8
Friendship

#クロムキャバリア #魔術商業国家アルスティリア

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#クロムキャバリア
#魔術商業国家アルスティリア


0




●絆
 魔術商業国家アルスティリアのある夜。王子と大尉が二人きりで対話をしていた。それは会議でも、怪しい密談でも、どちらでもない。何気ないただの談笑だ。
「……でさ、失言しないように必死に言葉選んでさ。ああもう嫌だよ、あんな堅苦しい会議したくねぇや」
「心中お察し致します」
 王子ダリアと大尉クロウスは、この時だけは本音が言い合えた。身分は違えど、家族同然と思えるほどの固い絆で結ばれていたからだ。

 彼らは幼い頃から共に育ってきた親友同士であった。時間があれば二人で遊び回った。時には屋敷を抜け出し怒られた事もあれば、喧嘩をしてしまい家族を巻き込んだ事もあった。しかしそれも過去の出来事。いつしか互いに異なる道を歩んでいた。
 国民や軍の前では厳格な雰囲気を漂わせる二人ではあるが、今はリラックスをして少年のように笑い合っている。
「にしても、気付けばクロウスも大尉か。凄いなぁ」
「殿下こそ、先月の演説お疲れ様でした。また一段とご立派になられましたね」
 昔と比べれば、こうして二人きりになる機会は日に日に少なくなっていた。それは寂しい事だと密かに思うのだが、知らず知らずにそれは態度や声に出てしまう。
「このまま大佐にだってすぐに……元帥にだってなれちゃうかもな!」
「何言ってるんですか。大尉にだってなったばかりなんですから……あ、ひいきとかしないで下さいね、絶対に」
「分かってるって。てか、俺にまだそんな権限ねぇから」
 笑う声を響かせ、紅茶を一口飲む。ティーカップを置くと、ふぅ、とダリアは息を吐いた。
「……ごめんな、戦わせて」
 クロウスの階級が上がったという事は、彼が戦場で優れた功績を遺した証でもある。それをダリアは嬉しく感じると共に、心を痛める出来事でもあった。
「俺だって一緒に行くべきなのに」
「またそれですか」
 クロウスは相手の発言を封じる。
「僕は、殿下が戦わなくて良いようにする為に軍人になりました。決して誰かの命令ではありません。貴方には貴方の戦場がある事を、僕は知っていますから」
 だから謝らないで下さいよ、とクロウスははにかむ。
「そうだ。来週、新型キャバリアの披露会が行われるんです。僕、そのパイロットに推薦されました。お時間あったら見に来てくれませんか?」
「え、乗るのお前なのか? それは行かなきゃな、絶対行く!」
 ダリアは目を輝かせて頷き、クロウスもその様子を見てとても喜んだ。

 しかし、次にダリアが見たクロウスの姿は、悍ましいものだった。

●言葉
「やめろ! やめてくれ!」
「ダリア殿下、危険です! この先はミサイルの嵐です!」
 軍人達に取り押さえられるダリア。目の前に広がる光景は炎に包まれた戦場。その奥にはプラントが佇んでおり、それを守るように並んでいるのは複数機ものキャバリア。そして、披露されるはずだった一機の新型キャバリア。
『我々は命を投げる者。その身を汚さない者に明日を生きる価値などない』
 聞き慣れたその声は、とても低く冷たい。
「総員直ちに集合せよ。作戦目標、国家反逆者からのプラント奪還。指揮官であるクロウス大尉を捕らえよ」
「あいつはそんな事しねぇ! 俺もキャバリアに乗せろ!」
「いいえ、殿下は屋敷へ!」
 暴れるダリア。しかし、彼がどれだけ叫んでも降り注ぐミサイルの爆撃がそれを消し去り、新型キャバリアからは返答すら返って来ない。周囲の軍人達も準備に勤しみ、誰も言葉を聞こうとしない。
「準備完了次第、突撃せよ。反逆者は最悪殺しても構わない」
「馬鹿、よせ!! クロウスもやめてくれ!! 頼むから……返事してくれ……!!」
 王子の悲痛な叫びは、最後まで誰に届く事もなかった。

●ダニエルの情報
 猟兵達の目に映ったものは、炎に囲まれたクロムキャバリアのプラント。そして佇むキャバリアの集団。グリモア猟兵の知念・ダニエル(壊れた流浪者・f00007)はその様子を背後に投影しながら説明を行う。
「これはクロムキャバリアの小国家、魔術商業国家『アルスティリア』の様子っす。見ての通り、現在この国ではプラントが使えなくなっていて、住民は困っているっす」
 プラントを占領したキャバリアとは――言わずもがなオブリビオンマシンである。
「国の新型キャバリアがオブリビオンマシンだったようで、それを知らずに搭乗してしまったらしいっすね。結果、パイロットとその配下達は洗脳されてしまったっす」
 洗脳された彼らはプラントに立てこもり、近付くものを容赦なく迎撃する。ただ、国家へ進撃したりプラントを破壊するといった行為は行わないようだ。
「恐らくオブリビオンマシンの目的は『無意味な争い』っす。プラントを人質にする事で国家内で争わせ、色々な意味で国家を潰そうって魂胆なんすかね」
 嫌らしいっすな、とダニエルは呟いた。

「そうそう、ボス格であるオブリビオンマシンに乗った奴は優秀なパイロットである上に、国の偉い人の友人らしく……。その偉い人が猟兵の噂を聞きつけて、助けて欲しいと依頼してきた訳っす」
 部外者の手も借りたいほど必死なのだろう。つまり今回、猟兵達は『傭兵』として戦う事となる。
「ま、普段通り猟兵だけで戦うだけっすね。ただ、交戦する前に面倒な事があるっす」
 先程の映像にあった、炎に包まれた戦場を覚えているだろうか。
「プラントに接近する者は容赦なくミサイルを飛ばしてくるっす。まずはそこを突破するっす。嵐のように降って来るんで、いかに体力を削らず素早く突破するかってのがカギでしょうな」
 ミサイルの嵐を抜けた後はオブリビオンマシンとの戦闘だ。洗脳されたパイロットは、マシンを破壊すれば救出できるだろう。それも忘れない事だ。

「さて、俺からの説明は終わりっすかね。キツい戦場っすが、ご武運を」
 ダニエルはグリモアを輝かせ、猟兵達を戦場へと送り込んだ。


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 クロムキャバリアが舞台となります。
 魔術商業国家『アルスティリア』のプラント周辺にて戦闘を行います。
 住民は避難しており、戦場は無数のミサイルによって荒れ地と化しています。
 戦場にOPの王子は登場できません。「ボス戦のパイロットと非常に仲が良かった」事だけを覚えていてくれればOKです。

 ●戦闘について
 集団戦、ボス戦問わずオブリビオンマシンだけを破壊すると乗組員を救う事ができます。
 乗組員を救い、避難させる内容があればプレイングボーナスとします。
(乗組員設定にご希望があればお書きください。なくてもOKです)

