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圧し砕く激流、圧し砕け激流

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #激流のリヴェンタ #ドワーフ

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●雨垂れ石を穿つ
「おぉぉぉらぁぁぁぁっ!!」
 豪快なる一撃が、巨岩を叩き割る。
「よし、いい感じにぶち割れたな。これならいい盾が作れそうだ」
 割れた岩を見て、ドワーフの男は満足げに頷いた。
 今でこそ世界中に存在するドワーフだが、かつては地下に街を作りよそ者を寄せ付けぬ生活を送っていた。そして今でも、時代に合わせ多少軟化した部分はあれどその古き生活を捨てぬ者もいる。この石工の街『ラズリーテ』もその一つである。
 この街の自慢は二つ。門外不出の技巧によって作られた金属さえ超える石材製の武具と、彼の帝竜ヴァルギリオスに挑んだ多くの勇者のうち一人がこの街の出身であること。
 もちろんそれに驕ることなく、彼らは過去の、そして噂に聞く現在の勇者に恥じぬよう日々己の技術を研鑽している。
 しかしだれもがそれに価値を見出すわけではない。
「わたくしが必要な石は一つだけ……他はすべて沈めて差し上げますわ」
 禍つなる青が、悍ましき金を引き連れこの地に迫っていた。

●水は低きに流れる
「皆さん、お疲れ様っす! 今日も猟書家をぶっちめて欲しいっす!」
 集まった猟兵に、勢いよくミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)が言う。今日のボディは体育会系ノリの強いアカリ・ゴールドだ。
「今日行ってもらうのはアックス&ウィザーズ。今まであまり表には出てこなかったんすけど、ドワーフの人たちは昔は地下洞窟に住んでたらしくて、今もそういう生活をしている人が少しはいるらしいっす。で、そう言う人たちは石を加工する凄い技術を持ってて、なんと何千年も前の彫刻や石板が全く劣化せずに残ってるとか!」
 ドワーフは大地の種族と言われることもある。それ自体は納得できる話だが、それと猟書家の関係は。
「で、それに目をつけた猟書家の一人『激流のリヴェンタ』が、ドワーフの地下王国を丸ごと水に沈めて大昔の石碑を奪おうとしてるらしいっす。目的は大昔の勇者が生前の帝竜ヴァルギリオスと戦い、そして群竜大陸の勇者の墓標で相打ちになるまでの戦いを綴った『ヴァルギリオス碑文』という石碑らしいっす。これを読み解くことで、天上界への手掛かりを探そうとしているとか」
 天上界。それは『書架の王』ブックドミネーターが目指したアックス&ウィザーズの未知の領域。その遺志を継ぎ、猟書家たちはそこを目指そうというわけだろう。
「リヴェンタは水を操る力で地下都市に大量の水を流しこむっす。この水を入れるのは残念だけどもう止められないっす。なんで皆さんが戦うときはその水が流し込まれたなかで戦うことになるっす」
 相手の領域での戦いを強いられることになる、初めの一手から不利を取ってしまう厳しい状況だ。
「まず出てくるのは、金の女の子型ゴーレム『ゴールドゴーレム』っす。これは人間を金に漬け込んで作ったとんでもないゴーレムで、助けを求めるようなことを言ってくるっすけど、生前の残留思念みたいなのを動力代わりに染み込ませてあるだけなんで、実際にはもう助けられないっす。ちなみに金が柔らかいのは有名な話っすけど、同時に金ってめちゃめちゃ重いんすよ。なんでこいつらは激流の中でもバランスを崩さず平然と動いてくるっす」
 命を弄ぶ悪趣味な黄金人形の群れだ。犠牲となった者のためにも一思いに倒してやるのが優しさだろう。
「で、ゴールドゴーレムたちを倒したら、親玉の『激流のリヴェンタ』の登場っす。こいつは名前の通りに激流をぶつけて攻撃してくる他、霧や氷も使いこなす水属性のエキスパートっす。強敵なんで注意してくださいっす」
 当然彼女との戦闘中も水は流れたままだ。相手の力は100%以上出されていると思った方がいいだろう。
「けど、こっちにも有利な話はあるっす。さっきも言った通り戦場になるのは現役でドワーフが住んでる地下洞窟っす。ドワーフたちに話を聞けば水のなかなか来ない所や戦いやすそうなところを教えてくれるっす」
 戦場は文字通りに彼らのホームだ。端の端まで知り尽くしていることだろう。
「あと、無茶苦茶固い石を毎日砕いて加工してるだけあって、ここの住人は皆マッチョ揃いっす。自分たちの作った武具を装備して戦ってもくれるので、戦力が欲しい時はお願いしてみるといいっす。ただ、筋肉や石は沈むっす。そこは注意っすよ!」
 勿論彼らのみでオブリビオンを撃退することは出来ない。だが猟兵が的確な指示を出せば少なからぬ戦力となってくれるのは間違いないだろう。
「ぶっちゃけ実際ヴァルギリオス碑文なんてのがあるのか、あったとして本当に天上界について書かれているのか、それ自体は全く分からないっす。ただリヴェンタを倒せば、皆さんの事が書かれた碑文はきっと新しく掘られることになるっす! ドワーフは酒盛り好きなんで祝勝会もしてもらえるでしょうし、どうか一発、勇者の力を見せてきて欲しいっす!」
 力強くそう言って、ミルケンは猟兵たちをアックス&ウィザーズへ送り出した。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。帝竜戦役の忘れ物。
 拙作『帝竜戦役⑤〜偽りの黄金伝説』(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=23415)とちょっと関連づいていますが、読んでいなくても問題はありません。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス(全章共通)……ドワーフ職人達の洞窟知識を借りる、あるいは勇猛なドワーフ戦士達と共に戦う』

