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城とくまと商人と、くまー

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「早く城内へ入るのだ。足腰の弱い老人や幼い子供は回りが手助けせよ!」
 櫓の上に立った身分の高そうな武士が声を張り上げた。
「はぁ、はぁ、はぁ……ありがたや、ありがたや」
「爺さん、拝んでなくていいから。ほら、さっさと中に行くぞ?」
 余程慕っているからか、窮地を救われた形だからか、櫓の武士に両手を合わせる老人を腰に刀を差した足軽が引っ張って門をくぐる。
「暴れ熊か」
「はっ、もう幾つも村が襲われたそうで……それにつけ込んでか、近隣では高値で『熊除けの霊鈴』なるものを売りつけ阿漕に稼いでいる商人が居るそうです」
「ふむ、ただの便乗か何らかの関係があるのか、気になるところではあるが……まずは民草を守らねばな。収容を急がせよ」
 櫓の上の武士は自身の呟きに応じた兵に指示を出すと、ぎりりと奥歯を噛み締めた。

「と言うことが、サムライエンパイアの世界で起こっているもちぃ」
 グリモアベースの片隅、君達に声をかけたモティアナ・クロスウィート(ブラックタールのパラディン・f02000)曰く、兵士の言っていた商人と暴れ熊は無関係ではないのだとか。
「どちらもオブビリオンで、そのお城の近くに拠点を構えた悪徳商人のオブビリオンが熊を嗾けて、村人の不安を煽って高い鈴を買わせてるもちぃよ」
 暴れ熊騒動を見かねた城主が領民を保護し始めた為に、悪徳商人は次の襲撃目標をその城に定めもしたらしい。
「このままだと領民の収容中にお城が暴れ熊の群れに襲われてしまうもちぃから、あなたたちにはまず籠城戦の準備をお手伝いしてきて欲しいもちぃ」
 君たちが協力すれば人手が多い分、籠城の準備はスムーズに進む。
「無事籠城の準備が終われば、熊のオブビリオンが集団で襲ってくるから、これを迎撃」
 部下の熊たちが居なくなれば、黒幕であるオブビリオンの周囲は手薄になる。
「そのままの勢いで悪徳商人の拠点である廃村に乗り込んで、決着をつけると言った流れもちぃね。迎撃戦は籠城の準備をしっかりしていれば、有利に事を運べる筈もちぃ」
 襲われた村人や城の人々からすれば災難だが、拠点を構え部下を率いるオブビリオンを討つには絶好の機会でもある。
「では、お手数をかけるけれどよろしくお願いするもちぃね」
 一糸まとわぬ姿のままモティアナは君たちに頭を下げたのだった。


聖山 葵
 襲撃の対価は鮭一匹とかなんだろうか、聖山です。

 と言うわけで、今回は籠城戦を強いるくまーを迎撃してその勢いで黒幕をぶっ倒すお話のようです。

 集団戦いの難易度は、籠城の準備での行動によって変動します。工夫次第ではより優位に戦いを進められるかも知れません。

 では、ご参加お待ちしておりますね。
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第1章 冒険 『籠城戦の準備』

POW   :    落石用の石や弓矢などの武器になりそうな物を体力が尽きるまで城に運び込む。

SPD   :    煮え湯や煮え油の罠を作ったり、馬防柵などを作成する。

WIZ   :    籠城人数や籠城日数を計算し食料や飲み水の調達を指示する。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サフィリアリス・エレクトラガント
まあまあ、暴れ熊ですか、野放しにしてはおけませんね。
籠城せずともすぐに片づけられればいいのですが……民を守りながら十分な戦いをできるかもわかりませんし、まずはきちんと籠城の準備を整え、護りを万全にいたしましょうね

技能【コミュ力】を使って籠城する人々のリーダー格の人と仲良くなって籠城人数や年齢を教えてもらいましょう。
そこから籠城日数と籠城人数・年齢を踏まえて計算すれば必要な食料と飲み水が見えてくるはずです

食料・飲み水は籠城中に尽きない数を、しかし必要最低限を用意いたしましょう
籠城戦に必要なのは籠城している人の安定した精神状態です
全員にしっかりと補給してあげられるようにいたしましょうね



「まあまあ、暴れ熊ですか、確かに野放しにしてはおけませんね」
 相づちを打つサフィリアリス・エレクトラガント(魔王様の仰せのままに・f13217)の言にその武士はうむと頷くとサフィリアリスに背を向け、城外へ視線を投げた。
「後手に回ったのは業腹だが、これ以上村が襲われるのをただ見過ごすことも出来ぬ」
 堀の向こうに広がるのは、霜で白くなったむき出しの地面の固まりが所々に見られる枯れた草地。土がむき出しになっている場所は本来畑なのだろう。その間を一本の道が走り、いくつもの人影が荷物を抱えて此方へ向かってきていた。それらもこの城へと避難してきている領民なのだろう。
(「籠城せずともすぐに片づけられればいいのですが……」)
 サフィリアリスの見る限り、領民の収容はまだ続いている。これが長引けば、民を守りながら熊のオブリビオンと戦うことになりかねない。
「それで、この城に居る者の人数とそれぞれの歳であったな? 逃れてきた者はこの下の曲輪か奥の曲輪に居る。奥の曲輪の者については数えてあろうが、この下についてはまだこれから辿り着く者も居よう」
 故に正確な数は断言出来ぬとしつつも、武士は続ける。
「とは言うものの、ここに逃げてきているのは、近隣の村三つの村人が主な所か。そうよな、おおよそにはなるが――」
 流民や旅人でこれより多くなっている可能性は否めないとしつつも、サフィリアリスへ求めていた情報の幾つかを渡す。
「ありがとうございました」
「礼には及ばぬ。猫の手も借りたい忙しさ故にな。そなたのように加勢してくれる者はありがたいのだ、まして――」
 猟兵たちには幕府から与えられた天下自在符がある。もっとも協力を申し出たただの旅人であろうともこの状況ならば、この武士は歓迎したであろうが。
「あとはこの情報を元には籠城中に尽きない数を算出すれば、用意しないといけない数は出ますね」
 櫓から降りたサフィリアリスが実際用意する量として見積もるつもりなのは、必要最低限の数だが、それで問題はない。襲撃してくるであろう熊のオブビリオンと戦う者としても猟兵は居るであろうから。
「籠城戦に必要なのは、籠城している人の安定した精神状態です。物資の置き場も聞きましたし……」
 全員にしっかりと補給が行き渡らせるべく、サフィリアリスは動き始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高柳・零
籠城戦は援軍が来ないと必敗なんですが…敵に限りがあるようなので行けますか

