清水と蛇が湧き出る泉
●一時の休憩のはずだった
「さーて、と。ここらへんで少し休憩とするか」
「そうだな、丁度腹もすいたところじゃ」
ここは森の中の泉のほとり。恐らく商人である大荷物を背負った初老の男と、護衛であろう重装備のドワーフが言葉を交わし、それぞれ荷物をおろす。
「なあ、ジンさんよ。付近に敵の気配とかはあるかい?」
ジンと呼ばれたドワーフは辺りを見回す。すると突然武器を構え、辺りをうろつきはじめ、茂みや物陰などを念入りに調べ始めた。
「ジンさん、何かヤバい奴とかがいそうなのかい?」
「ああ、恐らく山賊か野盗のものと思われる足跡やら何やらがな。普通の商人が絶対に通らんであろう場所に頻繁に通ったような痕跡がある」
初老の男はそれを聞くと、水袋を持って近くにあった泉に足早に近づく。
ちょうどこの場所は町と町の間の中間程度の場所にあり、商人たちが水を補給する場所として重宝されている数か所の泉の内の一つであった。
「じゃあ、さっさと水だけ補給してオサラバしないとな。本当は飯もここで食べたかったが仕方ない」
「そうした方が良さそうじゃ、商人殿。飯はここから少し先に見晴らしの良い場所があるから……」
ジンは異常に気付いた。振り向いた先の泉に初老の男の姿がない。泉に向かって歩いて行ったはずなのに。しかし付近には山賊や野盗の姿はない。それにもし男がさらわれたにしても物音やうめき声の一つもあげるはず。
聞こえたのは水音だけ、つまり怪しいのは泉。ジンは斧を持ち、ゆっくり泉に近づく。
「姿を見せい、怪物めっ!」
泉はしんと静まり返っている。それから十秒程度ジンは泉を見つめていたが、泉からは物音一つ返ってこない。
原因はこの泉ではないのか、そう思いつつ泉を見つめる。周辺も調べようとジンが踵を返すと、水音と共に上から水袋やポーチなどが降ってきた。
「これは商人殿の……」
言い切る前に、水の大蛇はジンを飲み込み、泉に潜っていった。
「へへっ、馬鹿な奴らだぜ。あのドワーフの爺さんは惜しかったがなあ」
付近から息をひそめていた山賊たちが現れ、大蛇が吐き出したポーチや地面に降ろされた荷物を回収し始める。
「ほんっと、水の大蛇サマサマだぜ。こんなに楽な仕事はねえ」
大蛇は再び現れると、ジンの武器や兜を吐き出した。
「これからもよろしくな、水の大蛇サマよ!」
山賊の言葉に答えるかのように、大蛇はペロリと舌なめずりをした。
●だが話はここでは終わらない
「さーて、お前さんらに事件を持ってきてやったぞ!」
ココ・ベレスマインズ(強欲な悪徳商人・f05396)は猟兵達に向かい大声で呼びかける。ココは猟兵達が自分の周りに集まってきたのを一瞥すると、事件の詳細を語り始めた。
「事件が起こるのはアックス&ウィザーズの世界。場所は森の中の泉のほとりっつーか、その周辺一帯もだな」
周辺一帯も、とはどういうことかと猟兵が問いかける。
「いや、泉にいる蛇を倒せばそれでいいかと思ったんだが。大人数でいけば山賊共もバカじゃねえ。水の大蛇討伐にやってきたんだーとか思ってよ、守るために周辺一帯の山賊どもが集まってくると思うんだ」
なんせ水の大蛇を討伐されたらコイツらも商売あがったりだ、とココは笑う。
「どうも、ここら一帯の山賊は自分たちで襲わねえで水の大蛇に襲わせて、喰われた奴らが残した荷物やら、大蛇が吐き出した所持品なんやらで生活してたらしくてな」
横着な奴らだよなあ、と付け加え、説明を続ける。
「大蛇の住んでる泉に到達するまでの道中、奴ら……まあ山賊共は必ず出てくるはずだ。まずはそいつらを一掃してから、って事よ」
そういうとココはグリモアを発生させ、テレポートの準備に入る。
「にしても、何でこの大蛇は山賊を食っちまわねえんだろうな。小食なのか、同じオブリビオンは食わねえのか……」
そんなココの言葉が終わる前に、テレポートは始まった。
沙田
お世話になっております、マスターをやらせていただいております沙田と申します。
今回は道中に出てくる山賊を倒して、その後に泉から出てくる水の大蛇を倒す実に単純なシナリオとなっております。
水の大蛇は猟兵達の気配を察知して出てきてくれますので、特に囮とか水中戦の準備とかは必要ありません。
では、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『山賊』
