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大切な村を守って

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●大切な村、大切な場所
 アックス&ウィザーズ世界の一角に、大きな農村が存在していた。
 ここで作られる作物の数々は、村に住む多くの人々の命を支え、生活を支え、そして未来を支えている。
 それだけではない。周囲の小さな村たちへも、商人を通して運ばれる事で多くの感謝を得ていた。

 しかし。唐突に不幸は訪れる。
 その村をゴブリンたちの群れが襲う未来が予知されたのだ。

「くっそぉ! どうなってんだ! 雇った冒険者達はどうしてる?!」
 予知の中で、酒場の主人が叫ぶ。目の前では村が轟々と燃えていた。
 村はいざと言う時の為に冒険者を雇っていたが、今回は相手が悪かったと言える。
 ゴブリンはゴブリンでも、ゴブリンキング――知恵者である王がいるとなれば、有り触れた冒険者では太刀打ちできるはずもない。
 荒れ狂う村の中。ひときわ大きなゴブリンの王が、杖を振りかざした。
 杖先から召喚された炎の精霊が宙を走り、更に家々を燃やしていく。

 さぁ、奪え。食料も、酒も命も何もかも。

 そんな未来を、誰かが止めなくてはならなかった。

●ゴブリンキングを討伐せよ
 グリモアベースでは、声をかけられた猟兵達がジャック(多重人格のグリモア猟兵・f00529)から説明を受けていた。

「と、言うわけで。ゴブリンキングが大きな村を襲う前に、敵のアジトに乗り込んで討伐してきてほしいんだ」

 初心者猟兵もベテラン猟兵も大いに歓迎、とジャックが言いながらグリモアを操作する。
 猟兵達の前には、森の奥に存在するゴブリンたちの住処が映し出された。
「ゴブリンたちは村から離れた、大きな洞窟に住んでいる。中は殆ど太い一本道で、最奥に『ゴブリンキング』がいるぜ」
 昔、炭鉱にでも使っていた所に住み着いたのだろうか。洞窟は広く、造りもしっかりしている。
 たまに枝分かれして、小さな部屋も存在するが、中心の太い道を歩めば迷う事はなさそうだ。
「洞窟の前には、ゴブリンキングが召喚した『炎の精霊』が待ち構えている。まずはこいつらを倒して、次はキングを打ち倒してくれ」
 なお、部下のゴブリン達は。炎の精霊が倒された時点でビビッて逃げ出すとのことだ。
「森の中にある洞窟だが、洞窟の前は木々が刈られてありひらけた土地だ。周囲の木も水分を含んでいるから、そうそう引火はしないと思うけど『火炎属性』の技を使う場合は気をつけてくれ」
 とジャックは言った。
 山火事はもちろんだが、『炎の精霊』は『炎を食べる性質』を持つので相性も悪い。
 そういう意味でも、注意が必要な相手だ。

「依頼が終わったら、酒場で美味い酒を奢ってもらえる事になっている。村の人々を守る為にも、みんなの活躍を期待してるぜ」


滝谷
 滝谷です。よろしくお願いします。
 シンプルな依頼を出したかったので書いて見ました。
 初心者さんからベテランさん、またユーベルコードを使ってみたいと言う方まで、どうぞご自由にご参加ください。

●勝利条件
 最終目標は『ゴブリンキング』の討伐です。洞窟の奥にいます。
 討伐が完了すると、第3章で酒盛りパートが待っています。

●戦闘地について
 『炎の精霊』は洞窟前での戦闘になります。
 洞窟は森の中にありますが、洞窟前の木々は伐採された跡があり障害にはなりにくいでしょう。
 ひらけた土地で戦えます。
 (派手に戦うことで、部下ゴブリンはビビって逃げてくれます)
 『ゴブリンキング』は洞窟の最奥です。
 頑丈な岩場を円形にくりぬいたような場所で、とても広いです。
 少し暗いですが、周囲にランプがあるので視界には困りません。

●酒盛りについて
 倒し終われば酒盛りタイム。美味しいお酒を村の酒場(冒険者の酒場)で店主に奢ってもらえます。
 お子様の場合(外見年齢含む)はジュースです。でもおいしいよ。
 何もなければジャックは一人のんびりしてます。声をかけたらおつまみ位は奢ってくれます。
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第1章 集団戦 『炎の精霊』

POW   :    炎の身体
【燃え盛る身体】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に炎の傷跡が刻まれ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    空駆け
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    火喰い
予め【炎や高熱を吸収する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リュカ・エンキアンサス
※アドリブやほかの方との一緒も歓迎

……酒か。俺はまだ酒は飲めないけれど、酔っ払いの話を聞くのは好きだよ。
まあ、その前にやるべきことはやってしまおう。

戦場を確認。少し離れた場所から他の猟兵たちへの援護射撃が出来ればいいな。なるべく精霊の攻撃を阻害するように立ち回れたら。
援護の必要がなければなるべく攻撃を休めずに撃っていこう。それなりに銃は派手な音が出るとは思うけれど、それで驚いてくれたら幸い。
ただ、開けた場所とのことなので射撃が難しいようならバイクで突入でもしてナイフを振るおうか。
……精霊に、弾丸やナイフが効くかどうかは若干不安が残るけれど。まあ、何事も経験だ。やってみよう。


鈴木・志乃
この世界の戦闘は慣れてないんだよね……
ま、全力出さない理由には、ならないけどっ!

【戦闘】
そんな巨体で動き回られるのは困るわ
早々に封じるに限るね

極力縦横無尽に飛び回って、敵を混乱させるよ【誘惑】
UCは当てられると判断出来る物から即当てていく
敵の動き、声、発する音から次の動作を【見切り】【第六感】と共にかわす
どーしても近づかれたらあらかじめ毒塗っておいた光の鎖で【武器受け】し、【カウンター】狙うよ【毒使い】
【オーラ防御】も忘れずにね
極力遠距離からシャウトの【衝撃波】狙っていくよ
私の【歌唱】力なめんな。

あんな全身火だるまに効く攻撃持ってないからね、私
試せる手段は全部試す


紫崎・宗田
なるほど
炎食われちまうんじゃ、確かに相性最悪だな

だが…
「それがどうした」

ある意味お互い様かもしれねぇぜ?

炎纏わせない状態の★剛壊刃〜龍〜を所持
炎の体をたたっ斬るような連続斬りを主体とし
囲まれたら
自らの体ごと回転させての【範囲攻撃】からの
UCの連携で周囲の敵を一掃させる狙い
自分の基本動作が大振りな分攻撃後は常に警戒し
敵の動作を極力【見切る】

炎だの水だの
実態の無い敵は剣圧で吹き飛ばしやすそうで助かるな(挑発)

敵の炎攻撃は【火炎耐性】で防ぎつつ
【属性攻撃】を吸収、防御として使用し
剛壊刃〜龍〜に敵の炎もまとめて奪い取ってやるよ
それが成功した場合は振り切る
または炎の持ち主ごとぶった切って鎮火しねぇとな



●戦いの中で
 猟兵達が戦場へたどり着く。木々の茂った森の中、開けた場所に洞窟の入り口があった。
 警戒するように『炎の精霊』が出入り口を見張っているのが見て取れる。

