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Number of Murder

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #ディガンマ #殺人鬼

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 曇天模様の空の下、煤煙吐き出す煉瓦造りの街並み、霧煙る路地。
 濡れた石畳を踏みしめて、男が歩む。
 街は死したるが如く静まり、動くものは男と、男の後に続く南瓜頭の一団をおいて他になし。
 眉根を寄せる男。この街には確かに住民がいたはず。一体何処へ消えたのか。

 その疑問の答えは、やがて正面に現れた。
「ようこそ、オウガの皆さん。『霧と煤の国』へ」
 前方の霧に浮かぶ小さな人影。霧が流れて、行儀良く脚を揃えて立つ、白いワンピースを装う幼い少女の姿が明らかとなる。
「…お前か。この国に住む連中を逃したのは」
 少女を認めた男、静かな声音にて問う。左手の爪が、不穏に輝きを放つ。
「ええそうよ。あの子達のことは守りたいけど、邪魔だったから」
 少女はあくまで平然と。両手は重ねて腹の上。それは『何か』を抑えるように。
「…『わたしたち』が本気を出したら、きっと、あの子達まで殺してしまうもの」
 男が感づくのと、周囲に動き生じたのは同時。
 路地を挟む建物群の、窓という窓に現れる複数の人影。いずれもが、男と相対する少女と同じ年頃の少年少女。
 待ち伏せられていたか。男は悟る。
「…健気なことだ。俺も、お前達も、世界から捨てられた事に違いはなかろうに」
 男の言葉は皮肉げに。
「そうね、だからこそ、わたしたちはここにいる」
 応えたのは、窓から顔を出す少女の一人。それに続いて、少年少女が次々と口を開く。
「けれど、あの子達は、そんなわたしたちを受け入れてくれた」
「残飯と雑魚寝しか許されなかったぼく達に、温かいシチューとベッドを与えてくれた」
「わたしたちに、居場所を与えてくれた…だから、次はわたしたちの番」
 口々に語る少年少女を見渡し、男は肩を竦める。
「俺もお前達も、所詮は『六六六』を刻まれし咎人。その手で何かを守るなどとは…笑わせる」
 言葉に反してその目に笑みは無く。油断なき眼光を巡らせる。
「そうね、所詮わたしたちに出来ることは、ただこれだけ。けれど、だからこそ守れるものもある」
 応える少女の手には、いつの間にか一振りの草刈り鎌。なれどこびりついた赤黒は、草ならぬものを刈り取った実績を雄弁に語る。
「…あなたたちを、殺すことでね!」
 駆け出す少女。呼応するが如く、窓から次々と少年少女が路地へ踊り出る。手に手に、各々の凶器と狂気を握りしめて。
 路地裏を流れる霧が、鮮血に染め上げられてゆく。



「皆、アリスラビリンスの猟書家に動きがあったよ!」
 グリモアベースに集う猟兵達に、グリモア猟兵、メニス・ソルタ(リトルヴィジランテ・f19811)が呼びかける。
「猟書家『ディガンマ』と殺人鬼の子達の戦いに、割り込んできて欲しいんだ!」

 メニスの説明に曰く。
 アリスラビリンスの小世界の一つ『霧と煙の国』を、猟書家の一人『ディガンマ』が配下のオウガ達と共に襲うのだという。この国の住民を皆殺しにするためだ。
 だが、彼らが訪れた時には住民は誰一人おらず、代わりに彼らを迎えるのは。
「『ホワイトチャペルのこどもたち』っていう、殺人鬼の子供達のグループなんだよ」
 年齢は最高でも12歳。それぞれに事情を抱えた子供からなるグループだ。彼らは国の住民達を避難させ、そして自分達は国に残ってディガンマらを迎え撃とうとしている。
「この子達、普段抑えてる殺人衝動を全開にして戦ってるから、とっても強いんだ。配下のオウガぐらいなら倒せるぐらいに。…でも」
 だが殺人衝動の解放には代償が伴う。そのまま戦い続ければ、やがては殺人衝動に呑み込まれ、新たなオウガとなり果ててしまうのだという。
「それに、殺人衝動を解放したあの子達でも、ディガンマには勝ち目が無いんだ。だから、皆にはこの戦いに割り込んで、ディガンマ達を倒して、あの子達がオウガにならないように引き留めて欲しい」
 その二つが、此度の目的となる。

「自分達の居場所を守りたい、っていう想いが、間違って果たされることの無いように。あの子達の望んだ通りに叶うように…皆、よろしくお願いね!」
 メニスの掲げた木の枝の先からグリモアの光が溢れ。猟兵達を、霧煙る煉瓦造りの街へと送り出してゆく。


五条新一郎
 地獄より、心を込めて。
 五条です。

 対猟書家戦、続いての舞台はアリスラビリンス。
 猟書家『ディガンマ』とその配下達を迎え撃つべくその心を闇へ傾けた少年少女達を、闇に堕ちきらぬよう支えつつ、かの猟書家を討ち倒す戦いでございます。

●このシナリオについて
 此方は『対猟書家戦』のシナリオとなります。
 全二章で完結となりますのでご了承ください。

●目的
 猟書家『ディガンマ』と配下オウガ達の殲滅。
 殺人鬼グループ『ホワイトチャペルのこどもたち』のオウガ化の阻止。

●戦場
 アリスラビリンス、霧と煙の国。
 煉瓦造りの建物からなる街並みと、石畳の道路が特徴の国です。
 屋外は直線的な路地が伸び、道幅は広め。屋内は狭く複雑な造りになってます。

●NPC
『ホワイトチャペルのこどもたち』
 それぞれに事情を抱えた殺人鬼の子供達(年齢8〜12歳程)からなるグループ。OPでディガンマらと対峙していた少女がリーダー格の模様。
 それぞれに殺戮刃物を振るい戦います。
 殺人衝動を全開としている為、配下オウガとなら互角以上に渡り合える程の戦闘力がありますが、そのままだとやがて殺人衝動に呑まれオウガと化してしまいます。
 プレイングで彼らに言及される場合は『こどもたち(子供達)』だけでもOKです。

●第一章
「ブギーマン」との「集団戦」です。

●第二章
 猟書家「ディガンマ」との「ボス戦」です。
 ディガンマ撃破時点でオウガ化していない『こどもたち』は、戦闘終了と共に殺人衝動が抜けていきます。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以降からプレイングを受け付けます。
「『こどもたち』を適度に抑えながら共に戦う」ことでプレイングボーナスがつきます。上述の通り、彼らをそのまま戦わせるとそのうちオウガ化してしまいますので、殺人衝動を適度に抑制してあげましょう。

 それでは、皆様の惨劇終焉せしめるプレイングお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ブギーマン』

POW   :    惨劇の夜
自身の【カボチャのマスクの下の瞳 】が輝く間、【鉈】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    パンプキン・ウィップ
【どこまでも伸びるカボチャの蔦の腕 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    怨恨
自身が戦闘で瀕死になると【怨念で強化された自身の霊体 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
確かに大変な事態ですねぇ。

まずは『FBS』を四肢に嵌め飛行、目立つ位置から子供達に『援軍に来た猟兵』であることを告げ「一緒にこの世界を守りましょう」と呼び掛けますぅ。
そして【至祷】を使用、子供達に『豊饒の加護』を与えますねぇ。
元々強い子供達に『身体強化』と『再生能力』を付与し『交戦時間』=『衝動に飲まれる時間』を短縮すれば影響は軽減出来ますし『衝動』に『脳波』等の『肉体的理由』が有るなら『再生能力』でも軽減可能ですぅ。

