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書を狩る兵達ー千年の誇り、守り抜くは結する界

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #大天使ロロサエル #陰陽師 #安倍晴明 #魔軍転生 #書を狩る兵達

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 宵闇、それを照らすは月光。未だ満月には至らずともその光は遍く者へ降り注いでいた。
 本来、月とは太陽の代行者。対極の存在として崇拝されてもその光に人々は感謝をする。

 無論、それを悪用する存在。その邪悪を実行する存在は骸に蝕まれている月を仰ぎ見た。

「……それにしても我らが猟書家の長、書架の王『ブックドミネーター』を斃すとは……猟兵、侮れませんね。彼が担当するはずだったアックス&ウィザース、ひいては天上界についてはブラキエルに任せるとして、彼ら猟兵について本格的な対処が必要そうですね」
 ――背に広がる翼に片手に恐るべき書物型兵器【侵略蔵書】を携える姿、正しく天使というべきだろう。但し、遍く全てを救済するモノではなく、異端とされる存在に強烈な排斥を行う霊性(パンテオン)であるとだけは言っておかねばならないが。
 その存在が見据えるはサムライエンパイアの中枢都市のひとつが『京』。侵略蔵書から邪なる聖光が迸るとそこからオブリビオンが顕現していく。
「魔軍将「安倍晴明」の憑装……なるほど、次代のオブリビオン・フォーミュラとなる資質を持つだけはある」
 そう薄く笑みを浮かべて邪なる天使、猟書家『大天使ロロサエル』は『京』への侵攻を開始する。

「……以上が、私の予知した『京』の未来だ。このままだと猟書家『大天使ロロサエル』によって攻め落とされて大規模な虐殺が行われるだろう」
 その未来を変えるべく、東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)は集まった猟兵たちに今回の依頼の段取りを説明していく。
「まずは魔軍将『安倍晴明』を憑装したオブリビオンと戦ってもらう。この憑装とは幹部級オブリビオンの力を宿す権能であり、それが一つ一つのオブリビオンに宿されている。真っ向から立ち向かったら苦戦は免れないだろう」
 だが、と深耶は妖刀の幻術を使い防壁を展開している『京』の陰陽師たちの姿を映し出す。
「彼らの協力を仰げば、憑装したオブリビオン達や猟書家『ロロサエル』の力を結界で鈍らせて戦局を有利に進めることが判明した。陰陽師たちの力を借りて戦闘を進めてほしい」
 最後に、猟書家『大天使ロロサエル』のユーベルコードを深耶は説明する。
「恐らくは月にまつわる逸話や権能を有した天使なのだろうな。そこにサムライエンパイアの文化も混じっている」
 一つは、日本刀による隙無き連撃による広範囲攻撃。
 一つは、月にまつわる刃、羽、呪言の権能。
 一つは、魔眼と呪言による精神肉体両方内部から蝕む炎。
「これらはいずれも強大だが、陰陽師たちの力を借りれば凌げるだろう。それでは転移の術式を開始する!」
 彼女のグリモアである妖刀の妖気が煌めき、転移の術式が進行していく。
 それが完了したとき、猟兵たちがいるのは今侵攻を阻止せんと陰陽師たちが奮戦する絢爛な都市、『京』だった――。


黒代朝希
 サムライエンパイアの猟書家戦第二弾です。


 プレイングボーナスは第一章、第二章共通して
『陰陽師と協力する(戦力としては不足ですが、結界で敵の動きを鈍らせることができます)』
 です。

 それでは、皆さんの良いプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『蒐集者の手毬』

POW   :    あなたと共に在るために
【自身がよく知る死者】の霊を召喚する。これは【生前掛けてくれた優しい言葉】や【死後自分に言うであろう厳しい言葉】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    理想郷にはまだ遠い
【自身と同じ能力を持つ手毬】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    いつか来る未来のために
小さな【手毬】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【全ての望みを再現した理想郷】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神樹・鐵火
ただの毬とはいえこいつは屍の魂が宿った幻術の類か
むぅ、嘗て私を崇めた人間の戦士共とか出されるのか...
当時みたく崇められたらその、殴り辛いではないか
陰陽師らよ、結界術で呼び出された死者の惑わしを妨害してくれないか
結界を遮って漏れてくる言葉は羅気で跳ね返す

