィィィ!! ビィィィィ!!

『侵入者ヲ感知。侵入者ヲ感知』

 状況を把握した、その瞬間。響き渡る警報音と機械音声。やはり、備えの類はあったらしい。
 さて、一体何が出てくるか──。

『迎撃システム、開放シマス』

 身構える猟兵達を迎え撃つかのように、通路や天井、床などの至る所が割れて飛び出てきたのは、巨大な頭部と鋭い牙、全てを薙ぎ払う強靭な尾と空気を震わせる咆哮が特徴的な獣脚類。
 恐竜の王者、ティラノサウルス……の、小型版であった。
 だが、小型版と侮るなかれ。成人男性より一回り大きい程度の体格とは言え、その獰猛さは暴君竜の名に相応しく……それに何より、数が多く神出鬼没だ。
 まずはこの恐竜の群れを薙ぎ倒し、施設の奥へと進まねば。幸い、例の『水着結界』はまだ発動していないようだし、本気を出して暴れるのに支障は無いはずだ。
 猟兵達はそれぞれの武器を構え、迫り来る暴威に挑むのだった。
セフィリカ・ランブレイ
【カビィちゃんと(f24111)】

とんでもない水着を引いた時、動揺し戦闘力が落ちる
この問題に対処すべく最適の人材を連れてきた
カビィちゃんなら何が起きても大丈夫でしょ!

『毒を何とかする話で毒の入った壺を叩き壊してる感じするわ』
シェル姉……相棒の魔剣のボヤキは聞こえない聞こえない

ま、今は普通に戦えるわけだし!
相手が爬虫類っていうなら……

…うわあ。カビィちゃん、おもしろーい……
いかにも自信あるって顔がムカつく……
でも、効いてるかも。爬虫類だしね……寒さには弱いよね、そりゃ

『この状況で斬るのなんかヤなんだけど』
わーんごめんね!勝てばいいのだ精神で!

【月詠ノ祓】
影響を受けた恐竜を纏めて切り払っていくよ!


カビパン・カピパン
【セフィ姉と(f00633)】
私の名前はカビィリカよ!


(説明しよう!カビィリカとはセフィリカの妹と自称して唐突に出てくる、もう一つの人格である!人格はカビパンそのものであり、要するにいつものカビパンがカビィリカと名乗っているだけ!)

恐竜の王者に相応しいつまらないギャグが思いついた。

「私以外はどうなってもいい、私だけは助けてこのギャグは聞いて!!」

【ギャグセンス皆無な雪女】
「恐竜効果を今日、流行歌?なんちゃって」
言葉の通じないティラノサウルス達と悪霊でも、それが究極につまらないという想いは一緒だった。
空気を凍らせ、時間さえも完全に停止させた。

後はセフィ姉が何とかしてくれるでしょう。そう信じて。





 『水着結界』。結界内に踏み入った者が纏う衣服を、強制的に水着に変えるという結界である。
 その力は、性別も種族も何もかも無視して効果を発揮する程に強力である。
 その上、着せ替えられる水着はランダムであり……それは本当に水着なのか? と思う様なとんでもない物が出てくる可能性がある事を、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は、実地で体験して知っていた。
 布地面積が極端に少ない水着程度ならまだしも、まかり間違って『貝殻ビキニ』だの『前張りIバックショーツ』だのと言うトンデモ枠を引いてしまえば。自身に絶対の自信を持つセフィリカであっても、流石に動揺は避け得ないだろう。
 ……故に今回、セフィリカはこの問題に対処すべく最適の人材を連れてきていた。

「──カビィちゃんなら何が起きても大丈夫でしょ!」
『毒を何とかする話で毒の入った壷を叩き壊してる感じがするわ』

 自らの策にグッと拳を握るセフィリカだが、腰に佩く相棒、魔剣シェルファのボヤキは聞かなかった事にする。
 ……さて。そんなセフィリカが連れてきた『何が起きても大丈夫』だとか『暴力(物理)は全てを解決する』みたいな散々な言われ方をされている件のカビィちゃん……カビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)はというと。

「カビパン? 違うわ……私の名前は、カビィリカよ!」

 なんか唐突に、自分の名前を詐称していた。

 ──説明しよう! 『カビィリカ』とは、セフィリカの妹と自称して唐突に出てくるもう一つの人格である!
 ──なおその人格はカビパンそのものである。要するに、いつものカビパンがカビィリカと名乗ってるだけなのだ!!

 ……謎のナレーションが解説してくれたが、キャラが濃すぎて正直言ってワケがわからない。
 成程、これだけの『キャラの濃さ』という暴力があれば、『水着結界』でアレなのを引いても大丈夫……なの、か?

『『『GOOOAAAAAA!!』』』

 そうこうしている内に、二人の前に飛び出してくるのは恐竜の群れ。
 空気を切り裂くかのような咆哮が通路に響けば、二人の肌に電流の様な刺激が走る。

『気をつけなさいね。小型とは言え、凶暴だし数も多いわ』
「りょーかい。ま、今は普通に戦えるわけだし! 相手が爬虫類っていうなら……って」

 警戒を促す相棒の声に頷きつつ、身構えるセフィリカ。
 だがそんな彼女の前に進み出たのは、蒼玉の首飾りを輝かせて雪女の姿へと変じたカビパン……いや、カビィリカだった。
 カビィリカの頭に浮かぶのは、幾つもの言葉。その言葉を組み合わせ……。

「私以外はどうなってもいい。私だけは助けて、このギャグは聞いて!!」

 ──恐竜効果を今日、流行歌? なんちゃって。

 恐竜の王者に相応しい、『つまらないギャグ』を紡ぎ出す! って今、自分だけは助けてとか口走ってなかった???
 ……いやまぁ、その辺りは横に置いて。自信満々な表情のカビィリカの口から飛び出したギャグは、文字通り空気を凍らせ、時間すらも完全に停止させる程の『寒い』出来であった。

(……いや、うん。爬虫類だしね。『寒さ』には弱いよね、そりゃ……)

 その寒さの前に、まさに凍りついたかのように暴君竜はピクリとも動かない。
 実際、セフィリカの肌も『寒い』と感じているのだ。恐竜達が耐えられるとは思えない。
 ……とは言え、だ。

「……うわぁ。カビィちゃん、おもしろーい……」
「フッフッフ。それじゃ、後はセフィ姉よろしく」

 このまま凍ったまま、という訳にもいかないだろう。
 ドヤ顔をキメて後ろに退くカビィリカに対して内心、『つまらないしその自信満々のドヤ顔がムカつく』とか思いつつ。言葉を優しさというオブラートに包んだセフィリカが腰の魔剣を引き抜いて、構える。
 ……恐竜は今も、凍ったままだ。これなら一息に踏み込んで両断するのは、難しく無いだろう。

『この状況で斬るの、なんかヤなんだけど……』
「わーん、ごめんねシェル姉! でも今は勝てばいいのだ精神で!」

 響いた姉貴分のボヤキに謝罪しつつ、グッと地を蹴り刃を振るえば。
 凍りついた恐竜の群れは抵抗することも出来ず、鋭い剣閃を受けて横一文字に断たれて崩れ落ちていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

響・夜姫
なるほど。水着でティラノお肉パーティー。
理解。
「では、早速。ふぁいやー」
【範囲攻撃/制圧射撃/弾幕/誘導弾/一斉発射/2回攻撃】といった技能を活かし、とりあえず銃弾と砲弾とビームを全方位にまき散らしながらゆっくり歩く。
曲がり角や死角、扉の向こうには浮遊砲弾サバーニャを先行させて【先制攻撃/乱れ撃ち】。
無駄弾という概念は無いので、敵の有無に関わらずズドンしてから見に行く。
「くりあー」
建物ごと壊してもいいやくらいの勢い。
敵の攻撃に対しては浮遊砲台サバーニャの【オーラ防御/武器受け】で防御。

「ぺんぎんさん、めんち。お肉、食べられそう?」
食べられるなら、わにが【運搬】。あとで鍋にでもしよー。





 通路にわらわらと群れ出るティラノサウルスの群れ。
 一般人なら恐慌に陥るであろうその状況を前にして、響・夜姫(真夏の星の夢・f11389)に動揺は無かった。
 感情の起伏に薄いその表情で、何事かを理解したかのようにふむふむと頷く。

(……なるほど、水着でティラノお肉パーティー)

 いや、微妙に理解がズレている様な気がするが。それはまぁ、置いておいて。
 ……兎にも角にも、目の前の恐竜達を薙ぎ倒さねば話にならないだろう事は確かである。
 で、あれば。

「では、早速」

 ふぁいやー、と。
 間延びした棒読み口調のその声と共に放たれたのは、無数の銃火。
 両の手に持つ銃と纏う浮遊砲台から放たれる火線の数々が全方位に撒き散らされて、その度に響くティラノサウルスの断末魔が響く。
 どうせこの研究施設は邪神の持ち物だ。ならば建物ごと壊してしまっても構いやしないという勢いで、砲火を撒き散らしながら夜姫は通路をゆっくりと進み……。

「む?」

 行き着いたのは、T字になった曲がり角。曲がり角のその先の様子は死角になっていて、わからない。
 普通なら、ここで脚を止めるだろう。曲がり角……死角に敵が潜んでいる事を警戒し、突破の為の策を考える事だろう。
 ……だが、夜姫は。生命の埒外にある存在である、猟兵である。
 そんな彼女であれば、通常の発想に囚われるかのような愚を犯すはずも無い。

「虚数物質解放。選択虚数軸・複製──現世を満たせ、虚構の器」

 呟き複製したのは、自身が操る浮遊起動砲台。
 生成したその砲台を念力で浮かばせ、通路の先へと進ませて。

 ──ッズドドドガガガガガガガガッッッ!!

 そのまま、空間全てを薙ぎ払うかの様な勢いで掃射する。
 これだけ撃ち込めば、仮に敵が潜んでいても関係ないだろう。
 ……弾切れを起こした複製砲台が虚空に掻き消える中、ひょっこり通路の先を覗き込む夜姫。

「……くりあー」

 そこにいたのは、穴だらけとなった数体のティラノサウルスの死骸。
 どうやら奇襲を狙い潜んでいたようだが、今の掃射の前に敢え無く撃ち抜かれたらしい。
 ……夜姫に追従する宇宙ペンギンと従えたドラゴンがとことこと死骸に近づき、状態を確かめる。
 穴だらけ、ではあるが。一応まだ、原型は留めている。食べられる部分は、ありそうだ。

「ぺんぎんさん、めんち。お肉、食べられそう? ……そう。それじゃ、わに。運搬よろしく」

 そんな様子を見守りながら、グリードオーシャンで従えたワニに収穫を積み上げていく。
 ……今晩は、ティラノサウルス肉の鍋にしよー、と。夜姫の頭は、献立を練り上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ザイーシャ・ヤコヴレフ
@SPD・ゲーマーズ
ヴィーシャのお手伝いに来たけど…ふぅん、夏のバーベキューと一緒で竜退治なんだね
何して遊ぼうかな…何か物凄くはしゃいでる子が居るね
ねぇ、恐竜はもう居ないんだよ?
……ふふ。そうね、忘れんぼうさん
決ーめた。この子と一緒に遊ぼうっと
ねぇ、お名前は?
……そう、ウィルね。私はザイーシャ、よろしくね♪

じゃあ、私はサメ映画撮影ごっこしようかな
んー、ティラノザウルスが相手なら…ライバルのトリケラトプスかな?
それなら、サメとトリケラトプスを合体した『トリシャークラプス』
頭に生えた3つの角で【ランスチャージ】しながら噛み付く子だよ、いいでしょ?

……ふふ、男の子って単純だね
さ、思う存分遊びましょ


ウィル・グラマン
●SPD・ゲーマーズ
すっげー!恐竜でティラノザウルスじゃねーか!
宇宙船のホロゲームと違って生きてる本物はやっぱすげーよな…へっ?あれは作り物?
……ああ、そうだったな!知ってるぜ、恐竜は絶滅した
オレ様としたことがうっかりしてたぜ!!

作り物同士、オレ様の恐竜とバトろうぜ
バトルキャラクターズでゲームデバイスから育てたモンスターを召喚して現実化だ
コイツの必殺技はメガフレイムだ
火を吐く恐竜はいいよn…なんだよ、その恐竜!?
…サメとトリケラトプスを組み合わせたって?天才か、お前!!
んならオレ様も奥の手、ジョグレスだ!
グレイザウルスとメタルガーを合体させたサイボーグの恐竜、その名もメタルグレイザウルスだぜ!





(ヴィーシャのお手伝いに来たけど……ふぅん。夏のバーベキューの時と一緒で、竜退治なんだね)

 通路を進んだ先にあった、ロビー状の空間。
 そこにひしめくかのように居並ぶ小型ティラノサウルスの群れに、ザイーシャ・ヤコヴレフ(Кролик-убийца・f21663)の口元が歪む。
 夏の頃、ザイーシャは母代わりでもあるグリモア猟兵の手引で夏の小川でバーベキューを楽しんでいた。
 その時のメイン食材は、森を縄張りとした『棘蜥蜴』なるモンスター。眼の前にいる恐竜と同じ、爬虫類型の敵であったのだ。
 今ザイーシャの頭には、当時の思い出が過ぎっているらしい。口元は弧を描き、目には悪戯めいた色の光が浮かんでいた。

「うーん、今回は何して遊ぼうかな……ん?」

 その時の楽しい思い出を、もう一度。いや、前回と同じじゃ楽しくない。
 一体どうしようか、と考えを巡らすザイーシャの耳が、何かを捉える。

「すっげー! 恐竜でティラノサウルスじゃねーか!」

 聞こえてきたのは、どこか小生意気そうな少年の声だった。
 別の通路からロビーに顔を出したのは、金髪の少年。恐らくは猟兵なのだろう。

「宇宙船のホロゲームと違って、生きてる本物はやっぱすげーな!」

 紫色の瞳を輝かせる少年。背丈や顔立ちから、年の頃はザイーシャと同じくらいだろうか。
 そんな年頃の少年ともなれば、動く恐竜を目の当たりにすれば興奮に目を輝かすのは自然な事であろうか。
 早熟な所のあるザイーシャからすれば、その様子は実に微笑ましいが……。

「あれは作り物だよ。恐竜はもう、いないんだよ?」
「へっ? 作り物? ……あ、ああ! そうだったな、知ってるぜ! 恐竜は、絶滅した!」

 いつまでも、感動に目を輝かさせてはいられないと。
 事実を淡々と指摘すれば、少年の表情もハッと我に帰るだろう。

「オレ様とした事がうっかりしてたぜ!!」
「……ふふ、そうね。忘れんぼうさん」

 胸を張る少年。その仕草に、ザイーシャの興味が向く。

(……決ーめた。今回は、この子と一緒に遊ぼうっと)

 恐竜に向ける悪戯めいた光とはまた別種の色を浮かばせるザイーシャ。
 その瞳の色に込められた意思とは、どんなものだろうか。
 ……まぁ、それはともかくとして。

「ねぇ、あなたのお名前は?」
「名前? あぁ、オレ様はウィル・グラマンだ!」
「そう、ウィルね。私はザイーシャ、よろしくね♪」

 お互いの名すら知らぬでは、連携を取ることもできはしない。
 名を尋ねるザイーシャの声に少年……ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)が答えれば。

『GULUOOOOO!!』

 もう待てぬ、と言わんばかりに。恐竜達が唸りを上げて、二人の元へと走り出す。
 ……もし、その強靭な牙に噛まれれば。また、強靭な尾で薙ぎ払われれば。小柄な二人では、一溜りも無いだろう。
 だから二人は、真正面からぶつかり合う様な事はしない。

「へへっ、作り物同士なら……オレ様の恐竜とバトろうぜ!」

 愛用のゲームデバイスを掲げて喚び出したのは、ゲーム内で育てたモンスター。
 メガフレイムという火を吐く必殺技を持つ、ウィル自慢の一体だ。

「火を吐く恐竜は……って、なんだよ、その恐竜っ!?」

 そんなウィルの度肝を抜いたのは、隣のザイーシャが喚び出した恐竜(?)だった。

(ティラノサウルスが相手なら……ライバルの、トリケラトプスかな?)

