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京の都、荒ぶるは狸と晴明

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #大天使ロロサエル #陰陽師 #安倍晴明 #魔軍転生

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 京の都は、平穏であった。
 織田信長の軍勢による大乱も鎮まって久しく、徳川の治世は安泰。
 だが、世の乱れ、戦の火種は消える事を知らぬ。

「……む、あれは」
 京の外周を見回る兵たちが、目を細めた。
「鎧武者どもが攻めてきよる……!」
「いや、良く見ろ!」
 鎧武者の正体は、狸である。
「たぬー!」
「たぬたぬー!」
「狸……と、何やら毛色の違うものも混じっておるが」
 狸、狸、時々パンダ。
 加えてその鎧には、人が背負われている。否、狸が人を『纏って』いるのだ。
 火急の報せに駆け付けた陰陽師の1人が、狸の背負う者の正体を看破した。
「あれは、大陰陽師『安倍晴明』!」
「しかも、狸全てに纏われている。これは面妖な」
「そもそも、かのエンパイア・ウォーで猟兵たちが討ち取ったはずでは?」
 陰陽師たちの間に、動揺が広がる。

 武者狸の大群は、一直線に京を目指している。そして後方には、ひときわ大きな天翼を広げた、洋装の男の姿があった。
「京に敷かれし対オブリビオン用結界。大陰陽師と名をはせた界渡りの魔軍将、その力を以て解いていただきましょう」
 洋装の男から涼やかな眼差しを向けられた晴明『たち』は、口々に語る。
『よりによって、狸を依り代にしておいて』
『かような無茶振り』
『いいでしょう』
『せめて空虚なる心の慰めとしましょうか』
 晴明たちの色よい返答に、ふ、と笑みをこぼす洋装。
 その名を、大天使ロロサエル。

●グリモアベース
 居神・ヲリヒメ(折紙使い・f28587)の広げた折紙に、地図が浮かび上がる。
 それが示すのは、都……京であった。
「猟書家どもがまたサムライエンパイアを狙ってきやがる。それも、安倍晴明を使ってな」
 大天使ロロサエル。
 江戸幕府の転覆を狙うオウガフォーミュラ『クルセイダー』の秘術、超・魔軍転生の力を借り、オブリビオンによる侵攻を行うつもりなのだ。
 晴明の魂を複製し、オブリビオンの大群全てに憑装させるという荒業である。
「そして、晴明の依り代になってるのは……コイツらだ」
 ヲリヒメの手のひらの上に出来上がった折紙は……狸であった。
「『狸兵団』。こいつら全員に晴明を憑装させて、めちゃ強い軍団にしようって魂胆だ」
 京は、古来より陰陽師が張り巡らせた結界によって守護されている。対オブリビオン用であるため有効性はあるものの、晴明の大群を相手にしては、長く保つものではない。
「晴明も陰陽師だしな。結界の弱点や守りの薄い部分を見抜いてきやがるだろう。てなわけで、こっちは京の陰陽師と協力して、敵が攻めてきそうな部分を守りながら、敵を迎え撃つって寸法さ」
 今回は、京の中が戦場になるのは避けられない。出来る限り人々や建物に被害を出さないよう戦えるとよいのだが。
「憑装狸の数を減らせば、大天使の兄ちゃんも出張って来ざるをえない。憑装は猟書家の力とは相性が悪いらしいからな、素の状態で戦いを挑んでくるぜ」
 将たるロロサエルを撃退できれば、狸軍団も烏合の衆。蜘蛛の子を散らすように退散していくだろう。
「京の都を、戦火に晒すわけにゃあいかねえ。何とか食い止めてくれ」
 そしてヲリヒメの折り鶴が、転移の扉を開く。


七尾マサムネ
 こちらは猟書家シナリオです。全二章で完結します。

●一章
 京の都に襲来する狸兵団を迎え討ちます。
 全員が魔軍将『安倍晴明』を憑装しているため、基本戦力が大幅にアップしています。

●二章
 猟書家『大天使ロロサエル』との直接対決です。
 憑装こそしていませんが、強敵です。

●プレイングボーナス条件(全章共通)
 京の陰陽師と協力する。
 攻撃面では活躍できませんが、その結界は敵の動きを鈍らせる力があります。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております!
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第1章 集団戦 『狸兵団』

POW   :    狂乱野鉄砲
【仲間がやられた恐怖心】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【弓矢や火縄銃の集中砲火】で攻撃する。
SPD   :    狸兵団突撃
予め【突撃陣形を組む】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ   :    パンダ混じりの狸囃子
戦闘力のない【子狸応援団(何故かパンダがいる…)】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【戦場に響く賑やかな太鼓の音】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「たぬ」
「たぬたぬ!」
 守りの兵士たちを蹴散らし、京中に侵入せんとする、憑装・狸兵団。
 愛らしいなりをしていても、なぜかパンダを仲間にしていても、その本質はオブリビオン。
 加えて此度の戦では、安倍晴明までも味方につけている。
 だが。
「狐狸どもめ! 都の土は汚させぬぞ!」
「たぬっ!?」
「動けないたぬ~!?」
 陰陽師たちの放った結界術が、狸たちの足を止めた。
「ふんぬぬ~っ、力を貸すたぬ、セーメー!」
『……何とも釈然としない心持ではありますが、貴重な体験と思えば楽しきかな』
 晴明の呪力が、狸から立ち昇る。
 立ち昇……。
「早くするたぬ~!」
オブシダン・ソード
【狐剣】
キャー小日向さんカッコイイー

とにかく、僕としては狐に優しく生きたいからね
狸とその顔の良い背後霊はまとめて斬らせてもらうよ

え、僕にも厳しい…?

現地の陰陽師さん達には、一旦僕等の前だけ結界を緩めてもらうとか協力をお願い
敵を誘導できれば良いんだけど…

器物の剣を駆使して前衛として立ち回る
陰陽師さんや、いすゞが動きを鈍らせてくれたところに飛び込んで、暴れさせてもらおう
まだまだ元気な子達には炎の魔術で壁を作るなどして足止めを

とはいえ切り口が陰陽術任せだと晴明が抵抗してきそうかな?
眠りの術が解かれそうならこちらも機先を制してUCで潰しに

静かになったら代わりに僕が応援してあげよう
皆がんばれがんばれー


小日向・いすゞ
【狐剣】
やあやあ
遠からん者は音にも聞け、近くば寄っ
以下略っス!

あっしこそは陰陽を正す妖狐、小日向の一人娘いすゞ!
狸と安倍晴明には厳しくするよう厳しく躾られているっス!

へぇへぇ
センセの応援を止める理由は無いっスけれど
気が抜けるっス
全く武器受けが良くて困っちゃうっスねェ

ややや
流石センセ
顔の良い者に厳しいっスね!

そういう訳で尋常に勝負するつもりは無いっス
ささ
京の皆さんにセンセ達、頼んだっスよ!

あっしは導眠符を撒いて、眠気で足止めをするっス~
応援なんてさせないっスよ!

逃げる訳では無いっスが、足にゃ自信があるっス
跳ねて駆けて、ついでに杖でブチ叩くっス
これがあっしの陰陽道

キャーセンセ、鼓舞力が高いたかーい




「やあやあ、遠からん者は音にも聞け、近くば寄っ……以下略っス!」
 戦乱の嵐吹きすさぶ、京の都。
 高らかに響き渡るは、小日向・いすゞ(妖狐の陰陽師・f09058)の口上。
「あっしこそは陰陽を正す妖狐、小日向の一人娘いすゞ! 狸と安倍晴明には厳しくするよう厳しく躾られているっス!」
「キャー小日向さんカッコイイー」
 絶妙なタイミングの声援の主は、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)。
 ……ただ、何処か緩い口調で。
「へぇへぇ、センセの応援を止める理由は無いっスけれど、気が抜けるっス。全く武器受けが良くて困っちゃうっスねェ」
 もふもふ、と狐耳を掻くいすゞだが、狸たちはおののいている。
「えっ、それってたぬたちにとっては天敵たぬ?」
「やべえたぬ」
『そもそもオブリビオンにとって猟兵はすべからく天敵なのですが……』
 いすゞの言葉に戦々恐々とする狸に、晴明が指摘……ツッコミを入れた。
 そんな、凸凹コンビにも程がある敵たちを、オブシダンが見回す。
「とにかく、僕としては狐に優しく生きたいからね。狸とその顔の良い背後霊はまとめて斬らせてもらうよ」
「ややや、流石センセ。顔の良い者に厳しいっスね!」
「え、僕にも厳しい……?」
 太鼓持ちパワー全開のいすゞに、オブシダンが、ぽつりと言った。
 感じた晴明の視線は、冷ややかだった。
 狸たちはよくわかってない。
「……とまあ、そういう訳で尋常に勝負するつもりは無いっス。ささ、京の皆さんにセンセ達、頼んだっスよ!」
 ずずいっ。
 オブシダンや陰陽師たちに出番を譲るいすゞ。
「というわけで、陰陽師さん陰陽師さん」
 狸兵団を結界で足止めしていた陰陽師たちに、オブシダンが呼びかけた。
 一旦オブシダンたちの前だけ結界を緩めてもらうよう依頼する。
 敵を誘導するという目的を理解した陰陽師たちは、すぐさま快諾。
「では、こちらで合図いたします」
「敵がなだれ込んできたところを仕留めてくださいませ」
「任せてー」
 そして、合図と共に、狸を縛る結界が解かれた。
「やった自由たぬー!」
「いけいけ、人間をやっつけるたぬー!」
『待ちなさい、これはあからさまに敵の策です』
 晴明の制止もどこ吹く風。
 これ幸いと駆け出した狸たちを待っていたのは、案の定逆襲であった。
 閃く黒刃。
 オブシダンの器物……黒曜石の剣が、鎧や毛皮を切り裂く。
 オブシダンが剣士としての本領を発揮、華麗な剣舞を披露する中、狸たちとてただ駆られているばかりではなかった。