惑わしの言葉さえ遮れればただの影だ
すまんが、昔の事過ぎて忘れたよ
力溜めした魔拳で、見せしめに一番近い毬を握り潰し焼却だ
姑息な手を使いよって、戯け者が
召喚された霊ごと毬は鋭拳で切り裂き(傷口をえぐる)
魔力溜めした鬼神蹴撃で手頃な毬を蹴り飛ばし、複数個体を巻き込んで消し飛ばす
毬は毬らしく、蹴られるべきだろう?そうだろう?



「ただの毬とはいえこいつは屍の魂が宿った幻術の類か。むぅ、嘗て私を崇めた人間の戦士共とか出されるのか......当時みたく崇められたらその、殴り辛いではないか」
 と、安倍晴明が宿った鞠の群れをみて唸るのは神樹・鐵火(脳筋駄女神・f29049)。
「陰陽師らよ、結界術で呼び出された死者の惑わしを妨害してくれないか」
「了解しました。ご武運を祈っております」
 その神樹の言葉に応えた陰陽師たちが、鞠の群れへと結界術を展開していく。
「惑わしの言葉さえ遮れればただの影だ」
 そう呟き、神樹は物理的法則を無視して蹴り飛ばす蹴りを叩きつけて鞠の群れの先陣を切っていた鞠を吹き飛ばした。
「『鬼神蹴撃(キシンシュウゲキ)』――寝てろ!」
 今、京の運命を賭けた戦いの火ぶたが切られたのであった。

「すまんが、昔の事過ぎて忘れたよ……姑息な手を使いよって、戯け者が」
 怒りを込めて、鞠を粉砕する神樹。それは自らを崇めていた者たちを玩弄されたからの怒りか。次に蹴り飛ばされた鞠は着弾地点にて複数個体を巻き込んで消し飛ばすほどの威力を見せつけ、一人の女を囲んでいるはずの鞠たちに恐怖を与えていた。
「毬は毬らしく、蹴られるべきだろう?そうだろう?」
「『成程、やはり猟兵。こういった搦手を使っても容易く攻略されてしまうとは』」
 そう、ねじ切られた鞠の残骸から声が響く。
 それは、何の因果か。かつてサムライエンパイアの運命を賭けた戦いで猟兵たちと争い、敗れて骸の海へと還っていった陰陽師にして魔軍将――『安倍晴明』。その声色が、クルセイダーが施した『超・魔軍転生』によって鞠のオブリビオンに憑依することで再来したのだ。
「……ほう、これが」
「『貴方はどうやら猟書家が活動してから覚醒した猟兵の様、ならば私の名を名乗りましょうか』」
 そう、ボロ屑に――それでいて、どこかカーテシーをした淑女めいた形状となった鞠は一例をするかのように、
「『安倍晴明』、お見知りおきを」
 そう言い放ち、そして神樹の物理的法則を無視する蹴りによって吹き飛ばされていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
対応武器:黒燭炎

陰陽師たちには、動きを鈍らせるような術を頼もう。毬相手だと当てにくいのよ。
対霊は構わん。想像がつくし、ちとわしにも不都合がある。
んあ?ああ、お主たちにはわかるか。わしらは悪霊なれど、人を守ると誓いし者である。
安心するがよい。