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POW : 山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD : つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ : 下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カリオン・リヴィエール
出てきた山賊達に絶望の福音を使用。鉱物の原石(オブシディアン)より死霊を呼び出し、とりあえず沈黙化を計る。
ここら一帯の山賊のうち、数人はある戦術に関しては自信があるものがいた。
それは、奇襲、夜襲、闇討ち。いわゆる不意打ちだ。
だからこそ水の大蛇を倒そうとするものたち、今回は大勢でやってきた猟兵達を倒す際にもまずはそれが実行されようとしていた。
対象は最初の一人目、カリオン・リヴィエール(石を愛す者・f13723)。
カリオンはオブシディアンの原石を掲げると、ユーベルコード『リザレクト・オブリビオン』を発動させ、死霊騎士と死霊蛇竜を召喚する。
「騎士よ、蛇竜よ、私の歌声を奪うものたちよ……今、此処に出でよ」
『一人』と『一匹』は現れた。
その美しい歌声と引き換えに。
忌々しくも美しき、黒曜石のような輝きを光らせる騎士と蛇竜は現れた。
そんなカリオン達の後ろの茂みから突如として影が飛びかかってきた。
そう、飛びかかってきてしまった。
「君達、後ろお願いね」
騎士は言葉を聞くと飛びかかってきた影、もとい山賊をカリオンの肩越しに剣で貫き、そのまま剣を振り下ろし地面に叩きつけた。
「な、何で俺の事がわかりやがった!」
ユーベルコード『絶望の福音』の効果により、カリオンは知っていた。この後ろから襲撃してくる卑怯者の存在を。
そして騎士はそのまま足で山賊を踏みつけ、剣を抜くと、そのままその剣で山賊の首を切り落とす。
「けっ、あのバカ、ミスりやがったな」
そしてもう一人、後ろからカリオンを襲おうとしていた山賊の肩にボトリと何かが落ちてきた。
「んだぁ、へ、蛇かなんかか?」
蛇。確かに蛇ではあった。そしてそのまま蛇は山賊の喉笛に喰らいつき、頸動脈ごと喉を噛み千切った。
それはカリオンが召喚した死霊蛇竜である。
この山賊が騎士に目がいっていた隙に忍び寄っていたのだ。
一分も経たぬ間に、二人の山賊が絶命。
山賊たちは恐怖した。明らかに今までの冒険者たちとは違う猟兵の圧倒的な力に。
成功
🔵🔵🔴
アドニード・プラネタリア
自分の手ですら汚さない卑怯なやり方…、気に入らないね。
僕がお仕置きしてあげるよ♪
前衛で叩きます。
連携歓迎です。
ユーベルで(全力魔法)を込めて。
数に圧倒されてね♪
攻撃技能(生命力吸収,2回攻撃,衝撃波,敵を盾にする,範囲攻撃,破魔)のレベルは10以上だよ!
防御技能(残像,敵を盾にする,盾受け,見切り)のレベルも10以上!
これらの技能を重視して戦闘を行います。
スピレイル・ナトゥア
「アックス&ウィザーズの世界を旅して楽しい世界にするために頑張ります!」
さて、盗賊さんたちが数でくるなら私も数で対抗するとしましょう
召喚した土の精霊を宿したゴーレムさんたちに盗賊さんたちと戦ってもらいます
どんなに凄い石つぶての弾幕だったとしても、ゴーレムさんが守ってくれれば怖くありません
私自身は後方から精霊の突撃銃による【援護射撃】で、ゴーレムさんや他の猟兵のみんなを【鼓舞】しながら戦います
「ずっと大蛇に任せていたはずなのに、こういうときだけ戦いに出てきますか。慣れないことをするのは怪我のもとですよ。これまで戦いを避けて腑抜けていたあなたたちに、私たちのことが倒せるとでも思っているんですか?」
「アックス&ウィザーズの世界を、旅して楽しい世界にするために!」
「頑張ろーねっスピレイル!」
「お互いにね、アドニードさん!」
挨拶を済ませると二人はそれぞれの得意とする持ち場に付く。
アドニードは前衛に、スピレイルは後衛に。
そしてそんな二人の前に山賊たちは現れるなり、下卑た笑いをあげる。
「ギャッハハハッ! どんな奴らが来たかと思えばガキ二人かよ、遠足かなんかか?」
「遠足……まあ、そうかもしれないですね」
スピレイルの言葉に拍子抜けしたかのように、山賊は笑いを止める。
