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無敵バリアなんてものはない

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #ミズ・ルチレイテッド #バーチャルキャラクター

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●キマイラフューチャー:クリスタルシップ・船内
「……というわけで、以上をもちまして今回の作戦概要の説明を終了いたします」
 カチッ。パワポの画面が切り替わる。なお、使われてるのはあのフリー素材だ。
 怪人『ランプリット・リシュア』が一礼すると、会場にパチパチと拍手が響いた。
「なるほど……バーチャルキャラクターたちを誘拐し、宇宙怪人に改造する。
 そして彼らを使ってキマイラを洗脳しつつ、同時に彼らの人気の理由を研究する、と」
 『宇宙船団ルチレイテッド』の長であるミズ・ルチレイテッドが深く頷いた。
 なおいまは、特にロールプレイはしていない。だってオフィス(?)だからね。
「はい。『エモい』とか『てえてえ』とか、よくわからない言葉がたくさんありまして」
「たしかにあれは不思議でした。エメラルドお嬢様もなんも言ってませんでしたし」
 エモいとか、てえてえとか、まじしんどいとか、待って無理とか……。
 なんかバーチャルキャラクターを観ているキマイラはみんなそんなことを言う。
 ルチレイテッドにはよく意味がわからなかった。お嬢様も教えてくんなかったし。
 そして、ランブリット・リシュアにもよくわからんかった。だって怪人だもの。
 怪人ってことはつまり、昔の人だもの。ゲーム全部ピコピコって言う人だもの。

「きっとそれを解き明かせば、我々宇宙船団ルチレイテッドの計画は大きく進みます!
 私のこの記憶を奪い取る力も、そのために必ず役に立ちましょう。いかがですか」
「いいですね、今回のプロジェクトリーダーにアサインします」
「ありがとうございます!!」
 ここは六本木あたりのIT企業かな? いいえ、こんなんでも悪の組織です。

「じゃあ一応、いつものやっておきましょうか」
「そうですね。私はともかく他の怪人たちはそのほうがハリが出ますので」
「では……んんっ」
 ミズ・ルチレイテッドは咳払いすると、わざとらしくポーズを取った。
「ランプリット・リシュアよ! お前のその美しい作戦を買ってやろう。誇りに思え!」
「ありがたき幸せ!」
 シュバッとかしずく怪人。なんか始まったぞ。
「それではさっそく、お前を美しき宇宙怪人に改造してやるとしよう。
 そして地上へ赴き、バーチャルキャラクターどもを洗脳するのだ!!」
「ハハーッ!」
 水晶体からほとばしるスーパービームが、 ランプリット・リシュアを撃った!
「おお……これが、これが宇宙パワー……す、素晴らしいッ!!」
「期待しているぞランプリット・リシュアよ……アハハハ、アーハッハッハ!
 アーハッハッハッハ、アハハハハ、アハ……ゲホッ! ゲホッゲホッ!」
「あっ大丈夫ですかルチレイテッド様、のど飴舐めます?」
「い、いえ、のどスプレーありますから……」
 乾燥してきたからね、喉のケアは大事ですね!

●グリモアベース:予知者、白鐘・耀
「はぁ~~~……今週のゲーミング令嬢(フロイライン)マジエモいですわ……」
 タブレット端末でなにやらウェブ漫画を読んでいた耀、天を仰いで余韻に浸る。
 あれ? ここ予知を伝える場所ですよね? なんでくつろいでんの?
「ハッ! いかんいかん、危ない危ない……ちょっとエモに浸っていましたわ。
 ねえご令嬢の皆様はもう読みましたこと? あと今週の芝刈り機マン」
 芝刈り機マンとは、芝刈り機のデビルと一体化した悪魔狩人のお話である。
 芝刈り機マンなので、頭や腕が芝刈り機になり、デビルをぐちゃぐちゃにする。
 最近めっぽう面白いマンガなのだ。世界中の人々が読んでいる(要出典)
「……え? そんなことはいいから予知を伝えろ? なによもう忙しいわね!
 たしかにもう猟書家が動き出してるしバーチャルキャラクターは拐われてるけど!」
 大問題であった。

 ともあれ、頭にたんこぶをつけた耀は仕方なく眼鏡をかけ直す。
「いたた……わかったわよちゃんと伝えるわよもう! はいはい予知予知!
 場所はキマイラフューチャー、んで動き出したのはあのクソ真面目な女幹部よ!
 ……え、わかんない? ほらあの、めちゃくちゃ苦労してそうなクリスタリアンの」
 多分、割とけっこうな数の猟兵が「あー」みたいな顔をした。
 ミズ・ルチレイテッド。彼女はスペースシップワールドから派遣された猟書家だ。
 猟兵たちが先月末に垣間見た予兆でも、かなり頑張って幹部になりきっていた。
 真面目な女性である。プリンセス・エメラルド何考えてんだろうね。
「あいつはバーチャルキャラクターを使ってキマイラを洗脳するつもりみたいね。
 で、そのために自分の部下を宇宙怪人に改造して、作戦に駆り出すってわけよ。
 ……宇宙怪人がなんなのかって? さあ? よくわかんないけど強いんじゃない?」
 説明がえらい適当であった。
「そんで今回の相手が……この、ランプリット・リシュアってやつね」
 背後のグリモアに、問題の怪人の姿が映し出された。
「相手の記憶を鉱石に変えるとか、厄介よね。あいつらの目的は『エモ』なのよ。
 ほら、尊い~とかマジ無理~とか、ああいうのがピンとこないみたいらしくて、
 それを分析すれば、もっと効率的に侵略できるかもって思い込んでるようね」
 目的も真面目であった。多分仕事とかコツコツこなすタイプなんだと思う。
 そんなわけで、放っておくとどんどん侵略されてしまう、というわけだ。

「私がこれからみんなをランプリット・リシュアのところへ転移させるわ。
 多分バーチャルキャラクターを宇宙パワーで洗脳して何かさせようとしてるから、
 とにかくぶっちめてやりなさい。まあ普通に殴ればそれでいいと思うんだけど……」
 耀は言った。
「連中は『エモ』がなにか知りたいわけじゃない? ってことは、逆に言うと。
 あんたたちがエモいな~って思ったものを懇切丁寧に説明してやることで、
 あっちも思わず手を止めて聞き入っちゃうと思うのよね。真面目な連中だし」
 言い方というものがある。
「バーチャルキャラクターたちの同意を得られれば盛り上がること間違いなしよ!
 ってわけで、好きな作品とか推しの話とか、そういうのをしてやりなさい!!」
 言い切った。……言い切っていいんだろうか?
「……ん? 似たようなことやったことある? なら余計にやりやすいでしょうが!!」
 ラビットバニー? そんなオブリビオンもいましたね。もう死んだけど。
 でもあれとは違って、別にそんなことをしなくても敵は斃せちまうんだ!
「というわけでさあ行ってきなさい、私早く呪術WAR読みたいのよ!」
 呪術WARとは、これまためっぽう面白いマンガである。
 耀はせわしなく火打ち石を鳴らした。それが、転移の合図となった。


唐揚げ
 ヤガラです。猟書家シナリオ、第七弾をお送りいたします。
 ご覧の通りネタシナリオです。二番煎じとは言わないでください。
 猟書家ってなあに? とか詳しい話は、下記のURLをご参照ください。

●参考URL:猟書家の侵略
『 https://tw6.jp/html/world/441_worldxx_ogre.htm 』

●プレイングボーナス条件
『バーチャルキャラクターに応援される(ちなみに戦力はゼロです)』
 普通に格好良く戦ってもお気楽な彼ら彼女らは応援してくれるのですが、
「エモってのはこういうことなんだよ!!」的な力説とか、推しのダイマとか、
 そういうのがあると観客(?)も怪人も聞き入ります。つまり、ボーナスです。

●ラビットバニーって何?
 昔そういう幹部怪人がいたんです。死にましたが。
 今回の話には一切無関係です。

●プレイング受付期間
 11/26(木)13:59前後まで。
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第1章 ボス戦 『ランプリット・リシュア』

POW   :    その記憶は大事なものか?
【記憶を鉱石に変える力】を籠めた【大鎌】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【失いたくない記憶】のみを攻撃する。
SPD   :    思い出したら教えてくれよ
【鉱石ランプ】から【追憶の灯り】を放ち、【記憶を鉱石に変えて取り出す事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    お前が持つ強さの訳を知りたいんだ
自身が【敵意】を感じると、レベル×1体の【記憶を鉱石に変えて奪う鉄の鳥籠】が召喚される。記憶を鉱石に変えて奪う鉄の鳥籠は敵意を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠音骨原・章馬です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「魔滅の槍、おもしれ~!」
「今週の完沢直樹、観た?」
「ジャイマスてえてえ」
 ガヤガヤ。今日もキマイラたちは呑気に過ごしている。
 画面の中ではJKバーチャルキャラクターがオフコラボ配信をしていたり、
 ゲームをプレイしながら実況していたり、凸待ちとかしていた。
 あと、すぐそこでアイドルバーチャルキャラクターのライブもやっている。
「ヤハハ~、みんなハッピ~?」
「「「ハッピー!!」」」
「ピャアッ!? す、すごい熱気だね!」
「ふふ、マイク忘れたわ」
「……最悪」
 最近話題の透明感マシマシユニット、「チルカ」である。四人組だ。
 他にも色々いる。バーチャルキャラクターはアイドルとかもやるので。

 とにかくそういう平和な風景に、突如現れた漆黒のクリスタルシップ!
 ふよよよよ……とトラクタービームの中から降り立つ宇宙怪人!
『さあ見せてみろ、ランプリット・リシュア! お前の力を!
 そしてこの星を征服するのだ! アーハッハッハッハゲホッゲホッ!』
「ルチレイテッド様大丈夫かな……まあいいか」
 そこはかとなく宇宙感ある見た目になったランプリット・リシュア。
 気を取り直して怪人っぽくロールプレイする。彼女は、真面目なのだ。
「バーチャルキャラクターたちよ、今日がお前たちの最後の時。
 その記憶を、美しい姿を、我々宇宙船団ルチレイテッドのために使うのだ!!」
 なんてことだ! このままでは、こう、とにかく大変だ!
 そこへ現れる猟兵たち! そしてファイト! 光と闇のENDLESS BATTLE……。
 つまりそういう感じなので、頑張って怪人をやっつけよう!
ジャガーノート・ジャック
(そう)
(滅茶苦茶良かったのである。今週の「ゲーミング令嬢」が。)
(中身がゲーマーな豹鎧、一層感じ入るところがある訳である)

特にラストのキメゴマが大変にエモ……
どんなだったか?