後は『鉈』の届かない高度から『FRS』『FSS』による[砲撃]と[援護射撃]、『鉈の投射』等には『FSS』で防御を行い、子供達を援護しつつ仕留めますねぇ。



 白霧漂う煉瓦の街に、肉の裂ける音と鮮血が飛び交う。
 齢十に満たぬ、或いは越えたばかりの幼い少年少女が、手に手に鋏を、包丁を、カッターナイフを振るい、迫る南瓜頭の人型を斬り刻む。瞬く間に全身を膾と刻まれ、紅く染まって崩れ落ちる南瓜頭。
『こどもたち』の瞳は爛々と輝き、そうした殺傷行為への歓喜を隠しもしない。今、彼らは己の内なる殺人衝動――普段は親しき者を傷つけぬ為に抑えている衝動を、思うがままに解き放ち。以て向かい来る敵を鏖殺せんとしているのだ。
 なれど、其は己の魂を闇に浸す危うい行為。衝動に飲まれれば、行き着く果ては相対する敵達の同類――友であった者達をも殺し喰らうオウガへ堕ちる道。
「…ころす。ぜんぶ、ころす…」
 既に幾人かの少年少女はその貌を醜く歪め、魂の闇へと染まりつつある様を示す。その魂が堕ちきるまで、最早幾許の時も要さぬだろう――と、そこへ。
「……?」
 上空に新たな気配。見上げれば、霧で霞む中にもはっきりと浮かぶ人の姿。艶めく長い黒髪、熟れ実った肉感的な肢体、美しく整った顔立ち。四肢に装着された戦輪の回転を以て宙に浮かぶ、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)のその姿。天使、或いは天女の如しとも見えようか。
「――皆さん、この国を守りたいのですね」
 上空より『こどもたち』を見下ろし、るこるは告げる。慈母の如き、穏やかな声音に『こどもたち』の意識が一時、集中する。
「私は猟兵、皆さんのお手伝いをする為にここへ来た者」
 そんな彼らの一人一人へ視線を巡らせつつ、呼びかけるるこる。見上げる『こどもたち』の表情は、そのあどけない造形と不釣り合いな程に剣呑で。悪鬼めいて歪んでしまっている者も幾人か。
(守りたいものの為に、それをも傷つけかねないものへと成り果てざるを得ない…確かに、大変な事態ですねぇ)
 心中、るこるは瞑目する。このままオウガとなり果て、何もかもを傷つけ殺めんとするは、彼らもまた望んではいないはずだ。故に。
「守りましょう。私達と一緒に、この世界を」
 故に、呼びかける。彼らがその心を危険に晒すに至ったその理由を強調し、以て心の支えと為す為に。その意を悟ってか否かは分からずとも、『こどもたち』の視線は彼女への賛意を示しているように見えた。
(大いなる豊饒の女神よ、尊き覚悟抱く者達に、ひと時の加護をお与え下さい――)
 るこるは心中にて祈る。応えるように、『こどもたち』の身体が乳白色の光を帯びる。それはユーベルコードという形で発現した、るこるの奉ずる豊穣女神の加護。暫し戸惑う様子を見せる彼らだが、溢れる力、温かな感覚が、その変化を許容せしめる。
 そこに襲い来た、新たな南瓜頭の一団。至近の少年少女が得物を振るえば、ただの一振りで頭部の南瓜が中身諸共両断される。思ってもみなかった力の程に、振るった子供達自身も驚愕する。るこるが与えた加護は、元々高い戦闘力を持つ彼らの力を更に引き上げていたのだ。
 なれば、と駆け出す『こどもたち』。次々と南瓜頭のオウガへ襲い掛かれば、振るう凶器が瞬く間に、何体もの敵を解体してゆく。
(戦闘時間が短ければ、それだけ衝動に晒される時間も少なくなるはずですぅ)
 それがるこるの狙い。『こどもたち』の戦闘力を強化し、迅速に戦闘を終わらせる。さすれば衝動の影響が深まる前に事が済むだろう、と。
「ですのでぇ…」
 無論、そこにるこる自身が加われば戦闘時間はより短縮されよう。『こどもたち』の向かう先とは逆側より気配。路地から現れ集った別の南瓜頭達が、彼らの背中を狙っていた。
「無粋な横槍は、ご遠慮願いますねぇ」
 そうはさせぬ。るこるのその意思を受け、霧の中から浮遊砲台群が浮かび上がり、るこるの周囲を囲むように展開される。十六の砲台と、八の盾付き砲台が、眼下の南瓜頭の群れへ砲口を向ける。彼らも気付き、鉈を構えるが。もう遅い。
 一斉砲撃。合計24発の炸裂弾が流星群じみて街路へ降り注ぎ、着弾、爆裂。雷鳴が如き爆発音を轟かせ、其処に在った南瓜頭の群れを灰燼と化さしめた。彼らが苦し紛れに投擲した鉈も、盾に阻まれるこるへは届かぬ。
『こどもたち』の邪魔はさせない。彼らの背を引き続き守るべく、るこるは宙を滑ってゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミスト・ペルメオス
【WIZ】

「…悲しいな。だからこそ…共に戦わせてくれないか」

『来たれ、来たれ、来たれ――』

愛機たる機械鎧(人型機動兵器)を駆って参戦。
デバイス等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
スラスターも駆使して市街地を繊細に滑走もしくは上空を飛行。
敢えて速度と高度を抑えることで市街地の被害を防ぎ、また敵の注意をひくようにする。

集団には集団を。
【サモン・シュラウドレイダー】、異次元領域より亡霊宇宙戦艦を招来。
異形の装備纏う精神生命体の歩兵部隊を降下させ、オウガ達との集団戦に対応。
自身は愛機で陽動や牽制を行い、主に屋外で子供達との共闘および彼らの殺人衝動の抑制を図る。

※他の方との共闘等、歓迎です



 路地を駆ける子供達。なれどその手には玩具ならぬ刃物。繰り広げるは遊戯ならぬ殺し合い。幼い少年少女が為すにはあまりにも凄惨な光景。
(――悲しいな)
 パイロットスーツの少年、ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)が其方へ向ける視線には、そんな『こどもたち』の様相への悲しみが籠る。未だ親に甘えていても許される年頃の少年少女。それが、親どころか大人もいない場所で、凄惨な戦いに身を投じている理由。察するに余りある。
(だが…だからこそ)
 なれど、彼らにも覚悟がある。憐れむだけではそんな彼らの救いたり得ぬ。故に。
「――来たれ、来たれ、来たれ――」
 祈りのように、或いは誓いのように。紡ぐ言の葉は彼の身に宿るサイキックエナジーを励起し、白霧漂う空間を押し広げる。その向こう側より現れ出るは漆黒の鋼鉄、高さ9mに届こうかという巨大なる機械鎧。『ブラックバード改』、ミストの愛機たる人型機動兵器である。
 その操縦席に腰掛け、マシンヘルムを頭に被れば。ヘルムの目元を覆うパーツと、両腕のガントレット型デバイスに光が走り。高められたサイキックエナジーが黒鎧の四肢末端まで行き渡り、巨躯の全てがミストの意思の下へと置かれる。
 背と腰のスラスターが、プラズマの炎を上げる。生み出される推進力が鋼鉄の巨兵を前進せしめる。迅速に、それでいて繊細に。瞬く間に、前方にて戦闘中の『こどもたち』へと追いついた。
「わ、なになに?」
「でっかい…」
 突如現れた巨大なる姿に『こどもたち』が驚き、その手の刃物を煌めかせる。殺人衝動全開の彼ら、人の形をしたものであれば何でも切り刻んでしまいたいという欲求に駆られているのが見て取れる。
「僕は猟兵。君達と…共に戦わせてくれないか」
 静かな、しかし確かな声音で呼びかけるミスト。なれど言葉だけでは衝動を抑えるには不足であろう。故に、更なる手。尚も迫るオウガ――南瓜頭のブギーマン達を、ブラックバードの視座に捉えながら。
(――来たれ、来たれ、来たれ――!)
 心中の祈念は先程よりも力強く。それが届いたことを証立てるかのように、彼らの在る街路に影が差す。驚き見上げる『こどもたち』は見る。霧の向こうに浮かび上がる、超巨大な空飛ぶ船を。
 それは異次元より顕現せし亡霊宇宙戦艦。視界を埋め尽くすかのような、あまりにも巨大なる威容から、更に無数の人影が降下してくる。手に手に異様な形状の銃や剣を携えた戦士達。異次元世界の住人、精神生命体の歩兵部隊。
 そして、彼らが地に降り立つのを待たずミストは動く。ブラックバードがスラスターを吹かし、ブラズマの炎を棚引かせブギーマンの群れへと突入。彼らの鉈が迎えるが、鋼鉄の機体は僅かに刃の痕が刻まれるのみ。対するように、両肩へ異様な形状の小型砲じみた発射装置が形作られる。ミストの意思がそこより放たれる散弾を想起すると同時、圧縮されたエネルギーの散弾が刹那の豪雨じみて吐き出され。前方の南瓜頭の全身が穿たれ引き裂かれ一撃で襤褸屑と化し消し飛んでゆく。
 その攻撃をどうにか乗り越えた者達へは、降下を果たした歩兵部隊が襲い掛かる。オウガも少なからぬ数が集ってはいたが、歩兵達の圧倒的な数と統率、異形の武具の前に全うな抵抗も叶わぬまま斬られ、穿たれ、倒れてゆく。僅かに生き残った者は怨念と共に立ち上がろうとするが、ミストが機体を介して放った念動力によって押し潰される。
「うわぁ…」
「すっごぉい…」
 あまりにも一方的なその蹂躙。『こどもたち』はそんなミストと精神生命体らの戦いぶりに瞳を瞬かせ、一時、己の殺人衝動さえも忘れて見入っていたとか。
 しかしミストの交戦地点より遠方に現れた敵に気付けば、やはり集団で飛び掛かり瞬く間に解体してゆく。喜悦の表情を浮かべつつも、その意識はやはりミスト達へ。
(…随分と気を引けていますね)
 巨大ロボットを駆り、圧倒的な体躯差で蹂躙してみせるその様相。『こどもたち』の興味を惹くには充分すぎたようだ。
(しかし。これなら衝動も多少は抑えられるでしょうか)
 敵を殲滅して存在感を示しつつ、戦闘時間を短縮。そうすれば、殺人衝動を過度に惹起されることもないだろう――それが、此度のミストの判断であった。
(いずれにせよ、敵は殲滅するのみ)
 その判断、恐らく凶ということはないだろう。そう願いつつ、肩部ユニットに更なる砲撃を行わせ。南瓜頭の新たな集団を、吹き飛ばしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月白・雪音
…子の成長とは未来そのもの、私達猟兵が守るべき財産です。
この子らの未来を守らんとしたこの国の住民に、この子ら自身が応えようとするのならば、
その想いを摘ませるわけには参りませんね。


