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闇夜に香るその花は

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●「咲くは妖し、惡の華」
 夜に閉ざされた世界、いつ異端の神が人間を蹂躙しても可笑しくはない、気を抜くことは許されない死が日常を支配する。人間たちは一縷の希望を求め、一滴の癒しを求めていた。
「…花?」
 今日の食事を探し求め森を歩いていた男が見つけたのは、開けた場所に広がる花畑。男は久しぶり見た華やかな景色に見惚れ、花畑を奥へ奥へと歩みだす。
「…お兄さん。どこから来たの?ここは私、リーシャ・ヴァーミリオンの花畑よ?」
 花畑の中に一人の少女が座り込んでいた。手には鋏を持ち、数本の花を摘み取っていたようだ。白磁器のように白い肌。腰まで伸びた髪も絹の様になめらかで白く波を打ち、少女が動くたびにふわり、と優雅に揺れる。天使と見まがうほど美しい少女だった。ただ一点、少女の背中に黒い蝙蝠に似た翼が生えていなければ。
「ひっぃ!?ヴァ、ヴァンパイア!」
 男が腰を抜かし、花畑に尻餅をつく。
「あら、怖がらなくていいのよ?そういうのは飽きちゃったの」
 少女は男の反応に微笑みながら近づいていく。
(に、逃げ…ないと…)
 男は必死にもがくが、体が思うように力が入らない。意識がだんだんと遠くなる。
「ふふっ、ふふふっ」
 少女がいたずらっぽく笑う。少女を慕う番犬がいつの間にか彼女の周りに集っていた。番犬は男を咥え、背に乗せ運ぶ。少女と番犬は男を連れ花畑から姿を消した。

●「一筋の希望となれ!」
 グリモア猟兵キケ・トレグローサ(たった一人の流浪の楽団・f00665)はグリモアベース内を走り周り、猟兵たちを招集する。
「事件が起きたんだ。ダークセイヴァーの世界でね」
 険しいキケの表情と声に猟兵たちの間にも緊張が走る。
「ダークセイヴァーの世界に細々と暮らしている集落があるんだ。貧しいけれど、大きな利益も持たないから今まで事件に巻き込まれてこなかった集落だよ。けれど、最近になって近くの森の中に毒草の花畑ができた。不自然なくらい大きなね。原因はヴァンパイア、リーシャ・ヴァーミリオン。森の中に自然発生した小さな毒草の群生をここまで大きくしたみたい。集落の人たちはまだ花畑に気が付いてないみたいだけど、疲れ切った集落の人が花畑を見つけたら、興味を惹かれて迷いこんでいってしまう。そして毒草の毒で動けなくなったところをリーシャ・ヴァーミリオンが攫う」
 キケは予知した内容を伝える。ダークセイヴァーの世界の支配者、ヴァンパイアが相手と言うこともあり、猟兵たちの間にも緊張が走る。
「リーシャ・ヴァーミリオンの目的はわからないけど、放置しておけば集落の人口はどんどん少なくなっていく。そして、集落での生活が成り立たなくなって、やがて多くの人が苦しむ、リーシャ・ヴァーミリオンに攫われた人だけじゃく、集落の人全員が、ね。」
 一体の出現により成り立っていた生活が破壊される。まさに災厄のような存在がダークセイヴァーの支配者、ヴァンパイアだ。
「リーシャ・ヴァーミリオンがいるのは花畑の中心にある古城だよ。リーシャ・ヴァーミリオンはこの古城が中心になるように花畑を拡大したのかな。ともかく、何とかしてこの花畑を突破しないとけない。花畑にあるのは毒草、しかも空気中に毒素を飛ばすんだ。対策をせずに足を踏み入れたら毒素にやられて動けなくなってしまうよ。息を止めるのは有効的だけど、皮膚からも毒素が入り込むから長居はできないと思ったほうがいい。それに、リーシャ・ヴァーミリオンがやってくるかもしれない。毒が溢れかえる場所で戦ったりでもしたら、負けるのは僕らの方だからね」
 生身の身体を持つ猟兵たちは毒に対し何か対抗手段を考えなければならない、と言うことだ。毒を軽減する何かを持ち込まなければならないだろう。
「リーシャ・ヴァーミリオンは番犬を引き連れている。きっと城に着いたらリーシャ・ヴァーミリオンだけじゃなく、その番犬たちとも戦闘になるだろうから、花畑の突破に力を使い過ぎないように気を付けてね」
 毒草の花畑、番犬たち、そしてその先にヴァンパイア、リーシャ・ヴァーミリオンが待ち受ける。なかなか厳しい戦いになりそうだ。
「大変だと思う。だけど、闇に包まれた世界で希望となるのは僕ら猟兵しかいないんだ。みんな、必ず成し遂げよう」


Yggd
 こんにちは。Yggdです。ヴァンパイアのお姉さんが好みです。え?聞いてない?
 ダークセイヴァーが舞台のシナリオです。鮮やかな花を咲かせる毒草の花畑を突っ切り、ヴァンパイアを追い出し集落の危機を救いましょう。
 一章は花畑の強硬突破です。何らかの対策が必要ですね。技能だけだと心もとないですよ?無機物の身体の人たちも油断は禁物です。思わぬ落とし穴があるかもしれませんからね。また、キケ君の言っていた通り長居することはできません。火炎放射器で汚物は消毒したいかもしれませんが、そんなに長い時間滞在するとリーシャ・ヴァーミリオンと番犬に発見され、猟兵たちが各個撃破されてしまいます。
 二章、三章は花畑を抜けリーシャ・ヴァーミリオンのいる古城の中に入ります。古城の中なので環境に対する毒対策はいりません。(敵が毒攻撃をしないとは、言ってませんよ)
 それでは毒の花畑を抜け、ヴァンパイア、リーシャ・ヴァーミリオンの脅威から集落を救ってください。皆様の力のこもったプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『まどろみの花畑』

POW   :    息を止めて突っ切る

SPD   :    素早く走り抜ける

WIZ   :    対策を取って切り抜ける

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山理・多貫
【POW/アレンジアドリブ歓迎/他キャラとの絡み歓迎】

無表情のまま息を止め走り抜けます。


あまり肺活量には自信がありませんが・・・・・・まぁなんとかなるでしょう。
任務ですし・・・。

といった感じで常日頃、吸血欲に耐え忍んでいる自己の精神力を頼りに突破を目指します
(もしくは他のPC様助けてください)


番犬との戦いになった場合→

ペットに罪はありませんからね・・・・・・。
と時間ロス覚悟で犬を傷つけず気絶させる方法で戦います。



 常夜の世界ダークセイヴァー。その暗闇の中にぼうっと浮かび上がる古城と、その周囲をぐるりと囲うように敷かれた黄色の花の絨毯。幻想的な風景なのだが、古城の主はヴァンパイア、咲く花は強力な毒草だ。花の上の空気には毒素が舞い、常人ならば足を踏み入れただけで瞬く間に意識を奪われるだろう。
 その花畑へ駆け込むものがいた。山理・多貫(吸血猟兵・f02329)黒髪をなびかせ駆ける猟兵だ。彼女には大きすぎるくらいのぼろぼろのマントをなびかせて、黄色の花畑を一直線に駆ける。吸血鬼と人間のハーフ、ダンピールである彼女の高い身体能力から発揮される走力は風を巻き起こし、花弁が舞う。
(あまり肺活量には自信がありませんが・・・任務ですし・・・)
 彼女が古城へ侵入するために取った作戦はシンプルだった。息を止め、一気に駆け抜ける。
 毒素が白い肌や宝石のように赤い目を刺激し、わずかに痛い。だが、彼女は耐えひた走った。常日頃、吸血欲に耐え忍んでいる自己の精神力を頼りに突破を目指す。古城は目前だった。
「お客さんが来たみたいね…」
 静かに、『彼女』が玉座から腰を上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルセリア・ニベルーチェ
アドリブ歓迎ですの

ヴァンパイアさん、人々を城に出荷して
何してるんですかね、目的が凄く気になるわ!
毒は、ルセリアさんならきっと大丈夫、きっと?