…なあ、よく知る死者は、身の内にいる。すでに、共にあるのよ。
それを知らず、よく騙せると思うたな?
炎属性なぎ払いの2回攻撃を。燃えよ砕けよ。不愉快だの。



「鞠相手だと当てにくいの……陰陽師たち、動きを鈍らせてくれると助かるのだが」
 そう馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一人格、第三『侵す者』――武の天才は戦略眼を働かせ、陰陽師たちに指揮を出す。
「ッ!!逃げ遅れた人ですね!!待っていてください!!今このモノノケの動きを止めるだけじゃなく……!!」
「ああ、対霊は構わん。想像がつくし、ちとわしにも不都合がある」
「え?」
 そうやんわりと助勢を断って『侵す者』は弓を取り出して跳ねまわる鞠に対して矢を弓に番える。
「……そうか、貴方は……将軍様から「天下自在符」を与えられた……!!」
「んあ?ああ、お主たちにはわかるか。わしらは悪霊なれど、人を守ると誓いし者である。安心するがよい。」
 そう、にこやかな笑顔を陰陽師たちに向ける『侵す者』。
「…そして、なあ鞠風情」
 しかしその柔らかな微笑はオブリビオンに向けられると、冷たい怒りに満ちた者へと変化する。
「よく知る死者は、身の内にいる。すでに、共にあるのよ」
 彼らは元々は四人の人間であった。しかし、オブリビオンによって故郷は壊滅し、全員が戦死した。
 しかしその魂は長い間漂っていたが、此度、四人で一人となって現れて猟兵として復活したのである。
「それを知らず、よく騙せると思うたな?」
 故に、良く知る死者――その真実は疑う域にはない。真実は正しく、己の魂の中にあるのだから。
「燃えよ砕けよ。不愉快だの」
 瞬間、鞠の群れは炎を付与した薙ぎ払いによって殲滅される。

「我が同胞……それは、今全員が全員、この身の中で共にあるのだから」
 それこそ、彼らの譲れない真実。それを愚弄するとするなら。
「……許せぬよなぁ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

楜沢・紺
●あなたと共に在るために
では紺の祖父、立派な着物を着た妖狐の老人が現れます。

爺(じい)! 爺だ! 京都にきたんだね!
爺が生きてた頃はあんな嫌がっていたのにねえ。
天気が悪いとか、腰が痛いとか、京都には陰陽師が居るとか……

結界も呪符も要らないよ、陰陽師の人達には真言を唱えていてもらう

泰山府君の祭、その陰陽道の主祭神は人の命運や地位を司る
手にした禄命簿には全ての者の真の名が記録されていてる
泰山府君を奉る真言が唱えられる中では正体を偽る事は出来ない。
あの有名な玉藻前もこれに正体を暴かれたんだって。爺言ってたね……。

どうしてか知らないけど。
どうせ自分で考えろっていうんだろうけどさ。
また何時か、会おうね。


リゼ・フランメ
安倍晴明――確か、カルマの蒐集者
生きていた頃も、相当な悪巧みを企てていたわね
果たすべき目標がないからこそ、飽きを晴らすべくと重ねた数々
それこそが晴明の罪咎
命を弄ぶ者のそれを……天使が扱うなんて、なんて皮肉

まずはUCを発動させ、破魔の力を乗せた羽根を周囲に散らして飛翔するわ
結界を蝕む邪気に、死者の怨念
手鞠の姿ごと焼き払ってみせましょう
そして、私の炎の羽根たちを
結界の一助たる神聖なる篝火として

