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星の海の大サーカス

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #ヘルメスデウス・ブレインコア #スターライダー

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#スターライダー


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●インぺリウム再建計画
 そこは、何もない宙域だった。周辺に大きな天体もなく、スペースシップのいかなる航路からも外れている。
 なぜならそこは、磁気嵐が吹き荒れ無数の隕石群の飛び交う危険な宙域だったからだ。わざわざ危険を冒してまで、そんな宙域へ行こうとするものなどいはしない。
 だからこそ、その宙域で今、巨大な建造物が造られていることに気付く者は、誰一人としていなかった。
「帝国継承軍旗艦『新インペリウム』、完成率65%。この艦の完成と同時に、プリンセス・エメラルド麾下の新銀河帝国は、再びこの宇宙の覇権を掌握することになる」
 その、小惑星と見紛うサイズの超巨大戦艦の建造を指揮しているのは、小柄な少女だった。だが、彼女がその見た目通りの存在でないことは、彼女が球形の装置と直接接続されていることからも明らかだ。
「宇宙に散らばる同胞よ、継承軍の名の元に集結せよ。わが名はヘルメスデウス・ブレインコア。われらが盟主プリンセス・エメラルドに仕えし者なり」
 猟書家の一人、ヘルメスデウス・ブレインコアは、新インペリウムの建造を続けつつ、全宇宙に散らばる銀河帝国の残党たちへ向け、そう呼びかけ続けるのだった。

●伝説のスターライダー
「スペースシップワールドにおいて、猟書家の一人、ヘルメスデウス・ブレインコアの行動が予知されました」
 エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)は、集まった猟兵達に張り付いたような笑顔のままそう告げた。
「ヘルメスデウス・ブレインコアは、かつて銀河帝国攻略戦で猛威を振るった銀河皇帝の座乗艦『インペリウム』の同型艦を建造しようとしているようです。彼女はまだ誰にも危害を及ぼしていませんが、彼女を阻止できなかった場合、『新インペリウム』が完成してしまいます。そうなれば、スペースシップワールドにとってとてつもない脅威となることは明らかです。そこでみなさんには、ヘルメスデウスの行動を阻止してもらいたいのです」
 ですが、とエルシーはわずかに表情を曇らせる。
「『新インペリウム』建造中の宙域は、危険な磁気嵐や隕石群の飛び交う危険なエリアです。もしそこを突破できるものがいるとしたら、その宙域に詳しい凄腕の『スターライダー』だけでしょう」
 そこでまずは、かつて解放軍から『伝説のスターライダー』と呼ばれた人物を探し出す必要があるのだという。
「『伝説のスターライダー』は、銀河帝国攻略戦の際に帝国軍の暗殺者に命を狙われ、とあるサーカス団に身を隠したと言われています。そのサーカス団に恩義を感じたスターライダーは、戦後もサーカス団の一員として、行動を共にしているようです。そこでまずは、みなさんはそのサーカス団『スターライト・サーカス』と接触し、『伝説のスターライダー』を探し出して欲しいのです」
 『スターライト・サーカス』は現在、スペースシップ『イシュメイル』で興行中だという。
「『伝説のスターライダー』は謎の多い人物で、その正体を知る者はほとんど存在しません。サーカス団の誰が『伝説のスターライダー』かは、ワタシにも予知できませんでした」
 おどけた仕草で人を笑わせる無口なピエロ、獰猛な宇宙生物を巧みに操る巨漢の猛獣使い、玉乗りや綱渡りなどアクロバティックな動きで人気の美女姉妹、サイキックを交えたジャグリングを得意とする小柄なジャグラー、チケット売り場で愛想と色気を振りまくバニーガール……『スターライト・サーカス』には個性的な団員がたくさんいる。
「その中の誰が『伝説のスターライダー』なのか……、観客としてサーカスを見に行って見極めるのもいいですし、サーカス団に団員として潜入し聞込みを行ってもいいでしょう。『伝説のスターライダー』も銀河帝国の復活は望んでいないはずですから、お願いすればきっと協力してくれるはずです」
 『伝説のスターライダー』を無事見つけ出したら、後は共に新インぺリウム建造中の宙域へ赴き、ヘルメスデウス・ブレインコアを討つだけだ。
「ヘルメスデウスは帝国によって製造された人型戦闘ロボット――つまりワタシと同じようなウォーマシンです。彼女は情報収集と解析、演算能力に重きを置いて開発されたウォーマシンの為戦闘能力はそれほど高くないはずですが、決して油断しないでください。みなさんならきっとヘルメスデウスを撃破できると、ワタシは信じています」
 エルシーはにこやかにそう言うとグリモアを取り出し、『イシュメイル』への転送を開始したのだった。


J九郎
 こんにちは、J九郎です。
 久々にスペースシップワールドにスポットが当たって、嬉しい限りです。

 これは2章構成の幹部シナリオです。
 第1章では、サーカスを楽しみつつ『伝説のスターライダー』を探して下さい。誰に目星をつけて探すかを特定して探す場合、それがスターライダーかどうかに関わらずプレイングボーナスが得られます。
 第2章では、危険な宇宙嵐が吹き荒れる中、猟書家との戦闘になります。スターライダーの指示に従い戦えば、プレイングボーナスが得られます。

  それでは、みなさんの工夫を凝らしたプレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『サーカス艦がやってくる』

POW   :    飛び入り参加でパフォーマンスを披露する

SPD   :    得意分野を生かして興行に協力する

WIZ   :    純粋に観客として楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メイスン・ドットハック
【SPD】
サーカス団の中に伝説のスターライダーがおるとはのー
とりあえず誰かと仲良くならんことには始まらんけーのー

巨漢の猛獣使いにコンタクトを取ってみる
どうやって猛獣を手なずけているのか、興味があると言った感じで近づくのがベストだろうか
UC「太陽神は全てを見通す」を発動して、猛獣使いの所作や癖、宇宙生物達の反応などを確かめて、どうやって操れるのかをつぶさに観察して正解を探り当てる
それを疑問として聞いてみて、こちらに興味を示した所で、伝説のスターライダーのことについて聞いてみる

伝説と呼ばれるスターライダーの噂について聞いたことがあるかのー? よければ教えてほしいものじゃけど

アドリブ絡みOK


九十九・サイレン
サーカスとかまさにボクの為のフィールドじゃーん!
これは気合入っちゃうなー

とりあえず新入りとして混ぜて貰って興業に協力しーちゃお!
UCで自分にメダルを貼っておいて注目を集めながら団員の皆さんの前でピエロな◆演技や転んでしまう演技とかを披露しちゃおう!

先輩としてやっぱりピエロの人をさがそっかな
ジャグリングやアクロバットもピエロとして参考になりそうだし見やりつつ、本命の人を探そう!

いたら、後輩としてピエロの演技を披露してワンダリングスーツの効果で警戒度を下げながら話しかけよう!
ボクはつい喋り過ぎちゃうから、先輩みたいに無口に徹してピエロとして動けるの尊敬しちゃうな!これ本心ね!
話ながら◆情報収集ね!