いいだろう 実際にやってみせよう。

(【追憶昇華】。
あの手のゲームは当然やり尽くすほどやり尽くしたので無論コマンドだってお手のものなのである。理想的な●鬼の動きをいっそコミック演出も交えて披露するのだ――)


  瞬
    千
      撃
      |
      |
      
  ネ申
  ノし


(後ろ向き仁王立ちも忘れない。)

(無論サンドバッグは目の前にいるお前な訳だけど授業料と思って貰おう。)

(ザザッ)



●デッドエンディングご令嬢!?
 ゲーミング令嬢(フロイライン)。
 それはゲーマー(特に格ゲー)のご令嬢がおりなす人間模様をテーマにした、
 まるで1700万色(正確に言うと1677万7216色)に輝くようなウェブ漫画だ。
 ゲーミング令嬢は令嬢なので、口汚い罵りとかはしない。
 言うとしても「お排泄物」とか「クソわよ」ってちゃんと上品に言う。
 でまあ、ジャガーノート・ジャックもこれをちゃっかり読んでいた。

《――よかった》
 ずしゃり。ジャックは戦場に降り立っていたが心は浮ついていた。
『え?』
《――めちゃくちゃよかったのだ。今週のゲーミング令嬢が》
『ゲーミング、令嬢……? ああ! あのギャグ漫g』
《――は???》
『ひいっ!?』
 ランプリット・リシュアは、ジャックが発した殺気にビビり散らした。
 こんなかっこいい見た目にかっこいい能力をした怪人だが、
 実は彼女(そう、女性である)は、かなり陰キャな性格をしている。
 記憶を鉱石に変えて奪い取るのも、楽観的なキマイラの習性を模倣して、
 少しでも明るく楽しく過ごそうという努力……なのかもしれない。
『ま、待て。わかった。お前の好きな漫画をけなしたのは謝る。シリアスなんだな』
《――いや、ギャグ漫画であっている》
『会っているのか!? じゃあなんで今ブチギレかけた!?』
《――エモかったからだ。というか、お前は読んでいないのか》
 ジャック、これみよがしにはーやれやれって感じで頭を振った。
《――いまもっともアツいゲーム漫画だと言うのに》
『そ、そうなのか……やはりエモとは難しい……』
《――ちなみに本機は、「対戦あざっした」略して「対あざ」も好きだ》
『え? 他にもあるの?』
《――そうだ。ゲーマーのご令嬢をテーマにした漫画だ》
『何が違うんだ!?』
《――あ?》
『ひいい!!』
 ランプリット・リシュアはまたビビり散らした。怖いよこの圧倒的怪物!
 怪物ってそういうことじゃねえんだよ、ていうか中身漏れ出してねえか?

《――まあいい。わからないというなら実践してやろう》
『え?』
 そこでジャックは、妙なことを言い出した。
《――今週のゲーミング令嬢、敵である十鬼孤ご令嬢の見せたあの技を》
 なぜかジャックはメジャーを取り出すと、敵との距離を測り始めた。
 何かヤバい! ランプリット・リシュアはとっさに大鎌を振るう!
《――だが、そうはならなかった》
『な、なぜだ!? すり抜けられ……!?』
 当たり判定! 当たり判定である!
 大鎌の一撃はリーチが長いが、当たり判定が先端にしかないのだ!
 当たり判定ってなんだ? いやこのシナリオではそういうのがあるのだ。
 ジャックはそれを利用して前ダッシュし、リーチの懐に入っていた。
 さらに前ダッシュ! さらにさらに前ダッシュ! さらにさらにさらに!
『く、来るなああああっ!!』
《――見せてやる、これが●鬼の力だ》

 一!
 瞬!!
 千!!!
 撃!!!!

 ジャックはすさまじい速度で連打を叩き込む! 叩き込む叩き込む叩き込む!
 なぜかその場が暗くなり、コンボ数がカウントされる! コンボ数ってなんだ!
『グワーッ!!』
 ダメージボイス! そして倒れ伏すランプリット・リシュア!
 立っているのはジャックだ。そして画面(?)に背中を向けると……!

 神
 人

 の文字が、その背中に(ちょっとズレて)浮かび上がった……!

『こ、こんな戦い、お排泄物ですわ……』
 がくり。ランプリット・リシュアは力尽きた。いやまだ生きてるけど。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
あー、某滅の刃の映画化や某呪術バトルのアニメ化なんて盛り上がってるよね
あぁいうダーク系の設定や展開は創作の中だけにしたいものだね。作品として面白いのは話を聞いてても伝わってくるんだけど!

元々旅芸人を志したのもこの世界に来たのがきっかけでね、魅せる戦いなら専門分野さ
要するに――ああ、勉強熱心なのは嫌いじゃない。アタシの《パフォーマンス》で直に刻み付けてあげるよ
全身全霊で味わうといい!

装備[金糸雀]が《楽器演奏》で奏でるBGMと共に【閃舞剣嵐】発動
展開する《空中戦+ダンス》は敵を魅了し《精神攻撃+催眠術+ハッキング+誘惑》の《マヒ攻撃》となって心身を縛る剣舞だ
骸の海への土産には上等だろう?



●猟兵の刃~無限ボコり編~
「魔滅の槍、いいよな~」
「マジエモいよな~」
「映画最高だったわ~」
『魔滅の槍……? 一体なんだ、それは……?』
 ランプリット・リシュアは、キマイラたちの会話に耳をそばだてる。
「おや、知らないのかい? いま超話題のあの魔滅の刃を。遅れてるなあ」
 カタリナ・エスペランサは、そんなランプリット・リシュアを鼻で笑った。
『な、なんだと!? 言うに事欠いてこの私を嘲笑うとは……!』
「いやだって、いま一番売れてる映画だよアレ。興行収入もものすごいし。
 あ、ひょっとしてキミ、ゲーム機のことはなんでもピコピコっていうタイプ?」
『そ、そそそそんなことはない! でもゲーム機なんてどれも同じだろう!』
「うわー……さすが旧人類、とことん情弱なんだね……」
 カタリナは、なんだか可哀想になってきてしまった。
「まあそれじゃあ、アタシが魔滅の槍の面白さをマーケティングしてあげよう」
『え、あ、はい。ありがとうございます』
 カラカラカラ。カタリナがホワイトボードを持ってきて眼鏡をかけると、
 几帳面で生真面目なランプリット・リシュアは、用意された椅子に座った。
 おい戦いの最中だぞ? キマイラフューチャーだから、仕方ないよね!

「……というわけで、主人公の兄妹は妖魔を斃す旅に出た、というわけだ」
『な、なんてダークな設定なんだ……! これが少年漫画なのか?
 こう、大丈夫なのか? 青少年の健全な成長に悪影響があるのでは?』
「怪人のくせにいかにもそれっぽいこと言うんだねキミ……」
 カタリナはあの先生がよく持ってる伸縮式の棒をしまいつつ呆れた。
「まあわかるよ、ああいうダークめな設定は創作の中だけにしたいものだね。
 でもそこが魔滅の魅力なんだよ。あとはやっぱり、気息の設定がかっこいいよね」
『呼吸』
「勉強熱心なのは嫌いじゃない。アタシが実演してあげよう」
『えっ』
「海の気息! 壱の型!! 海面斬りッ!!」
『グワーッ!?』
 アンブッシュだ! カタリナは華麗な回転斬りでランプリット・リシュアを斬る!
 するとこう、羽根とかから水しぶきのエフェクトが出る! かっこいい!
 同時に、カナリア型スピーカーが魔滅の槍のOP「紅焔の花」を奏で始めた!

 渡せない現在(いま)も~♪ 止められない空想(ユメ)も~♪(歌詞)

『ま、待て猟兵! わかった! もうだいたいわかったから! せめて』
「生殺与奪の権限を敵に委ねるとは悠長だねえ?」
『アイエエエ!』
 音楽は止まらない。攻撃も止まらない! ランプリット・リシュアは震えた!
 でもちょっと、この映画面白そう……! とも、思ってしまっていた。
 魔滅の槍・無限汽車編! キマイラフューチャー全世界で好評上映中!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

神羅・アマミ
なるほど、エモか。
妾は主にヒーローズアース産のコミックをよく読むぞ。
キマイラ産の戦隊や仮面モノの特撮にも通ずるはず!

主人公は何処にでもいる恋に学業に大忙しの学生!
しかしある日突然手に入れたスーパーパワーからヒーローを志す!
こういう時ポイントになるのはやはり「全て上手く行っていると思った勘違いと挫折」じゃよな~。
慢心の有頂天から一気に奈落へ叩き落とされ、世間から見放され!
何がいけなかったのか己を省み、たった一人でも、誰からも望まれていなくともヒーローとして再起を試みる!
コテコテの王道かもしれんが、穴から必死に這い上がろうともがく主人公に熱くならん奴はおらんじゃろ?

それはそれとして死ねーッ!!(殴



●大いなる力には……
「ヒーローじゃ!!」
『えっ?』
 いきなり現れるなり、神羅・アマミは拳を握りしめて力説した。
「やはりエモといえば……いやさ、漫画・アニメ・ゲーム、どのジャンルでも!
 王道にして至高たるはヒーローもの。妾、割と本気でそう思っておるのじゃ」
『ああ……ヒーローか。でも私怪人だしな……』
 ランプリット・リシュアの反応はイマイチだった。
『試しに読んだことはあるが、怪人はやられ役だし微妙な気分になったぞ』
「それは浅いと言わざるを得んのう。ヒーローものと言っても善悪二元論は古い。
 今どきはコミックにせよ特撮にせよ、悪役にもフィーチャーするものじゃ!」
『ほう……それは興味深い』
 アマミは力説した。そのせいか、ランプリット・リシュアも聞き入っていた。
 いや単純にこいつが真面目すぎるだけだわ。だっていま一応戦闘中だし。
「主人公は何処にでも居る、恋に学業に大忙しの学生!
 しかしある日突然手に入れたスーパーパワーから、ヒーローを志す!」
『あるあるな設定だな』
「でもな、そこですべてが上手くいくと思わせて、挫折が来るわけじゃよ。
 ヒーローパワーのせいで有頂天になったところでズドーン!! と奈落へ、な?」
『そ、それは……面白いのか……?』
「いやむしろなんでもかんでも順調なほうが面白くないじゃろう。
 障害があってこその成長であり、主人公の成長が読者を共感させるのじゃ!」
『私たち成長とかそういうのないからなあ……』
 ランプリット・リシュアは遠い目をした。いや、顔は鉱物なんだけど。
 目とかないけど。そういう感じの雰囲気を醸し出した。
「叩き落された主人公は世間から見放され、何がいけなかったのか己を省みる。
 そして長い長い苦悩と煩悶のすえに、ヒーローとして再起を試みるのじゃ」
『それ暗くないか?』
「そこがいいんじゃよ! やっぱヒーローもヴィランも悩んでナンボじゃ!」
『出た、ダークなナイトみたいな展開……』
「いやみんな好きじゃろ!? そんでヴィランにもオリジンとかあるんじゃよ!
 いわゆる悲しき過去ってヤツじゃな。ヒーローがヴィランの誕生理由だったり」
 キマイラやバーチャルキャラクターたちの反応は様々だった。
「わかる! やっぱヒーローは思い悩んでこそだよ!」
 という肯定の声もあれば、
「いやーそういう重苦しいのよりはエンタメ性がほしいなー」
 という声もあり、
「ていうかやっぱおっぱいだよ、あとケツ。肌が露出しないとね!」
 という馬鹿野郎もいた。
『ヒーローといっても好みが様々なのだなあ。勉強になったぞ、猟兵』
「じゃろ? おぬしも色々読んでみるとよい! アニメとか特撮もな!」
『そうだな、悪役のほうに深く切り込んでるものがいいんだが……』
「そうじゃのう妾のおすすめを教えてやってもよいがそれはそれとして死ねーッ!」
『グワーーーーーッ!?』
 SMAAASH!! 固く握りしめた拳がランプリット・リシュアをぶん殴った!
 仮に相手が眼鏡をかけた男だろうが躊躇しない! それがアマミスタイルだ!
「「「ヤッター猟兵カッコイー!!」」」
『や、やっぱりヒーローものなど、クソだ……がくり』
 ランプリット・リシュアは、息絶えた。……いや生きてるけど!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
※アドリブ歓迎

エモの原典ってやっぱ古き名作にあるわけ
特にファミリー向けアニメの名作「エモえもん」は忘れちゃいけないでしょ
私、髪青いからこうオールバックにすると絶妙……でしょ?絶妙に……近いでしょ?