集落の方々がまだ気づいていないとの事なので
コミュ力を使い村人さんに伝えておきましょう、そうしましょ
近くの花畑はヴァンパイアが作った毒草の罠で
危ないから近づかないように言っておきます
新たな犠牲者が出ないように

息を止めて突っ切りつつ
範囲攻撃・生命力吸収で周囲の花の生命力を吸収
食した生命力で【真祖の晩餐】を都度発動し毒への耐性を作る。



 一方で、予知で被害が予想された集落を訪れた猟兵もいた。ルセリア・ニベルーチェ(吸血鬼嬢は眠らない・f00532)は毒草の花畑の新たな被害者を出さないため、集落へ注意喚起へと向かったのだ。
「こんばんは、ルセリアさんは旅の者です。」
 ルセリアは愛想よく集落の若者へと話かけた。若者は、
「ああ、ようこそ。何もない所ですが…」
 と、答える。わずかに緊張した様子だが、話は聞いてくれそうだ。
「実は、お話しておきたいことが、この近くの森で毒草の花畑を見つけたのです、どうか近づかないように」
 若者はルセリアの話を信じた様子で、すぐに伝えて回ると言ってルセリアへ感謝を述べた。
 集落全体に話が通じたのを確認するとルセリアも花畑へと向かう。黄色の毒草が彼女を迎えるが、
「全てを喰らえ。貴方を拒む、何もかも。この身が壊れど終わらせよう───。『真祖の晩餐』!!」
 花畑の脇でユーベルコードを使用するルセリア。花畑から少し拝借した黄色の毒草を彼女は吸収する。毒をあえて取り込むことで、毒の耐性を身に着けようとしているのだ。だが、侵入してきた毒はルセリアの耐性ができるわずかな間も体を蝕んだ。
「けほっ…うぅ、ちょっと苦しいわね…でも、これで耐性は手に入ったはず」
 咳き込むルセリア。数秒耐えれば、ようやく耐性が全身に回ったのか多少楽になる。そうして対策を施したルセリアも、念のため、息を止め古城へと駆けて行った。
「なるほど、毒を自らの力に、へぇ…」
 『彼女』は古城のテラスに身を乗り出し、つぶやいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フランチェスカ・ヴァレンタイン
行動【SPD】

野外にあってなお拡散せずに地表付近に毒素が籠もるということは、その比重が空気よりも大きいと思われますので……上空域でしたらは毒素の影響も幾分少ないでしょうか?
耐毒は聖痕の自己再生力で凌ぎつつ、可能なら居住艦から持ち出した宇宙用の高気密マスクも持ち込みましょうか

翼を広げて羽撃きながらテールバインダーを噴かして高々度に跳び、花畑の上空をUCを応用した水平噴射と滑空で一気に突っ切りますわよー
何事もなければ地表に接するのは最低限で済むはずですけれど、と

もし同行する方がおられましたら、お一人程度でしたら装甲をパージすれば一緒に運べるかもしれませんが……さて?

※アドリブ・他の方との絡み歓迎



 古城のある花畑を上空から見下ろすものが一人、ポツリと言葉をこぼす。
「野外にあってなお拡散せず、地表付近に毒素が籠もるということは、その比重が空気よりも大きい……上空域でしたらは毒素の影響も幾分少ないでしょうか?」
 フランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)は立派な白い翼を持つキマイラだ。その翼をはばたかせ、また、背部に装備したブラスターを使って上空へ飛び上がる。念のためと持ち込んだ宇宙用の高気密マスクを装着し、空気中の毒素の対策を整えフランチェスカは水平方向へ滑空し古城へ接近する。
(地表付近への接近は、最低限に抑えられるはずですけれど…)
 古城へ向け一直線に飛翔するフランチェスカ。だが、何か悪寒を感じる。そう思って周囲を見渡しす。しかし、何もない。脅威となる物は発見できないのだ。薄気味悪さを感じながらも滑空は問題なく進み、彼女もまた、古城へと無事たどり着く。
「ふふふ」
 感じた薄気味悪さの正体はわからぬままに。
「翼と機械で空も飛ぶのね…本当に、面白い相手だわ」

成功 🔵​🔵​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。毒の花畑自体が一つの防壁になっているの、ね
まぁ、花畑で闘う事でもしない限り、問題は無いかな?

事前に防具を改造し毒に対する耐性を付与、
自身に存在感を薄くし、気配を遮断する呪詛を施す
さらに二つの小石に【常夜の鍵】を刻んでおく

…これで準備は完了
後は実際に通用するか試してみるだけ…

石の一つに魔力を溜めて強度を上げた後、
第六感で大体の城までの距離感を見切り、怪力任せに城付近に向けて投擲する
後は【常夜の鍵】で石から石へ転移し、同じことを繰り返す

体に毒が回る等の危険を感じたら、無理せず【常夜の鍵】の中で休息
苦戦している猟兵がいれば同様に【常夜の鍵】に収納する

…さて。犠牲者が出る前に全部終わらせないと…



 長い銀髪を波打たせた猟兵、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は花畑の周囲を回り注意深く観察し、侵入経路を探す。ヴァンパイアを狩ることに心血を注ぐ彼女がこの事件に興味を示したのは当然のことだったのだろう。
「…ん。毒の花畑自体が一つの防壁になっているの、ね」
 花畑を一周し、古城が完全に花畑で囲まれていることを確認するリーヴァルディ。だが彼女はもう一つ感じたことがあった。
「・・・花畑の幅が均一じゃない、わね」
 古城から森の間に広がる花畑、だがその幅は場所によって異なっていたのだ。ある程度の幅は存在し容易に古城に接近できないのは確かだが、箇所によっては二倍近い幅の差があるのだ。
「防壁としての役割の他に、何か目的が?それとも、そもそも防壁は副次的な効果?」
 思考の海に沈むリーヴァルディだが、情報が少ないと結論を出すことを断念し、まずは古城に近づくことにする。
「この程度の幅の花畑なら一回で行けるかしら?」
 リーヴァルディはできるだけ幅の狭い場所を選び、手にした石を力の限り投げる。石には彼女の血で書かれた魔方陣が描かれていた。半吸血鬼の種族ダンピールである彼女の腕力は常人のそれを上回り、小石は花畑を飛び越えて古城の壁に当たり落下する。そのあたりにはもう、毒草の花はなかった。
「上手くいったわね」
 小石の魔方陣が反応しリーヴァルディが古城のすぐそばへ現れる。彼女の手には落ちてる小石と同様魔方陣が描かれた小石が握られている。ユーベルコード『常夜の鍵』。魔方陣を通じて移動することができる彼女の力だ。
「ふふっ。面白い方法ね…」
 『彼女』の笑い声はリーヴァルディの耳には届かなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

祝聖嬢・ティファーナ
毒の花畑の範囲に近付いた事を風の精霊や生命の精霊が教えてくれたら、風の精霊にお願いして「毒の空気は入れないでね♪」とお願いして、猟兵で毒に掛かってしまった方には『シンフォニック・キュア』で癒します⭐
あとは怪しい気配や敵意を空気で感じたら『クリスタライズ』で姿を消します♪ 同時に猟兵にも「何か怪しいから気を付けてね⭐」と伝えます♪

毒の花畑が魔力や悪意で咲いているのなら「ごめんね…キミたちが悪い訳じゃないのにね…」と謝ってから『シンフォニック・キュア』で毒気や毒の元を綺麗にします⭐
疲れたり疲れた方が居たら“こんぺいとう”で甘い物を差し上げます⭐



 先行した猟兵たちの後を追うように常夜の森を長い癖のある金髪を揺らし、一匹のフェアリーが飛んでゆく。
「なになに?ここから空気に毒が含まれてるから、気を付けて?わかった☆」
 祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)は精霊と意志を通わせる精霊術士だ。今も風の精霊と話、空気中の毒の存在を教えてもらう。
「ボクの周りに、空気の層を作ってくれないかな。あ、毒の空気は入れないでね♪」
 風の精霊へ協力を取り付けるティファーナ、彼女の周囲にわずかな空気の層が発生する。準備を終えたティファーナは黄色い花畑へと侵入する。
「うっ…空気の層があっても…ちょっと厳しい…かも…」
 しばらく花畑の上を飛んで顔をしかめるティファーナ、風の精霊の生み出す空気の層を以っても毒花の毒素は侵入し、彼女を蝕む。
「それに…この花たち、魔法とか、悪意とかで咲いてるわけじゃ…ない、みたい…」
 ティファーナへ毒を放つ黄色い毒草、初めヴァンパイアの力で無理に毒を発しているのだと考えていたティファーナの考えは外れる。この毒草はダークセイヴァーの厳しい環境に適応し、進化した天然の毒草だった。
「うっ…でも、何とか!」
 それでもティファーナは懸命に飛び、毒草の花畑を飛びきったのだ。
「運がいいのね…楽しみだわ」
 古城のテラスからその様子を見ていた『彼女』は笑った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アーレイラ・モンクスフード
人数足りてそうですね。
空きがあれば一仕事してきますよ。

「綺麗な花畑ですね、荒らすのが少し申し訳ないです。」

これから荒らします宣言して、ゴーグル付けてマフラーで口元覆い。

「余所の世界で聞いたのですが『えくすとりーむうぃんたーすぽーつ』なるものがあって楽しそうだなと」

足にボードを付けて
ユーベルコード発動

『水』属性の『雪崩れ』を起こしボードに乗って花畑を抜けます。

水の下の花畑とか滅多に見られないものですよね。

距離を稼いだら、ボードを外し飛び降り、残りの距離をダッシュして駆け抜けます。

贅沢なモノを見せて貰いました。

マフラーや動きを阻害するモノ脱ぎ捨てて、目的地に向かいましょう。



 一面黄色の絨毯が埋め尽くす花畑を、少し見惚れるような視線で眺める女性がいた。見事な漆黒の黒髪に、魅惑的な紫の瞳の持ち主だ。
「綺麗な花畑ですね、荒らすのが少し申し訳ないです」
 静かな口調で放たれるのは、これからこの花畑を荒らす、と言う宣言ともとれる言葉。言い放ったのはアーレイラ・モンクスフード(真昼の白夜・f02061)。彼女が身に着けているのはゴーグルにマフラー、さらには足元にはスノーボードまで用意してある。雪なんてないこの場所で彼女は一体何をしようと言うのか。ボードを足に付け、彼女は自身のユーベルコードを発動させる。
 地鳴りのような振動が起きる、そして発生するのは、雪崩。水属性の力で自然現象に干渉して、ありえない雪崩を発生させたのだ。そしてその上をボードで滑り降りてゆくアーレイラ。
「余所の世界で聞いたのですが『えくすとりーむうぃんたーすぽーつ』なるものがあって楽しそうだな、と。思っていたのですよ」
 滑りながら一人、楽しむアーレイラ。毒草は雪崩の冷気に生命力を失い。また、高速で駆け抜けるアーレイラは毒素を吸った量が最低限で済む。速度の乗った彼女が滑り終わるころには、古城は目の前だった。
「あっはっはっは!まさか雪崩、とはね!予想もしてなかったわ!」
 テラスにいる『彼女』は、本当に面白いものをみた、と手を叩きひとしきり笑うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルクレイフェ・アニェージ
【SSFM】
なるほど、長居は無用
だったら一瞬で突破するしかないわね。
あなたはどう?行けるかしらノエル。
私達の魔法でこの状況を打破して見せましょうか。