「(……酒か。俺はまだ酒は飲めないけれど、酔っ払いの話を聞くのは好きだよ)」
 だが、その前にやるべきことはやってしまおう。リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)が愛用のライフルを構えた。
 地形を利用し、敵から離れた木の上から相手の様子を観察する。
「(……精霊に、弾丸やナイフが効くのかな)」
 敵はまるで炎で出来た獅子だ。実弾がどこまで効くのかわからない。
 一抹の不安を抱えながら。戦い始めた仲間を支援すべく、リュカはスコープを覗いた。

 炎の精霊と戦いながら、紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)が肩を回す。
「なるほど。炎食われちまうんじゃ、確かに相性最悪だな」
 彼の持つ紅蓮の炎では、敵に飲まれてしまうだろう。
 一見、精霊の姿は厄介に想われた。
 だが、しかし。
「それがどうした」
 宗田の口元には不敵な笑みあった。
「ある意味お互い様かもしれねぇぜ?」
 力強く地を蹴って走り出す。
 彼には立ち向かうだけの勇気があった。
 吼える獅子へと間合いをつめると、素早く剣を振りかざす。
 巻き起こる衝撃波。
 叩き切られた精霊が、大きく揺らいで悲鳴を上げる。
 更にもう一撃。剣を振れば炎が宙に霧散する。
「炎だの水だの。実態の無い敵は剣圧で吹き飛ばしやすそうで助かるな」
 指で手招くように挑発すれば、他の精霊たちが宗田へ向けて突進を開始する。
 飛び掛る猛威を、紙一重でかわす宗田。
 すれ違いざまに肌を焼く熱も、普段炎を扱う彼なら耐えられる。
「まとめて来い!」
 宗田が身を捻り、周囲の敵をなぎ払う。

 敵と対峙するのは宗田だけではない。
 白い翼をはためかせ、鈴木・志乃(ブラック・f12101)も敵と向かい合う。
「(この世界の戦闘は慣れてないんだよね……。あんな全身火だるまに効く攻撃持ってないし)」
 彼女の知る未来都市と、この世界では随分と違いがある。
「ま、全力出さない理由には、ならないですけどっ!」
 全ての手段を試してやろう。
 縦横無尽に飛び回り、惹きつけた精霊の隙を突く。

『貴方はこの世界を害しました。その罪を償ってください』

 オーラと言葉とともに、光の鎖が放たれる。
 『聖者の裁判(セイジャノサイバン)』が動きを封じるべく敵へと襲い掛かった。
 志乃の表情には余裕がある。
 敵の動きから様々な情報を集めていたからだ。
 戦いの中で徐々に精度を上げる志乃。成長してゆく強さが彼女にはあった。
 空を蹴り突進する炎の精霊。その声も動きのパターンもお見通し。
 見切った上で距離をとり、マイクで声を衝撃へ変えてゆく。
「(次は纏めて止めてあげるわ)」
 多彩に技を繰り出しながら。彼女の経験が――直感が、そう告げていた。

 2人の様子を見たリュカは、帽子のふちを僅かに下げて微笑んだ。
 目の前で、自分とは違う強さを持った人たちが戦っているのだ。
 リュカの奥底から込上げてくる熱は気のせいではないだろう。
 負けてはいられない。何事も経験なのだ。
 燃え盛る獅子に的を絞ると、リュカはライフルの引き金を引いた。

 リュカの放つ援護射撃が、精霊達を苦しめる。
 姿の見えない場所からの射撃。発砲音に混乱し、弾で体が貫かれてゆく。
 早業による連射は、猟兵への攻撃をそれ以上許してはくれなかった。
 炎の精霊が悲鳴を上げる。
 気がつけばリュカの手により、敵は一箇所に纏め上げられていた。
 透かさず志乃の『聖者の裁判』が敵のユーベルコードを封じる。
 敵が暴れるたびにギリリッと鎖が食い込んだ。
 そして。
「これでトドメだ」
 宗田が豪快に剣を振りぬいた。剛壊刃~龍~が敵の炎を巻き上げる。
 炎を纏った状態で、繰り出された『グラウンドクラッシャー』。
 重たい剣の一撃が叩きつけられ地面ごと敵を破壊する。

 捕らえられていた敵は逃げる術もなく、猟兵達の連携により炎の精霊は粉砕されたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


●一方その頃……ゴブリンキングは怒っていた。

 王様はおこである。理由ももうある。
 どこでしくじったか、とんと見当がつかぬ。
 何でも暗い洞窟の奥から、ゴブゴブと泣いて部下が逃げ出したことは記憶している。
 王様はここで始めて猟兵というものを見た。
 しかも精霊にきくとそれはイケメンという人間の中で一番獰悪な分類であったそうだ。

 王様は地団駄を踏んだ。
 それで優秀な側近と、チョコをくれない100名の妻達が逃げ出そうと構わなかった。
 しかし小指をぶつけた時だけは飛び跳ねて痛がった。

 ゴブリンキングは、おこである。

 自分の尻を精霊に焼かれた時と変わらぬくらい。
 大変、大変、おこである。
ヴェイゼル・ベルマン
ゴブリンって言やあ、あまり強くねぇ奴等の集まりだと思っていたが、中にはキングなんて知恵者も居るのな
精霊を召喚するなんて、中々やるじゃねぇか
ま、何を喚んでいようが全て倒すまでだ
暴れるとするか

近接戦の方が得意なんだけどな
今回は空駆けで避けられちまいそうだし、飛び道具の【黒鉄の刃】を使うぜ
両手に持ったナイフを投げて『2回攻撃』を狙う
敵が纏まっていれば、複数のナイフを雨のように浴びせ『範囲攻撃』
敵の攻撃は、動作をよく見て『見切り』で回避するか、ナイフ《影》の『武器受け』で防ぐ
回避や防いだ後は、隙を逃さず『カウンター』を仕掛けるぜ
もし攻撃を食らっても『火炎耐性』があるからな、簡単に倒れるつもりはねぇよ


ファラン・ウルフブラッド
ゴブリンの王か。よかろう、相手に王が居るのなら我も出ようではないか。
どちらが王としての格があるのか、身をもって分からせてやろう。

【行動:POW】
攻撃フェイズでは炎の精霊に向かって『技能:怪力・二回攻撃・衝撃波・範囲攻撃・マヒ攻撃・生命力吸収』を使用した王剣解放を叩き込みます。
眼前に極太の雷が落ちてくる恐怖を味わうがいい!
部下ゴブは可能な限り狩ります。

「貴様は炎を食うのだろう?せっかくだ、此度は味付けを変えて、我の取っておきの『雷』をたっぷりと馳走してやろうではないか!!残さず食うが良い!!」

防御フェイズでは『技能:フェイント・見切り・第六感・残像』を使用し、翻弄します。

アドリブ、連携歓迎です。


ルヴィリア・ダナード
村を襲わせる訳にはいかないね。
村の平和の為、何よりおいしいお酒の為にも!
折角予知してもらったんだからね、未来を変えてあげる!