 戦場にはつねに激流が流れ、行動を阻害してきます。それをドワーフの知恵を借りてどうにか対策を取ってください。以下ドワーフ情報。

 舞台となる地下都市は『ラズリーテ』という名で、石材を加工した武具を特産とする職人の街です。彼らは外との交流は多くありませんが、猟兵については『過去の勇者達すら凌ぐとんでもない勇者がいる』程度には知っています。
 全体として質実剛健をモットーとし、無意味な装飾を嫌います。若干筋肉信奉者の気がありますが、魔法や未知の戦法を見下しているわけではありません。
 洞窟内の事についてはほぼ何でも知っている他、自ら作った武具を装備し戦うこともでき、圧砕、破壊系のパワーファイトを好みます。武具を貸してくれと言えば貸してもくれますが、流石に猟兵が持ち込んだ武器には劣ります。
 またこの街からかつてヴァルギリオスに挑んだ勇者の一人を輩出しており、それを誇りに思っています。

 第一章では『犠牲となった冒険者『ゴールドゴーレム』』との集団戦。人間を素材にしていますが救出は出来ません。

 第二章では猟書家『激流のリヴェンタ』とのボス戦。彼女自身天上界については絶賛調査中なので、締め上げても猟兵が知る以上の情報は出てこないでしょう。

 また、どちらの章でも敵は激流に耐性を持っており、それによって彼女たちが不利を被ることはありません。

 それでは、激流にも同化しないプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『犠牲となった冒険者『ゴールドゴーレム』』

POW   :    黄金の打撃
単純で重い【黄金化の呪いが込められた拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    黄金の抱擁
【相手へ抱き着く行為】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黄金化の呪い】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    黄金の咆哮
【黄金化の呪いが込められた助けを求める叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「上に行け! まだ水が来てない!」
「持っていくのは食料が優先だ!」
 突如として大量の水が流れ込み、一瞬にしてパニックに追いやられた地下都市『ラズリーテ』のドワーフたち。怒涛の激流に全てが押し流される中、ドワーフたちは急ぎ避難を開始した。だが地震や落盤ならともかく、水害については過去長きに渡って経験がなく想定もしていなかったためその動きはどうしても鈍くなりがちだ。
 そしてその混迷を極める中、流れる水を掻き分け鈍い光を放つ一団が現れる。
「タスケテ……ダシテ……」
 か細い声を発しながらぎこちなく、だがまるで水の流れに影響されぬ動きでドワーフの一団へと迫る黄金の人型たち。両手を前に差し出しゆっくり迫るその様子は、さながら獲物に迫るゾンビの集団の様でもある。
「あ、あれは何だ……金の人形……人間か?」
「どうすりゃいいんだ……何が起こってるってんだ!?」
 さらなる謎の存在の登場により足並みが乱れ、避難が遅れていくドワーフたち。このままではこの混迷の中、全てが水に沈められてしまうことになるだろう。
 彼らを落ち着かせ、まずは金の尖兵の足を止めるのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
大変なことになっておりますねぇ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行し、浸水による『足場の悪さ』へ対処しますぅ。
そして、ドワーフさん達に「元凶への対処に来た猟兵であること」を告げ、『天井側が或る程度開けた場所(敵出現数が多ければ最良)』を尋ねましょう。
移動中に襲われている方は『FRS』『の[砲撃]でゴーレムを撃ち救出しますぅ。

そして『該当地点』に到着したら【秤濤】を使用、広範囲に『乳白色の波動』を放射しますねぇ。
『魅了』の効果は微妙ですが『黄金製』という『重量物』であれば『超重力』の影響は大きく、まず動きを止められるでしょう。
後は『拳』の届かない上空から[砲撃]で仕留めますねぇ。


シホ・イオア
ああ、つらかったよね。苦しかったよね。
助けてあげられなくて、ごめんね。
シホには終わせることしかできないんだ。
せめて、誰かを傷つける悲しみを得る前に。

戦場については飛べるので問題ないよね。
UCを応用して洞窟に流れる水を逸らす壁を作ったり
迷路で敵を動きにくくしたり
ドワーフさんの意見を聞いて自分たちに有利な戦場を作ろう。
水のないところがあれば戦士さん達も積極的に戦えるだろうし。

シホは残像による回避を行いつつ
上空からガトリングガンや光輪、銃による攻撃で戦っていくよ。
【鎧無視】でゴーレムの防御を抜いてダメージを与え
【浄化】【破魔】【慰め】で少しでも呪いから解放してあげられれば…

連携アドリブ歓迎!



 ドワーフの地下都市『ラズリーテ』。今まさに激流に押し流されんとする街に、二人の猟兵が現れた。
「大変なことになっておりますねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はのんびりとした調子は崩さず、だがしっかりと浮遊兵装『FBS』を四肢にはめて浸水による足場の悪さを対策しながら、洞窟内のドワーフの下へと現れた。
「な、なんだこいつ!? 次から次へと!」
 突如現れたるこるに対し、警戒したような声を上げるドワーフ。しかしるこるはあくまで落ち着いた姿勢で、ドワーフたちに状況を説明する。
「この状況を作った元凶を対処しに参りました、猟兵でございます。半年前群竜大陸に乗り込んだ一団の者……といえばお分かりになりますでしょうか?」
 るこるの言葉に、ドワーフの一人が考えるような仕草を見せる。
「半年前の群竜大陸……まさか、噂の勇者達か?」
 詳しい話ではなくとも、群竜大陸を制した勇者の話はこの地下都市にまで聞こえている。その存在自体俄かには信じがたいものだが、目の前で自身の知らない力で浮いている存在は確かにそれだとでもいわなければ説明のつかないものだ。
「ですが、ここの洞窟についてシホたちはよく知りませんし、敵の数も多いです。どうかドワーフの皆さん、お知恵とお力を貸していただけないでしょうか」
 そう言って協力を願い出るのはシホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)。彼女はアックス&ウィザーズでも見られるフェアリーだが、この状況下でこの地下に突然現れたとなれば、やはり普通の存在ではないことは想像がついた。
「……分かった、どうせこのままじゃ皆沈んじまう。で、元凶ってのはやっぱあの金色の奴らか?」
 迫りくる金の軍団に一度遭遇したらしきその男は硬い表情で言うが、二人はそれに少し考えてから首を横に振る。
「いえ、あれは元凶ではありません。とはいえ対処はしなければならないのですが……差し当たって、私はこの通りの姿ですので、どこか敵を誘い入れられて天井の高いところはないでしょうかぁ?」
「それと、水を捨ててもいい場所……地下水路とかそう言うのはありませんか? 水がなければ足場がしっかりしている場所が近いならなお嬉しいです」
 二人の言葉に、ドワーフたちはしばし考える。
「そうだな……少し下にある小集会所なら、それなりに広さも高さもあるし、真横に壁をぶちぬけば地下大河の支流にぶつかるはずだ。だがあそこはもうだいぶ水が来てるし、あの金色の奴らもそっちの方にいる。行くなら急いだほうがいいぞ!」
 ドワーフに案内され、二人は地下都市のさらに下方へと向かうのであった。