雛菊・璃奈
スターライダーって事は、乗り物に乗る為のバランス感覚とか反射神経、運動能力が高そうだよね…。
そうなると美女姉妹が怪しいけど…。

ミラ達、3匹の仔竜と共に一時的な臨時団員として参加…。
【unlimited】による最大450本の魔剣を操作しての的当てやジャグリング、剣舞等や仔竜達を【影竜進化】や【海竜王進化】させての竜使い(猛獣使い)等、自身のUCや技量を活かして潜入…。
間近で接して、団員の人となりや体運び等を観察【見切り】し、そこから伝説のスターライダーを探すよ…。
それとなく「銀河帝国の後継者を名乗る一団が活動してるみたい」って話を振ってみたり…。

このサーカス団は暖かいね…。家族みたい…。



●臨時団員達
 様々なスペースシップを渡り歩く『スターライト・サーカス』は今、スペースシップ『イシュメイル』艦内のフリースペースにて興行を行っていた。
 フリースペースは天井が超強化ガラスで出来ており、船外に広がる星の海を一望できる。
 そして、慌ただしく興行の準備を行っているサーカス団のテントの一角では、臨時の団員達の入団テストが行われていた。
 スターライト・サーカスは、立ち寄ったスペースシップの住人や流れ者を、積極的に特定の興業のみの臨時団員として使うことでも有名なのだ。
「いやー、君達のような即戦力になる人材を採用出来て嬉しいよ。短い間だが、我がサーカス団の団員として、頑張ってくれたまえ」
 タキシードに身を包んだ恰幅の良い初老の男性――スターライト・サーカスの団長は、上機嫌で3人の臨時団員を見渡した。
「任せてよ! サーカスとかまさにボクの為のフィールドじゃーん! これは気合入っちゃうなー」
 カクリヨファンタズム出身の妖怪少女、九十九・サイレン(再誕の18不思議・f28205)は、既にピエロの如き扮装をして、やる気満々だ。
「わたしも……がんばる……」
 妖狐の雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は、連れてきた3匹の仔竜達と目を合わせ、気合を入れるように頷き合う。
(「サーカス団の中に伝説のスターライダーがおるとはのー。とりあえず誰かと仲良くならんことには始まらんけーのー」)
 一方、クリスタリアンのメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は、早くも団員の誰に話しかけるべきかと、周囲を見回していた。
 団長が去っていった後、残された3人は手早く打ち合わせを始める。
「僕はとりあえず猛獣使いにコンタクトを取ってみることにするかのー」
 メイスンがそう切り出せば、
「じゃ、ボクは先輩としてやっぱりピエロの人をさがそっかな」
 サイレンはそう言ってニヤリと笑みを浮かべ。
「スターライダーって事は、乗り物に乗る為のバランス感覚とか反射神経、運動能力が高そうだよね……。そうなるとわたしは美女姉妹が怪しいと思うけど……」
 璃奈は少し考え込んだ後、そう口にした。
 そして3人は、さっそく目星をつけた相手の場所へと向かっていったのだった。

 サーカス団の一員である猛獣使いの巨漢は専用のテントで、蜘蛛のような八本の足と竜を思わせる鱗に覆われた細長い身体とライオンのような頭部を持った宇宙生物に、芸を仕込んでいるところだった。
(「なるほどのー。手にした杖から特殊な音波を発生させて、それでコミュニケーションを取っておるのか」)
 テントに入り込んだメイスンはユーベルコード【太陽神は全てを見通す】を発動させ、電脳の目も駆使して猛獣使いの所作や癖、宇宙生物達の反応などを逐一観察・分析していく。
「その子は見た目によらず随分と知能が高いようじゃのー。独自の言語体系でも持っておるのかのー?」
 メイスンがそう話しかけると、猛獣使いは一瞬驚いたように目を見開いた。
「おまえ、動物、詳しいのか?」
 猛獣使いの問いに、メイスンは苦笑を浮かべつつ首を横に振る。
「いやいや、僕の知識は全て電脳空間に記録された知識の受け売りじゃ。しかし、これだけいろんな宇宙生物を、どうやって見つけてきたのかのー?」
「おれ、1人で宇宙中を旅して、こいつらと、友達になった」
 猛獣使いは、そう言って得意そうに胸を張った。
「ほおー。なら、旅の途中で色んな噂話とかも聞いたりしたんじゃろーなー。例えば、伝説と呼ばれるスターライダーの噂について聞いたことがあるかのー? よければ教えてほしいものじゃけど」
 メイスンの問いに、猛獣使いは視線を宙に投げて考え込む。
(「……というよりこれは、話していいかどうか悩んでいる様子にも見えるのー」)
 【太陽神は全てを見通す】の効果で千里眼の如き視力と分析力を得たメイスンは、猛獣使いのわずかな表情の変化と動作から、そのことを読み取る。どうやら彼自身が伝説のスターライダーではないようだが、少なくともその存在自体は知っているようだ。
(「もしサーカス団全体で伝説のスターライダーを匿っているのだとしたら、まだまだ警戒されているのかもしれんのー」)
 もう少し、この猛獣使いと打ち解けて信頼を勝ち取る必要があるかもしれないと、メイスンは考えたのだった。

 興業が行われるステージの上では、サーカス団の団員達がそれぞれに自らの芸を磨いていた。
 その中へ、サイレンは物怖じもせず飛び込んでいくと、さっそく練習用の大玉に飛び乗り――そして大仰な仕草で盛大に転んで見せた。
【あやかしメダル「お祭りニャンコ」】を自らに張り付けたサイレンのその動きに、団員達が一斉に注目する。新人離れした度胸に感心する者、素直に大笑いする者、様々な反応の者がいる中で、表情一つ変えずにじっと見つめてくるピエロの方へと、サイレンは歩みよっていった。
「あ、先輩! ボクもピエロをやるんで色々教えてね☆」
 そう挨拶しつつ、サイレンは練習用の刃のないナイフでジャグリングを披露してみせる。
 サイレンの、道化そのものの衣装と動きに、無口なピエロも警戒を解いたのだろう。黙って頷いて見せた。
「先輩ってあんまり喋らないんだね! ボクはつい喋り過ぎちゃうから、先輩みたいに無口に徹してピエロとして動けるの尊敬しちゃうな!」
 同じ道化として、それはサイレンの嘘偽わざる本心だった。その言葉に少し照れたのか、先輩ピエロが少し顔を逸らす。だが、感触は悪くない。このまま話を続けていけば、情報を聞き出せるかもしれない。
 問題は、この先輩ピエロがサイレンの想像を超えてひたすらに無口だったことだろう。
 本当は言葉がしゃべれないだけじゃないかと疑いたくなるくらい、一言もしゃべらない。これでは、スターライダーについて聞き出す以前の問題だ。
(「こうなったら、意地でもしゃべらせてやるんだから!」)
 思わず、当初の目的を忘れてしまいそうになるサイレンだった。

『呪われし剣達……わたしに、力を……『unlimited curse blades』……!!』
 璃奈は『魔剣の巫女』としての権能で450本もの魔剣を呼び出し、その魔剣を次々に投じて的当てをしてみせた。さらに連れてきた仔竜達を海竜や影竜へと変貌させ、その背の上でジャグリングや剣舞を披露するという離れ業を見せる。
 あまりにも常人離れしたその芸当に、サーカスの団員達は或いは息を飲み、或いは口をあんぐり開けて見入ってしまっていた。
 だが璃奈は逆に、そんな団員一人一人を芸をしながら観察していた。人となりや体運び等から、伝説のスターライダーに該当しそうな人がいないかどうか、さりげなく探っていたのだ。
 しかし、中々それに該当しそうな人物は見当たらない。当初目星をつけていた軽業師の美人姉妹も、どうやらスターライダーではなさそうだ。
 仕方なく璃奈は、団員達にさりげなく、
「銀河帝国の後継者を名乗る一団が活動してるみたい」
 と話を振ってみたりしながら、伝説のスターライダーを探していく。
 だがこれだけ観察してもそれらしい人物が見当たらないということは、スターライダーは芸を行う団員ではないのかもしれない。
(「それにしても……」)
 スターライト・サーカスの団員達と交流を深めれば深めるほど、璃奈は思うのだ。
(「このサーカス団は暖かいね……。家族みたい……」)
 伝説のスターライダーもきっとこの暖かさに惹かれて、銀河帝国攻略戦後もこのサーカス団に留まり続けているのだろう。璃奈は温かい気持ちでそう考えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
団員もこれだけいるとどう探したものかな。

