真珠梅と、黒と白
●かわいい。
「掃除をしてきてもらえるか」
真面目な顔で、春日・ひなの(花散らし・f10274)が言った。
「場所はサムライエンパイアの『梅の香茶屋』という。その……なんていうか……いや」
ひなのは非常に説明しづらそうに言葉を濁してから、意を決したように告げる。
「かわいいんだ」
猟兵たちは耳を疑った。「かわいい」? 何が可愛いというのだ。
「オブリビオンが、かわいいんだ! 黒いのと白いのがもふっとしてて、そいつらがもふもふっと、こう、なんというか、ころころむくむくきゅうきゅう、うわああああ」
錯乱した。
「わ、私にはとても倒せない。強敵だ。心してあたってくれ。いや、倒すなんて、掃除でいい、掃除なら、その、倒すというよりも柔らかいだろう?」
要はかわいいもの好きのひなのである。
しばらく見えたものに悶えてから、ようやくきちんとした説明を開始した。
●梅の香茶屋にて
説明をまとめるとこうだ。
とある地方に「梅の香茶屋(うめのかちゃや)」という大きな茶屋がある。
名前のとおり、茶屋の庭にある梅は絶品で、「真珠梅」と呼ばれる特殊なものなのだという。まるで、木に真珠が咲いているようにも見える大粒の梅の花だ。
真珠梅が咲く頃は、見物客も多く、茶屋も特別な献立を用意して張り切っている。まるで祭りのように賑やかになる。
だが、その梅の香茶屋をオブリビオンがのっとってしまったのだ。
幸いにして茶屋の店主や従業員は無事だが、何も知らない見物客が襲われると大変なことになる。なにせ、祭りのような賑わいになるのだ。犠牲者も多く出ることになるだろう。
その前に、オブリビオンを倒す(というか掃除というか)してほしいということになる。
「茶屋の中での戦闘だからな、あまり派手な技を使うと茶屋を壊してしまう。そのあたりは配慮してもらえれば助かるが」
ひなのは茶屋の見取り図を猟兵たちに開いた。
まるで屋敷のような広い茶屋だ。個室がいくつもある。
「どこに手下が隠れているのかわからない。あちこち探しながら掃除してほしい」
親玉は真珠梅のある庭にいるので、見つけることはたやすいだろう。だが、こちらも梅を傷つけないような配慮は必要だろう。
「終わったら、真珠梅を見物することができる。庭を一望する部屋で、梅餡をつかった甘味や抹茶などをいただきながら、春の訪れを感じてきてくれ。まんじゅうや最中、団子、あんみつなど甘味はさまざまあるぞ。変わったところだと、梅茶だな。梅の香りがするほのかに酸味のあるお茶だ。うまいと思う」
まるで茶屋の回し者のように力説するひなの。
一戦終わったあとの梅見は格別だろう。もちろん、掃除だけでも、梅見だけでも構わない。
「もう一度言うが、かわいいが強いぞ。心して掃除してくれ」
ひなのは猟兵たちに頭を下げた。
碧海
碧海と申します。
今回はもふっと倒して梅見をする、ほんわか依頼です。
敵はプレイングに応じて本気でかかってきたり、もふっと攻めてきたりしますので、どうぞキャラクター様に応じた掃除方法でお願いいたしますね。最低限「倒します」と書いてあれば倒せます。
第一章の探索はフレーバーと思っていただければ。こんな部屋とご希望があれば描写しますし、なければこちらで適当な場所をご用意いたします。
ちなみに室内ですので、家屋を壊すような技は失敗判定となります。お気をつけください。
梅見はご自由にお楽しみいただければ。ひなのは呼ばれなければ出てきませんので、気心のあう皆様同士でごゆっくり過ごしていただければと思います。
リプレイ執筆時間などはマスター紹介ページもご覧くださいませ。
ご参加、お待ちしております。
第1章 集団戦
『ススワタリ』
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POW : まっくろくろすけの通り道
【対象が煤だらけになる集団無差別体当たり 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : かつての住処
【ススワタリがかつて住んでいた巨大な屋敷 】の霊を召喚する。これは【扉から射出した大量のミニススワタリ達】や【窓から射出した巨大ススワタリ】で攻撃する能力を持つ。
WIZ : 煤だらけ
【対象に煤が付くフンワリあたっく 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を煤で黒く塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
赫・絲
マスクおっけー、汚れてもいいよーにジャージおっけー、エプロンおっけー!
お掃除の準備万端! しっかりオブリビオンのお片付けしていくよー!
お茶屋さんを傷つけないように普段使っている鋼糸は使わない
どうしても広範囲に広がっちゃうしね
代わりの大鋏をしっかり構えて屋内の探索
どの辺りにいるだろ?
縁側があるお部屋とかあったら縁側の下とかにいないかな、探してみよっと
見つけたら鋏でお掃除開始!
間違って床や柱を傷つけたりしないように、
一体ずつ斬ったり潰したりして、しっかりお掃除していくよー
煤だらけになってもいいように準備はしたけど、
あんまり食らうとむせそうだね
攻撃は【見切り】の技能を使ってできる限り避けていきたいな
サフィリアリス・エレクトラガント
あらあら、なんともほんわかした依頼ですね
黒くてふわふわして可愛らしい……
でも何というか煤だらけで触れると黒くなっちゃいそうですね
美味しいお茶屋さんを乗っ取ってしまった悪い子にはおねえさんがお仕置きしますね、めっ!って。
あまり派手に暴れるタイプのユーベルコードは控えましょう
使うユーベルコードは「魔王の威光」
聖女のような微笑みを彼らに向けるだけ、それだけで暗黒の魔力で彼らを攻撃できる、そのため建物を壊すことはないでしょう
可愛い外見の相手ですので心苦しいですが悪いことをしているのが事実
暗黒の魔力に含まれる恐怖の誘発効果を、技能【恐怖を与える】で高めて恐怖に震えて大人しくしていただきましょう
井瀬・奈那
お掃除の基本は上から、でしたよね。
ハタキで棚の上などを掃除していきましょう。
ふふ、お掃除は意外と好きなほうなんです。
人知れず鼻歌をうたいながらハタキ掃除が終われば乾拭きをしていきましょう。
…それにしても。あのもふもふの姿。
どこか憎めず倒すのも些か決意が鈍ってしまいそうです…。
でも、もしも大丈夫であればもふもふ、してみたいなぁとか思ったりも。
愛嬌に屈して本来の目的を忘れそうになりそうです…。
でも心を鬼にして倒します。
…倒します、が。もう少しだけモフりたいです…、ダメでしょうか。
真幌・縫
敵がかわいいの?そっかかわいいのか…かわいいのは倒すのかわいそうになっちゃうよね。かわいいお菓子を食べられないあれと一緒で。そうだねーめっ!ってするだけならぬいにも出来るかな?がんばるよー。反省してくれたらいいけどオブリビオンだもんねぇ。
とりあえずまずはお掃除かなーホコリや煤ははいてしまえー邪魔をするなら灰も残らないくらい燃やしちゃうよ。
キャロライン・ブラック
可愛らしい、というのは本当ですのね
黒くてふわふわで、つぶらな瞳はおっしゃる通り、倒し辛く存じます
ですが、それはそれこれはこれ
……というのは、UDCアースの言葉だったかしら?
ともかく、人に迷惑をおかけするのでしたら、しっかりお掃除いたしませんと
さて、煤の様なオブリビオンですから
やはり潜んでいらっしゃるのは調理場でしょうか?
屋内であることも加味し、射程の短いユーベルコードで
一体ずつお掃除して参りましょう
ワンドの先端に塗料を溜め、そのまま振り下ろして攻撃いたしますの
外さぬよう、しっかりと狙いをつけて参りますわ
台詞改変・アドリブ等、歓迎いたします
アンテロ・ヴィルスカ
碧海君(f04532)と協力して一掃しよう
お付き合いどうも、碧海君はこういうのが好きそうだ
さぞかし捗るんじゃないかい?
しかし立派な店構えだねぇ…
庭を一望できる二階の個室なんかあればいいのだけど
敵のついでに探してみようか?
部屋の中では流石にムスタ・タンマは呼べないな
仕方がない、俺は【SPD】聖の檻を。
17本もあれば十分だ毛玉の反応を見つつ、菓子か何かをチラつかせて
【おびき寄せ】サクサクッと毛玉を突いて掃除してしまおう。
………なんだい碧海君、その目は。
仕事だぞコレは?(黒い鎧の下でニヤァ)
待て、何故俺にオペラツィオン・マカブルを向けるんだ。
アドリブ歓迎
碧海・紗
アンテロ・ヴィルスカ(f03396)さんとご一緒に…
わぁ、可愛らしい「黒いの」!
倒せない気持ち、とてもわかります。
捗る…でしょうか…
けれどお掃除をしなければ大変なことになりますもんね…
室内ですから控えめを心がけて
個室の隅や物陰にいそうなイメージ
アンテロさんは可愛いものってどう思います…か…
あっ!なんてことしてるんですか!可愛いのにっ!
彼の突く様をジト目で見て徐に…
【SPD】オペラツィオン・マカブルを使用
からくり人形から排出すれば2倍に…
あら?
うっかり「黒いの」を攻撃してしまったら
「黒いの」以上にジメっとしている
「黒い(羽根のオラトリオ)の」の姿…
アドリブ歓迎
レオナルド・ウラニクス
可愛いものが好きなキャラなので倒すのは可哀想に思うが、梅茶を飲んでみたいので箒とチリトリでそっと掃いて倒します。
よろしくお願いします。
飾磨・霜琳
真珠梅とはまた、簪職人としちゃァぜひ拝んでおきたいもんだね。
その前にひと仕事、掃除を頼まれるのも悪かねぇだろう。
絡みやあどりぶは歓迎だが俺一人でも平気かね
その辺の部屋を覗いてみて、【掃除】しつつあちこち開けてみる
さてと、こっちは……んぶっ、出たな煤ども!
飾り簪の顔に煤つけるたァいい度胸じゃねぇか、覚悟できてんだろうなァ!?
……とまァ適当なことほざきつつ【留刺簪】で倒しにかかろう
いつもなら貫通させる勢いで飛ばすが、できれば壁や床に穴開けねぇように勢いを調節してぇとこだな
一通りしばき倒したら改めて【掃除】だ、次を探しに行く
客商売すんならきれいにしとかにゃァな。
パウル・ブラフマン
【WIZ】
お掃除だね、オレら猟兵に任せて!
【コミュ力】を活かして
事前に茶屋の関係者の方に
この地方に伝わる梅や春に纏わる唄があれば教わっておきたいな。
オレのちょいハスキーな声で【歌唱】する
『サウンド・オブ・パワー』で、皆の戦意向上に役立てるように。
楽しげな唄なら黒いモフモフさんの【おびき寄せ】になるかな?
探索場所は【野生の勘】頼り(MS様お任せ)。
発見次第、触手でパァンって(殴打)するね!
火力が足りなかったらサウンドウェポン(ハンドマイク)
握った方の拳でゴンって(ガチ殴打)するよ☆
倒した後は、雑巾で拭き取りもしておくね。
何か困ってたり
屋敷内で迷子になってる人が居たら手伝うよ!
絡み&アドリブ歓迎!
四王天・燦
二階は任せろ!
『油断大敵』と書かれた掛軸のある牡丹の間に入る。
ここで一戦希望
「なんだ雑魚の顔じゃねーか(笑)」と挑みかかって…
「うぎゃー!」とバトル描写省略して、巨大ススワタリがご丁寧に開けた窓から、怒涛のチビススワタリラッシュで叩き落とされる
「二回戦だ!」
今度はハタキで剣刃一閃…ぺちん。
「うそーん?空気読めよ!」
再び窓から落とされる
「三回戦だ」
神鳴を抜刀!
