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電気羊は完全なる邪神の夢を見るのか?

#UDCアース #【Q】 #完全なる邪神 #純戦闘シナリオ #猟兵の食欲全開シナリオ

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#UDCアース
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#【Q】
#完全なる邪神
#純戦闘シナリオ
#猟兵の食欲全開シナリオ


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 UDCアース。
 これまで猟兵は、数々の邪神復活を人知れず阻止してきた。
 だが、既に何体もの邪神が既に完全復活を果たしていたことが、グリモア猟兵の蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)の予知によって発覚した。
 グリモアベースに集まってくれた猟兵たちへ、レモンは完全復活した邪神の討伐任務を発令した。
「みんな、集まってくれてありがとうっ! 今回の完全なる邪神との戦いは、今までのUDC討伐任務とは違う部分がたくさんあるから、あたいの言うことをよく聞いてねっ?」
 レモンはまず、完全なる邪神の居場所について説明を始めた。
「今回の戦場って、実は地球上には存在しないんだよね……。完全復活した邪神はね? 星辰揃いしときに始まるという『大いなる戦い』の為に備えて、今は超次元空間で潜んでいるんだよっ! どうやら、邪神よりも遥かにおぞましき『何か』の手で、そこへしまい込まれたっぽいっ?」
 それでは、どうやってそこへ向かえばいいのか?
 猟兵達の疑問に、レモンが答えた。
「今からみんなをUDCアースの某山中の廃トンネルへ転送するよっ! 予知によれば、この廃トンネルをくぐった先が『超次元の渦』……つまり、完全なる邪神の住処だよっ!」
 レモン曰く、『超次元の渦』とは、光り輝くエネルギーに満ちた、UDCアースのどこにあるのかは分からない超空間だという。
 光り輝く銀河の中心のような渦が絶えず暗闇の中で流れる空間で、そこは重力も存在しないらしい。完全に上下左右の方向感覚が狂ってしまうだろう。しかも廃トンネルをくぐって気が付くと、いつの間にか暗黒空間に放り出されているというのだ。
 だが、戦闘が進むにつれ、周囲の景色がコロコロと変わっていく。その場その場で上手く戦場に適応するように心がけてほしい。
「気を付けてほしいのはこれだけじゃないよっ! 完全なる邪神は、全部で3つの形態に変身するよっ!」

 第一形態は、完全なる邪神が無数の個体に分裂して、無数に出現してくる。歴戦の猟兵といえども、一度に複数を相手にするとまず勝てないため、各個撃破を心懸けつつ数多く撃破できるような行動を努めてほしい。
 第二形態は、第一形態が融合して更に強力な1体の強大な邪神へと変身する。極めて強大な敵だが、第一形態を出来るだけ数多く撃破すればするほど、この形態は弱体化する。
 第三形態は、第二形態から『脱皮』して誕生する。途轍もないパワーを発揮する恐ろしい完全体の邪神ゆえ、必ず先制攻撃を仕掛けてくる。猟兵達はどうにか先制攻撃への対策を講じた上で反撃をしなければ勝ち目は万に一つもない。

「とても厳しい戦いになるけど、みんななら完全なる邪神を撃破できるって信じてるよっ! それじゃ、準備ができたら転送を開始するねっ!」
 レモンの頭上のグリモアが輝く。
 いつか星辰揃いしときに始まるという『大いなる戦い』に備え、出来るだけ完全なる邪神を完全なる邪神を撃破せよ!


七転 十五起
 久々のUDCアースのシナリオです。
 今回はボスラッシュです!
 なぎてんはねおきです。

 オープニングで説明した通り、第一形態、第二形態、第三形態と、完全なる邪神の特性がガラリと変わります。オープニングで提示した邪神の特性を踏まえた上でプレイング投稿をお願い致します(特性を考慮しないと判断したプレイングは不採用の対象になりえます)。
 特に、第三形態の邪神からの絶対先制攻撃対策は、何も講じていない場合は必ず『🔴🔴🔴失敗』になります。また、ひとつのプレイング内で複数のユーベルコードを使用した場合、その種類と回数に応じて邪神側も複数のユーベルコードを先制攻撃で使用します(この場合もよほどの対策を取らない場合、ほぼ確実に『🔴🔴🔴失敗』になりえます)。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『禍罪・擬海』

POW   :    魁
【周囲を回遊する幽魚の群れ】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[周囲を回遊する幽魚の群れ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    壊
攻撃が命中した対象に【出血し続ける傷】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【血の匂いを追って牙や爪、幽魚の群れ】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    海
【咆哮を上げ、海水】を降らせる事で、戦場全体が【荒れ狂う海】と同じ環境に変化する。[荒れ狂う海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は榛・琴莉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

戎崎・蒼
宮前・紅(f04970)と行動
【POW】
完全復活した邪神に、形態変化か
……本当に厳しい戦いになりそうだ
戦場も、敵も、早送りの進化の如く変化していく
なら僕はそれに慣れてみせるよ

取り巻く幽魚が厄介この上ない
多く集まらせない為にも、幽魚はUCで殲滅出来るか試す
上手くいかなければ弱点を探して本体に攻撃を加えてみる(見切り+スナイパー)
テルミット弾であるSyan bulletを使用し、各個撃破出来る程度のダメージを狙いたい所だ

最初の敵から強敵だ
引き締めていかないと此方も劣勢に追い込まれるかもしれない
…寝首を搔かれないように気をつけないとね


宮前・紅
戎崎・蒼(f04968)と行動
【POW】
形態変化とは厄介な相手だね…
数が多すぎるなあ…纏まって行動した方がいいかな?

UCを発動
血を代償に俺へヘイトを向けようか!
俺は短時間での殲滅戦には向いてないんだよね〜
コンツェシュだと大分効率が悪いんだ♪︎だから協力──してね?
UCで引き付ければ他の猟兵達にとってはチャンスになる筈。敵は俺の攻撃しか見ていないから、背後の皆にも気づけない。
こんなチャンス逃す筈ないよね?
俺、意外とタフなんだよ知ってた?(激痛耐性)
挟み撃ちが功を奏したら、自分の流れた血と幽魚に紛れて攻撃を仕掛けよう(暗殺+貫通攻撃+フェイント)

水の中だし汚れないよね♪︎だから沢山刺してあげるね?


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

転送されてトンネルを抜けると……そこは超次元だった!?
ようし、復活した邪神だってバシバシやっつけちゃうぞー☆

分裂した個体に向かって突撃だー!
無重力でふわふわしているけど、【スカイステッパー】を使って
ぴょんぴょん飛び跳ねて攻撃を避けて「カウンター」で攻撃だ!
お魚さんをレイピアで刺して数を減らしながら本体にも風を纏わせた「属性攻撃」の一撃をお見舞しちゃうよ♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



「転送されてトンネルを抜けると……そこは超次元だった!?」
 フェアリーのティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は、いつの間にか激変した周囲の景色に、首を左右に振って狼狽する。
 ほぼ同時に転送されてきた戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)と宮前・紅(三姉妹の人形と罪人・f04970)は、慣れない浮遊感に互いの手を取り合って必死に身体の姿勢を保とうと試みていた。
「大丈夫かい、紅? 立てる?」
「すっごい、なにこれ! 俺達、宇宙を泳いでるよ、蒼くん!」
 冷静な戎崎とはしゃぐ宮前。
 青と赤、静と動のコンビが、銀河めいた超次元空間を進んでゆく。
 そこへティエルも合流。
「やっほーっ☆ ボクはティエル・ティエリエル! ティエルっ呼んでね♪ 2人も完全なる邪神をやっつけにきたのかな?」
「やあ、小さくて勇敢な猟兵さん。僕は戎崎・蒼。そしてこっちは……」
「俺は宮前・紅だよ! よろしくね、ティエルちゃん! 俺達も完全なる邪神をやっつけにきたんだよ!」
 戎崎は紳士然に、宮前は朗らかにティエルへ指先を握手代わりに差し出した。
「蒼に紅だね? ようし、3人で復活した邪神だってバシバシやっつけちゃうぞー☆ おー♪」
「「おー♪」」
 ティエルの手と戎崎と宮前の指が円陣となって合わさった。
 合流して10秒で打ち解けた3人であった。