五指に魔力を宿し、リヨンラッゼを起動させる。
親指の【強壮】、薬指の【肉体】、小指の【顕現】を混ぜ合わせて
ユーベルコード【サモン・オルファ】を発動。
「おいでオルファ、あなたの力を貸して頂戴」
オルファの背に乗って、毒の領域圏外から
上空に登った後、目的地の古城に向かって突撃するわ。


ノエル・クリスタリア
【S.S.F.M】
毒のあるお花畑……こんなにも綺麗な花なのに、愛でるコトが出来なくて残念ね。

スペースシップワールドから出てきて以来、久しく使っていなかったのだけれど今日はこの子に活躍して貰おうかしら。
【SPD】ゴッドスピードライドで一気に突っ込むわ!
着いてきて、ルクレイフェ(f01367)!!



「ああ、もう。本当に面白い人たち…ガマンができないわ!」
 古城のテラスで猟兵たちの様子を観察していた『彼女』はついに、その翼を広げる。
「そうしたらお迎えに行かなくっちゃね!」

 森を抜け、花畑を見つめる少女が二人、一方は宝石の身体を持ち、一方は身なりの正しい人間の少女だ。宝石の身体を持つ方の少女、ノエル・クリスタリア(夢色輝石・f09237)が屈みこんで花畑を不満そうに見つめる。
「毒のあるお花畑……こんなにも綺麗な花なのに、愛でるコトが出来なくて残念ね。」
 不満そうにするノエルに苦笑しながら立たせるのは隣の少女ルクレイフェ・B・アニェージ(キメラレイド・f01367)。
「そうね、でも長居は無用よ。一瞬で突破するしかないわ。あなたはどう、ノエル。行けるかしら?」
 ルクレイフェに問いかけられ立ち上がるノエル。彼女のわきには宇宙バイクが留めてあった。
「行けるわ!スペースシップワールドから出てきて以来、久しく使っていなかったのだけれど、この子に活躍して貰うわ。着いてきて、ルクレイフェ!!」
 はらりとバイクに飛び乗りエンジンを噴かすノエル。隣でルクレイフェも自身の魔力を練り高める。
「おいでオルファ、大空を翔るあなたの力を私に貸してくれるかしら」
 ルクレイフェの呼びかけに答え、彼女の背の2倍ほどもある巨大な大鷲が召喚される。
「一気に突っ込むわ!」
 アクセルを踏み込み加速するノエルと、その頭上を大鷲に騎乗し追うルクレイフェ。その姿は『彼女』の興奮を爆発させるのに十分すぎた。
「今度は機械の獣、それに大鷲!本当に飽きさせないわね!気に入ったわ!」
 花畑に響く可憐な声。警戒を強めた二人へ一直線、古城から飛び込む影がいた。
「きゃぁあ!」
 ノエルへ一直線、高速で飛び込んできた『それ』は宇宙バイクを蹴り飛ばし、ノエルを中空へ吹き飛ばす。
「ノエル!っ!?なにが・・・!オルファ!?」
 ルクレイフェがノエルへ注意を逸らした僅かな時間にオルファは『それ』の攻撃を受け飛翔できなくなる。バランスを崩したルクレイフェも空中へ抛りだされる。
「警戒しないで、私はあなたたちを迎えに来たのよ?」
 オルファを墜とした『それ』は空中のノエルとルクレイフェをつかむと花畑を飛翔し古城へと二人を運び降ろす。他の猟兵たちも集ったなか、『それ』は古城の扉をあけ放ち、猟兵たちを振り返る。
「自己紹介をするわね、私の名前はリーシャ・ヴァーミリオン。この古城の主よ。」
 『それは』白い髪を揺らし、真っ赤な瞳を細めて微笑んだ。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『オルトロス』

POW   :    くらいつく
自身の身体部位ひとつを【もうひとつ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    ほえる
【悲痛な咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    なかまをよぶ
自身が戦闘で瀕死になると【影の中から万全な状態の同一個体】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの前へ姿を荒らしたのはヴァンパイア、『リーシャ・ヴァーミリオン』。事件の発端となった人物だ。
「今日は遊びに来てくれてありがとう。それに、あなたたちとても面白いから、私、気に入ったのよ?あなたたちのこと。」
 赤いドレス揺らし、無垢な少女がおもちゃを与えられたような、弾む口調で話すリーシャ・ヴァーミリオン。だが、その思考はあまりに危険だった。
「だから、私を楽しませて?久しぶりなの。こんなにドキドキするのは。さぁ、私に見せて頂戴。真っ赤な血をまき散らして死ぬ、その最後まで、あなたたちの力を、全部!!」
 リーシャ・ヴァーミリオンが指を鳴らすと彼女の番犬、オルトロスが姿を現す。古城の中から、そして、花畑の中からも。突然のリーシャ・ヴァーミリオンの登場によって不意を突かれた猟兵たちは古城の玄関ホールで番犬たちに包囲されてしまう。
「さ、歓迎するわ。私の城へようこそ」
 二階へと上がったリーシャ・ヴァーミリオンは本当に楽しそうに、その様子を見物し、笑うのだった。番犬が牙を剥いた。
山理・多貫
【アレンジアドリブ歓迎/他のPCとの絡み大歓迎/】

リーシャ・ヴァーミリオン……。美味しそうな人、ね。

対象物を目視し俄然やる気を出し古城の中へ。
現れるオルトロスを前にげんなりため息。

貴方達は……食べれないのだけれど。
鉄砲ばーん。

【オルトロス戦】

メイン武器の「ヤタガラスの妖銃」と太ももに装着してある3つのダガーナイフによって戦います。
ユーベルコードは不使用。
事務的に。効率的に。たんたんと敵を倒していきます。


アーレイラ・モンクスフード
「それほど面白い芸も持っているわけではないのですが。」
この状況では戦闘の選択肢のみでしょうし
「手懐けて芸を仕込むような能力も無いですし、ね」

ユーベルコード発動
星霊を召喚し、自身の上に展開し、敵攻撃半径からの距離を稼ぎます。

1、2体ずつ囲む犬たちに弾丸のように突撃させます。

近接されて範囲攻撃させないよう、近付いてきた相手に優先して数を増やし、銃形態にした武器での射撃も叩き込みます。

敵が範囲攻撃を放ったらその隙に多数を殺到させ潰します。

乱戦になるようなら、敵が密集している所に向かわせ、損耗の対価に同士討ちを強います。

「如何でしょうか?些末ながら星々の輝きをご覧頂けたでしょうか?」


リーヴァルディ・カーライル
…ん。視線を感じていたけど、貴女だったの
そんなに見たいのなら見せてあげる。私の全力を…
ただし、お前の命と引き換えだけど、ね?

事前に防具を改造
第六感を強化し精霊の存在感を感知する呪詛を付与
精霊使いの礼儀作法に則って彼らを鼓舞し協力を得る

…折角舞台が整っているのだから、毒の精霊
貴方達の力を貸して。過去を骸の海に還す為に…

敵の行動を見切りながら【限定解放・血の教義】を二重発動(2回攻撃)
吸血鬼化した生命力を吸収させて精霊を誘惑し魔力を溜め、
周囲の毒素を“『過去』を世界の外に排出する毒”に変換
オブリビオンの体のみ傷口を抉るように消滅させる“毒の花嵐”でなぎ払う

…抵抗は無意味。世界の理からは逃げられない


フランチェスカ・ヴァレンタイン
ああ、あの悪寒はコレでしたか……
ともあれ、居城に乗り込む以上はこの程度でしたら想定内でしてよ――!

包囲されているのでしたら好都合です。玄関ホールは吹き抜けのようですから、翼を打って天井近くまで跳びましょう。UCで砲撃の雨をプレゼント致しますわね?
生き残りの個体もスラスター噴射と共に天井を蹴って急降下、床面を這うような機動で斧槍を揮って間引いていきましょうか

くらいつくに対しては口にカウンターで砲口を突き入れれば零距離射撃で頭ごと吹き飛ばせますかしら…?