ひえー、熱そう!触ったらやけどじゃすまないよね?
気を付けなきゃね。
森までは距離ありそうだけど山火事とかも気を付けないとダメかな。
ってことで、森の方へ行かないようにちょっと注意しておこう。

ジャッジメント・クルセイドで吸収してるところを邪魔しちゃおう。
お食事中、ごめんね。
残念ならが待ってあげるほど優しくないんだよねー。
それにしても炎っておいしいのかな…
いや、食べれないでしょ。口の中が焼けただれちゃうよ、やだやだ。



●ゴブリンと王
「ゴブリンって言やぁ、あまり強くねぇ奴等の集まりだと思っていたが、中にはキングなんて知恵者も居るのな」
 逃げ出すゴブリンたちを見ながら、ヴェイゼル・ベルマン(焔斬り・f13471)が呟いた。
 ゴブリンが背負う荷物は、他の村を襲ったときの戦利品なのだろう。
「王か。よかろう、相手に王が居るのなら我も出ようではないか」
 だがその前に、とファラン・ウルフブラッド(深淵を歩く剣王・f03735)がゴブリンたちへ雷撃を放つ。
 まさか森へ逃げるのを先回りされているとは想わなかったのだろう。
 あっけなくゴブリンと、その荷物――金銀コインが宙を舞った。

 音に反応したのは『炎の精霊』だ。
 コインが獅子に触れると、赤くなって溶け出した。
「(ひえー、熱そう! 触ったら火傷じゃすまないよね?)」
 ルヴィリア・ダナード(嘘つきドール・f01782)が、気をつけないと、と息を呑む。
「村を襲わせる訳にはいかないね。村の平和の為、何よりおいしいお酒の為にも!」
 ルヴィリアの言葉に猟兵達が同意する。
 敵にはここでご退場願おう。
「ま、何を喚んでいようが全て倒すまでだ。暴れるとするか!」
 パァン、とヴェイゼルが掌に拳を打ちつける。
 さぁ、戦いをはじめよう。

●炎をこえて
 精霊へむけ、ヴェイゼルは地面を蹴った。
 逃げ回る敵を視界に捕らえる。
「近接戦の方が得意なんだけどなっ」
 敵に合わせて武器を変えるヴェイゼル。
 手にもつのはナイフ――『黒鉄の刃(クロガネノヤイバ)』だ。

『この刃からは逃れられないぜ!』

 高速で発射する2本の刃。かわすことは許さない。
 ナイフに身を裂かれた精霊が、声を上げて絶命した。
 間を置かず、別の精霊が死角から突進する。知らせるべく相棒の竜が声を上げた。
「くっ!」
 間一髪で敵を避けるヴェイゼル。
 すれ違いざまにナイフで炎の体を引き裂いた。
 熱とともに伝わってくるナイフの確かな手ごたえ。
 確実に、敵は倒せる。
「簡単に倒れるつもりはねぇよ」
 鋭い眼光を光らせて、ヴェイゼルは次の敵を睨み返す。

 ファランは多くの敵に囲まれても、威風堂々としていた。
「どちらが王としての格があるのか、身をもって分からせてやろう」
 揺らがない心で精霊へ宣言する。
「貴様は炎を食うのだろう? 折角だ。趣向を変えて、我の取っておきのをたっぷりと馳走してやろうではないか!」
 敵が動き出すのにあわせて、ファランが武器を振りかざす。

『受けろ! これが、我が剣の力だ!!』

 王剣解放(カラドボルグ)。大剣が、衝撃と共に敵の体へ命中する。
 更に怪力を持って宙に投げられた敵の体。傷つこうとも反撃は可能――のはずだった。
「我が『雷』。全てを残さず食らうが良い!」
 轟いた雷鳴。王剣に触れた精霊を起点に、雷撃が周囲に惨劇を巻き散らす。
 多くの獅子は雷に耐え切れず、その姿を霧へと変えた。
 怒り狂う残りの精霊が、ファランへと飛び掛る。
 1匹目をかわし、次の精霊を残像で惑わせた。
 だが、3匹目の精霊の攻撃は、ファランの額を直撃する。
「ほう……あくまで我に逆らうか」
 親指の腹で血をぬぐい、敵へ冷たい目を向ける。
「代償はでかく付くぞ」
 その言葉は、深くて、重たい。

 2人が派手に暴れる中、戦場を見渡していたのはルヴィリアだ。
 見つけたのは、炎の傷跡。敵の攻撃で出来た煙る炎を食している精霊達がいた。
 炎は敵を強化する。
 それを見逃すほど、ルヴィリアも甘くはない。
「(残念ながら待ってあげるほど、優しくないんだよねー)」
 スッと綺麗な指先で、相手を指差した。

『お食事中、ごめんね。――ジャッジメント・クルセイドッ』

 指さしていた精霊へ、天から光の攻撃が降り注ぐ。
 光線が敵の体を深く抉った。
 悶え苦しみ、消滅してゆく精霊達。
「それにしても炎っておいしいのかな……」
 ルヴィリアが想像をめぐらせる。思い出したのは溶けたコインだ。
「いや、食べれないでしょ。口の中が焼けただれちゃうよ、やだやだ」
 涙を滲ませ首を振ると、改めて周囲を見た。
「まだまだ居るね。よしっ」
 天罰とばかりに強化を目論んでいた精霊達を、彼女の光が狙い打つ。
「折角予知してもらったんだからね、未来を変えてあげる!」
 ルヴィリアへ牙を向ける獅子も、彼女に到達する前にその体を打ち抜かれていた。

 残りの敵を、ルヴィリアが妨害し、ヴェイゼルが切断してゆく。
 更に逃亡しようとした精霊もファランが止めを刺した。
 確実に1体1体が葬られる。やがて戦場にいた炎の獅子は見る影もなくなった。

 かくして『炎の精霊』は、全て猟兵達に撃退されたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ゴブリンキング』

POW   :    ゴブリン親衛隊の召喚
戦闘用の、自身と同じ強さの【杖を持ち、炎の魔法を放つ、ゴブリンメイジ】と【剣、盾、鎧で武装した、ゴブリンナイト】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    王の激励
【王による、配下を鼓舞する言葉】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    ゴブリン戦奴の召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【奴隷ゴブリン】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達が洞窟の奥へと走り抜ける。
 長い洞窟を抜けた先には、広い空洞が存在していた。
 異世界でいうところの地下ドームのような場所、といえば想像が付くだろうか。
 その中に、獣の骨や、金銀財宝がばら撒かれ、中央には開いた空間があった。その際奥には階段が存在し、高い場所に玉座がある。

 強く杖を打ち鳴らし、玉座から腰を上げたのは1匹の王。ゴブリンキング。
 その巨体は、普段見るゴブリンとはまったく違った。
 はるかに大きい筋肉質の体。それでいて、力強く王の風格を身に纏っていた。

「ギギッ……貴様らが猟兵という奴らか」

 恨みを持った、低い声。
 人語をすらすらと語る辺り、やはり知恵者なのだろう。

「生きて帰れるとは思わぬ事だな……!」

 ゴブリンキングが杖を掲げた。すると、魔術を使ったのか、入り口が岩が動き出す。
 猟兵達が後ろを振り返ると、まるで牢屋の鉄格子のように、岩で入り口がふさがれていた。
 キングか猟兵の、どちらかが倒れるまでは逃げられないという事か。

「計画を邪魔しおって……1人ずつ、貴様らを葬ってくれる!」

 ゴブリンの王が、動き出す。
 殺意に満ち、自信に溢れた宣言に、猟兵達が息を飲んだ。
 果たして猟兵達に勝算はどこまであるだろう。

 そして王がゆっくりと階段に足をかける。と、階段が崩れた勢いで王座からキングが転げ落ちてきた。
祝聖嬢・ティファーナ
『クリスタライズ』で姿を隠して、『エレメンタル・ピクシィーズ』で炎の魔法に対抗する様に水/氷/土の精霊に戦ってもらい、闇/月の精霊と聖霊を召喚してゴブリン王の精神と“鼓舞”を阻害し激しい疲労と狼狽を与えます♪
同時に『神罰の聖矢』で親衛隊と戦奴を攻撃しつつ、『エレメンタル・ファンタジア』で土砂X洪水で上下から攻撃をします☆