 ボス戦では、相手に「本来の思想や人柄」を思い出させるような言葉を伝えるなどの行動を行うと、一瞬だけ意識が戻り、動きが鈍る場合があります。

 ●キャバリアについて
 キャバリアをジョブやアイテムで持っていない方でも、キャバリアを借りて乗る事ができます。
 ユーベルコードはキャバリアの武器から放つ事もできます。
 借りずに生身で出撃する事もできます。お好みでどうぞ。

 ●プレイングについて
 受付期間は特に設けておりません。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
74




第1章 冒険 『ミサイルカーニバル』

POW   :    強度に任せて強行突破する

SPD   :    トップスピードでミサイルの隙間を駆け抜ける

WIZ   :    ミサイルの被害を受けずに済む方法を考える

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦場への転送を終えた直後、思わず耳が壊れそうになっただろう。
 そう、ミサイル爆撃の音だ。
 炎と爆風、そして砂埃の向こうには、うっすらとプラントが見えた事だろう。
 プラントを守るように並び立つオブリビオンマシンは、容赦なくこちらへ向けて無数のミサイルを放ち続ける。無防備に駆け抜けるだけでは済まないだろう。

『我々は命を投げる者。その身を汚さない者に明日を生きる価値などない』
 一機のオブリビオンマシンから響く声。
 それはまるで、猟兵を死地へと誘い込んでいるかのようにも聞こえた。
ミスト・ペルメオス
【SPD】

「随分な歓迎だ。――まあ、いい。推し通るッ」

キャバリアではなく、愛機たるSSW製機械鎧(全高9mの人型機動兵器)を駆って参戦。
デバイス等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
スラスターを駆使し、殲禍炎剣の介入を受けない程度に高速かつ立体的な戦闘機動で突破を図る。

【ハイマニューバ】起動。
多段ブーストによる変則的な高速飛行、フェイントを織り交ぜた回避機動。
そして展開させたヘルファイア・デバイスからの弾幕、対空迎撃。
誘導弾の雨を躱し、引き離し、撃ち落とし――弾幕と爆風の嵐を切り裂いていく。
敵がこちらに集中してくれれば、友軍も突破しやすくなるだろうか…!

※他の方との共闘等、歓迎です



 元々ここには何があったのだろうか。町か、農家か、工場か。それとも何もなかったのか。今はそれすら分からない。この辺りは全て爆撃によって消えてしまった。
「随分な歓迎だ」
 愛機に搭乗したミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)は呟く。無限とも思えるようなミサイルの数々が空から降り注ぎ、進路と視界を塞ぐ。まさに威嚇とも受け取れるような行為だ。
「まあ、いい。押し通るッ」
 目標地点はプラント。ミストは機械鎧ブラックバード改を起動させた。

 戦場へ現れたキャバリアならぬ巨大な人型兵器へ向かってミサイルが集中的に放たれる。その数であれば多少の誤差の範囲で終わるのであろうが、多少のホーミング機能は付いているようであった。
 低空飛行を維持したまま高速で進撃するミスト。スラスターを駆使し地表を蹴り上げ、急激に進路を変える事で回避を試みる。自分の背後で連続的な爆発音が聞こえる。
 しかしこればかりを続けていくのも限界がありそうだ。そこでミストはハイマニューバを起動させた。
(「プログラム召喚。――行くぞッ」)
 プログラムに操作を切り替えた瞬間、ブラックバード改の動きは急変した。先程よりも速度が上がっただけではない。ヘルファイア・デバイスを展開させ、エネルギー弾を空へと向けて発射させたのだ。
 エネルギー弾の弾幕はミサイルを空中で爆破させる。爆風の中から新たな弾幕と共にミストが飛び出し、とうとう空を駆ける。自分を狙うミサイルを次々と撃ち落とし、空を制覇せんとする。

 普通のキャバリアとは姿形も異なれば大きさも異なる。この世界の彼らには空飛ぶ姿は軍艦か、または船にすら見えたかもしれない。ひと際目立つブラックバード改へ、ミサイルは集中的に飛んで来るようになってきた。
 しかし数が増えた所でミストの行う事は変わらない。寧ろ好都合だ。数が来れば、それだけ弾幕で落とせばいいだけなのだ。
 やがてミストの弾幕とミサイルのぶつかり合いは空を覆った。降り注ぐのはミサイルではなく爆風とミサイルの破片。今頃その下を他の猟兵達が難なく潜り抜けている事だろう。
(「そうだ、来い。全て引き受けてやる!」)
 ミサイルを誘導しつつ他の猟兵達から距離を取るミスト。迂回したとて、彼のスピードであればすぐにでも目標地点へ辿り着く事だろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

小鳥遊・ルイ
リツ(f30020)と
見事にミサイルが飛び交っているな。
本来なら避けたいような場所だが…まずはここを通り抜けないと依頼の遂行ができないからな。

友を思う気持ち。俺にも分かる。
だからこそ…共に戦場を行くリツのサポートをしなくては。
【Bluebird】作戦に参加する。
【念動力】【援護射撃】【スナイパー】【オーラ防御】を駆使し進行
投機はネザーランドおよび猟兵機のサポートを行う。リツとは死角を補いあいながらすす。
サイキックウィングでとびながら近距離のミサイルはクリスタルビットを使用して破壊。

ッリツ。気をつけて(でもリツは俺が守る)


兎我野・リツ
ルイ(f30019)と
大事な友達が自分の国を壊してるなんて
とっても耐えられないよね…
うんっ、ボクたちで助けてあげよう。ねっ、リツ♪

ボクたちの機体ならミサイルくらい突破できるよね
ルイとお互いのカバーしながら進むよ
【瞬間思考力】でミサイルの軌道を計算して
RSシュリンプビットで【レーザー射撃】で【なぎ払い】
ふふんっ、この程度じゃボクのサザーランドに傷1つつけられないよっ

…っと、わっ!(ミサイルが被弾しそうになるがルイに助けられ)
あ~、びっくりした。ルイありがとう♪
えへへ、ちょっと油断しちゃったけどルイがいるから大丈夫
2人でガンガン進もうねっ!



