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エイジング⇔アンチエイジング

#アルダワ魔法学園 #猟書家の侵攻 #猟書家 #探求のオルガノン #ガジェッティア #災魔の卵

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●時を刻む飛行船
 ゴーン……ゴーン……。
 空から鐘の音が降ってくる。
 見上げればそこには、まるで雲の一塊のごとく青空を優雅に泳ぐ飛行船が一隻。
 船体を支えるバルーンには巨大なアナログ時計が埋め込まれており、剥き出しの歯車機構を動かして時報の鐘を打ち鳴らしているのだ。
 その内部、白い蒸気を所々から噴き出す中枢機構の前に、生意気そうな少年の姿がある。
 猟書家『探求のオルガノン』。
「時を刻む絡繰りと空を移動する絡繰りを融合させるとは。下等生物とは実に無駄に満ちた児戯を好むものですね」
 オルガノンは慇懃に嗤う。その手に持たれ、差し出されるのは「災魔の卵」。
「さあ、命を授けましょう。目覚めなさい……「蒸気獣もどき」君」
 機関部に押し当てられた「災魔の卵」は、するりと蒸気機関内部にもぐりこんだ。
 機構の全てが、一斉に沈黙し、一拍ののち。
 ピーーピピピーーーーッ。けたたましい音を立てて白い蒸気があちこちから噴き出す。大量の部品が有機的に蠢き異常な速度で組み変わり増幅していく……。
 新たな「蒸気獣もどき」の誕生を眺める、オルガノンの眼差しは侮蔑を含めた嘲笑に歪んでいた。

●グリモアベース:ゲネ
「猟書家『探求のオルガノン』がアルダワ魔法学園世界に現れた! 討伐任務への参加求む!」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)はホロモニターに速やかに資料を開示する。
 オルガノンが現れたのはアルダワ世界の一地域「商会同盟」の上空。試験運用されていた時報用飛行船の内部だ。
 飛行船の機関部には「災魔の卵」が埋め込まれてしまった。放置すれば空から周辺住民を皆殺しにしようとするだろう。
 また、この飛行船には「一切の狂いも生じない」という触れ込みの高度な蒸気時計が搭載されている。
「こいつが災魔の卵に呑み込まれたせいで、船内は厄介なことになっている。乗客の心身が不規則に幼くなったり年老いたり、様々な年齢を行ったり来たりしてしまうらしい」
 この異常は猟兵とて免れない。変化の深度には個人差があるが、場合によっては精神的に子供返りをしたり老害化したりといった事態に陥るかもしれない。
 が、幸い記憶や戦闘力は維持されるので、基本的に任務に支障はないと思われる。
「そしてもう一つ朗報だ。試験運用中だったのが幸いして、この飛行船の設計者である「ガジェッティア」の一人「メンディ」という女性が船内に乗り込んでいる。彼女の力を借りつつ、災魔の卵を埋め込まれた最深部に急いでくれ」
 心身変化には波がある。中枢に近づくほど影響が強くなるため、メンディが要所要所で飛行船の異常個所を修復したり動作を止めたりして影響を軽減してくれるだろう。もちろん設計図は完璧に頭に入っているため、多少内部構造が組み変わっていてもある程度の方向性は示してくれるはずだ。
「ただ当然、彼女も心身変化に曝されているから、その点はフォローしてやってくれ」
 機関部に到達すれば、あとは災魔化飛行船と融合してパワーアップした猟書家『探求のオルガノン』との戦闘だ。
「今はまだオモシロ現象の範疇に収まっているが、心身変化はいずれ乗客と街の住人を狂わせていくだろう。骸の月を押し返すため、アルダワ世界を救うため、猟書家退治、頼んだぞ!」
 反転したホロモニターが白々と転送術式を輝かせ、猟兵をアルダワ世界へと誘った。


そらばる
 アルダワ魔法学園、猟書家の侵略・侵略された魔導蒸気機械。
 若返ったり年老いたりをランダムに繰り返す状況下で最深部を目指し、猟書家『探求のオルガノン』を撃退してください。

●第一章:冒険『刻一刻と変化する心身』
 暴走する災魔化飛行船の機関部を目指します。
 船内では乗客乗務員・猟兵共に、若返ったり年老いたりをランダムに繰り返します。
(※記憶と戦闘力は維持できているということにしてください)
(※その他、性格などの変化については個人差なので、好きなように想定してください)
 船内の構造は設計図からかなり組み変わっています。

 飛行船の設計者であるガジェッティア「メンディ」(20代女性・グラマラス美人)の協力を得ることができます。
 船内構造が変わっていてもある程度の方向付けをしてくれます。
 また道中の異常個所を修復することで、心身変化を軽減してくれるでしょう。
 その過程で近道を見つけてくれるかもしれません。
 メンディも心身変化の影響を受けますが、概ね幼児と大人とを行き来し、基本的に飄々とした性格を維持し続けます。
 肉体的なハンデに関しては手を貸してあげるといいかもしれません。

●第二章:ボス戦『探求のオルガノン』
 猟書家『探求のオルガノン』を撃退してください。
 上記の心身変化は継続していてもいいし、完治していてもいいです。
 プレイングに何もなければ完治した状態で描写します。
 一章でメンディの協力を仰いでいた場合、彼女がこっそり機関部に細工して敵を妨害してくれるかもしれません。

 執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 冒険 『刻一刻と変化する心身』

POW   :    気力を振り絞って最奥部まで向かう

SPD   :    影響が出てしまう前に一気に駆け抜ける

WIZ   :    何らかの手段で最短経路を見つける

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●メンディと共に
 猟兵達が直接送り込まれた飛行船内は、ちょっとした阿鼻叫喚だった。
「うぇぇぇんこわいよぉぉぉ」
「ふが、ふがふが……腰、腰が立たん……」
「いやーっ! わたくしの美しい顔がこんな皺だらけに……っ!」
 唐突に子供になった者、老人になった者、一気に老け込んだ者。皆いい大人だったのだろう乗客や乗務員が、今や目を覆う惨状だ。
「ん? なんだキミたち。見ない顔だな?」
 猟兵に気づいて振り返ったのは、豊かな金髪をひっつめてお団子にしたグラマラスな女性。見るからにガジェッティアといった風貌だ。
「ああ、魔法学園の転校生か。事態収拾に手を貸してくれるんだな? ありがたい」
 女性は軽く安堵の吐息をつきつつ、猟兵に手を差し出してきた。
 が、その身体がみるみる縮んでいく。骨格肉付き顔つきはもちろんのこと、服までその変化に合わせて縮小変化。瞬く間に、五・六歳ほどの金髪つるぺた幼女が爆誕する。
 しかし元女性の幼女は気にすることなく、背伸びをしつつ手を伸ばしてくる。
「わたしはメンディ。このふねの設計者だ。みなはこのありさまで、動けるのはわたししかいない。ぜひ協力させてくれ」
 淡々、飄々と、少し舌ったらずに、幼女メンディは猟兵と握手を交わしあった。
政木・朱鞠
行動【WIZ】
ちょっと乱暴な仮説だけど、変化しているとはいえ組変わりにある種の法則が有るんじゃないかと推理してみるよ。
船内とリアルタイムの現状の確認のために感覚共有した『忍法・繰り飯綱』を船内に放ち【追跡】や【情報収集】を駆使して探索していくよ。
集まったデータとメンディちゃんの意見と照らし合わせながら攻略ルートを割り出していきたいね。

状況から察すると、あまり時間をロスできないので検証と実践を同時進行で行うから遠回りをしてしまう不安要素があるけどね。

本来の使い方じゃないけど、拷問具『荊野鎖』をロープ代わりにして【グラップル】の技能を利用しながら最深部への探索を進めていこうかな。

アドリブ連帯歓迎


フォルク・リア
メンディに
「此方こそよろしく頼むよ。
…随分と姿が変わってしまったけど大丈夫かい?」
と心配しつつも自分も幼くなるが自分の体を見て。
「人のしんぱいをしている場合じゃなかったかもしれない。
でも、きょうみ深いね。」
やや言動も幼くなるが基本変わらない。