 思い描くのは、ティラノサウルスのライバル格として知られる角竜。
 ずんぐりがっしりとした頑健な体躯の、トリケラトプスのその姿だ。

(そのトリケラトプスに、サメさんの力を加えて……)

 そこに加えるのは、サメの力。そうして出来たイメージを混ぜて、形にすれば……。

「──じゃーん! サメとトリケラトプスを合体した、『トリシャークラプス』!」

 身体と角はトリケラトプス。だがその顔はサメという異形の存在。
 3つの角で敵を突き、サメの鋭い牙で敵を噛み砕く。
 その姿はまさしく、ザイーシャの考えた『わたしのかんがえたさいきょうのサメさん』だ。

「なんだよ、それ……!」

 そんな『トリシャークラプス』の姿は、ウィルに強い衝撃を与える物だった。
 サメと、トリケラトプスを組み合わせた? そんなの、そんなの──!

「──天才かよ、お前!!」

 凄すぎる発想じゃないか! と。
 少年特有の浪漫回路を、そして負けず嫌いの心を刺激され、ウィルの目に強い意思の光が浮かぶ。
 こんな凄い存在に負けない恐竜……ならば、ここは!

「んなら、俺も奥の手! ジョグレスだ!」

 更に一体、デバイスから恐竜を召喚。
 グレイサウルスとメタルガーを融合させて……!

「……その名も、『メタルグレイサウルス』だぜ!!」

 顕れたのは、機械の身体持つサイボーグ恐竜、メタルグレイサウルス!
 その鋼鉄の身体と吹き出す炎の力があれば、小型ティラノサウルスなど物の数ではない!

「いっけぇー! メタルグレイサウルス!!」

 目を輝かせ歓声を上げるウィル。その声を受けて、機械恐竜が敵を薙ぎ払っていく。
 ……そんなウィルの姿が、実に楽しそうで。

(……ふふ、男の子って単純だね)

 小さく笑みを浮かべながら、ザイーシャもまた『トリシャークラプス』をティラノサウルスの群れにけしかける。
 恐竜と恐竜の、血湧き肉躍る激しいぶつかり合い。その結果がどうなったかを……詳らかに語る必要は、無いだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

豊原・フィリス
あらぁ、恐竜さんねぇ
それじゃあ〈巨乳激甚撃〉でいってみましょう
敵の動きを見切り鎧無視攻撃
おっぱいの浸透衝撃をくらいなさぁい

オーラ防御と激痛耐性があるから敵の攻撃も、まあ耐えられるでしょう

それにしても『水着結界』ねぇ
わたしは恥ずかしさ耐性あるから、どんな水着でも問題ないと思うけどぉ……
この時期っていうのは季節外れじゃなぁい?





 真白い無機質な通路に、不釣り合いな程楽しげな鼻歌が響く。
 その鼻歌の主は、豊原・フィリス(セクシー系バーチャルキャラクター・f15722)。キマイラフューチャー世界にまだ人類が栄えていた頃に開発されていた、ちょっと(?)センシティブなゲームのデータから誕生したバーチャルキャラクターの猟兵だ。

(それにしても、『水着結界』ねぇ)

 鼻歌を奏でながら思うのは、今回の討伐目標が手中に修めたという『水着結界』なる術の事。
 着ている衣服を強制的にランダムな水着に変えるというその結界。その効果の強さは、対策すら出来ぬ程に強力なのだという。
 ……いやまぁ、それは良い。フィリスはその生まれからして『そういう事』に対して耐性があるし、どんな水着でも問題無いとは思うのだが。

(……でもこの時期っていうのは、季節外れじゃなぁい?)

 問題は、この時期だ。
 季節は年の暮れも迫った12月。日が経つにつれ寒さが強まり、人々は防寒具を纏う季節である。
 そんな時期に強制的に水着だなんてのは、確かに時期外れにも程がある。
 ……討伐目標の邪神とやらは、一体何を考えているのやら。

(まぁ、その辺りは当人に聞けばいいとして……あら)

 考えを巡らせながら通路を行けば、曲がり角の先から飛び出してくる影が一体。
 サイズこそ成人男性を一回り大きくした程度の物でしかないが、その姿は確かに……。

「あらぁ、恐竜さんねぇ」

 恐竜の王者、ティラノサウルスのその姿であった。
 不意の遭遇にティラノサウルスの側も一瞬虚を突かれたかのように目を見開くが、ぽんやりとしたフィリスの声と柔らかそうなその肢体に手頃な餌が転がり込んできたと感じたか。その目が厭らしく釣り上がり、大きな口をガバと開いて牙を剥いて迫る。

「……うふふ。触ってみたいの?」

 迫りくる暴君竜のその顎門は、一般人からすれば恐怖でしか無いだろう。
 だがそんな迫りくる死に対しても、フィリスの態度はぽんやりとしたままだ。
 ふふ、と笑えば大きな胸がゆさりと揺れて……。

 ──牙がその柔肌を裂く、その瞬間。恐竜の突進を見極めたフィリスの身体が流れる水が如く、牙の一撃を往なして躱す。

 何が起きたのか。牙を躱された事に眼を白黒とさせるティラノサウルス。
 生じたその大きすぎる程の隙を、フィリスは見逃さない。

「おっぱいの浸透衝撃を、くらいなさぁい」

 ぽんやりとしたその声のまま、たわわな胸を揺らしながら体当たり。
 瞬間、柔らかく、だが激しく超振動する胸の衝撃がティラノサウルスの身体に伝わり、体内組織に浸透すれば。
 身体を形作る細胞の隅々を揺さぶる衝撃に耐えられなかったか。恐竜の眼が白目を剥き、口からは泡を吹きだして。そのまま一息に、横倒しに倒れ伏す。

「……一丁上がり、とぉ」

 口元に柔らかな笑みを作るフィリス。
 だが周囲の気配を探ってみれば、また新たな敵が近づきつつある事に気づくだろう。
 ……目的地である、研究所の最奥。そこに辿り着くまでには、もう少し戦闘を重ねる必要がありそうだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
アルダワの戦争にあった装備を脱ぎたくなるスライムといい、この手の状態異常は防御回避不能ですね……
と、そんなことを言っている場合ではありませんか

聖槍を構えて吶喊、穿ち貫く(ダッシュ・ランスチャージ)
【ジャンプ】で跳び越え、頭上からグリーブで【踏みつけ】
【スライディング】で腹の下へ滑り込みながら槍で斬り裂く
噛みついて来る顎を石突で下からかち上げ、がら空きになった胴に【属性攻撃】【熾天流星脚】
振るわれる尾を【カウンター】で掴み、【怪力】で別の敵へ投げ付ける(投擲・吹き飛ばし)

数が多い……! 結界が発動する前に突破します!





「やぁぁぁぁぁぁッ!!」

 通路に響き反響する、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の裂帛の気合。
 構えた聖槍を眼前の恐竜に突き入れ、穿つ。
 崩れ落ちる恐竜。だが敵の数は、まだまだ多い。
 また別の個体がオリヴィア目掛けて体当たりを仕掛けに来たのを、今度はジャンプ一番跳び越え躱し、擦れ違いざまにグリープで踏み付ける。
 白銀に輝くグリープには、破邪の力が込められている。その力を以てすれば、邪神の作り上げた警備システムである恐竜など一溜りも無い。
 崩れ落ちる恐竜を一顧だにせず、オリヴィアは再び槍を構えて隙の無い構えを作る。

(──数が、多い……!)

 オリヴィアが進んだルートは、運が悪い事に敵が多いルートであった。
 ……幸いな事に、敵の戦闘力はそれほどでも無いようで。体力気力の消耗はまぁ、大した事は無いのだが……ただとにかく、手間と時間が掛かるのが面倒であった。

(あまり時間は掛けられないのですが……)

 ふぅ、と小さく息を漏らす。
 オリヴィアの頭にあったのもまた、『水着結界』の事であった。
 蒸気と魔法の世界での戦いでオリヴィアが体験した『装備を脱ぎたくなるスライム』の様に、この手の状態異常は割と良くある事である。
 そしてそれらの状態異常に共通して言えるのは、多くの場合『防御回避が不可能』であるという事である。
 当然、『水着結界』も例に漏れずと言った所であり……本当に、厄介な術である。

(……っと、そんなことを言っている場合ではありませんか)

 ほんの一瞬、オリヴィアの意識が思考に傾きかけて生じる隙。
 その隙を突くかのように、今度は数体の恐竜が同時にオリヴィアへと襲い掛かる。
 ……だが、あくまで同時に襲い掛かってきただけだ。その行動を『連携』と呼ぶには……稚拙に過ぎる!

「──フッ!」

 突進の勢いのままに鋭い牙を剥き出した恐竜の顎を、聖槍の石突でかち上げる。顔が跳ね上がり、
 がら空きとなる恐竜の胴。そこに聖なる炎を纏う蹴りを叩き込む。
 燃え上がり、吹っ飛ぶ恐竜の身体。後続の数体を巻き込み延焼すれば、炎は更に勢いを増して燃え上がる。

「……結界が発動する前に、ここを突破します!」

 また別の恐竜が振り回す尾を掴み上げ、逆に振り回して別の敵へと投げ付けて。オリヴィアの口から、強い決意の言葉が漏れる。
 防御も回避も不可能ならば、発動前に潰せば良い。それは確かに、最適解だ。
 ……だが、しかし。決意を新たにするオリヴィアの前には、また新たな敵の群れが立ち塞がる。
 次から次へと現れる恐竜たち。突破するには、もう少し時間が掛かりそうであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・クイン
ふ、ふーん、ショッピングねー
そりゃあアタシもレディだし、ちょっとくらい興味はあるけど? 
でも、もうちょっと楽勝のお仕事がよかったわ!

【太陽の家】の子と待ち合わせ、だったんだけど

恐竜こわい恐竜こわい、ガチガチ歯を鳴らしてるしカチカチ爪鳴らしてるし!
白いお腹を裂いてハラワタを喰らいたいって目をしてるわあの連中!
生きたままよってたかってかぶりつくつもりよケダモノ!

UC【リアライズ・バロック】
ヌイグルミたちを裂いたって、出てくるのはワタだけ!
よってたかって集まって、動きを止めてやるわ!白いワタでも食べてなさい!

他の子たちに流したらいっぱい愚痴ってやるんだから
あ!先にビキニになるとかずるいわよクロエ!


クロエ・アスティン
SPDで判定

【太陽の家】の友達とショッピングでありますか?い、いえ、確かに少し憧れるものがあります!
そのためにもまずは邪神退治でありますね!

聞き覚えのある悲鳴を聞いて急いで駆けつけるとアリス様が恐竜を押しとどめているであります!
ここは、アリス様のぬいぐるみが押し止めしてくれている間に一気に数を減らします!
戦女神様に祈りを捧げて【戦乙女の鎧】を装着するとスピードを生かして恐竜達の頭を戦槌でつぶしていくであります!

って、アリス様、これは水着じゃないであります!!!

※アドリブや連携も大歓迎





 仕事を終えた後の、ショッピングモールでのストレス発散。
 そんな誘い文句に、「アタシもレディだし、ちょっとくらい興味はあるけど?」と釣られたのは、アリス・クイン(ビビり屋毒吐き姫・f24161)。
 ソワソワと浮ついた気持ちで転移を受けて、この地に飛び込んできたのだが……今、アリスは後悔の中にあった。

「恐竜こわい恐竜こわいぃぃぃ!!」

 通路に響くアリスの悲鳴。必死に走る彼女のそのすぐ後方には、小型ティラノサウルスの群れ迫っていた。
 アリスを威嚇するかのように、ガチガチとその歯と爪を鳴らす恐竜達。だがその威嚇音は、小心な気質であるアリスには、まるで自分を嬲り、楽しんでいるかのように聞こえていた。

(うぅぅぅ! 生きたまま寄ってたかってかぶりつくつもりよこのケダモノたち!)

 すぐ後ろから響く音に、アリスの頭が描くのは最悪の未来。
 自分の白いお腹が爪で引き裂かれ、その内に収まるハラワタを牙で貪られるという、そんな光景だ。

「うぅ、怖いよぅ! なんでこんな目に遭うのっ!?」

 悲嘆を叫ぶアリス。だが、状況は更にアリスを追い詰める方向へ進んでいく。
 半泣きのまま駆けた通路の先は……先の無い、行き止まりであったのだ。

「う、嘘っ!?」

 ここから先に、道は無い。引き返す事も、不可能だ。
 非情な現実に、腰が抜けた様に座り込むアリス。ガチガチと、歯を鳴らす恐竜はもう目と鼻の先だ。
 アリスのその心の内に、じわりじわりと恐怖と絶望が滲み出て満ちて……。

 ──ポポポポンッ!!!

