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ミズ・ルチレイテッドの華麗なる決闘

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 いつものようにフォーミュラを目指し、キマイラフューチャーを侵略すべく暗躍していたパスト・フォーサイスの目の前に“彼女”が現れたのは、突然のことであった。
「あれは……なんだ!?俺よりメチャクチャ目立ってるじゃねーか!!」
「がおー」
 頭上に浮かぶ漆黒のクリスタルシップ――その威容を仰ぎ、パストは戸惑う。
 なお、今日のパスト・フォーサイスはどこから調達したものか知れないが、ゆるキャラめいたきぐるみドラゴン、だいうるごすくんに騎乗したスタイルだ。困惑するパストと一緒にだいうるごすくんが首を傾げる。
「アハハハハ!我こそは『宇宙船団ルチレイテッド』の盟主ミズ・ルチレイテッド!」
 戸惑うパストを見下ろしながら、ミズ・ルチレイテッドが嗤う。
「パスト・フォーサイス。お前の限りなきチャレンジ魂、気に入った。お前は今から我が力によって『宇宙怪人』となり、私の手足となるのだ!」
「な、なんだって!!」
「がおー」
「拒否権はない!くらえ、スーパービーム!」
「グアーッ洗脳!!!!」
「がおー!!」
 そして、光線!クリスタルシップから照射されたビームはパスト・フォーサイスに逃げる間も与えない!パストは一瞬にして宇宙怪人へと変貌を遂げる!
「う、うおお……!よ、よくわからねえが、なんだか力が漲ってるぜ!!」
「がおー」
 光が晴れたその時、パスト・フォーサイスが感じたのは自らの身の内に満ち満ちる強力な宇宙パワーであった。
「アハハハハ……。良い宇宙怪人になったようだな。では、お前に侵略を任せよう」
「はっ!ルチレイテッドの名のもとに!」
「がおー」
 宇宙式敬礼!パストは腕を掲げながらルチレイテッドに忠誠を誓う。
 ――かくして、キマイラフューチャーを脅かす新たな侵略の魔の手が人々に迫るのであった!!

「はーい、じゃあ仕事おねがいねーっ」
 グリモアベースにて、ロスタ・ジーリード(f24844)は猟兵たちに告げる。
「今回はキマイラフューチャーでのおしごとよ。――猟書家の侵略案件ね。みんなにはすぐに現地に向かってもらうわ」
 ロスタは続けて端末を操作し、画面に映像を表示する。
「――まず、現地ではいま『宇宙船団ルチレイテッド』の影響を受けた宇宙怪人が侵略活動をおこなっているわ。宇宙怪人たちは主にバーチャルキャラクターのひとたちをねらっているのよ」
 ロスタは映像を切り替えた。そこに映し出されるのは、ヴィヴィッドな色合いのコスチュームでカードを掲げる少女型のバーチャルキャラクターの姿である。
「このこは『エイミー』よ。キマイラフューチャーでは、『ヴァンキッシュ!』ってゆーカードゲームのプロモーションをやってるの。公式アンバサダー、ってゆーのかしら。対戦動画や新弾カードの紹介でいいねをもらってるタイプね」
 グリモア猟兵曰く、宇宙怪人が彼女を狙っているのだという。
「敵は彼女を誘拐した後、カードバトルやリアルファイトで叩きのめして屈服させたあとに洗脳し、カードバトルを通じてキマイラフューチャーのみんなに洗脳を拡大していく恐ろしい計画をたてているのよ。……みんなが今すぐ現場に行ってくれれば、そうなる前に止めることができるの」
 転送先は敵のアジトになる。
 ――残念ながら、介入できるタイミングは彼女が誘拐されたあとになってしまう。だが、手遅れと言う意味ではない。猟兵たちは囚われたバーチャルキャラクター・エイミーが宇宙怪人に邪悪な宇宙カードバトルを強要されるところに飛び込むことになるのだ。
「やることはシンプルよ。囚われた人質を救出し、敵の宇宙怪人をやっつける。そうすると更にこの作戦を仕掛けた“幹部”が出てくるわ。それも引き続きぶっとばしてちょうだい」
 ――すなわち。
 まず、人質として囚われたバーチャルキャラクターを救出しつつ宇宙怪人を撃破する。
 次に、配下の宇宙怪人を倒されたことで現れる幹部猟書家ミズ・ルチレイテッドと戦い、そしてこれも撃破する。
 やるべきことは、以上である。
 しかし、ここで更にロスタは補足説明を付け加えた。
「……あ、そうそう。人質の子だけどー、この子、助け出されても帰ったりしないわ。みんなの戦いを動画配信とかしながら応援してくれるわ。よゆーがあったらカメラに向かってアピールとかしてあげてね」
 そう。人質とはいえ囚われたエイミーはキマイラフューチャーの住民なのだ。どんなときでもエンタメを忘れないタイプなのである。というわけで、余裕があったら配信に協力してあげるといいだろう。
「……とゆーわけで、説明はいじょうよ」
 説明を一旦終えて、ロスタはあらためて猟兵たちを見渡す。
「しつもんもないわねー。それじゃ、たのんだわよ。よろしくたのむわね」
 そしてロスタはグリモアを光らせる。
 ――かくして、猟兵たちは戦場へと向かうのであった。


無限宇宙人 カノー星人
 俺のターン。ドロー。ごきげんよう、イエーガー。カノー星人です。
 引き続き、猟書家とのたたかいをお送りいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。

☆このシナリオはプレイングボーナス要項があります。ご確認ください。
プレイングボーナス(全章共通)……『バーチャルキャラクターに応援される』
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第1章 ボス戦 『パスト・フォーサイス・おん・ざ・どらごん』

POW   :    全部ブッとばしちまえ!だいうるごす・ふぁいあー!
自身の【跨っている、どらごんの口の中】が輝く間、【ブレス攻撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    これがフォーミュラの力だ!だいうるごす・ふれあ!
戦場全体に、【必ず先制攻撃となる、どらごんの吐く炎弾】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    俺様こそ次のフォーミュラだ!力を貸しやがれぇ!
【前章の敵、またはギミック】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は百目鬼・明日多です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「さあ、俺とヴァンキッシュしてもらうぜ!」
 キマイラフューチャー世界の中に密かに作り上げられた宇宙船団ルチレイテッドの第10番秘密基地において、宇宙パスト・フォーサイスは捕らえたバーチャルキャラクター・エイミーにカードバトルを迫っていた。
「……わかった。あなたに勝てばいいんでしょ?」
 対峙するエイミーは、青い双眸に鋭く闘志を込めて宇宙パスト・フォーサイスを睨んだ。
「レギュレーションは?」
「『宇宙バトル』……」
「宇宙バトル!?」
 説明しよう。『宇宙バトル』とは、TCG『ヴァンキッシュ!』において数ヶ月後より開始されるニューシーズン、『ヴァンキッシュ!〜コズミック・ウォーフェア編〜』で施行される新ルールである。フィールド内に新設される【コスモゾーン】領域に置かれる特殊なカード……【コズミックカード】を使うことができるのだ。
「そう。だから俺はこのカードを使わせてもらう」

『侵略宇宙竜 ロードシリウス』……コスト4。パワー12000。『【コズミック】/このカードはゲーム開始時、コスモゾーンに置く』。
『【降臨条件:《コスモドラゴン》&コスト4以上】/降臨条件を満たす自分のユニットがアタックしたとき、このユニットのコストを払ってよい。払ったら、コスモゾーンにある表向きのこのカードをそのユニットの上に重ねて登場させる。
 フィールドのこのユニットが場を離れるとき、このカードは裏向きでコスモゾーンに置かれる』
『このユニットがコスモゾーンから登場したとき、相手のユニットを全て選び、破壊する』。
 ……宇宙パスト・フォーサイスが見せつけたのは、今後発売される予定の強力なカードだ!
 TCGにおいては基本的に後発のカードの方がカードパワーが上がってゆく傾向があり、特にシーズンが変わる際には新システムの導入によってそのインフレが顕著になる。即ち、宇宙怪人のデッキは間違いなくデッキパワーでエイミーを上回っているのだ!
「どうしてあなたがそんな新カードを……!」
「簡単なことだよ……プロキシさ」
 プロキシとは、『代理/代用』を意味する言葉である。TCGにおいては、『実物のカードを持っていないため、代わりに印刷したものなどを使う』ことを意味する。
「そんな……でも、大会じゃプロキシカードは!」
「うるさい!ここは俺がルールだ!!!だからプロキシでもいーんですー!」
「がおー」
 吼える宇宙だいうるごすくん!
「くっ……!いまの私のデッキじゃあんなカードには対抗できない……!」
「さあ、デッキを準備しな!俺が勝ったらお前を宇宙パワーで洗脳してやる!そして俺の手駒となる侵略ヴァンキッシャーを増やす活動をしてもらうぞ!」
「がおー」
 バンッ!!
 宇宙パストはスタンディングヴァンキッシュテーブルにつき、エイミーにバトルを強要する!
「ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ……!」
 かくして、宇宙怪人との不利なバトル――すなわち、蹂躙が始められるのである。

「ええと……。なるほど?うん。だいたいわかってきました」
 一方その頃、ルチレイテッド第10秘密基地の別室では幹部級猟書家であるミズ・ルチレイテッドがルールブックの確認を行なっていた。
「カードゲームなど子供の遊びと侮っていましたが、なかなかに奥深い……。いえでもちょっと複雑すぎませんかね。条約並みですよ?」
 ミズ・ルチレイテッドは文句を言いつつもルールブックを読み進め、そして手元のカードをまとめている――そう、彼女もまたカードバトルによる侵略作戦を推し進めるべく、自らカードバトラーとして決闘に挑む覚悟なのだ!

 猟兵たちよ。君たちは新カードでイキっている宇宙怪人に正々堂々とカードバトルを挑んでもいいし、無視して真正面からブン殴ってもいい。

(※ TCG『ヴァンキッシュ!』のあそびかたについてまじめに確認される場合は『https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=21394』こちらの依頼をご参照ください。ご覧いただかなくてもフィーリングでなんとかします)
グウェンドリン・グレンジャー
(一枚のカード、モルフォ蝶の女王とオオミズアオの女帝の描かれたキラキラのカードをジーッと見つめ)
私、このカード、気に入った。でも、ヴァンキッシュ、詳しくない
『ファビュラスシスターズ“モルフォレーヌ”&アルテミスカイゼリン“”』どーしても、使いたい

バーチャル、キャラクターの、みんな、どうか、知恵を、貸して
どーしても、使いたい、カード、活用する、デッキの、組み方
私、カードゲーム、生まれて初めて。でも、あいつ、ぶっ殺さないと、いけない
(イキってるパスト・フォーサイスを指差し)
皆、お願い


(カードの性能や効果などお任せします。何もかも完全にお任せします。カードバトルに勝っても負けても敵は蹴り飛ばします)



「さあ、俺のターンだ!まずはドロー!そしてリソースを……」
 宇宙パスト・フォーサイスはカードを引く。弱者を甚振る悪辣な笑みを浮かべ、エイミーを見下しながら試合を開始した。
 だが、その時である!
「……待った」
 バァンッ!!轟音と共に部屋の天井に穴が開く!突き破って登場したのはグウェンドリン・グレンジャー(f00712)だ!
「オアーッなんだァ!?」
「わたしだ」
 砕けた建材の破片と共に降り立つグウェンはその勢いのまま宇宙パストに蹴りを叩き込む!ブッ飛ばされた宇宙パストは秘密基地の壁面に人型の穴を開けた!
「あなたは……猟兵のひと!」
「うん」
 僥倖!エイミーは現れたグウェンの姿に希望の光を見る!
「まずは、あいつを……やっつける」
 壁に空いた人型の穴へと視線を遣りながら、グウェンはカードの束を構える――それはまごうことなくヴァンキッシュのデッキだ!
「このカードで……」
「それは……《貴甲種》のカード!」

『ファビュラスシスターズ モルフォレーヌ』。
 コスト5。パワー7000。『自分の『アルテミスカイゼリン』がいるなら、このユニットのパワー+2000し、このユニットは相手の効果を受けない』。
『このユニットがバトルしたとき、相手のユニットを1体選び、そのユニットを[行動済]にする。そのユニットは次の相手のリブートフェイズで[未行動]にならない』。

『ファビュラスシスターズ アルテミスカイゼリン』
 コスト7。パワー9000。『自分の『モルフォレーヌ』がいるなら、このユニットのパワー+2000し、このユニットは相手の効果を受けない』。
『このユニットがバトルしたとき、手札を1枚捨ててよい。捨てたら、自分のリソースにあるコスト5以下のユニットカードを1枚選び、出撃する』。

 ……2枚のカードが連動し、強力な能力を発揮する緑のユニットだ!それぞれが蝶の意匠取り入れた妖艶な美女のキャラクターデザインをしており、更にこの2枚のカードは並べることでイラストが繋がる仕様となっている。
「私、このカード、気に入った……けど、ヴァンキッシュ、詳しくない」
「うん」
「だから、知恵を、貸して」
「わかった。私がサポートするわ。一緒にあいつをやっつけましょう!」
「ヤロー!よくもこの俺を足蹴にしやがったな!!ルチレイテッド様にもまだ蹴ってもらってないのに!!」
「がおー」
 ここで宇宙パストが復帰!宇宙だいうるごすくんと共にスタンディングヴァンキッシュテーブルへとつく!
「ふん……だが猟兵だろうがなんだろうが俺のコズミックカードで葬ってやるぜ!ゲットレディ!」
「ええと……」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ、だよ!」
「ヴァンキッシュ……」
 かくして、猟兵と宇宙怪人のバトルが始まるのであった!

 宇宙パストの繰り出すデッキは新カードカテゴリ《コスモドラゴン》を主軸に置いたコズミックカードの使用を前提にしたデッキだ。現時点で発表されている【コストドラゴン》のコズミックカードは『侵略宇宙竜ロードシリウス』と『侵略宇宙竜フォーマルハウト』の2種。どちらも強力であるが、ロードシリウスはコスト4、フォーマルハウトはコスト5。更に降臨するための条件が存在するため、速攻を仕掛けることはできない。序盤は低コスト帯の軽量コスモドラゴン『尖兵竜コメット』や『ダークマター・ドラゴン』などで手札と盤面を整えていく動きになる。
 一方、グウェンのファビュラスシスターズをメインに据えた緑のデッキはリソースの活用を得手としている。
「初手できたモルフォレーヌはリソースに埋めて」
「キーカード、なのに……?」
「だいじょうぶ。私を信じて」
「ははは!そんなことしても無駄だ!最後には俺のコズミックカードで全滅なんだからなァ!」
 グウェンはエイミーと頷きあい、棋譜を進めた。『はたらくメイドアント』や『蜜集めのハンナ』などのユニットを盤面に並べてゆく。
 勝負が動き出したのは6ターン目。宇宙パストの場に条件が整った時であった。
「さあ、ここからが本番だ!バトルフェイズ!俺は『ダークマター・ドラゴン』でアタック!ここでコスモゾーン解放ォッ!禍星満ちる極天より降臨せよ、侵略宇宙竜・ロードシリウス!」
(ここからイメージ)
 ガオンッ!!コスモゾーンが激しい光を放ち、フィールド上に宇宙への扉が開く!その扉をこじ開け、全身に激しく白い星光を抱く侵略宇宙竜が戦場へと降り立った!
 咆哮するロードシリウスは全身から稲妻めいて膨大な閃光を降らす。その光に飲み込まれるように、グウェンの場のユニットたちが消滅した!
(ここまでイメージ)
「きた……!」
「更にダークマター・ドラゴンの能力発揮!『このユニットの上に《コスモドラゴン》が降臨したとき、相手の相手と自分のライフに1ダメージ』だッ!」
 バァンッ!お互いのライフが砕け散る!更に、降臨したロードシリウスがダークマタードラゴンに代わって攻撃を継続する。グウェンの場にブロッカーはいない……ライフダメージ!
「くっ……!」
「まだだいじょうぶ……!次で切り返すよ!」
「……うん」
 エイミーに励まされながらグウェンはカードを引く。
 これまでの戦いの中で十分なリソースは貯まった。ここから反撃だ!
「ファビュラスシスターズ、アルテミスカイゼリン……!」
 7コストを支払い、グウェンは手札から切り札を登場させる!戦場に舞い降りる女帝が、侵略宇宙竜へと対峙した。
「ふん!今更そんなユニットを出したところで……」
「それはどうかな!さあ、アタックだよ!」
「おっけー……!いけ、カイゼリン」
 アタック!グウェンの宣言と共に蝶の女帝が襲いかかる!
「どんな奴だか知らないが、たかが1体で……」
「カイゼリンのアタック時能力だよ!」
「これで……モルフォレーヌを、出撃!」
「なにぃッ!?」
 カイゼリンのアタック時能力は、リソースとして置かれているカードを場に出撃させる!これによって序盤でリソースに置いていたモルフォレーヌが出撃するのである。ここにファビュラスシスターズが揃った!
「ぐあ……!」
 宇宙パストの場には[行動済]のロードシリウスを残すのみだ。ブロッカーはなく、ダメージが通る!
「続けて、モルフォレーヌ……」
「ここでモルフォレーヌの能力発揮だ!」
「なッ……!アンタップできないだと!?」
 ここでモルフォレーヌの能力が炸裂する!ロードシリウスは微睡みの檻に閉ざされ、次ターンの行動を制限された。更に砕かれるライフ!
「ターンエンド……」
「くっ……!ま、まずい!アタッカーが!」
 宇宙パストの手札がここで動きを止める。次なるコズミックカードであるフォーマルハウトは降臨条件にコスト6以上を指定する大型ユニットだ。だが、宇宙パストの手札にはそれを満たすカードがなかったのである!
「がおー」
 宇宙だいうるごすくんが悲しげに吠えた。
 それはもはや決着を意味する。強力な耐性に支えられたファビュラスシスターズを突破する手段はない。返すターンでグウェンは更にアタック!宇宙パストの最後のライフを砕く!
「ば、バカな!」
「……これで、ヴァンキッシュ」
 決着!
 かくして、猟兵がまず宇宙怪人を制する。
「待て!!!もっかいだ!!!もっかい!!!!」
 しかし諦めの悪さがパスト・フォーサイスの強み。限りなきチャレンジ魂を燃やしながら、宇宙パストは再戦を要求する!

成功 🔵​🔵​🔴​

神羅・アマミ
なにっ動画配信勢が拉致されたじゃって!?
そりゃあ妾としては救出しないわけにはいかんのぅ!

で、何?
カードゲームで勝負すんの?
『宇宙バトル』…ふーん。
ならアレじゃよ、徹底的にメタを張るって奴はどう?
「暗礁地帯」とか「スペースマイン」とか「押し寄せるブラックホール」とか…よくわかんねえけどそういうのない!?
地形カードで「このカードをフィールドにプレイする。このカードが存在する限り【宇宙】【コスモ】【コズミック】と名のつくカードをフィールドにプレイすることはできない」みたいなやつ!

それはそれとしてUC『操演』にてオクタビアスくんを召喚し隣に置いておく。
透視機能とかで次の手札とか透かせんもんかのー。



「とうっ!!」
 バーン!!!轟音と共に砕けるルチレイテッド第10秘密基地の壁面!
「なんだァー!?」
「がうー」
 困惑する宇宙パスト・フォーサイス!その混乱をよそに穿たれた穴から肩で風切り威風堂々現れたのは神羅・アマミ(f00889)である!
「動画配信勢が拉致されたときいてとんできたぞ!!!」
「すごい、また猟兵さんが!」
 手を振るバーチャルキャラクターのエイミーがアマミを迎え入れる!
「うむ!同じ動画配信勢のよしみ!救出しないわけにはいかん、とこうしてきたわけじゃ!」
 アマミは素早く室内を駆け、エイミーのもとへと参じる!
「くっ……おのれ猟兵!!これ以上おまえらの好き勝手にはさせないぞ!」
「がうー」
 しかし、宇宙だいうるごすくんとともに吼える宇宙パスト・フォーサイス!宇宙パストはその手でカードを掲げながら、アマミをにらんだ!
「その女を助けたければ、俺と勝負しろ!」
「何?」
 胡乱なものを見る目でアマミは宇宙パストへと対峙した。
「……カードゲームで勝負すんの?」
「そうだ!!!!」
「そうだよ!!!」
 眉根に皺を寄せるアマミに対し、宇宙パストとエイミーはそれが当たり前であることのようにグッと拳を握った。
「レギュレーションは『宇宙バトル』だ!」
「気を付けて、猟兵さん……!あいつは自分が有利な条件で戦うつもりよ!」
「ほう……『宇宙バトル』……ふーん」
 アマミは思案するような表情をしながら、腕組みして頷く。
「よし、ちょっとタイム!」
「認める!」
 タイム要求を呑む宇宙パスト!宇宙パストはどうせ自分が勝つとばかり思いこんでいるのだ。勝者の余裕とでも言いたげな表情で厭らしく笑ってみせる。
「よし!餅は餅屋というものじゃ。ここはカードゲームのプロに相談するのがよいであろな……さあ!アドバイスをもらおうではないか!」
「アッハイ。私ね?」
 そして認められたタイムの時間でアマミはエイミーにアドバイスを求めた!
 これより作戦会議の時間である!