「まけるながんばれ狸団♪」
 どんどこどん。
 謎の太鼓が響き渡る。
 妖の風に吹かれて現れたのは、子狸応援団である。
 こっそりパンダも加わり、鼓舞力は更に上昇。
 するとどうした事か。たちまち狸のまとう武具は、威力を増していく。
「応援なんてさせないっスよ! 前略如律令!」
 いすゞの袖口から、無数の符がこぼれ、辺りを舞う。
「こんな紙切れ、鼻紙にもならないたぬ」
「でもなんだか眠くなってきたたぬ……」
「スヤア」
 いすゞたちに辿り付くこともなく、眠り込んでしまう狸たち。符にこめられた導眠の力が、狸たちを夢の世界に誘ったのだ。
 霊体である晴明たちには関係ないかもしれないが、宿主である狸がおねむでは、満足に戦えぬ。
 ピンチを支える応援団までも元気を失う一方、前線に立つオブシダンの進撃は勢いづくばかりだ。
 陰陽師やいすゞが動きを鈍らせてくれた敵陣に飛び込んで、思うさま切れ味を披露する。
「ぬぬぬ、あいつからやっつけるたぬ!」
 オブシダンの奮戦を止めるべく、狸が武具を振り上げ襲い掛かった。
 だが、行く手を遮ったのは、オブシダンが魔術で作り出した炎の壁。
「ひぃ! 火は怖いたぬ~!」
 獣の本能だろうか、それとも、逸話や昔話のせいだろうか。逃げ惑う狸団。
 しゅばっ、さささっ。
 混乱する狸たちの間を、狐耳と尻尾をくゆらせ、いすゞが駆け回る。
 狸と晴明入り乱れる中を、跳ねて駆けて、ついでに杖でガツンと叩く。
「きゅう」
 眠りに落とされた(物理)狸たちが、こてん、と倒れていく。
「見よ、これがあっしの陰陽道」
『興味深くはありますが、何とも釈然としませんね』
 ばしっ、と見栄を切ってみせるいすゞに、晴明がぼやいた。
『にしても……全く、手間のかかる狸ですね』
 呆れ顔の晴明が動いた。霊体に身をやつしたとはいえ、その術力は健在。
 狸にかけられた、いすゞの眠りの術を解除せんとする晴明たち。気絶した奴は知らん。
 だが、解呪を試みる晴明を、オブシダンが見逃さなかった。黒の斬撃を飛ばし、晴明を斬り裂く。
 狸の数自体はまだまだいるが、場はすっかり静かになった。
「おや、元気がないね。なら、代わりに僕が応援してあげよう。皆がんばれがんばれー」
 オブシダンのどこか気の抜けた声援は、しかし、狸たちの士気を上げる事はなく。
「応援が足りないのかな。ほらファイトー」
「キャーセンセ、鼓舞力が高いたかーい」
 ぱちぱち。手を叩いてはしゃぐ、いすゞ。
 煽り力の間違いではありませんか。
 そんな晴明の指摘は、風に呑まれて消えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

加賀・琴
アドリブ歓迎です

セイメイ、相変わらず白の王だのなんだのとよくわからない言葉が浮かんで頭が痛いですね
しかし、よりにもよって狸とは、どういう基準で狸にセイメイを憑装させようなどと思ったのでしょうか

陰陽師の方々、力を貸してください
陰陽師的に巫女に力を貸すのは微妙かもしれませんが、結界で敵の動きを封じて欲しいのです
結界で動きを鈍らせてもらったら、狸達が固まっている場所に【破魔幻想の矢】を放ちます
そのまま素早く、早業で次の矢を番えて2回目の【破魔幻想の矢】を連続して放ちます
合わせて760本にもなる破魔と浄化と除霊の力を持つ矢です
幾らセイメイだろうと、憑装であるならばこれは効くはずです!



 武者狸に宿りし、魂の陰陽師。
 奇妙な取り合わせとなったオブリビオンの軍勢を目の当たりにした加賀・琴(羅刹の戦巫女・f02819)は、こめかみのあたりを抑えた。
「セイメイ、相変わらず白の王だのなんだのとよくわからない言葉が浮かんで頭が痛いですね」
 傍らの晴明も何やら助言しているようだが、肝心の狸たち自身の声が大きく、届いていないように見える。大丈夫か。
「よりにもよって狸とは、どういう基準で狸にセイメイを憑装させようなどと思ったのでしょうか」
 手っ取り早く頭数が揃えられるオブリビオンだったかも知れない。
 対する琴の周囲には、都の陰陽師が控えている。
「お力添え、感謝いたします。陰陽師的に巫女に力を貸すのは微妙かもしれませんが」
「都の危機に比べれば些末な事。猟兵ならばなおの事です。ともに狐狸どもを追い払いましょうぞ」
 共同する琴たちへ、狸たちが殺到する。
「猟兵見つけたり、たぬ!」
「きっとここが要所たぬ! 我らの戦術眼、凄いたぬ!」
『先ほど、都の結界の弱い部分だと助言したのは私ですが……』
 自画自賛する狸たちに、晴明が嘆息しているのが、琴にも見えた。
 猪突猛進。狸だけど。
 一気に攻め来る狸兵団が、一挙に動きを止めた。
 陰陽師たちの結界術が、効力を発揮したのである。
 すると何処からともなく、太鼓が響き出した。子狸応援団の仕業だ。
 だが、武具の性能が上昇しようとも、身動きとれぬのでは、宝の持ち腐れ。
「我らの術も、狸相手ならばいざ知らず、安倍晴明がいては、長くは保ちませぬ」
「了承しました、お任せください!」
 琴が、矢を放つ。
「そんな矢一本で何が出来るたぬ……たぬっ!?」
 一本だった破魔矢は、空中で無数に分かれ、狸に届く頃には雨となっていた。
「たぬっ」
「やられたぬっ」
 鎧ごと矢に射抜かれ、倒れていく狸たち。瞬く間の出来事に、応援団の鼓舞も追いつかず。
 狸たちが反撃に出る間もなく、琴は次の矢を放っていた。
 ただの二度、しかし確かに放たれた矢は、合わせて760本に到達していた。
 その全てに破魔と浄化、そして除霊の力が備わっている。
「幾らセイメイだろうと、憑装であるならば!」
 琴の破魔矢に射抜かれ、晴明が霧散していく。夢幻の如く。
 頼みの晴明までも討たれ、狸兵団は瓦解していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

家綿・衣更着
狸の悪事は許さないっす!
「界渡るもの安倍晴明は恐いっすが…悪い狸達は頭良くないっぽい。混乱させて倒すっす」

自分の妖力が籠った妖怪煙を多く広く出し、【化術】で京の都と守備兵達の偽の【残像】を映し出すことで見当違いの所に突撃させ、【結界術】で孤立させて京の陰陽師や兵士たちと撃破する【罠使い】っす

おいらも真の姿である狸姿となり【化術】と【変装】と【演技】で敵中に入り込み、【化術】や【催眠術】を駆使して他の狸兵団を敵に見せて同士討ち狙いっす

仕上げに混乱に乗じて敵の指揮官やパンダを『綿ストール・本気モード』で【だまし討ち】で【暗殺】しさらに混乱させるっす
あとは混乱する狸兵団を個別におびき出して撃破っす



「さあさあ、セーメー狸のお通りたぬ!」
 京の都に吹きすさぶ、妖怪狸旋風。
「ああっ、お助けを!」
 転倒した町の女人にも、狸は容赦ない。
 だが! その時、救いの風が吹いた。
「狸の悪事は許さないっす!」
 狸軍団を蹴散らし、現れたのは家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)!
「さあ今のうちに逃げるっす!」
 女人を逃がし、狸と相対する衣更着。
 敵は多いが、雑兵に過ぎぬ。とは言え此度の戦では、安倍晴明という味方を付けている。
「界渡るもの安倍晴明は恐いっすが……」
「そこの猟兵! 邪魔するなら倒すたぬ!」
「邪魔しなかったら見逃してくれるっすか?」
「そんなわけないたぬ。じゃあ邪魔してもしなくても倒すたぬ、に言い直すたぬ」
 幸い、この悪狸どもは、頭良くないっぽい。
 衣更着は、そこに付け込んだ。
 やあっ、と威勢よく切りかかって来た狸たちの視界を、煙が遮った。
「これは何たぬ?」
「あっ、あっちの方に人間がいるたぬ! いけいけー!」
『待つのです、狸よ。それは……』
 憑装された晴明の制止も聞かず、狸たちの一部が、守りを担う兵士たちへと突撃した。
 だが。
 がしゃーん!
「!?!?」
 狸たちが激突したのは、人ではなく、大きな建物の壁であった。
 煙に含まれた妖力に惑わされ、衣更着の化術で幻を見せられたのである。
「今っす!」
「急急如律令!」
 衣更着と陰陽師たちの結界術が、狸たちを封じ込めた。
「罠だったたぬか!」
 騙すはずが騙されて。
 集団から孤立させられた狸は、衣更着や、待ち構えていた兵士たちの襲撃を受け、ぽこん、と退治された。
 ほどなく狸たちには、混乱が広がる。
「なんか気付かないうちに数、減ってないかたぬ?」
「そんなことないっす……じゃなくて、そんなことないたぬ」
「なら良いたぬ。……って、お前見慣れない奴たぬ。どこの狸たぬ?」
「勘のいい狸は始末っす」
 ずばっ。
 狸が狸に切られた。片方は、狸姿となった衣更着である。とてもかわいい。
 敵が紛れ込んでいる! その情報は、兵団に混乱をもたらした。
 その隙に、衣更着は、どっしり構えていたお頭狸の元に。
「むっ、何奴たぬ」
「お命頂戴するっす!」
 必殺の綿ストールが、しゅばっ、と伸び、お頭を見事討ち取った。
 集団の頭を失った狸たちは、ますます混乱。
 晴明の助言も、もはや耳には入らない。

成功 🔵​🔵​🔴​

篝・倫太郎
【華禱】
天使サマはなんてーか、こう……
ファンシーなの好きなんだろか?
狸をファンシーに分類していいのかはわかんねーけど……
そだな、敵は敵だ
往こうぜ、夜彦