結界にて動きが鈍れば、全力で駆け抜けて
飛翔の速度を力として剣に乗せ、罪を断つ焼却の刃として一閃
すれ違い様に鞠を斬り払うように、次々と早業で切り込んでいくわ

月の霊性は幻惑
故に、私は私の理想の炎を見失わなず抱いて



 激戦極まる『京』、争いに満ちても絢爛な街の一画に立派な着物を着た妖狐の老人が現れる。
 それを観て、一人の童女じみた愛くるしい容姿の妖狐が反応する。
「爺(じい)! 爺(じい)だ! 京都にきたんだね!」
 楜沢・紺(二ツ尾の妖狐・f01279)、
「爺(じい)が生きてた頃はあんな嫌がっていたのにねえ。天気が悪いとか、腰が痛いとか、京都には陰陽師が居るとか……」
 あはは、と朗らかに幻の祖父へ笑顔を向ける紺、対峙する紺の祖父は陰陽師たちには結界を張るなどして猟兵たちの援助を行うことで精いっぱいの為精密には読み取れないが、微かに笑っていたようにも思える。
「でも、結局こうして来たんだねぇ……生きていた頃の小さな慙愧が図らずも払えちゃった」
 そう嬉しそうにまくしたてながらも、そこでにこやかに話しを一区切りする。
「――結界も呪符も要らないよ、陰陽師の人達は真言を唱えていて」
 瞬間、人が――否、狐が変わったかの如く凛とした表情で幻の祖父に攻撃を加える紺。
 過去の慙愧を払うに幻に耽溺するのは猟兵という未来と世界の守護者としてしてはならないし――
「爺(じい)、言ったよね。妖狐は偉業を成し遂げた時に尾が増えるってね……今、二ツ尾になったよ」
 そしてその猟兵としての在り方を『妖狐は何か大切な事を学んだり大きなことを成し遂げると 一本ずつ尻尾が増えていく』という伝承に基づいて自分を高めるために挑む紺としてもあり得ない。
 ここからは、漸進するがために虚構を払う。

「安倍晴明――確か、カルマの蒐集者」
 そこに馳せ参じたのは赤いルビーのような瞳と鮮やかな赤い髪の毛、そこにドラゴニアンとしての滑らかな印象を与える角を頭部の両側から生やした少女、リゼ・フランメ(断罪の焔蝶・f27058)。
 物静かさは夜のように。軽やかな声は蝶のように――胸に抱いた想いは苛烈なる炎そのもの。断罪者としての側面を炎の如き在り方で完成させた焔を操る少女は、目の前の敵の本質について語る。
「生きていた頃も、相当な悪巧みを企てていたわね」
 そう語るはこの鞠に憑装された魔軍将について。
「果たすべき目標がないからこそ、飽きを晴らすべくと重ねた数々――それこそが晴明の罪咎」
 稀代の陰陽師としての力を、己の退屈しのぎの為に悪用した。それこそがこの憑装によって再現されたオブリビオンの本質。
「命を弄ぶ者のそれを……天使が扱うなんて、なんて皮肉」
 如何にも。異なる者を廃して己が道を突き進めて轢殺し、轢殺した後の轍から都合の良いように再構築する。天使という概念を最も普遍的にしたとある宗教、その負の側面を体現したが如き存在である。
「ならばこそ――炎を操る者として、灼して滅しましょう」
「『……それは、それは。アルダワに赴いた『彼女たち』が聞いたら効きそうな言葉を……』」
 刹那に展開されるは膨大な霊力、そして陰陽道の最高奥義に由来する『泰山府君の祭』を讃える真言と焔の蝶が如き断罪の炎が領域を広げる様に拡散していき、顕現していく。

「泰山府君の祭、その陰陽道の主祭神は人の命運や地位を司る……そう、爺(じい)は陰陽道の修行の時に教えてくれたよね」
 哀悼の感情を滲ませながら、幻影の祖父へ語り掛ける紺。
 その陰陽師たちが唱えていく『泰山府君の祭』の真言の意味は、全ての者の真の名が記録しているが故に全ての偽りを暴く。
 ならばこそ、泰山府君を奉る真言が唱えられる中では正体を偽る事は出来ない。
 唱えている陰陽師たちは猟兵ではない。しかし、京の防衛戦に招かれているという時点で陰陽師として傑物と言える。
 そんな彼らが一斉に唱えれば――姿を偽った幻など、消えてしまう。
「あの有名な玉藻前もこれに正体を暴かれたんだって。爺言ってたね……もう、語ってくれないか」
 消えていく祖父を見送りながらそう、ポツリと呟く紺。
 しかし、真の姿となった鞠たちは安倍晴明の霊力を用いて突貫してくる。
 だが、陰陽師たちが見るのは惨劇ではなく奇跡。
「『熾天使の舞踏』」
 安倍晴明。死してもなお災厄をサムライエンパイアにふりまくその蛮行を断罪するは――白き翼を持つ竜の天使。一瞬で、安倍晴明から抽出されていた霊力ごと大量の鞠が消え去った。
 リゼが変身型ユーベルコード『熾天使の舞踏』を用いて天使へと変貌し、紺へ殺到した鞠を焼き払ったのだ。
 そして、戦場全域に降り注ぐは触れると炎に変わる羽根。それが先のリゼの一撃から逃れた鞠を焼却し、浄滅していく。
「まだよ。私の炎の羽たちよ、京を守護する結界の一助たる神聖なる篝火となりなさい」
 瞬間、形のない力場である結界と同化するかのように炎の羽が空間に融けていく。
 それを以て強化された結界により鈍る敵の動き。そこを突くことで――リゼは一瞬で全ての鞠を焼き薙ぎ払った。