 案内され辿り着いた小集会所。言われた通りそこは十分な高さと広さ、そして水さえなければ安定した足場が確保できる場所であった。
 しかし、そこは既に両手を上げ動く金色の人型……ゴールドゴーレムによって占拠されていた。
「タスケテ……タスケテ……」
 うわごとのように言って迫りくるゴーレムたちを見て、シホは心底哀し気に彼女たちへと語り掛ける。
「ああ、つらかったよね。苦しかったよね。助けてあげられなくて、ごめんね。シホには終わせることしかできないんだ。せめて、誰かを傷つける悲しみを得る前に」
 彼女たちもまた犠牲者なのだ。だが、救う手立てがもうないことは分かっている。意に染まぬ破壊を行う前に、ただ眠らせてやる事しかできないと、シホは悲しみを胸に『宝石剣エリクシア』を抜いた。
「輝石解放、ゴールド! おいでませ、妖精のお宿!」
 金の煌めきを纏ったシホが、【マイ・キャッスル】を使い集会場内に屋根のない迷路を作り出す。いくつもの壁で入り組んだ迷路は広くはないが複雑で、しっかりした知能はもう持たないゴールドゴーレムたちは闇雲にそこを進むしかなくなる。
「さあ、今のうちに!」
 シホの指示の元、ドワーフたちは集会場の壁を持っていた石製のハンマーで叩き壊し始めた。敵が来ないうちに地下大河への道を通じさせる作戦である。
「大いなる豊饒の女神、その御力の欠片による裁きをお与え下さい」
 続けてるこるが迷宮の上に飛び、【豊乳女神の加護・秤濤】を発動した。乳白色の波動が上方からゴールドゴーレムたちに浴びせられ、その体を包み込む。その波動の効果は魅了と重力。既に中の人間の命はなく、残留思念のような思考しか持たないゴーレムに魅了は効果がないが、その分重く柔らかい金に押し潰し攻撃は極めて効果的だ。ゴーレムたちは金の体を折り曲げその場に蹲るが、それでも無理に体を動かし前へ進もうとする。
「よし、できたぞ!」
 そうして足止めをしている中で、ドワーフたちの声が響いた。彼らの横には大きな穴が開き、その下方では地下大河が勢いよく流れている。
「ありがとうございます! それでは……もう一度、輝石解放、ゴールド!」
 再度シホが【マイ・キャッスル】を発動。迷宮を組み替え、ドワーフが開けた穴へつながる連続した壁へと変えた。水は壁に沿って進み、どんどんと大河へ排水されていく。
 半ば沈みかけていた集会所は、あっという間に水が引き歩けるほどになった。
「おお、こりゃすげぇ! さて、こうなったらあんたらにばっかり任せてはおけないな!」
 足元が固まったことで、ドワーフたちはハンマーを担ぎ上げゴーレムたちへと向かう。迷路がなくなったため敵は真っ直ぐこちらへ向かってこようとするが、その動きはるこるの放った重力によって重いままだ。
「拳で攻撃してくるそうです、お気を付けくださいねぇ」
 るこるが注意を促しながら、上空から浮遊砲台による砲撃でドワーフを援護する。さらにシホもそれに並び、ゴーレムたちの間を残像を残し飛び回っては攪乱しつつ、隙を見てはガトリングガンや銃など遠距離攻撃で攻めていく。
「そら、どうだ!」
 ドワーフたちもハンマーを振るいゴーレムを打ち据えた。自慢の技術で作られただけはあり、柔らかい金製とはいえオブリビオンの体を容易くひしゃげさせていく。
 猟兵二人による上空からの攻撃と、足元確かになった地の利のある屈強なドワーフたちの攻勢。それによってゴールドゴーレムたちは最早成す術なくその場に留められ、勝負は決した状態となった。
 だが、この状態だからこそ、シホはやりたいことがあった。
「ごめんなさい、みなさん……最後は私にやらせてください」
 シホは少し沈んだ、しかし確かな声で仲間たちにそう言う。
「分かりましたぁ」
 彼女も歴戦の猟兵、無茶なことはしないだろうとるこるは砲撃を止め、ドワーフたちもそれに倣って一旦下がる。
 攻勢が止んだとたんゴーレムたちは動きだし、抱き着くように……あるいは縋りつくように腕を上げ、前に向かおうとする。
「その手を取ってあげることは出来ないけど……どうか、安らかに……」
 シホは浄化、破魔、慰めの間を払う力をありったけ込めた光輪をゴーレムたちに投げつけた。黄金人形を破壊するのではなく、その内の悲しい犠牲者たちが少しでも呪いから解放されるようにと、その願いを込めて。
 光に貫かれたゴーレムたちは、ぴたりと動きを止め、そのままどろりと溶け金の塊に、そしてそのままオブリビオンの性として消滅した。
「中身はなくなった、のですかねぇ」
「そう願いたいです」
 その最期の様子は黄金の檻に閉じ込められたものが解放されからだと、二人は信じたかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル(サポート)
※【限定解放・血の化身】による分身体
怪力任せな振る舞いは品が無いと感じる
吸血鬼流の礼儀作法に則り冷笑を浮かべた高慢な人格