ティファーナ本人が見付り攻撃を受けたら『生まれながらの光』+『シンフォニック・キュア』で治療し治癒します♪
王だけになったら『月霊死屍輪舞』で肉体的精神的に削り奪い“死”へと誘います☆

戦闘が落ち着いたり変わる際には精霊に“こぺいとう”を上げて労います♪


ヴェイゼル・ベルマン
あんだけ格好つけといて転げ落ちるとか……
ビシッと決まらねぇ王様だな

さて……
これ以上悪事を働く前に、てめぇには消えて貰うぜ
仕事の後には旨い酒が待ってるしな
勝つのは俺達だ
焔々がハルバードに変わり

親衛隊召喚か、ちょい厄介だな
親衛隊には、攻撃力重視の【焔斬撃】を使用
『なぎ払い』による『範囲攻撃』で2体を適度に牽制しつつ、ナイトに重い一撃を入れ『鎧砕き』
砕いた部分を『串刺し』、『怪力』を出してメイジ目掛けてぶん投げちまうか
上手くいきゃ、2体の動きを少し封じられる筈
その隙に『ダッシュ』して一気にキングに近づき攻撃するぜ
キングには、命中率重視の【焔斬撃】で確実に当てる
敵の攻撃は『見切り』と『武器受け』で対処



●相棒
 ゴブリンの巣では猟兵と『ゴブリンキング』が対面していた。
 その中に、隠れて魔法を唱えたものがいる。

『身体も貴方も水晶の様に透明に……』

 小さな体に可憐な声を潜ませて、詠唱したのは祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)だ。
 クリスタライズ(クリスタライズ)。姿を隠す魔法だ。
 精霊と共に透明な姿へ変わる。
「みんな、よろしくね♪」
 戦いが終わったら『こんぺいとう』をあげる約束に、精霊達は張り切っているようだった。

「あんだけ格好つけといて転げ落ちるとか……ビシッと決まらねぇ王様だな」
 思わず突っ込みをいれた、ヴェイゼル・ベルマン(焔斬り・f13471)。
 目の前には転がった王。
 間抜けな奴だ、と一度は肩を竦めたが。敵が立ち上がれば、杖からにじみ出る禍々しい魔力に背筋を伸ばす。
「さて……。これ以上悪事を働く前に、てめぇには消えて貰うぜ。仕事の後には旨い酒が待ってるしな!」
 相棒の竜『焔々』と目が合えば、ドラゴンは槍斧ハルバードへと変化した。

●部下の猛攻
 ゴブリンキングとの戦いの火蓋が切って落とされた。
 猟兵が繰り出す攻撃。だが、全てがキングへ到達するわけではない。
 ヴェイゼルが舌打ちをする。
 キングが呼び出した部下――ゴブリンナイトに攻撃を阻まれたのだ。
 見ればゴブリンメイジが、次の攻撃に備えて詠唱を開始している。
「精霊よ――♪」
 歌い、踊れ。ティファーナの美しい歌声に答えるように、精霊たちがゴブリンへ攻撃をしかける。
 詠唱を妨害されたゴブリンメイジがうろたえた。
 姿の見えないティファーナ達の攻撃が敵を混乱させてゆく。

 だが。敵とてそう簡単に負ける気はない。
 ゴブリンキングが杖で地面を激しく叩くと、部下に叫ぶように号令を下した。
 精霊へ指示を出す声の主――ティファーナを最優先で叩き潰せと。
 更に奴隷ゴブリンを召喚すると、王が部下を纏めあげてゆく。

 これにはティファーナもたまらない。姿は消せても存在感までは完全に消せないのだ。
 僅かな音を頼りに奴隷ゴブリンが彼女へと殴りかかる。
「きゃっ――!」
 敵の攻撃を、ギリギリでヴェイゼルの槍斧が防いだ。

 雑魚ゴブリンを一気に片付けてしまおう。
 ティファーナが魔力を練るとヴェイゼルが走り出す。
 迎え撃とうと突撃してくるゴブリンの群れ。
「みんな、いっくよー☆」
 ティファーナが精霊と連携して魔法を展開する。
 唱えたのは属性を帯びた大魔法。
 連携した攻撃が広範囲のゴブリンを次々と消し飛ばした。
 発生した土砂を盾で防ぐゴブリンナイトへ、間合いをつめたヴェイゼルが仕掛ける。

『てめぇはこれでも食らっとけ!』

 焔斬撃(エンザンゲキ)。繰り出されたハルバードが敵の鎧を貫いた。
 苦しむゴブリンナイト。しかしヴェイゼルは止まらない。
 更に1歩踏み込むと、力任せにゴブリンナイトを吹き飛ばす。
 その先にいたのはゴブリンメイジ。
 悲鳴を上げて2匹のゴブリンは壁に叩きつけられた。
「いっけぇー☆」
 ティファーナの声援を背にヴェイゼルが王手をかける。
「勝つのは俺達だ!」
 叫ぶと、焔斬撃を王へ向けて放つのだった。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

紫崎・宗田
なるほど
キングを名乗るだけあってそれなりに強そうじゃねぇか
楽しませてもらうぜ

【早業】による連続攻撃を主体とし
敢えて頭上から振りかぶる事で敵の杖で防がせる
力比べでもするか?

と見せかけてわざと力を緩める事で足払い
隙を突くようにUCによる追撃

敵の技で対象が増えた場合
炎は【火炎耐性】で耐えつつ可能な限り自分の武器に吸収し
そのまま武器ごと体を回転させ【属性、範囲攻撃】
被害が味方に行かないよう燃焼範囲は注意
更に【衝撃波による吹き飛ばし】で召喚された敵をキングの方に吹っ飛ばし
まとめて振り抜いた武器の餌食にしてやる
特大ホームラン…なんてな

連携する場合味方の攻撃も当たりやすいよう
適度に進退を繰り返しながら戦う


ファラン・ウルフブラッド
(あ、コイツ強キャラだけどギャグ枠だな。って顔をしてます。)
さて、ゴブリンの王とやら。貴様に王としての器が有るかどうか我が直々に見てやる。 そして見せてやろう『王』という存在が如何なる者であるかをな。
(此処で真の姿を解放し、同時に【技能:存在感】とUCを発動します。)

【行動:POW】
攻撃時は『技能:力溜め・怪力・二回攻撃・衝撃波・範囲攻撃・生命力吸収』の効果により生まれる地獄の炎で形成された衝撃波を、親衛隊とゴブリン王に放ちます。

防御時は『技能:見切り・第六感・フェイント・残像』を使用します。

アドリブ・連係歓迎。

ゴブリン王を討伐したら金銀財宝を回収し、祝勝会代にします。やるなら派手に行こうぜ!


ルヴィリア・ダナード
……。
道を塞ぐなんて!
どうやって帰ればいいのよ!
お酒が待ってるのに…もう許さないんだから!

あんなにカッコイイこと言ってたのになんだか締まらないな。
うん、なんて言うか…
頑張ろうな、お互いに!