UCを発動し、野生の勘、見切り、カウンターを用いて
カボチャの蔦を切断し敵の攻撃に対応しつつ子供達や他の猟兵を守り、
同時に怪力、部位破壊、残像の高速戦闘にて殲滅
撃破速度が足りなければグラップルにて敵を掴み、範囲攻撃で敵そのものを武器として周囲を一掃


…貴方達がこの死地において戦うことは、この国を守る単なる手段に過ぎません。

『自分が今ここに居る』という意識は崩さずに。
戦いが終わった後、この国の皆様に褒めて頂きたいでしょう?



 尚も大挙して攻め来る南瓜頭のブギーマン。数に劣る『こどもたち』は手近な建物の中へと逃げ込む。追うブギーマンだが、狭い戸口は一度に一体しか通れぬ。潜り抜けたそこを『こどもたち』の兇刃が襲う。為す術なく倒れる南瓜頭。
 続いて侵入した南瓜頭、だが一体ではない。すぐ横の窓から飛び込んできたもう一体が、アイスピックを振るう少年の背後へ回り込む。少年は眼前の南瓜頭を斬り刻むに夢中と見え、背後の脅威に気付く様子もない。ブギーマンは鉈を振り上げ、少年の後頭部へ叩き付け――
「破ぁッ!!」
 裂帛の気合と共に、打撃音。ブギーマンの肉体が「く」の字に拉げて、窓を突き破り街路へ叩き出される。背後の音に気付いて振り返った少年が見たのは、白い髪に白い肌、白い虎の毛皮に身を覆った女性の姿。唯一その瞳だけが真紅の輝きを放つ。
「…子の成長とは未来そのもの、私達猟兵が守るべき財産」
 其を奪わせるわけにはゆかぬ、と。決然と呟く月白・雪音(月輪氷華・f29413)、驚きの表情で己を見上げる少年、彼の背後の子供達に気付けば向き直り。
「この国を守らんとする、貴方達の想い。尊きものと思います。故に、助成に参りました」
 語りかける表情は、感情の見えぬ無表情。なれど声音は柔らかく、温もりを帯びて。警戒していた様子の『こどもたち』の表情が緩む。だが、そこに。
「っ! うしろから…!」
 少女が叫ぶ。建物の裏口と思しき方面から、複数体のブギーマンが踏み込んできた。鉈握る腕は、其を形作る蔦が伸びたことで長く、遠くまで届くようになり。以て遠間の『こどもたち』を斬り刻まんとその腕を振るい――
「子供達に、手出しさせません…!」
 決然たる声音が室内に響くと、雪音ブギーマン達の懐へ飛び込むは同時。一拍遅れ、平手に揃えた腕を振り抜く。直後、業物の刀でそうされたかのように、南瓜頭達の蔦の腕が綺麗な断面を残して裂け。直後に繰り出された拳打が、腕を失い悶える南瓜頭を粉砕、打倒する。
(――この後ろにも、まだ何体かいますね)
 眼前の南瓜頭は残り一体。なれどその向こうには未だ複数の敵の気配がする。遅れは取らぬが、迅速に排除するに越したことはない。ならば。
 雪音の身が沈むと共に、ブギーマンの腰を捉えるタックルを繰り出す。そのまま押し倒すと、腰を抱えてその上半身を引きずるような姿勢へ移行。裏戸口を見れば、やはり侵入を果たさんとする南瓜頭が複数。やはり纏めて片づけるべきだ。
 身体を横へと回転させ、掴んだブギーマンの身体を振り回す。所謂ジャイアントスイングである。振り回されるブギーマンの身体を質量武器と為さしめて、後続の彼らを次々と殴り飛ばし、裏戸口から叩き出して。最後は抱えたブギーマンも裏戸口より放り出し、多重衝突させて仕留めてみせた。
 裏戸口側にもう敵がいないことを確かめ、改めて表側へと視線を移せば。『こどもたち』が最後の南瓜頭を斬り殺すところであった。崩れ落ちる怪人、その身より噴き出した体液を浴び、歪んだ笑みを浮かべる少年。他の少年少女も、似たような笑みをその顔に浮かべていた。
 そんな少年の肩に置かれる、柔らかな手。雪音のものだ。振り向く少年の笑みが、不思議そうな驚きに取って代わる。
「…貴方達がこの死地において戦うことは、この国を守る単なる手段に過ぎません」
 その手段が、目的と成り果ててしまわないように。穏やかな、しかし確たる意志を感じさせる声音で、雪音は語る。彼女もまた、その心に闇を飼う殺人鬼。闘争を希求する獣の心を宿す者。そんな彼女を人たらしめる『武』を、眼前の子供達は恐らく知り得ていないだろうけれど。それでも、伝えられる言葉はある。
「『自分が今、ここに居る』――その意識だけは崩さないで、忘れないで」
 本来この国に住む民が、戦いが終わり、戻ってきた彼らが。『こどもたち』の未来を守らんとした彼らに、応えたことを褒めて欲しいならば。表情は相変わらずの無表情ながら、優しく、諭すように語る雪音に。
「…うん、わたしたち、みんなを守りたい」
「ぼく達に良くしてくれた、みんなのために」
 一瞬はっとした表情を浮かべた後、頷く『こどもたち』。既にその事実が零れ落ちかけていたか。危ないところであったと、内心安堵する雪音。
「大丈夫、貴方達は私が守ります。共に、この国を守りましょう」
 その心を支えつつ戦う。意志を新たに呼びかける。応を返す『こどもたち』と共に、次なる敵を迎え討たんと街路へ飛び出してゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
はぁ…僕は美女と遊ぶ方がいいですが
ちびっ子は趣味じゃないですけどね