力仕事には自信があるので、武器の輸送を行います。
自分が引きやすいような特殊な形の荷車(取っ手が低い位置にある)を作り。体力が尽きるまで働きます。…後ろから見ると無人の荷車が動いているように見えるかもしれませんが。
籠城戦なので弓矢を多目に、後は石も貯めておきましょう。
万一、事故が起きたら、無敵城塞で他の人をかばいます。

「熊の攻城戦…どんな手を使って来るんでしょうか?まさか熊がバリスタや投石機を担いで来たりしないでしょうね」
「合体して巨大化して来たら…猟兵が相手するしかないですね」


アドリブ、絡み歓迎です。


備傘・剱
さーて、熊狩りの開始って奴だな
手は多い方がいいから、遊戯守護者召喚を使って、人手を増やすぜ

【SPD】

籠城の基礎は拠点の守りを固める事からだな
近くの樹を切り出して、丸太にして柵にしたり、木の皮をはいで、ちょいと形を整えれば、樹皮鍋も作れる
此奴と、薪を回収して、火をおこし、水を沸かせば、飲み水確保+ぶっかける用の熱湯完成だ
あ、火は弓切り式着火装置でつけれるぜ

蔦が有れば鳴子と、ロープ罠も仕掛けられるな
とにかく、時間が無いから、何個か同時に作っていくぜ
きりきり働くかな

誰とでも絡みは問題ないぜ


山梨・玄信
熊相手に籠城戦…?なんじゃそれは。
何と!既に被害が出ておるのか。ならば手を貸さんとな。

【WIZを使用】
アースジャイアントを召喚して土木作業じゃ。
相手が一ヶ所に集まるよう誘導するように、柵や堀を作るぞい。もちろん、勢いを付けさせないように真っ直ぐ進めないようにもするのじゃ。
序でに誘き寄せ用の餌(蜂蜜)も置いておくかのう。そこで止まってくれれば儲け物じゃ。
熊は力が強いじゃろうから、城門とそれを閉める機構(閂や蝶番)も強化しておくぞい。

「籠城側の勝利条件はどれだけ準備出来るかにかかっておるからの」
「(蜂蜜を置きつつ)相手は熊じゃしのう。この手も有効かの」

アドリブ、絡み歓迎じゃ。



「熊相手に籠城戦……? なんじゃそれは」
 話を聞いて思わずそう声を上げてしまった山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)は門をくぐり城の外に出ると不安そうな顔で時折後方を振り返る村人とすれ違った。
「あの表情、既に被害が出ているというのは間違いなさそうじゃのう」
 ならば手を貸さんとなと呟くと、道の脇に退いてから大地の巨人を喚び出す。
「籠城側の勝利条件はどれだけ準備出来るかにかかっておるからの」
「籠城戦は援軍が来ないと必敗なんですが……」
 そのまま巨人を伴い土木工事を始めようとした玄信の言葉に反応した高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)も敵に限りがあるようなので行けますかと今回のケースを例外として歩き始める。
「どこに行くのかはわかっておるのかの?」
「ええ。予備の武器が眠っていそうな所は、聞いてきました」
 問いかけに途中で石も拾って集めてくると答えた零の身体は身長の低さ故に荷車に殆ど隠れてしまっていたが、それを言うならドワーフの玄信とて1mに満たない。
「二人とも行動開始か。俺も負けてられないぜ」
 会話し、別々の方向に向かい始めた二人に続いて門から出てきた備傘・剱(絶路・f01759)は足を止め。
「さーて、熊狩りの準備開始って奴だな。……うん?」
 周囲を見回すと、草原の向こうに木々の茂る林に目を留める。
「あれでいいか。籠城の基礎は拠点の守りを固める事からだしな。……来い! 遊戯の中に封じられた守護者よ! 俺に力を貸せ!」
 目的地を定めるとすぐさま遊戯守護者を喚び出し人手を増やした剱は、召喚したイチタリナイと共に林へ向かう。
「何じゃ、マスターもあそこへ用か」
 その途中で堀に向かったはずの玄信と再会したのは、玄信自身が言うように二人の目的の一部が重なっていたからだろう。端的に言うなら、木材だ。
「薪を取りに来たってのもあるが、木の皮をはいで、ちょいと形を整えれば、樹皮鍋も作れるしな。丸太にして柵にする以外にも――」
「確かに使い道は色々あるのう。わしはその柵にする為の木材調達じゃが」
 二人それぞれが召喚した存在を連れている。純粋に効率が倍とは行かないだろうが、それでも二人で作業するより効率が良いのは言うまでもない。
「ああ、それだったらこの道を真っ直ぐ行った先の村だよ。予備の弓なら猟師の家にあるかも知れねぇだ。猟師の家は……あ、もう聞いてるだか。んなら、おらはこれで」
「ありがとうございました」
 そうして二名が伐採やら何やらで木材の調達を始めた頃、零は荷車に幾らか石を集め避難するところだという村人に道を教わったところだった。
「しっかし、あんなにちんまいのに勇ましいだなや」
「熊の攻城戦……どんな手を使って来るんでしょうか?まさか熊がバリスタや投石機を担いで来たりしないでしょうね」
 振り返った村人から見ると無人の荷車が動いているようにすら見える零の身長だが、当人は気にしたそぶりすら見せず、この先に待って居るであろう戦いへと思いを馳せていた。
「合体して巨大化して来たら……猟兵が相手するしかないですが」
 想像がドンドン膨らんで行くのはツッコミ役が不在故か。
「へっくし! ……誰か噂しておるのかのう」
「脱いでいたらそれが原因じゃないかって指摘できるんだけどな」
 そして、場面は伐採組二人へと戻り、唐突にくしゃみをした玄信の顔を見つつ剱は呟く。
「脱ぐのを前提にするでない!」
 剱の代わりに入れたツッコミで木が音を立てて倒れて行く。
「この分なら木材の確保は近々終わりそうだな。鳴子と、ロープ罠の材料になりそうな蔦も確保出来たし」
「そうじゃの。これが終われば堀を伸ばして、ついでに序でに誘き寄せ用の餌も置いておくかのう」
 剱に同意しつつ玄信が取り出したのは、蜂蜜の瓶だ。
「相手は熊じゃし、この手も有効かと思っての」
「成る程な。とにかく、時間が無いから、こっちはこのまま罠を何個か同時に作っていくぜ」
「ふむ、ではここで一端お別れじゃの。わしは城門とその回りも強化しておきたいところじゃし」
 そう告げて玄信は堀の方に歩き始め、林に残った剱は作業を続け。
「随分準備が調ってきましたね」
 零が城に戻ってきた頃には、周辺は様変わりしていた。堀が伸び、更に柵によって侵入経路は限定され、空には城壁の内から登る煙があり。
「よう。あと一息ってとこだろうな」
 酷使されて壊れかけた弓切り式着火装置を片手に剱が荷車を引く零を出迎える。着々と籠城の準備は調いつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