戦場全体を俯瞰できる強みを活かして適宜他の方への援護射撃も行ないつつ、ヴァンパイアの動向にも注意を払っておきましょう

※アドリブ・他の方との絡み歓迎


フォルク・リア
「文字通り高みの見物と言うやつか。
こいつらを躱して二階に行くのも難しく。
此処から狙ってもまともには当たらないだろう。」
「まあ、逃げる様なあいてじゃない。
早々に倒して、主にお出まし願おうか。」

ウィザード・ミサイルを限界数の半分程度
地を這う様に放ち、敵の足を潰す事を狙う。
空中に逃げたら残りのミサイルで
空中の一体を集中的に攻撃。
なかまをよぶ暇を与えず仕留める。

接近戦は避けるが、
近づかれたら中途半端な距離は避け
ほえるを使われた際は敵を多く巻き込む事を心掛け。
反撃にほぼ零距離で周辺に放ち
爆風を利用して跳躍、衝撃を逃がす。
上部にシャンデリア等あれば其処につかまり
(次はお前の番だ)と思いを込めて吸血鬼を一瞥


祝聖嬢・ティファーナ
まず最初から『クリスタライズ』で姿を隠して、風の精霊に「お願い、ボクを毒の花から守って!」と言って火と氷と聖の精霊に「みんな!闇の住人の獣をやっつけて!☆」とお願いして『エレメンタル・ファンタジア』で竜巻や吹雪と『エレメンタル・ピクシィーズ』精霊たちに攻撃をお願いします♪
猟兵と自分に『生まれながらの光』で怪我を治したり『シンフォニック・キュア』で状態異常を回復して行きます☆

ティファーナ自身は“オーラ防御”で防ぎます♪
猟兵には“鼓舞”と“勇気”を送ります☆


紬雁・紅葉
ティファ―ナと行動
彼女への危害はかばって受ける

あらあら?獣…いえ、物の怪かしら?
ならば是非も無し。御鎮めします

【雷の魔力】を攻撃力に付与
破魔+雷属性の衝撃波で範囲を薙ぎ払い回数で圧し攻める
敵の攻撃は武器受けからの衝撃波カウンターで吹き飛ばす

闇に鳴く鳴くいびつな獣
陰に泣く泣く無辜の民
明かり灯すか夜明けを呼ぶか
影を祓っていざ参る

多数との押し合いの中で
いくら傷を負っても笑みは崩れない

一通り駆逐が終わったら軽く居住まいを正し
愛玩動物との戯れ合いはもう結構
家主のおもてなしを拝見しましょう

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※


ルセリア・ニベルーチェ
アドリブ歓迎ですの

気に入られました、照れますねぇ~
案外友好的な娘じゃないかすか!
え、真っ赤な血を……え?あっ…幻想よサラバ。

初手【吸血鬼嬢は眠らない】で真の姿と共に吸血鬼に覚醒
透過の能力で敵の攻撃や能力、地形さえもすり抜けながら
二階で楽しそうに見物してるリーシャさんと
OHANASHI(コミュ力)でもしに行こうかしら。
花畑で出会った男と何してたのか気になって仕方がないのです。

下で戦う仲間を範囲攻撃・生命力吸収の
敵の生命力を奪う遠隔攻撃で援護し、削れる寿命のストックを補充
攻撃されるのであれば、相手が諦めるまで透過の能力ですり抜ける

後で血を互いにまき散らす楽しい遊びしてあげるからユルシテ、ユルシテ。



 番犬の一匹が猟兵へと飛びかかる。標的は多貫。鋭い牙をむき出しにしてその白い肌へ食らいつこうとする。一方の多貫は番犬に対してさほど興味を抱かない。表情を変えることなく、自ら太ももへ触れ、得物を抜き放ち大口を開けた番犬へと叩き込む。多貫が翻したポイズンダガーは番犬の顔面へと突き刺さる。ダガーを持つ手をひねり、番犬を地に倒す。多貫は空いた手でヤタガラスの妖銃を握り、銃口を向け
「ばーん」
 引き金を引き、番犬の頭部へと弾丸を打ち込んだ。

 多貫が初めの一匹を倒したことで、番犬たちは猟兵を強敵だと判断する。番犬は一度統率を取り、猟兵たちをぐるりと取り囲むと、隙間を埋め、一斉突撃の体制を取り始める。実力の差を、数で埋め合わせようとするようだ。距離を置く獣、猟兵たちは各々迎撃準備を始める。
「あら、せっかくならちゃんと準備してもらった方がいいわよね?オルトロス、待て」
 リーシャ・ヴァーミリオンが番犬へと指示を飛ばし攻撃を中止させる。
「余裕そうだな。文字通り高みの見物と言うやつか」
 目深にフードを被ったフォルク・リア(黄泉への導・f05375)が、二階から見下ろすリーシャ・ヴァーミリオンを見上げぼそりと呟く。
「が、そういうことをする奴は逃げる様なあいてじゃない。番犬どもを早々に倒して、主にご登場願おうか」
 フォルクは視線をリーシャ・ヴァーミリオンから離し、自身の攻撃へと集中する一方、リーシャ・ヴァーミリオンへ言葉を発するものがいた。
「…ん。視線を感じていたけど・・・あなただったのね」
 リーヴァルディがリーシャ・ヴァーミリオンへ言葉をかければ、かのヴァンパイアはにんまりと笑みを返す。
「そんなに悠長にしてていいの?私の采配一つでオルトロスたちはあなたたちを攻撃するわけだけど」
「この程度でしたら想定内でしてよ!」
 言葉を継ぐのはフランチェスカ。そして、彼女は翼を打ち背後のブラスターを吹かして空中へ舞い上がる。リーヴァルディもまた、自らの感覚を研ぎ澄ませ、周囲を探る。視線の先にいるのはティファーナ。彼女は何かと話をしている様子。
「風の精霊さんは、さっきみたいにボクを毒から守って!火と氷と聖の精霊さんは、闇の住人の獣をやっつけて!☆」
 精霊術師のティファーナは付近にいた精霊に指示を飛ばし、番犬たちをやり過ごす様子。リーヴァルディは彼女の力に目をつける
「ティファーナ、近くに毒の精霊のようなものはいるか?」
「ど、毒?う、うん!花畑の方から来てるみたい」
 しめた、とリーヴァルディは笑う。彼女は感覚のすべてを毒の精霊へと向け、果たしてその気配を見つける。目視はできないが場所が判明すればそれでよい。
「貴方達の力を貸して。過去を骸の海に還す為に…」
 精霊使いの礼儀作法に則り、毒の精霊へと語りかけるリーヴァルディ。
「なんだかよくわからないけど…毒の精霊さんの力が必要なのね?みんな、協力してくれない?☆」
 ティファーナも説得に参加し、毒の精霊の気配がリーヴァルディの付近へと移動する。
「毒、ね?一体何をするつもりなのかしら?」
 リーシャ・ヴァーミリオンはそのやり取りを聞きながらも邪魔することなく傍観に徹する。
「そんなに見たいのなら見せてあげる。私の全力を…ただし、お前の命と引き換えだけど、ね?」
「ふふっ、楽しみね」
 リーシャ・ヴァーミリオンとリーヴァルディの笑みが交差する。
「ティファーナ!私の後ろへ!」
 ティファーナが接近戦を得意としない事を理解している紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)がティファーナを守るように位置取る。巫女装束の姿の通り戦巫女として邪を祓ってきた彼女は番犬と相対し、
「獣…いえ、物の怪かしら?ならば是非も無し。御鎮めします」
 と、気合をいれ薙刀を構え、自身の魔力を収束させる。
「弐の式…来たれ」
 わずかな詠唱とともに雷を纏う。
「それほど面白い芸も持っているわけではないのですが」
 構えを取る猟兵たちを横目にアーレイラがぼやく。
「何を言ってるの?あなた、とっても面白かったわよ?」
 リーシャ・ヴァーミリオンが二階からアーレイラへと期待の視線を向ける。アーレイラの花畑の突破方法がリーシャ・ヴァーミリオンの『ツボ』を刺激したらしい。
「・・・では、些末ながら星々の輝きをご覧頂きましょうか」
 アーレイラは一瞬、返答を迷いそう答えた。
「巡り廻る星の子ら、数多にして独りなる者よ、その一握を我が前へ」
 アーレイラの呼びかけに応えた星界精霊たちが彼女の頭上へと集結する。
「へぇ、綺麗なものね?それで最後はあなたみたいだけど…あなたは何かしなくていいのかしら?」
 リーシャ・ヴァーミリオンの視線は、最初に番犬を打ち倒した多貫へと向けられる。
「・・・あなたはおいしそうな人だけど、番犬は…食べれないから」
 と、不満そうに答える多貫。
「そう、じゃぁいいのね?」
 リーシャ・ヴァーミリオンが、ぱん!と手をたたく。それを合図にして番犬たちはいっせいに猟兵たちへと突撃を開始した。