【戦闘知識・視力・情報収集】
子供達と敵の状況
立ち位置等と交戦状況を正確に把握
特に子供達の状態は念入りに確認

お前らは中々良い子のようですね
欲望や本能を抑える倫理もしっかりしてる
ちょいと手を貸してあげましょう

UC発動
殺戮衝動が暴走しそうな子供に対しては己が傷付こうと抑え落ち着かせる

はい我慢しなさい(血塗れに

安心しなさい
僕には衝動はない(精々性的なのや金銭ですし

だから任せなさい
傷を負いながらも狂戦士として敵に襲い掛かり
【捕食・二回攻撃・盗み・盗み攻撃】で鉈を奪いそれで叩き切りながら南瓜頭を齧る
不味い(ぺっ

…何…孤児の頃を思い出しただけ



 大きな通りが交差する十字路の上、数名の『こどもたち』がブギーマンの群れと交戦していた。数の上では圧倒的に不利、なれど殺人衝動を全開とした彼らはその中にあって尚、互角以上の戦いを見せていた。
 剃刀やマチェットが振るわれるたび、南瓜頭が砕け崩れ、体液が噴き出る。それらを浴びる『こどもたち』の表情が喜悦に歪む。しかしすぐに表情を引き締め、次の敵へ。
 そんな『こどもたち』の人数が、いつの間にか一人増えていた。彼らよりもやや年長の、黒衣の少年。気付いた少女が驚いた声を上げると、少年――カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は軽い調子で片手を上げて応える。
「己の心身を危険に晒してでも、守りたいもののために戦う。お前らは中々良い子のようですね」
 故に助成に来た、と答えるカシム。その間にも『こどもたち』はめいめいに南瓜頭達との交戦を続け、カシムもまた、彼らや敵集団、そしてこの場の状況を正確に把握せんと視線を巡らせ続けていた。
(欲望や本能を抑える倫理もしっかりしている。大したものです)
 カシムの見立てる限り、現状の『こどもたち』は殺人衝動のままに戦っているとはいえ、それに呑まれる様子は見えない。確たる目的意識の賜物か、と内心にて感心する。
(…まあ、ちびっ子は趣味じゃないんですけどね)
 一方のカシム自身はしっかり欲望を抱えていた。とはいえ彼の好みは年上の女性。年下の少女しかいないこの場には彼の欲望を刺激する要素はなく、その点を内心残念がっていたが。
「…その頑張りに免じて、ちょいと力を貸してやるとしましょうか!」
 それはそれ、と気持ちを切り替え、迫る南瓜頭達を見据え――向けた瞳が見開かれ、全身が禍々しき深紅のオーラに包まれる。それはかつてアックス&ウィザーズの帝竜戦役にて相見えた帝竜が一、ベルセルクドラゴンを思わせる狂猛たる闘気。
 南瓜頭の群れへと吶喊。振るわれる鉈を避けもせず、ナイフを南瓜頭の喉元へ叩き込む。鉈はカシムの肩へ食い込み出血を強いる。だがカシムは止まらぬ。
 そのままナイフを振り回し、都度ブギーマンを斬り裂き潰して回り。反撃にて傷が重なるも、ユーベルコードによりそれらもまた更なる活力となる。殲滅が加速する。
「…! あれは、まずいか…!」
 ふとカシムは気付く。並行して交戦を続けていた『こどもたち』、そのうちの一人の少女の様子がおかしい。立ち回り自体は無駄なく滑らかなのだが、攻撃があまりにも執拗。まるで、敵を傷つけ殺めることに喜悦を覚えているかのように。
 あのままでは遠からずオウガと堕する。判じたカシムは駆け出す。少女が振り下ろしたククリナイフ、その一撃を肩にて受け止める。食い込む肉、噴出す血。オウガならぬ存在を傷つけた事実に、少女ははっと驚愕しその手が止まる。
「――はい、我慢しなさい」
 穏やかなカシムの声が少女へかけられる。纏う剣呑な雰囲気とは似ても似つかぬ、確たる理性に基づいた声だ。
「安心しなさい。僕に衝動はない」
 あくまで、この行動も理性によるものと説く。実際、カシムに殺人欲求などは無い。あるとすれば、性欲と金銭欲か。
「だから、任せなさい。お前らは、不味いと思ったら退く程度で大丈夫」
 そして眼前の怪人達へと向き直り、振るった腕で鉈を奪い取る。振り下ろせば、丈夫な鉈に持ち前の膂力、負傷に伴う力の上乗せ。それらの要因により南瓜頭はあっさりと我、中身が溢れ出る。そこへ齧りつくカシムであったが。
「……不味い」
 すぐに吐き捨てた。一連の行動を不思議そうに見る『こどもたち』へ。
「…何…孤児の頃を思い出しただけ」
 応えたカシムの表情は、何処か闇に沈んだかのようにも見えたとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

九重・灯
人格は「オレ」だ。
聞いちゃいたがガキしかいねえな。と、眉をしかめる。
だから、尚更だ。最悪の事態にならないようにオレ達は来たんだ。

戦ってるヤツらの頭上を飛び越えて、建物の屋根の上に着地する。
『ダッシュ3、ジャンプ3、空中浮遊3』
ハデにいくぞ。それが味方が来たってコトを広く知らせることにもなる。
UC【朱の獄界】。血を代償に朱の契約印から魔炎を喚ぶ。
『属性攻撃15、範囲攻撃5、呪詛6』

「猟兵だ、加勢に来たぞ! だからオマエら頭冷やせ。バケモノの同類にはなりたくねえだろ!」
剣で残りの敵に斬り掛かる。あのUCは無制限に撃てねえからな。
「こどもたち」のまだ元気な者は敵の掃討を。傷が深い者は下がらせる。