鼓舞なんて王様らしいね。
私にも何か言って欲しいな、なんてね。
あれ、なんかやる気満々かな?
ちょっと不味いかな…
えっと、少し黙って動かないで下さいな!
咎力封じでお口をチャック、じゃないけど封じちゃおう。
運が良ければ腕も体もグルグルかな。
貴方は運が良いかな?悪いかな?
おやおや?もしかして喋れない?
いやー、ごめんね。ちょっと何言ってるか分からないな!


リュカ・エンキアンサス
※他の人との絡み・アドリブ歓迎
うん、まあ……生きて帰れると思わないことだね。
階段から転がる姿に一瞬押し黙って、そして何事もなかったかのように振舞うのはある意味優しさだと自分では思ってる。

というわけで、淡々と銃を構る。
基本は遠距離での援護に徹する。せっかくなので足をメインに狙わせてもらおうかな。転んでくれたらまた幸い。
また、奴隷ゴブリンが出てきたらそれを優先するし、ゴブリンメイジが出てくるなら本体のほうを攻撃して、なるべく数を減らすようにする。
近接することになったら、ナイフを構えて応戦する。んだけど、
若干接近戦は荷が重いから、助けてくれると嬉しいは嬉しい。出来ないわけではないんだけれどね。


鈴木・志乃
……

味方との連携を大事にするよ
以下、味方の狙いと相反する物あれば適宜改変
必要なら積極的に声かけ【コミュ力】
連携に必要な【礼儀作法】が私にあると良いんだけど!

周囲を良く見ろ
今皆、何をしようとしてる?
――【見切った】、その攻撃


【目立たない】死角から横殴りするようにUC発動【地形の利用】
敵の混乱を狙う
味方に被害が集中しないように気を付ける

接近されたらUCを体に張って防御+【オーラ防御】
シャウト【衝撃波】で吹っ飛ばせ!

空中から手持ちの毒ばらまくのって有効かな?【毒使い】

【第六感】【スライディング】で味方の危機に飛びいる
鎖で【武器受け】【カウンター】
シャウトで意識を【誘惑】してもいいね

敵よ止まれ【祈り】



●大人の事情
 洞窟の出口は、『ゴブリンキング』の手によって閉ざされた。
「帰り道を塞ぐなんて!」
 ルヴィリア・ダナード(嘘つきドール・f01782)が悔しそうに岩の格子に手をかける。
 戦場から出るには王を倒すしかない。
「お酒が待ってるのに……もう許さないんだから!」
 ルヴィリアが振り向けば、ゴブリンキングが階段から転げ落ちたところだった。

「(ギャグ枠か……)」
 察したようにファラン・ウルフブラッド(深淵を歩く剣王・f03735)がすっと目を細めた。
 転がった王は召喚した奴隷ゴブリンに励まされていた。なんと言うか、不憫だ。
「(そっとしておこう。俺は知ってるんだ)」
 沈黙を選び目を背けたのは、リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)。
 14歳にして大人の対応を身に付け始めていた。
 鈴木・志乃(ブラック・f12101)にいたっては、プレイヤーで音楽を聞くフリをしている。
「(なんだか締まらないな……)」
 ルヴィリアがきょろきょろしながら言葉を捜す。
「えっと、なんて言うか……頑張ろうな、お互いに!」

 ――これだけ人数がいて、誰も突っ込みをいれる者は誰もいなかった。

●戦火
 とはいえ。例えふざけた姿に見えても王は王。
 その力は1体でも十分な強さを誇っていた。
 次々に召喚される奴隷達。炎を操る厄介なゴブリンメイジ。そしてゴブリンキング自身も、猟兵の攻撃によろける事はあったが、地に膝をつく事はなかった。

「なるほど。キングを名乗るだけあってそれなりに強そうじゃねぇか」
 紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)は指の関節を鳴らした。その表情は歓喜で歪む。
 殴りがいのある敵は歓迎だ。剣を取るとファランと一緒に走り出す。
 前衛でファランが武器を振るい、宗田が素早い連続攻撃で次々と奴隷ゴブリンをなぎ倒す。
「小癪なっ!」
 ゴブリンキングが杖を振るえば、更に仲間を召喚した。
 王の声に奴隷ゴブリンも陣形をとり始める。
「私達も行きましょうっ」
 その影で。志乃がルヴィリアに声をかけると、頷いてから動き出す。

 薄暗い洞窟の中、支援するのはリュカの射撃だ。
「(奴隷ゴブリンを前方に集めて、2人を止めるつもりだな)」
 宗田とファランがゴブリンに囲まれ始めているのが見えた。
 中でもゴブリン親衛隊が大暴れしている。
「(親衛隊が厄介なら、術者を、先に)」
 狙いはゴブリンキング。
 的確に標準をあわせて躊躇なく引き金を引く。
 発砲音が洞窟の中に響き渡ると、遅れて王の悲鳴が聞こえた。
 更に一撃。キングが負傷した事で、ゴブリンナイトとメイジが弾けるように消えていく。
 一瞬。青い目を動かすと、身を隠して移動する女性陣の姿が見えた。
 もう少し、ひきつけよう。
 リュカが弾を装填する。
「うん、まあ……生きて帰れると思わないことだね」
 リュカの言葉に、ゴブリンキングが舌打ちをする。

 敵の動きを窺いながら、物陰から志乃が耳をそばだてる。
「(周囲を良く見ろ。今皆、何をしようとしてる?)」
 仲間の動き。敵の動き。王の動き――直感が冴え渡る。
 気づいたのだ。
 ゴブリンキングが召喚する際には前兆があることに。
「――見切った、その攻撃!」
 まさに仲間を補充しようとした瞬間を狙い、志乃が奇襲を仕掛ける。

『また、海で会う日まで』

 突如現れた白い花びら。その正体は、『真実の愛(サガシモノ)』。
 志乃の武器から変化した花びらが、キングと奴隷ゴブリンを襲う。
 唐突な志乃の攻撃に敵は混乱した。
 敵はどこだ、と奴隷たちが慌てだす。

 乱戦の中で切りあい、敵との殴りあいも激化してゆく。
「えぇい、黙れ! 常に我らには勝機がある! 数も、地の利も、強欲も、猟兵どもに劣るものなどありはしない! 決して屈するな!」
 ゴブリンキングが吼える。激励が配下の血を滾らせた。
「鼓舞なんて王様らしいね。私にも何か言って欲しいな」
 王の傍から声がした。
 気づけばルヴィリアが距離をつめていたのだ。
「――なんてね。少し黙って動かないで下さいな!」
 ルヴィリアが猿轡を放つ。
 加えて手枷とロープも放つと、キングの動きを封じてゆく。
 『咎力封じ』の効果により、しばらく増援は不可能だろう。
 だが、それに気づいた奴隷たちがルヴィリアへ振り向いた。
「あっ……ちょっと不味いかな……!」
 冷や汗を流すルヴィリアへ、突撃するゴブリン。
 ルヴィリアが目を瞑ると別方向から声がした。
「背中ががら空きだ」
 宗田だ。奴隷ゴブリンを豪快に剣で突き刺した。
 更に片足を軸に遠心力を加えると、衝撃波を纏わせた剣で敵を吹き飛ばす。
 数体の敵を巻き込んでゴブリンが宙を舞った。
 うち1体がゴブリンキングへと衝突する。
「特大ホームラン……ってな」
 歯を見せて笑う宗田。
 拘束されている中で、ンギギギッともがくゴブリンキング。きっと罵声をいいたいのだろう。
「おやおや? もしかして喋れない? いやー、ごめんね。ちょっと何言ってるか分からないな!」
 その姿にホッとすると、ルヴィリアが耳に手を当てながら微笑んだ。