 そして、『超次元の渦』を進んでゆくと、唐突に3人の周囲に完全なる邪神の第一形態が群れで出現してきた。
 回遊する幽魚の群れを纏った荒神達は、己に課せられた呪いに抗うように呻き、叫び、身悶える。
 宮前は、その敵の多さに辟易するように顔をしかめた。
「数が多すぎるなあ……。それに、ここから形態変化するんだっけ? 厄介な相手だね……」
「そうらしいね。完全復活した邪神に、形態変化か。……本当に厳しい戦いになりそうだ」
 戎崎の襟飾が光りに包まれて形状が変化。
 それはパーカッション(雷管)式の前装式歩兵銃『Cravatta-45.52ct』……戎崎の愛銃だ。
 愛銃を掴んだ戎崎は、素早くテルミット弾であるSyan bulletを装填してゆく。
「戦場も、敵も、早送りの進化の如く変化していく。なら僕はそれに慣れてみせるよ」
「確か、個別撃破が推奨って言われてたよね? だとすると、俺達、纏まって行動した方がいいかな?」
「だったらボクも2人と一緒に戦うよ!」
 ティエルは2人の頭上で翅を羽ばたかせながら宙に浮いている。
 宮前は逡巡すると、戎崎とティエルへ告げた。
「だったら、俺の血を代償に、敵のヘイトを俺に向けさせようか! 俺って短時間での殲滅戦には向いてないんだよね~」
 そう告げる宮前は、自分の利き手ではない方の人差し指を噛み切ると、襟元のルビーのブローチに溢れる血液を塗りつけた。
 すると、ブローチはたちまち光りに包まれ、鋭利な細剣『コンツェシュ』へと早変わりする。
「このコンツェシュだと大分効率が悪いんだ♪︎ だから協力──してね?」
「わかった。僕が紅が惹きつけた敵を撃ち抜こう」
「じゃあボクは紅に突っ込んできた邪神に突撃するよー☆」
 即席ながらも連携の形が見えてきた。
 早速、宮前はユーベルコード『万有引力の紅榴魔石(フランマ・ウィス・アトラヘンディ)』を発動させた。
「死ぬまで踊ろうか、さあお手をどうぞ」
 宮前が細剣の切っ先を邪神の1体へ向けると、剣先の邪神は急に宮前目掛けて回遊する幽魚の群れを殺到させてきた!
「おっとっと! 何処へ幽魚をぶつけてるのかな?」
 だが宮前は遊漁の群れからフェイントを織り交ぜることで、ひらりと身をかわして回避してみせる。その身のこなしはまるで陽炎のように揺らめく。
「ほらほら! こっちだよー♪」
 挑発する宮前へ、誘引された『禍罪・擬海』が遊漁の群れを纏って、その腕を振り下ろす!
 これをまともに身体に浴びる宮前!
 しかし、彼は不気味にニタリと笑みを浮かべたまま、平然としていた。
「俺、意外とタフなんだよ、知ってた?」
 まるで痛みなんて感じていないかのように、打ち据えられた邪神の拳を細剣で刎ね飛ばしてみせた。逆に邪神が激痛で絶叫してしまう!
「それにしても。俺ばっかり見ているから、他の猟兵に気付いていないでしょ?」
 宮前の言葉に、ようやく邪神は他の2名の姿が見えなくなった事に気が付いた。
 すると、次の瞬間!
 バシャンッと水が跳ねる音と共に遊漁の群れが赤く血に染まってゆくではないか!
「これで終わりにしよう、クラヴェッタ」
 戎崎の愛銃の銃口から硝煙が立ち上る。
 すぐさま次弾を装填すると、照準を邪神の額へ合わせた。
「取り巻く幽魚が厄介この上ないが、銃で撃ち殺せるなら話は変わってくる。その群れごと君を射殺してあげるよ」
 引き金に人差し指が掛かると、戎崎は躊躇せずにそれを引き絞った。
「……第二楽章 無言歌《1999》op.13(リーダオーネウォルテ)――Tiro volley(ティロ・ボレー)」
 蒼い液状火薬が入った透明色な硝子製弾丸の弾幕が一斉にショットガンめいて一斉に発射されると、回遊する幽魚の群れごと邪神の顔面を蜂の巣にしてしまった!
 一瞬で頭が吹っ飛んだ邪神は爆発四散して絶命した!
「やれやれ。最初の敵から強敵だったよ。紅、ティエル、引き締めていかないと此方も劣勢に追い込まれるかもしれない……寝首を搔かれないように気をつけないとね」
「解ってるって♪ って、ティエルちゃん、後ろ~!?」
「え、なになに? って、わーっ! ボクの背後に出現とか聞いてないよ!?」
 急にティエルの背後に出現した邪神が、五寸釘の刺さった呪符を彼女へ放ってきた! これが命中すれば間違いなく出血するだろうし、その出血で幽魚達が追尾してくることは容易く予想できた。
 だから、ティエルは緊急回避用のユーベルコードで脱出する!
「無重力でふわふわしているけど、スカイステッパーを使って、ぴょんぴょん飛び跳ねて攻撃を避けちゃうよ!」
 物理法則を無視した超鋭角的空中多段ジャンプによって呪符をひらりひらりと回避してみせるティエル!
「紅、いっくよーっ! カウンターだー!」
「うん、わかった! 水の中だし汚れないよね♪︎ だから沢山刺してあげるね?」
 前門の宮前、後門のティエル!
 挟撃状態で2本の細剣の連続刺突が邪神と幽魚群れを容赦なく何度も貫通してゆく!
 更にティエルは剣身に風の魔力を宿らせ、邪神の体内に差し込んだまま解放!
「ええーい! 吹っ飛んじゃえー!」
 体内で急激な風圧を受けた邪神は、肢体を爆散させて消滅してしまった。
「いえーいっ! もう2体も瞬殺しちゃったね♪」
「蒼と紅が手伝ってくれたおかげだよ☆」
 宮前とティエルが意気投合する傍らで、戎崎が声を強張らせる。
「まだまだ喜ぶのは尚早だよ。第二形態を弱体化させるためにも、もっと撃破しないとだからね」
「はいはい、俺の仕事はまだ続くってことでしょ? ようし、どんどん敵を釣り上げちゃうよ!」
 宮前はユーベルコードで丁寧に1体ずつ邪神を誘引し、戎崎とティエルで挟撃して撃破するというサイクルを繰り返す。
 邪神はまだまだ増殖しているが、3人の連携によって、その増殖速度は次第に歯止めがかかりつつあったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハンナ・レドウィッチ
不採用含めて全て歓迎よ!
超次元の渦。ふふん、この私の本体も似たような所にいるし、全くもって何の影響も…うっぷ!
酔ってきたわ…!

あれって魚? なら焼き魚にしましょうか!
悪口王フラスガー・ラーンの書で精神攻撃、恨み言を呟いてるなら簡単に釣れるでしょ。魚だけに!
悪口に反応して敵が集まってきたらマイケルくんで武器受け、UCでまとめて攻撃するわよ!

敵UCに対して私が出来ることは流されることしかないわ。大天才である私にもできないことがあるのよ!(カナヅチ)

完全なる邪神だとか調子に乗ってるけど、大天才邪竜神である私の敵じゃないわ!
あ、私は本体じゃないから手加減してね?