そうね、今度やる実写映画「STAND BATTLE エモえもん」の原作にも選ばれた
主人公、ゴビごび太がエモえもんのために一人で飛天喪剣流を極めたお婆ちゃんに立ち向かうあの名シーンの再現……やります!

(マイキャバリア・ブルーテイルを自動操作で自分と相対させ)

僕だけの力で勝たないと、エモえもんが安心して自然に還れないんだ!!

でもノリで自分のキャバリアと殴り合うけどこれ大丈夫かな?
もしかして私、死ぬのかな?



●みんなはもうエモ泣き、した?
「エモの原典ってのは、やっぱ古い名作にあるわけよ」
『ほう! 古い作品か。古い作品ならわかるぞ!』
 ランプリット・リシュアの食いつきは予想外によかった。
 いやほら、ゲーム機全部ピコピコって呼んじゃうタイプの怪人なので、
 新しい作品じゃないとそれだけでテンション上がっちゃうんだよね。
 何かにつけて昔の作品の話しかしない疲れ果てたオタクってSNSにいるでしょ?
 ああいう人。昔の作品のリメイクとかの発表聞いて、「えーあれがリメイクしたんだー! 見てみようかなー」とは言うけど日々の仕事やらなんやらの疲れでアニメやら漫画やらゲームやらに手を出す気力が足りず、ごろごろ動画サイトとか見ながら日々を浪費しちゃうタイプの方。それが怪人です。この文章書いてて心痛くなってきた。

 それはさておいて。
「特に名作といえば……ファミリー向けアニメにこそあるわね」
 アイオライト・セプテンバーは、目を閉じて腕を組んだ。
 ファミリー向けアニメというと何かとバカにされがちだが、とんでもない。
 こういう全年齢が安心して見られる作品にこそエモが詰まっているものだ。
 たまに、全年齢向けであることを隠れ蓑にディープなネタを入れるやつもいる。
 あとこう、朝方にやってるアニメとか狂気みたいな展開多いよね。
 なんなんだろうねあれ。毎週見てる人たち頭おかしくなんねえのかな?
『ファミリー向けアニメか……たとえばどんなものだ?』
「エモえもん、でしょ」
『は?』
「エモえもんよ! 知らないの!?」
『いや、私が知っているのはドラえ』
「エモえもん知らないのあなた!!!!!!!!!」
 アイオライトはなぜか大声で、怪人のセリフをかき消した。アブナイ!
 そしてなぜか、ファサ……と自分の髪をオールバックにする。
「ほら、絶妙でしょ?」
『え?』
「絶妙に……近いでしょ?」
『いや全z』
「青いから! ね! ぼくエモえもん~(全然似てない声真似)」
『それ声変わりする前じゃないか! 全然似てないし!!』
 そもそもなんだよエモえもんって。名前が被ってるやんけ!
 というツッコミを完全スルーして、アイオライトはまくしたてた。
「今度やる実写映画、「STAND BATTLE エモえもん」の原作に選ばれたアレよ!」
『なんだその奇妙な冒険をしそうなタイトルは!?』
「あー楽しみね、あの名シーンが再現されるの……」
 アイオライトはうっとりとした。
「主人公のゴビごび太が」
『砂漠の名前じゃないかそれ』
「エモえもんのために、ひとりで戦うあのシーン……」
『あ、それは私も知ってる。こう、毎日いじめてくるガキ大将に』
「そう、飛天喪剣流を究めたおばあちゃんに立ち向かうのよ……!」
『おい待て混ざってるぞ! 混ぜちゃいけないの混ざってるぞ!?』
「というわけで私アイオライト、あの名シーンの再現! やります!!」
『え?』
 KRAAAAAAAASH!! 自動操縦で落ちてくるブルーテイル! 押し潰される怪人!
「僕だけの力で勝たないと、エモえもんが安心して自然に還れないんだ!!
 自然破壊とかなんかそういうのは人類のカルマ的ななんかが悪いから、
 そういうのを精神的成長で克服することで感動出来るんだぁーっ!!」
 怪人はもはや完全放置! アイオライトはブルーていると殴り合う!
 ウェルカムトゥクレイジーワールド! このイカれたリプレイへようこそ!
「イヤーッ!!」
 SMASH!! アイオライトは胸に七つの傷とか浮かびそうな感じで飛び蹴りをかました!
 でも質量差は無慈悲! ブルーテイルのライトニング・パイル炸裂だ!
「あっ私コレ死ぬ!? これ死んじゃう!? 電撃のせいで体の塗料剥がれて喉もガラガラになって耳もとれちゃグワーーーーーーーーーーッ!?」
 なんてエモさだ……キマイラもバーチャルキャラクターもエモ泣きした!
 みんなも映画館でエモ泣き、しよう!
 あとこう、ユーアーのストーリーとかそういうのも、感じよう!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
深山さんと/f22925
心情)狙ったわけじゃねェが二つ名がトリコンビだなァ。ウケる。そりゃア冥府(*うち)で休暇中のやつらさァ。サ・深山さん。推しのダイマタイムだぜ。俺かい? どォも。"いのち"箱推し勢です。同担歓迎さ。けどこれ伝わりにきィし、旦那の推しに乗っからァ。箱推しなんで、とうぜんねこも推してるぜ。ねこもかわいいなァ。生きても死んでもかわいい。ねこってなァんで持ち上げよォとすっと伸びるんだろなァ。みー子(*御影さん)もほら、めっさ伸びる。(1mくらい伸ばす) こりゃもうねこのばし大会は1等通過で決まりよ。なあ旦那。
行動)眷属たちで周囲を囲んでVCを猫推しに変える。あと戦うのも任す。


深山・鴇
朱酉君と/f16930
そういや鳥か…君そういう言葉どこで覚えてくるんだ?
推しのダイマねぇ、つまり猫のことを話せばいいと、なるほどね!
俺は猫推し勢、同担歓迎だな
まず猫のいいところのひとつだが、解釈違いが無い
わかるか?これ重要なところだろう
可愛い、ぶさ可愛い、可愛くない、どれも当てはまるんだ
俺はどんな猫でも可愛いがな
可愛くないと言われている仕種でも可愛いとか奇跡の生き物じゃないか?
ちなみに今一番推してるのはこの黒猫、御影だ
朱酉君から譲ってもらった子なんだが、これがまた超伸びるんだ(マジめっちゃ伸びる)
すごくないか、猫は伸びるものだがめちゃくちゃ伸びても可愛い
可愛いは正義、うちの子が一番可愛い



●long cat is loooooooooooooooooooooooooooooo
『ウワーッ!?』
 ランプリット・リシュアが悲鳴をあげてへたりこんだ。
 なぜかって? 猫がね、めちゃめちゃ長いから。
 それはもうloooooongだった。1メートルは余裕で超えていた。
『お、おい、ここここれは大丈夫なのか!? それともまさかそういうユーベルコードなのか!?」
 長かった。それはもうloooongが黒猫であった。
「何を驚いている。猫は伸びるものだろう。なあ朱酉君」
「そォだよなァ、ねこってのはめっさ伸びるもんだ」
 朱酉・逢真と深山・鴇は、これっぽっちも驚いていなかった。
 むしろ伸ばしていた。ねこのみー子(御影)は相変わらず伸びていた。
「ねこってなァ、どーしてこんなに伸びるんだろなァ。まったく不思議だぜ」
「ああ……しかも猫は伸びてもかわいい、いやかわいいから伸びるのか?」
『いやいやいやそういう問題じゃないだろこの長さ!?
 もう蛇みたいになってるじゃないか! にょろにょろしてるぞ!』
「かわいいよなァ」
「うむ。やはり猫は完全生命体」
『ダメだこいつら!!!』
 ランプリット・リシュアは戦慄した。
 もしかして、こいつらもこの猫のユーベルコード喰らってんじゃないか?
 それかこの猫自体がユーベルコードの産物かだ。ランプリット・リシュアは警戒した。
『だ、騙されないぞ、そうやって私をだまくらかして攻撃するつもりだろう!
 いやむしろもはや攻撃に移っているな? ふん、そんな浅知恵に騙されるほど』
「まァまァ。いいからほれ、みー子の顔をよく見てみな」
「そうだ。あんまり騒ぐと御影が機嫌を悪くするぞ」
 ランプリット・リシュアの剣幕を完全スルーする猫推し同盟。
 そしてloooongな御影を持ち上げると、ずずいっとランプリット・リシュアに近づける。
『だ、騙され……』
「なーう」
『ン可゛愛゛い゛ィッッッ!!!!!』
 ダメだった。一瞬でやられていた。
 でも仕方ないよね、だってお猫様は可愛い生命体でいらっしゃるもの!
「そう……猫はかわいい。そして解釈違いが存在しない、これはすごいことだ。
 可愛い、ぶさ可愛い、可愛くない、どれも当てはまるし……どれも、可愛い」
 鴇の言ってることはかなり矛盾というかパラドックスに陥っていたが、
 おそらくお猫様に心を奪われた人間はみんなその理屈に頷いたことだろう。
 そう、猫は可愛い。可愛くない猫ですら、可愛くないという可愛さがある。
 そろそろ可愛いという言葉がゲシュタルト崩壊してきたが、そういうことなのだ!
「うちの猫が一番かわいい……だが他の猫ももちろんかわいい。猫だからな」
「"いのち"ってのァみんないとおしいさ。ねこだってかわいいぜ、なにせ伸びる。
 生きてても死んでてもかわいいし、どンなねこだってかわいらしいよなァ」
「朱酉君もそう思うか。さすがだな」
「ひひ。旦那のねこ愛にはさすがに敗けるよォ」
 なんかふたりの間で話の食い違いが起きて……いや合ってるのか……?
 まあとにかく、猫はかわいい。たとえ食い違っていたとしてもそれは不変だ。
 ランプリット・リシュアはしゃがみこんだままはわわわと震えていた。
 猫に触りたい。だが他人様の猫を勝手に触るなど言語道断である。
 なのでこう、手をわきわきさせながらはわわわと固まっていた。
『さ、触っていいか? 撫でていいか!?』
「まあ待て。まずはバーチャルキャラクターのみんなからだ」
「そォだなあ。さァて皆、撫でたいなら少しだけ触ってもいいぜ」
「「「ワー!」」」
 完全に猫の魅力にやられたバーチャルキャラクターの皆さんが写真とか撮りに来た。
 だがあんまりみんなで囲んでちやほやするとお猫様のストレスになるため、
 なんか整理券とか配布してあくまでお猫様第一で動く。完璧なマナーぶりだ。
『くっ、私も撫でたい……!!』
「そうか。ならお前さんには特別なサービスをご提供しよう」
『なんだって!? それは一体……えっあれ? なんで刀取り出してる???
 そしてなんで周りをへんてこな連中に囲まれてるんだ私!? ねえなんで!?』
「いやァ俺、"いのち"箱推し勢だからよ」
『え?』
「俺もまあ猫推しという意味では同じなのだがな」
『え?』
 スパーン! 剣刃一閃炸裂! そして眷属がいかりのこうしんだ!
『グワーーーーーッ!? 猫撫でた……グワーーーーーッ!?』
 こんな状況になってもお猫様のことだけ考えている、恐ろしいぜ猫の魅力……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