「いや、そんな事をしているばあいじゃないね。」
子供になったり元に戻ったりしながら進み
修復は出来る範囲で手伝う。
力の足りなかったり届かない所があったら
グラビティテンペストの重力、斥力を使いサポートしつつ
内部を確認。異常がありそうな所や
近道になりそうな道はメンディに確認。
「面白いけど小さくなるのは不便だね。
メンディが変るところを見てるだけでも飽きないけど。」



●収集・思索・協調
 差し出された小さな幼女の手を、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)はフードの下でかすかに笑みを浮かべつつ握り返した。
「此方こそよろしく頼むよ。……随分と姿が変わってしまったけど大丈夫かい?」
 相手を心配しつつもその目線はみるみる沈み、メンディと変わらない高さに並んでしまう。
 小さくなったフォルクはフードの下の目を丸くして、幼子の姿になった自身の身体をまじまじと見回した。
「人のしんぱいをしている場合じゃなかったかもしれない。でも、きょうみ深いね」
 少々舌ったらずながら、精神的には大きな影響もないようだ。「おお、おそろいだな」とメンディが感心の眼差しを向けてくる。
「いや、そんな事をしているばあいじゃないね」
「そうね。じょうきょうからさっするに、あまりじかんをロスできないと思うわ」
 幼児フォルクに賛同する政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)。その姿もまた幼女に変化しているが、やはり言動にはさほど大きな影響はなさそうだ。
 かくてちびっこ三人は先陣を切って探索に乗り出した。
 船内の構造は複雑に組み変わり、迷路の様相。いきなり階段や傾斜があったり、無秩序に横穴が開いていたり、袋小路にぶち当たったり。
「ちょっとらんぼうな「かせつ」だけど、へんかしているとはいえあるしゅのほーそくがあるんじゃないかな?」
 幼女朱鞠はそう推理すると、だしぬけに小さな手で印を切り始めた。
「わがこんぱくのかけらよめざめ……ちからをこうししみききせよ……きゅうきゅう、にょっ、りつ、りょう!」
 舌ったらずに、ちょっとだけつっかえつつも、ユーベルコードは無事発動した。子狐の如き分霊が瞬く間に通路の奥へと姿を消す。
 船内を縦横無尽に走り抜ける分霊の視界が、朱鞠の目にそのまま飛び込んでくる。その視覚情報をもとに、三人はさっそく探索の歩を進めた。
 検証と実践が同時進行になるため遠回りも辞さない進行になるが、メンディはかぶりを振ってその不安要素を否定した。
「いや、きみのかんがえはただしい。じかんが限られているのなら尚更、初めの内に試行錯誤は済ませておくべきだ。それに……」
 メンディは幼女から大人の姿に変化しながら、通路の壁際に開いた元配電盤らしき穴を覗き込み、内部の異常なパーツの集合体を見分し始めた。
「……ふむ。増殖こそしているが、やはり元の部ひんもちらほら……おっと、すまない」
 調べているうちにまた幼女に逆戻りしたメンディの身体を支えて、元の姿に戻ったフォルクは軽く吐息をついた。
「面白いけど小さくなるのは不便だね。メンディが変るところを見てるだけでも飽きないけど」
「気がまぎれたのならなによりだ。ところであのハッチのなかを見たいのだが、どうにかできるか?」
 けろりとしてメンディが指差す先には、斜めに傾いだ天井に、辛うじて形を保っているハッチがあった。
「お安い御用だ」
 フォルクはグラビティテンペストを局所的に行使し、天井付近で器用に斥力を爆発させた。軽い衝撃にハッチのタガがはずれ、カバー部分が脱落する。
 と同時に、メンディとフォルクの身体がふわりと床から浮かび上がった。重力制御を巧みに活かして一気に天井へ。幼女メンディが「ふおぉぉ」と珍しく興奮じみた声を上げた。
「なんとべんりな」
「喜んでもらえてなにより。それより、しゅうふくかしょはここかな?」
 言う間に子供の姿に逆行しつつ、フォルクはメンディの指示に従って修復の手伝いに勤しむ。変化する身体の尺にも次第に慣れて、点検修理はほどなく終了。元の姿に戻った二人は地面に降り立った。
「不正な連結部分を切断して、増殖した大時計の部品を無効化した。とりあえずこの近辺での身体変化は抑止できるだろう」
「こちらも探索の準備は整えておいたよ。飯綱の情報から見て、まずは右方向に進もうと思うんだけど」
 同じく元の姿に戻った朱鞠が、荊野鎖を手に持ちながら戻ってきた二人を出迎えた。
 メンディは頷く。
「部品の増殖具合、機関部方面からの侵食傾向や元の区画との繋がりから見て、私も右側区画から大回りで進むのがベターであると考える」
「決まりだね。なら、そっちの道が近道になりそうじゃないかな」
 フォルクが示したのは、床に大穴の開いた横道。穴の底で、無数の歯車が転落者を待ち受けるかの如く回転している。
「厄介な……」
「この程度どうってことないわ!」
「んっ?」
 メンディの杞憂を遮って、朱鞠はメンディを横に抱えて大穴へと飛び出した。拷問具の鎖をまるでローブの如く天井部のダクトに引っ掛け、勢いよく大穴の縁を踏み切る。
「ふおぉぉぉっ!?」
 ターザンロープの要領で対岸へと連れ去られるメンディの、悲鳴とも興奮ともつかぬ奇声に肩をすくめて、フォルクはふわりと身を浮き上がらせて淡々と後に続いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロム・エルフェルト
【狐々】
例え身体が老いたとしても、刀の冴は衰えない
むしろ、更に増して見せよう
……根拠は、無いのだけれど

……!
まさか若返り? 一気に子どものころのわたしに……

……。
ヨボヨボおばーちゃんになるのは「かくご」してたけど
こんな小さく(5~6才)なるのは「そーてーがい」なんだよっ?!
メンディ、よろしくね。いっしょに行こー!
あれ……?
ツヅキ、こわいの?

大事な弟の手を優しくとって

だいじょうぶだよ、おねえちゃんが付いてるから!

届かない高い所の修理箇所は
都月くんに肩車して貰おうかな

ツヅキ……ごめんね、おもくない?
メンディ、この線をつなぎ直せばいいの?
早く「くろまく」をやっつけて、大人にもどらなきゃね!


木常野・都月
【狐狐】

俺、記憶がないから、若返ったらどうなるか分からないんだよな…。

って、手ちっちゃい……
足もちっちゃい……
(なんだこれ……怖い)

クロムさ…んもちっちゃい…。

(自分の尻尾にしがみついてよう。
こんなに子供って、不安なんだな。
緊張で尻尾がボワボワしてる。
クロムさん、手を繋いでくれた。
お姉ちゃんってこんな感じなのかな。)
「おねぇちゃん?」

異常個所は風の精霊様に頼んで確認したい。
[野生の勘、第六感]と嗅覚、聴覚をフル稼働で異常個所の[情報収集]したい。

ちっちゃくても、魔力や妖力はそのままでよかった……。

クロムさんを肩車。
「だいじょぶ。…おもくない。」
(ちっちゃい子供って、こんなに筋肉…ないのかっ!)