 次第に、敵の陣形は崩れだす。
 統率を失った奴隷達は、猟兵の攻撃に蹴散らされていく。

 どさくさに紛れて前衛を突破したゴブリンが、後にいたリュカへと突撃した。
 一瞬、リュカはナイフを手にしようとするが。
「リュカさんはみんなの援護を頼みますっ!」
 志乃の鎖がゴブリンを襲う。スライディングの要領で間に入ると、敵の攻撃を防ぐだけでなく更に一撃をお見舞いした。
 シャフトの衝撃波で敵を押し返せば、多くのゴブリンが志乃に注目する。
「(囲まれた時は、毒が効くのか試そうか?)」
 仲間へ目配せすると、志乃が毒の入った小瓶を指でなぞる。
 その隙に。
 リュカが小さく礼を言うと銃を構えなおした。
 仲間に答えるべく王を撃つ。
 膝を打ち抜くと、巨体がよろめいた。
 同時に王が『咎力封じ』の拘束を打ち破る。
「待ってたぜ! この瞬間を!」
 楽しませてもらうぜ、と宗田が一気にゴブリンキングとの間合いをつめた。
 敵の頭をめがけて振りかざした剣。相手はとっさに杖でガードする。
「力比べでもするか?」
 しかし宗田の狙いは別にあった。衝撃は頭上からではなく、下からキングを襲ってきた。
 フェイントをかけられたのだ。
 リュカが打ち抜いた足を宗田が払い、更に畳み掛けるように巨大剣を振り回す。

『食らえ、グラウンドクラッシャー!』

 激しい音と衝撃が、王の片足を打ち砕く。
 醜いゴブリンキングの声が響き渡る中を、ファランが王へ向かって突き進んだ。
「さて、ゴブリンの王とやら。貴様に王としての器が有るかどうか我が直々に見てやる」
 語るファランの剣から炎が消えた。
「そして見せてやろう『王』という存在が如何なる者であるかをな!」

 ファランが真の姿を解放する。
 エネルギーを滾らせた漆黒の鎧が彼の身を包んだ。
 同時に放たれる、強烈な存在感。
 ゴブリンキングとは違う、支配者という名の緊張感が重みとなって圧し掛かる。

『我が身に宿りし地獄の焔よ、集え。 全てを焼き尽くす暴力の炎となりて、我が手に現れよ!』

 ファランの手に表れたのは、断罪の大剣だった。
 解放された真の武器。高められた殺傷性は見る者を震わせる。
 ゴブリンキングには放たれる一撃から逃れる術はなかった。――いや、逃げる気もなかった。
 敵にもプライドがあったのだから。
 ファランが溜め込んだ力で、巨大な剣を振り下ろす。
 業火を纏った剣とゴブリンキングの杖が衝突すると、旋風が巻き起こった。
 熱風が、灼熱が、巻き込まれた敵の命を奪ってゆく。
 追撃を繰り出せば、相手の体を一刀両断した。
 崩れ行くのはゴブリンの王だ。
 轟いたのは断末魔。配下が消え、出入り口を塞ぐ岩も崩れていく。

 ゴブリンキングが絶命するのを見届けると、仲間達に勝利の歓喜が巻き起こった。
 猟兵は戦いに勝利したのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『打ち上げはいつもの酒場で』

POW   :    度数の高いものをぐいっと。数より質で差をつけろ

SPD   :    アルコールが回れば関係ない!アルコールはアルコールで誤魔化せる

WIZ   :    自分の分を隣の席の者にこっそり押し付ける

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●村で祝杯を
 猟兵達が無事村に戻って報告すると、歓迎ムードに包まれた。
 村の危機を未然に防いだのだ。
 色んな人々からお礼を言われれば、誰でも悪い気はしない。

 そして持ち帰ったゴブリンの財宝は、それぞれの判断に任せよう。
 売り払ってお金にするもよし、村に寄付するもよし、そして記念に持ち帰ってもいいだろう。

 それでは。酒場で祝杯を掲げよう。

 美味い酒と料理を手にして。
 飲めない方には、代わりに美味しいジュースが用意されている。
 料理はおつまみが揃っているが、それ以外も注文すれば特別に作ってくれるそうだ。
 酒を飲み勝負してもいい。仲間との雑談を楽しんでも、もちろんいい。
 ゆっくりと、酒場での時間を楽しんで頂きたい。

 ※飲み比べをする方は選択肢を参考に。
 それ以外の方は選択肢はフレーバー程度にお考えください。
紫崎・宗田
俺は財宝なんざ要らねぇし
全部まとめて村人にやる
飯でも服でも好きに使えばいい
自分らの好きに贅沢しな

俺はただ戦いたかっただけだ
他の奴らと違って
礼を言われるような事してねぇよ

そのうえで万一どうしてもと言われる場合
んなら金はいらねぇから
お前らの村に伝わる菓子でも持ち帰らせてくれ
甘味好きの相方がいんだよ
今回は留守番させてるがな

あ、俺の分はいらねぇぞ
俺はここにある肉で充分だ

基本的には少し離れた場所で
適当なジュース(甘くないもんで頼む…)に口を付けつつ
周りの様子を眺める
あんま馴れ合うのは得意じゃねぇ
が、会話が嫌いなわけでもないんで
話しかけられればそれには乗るぜ

俺は嘘つきだがな
(何でも信じる相手に対し意地悪)


鈴木・志乃
あーあ
いやほんと激戦だった!
ギャグ枠? 何?

【WIZ?】

私の取り分(財宝)があるなら、それは村に寄付する
一部はこの村の物だろうからね
【礼儀作法】を尽くしてお返しするよ
それより、酒盛りを開いてくれたことに感謝!
皆でパーッと騒ごうぜ!

酒は強くないので、持ち前の【コミュ力】で適当に賑やかす
歌とか歌うなら【歌唱】でしれっと混ざるよ
こういう時の【パフォーマンス】の仕方はちょっとなら分かるし
いっき飲みは絶対嫌です(念押し)

怪我してる人がいるならUCで治療しとこ
古傷とか治せるかなあ

あたしはシノ
また会ったら、よろしくお願いします!


草剪・ひかり
POW判定
お色気、即興連携、キャラ崩し描写歓迎

えーっと、私、このお仕事には直接関わってなかったのだけど
お仕事頑張ったティファちゃん(f02580)からお誘い受けたので、
皆さんの労をねぎらう為にもご相伴にあずかりますね!

ひとまずはティファちゃんと乾杯♪
お仕事お疲れ様!

私は最初はウィスキーの水割りから始めて
徐々にロック、ストレートと濃いめにしていくね
プロレスラーは「たくさん食べてたくさん飲む」という周囲の期待?に応えてみよう
普段から「人に見られる」ことを意識してるからね、いつものことだよ

あれ、何か気になる?
そんなに食べて飲んでどこに入ってるのかって?
普通にお腹だけど……胸が大きいのは関係ないよ!