 完全復活した邪神が待つ異次元の渦へ、ひとりのオラトリオが舞い降りた。
 見た目はうら若き乙女、中身はヤベー奴、実年齢はババア……ではなく経験豊富なお年頃。
「なるほど……ここが邪神のハウスなのね! これから毎日に燃やしましょうか!」
 喜々としながら足を踏み出し、その浮遊感を楽しむハンナ・レドウィッチ(天災級自爆魔法使い・f31001)
 その正体は、かつて大魔法都市を『背徳の都』と呼ばれるまでに邪悪へ染め上げた恐ろしき邪神『名も無き者(ワイハン・チャンド・レ)』……の分裂存在である。
 だが本人は……。
「この大天才邪竜神様が来たからには、こんな依頼、すぐに解決してみせるわ!」
 ご覧の調子である。
 実際、女神すら頭を悩ませ、柱神の手を焼き、対処できないという理由で異界送りになったほどの凄まじい魔力を有する邪神が本体とはいえ、なんやかんやあって現在は簡単な魔法を発動させるにも博打じみた確率で挑まねばならないほどに封印され、弱体化した。なお、失敗すると大抵、彼女は爆発する。
 つまり、自爆系へっぽこオラトリオ魔導師、それがハンナという女の現状だ。
「ふふん、この私の本体も似たような所にいるし、全くもって何の影響も……うっぷ!」
 突然、ハンナは口元を抑えたかと思えば、食道から込み上げてくる衝動を抑えられずに抑えた手を放した。
「うぇぼろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろ!」
 ハンナ、邪神の住処で粗相をかました。
 口から吐き出される吐瀉物がかからないように、吐いた勢いを推進力に変え、そのまま渦の中心へ向かって移動を開始する。
「おぅっふ……三半規管がグダグダで酔ってきたわ……! うわぁ、重力がないからゲロがシャボン玉みたいに浮かんでるわ……」
 ロケットの噴射煙の如く軌道を描く吐瀉物が、キラキラと天の川のように煌めいていた。
 そのゲロの川のど真ん中に、突然ポップアップしてくる邪神の群れ!
 不運!
 いきなり吐瀉物まみれになった邪神達は、初っ端から異臭や不快感などの諸々ダメージを受けてのたうち回っている。
 不憫!
 それを眺めるハンナは、宇宙の真理を見つけた猫のような表情で目を丸くしていた。
「き、奇襲成功ね! これを予見して、あえて吐いてやったのよ! 名付けてゲロトラップ、略してゲップよ! ……というか近付かないでくれないかしら? ゲロ臭いんだけど?」
 ちなみに自分のゲロの匂いである。
 そんな邪神達は吐瀉物を洗い流すべく(かどうかはふめいだが)、咆哮を上げて海水を降らせて満たしてゆく!
「ちょっと! 待って!? 大天才である私にもできないことがあるのよ!」
 ハンナはカナヅチ、泳げないのだ!
 このままでは溺死してしまう!
 海水で空間が満たされる前に、個別撃破を狙って逃げ出すハンナ。
 だが、邪神達はハンナを追ってこようとしない。
「え、ちょっと? それはそれでムカつくんだけど?」
 実力差の彼我を見抜かれたのだろうか?
 邪神達から完全に相手にされていないハンナは、怒りに震えながら悪口王フラスガー・ラーンの書を取り出す。
「あの周りにいるのって魚よね? だったら焼き魚にしましょうか!」
 この書は白紙だが、所有者に標的の悪口を教えてくれる文庫本なのだ。
「うっわ、クッサ! ゲロ臭い魚が泳いでるんじゃないわよ、腐ってるのかしら?」
 その台詞は言霊となり、2体の邪神が海水を降らせながら襲いかかってきた!
 そこへ、魔法陣を展開させて50本の接触爆発型のファイアアローを生成してみせる。
「掛かったわね、マヌケが! この大天才邪竜神様にかかれば、ただのウィザード・ミサイルもトンでもない力を出せるんだから!」
 迫りくる邪神が、海水を大波に変えてハンナを襲う!
 その瞬間、ハンナはファイアアローを魔法陣から解き放つ!
「消し炭にしてあげる! 大天才ウィザード・ミサーイル!」
 50本の魔法矢が一斉射され、僅か5m先で大爆発した。
「ぎゃー!? 私は本体じゃないから手加減してー!?」
 爆発の衝撃で、術者のハンナは渦の果てへ吹っ飛んでゆく。
 だが、爆発の巻き添えを食らった邪神は、眼前で爆ぜた魔法矢に対処できずに木っ端微塵に砕けて消滅してしまった。
 彼女の魔法が失敗したのではない。
 もともと、射程が5mしかないのだ。
 でもそのことにハンナ自身が気付いているかは非常に怪しいところだ。
 そんな彼女のユーベルコードの名は『大天才ウィザード・ミサイル(クソザコナメクジ・ウィザード・ミサイル)』であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

備傘・剱
三段変身面白邪神ってか?
クリスマスパーティーに参加したいなら、もうちょいかわいげを持たせなきゃな!

各個撃破なら、この技だ!
青龍撃、発動!呪殺弾、衝撃波、誘導弾で他の奴には弾幕を張りつつ、結界術で一体を捕縛、爪に神罰と破魔を付与して二回攻撃と鎧無視攻撃に鎧砕きをつけて、丁寧になます斬りにしてやる
オーラ防御と念動力で敵の攻撃をそらし、細かな高速移動で的を絞らせないようにすれば、被弾は最小限にできるだろう
集まってきたら、ブレス攻撃を使って、散らしてやる

方向感覚が違えど、空中移動はできるから、相手を見失わなければ、問題あるまい
こちとら、生まれは宇宙、そういった処には慣れてるんだ

アドリブ、好きにしてくれ



 備傘・剱(絶路・f01759)もまた、完全なる邪神が棲まう『超時空の渦』に足を踏み入れた。そして、宇宙遊泳よろしく空間を掻き分けながら渦の中心を目指していると、周囲の闇から邪神達が這い出してくるではないか。
「三段変身面白邪神ってか? クリスマスパーティーに参加したいなら、もうちょい可愛いげを持たせなきゃな!」
 備傘は囲まれる前にユーベルコードを発動させて対処を始めた。
「各個撃破なら、この技だ! 青龍撃(バレットスピーディング)、発動!」
 自身に空気中の水分を凝縮し形成した青龍の爪と牙をまとい、高速移動を実現。
 更に、牙から放たれる高圧の水弾の弾幕が邪神達を備傘に近寄らせない。
「あとで遊んでやるから、そこで水の玉とじゃれてな。んで、俺の獲物はまず、お前だ!」
 青龍の爪に神罰と破魔の権能を宿し、真正面の邪神へ真空波を2連続で放つ。
 邪神もまた五寸釘が刺さった呪符を放って、備傘の身体に傷を付けようと試みる。
 しかし、それらは全て真空波で木っ端微塵となり、高圧水弾の弾幕で打ち破られ、邪神は丸腰になってしまう。
「そういう攻撃手段か。教えてくれてありがとよ!」
 邪神が水の膜でとっさに防御するが、青龍の爪は邪悪なる者の守りを容易く斬り裂く。真空の刃は、たちまち邪神を三枚におろしてしまった。
「まずは一体……」
 無重力状態の中、備傘はインメルマンターンめいた急旋回を披露してUターン!
 そのまま速度を上げて別の邪神へ肉薄!
 今度は予め、五寸釘付き呪符が邪神の前に対空しており、それらは弾幕となって備傘を拒む。
「ネタはバレてんだ、そう簡単に喰らうかよ」
 自身のフォースを最大出力で解放。
 オーラ障壁を眼前に発生させ、迫る敵の弾幕を念動力で無理矢理に軌道を逸らしてゆく。
 最小の被弾数がオーラ障壁に阻まれて弾かれ、無傷のまま2体目を青龍の爪で三分割してみせた。
 その後も高圧水弾の弾幕で立て続けに4体を撃ち抜き、すれ違いざまに3体を斬り裂く備傘。
「方向感覚が違えど、空中移動はできるから、相手を見失わなければ、問題あるまい。こちとら、生まれは宇宙、そういった処には慣れてるんだ」
 まさに独壇場。
 縦横無尽に異空間を駆け巡る備傘は、まさに無双乱舞していた。
「おらよ、トドメのブレス攻撃だ」
 水で象った青龍の顎から、大量の高圧水流が発射!
 直撃した邪神達は、為す術なく膨大な水の質量に押し潰されてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『クィーンレッドサーモン』

POW   :    対捕食者用パワー(ノーブルレッド)
全身を【体内のタンパク質を分解して放つ真紅の輝き】で覆い、自身の【ここで喰われてなるものか、と言う意志】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    鮭泳法(ワイルドスイム)
【滝も登れそうな激しい突進】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    女王は食物連鎖も利用する(ヒグマレンタル)
自身の【体内の筋子の幾つか】を代償に、【ヒグマ型眷属】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【鋭い爪や牙、巨躯】で戦う。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ルシル・フューラーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 第一形態の邪神の群れは、かなり数を減らしてきた。
 突然の闖入者に、完全なる邪神も此処まで圧倒されるとは思ってもなかった。

 だからこそ、次の形態へと完全なる邪神は移行することを決意した。

 邪神達が纏っていた幽魚の群れが、突如、身を寄せ合って融合を始めた。
 それらは次第に大魚となって、猟兵達の前に1体の巨大な姿を表す。

 ――巨大鮭だ!
備傘・剱
あぁん?
随分と邪神っぽい姿になったじゃねぇか!
やっぱ、邪神はそうじゃないとなぁ!

さぁ、調理開始、発動、だ!
まずは、結界術で動きを一瞬でも動きを止めたら、早業と調理と鎧無視攻撃で鱗を外し、串打ちと鎧砕きで皮を外して、速攻で三枚に卸してくれるわ!

暴れるのは鮮度の高い証拠、オーラ防御に念動力で動きを阻害して逃げ回る鮭を追いかけようじゃないか
なに、少しでも俺の体に触れたら、神罰と破魔をそこから叩き込み、式神も総動員して動きを阻害するぞ

ヒグマも出てきたら、合わせて調理してやろう
この空間に捕食者は一人でいいのだよ!
さぁ、オブリビオン、その脂ののった体と卵、全部、置いてけ!

アドリブ、絡み、好きにしてくれ


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

わわっ!合体しておっきなお魚になっちゃった!
なんだか真っ赤なお魚だけど……これがおにぎりの中とかに入ってるサケなんだね!