…ふふふ。次はどんな世界かしら?
あの娘の分まで楽しまないとね

はぁ…思いの外、煩わしいものね
太陽の光というのは…

陽光は闇属性攻撃のオーラで防御して、
状況に応じた吸血鬼能力を使用する

・第六感に訴えて暗示を行う魅了の呪詛
・蝙蝠や狼を操り情報収集をする眷属召喚
・残像のように存在感を消し闇に紛れる霧化

…等々。戦闘では蝙蝠化や霧化で敵の攻撃を避け、
魔力を溜めた蝙蝠を弾丸の如く乱れ撃ち、
敵の傷口を抉る遠距離攻撃主体で闘う

あら、もう終わり?意外と脆いのね?

それじゃあ終わりにしましょうか?



「……ふふふ。次はどんな世界かしら? あの娘の分まで楽しまないとね」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は冷たい笑みを浮かべながら洞窟の入口を見る。その口調は普段の彼女とは違い、どこか傲慢ささえにじませるものだ。
 今の彼女はリーヴァルディであってリーヴァルディではない。ヴァンパイアを狩るためのみに戦う彼女から、ヴァンパイアなき世界での全権委任を受けた強力な分体とも言える存在。
「はぁ……思いの外、煩わしいものね。太陽の光というのは……」
 自然豊かなるアックス&ウィザーズの光は例え秋口と言えど眩しく強い。リーヴァルディは闇の力を解放し、その日差しを遮っていた。
 だがここからはそれも必要ない地下世界の戦い。余計なことに気を割かずに済むと、リーヴァルディは悠然と地下へと潜っていくのであった。

 そして地下、意味なき呻きを上げて進む黄金像の群れ。その前でリーヴァルディは光とは別のものに顔をしかめていた。
「今度は流水……来るなって言いたいのかしら?」
 光ほどではなくとも流れる水も彼女にとって好ましいものではない。さらに敵は光の象徴とも言える金の輝き。この場は期せずして、血の化身たる彼女を徹底的に拒む忌まわしき戦場となっていた。
 だが、それはあくまで不快なだけ。流れる水と光だけで消えてしまうような存在ならば、元々戦いの場になど出てこない。早々にこの戦場で事を済ませるべく、リーヴァルディは黄金に群れと向かい合った。
「アァ……アァァァ……!」
 黄金像はリーヴァルディを見て、自分を助ける存在ではなく敵の方だと認識したか闇雲に拳を振り回して殴り掛かる。リーヴァルディは自身の体を蝙蝠へと変え、ひらりと飛ぶことでそれを避けた。
「悪いけどあなたたちの希望は聞いてあげられないわ」
 そう言ったリーヴァルディの体が、今度は霧のようになって辺りに広がる。その霧の中から、まるで生み出されたかのように何匹もの小さい蝙蝠が現れ像たちへと襲い掛かった。
「コナイデ……コナイデ……!」
 像たちは今度は滅茶苦茶に手を振り回し、蝙蝠を追い払おうとする。それはまるで力ない者が行う無意味な抵抗のような動きで、かつては冒険者であった彼女たちが最早その記憶もほとんどなくしていることの表れのようにも見える。蝙蝠たちはその手を難なく掻い潜り、像たちの肌に次々とぶち当たった。元々柔らかい金製の体であることに加え、蝙蝠たちがただの生物ではなくリーヴァルディの魔力を込めた弾丸のような存在なこともあって像たちは簡単に体を歪ませてその場に倒れていく。
「ウワアアアアア!!」
 絶望の声を上げ像の一体が無理矢理蝙蝠を突破、リーヴァルディが変じた切りへ突撃する。だが、この水の多い洞窟内ではどこまでが本物でどこからがリーヴァルディなのか、傍目にはその境さえ曖昧だ。結局その攻撃はただの霧を通り抜け、そのまま像は水しぶきを上げて転倒した。
 暗がりの洞窟に舞う霧と蝙蝠。例え水の流れがリーヴァルディを拒もうと、光差さぬ洞窟は本来ならばむしろ彼女の味方と言える存在であった。その己の領域の中倒れる金色を、霧のリーヴァルディは冷ややかに見つめる。
「あら、もう終わり? 意外と脆いのね? それじゃあ終わりにしましょうか」
 リーヴァルディの号令の下、一斉に蝙蝠が群がり哀れな人形を押し潰した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティファーナ・テイル
SPDで判定を
*アドリブ歓迎

「闘争できるドワーフさんは可能な範囲で闘争して!」と鼓舞します!
『ガディスプリンセス・レディース』で従属神群を召喚して『ガディス・ブースト・マキシマム』でSPDを強化して『スカイステッパー』で縦横無尽に動き回り「魂魄を天空界に」と祈って『セクシィアップ・ガディスプリンセス』で♥ビーム攻撃をして敵の避けれ無い攻撃は『神代世界の天空神』で空間飛翔して敵のUCは『天空神ノ威光・黄昏』で封印/弱体化を仕掛けます!
『ガディスプリンセス・グラップルストライカー』で髪の毛/蛇尾脚/拳で攻撃をして『ジェットストリーム・ラヴハート』でSPDを更に強化して苛烈な猛攻を仕掛けます!