う~ん、幾らかは分かりますけど説明しろと言われるととんでもなく難しい内容ですね。
・・・細かいところはなんとなくのニュアンスでいけますかね?

え~と、例えばキャラクター同士の超純粋な恋模様のシーンとか、友達同士の友情的シーンとかの時に使われますね。

まぁ、結構感覚的なところも多いので正確にコレ!と言えるものがあるわけではないのですが、この恋愛漫画とかどうですか?

(カバンからさらっと学園恋愛ものを取り出して、漫画を見せながらこのシーンという場面を椅子まで出して、そのまま隣同士で座りながらここがいいとか言いながら教え始める。尚、気づかれない様にUC『制約:征服者』で体力を奪ってる)



●ラブコメ、いいよね……
「どうやらあなたは、エモというものが理解できないようですね」
 ざっ。神咲・七十は腕を組んで、ランプリット・リシュアを見据えた。
 まるでこれからシリアスに戦うようなポーズと雰囲気ではあるが、
 いましがたの七十のセリフからおわかりいただけるように、ネタシナリオである。
『その顔つきと口ぶり……まるでお前はエモを理解しているようだな?』
「う~ん……まあ完全に理解しているかと言われると正直自信がないというか。
 そもそも理屈立てて説明するのがとんでもなく難しい内容なんですよね……」
『そう、そうなんだ! だから私もルチレイテッド様も困ってるんだ!』
「なんでオブリビオンのお悩み相談みたいな状況になってるんでしょうか……」
 七十ははあ、とため息をつきつつ、ごそごそとかばんを漁った。
「まあこんなこともあろうかと、教材というか推しの漫画を持ってきましたよ」
『漫画だと? 漫画はよくない! こう、暴力的な表現とかなんかそういうのがあって、読んでいると頭が悪くなる! あとゲームもダメだ、ピコピコはダメ』
「何年前の人ですか……いやまあ怪人なんだからそうだとは思いますが」
 ズパッ、と七十が取り出したのは、一冊の学園恋愛モノ漫画の単行本だった。
「というわけでこちらが、『君のことが大大大大大好きだけど勉強ができない上に心にヤバいやつを飼ってる100人の彼女はコミュ障でスキだらけなので告らせたい』です」
『待て待て待て今なんて!? えっいまのタイトル!? タイトルなの!?』
「略してアマキスです」
『その略し方に使う語彙タイトルの中にあった!?!?!?』
 君のこと……略してアマキスは、大人気学園ラブコメ漫画である。
 タイトルのとおり100人の彼女候補が居て、心のなかにヤバいやつが居て、スキだらけで、勉強が出来ず、あとコミュ障で、主人公に告らせるために頭脳戦を繰り広げるのだ。
 なかなかトチ狂ったあらすじだが、こんなんでも人気らしい。
「そうですね、私のおそすめはこの66巻の告白シーンでしょうか」
『そんな巻数出てるのか!? ラブコメなのに!?』
「まあまあ座ってください。ここで125人目のヒロインが告白をするんですが」
『100人超えてるんだが!?』
「いいですから。さあ」
 ランプリット・リシュアは半ば無理やり隣に座らされた。
「ここでそのヒロインがですね、告白するために他のヒロインに協力をお願いしまして……」
『ほう、ふむ……えっ!? おお~、あーなるほどそういう展開になるのか!』
「そうなんですよ。同じ彼女候補同士でもこういう百合な感じの展開があるんです」
『ヒロイン同士の仲がいいのは斬新だなあ。って、え!? あれ、告白、ええ!?』
「はい、主人公が外泊証明書にサインしちゃって海外の傭兵部隊に行っちゃうんですよね」
『展開急すぎないか!?』
「でもこの空港でのやりとりがまたいいんですよ」
 滔々と語る七十。ランプリット・リシュアは完全に夢中になっていた。
『うーんなかなかいいなアマキス……ん? それにしても妙に体がだるいような』
「エモさのせいじゃないですかね」
『いやまるで生命力を奪われているような』
「エモさのせいじゃないですかね」
 七十は強引に押し通した。なお、実際は彼女のユーベルコードのせいである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーディット・ウォーカー
えも、エモとな?
そうじゃの、心動かされるものといえばやはり、恐ろしく強大な敵を前に、己の無力に打ちひしがれつつも、それでも、と生き足掻く姿などとても美しいものよな…。

我もそういう姿たくさん見たくて頑張っておったとこあるしの!
いや、良い思い出じゃな…
まあ結果はたいていそのまま擦り潰されるのじゃが。
けれども暗闇に灯った微かな光はやはり尊いものじゃのう…

そんな感じで思い出話をしつつ、
その記憶を奪われたならめっ!としてやるのじゃ。
この場でそれを再演してやるのも良いな?
期待に応えてくれるものか…わくわくするのう!



●すっげ~ワルのヤツがやるやつじゃ~ん!
「ああ、思い出すのう……」
 ユーディット・ウォーカーは、なにやら恍惚とした面持ちで言った。
「恐ろしく強大な敵を前に、己の無力に打ちひしがれつつも、それでもと生き足掻く姿……限りある命を燃やし、全身全霊で強敵に打ち勝とうとする人間の美しさ……!」
『……なんだそれは? ピコピコの思い出話か何かか?』
「いや我の実態券」
『実体験!?』
「おもに握りつぶすほうで」
『握り潰すほうで!?!?』
 そう、ユーディットは西洋妖怪である。バリバリの、吸血鬼である。
 こんな姿になる前は、そらもう色んな人間とドンパチやらかしてきた。
「ほらー吸血鬼っていうとやっぱりヴァンパイアハンターとか来るんじゃよ~。
 でな、そういうのをな、こうかっこよーく出来るだけ無惨に握りつぶすのが」
『聞きたくない! 聞きたくないが! お前猟兵なんだろう一応!?』
「今はの、今は。我も色々やんちゃしておったんじゃ」
『やんちゃっていうレベルでは済まないだろうが!?』
 おかしいぞ、なんでオブリビオンの私がツッコミいれているんだ?
 と、ランプリット・リシュアは思った。彼女は常識人(人?)であった。
「まあとにかくじゃな、我はそういうのとってもエモいと思うのじゃ!」
『エモいというかだいぶグロいしワルい思い出話だろそれは……』
「なんじゃ~、やっぱり元人間ではわからぬか~、人間の美しさ」
『なんで私のほうがわからずやみたいな扱いされてるんだ???』
 猟兵、パねぇ。逃げてくださいルチレイテッド様、とランプリット・リシュアは思った。
「そうじゃ、我いいことを思いついたぞ!」
 と、そこでユーディットがなにやら笑顔で提案した。
 この時点で、彼女を知る人間ならば裸足で逃げ出しているだろう。
 ランプリット・リシュアもかなり嫌な予感がした。嫌な予感以外するわけがねえ。
「実際に追い詰められることで、人間の美しさとか底力とか、なんかまあそういうのを引き出せるかどうか実践してみるというのはどうかのう!」
『え、私が?』
「それ以外誰が居ると言うんじゃ。さあ始めようアンコール!!」
 KRAASH!! 空から落ちてくるオブリビオンマシン! そして一体化!
「さあ我が全力で攻撃するからの~、見せてみるんじゃその希望の力を!」
『すっげーワルのヤツが言うセリフだろうそれ! 怪人は私のほうなんだが!?』
「さあ、我らの中で息絶えるがよい……!」
『だからそれワルのセリフギャーーーーッ!?』
 どっちが悪役なんだか、もうわかりゃしねえのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
宇宙パワーなバーチャルキャラクターであるボクがご説明致しましょう
(伊達メガネを装着しCEO的プレゼン開始)

(中略)
以上から、大きな情動の揺れ動き、魂や心をゆさぶり動かすモノ、
ソレにより許容を超えて、精神が一種の麻痺、死亡に類似した状態、と考えられます
故に、「死んだ」「浄化された」「しんどい」「ムリ」「尊死(とうとし)」などと言われるようです

付近にいたキマイラさん(鳥類)からの知見を得た情報ですいやなんでもないです

では実際に『チルカ』を応援しながら、エモを体験して頂きましょう
(言いつつ『セブンカラーズ』に詰めた言霊弾を撃つ)


…まあ、ボクが贈るヤツは、オブビリオンなら本当に浄化しちゃうヤツだけど!