「ずっと大蛇に任せていたはずなのに、こういうときだけ戦いに出てくるような山賊との戦いは遠足と大差ないかもしれませんね」
「何ィ?」
山賊たちの顔が醜く歪む。
「だって、私たちより戦闘に慣れてないようなあなたたちとの戦いですもの。まさか、これまで戦いを避けて腑抜けていたあなたたちに、私たちのことが倒せるとでも思っているんですか?」
「自分たちの手も汚せない卑怯者なんか、僕らがお仕置きしちゃうんだからなっ♪」
「こ、このクソガキ共ォ!」
憤慨した山賊達はそれぞれ刃物を持ってまずは前にいたアドニードに斬りかかる。
だが、攻撃は当たらない。それぞれ斬ったのはさっきまでアドニードがいた場所の空気である。
「残像だよん」
そしていつのまにか山賊の一人がアドニードに後ろ手に捕まれ、盾代わりにされていた。
「チッ、仕方ねえ。野郎ども、石を持て」
「ま、待ってくれよ俺の事は見殺しかよぉ!」
「勝手に捕まったてめぇが悪いんだろうが、マヌケがッ」
そんな会話をしているうちに、後衛にいたスピレイルはユーベルコードを発動させる。
『土の精霊さん。一緒に頑張りましょう!』
ユーベルコード、『土の精霊は集う』が発動し、地面から22体のゴーレムが現れる。ゴーレムたちはまるでスピレイルを守るかのように山賊たちの前に立ち塞がる。
「そーら、全員で的あての時間だぁ!」
そして山賊たちは石つぶてを投げつけ始めるが、命中したのはゴーレムたちと盾にされている山賊だけだ。
「土の精霊さんたち、ありがとう」
ゴーレム達は言葉を発さないが、どことなく誇らしげに胸を張るポーズをとった。
「イテッ、痛ぇ、痛ェっ! は、離せガキッ、このままじゃ俺が死ぬだろうがっ」
「えー……仕方ないなあ」
アドニードは盾にしていた山賊を地面に捨てるように離すと、石つぶてを見切って避けながら山賊たちに近づく。
『必神火帝、万魔拱服!』
ユーベルコード『炎の術』が発動し、95本の炎で形を成した魔法の矢が山賊たちを襲う。
あるものは顔に命中し顔を焼かれ、あるものは手足を焼かれ、運の悪いものは全身火だるまになって転げまわっていた。
無事だったものもいたが、陣形を崩したところに、矢に続いて突撃してきた10体ほどのゴーレムが更に追撃し、残党を叩きのめす。
「数こそ正義、ってね。数に圧倒されろー!」
「戦いはやっぱり数ですね! そして……」
わっはっは、と高笑いをしているアドニードの後ろ……先ほどまで盾にされていた山賊がアドニードの後ろから刃を突き立てようとする、が。
「見逃すわけがないでしょう?」
スピレイルの精霊印の突撃銃が炎の精霊を宿した弾丸を放ち、刃を構えていた右手を的確に狙撃した。
「熱いっ、熱いいぃっ! 俺の、俺の右手がああぁっ!」
その声にアドニードが振り向くと、右手を押さえてうずくまっている山賊の姿があった。
「お怪我はないですか、アドニードさん」
「うん、この通り傷一つないよ。あ、あとね」
アドニードは少し口をつぐんだ後、その言葉を発した。
「……助けてくれてありがとね、スピレイルっ!」
少し恥ずかしそうに発せられたその言葉に微笑み、どういたしまして、とスピレイルは返す。
さあ、泉までの道のりはあと半分も無い。
二人は倒した山賊たちを踏まないよう避けながら、先に進むのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神楽・鈴音
山賊ねぇ…
こんな雑魚じゃ大した財宝も持ってなさそうだけど、今の私じゃこいつら相手が精一杯だしね
とりあえず先手必勝
間合いを詰められる前に【七星七縛符】で可能な限り敵の動きを封じる
【破魔】で気持ち性能アップできればよし
その後は【錬成カミヤドリ】で鉄製の賽銭箱の群れを召喚
頭上から降らせたり、盾にしつつ突撃させたりして山賊どもを押し潰す
「石ころなんかでどうにかなると思った?遠距離攻撃もパワーが正義なのよ!
それでも近付いて来る山賊には【超重賽銭箱】で頭をカチ割る
【鎧砕き】も加えて破壊力アップ
戦闘後、使用した護符の枚数数えて項垂れる
「もしかして、お札使い過ぎて、また赤字!? あぁ……お賽銭……。
小宮・あき
グリモア猟兵さんから話を聞きました。
なにそれ!盗賊、絶対に許せないわ!
聖者として、そんな盗賊は改心させなけれ…あ、オブリビオンなんですね?
じゃあ、何も迷う事はありません。成敗!