こっちに突進してくるのを「見切り」も使って咄嗟に回避っ!
むむむー、すごい勢いだ!これなら本当に滝だって登れそうだね♪

ようし、それならその勢いを逆に利用しちゃうぞ☆
突進してくる邪神に対して「カウンター」で【ハイパーお姫様斬り】だ!
3枚におろしておにぎりの具にしちゃうぞ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


戎崎・蒼
宮前・紅(f04970)と行動
【POW】
デカイな…
真逆融合の果てに巨大な鮭になるとは…思いもしなかった
というか少し突っ込ませて貰いたいんだけど、紅、多分これ持ち帰れない
きっと捌く前に第三形態になってしまうと思うからね?
兎に角僕は巨大鮭を倒そうか…勿論食べない方向で

体内のタンパク質エネルギーを自身に纏っているようだから、熱で壊してみよう(スナイパー)
立体構造を維持している水素結合を切断するには、熱が最適の筈だ
Syan-bulletを使い、そしてUCで自身を強化する事で、相手の飛躍的な戦闘力増強に対応出来るようにする

美味しく食べる為に傷つけちゃだめ?
いや、だから多分食べれないとあれ程……


宮前・紅
戎崎・蒼(f04968)と行動
【SPD】
わあ♪︎大きい鮭だよ蒼くん!
ねえ、これ端っこだけで良いから貰えないかなぁ?
珍味として食べてみたいなーなんて…!
良し!じゃあ俺も巨大鮭を倒す(食べる)為に頑張ろっと
UCを発動してLiddelを召喚!大きいヤツには大きいヤツをぶつけた方が効率的だよね〜♪︎
相手の攻撃?大丈夫大丈夫、滅茶苦茶痛いっちゃ痛いけど、ご褒美を目の前にしたらそんなの屁でもないよ!(激痛耐性)

Liddel!いけっ!!!ドムッドムッドムッドスッドスッドスッ(殴)

蒼くん蒼くん、美味しく食べる為に身は傷付けちゃ駄目だよ!

──鮮度と味が落ちない内に、その身体(鮭の身)譲って貰おうか?


ハンナ・レドウィッチ
不採用含めて全て歓迎よ。
(敵を見て)やっぱり魚じゃないの!
魚類に水責めされたんて許されないわね。活造りにしてやるから覚悟なさい!

マイケルくんに乗って空中から突撃よ。めった打ちにしてやりたい所だけど、あんな大きな魚に私の腕力じゃどうしようもないわね。この繊細な細腕に感謝するのよ!
一先ず飛び回って囮に、味方がいれば注意を引き付けて攻撃の隙を作るわ。

ヒグマ型の眷属?ふふん、洒落が効いてるけど型がある以上は私の分野よ。
マイケルくんで敵の腕や頭を受け流し、反撃しつつ時間を稼ぐわ。
体当たり?この可憐な体じゃぶちのめされるに決まってるじゃないの!
UC発動、代わりにぶちのめしてあげるわ!



 鮭。まごうことなき鮭だ。
 超時空の渦に浮かぶ巨大な紅鮭型の邪神を前に、猟兵達は目を丸くしていた。
「わわっ!合体しておっきなお魚になっちゃった!」
 ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)はフェアリーの小さな体で巨大な鮭を見上げて口をあんぐり開けている。
「本当にデカイな……真逆融合の果てに巨大な鮭になるとは……思いもしなかった」
 戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)もまた、その巨大な体躯に眉をひそめる。
 その横で、宮前・紅(三姉妹の人形と罪人・f04970)が目を輝かせていた。
「わあ♪︎ 大きい鮭だよ蒼くん! 美味しそうだね!」
「待て、紅。今、なんて言ったんだい?」
 戎崎は訝しんだ。
 宮前は純真な眼差しのまま、鮭に指差して答えた。
「ねえ、これ端っこだけで良いから貰えないかなぁ? 珍味として食べてみたいなーなんて……!」
「というか少し突っ込ませて貰いたいんだけど、紅、多分これ持ち帰れない。きっと捌く前に第三形態になってしまうと思うからね?」
「えーっ! そうなのー? 食べたい食べたい食べたいー!」
 駄々をこねる宮前に、邪神の身体は次第に赤く輝き始めてきている。
「あ、見て見て、蒼くん! 鮭が光ったよ! 光る鮭なんて、きっとSSRの鮭なんだよ! 絶対に美味しいやつ!」
「SSRの鮭って意味がわからない。ああ、みんなも紅に言ってやってくれないか?」
 これでは戦闘にならないと、戎崎は備傘・剱(絶路・f01759)とハンナ・レドウィッチ(天災級自爆魔法使い・f31001)に助け舟を求めた。
 備傘はニヤッと口端を釣り上げると、不思議な光を湛えた短刀『Orthrus』を鞘から抜いた。
「あぁん? 随分と邪神(しょくざい)っぽい姿になったじゃねぇか! やっぱ、邪神はそうじゃないとなぁ!」
「え? 今なんて……?」
 戎崎は耳を疑う。
 そしてハンナは意思を持つ箒こと『マイケルくん』に跨り、拳をわなわなと震わせていた。
「やっぱり魚じゃないの! 魚類に水責めされたんて許されないわね。活造りにしてやるから覚悟なさい!」
「いや、だから活造りにする前に第三形態が脱皮してしまうから……」
 戎崎が必死に説明するが、徐々に話の流れが『巨大鮭を食う』流れに向かってしまっている。
「なんだか真っ赤なお魚だけど……これがおにぎりの中とかに入ってるサケなんだね! 鮭おにぎり食べたくなってきちゃった☆」
「あるぜ、レトルトだがな? 加熱さえできれば白米がいつでも食べられるぜ」
 備傘はサバイバル術に長けている。それゆえか、非常時の備えは万全である。
「良し! じゃあ俺もみんなと一緒に巨大鮭を食べる為に頑張ろっと♪」
「え、えぇ……?」
 相棒の宮前までも食欲に駆られている様子に、戎崎は遂に諦めた。
「……僕は食べないよ、絶対に食べないよ?」
 そう宣言しながら、引き続きパーカッション(雷管)式の前装式歩兵銃『Cravatta-45.52ct』を構える戎崎。
 更に『邪神は食べる物ではない』という生来の生真面目さを発揮したことがトリガーとなり、ユーベルコード『規範(ラ・レッジ)』が発動する。
「人は縛られてこそ人たりえる。……邪神を食べようだなんて考えるのは特に、人としてどうなんだろうか……?」
 疑問を抱きつつ、まずは蒼い液状火薬が入った透明色な硝子製弾丸『Syan-bullet』を、赤く輝く鮭の身体に撃ち込んだ。
「体内のタンパク質エネルギーを自身に纏っているようだから、熱で壊してみよう。的が大きいから外すこともないね」
 射撃音とともに、鮭の身体から赤い血の大輪が咲いた。
「蒼くん蒼くん、美味しく食べる為に身は傷付けちゃ駄目だよ!」
「いや、だから多分食べれないとあれ程……ああ、もういいや……」
 宮前の叱責に、戎崎は溜息混じりに肩を落とした。
 撃たれた鮭は激痛で身を捩りながら、音速を超えた速度で異空間を回遊し始めた。
 その姿は、決してこの場で喰われてなるものかという固い意志が伝わってきた。
 しかし、食欲というブーストが掛かった猟兵達にとって、この程度はなんら障害に値しなかった。
「さぁ、俺のユーベルコード『調理開始』、発動、だ!」
 マッハ8を超える超高速回遊する鮭が、備傘とティエル、そして宮前へ向かって突進してくる。
 その勢いは、まさに滝登りを彷彿とさせる!
 恐らく掠っただけで人体など粉々に吹き飛ぶ突進攻撃を前に、備傘は冷静にフォースを練り上げる。
「何もないように見えるだろ? 残念だな、そこは結界の壁だ!」
 鮭が備傘の5m手前で、見えない何かと衝突して弾き返された。
 不可視の結界の壁で突進を防御して、鮭にまずは激突ダメージを与えて怯ませる。
 これに宮前が合わせた。
「いくよ♪ Liddel! Marionettes Divertissement……!」
 ユーベルコード『人形劇より嬉遊曲:Liddel(マリオネット・ディヴェルティスマン・リデル)』を発動させた宮前は、呼び出した人形を巨大化させ、肩車の形で上に飛び乗った。
「Liddel! いけっ!!! ドムッドムッドムッドスッドスッドスッ(笑)」
 もんどりうってる鮭の腹に、人形の拳のラッシュを叩き込ませる宮前。
 なお、殴打時の効果音は自分の声で当てている。途中で可笑しくなってクスクス声が漏れてしまっているが。
 だが鮭も殴られてばかりではない。
 宮前と人形へ向かって、飛び跳ねるように体当たりを敢行!
 クリーンヒット!
「紅!」
 すかさず戎崎の銃撃が鮭の身を貫く!
 狙撃のショックで鮭がその場で暴れ、再び距離をとって突進の構えを見せる。
「蒼くん、ナイスアシスト♪」
「怪我はないか、紅?」
 心配そうに宮前へ寄り添う戎崎。
 だが、宮前は持ち前の笑顔を相棒へ見せる。
「大丈夫大丈夫、滅茶苦茶痛いっちゃ痛いけど、ご褒美を目の前にしたらそんなの屁でもないよ!」
「食欲が激痛を凌駕した、のか……?」
 戎崎は人間の欲望の可能性に戦慄した。
 再び突撃してくる鮭へ、備傘とティエルが殺到する。
「暴れるのは鮮度の高い証だ。オーラの障壁と俺の念動力で抑え込んでやる」
「むむむー、すごい勢いだ! これなら本当に滝だって登れそうだね♪ ようし、それならその勢いを逆に利用しちゃうぞ☆」
 突撃してくる鮭、左右に分かれる備傘とティエル。
「オブリ飯の神髄、見せてやるぜ」
 ユーベルコードで強化された串打ち技術が、鮭の全身何本もの金串を突き刺してみせた!
 オーラ障壁と念動力が、接触時の人体へのダメージを相殺。
 そのまま、光り輝くナイフを鮭へ添わせると、突進時の慣性の法則でジャリジャリと鱗が四方八方へ剥がれ落ちて舞い上がる!
「そっちも頼んだ!」
「よーし、ボクも鱗落としに挑戦だー!」
 ティエルはユーベルコードで刃渡り94cmのオーラソードを具現化すると、鮭の反対側の鱗を突進のエネルギーを利用して一気に剥がしていった。
 鱗を剥がされた鮭は怒り狂い、三度の突進攻撃!
 だが、またしても透明の壁に激突し、ビチビチとその場で鮭が飛び跳ねる。
 すると、腹から大量の筋子をもりもりを排出し始めたではないか!
「お、あいつ、なかなか溜め込んでたみたいだな?」
 備傘はすぐさま、頭の中で筋子の調理方法を模索し始めた。
 戦いを見守っていたハンナは、筋子にうっとりと見とれている。
「醤油を垂らして、白米の上に乗っけて、鮭の切り身と一緒に海鮮親子丼なんていうのもオツなものよね?」
「出来るぜ、ご要望とあらばな?」
「……ここにシェフがいたわ!」
 備傘のレパートリーの広さに、ハンナは小さくガッツポーズ。
 俄然、邪神討伐のモチベーションが急上昇する。
 しかし、筋子に誘われて、超時空の渦にヒグマ型眷属が召喚される!
「ヒグマ型の眷属? ふふん、洒落が効いてるけど型がある以上は私の分野よ。アレの相手は私が引き受けるわ!」
 箒で飛来しながら、ヒグマ型眷属の注意を誘うハンナ。
 おかげで、他の猟兵などに目をくれず、ヒグマはハンナを追尾し始めた。
「めった打ちにしてやりたい所だけど、あんな大きな魚に私の腕力じゃどうしようもないわね。っ邪神よ、この繊細な細腕に感謝するのよ! そこの熊で我慢してあげるわ!」
 自己弁護をしつつも、ヒグマの頭上でおちょくるようにブンブンと飛び回るハンナ。すれ違い様にヒグマの頭を蹴っ飛ばして更に激昂させる。
 ヒグマに飛び道具はなく、虚しく爪や牙を振るうばかりだ。
「あの熊の一撃をまともに食らったら、この可憐な体じゃぶちのめされるに決まってるじゃないの! そろそろ決めるわ!」
 ユーベルコードを発動させたハンナの周囲に、光り輝く魔法陣が浮かび上がる。
「私の拳の代わりにぶちのめしてあげるわ! 見なさい、この大天才邪竜神様による超越次元の究極魔法を!」
 その名も『大天才ミゼリコルディア・オナガー!(クソザコナメクジ・ミゼリコルディア・オナガー)』だ。
 ……とはいえ、彼女のは方はへっぽこ揃いである。
 召喚した幾何学模様を描き複雑に飛翔する560本もの魔法の棒には。殺傷力など皆無なのだ。だが魔法の棒は、敵を認識するとシッチャカメッチャカに殴り始めた!
「し、失敗せずにうまく起動したわ! やったやった! やはり私は大天才……! さあ、棒で囲んで熊ごと鮭を殴るわよ!」
 もしも魔法の発動に失敗すると、このユーベルコードはハンナが殴られてしまうというリスクを背負っていた。
 だが、うまく発動したたため、ヒグマを袋叩きにし、鮭の身体を叩いて身を解してゆく。
「──鮮度と味が落ちない内に、その身体(ぎょにく)を譲って貰おうか?」
 宮前の操る人形の手刀が排卵口に突っ込まれると、そのまま腹を引き裂いて筋子を摘出してしまう。
「いっくぞー! ハイパーお姫様斬りだー☆」
 ティエルもオーラソードを巧みに活用して、鮭の身体から切り身を量産してゆく。
「ヒグマも捕獲できたか。それじゃ、熊カレーにするか? この空間に捕食者は一人でいいのだよ!」
 いつの間にか調理器具を並べて、鮭と熊を解体し始める備傘。
「さぁ、オブリビオン、その脂ののった体と卵、全部、置いてけ!」
「どうしてこうなった?」
 戎崎は調理に参加していないハンナに尋ねた。
 ハンナは既にエプロンを首に巻き、ナイフとフォークを両手に持ってガチガチ鳴らしていた。
「おなかが減ったわ! シェフ! 今日のコースの一品目はどんな料理なの?」
「前菜はイクラと生ハムとチーズのカナッペだ! 召し上がれ!」
 ハンナの前に備傘が差し出した一皿は、まるで絵画か、はたまた宝石のような美しさを誇っていた。
「わぁ、キレイね! いただきます!」
 指で摘んで、パクッと一口で頬張るハンナ。
 飲み込むと、目をカッと見開いて叫んだ。鮭だけに。
「美味いッ! 美味いッ! 美味いッ!」
「まるで炎の呼吸を使いそうな人のリアクションじゃないか……」
 戎崎はツッコミに疲れると、グゥ……とお腹が鳴ってしまう。
「蒼くんも食べたら? 美味しいよ?」
「わーい! 鮭おにぎりだー♪」
 宮前とティエルが鮭おにぎりを堪能しながら、戎崎を手招く。
「よーし、熊と鮭の邪神カレーが出来たぞ! カレールーは宮前が提供してくれた」
 それは、何故か蛍光色が眩いカレールーに、邪神の鮭と熊が煮込まれた狂気の一皿だ。戎崎以外の面々が、取り憑かれたかのようにオブリ飯に喰らいつく。
「「美味いッ! 美味いッ! 美味いッ!」」
 みな、瞳孔が見開いたまま、カレーを掻き込んでいる。
「正気度が削られてる気がするんだが……ああ、もう終わりにしようか!」
 自身の規律を重んじる真面目な性格の為に敢えて不利な行動(空腹)をすることで、今の戎崎は強化される。
 三枚におろされた鮭の頭部に、戎崎の渾身の銃撃が突き刺さり、その一撃が、ようやく第二形態にとどめを刺したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『シープ』』