●メガネキャラ、だと……!?
「……とまあ以上から、大きな情動の揺れ動き、魂や心を揺さぶり動かすモノ、ソレにより許容を超えて、精神が一種の麻痺、死亡に類似した状態と考えられます」
 パワポが写ったプロジェクター仮面を背に、リア・ファルが手を動かす。
 こう、ろくろを回すような手つきね。アレなんなんだろうねほんと。
 なおその格好は、シャープなメガネにパンツスーツ。デキるオフィスレディだ!
『ほうほう、なるほど……では、「死んだ」とか「浄化された」とか、
 あと「しんどい」とか「むり」みたいなのは、形容詞ではなく事実だと?』
「まあある意味ではそうですね。「尊い」というのもこれに近いと思います」
『勉強になるなぁ~』
 ランプリット・リシュアは、完全にこのセミナー(?)に魅了されていた。
 多分こう、なんか新書とか買ってライフハックとか始めちゃうと思う。
 断捨離とか瞑想とかね。何が断捨離だ馬鹿野郎ただのゴミ捨てだろうが!!
「では以上をもちまして、エモに関するご説明を終わりにしたく思います!」
『いやー聴き応えのある内容でした、ぜひカフェとかで詳しくお話したいです』
「いやーこれそこらへんにいた七色に光るキマイラさんから聞いただけで」
『え?』
「あ、いやなんでもないです! 詳しい話はボクの著書を読んでね!」
 じゃん! これみよがしにマーケティングされる……ビジネス新書!
 表紙には人差し指を立てたリアのドヤ顔が映っている。う、うぜえ!
 タイトルは「エモさで人生を切り拓け! あなたの仕事を豊かにする10のエモ」。
 いかにも書棚にありそうなタイトルだ! しゃ、しゃらくせえ!!
「まあ百聞は一見にしかずと言いますし、ここはあのアイドルの『チルカ」を応援しながらエモを体験していただきましょう!」
『わかりました! ん? いや待てよ、そういえば私とお前は敵同s』
「セブンカラーズ発射ー!!」
『グワーッ!?』
 アブナイ! 敵が正気に戻りそうだったので容赦なく弾丸をBLAMN!!
 で、ちょうどいいタイミングで、チルカのライブが始まった。
「想いあつーめて! 響けかーなーたへー!」
「「「せーのー!!」」」
「明日へ飛んでーいーこうよー」
 流れているのはチルカの代表曲、『どこだってボクらが』だ。
 実に透明感のある、限りある青春の全能性を歌った名曲……!
『な、なんだこの心の底から湧き上がる感情は、これが……エモ……!?
「そうだよ、明日を生きる希望さ。さあキミもこの光る棒を持って!」
『ウ、ウオオオーッ!!』
 ランプリット・リシュアは光る棒を手にとり、キマイラたちとともに叫んだ!
「どこだってボクーらがー!」
「めーいっぱいボクーらがー!」
「明日にはもっと強くー!」
「「「「きーらーめけー!」」」」
 ワオオオオーッ! 観客のボルテージは最高潮だ!
『これが、エモ……! ああ、そうか、これが――』
 サラサラサラ。ランプリット・リシュアは砂になっていた。浄化されてるので。
『これが、推し……ありがとう猟兵、最後にとてもいいものを知れ、た……』
「よかったね! いやこれギャグで看取っていいやつなのかな!?」
『チルカの缶バッジコンプしたかった……(サラサラサラ)』
「ギャグでよさそうだね! ゴッドスピード、怪人……!」
 推しへの尊みで浄化されていく怪人を、リアは涙ながらに見送った。
 アイドルは尊い。それは、オブリビオンでも猟兵でもなんら変わらないのだ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ミズ・ルチレイテッド』

POW   :    インクルージョン・ウェポン
【掌から生成したルチルの弾丸】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    クロックパルス・イベイジョン
【水晶振動子を利用し、完璧なタイミングで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    クリスタライズド・バレット
【10秒間の集中】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【透明化させたルチル弾】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠椎宮・司です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「えっ、ランプリット・リシュアやられちゃったんですか!?」
 ここはクリスタルシップ船内。
 戦いをナビゲートしていたミズ・ルチレイテッドは、本気で驚いていた。
「ど、どうしましょうお嬢様……ああいやお嬢様はいらっしゃらないんでした!
 落ち着け、落ち着け私……! 私は宇宙船団ルチレイテッドのリーダー……!
 こんなところで慌てていてはいけない、そうよ私、悪役らしく戦わなきゃ!」
 ミズ・ルチレイテッドは気を取り直すと、「とうっ!」と船外に飛び出した!
「アッハハハハハ! なかなかやりますね猟兵、褒めてあげましょう!
 ですが! この私を倒さない限り、宇宙船団ルチレイテッドは不滅なのです!
 そして私が出てきたということは、お前たちはもはやここまでということ……!」
 わざわざ斃しやすく外に出てきてくれる大ボス、あると思います。
「すげーワルのヤツがやるやつだ!」
「猟兵、がんばえー!」
「ルチレイテッド様こっちに目線くれー!」
 バーチャルキャラクターたちも猟兵を応援して……おいいまなんかおかしいのいなかったか?
 なんか「ルチレイテッド様♡」「撃ち抜いて♡」とか書いてあるうちわ持ってんだけど?
「えっなんで私に追っかけ出来てるんですか!? あんなうちわ作った覚えないんですけど!?」
 ミズ・ルチレイテッドもビビっていた。まあそりゃそうだよね。

「お、おほん」
 そして咳払いして強引に修正を図った。
「と、とにかく! お前たちを皆殺しにし、この星を征服するとしましょう!
 アッハハハハ……ランプリット・リシュアとこの私は一味違いますよ?
 たとえエモがどうとか言われても、この私はそう簡単になびきませんからね!」
 そして自分からフラグを立てていく。見上げた悪役ぶりであった。
 でもプレイングボーナスがあんなんだから、エモいことしたら引きずられちゃうんだね。
 しかもミズ・ルチレイテッドは悪役らしくロールプレイしようと必死なので、
 強大な悪に倒れかけながらも希望とか意志の力とかなんかそういうので立ち上がって逆転する……みたいな王道のやつをやられたりすると、思わずノッちゃうってわけだね!
 もちろん、いきなりラブコメみたいな修羅場に引きずり込んでもなんとかなる。
 つまりジャンルは問わないということである。雑!
「さあ覚悟したまえ猟兵! ここがキミたちの墓場となるのだ!」
 ゲームだったらドゥーンってブラーエフェクトかかって戦闘に入りそうな台詞であった。

●プレイング受付期間
 12/01 23:59前後まで。
神羅・アマミ
なるほど…舞台は全て整ったというわけじゃな!
ならば妾が仕掛けるRPとは…

「ついにこの時が来ましたわねお姉様!」
設定は花のアイドル!
常にトップとして君臨し続けたルチレイテッドと新人駆け出しの妾!
その二人が今まさにファイナルステージで雌雄を決しようとしている!
「猟兵とオブリビオン、立場は違えど二人は最高のフレンズで最強のライバル!出会った時から互いにそう思えた!決着をつけようと誓ったあの日の約束を今!」
どんどん過去を捏造していくスタイル。

奴の集中力をかき乱しつつ妾が発動せしはUC『吊込』。
透明弾であっても実体あらば罠は反応すると踏み、デコイに応用し回避を試みる!
そのまま懐まで飛び込み渾身の一撃よ!



●頂点をねらえ!
「ついにこの時が来ましたわね、お姉さま!」
「え? お姉さま???」
 ミズ・ルチレイテッドは、いきなりかましてきた神羅・アマミに目を丸くした。
「あの、すいません話が見えないです。私とあなたは敵同士……というか初対面」
「猟兵とオブリビオン……立場は違えど、妾たちふたりは最高のフレンズ」
「えっこれ続けるんですか? ていうか私全無視ですか!?」
「けれども妾たちは、最強のライバルでもある。そう、アイドルなのだから!」
「そういう設定なんですかね……はっ!」
 そこでミズ・ルチレイテッドは気付いた。
 なんか周りがアイドルの活動を出来そうなステージっぽくなってる!
 キマイラもバーチャルキャラクターもみんなしてペンライト振ってるし、
 ステージの上はやたらにファンシーな飾り付けだ。こ、これは一体!?
「これがあなたのユーベルコードなんですか!? なんと厄介な!」
「いやこれは妾もよくわからぬ。多分コンコンコンのせいじゃと思う」
「ユーベルコードじゃないんですか!?!?」
 だってそんな記述、プレイングに一文字もないからね!
「トップアイドルであるお姉さまが何をうろたえていますの? ここはステージ!
 ステージに立ったアイドルがすることはたったひとつ……そう教えてくれたのは、
 新人駆け出しのペーペーアイドルな妾を厳しくしごいてくれたお姉さまですわ!」
「私属性多くないですか? トップアイドルでライバルでコーチなんですか?」
 ミズ・ルチレイテッドはアイドルものに疎かった。まあ仕方ないね。
 でもアイドルものといえば、友達でライバルというのが王道なんだ!
 そう、ゆるくてふわふわしたアイドルものなんて、今はもうナンセンス。
 スポ根要素を取り入れた成長物語こそが、いまのアイドルものの潮流である!
「というわけでお姉さま、あの日の誓いをここで果たしますわ!」
「ゴリ押しされても頷きかねますよ私」
「そう、このステージの上で! 決着をつけるのですわ!!」
「ようは戦うってことなんですよね……???」
 じゃあもうステージとかいいじゃん、殺せばいいじゃん!
 ミズ・ルチレイテッドは気を取り直して集中あっだめだスロウリィすぎるわ!
「死に腐れですわお姉さまーッ!!」
「いきなり残虐ファイトは卑怯グワーッ!?」
 SMAAAASH!! 10秒間の集中なんぞこの状況で出来るわきゃねえ!
 ステージライトの閃光に紛れたアマミの飛び蹴りが炸裂だぁー!
「「「ワオオオーッ! コロセーッ!!」」」
「アイドルものの観客が出す歓声じゃないですよねこれ!?」
「いいから倒れろオラァーッ!! ダッシャオラ!!」
「だからそれプロレスグワーッ!?」
 バーン! ミズ・ルチレイテッドが盛大にパンプする! 湧き上がる観客!
 アイドルってなんだろう。薄れゆく意識のなか、憐れな敵はそう思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
※アドリブ大歓迎

パンを咥えてブルーテイルで突っ込んでくる

「きゃーっ、遅刻遅刻っ! ああっ!」

ルチレイテッドに衝突して操縦席から投げ出されてスカートがめくれる

「んもー、いったぁい! あっ、スカートの中見たでしょ、このスケベ! ……はっ!」

(トゥンク……)
(スーツの似合う金髪の美形……もしかしてこれって、恋!?)

「ああ、でもいけないわ。私は猟兵、貴女はオブリビオン。これは許されざる恋なの……っ! でも、胸に芽生えた気持ちを無視できない!」

しかしそこに自立機動で立ちはだかるブルーテイル!
禁断の恋は三角関係に発展、なんやかんやでルチレイテッドを踏んずけてしまって!?

……ロミジュリ展開ってエモいわよね?