●WIZ対抗
UC「ジャッジメント・クルセイド」で後方より攻撃。
近接は得意な方ではないので、[先制攻撃][早業]で距離を保ちながら攻撃します。
私は「指先」を向けるだけ。正確に狙っていくわ。
近づく敵には[第六感][逃げ足]で回避。
最後の一体に、右手を指パチンの要領で、最後に人差し指を敵に向けます。
「ジャッジメント・クルセイド!」
ふふ、かっこつけちゃったかしら。
(共闘、大歓迎です)
「あきさん、わかってるわね?」
「えぇ、鈴音さん。戦いの基本は……」
神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)と小宮・あき(人間の聖者・f03848)はお互いに顔を見合わせた後、まだ二人の存在に気づいていない山賊たちに目線を向ける。
「先手必勝よ!」
「先手必勝だね!」
鈴音は山賊たちに向かって走りながら、ユーベルコード『七星七縛符』を発動させて護符を両手に構え、そのまま山賊たちに向かって護符を投げつける。
「ぎゃあっ! な、なんだ奇襲かッ!?」
全員に命中こそしなかったものの、命中した数人は身体が麻痺したかのように動かなくなった。
そして命中しなかった山賊の一人の頭上から光が降り注ぐ。
「ん、なんだ。別に今まで曇ってたわけでもねえのに……」
光は徐々に強まっていき、山賊の身体を焼いていく。
それがあきのユーベルコード『ジャッジメント・クルセイド』だと気づく前に光は山賊の身体を瞬く間に包み、全身をただの消し炭に変えてしまった。
「私は指先を向けただけよ」
ふふん、と鼻を鳴らすあきに、鈴音が声をあげる。
「ねえねえ、お金……もとい何も持ってなさそうな奴を優先的に狙ってもらっていい?」
「良いけど、どうしてー?」
鈴音は口をもごつかせる。
「大物は私が倒せるから……かなー? と、とりあえず一発で倒せそうな奴をお願いっ、デカブツは私が倒すから!」
あきがきょとんとした顔をする中、鈴音はユーベルコード『錬成カミヤドリ』を発動させ、態勢を立て直そうとしている山賊たちに向かって飛んでいく鉄製の賽銭箱14個の群れが現れる。
「な、何だぁこの鉄の箱どもはッ!」
「賽銭箱と言いなさい、賽銭箱とっ!」
態勢が整わないまま山賊たちも石つぶてをなげて対抗するが、無情にも石つぶては全て賽銭箱に当たり、ぱらぱらと地面に落ちていく。
やけっぱちになったのか無事な山賊たちは下卑た雄叫びをあげながら各々刃物を持ち、二人に突撃していく。
突撃した山賊たちの殆どは動き回る賽銭箱に吹き飛ばされ、うめき声をあげて地面に突っ伏すか、あきのジャッジメント・クルセイドにより消し炭になっていく。
隠れながら近づいてきたものもいたが、例外なくあきの第六感によって気付かれてしまい、指先を向けられ、消し炭になっていく。
「ふふっ、隠れたって私には無駄なんだから!」
だが、そんな中。一人の大柄な山賊が賽銭箱の猛攻を潜り抜け鈴音の前に現れた。
「よくも俺の可愛い可愛い部下たちをやってくれたなぁ、えぇ、ガキがぁ!」
「ガキ、ですって?」
鈴音は大柄な山賊を睨み付ける。
「悪いけどねぇ、私は百年よりも長くこの世にいるのよっ!」
その言葉にカチンときた鈴音はユーベルコード『超重賽銭箱』を発動させる。
『天罰覿面! お賽銭を寄越しなさい!!』
突如として現れた鋼鉄製の賽銭箱型ハンマーに大柄な山賊は面食らい、動きを止める。それが最悪の選択だったとも知らずに。
そのままハンマーは山賊の頭に振り下ろされ、頭をカチ割った。
「とどめは私が!」
「あっ」
鈴音が制止する前に、あきは指をパチンとならし、そのまま指先を向ける。
「ジャッジメーント、クルセイドッ!」
そのまま大柄な山賊の上から天の光が降り注ぎ、山賊を消し炭に変えていく。
決まった、と微笑むあきとは対照的に鈴音は慌てた顔をしていた。
「ご、御寄進まで焼けちゃ……!」
がっくしと鈴音はうなだれ、とりあえず賽銭箱によって倒された山賊と札によって動きを封じられている山賊たちのポーチを漁っていく。
「ひい、ふう、みい、よ、いつ……」
集めた金貨や銀貨等を何回数えても足りない。
足りない。
今回使った護符の代金には到底届かない。
「もしかして、また護符を使いすぎて赤字か、ああ、御寄進よ、お賽銭よ……」
崩れ落ちる鈴音に、あきはぽんぽんと肩を叩く。
「あ、あのー……多分これ、山賊さんたちが落としたものなので、差し上げます」
申し訳なさそうな顔をしながらあきが差し出したのは、小さくはあるが赤く輝く宝石であった。鈴音に歩み寄る途中で見つけたものだ。
「価値はわかりませんが足しになればと……」
「うう、ありがとうあきさんっ!」
あきが差し出した宝石を受け取り、懐にいれる鈴音。
この宝石で護符代が足りればいいなあと、あきは善意で、鈴音は切実に考えながら泉に向かうのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『水の大蛇』