花瓶を割りそうになって慌てて引込めた隙に窓から(略)
「四回戦…」
真っ黒ボロボロでシーブズ・ギャンビット…ぷすっと刺して倒す。
「最初からこうすべきだった…」
『すす、わた』とダイイングメッセージを煤で残して倒れるぜ
2~4回戦の間に追加は歓迎だぜ
藤野・いろは
・心情
随分と変わったオブリビオンが相手のようですね
どうにも気の抜ける見た目ではありますが、数も多い
十分に気をつけて戦って行きましょうか
・攻撃
動きをよく観察し【見切り】を狙っていきます
相手の大技に合わせてユーベルコード【先の先】、【カウンター】を叩き込みましょう
【破魔】の力を込めた刀で【なぎ払い】です
好機と見れば【2回攻撃】で攻めの手を緩めずいきましょう
・防御
相手の攻撃には【勇気】をもってギリギリまで見定め【残像】を残すような速さで最小限な回避を試みます
回避が困難な攻撃には狙いに合わせて【オーラ防御】で対応し、ダメージを可能な限り軽減
・その他
アドリブ、猟兵の絡み歓迎
●
「梅の香茶屋」は二階建てのとても広い茶屋だ。
屋敷は凹型をしていて、中央と周囲に真珠梅の梅林が広がっている。
いつもは活気に溢れたこの茶屋も、今はなんだか煤まみれでみすぼらしい。
そこへ降り立ったのは必殺掃除人、猟兵たちだった。
「二階は任せろ!」
まず勢いよく茶屋の中へ飛び込んでいったのは四天王・燦(月夜の翼・f04448)だ。
ばーん、と戸を開き飛び込んだのは、牡丹の間。欄干に彫られた牡丹が見事な一室だ。床の間には『油断大敵』と書かれた達筆な掛け軸が飾られている。おそらくは名のある書道家の掛け軸だろう。
燦の目に入ったのは、真っ黒なまんまるのススワタリ。大きな目で燦を見、驚いた様子だ。
「なんだ、雑魚の顔じゃねーか」
燦は余裕綽々の笑顔で武器を構え、挑みかかり(中略)ススワタリが手?でご丁寧に窓を開けた。
「うきゃー!」
怒涛のチビススワタリラッシュで二階から叩き落とされる。
「マスクおっけー」
「おっけー」
「汚れてもいいよーにジャージおっけー」
「おっけー」
「エプロンおっけー!」
「おっけー!」
赫・絲(赤い糸・f00433)が自分の姿を指差し確認する横で、にこにこと真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)が真似をしていた。翼ねこさんのぬいぐるみを抱っこしている縫に、絲は少し考えてから自分のエプロンをつけてあげる。
「汚れちゃうからね、こーしておけばだいじょーぶ」
「ありがとう!」
縫は嬉しそうにその場でくるりと回ってみせた。
各自が掃除用具などの確認をしていると、茶屋の関係者に話を聞きに行っていたパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が戻ってきた。愛嬌のよさをたいそうかわいがってもらったのか、手に何故か大量のお饅頭を持っている。
「この地方に伝わる春に纏わる唄を聞いたら、もらっちゃってさー。はい」
ぽいぽい、とその場にいる面々にお饅頭を配っていくパウル。
「……ありがとう」
梅茶を期待してやってきたレオナルド・ウラニクス(人狼の黒騎士・f13660)だったが、もらったものは無碍にはしない大変温厚な男性だ。ただ、鋭い眼光に細身で厳つい黒鎧を着ているため、なんとなく、こう、オーラが怖そうだ。そんなレオナルドの鎧の腕をぽんぽん、と軽く叩くパウル。
「あんまり固くなるなって。俺がこれから春の陽気な唄を歌ってやるからさ!」
パウルの少しハスキーな声が春の訪れを歌い上げる。ユーベルコード『サウンド・オブ・パワー』。梅が咲けば、春は近いと寿ぐ祭り唄。
皆の気持ちが明るくほぐれ、掃除に向けての意欲が湧いてきたときだった。
親方、二階から女の子が!
「くっそー、二回戦だ!」
二階から落ちてきた燦がまた駆け出していく。
どうやら、掃除も命がけのようだ。
皆は手分けして茶屋へと突入した。
●
再び牡丹の間に突入した燦。今度は油断なく片手にハタキを持っている。
「今度こそ、この剣刃一閃で……」
自信満々にユーベルコードを発動しようとした瞬間、ススワタリたちがぺちんって無差別攻撃をした。
「うそーん? 空気読めよ!」
おかえりは窓から一階へ。
サフィリアリス・エレクトラガント(魔王様の仰せのままに・f13217)は何気なく一階の戸を開けた。煤だらけの部屋の中、ススワタリたちが楽しそうにころころしている。
「黒くてふわふわして可愛らしい……」
聖女のような微笑みを浮かべるも、サフィリアリスは困ったように指を頬に当てた。
「でも何というか煤だらけで触れると黒くなっちゃいそうですね」
言われて、ころころしていたススワタリたちは動きを止めた。
だめ? だめ? くろくなっちゃうのだめ?
まるでそう言わんばかりに大きな目をサフィリアリスに向ける。サフィリアリスは応えるかのように、にっこり。
「美味しいお茶屋さんを乗っ取ってしまった悪い子にはおねえさんがお仕置きしますね、めっ! って」
ススワタリたちは困ったようにころころ部屋の中を逃げ惑う。そんなススワタリにサフィリアリスは聖女の微笑みを向けた。
途端、サフィリアリスから溢れ出すのは暗黒の魔力。
ユーベルコード【魔王の威光(ヒカリアフレルホホエミヲアナタニ)】。ススワタリたちは恐怖で震え上がり、その暗黒の魔力の前にぱたぱたと倒れていく。
(可愛い外見の相手ですので心苦しいですが、悪いことをしているのが事実です)
ふるふると震え、逃げ出そうとするススワタリにサフィリアリスは微笑んだ。
「あらあら、汚しておいて逃げるのは駄目ですよ?」
ススワタリは涙目になって自分の煤を掃除しはじめた。
煤まみれの廊下をのんびりと歩くのは縫と井瀬・奈那(微睡みに溺れる・f05364)だ。
「敵がかわいいの?」
絲につけてもらったエプロンをひらひらさせて、縫は猫耳を動かした。
「ええ、とても可愛いらしいですよ」
奈那はハタキで上のほうの煤を丁寧に落としながら答える。お掃除の基本は上から。奈那は基本を復唱しながら、煤が縫にかからぬように気を配る。
「そっかかわいいのか……かわいいのは倒すのかわいそうになっちゃうよね。かわいいお菓子を食べられないあれと一緒で」
縫は片手に箒を持ち、神妙な面持ちになった。
「そうだねー、めっ! ってするだけならぬいにも出来るかな?」
「大丈夫ですよ、箒も持っていますもの。ちゃんと出来ます」
「がんばるよー。反省してくれたらいいけどオブリビオンだもんねぇ」
縫の言葉に奈那も少し考える。そうなのだ、ちゃんと掃除だけでなく、倒さなければならない。
「とりあえずまずはお掃除かなー。じゃあがんばってくるねー」
縫は奈那に手を振ると、手近な部屋に入っていった。いってらっしゃい、と見送る奈那。
縫の入った部屋は、埃と煤まみれだ。
「全部はいてしまえー」
窓を開けると、埃と煤をまずは掃き出す。縫のまわりをころころとススワタリが転がっていく。
掃く。転がる。掃く。転がる。
「邪魔をするなら灰も残らないくらい燃やしちゃうよ」
めっ、と縫がススワタリを注意すると、ススワタリたちは転がりながら逃げ出した。
一方、別の部屋の棚の上の埃と煤を払い終わった奈那は、鼻歌などをうたいながら乾拭きへと移った。お掃除は嫌いどころか、意外と好きという奈那。乾拭きの手も軽い。
そんな奈那の目の端をススワタリたちがころころ転がっている。
(……それにしても。あのもふもふの姿)
ころころころころ。もふもふもふもふ。煤だらけにして部屋で遊んでいるとしか思えない愛嬌のある姿。
(どこか憎めず倒すのも些か決意が鈍ってしまいそうです……)
そんな奈那は、ひと目がないことを確認してある決断をする。
ころころっとしているススワタリの後ろからそーっと近づくと……。
「えいっ」
もふっとススワタリをもふもふしてみた。煤がもわっと飛び散り、奈那の顔を黒くするが、手触りはなかなかのもふもふっぷりだ。例えるならば大きな綿埃を抱きしめてるような、あんな感じだ(個体差があります)。
驚いたススワタリは大きな目で奈那を見る。愛嬌のある表情に一瞬、本来の目的を忘れそうになる奈那。
(でも、心を鬼にして倒さなくちゃ)
ちょっと力をこめてきゅっとすれば、倒せるだろう。でもそれが、すぐにできず。
(もう少しだけ、もう少しだけ……)
奈那は心ゆくまでもふもふを楽しむのだった。
絲は普段使っている鋼糸は使わず、大鋏「鈍」を携えて屋内の探索をしていた。大剣ほどの刃を持つ鈍色の大鋏だ。
(どの辺りにいるだろ? 縁側があるお部屋とかあったら縁側の下とかにいないかな、探してみよっと)
一階の部屋に入ると庭に面して縁側があった。部屋は煤まみれ。ジャージやマスクで完全防備の絲だが、すぐに煤で汚れてしまう。煤を払ってもすぐ汚れるので、先に「お掃除」をしたほうがよさそうだ。
縁側の下を覗き込む。煤だらけだ。真っ黒な中にころころと何匹かが集まってる。
縁側の柱や床を傷つけぬよう、絲は一体ずつ丁寧に大鋏を向けた。
「恨まないでよね、バイバイ」
ユーベルコード【縁断・躯剥(エニシダチ・ムクロハギ)】。大鋏で一匹を切断すると、ススワタリたちは無差別攻撃をしかけてくる。
「おっと」
さすがに食らうと煤でむせそうだ。見切りで避けると返す刀、ならぬ鋏でススワタリを貫く。大鋏を突き立てた姿はまるで墓標。鈍色が煤で汚れる前に、絲は大鋏を翻した。
そのまま三匹目のススワタリを大鋏で潰す。あっという間にその場の煤が消えていく。
「よし、次へいこー」
ジャージの煤を払うと、絲は大鋏を携え次の部屋へと向かった。
●
「三回戦だ」
三度目の牡丹の間。燦は雷神の鍛えた刀「神鳴」を抜刀する。帯電する刀身をススワタリへ向けかけたとき、床の間の花瓶を割りそうになった。
「危ないっ」
慌てて刀を引っ込めた隙に、ススワタリが無差別攻撃をしかけてくる。
窓からまた落ちていく燦。
黒の瞳をきらきらさせて、調理場のススワタリを見つめるのはキャロライン・ブラック(色彩のコレクター・f01443)だ。
煤のようなオブリビオンならば調理場に潜んでいるとあたりをつけてやってきたが、なるほど調理場は煤だらけ。薪を使って料理していることも関係しているだろうが、その煤の汚れは尋常ではない。
そして案の定、竈のまわりを多くのススワタリたちがころころしていたのだ。
(可愛らしい、というのは本当ですのね。黒くてふわふわで、つぶらな瞳はおっしゃる通り、倒し辛く存じます)
キャロラインの心を見透かすかのように、ススワタリたちは動きを止めてキャロラインを大きな目で見つめた。うるうると潤むススワタリの瞳。キャロラインは思わず微笑む。
「ですが、それはそれこれはこれ」
キャロラインは先端に虹色の宝石のついたワンドを取り出した。ススワタリたちがびくっとする。
「人に迷惑をおかけするのでしたら、しっかりお掃除しませんと」
わらわらっとススワタリたちが逃げ出そうとして、逃げ切れず、無差別な攻撃をしかけてくる。キャロラインは黒いドレスの裾をひらりと翻し、それを避けるとワンドの先にマンダリンガーネットの塗料をためた。
「キラキラ輝く、橙色のガーネット。きっとあなたに似合うから、近くにおいでくださいな?」
ユーベルコード【わたくしのすきな色、柘榴石の橙(レインボーパレット・マンダリンガーネット)】。マンダリンガーネットの色彩を纏い、ワンドをススワタリに振り下ろす。狙いをつけた一撃は黒と橙色の混ざり合う綺麗なコントラストを描いた。
ぷちゅん、とススワタリが潰れる。
一体一体、慎重にワンドを振り下ろすキャロライン。残るのは、もともと調理場に残っていた煤だけだ。
「これはちゃんとお掃除しないといけませんかしら」
キャロラインは竈のまわりを眺めながら、少し途方にくれるのだった。
アンテロ・ヴィルスカ(白に鎮める・f03396)と碧海・紗(闇雲・f04532)は煤まみれながら立派な店構えの茶屋に感心しつつ、廊下を並んで歩く。
「お付き合いどうも、碧海君はこういうのが好きそうだ」
黒のフルアーマー姿のアンテロは甲冑の下で紗を眺める。
「さぞかし捗るんじゃないかい?」
「捗る……でしょうか……」
何しろ、相手は紗にとって可愛いと思うオブリビオン。倒せない気持ちもよくわかるのだ。とは言え。
「けれどお掃除をしなければ大変なことになりますもんね……」
紗が考え込む中、アンテロは二階へと上る階段を見かける。
「庭を一望できる個室なんかあればいいのだけど。ちょっと探してみようか?」
紗が頷き、二人は二階へと上がる。ちょうど突き当りの個室は中庭も店の周囲の庭も見渡せるような作りになっていた。窓から見える庭はおそらく綺麗だろう。
問題は窓が煤だらけで、庭も見えないことだった。多くのススワタリが部屋に潜んでいるようだ。試しに紗が物陰を覗き込んで見ると、真っ黒のもふもふと目が合った。
(わぁ、可愛らしい「黒いの」!)
