●本当に美味しい物は独り占め
ここは、キマイラフューチャーの都市リゾート、その一画。
コンコンすると、甘くて美味しいスイーツが出てくる場所が多いことで有名な区画である。
その中心部で、つり目の少女の姿をした怪人が一人、悠々と椅子に座っていた。
空中に表示された半透明のモニターを通して、彼女は配下の戦闘員に指示を出す。
「いいケキ? どんな奴であっても、この中心部には絶対に通しちゃ駄目ケキ! 信頼してるケキよ、働き蜂戦闘員達!」
ブンブブーン、と、戦闘員達は羽音のような返事でもって応じる。
「良い返事ケキ。頼んだケキ!」
それから怪人は、働き蜂戦闘員達がいる区画よりさらに外周の一帯へ、モニターの表示を切り替えた。それから、音声で通信を入れる。
「皆、甘いあまーい物大好きケキ? すっごく良いことケキ。そのまま美味しいスイーツをずっとずーっと食べ続けるために、この一帯は我々が支配するべきケキ。食べることは幸せなのケキ、それを邪魔する奴は敵ケキ。暴力を使ってでも排除するケキ!」
わあーっ、と無数の賛同の声が返る。住民達……キマイラである。
怪人、『フードファントム』グラトニー姫は、満足そうに通信を切る。
それから、近くの壁をコンコンした。
出てくるのは、ハニーディップと粉砂糖のたっぷりかかった、ふかふかのドーナツ。
「これで、この最高のドーナツは、独り占めケキ! ケーキキキッ!」
怪人は高笑いして、ドーナツを頬張り、至福の表情を浮かべた。
●彼は語る
「……独り占めは良くないぜ。独り占めは」
グリモア猟兵、宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)はグリモアベースで呟く。それから、集まった猟兵達に向かって、言葉を発した。
「今回、皆に向かって欲しいのは、キマイラフューチャーだ。美味いスイーツが出てくることで有名な区画なんだが、その一帯を怪人が占拠してる」
怪人の名は、『フードファントム』グラトニー姫。
「配下は信頼してるみたいだし、憎めない良い子っぽいところもあるけど……ま、やってることはダメだな。周辺住民を洗脳して、暴力も厭わない状態にしちまってるぜ。スイーツ独占のためにな」
グラトニー姫がいるのは、区画の中央部。建物内の一室である。
その周辺には、配下の働き蜂戦闘員が展開され、侵入者が現れないように警護している。
さらに区画の外周では、洗脳されたキマイラ達がスイーツを食べ続けているのだ。
つまり、ドーナツ状の区画の、中心部にグラトニー姫。その周辺、建物の内外に、働き蜂戦闘員。ドーナツで言うなら表面にあたる部分に、キマイラ達が集っているのだ。
「まずは、キマイラ達の洗脳を解いて、穏便に区画内に潜入してくれ。もちろん、ただ洗脳されてるだけだから、殺さないでやって欲しい。キマイラ達は、本当に美味しいであろう『最高のドーナツ』をグラトニー姫が独り占めしてるとも知らず、『この区画は支配するべき、邪魔者は力ずくでも排除すべき』っていうグラトニー姫の言葉を妄信してる。方法は任せるぜ、色々考えてみてくれ」
無事にキマイラ達の洗脳を解くことができれば、働き蜂戦闘員達を蹴散らした後、グラトニー姫との決戦に突入するだろう。
「よろしく頼んだぜ。……そうそう、グラトニー姫が独り占めしてる『最高のドーナツ』だが」
拓未は、最後にこう言ってから、軽くウインクした。
「グラトニー姫を倒した後、コンコンするタイミングが良ければ、食べられるかもな」
地斬理々亜
地斬です。
今回もよろしくお願いします!
●シナリオの目的
『フードファントム』グラトニー姫の撃破。
●第1章
ドーナツ状の区画の、外周部に集まっているキマイラ達の洗脳を解く。
(洗脳の結果、『スイーツを食べ続けよう! 邪魔者は排除!』という思考になっています)
●第2章
区画中央部周辺、建物の内外で、働き蜂戦闘員との集団戦。
●第3章
区画中央部の室内で、『フードファントム』グラトニー姫とのボス戦。
このような流れになります。
執筆状況は随時、自己紹介ページに書いていきますので、ご確認ください。
それでは、皆さんの楽しいプレイングをお待ちしています!
第1章 冒険
『過ぎた欲を諫めるために』
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POW : 力ずくで止める、抑える
SPD : 手段や目的を断つように動く
WIZ : 説得や指摘で諭す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
モルツクルス・ゼーレヴェックス
【WIZ】
演説をぶちかますっす!
【鼓舞】【コミュ力】【パフォーマンス】
磨きあげた技術で大きく身振りを挟んで心を動かす!
「諸君!自分は甘いものが大好きっす!
チョコが好きっす!キャンディが好きっす!ケーキが好きっす!
サクサクのクッキーが!
シュワシュワのコーラが!
コンガリ焼けたピーチパイが好きで好きで堪らないっす!」
(一息置いて、グッと聴衆を引き込んで)
「しかし!思い返して欲しいのは!
お菓子に大事なのは、一緒に食べる誰かの存在っす!
友達と笑いながら!