「(……月の霊性は幻惑)」
 そう、天使の姿のまま『骸の月』に侵食されたサムライエンパイアの月を見るリゼ。それを観て、断罪者たる焔の少女は強く思うのだ。
「(故に、私は私の理想の炎を見失わなず抱いて)」
 そう、突き進むその先へ呟いた。

「どうしてか知らないけど。どうせ自分で考えろっていうんだろうけどさ」
 そして、紺は静寂の戻った京の街を観ながら呟く。
「また何時か、会おうね」
 そう、突き進んだ果てを想った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『大天使ロロサエル』

POW   :    月閃乱撃
【日本刀による隙無き連撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    月呪審判
【三日月の如き刃】【朧月の如き羽】【月蝕の如き呪言】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    月焔邪視
【魔眼や呪言】を向けた対象に、【精神や身体の内側から蝕む焔】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠筧・清史郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リゼ・フランメ
これが大天使ロロサエル
……携える刀と同様、目的の為に研ぎ澄まされた存在と霊格
けれど、美しいとは違う

「抱きし夢、理想の色彩をその裡で揺らすの」

憧れ、追い求め、現実に夢を結ぶべく在りし人の色彩こそ美しいのだから

「貴方を刃と炎で散らし、この京の都に雪と降り注がせましょう」
或いは、炎で灼かれた純白の灰として

隙なき連撃、それも広範囲に渡るというのなら先を譲り、狙うは後の先
距離を取り劫火剣を構え、刀の連撃を待つ
例え隙や綻びがなくとも、技の出始め、起こりは一瞬の隙がある
上段に隙を作り、中・下段には焼却+オーラ防御で陽炎を発生させ、攻め辛くし
攻め筋を誘い、迎え撃つ
刹那を見切り、早業で神速の刃
届けば焔蝶の舞踏よ


楜沢・紺
天使……そんなものとは初めて対峙するな。
天狗――とは違うのかな? 

でも、剣を持つのなら剣豪として勝負させてもらう
天狗は優れた剣士だと昔話でも言われてる。
ボクも妖狐多刀流を見せよう。
両手に刀二つ、刀に剣二つの四刀流だ!

月閃乱撃には隙が無い。
それなら今度こそ陰陽師の人達に、ボクの残像に結界を張ってもらうよ。

結界で守られた残像を僕か偽物か判断するのは難しい
普通は残像と本体の中から一つを選んで攻撃する。
でも君は見極めるまでもなくその技ですべてを攻撃できる。
できるからきっとするだろう。

どれか一つでもその剣が残像に張られた結界の破壊に時間を取られれば
その隙に僕の刀が剣刃一閃を叩き込むよ!