山梨・玄信
まだ準備期間があるなら、出来るだけの事はするぞい。

【POWを使用】
武器は在庫に限界があるじゃろうから、職人を雇って城内で生産、修理出来るようにするのじゃ。
天下…符を使って近隣の町や村の職人達と交渉し、適正な賃金で雇って来るぞい。もし、黒幕の悪徳商人が金を持っていれば、後で褒賞として付けるようにするぞい。

それと、アースジャイアントにはもう一踏ん張りしてもらって、わしも岩を集めるのじゃ。

「籠城戦の為に、臨時で城に雇われて欲しいのじゃ。もちろん、賃金はきちんと出すぞい」
「相手の黒幕次第では、褒賞を出せる可能性もあるぞい。悪い話ではないと思うんじゃが」

アドリブ、絡み歓迎じゃ。


イヴ・ハルゼンヌ
うぃす、今回は
暴れくまー退治か?

悪どい商いも関与してるなら…
此処で止めないとな!。

【SPD】で籠城の罠を
完成させる。

ほぼ前に来てくれた猟兵さんが
罠を完成してくれたから。

おれは【早業】で馬防柵や
進行の邪魔をするトラップを
完成を急ぐぜ。

物資とかは後からくるユーディ先生に持ち込みを頼んだぞ。


華上・ユーディ
はーい、再び
サムライエンパイアですよ。

暴れ熊と商人から
人々を救うのです。

【Pow】で行動します。

毎度ながら体力が 続く限り
武器や武器になりそうな物を
【怪力】で持ち運び。

宇宙バイクで運搬しますよ。
時間はないのでUI【オールマイティライダー】で
能力を底上げし運搬回数を飛躍的に上げるのです。

イヴちゃん、
人使い荒いですよ。

絡み連携、アドリブOKでつ。


摩訶鉢特摩・蓮華
熊を暴れさせてインチキ鈴を高値で売りつけようだなんてマッチポンプも甚だしいね。あまりの阿漕さに体中から地獄の炎が漏れ出しそうだよっ!絶対に許さないからね!

とまぁ、それはちょっと置いといて避難してきた皆を守る為に篭城の準備はきっちりやrないとね!
攻撃は最大の防御!蓮華は武器をできるだけたくさん集めてくるよ!
丸太を切り出して先を削って尖らせて、ちょっと大きめの槍の出来上がりだね。なるべくたくさん用意しよう!
大丈夫!蓮華は力持ちだからこれくらい何ともないよ!サイコキネシスも使ってさらにいっぱい運べるね!大八車とかあれば効率も上がるかな。
普通の人用に石とか矢も運ぼう!
時間一杯体力が尽きるまで頑張るね!


高柳・零
では、自分ももう一手打っておきますか。

籠城戦の際の兵員の配置について話し合っておきます。
天下御免符を使って偉い人に取り次いでもらい、猟兵達が仕掛けた罠や作戦について共有しておきます。
特に弓兵の配置には気を使い、相手が集中しそうな場所に多目に配置してもらいます。

アドリブ、絡み歓迎です。


備傘・剱
篭城するのなら、篭城中のことも考えなきゃな
そういや、人を雇うんなら、そいつらが戦った時、怪我するんじゃないか?

【WIZ】

簡単な薬草や、包帯代わりの布を持ち込んでみるとするかな
この世界なら、彼方此方に生えてるだろうし、油は灯り用のから少し拝借しておこうか

イチタリナイにも、薬草摘みを手伝わせて作ってみるぜ
人を働かせるなら、その中に潜むリスクにも対応しておかなきゃ、ブラックって奴になるからな
痛いのは、誰だって、嫌なもんだ