家族と今日のことを語りながら食べること以上の幸せがあるっすか!?」
(暫し待ち)
「みんなで仲良く、最高に美味しいものを食べる……それが一番じゃないっすか」
『成せば成る』と書かれたハチマキを頭に締めたオラトリオが一人、スイーツを貪るキマイラ達の前に立つ。
モルツクルス・ゼーレヴェックス(鷹の如き・f10673)である。
彼は眼鏡の奥で黒の瞳を見開き、大きく息を吸い込むと、声を張り上げた。
「諸君! 自分は甘いものが大好きっす!」
キマイラ達の一部がモルツクルスの方を見やる。スイーツを食べる手は止めないままだ。
駆使するのは磨き上げたパフォーマンス技術、発揮するのはコミュ力。大仰な身振り手振りを交えながら、彼は演説を続ける。
「チョコが好きっす! キャンディが好きっす! ケーキが好きっす!」
やや早口に、一気に彼はまくし立てた。
「サクサクのクッキーが! シュワシュワのコーラが! コンガリ焼けたピーチパイが好きで好きで堪らないっす!」
そこまで言って、モルツクルスは一拍置く。
彼の語った内容は、洗脳下にあるキマイラでも共感できるものであった。よって、彼の演説を聞いたキマイラ達からは、このような声が上がる。
「「「スイーツ! スイーツ! スイーツ!」」」
これを聞いたモルツクルスは満足そうに一度頷くと、続ける。
「よろしいっす。しかし!」
彼は論調を切り替える。下地は整った、説得はここからが本番だ。
「思い返して欲しいのは! お菓子に大事なのは、一緒に食べる誰かの存在だってことっす! ……友達と笑いながら! 家族と今日のことを語りながら、食べること! それ以上の幸せがあるっすか!?」
キマイラ達の心を奮い立たせるように――鼓舞するように、そう力強く叫んでから、再び、モルツクルスは間を置いた。
彼の言葉を聞いたキマイラ達は、顔を見合わせ始める。
「――みんなで仲良く、最高に美味しいものを食べる……それが一番じゃないっすか」
最後は静かな口調で、諭すように、モルツクルスは言葉へ想いを乗せる。
「……その通りだよね。一人でひたすら食べ続けてたって、つまらないや」
キマイラの一人が言い、スイーツを食べるのをやめ、立ち上がって場を離れた。
モルツクルスの演説が聞こえていたキマイラ達は、続々と撤収していく。
彼の言葉はキマイラ達の心に響き、洗脳を解いたのだ。
「うまくいったみたいっすね! 良かったっす!」
モルツクルスは、ぱっと明るく笑う。
まだ洗脳下にあるキマイラは数多い。それでも彼の演説は、数多くのキマイラの心を救ったのである。
大成功
🔵🔵🔵
箒星・仄々
心情
スイーツは私も大好きです!
でも独り占めはよくないですよ?
手段
WIZで説得
Kリートを奏でたり
時にミュージカル風に歌ったりして楽しく説得ですよ~(笑
:歌唱&演奏&祈り&優しさ&勇気&手をつなぐ
スイーツを食べ続けたら体に悪い…
という建前は兎も角として
肝心なのはずっとスイーツばかりだと
美味しさが減っちゃうってことです!
超勿体なくないですか?
他の物も沢山食べて
そしてちょっと挟むスイーツタイム
これが至福♪ですよ?
それに邪魔者排除なんて
もっと勿体ないない!です
スイーツは家族や友達
仲間と一緒に食べた方が
美味しさが倍増
いいえ10倍になるんですから!
※アドリブOK
(「スイーツは私も大好きです!」)
でも独り占めは良くないですよ、と思いながら、小さな体でとてとて歩くのは、帽子を被ったケットシー。箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)である。
キマイラ達の前まで来ると、仄々は、懐中時計のようなもののボタンをカチリと押した。シンフォニックデバイス『カッツェンリート』はたちまち展開し、拡声機能付きの蒸気機関式竪琴の形をとる。
ぽろん、と、猫の手によって竪琴が奏でられる。
「♪ スイーツを食べ続けたら体に悪い……と! いう建前は、ともかくとして! ♪」
仄々は、竪琴を伴奏として、ミュージカル風に歌い出した。楽しく明るい曲調である。
「♪ 肝心なのは、ずっとスイーツばかりだと……美味しさが、減っちゃうってことです! ♪」
そこまで歌ったところで、仄々はキマイラの1人と手をつないだ。
「超勿体なくないですか?」
「う……」
小首を傾げて言ってみせる愛らしいケットシーの言葉に、キマイラの瞳が揺らぐ。
甘い物を食べ続けると味覚が麻痺する。真実を突いている。
「♪ 他の、物も、沢山、食べて! そして、ちょっと、挟む、スイーツタイム!」
リズミカルに歌いながら、仄々はくるくる回って舞う。それから、ぴたりと動きを止めた。
「……これが至福♪ ですよ?」
――ぱち、と音がした。
それは、ぱちぱちぱちぱち、という大きな音となる。洗脳が解けたキマイラ達による、拍手である。
仄々は、大きな瞳をにっこりと細めた。
「♪ それに邪魔者排除なんて、もっと勿体ないない! です。スイーツは、家族や友達、仲間と一緒に食べた方が、美味しさが倍増。いいえ10倍になるんですから! ♪」
続いて仄々は、歌いながら移動を始める。さきほど別の猟兵が演説した内容とほぼ同じだが、拡声機能があるカッツェンリートなら、より多くのキマイラに言葉を届けられると判断したのだろう。
まるで、子供を洗脳し攫う笛吹きの寓話、その真逆の光景を現出させるかのように。
竪琴を奏でて歌う仄々によって、キマイラ達の多くが洗脳を解かれていった。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
…思い付かない(頭抱える)
【POW】
イベントを企画する
【皆で作るマカロンタワー】
世界一デカイマカロンタワーを皆で作ってやろうぜ! という趣旨
SNSで拡散、生配信実況
タワーのイメージ写真で【誘惑】
自身が猟兵だと告げて、参加してくれた店や人にはサイン書きますと確約
お店は今後の怪人征伐配信の際に宣伝しますと確約
猟兵証明にUC
私のフォロワー来てくれるかな…【祈り】
人集まったらマイクで【パフォーマンス】
BGMかけて盛り上げる【コミュ力】
開催場所は当然、区画のすぐ近く
住民が分かるようにお祭り騒ぎにしたいな
そこ(区画)から出ておいでよ
【皆で】作ろう
それで、【一緒に】食べよう
きっと、良い思い出になるよ
フロッシュ・フェローチェス
取りあえず目的は断たないとね。
ダッシュしざまに早業でスイーツを奪ってしまおう。
残像だって目に映させない。今のアタシは、怒りに燃えているから。
その憤怒が燃料になる。
――ドーナツを独占?オブリビオンの阿呆が?
ふざけるなぶっ潰す。って言うかアタシによこせ。
Give,mine DOUGHNUT!だって甘くて――。
あ…………んん゛っ。
兎も角アンタらのお菓子は頂いたよ。あ、コンコンしても無駄。
だってほら、平らげればまた奪取可能。
【選択したUC】もつかって占領を“回避”しよう。
限界を待っても無駄だから。アタシ燃費悪いし、大喰いだし。
何より甘い物好き――んん゛!
もしくは菓子を餌に連れ出せないかな?
※アドリブ可
「これで良いかな、送信……っと」
黒パーカーと同色のキャップ帽、ショートヘアという出で立ちの女性が、手元の情報端末を操作している。鈴木・志乃(ブラック・f12101)だ。
端末に表示されているのは、SNSの画面である。
『【拡散希望】皆で作ろう、世界一デカイマカロンタワー!』という文面が躍る。
もちろん、SNS慣れしていて、配信者でもある志乃は、もし食べ物で遊んでいると思われたら炎上することは把握済みだ。なので、『積むのは食品サンプルです。本物の焼き立てマカロンも用意してるよ!』と補足することも忘れていない。
チョコにピスタチオ、ストロベリーにバナナ。カラフルなマカロン達が塔となった様子を表したイメージ画像つきのその投稿は、たちまち拡散されていった。
それから志乃は、生配信を開始した。
「皆さんこんにちは、猟兵の『ブラック』です」
直後に証明として、志乃ことブラックは、『生まれながらの光』を発してみせた。傷を癒す効果を持つ閃光が、画面に映る。
すぐに、右から左へと、コメントが流れる。
『!?』
『え』
『マ?』
『すご』
ごく短文ばかり。視聴者の感嘆がそのまま表れている。
「今SNSで紹介してるマカロンタワー作りに参加してくれた店や人には、サインを書きます!」
はっきりと確約。たちまち『うおおおおおお』の弾幕が出来上がった。
「それに、お店は、今後の怪人征伐配信の際に宣伝しますよ!」
続けて、さらに確約。
『マジか……嬉し過ぎる。参加しよ』
『ちょ、抜け駆けダメゼッタイ』
『俺も俺も』
次々と流れるコメントに、志乃は満足気に笑うと、告知した。
「会場はこちら!」
示されたのは、洗脳されたキマイラ達がいる場所の、すぐ近くである。
一方、その頃。洗脳されたキマイラがいる区画にて。
(「――ドーナツを独占? オブリビオンの阿呆が?」)
フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)の緑と青の眼は、怒りに燃えていた。その憤怒が、彼女を動かす燃料となる。
(「ふざけるなぶっ潰す。って言うかアタシによこせ。Give me DOUGHNUT! だって甘くて――」)
その味を想像するだけで、フロッシュはぞくぞくと恍惚に震える。
「――ともかく、アンタらのお菓子はいただいたよ」
次の瞬間には、『それ』は既に終わっていた。
すなわち、キマイラ達の持つスイーツの奪取である。
「あぁ!?」
「っざけんなよ! 返せよオイ!」
まだ洗脳下にあるキマイラ達が怒り出し、フロッシュへ暴力を振るおうと襲い掛かる。
いわば、一種の門番として配置された彼らは、フロッシュを敵として認識したのだ。
「無駄だよ」
フロッシュは、ユーベルコード、廻砲『P・X』(ヒートアドバンスピーエックス)を発動。最初の一撃を易々と回避した。
だが、このユーベルコードは、強敵にこそ真価を発揮する特性を持つと言える。相手が速ければ速いほど、フロッシュが加速するものだからである。
一般人に過ぎないキマイラ達の速さは、お察しの通りだ。
次々とフロッシュに襲い掛かる数の暴力。回避し続けるフロッシュだが、キマイラ達の増援はキリがない。うかつな反撃もできないがゆえ、フロッシュは苦い表情を浮かべる。
「潮時、か」
フロッシュは呟き、スイーツを抱えたままその場を離脱。キマイラ達は追いつけない。
なお、奪ったスイーツは後で美味しくいただくつもりである。いくらだって食べられる、何と言ってもフロッシュは大食いなのだから。
「やられた……」
「またコンコンするしかないか……」
「……待て、あれなんだ?」
キマイラの一人が指さした先に、件のマカロンタワー。
「どんどん積み上がるマカロンタワー! 一体どこまで行くんでしょうね!」
軽快なBGMを流しながら、志乃はマイクでパフォーマンスする。
それから、区画周辺へと声を向けた。
「そこから出ておいで、皆で作ろう。それで、一緒に食べよう。きっと、良い思い出になるよ」
しばらくの間を置いて。
手持ちのスイーツを、フロッシュに奪われて失ったキマイラ達が、マカロンに惹かれてぞろぞろとやって来た。
「……マカロン」
「……くれますか」
キマイラ達の言葉に、にっこりする志乃。
「もちろん、喜んで!」
その後、食品サンプルのマカロン積みに皆で楽しく参加したキマイラ達の洗脳は、無事解けたのであった。
フロッシュは、『菓子で連れ出す』ことも考えていた――結果的に、2人の猟兵の行動が噛み合い、良い結果を生んだのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ハルベル・ロウ
俺の杭で刺して物理的に止める、ってのは……無理?そうかよ。
【WIZ】
要は食べるのを止めさせりゃ良いんだろ。
普段なら絶対やらねえが、ちょっとした見世物になってやる。
……とりあえずそこらの壁を叩いて、出てきた菓子に手持ちの「全血製剤」ぶっかけて喰う。なるべく派手に、キマイラ共の食欲が減退する位豪快に。
……なんだよ、菓子にトッピング付け足しただけだろ?「これ」は俺の主食なんだ、合理的だろうが。
こっち見んじゃねえよ。それとも……お前も「これ」に興味あんの?
それならそうと早く言え。俺のとっておきだが、くれてやっても良い。【言いくるめ】【呪詛】
※アドリブ可
(「要は、食べるのを止めさせりゃ良いんだろ」)
ハルベル・ロウ(スロウホワイト・f13579)は、蛍光グリーンのヘッドホンの電源を切った。耳元で響いていた重低音の音楽は止み、キマイラ達がスイーツを食べ続ける咀嚼音が聞こえ始める。
(「普段なら絶対やらねえが、ちょっとした見世物になってやる」)
ヘッドホンは外し、首に引っ掛けた。ハルベルはつかつかとキマイラ達の横を通り過ぎ、区画の壁の前へ。
彼の真白の手が、コンコンと壁を叩く。
出てきたのは、サクサクのクッキー生地が使われた、大きなメロンパンだ。
(「菓子パンか。まあ、これも菓子だろ。デカいし目立つし、ちょうどいいか」)
そんな風に思いながら彼が取り出したのは、赤い液体の入ったパック。
彼はなんのためらいもなく、その中身をメロンパンに豪快に振りかけ、かぶりついた。
気づいたキマイラ達がざわつき始める。
「え……何、今の」
「ケチャップ? タバスコ?」
「いや……この臭い……」
――血液である。
「……なんだよ、菓子にトッピング付け足しただけだろ? 『これ』は俺の主食なんだ、合理的だろうが」
血の混ざったメロンパンを咀嚼し、飲み込んでからハルベルは言った。
嘘でも演技でもない。ハルベルは、ダンピールだ。『血液製剤』は、彼にとって普段から飲料代わりにするもの。事実として、メロンパンの美味しい『トッピング』になっているのだろう。
「……」
キマイラ達は黙る。口元を押さえている者もいる。
「こっち見んじゃねえよ。それとも……お前も『これ』に興味あんの?」
血の滴るメロンパンを手に、ハルベルはキマイラに歩み寄る。
「それならそうと早く言え。俺のとっておきだが、くれてやっても良い」
す、と真っ赤なメロンパンをハルベルは差し出す。
「……え、え、え、遠慮するよ!!」
蜘蛛の子を散らすように退散していくキマイラ達。
あまりの衝撃映像に、洗脳が解けたのだ。
ハルベルは、キマイラ達の食事を直接邪魔したわけでもなければ、食べ物を無駄にしたわけでもない。一見突拍子もないように見える行動だが、実のところ、非の打ち所がない作戦だったと言えよう。
「……さて、キマイラ共はこれで全員いなくなったか。次は……働き蜂戦闘員だったか?」
ハルベルは、区画の奥の方向へ鋭い視線を向けた。
そこには、怪人の配下達が展開されていることだろう。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『働き蜂戦闘員』
|
POW : 御槍奉公
【槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 飛行モード
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : 数で圧す
自身が戦闘で瀕死になると【さらなる増援】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リゼリア・マルフィス
七色・うみさん(f03160)と一緒に蜂退治です!
美味しいドーナツがあると聞いて飛んできました! なので蜂さん達はちょっとそこどいてください! 速やかに!
【WIZ】
ウィザード・ミサイルに【全力魔法】を乗せてばんばん撃ちます!
出せるだけの炎の矢をばら撒いて、増援を呼ばれる前に倒しちゃう勢いで行きますよ!
うみさんと、うみさんの呼び出した魔法使いさんとも連携して速攻で片付けちゃいます。
ふうっ、これだけ暴れると、甘い物もいいですけど、一緒にコーヒーも淹れてまったりしたい気分です。
よーし、全部終わった後の楽しみができましたっ!
「いいですよね、苦味と甘みが絶妙に合わさってもう最高ですっ!」
七色・うみ
SPDで行っちゃうよー☆ ドーナツ食べたくなってるよねっ!
私もそうなんです、でも今はちょっと急いでるからっ!
リゼリアちゃんと一緒に、働き蜂さんを速攻で倒しちゃう!
私が使う必殺技はバトルキャラクターズ! 18体を1人に合体させて、魔法使いさんに手伝ってもらっちゃおう!
属性攻撃と範囲攻撃で、飛行する蜂さんたちを撃ち落としちゃうぞ!
後は、2回攻撃を応用した多重詠唱も駆使して、リゼリアちゃんがカバーしきれない箇所も対応しちゃうよ!
ああでも、頑張ってるとやっぱりお腹減っちゃうね! 終わったら何か食べたいっ!
「あ、それも良いね! 甘いものと一緒に飲んでみるの、絶対マッチするっ!」
「美味しいドーナツがあると聞いて飛んできました!」
赤い三つ編みを揺らし、リゼリア・マルフィス(お気楽魔女・f02829)は駆ける。隣に、七色・うみ(幻想奏者・f03160)を伴って。
「蜂さん達はちょっとそこどいてください! 速やかに!」
「今はちょっと急いでるからっ!」
二人の声が重なる。友人同士で楽しむドーナツタイムのためにも、働き蜂戦闘員は速攻で倒したいところだ。
「おいでよっ、魔法使いさん!」
まず、うみが『バトルキャラクターズ』を発動。18体の戦闘用ゲームキャラクターが出現し、ただちに合体した。それが終われば、そこに立っているのは、額に『18』と刻印された魔法使い。
働き蜂戦闘員達は飛行し、迎撃しようとする。
「撃ち落としちゃえ!」
うみの言葉と共に、魔法使いは岩石の槍を空中に生み出し、働き蜂戦闘員達の翅を射抜いた。地属性の魔法は、広範囲の敵を射落としていく。
「行きますよ! 『ウィザード・ミサイル』っ!」
リゼリアは、うみの魔法使いが撃ち落とした敵にとどめを刺す形で、全力魔法を放つ。80本の炎の矢が、次々に働き蜂戦闘員達を消し炭にしていった。増援を呼ぶ隙も与えない。
さらに、うみの魔法使いは多重詠唱を行う。全力魔法に集中しているリゼリアを護るように、彼女に迫ろうとする敵を、魔法使いは光属性の槍で射抜いていった。
『ブブーン……!!』
力尽きていく働き蜂戦闘員達。
やがて、リゼリアとうみの近辺にいた敵は殲滅が完了した。まだ、最奥に進める状態ではないだろうが、一息つけそうだ。
「ふうっ」
魔法の詠唱を終えたリゼリアが呼吸を整え、額を拭う。
「頑張ってるとやっぱりお腹減っちゃうね! 終わったら何か食べたいっ!」
うみが、ぐっと背伸びして言った。
「そうですね。これだけ暴れると、甘い物もいいですけど、一緒にコーヒーも淹れてまったりしたい気分です」
にっこりしてリゼリアはうみへと応じる。
「あ、それも良いね! 甘いものと一緒に飲んでみるの、絶対マッチするっ!」
「いいですよね、苦味と甘みが絶妙に合わさってもう最高ですっ!」
うみとリゼリアは、戦いが終わった後のことを考えて、軽くはしゃいだ。
仲良し二人組の連携プレイにより、敵はその数を大きく減らしたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
箒星・仄々
心情
働き蜂さんたちは
スイーツをいただけているのでしょうか?
懸命にご主人のために頑張る姿は素晴らしいですけれども
悪い事に加担するのはいただけないですよ?
オブリビオンである蜂さんたちを
倒すことで解放して差し上げたいです
手段
魔法で宙に溶け込む如く姿を隠した後
一気に残像分身し一斉攻撃!
分身さん達&私が様々な動きをしながら
小柄な体を活かし懐に飛び込み
風纏うKナーゲル(=トリニティで攻撃力↑
で貫きます
:迷彩&忍び足&残像&早業&先制攻撃&見切り&属性攻撃&串刺し
飛行モードには鋭く刃を振るい
鎌鼬を放ったり
旋風で乱気流を起こして撃墜します
迷彩&残像&早業&見切り&忍び足で回避
※アドリブOK
モルツクルス・ゼーレヴェックス
「羽根があるっすね!結構!なら付き合ってやるっす!……果たして、自分に注目せずに居られるっすかね!」
【光翼】を展開して【空中戦】に移行
「ララララ
~♪ドーナツは良いよ~う♪ドーナツ食べたいっすね~♪」
敢えて調子っぱずれに歌いながら、【光翼】を不規則に明滅させ、ふらふらと頼りなげに飛ぶっす!
その【パフォーマンス】に連中、【困惑】や【侮蔑】を避けられないのでは?
「その感情、もらったっす!輝け!」
【光翼】から飛ぶ光線は自由を奪うが命は取らない!
敵が増えることもないっす!
自分の美しすぎる戦術に【敬意】を払っても良いんすよ?