「このミサイルの嵐……そっか」
 兎我野・リツ(恋するうさぎ・f30020)は複雑そうな表情を浮かべた。突然友達がこのような行動を起こしたと思うと、とても悲しく苦しい事だろう。自分だったらどうだろうか? もし、大事な人が敵に回るような出来事を起こしたら……それに耐えられる自信なんて、ないかもしれない。
「リツ」
 隣からそっと声を掛けてきたのは、大事な人、小鳥遊・ルイ(俺+君=?・f30019)。
「サポートする。行こう」
 嗚呼、言葉数の少ない君。でもそんな所が大好きで。
「……うんっ、ボクたちで助けてあげよう」
 ねっ、リツ♪ と、自分にも言い聞かせ。彼の前ではにっこり微笑む。

「見事に飛び交っているな。リツ、気を付けて」
「うん、ルイも!」
 本来であれば避けるべき場所。しかし他の突破口がない今は進むしかない。
 愛機であるBluebird、そしてネザーランドが戦場に並ぶ。相変わらずミサイルの嵐は止む様子を見せない。
「よし! 行くよっ、ネザーランド! ルイもよろしくねっ!」
「ああ」
 先に元気良く飛び出したのはリツ。その後をルイが追う。早速二人に狙いを定め降り注ぐミサイルだが、その爆発は何もない空中で発生する。ルイのオーラによるバリアを張り巡らせながら、二機は全速力で駆け抜けているのだ。ただ、そのバリアも長く使用するつもりはない。
「うんうん、数は多いけど単純だね。ちょっと軌道修正して狙って来るけど、そこまで高性能じゃないっぽい」
「そうだな。追撃は十分可能だ」
 それじゃあ、と二人はそれぞれ準備を始める。ルイはクリスタルビットを召喚し、リツは背後からシュリンプビットを起動させる。――反撃の準備だ。
「れっつごー!」
 機械兵器達が空へ向けて一斉にレーザー光線を放つ。鋭く長いレーザーは次々とミサイルを薙ぎ払い、破壊していく。誘爆による爆風が空や地上を覆い尽くす。
 ミサイルの代わりに降り注ぐ破片。それを払い除けながら進撃を続ける二人。
「そーれもう一回っ!」
 リツは次々とレーザーを放ち、進路を切り開いていく。その後ろにいるルイが自分を守るようにクリスタルビットを配備させ援護してくれている嬉しさを密かに抱きながら。
「ふふんっ、この程度じゃボクのネザーランドに傷一つつけられないよっ」
 そう声を弾ませていた、その時。頭上から爆風を掻き分け落ちてきたのはビットではなく、一発のミサイル。小さかったはずのそれが急激に大きくなっていく姿が目に入る。
「わっ!!」
 驚くリツ。耳元で鳴り響く爆発音。しかし機体に爆発の衝撃は伝わってこない。身構えたリツが目を開くと、目の前には見知ったクリスタルビットが浮かんでいた。
「ッ……リツ、大丈夫か」
 機内に響くルイの声。それを聞いて安心したリツは、えへへ、と声を漏らし。
「ちょっと油断しちゃったけどルイがいるから大丈夫」
 可愛らしく笑ってみせた。
 そうだ、彼がいるから、彼に守られているから。これだけ頑張って出撃できるんだと。そうリツは改めて感じた。

「……友を思う気持ち、か」
 俺にも分かる。だからこそ――俺は友であるリツを、全力で守ってみせる。
 人知れず一人の青年も、秘めたる思いを改めて噛み締めていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

叢雲・源次
【白鈴】
『十分だ、投下してくれ。』
(白鈴号を乗せた低空を飛ぶ輸送機へ、コクピットより通信を送る。カウントダウン……エントリー。降下開始)
「…機体制御。着地体勢に入る。」
(バーニアを吹かし、魔術商業国家に降り立つは白亜の巨人。現地の軍へ通信開始。)
『第三極東プラント所属猟兵、叢雲源次及びサギリ・スズノネ。グリモアベースの要請により、介入行動に移る』

ミサイルの嵐をどう抜けるか…と言った所で取れる手段は一点突破…是非もあるまい…
「サギリ、フィールド制御を頼む。10秒後に最大戦速で爆撃範囲を抜ける。」
(白鈴号をクラウチングスタートの体勢を取らせ………)
「発進。」
(スプリンターが如く、白鈴号が疾駆する)


サギリ・スズノネ
【白鈴】

あれはちょっと判断に迷うと蜂の巣になりそうですねぇ
合点です、お兄さん!真っ直ぐ一点突破、分かりやすくて良いのですよ!
防御はサギリにお任せくださいなのです!

白鈴号に被弾しそうなミサイルは、火ノ神楽で出したの炎の鈴にオーラ防御を乗せ、複数固めて盾を作ります
爆風もちと厄介なのです。視界が見えなくなりそうな時は、炎の鈴をぐるぐる動かして風を作り、煙を吹き飛ばすのですよ!
いかに早く駆け抜けるかが大事。進む道はサギリが守るのです!

白鈴号はまだ大丈夫そうですけれど、もし暴走しそうな時は白鈴号に触れながら、
サギリの呪詛耐性と狂気耐性、浄化を「まだ行けますよね、白鈴号!」と鼓舞しながら叩きつけるのです!



 魔術商業国家アルスティリアに一機の巨人が降り立つ。輸送機から降下し大きな音を立てて着地したのは、白い機体のジャイアントキャバリア、白鈴号。
『第三極東プラント所属猟兵、叢雲源次及びサギリ・スズノネ。グリモアベースの要請により、介入行動に移る』
 その男の声を最後に、輸送機への通信は切断された。

「ううん……いざ目の前にすると酷い戦場ですねぇ。ちょっと判断に迷うと蜂の巣になりそうです」
 白鈴号のコックピット内に響いたのは男の声ではなく少女の声。サギリ・スズノネ(鈴を鳴らして願いましょう・f14676)のものだ。白鈴号には座席が二つ用意されており、そこへ男と少女が着席していたのだ。
 サギリは外の様子を眺め、目を細める。男、叢雲・源次(DEAD SET・f14403)は表情を変える事なく口を開く。
「ミサイルの嵐をどう抜けるか……と言った所で取れる手段は一点突破……是非もあるまい……」
 あの数を一つ一つ相手にしていてはきりがない、と。
「真っ直ぐ一点突破、分かりやすくて良いのですよ!」
 源次の静かな声とは裏腹にサギリの声は明るく。ほんの一瞬だけでも場が和やかになるその空気は、張り詰めた緊張を解きほぐす。
「では準備に入る。サギリ、フィールド制御を頼む。10秒後に最大戦速で爆撃範囲を抜ける」
「合点です、お兄さん!」
 防御はお任せくださいと元気に意気込むサギリ。源次がそれに振り向く事はない。決して信頼していない訳ではない。振り向かずとも分かるのだ。彼女の笑顔が。
 白鈴号はゆっくりと屈み地面へ手をつける。クラウチングスタートの体勢を取れば、カウントダウンはゼロへと進み。
「――発進」
 そのつま先は、地を抉る。