 瞬間、アリスの周囲の空間が歪んで飛び出してきたのは64体のヌイグルミ達。
 ……猟兵としてのアリスの本質は、バロックメイカー。些細な猜疑や恐怖を、怪物として具現化するという悲劇の超能力を振るう者だ。
 その力が。アリスの心が恐怖に満たされた今、発動したのだ。

『『『GOAAAA!?』』』

 突然の闖入者に困惑する恐竜達。飛びかかるヌイグルミ達を爪で、牙で、尾で薙ぎ払うが……当然、ヌイグルミを裂いても出るのは真白いワタばかり。
 そんな状況に辟易としたのか。一体の恐竜が深く深く、肺に空気を溜め込んで。空気を震わすかの様な咆哮を放つ──。

「──戦女神様、自分に力をお貸しください!」

 ──その直前。少女の声と神威の光が通路に響き瞬き。
 次いでブンっと唸りを上げて振るわれた戦鎚が、恐竜の頭を粉砕する。

「アリス様、ご無事でありますかっ!?」

 また一体、戦鎚を振るって別の敵を潰しながら現れたのは、アリスの友人であるクロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)。
 ……実はアリス、クロエとは待ち合わせをしてこの場に挑むつもりであった。
 だがこの後のショッピングが楽しみすぎたせいで気が急いたのか。アリスは軽い気持ちで単独行動してしまい……結果、恐竜に追われる羽目となったのだ。
 まぁその結果、アリスが上げた悲鳴に気がついたクロエの援護は恐竜たちに対する奇襲ともなった訳で。怪我の功名、と言った所であろうか。

「く、クロエ……? た、助かったぁ……」

 ともあれ、間一髪の所で助かったアリスが安堵の息をつく。
 そうして命の危機から救われた開放感のまま、いっぱい愚痴ってやろうとクロエの姿をその目にして……驚きに、その目を見開き叫ぶ。

「あ! 先にビキニになるとかズルいわよクロエ!」

 そう。アリスが言うように、今のクロエの姿は肌を大きく晒す姿。
 戦女神の信奉者が纏う聖鎧、ビキニアーマー姿であったのだ。

「あ、アリス様! これは水着じゃないであります!!」

 そんな聖鎧をビキニ呼ばわりされれば、敬虔な戦女神信徒であるクロエとしては堪らない。
 しっかり否定し、事実を伝えなければブンブンと手を振りアピールするが……アリスからすれば、クロエのその姿は立派な水着姿としか思えない。
 ……クロエがしっかりとアリスに諸々を説明出来たかどうかは、ここで触れずとも良いだろう。
 ともあれ、務めの後のお楽しみの為にも。合流した二人は、この後は離れる事無く一緒に行動して……最奥で待っているだろう邪神の下へと、突き進むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

闇野・みこ
水着にされる、ね~
まあ、あまり代わり映えしない恰好なんだけど

この寒い時期に恐竜とか、よく活動させられるなー
ここが本物とは違うってことなのだろうけど

炎の外套のリミッター解除
UCでクマとライオンのぬいぎるみは半々づつ召喚しよう
その内のライオン一体の上に乗ってようか

さて、誘ってみようかー
柔らかそうな素肌を晒して誘惑してみるね。そのままの恰好だけどっ

顔を出した奴を順に手が空いてるクマとライオンのグラップルと吹き飛ばしで、片付けていくよ
数がいるなら、こっち数で対抗ってね

近づいた個体が居たらカウンターで銃撃を叩きこむ
炎の呪殺弾で弾幕で、身体の内側から焼いてやろう





 水着結界。その効果を聞けば、多くの人は眉を顰めるか頭を抱えるかと言った反応を起こすだろう。
 だが、世の中は広い。頭の悪いその結界の力を聞いても、特に反応を示さない者もいる。

(まぁ私は、あまり代わり映えしない格好だからね)

 まるで水着の様な肌を大きく露出した奇抜なデザインの服(普段着であるらしい)に身を包んだ、闇野・みこ(人間の探索者・f28278)も、その一人である。
 みこは、幼少期に未知の物体(オブジェクト)に触れた事で、高熱を患い生死の境を彷徨った経験があるのだという。
 幸い、生還を果たしはした。その結果、猟兵として戦う力も得た。だがその代償として、今も身体の芯に宿る熱の為に暑がりとなり、こんな格好を強いられるようになったのだとか。
 ……とは言え、本人的にはこの格好を別段恥ずかしがってはいないようなので、特にデメリットは無いようだが。

『『『GURRRRR……!』』』

 そんなみこを取り囲むかのように、列を作る恐竜の群れ。
 威嚇するかの様に唸りをあげて、各々に爪や牙を鳴らす恐竜たち。
 その目は薄着のみこが晒す柔肌に注がれ、獰猛な光に満ちていた。
 猟兵として戦う力を得たとは言え、みこ自身の戦闘力は無きに等しい。
 状況は、圧倒的にみこに不利。しかし、そんな状態であるというのに。

「ふふっ、それじゃ……誘ってみようかー」

 敵を挑発し誘うかのように。みこは薄着を更にたくし上げ、柔肌を更に露出する。
 圧倒的不利な状況で、相手を誘うこの行動。こうまであからさまだと、多少の知性があれば罠を疑うだろう。
 だが、目の前の恐竜たちにそこまでの知性は無い。眼の前で自らアピールする餌に、我先にとその牙を剥いて躍り掛って……。

「──ざーんねん。遊んであげてね~♪」

 ドンッ! と。突如現れた複数の影に、見事なまでに弾き飛ばされた。
 現れたのは、みこが召喚した無数のクマとライオンのぬいぐるみ達。
 だが、ただのぬいぐるみと侮るなかれ。このぬいぐるみ達は戦闘用の存在であり、その戦闘力は恐竜たちにも決して劣る物ではない。

「数がいるなら、こっちも数で対抗ってね?」

 そんなぬいぐるみ達の内、ライオン型のぬいぐるみの上に腰掛けながら。みこの口の端が、ニヤリと曲がる。
 自分に戦闘力が無いことなど、重々承知。ならば足りない分は、他所から持ってきて補えば良いだけの事。
 今回もそうだ。相手の数が多いのならば、こちらも数で対抗する。
 みこは最初から、この状況を狙っていたのだ。

「それにしても。この寒い時期に恐竜とか、よく活動させられるなー」

 本物とは違う、ってことなのだろうけど、と。
 呟き一人頷くみこの目線の先では、ぬいぐるみ達が恐竜を寄ってたかって殴り倒し、突き飛ばしていく姿が目に映る。
 どうやら、一応準備してきた護身銃の出番は無さそうだ。

「さてさて、この後はどうなることやら……」

 ぬいぐるみ達の活躍で拓けた道を、ぬいぐるみのライオンに跨ったままのみこが往く。
 研究所の最奥に座す邪神と対峙した時、みこが何を思うのか。
 全ては、もう少しだけ先の事であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
活動するに支障が無いのなら構うまい
知った気配を感じるが、まず働くか

戦況は『天光』で常時把握
自身への攻撃は『絶理』『刻真』で触れた瞬間終わらせ影響を回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給

天楼で捕獲
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める

高速詠唱を幾重にも重ね『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
現着次第即展開し数の利を奪う

見えず触れ得ずとも虜囚
自壊しながら進むが良い
破壊するにもその手段もまた自壊対象だ
何にせよ急がねば消えるぞ
対象外である味方へは影響皆無ゆえ心配もない

出口は自身に設定
万一辿り着くなら『討滅』を乗せ打撃で始末

※アドリブ歓迎





 既に多くの猟兵達が、邪神の研究施設の最奥を目指して突き進みつつある。
 そんな中、少し遅れて降り立ったのはアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)であった。

「……ふむ。活動するに支障が無いのなら、構うまい」

 己の状態に不備らしき点は見受けられない。どうやらまだ、例の『水着結界』とやらは発動していないと見える。
 万象を見通す瞳の力を働かせれば、見知った気配がこの地に挑んでいる事も判るが……それ以上に、まだ多くの小型の暴君竜がそこかしこに潜み、また闊歩している事をアルトリウスは掴むだろう。
 ならば、だ。

「まず、働くか」

 呟いたのは、ただその一言。だがその言葉は、世界の基礎となる原理を編む端緒となり……。

 ──『惑え』。

 戦場全域に、任意の対象のみを『迷宮に囚われた』という『概念』を植え付け自壊へと導く、その礎となる。
 対象となるのは、闊歩する恐竜達。そして戦場全域とは、この研究施設全体に他ならない。
 勿論、これだけ大規模かつ強力な術を行使するのだから必要となる魔力は膨大だ。
 だがそこに関しては心配は要らない。“世界の外”にある最古の理より、魔力は幾らでも供給出来るのだから。
 そんな無尽蔵な魔力を背景に、アルトリウスは詠唱を幾重にも重ね、加速し、循環させて。
 植え付けたその『概念』を、より強固な物として世界に刻みつけていけば。

(さて、見えず触れ得ずとも虜囚。急がねば、消えるぞ?)

 『概念』を植え付けられた恐竜達は、少しずつ、少しずつ……その存在を無へと還していく事になる。
 その結末を乗り越える為には、術者であるアルトリウスの下へと辿り着き、討たねばならない。
 だが、『迷宮に囚われた』というその状態が、恐竜たちを惑わし、道を阻む。知性が薄く半ば本能のままに動く彼らに、その迷宮を乗り越える術などありはしない。
 万が一、運良く迷宮を抜け出る個体がいたとしても問題はない。
 万象一切を滅びに導く力を乗せた打撃であれば、打ち崩せぬ者などそうはいないのだから。

「……では、往くとしようか」

 各所から響き始める恐竜達の咆哮は、断末魔のそれだろうか。
 その叫びを、まるで聞こえてなどいないかのように。アルトリウスは悠然と、先行している猟兵達の下へと歩みを進めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『あきらさん』

POW   :    今週のがっつりうっかりメカ
自身の身長の2倍の【急拵えの新作ロボット】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    申し訳ばかりの邪神要素(制御不能)
【そっち系】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【たまに自分にも襲いかかる触手のかたまり】から、高命中力の【身体が熱くてぼーっとする粘液】を飛ばす。
WIZ   :    たぶんこれが私の秘密兵器
いま戦っている対象に有効な【自分でも覚えてない発明品】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠化野・右京です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 邪神の研究施設の迎撃システムであるらしい、小型恐竜の群れ。
 そんな障害を、猟兵達はそれぞれの力で薙ぎ倒し。遂に、研究施設の最奥へと辿り着いた。

 ……今、猟兵達の眼の前には。最奥へと続く扉がある。
 その向こうに感じるのは、邪神特有の淀んだ邪気と……何とも言えない、怪しげな気配。
 だが、事ここに至れば。扉越しに感じる気配に臆する事無く、猟兵達が扉を粉砕して中へと踏み入る。

『──来たね、猟兵諸君』

 そこに待っていたのは、眼鏡姿の一人の女だった。
 豊満な肢体をオーバーオールに包み、その上に白衣を纏う。長い髪を一つに纏めた、化粧っ気の薄い女だ。
 だが、こんな場所にいる女が一般人であるはずが無い。
 つまり、この女こそが……。

『ようこそ、この私……『あきらさん』の研究所へ』

 今回の討伐対象である、邪神で間違いは無いはずだ。
 自らを『あきらさん』と名乗った女は、歓迎するよとそう言ってニヤリと笑む。中々に強敵感に溢れた仕草である。
 ……部屋中の至る所に転がる、研究の失敗作と思しきガラクタやらコンビニ弁当の空き容器やらペットボトルを視界に入れなければ、だが。
 どうやらこの女邪神、かなりズボラな性質であるらしい。
 まぁ、それらは横に置いておいて。

『キミ達が此処に来た理由は判っているよ。私が開発した世界を混沌に陥れる世紀の大発明……『水着結界発動装置』を無にしようというのだろう?』

 そう、本題はこれからだ。
 女邪神は『水着結界』なる非常にアレな力をその手中に修め、何やら細工を施しているとグリモア猟兵が語っていた。
 その細工とやらは、当人の言を信じるのならば『発動装置』という事になるのだろうが。
 一体何でそんな物を、と。猟兵の口から疑問が飛び出れば。

『フフフ、知りたいか? ならば答えてやるのが世の情け! 私はこの装置を使って……』

 数秒、間を置いて。女邪神が、叫ぶ。

『──クリスマスとか! そういうリア充御用達行事をブチ壊したいのよッッ!!』

 ドンッ!!!!
 と。謎の効果音が響くかのような。まさに魂の叫びであった。

『クリスマスで浮かれる街中でこの装置を発動すれば、街は水着一色よ! そうしたらもうクリスマスどころじゃない! リア充共は風邪でも引いて家で寝てりゃいいのよ!!』

 ヒートアップする女の叫び。その圧は百戦錬磨の猟兵であってもたじろがせる程の熱量が込められていた。
 ……とは言え、そんな事を許す訳にはいかない。
 クリスマスは、多くの人々が待ち望む大切な行事。猟兵にとっても、戦いの日々の合間の明るく楽しい平和な一時を過ごせる貴重な機会なのだ。
 そんな機会を混乱に陥れるような企みは、断固防がねばならない!

『……あくまでも私の邪魔をするというのなら、容赦はしない。だが、その前に……』

 決意を顕にしそれぞれの武器を構える猟兵達。
 そんな猟兵達に対して動じる事無く、女邪神も身構えつつ……オーバーオールの胸元に手を突っ込み、何かを取り出す。
 ……出てきたのは、保護カバーに包まれた怪しげなボタンだ。察しの良い者は、気づくだろう。
 これこそが、女邪神『あきらさん』が開発した『水着結界発動装置』である、と。
 その装置のボタンを──。

『まずはキミ達で、装置の試運転をさせて貰おう!』

 女邪神は、躊躇なく。保護カバーごと押し込んだ!

 ──瞬間、猟兵達の視界に光が満ちた。

 そして同時に感じるのは、己の纏う衣服が光に解けて。キュッと身を包む、水着へと変じていく事も肌で感じる事だろう。
 その力の前には、何人たりとも逃れ得ない。纏う水着の形状も、運任せだ。
 ……そう。何人たりとも、逃れ得ないのだ。

『……し、しまったっ!? 私まで水着に……!?』

 光が収まり視界を取り戻した猟兵達が見たのは、プライベートゾーンだけを隠す極小マイクロビキニに姿を変えられ、慌てふためく女邪神のその姿だった。
 どうやら自分も水着姿になることは想定外だったらしい。一応アイデンティティに関わる部分であるのか、白衣と眼鏡が消えるのは免れたようだが……それはそれで、なんかこう、如何わしい感が漂う姿であった。
 ……この女、ズボラである上にポンコツでもあるらしい。

『こ、これは改良の余地ありだね、うん! まぁ、ともかく……私の野望は、やらせはしない!』

 ……とは言え、情けを掛ける必要は無いだろう。
 迫りつつある平和な日常を護る、大切な戦いが始まろうとしていた。

 ====================

●第ニ章、補足

 第ニ章はボス戦。
 研究施設の主である女邪神、『あきらさん』が相手となります。

 戦闘について、特に触れる様な点は特にはありません。
 戦場も特にギミックがあったりはしませんので、お気になさらず。
 邪神的な要素もあったりしますが、基本的に描写はコメディ寄りとなりますのでご了承を。

 ○今回の特殊ルールについて

 本文中の通り、第二章は『水着結界』下での戦闘となります。
 散々触れておりますが、その効果は強力無比。
 どんな対策も無視して、強制的に水着となります。
 着ることになる水着に関しては、ランダムです。
 月城がダイスを振り、手元の水着表(非公開)からチョイスされる形になります。
 ……全てはダイスの神の御心のままに。第二章に参加される際は、徳を積み上げた状態でご参加下さい。
(なお、『あきらさん』の分もしっかり振らせて頂きました)

 平和な年末を混沌に導く事を企む、女邪神。
 その恐るべき(?)野望を打ち砕き、猟兵達は平和な年末を守れるか。
 皆様の熱いプレイング、お待ちしております!

 ==================== 
セフィリカ・ランブレイ
カビィちゃんと(f24111)

るーるる♪るるる♪るーるるー♪

頭に残るBGMが脳を破壊してくる
最早どんな水着でもそれどころじゃない
私はただ可愛い子が意図しない水着になってキャッ⭐︎となる瞬間を見たかっただけなの
ここにいるのがヴィクトリアちゃんだったなら!!
『自業自得じゃない』

ツッコミ所のある根が生真面目な女博士…カビィちゃんの獲物じゃん
大人しくトーク番組の聞き役やろ…

どこが面白いか?
むしろ私が聞きたいよ!
私自身は常に全力で世に恥じない生き方をしてるが何でその発言が刺さったのかはまるで!わからん!