攻め入られた場合
突破されそうな場所を陰陽師達に確認し敵の元へ急行
陰陽師達には視認されない場所での術の継続を依頼

狸達を視認したら『災禍を狩るもの』使用
代償は耐性で常時対処

詠唱と同時にダッシュで接近
陣形を汲む時間を取らせないように迅速に行動
また、接近時も残像を交えてく

吹き飛ばしと鎧無視攻撃を乗せた華焔刀での範囲攻撃でなぎ払い
刃先返して2回攻撃

夜彦と手分けして、迅速に確実に敵を減らすことを最優先に

敵の攻撃は見切りで回避
回避行動にもフェイントを混ぜてく


月舘・夜彦
【華禱】
時折、奇怪な敵に安倍晴明が憑装しているような気がします
しかし敵は敵、油断は出来ないものです
倫太郎、往きましょう

月夜ノ御使イにてバディペットを呼び出します
春暁は空から襲撃、武器を奪ったり妨害を優先
東雲は移動の早さと体の大きさから敵を威嚇して私達の方へ誘導
陰陽師達には敵から離れた位置にて援護をお願いします
私達から近い敵、東雲に追い込まれた敵の動きを封じて貰いましょう

妨害や術にて動きが止まっている敵に駆け出して接近
2回攻撃で手数を増やし、なぎ払いにて広い範囲を攻撃
倫太郎達と連携して敵の数を減らすことを優先

敵からの攻撃は見切りにて動きを読み、残像にて回避
回避が困難であれば武器受けにて防御



「たぬ」
「たぬたぬ」
 百鬼夜行……ならぬ、武者狸の行進。
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、ぽりぽりと頬を掻いた。
「天使サマはなんてーか、こう……ファンシーなの好きなんだろか?」
 武具に身を包み、血気盛んとはいえ、倫太郎の目に映る狸は、何処か愛らしく。
「パンダはともかく、狸をファンシーに分類していいのかはわかんねーけど……」
「確かに時折、奇怪な敵に安倍晴明が憑装しているような気がします」
 倫太郎とともに、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は襲来する妖怪どもを、ためつすがめつ。
 だが夜彦は、それ以上、大天使に関する詮索をやめ、心の手綱を引き締める。
「如何なる趣味でも、如何なる外見をしていても、敵は敵。油断は出来ません。倫太郎、往きましょう」
「そだな。往こうぜ、夜彦」
 倫太郎は、夜彦と共に、騒乱の気配を求めて京の街を駆ける。

「狸兵団のお通りたぬ! 道を開けろ~!」
 十中八九、晴明の入れ知恵だろう。上手いコト京の街に入り込んだ狸たちは、早速暴虐を開始せんとした。
 だが、陰陽師のことは陰陽師に聞け。
 京の陰陽師たちの助力を仰いだ倫太郎たちもまた、狸の侵入にいち早く対処していた。
「たぬっ!?」
「そんな物騒なもん着こんでちゃ、折角のもふもふが台無しだぜ」
 狸兵団の進軍を妨げるへぼく、倫太郎が、敢然と立ちはだかった。
 そして夜彦の元に、赤毛の馬と茶色のイヌワシが馳せ参じた。
「あっ、動物使いたぬ!」
「けど、たぬ達の事は操れないたぬ!」
 憑装のせいだろう、自信満々の狸たちが攻め込んでくる。
 だが、振り上げた槍を、素早く奪い取ったのは、イヌワシ……春暁だった。
「飛べるなんてずるいたぬ! セーメー、たぬ達を飛ばすたぬ」
『それは無理です』
「無理かー」
 やむを得ず、弓矢を構え、春暁を狙う狸たち。
 だが、そこにもう一頭の仲間が参じる。
 東雲だ。
 駿馬は敵陣を駆け回り、狸たちを威嚇、挑発。それに引かれた狸たちを、夜彦たちの元へと誘導していく。
 まんまと追走してきた狸たちを迎えたのは、陰陽師たちだった。
「これ以上、京の都を乱させはせぬ!」
 急急如律令の文言と共に放たれた符術が、狸たちを結界にて封じ込めたのだ。
「こっ、これ以上進めないたぬ!」
『フ、私のものに比べれば拙い結界。今すぐに解いて差し上げましょう』
 薄く笑った晴明が印を結ぼうとした時、人影が迫っていた。
 夜彦だ。
 狸たちが結界に囚われる瞬間を狙っていた夜彦は、薙ぎ払いにて、硬直した狸たちを一挙に駆除したのである。
 確かに陰陽師たちの術は、晴明にとっては児戯に等しいかもしれぬ。だが、一時でも効力が発揮されたならば、夜彦たちが掌中に収める好機としては十分である。
 陰陽師の助力で、夜彦たちの先制攻撃は成功をおさめた。
「この調子で数を減らしてゆけば」
「天使サマがしゃしゃり出てくるってわけだな!」
 焔、水、風。
 災魔に抗する神力を宿した倫太郎が、駆ける。
 だが、同時に活性を始めた毒が、体を蝕み始めるが、ぎりと歯を食いしばり耐える。
「飛んで火にいる夏の虫とはこのことたぬ!」
 じゃきっ。
 狸たちが、武器を構えて倫太郎を迎え撃つ……どころか、自分たちから率先して前線に飛び出していく。
『待つのです、こちらも陣形を組んで対応するのです』
「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないたぬ!」
 晴明の助言を一蹴する狸。ただ、それだけ倫太郎の進撃は、迅速であった。
 ばらばらに対応を余儀なくされた狸たちは、散発的に、倫太郎へと向かうしかない。
 敵の槍や刀を、残像を交えて交わし、華焔刀をぐるりと回して勢いを付け。
 そこに、溢れる神力も乗せて、一気に振り切った。
「たぬー!」
 晴明の加護ごと切り払われた狸たちが、宙を舞う。鎧の守りも形無し。気づけば吹き飛ばされて、討ち取られていく。
「ああ、むねん……」
「おっと、捨て台詞の暇はないぜ」
 華焔刀の刃先が返される。
 二度目の斬撃が、狸たちを完膚なきまでに調伏する。
「どうだ、夜彦、そっちは……って」
 倫太郎が振り返ったのは、正に夜彦が狸に囲まれんとした時であった。
「ま、大丈夫か」
「もらったぬ!」
 ずばっ!
 八方から、狸たちが一斉に武器を繰り出した。
 だが。
 とっさに身を低くしてかわした夜彦は、そのまま包囲を抜け出すと、背後からの二連斬にて狸たちを仕留めた。
「手加減はできない分、せめて楽に送ってあげましょう」
 春暁を撫でつつ、消えゆく狸と晴明に告げる、夜彦だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

卜一・アンリ
あら、可愛い害獣さんね。
後ろにいるのが『安倍晴明』という話だけれど…
世界単位でその頃は知る由も無し、ただの背後霊に興味はないわ。

京の陰陽師の方々には結界術による足止めをお願いしましょう。
出来れば開けた場所に、かつ陣形を組ませないように誘導してもらえれば上々。
後は周囲の建物の上に陣取りUC【ゴットスピード・ゲットレディ】の【スナイパー】【乱れ撃ち】【弾幕】。
攻撃が来るようなら【ジャンプ】で他所の屋根に飛び移りつつ、遠間から順々に片づけていきましょう。

さぁ、ハンティングの時間よ。


司・千尋
連携、アドリブ可

狸もパンダも可愛いけど
俺、狐派なんだよな


攻撃手が足りているか敵に押され気味なら防御優先
無理なら敵の数を減らす事に注力
陰陽師達に協力を頼み敵の動きを阻害して貰う

攻防は基本的に『子虚烏有』を使う
範囲内に敵が入ったら即発動
範囲外なら位置調整
近接や投擲等の武器も使い
範囲攻撃や2回攻撃など手数で補う

応援団は厄介だから優先的に狙う
片っ端から消失させてるけど
何かアレだな、心が痛むぜ…!


敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
オーラ防御も鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
回避や『子虚烏有』で迎撃する時間を稼ぐ
間に合わない時は双睛を使用
陰陽師達や結界への攻撃は最優先で防ぐ



 卜一・アンリ(今も帰らぬ大正桜のアリス・f23623)は、京の町並みを背負い、敵の顔ぶれを遠目に見ていた。
「あら、可愛い害獣さんね。後ろにいるのが『安倍晴明』という話だけれど……」
 サムライエンパイアの歴史に名を残し、戦争でも猟兵たちを苦しめた(はずの)存在。
 しかし、アンリは、世界単位でその頃を知る由も無く。
「ただの背後霊に興味はないわ」
『背後霊……この世界の皆さんもまた手厳しい』
 大した地獄耳のようで。
 風に乗って、晴明のぼやきが、アンリの耳に届いた気がした。

 一方、司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)も、京の都を駆ける。
「狸もパンダも可愛いけど、俺、狐派なんだよな」
 陰陽師と猟兵たちは各所に散らばり、狸&晴明に対抗しているようだ。
 千尋も陰陽師たちの一団と合流、襲撃地点へと急行する。
「有り難い、敵の数は滅法多くて、人手はいくらあっても良いのです」
 やがて千尋の視界に、狸の一団が映りこむ。
 晴明の力も奮い、兵士たちを蹴散らそうとしている。