 背部のバーニアが爆発の如く輝く。あれほど降り注いでいたミサイルの嵐が遅く感じられた。駆け抜ける背後、または横から連続した爆発音が聞こえてくる。
 ホーミング機能は搭載されているものの、ミサイルは目標を狙うばかりではなかった。戦場の至る場所へ着弾し、爆破する事で視界を塞ぎ、地表を削るのだ。
 勿論、そんな事など最初に戦場を見渡せばすぐに分かる。だからこそここで彼女の『守り』の力が必要であった。
 しゃりん、ちりん、と鳴るのは鈴の音。鈴の形をした炎が複数個、駆ける白鈴号を守るようにぐるりと囲んでいた。その炎はミサイルの被弾を防ぐ他、爆風と煙による視界の妨げを巻き上げる風によって切り開いていく。
「白鈴号、白鈴号」
 サギリは座席から白鈴号を優しく撫でる。
「……まだ行けますよね、白鈴号!」
 暴走の様子はまだなくとも、彼女は励ます。その声に答えるように、白鈴号は大きく跳躍した。爆風と煙を抜け、久々に見える眩しい空。足元に見えるのはミサイルの群れ。
「――……勝負だ」
 源次の呟きの直後、武器を構えながら白鈴号は急降下する。着地をした白鈴号は無傷を維持し、背後ではミサイルの群れが爆発と誘爆を繰り返し、再び空を覆い隠した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ファイア・リグオン』

POW   :    戦術パターンA『火力制圧』
【全武装の一斉射撃による飽和攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    戦術パターンB『可変射撃』
【RS-Sショルダーキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    戦術パターンC『牽制射撃』
【RSハイパーガトリングガン】【RS-S高誘導ミサイル】【RS-A左腕部ロケットバズーカ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 占領されたプラントが間近となると、ふとミサイルの嵐が収まった。
『作戦Bへ変更。交戦を開始せよ』
『了解』
 ミサイルの装置を操作していたキャバリアの軍隊が次々と猟兵達の前へと並ぶ。
『国外の増援であろうと容赦はしない。我々は国の為に命を投げる者。故に、生きる価値のある者だ』
 ひと際目立つ一機のキャバリアがそう宣言する。それは人の肉声ではあったが、とても機械的であり、生命を感じられるようなものではなかった。
 数々の戦場へ赴いた猟兵達ならすぐに察知した事だろう。これは本心ではない、偽りの誰かであると。

『砲撃準備』
 並ぶキャバリアの軍隊は武器を向ける。
『撃て』
 嗚呼、彼らは、本当は。
 何を想い、何の為に、戦うのか。
兎我野・リツ
ルイ(f30019)と
うーん、なんか言ってる事矛盾してるよね
それに誰も『物』の為に自分の命を投げたくないよ
もし命をかけるなら、それは自分の大切なものの為でしょ

ボクもルイと一緒、キミたちを生かす為に戦うよっ

敵のUC攻撃は【瞬間思考力】で読んで【残像】で回避
ルイの動きに合わせて
【念動力】を込めたRSゼラニウムデスサイズで斬りかかりにいくよっ
コックピットは避けてね
リツの援護射撃で出来た敵の隙をついて【リミッター解除】!
UC【ネザーランド・フルバースト】で一気に追い込むよっ

キミたちが守りたいのは自分の命だけじゃないはずだよっ


小鳥遊・ルイ
リツ(f30020)と
『生きる価値』があるのに戦いで命を投げるのか?生きる価値があると言うのなら生きねばならない。それにその考えはきっと…。

だから、俺はお前たちを生かすために戦う。

【瞬間思考】と【戦闘知識】により敵UC回避を試みたあとUC【攻撃展開α】発動。
【スナイパー】により敵機コックピット被弾は避ける。
引き続きリツへの【オーラ防御】
クリスタルビットによる【援護射撃】

お前達にも本当の意味で守りたいものがあるはずだろう?



「ねぇ、ルイ」
 兎我野・リツ(恋するうさぎ・f30020)が小鳥遊・ルイ(俺+君=?・f30019)に問う。
「『生きる価値』って……何かな?」
 その問いへの返答に、一瞬だけ間を空ける。
「……その言葉を豪語するなら、自ら命を投げるなどと言わないはずだ」
「もしもあった所で、命は一つなのにね……」
 何だか矛盾してるよね、とリツは言う。
「投げる為の命があるから生きる価値がある、とでも言うのか。いや、それにしてもおかしな話だ。生きる価値があると言うのなら、生きねばならない」
「それにね、もしその命をかけるなら……それは自分の大切なものの為でしょ」
 あのオブリビオンマシンの中にいる彼らだって、きっとそうだ。彼らだけでなく、他の人達だって、自分達だって。
「だから、俺はお前達を生かすために戦う」
 はっきりとしたルイの言葉。その視線はオブリビオンマシンの群れと、自身の隣にいる者へ。
「……ボクもルイと一緒。キミ達を生かす為に戦うよっ」
 操縦桿を強く握り締めるリツ。口元には微笑みが再び戻っていた。

 オブリビオンマシンの群れが、それぞれが装備している銃器を猟兵達へ向けて一斉に発射する。ガトリングガンの連射音、ミサイルの射撃音、バズーカの爆発音。あっという間に様々な音が戦場を飛び交う。
 リツとルイは目を見開き、思考し、瞬時に判断すると共に腕が動いた。二機のキャバリアが滑る様に戦場を駆け、銃弾の間を潜り抜けて回避をする。
「攻撃展開α発動。サポートを続行する」
 リツと自身へオーラの盾を展開させながら、ルイは無数にも等しい光の矢の群れを召喚する。リツの周囲に降り注ぐ銃弾を光の矢が撃ち落とし守り抜く。爆撃の中、うっすらと光り輝くのは薄紅色。それは巨大な大鎌から放たれたもの。
「ひっさつわざだよっ!」
 アンサーヒューマンは一瞬の隙をも見逃さない。いや、全てが計算済みだ。
 超高速で接近したリツは至近距離で大鎌を振るう。横一線に振るわれた刃は、複数のオブリビオンマシンの頭部や装備された武器を胴体から分離させる。
 再び爆撃の嵐の中へと姿を消しては、死角から現れ刃で引き裂くリツ。消えた方へと射撃を行えば、奥で輝くのは薄紅色とは異なる色。
「目を覚ませ。お前達にも本当の意味で守りたいものがあるはずだろう?」
 ルイによる光の矢とクリスタルビットが代わりに現れ、オブリビオンマシンを包囲し射撃する。それは四肢を損傷させ、オブリビオンマシンを次々と戦闘不能とさせていった。

 横たわり動かなくなったオブリビオンマシンのコックピットが開く。ふらりと姿を現したのは、意識を取り戻したパイロットだ。驚いた顔付きで周囲を見渡している様子から、混乱している事が窺える。
「良かった~元に戻ったかな? さぁ、そしたら急いでダッシュ! だよっ!」
 戦場に響くリツの声に、パイロット達は訳も分からずオブリビオンマシンから降りて走り出す。生存するオブリビオンマシンは猟兵達だけを狙った為、パイロット達は無事にプラント付近の避難所へと辿り着く事ができた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

サギリ・スズノネ
【白鈴】
生きてるものはー、皆一様に生きる価値があると思うのです。
ですが価値観も考えも人それぞれ!ぶっ飛ばして止めてからー、そこはトコトン話し合おうですよ!