祝聖嬢・ティファーナ
ダークセイヴァー世界育ちのティファーナには圧倒される雰囲気でたじろいでいると草剪・ひかり(f00837)と紬雁・紅葉(f03588)が来てくれて声を掛けられホッとします♪
ジュースをメインにお酒も「ダークセイヴァーの人たちに持ち帰りたいのですが?良いですか…」と聞いてから、OKなら『フェアリーランド』の中にしまいます☆
ティファーナは野菜と果物しか食べていなくて、2人から「しっかりお肉も食べなきゃ!」
と注意されて頑張って食べます♪

悪酔いした人や喧嘩のあとに『シンフォニック・キュア』や『生まれながらの光』で癒して行きます☆
壺の中にも“こんぺいとう”を蒔いて精霊・聖霊・月霊の為に差し上げます☆


ファラン・ウルフブラッド
酒の飲み比べで我と勝負すると? よかろう!王としてその勝負、受けてたとうではないか!

【行動:POW】
まずは店で用意された一番強い酒を一杯飲み干します。そして
「ほぅ、中々強い酒ではないか。悪くない……が、足りんなぁ。折角の祝いの席だ、我が故郷の酒を振舞ってやろうではないか」
そういって無色透明な酒をズラリと並べ
「コイツは我が故郷の成人の儀で出される酒でな? コイツをグラス1杯飲み干せれば一人前と認められるという品だ。さぁ半人前諸君! 王が一人前と認めれば、この金銀財宝を褒美としてくれてやろうではないか!」
と参加者を煽って盛り上げます。
ちなみに酒の中身はダークセイヴァー世界謹製のスピリタス(笑)


ルヴィリア・ダナード
討伐お疲れさまー。
美味しいお酒と食べ物をありがとう!
この時間だけが至福…!

さぁ、恒例のお時間です。
今日も素敵な美味しい恵みをありがとうございます。
どうか散っていった命は来世では良い人生?違うな…生涯が送れますように!
って感じのお祈りをすませてからご馳走を頂きます!

一仕事の後のご飯は最高ね。
お酒は好きだけど度数が強かったら潰れちゃうかもね。
いやいや、少しでも楽しい雰囲気を楽しむ為にもゆっくりペースで飲んで
いっぱい食べるぞー。
お酒、あとおつまみもたくさんくださいな!

やっぱり、お酒の場の雰囲気は最高ね!
ペースもうっかり上がっちゃうわー。


紬雁・紅葉
ぅふふふぅ~♪
こういう騒がしさは大好き☆
美味しいお酒も、ね♪

鬼は凡庸な酒では酔えない(毒耐性)
それだけに美酒には目がない

飽くまでも自分のペースでお酒を楽しむ
料理はこの辺りの特産品などがあれば頼んでみる

方々で起きている大騒ぎも肴に、気分良く飲む

八塩折りの大吟醸
方々起こるは大喧噪
哀れ大蛇の末期の言葉
酒は飲んでも呑まれるな

…ぅふふ♪

仲間の語りも程よい肴
話しかけられたら飲ませつつ聞き手に回る

生まれ育ちはおろか種族、世界まで違う
そんな命が誰彼構わず笑い合う…
まるで満天の銀河のよう…☆

※アドリブ、巻き込まれ、大歓迎です※



●感謝を胸に
「飯でも服でも好きに使えばいい。自分らの好きに贅沢しな」
 俺は財宝なんざいらねぇからな、と村人達へ潔く自分の戦利品を差し出したのは、紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)だ。
 喜ぶ村人達に宗田も頬を緩めた。
「何かお返しをしたいのですが」
「俺はただ戦いたかっただけだ。他の奴らと違って、礼を言われるような事してねぇよ」
 それでも食い下がる村人。
 宗田がうーんと小さく唸ると、ある人の顔を思い出す。
「……んなら。金はいらねぇから、お前らの村に伝わる菓子でも持ち帰らせてくれ。甘味好きの相方がいんだよ」

 お菓子の用意に戻っていった村人を見ながら宗田は考える。
 お土産を喜ぶ合い方の姿を想像すれば、なかなか悪い気はしない。
「さーて。そろそろ注文した肉が焼ける頃か」
 酒場の中を覗けば、いい香りと一緒に賑やかな声が耳に届いた。
 眺めるだけでも楽しめそうだ、と足を向ける。

 酒場に入ろうとしたところ。後ろから先ほどの村人の声が飛んできた。
「恋人への贈り物ならオススメの包装があるのですが!」
「――ちょ、な、そう言うんじゃねーから!!」
 弾かれたように振り向いた彼は、さて、どんな顔をしていただろうか。

●冒険談は仲良しと
 酒場で勝利の祝杯を挙げに来たのは、戦った猟兵達だけではない。
「うわぁ、凄いね……」
 既に歓喜と酒とで大騒ぎになっている酒場を見て、祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)が目を丸くした。
 なんて賑やかなのだろう。慣れない雰囲気にたじろいでいると、両隣から声が振りかかる。
「お仕事頑張ったんだってね。労いにきたよ!」
「どんな冒険だったのかしら? 話を聞くのが楽しみね♪」
 もちろんお酒も、ね。と笑いかけたのは草剪・ひかり(次元を超えた絶対女王・f00837)と紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)だ。
「うん♪ 2人ともありがとうっ」
 嬉しい友人の登場に、ティファーナの顔はパァッとほころんだ。


「まずはお仕事お疲れ様!」
「「かんぱーい」」
 3つのコップが音を鳴らす。
「ぅふふふぅ~♪ こういう騒がしさは大好きよ」
 微笑む紅葉。となりでは、ひかりがウィスキーの水割りを喉へと流し込む。
 喉を通り過ぎれば、熱い感覚と共に芳醇な香りが鼻をくすぐった。
「わぁ、かなり美味しいよ」
「ジュースも美味しいね☆」
 ティファーナも特製のフルーツジュースに笑みを零す。
 冒険の話が始まれば、2人がをティファーナの頭を撫でた。
「無事にやっつけて、みんなで一緒にご飯♪ 嬉しいなぁ☆」
「生まれ育ちはおろか種族、世界まで違う。そんな命が誰彼構わず笑い合う……まるで満天の銀河のよう……☆」
 紅葉が話題を肴に酒を飲む。酒場の楽しげな雰囲気は、彼女の微笑みに現れていた。

 そうこうしていると、3人の下へ料理が運ばれてきた。
 紅葉が頼んだオススメの料理は、この地方でしか取れない大きな鳥を使った鳥の丸焼きだ。
 ナイフを入れれば、柔らかい肉質の中から肉汁と野菜があふれ出す。
 そして。
 一緒に運ばれてきた袋をティファーナが覗けば、それはお土産用のジュースとお菓子だった。
 若い子にはお酒の代りに、とお土産の焼き菓子を店主がつめてくれたのだ。
「ダークセイヴァーの人たちに持ち帰ったら、喜んでくれるかな?」
 頂いたものを『フェアリーランド』の効果によって壺の中に吸い込んでいく。
 中から顔を覗かせた精霊達へも、こんぺいとうとお菓子を渡せば、外に負けじと大賑わいだ。
「ほら、私達も食べましょう。お肉も食べなきゃだめよ」
 紅葉に言われて、つい野菜ばかり食べていたティファーナがはっとする。
「そそ。折角なんだし沢山食べなきゃ。私を見習って」
 ティファーナがひかりを見ると、既にいくつもお皿と瓶を空にしていた。
「プロレスラーは『たくさん食べてたくさん飲む』という周囲の期待(?)に応えようと思ってね」
 驚くティファーナへ、ひかりが、いつものことさと子供っぽく笑う。
「食べたものはどこに行くんだろう?」
 ティファーナの言葉に紅葉が笑えば、ひかりがきょとんとして見せた。
「普通にお腹だけど……」
 2人の視線をおって、ひかりが気づく。
「胸が大きいのは関係ないよ! ほんとだって!」
 恥ずかしそうに慌てて胸を隠せば、2人が可愛いと更に笑った。