純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
UC一角天馬のお姫様が索く、幼淫魔姫の馬車から登場♪
UC純真なる黄金像を可愛い美少女ドワーフ達の周りへ召喚♪協力したかったらそこで像へ信仰を捧げててね〜♪
UC性喰者で水中に適した体に肉体改造♪
UC神速泳法とUC水中適性で激流へ飛び込み、UCあなた可愛いねっ♡で生命維持が不要になって、指定UCで女の子へ抱き付きに行くよ♪
もし抱き着く力が強くてもUC【戦闘態】のスライム化でダメージ無し♪
読心術と神罰とUC百合は健康に良いを込めた濃厚キスで操られる効果だけ消してあげるね♪
UC神瞬詠唱で水中でもUC大いなる強欲を歌ってUC邪神の宝物庫送りにして全員お持ち帰り♪
あとは皆一緒に楽しく暮らそうね〜♪



 洞窟の中、突如としてきらめきが起こり、翼の生えた一角獣が現れた。その上に跨るのは純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ(永遠に無垢なる幼く淫らな魔貌の邪神姫・f30297)。
 ピュアニカは男は一切無視し、ドワーフの中でも見目麗しい少女だけに向かって声をかける。
「協力したかったらそこで像へ信仰を捧げててね〜♪」
 その声と共に少女たちの近くに黄金の邪神像を召喚、周囲を自らの領域と塗り替えることで少女たちを籠絡した。
 黄金像に追い詰められている者の前に黄金像を呼び出すという行為だが、領土化による洗脳と協力になる、という言葉ゆえ少女たちは一心にその像を拝み始める。
 一方で屈強な男性ドワーフたちに呼びかけるのはティファーナ・テイル(ケトゥアルコワトゥル神のスカイダンサー・f24123)だ。
「闘争できるドワーフさんは可能な範囲で闘争して!」
 ティファーナの呼びかけに、ドワーフたちは各々装備を整え、彼女に従い戦場へと向かう。
「レディース(従属神群)の能力(チカラ)を今こそ見せる刻だよ!」
 それに加え、ティファーナはさらに自らに付き従う従属神群を呼び出してその集団をさらに増強、その大軍の先頭に立って戦いの場へと赴いた。
 敵が進み来る激流、それを前にしピュアニカは自身の肉体を自身で『喰い』改め、水中へ適応して激流の中へざぶりと飛び込んでいく。一方ティファーナは激流の上を跳ね回り、遠距離戦の構えだ。
 索敵のために自身の好みの少女を探す力を強化し、水中での生命維持を不要にしてそのまま水の中へ潜っていくピュアニカ。程なくしてその一軍は見つかった。縋るように手を上げ、前に向かって闇雲に進んでいく黄金像の一団だ。
 ピュアニカは手近な一体に水から抱き着き、黄金化の呪いをその身に受ける。だがそれも自分の体をスライムに変えて躱し、一方的に黄金像への抱き着きを続けた。
 ピュアニカが一体を相手している間に、空中ではティファーナがメモを片手に武器を強化、ハートの形をしたビームを他の敵へと乱れ撃つ。
 敵の攻撃も空中を舞うティファーナには届かず、仮に僅かに指先が触れそうになっても空間飛翔。そうして隙を曝した一帯は、またピュアニカに捕らえられる。水上と水中でのコンビネーションに、ゴールドゴーレムたちはただ弄ばれるばかりであった。
 ピュアニカは捕まえた黄金像に口づけし、操られる効果を消して自分のものにする。そしてそのまま自身の世界へ持ち帰ろうと試みる。またティファーナも、相手の能力封印と自身の強化を同時に行い、髪や尾まで使って一気に戦いを終わらせようとした。だが。
「……ぐっ!?」
 二人が同時に悲鳴を上げる。ピュアニカのスライム化は解け黄金化の呪いをもろに食らい、生命維持も必要になり肺から一気に酸素が搾りだされた。完全に籠絡したはずのゴーレムも水中でなお聞こえる絶望の悲鳴を上げ、ドワーフたちの祈りの力も届いてこない。
 ティファーナもまた、飛翔能力を失い水中に落ちた。どうにかして激流の中水面に顔を出すが、再度飛ぶことも空間を超えることも、空中ジャンプすら出来ず水流に飲まれていく。
 彼女たちがここまで用いてきた技、それは全てユーベルコードであった。本来一つを用いそれを軸に技能や立ち回りなどで作戦を組み立てるのが猟兵の王道。それを複数、ピュアニカに至っては10種以上乱れ撃ちにすれば、どのような反動や消耗があるか分かったものではない。世界の理に真っ向から歯向かうような戦法は、ここ一番という所で手痛いしっぺ返しを二人に与えた。
 だが、二人にとって幸いだったのは、唯一効果の残ったそれぞれのユーベルコードが【精神防壁】と【ガディスプリンセス・レディース】であったこと。敵中で完全無防備となったピュアニカだが、高められた呪詛と毒への耐性が黄金化を阻む。また、例えティファーナ自身が溺れていても、レディースは勝手に動いてくれていた。
 残留思念で動き、明確な知能のないゴーレムは相手が自爆同然に無力化されていることも分からず、一度抱きしめたものに縋りつき続けている。それは期せずして囮となり、効果的に動くレディースと、重い装備で激流に耐えるドワーフたちが攻撃する隙を作り出していた。
 相手に状況を理解する知能があったら、別のユーベルコードが残っていたら、ドワーフたちの協力を得ていなかったら、どれか一つでもあれば、待っていたのは致命的な結果だろう。
 ともあれ、このゴーレムが最後の一団であったことや動けていたうちの二人が相応に敵を削っていたこともあり、レディースとドワーフの軍団は、時間をかけながらもゴーレムたちを駆逐した。
 薄氷どころかその氷すら踏み抜いた状態だが、勝利は勝利。
 ドワーフ戦士たちの賛辞と少女たちの感謝がどう聞こえるか、それは水から引き上げられた二人にしか分からないものであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『激流のリヴェンタ』