合点です、お兄さん!
殺意に飲み込まれると白鈴号ちょっと暴走しそうなのです。
白鈴号に手を触れながらサギリの破魔と呪詛耐性、狂気耐性を込めて殺意を浄化するのですよ!

さて、問題は目の前のあいつなのです!
あの人のー心に浮かんだのが邪心か分かんねーですけど、
お兄さんの太刀に浄化を込めた『破魔ノ節』を乗せて心を攻撃してみるのです!

目は覚めているかもしれねーですけどー、
物理的な意味でもしっかりと目を覚まさせてやろうです!


叢雲・源次
【白鈴】
(ミサイルの嵐を抜け着地した先は敵地の真っただ中。コンソールのそこかしこでアラートが鳴る。向けられるは殺意の類であるのは明らか)サギリ、奴らの殺気に当てられないように白鈴号を頼む。

(サイボーグであるこの身体に直接神経接続したプラグから白鈴号の鼓動と闘争本能が伝わってくる。サギリが宥めてこれか…だが…それすら使いこなしてこそだ)
逸るな白鈴号……俺は、俺達は此処に居る。
(開眼。複数の敵の動きを見切り一気に踏み込む。再現するは自身が得手とする抜刀術。間合いに入る者は全て斬らんと太刀を振るい、腰部を、脚部を、頭部を切断し無力化を図る。アラート、敵数体接近)
サギリ、頼む(迎撃態勢。破魔の節)



 静寂などほんの一瞬に過ぎなかった。並ぶオブリビオンマシンが構える銃器は真っ直ぐとこちらを向いている。
 白鈴号が危険を知らせるアラートを響かせる。狙われているからか? いや、そんな生易しいものではアラートなど作動しない。
 オブリビオンマシン特有の狂気と言うべきか、殺気と言うべきか。それは目に見える訳ではない。だが、全身や心でどっしりと強く感じるのだ。そういったものがオブリビオンマシンの数だけ戦場に蔓延しており、白鈴号を侵食しようとしている。
(「サギリが宥めてこれか……」)
 神経接続プラグから白鈴号の全てが伝わる。徐々に強まる鼓動、殺気に囲まれた故の闘争本能の高まり。彼女が居なければ今頃自身も飲み込まれていたかもしれない、と叢雲・源次(DEAD SET・f14403)は分析する。
「うーん、白鈴号……」
 鳴り響くアラートにサギリ・スズノネ(鈴を鳴らして願いましょう・f14676)も心配そうな表情を浮かべる。目の前にいる敵軍との交戦は可能だろうが、少しでも気を抜けば白鈴号が暴走してしまうかもしれない。
「……サギリ、奴らの殺気に当てられないように白鈴号を頼む」
 そう静かに伝える源次。変わらず落ち着いたその声に、サギリも元気を取り戻す。
「! 合点です、お兄さん!」
 そうですよね、サギリもお兄さんも、白鈴号の事信じてますから! 大丈夫ですよ!

 オブリビオンマシンは号令と共に射撃を開始する。再び襲い来る銃弾であるが、先と違う点を述べるならば、距離は近く、そして確実にこちらを狙っている事だ。
「逸るな白鈴号……俺は、俺達は此処に居る」
 ――お前のその力も、俺が必ず使いこなしてみせよう。
 心を無にし、白鈴号と一心同体と化する源次。サギリはうっすらと微笑みながら、童子の頭を撫でるようにコックピットの肘掛けを優しく撫でる。
 迫る銃弾。白鈴号は腰の大太刀に手を添え、大きく足を前へと踏み出す。視界を覆う銃弾がスローモーションに見えた。白鈴号は身体を大きく捻りながら銃弾をすり抜けていく。
 やがて全身を浄化の力が優しく包み込む。闘志を燃やしながらも落ち着きを思い出したのか。すぐさま敵との距離を詰めた白鈴号は力強く大太刀を握り締めた。
 それは源次が得意とする神速の抜刀術。サギリの破魔の力を宿した刃が一閃。間合いに立つ複数のオブリビオンマシンを斬る。巨大な音を立てて頭部や腕部が裁たれると共に、胴体が崩れ落ちる。
「サギリ」
「はいですよ!」
 頼む、とまで聞かずとも。阿吽の呼吸でサギリは白鈴号から破魔の衝撃波を放つ。間合いにおらず追撃を試みたオブリビオンマシン達へ向けられた衝撃波は機体を貫いた。動力を失い倒れる機体。しかしその身体には傷一つ残っていない。
「一つまみでも思い浮かんだ心なのか、オブリビオンマシンの邪心なのか、それは分かんねーですけど……しっかりと目を覚まさせてやろうです!」
 物理的な意味でも、精神的な意味でも。どちらにせよ悪の根源は分かり切っている。
「価値観も考えも人それぞれ! ぶっ飛ばして止めてからー、そこはトコトン話し合おうですよ!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミスト・ペルメオス
【POW】

「機械が、人を操るなどと…ッ」

愛機たる機械鎧を駆って戦闘を継続。
デバイスを介しての念動力の活用、機体のフルコントロールなども当然続行。
敵集団とは基本的に適度な距離を保つが、時には集団を切り裂くような突貫をするなど状況を膠着させぬよう立ち回る。

敵パイロットを害さぬよう機体を無力化するとなれば、ミサイルの迎撃よりもずっと注意が要る。
ヘルファイア・デバイス、出力調整。ビームアサルトライフル、セット。【オープンファイア】。
手数重視の弾幕射撃、断続的なエネルギー弾の驟雨。
敵機の撃墜ではなく装備や装甲の損壊による撃破・無力化、結果として敵パイロットの解放を狙っていく。

※他の方との共闘等、歓迎です



 猟兵達の手によってオブリビオンマシンから解放され逃げ行くパイロット。しかし、未だ破壊されず尚パイロットを操る機体もまだ残っていた。命令を仕向けるオブリビオンマシンは、まだ静かに佇んでいる。
 ただ淡々と銃撃を続けるその様子は、中に人が入っているようにはまるで見えず。
「機械が、人を操るなどと……ッ」
 怒りと苦しみが胸の中でぐちゃぐちゃに混ざる。ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)は静かに吐き出すようにその言葉を言い放った。
 人の手によって造られた機械は、人がいなければ動かない。故に機械に指示し、機械を操るのは人である。その機械が人の精神を支配し、ましてや悪用する事など決して許されてはいけない。人も機械も、無意味に手を汚す必要など全くないはずなのだ。
 ……自分だったら、そんな事など許せない。軍人であり階級を持つミストは、そう強く感じた。
 『守護してきた国を知らぬ間に自らの手で傷付けていた』。そんな悲しい事があってはならないのだ。その被害が広がらないうちに、事実が更に大きくならないうちに。早急に救い出さなければ。