POW   :    自傷性帯電幻象
【凝縮体を構成する塵からの放電による幻覚】を披露した指定の全対象に【自身を恨み、憎み、傷付け殺したいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    塵雷凝縮顕現体
【凝縮体】に変形し、自身の【無敵性】を代償に、自身の【幻覚能力】を強化する。
WIZ   :    完了型消失憧憬
【静電気を纏う塵】を降らせる事で、戦場全体が【かつて自殺した者の心象風景】と同じ環境に変化する。[かつて自殺した者の心象風景]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はルーダス・アルゲナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 銃弾で穴が開いた鮭の頭から、突如として噴き出す砂塵の嵐!
 それらは帯電し、周囲に幻影を生み出してゆく。
 幻影は次第にひとつの姿を象る。

 ――電気羊。
 かの有名な小説のタイトルにもなった存在。
 だが、ここに存在する電気羊は完全なる邪神そのものだ。

 邪神は帯電する地理を操ることで、人体の精神へ強烈なダメージを発生させる。
 ある時は自傷・自殺を促し、ある時は強烈な恐怖の幻覚を見せつけ、またある時は見知らぬ自殺者の怨嗟と幻影に襲われてしまう。

 先程の鮭と違い、相手は実体がない存在だ。
 打ち倒すには真正面からの攻撃は通りにくいだろう。
 しかも、第三形態は因果律を操り、猟兵たちよりも素早く、必ず先制攻撃を仕掛けてくるため、対策を練らないと一撃でこの超時空の渦から追い出されてしまう。

 猟兵達よ、実体のない完全なる邪神の攻撃をうまくかわし、どうにかして反撃を試み、討伐をするのだ!
鯉澄・ふじ江(サポート)
怪奇ゾンビメイド、16歳女子
誰かのために働くのが生きがいの働き者な少女
コイバナ好き

自身が怪物寄りの存在なので
例えどんな相手でも対話を重んじ問答無用で退治はしない主義

のんびりした喋り方をするが
これはワンテンポ間をおいて冷静な判断をする為で
そうやって自身の怪物としての凶暴な衝動を抑えている
機嫌が悪くなると短文でボソボソ喋るようになる

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
自身の怪我は厭わず他者に積極的に協力します
また、例え依頼の成功のためでも
自身の矜持に反する行動はしません
 
何でもやります、サポート採用よろしくおねがいします!