 ブギーマンの鉈が振り下ろされる。潜り抜けた少年の鋸が南瓜頭へ食い込み、引き込むに従って裂け割れる。横合いから別のブギーマンが鉈を振るう。少年の腕に食い込み鮮血が弾ける。そのブギーマンを背後からピッチフォークで串刺しとした少女もまた、頭から血を流していて。
 霧に濡れた石畳を駆ける、黒髪セミロングの少女猟兵――九重・灯(多重人格者の探索者・f17073)は、視線の先で繰り広げられる、正しく殺し合いと称すべき様相に眉根を寄せる。
「…聞いちゃいたが、マジでガキしかいねぇな」
 唇から漏れた言葉は、あどけなさ残る貌立ちに反し男性的で乱暴なもの。多重人格者である彼女、今は荒事担当の副人格に、その肉体の主導権を渡していた。
 しかして声音に滲む感情は決意。幼い子供しか居ないからこそ。自分達は此処に来た。最悪の事態を防ぎ、最良の結果へ導くために。石畳を蹴る脚に、より一層の力が籠る。
 交戦する『こどもたち』と南瓜頭の群れを眼前としたところで、一瞬、灯の身が沈む。そして疾走の加速に下肢のバネを乗せて、一気に跳躍。己らを飛び越えてゆく影、風を巻き上げてゆくかのような勢いに、双方ともが意識を向け視線で追う。
 果たして、飛び越えた先の煉瓦造りアパートメントの屋根へと着地した灯。見上げる『こどもたち』と南瓜頭を見下ろして。
「ガキ共! オレは猟兵だ、加勢に来たぞ!」
 宣言に続いて、口元へ当てた左親指を自ら噛み裂く。赤い鮮血が滴り落ちたかと思えば、其は地へ落ちるより先に蒸発する。同時に、灯の左腕で輝く朱き紋様。
「――朱の王よ、契約に従い力の一端を顕現せよ」
 左腕を掲げれば、紋様より迸る朱き炎。灯の頭上へ立ち昇り、渦を巻く。それは彼女の身に宿る『力』、供物たる血液と引き換えに顕現する朱き獄炎。
「その名の色を以て、世界を染め上げろ…!!」
 掲げた腕を、一気に振り下ろす。頭上で渦巻いていた炎が、朱き瀑布が如くして地へと降り落ちる。広がった炎は嵐が如く吹き荒れ、巻き込まれた南瓜頭達へと食らいつき、その身を包み。瞬く間に、灰も残さず焼き尽くしてゆく。『こどもたち』には火傷一つ負わすことなく。
「…す、ごぉい…」
 なれどその猛威、『こどもたち』を圧倒するには充分で。
「頭冷えたか。オレも力を貸してやる、だから無茶すんな」
 紋様の輝き失せた左腕を抑えつつ、『こどもたち』へと呼びかける灯。己の力示すことによって、これだけ強力な仲間がいるという安心感を与え、以て魂を闇へ傾け過ぎるを防ぐ。その試みはうまくいったと言えるだろう。
「…! まだいる!」
 だがそこで少年が叫ぶ。路地の向こうから、更なる南瓜頭の一団。『こどもたち』は得物を構え迎え撃たんとする。腕を裂かれた少年、頭に傷負った少女も同じく。
「だから無理すんなっつったろ!」
 そんな彼らの前へ、灯は背を向けて立つ。振り返りながら、傷ついた彼らに下がるよう促す。
「無茶して暴れ回ったって死ぬだけだ…いや、それじゃすまねえ。あのバケモノ共の同類になりたかねえだろ」
 有無を言わせぬ語気の灯に、言い募らんとした少年と少女は数瞬の間逡巡するが、やがて観念した様子で一歩下がる。
「よし、後はオレに任せておきな。お前らも無理すんじゃねえぞ!」
 未だ負傷の軽い『こどもたち』に呼びかけつつ、灯は剣を抜く。赤みを帯びた刀身は片刃、柄の長さも合わさり結構な大振り。先の朱の獄炎は、少なからぬ大小を追うが故に多用できぬ。後は、この剣を以て戦うのみ。
「…よし、行くぜ!」
 先陣を切るように灯は駆ける。長剣を振るい、目前のものから南瓜頭を薙ぎ倒す。大振りの剣は、時に複数の敵をも纏めて薙ぎ払い得る。取りこぼしは『こどもたち』が仕留めてくれる。ならば己は最前線で暴れ回るのみだ。
 そんな即席の連携を以て、灯は次々と敵を打ち倒していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

勿海・きいな
壊す力を…本当に、壊すことにしか使えないディガンマよりは…子供たちのほうが、立派ですね…
わたしが、彼らと似たようなもの、だからそう思いたいだけかもしれませんが…

冬至には、少し早いですが…南瓜刈りといきましょうか…
南瓜。ええ、はい。あれはただの南瓜です…
南瓜ごときに、殺"人"衝動を全開にする必要は、ありません…
すぱぱーんと、適当に刈ってしまえばよろしい、です…

わたし自身は、「引き裂き喰らう混沌」で呼び出した無数の牙・爪・瞳を持つ不定形のぐちゅぐちゅを差し向けて、鉈も蔦も南瓜も纏めてバリバリしておきますね…



 徐々に数を減らしてゆくブギーマン達。だが、この区画には未だ少なからぬ南瓜頭の一団が蠢いていた。『こどもたち』に気付いた彼らは一斉に飛び出し、鉈を振り回し迫る。各々の凶器を以て迎え撃つ『こどもたち』。
 そんな彼らの戦いを見つめる白き人影。白い髪に白い肌、装いは白き衣。霧に溶け込まんばかりに白い姿の中、瞳だけが鮮やかな赤。その瞳に『こどもたち』の姿を映す。
「…立派、ですね」
 壊す力を、ただ壊すばかりでなく、守る為に用いることができる。少なくとも彼女――勿海・きいな(強化人間のUDCエージェント・f30730)にはそう映る。或いは其れは、彼女自身も、過去の悲劇の末にその身へ邪神を宿した見――即ち「心の裡に破壊的な存在を宿す」という共通項を有するが故、かもしれないが。
 いずれにせよ、彼らは庇護すべき存在。ならばこうして見守るのみとはゆかぬ。きいなは歩みだす。殺戮の場へと。

「あうっ!」
 大鋏を掲げた少女が、辛うじてブギーマンの振るった鉈を防ぎ止める。だがその衝撃を殺し切れず、たたらを踏む。そこへ踏み込む南瓜頭。追撃の鉈を振り下ろそうとし――
「っ!?」
 その直前。少女の横合いから飛び出してきた黒い影が南瓜頭に飛び掛かる。それは獣、否、如何なる生物分類にも当て嵌まり得ない、不定形の怪物。全身に無数の牙・爪・瞳を全く無秩序な形に具えた、冒涜的なカタチの存在。南瓜頭を包み込んだかと思えば、その内側から響くは湿った咀嚼音。時々乾いた咀嚼音。そこで何が起こっているかは、語るまでもなく。
「危ないところ…でしたね」
 辿々しい声。少女が振り返れば、そこに在るのは白い影――きいなだ。
「私は猟兵…皆さんを、お手伝いに来ました。…では、南瓜刈りと、いきましょうか」
 冬至にはまだ早いですけど、という彼女の言葉に首を傾げる少女。あれは南瓜の頭を持つオウガでは? そんな疑問も脳裏を過ぎったようだが。
「いいえ、いいえ。あれは南瓜。ただの南瓜です…」
 辿々しい口調に反し、有無を言わさぬ程に迷いなききいなの言葉。そう断言されれば、そんな気もしてきてしまう。
「はい。ですので…すぱぱーん、っと適当に刈ってしまえばよろしい、です…」
 急に軽い物言いとなるきいな。だがこの発言には意味がある。敵を生ある存在でなく、只の食物と断定する。人ならざるものに殺『人』衝動は無意味。以て、殺人衝動の抑制を図るのだと。
 その論理に戸惑い気味だった『こどもたち』だが、いざ実践するとなるとその意味はすぐ理解できた。それぞれに得物を振るい、迫る南瓜達を次々と『収穫』してゆく。或いは、有害生物の繁殖を防ぐ『間伐』にも似ていようか。
「いずれにせよ…殺人衝動を全開として戦う相手ではない、ですから」
 きいなは一人納得した風で頷き、再度ユーベルコードを行使。呼び出した名状しがたいなにかが、増殖を繰り返しながら南瓜達の頭を喰い尽くしてゆく。

 そんな猟兵達の猛攻の前に、ブギーマン達は壊滅状態に追い込まれていったのである。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ディガンマ』

POW   :    引き裂く獣腕
単純で重い【獣腕】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    恩讐の獣霊
【周囲の廃品や不用品と融合する】事で【獣性を露わにした姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    縫い留める獣爪
命中した【獣腕】の【爪】が【怯えや劣等感を掻き立てる「恨みの針」】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠虚空蔵・クジャクです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「やはり来たか、猟兵達」
 ブギーマンの群れを粗方片づけたところに、歩み寄ってくる一人の男。無造作なその歩み、だが猟兵達には分かる。この存在はオブリビオン、そして彼こそは猟書家の一人『ディガンマ』であると。
「何故だ。何故俺達の邪魔をする」
 ディガンマが猟兵達に向ける視線は、憎悪に満ちて。まるで、大切なものを理不尽に踏みにじられたかのような。
「俺達は、過去に追いやられた、遺棄されたものの怨念だ。過去を封じて未来を謳歌せんとする者達のな」
 鋭い眼光を、猟兵達と『こどもたち』へと向けるディガンマ。その手では獣の爪が鋭く輝き、今にもその爪で敵を殺さんばかりの剣呑さだ。
「それがなんだ!」
「わたしたちは、わたしたちの国を守る!」
 一方の『こどもたち』も負けてはいない。口々に、己の目的を語ってみせて。明確なる理想。その実現の為に、己の魂を賭ける覚悟を込めて。
「――いいだろう。ならば、戦いあるのみ」
 身構えるディガンマ。その姿は正しく獣。破壊の意志をカタチにしたかの如き様相。対抗して構える『こどもたち』も何処か腰が引けている。
 ここは彼らを鼓舞し、以て共に戦うべきであろうか。無論、彼らが力に飲まれぬ為の方策は必要であろうが。
「殺人鬼達も、猟兵達も。お前達の力で超えられぬ『例外』があることを、知るがいい…!」
 ディガンマが駆けだす。猟兵達も武器を構え、これを迎え撃つ…!
九重・灯
引き続き人格は「オレ」のままだ。