神樹・鐵火
天人に化けた妖魔だろう、貴公は

剣術は見切りで避け、攻撃に合わせて弾き返し(ジャストガード)
体勢を崩した所にカウンターを入れる
刀はで受け止め、へし折る(武器受け)
天人の真似をする妖魔如きにその翼も不必要だろう
魔拳の魔力を溜めた一撃で地面へ叩き落とし(重量攻撃)
鋭拳の槍を投擲し地面に固定する
苦し紛れの邪視の呪いは殺気を込めた羅気で進行を遅らせる
だが身を焼く事は私を余計奮い立たせる事になるのだよ
私は火の神だからな
追撃で多重詠唱・高速詠唱で短時間で威力を増した陰陽魔弾を叩き付ける
絶えれば耐える程、貴公は魂を焼かれ苦しむだけだ
一思いに消し飛んだ方が楽ではないか?
どうせ何も考えていない空気の様な存在だろう


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
引き続き『侵す者』
武器持ち替え:灰遠雷

陰陽師には、動きを鈍らせることに集中してもらおうかの。

…わしはな、先ほどから機嫌が悪い。
あのような幻見せられて、機嫌が悪くならぬ方がおかしいのだ。…まあ『疾き者』なら表には出さぬだろうが。

このUCにより、この雷矢からは逃れられぬ。呪詛と炎もつけたのだ。…わしらの怒りを思いしれ。
防御は四天霊障での防御オーラで行おう。
ああ、陰陽師たちに攻撃がいくようならば、庇うようにも動こうかの。



 ――月を蝕む、悪意が具現化する。
「やれやれ、魔軍将「安倍晴明」を憑装した私の配下を屠るとは、流石はオウガ・フォーミュラとなる猟書家三人を下しただけのことはある」
 ――左手には侵略蔵書を、右手には日本刀を、衣装はカソックと着物を複合させたような、キリシタンを彷彿させる典雅な存在。
 しかし忘れるな。この存在が京に襲撃したオブリビオンを嗾けたという事を。
 この者は猟書家『大天使ロロサエル』。紛れもないオブリビオンだ。

「これが大天使ロロサエル……携える刀と同様、目的の為に研ぎ澄まされた存在と霊格」
 確かに、その姿は荘厳とも言えるだろう。
「けれど、美しいとは違う」
 そう敵の本質を見誤ることなくリゼ・フランメ(断罪の焔蝶・f27058)は【劫火剣「エリーゼ」】を構え、謳う。
「抱きし夢、理想の色彩をその裡で揺らすの」
 夢に憧れ、理想を追い求め、現実にそれらを形に結ぶべく漸進する在りし人の色彩こそ美しい――
「故に、貴方を刃と炎で散らしてこの京の都に雪と降り注がせましょう」
 そう人の生きる真を信じる少女は、空間から焔を迸らせながら大天使ロロサエルへ突撃する。

「天使……そんなものとは初めて対峙するな。天狗――とは違うのかな?」
 江戸時代の日本に似た歴史を辿る島国「エンパイア」、それは西洋という概念がサムライエンパイア単体では存在しない世界。であるが故に楜沢・紺(二ツ尾の妖狐・f01279)がそう言う感想を抱くのはある種当然であった。
「私を木っ端の天狗扱いとは無礼ですね」
 そう不機嫌そうに刀を構える大天使ロロサエル。似た造形であることは理屈では理解しても妖怪扱いされたのは面白くはないだろう。
「それは失敬。でも、剣を持つのなら剣豪として勝負させてもらう!」
 僅かに怒りを滲ませたロロサエルの姿を見た紺も己の刃を構えて戦闘態勢に入る。

「天人に化けた妖魔だろう、貴公は」
 眦を上げて神樹・鐵火(脳筋駄女神・f29049)は大天使ロロサエルを見上げる。
「天人の真似をする妖魔如きにその翼も不必要だろう。叩き折ってやる」
「それはそれは恐ろしい。ですが可能ですかね?」
 右手に構えた日本刀の切っ先を神樹に向けながら大天使ロロサエルは薄く嘲笑の笑みを浮かべる。
 その笑みに対して言葉でなく炎を纏った拳を振り上げて鋼鉄と炎を司る戦神「イクサビノヒメ」は返す。
「出来るとも。私は火の神だからな」