 オブリビオンマシンの一斉射撃がミストを狙う。ブラックバードは最大限にスラスターを爆発させ高速移動を行い、徐々に接近を図る。
(「ヘルファイア・デバイス、出力調整」)
 土煙を残しながら回避行動を行い、そして横一列に並んだ敵軍を確認する。まだ多いに越したことはないが数は最初の時よりも減った。手に持つ重火器と背部に背負った砲台を落とせば、隙は大きく生まれるだろう。
 ビームアサルトライフルの連射性能を最大にセットし、反撃の準備を完了させれば、ミストは大きく地面を蹴り上げ空高く飛び上がった。
(「攻撃開始――fire!!」)
 引き金を引く。無数のエネルギー弾がオブリビオンマシンの頭上へと降り注ぐ。先のミサイルのように、止まる事を知らないそれは豪雨のよう。
 一つ一つの銃弾が機体を貫く事などなかった。しかし永続的に降り注ぐ事で次々とオブリビオンマシンの装甲や重火器にみしりとひびを入れ、崩し、破壊していく。
 一機、また一機と、ミストの銃撃に耐え切れなくなり膝を着く機体が増えていく。しかし攻撃の手は止めない。オブリビオンマシンの機体には詳しくはないが、少なくともあのような人型兵器は『コックピットがより頑丈に造られている』はずだ。外側の装甲のみ崩せれば、それでいいはずなのだ。
 ミストのその考えは見事に当たった。崩れ落ちたオブリビオンマシンを標的から外しつつ銃撃の豪雨を降らせ続ける事も、そう長く続く事はなかった。銃撃を止めたその時には、地上に転がった胸部が開き、そこからパイロットが顔を覗かせていたのだ。
 パイロット達は状況の理解は出来ずとも本能的に避難をし、やがて敵軍から銃撃が襲って来ることはなくなった。
 ――ただ一機だけを残して。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ヴェルディグリース』

POW   :    メラルダの剣
【サイキックエナジーを実体化させて自分の剣】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    ベリドートの鎧
全身を【緑青色に輝く強固なサイキックオーラ】で覆い、自身の【搭乗者を顧みない出力のサイキックエナジー】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    ロムスフェーンの外套
自身の【搭乗者の生命力および精神力】を代償に、【対象の至近距離へテレポートし、サイキック】を籠めた一撃を放つ。自分にとって搭乗者の生命力および精神力を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ツェリスカ・ディートリッヒです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 何故に戦場へ赴くのだ。
『友人を守りたいと、強く願ったから』
 友人は己の手を一度も汚した事はないぞ。
『汚さなくても良い! その為に僕は軍人を選んだ!』
 何れその友人から、『死ね』と命じられるのに?
『違う!! それは命令じゃない!』
 国の王とは、そういう者だ。
『『戦え』は、『死ね』じゃない……!!』
 お前が助けを求めても、友人は救わない。救えない。なんと無慈悲な事か。
『僕は、う……ぐぅ……ッ!!!』
 哀れな。人とは残酷だ。その身を汚さない無能者に明日を生きる価値などないのだ。そして命を投げる者も、己が選んだ道で共に散るが良い。
 今から貴様は、ただの動力源だ。
『……ダリア、殿下……どうか、ご無事、で……』
 死に急ぐ者よ、その命尽きる時まで、死にも等しい苦しみを味わうが良い。

 ひと際目立っていた巨大なオブリビオンマシンは、ゆらりと外套を揺らした。地面に突き刺していた剣を引き抜くと、それは禍々しい魔力を纏い、オブリビオンマシンに更なる力を与えた。
『――私の名はヴェルディグリース』
 それはパイロットの名ではなかった。パイロットの身体と声を借りた、サイキックキャバリアの名だ。
『私は人を滅ぼす者。異国の者、猟兵よ。死の運命に抗うならば、私を破壊してみろ』
 堂々としたその姿は、まるで騎士のよう。
『私の動力源<パイロット>は、とても優秀だぞ』
 守るものを失った過去の軍人は、猟兵達に最後の戦いを命ずる。
小鳥遊・ルイ
リツ(f30020)と
(【時間稼ぎ】も兼ねて【念動力】でパイロットに声かけ。会話しながらこっそり
UC【行動規制】を発動)

戦場で戦うだけが戦いではないと…俺はそう思う。
パイロット…聞こえるか?
お前の友は別の場所でお前のために戦っているぞ。お前のために俺達に救援を求めたんだ。
だから、俺は俺たちはお前を助ける。

(上手くUCが発動した時点でリツに合図を送る)
リツ、今だ。
【援護射撃】【オーラ防御】でリツのサポート継続。

貴方を必ず友と再会させる…!


兎我野・リツ
ルイ(f30019)と
戦場で戦う事だけが人のすべてじゃないのにね
国を統治するのだってその人には戦いだし
それに、守る人がいるから戦う方だって強くなれるんだよっ

ボクは前に出て、敵の攻撃をRSゼラニウムデスサイズで斬り結びながら
ルイと一緒にクロウスさんに【念動力】でテレパシーを使って呼びかけるよっ

キミの想いを理解出来ない奴になんか負けないでっ
ボクたちが必ずキミを、大事な友達の元に帰してあげるからねっ!

人の想いの強さを計算なんて出来ないんだからっ
ルイのUCで敵のUCが封じられたら、一気に畳み掛けるよ!
【リミッター解除】でUC使用
【念動力】を込めたデスサイズで首を撥ねてあげるっ



 騎士ヴェルディグリースは巨大な剣を構えながら素早く前進した。すぐさま兎我野・リツ(恋するうさぎ・f30020)が前へ出て大鎌を振るい、その刃を弾く。一度攻撃を防いだだけで、じぃんと腕が痺れるような感覚を覚えた。
「リツ、大丈夫か」
「うん、まだまだ平気っ!」
 小鳥遊・ルイ(俺+君=?・f30019)の通信に、普段なら笑顔で返すリツだが、今は真っ直ぐと敵を睨んでいる。
「それよりもルイ、さっきの聞こえた?」
「ああ、聞こえた」
 二人が聞いたもの。それは騎士が剣を振るった時、微かに響いた短い悲鳴。
「……機体が激しく動く度にパイロットの体力に負担が掛かっているのかもしれない。あまり長引くと……まずいかもしれないな」
「そんな……駄目だよ! ルイ、ハッキングできないかな?」
「やってみる。リツ、悪いがそれまで頼む」
「任せて!」
 元気な声で返事をし、ルイは騎士へ突撃する。ルイは後方で電脳魔術を展開させると、ひたすらにコードを打ち込み始めた。
「スキャン完了。コックピットの場所はここだ」
「ありがと! 場所が分かればこっちのものだよっ!」