あ、番組終了?
お疲れ様です。次私が相手いいですか?
真面目に戦うんで
大丈夫だよ、辛かったね
よし行くぞ!


カビパン・カピパン
あきらさんとセフィリカ(f00633)がゲストとして招かれ【黒柳カビパンの部屋】
ちなみにどんな水着も羞恥はない。なぜならカビパンの頭には面白いしかないから。

あたくし思ったんですけど、水着一色になったらお盛んなこの世界ではまさに聖夜から性夜のクリスマスからヤリスマス!
このご時勢では、なかなか若い男女が知りあってともいきませんし、草食系もビンビン!今日だけで、新しい命が増えるんじゃないでしょうか。

圧倒的なプレッシャーと下ネタであきらさんの心をへし折る。

ところでセフィリカさんの持ちネタ、きゃいん★困っちゃう💛
やってくださる? ふーんそれはどこが面白いのでしょうか?
ついでセフィリカのメンタルも削る。





 ──るーるる♪(↑) るるる♪(↓) るーるるー♪(↑)

「皆様こんにちは。本日のゲストは悪のマッドサイエンティスト『あきらさん』と機械イジり大好きなセフィリカさんです」
『はっ? えっ。な、なにっ!?』

 大切な戦いが始まろうとしていた、ってのに唐突に始まったカビパンの小芝居と、困惑するあきらさん(本日の生贄(ゲスト))。
 妙に頭にこびりつくBGMと併せて脳を破壊しにくるその光景に、セフィリカの眼は死んでいた。
 椅子に腰掛けたセフィリカが着せられた水着は、前回着せられた邪神チョイス水着と似たようなブラジリアン・ビキニ。
 だがその布面積は、前回よりも更にエグい。ちょっと動けばたわわに実った双丘がまろび出そうな程であった。

(……どーしてこーなった……ッ!)

 しかしセフィリカにとって、そんなことはどーでもいい事である。
 セフィリカとしては、ただ可愛い子が水着結界の力で意図しない水着姿になってキャッ⭐︎となる瞬間を見たかっただけなのだ。
 それなのに、今。こんな悪夢みたいな光景を特等席で見せつけられるとは……!

(せめてここにいるのがヴィクトリアちゃんだったならなぁ!!)
『自業自得じゃない』
(うぐっ……!)

 胸中で叫んだボヤキに、律儀に突っ込んでくれる姉貴分の思念。
 いやまぁ、カビパンを連れてきたのはセフィリカ自身であるし。そう言われてしまえば反論のしようが無い。

(大人しくトーク番組(茶番)の聞き役やろ……)

 まさにぐうの音も出ない姉貴分の正論に殴られて。
 覚悟をキメたセフィリカが、腹を括る。

「ところでセフィリカさんの持ちネタ。きゃいん★困っちゃう💛、やってくださる?」
「はぁっ? えっ、きゃいん★困っちゃう💛」

 とかやってたら、カビパンからセフィリカに飛んできた流れ弾。
 あまりにも唐突かつ雑なその一撃に、思わず言われた通りに言葉を返すが……。

「ふーんそれどこが面白いのでしょうか?」
「やらせておいてっ!? むしろどこが面白いかなんて私が聞きたいよ!」

 カビパンのリアクションは、やっぱり雑であった。
 ……セフィリカとしては、常に全力で世に恥じない生き方をしているつもりである。
 それなのに、なんでこんな発言を(本人不在の隙を突くようにして)世に広めさせようとカビパンに決意させる程に刺さったのか……。

「まるで! わからん!!」

 味方であるカビパンから心を削られ抉られ、頭を抱えるセフィリカ。
 なんというか、その……ご苦労さまです、としか。

「そういえばあたくし思ったんですけど。水着一色になったら、逆にリア充大歓喜では? お盛んな世界ではまさに聖夜から性夜! クリスマスからヤリスマス!」
『はっ? えっ。えっ?』
「このご時世では、なかなか若い男女が知り合ってともいきませんし、草食系もビンビン! 新しい命が増えるんじゃないでしょうか」

 そんなセフィリカは他所に、カビパンのペラ回しは絶好調。
 圧倒的な会話の圧と唐突にブッ込まれる下ネタに、カビィちゃんの獲物(セフィリカ談)な『あきらさん』はもう圧される一方である。
 ちなみに、小芝居を繰り広げるカビパンが着せられたのは、所謂『旧スク水』と呼ばれる物だった。
 濃紺の胸に『カビ野郎』と書かれた名札が書かれたその品を、まるで着慣れた物であるかのように……って、コレ今年の夏に着てなかった???
 ……ダイス判定一発勝負でコレを引き当てるとか。カビパン・カピパン、恐ろしい娘!

 ──るーるる♪(↑) るるる♪(↓) るーるるー♪(↑)

 再び流れ出す妙に頭に残るBGM。どうやら番組(小芝居)の方はエンディングとなったらしい。
 悪夢のようなプレッシャーから開放され、膝を突く『あきらさん』。

『……秘密兵器とか出す余裕すら、無かった……ッ!?』
「あ、うん。ホント、お疲れ様です……」

 がっくりと項垂れる女邪神に、同じく被害者であったセフィリカも同情気味だ。
 だが一応、相手は倒すべき邪神である。剣を引き抜き構えれば、『あきらさん』の表情が絶望に染まる。

「……辛かったよね。大丈夫、ここからは真面目に戦うんで……」
『そ、そう? それなら、うん……』

 目と目が合い、頷き合う二人。
 共に翻弄された悪夢の一時を乗り越えて、芽生える何か。
 だがその想いを交したのは、ほんの一瞬。

「それじゃ……よし行くぞ!!」
『来るが良い、猟兵よ!』

 こうして迫りつつある平和な日常を護る大切な戦いが、遂に幕を上げるのだった。
 ……なお白熱の戦闘シーンは全カット。小芝居シーンが強すぎたから仕方ない。
 一応セフィリカがちゃんと一撃加えた、という結果だけはお知らせしておきます。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

闇野・みこ
紐だろううがなんだろうが、水着……どんと来いっ
代わり映えしないどころか、種類によっちゃ布地増えるしっ

どんな水着になろうともー
恥ずかしく思うことはないわ~(恥ずかしさ耐性)

変な触手の塊……はっ、つまりこれで一人……!?
え?変な妄想をするな?
じゃ、これ何……ってー、妙な粘液飛ばしてきたーっ!?
うへぇ、ぬるぬるする
身体も熱く……は元からだった

ぬるぬるにされたから
お返しにこっちも変な粘液を被せてあげる♡
UCでメルディ・チャームを奉仕で塗り込むの
よぉっく滑るから……気を付けて、ねぇ?

それはそうと……そのリア充撲滅計画……
水着になったことで逆に聖なる夜が性なる夜になりそうじゃないの?
変に燃え、萌え? そう





「……う、うーん」

 目の前で繰り広げられる小芝居を眺めつつ、みこが小さく唸りを上げる。その唸りには、大分不満げな色が含まれていた。
 紐だろうが何だろうが、種類によっちゃ布地が増えるし、と。
 みこはどんな水着でもドンと来いという精神でいた。

「まさか、こう来るとはなぁ」

 そんな心構えでいたみこが、こうまで不満げとは。一体どんな水着なのか。
 みこが着せられたのは、所謂、タンクスーツと呼ばれるタイプの水着である。
 トップスは腰に届く程に長いタンクトップ型。ボトムスは太腿の辺りまで覆うスパッツタイプ。
 いやまぁ水着のタイプは良い。けれどこの水着、なぜだか所々にフリルがあしらわれてたりするのが気になる所。特に腰回りのスカート状の部分など、どう見ても子供向けなデザインだ。
 ……数年前ならいざしらず、みこはもう15歳。子供向けなデザインは卒業して、大人の階段を昇りたい年齢である。
 デザインに不満が出るのも、まぁ当然の事だろう。

「……むっ? 変な触手の塊……?」

 そんな不満を胸に懐きつつ視線を小芝居の方へと向ければ、いつの間にやら小芝居は終わり、被害者枠であった猟兵が邪神に躍り掛る光景が目に映るだろう。
 戦況は、一進一退。その状況を打破するかのように、女邪神が触手の塊を喚び出す様子もまた、みこの目に入るだろう。
 ……触手を使い魔として従える、豊満バディな妙齢の女。

「はっ! つまり夜はこれで独りで──」
『違うわっ! そこっ、変な妄想をするな!』

 脳裏に浮かんだピンク色な妄想が思わず口を突くが、そこは『あきらさん』が口を挟んで事なきを得る。
 だがそこで隙が生じたか。エルフ猟兵の剣が閃けば、白衣の裾を大きく断たれて悲鳴を上げる女邪神。
 ……それはそれとして。それじゃあこの、見るからに怪しいデザインのヤツで一体何を……?

「──って、変な粘液飛ばしてきたーっ!?」

 疑問に首を傾げたその瞬間、触手が白くてどろりとした粘液を何故か此方に噴出。
 回避は間に合わず、みこの身体が粘液に濡れる。

「うへぇ、ぬらぬらする。身体も熱く……あ、これは元からだった」

 そのヌルっとした感触や生臭さ。身体を熱くする粘液には、常人をぼーっとさせる(意味深な)効果を持つ成分が含まれている。
 そんな効果に対して、みこが意識を保てているのは……その肉体の芯に宿る、怪しげな熱の力によるものだろうか?
 とは言え、粘液の力を完全には防げはいないようで。

「……うふふ♡ お返しに、こっちも……」

 その目に怪しい光を湛えたみこが取り出したのは、一本の瓶。
 その中に詰められたのは、アルダワ迷宮で採取した潤滑液。気分を高揚させ、よく滑るらしい……普段コレを一体何に使うんですかね?
 ともあれ、そんな液体をみこはその身に頭から浴びて。

「よぉっく滑るから……気をつけて、ねぇっ!」

 床を蹴り、文字通り滑るかのように。
 一気に女邪神との距離を詰めて……自らの体ごと体当たり!

『ちょっ、なに……ひぁっ!』

 そのまま身体を縺れさせたまま、みこの手が『あきらさん』の身体を弄る。
 そうすれば、みこの身体に塗れた潤滑液と触手の粘液がブレンドされた液体が女邪神の身体にも塗り込まれていく。

『冷たっ! ぁんっ♡ ……えぇい、離れなさいぃ!』

 女邪神の声が一瞬艶めいた気がしたが、きっと気の所為だろう。
 みこを振り払い、肩で息をするその頬が紅く蒸気しているのも、きっと気の所為だ。
 ヌルヌルの液体に塗れた女邪神の目がどこか物欲しげなのも……きっと気の所為だろう。
 ……きっと、ダメージは与えられたはず。みこは己の務めを果たせたと、そう言って良いはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィル・グラマン
●POW
なんかきったねーゴミ部屋かと思ったら、ここが邪神の神殿かよ
んで、あのおばさんが邪神とかどんだけ残念なんだよ
…ん、何だよザイーシャ
服がどうしたって……うぇえええ?何でこんな寒いのに水着になってるって、俺もかーい!?
ん、うん、まぁ、似合ってるんじゃね?

こうなりゃ残念でも邪神は邪神らくし、機械仕掛けの神で成敗してやるぜ
出てこい、ベアキャット…って、何でベアキャットも水着姿なんだよ!?
恥ずかしがるなベア!がっつりうっかりメカも水着だ!
そして、俺も水着だ!恥ずかしいのはおめぇだけじゃねぇんだぞ!!
よし、そこだ、いけぇ!やれ!ベア!!
正義の鉄拳をぶちかましてやれ!!


ザイーシャ・ヤコヴレフ
●POW
ふぅん、コレが水着結界なのね
アリスが酷い目に遭ったって聞いてたけど…何時も着てるバニーなアリスウェアとあまり変わらないね
そうだ。ね、ウィル、この水着似合うかな?
そう、うふふ…

じゃあ、結婚できそうもない可哀想で残念なおばさんにはお仕置きが必要ね?
魔法のナイフで空間を切って…
これが私のジャイアントキャバリア、ツァーリ・スヴャトゴル…イワンだよ
おばさんと私、それにウィルのお人形さんで、人形劇を楽しみましょ
えーと、UDCアースだとブンドドだったかしら?
じゃあ、それね
イワンに乗りながらウィルのお人形さんと一緒に戦うね
でも、何でイワンまで水着になっちゃうのかな?
おばさん、もしかして変態さん?





 どこか荒い息をする水着姿の女邪神。
 その姿は、いい歳の男性が見れば大半は生唾を飲むような。そんな謎の色気に満ちていた。

「きったねーゴミ部屋におばさんとか。どんだけ残念なんだよ」
『おっ、おばっ!?』

 とは言え、ゴミが散らかる部屋の様子や残念な女の立ち振舞を鼻で笑うウィルの様に、その色気に惑わされぬ者も当然いる。
 ……『おばさん』呼ばわりに憤慨する女邪神が抗議の声をあげるが、そんな抗議は気にしない。
 事実、製造年齢はともかく稼働日数は短いウィルからすれば、相手のその姿は遙か年上にしか見えないのだから。

「ねぇねぇ、ウィル」
「ん? なんだよザイーシャ……って、うぇえええ!?」

 そんな女邪神の抗議の声を他所に、ウィルの背から掛かったのはザイーシャの声。
 その声に振り向けば……ウィルの目が、驚きに見開かれる。

「何でこんな寒いのに水着になって……って俺もかーいっ!?」

 ウィルの目に飛び込んできたのは、可憐な白いビキニ姿のザイーシャの姿。
 似合うかな? と。くるりくるりと楽しげに回るその背を見れば、背面で肩紐が交差している事に気づくだろう。
 ザイーシャが着替えさせられたのは、所謂バッククロスと呼ばれるタイプのビキニ水着だ。着脱こそしにくくなるが、装着時のホールド感や女性らしさを引き立てるデザイン性が特徴のタイプである。
 そんなデザインの水着を着るザイーシャの姿は、年齢に比べて早熟な精神性や体付きも相まってか、ウィルの目には眩く見えたようで。

「ん、うん、まぁ……似合ってるんじゃね?」

 どこか言葉選びに迷ったように。だが素直に、評価を下す。
 その様子に、「ふふふ」と。ザイーシャは小さく笑みを浮かべる。
 ……ちなみに、ウィルの水着はショートスパッツ。特に面白みも無いデザインなので、詳細とかは割愛させていただこう。

『こ、この……目の前でイチャイチャと! アオハルかっ!!』

 そんな少年少女のやり取りに、怒りのままに『あきらさん』が天へと手を翳せば。顕れ出るのは一体のロボ。
 どうやら二人のやり取りに憤慨遣方なしと言った様子であるが……まぁリア充撲滅の為に水着結界に手を出すような女だし、そんな反応も致し方なしか。
 ……だが、まぁ。ウィルとザイーシャが、そんな相手に情けを掛ける理由などありはしない。

「うふふ。結婚できそうもない可哀想で残念なおばさんにはお仕置きが必要ね」

 薄笑いを浮かべつつ、手に持つ魔法のナイフで空間を切り裂くザイーシャ。
 するとその切り目から現れたのは……ザイーシャ所有のジャイアントキャバリア、『ツァーリ・スヴャトゴル(愛称:イワン)』だ。