(流血、損壊系のグロ描写やお色気系描写もOKです)


ノエル・フィッシャー(サポート)
『例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない』

・経験値が欲しいから、雑な扱いでもいいので採用してくれると嬉しいな。
・【コミュ力】を有効活用出来そうな状況ならば、それを使うよ。なくても目的達成のために最善を尽くすよ。
・ユーベルコードは所持してるものからいい感じのを使うよ。
・他の猟兵との絡みも歓迎だよ。共闘するのなら、ボクは補助に回して構わないよ。彼が技能を使用するのなら、ボクも同じ技能でサポートするよ。
・もし男なのか女なのか問われたら「見ての通り」と答えるよ。モニターの前のキミにも、だよ。
・他の猟兵に迷惑をかける行為、公序良俗に反する行動はしないよ。

あとはお任せ。好きに使ってね。


薬師神・悟郎(サポート)
あれは中々手強そうだが、隙が無ければ作れば良い
仕掛けてみるか

目立たないよう闇に紛れて姿を消す
味方が先に交戦しているようであれば、その騒ぎに姿を隠し接近
地形の利用、忍び足でUCを放つのに最適な場所を確保
タイミングを見計らい、敵の注意が逸れる等、一番成功率が高い状況でUC発動、早業
暗殺の要領で的確に狙いを付けた上で拘束+継続ダメージを試みる

その後は弓を使った属性攻撃+破魔で部位破壊を狙い
麻痺毒にて機動力を削ぎ、じわじわと、確実にダメージを与えていく

憐みはかけん
骸の海で己の非力を嘆くがいい



 完全なる邪神の第三形態は、実体のない塵に映し出された幻影であった。
 電気羊……帯電する羊毛と黒い顔に金の眼の姿には実体がなく、物理攻撃は通用しにくい。
 だが、猟兵達はここで退くわけにはいかない。
 強敵を前に、サポート猟兵達が先陣を切ってゆく。
「この羊さんは、会話が通じないみたいですぅ~?」
 概念自体が敵意を持ったような相手に会話は通用しない。
 死体となっても動く怪奇ゾンビ人間の鯉澄・ふじ江(縁の下の力任せ・f22461)にとって、敵との問答は自身の凶暴性を抑え込む手段なのだが、それが通じない相手と知って困惑の色を隠せない。
「だがそれは却って好都合だ。キミを否応なく敵と……人類を害する悪として斬れる。自殺をそそのかす存在ならなおさらだ」
 ノエル・フィッシャー(呪いの名は『王子様』・f19578)は無銘の剣を鞘から抜いて身構えた。
「あれは中々手強そうだが、隙が無ければ作れば良い。仕掛けてみるか」
 そして薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)は半魔半人の特徴である整った顔立ちをフードで隠し、どうしたものかと思案する。
 そうこうしているうちに、電気羊から幻覚が発せられ、猟兵達を苛み始めた。
「うぐッ――ボ、ボクは……何故、たった独り、生き残ってしまったんだ……?」
 ノエルが見せつけられた幻覚は、今は亡き故郷イクシア王国の惨劇であった。
 その日、前触れもなく突然『オブリビオン』が王国を蹂躙し、ノエルの目の前で大勢がハラワタを引っ張り出され、頭を潰され、全てが真っ赤に染まって息絶えていった。
 荒れ狂う暴力の中で、奇跡的にノエルだけが『オブリビオン』に見付からずに生還できた。……できてしまった。
「やはりボクはあの場で死ぬべきだった……。なんてボクは生きているだけで罪深い存在……ボク自身がボクを断罪して終わりにしなくては!」
 剣の刃を自身の喉元に添え、ノエルは目を血走らせる。
「待ってくださぁい! 幻影に惑わされたら駄目ですよぉ~?」
 自身もサクラミラージュでの連続猟奇殺人事件の再現を幻影で見せ付けられている鯉澄だが、ノエルを止めようと必死で手を伸ばす。
「まずい……先制攻撃で、幻影の効果が強力になってるだと……?」
 薬師神も自身の過去の暗部や失敗を、記憶の底から掘り返されて精神を蝕まれていただが、ノエルの腕を掴んで自殺を止めようとする。
「敵の術中にはまるな。それは幻影だ……」
「ちがう……これは、ボクの、犯した罪なんだ……!」
 ノエルは2人の手を振り払い、剣の切っ先を自身の喉元に突き立てる!
「今までお疲れ様――あとはボクに任せて。みんながキミを待ってるよ」
 刃がノエルの首の肉に滑り込んでゆけば、噴水のように動脈から溢れた鮮血が高々と噴き上がった。
 鯉澄は呆然とその光景を黙って見詰め、薬師神は奥歯を噛み締めて呟く。
「畜生……俺はいつも失敗するんだ……」
 猟兵を自死させてしまった自分を強く憎めば、更に幻影の威力が跳ね上がってゆく。
 と、ここで鯉澄が急に唄い出した。
「どーれーにーしーよーうかなっと♪」
 ユーベルコード『お着換えお着換え~ですぅ!』によって、彼女は魔法のメイド服を着用した。これにより、彼女の優しさが普段の100倍に膨れ上がり、幻影に苦しむ薬師神を癒やす。
「本当の魔法は、優しさなのですぅ! 辛い過去だって、今日まで~乗り越えられたじゃないですかぁ~?」
「そ、そうだ……。もう俺は昔のように失敗ばかりじゃない。守りたい人もできた。仲間もできた。俺は……此処で死んでたまるか」
「偉い偉い~ですぅ!」
 パチパチと拍手を贈って薬師神を励ます鯉澄。
 その口元には、あんこが。彼女専用のおやつで、この狂気を乗り切っていたのだ。
 と、そこへ、思わぬ人物が言葉を投げかけてきた。
「嗚呼、キミも幻影で辛い過去を見せ付けられていたんだね。だが、ボク達は生きることでその苦しみを、その罪を乗り越えることが出来る!」
「あんたは……死んだはず……?」
 薬師神の目の前に、神々しく輝くノエル・フィッシャーと言う名の『王子様』が、祝福の拍手を添えていたのだ。
 ノエルは武器の概念にまで高めた『希望(のろい)』を、細くしなやかな馬上槍の穂先に宿して輝かせる。
「ああ、そうだ。罪の意識に耐えきれなかった弱い“ボク”は死んだ。だから、強くて新しい“ボク”が此処に来たんだ。あの忌まわしき電気羊を斃すために!」
 それに、とノエルは凛とした表情で言い放った。
「誰かの窮地に駆け付ける。それこそが『王子様』だからね?」
「ユーベルコードで細工してたのか。だったら俺は何も悔やむことはない」
 薬師神は意識を集中させ、超時空の渦に巨大なクジラを召喚させた。
「その正体が塵芥だというなら、水に包まれれば抜けだせまい。――捕らえろ」
 召喚されたクジラは、呼吸孔から泡の檻(バブルネット・フィーディング)を吐き出し、戦場を包み込んでゆく。
「泡粒の檻に囚われ、水を吸ってひとつに固まれば、物理攻撃も少しは効く筈」
「では~、お掃除開始~ですぅ!」
 おそうじモップを泡の檻の中に囚われた電気羊に何度も振り下ろす鯉澄。
 これこそがメイドの本分だと言わんばかりに、塵や埃を水の泡の中へ押し込めてゆく。
「この輝きの名は希望。それは途方もない絶望を受けて尚、決して人に諦観を許さぬ最悪の災厄。けれどボクの心は未だに折れず! そこだ!」
 光り輝く馬上槍の穂先を、羊の幻影に突き刺すノエル。
 瞬間、辺りに火花とスパークが飛び散る。
「ダメージが通ったぞ!」
「あとは任せてくれ」
 薬師神は黒弓【影縫】に矢を番え、そこに破魔の力を宿す。
「憐みはかけん。骸の海で己の非力を嘆くがいい」
 彼の手から放たれた矢は電気羊の額を貫き、凝縮体たる羊の姿に激しいノイズを生み出させたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

備傘・剱
ようやく、本腰いれる気になったか
さっきまで食われてた奴がどう変わろうが、やることは一緒だ、な

敵の攻撃は、精神に来るってんだろ?
狂気耐性が効くのなら、どんな幻覚をくらわされようが、どんなもん見せられてようが、頭のどこかに冷静に考える箇所ってのはあるもんだ
そいつを総動員して、自分の頭に八咫導を食らわせる

幻覚が晴れてないのなら、全目標に対して呪殺弾、誘導弾、呪殺弾とブレス攻撃に破魔と神罰付きで打ち込んでやるよ
ついでに、式神を作製して、囮に使うのもいいだろう
物理攻撃が無効でも、精神攻撃もつけてやれば、ダメージが通るだろうぜ

実体がなくても、殺す手段は、あるんだぜ?
よく、覚えたか?