スターライダーとして活躍していたのなら
入団してから時間は短い筈。
『サーカス』での経験期間が
短くても務まりそうなのは。
「バニーガール、かな。
可愛いバニーガールと話して見たいってのも
……ない訳じゃないけど。」

「ああ、ちょっと良いかな。」
とサーカスの話を聞きながら出来るだけ自然に宇宙の話に繋げて。
「宇宙のある宙域に新銀河帝国の
巨大な戦艦が建造されているんだ。
そこは危険なところで行く為には腕利きの
スターライダーの協力が必要で。心当たりはないかな。」
スターライダーならその話に反応を示す筈と踏み
態度をよく見て。

もし期待が外れたら、折角だからサーカスを見ていこうかな。



●受付にて
 多くの猟兵が臨時の団員としてスターライト・サーカスに潜入する中、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は観客としてサーカス団を観察し、伝説のスターライダーを見極めようと考えていた。
「とはいえ、団員もこれだけいるとどう探したものかな」
 サーカス団には、裏方も含めればかなりの人数が在籍している。その一人一人を調べていたら、流石に時間がいくらあっても足りないだろう。
(「だが、スターライダーとして活躍していたのなら、入団してから時間は短い筈。『サーカス』での経験期間が短くても務まりそうなのは――」)
 フォルクは、サーカス団のチケット売り場へと目を向けた。
「バニーガール、かな」
 そこでは、人を引き込む蠱惑的な笑みを浮かべてサーカスのチケットを売っている、バニーガールの姿があった。
(「まあ、可愛いバニーガールと話して見たいってのも……ない訳じゃないけど」)
 心の中でそんなことを呟きつつ、フォルクはチケットを買いに来た客を装って、バニーガールに話しかける。
「ああ、ちょっと良いかな」
「はーい。お客様、チケットは1枚でよろしいですかぁ?」
 さっそくバニーガールが、色っぽい声と笑顔を向けてきた。
「ああ、うん。チケットを買う前に、このサーカス団の事を教えてくれないかな」
 彼女が伝説のスターライダーであるにしろそうでないにしろ、サーカス団の情報を得ておくことは有益だろう。バニーガールは愛想よく、いかにスターライト・サーカスの演目が迫力があって素晴らしいかを語ってくれる。
「つまり、このサーカス団はこの船だけじゃなく、宇宙中の様々なスペースシップで興行してるんだね」
「はい、その通りですよぉ」
 甘い声でそう答えたバニーガールに、フォルクは何気ない感じを装って、少し切り込んでみた。
「そういえば、宇宙のある宙域で新銀河帝国の巨大な戦艦が建造されているんだ。そこは危険なところで行く為には腕利きのスターライダーの協力が必要で。そういう人に心当たりはないかな。例えばここの団員で」
 その時、一瞬だけバニーガールの顔から笑みが消えたのを、フォルクは見逃さなかった。彼女が何か知っているのは、間違いなさそうだ。
「……残念だけど、アタシにはちょっと分からないですねぇ」
 しばしの沈黙の後、バニーガールは笑顔を戻してそう答える。
「そう? なら、何か思い当たることがあったら教えて欲しい」
 あまり深く突っ込んでも怪しまれるだろうと考えたフォルクは、チケットを一枚購入すると、その場を後にした。
 せっかくサーカス団のいるスペースシップに来たのだ。このままサーカスを見ていくのも悪くないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アン・カルド
【星雲の司書】として。

や、久しぶりのサーカスだ、前に覗きに行ったのはいつだったかなぁ…おっと、今日は遊びに来たわけじゃあなかったね。

今日必要なのは調査、なら頼むのは【忍者】だね。
公演前に忍者君を呼び出して、手筈通り受付のバニーへ。
嫌がらないでくれよ、これも立派な仕事さ。
伝説のスターライダーがサーカス団員の花形なら他の猟兵がいくらでも気づくはず、皆があまり目を向けないところから攻めていこう。

…あ、君の視界は僕は当然ロラン君もハッキングで確認してるからよろしくね。
そうそう、ウェネーフィカ君の梟も同じように調査にあたってる、適宜協力してくれ。

…お仕事終わり、後は観客として楽しもうじゃないか。


二條・心春
【星雲の司書】
私もよくわかっていませんが、嵐も隕石も相当危険ですよね……。ぜひともスターライダーさんの力をお借りしたいところです。

せっかくですからサーカスを見ながら、伝説スターライダーさんを探しましょうか。幼い頃に何回か見たことはありますが、この世界のサーカスはまた違うのでしょうか。ふふ、楽しみです。

嵐が吹き荒れる宙域を突破できる方なら、バランス感覚が良かったり、危機察知能力に優れてたりするのかな。「第六感」を働かせながら注意深く観察しますよ。
アンさんとアウラさんが偵察してくれた情報とロランさん分析してくれたこととも合わせて、伝説のスターライダーさんが誰か考えてみましょう。


アウラ・ウェネーフィカ
【星雲の司書】
磁気嵐に隕石群、中々想像出来ないな
隕石とは上級魔法で降らせるあの隕石で合っているのか?
そんな物が飛び交うとは、宇宙とは危険な場所だな……

■行動
さて、公演が始まる前に一仕事といくか
私は【UC】により創った梟型の使い魔を舞台裏や控え室、それとバニーの所にも送り込んで公演前や公演中の様子や会話を探ろう

この視覚・聴覚情報はロランさんとも共有される、それとアンさんの放った忍者もいる。何かあればお互い助け合うように

使い魔を送ったら、後は使い魔からの情報を確認しながら皆と一緒に観客としてサーカスを楽しみに行こうか
実はこういった大道芸の類は見た事が無いからな、どんなものか大変興味深い(ワクワク)


ロラン・ヒュッテンブレナー
※アドリブOK、耳や尻尾に感情がよく表れる
【WIZ】

【星雲の司書】
みんなでサーカスを観に来たの
スターライダーさん、見つかるかな?

○公演前
アンおねえさんの忍者と、アウラさんの使い魔が偵察に行ってくれるから、魔力を繋いで視覚と聴覚を【ハッキング】してデータを電脳空間に保存、【情報収集】して分析するね

※公演中は初めて見たサーカスの芸に年相応の無邪気さで楽しんでいる

はー、サーカス、すごいね
魔術でもなくて、あんなことできるんだね!