ぱっと紗の表情に笑みが広がる。
「アンテロさん、アンテロさんは可愛いものってどう思います……か……」
嬉しそうに問いかけた紗の表情が固まる。
黒い牝馬は呼べないと判断したアンテロは、冷静に十七個の短剣状のロザリオを宙に浮かばせて、ススワタリにお菓子をちらつかせていた。
「ん?」
お菓子にわらわらと集まってくるススワタリ。ロザリオがサクサクっとススワタリを突く。
「あっ! なんてことしてるんですか! 可愛いのにっ!」
アンテロがススワタリを突く様をジト目で見る紗。
「……なんだい碧海君、その目は。仕事だぞ、コレは?」
黒い鎧の下でニヤァと笑うアンテロ。さすが、ドライでビジネスライクな戦い方を好むだけある。
紗は一度深呼吸をすると、ユーベルコード【オペラツィオン・マカブル】をアンテロへと向けた。
「待て、何故俺にオペラツィオン・マカブルを向けるんだ」
「問答無用ですっ!」
からくり人形から排出するパワーは二倍になって襲いかかる……はずだった。わらわらっと黒いのが逃げようとして、真っ黒い煤を放出する。
このユーベルコード、失敗すると被害は二倍なのだ。
「碧海君!?」
煤は二倍になって紗に襲いかかり、ススワタリ以上に煤まみれになった黒い羽根のオラトリオの姿が現れた。
「うっ……」
思わず涙目になる紗に何故か仲間意識が芽生えたのかすり寄ってくるススワタリ。
その姿を鎧の中で笑わないように必死に耐えるアンテロだった。
「アンテロさん、笑ってますか……!」
「笑ってない、笑ってない、ププ」
「笑ってるー!」
生真面目に箒とちりとりを持って、部屋を巡っているのはレオナルドだ。
その強面に反して、彼は可愛いものが好きだった。ころころっとススワタリが転がっているのを見ると固まってしまうほどだ。
(ですが、これを退治しないことには、梅茶は飲めないのですよね)
コーヒーを入れるのが得意なせいだろうか、彼の興味を引いたのは梅茶だった。やはり味わってみたい。
また足元をころころとススワタリが転がっていく。
「……申し訳がない」
レオナルドは箒でそっとススワタリを掃くとちりとりに入れ、ゴミ袋に詰めた。しおしおと消えていくススワタリ。
その姿に胸が苦しくなるが、これも茶屋のため、平和のため、そして梅茶のためである。
レオナルドは胸を押さえながら、また箒でそっとススワタリを掃くのだった。
簪職人の飾磨・霜琳(飾磨屋・f03493)は真珠梅に興味を持っていた。
(簪職人としちゃァぜひ拝んでおきたいもんだね。その前にひと仕事、掃除を頼まれるのも悪かねぇだろう)
何しろ煤まみれの茶屋である。部屋を覗いてみて、ススワタリの仕業と思われる煤を丁寧に掃除しながら、戸棚などを確認していく。
「さてと、こっちは……」
途端、わらわらっと落ちてくるススワタリたち。
「んぷっ、出たな煤ども!」
そのままわらわらと逃げようとするススワタリに、思わず啖呵を切るヤドリガミ。
「飾り簪の顔に煤つけるたァいい度胸じゃねぇか、覚悟できてんだろうなァ!?」
中空にふわりと浮かぶ鉄簪。その迫力にびくりとするススワタリたち。思わずふんわりアタックを決めようとするが、そうは問屋が降ろさない。
「さァさ、ちょいとおとなしくしてもらおうかィ」
ユーベルコード【留刺簪(リュウシサン)】。壁や床に穴を開けぬよう、勢いを調節して放たれた鉄簪は、霜琳の指で示したススワタリに刺さり、動きを封じる。ぺちん、と叩いて一体仕留める。
次々に見事なほど鉄簪を刺し、仕留め、自分の顔の煤分くらいはススワタリを退治すると、周囲の煤も消えていた。
「まったく、厄介な煤だねェ」
自分の煤を軽く拭うと、霜琳は改めて掃除を開始しに次の部屋へと足を向ける。
(客商売すんならきれいにしとかにゃァな)
それは自分も商売をするがゆえのこと。
なお、掃除の腕前も圧巻の一言で、霜琳の入った部屋は塵一つなく、綺麗になっていたとか。
パウルは先程の春の寿ぎ唄を歌いながら、二階の一室を覗いた。なんとなくここにいるかな、という勘だよりだ。
楽しげな唄におびき寄せられたのか、部屋には楽しそうにススワタリたちが転がっていた。
「いたいた、楽しそう!」
ススワタリたちは、歌うパウルを歓迎するようなきらきら目で見る。
パウルは触手でススワタリをパァン! ってした。
触手にはたかれて煤を飛び散らせながら転がり消えていくススワタリ。触手をにょろんってさせて、パウルは少し考えた。
「火力が少し足りないかな。よっしゃー!」
ハンドマイク「Herz」を握りしめ、握りしめた拳でススワタリをガチ殴り。ハンドマイクは心の在処らしいけど、いいのかな。
とりあえず、ちぎっては投げの精神で殴り続けると、ススワタリは部屋からいなくなった。
ハンドマイクを綺麗に拭いた後、部屋の中を見ると煤だらけだ。
「雑巾持ってきておいてよかった」
丁寧に煤を雑巾で拭き取り、また歌いながら部屋を回っていく。
●
「四回戦……」
四度目の牡丹の間。真っ黒の煤だらけボロボロの燦はユーベルコード【シーブズ・ギャンビット】を使用した。今までの恨みも込めたダガーの一撃は、素早く、ぷすりとススワタリを刺す。
ススワタリもその素早さには対応できず、しゅるしゅると消えていった。
「最初からこうすべきだった……」
燦はぱたりと倒れる。畳の上に煤で『すす、わた』とダイイングメッセージを残し、長い戦いはこうして終わったのだった。
『油断大敵』の掛け軸が、風に揺れていた。
藤野・いろは(天舞万紅・f01372)が一通り茶屋を見、表に出てくると、茶屋の中からススワタリたちが逃げ出してくるところだった。
(どうにも気の抜ける見た目ではありますが、数も多い。十分に気をつけて戦って行きましょうか)
なにせ、ススワタリたちも命がけだ。ころころもふもふしているが、戦う気十分のようだ。
もふっと体を大きくするといろはに向けて体当たりを仕掛けてくる。
いろははその体当たりを、勇気をもってギリギリまで見定める。
「……見切りました」
残像すら残すような速さで最小限の回避を行う。その先の判断も早かった。
「あなたの一撃、太刀に映せぬ前に終わらせます」
ユーベルコード【先の先(ヒトツノタチ)】。愛用の刀が翻り、ススワタリを一刀両断する。
続くススワタリをカウンターで仕留めると、さらに破魔の力をこめた刀で薙ぎ払う。
ススワタリの数は多いが、いろはの攻めの手も緩まない。
体当たりを避け、二回攻撃で、ススワタリを二匹仕留める。ぶつかっても最小限のダメージで済むように調整し、刀でススワタリを貫く。
玄関前の煤が消える頃、逃げ出してきたススワタリたちもほぼ片付いたようだった。
いろはは息を吐いて、もう一度茶屋を眺める。
煤で汚れていた窓はだいぶ綺麗になり、中で「掃除」をしていた猟兵たちが顔を出す。
いろはが手を振ると、あちこちで掃除が終わったという声が響いた。
梅の甘い香りが風に乗る。
次は庭の掃除をするとしよう。
大成功
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第2章 ボス戦
『ケセランパサラン』
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POW : 分裂
【分裂し、もう1体のケセランパサラン】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD : 恍惚
【10秒間、ふわふわ浮いている事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【戦意を喪失させるウェーブ】で攻撃する。
WIZ : 幸福
【可愛い】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【ケセランパサラン】から、高命中力の【敵を庇いたくなる気持ちにさせる光線】を飛ばす。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠犬憑・転助」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
白のもふもふ、ボスのケセランパサランは庭にいるとのことだった。
梅の甘い香りに誘われるように庭へと降り立つと、梅の木の枝がぎしぎし言っている。
見ると梅の枝にたくさんのケセランパサランがぶらさがっていた。
どうも、梅の花に擬態しているつもりらしい。
その意図はどうであれ、梅の木を傷つけぬようケセランパサランを退治せねばならないだろう。
これを退治し終えたら、無事に梅見もできるのだが――。
アンテロ・ヴィルスカ
煤を払ったら見違えるようだな?何がとは言わないが
さぁ庭に行こう
さっき余った菓子も分けてやるから白いのに使うといい
…可愛い可愛いと言っていたら敵の技を食うぞ、碧海君(f04532)
梅の木から離れた場所に菓子を撒いておびき寄せ
数が集まったらブラッド・アグリーメントを発動
手にしたロザリオから流れる血を浴びた敵に殺気を込めて問う
「自ら進んで消える気はあるか?」
答えられるかい?俺に通ずる言語を持たない君らが
10秒も呑気に浮かせない、これは唯の掃除だ
ついでにロザリオを振って俺の上に集まってきた白いのに催眠術を
碧海君の手助けでもしておやり
…どうだい、白いのから煤は出たかな?(冑を取ってニヤァ)
アドリブ歓迎
碧海・紗
煤だらけは【早着替え】で元通り
アンテロさん(f03396)と共に
白いの可愛い!
頂いたお菓子で【空中戦】を挑みます!
オラトリオですもん、飛ぶことは容易く
梅の木に近づきケセランパサランを【誘惑】しましょう
美味しそうだと思いません?
梅の木を傷つけないよう誘き寄せ用お菓子で移動を試みます
さり気なくアンテロさんの上にもお菓子をパラパラ…
あら、向こうのお菓子の方が美味しいんですって
なんて【言いくるめ】ることは出来るでしょうか
さっき笑った仕返しです
けれどやはり、何かあっては困りますので
鈴蘭の嵐でケセランパサランを対象に攻撃を
ごめんなさいね、可愛いけれど梅を楽しみたいの…
しかしあの人の顔、何なの?