「それなら俺も、機械仕掛けの神で成敗してやるぜ! 出てこい、ベアキャット!」

 そんなザイーシャに負けじと、ウィルが喚び出したのは漆黒のスーパーロボット。
 無骨な外見を持つその機体は、外見に違わぬパワーで敵を討つ鋼の巨人だ。
 だが、しかし。その姿は、普段と大きく変わっていた。

「……って、何でベアキャットも水着なんだよ! ついでにザイーシャのヤツも!」

 そう。ザイーシャの喚び出した『イワン』も、ウィルが喚び出した『ベアキャット』も。ついでに『あきらさん』の急造ロボも。その身体に、それぞれのサイズに見合った水着を着せられていたのだ。
 ちなみに、『イワン』の方は女性的なその外見からザイーシャとお揃いの白ビキニ。『あきらさん』が喚び出したロボも、同じくお揃いのマイクロビキニ。
 そして『ベアキャット』もまた、ウィルとお揃いのショートスパッツ姿であった。
 ……その姿に、『ベアキャット』に搭載されたAIが何故だか恥ずかしそうな反応を示していた。

「恥ずかしがるなベア! 相手も水着だしザイーシャのも水着! そして俺も水着だ!」

 そんな相棒を勇気付けるかのように、恥ずかしいのはお前だけじゃないぞ! と声を張り上げるウィル。
 その声に勇気づけられたか、『ベアキャット』が力強く拳を振り上げ邪神の急造ロボへと挑みかかっていく。

「よし、そこだ、いけぇ! やれっ、ベアっ!!」

 ウィルもまた拳を振って大騒ぎ。
 そんなウィルの姿はザイーシャから見れば子供っぽく……だがとても、楽しそうで。

「私も一緒に、お人形劇……えっと、UDCアースだとブンドド、だったかしら。楽しもっと!」

 『イワン』に乗り込み、『ベアキャット』と歩調を合わせれば。
 二対一の状況に、急造メカが勝てる目などありはしない訳で。

『ちょっ、待っ、卑怯よ! 二対一で勝てるワケないでしょう!?』

 一方的にボコられ、速攻でスクラップと化していく急造ロボ。その光景を前にして『あきらさん』は涙目になるばかり。
 そんな哀れな敵に。

「……ところで、何でイワンまで水着になっちゃうのかな? おばさんの趣味? もしかして変態さん?」
『変態っ!? あっ、ちょ、わ、私のロボがーっ!?』

 ザイーシャの容赦のない言葉のナイフが突き刺さる。
 ……ロボを大した見せ場もなくスクラップにされ、ついでに言葉のナイフで滅多刺し。
 大分可哀想な目に遭っているが……まだ、『あきらさん』の受難は終わらないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

豊原・フィリス
あらあらしょうがないわねぇ
まあ、野暮ったいオーバーオールじゃなくなって、よかったんじゃない?

わたしは恥ずかしさ耐性があるから、別にどんな水着でも問題ないわぁ
どう? 似合ってるかしらぁ

じゃあねえ〈念動触手〉よぉ
あのメカって『あきらさん』の動きをトレースするんでしょう
というわけで、『あきらさん』の手足を操って変な動きをさせちゃうわ
はーい、ラジオ体操よーい
ラジオ体操第二は特に変な動き多いのよねぇ

【白衣水着巨乳美女のラジオ体操】……これ動画にできないかしらぁ?


響・夜姫
アドリブ
連携OK

「(紐)水着を着せていいのは。着せられる覚悟のある奴だけ、だー」
何せ私は、水着への道と称して姉に紐水着を薦めた女。
そして種族ミレナリィドール。
ドールは着せ替えされるのと、人から見られるのがお仕事。
つまり、どんな水着にも。あんまり抵抗無い。
ポーズだって。とっちゃう、ぜー。

「だがその胸。ぎるてぃ」
銃を持ったままファイティングポーズ。
ヨヒメパンチ(浮遊砲から発射するビームのキック)【部位破壊/先制攻撃】・
とりあえず連打。泣くまで殴るのを辞めない。ビームだけど。
「猟兵は。水着姿で、戦闘力が上がる人種。それを相手どったのが敗因」

ぺんぎん、めんち、わには……せくしーな奴や褌になる。
たぶん。





『うっうっ……酷い、酷すぎる。二対一の上にあんな暴言とか。邪神イジメじゃないか……』

 スクラップと化したロボを前に咽び泣く『あきらさん』。
 白衣はところどころ切り裂かれ、全身にはヌルっとした粘液が怪しく輝くその姿。
 これで纏う衣服がいつものオーバーオール姿なら、まだ公衆の面前に立てる可能性が微粒子レベルで存在するかもしれないが……。

「まぁまぁ。野暮ったいオーバーオールから可愛い水着になれて、よかったじゃない?」
『可愛いっ!? えっ、このエっグい水着がっ!?』

 ぽんやりとした口調のフィリスが言うように、水着姿とあってはワンチャンすら無い。明らかにゾーニング対象です本当にありがとうございました。
 その辺りの価値観は割と常識人寄りなのか。フィリスの言葉を聞いて驚愕に涙目を見開く『あきらさん』だが、フィリスとしては何がいけないのかと小首を傾げるばかりである。
 まぁフィリスを構成するデータの基が基だし、その辺りの感覚が常人とはズレてるのはしょうがないね。

「……(紐)水着を着せていいのは、着せられる覚悟のある奴だけ、だー」

 そんな『あきらさん』に更なる容赦のない言葉のナイフを突き立てたのは、夜姫であった。
 行動には、責任が付き纏う。その行動が大事であればあるだけ、付き纏う責任も同じ様に大きくなっていくのが道理というものである。

『ぐぅ……! っていうかキミら、なんでそんな平然としてるんだ!? ある意味、私のよりヒドいぞ!』

 そんな当然の事を指摘され、ぐうの音も出ないという様子の『あきらさん』だが……フィリスと夜姫の水着を見れば、これ幸いにとその水着へと話題を移す。
 『私のよりヒドい』と評された二人の水着。それがどんな物なのか、解説をしていこう。
 まずは、フィリス。
 トップスは、肩紐を省いたデザインの、『オフショルダー』と呼ばれる型。
 デコルテラインを強調するそのデザインは、フィリスの鎖骨とその先の豊満な双丘をより際立たせる逸品である。
 ……だが、フィリスの水着の最大の特徴はトップスに非ず。その真価は、ボトムスにあった。
 そのデザインを具体的に言うと、バックの布地が極端に少ないGストリングス。臀部がほぼ丸出しとなる、紐パンと呼ばれるタイプであった。
 表面上の露出は比較的に控えめながらも、背面は大胆に肌を晒す組み合わせのその水着。フィリスの気質も噛み合って、渚に出れば異性の目を独占すること間違いなしであろう。
 ともあれ、フィリスの方はかなり攻めてはいる物の、そういうデザインの服は世にあったりするし、まぁ判らんでもない。
 問題は、夜姫だ。その水着のデザインは、一言で済む。
 夜姫が着せ替えられた水着とは、プライベートゾーンを覆う貝殻とそれを繋ぐ紐で出来た……所謂、『貝殻ビキニ』であった。
 ……今回は出ないといいなぁ、と思ってた二大ネタ水着枠(抽選率約2.5%)の片割れを此処で引くとか。ふりーだむにも程がありはしませんかね……?
 ともあれ、ただの極小マイクロビキニ(いやコレも大概ヒドいけど)よりも更にアレなデザインの水着を目の当たりにすれば。『あきらさん』のそのツッコミじみた声も、むべなるかなと言った所であろうが。

「別にわたしは、どんな水着でも問題ないしぃ?」
「私は姉に紐水着を薦めた女。そして種族はミレナリィドール」

 だがそんなツッコミを受けても、二人が二人とも『何を言ってんだコイツ』と言わんばかりに平然としたままであった。
 まぁフィリスに関しては度々『そういうのが平気』と触れているから、説明は不要だろう。
 では夜姫は何故かと言うと……これもやはり、本人の生まれや性格故である。
 夜姫の種族は、ミレナリィドール。知性を有する人型魔導機械人形である。
 そしてドールと言えば、着せ替えされる事や人から見られる事がお仕事である(夜姫談)。
 つまりドールである夜姫には、どんな水着であっても、特に抵抗は無いのである。

「ポーズだって、とっちゃう、ぜー」

 うっふん、と言わんばかりに科を作る夜姫。
 UDCアースのサブカルを趣味とするだけあって、中々堂に入った仕草である。
 ……が。

『いや、ちょっとその体型でその水着は。あとそのポーズも……』

 哀しいかな、夜姫はどちらかというと『持たざる者』に属する女であり。
 そして夜姫が作った姿勢は、所謂『持ちし者』がするからこそ映える仕草であり。
 ……その事を、思わず口にして触れてしまったのが。女邪神の運の尽きであった。

 ──ブチッ。

「虚数物質解放。選択虚数軸……」
『はっ? えっ!?』

 突如呟き、その手に銃を、周囲に浮遊砲台を浮かび上がらせる夜姫。
 明確な殺意を込めたファイティングポーズを取る夜姫。その姿と急展開っぷりに慌てふためく女邪神だが……夜姫は一切、容赦はしない。
 夜姫を怒らせた原因は、たった一つ。お前のその胸が、気に入らない!

「──その胸、ぎるてぃ。ヨヒメパーンチ」
『胸っ!? ってうおおおおお!?』

 繰り出されたのは、浮遊砲台から発射されたビームのキック。
 ……パンチと言いつつビームが飛び出てキックとか、何書いてるのか判んなくなってきたぞ???

『ちょっ!? パンチなのかキックなのかビームなのかハッキリしなさ……ぐえっ!?』

 困惑の声を上げつつ、激しさを増すパンチなんだかキックなんだかビームなんだか良くわからない攻撃から逃げ惑う『あきらさん』の抗議の声が、唐突に止まる。

「さいっくぱわー☆」

 直後、響いたのはフィリスの声。
 見ればフィリスのゴーグル越しのその目が怪しく輝き、『あきらさん』へと伸ばした掌からは不可視の力が発現していた。
 ……フィリスは念動力による触手で、逃げ惑う『あきらさん』のその四肢を縛り上げたのだ。

「はーい、ラジオ体操よーい」
『ラジオ体操!? えっ、この状況でっ!?』

 そうして縛り上げた四肢を無理やり動かしさせるのは、国民の体力向上と健康保持や増進を目的とした一般向けの体操。
 多くの人が幼少期の夏休みに経験したであろう、新しい朝が来たり来なかったりする、あの体操である。
 ……この運動、第一は常識的な動きが中心だが第二・第三ともなると謎な動きも多い物である。

「まずは両足とびの運動からー、はいっ、いち、にっ、さんっ、しっ」
『ちょっ、まっ……ひぇっ!? 今掠った、掠ったってあああああっ!?』

 無理やり縛られた四肢でぴょいんぴょいんと飛び跳ねる運動。どことは言わないがゆっさゆっさと揺れては弾む。
 その光景を目の当たりにすれば、夜姫の攻撃は増々激しくなるばかり。
 その激しさ、お前が泣くまで殴るのを辞めないと言わんばかりである。ビームだけど。あと泣いても止めるとは確約もしないけど。

「【濡れ白衣巨乳美女が甚振られながらのラジオ体操】……これ動画に出来ないかしらぁ?」

 そんな様子に、口元に指を当てながら何事かを考えるフィリス。
 その足元には、ペンギン、ドラゴン、ワニな夜姫のお供たちが(夜姫とお揃いの貝殻ビキニ装備で)待機しているのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロエ・アスティン
SPDで判定
【太陽の家】

ひゃっ、戦女神様の正装が……!や、やっぱりダメだったでありますか……
水着に変化したら思わず友達のアリス様の水着と見比べてしまいます。

けど、武器と盾は残ったままなのは幸いであります!
盾を構えて攻撃の機会を伺っていると、触手の群れがアリス様の方にも!?アリス様の元に飛び込んで「かばう」であります!

「あきらさん」の方にまで触手が襲い掛かって制御が乱れた隙をついて【破魔の聖光】を唱えます!
光を嫌って逃げ出そうとする(自分やアリス様の水着の中に逃げ込もうとしてるであります!?)も掴んで引っ張りだして光を浴びせてやるであります!

※アドリブや連携も大歓迎


アリス・クイン
うぅぅぅ黒歴史にして厳重に封印してたのにこのドスケベ結界!
ふん、ふん、いいわよスケベなオトコもいないし!
……いないわよね?(キョロキョロ))

【太陽の家】で活動よ!
水着とか周囲の視線とか気にしてたら不覚をとったわ!
うぅ、アタシは戦いとか苦手なのよ!もう!!

UC【其の答えを識るまで、僕は死ぬ事もままならぬ】
邪神に問うわ!怒りのR18禁止ペンギンの群れに引き裂かれなさい!!

あんた絶対あれでしょ!自分がウネウネされてウニョウニョされてアハーン!されたい願望があるからって、うっかりに見せかけてるでしょ!スケベ!

よっし、逆転!にゃああああこっちきたああああああとってとって!!
へんなとこ入ってきたああああ!





『ぜー、ぜぇー……し、しぬかとおもったぁ……』

 四肢の動きを矯正されながら、一方的に殴られる。
 そんな惨劇を、(諸般の都合で)『あきらさん』は辛うじて生き延びた。
 だが、その消耗は激しいようで。肌にはびっしりと汗を浮かばせ、両手両足は床に突き、ぜいぜいと肩で呼吸をする程であった。

「うぅぅぅ、黒歴史にして厳重に封印してたのに! このドスケベ結界!」

 そんな女邪神の様子を他所に、水着結界に憤りを示すのはアリスであった。
 アリスとこの水着結界は、縁深い関係だ。詳しい説明は省かせて頂くが、その縁もあってか前回はかなり酷い目にも遭っていた。
 ……一応、自分の水着をちらりと確認する。うん、今回は大丈夫。変な水着じゃない。
 これなら多少、異性に見られても大丈夫ではあるけれど……。

(……う、うん。スケベなオトコは、いないわよね?)