●小さな姉弟奮闘記
 心身変化について、クロム・エルフェルト(縮地灼閃の剣狐・f09031)と木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は真逆の心構えでいた。
「例え身体が老いたとしても、刀の冴は衰えない。むしろ、更に増して見せよう」
 自信満々、剣士の矜持に胸を張るクロム。ただし根拠はない。
 一方、都月は漠然とした不安の渦中にいた。
(「俺、記憶がないから、若返ったらどうなるか分からないんだよな……」)
 各々の想いを胸に転送された飛行船内。変化はすぐに起こった。
「……! まさか……!?」
 肉体を脅かす違和感に瞠目するクロム。目の前に広げた両手が見る間に縮んでいく……
 同様の変化が、都月にも降りかかっていた。
「手ちっちゃい……足もちっちゃい……」
 それは記憶を持たない都月にとって、経験したことのない自分。まぎれもない異常体験だ。
(「なんだこれ……怖い」)
 救いを求めて横を見ると、同じ目線に、呆然と自身の両手を見下ろしているクロムの横顔があった。お互い五、六歳といったところだろうか。
「クロムさ……んもちっちゃい……」
「……」
 クロムは口を開けたまま沈黙したのち、一気に若返ってしまった掌を握りしめ、力強く拳を震わせた。
「ヨボヨボおばーちゃんになるのは「かくご」してたけど、こんな小さくなるのは「そーてーがい」なんだよっ?!」
「──おや、きみたちもか。おたがいなんぎだな」
 大声を聞きつけて幼女メンディがとてとてやってくる。
「メンディ、よろしくね。いっしょに行こー!」
 ぼやいていても仕方ない。幼女クロムは瞬間的に気持ちを切り替えて子供らしく元気に手を振り、
「あれ……?」
 傍らを見て、目を瞬いた。
 小さな都月は、前に回した自分の尻尾にしがみついてもじもじしていた。
(「こんなに子供って、不安なんだな」)
 緊張で尻尾がボワボワと膨らんでいる。世界の何もかもが大きく見えて、寄る辺ない小さな身体が頼りない。
「ツヅキ、こわいの?」
 気持ちを汲み取るように、小さなクロムは小さな都月の手を優しくとった。大切な「弟」の手を。
 暖かな互いの体温にほっと心身の緊張がほぐれる。
(「お姉ちゃんってこんな感じなのかな」)
 ぼんやりする都月にクロムは溌溂と笑いかける。
「だいじょうぶだよ、おねえちゃんが付いてるから!」
 心を読み取られたかのような言葉に都月は小さく息を呑み、おずおずとおうむ返しに呟く。
「おねぇちゃん?」
「うん!」
 クロムは抜けるような笑顔でその手を引き、元気よく探索に乗り出した。微笑ましい姉弟の後ろに、いつの間にか大人の姿に戻ったメンディも歩調を合わせてついてくる。
「しかし奥へ行くほどに酷くなるな。どこから手をつけたものやら……」
 増殖した歯車だらけの通路にぼやくメンディ。
 それを聞いて、都月は風に耳を傾けた。空飛ぶ飛行船にも風の加護はあり、精霊は宿る。
(「ちっちゃくても、魔力や妖力はそのままでよかった……」)
 力が問題なく使えていることに安堵しつつ、都月は引っ張られている手を遠慮がちに握り返した。
「クロムさ──」
「おねえちゃん!」
「……お、おねぇちゃん……あの、みぎのかど」
「みぎにまがればいいの?」
 風の精霊の助言に従って進むと、通路を埋め尽くさんばかりの歯車の塊が立ちはだかった。
 大人メンディは即座に修復作業に取り掛かる。無駄な歯車を取り外したり軸を引っこ抜いたりを経てようやく確保した空間に頭を突っ込み、内部の回路修復に取り掛かる。
「ここだけでは無理だな……すまないが二人とも、壁際の回路に断線がないか見てくれないか!」
「わかった! ツヅキ、どう?」
 クロムが振ると、すでに都月が耳と鼻、野生の勘とを最大限に駆使して異常個所を探っているところだった。
 優れた聴覚で異音を聞き分け、都月が指差したのは、子供が背伸びしても届かない高さの壁面半ば。
 子供たちが行き着いた方策は、肩車であった。
「ツヅキ……ごめんね、おもくない?」
「だいじょぶ。……おもくない」
 と強がりつつ、小さなクロムを支える小さな都月の足はぷるぷるである。
(「ちっちゃい子供って、こんなに筋肉……ないのかっ!」)
 都月のふんばりに報いるべく、クロムは作業を急ぐ。
「メンディ、この線をつなぎ直せばいいの?」
「青色は繋げてしまってくれ。他の線は危ないから触らないようにな」
「はーいっ。早く「くろまく」をやっつけて、大人にもどらなきゃね!」
 メンディの作業は手際よく終了。クロムも小さな手で苦戦しつつ、最後の断線を繋げ直した──途端。
「!?」
「うわぁっ」
 肩車をしたまま元の姿に戻った二人は、力の加減を誤りその場に転倒してしまう。
「上手くやってくれたな、二人とも」
 ひっくり返った二人の視界で、メンディがニッ、と親指を立ててみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

戎崎・蒼
【POW】
ネフラ・ノーヴァ(f04313)と行動
災魔の卵が蒸気時計を呑み込んだ弊害で、まさか心身共に変化するだなんてね
……卵をどうにかする為にも最奥部まで急ごうか

基本的にはネフラと共にメンディを手伝うよ
僕自身の呪いもあるから年をとる上限は青年止まりだろうけど、そこから幼体化になっても傭兵の経験も活かして落ち着くようにする(覚悟)
2人とも小さくなって手の届かない所が出てきたりしたら、UCを発動して影に代わりに動いて貰おうかな

異常箇所を直して行けば影響が軽減するとは聞いたものの、結構酷そうだ
それにネフラの幼体化した姿は新鮮だろうな……可愛らしいとは思うけれど


ネフラ・ノーヴァ
蒼殿(f04968)と共に。
やれやれ、年齢変化とは煩わしいな。機関部への進路が変わっているならメンディ殿の協力は必要だ。担いででも連れて行こう。
クリスタリアンの身は老化しにくいが、幼くなれば移動などは蒼殿に手助けしてもらう。幼くなっても話し方はいつも通りだ。逆に蒼殿が幼くなれば抱きかかえて行こうか。(幼い蒼殿はとても可愛いだろうな、フフ。)
UCヴィーナス・マーキュリーは水銀化で隙間に潜り込める。パイプの中や開かないドアの先で操作したり、反対から開けたりできるだろう。



●幼さは眼福である
「災魔の卵が蒸気時計を呑み込んだ弊害で、まさか心身共に変化するだなんてね」
 幼女姿のメンディを興味深げに見下ろす戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)。
「やれやれ、年齢変化とは煩わしいな」
 ネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)はぼやくと、小さなメンディを肩に担ぎ上げた。メンディは驚く暇もなく、ネフラの肩口にすっぽりはまり込んだ。
「おぉ、かいてき。てまをかけるな」
「何、気にすることはない。先に進むためにはメンディ殿には協力いただかねばならないからな」
「ああ。ぜんりょくをつくそう」
 頼もしい幼女の答えに頷き返し、蒼は船内へと視線を翻す。
「では……卵をどうにかする為にも最奥部まで急ごうか」
 ネフラはクリスタリアンであるがゆえに、蒼は己が身に受けた呪いによって、老化方向の変化は緩やかなものだった。
 ただし、逆は頻繁に訪れた。
「ふおっ」
「おっと!?」
 唐突に幼女化が始まり、担いでいたメンディごところりと床に転がるネフラ。小さな二人を、蒼の手が拾い上げる。
「ああすまないな蒼どの……おや、いつもと趣が違うようだが」
 幼女になっても口調は変わらず、ネフラは目ざとく蒼の変化を見抜いた。
 少年めいた見目だった青年は、今は名実とも青年と呼べる外見へと変じている。
「まったく老化をしないわけではないみたいだね。とはいえ僕の場合、上限はこの年齢止まりかな」
 蒼は二人を抱きかかえたまま、子供の身にはきつい段差や歯車を颯爽と跨ぎ越していった。
(「頼もしい蒼殿も捨てがたいが、幼い蒼殿はとても可愛いだろうな、フフ」)
 などと蒼の腕に抱えられたまま夢想していた誰かさんの願望が反映した……わけではないだろうが、変化は容赦なく訪れる。
「ああ……まいったな」
 変化の兆候を感じ取った次の瞬間には、蒼もすっかり他の二人と変わらぬ目線の幼児へと変貌していた。突如の変化に動揺する気持ちがないわけではなかったが、それ以上の覚悟と経験が、異常に落ち着き払った幼児をそこに体現させていた。
「では、今度は私が運ぼうっ」
 入れ替わるようにハイティーンの姿になったネフラは、なぜかとても嬉しそうに小さな蒼と小さなメンディを担いで進んだ。
 ネフラは奥へと歩を進めながらも、髪の一部を水銀化させて隙間から入り込ませ、障害になりそうな扉を片っ端から開けていく。
 メンディが感心の声を上げる。
「べんりなものだなぁ」
「隙間に入り込めれば簡単な操作はできるぞ。リクストは何かあるかな?」
「そうだな、ではあのパイプをつたって「せいぎょしつ」を探してくれないか」
 メンディの指示に従って水銀化した髪をパイプに流し込むネフラ。複雑な蛇行と分岐を経たのち、ほどなく制御室の発見に成功した。
 たどり着いた制御室は案の定歯車だらけ。内部を見渡して、蒼は小さく吐息をついた。
「これは結構……いやかなり酷そうだ」
「まったくだな。私が大きいうちにさっさと作業を済ませてしまおう。二人はそこの操作盤を指示通りに動かしてくれ」
 折よく大人の姿に戻っていたメンディが歯車の塊と格闘を開始し、ネフラと蒼は壁に取り付けられた多種多様のレバーやスイッチの操作にてんやわんやとなった。数が多く、紛らわしい上に子供の手には届かない高さのものも多い。一番上のレバーに至っては、二人ともども子供の姿になっている時は肩車をしても届かなかった。
「仕方ないな、影に手伝ってもらおう。──晩餐会といこうか」
 たちまち蒼に潜む影が幾多もの黒い手となって操作盤を自在に操り始めた。一足飛びの効率アップでメンディの作業も捗る。
「初めからこうしておけばよかったな……ん? どうかした?」
 横合いからの視線を受けて、蒼は首を傾げた。ネフラは口許のにやけと戦いつつ、誤魔化すように手を振る。
「あーいや、蒼殿の子供姿を目に刻み付けて……ではなく、つい物珍しくなってしまって」
「ああ、確かに。お互い新鮮だね。それに、幼体化したネフラはかわ──」
 続くはずだった言葉は、ポピィーーーッという高らかな蒸気の噴出音にかき消された。
「すまーん! そこにぶらさがってるレバーをひいてくれ!」
 いつの間にか幼女姿に逆行し、天井部のパイプに張り付きながらメンディが叫んだ。蒼は即座に影の手を伸ばし、天井からつり下がっているつり革上のレバーを引いた。
 室内を満たした白い蒸気が一気に換気されると、三人が三人とも元の姿に戻っていた。
「よし、ここは一段落だな。機関部に近づけばまた変化が始まるだろうが、これでかなり進みやすくなったはずだ」
 メンディの太鼓判を得て、一行はさらなる深部を目指す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