こほん

電脳空間のデータを整理して推理するの
サーカスの芸って、すぐにできるのかな?
それに、男性とも、一人ともわからないよね?
心春おねえさんが注目してない人も、
しっかり分析なの



●星空の下のサーカス
 スペースシップ『イシュメイル』へと転送された『星雲の司書』の面々は、連れ立ってスターライト・サーカスが興行しているイベントスペースへと向かっていた。
「や、久しぶりのサーカスだ、前に覗きに行ったのはいつだったかなぁ……おっと、今日は遊びに来たわけじゃあなかったね」
 弾んだ声を上げるのは、睡蓮の花に銀の羽根を持つオラトリオ、アン・カルド(銀の魔術師、或いは銀枠の魔術師・f25409)だ。
「そうだよ、アンねえさん。スターライダーさん、見つけなくちゃ」
 ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)が銀色の狼耳をパタパタさせながら、アンにここに来た目的を思い出させる。
「それにしても、磁気嵐に隕石群か……、中々想像出来ないな。隕石とは上級魔法で降らせるあの隕石で合っているのか? そんな物が飛び交うとは、宇宙とは危険な場所だな……」
 アックス&ウィザーズ出身のキマイラであるアウラ・ウェネーフィカ(梟翼の魔女・f25573)にとって、宇宙空間というのは全く未知の世界だ。中々想像力が及ばない。
「私もよくわかっていませんが、嵐も隕石も相当危険ですよね……。ぜひともスターライダーさんの力をお借りしたいところです」
 UDCアース出身の女子高生である二條・心春(UDC召喚士・f11004)にも、宇宙はなじみのない世界だ。だからこそ、スターライダーの協力はぜひとも取り付けたいところだった。
「つまり、今日必要なのは調査、なら頼むのは【忍者】だね」
 アンはさっそくユーベルコード【ライブラの愉快話・忍者】を発動させ、姿なき凄腕の忍者を呼び出した。姿は見えず気配も感じないが、忍者と感覚を共有するアンにだけは、彼が姿を現したことを把握できる。
「それじゃ、君は手筈通りに調査を頼むよ。……あ、君の視界は僕は当然ロラン君もハッキングで確認してるからよろしくね」
 アンの言葉に、ロランが頷く。電脳魔術士のロランにとって、魔力を繋いで視覚と聴覚をハッキングすることなど、容易なことだ。
「なら、私も使い魔を用意しよう。『闇よ、今ここに形を成して我が命に従え』」
 アウラが、ユーベルコードを用いて梟型の使い魔の群れを召喚する。
「それじゃ、アウラさんの使い魔とも魔力を繋いでおくね」
 ロランが使い魔達と感覚を共有したのを確認すると、アウラは一斉に梟達を解き放った。
「準備はできましたね。それじゃ、せっかくですからサーカスを見ながら、伝説のスターライダーさんを探しましょうか」
 心春のその呼びかけに応じて『星雲の司書』の面々は、サーカス会場であるイベントスペースの観客席へと向かっていった。

「サーカスは幼い頃に何回か見たことはありますが、この世界のサーカスはまた違うのでしょうか。ふふ、楽しみです」
 指定された席に腰掛けた心春が笑顔を浮かべると、
「実はこういった大道芸の類は見た事が無いからな、どんなものか大変興味深い」
 アウラもワクワクした様子でステージに視線を向けている。
「調査には忍者とウェネーフィカ君の梟が向かっているし、僕達はここから団員達を観察するとしよう」
 アンがそう告げた時、一斉にスポットライトがステージへと向けられた。いよいよ、サーカスの開演の時間だ。
 そして始まったのは、スペースシップワールドならではの、スペクタクルなサーカスだった。
 無口なピエロと饒舌なピエロのコンビによる、宙を浮く大玉を使った滑稽なパフォーマンスから始まり、大小さまざまな見たこともない宇宙生物達を巧みに操る猛獣使いと、その宇宙生物達と共にジャグリングをして見せる少年のショーがそれに続く。
さらにその後には、巨大な竜の背から無数の剣を投じる少女と、その剣を一輪車に乗ったまま巧みにかわし続ける軽業師姉妹のアクロバティックな演目が繰り広げられた。
「はー、サーカス、すごいね。魔術でもなくて、あんなことできるんだね!」
 ロランは、年相応の無邪気さで顔を輝かせて繰り広げられるショーに引き込まれていたが、
(「嵐が吹き荒れる宙域を突破できる方なら、バランス感覚が良かったり、危機察知能力に優れてたりするのかな」)
 心春はサーカスを楽しみつつも、本来の任務であるスターライダー探しを忘れてはいなかった。ステージ上で特技を披露する団員一人一人を、注意深く観察していく。
(「そういう意味ではやはり軽業師の姉妹が怪しいけど……一輪車と宇宙バイクはまた別物でもありますよね……。それに、あの中の何人かは、先に潜入した猟兵みたいですし」)
 一方で、アンは全く別のことを考えていた。
(「今舞台に上がっているのは、いわばみんな花形。伝説のスターライダーがサーカス団の花形なら他の猟兵がいくらでも気づくはずだし、帝国軍だって見逃すはずがない」)
 そう考えたアンが目配せをすれば、すっかりサーカスに魅せられていたロランは、我に返ったように「こほん」と咳払いし、感覚をリンクさせた忍者や梟達の得た情報の分析を開始する。
 現在忍者は受付のバニーガールを、梟達は舞台裏や控え室を見張っていた。ステージに上がる団員達は自分達で直接見極め、使い魔達には皆があまり目を向けないところを攻めさせようというのが、『星雲の司書』の作戦だった。
「うーん。サーカスの芸って、やったことない人がすぐにできるのかな? それに、スターライダーが男性とも、一人ともわからないよね? 心春おねえさんが注目してない人も、しっかり分析なの」
 ロランは、忍者や梟達の全ての視覚や聴覚からの情報を電脳空間に取り込み、整理していく。
 そして、遂に有力な情報に繋がりそうな動きがあった。
「うん? 団長とバニーガールが何やら内緒話を始めたようだな」
 使い魔と五感を共有するアウラが、控室の一角でサーカス団の団長とバニーガールが何やら話しているのに気付いたのだ。
「小声でよく聞き取れないな。忍者をもっと接近させるか? ……嫌がらないでくれよ、これも立派な仕事さ」
 アンの言葉の後半は、作戦中の忍者に対しての言葉だ。
「大丈夫、ハッキングで音声を捉えたよ」
 ロランは二人の会話を、要約して仲間達に伝えていく。どうやらバニーガールが、スターライダーの存在を探っている者がいるらしいことを団長に相談しているようだ。
「……つまり、最低でもあの二人はスターライダーの存在を知ってるってことですよね! むしろあのバニーさんが、スターライダー本人なのかも!」
 心春は思わず大きな声を上げてしまい、あわてて口に手を当て周囲を見回す。幸い他の観客たちはステージに目を奪われ、心春の声に気付いていないようだった。
「どうやら、帝国継承軍がスターライダーの存在を嗅ぎまわってるんじゃないかと思っているようだな」
 忍者の耳を通じて会話を傍聴していたアンが、そう呟く。
「ならば、誤解を解ければ、協力を要請することは難しくなさそうだ」
 アウラが、ほっとしたようにそう口にした。
「さ、それじゃこれでお仕事終わり、後は観客として楽しもうじゃないか」
 アンがそう言って舞台に目を向け直すと、丁度そこでは、クライマックスを飾る全員参加のショーが繰り広げられていた。
 天井に広がる満面の星空の下、ピエロ達が跳ね回り、魔剣使いの少女とサイキックの少年が無数の剣を宙に舞わせ、その合間を見たこともない姿をした宇宙生物たちが巨大なキャバリアと共に遊泳していく。軽業師の姉妹がそんな中で空中ブランコの華麗な技を披露し、無数のホログラムが舞台を彩る。
 こうして『星雲の司書』の面々は、心ゆくまでサーカスを堪能したのだった。