 きょろきょろと、周囲を見渡すも。この場にいる男性猟兵は、自らの務めを果たす事に専心している様にアリスには見えた。

「──うぅ、やっぱりダメだったでありますか……」

 周囲をキョロキョロと疑い深い目で見渡すアリスの横で、衣服を変えられた己の姿に嘆息をするのはクロエ。
 先の恐竜との戦いの際、クロエは信仰する戦女神から賜った聖鎧(ビキニアーマー)に装いを変えていた。
 だが今、クロエの纏う衣服はタダの水着へと変じている。どうやら邪神の加護を弾き返す、とまではいかなかったらしい。
 とは言え、その加護の温かい力までは掻き消されてはいないようで。クロエ自身に宿る信仰の力は健在であるし、愛用の戦鎚と盾もその手に残ったままである。
 これならば、戦いに不足は無いはずだ。

「……あら、クロエ? あんたの水着、アタシとお揃いじゃない」
「えっ? ……あ、本当でありますね」

 と、自らの状態を確認しているクロエに掛かるアリスの声。
 その声に視線を上げてアリスの姿を見つめ、次いで自分の水着をしげしげと眺めると……まさにアリスの言う通り。己の水着がアリスとは色違いの同じデザインである事が判るだろう。
 クロエとアリスが着せられたのは、チューブトップ型のバンドゥ・ビキニ。その中でもフロント部分が捻れた様なデザインの、ツイスト・バンドゥと呼ばれるタイプの物であった。
 他に特徴的な飾り付けなどは特に無く、至ってシンプルなデザインだ。色の方も、それぞれに黒と白の単色だ。
 ……ちなみに、クロエが白でアリスが黒。かつてナイトプールで一緒に遊んだ時に着た水着の色を、入れ替えたような形である。
 この辺り、結界が色々と忖度してくれたのかもしれないが……真偽の程は、定かではない。

『……きゃいきゃいと、煩いお子様達、だね』

 お互いの水着を確かめ合い、クロエとアリスの間にどこか和んだ空気が流れるが。そんな空気は知ったこっちゃ無いと、女邪神の声が響く。
 よろよろと立ち上がり……あ、『うっ、目眩が』とか言って足元がふらついてる。やはり消耗の程は、激しいらしい。
 ──追い打ちを掛けるなら、今しかない!

「絶好のチャンスね! 邪神、あんたに問うわ!」

 機を見るに敏。アリスの動いたタイミングは、まさしくそんな言葉が相応しい。
 アリスの白い指が持ち上げられて、とある物体を指し示す。指差しされたのは、女邪神が喚び出したままの怪しい触手だ。

「あんた、アレでしょ! そいつらに自分がウネウネウニョウニョされてアハーン! されたいみたいな願望があるでしょ!」
『はっ、はぁー(↑)!? ななな何を根拠にそんな失礼な!?』

 突然の言いがかりに、素っ頓狂な声を上げる『あきらさん』。
 まぁいきなりそんな言い掛かりを付けられれば、誰だって変な声を上げるものではあるだろう。

「うっかりなんて言ってるけど、どうせアレよ! ワザとに決まってるわ!」
『しししし、失敬な!』

 立て続けのアリスの言い掛かり。女邪神の反論は上擦るばかり。
 良く聞けば声がめっちゃ震えてるし、視線も定まる様子は無い。流れる汗も、じっとりと脂っぽく見える。
 ……これ、『目は口ほどに何とやら』、って奴では?

「このスケベ!! 死ね!!!」

 そんな女邪神の様子に、アリスの怒りは有頂天。
 シンプル極まる罵倒を叫べば、ポポポンッ! と飛び出してくるのは無数の情念の獣達だ。
 その名は、『R18禁止ペンギン』。地上波ではお見せ出来ない様な情念を持つ相手を、その怒りの牙で貪り喰らう凶暴な奴らである。
 ……なおこのユベコ、『疑問に対して望んだ答えが返ってこない場合に攻撃を維持する』のだが。この娘、一体どんな答えを望んだんですかね……?

『ちょっ、まっ……痛ッ!? ペンギンの癖して何この牙痛い!?』

 怒りのペンギン大行進に真正面から飲み込まれ、悲鳴を上げる『あきらさん』。
 その様子に、アリスは己の勝利を確信するが……そこで油断しちゃうのが、アリスの詰めの甘い所である。

『ええぇい、触手達! やっておしまい!』

 直後、響いた『あきらさん』の号令に動き出す怪しい触手軍団。
 うにょうにょうにょろとした動きであるが、意外なほどに俊敏な動きでペンギン軍団の隙間を掻い潜り……。

「はっ? えっ……ちょっ、にゃぁぁあああこっちきたああああ!?」

 一息に、アリスの懐に潜り込む!
 完全に隙を突かれ、アリスとしてはもう悲鳴を上げるしか無い。
 だがそんな悲鳴は触手の行動を阻む効果など当然無く。

「ひぃぃぃぃっ!? ちょっ、へんなとこ入ってきたぁぁぁっ!」

 次から次へとアリスの肌に纏わりついて、ついでに水着の中へと触手を伸ばしていく。
 肌を這いずるぬちょっとした感触に、アリスはもう涙目だ。ギャン泣き一歩手前で、クロエに向けてSOSを叫ぶばかりであるが……こうまで纏わり付かれると、クロエとしても中々手が出しづらい。
 このまま触手にウニョウニョされてアハーン! な目に遭ってしまうのか。
 ……アリスが色々なモノを諦め始めた、その時だった。

『ちょっ!? 何でこっちにあぁぁぁぁぁぁっ』

 ペンギン塗れとなっている『あきらさん』から響く、甲高い悲鳴。どうやらこのタイミングで、触手に反逆されてしまったらしい。
 その影響で制御が乱れたか、アリスに纏わりつく触手の動きが鈍る。

「──あ、悪しき者を払う光あれ! ホーリライト! であります!」

 その瞬間を見逃さず、クロエの光から信仰の光が放たれる。
 その眩しき光は、邪な存在を焼き払う戦女神の威光の顕れ。その力を前にすれば、邪な存在の象徴であるかのような触手達は逃げ惑うしか無い。
 ……そう、光を遮るような場所へと、だ。

「にゃあああっ! く、クロエーっ!? なんかもぞって! もぞってぇぇ!」
「ちょっ!? も、潜り込むなでありますーっ!?」

 触手達が選んだ光を遮る場所……それは、クロエとアリスが纏う水着の中。
 聖なる光に灼かれまいと必死に蠢き潜り込もうとする触手達に、クロエとアリスは必死になって触手を掴み、引っ剥がし、光の下へと晒しだしていく。
 ……その必死な行為は何とか報われて、クロエとアリスは何とか己の身を守りきり、触手の群れを殲滅するのだった。

『ちょっ、だからなんで──!!!』

 なお『あきらさん』はペンギンと触手の猛攻を受けた結果、大変な事になっていたようだが……それについては、特に気にする必要は無いだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
自滅型か

自身の見た目が社会通念上見苦しいなら周囲への視覚的影響を『無現』で否定

破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は地形や建物含め「障害」故に無視され影響皆無

高速詠唱を幾重にも重ね『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、『解放』を通じ更に魔力を注ぎ干渉力を極大化し全方向へ斉射
更に射出の瞬間を『再帰』で無限循環、間断なく継続
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

痕跡も残さず消し飛ばそう
火力と物量で圧殺する

届く攻撃は『絶理』『刻真』で触れると同時に終わらせ影響を回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給

万一セフィリカを発見し何かしら危険そうなら助勢
※アドリブ歓迎


オリヴィア・ローゼンタール
形が移り変わろうと、その日は聖人の生誕を言祝ぐ日
それを台無しにしようと言うのならば、我が刃に慈悲はないと識るがいい

去年の水着くらいまでの布面積なら許容範囲
種々の真の姿に変身して衣装の上書きを試みる
天使、雪女、バニー……ふむ、力は発揮できますが、姿はこのままですか

バニーの姿で用いる、死の呪力を帯びた大鎌を携える
襲い来る機械人形を足場にしたり(足場習熟)、絡み付く触手を斬り裂き(切断)、粘液は周囲のガラクタを【投擲】して直撃を避ける
なんですか、この汚い部屋は!
くだらない物を作る前に、掃除の一つでもしなさい!

強化された【視力】による【死睨の魔眼】にて急所を見抜き、告死の大鎌で斬り捨てる





 度重なる戦いに、最早『あきらさん』は(色々な意味で)満身創痍。
 見ているのが哀れな程の、ズタボロ具合であった。
 しかし、そんな敵の姿に同情を覚える者などここにはいない。
 むしろここからが、(待機してる猟兵のガチ具合的な意味での)戦いの本番であった。

(……ふむ、力は発揮できますが──)

 纏う衣装を着替えるかのように真の姿を切り替える事で、オリヴィアはその力の方向性を変じる事が出来る猟兵である。
 オリヴィアはその力を発動させて、いくつか真の姿を切り替えてみたが……。

(──姿は、このままですか)

 その姿は、変わらずに水着のままであった。
 ……オリヴィアが着せられた水着は、トップスが帯状のチューブトップ型となったバンドゥ・ビキニ。
 デザインの方はと言うと、特に飾り気の無いシンプルな物。だがそのサイズが若干合っていないのか、オリヴィアの健康的で引き締まる身体に支えられた母性の象徴に押し上げられて、ミチミチと言う音が聞こえるかのように布地が突っ張ってしまっていた。
 布地の面積的には去年の方が少ないくらいだから問題はないが。こうまでパツパツだと、ちょっと動けば破けてしまいそうだ。
 つまり、積極的に攻撃に出るのは難しいと。そういうことである。

(……積極的に動けぬ以上は──)

 故にオリヴィアとしては。相手をこちらに引き付けつつ、攻撃に関しては他の猟兵に委ねる様に動こうと考えた。
 その為には……。

「……形は移り変わろうと、クリスマスという日は聖人の誕生を言祝ぐ日」

 スッと、手の喚び出したのはバニー服の際に振るう大鎌だ。
 その鎌を構え、冷たく口にするのは。

「それを台無しにしようと言うのならば、我が刃に慈悲はないと識るがいい」

 聖夜を台無しにしようとする残念な女邪神に対する明確な宣戦布告。
 その宣言を聞けば、小芝居から始まった怒涛のコメディ路線な流れに満身創痍であった『あきらさん』も敵意を湧き起こす。

『成程、あくまでも私の邪魔をすると……ならば、その刃とやらを淫蕩に染めてやろう!』

 オリヴィアの鎌に宿るのは、死の力を込めた圧倒的な呪力。だがそんな力を宿してなお、オリヴィア自身の身体から滲むのは魔を祓う破邪の力。
 その聖なる力を淫蕩に染め上げ穢す事で、己の目的を果たす第一歩としようと企てたのだろう。
 再び喚び出すは怪しげな触手。その体内に、怪しい粘液が生成されて──。

『さぁ、行け触手達……ってこら私じゃない! あっちのあぁぁぁ!?』

 ──今、撃ち放たれる!
 ……何やら一部の触手が女邪神自身に襲い掛かっているようだが、その辺りはどうでも良いことだろう。

「フッ! やぁっ!!」

 身体の動きは最小限に。しかし呼気は鋭く大鎌を振るえば。
 床に散らばる失敗作やらコンビニ弁当の空き容器やらペットボトルやらが宙を舞い、粘液を防ぐ壁となる。
 もし、床にこれらのゴミが無ければ。この水着姿で粘液を回避するのは、難しかったかもしれない。
 ……女邪神のズボラさとポンコツさが、オリヴィアの身を遠回しに救った……というと、言い過ぎだろうか?

「えぇい、なんですかこの汚い部屋は! くだらない物を作る前に、掃除の一つでもしなさい!」
『く、くだらないですってぇっ!? えぇい、触手達よもっと……だから私じゃなくってぇーっ!?』

 まぁそんな事実を態々伝えてやる必要は無いだろう。それにオリヴィアとしては、この部屋の有り様はどうにも気に食わないし。
 苦情を叫ぶオリヴィアに、発明品を『くだらない物』と断じられた女邪神の怒りが更に一段高まるが……直後、触手の反抗を受けて甲高い声を上げる。
 ……ともあれ、これで敵の目は十分に惹きつけた。後は味方が、意図を汲んでくれるかどうかだが──。

(──相手は自滅型、か)

 当然、その意図をしっかりと拾う者がいた。
 アルトリウス(褌姿である。その姿は別に見苦しい訳では無いが、周囲に配慮して視覚的影響は『原理』を弄って否定済みであった)が思う通り、粘液を浴びて身悶える女邪神のその様子はまさしく自滅型。放置していてもその内勝手に自爆しそうではある。
 とは言え、捨て置く訳にもいかない。自爆するのは勝手だが、周囲を巻き込んでしまう可能性だって無くはないのだ。倒せる時に、倒すべきだろう。
 ……知人であるピンクブロンドの髪のエルフ猟兵に視線を向ければ、あちらは疲れた目をして後ろへと退いている。危険が及ぶ可能性は、無い。
 で、あれば。身体に宿る力は全て、攻撃に傾けても問題はない。

「痕跡も残さず──」

 淡々と告げ、幾重にも詠唱を重ねて加速と循環を繰り返し、作り出したのは部屋を覆うかのような膨大な数の魔弾。
 その全て、対象目標は女邪神『あきらさん』。その他の地形や物品などは、完全無視だ。
 この圧倒的な火力と物量が……。

「──圧殺する」

 文字通り一直線に、『あきらさん』の下へと降り注ぐ。
 大鎌を必要最低限に振り防戦一方のオリヴィアに集中していた『あきらさん』がその攻撃に気づいた時には……もう、遅い!

『はっ? しまっ……ああああぁぁぁぁっっっ!?』

 着弾、着弾、着弾、着弾、着弾。
 取り出しかけた秘密道具を発動させる隙も無い、圧倒的密度の魔弾が次々と女邪神のその身を穿つ。
 響き渡る女邪神の断末魔。その断末魔さえ、断ち切るかのように。

「我が魔眼に魅入られし者──」

 ──万象等しく、滅ぶのみ!
 邪神の生み出した触手が魔弾の雨の中に消えて生まれた隙を突いて、オリヴィアがその手の鎌を横一文字に大きく振るえば。
 空間を跳ぶ斬撃が、強化された視力により見出された急所……邪神の力の核を断ち切って、邪神と『水着結界発動装置』の存在を『躯の海』へと追い返して行く。

 ──プツッ!