●飲み比べ
 そして、一番賑やかな席では飲み比べが開催されようとしてた。
「皆楽しんでますかー!」
「「はーい!」」
「酒盛りを開いてくれてありがとうー!」
「「いぇーい!」」
「皆でパーッと騒ごうぜー! せーの!」
「「かんぱーい!」」
 鈴木・志乃(ブラック・f12101)が声をかければ、猟兵以外も巻き込んで賑やかな席となっていた。
「いやほんと激戦だった!」
 志乃が笑えば、隣でルヴィリア・ダナード(嘘つきドール・f01782)が激しく同意した。
「討伐お疲れさまー。この時間だけが至福……!」
 お酒と食べ物に感謝をこめて。ルヴィリアが両手を合わせてお祈りをする。
「今日も素敵な美味しい恵みをありがとうございます。どうか散っていった命は来世では良い『人生』? 違うな……『生涯』が送れますように!」
 ルヴィリアが祈りを済ませれば、早速美味しいお酒を一口。
 喉を伝う快感と甘みを知れば満面の笑みだ。
「ひと仕事の後のご飯は最高ね」
 ルヴィリアの言葉に志乃も頷いた。
「しかし、ゴブリン王……また何処かで、ギャグ枠で戦いそうだな」
 思わずファラン・ウルフブラッド(深淵を歩く剣王・f03735)が口にした。
 何故って、オブリビオンは何度だってよみがえるから。
「ギャグ枠? 聞こえなーい」
「ふふふ、その時はまた倒すだけだよね」
 麦酒を片手に2人が答える。
 丁度そこへ、志乃が財宝を寄付してくれたお礼に、と店主達から豪華な料理の差し入れが追加されたのだった。

 それから。暫くして。
「酒の飲み比べで我と勝負すると? よかろう! 王としてその勝負、受けてたとうではないか!」
 ファランが猟兵と村人と、飲み勝負を買って出る。
 いいぞいいぞと周囲は既にノリノリだ。
 グラスに注がれる新しい酒に、飲めや歌えやと陽気な声まで聞こえてきた。
 そこを志乃のパフォーマンスがたくみに盛り上げてゆく。
「(お酒は好きだけど度数が強かったら潰れちゃうかもね)」
 既にほろ酔いのルヴィリアだが。
「いやいや、少しでも楽しい雰囲気を楽しむ為にもゆっくりペースで飲んで、いっぱい食べるぞー」
 ここは折角だから、と首を振る。お肉を頬張ればとろけたように頬が緩んだ。
 口の中にあふれた肉汁を押し流すようにお酒を飲めば、更なる幸せがやってくる。
 もうちょっと強いお酒もいけるだろうか。
 よし、ならば酒の追加だ。ファランが一番強い酒を注文すれば、ルヴィリアもおつまみを追加した。

●なんでそうなった
「やっぱり、お酒の場の雰囲気は最高ね!」
 ペースもうっかり上がっちゃう、とルヴィリアが何杯目かの酒を空にした。
 ルヴィリアの前では、志乃とティファーナの歌声を響かせて、喝采が巻き起こっていた。
 周囲が肩を組んで踊りだせば、それがなかなか面白い。

 その中で。この店の一番強い酒を、音を立ててファランがのみ干した。
「ほぅ、中々強い美酒ではないか。……だが、足りんなぁ。……そうだ!」
 閃いたファランがガタリと席から立ち上がる。

「折角の祝いの席だ、我が故郷の酒を振舞ってやろうではないか!」

 ショットグラスに無色透明な酒が注がれる。
 一見したら水にも見えるその酒に、周囲の注目が集った。
「コイツは我が故郷の成人の儀で出される酒でな?」
 ファランの話では、飲み干すことで一人前と認められるらしい。
「さぁ半人前諸君! 王が一人前と認めれば、この金銀財宝を褒美としてくれてやろうではないか!」
 陽気に声を上げたファラン。自分の取り分の財宝を叩けば、周囲がどよめいた。
「(――はっ、嫌な予感が)」
 志乃の背中に悪寒が走る。
「透明? 米酒みたいなものかしら?」
「私も飲むよー!」
 そこに、紅葉がひかりと顔を出せば、飲んでみたいと色んな人たちから声が上がった。

 せーの、で飲んだ酒。正体はスピリタス。
 ひかりが飲んでいたウォッカより更に度数の高い酒――なんてレベルの話ではない。
「ぎゃぁあああああ! 喉が! 喉が!!」
 ルヴィリアが悲鳴を上げる。
 スピリタス、アルコール度数は96%。味わうより先に激痛が喉を焼く。

 注意。スピリタスをストレートで飲んだらダメ、絶対。

「私は飲んだぞー!」
「ひゃぁぁ! 飲みすぎだよっ」
 目を回しながら、ひかりがグラスを飲み干した。
 真っ赤な顔で今にもぶっ潰れそうな――いや、ぶっ倒れた。
 ティファーナが慌てふためきながら回復魔法を用意する。
「だ、誰か飲み物を! ジュースを!」
 激痛に耐え切れないルヴィリアが、傍を通った宗田へ助けを求める。
「あ? 甘いジュースなら……」
「ごめんね! ちょうだい!」
 助かった、と宗田の注文したジュースをルヴィリアが飲む。
「本当は酸味のきいたレモンジュースだがな――って、おい!」
 宗田のネタバレは1歩遅かった。
 ルヴィリアが盛大にジュースを噴出した。
 倒れながら失神してゆく彼女の姿は、天からの迎えを受け入れた修道女の如く美しかったとか何とか。

「ふふふ。みな倒れよって。まだまだ半人前と言う事だな!」
「ふふふ。じゃぁファランさんに見本を見せてもらわなきゃね!」
 高笑いするファランの肩を、営業スマイルの志乃が叩いた。
 彼女の片手にあるのは、やっぱりスピリタス(ボトル入り)だ。
 結論だけ述べておくとファランの半死体が床に転がった。

「八塩折りの大吟醸。方々起こるは大喧噪。哀れ大蛇の末期の言葉――酒は飲んでも呑まれるな、なぁんてね♪」
 ぅふふ、と紅葉がひかりに膝枕をしながら笑う。
 紅葉も飲んだはずだが、あの酒で顔色1つ変わっていなかった。
 ――ちょっとお姉さん。ナニソレ怖イ。

 なお、志乃とティファーナの回復魔法がいなければ、3人は重傷だった。かもしれない。
 ゴブリンキングより内なる敵のが怖いと言うのは一体どういうことなんだ。

 何はともあれ、冒険は無事(一部のぞく)に終わったのだ。
 酒場の宴が終わる頃には、それぞれ意識を取り戻し始めていた。
「また何処かで会ったら、よろしくお願いします!」
 別れ際に志乃が笑っていう。
 彼女の言葉に、あるものは声で返事を返し、あるものは笑い返し、あるものは親指を立て、それぞれ答えた。

 一期一会の冒険だが、もしかしたら。また会おうこともあるだろう。
 泣いて、怒って、喜んで。1人では知らなかった経験も、皆と沢山するだろう。
 その時は是非、また楽しい冒険になる事を。
 それぞれの心に願いながら、賑やかな宴は幕を閉じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト