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クロックノック・エバーランド(作者 冬伽くーた
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#アリスラビリンス  #猟書家の侵攻  #猟書家  #機甲戦乙女ロスヴァイセ  #アリスナイト 


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●クロックロックを願っていた
 ずっとずっと憧れていた、「子どもだけの国」(ネバーランド)に。夢想を語る事が出来る優しい家族に。
 けれど、自分のひりつく体を労る手は何処にもなくて、屋根裏のベッド、粗末な毛布に包まって読む物語だけが幸福な時間だった。草臥れた表紙と想像だけが、ずっと自分の愛すべき隣人だったのに。
 嗚呼、なのに――竜巻に運ばれたわけでもないのに、どうして私は此処にいるんだろう。

「嗚呼、嗚呼、ペリエが…!」
「逃げて、!此処はもう安全じゃないんだ、早く立っ…」
 自分を労ってくれたペンギンの「友達」の心臓に穴が開いて。
 自分の手を引いてくれたウサギの「友達」は頭が吹き飛ばされた。

 いつの間にか連れて来られた異世界。その異様さに怯え、彷徨い、そして漸く得た安らぎの場所だった。気が付いたら隣に居てくれた異形のお友達は私を「アリス」と呼んだけれど、あの物語は好きではなかった。
 だから、名前で呼んで欲しいと嘘を吐いた。なりたいあの子の名前を騙ったのだ。

 これは、その罰なのか。不相応を望んだ罪なのか。理不尽に、唐突に降り注ぐ弾丸がまた1人、友達を屠っていく。
 お伽の国になぞ足を踏み入れる資格はない、お前には「現の国」(エバーランド)が似合いなのだと突き付けられた気がした。
 少女の見開かれた瞳から涙が零れる。その雫が地を叩くまでのほんの僅かな時間に……柔い体は悍ましき怪物へと成り果てる。迸る咆哮は、まるで泣き叫んでいる様だった。

●クロックノックを叶えたくて
「やあ皆、佳く来てくれたね。本来なら楽しい話で持て成したいところだけど…」

 眉根を下げて困った様に微笑むグリモア猟兵――ヴォルフガングと足を止めた猟兵達の前に振る舞われるのはクラシック・オペラ。グラン・マルニエの華やぐ香りは、けれど血腥い話の前に霞んでしまうかも知れない。

「最近、猟書家達の侵略が活発になっているのは皆も知っての通りだと思う。此度はその内のアリスラビリンスを侵略した者の駆逐を依頼したい」

 テーブルの遥か頭上、鏡を模したモニターに映し出されたのは銃を構える血の様に紅い装束を纏う娘と、ボブショートの髪を振り乱し、今にも怪物になろうとする少女の姿だ。アリスナイトと友達が暮らしていただろう、お伽噺から抜け出た様な幻想的な村は、その可憐で愛らしい佇まいとは裏腹に生々しい銃痕と住人達の屍で埋め尽くされていた。

「識別名『機甲戦乙女・ロスヴァイセ』…彼女の狙いは実にシンプルで合理的だ。想像力豊かなアリスナイトを殺害し、強力なオウガとして蘇らせ。そうして主が願う「超弩級の闘争」とやらの為の戦力確保を図ろうとしているようだね」

 見上げた忠誠心だ、と皮肉気に男は唇を釣り上げる。この場にはその主の姿はなく、あくまでロスヴァイセ単独での出撃の様だ。

 「皆にはアリスナイトを守りながら戦って貰う事になるが…ロスヴァイセの凶弾全てを撃ち落とす事は難しい。彼女は君達の排除より、アリスナイトの殺害を優先するだろう」
「なら、どうする?」
「アリスナイトは己の描く空想を力に変える者、ユーベルコードを使う様に呼び掛けて自分の身を護らせるべきだろう。…だが、彼女は自分の想像力を上手く制御出来ていない様だ。恐らく根深いトラウマ絡みでね」

 幸いにも今流れる予知を出力した映像は、変える事の出来る未来。猟兵達に現地に赴き、忌まわしき猟書家の襲撃前に彼女を奮い立たせて欲しいと男は告げる。

「…アリスナイトの少女に絡みつく過去、その全てを断ち切る事は難しいだろう。だが、君達が乗り越えて来た過去、目指す未来…君だけの、君と大切な人だけのものがたりを彼女が聞けば、きっと」

 ――変わるものがある、君達の歩んできた道にはそれだけの価値と、力があるのだ。
 止まった針を動かせ、未来は自分で作るしかないのだから。そう背中を押して欲しいのだ。