●300文字あますところなく狂ってんのすごくないですか?
「はあはあ、危うく最初の相手で死にかけるところでした……。
 それにしてもヤバいですね猟兵、なんで私いきなりトップアイドルにされたのか。
 とにかく次の相手に備えておかないと、えーと時刻はいま13時そういえばお昼」
「きゃーっ、遅刻遅刻っ! ああっ!」
 キーン!(ソニックブーム音)
「グワーッ!?」
 ドゴォン!!(ふっ飛ばされたルチレイテッドが壁にめり込む音)
 見事な人型の穴が出来ていた。そりゃそうだよキャバリアで衝突したんだぞ!
 異世界転生トラックなんて目じゃねえ質量&速度攻撃である。加減をさあ!
「んもー、いったぁい!」
 で、そのキャバリアに乗ってたパイロットもなんでか尻もちをついていた。
 え? なんで? なんで完全密閉されてたキャノピー開いてんの?
 そしてなんで、ものすごく縦長見開き1ページな感じのあざといポーズなの?
 ちょっぴり頬を染めて、女神のマガジンに載ってそうな肌の艶をしておられるの!
「う、うう、一体何が……」
 崩れたビルの残骸からよろよろと出てくるミズ・ルチレイテッド。
 ギャグ補正つえー。でも強すぎてシリアス出来なくなんだわこれ。
「あっ、いまスカートの中見たでしょ、このスケベ!!」
「すいませんこの状況で言うべき台詞謝罪か宣戦布告のどちらかですよねそもそもあなた男性じゃないですか」
「もー、サイアクーっ!」
「なんで猟兵はことごとく私の話聞いてくれないんですか……?」
 アイオライト・セプテンバーは顔を真っ赤にして、スカートを押さえた。
 見た目は美少女そのものだが、まあほらミズ・ルチレイテッドは暗殺者だから。
 なので、わかるんだね。はだけると男の子らしさ出る男の娘いいよね、いい……。

 そういう話ではありませんでした。閑話休題。
「……はっ!」
「え? なんですか急に私の顔じっと見つめて」
 アイオライトはミズ・ルチレイテッドの顔を見つめ、頬を赤らめた。
 こう、ふたりの背景に、キレイ~な百合とかぽわぽわしたトーンが貼られる。
 ん? 百合? ……まあいいかやめようこの話! 怖くなりそうだから!
「スーツの似合う金髪の美形……やだ、私、いまとくんって……!」
「あの、そこ一応モノローグでやっておくところでは」
「もしかしてこれって……こ、ここ、恋っ!?」
「私が一目惚れされる側なんですか……?」
 ミズ・ルチレイテッドは困惑していた。
 こんな王道パターン、逆にルチレイテッドでもピンと来るやーつだからだ。
 でもこういうの、どっちかっつーともう少し話に情緒があったような……。
「ああっ、でもいけないわ。私は猟兵、あなたはオブリビオン!
 これは赦されざる恋なの……っ! でも、胸に芽生えた気持ちを無視できない!」
「急にロミジュリ展開ですか!? テンポ早すぎません!?」
「こんなこと、私の許嫁のブルーテイルに知られたら……っ!」
「いや待ってくださいまさかこの流れ私も上から踏み潰されグワーッ!?」
 KRAAAAASH!! ブルーテイル落下! そして両目を赤く輝かせる!
 このためだけにわざわざカスタマイズされた何の意味もない機能である!
「ぶ、ブルーテイルっ! 違うのよ、これは……ええっ、あなたも彼女に惚れてしまったの!? なんてこと、こんな三角関係だなんて……っ!」
「私の一張羅ぐちゃぐちゃなんですけど……」
「しかも私たち、実は全員血縁だったなんて!!」
「盛りすぎですよそれ……がくり」
 何もかもがとっちらかったまま終わってしまった。狂気!

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
深山さんと/f22925
行動)(息を吸って) ちょっとアナタ誰よそのオンナぁ!(低音) 知らないですってぇ!?(低音) アナタっていっつもそう!(低音) 町行きゃオンナひっかけてきて!(低音) 家で待ってるアタシのことなんて気にしちゃいないんだわ!(低音) コラ兄さん正気戻るなィ(小音)
(敵に絡まれたら) あ゙?(ド低音) うるッさいわね馬に蹴られなこのドロボウ猫!(低音)
心情)エモいってなァ"感情が高まり強く訴えかけるこころの動き"らしい。つまり修羅場に巻き込んで感情を高め、物理的に強く訴えかける。カンペキな作戦だな。正味クソ楽しい。(大きな声を出して喉を痛めながら)


深山・鴇
朱酉君と/f16930

(よりによってそっちで来たかぁ……という顔)
待ってくれ、俺はその女のことは知らないんだ、初めて見る顔だ
(あれ、ちょっと待てよ。これは俺が最低な男の流れなのでは?君めちゃくちゃ楽しそうだな…)
俺が引っ掛けているんじゃないさ、相手が勝手に引っかかるというか…(伊達男のオーラ)
家で待ってるのは御影(猫)だが?(ガチトーンの真顔になってから、あっ違うという顔をして)
馬鹿だな…俺にはお前だけだ、本当はわかっているんだろう?

うわぁ…これは酷い(馬に蹴られるというか轢かれていった敵を見て、追い打ちをかける必要はない気もするが、と刀を抜いて)

どこが完璧だったのか教えてほしいんだがなぁ!?



●別の意味で修羅場だこれ
「ほう……キャバリアに踏み潰されてもまだ生きているとは」
 深山・鴇は、ほうぼうの体で這い出したミズ・ルチレイテッドに感心した。
 質量兵器をまともに喰らっても死なないあたり、腐っても猟書家か。
「まあ、弱っているいまのうちに斃すのが最適だろうな。だろう? 朱酉君」
「…………」
「……朱酉君? どうしたんだ、そんな神妙な顔をして」
 だが同行者である朱酉・逢真は、なぜか黙ったままだ。
「くっ、あなたたちも猟兵ですか。ならば私がここで殺すのみ!」
「む。敵が構えを取ってしまったな……おい朱酉君、どうしてさっきから黙って」
「……ちょっとアナタァ!」
「「は?」」
 ミズ・ルチレイテッドも、鴇も、あまりのことに呆然とした。
 そらそうである。逢真がいきなり予告もなしに寸劇始めたんだからそらそうよ!
「アナタァ、誰よそのオンナぁ!! まさか、アナタ……!」
「えっ、もう始まってるのか? しかも俺がそういう役回りなのか!?」
 なお、逢真の声はめちゃめちゃ低音である。せめて裏声とかしねえのか。
「わ、私のことを指しているのですか? まさかあなたたちはそういう……!」
「違うが!?」
「違うってどういうことよアナタぁ!!(低音)」
「あ、いや違わない。違うけど違わない。いや何もかも違うが???」
 違っているものがあるとしたら気ではないだろうか。鴇は真面目に思った。
「お、おほん……とにかくだな、俺はあんな女のことは知らないんだ!」
「知らないですってぇ!?(低音)アナタっていっつもそう!(低音)」
「え、俺そんな最低な男って設定なのか……? これ風評被害じゃないか……?
 っていうか君めちゃくちゃ楽しそうな顔しているよな! わざとだろう!?」
「そうやって話をはぐらかして、またごまかす気なのねぇ!?(低音)」
「誤魔化してるのはそっちだろう!?」
「なんてこと……猟兵の風上にも置けない男ですね、あなた……!」
「いや敵であるお前さんにまで呆れられたくないんだが!?」
 ドン引き顔のミズ・ルチレイテッドに思わずツッコミを入れる鴇。
 しかしそこで、鴇ははっと我に返った。これって、演技うまくいってるのでは?
 つまり作戦が成功している、ということなのでは? いい流れなのでは!?
 ……そう考えると、余計にこの流れに水を差すわけにいかなくなった。
 逢真はニッコニコの笑顔であった。こいつぜってえ楽しんでやがる!

 で、その笑顔の逢真は、何処で学んだのかさらにべらべらまくしたてる。
「街行きゃオンナひっかけてきて! 家で待ってるアタシのことなんて気にしない!」
「いや、俺がひっかけているんじゃなく、相手が勝手に引っかかるだけなんだよ」
 流れは狂気そのものだが、鴇の顔のよさは日常である。伊達男のオーラだ。
 しかし台詞の内容がスラスラ出てるあたり、やっぱりそういう性分なのでは?
 オラッどうなんだ吐いてみろ! なんかこう……BARとか行ってんだろ!?
「ところでだな、家で待ってるのは御影なんだが」
「コラ兄さん正気戻るなィ、いいとこなんだからよ」
「誰がどう見ても君が楽しんでるだけだよな???」
「見てみろって奴さんの面、完全に兄さんをダメ男扱いしてる顔だぜありゃア」
「だからそれが完全に君の楽しみになってるだけだよな???」
「いいからいいから兄さん、あとひと押しだぜ、な!」
 マジでどこで覚えたんだよこんなもん、という顔になる鴇。
 しかしチラチラミズ・ルチレイテッドを見つつ咳払いすると、逢真に言った。
「……バカだな、俺にはお前だけだ。本当はわかっているんだろう……?」
「ア、アナタ……(低音)」
 見つめ合うふたり。身長的に顎クイされるのは鴇のほうなんだけども。
 なんかこう、ふたりの背景にほわほわ~としたトーンが貼られる。少女!
「って私完全に置いてけぼりで何仲直りしてるんですかあなたたち!!」
「あ゛?(ド低音)」
「ひぃ!?」
 割り込もうとしたミズ・ルチレイテッドは、逢真の剣幕にガチビビりした。
「うるッさいわね、このドロボウ猫!(低音)」
「いや私別に何もしてな」
「アンタなんか馬に蹴られなっ!!低音)」
 パカラッパカラッパカラッパカラッ! 死にそうな顔の馬二頭がご到着だ!
 神の馬がこんなクソ寸劇に付き合わされたらそりゃ死にたくもなるよね!
「えっまさか私このまま退場するんですかグワーッ!」
 KRAAAAAAAASH!! 追突事故だ! 馬に蹴られて吹っ飛ぶミズ・ルチレイテッド!
「よし、作戦成功だぜ。やったな兄さん!(いい笑顔)」
「……それはいいんだけど、俺、完全に風評被害喰らってないか?」
「楽しかったからイイじゃねェか細けえこたァよ」
「楽しかったの君だけだよな???」
 散々であった。(敵と鴇が)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
お出ましだね猟書家!
この世界もオブリビオンに渡しはしない、潔くご退場願おうか!