 騎士の連撃は、表すとするならば『かまいたち』であった。一つ一つが重く、そして素早い。リツの大鎌も、受け止める事よりも弾き飛ばし受け流す事で、機体の負担を軽減する事しかできなかった。
(「でも、相手の方がもっと辛いんだ。したくないのに、無理矢理武器を振るっているんだよね」)
 もし自分だったら、ルイだったら。それだけでリツの心は熱くなる。
「……キミの想いを理解出来ない奴になんか負けないでっ!」
 敵機のコックピットのある場所へ向けてリツはテレパシーを飛ばす。
「忘れないで。キミの事をずっと、ずーっと心配して待ってる人がいるんだよ!」
 相手の攻撃は止まらず、まだ変化は見られない。続いてルイも呼び掛ける。
「パイロット……聞こえるか? お前の友は別の場所でお前の為に戦っているぞ。お前の為に、俺達に救援を求めたんだ」
 その想いに応える為にも、必ず俺達で助けると、必ず友の元へ帰すと。二人は訴える。
『何とも空しい行動だ。言葉だけで何が変わる』
 騎士は嗤う。
「むっ、悪い奴には分からないだろうね。人の想いの強さっていうのは、計算なんて出来ないんだからっ」
「戦場で戦うだけが戦いではないと……俺はそう思う。『だから俺達がここにいる』んだ」
『綺麗事は好かん。お前達は空想に甘えすぎている』
「空想かな? 言葉も気持ちも大事だよ。守る人がいるから、戦う方だって強くなれるんだよっ」
「そうだ。その強さはお前のようなオブリビオンマシンに負けなどしない。決して、だ」
『ほざけ』
 騎士は一度リツから距離を離すと、全身を禍々しいサイキックオーラで覆い始めた。剣を構え直し、腰を深く落とす。
『その愚行がいかに無意味であったのか、思い知ると良い』
 騎士はリツとルイへ急接近を仕掛け、強大な力で一刀両断を繰り出す。……そうなるはずであった。

 騎士の身体は動かなかった。何かに阻まれたかのように、動く事ができなかった。
『何だ、これは!』
 多量のシステムエラーであった。リツとの交戦中、ルイによって機体は徐々にデータを改ざんされ、様々な行動に規制がかけられたのだ。
 しかし、その思わぬエラーはルイの送り込んだデータの影響だけではないらしい。『誰かが操縦桿を阻害している』のだ。
『……く、そう……っ!!』
 騎士の声が震える。否、その声は騎士ヴェルディグリースのものではない。
「リツ、今だ。パイロットも協力してくれているぞ……!」
「やったね、ボク達の言葉が届いてる!」
 ルイのクリスタルビットが飛び出したリツの後を追う。リミッターを解除させたリツの機体は薄紅色の光を残しながら光の如き高速で戦場を駆ける。勢いに乗せ、輝く大鎌を思い切り振るう。
「クロウスさんを、返してっ!」
 声の本当の主の名を叫びながら。リツの刃とルイの射撃が騎士の固い装甲を砕き、切断する。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミスト・ペルメオス
【POW】

「生きてください、クロウス大尉ッ!
 あなたの生還を望む者が、ここにもいる…!」

「『彼』には生きてもらう。『お前』には壊れてもらうッ!」

引き続き愛機を駆って戦闘を継続。
装備を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
スラスターを駆使した戦闘機動を行い、まずは射撃戦を挑む。

異様なサイキック・エナジーの高まり。感じ取れる悍ましい気配。
こちらも念動力を最大限に発揮。敵の強烈な攻撃に合わせて【サイコキネシス】を叩きつけ、
武器ではなく機体を捻じ伏せることで攻撃を凌ぐ。そしてクロウス大尉に呼びかける。
さらに余力があれば敵機の胴体以外に攻撃を加え、損壊させていく…!

※他の方との共闘等、歓迎です



 禍々しく輝く機体に封じられた、真っ直ぐで清い魂。今こそ狂気に呑まれようとしているが、彼はまだ諦めてはいない。
 ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)はビームアサルトライフルを構え、騎士ヴェルディグリースへと急接近を仕掛ける。
「生きてください、クロウス大尉ッ! あなたの生還を望む者は一人だけじゃない。ここにもいる……!」
 必死に呼び掛ける、本当の名。しかしオブリビオンマシンも容易に引き下がる事などしない。
『戦う為の機体を造り、次はそれから降りろと。何ともくだらない。お前も死を覚悟してそれに乗っているのだろう?』
 ミストの銃撃を剣の一振りによって軽々と防ぐ騎士。
『この動力源<パイロット>も、私に命を捧げたのだ』
「お前は全てを間違えている」
 ミストは低い声で唸る。
「死ぬ為に兵器に乗っている訳がない。戦士が持つ死の覚悟とは、死に向かうという意味ではない。……生きる為の方便だ」
『生きる為に他者を葬るのだろう』
「……そうだ。お前のような悪を消し去る為に!」
 彼だって、そうだったはずだ。死を望んでいるならばここにはいないはずだ。しかし、彼はまだ――。
「『彼』には生きてもらう。『お前』には壊れてもらうッ! 他者の身体と声を借りて、戯言を語るなッ!!」
『……ならばやり遂げてみせよ』
 ミストの怒号を受け止めた騎士は、静かに剣を構え、力を籠める。強大なオーラが集結し、その刃を巨大化させていく。
 それは機体の中にいるミストですらひりひりと肌で感じられる程の悍ましいオーラであった。少しでも気を緩めれば、こちらも狂気に呑み込まれてしまいそうだ。
 ならばこちらもサイキックエナジーで対抗するのみ。がしゃりと銃器を落とすと、手のひらに己のサイキックエナジーを集中させた。

 巨大な剣はオーラを揺らめかせながら、大きく振り上げられた。同時にミストも拳を突き上げた。オーラとオーラがぶつかり合い、戦場中に大きな衝撃波が走る。
 刃はブラックバードを斬り裂く事なく動きを止める。それはミストのサイキックエナジーが刃を受け止めているのと同時に、別の力が働いているようであった。
『……じゃ…ま、を……するな、ぁ……ッ!!』
 それは騎士ヴェルディグリースのものであったのか、それとも。
「クロウス大尉!!」
 ミストは再び強く呼び掛ける。刃を受け止める右腕の力を衰えさせないまま、左腕を突き出す。その指はまるで、何かを握り潰すような動きを見せていた。
『ぐ、あぁ……っ!!』
 鎧の如き鋼鉄の装甲が歪み、ひびが入る。左手が完全に拳となり閉じ、思い切り横へと振るうと、装甲の破片を散らしながら、騎士の身体は大きく弾き飛ばされていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・源次
【白鈴】
サギリ…白鈴号を俺達で導く
《白鈴号と叢雲源次の同調率制限を『サギリ・スズノネの同期介入』を承認する事を条件に限定解除。最大稼働開始》