 直後、オリヴィアの纏う水着が内側からの圧に耐えきれずに破けてはらりと落ちる。
 が同時に『水着結界』の効果も途切れて……身体に纏う衣服も元に戻ったので問題は無い、はず。
 ……うん、きっと。問題はないはずだ。

 ともあれ、だ。
 こうして猟兵達は無事、『水着結界』の力を手中に修めた邪神の企みを未然に防ぐ事に成功した。
 人々が心待ちにする、聖なる日。その日は何とか、守られたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ショッピングモール』

POW   :    買い物を満喫する

SPD   :    ウィンドウショッピング

WIZ   :    イベントに参加する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 人々の纏う衣服を水着へと変える、『水着結界』。
 その力を手中に修め、装置という形に細工を施した邪神の抱いた野望は、猟兵達の猛攻の前に遂に潰えた。
 これできっと、この地に住まう人々の聖なる日は守られたはずだ。

 ……さて、そんな戦いを終えた猟兵達。
 だが邪神との戦いと、『水着結界』の力をその身に受けた事で、その心身に僅かではあるが重たさ……狂気の残滓の様な物を感じる事だろう。

 そう言えば、と。グリモア猟兵が語っていた言葉を思い出す。
 この近くには、大型のショッピングモールがあるはずだ。
 時期が時期だし、きっとモールには多くの商品が並んでいるはず。買い物に精を出すのも良いし、ただ見て回るだけでも楽しめるだろう。運が良ければ何かしらのイベントに出会すこともあるだろう。
 狂気に抗う為の最大の特効薬は、日常を謳歌し心を癒やす事。
 ショッピングモールでの一時は、そのいい機会となってくれるはずだ。
 ……出費に関しては、現地組織が報酬という形で支払ってくれるはず。その辺りの事は、グリモア猟兵が上手いこと話を纏めてくれているはずだ。

 楽しいひと時を、どう過ごそうか。
 それぞれに思いを巡らせながら、猟兵達はショッピングモールへと脚を運ぶのだった。

●第三章、補足

 第三章は、日常章。
 戦闘後のお楽しみ。『ショッピングモール』でのひと時となります。
 なお衣服に関しては既に皆様元に戻っておりますので、ご安心ください。

 舞台となるのは、近くにある大型ショッピングモール。
 所謂『郊外型』と言われて想像出来る様なモールで、入っていそうな設備は大体あると考えていただいて構いません。
 クリスマス商戦真っ只中であり、どのテナントも多くの商品を並べていることでしょう。
 買い物に興じるも良し、ウィンドウショッピングも良し。それぞれ好きにお楽しみください。
(なおイベントの有無に関しては、皆様のプレイング次第となります。『こんなイベントがあればこう動く』的にプレイングを送って頂ければ、一般常識の範囲内であれば可能な限り採用させて頂きます)

 また三章に関わる費用は現地組織持ち。
 その辺りの取り纏めの為か、現地にはヴィクトリアが待機しております。
 何か声を掛けたい事がある方、交流してみても良いかなとお考えの方はお気軽にお声掛け下さい。
 特にお声が掛からなければ画面外で現地組織の人間と領収書を取り纏めています。

 ☆プレイング受付について
 なお、三章はプレイング受付開始日を設定させて頂きます。

 プレイング受付開始日:2020年12月10日 午前8時31分より

 それ以前にお預かりしたプレイングは高確率で流れるかと思います。
 月城のスケジュールの都合による勝手なお願いとなりますが、何卒ご了承下さいますよう、お願い致します。

 戦いを終え、猟兵達はひと時の休息の時を過ごす。
 聖夜の準備に浮き立つ様な空気の中、それぞれどんな時間を過ごすだろうか?
 皆様の楽しいプレイング、お待ちしております!

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セフィリカ・ランブレイ
カビィちゃんと(f24111)

経過は問わぬ!解決した!ヨシ!
水着結界を解析したいなあ。研究残ってないかしら

『どうせ碌な結果にならんわよ』
シェル姉も疲れ気味の様子

カビィちゃんで特攻との直感は正しかったが私も疲れた
一番恥じらったの敵ってどういう事……

カビィちゃんとは……新鮮ではあるのかな、基本振り回すばかりの私が振り回される側とはね
言動もどこまで本気か判らないけど面倒見はいい
得難い友人の一人かなぁ……口にして調子いい事言われてもムカつくし素直には言わんけど

じゃ買い物を楽しも……
買わないの!?懐も痛まないのに!?

止める方が面白そうとかの実利と程遠い理由かあ!
そういう奴だった…

買ってやる!何としても!


カビパン・カピパン
セフィリカ(f00633)とヴィクトリアが招かれ【黒柳カビパンの部屋】

聖夜の準備特別編でゲストをお招きしております。
ショッピングなんてダメダメ、余計なリッチは身と滅ぼしますわよ。ねぇヴィクトリアさん。

今回の事件を解決したご感想は?ふーんあっそ。
水着結界を解析したいだなんて、あーたそういう興味が?あたくしは止めませんけど、全力で広めますよ面白いですから。

あらお疲れのご様子。あたくしが癒して差し上げましょう。ヴィクトリアさんも見てて

オツカレー カツカレー ヒレカツ華麗なる一族、なんつって~

え、あたくしがナウなヤングにバカウケな友人!
そういうことはどんどん言っていいのよ。

買い物?絶対買わせねーよ。





 ──るーるる♪(↑) るるる♪(↓) るーるるー♪(↑)

「皆様こんにちは。【黒柳カビパンの部屋】、本日は聖夜の準備特別編でゲストをお招きしております」

 数十分ぶりに鳴り響いた頭に妙にこびりつくBGM(二回連続二回目)。
 バックに流れる音を右耳から左耳に聞き流すセフィリカの眼は、やはり死んでいた。
 今回、水着結界攻略の鍵として引っ張り込んだカビパンの存在。カオスにはカオスをぶつけんだよ! と言わんばかりの力任せの攻略法ではあるが……セフィリカが抱いた直感は正しく、例の女邪心を終始手球に取ることが出来ていた。水着姿を恥じらったの、結局邪神だけってどういう事よ。
 ……まぁともかく、猟兵としての務め自体は果たすことが出来た。
 だがしかし、その代償は大きかった。心身の疲労は、まぁ良いとして。セフィリカの精神は(味方の手によって)無残にも抉られた。しかも、その上……。

「クリスマスムードで盛り上がっているようですがショッピングなんてダメダメ。余計なリッチは身を滅ぼしますわよ。ねぇ、ヴィクトリアさん?」
「……えっ。えぇっ?」
「ごめん、ヴィクトリアちゃん。ホントごめん」

 最近色々あって仲良くしているグリモア猟兵、ヴィクトリアをこんな悪夢の様な小芝居に巻き込んでしまう事になってしまったのだから。
 ……いやコレ、ヴィクトリアを巻き込む展開はマジで聞いてなかったんだろうなぁ。セフィリカがプレイングで全く触れてないし。
 唐突な巻き込まれ事故に目を白黒させるヴィクトリア。そんな彼女に対して、セフィリカとしては誠心誠意頭を下げることしか出来なかった。

「ところでセフィリカさん。今回の事件を解決したご感想は?」
「えっ、あー、うん……解決した! 経過は問わぬ! ヨシ!」

 そんな巻き込んだ被害者二人を他所に、何事も無かったかのように番組を進行させるカビパン。
 威圧感すら感じるそのトークの矛先を向けられれば、思わずと言った様子でセフィリカも答えを返すが……。

「ふーん、あっそ」
「答えさせといてその反応っ!?」

 そんな答えに興味薄げな反応を示されれば、セフィリカがツッコミを入れるのも当然の事だろう。
 普段は良い意味でも悪い意味でも他人を振り回す事の多いセフィリカが、こうまで翻弄されるとは。カビパン・カピパン、本当に恐ろしい娘……!
 まぁそんなカビパンにセフィリカが愛想を尽かさないのは……自身の周囲に居ないタイプであるカビパンの事を、セフィリカが新鮮かつ得難い友人と考えているからなのだが。それを口にしたらそれこそ調子に乗ってムカつくだろうし、と。セフィリカは自らの心に秘めるのみである。

「……まぁ、それはともかく。私としては、水着結界を解析してみたいなぁって……」

 まぁ、カビィちゃんだし、と。気持ちを切り替えたセフィリカが考えるのは、『水着結界』の事。
 前回の件と良い、今回の件と良い。相変わらずあの結界は、色々とアレな結界だった。生死に直結しないとは言え、あんな物が世に広まればそれこそ混沌の世界一直線である。
 それに対する対策だとか、あとちょっとした下心だとか。その辺を踏まえての、セフィリカの発言であった。
 ……『どうせ碌な結果にならんわよ』、という姉貴分の魔剣のボヤキは聞かなかった事にしよう。

「あら水着結界を解析したいだなんて。あーた、そういうご趣味が? あたくしは止めませんけど……全力で広めますよ?」
「ちょっ!? もう、そういうの良いからいい加減買い物行こう、ねっ!?」

 だが、そんなセフィリカの思惑(?)とかをガン無視するのがカビパンだ。
 カビパンの言葉の端々には、『事実を面白おかしく脚色して拡散してやる』という意思が垣間見えるようだ。
 そんな意思を感じ取ったセフィリカが、何とか話を打ち切って方向修正を図ろうとするが……。

「は? 買い物? 絶対買わせねーよ。止める方が面白そうじゃん」
「買わないの!? そんな理由でっ!? 懐も傷まないのにっ!?!?」

 せっかくの玩具(イケニエ)を、そう簡単に逃がす気は無いと言わんばかりに真顔を晒したカビパンに、またセフィリカがツッコミを叫ぶ。
 人の財布で出来る買い物という好機、実利を投げ捨ててでも己が面白いという方向へと突き進む。カビパン・カピパンとはそういう女であるのだ。

「そうか、そうだね……そういう奴だった」
「あらお疲れのご様子。あたくしが癒やして差し上げましょう。ヴィクトリアさんも見てて」

 深く重い溜息を吐くセフィリカと、未だ困惑に呑まれたままのヴィクトリアに向けて。渾身のドヤ顔のまま放たれる、全てを凍りつかせるようなカビパンの言葉。
 そんな妄言を意識の外にシャットアウトしつつ。椅子に腰掛けたままのセフィリカの雰囲気が、僅かに変わる。
 纏う気配の中に滲むのは、圧倒的な気品と他者を自然と傅かせるかのような存在感。一度口を開いて言葉を紡げば、その声は万民の心を打つ事だろう。
 その存在感と気品、言葉の重みを以て……。

「──買ってやる! 何としても!」

 何としても、買い物に行ってやる、と。
 強い決意を込めて、「うおおー!」とセフィリカが悪夢に立ち向かう。
 混沌に満ちた悪夢の如き世界をセフィリカが無事突破し、他人の財布で冬物のアレやコレやを購入できたかどうかは……神のみぞ知る、という所であった。

「……えぇー……?」

 なお、ヴィクトリアはこの小芝居に完全に飲み込まれて困惑しっぱなしだった事を、お知らせしておきます。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
吸血鬼や異端の神々とはまったく別ベクトルの話の通じなさは、精神的に疲れますね……

恐竜は数が多かったですし、試しにやってみた真の姿連続変身も結構体力を使いました
斯くなる上は……甘味で疲れを癒しましょう!

ケーキをはじめとしたスイーツ食べ放題!
チョコレートケーキやチーズケーキ、パフェにタルト……おいしいです!
こちらのドーナツもなかなか……杏仁豆腐もすっきりした甘さです!
(どんどん積み上がっていく食べ終わったお皿)……あら? なんだか周りの皆さんの視線が集まっているような……?

お腹いっぱいになったら、気に入ったのをお土産として買って帰りましょう
お友達にもお裾分けです





 どこぞとも知れぬ異空間で、謎の戦いが始まろうとしつつある頃。
 モールの中をふらふらと散策する、オリヴィアの姿があった。

「……ふぅ」

 大勢の人で賑わうショッピングモール。キラキラと明るい照明や人々の笑い声。
 そのどれもこれもが、来る聖夜の夜を楽しみに待つ陽性の活気に満ち満ちていた。
 そんな人々の明るい未来を守れたのだ、と。そう思えばオリヴィアの心は明るいが……。

(吸血鬼や異端の神々とはまったく別ベクトルの話の通じなさ。精神的に疲れますね……)

 心身に感じる疲労感もまた、オリヴィアは現実に感じていた。
 邪神の無様さやらアレな結界で生じた瘴気はオリヴィアの精神を疲弊させ、道中の恐竜との戦いは身体を疲弊させていた。
 ……これから先、猟兵としての戦いはますます激しさを増すだろう。故にこの疲労は、早い内に癒やしておきたい所である。

「さて、どうしたものでしょう……あら?」

 その為に、何をするべきか。悩み歩いていると、オリヴィアの目に一つの看板が飛び込んでくるだろう。
 店の名前を記したその看板。その店の業態を、オリヴィアは知っている。
 お金を払えばカレーやパスタと言ったフード類からドリンク類、そして多種多彩なスイーツを、制限時間内は食べ放題で提供してくれる店である。
 ……くぅ、と。オリヴィアの下腹が、可愛らしい音を立てる。
 斯くなる上は……。

「……甘味で疲れを癒やしましょう!」

 ほんの僅かに頬を染めつつ意を決し、店へと踏み込むオリヴィア。
 ピークタイムとはちょっとズレていた為か。料金を支払えば、待つこと無く席へと案内されれば。

「さぁ、行きますよ!」

 戦いに挑むかのような、強い決意を顔に浮かべて。オリヴィアが、並ぶスイーツの列へと挑む。
 オーソドックスなショートケーキ、チョコレートケーキにチーズケーキ。パフェにタルトに、クレープにムース。

「……おいしいです! ん、こちらのドーナツも中々……」

 次々に消えていくスイーツ達。そして同時に積み上げられていく、綺麗になった空の皿。
 そのペースの速さと量は、美しい銀糸の様な髪とスタイルの良さを併せ持つオリヴィアの美しさも相まって。

(……あら? なんだか周りの皆さんの視線が集まっているような……?)

 店に偶然居合わせた人々の、興味と関心を惹き寄せていく。
 そんな集まる好奇の視線に小さく首を傾げながらも、匙で救った杏仁豆腐を口へと運べばスッキリとした甘さに思わず頬も緩むだろう。
 邪悪に対し、苛烈さを示す聖槍のシスター。しかしオリヴィアも、齢17の思春期の少女である事に変わりはない。身体に染み入るような甘さを味わえば、多幸感に癒やしを感じる事だろう。
 ……けれど、足りない。

「……さて、お土産も買って帰りましょう」

 空腹を満たしたオリヴィアが、席を立つ。
 そうしてそのまま再び商品ケースへと足を運んで。お土産用に、気に入った物を包んで貰う。
 ……美味しい物は、友人と分かち合ってこそ。
 お裾分けをした友人達が浮かべる笑顔を思い浮かべながら、オリヴィアの頬もまた幸せそうな笑みを浮かべるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィル・グラマン
●POW
ヒャッホー、待ちに待った大型ショッピングモールだ!
何処に行くのか、ってそりゃ決まってんだろ
ゲームコーナーだよ、ゲームコーナー
買い占め転売もクソもねぇユートピアさ
スコアランキングのトップを俺様が書き換えてやるぜ、にゃははは!
(って言ったけどよぉ、後ろから見られてると気が散るっていうか…相手の水着みてぇなコスチュームのせいで思い出しちまうっつぅか…)
ちぇ、今日は気が乗らねぇや
なんだよザイーシャ…ああ、UFOキャッチャーな
しゃぁねぇな取ってやるよ
(んで、今度はすぐ隣に来やがって…ああ、しくじったじゃねぇか。くそ、あと少しだ)
へへ、どうだ
俺様にかかればこんなもんよ
って、おい
引っ張んなって!?


ザイーシャ・ヤコヴレフ
●POW
クロエとアリスが居たけど…面白そうだし、ウィルと一緒にゲームセンターに行こっと
ねぇ、ウィル
どれで遊ぶの?
…ふぅん、ストリートナックル2020って言うのね
じゃあ、私は後ろから応援してるね♪
…どうしたの?やられてるよ?ほら、やり返さないと…あーあ、負けちゃった
ふふ、そういう時もあるわよね
じゃあ、気分転換にこれ、取って貰える?
この…大きなチェーンソーを持ったクマのぬいぐるみ
ウィルのすぐ隣でクマさんが掴まれそうになったり、すぐ落ちるのを楽しみながら見るわ
ありがとう、ウィル
大事にするね♪

そうだ
取ってくれたお礼に私が奢るからファストフード食べに行こ
クリスマス限定メニューがあるそうよ
ほら、早く早く♪





 様々な電子音、眩い筐体の画面、プレイヤーたちの悲喜こもごも。
 ショッピングモール内のゲームコーナーは、モール内でも一、二を争う賑やかな場所だ。
 ……昨今、家庭用ゲームは買い占めやら転売やらが横行している。だが、アーケードゲームには関係の無いことだ。
 ゲーマーである者にとって、ここはある種のユートピア。それはウィルにとってもそうであり……ショッピングモールに辿り着くなり、ウィルは一直線にここに足を運んだのだ。
 
(……ストリートナックル2020?)