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POW : 水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD : 口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ : 身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「宇冠・由」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
泉のほとりに辿りついた猟兵達は、警戒しながら水の大蛇が住んでしまっている泉に近づいていく。
ある程度近づくと泉から大きな水音が響き、大蛇は姿を現した。
大蛇は猟兵達を睨み付けると、オブリビオンの本能によって猟兵達を『敵』と認識し、臨戦態勢に入る。
物語は大詰めだ。
猟兵達はそれぞれ大蛇との戦いに向け、各々の武器を構える。
泉の平和を取り戻すために。
そして、猟兵としての本懐を遂げるために。
カリオン・リヴィエール
声が戻るまでに時間がかかってしまうのは大の承知。この際、後のことは気にしません。ユーベルコードにて殲滅を図ります。なおかつ、真の姿を解放。ちなみに、真の姿は黒い影みたいなあやふやな見かけとなります。というか、召喚した死霊を強制的に取り憑かせています。
理性はぎりぎり残ってる程度です。
「仕方ないな。後が面倒だから使いたくはなかったけれど……あなたのその首、貰い受けますね。」…の前後で覚醒してます。
カリオン・リヴィエール(石を愛す者・f13723)は水の大蛇を前にしても、何かをひとつ忘れているような気がした。
山賊を倒した時もそうだった。何かを忘れている。一つ、大切なものを。
それが『慈悲』や『情け』といった感情であることに彼女は気づき、思い出した。が、安堵の気持ちに満ちると同時に死霊騎士と死霊蛇竜を召喚した。
何故か? オブリビオンと対峙するには必要のないものだから。
オブリビオンと対峙する時に必要な感情は『非情』や『冷徹』といった感情だ。
自身を喰らおうと身体を滑らせ、泉から地面を這ってくる大蛇を前に、仕方ない、とカリオンは一言呟く。
カリオンが合図をすると死霊騎士と死霊蛇竜は吸収されるかのようにどろりと溶け、カリオンの身体と混じり合う。
そんな姿を気にすることもなく、水の蛇竜が喰らいつく。
が、牙はカリオンの身体に突き刺さることは無かった。
「後が面倒なんですよね、この形態」
黒いもやのような『何か』が大蛇の牙を掴み、食らいつかれるのを防いでいる。
そして洞窟の奥から響くような声が、大蛇に向かって宣言する。
「あなたのその首……貰い、受けます」
『何か』……真の姿を開放したカリオンは牙を離すと、すぐさま横に回り込み、剣のように変形させた黒いもやを大蛇の首に叩きつける。
水の身体であるはずの大蛇の首が、黒いもやに触れた端から消滅していく。
蒸発ではない、消滅している。自然の摂理に反して。
本能で危険を察知した大蛇はすぐに泉に戻り、消滅した部分を修復しようとする。
だが、戻らない。まるで最初からその部分が無かったかのように。
大蛇の首は抉れてしまった。黒いもやに奪い取られてしまった。
大成功
🔵🔵🔵
スピレイル・ナトゥア
「本能だけで動くなんて醜悪ですね。そんなだから、山賊さんたちに利用されてしまうんですよ」
身体が水なら、ここは雷の精霊さんたちの出番でしょうか
雷の精霊さんたちに味方の猟兵さんたちの機械を強化してもらいつつ、稲妻の矢で大蛇さんを攻撃してみんなを【援護射撃】します
しかし、水で構成された大蛇さんが相手だなんて、弓や突撃銃での攻撃は効果があるのでしょうか?
小宮・あき
なるほど、これが水の大蛇ですか。初めて見ました。
しかし、盗賊は敵とみなさないのとは…小食にしても攻撃してくれればいいのに。
オブリビオン同士だとうまくいくのかしら。まあ、関係ないか、うん、倒そう!
同じく「ジャッジメント・クルセイド」で攻撃。
後衛、敵の行動をよくよく見ながら動きます。
これだけ体が大きいのなら、私の指が狙いを外す事はありません!
問題は、敵がとんな行動を取ってくるか。
初めて対峙する敵なだけに、どのような行動を取ってくるか判りません。
[世界知識]から大蛇の生体を想定、行動を予測し[戦闘知識]に当てはまめてみる。
視覚情報から動きを[学習力]で理解し、[第六感]や[野生の勘]で回避する。
神楽・鈴音
さて、後は泉の主を倒すだけ……って、物理無効な身体に再生能力とか、私とこいつ相性最悪じゃない!
仕方ないから、今回は仲間の援護に回るわね
攻撃は【破魔】で強化した【七星七縛符】のみ
少しでも動きを封じられたら儲け物だわ
後は【錬成カミヤドリ】で賽銭箱を召喚して、敵の遠距離攻撃から皆の身を守る盾にするわね
空中に浮かせたのを足場みたいに使ってもらえば、真上とか死角から攻撃してもらえるかもしれないし
物理攻撃は、本当に通用するか見極めてから仕掛けるわ
効果があるなら積極的に頭を狙うわよ!
ところでこの蛇……お金とか珍しい商品とかも一緒に飲み込んで、身体の中に残してないかしら?