アドリブ、絡み、どれも歓迎だぜ



「はーい、再びサムライエンパイアですよ」
 丁度うぃすと他者に挨拶していたイヴ・ハルゼンヌ(エルフのアーチャー・f06540に向けてか他の誰かに向けたモノか。
「今回は暴れくまー退治か?」
「そうですね。暴れ熊と商人から人々を救うのです」
 引率の先生よろしく口を開いた華上・ユーディ(冥土贈り・f02310)の言にイヴが問えばユーディはこれを肯定し、促す。
「熊を暴れさせてインチキ鈴を高値で売りつけようだなんてマッチポンプも甚だしいね」
 あまりの阿漕さに体中から地獄の炎が漏れ出しそうだと訴える摩訶鉢特摩・蓮華(紅蓮眼・f09007)は、絶対に許さないからねと口にし。
「まあ、悪どい商いも関与してるなら……此処で止めないとな!」
 そちらをちらりと見て、イヴも頷いた。
「では、自分ももう一手打っておきますか」
 追加の人員まで加わったなら、籠城の準備はもう完了したも同然だったが、時間が残されているならただ待つだけのつもりは零には無かったらしい。
「え、録内様か? 録内様ならまだ櫓の上に居られるはずだ」
 籠城戦の際の兵員の配置について話をしておこうと相応の地位にある人物の居場所を近くの兵士に尋ねれば、兵士は櫓の上を示し。
「ああ、あそこですか。ありがとうございます」
 礼を言って櫓に登る為、零が梯子に取り付いた頃、まだ準備期間があるならと玄信も動き始めていた。
「さぁ、相棒の登場ですわ」
 と宇宙バイクを変形させているところだったユーディへと声をかけたのだ。
「『ついでになりそうなら、職人の居そうなところまで乗せていって欲しい』ですか」
「武器にも在庫があるじゃろうからな」
「わかりました。行きだけでよろしければですが」
 城への物資運搬をするつもりだったユーディの宇宙バイクにも行きだけならば積み荷はほぼ無い。
「流石だな、ユーディ先生。じゃあ、物資とかの持ち込みも頼んだぞ」
「イヴちゃん、人使い荒いですよ」
 引き受ける様を見てリクエストする生徒に一言漏らしつつも、ユーディからすればやることは変わらない。玄信を後ろに乗っけるとすぐさま宇宙バイクのエンジンをかけ。
「気をつけてな」
 イヴの一言を耳に残してユーディ達を乗せた宇宙バイクが走り出す。
「行ったか」
 バイクの後部に玄信の背中を見つけた剱は呟くと後方を振り返る。曲輪の向こう坂道の先に門と塀があり、丁度荷物を持った村人が荷の重みでふらつき、倒れそうになったところだった。
「そういや、人を雇うんなら、そいつらが戦った時、怪我するんじゃないか?」
 怪我をする要因は戦いに限ったことではないが、備えておくに越したことがないのは確かで。
「薬草でも摘んでくるか。この世界なら、彼方此方に生えてるだろうし」
 思い立つやいなや、遊戯守護者を召喚し、城門をくぐって外へ出る。
「こいつは……ほぼ出来上がってるな」
 視界の中では一足先に外に出ていたらしいイヴが罠の確認や仕上げを行っているところだった。
「あれは任せれば良さそうだな」
 罠の制作者はそのまま横を抜け、草原へ向かう。
「そうだね。蓮華は木材の確保もしたいし、柵に使ったって丸太は林からとってきたんだよね?」
「罠の材料になった蔦とかもな」
 横を会話しつつ歩くのは、大八車を引っ張る蓮華だ。避難してきた皆を守る為に篭城の準備はきっちりやらないとねと動き始めた蓮華は木材で何か作る様子のようで、暫くは並んで歩いていたが、やがて剱のみが足を止め。
「ここまで来れば、ありそうか」
 喚んだイチタリナイを伴い、周辺を見回しながら蓮華とは別方向へ歩き始める。おそらくは薬草を探し始めたのだろう。
「人を働かせるなら、その中に潜むリスクにも対応しておかなきゃ、ブラックって奴になるからな。痛いのは、誰だって、おっ」
 独言を短音で止めた剱はしゃがみ込んで何やら摘むとまじまじ見てから遊戯守護者に何やら命じ、自身は再び歩き始め。
「丸太は確保出来たから加工してくるね」
「ああ」
 剱の方へと木材をのせた大八車を引っ張りながら戻ってきた蓮華はすれ違うと城門の方へ向かう。大八車の上空にも木材が浮かんでるのを見るにサイコキネシスも併用しているのか確保された木材はそれなりの量のようであり。
「あっちも順調そうだな。ん?」
 作業が一段落してちらりと別の猟兵たちに目をやっていたイヴはふいに城門から伸びる道の先を見た。
「もっちぃぃぃいいいいい!」
 その先から出現した宇宙バイクは道を疾駆すると、城門の手前でいっきに減速、停止する。
「ふぅ、到着なり……到着ですね」
 言い直してから宇宙バイクを降りたユーディが荷台から降ろし始めたのは武器を始めとした様々な物資。
「随分武器があるな、ユーディ先生。あと岩も」
「玄信さんを送っていった先で購入したのですよ。岩は玄信さんの召喚した巨人が集めたものです」
 イヴがおろされる物資を見回しつつ声をかければ、ユーディは理由を語る。玄信の目的は武器を生産する職人の誘致であったが、武器を作ることを生業とする者の所に訪問すれば、当然売り物になる武器も色々置いてあるわけであり。
「籠城戦の為に、臨時で城に雇われて欲しいのじゃ。もちろん、賃金はきちんと出すぞい」
 と玄信が職人を口説く一方で、ユーディはその場にあった武器を購入してきたというわけだ。
「相手の黒幕次第では、褒賞を出せる可能性もあるぞい。悪い話ではないと思うんじゃが」
 などと今頃も玄信は職人を説得している最中かも知れない、とも。
「成る程なぁ。で、交渉が纏まったら職人もユーディ先生が運ぶのか?」
「それは――」
「わぁ、武器がたくさんあるね。運ぶの手伝うよ」
 何と答えようとしたのか。ユーディが先を続けるより早く、降ろされた物資に気づいた蓮華が協力を申し出る。
「しかし、これだけ武器があって追加で職人まで呼んだら武器に関してだけでももう過剰ってレベルだよな」
 蓮華の確保した木材も槍に加工され武器になるのだ。備えあれば憂い無しを通り越して備えすぎて敵が可哀想レベルで籠城の準備は進んでいる。
「すまぬが、誰か職人の護衛に付いてきてくれんかの?」
 そこへ転送で一足早く戻ってきた玄信が他の猟兵に呼びかける。交渉は纏まったのだろう。
「でしたら自分が行きましょう。城の人たちとの情報共有は終わったところですし」
 ひょっこりと顔を出した零が宣言し、玄信たちは再び職人たちのもとへと向かうこととなる。零たちが職人を連れ帰ったのは、それから更に暫くしてのこと。
「助力感謝致す。これならばどれ程の群れの暴れ熊が襲ってこようと撃退できよう」
 録内・元頼(ろくない・もとより)と名乗った武士は、積み上げられた物資を背にし猟兵達へ頭を下げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『もりのくまさん』

POW   :    もぐもぐたいむ
戦闘中に食べた【鮭 】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    たべちゃうぞ! 
【ある日、森から 】【現れた熊が】【かわいい顔に似合わぬ鋭い爪の斬擊】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    みんなあつまれー!
【くま 】の霊を召喚する。これは【くまぱんち】や【くまかみつき】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●準備万全の結果
「くまー」
 それが襲撃してくることを猟兵達は知っていた。
「くまぁ?!」
 暴れ熊、近隣の村を襲った脅威は群れで現れると、まず一部が見事に罠に引っかかった。更にある熊は堀や丸太の柵、馬防柵に行く手を遮られて右往左往し、そこへ櫓から矢が射かけられる。この時点で猟兵はまだ手を出していない。にもかかわらず熊たちには既に被害が出始めていた。降り注ぐ矢の雨はいつか止むのであろうが、持ち込んだ物資の潤沢さを鑑みればすぐ止むとは思えず。
「くまー、ま゛っ」
 矢を受けて堀に転がり落ちた個体がはい上がろうと石垣に前足をかけ登り始めた所で、複数の矢が突き立った。
サフィリアリス・エレクトラガント
まあまあ、見事に罠に引っかかって熊さん達が大変なことになっていますね
この辺一帯で暴れ回る熊さん達、オイタが過ぎましたね

後は私たち猟兵が仕上げるだけです、いきましょう、皆さん


使うユーベルコードは「光の女神様はあなたの味方」
これだけ人間の叡智の前に晒されて、熊さん達もさぞ恐怖したことではないでしょうか?
仕上げです
恐怖を抱いた熊さんから、裁いて差し上げますね

召喚した女神様は熊さんの恐怖を感知して光刃を放ちます
光刃が当たれば恐怖は数倍にも増幅されることでしょう
でも大丈夫ですよ、恐怖はただの序曲
そこから、そこからが本番ですから……


高柳・零
WIZ
あれ、中の人が居るのでは…まあオブリビオンですから、容赦なく倒しますが。

「1匹で見れば可愛いかも知れませんが、集団だと普通に怖いですね」
城壁の下で密集しているクマに、片っ端からジャッジメントクルセイドをお見舞いします。慈悲はありません。
城壁を登って来るのが増えるなら、範囲攻撃で叩き落します。
また、鮭を取り出したら衝撃波で吹き飛ばし、弓兵には鮭を狙うよう指示を出します。

「ここで数を減らせば、黒幕も引きずり出し易くなりますね」
味方への攻撃は盾受け、オーラ防御等の各種防御技能で防ぎます。
たべちゃうぞは爪の攻撃を見切りで避けます。

アドリブ歓迎です。


備傘・剱
もりのくまさんってのは、なんか、緊張感がないなぁ
つーか、アレ、熊、か?