 対処にあたった陰陽師たちを追い立て、なだれ込んでくる狸兵団。
 だが、それはアンリと陰陽師たちの策であった。
 狸たちが進軍したのは、建物同士の距離の離れた、開けた場所。
 そこに陰陽師たちが前後を囲み、一斉に結界術を掛けた。狸たちは、陣形を組むこともままならず、其の場に釘付けにされる。
「たぬっ、まさか追い込まれてるたぬ?」
『流石に気づきましたか。お利口ですね』
「褒められると弱いたぬ~」
 狸と晴明、やりとりが緩い。アンリは思った。
 しかし、アンリの背後からも、兵団が迫りくる。
 だが、それに対応したのは、千尋と陰陽師団であった。
 千尋の合図で、陰陽師たちが術を行使すると、狸たちが一斉に動きを止めた。
「うっ、これ以上進めないたぬ」
 身動き取れずとも、オブリビオンなら、千尋も容赦しない。
 狸兵団が射界に入り込んだ瞬間、光剣を飛ばし、安全圏から相手を蹂躙する。
 相手は弓矢、飛び道具まで備えている。思わぬ反撃を喰わぬとも限らぬ。
『この程度の術など、私にかかれば……破ッ!』
 晴明が何事か唱えると、狸の体が動き出した。
「ふっふーん、術が効かないなら怖いものなしたぬぐわーっ!?」
 威張る狸の虚勢が、一瞬で悲鳴に変わる。
 鎧に守られたふくよかな腹に、小太刀が突き立っている。千尋が投擲したものだ。
 屋根の上に場を移したアンリの眼下、千尋の『子虚烏有』が乱舞し、狸たちの戦力を削り取っていく。
「負けてられないわね。さぁ、ハンティングの時間よ」
 轟く銃声、その数、無数。
 狸たちが一斉に悲鳴を上げた。アンリの神速……というか神速すら超過した早撃ちだ。
 まるで一発の銃弾が、狸の群れを一度に射抜いたかのよう。瞬く間に制圧されていく狸たち。
『拳銃にそこまでの連射性能があるなど聞いた事は有りませんが、それを為すのがサイキック……いえ、ユーベルコードでしたか』
 自身の力を発揮する暇も無く、消えていく晴明たち。だが、せめて一矢報いようと結界術を無効化し、狸たちをアンリに向かわせる。
「お命頂戴たぬ!」
 えっほえっほと背後から屋根をよじ登り、槍と剣を繰り出す狸たち。
 だが、四方から交叉した切っ先は、互いにぶつかり火花を散らしただけ。
 その時アンリは、虚空の人。
 大跳躍したアンリは、空中で体を回し、狸を射撃。
 アンリの着地と同時、狸たちが無念とともに屋根の上に倒れ、ずるずると地面に落下していくのだった。
 アンリの早撃ちを妨げるものは、いない。
 陰陽師だけでなく、千尋の援護だ。触れたそばから敵を消滅させる光剣が、攻防一体の役割を果たし、アンリに狸を寄せ付けぬ。
「うっ、これは危機たぬ」
『ピンチはチャンスと言うではありませんか』
「横文字はわからないたぬ。かくなる上は!」
 どんどこどん。
 軽妙な太鼓の音が、辺りを包む。子狸応援団のお通りである。
「がんばれがんばれ狸団♪ 猟兵、侍、ぶったおせ♪」
「コミカルな曲調の割に、物騒な歌詞だな……」
 応援を受け、みるみる武具を強化していく狸たち。
 千尋は、細分化した鳥威で防ぐ。
 すぐさま次を展開できるとはいえ、勢いづかせては厄介だ。千尋は標的を変更、応援団に矛先を転じた。
 光の剣が乱舞し、戦闘力のない応援団(パンダ含む)を消滅させていく。
「たぬ……無念……」
「草葉の陰から応援してるパン……」
「ん、何かアレだな、心が痛むぜ……!」
 妙に愛らしい仕草で消えていく応援団に、千尋は、複雑な気持ちになった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
京の陰陽師さん達の結界…すごい
でも持久戦だと何時までも持ち堪えられない…、行こう、まつりん

結界が綻びそうな一帯を跳返の符で補強し拠点防御
ん、わたし達も京の守護手伝う

きっと見据える先には晴明……たぬ
晴明、戦争以来たぬ。益々たぬらしくなった、たぬ(こくん)
陰陽師の皆さん、わたし達は結界の外で迎え撃つ
出る瞬間、そして帰還の際の結界解除よろしく

迎撃も素早さ勝負
メイドさんズ、物陰に隠れ素早くたぬ達へ近付き、陣形を型どり始めた隙を狙い、四方八方から突撃し陣を撹乱
陣形が組めず強化も不発するを狙う

混乱に乗じ野太刀にした灯る陽光を手にダッシュ&ジャンプ斬り
今度こそ骸の海へ還るたぬ


木元・祭莉
アンちゃん(f16565)とだよ!

あ。セイメイさんとたぬさんパンダさんだ。
混ざるとキケン、ってヤツだね!(にぱ)

陰陽師さんの結界が決壊しないように頑張ろうー♪
このダジャレはコダちゃん(幼馴染)の分!

おいらは遊撃隊として、攪乱戦法に出るよー。
陰陽師さんやうさみん、アンちゃんのいるトコへぴょんっとテレポ。
ぴよこは嘴突き、ひなこは太陽ビーム、まっきーは噛み付きで攻撃だ!
おいらも、えいっ!(正拳一撃)

突撃陣形を組んできたら、また別の場所にぴょいっ。
あ、パンダ見っけ。レアキャラだ!
太鼓と帽子、取り上げちゃおう♪
セイメイの気配がしたら、またぴょいっと。

最後はアンちゃんと合流して、や・ぶ・さ・か パンチ!




 木元・祭莉(まつりんではない別の何か・f16554)は、五重の塔の上から、京の都を眺めていた。
 遠目に見えるのは、背後霊を背負った、鎧の妖怪変化たち。
「あ。セイメイさんとたぬさんパンダさんだ。混ざるとキケン、ってヤツだね!」
 狸にパンダが混ざっている時点で危ないけれど、そこに危険人物が加わって、更に化学反応。
 だが、京を守護する陰陽師たちも、負けてはいなかった。
「……いてっ」
「先に進めないたぬ~」
 狸の侵攻が、押しとどめられている。
 古来より、都に張り巡らされてきた結界。
 そして、個々の術にて結界を行使する陰陽師たちに、木元・杏(マスター縁日・f16565)が目を見張っていた。
「京の陰陽師さん達の結界……すごい。でも持久戦だと何時までも持ち堪えられない…、行こう、まつりん」
「おっけー! 陰陽師さんの結界が決壊しないように頑張ろうー♪ このダジャレはコダちゃんの分!」
 にぱっ。
「…………」
「…………(にぱっ)」
 幼馴染は今頃くしゃみをしているかもしれないし、遠くの狸や晴明たちが、ぶるっ、と震えたような気がしたけど。
 気のせい。
「じゃ、先に行くねー♪ てやー!」
「あっ」
 ばしゅっ。
 杏に笑顔を残して、祭莉が一気に転移した。

 祭莉を追うようにして、杏が急行したのは、結界が綻びそうな一帯であった。
 狸たちが突破しようとした瞬間、杏は跳返の符を投じた。
「たぬッ!?」
 ぽよん。不可視の壁にぶつかり、跳ね返る狸たち。
「ん、わたし達も京の守護手伝う」
「ご助力、感謝いたしますぞ!」
 陰陽師と協力した杏がきっ、と見据える先には、狸(とパンダ)に背負われた晴明。因縁の相手である。
「晴明、戦争以来たぬ。益々たぬらしくなった、たぬ」
『生憎、骸の海還りなもので。覚えてはおりませんが、戦争のこと、知識としては存じておりますよ』
 晴明が、無駄に良い顔で応えた。
「陰陽師の皆さん、わたし達は結界の外で迎え撃つ。出る瞬間、そして帰還の際の結界解除よろしく」
「了承いたしました」
 陰陽師たちの応答にうなずき、杏は『灯る陽光』を取り出した。


 その頃、祭莉は、というと。
「まつりん、助太刀に只今参上!」
 狸と陰陽師が向かい合う間に、テレポートで割って入った。
「おおっ、猟兵の援軍だ!」
「たぬっ、猟兵がまた増えたたぬ!」
 歓迎と敵意に挟まれてもマイペース。
 祭莉は三体のロボをお供に、いざ狸退治!
「ぴよこ、嘴突き! ひなこ、太陽ビーム! まっきーは噛み付きで攻撃だー!」
 雌鶏、向日葵、狼が、一斉に攻撃を繰り出す。
「やられたぬ!」
「おいらも、えいっ!」
 祭莉の正拳が、狸をきゅう、と気絶させた。
「こっちも負けるなたぬ!」
「狸の陣!」
 わさっ。
 狸たちが、突然整列を始める。
 晴明の指導もあって、綺麗に並んで突撃しようとする狸たちに、祭莉はあっさり白旗を上げた。
「あ、それはちょっとイヤかも。バイバーイ」
「えっ」
 祭莉とお供が掻き消えた。
「に、逃げたたぬ……?」
「奇門遁甲という奴であろうか。……って、猟兵どのー!?」
 あ然とする敵味方。
「……と見せかけてコンニチハ♪」
 祭莉は、敵陣の背後にテレポーテーション。
「あ、パンダ見っけ。レアキャラだ!」
 ひょいっ。
 太鼓と帽子。祭莉に大事なものを取り上げられたパンダは、わたわた。
「返してパンー」
『全く世話の焼けるパンダですね』
 晴明が動く気配。
「セイメイだー。鬼さんこちら♪」
 しっぽ、くるん。祭莉はまた逃げた。

 結界が解かれ、杏が狸に立ち向う。
 敵の方から来てくれれば困らない。狸兵団が、杏を迎え撃つ。
「陣形、よーい、たぬー!」
 ばばっ、と整列を始める狸たち。
 晴明の力も加算して、突撃力は狸兵団史上最高(当狸比)。
 しかし、物陰に潜んでいたうさみみメイドさんズが、陣形製作中の隙を突き、突撃!
「わわ。ウサギたぬ!」
「あ。うさぎ、苦手……?」
 かちかち。
 杏が適当な石を鳴らして見せると、狸たちは一層おののく。
「ひいい!」
「なんでか知らないけど、とてつも無く恐怖を感じるたぬー!」
 杏やメイドさんズに攪乱された狸たちは、陣形をすっかり乱し、突撃どころではない。
 混乱に乗じ、杏は『灯る陽光』を野太刀型にして疾走。メイドさんズの補助も借りて、大ジャンプ、天空から斬り下ろし!
 ずばっ!!
「やられたぬ……」
「よくも仲間を! 敵討ちたぬ!」
 狸&晴明を切り捨てた杏に、狸の槍が迫る。
 だが。
 その横っ面に、パンチが炸裂。
 吹っ飛んでいく狸&晴明と入れ替わりに現れたのは、祭莉!
「アンちゃん、お待たせー♪」
 心強い……と思いきや、別のところの狸まで、一緒に連れて来たらしい。
「待てー! 逃げるなたぬー!」
「あ、えーと……敵が一か所に集まったね! 作戦通り♪」
 そうかな?
「いくよアンちゃん!」
「ん、それじゃ一緒に」
「「や・ぶ・さ・か パンチ!」」
 どぉん!!
 必殺のダブルパンチが、狸兵団を一気に殴り飛ばした。
「今度こそ骸の海へ還るたぬ」
『次は、もう少し有用な依り代に宿りたいものですね』
 杏に見送られながら、晴明は消えていくのだった。狸と共に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『大天使ロロサエル』