戦闘後、周囲の【掃除】しつつ探してみる
「これが水の大蛇なんですかー、私、初めて見ました」
どこかのんびりとした姿勢を崩さず、小宮・あき(人間の聖者・f03848)は率直な感想を述べる。そしてそのまま、指先を泉に向け、ユーベルコード『ジャッジメント・クルセイド』を発動させる。
天からの光は水の大蛇の身体を蒸発させていくが、それと同時に泉の水を吸収し、体を回復させる。
「何とか泉から引きずり出さないと泉を干上がらせるだけね……」
神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)が呟くと同時に、スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)は妙案を思いつく。
「鈴音さん、あきさん、お願いがあるんですが」
二人はスピレイルに近づくと、その『案』を聞く。
そして三人はその案通りに動くことにした。
「じゃあ、足場と防御は任せて!」
鈴音はユーベルコード『錬成カミヤドリ』で15個の鋼鉄製の賽銭箱を召喚し、それぞれ二人が乗ったのを確認した後、ふわりと地上から浮き上がらせる。
水の大蛇は水弾を浮き上がっている二人に向かって放つが、賽銭箱がその攻撃を阻む。
そして、わざと鈴音は大蛇の目線の先に移動する。
すると大蛇は鈴音を飲み込もうと真っ直ぐ泉から這い出ていく。
「案の定、食欲という本能で行動しましたね」
「じゃあ、あとは手筈通りだね!」
スピレイルはユーベルコード『雷の精霊は穿つ』を発動させ、上空から泉に向かって115本もの雷の精霊が宿った矢を放つ。
『雷の精霊さん。任せました!』
たちまち泉の表層に電流が流れ、そのまま泉から逃れるために、そして鈴音を喰らうために大蛇は泉から這い出た。
そして尻尾の先端だけを泉に浸からせた姿を見たあきが、ジャッジメント・クルセイドで尻尾を蒸発させ、切断する。
そんな事もお構いなしに鈴音に真っ直ぐ向かってくる大蛇に、破魔の力で強化したユーベルコード『七星七縛符』の護符を鈴音は投げつける。
動きを止められたのは数秒、数秒たった後は水分によって護符はふやけその効力を失ったが、この作戦は数秒どころか一秒で十分、最悪一瞬でも動きを止められればいい。むしろ大蛇の注目が鈴音のみに向いた時点でこの作戦は成功したといっても過言ではない。
「ジャッジメント・クルセイド!」
そして、あきの目は抉れた大蛇の首を見逃さなかった。
天からの光を抉れた大蛇の首に向かって集中的に放つ。たちまち大蛇の首は千切れそうになるまで蒸発し、なんとか自身の身体の水分を使って修復するも、連発される天からの光に修復するたびにみるみる身体が縮んでいく。
そして援護とばかりにスピレイルも火の精霊を宿らせた弾丸を放ち、大蛇の身体の水分を蒸発させていく。
「さあ、泉に戻ってください。戻れるなら、ですが……」
スピレイルはもう一度、泉の方面に向かって雷の矢を放つ。
『雷の精霊さん。任せました!』
だが仮に泉に電流が流れようが、ここの泉は広い。電流が薄い場所が必ずあるはず、それに「水さえあれば身体はいくらでも修復できる」と大蛇は反転し、無我夢中で泉の方面に身体を滑らせ、這いずっていく。
泉に浸かればこの戦闘をやり直せる。その一心で泉の方をよく見もせずに泉に浸かろうとする。そして、『電流を帯びた何か』にぶつかり、弾かれるようにその場を飛びのく。
泉に浸かれることは無かった。レンガの塀のように積まれた『帯電した鋼鉄製の賽銭箱』が大蛇の目の前を、泉までの通り道をふさいでいた。
先ほどの雷の精霊を宿らせた矢は泉ではなく、この鋼鉄製の賽銭箱に放たれていたのだ。
本来であれば飛び跳ねて超える事も、横に素早く移動し、賽銭箱を避けて体の一部だけでも浸からせることもできただろう。
だが縮みきり、疲弊した大蛇は絶望した。そのいずれの選択肢もとれない身体になってしまっていたからだ。
そして帯電した賽銭箱はガラガラと音をたて大蛇に向かって落下して命中し、大蛇の身体の殆どを蒸発させる。
最後に悪あがきで、あきに向かって水弾を放ったがあっさりと避けられ……。
「とどめですよ、水の大蛇さん」
天から降り注ぐ光によってその身体を完全に蒸発させられた。
今ここに、一匹のオブリビオンは完全に消滅したのだ。
「さてさて、お宝は無いかな~有るかな~有りますように~」
鈴音は辺りに散らばった今まで水の大蛇が飲み込んだものを戦闘の跡の掃除ついでに集めていくが、集まったのは殆ど人骨とガラクタばかりで、価値のありそうなものはなにもなさそうだった。
二つだけ指輪を見つけ、喜ぶもその指輪にはそれぞれこう掘られていた。
『アビーレ・ペルセイユ』
『メイ・ペルセイユ』
恐らく結婚指輪だろう。そしてその持ち主は恐らくこの人骨のいずれかだ。
「鈴音さん、何か見つかりました?」
「何かいいものがあれば良いんだけど……どうだった?」
二人は鈴音に向かって呼びかけるも、鈴音はぐっとこらえてこう返した。
「なんにも! 『わたくしにとって』価値のありそうなものは何もなかったですわ」