「ぷ、くくっ、ああワリィ」
だが笑わせてくれるじゃねえか。
「『例外』だ? 自分のコトをそう言うんじゃ世話ねえな。オマエよりも理不尽なヤツらなんて幾らでもいるんだよ。知らなかったのか?」

出血大サービスだ。
UC【朱の王】。再び血を代償に魔炎を喚び、こんどは四肢と武器に纏う。
「我ら、狂気を以て狂気を討つ!」

相手の攻撃を潰すようにカゲツムギの黒刃を足元の影から突き上げ、
『串刺し8、カウンター5、見切り5、体勢を崩す5』
魔炎剣・アザレアで斬り掛かる。
『属性攻撃15、怪力7、切断6、呪詛6、部位破壊5、2回攻撃5』

「……なあディガンマ、アイツらはオマエの仲間にはならねえよ」


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
『何の為に』という立場が真逆ですからねぇ。
お相手させていただきますぅ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、射程内で可能な限り距離を取りますねぇ。
『FRS』は私より上、『FSS』は『私の前面ギリギリ』に配置、足場に使われない様注意しますぅ。
そして『子供達』の『遠距離攻撃可能な方』に呼掛け、共に射撃を行いましょう。
彼が私を狙えば『子供達』に頭を押さえて貰い、『子供達』を狙えば私からの[援護射撃]で足止めしますぅ。
この場合、彼は『被弾覚悟で何方かを狙う』でしょうが、その判断の隙を狙い【処檻】を発動、『棘』のダメージに『子供達』との集中砲火を追加、止められている間に確実に削りますねぇ。



「っらぁぁっ!!」
 ディガンマの左腕、獣の態有する腕が振り下ろされ。轟音と共に、石畳が深く広く爆ぜ飛びクレーターめいた陥没がその場へ生ずる。破壊的なその一撃を跳躍して躱す猟兵達。目で追うディガンマ、その眉がぴくり、と跳ねる。
「…何が可笑しい?」
「ああ、いや、ワリィ」
 訝しげな指摘に応えたのは、彼の左方へ着地した九重・灯(多重人格者の探索者・f17073)。誤魔化すとも開き直るとも見える笑みは、先程までと同じ人格。
「…だが、笑わせてくれるじゃねえか」
「何だと?」
 今度は眉根を寄せるディガンマ。
「『例外』だ? 自分のコトをそう言うんじゃ世話ねえな」
 言葉と共に灯の笑みが形を変わる。明確な嘲りと、そして苦々しさを滲ませる笑み。
「オマエよりも理不尽なヤツなんてな、この世に幾らでもいるんだよ」
「ふん」
 知らなかったのか? と言わんばかりの灯に対し、ディガンマは鼻を鳴らし応える。
「無論だ。故にこそ俺はここに居る。理不尽に棄てられた者達の怨念として」
 理不尽に満ち満ちた世界であるからこそ生まれた『例外』、それこそが己である。ディガンマの口ぶりは、己をそう定義しているかのようで。
「――『何の為に』という立場が真逆、ということですねえ」
 ディガンマの右方より両者の遣り取りを眺めていた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、そう結論づける。現在を未来へ導く為の戦い、現在を過去へ堕とす為の戦い。元より猟兵とオブリビオン、相容れるはずのないことを、改めて認識する。
「ならば、これ以上の議論は無意味でしょう」
 四肢に嵌めた戦輪が回転し、るこるの身を上空へ浮かび上がらせる。その頭上に浮かぶは十六基の浮遊砲台、前面に配されるは八基の盾付き砲台。以前相対したオブリビオンにこれらを足場と使われ近接攻撃を受けた、その反省に基づく配置。
「――お相手させて頂きますぅ!」
 そのるこるの宣言が、そのまま攻撃開始の合図となった。計24基の砲台から放たれる熱線と炸裂弾。ディガンマの周辺へと降り注ぎ、石畳を灼き焦がし、或いは爆ぜ抉る。
「うおっ! 思った以上に派手にやりやがるな!」
 直前に跳躍し距離を取っていた灯。想定以上の勢いで吹き荒ぶ爆風に身を煽られかけるも着地。携えた斬鎧剣を抜き放つ。空いた手をその分厚い刃へ押し当てれば、赤い刀身を尚朱い血が滴り流れる。
「そんならオレも…出血大サービス、だ」
 滲み流れる血に火が灯り、瞬く間にその勢いを増す。
「――骸の海に沈み眠る朱の王よ」
 其は彼女の身に宿る契約。供物たる血液と引き換えに顕現する、邪神の力。
「その力の一端を顕現せよ――」
 迸る朱炎は灯の四肢と、構えた剣とに纏わりつく。近接戦の型。
 砲撃にて巻き起こった爆風から飛び出す影。ディガンマ。左の獣腕を振り上げ灯へ迫る。
「――我ら、狂気を以て、狂気を討つ!」
 振り上げた直剣が獣腕と激突。纏われた炎と獣腕の齎す衝撃とがぶつかり合い、朱の衝撃波となって四方へ散る。勢いを殺し切れず吹き飛ぶ灯、だがそれは一方的な打ち負けを意味せず。
「…ちっ!」
 ディガンマの舌打ち。全て弾き飛ばしたと思った炎が、彼の獣腕へ纏わりつき焼き焦がす。そればかりではない。
(ぐ…っ!? この炎…まさか魂までも焼くというのか!?)
 肉体の更に奥底まで伝わるかのような熱。己の存在の本質、魂までも焼くかのような痛みにディガンマの表情が歪む。
「ちぃ…っ! ならば貴様から、ぐっ!?」
 体勢を崩したままの灯へ攻撃を仕掛けんとしたディガンマ、その背に突き刺さる複数の痛み。
「わたしたち、負けないんだから…!」
「殺すっ、お前だけは殺す…!」
 銃、ボウガン、スリング。様々な飛び道具系の凶器を構えた『こどもたち』が、次々とディガンマ目掛け射撃を繰り出していた。その威力の程に、ディガンマの表情が顰む。
「…良いだろう。ならば、貴様らからだ…!」
 目標変更。ディガンマの脚が『こどもたち』目掛け疾走を開始する。させじとばかりに降り注ぐるこるの砲撃を、稲妻じみた足運びでかわす。熱線に身を灼かれるとも構わず駆ける。
 瞬く間に『こどもたち』を間合いに捉え。彼らの射撃を回避することもなく、その腕を狙い定めて振り上げる。
「――死ね。そして、俺達と共に来るがいい」
 必殺の獣腕が、『こどもたち』の最前、少女の貌に影を落とす。仲間達が、一瞬後の惨劇を幻視しかけた…その時。
「大いなる豊饒の女神の名に於いて、仇なす者達に厳格なる裁きを――」
 乳白色の波動が戦場を駆け抜ける。『こどもたち』に変化は無し。だが、ディガンマは。
「が…っ!?なん、だ、これ…は…!?」
 振り上げたままの獣腕が、振り下ろすこともできぬまま、見えざる戒めに捕らわれて。更に全身へと突き刺さるは、空間から形作られた棘。強大なるオブリビオンたるディガンマにはよく効くであろう一撃。
「…間に合って良かったですぅ」
 そんなディガンマを見下ろしつつ、呟くるこる。それは彼女のユーベルコード。超重力に捉えた敵へ棘を突き刺す、拘束と反撃のユーベルコード。
「なん…の…! この程度ならば、まだ…!」
 なれど戒めを脱し、更なる攻めを続けんとするディガンマ…であったが。
「そうはいかさねえよ」
 振り返れば、体勢を立て直した灯の駆け迫る姿。獣腕振るう一撃を、影から伸びた黒刃が押し止めて。
「あいつらを…お前と同じようには、させねえ…!」
 振り下ろされたアザレアの刃が、猟書家の胸を、深く斬り裂いてみせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カシム・ディーン
何故邪魔をするか?
そうですね…

気まぐれですよ
僕も親にはぽい捨てされた身ですしね
特に珍しくもない
腐るほどいますしそんな子らはそれなりにはいました
(世話した子達は今どうしてるだろう…そんな想いを馳せ

おいお前等(子供達へ

この国には当然お宝はありますよね
そのお宝と美味しいシチューを寄越せ
それでこの獣を叩き潰すとしましょう

UC起動
【戦闘知識・視力・情報収集・医術】
獣は強い
そうでしょう
(それでも癖とか戦い方はある

周囲の子供達の状態と戦い方を分析し

よしお前等

僕が追い込みますので支援頼みます

【属性攻撃】
炎を全身に付与

己は正面から激突

【武器受け】で致命は避けて

UC発動
全身を溶岩に変え焼き尽くす!!