POW   :    月閃乱撃
【日本刀による隙無き連撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    月呪審判
【三日月の如き刃】【朧月の如き羽】【月蝕の如き呪言】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    月焔邪視
【魔眼や呪言】を向けた対象に、【精神や身体の内側から蝕む焔】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠筧・清史郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 京の各所で、悲鳴が上がる。
 しかしそれは人々の悲嘆ではなく、武者狸の断末魔であった。
「たぬー」
「たぬー」
 猟兵と陰陽師たちの連合軍は、狸&晴明合一軍に対して大いに善戦していた。
 都内に入り込んだとしても被害が出る前に迎撃され、狸側の損耗は多大。

「魔軍将の力、いささか過大評価していたようですね。もっとも、敵はかつて敗れた相手、頭数を揃えたところで出し抜けないのは、自明の理かもしれませんが」
 天空より戦況をうかがっていた大天使ロロサエルが、遂に、動いた。
「なにぶん、憑装と相性が悪いもので、実力のみで勝負させていただくことをお許しください」
 少しは掛け合いなどしてみたかったのですが。
 くすくすと笑いを漏らし、京の都に降りるロロサエル。
「頑張れ大天使さまー!」
「たぬ達の仇を取って欲しいたぬー!」
『猟書家の実力……この目で見定めさせていただくとしましょうか』
 狸たち残党、そして晴明からの声援が飛ぶ。
「心配せずとも、貴方たちよりは戦果をあげてみますとも。我が大願成就の為にも」
 美天使の翼が、陽光を遮らんばかりに広げられた。
「く……京を乱す輩は許しておけぬ!」
「たとえ最後の1人となろうとも、猟兵とともに守護の任は果たして見せよう!」
 対する陰陽師たちも、一歩も退かぬ構え。

 京が燃えるか否か。運命は、猟兵たちの手にゆだねられた。
家綿・衣更着
「大天使さまー、大変たぬー」
【化術】と【演技】で伝令係を装って近づき手裏剣で【だまし討ち】【暗殺】。
油断なく距離をとって変化を解き挨拶

「どーもロロサエルさん、猟兵の衣更着っす。
化けてなんぼの狸忍者ゆえ奇襲失礼しましたっす。
改めて骸の海にお送りしまっす」

どろんと妖怪煙を出して煙幕にし【迷彩】、【化術】でその煙の一部を自身の【残像】に変化させかく乱。【見切り】や【結界術】を併用して敵の攻撃を回避しつつ手裏剣【乱れ撃ち】っす。

戦闘と煙幕に紛れ近づいた『キャバリア憑依の術』のかかったキャバリアに乗った、陰陽師の援護で動きが鈍ったところにストール布槍とキャバリアでダブル【ランスチャージ】【串刺し】っす!



「大天使さまー、大変たぬー」
 とたたっ。
 京の地に降り立ったロロサエルの元に、狸が馳せ参じてくる。
 見た目は軽装で、伝令係のようだ。
「何事です……?」
 伝令狸を一瞥したロロサエルの表情が、一変する。
 しゅしゅっ、と翔ける手裏剣。
 ロロサエルは、とっさに抜いた刀で弾くものの、幾つかが肩に突き立った。
 躊躇なく刀で追撃するロロサエルから飛びずさり、伝令狸が、正体を現した。
「どーもロロサエルさん、猟兵の衣更着っす。化けてなんぼの狸忍者ゆえ奇襲失礼しましたっす。改めて骸の海にお送りしまっす」
 舞う木の葉の下から姿を見せたのは、家綿・衣更着。
「これは丁寧にどうも。ならば私も、手厚くもてなさねばなりません」
 刀を構えるロロサエル。ふとした仕草も絵になる、良い男。
 どろん。
 衣更着の妖怪煙が、辺りを包む。
 ただの煙幕ではない。煙は、みるみるうちに、人型……衣更着を形作る。
 次々飛び出す残像が、ロロサエルをかく乱する。
 八方から放たれた手裏剣は、幻ではなく実体として、ロロサエルを的にしていく。
 それでも大天使に、動じる様子はない。仮初の衣更着をかわし、刀で手裏剣を弾く。
 広げた翼から羽を撃ち出し、呪言にて煙幕を打ち払う。
「手数を増やして一気に攻めるとは良策でしたが、狸ならいざ知らず、この私には通用しませんよ」
 涼やかな声音で告げるロロサエルの目が、鋭さを増した。
 立ち込める煙幕を破って、巨体が出現したのだ。白き機体、衣更着のクロムキャバリア「テングリーフ・ホワイト」。
 巨大突撃槍を構えたその両肩には、都の陰陽師たちが控えていた。
 キャバリアの進撃により、ロロサエルに接近、結界術を発動させた。
「都の平安を脅かすものよ!」
「疾くこの地より去るが良い!」
 成立した結界に囚われ、ロロサエルの挙動が鈍る。
 そしてその背後より飛びかかったのは、衣更着当人。
「では、あの巨兵は……」
「遠隔操縦っす!」
 答えた衣更着の腕に、綿ストールが螺旋を描いて収束、槍となる。
 前方の白きキャバリアと、後方の衣更着。
 二槍による挟み撃ちが、ロロサエルを貫いた。
「どうっす? たっぷりびっくりしてくれたっすか?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

卜一・アンリ
実力のみの勝負。えぇ、望むところよ。
悪魔憑きのアリスがお相手するわ、大天使サマ。

退魔刀で居合(【クイックドロウ】)の構え。
繰り出される敵UCを【見切り】【指定UC】で【武器受け】。
姓こそ偽れど長年教え込まれた秘剣。
ただ斬撃を弾くなんて温いわ、敵の刀を叩き折りにかかる。(【部位破壊】【武器落とし】)

どうあれ攻勢を挫けば敵は間合いをとろうとするでしょうけど
そこは京の陰陽師さん達の結界で妨害してもらいつつ、
私は更に懐に踏み込み拳銃の【零距離射撃】を【乱れ撃ち】。

その薄ら笑い、穴だらけにしても張り付いたままか試してみましょうか。



 卜一・アンリは、あえて超・魔軍転生を封じたロロサエルと、相対していた。
「実力のみの勝負。えぇ、望むところよ。悪魔憑きのアリスがお相手するわ、大天使サマ」
「悪魔、ですか。不倶戴天、という言葉が相応しいかもしれません。全力でお相手致しますとも」
 ロロサエルは微笑をたたえたまま、アンリを待ち構える。
 相手は、月の力を加護とした天使。だが、武器自体は刀一振り。
「今回はこれでお相手するわ」
 アンリが構えたのは、鞘に納められた退魔刀。いつもの拳銃では、ない。
 にらみ合う2者。
 片や剣士、片や天使。しかし共に得物は刀である。
「では我が秘剣、お見せしましょう。狸さん、晴明さん。くれぐれも巻き込まれませんよう」
 警句とともに、先に動いたのは、ロロサエルであった。
 日本刀が閃く。それは地上をあまねく照らす月光の如く、全てを切り払う連斬。
 しかし、それを迎え撃ったのは、同数の斬撃であった。アンリの繰り出した、剛の型。
 刀同士が散らす火花が、京の都を彩る。その光景は、地に咲く花火を思わせた。
「姓こそ偽れど長年教え込まれた秘剣」
 ロロサエルの斬撃は、アンリによって一片に至るまで、受け止められていた。
 しかし、ただ斬撃を弾くなど温い。
 アンリの剣は守りではなく、攻めの剣。
 無数に響いた剣戟の音が、ようやく止む。
 アンリもロロサエルも、互いにほとんど無傷であるように見えた。
「見事でした。なかなかの使い手のようですね」
「へえ。余裕なのは、『気づいてないから』かしら?」
 直後。
 戦いを見守る陰陽師たちから、おおっ、と声が上がった。
 ロロサエルの刀に、ヒビが走ったのである。
「なるほど、最初から私ではなく武器を狙って……面白い」
 アンリの思わぬ抵抗に、一旦距離を取るロロサエル。だがそこを、陰陽師たちの結界が封じ込める。
「刀がなくっても戦いようはあるでしょうけど、それをさせるはずないでしょう」
 生み出されたチャンスの隙に、相手の懐まで踏み込むアンリ。その手には、刀ではなく、拳銃。
「その薄ら笑い、穴だらけにしても張り付いたままか試してみましょうか」
 零距離の乱射が、ロロサエルに叩きこまれた。

成功 🔵​🔵​🔴​

火土金水・明
「再び戦争を起こそうとする存在は見逃すわけにはいきません。」「あなたの望み通りにはさせませんよ。」(可能であれば、陰陽師さん達に結界術をお願いします)
【SPD】で攻撃です。
攻撃方法は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡め【限界突破】した【銀の流れ星】で、『大天使ロロサエル』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