石垣を登ろうとしてる奴の顔面に向って跳び蹴りかまして、戦場に降り立って直接、攻撃して、倒すぜ

んで、そこら辺でくたばってるもりのくまさんに、傀儡子を使うぜ
あっちが数で来るんだ、こっちも数で押して悪いって法は、ないよな?
さーて、もりのくまさん VS HELLのくまさんの始まり、始まりってな
趣味の悪い出し物だぜ、全くよ

罠に引っかかって、もがいてる奴は後回しにして、元気に攻めてくる奴を優先的に攻撃していくぞ
特に中に入ろうとする奴は、ワイヤーワークスで引っ掛けて地面に落としてやる

アドリブ、絡み、好きに動かして欲しい


山梨・玄信
どうやら準備した甲斐があったようじゃな。
じゃが、油断はせんぞい。

【POWを使用】
パターンになって来たが、集団相手にはアースジャイアントさんの出番じゃ。
攻撃の激しい所に行って、場内に乗り込まれ無いように手助けするぞい。
城壁はマスターと零殿が行っているので、わしは城門の方に注意するのじゃ。
衝撃波をアースジャイアントと共に打ち出し。2倍の効率で熊の群れを倒すぞい。敵が減って来たら打って出て、範囲攻撃で薙ぎ払うのじゃ。
鮭を出したら、口に衝撃波を撃ち込んで食べられないようにしてやるわい。
見切りと第六感で攻撃を躱し、オーラ防御で身を守るぞい

「猟兵に成りたての頃は熊相手に良く修行したのう」

アドリブ歓迎じゃ


摩訶鉢特摩・蓮華
なにあれっ!くまのぬいぐるみ!? えっ、あれが敵のくまさんなの!? すっごく可愛い!めっちゃもふもふした~い!でも倒さないとダメなんだよね…ちょっと残念…

でも、やると決めたからにはちゃんとするよ!
一番近い所にいるくまさんから攻撃するね。
丸太の先端を尖らせて作った槍を力いっぱい投げつけるよ!
密集してるくまさんたちには大きな岩をプレゼント!
「大丈夫!蓮華、力持ちだから、このくらいの岩なら一人で持てるよ!」

くまの霊を召喚しようとしてるくまさんには真緋散華を使ってユーベルコードを相殺して、数を増やされないようにしよー!