「…次が来たか」
 裂かれた胸の傷を確かめつつ、ディガンマは次なる敵――猟兵の気配を感じ其方へ意識を向ける。街路に面した建物の、煉瓦造りの壁面――否。
「…気付かれましたか。流石に猟書家となると不意打ちは難しいですね」
 煉瓦の継ぎ目を映す空間が歪み、黒衣の少年――カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の姿が現れる。直後、跳躍。一瞬前までカシムが居た空間を、ディガンマの獣腕が薙ぎ払う。
「やれやれ、気付いたと思えば即座に攻撃とは…油断も隙もない」
 着地した先に、手に手に血塗れた刃物携えた『こどもたち』が駆けてくる。彼らの様相を一瞥し、カシムの貌に一間、影が差す。
 思えば己も、親に捨てられた身の上。尤も、同じような境遇の子など彼の生まれた世界では珍しくもない。そして、生きる為に幼い手を罪で汚す者もまた少なからず。
『こどもたち』の表情が、かつて己が世話を焼いた子供達と重なる。生き別れて久しい彼らは、今何処で何をしているのか――刹那、想いを馳せるが。
「――おい、お前等」
 そのような場合ではない。郷愁めいたその感情を振り払うように、カシムは『こどもたち』へと声をかける。
「この国には当然、お宝はありますよね」
「おたから?」
 何それ、と言わんばかりにきょとんとした表情を浮かべ、次いで互いに顔を見合わせる『こどもたち』。カシムは悟る。己の期待するようなお宝はなさそうだ――と。
「…仕方ありません。ならば、後で美味しいシチューを寄越せ。それで――」
 この獣を叩き潰す。そう言い切るより早く、追いついたディガンマの獣腕が降って来た。疾走。懐を抜けるも脇腹に鋭い痛み。獣のものでない腕にも爪。あれで以て抉られたか。
『こどもたち』が一斉にディガンマへと飛び掛かる。ナイフのような小ぶりな刃物を持つ者、刀剣サイズの刃を振るう者。それぞれの得物を以てディガンマへ斬りつける。手数の差は歴然、なれどディガンマ、無傷とはいかずとも明確に有為な負傷は回避。両手の爪を閃かすたび『こどもたち』の血が霧の中へ散る。やはり彼らだけでは荷が重いか。
「…よし。お前等!」
 なればやはり己が動くより他にあるまい。ディガンマの背より駆け迫りながら叫ぶ。
「僕が追い込みます! 支援を!」
 その手に抜いたナイフでもってディガンマへと斬りかかる。振り返った彼の拳に手首を打たれるが、想定の内。ナイフを落とさぬよう堪え、その懐へ。同時、取り出すは宝石の嵌め込まれた半仮面。
「万物の根源よ…帝竜眼よ…炎の竜種を束ねし竜の力、今こそ我が身に示せ…!」
 詠唱と共に仮面を己の顔へ。直後、カシムの全身が赤き輝きと熱とを帯びて溶け崩れる。否、溶岩へと形を変えてゆく。
 それはかつて帝竜戦役の折に相対した帝竜が一――ガイオウガの力の一端。大地を焼き尽くす程の猛烈な熱と炎は石畳をも溶解せしめ、そして眼前の獣をも焼き尽くさんと押し包みにかかる。
「ちぃ、面倒な…ぐっ!?」
 舌打ちし、退かんとしたディガンマの背に突き立つ衝撃。『こどもたち』の繰り出した刃が彼の背を突き刺し、斬りつけ。その衝撃を以て、後退せんとした身を押し留める。
 跳び退く『こどもたち』。入れ替わりで浴びせかかった溶岩流が、ディガンマの身をその熱量で以て焼き焦がしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

勿海・きいな
わたしたちが越えられないものがある、それは別にいいのですが…
少なくともそれは、あなたのことではありません…

そしてあなたもまた、わたしたちがあなたには殺せない『例外』であると、知りなさい…
わたしは希否(きいな)
あなたの「自分は猟兵や殺人鬼を殺せる」という希望を、否定しましょう

「引き裂き喰らう混沌」を展開
足元から、背後から、正面側面から、絶え間なく襲い捕食して
こどもたちには怪物に紛れつつ攻撃してもらいます
捕食の際には生命力吸収を併用
吸収した生命力は増殖再生のエネルギーに回します

獣腕には怪物を抑え込むように絡みつかせ、カウンター+早業で捕食
こどもが狙われる際もそんな感じで守ります



 焼け焦げた霧の街の一角、蹲る黒き影。総身が黒く焼け爛れ、然れども未だ生きているもの。その前に立ち、見下ろす白い影。勿海・きいな(強化人間のUDCエージェント・f30730)である。
「…まだだ」
 黒き影から声。直後、影は伸び上がり白き影へとその獣爪を振るう。きいな、脚を引き回避。
「わたしたちに越えられないもの。無い、とは言いませんが…」
 雨雲齎す神剣を、黒き影――ディガンマへと突き付ける。それは、越えられぬものとは彼の事ではない――とする無言の宣言。
「本当に…そう思うか?」
 踏み込み、左右の鉤爪を幾度も振るう。都度、退き躱すきいな、避けきれぬ爪に肌を裂かれ、白き身に紅が滲むも、表情に焦りの色は無し。
「個の力量なれば俺が上だ。届かぬ道理があるまい」
「いいえ」
 あくまで平然と。きいなの紅い瞳が、眼前の猟書家を映して。
「あなたにわたしたちは殺せない。わたしたちもまた、あなたにとっての『例外』…」
 茫洋たる表情、なれど向けられたる視線からは力が滲み。振り払うようなディガンマの爪も、その身を捉えきること叶わず。
「…わたしは希否。希望を否定するもの」
 それこそが彼女の名の由来。そのきいなの足元、蟠る黒が波打つ。
「――あなたの希望を。『猟兵や殺人鬼を殺せる』という希望を」
 波の間から覗く、幾つもの光。視線投げる煌めきが、一斉にディガンマを向く。
「わたしが――否定しましょう」
 宣言と同時、盛り上がった影から一斉に飛び出すは、無秩序なる造形・言葉としがたき鳴き声を有する、冒涜的な混沌の怪物。それぞれてんでバラバラに駆け出しながら、それらは全てディガンマへと群がりにかかって。
「ちっ…! 何度も何度も、煩わし――」
 獣腕を振るい怪物達を潰してゆくディガンマ、だが怪物達は幾度潰され刻まれ裂かれようとも、その都度再生し、または分裂増殖さえしてみせる。これは分が悪いと判じかけたディガンマの背に、痛みと共に突き立つ刃。
「出ていけ…この国から、死んで出ていけ…!」
「ぐっ…!」
 怪物達に紛れ『こどもたち』の襲撃。振り返り反撃せんとすれば退き怪物達へ紛れ。また別の方向から刃が襲う。四方八方からの攻勢に、さしものディガンマも劣勢を認めざるを得ず。
「あなたは、ここで終わりです…その生、全て否定してくれましょう」
 きいなの宣言する、その視線の向こう。獣腕に絡みつかれ身動きの封じられたディガンマ、その全身に、幾つもの刃が突き刺さった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月白・雪音
…私達は過ぎ去り、あるいは忘れられた過去からも繋がる今を生きる者であるが故に。
それは貴方がたとは決して相容れぬものなれば、武を以て語る他無し。
未来を担う子が為に…、そして他でもない、過去への手向けとして。私は貴方の前に立ちましょう。