 都を守る陰陽師たち、そして猟兵たちに、新たな加勢が現れる。
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)である。
「再び戦争を起こそうとする存在は見逃すわけにはいきません」
 抜き身の刀を無造作にぶらさげたロロサエルに、明から、決意の銀剣が向けられる。
「フフ、何も徒に戦乱を求めているわけではありません。その先にあるものこそ、我が願いなのです」
「願い、ですか。けれどそれこそが世界にとってはおそらく有害。あなたの望み通りにはさせませんよ」
 果敢に切りかかる明。
 迎え撃つロロサエル。
 両者とも、魔術と剣技を合わせ振るうもの。
 銀弧と月閃が切り結ぶ様は、あたかも、剣の舞踏会。
「負けるな大天使さまたぬー!」
「頑張ってくだされ、猟兵殿!」
 ロロサエルには狸、明には陰陽師から、応援の声が飛び交う。
 しかし、ロロサエルは剣だけの天使ではない。そう、天使、なのだ。
「貴方の実力に敬意を表して、我が力をもっておもてなしいたしましょう」
 ロロサエルの翼が、広げられた。
 朧月の淡き光の如く、数多の羽が、明へと降り注ぐ。
 オーラを張り巡らせ、守勢に回る明を、次に襲ったのは呪言であった。
 聴覚より入り込んだ呪縛の力が、明の体から自由を奪わんとする。
 そして、仕上げに振り下ろされるのは、刀。雷光のような激しさではなく、柔らかな月光の如き軌跡が、明を断ち切った。
「これにて貴方の力は封じさせていただき……」
 薄い笑みを浮かべるロロサエル。
 しかし、明は、霞の如く掻き消える。
「残念、それは残像です」
「!」
 気配に振り返ったロロサエルへ、明の銀剣が迫っていた。
 素早く剣を構え直すロロサエル。だが、その体は結界に封じられた。
「陰陽師さんたち、有難うございます」
 明の礼に、控えていた陰陽師たちがこくん、と頷く。
 絶好の機、逃す手はない。
 閃く黒のマント。
 銀の輝きは、一層強さを増して、ロロサエルへと振り下ろされた。流星の如く。
「一度では終わりませんよ」
 明の言葉通り、銀剣は二度閃く。
 今度は天へと上る星が、ロロサエルの翼を切り裂いた。
「ここであなたに少しでもダメージを与えて、次の方につなげるのが私の役目です……!」

成功 🔵​🔵​🔴​

月舘・夜彦
【華禱】
憑装する相手によっては脅威
狸の彼等には申し訳ないのですが、彼等だったからこそ
被害はそう大きくなかったというものです

陰陽師達には引き続き援護を
敵は刀の使い手のようですが離れていても油断はせずにお願いします
往きましょう、倫太郎

倫太郎の術を合図に接近
2回攻撃による手数となぎ払いによる広範囲にて攻撃を仕掛ける
隙がないよう倫太郎の攻撃に続いて攻撃

他の猟書家は人々をオブリビオンへ変えて戦力にしようとしている様子
貴方は戦力を増やそうというより妨害に近い
いずれにせよ、防ぐまでのこと

視力と見切りにて攻撃を判断、連撃には武器受けにて防御
攻撃を凌いだ後、隙を見て早業の抜刀術『静風』にて一閃


篝・倫太郎
【華禱】
なんでそう血気盛んなの……
後方からしっかり術を維持しといてくれる?

元より退くつもりもねぇし
往こうぜ、夜彦

拘束術・真式使用
術の展開と同時にダッシュで接近
吹き飛ばしと生命力吸収を乗せた華焔刀でなぎ払い
刃先返してフェイント入れつつ2回攻撃
出来るだけ陰陽師連中から引き離すように攻撃
飛翔させないよう、鎖を絞って近接攻撃に持ち込む
術が剥がされる前に重ねて使用

好奇心だけじゃねぇってか
なら、ちっとばか教えてくれよ、その大願とやら

答えがあるとは思っちゃ居ねぇ
こいつはただの時間稼ぎ

夜彦の準備が整ったら
鎖を引き絞ってこちらに意識を向けさせる

敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御で防いで凌ぐ



 いよいよ姿を現した敵の首魁。
 ずいっ。
 篝・倫太郎が前に出ようとする陰陽師を制して、自らが進み出た。
「なんでそう血気盛んなの……まあここは俺らに任せて、後方からしっかり術を維持しといてくれる?」
「後には引けぬ戦いに、思わず血沸き肉躍り……ゴホン! では猟兵殿も来てくれたことだし、お任せいたしますぞ」
 倫太郎に諭され、素直に引き下がる陰陽師たち。
 ちらり、と月舘・夜彦は、自分たちを遠巻きに見守る狸残党に意識を向けた。
 魂となり複製されたといっても、晴明も魔軍将。憑装する相手によっては、間違いなく脅威だ。
(「狸の彼等には申し訳ないのですが、彼等だったからこそ被害はそう大きくなかったというものです」)
 夜彦は、そんな洞察を、心の内に秘めた。化け狸にも、誇りというものがあろうから。
「では、引き続き援護をお願いします。敵は刀の使い手のようですが離れていても油断は怠らぬよう」
「承知しましたぞ」
 陰陽師たちの頼もしい返答を確かめ、夜彦の視線は、相棒へと。
「ここが正念場です。往きましょう、倫太郎」
「ああ、元より退くつもりもねぇし」
 先駆けとなったのは、倫太郎だ。
 ロロサエルの刀と倫太郎の華焔刀が、火花を散らす。
 尋常ならぬ技とは言え、剣術の範疇ならば、倫太郎にも対処のしようはあるというもの。
 残像や見切りを駆使して、ロロサエルの振るう刀を切り抜ける倫太郎。
「戦い、見てたぜ。翼に刀に呪文? なんでもアリなのな」
「称賛の言葉として受け取っておきましょう」
 ロロサエルが、倫太郎を弾いて距離を取る。必殺剣を放つつもりか。
「させるかよ」
 離れようとする大天使を、倫太郎の鎖が追撃した。だが、その姿形は、倫太郎自身以外には見えぬ。
 ゆえに、陰陽師たちには、ロロサエルが突如爆破されたように見えたはずだ。
「これは爆砕の術式……いや、拘束術?」
 ロロサエルの視界遮る爆煙を吹き飛ばしたのは、倫太郎の突進だった。
 煙に風穴を空け、繰り出すは華焔刀。倫太郎十八番の二閃が、ロロサエルのローブに交叉傷を刻む。
 その威力をしのぎ切ること叶わず、吹き飛ばされるロロサエル。
 しかし、ロロサエルが体勢を整え直す暇はない。
 倫太郎の爆砕を合図に、夜彦が加勢していたからだ。
 かくして、二対一の構図が出来上がる。
 月光を思わせるロロサエルの太刀筋、対する夜彦もまた、閃く夜禱は銀の月。
 相棒の隙を埋めるように、夜彦の刃が振るわれる。
 倫太郎に互いの距離をコントロールされるロロサエルに対し、入れ替わり立ち代わり、切りかかる夜彦。
「他の猟書家は人々をオブリビオンへ変えて戦力にしようとしている様子。ですが貴方は戦力を増やそうというより妨害に近い」
 夜彦には踏んだ場数がある。
 修練と実戦にて研ぎ澄まされた視力、そして染みついた回避挙動により、ロロサエルと互角の戦いを繰り広げながら、夜彦が言う。
 天使の御業であっても、それが剣術であるならば、夜彦の得意分野である。
「いずれにせよ、その道行、防ぐまでのこと」
「我が目的を防ぐ前に、私の技を防ぎ切れますか?」
 微笑1つ。ロロサエルが、無数の銀閃を披露した。
 夜彦たちへと攻め込み、かつ結界ともなる攻防一体の技だ。
 さながら、大地を照らす月光の如く、間断なく降り注ぐ連刃。
 しばし夜彦たちは、己が武器を構えて、それを耐え忍ばねばならなかった。
 守勢に回った猟兵たちを見て、ロロサエルが翼を広げる。
「空に逃げるつもりかよ」
 しかし、倫太郎の握る不可視の縛鎖がそれを許さぬ。
 鎖を手繰ってロロサエルを引き寄せ、間合いを接近戦のものに保つ。
「自分から出しゃばって来たのも、好奇心だけじゃねぇってか。なら、ちっとばか教えてくれよ、その大願とやら」
「ただ『同朋』を揃えたいと、それだけですよ。我ら大天使を、ね」
「ふうん、律儀に答えてくれて感謝するぜ。それに、時間も稼がせてもらったしな」
 ロロサエルが目を細める。倫太郎たちの狙いを看破したか。
「もう1人が仕掛けるつもりですね、しかし……」
「つれねえな、もうちっと俺と遊んでくれよ」
 話に付き合ってくれたお礼とばかり、鎖を引き絞る倫太郎。その術は、重ね掛けされたことで、強度を取り戻している。
 そして、倫太郎の合図と共に、夜彦は技を繰り出す。
 一度鞘に納めたその刀を、抜き放つ。特徴的な抜刀術の構えゆえ、一対一ではタイミングが難しい。
 しかし、相棒の助力にて弱点を乗り越えたならば、その威力はまさに絶技。
 夜彦、渾身必殺の一刀が、ロロサエルを断ち切る。
 天使の羽が、京の都の空に散った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

小日向・いすゞ
【狐剣】
彼を剣として手に

へぇへぇ
あっしの虎の子見せちゃいましょうか
アンタに毎日素振りを強要されてる事っスし
あっしは武器からの受けも
武器を受ける事も上々な狐っスからね!

ワーイありがとうございます
剣は黙ってても良いンスよ~

あのう
例え受ける事は出来ても進む事が…
ははーん、成程っス
ははーん、頑張るのあっしっスね
ははーん、ええい覚えてるっスよ
頼んだっスよ、陰陽師のセンセ達!

駆けて、受けて、弾いて、躱して
隙を探して

あっしじゃ一撃は重くはないっスし
アンタらの野望を一撃で断つ…なんてかっちょい事は言えないっスけれど

斬る事だけは、得意なンスよ
あっしの相棒はね

さあ
箔をつけさせてやるっスから
精々しっかり斬るンスよ!