アドリブとか歓迎です。



「まあまあ、見事に罠に引っかかって熊さん達が大変なことになっていますね」
 櫓の上から眼下に広がる惨状を眺め、サフィリアリスは口元に手をやる。その間にも左右から兵の放つ矢が熊のオブビリオンたちに降り注ぎ、逃げまどうことで罠にかかったり掘に落ちる個体が更に出て被害は増加の一途を辿っている。
「くまっ」
 中には反撃しようとする暴れ熊も居たが、オブビリオンたちの攻撃手段は基本的に爪による斬撃か召喚したくまの霊によるパンチか噛み付きと、明らかに近接攻撃しかない。櫓の上にいる兵士にそれらが届くはずもなく、櫓を破壊するには堀か柵を乗り越え、門もしくは城壁を破壊して城内になだれ込む必要があったが、櫓の上にいる兵達がそれを許すはずもない。オブビリオン目掛け、矢の雨は降り続ける。
「どうやら準備した甲斐があったようじゃな」
 それでも慢心はせず、玄信は襲撃してきたオブビリオンたちから視線を外さずに大地の巨人を喚びだした。
「もりのくまさんってのは、なんか、緊張感がないなぁ。つーか、アレ、熊、か?」
「あれ、中の人が居るのでは……」
 どちらかというと緩めな敵の容姿に何とも言い難い表情で同じオブビリオンを見やっていた剱が首を傾げ、零もどことなく微妙そうであったが、見た目はどうあれいくつもの村に被害を出した相手であり、猟兵達とは相容れない敵でもある。
「なにあれっ! くまのぬいぐるみ!? えっ、あれが敵のくまさんなの!? すっごく可愛い! めっちゃもふもふした~い!」
 と、オブビリオンを認識するなり驚きつつもはしゃいでいた蓮華もその点は理解している。
「倒さないとダメなんだよね……ちょっと残念……」
「倒して毛皮にしたら思う存分もふもふ出来ますよ」
「いや、そう言う問題ではないと思うんじゃが」
 どことなく後ろ髪を引かれた様子の蓮華へ零がしたフォローに、玄信がツッコミを入れ。
「ぐまっん゛」
 そんな間も熊オブビリオン達にとっての災難は続いていた。悲鳴をあげ開いたある個体の口へと射られた矢が飛び込み、傾いだ暴れ熊がバランスを崩し真っ逆さまに堀へ転落する。
「この辺一帯で暴れ回る熊さん達、オイタが過ぎましたね」
 変わらぬ笑顔でその光景を見つめていたサフィリアリスは、振り返ると仲間達に言う。
「後は私たち猟兵が仕上げるだけです、いきましょう、皆さん」
「ああ」
「はい」
「うむ」
 言葉は違えど口々に同意した猟兵達は、動き出す。
「やると決めたからにはちゃんとするよ!」
 己の手で丸太から作りだした槍を振りかぶった蓮華はその鋭く尖った先端を逃げまどう熊へと向け。
「じゃ、行ってくる」
 散歩にでも行くかのような気軽さで、剱が城壁から飛び降りた。
「ぐげっ、ま゛っ」
 着地点が石垣に取り付いた熊の頭だったのは、狙ってやったのだろう。踏みつけに近い形の跳び蹴りを食らったオブビリオンは、短い落下の後、自身をクッションにした剱へトドメを刺され息絶える。
「くまー、ま゛」
 敵が降りてきたなら今こそ反撃だとばかりに剱へ襲いかかろうとしたもりのくまさんは飛来した木の槍によって串刺しとなり。
「「くまっ!」」
「1匹で見れば可愛いかも知れませんが、集団だと普通に怖いですね」
 それでも仲間の居る場所には矢を射かけてこないだろうと思ったのか、単に手の届くところに敵が降りてきたからなのか、剱へ殺到しようと複数固まったオブビリオンたちを零は指さしそこに天から光が降り注ぐ。城壁側はオブビリオンたちにとってまさに処刑場であった。
「城壁の方はマスターと零殿、それに蓮華殿も奮戦しとるじゃろうからの」
 だからと行って、他は安全かというとそうでもなく。城門前には一頭足りとて通さぬと門の上に登った玄信が押し寄せるもりのくまさんへひたすら衝撃波を放っていた。
「ぐげっ」
 既にあちこち矢が刺さって傷つき疲弊したオブビリオンにとって、その衝撃波一つが十分致命傷たり得る上、動きをトレースした巨人もまた熊たち目掛け衝撃波を放ってくるのだ。否、玄信と巨人の攻撃だけでない。門にも当然の様に城兵は配置され弓に矢をつがえている。衝撃波をかわそうとも、それで終わりではなかったのだ。
「もう少し数が減ったら此方から打って出ても良さそうじゃの」
 冷静に戦況を観察しつつも玄信は手を止めず、脱がない。
「ですが――」
 かわりに言葉を継いだのは、サフィリアリスだった。
「これだけ人間の叡智の前に晒されて、熊さん達もさぞ恐怖したことではないでしょうか?」
「まあ、そうじゃのう」
 少なくとも逃げまどっているのは、目視で確認出来る事実である。
「ですから……」
 仕上げですとサフィリアリスは言う。表情は戦いが始まってから変わらぬ笑顔のまま。
「恐いですか?」
 反射的にか、一頭の熊がサフィリアリスの声で顔を上げ。でも大丈夫ですよと言う声を聞いた。もっとも、それはこのオブビリオンにとっての救済ではおそらく、あり得ない。
「恐いのも痛いのも一瞬。恐怖はただの序曲、そこから、そこからが本番ですから……」
 言葉を続けたサフィリアリスの後背に光輝く聖女の姿をした聖霊が現れ、光輝の刃が放たれる。
「ま゛」
 刃に両断されたもりのくまさんが崩れ落ちれば、仲間を屠られた恐怖が周囲の個体に伝染する。聖霊はその数に等しい刃を作りだし。
「そろそろ良さそうじゃ」
 始まる惨劇に敵の数が減れば、玄信も門の上から飛び降りる。
「このままじゃと、出る幕がなくなってしまいそうじゃからのう」
「あら、それは失礼しました」
「いや、お陰で助かったわい。城門は護り切れそうじゃしな」
 二人の視界の中にはまだオブビリオンの姿があるものの、全滅は時間の問題だろう。
「では、残りの殲滅とゆくぞ。しかし、猟兵に成りたての頃は熊相手に良く修行したのう」
 巨人に一声かけると駆け出し、襲いかかる相手の姿に少しだけ玄信が過去を思い出し。
「それっ」
「ぐまんま゛っ」
 同刻、城壁の一面の前に屍山血河が出来ていた。ボロボロのオブビリオンが飛んできた槍で地に縫い止められ、そのまま屍の一つに加わったかと思えば。
「ここで数を減らせば、黒幕も引きずり出し易くなりますね。あ、あの鮭を狙って下さい」
 零もまた天からの光で別の個体を屠りつつも目聡く鮭を取り出そうとしたもりのくまさんを見つけ、兵士に指示を出すも。
「そのユーベルコード、燃やしちゃうね♪」
 兵の矢が届く前に蓮華の炎が鮭を焼き尽くす。
「天の繰糸、地の舞台。舞うは現世の道化なり、ってな」
 そんな中、剱によって骸は殺戮人形に変えられ、再び動き始めた。かつての仲間を屠る為に。
「あっちが数で来るんだ、こっちも数で押して悪いって法は、ないよな?」
 もう既に城兵の援護射撃でこちら側の数の暴力も成立している気はするが、きっとそれはそれ。
「さーて、もりのくまさん VS HELLのくまさんの大三部、劇場版ってな。趣味の悪い出し物だぜ、全くよ」
「と言うか、こうも数が多いとその辺りの言い回しのネタも尽きてきますよね」
 始まるくまとくまの戦いを眺めてボヤく剱に応じた零は周囲を見回し、他の場所も見てきますと断りを入れ。
「そうか。襲撃をかけてきたのはこっちの方面だが、回り込んでいるのが居るかもしれないしな。手が回らないほどいれば呼んでくれ」
 その場を去る零の背に声をかけると罠に引っかかった個体をスルーし、城壁に取り付くオブビリオンの一頭にワイヤーワークスを投げつける。
「くまっ?!」
「大丈夫! 蓮華、力持ちだから、このくらいの岩なら一人で持てるよ!」
 フックが引っかかり上体を泳がせたもりのくまさんは強制的に空を仰ぐことになって、そこに見た。大岩を持ち上げ、下にいる仲間と自分目掛けて落とそうとする蓮華の姿を。
「とりあえず、当分熊肉には困らなそうだな」
 岩が降り断末魔が途絶えた。
「おーい、城門前は片づいたぞい」
 城壁の上に玄信の姿が現れたのは、その直後。
「だったらここもさっさと終わらせちゃって」
「ああ、他の方面の城壁も見て回るか」
 吉報に勢いづいた二人が兵士たちとともに生き残ったオブリビオンたちを全滅させるのに、それ程時間はかからなかった。
「こっちも終わりましたよ。はぐれたのか迷ったのか、数頭来ただけみたいでしたから」
 さて見回りだと出発しようとすれば、零が戻ってきてその必要もなくなり。
「用意した罠を幾つか使ったのと、矢や槍を使った、後は作った柵が幾つか壊れたり傷ついたぐらいか?」
 城への被害は殆どない形で暴れ熊たちの襲撃は防がれたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『悪徳商人』

POW   :    先生、お願いします!
【オブリビオンの浪人の先生】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    短筒での発砲
【短筒】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    か、金ならいくらでもやる!
【懐】から【黄金の最中】を放ち、【魅了】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●悪徳商人、緒川屋・五平
「ふむ、おかしいですな」
 いろりの前に座り込んで、男はポツリと呟いた。脇には蓋の開いたつづらがあり、中にはいくつもの鈴が詰まっている。
「そろそろ一頭二頭戻ってきても良さそうなのですが……余程城の守りが厚いのか。いえ、それはありませんな、普通に考えれば領民を収容して籠城する時間などない筈。所詮は獣、城の食料を漁るのに夢中だとか、大方そんなところでしょう。しかし、本当に良い商いになりました……ただの安物の鈴が大金を産む。あの目障りな録内様さえ黙らせることが出来ましたらこの国は私の手に入ったも同然。その暁には、領民達にも手伝って頂きましょうかね。この鈴作りでも」
 まさにとらぬ何とかの皮算用。オブビリオンであるこの商人は知るよしもなかった。向かわせた熊たちが一頭残らず全滅したことも、猟兵達が今居る廃村へ向かってきていると言うことも。
山梨・玄信
国を乗っ取るという割にはずさんな計画じゃのう。
まあ、所詮はインチキ商人か。