――真の例外とは、例外の更にその先にこそ在るということを刻みなさい。


UCを発動し、相手の速度には残像、見切り、野生の勘にて対応
怪力、2回攻撃、カウンターにてダメージを重ね、
子供達へ攻撃が向くようであればグラップルにて拘束、
部位破壊にて攻撃の要たる獣腕を破壊する

…忘れることの無いように。
今は侵されている殺人衝動、それは貴方達が『常に勝っている』ものであるということを。


ミスト・ペルメオス
【SPD】

(また気になるようなことを。…だが、)

引き続き、愛機たる機械鎧を駆って戦闘続行。
異界より呼び寄せた部隊は撤収させ、自ら積極的に戦いに臨む。
デバイス等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
市街地や子供達への配慮も可能な限り。そう考えると単独行動も止む無しか。

敵がUCによる強化を果たそうと構わない。
その力ごと打ち砕き、捻じ伏せるてしまえばいい。

変幻自在な特殊兵器をも駆使しての高速戦闘を挑む。
敵の爆発的な速さ、反応速度、そして凶暴性――
それにも喰らい付き追随し、凌駕し、撃ち砕いて、蹂躙する。

【“黒い鳥”】。
遥か過去の伝説、その片鱗に過ぎずとも。

「“例外”は、お前だけじゃない…ッ!」



「…よもや、俺がここまで追い詰められようとはな」
 全身が焼け爛れ、斬り刻まれ。見るからに満身創痍と判ぜられる有様の猟書家ディガンマ。だが、迫る猟兵達を見据える瞳に、戦意の衰えは些かも無く。
「だが、それだけだ。俺の為すことは変わらん」
 石畳を蹴り、駆けだす先には巨大なる機械鎧の姿。ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)の愛機『ブラックバード改』。そしてその足元を駆ける真白き女性。月白・雪音(月輪氷華・f29413)。
「…私達は、過ぎ去り…或いは忘れられた過去からも繋がる、今を生きる者」
「そのお前達が捨て去り、置き去りとした過去。それが俺だ」
 ディガンマの振るった獣腕を、鋭き反応にて躱す雪音。両者の在り方は決定的に違い、決して相容れぬものなれば。
「立ち止まってなど! いられないんだ…!」
 響くミストの声。断続的に降り注ぐエネルギー弾が、雪音とディガンマの間を隔てる。
(また気になるようなことを。…だが)
 先のディガンマの言葉が、ミストの脳裏を掠める。なれど、今は其処を思案すべき時ではない。
「私たちの未来を切り開くために…!」
 己の念動力を全開に、最大限に機体を制御。ディガンマの反撃を、最小限の被害に留めてゆく。
「未来を担う子が為に――」
 雪音の視線が一瞬、二人と共にディガンマへ攻撃仕掛けんとする『こどもたち』へ向けられる。
「――何より、他でもない過去への手向けとして」
 それ故に、己はディガンマと対峙する。構えを取る。殺戮衝動を抑え、昇華せんとする『武』のカタチ。
「そうして、過去を棄て去ろうというならば――」
 なれどディガンマは変わらず身構えて。その周辺、散らばった煉瓦や道具の残骸が、ひとりで宙へ浮き。ディガンマのもとへと集い、そのままひとつへと固まりゆく。
「――過去の恩讐、その身に受けるがいい…!」
 そして露わとなったその姿、煉瓦の装甲纏いし獣の如し。駆け出したかと思えば、獣腕の鉤爪が雪音を狙う。
「く…っ!」
 喉元狙いの一撃、辛うじて躱すが、速い。逆腕の爪による追撃。崩れた態勢では躱しきれず、脇腹を裂かれ出血。
「させるか…!」
 更なる追撃をせんと獣腕伸ばすディガンマの横合いから、煌めく弾丸。ブラックバード改が放つエネルギー散弾だ。
「遅い!」
 だが今のディガンマの速度、雨霰と降り注ぐそれらをも見切り得る。掠める程度に留めての疾走で一気にブラックバード改へと肉薄、横薙ぎの大振りを繰り出す。
「ぐっ!? ちぃ、まさかこの装甲を…!」
 脚部装甲へ深い裂傷。幸い、咄嗟に脚を退いたため駆動系への損傷は無いが、何度も受ければ脚での機動は不可能となるだろう。故に。
(――邪魔を、するな――!)
 ブラックバード改、その纏う雰囲気が一変する。其は機体に刻み込まれた秘匿戦闘プログラム。遥か過去の伝説。秩序を破壊し、全てを焼き尽くしたという『黒い鳥』。その片鱗。
「『例外』は…お前だけじゃない…ッ!」
 過去を以て現在に抗う。その在り方こそ彼と似るが、その意志の向きは真逆。即ち。
「であろうが! 俺の為すことは変わらん!!」
 現在を過去へ引きずり込まんとするディガンマの、獣爪による引き裂き。その機先を制するかのように、ブラックバード改の左腕から伸び出た蒼光が彼の眼前を薙ぎ払う。次いで機体胸部から放たれるエネルギー散弾が、弾幕となって足を止めさせる。
「今だ…っ!」
「斬り刻んでやる…っ!」
 周辺の『こどもたち』が一斉にディガンマへと襲い掛かる。手に手に持つ刃物達を一斉に振り下ろし、或いは突き込んで。
「小賢しい…!」
 だが今のディガンマの反応速度であれば、その林立する刃の中をも切り抜け得る。巧みに身をくねらせ抜け出せば、最前の少年へと獣腕を――
「…ぬっ!?」
 然して振るわれた獣腕は中途で止まる。そこで悟った。獣腕に組みつきその動き留めんとする者あり。雪音だ。
「真の例外とは。例外のその先にあるということ――刻みなさい」
 ディガンマの意識が『こどもたち』へ向いたこの一瞬。ユーベルコードによって更に高めた己の武技。以て捉えた、ディガンマの攻撃の要。そして、それだけではない。
「ぐっ、離せ…!」
 ディガンマは獣腕を無差別に振り回し、雪音を石畳や煉瓦壁へ叩き付けんとする。理由は一つ。彼の腕から響き渡る軋み音と、伴う痛み。即ち。
「ぅ…っぐ…! 離す訳には…いかないのですから…!」
 全身が砕けそうな程の衝撃を何度も受けながら、その手を緩めぬ雪音。軋み音は徐々に大きくなっていき…やがて、折れた!!
「ぐおぉぉおぉぉぉぉぉ!!?」
 獣めいた苦悶の叫び。獣腕は砕け歪み、或いは有り得ぬ方向へと曲がり。最早使い物とならぬは避けられないだろう。
 そこへ襲い来る『こどもたち』の刃が、ディガンマの全身を斬り刻んで。
「これで…終わりだ!!」
 ミストの操縦に従い、ブラックバード改は躍動する。着地、左腕一閃。蒼き刃は空中にて光の波となり。ディガンマ目掛け撃ち放たれる。
「…ここまで…か…!」
 迫る光波を前に、砕けた獣腕を抱えディガンマは呻く。最早、勝負はついたも同然。
「…だが。俺は過去、お前達の棄てた過去。故に滅びぬ…! お前達もいずれは過去となり棄てられる。その時は…俺と共に在ろうではないか…!」
 その叫びを残し。猟書家ディガンマの身は、蒼き光に飲み込まれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月06日
宿敵 『ディガンマ』 を撃破!


挿絵イラスト