オブシダン・ソード
【狐剣】
真の姿、いすゞの剣として

陰陽道も見せつけたところだし、ここからは君の剣の道を見せてあげてよ
もちろん引き続き応援はするからね
キャーいすゞさんカッコイー
がんばれがんばれー

UCを発動
陰陽師さん達が動けるよう僕等で攻撃を引き付けよう
どう受けるべきかは僕もアドバイスするからね、頼んだよいすゞ
反撃? うん、隙が無いから無理じゃないかな
後退しながらでいいからがんばって!
しなないで!
ふぁいとー


でも時間を稼げば、ほら
多分陰陽師さん達が、結界術やら何やらで動きを鈍らせてくれるでしょう?
連撃を打ち払って、ぶった斬るよ
いやあ、天使も斬ったとなると僕にもまた箔が付いちゃうね

もちろんだよ
さあ、行こうか相棒



 京を舞台に続く、猟兵と大天使の戦い。
 負傷したロロサエルと対峙したオブシダン・ソードが、傍らの小日向・いすゞに自らの力を託すことにした。
「陰陽道も見せつけたところだし、ここからは君の剣の道を見せてあげてよ」
 そう告げると、オブシダンは目深にかぶっていたフードを脱ぐ。
 その下から現れたのは素顔……ではなく。
 黒曜の輝きと共に、一振りの剣が顕現する。
 いすゞは、剣となった……いや、剣に『戻った』オブシダンを手に取る。
『陰陽師さん達が自由に動けるよう僕等で攻撃を引き付けよう』
「へぇへぇ、それじゃあっしの虎の子見せちゃいましょうか。アンタに毎日素振りを強要されてる事っスし」
 姿かたちを問わずおしゃべりな相棒を構え、いすゞは、断つべき相手……ロロサエルを見据えた。
「おおっと相手も剣使いっすね」
『どう受けるべきかは僕もアドバイスするからね、頼んだよいすゞ』
「任せるっす、あっしは武器からの受けも、武器を受ける事も上々な狐っスからね!」
『あ、もちろん引き続き応援はするからね』
「ワーイありがとうございます。でもでも、剣は黙ってても良いンスよ~」
 そんな狐剣のやりとりを、ロロサエルの襲来が遮った。
 羽ばたく翼で一気に接近、刀が突き出される。
 とっさにオブシダンでガードしたいすゞが、突きの威力に押され、後退する。
 それでもなんとか刀を払いのけ、反撃に転じる。
「そいやー!」
『キャーいすゞさんカッコイー』
「てやー!」
『がんばれがんばれー』
 一振りごとに、黒曜剣オブシダンの応援が飛ぶ。
 それは的確なアドバイス、あるいは、いすゞの剣気を高める効果を発揮している……のだろうか……いや、そのはずだ。
「人と器物が力を合わせて戦う、実に興味深い。では次は、私の剣も目に焼き付けていだきましょう」
 いすゞ達へと、ロロサエルの全力斬撃が繰り出された。
 逃げ場をも全て断つ、圧倒的な攻勢だ。
 しかし、それを受けるオブシダンの刀身には、刃こぼれ1つ生じない。
 もちろん、持ち手たるいすゞにも傷一つ……。
「あのう」
 いすゞが、黒剣に語り掛ける。
「例え受ける事は出来ても進む事が……」
 剣雨にさらされるいすゞに、オブシダンの返答は早かった。
『反撃? うん、隙が無いから無理じゃないかな』
「ははーん、成程っス」
『後退しながらでいいからがんばって!』
「ははーん、頑張るのあっしっスね」
 ロロサエルの斬撃の中、声(だけ)を飛ばすオブシダン。
『しなないで! ふぁいとー』
「ははーん、ええい覚えてるっスよ」
 オブシダンの涼しい顔を刀身に重ねながら、いすゞが頑張った。
 ロロサエルの圧倒的な攻勢に、外野の狸たちから歓声が上がる。
「さすが大天使さまたぬ!」
「いけ好かない猟兵をぶっ倒すたぬ!」
『んー応援で負けるのはちょっと許せない。ほらいすゞさん、もうひとふんばりー』
「ぐぬぬ……!!」
 ロロサエルの猛攻と、オブシダンの応援に耐えるいすゞ。
 駆けて、受けて、弾いて、躱して、隙を探して。
 いすゞは、月光の如く降り注ぐ剣嵐の中を切り抜ける。
 だが、ただ黙って耐えているわけではない。
「ほいじゃ、頼んだっスよ、陰陽師のセンセ達!」
 いすゞの呼び掛けと同時であった。
 ロロサエルの周囲に、幾筋もの光が駆け巡ったのは。
「我ら、誇り高き陰陽師」
「天使などに、都で好き勝手はさせぬぞ!」
 ロロサエルの周囲に、結界が発動した。
 各所から集結した陰陽師たちが、力を合わせたのである。
『ほら、時間を稼いだ甲斐があったでしょう? さすが陰陽師さんたち』
 オブシダンが、援軍をさらりと褒めた。
 そう、ただ漫然と守勢に回っていたわけではないし、何より、相手の技を受け切るという、オブシダン自身の硬度に自信があってこそだ。
『さあ行くよ、反撃だ』
「そうでなくっちゃ。耐えた意味がないっスからね!」
 刀の舞いが止んだ機を捉え、オブシダンが、いすゞを促す。
「あっしじゃ一撃は重くはないっスし、アンタらの野望を一撃で断つ……なんてかっちょい事は言えないっスけれど」
 いすゞが、ロロサエルの間合いに飛び込む。
「斬る事だけは、得意なンスよ。あっしの相棒はね」
『いやあ、天使も斬ったとなると僕にもまた箔が付いちゃうね』
 いすゞが力をこめた黒剣が、輝きを強めて行く。まるで浴びた月光を、その身に蓄えたかのように。
 オブシダンが、最強の盾となった時間は終わり、ここからは敵を断つ、剣の本懐を遂げる時だ。
「さあ、箔をつけさせてやるっスから精々しっかり斬るンスよ!」
『もちろんだよ、さあ、行こうか相棒』
 渾身の、一斬。
 いすゞとオブシダンが一体となった斬撃は、狙いたがわず、大天使を断ち斬った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

たぬのお次は、…鳥?
ちょっと、鳥にしてはもふもふ度が足りないし
少し……だいぶ漢(おとこ)度にも欠ける
私の好みじゃない
ん、倒そう
陰陽師さん、わたしに結界をよろしく

【花魂鎮め】
第六感を働かせ、早業で逃げ足も使い刃と翼を回避する
無理でも幅広の大剣にした灯る陽光で武器受け
呪詛は張ってもらった結界で弾き飛ばす

ん、こっちの番
京の建物立ち並ぶ都の地形を活かし家屋を蹴りジャンプして跳躍
そのまま羽の付け根を目掛け大剣を振るい、思い切り斬撃を放つ!
天使がバランスを崩せば僥倖
まつりんと息を合わせ、やぶさか☆あたーーっく!(怪力で殴りつける

天使はこの世界には似合わない
骸の海へ還って


木元・祭莉
引き続きアンちゃん(f16565)とだよー!

ロロさん、猟書家さんだっけ。
羽根が生えてるね。
へぇ、大天使さんなんだ。
そっか、天草四郎さん、伴天連さんだったね。
そのうち会いに行かなきゃ。

ん、その前に、京都守らないと。
行くよ、アンちゃん!
陰陽師さんたちもヨロシクね!

くるり回って、舞妓姿に。
魔眼は扇で遮り、呪言は舞で相殺し。
ふわりふわりと白炎を放射して、目くらまし。

焔は、深呼吸して丹田に気を集め、圧し潰すよ!
陰陽師さんに目配せして、タイミングを合わせ。
アンちゃんが切り込んだら、死角から飛び込んで、扇を一閃!

へへへー、ゴメンね。
おいらね、羽根生えてる生き物は、信用しないコトにしてるんだ!(えっへん)