POW   :    ウォーターハザード
【何もかもを押し流す破壊的な激流】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    わたくしのアクムにようこそ
【幻術の霧】を降らせる事で、戦場全体が【激しく渦巻く水流の中】と同じ環境に変化する。[激しく渦巻く水流の中]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    フリージングレイン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【身に纏っている水属性のオーラ】から【最大数レベル×10発】の【氷晶の弾丸】を放つ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠一郷・亞衿です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ゴールドゴーレムの一団を駆逐した猟兵たち。だが水の勢いは収まることはなく、それどころか一層激しさを増しているようにすら見える。
 その激流に乗り、一つの青が猛然と迫ってきた。
「ああ、黄金とはいえ所詮は金属の人形、頼ったのが間違いでしたわ」
 水底に沈む黄金の欠片をちらと見て吐き捨てるその姿は、長い髪を渦のようにし裸の下半身に巻いた、一見すれば水の精とでも呼ぶべき美しい女。
 だが、彼女がそんな幻想的な存在ではないことは分かり切っている。
「天上界へ行くためとはいえ、このような狭く低い所へ来なければいけないと言うのは本当に不快ですわ。わたくしとてこんな所に長居したくはありません。用が済んだらすぐ出ていきますので、どうぞ大人しく沈んでいてくださいまし」
 退け、や寄越せ、とすら言わず、役目の過程でしかないこととして地下都市の沈没とドワーフの皆殺しを宣言する女。
 外見と真逆のヘドロの如く濁り切った心を持ったこの女こそが、猟書家の一人『激流のリヴェンタ』と見て違いなかろう。
 リヴェンタは周囲に霧と氷を浮かべ、邪魔者を全て押し流す準備を始める。
 地下都市にはこのような水を入れておく場所などない。猟兵たちよ、この無益な激流を骸の海へ掻い出してしまえ!
ルディア・ディアマンテ(サポート)
助けが必要なようね。助太刀いたしますわ!

サポートでの参加なので人々の避難や救出、敵の陽動のような支援になるような事を中心にこなしますわ。
事情がわからないまま行動すると事態を悪化させる恐れがあるので、その辺りは気をつけないとね。
指示をしてくれる仲間がいれば素直に従いますわ。

支援中心とはいえ戦闘は避けられないもの
その時は武器は白銀のバルバードを使いその遠心力と、UC金色の風で強化された速度を利用し一撃離脱戦法で戦いますわ!その姿はまさに金色の風の如し!

騎士の誇りを胸に、堂々と恥じない行動を!


ルナリリス・シュヴァリエ(サポート)
何かお困りですか? 私は旅の聖剣使いです
誰かの力になりたい、そんな思いから猟兵活動をしています
私で良ければ力になりましょう。