【SPDを使用!】
このような輩は全力で切り刻んでやるのじゃ。
シーブズギャンビットに2回攻撃を乗せて、手数で押すぞい。

短筒と先生に対しては、第六感と見切りで極力回避じゃ。
短筒の攻撃回数重視なら、避けきれない分はオーラ防御と激痛耐性で耐えるぞい。

金には執着が薄いが、魅了されたら盗み攻撃をするのじゃ。

戦闘後、商人のお金は領主に預けるぞい。村人への返金はもちろんじゃが、職人達への褒賞もお願いしておくのじゃ。

「脱ぐのが好きな訳ではないが、お主にはこうせんと気がすまん!」
「わしは持ち歩ける以上の金は要らんぞ」

アドリブ、絡み歓迎じゃ。


備傘・剱
悪徳商人ってのは、目先の金に飛びつくもんだな
因果応報ってのを商売根性に叩き込んでやるかね

【POW】
さて、周りに余計な奴らが居てるみたいだからな
作法にのっとって、そいつらから切り伏せていくぞ
殺陣の基本は一対一だぜ?
お行儀よく、かかってきな
ま、そんな事、無いだろうけどな

あ、安心しろ、命以外は取らねぇからよ
多すぎる金は、身を亡ぼすもんだぜ
この悪徳商人みたいにな

戦いが終わったら、俺は、此奴がやってた悪事の全部を役人や録内様とやらに知らせておくか
それと、此奴がやってた商売でまっとうなのを他の商人に引き継がせたりな

商売ってのは、まっとうに綺麗にやった方が、結局、最後には儲かるもんだ
それを、絶対に、忘れるな


高柳・零
POW
熊鍋をお土産に持って来ました。食べますか?

「あなたの名前は?」
「え、何ですかその名前。この世界で悪徳商人と言ったら越後屋ですよね!舐めてるんですか?という事で今からあなたは越後屋です」
挑発しつつ前に出ます。

物理攻撃は盾受け、武器受け、オーラ防御、見切り、かばうでガード。厳しければ無敵城塞。
短筒の攻撃回数重視の時は、盾受けとかばうでなるべく味方を守ります。

「越後屋さん、自分はお金に困った事が無いんですよ」
キマイラフューチャー出身なので。

攻撃は最初は鎧砕き。その後は2回攻撃で行きます。
用心棒を呼んだら、範囲攻撃で纏めて攻撃。
「おお、様式美ですね。先生ごと倒されるのも」

アドリブ、絡み歓迎です。


摩訶鉢特摩・蓮華
「骸の海から這い出てきた過去のガラクタが生きてる人と同じようにお金を欲しがるなんて、バカは死ななきゃ治らないっていうけど、惨めなほどの浅ましさは死んでも治らなかったんだね!まさに「金の亡者(オブリビオン)」とはこのこと。みっともなさ過ぎて見てられないから、とっととおうち(骸の海)に帰ってくれる?
あ、怒った?でも蓮華はもーっと怒ってるだよ!絶対に許さないからねっ!…越後屋さん♪」

WIZ
敵が金の最中を投げようとしたら真緋散華で封じるよ!
「そんなメンドーそうな技、使わせないからね」
あとは仲間と連携しつつ敵の攻撃前後の隙を突くように鉄塊剣で攻撃するね!

そういえば要塞化したお城はそのままで大丈夫かな…?


サフィリアリス・エレクトラガント
うふふ、悪徳商人のオブリビオンさん、お邪魔致しますね
今しがた熊さんはみーんな駆逐させていただきました
全く、他の生命を使って商売なんて、めっ!ですよ?


使用するユーベルコードは「美しい絆をお見せしますね」
ではでは、私もあなたの真似事を致しましょうか
私の代わりに実力派のこの二人がお相手です
【屈強な巨体の悪魔将軍】と【凶悪な魅了と魔術を持つ女淫魔将軍】のお二人を召喚いたしまして
悪徳商人さんが熊さんをけしかけたように、彼に向かって暴れてもらいましょう