アドリブ、好きにしてくれ


宮前・紅
戎崎・蒼(f04968)と行動
【POW】
電気羊かあ………あはは♪︎
これは面白い、随分と概念のような存在感だね
実態そのものが無い
そんな狂気を感じるよ
(電気羊のUCを受け、その直後自身のUCを発動)

自傷意識なぞ、塗り替えてしまえ
『怨みに報ゆるに徳を以てす』──なあんて嗤っちゃうね
……俺は聖人君子でも何でも無い
だから、『目には目を歯には歯』を
その同害報復の下で"狂気には狂気"を、返させて貰おうか?
(フェイント+貫通攻撃+呪詛)

自我を失えば与えられた感情なんて、関係の無い事
効果時間も対したことは無いだろうけど
電気羊が消えるまで、俺は無差別に攻撃してしまうからね
被害を抑えるなら瀕死にするなりなんなりと


戎崎・蒼
宮前・紅(f04970)と行動
【SPD】
幻覚か、これまでの戦いの中で一等厄介だ
こういったマインドコントロールは得意とするところではないからね…

幻覚能力強化の効果で、僕はもしかしたら恐怖感や悔恨の思いが想起されて、自殺したいと思ってしまうのかもしれない
強敵という事も相まってそれに抗うのは多分難しい
…ならば僕はそれを利用して斃死しようじゃないか
使うのは斃死用魔銃
これで自殺をする事でUCが発動される筈だ
実態がないとはいえ、敵は無敵性を代償にしているのだから、今なら攻撃が効くと思いたい(スナイパー+捨て身の一撃)

結構ギリギリの戦いになると思う
…だからどうかこの弾丸よ、届いてくれ

※アドリブ連携大歓迎


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

お魚の次は羊さんだ!?
でも、なんだかもやもやしてて攻撃がすりぬけちゃいそう?

攻撃のチャンスを窺ってたら電気羊がぎゅぎゅっと凝縮、幻覚の蜘蛛がいっぱい湧いてきてボクを糸で絡めようとしてくるよ!
幻覚と気づかずに飛び回って回避しようとするけど捕まってぐるぐる巻きにされちゃう!?
わー、ボクはきっと美味しいけど食べちゃダメだよとジタバタしてたら「お守りの宝石」が熱を発して幻覚の糸を焼き切ってくれるよ!
むむむー、よくもやってくれたなーと凝縮しているところに一気に飛び込んで【ハイパーお姫様斬り】のオーラの刃で切り裂いちゃうぞ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


ハンナ・レドウィッチ
不採用含めて全て歓迎よ。
超一流の料理だったわ。シェフにはきちんとお礼をいわなきゃならないわね。
にしても正体が食えそうにない羊だなんて…食えないのよね?

敵のUC先制攻撃に対し、悪口王フラスガー・ラーンの書を使って私の悪態を言わせるわ!
うう、なんて酷い!自殺したくなっちゃう!(チラッチラッ)

実体のない存在には実体のない力で対抗しましょう。
UC始動、未だ見ぬ夢の月より来る者を召喚し、恐怖を与え精神攻撃を叩き返してやるわ。
殺されても死ねない亡者の苦痛を味わいなさい。
あら、何か頭の上に落ちてきてるような?