「ララ~♪」
動けなくなった連中に、作詞作曲「自分」の「ドーナツの歌」
聴かせるっす!
(「働き蜂さんたちは、スイーツをいただけているのでしょうか? 懸命にご主人のために頑張る姿は素晴らしいですけれども、悪いことに加担するのはいただけないですよ?」)
思いながら、仄々は魔法の力を借りて姿を隠した。周囲の風景に溶け込むように。
「羽があるっすね! 結構! なら付き合ってやるっす!」
一方、仄々とは真逆に、あえて目立とうとしているのはモルツクルスである。
「……果たして、自分に注目せずにいられるっすかね!」
モルツクルスの白い翼を補助するように、『光翼(アート・オブ・ザ・ウィング)』が展開された。
モルツクルスは高速で飛び、調子っぱずれの歌を歌い始める。
「ララララ~♪ ドーナツは良いよ~う♪ ドーナツ食べたいっすね~♪」
ちかちか、光翼を明滅させながら。
『…………』
攻撃してくるわけでもなく飛んで歌っている侵入者に対し、働き蜂戦闘員達の、『困惑』に満ちた視線が集まる。
「その感情、もらったっす! 輝け!」
ユーベルコードの条件は満たされた。無数の束縛術式からなる光線が、働き蜂戦闘員達に飛ぶ。命中した光線は、その体の自由を奪った。
「命は取らないっすから、増援もないっす! これぞ自分の美し過ぎる戦術っす! ラララ~♪」
動けない働き蜂戦闘員達の前で、モルツクルスは歌い始める。
「助かりました。これで働き蜂さんたちは、隙だらけですね?」
仄々が、姿を現した。手には、両刃細身の魔法剣『カッツェンナーゲル』。
無数の残像を伴い、仄々は動いた。『トリニティ・エンハンス』の力で鋭さを増した『ねこのつめ』は、働き蜂戦闘員達の胸部や頭部を貫き、命を奪っていく。
「あっ! えっとっすね!」
予想外の『援護』に戸惑うモルツクルス。彼には構わず、仄々は早業で戦闘員の殺害を続けた。
動けない働き蜂戦闘員達の急所を、的確に仄々は剣で突いていく。戦闘員達は、瀕死を通り越して即死していった。増援が呼ばれることも、ない。
『ブ――』
その時、働き蜂戦闘員の一体が動く。偶然、束縛の光線を免れ、動けないふりをしていたのだ。飛行し、モルツクルスに槍の穂先を向ける。
その蜂の首が、ころりと転がった。仄々が刃を振るい、鎌鼬を放ったのである。
「……助けられたのは自分の方っすね。感謝するっす。でも……殺さなくても良かったんじゃないっすか」
モルツクルスは言う。仄々は黙った後、口を開いた。
「蜂さんたちはオブリビオンです。きっと、これで、解放して差し上げることができたと思うのですよ。それに……」
最後は少し言いにくそうに、仄々は告げる。
「……帰り道のこと、考えていましたか? 多分、生かしておいたら襲われてましたよ?」
「あっ……」
モルツクルスは固まった。
ともかく、働き蜂戦闘員はかなり数を減らされた――残りはわずかだ。
大成功
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ハルベル・ロウ
……こんなに兵隊配置して守るくらい価値のあるドーナツってのは一体なんなんだ?
【WIZ】
敵は集団、ならこっちも集団で相手してやる。
【無言の軍勢】で消耗戦だ。俺の盾になることを最優先に、敵を倒せ。
なに、消されたらまた呼び出せばいい。死霊術舐めんなよ。
俺は基本後方で指示を出すんで能動的に動く気はねえが、討ち漏らしがあれば死霊達と連携して【吸血】と【生命力吸収】で片付ける。
……働き蜂の血はどんな味がするんだろうな。
※アドリブ等歓迎
「……こんなに兵隊配置して守るくらい価値のあるドーナツってのは一体なんなんだ?」
ハルベルは、転がる無数の死体や、まだ生きている働き蜂戦闘員達を一瞥し、呟いた。
「まあいい。敵は集団、ならこっちも集団で相手してやる」
彼は、死霊術を発動。『無言の軍勢(ボイスレス)』――小さな、戦闘用に武装した死者達が、召喚された。
「俺の剣となり盾となれ。……行け」
ピアスに軽く指で触れて、ハルベルは死霊に指示を出した。
無言の軍勢、その数70体。彼らはその名の通り、なんの口答えもなしに、指示通りに敵への突撃を開始した。
働き蜂戦闘員の迎撃を受けるたび、死霊達は消滅していく。
「死霊術舐めんなよ」
だが。後方に控えたハルベルが、ユーベルコードの発動を繰り返し、軍勢を補充していった。
働き蜂戦闘員の数は、元々残りわずかであった。戦闘員側がさらなる増援を呼ぶ暇もなく、あっという間に働き蜂達は命を散らしていく。
『……ブ』
残るは、たったの一体。
『ブゥ、ン――!』
その最後の一体は、死霊達の攻撃をかいくぐり、決死の突撃をハルベルに仕掛けてきた。
「残念だったな」
ハルベルの近辺に配置されていた、『盾役』の死霊が動く。ハルベルの前に飛び出し、身代わりとなり、消滅することで、一瞬だけ時間を稼いだ。その隙にハルベルが動く。
「せっかくだ、いただくとするか」
口を開け、働き蜂戦闘員の首筋に噛みつき、体内の液体を啜る。戦闘員は痙攣し、ぐたりと動かなくなった。
「…………ふん」
口を拭うハルベル。味の感想は、彼だけが知る。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『フードファントム』グラトニー姫』