私はただ後方で応援するだけ
でも―――彼がオブリビオンなら感じてくださるでしょう
【恐怖を与える】の技能で拍車がかかった魔王に対する恐怖を。



「国を乗っ取るという割にはずさんな計画じゃのう」
 廃村に残った家屋だからだろうか、壁の何処かに空いた穴から筒抜けの独り言を聞いた玄信は呆れ半分で所詮はインチキ商人かと嘆息する。
「悪徳商人ってのは、目先の金に飛びつくもんだな」
 その結果、被害をもたらされた近隣の村々はたまったものではないだろう。
「因果応報ってのを商売根性に叩き込んでやるかね」
 ポツリと零すなり剱が視線を向けた先には戸口があり。痛みながらもまだ残っていた戸に手を伸ばしたのは、サフィリアリス。
「うふふ、悪徳商人のオブリビオンさん、お邪魔致しますね」
「な」
 戸が開いて足を踏み入れた予期せぬ侵入者へ商人は驚き立ち上がる。
「なん、なんですか貴方は?」
「今しがた熊さんはみーんな駆逐させていただきました」
「何ですと?!」
 事態を飲み込めずかけた誰何の声にサフィリアリスが告げれば、オブビリオンは目を見張り。
「熊鍋をお土産に持って来ました。食べますか?」
「これはこれは、わざわざありが……熊鍋?」
 証拠と言わんがばかりにサフィリアリスの後ろから現れた零が手にした鍋を掲げて見せると、反射的に礼の言葉を発しかけた商人が鍋の中を凝視して硬直する。おそらく、鍋の材料に思い至ったのであろう。
「ところで、あなたの名前は?」
「手前は尾張の商人で緒川屋・五平と――」
 名を聞かれてあっさり自分の名を口にしてしまったのも、おそらくは気が動転していたからだろうが。
「え、何ですかその名前。この世界で悪徳商人と言ったら越後屋ですよね! 舐めてるんですか?」
「は?」
 いきなり激怒しだした零に五平は面を食らう。そも、この手の店の屋号は商人が出身地からとっているモノも多い。この商人もおそらくそうなのであろうが、だからこそ零の怒りを理解出来ないようであり。
「という事で今からあなたは越後屋です」
「何がどういう事ですか!」
 勝手に出身地を変えられてしまった五平は叫んだ。もっとも、これ自体が零からするとオブビリオンへの挑発であり。
「骸の海から這い出てきた過去のガラクタが生きてる人と同じようにお金を欲しがるなんて、バカは死ななきゃ治らな
いっていうけど、惨めなほどの浅ましさは死んでも治らなかったんだね!」
「なっ」
 訳がわからないうちに屋号を変えられたかと思いきや、横から飛んできた暴言に緒川屋は言葉を失った。
「まさに『金の亡者(オブリビオン)』とはこのこと。みっともなさ過ぎて見てられないから、とっとと骸の海(おうち)に帰ってくれる?」
 だが、蓮華の口は止まらない。悪徳商人は口を開けてぽかんと見ていただけだったのだ、とは言えその五平もやがて震え出し。
「あ、怒った? でも蓮華はもーっと怒ってるんだよ! 絶対に許さないからねっ! ……越後屋さん♪」
「うっ、ぐ……誰が越後屋ですか、誰が! 先生ぇ、先生ぇ!」
 オブビリオンと化しても出身地は譲れなかったのか、怒りの形相で喚き散らすと、無精髭を生やし腰に刀をさした浪人が隣室から現れる。
「さて、余計な奴のご登場か」
 眼光鋭く無言で抜刀する浪人を前に、動じた様子も見せず、剱は身構える。
「こう言う時は作法にのっとって、一対一。一人、一人と斬り捨ててゆくべきなんだろうが」
 出てきた浪人は一人。
「まぁ、集団召喚系のユーベルコードではないみたいですし、そこは仕方ないですね」
「人数的にワラワラしとるのはどちらかと言うとわしらの方じゃが、それはそれじゃ!」
 とは言え、逆に言うなら数が絞られていると言うことは逆に強力な敵と言うことでもある。
「結果オーライってな。さ、お行儀よく、かかってきな」
「でぇええい!」
 零とが顔を見合わせた直後だった、剱の挑発に気合いを込め刀を振りかぶった浪人が床を蹴った。
「ぐっ」
 必殺の一撃に値するであろう斬撃は庇うように前へ進み出た零がかざした分厚い魔導書に軌道をそらされて土間に突き刺さり。
「ではでは、私もあなたの真似事を致しましょうか」
「それはどういう」
 ちらりと悪徳商人の呼び出した浪人が反撃に出た剱と切り結ぶのを一瞥したサフィリアリスは、訝しむオブビリオンへ言葉では直接答えず、一組の人ならざる男女を喚びだした。
「自慢のお友だちをご紹介しますね。どちらもとても素敵で頼りになるんですよ。そして――」
 私の代わりに実力派のこの二人がお相手ですと続ければ、強靭で巨大な肉体を持つ悪魔の将軍が無言のままに構えをとった。それだけではない、もう一人もまた魔法の詠唱を開始したのだ。
「ひっ」
 短く悲鳴を上げ、悪徳商人は後ずさる。それは、サフィリアリスの喚んだ二人から向けられる敵意にではなく、後方でただ様子を見守るだけのサフィリアリスに底知れぬ何かを感じたからだろう。だが、ただただサフィリアリスに気をとられてしまったことが、悪手であった。
「脱ぐのが好きな訳ではないが、お主にはこうせんと気がすまん!」
 脱ぎ捨てられた玄信の衣服が吹き込んできた隙間風に踊る。オブビリオンの意識の外にあった玄信は衣服の縛めから解き放たれ得た身軽さをもって緒川屋・五平を強襲したのだ。
「ぎゃあぁっ」
 無防備な背中を左わき腹にかけて切り裂かれオブビリオンが絶叫を上げる。そこに二撃目の斬撃が襲いかかり。
「うぐっ、か、金ならいくらでも――」
「そんなメンドーそうな技、使わせないからね」
 傷口を押さえ呻きつつ五平は懐に手を突っ込むが、最後まで言わせず声をかぶせた蓮華が炎を放つ。
「そのユーベルコード、燃やしちゃうね♪」
「な、ああ、黄金の最中がぁっ!」
 効果を発揮することなく掴み出された最中は引火した炎に焼かれ崩れ出し。
「越後屋さん、自分はお金に困った事が無いんですよ」
「わしは持ち歩ける以上の金は要らんぞ……と言う以前にもう消し炭の様じゃが」
 零と玄信の言葉が聞こえていたかどうか。
「わたしの……わたしの最中が」
 呆然と持仲だったモノを見つめる五平に声をかけた者が居る。
「全く、他の生命を使って商売なんて、めっ! ですよ?」
「あ」
 窘めるサフィリアリスの声に振り向いたオブビリオンが見たのは、間近に迫った悪魔の将軍とその後ろで完成したばかりの魔法であった。
「ぐっ、う」
 もう絶望しかない状況に越、もとい、緒川屋が追い込まれていた頃、剱と浪人の決着もつきつつあった。
「雇い主を助けに行こうと背中を見せたのは失敗だったな。あ、安心しろ、命以外は取らねぇからよ」
 多すぎる金は身を亡ぼすもんだぜと言いながら示した先は、数の暴力にさらされた悪徳商人が袋叩きに遭っており。
「ではトドメと行きましょうか。先生ごと倒されるのが様式美ですし」
「そん」
 手負いの浪人が続けて何と言おうとしたかはわからない。後方の五平まで巻き込む零の一撃で吹っ飛ぶと、土壁に激突して動かなくなったのだから。
「ふぅ、何はともあれ一件落着なのかな?」
 なんだか先端が赤黒くなった鉄塊剣を片手に蓮華が振り返ると既に浪人オブビリオンの死体はなく、安物の鈴が詰まったつづらだけが部屋の中には残っており。
「しいて言うなら、後は此奴がやってた悪事の悪事の後始末だな。役人や録内様とやらに知らせておくとか、此奴がやってた商売でまっとうなのを他の商人に引き継がせるとかな」
 剱は放置されたつづらに手を置き、肩をすくめ。
「それならば、この商人の稼いだ金も領主に預けねばの。村人への返金はもちろんじゃが、職人達への褒賞もお願いせねばならんし」
「あー、まだ結構やることあるんだね」
 玄信の補足にも納得した蓮華は、そういえばとお城があるであろう方角を見る。
「要塞化したお城はそのままで大丈夫かな……?」
「ま、大丈夫だろ。問題があるようなら、この件の報告なり返金のついでで元に戻すのに手を貸せば良いしな」
 ポツリともらした蓮華の疑問に応じ、微かに笑った剱は笑みを消すとまだ転がっていた悪徳商人の死体に視線を落とした。
「商売ってのは、まっとうに綺麗にやった方が、結局、最後には儲かるもんだ。それを、絶対に、忘れるな」
 他者へ向けてか、自身に向けてか。独言を残して踵を返せば他の猟兵たちもこれに続き。こうして近隣の村々を騒がせた事件は幕を閉じるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月11日


挿絵イラスト