●スターライダー『スカーレット』
「……話は分かったよ。アタシも帝国にはいろいろと恨みもあるんだ。喜んで協力させてもらうよ」
 公演後、猟兵達から事情を聴いたバニーガール――いや、伝説のスターライダー『スカーレット』は、そう約束してくれた。
「それに、その新造艦を建設してるって宙域はアタシの庭みたいなもんだ。他人様の庭先で勝手なことやられてんのを、黙って見てるわけにもいかねぇしな」
 バニーガールだった時の甘ったるい喋り方とは打って変わった口調で、スカーレットは引っ張り出してきた自らの愛機たる宇宙バイクのシートを叩く。
「だがあの宙域は知っての通りかなり危険な場所だ。アタシの言う通り走ってたって事故る可能性は大きい。アタシも覚悟を決めたんだ、アンタ達にも覚悟は決めてもらうよ?」
 スカーレットの意志の強い視線を向けられた猟兵達は、一斉に力強く頷き返したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ヘルメスデウス・ブレインコア』

POW   :    メタルナイト・クリエイション
無敵の【超大型機動兵器】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    オートマティックレギオン
レベル×5体の、小型の戦闘用【無人戦闘マシン】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    ヘルメスデウス・アナライズ
【今戦っている敵の情報を収集・解析した】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ユエイン・リュンコイスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●危険宙域
 猟兵達は、伝説のスターライダー『スカーレット』の先導の下、無事磁気嵐と隕石群を抜け、『新インペリウム』建設中の宙域に辿り着くことに成功していた。
「猟兵の接近を確認。この事態は、想定外」
 巨大戦艦建設の指揮を執っていた猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』は表情を一つも変えなかったが、それでも驚いているであろうことは一目瞭然だった。
「建設作業、一時中断。猟兵の排除を最優先事項に設定」
 即座にヘルメスデウス・ブレインコアが迎撃態勢を取り、猟兵達もそれぞれに戦闘の構えを取る。
「いいかい、この宙域じゃあ絶対に動きを止めちゃあ駄目だ。怖くってもなんでも、とにかく動き続けること。結果的にそれが一番安全なんだ」
 深紅のライダースーツを身を纏ったスカーレットはそう猟兵達にアドバイスを残すと、戦闘の余波に巻き込まれるのを防ぐために後退していく。
 隕石が飛び交い、磁気嵐が吹き荒れる戦場で。猟書家との戦いが今始まろうとしていた。
フォルク・リア
スカーレットを見送り
「連れてきて貰えて助かったよ。
でも、バニーの時と随分感じが違ったな。」
そんな事を考えてる場合じゃないか。

周囲の状況や敵の攻撃を【見切り】
スカイロッドから空気を噴出。その勢いで常に移動
方向転換もスカイロッドの空気圧を利用。

新インぺリウムとブレインコアの状態をよく確認してから
真羅天掌を発動。削り属性の砂嵐を発生させ敵を攻撃、
表面若しくは砂を侵入させて内部を削り、
機能不全させて情報収集を妨害。
加えて新インぺリウムの建造中の脆い箇所を中心に砂嵐で攻撃、
此方も内部に砂を侵入させ破壊。
敵を戦闘に集中させない。
「折角コツコツ作ったところ悪いが、
そいつを完成させる訳にはいかないんでね。」



●先制の旋風
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は、後退を開始した伝説のスターライダー『スカーレット』を護衛しつつ、彼女に声を掛けた。
「連れてきて貰えて助かったよ。でも、バニーの時と随分感じが違ったな」
 フォルクの言葉に、スカーレットはフルフェイスヘルメットの下で妖艶な笑みを浮かべる。
「そりゃ、一応銀河帝国に追われてる身だからね。全くの別人のふりだってしてみせるさ。それより、気を付けな。あの帝国軍のウォーマシンも、見た目で実力を判断したら、痛い目に合うよ」
「確かに。余計なことを考えている余裕はなさそうだ」
 スカーレットが戦闘圏外へ撤退していくのを見送ったフォルクは、風の力を宿した『スカイロッド』から空気を噴出し、一気に猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』へと迫っていった。
「単騎による攻撃? よほどの自信があるのか単なる無謀な愚か者なのか……解析開始」
 ヘルメスデウスが素早くホログラムキーボードに指を走らせると、建設中の『新インペリウム』に備え付けられた対空機関銃が、一斉にフォルクへと向けられる。
 そして放たれた銃弾の雨を、しかしフォルクはスカイロッドから噴き出した空気で急制動と方向転換を繰り返し、更にはこの宙域を飛び交う隕石を盾代わりにして防いでみせた。
「分析終了。対象の用いた能力は、異世界の技術『魔法』の一種であると判断した。対策を構築開始」
 すぐさま次の手を打とうとするヘルメスデウスだったが、フォルクはそんな時間を彼女に与える気は更々なかった。
『大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯。人の世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ』
 フォルクの詠唱と共に、彼の周囲に宇宙空間では存在し得ないはずの砂嵐が発生する。フォルクはそのまま、砂嵐をヘルメスデウス目掛けて放った。
 だが、ヘルメスデウスは回避行動すら取らずに、涼しい顔で真正面から砂嵐を受け止める。
「愚策。この宙域の磁気嵐と隕石の直撃にも耐えられた私に、砂嵐など効くはずがない」
 砂嵐の中で、ヘルメスデウスがホログラムキーボードに指を走らせ、反撃に移ろうとした、その時。
「む……?」
 初めて、ヘルメスデウスの表情にわずかな驚愕の色が浮かんだ。
「どうだ、思うように動けないだろう? 少し砂嵐を舐めすぎたようだな」
 そう、砂嵐に含まれる微細な砂は装甲のわずかな隙間からヘルメスデウスの内部に入り込んでいたのだ。精密な機械ほど、わずかなエラーが重大な事態を引き起こす。機械構造の内部に入り込んだ砂は、或いは電子部品の基盤に細かい傷をつけ、或いはギアの隙間に入り込んで動きを阻害し、ヘルメスデウスを機能不全へと追い込んでいった。
「情報系に重大な損害を検知。修復作業中、防御を最優先事項に設定……」
 次の瞬間、ヘルメスデウスの全身が淡い光のバリアに包まれた。装甲と違い、バリアにはわずかの隙間すら生じない。もはや砂嵐はヘルメスデウスには通用しないだろう。ただし、バリアの維持にエネルギーを振り分けているため、戦闘能力は大幅に低下しているはずだ。
 そしてフォルクは、いつまでもヘルメスデウスを相手取ることに固執するつもりはなかった。ヘルメスデウスの全身がバリアに包まれたとみるや、フォルクは今度は砂嵐を『新インペリウム』へと向けたのだ。
「さすがにこれだけ巨大な戦艦の全てをバリアで覆うことはできないだろう? 折角コツコツ作ったところ悪いが、そいつを完成させる訳にはいかないんでね」
 砂嵐の微細な砂が、今度は建造中の『新インペリウム』の内部へと吹き込み、巨大戦艦の内部構造を破壊していく。
 森羅万象を操る魔法の力は、この星の海の世界でも絶大な力を発揮したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー
【星雲の司書】
※アルターギア:ロランと魔力で接続し、電脳空間からのコマンドで動く、脚部が丸々ブースターユニットの鳥型キャバリア

みんな、掴まってね
ぼくが足になるから、攻撃をお願いなの
アルターギア、起動
UC発動、リンク、予測演算開始
隕石嵐攻撃、全部避けるの

機体周囲をジャミング効果のある電磁波のオーラ防御の結界術でみんなを守るね
周囲の状況を常に【情報収集】、分析して【空中戦】起動
無人機には重力【属性攻撃】魔術で迎撃していくの
電脳空間からブレインコアに【ハッキング】して解析妨害するね