そういうと鈴音は賽銭箱ハンマーで地面を砕き、地に穴をあけ、そこに人骨たちを集めて入れていく。他の二人も人骨を集め、その穴に出来る限り人骨を砕いてしまわないように丁寧に転がすように入れていく。
人骨を全て入れた後、鈴音は最後に二つの指輪を入れ、二人と協力して埋めていく。
「食べられた皆さんも浮かばれるといいですね」
「ええ、そうね……」
スピレイルと鈴音が暗い顔をするが。
「きっと大丈夫だよ、きっと、きっと皆の無念を晴らしたはずだよ!」
涙をこらえ、二人を励ますあき。
今ここに、水の大蛇との戦いは幕を閉じた。
この地に小さな石碑を、そして少し悲しい気持ちを全員の心に残しながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『わくわく!草食おおかみふれあいパーク』
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POW : 全身で草食オオカミと触れ合う
SPD : 草食オオカミが気に入りそうなことを試してみる
WIZ : 草食オオカミとのんびり過ごす
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
水の大蛇を撃破し、消滅させた猟兵達。
そこにがさがさと茂みが揺れる音が響く。
撃退し損ねた山賊か、それとも別の何か危険な生物か……。
猟兵達は身構えながら茂みに向かって武器を構えるが、現れたのはまんまるな目をした毛玉のぬいぐるみ……ではなく草食オオカミの子供だ。
子狼たちはきゃんきゃんと吠えながら泉に向かって走っていき、泉の水に舌を伸ばし乾いた喉を潤していく。
遅れて親と、同じ群れなのであろう数匹の大人の草食オオカミが顔を出す。
子狼と同じように泉に走っていき、喉を潤す狼たち。
しばらく水を飲むと十分に喉が潤ったのか、狼たちは各々自由に行動し始める。
もしかしたら水の大蛇が現れる前は様々な動物たちの遊び場兼水飲み場だったのかもしれない。
猟兵達は子狼や狼と触れあっても良いし、何かをして遊んでも良いし、共にただのんびりするだけでも良い。
今は楽しもう、この草食オオカミたちの楽園を。
小宮・あき
わあ…!草原オオカミ? 初めて見ました!
水の大蛇といい、今日は初めて見るものがいっぱい。
[世界知識]で知っていても、実際に目の前で見るのでは、やっぱり違いますね~。
[動物会話]でお話しながら、のんびり過ごしたいと思います。
[歌唱]で鼻声交じりに歌いながら、狼さんと過ごしたいなあ。
あなたの家族は?友達は?普段は何をして遊んでいるのか、教えてほしいな。
もし、怪我をしている狼さんが居れば、治療しに行きましょう。
UCで傷が癒せるなら、喜んで。
そういえば、大蛇戦は凄かったなあ。
ずーっとジャッジメント・クルセイドしか考えてなかった…!
あんな素敵な作戦が立てられるイェーガーに、私もなりたいです。
カリオン・リヴィエール
何とか、元に戻りました。
今回はとっても疲れたので、皆さんの楽しむ姿を見ながら、のんびり休みます。あ、でも、ちっちゃい子狼とか、近づいて来てくれたら嬉しいですねー。なでなでしちゃいます。
また、絡み等大歓迎ですので、話しかけて来ていただけると内心とっても喜びます。
神楽・鈴音
「草食のオオカミだったら、ニンジンは食べるかしら?
オオカミにニンジンを勧めてみる
ニンジンは、地元の馬小屋の飼葉桶から失敬してきたもの(馬の餌)
後は、お地蔵様から拝借したおにぎりがお弁当
貧乏なので、こんなご飯ばっかり……
「草食のオオカミだったら、食べられる野草とか知ってるかもしれないわね
「言葉が通じないのが残念だけど……まあ、動物が食べてるんだし、毒は無いでしょ
草食オオカミの食べてる草を食べられないか挑戦
ダイス判定成功:「これはいけるわね!少し持って帰って、社の境内で栽培するわ
ダイス判定失敗:「うげ……辛くて臭くて苦くて不味い……
後は泉でのんびり釣りを
今晩の夕食になる魚でも連れればいいな、と……
木漏れ日が照らし、鳥の鳴き声が響く平穏な森。
そんな平穏を取り戻した場所をそれぞれ草食オオカミ達は自由に動き回る。
「草食オオカミ……実物は初めて見ました!」
小宮・あき(人間の聖者・f03848)は水を飲み終え、大あくびをしている子狼に近づいていく。
「ねえねえ、ちっちゃな狼さん。お名前はなんていうの?」
子狼は目線をあきにちらりと向けると、眠そうに『ビガー』、という自分の名前を伝える。
「ビガーっていうのね! なんだか強そうな名前ね」
強そうな名前、という言葉に反応し、ビガーは目を見開き、そうだろうそうだろう、とあきの周りを上機嫌に走り回る。
挙句の果てにはお腹を見せて撫でてもらう始末のビガーだったが、しばらくすると疲れたから休むね、と木陰に向かって歩いていき、ゼンマイが切れたかのようにこてんと寝っ転がり、寝息を立て始める。
あきはそんなビガーに近づいていくうち、人影に気づく。