「……っちゅーわけじゃが、徹底的にメタを張るって奴はどう?」
「なるほど、たしかに敵はコズミックカードに依存した戦術を使ってくるね。それを止められればかなり優位に立てると思うんだけど……」
 しかし、エイミーはやや表情を暗くする。
「なんじゃ!ないんか!?よくわかんねえけど!『暗礁地帯』とか!『スペースマイン』とか!『押し寄せるブラックホール』とか……そういうのない!?アレじゃよ、ほら。『このカードをフィールドにプレイする。このカードが存在する限り【宇宙】【コスモ】【コズミック】と名のつくカードをフィールドにプレイすることはできない』……みたいなやつ!」
 アマミは詰め寄る!
 ――しかし、エイミーは静かに首を振った。
「コスモゾーンのカードはこれから流行させないといけない最新カードよ……。来年ならまだしも、登場すらしてない今の時点じゃそんなメタカードは……」
「そうか……」
 アマミとエイミーは沈痛な面持ちで項垂れた。――では、このままアマミは敵の強力なコズミックカードへの対抗策なく敗北を喫してしまうのか――?
「…………あっ!」
「なんじゃ!?」
「あるわ、メタカード!」
 だが、ここでエイミーが秘策を思いつく!そしてアマミの手の中へと、それは託されるのであった。

「さあ、死ぬ準備は出来たんだろうな!」
「ゲハハハハ!それはこっちの台詞よ!」
 ――そして、アマミと宇宙パスト・フォーサイスはスタンディングヴァンキッシュテーブルを挟んで対峙する。
「フン……随分余裕があるようだが、俺の宇宙バトルについてこれるもんかよ!さあ、バトルだ!いくぜ、ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 公式ルールに則ったじゃんけん勝負によって先行をとったのはアマミである。カードを引き、リソースを置き、そして初手はターンエンド。翻って後手の宇宙パストも同様にリソースを置いてターンを終える。
 2人の戦いは静かに立ち上がった。宇宙パストはコスモゾーンのカードを用いることから、速攻は仕掛けてこない、コズミックカードで決着をつけるつもりなのだ。
 ――であるが故に、ここはアマミが機先を制した。
 迎えたアマミの第5ターン。敵の盤面には既にコスト4の《コスモドラゴン》。対してアマミの場には『スパイディゴーレム』――『このユニットが出撃したとき、デッキの上から5枚を見て、その中にあるフィールドカードを1枚まで選び手札に加える』――を配置するのみである。ここで対策をとれなければ、次のターンにはロードシリウスが降臨する状況だ。
「さあ、ここで勝負の流れを決するとしようかのー!」
「なに……?」
 口の端に笑みを乗せるアマミを宇宙パストが訝しむ。しかし、警戒するにはもう遅い!
「メインフェイズじゃ!妾はここで手札からフィールド『愚者の戦場』を配置!」
「よーし!これならいけるよ!」
「うむ!」
「な、なに……!?なんだ、そのカードは!?」
 『愚者の戦場』――!それは、青属性のフィールドカードである。
 『このカードが場にある限り、自分と相手は、手札以外からユニットを場に出すことができない』――。そう。それは本来であればトラッシュやリソースといった手札以外の領域からユニットを出す能力を規制するためのカードだ。しかし、この記述は手札以外の領域――すなわち『コスモゾーン』からのユニットの登場を制限するのである!
「本当はQ&A待ちだけど……!」
「じゃが、テキスト通りに読み解けばコスモゾーンとやらのカードは場に出せんぞ!!」
「バカな……!?え、エラッタ!!!エラッタだ!!そのまま通るなら禁止制限すべきじゃないかそんな――」
「まだ公式から制限は出されてないもんね!!!!」
「むうう――ッ!」
 宇宙パストはここで口を噤む!宇宙パスト自身もまた、本来であれば発売前のカードを用いている時点で文句を言えない立場なのである!
 それは即ち、アマミとエイミーの繰りだした『愚者の戦場』にデッキを完封されることを意味していた!
「く、くそ、フィールド破壊、フィールド破壊能力を……!」
「ワハハハハ!貴様のハンドに妾への対応策がないことは既に承知の上よ!!」
 そして――頼みの綱であるコズミックカードを用いた戦略を崩された宇宙パストは、流れを取り戻せないままにアマミの展開したユニットによるアタックを受け続けることとなる!
 ――ここでアマミは内心勝利を確信していた。というのも――相手の手札に、フィールドへの対抗策がないことは既にわかっていたのである。静かな駆動音で動き回る蜘蛛型ドローンのオクタビアスくんが密かに敵の背後に陣取ってその手札をチェック。その情報をアマミへと送信し続けていたのだ。これこそがユーベルコード、【操演】である。(※実際のカードバトルや大会でやったら一発出禁だよ!真似しないでね!)
「ゆけい!スパイディゴーレム!ゴリラニックパワーゴレム!そしてバフバリックエレファントゴーレムよ!!」
 そして『愚者の戦場』によって戦術が封じられ、身動きの取れなくなった宇宙パストを尻目に続くアマミの第7ターン。ピーピングによって相手の手札に対抗手段がないことはわかりきっている。ここで展開されたユニットたちが勝負を決定づけた。
「バカな……!俺のコスモドラゴンデッキが!?」
「オラッ!これでトドメじゃ!死ねーっ!!」
「グアーッ!!!」
 バァンッ!!最後のライフが砕け散る!衝撃に吹き飛ばされた宇宙怪人パストの身体は3度床を跳ねてから再び壁面に人型の穴をあけた!
「ヴァンキッシュ!!……って言えばえーんじゃったな?」
「おっけー!かーんぺき!」
 勝者、アマミ!カメラ目線で決めポーズをとるアマミへと、エイミーが親指を立てる。グッジョブ!いいヴァンキッシュでした!
「く、くそ……い、インチキだ!そんなメタカード!!インチキ効果も大概にしろ!!次から禁止制限だ!!禁止制限!!」
「おっ。負け犬がほえておるぞ~?」
「……とはいえ、たしかにあのカードが今後公式によって規制やエラッタになる可能性はあるわ。あいつの言うことももっともかもしれない……」
 死ぬほど悔しがりながら戦場へと這って戻る宇宙怪人パストを眺めながら、エイミーが頷いた。
「そう、まだだ……俺はまだ負けてない!」
「いや負けとるが」
「うるせー!!!!」
 逆上!敗北を認めない宇宙怪人パストが叫ぶ!――そう、宇宙パストが敗北を認めない限り、この戦いは続くのだ!
 ルチレイテッド第10秘密基地を戦場として繰り広げられるカードバトルは、まだ終わらないのである!

成功 🔵​🔵​🔴​

神咲・七十
アドリブ連携お任せ

TCG・・・あんまりやったことないのですが。
う~ん、ルールを覚えるところからですかね?
(ルールブックを見ながらデッキを作りつつお菓子もぐもぐ)

(緑単色。リソースを増やす効果を持ったカードが多く大量のリソースによる速攻、それが失敗しても大量のリソースから場を整えたり、トラッシュにあるカードを戻したりして、何度倒されても、戻したカード・大量のリソースで場の状態がすぐに整いなおして削り取っていくそんな感じのデッキで挑む)

うん、なんとなくな感じでこのデッキを作りましたけど、結構いけますね。

たとえどれ程強力なカードであっても相手を削り取って勝てないのであれば、意味がないですよ?



「TCGですか……あんまりやったことないのですが」
「うるさい!こうなったら勝つまでやるからな!」
 2連敗を重ねて目的を違え始めた宇宙パスト・フォーサイスが激昂して叫ぶ!
「う~ん、ルールを覚えるところからですかね?」
 一方、神咲・七十(f21248)は焦れる宇宙パストとは対照的にのんびりとした様子で『ヴァンキッシュ!』のルールガイドに目を通している。
「……いいだろう!お前がルールをおぼえるまで待っててやる!」
「は~い。ありがとうございます~」
 七十はルチレイテッド第10秘密基地に備蓄されていたヴァンキッシュウエハース(鉄分・カルシウム配合で健康によく、更にTCGでも使えるカードがおまけについている)をさくさくとかじりながらデッキ構築を開始した。
「んー……」
「どんな感じが好み?」
「そですねー、この子なんか可愛くてよさそうです」
 エイミーと相談しながらデッキ構築を進めてゆく七十。選んだカードは『絢爛女帝 ラフレンツェ』――コスト7。パワー10000。『このユニットを[行動済]にすることで、トラッシュにある『ラフレンツェ』以外の《華族》のユニットカードを2枚まで選び手札に加える』――トラッシュからの回収が可能な緑のユニットだ。
「なるほど、たしかにこのカードならあのコズミックカードに対抗できるね。……でも、このカードを使うなら黒を混ぜたいところだけど」
 トラッシュを活用する能力は主に黒のカードがもつものだ。このカードを使ったデッキはタッチで黒を差すパターンが多い。たとえば『黒き大疫』というスペルカードはデッキからトラッシュへカードを置く効果をもつ。こうしたトラッシュを増やすカードを使うことで、ラフレンツェのトラッシュ活用を補助してゆくのだ。
「う~ん……今回はなんとなく、単色でいきたいですね」
「わかった。じゃあ緑で相性のいいカードを探してみるよ」
 ――かくして、彼女たちのデッキ構築は続く。

 およそ30分を要し、七十のデッキは完成した。一人回しで時間をつぶしていた宇宙パスト・フォーサイスは「待ちわびたぜ!」と叫びながら勇んでスタンディングヴァンキッシュテーブルにつく。
「よーし、それじゃはじめます……ゲットレディ」
 七十は完成したばかりのデッキを手に、バトルへと挑む!
「いくぜ!ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 対峙する宇宙パストは高らかに叫んだ。固唾をのんでエイミーが見守る中、2人のヴァンキッシュが始まる!
「私のターン……。ええっと?」
「まずはリブートフェイズだね。[行動済]のユニットやリソースを[未行動]にするんだよ。最初のターンは何もないからスルーして、それからドロー!」
「うん」
 ルールに沿って七十はカードを引く。ヴァンキッシュにおいてはドローフェイズで引くのは2枚である。
「それからリソースフェイズ。手札のカードを1枚選んで、リソースゾーンに置こう」
「こうです?」
 エイミーの指示に従って七十はリソースを置いた。
「おっけー。でも今は1コストで使えるカードはないから、ここでエンドだね」
「わかりました。それではターンエンドです」
「くくく……ぜんぜん初心者じゃねーか!そんなおぼつかない手つきでこの俺の宇宙デッキに勝てるもんかよ!俺のターンだ、ドロー!」
 一方、宇宙パストは闘志を高めながらカードを引く。1ターン目は同じくリソースを置くにとどめた。続く第2ターン、七十は手札から『爽麗なるミント』を出撃。《華族》をもつ小型のユニットだ。七十はすぐさまアタックを仕掛けた!
「えーっと、このカードの能力は……」
「『このユニットのアタックが相手のライフを減らしたとき、自分はデッキの上から1枚を[行動済]状態でリソースに置く』!」
「ですね!ミントでアタック!」
「こいつ……!こんな序盤からリソース加速を……ぐあッ!」
 速攻!まだリソースの整わない最序盤、宇宙パストにそれを止める手段はない!ライフダメージの衝撃にのけ反る宇宙パスト!
「効果発動、です!」
「くっ……だが、ダメージはそのままこっちのリソースにもなる!」
 だが、ヴァンキッシュのルールにおいては、受けたダメージがアドバンテージにも繋がるのだ。ダメージを受けたプレイヤーは、山札から1枚を裏向きでリソースへと置く!
「つまり、これは俺の動きが早まるってことでもあるんだぜ!俺のターン!」
 返すターンで宇宙パストはリソースを置き、《コスモドラゴン》を出撃させて盤面を整えにかかる。『降誕を待つ竜魂』――。コスト3。『自分のコスモゾーンに《コスモドラゴン》があるなら、このユニットをコスト4として扱う』。――ロードシリウスの降臨条件を満たすためのユニットだ!
「……次のターンで来るつもりみたいだね」
「こっちにできることをするだけですよ!」
 続くターンで七十はリソースを置き、リソースはこれで4枚に達した。続けて手札からユニットを展開し、更に速攻を仕掛けてゆく!先に出撃させたミントもあわせて攻撃を宣言!宇宙パストはこれもライフで受けた。ダメージはこれで3点!
「エンド!」
「これ以上は許さん!俺のターン――さあ、いくぜ!コスモゾーン解放!降臨せよ、ロードシリウス!」
 ガオォンッ!咆哮と共に戦場へと降りる侵略宇宙竜!その咆哮が七十の場を一掃する!
「……ここで、『繁栄するドクダミ』が効果を発動します!」
「なに……?」
 先のターンで七十が出撃させていた『繁栄するドクダミ』は、『相手によってこのユニットが破壊されたとき、山札の上から1枚をリソースに置く』能力をもつ。
「だが、俺のロードシリウスは止められない!ライフを奪えッ!」
「くっ……!」
「負けないで……!」
 ライフダメージ!衝撃に揺れる七十をエイミーが支える。
「うん……ですが、これで!」
「ふん……俺のコズミックカードに勝てるものか!エンド!」
「私のターン!」
 ――先のターン、七十のリソースは4枚。ドクダミの破壊時能力で追加して5枚。そしてダメージによるリソース増加で6枚――そして、このリソースフェイズで彼女のリソースは7枚に達する。
「では、いきましょう!緑の7コストを支払って……『絢爛女帝 ラフレンツェ』を出撃!」
「なに……!そのカードは!?」
 そして、戦場に花が開く!七十の場に出撃したラフレンツェが能力を起動。先ほどロードシリウスによって破壊された2枚のユニットが七十の手札に戻る。
「このターンはこれでエンド……」
「ふん……それだけの能力か!なら、俺のターン!ダークマター・ドラゴンを出撃!そしてロードシリウス!ダークマタードラゴン!アタック!」
「っ……!」
 続けて叩き込まれるダメージ!ライフを砕かれる痛みに七十が呻く。だが、ゲームエンドには至らない――!再びめぐるターンで、七十はカードを引く。
 そして――展開!
「……『爽麗なるミント』、『繁栄するドクダミ』、『芽吹きのフタバ』!」
「なに……!?ユニットを3体も!?」
「リソースはちゃんと整えたからね!」
 不覚――!宇宙パストは目を剥いた。これで七十の場にはユニットが4体。対して宇宙パストの場のユニットはすべて[行動済]!
「勝負を急ぎすぎましたね」
 七十は静かに微笑んだ。
「それに……たとえどれ程強力なカードであっても、相手を削り取って勝てないのであれば、意味がないですよ?」
「く……ッ!」
 ロードシリウスは全体除去という強力な能力をもつが、登場時に限る。フィニッシャーとしては一味足りないのだ。であるが故に、七十はここで勝機をつかんだのである。
「これで、終わりです。バトルフェイズ。アタック!カットインありますか!」
「ありません!ライフで!」
 そして、七十のユニットたちが宇宙パストのライフめがけて押し寄せる――!
「えーっと……ヴァンキッシュ、ですね!」
 Vanquish!5点目のライフを叩き割り、ここに決着がついた。七十の勝利である!
「うん、なんとなくな感じでこのデッキを作りましたけど、結構いけますね」
 七十はテーブル上からカードを回収し、そこはかとなく満足げな笑みをみせた。
「うぐぐ……!こ、この俺のコスモドラゴンがこうまでも……!?」
 ――しかし!その一方で足掻く宇宙パストは未だあきらめてはいなかった!往生際悪く呻きながら、宇宙パストはテーブルにしがみつく。
「ま、まだだ!まだ終わってない!」
「えー」
「何回やれば気が済むんです?」
「うるさーい!」
 性懲りもなく再戦を挑む宇宙怪人!――敵が負けを認めるまで、戦いは終わらない!バトルは続く!

成功 🔵​🔵​🔴​

アシェラ・ヘリオース
「なるほど。では、一つ手合わせ願おう」
黒赤でデッキを組む
強烈な除去と強力なモンスター、スーサイド系が多いのが特徴だ

「<帝国騎士(黒)>を召還。増援スペルで黒騎トークンを二騎召還」
定番のコンボで騎士を並べ、観客受けを狙う
デッキパワー差は明らかだが、本命は破壊されたユニット数を積み上げと、ライフを1にし、切り札の発動条件を満たす事だ
奴がパワーカードに酔っていれば容易な条件である