アドリブ歓迎
●
梅の木がぎしぎしと軋んでいた。
真珠梅は白梅だ。白い大粒の梅の花の横にもふっとした塊がすまし顔でくっついている。
ふわふわで軽そうではあるが、塊がいくつもついていれば重さで枝も軋むだろう。
梅の木が折れてしまう前に、対処する必要があった。
先程の煤だらけの部屋からススワタリを掃除し終えると、窓からはケセランパサランのなった梅の木が見えた。
「煤を払ったら見違えるようだな? 何がとは言わないが」
アンテロ・ヴィルスカ(白に鎮める・f03396)は部屋を見ずに、同行の碧海・紗(闇雲・f04532)を見て言った。煤だらけの服などは手早く着替えることで元通りになっている。
アンテロが部屋のことを言っているわけではないことは、紗にもわかった。反論をしかけたとき、アンテロは部屋を横切って行く。
「さぁ、庭に行こう。さっき余った菓子も分けてやるから白いのに使うといい」
お菓子を渡されれば、なんとなく機嫌も治る紗である。
庭に降り立つと、意外とみっちり張り付いているもふもふを間近で見た。ケセランパサランはまだ擬態しているつもりなのか動かない。
「白いの可愛い!」
「……可愛い可愛いと言っていたら敵の技を食うぞ、碧海君」
あちこちからケセランパサランを眺めている紗に、冷静に言うアンテロ。
二人は早速お菓子を使ってケセランパサランをおびき寄せることにした。
アンテロは梅の木から離れた場所にお菓子を撒いておびき寄せる。匂いを送ったりして待つこと一分。我慢できなかったのかわらわらとケセランパサランが降りてきた。
適度な数が集まったところで、アンテロはユーベルコード【ブラッド・アグリーメント】を発動する。
手にしたロザリオから流れ落ちる血。赤は白の敵を染めていく。まるで白梅を紅梅に変えるかのようだ。だが、問いかける質問は殺気を帯びていた。
「自ら進んで消える気はあるか?」
ケセランパサランは大きな目を見開いて、わからない、というようにアンテロを見た。きゅーんきゅーん的な声で鳴くが、アンテロとの意思疎通は不可能だ。
だが、それこそアンテロの狙い通りだ。
(答えられるかい? 俺に通ずる言語を持たない君らが)
ケセランパサランが真実を答えられるはずもなく、次々にダメージを受けていく。
アンテロは冷静にそれを見て片手を振った。
「十秒も呑気に浮かせない、これは唯の掃除だ」
一方の紗はアンテロに分けてもらったお菓子を持って、梅の木の近くまでふわりと飛び上がった。オラトリオだ。飛ぶことはたやすい。
梅の木にしがみつくケセランパサランの鼻先でお菓子を見せる。
「美味しそうだと思いません?」
ほらほら、と誘惑をするとケセランパサランが動いた。わらわらっと紗のほうへ白いもふもふが集まってくる。紗はそれを確認すると、梅の木を傷つけないようにお菓子を鼻先で見せながら、空を移動し始めた。
さり気なくアンテロの上にもお菓子をパラパラと撒く。
「碧海君、何をしている」
「あら、向こうのお菓子のほうが美味しいんですって」
紗がアンテロの頭の上のお菓子を差して言いくるめると、ケセランパサランたちは大挙してアンテロの頭上へと向かった。
「……碧海君」
「さっき笑った仕返しです」
紗は少しすねたように言う。アンテロは肩をすくめて、ケセランパサランに催眠術を試した。ロザリオを振り、ケセランパサランたちの注意をひく。
「さあ、碧海君の手助けでもしておやり」
その言葉に従うようにふらふらと紗の傍に寄っていくケセランパサランたち。紗は手にした武器を無数の鈴蘭の花びらに変えた。ユーベルコード【鈴蘭の嵐】。白の清楚な花びらが白のケセランパサランたちを攻撃していく。
(ごめんなさいね、可愛いけれど梅を楽しみたいの……)
気持ちは複雑だ。だが、白と白の混ざり合う光景は、可愛くも美しくもあった。
手近な範囲のケセランパサランを掃除し終えると、手元のお菓子もほぼなくなった。紗は空からふわりと降りてくるとアンテロの隣へと並ぶ。
アンテロは少し寂しそうな表情の紗を横目で見ると冑を取った。
「……どうだい、白いのから煤は出たかな?」
ニヤァとどこかからかうように笑う。紗は頬を膨らませた。
(……この人の顔、何なの?)
紗の手元にひとつだけお菓子が余っていた。それを笑っているアンテロの口へと突っ込む。
「……今笑った仕返しです」
「碧海君」
アンテロは口からお菓子を紳士的に取り出すと、またニヤァと笑った。
「君がさっきみたいに煤だらけにならなかったのを喜んだだけだろう」
「喜んでいるように見えません」
頬を膨らませたままの紗に、アンテロはおかしそうに笑った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
四王天・燦
「ちょっと待て!」
(市販の)スマホで撮影だ。
梅の枝に留まる姿はSNS映えするぜ♪(10秒隙だらけ)
ウェーブでヘロヘロ。
「ほわ~」と戦闘を眺めて…しばらくして我に返るぜ。
「はっ!こいつは人を駄目にするオブリビオンだ!」
符術『力場の生成』で空中ジャンプして跳び掛かる。
梅の木から落とすもよし、組み付いて鋼糸・デストラップを巻きつけるもよし…よし…
「やばいーもふもふ過ぎるー…」
組み付いたまま光線を喰らったのか、でれーっとなって意図せず庇う態勢になってしまう(適当に転がされて結構です)
「こいつは人を(略」
今度こそ多段ジャンプから勢いよく降下してアークウィンドで貫く。
記念に毛玉―ちょこっと幸せ―を盗み攻撃
●
四天王・燦(月夜の翼・f04448)は梅に擬態しているケセランパサランを見て、足を止めた。
「ちょっと待て!」
皆が掃除を始めるのを制するように声を上げるとどこからかスマホを取り出し撮影をする。
「梅の枝に留まる姿はSNS映えするぜ♪」
きゅるん、と可愛い目で映ってくれるケセランパサラン。サービス満点だ。さらにはしっかり十秒浮いて、戦意喪失ウェーブまで燦に送ってくれる。
「ほわ~」
すっかりまったりモードになった燦。周囲のもふもふとの戦闘をしばらく眺めて……しばらくしてから我に返った。
「はっ! こいつは人を駄目にするオブリビオンだ!」
慌ててスマホをしまい、戦闘態勢へ。符を使う術なら燦のお手の物だ。宙に符を投げる。
「御狐・燦が命ず。符よ、我が意のままに空に留まり、天へと至る足がかりと成せ!」
ユーベルコード・符術【力場の生成(エアリアル・ステップ)】。空中を蹴り、梅の木のケセランパサランへと飛びかかった。もふもふのそれらを梅の木から落とす。そのまま、自分も空中から飛び降り、たくさんのケセランパサランに組み付いて鋼糸『デストラップ』を巻き付け――。
「やばいーもふもふ過ぎるー……」
ケセランパサランのもふもふは例えるなら綿毛の柔らかさだ(個体差があります)。それはもう、抱いて寝るなら幸せになるだろうふわふわ感。抱きついたまま可愛いの感情を与えられ、可愛い可愛い言いながら、味方の攻撃を次々に受ける燦。
ちょっとずたぼろになってきたところで我に返った。
「こいつは人を(略)」
猟兵のキリリとした顔に戻ると、多段ジャンプから勢いよく降下、手には妖精たちに鍛えられた風属性の短剣『アークウィンド』。つむじ風を巻き起こしながら、一気にケセランパサランを貫く。
ケセランパサランが消える直前、毛玉をいくつかいただいた。ふわふわ感はちょこっと幸せの感触がした。
「それにしても、手強いオブリビオンだったぜ……」
毛玉とスマホを大事に抱えながら、燦は戦いをしみじみと振り返ったのだった。もふもふ、手強いですね。
大成功
🔵🔵🔵
サフィリアリス・エレクトラガント
まあまあ梅の花に擬態しているようで可愛らしいですね
でも……あんな風にぎしぎしと梅の木にのしかかられていては、梅の木が折れてしまうかもしれません
手荒なことはしたくありませんが、これもお掃除です
梅の木を傷つけないように速やかにお掃除致しましょうね
使うユーベルコードは「お友達になりましょう?」
まずは敵のユーベルコードを防御しましょう。
可愛いという感情を敢えて抱いて敵の攻撃の対象になって、放たれた光線を暗黒の魔力で防御し、そっくりそのままお返しします
可愛いと感情を抱かせる仕草をしながら、ケセランパサランを召喚して光線を放ちます
どうですか?私を庇ってくれますか?ケセランパサランさんたち。
真幌・縫
今度は白い子だね!うん、うん、やっぱり可愛いなぁ。ふわふわしてて真っ白で…でもね悪い事をする子はお仕置きしないとだめなの。だから、今からぬい達がお仕置きするからね。可愛いには可愛いで対応だー【ぬいぐるみさん行進曲】!ぬいぐるみさん達ぬいと一緒に戦って!ぬいぐるみさん一人一人は弱いかもだけどたくさんいるんだよー。
レオナルド・ウラニクス
梅の木にぶら下がっているとは厄介だな。梅の木を傷つけてしまうような事は避けたい。
屋根の上にあがり、もしみんなが討ちもらしたりして逃げてきたケサランパサランがいたら【ブレイズフレイム】で攻撃しよう。
しかし梅の花に擬態するとは…なんと可愛らしい
キャロライン・ブラック
梅の木に集っている様も愛らしくはございますが……
あれほど密集されては、木を避けて攻撃することは困難
どうにかして木から離れて頂きませんと
まずは擬態したくなるような梅の木を絵で再現いたしたり
あるいは梅の匂いを漂わせたり、手を変え品を変え、
おびき寄せることを狙いますの
もし一つも掠りもしないのであれば、致し方ありません
攻撃をわざと外し、その余波で木から飛ばして差し上げましょう
ふわふわで、もふもふですもの
木に負担がかからない程度の余波でも飛んでいくかと存じますわ
木から離れましたら、先ほど同様、丁寧にお掃除いたします
他の方とも連携いたして追い詰めていきますの
それにしても、なぜ擬態なさっていたのかしら?
赫・絲
成程、梅の花に紛れたつもりなワケね
……割と紛れられてないけど。でもそこが可愛い!
とりあえず梅の木から離れてもらわないと木を傷つけかねないし
引っ張ったり、箒やはたきではたいて離れてくれそうならそうする
だめそうなら、鋏でそっと木から切り離すように切ってみようかな
広範囲に攻撃が及んで木に被害が出ないように、
木から離せたらできる限り広い場所へ誘導
誘導後に【属性攻撃】で雷を纏わせた【縁断・躯留】を
痺れさせてその場に押しとどめれば、他の猟兵も戦いやすくなるはず
可愛いとは思うけど、敵の攻撃も味方の攻撃も食らいたくないから
攻撃はしっかり【見切り】で避ける
パウル・ブラフマン
【SPD】
初めて間近で見る梅の樹に興味津々。
あっ動いた!
なーるほど、あれはウメじゃないんだね。
それなら降りてきてもらおっか☆
さっき教えてもらった寿ぎ唄を【歌唱】して【おびき寄せ】を。
樹から少し離れた地点で
節に合わせながらステップを踏んで【パフォーマンス】!
白もふさんが地上に降りたら
今がチャンス!って皆にお知らせするね。
こっから先はリミックスだ、付いてこられるかい?
【先制攻撃】でBring the beat!
『Lyrical murderer』を発動したら
寿ぎ唄にrhymeを連ねて、白もふさんズに対抗。
春を告げるPearl
Yo-Say
一番風さ 乗って逝きなkick it!
絡み&アドリブ大歓迎!