 そんなウィルの迷いのない歩みに寄り添うように付いてきたザイーシャが、筐体上部に書かれたタイトルを見てふぅんと頷く。
 特にゲームに詳しくないザイーシャでも、そのシリーズタイトルくらいは聞いたことがある定番作だ。
 その筐体に一直線に向かい、腰を据えたという事は……ウィルは相当自信があるのだろう。
 コインを投入する少年に向けて、応援してるね? と一言告げて。ザイーシャは一歩引いた位置でその様子を見守る。

「……どうしたの? やられてるよ? ほら、やり返さないと」
「うっ、うっせーよ!」

 だが、どうにも様子がおかしい。
 自信満々で筐体に向き合っていたはずのウィルの操作は少々覚束ず、対戦相手の操る女キャラの猛攻の前に防戦一方だ。
 ……別に、ウィルが下手な訳ではない。寸での所で押し込まれるのを防いでいるのを見れば、その力量はかなりの物だとその道に通じた者が見れば判るだろう。
 では何故、ここまで苦戦しているのかというと……。

(後ろから見られてると気が散るっていうか……相手の水着みたいなコスチュームのせいで、思い出しちまうっつぅか……)

 それは、集中力の欠如ゆえだ。
 集中しようとしている時にどこからから見られている事を意識すると、人は容易く集中を乱してしまうのだ。
 更に言えば、対戦相手の使うキャラクターだ。
 そのキャラは、肌を大きく晒す水着の様なコスチュームの女キャラ。その姿を見ると、どうも先程の戦いで後ろに立つ少女が見せた艶姿が目に浮かび……。

「あっ、やべっ!?」

 一瞬目に浮かんだその姿に意識が削がれたその瞬間、相手の攻撃が更に強まり……。

 ──You Lose!

 苦悶の声を上げて吹っ飛ぶウィルのキャラ。そして画面に浮かぶ敗北を知らせる文字の列。
 その画面を眺めて、ウィルは深く溜息を吐く。

「ちぇっ、今日は気が乗らねぇや」
「ふふ、そういう時もあるわよね」

 悔しげに呟き立ち上がるウィル。そんな少年の腕を、ザイーシャは微笑みを浮かべて手にとって。

「それじゃ、今度はこっちね♪」
「ちょっ、おいっ、引っ張んなって!」

 ぐいっと引っ張って連れ出したのは、UFOキャッチャーが並ぶ一角だ。
 その中の、大きなぬいぐるみが並べられた筐体に鎮座する一体をザイーシャが指で指し示す。

「ウィル、気分転換にこれ、取って貰える?」
「あぁん? どれどれ……?」

 ザイーシャが示したのは、ひときわ大きなクマのぬいぐるみ。
 中々にモフモフとした可愛らしい造形だが、その手に携えたチェーンソーが実にバイオレンス。
 その組み合わせの良さは、ウィルにはイマイチ判らないが。まぁ、今日一日一緒に行動したザイーシャの頼みだし、と。

「しゃあねぇなぁ。とってやるよ……」

 コインを筐体に投下して、クレーンを操作する。
 そんなウィルの手元やクレーンの行方を興味深げに見守るザイーシャだったが……気づけばその姿は、ウィルの隣にピタリと寄り添う程に近くなっていた。

(……今度はすぐ隣にって、あぁしくじったじゃねぇか。くそ、あと少し……)

 ふわりと感じる香りと一瞬感じた柔らかい暖かさに、ウィルの意識がまた僅かに揺らぐが……これ以上の失態はメンツに関わると言わんばかりに集中を高める。
 ……これだけ大きなぬいぐるみだ。僅かなクレーンのズレは致命傷。しっかりと見極め、操作して……。

「──よしっ! へへっ、どうだ!」

 俺様にかかればこんなもんよ! と。
 しっかりと目標を掴み上げたクレーンの姿を見て、ザイーシャに向き直るウィル。
 そんな少年の自慢げな顔に、感謝を示すかのように。

「ふふっ、ありがとうウィル。大事にするね♪」

 ぬいぐるみをギュッと抱いてふわりとザイーシャが微笑めば、少年の頬に僅かに熱が籠もるだろう。
 恥ずかしげに視線を反らすウィル。その手をもう一度、グッと握って引っ張って。

「取ってくれたお礼に私が奢るから、ファーストフード食べに行こ。クリスマス限定メニューがあるそうよ。ほら、早く早く♪」
「って、だからおいっ、引っ張んなって!?」

 先導する様にザイーシャが進めば、困惑の声を上げながらもウィルがその後を続いていく。
 同じ年頃の、少年少女。その微笑ましい姿を見れば、周囲の人々の心にも暖かな物が宿る事だろう。
 ……なおクリスマス限定メニューの味の方は、安定したファーストフードの味であった事を書き添えておこう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・クイン
それじゃあ約束のショッピングにいくわよ!
アタシはこのためだけにきたんだから、エンリョしないわよ!
……ちょ、なにこれ寒すぎ!? てったーい!まずは上着からよ!!

【太陽の家】【POWで判定】
クロエの腕を引っ張って、向かうのはハイソでセンス良さげなブティック!
もちろん子供向けもカバーしてる店よ
ガキっぽいのはキライだけど、アタシは自分を見失ったりはしないわ。フフン

ほら、クロエも選んであげるから、その肩出しの寒そうな服の上に、せめて暖かそうなコートでも羽織りなさい。うんうん、ゴシックでキュートな感じ

これでようやくショッピングに繰り出せるわね
酷い目に合わされたんだから、お礼にたっぷり楽しませてもらうわよ!


クロエ・アスティン
POWで判定
【太陽の家】

くしゅん……み、水着から戻ったとはいえUDCの冬は寒いでありますね。
ひゃっ……ア、アリス様そんなに引っ張らないでくださいでありますーー

連れられてやってきたのは高級そうな服屋、えっとブティックというでのありますね。
高そうな店に元貴族の娘ではあるが修道院での清貧な生活に慣れたクロエには尻込みします。

とはいえ、お買い物にウキウキしている友人に釣られてクロエもだんだん洋服選びを楽しんでいきます。
アリス様にはこのシックなウールのコートが似合うでありましょうか?

※アドリブや連携も大歓迎





「──くしゅんっ! ぅう……UDCアースの冬は寒いでありますね」

 研究所からの移動で、身体が冷えてしまったのか。可愛らしいくしゃみを一つして、クロエが呟く。
 人々が心待ちにする聖夜の日。その日は、12月の終わりにあるのだという。
 そしてこの国の12月と言えば、ちょうど冬の盛りを迎える頃である。
 ……そう。今のこの国は、とても寒いのだ。

「ううぅぅ! なにこれ、寒すぎ!! てったーい!」
「ひゃっ!? ア、アリス様そんなに引っ張らないでくださいでありますー!」

 そんな寒さに、遂に限界を迎えたか。悲鳴を上げつつクロエの腕を引っ張って、アリスがモールの中へと駆けていく。
 その勢いのままにモールの中へ駆け込めば……館内を満たす暖かな暖房に、寒さに強張る身体も僅かに解れる事だろう。

「はー、あったかー……それじゃ、約束のショッピングよ!」

 そうして一息ついて顔を上げたアリスの表情は、いつもの険が晴れた明るいもの。
 アリスが一日頑張ったのは、まさにこの瞬間の為である。今日一日の諸々の労苦の分も取り返そうと、「エンリョなんてしないわよ!」とやる気も十分だ。

「えぇと、それでアリス様。どちらに伺うのでありますか?」
「んっ? そうね……?」

 クロエの問いに、周囲を見渡すアリス。その視線の先に飛び込んでくるのは……服飾を専門に扱う小規模な専門店、いわゆる『ブティック』だ。
 よく見てみれば、中々にハイソでセンス良さげなアウターが店頭に並んでいるような。
 当然そんなお店ともなれば、お金の方もそれなりにしそうだが……お金は現地組織が出してくれるのだし、その辺りの心配は必要ない。
 ……考えたのは、ほんの一瞬。

「まずは上着からよ! 行くわよ、クロエっ!」

 うん、と一つ頷いて。クロエの手をぐいぐいと引っ張って進むアリス。
 いらっしゃいませー、と響く店員の声をスルーしつつ。並ぶ商品を吟味する。

(……一応、子供向けもカバーしてるのね)

 並ぶ商品の多くは大人向けの商品だが、子供向けのサイズやデザインの商品も取り扱っている。
 まぁアリスとしては、子供として見られるのはキライではあるのだが……アリスもクロエも、背丈の問題とか、色々あるし。

(──アタシは自分を見失ったりしないわ……フンッ)

 手に取る商品を悔しげに一旦戻し、子供向けの商品の方へと脚を運ぶ。
 この辺りの商品なら、小柄な二人の体格であっても問題ない物があるはずだ。

「ふむふむ……ほら、クロエ。その肩出しの寒そうな服の上に、このコートでも羽織りなさい。次はこれ、その次は……」
「わっ、わわっ!??」

 どこか楽しげに商品を手に取り次々に押し付けてきたアリスに対し、クロエは少々気圧され気味であった。
 生まれこそ貴族の娘であるが、クロエは修道院の清貧な生活が肌身に身についた少女である。
 そんなクロエからすれば、この店の空気は縁遠い存在だ。
 そんな中で、遠慮のないアリスの攻撃(?)に晒されたのだから……尻込みしてしまうのも、仕方ない事ではある。
 とは言え、だ。

「むむむ……うんうん、コレはゴシックでキュートな感じね」
「おぉ、これは……!」

 クロエとて、年頃の女の子。ファッションに興味が無い訳では無い。
 それに、友達が目の前でこうまでウキウキとしているのだから……その空気に釣られ、一緒になって楽しむのも当然の事で。

「アリス様っ、アリス様の分は自分が……このシックなウールのコートが似合うでありましょうか?」
「どれどれ……ふーん、ナカナカね?」

 クロエが手にとったコートを合わせ、姿見で確認するアリスがそのまま買物籠にコートをキープ。どうやら御気に召して頂けたらしい。
 そのまま二人はきゃいきゃいと楽しげに声を交しながら服を選び……。

「酷い目に合わされたんだから、お礼にたっぷり楽しませてもらうわよ!」

 アリスのその言葉の通り、そのまま数軒のブティックをハシゴして。
 満足するまでショッピングを楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

響・夜姫
・アドリブ等歓迎

他人のお金で食べ放題も、魅力的だけど。
今の私には、これがある。
「てれってー。ティラノ肉ー」
わに、運搬お疲れ様。
めんち、火加減は任せたー。

ヴィクトリアや現地組織の人達の近くで、(経費で)買ってきたキャンプ用品を使って即席一人(と3匹)バーベキュー。
肉質は鶏肉に近い感じ。
お鍋、串焼き、ステーキ。他、何か適当に。
ぺんぎんさんと手分けして何品か作って、裏方組にも差し入れ。
「こういうのは、皆で食べる方が。楽しいし、美味しい」

「ティラノ肉。ワニ肉に近いかも。やっぱり鶏肉系」
ワニ肉はグリードオーシャンで食べた。
でもお供は食べない。非常食ではないので。

ぺんぎんさん、また腕を上げた。(美味しい)





 ふらふらと疲労に蹌踉めく足取りのまま(悪夢じみた小芝居から)帰還したヴィクトリアを迎え入れる現地組織の職員達。
 ここはモール近くの大型公園。任務の支援及び後始末の為に派遣された組織の構成員達が一時的な拠点を置いた場所である。
 そんな場所に力強い足取りで歩みを進める、一人の女(と3匹)の姿があった。

「たーのもー」

 特徴的な間延びした口調に、組織の面々の視線が集まる。
 その視線を集めた女……夜姫とお供の手には、何やら大仰の荷物の数々が。
 それらの正体は、炭や食器、焼台と言ったバーベキューセット。モール内にあったアウトドアグッズを取り扱う店で(経費で)購入してきた品々だ。
 ……今回のショッピングモールでの費用は、依頼の成功報酬という事で組織持ち。つまり夢の『他人の金で焼き肉食べ放題』も出来るという事。その魅力に、正直夜姫の心は揺らがないでもなかったが……。

「てれってー。ティラノ肉ー」

 この肉の存在で、夜姫は何とかその誘惑を乗り越えた。
 足元を歩く賢いワニ(夜姫曰くサーペントの末裔)が運搬していたクーラーボックスから取り出したのは、狩りたて穫りたての新鮮な生肉。
 その肉の正体は……先程研究施設内で遭遇した、あのティラノサウルスだ。
 パッと見た感じ、肉質は鶏肉に近い感じだが。実際のお味の方は、どうだろうか?

「わに、運搬お疲れ様。めんち、火加減は任せたー」

 お供を労い指示を与えて、焼台を組み立て、肉を並べて食器を用意。
 そうして準備を進めていけば、すぐにご機嫌な即席一人(と3匹)バーベキューの準備は完了だ。
 じゅう、と焼き上がる肉の脂のその香りに、現地組織の面々の視線が更に集まる。料理に一家言を持つヴィクトリアも興味深げな視線を送ってくるだろう。
 ……そんな視線を浴びつつ、美味しい肉を独り占め。それもまぁ、悪くはないが。
 だが別に、そんな意地悪をする為に。わざわざ夜姫はここに来たわけではないのだ。

「裏方の人たちも、どうぞー。こういうのは、皆で食べる方が。楽しいし、美味しい」

 そうだ。美味しい物は仲間と分け合ってこそ。夜姫はその事を良く知っているのだ。
 裏方の彼らだって、あの(夜姫視点で)罪深い邪神に対処する為に集まった面々。仲間なのだ。
 そんな彼らが相手であれば。このティラノ肉を差し入れするのも、吝かではない。
 ……そんな夜姫の心遣いに、現地組織の面々も恐縮しつつ。割箸を受け取り、バーベキューに加わるだろう。

「……ん。ティラノ肉、ワニ肉に近いかも。やっぱり鶏肉系」

 少しずつ賑やかになる焼台の周り。そんな中で、まずは一口焼肉を頬張り味を見る。
 肉食獣にありがちな臭みは薄く、噛むごとに旨味が滲み出る柔らかな肉質だ。
 グリードオーシャンで食べたワニ肉のそれに近い感じであった。
 ……一瞬、足元にいたお供のわにがビクッと震えた気がしたが。お供はあくまでお供。非常食ではないので安心して頂きたい。
 しかし、この味。素材もそうだが、絶妙なこの焼き加減は実に見事な。

「むぐむぐ……うん、ぺんぎんさん、また腕を上げた」

 焼台を差配するペンギンを称賛する様に、グッと親指を立てる。
 その称賛に照れたように頬を掻くペンギンのその仕草は、妙に人間臭い仕草であった。

 聖夜の夜を待ちわびる人々。そんな人々の暮らしを影で護る、くだらなくも大切な戦い。
 そんな戦いで重なった心身の疲労を、猟兵達はそれぞれに癒やすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月13日


挿絵イラスト