「陰陽師には、動きを鈍らせることに集中してもらおうかの」
 遠くから笑みを――細めた眼は、全く笑っていないが――浮かべる和装の弓兵、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は雷の力秘めし強弓【灰遠雷】を取り出す。
 顔に浮かべた笑みを消して明確に不機嫌な感情を表に出しながら。
「…わしはな、先ほどから機嫌が悪い。あのような幻見せられて、機嫌が悪くならぬ方がおかしいのだ」
 そう呟くと『侵す者』は強弓の弦を引き絞り、大天使ロロサエルを撃ち落とすべく狙撃体勢に入る。
「(…まあ『疾き者』なら表には出さぬだろうが)」
 この状況に対して「四人で一人の複合型悪霊」として猟兵に生まれ変わることで一心同体ならぬ「四心同体」として運命を共にする同胞の一人を想いながら。

「では、まずはこれから行きましょうか――『月焔邪視』」
 ユーベルコードの銘を唱えると同時に出力を上げていく大天使の魔眼と呪言。しかし恐るべきはその膨大な出力そのものではない。
「――ッ、ロロサエルの魔眼や呪言の照準に入っては駄目!」
「ち、なかなか厄介なユーベルコードを……」
 その性質に一早く気が付いたのはリズと神樹。二人の言葉を聞いて紺と『侵す者』は盛大に回避行動を取る。
 その姿を見てロロサエルは薄く微笑む。
「成程、炎を得意分野とする猟兵でしたね。ならば気が付くのも早い」

 瞬間、魔眼に写された大地と呪言に蝕まれた建築物が「内側から燃えた」。

「ちょ、只の発火の妖術じゃないね!?」
 思わず声を上げてしまう紺。その言葉に『侵す者』は『月焔邪視』の性質を言葉にする。
「魔眼と呪言を対象に向けることによって内部から炎で焼き付くすユーベルコード。しかもこれは……」
「ええ、本来は知的生命体が喰らえば肉体だけでなく精神も蝕み焼き尽くします」
 そうロロサエルがユーベルコードの正体を口にしたと同時に、彼の眼前を烏が過ぎる。
 瞬間、絶叫を上げながら地面へと墜落。更に体の内側から発火してのた打ち回りながら絶命する。
「……邪炎と呼ぶにふさわしいな」
「ええ、これは当たったらただじゃすまないわね……」
 焔を操ることを得意とする猟兵二人を以てしても性質が悪いとしか言えないユーベルコード。
 その反応を面白がるようにロロサエルは薄く微笑む。

 次なる驚異のユーベルコードの発動準備を済ませながら。
「では、次に行きましょうか――『月呪審判』」
 瞬間、戦場に展開されるは膨大な『三日月の如き刃』と『朧月の如き羽』、そして『月蝕の如き呪言』の瀑布であった。
「ああ、三つ全てに命中したらユーベルコードが封じられますのであしからず」
 ロロサエルの言葉を聞いたと同時に炎拳、火剣、雷弓、そして多刀流が三つ全てを弾かんと奔る。
 その中で特筆すべきは紺がとった対処法と言える。
「ならば、ボクも妖狐多刀流を見せよう。両手に刀二つ、刀に剣二つの四刀流だ!」
 言葉通り四つの刀を振るって月にまつわる刃、羽、呪言を切り落としていく紺。
「支援する……!!」
 そこに雷を纏った矢を放ち紺に迫り来る刃を撃ち落としていく『侵す者』。
 彼は猟兵だけでなく支援を担当する陰陽師たちも守るべく、雷速の矢と複合型悪霊としての霊障の力【四天霊障】を用いて陰陽師たちを庇っているのだ。
「見事な腕前です」
 その猟兵たちの実力に対して素直に感嘆の意を見せるロロサエル。
「――『月閃乱撃』」
 ――全ての刃と羽と呪言を猟兵が撃ち落とした刹那、己が有する絶剣を彼らに放ちながら。
 「日本刀による隙無き連撃を放つことで広範囲の指定した対象を攻撃する」という簡素故に驚異的な剣戟が猟兵たちに迫る。