アウラさんと魔力の【手をつない】でUCの制御を【限界突破】で補助
アルターギアの演算能力と魔力路【魔力溜め】が有効なはず


アン・カルド
【星雲の司書】として。

動き続けろだなんてなんとも難しいことを言ってくれるねぇ…僕一人なら諦めていたところだ。
というわけでロラン君、相乗りさせてもらうよ。
しっかりキャバリアに捕まってと、振り落とされない様にしないとね。

接近してもらったら二條君のUCに合わせて羽ペンでそっと引っ掻く、【書換】完了。
ヘルメスデウス・ブレインコアの意識からこの宙域…降り注ぐ隕石のことを塗りつぶさせてもらうよ。
小さな違和感だろうけどそれはじわじわと君を蝕む、それにウェネーフィカ君による強化された隕石も当たりやすくなるだろう。

さぁ…時間をかけて存分に解析するといい、戦場を忘れた歯抜けの情報をもとに。


二條・心春
【星雲の司書】
この戦場も、戦う相手も恐ろしいですが……皆さんがいれば安心して戦えます。私も頑張らないといけませんね。

ロランさんのキャバリアの上に乗せてもらって、皆さんと一緒に動きます。
まずは私が先制攻撃しますよ。手早く【ウェポン・ブースト】でブースターを付けた槍を最大出力にして、「第六感」で最適な軌道を見極めて敵へ投げつけます。「衝撃波」を伴いながら威力を増した槍は、嵐を裂いて隕石も砕いて進めるはずです。情報収集する暇は与えませんよ!

その後は、拳銃を使って無人戦闘マシンを破壊して、ロランさんのサポートをします。後の攻撃はお任せします。皆さんの魔法の力、見せつけちゃってください!


アウラ・ウェネーフィカ
【星雲の司書】
飛び交う隕石、巨大な星、無限に続く闇……
これが星々の世界か、興味を惹かれて仕方がないが
今は目の前の敵を倒さなければな

■戦闘
ロランさんのキャバリアに私も掴まらせて貰って行動する
自分以外の力で空を飛ぶとは、中々出来ない体験だな

しかし、この隕石群……危険だが利用できそうだ
ここは【UC】によって、周囲の隕石に雷属性を付与
強力な雷を纏わせた隕石群を操作して攻撃しよう(雷【属性攻撃】)

解析を阻害されているとはいえ、敵もすぐに対策してくる筈だ
その時はロランさんにUCの制御を手伝って貰い即座に属性を変換
火でも氷でも土でも、その対策があまり意味を為さない
別属性の隕石で追撃を仕掛けて圧し潰してやろう



●飛び交う隕石
「『新インぺリウム』の建造に重大な障害を確認。ただちに排除に……」
 猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』は、先鋒を務めた猟兵が『新インぺリウム』に攻撃を加えていることを確認し、その阻止に動こうとしていた。
 だがその時、突如飛来した銀槍が、移動を開始しようとしたヘルメスデウスの眼前を掠めてその機先を制する。
「!? 新たな敵性存在の接近を探知。数は4……いや、5?」
 槍の飛んできた方角に目を転じたヘルメスデウスが捉えたのは、1機の大型人型機動兵器――キャバリアと、そのキャバリアに牽引されるように現れた3人の猟兵の姿だった。
「みんな、しっかり掴まってね。ぼくが足になるから、攻撃をお願いなの。――アルターギア、最大速で起動」
 どこか猛禽類を思わせるキャバリア『アルターギア』を操るのは、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)だ。
「マナワールドアクセス……、リンク……、コード001イグニッション。予測演算開始」
 ユーベルコード【魔術回路001:フィジカルアクセラレート】の効果で知覚能力と神経伝達を爆発的に向上させたロランは、飛び交う隕石の軌道を全て見切りつつ、超高速で宇宙を駆けていく。
「この戦場も、戦う相手も恐ろしいですが……皆さんがいれば安心して戦えます。私も頑張らないといけませんね」
 先程、先制攻撃として銀槍を投じた二條・心春(UDC召喚士・f11004)は、片手でアルターギアの腰部ユニットにしがみつきつつ、もう片方の手で二本目の槍を構え、恐怖を振り切るようにそう呟いた。
「それにしても、動き続けろだなんてなんとも難しいことを言ってくれるねぇ……僕一人なら諦めていたところだ」
 運動の苦手なアン・カルド(銀の魔術師、或いは銀枠の魔術師・f25409)は、伝説のスターライダー『スカーレット』の走り去っていった宙域を恨めし気に見つめていたが、
「というわけでロラン君、相乗りさせてもらうよ」
 気を取り直したように、振り落とされないように力を込めてアルターギアにしがみついた。
「飛び交う隕石、巨大な星、無限に続く闇……これが星々の世界か、興味を惹かれて仕方がないが、今は目の前の敵を倒さなければな」
 アウラ・ウェネーフィカ(梟翼の魔女・f25573)は、初めて駆け抜ける宇宙空間を研究者の視線で興味深げに観察していたが、すぐにその視線をヘルメスデウスへと向けた。研究や観察は平和を取り戻せばいつでもできる。今は、猟書家の脅威を排除するのが先決だ。
「まずはもう一度、私が先制攻撃します!」
 心春が、狙いを定めて構えていた槍をヘルメスデウス目掛けて投じる。
「そのような原始的でアナログな攻撃手段など、二度も私には通用しない」
 ヘルメスデウスは冷たい視線を心春に向けると、周囲を飛ぶ隕石の影に隠れるように移動した。しかし、次の瞬間その隕石が粉々に砕け散る。隕石を砕き、磁気嵐を裂いて現れたのは、投擲によるものとは到底思えない加速度で飛来する槍だった。
「何!?」
 ヘルメスデウスが動揺するのも無理はない。心春は、投じる前に槍にユーベルコード【ウェポン・ブースト】を用いて高出力のブースターを搭載していたのだ。その威力は、この宙域を飛び交う隕石を一瞬の内に粉砕するほどのもの。
「情報収集する暇は与えませんよ!」
 そしてその加速度は、ヘルメスデウスの電脳をもってしても解析する暇を与えないほどのものだった。
 やむなくヘルメスデウスは、全身に張り巡らせていたバリアを前面に一点集中させ、槍を受け止める。だが槍を食い止めた代償として、バリアは粉々に砕け散ってしまった。
「敵の戦力評価を修正……、脅威度・大と判断。オートマティックレギオン、新インぺリウムの建造を一時停止し、敵部隊を迎撃せよ」
 バリアを失ったヘルメスデウスは一時後退しつつ、新インぺリウムの建造に当たらせていた小型ロボットの軍団を、【星雲の司書】達へと差し向ける。
「うわ、ぞろぞろと小さいのがくるよ」
 アンが嫌そうに顔をしかめた。
「任せて。機体周囲を電磁波の結界術で覆ってみんなを守るね」
 ロランはさっそくアルターギアの周囲をジャミング効果のあるオーラの結界で覆うと、重力を操る魔法を用いて、オートマティックレギオンの迎撃を開始した。
「ロランさん、私もサポートをします」
 槍から特殊拳銃に武器を持ち換えた心春も、近づいてくるオートマティックレギオンを次々と撃ち落としていく。
「後の攻撃はお任せします。皆さんの魔法の力、見せつけちゃってください!」
 心春の呼びかけに、アンとアウラが頷いた。
「任せてくれ。この隕石群……危険だが利用できそうだ」
 アウラが目を付けたのは、今も周囲を飛び交う巨大な隕石群。
「万物の根源たる力、万象を飲み込む災禍となりて、我が眼前の敵にその暴威を振るえ」
 アウラはユーベルコード【エレメンタル・ディザスター】を用いて、周囲を飛び交う隕石を帯電させていく。さらにアウラは魔力で帯電させた隕石を捉えると、軌道を制御してオートマティックレギオン達にぶつけていった。
「オートマティックレギオン隊、損害多数。陣形を再構築……」
 ヘルメスデウスはなんとか態勢を立て直そうとするが、それよりも脚部ブースターユニットを全開にしたアルターギアが、巧みに隕石や磁気嵐をかわしつつ彼女に肉薄する方が速かった。
「ディフェンスユニット、展開」
 咄嗟にヘルメスデウスはシールド状のユニットを自身の前面に展開させたが、
「おっと、背後がお留守だね」
 いつの間にかアルターギアから離れヘルメスデウスの背後に回っていたアンが、手にした羽ペンを振るった。
「くっ……回避行動」
 その一撃を、ヘルメスデウスは咄嗟に身体をひねり、羽ペンがかする程度に留める。
「よけられたか。でも、塗り潰すにはひっかく程度でも充分だ」
 再びアンが脚部ブースターにしがみついたのを確認すると、アルターギアは一旦ヘルメスデウスと距離を取っていった。
「……この状況で、退く?」
 猟兵達の行動に疑問を覚えつつも、ヘルメスデウスはレーザー砲を展開させ、アルターギアに攻撃を仕掛けようとする。しかし、
「!?」
 次の瞬間、ヘルメスデウスは飛来してきた隕石の直撃を受け、その小柄な体を吹き飛ばされていた。
「悪いけど、君の意識からこの宙域……降り注ぐ隕石のことを塗りつぶさせてもらったよ」
 アンが暗い笑みを浮かべる。先程のアンの羽ペンによる一撃は、ヘルメスデウスに損傷を与えることを目的としたものではない。ユーベルコード【ライブラの愉快話・書換】の力で、彼女の意識の一部を塗り潰すことこそ、アンの狙いだったのだ。
「猟兵の攻撃に対し、新たな行動パターンを構築……」
 何が起きているのか分からないまま、ヘルメスデウスは猟兵に対する最適な対応策を分析しようとする。だがそこにすかさず、ロランがハッキングを仕掛けた。
「私に対するハッキングなど……!」
 ヘルメスデウスの意識がハッキングへの対応に向けられたわずかな隙に、今度はアウラが操る隕石が、彼女を直撃する。
「小さな違和感だろうけどそれはじわじわと君を蝕む、そうすれば、ウェネーフィカ君による強化された隕石も当たりやすくなるだろう、今みたいにね」
 ヘルメスデウスがいくら対策を打とうと、隕石に対する意識を塗りつぶされている以上、どうしてもその対策は穴のあるものになる。
 そして彼女が解析を進める間にも、アウラの操る隕石が複数、ヘルメスデウスを包囲していった。
 通常であればこれだけ巨大な質量をもつ隕石を複数操るなど、アウラの魔力を以てしても困難だ。だが今はアルターギアと魔力を繋ぐことで、アルターギアの演算能力と魔力回路を共有できるようになっている。
「敵攻撃の正体が解析不能……。ただし、雷の属性によるものと判断。対電撃耐性を構築……」
 正体が分からぬまでも、出来る範囲で対策を講じようとするヘルメスデウス。だがそれすらも、アウラの想定の内だ。
「そちらが対策をとってくるというのなら、その対策があまり意味を為さない別属性の隕石で圧し潰してやろう」
 アウラはアルターギアの演算能力も利用して、即座に隕石に纏わせた属性を火属性に切り替えると、火の玉と化した隕石を、次々とヘルメスデウスへとぶつけていく。
 オートマティックレギオン達が危機に陥った主人の援護に向かおうとするが、心春の銃撃とロランの重力魔法に阻まれ、それも適わない。
「さぁ……時間をかけて存分に解析するといい、戦場を忘れた歯抜けの情報をもとに」
 アンが、苦戦するヘルメスデウスに対して愉快そうにそう呟いた。
 こうして多大な損傷を受けたヘルメスデウスは、建造中の『新インぺリウム』までの撤退を余儀なくされたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