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POW : フードスペシャリテ・フルコースモード怪
戦闘中に食べた【料理 】の量と質に応じて【全身の細胞及び潜在能力が限界突破】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : スパイス・ミル
単純で重い【全てを粉砕する拳 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ : グラトニー戦闘員
戦闘力のない【グラトニー戦闘員達 】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【おだてられたり、甘やかされたりする事】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「秋山・軍犬」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「……ケキ?」
ドーナツをもぐもぐしながら、少女の姿をした怪人は疑問符を浮かべた。
「おかしいケキ。区画外周のキマイラがいないケキ。これは……」
ドーナツに夢中で、監視などしていなかった。ふと気が向いて見てみたら、この有様である。
「……働き蜂戦闘員達! 非常事態ケキ! 至急、敵襲に備えるケキ。多分、猟兵の仕業ケキ!」
――応答はない。
「ケ……キ……? そんな、まさか……とっくに全滅してるケキ?」
そのまさか、である。
ここは区画の中央部、その最奥の部屋。……『フードファントム』グラトニー姫に、逃げ場はない。
「上等ケキ! なら、迎え撃つケキ!」
ドーナツを投げ捨て……るようなことはせず、最後の一口まで食べきり、口を拭いてから、グラトニー姫は入り口の扉に向き直った。
鈴木・志乃
【目立たない】格好で死角から全力で接近
もしその間に料理を口にしそうになるならマイクでシャウトし、怯ませる【衝撃波】
可能なら【光の鎖】で縛りたい
もしくは足払いで転倒を狙うか、口元狙って攻撃
とにかく最初は料理を食わせないように!
接近したらUC発動
可能なら重ねがけして行く
一、戦闘中に料理を食べない
二、戦闘中に料理を手に持たない
三、戦闘中に周囲をコンコンしない
それでも料理を口にしたそうなら
わざと料理を彼女の前に転がせる
私の手持ちの毒水を仕込んだやつをね【毒使い】
怒り心頭であろう彼女の攻撃は鎖で【武器受け】
【第六感】と【見切り】でいなす
受けきれない分は【オーラ防御】
箒星・仄々
心情
皆と頂くスイーツの美味しさが判らない
とはお可哀想に
オブリビオンさんのお心を
変えることは叶いませんが
せめて速やかに骸の海へ還して差し上げたいです
手段
Kリートを奏で歌い
未来へ進む者たちを称える歌で仲間を鼓舞・癒します
:歌唱&演奏&鼓舞&祈り&優しさ&勇気&手をつなぐ&UC
残像分身攻撃で
戦闘員達やドーナツが出て来る壁を
炎纏う魔法剣で貫きます
:迷彩&忍び足&残像&早業&先制攻撃&見切り&属性攻撃&串刺し
これでパワーup出来ない筈です♪
壁は開閉装置のみが一時的に過熱で動かない程度にします
事後
壁コン
ドーナツは皆で分けっこして食べましょう♪
キマイラさん達にも食べさせてあげたいですけれど…
※アドリブOK
モルツクルス・ゼーレヴェックス
「なんで、こんなことしたんすか?」
グラトニー姫が戦闘員を呼び出す度に
【広範囲】の【睡眠雲】を【高速】で放って眠らせ
「オブリビオンでも、こっそりと静かにドーナツ食ってるだけなら、退治しに来るほど自分達も暇じゃないんす」
自分はっすねえ、苦手なんすよ
こんな、無邪気な子供みたいなの相手に戦うなんて
だから【パフォーマンス】や【コミュ力】を発揮してコンコンとお説教してやるっす
……やるせない気持ちを込めて
「みんなと仲よく、ドーナツ食べて笑ってれば良かったんす」
おだてられたり、甘やかされたりで強くなるなら、逆もありそうだと思うっす
なくてもお説教っす
「……おバカ」
でも、キッチリ倒すっすよ
猟兵っすから
ハルベル・ロウ
……多対一なんて馬鹿か、自分の周りに戦闘員を配置しろよ。
最大限に娯楽を楽しんで、働くのは最小限が基本だろ。
【WIZ】
俺は変わらず後方指示だ。【狂信者達の影】で応戦。
ドーナツの出る壁とやらに影響が出ると恨まれる、毒の投げナイフは今回使わずに、雷撃だけで戦うよう死霊達には指示しとく。
死霊達はパワーアップされる前にグラトニー一人に絞って攻撃。戦闘力の無いグラトニー戦闘員は俺が【吸血】してやる。
……『最高のドーナツ』か。口直しに一つ、喰ってみてえかも。
※アドリブ等歓迎
扉が開いた。
最初に現れたのは、大きな翼を背から生やした姿。
モルツクルスである。
「なんで、こんなことしたんすか?」
「……ケキ?」
モルツクルスの一言目に、グラトニー姫は目をぱちぱちさせた。
「オブリビオンでも、こっそりと静かにドーナツ食ってるだけなら、退治しに来るほど自分達も暇じゃないんす」