ムカついたから、全部終わったら悪口王の書は焼いて捨てましょう。後で作り直せばいいでしょ。



 備傘・剱(絶路・f01759)は電気羊を見定めるように睨み付ける。
「ようやく、本腰いれる気になったか。さっきまで食われてた奴がどう変わろうが、やることは一緒だ、な」
 然り、ただ邪神は滅ぼすのみ――それが猟兵の為すべきことだからだ。
「電気羊かあ………あはは♪︎ これは面白い、随分と概念のような存在感だね?」
 宮前・紅(三姉妹の人形と罪人・f04970)は、まるで3Dホログラムのように浮かび上がっている電気羊に興味津々の様子。
「でも紅、あれでは物理攻撃は通じにくいかもね?」
 苦手だなぁ、と独り言ちる戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)に、宮前はニコニコと笑みを向ける。
「そうだね、あれには実態そのものが無い……そんな狂気を感じるよ」
「というか、お魚の次は羊さんだ!? あむあむ……!!」
 ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)はおにぎりを口に中に入れて咀嚼する。
(他の猟兵さんの言う通り、なんだかもやもやしてて攻撃がすりぬけちゃいそう?)
 塵に映し出された幻影相手では、ティエル自慢の剣捌きも空振りしてしまうだろう。
 そして、最後まで優雅に食事を堪能し終えたハンナ・レドウィッチ(天災級自爆魔法使い・f31001)は、口元をナプキンで拭って備傘へ顔を向けた。
「超一流の料理だったわ。シェフには改めてきちんとお礼を言わなきゃならないわね」
「サポート猟兵が食事の時間を稼いでくれたんだ、あんたもそろそろ羊狩りを手伝ってくれ」
 備傘の言葉に、自信たっぷりの笑みを浮かべるハンナ。
「ええ、勿論ですとも。にしても正体が食えそうにない羊だなんて……食えないのよね?」
「え、食べる? 食べられるの? マトンカレーにする?」
「紅、幻覚の羊は流石に食べられないから……」
 七色に輝き出すカレーを何処からともなく持ち出す宮前を、戎崎は全力で制止した。
 そこへ、ティエルが電気羊を指差して叫んだ。
「ねぇ、なんだかだんだん、ぎゅぎゅっと凝縮してきてないかな?」
 その指摘通り、電気羊の実像が徐々にくっきりと鮮明かつ実体のように物質のような立体的に象られてゆく。
 途端、ティエルと戎崎に変化が現れた。
「うわーっ! 蜘蛛だーっ! こっち来ないでーっ!」
 ティエルは周囲の猟兵からは見えない幻影の蜘蛛に追われているのか、超次元の渦をあちこちにと飛び回っている。
「うわわ、捕まっちゃった! って、ここ森の中? 助けてー! 食べられちゃうー! ボクはきっと美味しいけど食べちゃダメだよー!?」
 周囲の風景まで幻覚を見ているらしく、中に浮かびながら手足をバタバタさせ続けていた。
 同じく、戎崎は頭を抱えて、苦しそうに呻き声を漏らす。
「ううぅ……! 嫌だ、僕は、そんなつもりじゃなかった……!」
「蒼くん!? って、うわあぁーッ!」
 相棒の安否を案じる宮前も、幻覚に襲われて絶叫する!
「俺は、俺だけが生き残って、え、違っ……あの人形達は……!」
「みんな、しっかりしなさいよ!」
 ハンナが幻覚に苛まれる猟兵達の頬を引っ叩くが、まったく正気に戻る気配が見られない。
 そして、備傘もまた幻覚にやられ始めていた。
「なるほど、なぁ? 自分への憎しみを増幅させて、自殺に追い込もうって腹か。悪趣味だな、ああ?」
「シェフまで幻覚に!? あなたがやられたら、誰が私のご飯を作ってくれるのよ?」
「いや、自分で作れよ……」
「私に消し炭を食えって言うの?」
「壊滅的な料理センスだな……!?」
 備傘の呆れた溜息に、ハンナは腹が立ってしまった。
「いやいや、私は大天才よ? 料理なんて魔法の下位互換だし、そもそも出来ないとは言ってないじゃない、って、そういえば、シェフは随分と冷静ね?」
「ようやく気付いたか?」
 備傘は懐から錠剤を取り出して見せ付けた。
「こいつは強力な精神安定剤兼非常食だ。これを嚥下すれば、3日は不眠不休不食で動き回れる。切れた時は地獄の苦しみだがな」
 つまりだ、と備傘はフォトンガントレットに強力なサイキックエナジーの塊を籠め始める。
「敵の攻撃は、精神に来るってんだろ? 薬物による狂気耐性が効くのなら、どんな幻覚をくらわされようが、どんなもん見せられてようが、頭のどこかに冷静に考える箇所ってのはあるもんだ」
「そういうことだったのね! って、なに、これ? 雨かしら?」
「いや、手に張り付く塵……静電気?」
 備傘が手に付いた塵を払った次の瞬間、ハンナが悲鳴を上げた。
「周りの風景が、どんどん変わってゆくわ!」
「……俺には何も変わって見えないが?」
「シェフには効果がないの? ということは、これは私への攻撃ね……!」
 ハンナが見えている世界は、自殺者達の心象風景だ。
 周囲から罵声を浴びせられ、悪意を向けられ、はたまた生活苦や抱えきれないほどの悲しみや絶望感に押し潰された、地獄の光景。
「なんてひどいの! でも、対策はあるわ!」
 ハンナは同胞の面の皮を剥がして製本した『悪口王フラスガー・ラーンの書』を開くと、白紙の紙面に文字を浮かび上がらせる。
「さあ、悪口王! この大天才邪竜神様であるハンナ様の悪口を言ってみなさい!」
 ハンナの取った対抗手段とは、自身も自殺者の心境になり、この空間での環境に適応することだった。
 そして紙面には、これでもかとハンナの悪口が羅列し始めてゆくではないか!
「ちょっと……この大天才に欠点なんてあってはならないのに、なによこの醜態の数々! 朝が弱いとか、魔法がよく失敗して爆発事故を起こすとか、オラトリオのくせに風に煽られるだけで墜落するとか、人相が悪いとか、意外と足が太いから黒タイツでごまかしてるとかザッケンナコラーッ!」
 ハンナの拳が書の表紙をぶん殴った!
「ムカついたから、全部終わったら悪口王の書は焼いて捨てましょう。後で作り直せばいいでしょ。うう、なんて酷い! 自殺したくなっちゃう!」
 ハンナが顔を覆ってその場にしゃがみこんだ。
 しかし、指の隙間からチラッチラッと電気羊の様子を伺っている。
(本当に精神を蝕むだけで、あの羊は能動的かつ物理的な攻撃はしてこないようね?)
 ならば、耐えきってしまえば此方のものだ。
「まいったわー自殺しちゃいたいけどユーベルコード発動させるわー。つらいわー、本当に辛くて死にそうだわー」
 明らかに胡乱な口調だが、それでも敵の精神汚染を抑え込む効果はあったようで、普段は成功しない大魔法がすんなりと成功してしまう。
「出でよ『未だ見ぬ夢の月(アロゥ・エンデバリカン)』――我が都を戴く失われた大地よ! この世界を災禍に包まんが為、再び産声をあげなさい!」
 超時空の渦、そのハンナの頭上に突然現れた巨大な浮遊都市。
 それこそが、かつてハンナの本体である邪神が巣食い、背徳の都へと変貌させた、かつての大魔法都市ルルセムア・ラタリックである!
「今、この空間と私の本体がいる異界『未だ見ぬ夢の月(アロゥ・エンデバリカン)』が繋がったことで、その欠片を此処に降らせるわ! つまり、心象世界は今、塗り替えられた! これぞ、我が大魔術にして権能の一部! その名も『大召喚(アロゥ・エンデバリカン・ユーゴッド)』!」
 邪神には邪神をぶつけるという発想!
 電気羊は、今まで己が居た空間があっという間に侵食されてゆく状況に、為す術なく浮かんでいるだけだ。
「殺されても死ねない亡者の苦痛を味わいなさい。あの場所は此処とは違って、完全なる『無間牢獄』よ。精神汚染なんて今の私には効かないわ」
 電気羊の幻影にノイズが走る。
 ダメージが通っている証拠だ!
 そのせいか、他の猟兵への精神干渉が弱まり始めた。
「うん……? 少し楽になったかな……?」
 宮前が目を開けて、周囲を見渡す。
「なんかでっかい街が浮いてる……? いや、それよりも死にたくなってきたなぁ」
「幻覚か、これまでの戦いの中で一等厄介だ。こういったマインドコントロールは得意とするところではないからね……」
 戎崎も未だに苦戦中だ。
「ねえ、蒼くん。奥の手、出すしかないよね?」
「ああ、紅。強敵という事も相まって、この衝動に抗うのは多分難しい。……ならば僕らはそれを利用して斃死しようじゃないか」
「俺は肉体的に死なないけどね? 死ぬのは……俺の人間性だよ」
 三姉妹の人形を解き放った宮前は、突然、ケタケタと嗤い始めた。
「自傷意識なぞ、塗り替えてしまえ。『怨みに報ゆるに徳を以てす』──なあんて嗤っちゃうね? だって、……俺は聖人君子でも何でも無い」
 三姉妹の人形が、狂気に満ちた血濡れの兎頭人間に変貌してゆくではないか。
「だから、『目には目を歯には歯』を。その同害報復の下で“狂気には狂気”を、返させて貰おうか?」
 ガクン、と宮前は糸の切れたマリオネットのように脱力したかと思えば、突然、跳ね起きて目を血走らせる。
「0|0O0o0_0`0n0F0U0N0`0??」
 到底人語とは思えない声を放つと、電気羊の幻影へ向かって3体の兎頭人間と一緒に襲いかかる! だが、相手は幻影。実体がないため、無差別攻撃も空振りしては、別の幻影を襲うの繰り返しだ。
 それでも、徐々に電気羊の体積が小さくなり始めている。
 これは、塵を宮前達が削っているから、本体も削られている……!
 電気羊の無敵性が失われている証拠だ!
「確かに、自我を失えば与えられた感情なんて、関係の無い事だ。だからこそ、僕がいる」
 宮前と戎崎は2人でセットの戦術だ。
「紅が暴れまくって、僕が本体を撃ち抜く……。使うのは斃死用魔銃。これで自殺をする事でUCが発動される筈だ」
 自分の口内へ銃口を突っ込むと、戎崎は引き金に指を掛ける。
(さようなら、再び垣間見えるその時まで。 A più tarbi……!)
 引き金を引いた瞬間、UC専用型魔銃S&W M500の銃口が火を噴き、戎崎の口内を貫通して後頭部を弾丸が破裂させた!
 その瞬間、電気羊の『本体』……斃死した戎崎の見開かれた瞳孔が見詰める先のなにもない空間の周囲に、環状に浮游した無間の魔銃が出現!
 宮前の前から幻影が消えると、魔獣の輪の中に電気羊の『本体』が現れた。
 次の瞬間、けたたましい雷撃が落ちたが如き大轟音が断続的に異空間に鳴り響き、電気羊が蜂の巣に撃ち抜かれてゆく!
 そこへ飛び込んでくるティエルの姿が!
「ママがこっそり持たせてくれたお守りの宝石が、幻影の蜘蛛とその糸を焼き払ってくれたよ! むむむー、よくもやってくれたなー!」
 ティエルの手元には風鳴りのレイピアが握られていた。その剣身にオーラの光が放たれ、どんどんと剣身が伸びてゆく!
「94cmのオーラの刃で切り裂いちゃうぞ☆ いっくぞー! ハイパーお姫様斬りだー☆」
 凝縮体となった電気羊の『本体』に、光り輝くオーラの刃が袈裟斬りに通り過ぎる!
 電気羊の身体に、ひときわ大きなノイズが走り、左右へ激しく幻影が乱れる!
「そろそろ、トドメを刺すか」
 備傘は自身の額をガントレットで殴り付けると、先程までの苦しみが嘘のように消えてなくなった。
「殺気の一撃は、肉体を傷つけずに対象の劣情や恨み、つらみ、殺意といった負の感情のみを攻撃する。そのおかげで、俺の中の負の感情も浄化されて、自殺願望はきれいさっぱりなくなったぜ」
 光り輝くもう片方の腕には、ガントレットに浮き出た光る三つ巴の刻印が顕在している。
「式神を使うまでもなかったな。みんな、よくやってくれた。あとは俺がやる」
 電気羊はノイズと幻影の乱れを一層激しく表示してゆく。
 だが、此処に逃げ場など存在しない。
 そして、精神攻撃を耐え抜いた備傘へ、電気羊はもはや反抗手段が残されていなかった。
 備傘はニタリと笑みを浮かべると、勝利宣言を言い放った。
「物理攻撃が無効でも、精神攻撃もつけてやれば、ダメージが通るだろうぜ。つまり、実体がなくても、殺す手段は、あるんだぜ?」
 光り輝く腕で電気羊を渾身の力で殴り抜く備傘!
「正しき道、説き示せ、八咫烏! 悔いも、迷いも、汝が示す光の前には塵に等しい! 太陽の路とは汝の事なり!」
 ユーベルコード『八咫導(マインド・オブ・リプレイス)』が炸裂!
 電気羊は拳に貫かれ、テレビの砂嵐のように白黒の虚像となって、やがて消滅してしまった。
「どうだ、よく、覚えたか? って、もうくたばったか」
 備傘の一撃によって、完全なる邪神は滅ぼされた。
 次の瞬間、超次元の渦は亀裂が走ったかと思えば、ガラスが砕けるような音とともに崩壊が始まった。
 猟兵達は渦の中心に吸い込まれてゆく――!

 気が付けば、任務開始時に通ったトンネルの反対側へ出ていた。
「……終わったようだね」
「蒼くん、無事だったんだね! 死んじゃったかと思った!」
「いや、死んだけどね? でも、ユーベルコードの効果が切れれば、僕は自動的に蘇生するから……」
「よかったー! 蒼くん蒼くん蒼くーん!」
「こら、くっ付くな、紅! って生臭っ! 鮭か、鮭のせいか!」
「鮭ー♪ 美味しかったねー☆」
 じゃれ合う宮前と戎崎の頭の上をティエルが一緒になってはしゃいで飛び回る。
 備傘はハンナを呼び止めると、自分の経営する酒屋のチラシを手渡した。
「もしよかったら、飲み食いしに来てくれ。自分で言うのもなんだが、いい店だぜ? いつでも待ってるからな?」
「シェフの頼みなら……考えなくもないわ。気が向いたらね?」
 ハンナはチラシを受け取り踵を返し、トンネルの入口へ向かって歩きだし……何もないところで盛大に前のめりで転倒した。

 かくして、猟兵達は無事に任務を遂行してみせた。
 だが、完全なる邪神すらを手懐け、異空間へ封じ込めた存在とは、一体……?
 この世界の『大いなる戦い』は、まだまだ先の話になりそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月05日


挿絵イラスト