「カットイン。<奈落門>だ。互いのフィールドの全てのカードをゲームから除外する」
盤面一掃

「<奈落竜>を召還。このカードは1T後に自壊するが、墓地に置かれたユニット数による攻撃力増加、及び速攻効果を持つ」
エースでの決着を狙おう



「今度こそ俺が――」
「失礼する」
 ざ、ッ!――赤い閃光とともに斬撃が疾る!圧縮されたフォースの刃がルチレイテッド第10秘密基地の壁をズタズタに引き裂いて穴を開いた!
「今度はなんだァ!?」
「猟兵だ。任務と聞いて参上した次第だ」
 そこから姿を現した猟兵はアシェラ・ヘリオース(f13819)である!
「こいつ……!」
 堂々と侵入するアシェラの姿を睨みつける宇宙パスト!だが、アシェラは本人には目もくれずテーブル上に広げられたカードに視線をやった。
「なるほど。コズミックカードか……」
「……」
 テーブルを挟んで、アシェラは宇宙パストに対峙した。
「では、一つ手合わせ願おう」
 しゅ、っ――。アシェラが取り出したのは、まごうことなくヴァンキッシュのデッキである!
 彼女は慣れた手つきでデッキをシャッフルすると、スタンディングヴァンキッシュテーブルへとついた。
「すごい……!デッキを置いただけなのに、なんてプレッシャー!」
 威風堂々としたその雄姿に、エイミーは畏敬の念すらおぼえる。
「これは名勝負の予感……!はっ。そうだ、配信配信!」
 はたと気づいたエイミーは慌てて配信機材を準備する。電脳空間内に開いたアプリケーションでカメラ機能を起動し、テーブル上の盤面と対峙する2人の姿を1カメ2カメ3カメと3つの視点から捉えた。
「ああ、配信もするのだな。承知した。期待に沿える試合運びをしてみせよう」
 動画視聴者に向けて手を振るファンサを見せてから、アシェラはあらためてテーブルへと向き合う。
「フン!かっこつけやがって……!だが、今度こそ俺が勝つ!何故なら俺のコズミックカードは無敵だからだ!」
「がうー」
 一方、敵愾心をむき出しにする宇宙パストは宇宙だいうるごすくんと共に咆哮する!
「御託は結構。では、そろそろ始めようか――ゲットレディ」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 そして、バトルは始まった!公式ルールに則ったじゃんけんにより宇宙パストが先行を取る!
「まずは俺のターン、ドロー!」
「……」
 序盤の流れは緩やかに進む。宇宙パストはドロースペルや展開補助のユニットを並べて盤面を整えるところから戦いを始めた。これまでに重ねた敗北から、攻め手を変えようとしているのだ。
 一方、アシェラのプレイングは冷静そのものであった。彼女のデッキは黒赤の二色構成。リソースには過不足なくそれぞれの色を加えながらゲームを進めてゆく。
「メインフェイズ。黒を含む3コストで手札から『黒き帝国騎士』を出撃――」
 『黒き帝国騎士』は《闇騎士》カテゴリに属するカードである。パワー4000。『このユニットが効果で場を離れるとき、1枚引く』をもつ。更にアシェラは2コストを支払い、手札からスペルカード『シャドウバタリオン』を宣言した。『自分の《闇騎士》がいるなら、【コスト1・パワー2000『このユニットが自分のカードの効果で場を離れるとき、1枚引く』】をもつ《闇騎士》ユニットを2体出撃する』、《闇騎士》の強力なスペルである。前のターンまでの展開を含めて、彼女の盤面には既に5体のユニットが並んでいる。
「出た、定番のアド取りムーブ……一時期の環境じゃみんな使ってた!」
「はッ!だが、そんなスペルは時代遅れだぜ!これから環境になる最新カードのパワーを見せてやる。俺のターン!」
 だが、返すターンで宇宙パストは動き出す!
「バトルフェイズだ!俺はダークマター・ドラゴンでアタック!そして――コスモゾーン解放ッ!出ろ、ロードシリウス!」
 降臨!コスモゾーンから飛び出した侵略宇宙竜ロードシリウスが咆哮する!
「ダークマター・ドラゴンの上にロードシリウスが降臨だ!登場時能力で盤面を全破壊!更に!ダークマター・ドラゴンの能力を発揮!相手と自分のライフに1ダメージ!」
「く、――!」
 バァンッ!効果によって砕けるライフ!更にロードシリウスの牙がアシェラへと追撃をかける!一気に2点のライフを奪われた!
「続け!尖兵竜コメット!もう1点だ!」
「ぐあ……ッ!」
 3点目!アシェラのリソースへと、受けたダメージの数を示す裏向きのカードが更に追加される!
「俺はこれでターンエンド……。くくく。いいざまだな」
「……」
「しかも俺は次のターンで最後の切り札である侵略宇宙竜フォーマルハウトを出すことができる……」
 『侵略宇宙竜 フォーマルハウト』――コスト5。パワー13000。『【降臨条件:《コスモドラゴン》&コスト6以上】』『このユニットがアタックしたとき、このユニットを[未行動]にする。この能力は、1ターンに2回まで起動できる』
 ロードシリウスが場を制圧するのに対し、フォーマルハウトは相手にとどめを刺す方向のカードデザインだ。このまま攻め切られてはひとたまりもない!
「……なるほど。たしかに強力なカードだ」
「ははは!なら、覚悟しろ!次の俺のターンでお前の負けが決まるんだ!」
「……」
 返すターンでアシェラは《闇騎士》の小型ユニットを2体展開し、そのままターンを終了する。再びめぐる宇宙パストのターン。
「さあ、これで終わりだ!」
 ここで宇宙パストはスペル『降臨の日』を使用。『このターン中、次に自分がコスモゾーンからカードを登場させるとき、そのカードの降臨条件を無視する』――!強引にでも切り札を出すためのカードだ。
「いけない……!このままじゃ!」
 絶体絶命!配信するエイミーは画面越しに戦況を見守るキマイラフューチャーの視聴者たちと共に手に汗握った!
「再びコスモゾーン解放!『降臨の日』の効果によって条件を無視し、侵略宇宙竜フォーマルハウトを降臨!」
 既に戦場に出ていた『尖兵竜コメット』の上へと、最後の切り札であるフォーマルハウトが登場する――!
「くらえッ!」
「う……く、ッ」
 アシェラは展開していたユニットでブロックする――パワー差で一方的に打ち負けた。トラッシュへと送られる。能力によって[未行動]に戻ったフォーマルハウトの再攻撃!アシェラはこれも残るユニットで凌いだ。――だが、3回目のアタックを止めるユニットはいない。
「とどめだ!」
「……」
 最後の一撃がアシェラのライフへと迫る――しかし、その瞬間である!
「――カットイン」
「なに……!?カットインだと!?」
「……『奈落門』だ」
「なッ――!そ、そのスペルは!」
 『奈落門』。『お互いの場の全てのカードをゲームから除外する。自分のトラッシュのカードが10枚以上なら、このカードは【カットイン】をもつ』。
 黒属性のもつ最大規模の除去スペルだ!宇宙パストの場に並び立っていた2体の侵略宇宙竜は、闇へと呑み込まれ消滅する!
「私はこの状況をはじめから狙っていたのだ。指揮官として褒められた物では無いが……死ねば生きると言う奴だな」
「お、おのれ……!」
「すごい……!凌ぎ切った!」
 流れるコメント!増える同時接続視聴者数!見事な魅せプレイに、配信動画が盛り上がる!
 そして再び手番がアシェラへと移った!
「さあ、決着をつけよう。私のターン――ドロー。メインフェイズ」
 アシェラは手札から1枚のカードを掲げ、そしてフィールドへと放った。
「黒を含む8コスト――『奈落竜ドゥームズデイ』を出撃」
 『奈落竜ドゥームズデイ』――コスト8。パワー12000。
 『[制限]このユニットは、自分のライフが1のときしか出撃できず、出撃したターンの終了時、このユニットをトラッシュに置く』。
 『このユニットが手札から出撃したとき、山札の上から13枚までトラッシュに置いてよい。10枚以上置いたなら、そのターン中、このユニットは相手の効果を受けない』。
 『このユニットが相手にダメージを与えるとき、トラッシュにある《闇騎士》のユニットカード5枚につき、与えるダメージを1点追加する』。
 『[ターン1回]このユニットがアタックしたとき、自分のトラッシュが10枚以上あるなら、このユニットを[未行動]にする』――!強力な攻撃性能をもつ、黒のエースカードだ!
「な、なに……!?そのカードは……!」
「ああ。――パワーカードに酔っているお前なら、この条件を満たしてくれると思っていた」
 奈落竜ドゥームズデイは非常に強力なカードであるが、その分出撃のための条件が厳しくされている――しかし、一度場に出てしまえば、それだけで勝負を決するほどのスペックを有しているのだ。
「終わりだ」
 かくして、奈落竜が吼える。
「グアーッ!!」
 奈落門によってユニットを失った宇宙パストに、それを防ぐ手段は残されていなかった。――砕け散るライフ!宇宙パストが衝撃に吹き飛び、ルチレイテッド第10秘密基地の壁にまた新たな人型の穴をあけた!
「……ヴァンキッシュ」
 決着!アシェラは視聴者にアピールするように、片腕を天に突き上げるポーズをとった。配信動画が絶賛のコメントで溢れかえる!
「な、なんでだ……!なんで勝てない……!?」
「がうー……」
 その一方で、人型にあけた穴から這い出た宇宙パストが悔し気に呻く。その首根っこを宇宙だいうるごすくんがくわえて運んだ。
「……まだやるの?」
「やる!!!!!」
 そろそろうんざりしてきたエイミーに対し、対照的に元気いっぱいに激昂した声で宇宙パスト・フォーサイスは叫んだ。
 そう、ここまでやられておきながら宇宙パスト・フォーサイスは未だ諦めに至っていないのだ!即ち、戦いはまだ続くということなのである!

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
発売当日手に入れられなさそうな再生怪人パスト氏よ聞くが良い
貴様の相手はこの【知らない人】だァ!そろそろなんどめだナウシカとか言われそうだが気にするな!
デッキは拙者が前使ったリソース破壊デッキを渡しておいたでござるよ

この戦いの実況は拙者エドゥアルト、解説にはエイミー氏、そして特別ゲストに(できれば)ルチレイテッド氏でござる
各陣営の応援はエイミー氏や(居たら)ルチレイテッド氏に任せ、拙者は偏りなく勝負を熱く、熱く実況ですぞ!
勝負には公平さが重要でござるからな!なにぃ~前回の所業だぁ~?聞こえんなァ~

因みに知らない人が負けたら拙者がパスト氏をわからせ銃撃で頭にわからせるので問題ないでござるよ



「おのれおのれおのれーッ!もう怒ったかんな!ゆるさないかんな!!」
 激怒する宇宙パスト・フォーサイスが怒りと共に咆哮する!
「今度こそ俺と勝負してもらうぞバーチャルキャラクター!」
 そして宇宙パストがエイミーへとカードバトルを迫った!
「もう4回も負けてんだからいい加減諦めなよ!!」
「うるせー!!」
 ――しかし、その瞬間である!
 ドォンッ!爆発の轟音!炸裂する爆薬がルチレイテッド第10秘密基地の壁を吹き飛ばしたのだ!
「祭りの場所はここでござるなァ~?」
 そして――硝煙の匂いと共に姿を見せるのは、エドゥアルト・ルーデル(f10354)と【知らない人】だ!
「お前は……!」
「……」
「誰……?」
「……」
 【知らない人】はエドゥアルトからデッキを預かると、そのまま静かにスタンディングヴァンキッシュテーブルへとついた。そして睨むように宇宙パストへと視線を送る――明らかに勝負を仕掛けているのだ!
「えっ、マジで誰?ねぇ……誰なの!?」
「デュフフフフ……その新弾カードを発売当日手に入れられなさそうな再生怪人パスト氏よ聞くが良い……貴様の相手はこの【知らない人】だァ!」
 困惑する宇宙パストへと畳みかけるようにエドゥアルトは知らない人とのバトルを迫る!
「ハハハハ!さあ、進捗を見に来たよパストくん!作戦の進行具合は…………」
 ここで更に現れたのは首魁たるミズ・ルチレイテッドその人だ。彼女は猟兵たちの登場によってそこらじゅう穴だらけにされたルチレイテッド第10秘密基地の惨状にまず絶句する。
「……なんですかこれは」
「お~~~っと!これは役者が揃いましたな~~~~!!」
「ウワッ不審者」
「さあさあ!不審がるのは置いといて応援席につくでござる!!」
「ええ……」
 だがエドゥアルトはミズ・ルチレイテッドの登場を大歓迎!秘密基地の中に転がっていた資材で簡易的なテーブルセットをこさえると、エイミーとミズ・ルチレイテッドを座るように促す!困惑しながら席に着く2人!
「あの」
「さあ、遂に始まりました世紀の一戦!キマイラフューチャーの未来を決めるきわめて重要な戦いですぞ~!カメラ回ってますかな?」
「アッハイ」
 横目でちらと視線を向けられたエイミーがアプリケーションを起動し、試合の配信を再開する。
「よォし配信始まりましたな!この戦いの実況は拙者エドゥアルト、解説にはエイミー氏、そして特別ゲストにルチレイテッド氏でござる。どうぞご挨拶を」
「えっ。あ、はーい。リスナーのみんな、こんにちは。『ヴァンキッシュ!』公式サポーターの、エイミーでーす!」
「えっ。あ、うん……はい。こほん。――アハハハハ!そして私こそこの世界を混迷の渦へといざなう悪の組織、宇宙船団ルチレイテッドの盟主ミズ・ルチレイテッドだ!今日はよろしく頼もう」
 3人はカメラに向けて挨拶。続けて動いたカメラワークは宇宙パストと知らない人のバトルを捉える!
「……」
「こいつ本当にヴァンキッシュできるのか……?ゲットレディ!ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 宇宙パストは訝しみながらも試合を開始した。
「ウーン、やはり最初はお互い動きませんなあ。ルチレイテッド氏、いかがですか?」
「そうだね……パストのデッキはやはりコスモゾーンを使うことを想定しているからどうしても立ち上がりは遅くなってくるだろう。対して……なに。あの……えっと誰だか知らないけど、向こうのデッキはどう出るかな?」
「見て、赤のリソースを置いたよ。それから……『土地荒らしの暴ゴブリン』!」
「なるほど、あれはリソースを崩すカードだ。《暴族》かな?」
「ですな。拙者が渡したデッキですぞ」
「ええ……」
 エドゥアルトたちは実況席から戦況を見遣り、勝負のゆくえにコメントを差し入れながらその趨勢を見守った。
「あっちの知らない人はだいぶイケイケだね。小型のユニットをたくさん並べてきた……怪人の方はもう3点もダメージが入ったよ!」
「だが、このゲームは相手に与えたダメージがそのままリソースになるシステムだ。……ほら見ろ、逆転されるぞ」
「俺のターン!へッ、雑魚ユニットばかり並べやがって……こいつで一掃だ!出ろ、ロードシリウス!」
 続く第4ターンで解放されるコスモゾーン!宇宙から飛来する侵略宇宙竜が光を放ち、知らない人の盤面に展開したユニットたちを全滅に追い込む!
「おお、見事ですな。数で速攻しようと並べたのが逆に仇となったというか……」
「……」
 ここまで展開を優先してきた知らない人であったが、場にカードを並べ続けた結果としてその手札は枯渇の状況に陥っていた。苦渋の決断。知らない人は結果として何もせずターンエンドしてしまう。
「まずい……このままじゃユニットを出せないよ!」
「アハハハ!どうやらこれは勝負あったかな?」
「おっと!ここでパスト氏はコスモゾーンから更につよそうなカードを出しましたぞ!」
「侵略宇宙竜フォーマルハウト!とどめを刺せッ!」
「……!」
 そうこうしている間に、最後のフィニッシャーである侵略宇宙竜フォーマルハウトの登場によって勝負は決した。ラストアタック!宇宙パストが知らない人の最後のライフを砕く!
「あーっとこれは決着でござるぞーッ!!」
「ヴァンキッシュ!!どうだ、俺の勝ちだーッ!!」
「グアーッ死ぬ!!」
 敗者必滅!勝負に敗北した知らない人はライフダメージの衝撃に吹き飛ばされながら床を転がり、そして爆発四散!宇宙パストは勝利の快哉を叫び、グッとガッツポーズする!
「やりましたよルチレイテッド様!」
「ああ、よくやった」
 勝利を喜ぶ宇宙パストが拳を突き上げる。労うミズ・ルチレイテッド。そして2人はあらためて標的であるエイミーへとその手を伸ばし――
「では続けてこのバーチャルキャラクターを……」
「ウーンそうでござるなー」
 ――バンッ!
「グアーッヘッドショット!!」
 しかし、そこに割り込んだ銃声!言うまでもなくエドゥアルトの仕業である。銃撃をまともにくらった宇宙パストはもんどりうって倒れ床の上に転がった!
「フッ。またつまらぬものをわからせてしまったでござる……」
「ええ……」
「ええ……」
 くゆる硝煙を吹き消すエドゥアルト。その姿にエイミーとミズ・ルチレイテッドが困惑しながらドン引きしていた。
「とりあえず対戦相手が死んだので拙者の勝ちでござるな!」
「……死んでない!!!」
 だが、宇宙パストもしぶとさにかけては超一流!文句を付けながら戦場に復帰する!
「チッ。生きてたでござるか」
「うるせー!!!もっとシナリオの趣旨に則って参加しろ!!!!」
 宇宙パストは更にメタい文句をつける!もはや収拾を付けることが困難となった戦場を、エイミーとミズ・ルチレイテッドの2人がうつろな目で見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美
裕美にネットの掲示板などで新シリーズ関連のスレを【情報収集】してもらい、メタデッキを組み、副人格のシルヴァーナで対戦に挑む
「多少大人げないですが、お仕置きをしてあげましょう」

デッキは「竜」や「ドラゴン」と名の付くカードを狙い撃ちにした竜殺しデッキ。本来は敵カードをドラゴン化させるコンボが回らないと扱いづらい
「貴方、カードへの愛はあるのかしら?大事なカードを倒されたくない想いはありまして?」
「何も苦労せずに手に入れたカードだから、こんな付け焼刃なメタへの対抗できないのですわ」
デッキへのこだわりを持たないわたくしが言う事でもありませんが
もしパストが真のヴァンキッシャーに目覚めたなら、負けてもいい



 ――数時間前のことである。
「……新弾情報……。ええと、『ヴァンキッシュ!総合スレ 第26ターン目』……」
 中村・裕美(f01705)は端末を叩き、キマイラフューチャー世界におけるウェブ掲示板やカードゲーム情報を取り扱うブログなどを探っていた。
「…………次のテーマは《コスモドラゴン》……。……赤黒の混色?一応、色はあるのね。てっきり『虚』かと思ったけど……」
 ――そう、彼女は宇宙パストへと対抗策を練り上げるために、『ヴァンキッシュ!』の新シリーズについての情報を集めていたのだ。
「……『コスモゾーン』から登場するユニット……。……でも、これも《コスモドラゴン》ね」
 集めた情報から、彼女は宇宙怪人と戦うためのデッキ構築を進めてゆく。
 キマイラフューチャーの罪なきバーチャルキャラクターの命がかかった戦いだ。万が一にも負けることは許されない――ならば、今更手段は問わないだろう。裕美は今回、“勝つため”のデッキ構築を――もっと言ってしまえば、宇宙パストのデッキを予測した上でそれを封殺するためのメタデッキを作り上げるつもりでいた。
「……よし」
 裕美は手にしたナイフで指先をちくりと刺した。
 つぷりと指の上に小さな赤い珠のように浮かぶ血の色が、彼女の心理にはたらきかける――カウントすること10秒。一度目を伏せ、そしてそれから顔を上げた彼女は――その人格を、代えていた。
「ふふ……久方ぶりの『ヴァンキッシュ!』ですわね」
 すっかり様子の変わった裕美は、眼鏡を外しながら口の端に笑みを浮かべる。
 裕美――否、彼女の別人格であるシルヴァーナは、かくしてその手にデッキを構えたのであった。

「――そういうわけですわ。多少大人げないですが、お仕置きをしてあげましょう」
「なんだとぉ……!」
 かくして裕美/シルヴァーナへと対峙する宇宙パスト・フォーサイス!前置きはこのあたりまでにしておいて、ヴァンキッシュが始まる!
「ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ。わたくしのターン」
 ルールに則ったじゃんけん勝負によって先手を得た裕美/シルヴァーナは手札を確認しつつ、リソースへとカードを置いてゆく。最序盤は互いに出方を伺うタイミングだ。静かな呼吸だけが戦場を満たす。
「――では、参りましょう」
 そして――先に動いたのは、裕美であった。第3ターンにおいて、裕美は3コストを支払い、フィールドカード『竜殺しの狩場』を展開。『このカードが場にある限り、カード名/属性に『竜』または『ドラゴン』を含むカードを手札からプレイするコストは+1される』――。――そう。それは『ドラゴン』に対するメタを仕掛ける、あからさまなメタデッキであった!
「なにィッ!?」
 対する宇宙パストは出端を挫かれる!《コスモドラゴン》のコズミックカードを保有し、コズミックカードの降臨条件を満たすために構築された彼のデッキのユニットカードは、そのほとんどが《コスモドラゴン》――裕美/シルヴァーナの仕掛けたメタに完全に引っ掛かるカードカテゴリなのだ!
「本当はねぇ――この『竜化魔法陣』を張ってから動くデッキなのですけど」
 裕美/シルヴァーナが笑みを浮かべる。――それは、狩猟者の貌であった。
「そちらのデッキがほとんど【ドラゴン】でしたから、助かりましたわ」
「こいつ……!ドラゴンメタデッキか!」
 裕美/シルヴァーナが仕掛けたのは、特定の条件に合致したカードに対する強烈な優位性をもつメタデッキによる盤面の完全支配であった。
 それは特定のカードに対する徹底的な優位性をもつかわりに、対戦相手がそうでなかったときのパワーダウンが著しい諸刃の剣だ。しかし、今回のバトル相手がどのようなデッキを用いて仕掛けてくるかははじめからわかっている。――裕美はその情報アドを直接勝ちにつなげる手法をとったのである。
「だ、だが!まだ負けたわけじゃ――」
「『砕鱗アンスウェラー』――。『【カットイン】。相手の場のカード名/属性に『竜』または『ドラゴン』を含むカードを2枚まで選び、破壊する』」
「ちいッ!!」
 盤面を整えるべく展開を進めようとする宇宙パストであったが、ドラゴンメタでデッキを固めた裕美/シルヴァーナの苛烈な妨害の前に攻めあぐねる。盤面が揃わない以上、場のカードの上に降臨するコズミックカードも使うことができない――宇宙パストは動きを封じられたも同然であった。
「貴方、カードへの愛はあるのかしら?」
 ――そして、その苛烈なメタゲームの最中。裕美/シルヴァーナはパストへと問いかける。
「なんだと……?」
「ヴァンキッシャーとしての熱い想いは……。あなたの相棒ともいえる大事なカードを倒されたくない想いはありまして?」
 ここで裕美/シルヴァーナが問いかけたのは、この『ヴァンキッシュ!』というゲームにかける想いと熱量の強さだ。
「なにを言ってやがる……!きたねえメタデッキなんかで攻めてきやがって!」
「――」
 激昂する宇宙パストの怒号を、裕美/シルヴァーナは鼻で笑って受け流す。
「こ、こいつ……!この女、気に入らねーッ!せっかくこの俺が最新のカードで叩き潰してやろうって思ってたっつうのに!」
 気に入らない、とばかりに感情的に吐き捨てる宇宙パスト!だが、その激昂を裕美/シルヴァーナは更に嘲う。
「……何も苦労せずに手に入れたカードだから、こんな付け焼刃なメタデッキにすら対抗できないのですわ」
「なに……!」
 裕美/シルヴァーナが口の端を歪める!たじろぐ宇宙パスト!
「……プロキシで偉ぶり、新環境のパワーカードさえ使えば勝てる、などという浅はかな考えでゲームを暴力のための手段につかう……。決して許されることではありません」
 鋭い舌戦の一方で、メタデッキによるワンサイドゲームで圧倒していた裕美/シルヴァーナは容赦なく宇宙パストの盤面へと斬り込んでいた。戦況は既に傾き切り、そのライフを0にするところまで達していたのである。
「ば、バカな……!?新環境だぞ!?あたらしいカードが勝つのは当たり前じゃ……!」
「どうやら、あなたでは真のヴァンキッシャ―にはなれないようですわね」
 失望めいたため息と共に、裕美/シルヴァーナは最後のアタックを宣言する。『鋼鉄のジーグフリード』が、宇宙パストの最後のライフを砕き切った――ゲームエンド!
「グアーッ!!」
 悲鳴をあげながら床を3回バウンドして転げる宇宙パスト・フォーサイス!ここにつけられる6度目の決着!
「……ヴァンキッシュ」
 そして、勝利宣言。
「あなたが真のヴァンキッシャーであれば、メタカードへの対策も含めた構築ができていたはずですわよ」
「お、おのれ……!」
 宇宙パストが歯を噛み鳴らす。
 ――ここまでで既に5度の敗北を繰り返していたパスト・フォーサイスであったが、しかしてまだその胸の闘志は尽きていなかったのである。
 ガッツだけは一級品!しつこくも立ち上がる宇宙パストはまだ戦いを挑むつもりだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