「隙なき連撃、それも広範囲に渡るというのなら……」
 それを見据えて、リゼは迫り来る連撃を待ち構える。
 劫火剣を上段に隙を作り、中・下段には炎のオーラで陽炎を発生させることで攻め辛くする構えを取りながら。
 ――狙うは。
「先を譲り、狙うは後の先!」
「それは見事、ですがそれだけで――」
「それだけじゃないよ」
 リゼに対するロロサエルの嘲笑を遮ったのは紺の声。
 それは多方向から同時に発せられる。
「分身?いえ残像ですか。ならその中から――ッ」
 そう心眼を研ぎ澄ませて切り倒さんとしたロロサエルは声が詰まった。
 その理由とは。
「今度こそ陰陽師の人達に、ボクの残像に結界を張ってもらったのさ」
 ――結界で守られた残像を本物か偽物か判断するのは本来、難しい。
 故にこの状況に置かれたなら残像と本体の中から一つを選んで攻撃するという判断を取るだろう。
「でも君は見極めるまでもなくその技ですべてを攻撃できる」
 そう、広範囲でほぼ同時に攻撃を放てるロロサエルなら話が別だ。
 だが、それは。
「全ての残像に張られた結界を破壊するのに、時間がかかるでしょう!」
 そうリゼが唱えた問題に思考を費やしたロロサエルには隙が出来てしまった。故に勝機とみたリゼが迫る。
「ク、ならば同時に……迎え撃つまでです!」
 一閃――轟音が鳴り響くと同時に現れた光景は、全ての迫り来る剣と残像を切り捨てたロロサエルの姿。
 彼は多方向から同時に迫り来る攻撃を凌ぎ切って見せたのだ。

 ――パキリ、という音がロロサエルの右手から響く。
「な……?刀剣が、折れた……?」
 根元から折れた刀身、一体どういうユーベルコードで可能にしたかと思考を巡らせようとしたロロサエル。
 しかし、天啓じみた発想に思い当たり戦慄する。
 それは、
「『剣刃一閃』……!?自らのオリジナルに改造していなかったのですか!!」
 そう、先程『剣豪』である紺の刃を迎撃したことから思い当たった真相。
「自らを卑下する必要はない。どうせ何も考えていない空気の様な存在だろう」
 瞬間、後頭部を熱した棍棒で殴りつけられたような衝撃が走る。神樹が身を潜めて死角から炎を纏った拳で殴りつけたのだ。
 しかも、その炎はただの炎ではない。何せロロサエル自身がその性質をよく知っているのだから。
「『月焔邪視』の炎……!?一体どうやって」
「さてな、どうやってだと思う?」
 鋼鉄と炎を司る戦神「イクサビノヒメ」の姿を地べたから見上げながら問いかけるロロサエル。
 しかし、自らの刀を失ったからくりに即座に気が付いた聡明さというのはまたもや驚くべき事実に思い当たる。
「まさか……先程私が放った『月焔邪視』。あの時わざと喰らっておいて自らの内部で燃やして、炉心として抽出したのですか!?」
「私は鋼鉄と炎を司る戦神。不可能では決してない……それよりもよそ見をしていいのか」
「――『焔蝶の剣舞(ブレイズ・ワルツ・シュメッターリング)』」
 ロロサエルの身体に突き刺さるは【劫火剣「エリーゼ」】。
 それが白く輝くと同時、ロロサエルの身体から触れたものを焼き尽くす火焔の蝶たちが大天使を内部から焼き尽くしながら顕現する。
「……!!侮り過ぎたようですね。ここは……引かせてもらいます」
 そう言うや否や天使の翼を広げ、天へと飛翔したロロサエル。

 しかし、それは愚策であった。
「『四天境地・雷』――悪霊からは逃げられない」
 大天使を穿つは、『侵す者』が放った呪詛の込められた雷の矢。それがロロサエルを追尾して突き刺さり、焼き尽くしていく。
「弓兵がいるのに飛翔するとは、愚策も愚策よ」
 そう地面に激突する前に完全に骸の海へと還った大天使を見上げながら、『侵す者』はそう呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月04日


挿絵イラスト