「…分かった、ところでそのアリスナイトの名前は?」
「「ウェンディ」だ、どうも偽名の様だがね」

 それは旧き良きものがたりの登場人物。
 家族に愛され、空を飛ぶ事すら叶った――多くの子どもの憧れを浚った、少女の名前。切り分けられたオペラからひらり舞った、金箔はまるで妖精の粉の様であった。


冬伽くーた
 ご無沙汰しております、冬伽くーたです。
 今回は1作目以来久し振りとなるアリスラビリンスよりお届け致します。己の想像力に振り回されるアリスナイトへの励ましと猟書家の撃破をお願い致します。

 1章『君だけの物語』
 アリスナイト「ウェンディ」に猟兵皆さんの想いを語って差し上げて下さい。恵まれない境遇にあった少女は皆さんの話一つ一つが新鮮であり、自身の想像力も駆使しながら熱心に耳を傾けてくれます(シナリオ構成上、強めのアドリブが入ります)
 然し、彼女には強いトラウマがあります為、話の内容次第ではユーベルコードの強度への影響があるかも知れません(詳細はこの後投下する断章を参照下さい)

 2章『機甲戦乙女ロスヴァイセ』
 ボス戦となります。「ウェンディ」は1章の展開次第で状況が変わりますが、いずれの場合も戦闘には不参加となります。

 少女の止まった時計を動かす物語、どうかお付き合い下さいませ。
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第1章 日常 『君だけのものがたり』

POW手に汗握るバトルものを語ろう
SPD爽やか青春物語をお披露目しよう
WIZ謎が渦巻くミステリーをお届けしよう
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ある少女の追憶
 最初は有触れた形だった。優しくて穏やかなパパに、可愛くて明るいママ。頼りになるお兄ちゃんとあたし。
 ママは料理は得意じゃなくて、でもお掃除が得意で魔法みたいに家中ぴかぴかにしてしまうの。いつだって優しくて温かな匂いがした、お兄ちゃんと一緒にぎゅってして貰うのが大好きだった。
 パパは全く逆で、だからママと気が合ったんだよって良く笑っていた。日曜日は近くの公園にピクニックに行って、皆でパパが作った特製のパンケーキを頬張るのが楽しみだった。
 お兄ちゃんはぶっきら棒で意地悪だけど、あたしが男の子にいじめられたら追い返してくれて。宿題も教えてくれたの。褒める時、あたしの頭をぐしゃぐしゃにするのやだって言っても全然止めてくれなかった。

 そんな優しくて温かな日々がずっと、ずっと続くと思っていたのに。

 パパは本当はママを愛してなんかいなかった。お兄ちゃんとあたしの事も愛していなかった。昔付き合っていた恋人が忘れられなくて、再会したらもう手放せなくて。一緒になるんだって出て行った。
 ママはショックを受けて、お酒に溺れた。あたしを大好きよと抱き締めてくれた手で、何度も何度もあたしを叩いた。
 お兄ちゃんはそんな家に嫌気が差して、部屋から出てこない。あたしが運んだご飯が気に喰わないと引っ繰り返してしまうの。

 大人は嘘吐き。
 大人は嘘憑き。
 大人は嘘尽き。

 なんにも、なんにも信じるに値しないの!!

 指切りも、公園で作ったシロツメクサの冠も、甘い甘いパンケーキも全部蛆虫にたかられてしまった!
 その時にあたしは知ったの、嘘を吐いたって悪魔はお仕置きしてくれない!カミサマは悪い子のあたしなんか愛してくれない!粗末な天井裏が綺麗なお部屋に変わったりなんてしない!

 だったら、全てゴミ箱に捨ててしまいましょう。そうして優しい鳥籠を作りましょう、嘘吐き大人は足でも落とさなきゃ入れない様な、小さな入口の、小さなあたしだけの王国を。
 人間はあたし以外に要らない。
 そうしたらきっとあたし、何時だって微笑んでいられる。おはなしの中の女の子の様に愛される存在になれるの。

 もう誰も、あたしを捨てたりなんかしないの。叩いたりなんてしないの。


●或いは秒針を摘み折った日
 ――斯くて少女は多くを捨てた。自分の未来すら、見捨てた。
 腐った食べ物を捨てるかの様に、躊躇いもなく逆さにしたのだ。
 そうしてなんにも知らない顔で笑う。けれど、本当は全て覚えているのだ。
 
 壊れた愛の痛みも、置いてきた家族も全て。全て。
 自分が作り上げた王国で、自分が作り上げたお友達に囲まれて。
 ぺかぺか輝くペパームーンを見上げ。少女は今日も独りぼっち、壊れた幸福を抱えて螺子の外れた笑みを浮かべるのだ。


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受付期間:11/22 8:31~

※今回は全採用は確約できません、申し訳ありません。又、受付終了は状況を見ながらお知らせさせて頂きます