あらま、ヴァンキッシュ?けっこー久しぶりだからカン鈍ってないといいんだけど。

前回同様トークンとカットイン主体なのは変わらないけれど、今回使うのは黒と「銀」。銀は防衛が得意な色、対抗するにはうってつけでしょぉ?
全体破壊に合わせてカットイン、『金剛不壊の鉄壁陣』起動!全体に破壊耐性を付与するわよぉ。
…ところで。黒ってユニット・トークン問わず「バトルした相手をトラッシュする」能力持ちが多いのよねぇ。そしてぼさっと立ってたらハリケーンやハウンドでトラッシュ行き。
個人戦闘では逆なんだけど…どうも大物食いが得意なデッキ使う傾向あるのよねぇ、あたし。



「はあ、はあ……お、おのれ猟兵どもめ……!」
「がうー」
 肩を激しく上下させ、荒く息を吐きながら悔しさに歯を噛み鳴らす宇宙パストと宇宙だいうるごすくん――。
 だが、その前に新たな刺客がまたしても訪れるのだ。
 ――カッ。ブーツの底が床を叩く音。
 ティオレンシア・シーディア(f04145)は、悠然とその戦場へ足を踏み入れた。
「……あらま、ヴァンキッシュ?」
 スタンディングヴァンキッシュテーブルと、そこに置かれたカード群を見遣ってティオレンシアはぱちりと瞬いた。
「そ、そうだ……!ヴァンキッシュで俺と勝負しろ!今度こそ俺のデッキでコテンパンにのしてやる!」
「ふうん……。そういうノリでくるのねぇ。いいわよ、相手になってあげるわぁ。けっこー久しぶりだからカン鈍ってないといいんだけど」
 敵意を剥き出しにして睨む宇宙パストの視線を涼しい顔で躱しながら、ティオレンシアは銃を抜くようにデッキを引き出し、構える。
「なめやがって……!いくぜ、勝負だ!ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ」
 テーブルを挟んで対峙する2人は公式ルールに則ったじゃんけん勝負によって先行を決める。取ったのはティオレンシア。まずはリソースを置いてターンエンド。よほどの速攻テーマでない限りは、序盤は緩やかな流れになる。
 しかして、先手を打って動いたのはティオレンシアであった。返す2ターン目、彼女は手札から『鉄輪従騎士 ラタータ』を出撃する。
「あれは……銀のユニットカード!」
 戦いを見守っていたバーチャルキャラクターのエイミーがここで実況に入った。
「『鉄輪従騎士 ラタータ』は『このユニットはアタックできない』という制限をもつかわり、コスト2では破格のパワー5000をもつユニット。序盤の優秀なブロッカーね!」
「解説ありがと」
「はッ!そんな雑魚カード、俺のコズミックカードの前じゃ無力だぜ!」
「そうかしらぁ?――『銀』は防衛が得意な色。対抗するにはうってつけでしょぉ?」
「言ってやがれ……俺のロードシリウスで全滅させてやる!俺のターン!」
 返すターンで宇宙パストがカードを引き、そしてスペルを発動する。『コズミックドロー』!宇宙パストはカードを2枚引き、更にデッキ上から4枚をオープン。開いた4枚の中から、《コスモドラゴン》をもつ『ダークマター・ドラゴン』を手札に加えてターンエンドした。
「あたしのターン……。手札から『呪滅師チヅル』を出撃ねぇ」
 『呪滅師チヅル』――コスト3。パワー3000。『このユニットが相手によって破壊されたとき、自分の場に『コスト3/パワー2000/このトークン・ユニットが相手のユニットによって破壊されたとき、このユニットを破壊した相手のユニットをトラッシュに置き、その後このカードをゲームから除外する』を持つ《呪霊》トークン・ユニットを生成する』――。
「破壊時能力を持つ黒のユニット!黒と銀の混成デッキだったんだ……」
「あたしはこれでターンエンド」
「俺のターンだ……ドロー!」
 返すターンで宇宙パストはダークマター・ドラゴンを展開。これで相手の場には降臨するためのカードが出た。次で勝負をかけてくるだろう。
 だがティオレンシアは続くターンではリソースを置くのみにとどめた。ターンエンドを宣言する。
「どうした?展開しないのか?……くっくっく。なら、こっちから行かせてもらうぜ!俺のターン!リブート・アンド・ドロー!そしてバトルフェイズ!行け、ダークマター・ドラゴン!」
 そして遂に宇宙パストによる攻勢が始まった!ダークマター・ドラゴンが戦場を奔り、そしてその頭上で宇宙への門が開く!
「さあ、コスモゾーン解放だ!ここへ降りよ、侵略宇宙竜ロードシリウス!」
 コストを支払い、コスモゾーン領域からコズミックカードが降臨する!
「登場時能力によって、お前の場のカードをすべて破壊だ!更にダークマター・ドラゴンの能力!このユニットの上に《コスモドラゴン》が降臨したため相手に1ダメージ!」
 ロードシリウスの能力が発揮!相手の場の全てのユニットを破壊する強力な除去効果!
「――ええ。そうくるわよねぇ?」
「なに……?」
 だが、ティオレンシアは不敵に笑んだ。
「【カットイン】――。『金剛不壊の鉄壁陣』!」
「これは――破壊耐性付与の銀のスペル!」
 『金剛不壊の鉄壁陣』。ティオレンシアが手札から出したのは、コスト4の銀のスペルカードだ。『【カットイン】このターンの間、自分の場のすべてのユニットは相手の効果では破壊されない』!
「なッ……!?」
「この効果によって、全体に破壊耐性を付与するわよぉ。これでその能力は不発ねぇ?」
「ちいッ……!だが、ロードシリウスのアタックはこのまま継続する!パワー12000だ!」
「そこはブロックするわぁ」
 ロードシリウスのアタックは呪滅師チヅルによって受ける。鉄壁陣の効果はバトルによる破壊には適用されないが、チヅルは破壊時能力を発揮してトークン・ユニットを生成した。状況はティオレンシアの優勢に推移している。
「ターンエンド……!」
「あたしのターンはリソース置いて終わりよぉ」
「なに……!?」
 ――ここからが彼女の本領である。
 ティオレンシアのヴァンキッシュスタイルは、手札に揃えた【カットイン】能力をもつカードによるカウンターが主体だ。既に十分とも言えるリソースを揃えた今、その戦術はもはや万全とも言えた。
「ちッ……あのトークンが面倒だな……!まずはあれを処理する!俺は2コスト払って手札からスペル『メテオフォール』を使う!パワー4000以下の相手ユニットをすべて破壊!」
 『メテオフォール』は赤のスペルだ。『相手の場のパワー4000以下のユニットをすべて破壊する』。シンプルな除去スペルである。宇宙パストはこれで《呪霊》トークンの脅威を払った。そして満を持してロードシリウスでの攻撃宣言へと移る!
「行け、ロードシリウス!パワー12000だ、コスト3の雑魚ユニットなんかじゃ……」
「ええ。だから別の方法で止めさせてもらうわねぇ?」
 ティオレンシアはカードを引き抜いた。
「“下剋上”ハウンド」
 コスト4。『カットイン/【手札】このカードのコストを払い、パワー10000以上の相手のユニット1体をトラッシュに置くことで、手札にあるこのユニットを自分の場に出撃する』!
 ――パワー12000のロードシリウスはハウンドの能力の対象である。ジャイアントキリング!手札から飛び込んだハウンドがロードシリウスを盤面から排除!そのアタックを止める!
「な、ッ……!?俺のロードシリウスが!!」
「残念だったわねぇ――。あたしのデッキ、どうも“大物食い”が得意みたいなのよぉ」
 切り札であるロードシリウスを失った宇宙パストの盤面にはなにも残ってはいない。趨勢は決しつつあった。
 返すターンでティオレンシアは『七大罪の公主』を出撃。その能力で《罪業騎士》トークンを生成してターンエンド。返すターンで宇宙パストは2枚目のダークマター・ドラゴンを出撃するが――もはや間に合わない。
 展開したユニットでティオレンシアは攻勢をかけた。続くターンで宇宙パストは侵略宇宙竜フォーマルハウトを降臨させるも、ティオレンシアのライフを削り切るには至らない。
 そして迎えたラストターン――。
「《罪業騎士》トークンでアタック。カットインはあるかしらぁ?」
「ぐ、ぐ……!て、手札からスペル『コズミック・リヴァイヴァー』を使用!コスモゾーンにある使用済みのカード1枚につき、俺のライフを2点回復――」
「――[クイックドロウ!]」
「あれは――ハリケーン!」
 『荒野の早撃ち ハリケーン』――『【手札】相手がスペルの使用を宣言したとき、その効果解決前に青1コストを払ってよい。そうしたとき、手札のこのカードをトラッシュに置き、そのスペルの効果を無効化する』!ダメージとしてリソースに置かれていたカードを青として扱うことで、ティオレンシアはこの能力を起動した。宇宙パストのスペルを打消し、そして最後のライフを打ち砕く!
「これで、ヴァンキッシュ」
「グアーッ!」
「がうー」
 Vanquish!勝者、ティオレンシア。ライフを砕かれる衝撃に転げる宇宙パストと宇宙だいうるごすくんが基地の壁に激突して幾度目かの悲鳴をあげた。
「……そろそろあきらめたらどうかしらぁ?」
「こ、心が折れるまでは負けじゃない……!」
 見上げた根性!倒れた宇宙パストは半泣きであったがしかしてその限りなきチャレンジ魂によってまたしても立ち上がる!
 そう、宇宙パストが完全にあきらめるまで、この戦いは続けられるのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

ジノーヴィー・マルス
アイシャ(f19187)と。

え、何。カードゲーム?いや、やった事ねーんだけどなぁ…。ま、いいや。ルールブック見ながらデッキ?組むからちょっと待ってて兄ちゃん。

…ほい、出来上がり。じゃ、始めますか。

負けたら…まぁ、その時は…鉄砲バーン…って事で。

(デッキコンセプト:場に特定の種族がいる状態で、更に特定の呪文を使うと、リソース消費無しで呪文効果をもう一度発動出来る。
キーカード:デッキの上から三枚を見て、好きな一枚を選んで手札に加えるものと、アンタップ状態のユニットを一体墓地に送れるもの。後者は種族効果に対応していない。
この二枚が墓地に揃う事で、手札からリソース無しで強力なユニットを場に出せる)


アイシャ・ラブラドライト
f17484ジノと
口調→華やぐ風
ジノ以外には通常口調

ヴァンキッシュのルール、何回読んでもよく分からない…
ジノはカードゲーム好き?
私はトランプくらいしかしたことなくて…
ジノもルールブック読む?
あれ…なんだかジノがすごく活き活きしてる気がする
もしかして、こういうの好き…?
これは新しい発見…嬉しいな

一緒に戦いたいけど、理解が追いつかないから
ジノやバーチャルキャラクターさんに解説を求めながら何とか参加する
時々カードの絵柄について感想を言ったり
応援したり
ジノ、この複雑なルールをすぐ理解できるなんてすごい…

(ゲーム・戦闘ともに基本的にサポート役
ゲームに関してはジノがどことなく楽しそうなのもあって興味津々)



「ここが秘密基地……ってやつか?」
「そうみたいね……気を付けて、ジノ。敵がいるわ」
 ジノーヴィー・マルス(f17484)と、その肩に座るアイシャ・ラブラドライト(f19187)は注意深く宇宙船団ルチレイテッド第10秘密基地の内部へと足を踏み入れる。
「……ま、また来やがったな、猟兵ども!!」
「いるな」
「いるね」
 そして、2人を迎え入れる宇宙怪人パスト・フォーサイスと宇宙だいうるごすくん!
「面倒臭ぇが……とっとと終わらせて」
「さあ、俺とヴァンキッシュで勝負しろ!!!!」
「は?」
 面倒臭がりながらもホルスターから45口径McManusの銃把に手をかけたジノへと、宇宙パストはカードバトルを挑む!困惑するジノ!
「え、何。カードゲーム?」
「――そう、カードゲームだよ!!」
 聞き返したジノへと、彼らの救出対象である囚われのバーチャルキャラクター・エイミーが声を投げかけた!
「いや、やった事ねーんだけどなぁ……」
「私もないよ」
 ジノとアイシャは困惑を隠せないまま顔を見合わせて首を傾げる。しかし、エイミーは2人を無視して話を続ける!
「『ヴァンキッシュ!』はね、『マルチバースの融合から混乱が始まった世界で、様々な勢力が派遣を争って戦う』っていう背景世界の設定があって……」
「まるちばーす……?」
「あ、いや……そういうのはいいからルールから説明してくれ」
「わかったわ!」
 カードゲームには不慣れなジノとアイシャに配慮し、エイミーは世界設定の解説を打ち切った。続けてエイミーは電脳空間ストレージから引っ張り出したPDF形式のファイルをラミネート済みの冊子として2人へと手渡す。
「これが『ヴァンキッシュ!』公式ルールガイドよ!」
「はあ……」
「へえー」
 ルールブックを受け取った2人は、ぱらぱらとページをめくり、ルールの確認を始めるのであった。
「よし!!ルールはわかったな!!俺と勝負だ!!」
「あ、いや……今確認してっから。ルールブック見ながらデッキ?組むからちょっと待ってて兄ちゃん」
 勝負を仕掛ける宇宙パストをジノが手で制する。宇宙パストは素直に引き下がって待機した。

「……ヴァンキッシュのルール、何回読んでもよく分からない……」
「まあ、カードゲームのルールってのは簡単じゃねえからな……」
 ルールは一見複雑そうだけど、複雑だぜ。ジノは眉根にしわを寄せながらアイシャに頷く。
「ジノは……カードゲーム好き?」
「どうかな……ガキの頃にほんの少し触ってたような気はするが」
「ふうん……。私はトランプくらいしかしたことなくて……」
 ジノとアイシャは公式サポーターでもあるエイミーから提供されたカードの束と、ルールブックを交互に見ながらデッキ構築作業を進めてゆく。アイシャはあまりゲームへの理解度を高められなかったが、その一方でジノはヴァンキッシュというゲームのシステムについて理解を深めつつあった。
「……まぁ、いい。だいたいわかった」
 そして、ジノは提供されたカード群の中からいくつかのカードをピックアップし、デッキの方向性を定めてゆく。
「『星導』……」」
 ここでジノが手に取ったカードは――『双児宮 魔影のジェミニーナ』。《星導/妖精》のユニットである。
 『自分がカード名に『光輝魔術』をもつスペルを使用したとき、その効果発揮後、もう一度同じ効果を発揮する』能力をもつユニットだ。更に、『このユニットが出撃した時、山札の上から3枚まで見て、その中から1枚まで選び、手札に加える』能力ももつ。直接的な攻撃力はもたないかわりに別の方向で強力な能力をもつユニットカードであった。
「おっ。そこに目をつけるとは、初心者にしてはなかなかだね!
 そしてその選択をエイミーが褒める。
「わあ……かわいいね、この絵柄」
 横からカードを覗き込んだアイシャが忌憚なく感想を述べた。描かれた『ジェミニーナ』は、二対の翅をもつ妖精めいた可憐な女性のイラストをもつカードである。その容姿はほんのすこしアイシャに似ていると言えなくもなかった。
「こういうゲームは基本的にモンスターだのクリーチャーだので攻めるのが常套だからな……。こういう呪文で戦うタイプなら、向こうの虚を突ける可能性がある。どうも相手方はモンスターに頼るデッキらしいから、別の角度からの攻め手を考えて……」
 ジノは眉根に皺を寄せながらためつすがめつカードを見比べ、真剣な様子でデッキに向き合っていた。
「あれ……?なんだかジノがすごく活き活きしてる気がする……」
 ――普段のけだるげな様子とは一変して、鋭いまなざしでカードに向き合うジノの姿に、アイシャはいつもと異なる彼の顔を見た。
「もしかして、こういうの好き……?」
「好きかどうかはわからないが…………まあ、面白くないわけじゃない」
 一瞥も返すことなく、集中を途切れさせないままにジノは応えた。
「そうなんだ……。これは新しい発見……嬉しいな」
 その姿をほほえましげに見守りながら、アイシャは緩やかに微笑んだのである。

「……さあ、そろそろデッキができた頃だろう!!」
 そして宇宙パストがジノを呼んだ!
「ほい、出来上がり。……ああ、丁度完成したところだ」
 対するジノは、たったいま完成したデッキを手にしながら立ち上がり、スタンディングヴァンキッシュテーブルへとつく!
「じゃ、始めますか」
「ああ、いくぜ!」
「がうー」
 興奮した様子で声を上げる宇宙パストと宇宙だいうるごすくん!ここに対峙する2人のヴァンキッシャー。交錯する視線――そして、これより戦いが始まる!
「ゲットレディ……って言えばいいんだな?」
「ああ!いくぜッ!ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 公式ルールの則るじゃんけんによって先手を取ったのは宇宙パストである!パストは鋭くドローの声を響かせ、ターンを進めてゆく!
「俺のターンだ。リブート、ドロー……リソースにカードを置き、メインフェイズ。手札からスペル『光輝魔術・スターリーアラウンド』を使う」
 一方、ジノは構築したデッキの動かし方を問題なく把握している。彼のデッキはスペルを多用するスタイルだ。必然的にユニットの比率が減ってしまう都合上、いわゆる『手札を回す』スペルが多い。ジノはスターリーアラウンドの効果でデッキから3枚ドローし、その後、2枚を手札からトラッシュに破棄する。
「りぶーと……?どろー……?」
「じゃあ説明するね。まず、カードゲームの流れとして、『自分の番にできること』は順番が決まってるんだよ」
 いまいちルールを把握しきれていないアイシャへと、バーチャルキャラクターのエイミーが説明を入れる。
「自分の番になったらね、『フェイズ』っていうのを順番に進めていくんだ。『リブートフェイズ』は、前のターンで行動したカードを[未行動]にして、動けるようにするフェイズ。その次はカードを引くドローフェイズに、リソースにカードを置くリソースフェイズ」
「りそーすっていうのはなんでしょう……?」
「うーん、お財布って思ってもらえばいいかな……。カードには、そのカードを使うためのコスト……つまり、値段が決まってるんだ。そのお値段の分だけ、お財布から払わないとそのカードは使えないってこと」
「そうなんですか……」
「とーぜん、強いカードはそれだけたくさんのリソースを払わなくちゃいけないってわけ――ほら、ゲームが進むよ!」
「はい……!」
 エイミーに促されてアイシャはバトルの状況を見守る。現在、ジノの盤面にユニットは2体。宇宙パストの場にはダークマター・ドラゴンが控える!
「俺は手札からジェミニーナを出撃する。登場時能力で山札から3枚を確認し、1枚手札へ加えてターンエンドだ」
「はッ!アドバンテージを稼いだつもりなんだろうがな……俺のコズミックカードに勝てるかよ!俺のターン!さあいくぜ、コスモゾーン解放だ!」
 そして――切り札!開かれたコスモゾーンより、ロードシリウスが降臨する!
「ここでダークマター・ドラゴンの能力を発揮!このユニットに《コスモドラゴン》が降臨した時、相手のライフに1ダメージ!更にロードシリウスの能力で相手のユニットをすべて破壊だ!」
「く、ッ……!」
 衝撃!能力によるライフダメージとそのままプレイヤーへのアタックをしかけるロードシリウスによって、ジノはあわせて2点のダメージをもらう!
「ジノ!」
「……大丈夫だ、まだ負けちゃいねえ」
「はッ!だが、ロードシリウスが出た以上、お前にもう勝ち目はないぜ!ターンエンド!」
 勝ち誇る宇宙パスト。ジノは口の端から零れた血を拭って態勢を立て直す。
「……それに、『揃った』からな」
「なに……?」
 ――ドロー。
 そして迎えるメインフェイズ。ジノは手札からスペルを使用する――『光輝魔術・スターリインカーネーション』。
 コスト6のスペルだ。その効果は『自分の山札から5枚まで見て、その中から1枚まで手札に加える。その後、自分の手札から《星導》か《妖精》をもつユニットを1枚まで選び、コストを払わず出撃する。また、自分のトラッシュに『ジェミニーナ』と『精霊女王の威光』があるなら、このカードのコストは0になる』――。
「スターリインカーネーションの効果を発揮し、俺は手札から『精霊女王 マジェスティック・ジェミニーナ』を出撃」
「そ……そのユニットは!」
 『精霊女王 マジェスティック・ジェミニーナ』――コスト10。パワー11000。黄色の大型ユニットだ。
 『[ターン1回]このユニットがアタックしたとき、自分の手札にあるカード名に『光輝魔術』をもつスペルを、コストを支払わずに使用できる』。
 『自分がカード名に『光輝魔術』をもつスペルを使用したとき、その効果発揮後、もう一度同じ効果を発揮する』。『このユニットのアタックしたバトルの終了時、トラッシュにあるカード名に『光輝魔術』をもつスペルを1枚まで選び、手札に加える』。
「すごい……あのカード、とってもきらきらしてる……」
「あれは黄色の切り札……ハイエンドレアだよ!」
「このままバトルフェイズだ。ジェミニーナでアタックした時、このユニットの能力を発揮する。俺は手札から『光輝魔術・ジェミナイズイリュージョン』をノーコストで使用。この効果によって、ジェミニーナを[未行動]にする」
「くッ……!だ、だが俺のライフはまだ5点!そんなもので削り切れるか!」
「ああ、だからこっちも使わせてもらう。――ここで更に【カットイン】だ。『光輝魔術・スコルピイサイン』。『このターンの間、このユニットが相手のライフにダメージを与えたとき、相手のライフへ更に1点ダメージを与える』能力をジェミニーナに付与する。――で、ジェミニーナの能力でこれを2回だ。重ね掛けさせてもらうぜ」
「な、なに……!」
「な、なにがどうなってるの……?」
 状況に理解が追いつかないアイシャは困惑する!
「スペルのカードでユニットを強くしたんだよ!見て、これで決着だ!」
「そ、そうなんですか……ジノ、がんばれー!」
 ジノは冷徹にスペルカードを多重起動し、ジェミニーナを強化した!『ジェミナイズイリュージョン』によってアタック回数を増やした上で、『スコルピイサイン』で与えるダメージの数を更に底上げしたのだ。
「ブ、ブロックできるユニットが――ない!」
「だろうな。これで決着にさせてもらう」
 轟音と衝撃!ジェミニーナが宇宙パストのライフを砕く!――更に再攻撃!パストを守るユニットのない今、これも素通しだ!ジノは最後のライフを叩き砕く!
「……ヴァンキッシュ、って言えばいいんだっけ?」
 ダメージの衝撃に吹き飛ばされた宇宙パストが床を転げた。踵を返すジノが、勝ったぞ、と手を振りながらアイシャのもとへと戻る。
「ジノ、この複雑なルールをすぐ理解できるなんてすごい……」
「……まあ、なんとなくな」
「いやー、はじめてであのデッキをあんなに使いこなすなんて……スジがいいよ!」
 凱旋を祝うにアイシャとエイミーがジノを迎える。
「お、おのれ……!」
 だが、ここまで負けっぱなしであるにもかかわらず未だ諦めの悪い宇宙パストがその様子を恨みがましく睨んでいたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】