九十九・サイレン
バニーガールさんがスターライダーだったんだね!
でもいいや、サーカス参加するの楽しかったし!
そんじゃ、そこに水を差されない為にもがんばろっか!

サイキックキャバリア『フルメタルシャーク』を召喚!
図体はでかいけど、UCで遊泳鮫形態に変形させれば星の海だろうと遊泳できるもんね!
恐れ?ふふん、ボクはアクロバットもこなす方のピエロさ!空中ブランコを火の輪だって皆恐れずエンターテイメントに変えてたでしょ?ボクだって隕石も嵐も恐れず鮫形態の◆推力移動で突き進むよ!

敵の小型戦闘機は鮫形態の能力で探知してシャークアームの噛み付きやマシンガンで◆制圧射撃
本体にフィンブレイドで◆切り込んで装甲を削りながら攻撃するよ!


雛菊・璃奈
あれだけ大きな戦艦が相手なら…。
力を借りるよ…ゼロ…。

『目覚めよ、厄災の神…魔剣の媛が汝を解き放つ…』
『解放、ディザスター・ゼロ…!』
(空間を割り、呪力を撒き散らし呪装機神を召喚)

行くよ…あの戦艦は必ず破壊する…!

機体に乗り【真力解放】発動…。
スラスターを全開に高速機動しつつ、掌から呪力の弾丸【呪殺弾、呪詛、誘導弾】を放ち攻撃…。
更に強化された黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い、早業】で呪力を放ち、敵本体及び戦艦に物理攻撃と共に大量の呪力で侵食して敵本体や敵戦艦の出力を低下…。

敵の攻撃や砲撃等を【見切り】ながら接近し、強化したバルムンクで一気に装甲を叩き斬り、戦艦を破壊するよ…。


メイスン・ドットハック
【SPD】
動きを止めてはいかんとはのー
とはいえ、今の僕なら何とかなりそうではあるけどのー

キャバリア「KIYOMORI」をオブリビオンマシン形態「清盛」に変形させて参戦
先導のスカーレットの動き、そして防衛用の無人戦闘マシンの分析をAIドクトルに担当させ、攻撃軌道をAIアメジストちゃんに解析させる
それまでは自身は回避行動と電脳チャフをばら撒いて攪乱行動を継続
分析・解析が完了したらUC「帝竜を纏いし機竜よ、稲妻となれ」を発動して、ジェットウィングの加速で一気に接近する
ヘルメスデウスを狙うと見せかけて、狙いは新インぺリウム、レーザークローの連撃で破壊するだけ破壊する

甘い、甘々じゃのー!