●
「まあまあ、梅の花に擬態しているようで可愛らしいですね」
庭に降り立ったサフィリアリス・エレクトラガント(魔王様の仰せのままに・f13217)は手を頬にあてて、微笑んだ。
眼の前には沢山の白梅の木。そのあちこちに白い毛玉がしがみついている。
「今度は白い子だね! うん、うん、やっぱり可愛いなぁ。ふわふわしてて真っ白で……」
真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)も目をキラキラさせて様子を見ている。赫・絲(赤い糸・f00433)はなるほど、というように木を眺めた。
「梅の花に紛れたつもりなワケね……割と紛れられてないけど。でもそこが可愛い!」
「梅の木に集っている様も愛らしくはございますが……」
考え込むのはキャロライン・ブラック(色彩のコレクター・f01443)だ。
「あれほど密集されては、木を避けて攻撃することは困難ですね。どうにかして木から離れて頂きませんと」
「あっ、本当だ、動いた!」
初めて間近で見る梅の木に興味津々だったパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は目をぱちくり。
「なーるほど、あれはウメじゃないんだね」
(厄介だな。梅の木を傷つけてしまうような事は避けたい)
レオナルド・ウラニクス(人狼の黒騎士・f13660)は少し考え込んでから、屋内のほうへ踵を返した。
「どこへ行くの?」
縫の声に、レオナルドはできるだけ優しい笑みを返す。
「屋根の上へ。逃げてきたケセランパサランは俺が対処しましょう」
「それは助かりますわね。よろしくお願い致します」
サフィリアリスはいつもどおり聖女のような微笑みで会釈をした。
「さて、私はあちらで少々お掃除をしてまいりますね。梅の木を傷つけないように速やかにお掃除致しませんと」
言うとサフィリアリスは皆から少し離れた場所へと歩いていく。
キャロラインは少し考えてから、紙と絵の具を取り出した。迷いながら、目の前の梅の木を紙に描き始める。
「綺麗だね」
覗き込む絲にキャロラインは微笑んだ。
「こちらの梅の絵におびき寄せることはできないかと思いまして」
「いいねいいね! 俺もさっき教えてもらった唄でおびき寄せようと思ってたんだ」
パウルも絵を覗き込みアイディアを告げる。共に芸術を愛し、それを力にする者だ。親近感を覚える。
「じゃあ、私が箒でちょっとはたいて、絵のほうへ追い出してみるよ」
「まあ、ではお願いできますか」
絲の言葉に、キャロラインは完成した梅の絵を掲げた。興味津々で絵を見ている縫にキャロラインは声をかける。
「よろしければ、こちらを使って梅の匂いを漂わせていただけますか?」
「ぬいがやってもいいの? 頑張るよー」
こうして梅の香りのする綺麗な梅の木の絵が完成した。
絲はそっとケセランパサランに近づくと、箒で梅の枝を傷つけないようにはたく。はたいても無理そうなものは軽く引っ張った。
「ほら、あっちの梅も綺麗だよ」
ふわふわとキャロラインの描いた梅のほうへ舞うケセランパサランたち。
間違えて上空に浮いて、別の木のほうへ移動しようとしたケセランパサランはレオナルドが燃やす。胸が痛むが使うユーベルコードは【ブレイズフレイム】。自分の体を切り裂き生み出した地獄の炎はケセランパサランを一瞬で消し去った。
その炎を生んだことで、一瞬だけレオナルドの中に凶暴性が宿る。だが、彼はそれをぐっとこらえた。この凶暴性こそ、彼が戦いたくない理由のひとつであり、今回屋根に昇った理由でもあった。
擬態したケセランパサランを眺めていると、その可愛らしさに心がほぐれていく。
(……なんと可愛らしい)
しかし、それよりもっと可愛らしいものを見るとは、レオナルドはそのとき想像もしていなかった。
さて。
梅の絵におびき寄せられたケセランパサランを見て、絲が頷いた。キャロラインが絵を持ってできるだけ広い場所へと絲と共に誘導していく。
十分な戦闘場所を確保できたと思ったところで、キャロラインは絵を離した。縫もぱっと両手を上げる。
「今からぬい達がお仕置きするからね。可愛いには可愛いで対応だー!」
縫の発動するユーベルコードは【ぬいぐるみさん行進曲(バトルダンスマーチ)】。
「ぬいぐるみさん達、ぬいと一緒に戦って! せーの! 攻撃開始ー!」
なんと75体の小さなぬいぐるみがわらわらっと現れて、ケセランパサランたちに向かっていった。やわらかな手でぽかっとケセランパサランを叩く。ケセランパサランがふるふるっと震えると、それでぬいぐるみは一体消えてしまうが、別の一体がまたぽかっとケセランパサランを叩く。
(なんと可愛らしい……!)
レオナルドが屋根の上で固まる。
ケセランパサランが縫に向けてかばってかばってと光線と飛ばすが、その光線もしっかりぬいぐるみさんが受け止めてくれる。
それを確認すると、絲が素早く動いた。鋼糸と血で生成した刃、そして針が雷をまといケセランパサランに飛ぶ。
「じっとしてた方が、痛くないと思うよー?」
ユーベルコード【縁断・躯留(エニシダチ・ムクロドメ)】。三つの武器を操る様は華麗だ。しかもそれらは全てケセランパサランに命中した。
しびれて動けなくなるケセランパサランへと駆け寄るキャロライン。虹色宝石のワンドを振り上げれば、先端がマンダリンガーネットに染まっていく。そしてそれを振り下ろせば真っ白のケセランパサランは橙色に色づいた。ユーベルコード【わたくしの好きな色、柘榴石の橙色(レインボーパレット・マンダリンガーネット)】。
三人の連携でケセランパサランは次々に消えていく。逃げるケセランパサランは屋根の上でレオナルドが焼いた。
●
しずしずと庭の端のほうへやってきたサフィリアリスは、梅の木のケセランパサランを落ちていた枝でつついた。
ケセランパサランはじっとサフィリアリスを見ると「ばれた!?」というような顔でユーベルコードを放ってきた。可愛いつぶらな目でみつめ、かばってかばって光線を放出。
「まあ、怖い力ですね。いけませんよ? オイタをする人はめっ! ですから」
サフィリアリスは光を纏った服を翻し、攻撃を受け流した。同時に暗黒の魔力がサフィリアリスを包み込む。それは、今のケセランパサランの攻撃をしっかりと映し盗った。
ユーベルコード【お友達になりましょう?(ソノチカラワガグンモンニクダレ)】。
サフィリアリスは小首をかしげて、にっこりとケセランパサランに微笑む。その様は可愛らしく、愛くるしい。ケセランパサランの目がうるっと潤んだ。
すかさずサフィリアリスはケセランパサランを召喚してかばわずにはいられなくなる光線を放つ。
「どうですか? 私を庇ってくれますか? ケセランパサランさんたち」
梅の木から降りてサフィリアリスを庇うケセランパサランと、サフィリアリスを危険視して攻撃をしかけようとするケセランパサラン。
白いもふもふ同士の仁義なき戦いが幕を開けた。
サフィリアリスは聖女の微笑みでそれを眺める。
「あらあら、仲間同士がいがみあってはいけませんよ?」
数分後、その場にいたケセランパサランは全て消えた。サフィリアリスはまた別の梅の木の区画へと歩きだす。
●
「じゃ、最後にまとめて俺がおびき出すから、手伝ってね!」
最後、点在するケセランパサランをおびき出す役はパウルが請け負った。
梅の木から少し離れた地点で、ハスキーな声で先程の寿ぎ唄を歌うとケセランパサランたちがふわふわとおびき寄せられて集まってくる。
ゆっくりとした唄に合わせて、ステップを踏んでパフォーマンスを行えば、ケセランパサランたちも楽しそうにリズムを取り始めた。
「今がチャンス!」
ぬいぐるみがぽかっと殴れば、絲の鋼糸「朱」に合わせてキャロラインが橙色を振り下ろす。逃げ出すケセランパサランはレオナルドの火が焼いた。
パウルのリズムは止まらない。
「こっから先はリミックスだ、付いてこられるかい?」
ケセランパサランにマイクは与えない。先制攻撃でBring the beat!
ユーベルコード【Lyrical murderer(リリカルマダラー)】が発動すれば、そこはパウルの独壇場だ。
寿ぎ唄がテンポアップする。rhymeを連ねてケセランパサランたちに超高速の連続攻撃開始だ。
「梅が咲けば 春が来るよ 梅が咲けば 冬が行くよ――春を告げるPearl Yo-Say 一番風さ 乗って逝きなkick it!――ああ 雪解けの雫 春告げる風!」
ハンドマイク「Herz」で歌い、ケセランパサランを殴り、ステップアンドキック!
「聞き分けのないWhite 意気地のないChild まとめて逝かせる オレのSpeed! HardなTempoでCall Spring!――ああ 芽吹く花々 時告げる鳥!」
ぬいぐるみが踊り、鋼糸が舞い、橙色が吹き上がる。
くるりとパウルが回転してステップを止めたときには、ケセランパサランたちはもうどこにもいなかった。
思わず拍手を送る皆にパウルは丁寧なお辞儀をしてみせるのだった。
梅の枝に傷がついていないかどうか、まだケセランパサランがいないかどうか全員で見回り、無事掃除ができたことがわかった。
猟兵たちはほっとして報告へと向かう。
「それにしても、なぜ擬態なさっていたのかしら?」
キャロラインの問いかけに絲もサフィリアリスも一瞬考え込む。
レオナルドがぽつりと言った。
「可愛いものの考えることは、きっと可愛い理由でしょう」
「じゃあ、梅になりたかったんだね!」
「なるほど! 確かにあれはあれで見応えがあったもんなー」
縫の出した結論に大きく頷くパウル。
さあ、梅見の始まりだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『茶屋にて一服いかがでしょう?』
|
POW : お茶の味を楽しみながらまったりとする。
SPD : 和菓子の味に舌打ちながらまったりとする。
WIZ : 茶屋からの景色を眺めてまったりとする。
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「お掃除」の終わった「梅の香茶屋」に店主や従業員たちが帰ってきた。
白梅「真珠梅」は今が見頃。
大粒で、まるで淡く光るかのような花は見事の一言だった。
甘い香りも漂い始める。
さあ、「梅の香茶屋」でご一服。
誰を誘ってこの見事な梅の花を見ようか。
サフィリアリス・エレクトラガント
ふふ、お掃除も終わりまして、いよいよ真珠梅のお花見と参りましょうか
こういう風景はサムライエンパイア独特の風景で、キマイラフューチャーや私の生まれたRPG世界に似たアックス&ウィザードやダークセイヴァーにもない風景でワクワク致しますね
【WIZ】で判定
やはり茶屋から見させていただくこの真珠梅の光景は格別ですね
お客さん皆、ここからお茶や和菓子を楽しみながらゆったりとその白く美しい梅の魅力を堪能し、心を癒す……
何とも風流で雅なのでしょう
猟兵も心の安寧は何より大事
日々の戦いの疲れがスーッとほどけていくようですね
飾磨・霜琳
いやァ、掃除したばかりってのは気分がいいねぇ。
梅茶に梅餡、大層魅力的だが……
俺としちゃァ、団子より花といったところかね。
花の近くへ寄ってもいいんなら、
庭へ繰り出して、人の邪魔にならねぇように画帳と矢立の細筆を取り出す
名物の真珠梅、とくとこの目に焼き付けよう。
後で思い出せるように、画帳に花姿を描きとっておくぜ。
……あんまりきれいで、手が止まりがちだ。
香りに見目に、花というのはやはりいいもんだな。
いつかこの真珠梅を模して簪を作ってみてぇものだ。
見事なもんだねぇ……
真幌・縫
梅って可愛いお花だねーそれにいい匂い(お鼻ひくひく)可愛いお花だからケサランパサランもきっと好きになっちゃったんだね。
お菓子とお茶も飲んでもいいんだねよね♪どのお菓子も美味しそー悩んじゃうなぁ。
梅あん?梅ってあの花と同じだよね?じゃーこれにする!うん、美味しい!お茶は梅茶!……ちょっとすっぱい…けど美味しい!
赫・絲
よーしお掃除も無事に終わったし、真珠梅見るんだー
煤を被ったりしたジャージとエプロンからちゃっかり着替えて
こうして見てると、ケセランパサランが梅になりたくなるのもわかるかも
遠くから見てもとっても綺麗だし近くで見ると大粒の花が可愛いや
お花そのものの香りを十分に楽しんだら、甘いものとお茶も楽しみたいな
お掃除していっぱい動いたしね!
今日はきっと沢山食べても大丈夫!な、筈!
外がサクサクな梅餡の最中に、あんみつに……それに、温かい梅茶も!
ううん、他のも美味しそうだけどさすがにこれ以上は入らないかなー
梅が見えるトコに座って、のんびりまったり
綺麗な梅に美味しいお菓子、んーがんばった甲斐があったね!
アドリブ歓迎
碧海・紗
アンテロさん(f03396)と【SPD】
散々意地悪ばっかりで、私は怒っているんですよ?
だから私のおやつに付き合ってもらいます
あと梅も、見たいです
不貞腐れていても「白いのがいる」と言われたら
弾かれたように振り返ります
可愛い子!…あれ、嘘?
代わりに口の中に入れられたお菓子
梅の味、というのが実はわからなくて
初めて食べる梅の味がするお菓子はとても気に入りました
そういえば先ほどの…、口からお菓子を紳士的に取り出して。
私のお菓子が食べられないというのですか?