 突撃のタイミングに合わせ猟兵たちも自身のユーベルコードを発動させていく。最初に動くのはフォルク。練った魔力を炎の矢とし、地面を這うようにして放つ!
「あなたたち!突撃なさい!」
 続くアーレイラの号令で星界精霊も番犬へ向け弾丸の如く飛翔する。
「全動力炉、出力上限カット。全兵装・全能力の超過駆動、開始―― さあ、おいでませ? お誘い、謹んでお受け致しますわ…っ!」
 上空へと飛び上がっていたフランチェスカが接近する番犬の群れへ五月雨式の砲撃を浴びせ
「……限定解放。テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……!」
 毒の精霊と連携したリーヴァルディが自らを吸血鬼化し、その生命力を精霊に吸収させ生み出した『過去を世界の外に排出する毒』をまき散らす。
 猟兵たちが同時に放ったユーベルコードの波に、正面から突撃する番犬たち。先頭を駆けていた番犬は炎に焼かれ、星界精霊や砲撃によって体を失い、あるいは毒によって急速に弱って行く。
「闇に鳴く鳴くいびつな獣 陰に泣く泣く無辜の民 明かり灯すか夜明けを呼ぶか 影を祓っていざ参る」
 攻撃の嵐を掻い潜って接近してきた番犬へ、紅葉が薙刀を振るう。雷を帯びた薙刀の閃きによって番犬たちは焦がされながら後方へ吹き飛ばされる。もし、彼女の薙刀の餌食にならなかったとしても、
「歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪ 歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪ 素ノ源ヨリ来タレリ…」
 歌うティファーナに鼓舞された精霊たちが放つ魔法の矢に貫かれるか
「・・・っ!」
 無言の気合を放ちながら淡々とダガーを振るい、ヤタガラスの妖銃の引き金を引く多貫に、作業的に地面に叩きつけられるかのどちらかだった。

 番犬たちが不利だというのにリーシャ・ヴァーミリオンは一向に表情を変えず、終始ニコニコと楽しそうな笑顔のままだ。
「頑張ってるわね。あの鬼の聖職者は期待ができるわ。あんなに笑顔で・・・でも、あのぼろぼろマント、まだ隠してるものがありそう。ちょっと残念だけど・・・楽しみってことにしましょうか」
 猟兵たちの行動を観察し、ユーベルコードが決まるたびに歓声を上げそうなほど喜々とするリーシャ・ヴァーミリオン。
「ああ、面白い。ところで、あなたはなぜ戦わないのかしら?仲間じゃなかったの?」
「やっぱり気が付いてたのね?」
 リーシャ・ヴァーミリオンの背後に立つのはルセリア。番犬が包囲する中を彼女はユーベルコード『吸血鬼嬢は眠らない(シナズノキミ)』で透過してリーシャ・ヴァーミリオンのいる二階へと昇ってきたのだ。
「援護ならしてるわ。私の能力は有効範囲が広いのよ。今もあなたの番犬から生命力を吸収してるわ。それよりも気になって仕方がないの。集落の人たちを攫って、何をしていたの?」
 ルセリアは集落のことを常に気にかけてきていた。事件の予知では集落の人が攫われていることがわかっていた。もしかすると、予知の内容がすでに現実に起きているかもしれない。そう考えたルセリアは、直接リーシャ・ヴァーミリオンに事の真相を問いただしに来たのだ。
「攫った人間?安心しなさい。無事よ?オルクス!みんなを連れてきなさい!」
 リーシャ・ヴァーミリオンが二階の通路に向かい大声で何者かを呼びつける。数十秒のあと通路から姿を現したのは人間たちだ。中には予知された男性もいる。彼らを見る限り傷一つなく、手錠など拘束されている様子もない。
「・・・一体何が目的なの?」
 攫われたはずの人たちがヴァンパイアの目の前で無事に古城の中に生存している。あまりにもちぐはぐな状況に、ルセリアは思わず疑問を口に出していた。
「目的なんてないわ。ただの暇つぶし、人間たちの反応にも飽きちゃったから花でも育てようかなって。やってみたら思ったよりも気に入って、気が付いたら大きなお花畑ができてたの。そしたら人間たちが寄ってきたから、召使にでもして城の掃除とか雑用をやらせてた。ただそれだけよ」
 あっけらかんと言ってのけるリーシャ・ヴァーミリオン。彼女は二階の手すりにしがみつき階下の戦闘に見入っている。人間たちのことはもう、眼中になく、彼女の言葉も真実のように感じられた。
「それより、あの人たち。これから耐えられるかしら?」
 くすり、と嫌な笑みを浮かべるリーシャ・ヴァーミリオン。ルセリアが嫌な予感を覚え階下を見た時に、その一撃は放たれた。

 少し時をさかのぼる。リーシャ・ヴァーミリオンとルセリアが会話を始めた時と同じ頃だ。猟兵たちの攻撃によって番犬たちのほとんどは傷つき、瀕死へと追い込まれていた。
「…抵抗は無意味。世界の理からは逃げられない」
 弱り切った番犬を見下し、リーヴァルディが呟きをこぼす。
「全くです。さて、愛玩動物との戯れ合いはもう結構。家主のおもてなしを拝見しましょう」
 紅葉が薙刀を肩に立てかけため息交じりに応えた。猟兵たちの足元に横たわる番犬たちは小さな消え入りそうな声で
「クゥーン、クゥーン…」
 と、鳴き続ける。
「・・・まってください…何か…この子たち…数が最初よりも多くないですか?」
 アーレイラが地面に倒れ鳴き続ける番犬を観察し、違和感を感じる。指摘され猟兵はもう一度、番犬たちに目を向ける。どの番犬も傷つき、瀕死であり、地面に倒れているが、確かに若干数が増えているように感じる。その番犬たちが倒れたまま。
「クゥーン、クゥーン、クゥーン、クゥーン・・・」
「クゥーン、クゥーン、クゥーン、クゥーン・・・」
 いつまでたっても止むことのない、番犬の小さな鳴き声は、寂しく、瀕死で苦しんでいることを必死に伝えているようにも聞こえる。
「・・・不味い!みんな散れ!」
 フォルクが叫び、自らの足元へ放った爆発魔法の反動を利用し跳躍するのと、倒れる番犬の陰から新たな番犬が飛び出すのはほぼ同時だった。
「・・・何度来ても同じこと…」
 多貫が湧き出た一体を妖銃で打ち抜くがその間にも番犬は二匹は湧き出し、猟兵へ一直線に駆ける。
「数が多い上に接近しすぎてますわ!皆さん、回避を!」
 フランチェスカが斧槍を振るい、番犬を薙ぎ払うがそれでも番犬はひるまずに突っ込んでくる。そして、番犬たちは猟兵たちに接近し同時に『吠えた』。古城を揺るがすほどの衝撃が、玄関ホールにいた猟兵たちを襲った。

「この衝撃、一体何なの!?」
 二階に居たルセリアが目撃したのは、まさに番犬たちが吠えた瞬間だった。いまや一階のホールは土煙に覆われ視認することができない。
「オルトロスは悲哀の獣。自身の苦痛すら新たなオルトロスを生み、その吠え声には悲痛が刻まれ、近づくのものを破壊する衝撃となる…なんて迷信もあるけど。実際、何故オルトロスの吠え声が衝撃を起こすのかは、わからないわ」
 リーシャ・ヴァーミリオンは土煙に覆われた一回を見てため息をこぼす。わずかに頬は赤く、興奮しているのかもしれない。
「オルトロスが密集して一度に吠えたら、あとは、目の前を見ればわかるわよね?大変だったのよ?自爆覚悟で攻撃を行えるように芸を仕込むのは」
 リーシャ・ヴァーミリオンは笑う。自らの手間暇がここで成就したことに、番犬たちが最後に放った自滅の技に、彼女は笑うのだ。
「無事に生き残れたのは、二階にいたあなたと・・・そこにぶら下がってるあなただけみたいね」
 リーシャ・ヴァーミリオンが視線を向けた先には、古城の天井に釣り下がった朽ちたシャンデリアにしがみつき、揺れている人影があった。フォルクだ。彼は自身の放った爆発魔法の勢いのまま飛び上がり、シャンデリアに飛び移ることでオルトロスたちの攻撃から逃れたのだ。
「くっ・・・」
 フォルクはシャンデリアをつかんで揺れながらリーシャ・ヴァーミリオンをにらむ。
「怖いわ、お兄さん。味方の敵討ちでも考えているのかしら?」
 フォルクの視線を受け、わざとらしく怖がって見せるリーシャ・ヴァーミリオン。そんなやり取りをしている間にも一階ホールの土煙が収まり始め
「詠唱… 祝詞… 聖歌… 祈りに旋律の生命を!みんな!やられちゃだめ!!」
 なんと、優しい歌声が響き、温もりのある光が、土煙の向こうから発せられているではないか。
「ティファーナ…ありがとう。助かったよ」
 歌の主はティファーナ。聖者として生まれながら癒しの力をもち、周囲の人間を救う光を放ちながらティファーナは癒しの詩を歌う。
「ううん!紅葉が私をかばってくれたから!」
 ティファーナが無事なの理由。それは彼女のそばにいた紅葉が、ティファーナを衝撃から身を挺して守ったからだ。二人は支えあい、再び立ち上がる。やがて多貫が、アーレイラが、リーヴァルディが、フランチェスカが、ティファーナの癒しによって回復し起き上がる。
「あの、あの、オルトロスたちの決死の攻撃を」
 リーシャ・ヴァーミリオンは驚愕し、うつむき、言葉を発する。表情は読み取ることはできないが、手すりを掴んだその手は震えていた。フォルクが飛び降り、仲間たちの隣に立つ。
「さぁ、番犬はいなくなった。次はお前の番だ」
ルセリアが仲間の下に駆け戻る。
「言ってたわよね?『楽しませて?』って。いいわ、血を互いにまき散らす楽しい遊び、してあげる」
 猟兵たちが再び闘志を燃やしリーシャ・ヴァーミリオンを見据えるなか、彼女は震えていた。
「この・・・私を・・・楽しませる…?」
 恐れではない、怒りではない。
「良いわ!いい!そうでなきゃ!!」