へぇ、ヴァンキッシュだって?
久々に挑戦させてもらうとするかねぇ、
前回は最後に負けちまったんだ!
リベンジも兼ねて、殴り込ませてもらうよっ!

使うのはもちろん、《鋼鉄皇帝軍》中心の『銀』?デッキ!
《鉄血宰相の令》と《超弩級鋼鉄病棟》のフィールドコンボで、
リソースブーストを仕掛ける。
そしてアタシも学習はするんだよ!

破壊誘発でアタックを空振りにする煙幕系ユニットやカットインで
ターンとリソースを稼ぎ。
……使わせてもらうよ、『虚空よりの来訪者 アストラバスター』!!
ダメージ産のリソースから”虚”属性を出して、
奇襲気味にパスト君の陣容を切り崩すよ!
前シーズンの底力に慄きやがれ!



「へぇ、ヴァンキッシュだって?」
「そ、そうだ……勝つまで!勝つまでやる!!!」
 ――もはや満身創痍であったが、宇宙パストはそれでもその胸に限りなきチャレンジ魂を燃やして猟兵たちへと戦いを挑むのである。
 そして――スタンディングヴァンキッシュテーブルを挟み、彼に対峙するのは数宮・多喜(f03004)であった。
「なら、久々に挑戦させてもらうとするかねぇ……」
 多喜はデッキを引き出した。――思い起こされるのは、前回の戦いである。同じくキマイラフューチャーにおいて、ヴァンキッシュを挑んできたオブリビオンがいたのだ。
「さあ、やろうじゃないか!前回は最後に負けちまったからね、リベンジも兼ねて殴り込ませてもらうよっ!」
「フン、随分とやる気みたいじゃないか!だけどそうはさせないぞ。俺のコズミックカードで叩き潰してやる!ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 2人はテーブル越しに闘志をぶつけ合わせる!じゃんけんの結果、先手をとったのは多喜である。
 多喜は序盤から動き出した。フィールド『鉄血宰相の令』をまず展開する。『相手のターン終了時、そのターンに自分のライフが減っていないなら、自分は1点ダメージを受けてよい。そうしたとき、自分は1枚ドローする』――という能力をもつカードだ。次に回ってきたターンで、彼女は更に『超弩級鋼鉄病棟』を展開。『自分のターン開始時、自分のライフが5以下なら、ライフを1点回復してよい』。鉄血宰相の令によって受けるダメージを鋼鉄病棟による回復で帳消しにする、アドバンテージをとっていくフィールドコンボだ!
「銀のデッキか……!しかももうフィールドを揃えてきてやがる!」
「がうー」
「だが、いくらそんなことしたって――俺のコズミックカードに勝てるか!」
 その一方で宇宙パストは堅実にコスモゾーンを用いた戦術を目指して棋譜を進めていた。『尖兵竜コメット』や『リトルノヴァ・ドラゴン』といった小型の《コスモドラゴン》を並べてゆく――。
「アタシは『防壁騎士ファランクト』と『攪乱兵スモーガン』を出撃」
 『防衛騎士ファランクト』は『コスト3以下の《鋼鉄皇帝軍》は相手の効果で破壊されない』。『攪乱兵スモーガン』は『【カットイン】相手のユニットがアタックしているとき、このユニットをトラッシュに置くことで、そのバトル中、自分のユニットは破壊されず、自分はダメージを受けない』をもつ。どちらも堅実に守りを固めてゆく能力をもったユニットだ。
「チッ……破壊耐性をもたせてきやがったか。なら、ロードシリウスは効果が薄い……!」
「ヴァンキッシュにはいろんな戦い方があるからね。アタシも学習するんだよ」
 敵の主要なユニットは破壊能力による圧殺を得意としていると見た上で、彼女は対策を取ってきたのだ。――その戦いの様子を、とらわれたバーチャルキャラクターのエイミーは固唾をのんで見守っていた。
「それなら、こっちの手でいかせてもらう!俺のターン!俺は手札からスペル『降臨の日』を使用!」
 宇宙パストはここで攻めに出る。『降臨の日』!それはコスモゾーンから降臨するカードの降臨条件を無視することのできるスペルである。これでパストは強引に切り札を出撃させる作戦に出たのだ。
「いくぜ、コスモゾーン解放ッ!灼き尽くせ、侵略宇宙竜フォーマルハウト!」
 ――降臨!開かれた宇宙の門から、侵略宇宙竜が降臨する!『このユニットがアタックしたとき、このユニットを[未行動]にする。この能力は、1ターンに2回まで起動できる』――すなわち、3回攻撃を行うことが可能な大型フィニッシャーユニットである!
「アタック!」
「くッ……!ライフで受ける!」
「続けてアタック!」
「それもッ!」
「なら、こいつもくらえッ!」
「そこは……【カットイン】!スモーガンの能力で止めさせてもらうよ!」
 多喜は苛烈な3回攻撃を凌ぎ切る!しかし、彼女のライフは残すところ2点。再び宇宙パストにターンが回れば、防ぎ切るのは難しいだろう。
「くくく……次のターンで決着だ。俺のフォーマルハウトでとどめを刺してやるぜ」
「……ははは」
 だが、ここに至って尚多喜は笑ってみせた。
「勝ち誇るにはまだ早いよ……。こっちだって、切り札を隠してたんだからね!」
「バカな!ここでどんなカードを出して勝とうって――」
「ああ、今見せてやるさ――アタシのターン!ドロー!そして……使わせてもらうよ!」
 多喜はここで『防壁騎士ファランクト』を自分のフィールドから“除外”した。
「ダメージリソースを“虚”属性としてカウント!」
「“虚”属性!?」
 ここでエイミーが声をあげた。
 ――虚属性とは、ヴァンキッシュの前期シーズンで登場した属性だ。SF感のある悪役めいたイラストデザインと強力なエースカードで人気を博したカード群である。
 そして――前回の戦いにおいて、多喜の戦歴に傷をつけたカードでもあった。
「出撃ッ!『虚空よりの来訪者 アストラバスター』!」
「ア……アストラバスターだと!?」
 『虚空よりの来訪者 アストラバスター』。コスト7。パワー11000。《虚滅/来訪者》。
 『このユニットは、自分の場のユニットを1体をゲームから除外することでコスト4として出撃できる』。
 『このユニットは相手の効果で場を離れない』。『このユニットのアタックがブロックされたか相手のライフを減らしたとき、相手の場のユニットを1体選びゲームから除外する』――。
 3つの強力なテキストを備えた、前期シーズンの中でも人気の高いユニットだ!
「そうか、ダメージで生じるリソースはどの属性としても使える!」
「銀のデッキと思わせていたのはフェイントだったってことか!?」
 驚愕と困惑にエイミーと宇宙パストが叫ぶ!
「そういうことさ!――さあ、前シーズンの底力に慄きやがれ!バトルフェイズだ!行け、アストラバスター!」
 かくて、虚の騎士が戦場を奔る!ライフダメージ!宇宙パストの身体が衝撃に揺れる!
「ぐあ……ッ!」
「ここでアストラバスターの能力を発揮!虚空の彼方に消え去りな、宇宙侵略竜!」
 アストラバスターの能力が、コズミックカードを盤面から除外する!これで宇宙パストは切り札を失った!
「エンドだ!」
「な、なめるなよ……!お前のライフは残り2点!アストラバスターだって[行動済]でブロッカーはいない!俺のターン!」
 返すターンで更に宇宙パストはユニットを展開!多喜のライフを崩すべく、アタックを仕掛けるが――!
「【カットイン】!『撤退命令』だ!『このバトル中、自分のライフは減らず、また、バトル終了時、このバトルフェイズを終了する』!」
「なに……!」
 ――多喜は銀のスペルで進撃を赦さない!
「アタシのターン!アーマメント、『虚の魔剣 ディストルテイン』!」
 そして、再び回ってきたターン。多喜はアストラバスターにアーマメントカードを[武装]する!これにより、アストラバスターの与えるダメージが上昇!更に多喜は手札から出せる限りのユニットを展開し、ラストアタックへと持ち込んでゆく!
「これで終わりさ――アストラバスターでアタック!」
「グアーッ負けましたーッ!!!」
 ――かくして、決着!アストラバスターのラストアタックが見事宇宙パストの最後のライフを叩き砕いた。もはや心折られた宇宙パストは宇宙だいうるごすくんと一緒に床をごろごろと転がり、そして最終的に爆発する!

 それから、僅かな静寂を置いて。
「……ハハハハ、アッハハハハ!なるほど、なるほど……まあ、やはりというべきか。彼では役者不足だったようだね」
 ぱち、ぱち、と。控えめに響く拍手の音。
 部屋の中へと足を踏み入れたのは、今回の首領である宇宙船団ルチレイテッド代表、ミズ・ルチレイテッドその人である。
「こうなってしまったなら仕方がない。ここから先は私が相手をしよう。――そう、このヴァンキッシュでね!」
 ば、ッ!ミズ・ルチレイテッドがデッキを掲げる――!それはまごうことなくヴァンキッシュのカードだ!彼女もまた、一人のヴァンキッシャーとして戦いに挑む所存なのである。

 かくして、戦いは次の段階へと移るのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ミズ・ルチレイテッド』

POW   :    インクルージョン・ウェポン
【掌から生成したルチルの弾丸】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    クロックパルス・イベイジョン
【水晶振動子を利用し、完璧なタイミングで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    クリスタライズド・バレット
【10秒間の集中】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【透明化させたルチル弾】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠椎宮・司です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「やはりこの程度の相手ではあまりにも不足だった……ということだね」
 キマイラフューチャーの侵略を目論む悪の組織、宇宙船団ルチレイテッド。
 その首魁であるミズ・ルチレイテッドは口の端に薄ら笑みを浮かべながら猟兵たちの前へと姿を現した。
「では、ここから先はこの私、ミズ・ルチレイテッドが諸君の相手を務めよう。……しかし、こんな殺風景な場所ではいまいち盛り上がりに欠けるな」
 ルチレイテッドはぱちりと指を鳴らす。……鳴動するルチレイテッド第10秘密基地!崩壊する基地の下から、彼女の艦であるクリスタルシップが浮かび上がる!
「さあ、ついてくるがいい。この戦いのために特別に用意した特設バトルステージで君達を葬ろう。……この『侵略宇宙デッキ』を使ってね!」
 ルチレイテッドは素早く身を翻し、浮かび始めたクリスタルシップへと飛び込んでゆく。そして向かう先は、船内に準備されたコロシアムめいたバトルステージだ!
「私は君たちに決闘を申し込む――このヴァンキッシュで!」

『輝く侵略ディアマンテ』――コスト6。パワー10000。『このユニットは相手の効果でトラッシュに置かれない』!『相手のユニットがアタックかブロックするとき、相手は自分のユニットを1体トラッシュに置かなければアタック/ブロックできない』!

『煌めく侵略クォーティア・ルチル――コスト5。パワー7500。『このユニットは相手の効果で選ばれない』。『このユニットがアタックかブロックしたとき、相手のユニットを2体まで選び、[行動済]にする』!

『光の理想郷』――コスト15。【コズミック】。『【降臨条件:『侵略』&コスト6以上】。パワー0。
『このカードのコストは、自分のカード名に『侵略』をもつユニット1体につき1減る』。『このカードが降臨したとき、自分はゲームに勝利する』!

 キーカードを見せつけながら、ルチレイテッドはスタンディングヴァンキッシュテーブルの前に立った!
「では、始めよう。ゲットレディ!」
 かくして、ミズ・ルチレイテッドとの戦いが幕を開けるのである!

 君たちは律儀にカードバトルを挑んでもいいし、無視して殴りかかってもいい。
神羅・アマミ
あんだこのヤロ~…見るからに強そうなカード見せつけやがって!
だが妾は知っている…カードゲームにおいて高コスト系はデッキが回らないと勝手に爆死することに!

ならば【ローコスト】構成にできぬものかのぅ。
コスト5以上とかパワー5000以上のカードプレイを互いに禁止する、もしくはコスト上乗せを要求する系で縛りつつ、こちらはユニットを大量展開!
相手がビートダウン対策でアタック抑制をしてくるというなら、フィールドアドバンテージを利用し攻撃以外の方法で1:1交換に持ち込めるカードもあると嬉しい。
派手なカード一枚の取り回しに苦労してるうち、いつの間にか圧倒されてるって寸法よ!

今回はインチキなしでやってやらぁー!



「あんだこのヤロ~……見るからに強そうなカード見せつけやがって!」
「ハハハ……訂正してもらおう。“強そう”じゃなくて――“強い”んだよ、私のカードは」
 スタンディングヴァンキッシュテーブルを挟んで、神羅・アマミ(f00889)はミズ・ルチレイテッドに対峙する。
「じゃが、100パーセント勝てる無敵のデッキなど存在せぬ!妾のデッキでお主を下し、それを証明してやらー!」
「ふッ――意気やよし、としておこう。では、始めようか……ゲットレディ!」
「おう!ゆくぞ、ビギニング・ザ・ヴァンキッシュじゃ!」
 ――試合開始ッ!ここまでくっついてきたバーチャルキャラクターのエイミーが固唾を飲んで見守る中、2人のヴァンキッシュが始まる!
「私のターンから――」
 公式ルールに則ったじゃんけん勝負によって先手を取るミズ・ルチレイテッド!まずはリソースを置いてターンエンド。
「おーし、そんならじゃんじゃんいくぞー!妾のターン!」
 対するアマミは序盤から展開してゆく!手札からコスト2、『マテリアルユニット』を出撃。パワー1000。『このユニットはデッキに何枚でも入れられる』!
「あれは……マテリアルデッキ!」
「ほう、そのデッキタイプできたか……なるほど。たしかにそれなら優位性を取れるかもしれないね」
「おーよ、そっちが動き出す前に押しつぶしちゃるわ!デカいのが出てくる前にアタック!」
「さあ、それはどうかな!」
 マテリアルユニットがルチレイテッドのライフを叩く!1点目のダメージを取り、アマミはターンエンド。
 返すターンでルチレイテッドは『クリスタルサーヴァント』を出撃。《輝人》属性を持つユニット――すなわちディアマンテやルチルを出撃するときのコストを軽減する常在能力をもつカードだ。
「そんならこっちはこーじゃ!」
 続いてアマミはフィールドカード『絶界の孤島』を配置した。『お互い、本来のコストが5以上のユニットを出撃させるとき、追加で2コストを支払わなければ出撃できない』!
「上手い!軽量カードで戦うデッキなら、あれは一方的に相手を制限できるカード!」
「なるほど、それで私の侵略を鈍らせるつもりか」
「うむ。妾は知っておる……カードゲームにおいて、高コスト系はデッキが回らないと勝手に爆死することをな!」
 アマミはフィールドを置いてターンエンドする。返すターンにルチレイテッドはドロースペルで手札を補充。そのままアマミへとターンを返した。
「そして更に妾は展開をすすめるぞー!『ゴーレム・ファクトリー』じゃ!」
 デッキが回る!続けてアマミがフィールドに配したのはコスト4のフィールドカード!『自分のターン開始時、山札の上から3枚までを見てよい。その中から『マテリアルユニット』を1枚まで選び、コストを支払わず出撃する』!また、『自分か相手のバトルフェイズ開始時、自分の『マテリアルユニット』を2枚選び、トラッシュに置いてよい。そうしたとき、自分の手札かトラッシュにあるコスト7以下のカード名に『ゴーレム』をもつユニットを出撃する』!
「そっちも準備を整えているようだけど――私ももう動けるのだよ!さあ、私のターンだ!ドロー!」
 ――ここでルチレイテッドのリソースは7枚に達する。そして迎えたメインフェイズ、彼女の手札からユニットカードが出撃!
「クリスタルサーヴァントの効果で出撃コストを軽減。孤島の効果で追加の2コストを支払おう。さあ、出番だよ。我が化身、輝く侵略!ディアマンテ!」
 かくして戦場へと侵略の手は降りた。『輝く侵略 ディアマンテ』。『トラッシュに置かれない』耐性能力と、相手のユニットの犠牲を強要する妨害能力をもつ強力なカードだ!
「だが、ここは出撃するのみにとどめてターンエンド――さあ、どうする?」
「うるせー!妾のターン!」
 返すターン。アマミはゴーレム・ファクトリーで山札からマテリアルユニットを出撃。更に手札からもう1体を場に出した。これで3体のユニットが並ぶことになる。
「妾はここで『マテリアルドロー』じゃ!マテリアルユニットを解体してカードを引くぞ!」
 マテリアルドローは『山札から3枚引き、その後、手札を2枚破棄する』カードである。しかし、『自分の『マテリアルユニット』をトラッシュに置くなら、破棄する手札は0枚になる』のだ。アマミはマテリアルユニットを1枚トラッシュに置きターンエンドし、次に備える。巡るターンでルチレイテッドは2体目のクリスタルサーヴァントを出撃。そしてそのままターンを終えた。――『光の理想郷』による勝利を念頭に置いたプレイングだ。
 更に巡るターンで、アマミは続けて山札からマテリアルユニットを出撃させる。盤面のマテリアルユニットは再び3体!
「……ここで一気に決着をつける!妾は手札からマテリアルユニットを3枚出撃!」
「ほう……そうくるか!」
 大盤振る舞いの展開!これでアマミの盤面には都合6体のマテリアルユニットが並ぶ!
「そして勝負はこっからじゃ!バトルフェイズ開始時、ファクトリーの効果を発動!盤面のマテリアルユニット2体をトラッシュに送り、妾は手札からバフバリックエレファントゴーレムを出撃!」
 轟音!そしてフィールドに降りるバフバリックエレファントゴーレム!コスト7、パワー9000!
『このユニットが登場した時、自分のユニットを好きなだけ選び、トラッシュに置いてよい。そうしたとき、トラッシュに置いたユニットと同じ数だけ相手のユニットを選び、好きな順番で相手の山札の下に置く。更に、この能力で自分のユニットを2体以上トラッシュに置いたなら、このターンの間、このユニットが相手のライフを減らすとき、追加で1点のダメージを与える』!
「ムッ――そのカードは!」
「ワハハハ!ゆけ、バフバリックエレファントゴーレムよ!登場時能力で妾はマテリアルユニット3体をトラッシュに送るぞ!そして効果でそのディアなんちゃらゆー奴とついでに残りのやつもぜーんぶデッキ送りじゃ!」
「そうか、バウンス能力!」
 ここでエイミーが解説に入る!
「ディアマンテの能力はあくまで『相手の効果ではトラッシュに置かれない』……だけど、『手札に戻す』や『山札に戻す』能力なら、対抗できないんだ!」
「なるほど、的確に弱点を突いてきたというわけか!」
「おーよ!これでとどめじゃ!ゆけーい!」
 アマミの盤面に残るユニットは2体のマテリアルユニットと1体のバフバリックエレファントゴーレム!バウンス能力によって盤面を空にされたルチレイテッドに対抗策はなく、更にバフバリックエレファントゴーレムはダメージ追加能力も発揮している!
「ぐ……ッ!」
 マテリアルユニット2体が1点ずつライフを削った!そしてバフバリックエレファントゴーレムがとどめの一撃を叩き込む!最後のライフを砕き――決着!
「オラーッ!これでヴァンキッシュじゃ!!」
「がフ、ッ!」
 衝撃!ダメージに身体を軋ませながら嗚咽するルチレイテッド!
「ははは……なるほど、さすがの実力だ……!」
 ――だが、まだ一戦を終えたに過ぎない!口の端に苦々しくも笑みを乗せたルチレイテッドが、ゆっくりと態勢を立て直してカードを構える。
「……さあ、次の対戦に移ろう」
 そして、戦いは第二戦目へと続くのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

アシェラ・ヘリオース
「さて。では、よろしく頼む」

序盤は闇騎士の定番コンボで場を整える
下手にライフを削り、相手にコストを与えるのは命取り
特殊勝利デッキは危険な相手だ

大型の揃う中盤以降が勝負所。除去耐性で場持ちの良い侵略の大型が脅威だ
闇騎士専用装備カードや、「行動済」でもブロック可能な大型の「闇騎士:近衛隊長」で対抗したい

勝機は「暗黒皇帝の威光」。場にいる全てのユニットの名を次の自ターン終了まで【闇騎士】に変更し、特殊勝利達成を遅延させたい。これは対象を取らない効果だ

「出ろ、光輪の悪魔よ」

場にいる全ての【闇騎士】を光輪の悪魔に重ね、その合計に応じた効果を発動する切り札だ
無限粒子加速によるフォース粒子砲で勝負をかけたい



「次の相手は――」
「私だ」
 ミズ・ルチレイテッドの眼前へと、アシェラ・ヘリオース(f13819)が進み出る。
「ああ――では、よろしく頼む」
 ――向かい合う2人は、既にこの『ヴァンキッシュ!』というゲームを理解した上でデッキを握っている。
 戦い慣れしたヴァンキッシャーがひとたび邂逅したとあらば、多くを語る必要はない。
 言葉は、盤上で交わすのだ。
「行くぞ。ゲットレディ」
「アハハハハ……受けて立とう。ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 じゃんけんによって先手を取ったアシェラが手札を見る。流れは悪くない。序盤は悪くない動きができるだろう。
 だが、気を緩めてはならない。アシェラは油断なく棋譜を進めてゆく。
 ヴァンキッシュには、その人間の全てがあらわれるという――。それは事実だ。旧銀河帝国において指揮官を務めていた彼女は、戦場での経験を思い起こしながら、先を見据えつつターンを進めてゆく。
 まず、アシェラは小型のユニットを展開。『帝国軍斥候部隊』――『このユニットが登場した時、山札の上から3枚まで見て、その中から《闇騎士》のユニットカードを1枚まで選び、手札に加える』――や、『黒き帝国騎士』といった軽コストのユニットを展開してゆく。スペル『シャドウバタリオン』での展開加速も絡めた《闇騎士》の理想的なムーヴだ。
「流石にわかっているね。それほど展開しておきながら、仕掛けてこない――ダメージによる私のリソース増加を警戒しているんだろう?」
「当然だ。下手にライフを削ってそちらにコストを与えるのは命取り……そのデッキがどれほど危険かなど、見ればわかる」
「アハハ……だけど、私のデッキの戦い方が《理想郷》の特殊勝利だけだとは思わないことだ」
 対して、ルチレイテッドはスペルでの直接ドローから、『侵略』ユニットのコストを軽減するフィールドやユニットを展開。キーカードの出撃を早める。
「私のターン……ドロー!そしてメインフェイズ!」
 そして――ルチレイテッドが動き出した!
「さあ、ゆけ!煌めく侵略・クォーティア・ルチル!」
 キーカードの登場だ。戦場に煌めく侵略が舞い降りる!
「……来たか」
 アシェラは対峙したまま、静かに思索した。戦況は刻々と変化し続けてゆくものであるが、それに対策を取るのもまた将兵の務めだ。
「このままルチルでアタックしよう。テキストを起動し、『斥候部隊』と『帝国騎士』の2体を[行動済]にする。カットインはあるかな?」
「ない。そちらになければこのままライフで受ける」
「いいだろう!」
 衝撃!ライフを砕かれる痛みにアシェラが僅かに呻く。――そして返すターン。アシェラはカードを引いた。
「私のターンだ。リソースを支払い、手札から『近衛隊長カヴェナンター』を出撃する」
「ほう……なるほど、壁を立ててきたか」
 『近衛隊長カヴェナンター』――コスト6。パワー8000。『このユニットは[行動済]でもブロックできる』。クォーティア・ルチルのパワーを上回るブロッカーだ。また、自分のターンに攻撃を行って[行動済]になっても返すターンでブロックが可能という利点もある。総じて強力なカードだと言えるだろう。
 だが、アタックによって相手のリソースを伸ばすのは危険な選択だ。アシェラはそのままターンを終える。
 2人の戦いは静かに進む。ルチレイテッドは更に『輝く侵略ディアマンテ』を出した。2体のキーカードが場に揃ったかたちだ。そして、この時点で彼女のリソースは9枚。《光の理想郷》の降臨は、刻一刻と近づいてきていた。
 一方アシェラは更に盤面を固めてゆく。アーマメントカード、『暗黒鎧装』――[武装条件:闇騎士&コスト4以上]。『このユニットが[武装]しているなら、パワー+2000』。『[武装]しているこのユニットが場を離れるとき、この『暗黒鎧装』をトラッシュに置くことでこのユニットを場に残す』。アシェラはこれをカヴェナンターに[武装]させることで、防御を固めたのである。
「だが、このデッキを相手にそんな戦い方でいいのかな?――私のターン。手札から更にディアマンテを出撃する!」
「……2枚目か」
「そして更に『映える侵略 マラカイティア』を4コストで出撃だ。……アハハハハ!これで私の『侵略』は4体。《光の理想郷》は11コストで降臨可能――次のターンでこの戦いは終わり、というわけだよ」
「……そうか」
 既に勝利を掴んだとも言わんばかりに勝ち誇り、ルチレイテッドはターンエンドを宣言する。
 だが、アシェラは嗤った。
「私のターン。……ここで私は、スペル『暗黒皇帝の威光』を使う」
「なに……?」
『暗黒皇帝の威光』――!『このカードを自分の場に置く。このカードが場にある間、お互いの場のすべてのユニットは元々のカード名と属性を失い、カード名と属性が『闇騎士』/《闇騎士》になる』。『場に置かれたこのカードは次の相手のエンドフェイズ開始時に[行動済]になり、[行動済]のこのカードは自分のエンドフェイズ開始時にトラッシュに置かれる』。
 ――すなわち、自分の次のターン終了時までカード名を書き換えるスペルだ!
「すべてのユニット……対象を取らない効果!」
「そうだ。『選ばれない』能力でも防げない。――これでお前の場に『侵略』はない。そのコズミックカードのコストは15のままだ」
「なるほど……味な真似を。ですが、時間を稼いだだけでしょう」
「さあ、どうだろうな。私は更にスペル、『シャドウバタリオン』で闇騎士トークン・ユニットを2体追加してターンエンドする」
「……」
 僅かに焦れるルチレイテッド。しかし、ルチレイテッドは返すターンで2体目のクォーティア・ルチルを出撃する。これでターンエンドだ。――そして迎えたアシェラのターン。ここで遂に彼女は動き出す。
「ここで決着をつける――出ろ、光輪の悪魔よ」
 遂に、決着をつけるための切り札が姿を現す。
 『光輪の悪魔 バラム』。コスト9。パワー15000。『このユニットが手札から出撃したとき、自分の《闇騎士》すべてをこのユニットの下に重ねて置く。置いた枚数に応じて、以下の効果を発揮する。』
 『1枚以上:このカードの登場時能力によって重ねたカード1枚につき、相手の場のユニットを1体選び、破壊する』
 『3枚以上:このターンの間、このカードの下に重なっているカード2枚につき、このユニットのアタックで相手のライフに与えるダメージを+1する』
 『6枚以上:このターンの間、このユニットの能力は相手の効果では防げない』
 『8枚以上:このターンの間、このユニットは相手の効果を受けない』
 『10枚以上:このターンの間、相手は【カットイン】を使用できない』
 ――アシェラの場に展開していた《闇騎士》は、10体。悪魔はそれをすべて呑み込み、すべてのテキストを起動する!
「な……ッ!」
「では、能力を発動する。……すべて条件を満たすため、お前の場のユニットを10体まで選び、破壊だ。これは効果では防げない!」
「まさか、こんな大雑把なカードで……!」
「フィニッシャーを警戒しなかったのがお前の敗因だ」
 バラムの能力は相手の能力をすべて無視した上で発動する。『トラッシュに置かれない』でも『選ばれない』でも防げないのだ。ルチレイテッドの盤面をバラムが抹消する!
「そしてバトルフェイズ……灼き尽くせ、光輪の悪魔!」
「くッ……!」
 能力を完全に発揮した光輪の悪魔への対抗手段は極めて少なく、限られている。ルチレイテッドは歯噛みしながら、そのアタックを受け入れるほかにないのだ。
 そしてバラムは二つ目の能力によって相手に与えるライフダメージを上昇させている。その加算数値は――+5!一撃で6点のダメージを叩き込む!
「素晴らしいワンショット……!ふ、フフ、アハハハハ……!見事です!」
「……ヴァンキッシュ」
 決着!ライフの砕かれる音と共に吹き飛んだルチレイテッドを背に、アシェラが勝利を宣言する。
 2戦目もまた猟兵たちが勝利を飾り、バーチャルキャラクターのエイミーが放送する生配信も今日一番の同時接続視聴者数を叩きだしていた。
 だが、ルチレイテッドの躯体は未だ滅びてはいない――。彼女は再び立ち上がり、笑みと共にもう一度テーブルに着こうとしているのだ。
 戦いは、まだ終わってはいないのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【勝敗お任せ】

ふむぅ、つまり猟書家の奴のデッキってのは
ユニットを並べて攻めにくくさせてる間に、
戦う以外で勝ちを狙う訳か……ん?
アレ?アタシが前に使ったデッキと少し被ってねぇ?
て事は対策できるカードも何かあったはず……
うーん、こうかねぇ?

使うデッキはもちろん《鋼鉄皇帝軍》の『銀』デッキ。
《鉄血宰相》《鋼鉄病棟》のコンボに、
更に『ソーティ』と『アラーム』の援軍量産コンボを組み込んで。
ライフロス以外での敗北を無くすフィールド……なんて言ったっけな?
そいつを張って長期戦に持ち込むよ。
「勝つ」と「敗けない」がぶつかったらどうなったっけ?
〆は『ストライバ』と『ゴジュラドス』で決める!



「……」
「――随分と盤面を埋めてきたようだが、私の侵略デッキには勝てないさ」
 数宮・多喜(f03004)とミズ・ルチレイテッドの戦いは既に5ターン目を迎える。
 多喜の盤面には銀属性の《鋼鉄皇帝軍》のユニットが並び、対するルチレイテッドの盤面には『煌めく侵略 クォーティア・ルチル』とサポートカードである『キラメクストーン』――コスト3のフィールドカード。『自分の《輝人》すべては相手の効果で手札/山札に返されない』。『自分の《輝人》がブロックしたバトル中、ブロックしている自分のユニットすべてのパワー+1000』――。更に《輝人》の出撃コストを軽減する『クリスタルサーヴァント』が置かれていた。
「……」
 多喜は敵の盤面を見下ろしながら思考する。
 ――ルチレイテッドのキーカードは、いずれもこちらのアタック/ブロックを阻害するものだ。
 強引に押し込めばフィニッシャーにもなりうるだけの強力な能力をもっているが――彼女は攻めについては消極的な様子が見える。
(ユニットを並べて攻めにくくさせてる間に、あの『理想郷』とかいうカードで勝ちを狙うわけか……)
 わかりやすいといえばわかりやすい戦略だ。実際、ヴァンキッシュのデッキパターンの中には防御を固めることで勝利を目指すデッキも少なくはない。多喜の扱う銀のデッキもその例に漏れず守る方に重きを置くスタイルだ。
(ん……?……アレ?アタシが前に使ったデッキと少し被ってねぇ?)
 ここで多喜は思い出す。
 彼女が以前用いたデッキもまた、ユニットによる制圧ではなく特殊なコンボを利用したマジックで勝利を勝ち取るデッキだった。緑の礎・拡大する樹海・そして今盤面に出撃している即時対応兵ソーティを用いて膨大なリソースを支払い、支払ったリソースに応じて相手に直接ダメージを与える『怒れる大地の咆哮』でとどめを刺す戦略だ。
 4種のカードを揃え、必要なリソースも確保する必要がある条件の厳しいコンボであった。これもまた特殊な勝利ともいえるだろう。
 だが――100%相手に勝つことができるコンボ、というのは、カードゲームにはあってはならない。カードゲームがカードゲームであるためには、どこかしらに付け入る隙や対策がなくてはならないのだ。そうでなかったとすれば、それはゲームではなく蹂躙である。
(ってことじゃ、対策できるカードもあったはず……)
 短い思索とともに、多喜は棋譜を進めてゆく。
「がんばれ……!」
 そして、その戦いをバーチャルキャラクターのエイミーが動画配信しながら固唾をのんで見守っていた。
 ターンは巡り、戦いは続く。
「さて――次のターンで私のリソースは11枚に達する。そして、私の場にはディアマンテが1体。そしてルチルが2体に、マラカイティアが1体……『侵略』が4体だ。アハハハハ……これで準備は整った」
「……そうかい」
「私はこれでターンエンド。さあ――どうする?」
「ああ。やることは決まってる。……アタシのターン!」
 続くターンで多喜はカードを引き、そしてメインフェイズにフィールドカードを展開する!
「『誇り高き誓い』だよ!」
「なに……!」
 『誇り高き誓い』――!コスト6のフィールドカードである。『このカードが自分の場に置かれている限り、自分はゲームに負けない。自分のライフが0になるとき、このカードはトラッシュに置かれる』!
 すなわち――『ライフを0にされる以外では負けない』能力を持つ、特殊勝利を止めるカードだ!
「さて……『勝つ』と『負けない』がぶつかったらどうなったっけ?」
 多喜は口の端に笑みを乗せながら、エイミーに尋ねた。
「はい!公式ルールにおいては、フィールドカードの能力が優先だよ!だから……特殊勝利は、できない!」
「ピンポイントなメタを!」
「お前もヴァンキッシャーだっていうなら、きっちりライフを叩きに来な!更にアタシは『迎撃隊長ストライバ』を出撃!」
 『迎撃隊長ストライバ』!コスト4。パワー6000!『相手のバトルフェイズ開始時、相手のユニットを1体選び、相手はそのユニットでアタックする』!更に、『このユニットがブロックしたバトルで相手のユニットが場を離れたとき、相手に1ダメージ』!――迎撃こそが銀属性の真骨頂だ。多喜はここから勢いを見せる!
「ターンエンド!」
「私のターン……ええ、ええ、そうと言うなら正面から相手をしてやりましょう!私は手札から2体目のディアマンテを出撃!バトルフェイズ!」
「やっと本気を出してきたね!バトルフェイズ開始時、ストライバの能力発揮!クリスタルサーヴァントでアタックしな!」
「くッ……だが、ブロックするのならディアマンテの能力を受けてもらう!」
 ディアマンテは『相手のユニットがブロックするとき、相手自身のユニットを1体破壊しなければブロックできない』能力をもつのだ。それが2体!多喜はブロック宣言の度にユニットを2体犠牲にしなくてはならないのである!
「そのためのトークン展開だよ!」
 だが、多喜はそれを見越してあらかじめトークン・ユニットを展開していたのだ。アーマメントカード、『緊急招集アラーム』の――『[武装]中のこのユニットを[行動済]にすることで、『コスト2/パワー3000/このトークン・ユニットがブロックするとき、そのバトル中このユニットのパワー+2000』を持つ《鋼鉄皇帝軍》トークン・ユニットを生成する』能力によって。
 ここに至るまでに多喜が盤面に並べたトークン・ユニットは10体にも及ぶ。盤面には更に『即時対応兵ソーティ』、『鉄輪従騎士ラタータ』、『攪乱兵スモーガン』が立っている。多喜の盤面にはまだ余裕があるのだ。
「ストライバでブロック!トークン・ユニット2体を破壊だ!」
「ちッ……!」
 アタックに向かったクリスタルサーヴァントがストライバに迎撃されて爆散する。能力発揮!ストライバの能力がルチレイテッドのライフを砕いた!
「ならば、ルチルでアタック!2体を[行動済]にしてもらう!」
「それ以上は……ライフで受ける!」
 衝撃!ライフダメージに多喜の身体が軋む!しかし、ルチレイテッドはここでターンエンドした。そして更に返す多喜のターン――。
「アタシのターン……さあ、取って置きの出番だ。行きな、『鉄帝竜機ゴジュラドス』!!」
 轟音――!戦場に降りる重ユニット!コスト7、パワー12000!『このユニットは[行動済]でもブロックできる』『このユニットがブロックしたバトルで相手のユニットが場を離れたとき、相手に1ダメージ』『このユニットがアタックしたとき、バトルするかわりに相手のコスト3以下のユニットを2体まで選びデッキの下に置くことができる』!
「それは……銀のハイエンドレア!」
「更にアタシはソーティをタップしてアラームの効果で更にトークンを増やすよ!そしてゴジュラドスでアタック!」
「ちいッ……!」
 ――ルチレイテッドの盤面に置いて最も高いのは、ディアマンテの10000。ゴジュラドスを迎撃できるユニットはいないのだ。ディアマンテの能力で多喜はトークン・ユニット2体を破棄するが、それでもその盤面にはユニットが整然と並んでいる。
「フィールドへの対策を怠ったのが敗因か……!」
「さあ、ルチレイテッド。お前のターンだぜ。――バトルフェイズに入りな!」
 そして、幾らかの攻防を挟んだ末に迎えるラストターン。……端的に言えば、ルチレイテッドは盤面に居座るゴジュラドスに切り返せるカードを引けなかったのである。ゴジュラドスのパワー12000は、このゲームにおいてもトップクラスの数値だ。上回れるユニットは少ない。ストライバとゴジュラドスによって、ルチレイテッドの盤面は斬り崩されながらライフを奪われた。
「ディアマンテ……アタック!」
「ゴジュラドスで迎え撃つ!」
 ストライバの能力によってアタックを強要されたルチレイテッドがディアマンテで攻撃を宣言する。当然のようにトークン・ユニットを破壊しながらも迎え撃つゴジュラドス。その圧倒的なパワーが、ディアマンテを打ち砕き――ライフダメージ!かくして最後のライフを削るに至る!
「ぐ、ッ……!」
「ヴァンキッシュ……!いい試合だったよ」
 膝を屈するルチレイテッドを見下ろして、多喜は勝利を宣言する。
 ――かくして、ここに三度目の決着がつけられた。
「はあ……はあ……ッ!いいえ、まだです……!」
 しかし――ルチレイテッドは立ち上がる。ライフダメージによって既にその身体はひび割れ始めていたが、その双眸に宿る戦意は鋭く猟兵たちを睨んでいたのだ。
 そう――“まだやる気”なのである。
 ……戦いは、続く!

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
ウォォォ暴族デッキウォォォ!
大量のモヒカンヒャッハーだぐえー!モヒカンが纏めてやられた!そういうのもあるのか!
強いでござるなエイミー氏は

…えっ?拙者が戦ってるのエイミー氏だけど?ほら拙者素人だから練習したくてな
ルチレイテッド氏の相手は今何処からかわいてきた【俺達】でござる!拙者もよくわからない人達だが…ああっ水デッキの俺がやられた!
炎と水はやられたから後は…風の俺、岩の俺、霞の俺、音の俺、虫の俺、蛇の俺、恋の俺、青眼白龍の俺、カード英雄の俺、花札の俺…増えすぎてわからん!苦戦してるからか

俺達が終わるまでエイミー氏もう一戦行こうか!慣れてからルチレイテッド氏に挑みたいネ!何時になるかわからんが



「ウォォォ暴族デッキウォォォ!」
 エドゥアルト・ルーデル(f10354)は手札からスぺル『ヒャーッハッハッハー!』を使用する。山札から《暴族》のユニットを2体場に出すカードだ。これによってエドゥアルトは『突撃バイクマン』と『汚物消毒者』を展開する。
「大量のモヒカンヒャッハーだァ!」
「私のターン!メインフェイズ!スペル『灼華煉獄波』だっ!これでそっちの場のコスト3以下のユニットをぜーんぶ破壊!」
「ぐえー!モヒカンが纏めてやられた!!そういうのもあるのか!!」
 赤のスペルによって焼き払われるエドゥアルトの盤面!燃え尽きるモヒカン軍団がトラッシュへと送られた!
「いや~強いでござるなエイミー氏は」
「これでも公式アンバサダーだからね~」
「……いやいやいやいや。ちょっと待ちたまえ?」
 ここでようやくミズ・ルチレイテッドがエドゥアルトに声をかけたのである。
「君が『本体』なんだろう?どうしてテーブルに……」
「……えっ?いやいやいやいや!そっちこそ待つでござるよ~~~!!今拙者が戦ってるのはエイミー氏でござるぞ???神聖なヴァンキッシュの最中に口を挟むなどヴァンキッシャ―に風上にも置けませんな!!!」
 文句をつけるルチレイテッドへと強気に押し切るエドゥアルト!ルチレイテッドは状況に困惑する!
「いや、しかし……」
「それにほら!!拙者素人だから練習したくてな!!エイミー氏も親切に付き合ってくれていることでござるし……」
「だが」
「……ほらほら!!!ルチレイテッド氏!!あちらに対戦待ちのメンツががん首並べておりますぞ!!!」
「……」
「……」
 ミズ・ルチレイテッドは深い溜息を吐いた。
 スタンディングヴァンキッシュテーブルの前に並んでいるのは、二十代後半から三十代半ばほどの年齢に見える男性である。
 一様に黒っぽい服や野暮ったい服装やアニメキャラのイラストが描かれたシャツなどを身に着けた垢抜けないファッションをしており、そして皆一様に無精ひげをたくわえた上で眼鏡をかけていた。
 その上、一人残らず黒く淀んだ目をしていた。
「……誰なんですか、あの人たち?全員コミュニケーション取れなくて苦労してるんですけど」
 うっかり素に戻ってしまったルチレイテッドが胡乱なものを見る顔でエドゥアルトに尋ねる。
「あれは勿論、とし――【俺達】でござるよ!!拙者もよくわからない人達だが!!」
「……」
「……デュエルおねがいします…………」
 沈黙しながら懊悩するルチレイテッドの後ろから、【俺達】が声をかけた。
「待って。ヴァンキッシュの試合は『デュエル』じゃなくて『ヴァンキッシュ』だからね!別のカードゲームと一緒にしないこと!」
「……」
 エイミーの細かいツッコミを無視して不愛想に【俺達】がスタンディングヴァンキッシュテーブルへと戻ってゆく。
「……じゃあ、適当にやってるから。終わったら来てくださいね」
 ため息交じりに肩を落としながらルチレイテッドがテーブルへと向かう。
 既に赤属性のデッキを使う【炎の俺】と青属性使いの【水の俺】はルチレイテッドの前に敗北を喫して消滅していたが、まだまだ緑使いの【風の俺】や【虫の俺】に【霞の俺】、黄色を使う【岩の俺】や【音の俺】――他にも様々なテーマを扱う【蛇の俺】【恋の俺】【ブルーアイズの俺】【昆虫ボーグの俺】【ばしゃと きれぼ俺】といった成人男性たちがルチレイテッドとの対戦を待っている。
「じゃあ、あっちの【俺】たちが終わるまでエイミー氏もう一戦いこうか!!」
「おっけー!じゃあちゃんと勝てるように特訓だからね!」
「ウンウン。ちゃんと慣れてからルチレイテッド氏に挑みたいでござるからネ~……いつになるかわからんが」
 そしてエドゥアルトはデッキをシャッフルしなおし、再びエイミーとのフリーファイトに挑む。
「――いい加減にしろッ!!!」
「ああっ風デッキの俺がやられた!」
 その後ろでルチレイテッドがまた一人【俺】を葬ったのであるが、しかして【俺達】はまだしこたま残っている。
 かくして、ルチレイテッドはいつ終わるとも知れぬ俺達の挑戦を受け続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
うっわあ、いっそ清々しい強カード…
あたしミッドレンジ型だから時間かけられないとキッツいのよねぇ…

そーねぇ…トラッシュされてしまうなら「トラッシュされてもいい」ように組みましょうか。
今度のデッキは黒と赤、自傷型ビートバーン。
「トラッシュに置かれたときに発動する効果」を持つユニットを展開して、互いにユニットを破壊する「死なば諸共」なんかの自爆・生贄カードを合わせる軽量型デッキねぇ。「ルストーの秘儀」も合わせればより効果的かしらぁ?
あっちは相応に重そうだし、なんとか速攻仕掛けたいとこだけど。

…あとは最終手段、「黄昏の聖域」。ビートの強みは展開力、いざとなったら数で押し切るわよぉ。



「いっそ清々しい強カードねぇ……」
 ミズ・ルチレイテッドの繰り出すカードを目にして、ティオレンシア・シーディア(f04145)は眉根に皺を寄せた。
 だが、先だってルチレイテッドと戦いを繰り広げている猟兵達のおかげで、デッキを組みなおす時間は稼げている――対策を取ったスタイルに構築を直せるだろう。
「向こうは時間をかけたら特殊勝利してくるタイプ……。あたしミッドレンジ型だから時間かけられないとキッツいのよねぇ……」
 ティオレンシアは思考する。――敵の手の内が明かされていたのは彼女にとって幸いだった。本来の彼女のデッキは、相手のアタックに合わせてカットインを使うことで除去を行うカウンタースタイルであることが多い。
「今回は少し手を変えていかなくちゃならないかしらぁ……。そーねぇ…トラッシュされてしまうなら「トラッシュされてもいい」ように組みましょうか」
 ――彼女が注目したのは、『ディアマンテ』のもつ制限能力である。
 一つの方向性を得て、ティオレンシアは戦いに備える。

「ゲットレディ」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ」
 テーブルを挟んで向き合う2人は粛々と試合を開始する。先手はティオレンシア。黒のリソースから置いてゆく。
「アハハハ……さあ、こんどはどんな戦い方を見せてくれるのかな!」
 一方、ルチレイテッドの手には迷いがない。ドロースペルからのサポートユニット展開と、よどみなく棋譜を進めてゆく。
「そうねぇ――こういうのはどうかしらぁ?」
 返すターンにティオレンシアはユニットを出撃させてゆく。『黒き帝国騎士』。パワー4000。『このユニットが効果で場を離れるとき、1枚引く』。『礎となる贄』。『このユニットがトラッシュに置かれるとき、かわりに、リソースに置く』。――盤面から離れることで効果を発揮するユニットたちだ!
「なるほど……考えてきたじゃないか」
「ええ。手の内がわかっていれば対策のしようもあるわよぉ……あとは、そっちの本命が出てくる前に削らせてもらうわぁ。帝国騎士でアタックよぉ」
 速攻!――敵の盤面が整うより先に仕掛ける算段だ。ティオレンシアは早い段階からのアタックをかけてゆく。素早いビートダウンで押し切るつもりだ!
「アハハハ……面白い。ライフで受けよう!」
 ガァンッ!アタックダメージが通る!しかし、ルチレイテッドはその衝撃に身を捩りながらも笑っていた。
「じゃあ、続けて贄でもいくわぁ」
「それも敢えて受けよう!だが、生半可な攻撃は私の展開を早めるだけだよ、お嬢さん……!私のターン!」
 そう。このゲームに置いて、受けたダメージはリソースに置かれたカードとなる。であるが故に、ダメージを受けた相手はその分展開が早まるのだ。ルチレイテッドは手札からディアマンテを出撃させる!
「……きたわねぇ」
「このディアマンテは効果ではトラッシュに置かれない能力を持っている。そのデッキに対抗手段はあるかな?」
「ふふ……。さあ、どうかしらぁ?」
 返すターン、ティオレンシアは嗤った。
「メインフェイズ……。あたしは手札から、『屍術師ルストーの秘儀』を使うわぁ」
「なに……!?なんだ、そのカードは――」
 『屍術師ルストーの秘儀』!『装備条件:コスト6以上』『このアーマメントは、相手のユニットにも[武装]できる。[武装]状態のこのカードは[分離]することができず、相手の場にあるこのカードが場を離れるとき、本来の持ち主のトラッシュに置かれる』『[武装]しているこのユニットはすべての能力を失い、パワー2000の《屍人》になる』。
「このアーマメントを、ディアマンテに[武装]よぉ。……これで、そのカードの能力は消えたわ。耐性能力もねぇ?」
「なんだと……!」
「更にあたしは手札から『疾走するフレイムライダー』を出撃」
 ティオレンシアは続けてユニットを展開する!赤の2コストユニットだ。『このユニットがアタックするとき、赤2コストを支払ってよい。払ったら、このユニットはブロックされない』をもつ!
「くッ……そんな攻め手で!」
「強いカードを振り回してれば勝てるってわけじゃないのよ。さっきの手下の負けっぷりで学ばなかったかしらぁ?」
 続けてティオレンシアは攻勢に出た。帝国騎士が再びルチレイテッドのライフを叩き、フレイムライダーが追撃をかける!ルチレイテッドのライフは残すところ2点!
「ターンエンド」
「だけど、こちらのリソースも増えた!私は手札から『映える侵略 マラカイティア』を2体出撃!」
 だが、ルチレイテッドもただ負けたままではいない。盤面に着々とユニットを増やし、リソースを伸ばしながら降臨の準備を進めてゆく。――降臨が間に合うか。それとも、ティオレンシアの攻め手が早いか。続くターンでティオレンシアは更にユニットを展開する。
「ビートの強みは展開力……数で押し切らせてもらうわよぉ」
 続けてティオレンシアはメインフェイズに2体目のフレイムライダーを出撃し、更にスペル『ヒャーッハッハッハー!』を宣言。この能力によりコスト2以下の《暴族》、『突撃バイクマン』を2体場に追加した。これで彼女の盤面には6体のユニットが並ぶ!
「くっ……おのれ、このアーマメントさえなければ…!」
「アタック」
 そしてバトルフェイズ!ティオレンシアが攻勢をかける!
「……ただで済ませはしない!【カットイン】!『爆ぜるスターマイン』!」
 だが、ここでルチレイテッドがカウンターのスペルを宣言した!コスト3!『【カットイン】/相手の場のコスト3以下のユニットを1枚まで選び、破壊する。自分のカード名に『侵略』をもつユニットがいるなら、更に1体破壊する』!シンプルな除去スペルだ。ルチレイテッドはこのスペルでバイクマン2体を破壊する。
「ええ、来ると思っていたわぁ――その破壊にあわせて、スペルを使うわねぇ。『死なば諸共』よぉ」
「なんだと!?」
 スぺル、『死なば諸共』――『自分のユニットと、相手のユニットをそれぞれ1体ずつ選び、破壊する。または、自分の赤のユニットが相手によって破壊されたとき、相手のユニットを1体選び、破壊する』!
「この効果で、ディアマンテを破壊。ルストーの秘儀がついてるから、耐性能力は機能しないわぁ」
「くッ……このためか!」
「このまま仕掛けさせてもらうわねぇ――ユニット4体、全員でアタックよぉ」
 帝国騎士と贄のアタックを2体のマラカイティアが止める。――だが、最後に残った2体のフレイムライダーのアタックは防ぎ切れない。ルチレイテッドは苦々しくライフで受ける宣言をした。
「ぐあ……ッ!」
 そして、最後のライフが砕かれる!
「……ヴァンキッシュ」
 ――Vanquish!勝者、ティオレンシア!ライフダメージの衝撃に、再び床を転げるルチレイテッド!
「猟兵どもめ……よもやお前たちがこれほどまでの使い手とは。私の見立てが甘かったようだ……!」
 荒い息を吐きながら、しかしてゆっくりと立ち上がるルチレイテッドはティオレンシアを睨んだ。
「あらぁ。まだ気が済まないのかしらぁ?」
「無論だ……!私の挑戦はまだ終わってはいない!」
 そして、ルチレイテッドのヴァンキッシャ―としての闘志が燃える。
 未だ戦いを終える気のないルチレイテッドは、もう一度スタンディングヴァンキッシュテーブルへと着き、そして猟兵たちに呼びかけた。
「さあ……私はまだ諦めていないぞ!私とヴァンキッシュで勝負してもらおう!」
 そう――戦いは、まだ終わらないのである!

成功 🔵​🔵​🔴​

ジノーヴィー・マルス
アイシャ(f19187)と
あー、やっぱり今回もやるのね。前は上手く出来たけど…とんでもねーな、出しただけで勝つとか。

じゃあ、いい事思いついた。
記憶を失う感覚、あんたに味わってもらおうか。

古めかしい機械がテーマのデッキ。敢えて序盤戦は壁ユニットを倒させる。
キーカードは墓地上にユニットカードが一定以上溜まった時に発動できるフィールド「忘却の彼方」
これは面白いぜ。使った奴がカードに載っている「言葉」を指定するだろ。
指定された言葉は、ケリが着くまで消えるんだよ。

それで、あんたは指定する言葉を侵略だと思うだろ?甘いんだなぁ。
元のコストでアレ呼ばれちゃ意味がねぇ。
だから、俺が指定すんのは「勝利する」だよ。


アイシャ・ラブラドライト
f17484ジノと
口調→華やぐ風
ジノ以外には通常口調

ルールブックを何度も何度も眺めて
ジノや、他の人の対戦を観ていたら
ヴァンキッシュのルール、少しだけ分かってきた気がする…
だからこそあのキーカード達、どれだけ凄いカードなのか分かるよ
でもさっきの戦いでジノはすごく強かったし
今度もジノなら勝てるって信じてるよ

ジノらしいカードたち…
そっか、デッキって、自分で作るものだから、組み方で個性を出せるんだね
面白い…
ここで戦うのはジノに任せたほうがいいと思うけど
帰ったらジノと一緒にヴァンキッシュで遊びたいなぁ

(今回も基本的にはジノが戦ってるのを見守りつつ、何か手助け出来そうなことがないか常に探している)



「さあ、デッキを抜くがいい!」
「あー……まさかとは思ってたが」
 ジノーヴィー・マルス(f17484)は眉間にややしわを寄せた。
 彼の眼前においてスタンディングヴァンキッシュテーブルを挟み、デッキを構えて向かい合う相手はキマイラフューチャーの侵略を目論む猟書家、ミズ・ルチレイテッドその人だ。
「……やっぱり今回もやるのね」
 カードバトルで決着をつけるだなんていう荒唐無稽な話はさっきやっつけた三下だけのものなのではないか――なんて、心の片隅では思っていたのだが。今まさに目の前に立つミズ・ルチレイテッドは鬼気迫る形相でジノにカードバトルを挑んできている。
「がんばって、ジノ……!」
「がんばれー!」
 アイシャ・ラブラドライト(f19187)とバーチャルキャラクターのエイミーがジノを応援する。
「はいはい。そんじゃ、期待に添えるように頑張るとすっかね」
 けだるげに手を振るジノは、しかして鋭くその双眸を細めながらスタンディングヴァンキッシュテーブルへとつく。
(――とんでもねーな、出しただけで勝つとか)
 ジノはテーブル上に準備された相手側の盤面の一部――コスモゾーンに視線をやっていた。
 コスモゾーンのカードは、手札や場とは別に管理される特殊な場所であり、公開領域である。――ジノはそこに置かれた《光の理想郷》のあまりにも強力なテキストに目眩すらおぼえた。
(……だが、向こうはあのカードを主軸にした立ち回りをしてくるはずだ。……対策は、立てられる)
「アハハハハ……さあ、楽しませてもらおうか。ゆくぞ、ゲットレディ!」
 その思索を打ち切るように、ルチレイテッドが試合を迫る。
「ああ――ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 応じるようにジノは開戦を宣言した。――かくして、2人のヴァンキッシュが始まる!

「ヴァンキッシュのルール、少しだけわかってきた気がします……」
「うんうん。いいことだと思うよ」
 一方、試合を見守るアイシャとエイミーは静かに言葉を交わし合う。
「……だからこそ、ルチレイテッドさんのあのキーカードたち……どれだけ凄いカードなのか、わかりました」
「うん。特にディアマンテは場にいるだけで相手に制限をかける能力だからね……。しかも『トラッシュに置かれない』っていう除去耐性能力まで持ってる。あれだけで試合の流れが傾きかねない強力なカードだよ」
 輝く侵略 ディアマンテ――その能力は、『相手のユニットがアタックかブロックするとき、相手は自分のユニットを1体トラッシュに置かなければアタック/ブロックできない』である。アタック/ブロックを宣言するためには自分のユニットを犠牲にしなくてはならず、しかもこれは、正確には『アタック/ブロックを行うユニット』ではなく、『アタック/ブロックを宣言するプレイヤー』が対象の能力のため、『効果を受けない』などの耐性能力をもつユニットがいても防げないのだ。むしろ、耐性を持つユニットでは『ディアマンテの能力による“トラッシュに置く”効果を受けないため、プレイヤーはアタック/ブロック宣言を行えない』という状況に陥るジレンマすら存在する。
「ディアマンテとルチルで攻めあぐねさせたところで時間を稼いで《光の理想郷》を降臨させる……そういうデッキタイプなんだ」
 エイミーは深刻な様子で戦いの様子を見守る。
「でも、さっきの戦いでジノはすごく強かったし……今度もジノなら勝てるって、私、信じてます」
 その一方で、アイシャは祈りにも似た想いを抱えながら、ジノの戦いを見守っていた。
(……頑張って、ジノ!)

「バトルフェイズだ。俺は『ギア・ゾルダート』でアタック」
「アッハハハ……!随分闇雲にアタックしてくるじゃないか。何を狙っているか知らないが、それはルチルでブロック!」
 ――戦況は、既に5ターン目を回る。
 序盤からユニットを展開したジノは、愚直にアタック宣言を繰り返していた。
 はじめに2回、ルチレイテッドはそれを見逃してライフダメージを負っている。――だが、3点目からは許さない。先のターンで十分なリソース枚数に達したルチレイテッドは、盤面にクォーティア・ルチルを出撃させていた。ジノのアタックに対し、ルチルで迎撃を宣言。パワー差によって一方的に打ち勝ち、ギアゾルダートをトラッシュに送る。
「……ターンエンド」
「私のターン!」
 一方、ルチレイテッドの棋譜は順調に進められていた。――ここでディアマンテを出撃。キーカード2枚が揃う理想的な展開だ。勝利に近づきつつあるルチレイテッドは口の端に笑みを乗せる。
「出た……あのキーカードだ!」
「ジノ……!負けないで!」
「……俺のターン」
 2人の応援に軽く手を振って返しながら、ジノはカードを引いた。
「なるほど、随分強烈なカードだ。……いや、正直恐れ入ったぜ。ディアマンテとアいうのに除去は効かねえ、ルチルっつーのはそもそも効果で選べねえときた。そうやって時間を稼いで、アンタの『理想郷』が降りてくる……っつーわけだな」
「アハハハハ……。そうとも。私はこのデッキでこの世界を制圧するのさ」
「……ところが、そうはいかないんだ」
 ジノは手札から一枚のカードを引き抜き、そして構えた。
「アンタにそうさせねぇために――仕込んできたカードがあるんだよ」
「……ほう?」
 嘆息するルチレイテッド。相対しながら、ジノはそのカードを場に投げ放つ!
「いくぜ。記憶を失う感覚、あんたに味わってもらおうか」
 ――フィールドカード、『忘却の彼方』!ジノはそのカードを盤面へと配置する!
 コスト5!『このカードは自分の《時元》が5枚以上トラッシュにあるなら配置できる』『このカードを配置するとき、自分はお互いの公開領域にあるカードの中から10文字以内の言葉をひとつ選び、宣言する。このカードが配置されている間、お互いの全てのカードに記載されているその言葉は存在しないものとして扱われ、あらゆる処理において無視される』――!
「なに……!?」
「こいつは面白いぜ。――テキストが消滅するんだ。ケリがつくまで、言葉が消えるんだよ。……思い出せなくなるみたいにな」
「貴様……!そんな隠し玉を!」
「『忘却の彼方』!あんなカードを使うなんて!」
「……忘却」
 それはあまりのテクニカルさに使用者の少ないカードだ。レアな活躍の場面に、興奮するエイミーが声をあげる!
 その一方、アイシャは置かれたそのカードに目を奪われていた。
「……まさか、私のディアマンテの耐性を消すつもりか?それともルチルのアンタッチャブル能力を?……いや、まさかカード名の『侵略』を潰すつもりか!」
「はは、ッ。――甘いんだなぁ」
 ジノはその視線を《光の理想郷》へと落とした。
「いくらアンタのユニットを妨害したところで、そいつを降ろされちゃ意味がねぇ。……だから、俺が指定すんのは『勝利する』だよ」
「なッ――!」
 ――特殊勝利封じ!それはルチレイテッドのデッキの根幹となるスタイルを完全に突き崩す戦略だ!
「続けて俺は手札から『メモリアル・オルゴーレム』を出撃……これでターンエンド」
「くッ……貴様、よくもッ!」
「さあ、こうなっちまえばアンタも俺のライフを叩く他に選択肢はねぇってワケだ。……来な、相手になってやるぜ」
「なめるな、始めて間もないヴァンキッシュ素人風情が!私のターン!2体目のクォーティア・ルチルを出撃!そしてアタック!」
 苛立つルチレイテッドは、半ば激昂しながらアタックを宣言する。ジノはこれをライフで受けた。ダメージカードがリソースへと落ちる。
 そして、攻防。ルチレイテッドのデッキは猛るように牙を剥く。元々ディアマンテとルチルはそれそのものが試合の流れを決定づけることが可能なほどに完成された強力なカードだ。それらは次々とジノのライフに襲い掛かり、ダメージを与えていった。
 一方、ジノは逆に攻め手を欠くこととなる。盤面に揃ったルチレイテッドの軍勢はあまりにも強力は。短い攻防の間に、ジノのライフは既に1点まで追い込まれていた。
「……俺のターン」
「ジノ……」
 アイシャはその戦いを見守りながら、そしてこれがジノにとってのラストターンになるであろうと直感的に理解していた。
「大丈夫。……あの人なら、きっと勝つよ」
 エイミーがその背中をそっと支える。アイシャはそれに頷いて、祈るような思いで戦況を見つめた。
「……まずは、メインフェイズ。スペル、『時間逆行』だ!」
 『時間逆行』!コスト3。『自分のトラッシュから別々のカード名を持つコスト3以下の《時元》をもつユニットを2体まで選び、出撃する』!リアニメイト効果をもつスペルだ!
「『錆びついたギアゴレム』と『フォーガトン・ギアナイト』をトラッシュから出撃!」
「そんな雑魚ユニット、何体並べたところでこの私のキーカードにぃ、ッ!」
「まだ終わりじゃねぇ――ここで切り札だ!」
 そして、更に出撃する最後の切り札――『クロノルーラー・ドラゴン』!コスト7!
 『このユニットが出撃したとき、場とトラッシュに合計5種類以上の別々のカード名をもつ《時元》のカードがあるなら、このターンの間、相手のユニットすべての能力は発揮されない』
 『自分の場とトラッシュに合計4種類以上の別々のカード名をもつ《時元》のカードがあるなら、このユニットはブロックされない。また、6種類以上あるなら、自分のユニットすべてはブロックされない』!
「なんだと……!?そうか、貴様……序盤から自分のユニットをわざとトラッシュに送るような動きをしていたのは、このためだったのか!」
「今更気づいたって遅い!このままアタックだ!」
 ――クロノルーラー・ドラゴンは時を支配する。止められた時の中で、あらゆるユニットはその力を失うのだ。
 ジノの盤面に展開したのは、忘れ去られた古き機械の兵士たち。彼らは、ジノとともに敵のライフへと攻め込んでゆく!
「……あれが、ジノのデッキ……ジノらしいカードたち……」
 そしてアイシャは、戦いの結末を見届けるべくその双眸を開き、戦場を見下ろしていた。
「そっか……デッキって、自分で作るものだから、組み方で個性を出せるんだね」
 面白い――。戦いを目の当たりにしながら、アイシャはその小さな胸の内に確かな高鳴りを感じていた。
「これで……ヴァンキッシュだ」
「ぐあああああああああッ!!お、おのれええええええええッ!」
 ――Vanquish!轟音と衝撃にその身体を砕かれながらもんどりうって倒れるミズ・ルチレイテッド!
「ジノ!」
 決着を迎えた様子を見遣り、アイシャはジノのもとへと飛び込む。
「ああ。勝ったぜ」
「うん、見てたよ。おめでとう」
 受け止めたジノの肩に乗りなおしながら、アイシャはその勝利を祝福するように微笑んだ。
「見てるこっちもドキドキしちゃった……。ねえ、ジノ。帰ったら一緒にヴァンキッシュで遊びたいなぁ」
「マジか……。……わかった、いいぜ。付き合ってやる。俺が疲れるまではな」
 ジノは肩を竦めながら、ポケットから引っ張り出したメモ帳にその約束を記した。

「はあ……はあ……お、おそるべし、猟兵たち……。よもやこの私をここまで追い詰めるとは」
 ――その一方。
 既に全身にひび割れを生じさせた満身創痍の姿となりながらも、ミズ・ルチレイテッドは未だ滅びていなかったのである。
 幸いにして、カードはまだ無事だ。闘志もじゅうぶん残っている。
 それは即ち――彼女はまだ、ヴァンキッシャ―として戦いに臨むことが可能だ、ということなのである。
「まだです……まだ、終わりませんよ」
 そして、立ち上がる。
 幹部猟書家の名にかけて、ミズ・ルチレイテッドは戦いを続けるのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

グウェンドリン・グレンジャー
引き続き、《貴甲種》メイン……の、『ファビュラスシスターズ“モルフォレーヌ”&“アルテミスカイゼリン”』が、軸の、デッキ
バーチャルキャラクターの、人達……に、教えてもらいつつ、戦う

ミズ・ルチレイテッド、あなたを、ぶっ飛ばす
あなたの、主力、コスト、凄く高い
だから、条件揃う、前に、倒す

ゲームで、負けそう、なったら……正々堂々、リアルファイトだ、うりゃー
(根本のところがアナーキー思考なグールドライバー、怪力でゲーム用テーブルをひっくり返す)
念動力で、脚力にブースト、かけて、一気に、接近
刻印、限界突破。力いっぱいの、Raven's Roar、胴体に、叩き込む
そう、勝てば官軍……



「ゆくぞ……ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ……」
 ――ミズ・ルチレイテッドに向き合うグウェンドリン・グレンジャー(f00712)が試合を開始する。
 先手は公式ルールに則ったじゃんけんの結果、グウェンが取った。まずはリソースにカードを置き、後半からの攻防に備えてゆく。
「……ミズ・ルチレイテッド、あなたを、ぶっ飛ばす」
「フン……随分と強気じゃないか」
 交錯する視線。2人は互いに牽制しあうように睨みあう。
「あなたの、主力……《光の、理想郷》……コスト、すごく高い」
 ――だから、条件が揃う前に倒す。
 グウェンはまっすぐにルチレイテッドへと向き合いながら戦意を向けた。
「く、はははは……あはははは、アッハハハハハ!できるものならやってみるがいい。この私のキーカードを突破できるのならね!」
 だが、ルチレイテッドは嘲笑う――!
 序盤はグウェンの展開から始まった。昆虫をモチーフとしたキャラクターイラストをもつ《貴甲種》のカードを展開してゆく。『はたらくメイドアント』や『ハニービー・サーヴァント』を出撃させ、盤面を整える。
 一方、ルチレイテッドもまたドロー効果を持つスペルや展開補助能力を持つユニットを盤面へと並べ、中盤からの激突に備えた。
「――では、先手を打たせてもらう。降りよ、ディアマンテ!」
 そして――先んじてキーユニットを出撃させたのは、ルチレイテッドだ!
「アッハハハ……これで貴様のアタックは制限された。そのユニットでどう対抗するかな?」
「……」
 グウェンは静かにルチレイテッドの姿を睨む。
「……どう、しよう」
「――正直言って、厳しいわ」
 セコンドめいてグウェンの横についたエイミーは、苦悶めいた表情で呟いた。
「あのディアマンテっていうユニットは、いるだけでこちらに制限をかけてくるの。こっちはカイゼリンでリソースからユニットを展開しながら中長期戦で攻めていくのが基本なんだけど……ディアマンテの能力でアドバンテージを奪われ続けるのは、厳しいわね」
「……そう」
 そう――《貴甲種》デッキはリソースを活用した堅実なアド取りから盤面を固めて圧殺するように推し勝つのが基本的な戦術だ。だが、ディアマンテが相手ではその戦術は苦しい。ルチレイテッドのキーカードを突破して勝利を得るには――グウェンのデッキは、相性が悪いのだ。
「でも、できるかぎりのことはしよう」
「うん……。やる」
 グウェンは続くターンでアルテミスカイゼリンを出撃。ディアマンテの能力によってメイドアントを犠牲にしながら、カイゼリンでアタックを仕掛ける。アタック時能力でリソースからモルフォレーヌを出撃。これでファビュラスシスターズが耐性能力を得るが――。
「アッハハハ……いいとも。どこまで粘れるかな!」
 ルチレイテッドは嗤う。
 ――ファビュラスシスターズは盤面に揃うことで強力な耐性能力を得るが、しかしてディアマンテの能力はユニットに対する効果ではなく『アタック/ブロックする』という“プレイヤーの行動を制限する”ものである。効果を受けないユニットを出していても、プレイヤーに対する効果を躱すことはできないのだ。
「……!」
 グウェンのデッキ構成では、ディアマンテを突破する状況を作り出すことは困難だ。突破口を見つけられないまま、2人の戦いはターンが経過してゆく――
「ハハハハハ!先までの威勢が嘘のようじゃないか。見るがいい。私の盤面とリソースは、次のターンで《光の理想郷》を降ろすに至る。次に君がターンエンドを宣言したその瞬間が決着の時だ!」
「む……っ」
 ――訪れるファイナルターン。グウェンは眉間に僅か皺を寄せる。
「まだあきらめちゃダメ……がんばって!」
 その姿を見守るエイミーと、配信の視聴者が固唾を飲んで戦況を見守る。
「…………わかった」
 そして。
「こうなったら……」
 グウェンは、静かに息を吐く。
 一度目を伏せ、一拍の間を置き――顔を上げ、その双眸でルチレイテッドを射抜いた。
「正々堂々、リアルファイトだ」
「……は?」
 次の瞬間である。
 轟音と共に、スタンディングヴァンキッシュテーブルがひっくり返る!ばらばらと舞い散るカード!床を蹴立ててグウェンが飛翔する!
「刻印、限界突破……」
 【Raven's Roar】!鋭く疾る風切羽!サイキックによる揚力を加えた加速度で、グウェンは広げた翼を刃としてルチレイテッドへと向けた!
「貴様――ァッ!!ヴァンキッシャ―としての誇りはないんですかッ!!」
 ルチレイテッドは床を踏み切って素早い身のこなしで後方宙返り!蜻蛉を切ってグウェンの羽を躱し、続けざまに反撃の宝石弾を撃ち放つ。【インクルージョン・ウェポン】!
「……勝てば、官軍」
 無表情に切り返すグウェンは、その身に宝石弾を浴びながらも更に加速し前進!クランケヴァッフェの翼を刃と為し、その身に傷を刻みながらも――強引に、押し通る!
「ぐあ……ッ!!」
 斬閃ッ!刃に身体を裂かれるルチレイテッドは苦悶しながら後退した。憎々しげにグウェンを睨めつけながら、ぎり、と歯を噛み鳴らす。
「なめるな……ッ!ヴァンキッシュで負けていいない以上、私は負けていません!むしろ試合は私の勝ちです!」
「でも、公式ルールだと……対戦相手が死んだら、勝ち……」
「うるさいですね!!」
 攻防!追うグウェンと躱すルチレイテッド。戦場を駆け巡る2人――。そして始まった場外乱闘を、配信動画の視聴者たちとエイミーが唖然とした顔で眺めていたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美
「……貴方の負けよ……ミズ・ルチレイテッド」
今回は裕美で参加

デッキは相変わらずの青黒の屍人&デッキ破壊。ディアマンテにはバウンス&バウンス先の破壊等で対抗。あとはロックで封じつつじわじわデッキを削る

あとは盤外戦術
「……貴方にも聞こえるかしら? ……観客の声が」
そう言ってバトルの配信先の映像を見せる。お祭り好きのキマフュ住人なら、敵側を応援する声もいる気がする
「……貴方への応援の声も聞こえない? ……貴方も……ヴァンキッシャーとして認められたのよ」
彼女がカード仲間と認められたなら、彼女が例え勝ったとしてもエイミーや住人達を屈服させるのは難しい。戦略的にはこちらの勝ち。カードでも負けたくないけど



「……貴方の負けよ……ミズ・ルチレイテッド」
「寝言をッ!」
 中村・裕美(f01705)は対峙する。スタンディングヴァンキッシュテーブルを挟み、もはや悪の軍団を率いる首領として取り繕う余裕すら失ったルチレイテッドと視線を交錯させ、彼女は睨みあった。
「まだ私の命が尽きたわけではありません……!それはつまり、まだ終わりではないということ!失敗や敗北などという情けない報告をエメラルドお嬢様にするわけにはいきません!」
「そう……」
 裕美は分厚い眼鏡のレンズ越しに、その激昂と向き合う。
「なら……私が、あなたにとどめを刺すわ」
「やってみなさい……この私の侵略デッキを相手に、そんなことができるというのでしたらッ!」
「……ゲットレディ」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 ――そして、戦いは始まる。
「……」
 バーチャルキャラクターのエイミーも、その一戦へと真摯な眼差しを向けていた。
「……すごい気迫だね」
 配信用カメラツールが捉えたミズ・ルチレイテッドがカードを繰るその姿は、キマイラフューチャーで活躍するカードバトラーたちと並べても決して見劣りしない、ヴァンキッシュへのひたむきな情熱で溢れていた。
「私のターン……!」
 しかし、裕美もまた負けじとカードを叩きつける。黒を含むリソースを支払い、裕美は『フランソワの姉妹 キューティー・ドゥ』を出撃。更に『ドクトリーヌ・フランソワ』で盤面を固める。
 フランソワの姉妹 キューティ・ドゥ――コスト3。パワー5000。『このユニットが場からトラッシュに置かれたとき、2コスト払ってよい。そうしたとき、このユニットをトラッシュから場に出撃する。この能力は1ターンに1回だけ使える。』
 ドクトリーヌ・フランソワ――コスト5。パワー7000。『《屍人》をもつ自分のユニットがトラッシュに置かれたとき、1枚引く。更に、そのユニットがカード名に『フランソワの姉妹』をもつなら、自分の手札を1枚捨てることでそのユニットをトラッシュから出撃する。この効果で出撃したユニットの登場時能力は発揮されない』。
 ――彼女の用いるデッキは、トラッシュからの回収や再出撃を得意とする《屍人》をメインに据えた黒属性のデッキである。
「リアニメイトユニット……ッ!小賢しいマネをッ!」
「そちらの手がトラッシュ送りであるなら……送られた先から、戻せばいいのよ」
「……ですが、こちらにはルチルがいます![行動済]にするのであれば、そちらの能力は発揮できません!」
「それはたしかに厳しい……けど!」
 白熱する攻防!盤面に立つディアマンテが裕美の攻め手を妨害するも、裕美は《屍人》のリアニメイト能力でディスアドバンテージを最小限に抑える。焦れるルチレイテッドは2つめの切り札であるクォーティア・ルチルで切り返す。
「ルチルの能力でそちらのユニット2体を[行動済]にッ!頭は抑えましたよ。このアタック、通してもらいましょう!」
「……クォーティア・ルチルはカードの効果で選ばれない……!このスペルは効かない、なら!」
 【カットイン】!裕美はここで青のスペル、『大禍の大渦』を使用!『コスト4以上の相手のユニット1体を選び、手札に返す』!ディアマンテの耐性はトラッシュに送られる効果に限定されている。手札へのバウンスは有効だ。裕美はそれを見越して仕込んでいたこのスペルでディアマンテを返し、犠牲を抑えつつルチレイテッドの攻め手に対応してゆく。
「味な真似を!」
「……そっちも、やるわね」
 カードを交し合う中で、2人は睨みあい、そしてどちらともなく口の端から笑みを零す。
「……このゲームは、とても楽しい。……あなたも、そう思っているんじゃない?」
「……戯言を」
 しかし、ルチレイテッドは感情を押し隠すように表情を閉ざした。
 裕美はそこへ、更に畳みかける。
「くだらない……この私が、こんな児戯に」
「そう……。……だけど、貴方にも聞こえるんじゃないかしら」
「何が――」
 訝しむルチレイテッド――。彼女が眉根にヒビを寄せたその瞬間、音響機材から声が轟く。
《――ルチレイテッド!》
《すっげーぜ、あのカード!》
《あとで俺ともヴァンキッシュしてくれーッ!》
「な……ッ!?なん、ですか……これは!」
「……みんなの声、よ」
 振り返る裕美に、エイミーが親指を立ててウインクする。
 ここに届いたその声は、エイミーの配信用アプリケーションを通じてキマイラフューチャーに放送されているこの戦いを見守り、そして応援するリスナーたちのものだ。
「……貴方への応援の声も聞こえない?」
「私、を……!?」
 耳を澄ますルチレイテッド――事実、彼女を応援する声もその中には少なくなかった。その事実に、ルチレイテッドが困惑する。
「馬鹿な……この世界の敵ですよ、私は!」
「……貴方も……ヴァンキッシャーとして……仲間として、認められたのよ」
 そう。ここに至るまで、悲喜こもごもに猟兵たちとのヴァンキッシュを繰り広げていたその姿はキマイラフューチャーの人々に配信されていたのだ。
「そして……『仲間』として受け入れられた貴方では、この世界を侵略することはできないわ。……たとえ貴方がエイミーをヴァンキッシュで下しても、屈服させることはできないでしょう」
「……なんてこと。私は……なんという計算違いを」
 愕然とするルチレイテッド。――彼女は猟兵たちに、戦略で一枚上手を取られていたのだ。
 これ以上の戦いは、もはや無意味であるといえるだろう。

 ――だが。
「……ですが、そうであるとしても……いえ、そうであるならば!私とて一人のヴァンキッシャーとして、負けるわけにはいきません!」
「……ええ。それでいいわ……。……こっちも、負けるつもりはない!」
 それでも、ルチレイテッドは魂を燃やし尽くす。カードを握るその手に力を込め、そして全力で戦いに挑む!
 そして、続く攻防――その果てにたどり着いた戦いの結末は。
「これで決まりです……コスモゾーン解放ッ!今こそ来たれ、『光の理想郷』!」
「く……ッ!!」
「――決まったーッ!!ミズ・ルチレイテッドの切り札である『光の理想郷』が遂に降臨!そして、そして!決着だーッ!」
 『光の理想郷』が盤面に降りる。そして――登場時効果により、ルチレイテッドの勝利がその瞬間に確定した。
「勝った……あ、は、アハハハハ!アッハハハハハ!勝った!私の、私の、……ヴァンキッシュ!」
 Vanquish――勝者、ミズ・ルチレイテッド。
 数多の戦いの末にたどり着いた勝利に、ルチレイテッドが狂喜する。
 しかし、その喜びとは裏腹に彼女の躯体は既に限界を迎えていた。――ここまでのヴァンキッシュによって身体へとフィードバックされ続けたライフダメージは、既に致死傷へと至っていたのだ。
「ああ、ああ……ああ―――。……とても、とても清々しい気分です。エメラルド、お嬢様には、申し訳が、立ち、ませんが……」
 ルチレイテッドは膝をつく。そして、指先が砕けた。身体の末端から、その躯体は徐々に崩壊を始めてゆく。
「……ありがとうございました。いいヴァンキッシュでした」
 裕美は、看取るようにルチレイテッドへと寄り添いながら、崩れかけたその手を握った。
 ――試合の後は握手を交わし、共にプレイできた喜びを共有する。それが、ヴァンキッシャーの礼儀なのである。
「ええ……そう、ですね…………いい、ヴァンキッシュ、でした」
 遺す言葉は弱々しく、しかし、どこか満たされて。ミズ・ルチレイテッドはここに滅ぶ。
 配信を見守る多くのヴァンキッシャーたちに看取られながら、彼女は戦いを終えたのだった。
「……さ、行きましょう」
「うん……」
 こうして――骸の海へと還り、亡骸すら残らぬその消滅を見送って。裕美はエイミーと共に戦場を去るのであった。

 ――勝者、猟兵。
 史上空前の規模でもって行われたヴァンキッシュの戦いは、かくして幕を閉じるのである!

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年12月12日
宿敵 『ミズ・ルチレイテッド』 を撃破!


挿絵イラスト