(元は頂いた物ですけど…)
…理由はともあれ
ひとりで食べるのは、少し寂しいものです
彼の食べる姿に私もつられてもうひとつ
美味しいですね?
アドリブ歓迎
アンテロ・ヴィルスカ
意地悪ではない、仕事をしたまでさ
鎧から平服に着替えて碧海君と【SPD】
怒らせてしまったのなら仕方がない、お付き合いしよう。
店主からの心遣いは小さな白梅の練り切り、ふむ…似ている
まだ白いのが一匹残っていたよ、と彼女の口に放り込んでやろう。
仕返しじゃないよ、お返しさ。
おや、野蛮に吐き出す方がお好みかい?これは意外
君の菓子が食べられない訳じゃない
好き好んで物を食う習慣が俺にはないだけ…
ん、君には俺がヤドリガミだと言ってなかったかな?
美味い不味いはよく知らないが、その顔を見る限り
梅の菓子とやらは美味いのだね…
なら俺も一つ頂こうか。
アドリブ歓迎
レオナルド・ウラニクス
「お茶の味を楽しみながらまったりとする。」
景色や和菓子も気になるがやはり梅茶を味わってみたい。
コーヒーとはまた違った美味しさであろう。
重い甲冑を脱いで美味しいお茶を飲みながらまったりしよう。
梅の見える席で梅茶を飲みながら尻尾をパタパタする。
(絡みアドリブ大歓迎です)
キャロライン・ブラック
先ほどの擬態も白くはございましたが……やはり、本物は格別ですわ
まるで、日の光を形どったかのような白い梅の花
これを拝見できただけで、心を鬼にしてお掃除した甲斐があったというものです
お茶や、お菓子も美味しゅうございますが
やはりわたくしには梅の色を楽しむのが一番ですわ
勿論、一人でなく、皆様とともに拝見するからこそですけれど
折角ですから、交流を深めたく存じますの
感動を分かち合えるということは、素敵ですものね
それと、先ほど描いた絵を修正いたしましょう
先ほどは遮るものが多く、花は良く拝見できませんで
想像で保管いたしておりましたから
今度はあるがままの色を写し取りますの
梅だけでなく、この場の雰囲気も共に
白雪・小夜
【WIZ】交流不要
あら、梅見なんてものもあるのね?
花は好きだし…少しだけ見させてもらおうかしら。
(話し声が聞こえ)ここでもオブリビオンの危機に瀕して?
彼等の脅威は今やどこに行っても聞くわね。
でもまぁここで静かに梅見が出来るのも、彼らを滅した方々のおかげなのかしら。
猟兵もすっかり正義の味方…ね?
毒ばかり吐いてはせっかくの梅が台無しね。
私は花は好きだもの、人が少ない今のうちに目いっぱい見ておきましょ。
人が増えてきたら帰るわ、騒がしいのは苦手なの。
●
庭の『掃除』が終わり、梅の香茶屋の店主や従業員が帰ってきた。
慌ただしく茶屋が再開の準備をしているところへ、たまたま白雪・小夜(雪は狂い斬る・f14709)は立ち寄った。
「あら、梅見なんてものもあるのね?」
小夜は中を覗き込んだ。雰囲気も良さそうな茶屋だ。
「花は好きだし……少しだけ見させてもらおうかしら」
従業員に告げると、笑顔で梅の木の庭が見える部屋へ通してもらえた。
大きな白梅の花が日差しの中で咲く様は、まるで真珠のように輝いて見える。だから、真珠梅と呼ばれるんですよ、などと話しながら従業員は小夜にお茶を差し出した。
従業員が出ていくと、廊下のあたりで話し声が聞こえた。
(ここでもオブリビオンの危機に瀕して?)
小夜はお茶を飲んで少しため息をついた。
(彼らの脅威は今やどこに行っても聞くわね。でもまぁここで静かに梅見が出来るのも、彼らを滅した方々のおかげなのかしら)
従業員たちはころころと笑いながら小夜の部屋から遠ざかっていく。その声は猟兵たちに感謝と称賛を告げていた。
(猟兵もすっかり正義の味方……ね?)
とは言え、毒ばかり吐いてはせっかくの梅も台無しだ。
見事な梅を、小夜は静かに眺める。
(私は花は好きだもの、人が少ない今のうちに目いっぱい見ておきましょ)
やがて、茶屋が本格的に暖簾を上げると外が騒がしくなってきた。小夜はお茶を置いて立ち上がる。艶やかな姿で踵を返した。
(騒がしいのは苦手なの)
沢山のお客と入れ違いに小夜は出ていく。茶屋を離れても庭の白梅は輝いて見えた。
●
梅の香茶屋の再開を待ち望んでいた住民たちと一緒にお店に入った者は、茶屋で一番広い一階の部屋へ案内された。
日の当たる縁側からは広い庭がよく見える。
掃除で一汗かいて、しかも見違えるように綺麗になった茶屋での一息はやはり気持ちよかった。
(こういう風景はサムライエンパイア独特の風景で、キマイラフューチャーや私の生まれたRPG世界に似たアックス&ウィザードやダークセイヴァーにもない風景でワクワク致しますね)
サフィリアリス・エレクトラガント(魔王様の仰せのままに・f13217)は縁側に近い場所に腰掛けた。
(やはり茶屋から見させていただくこの真珠梅の光景は格別ですね)
こうして見ると、梅の木は茶屋からバランスよく見られるように植えられているようだ。白梅の枝同士が重なり合い、花が煌めく様も茶屋で見ると鮮やかに見える。
煤を被ったりしたジャージとエプロンからちゃっかり着替えて縁側に座ったのは赫・絲(赤い糸・f00433)だ。
(よーし、お掃除も無事に終わったし、真珠梅見るんだー)
縁側には既に翼ねこさんのぬいぐるみ「サジ太」を抱きしめた真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)とレオナルド・ウラニクス(人狼の黒騎士・f13660)が腰をかけている。暦の上では春という日差しはこの時期にしてはあたたかで、縫の猫しっぽもレオナルドの狼しっぽもパタパタしている。
「梅って可愛いお花だねー、それにいい匂い」
縫がお鼻をひくひくさせるのを見て、レオナルドも梅の香りを嗅いだ。どこか甘い春の香りだ。
「こうして見てると、ケセランパサランが梅になりたくなるのもわかるかも」
絲がぽつりと呟くと、縫が満面の笑みで頷いた。
「可愛いお花だから、ケセランパサランもきっと好きになっちゃったんだね」
「うん、遠くから見てもとっても綺麗だし、近くで見ると大粒の花が可愛いや」
そこへお礼をしたいと茶屋の店主が現れた。頭を下げる店主に気にしないでくれ、と告げる一行。
「よろしければ、うちでお出しできるもの、なんでも召し上がっていってくださいませ」
それこそ待っていた一言である。
わっと何にしようか悩み始める面々に混ざり、飾磨・霜琳(飾磨屋・f03493)が店主に声をかけた。
「花の近くに寄っても構わないかい?」
霜琳にとっては団子より花。梅茶に梅餡、魅力的ではあるが真珠梅には敵わない。
店主は笑顔でどうぞ、と霜琳を案内する。
霜琳は庭へと降り立つと、人の邪魔にならないように画帳と矢立の細筆を取り出した。
(名物の真珠梅、とくとこの目に焼き付けよう)
後で思い出せるようにと画帳に筆で花姿を描いていく。なめらかな枝の曲線を細筆で描けば、あとは真珠梅を書き入れる段だ。
霜琳は花を見上げる。つい、見惚れて手が止まってしまう。
そんな自分に苦笑して、霜琳はまた筆を動かし、また真珠梅を眺める。
(……あんまりきれいで、手が止まりがちだ)
丁寧に筆を走らせる梅の花もとても見事だ。
けれども、霜琳は何度も手を止め、花を眺める。
(香りに見目に、花というのはやはりいいもんだな)
花の香りをいっぱいに吸い込み、最後の一筆を入れて霜琳は筆を矢立に戻した。
(いつかこの真珠梅を模して簪を作ってみてぇものだ。見事なもんだねぇ……)
霜琳の手で作られる簪ならば、きっと美しいものに違いない。
ほぉ、と感嘆の息をつくと、背後からそっと声をかけられた。
「あの」
キャロライン・ブラック(色彩のコレクター・f01443)だった。
西洋の絵の具を抱えて、興味深そうに霜琳の画帳を覗き込んでいる。
「……綺麗ですわ」
霜琳が描いたのは日本画だ。墨一色で、濃淡を使い分け梅の花を描いてある。
それは豊かな色彩を好むキャロラインの目にも美しく見えた。
「おや、お前さんも絵を描くのかい?」
「はい。先ほど描いた絵を手直ししようと思いまして……先ほどは遮るものが多く、花は良く拝見できませんで、想像で補完しておりましたから」
「よければ見せてはくれないかい」
霜琳の言葉にキャロラインは恥ずかしそうに絵を差し出した。
「ほぉ、これもまた綺麗だ」
「ありがとうございます。今度はあるがままの色を写し取りたく思っておりますの。梅だけでなく、この場の雰囲気も共に」
二人は茶屋を振り返った。和やかな空気がそこには流れている。
「そうだな、それもいいもんだ」
「ええ。よろしければこの絵の手直しが終わりましたら、ご一緒にお茶はいかがでしょう」
「お誘いを断る理由はなさそうだ。お前さんが描くところを眺めていてもよいかい?」
「もちろんですわ」
キャロラインは微笑むと絵の具を広げ始める。梅は二人の美を知る者の目にさらされて、少しだけ恥ずかしそうに風に揺れた。
(お掃除していっぱい動いたしね! 今日はきっと沢山食べても大丈夫! な、筈!)
絲がお願いしたのは外がさっくりとした梅餡の最中にあんみつに、温かい梅茶。
(ううん、他のも美味しそうだけどさすがにこれ以上は入らないかなー)
「どのお菓子も美味しそー、悩んじゃうなぁ」
縫もその横でうんうんと悩んでいる。
「梅あん? 梅ってあの花と同じだよね? じゃーこれにする! お茶は梅茶!」
「……梅茶を」
レオナルドは念願の梅茶を頼みながら、重い甲冑を脱いで部屋の隅へとおいた。
サフィリアリスも梅餡のお菓子と梅茶をお願いする。
(お客さん皆、ここからお茶や和菓子を楽しみながらゆったりとその白く美しい梅の魅力を堪能し、心を癒やす……何とも風流で雅なのでしょう)
サムライエンパイアならではの風情に、サフィリアリスはほぉ、と息をつく。
(猟兵も心の安寧は何より大事。日々の戦いの疲れがスーッとほどけていくようですね)
差し出された梅茶を一口飲み、サフィリアリスはいつもの笑顔で少しだけ力を抜いてひとときを過ごす。
絲と縫の元にも梅餡の最中と梅茶が届けられた。
いただきます、と手を合わせ、絲と縫は同時に最中を頬張る。
「んー、最中の皮がサクサク。梅餡も美味しいー」
「うん、美味しい!」
レオナルドは梅茶の椀を持つと、まずはその香りを味わった。
(やはりコーヒーとはまた違った奥深さだ。では一口……)
梅の香りと梅の酸味と甘み。その味の深みはコーヒーにも負けていない。
(これは、やはり美味しいな……)
狼の尻尾がまたパタパタしてしまうが、これだけ綺麗な梅と念願の梅茶とくれば機嫌よくならないはずがない。
(綺麗な梅に美味しいお菓子、んーがんばった甲斐があったね!)