 リーシャ・ヴァーミリオンをは歓喜に、震えていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『リーシャ・ヴァーミリオン』

POW   :    魔槍剛撃
単純で重い【鮮血槍】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ブラッディ・カーニバル
自身に【忌まわしき血液】をまとい、高速移動と【血の刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    魔槍連撃
【鮮血槍による連続突き】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


歓喜に打ち震えるリーシャ・ヴァーミリオンは己の得物、絶え間なく血が滴り続ける鮮血槍を振り、猟兵たちのいる1階へと降りてくる。
「久しぶりよ。ここまで楽しいのは」
 リーシャ・ヴァーミリオンは赤いドレスを揺らし、過去を話し始める。
「人間たちを恐怖させるのも飽きて、この古城へ流れてきた。気まぐれで花を育て始めて…人間たちが迷い込んできたから、召使にと攫ってきたけど…その先にこんなに面白いものが待っているとはね」
 リーシャ・ヴァーミリオンが動くたびに彼女の美しい髪がふわりと揺れる。
「花畑も人間たちもいらないわ。オルクス!それに他の人間も、この古城から立ち去りなさい!」
 オルクスと呼ばれた人間は悲鳴をあげ、周囲にいた人間を引き連れて城の外へと逃げてゆく。毒の花畑があるから集落までは逃げられないだろうが、戦闘と毒の影響のない古城の周りに避難しているのだろう。
「さて、これでお互いに本気が出せるでしょう?」
 人間たちを開放し、白い歯を見せ笑うリーシャ・ヴァーミリオン。大きな犬歯がキラリと光る。
「さぁ、私を満足させて頂戴!猟兵たち!!」
 血のように赤い瞳が、爛々と輝いた。
山理・多貫
【アドリブ歓迎/他PCとの絡み大歓迎】

やって……くれました…ね。

まぁ…いいです。
これで邪魔なわんわんはいなくなったわけですし…。


<戦闘>

3種類のダガーナイフによってスピード重視の接近戦を。
ナイフの毒によりマヒ攻撃等バッドステータスを与え リーシャ・ヴァーミリオンの行動を奪うよう狙います。
理由はもちろん吸血するため。


<苦戦した場合>

もう……限界…です。

ユーベルコード「理性の限界」を使用し肉体を強化。
本能のまま襲い掛かります。

(空腹のあまり理性をなくし本能のまま――といったイメージです)


フォルク・リア
「兎も角、感謝しておこう。
他の人間を此処から立ち去らせた事にはな。」
奴にあるのは己の力への絶対的な自信か、
戦いへの渇望か。
何れにしろ、こんな輩は敵に回すに厄介な事この上ない。

ウィザードロッドを構え拘束する闇の黒鎖発動準備。
敵の攻撃に合せ黒鎖を放ち拘束タイミングを外す。
魔槍連撃の初撃回避に成功等で反撃の隙が出来たら
ロッドによる打撃か魔法で攻撃。
仲間含め攻撃の決め手がなければ
回避行動をギリギリまで行わず
ある程度ダメージを受けたとしても
敵と肉薄し最も隙の出来る状態で拘束。
また、仲間がいるなら連携し攻撃を促す。
「綺麗に無傷で勝てる積りはない。
地を這ってでも成すべき事がある。」

アドリブ、掛け合い等歓迎。


紬雁・紅葉
ティファ―ナと行動
彼女への危害はかばって受けカウンター

あら!お眼鏡に叶ったようで…
深く笑みを浮かべ
奇しくも 同じ長物 貴女、"剣神"のお眼鏡に叶うかしら?
敵の正面で同時に構える

なお、一騎打ちのつもりは更々ない模様(笑)


"剣神"の神霊体を宿し破魔の衝撃波を打ち付ける
地属性で敵の活力を揺るがし氷属性で敵の血を凍らせ手数を以て攻める
敵の攻撃はオーラ防御等を併せ防ぎ武器受けからカウンターを狙う

敵の動きが止まったら力を溜めて渾身に一撃でとどめ
去り罷りませい


時を恐れる童女が独り
飽きに厭きたる童女が独り
時の咢は是非もなく
渇かず餓えず終いの次第

ティファ―ナに頷く

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※


アーレイラ・モンクスフード
人を生かすのなら、倒す必要を感じませんが…その存在が世界を過去に沈めるのです

「是非もありません。ですが、彼等を逃がした事実は事実。」

アーレイラでなく、アーレイラリアスとして参ります。

ゆっくりと確実に詠唱を行い
ユーベルコード発動
メイスに紅炎纏わせます。

敵攻撃後の隙を狙い、走って距離詰め懐まで飛び込みます。

破魔の炎に火力を頼り、手数重視の乱打で槍の間合いを取らせないようにします。

槍の間合いを取られたときは、メイスの空振りを囮にそのまま勢いつけて回転しつつ武器を大鎌に変形、真っ向勝負!全力で振り抜きます。


無事に討滅果たしたら、毒に塗れるのも構いません。白い花摘んで供えましょう。

どうぞ、末永い安寧を。


フランチェスカ・ヴァレンタイン
あら、存外に酔狂ですのね?
さしずめ楽団の代わりに剣戟の響きがBGMの舞踏会、といったところでしょうか。…剣呑にも程がありますけれど

ともあれ、わたしは翼とスラスターを駆使した空間機動で槍の間合いを外しながら、斧槍を揮って応戦致します
剛撃に対しては直撃地点を見切って斜め上方に強引に噴射跳躍することで回避を試みますわね

他の方との連携で後衛にスイッチした際には、頭上を抑えて縦軸の砲撃での牽制と援護を

攻防を繰り返しながら必中のタイミングを見計らい、好機を得られましたら全速噴射で戦槌の間合いまで一気に飛び込み、土手っ腹に【UC】を御馳走致しましょうか、と

※詠唱セリフのアレンジ・アドリブ・他の方との絡み歓迎


祝聖嬢・ティファーナ
毒の花は『敵対する為に毒を放っている』訳では無く、『エレメンタル・ファンタジア』で風X竜巻で毒の影響を妨げます♪ 同時に『エレメンタル・ピクシィーズ』で光と聖の矢をリーシャ・ヴァーミリオンを攻撃します☆
紅葉の傍らでティファーナ自身も守りながら歌声でティファーナと紅葉と猟兵を『シンフォニック・キュア』+『生まれながらの』で癒して治していきながら、“鼓舞”と“オーラ防御”と“勇気”で応援と声援を送ります♪
花も自らを守る為の毒だから「ボクたちの邪魔はしないです♪」とお願いしながら敵では無いと水の精霊に敵では無い事を伝えてもらいます☆

みんなの笑顔とお花が元気に咲ける様に頑張ります♪


ルセリア・ニベルーチェ
アドリブ大歓迎

良い意味でこんなオブリビオンは初めて
約束通り楽しませてあげるわ
本気出さなきゃリーシャに失礼よね

真の姿に覚醒と共にUC【吸血鬼嬢は眠らない】発動
更に【過去と未来の狭間】で真の姿を強化
敵のブラッディ・カーニバルに負けじ自己強化し
紅蓮の旋風を身に纏い、十八番の力(POW)攻

魔槍剛撃に対し【破壊の暴君】で撃ち合い
魔槍連撃に対し致命傷は透過で避け
軽症は避けず此方の攻撃のチャンスに利用
中止出来ない連続攻撃の隙を十二の黒剣で斬り刻む

活性化中の技能は自由に使ってOK

ルセリアさんは楽しめたわ、リーシャはどう?
また、骸の海から染み出した時は相手してあげる
事例は無いけど、その時は友好を結べる事を願うわ


リーヴァルディ・カーライル
…ん。まさか猟犬相手にここまで追い詰められるなんて…
反省は後でするとして…リーシャ・ヴァーミリオン
この御礼は、させてもらう…

一目でボロボロと判るように装って(変装)敵の正面に立ち、
攻撃を誘惑して引き付け、他の猟兵が攻撃する時間を稼ぐ

…っ。逃げない。吸血鬼は…必ず、狩る…!