 狸兵団with晴明の残党を蹴散らして。
 決戦の場に駆け付けた木元・杏は、空に浮かぶ影を見上げた。
「たぬのお次は……鳥?」
 天翼を広げ、悠然と虚空に座するロロサエルである。
 その容姿をチェックした杏は、小首をかしげ、
「ちょっと、鳥にしてはもふもふ度が足りないし、少し……だいぶ漢(おとこ)度にも欠ける。私の好みじゃない」
 すなわち、
「ん、倒そう」
 ずばっと即断。
 杏から評価を下されたロロサエルに、木元・祭莉も興味津々。
「ロロさん、猟書家さんだっけ。羽根が生えてるね」
「僭越ながら、大天使の1人ですので」
「へぇ、大天使さんなんだ。そっか、天草四郎さん、伴天連さんだったね。そのうち会いに行かなきゃ」
「それはつまり、クルセイダーを討つ、ということですか? かの戦争を生き延びた彼がそうやすやすと倒れるものでしょうかね」
 明日の予定のようにさらっと告げる祭莉に、ロロサエルが苦笑で返した。
「ん、その前に、京都守らないと。行くよ、アンちゃん! 陰陽師さんたちもヨロシクね!」
「ご了解……!」
 陰陽師たちが、ポーズを決めて祭莉に応えた。
 意外とノリがいい人たちなのかもしれない。
 そして杏は、陰陽師に追加で1つお願い。
「陰陽師さん、わたしにも結界をよろしく」
「良いですとも!」
 陰陽師が、杏に結界を張り巡らせた。
 更に、その体が、銀の輝きを帯びていく。
 【花魂鎮め】。零れ落ちる銀の花弁で周囲を浄めながら、杏が疾走する。
「我が月天の力、お受けください」
 天上の優男の翼から、羽が降り注ぐ。
 聖なる羽吹雪を引き連れ、ロロサエル自身も急降下、刀を抜いて杏に切りかかる。
 きゅぴん。
 杏は、とっさに進路変更。第六感を働かせ、素早い逃げ足で、刃と翼の急襲をかいくぐる。
 そして今度は、携えた書物より放たれる呪詛が、杏を蝕もうと忍び寄る。
 だが、見えざる魔手を阻んだのは、杏を包んだ結界だった。
「陰陽師さん、ありがとう」
「礼には及びませぬ!」
 まんざらでもない声色の陰陽師の返答を聞きながら、ロロサエルの一刀を受け止める杏。幅広の大剣に変えた、灯る陽光で。
「剣士ではないようですが、なかなかの腕前」
「それは、お互いさま」
 杏とロロサエルが刃を交える中。
 こっそり祭莉が、くるりその場で一回転。舞妓姿に。
「それが戦装束ですか。すぐに塵としてしまうこと、ご了承ください」
 杏の刀を退け、その身を弾き飛ばしたロロサエルが、祭莉へと妖しい光を放った。魔眼だ。
 祭莉は、かざした扇で視線を遮る。しかし、それをすり抜けるように響いてくるのは、ロロサエルの呪言。いい声。
 だが、祭莉の披露する舞が、呪いの力を相殺する。
 舞扇からふわりふわりと白炎を放射して、ロロサエルの視界を遮断する。
「大人しく、我が浄めの焔に呑まれてはどうです」
 かっ。ひときわ強く発せられたロロサエルの眼力が、祭莉を飲み込む。
 押し寄せる邪気の中、祭莉は、深呼吸。丹田に気を集め、内より溢れ出る魔焔を圧し潰した。
「なんという……」
 気合と呼べるもので呪詛を跳ね除けた祭莉に、あ然とするロロサエル。
 翼を羽ばたかせ、空へと距離を取る天使。祭莉は、陰陽師に、ちらっ、と目配せ。
 すると、絶妙のタイミングで、ロロサエルが結界に封じられた。
 空中の牢獄に閉じ込められ、動きを止めたロロサエルの元を、杏が目指す。
「ん、こっちの番」
 整然と並ぶ建物、都の地形を助走ルートとして活かし、家屋を蹴り、跳躍。
 狙うは、大天使の羽の付け根。
 光の軌跡を描きつつ、思い切り斬撃を放った。
 白翼が空に散る。
 霊光まといし衝撃波が、ロロサエルの全身を切り裂いたのである。
 そして、ロロサエルの死角から、祭莉が飛び込む。扇を一閃!
「く……!」
 翼を傷付けられて浮力を失い、落下するロロサエル。
 そこに、白銀の杏と、白焔の祭莉がタイミングを揃えて、
「「やぶさか☆あたーーっく!」」
 ありったけの怪力で殴りつけた。
「天使はこの世界には似合わない。骸の海へ還って」
 吹き飛ばされ、地上に叩きつけられたロロサエルを、杏が見下ろした。
「へへへー、ゴメンね。おいらね、羽根生えてる生き物は、信用しないコトにしてるんだ!」
 満面のドヤ顔で、胸を張る祭莉。
 何処からともなく、ニワトリの鳴き声が聞こえて来たような……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

加賀・琴
アドリブ絡み歓迎です

大天使ロロサエル……
天使ということはクルセイダーこと天草四郎が信仰する異教の神の御使いですか
本当に神の御使いであるかは知りませんが、オブリビオンである以上は祓うべき魔に違いありません

和弓・蒼月に矢を番え、詠唱として祝詞を唱えながら魔眼や呪言を避けるように走り回ります
都の家々を障害物にしたり、他の人や陰陽師の方々に祝詞を唱える時間を稼いでもらいます
最悪、焔に蝕まれようと祝詞を止めずに耐えてみせます。炎そのものはともかく巫女として呪詛には抵抗できますし
祝詞を唱え終えたら、ロロサエルに向かって番えていた矢を【破魔浄火の矢】として放ちます!
貴方が呪いの焔なら、私は浄化の炎です!


司・千尋
連携、アドリブ可

お前以外の七大天使ってどんな奴なんだ?
見かけたらロロサエルが探してたって伝えてやろうか?


近接や投擲等の武器も使いつつ
攻撃は基本的には『空華乱墜』を使う
範囲内に敵が入ったら即発動
味方がいる場合は当てないように調整

範囲攻撃や2回攻撃など手数で補いつつ
カウンターを狙ったり確実に当てられるように工夫する


敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
オーラ防御も鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
回避や防御、相殺する時間を稼ぐ

敵の攻撃の刃、羽、呪言は三種類同時に当たらないように対処しやすい攻撃を集中して防ぐ
間に合わない時は双睛を使用
陰陽師達や結界への攻撃は最優先で防ぐ



 加賀・琴は、狸の総大将との対決に臨んだ。
「天使ということはクルセイダーこと天草四郎が信仰する異教の神の御使いですか」
 傷付いてなお、神聖さを失わぬ天翼に、琴はその証を見る。
「本当に神の御使いであるかは知りませんが、オブリビオンである以上は祓うべき魔に違いありません」
 確かに、と首肯した司・千尋が、『月烏』を手に、ロロサエルへ問いかける。
「お前以外の七大天使ってどんな奴なんだ? 何かの縁で見かけたら『ロロサエルが探してた』って伝えてやろうか?」
「お気遣い、感謝致します。ですが、それには及びませんよ」
 千尋の申し出をやんわりと退けると、ロロサエルは、静かに微笑んだ。
「汝らに祝福を。ただし、我らに背くものには、呪いの言葉となって届くでしょう」
 琴たちへと、ロロサエルの呪言が、響き渡る。
 同時にその瞳は、魔眼としての本性を発揮。
「あまり見つめられたくはありませんね……」
 敵の視線に捕まえられることを避けた琴は、和弓・蒼月に矢を番えた。
 しかし、放つことはしない。祝詞を唱えながら、敵の眼を避けるように、京の街へと駆けだした。
 都の家々を遮蔽として、祝詞を唱え続ける琴を、上空から追うロロサエル。
「そのようなか細き祈りの言葉では、私の祝福を避ける事は出来ません」
 巫女として、呪詛に耐えうることは琴にも可能だろうが、大天使、幹部級の力に長時間さらされることは危険だ。
 琴の耳に、ロロサエルの声が忍び寄る。背後では、大天使の眼差しを受け、建物が燃えんとしていた。
 だが、千尋の展開した防壁が、災禍を防ぐ。
「時間が要り様なら、俺が用意しよう」
「感謝します……!」
 琴を援護すべく、屋根を蹴って、千尋がロロサエルの前に飛び出した。
 そして、千尋の攻撃を後押しするのは、同じく巨大化した人形、白面の『宵』と黒面の『暁』。
 京の街の守護神の如く、そびえたつ二体の人形。
 翼にて飛び回るロロサエル、二つの巨躯が、その行く手を阻む。
 街や味方への被害を防ぐため、全力で暴れられないのがもどかしいが、それでも活躍なら十分出来る。
「異国の絡繰り、その実力、興味深いですが……早々に退場願いましょう」
 ひときわ激しい羽ばたきと共に、羽の矢が降り注ぐ。
 しかし、千尋が分割、展開した『鳥威』がその全てを遮った。
 京の町並みも、陰陽師たちにも、容赦なく四方八方に降り注ぐ羽。
 耐久力を超過した『鳥威』が次々割られていくが、すぐさま真新しいものが展開。
 更に、オーラを重ねて防御力を加算。二度は同じ攻撃に破られることはない。
 千尋自身はもちろん、琴や、地上に控える陰陽師たちが傷つくことはない。
「天使の進軍を阻むなど……!」
 ロロサエルが、新たな呪言を紡ぐ。
 だが、『宵』と『暁』の刀と扇が、それを掻き消す。
 しかし、呪言はフェイント。本命は、刀による斬撃だ。
 だが、二体の人形の間から飛び出す千尋。刀の切っ先をかわし、カウンターとしてロロサエルに突きを浴びせた。

 一方、琴の詠唱は続いていた。
「逃げるなたぬー!」
「ビビりたぬー!」
 狸残党から野次が飛ぶ。先ほど猟兵たちにこっぴどくやられた腹いせであろうか。
 だが、狸の戯言などに心乱される琴ではない。
 千尋の助力により、予想より長時間の詠唱を行うことが出来た。これならば。
 そして、琴が、遂に祝詞を唱え終える時が来た。
「お願いします」
「異教の者よ、留まるが良い……!」
 陰陽師たちが、ありったけの余力を注ぎ、ロロサエルを結界に封じ込めた。
「さあ、今こそ地に堕ちる時です!」
 陰陽師の結界を突破してくるロロサエルに、つがえていた矢を向ける琴。
 放たれた矢は、炎を宿し、一直線。
 狙いたがわず。
 数百メートルの距離を駆け抜けた破魔の矢は、ロロサエルの胸を射抜いた。
 直後、ぼっ、とロロサエルの全身が火炎に包まれる。詠唱の力がしかとこめられた分、その威力は絶大。
「貴方が呪いの焔なら、私は浄化の炎です!」
 聖なる炎に焼かれる大天使に、琴が言い放った。
「天使の私が浄められようとは……しかし」
 最期の力を振り絞り、京の街を滅ぼさんとするロロサエルを、二体の人形が塞いだ。
 空にて燃ゆるロロサエルを、宵と暁がそれぞれの武器で釘付けにすると、その肩から、千尋がとどめに向かう。
 振り上げたのは、『鴗鳥』。
 破壊力の化身……鈍器が大質量を以て、ロロサエルを地に叩きつけた。
「いつか大天使に会ったら言っておくよ。ロロサエルは最期まで優雅に戦い抜いた、ってな」
 光の羽と散って消えていくロロサエルに、千尋が別れの言葉を告げた。

 ロロサエルの消滅と共に、狸たちに宿っていた晴明たちも術を解かれ、消えていく。
『元より仮初の顕現でしたが……此度は貴重な体験だった、と納得する事に致しましょう』
「えっ、あっ、セーメー!?」
『強く生きるのですよ』
 残されたのは、狸たちである。何の加護もない、一応オブリビオンな狸。
「ちっくしょー、覚えてるたぬー!」
 残党たちは、なすすべなく、尻尾を巻いて退散していくのであった。
 災いは去った。京の人々、そして陰陽師たちから、猟兵たちに感謝が告げられる。
「感謝致します、猟兵殿。京の安寧は、守られました」
「ご活躍、あっぱれにございました!」
 これにて、一件落着。
 猟兵たちがふと見上げた京の空は、何とも澄み渡っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月28日


挿絵イラスト