アドリブ絡みOK



●キャバリア軍団、猛攻
「バニーガールさんがスターライダーだったんだね! でもいいや、サーカス参加するの楽しかったし! そんじゃ、そこに水を差されない為にもがんばろっか!」
 九十九・サイレン(再誕の18不思議・f28205)は、新インぺリウムへと退いた『ヘルメスデウス・ブレインコア』を追撃すべく、サイキックキャバリア『フルメタルシャーク』を召喚した。宇宙空間が波のように歪み、その波の中から鮫の意匠を持った青きキャバリアが姿を現す。
「確かに……あれだけ大きな戦艦が相手なら……。力を借りるよ……ゼロ……」
 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)も、超大型戦艦『インぺリウム』を相手取るならと、自身のキャバリアに心の中で呼びかけた。
(「目覚めよ、厄災の神……魔剣の媛が汝を解き放つ……」)
 すると、璃奈の呼びかけに応じるように、宇宙空間に亀裂が生じていく。
「解放、ディザスター・ゼロ……!」
 璃奈が高らかに宣言すると、その亀裂から禍々しい呪力を撒き散らしながら、呪装機神ディザスター・ゼロが出現した。
「おお、勢揃いじゃのー」
 2人が機体に乗り込んだのを見て、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)が感慨深げに声を上げる。メイスン自身は、最初からこの宙域へとキャバリア『KIYOMORI』に乗ってやって来ていたので、これで3機のキャバリアがそろい踏みしたことになる。
「それにしても、動きを止めてはいかんとはのー。とはいえ、今の僕なら何とかなりそうではあるけどのー」
 メイスンは一考すると、KIYOMORIに秘められた帝竜ワームの因子を覚醒させ、オブリビオンマシン形態『清盛』へと変形させた。二足歩行戦車状態だったKIYOMORIの全身が歪に蠢き、竜人を思わせる形状へと姿を変えていく。
「行くよ……あの戦艦は必ず破壊する……!」
 まず先陣を切ったのは璃奈だ。
「我と共に戦い、歩みしものに真の力を……。真力解放……!」
 ディザスター・ゼロの力を全解放すると、スラスターを全開にして高速機動で新インぺリウムへと向かっていく。
「おっ、流石のスピードだね。でもボクのフルメタルシャークだって、図体はでかいけど、こうすれば!」
 そう言うとサイレンは、芝居がかった語り口で口上を述べ始めた。
「語るは獲物を喰らう鋼鉄の鮫のお話! 人型鮫型自由自在! 獲物は逃さず喰らいつく!」
 するとたちまち、フルメタルシャークが人型から遊泳鮫形態へと変形していく。
「これなら、星の海だろうと遊泳できるもんね!」
 サイレンにとっては慣れない宇宙空間。しかも隕石が飛び交い磁気嵐の吹き荒れる危険な宙域だ。しかしサイレンに恐れはない。なぜなら、
「ふふん、ボクはアクロバットもこなす方のピエロさ! 空中ブランコに火の輪だって皆恐れずエンターテイメントに変えてたでしょ?」
 だからこそ、隕石も嵐も恐れずに宇宙の大海原を自在に泳ぎ、新インぺリウムに隠れるヘルメスデウス目掛けて突き進んでいける。
「敵性キャバリア3機の接近を確認。護衛機、全機出撃せよ。この期に及んで出し惜しみはしない」
 ヘルメスデウスがそう号令をかけると、新インぺリウム内部に待機していた小型ロボット『オートマティックレギオン』が一斉に出撃していった。さらに新インぺリウムのハッチが開き、内部から全長100メートルに達するであろう漆黒の巨大人型機動兵器が姿を現す。
「これこそ、拠点防衛用無敵兵器『メタルナイト』。いかにお前達のキャバリアが優秀でも、無敵のメタルナイトを破壊することなど、できはしない」
 メタルナイトは、頭部のカメラアイを光らせると、全身に内蔵されたビーム砲を一斉に発射した。
「これまた、とんでもないのが出てきたのー」
 電脳チャフをばら撒いて攪乱行動を取っていたメイスンは、清盛に回避行動を取らせつつ、O-Ⅻ型ホログラムAI『ドクトル』にオートマティックレギオンとメタルナイトの分析を行わせ、かつO-Ⅻ型アバターAI『アメジストちゃん』に攻撃軌道を解析させる。
「どんなに数が多くても……どれだけ相手が大きくても……!」
 璃奈の駆るディザスター・ゼロは、掌から呪力を凝集した弾丸を放ち、群がるオートマティックレギオンを一体一体破壊していった。さらに薙刀状の『呪槍・黒桜』を薙ぎ払うように振るってその籠められた呪力を放出、立ちはだかるメタルナイトごと、新インぺリウムを切り裂かんとする。だがメタルナイトは巨大なシールドを掲げて、その呪いの斬撃を完全に受けきって見せた。
「メタルナイトは新インぺリウムの無敵の守護神。その程度の攻撃では、傷一つ付けることはできない」
 ヘルメスデウスは勝ち誇ったようにそう告げると、メタルナイトへ反撃の指示を飛ばす。指示に従い、ディザスター・ゼロに反撃すべく腕を振り上げたメタルナイトだったが、その動きが次第に鈍っていく。確かに先程の斬撃はメタルナイトに傷を付けることはできなかった。だが、込められた呪力はメタルナイトを侵食し、その出力を低下させていたのだ。
 そして、最大の障壁となるメタルナイトが一時的にでも動きを鈍らせた好機を、メイスンは逃さない。
「敵機の分析・解析も完了したし、今がチャンスじゃのー」
 すかさず清盛のジェットウィングを展開し、追加加速を行うと、一気にヘルメスデウスへと接近していく。
「こうなったらもう誰も止められんけーのー!」
「くっ、対空迎撃!」
 ヘルメスデウスが、突撃してくる清盛に、対空レーザーの一斉射を浴びせていった。だがヘルメスデウスの分析・解析を済ませているメイスンは、全てを紙一重で回避しつつ、なおも突撃を止めようとしない。そして今にも清盛とヘルメスデウスが激突しようとしたその時。
 突如清盛は急制動をかけると急上昇し、ヘルメスデウスの頭上を突破して新インぺリウムへと突撃していった。そのまま清盛の両手足の先端に備え付けられたレーザークローで、当たるを幸いと砲台や装甲板、センサーなど新インぺリウムの各部を破壊していく。
「甘い、甘々じゃのー!」
 そして、メイスンの攻撃で新インぺリウムの迎撃能力が大幅に低下した隙をついて、今度は璃奈のディザスター・ゼロが迫っていった。動きの鈍ったメタルナイトの攻撃を易々とかわすと、竜殺しの魔剣バルムンクで、一気に装甲を叩き斬っていく。
「こんな戦艦、絶対に完成させない……!!」
 メイスンと璃奈、2人の攻撃で新インぺリウムのあちこちから爆発が発生し、船体の崩壊が始まった。
「これ以上のダメージを受けては、新インぺリウムの完成は不可能になる」
 ヘルメスデウスの意識が、新インぺリウムへと向けられたその時。鮫形態のフルメタルシャークが、シャークアームの噛み付きやマシンガンでオートマティックレギオンを蹴散らしつつ、ヘルメスデウスに肉薄していった。急接近したフルメタルシャークは、ヘルメスデウスと接触する直前に人型に変形。
「さあ、これでフィナーレだよっ!」
 全身に備えられた『フィンブレイド』で一息にヘルメスデウスへと斬りつけた。
外見によらず強固な装甲を持つヘルメスデウスだったが、装甲を削るように連続で繰り出されるフィンブレイドの攻撃の前には耐えきれず、ついに腕が、そして足が、最後には頭部が跳ね飛ばされていく。
「ガ……ガガガ……、帝国継承軍に……栄光アレ!!」
 そう言い残すと同時に、ヘルメスデウス・ブレインコアは大爆発を起こし、宇宙の藻屑と化して消えていったのだった。

●それぞれの帰還
 猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』と建造中の新造艦『新インぺリウム』が破壊されるのを、伝説のスターライダー『スカーレット』はしっかりと見届けていた。
 使命を終えた猟兵達は、それぞれ元いた世界へと還っていく。
「すごい奴らだったよ、全く」
 スカーレットはそう嘆息すると、吹っ切れたように顔を上げた。
「それじゃ、アタシも帰るとするか」
 今や、彼女の帰る場所といえば、一箇所しか存在しない。
 そう、スターライト・サーカス団。そここそが、彼女の帰るべき場所だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月29日
宿敵 『ヘルメスデウス・ブレインコア』 を撃破!


挿絵イラスト