改造した防具の呪詛を応用
強化した第六感で殺意の存在感を視覚化して攻撃の軌道を見切る
【吸血鬼狩りの業】を駆使して大鎌をなぎ払いカウンターを試みる

…なんて、ね

他の猟兵に敵の注意が向いたら力を溜めて【限定解放・血の聖槍】を発動
吸血鬼化した怪力を瞬発力に変え敵に接近
掌打と同時に生命力を吸収し傷口を抉る血杭を放つ2回攻撃を行う



 カツンカツンとリーシャ・ヴァーミリオンが靴の音を鳴らし、猟兵たちの眼前へ立つ。
「兎も角、感謝しておこう。他の人間を此処から立ち去らせた事にはな」
 フード越しにリーシャ・ヴァーミリオンを睨み出方を窺うフォルク。
「礼はいらないわよ?私も、本気で楽しみたかっただけだもの。」
 リーシャ・ヴァーミリオンにとって人間などどうでもいい存在だ。猟兵が人間を気にし、全力を発揮しないことの方が、リーシャ・ヴァーミリオンにとっては重大な問題。だから、人間を逃がした、その程度の認識でしかないのだ。
「…ん。猟犬相手に追い詰められた反省は後でするとして…リーシャ・ヴァーミリオンこの御礼は、させてもらう…」
 リーヴァルディが未だに笑みを崩さないリーシャ・ヴァーミリオンをにらむ。だが、リーヴァルディはオルトロスたちとの戦闘での消耗が激しいのか、呼吸が荒い。
「ふふっ、追い込まれたネズミほど、何をしでかしてくれるのかわからないもの。楽しみにしてるわ?」
「あら、存外に酔狂ですのね?さしずめ楽団の代わりに剣戟の響きがBGMの舞踏会、といったところでしょうか。…剣呑にも程がありますけれど」
 フランチェスカはリーシャ・ヴァーミリオンへ斧槍『ヴァルフレイア・ハルバード』を構え、翼を広げて飛翔する。
「酔狂、ね。あなたたちのような力ある者が、人間程度の価値観でしか物事を測れないのは残念ね。さぁ、無駄話は終わりにして、踊りましょう?」
 リーシャ・ヴァーミリオンの鮮血槍から鮮やかな血液があふれる。
 ヴァンパイアと猟兵の舞踏会は、フランチェスカとリーシャ・ヴァーミリオン、互いの得物が打ち合う音で幕を開けた。一合目を打ち込んだフランチェスカはそのまま空中へ反転リーシャ・ヴァーミリオンの槍の間合いから飛びのく、
「自滅とは…やって……くれました…ね」
 フランチェスカと入れ替わるように飛び出しリーシャ・ヴァーミリオンへ切りかかるのは多貫、三本のポイズンダガーを抜き接近戦を仕掛ける。が
「あなたは最後よ…何か隠しているでしょう」
 と、打ち合いざまにささやく。リーシャ・ヴァーミリオンは槍を強引に振りはらい、多貫の攻撃を大きく飛び退くことで回避する。
「逃がすものか、影より現れし漆黒の鎖よ。その魂を闇へと堕とせ」
 リーシャ・ヴァーミリオンが飛びのいた先へフォルクが指先から黒い鎖を放つ。
「縛られる趣味はないのよ。ごめんなさいね」
 鮮血槍を振るい鎖を打ち落とすリーシャ・ヴァーミリオン。フォルクも初撃で成功するとは思っていなかったため、笑いながらリーシャ・ヴァーミリオンに問う。
「お前にあるのは己の力への絶対的な自信か、戦いへの渇望か?」
「どちらも違うわ。私は退屈なのが嫌なだけよ」
「・・・何れにしろ、そんな輩は敵に回すに厄介な事この上ないな」
 短い問答の後、再びフォルクが黒い鎖を放つがリーシャ・ヴァーミリオンは槍で叩き落し、跳躍、翼を広げ飛距離を伸ばしてフォルクを飛び越えその奥へ
「最初は決めていたの。あなたよ…」
 落下の速度に乗せ鮮血槍を突き出すリーシャ・ヴァーミリオン。矛先にいるのはリーヴァルディ。
「…っ。逃げない。吸血鬼は…必ず、狩る…!」
 消耗が回復しきっていない様子のリーヴァルディだが、よろめきながらも攻撃を回避、だが、リーシャ・ヴァーミリオンの攻撃は止まらない
「っ!」
 突いた鮮血槍を払い、叩きつけ、再び突き出す。一呼吸の間に放ったリーシャ・ヴァーミリオンの槍の猛攻はリーヴァルディへ少なくない傷をつける。さらなる追撃を放とうとリーシャ・ヴァーミリオンが槍を上段に構える。
「さぁ、そんなものなのかしら!これで・・・っ!」
 フランチェスカが空中からへ砲撃を放ち、リーシャ・ヴァーミリオンの言葉を遮り弾き飛ばす。ティファーナと紅葉がすかさずリーヴァルディの下へ、癒しを施す。
「まって、今、手当てをするから☆」
 ティファーナが光をかざし、リーヴァルディの傷を癒す。その前に紅葉が立ち二人を守る構えを取る。
「よくも邪魔してくれたわね…!」
 と、フランチェスカを睨むリーシャ・ヴァーミリオン。だが、その目にあるのは怒りではなく、変わらず喜々とした輝きだ。
「…このまま、倒されて」
 突撃する多貫のダガーを槍で受け、続く攻撃を最小限の動きで回避するリーシャ・ヴァーミリオン。
「…あなた、もしかして?」
 攻撃の間に目が合った時、リーシャ・ヴァーミリオンは多貫の赤い瞳に既視感を覚える。考えを巡らせたい気持ちを抑え、リーシャ・ヴァーミリオンは反撃、蹴りを入れる。多貫はバックステップで距離を置き回避する。
(距離を取る?接近戦を好むんじゃないの?)
 リーシャ・ヴァーミリオン。一瞬の疑問はすぐに解決した。彼女の突き出した足に黒い鎖が絡みつく。
「あなた、これが狙いだったのね!」
 鎖を放ったフォルクはフードの下の口をニヤリとゆがめる。リーシャ・ヴァーミリオンの矛先はフォルクへと向いた。リーヴァルディを襲った高速の連撃をフォルクに向け放つ。黒い鎖が絡みつき、リーシャ・ヴァーミリオンの動きを阻害しているため、わずかに遅い連撃だが、フォルクは回避を捨てた。鮮血槍がフォルクの身体を貫き、叩き、切り裂くがフォルクは引かなかった。
「綺麗に無傷で勝てるつもりはない。地を這ってでも成すべき事がある」
 フォルクの決意と同時に彼の指先から黒い鎖があふれ出る。それは攻撃に集中していたリーシャ・ヴァーミリオンの身体に絡みつき、拘束していく。足を腰を、蛇が獲物を締め上げるように鎖が絡みつき、リーシャ・ヴァーミリオンの動きは眼に見えて緩慢になる。絶好の好機だった。リーヴァルディが溜めていた力を解き放ち、身動きのできないリーシャ・ヴァーミリオンへ駆ける。
「!?弱っていたんじゃなかったの!?」
 リーシャ・ヴァーミリオンは強烈な力を放つリーヴァルディに驚く。
「……限定解放。…刺し貫け、血の聖槍…!」
 リーヴァルディはリーシャ・ヴァーミリオンを無視し、必殺の気合と共に掌底を放つ。同時に、リーシャ・ヴァーミリオンが槍を地面へ突き立てた。
 
 轟音

 衝撃が大地を揺らし、古城が悲鳴を上げ崩れ去る。外に避難していたオルクスを含む人間たちが悲鳴を上げ、毒草の花畑は衝撃によって吹き飛ぶ。戦場に降り注ぐ、大小の瓦礫の雨。やがてホールのあった場所は瓦礫に埋め尽くされた。
「これが、リーシャの本気、ルセリアさんも本気出さなきゃリーシャに失礼よね」
 オルトロスたちとの戦闘の時同様、物質を透過し瓦礫の雨を避けたルセリアが変わらず立つリーシャ・ヴァーミリオンを観察する。
 リーヴァルディが放った技はリーシャ・ヴァーミリオンに命中していたのだろう。リーシャ・ヴァーミリオンのドレスは破れ、体にも穿たれたような傷がある。だが、それでもなお、リーシャ・ヴァーミリオンはあれほどの膂力を以って古城を崩し去ったのだ。リーシャ・ヴァーミリオンに近づいていた多貫、フランチェスカ、リーヴァルディ、フォルクの姿は見えない。衝撃に吹き飛ばされたか、瓦礫に埋もれてしまったか。ルセリアは目の前に敵に対し、自身の12本の黒剣に手を添え、それらの存在を確かめる。
「さて、これで空中を飛び回る奴も墜とせたし、拘束も解けたわ」
 リーシャ・ヴァーミリオンは鮮血槍を振るう。自身も瓦礫の雨に打たれたのだろう。額は割れ、血が滴っていいるのに関わらず覇気は損なわず、むしろ、流れる血液が彼女の戦闘意欲を高めているようにさえ見えた。
「人を生かすのなら、倒す必要を感じませんでしたが…やはり、その存在が世界を過去に沈めるのですね。是非もありません」
 アーレイラが瓦礫から立ち上がり、自らの真の姿を現すべく、リーシャ・ヴァーミリオンとの戦闘が開始したときから溜めていた力を開放する。
「開け!天界の門!!来たれ邪悪なる者を滅ぼす陽光の力よ!黎明たる雛菊の名の神よ、汝の正義を執行する熾烈なる焔を我が手に顕せ!!」
 詠唱とともにアーレイラに力が収束するのを、その場にいた人は感じただろう。かつて星光の都の守護神として君臨した存在。それこそがアーレイラの真なる姿。星空のような瞳がリーシャ・ヴァーミリオンを見つめた。
「彼等を逃がした事実は事実。アーレイラリアスとして、お相手いたします」
「不足はないわ」
 強きものの気配にリーシャ・ヴァーミリオンは笑みを深める。
「時を恐れる童女が独り 飽きに厭きたる童女が独り」
 朗々と言葉を紡いだのは紅葉。そばに立つティファーナによって瓦礫のダメージを回復した紅葉は巫女の力を用い、"剣神"の神霊体を宿す。
「あんたとも、まだまだ楽しめそうで、私はうれしいわ」
 剣神の神気を前にしてもリーシャ・ヴァーミリオンの笑みは崩れず。
「あら!お眼鏡に叶ったようで…ですが、貴女、"剣神"のお眼鏡に叶うかしら?」
 深く笑みを浮かべリーシャ・ヴァーミリオンへ言葉を返す紅葉、ティファーナは瓦礫にのまれてしまったと思われる猟兵の救出に動き、後退する。
「いいわね、もう、抑えられないの・・・さぁ、クライマックスよ」
 リーシャ・ヴァーミリオンが仕掛ける。蹴りだしと同時にコウモリの翼をはばたかせ、低空を滑空するように槍を構えた突進。紅葉が神気を纏い、薙刀『巴』でリーシャ・ヴァーミリオンの突進を受け、衝撃をいなすと同時に破魔の衝撃波を薙刀から放ち打ち付ける。衝撃を受け吹き飛ぶリーシャ・ヴァーミリオン。翼を広げ空中で態勢を立て直し難なく着地する。
「隙あり・・・っ!」
 着地点を見極めたアーレイラリアスがメイス『エピックベイン・マッシャー』を振るう。黄昏の光を纏い、破魔の炎を宿すメイスをリーシャ・ヴァーミリオンは槍の柄を突き出し、弾くも
「ルセリアさんは、世界を人々を脅かすオブリビオンを許さないんです」
 ルセリアが念動力で飛ばした黒い剣がリーシャ・ヴァーミリオンの肩を切り裂く。
「あ、ぐぅ」
 リーシャ・ヴァーミリオンが初めて、苦痛に顔を顰める。アーレイラリアスはその変化を見逃さない、さらに踏み込み、メイスによる乱打を浴びせ押し込む。ルセリアの操る黒い刃が、紅葉の神気を纏った衝撃が、リーシャ・ヴァーミリオンの身体に無数の傷を作る。
(でも、致命傷には至ってない…)
 メイスの乱撃を加えるアーレイラリアスだが、焦り覚える。リーシャ・ヴァーミリオンを防戦に追い込めているが、傷は浅く、体力を削り切るには至らない。リーシャ・ヴァーミリオンが受けた攻撃の中で一番ダメージを蓄積させたのはリーヴァルディの掌底突きだったが、これまでの攻防による傷はその半分の威力もないだろう。
「ああ、ああ!こんなに楽しいなんて!」
 嵐のような攻撃の中、リーシャ・ヴァーミリオンが叫ぶ。目は爛々と輝き、血にまみれたドレスは一層鮮やかな赤に輝くようだ。いや、実際にリーシャ・ヴァーミリオンの身体が赤く、紅く光る。
「何か来ます!!」
「させない!」
 ルセリアが叫び、12本の黒い剣で、紅葉が剣神の薙刀でリーシャ・ヴァーミリオンに迫るが。
「消えっ…っ!」
 リーシャ・ヴァーミリオンは鮮血槍を残し、消える。直後ルセリアの眼前にリーシャ・ヴァーミリオンは現れ、血の弧をルセリアへ飛ばす。血は高速でルセリアに飛び、刃となって切り裂いた。。
「血を流したかったから、攻撃を受けていたのね!」
 リーシャ・ヴァーミリオンは血にまみれている。それは猟兵に攻撃され、自身から流れ出た血。その血液を纏うことでリーシャ・ヴァーミリオンはヴァンパイアとしての能力の限界を突破した。からくりに気が付いた紅葉が神気を纏った衝撃波を放つがリーシャ・ヴァーミリオンは再び消えて見えるほどの高速移動でかわす。
「ならば、躱すことができない程の範囲を薙ぎ払えばいいだけ!」
 アーレイラリアスと紅葉がタイミングを合わせリーシャ・ヴァーミリオンに渾身の攻撃を打ち込む。紅葉は最大まで神気を放ち薙刀を振るい、アーレイラリアスは遠心力で勢いをつけたメイスを大鎌『エピックベイン・クリーヴァー』に急変化させ叩きつける。
「…たまらないわ!幕引きにふさわしい…最高よ!」
 狂ったように興奮し、叫ぶリーシャ・ヴァーミリオン。血を纏い最大の能力を発揮した彼女は鮮血槍を取り、猟兵に真っ向から向かって行った。

 花畑は戦闘の余波で消し飛び、人間たちは瓦礫に紛れて震える。勝どきを上げる者はいない。相討ち。リーシャ・ヴァーミリオンも、アーレイラリアスも、紅葉も、地面に倒れた。戦場に飛び回るのは一匹のフェアリー、ティファーナ。古城の瓦礫に埋もれた猟兵たちを探し、治療して回っていた。
「フランチェスカさん!起きて・・・起きて!」
 癒しの光を放ち、瓦礫に埋もれていたフランチェスカを治療するティファーナ、やがて傷が回復したフランチェスカは意識を取り戻す。
「よかった、リーシャ・ヴァーミリオンはいなくなったよ。アーレイラさんたちがやっつけたんだ☆みんなで、帰ろう!」
 ティファーナが事の顛末を伝える。だが、フランチェスカの視線は別の方へと向いた。
「あれは…多貫さん?」
 ゆっくりとふらつきながら歩く人影、大きすぎるぼろぼろのマント。長く美しい黒髪。間違いなく多貫だ。多貫は何かに吸い寄せられるように歩み、瓦礫の間に座りこんだ。
「・・・何か嫌な予感がしますわ。ティファーナさん、瓦礫をどかすのを手伝ってくださいまし」

(ああ、こんなに楽しかったのは久しぶりだわ…骸の海から出てきて初めて、かしら。)
(猟兵、わくわくして、面白くって、もっと、もっと、私を楽しませてくれそうね…)
 (やはり、あなたが来たのね。私、こんなに血にまみれているからね。おなかがすいているのでしょう?あれだけ戦った後だもの)
 (・・・ダメ?いいえ、ダメなんかじゃないわ。いいのよ、自分が好きなことをして何が悪いの?遠慮なんていらないわ、でも・・・)

「私も、食べさせてもらうから」

 戦場後に響く水音、じゅるじゅる、きゅう、じゅる…何かをすするような、何かを嘗め回すような。背徳的だが、淫靡な音。
 音の下は折り重なるようにお互いをむさぼる、多貫とリーシャ・ヴァーミリオン。互いの首筋に噛みつき、血を流し、喰らいあう。時折どちらの口からも熱の籠った嬌声が漏れる。ヴァンパイアの喰らいあい。そうとしか表現できない光景だった。
「止めなさい!!」
 瓦礫を取り除いたフランチェスカが空中から多貫を掴みリーシャ・ヴァーミリオンから引きはがす。が、血の味を覚え、理性を失った多貫は暴れだす。
「ふふっ、あなたがヴァンパイアの色を強く残したダンピールだって賭けたのは私の幸運だったわね」
 多貫の血液を啜り、幾ばくか体力を取り戻したリーシャ・ヴァーミリオンが立ち上がり口を拭う。
「けれど、愚かな子。ダンピール如きで、どうして純血のヴァンパイアとの喰らいあいで勝てると思ったのかしら?」
 リーシャ・ヴァーミリオンの言葉にフランチェスカとティファーナははっとし、多貫の様子を確認する。理性を失い暴れる多貫は病的に青く、血液が危険なまでに少なくなっているのが分かった。一方のリーシャ・ヴァーミリオンは元から肌が磁器のように白いが、頬などはやや赤くなっている。あのまま吸血を続けさせていたら、喰らいつくされたのは多貫の方であったことは間違いないだろう。
「普段から吸血を抑えたりしてるから、肝心な時に吸えないのよ。ふふっ」
 リーシャ・ヴァーミリオンは笑いながらコウモリの翼をはためかせ空へ舞い上がる。
「ここであなたたちを殺すことはしないわ。私は学んだの・・・楽しみとは、種から撒き、時間をかけるほど甘美なものになる。あなたたちは、私を楽しませる種。安心しなさい。もう、あの集落にも手は出さないし花畑も作らないわ。代わりに、あなたたちを育て、楽しむから。闇夜に香るその花は、身を狂わすほどに美しい。あなたたちはどんな色に咲いて私を楽しませてくれるのかしら!」
 飛び去ったリーシャ・ヴァーミリオンの笑い声が、戦場後にいつまでもこだました。

 その後ティファーナによって治療された猟兵たちが捜索し、リーシャ・ヴァーミリオンが集落の周辺から完全に消え失せたのが確認された。戦闘によって花畑も消失し、集落の人間たちの被害もなかった。事件は解決したのだ。
 だが、ヴァンパイア、リーシャ・ヴァーミリオンは今も、姿をくらましたままだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月08日


挿絵イラスト