絲が気持ちよさそうな伸びをすると庭でキャロラインがこちらを見て絵筆を動かしている。
「何描いてるのー?」
「梅だけでなく、この場の雰囲気も共に描きたく思いまして」
キャロラインは思う。
この梅の色を楽しめるのも、一人ではなく、皆とともに拝見するからこそなのだ、と。
(感動を分かち合えるということは、素敵ですものね)
「ぬいのこと、可愛く描いてねー!」
猫耳を動かして縫がリクエストすれば、絲とキャロラインは笑みを零した。
梅の宴は始まったばかりだ。
●
碧海・紗(闇雲・f04532)とアンテロ・ヴィルスカ(白に鎮める・f03396)は、ススワタリを掃除した二階の部屋で寛いでいた。
とは言え、紗は少々拗ね気味だ。
「散々意地悪ばっかりで、私は怒っているんですよ? だから私のおやつに付き合ってもらいます」
「意地悪ではない、仕事をしたまでさ」
アンテロは飄々と言う。いつもの鎧姿から肘まで捲ったシャツにベスト、スラックスに皮手袋と、フォーマルよりな平服へとすでに着替え終えている。
「とは言え、怒らせてしまったのなら仕方がない、お付き合いしよう」
「梅も見たいです」
「わかったよ、梅も見よう」
紗は不貞腐れながらも梅を眺める。二階から見る真珠梅はまるで真っ白な雪のようにも見える。けれどもそれは寒々しい景色ではない、日差しはもう春が近いことを告げている。
礼を告げに来た店主は小さな白梅の練り切りと緑茶を置いていった。
(ふむ……似ている)
アンテロは白梅の練り切りを摘んだ。
「まだ白いのが一匹残っていたよ」
「えっ!?」
弾かれたように振り返る紗。
「可愛い子! ……あれ、嘘?」
そこにはケセランパサランは当然おらず、代わりに口の中に放り込まれたお菓子。
広がるのは甘みの中にほんのりと酸味の広がる上品な味わい。それは紗にとっては実はわからないものだった。
(これが梅の味、なのかしら)
紗は騙されたことも忘れて、練り切りをゆっくりと味わう。初めて食べる梅の味がするお菓子は紗のお気に召したようだった。
「これは仕返しじゃないよ、お返しさ」
アンテロは紗の表情を眺めて微かに笑う。その言葉に紗はふと先程のことを思い出した。
「そう言えば先ほどの……、口からお菓子を紳士的に取り出して」
「おや、野蛮に吐き出すほうがお好みかい? これは意外」
「違います。私のお菓子がたべられないというのですか?」
また頬を膨らませた紗にアンテロはどこか困ったように肩をすくめた。
「君の菓子がたべられない訳じゃない。好き好んで物を食う習慣が俺にはないだけ……」
「習慣が、ない?」
紗は目をぱちくり。
「ん、君には俺がヤドリガミだと言ってなかったかな?」
確かにアンテロは付き合ってくれてはいるが、自分では菓子も茶も手をつけようとしない。紗は少しだけうつむいた。
「……理由はともあれ、ひとりで食べるのは、少し寂しいものです」
紗は手を伸ばしてもう一つ練り切りをつまむ。気に入った味も分かち合えなければ、やはり美味しさは半減してしまう。
「美味いまずいはよく知らないが、その顔を見る限り梅の菓子とやらは美味いのだね……」
アンテロはひとつ頷くと、練り切りを手にとった。
「なら俺も一つ頂こうか」
「はい」
アンテロの食べる姿を見て、紗は微笑む。
「美味しいですね?」
「これは美味しい、なのだね?」
「はい!」
自信たっぷりに頷く紗にアンテロも思わず微笑む。
二人が『掃除』した窓から、白い梅が風に揺れているのが見えた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
四王天・燎
【狐姉妹】次女の燦に誘われ三女の焔と向かう
「燦ちゃん来たわよぉん♪」
次女の燦に誘われ梅の香茶屋に三女の焔と手を繋ぎ現れる
ニヤニヤしつつ燦の頬を長い指で突っつきながら
「燦ちゃん、これ本当にケセランパサランなのぉ?」
燦が店員に注文し終えると、間髪入れず
「燦ちゃん大切なもの忘れてるわよぉん♪店員さんお銚子一本よろしくねぇ~ん♪」
8本の尻尾を揺らしながら店員にウィンクし伝える
注文の品が届くと最初に餡蜜をスプーンで掬い焔に食べさせる
「焔ちゃん、はい、アーン♪おいしいわよねぇ♪」
「燦ちゃんはお酒ダーメよぉん♪」
燦が酒を飲もうとすると凄い力で奪い取り飲み干す
写真時は妹二人を抱き寄せつつ応じる
アドリブ大歓迎!
四王天・燦
【狐姉妹】牡丹の間でお茶会
一応WIZ
「ケセランパサランだよ。キマイラフューチャーでSNSにあげたら即いいねが3006だぜ」
スマホで見せて自慢
「黒蜜稲荷抹茶みたらし餡蜜三人前。アタシにも熱燗ひとつ」
店員さんに迷わず注文。稲荷がなかったらショック。
「じゃ稲荷寿司と餡蜜で…」
毛玉を取りだして「効用ねーのかな」と首かしげ。
お酒は未成年なので姉貴に止められる。
姉貴に負けずアタシも焔に食べさせるぜ!全章通して一番熱い戦いの予感
「折角だし記念撮影しよーぜ」
異界文明に慣れ過ぎなのかスマホで手早くタイマーセットして梅の見える窓際で姉妹で撮影。
最後に油断なのか何かの霊に引っ張られたのかバランスを崩して窓から落ちる
四王天・焔
【狐姉妹】のメンバーで一休み
■心情
焔は直接は戦闘には参加してなかったけど、
燦お姉ちゃんに呼ばれたから、お祝いだけでもしていこうかな。
■行動
SPD判定の行動
和菓子を存分に堪能して、皆でのんびりとするねー。
「燦お姉ちゃん、お疲れ様―。今日はゆっくりと休んでいってね」
「燎お姉ちゃんは、お酒あまり飲み過ぎないようにねー」
焔は、稲荷寿司と餡蜜とかを食べて
緑茶を飲みつつ、お菓子の味を堪能するね。
「こういうのんびりとした所でゆっくりするのも、楽しいよね」
「燎お姉ちゃんほら、まんじゅうだよ、アーンしてね」
「皆で記念撮影も良いねー、思い出に残るような、素敵な一枚にしようね!」
●
ススワタリやケセランパサランと死闘を繰り広げた四天王・燦(月夜の翼・f04448)は姉の四天王・燎(酔いどれ妖狐・f04435)と妹の四天王・焔(妖の薔薇・f04438)を『梅の香茶屋』に招いていた。
燎が焔と手を繋いで、現れる。
「燦ちゃん来たわよぉん♪」
「燦お姉ちゃん、お祝いにきたよ」
「待ってたよ。さあ、甘いもの食おうぜ!」
姉の燎に負けずと燦は焔の空いているほうの手を繋ぎ、三人仲良く茶屋へと入る。
燦の希望で通してもらったのは牡丹の欄間が見事な『牡丹の間』。例の『油断大敵』と書かれた掛け軸も煤が取れ、今は綺麗に飾られている。
「それで燦ちゃん、どんな強敵と戦ったのぉ?」
従業員が注文を聞きに来るまでの間、姉の燎が尋ねた。焔も興味津々だ。
「手強かったったって本当なの?」
「ああ、これこれ。ケセランパサランだよ」
スマホであのとき取ったケセランパサランの映像を二人に見せる燦。
「キマイラフューチャーでSNSにあげたら、即いいねが3006だぜ」
「燦ちゃん、これほんとうにケセランパサランなのぉ?」
ネイルで彩られた色っぽい長い指で燦の頬を突きながら、少しからかってみせる燎。燦は膨れた。
「ケセランパサランだよ。こいつは人を駄目にする強いオブリビオンだった」
「ふーん?」
「姉貴信じてないな?」
「でも、かわいいねー」
スマホを覗き込み、笑顔で言う焔に姉二人は色めき立つ。なにせ可愛い可愛い妹だ。
「可愛いだろ? 焔がそう言うと思って撮ったんだぜ」
「あらあら、なんとか映えを狙ったんじゃないのぉ?」
焔を挟んで火花を散らす姉二人。
そこへ間を取り持つように従業員が注文を聞きにやってきた。
「黒蜜稲荷抹茶みたらし餡蜜三人前」
「黒蜜抹茶みたらし餡蜜ですね?」
「黒蜜稲荷抹茶みたらし餡蜜!」
従業員は困った顔になった。
「あの、稲荷の餡蜜はありませんので……」
「ないの!?」
ショックを受ける燦。しおしおと耳が垂れる。
「じゃ稲荷寿司と餡蜜を三人前で……」
「燦ちゃん大切なもの忘れてるわよぉん♪ 店員さんお銚子一本よろしくねぇ~ん♪」
八本の尻尾を揺らしながらウィンクをする燎。燦も気づいたように顔を上げた。
「アタシにも熱燗ひとつ!」
従業員はどことなく申し訳なさそうな顔で下がっていった。
燦はケセランパサランから抜いた何本かの毛玉を取り出し、首をかしげる。
(効用ねーのかな)
倒せば倒すほど幸せがくるというケセランパサランだ。稲荷餡蜜くらいの効用はあってもいいと思うのだが。
すぐに餡蜜とお銚子、お猪口が二人分運ばれてきた。焔にはお茶だ。
皆で顔を見合わせ、和菓子を手に取る。
「燦お姉ちゃん、お疲れ様ー。今日はゆっくりと休んでいってね」
「ありがとう、焔! じゃあ、アタシはまず熱燗をっと……」
「燦ちゃんはお酒ダーメよぉん♪」
お銚子を手にとった燦の手から凄い力で奪い取る燎。お銚子から飲み干す勢いだ。
「あー! 姉貴、アタシのお酒ー!」
「ダーメ♪」
未成年者の飲酒はお断りしております。
焔が心配そうに飲む燎に向かって小首をかしげる。
「燎お姉ちゃんは、お酒あまり飲みすぎないようにねー」
「ありがとう、いい子ねぇ、焔は。あ、焔ちゃん、はい、アーン♪」
燎は自分の手元の餡蜜を木の匙で掬って焔へと差し出す。素直に焔はぱくり。
「おいしいわよねぇ♪」
「うん、おいしいー」
「あ、アタシも! 焔、ほら、アーン?」
にこにこしながら、燦の匙もぱくりといただく焔。
「おいしいねー」
「あら、私の餡蜜のほうが美味しいわよぉ。焔ちゃん、アーン?」
「いや、アタシの餡蜜のほうが! 焔、アーン!」
妹大好きな姉二人の仁義なき戦いが始まった。火花が散り、二人の匙がぶつかり合う。その真剣さ具合と言ったら、たぶんススワタリやケセランパサランと戦ったとき以上のものだ。
焔はにこにこしてそんな二人の姉から代わる代わるに餡蜜をいただく。
「こういうのんびりした所でゆっくりするのも、楽しいよね」
「そうねぇ。それに関しては燦に感謝しなくちゃね♪」
「ふふん。任せろ!」
「燎お姉ちゃん、お酒だけじゃ駄目だよ。ほら、まんじゅうだよ、アーンしてね?」
焔からのアーンの言葉に燎の目が輝く。燎は勝ったと言わんばかりに口を開けた。
「アーン♪」
焔がおまんじゅうを燎の口に入れる。それを悔しそうに見守る燦。
「アタシにもほしいな、焔……ってアタシがもらったら焔の分がなくなるか」
「ううん、燦お姉ちゃんは頑張ったから特別。アーン!」
その優しい焔の言葉に思わずうるっとしそうな燦である。
姉二人は妹の思いのこもったおまんじゅうを分け合い、これにて戦いは終結した。
餡蜜もお銚子もおかわりして、姉妹水入らずのときを過ごす。時折焔を取り合ったり、燎のお銚子からお酒を飲もうとして、燦が怒られたり。焔はお腹いっぱいになるまで、姉二人から餡蜜をいただいた。
「折角だし記念撮影しよーぜ」
窓の外からは梅が綺麗に見える。
「皆で記念撮影も良いねー、思い出に残るような、素敵な一枚にしようね!」
異界文明に慣れすぎた燦はスマホで手早くタイマーセットすると、梅の見える窓際へと寄った。すかさず燎が両腕に妹たちを抱くポジションを取って満面の笑み。
「綺麗にとってね~ん♪」
「姉貴はいつでも綺麗だから……って、あれ!?」
スマホを構えた燎は、自分の後ろに何か黒い塊が見えたような気がした。
油断大敵の掛け軸が揺れる。
「わー!?」
バランスを崩して窓から落ちていく燦。
「燦ちゃん?」
「燦お姉ちゃんー!?」
記念撮影は姉妹に心配されつつ窓から落ちる燦の瞬間がパチリ。
これも、たぶん姉妹の思い出の一枚。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユキ・スノーバー
【エイリアンツアーズ】の皆と真珠梅見に来たよ!