エイジングとアンチエイジングを繰り返すね・・・アタシのような年頃には耳が痛い話だ。機関部に辿り着くのはかなり手間がかかりそうだが・・・力を貸してくれるかい、奏、瞬。

老化してもますます元気に進むだろうが、問題は若返った時だ。今の奏の歳以下のアタシは人見知りで深窓のお嬢様だったから、足がすくんで移動出来なくなるかも。その為にもメンディの協力は得ておきたいねえ。後は赫灼のグロリアを口ずさんで子狐の茉莉に先行偵察させながら進もうか。本当に厄介な構造にしたものだ。黒幕はかならずシメてやる。


真宮・奏
【真宮家】で参加(他猟兵との連携可)

老化と若返りを繰り返す・・・いきなり腰が痛くなったり、視線が急に下になったりする訳ですね。私達猟兵は戦闘力に支障ないだけマシですが、乗客や乗務員の人達が大変なので。

老化は老いてなお盛んといった雰囲気で突き進むでしょうし、子供になったらなったで好奇心のままに歩むでしょうから、家族の先頭にたって母さんと瞬兄さんの手をぐいぐい引っ張って進みます!!手が足りなかった時に備えて蒼穹の騎士を呼んでおきますね。出来ればメンディさんの協力も得て置きたいなあ。手作りのクッキーを差し出して、ご挨拶を。


神城・瞬
【真宮家】で参加

まあ、急に身体の感覚が変わるのは大変ですよね・・・戦闘力に支障ないとは言え、動き辛い事は確かです。メンティさん、大変でしょうが、お力をお貸し願えれば。

老人になっても子供になっても慎重に行動するのは変わらないかと思いますが、老人になれば石橋を叩き過ぎてかえって行動が遅れたり、子供の頃は怯えて動けなくなったりする心配があります。その時は奏の手をしっかり握って、母さんの歌にサウンド・オブ・パワーでユニゾンして場を盛り上げ、気持ちを奮い立たせて進みます。さあ、目指すは元凶の待つ機関部!1いざ進みましょう!!



●おやこの歌
「エイジングとアンチエイジングを繰り返すね……アタシのような年頃には耳が痛い話だ」
 世間的には「妙齢」と呼ばれる時代をすでに踏み越した自覚のある真宮・響(赫灼の炎・f00434)はぼやく。
「老化と若返りを繰り返す……いきなり腰が痛くなったり、視線が急に下になったりする訳ですね。私達猟兵は戦闘力に支障ないだけマシですが、乗客や乗務員の人達には一大事でしょう」
「まあ、急に身体の感覚が変わるのは大変ですよね……戦闘に支障がないとは言え、動き辛い事は確かです」
 まだ若い真宮・奏(絢爛の星・f03210)と神城・瞬(清光の月・f06558)は、実感が伴わないなりに想像力を巡らせている。
「おや、君たちも転校生か。老いるほうは私もまだ経けんしていないからなんともいいがたいが」
 声をかけてきたのはメンディだ。最初のうちは大人姿だったのだが、歩み寄るうちに幼女の姿に逆行してしまう。
「こんにちは、メンディさん! お近づきのしるしにこちらをどうぞ」
 奏は幼い子供にするように目線を合わせ、にこやかに手作りクッキーを手渡した。メンディはたいそう気を良くした様子で包みを受け取る。
「メンティさん、大変でしょうが、お力をお貸し願えれば」
 瞬は下にも置かない態度で紳士的に依頼した。
 メンディは早速クッキーを頬張りながら、うむ、と力強く頷いた。
「まかせてもらおう。もっともこのナリだ、こちらが手をかりることになりそうだが」
「機関部に辿り着くまでには、相当手間がかかりそうかい?」
 響に単刀直入に問われ、メンディは気難しげに船内に視線を馳せた。
「らくではないだろうなぁ。きかん部に近づくほど、身体の変化は大きくなるだろうから」
 言う間に、大人の姿に戻るメンディ。
 状況の深刻さを端的に見取り、響は頷いた。
「厄介な道のりになりそうだが……力を貸してくれるかい、奏、瞬」
「はいっ!」
「ええもちろん……ですが……母さん」
 張り切る奏、戸惑う瞬。二人の目前で、響の姿は見る間に皺が増え、髪が白くなり、心なしか背筋も前傾し……あれよあれよと還暦はとっくに過ぎていそうな老人へと変貌した。
 しかし響は老化など一顧だにせず、老いてますます元気。子狐の茉莉を偵察に放ちながら溌溂と号令をかける。
「何、気にすることなどないさ! さあ行くよ!」
「では、私が先に立ちます!」
 傍らに蒼穹の騎士を呼び出して先陣切って歩き出す奏もまた老化が進み始めていたが、老いてなお盛んとばかりのかくしゃくとした足取りである。まさにこの母にしてこの娘といったところ。
 瞬はしんがりにつき、いつも通り慎重に歩を進める。……いや、いつも以上に警戒心が高まっているのを感じる。先を行く二人の威勢がうかつに見える。足元の地面が抜けないのを杖で確かめ、天井のダクトの真下を避けて迂回して……。
 石橋を叩くような行動が過ぎて列から遅れがちな老爺姿の瞬に気づき、いつの間にやら童女の姿になっていた奏が大きな声を上げる。
「おおーい! おくれてますよ瞬にいさん!」
 先頭を母に託して身を翻ししんがりに駆け寄る奏。もたもたとしている老人の手を取ったかと思えば、次の瞬間にその手は小さな子供のものになっている。
「う……あの……」
 幼い瞬は怯えて動けなくなっていた。しかし好奇心の塊である奏はお構いなし。
「だいじょうぶです! じんせいばんじ、まえのめりにいきましょう! ──って、かあさん?」
 隊列がいっかな先に進まないと思ったら、響の姿もすっかり変わり果てていた。
 おそらく本来の奏と瞬の年齢よりも若い響。顔立ちには面影があるが……
「ど、どうしましょう……これ以上は進めませんわ……」
 ……中身は、別人にもほどがあった。
 幼女メンディが励ますように響少女の手を握ってやっている。
「このとおり、すすめなくなってしまったようだ。ははぎみは「しんそうのれいじょう」かなにかだったのか?」
「あらら。もー、ふたりともしっかりしてくださいよっ」
 一人元気な奏は、気弱な母と兄の手をぐいぐい引っ張り、好奇心の向くまま先行した。蒼穹の騎士はメンディを担ぎ上げ修復作業の手伝いに回る。
「さきへすすむものたちに、えーこーあれ!!」
 先頭切って二人を引っ張る幼女奏が、大声任せの調子っぱずれな歌を歌い始めた。母の歌う『赫灼のグロリア』のまねっこだ。特殊な力こそ宿らないが、心には響く。
 ご令嬢モードの響は戸惑いがちに、けれど歌に否応なく心を引っ張られたように唱和し始める。響自身の歌唱には確かに力があった。人を鼓舞する輝きが。
 歌の力に触れて、瞬もまたおずおずと口を開く。年齢にしてはしっかりとした旋律が、響の歌とユニゾンする。調和する音階が船内に響き渡り、気持ちを奮い立たせていく……
「いい歌だ」
 幼子らの足の遅さに合わせて修復箇所を仕上げたメンディは、蒼穹の騎士の肩の上で行軍する親子の背を見返り、ニッ、と笑った。
「さあ、目指すは元凶の待つ機関部!! いざ進みましょう!!」
「おー!!」
 手に手をとったまますっかり元の姿に戻った兄妹が、瞬にしては極めて高いテンションを共有してずんずん進んでいく。
 その後を少し遅れて兄妹に引っ張られながら、上を仰いでけたけたと笑う、三十七歳母親たる響の姿があった。
「本当に厄介な構造にしたものだ。黒幕はかならずシメてやる」
 物騒に、それでいてどことなく愉快げに口許を吊り上げながら、響は瞳を輝かせた。
 機関部は目前だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『探求のオルガノン』