彼は苦手なのだ。こんな、無邪気な子供のような存在を相手どり、戦うことが。
ゆえに、彼はやるせない気持ちを込め、懇々とお説教をする。
「みんなと仲良く、ドーナツ食べて笑ってれば良かったんす」
「みん……なと……ケキ?」
――続いたグラトニー姫の言葉は、モルツクルス自身、半ば予想できていたものだった。
「美味しい物を分け合ったら、自分の分が減って損するだけケキ! 何言ってるんだか全っ然分かんないケキ!」
グラトニー姫は片手を掲げる。どこからともなく召喚されたのは、グラトニー戦闘員達。
「……そうっすか」
説教が全く通じていないことを悟ったモルツクルスは、一瞬だけ目を伏せ、それから杖を戦闘員達に向けた。高速で放たれた『睡眠雲(アート・オブ・ザ・スリープクラウド)』が、戦闘員達を眠りに落とし込んでいく。
「く……ケキ!」
グラトニー姫は、自分を強化するためにドーナツを口にしようと、コンコンすべく壁に寄る。
「わ!!」
「……!?」
突然の、耳元での大声でのシャウトにグラトニー姫は怯んだ。
グラトニー姫がモルツクルスの説教を聞いている間に、死角から部屋に入り込み中に潜んだ志乃が、マイクで叫んだのだ。
くらくらしているグラトニー姫に、志乃は聖者のオーラをぶつける。
「ルール一、戦闘中に料理を食べない」
「ケキッ……!?」
志乃のユーベルコード、『女神の法律』……このルールを破れば、大きなダメージを受けるであろうことを、グラトニー姫は察した。
「……やってくれたケキなああぁ!!」
怒りに震えながら、グラトニー姫はフォークを志乃に幾度も突き出す。第六感と見切りを駆使し、避けていく志乃だが、その頬をフォークが掠めた。
「皆といただくスイーツの美味しさが分からないとは、お可哀想に」
ぽつりと零れた呟きは、モルツクルスの陰にいた仄々のもの。
彼はカッツェンリートを奏で、歌う。それは、未来へ進む者たちを称える歌だ。『シンフォニック・キュア』のその力は、たちまち志乃の頬の傷を綺麗に塞いだ。
志乃は仄々へ短く礼を言ってから、再度聖者のオーラをグラトニー姫に当てた。
「ルール二、戦闘中に料理を手に持たない」
「ケキィ……!!」
追加されたルールに、グラトニー姫は悔しげ。
さらに、仄々は炎を纏う剣で壁を突き刺した。過熱により、一時的に壁はコンコンできなくなる。
「なんてことするケキ!」
もう一度グラトニー姫は戦闘員を召喚。天井から、しゅたっと戦闘員達が着地した。
「……馬鹿か、自分の周りに働き蜂戦闘員を配置すりゃ良かっただろ。最大限に娯楽を楽しんで、働くのは最小限が基本だろ」
言ったのは、素早く吸血を終えたハルベルだ。彼の間近で、戦闘員の一人が、ばたりと倒れる。
「礼賛せよ」
『狂信者達の影(ファナティックシャドウ)』――人の形の、影の集団がハルベルによって呼び出された。
「ドーナツの出る壁とやらに影響が出ると恨まれるからな。猛毒の投げナイフは使うなよ、雷撃だけで戦え」
ハルベルの指示に、影達がゆらりと頷く。
それから影の集団は、空間に魔法陣を現出させる。そこから放たれた高圧の雷撃が、グラトニー姫を撃った。
「ケ、ケキイイィィ!!」
びりびりびりびり。
「……独り占めスイーツ、バンザーイ! ケキー!!」
ちゅどーん。
猟兵達の活躍によって、強化のできていなかったグラトニー姫。彼女は金平糖のような星形の光を散らして、戦闘員もろとも消滅した。
「……おバカ」
モルツクルスが小さく呟いた。
最期まで分からず屋だった、グラトニー姫に向けた言葉である。
コンコン、と仄々の手が壁を叩く。
ぽん、ぽん、と、『最高のドーナツ』が現れた。
「キマイラさん達や……他にも欲しい人がいるかもしれませんね。彼らの分も取っておいて、残りは皆で分けっこして食べましょう♪ 食べる方はいらっしゃいますか?」
仄々が問う。その視線を受け、モルツクルスは首を横に振った。
「自分はいいっす。楽しみだったっすけど、そんな気分じゃなくなっちゃったっす」
彼が去るのを見送り、仄々はさらに視線を巡らせた。
いつの間にか、志乃の姿もない。
だが……よく見れば、ハルベルが小さく手を挙げている。
「口直しだ。一つ寄越せ」
無愛想なハルベルの言い方にも仄々は動じず、歩み寄り、ドーナツを差し出した。
「どうぞ♪」
「……ああ」
ハルベルは、ひょいと摘まんでひと齧り。仄々もそれを口にする。
まず、さらりとした粉雪のようなパウダーシュガーが、舌の上で甘く溶け消える。
次なるは濃厚なハニーディップの層。蜜蜂達の黄金の宝物は、痺れるような幸福感をもたらす。
噛み締めれば、ふかふかの生地からは、小麦とミルク、卵の豊かな味わい。
「美味しいですね」
ぱく、ぱく、と仄々は食べ進める。
「……ふん」
ハルベルはぷいとそっぽを向く。
だが、その口元は、ごくわずかに笑っていたのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年02月04日
宿敵
『『フードファントム』グラトニー姫』
を撃破!
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