《早業+怪力》の剣技や体術に羽の《弾幕》も交えて派手な《ダンス+空中戦》を展開するよ

実のところ戦いと士気ってものは切っても切り離せないものでね。
敵に弱みを見せない為にも、守るべきものを不安にさせない為にも、格好良く戦うって事は案外重要なんだ
例えばUCを使った未来予測をUC抜きの《第六感+戦闘知識+見切り》だけで破るのは中々骨の折れるものだけど――
――勝負所を見極め【狼牙天裂】発動。蓄積したダメージも力に変えて《リミッター解除+限界突破》、乾坤一擲の一撃を叩き込む
この逆転劇も計算通り、なんてね?
こういう魅せ方もあるのさ



●狂気の中に輝く一つ星
「うう……わ、私もなにやらボコボコにされているだけのような……」
 なぜか煤まみれでよろよろと立ち上がるミズ・ルチレイテッド。
 かなりトチ狂った猟兵たちのせいで、心身ともにズタボロであった。
 そんなミズ・ルチレイテッドの前に立ちはだかるは、カタリナ・エスペランサ!
「はっ!! あ、あなたも猟兵ですね。この私の前に立ちはだかるとは……!」
「そうさ、猟書家ミズ・ルチレイテッド。宇宙船団ルチレイテッドの主!」
 びしぃ! カタリナは格好良くミズ・ルチレイテッドを指差した!
「けれども、この世界は……いいや、この世界もオブリビオンに渡しはしない。
 悪趣味な遊びの時間はここまでさ。さあ、この世界から潔くご退場願おうか!」
「…………」
「…………」
「………………あ、あの」
「え? なんだい藪から棒に」
 てっきり口上のひとつでも垂れるのかと思っていたカタリナは、
 なにやらおずおずと手を上げたミズ・ルチレイテッドの反応にきょとんとした。
「いや、その……い、いいんですか?」
「え? 何が??」
「いやなんていうか……さっきからだいぶイカれた猟兵が多くて……」
 いきなりトップアイドル扱いされたと思ったらプロレスに巻き込まれるわ、
 いきなりキャバリアで体当りされた挙げ句に何故かロミオ扱いされるわ、
 いきなりドロボウ猫扱いされた挙げ句になんかすごい馬車で轢かれるわ……。
 ミズ・ルチレイテッドの心は折れていた。主に、猟兵のトンチキのせいで。
「大丈夫ですか? 私、宇宙船団ルチレイテッドの首領として振る舞っても。
 なんか実はここまで盛大なひっかけで、もう巻き込まれてるとかじゃないですよね!」
「あ、ああうん……よくわかんないけど大丈夫だよ……?」
 なんで敵にこんな台詞言ってんだ? カタリナは首を傾げた。
 ともあれ、ミズ・ルチレイテッドは心の底からホッとしたような表情になると、
 おほん! と大きく咳払いし、そしてサッサッと髪型を整えた。
「アッハハハハ! よくもまあ大きく出たものだね猟兵! この私を斃す?
 いいだろう、そこまで言うならばやってみるといい! 無駄だろうけれどね!」
(……なんだろう、そこはかとなくイキイキしてるな彼女)
 ノリノリで悪役ロールを始めたミズ・ルチレイテッドが哀れに見えてきた。
 しかし! これはれっきとした戦いだ。ミズ・ルチレイテッドは銃を構える!
「おっと、そうはさせないよ!」
 カタリナは翼を広げて飛翔し、恐るべきルチル弾を回避!
「フフ、なかなかすばしっこいね。けれども悪あがきはいつまで続くかな!」
「それはこちらの台詞さ、ミズ・ルチレイテッド!」
 ふたりは色ある風となり、戦場を駆け抜け、そしてぶつかりあった。
「すげー、まったく見えねー!」
「まるでバトル漫画だ!」
「ていうかシリアスな戦闘みたいだ!」
「「「猟兵ーがんばえー!」」」
 キマイラたちの戯言は耳に入れないように努めるふたりである。
「これで……っ!」
「おっと、残念だったね?」
「!」
 しかし、カタリナが繰り出した起死回生の一撃は、回避されてしまった!
 水晶振動子を利用することで、敵の攻撃タイミングを完璧に予測する力のせいだ!
「さあ、これで今度こそ――おしまいだよ!」
「ぐ……っ!」
 ルチル弾がカタリナの身体を貫く。絶体絶命か!?
「フフ、君はなかなかのものだったよ猟兵。だがこの私には――」
「……勝ち誇るのは、まだ早いんじゃあないかい?」
「なっ!?」
 止めの一撃が脳天を貫くかと思われた……その時!
 カタリナのスピードは倍近くに加速し、ルチル弾を回避した!
 そしてミズ・ルチレイテッドの予測をも超えた乾坤一擲の一撃が叩き込まれた!
「ぐは……っ!?」
「この逆転劇も計算通りさ……なんてね?」
 カタリナは羽根を舞い散らしながらふわりと着地する。キマイラたちの歓声!
「さあ、続きをしようかミズ・ルチレイテッド。そしてキミを――え?」
 ふぁさっと髪をかきあげるカタリナ……が、ぎょっとした。
「うう、ふぐうう……」
「なんで!? なんで泣いてるんだいキミは!?」
「だ、だって、私、ここに来てからようやく悪役らしく出来たので……!」
「あ、ああうん、なんか大変だねキミも……」
 えぐえぐと泣いているミズ・ルチレイテッドを見て、やっぱり憐れに思えてしまったカタリナであった。
 大変なんだよ! だって外部出向してるんだもの彼女! 猟書家も世知辛いね!

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
それじゃ引き続き「チルカ」の皆には歌ってもらおうか
彼女たちの歌を聴けぇ!

ボクはボクで『イルダーナ』でドッグファイトだ!(空中戦)
空中戦と歌の組み合わせはエモいって聞いたよ
(お近くのキマイラさん調べ)

視認できなくとも、射角や空気を裂く音、電波反響などで
敵の弾丸を避けたり防ぐことはできるさ
(情報収集、聞き耳、オーラ防御、盾受け、操縦、逃げ足)

曲のクライマックスには、モチロン特大の一撃さ
粒子砲、マテリアライズ!

今を生きる誰かの明日の為に! 完全燃焼!
UC【極光のアリア】!

散り際の美学って知ってるかい?
美形悪役ならモチロンの見せ場さ、見せ場だよ?
追っかけの悲鳴を受けつつ、骸の海まで行ってらっしゃい!


ユーディット・ウォーカー
強大な悪を前に潰えかけて……希望、意思、夢。思いを胸に、立ち上がる者たちは美しい……。
ワクワクドキドキ待ったなしじゃな!
まったく、羨ましいぞ……ルチレイテッド!
ランプリット・リシュアの最後の言葉(なんか意志とか託された気がする。そういうことにしよう)
……それを胸に、我はお主の前に立ちふさがろう!
悪役もよいが、勇気を持って立ち向かう……それを実践してみるのも良いじゃろう。
ということでなんかこう……いい感じに愛とか勇気とかに目覚めた我がルチレイテッドの野望を打ち砕かねば。

正直に言うとルチレイテッドにはちょっとシンパシーを感じたりするのう。
ということで色々とお主のこと知りたいので…聞かせてもらおうか


ジャガーノート・ジャック
♪~(某タキシードエセ紳士が登場する時のBGM)~♪

何処となくポンコツ臭漂うオブリビオンよ聴くが良い

エモ則ちエモーショナル
感情を揺さぶり胸を締めつける切なさ
エモは青春と言い換える事もできる

では青春を紐解くに当たりこの名作を推そう
「青春ブタボーイはバニースーツの夢を見るか」
もうお分かりだな
表題にもある様に『バニースーツとは特上級のエモ』なのだ
猟兵達を苦戦せしめたかのラビットバニーがバニースーツを着ていた事からもこの事実は揺るぎない
そんなバニースーツをお前が着たら戦力アップ間違いなし
🔴が並びこのシナリオは即終了だ

着替えたな?
よし
バニーが見れて満足したので
今だイェーガー!!
(ザザッ)

※連携歓迎



●無敵バリアなんてものはないし倫理も常識も正気も存在しない
「グワーッ!!」
 ヒューンビターン! ゴロゴロゴロ……と、地面を転がるミズ・ルチレイテッド。
 またしても猟兵にやられたわけだが、不思議とその顔は満ち足りていた。
「くっ、やるな猟兵、この宇宙船団ルチレイテッドの首領を追い詰めるとは……。
 アハハ……アッハハハハ! こうでなければ面白くない! 楽しくなってきた!」
 ノリノリの悪役RPである。どうやら、まともに戦ってもらえてご満悦らしい。
 いやお前普通に負けてるしそろそろ死にそうなんだけど? というツッコミはない。
 だって彼女がこんなふうに壊れてしまったのは、猟兵のトンチキのせいだから!
「はーぁ、やっぱり心の底からかっこいい悪役をロールプレイすると最高ですね!
 あと一撃、いや二回ほど攻撃を食らうと負けそうですが、それはそれとして!」
 ミズ・ルチレイテッドの心は澄み渡っていた。晴れた朝の空のようだった。
 いや猟書家としてはこのまま敗けるとか言語道断なんだけども、
 トンチキな流れに巻き込まれて狂ったまま死ぬよりは万倍マシであった。

 しかしやんぬるかな、ミズ・ルチレイテッドは知らなかったのだ。
 猟兵のトンチキは、この程度では終わらないのだと……!

 というそれっぽいヒキはさておいて、ガシャンと戦場に降り立つキャバリア一騎。
「ほう……羨ましいな。羨ましいぞ……ミズ・ルチレイテッドよ!」
「お、お前はっ!?」
 オブリビオンマシン『アンコール』に乗るユーディット・ウォーカーは、
 なにやらミズ・ルチレイテッドのことが羨ましくて仕方ないらしい。なんで?
「強大な悪を前に潰えかけ、しかし前向きな想いを胸に立ち上がる……。
 希望、意志、夢……未来を掴むための心の力、それを手に入れた者は、美しい!
 まさしく今のおぬしこそ、なんかそういうパワーを手に入れた者にほかならぬ!」
「いや私ただ単に悪役ロールできなくて拗ねてただけなんですが……。
 っていうか、それどちらかっていうと猟兵のほうがやるやつですよね!?」
「ん? ああまあそうなんじゃけど。でもほら我どちらかというと悪役じゃから。
 なんかこーのー、やろうとしてもピンとこないんじゃよなー不思議じゃなー」
「そういうこと言ってるからダメなんじゃないですかね……って、はっ!!」
 思わず素の顔でツッコミを入れていたミズ・ルチレイテッド、我に返る。
 そしてぶんぶんと頭を振ると、「アハハハハ!」と高笑いを始めた。
「希望? 意思? 夢? くだらない! そんなものは無価値で無意味だ!」
「おおっ!? いいのういいのう! 我ちょっと正義の味方らしくなってきた!
 その調子じゃぞミズ・ルチレイテッド! がんばれ♥がんばれ♥」
「そんなものは粉々に……ってじゃあそう言うなら真面目にやりましょうよ!?」
「我はいつだって真面目じゃが!?!?!」
「だから問題だって言ってるんですよなんなんですかこの猟兵!?」
 ミズ・ルチレイテッドはうんざりした顔でため息をついた。ツッコミが間に合わねえんだ!
「くっ、ダメなのか? 我はまたしても、友情とか勇気とか、なんかこうそういうアツい奴に目覚めるキャラにはなれぬのか……!?」
「だからそういうこと言ってるからダメなんじゃないですかね」
「いや、そんなことはないはずじゃ! ……はっ、そうじゃ、わかったぞ!」
 ミズ・ルチレイテッドの健気なツッコミを完全スルーするユーディット。
「テーマソングじゃ!」
「は???」
「こう、いい感じの場面になると流れてくるかっこいいBGMとかあるじゃろ!?
 そういう演出があれば、我もなんとなーくヒーローっぽくなる気がするのじゃ!」
「カタチから入ろうとしてる時点でダメな気はしますけどまあわかりますね」
 いやなんで私、敵がヒーローっぽくなるのを手伝おうとしてるんだ?
 ミズ・ルチレイテッドは我に返ったが考えるのをやめた。考えると心が死ぬので。