そんなビガーの頭を起こさないよう撫でる人影が一人。そしてその横にお弁当を食べる人影がもう一つ。
カリオン・リヴィエール(石を愛す者・f13723)と神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)である。
カリオンは子狼を撫でて癒され、鈴音は弁当として持ってきたおにぎりを頬張っている。
「もふもふしてるな……」
何だかあったかい毛玉の塊を撫でているようだ、と呟き撫で続けるカリオン。
そんなカリオン達の前に、数匹の草食オオカミたちが寄ってくる。
「な、何よ、おにぎりはあげないわよ」
おにぎりをそそくさと後ろに隠す鈴音だが、おにぎりに寄ってくる様子はない。
恐らくリーダー格であろう後ろ足を引きずる傷だらけの狼がやってくると、くるるる、と小さなうなり声やわん、わんと小さく吠えたりし始めた。
「みんな、ありがとう。だって!」
どうやら数匹で代表してお礼を言いに来たようだ。起きたビガーはカリオンの膝の上に乗っかり、撫でて撫でてと頭を手に擦りつける。
「あ、ご飯を要求しにきたわけではないのね……」
良かったー、と残りのおにぎりを頬張る鈴音。ふと、非常食用なのか生のニンジンを取り出し、草食オオカミに差し出す。
「よかったら食べる?」
恐らく副リーダーであろう目つきの鋭い狼がニンジンを齧ると、ウォウ、ウォウ、と吠え、子狼たちを呼び寄せ、ニンジンを全て分け与える。
「とっても美味しいって言ってます!」
「食べる姿も可愛いな」
カリオンに撫でられていたビガーも飛んでいってニンジンをはぐはぐと食べ、満足そうにワン! とひと吠えすると、再びカリオンの膝の上に乗っかり、食後の昼寝を始める。
お礼を言い終えた大人の狼たちは解散して各々の行動に戻り始めるが、その時あきはリーダー格の狼が足を引きずっている事に気づく。
「あ、リーダーさん、足が……今、治してあげるね」
あきはユーベルコード『生まれながらの光』を発動し、光を引きずられていた足に当てる。するとみるみるうちに足は治り、引きずらずとも歩けるようになっていた。
リーダー格の狼はあきに近づき、何かお礼がしたい、先程子狼たちがご馳走ももらった、此処にいた私の足を折った怪物も倒してくれた、そしてその足も治してくれた。何か私にできる事があるならお礼をさせてほしい、とあきに頼み込む。
「えー、私はお礼なんて良いんだけどな……カリオンさん、鈴音さん、この狼さんが何かお礼をしたいと言っているけど、二人はなにかしてほしいことってあるかな?」
二人は少し唸った後。
「この子狼が膝の上で寝てくれている。私はそれで十分だ」
というカリオンに対し、鈴音は目を光らせて。
「ねえねえ、人間が食べられる草とか教えてほしいんだけども」
と切実な願いを口にする。
あきは鈴音の言葉を伝えると、子が食べる草と大人が食べる草がある。子が食べるものであればもしかしたら、と狼は返す。
狼はついてこい、と言わんばかりに吠えた後、鈴音とあきをある場所に誘導する。
そこには肉厚な葉っぱをつけた草が群生していた。
「これが食べれるかもしれない草ね……」
鈴音は勇気を出して、葉っぱを一枚千切りかじってみる。すると。
「ふーむ……苦味の中にもほのかな甘みがあるわね。肉厚で食べごたえもあるし」
よし、と言うと鈴音は草を引っこ抜こうとする。
「ねえねえ、あきさん。これっていくらか貰ってってもいいか聞いてくれない?」
なんとなく雰囲気で察したのか、狼はわん、わんと吠える。
「ふふ、子供たちの分もある、いくらかは持ってっても良いがとりすぎないでくれ、だって!」
その言葉に鈴音は安心し、数本ほどその草を根っこから引っこ抜く。
「よーし、いくらか持って帰れれば社の境内で栽培して……」
そして引っこ抜き終えた後、元の木陰に戻ろうとすると子守歌が聞こえる。
歌声が少しづつ戻り始めたカリオンがビガーを撫でながら子守歌を歌っていた。
その歌声に引き寄せられるように子狼たちはカリオンの周りに集まり、一匹、また一匹、こてんと寝っ転がっていく。
そしてあきは一緒に歌おうとカリオンの元に近づいていくが、鈴音は泉の方に近づいていく。
「あれ、一緒に歌わないんですか?」
「歌はそれほど得意じゃないし……夕飯の魚も釣らないといけないから」
ばつが悪そうに答える鈴音に対し、あきは思い出したかのように鈴音に礼を言う。
「そうだ! 大蛇戦ではありがとうございました。鈴音さんが足場を作ってくれたおかげでとっても戦いやすかったです!」
その言葉に鈴音は一瞬照れくさそうな顔をするも、すぐに笑顔に変わる。
「どういたしまして!」
そういうと鈴音は泉に釣りに、あきとカリオンは子狼たちに子守歌を歌う。
子守歌と子狼の寝息と、大人の狼が遊びまわる音がしばらく響いた後、釣れたっ!という鈴音の嬉しそうな声も響きに加わる。
そして、風が突然吹き木々がざわめく。
木々のざわめきの音はまるで、森が猟兵達に礼を言っているような穏やかな、そして優しい音だった。
大成功
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