「ッ…ぐうぅ…ぁああ!!」
(負荷に耐えつつ自身の心臓の名を冠するユーベルコードを再現する。機体から放出される地獄の蒼炎と神楽の金炎が綯交ぜとなった碧炎が太刀を纏い長大な刃を形成。メラルダの剣を撃ち砕かんと振るわれ相殺せんとす)

「……サギリ、お前の好きな格闘戦だ。蹂躙するぞ。」
(互いが獲物を相殺し徒手空拳となったなら、ジャイアントキャバリアが持ち得る最大利点「巨人が故の人間の動きの完全再現」にて殴打、蹴打を用いて蹂躙する ※コクピットは外す)


サギリ・スズノネ
【白鈴】
まずは火ノ神楽で炎の鈴を出現、数個残して後は全部合体させます。
合体させた炎の鈴をお兄さんの炎と白鈴号の太刀に乗せて強化するのですよ!
残した炎の鈴は、敵の攻撃を見切りつつ、炎を利用したオーラ防御で攻撃を防ぎます

はいなのです!
話が出来ない敵は、まずは殴って落ち着かせてからなのです
拳で語り合う事で分かり合える事もあるのです!

というわけでー!
ヴェルディグリース、サギリ達はあなたとー、あなたのパイロットに用事があるのです
白鈴号の拳と足に破魔の力を乗せてサポートするのです!

※白鈴号の暴走の兆候が見られた時
白鈴号に手を触れながらサギリの破魔と呪詛耐性、狂気耐性を込めて暴走を落ち着かせるのですよ!



 キャバリアの力を最大限に引き出す為にはパイロットが不可欠だ。逆を言えば、パイロットの腕次第でキャバリアは無限の可能性を引き出す事ができる。
 あのオブリビオンマシンは強引かつ残酷だ。そして、哀れだ。自身の思い通りに戦えても、それ以上の力を引き出す事などできないだろう。更には合意していないパイロットを無理にでも操れば、そう長くも持たない。機体も、パイロットも。

「お兄さん、あれ!」
 サギリ・スズノネ(鈴を鳴らして願いましょう・f14676)が目を向けた先は騎士ヴェルディグリースの胸部。ぼろりと崩れた装甲の奥に、コックピットらしきものが見えたのだ。そう、もはやそこはコックピットとは言い難い姿と化していた。脈打つ無数のコードがパイロットの身体を束縛している様子は、まるで心臓であった。
「絶対に離さねーって感じですね。そういう相手にはー、一発ぶん殴って分からせてやるべきです!」
 サギリがぶんぶんと拳を振るう傍ら、叢雲・源次(DEAD SET・f14403)は静かにセットアップを進める。
「サギリ……白鈴号を俺達で導く。今から感応同期率の制限を一時的に解除する」
「えっ……お兄さん、大丈夫です?」
「問題ない。白鈴号の全てをぶつける。いいな」
 一瞬顔を曇らせたサギリだったが、すぐに正面へと顔の向きを戻し、元気に返事を返してみせた。
「……はいなのです!」
 友の帰りを待つ者がいるように、自分も源次と白鈴号を――信じる。

『所詮貴様も戦士の出来損ない、か』
 自らの心臓を嘲笑う騎士。
 己が刃を構えれば、メラルダの剣に禍々しい輝きが集結する。
『これで終わりだ……あああぁぁっ!!!』
 狂気のサイキックエナジーが巨大化すると同時に響く、悲痛な叫び。
 源次はだらりと全身の力を抜いた。一つ息を吐き終えた直後、最後のコードを打ち込む。
「……サギリ・スズノネの同期介入承認。最大稼働開始」
 がくん、と白鈴号が片膝を地面につける。動く力を失ったのか? ……否、これからだ。

「ッ……ぐうぅ……ぁああ!!!」
 全身が重い。熱い。燃え盛る。目の焦点が合わない。心臓も爆発しそうだ。
「お兄さん!」
 サギリの声が聴こえる。そうだ、前だ。前を向け。そして太刀を握り締めるのだ。目の前の敵を、『殲滅』するのだ。
「お兄さん!!」
 ……違うぞ、白鈴号。俺達が行うのは、『奪還』だ。

『うぁあああぁぁッ!!!』
 厳格な騎士らしかぬ、若々しい高い声。それは覇気のある叫びではなく、苦痛に耐えようとしている声であった。
 強大な力を宿した剣を構えた騎士は白鈴号へ急接近する。剣が振り上げられたと同時に、白鈴号は抜刀した。刃を覆う地獄の蒼炎と神楽の金炎が騎士の剣を受け止めたのだ。
「うおおおぉぉッ!!!」
 源次が叫ぶ。全身から溢れる心臓の炎が、サギリの祈りの炎が、白鈴号の刃をより輝かせる。
 互いの刃は互角であった。どちらも大きく動く事はなかった。……だから白鈴号は『捨てた』のだ。
「白鈴号ッッ!!!」
 白鈴号は源次の動きとリンクした。太刀を大きく捻り、騎士の剣を弾いた。弾いたと共に、刃は両者の腕から離れていった。回転しながら飛び立つ太刀。みしりと歪み、二つに割れるメラルダの剣。

「……サギリ、お前の好きな格闘戦だ。蹂躙するぞ」
 静かに響く、いつもの声。

 太刀を飛ばした白鈴号は体勢を崩す事なく、握り締めた拳を騎士の頭部へ向けて真っ直ぐに振るった。
油断した騎士がふらりと一歩後退すると、殴りつけた勢いのまま白鈴号はぐるりと身体を回転させ踵落としを叩き付ける。ぼろりと鎧の如き装甲が破壊されていく。
 連撃止まらぬ白鈴号の動きは、まさに『人間』のそれであった。
「ヴェルディグリース、サギリは人が好きなのです。……そして」
 ――ちりん。鈴の音。
「サギリは、魔除けの力が自慢なのですよ、クロウスさん!」
 黄金に輝く破魔の拳が騎士の頭部を襲うと、遠くで再び、澄んだ鈴の音が聴こえた気がした。

 戦場が静寂に包まれた。それは終戦を知らせるものであった。
 避難したパイロット達が戦場に現れると、破壊され停止した新型キャバリアを囲む。心臓の如きコックピットから最後のパイロットを救出していると、遅れて国家の軍隊もやってきた。
 担架に乗せられ運ばれる最後のパイロット、クロウス。その傍らには心配そうに付き添う青年がいたという。
 プラントそのものには大きな被害はなく、魔術商業国家アルスティリアで起きた大事件は、猟兵達の手によって最小限の被害で終息する事となった。

 後日、戦場に赴いた猟兵達の活躍と証言を称え、大尉とその部下達は処罰を免れたという通達が猟兵達に届いた。
 感謝の言葉を並べた達筆な手紙の送り主は、アルスティリアの王子であったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月17日


挿絵イラスト