 さっそく話がグダッてきた、その時である!
 デケッテッテッテテッテー! 透明感のある前奏が流れ出したではないか!
「「「「赤く鮮やかにー! 街をいろっどーるー!」」」」
「なんですかこの透明感のあるアイドルの歌声は!?」
「こ……これは、もしや!」
 ユーディットとミズ・ルチレイテッドは歌声の方を見た!
「「「「あーんーなー花のようにー! なれそうな気がーしたー!」」」」
「キマイラフューチャーで大人気のバーチャルキャラクターアイドルユニット、チルカ……!!」
「おぬし詳しいな!?」
「勉強したんですよ宇宙怪人にするためのいい素体はいないのかと思って!」
「そういう勤勉なとこ、我は好きじゃぞ! 我も勤勉じゃし」
 ん? こいつ狂ってんのかな? ミズ・ルチレイテッドはスルーした。
 ともあれせり上がるステージ上で歌うのは、透明感のある4人アイドルユニット。
 その名もチルカ! デビューシングル「どこだってボクらが」好評発売中!
 ちなみにいま歌っているのは、カップリング曲の「あんな花のように」である。
「ふふふ、どうだい! クライマックスといえばやっぱり歌だよね!」
 そしてステージの周りを華麗に飛行するあのシルエットは!?
「さあ、猟書家よ、キマイラたちよ! 彼女たちの歌を聞けぇー!!」
 次元戦闘機『イルダーナ』を乗りこなす、リア・ファルだ!
 ステージはどうやら彼女の設営らしい! ライトアップも完璧である!
「おお……いい感じのBGMをもとめる我の心の叫びを聞きつけてくれたんじゃな!」
「え? いやごめん普通に混乱させられるかなと思っただけなんだよね」
「なんじゃ、ガーンじゃな……」
 ユーディットはしょんぼりした。乗っているアンコールもしょんぼりした。
「ま、まあとにかく! さあどうだいミズ・ルチレイテッド!
 これがエモだよ! そう、キミの理解できなかった、心の力さ……!」
「くっ、エモだなんてバカバカしい! そんなものは無価値、無意味だ!」
「そんな台詞を吐いていられるのは今のうちさ。これからキミは思い知るんだから。
 そう、エモの力……この世界の明日を求める人々の、希望という心の力を!」
 キリッ。リアはかっこいい表情でキメた。か、完璧だ……!
「お、おお……! それ、それじゃ! 我もそういうのやりたいんじゃけど!?」
 しかしそこでユーディットが騒ぎ出した! またこいつか!
「人がいい感じにキメてるときに茶々入れるのやめてくれないかなぁ!?」
「茶々なんて入れておらぬもん! 我も! 我もやーりーたーいー!」
 駄々をこね始めるユーディット! じたばた暴れだすオブリビオンマシン!
 リアは頭を抱えた。これじゃあクライマックスっぽさゼロだよ! 

「……ふ、ふふふふ」
 しかしその時である。
 なにやらミズ・ルチレイテッドが、急に笑い始めた。
「アッハハハハハ! 策士策に溺れたね猟兵!」
「なんじゃ急に悪役っぽいこと言いだしたんじゃがあやつ!?」
「こっちが善玉っぽくなさすぎるんだって! と、とにかくそれはおいといて。
 一体どういう意味だい? ミズ・ルチレイテッド!」
「フフフ……エモの力、あらゆる状況を台無しにする力、認めてあげましょう」
「いやエモってそういうものじゃないと思うよ(真顔のリア)」
「置いといてください。とにかく、エモとは歌! ならば……そう!
 あそこで歌っているチルカを宇宙怪人の素体にすれば……フフ、フフフフ!」
「! ま、まさか……!」
「そのまさかです! カモン、クリスタルシップ!」
 ギューン。黒いクリスタルシップが降りてきた!
「あそこのバーチャルキャラクターたちを宇宙怪人に変えてしまいなさい!」
「なんということじゃ、普通に悪役っぽいことやってきおったぞ!」
「だから悪役なんだよ!? それはさておきこのままじゃまずい!
 なんとかしてボクらでチルカを護るんだ! キャバリアなら出来るよね!?」
「ああ、もちろんじゃ! これもまた友情の力というわけじゃな……!」
「そんなこと言ってる場合じゃないのわかってるよね!?!?」
 ツッコミを入れつつ、リアはユーディット=アンコールと協力する!
 だがクリスタルシップは巨大であり、ふたりの戦力だけでは止められない……!
 ミズ・ルチレイテッドがベストなタイミングで妨害を仕掛けてくるせいもあった。
「ええい、我が押さえておるじゃと!? こ、こんなことはありえんのじゃ!
 友情とか愛とか、なんかそういう……そういう、なんかの力が我にはある!」
「ふわふわしすぎてて無理だよ!? くっ、どうすればいいんだ……!」
 リアは歯噛みした。このままではチルカが怪人にされてしまう。
 哄笑するミズ・ルチレイテッドの思惑通りになってしまうのか……!?

 ……その時!(本日三度目)
 チルカの歌が止まり、なにやらタキシードな感じのBGMが流れ始める。
 タキシードな感じのBGMってなんだ? 各自で考えてみてください。
「こ、この美少女の戦士が出てきそうなBGMはなんじゃ!?」
「あっ、あそこだ! あれは……!」
 リアが指差した先――いい感じの高い棒に佇む黒いシルエット!
 それは紛れもなくヤツ……ではなく、リアの見たことのある顔だった。
《――どことなくポンコツ臭漂うオブリビオンよ、聴くがいい》
「って何やってるのさジャックさーん!?」
 そう、黒き豹……ジャガーノート・ジャックである。
 間違っても、タキシードを着た明らかに不審なエセ紳士ではない。
 しかし、こんなトンチキなことをやるキャラでもないはずだ! 一応!
「っていうかそのポンコツって私のことですか!?」
「そこは満場一致じゃと思う」
「うんまあそこはボクも同意」
「あなたたち絶対殺しますからね!!!」
 と、歯噛みするミズ・ルチレイテッドはさておき、ジャックは言う。
《――エモ、すなわちエモーショナル。感情を揺さぶり胸を締め付ける切なさ……》
 ところでこのBGM誰が奏でてんだ? コンコンコンか?
《――エモは青春と言い換えることも出来る》
「出来ないと思うよジャックさん!?」
「いや……! 一理あると思うのじゃ」
「なんで!?」
 リアはツッコミ属性であった。かわいそう!
 そして彼女のツッコミを完全スルーして話は進む。
《――そこでだ、青春を紐解くに当たり、この名作を推そう……!》
 シュバッ! とジャックが投げつけたのは薔薇……ではない。
 カードでもない。なんかの単行本? であった。
「ええっと……? 青春ブタボーイはバニースーツの夢を見るか……?」
 単行本をキャッチしたミズ・ルチレイテッドは首を傾げた。なんだこれ。
《――もうおわかりだな》
「わからないよジャックさん!?」
「いや……! 我はわかりかけてきたのじゃ!」
「絶対それ適当だよね!?」
 リアのツッコミは完全スルーされる。かわいそう!
《――そう、真のエモ、特上級のエモ……それは、バニースーツ!》
「「「バニースーツ!?」」」
《――猟兵たちを苦戦せしめたかのラビットバニーを思い出してみろ》
「あ……!」
 どこの寿司漫画かな? みたいな顔になるミズ・ルチレイテッド。
 絶対無敵バリアを誇るラビットバニーの名は猟書家も知るところだ。
 そして彼女はバニースーツを着ていた。つまり、これは……!
《――そう、そんなバニースーツをお前が着たら、戦力アップは間違いなし》
「いやいやいや理屈がおかしいよ!? ていうかなんで敵に塩を送るの!?」
「この場合送ってるのは塩ではなく私欲な気がするんじゃけど」
「上手いこと言ってる場合じゃないよね!?」
「ふっ、愚かですね猟兵! この私が宇宙バニースーツを用意していたことにも気付かないとは!」
「「着替えてるー!!??」」
 やっぱりポンコツだったわこのルチレイテッド!(個体差があります)
 バニースーツでドヤ顔をするミズ・ルチレイテッド! 呆れるふたり!
 ジャック? ジャックはなんか満足げにうなずいていた。お前そういうキャラ?
《――よし》
「「いや、よして」」
《――満足した。いまだ、イェーガー!!》
「「いや満足したて」」
「はっ! し、しまった! この格好では防御が出来ない!?」
「「いまさら!?」」
 思わずユーディットもツッコミに回る狂気! これがネタシナリオだ!
「と、とにかくいまがチャンスだ! こんな形で終わらせていいのかわからないけど!」
「いやまあ連携ということにすれば友情とかそういうエモも得られるはずじゃ!」
「「これで終わりだ(じゃ)、ミズ・ルチレイテッドーッ!!」」
 リアの荷電粒子砲と、ユーディットの不可避の一撃がバニー猟書家を襲う!
「グ、グワーッ!? そ、そんな、この私がこんなところで……!
 申し訳ありません、エメラルドお嬢様、そしてキング・ブレインよ……!
 う、宇宙船団ルチレイテッドに、栄光あれーっ!!」
 KRA-TOOOOOOOM!! クリスタルシップもろともルチレイテッドは爆散!
「ミズ・ルチレイテッド、恐ろしくはないけどなんだか可哀想な相手だった……」
「もし出会い方が違えば、我らは友達になれたのかもしれんのう……」
「いやそれはないと思う」
《――満足だ。さらば、ミズ・ルチレイテッド》
「その満足の仕方もどうかと思う。いや本当に」
 リアのツッコミは、最後までスルーされていた。かわいそう!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月05日
宿敵 『ミズ・ルチレイテッド』 を撃破!


挿絵イラスト