お人好しな性格で、並みいる敵を聖剣でなぎ払い、罠やトラブルは体当たりで乗り越えていく
そんな突撃隊長的なキャラクターです。

あとはお任せで、よろしくおねがいします。


紅月・因果(サポート)
 時計ウサギの闇医者×クロムキャバリア、21歳の女です。
口調 女性的(私、あなた、~さん、や、やろ、やろか?)
機嫌が悪いと 口が悪い(私、てめぇ、や、やろ、やろか?)
衛生兵です
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 地下都市『ラズリーテ』を突如襲った水害。その元凶である猟書家『激流のリヴェンタ』は自ら呼び出した水の上に浮かびドワーフたちを睥睨する。
「ああ、まったく、わたくしが向かうべきは天上界だというのに、なぜこんな所で石くれの相手など……」
 自分から来ておいての身勝手な言い方だが、これこそが彼女の本質。そんな彼女を駆逐すべく、猟兵たちはこの地にやってきたのだ。
「助けが必要なようね。助太刀いたしますわ!」
 このような悪辣な相手に困らされる者がいる所こそ自分の居場所と、ルディア・ディアマンテ(金色の風・f18851)はドワーフたちに声をかける。
「何かお困りですか? 私は旅の聖剣使いです」
 ルナリリス・シュヴァリエ(剣姫サキュバス・f25397)もまたドワーフたちの前に立ち、剣を構える。彼女たちのいかにも女騎士、といった佇まいは、そう言った存在が一定数いるアックス&ウィザーズの住人にとっては分かりやすく頼もしい存在と言えた。
「怪我人はいませんか、助けに来ました!」
 それから後方で救護班として駆け付けたのは、紅月・因果(高機動メディック・f30571)。彼女はクロムキャバリアにて衛生兵を務めるキャバリア乗り。多少力強いとはいえ一般人がオブリビオンの脅威にさらされているのだ、如何な被害が出るかもわからず、その存在はまさに必要とされるものだろう。
「さて、わたくしはここにある碑文を調べに来ただけ……あなた方の相手をするつもりはありませんわ。早々に流れ去りなさい」
 リヴェンタは集まった猟兵たちをただの邪魔者だと言わんばかりに、周囲の水を操り激流と化して全方位へと叩きつけた。
「風よ!」
 その攻撃に対応するのはルディア。【金色の風】で纏ったその名の通りの黄金の風が、分厚い防壁となり迫る水を切り裂いた。さらに高速飛翔の力で辺りを飛び回り、周囲に散らされた水流さえも散らして仲間を守っていく。
 だが、それでも無差別全方位の水流は全てをかわし切ることは出来ず、猟兵は勿論ドワーフにまで届いてしまう。オブリビオンの中でも上位に位置する猟書家の攻撃を喰らえば一般人のドワーフなどひとたまりもないだろう。
「ドワーフさんたちはこの後ろに!」
 因果はそれを護るべく、自身のキャバリア『FMV-medic』を出現させた。だがここは身長の低いドワーフの住む地下洞窟である。高さはせいぜい2メートルそこそこ、おおよそキャバリアが収まるような高さではない。ならばどうすればいいのか。
「ちょい不格好やけど、入ればいいし!」
 キャバリアは洞窟内に、うつぶせ状態で寝て収まっていた。一見すればまるで動けず何のためにあるのかも分からない状態だが、そもそも因果の役目は後方での回復支援だ。キャバリア自体を小さな支援基地と考えれば動けなくても仕事は出来る。さらにキャバリアの巨体は縦になることで全長5メートルの巨大な防壁と化し、水流からドワーフたちを守る壁ともなる。
「こりゃゴーレムか? 最近のは随分洒落た格好してるんだな」
 もちろんキャバリアなどドワーフたちは見たこともないが、外との交流が少ないことが幸いし『そういうもの』で納得したらしい。
「アストレア、貴女の力を貸してください」
 敵の攻撃は防ぎ、後ろの守りも固めた。ならばあとはこちらから攻めかかるの身。攻撃の担うのは突撃隊長をもって任じるルナリリスの役目だ。
 ルナリリスは聖剣アストライアを構え、聖なる光の奔流とともにリヴェンタへと切りかかった。それはリヴェンタの放つ悪しき水を押し返す、正義の奔流。
 水を掻き分けまずは一太刀、ルナリリスの剣がリヴェンタを切り裂いた。
「小癪な……潰れなさい!」
 さらに向かってくるルナリリスに、リヴェンタは水流を集中させて叩きつけた。それは大槌のような衝撃を持ってルナリリスに襲い掛かるが、彼女はそれにひるまず、真正面から突っ込んでいく。
「負けません、このくらいで……!」
 あらゆる障害は体当たりで乗り越える、その気概の下水流と光をぶつけあい切り込み続けるルナリリス。だが猟書家の攻撃は重く、気概だけでは踏み越えることは能わない。
「大丈夫、わたくしが支援しますわ!」
 その横に力添えをするように、金の風を纏ったルディアが並んだ。意思の強さをそのまま表したかのような金の輝きは、先にリヴェンタが放ったゴールドゴーレムとは違う力強さと希望に満ちた輝き。そしてその手にあるのは対となる色の輝きを持った、白銀のハルバード。
「はあああああ!」
 気合の声と共にハルバードを旋回させ、周囲の水を吹き飛ばしながらリヴェンタへと迫るルナリリス。そのまま飛翔能力の速度を武器の重量を乗せた重い一撃をリヴェンタへと加え、その後方へと一直線に飛び去った。
 金銀の突風が吹き抜けたその後には、それによって水にあけられた穴が道のようにできていた。
 そこをさらに通る、二本の光線。
「この状態でも肩は使えるで!」
 それは因果のキャバリアが放った、肩部に装着される二対のビーム砲『オルトロス』の射撃。
 どうつくに収まるために腹ばいになっているキャバリアだが、それは肩のビームを撃つための安定した姿勢にもなり、後方からの的確な射撃をリヴェンタへ見舞った。
 突き抜ける突風と後ろからの射撃によって、リヴェンタの水の守りは引きはがされ無防備な姿を晒す。そこに改めて、聖剣を構えたルナリリスが攻めかかった。
「悪しき水霊よ、消え去りなさい!」
 戦えぬ者を護る、誰かの力になりたい。そんな想いを籠めた剣姫の一撃が、リヴェンタを深く切り裂いた。
 攻撃、支援、後方確保、各々の役割を全うしつつ互いを助け合った連携が、悪しき激流を̪しかと防ぎきったのだ。
「よくも……よくもわたくしをぉぉぉぉぉぉっ!」
 怒りに震え喚き散らすリヴェンタ。三人とは真逆に手下を使い捨て身勝手な理由を並べるその女の声に応えるものは、洞窟の中に誰もいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
どうやら、元凶の御登場ですねぇ。
お相手致しますぅ。

【翳華】を使用、全身を『ブラックホール』に変換して飛行、彼女の放った『激流』を吸収しますねぇ。
『ブラックホール』と『水』の質量差や性質を考えれば、どれ程の量や威力であっても吸収は容易ですぅ。
ただ『範囲制御』の為には『地形』の情報が必要ですから、其方の質問と『制御の難しく対象外とする位置の排水』をドワーフさん達にお願いしましょう。

後は『ブラックホール化』による吸収と『FSS』で、彼女の『非UCの攻撃』に対する防御を固めつつ、『FBS』による斬撃と『FRS』の[砲撃]を中心に攻撃しますねぇ。

相応の報いは受けていただきますぅ。


シホ・イオア
天上界ってイメージだと綺麗な所に思えるけど期待できないね。
貴方みたいな濁り切ったのが求める場所だもの。

まずは相手のスピードを殺すか隠れる場所を探すかしないと。
敵が追いかけてくるなら大きく動けない場所を、
射撃攻撃に集中してくるなら盾となり狙撃に使える場所を。
それぞれドワーフ達に聞いて対応。

「輝石解放、エメラルド! 雷の獅子よ、邪なるものを食い破れ!」
全力・限界突破の雷撃でその身を焼き焦がす!
敵の攻撃は残像と空中戦でできるだけ回避。
……でも回避よりは攻撃を優先かな。
ハイダメージハイリターンで撃ち合う覚悟。

連携アドリブ歓迎!



 ついに姿を見せた猟書家『激流のリヴェンタ』。一見すれば美しい女性だが、その性質が悪に満ちていることは彼女の言動を見れば明らかだ。
「天上界ってイメージだと綺麗な所に思えるけど期待できないね。貴方みたいな濁り切ったのが求める場所だもの」
 シホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)が彼女のその本質を見抜き、そう表する。未知なる天上界がいかなる場所かは分からないが、もしそこがリヴェンタの、そして猟書家たちの望むような場所そのままならば、決して好ましい場所ではないだろう。
「流れが濁るのはそこに汚物があるから……流し清めて差し上げているのだから感謝して欲しいくらいですわ」
 そこにいる相手が悪い、と言わんばかりの傲慢さを見せるリヴェンタ。この性質こそが、まさしく彼女の持つ濁りそのものなのだろう。
「どうやら、元凶の御登場ですねぇ。お相手致しますぅ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も、この事件の元凶たる彼女を討伐せんと動き出す。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
 るこるは早々に【豊乳女神の加護・翳華】を発動、その身をブラックホールへと変えた。漆黒の渦と化したるこるはリヴェンタの大量に流した水をその身に飲み込み、かさを減らしていく。
「あら、闇の魔法……それとも空間系? それではそこでずっと水を飲んでいなさいませ」
 魔法の力溢れるアックス&ウィザーズでは、未知の技術であろうと知らない魔法の一種だと想像すれば動揺することはない。水を吸収するるこるにリヴェンタは水の流れを差し向けつつ、そのまま移動しようとする。
「輝石解放、エメラルド! 雷の獅子よ、邪なるものを食い破れ!」
 それを逃がさぬ、とばかりにシホの【ライトニング・ファングブレイカー】による雷の魔弾がリヴェンタを襲った。その雷はリヴェンタの水の体を流れ、その全身に電撃をくまなく流し込む。
「おのれ……雷など撃って!」
 水には電撃、極めて単純な属性相性ながらそれ故に効果の高い一撃に、リヴェンタはイラついた様子でシホの方を睨みつけた。シホはその視線を受けながら、洞窟の天井近くまで飛びあがる。
「串刺しにしてあげますわ!」
 シホを狙い、リヴェンタは全身を纏う水のオーラを氷に変換、それを鋭い刃としてシホに撃ちだした。シホはそれに対し、天井の隆起を遮蔽に使って躱していく。
「そんなの当たらないよ、お返しするね!」
 一撃を躱しては隆起から身を乗り出し、雷撃を撃ち返すシホ。事前にドワーフたちに聞いていた通り、天井は歩くための床ほどきれいには整地されておらず傾斜や隆起が多い。普通ならだから何だという話だが、飛べるうえに小さなフェアリーであるシホならばそれを身を隠す遮蔽にも使えるし、狭い洞窟の天井すれすれともなれば、リヴェンタの飛翔能力もそのスピードを十全には発揮できない。
 その状況でシホはダメージを受けることを厭わず、積極的に攻撃をかけて行った。地形的に有利な状況からの攻勢はリヴェンタに浅くないダメージを与えていく。
「……もういいですわ。どうせがあれば奥へ行けるのです、この洞窟ごと沈んでしまいなさい!」
 怒りに満ちたリヴェンタが、体を巻く髪の渦のように回転、全方位へと激流を放った。それは一切の区別なく周囲を押し流す破壊の激流だが、元より味方のいないリヴェンタにとっては何のデメリットもない攻撃である。最も彼女の性格からして味方がいたところで使用を躊躇するとも思えないが。
「ドワーフの皆さん、準備はできてますかぁ?」
「おうよ!」
 その攻撃に、るこるはドワーフに何がしかの示し合わせの合図をかける。ブラックホールとなったるこるは大きく広がりその流れを吸収するが、自然物に掘削で手を加えた形状の洞窟を綺麗に覆いきることは出来ない。その隙間になる場所をドワーフに見定め、その部分に絞った排水を行うことを、るこるは彼らに依頼していた。
 その狙いは当たり、破壊の激流はるこるにもドワーフにも届かず、破壊されるのはリヴェンタの後方ばかり。自ら退路を塞ぐような形になったリヴェンタに、るこるの攻撃用浮遊兵装による追撃が襲い掛かった。
「相応の報いは受けていただきますぅ」
 彼女にしては珍しいほどの、毅然とした攻撃の言葉。その意思に答えるよう兵装たちは苛烈な斬撃と砲撃をリヴェンタに見舞い、その体を浮いたままでその場に釘づけにしていく。
「お、おのれ、わたくしの美しい水を……」
「濁った水は骸の海に排水だよ! ばっきゅーん!」
 歯噛みするリヴェンタを、シホの雷の弾丸が真っすぐに撃ちぬいた。強烈な光と共にスパークが起きてその体全体を電撃が駆け巡り、そして大量の水しぶきを上げリヴェンタは爆散、自身の呼んだ激流と混ざってドワーフの開けた穴から排水されて行った。

 かくして、突如として地下都市を襲った水害はその元凶を断たれた。だがリヴェンタが倒れても、流し込まれた水はそのまま残っている。これらを全て処理するにはそれなりの時間と手間がかかるだろう。
 だが、それよりも優先すべきことがドワーフたちにはある。
「あんたたちのことを碑文に刻まなきゃな。色々と聞きたい話もあるし、勝利の宴でもしながらゆっくり話を聞こうじゃないか!」
 古代の勇者がそうであったように、現代の勇者の活躍もまたドワーフの超絶技巧によって石碑に刻まれ、永遠に残されるのだ。次々と運び込まれる酒と食料を見るに、ただ酒盛りしたいだけの理由付けにも見えるがそれはそれ。
「お酒は飲めないけど、シホの話でいいなら!」
「ああ、そう言えばあの人の故郷なんですねぇ。私も飲めませんがそちらの話も聞きながらでも」
 二人はそう言って宴席につく。勇者たちを称える宴の声が、いつまでも地下に響くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月03日
宿敵 『激流のリヴェンタ』 を撃破!


挿絵イラスト