POW   :    スチーム・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【魔導書から蒸気魔法】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD   :    ビースト・ショータイム
いま戦っている対象に有効な【蒸気獣もどき】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    エレメント・カース
攻撃が命中した対象に【魔術印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と発生する炎や氷、風の魔法】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鴛海・エチカです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●猟書家と蒸気獣もどきを倒せ!
 噴き出す蒸気。カンテラや魔法の灯りに浮かび上がる大小様々な無数の歯車が、まるで生き物のように休みなく回転している。
「……やれやれ。面倒な珍客だ」
 様変わりした機関部を見上げていた少年が、猟兵を振り返る。何もかもを嘲笑うような、皮肉げな眼差しが、猟兵達の姿を捉える。
「下等生物が我々の計画に踏み入ろうとは、厚顔無恥にもほどがある。……ですがまあ、丁度いい」
 少年が指揮を執るように手を振るうと、呼応するかのように歯車が回転速度を上げ始めた。チクタクチクタク……時計の針の音がやかましく思考をかき乱す。盛んに噴き出す蒸気がオルガノンに加勢するように纏いつく。
「あれが元凶か……すまんがここはまかせた。わたしはうらがわにもぐりこんでいろいろといじってみる」
 幼女姿のままのメンディはそう言い残すと、猟兵達の背後に隠れてダクトに潜り込み、あっという間に姿を消した。彼女が上手く裏で工作してくれれば、戦いも有利になるはずだ。
 幸い少年はメンディを目に留めた様子もなく、猟兵への戦意を高めながら組み変わる歯車の上に立つ。
「災魔の卵によって生まれ変わったこの「蒸気獣もどき」の力、今ここで試してさしあげましょう……!」
 ふしゅぅぅぅ──
 鼻息めいた蒸気を吐き出す歯車の塊は、今や野獣の如き形状へと変貌していた。

 猟書家『探求のオルガノン』。人間や他者を下等なものと断じ、真理の探究の為と称して蹂躙する、少年人形のオブリビオン。
 現在は「蒸気獣もどき」と一体化した状態にあり、能力も強化されている。蒸気や火・風の魔法を駆使し、また蒸気獣もどきの力を戦う相手に合わせて変化させてぶつけてくるだろう。
 メンディの修復が進んだおかげで、猟兵の心身変化はかなり抑制されている。元の姿を保つのは容易だろう。
 たとえ変化が起きたとしても、猟兵の戦闘力に変化はない。存分に戦えるはずだ。
 蒸気獣もどきと化した飛行船を元の姿に戻し、敵の企みを阻止するため、猟兵は蹂躙者へと立ち向かう。
フォルク・リア
元の姿を維持している体とメンディの消えた
ダクトを見て
「メンディには感謝しないといけないね。
後は裏で何かしらしてくれるのを信じるとしようか。」

「さて、自分の事を上等とは思っていないが、
敵する相手を見下すものの末路は見てきたつもりだ。
お前にもその後を追って貰おうか。」

敵の攻撃を躱しつつ古代都市ルベルを発動。
周辺の景色に重なる様に魔法都市の霊を召喚し
敵の魔法に対応する属性魔法
(蒸気、火には氷、水。風にはそれを防ぐ土壁等)を使用。
魔術印を受けてもそれは基本的に変わらず
魔術印には魔法都市から供給される魔力での
【オーラ防御】で対抗し、
【破魔】で印を消そうと試みつつ
属性魔法の他に召喚した幻獣を敵に向ける。


政木・朱鞠
黒幕さんは、頭デッカチの残念人形さんか…。
努力の結果を貶すのは申し訳ないけど…上から目線でドヤ顔しているけど、見た目も用途もガラクタの塊っぽくてなんか不粋だね。
お痛をした咎の責任はキッチリと取って、骸の海にお帰りして貰うんだからね…下等な者の足掻きを受けるお覚悟よろしくって?

戦闘【SPD】
蒸気獣もどき達が厄介だね、翻弄して仕留めるために真の姿を前借りして足部分に重点的に再現して『忍法・狐龍変化身』で強化状態で牽制して本丸のオルガノン君へ届く刃の隙を作りたいね。
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】で防御を緩めて【傷口をえぐる】→【生命力吸収】で絞め潰しダメージを狙うよ。

アドリブ連帯歓迎



●魔法と歯車を征して
 元の姿を維持している自身の身体を見、メンディの消えたダクトを見、
「メンディには感謝しないといけないね。後は裏で何かしらしてくれるのを信じるとしようか」
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は呟くと、蒸気獣もどきの上に佇むオルガノンを正面に見据えた。
「さて、自分の事を上等とは思っていないが、敵する相手を見下すものの末路は見てきたつもりだ。お前にもその後を追って貰おうか」
「見下すとは異なことを。事実に過ぎませんよ」
 オルガノンが片手のひらを上に仰向かせると同時、歯車の塊が獣の腕を象り辺りを薙ぎ払った。歯車の集合体によって構成される鋭い爪が、すんでで躱したフォルクのローブを紙一重でかすめていく。
「黒幕さんは、頭デッカチの残念人形さんか……」
 同じく爪を躱しつつ、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)はぼやく。
「努力の結果を貶すのは申し訳ないけど……上から目線でドヤ顔しているけど、見た目も用途もガラクタの塊っぽくてなんか不粋だね」
 ひらりひらりと忍者の身のこなしで翻弄しつつ、挑発混じりに揶揄してやると、オルガノンの眼差しが剣呑な光を閃かせた。
「下等生物如きが批評とは。思い上がりも甚だしい……」
 歯車の集合体から、新たな個体が分裂する。それは多数の狼の群れ。
「──喰い殺せ」
 主の号令に従い、歯車の狼達は一斉に朱鞠へと殺到した。激しく回転する歯車で構成された全身は、頑強にして俊敏。刃も鎖も一切受け付けず、朱鞠の速さに引けをとらない。
 朱鞠は即座に印を切る。
「抑えし我が狐龍の力……制御拘束術第壱式にて……強制解放!」
 それは真の姿を限定的に解放する術式。朱鞠の足回りに強大な力が宿る。狼達をさらなる速度で上回り、強靭な脚力による跳躍も加えて翻弄していく。
 一方、本丸であるオルガノンはフォルクとの魔法合戦を繰り広げていた。
「歴史の狭間に埋もれし魔導の都。幽谷の門を潜りて今、此処に姿を現し。その深遠なる魔術の神髄を示せ」
 火炎球を躱しながら詠唱を完成させるフォルク。
 たちまち周囲の情景を塗り替えるように重なっていくのは、広漠たる『古代都市ルベル』の幻影だ。
「御大層な術ですね。しかし所詮は下等生物の付け焼刃」
 オルガノンは一切の詠唱なしに、火球と風とをランダムに織り交ぜた連続魔法を放ってくる。
 フォルクは火炎球には氷塊をぶつけて相殺し、風魔法は土壁で防いでいった。滅びた魔法都市からの莫大な魔力供給が絶え間ない防衛を可能とさせてくれる。
「その程度で凌いでいるつもりですか」
 オルガノンの手が優雅に翻ると同時、直線的に疾っていた風の刃が土壁に直撃する直前に上へと逸れ、急旋回を描いて直下のフォルクの肩口に降り注いだ。
「ッ──」
 反射的に身を捻るも、肩に走る鋭い痛みと浮かび上がる魔術印。
 少年人形の口の端が攻撃的に吊り上がる。
 ──次の瞬間、大量に炸裂する風と炎の魔法が、フォルクの姿を爆発の向こうにかき消した。
 愉悦の眼差しでそれを眺めるオルガノン。しかしその表情はすぐに驚愕に染め変えられる。
 爆発が晴れたそこに立っていたフォルクの姿は、ほぼ無傷。
 と同時に、肩に付与されていた魔術印が、内側から押しのけられるように割れ砕けたのを、オルガノンは見逃さない。
「……大量の魔力による相殺ですか。生意気な真似を、──っ!?」
 ハッとしてオルガノンが仰いだ天井付近には、急速に実体化する影。砂塵によって形成される巨大な獅子の如き幻獣──
「くっ!」
 オルガノンは咄嗟に歯車の集合体を波の如く操り、己の盾にするように野獣の顔を再形成した。
 蒸気獣もどきと獅子の幻獣の牙が交錯する──寸前。
 ──ガッキンッ。
 どこかから響いた鈍い異音の意味するところは、オルガノンには理解できない。しかし猟兵にはしかと届いた。
 蒸気獣もどきを構成するその基盤、機関部内部からの援護だ。
 フォルクは胸中にメンディへの礼を呟きながら、異音に合わせて寸暇動きを止めた歯車の怪物へと幻獣をけしかける。
「──喰らえ」
 大獅子の牙が、歯車の野獣の喉元を食い破る。
「馬鹿な……っ」
 砕かれ降り注いでくる歯車の雨の中で、動揺の声を上げるオルガノン。
 そこへ矢の如く疾る人影。朱鞠は降り注ぐ歯車を躱しながら一気呵成にオルガノンへと迫る。
「お痛をした咎の責任はキッチリと取って、骸の海にお帰りして貰うんだからね……」
「貴様ッ!?」
 足止めはどうなったのか。視線を転じた先に、一切合切踏み砕かれた歯車狼の群れの残骸を映し、少年人形は瞠目した。
「下等な者の足掻きを受けるお覚悟よろしくって?」
 追い込まれたオルガノンへ、朱鞠は笑顔で拷問具の鎖を投げつけた。
 鎖に締め上げられた人形の肉体が、ガギャリ、と不快な破壊音を響かせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネフラ・ノーヴァ
【SPD】引き続き蒼殿(f04968)と。元の姿に戻る。

蒸気獣もどきが召喚されればUC想姿双愛で分身を召喚して翻弄する。さあ、ショータイムといこうか。
メンディ殿の助けを借りれば熱エネルギーを抑え、多少なりとも動きが鈍るはず。歯車めがけ刺剣を刺し折っていき、さらに動きを鈍らせれば蒼殿の銃撃が効きやすくなるだろう。
あわよくば本体の球体関節にも刺剣の一撃を。少年の姿を破壊するのは忍びないが、フフ。


戎崎・蒼
【POW】
引き続きネフラ(f04313)と行かせて貰うよ
元の姿で行こうか

相手の攻撃に対し、僕は敢えてUCをぶつける事で態と相殺させてみようか
その一斉射撃にUCの攻撃ではない、通常攻撃を紛れこませて不意打ちの攻撃を狙う
相手の攻撃はあくまでもUCの相殺
別の攻撃が混じっているとは、露ほども思わないんじゃないかな(スナイパー)

メンディには蒸気機関を上手く操作して貰って、熱エネルギーを抑制してもらえるように頼んでみよう
そうする事で僕もネフラもより効果的に攻撃を与えられるはずだからね

……さて、僕等の作戦を見抜けるかい?



●罠
 コシャリ、カキリ、と無機的な音を立てて、オルガノンはあらぬ方向に曲がった四肢をあるべき形に強引に戻した。蒸気獣もどきからせり上がる細かな歯車が欠損部分を埋めていく。
「……下等生物が……この狼藉、許されるとは思わないことです」
 大量の歯車が液体の如く流動し、二体の野獣を形成した。どっしりとした頑健な巨体を誇る、虎に似た獣だ。
 その召喚に呼応して、ネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)はユーベルコードを解放する。
「さあ、ショータイムといこうか」
 隣に翳されたネフラの手に、そっくり同じ手が重なる。現れたのは、すっかり元に戻ったネフラの姿をそのまま鏡写しにした、もう一人の自分。
「ふたり一緒にお相手頂こう!」
 同時に勇ましく飛び出す二人のネフラ。鏡写しの連携で二体の歯車虎を見事に相手取り翻弄していく。
 その後方、戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)は魔弾を込めた魔銃の銃口で二体の野獣を捉える。
「……さて、僕等の作戦を見抜けるかい?」
 蒼い輝きを放って一斉発射される魔弾。
 しかしその着弾直前、オルガノンは侮蔑の滲む笑みを浮かべて魔導書から大量の蒸気を放出した。一瞬にして戦場に充満した蒸気が幾多もの魔弾の力を問答無用で中和し、完全に相殺していく。
 しかし魔弾の攻撃はやまなかった。幾度となく蒼白い軌跡が幾重にも疾り、その都度蒸気魔法にかき消されるを繰り返す。
「無駄な足掻きを。その攻撃はもう見切りましたよ」
 蒸気魔法による相殺を最適化させ、余った魔力を火炎球へと紡ぎ上げるオルガノン。
 炎が極大にまで膨れ上がろうとした、まさにその時。
 ゴゥゥゥゥゥン……
 大量の歯車の集合体の裏側で、何かのシステムが急速に動力を低下させる音が響いた。
「!? 不具合か……!?」
 オルガノンの手の中で火球が急速にしぼんでいく。
(「やってくれたみたいだね、メンディ」)
 機関部に消えた仲間の工作が成功したことを確信しながら、蒼は再度照準を絞る。

 脳裏に浮かび上がるのは、戦いが始まる直前の光景。
「ああちょっと少し待ってくれ、メンディ殿」
 メンディがダクトに潜り込んだ直後、ネフラと蒼はダクトを覗き込んで彼女を呼び止めていた。
「ん? なんだ?」
「機関部の工作に向かうんだろう? 一時的にでも熱エネルギーを抑制することは可能かな?」
「……エネルギーをおさえるよゆうがあるかは、エンジンのじょうたいによるな」
「ならせめて、あの人形たちへのエネルギー供給を絞るのは?」
「なるほど。できるだけがんばってみよう」
 最大限の協力を確約し、メンディはダクトの奥の闇へと姿を消した。

「さすがだな、メンディ殿!」
 ネフラは分身と同時に歯車虎へと飛び込んだ。
 虎の動きは、明らかにエネルギー抑制の余波を受けて鈍っている。ネフラは敵の爪も牙も軽やかに躱して背後に回り込むと、後肢の関節部、歯車と歯車の隙間に血棘の刺剣を差し入れた。
 勢い任せに歯車に巻き込まれて折れ砕ける刺剣の刃。刺剣本体の刃は瞬時に再生され、虎の体内に残った破片は歯車虎の動きを大きく鈍らせる。
「──蒼殿、今だッ!」
 ネフラの合図に応えて火を噴く蒼の魔弾。
「馬鹿の一つ覚えを……!」
 オルガノンは火炎魔法をひとまず諦め蒸気魔法に注力する。大量の魔弾はやはりあっけなく相殺された──が。
 一発の銃弾が、歯車虎の心臓部を貫いた。
「何?!」
 オルガノンが驚愕している間に、同じく分身によって動きを鈍らされていたもう一頭も急所を貫かれ、二頭ともども形を失い大量の歯車を床にぶちまけた。
「やはり気づいていなかったみたいだね」
 淡々と少年人形を見据える蒼が構えているのは、魔銃ではなく、通常武器である改造銃。
 オルガノンの顔にじわりと理解と屈辱の色が浮かぶ。
「……ユーベルコードに混ぜて、通常の弾丸を……!」
 蒸気魔法の相殺が及ぶのは、ユーベルコードの影響下にある攻撃のみ。通常武器による攻撃には効果がない。
 そして、動きを鈍らせた獣の急所を狙うことなど、スナイパーにとっては造作もないこと。
 完全に出し抜かれた衝撃、屈辱。動きを止めたオルガノンの懐へと、ネフラと分身が疾る。
「少年の姿を破壊するのは忍びないが、フフ」
 二刀の刃はそれぞれに、少年人形の脚部球体関節を刺し貫き、折れ砕けた。
 恥辱に塗れた少年の絶叫が機関部に轟き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

なにほざいてんだかこのガキ。さんざん迷惑かけといて人を邪魔者扱いか。他者への見方は人それぞれだが、他人を下等生物扱いかい。やんちゃが過ぎる子供はお仕置きだ。

前での抑えは奏と瞬に任せた。アタシは【目立たない】【忍び足】で敵の背後を取る。上手く背後を取れたら、【オーラ防御】【残像】【見切り】で敵の攻撃を凌ぎ、【グラップル】【怪力】で足払いして敵の態勢を崩し、【気合い】を込めて飛竜閃で攻撃。探求するのは構わないが、人に迷惑かけるのは頂けない。とっとと消えな!!迷惑だ!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

(作業に入っていくメンティさんにお辞儀)お手間おかけします。さて、目の前にいる人ですが。

乱入したのは認めますが、物騒なものを作り出しているようで。そういうことを仕出かす人は放って置けません。下等生物ですか?そういう存在に倒される覚悟はありますか?

敵が対応を変えてくるのが厄介ですね・・・まず【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で防御を固め、彗星の剣を発動。私自身には対応できても剣の方には対応出来ますかね?私の方は【衝撃波】で牽制し、上手く接近出来たら【シールドバッシュ】で一撃入れましょう。アルダワにはいい思い出がありますので・・歪めるような輩は許しません!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

実験の途中に乱入したのは否定しませんが、その実験が物騒なものなら話は別です。随分ませた子供さんみたいですが、その言動が起こす禍は考慮した方がいいですね。・・・聴こえてないみたいですが。

まず動きを止めますか。まず【オーラ防御】を使用しといて【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を仕込んだ【結界術】を敵に向かって展開。更に【武器落とし】を併せた裂帛の束縛で更に敵に使用して敵の動きを邪魔。これ以上お世話になったアルダワを歪んだ形にされたら堪りませんので、貴方の探求はこれで終わりとさせて頂きますか。



●護り、遮り、穿つ
 メンディの消えたダクトに、真宮・奏(絢爛の星・f03210)は礼儀正しくお辞儀する。
「お手間おかけします。……さて」
 翻した視線の先には、上位者の如く振る舞う傲岸な少年人形。
 猟兵に出し抜かれ、激しい消耗を強いられながら、未だ矜持とも虚栄心とも知れぬそれを手放すつもりはないらしい。
「おのれ……おのれっ、下等生物の分際で……っ」
 余裕を失い、激しい憎悪を滾らせるオルガノン。欠損部を覆う歯車の範囲がかなり目立ってきている。
「なにほざいてんだかこのガキ。さんざん迷惑かけといて人を邪魔者扱いか」
 その姿を見やる真宮・響(赫灼の炎・f00434)の眼差しは、冴え冴えと厳しい。
「実験の途中に乱入したのは否定しませんが、その実験が物騒なものなら話は別です」
 蒸気獣もどきの上に立つオルガノンを見上げ、神城・瞬(清光の月・f06558)はきっぱりと言い放つ。
「随分ませた子供さんみたいですが、その言動が起こす禍は考慮した方がいいですね」
「ああ計画が台無しです一刻も早く是正しなければ……」
 オルガノンは響にも瞬にも反応を返さず、ただうわごとのようにブツブツと呟くばかり。その周囲を取り巻く歯車が、何かの予兆のようにカタカタと不審な振動を開始する。
 瞬は小さく嘆息する。
「……聴こえてないみたいですが」
「乱入したのは認めますが、物騒なものを作り出しているようで。そういうことを仕出かす人は放って置けません」
 瞬の言葉をさらに噛み砕いて復唱する奏。
 繰り返しが癇に障ったか、オルガノンの瞳にギラリと危険な光がよぎった。が、奏はその殺気をさらりと受け流す。
「下等生物ですか? そういう存在に倒される覚悟はありますか?」
「……身の程知らずにも程がある。その罪深き浅薄、この手で殲滅してくれましょう!!」
 怒気の発露と共に歯車が暴れる。洪水となって自在に姿を変えていく。
 即座に前に出る奏と瞬。
「敵が対応を変えてくるのが厄介ですね……」
「まず動きを止めますか」
 互いの役割を心得た二人は頷き合い、各々の立ち位置へと散開する。
 オルガノンを乗せて荒ぶる歯車の洪水の前面に身を晒すのは奏。白銀の鎧と精霊の加護を帯びる盾に、オーラによる防御を展開し、即席の防衛拠点を築く。
「なんですかそのみすぼらしい防御は!」
 嘲笑うオルガノンの足下で、歯車の洪水が急速に巨大な象の如き獣の姿を象った。
 歯車象は鼓膜をつんざく咆哮を上げながら前肢を上げ、大質量をもってして踏み潰さんと奏にのしかかってきた。巨大な前肢とオーラの防護が激突し、激しい火花を散らす。
「っ……私自身には対応できても、こちらには対応出来ますかね?」
 辛うじて防御を維持しながら、奏は瞬間的にユーベルコードを発動した。複製された数多の愛剣が宙に浮かび、切っ先を少年人形へと差し向ける。
「なにっ!?」
 飛来する大量の刃に怯むオルガノン。象の図体では俊敏な動きは望めない。咄嗟に象を構成する歯車の何割かを自分を守る盾として刃に対抗するが、全ては防ぎきれずに幾筋かの斬撃が無機質な肉体に刻み込まれていく。
 後退を余儀なくされる蒸気獣もどき。しかし後ずさったその瞬間、バチリッ、と電撃に似た衝撃に阻まれ身動きを止められてしまう。
「結界術か──!」
 知らぬ間に力場に包囲されていたのだと気づいた時には、すでに遅い。
 奏が攻勢に転じたと同時、瞬もまた術式を完成させていたのだ。
「これ以上お世話になったアルダワを歪んだ形にされたら堪りませんので、貴方の探求はこれで終わりとさせて頂きますか。──覚悟!!」
 瞬の肉体から飛び出すが如く敵へと伸び迫るアイヴィーの蔓、ヤドリギの枝、藤の蔓。植物の暴力的な生長が歯車の集合体を浸食し縛り上げる。
 魔術書から魔法を繰り出そうとするオルガノンを、奏は衝撃波で牽制しながら歯車象へと突撃を仕掛ける。
「アルダワにはいい思い出がありますので……歪めるような輩は許しません!!」
 跳躍する奏。全身を託した渾身のシールドバッシュが、歯車象の眉間を穿つ──
 ひときわ高らかな嘶きを残し、歯車象の巨体が瓦解していく。オルガノンは咄嗟に周囲の歯車で蒸気獣もどきを編み上げるが、仕上がったのはたかだか大型犬程度の獣が一体のみ。
「他者への見方は人それぞれだが、他人を下等生物扱いかい」
「く──っ」
 突如間近に響いた声に、主の命令を待たずに歯車の獣が駆け出した。
 子供たちが注意を惹きつけた隙に敵の背後に回り込んでいた響は、おびき出した獣の爪をオーラで受け止め、援護に飛んでくるオルガノンの風魔法を残像を描いて躱し、一気に少年人形の懐へと踏み込んだ。
 間近に覗き込む響の瞳。ヒッ、とオルガノンが恐怖の入り混じる息を呑む。
「やんちゃが過ぎる子供はお仕置きだ」
 響の顔が沈み、瞬時にして消える。と同時に、オルガノンの視界も転倒。足払いをされたのだ。
 傾いたオルガノンの視界の中で、響の拳が力強く輝く。
「探求するのは構わないが、人に迷惑かけるのは頂けない。とっとと消えな!! 迷惑だ!!」
 振り下ろされる、気合い漲る一撃。
 致命的な破砕音が少年人形の腹を抉った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
【狐々】

猟書家と蒸気の獣か。
俺はしがない狐だったから、難しい事は分からない。
でも、命に下等も高等もあるものか。

まずはクロムさんに風の精霊様の加護をお願いしたい。
クロムさんの周囲の空気抵抗を減らして貰いたい。

クロムさんが時間稼ぎしている間に、俺はUC【精霊共鳴】でチィに手伝って貰いたい。

加えて風の精霊様には、蒸気獣と猟書家、2人の近くで待機して貰いたい。

準備が出来たらクロムさんに合図したい。
「いけます!」

クロムさんの声で、待機して貰っていた、風の精霊様の誘導で、光の精霊様の[属性攻撃、全力魔法]を発射、蒸気の獣と猟書家を全力で焼き切りたい。

下等の狐の全力だ。
しっかり味わってくれ。


クロム・エルフェルト
【狐々】
……時間稼ぎは私に任せて
借火・反転陽炎を発動
私は猟書家の相手をする
分け身の貴女は蒸気獣をお願い
互いに目配せ『『……御武運を』』

余所見はさせない
風の精霊様の加護を借りて
高速[ダッシュ]で移動しつつ
[早業]の斬撃を浴びせよう
弾かれる事は想定済みだけど
釘付けにするには一手足りない
弾かれた勢いをそのまま利用して[カウンター]
喉元に迫る太刀筋を混ぜ込み
都月くんから意識を逸らせる

以下はバレないよう[残像]纏い[騙し討ち]
分け身と息を合わせ、戦い乍ら入れ替わり
「忍鋼線」を蒸気獣と猟書家に絡ませる
歯車が噛み込めば鋼線は強く引かれる筈
敵が一つ所に纏まったら都月くんに合図

『――今だよ、都月くん』



●焼き尽くせ
「猟書家と蒸気の獣か」
 機関室を占拠する異形の塊を見上げ、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は神妙に呟いた。
 オルガノンの姿は、もはや半ば以上が歯車と融合している。
 片目を歯車に覆いつくされてなおその眼差しに浮かぶのは、劣等者への嫌悪、侮蔑、怒り。
「下等生物が……下等生物が下等生物が下等生物がッッッ!!」
 激しく流動する歯車の波。形作られていくのは、もはや怪物としか形容しようのない、異形の獣。
「俺はしがない狐だったから、難しい事は分からない。でも、命に下等も高等もあるものか」
 きっぱりと断じる都月の周囲を風が吹き抜け、傍らに流れてクロム・エルフェルト(縮地灼閃の剣狐・f09031)を取り巻いていく。
「……時間稼ぎは私に任せて」
 風の精霊の加護を得て、クロムは敵前へと歩み出た。印を切り、傍らに陽炎を立ち昇らせる。熱に歪んだ空気はクロムの姿を鏡写しに写し取り、分け身を顕現させた。
「私は猟書家の相手をする。貴女は蒸気獣をお願い」
 クロムの言葉に分け身は頷く。互いに目配せ、
「「……御武運を」」
 同じ声を重ね合ったと同時、二人のクロムは同時に飛び出した。
 分け身は獣へ、クロムはオルガノンへ。風の精霊によって空気抵抗を抑制された肉体は尋常ならざる加速を得て、敵の懐へと一挙に踏み込む。
 流れる勢いのまま振り下ろされる斬撃。獣はその硬質な全身で、オルガノンは分厚く肌を覆う歯車の装甲でそれを受け止め、刃を弾く。
 弾かれるのは想定内。釘付けにするには一手足りない。
 二人のクロムの攻勢は終わらない。弾かれた反動を利用して反転、遠心力に変えての反撃。刃は抵抗もなく風を切り、並みの動体視力には追い付けない一閃を描きだす。喉元に迫る太刀筋。すんででのけぞったオルガノンの目に強烈な危機感が明滅する。
(「そう、それでいい……余所見はさせない」)
 目的は、敵の意識を都月から逸らすこと。
 壮絶な攻防の後方で、都月は精霊との共鳴を図っていた。
「力を貸して、チィ」
 狐姿の月の精霊の力を借りて、高まる魔力。意識の内と外に光が溢れる──
 臨界を迎えたその瞬間、都月は決然と声を上げる。
「いけます!」
 合図を受けてクロムは小さく頷き返すと、今度は残像を纏いながらの騙し討ちに切り替えた。敵陣を思うさまかき乱し、翻弄し──
 わずかな隙に敵の死角に入った瞬間、クロムと分け身は息を合わせて互いの立ち位置を入れ替えた。ピンと張った二本の忍鋼線が空中を横切り、交錯する。
「なっ──ぐぁぁッ!?」
 歯車に噛みこんだ漆黒の鋼線が勢いよく巻き取られ、絡みつき捕らえたオルガノンと蒸気獣もどきとを巻き込んで一つ所に纏め上げた。
「――今だよ、都月くん」
 静かに、しかしはっきりと、クロムが告げた。
 クロムの声が、魔力の内に没頭していた都月の意識を覚醒させる。
 その手に掲げる杖に膨れ上がるのは、眩いばかりの光の精霊の輝き。
「下等の狐の全力だ。しっかり味わってくれ」
 解き放たれた光の目指す先は、敵の背後に控える風の精霊の指し示す場所。
 すなわち、少年人形と蒸気の獣の絡み合う、その心臓部。
 災魔の卵。
「や、やめっ……やめろぉぉぉぉォォ──ッ!!」
 咆哮じみたオルガノンの絶叫は、何もかもを白く塗り潰す光に焼き尽くされた。

●収束する時間
 カラカラと、大小様々な大量の歯車が絶え間なく地面に落ちては霧散する。
 四肢の半分がもげとれた少年人形は、その中央で絶望の声を上げる。
「嘘だ……この僕が下等生物などに……嘘だ嘘だ嘘だうそダウソ────」
 嘆きは、巨大な歯車に全身ごと押しつぶされ、永遠に途切れた。
 主を失い、災魔の卵を焼き切られた蒸気獣もどきが爆散し、その姿を構成していた歯車は周囲の事物に直撃することなく光にほどけて消滅していく。
 増殖した歯車が消滅していくことで、組み替えられた船内も元に戻っていくのがわかる。蒸気時計の影響もほどなく失われ、乗船した人々の心身変化も解かれるだろう。
 と、安堵する猟兵達の耳に、どがんっ、と若干乱暴な音を立てて隅のダクトが開口した。
 開口部に生えているのは、狭い通路でグラマラスな肉体をあちこちつっかえつつ、強引に突破した勢いでべちゃりと地面に突っ伏している、元の姿のメンディである。
「いったた……ああ、終わったんだな。何から何まで頼ってしまってすまなかった」
 立ち上がりながら、大人のメンディは猟兵達に手を差し出す。出会った時と同じように。
「僭越ながら、乗員と街の人間を代表して礼を言わせてもらう。……ありがとう」
 硬く握り合わされた手が幼子へと逆戻りすることは、もう二度とない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月04日
宿敵 『探求のオルガノン』 を撃破!


挿絵イラスト