…あれ?皆どうし(只ならぬ気配を察知)見守り隊、しゅつどーかな?(視線ロックオン)
サポートはぼく得意だよ!せっかくだからまったりと楽しめたら嬉しいなっ。
女の子は甘い物好きってよく聞くけども、気軽に声をかけるなら
「こっちのお菓子も美味しいよ」とか、勧める感じが良いかも?
甘い物とだと、やっぱり抹茶の安心感がぼく好きー!
梅餡の練り切りが有ったら只食べるだけじゃなくて、景色と一緒に目で楽しめるから食べたいなっ。
…綺麗だから、食べちゃうのが勿体なく感じちゃうかもだけど。
花びらひらひら、手にのせれるかな?折角の可愛くて綺麗なお花、落ちちゃうのが勿体ないんだよ。
須辿・臨
【エイリアンツアーズ】
wizで参加。
取り敢えず、パウルさんのこと見守るっす。
ラップで誘ったら巧く誘えそうな気もするんすけどねー……伝わるか、わかんねっすけど。
オレは梅餡のお団子とか、あんみつとか食べたいっす!合わせて梅茶も美味しそうっすね。
酸味が甘味を引き立てて、絶妙な美味さっすよね。
最中もどうっすか?(皆の甘味に興味津々)
ひなのさんも気になるもんあれば、おひとつどうぞっすよ!
気品があって白く輝くみたいで。ホント真珠って名前がお似合いの花っす。
桜はぱっと散っちゃうっすけど、梅は春を知らせて、訪れるまで待ってくれる感じがするっす。
※アレンジ歓迎、お任せします。
パウル・ブラフマン
【WIZ】
【エイリアンツアーズ】の皆と
初の社員旅行を兼ねて、お茶屋さんから梅見をするよ!
折角の機会だもん。
ひなのちゃん(f10274)もお誘いしてみるね!
オレたちとおじゅわッ…お茶しない?!
Rapなら絶対噛まないのに!ゆでだこになっちゃうよぅ…。
皆と合流後
改めて観る真珠梅の眩さに思わず感嘆の声をあげてしまいそう。
凄い、お花の宝石みたいだ!
オレの注文は
このウメアンを使ったおすすめをください!(MS様お任せ)
こんな風に職場の仲間とこうして過ごせるなんて…全部夢みたい。
初めて飲むウメチャは独特で、でもクセになる味。
また来年も皆と一緒に観たいな♪
※アドリブ大歓迎!
弓月・小金
【エイリアンツアーズ】で参加(WIZ)
共に見守りつつパウルくんが緊張しているようなら背中を押す構え。
甘味は最中を選択。あと梅茶…僕もそれで。初めて飲みます。
いい機会だし…味は周りの様子を伺いつつ口をつけて。…すっぱ。すっぱ。うま。
ああ、喧騒を忘れてのんびりできる時間って貴重かも。
…それにしても心地いい香り。なんて寄ってくる鳥がいないかのんびり探しつつ。
花の見頃は一瞬のひと時。儚いもんですが、だからこそきれいだな。
こうして仲間と過ごす時間もまたあっという間だから。
大事にしていきたいですね。
/アドリブ歓迎
ヘイズ・アンブラル
【エイリアンツアーズ】で参加
【WIZ】
グリモア猟兵のお嬢さんを誘うパウルを見守る。
緊張してるようなら応援してやろうか。大丈夫だ、なるようになるさ。
甘味は饅頭と梅茶をチョイス。あー、フェアリーサイズってあります?
……へえ、初めて体験する味だ。独特だけど悪くないな!
ここの梅は特殊で絶品って聞いたけどよ、初めて見る梅がそれって、俺かなり贅沢な体験してるんじゃねえか?
故郷の風景とはまるでちがう花を眺めながら、皆で美味いものを食べる。こういうゆっくりした時間って良いもんだよな。
※アドリブその他歓迎
ヨシュカ・グナイゼナウ
【エイリアンツアーズ】wizで参加。/パウル様のことを気にしつつも、席に着いて甘味を選択。お団子を頂きます。/庭に目を向けると、咲き誇る梅の花にしばし甘味の事を忘れぽおっと見惚れる。故郷の森では見たことのない花の美しさに言葉がでない様。/落ち着いたら美味しいお団子を頂いて、もちもちで食べたことのない不思議な食感、とても美味。時間があればヴィルヘルム(猫)と庭に出て梅を近くで拝見できればと。/頭についた一片の梅の花を手に取り、そっと思い出と共に鞄に仕舞う。(アドリブ歓迎です)
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本日は【エイリアンツアーズ】御一行様、初の社員旅行!
茶屋の店主に大部屋に案内してもらう途中、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は案内役だったグリモア猟兵、春日・ひなのがひとりもくもくと餡蜜を食べている姿を見かけた。
(折角の機会だもんね)
パウルは笑顔になると、仲間たちに先に行ってて、と声をかけた。皆が大部屋へと足を向けたことを確認すると、ひなのに声をかける。
「ひなのちゃん、オレたちとおじゅわッ……」
舌噛みかけました。ひなのは匙を口に入れたまま、不思議そうにパウルの顔を見る。
漂う只ならぬ気配。
何か予感がしたのか、廊下の曲がり角のあたりから見守るエイリアンツアーズの仲間たち。
(ラップで誘ったら巧く誘えそうな気もするんすけどねー……伝わるか、わかんねっすけど)
須辿・臨(風見鶏・f12047)が思えば、
(見守り隊、しゅつどーかな?)
ユキ・スノーパー(しろくま・f06201)はつぶらな瞳で視線ロックオン。
緊張するパウルの背中を押す構えな弓月・小金(惑溺・f00709)とヘイズ・アンブラル(Que Sera, Sera・f13253)。
気にしつつも、やや困惑気味なのはヨシュカ・グナイゼナウ(鍵の壊れた鳥籠の・f10678)。少し遠巻きに眺めている。
パウルは、咳払いをひとつしてから、再度挑戦。
「オレたちとお茶しない!?」
おお、と見守っていた一行から何故か拍手がこぼれた。パウルが振り返れば、皆が応援の姿勢でこちらを見ている。
(Rapなら絶対噛まないのに! ゆでだこになっちゃうよぅ……)
ひなのは心配そうに首をかしげた。
「よいのか?」
「せっかくだからまったりと楽しめたら嬉しいなっ」
サポートは得意と自負するユキがとことこ歩いて来て言った。かわいい。
「では、お邪魔させてもらおう」
ひなのの言葉に何故か、皆がパウルの背や肩を叩いた。
一階の大部屋。窓に近い場所に机が置かれ、時折真珠梅の甘い香りと共に梅の花びらがふわりと舞う。
従業員がやってきて皆に注文を聞いてまわる。
「オレは梅餡のお団子とか、あんみつとか食べたいっす! 合わせて梅茶も美味しそうっすね」
臨が注文すれば、小金は最中をまず選択。
「あと梅茶……僕もそれで。初めて飲みます」
「饅頭と梅茶で。あー、フェアリーサイズってあります?」
ヘイズのことを見た従業員はにっこりと「ございますよ」と安心させる笑顔を。
ヨシュカはお団子を選び、庭へと目を向ける。
気遣い屋さんのユキはひなのをちらり。
(女の子は甘い物好きってよく聞くけども、気軽に声をかけるなら……)
「ひなのさん、こっちのお菓子も美味しいよ。ぼくは、梅餡の練り切りと抹茶がいいな」
「本当か? じゃあ、私も同じもので」
「オレは……このウメアンを使ったおすすめをください!」
「かしこまりました、真珠梅の練り切りと梅茶ですね」
パウルの注文で全員分。従業員が引っ込むと、皆は改めて庭を眺める。
(こんな風に職場の仲間とこうして過ごせるなんて……全部夢みたい)
パウルは見事な梅を眺めながら感慨にふける。
ヨシュカは注文した甘味の事を忘れて、咲き誇る梅の花をしばし見惚れる。それは故郷の森では見たことのない花の美しさ。だからこそ口数も少なく黙ってしまう。
すぐに注文の品は揃えられた。机の上に並べられる甘味の数々。
皆は、お互いを見ながら梅茶をまず一口。
「酸味が甘味を引き立てて、絶妙な美味さっすよね」
臨が言えば、パウルは
「独特で、でもクセになる味だねー」
周りの様子を伺いつつ口をつけた小金は口をぱくぱく。
「……すっぱ。すっぱ。うま」
「へえ、初めて体験する味だ。独特だけど悪くないな!」
フェアリーサイズの湯呑で飲みながら、ヘイズはうん、と頷く。
そうしてから、甘味へと手を伸ばす。
ヨシュカは梅からようやく目を戻して、お団子を手に取る。もちもちで食べたことのない不思議な食感。
「……とでも美味しいですね」
ふわりと微笑むと、うんうんと頷くヘイズ。フェアリーサイズにしてはちょっとサービスしすぎな饅頭を両手で持っていただきます。
「うん、これもなかなかだ」
「あんみつも美味しいですよ。最中もどうすっか?」
皆の甘味に興味津々な臨。小金は最中を一口。
「うん、美味しい」
「パウルさん、練り切り、綺麗だから食べちゃうのが勿体ないね」
ユキは可愛らしい練り切りを前におろおろ。パウルも真珠梅によく似た練り切りを前にやや困惑気味。
「ユキくんー、持って帰って事務所で食べようかー」
「でも梅の見える場所で食べたいね」
「じゃあ、せーので食べよう!」
せーの、で練り切りを口に運ぶ二人。視線の先には真珠梅。
(凄い、お花の宝石みたいだ!)
パウルが思わず感嘆のため息を付けば、ユキも幸せそうな笑顔。
「……それにしても心地いい香り」
小金はふんわり漂う香りに息を吸い込む。寄ってくる鳥がいないかと探せば、遠くから鳥のさえずりが聞こえる。
(花の見頃は一瞬のひと時。儚いもんですが、だからこそきれいだな)
「ここの梅は特殊で絶品って聞いたけどよ、初めて見る梅がそれって、俺かなり贅沢な体験してるんじゃねえか?」
ヘイズもまた梅を眺めながらしみじみと。
「気品があって白く輝くみたいで。ホント真珠って名前がお似合いの花っす」
臨はうん、と頷くと視線を遠く、春が来るほうへと投げた。
「桜はぱっと散っちゃうっすけど、梅は春を知らせて、訪れるまで待ってくれる感じがするっす」
ヨシュカは猫のヴィルヘルムと共に庭へと出て梅を近くで眺める。ユキもヨシュカについてきて横に並んだ。
「……綺麗ですね」
「うん、きれいー」
梅の花びら、ひらひら。ユキは手を伸ばして花びらを手にのせようとする。
(折角の可愛くて綺麗なお花、落ちちゃうのが勿体ないんだよ)
ヨシュカの頭には一片の梅の花。手で取ると微笑みが思わず浮かぶ。今日の思い出と共にそっと鞄にしまうと、ヴィルヘルムが長く鳴いた。
「故郷の風景とはまるでちがう花を眺めながら、皆で美味いものを食べる。こういうゆっくりした時間って良いもんだよな」
ヘイズが伸びをしながら言うと、小金も目を細めた。
「こうして仲間と過ごす時間もまたあっという間だから。大事にしていきたいですね」
「じゃあ、また来年も皆で一緒に梅を観よう♪」
パウルが決意表明のように声を上げた。
「社員旅行もまだまだしたいし、皆と一緒に色々な景色をみたいな」
皆がうん、と頷く。
ヨシュカとユキが庭から戻ってくると、皆の分、と捕まえた花びらを机に広げた。皆、思い思いにその花びらをつまむ。
「ひなのちゃんも、はい」
「……嬉しい、ありがとう」
ひなのもパウルから花びらを一枚受け取ると大事に手のひらに収めた。
「そう言えば、直ったコットンキャンディーの機械も持ってきたんだよ!」
「そんなもの!?」
パウルはどーんと事務所の機械を部屋に置く。
「折角だから、茶屋の皆さんにも食べてほしいなーって」
「梅を見ながらコットンキャンディーも悪くないな」
小金が頷いた。
賑やかな社員旅行は日が暮れるまで続きそうだ。
大成功
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